蒼天紳士チャンピオン作品別感想

ちぐはぐラバーズ
読み切り 〜 其の15


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 読み切り 〜 其の15 (2011年 20号〜2012年 30号)


読み切り 前編  (2011年 20号)


『ライジングインパクト』『金剛番長』鈴木央先生が、チャンピオンに初登場であります!
純情派剣道ラブコメの読み切りを2週に渡って掲載だ!

小生は変態かもしれない

荒い息遣いと共にそんな述懐から始まります。
物陰からハァハァいいながら覗いているなら、とても変態的だが・・・?
実際は、稽古で疲れて倒れて、剣道の面越しに見ているだけです。うむ、セフセフ。

自分に大好きな女子がいて、そんでもってその女子と一つ屋根の下で暮らしているとしたら。
素直に喜ぶことができるだろうか?
それがたとえ、実の姉だとしても

そう来たか。
実の姉に対する恋心か・・・変態と表現していいのかどうか戸惑うところでありますな。
まあ、チャンピオン的にはよくある話でしょ
最近の傾向的に、ベロチューぐらいまでなら問題ないはず!

天原剣道場。この由緒正しい道場の夫婦には子供が無く、13年前に養子を迎え入れた。
それが、姉の爽(さやか)さんであります。
姉は養子に来た翌日――遊びに行った公園に捨てられていた幼子を連れて帰った。
それが、主人公。弟に当たる天原無心でございました。

実の姉といっておきながら、その1Pあとで血の繋がりを否定しただと!?
変態レベルがかなり後退しましたぜ。世間体的なことを気にしなければセフセフなはずだ。

由緒正しい道場を継ぐはずだった両親は6年前に事故で他界しております。
ということで、祖父から婚約の話を持ち出される爽さん。17歳ですし、結婚できる年齢ではありますな。
この婚約の話を立ち聞きしてしまい、姉に恋心を抱く無心君は放心状態だ。

立ち聞きされていたことなど露知らぬ爽さんは、登校中に無心に対して剣の道について語る。
名前に反して雑念の多い奴だと言われる無心君。いえ、放心してただけですよ?放心と無心は違うか。

さて、ここで現れるのは、メガネ。
土門剣道場の次男坊、土門海である。今日話に出た、爽さんの婚約相手だ。
容姿端麗、学業優秀、運動万能の高校生の鑑!
恋のライバルとして、相手にとって不足なし!ちょいと強すぎる気もするぜ!
いきなり、縁談の話を持ち出す海さん。
それに対し、顔を赤らめそっぽを向く爽さん。むむ、この表情は?

爽さんの反応にショックを受けた無心君はグッタリしております。
でも、シスコン呼ばわりされては反応せざるを得ない。事実をありのまま言うな!
それはともかく、昼休み。女子と打ち込み稽古をする無心。
相手は、土門千春ちゃん。海さんの妹であります。
千春ちゃん曰く。

十何年ずっと一緒に暮らしてる人間に恋するなんて絶対にありえない。
姉弟で恋するなんて、それじゃまるで変態じゃない!

痛いところ突かれた!竹刀も頭に直撃した!というわけで保健室に行く二人。
無心のケガの治療をする千春ちゃん。保健の先生はおらず、なんだかいい雰囲気。
千春ちゃんは無心君に気があるようだ。ここがチャンスとばかり迫る千春ちゃん。
おやおや。いけませんな。保健室でHするなと貼紙に書いてあるというのに!よくあるのか!?
まあ、今回は鈍い無心君のおかげで回避されましたけどね。

千春ちゃんのところは兄妹仲はそんなに良くないらしい。
険悪というわけではないが、ケンカもしょっちゅうするし、恋愛に結びつくことはないようだ。まあ、普通ですな。

下校時間。
爽さんと海さんと一緒にいる。今朝の話の続きをしたがる海さん。狙ってますね。
そこに飛び込んでくるのは、海さんの悪評。実の妹からの悪評だ!

海兄って外面ばっかなのっ!

決め時に、いきなりボロボロに言われる海さん。衝撃でメガネが割れてもしょうがありますまい。
美形キャラから、いきなり面白いキャラになっちゃったぞ!
無心と千春、爽と海。2組が合流し、そして天原姉弟は土門兄妹を置いて一緒に帰っていくのだった。
なんだか複雑な恋愛模様が形成されつつありますな。
まあ、土門兄妹が遅れをとっている現状なのは間違いないやね!
どうでもいいが、海さんのメガネはギャグで割れたのにシリアス顔でも再生しないのな。真面目なやつだ。いや、何か違う。

その夜。台所にたつ爽さん。夕食を作ろうとしているようだ。
実に12年ぶりの台所。5歳のころに、カボチャをまな板ごと叩き斬って母上から止められて以来だ!
まあ、子供のころは加減もわからないのでしょう。今はトントンと軽快な音を立てて・・・イメトレの音だった!
実際には工事かと思えるほど激しい音で調理する爽さん。三つ子の魂ってやつかね。
急に料理を始めた爽さん。まるで花嫁修業である。
今朝の祖父の話を聞き、そういうことへの心構えをするようになったとのこと。ほう。

これを聞き、ショックな無心君。やはり爽さんは海さんを好いているのかと煩悶。
思わず道場で涙する無心君。若いのう。
爽さんの料理はうまくできたのか気になるが、そこは脇に置く。
天原剣道場と、土門剣道場とで互角稽古が行われる日がやってきました。
ここで、海さんが提案。自分と爽さんの結婚をかけて勝負しないか、と。
俺が勝ったら嫁に来いってわけですね。男らしいっちゃ男らしい。千春ちゃんも思わず褒めてしまう。
それを受ける爽さん。
ここに、結婚を賭けた爽さんと海さんの勝負が始まった!

勝負は爽さんが押している。ちなみに、無心君はボーっと眺めているだけの放心状態だ。
押し気味に進めていた爽さんだが、海さんの言葉に動揺する。他に好きな男がいるのかい?
この言葉に隙を生み出された爽さんは竹刀を落されてしまう。絶体絶命だ!
しかし、そこに待ったが入る。

この先は小生が相手だ!

声をあげたのは無心。横槍が入ったぞ!
これには千春ちゃんが動揺。悲しそうな顔ですな。
でも、千春ちゃんには悪いけど、無心君としては、ボーっと見ているだけではいられないのですよ。
海さんと無心君。身長差は圧倒的。腕前でも、普通に海さんの方が上回っている。
しかし、電光のような速度の一撃が、海さんの面を捉えるのであった。
これが、「閃雷の太刀」?奥義への開眼というのか!?

まあ、そんな剣道の話はとりあえずよいのです。無心君は勝った。とにかくそれだけだ。
爽さんの笑顔は誰にも渡さない。そう無心は言う。
しかし、海さんは気づいていた。爽さんは、弟の無心君の前でしか笑顔を見せないということに。
さすがによく見てますな、海さん・・・いい人なんだけど、なんだその手ぬぐいは。萌の字が並んでいるぞ。

互角稽古が終わり帰宅する天原姉弟。
とんでもないことを口走ってしまったことについて謝罪する無心君。

こんな変態な弟ですみません。
それを言ったら・・・わ、私も変態ではないか。

おやおや。それはどういうことですかな、爽さん。おやおや。
このセリフのときの爽さんの表情は色気があってよいですなぁ。可愛いよ爽さん。

というところで、前編終了!1回の読み切りとしても十分通用する展開でしたが、後編はどうなるのか?

ショタな主人公と年上の女子との恋愛は鈴木央先生の真骨頂でありますな。
チャンピオンらしく、姉弟という禁断の関係を絡めてラブコメ要素を高めております。
しかし、考えてみると、爽さんは養子。無心君は捨て子なんですよね。
元をたどると、2人は実は血がつながっているとか。こうなれば、変態度はまた爆上がりやで!
紳士と変態は紙一重。むしろ、変態側に半身を踏み込んでこそのチャンピオン紳士。
後編の展開も気になります。



読み切り 後編  (2011年 15号)


純情派剣道ラブコメ、後編でございます。

兄妹そろってフラれた日の夜。妹は兄に当たっていた。
一方、兄は当り散らされながらエロ本を読んでいた。何してんねん。
しかも、開いているページが、Hな妹は好きですか?だからなぁ。
なんですか、そのページを妹に見せて何を考えているんですか。海兄ってば変態!
というか、海兄の部屋がリアルに汚いな。本当に海兄は残念な人やで。
あと、千春ちゃんの知ったことかー!がポイントですやね。

仲良くケンカしている土門兄妹。一方、天原の姉弟は普通に仲良くしている。
けど、お互いのことを好きなのは変態的なのでお爺さんには内緒なのです。まあ、背徳的。

お風呂上りの爽さんは可愛いのう。眼福。
そして、爽さんは言うのです。私の・・・はじめての・・・をもらって欲しい、と。
そしてフワフワしたトーンが貼られるわけですよ。
いやまあ、少年誌ですからいかがわしいことなんてないですよ。
チャンピオンは健全な紳士淑女の読み物ッスからね!
直接描写より隠喩などの間接描写の方が燃え上がることが多いってわけですよ。まあ、変態的。

今回は単に、はじめてのお弁当をもらって欲しいという話でございました。
これはこれで本人達にとっては大きな前進であるからして、これでいいのだ!
手作り弁当を見た千春ちゃんは心中穏やかならず。っていうか、顔にも出ちゃってます。
というわけで、爽さんの手作り弁当を無心から奪って逃走する千春ちゃん。
意外と、千春ちゃんが無心のことを好きなのは知られてなかったようだ。

目の前で好きな男の子が他の女の人(姉だけど)のことを嬉しそうに語る。
傷心の千春ちゃんは悪事に手を染める。その手作り弁当を川に捨ててやるのだ!フハハハハ!
ま、そんなことができる子じゃないわけですけどね。
でも悔しいので食べてしまいます。不味い!やっぱり不味いのか。

不味い弁当で悶絶しているところにからまれる千春ちゃん。
朝の登校時に蹴散らした不良がリベンジしにきたのだ。ってあれ、朝のはもっと小男だったはずでは?

言ったはずだ・・・あの時はミルミル切れだったとな!

言葉とともに、指に挟んだミルミルを縦に潰す!凄い握力だ!と驚けばいいのか!?

骨格変わってんでしょーが!
ミルミルを飲んだ今の俺は無敵・・・
ミルミルにそんな効果はないっつの!

なんだ、このカオスな状況は。素敵っス小林さん!
無敵となったミルミル番長・小林の手によりピンチになる千春ちゃん。
そこに通りかかった無心。一瞬にして、小林さんとその連れの不良を蹴散らしてしまうのでした。ミル〜〜〜ッ!

少女のピンチを助けたヒーロー。これはいい展開になるのではないか。
と思いきや、姉の名前を出すのでそんな展開にはなりません。ホホホ。
千春ちゃんは無心のことを嫌いになんてなれません。
というわけで、今後も天原姉弟の間に割り込んでいくことを決めたようです。

義理の姉弟の恋愛というちぐはぐな関係はまだまだ続く・・・というところで、終了です!

いやぁ、面白かった!
流石に経験豊富な作者だけあって、楽しめる要素が詰め込まれておりましたな。
姉弟の間の恋愛間という背徳的な流れ。まあ、義理なので大分和らいでますが。
その姉弟と対比する兄妹もそれぞれいいキャラしておりました。海兄はなんか妙に共感できるキャラで困る。

純情派ラブコメという名に恥じず、剣道部分よりはラブコメ要素が強かったですな。
でも、最終的にミルミル番長に持っていかれた気がしないでもない。
なんだかいろいろやりたい放題な感じになっていましたなぁ。だが、それがよい。
鈴木央先生の次回作に期待大であります!



其の1:金髪美人のボインちゃんの巻  (2012年 15号)


2012年の20号、21号と前後編で掲載された、鈴木央先生のちぐはぐラバーズが本格連載で登場!
単行本2冊分の短期という話でありますが、楽しんでいきましょう!

朝早くから稽古の音が鳴り響く。天原家の剣道場で姉弟が稽古を行っているのだ。
弟の名前は天原無心
子のなかった天原夫婦に養子として育てられて早13年。この天原剣道場で日々剣の鍛錬と心の精進に励んでいる。
そして、同じくして13年前。無心より1日前に養子として迎えられたのが――姉のさん。
迎えられたのが13年前というだけなので、2人とも13歳というわけではない。
強く、美しい姉の爽さん。この人こそ、小生の想い人なのであります!!

美人な義理の姉ですからね。まあ、想い人としてしまっても無理はないし、問題もない。
ただ、想いが強くて日々ボンヤリしてしまうのは問題である。頭がお花畑っすね。

そう。小生の目標は誰よりも強い剣士になって、爽さんを守ることなのです・・・!!

そんな決心をボンヤリしながら行う無心。ガラの悪いのに絡まれたのにも気づかない。
それどころか、爽さんが倒してしまったのにも気づかない。ボンヤリしすぎ!
現状は守るどころか守られている状態である。まあ、夢は大きくってことですね。平和な奴め。

さて、無心たちの隣町に新しい学校が開校したらしい。
その名はアヴァロン学園。日本の風情も情緒もへったくれもない建物である。
広大な土地に建てられた巨大な学校。横のライオン像が違和感バリバリでありますな。

アヴァロン学園は超有名なスポーツ名門校。
中高一貫教育で生徒のほとんどが帰国子女や海外の人間ばかりらしい。
そんな名門校がなんで新たに開校を?学校ごと移ってきたというのか?

無心が通うのは市立花鈴中。いたって普通の中学校である。生徒も普通。
クラスメイトの田口君も普通の中学生。金髪美人のボインちゃんが好みだったりする。普通にオッさんだな。
姉の爽さんが金髪だったらと妄想する無心。しゃわホワワ〜ン。いいっ!!
てなことはさておき、クラスの菅原さんにお願いをされる無心。
帰り道に千春ちゃんの家に寄って宿題出た分のノートを持っていってほしいとのこと。
土門千春ちゃん。読み切りで出ていた土門兄妹の妹の方ですな。
千春ちゃんは風邪でお休みだったとのこと。ふむ。
今日はやけに静かだと思ったらそのせいだったのかと納得する無心でありました。

おかげで今日の昼休みに千春さんと恒例の打ち込み稽古ができなかった。
どうも習慣になってるから物足りないな・・・

それだけ習慣になっているほどの相手の不在を忘れるとは・・・千春ちゃんも不憫よのう。

・・・そうだ!!
物足りなかった分は爽さんにうんとしごいてもらえばいいじゃないか!!

楽しそうに妄想する無心。
「今日は寝かさぬぞ無心!!」
「まだまだだ無心!!もっとしごいてやる!!」
「覚悟しろ無心!!しごききってくれる!!」

一体ナニをしごいてもらうのかしらね、ウフフ。
だなんて下品な感想は抱きませんよ。抱いているキャラはいるみたいですけどね。

やーね・・・こんな子供のくせにそんなコト覚えて。
日本人はもっと貞操を大切にする奥ゆかしい民族ではなかったの?聞いてた話と全然違うじゃない。

そう口にするのは、金髪に紺碧の瞳のボインちゃん
貞操を大切にするというのも今は昔な話でありますからなぁ。悲しいことに。
まあ、確かに無心もけしからんことですな。
普段相手してくれる女の子が休んでて物足りないので、夜は姉に眠れなくなるほどしごいてもらいたい、とか。
そりゃ日本人の貞操観念が疑われるってものですよ。おぉ卑猥卑猥。

それはさておき。ボインちゃんは芝生に椅子と傘をセットしてティータイム。ズゴゴゴゴ。
でも、すみませんがその芝生は立ち入り禁止なのですよ。無断で入ったら怒られますよ?
余裕ぶりながらも慌てて立ち退くボインちゃん。可愛いじゃねぇっすか。
それでは、と別れようとする無心を止めるボインちゃん。ん?と思ったら迷子だったらしい。
四時間ほど道に迷い、疲れたので芝生に入り休んでいたらしい。なるほどね。迷いすぎ。
それだけ迷ったおかげで、隣町まで来てしまっていたらしい。迷いすぎ。
ボインちゃんを道案内する無心。商店街らしきところに到着したところでとんでもないものに出くわす。

小田尻さん家のジョーだ!!
み・・・見ろ!また超合金製の鎖を引きちぎって脱走したんだ!!
飼い主がエサを忘れたままロンドン一週間旅行に行ったという噂は本当だったのか!!

なんという説明セリフ!隣町の人々はノリがよいっすね。
この犬は隣町の町長さんが飼っている犬。四足歩行なのに、立った状態の無心よりでかいという犬である。
そもそもこれ犬?と不思議がられてもしょうがないな。デケェよ。

エサがなくてハラヘッタ状態のジョー。肉付きのよいボインちゃんに狙いを定めたらしい。
一体何を頂こうと考えているのでしょうかね、この犬。
自分が狙われているようだから、今のうちにお逃げなさいと無心に言うボインちゃん。
だが、無心はボインちゃんの前に立つ。ほほう、男らしい。

ここで退くは剣士の名折れ!お守りします!!

竹刀を抜き放ち、ジョーに斬りかかる無心。だが、簡単に組み伏せられる。あらあら。
だが、弱くてもこの無心、根性だけは立派なものがある。
巨大な獣にのしかかられボコボコにされながらも、ボインちゃんのもとには向かわせまいとする。

小生のことは気にせず逃げて・・・ください!!
もし・・・お姉さんに怪我を負わせたら小生はずっと後悔します・・・だから!!

健気なセリフである。こいつはズドキューンと来ますね。どうやら来たらしい。
無心を蹴倒し、ボインちゃんに迫るジョー。
ツイタヨ。ハラヘッタヨ。クッテイイ?
いいわけないっしょ。DIE・・・!!

傘を構え、剣気を噴出すボインちゃん。その禍々しい迫力にジョーは逃げ出すのでありました。
そして、ボロボロの無心のもとに歩み寄るボインちゃん。

見つけた・・・私の騎士・・・!!
私はあなたのような男性をずっとずっと・・・ずっと探していたの!!

そう言い、無心の頬に軽く口付ける。ほう。
大慌てで真っ赤になって逃げ出す無心。純情っすね。
ここでようやくボインちゃんの名前が判明する。モルガンというらしい。ほう。
逃げて行く無心にまた会いましょうと声をかける。
無心は竹刀入れを落としていった。そこには名前もバッチリ書かれている。こりゃすぐに会うことができそうですね。

ねえ・・・もし運命の女神がいるのなら、感謝してあげてもよくってよ?

微笑むモルガンでありました。

さて、無心の姉、爽さん。
隣町まで出ていた無心と違いもう帰っているのかと思いきや、文化祭の準備で遅くなってしまったようだ。
夜の道を女性一人で歩く。歩きながら今朝の無心のことを思い出す。かわいい奴と。
今日もみっちりしごいてやるか、と爽さん。ナニをしごく気なんですかね?日本の貞操が乱れる!

家路を歩く爽さんは謎の集団とすれ違う。
集団の1人が足をとめ、竹刀を抜き放ち、爽さんに斬りかかる!
が、素早く抜き放った竹刀で受け止める爽さん。殺気を感じ取っていたので迎撃もバッチリだ。

襲ってきた男はガラハド。そのガラハドに対し怒ってみせる男はボールス
どちらも円卓の騎士の名前でありますな。先生も好きですねぇ。
ガラハドは名乗る。俺たち、アヴァロン学園剣道部!!と。

隣町のアヴァロン学園の剣道部が何故こんな時分にここに?
尋ねる爽さんに、剣道の本場がどんなものか試しに有名な道場に行ってみたと答えるガラハド。
ということはつまり――急いで道場へ向かう爽さん。そこには倒れた門下生の山ができていた。

この日の出来事が小生と爽さんの運命を大きく変えようとは、まだ知る由もなく。

波乱の幕開けとなりそうな1話目でした。
しかし、相変わらず鈴木央先生は円卓の騎士が好きですねぇ。
アヴァロン学園の名前からしてそんな気配はしていたけど。そういえばライジングインパクトにもあったなアヴァロン学園。
そして、ボインちゃんことモルガン。こちらはモーガン・ル・フェイのことなんでしょうな。
アーサー王の異父姉にして魔女として知られる女性だ。

5人組のアヴァロン学園に対し、天原姉弟は2人。どのように対抗するのか。
土門兄妹は次回あたり出番がありそうな雰囲気。協力して戦うことになるのでしょう。
しかし、それでも4人。人手が足りない。5対5を演じるにはあと一人必要なのだ・・・!
となると、やっぱり彼しかいないっすね。ミルミル番長。
さりげなく見開き表紙にも混じってやがるし、これはもう間違いないっすよ!ミルミル番長の活躍に期待だ!!

それはそれとして、アヴァロン学園の連中より、小田尻さん家のジョーの方がインパクトがあって困る。
これで、剣道部の半数は帰り道にジョーにやられた!とか言って減ってたら面白いですよね。どうであろうか!?



其の2:お前に奪われた唇の巻  (2012年 16号)


アヴァロン学園剣道部と名乗る5人組に襲われた天原剣道場。
怒りを胸に秘めた爽さんは道場にて竹刀を振るう。

始めはただ、交流試合がしたいと申し出てきた。
のだが、戦意喪失した後も相手を執拗に打ちのめしたという。何度も何度も。
止めに入った全員が返り討ちにあい、あの有様だったという。
静かに怒る爽さん。そこに無心が帰ってくるボロボロの状態で。
気配に気づき、キリっとした表情の爽さんが、いきなり心配そうな表情に切り替わる。見事な切り替え・・・!!

無心・・・その顔は!?

顔!?そういえば頬にキスされていたような!?
慌てて頬をぬぐう無心。いやまあ、そのことではない。
確かにそっちが知られたほうが大変だろうけど、そっちではない。

さっきの五人衆だな!?奴らにやられたんんだな!?
骨は折れてないか!?脈は止まってないか!?
あの中の誰がお前の可愛い顔にこんな酷いことを!?奴らめ・・・絶っ対に許さん!!死ぬな無心!!

スリスリしながら言う爽さん。落ち着け。
抱きつかれたものだから、ただでさえ弱っている無心が鼻からも血を噴出しておるぞ。

包帯でぐるぐる巻きにして寝かせたところで勘違いに気づく。
なんだ、犬に襲われただけか。ええ。体長210cm、体高140cmの犬にね
あれ?人に襲われるよりよほどヤバクない?小田尻ジョー恐るべし。
それにしても、ジョーは隣町の犬なのに、何故無心はそこに?
その問いかけには真っ直ぐ答えられない無心。元は迷子を送っただけだったんですけどねぇ。

こんなにも間近に爽さんがいるというのに・・・爽さんの顔をまともに見られない!!

あのことは2匹目の犬にでも噛まれたと思って忘れよう

ひ、酷い言い草だ!
モルガンもよもやこんな扱いをされていようとは夢にも思うまい。

さて、夜は明け翌日。
アヴァロン学園の中を歩くガラハド。そこに声をかけてくる女子達。
ガラハドはモテるんスね。でも、すげなく扱ってしまうんスね。性悪め。
女の子泣かしちゃダメじゃない、と注意するのはボールス。

そんなんだからいつまでも彼女ができないのっ!これだからもうお・子・様は!!

あれ?ボールス?お前こういったキャラだったっけ!?
前回格好良く諌めたボールスはどこに行ってしまったんだ!?
その体格と性格から、5人の中ではもしやリーダー格では?と思ったがわからなくなった。
シャワー浴びたばかりだからと打ち込み稽古を断るリーダーは嫌ですわな。

残りの3人の名前も一気に明らかになる。
バリンは求道者。ライオン像の上で黙想をしているという。
ガレスはリベラリスト。学校さぼって新作ゲームを買いに行っている。自由すぎる。
そして残る1人がモルドレッド
その彼は、モルガンのために紅茶を淹れていた。
高い距離から浴びせるようにして熱湯をそそぐ淹れ方。見事なものですね。

モルガンはアヴァロン学園の女子寮に住んでいる。
帰るって学園に帰るつもりだったのか。あれだけデカイ目標があるのに何で帰れなかったのだろうか?
傘が邪魔で視線の上部が遮られ、高い建造物が目に入らなかったとか?それはさすがにマヌケすぎる。
それはともかく、モルドレッドは言う。

モルガン・・・昨日、犬が君に襲われたと聞いて――なのに僕はキミの側についてあげられなかった。
・・・・・・訂正する。”君が犬に襲われた”だ。

いや、むしろそれで合ってる。ジョーは酷い目にあいそうになりましたからね。
この紅茶はその場に居合わせなかったことについての詫びらしい。
そのことより、数時間迷子になったときに側にいなかった方が減点対象じゃね?
モルガンは問う。熊のような怪物犬が相手だったとき、あなたはどうするか?
当然君を守ると答えるモルドレッド。

犬だろうと熊だろうと勝つのはこの僕だ

自信満々ですな。さすがは完璧な騎士である。
しかし、そのセリフは勝つのがわかっているから守るというセリフである。

でも彼は負けるとわかりながらも身を挺して私を守ってくれたわ。
私・・・ね?ようやく本物の理想の男性にめぐり会えたみたい。

動揺しているモルドレッド。モルガンが持つ竹刀袋に書かれた無心の名前を覚える。
強がりながら、君につり合う男なんているわけがない。そいつだってもう君のことなんて忘れてるさと言う、が。

そうかしら・・・私とのキスが忘れられるはずないでしょう?

これは強烈なセリフである。思わずティーカップを取り落とすモルドレッドでありました。
しかし、このときのモルガンはなかなか可愛いっすね。
確かに普通なら忘れられない思い出になりそうだ。
等の無心は、犬に噛まれたと思って忘れたがってましたけどね!なんだこの温度差。

さて、ここでアヴァロン学園について説明。
元はゴルフ事業で学校を運営していた二つの組織「キャメロン」と「グラール」が合併したことで誕生した。
今では各種スポーツに力を入れていて、世界各国の有望な生徒や帰国子女で構成されているという。
決してお金持ちだけではなく、素質さえ認められれば奨学金を十分に受けられるそうな。
そして、その学園でゴルフと並んで強いのが剣道なのだという。

キャメロン学園やゴルフ事業の話も出てきました。
これは確実にライジングインパクトの世界と繋がっていそうですな。
どれだけあの世界の未来の話かわからないけど、作品のキャラがチョイ役で出たりするかもしれませんな。

学園の説明を行っていたのは千春ちゃん。
千春ちゃんによれば、兄の土門海もインターハイでそこの選手とやり合ってたらしい。ほう。
とりあえずすごい学園というのはわかりました。
相変わらず昼は千春ちゃんと一緒にいるらしい無心。
稽古だけでなく、お弁当も一緒にするようになっておったとはな。
それでいて相手の思いに気づこうとしない無心。罪な男よ。
でも、キスのことがバレたりするのは怖いんですね。ほほほ。

竹刀袋をどこかで失くしてしまったという無心。
それにより、これから大変なことになるとも知らずに呑気なことである。
このシーンで、運動場にCTCのキャラクターたちが走っている姿が描かれている
チャンピオン読者へのアピールもバッチリということですね。鈴木央先生も粋なことをなされる。

さて、帰ろうとしたところ、校門前が騒がしい。キャーキャーと黄色い歓声があがっておる。
何かと思ったら、美形の外国人が無心を探しにきていたらしい。ってモルドレッドか。
モルドレッドは無心に近づき、そして指をさしながら言う。

お前に奪われた唇を奪い返す!!

な・・・なにを言い出すのだこの男!?
もしやの禁断の関係?黄色い歓声に桃色が少し混じった感じがするぜ!
どうやらこのモルドレッド。完璧に見えて結構言い間違いが多いキャラらしい。
最初のモルガンへのセリフもわざとかと思ったらそうじゃなかったんですな。
にしても、この間違いは色々と致命的になりかねん。ともかく、訂正する。

お前に奪われたモルガンの唇を奪い返す・・・!!

そう言われましても。どうやって奪い返すというのだろうか。
この言葉はこの言葉で、千春ちゃんが穏やかじゃなくなってしまっている。そりゃそうだ。

僕はアヴァロン剣道部。モルドレッド=ライト
天原無心・・・お前に剣道での決闘を申し込む!!

決闘とは、これまた騎士様らしいセリフでございますね。
日本には決闘罪というものがあるんだぜ!とツッコミを入れたら訂正してくれるだろうか。
なんにしても、いきなりの戦いになりそうな展開。
アヴァロン学園の連中も、いきなりキャラクターが立ってきたし、面白く立ち回ってくれそうな気配がある。
これからの展開に期待だ!



其の3:貴様の首も落ちたわけの巻  (2012年 17号)


爽さんの元許婚、土門海くんがようやく登場。いきなり登場シーンがこれか。
さすがに残念なイケメンとしてキャラ立てをしてきた奴だけはある。

今やAV界の至宝つゆだく・丼子ちゃんお蔵入りDVD・・・!!!

幻の牛丼つゆだくプレイ・・・!!
とか何を言っちゃってるんだか。そんなプレイがエロいわけないだろうから見せてみなさい。
実際のとこ、それとはかんけいなく、丼子ちゃんのこのパッケージはヤバイ。
どのぐらいヤバイかというとこのキャラで連載が始まったらどうしようと思えるぐらいヤバイ。破壊力高いわ。

教室の中で堂々とエロDVDの売買を行う海兄さん。
だけど、爽さんが来たら格好をつけたがる海兄さん。健気なことだ。
残念なイケメンだが、有名道場の跡取りである海兄さん。道場破りには気をつけねばという忠告でありました。

さて、モルドレッドに勝負を挑まれた無心。
体育館に移動して着替える。モルドレッドは防具もちゃんと持参してきてたんですね。
モルドレッドが昨日天原道場を襲った人間の1人だと知り、勝負する気になった無心。

それが本当なら許せない!みんなが一体何をしたと言うんだ!?

怒って全力で打ち込みを行う無心。
しかし、その打ち込みは全て捌かれてしまう。
ならば次はこちらの番だと動き出すモルドレッド。

流水の歩(ストリーム・スライド)!!!

あまりの高速の歩みによりモルドレッドの残像が多数見える。
目が動きについていけない!しかもこの速度で動いていながら剣先は常に無心の喉を指している。
なんという剣圧・・・!
圧されまいと踏み込んだ無心。だが、その隙を突かれ面抜き胴で一本を取られてしまう。無念!

とはいえ、これで勝負が終わったわけでもないらしい。
モルドレッドとしてみればここからが本番。十本でも百本でもかかってこいという所だ。

モルガンは言っていた。彼は負けるとわかりながらも身を挺して私を守ってくれた、と。
だが、そんなものは過ちである。それを証明したいとモルドレッドは言う。

勝負には勝たねば意味がないということを・・・
力なくしては守りたいものも守れないと言うことをな!!

このモルドレッドの言葉に拍手を送る人物がいる。ガラハドだ。
さすがは<流剣>のモルドレッドだ。良いこと言うねえと割って入ってくる。
モルドレッドと打ち込み稽古でもしようとあとをつけてきたら面白そうなことになっていたというわけだ。
とてもいい笑顔で俺も混ぜろというガラハド。ニコッ。
でも相変わらず女子にはつれない態度をとるガラハドでありました。もう、お子ちゃまなんだから。

お前のせいで興が醒めた。言っておくがこれは僕が問題――訂正する。僕の問題だ。

乱入者により勝負はお預けのような形になってしまいました。
負けてしまった無心を心配する千春ちゃん。
その目の前で、無心の喉に竹刀が突き刺さる。がはっ・・・

じゃあ俺一人で遊んでいくかー!!

といいながら、さらに立ち上がろうとする無心に二発目の突きを叩き込んでくるガラハド。
なんとも酷いやつであるな。
こいつはこういう面が無ければ割とストイックなキャラになれそうなのに。

本来は中学生は突きが禁止である。まあ、ガラハド自身は高校生だから使う分には問題はない?
でも無心は中学生である。抗議する千春ちゃん。
しかし、ガラハドに睨まれてガクブルになってしまう。あらあら千春ちゃん。

非道のガラハドの行為に、無心は気付く。昨日道場を襲ったのはこの男だと。

さっき戦った・・・モルドレッド君の剣には礼儀があった・・・
でも・・・!あなたの剣には・・・それが欠片もない。
爽さんがいつも言っている・・・剣の道は礼法・作法から始まると!!

許せない相手を目の当たりにし、無心の空気が一変する。
竹刀の先に雷が宿り、雷光のような打ち込みを行う。これは・・・「閃雷の太刀」!
奥義とも言われる技だが、どうにか受け止めるガラハド。やりおる。

生意気だな・・・これが真剣ならてめぇは「貧弱な首に」「風穴二つの」「土左衛門」だ!!

どうもガラハド、3つのワードを並べるのがクセらしい。
女性を罵倒するとき限定のやり方じゃなかったんですね。

ならば、これで貴様の首も落ちたわけだな・・・

ガラハドの背後から竹刀が突き出され、首に当てられる。
その感触に思わず汗を流すガラハド。
現れたのはもちろん・・・爽さん!!
花の嵐を吹かせながら颯爽と登場であります!カッコイイー。

礼儀を欠くガラハドの前に立ちふさがる爽さん。次回はガラハドとの正面対決となるか!?
女性嫌いのガラハドだが、剣が強い女性に対してはどうなんでしょう。
モルガンとの絡みがないので今のところはわからない。
場合によっては、また爽さんに恋焦がれる男子が増えることになるかもしれない。
そして、色々と手をつくして爽さんを襲うようになるかもしれない。

ガラハド「念願の爽さんを手に入れたぞ」
無心・海「殺してでも奪い取る」
ガラハド「な、なにをする貴様らーッ!!」

うん、こういう展開があるんじゃないかと思えるわけですよ。やっぱりね。



其の4:誰が負け犬の巻  (2012年 18号)


これで貴様の首も落ちたわけだな・・・「張り子の虎の」「下劣極まりない」「卑劣漢」め!!

ガラハドの首筋に竹刀を押し当て宣言する爽さん。格好いい。
でも、土足で体育館に上がってくるのはどうなんでしょう。
まあ、無心がやられている姿を見たらいてもたってもいられずに飛び込んできたんでしょうな。
ガラハドも土足だし。
その土足で無心を蹴り倒し、爽さんに向き直るガラハド。

てめぇとは一度戦りてぇと思ってたんだよ〜〜!!さあっ遊ぼうぜっ!!

黙れ・・・・・・私の無心を甚振った罪は重いぞ!!!!
その身をもって購え・・・・・・!!!

真っ黒なオーラを噴出す爽さん。怖ェ。
その怖さにより、さりげなく私の無心宣言を聞き逃させようって魂胆ですな。そうはいくか!

このガラハド様にハッタリなんて通じねえぜ・・・「艶っぽい声と」「切れ長の目の」「大和撫子」が!!

え・・・?アレ?

普段なら口から自動的に出てくるはずの罵倒が何故か全部褒め言葉になっている。
モルドレッドもおかしいと思えたようだ。

ちがう!くそ!「薔薇色の唇に」「雪のような肌の」「美人剣士」・・・じゃなくて・・・くそ!!

悪化してるじゃないですか。おやおやガラハドってば。
女慣れしていなかったのが悪いほうに転んじゃったみたいですね。

さっさと来い・・・「見掛け倒しで」「三下の」「負け犬」が。

酷いことを言いますな爽さん。
負け犬呼ばわりされてブチッと切れたガラハド。ツァキィ!と渾身の突きを放つ。

死突(デスストライク)!!

防具をも破壊する必殺の突き。生身で喰らったら間違いなく死ねる。
だが、ガラハドの視界から爽さんの姿が消える。フッ。
気づいたときには、脳天に竹刀の一撃を受けていたガラハド。成敗っ!!!!!

勢いが強すぎて、ガラハドの体が回転。しかも体育館の床に穴が開いてしまう。どんな威力!?
まあ、突きに比べれば死ぬことはないはずですよ。たぶんね。

成敗を果たした爽さん。無心、千春ちゃんと一緒に下校する。
爽さんに礼を言う無心。一方の千春ちゃん。やられるのを黙って見てることしか出来なかったと泣き出してしまう。
まあ、相手が相手だしねぇ。
ただでさえ中学生が高校生に立ち向かうのは怖いのに。少女が外人の男子に、だしなぁ。

それにしても、爽さんが見せたあの技は一体?
不思議そうにする無心に対し、微妙に歯切れの悪い爽さん。あまり人前で使ってはいけない技だったのかな?

あれこそは秘剣「朧月の太刀」

ほう、やはり秘剣でございましたか。本来は秘めていないといけないわけですな。
その名を口にして現れたのは・・・海兄!
どうやら爽さんの戦いをきっちりと見ていたらしい。
爽さんと一緒に駆けつけて、入口で見ていたと海兄は言う。本当だ!2P目の2コマ目にいやがる!

ずっと黙って見てたんかい!!

ボコォッ!おばまっ!!
割り砕けるメガネ。相変わらず海兄のメガネは割れやすい。
まあ、確かに海兄が出るタイミングはなかったのだし見ていてもしょうがないですわな。
ちなみにずっと見ていた海兄はちゃんとセリフも聞いている。
「私の無心」発言もきっちりツッコミを入れてくれる。さすがぁ。怖い爽さんも見慣れてるってわけですね。

さて、爽さんに敗れたガラハド。
アヴァロン学園に戻ったところでモルガンに退寮を宣言される
退学とかじゃなくて退寮なのか?その辺りはよくわかりませんな。

あなたが度々、暴力問題を起こしても無事に済んでいたのは、女王の騎士の名に恥じない完璧な強さの持ち主だったから。
・・・それをどこの馬の骨ともわからない小娘に負けたですって?恥を知りなさい!

ふむ。ガラハドたちとモルガンの関係性が見えるような見えないような。
退寮させられたらガラハドはどこで暮らすことになるのか。帰国するしかなくなっちゃうのか?
そんなガラハドを案じるモルドレッド。
同じように可哀そ〜にと声をあげて現れたのは、自由人のガレス。いや、あんまり案じてる感じはないな。

何故かモルガンのクローゼットに入り込んでいたガレス。
まだガラハドにも使い道はある。
うまく活用すればモルガンも気に入るおもしろいゲームシナリオが作れると思うんだよねと言い出す。

ガレスの発言に何やら思うところがありそうな表情のモルガン。はてさて、どうなりますやら。

爽さんと無心は無事に帰宅。
家には道場生の角山さんと助山さんがお礼に訪れていた。角さん助さんっすか。
道場生の怪我も大したことはなく、来週にはみんな稽古にやってくるそうな。それはよかった。
安心する2人のもとに、2人のじいちゃんが現れる。

無心くんに爽ちゅわ〜〜ん!チミら明日の土曜ヒマってカンジ〜〜!?

相変わらず軽い感じのじいちゃんである。
無心を突き飛ばしたので爽さんから制裁を受けるじいちゃん。成敗!!

「剣士に一時の休息なし」明日も当然稽古に決まっているという爽さん。
しかし、じいちゃんが持ってきた話はなかなかに興味深いものであった。
土曜日に開催される町内会の祭りで自由参加型の「男女ペアバトル」を行いますというもの。
一体何のペアバトルなのか詳細は書かれていない。曖昧な。

ペアと言うからには――ボウリングとかプロレスとかそういうものでしょうかね?

ボウリングはともかく、何故プロレス?
女子とプロレスしたいと言うのですか。おませさんですこと。
しかい可愛い絵のチラシだな。

問題となるのはその先。優勝ペアには賞品として・・・南茶羅温泉――ペア宿泊券!!?

ほう。男女2人水入らずで温泉とな・・・?
これはさすがの爽さんも惹かれるものがあったらしい。参加するのもかまわないと言い出す。
じいちゃんはなんでこの話を持ちかけてきたんでしょう?
何やら思惑がありそうな雰囲気だが・・・?しょうもない思惑がありそうだ。

土門妹「温泉とくれば卓球と相場は決まってるよね〜〜っ!?」
土門兄「かつて温泉卓球の土門兄弟と言わしめた俺たちに敵はなーし!!」

相変わらず仲が良いなこの兄妹は。
どうやらこの2人もペアを組んで出場するらしい。
想い人は別だが、その2人は姉弟で組むだろうし、一緒に出場は出来ない。
だが、ペアの宿泊券が手に入れば別だ。なんとしてでも奪い取る!

・千春ちゃんの妄想
千春「夕食のあとは卓球?温泉?そ・れ・と・も・・・」
無心「千春さんをいただきます

なんという大胆な無心であることか!どういう意味で言っているかわかってるのか!?

・海兄の妄想
爽「土門くん背中を流そう」
海「背中からでも前からでもOKさ!ハアハア

海兄は平常どおりっすね。これでも少し遠慮気味の妄想と言えるかもしれない。
婚前旅行とか気の早いことを考えている海兄。さすがは残念なイケメンだ!

・無心の妄想
無心「爽さん水入らずですねー」
爽「水入らずだな・・・無心」

一番大人しめな感じの無心。なんだかんだで純でございますな。よいことです。

・爽さんの妄想
見せられないよ!

妄想は全てモザイクに隠されていました。無心と・・・・・・・・・・・・ハァ
い、一体何を想像しているというのだーッ!!?
顔を真っ赤にし、唾を飲み込む爽さん。い、一体何を想像しているのか・・・・・・!!

色々な展開を見せた回だったが、最後のモザイクに全てしてやられた感じがある。
妄想逞しくしている男女たちの明日はどっちだ!



其の5:その菓子折りはなんだの巻  (2012年 19号)


今回の表紙は各キャラクターの幼い頃。天原の姉弟は昔から仲がよろしいことで。
ゲームの画面に懐かしい姿が見えたり、ボールス・・・てな話は置いといて。
土門兄弟の長男の姿がちらりと見えるのが気になりますな。果たして本編で出番はあるのだろうか?

爺様の勧めで町内の縁日にやってきた天原姉弟。もちろん目的は温泉旅行の宿泊券!
縁日なんて幼い頃以来だと懐かしがる2人。
何度もはぐれる無心を赤ん坊のように抱いて歩き回ったという爽さん。
またやってやろうか?とか言っちゃってお互い赤くなる。抱っこですからねぇ。抱っこ。

いい雰囲気になっているところにお面をつけた怪人物が現れる。フハハッ!
まあ、一発でバレちゃいましたけどね。土門兄妹でございます。

祭りになんぞ目もくれない剣道一筋の天原姉弟がここへ来たということは・・・
君たちの目的もズバリ男女ペアバトルの優勝商品!!

海兄の鋭い指摘。しかし、卓球勝負ならばこちらのものだとほくそ笑む。温泉といえば卓球っすからね〜。
しかし、バトルの内容は思わぬものであった。
そのテーマは――「ラブラブカップル」じゃ!!

そう来ましたか。アテが大ハズレで思わずメガネが吹き飛ぶ海兄。相変わらずっすね。

出場するカップルは自分たちのアツアツぶりをアピールするだけでOK!
体当たりであろうと道具を使っても結構!
どれだけ三人の審査員の心を鷲掴みにするかが高得点のカギじゃ!
最高得点30点のラブカップルを目指してがんばってくれーい!

わかりやすいルールでございますな。
三人の審査員は、全員どこかで見たことがあるような顔ぶれ。
・暇人中学生 田口好男
・地元ヤンキー 小林康毅
・辛口女子高生 菅原明子

無心の友達に千春ちゃんの友達にミルミル番長じゃねーっすか。なんという御当地審査員!
小林くんはともかく、他の2人は若いくせに、いや若いからこそスレた感じ。厳しい審査だ。

アツアツぶりをみせればいいわけだが、あまりに破廉恥な行為は即失格となってしまう。
少年誌で見せられないようなモザイクがかかる行為はNGってわけだ。家でやれ。
こう言われてしまうと爽さんには厳しいですね。モザイク行為はNGですよ爽さん!!
しかし、目が点になってる爽さん可愛い。

さて、天原姉弟の前に、土門海・千春のペアが登場となります。
アテは外れたものの、目標に向かって邁進する2人。さすが武人ですねぇ。
土門道場の次男と長女は町でも有名である。2人とも見目はよいですしね。
そんな実の兄妹がどんなアツアツっぷりを披露してくれるのか。観客も楽しみにしている。
でも結果はご覧の有様。まあ、しょうがないですよね。やはり実の兄妹の壁は厚いか。
しかし、なんだかんだでこの兄妹仲はいいと思う。恋愛感情には行かないだろうけど。

なんのかのと審査は続き、最後のエントリー。
観客席には見知った顔が見えるが、他作品のキャラなので割愛。
登場したのは姉弟のカップル。そう、天原爽・無心のカップルである。
爽さんは評判の美人。無心も可愛いとお姉さん方に人気。これは期待できそうな組み合わせと会場も盛り上がる。
しかし、こんな公衆の面前で何をすればいいのやら。
出てきたはいいものの、特にプランがあるわけではない爽さん。どうする?

何をするかなら・・・小生はもう決めました。

そう。抱っこである。
小さな無心が大きな爽さんを抱っこする。これはなかなか可愛い構図。
なんだかんだで鍛えているだけあり、無心もそれなりの力があるんですね。
爽さんは細いとはいえ、身長はそれなりっぽいし、重さもあるだろうというのに平気な顔で抱えている。

そこからどういった展開を見せるのか?と思ったが、抱っこから先の進展はない様子。
と思いきや、なんだか2人の間で気分が盛り上がっていっている。
ただの抱っこなのだが、なんというか・・・纏う空気が違う
初々しいラブさが辺りに振りまかれているというかなんというか・・・見てられない!!
辛口女子高生も、これでご飯三杯いけると大絶賛!
他の審査員も悶絶&納得の満点で文句なしの優勝ぉ〜〜〜〜〜〜!!

というわけで、見事に温泉宿泊券をゲットした2人でありました。
ひゃっほう。爽さんと温泉だ。ワ〜イ。
というところに、参加を促した爺様登場。旅行中の留守番を頼んだぞとか言い出してくる。はい?

爺様の話によると、ちゃんと宿泊券の詳細に書いてあるとのこと。
このペア温泉宿泊券は土・日・祝日を除く平日のみの利用とさせていただきます、と。

なるほど・・・学生の身分で学校をサボって温泉に行くわけにはいけないですよね。
なので、宿泊券は爺様が使い、アケミちゃんと楽しんでくるとのこと。やっぱりそんなオチかよ・・・!!

そんで平日の夜。
爺様はまんまと温泉にでかけ、天原家には姉弟が2人きり。
爽さんは、爺の居ぬ間に羽をのばそうと言い出す。ほう、硬い人かと思ったがそういう面もありましたのな。
食後に横になり、伸びをする爽さんがたまらなく可愛い。

どうせ今日は私とお前の二人きりだ

え?

ま・・・まさかっこれは!!!

思わぬところで2人きりというシチュエーションが出来てしまいました。
これはものすごいチャンス?いやさ、千載一遇の好機!!
焦る無心に比べ、爽さんは結構押せ押せの考えでいる模様。さすがですね。
男女二人が夜にすることを考えます。花札?それは確実に違う。
無心くんは、もしここが温泉だったらと考え、ひとつの提案を行う。

一緒におフロに入りまひょう!!

風呂ォ!!?

興奮して真っ赤になって思考がオーバーヒートしているっぽい無心。
だが、温泉に入る際にそれは想定していたことである。
2人でおフロに入れば温泉に行った気分になるのではという提案だ。

お前という奴は・・・!なんて不埒な・・・!!
名案だ!!早速湯をわかそう!!

さすが爽さん・・・!不埒だー!素晴らしく不埒でございます。最高だ!
早くもボタンを外して準備しようという爽さん。不埒すぎる!!

が、ここでジャマが入ります。少年誌っすから。
呼び鈴の音が聞こえたので2人で玄関に向かう。いいところだったのになァ。
だれだっ!?こんな夜更けに!!と勢いよく玄関を開けたところにいたのは・・・カラバコ?いや、ガラハドだ。

菓子折り片手に現れたガラハド。得意の三拍子で謝罪を言って見せる。
「色々迷惑かけて」「反省してる」「このガラハド様が」「菓子はその侘びだ」
これでは四拍子じゃないですか。ガラハドも爽さんの前では形無しですね。
それはさておき、ガラハド。俺のボスが侘びにお前ら二人を今度の日曜の茶会に招きたいという。
場所はアヴァロン学園だ!

どうやら、ガレスが仕掛けようという遊びはここからが本番だった様子。
ペアバトルとは一体なんだったのか・・・?いやまあ、不埒な爽さんが見れたので必要な話でしたけどね!!

不穏な空気渦巻くアヴァロン学園へ向かう無心と爽さん。一体どうなってしまうのか?
モルガンによる無心へのアタックと、それを見た爽さんの反応が今から楽しみでしょうがないぜ!



其の6:まるでちぐはぐの巻  (2012年 20号)


道場破りの詫びということで茶会に招かれた爽さんと無心。
招かれたからには応えるしかあるまいとやってくる。
が、ちゃんとそれなりの準備はしている。ようするに竹刀持参での参上だ。
「あきれた」「イカれた」「喧嘩中毒だ」

・・・道場破りの親玉の招きに手ぶらでは礼儀に欠けよう?

呆れたようなガラハドの言葉に皮肉で返す爽さん。
まあ、敵地に乗り込むのだし、装備も無しってわけにはいきませんわな。

さて、茶会の場所はアヴァロン学園の空中庭園。別名・林檎の島
2つの塔の屋上付近をつなぐようにして存在する島。
ここは空中庭園らしく天井や壁などはなく、樹木が植えられ庭園の様になっている。
高さ60メートルはあるので隙間から地上に落ちたりすれば確実に死ねる。

中央にはテーブルとイスが用意されており、招いた主人らしき人物の姿が見える。
あのシルエットは女の人?

今日は私の茶会にお越しいただき感謝しますわ。まずははじめまして・・・もう一人はお久しぶり――かしら?

そう挨拶する女性はもちろんモルガン。
前が大胆に開いた黒いドレスを纏い、妖艶な笑みを浮かべている。

私の名前はモルガン=ヴィンチェスター
後ろに控える彼ら――アヴァロン生徒会役員「アヴァロンの騎士」を束ねる生徒会長を務めています。

なんと、こいつら生徒会役員だったのか!?
どうみてもそういった運営をしている、というかできているように見えないのだが・・・
誰がどの役割についていても疑問に思えてしまうのが凄い。

それはさておき、無心はこの再開にショックを受けている。もし爽さんにあの件が知れたら・・・!!
そんな無心の動揺を知ってか知らずか、モルガンは無邪気に話しかけてくる。

無心はこの私を恐ろしい怪物犬から救い出してくれた理想の騎士・・・
私と無心がこうして再び巡り会うことは運命づけられていたのよ。

ウフフッと嬉しそうなモルガン。どうでもいいけど、その怪物犬は自分で追い払っていたじゃないですか。

何を言っているかわからないという様子の爽さん。無心はどうにかごまかして切り抜けれないかを模索中。
その間に話は道場破りのお詫びについてに進む。
道場破りの件だけではなく、無心にケガを負わせてしまったっということも兼ねてガラハドは退寮処分となった。――が。

退学処分へ変更します!!
やはりしでかした事が事・・・身内に甘くては他の者への示しがつきませんでしょう?

なんともはや。ガレスの取り成しで戻る可能性もあるかと思ったら、逆に酷くなるとは・・・
動揺するモルドレッド。噴出すガレス。無表情だがなんとなく険しい様子のボールス。
もう1人の修験者様は姿が見えないので反応はわからない。出番はまだ先か。

ガラハドの処分について、トカゲの尻尾切りのようで気に入らないと爽さん。いい答えですな。
でも、そんな反応は全く聞いていないかのようなモルガン。素敵な笑顔を浮かべ解決したことにしてしまう。
なんというか、基本的に人のいうことを聞く子じゃなさそうですね。

・・・悪いが私は茶会などする気分ではなくなった。

話を聞かない相手と長くいてもしょうがないって話ですわな。
無心もそれに乗じ、空いている席も1つしかないようですし帰りましょうと促す。
どうにかうまく逃げられそうだと考える無心。それは甘いな。

空いている席はお義姉様の分!無心の席は私の膝

無心をひょいっと抱え上げて自分の膝の上に乗せるモルガン。
大胆な行為にモルドレッドが真っ先に取り乱す。ガシャーン。
お詫びの茶会などという題目だが、本命はこちらのようだ。
今日は是非お義姉様に私と無心の仲を認めていただきましょう!とのこと。
慌てて竹刀を取り出し、モルガンへ打ちかかろうとする爽さん。無心から手を離せ!
しかし、モルガンが無心へ向けた一言で動きが止まってしまう。

今更何を恥ずかしがってるの?私たちキスをした仲じゃない!!

当然のようにバラされてしまう。
まあ、実際のところは頬への接吻。それもいきなりの行為であり、無心としてはやましい話ではない。
本人としては野良犬に噛まれたこととして忘れようと思っていた話でありましたからなぁ。
でも、この言い方は多分に誤解を招く言い方である。そういう風に言っているんでしょうけど。悪い人だ。

修羅場を察したのか、暗雲がにわかに立ち込め、雨が降ってくる。
もう少し速ければ茶会も中止になり無事に帰れたかもしれないのに、運のないことだ。

抜こうとしていた竹刀を竹刀入れごと放り投げる爽さん。踵を返し、帰ろうとする。
無心は必死で、事故のようなものと言い訳をするが、今の状況では爽さんの耳には入っていなさそうだ。

爽さんのことは置いておき、無心にアヴァロン学園へこないかと提案をするモルガン
あなたが私を守る騎士になるためにも世界トップレベルのアヴァロン剣道部への入部は必須と思うの、とのこと。
ガラハドの部屋が丁度空いたことだし、私といつも一緒にいられるでしょ?とも。
なるほどねぇ。それを企んでいたのならガラハドの復帰は最初からありえなかったというわけか・・・

モルガンの抱擁から逃れ、爽さんを追うために駆け出す無心。
一方、退学処分を言い渡されたガラハド。爽さんが落とした竹刀を見つめている。その胸中はいかばかりか。

学園からの帰り道、必死で説明をしようとする無心。
隠したくて隠していたわけではない。ただ爽さんには知られたくないと思っていた。

私も知りたくなかった・・・
私は・・・帰りの遅いお前がひどい目に遭ってはいまいかと――
道場破りがあったあの日――気が気ではなかった――

お前と私の思いはまるでちぐはぐだったわけだ・・・

タイトルコールが出ました!
などと喜んでいる場合ではない。無心が前に周りこみ、見た爽さんの表情は・・・
うーむ、雨に濡れた泣き顔というのはなんとも切ないものがありますなぁ。

小生は――小生は何をやってるんだ!!!
誰よりも強い剣士になって爽さんを守ると己に誓いながら、いつも爽さんに守られて守らせて。
それどころかその爽さんに嘘をついた挙げ句・・・爽さんにあんな表情をさせてしまった。
小生は剣だけでなく・・・なんて心も弱い。

いつか立派な剣士になってみせる。それが口癖であった。

いつかじゃ駄目だ・・・!!
強くならなければ。もっと自分を鍛え上げなければ爽さんに顔向けできない・・・!!

強くなるという思いを抱き、アヴァロン学園の門を叩いた無心。
今までとは表情も違い、決心した様子が見て取れるが・・・これは。
どうにも想いがちぐはぐなままで進みそうな気配がして怖い展開であります。
このまま2人の距離が開いたまま話は進むのでしょうか?
そして、退学処分となったガラハドは今後どうするのだろうか。
なんだか流石にガラハドが可哀想になってきたので、今後の救いに期待したいところでありますな。
爽さんの竹刀を拾ったようですし、天原道場との繋がりはできそうか?



其の7:何も言わずに行っちゃうなんての巻  (2012年 21号)


本当の強さを身につけるためにアヴァロン学園へやってきた無心。
編入手続きを済ませる間、モルドレッドが学園の案内をしてくれる。
とはいえ、もちろんモルドレッドとしては歓迎などしていない。

荷物にまとまって今すぐ出ていけ
訂正する・・・荷物をまとめて今すぐ出ていけ。

相変わらず決めるべきところで間違える子である。前者でも問題ない気はするけどね。
どちらにしろ、無心はまだまだ戻れない。

――小生は、爽さんを守ると。誰よりも強い剣士になると、そう決めたんだ。

なんともすれ違いな話でございますねぇ。
まあ、2人の距離が近すぎた気もするし、一度離れてみるのも刺激になっていいかもしれん。

朝4時というのに各部は猛練習を行っている。さすがにスポーツエリート校。

エリート・・・?笑わせるな。
このアヴァロンにいるのは戦いの食物連鎖を生き残る捕食者たちの群れだ。
気をつけた方がいいぞ?捕食者の領域に踏み入ったら無事では済まないからな。

そいつはまた恐ろしい話ですね。
実際、ごっつい人が多い。ランニングに巻き込まれただけで小さな無心の体は吹き飛ばされてしまう。
うーむ、見事なまでの被食者っぷりですね。
身体が小さいのに剣も持っていないのではいかんともしがたい。

剣道部はこちらだと案内されたところは建物もなにもない広場のようなところ。
そこに100人以上の部員が入り乱れ稽古を行っている。
アヴァロン学園剣道部は120名を擁し、総生徒数の一割を占めているという
それだけの生徒が一斉に争っているとは・・・まさに合戦といった雰囲気ですな。

その中の一人、轟という黒髪の選手はなかなかに強い。
隣接しているゴルフ部からの流れ弾を空中ではじき落としたりする。
剣道部と双璧をなすゴルフ部は校庭に隣接して18ホールまるごと入っているため、飛ばし屋のミス球が飛んで来る。
ただそれだけの話だとモルドレッドは言うが・・・どう考えても普通の環境じゃないですよね。
相手と組みで稽古中に後ろから飛んできたゴルフボールを反射的に叩き落とす
これほどの腕前を持つ男であるが・・・剣道部においては補欠扱いだという。ううむ・・・!!

レギュラーであるモルドレッドの話を気をつけの姿勢で聞こうとする部員一同。
だが、その前に質問をする轟。

ガラハドが――あの人が退学になったとの噂は本当ですか?

その質問に肯定するモルドレッド。そして、そのガラハドの代わりに来たのがこの天原無心だと紹介する。
これには部員たち、納得がいかない様子。
ふーむ、ガラハドは意外と部員に慕われていたのでしょうか?あの人とか言われてるし。
敵には容赦なく残忍だが、味方には稽古に付き合ってくれる優しいお兄さんだったのかもしれない。
単に強さに惹かれていたというだけかもしれませんけどね。

納得いかなさそうにしていた部員たちだが、突然一斉に頭を下げる。失礼しました!!
何事かと思ったらモルガンがやってきていたのだった。
気づけば校庭にいた人間全てがモルガンにひれ伏している。なかなかに異様な光景だ。

ひょ・・・ひょっとして小生は――とんでもない学園に来てしまったのかもしれない!!

とんでもない数と強さの剣道部員。更にその上を行くとんでもない実力者のモルドレッドくんたち。
その全てをかしずかせるとんでもない女王。
誰よりも強い剣士になるためには――この全ての剣士たちを越えなければならない・・・
無理だ。今までの小生から生まれ変わらねば!!

アヴァロン学園の制服に着替える無心。これでもう後戻りはできなくなった。意外と似合ってるじゃないか。
強くなるにはよい環境かもしれないが・・・果たしてどうなることか。
1か月もしたら身長が今の3倍になっていたりするのだろうか?それはそれで見物である。

さて、何も言わずに行ってしまった無心。
転校を知った千春ちゃんは悲しみのあまり、海兄を連れて天原道場に向かう。
爽さんならば何か知っているかもしれないと考えてのことでありましょう。
海兄としては、無心くんがいなくなるのなら千載一遇のチャンスが訪れたと考えれてしまう。この機会を活かせるか?

爽さんは中庭にいるらしい。
玄関から周りこみ、土門兄弟が見たものは・・・ガラハドと抱き合っている爽さんの姿・・・!?

目を疑うこの光景。い、一体何がどうなっているというのか!?そりゃ海兄のメガネも割れるさ!!

ガラハドが竹刀を届けに来るのは想定内の出来事。
しかし、この光景がいきなり出てくるのはあまりにも想定外である。一体どういうことなのか?
単に当身を食らわして気を失ったガラハドの崩れる体を爽さんが支えただけだったとかいうオチだったりして。
ガラハドが妙に脱力して無表情になっている辺りが怪しい。
ただその場合、支える理由はあまりないんですよね。うーむ。一体どういうことであるのか。



其の8:いつもどおり ただ無心の巻  (2012年 22+23号)


天原道場を訪れた土門兄妹の目に突然飛び込んできた光景。
爽さんとガラハドが抱き合っている・・・だと!?
これは一体どういうことであるのか。戸惑う千春ちゃん。海兄は千春ちゃんの竹刀を取り出し、襲い掛かる。

爽さんから離れろ間男がっ!!

間男言うな。勢いよく飛び出した海兄だが、爽さんに止められる。
まさか爽さん、外国人好きだったのかー!?
と驚かれるが、実のとこそういう話ではない。
どうやらガラハド気を失っているらしい。それを支えていた爽さんだが、力が足りず段々と崩れて行く。ぐぐー。

目を覚ましたガラハド。ものすごい勢いで食事をとっている。
まずい!!おかわり!!
爽さんの手料理であるが、出来はかなり酷いものである。
それでも、空腹のガラハドならば問題なく腹に収めれるらしい。空腹は最高の調味料っすね。
しかし、どういう経緯で先のようなラブシーンになっていたのやら。

つまらん話だ。
私への届け物を渡すに渡せず、昨晩飲まず食わずの空腹のまま一睡もせず、
道場周辺をうろつき歩って憔悴しきっていたのだ。

なるほどね。それで憔悴したまま渡すには渡したが、限界が来て倒れてしまったと。

仕方ねーだろ!俺は今「文なし」「宿なし」「孤高の剣士」なんだからな!!

そうなんだよね。ガラハドは退学処分を受けてしまっている。
異国の地で退学処分を受けて文無し。どうやって生きていけばいいのかわからない状況である。
この状況では、飯がまずいから食えないとはいえないわけだ。
何であろうと食い尽くす執念がいるわけですね。納豆をスプーンで食べるのも厭わない!!

千春ちゃんに言わせれば、無心くんをいじめたバチが当たったとのこと。
ちゃんと無心くんに土下座して謝んなさいよね・・・!

確かに、退学処分まで行ったのは無心に手を出したからなんですよね。
酷いといえば酷いことをしたが、退学処分まで受けるのはさすがに可哀想であった。

仮にガラハドが無心に謝ろうと思ったたとしても、今は無理である。
なんせ無心はアヴァロン学園に行ってしまったのだから。
ガラハドのその話を聞いて、激しく取り乱す千春ちゃん。
爽さんに、今から私と無心くんを連れ戻しに行きましょう!?と催促される。しかし――

私は・・・行かない
無心が・・・自分で選んだことだ・・・天原道場を出て、アヴァロン学園に行くことをな・・・

わだかまってますねぇ。まあ、昨日の今日の出来事ですからね。
その辺りのことを解消するにはまだまだ時間がかかりそうだ。

どの道、無心がアヴァロン学園にいるなら手出しは不可能だとガラハドは言う。ニンジン齧りながら。
無断でヨソ者が立ち入ろうとすりゃ、やつらが黙っちゃいねーぜ?
「アヴァロンの騎士」!!

海「俺も剣道やってるからよく聞くよ。アヴァロン剣道部のトップ5だったっけ?」
ガラハド「化物ぞろいさ。そしてこの俺も元「アヴァロンの騎士」だ」

なんだかいい雰囲気の男性陣。真面目な感じがする会話だ。
でも、男共は黙っててと一喝されてしまう。酷いよ千春ちゃん。

爽さん・・・きっと無心くんはそのモルガンって女に騙されてるのよ!!
放っといたら無心くんがナニされるか――

騙されていたのは・・・私かもしれん
すまないな・・・今は一人にしてくれ・・・・・・

なんとも確執は深いようですな。悩ましい状況だ。

ともかく、この場は帰ることにする土門兄妹。
海兄とガラハドは「メガネくん」「道場破りくん」と呼び合う仲になった。別になったってわけでもないな。
ガラハドはガラハドで、今後どうするかは特に決めていない様子。
逞しく生きていきそうな気もするが、果たしてどうなることか。

道場で物思いにふける爽さん。一人でいるとどうしても無心のことを思い出してしまう様子。
そこに空気を読めないガラハド登場。
食後の運動につき合えよと言ってくる。とはいえ、爽さんはそんな気分でもない。
だが、質問はしてみる。

なあカラバコ・・・・・・・・・一つ聞かせてくれぬか・・・
お前にとって、あのモルガンという女は――なんだ

・・・もしお前にとって信じるべき存在だとして、
その信じるべき存在に学園を追放されたお前のモルガンへの気持ちは今も変わらぬままか?

どうなんでしょうね、その辺り。
モルドレッドはわかりやすいが、他の面々はモルガンに対してどういう思いを抱いているものなのか。
ガラハドは答えない。代わりに竹刀を取れという。
そういう気分ではないという爽さんに、だから剣を振るんだろ、と答える。

何も考えず無我夢中で竹刀を振ってりゃ、気分もクソもどーでもよくなっちまう!!

まあ、そういう考えもありですよね。物思いにふけっても、解決にはなりそうにないですし。
剣士は剣士らしく、動いて気持ちを切り替えるのが正しい行為ではないでしょうか。

そうだ・・・天原爽。いつもどおりただ無心に剣を振りつづければ、こんな気分など、すぐに晴れる。

竹刀を取り、立ち上がる爽さん。ガラハドとの打ち合い稽古を始める。

ただ無心に――無心・・・どうして。
無心。無心。無心。無心。無心。無心!!

さっぱり無心になりきれていない様子の爽さんでありました。切ないですねぇ。
見ていた千春ちゃんもやりきれない気持ちになっている。
爽さんがあんなで、無心はアヴァロン学園に行ってしまった。寂しさはこらえようもない感じでありますな。

私・・・私っ、このまま無心くんと会えなくなったら・・・やだよ。

泣き出す千春ちゃんの頭に手を置き、海兄は言う。

千春。安心しろ。無心くんは俺が連れ帰ってくるよ

海・・・兄・・・キモいよ?

普段からふざけている海兄が真面目なことを言っている!それが逆にキモイってことっすかね。
慣れない姿だからつい悪態をついてしまったのかもしれないな。
ともかく、千春ちゃんの竹刀を借りてアヴァロン学園に向かおうとする海兄。

危ないって!あいつが言ってたじゃない!!化物みたいな剣士たちがいるって!!

ここには天才剣士がいる

格好良く言い放った海兄!いやー格好いいっすわ。
普段三枚目なだけに、こういう時にいい表情されるとポイントが高い。
次回、海兄はアヴァロン学園の剣士相手に腕前を披露・・・できる?
アオリが疑問系で不安はあるが、海兄には頑張ってもらいたい!!

実際のところ、読み切りでの表現を見る限り、海兄は爽さんと互角以上の腕前らしい。
天才剣士の名は伊達ではないってことですよね。
顔はよく、天才剣士の異名を持ち、道場の跡取りとして将来は安泰。
こんな優良株なのに、連載が始まってからは特にいいところを見せていない。
読み切りを読んでいない読者は、海兄のことをメガネの割れるエロ好き兄貴としか思っていないのではなかろうか。
それはそれで事実なんだけどね。そんな海兄の活躍もちょっとは見てみたいな!!ちょっとでいいから。



其の9:私から一本取っての巻  (2012年 24号)


アヴァロン学園は夜でも稽古を行う学生達でごった返している。
さすがに夜で、雨が降ったこともあるせいか、屋内で稽古に励む部員たち。
無心は前回登場した轟さんと戦っている。
補欠であるはずの轟さんだが、強い。腕力・速さ・技量全てが無心の2倍も3倍も上回っている。

ガラハドの代わりにやってきた無心がこの程度の強さでは轟さんも納得はいかない。
コネでアヴァロン学園に入ってきたと思われても仕方がないところである。

貴様にガラハドの代わりが務まるほどの価値があると思うな!

それを決めるのは私よ?

轟さんの宣言に応えるようにモルガンが現れる。
ボールス、モルドレッド、ガレスの3人も付き従っている。
こいつら道着の色とか統一する気が微塵もないんですな。

モルガンに挨拶する部員たち。ってなんだか見覚えのある顔のやつがいるなぁ。名前のところにクロマクと・・・
鈴木央先生ってばCTC好きですなぁ!なんとも好感触であります。
他のメンバーが出たとき、クロマクが悔しがっていたのを見てくれたのですな。

それはさておき、モルガン。
汗だくになった無心を抱きしめる。さすが淑女。大胆なことでありますな。
モドルレッドとしてはとても面白くない状態である。おさえておさえて。
ついでに豊かなおっぱいを無心の頭に乗せたりもする。
これはモルガンも重さが軽減されて楽という嬉しい構えだ!
姉以外に興味のない無心にしてみれば単に重いだけらしいけど。なんという・・・

人目を憚ることなく無心に取り縋るモルガン。
しかし、あの程度の腕前の人間がガラハドの代わりに入るなど納得いかないという様子の轟さん。
他の誰も何も言えぬ状態でも、つい不平を口にしてしまう。
だが、文句があるのならば、堂々と言える立場になればいいじゃない。と言ってのけるのはボールス。
補欠ではなくレギュラーの立場になれば、モルガンにも堂々と申し上げるようになれる。
聞き入れてくれるかどうかは全く別の話でありますけどね。

このボールスが胸を貸してア・ゲ・ル

ハートマークつきでそんなこと言われましても。貸されたくねぇー。

いいから早く面つけろや

脅された!これは怖い。親しげな様子から豹変されると怖さが倍増しになるから困る。
柔らかく接し、いきなり強く当たる。この振り幅の大きさが恋愛の奥義・・・!!なんか違う。

げ・・・下克上戦だー!!

にわかに騒がしくなる道場。
轟さんとボールスが相対することとなった。これぞ補欠による下克上。
レギュラーと戦い、勝てば自動的にレギュラーの座を奪い取ることが出来るらしい。
実力主義のいいシステムでありますね。

面や防具を装備した轟さん。それに対し、防具を何もつけていないボールス。
これでは突きや面をくらったら大怪我ものである。
サイズの合う防具がなかったりするのだろうか。それなら仕方がないですね。
というわけではなく、一撃喰らうこともないというほどの自信があるからのようだ。
そ・・・それほどの実力差があるというのか・・・?

さあ、死ぬ気で私から一本取って・・・取れば晴れてレギュラーよ〜〜?

ホラホラホ〜ラと誘いをかけるボールス。
しかし、轟さんは完全に萎縮してしまっている様子。あらあら。だめね。

もう一人相手を増やしたほうがいいみたいね・・・轟ちゃんだけじゃ話にならないわ!

まさかの二対一。これで勝ってもレギュラーの座はいただけるのだろうか?
二人で一人の剣士とかそういうのもありかもしれませんな。公式戦には出れないだろうけど。

誰か相手をしてあげなさいとモルガンが言うが、部員は一斉に目をそらす。情けないわね。
そんな中、自分がやりますと手を上げる者がいた。無心である。
この申し出には色んな反応が見える。嬉しそうにする人、呆れる人。様々だ。
モルドレッドがバカめといいながらどことなく嬉しそうにも見えるのはなんだか面白い。
嘲笑しているわけではない・・・と思う。騎士様ですし。

「アヴァロン騎士」はいずれ戦い越えねばならない相手・・・
ならば少しでも多く彼らと手合わせすることはいい経験になるはずだ!!

なかなか立派な考えでありますな。強くなろうと思っているならこうでないといかん。
というわけで、異色の二対一戦開始!!よし!行くぞ・・・!!

断頭台(ギロチンスタンド)の構え!!!

単なる大上段の構えなんでしょうけど、その威圧感は凄まじい。
おぉ・・・ボールスがでかく見える!いや、元からでかいけど。
そうではなく、ただでさえでかいボールスの、その腕から先が巨大化して見える!!

な・・・ななな・・・なんて重圧感!!よ・・・よけなくちゃ。
こんな一撃を振り下ろされたらひ・・・ひとたまりもない!!
・・・なのに、足が動かない!!

完全に威圧されてしまった無心。横の轟さんに至っては腰が抜けたかへたり込んでしまう。情けない。
というわけで、残った勇気ある無心には御褒美としてボールスの熱烈な一発を・・・ア・ゲ・ル!!

強烈な一撃が無心の頭部めがけて振り下ろされる。
と、その時。道場に緊急を知らせる報が入った。部外者が道場に侵入したのだ。
何ソレ?とボールス。振り下ろそうとした竹刀は無心の面のスレスレで当たる前に止まっている。
打たれてもいないのに打たれたような衝撃と痺れが残っている。相当な威力であるな。

さて、侵入者の撃退に向かう部員一同。モルガンやボールスたちも一緒に向かっている。
侵入者の数は一人。そして「天原無心」を出せと言っている。
数人がかりで止めようとしたのだが、恐ろしく強い剣士だという。それはまさか・・・

か・・・海さん!!?

そう、海兄だー!!
複数の部員をひとりで打ち倒し、平然としている海兄。なんだかかっけぇな。

おっ。無心くんいたいたっ。なーんだ元気そうじゃない!!

ビッと挨拶をする海兄。爽やかっすね。
無心を探すなら力ずくで通ってみろと言われたのでお言葉に甘えて通ってみたらしい。
そんな海兄に、突如声もなく襲い掛かるボールス。
得意の大上段の構えから一足飛びで長い距離を詰める。巨体をいかした飛込みだ。

断頭台(ギロチンスタンド)!!!!

強烈な振り下ろしに海兄のメガネが割れて飛ぶ。
だが、片側しか割れていない。いきなりの振り下ろしを交わして見せたのだ。
そして、すれ違い様に抜き胴を決める。バシュッ!!
ズゥンと倒れ伏すボールス。まさか・・・海兄がこうも鮮やかに決めてくれるとは・・・!!

フウ・・・さすがは「アヴァロンの騎士」だ。
でも・・・ここで負けるわけにはいかないさ。
俺には無心くんを連れ戻すという重大な使命があるからね。

フッと笑ってみせる海兄。実にかっこいい。しかし、そのTシャツの柄はクロマク。
こんなところにまで姿を現すとは・・・!!前に一人だけハブられたのがよほど悔しかったのですね。

俺のかわいい妹が君を想って泣いているんだぜ、と海兄。

でもそれより爽さんは――相当重傷だ。わかるよね?・・・君のせいだよ。

確かにその通り。強くなろうという無心の考えは間違ってはいないが・・・誤解をそのままにしてていいはずもない。
だからこそ、海兄は無心を連れ戻そうとやってきたのである。

モルガンは海兄を、お義姉さまの使いと認識し、過保護じゃありません?と反論。無心を返す気はないようだ。
豊かなおっぱいに気をとられそうになる海兄。だが、今はシリアスモードなので、なんとか言うべきことを言う。
シリアスモードじゃなかったらどんな行動に出ていたかわかったもんじゃないですけどね。

君が誰だか知らないけど他人が口を出すべき問題じゃないよ。
無心くんにとって姉の爽さんはただ唯一の想い人なんだから

おやおや、それを口にしてしまいましたか。まあ、いずれ知られることになったでしょうけどね。
無心が強くなりたいと想ったのは、自分のためではなく、唯一の想い人である爽さんのため。
そのことを知ってしまい、怒りに燃え上がるモルガン。
はてさて、これは一体どうなってしまうのでしょうか?
とりあえずの怒りの矛先はどこに向けられるのか。海兄か、無心か、倒されたボールスか。
いずれは爽さんと直接対決を行うのでしょうが、とりあえずの怒りの向けどころが気になります。
思わず気になって様子を見に来ていたガラハドが叩きのめされたりしたらどうしよう。
さすがにそれはない・・・と思うけど・・・それもありな気がしてきた。



其の10:モルガンが選んだのは の巻  (2012年 25号)


無心が強くなりたいと願う本当の理由を知ったモルガン。
はてさて、その衝撃はいかばかりであることか。

ここでようやくボールスは海兄のことに気づく。
どうやら2人は去年のインハイでぶつかっているらしい。
その上段をかわしたのは、去年のインハイ以来、二度目だ、とのこと。

まさかあなた・・・あの海きゅん?

体をくねらせ名を呼ぶボールス。元気そうだな。
まあ、それは置いておいて。
無心は迎えにやってきた海兄の手を振りほどき走り去る。
追いかけようとする海兄。だが、その眼前にモルガンの竹刀が突き出される。

あの女が次に無心に近づけばどんな目に遭うか。あなたにはその伝言役になっていただくわ・・・

表情を固くしたままそう述べるモルガン。そして――

侵入者の撃退を終えたモルガンは踵を返す。
倒されていた部員たちも周りの手を借りながら起き上がる。ボールスは元気一杯な様子。タフだな。
引き上げるモルガンに近づき、天原無心を今すぐ追い出したほうがいいと進言するモルドレッド。
あいつのせいでアヴァロン剣道部員に被害がでた。それに、今度は君を狙い襲ってくるかもしれない。
万が一のことがあったら僕は――

あなたには関係ないでしょ!!?無心は絶対離さない!!!

きつい一喝を受けて黙ってしまうモルドレッドでありました。うーむ。

さすがに幼少の頃より仕えているであろうモルドレッドに、関係ないでしょはないですわな。落ち込むわ。
そんなモルドレッドの様子を眺めるガレス。微妙に真面目そうな顔だが何を考えているのか。

用意された寮の自室に戻った無心。海兄が言っていた爽さんが重症というセリフに思い悩む。
本当は今すぐにでも戻りたい。そういう思いはないでもない。面倒な話ですな。
そんな悩める無心のところにやってきたモルドレッド。
出迎えた無心をいきなり殴り飛ばす。バキッ。

お前が誰を好きであろうと構わない!!
だがモルガンの心をもて遊ぶような真似は絶対に許さないぞ!!

モルガンに言っても通じそうにないから、無心に言いに来たわけですね。それは正しい気がしますな。
とはいえ、モルガンの王子様に乱暴を働くのはまずい。止めに入るガレス。
まあ、確かにね。下手するとガラハドのように追い出されちゃう可能性もあるわけですからして。止めてくれてよかった。

モルドレッドとガレス。
体格はさておき、性格は大きく違う2人。
真面目なモルドレッドに比べ、どうにもお気楽な様子のガレス。
モルドレッドは吠える。何故モルガンはあんな奴にこだわるのかと。
「剣の腕は僕の方が絶対上だし」
「僕の方がずっとモルガンを知ってるし」
「僕の方がずっとモルガンを想っているんだ」

・・・なーんていう君の気持ちは知ったこっちゃない。大事なのは我らが女王様の気持ちのみ・・・さ。

ガレスに言わせれば、モルガンの気持ちを汲み取るのが第一ってことらしい。
これが<謀剣>ガレスの意見でありますか。
一体何を企んでいるのか。そう問いただすモルドレッド。
その意見に、ガレス。君って本当にモルガンが好きだよね〜と答える。

僕ちんに負けないくらいに

ふむ?ガレスもモルガンのことを想っていると?
あんまりそんな様子は見えなかったが、今の真面目な感じを見る限り、これが本心なんでしょうかね。
どんな理由かはわからないけど、モルガンは天原無心を選んだ。それは認めざるを得ない事実なのである。

モルドレッド・・・君はモルガンが好きだから無心くんが気に入らない
――でも、僕ちんはモルガンが好きだから無心くんを呼び寄せた
僕ちんたちはさ「アヴァロンの騎士」であり。アヴァロンを統べる「女王の騎士」だよね〜〜
女王の幸せのため騎士がすべき事としてどちらが正しいのかな〜〜〜〜〜?

うーむ、難しいことを言ってきますね。
騎士道に従うのであれば、ガレスの行いは全く正しいような気がしないでもない。
しかし、モルドレッドはその考えに従うことができるのだろうか。
これはちょっと気になるところですね。

さて、アヴァロン学園からカメラは移り、土門剣道場。
結局千春ちゃんはガラハドを家につれてきたらしい。海兄の言いつけを守ったのですね。

だーから、自分ん家に連れ込んでまで俺に襲って欲しかったのかって言ったんだよ。

いきなり何を言い出すのだガラハド!?
まあ、家に呼ぶのはともかく、自室にまで入れる必要はない気がしますわな。まさか・・・!?
間近に迫られるとじたばたと暴れる千春ちゃん。無心くん一筋なんだから〜と叫ぶ。
けど、なんだか思いっきり嫌がっているというほどにも見えないのは気のせいだろうか?
ガラハドの方には全くその気がないみたいだから、いいんですけどね。

そんな風に2人がじゃれているところに、アヴァロン学園に行っていた海兄が戻ってくる。

任務・・・失敗・・・だ。

やっぱりやられたの!?

やっぱりとは何だやっぱりとは。こう見えてもかっこよく決めては来てたんだぜ。
実際<剛剣>オネエは倒したという海兄。
<剛剣>といえばボールスの呼び名である。あのボールスを倒すとは・・・ガラハドも驚きの表情を見せる。
ガラハドは海兄とインハイなんかで会ったりしてないのでしょうか?
お互い面をつけた状態で向き合うだろうから、顔の認識がし辛いのかな?

海兄が受けた一番の致命打は引き胴
右のわき腹に一直線に引かれるような筋が走っている。
上着とシャツがはじけ飛んでいる。この鋭すぎる太刀筋はモルガンだな、とガラハドは断ずる。
一体どれほどの鋭さの剣だったというのだろうか?
海兄の竹刀は折れている。まさか、受けた竹刀をへし折って胴を決めたというのだろうか?
鋭すぎるってレベルじゃねーぞ!!単に杖にして歩いてたら折れただけかもしれんけど。

なるほど・・・あの・・・
金髪ロングでスタイル抜群。ボインで目つきのエロいかなり高慢な美人のことか・・・うぐっ!!

喋るだけで傷が痛むのに、ムリして特徴を羅列する海兄。
重要なことだったので、口にしたかったのですね。わかります。それでこそ海兄だ!

まあ、それはさておき。
自分がやられたことは爽さんには秘密だぞと千春ちゃんに告げる海兄。

モルガンは俺を・・・爽さんへの伝言役にしたわけさ・・・
無心くんを・・・取り戻そうとすれば、こういう目にあうという宣戦布告だ!!

海兄の言うことは正解でしょうな。
爽さんのことを「あの女」呼ばわりしているモルガン。
無心と爽さんが義理の姉弟ということは知らないだろうが、そんなことはどうでもよい感じである。怖いわぁ。

たしかにやばいかもな。モルガンが試合以外で他人に竹刀を振るうなんてことは普通ない。
あン時と同じだ・・・モルガンが暴走しかけてる・・・!!!

何やら意味深なセリフを吐くガラハド。一体何があったというのだろうか?

さて、カメラは再びアヴァロン学園に。
ガレスに言われ、モルガンをなぐさめにいこうとする無心。
でも、どうして自分がモルガンさんを?と、わかっていない様子の無心でありました。

モルガンの部屋の前に到着。中のモルガンは、外にまで聞こえるぐらいの声で泣いていた。

絶対に嫌・・・!!
無心は誰にも渡さない!!!無心は私のものなの・・・
無心はやっと・・・やっと巡り会えた理想の騎士よ・・・
もう・・・あの時みたいな思いをするのは・・・・・・いや!!

ふうむ。やはりモルガン。過去に何かがあったみたいですね。
そして、それだからこそなのか。
無心にとってはモルガンをただ犬から守ろうとしただけの行為は、モルガンにとってそれ以上の意味があった。

小生はまたしてもやらかしてしまった。

会いに来てくれて嬉しいと、涙を拭いて笑顔を見せるモルガン。
うーん、健気というかなんというか、なんとも染みる笑顔であるな。これはなかなか・・・

単なる高慢なお嬢様かと思ったら、意外と深いキャラになりそうなモルガン。
秘められた過去に、暴走。一体何があり、何を起こそうというのだろうか。
そして、やらかしてしまったことに気づいた無心はどのような行動に出るのだろうか。
爽さんには、強くなるまで顔を合わせることはできないと言っていた。
ならば、モルガンにも同じ態度を取るのではないだろうか。ああ、次は土門道場に居候という展開だな!?
こうやって、余計に女性を傷つけていく無心という流れになるんじゃないかと危惧する。
もしそうなったら、無心は皆にボコられても仕方ないですね。仕方ない。



其の11:全く面倒のかかる姉弟の巻  (2012年 26号)


モルガンさんがなぜこれほどまでに小生にこだわるのか。
こんな状況でモルガンさんに聞けるはずもなく。彼女の問いに応えることができるはずもなく・・・

泣きはらしたモルガンに抱きしめられ、ずっと私の側にいてと言われる無心。
それに対し、応えることができずにいる無心。
繰り返される、・・・ね?の問いが物悲しい。
巻き込まれた結果のものとはいえ、さすがにこの無心の態度はいただけませんな。
やはり恋愛ごとに鈍いのは周りを混乱させる原因になりやすくよろしくないようである。留意せねば。

さて、翌日。天原道場には久々に門下生が集まっている。
もうガラハドにやられた傷はすっかりよくなっているようですな。
そんな中、爽さんと対峙しようとしているのは・・・お爺様!?
天原の爺様が、爽さんに勝負を挑もうとしている。
この6年、スナック通いを続け、ろくに稽古している様子もなかった爺様が勝負を・・・?

いーじゃんいーじゃん。爽ちゃ〜〜ん!!
儂だってたまにはアケミちゃんにいいトコ見せたいじゃ〜ん!!

ぺたぺたと小柄な体を防具に包む爺様。
これは・・・胴とか打つのが凄く難しそうだ!!その代わり、面は凄く打ちやすそうだけど。

爺様、アケミちゃんに煩ちゃんと呼ばれているが、もしや本名は天原煩悩・・・?ありえそうで困る。
ともかく、嘆息し試合に応じる爽さん。いざはじめ!!

めんっ。どおっ。

爽さんの一撃をひらりと交わし、飛び上がっての面。続いて胴を決める爺様。うそ・・・!

今のお前なら儂の半分の力でも楽勝ってカンジ?

まさか・・・そんなに強かったというのか、爺様!?
いや、爽さんが迷いによって弱対しているからなのか?それを差し引いても凄い動きである。
伊達に一道場の館長ではないと言うことであるのか・・・
しかし、この面の打ち方はよろしくない。凄く痛い当て方をしているぞ。その部分は防具が薄いのだ。

まったく面倒のかかる姉弟じゃ〜〜ん?「面・胴」だけに!ぬわーんちって。

やかましいわ。
まあ、どうやら爺様は爺様なりに子供達を気遣ってくれている様子ではありますな。

最近、お前がボンヤリしっ放しなのを心配した匿名希望の外国人に相談されちゃって〜〜
考えることは結構なことじゃが、ボンヤリするのはただの時間の無駄って言うか〜〜

話し方はウザイが、言うことは正しい。
それにしても、ガラハドは何かと気づかいのできる男でありますねぇ。
剣の方に関しては多少非道な部分もあるが、それを除けばかなりいいヤツである。

迷いのなかなか晴れない爽さん。表情に色気があるのはよいが、そろそろ立ち直っていただきたいところ。

アヴァロン学園。
巨大なライオン像の上でボンヤリたそがれている無心。
どうやら、爽さんのこととモルガンのことを考えているらしい。難しい立場でありますわな。
悩むのは大いにわかる。悩め。といいたいところだが、そのバックは一体なんだ。
涙に濡れる2人の女子。なんというか、アレだよね。アレ。うん、エロイ

悩んで頭をかきむしる無心。その頭上に声がかけられる。
ライオン像のたてがみから現れたのは・・・バリン=フェニックス!!
ここで、アヴァロン学園で今までほとんど出番のなかったバリンがようやくの登場!!
無心がモルガンから聞いた話によると、バリンは「アヴァロンの騎士」の中でも一・二を争う腕前。
アヴァロンの騎士の中で唯一、二刀流を操る<双剣>のバリン!!

<謀剣><剛剣><双剣>と来ました。モルドレッドは<流剣>でしたっけか。
となるとあとはガラハドの異名であるが、何が来るのでしょうか?判明しなかったりして。

ナーシテ、オメソッタラドコサインダー?

なに、これは・・・東北弁!?
いきなり聞かされたら英語か何かかと思ってしまうぐらいのなまりっぷりである。
漫画ではわからないが、イントネーションも完全に東北弁なんでしょうな。聞き取りづらそうだ。

ライオン像の上はバリンの瞑想場。
こんなところ、怖がって普通は誰もやってこない。なので穴場として利用していたらしい。
そこにいたのが無心。ただ、無心もボンヤリしていつのまにか来ていたらしく、ここがどこなのか今さら気づいた様子。

どーやって、こごさ登ってきたのが覚えがねえって・・・どゆごど?

ライオン像の上で丸まって震える無心。
さっきまで皆と稽古をしていたはずなのに、気づいたらここにいたらしい。
無心は考え事をすると周りが見えなくなる傾向にありますからねぇ。

興味深え奴だな、おめ。

バリンは無心に問う。どんな理由でアヴァロン剣道部にやって来たのかと。
周りの連中からすると、無心がモルガンをたらしこんで、剣道部のレギュラーの座を狙っているように見えるらしい。
確かにそう見える。モルガンの推挙を受けてガラハドの換わりに現れたわけですからねぇ。
腕前の程を見る限り、コネで入ったと思われてもしょうがないし、実際のとこそれに近い。

だが、バリンはそうだとは思っていない様子。
そんなただの優男だら我武者羅に稽古したり、
まして――「アヴァロンの騎士」相手に戦おうどなんて危険な真似はしねえはずだっぺ。

アヴァロン剣道部やってきた理由。それはどうしようもなく弱い自らの剣と心を鍛えるため。
たとえ動機が不純だと笑われても、剣の道を志す資格がないと言われても。

小生は・・・小生は・・・大切な女性の笑顔を守るため誰よりも強くなりたい!!

・・・たまげたな。さっきまで隣で丸まって震えでたもんが――
本当に興味深え奴だ・・・!!

強風の中、ライオン像の鼻先に立ち、町を見据える無心。
ボンヤリしているほうが無心に近いってことなんですかねぇ。

パーフェクト!!
剣の道さ動機はいらねぇ・・・必要なのは剣にどんだげの思いを込められっか・・・
抜げ・・・!!俺を倒せれば「アヴァロンの騎士」全員に勝ったも同義だ・・・!

無心になった状態の無心はいい目をしている。
この状態であれば、アヴァロンの騎士相手でもいい勝負ができるかもしれない。
しかし、こんなところで戦ったら危険極まりない。敗れたほうはそのまま落下しそうである。
それとバリン。ぬげとはどういうことでしょうか。なまってるからってのはわかってるけど、これはマズイ。
言葉通りに脱ぎ出したら困るところでしたな!!

それはさておき。対峙して緊張感が高まる瞬間、それを邪魔するように呼び出しがかかる。
懐から携帯を取り出すバリン。すぐ合流すると応えている。

天原無心!今すぐ天原道場さ帰れ。俺だぢが着くより早ぐ・・・!勝負は一旦預げる。

今がらモルガンが天原道場さ強襲をかげる。おめを完全に手中にするためにな

なんと。モルガン、早くも行動に出たか!!
少し出かけるとは言っていたが、まさかこうも早く潰しにかかるとは・・・!!
海兄というメッセンジャーは届いていなのに強襲とはね。これは奇襲であるぞ!!
まあ、どちらでもいいんでしょうけど。

必死に走り天原道場へ戻ろうとする無心。
その前に無心はバリンに尋ねていた。どうしてモルガンはそんなに無心に拘るのか。
バリンはその問いに答える。

たしかあれは・・・もう三年前のごどだ――

女王・モルガンとアヴァロンの騎士たちが共有する"過去"とは一体・・・?
というか、この最後のページは三年前の姿ってことでいいのか・・・?
全員たった三年で変わり過ぎだろう!!
ハッ、そうか、成長期か・・・!!それならしょうがないなー。成長期だもの。そりゃ成長するさー。

それはそうと、アヴァロンの騎士たちの中にガラハドの姿がないのだがどういうことだろうか?
ガラハドは後から加わった人間ということなのだろうか?
だからあっさりと切り捨てられた、という話だと一層酷い話となるなぁ。
しかし、前回の話を見る限り、ガラハドもモルガンの過去の出来事を知っていた様子。
どういうことなのでしょうか。もしやガラハドが起こした事件が原因だったとかそういう。
なかなか気になる話でありますな。

さて、ようやく出番が与えられたバリン。
この1話だけでいきなり存在感がバツグンとなりました。こういう辺りのキャラ立てはさすがにうまいですなぁ。
東北弁やフェニックスという苗字が、昔の作品を邂逅させるのもキャラが立つ要因になっていそうである。
停滞しそうになった話は、モルガンの強襲という形で動き始めた。
過去の回想を経て、直接対決を経れば、ひとつの結末を迎えそうな雰囲気である。一体どうなりますのやら。
その場合、海兄は強襲までに復帰できているのかどうか。
ある意味それが一番の懸念点であるといえなくもない。頑張って復帰して!!



其の12:その時 俺たちが何をしてたかの巻  (2012年 27号)


バリンが語る過去の出来事・・・
あれはまだ俺が東北弁を覚えでねがった頃――

どうやら生まれつき扱えるようになっていたわけではないらしい。
後から学んでこのような見事な東北弁を身につけるとは・・・

ともかく、バリンはガレスやボールスたちと同じようにモルガンに付き従う騎士の一人であった。
モルガン・ウィンチェスターは16世紀から続くワイン事業で財をなした名家の一人娘。
アヴァロン校でも公私において特に目立つ存在だったが、その家柄を鼻にかけることなく、
いつも剣道仲間である俺たちの中心にいた、とのこと。

俺にとってモルガンは街の剣道クラブで唯一対等に戦える剣友的存在であり――
ガレスは不登校で休学中、モルガンに無理矢理連れ出され剣道をはじめた。
ボールスは元々、空手をやっていたが、モルガンの男らしさ(?)に一目惚れして剣道に転向したらしい
モルドレッドの家は代々ウィンチェスター家に仕えているとかで、いつもモルガンの側にいた。

三年前はそんな感じの関係だったのですね。
そうか、ボールズは女同士の友情って話ではなく、男女の仲という意味合いがあったのですね!!
うん、どっちがどっちか非常にややこしい話になっとる。

モルドレッドはこの頃まだ剣道をやっていなかった。
だが、奴は俺たち以上にモルガンを一途に慕い、彼女もまたモルドレッドを実の弟のように可愛がったという。

そんな5人が街の見回りをしている際に、事件が勃発。
ここらで知らない不良はいないと言われる暴れん坊が暴れている現場に出くわす。
その暴れん坊こそ・・・<狂犬>ガラハド!!!

鉄パイプ片手に暴れまわるガラハド。実にガラが悪い。ガラハドなだけに。
そんなガラハドを、何だかおもしろそうなコと評するモルガン。

噛み殺すぞ・・・コラ!!女だからって俺が手を出さねぇとでも思ってんのか・・・!?

鉄パイプを折り曲げてみせるガラハド。まさしく狂犬っぽい奴ですな。
そんなガラハドに対峙し、私が直接確かめるわと言い出すモルガン。

おもしれえ!「英雄気取りで」「身の程知らずの」「じゃじゃ馬」が!!

三拍子は昔っからのクセなんですね。
ともかく、鉄パイプを振るうガラハド。その突きはモルガンの袖をかすめ服を抉るほどである。
鉄パイプの先を曲げていなかったら、腕に突き刺さっていたかもしれませんなぁ。何故曲げたし。

・・・素晴らしい突きだわ!
――でも、剣の腕はまだまだのようね。

モルガンの竹刀がガラハドの喉元に突きつけられている。勝負ありの体勢だ。
なんで打ち込んでこないというガラハドに対し、竹刀は無闇に人にふるうものじゃなくてよ、と答える。
そして、早速アヴァロン学園剣道クラブに入りなさいとスカウトする。
元々、見回りと称した人材スカウトが目的でしたからねぇ。ガラハドはお眼鏡にかなったというわけだ。

それから・・・<狂犬>はよくないわ。<凶剣>に改めなさい

なるほど。こうしてガラハドの異名は<凶剣>と相成ったわけですな。紹介されてよかった!!

おい・・・!「高飛車で」「甘っちょろい」「女王様」よ!!
言っとくが俺は負けを認めちゃいねえからな!!てめぇの首をとるまで狙い続けんぞー!?覚悟しろよっ!!

・・・なら常に私の側にいることね。

――ってなわけで、モルガンの周りには騎士が増えることとなったわけです。

そして俺だぢは――モルガンを中心に剣道での数々の大会を制し、アヴァロン学園内でもその地位を確固たるものとすると、
モルガンは「アヴァロンの女王」と――モルドレッドを除く俺たち4人は「アヴァロンの騎士」と呼ばれるようになっでいだ。

――それがらしばらくしてだ。
ウィンチェスター財閥が経営失敗によって倒産寸前に陥ったどの知らせが流っちゃのは。
モルガンは学園生活を送るごどすら、ままならなぐなって、実家を手伝うためにしばしば休学した。
ウィンチェスター家の周りがらは人が去り、同じくモルガンをちやほやしていだ連中も引く波のごどぐ消えでいった。
そんな折、あの事件が起きだんだ。
この時を待ってだとばかりに日頃モルガンを妬んでいた連中がモルガンを吊し上げだ。

モルガン1人を多数の男女が取り囲み、没落していい気味だと責め立てる。キョホホ。

結局、あんた自身には何の価値も力もない!あんたを本気で思ってくれる人間なんて一人もいないってこと!!

この発言に、そんなこと・・・ないわと反論するモルガン。だが――

現にあんたの危機の前に立ちはだかって守ってくれる騎士は一人もいないじゃない!!
一人寂しくボコられなさい!!

なんとも陰湿ななぶり方でありますなぁ。
実際、この時のモルガンは一人であり、守ってくれる騎士はいない孤独な女王であった。
「アヴァロンの騎士」たちはその時何をしていたのか。
バリンは運悪く、親の仕事の都合で日本の叔父の家にいっていたという
こ・・・この叔父は・・・ゴルフ漫画で主人公を務めてたりしそうな人じゃないか・・・!!
なるほど。この人に日本語を学んだなら、東北弁にもなるさ。イエスは「んだ」な。標準語を教える気がまるでない!!

ボールスは爺さんの葬式に。ガレスは試合中の怪我で入院中。ガラハドはいつもの暴力沙汰で謹慎中・・・
唯一モルガンの側にいたのはモルドレッドのはずだが、その件について奴は一切口を閉ざしている・・・
結局リンチにかけられたモルガンは、全員を病院送りにした

リンチにかけられたはずなのに、結果はご覧のありさまだよ!!
竹刀のようなしなる武器で複数の男女を叩き伏せるとは・・・モルガンはどれだけ強いっていうのだろうか。

本来なら謹慎。もしくは退学騒ぎになる所だが、
からんだ側があまりに陰湿だったことからモルガンは幸いにもお咎めなしで済んだ。
一方、経営を持ち直し、ウィンチェスター財閥は倒産を免れた・・・が、モルガンは家を出た。
モルガンは独りでバイトをかけもち、自活しながらも奨学金を得て高等部へ進んだ。
元々の人間性もあってか、彼女は今度こそ自分の力のみで<女王>であることを周囲に認めさせた。

そして三年後――剣道の本場である日本で勢力を拡大すべく学園の意向により、
俺たち6人は<王女>と<騎士>として再会を果たした。
――だが、全て元通りどはいがねがった

事件があってから三年間は騎士たちともバラバラに過ごしていたんですねぇ。ふうむ。
モルドレッドはその三年の間に剣道を始めて強くなったわけか。ふうむ。

一見、昔のままの勝気で強気なモルガンだげっちょ、<王女>と<騎士>の間に目に見えねぇ小さな溝がでぎでる。
・・・それは本当に守っでほしがった時、誰にも守ってもらえねがったあいつの心の傷そのものがもしんねぇ。
だからモルガンにとって天原無心・・・おめえは見ず知らずの自分を体を張って守ってくれだ<運命の騎士>なんだ。

なるほどねぇ。
モルガンが無心に拘る理由はわかる気がします。
勝気で強気に見えるけど、孤独な状況に追い込まれた際の心の傷はまだ残っているってわけなんだ。
そんな状況でも守ってくれるであろう存在が無心であるとモルガンは思っている、と。
まあ、確かにそんな状況で出会わせたなら間違いなく立ちふさがる男ではありましょうけどね。

そんなことがモルガンさんに・・・でも・・・でも小生が守るべき人は――

バリンから話を聞き悩む無心。
だが、ともかく今はモルガンを止めるために天原道場に急がないといけない。
しかしそこに立ちふさがるアヴァロンの騎士が一人。<謀剣>のガレスである。

モルガンを天原道場に仕向けたのはこのガレス。すべてはこの男の筋書き通りに展開していることである。
そう、全ては我らが<女王>のハッピーエンドのためさ〜。
でも、君に知らせなかったのは僕なりの配慮なんだよとガレスは言う。

モルガンに無惨にやられるお姉さんを見たくないだろ?

イメージの上であるが、切り裂かれる爽さんの姿が描かれている。うん、エロい。さすがというかなんというか。
ともかく、そんなことを聞かされたら無心がじっとしていられるはずもない。

無心「ど・・・どいてください」
ガレス「ダ・メ〜〜〜」
無心「・・・どくんだ」
ガレス「ダ〜〜〜〜〜メ!!」
無心「どけ―――――――っ!!!!!

強い口調と共に繰り出される鋭い剣戟。
しかし、ガレスはこれを受け止める。
なんだかんだでガレスもアヴァロンの騎士の一人である。腕前もかなりのものでありましょう。
果たして無心はガレスを破り、道場へ駆けつけ、2人の女性の戦いを止める事ができるのか?
色々と風雲急を告げる展開になってきましたなぁ。

それにしても、気になるのはモルドレッドである。
モルガンがリンチにかけられたとき、モルドレッドは何をしていたのか。これが最大の焦点になりそう。
側にいたけど、何もできなかったというなら、これはモルドレッドにはきつい過去である。
そういった過去があるという前提で、前の話を読み返すと面白い。
モルガンがモルドレッドに無心を語ってみせるシーンは凄い皮肉に聞こえてくる。
果たしてモルドレッドはどんな行動を取ったのか。気になるところであります。



其の13:己の想いを貫くまでの巻  (2012年 28号)


アヴァロン学園の天原道場急襲を食い止めるため、走る無心。
しかし、その前に立ち塞がる「アヴァロンの騎士」の一人、ガレス。
邪魔するものは打ち払うとばかりに渾身の一撃を振り下ろす無心。な・・・にぃ!?

どうやらこの無心の斬撃はガレスにとって予想外のものだったらしい。
どうにか受け止めたが、こらえきれず、大きく後退する。そこをさらに詰めて攻勢をしかける無心。

まるで稲妻・・・!!
調べた情報とはまるで別人だ!!

これが剣道歴10年の間に出た大小33回の試合全て初戦敗退した奴の――踏み込みか!?
これがうちの補欠にも歯が立たなかった奴の――打突か!?
これが本当の天原無心の力!?僕ちんの完全な誤算だ。ますますモルガンの元には行かせられない!!

さすがにガレス。ちゃんと無心のことは丁寧に調べていたらしい。
とはいえ、さすがにその潜在能力についてまでは調査が及びませんでしたか。
わずかな人間が知るぐらいのことでしょうからねぇ。

この攻め入る隙のなさ。そしてこちらの隙を決して見逃さない鋭さ!!
ま・・・負ける!!

敗北を予感するガレス。だが、まだ手はある。

僕ちんの・・・負けだ・・・斬れ。

竹刀を下ろし、潔い様子を見せるガレス。
隙を見逃さない今の無心は、聞くや聞かないやのうちにがら空きとなった面に打ち込みを行う。
容赦ないですね。何の躊躇いもないや。
だが、この一撃を受けることこそがガレスの狙いだった。
隙を見せればそこに打ち込んでくる。打ち込んでくる場所がわかれば、耐えれなくもないわけだな。

僕ちんは・・・<謀剣>
<女王>のためなら、どんな手も使う。

頭を打たれ前のめりに倒れこみそうになるガレス。しかし、踏みとどまり、強く竹刀を握る。
そして、強烈な小手を無心に見舞った。

手甲砕き(ガントレットブレイク)!!!

試合では行えない、一本後の攻撃。手段を選ばない<謀剣>ならではの攻撃といったところですな。
全ての力を出し尽くしたガレスは倒れる。
しかし、無心の右腕もまたガレスの技によって砕かれてしまった。

僕ちんは・・・ね。好きな女性に幸せになってほしい・・・だけさ。

その執念は見事といえますな。
ただ、その行いで果たしてモルガンは本当に幸せになれるのかどうか・・・疑問に思えて仕方がない。

砕かれた腕で竹刀を拾いなおす無心。
「手甲砕き」をくらえば、手甲をつけてさえ一日は腕が使いものにならない。
手甲なしでくらった無心は数週間は使用不可能である。無茶すれば・・・壊れるぞ!!

小生も己の想いを貫くまでです!!!

ガレスの行いが好きな女性を幸せにするためのものであるなら、無心だってその想いは負けていない。
ガレスが身を張って攻撃に出たのなら、無心とて止まるわけにはいきませんわな。
その覚悟はガレスにもわかってしまったようだ。うーむ。切ないっすね。

さて、天原道場。
やはり爽さんの剣にはまだまだ迷いが見える。
無心とのことについてふっきらねばと思ってはみるものの、ふっきることなどできようはずもない。

無心・・・お前に会いたい・・・

庭にて物思いにふける爽さん。その背後から鋭い殺気と共に近づいてくるのは・・・モルガン!!

会わせない

モルガンの横薙ぎの一撃。これを紙一重でかわす爽さん。
この動きにはアヴァロンの騎士たちも感心した様子を見せる。
だが、紙一重の回避だったので、道着の分は避けられず、ハラリと切り裂かれる。
おやおや。さらしとかじゃなかったんですね。おやおや。

モルガンの命令でついてきたモルドレッド、ボールス、バリンの3人。
しかし、さすがにモルガンの状態が危ういのに気づき、止めないといけないのではと考える。
問題を起こせば学園にいられなくなるぞと説得しようとするモルドレッド。
だが、暴走しつつあるモルガンは止まる気配を見せない。

何を失ってもかまわない。私を守ってくれる無心さえいれば
だから消えて!!無心の心を私に頂戴!!

これは、完全に暴走しておりますな。
下手したら本当に殺してしまいかねない勢いである。
殺したら殺したで、爽さんは無心の心にずっとあり続ける気がするが・・・
そんな分析ができるぐらいなら暴走しているとは言われませんわな。

モルガンの猛攻を紙一重でかわしつづける爽さん。袴も斬られ、キレイな脚が露になる。ふむ・・・ふむ。

追撃の一刀!!
だが、そこに割り込んでくる竹刀。これは・・・ガラハド!?
アヴァロンの騎士ではなくなったガラハドだからこそ、<凶剣>の持ち主だからこそできることはある。
暴走したモルガンの前に割込み、着衣の乱れた爽さんに上着をかけてあげるガラハド。
実に紳士的でありますな。
そして、ガラハドは両者に声をかける。モルガンに一体どうしちまったんだ、と。
爽さんに、いつまでも腑抜けてんじゃ――

邪魔

言葉の途中でモルガンに切られるカラバコ。もといガラハド。
竹刀を突き出し牽制していたはずなのに、その竹刀が容易くへし折られ、さらに肉体が切り裂かれている。
一体モルガンの斬撃はどうなっているんだ?竹刀ってレベルの攻撃じゃないぞ!!
よく内臓がはみ出さずにすみましたね海兄は。

せっかく肉体美を見せ付けつつ割り込んだガラハドだったが、実にあっさりと切り伏せられる。
そして、モルガンはこう言う。

可哀想な天原爽・・・あなたを守ってくれる騎士はどこにもいない・・・

そう告げながら、上段に振りかぶるモルガン。しかし、そこに稲妻のごとくかけよる男の姿が。

ここにいる!!
爽さんは・・・小生が守る!!

ようやく言えた守るという言葉。やあ、無心も立派になったものでありますなぁ・・・

しかし、モルガン。かつて自分が言われて深く傷ついた言葉をここで発するとは・・・陰湿でありますなぁ。
あなたを守ってくれる騎士はどこにもいない、か。
相手の心を抉るにはどうすればいいか、自分の体験でよくわかっているということなのでしょう。
でも、守ろうとした騎士はいたけど、切り捨ててから言ってるんですよね。それは何だかシチュエーションが違うような。
あなたを守ってくれる騎士はどこにもない(いたんだけど)。って状態だ。ガラハド・・・

さて、無心はモルガンの暴走を止める事ができるのだろうか。
次で最終回!!ってアレ?終わりなのか!?
確かに、読みきり2回を入れると、16話になるし、単行本2冊としてはいい具合ではあるが・・・
作品の最後には最終回のアオリがない。しかし、作者あとがきには最終回とある。これは一体・・・!?
話的にはキリがよさそうだが、もう1話くらいないと後日談が詰め詰めになりそうであるなぁ。
そしてバリンの技だけはお披露目する機会がなさそうである。
他の4人はきっちり自分の技を見せる機会があったのになぁ。間に合わなかったか・・・!!

で、今回の作者あとがきによりますと、最初考えていた展開とは92°くらい変わってしまったとのこと。
連載は生き物ですからねぇ。プロットが大きく変わるのもよくある話。
とはいえ92°って相当な変化だと思いますが・・・一体何がどうなってそうなった!?

とにもかくにも最終回。どんな決着を見せるのか楽しみです。
あの時のモルドレッドの動きは明らかになるのか?
そして、我らが海兄は姿を見せることができるのか?注目であります。



其の14:命にかえても の巻  (2012年 29号)


爽さんの窮地に駆けつけ、立ち塞がる無心。
敵対される形となったモルガンとしては動揺するしかない。そんな目で私を見ないで・・・

爽さんは聞く。なぜここに・・・?と。それに対し、無心。

爽さん・・・小生は命にかえても、あなたを守り抜きます!!

はい!

真っ赤になりながらいい返事をする爽さん。はいと来ましたか。
姉としての返事というより、プロポーズされた女性の返事みたいでございますね。まさしく。

天原姉弟の方は上手くいった。というか、元の鞘に収まった感じ。
しかし、モルガンの方は大変な状態である。盛大に泣き出してしまっております。

結局・・・私を守ってくれる人なんてどこにも――
運命の騎士なんてどこにもいないのよ!!

なんとも寂しいことをおっしゃりますねぇ。
あの時、守ることはできなかったものの、今でも守りたいと思ってる人は大勢いるのに。
それを伝えたい無心。伝えるにはどうすればよいか考えた結果――悪くなることにした。

たしかに・・・あなたを守ってくれる人なんて、どこにもいない

言葉と共に、立ち尽くすモルガンに斬りかかる無心。

・・・でもそんなことはどうでもいいことだ。小生は爽さんを傷つけようとしたあなたを許さない。

竹刀を打たれ、倒れるモルガン。そのモルガンにきつい表情で近づく無心。
その両者の間に割り込んできたのは、アヴァロンの騎士の1人、バリン。
二刀を用い、無心を弾き飛ばす。
が、素早く雷を纏った無心の素早い打ち込みが行われる。受け止めはしたが、その重さに打ち据えられるバリン。
続けてボールス。必殺の大上段の一撃を叩き込もうとする。
が、無心の片手での横薙ぎの一撃で打ち払われる。ぎゃっ!!な、なんてパワーだ・・・

異常な強さを見せている無心。
その無心の前に立ち塞がったのはモルドレッド。

バリン・・・ボールス!二人ともモルガンについててくれ・・・こいつは僕が止める!!
モルガンがこうなったのは・・・僕の責任なんだ!!

そういい、無心と対峙するモルドレッド。しかし、今の無心の強さはハンパじゃ
ない。 速度がそもそも違いすぎるのか、簡単に胴を打たれて悶絶するモルドレッド。

あの日――モルガンが倉庫でリンチにあった時・・・
君たちや・・・ガレス・・・ガラハドはモルガンを守る力を持ちながら・・・不運にもその場にいなかった。
だけど・・・僕はその場にいた!!
怖くて何もできず、ただモルガンの後ろで震えていたんだ!!
あの時の僕に力が・・・いいや・・・勇気があれば、モルガンを孤独に追い込まずに済んだ!!

ああ、やはりその場にいたんですねモルドレッド。
その場にいたけど、リンチを行った連中にもほとんど触れられていなかったと。
これを見ると、叶わないくらい強大な相手に立ち向かった無心との差が大きく感じられてしまいますね。
なるほど。モルガンが無心に運命を感じるのも無理はない流れだったのかもしれませんな。

なんにしても、モルドレッド1人では今の無心を抑えることはできない。
ならば3人がかりではどうだ!ダメっぽい。マジかよ。
であるばならばと、倒れたはずのガレスも参戦。
無心の一撃で頭から血を流しているが、どうにか戦うことはできるようだ。
そういえば、ガレスから受けたガントレットブレイクはどうなったんだ?
普通に右手を扱えている。どころか、ボールスの剣を片手で弾き飛ばしたりしてるのだが・・・
走っている間に治りました。血がついてるけど、拭いたらもう完治してます。とか言い出したりして。

手負いのガレスが参戦したところではやはり抑えきれない。
ならば、もう一人の手負いも参戦する。ガラハドだー!!
ガラハドの助力を見て、追い出したモルガンはどうして・・・?と疑問を口にする。

勝手にやられんのは許さねえ!!
てめぇの首は俺がとるって約束忘れてねーだろな!?

口ではこういってますけど、ガラハドはガラハドでモルガンを心配していたんでしょうな。
これまでの行いを見る限り、それなりに気遣いができる人でありますし。

折れた竹刀で無心と対峙するガラハド。おぉ、凄い打ちあいだ!しかも無心を弾き飛ばした!?
他の誰よりも奮戦しているガラハド。これは意外である。
距離をとったところで、改めて無心と対峙する5人のアヴァロンの騎士。

天原無心・・・お前はさぞ僕たちが憎いだろうな・・・

ボールス「モルガンが・・・大切なお姉さんを狙ったこと・・・知りながら止めなかった私たちに怒りを感じるのは当然のことだわね」
バリン「そして今おめぇに五人でこうして剣を向げるごど、心底恥に思う・・・」
ガレス「でも・・・これが、三年前彼女を守れなかった――」
ガラハド「俺たちにできる、唯一の償いだ」
モルドレッド「さあ来い・・・天原無心!!<アヴァロンの騎士>は――」

命にかえても<女王>を守る!!!!!

格好のいい連中でありますね。
モルガンも自分がこれほどに強く思われていたのだとようやく知ることができた。
無心も悪役を買って出たかいがあったってものです。
しかし、それにしても無心。強すぎっショ。
覚醒すれば海兄をも一撃で切り伏せてしまうぐらいだし、強いのだろうとは思っていた。
だが、まさかアヴァロンの騎士複数を圧倒するほどとは思いませんでした・・・ヤベェー。
最初はこの流れに持っていく演技かなと思えなくもなかった。
バリンやボールス辺りはその辺の気が効きそうな気もしますしね。
でも、他の連中も苦戦してるし、そういうことでもなさそうですなぁ。うーむ。

さて、次回はついに最終回!
アレ。前回もそんなこと言ってたような・・・?
作者コメント曰く。今週じゃなく来週で最終回です(笑)とのこと。(笑)じゃないっすよ!!
すっかり騙されてしまいました。
まあ、懸念すべき点はほぼ解消されたことですし、後はどう収めるかですね。
そして、後日談といった形になるでしょうか。キレイに終わりそうな気はしますな。



其の15:それでは皆様 またいつかどこかで の巻  (2012年 30号)


全力を尽くして女王を守ろうとするアヴァロンの騎士たち。
ようやく間に合ったわだかまりのようなものが解消されたようですね。よかったよかった。
無心も悪役を買って出た甲斐があるというものである。

気を失う無心。しかし、爽さんに抱きかかえられ、すぐに目を覚ます。
今こうして見ると抱きかかえられている状態だが、無心は爽さんを救った。
その事実はハッキリと残っており、2人の気持ちを満たしております。

無心が気がついたので、改めてその腕でよく5人を相手にと驚くガレス。
全く。よくそんな左腕で・・・左腕?
ゲーッ!?ガントレットブレイクのダメージが左腕に移っているーッ!!
なるほど。これなら、ボールスの攻撃を右腕一本で払った理由になる。
覚醒無心は右腕のダメージを左腕に移すことで戦闘を継続できるようにしていたのだよ!!

てなことはさておき。
ケガのことはともかく、やっぱり覚醒した無心の強さは異常である。そりゃガラハドも何者だよと問いたくもなる。

天原無心・・・本当にたいした奴だべ。
おめえは大切な女性を守り抜いだだけでねぐ・・・モルガンを――俺だぢ全員を救ってくれだんだがら

バリンがいい感じに話を纏めてくれました。さすがですな。
そしてモルガンは無心に告げる。

やっぱりあなたは最高に素敵な騎士よ。
でも・・・私の騎士じゃない。
・・・さよなら。無心・・・

そう言って立ち去ろうとするモルガン。
ついでに爽さんに、ちゃんと自分のものは自分のものと公言しておかないと、またいつ誰かに狙われるとしれないと忠告する。

モルガンが立ち去るのに合わせて騎士たちも天原道場を後にする。
モルドレッドは無心に向け、これで一勝一敗。同じ中学生同士、次はインターハイの決勝で会おうと約束する。

モルガンってば〜〜あれほど無心ちゃんにご執心だったくせに。
ふられたら即、身をひくなんて・・・男らしいと言うか・・・あなたの素敵な所よ

そうボールスは評する。うむ、やはりボールスとモルガンは女友達みたいな関係だったんですね。
きっぱりと身を引くことは決心できたが、それでも涙は溢れてしまうモルガン。可愛いですねぇ。
そんなモルガンにハンカチ代わりと上着を投げつけるガラハド。ぬははははっ。
段々とモルガンと騎士たちの関係も元に戻っていってる感じがあります。
そういえば、ガラハド。爽さんのことを名前で呼んだりして、結構気にしていたんじゃない?

一人で落ち込んでるあいつに――誰かさんがかぶって見えたのかもな

あらあら。ガラハドってば・・・カッコイイじゃねぇか。
思わずモルドレッドもヤバイ!点数稼がれる!と危惧しちゃうぐらいにカッコイイガラハド。反則っすね。
そういえばアヴァロン学園退学になってたんじゃなかったっけ?
と思ったが、どうやら本当に退学になんてしたりはしていなかったとのこと。ああ、そうなんだ。
停学状態になっていただけだったので、すぐに解いてあげるとモルガンは言う。寮にも戻れそうですな。
負け犬には用がないとか言っていたモルガン。しかし負け犬とは負けを認めた者のことだと言う。

フフ・・・今のあなたはすごくいい顔してるわ

まさしく、ですね。ガラハドも今回の件を受けて人間的に一回り成長したのかもしれないですな。

さて、残された天原姉弟。
爽さんはモルガンに言われたことを反芻している。公言しておけ、か。
たしかにモルガンの言うとおりだ・・・それにお前からあんなことを言われて、私だけ何も言わないというのも――
そう言い出す爽さん。さらに、今しばらくここに――私の側にいてほしいと無心に告げる。

お前が・・・さっき・・・命がけで私を守ると言ってくれた時は本当に・・・本当にうれしかった・・・
だから無心・・・今度は私の気持ちを伝えさせてくれ・・・
私はお前のことを・・・お前のことがず・・・ずっと前からす・・・・・・・・・・・・

・・・すまん駄目だ!!

これで許せ

告白は空振り。と思いきや、言葉で表すよりも直接的な行動に出る爽さん。
うーむ、これはわかりやすいですね。口づけにより気持ちを表すか。わかりやすい。
恥ずかしくて言葉には、と言う爽さんに対し、無心は言う。ギュッとしてもよろしいでしょうか!?

・・・受けて立つ!!

やたらと男前な顔で受けて立ってくれる爽さん。
無心はその爽さんの広げた腕の中を目がけて飛び込んで行くのでありました。

これにて――小生と爽さんのお話はひとまず幕となります。それでは皆様、またいつかどこかで・・・

おしまい

と打たれていましたが、まだちょっとページが残っていたらしい。
というわけで、この出来事があってからの後日談でございます!!

モルドレッドが無心と約束した中学男子インターハイの決勝戦。
今年の中学男子はレベルが高いと噂されている。モルドレッドは順調に決勝に勝ち残っているらしい。
そんな声が聞こえる中、可愛い少女がキョロキョロと誰かを探していた。
誰だ?と思ったら胸には土門の文字。ち、千春ちゃんか!髪を下ろしているからわからなかったよ。

千春ちゃんも中学女子のインターハイで武道館に来ている様子。
そして探していたお相手は、どうやらガラハドだったらしい。声をかけられて嬉しそうな千春ちゃん。
ガラハドは千春ちゃんに対し、言う。

そうだな・・・てめえがいつか――
「艶っぽい声と」「切れ長の目の」「大和撫子」か、
「高飛車で」「甘っちょろい」「女王様」になったら、遊んでやってもいいぜ?

という言葉を受け、顔を輝かせる千春ちゃん。可愛らしいですねぇ。
爽さんになるかモルガンになるか。千春ちゃんはどっちの道を選ぶのか。
今更切れ長の目になるのは難しいし、やはりモルガンルートであろうか。
うーむ、微妙にいい雰囲気になっていたとは思ったが、よもやここまでハッキリガラハドに好意を示すようになるとはねぇ。
海兄としても、妹が色気づいていることに対し複雑な様子。

女は恋をしてキレイになるものよ・・・この私みたいに・・・ね。海きゅん

ぬんっと海兄の背後に立つボールス。
おやおや海兄。素敵なお相手が見つかって、というかお相手に見つかったみたいですね。お幸せに!

というのはさておき。
いよいよ始まる中学男子インターハイ決勝!!
まずは大会本命、アヴァロンのモルドレッド=ライト!
それに対するは、今大会決勝初進出の――泉の剣中学、苑辺野猛武!!!

ド―――ンと効果音つきで現れたスキンヘッドの男。フッフッフと不気味な含み笑いをしている。
この存在感・・・その辺のモブではない・・・!!いや、苑辺野猛武なんですけどね。
というか、無心は?あれ・・・?

モルドレッド呆然。応援に駆けつけていたモルガンや騎士たちもビックリ。
はい、無心は34大会初戦敗退記録を更新していたのでありました。
ごめんなさい!モルドレッドくん。約束守れていませんでした!!

やはり無心。覚醒すれば敵は無しだが、簡単には覚醒できないってことですね。
近しい人がピンチにでも陥らない限り、早々は覚醒しないのが無心の悩ましいところ。
まあ、これからの課題ってことですな。モルドレッドには悪いですけど。

たとえ試合には勝てなくとも・・・お前は私にとっての最強の剣士だ!!

爽さんはそう言ってくれます。
まあ、そういうことなんでしょうね。無心としての剣の道も大切な女性を守ることが第一でしょうし。それでいいのだ。

仲良くしている2人だが、お爺様の邪魔が入る。
うむ、お爺様としては、わしの目が黒いうちは度を越した行為は許さないって感じのようですな。
つまり、黒くなくなれば許すというわけですな。
爽さんの今後の行動の指針は、いかに邪魔なお爺様をどうにかするかという話になるわけだ。恐ろしい子!!

てなわけで、ちぐはぐラバーズ。本当におしまいでございます!!

92°ほど方向性が変わったという連載でしたが、何だかんだで上手いこと収まった感じがあります。
バリンだけ必殺技が出せなかったりとかはありましたけどね。
それでも、それぞれのキャラが魅力的に描かれ、楽しい連載でございました。
海兄やガラハドのキャラが特によくできており、この2人の存在が方向性を狂わせたのかもと思えなくもない。
まあ、どうせなら虚数方向に展開し、つゆだく丼子ちゃんの仕事風景の話に展開していてもよかったのですが・・・
やるなら掲載誌を変えないといけないでしょうな。

さて、短期集中連載は無事完了。
単行本は上・下巻が8月8日に同時発売!!
連載前の読みきりももちろん収録されてるし、描きおろし漫画も収録されているとのこと。楽しみですなぁ。

面白い作品でありました。またいつか続きが描かれることを期待しています。
また、ちぐはぐラバーズ以外の先生の連載というのも期待しております。
鈴木央先生の次回作に期待しております!!


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