蒼天紳士チャンピオン作品別感想

ハーベストマーチ
第16話 〜 最終話


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ハーベストマーチ 3巻


第16話 解放 〜蛇の村の終わり〜  (2013年 15号)


姉ちゃんを悲しませないという意識でカイリを殺すことなく倒すことに成功したクゥ。
ノイエさんの顔を見て安心したのか変身は解けて元の姿に戻る。

館の火の手はいっそう強くなってきている。そろそろ脱出しないと危ない。
しかしそこでクゥ。ノイエさんに僕は大丈夫だからあの人をお願いとカイリを指し示す。

あの人・・・騎士のことを知ってる・・・

この言葉を聞いては確かに放置してはおけませんわな。
というか、放置して焼け死んだらわざわざクゥが手加減した意味もないって話になっちゃいますしね。
というわけでノイエさんがカイリを運んで歩くこととなる。え?マイラさんは見てるだけなの?
いい腹筋していると思ったが以外と見かけ倒しで筋力はないのだろうか。

カイリの館に押し入った村人。インチを数の力で撃破し捕えている。
着ぐるみ剥かれたインチはやけに小さいオッサンに見えるな。宇宙人の捕獲場面みたいだ。
そんな中、村人の前に気絶したカイリをつれてやってくるノイエさんと側をついてあるくクゥとマイラさん。
これには村人もインチも仰天。何があったんだ・・・

何があったも何も、扉を一撃で吹き飛ばす超パワーのノイエさんがぶっ飛ばしてくれたんでしょうよ?
少なくとも目の前でタックルの威力を見た村人はそれを信じて疑うことはあるまい。
まあそれはともかく、カイリ達3人は縛られそしてそのまま夜が明ける。
操心術使いのマイラさんは目隠しをさせられています。
ほう、目隠しをされて後ろ手に縛られ怯え震える巨乳女子の姿であるか・・・ほう・・・
他の2人とは縛り方が違うというのもポイントですな。

さて、マイラさんの目は封じたのであとはカイリから解毒方法を聞き出すだけ。
大人しく白状するか?と思ったが、素直に負けを認めるカイリ。どうやら村人の覚悟を感じ取った様子。

俺たちの負けだ・・・敗者は罪を負い罰を受ける。
時限蛇精を完全解毒し、この村を解放する

カイリのこの宣言に湧き上がる村人。よかったよかった。
そしてカイリはクゥに用があるのなら今の内だぞと声をかける。俺がしばり首になる前にな。

その言葉を受けて進み出るクゥ。それを遠くから見ている者の姿があった。
そしてそのじっとクゥを見つめる姿に苦言を述べる者の姿もある。

・・・またクゥバンテを見てたのですか。
母上ッ。アレは出来損ないです。もはや捨ておくべき者かと!!

巨大な天使を見上げて母と呼ぶ女性。その名はロゼ
これは・・・この子もまた騎士として生まれ変わった子なのであろうか?
それとも本当に天使として子供に当たるとかそういう話だったりするのか・・・?
ともかく、バランスのいいスタイルをしていて実によい。

そんなイジワルを言っちゃあダメよ。ロゼちゃん・・・
クゥバンテ・・・どうなることかと思っていたけどひと安心ね・・・よかった・・・

ホロリと涙を零す天使。それを見てロゼさんも一気に案じたような柔らかい表情となる。チョロそうな子だな。

不完全とはいえ・・・クゥバンテも騎士の力を持つ者。
あの程度の人間との戦闘で、そう心配をなさる必要もなかったかと・・・

そう述べるロゼ。実の所、天使は戦闘に関しては特に心配していなかった。
俺は姉ちゃんのための『騎士』になる。そう述べていたクゥバンテ。
しかし、今回クゥは操心術で心を封じられたとき、人間を滅ぼそうという意志を見せていた。
つまり天使が生成した人間を滅ぼす使命感はきっちり残っていたこととなる。それが嬉しい様子の天使様。

あの姿は、あきらめかけていた・・・私宛ての素敵なサプライズプレゼントだわ!!

パアア・・・と顔を明るくする天使。
なるほど。クゥがひょっとしたら将来私の騎士となってくれる希望が見えたというわけですか。
なんというか・・・毎度のことだが・・・マイペースというか、ハシャギまくりの天使様でございますなぁ。
とても人間抹殺の思想を持ち化物を生成しているお方とは思えない!!

クゥの騎士姿、頼もしかった・・・!!

本当、クゥには格別の想いを抱いている様子の天使様。
他の『騎士』たちはどういう扱いなのか気になるところだなぁ。

さて、クゥはカイリに騎士の力を捨てる方法を尋ねる。
が、カイリも『騎士』はただ見かけたぐらいの知識しか持っていない。元は人間だったことすら知らないのだった。

あんな怪物が元は人間・・・?何がどうして人間があんなモノになるんだ

それが天使の不思議って奴なんでしょうな。
何がどうしてあのボケた天使から凶悪な『騎士』が誕生するのか、そっちの方が個人的には不思議である。

騎士の力は人間を殺すためのもの。もし何か間違いが起これば、大切な人を傷つけてしまうかもしれない。
だからクゥはその力を捨てるための旅を続けるという。その言葉を聞き納得し、捨てる方法見つかるといいなと述べるカイリ。
そして最後にアドバイスをしてくれます。

・・・旅を続けるなら気をつけろ。騎士であることはできるだけ隠し通せよ。
この国で騎士を知っている者は多くない。平民・一般人はほぼ知らないと言っていいだろう。
だが・・・『王国』は知っている。
今や王国軍には騎士討伐を目的とした隊も編成されているようだ。俺も話で聞いただけだがな・・・

騎士討伐の部隊として6人の男女のシルエットが描かれる。ほう・・・これは・・・!!
なんだか艶めかしそうな人もいるし、キャラが立ってそうな連中である。ほほう・・・

そしてここでさりげなく重要な情報。
『騎士』は何百年も前から存在しており、10年ごとに数を増やすという。なんと・・・!!周期があったのか。
そういえばシイドはそれを見計らって天使の胎に向かったんでしたっけ。
しかし10年に1度で最大何体増やすんですかねぇ。確かに今や相当な数の騎士がいることになりそうだが・・・
まあ、人間の中にもその騎士に対抗できる存在がいるらしいようであるが・・・ふうむ。
中には騎士でありながら人間であろうとした人もいるでしょうし、人間が滅びきってないのはそういう人の活躍もあるのかも。

と、余りクゥの役には立たなかったが面白い話を聞かせてくれたカイリ。
解毒の方法を教えるために村人に連れていかれます。これで今生の別れとなるのかなぁ。
マイラさんは連れていかれる間際、いやな思いさせてごめんねと謝罪する。
ふうむ。この子は純粋ではあるんだがなぁ・・・やはり教育を間違えられたのが痛かったか。

さて、ようやく村の問題が片付き、当初の目的である学者様について尋ねることができるようになったクゥ。
村医者さんに10年程前に禁じの森を調べる学者様が来なかったかと聞いてみる。
どうやら村医者さんはその存在に心当たりがある様子。
いや心当たりどころか自分の恩人で師と述べる。ほう、その学者様から医学を学んだという話ですか。その学者様の名は――

『赤毛のワイズ』ワイズマン先生だ

ふうむ、大きな村とはいえ村クラスで在住の医者がいるとは珍しいと思ったが、そういう話だったんですな。
村医者の元には昨年ワイズマン先生から届いた手紙もあるという。ほほう、今でも懇意にしているんですな。
これは意外とまともな人である可能性もあるのか・・・?
ともあれ、いきなり有力な手がかりが入ってよかったですね。旅にも希望が持てる。

所変わってマイラさんが捕えられている牢屋。
コツコツと響く足音が近づいてくるのにビクビクと涙目で震えるマイラさん。
しかしやってきたのは怖い人ではなく、村医者の娘さんであるエイミーちゃん。
操られてはいたものの、最後に助けてくれた記憶は残っていたりする様子。ほほう。

こうして蛇の村での事件は終わりを告げたのでありました。
ふむ、具体的にどういう処罰を受けることになるかの描写は無しか。
まあ、解毒がちゃんと行われたのかを確認するには時間がかかるでしょうし、すぐには処刑も出来ませんわな。
そこで話を引っ張るよりは一気に解決まで持っていくのも悪い話ではない。

さて、次回からは新展開になりそうな雰囲気。
そろそろシイドたちの方の話も描かれたりするのでしょうか?
彼等はどのような活動をしているのか・・・
やはり全国制覇を狙って各学校の頂点を狙ったりしているのだろうか。いや、単行本のネタですけどねコレは。

討伐隊やロゼちゃんなど気になるキャラもでてきたことですし、新展開の盛り上がりに期待したいところであります。



第17話 遠雷 〜もうひとつの旅路〜  (2013年 16号)


蛇の村を出発し、旅を再開した姉弟。
眼前に広がるのは険しい山々。まあ、この2人ならどれだけ険しくても乗り越えていきそうな気はしますな。

ノイエ「先生が教えてくれた山岳地帯の岩山ってあれかしらね」
クゥ「うん・・・待って。地図で見てみよう

ここで少し回想。
村人に連れていかれる前のカイリが最後にクゥに地図をやると言ってくれるシーン。俺にはもう不要だからな・・・と。
まあ、カイリの冒険はここで終わってしまったって感じではありますし、確かに不要ではありましょうが。むう。
どうして僕に地図を?それに『王国』に気を付けろって教えてくれたのか?尋ねるクゥにカイリ。

さあな。何か・・・お前が王国にひと泡ふかせるようなことをしたら・・・俺が愉快になるから・・・かもな・・・

幼少期の経験と間違った教育でおかしな支配の方向に進んでしまった男、カイリ。
まともな帝王学を学んでいたならもう少し違った未来も築けたかもしれませんがねぇ。

というわけで、地図をゲットしました。RPGゲームとしてみるとこれは重要なイベントだ。視野が大いに広がるぞ。
でも見方がわからないクゥ。ノイエさんもわからないわよと爽やかに言い放つ。
なので村医者の先生に見てもらうことになりました。頼りになる人だ。

まず地図を見るポイントは現在位置がどこなのかを知ること。
この地図、大陸を示しているのだが、どこがどの町なのかとか但し書きがないから見方に困る。
先生は自分たちの住む蛇――いや、『森の村』を指さす。
そして指を北に向ける。そこにあるのがクゥたちの産まれた『谷の村』である。
これらの村を含む西南の一帯を領主様が治めている『西南領』と呼ぶ。むう・・・そのまんまだな!!
こういった領の集まりがこの国――いわゆる『王国』である。
つまり、この大陸全部がひとつの国であるというのだ

初めて地図を見て世界の広さに驚愕する姉弟。3日歩いた距離が・・・こんなちょっとだなんて・・・
確かに村の中だけで生きていくなら世界の広さなんて知りようもなかったものねぇ。驚くのも無理はない。

これだけ世界が広いとなると『赤毛のワイズ』さんを探すのも大変である。というか、アテがなければ無理というものだ。
だが、今はワイズマン先生の弟子である村医者さんへの手紙と言う有力な手がかりがある。
これによると手紙を出してきたのは森の村から南に10日ほど歩いた『海の都』
岩山の多い山岳地帯を抜けることになる厳しい旅路である。
まあ、体力は並の大人の数人分はありそうなノイエさんがおりますし、きっと平気ですよ。平気平気。
しかし、地図を断りなく回転させられると方角が混乱するじゃないですか。
最初北上するのかと思って、何!?谷の村に戻るのか!?テレシアちゃん登場!?とワクワクしたのに!!

そういえば王国の首都らしきところは大陸の中央部。谷の村より北にあるんですな。
一応首都からは遠ざかっているのか。ふむ。
まあ、海の都で船を手に入れるイベントに出会ったら海路ルートで首都に近づけるかもしれませんがね。

地図を見て歩むクゥを見てノイエさん。なんだか急にたくましくなったわねと声をかける。
たったひと晩だったけど・・・私と離れていたことで少し成長しちゃったかしら。

そんなことないと思うけど・・・ただ・・・もっとしっかりしなきゃって思ってるよ。

クゥはマイラさんの術で姉のことが頭から消えた時、自身の体が騎士の本能に支配されたことを感じている。
姉の呼び声で正気には戻ったが、自分の中には騎士として人間を殺戮する意志が宿っている。それに変わりはない。
だからこそ、もっと自分の心を強くしたいと考えるクゥ。姉さんのことを守るために。

クゥ・・・なぜそんなりりしいことばかり言うの!!もっとフニャフニャしていていいのよ。さびしいわ!!

ヤンヤンと我儘を言うノイエさん。成長をよろこんでよ!!
まったく、この姉はいつまでたっても弟離れが出来そうにありませんな。というかする気がなさそうに思える・・・!!

どうでもいいが、この地図は大きいですな。国全体を示す地図だから仕方ないけど。かさばるなぁ。
その地図に目立つように描かれた王国を示すマークを見てカイリに言われたことを思い返すクゥ。

『騎士討伐』・・・王国にとって騎士は倒すべき存在・・・?
いつか僕も追われるようなことになるのかな・・・
シイドはどうしているだろう・・・
あの日、僕と同じく騎士となったシイドたち・・・あの3人は・・・どうしているだろう。

思いをはせるクゥ。まあ、王国にしてみれば人類抹殺を存在意義とする騎士は倒すべき存在であるのは間違いないと思いますよ。
その意志を抑えて人間の味方をする騎士がいた場合はどうか知りませんが。

さて、場面は『砂岩の街』と呼ばれる街へと変わる。
地図がクローズアップされすぎてどのあたりを示しているのかよくわからないな。カメラもう少し引いて!!

それはさておき、砂岩の街には王国軍がやってきている。
砂混じりの風が吹きすさぶ街だというのにご苦労なことだ。
と思いきや、何かトラブルが起きている様子。街の人々は家の中から怯えた視線を送っている。

我々王国軍は・・・全ての王国軍兵士は王の命令により動いておる・・・
我らの行動を阻むということは・・・歩く王のマントやガウンのすそを踏むようなもの。
我らの馬車の前を横切るのは王の歩みをさえぎること・・・どんな無礼かわかるか?

少女を捕えて詰問をしている王国軍の兵士。
怯えて声もない少女に対し、耳が閉じているのかと言い、耳を引きちぎろうと引っ張る。何をするか・・・!!
慌てて止めに入る父親。
娘はただ弟のために、馬車が近づくことに気付かずにいた弟を助けるためにとっさに飛び出してしまったのだと説明する。

・・・なるほど。つまり悪いのはそっちの弟の方か。

確かに馬車の音に気付かないということは本当に耳が閉じている、耳が悪いのかもしれない。
いや、仮にそうだったとしても許してくれる雰囲気ではなさそうですな。
少女を解放し、代わりにその弟を捕える王国軍兵士。

何者であろうと王の代行者たる我らの邪魔は許されん。赤子だろうと誰だろうと。
そこでヒザをつかせろ。処刑だ

腰のサーベルを抜き放ち宣言する王国軍兵士の隊長。
一部隊の隊長が王の代行者を名乗るのもいかがなものかと思いますがねぇ。
しかしこれもこの隊長にしてみれば忠義の形らしい。
貧しい家の出で王国軍に入ったものだから、ひと一倍役職にプライドを持っている。
『王のためならなんでもできる』『なんでもしなくてはいけない』と体現する。
隊長なりの王に対する『忠義の儀式』としてこのような行いをしているそうな。

いけにえはいつも女か子供だ

そいつはまた・・・何を考えているのか。
国の、世界の宝と言える可愛い女子供をわざわざ処刑するとか・・・どう考えても王国に害を成しているとしか思えない!!
王が女王で嫉妬深い性格ならまだわからないでもないが。
なんともはや、意味の分からない忠義であるなぁ。寛容さを示すのも重要だと思うのだが。

と、隊長がサーベルを振りかぶったところで、何者かがやってくる。
ゴロゴロと遠雷を響かせながら歩み寄ってくる3人の男女。その3人の先頭を歩く男が口を開く。

お前ら・・・王国軍か。

雷鳴響かせ、シイド推参!!
うーむ。さすがはシイドである。いいタイミングであらわれましたね。
このタイミングだと少年の危機に現れたヒーローのように思える。
少年の危機と言うのがポイントですな。少女の方が処刑される流れだったらスルーしていたかもしれない!!
少年が危なかったので慌てて遠雷鳴らして気を引きながら現れたシイド。てな解釈ができそうでアレである。

さて、今回のサブタイトルである「もうひとつの旅路」。これはシイドたちがもうひとつの主人公であることを示しているのだろうか。
ハーベストマーチというタイトルを口にし、それを実行しそうなシイド。
なるほど、別口の主人公として動くというのはありそうな話ですな。
果たしてシイドはどのような動きを見せるのだろうか。
権力者が狙いだし、一般市民に対してはそうそう危害は加えないと思いたいところだが・・・?
エクトルとオデットの力のお披露目も含めて楽しみな展開であります。



第18話 進軍 〜その街で起きたこと〜  (2013年 17号)


王国軍の非情に涙する少年少女。そこに遠雷轟かせながら登場するシイド。
まるでヒーローのような登場タイミングと演出である。

王国軍か?という問いに、こちらが王国軍と知っていて声をかけたのだろう?と隊長。
まあその通りですわな。でも一応確認はしておかないとねぇ。誤解で殺しちゃってもあれですし。
どうでもいいが、この隊長やけに唇が赤いな。紅でもさしているのか・・・?

突然の乱入者に対するために処刑の構えを解く隊長。そしてシイドに名乗れと告げる。

俺はシイド。シイド・クレイヴンだ。

ようやくシイドのフルネームが判明しましたね。
クゥバンテ・レンドルフと対を成す主要キャラなだけによい名前である。

ガキ相手に処刑のマネか。兵隊さん?そんなにヒマなら俺の相手をしてみないか?

言いながら無造作に近づくシイド。堂々としたものである。
そんなシイドにオデット。お腹空いたからあとにしようよと声をかける。それこそあとにすべきことでしょ!空気を読め!!

フンだ。エクトルには言ってないもん

たしなめたらこのように言われプインと顔を逸らされてしまい、ショックを受けるエクトル。ガーン。お前は父親か。
それはさておき、王国軍の兵士に羽交い絞めにされるエクトルとオデット。
ここで思ったのは、マントの下はちゃんとした服を着てるんだなということ。
村を出ていった時と同じような恰好だったらどうしようかと思った。いや、むしろそっちでいいんじゃないかと思わないでもなかった。
ともかくタバコ吸いながら幼女を抱きあげるというのもどうなのだろうかね、兵士君よ。

シイドと言ったな小僧・・・この子供を助けたかったのかどうかは知らんが、度胸は勝ってやる。
それに免じて、この子供はコレでかんべんしてやろう。

そう言いながら顔面に蹴りを見舞う隊長。それだけでいいなら最初からそれだけにしておけばいいのにね。
倒れる弟の元に慌てて駆け寄り助け起こす姉。そんな姉弟の姿を見てクゥとノイエさんのことを思い出すシイド。拘ってますなぁ。

その子供の処刑はやめてやる。ただしお前の死をもっての恩赦としてな。

そういう話になりますか。対象がコロコロ変わりますなぁ隊長。
ここでまた誰かが乱入したらそっちが処刑対象になったりするのかしら?
まあ、シイドが来た時点でもうそんなことを考える必要はないのですけど。

恩赦?いかにも権力的だな。
・・・だけど俺はもう、赦しなんて・・・請わないんだよ

両親と旅をしていた少年時代は度々権力者に頭を下げ続けていたシイド。
それを仕方ないことと受け入れることはせず、ようやく抗う力を手に入れたのだ。赦しを請う気などもはやないですわな。

シイド「オデット。エクトル。ひとりだけ残せ
オデット「わかった」
エクトル「ひとりだな。やりすぎるなよオデット」

そのような返答をして動き出す2人。エクトルの裏拳は後ろから組み付いていた兵士の頭部を一撃で破壊する。
エクトルは抱き上げていた兵士の両腕をもぎ取り、その片方を他の兵士に向けて投げつける。
まるでロケットのように発射された兵士の腕は他の兵士の命を刈り取るのに十分な威力があった。これがロケットパンチか・・・!!

・・・うわああああああ!?

それまで圧倒的な優勢を誇り、余裕の態度だった王国兵達が悲鳴をあげる。そりゃあそうなるわな。体調も大焦り。
エクトルとオデットは無造作に近づき、残りの王国兵を殺害していく。
騎士としての力を発揮するために変身する必要もない。その膂力だけで十分一般の人間など屠れてしまうのだ。

これが俺たちの『力』だ・・・お前たちの振るう『権力』みたいな形のない『力』じゃない。
俺たち自身の力・・・お前たちの言葉では屈服させ抑えることなどできない・・・『力』だ・・・!!
『黒帝ノ蹄(バル・アルトラ)』

背中から雷を生み出す角を露出させるシイド。ああ、なるほどそれでシイドだけは上半身裸だったのですね。
服が破れることのないよう、マントだけ上に羽織っている姿か。なるほど。クゥも見習ったらよさそうですな。
ってよくみたらマント突き破って角出てきてるじゃねぇか!!ダメじゃん!!

隊長「――ッ!?お前・・・騎士か!?
シイド「シイド・クレイヴンだ

そう返し、隊長を墨へと変えるシイド。普通に殴るだけで殺せるだろうに、派手なことだ。
しかしこんな輸送隊の隊長クラスでも騎士のことを知っているんですなぁ。
なら、怯える様子もなく近づいてきた時点で警戒しておけばよかったものを・・・警戒してもどうにもならなかったでしょうけど。
ともかく、シイドの言った通りひとりを残して王国兵は全滅。血の海が広がることとなった。これ掃除大変だな。
掃除はさておき、掃討は済んだところで、エクトル。どうしてひとり残す?と質問。

誰かが残らないと誰にも伝わらんだろう。俺の・・・俺たちの存在を知らしめるんだ。
この国の権力者共が怯える程に、俺たちの進軍の軍靴を響かせてやる・・・

猛々しいですなぁ、シイド。
事はすんだとばかりに、王国兵の馬車の荷を頂いて行こうとするシイドたち。
途中で姉弟たちの前を通り過ぎる。その際、弟は姉の前に立ちふさがり必死でかばう姿勢を見せている。お姉ちゃんに近づくな・・・と。
シイドはそんな弟の姿を見てクゥのことを気にかけるのでありました。ふむ。

予想通り権力者以外は特に相手する気もない様子のシイド。少年少女を手にかけることもない。
というか弟くん、シイドの嗜好的に近づくとしたら姉より君の方に近づいていたかもしれませんぞ・・・!!
まあ、こういう話を理解するにはまだ早いかもしれませんな。

そういえばシイドたちは特に人間を食べたりはしないんですな。ハインツやロバートは喜んで食していたし黒騎士も食べていた。
天使の意志に従うと殺害だけでなく食するという本能も得るようになるのだろうか?
殺害衝動より捕食衝動の方が積極的になりやすいのかもしれないし、そういうものを植え付けているのかねぇ。
シイドたちはそれに従う気はまるでない様子ですけどね。うん、まあそれは分かっていた。天使様カリスマ足りてないなぁ。
騎士かと問われても肯定はせず、俺は俺だと言えるシイドでありました。

シイドたちはハーベストマーチ・・・収穫の進軍を続けながら海へと向かう。
海・・・クゥたちが向かったのは『海の都』・・・意外と2人が接触する時は近いのかもしれませんな。
それまでの間に何事か起きそうな雰囲気ではありますが。



第19話 伝書 〜伝わる戦慄〜  (2013年 18号)


足に伝書を括り付けた鳩が危急を知らせるべく山上の砦に向かって飛んでいる。
ここは王国軍南西領山岳部隊監視所
見張り台に設えられた鳩小屋にやってきた1羽の鳩を愛でる兵士。
ヒゲのおっさんなのだが背景はほのぼのトーンだし、鳩には頭をこすりつけて甘えられてるし・・・いい人そうだ!!

それはさておき、伝書を見て慌てて隊長の元へと駆けつける兵士。
監視所の隊長さんは日本刀のような柄の刀を手入れして悦に浸っている。ふふん・・・
でも突然兵士がやってきて取り落としそうになってドキドキしちゃうという。ヒゲのおっさんなのにダメな可愛さがあるぞ!?

ともかく、届いたのは一級伝書。一般兵士には開く権限すらないという重要な代物である。
なるほど。そりゃ兵士も慌てて届けに来ますわな。

いやだぞ俺は面倒事は・・・

そう言わないでくださいよ隊長。本当ダメなおっさんである。
でも見ないわけにはいかないので見る隊長。そして盛大に身体を震わせる。ガタガタガタガタ。ブルブルブルブル。
緊急事態ということで急ぎ全隊員を講堂に集め話をすることとなりました。お、行動早いですね。

先程、山のふもとの砂岩の街から伝書が届いた・・・差し出し人は領内警ら中の幌馬車隊隊員・・・
幌馬車隊が襲撃を受け壊滅・・・やったのは街の住人や反政府組織でなく――
『シイド・クレイヴン』と名乗る少年と他2名のき・・・『騎士』!!

人間の天敵と言われる『騎士』その存在が現れたことにどよめく監視所。
それなりの数がいるはずだが、一般兵士としてみれば話や教本でしか知らない存在らしい。
中にはこういうのを待っていたんだぜと血を滾らせてみる強気な兵士もいたりする。
まあ、監視所の平和な生活には飽き飽きしているってことなんでしょうな。だが――

・・・本物を前にすればそんなことは・・・言えなくなるだろうが・・・な・・・
俺は、あの恐怖を忘れない・・・騎士と聞いただけで震えてしまう・・・騎士と聞いただけで・・・思い出してしまう。
あの日のことを・・・

隊長は語る。それは35年前のこと。まだ隊長が19歳の新米兵士だった頃のことである。
時代はまだ大陸戦争のまっただ中。王国が大陸制覇する以前、多くの国や民族が土地を奪い合っていたそうな。
へぇ。王国が大陸を制覇したのは結構最近のことなんですな。蛇の一族の村が滅んだのもその大陸戦争の一端か。

その日、新米兵士だった頃の彼の舞台はこの山の周辺を見回っていたそうな。
当時はまだ監視所はなく、夜になれば灯りのない真っ暗闇。どこにどの国のゲリラが潜んでいるかわからない状況。
それでも百戦錬磨の心強い仲間と頼もしい上官がいればどんな敵が来ても恐ろしくはないと思っていた。

そんな俺たちの行く先に、そいつは立っていた・・・雲の切れ目から降りる光に照らされて・・・
長い黒髪の美しい娘だったよ・・・だが・・・

娘の足元に転がるのは無数の死体。食い荒らされたかのような死体の山。
しかもまだ息がある者もいたりする。ということはまさか、この女がやったのか!?
その結論に兵士たちが至ると、黒髪の娘はキバの生えた口に笑みを浮かべる。ニイ・・・

コイツ・・・この女『騎士』だ!!かかれ!!討ち取れ!!

たった1人の女の騎士。
だがその1人に百戦錬磨の兵達が屠られていく。

俺が見たのはそこまでだった。仲間たちが砕かれ引き裂かれる音と悲鳴は今でも耳に響いているが・・・
その後何があったか俺は知らない。俺は武器も防具も捨ててひとり逃げたんだ・・・
そして俺だけが生き残った・・・本能で理解したよ。騎士は人間の天敵だ。勝てやしないとな・・・

隊長の凄絶な話にシンと静まり返る講堂。強気なことを口にしていた兵士も黙ってしまっている。
ふむ、強がりたい年頃だったんですね。わかります。

隊長は死にたくなければ決して戦うなと兵士たちに告げる。
さすがに騎士と遭遇した経験者だけあり賢明な判断の出来る人ですな。幌馬車隊の隊長とはえらい違いだ。ダメな感じのおっさんなのに。
ともかく、やることはシイド・クレイヴン一行の行動監視と情報収集。
そして領隊本部へ伝書を飛ばすこととする。文面は騎士討伐隊への出動要請だ!!
ほう。ようやく騎士討伐隊が動き出し始めますか!!兵士たちも噂に聞いているだけの存在らしい。極秘部隊って奴か・・・

ああ・・・天に戦いを挑める連中がな・・・!!

文書を持った鳩は急ぎ領隊本部へ向けて飛ぶ。さてさて、騎士討伐隊が現れるのはいつのことになるか。

さて、その頃のクゥとノイエさん。
森の村から出て3日が経過しており、海の都へ向けて山越えをしようとしている最中。
山越えと言ってもちゃんと整備された山道はある様子。馬車の通った跡はあるし、道に迷う心配もなさそうですな。
『蛇の村』のようなトラブルでもなければそうそう足止めを食うこともなさそうだ。
と思いきやクゥが足元をフラつかせる。なんだか顔色もよくない。
ふうむ、変身したことで血を失っているせいか体力が低下してますのかね。その後すぐに山道では疲れもしますわなぁ。
なので今日は速めにテントを張って休むことに決定、したのであるが・・・

すいませ〜ん・・・どなたか近くにおりませんか〜・・・誰か〜〜〜〜・・・

茂みの方から何やら悲痛な声がしてくる。
何事かと思って見てみると、茂みにあったのは大きく深そうな落とし穴
その下から助けを求める声が響いている。おやおや大変ですねぇ。しかしなんでこんな所に。
その答えはすぐに明らかになる。

西南領山岳地帯山賊・ヤマジン団砦
どうやら先の落とし穴はこの山賊たちが仕掛けたものらしい。
まあ、予定とは違う誰かが引っかかってしまった様子ですがね。
山賊は既にワナを用いてでも捕まえたい相手を捕獲している。その相手を捕まえるために何人も仲間が殺されたそうな。

白髪鬼・・・この化物にな・・・

檻の中に鎖に繋がり閉じ込められているのは真っ白な髪の娘
よだれを垂らし呆けた感じの娘だが、この子が何人もの山賊を殺したんですよね・・・
というか、どう見てもこの子は監視所の隊長が語ったあの黒い髪の娘の『騎士』なのであるが・・・?
35年も経過しているのに見た目は老化していない。髪が白くなっているだけに思える。
騎士は老化しないのだろうか?それとも似ているだけで別人?悪い騎士の心を放出して白くなったとか!?

どうやって山賊のボスは騎士を檻に閉じ込めることに成功したのかも気になりますな。
あんまり頭はよくなさそうだし、エサを置いておいたら勝手に入って捕まったのかもしれない。ありうる話だ。
鎖に繋がれた姿はそこはかとなくエロスが漂っている。
この女性がどのような波乱を起こすこととなるのか・・・楽しみでありますな。
そして落とし穴に落ちた人物の方も同様に気にかかる。
落とし穴に落ちること自体といい、その後の助けの呼び方といい、非常にダメな子が出て来る匂いがする!!楽しみだ!!

そういえばクゥたちはどうやって落とし穴から助け出すんでしょうな。
触手はあるけどそのために変身するのはさすがにちょっと。まあ、旅に出てるんだしロープぐらいはあるか。なければツタか何かで。
というかもしや、落とし穴に落ちているのは騎士討伐隊の誰かという可能性もあるのか・・・?
たまたま西南領に出てきていた人とかそういう。何となくありえる話だ。うむ、やはり新キャラの登場はワクワクするな!!



第20話 会遇 〜その名はパティ〜  (2013年 19号)


森に響く助けを呼ぶ悲しげな声。
それにつられて茂みの奥に入ってみれば、不自然なほどに巨大な穴の底から助けを呼ぶ声が聞こえて来る。
人の良い姉弟は見捨ててはおけないと助けようとする。が、この穴はかなり深い。どうやって掘ったんだろうと疑問に思うくらい深い。

穴の底の人物は深い深い穴に落ちたというのにケガとかはしていない様子。
荷物がクッションになったので助かったとのこと。ふむ。
ロープか何かがあれば何とかなりそうでありますな。

テント用のロープがあるのでそれを使うことにする。
しかし穴の底の人物が言うには私をひきあげるのは難しいのでロープをどこかに固定しておろして欲しいとのこと。
ふーむ・・・ノイエさんのパワーなら常人の一人や二人や五人ぐらいは引き上げれなくもないと思うのだが・・・
まあ、穴の底からそんなことわかるわけないですものね。

穴の底の人物はおろされたロープを握り、何やら唱えだす。

私はやればできる子。やればできる子。やればできる子。やればできる子。やればできる子
田舎のばっちゃんもやればできる子って言ってた・・・ばっちゃんは嘘つかない・・・

何やら暗示をかけているみたいですな。自信なさげなのか・・・?
まあ、確かにこれからやろうとしていることはなかなかにとんでもないことでありますからなぁ。
ようするに、ロープを手掛かりにし、壁を走って登ろうという話だ。
螺旋を描くように壁をぐるりと回りながら徐々に上へ上へとあがっていく。
しかし後少しというところで足元の壁が崩れ落下しそうになる。ボコッ。
慌てて手を伸ばして支える姉弟。だが・・・お、重い・・・!!

た・・・助かりました!!田舎のばっちゃんが言ってたんですけど、とっさに助けの手をさしのべてくれる人は・・・

いいから喋ってないで早くあがってください。重いねん。
って、ノイエさんのパワーですら重いと感じるというのか・・・!?
まあ、よくみると両手でつかんでいるクゥとは違い、ノイエさんは左手一本で掴んでいる。
右手はクゥが落ちないように支えていると。なるほどこれでは力も分散して本来の力が出ませんわなー。仕方なし。
まあ、それはさておいて。

本当に助かりました。ありがとうございました!!いかなお礼をしたらよいか・・・!!

穴の底からあがってきたのは大柄というか、丸っこいというか、体格がいいというか。
ともかく逞しい体格の女性。それでいて顔は朴訥な感じのメガネっ娘である。うーむ、好きな人は好きそうだな。
背負っている荷物もその体格に見合った量がある。
なるほど、この体格+荷物では重くなるのも当たり前な話でありますな。何が入ってるのかは知らないけども。
いや、それよりも荷物には気になるマークがあしらってある。これは王国軍の・・・!!

ふうむ。この女性は王国軍の兵士でありましたか。
村から出たばかりの姉弟なら気にはしなかったでしょうが、つい最近騎士討伐隊という存在を聞いたばかりな2人。
下手に関わると大変そうと判断し、そそくさと立ち去ろうとする。
が、突然叫びながら2人の横にスライディングをかましてくる女性。危なァいッ!!

なんやねんと思ったら、どうやら足元に罠があった様子。
それに気付いて周りに注意してみると、そこかしこに危険な罠が設置されている。
ふうむ、女性兵士が落ちた罠はこれらのうちの1つにしか過ぎなかったというわけか・・・
落とし穴に落ちるような子なのによく他の罠に気付けましたね。
まあ、体格的に他のものより有効な罠が落とし穴だったということなのかもしれませんが。

というわけで、助けてもらったお礼ということでこの女性兵士さんが安全な所までエスコートしてくれることとなりました。

遅くなりました。私、王国軍第13師団所属パティ・ベニヤミン・ピースメイカーと申します。
長い名前ですがパティと呼んでいただければと思います。どうぞ、よろしくお願いします。

ふむふむ。パティさんですね。ピースメイカーとはまた大仰な姓でありますな。
というか師団に所属しているような人が何故単独でこんな所をうろついているのか。
13という数が何やら意味ありげな気はしますし、やはり天使・・・騎士に対抗するアレなんでしょうか・・・?

パティさんがかかった落とし穴。
それは本来山賊たちが白髪鬼と呼ばれる騎士を捕まえるために用意したものだった。
その白髪鬼さんは鎖に繋がれ牢屋の中でお眠り中。ZZZ・・・
捕まえた経緯はたまたま山の中で寝ているのを発見したのでそのまま中に運んで繋いだだけとのこと。そういうことですかい。
数多の罠を用意していたがそれらは通用せず、仲間を何人も殺されている山賊たち。
怒りと共に怯えの色が強く見えますな。無理もないことだけど。
しかし眠って起きる気配がない美女を鎖で縛るとか・・・
そこだけ取り出せば非常にエロイ話だ!!手を出す勇気は誰にもなかろうが。

年くった猫みたいによく眠る白髪鬼。似たようなものなのかもしれませんな。
餌付けしたら意外と懐いたりしてくれるかもしれない。その場合エサは何になるのよって話になるけど。

山賊はこの白髪鬼を高く売り飛ばそうとしている。
何でもボスの知り合いの賞金稼ぎが買い手として求めているそうな。騎士を買うとか・・・どういう奴なんだ?

それはさておき、クゥたちはパティさんの案内で無事に安全な道に出ることに成功していた。
これで何事もなくお別れすることができる。
と思ったのだが、行き先が海の都と聞いてこのまま2人を見送るわけにはいかないと言い出すパティさん。

何を隠そう実は私の行く先も海の都なのです!!
命の恩人であるお2人をきっと必ず無事に送り届けましょう!!

何やら使命感に燃えている様子のパティさんでありました。
うーむ、これは何だか厄介な旅の道連れが加わってしまったものでありますね。そりゃ背景の効果音もガーンとなるさ。
いや、これは王国軍兵士が危険だからという意味合いだけでなっている効果音ではないのかもしれない。
せっかく姉弟水入らず、人目をはばからずイチャつきながら旅をしていたのに・・・!!という意味も含まれていそうだ。ガガーン

好意で申し出て来るだけに断りにくい2人。どうしようと顔を見合わせている。
うーん、ここは正直に言ったらいいんじゃないでしょうか。2人の時間の邪魔をしないで!!とか。
それを言ったらそれで、私のことは一切気にせずにイチャイチャしてください!!とか返してきそうな気がするな・・・厄介だ!!



第21話 危難 〜楽しい御供と悪党達と〜  (2013年 20号)


クゥとノイエさんが海の都へ向けて出発してから3日目。
王国軍の兵士であるパティさんを拾い、共に海の都を目指すこととなった。

単独で行動しているだけあり、パティさんはサバイバルに長けている様子。
魚をとって調理したり、さらには食べられる野草をかき集めて来たりする。
うーむ、姿に見合う分よく食べそうな人だ。

クゥとしては王国軍には騎士討伐隊というのが存在するので関わるのは不安。
だけどパティさんはどうしても恩返しがしたいのでついていきたい様子。
困ったことではあるが、道中のお供を断りづらい雰囲気でございます。

旅を長く楽しく続けるためには栄養面にも気を使わないといけない。
そういえばクゥはパティさんを助ける直前にちょっと具合が悪そうにしていましたな。
おそらく貧血であろうと診断するパティさん。血の素になる栄養をしっかり取れば改善されるはずである。
ふうむ、ちゃんとメシを食えと言う話でありますな。そういう意味では食事を大量に採取しそうなパティさんの存在はありがたい。

クゥの血が足りていないのは未熟な騎士が変身する際の代償。
変身する度に大量に出血し、血を失っている。
今後は血の補充というのも大事な課題になるかもしれませんな。
倒した相手はちゃんと食べるようにするとかしないといけないかもですな。大イノシシとか。ロバートとか。

体調を整えるためにはしっかりと睡眠を取ることも大切です。さぁ、しっかりと体を休めましょう。

おやすみなサ〜イッとメガネを外して布団に潜り込むパティさん。
潜り込めば即座にドZzzと寝息を立てだす健康っぷり。というか、メガネを外したら目が3とか・・・基本か!?

ノイエ「ちゃっかり私たちのテントと布団に!!」
クゥ「意外と図々しい・・・!!

いや全く。何で思いっきり中央陣取ってさっさと休んでいるのか!?
火の番とか野犬等の警戒とかするのかと思えばさっさと寝てしまうとか・・・
まあ、この辺りは平和なので警戒は要らないということなのでしょう。たぶん。山賊とかいるけども。

結局3人で布団に詰め込んで眠った昨晩。かなり無理があった様子。みっちり。
クゥはさておき、デカイ女性が2人もいたのでは詰め詰めになりますわなぁ。蒸し暑そうだ。
真ん中にクゥを据えればちょうど良くなったかもしれないが・・・朝になったらペチャンコになってそうで怖い。

就寝時はさておき、それなりに楽しく過ごせた昨晩。
しかし何かの拍子に自分のことがバレたらどうなるだろうかと危惧するクゥ。
パティさんは昨日みたいに優しくしてくれたり一緒に居ようとしてくれるだろうか・・・
それは何ともわからない。だから今は隠すしかない。隠し事をするのは後ろめたい気もするが仕方がない話である。

栄養があるとかないとかいう木の実を食べながら進む3人。
相変わらずチャンスがあれば食べ物を採取するんですねパティさん。それでそのような体に・・・まあいいんですが。

パティさんはひとりっ子だったらしくずっときょうだいが欲しいと思っていたそうな。
ふむ、クゥはいい子であるし、こんな弟が欲しいなと思うのも無理はありますまい。

何言ってんの!あげないわよ!?

いきなり激しい反応を見せるノイエさん。いや、さすがにクゥ自身を弟にしたいと言っているわけでは・・・!!
でもノイエさん。クゥが弟でなくなれば男女の仲になれる可能性もあるんじゃなかろうか?
いや、姉弟でいることが一番なんでしょうな、この2人とっては。姉弟であっても男女の仲にはなれるとか言い出しそうでもあるし。
どうでもいいが、姉に引き寄せられているときのクゥの表情が妙なことになっている。どれだけの勢いで引き寄せたのだ。

にぎやかに山奥を歩いているおかげで人目につく3人。
こんな場所で人目につくというのはろくなことが起きない。
そう、山賊の皆さんに目をつけられる結果となってしまいました。女子供の旅とか襲われやすそうですものね。

10人ほどの山賊が武器を持ってクゥたちを取り囲む。
荷物を置いて行けば見逃してくれるという雰囲気ではないですな。身売りとかもしそうな連中だ。

特にそっちの大きいお姉ちゃんは高く売れそうだな〜・・・

この3人だとクゥが一番高く売れそうな気がしますが・・・どうなんでしょうね、その辺は。
それはさておき、男の子らしく姉を庇おうと前に出るクゥ。
その姿を微笑ましく見ながら、パティさんは2人を庇うようにして前に出て戦闘態勢をとる。

・・・言葉の説教で改心してくれたら良いのですが・・・あなた方にその気がなければ、やむをえません・・・
田舎のばっちゃんが言ってました。時にゲンコツは・・・立派に人を改心せしめる説教になると!!

武器を持った山賊、ヤマジン団を相手に素手で対抗しようというパティさん。
その堂々とした姿、それにリュックに描かれた王国軍のマークに気を取られて怯む山賊。
そこに飛び込むパティさん。見事な技の数々で多勢に対しての無勢をものともせずに暴れまくる。
それはいいのですが、股間にヤクザキックを叩き込むのは視覚的にいかがなものかと。ドチュン。凄い吹っ飛んでるし。

化物のような暴れっぷりをみせるパティさん。
さすがに相手をしていられないと山賊たちはクゥたちを人質にとる方法を選択する。賢いな。
しかしノイエさんに武器を突き付けたりしていると、クゥの理性が弾けて騎士化するようなことに・・・
なるかと思いきや、一撃をもらって昏倒するクゥ。うーむ、やはり今は血が足りてないのか。

というわけで、山賊に捕えられてアジトまで連行される3人。
しかしヤマジン団としては今は白髪鬼の見張りでてんてこ舞いな状況である。
そこに王国軍の兵士を含めて3人も捕まえてきたとあっては面倒の種なことこの上無い。
だからといって殺して捨てて来るにも惜しい3人。しょうがないので確保することに極める山賊ボス。ご苦労なことだ。

白髪鬼を引き取るのはボスの馴染みの賞金稼ぎ。化物殺しの賞金稼ぎの2人組
山賊砦になんだか色んなキャラが集いつつある現状。これは一体どういう展開となるのか・・・?
なんだか混沌としてきましたね。まあ、ヤマジン団はほぼ全滅するとは思いますが。

化物殺しの賞金稼ぎとは一体どういう存在なのか。
騎士に対抗できるのは王国の騎士討伐隊以外にも存在するという話なのだろうか。
そう考えるとクゥもなかなか気を抜くことができませんなぁ。
だが、そんな賞金稼ぎが何故騎士を引き取ろうなどとするのか?
実は騎士を利用して戦う戦闘スタイルだったりするのだろうか?魔物使い的な何かみたいな。つまり目的は白髪鬼の調教!?
ふーむ・・・その方向は・・・ありかもしれませんな。年食った猫みたいと言われてるわけですし・・・アリだな!!



第22話 変調 〜客人と囚人〜  (2013年 21+22号)


山賊に囚われたクゥたち。
気絶したクゥは抱きかかえられたままノイエさんたちとは別の牢に入れるために連れて行かれる。
男と女は別の牢に入れるのか。銭湯みたいなものならクゥはまだ一緒に女牢にって形でもいいんじゃないかなー。

クゥと離れ離れになり泣きっ面となるノイエさん。
そのノイエさんに必ず私がなんとかしますと語り掛けるパティさん。
散々暴れまわったおかげで警戒され、その体には鎖が何重にも巻きつけられております。

さて、山賊のボスのもとにはお待ちかねの賞金稼ぎの姿があった。
鉄仮面のドミニウラ隈取りマー・フォン
そう呼ばれる賞金稼ぎの二人組。フードの男のそれは隈取りだったんかい!!

それはさておき、女性たちが入れられることとなる牢。
その一つで眠っているのは白髪鬼。
ノイエさんたちの匂いを嗅ぎつけたのか、いきなり跳ね起きてきます。白髪鬼ちゃんまだ寝ててい〜んだよ〜
てな風に呼びかける山賊。ちゃんてお前・・・ありだな!!実際は結構な年齢だと思われるけど。

鎖で繋がっていることだしとりあえず安全と考える山賊。
その白髪鬼の前を通り過ぎようとするノイエさんだが・・・いきなり牢内の白髪鬼に腕を掴まれる!!
むう、鎖は確かに切れてないが、壁に埋め込んだ部分が力づくで剥がされてしまっているじゃないか。ボゴォ。
これにはさすがに驚愕の山賊たち。頼りない話でありますね。
しかし白髪鬼はノイエさんを捕まえたものの害を加えたりするつもりはない様子。引き寄せて匂いをかぎ・・・甘えだす。

ままー・・・

なんだか幼児退行している感じでありますね。
ノイエさんの立派な体に母性を感じたのだろうか?
それとも騎士である身からしての母親・・・天使と似た姿形と認識したゆえの行動だろうか。
あそこまで大きくはないが、確かに体格的には似通ってますな。うん。

2人を引きはがそうとする山賊。
おっと、うかつな触り方をすると酷い目に・・・あっちゃいましたね。
牢越しに白髪鬼に頭を掴まれ、もぎ取られる山賊。
もぎ取った頭は白髪鬼ちゃんが美味しくいただきました。ひいッ。

・・・なんで、こんな所に『騎士』がいるの!?

驚愕を表すパティさん。おっと、やはりパティさんは騎士の存在を知っているんですな。
逆にこの段階に来ても騎士だと気付かなかったノイエさん。その鈍さはどうかと思う。

風雲急を告げる牢屋。
一方、山賊のボスは賞金稼ぎに白髪鬼の受け渡しをするために話をしている。
いかに白髪鬼を捕えるために苦労したのか・・・どれだけの手下が死ぬこととなったのか・・・
その様に述べるが、隈取りのマー・フォンに言わせれば上出来の一言で済まされてしまう。おやおや。

なんて言い草だ。長い付き合いだが今回ばかりはあんまりだ!!俺の手下は俺の仲間なんだよ。手駒と思われちゃたまらねえぜ!!

激昂する山賊ボス。まあ当り前ですわな。
というわけで、関係はこれまで。手切れ金として約束の3倍の金を頂くぜと言い出す。

手切れか・・・いいだろう。だが今は3倍も手持ちがない・・・
ふむ・・・知ってたか?生死問わず、お前自身に賞金が懸かってるって・・・
その賞金を・・・支払いにあてるか・・・

一方的にそう述べて山賊ボスを斬り殺すマー・フォン。うーむ、なかなかに酷い。
山賊たちはきっと酷い目にあうんだろうなとは思ったが、予想以上にあっさりとボスが殺されちゃいましたね。合掌。

ボスが大変なことになったが、牢屋の方はもっと大変。白髪鬼が鉄格子を曲げて出てきてしまった。
鎖も牢屋も動き出してしまえば関係ないって話ですわなぁ。これが本物の騎士か・・・

ズルズルと鎖を引きずり、ノイエさんの腕を脇に抱え込んでご満悦な様子の白髪鬼。あら可愛い。
それを見て逃げ出す山賊たち。逃げる前に私の鎖を解いていってというパティさんだが、それは望み過ぎでありましょう。
うっかり白髪鬼の前に出たために殴られ吹き飛ばされるパティさん。ゴキン。
うーむ、立派な体格の女性であるがノイエさんはよくてもパティさんはダメなのか・・・やっぱり立派の方向性の差異か?

ゴムマリのように吹き飛ぶパティさん。
しかし、山賊のようにあっさりと死ぬことはない。それどころか途中で体勢を立て直して起き上がる。
さらに力を込めて・・・全身を縛る鎖を引き千切る!!

ノイエさん今・・・助けます。命に代えてパティ・・・参ります!!

ついにパティさんがその本気を見せる様子。
そんなことが出来るなら別に山賊に鎖を解いてもらう必要なかったんじゃないですかね?
まあ、命に代えてという誓いのもとに引き出せる力が云々とかいう話なのかもしれませんが。

騎士の存在を知り、それでもそれに単独で挑もうとするパティさん。
その耐久力の凄さもありますし、やはり討伐隊の一員なのであろうか?
騎士と討伐隊の戦い。さらに化物に対抗できる力を持つという賞金稼ぎ。強者が集い争う展開になりそうでありますな。
うーむこれは・・・クゥは最後まで寝ててもいい流れになるかもしれない・・・!?

賞金稼ぎさえ倒してしまえば解決はしそうな気はする。白髪鬼ちゃんはノイエさんを害することはないでしょうしね。たぶん。
でもクゥに対してはどういう態度を取るか分かりませんな。騎士同士だって争うでしょうし。
クゥをぞんざいに扱うならノイエさんも白髪鬼ちゃんとは一緒に居られないことになるが・・・
いや、ノイエさんが怒れば普通に言う事を聞く可能性はあるな。うむ、教育ですね!これから教育して育てればいいわけだ!!
可愛いので仲間入りがあるなら歓迎したいが、人を殺して食いまくっているのが確かなわけでさすがに難しいか・・・?
これからの展開に期待したいところである。



第23話 鬼女 〜地下牢の戦い〜  (2013年 23号)


騎士である白髪鬼ちゃんの一撃を受けて立ち上がり、更には拘束していた鎖をぶち破るパティさん。お?
生身の人間が騎士とどのように対峙するのであろうか。
いや、普通の人間にしてはタフだし体格も良すぎますが・・・ともかく、どのように対峙するのであろうか。

まず・・・ノイエさんから引き離す。

そう宣言し、一足で間合いを詰めるパティさん。
振りかぶった拳は白髪鬼ちゃんのアゴ先を掠め脳震盪を起こさせる。
揺らぐが倒れない白髪鬼ちゃん。ならばと続いて鼻っ面に拳を叩き込むパティさん。ゴキ!!

正面から陥没させるぐらいの勢いで放つ拳。
白髪鬼ちゃんの体は吹き飛び、ノイエさんと引き離すことに成功する。
しかし起き上がった白髪鬼ちゃんにはダメージらしいダメージが見当たらない。うーむ、さすがに騎士はタフだ。
いや、ダメージはないわけではない。
ノイエさんから引き離されたことで精神的に打撃を受けている様子。まま〜・・・

白髪鬼ちゃんがノイエさんに執着を見せることを危惧するパティさん。
この場を逃げても追って来ることが予想される。ならばここで仕留めようという判断だ。
白髪鬼ちゃんも本気で戦おうという構えになったようだし、ここからが本番ですな。

さて、その白髪鬼ちゃんを狙ってやってきた賞金稼ぎの2人組。
山賊たちは居場所を聞く前に殺してしまったので当てずっぽうでアジト内を散策している。
次に誰かを見つけたら白髪鬼の居所を聞き出す。殺すなよと相方のドミニウラに告げるマー・フォン。
しかし襲い掛かってきた山賊をあっさり殺してしまうドミニウラ。ボッ!!これにはマー・フォンも大爆笑。え?笑うの!?

マー・フォン「だから・・・ワハハ。殺しちゃダメって・・・ククク。今さっき言ったところだっつうのに・・・」
ドミニウラ「ボッ!!」
マー・フォン「『しまった!!』じゃねぇよ。わははは」

なんだか楽しそうなコンビですね。
ドミニウラはうっかり屋というか考えが回らないタイプっぽいが、笑って済ませちゃうんだ・・・仲のよろしいことで。

とはいえ山賊にしてみれば災難な奴らであることには変わりない。
早いところ白髪鬼ちゃんの居場所を教えておかないと命がいくつあっても足りませんぜ。

で、そのお目当ての白髪鬼ちゃんはパティさんと戦闘中。
パティさんは戦闘態勢に移った白髪鬼ちゃんの姿を見て戦力の分析を開始する。

肉体強度、筋力・反射速度、概ね超人的。凶暴性著しく会話は成り立たず。食人性質と殺人を本能に行動・・・
『爪・牙の変化』はあるが・・・戦闘に際し『闘剣』等『肉体の武器化』は認められず。
『超能力』『超常性能』は持たぬ模様・・・
以上の点から騎士カテゴリー6等級、上から4番目『戦車(チャリオット)級』と判断

S、A、B、C、D、Eと6段階に振られた階級
なるほど。Cだからチャリオットでありますか。となると他のアルファベットも何か意味のある言葉になりそうですな。
しかし戦車か・・・この世界だとさすがに鉄の戦車ってことはありますまい。
となると馬2体に引かせて上から射手が射抜くというタイプの戦車だろうか?
いや、かのレオナルド・ダ・ヴィンチは戦車を設計していたという話もあるし、この世界には実は鉄の戦車もあるのかも・・・

素手では厳しい・・・!!

さすがのパティさんでも素手では厳しいのですか。
馬ぐらいなら素手で屠りそうな体してますのに。やはり鉄の戦車が相手ということなのだろうか!?

素手が無理なら武器を使う。
いつものリュックの横に備え付けている長い箱のようなものを手にしようとするパティさん。
だがそこには何もない。そう、荷物は取り上げられているのでした。こいつはウッカリですね。

あるはずの武器が手元になく、動揺している間に白髪鬼ちゃんにマウントポジションを奪われるパティさん。
顔面に拳を何発も食らう。が、眼鏡が割れただけで済んだ様子。それ以上の追撃はクロスした腕で防ぐ。
ふーむ。やはりタフだなぁパティさん。いや、これは眼鏡がクッションになっていたということなのかもしれない。
メガネがなければ即死だったとかそういう。

騎士を殺す方法はいくらでもあります・・・化物とはいえ生き物ですから
首を絞めれば酸欠で、血を流させれば失血で、内臓をえぐり抜けば、脳を破壊すれば、焼き尽くせば、コマ切れにすれば、すり潰せば――
人間よりもずっと頑丈でしぶとい生き物ですが、やはり生き物ですから・・・
それと田舎のばっちゃんがよく言ってくれてました。パティはやれば出来る子だって・・・!!

いつものやれば出来る子が飛び出し、パティさんの反撃ターン。
ガードした腕を下ろすことで白髪鬼ちゃんの体勢が崩れる。そこを狙って、のどへの攻撃。
タフとはいえ息が詰まることには違いない。怯んだところにみぞおちへ向けて頭突き。
そして膝をついたところで眉間に向かってツマ先蹴り!!

おぉ・・・ツマ先・・・!!
美少女のツマ先には人を改心させる効果があると聞くが、パティさんの一撃はいかがなものか。
やはり美少女というには体格面で問題があるか!?

というのはさておき、もう見ていられないのでそこまでにして行きましょうと言い出すノイエさん。
まあ、素手ではいくらやっても決定打にはならなさそうですしねぇ。
ここで時間をかけるよりは武器を回収した方がいいのは間違いないことでしょう。

装備さえあれば・・・仕留められた・・・!!

そう考え、荷物とクゥを探すことにするパティさん。
しかしメガネが失われたのでへっぽこな感じになってしまうパティさん。よく平気で戦えてましたな。

それにしても何故白髪鬼ちゃんはノイエさんのことをままと呼ぶのか。
見た目で似ているのではなくにおいで判断したのだろうかと推測するパティさん。
ふむ、確かにノイエさんのにおいを嗅いでましたな。
となるとそれは騎士であるクゥのにおい。ノイエさんの体に染みついている弟のにおいなのではないだろうか。そう考えるノイエさん。

あの女の子の騎士がクゥを騎士だと知らせるような行動をすれば・・・パティにはきっと・・・感づかれる・・・!!

それはヤバイ感じでありますね。
でもそうするとどうなんだろう。白髪鬼ちゃんはクゥを見てどのような反応を示すのか・・・
さすがにぱぱーとかは言わないと思うが。逆にマイサンとか言い出すとか。いや、それはさすがに。

騎士から逃れた2人。しかし、その前に現れたのは同じくらいに危険な賞金稼ぎ。
どうやら無事に白髪鬼ちゃんの居場所を聞き出せたのか地下牢に向かってきていた様子。
さてさて、一難去ってまた一難という状況だがどうなるのか。
まあ、賞金稼ぎとしてもパティさんとしても一戦交える理由は特にない。
この下にいますよといってスルーすればそれで済む話である。が、それでは済まない可能性もあったりするかもしれない。
どのような展開となるのか・・・楽しみな感じですな。

今回の注目はやはり騎士のランク付けでしょうな。こういうのはやはりワクワクする。
ロバートやハインツはやはり低めのD、E級なんだろうなと推測される。
闘剣を使えるクゥはどのくらいなのか。さらに放電という超常現象も起こせるシイドは高そうであるが・・・?
そして等級には知性の有無の部分も考慮に入れられていそうな感じ。ふむ、ますますシイドは高ランクっぽいなぁ。
チャリオットを越えるランクの名称が楽しみである。
実はAでエンジェル級。天使でもまだAランク止まりとかそういう話がありえたりする・・・かも。



第24話 残敵 〜人と鬼〜  (2013年 24号)


白髪鬼ちゃんから逃れたと思ったら賞金稼ぎの2人組と出くわしてしまうノイエさん&パティさん。
下手な動きをすれば一触即発の危機。
というわけで、白々しい行動に出るパティさん。

たたた大変です〜ッ。地下牢の騎士が逃げ出しました〜ッ。早く行かないとお仲間もやられて騎士にも逃げられちゃいますよ〜

白々しくはあるが言っていることは間違っていない。
なので慌てて地下牢に向かう2人組。うまくいったみたいですね。

ノイエ「なんかパティの腹黒い所を見た気がしたわ・・・」
パティ「え!!知略に長けてるとかじゃなくてですか!?

ふむ、パティさんは自分が知略にも優れたキャラだと思っていると?それはどうなのかなぁ・・・
実際、『騎士』という言葉を口走ったためにマー・フォンに怪しまれてしまう。
山賊共には『騎士』のことは教えてなかったのに何故白髪鬼ではなく『騎士』と呼んだのか・・・

パティ「あれ?私そんなこと言いました?
ノイエ(知略・・・?)

うむ、やはり知略キャラを標榜するのは無理がありますな。
しかしマー・フォンの言い回しからこの2人が山賊ではないと判断するだけの知恵は回るらしい。
逆にそれを指摘することで相手の警戒心を高めることとなりそうですけどね。

俺たちのことはいい・・・お前たちが何者だ?どうしてこんな所に居るんだ?
そっちの・・・・・・ぽっちゃりの方。お前のその服・・・軍服か?

何だか言葉を選んでいるマー・フォン。意外と紳士?
どちらかというとぽっちゃりはノイエさんの方だと思う。パティさんはその表現を使うには少し・・・ねぇ。

それはさておき、会話中に相手の姿をよく見るパティさん。薄ぼんやりとかだが特徴は見える。
隈取りの細男と相棒の鉄仮面の巨人。ドミニウラと呼ばれているが・・・ドミニウラ!?

・・・あ、もしやお2人は、かの有名な賞金稼ぎのマー・フォンさんとドミニウラさん!?
どんな汚いやり口も平気でおやりになるのでハイエナだハゲタカだのあだ名されてて、
同業者からすら下衆だ根暗だ影口たたかれの鼻つまみ。
夕立より出くわしたくなく流行り病よりかかわりたくないと誰もが思う評判最低、いつも2人ぼっちのデコボココンビの。
あの・・・あの・・・マー・フォンさん、ドミニウラさんではないですか?まさか本物に出くわせるとは思いませなんだ!!

一息で物凄い悪評を並び立てるパティさん。
本当のことかもしれないが・・・本当のことかもしれないが、いきなりそんなこと並びたてられたら傷つくだろうが!!
というわけで、武器を持って切りつけようとするマー・フォン。
しかしの気配を察知してノイエさんを連れて素早く飛び去るパティさん。

パティ「突然何をするんです!頭がオカシイのですか!?」
マー・フォン「・・・お前は思ったことを黙ってられんのか・・・?

いやまったく。マーさんの言う通りである。やはり知略キャラは無理があるよパティさん・・・
穏便に済むかと思いきや結局争うこととなりそうな流れ。
武器を突きだすマー・フォン。しかしそれを掴み取り、没収しようとするパティさん。
ふむ、あのパティさんの怪力に抵抗するのかマー・フォン。細身ではあるがそれなりに力があると見える。

そんな綱引きをしている最中に割り込んでくるドミニウラ。ボッ。
床や壁を砕く鉄拳を見せるが、そのホコリを煙幕にしてさっさと逃げ出すパティさん。
まあ争う必要のない相手ですしね。ここは逃げるのが正しい判断でしょうさ。
2人組もまずは仕事が優先ということで地下の白髪鬼ちゃんのもとへと向かうこととなりました。

逃げ出したノイエさんたち。あのまま戦うのかと思って怖かったとノイエさん。
それに対し、こちらに戦う理由はありませんからと返すパティさん。うむ、冷静な判断ですな。

パティ「しかしなぜ急に攻撃されたのかわけがわかりません。くわばらくわばら
ノイエ「・・・怒らせたからだと思うわ」

本当、パティさんに腹芸なんてさせちゃいけないって話でありますな。
腹黒いことをやろうと思ったが、その腹には赤い筋肉と白い筋肉しか詰まっていなかったとかそういう・・・

というのはさておき、無事に危機を回避した2人は囚われのクゥを探そうとする。
一方のクゥは単独の檻に入れられている様子。男用の檻は需要が少ないのか小さ目ですな。
いや、クゥはすぐに買い手がつきそうだから運びやすいところに入れているという判断かな?うむ、妥当な考えだ!!

まあ、何にしても売られたりすることもなく姉弟の再会と相成りました。
パティさんが手斧で檻のカギを破壊し無事合流。クゥの手錠も解けているようだがそれも手斧で破壊したのか?

クゥの身柄だけではなく、持ち去られた荷物も同じ部屋に置いてある。
どうやらここは盗品の物置だった様子。ふむ、これならばすぐに脱出できそうですな。
いや、どうやらパティさんは脱出するよりも先にやることがある様子。
自身の荷物から装備を取り出し、身に纏う。

お2人の危険は全て排除しましょう・・・私たち3人。無事にこの砦から出て行くために・・・
そして今回の渦中にあるあの騎士は私が討つ。
賞金稼ぎたちも邪魔をするなら討つ。
私の使命・・・王に賜りし使命にかけて討つ。
王国軍第13師団『騎士討伐隊』隊員。パティ・ベニヤミン・ピースメイカー。その名とその全霊にかけて

武器となりそうな長物だけでなく、毛皮のようなマントを纏い、ガスマスクのようなものを装着するパティさん。
うーむ、なんだかすごく怖い感じの見た目となりましたよ!?
ズボンも黒くなっているが、これも何かの装備でありましょうか。手袋は耐電性とかになっていそうだ。
まあ騎士は色々と特殊能力を持っているのがいますし、様々な防御手段を講じた末の装備なんでしょうなぁ。
しかしてパティさんの攻撃方法は一体どのようなものであるのか・・・楽しみだ。

しかし、予想はしていましたが、やはりパティさんは騎士討伐隊の1人なんですな。
しかし師団なんて単位だと相当な人数がいそうな気がするんだがどうなんだろうか騎士討伐隊。
パティさんが1万から2万存在するなんて光景を想像したら・・・どこの両国国技館かと思ってしまうじゃないか!!

それはさておき、白髪鬼ちゃんと遭遇する賞金稼ぎの2人組。

老いぼれとはいえ相手は騎士。油断せず・・・やるぞ。ドミニウラ。

こちらは完全に争う構えとなっていますな。まあ、2人組としてはそれが目的だったわけだし当然そうなるか。
しかしわざわざ騎士を狙うとは、命知らずなのか余程腕に自信があるという現れなのか。
知略キャラとしてはこの両者の闘いを見守り、弱った相手を倒せばそれで済むこととなる。
が、知略キャラではないパティさんはわざわざ両者の闘いに割って入って白髪鬼ちゃんを狙おうとするんでしょうなぁ。
その不器用な行動がどのような結果を招くこととなるか・・・注目である。
下手したらパティ無双によりクゥは正体を現すこともなく山賊砦の平定はなってしまうのかもしれない。まあ、それはそれでよい。
しかしどうにか白髪鬼ちゃんを仲間に引き込む方法はないものか。
人を殺しまくってる危険な騎士であることを考えると難しいかなぁやはり・・・うーむ。



ハーベストマーチ 4巻


第25話 討伐 〜羽根、散らす、者〜  (2013年 25号)


パティさん自身の口から"騎士討伐隊"であるということを聞かされる姉弟。こりゃ参りましたね。
とりあえずパティさんは白髪鬼ちゃんを仕留めに向かう様子。
もちろん姉弟を連れて行くようなことはしない。危険に巻き込むだけですからね。
となると、ここでどう行動するかの選択に迫られそうでありますな。

地下では賞金稼ぎの2人組と白髪鬼ちゃんの闘いが始まっている。
マー・フォンの武器は白髪鬼ちゃんには通じない様子。
むう、その刃が通じないのではマー・フォンは防御しかやることがないのではないか?
まあ、防御している隙にドミニウラが攻撃すればいいという戦い方なんでしょうけど。

その怪力で白髪鬼ちゃんを天井や床に叩き付けるドミニウラ。ボッ。
マー・フォンは殺す気か!?死体じゃ賞金が半分になっちまうぞと止めるが正直これで死ぬ気はしない。
この攻撃で死ぬならとっくにパティさんに殴り殺されていましたでしょうしね。

壊していいのは手足だけだ!!弱らせて生け捕りにするんだよ。

なかなか難儀なことを言いだすマー・フォン。そんな余裕があるとは思えませんがね。
実際白髪鬼ちゃんのパンチを受けて鉄仮面を凹ませて吹き飛ぶドミニウラ。
一撃でこの有様か。仮面以外のところで受けていたらヤバイところでしたな。

あの山賊共・・・どうやってコイツを牢に入れたんだ・・・!?

ああ、山賊が捕えれるぐらいの騎士だから十分捕獲できるだろうと油断していたんですね。
残念ながら寝ている所を運んだだけでして・・・事前に捕獲方法も聞き出して置くべきでしたね!!

どうしたものかと考えている所にパティさん登場。退がれと警告を発する。

素人に"戦車級"の相手は無理だ・・・有名な賞金稼ぎとはいえ・・・な。
邪魔になるから失せろ。命を失う前に

賞金稼ぎでも騎士に対抗できるのかとも思ったが、通用するのは弱い階級の騎士ぐらいなんでしょうな。
やはり強力な騎士に人類で対抗できるのは騎士討伐隊ぐらいということなのか・・・?

警告を発したパティさんは黒く長い箱の封を解く。
ここから武器が飛び出すようだが、一体何が出てくるのか。まず出てきたのは・・・羽根
白い羽根が幾枚も舞う。そしてその羽根に包まれていた一振りの剣を抜き放つパティさん。
大柄な体に似合わぬ細めの片刃の剣。これぞ騎士殺しの剣

白髪鬼・・・言葉は通じずとも感じる筈・・・この剣の放つ気配・・・
何体もの騎士を葬り去ったこの『堕天兵器』が、天敵なき貴様らの天敵なのだと

そう述べて剣を振るうパティさん。
その騎士殺しの剣は通常の刃など傷もつかなかった白髪鬼ちゃんの皮膚を、肉をたやすく切り裂く。
なるほど。これが天敵と言うことか。確かに凄まじい威力。武器があれば仕留めきれたというのはウソではなかったわけだ。
あまりの攻撃力の高さに怯えの色を見せる白髪鬼ちゃん。勝負は一瞬でつくか!?

パティさんが戦っている頃、残ったクゥとノイエさんはどうしようかと相談。

パティは優しいし・・・私たちのことも守ってくれてがんばってくれている・・・
けど、クゥのことを理解してくれるとは限らない・・・クゥをただ『騎士』として敵視するかも・・・
パティの使命が『騎士』を『討伐』することなら・・・なおさら。
クゥのことがバレたらきっとどんな形かはわからないけど、そこで・・・お別れよ。
・・・だったら、今の内に・・・パティが戦ってる今の内に・・・逃げた方がいいかも・・・

ふむ、やはりそういう発想となりますか。
置き去りにすることに心を痛めるクゥだが、実際の所パティさんは圧倒的に強いからなぁ。問題はない。
が、逆にその行動が疑念を抱かせないかという恐れはある。
白髪鬼ちゃんを討伐して戻ってきたパティさんは性格からして姉弟を探そうとするだろう。
その際に、クゥの正体について深読みする可能性がなければよいのだが・・・

クゥとしてもせっかく友だちになれたのにお別れも言えないなんて嫌だよと言っている。
はてさて、どのような決断を降すこととなりますのか。

その前にまずは地下の闘い。
パティさんは白髪鬼ちゃんにとどめをさそうとしている。が、そこで邪魔をしてきたのはマー・フォン。
横合いからパティさんに切りかかるがその刃は黒く長い手袋に阻まれる。

私の兵装は対騎士斬撃を想定した特殊な布で造られている。人間の斬撃など通さん・・・

それはまた厄介な。クゥの刃もおそらく通らないんでしょうなぁ。うむ、なんというかクゥが戦っても勝てる気がしないぞ!!
そういった先のことはさておき。
パティさんとマー・フォンが争っているうちに泣きながら逃げ出す白髪鬼ちゃん。
追おうとするパティさんを足止めするマー・フォン。おやおや、相手が変わってしまいましたね。

賞金稼ぎたちにしてみれば白髪鬼ちゃんは生きたまま捕えてしまいたい。
おそらく物好きな金持ちと騎士の売買でもしようと考えているのでしょう。
好事家などからすれば美しい騎士は高い値を出しても手に入れたいと思うものなんでしょうな。ほとほと呆れた下衆だな。
しかし生け捕りにしたって騎士をどうやって飼うんだろうなぁ、金持ちさんは。
まあ、天敵となる剣があるくらいだし、金持ちなら拘束する施設ぐらいあるのかもしれない。または何も考えてないのかもしれない。

少なくともこの賞金稼ぎたちは騎士を甘く見ていた感じがありますな。
そしてその騎士と闘う騎士討伐隊も甘く見てしまっていた様子。
吹き飛ばされたドミニウラが復活し、その巨大な斧をパティさんの背中に叩き付けるが・・・もちろん切れない。
背中のマントは龍の鱗のような硬質さを見せている様子。
いや、普通ならドミニウラの怪力で斧を振り下ろしたら切れなくても潰れはするのだろうが、そこはパティさんである。堪える。
地面に叩き伏せられることすらなく、腰を屈めた状態で踏ん張ってみせるパティさん。まるで力士のような粘り腰だ!!

・・・これ以上の邪魔は許さん。騎士を討つ邪魔は――誰にもさせない

反撃の一閃でマー・フォンとドミニウラ両者を斬り伏せるパティさんでありました。
うーむ、圧倒的じゃないですか。強者が集うとか言われていたが、結果を見るとパティさんが圧倒的に強い。
さて、そうなるとこの先の展開はどうなるのか。
気になるのは白髪鬼ちゃんが逃げた先ですな。何となくノイエさんのところに向かいそうな気がする。
ノイエさんと合流し、白髪鬼ちゃんの態度が和らいだ場合、パティさんに始末させることをノイエさんは良しとするだろうか?
なんだかその辺りでゴタゴタしそうな感じですなぁ。

そういえばサブタイトルにもなっている羽根。
騎士殺しの剣を収めていた箱のあの羽根は一体何なんでしょうか。
あれこそ天使の羽根なのだろうか?天使の力で抑え込まなければいけないような力を持った剣とかそういう?
少なくとも演出で羽根を散らせたかったとかそういう話ではないはず。たぶん。
羽根を舞わせれば少しは軽く見られるかと思ったとか?それは無駄な努力ってやつだよパティさん!!



第26話 騎士 〜差し出す手、剣握る手〜  (2013年 26号)


パティさんの一閃によって同時に倒れ伏す賞金稼ぎの2人組。
そしてパティさんは騎士討伐隊らしく騎士を追う。決して逃がさんと呟きながら・・・!!

そんなパティさんを置いて逃げ出そうと提案していたノイエさん。
いやまあ、クゥとパティさんが争うことを危惧しての提案何ですけどね。
だがクゥ当人はここでお別れしてしまうのは嫌だと述べている。
このまま置き去りにはしたくない。知られちゃったらその時はちゃんと話をするよ・・・とのこと。ふむ、立派なことであるな。

その時は私もがんばって話をするわ・・・クゥは『騎士』の力を持つ『人間』だって。
私のために騎士になってくれたんだって・・・

というように姉弟が暖かな気持ちになっているところに逃げてきた白髪鬼ちゃんが登場。
ままーッと泣きながらノイエさんに抱き付いてきます。おやおや。

クゥ「・・・!?姉さんが・・・ママ!?姉さんが・・・
ノイエ「あらッ。違うわよ!!私まだママじゃないわよ!!

暖かな姉弟の間に亀裂が!?何よその子は!誰の子なの!?
何とも言えない表情をしているクゥが可愛い。

それはさておき、ケガをしている白髪鬼ちゃん。賞金稼ぎかパティさんにやられたのかと案じるノイエさん。ふむ。
ノイエさんにはままーと懐いている白髪鬼ちゃん。ではクゥを見た場合はどう反応を示すのか?
その答えは・・・あかちゃん・・・!!あ、あかちゃん!?
ノイエさんは白髪鬼の母親でクゥは白髪鬼ちゃんの子供。つ、つまりどういうことなんだ!?
姉弟という禁断の関係と見せかけて祖母と孫の禁断の関係という話だったのか!?は、ハードル高いな。別の意味で。

白髪鬼ちゃんがどういう風に感じて2人をそう呼んでいるのかはわからない。
騎士に成り立てのクゥがあかちゃんと言われるのはわかるがノイエさんは何故なのか。
天使となって騎士を生み出す存在となる素養があるということなのだろうか・・・?

同じ騎士である白髪鬼ちゃんに触れるクゥ。
仲間・・・同じ騎士ではあるが、それは仲間といえるものなのだろうか?
少なくともシイドたちとは現在袂を分かっている。
そもそも騎士でなくなるために旅しているのに仲間意識何て抱かれても・・・そんな想いはクゥにもありそうだ。
が、白髪鬼ちゃんの手を取った時、とんでもないイメージがクゥの脳裏に浮かぶ。

今・・・誰かに呼ばれたような・・・見られたような・・・あの妙な感じはいったい・・・

慌てて飛び退るクゥ。むう、これはカイリが幼い頃に見た黒騎士?
これまで出てきた騎士の中でもとびきり危険そうな存在であるが、それがクゥを見初めたというのか・・・!?
なんだか思わぬところで危機が迫ってきそうな感じとなりましたな。

それはさておき、現在の状況。
ノイエさんに縋り付く白髪鬼ちゃん。その血の跡を辿ってやってくるパティさん。
武器もあることだし、今度こそノイエさんから引きはがしてとどめをさそうとするパティさんだが、それを止めるノイエさん。
うーむ。さすがに縋って来る相手を殺させるために差し出すのは抵抗があるか。可愛いしなぁ。

ノイエさん・・・!!地下で見たでしょう!!そいつの本性は騎士の姿。
人間の姿をした戦闘生物。人間を殺し喰らう化物。例外なく邪悪。それが騎士!!
人の姿に惑わされてはいけません。人間とは相容れぬ敵です。
さあどうかそれから離れてください。大丈夫です・・・それを討伐したら・・・みんなで無事にここから出て行きましょう。

優しい眼差しを向けるパティさん。その心は確かに優しい。
しかし騎士に対しては完全に敵視の感情しかない様子。まあ、討伐隊としては当然の感情か。
うーむ。クゥのことを知った時にどういう行動に出るのか、ますます分からなくなりましたな。

ノイエさんはこの子を見殺しに出来ないと庇う。
そしてパティさんに語り掛ける。全ての騎士は人を滅ぼす天敵だというが、そうじゃない騎士だっているかもしれない、と。
そういうものになりたくてなったわけじゃないかもしれない。人を傷付けたくて力を持ったわけじゃないかもしれない、と。

そうだ!!パティが騎士について詳しいなら、何か・・・あるんじゃない?知ってるんじゃない?
騎士を人間に戻す方法・・・もし知っているなら・・・

勢い込んで尋ねるノイエさん。しかしその返答は――

ノイエさん。ありませんよ。『騎士』を『人間』に戻す方法なんて

おっと。決定的な言葉を述べられてしまいましたね。
少なくとも騎士討伐隊としては人間に戻す方法なんて知る由もないといったところだろうか。
まあ、討伐するのが任務だし、戻す方法なんてこれまで考慮はされてこなかったんでしょうなぁ。

それとノイエさん・・・なぜ知っているのですか?騎士が元人間であるということを・・・

おっとこいつは鋭いツッコミだ。
聞いておきたい質問ではあったが疑われるのは当然のことでありますな。これはマズイか?
しかしパティさんも今はそれを追及している場合ではない様子。

早くしないと・・・私の体がもたない・・・
痛覚マヒの薬剤ボンベがそろそろ・・・空になる。これが切れる前にカタをつけないと・・・
戦闘で受けたダメージ、無理な運動によるダメージ、その痛みの全てが・・・いっぺんに襲ってくる。
指いっぽんも動かせぬ程の苦痛が・・・!!

ほほう。パティさんの強さはドーピングによる部分もあったのか。
そのガスマスクは薬剤を摂取するためのものだったわけですね。なるほどなー。
どこまでが自身の身体能力によるものなのか判断がつきにくくなったのは少し困りものである。

時間がないので無理やりにでも白髪鬼ちゃんを引きはがし、切り伏せようとするパティさん。
しかしそこに乱入してくるのはドミニウラ。壁を突き破りながらパティさんを殴り飛ばす。
さすがに振りかぶったところを横合いから殴られては踏ん張ることもできませんわな。吹き飛ぶパティさん。
だが剣を落としてしまったのはいただけない。マー・フォンに騎士殺しの剣を拾われてしまう。

・・・全く。てめえのせいでろくでもねえ日だ・・・なァオイ。てめえだよオイ。

言葉と共に剣を振るい、白髪鬼ちゃんの胴を薙ぐマー・フォン。い、いきなり何をするのだ!!
何度も殺さずに生け捕りにしろと言っていた当人がいきなりの斬殺。
自分が死にかけてしまったことで怒りに我を忘れてしまったのでありましょうか?何ともはや。

まあパティさんもちゃんと賞金首の怪我の様子ぐらいは確かめておくべきでしたね。
腹を切ってもモツがこぼれていないなら動けてもおかしくはないって話である。
薬剤の時間切れの話もあるし確認している時間なんてなかったのかもしれませんが。

ともかく、クゥの目の前で仲間である騎士が殺された。
いやそれよりも、ノイエさんが庇おうとした相手が殺された。悲しませてしまうという想いが強いのかもしれない。
激しい気持ちが胎動してそうなクゥ。これはパティさんの目の前での変身がありえるか?

まあ、実はドクン・・・となったのは怒りに燃えるノイエさんという可能性もある。
その怒りのままに筋肉を解放し、賞金首2人を殴り倒すノイエさん。ドミニウラの巨体が酷いことに!?
騎士よりも怖い人間って存在するんですねとパティさんが認識を改めることで今後の関係が良くなるというオチ。
うむ、これは意外といい方向に向かう気がしますな。よし、やっちまおうぜノイエさん!!筋力解放だ!!



第27話 天啓 〜そして、破滅は足早に。〜  (2013年 27号)


騎士殺しの剣か・・・これはいい拾いものだ。

もらっていく気まんまんのマー・フォンの発言。
まあ、そりゃ切り終わったので返しますってな奴ではないですわな。
白髪鬼ちゃんは完全に胴体が泣き別れになっている。うーむ、容赦ない。

そして賞金稼ぎの狙いはクゥとノイエさんたちに移行する。
討伐隊に手を出したことがバレたら自分たちが賞金首になってしまう。なので目撃者を消そうという話ですな。
ゆっくりと近づくドミニウラ。慌てて止めようとするパティさん。
しかしそのタイミングで薬剤ボンベが空となり痛覚が戻って動けなくなってしまう。あらあら。

先週まではパティさん強すぎるってぐらいだったのに、薬剤ボンベの設定のおかげでいきなり大ピンチだ。
時間制限のある強さはイレギュラーが起きた時に大変なこととなりますなぁ。

ドミニウラの鉄拳をどうにか回避し続ける姉弟。
その途中、上半身だけの白髪鬼ちゃんがドミニウラの腕に指を突き刺し姉弟を守ろうとしたりしている。
うーむ、さすがにCランクの騎士。この状態でもまだ生きているとは。タフですなぁ。

どうすればいい・・・?僕は・・・どうすればいい?どうすればいいんだろう・・・

思い悩むクゥ。しかし、自分や姉の命も危ない今、何を悩むことがあるのだろうか。
舞い落ちる羽根もそう語り掛けてきてくれる。

やらなくてはいけないことはひとつしかないはず・・・
それをしないのは、そうすることが過ちだったら――怖いから?
それでも、やるべきことはひとつしかない。
たとえそれが誰かを敵に回すことだとしても。あなた自身に破滅をもたらすことだとしても。
あなたはきっと後悔しない。あなたはあなたを裏切らない。
あなたの選んだ道は、あなたにとって何より正しい

自分で選択し、行動する。それが何より正しいと言ってくれるのですねこの天使様は。
どうやら羽根を通じて天使が直接クゥに話しかけてきている様子。
むう?そうなるとやはり騎士殺しの剣を納めていた入れ物に詰まっていた羽根はこの天使のものなのか?
演出に使われただけで別に羽根を通じて話しかけているわけではないのかもしれないが。

ところでこの天使の登場場面、さりげなくキャラがいっぱいいますな
ロゼちゃんらしき姿もあるが他にも5人はいる。なんとなく全員女の子っぽく見えるのが気になる所。
女の騎士は手元に置いておくという天使の方針なのか!?いやオデットや白髪鬼ちゃんは外に出てるしな。

それはさておき、天使の声を耳にし、クゥの覚悟も決まった様子。

僕の――選んだ道――・・・
パティさんは僕を討つかな・・・それでも僕のやるべきことはひとつしかない。
『力』を使う!!!『闘剣 四ツ裂キ』!!

さっそくの必殺技でドミニウラの右腕を切り落とし、残りの四肢も切り裂く。
いきなりの『騎士』の登場に驚くパティさんとマー・フォン。
後ろから切りつけようと動くマー・フォンであったが、満身創痍の身体ではなんともなるまい。
四本の触手剣によって体と足を裂かれて倒れ伏す。
よくみると触手剣の1本が騎士殺しの剣をガキィっと受け止めてますな。
剣の状態に変質しているから騎士殺しの剣であっても斬られないということなのだろうか?

ともかく騎士クゥバンテの力で危機を脱することはできた。
そしてやはり血を失っているのか短時間の変身で限界が来て倒れるクゥ。
さてさて、騎士に救われる形となったパティさんの心境はいかがなものか。

騎士・・・ならば、どうして私を助けた・・・?
人間の天敵である騎士が・・・討つべき存在である騎士が。
クゥ君・・・ノイエさんが私に聞いたあれは・・・クゥ君のために知りたかったの・・・?
2人の旅の目的はそのため・・・?
そんな騎士がいるなんて・・・こんな騎士がいるなんて・・・私は・・・どうしたらいい・・・?

さすがにこういうケースは初めてだったらしく戸惑うパティさん。
しかしどうやら事態はよりややこしい方に動き出す様子。
落ちついたと思った砦内だが、いきなり壁が外側から爆発する。いや、何者かが壁を蹴りぬいたのだ!!

パティ。無茶しちゃあダメじゃない。あなた弱いんだから

そういいながら現れたのは褐色の巨乳美女
なんとも雅な格好をしておりますがその足は両方とも義足のように見える。
はたまた火力がでるようなギミック装備の足なのか。ともかく足クセの悪そうなキャラである。

この褐色巨乳美女が騎士討伐隊の副隊長
南西領山岳の監視所から『騎士出現』との伝書が届いて動き出したらしい。ああ、シイドが暴れた結果か。
副隊長の他に2人の討伐隊。マスクの男と大人しそう、というか不愛想な感じの少女。
この3人はこの辺りが担当地域となっているらしい。
騎士の捜索中に何者かが争った跡を発見し、そのうちの1つがパティさんの靴跡だった。
放っておけないと辿ってみたらここに行きついたという話だそうな。

心配してたんだけど・・・よくやったわパティ。
『騎士』を2体もやっつけちゃったのね

ゲー!クゥが騎士だってバレてるー!!
壁破る前に変身解いてたから大丈夫と思ったのだが、どうやらそういうわけにはいかない様子。
実は白髪鬼ちゃんの上半身と下半身で2体とかそういう話は・・・ないよな。さすがに。

王国軍第13師団騎士討伐隊副隊長ケイナ・イシュタルの名において――その騎士――確保!!ガッチャ☆

吹き出しまで星にしてのガッチャ。なんというかノリノリだなこのおねーさん。

まさかの討伐隊副隊長の登場。
天使のところにキャラが増えたと思ったら討伐隊も一気に顔見せ。
そしてこの場で成敗という流れではなく確保という判断。
この後は討伐隊の本部に連れて行かれるのだろうか?そうなると隊長とかも出てくる?
意外と赤毛のワイズマンに出会う近道となるかもしれないが・・・はてさて。

パティさんは騎士討伐隊の中では思ったよりも下っ端だった様子。
本当、先々週までは凄く強かったのになぁ・・・
騎士の知識もそこまでは無い様子だが、ケイナさんたちは騎士から人間に戻す方法に心当たりとかあるのかねぇ。
その辺も次回に聞かされることとなるのかもしれない。
場合によっては騎士討伐に加わる騎士という位置づけで第13師団に加入するという流れもあるかも。
そうなると白髪鬼ちゃんの扱いがどうなるのか・・・気になるなぁ。斬られた下半身をどうするかも含めて気になる。



第28話 落雷 〜天使は泣いたり笑ったり〜  (2013年 28号)


突如現れた騎士討伐隊に確保。ガッチャされたクゥたち。
どうなるのかと思いきや、ノイエさんも一緒に馬車に乗ってのんびりと街道を進んでいます。
副隊長のケイナさん曰く、パティに刃を向けた賞金首は敵である。
逆にパティを助けてくれたあんたたちは素性はどうあれ丁寧な扱いをされている様子。ほほう。

まずはお茶でもご一緒したいね。

と、馬車の中でティータイムとしゃれ込む面々。
まあクゥは気絶したままですし、白髪鬼ちゃんも半分の状態で木箱に収まっているのでお茶会には参加できないのですが。
むう、白髪鬼ちゃんの下半身は打ち捨てられているのか・・・?

ノイエさん。副隊長は見た目ほど性格悪くないですよ。安心してください

ゴニョオオと耳打ちするパティさん。声大きいよ!!めっさ聞かれてるよ!!
相変わらずパティさんは思ったことを黙っていられない性質であるらしい。

しかしまあ、お茶よりも今は自分たちがどうなってしまうのかが気になってしょうがないノイエさん。
自分が、というよりはクゥがどうなってしまうのか、ですな。
騎士討伐隊の本分として『騎士』は殺す。そう決まっている。
のだが、どうやらケイナさんも『人間の味方をする騎士』は聞いたこともない様子。
じっくりと調べる必要があるので今殺すようなことはしないらしい。

だから海の都まで一緒に旅よ♪仲良くしましょーね

場を和ませるためかウィンクしたり舌を出してみたりするケイナさん。
あまり無理しなくてもいいんですよと思わず言ってしまいそうになるが、言ったら蹴られそうですな。

元々の目的地であった海の都。そこには討伐隊の基地があるらしい。
ははぁ、パティさんも基地に帰るために歩いていたんですな。
このまま何事も無ければ無事に目的地にたどり着くことはできそうである。
が、目的であった人間に戻る方法はないと断言されてしまっている。

もうこの旅に意味なんかない・・・どこかを目指す――あてもない。

沈んだ様子のノイエさん。うーむ、少し諦めが早い気もしますなぁ。
まあ、狭い村で生きてきた子ですし、世界の広大さ、摩訶不思議さはまだ認識できていないのかもしれませんな。

さて、そうやって討伐隊に連れて行かれるクゥ。
その状況を遠くから眺めて嘆いている天使。めそめそめそ。
そんな様子を天使によって生み出されたらしき騎士たちが見守っている。

「母上・・・」「お母さま・・・」「母ちゃん泣いてるッ」「オカン・・・」

お前ら呼び名ぐらい統一しろよ。というか締めのオカンがなんともいえない可笑しさで吹き出す。
それはともかく、天使様はクゥが『王国』の者の手におちたのがとても悲しい様子。

『王国』・・・病原菌のように増殖した、大地を蝕むおぞましき群体・・・
その中にクゥが・・・取り込まれてしまったわ・・・このままじゃ私のクゥが汚されちゃう・・・!!

その表現はいかがなものなんでしょうか。オカンらしいようでらしくない発言に聞こえる。
ともかく、そんなに心配なら誰かに助け出させましょうと言い出すロゼちゃん。だが・・・

それはダメよ。私はかわいいクゥを見守りたいんだもの

笑顔でそんなことを述べる天使様。
なんですかそれは。可愛い子には旅させよみたいな話なんですか?悲しいけど苦労はさせたいと?
それとも実は本当に汚されるのを楽しみにしているとかそういう話だったり・・・ゆ、歪んでる!!
母上がまた変なこと言ってると衝撃を受けているロゼちゃん。大変だなぁ。

しかし・・・王国の連中がクゥちゃんの命を奪うとも限りません。
半人前とはいえクゥちゃんもお母さまの胎から産まれし子・・・
同じくお母さまの胎より生まれし・・・私たちみなの弟!!
誇り高き騎士は騎士同士の果し合いで死ぬことはあっても・・・人間などという低俗な野獣に命を奪われてはならない。
目障りなあの『討伐隊』を潰し・・・取り戻りましょうか・・・クゥちゃん。それと体半分にされたサラちゃんを。
いっそ・・・今から現存する同胞、全騎士全兄弟全勢力で――王国を、全人類を滅ぼしきってもよろしいかと・・・

そんなことを述べだすメイドのような恰好をしたお姉さん。
ふむ。白髪鬼ちゃんの名前はサラちゃんいいましたのか。
ちゃん付けするということは、このお姉さんはサラちゃんよりも長生きしてるということなのだろうか?
現存している騎士はどれくらいいますのかねぇ?
天使様が言うには人間を滅ぼしきるにはまだ騎士の数が足らないかもしれないとのこと。そうなのか?
一騎当千の力を持ってそうな騎士が少なくとも10人以上はいると思うのだが・・・

じゃあクゥたちはどうするのか。呑気な感じの顔で考え込む天使様。
と思いきや、なにやらにんまりしだす。

・・・あら?あの子が何かするつもりみたいね・・・
何をするのかわからないけどまかせてみようかな?面白そうだわ・・・

ちょっと悪そうな笑いを見せている天使様。
うーむ、ただのハシャギすぎなオカンなのかとも思ったが、微妙に読めない方でありますなぁ。
まあ、言っていることは人類皆殺しという凶悪な内容ですし、気楽なキャラじゃいけないはずなんですよね。本来は。
ボン・ボヤージュやら何やらですっかりアレな方という認識になっちゃいましたが。

さて、ノイエさんは旅の目的をケイナさんに話している。
海の都で赤毛のワイズマンに会おうとしていたことを。
するとケイナさん。あのイカレ学者なら私たちよりも騎士について詳しいだろうし、他の誰も知らない秘密を知っているかもと言い出す。
なるほど。もしかしたら人間に戻すというとんでもない方法も掴んでいる可能性があると?
ふむ、ノイエさんも旅を諦めずに済みそうな話でありますな。希望はまだある・・・!!

ういーんがしゃん。ういーん

マジメな話をしていたらいきなりケイナさんの隣で大人しくしていた少女――フルワナちゃんが稼働しだした。
なんだこの子は?サイボーグなのか?口で稼働音だしてるだけだけども。
だがどうやらその能力は感知能力、探査能力に長けたものであるらしい。
熱源高速接近中。上空3000メートル南南西ノ方角。何カガ向カッテ来マス。とのこと。予測到達時間7秒後。

フルワナちゃんの警告を受けて御者をしていたマスク男――イクシィが前方を確認する。
特に何も見当たらない。と思いきや物凄い速さで飛行物体が上空を通過する。
なんだこれは!?ステルス戦闘機!?いや、それっぽく見えるだけの何かだ。
そしてその何かから切り離されたものが落下してくる。その生体反応パターンは・・・騎士。そう、シイドだ!!

よう・・・久しぶりだなノイエ。
クゥを奪いに来た

堂々と宣言するシイド。おやおやここでやって来ますか。
飛行物体はエクセルかオデットの能力なのだろうか?
マントを広げて大きく飛ばしただけのようにも見えなくはないが・・・
ともかく、ここでシイドが現れるとはどういうことなのだろうか?
あなた前に、あいつはいずれこっち側へ来る・・・俺の元へなとか言ってたじゃないですか。
何ですか?来るはずの子が来ないからプンプンしながら迎えに来たとかそういうツンデレ的なアレなんですか?
何というか、奪いに来たという言葉が似合いすぎて困る。

討伐隊が副隊長も含めて4人もいる状態でやってきたシイド。
しかしこの様子を見ると、シイドの方が余裕を持ってて格上に感じられるのは如何したことか。
シイドの騎士としてのランクも気になる所である。
果たして討伐隊は無事に済むのか。クゥは奪われてしまうのか。何やら色々と気になる展開になってきましたな。
シイドの強さを見せる流れでイクシィさんが普通に殺されるんじゃないかと心配でなりません!!



第29話 掠奪 〜道断つ鋒〜  (2013年 29号)


全てを破壊する『収穫の進軍(ハーベストマーチ)』を行っているはずのシイドが目の前にやってきた。
目的はもちろんクゥ。おやおや、別れてまだそんなに日も経ってないのにもう収穫ですかね?

ノイエさんと話しているシイド。その間に解析を開始するフルワナちゃん。

――照合。監視所からの情報と合致。
現時点最優先討伐目標――手配対象A級騎士『シイド・クレイヴン』

ガッチャ☆探してたよ。坊や

やはりシイドはA級でありましたか。
闘剣も使えますし、雷を放つなどの特殊能力を有したりしておりますからねぇ。
そしてケイナさんたちはこのシイドを討伐するために散策をしていた様子。
A級騎士と分かりながら戦う力があるということか・・・!!

フルワナ。イクシィ。速攻だよッ。

副隊長の指示を受け、マスクの飛び出している部分を捻ったり、手首をガチャッと開いたりする2人。ういーん。
フルワナちゃん、喋り方だけじゃなく本当に改造人間みたいであるな。

まずはケイナさんの飛び蹴り。
シイドがそれを受け止めているうちに素早く懐に潜り込んだイクシィが胴への掌打を決めて吹き飛ばす・
一撃で騎士が血を吹くほどの一撃である。重そうですな。
そして崖に叩きつけられたシイドに加えられるのは、フルワナちゃんの腕から伸びたレーザーブレード

まさか人間側の方でこんな武器が飛び出してくるとは思いませんでした。
これが本物の騎士討伐隊・・・どっちが騎士だかわからないぐらいでありますな。
そりゃシイドにもそんな化物じみた力を持ってるくせに人間側とは笑わせるとか言われちゃうわけだ。

一連の攻撃を受けてもほぼ無傷なシイド。
まあ、これもケイナさんの想定内。A級騎士がこの程度でやられるはずもないということか。

改めて対峙するシイドと討伐隊。
と思いきや、シイドの視線はクゥへと向けられている。やたらと優しい視線を向けているのが気になるというかなんというか。

クゥ・・・お前はまだそこに居るのか。
今気を失っているのは・・・力の使いすぎか?それとも使い所をしくじったか?
・・・ともかくきっと・・・ノイエのためだったんだろうな・・・
わかるか?ノイエ。
お前にはもうクゥを守ることはできない・・・ノイエ。
いずれ必ずおまえがクゥを殺しちまう

まあ確かにクゥが変身するのは大体ノイエさんが危急の時が多いですね。
いや、自身も危急の時が多いですから、必ずしもそうとは言えないのでしょうが・・・それでも言葉につまるノイエさん。

そうやって話しているシイドに並んで向かっていく討伐隊の3人。
フルワナちゃんは両手からレーザーブレードを出して完全な戦闘態勢。
なのだが、本気の戦闘形態を見せたシイドの前には一蹴されるしかなかったりする。

討伐隊・・・今回はお前らに用は無い・・・
『闘剣』『黒帝ノ鋒』

吹き出す雷が3人を襲い、一気に行動不能とする。
うーむ、機械処理を施しているであろう3人に雷は一番の難敵でありますね。
監視所の報告で雷を操ることはわかっていたでしょうに、耐電処理とかしておかないからー。

殺さん。何も出来ずはいつくばって生きのびたと恥でも喰らえ。

相変わらずシイドは偉ぶってない人間には優しいというかどうでもいい扱いをするというか。
この場は命を繋げれたみたいでよかったよかった。
全身がまだ痛いパティさんも弱い雷で行動不能にさせられる。
これで姉弟を守る者はいなくなりました。

・・・ほらな。ノイエ。
お前はちっとも守れない・・・そうやってクゥを抱きしめているのはなんのためだ?

なんのためだ?と問われたならば、ノイエさんはこう返すしかない。

ノイエ「大切な弟だから。大好きなクゥだから。死んでも離したくない
シイド「酷い。身勝手な女だ・・・

確かにノイエさんが述べるのは自身の理由である。
でも正直な気持ちでありましょうな。身勝手と言われてもそれが本当の気持ちだから仕方がない。
クゥとしてもそれは有難い気持ちなのでありましょうが・・・

お前はもう・・・クゥから離れろ

まるで弟離れを促す父親のような発言をするシイド。
放った雷は姉弟の乗る馬車を焼き払う。
が、乗っていたノイエさんは無傷。どうやら脅しで放った雷のようですな。馬は死んじゃってるけど・・・
というか、上半身だけになってた白髪鬼ちゃんは!?サラちゃんはどうなったの!?
よく見たら黒焦げになった箱の中に頭らしきものが描かれている。これは・・・助かっている・・・のか?

討伐隊の面々が気を取り戻した時、そこにいたのは呆然と座り込むノイエさん1人の姿のみ。クゥはどこにもいない。
そう、クゥはノイエさんではなくシイドに抱きかかえられて空を飛んでいた。
現れた時は布の変形かと思われた飛行物体だが、今回はハッキリとステルス機のような硬さを見せている飛行物体。
そのアームに掴んでもらっているシイド。この飛行物体はやはりエクトルかオデットの騎士形態なのだろうか。

クゥ・・・今のお前ならもう・・・わかるはずだ。
自分の居場所が・・・正しい道が。俺と共に居るべきだということがな・・・

ホクホク顔でそんなことを述べるシイド。
まさしく言葉通り姉のもとから奪ってきてやったぜって感じでありますね。
花嫁でも強奪してきたかのようである。うむ、シャレにならん例え方だなこれは。

さてはてシイドはどこへ向かうのか。
目覚めたクゥは姉と引き離されて何を思うのか。
残されたノイエさんはシイドに言われたことについてどう考えるのか。
この三角関係の行きつく先がどうなるのか・・・気になる所ですな。
どこに落ち着いても歪な感じになるのが何とも言えない三角関係である。うーむ、厄い。



第30話 傷痕 〜刻まれた運命〜  (2013年 30号)


クゥをシイドに連れ去られたノイエさん。
呆然と座り込みながら、シイドが村にやって来た時のことを思い返す。

クゥはまだ生まれておらず、私は5歳。
その父子は2人きりで長い旅を続けていたらしい・・・
詳しいことは村長さんしか知らないけれど、2人はその日から村の一員になった。
村長さんにお礼を言っている父親の優しそうな泣き顔が印象的で・・・
その父親の背中に・・・支えるような頼るような小さな手を添えていたのが・・・
彼――シイド・クレイヴンだった

ふむ。流れてきたシイドたち親子を温かく迎えてあげたとかそういう話ですかね。
さすが村長。お優しい。
受け入れたことによって村に悲劇がもたらされることとなったが、それはそれ。滅びてはいないしノーカンで。

シイドの放電で気絶させられていたケイナさんたちも復活。
フルワナちゃんとか機械部分多そうなんだが、電撃受けても立ち直れますのかね?
少なくとも馬とキセルは消失したらしく、移動手段が亡くなってしまい迷惑な状態。
ん?白髪鬼ちゃんの入っていた箱はどこに行ってしまったんだ?

それはさておき、ノイエさん。クゥはシイドに連れて行かれたと語る。
あっさり渡したと言うケイナさんに対しノイエさん。私には止められなかったのだと返す。
ふむ、どうやらシイドの言葉は思ったよりノイエさんに響いていたようですな。
抵抗らしい抵抗もせずに連れ去られるのを見ていたと・・・ふうむ。

泣きじゃくるノイエさん。やれやれまいったねぇ。

一方、クゥを抱えてほくほく顔のシイド
その帰りを待つエクトル。お、エクトルが待っているということは、この飛行物体はオデットか

思った通り、ステルス戦闘機が見る見るうちに少女の姿へと戻っていく。
戦闘機の姿の大部分は伸ばした髪で形成されていた様子ですな。
少女の姿に戻ったオデットはお腹すいたとバタンキュー。おへそ出してはしたないですなぁ。
というか、やけに可愛い格好してるじゃないですかオデット。どこで手に入れたんだその服。

エクトルに抱きかかえられて、はなしてと抵抗するオデット。
相変わらず難しい年頃の娘を持った父親のような感じですなぁ。まだ若いだろうに。

ともあれ、うまくクゥを連れてきたシイド。満足した様子で眠りにつく。
そのシイドを見て、俺たちの大将は何を考えているかサッパリわからんと悩むエクトル。

・・・昔から・・・こうだっただろうか・・・?

10年前。
シイドが村に来た頃を思い返すエクトル。
同い年の友達が出来ると思い、嬉しそうにシイドに話しかける。
その頃のシイドは今のように自信に満ちた目ではなく、かわりに怯えたようなものを満たしていたそうな。
親父さんを手助けするために村の手伝いも一生懸命やっていたが上手くいかない。
ふむ。まるでクゥのようでありますね。今のシイドからは想像もつかない話でありますなぁ・・・
そしてやはりここでの村長もお優しい。本当、村長の優しさは留まるところを知りませんで!!

そんなシイドが変わったのは・・ああ――
赤毛のワイズマンと禁じの森へ入った親父さんが・・・あの大イノシシに喰われて亡くなってからだ。
2人の後を追ってついてきたシイドはそれを見ていたのか、何があったのか・・・
暗くなってからワイズマンに手をひかれ森から戻ってきたシイドは・・・絶望の表情に彩られていた。

ふむ。右目の巨大な傷痕はこの時につけられたものであるようですな。
そして、シイドと共に村へと帰還したワイズマンはこう述べる。

私もシイド君もクレイヴンさんに助けてもらったんだ。クレイヴンさんはとても勇敢で誠実な方だったよ。
死んでしまったけれどね

笑顔でそう語るワイズマン。なんだこいつ・・・危ない!全くすまなそうにもしていないですし。
これはやはりシイドの父はワイズマンが天使の胎へとたどり着くための犠牲になったということなのだろうか。
それと同じことを村の子供に仕掛けたと・・・?

ああ・・・その日以来だ・・・シイドの目から一切の怯えが消えた

極限にまで開ききった目でワイズマンを見据えるシイド。
大好きだった父を失い、その失う原因となった男がのうのうと語る姿を見ていたらなぁ・・・怯えている暇もなくなろうて。

そうしてすっかり凶暴となり、大人を信用しなくなったシイド。
ふむ。大人なんて信用ならねーぜと悪ガキを集めて盗んだ牛で原っぱを走り回ったりしてたりしたんですな。
エクトルはそんなシイドにずっとついていっている。
仲間を平気で踏み台にできる冷酷さ。それをもうらやましいと感じるエクトル。
きっとそれはお前にとって正しいことなんだろ?と全肯定の姿勢を見せています。うーむ、なんという信奉者。

なあ・・・シイド・・・お前がもう少し器用だったら
あとほんの少し世界が優しかったらなんて、俺はまだそんなことを考えているよ。

寄り添うようにして眠るシイドとクゥ。
ふうむ。世界がもう少し優しければ、平和な村でこの光景がありえたのかもしれないのですな。
姉から大切な弟を連れ去り、父の生きている自宅で寄り添うようにして眠るシイドの姿とかあったに違いない。
む?やっていることが今と全然変わらない気がするのは何故だ!?

まあ、ともかく。
シイドがクゥに目をかけているのは昔の自分に似ているからなんですかね。
自分が抱えていた憎しみのことは自分がよく分かっている。だからクゥは自分についてくる。そんな考えであると。
そ、そうなるとあと数年もしたらクゥもムキムキになったりしちゃうとかそんな恐ろしい話が・・・!?
いや、そうならないためにシイドはクゥを騎士にしたのかもしれない。
騎士にしたならば見た目の変化もそこで止まることとなる。皆にとって嬉しい話となるわけだ。なるほどなー。

さて、クゥが目覚めたとき、側にいるシイドを見て何を思うのだろうか。
姉に抱かれて眠っているのかと思ったら、実はシイドでしたとか驚きの展開である。
ヒロインであるならば、朝一の怒声でベッドから叩き落とす流れが正常なのであろうが・・・ジャンルが違うな!!
ノイエさんの今後の行動も含め、姉弟の葛藤が気になる所です。
思った以上にヤバそうな赤毛のワイズマンの存在も気になりますなぁ。



第31話 野望 〜始まりの日のように〜  (2013年 31号)


芽は出たか?
私の蒔いた種は芽吹いただろうか?
進化の種は、芽を

海の見える崖で物思いにふけるのは物語の重要人物、赤毛のワイズマン。
進化の重要な地である母なる海を見ながらというのはなかなか哲学的ですね。

しかしなんというか・・・この男こそが色々と元凶なんじゃないかと思えてくるモノローグである。
シイドが騎士になるべく動いたのも全て想定通りだったということなのだろうか?

そのシイド。目覚めたクゥに早速攻撃されている。
さすがに起きたときにいきなり横に寝ているのが男では驚き攻撃もされたりしますわな。

目覚めるなり攻撃か・・・久し振りなのに。ずいぶんだなクゥ

なんというか、なんだろうこのシイドの表情は。
余裕の表情でもなく悲しそうな微笑ましげな感じな様なまろやかな表情。
ずいぶんな表情じゃないですか。どう形容すればいいか分からないよ!!

寝ている間に動きを封じるなりしておけばよかったんだとエクトル。
しかしシイド。クゥが暴れたってどうってことないからなと余裕の構え。
それを示すかのように、騎士形態で暴れるクゥに対し闘剣も出さず軽くあしらうシイド。まあ、クゥも闘剣は出していないか。
だからといって触手を噛みついて受け止めるというのはどうなのだろうか。ワイルドな奴だ。

とりあえずクゥを落ち着かせるシイド。
クゥとしてもここがどこでノイエさんが今どうなってるのかはよく把握していない。
現状を把握する必要はある。
いや、そもそも闘うにしてもまず変身が長続きしない。
人間の賞金稼ぎくらいなら短時間の変身でもなんとかなるが、騎士相手では今のクゥの変身時間は心もとない。
一晩休んだけれどもそれだけでは血は回復しきらず、倒れそうになるクゥであった。

・・・なぁクゥ。
お前がそんなことを繰り返してばかりで、ノイエを本当に守り続けてやれるか?

まあそうですな。これではまた昔のように守られている時間が長いことになってしまう。
しかしシイド、なかなか説得の仕方を心得ておりますなぁ。
ノイエさんに対して言ったこととはまた違う切り口で迫っておるわ。

シイドは言う。ノイエさんは今は王国の連中と一緒にいる、と。
お前と2人で旅をするよりは安全な連中だ。俺が何を言いたいかわかるか?クゥ。

ノイエを大事に想うなら、お前はこのままノイエと別れるべきだ

ああなるほど。ケイナさんたちを殺さずに置いたのはノイエさんを預けるという理由もあったわけですね。
ノイエさん自身を思って――というよりも、クゥを安心させるための措置を取ったわけだ。
なるほどなー。こうすればクゥは自分の所に留まってくれるはずだと考えたわけですな。なるほどなー。
そして心配そうな表情で説得を開始するシイド。

お前は弱いんだ。弱いが『騎士』だ。戦いを避けられぬ存在だ。
そのお前がノイエを守りながら自分も守りながら旅をして、戦い続けて生きてゆけるか?

当初は俺と同じような闇を抱えているから強くなると言っていたシイド。
今ではクゥは弱いから庇護しないといけないみたいな口調でいる。
なんですかね。やはりクゥが強いとか弱いとか関係なく、クゥだから手元に置きたいってことなんですかね?
まあそういう事なんだろうとは最初から思ってましたが。
ともかく、そんな風に騎士としてのこれからの生き方を解くシイドの姿を褒める存在がある。

あら?あらら。シイドくんいいですねー。とてもいいですねー

やたらと呑気な声をあげる天使様。
天使としてもシイドは言うことを聞かないきかん坊で困った存在であったとのこと。
ふうむ、ヤンチャな息子って感じでありますか。
そのヤンチャな息子がクゥを人間であるノイエさんから遠ざけようとしている。天使としてはそれが嬉しい様子。
この天使も子供にかける愛情に色々と差があるような・・・ダメな子ほど可愛いという感情なのか?
いや、可愛い子ほど可愛いという感情なのかもしれない。まあ、分かるといえば分かるか・・・

騎士の1人が問う。半騎士半人間のクゥはもう本当の騎士にはなれないのか?と。

なれるわよ。『天使の胎』に戻って、もう一度産まれ直せば・・・

ふむ。やはり天使の胎はかなりの数があるんですな。
そして天使は大地に繋がるような姿を見せている。
ふーむ。各地の天使の胎から直接天使のもとに流れてきて、騎士へと生まれ変わるプロセスなのだろうか。

シイドくんがクゥをもう一度私の元へ導いてくれたら・・・
クゥは今度こそ本物の騎士となり、今度こそ本当に私の子となる・・・!!
その調子でがんばって――・・・

嬉しそうな天使様。やれやれですな本当に。
まあシイドとしても不完全な騎士でいられるとクゥの体が危ういと考えるだろうし、再び天使の胎に入れるのはアリと考えるかな。

クゥ。俺がお前を連れて天使の胎へ行った日に教えてやったな。
俺の野望にはお前の力が必要になるんだ。死んでもらっては困る・・・
だからもう――ノイエとの旅はやめろ。
そして俺と居ろ。強くなるために。
今すぐノイエの元へ戻りたければ好きにしろ・・・だがこのまま旅を続ければ――きっとノイエは命を落とすぞ。

ふうむ。ここでもシイドは野望のためにお前の力が必要だと言っている。
クゥが強くなるという確信があるということなのか?
それともクゥがいることで自分はますます強くなれるという意味で言っているのか?
愛の力は偉大なのだと主張したいのだろうか。とてもいいですねーシイドくん。

姉さんを守れるように強くなれる?というクゥの問いに肯定するシイド。
しかし俺がお前を強くしたいのはノイエのためじゃないとも述べる。

俺とお前で王国をぶッ潰し、『天使』とかいう支配者気取りをぶちのめすためだ
俺についてくるかノイエの元へ戻るか・・・選ぶのは・・・お前自身だ。

選択を迫るシイド。
それはさておき、シイドの目的を聞いて驚愕の色を隠せない天使様。あらあら。
とてもいいですねーとか言っている場合じゃありませんでしたな。
このままでは愛しいクゥと一緒に反乱分子として襲い掛かってくることとなってしまう!!
これを聞いた天使はどのような行動に出るのか・・・

まあ、シイドならそういう行動に出るんじゃないかとは思っていた。
力を与えてくれた存在とはいえ、結局誰かに支配され縛られるのなんてゴメンだと思うでしょうしね。
しかしそのシイドの考えもひょっとしたらあのワイズマンに誘導されたものであるのかもしれない。
そう考えると、やはりワイズマンの考えが知りたいところであるのだが・・・
単なる学術的興味、知的好奇心を満たしたい変人の可能性が高そうなのが怖いところですな。



第32話 選択 〜あなたに、言葉と剣と愛を。〜  (2013年 32号)


禁じの森へ赤毛のワイズマンを案内し、死亡したシイドの父。
村人は残されたシイドを腫れもののように扱っている。
うーむ。村長さんはいい人なのに村人はやはり閉鎖的というかなんというか・・・よろしくないですなぁ。
まだテレシアちゃんはツマサキ制裁のできる年齢じゃないだろうし、この雰囲気も是正は出来ないか。

降りしきる雨の中、父の墓を前で黄昏るシイド。
そのシイドに近寄るのは友人であるエクトル。
これからどうすると尋ねるエクトルにシイドは森の奥で見つけたんだよと語り出す。

森の奥にな・・・あるんだよ・・・どん底から昇り上がるためのハシゴが。
いつか俺はあそこへ行く・・・昇る。
そこで何かが手に入るなら。そうしてどん底から抜け出せるなら。俺はそうする。
失うものは、もう何もない。例えばもしこれ以上何かを捨てなきゃいけなくなるとして、這い上がるためになら全部捨てる

幼い身でありながらここまでの覚悟を決めるとは・・・
放浪の身でシイドの心の中には闇が巣食い、定住した先でもそれが晴れることはなく、父の死で発芽した感じであるか。

・・・エクトル。お前は俺のただひとりの友だちだ・・・ただひとりの味方だ・・・
でも捨てる。いつかその時が・・・来たら。

全部捨てるとはそういうことなんでしょうな。
であるにしても、それをハッキリと当人に聞かせるとは凄い話である。
しかしそう宣言されたエクトルは――

ああ・・・いいよ・・・捨ててくれ。
用があれば使って・・・捨ててくれ・・・お前がそうしてどこかから抜け出せるなら・・・
だけど俺は勝手について行くよシイド・・・友だちだからな

そんな子供の頃の宣言。それを見事に果たし、ついてきているのがエクトルという男である。あら、いい話じゃない!!
しかしシイド。宣言の通りエクトルにも構わずに天使の胎を目指して走っていた。
けれど、クゥだけは大事に抱えていたんですよねぇ。全部捨てる宣言とは何だったのか・・・!?
そして、さらに今のクゥへ向けてこんなことを言いだす。

王国をぶっ潰して、天使とかいう支配者気取りをぶちのめす・・・
権力を当たり前に振りかざす連中と俺は戦う――
あの村で最も弱かった昔の俺自身と・・・お前のために俺は戦う

お前のために俺は戦う!!
半裸の男が半裸の男の子に宣言するこのページの破壊力はなかなかに高い
言われたクゥの方もさすがに心に響いたかのような表情をしておりますぜ。

俺たちはそのための力を手にしている・・・
なあクゥ・・・このままノイエの元へ戻ってもノイエを危険にさらすだけだぞ・・・
俺とこのまま・・・一緒に来ないか?
クゥバンテ。選べ――

クゥの前に跪き、手を差し伸べるシイド。
まるでお姫様に対する騎士のようでありますね。
なんというかなんというか。シイドが本当幸せそうというかノリノリでたまらない。

結局クゥはそのシイドの手を取ったのだろうか。
それはわからないが、少なくともシイドと行動を共にするようにはなった様子。
そして3か月後

王国軍南西領基地(第13師団騎士討伐隊駐屯地)。
この一室に騎士討伐隊の面々が勢ぞろいしている。
どうやらこれから会議を行うようだ。会議の内容は街へ接近している『騎士団』について。
その『騎士団』という単語に取り乱した様子を見せるのはノイエさん。
おや、髪型が変わってますな。ふむ、こちらの方がよろしい感じはある。
というのはさておき、騎士討伐隊と共にいるフロストという名の先生は述べる。ノイエさんが探す彼も『騎士団』にいると。

シイド・クレイヴンの『騎士団』による『収穫の進軍』の中心に『四ツ裂キの騎士』クゥバンテ・レンドルフは・・・いる・・・

クゥもまた収穫の進軍・・・ハーベストマーチを行ってきていた様子。
そしてシイドの騎士団。いつの間にか多数を率いる身となったシイド。
後ろを歩くフードの連中は全員騎士なのだろうか・・・?
こりゃ本気で王国ぐらい潰せてしまいそうな勢いの人数でありますが・・・討伐隊より多いぞ!!

道を違えたクゥとノイエさんが出会う。
騎士団と騎士討伐隊が正面切って邂逅しようとしている。
大きな話となりそうでありますが・・・次回で最終回であります
うーむ。激動したからこそ最終回ということなのだろうが・・・惜しい。
この展開からさらに色んな話を見たかったものであるのだが・・・・・・!!
とりあえずは最後まで待ち、読み終えることといたしましょう。



最終話 約束 〜いつか、きっと〜  (2013年 33号)


小さな世界にいつのまにか2人きりだった。
姉さんがお母さんのように、お父さんのように、僕を育ててくれて守ってくれて。
ずっと。だから。僕は――世界でいちばん――

シイド率いる騎士たちの群れ・・・『騎士団』は街の手前でその歩みを止めている。
討伐隊は緊張の面持ちでそれを見ているが、どうやら1時間以上そこから動き出す様子はないらしい。
ふむ?一体どうしたのでしょうか。

騎士団には筆頭である黒帝のシイド・クレイヴンの他にも有名な騎士が徒党を組んでいる。
『最長老騎士』聖セルギウス『冥府の女王』シャクティ
この3人とその眷属が揃い、結集したのが『騎士団』であるという。
王国軍はこの騎士団により3か月間で50以上の部隊を失ったそうな。ふむ・・・

援軍が到着したらむしろこちらから攻め込むと述べる討伐隊の隊長。
パティさんとしてはクゥと戦うことになるのかと重い気持ち。
と思いきや、よくみると騎士団の中にクゥの姿がない。おや。これはまさか・・・

どうやらクゥは単身街へと入り込んでいる様子。
シイドたちは外で帰りを待っている流れでありますか。

シイドや・・・クゥ様はいったいどこへ行ったのですか。我らの手助けは要らぬことなのですか?

何故かクゥを様付けして呼ぶシャクティさん。
冥府の女王という大仰な呼ばれ方をしているようだが・・・可愛い子には弱かったということなのか!?
この3か月の間に何があったのか気になります。

さて、街に入り込んだクゥ。
普通にしていれば騎士も普通の人間と見分けはつかない。
騒ぎになることもなく入り込めているが、ノイエさんを探すのに苦労している様子。
そうやって街を彷徨うクゥを見つけたのはメイドの格好をした女性。
クゥをあかちゃんと呼ぶその女性は・・・白髪鬼――サラちゃんじゃないか!!

シイドに馬車を焼き払われ、そのままフェードアウトしたのかと思われたサラちゃんが生きていた!!
それどころか何だか普通に働いている!?嬉しくもあり、なかなか戸惑う事実。これは一体・・・

ノイエさんはフロスト先生のところで働きながら騎士団とクゥについて想いを馳せる。
フロスト先生に、クゥが自分を迎えに来たのではなかろうねと言われてキューンとなっちゃったりしてる。
うーむ。3か月経ってもやっぱり相変わらずな反応でございますな!!

そんなノイエさんのところでサラちゃんの案内を受けてクゥがやってくる。
おやおや。久方ぶりの再会でございますな。
涙の別れをしたというのに、思ったより平和的な再会となった2人。
気の利くフロスト先生は2人っきりにしてあげようと部屋を出ていく。
サラちゃんの体を繋いだりメイド服を着せたりとなかなか出来た先生でございます。やるねぇ。

ともかく久しぶりの再会。
なでなでしたりモゴモゴしたりしているノイエさん。
しかしクゥはまたすぐに行かないと、まだいっしょにはいられないんだと述べる。
ふむ。どうやら迎えに来たというわけではないようですな。

今日はどうしても伝えたいことがあって来たんだ・・・
僕・・・この姿の時にはちゃんと言ってなかったから・・・
世界でいちばん姉さんのことを愛してるって

・・・私もそうよ。クゥバンテ

ふむ。どうやら引き離されての別れではなく、正式な別れを告げるためにやってきたようですな。
いつか必ず迎えに来るという誓いを述べての別れ。それがやり残したことであった様子。
騎士団の方々もそれをクゥにさせるためだけに討伐隊のいる街までやってきていたのだという。いい人らだなぁ。

聖セルギウス「打倒王国。打倒天使・・・志を共にする仲間に気づかいは無用ですよ」
シャクティ「誰ですの?クゥ様は誰と会っていましたの?」

この3か月の間に頼もしくも愉快そうな仲間と一緒になった様子のクゥバンテ。
いやあ、やっぱりクゥのまわりには逞しい体型の女性が寄ってくるものなんですな・・・!!

それはともかく。クゥはシイドたちと共に旅立ち。
これからの戦いの旅は戻ることができる道かはわからない。でもきっと戻ると述べるクゥ。

そして新しい世界で、僕は僕の。姉さんは姉さんのそれぞれの未来へ旅立つ

そう力強く述べるクゥ。
その目にも力強いものが宿っており、しっかりと前を見据えている。ほほう、成長したものですな。
しかしそれぞれの未来へと言いながら後ろのノイエさんが花嫁衣裳なのはどういうことなのでしょうか?
誰かと結ばれる未来を想定しているのか?どういうことだ!?

ともかく。ハーベストマーチはこれにて終了であります。
うーむ。残念な終わり方となってしまいましたねぇ。
姉妹の放浪は終わり、旅立つという段階で終えたわけですが、物語的にはあまり収着した感じはしていない。
天使やワイズマンといった重要人物が出ることもなくの最終回は少し寂しい。
まあ、騎士団といった新しいキャラクターたちによるワクワク感は味わえましたが。
どうせならちらりとでもテレシアちゃんに登場して頂きたかったものでありますね。サラちゃんが生きてたのは嬉しかったけど・・・
その辺りは単行本のオマケに期待するという形になりますかなぁ。

単行本のオマケである私立ハーベスト学園のノリは楽しい。
次回作があるならば、戦闘寄りにはせずにドタバタコメディ寄りの話にした方が纏まりがよくなるかもしれませんな。
まだまだ面白い作品を描いてくれる。そういった期待を込めて――
フクイタクミ先生の次回作に期待しています!!



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