蒼天紳士チャンピオン作品別感想

ウチコミ!!
第25話 〜 最新話


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第25話◎別世界  (2014年 13号)


練習にもほとんど顔を出さずやる気の見えなかった八乙女先生。
しかし選手たちの破竹の快進撃でテンションがアガってきた様子であります。
黄色い声を雪村さんに飛ばす八乙女先生。
一方、他の部員たちは八乙女先生の過去の姿に驚愕しており・・・

フォトショップ?整形?

整形はさておき現実にそこにいるのにフォトショップはあるまい。
リアルで見る相手に補正をかけられるフォトシヨップがあるなら最強すぎる。
まあ単に痩せて化粧とかそういうのを覚えただけなんでしょうな。

ちなみに写真の八乙女先生は東体大のゼッケンを背負っている。
この大学は日本代表選手もいる柔道の名門。そこの選手と言うことはただの経験者という肩書では済ませられないということになる。

真偽を確かめるためにその姿を八乙女先生に見せてみる。その反応は・・・

・・・・・・!!
ななな何それ。そんな黒歴史知らないし

自分の歴史と認めてるじゃないですか。やっぱり間違いなく当人であるようですなぁ。ハハハ。

その事実は面白いが、今は試合中なのでそれどころではない。
相手は立学の中でも強敵。雪村さんが果たしてどこまで渡り合えるかって相手である。
ここは皆で声援を送って少しでも力づけてあげないといけない。ユッキーさんファイト!!

最初は勝てるとは思えなかった雪村さんであるが、今のところ八乙女先生の決めたオーダーで2連勝している。
そしてその八乙女先生から的確なアドバイスを受けた。
さらに春樹の努力と根性でしかどうにもならないことだってあるかもしれないという言葉を思い出す雪村さん。

俺だってやれるはず・・・
残りの試合・・・1年の二人じゃ正直厳しい。俺で決めるんだ。

いい感じに意識が高まっております。
上背があり懐が深く、武蔵原では一番受けが強い雪村さん。じっくり時間をかけて隙を見つけ出したいところであります。

そんな雪村さんに大外刈りを仕掛ける立学の榎。
素早くそれに反応して堪える雪村さん。ここから反撃・・・と行きたいのだが・・・!!

一度堪えられた状態から更に強力に力を込めだす榎。
細身ではあるが、その腕力、脚力、全身のバネは凄まじいものがある。
足を後ろに送り、耐えていたはずの雪村さんの体がこの後押しの勢いに負けて後ろへと傾き・・・畳に叩き付けられる!!

流れに乗ることが出来ればひょっとしたら。
その希望を打ち砕くような圧倒的な一本。相手の榎は汗の一つもかいていないという。
これはショックですなぁ。しかしそのショックに更に畳みかけてくる立学の新堂さん。

そんなにショック受けなくていいって。
うちは・・・豊かな経験。恵まれた環境。優秀な仲間。濃密な練習。鬼の指導者。選ばれた才能。
お前らとは世界が違ぇし。俺らそん中でも一番ヤベぇんだから

そのように語る新堂さん。むう、これは・・・結構カッコイイかもしれない。
立学という名門。そのトップを張る連中のヤバさと矜持が見事に伝わってきております。
今まではしてやられたが、この先はどうにもならない。そう思わせる威圧感が感じられる。

実際、その威圧感にアテられて顔を伏せる武蔵原の選手たち。
それを見て紅林。やはり無価値な試合だったかもしれんなと考える。
が、武蔵原の選手全員が消沈したわけではない。
この凄さを見せられながら、拳を握りしめやる気を滾らせている者もいる。そう、レンだ。
それに気付いた紅林。またもや嬉しそうな笑みを見せてくれます。良かったですね!!

「強さ」を前に昂る者。そしてそれを見て猛る者。両者の戦いが迫る!!
いい感じのアオリになっております。さすがに副将の日下部にワンチャンスはない感じか・・・これは仕方がないかね。
今回カッコ良く決めたのに負けたら新堂さんの立場本当にありませんものねぇ。



第26話◎いいね!  (2014年 14号)


真っ向勝負で秒殺。完全粉砕。
連勝でいい流れを引き寄せ、このまま一気にと期待した武蔵原であったが、さすがにそれほど甘くはなかった様子。
立学の残り3人はどれもヤバく、ものが違う連中である。
そんなにショック受けなくていいと言われても、これで勝ち目がほぼなくなったわけだし、受けないわけにはいかないわなぁ。

副将戦。立学は主将の新堂が登場。
それに対する武蔵原は1年の日下部。うーむ、びくついておりますわ。
もともと対戦順が決まった時も日下部はびびっておりましたしねぇ。この重圧で震えるのは仕方があるまい。
と思いきや、希ちゃんが頭に手を置くと一気に復活する日下部。何なんだお前は!!

希ちゃんが触れると盛り上がった日下部。しかし純ちゃんが触れてもノーリアクション
何だろうか。女の子なら誰でもいいわけじゃないとかそういう話なんだろうか。
落ち込む純ちゃん。それをぶっ殺す!とテンションを上げてくる新堂さん。そっちが上がってどうする!!

何にしてもびくついた様子はなくなった日下部。
よく分からないが独特の精神統一法を行いながら向かっていく。
さあ、日下部丈二の大一番。よくわからないキャラであるが、それだけにもしかしたら秘めた何かがあるのかもしれない。
そういう期待を背負っておきながら・・・結果は瞬殺。汗ひとつかいてない!!
予想通りといえば予想通り。
いやまあ、日下部だって黒帯だしそこそこ強いとは思うけどもね。相手が悪かったよ今回は。

さあ、ついにこの練習試合も最後の大将戦を残すのみとなった。
立学で姿を現すのは90キロ級で全国2位になったエースの紅林宗吾!!
それに対する武蔵原は柔道を始めて間もないレン。
うーむ、一番強い春樹でも対抗するのは難しい相手だというのに、これはさすがに無理でありましょうなぁ・・・

チームの勝利はもう無理かと沈む一同。
そんな中、レンは1人柔道の凄さに震えていた。僕もいつかあんな風に強くなれたりするのかな・・・と。

今から物凄い相手と戦わなければいけない。それを考えると怯まないわけではない。しかし――

いつまで待たせる気だ

紅林のその言葉。それは春樹が口にし、レンが柔道を頑張るようになるきっかけの言葉。
これを聞かされた以上、怯んでいる場合ではない。竦んでいる場合ではない・・・!!

いつかじゃない・・・今・・・今、強くなるんだ!!

強い意志を見せるレン。いいね、その闘る気。
例え実力が天地ほどの開きがあろうとも気合で負けない。とても大事なことであります。
この意志を見せられるだけでも紅林としては嬉しかろうて。
しかしどうでもいいが、春樹の反応に被せてくる日下部はやはり何ともいえない味のキャラである。何なんだお前は!!



第27話◎OAK  (2014年 15号)


相手の強さに恐れを抱きながらもそれ以上に闘る気を見せているレン。
その気持ちをぶつけて来いと肩を叩く部員たち。
他の部員が次々とレンを後押しする中、期待の目で見られるヒューマ。純ちゃんに至っては写メまで構えている。
素直じゃないヒューマとしては春樹の肩を通じてレンを後押しするのが精一杯な様子。おやおや。
まあ、スペースが空いていないって都合もあるんでしょうけどね。

ここまで2勝2敗。チームの勝利が自分にかかっている。
このプレッシャーは大きい。実際重いかと春樹に問われて、はいと返すレン。

でっかくなった気がします!!

ほほう、それはまたいい返しでありますな。カッコイイ。純ちゃんもいいタイミングでシャッター切ってますわ。

さて、相手は全国2位の紅林。普通に考えて勝てる相手ではない。
が、紅林にしてみるとチームの勝利はどうでもいいとのこと。
興味があるのは小柄な初心者であるレンが黒帯の春樹を投げたというのが事実であるかというその一点。

確かめさせてもらうぞ光石錬。お前が闘う価値のある男なら・・・その強さを体に刻み、俺はもっと強くなれる!!!

とにかく自分が強くなるのが第一という様子の紅林。
チームの勝利を第一にしたいと考える春樹とはやはり相容れない考え方でありますなぁ。
しかし小学校時代からほとんど変わってませんな紅林。笑顔の怖さまで同じような感じだ!!

さて、いよいよ始まる大将戦。レンは紅林が相手でも恐れることなく、今度は投げてみたいと考えて挑む。
そのレンに送る指示はオペレーションOAK
一文字でO、A、Kの文字を作る春樹、雪村、日下部の3名。恥ずかしそうにしている雪村さんが何かいいですな。

OAKとは一体何の略なのか。首を傾げる立学の面々。おさげのあの子かわいい?ふむ、新堂さんのそのセンスは嫌いじゃない。

さすがにこの場でそういうオチはない。
レンに授けられた秘策は長年よく知った春樹による紅林のクセを利用した戦い方。
紅林は左組、レンは右組。喧嘩四つで自分より小さい相手とやる時・・・紅林は定石通り左手で強引に奥襟を取りに来る。
その際自分の襟を取られるのを警戒して右手をやや内側前方に出し過ぎる傾向がある。
まずはそこを両手で全力で掴んで下に引き落とす。
紅林はそれを引き離そうとするだろうが・・・ここでレンの武器を生かす!!

なるほど。引手の強さと姿に似合わぬパワーはレンの武器でありますわな。
小柄な初心者というイメージがあるからこそ、その力とのギャップにほんの一瞬であろうがたじろぐはずである。
その一瞬を見逃さず・・・襟を取る!!これでレンの組手となるわけだ!!

あとは、自分のやってきたことを信じて(O)思い切り(A)当たって(K)砕けろ!!!

これがOAKの意味であるか。まあ初心者に向けたいい言葉じゃないですかね。
元々今のレンにできるのは磨いた背負いを思いっきりぶつけるしかない。
この形に持って行けたのはまさに僥倖。あとはこれがどこまで通じるかであるが・・・さてはて。
一本は難しくてもせめてポイントを取るぐらいのことはしたいものでありますな。



第28話◎成長  (2014年 16号)


思い切り当たって砕けろ!!
春樹の作戦が見事にはまり、紅林の懐に入り込んだレン。
さあ、後は今までの練習を信じてこの一瞬にかけるだけだ!!

イけ・・・いけ・・・いけ・・・

武蔵原の皆が応援してくれている。
が・・・レンの渾身の背負いも紅林の体を動かすことはできずにいる。
嬉しそうな顔しているので大分衝撃は来ているみたいですが、さすがの足腰ですなぁ。

そのまま抱えて裏投げに持ち込みそうな様子の紅林。これは危ない。
が、この窮地のレンを前にして応援に回らず座り込んでいたヒューマが動き出す。

マジで砕けてどうすんだ馬鹿野郎!!砕け!!!砕け砕け砕け砕け砕け砕け!!!武器見せてみろクソ素人が!!

叫びながらKの字で突撃してくるヒューマ。何だか可愛いですな。
何にせよこのヒューマの姿が思い起こさせてくれる。
それは春樹やヒューマが見せた勝利への執念。ならば僕だって・・・!!

ぬぅううぁあ・・・ああああああああああああ!!

一度は止まったはず。なのに強引に投げに持ち込むレン。
それによりついに紅林の体が前へと倒れ、回転する!!

畳に腰から落ちる紅林。結果は有効!!白帯のレンが全国2位からポイントを奪った!!
これはさすがに周りもザワつく。開始数秒であの紅林が投げられたのだ!!
この事実は戦っている2人にも大きな出来事として受け止められる。
紅林を投げることができたレンの喜び。
レンが思った以上に才能を見せてくれた紅林の喜び。いい・・・いい・・・!!

嬉しいさで紅潮したままの顔で内股を仕掛けてくる紅林。
投げの勢いが凄まじすぎて回りすぎ、足から落ちるレン。
完璧なまでに投げられたわけだが小兵だったのが幸いしたようですな。危ね〜。

一瞬のスキをついてポイントを奪うことには成功した。しかしここから先はどうするのだろうか。
さすがにもう策はないと思う。ので雪村さんはいつまでもAの構えをしていなくていいと思うのです。

というのはさておき、紅林の凄い投げを受けて恐れを抱きそうになっているレン。
うーむヒューマと戦った時の「呪い」の状態でありますな。決して胸が小さくなる呪いではない。
あん時と同じ事したら砕き殺すわよと希ちゃんに忠告される春樹。ろくでもないこと言って殴られてるのはご愛嬌。
それよりも、そうやってやり取りしているのを見てレンが奮い立とうとしている。

そうだ・・・あの時と同じじゃない・・・
柔道を始めて・・・仲間ができて。僕は・・・僕はもう小さくない

おぉ。ついに自分はもう小さくないという意識にまで成長しましたか!!良かった良かった。
そしてレンに対して仲間の姿を見せるために滑り込んでくる純ちゃんが凄まじく可愛い
目の前にこんな可愛い姿で滑り込んでくるのを見せられちゃ、そりゃ新堂さんも赤面しますわいな。

もう一度・・・もう一度投げたい!!

恐れを振り払い、もう一度投げたいと願って立ち向かうレン。
うむ、確かにもうレンは小さいとは言えませんわな。心は見事に大きくなった!!
この先勝ち目があるかどうかは分からないけど、この意識を得ることができたのは大きい。
まさに価値ある試合だったと言えましょう。そしてそれは紅林にも言えることでありますな。価値ある試合になって良かったですね。



第29話◎孤高  (2014年 17号)


もう一度・・・もう一度投げたい

恐れ以上にその気持ちに奮い立っているレン。
もちろん仲間が後ろにおり、彼らと一緒にやってきたという自負が支えてくれているのだ。
うーむ、いい感じに大将戦も熱くなってきましたね。
立学側にいながら応援している純ちゃんが何だか面白い。新堂さんが見てる!

光石錬・・・柔道初めて一か月にも満たない軽量級の初心者が・・・祭田を投げ・・・
そして全国2位のこの俺を・・・開始数秒で投げた・・・
その上、俺にあれだけ豪快に投げられても怯まず挑んでくる。
強者を・・・強さを求める貪欲な姿勢・・・お前は・・・

嬉しそうな顔をしている紅林。ここで回想に入る。
小学校の頃から柔道を始め、当然中学でも柔道部に入る紅林。
入部してすぐに柔道部のキャプテンを投げてしまう。さすがに年齢詐称疑惑のある男よ。

滾らん。中学に入ればもっと強い奴と競い合えると思ったが・・・
俺を滾らせるのは試合で勝ち抜いた先にいる一部のやつらだけ・・・ぬるい。

どうやら強くなりすぎて敵に飢えている様子の紅林。
それでいて更に貪欲に強さを求めようとする。
遊ぶ暇があるならもっと強くなりたい。もっと・・・もっと。もっと。もっと強くなるんだ

その果てしない貪欲さは――強さへの欲求はとどまることを知らず、普通の学校の柔道部で受け止めきれるようなものではなかった。
春樹を含め、誰も自分の強さについてくることが出来ない。満たすことが出来ない。

俺は、ほかの奴らとは違う

そのように悟ってしまうのも無理はありますまい。
春樹はみんな自分なりにベストを尽くしていると述べるが・・・それでは紅林もまたベストを尽くそうとしているのではなかろうか。
自他共栄。みんなで頑張って全国に行くというのが目標の柔道部。
しかし、自分なりのベストという言葉があるのなら、紅林の行く道は・・・他者との共栄ではない、自分の道。

ふうむ。こうして春樹とは道を分かつこととなったんですなぁ。まあ気持ちは分からないでもない。
しかし先輩が非難を口にするたびに毎度フォローを入れる春樹はやっぱりいい奴ですなぁ・・・

さて、回想は終了。自分の道を行くと決めた紅林は強者の集まる立学に入った。しかしここでも満足は出来ていない様子。

ここでもそうだった。気づけば皆俺の後ろにいる。
馴れ合う者。逃げる者。まっぴらだ。俺を強くしない者に価値はない。
お前は?

レンは果たして紅林にとって価値がある者なのか。それを確かめるためにあえて組ませる。
うむ、レンの投げはどんどん威力を増しているようですな。
先ほどはしっかり堪えれた背負いだったが、今回は足を踏み出して体を逸らさねばいけないほどになっている。

滾る!!!

実に嬉しそうな紅林。良かったですなぁ。
春樹としては紅林のあの表情を自分で引っ張り出してやりたかったようですが・・・複雑な気分ですな。
さて、紅林はついにレンのことを価値ある存在と認めた様子。いや、それどころか・・・

光石錬・・・お前は俺かもしれん。
飯を食え。もっと強くなれ。そして俺を脅かせ。さらに滾らせろ。選ばれしものの孤独を飲み込んでもっと強く――

そのように述べる紅林に、レンは肯定の返事をする。
そう、もっと強く。もっと強くなりたい。その思いはもちろんレンにはある。だが・・・

強くなりたい・・・いや・・・絶対なれます。もっと強く。チームがいますから

仲間がいるから強くなれる。レンはそう述べる。
それは選ばれしものの孤独を抱いて強くなった紅林の考えとは相反するものであり・・・期待が失望へと変ずる。

・・・そろそろ終わりにするか。

失望は敵意へと変じた様子。
うーむ、まだこの先レンが紅林のようにならないとも限らないのだが・・・そこまで待つ気はさすがにないか。
さてさて、本気になった紅林の攻勢をレンは耐えることができるのだろうか。
せっかく嬉しそうな様子だったのになぁ・・・このまま終わることになるのは残念である。
もう一度紅林に嬉しそうな表情をさせて欲しいものであります。



第30話◎光明  (2014年 18号)


失望を敵意に変えて襲い掛かる紅林。
組み付いたレンであるがビクともせず、逆に盛大に足を払われる。
どうにか側面から落ちることで技有りで済ませることはできたが、ここから攻められると厳しそうだ。

もはや試す気はなくなった様子の紅林。
さっきまでは組ませてくれたのだが、それも許さずに投げを放ってくる。
紅林得意の内股はレンが軽すぎて決まりにくいってのが救いですかね。

どうすれば・・・どうすればこの人に勝てる・・・?投げれる?

圧倒的に不利な状態でありながらまだ諦めた様子のないレン。いい意識だ。
しかしまともに組み合ったら投げられて勝負は決まってしまう。必死に組まれないよう動き回るレン。
春樹たちは何とかアドバイスをしてやろうと頭を捻るが・・・出ないものは出ませんわな。希ちゃんのツッコミ厳しい。

逃げ切れず捕まれた場合は技の掛け逃げを行うレン。意外とセコイ手段を持ってるな。
まあこれをやると当然指導が飛ぶことになるわけですが。

もはや逃げ回ることしかできない様子のレン。見かねて敵である立学の新堂さんに勝つ方法を問う純ちゃん。
おぉ・・・純ちゃんが新堂さんの襟を取ったぞ!!これには新堂さんも真っ赤になってタジタジだ!!

打開策があれば教えてあげたい・・・でも・・・いくらあなたの頼みでも無理なものは無理なんです・・・すすすすいません

涙を流し、下唇を噛む新堂さん。切なそうですなぁ。いいキャラだ。

さて、レンは2個目の指導をもらう。これで有効をつけられたことになった。
いやそれよりも、次に指導をもらえば技有りが紅林に入る。そうなれば合わせて一本。追い詰められた形になったわけだ。
これで逃げることはできなくなり、戦うしかない。むむむ。
それにしても今は指導の数が重なるだけで注意とか警告に呼び名が変わらないんですな。

投げられても逃げても負け。チームの負けが決定する。厳しい。

無名の公立と強豪の私立。白帯の初心者と全国2位の化け物。結局これが現実よ。最初から無理だったんじゃない?

そのように述べる早乙女先生。
当初あまりやる気が見られなかったのはそういう現実をきっちり理解しているからだったのかもしれませんな。
一度は勝ち目もあるかと思い、アゲていこうとしていたみたいだが・・・
いや、今も別に試合を投げているわけではないか。ちゃんとレンの目はまだ死んでいないことも見抜いている。

無様な戦い方だけど、諦めずに逃げてるっていうか・・・初心者だから何考えてんのかよくわかんないな〜

何はともあれここまで粘っているのは確かである。
逃げながら作戦を考えていたのだが、自分も仲間も作戦は思いつかない様子。
となればもう思いっきり当たって砕けるしかないのか。
そう思うレン。しかしそこに新たなサインが現れる。
OAKに加えてもう1つ。純ちゃんのKが現れたのだ!!ちっちゃいからって負けるな〜!!

日下部の真似してポーズを決める純ちゃん。飛び跳ねたりしてすさまじく可愛い。
そしてちょっと支えてくださいとかお願いされてもうドキドキが止まらない様子の新堂さん。
うーむ、ちょっと試合でいいところ見せれればぐらいの考えだったろうに・・・忘れられない思い出になりそうですな新堂さん!!

新堂さんのドキドキはさておき、レンはこのサインを見て何か閃いた様子。

無価値じゃない。みんなが示してくれた・・・やってみる価値はある

現れたのは左右対称の「K」マーク。果たしてここからどのような作戦を閃いたのか。
しっかりと無価値ではないことを示していただきたいものである。



第31話◎攻防  (2014年 19号)


ポイントで大幅に負けている状態でラスト30秒。
ヒューマのように絞め技でどうにかできるだけの技術はないし、何とかして自分の組手に持ち込むしかない。

打開策は・・・K・・・はんたい。これだ!!

日下部と純ちゃんの構えからヒントを掴んだレン。
それを生かすために・・・まずは背を向けて逃げる!!
このハッキリとした逃亡の姿勢に心底ガッカリしそうになる紅林。しかしそれは早計というもの。
背を向けたと思ったら即座に振り向き、向かってくるではないか!!

一瞬。一瞬でいい。最初の作戦の時の様に・・・紅林さんをたじろがせる。

なるほど。逃げる動作はフェイク。それで動きを止めて右手で襟を掴もうという作戦なわけですか。
確かに一瞬動きは止まりましたが、それでも警戒している紅林の襟を取るのは簡単ではない。
まともに手を伸ばしても振り払われる。
が、レンが狙ったのは今までとは逆。まさに反対の方でありました。

今までの攻撃が通用しない・・・右で襟が取れないなら・・・逆。左だ!!

この土壇場でまさかの左組。
思いついたとはいえよくやるものである。初心者だけに予想もつかない行動をしてくるってことしょうか。
実力者である紅林や実績のある早乙女先生も驚いている。

取られた襟を外そうとして無防備になった左袖を取り、いつもとは逆の組手になる。
そして繰り出すは左の背負い!!
これはいつもの右の背負いとは違いしっかり練習してきた技ではない。
まともに入ったとはいえ・・・効くのか・・・!?無理か・・・!?

さすがに本来の右の背負いでも耐えてくる紅林。逆の左の背負いでは無理がある様子。
春樹の教えに従い、絶対に相手の袖を掴んで放さず投げようとするが・・・やはり厳しい。
ならばもっと教わったこと・・・言われたことを思い出すのだ・・・やってきたことすべて・・・!!
そうして走馬灯のように技をかけながら凄い速さで思いを巡らせるレン。そこで浮かんだ言葉はこれ。

お前の武器を生かせ

その言葉に従い、より強く投げを放つ。
が、春樹の言葉には純ちゃんの姿が被っていたりする。これはつまり・・・逆の方に生かすということ!!

レンの力を振り切ろうとした・・・紅林の手を外して・・・崩した!!

柔道はやはり体を崩すのが重要である。
レンの強烈な引き手を制するために紅林もまた渾身の力で引いていた。
その結果、レンが手を放したことで後ろへと身体が傾く紅林。
ここでレンが紅林の足を払って背中から倒せば・・・逆転の一本勝利も有りうる!!

時間的にもこれが最後の技となりそうである。果たして決まるのかどうか・・・
それはそうと紅林は何だかんだで最後のこの瞬間、滾っちゃってるみたいですね。
試合が終わった時にレンに対する評価はどのようなものとなっているのか。楽しみです。



第32話◎決着  (2014年 20号)


振り切ろうとした袖を放して逆の方向へと紅林を崩すレン。これは滾る!!
残り時間もチャンスもない。勝つにはここで一本を取るしかない。最後の勝負どころだ。

今自分ができる最高の攻撃を・・・
みんなが創り出してくれた今の僕の精一杯の柔道だ

勢いを堪え切れず、紅林の足が畳から離れる。浮いた!!
が、即座に足を引き着地、上体を支えるために踏ん張ろうとする。耐えた!!
さすがの執念。しかしならばともう一押しを加えるレン。ここで決める・・・!!

いかな紅林であってもこの力の入らない不利な体勢で押し勝つのは難しい。
が、勝負勘はやはり天才的であった様子。
レンが押す力を利用して後ろにわざと飛び、上体を逸らして・・・いなす!!

真っ直ぐ押すはずだったレン。しかしいなされたことで体と力が流れてしまう。
そこを紅林に捕まり、型を決められ・・・見事な内股を決められてしまう。
ううううむ。最後の最後で決められちゃったかぁぁ。
しかもいつもとは逆の右の内股
左の背負いを見せたレンと同様に逆の投げをこの土壇場で放ち、そして決めて見せる。
バランスやパワー、対応力どれもハンパないのが窺えますわ。

勝負はついた。勝者となった紅林と敗者となったレン。
レンは畳に仰向けになった状態で紅林を見上げている。
それは逆に言うと勝者から見下ろされているということである。

全力出し切ったけど、あの時と違う。
初めてだ。悔しい

初めて味わう敗北の苦味。この経験もまた大事なものであります。
最終的に敗北したものの、何だかんだで得るものが大きかったと思われるこの練習試合。
立学としても色々と見直すことが出来た実りのある試合になったのではなかろうか。
双方、この経験を活かしてより強くなってほしいものである。



第33話◎可能性  (2014年 21+22号)


善戦したものの、惜しくも敗北した武蔵原。
帰る準備はしたものの、悔しさゆえかトイレで固まっている春樹。

この1年・・・自分なりに必死にやってきた。
みんな全力を尽くした。初心者のレンも・・・あの紅林からポイントまで奪った。
今できることはすべてやった。それでも勝てなかった。これが俺の・・・俺達の現実・・・なのか?

いい勝負をしていたはずなのに立学からは散々な言われ方をされる武蔵原。
まあ確かに今回の立学はベストメンバーじゃなかったけどねぇ。
それでもやる意味がないと言われるほどの試合内容だったとは思わないし、思いたくはないのだが。

落ち込む春樹の前に現れるのは紅林。さすがに豪傑は小便の音も派手である。ドオオオオオ。
というのはさておき――紅林は春樹にむけてこう述べる。

無価値だ。お前も。光石錬も。ほかの奴らも。ここで終わるなら

何を言われても言い返すことはできない。
そんな様子の春樹であったが、紅林は先を示すような言葉をくれる。
確かに今できることを全てやった結果は及ばなかった。だがまだ先は分からない。未来は分からない。

今日の負けは・・・俺の・・・俺たちの実力不足・・・今の実力だ。
まだ・・・まだ終わりじゃねえ

再び強くなる誓いをする春樹。そう、まだまだ戦いは続くのである。
その意志がある限り、決して無価値とはいいきれない。紅林もそう考え、未価値と改めてくれる。
この先価値がある存在となれるか。それは当人たちの努力次第でありますな。もっと、もっと強くなってやる!

そういったやり取りをして去っていく紅林。
その紅林を待ち構えていたのはヒューマ。
ん?なんだこのやり取りは?春樹に秘密にしている何か。それは一体何であろうか?
団体戦に参加しなかったのには何か別の理由があるというのだろうか?むむ、気になる。

武蔵原の面々が帰った後はレギュラー以外はすぐに練習となる立学。
もちろん小田桐はレギュラーではないので練習。鬼尾先生との乱取りである。

乱取りを行いながら武蔵原について話す小田桐。ふむ、小田桐としても武蔵原はそれ程の相手ではないという認識ですな。
インターハイ予選ではうちと当たるまで残れないのではないかと述べている。まあ確かに今のままではね。

ただ・・・よくわからんのがあの白帯君・・・
初心者だから動きも試合運びもいびつだったが・・・紅林を相手に疼いておった。
たった3分の試合の中で着実に成長し、それを楽しんでいるかのように。
今はまだ真っ白だが、それは・・・可能性でもある。
そしてそれは当然・・・チームの可能性

レン一人だけではない。レンの成長がチームの成長を促す。そういった可能性を秘めているのだ。
楽しみな話でありますが、真っ白な状態というのはどのような色にも変化することを意味する。
芋虫が蝶になるか蛾になるか。あるいは見たこともないモンスターになるか。

指導者次第かもしれん

さすがに鬼尾先生。指導者としての視点でものを見ておりますな。
実際、今の武蔵原には実績のある先生がいる。
柔道の名門東体大の元レギュラーで、全日本女子の元強化指定選手。
インターハイで2位、国際大会で3位になったこともあるという八乙女マチカ。
現在の姿とは全く変わってしまっているが、柔道を見る目は鈍っていない様子。

先生がどうやって変わったかに興味はねえ。でも・・・俺たちも変わりたい

このままでは終われない。強くなりたい。
真摯にそういった言葉をぶつけるレンたち。
果たして八乙女先生はどのような反応を示すのだろうか・・・

八乙女先生の反応も気になるが、純ちゃんたちはこれからどうするんでしょうかね。
春樹を待っている間に2人で組み合って遊んでいる感じでしたが・・・まさか本当に柔道を始めちゃったり!?気になるわぁ。




第34話◎届け  (2014年 23号)


変わりたい。強くなりたい。
諦めるようなことはしたくない。可能性に賭けてみたい。
そういった想いを込めて八乙女先生にお願いをする。それを受けてこう答える八乙女先生。

・・・そこまで言うなら言わせてもらうわ。柔道の達人として。
やめといた方がいいよ。立学のキャプテンも言ってたでしょ。世界が違う。
こないだの練習見て・・・みんなのレベルはわかったの。

ふむ。さすがに自分で達人と言うだけあり、あれだけの時間で大体の実力は理解してしまったみたいですな。
レンの試合回数がやけに多かったのは初心者だけどよく分からない子だという印象がこの時からあったからなのかな。

体型は大きく変わったが、それでも後ろから肩を掴んで引き留めようとした春樹を倒すぐらいの技量はある。
うーむ、達人の腕は健在ということか。ならばその眼力も信用できましょう。

実力は練習で理解したが、かといって生徒がボロ負けして下がりまくるのも見たくはない。
なのでオーダーにちょっと口出ししたという八乙女先生。

全国レベルに万が一善戦するとしたら・・・相手が油断してる間に先行逃げ切りしかないって思ってね。
一番強そうな祭田君とスピードがあって攻撃型のヒューマ君で白星取って、
受けの強そうなユッキー君がキャプテンの意地で引き分け以上にする可能性もゼロではないかなって。

なるほど。やはりそういう意図での順番だったんですね。
それならそう言ってくれれば・・・とも思うが、それだと実力を見抜かれて、これじゃ勝てませんよとも言わないといけなくなる。
楽しく柔道を続けてもらうためにそこを誤魔化したのがあのやり取りだったわけですな。ふうむ。

ちなみに八乙女先生は立学先鋒の富士森が不調であったことも見抜いている様子。おやおや。
その不調の富士森と次鋒に急遽加わった小田桐に勝てたのはラッキーによる部分が大きい。
結局その後を続けることはできず敗退。
当然立学はこれからもっと強くなる。ならば現実をわきまえて楽しく部活をやった方がいいと八乙女先生は言う。

キミたちにはほかに凄い才能があるんだし〜

ん?何のことだ?
と思ったら立学の女子たちの視線と話し声が・・・
なるほど。武蔵原の柔道部は確かにイケメン揃いですな。というか可愛い系が多い感じである。ユッキーさんは王子様系かー。
ヒューマもレンも可愛い系で人気があるし、春樹は普通にカッコいい。日下部はグラサンハゲ。まあそういう扱いよね。

他校の女子も一目で振り向くそのルックス。ほれたはれたのリア充ライフ送るには最高の才能ね〜
私には無かった青春。楽しそ〜

自分には味わえなかった青春を楽しんでほしい。む、なんだか教育者っぽい言葉に聞こえますな。
ここで純ちゃん。女子なら部内にもいると言いそうになるが、もうすっかり部員になるつもりなんですね。微笑ましい。

青春は大事であるが、若い頃にはそれがいかに大事だったかは分からないものである。
今の春樹たちには柔道こそが一番大事。強くなること事が一番大事なのだ。
だから、立学より厳しい練習だってこなしてみせる。本気で指導してくれよと頼み込む。が・・・

前の学校じゃ・・・私の指導に付いて来れなくて全員部やめちゃった
ほかの先生や保護者からはクレームの嵐。
ハンパは苦手で手ェ抜けないの。やるなら何でも徹底的にやる・・・
だから・・・ね。楽しく柔道続けなよ。

なんだか寂しそうな笑顔を見せる八乙女先生。
ふーむ、本当は八乙女先生としても本意ではないんでしょうな。
しかし誰もが自分の指導に付いて来れるわけではないし、一度失敗した苦い経験が尾を引いている様子。
だが、そう言われても、それでも諦めない。

ヒューマはそんなハンパ野郎共と一緒にすんなと言う。
才能や運ではない。努力であのバカに勝ったんだと吠えるヒューマ。確かにそれはその通りですな。
そしてヒューマの何も感じなかったのかよという言葉に反応する八乙女先生。
ああ、確かにあの瞬間は上がってましたなぁ。

もう本気の指導はやらない。
そう思いつつも燻るものは胸の中にある。一瞬それに火がつきそうになっていた様子。
だが、前の学校での退部届の山。さらに、柔道が嫌いになりそうですという言葉が思い返される。
またあのような言葉を聞かされるのかと思うと・・・指導する気にはなかなかなれませんわなぁ。

立ち去ろうとする八乙女先生。
だが、その背中をレンが止める。上着を掴み、そしてそのままお願いしますと頭を下げる。
怪力のお前がそんなことしたら、後ろに倒れるに決まってるじゃないですかー!!
まあ、さすがに八乙女先生。見事な前回り受け身で無事には済んでいますが。

ともかく八乙女先生の足は止まった。そこに声をかけるのは雪村さん。

先生・・・僕は・・・祭田やヒューマ君みたいに努力で結果を残せませんでした。
みんなと違って残り時間も少ないから・・・これ以上強くなれるかもわかりません。
でもせめて最後まで完全燃焼したい・・・とか・・・そんなので満足する気にはなれません。
勝ちたいんです。ご指導、お願いします。

土下座までして頼み込む雪村さん。その想いは本物であることが伺える。そして――

このまま情けない・・・頼りないキャプテンで終わって・・・
自分自身を・・・大好きな柔道を・・・嫌いになりたくない

ほう。これはいい言葉でありますな。
自分の指導のせいで柔道が嫌いになる子が出来てしまう。それを恐れていた様子の八乙女先生。
だけど雪村さんは言う。このまま終わっては大好きな柔道まで嫌いになってしまうと。
ふうむ。そのように言われたならば・・・動かないわけにはいきませんわな!!
丁度レンに引っ張られて上着も破れてしまったことですし合コンはキャンセルであります。

みっちりしごくから覚悟しなさい

おお。ついにその気になってもらえたようだ。良かった良かった。
やると決めたからにはハンパはしないのが八乙女先生である。
早速今から学校に帰って練習することとなる様子。まあそれはレンたちも望むところでありましょう。

達人の指導者を迎えることに成功した武蔵原柔道部。
鬼尾先生の言うように、これで大きく変わることになるのだろうか?見守っていきたいところです。



第35話◎アップ  (2014年 24号)


必死に頼み込み、ようやく八乙女先生にその気になってもらえました。
ふむ。サイズが小さくてピチピチになっているせいか・・・ふむ、これは。ほ・・・ほ〜

中途半端は嫌いという八乙女先生。ダイエットも美容もハンパなくやり遂げている。
彼氏づくりの方はさすがに気合を入れたところで簡単にはいかないようですがね!!
まあ、そっちは置いておいて、柔道の指導に専念して頂きましょう。

しかし昔は達人であっても、ブランクはあるし体型も変わっている。
本当にちゃんと柔道できるんすか?とヒューマ。何となく照れ隠しも入ってそうなのが可愛い所だ。

八乙女先生に言わせれば部員たち相手ならば久しぶりのウォーミングアップには丁度いいぐらいとのこと。
煽っていくスタイルはどちらも変わらないみたいですな。競技者としては正しい姿勢なのかもしれない。

というわけで、一番手はヒューマ。
一歩を八乙女先生へ向けて踏み出す・・・
かと思えた瞬間に懐に入り、背負う八乙女先生。後の先を取った!?
しかも綺麗な投げだ。あのヒューマが速すぎて堪えることもなく、背中から落ちている。
これは驚き。いや、驚いている場合じゃない。

受けの強い雪村さん。驚いている間に八乙女先生に組まれてしまう。
それでも瞬時に体勢を整えようとするが・・・まるで動かない。体型は変わっているのにその感じる重みは・・・!!

さすがに達人と称するだけあり、その強さはハンパではない。
スピードや体幹の強さ。そして技術。
緩んだ顔で挑みかかってきた日下部に飛びつきの腕ひしぎ十字固めを決める八乙女先生。

合コンじゃ「アゲアゲ乙女」って呼ばれてるけど・・・
現役時代の異名は・・・
『蝶の様に舞い・・・蜂の様に刺す・・・豚』

ううむ、その動きは現役時代のものでありましたか。その体型で舞うだと!?
にしても酷いあだ名だ。引退して好きだった先輩に告白した時の「舞わない豚はただの豚」という言葉も酷い。誰が上手いこと言えと。

体型を変えたこともあるし、さすがに現役時代よりは弱くなってはいるんでしょうな。
それでも休みなしで部員5人全員がぶっ倒れるほど乱取りを続けているのに余裕の表情を見せている八乙女先生。
既に時刻は午後8時前。一体何時間やっていたのか・・・凄い体力だ。バケモノか!?
しかし汗ばんで着崩した八乙女先生は今までで一番魅力的に思える
昔からこの体型でいたのならば青春も謳歌できたのではなかろうか。強さ的に劣ることになるか?

それはさておき、八乙女先生が言うにはこのまま練習してても立学には一生勝てないんじゃないかな、とのこと。
ふむ。今までの練習方法じゃダメってことですな。
これからはアゲアゲ八乙女メソッドに従って練習していくことになるわけだ。その名称はどうにかならんものか。

立学に勝つ。そのためには従うしかない。
もともと厳しい指導は覚悟の上。望むところである。
・・・とはいえ、さすがに試合後にこの練習はこたえる。起き上ることができずに倒れ込む5人。だが・・・

じゃ、アップも終わったし・・・練習はじめよっか

へばっている場合ではなかった。強くなるための練習はここからが本番であったという。うーむ、本当にハンパないな!!
遅くまで付き合ってた希ちゃん。まだまだ帰れそうにないですな。ハハハ。
別に付き合う必要はないのだけど、純ちゃんが残ってるから一緒に残ってるって感じなんでしょうか。
このままなし崩し的に練習の度に姿を見せそうな感じでよいですな。



第36話◎アゲアゲ  (2014年 25号)


これに従えばあなたも変われる、アゲアゲ八乙女メソッド。胡散臭そうな感じだ!!

私があの姿から大変身したのは・・・美しいスタイルを自慢したいわけでも・・・
メイクのうまさを褒められたいわけでも・・・ファッションショーに出るためでもない。
経験できなかった華やかな青春を取り戻す・・・即ちいい男をゲットするという・・・明確な目標を達成するためなの!
アゲアゲ八乙女メソッドとはつまりそういうことよ。

なるほど。わからん。
いやまあ、最後の明確な目標を達成するという部分が大事ってことなんでしょうが。
部員達には全く伝わらなかったようなので分かりやすい解説をお願いいたします。

とりあえず春樹にスクワットをさせてみる八乙女先生。
スクワットならばいつも100回ほどやっているという春樹。ではそれは何のためにするのか?
普通、筋トレといえば足腰を鍛えたり、筋肉をつけるためのものである。
が、別にその行為自体を目的としているわけではない。
筋肉をつけるのも足腰を強くするのも全ては「柔道の試合で勝つ」ためだ

八乙女メソッドとは・・・想像力
すべての練習は練習に満足するためじゃなく・・・試合に勝つため。
実戦をイメージしてやれってことよ

そう言いながら、春樹の上に圧し掛かり、そのままの体勢でのスクワットを指示する。
なるほど。確かにスクワットは投げの形に酷似してますな。

「スクワットを100回できる足腰」を作るんじゃなく、「試合中担ぎ技で踏ん張れる足腰」を作んなきゃ。
はい!イメージして〜〜
倒したい相手を!!歓声を!!追い込まれた状況を!!
そのイマジネーションで細胞を騙して覚醒(アゲ)させる

なるほど。これがアゲアゲメソッドと呼ばれる由縁か。
実戦に燃えてる体は実戦向けに成長する。
想像する相手が強ければ強いほどそれは効果的となる。さっそく今日の練習試合のイメージが役に立つわけだ。

この八乙女先生の教えは非常にいいものだと思います。
訓練時にイメージするのは大事。
単純に筋肉を付ける場合も、出来上がった時の姿を想像してやった方が身に付きやすいといいますしねぇ。

ダンベルを持ち上げる暇があるなら・・・「柔道着を着た相手を引き寄せる力」を鍛えなさい!!
実戦を・・・対戦相手をイメージして!!
立ち技のみの乱取りは廃止して必ず寝技とセットで!立ち技のだけの試合なんてないんだから。
立学みたいに人数多いと立技寝技混ぜると危ないけど、うちは広い道場に少人数だから大丈夫。環境の違いを武器にしなきゃ。

ふーむ。見事に実践的でありますな。
強くなる。試合で勝つ。その目的に向かって邁進するには確固たる勝利のイメージが必要というわけだ。
というわけで、ラストスパート。勝利に向けたアゲアゲ八乙女メソッドの最後の仕上げは・・・胴上げ!!!?

素直に従って八乙女先生を胴上げする部員たちであるが、さすがに頭の中は疑問符だらけになっている。
しかし嬉しそうな顔して胴上げされてますなぁ八乙女先生。高く浮かび過ぎだ。

辛い練習の最後は勝利の喜びもイメージすべし!!気持ちよく明日を迎えるためにね!!

それもまたイメージでありますか。
うーむ。まさにアゲアゲ胴アゲアゲ。
こういった練習を1か月後のインターハイ予選までずっと続けることになる。
そこで勝利の胴上げに浸ることができるのかどうか。
さらにその1か月後には東京都大会が始まる。勝ちぬいていけば立学にリベンジする機会も訪れる。

必ず!!!

静かに闘志を燃やす武蔵原柔道部員たち。
胴上げの手は思わず止まってしまったが、心は奮い立っているので大丈夫ですよ八乙女先生。
浮かんだ状態で中断されたのにしっかり着地しているあたりさすがは達人。

午後の10時に部活終了。
そしてコンディショニングも大事なのでぐっすり休んでしっかり回復させなさいと仰る八乙女先生。
さすが毎回合コンで酒癖の悪さに泣いている人の言うことは違いますね!!
体は造り変えても、そういう癖はなかなか抜けないか。

試合に練習とさすがのレンも疲れ切ってプリン食べかけのまま眠ってしまう。
敗戦の悔しさも忘れるほどの練習量。何だかんだで実りのあるいい1日でありましたね。

一方、同じくこの日に敗戦した小田桐。悔しくて眠れない様子。眠れんなう。
ツイッターで武蔵原のイケメン柔道軍団許せん!!長髪禁止!女子マネ禁止と書きなぐる。何してんだか。
しかしそんな小田桐の書き込みに反応する者がいた。特にイケメンという部分に。そ、そこか。

イケメン柔道軍団武蔵原高校・・・当たるなら地区予選の準々決勝。
顔だけじゃなくその柔道も・・・美しいですか?

何だかまた変な奴が現れた!!
インターハイ地区予選に向けて、新キャラが出てくる流れのようですが、初っ端から濃口な感じのキャラですなぁ。
どのような変態さかげんを見せてくれるのか・・・期待です。



第37話◎美しきスパイ  (2014年 26号)


実戦を見据えて練習に励むレン。
練習試合の時は苦肉の策として出した左の背負い。しかしこれを使いこなせるようになれば色々な状況に対応できるようになる。
こういうことを考えて練習に取り組むのがアゲアゲ八乙女メソッドである。学んでますな。

試合までに一番伸びる可能性があるのは初心者の僕の筈・・・少しでも強くなってチームの力になるんだ

レンの練習に付き合って何百回と投げられる日下部。
色々と困った子ではあるがこういう付き合いはいいんですよね。
それはさておき、そんな2人の練習風景を見て吐きそうになっている部外者がいる。

失礼・・・醜いものを見ると拒否反応を示すもので

本当に失礼なことを言っているな、オイ。
まあレンの左の背負いはまだまだ経験も稽古も不足しているので美しくなくても仕方がありますまい。
右の背負いであったならばもう少し見る目も違ったかもしれないが・・・
いや、それよりもこの2人しかいない時にやってきたのが間違いだったのかもしれませんな。
イケメン柔道軍団と言う評価はし難いでしょうな。

そんなタイミングでやってきたのはヒューマ。
こちらはルックス面では文句なしである。謎の男の評価も高い。
と思いきや、顔だけではいけないらしい。うーむ、スタイル面も採点されるのですか。厳しいな。

まあ・・・僕の美しさと比べるのは酷ですよね

いきなり服を脱ぎ、下着姿でポーズを決める謎の男。うむ、そうだろうとは思ったがやっぱり変態だったか。
そりゃこんなのがいきなり部室にやってきたら驚きで固まりますよってばさ。
それに対抗して脱ぎポーズを決める日下部も日下部であるが。
というかそれでオッケーなのかよ。なかなかやりますねじゃねえよ。まさに両者キメー。

名前より先に美しさを伝える癖があるという謎の男。そうか。
そんな変質者は、大和東工業1年の成美悟と名乗る。

じきに柔道日本一になる男です。日本一美しい柔道家に

そ。そうか。まあ・・・なればいいんじゃないですかね。勝手に。
まあそういった妄言はさておき、成美の目的はインターハイ地区予選で当たるかもしれない相手の偵察。
いや偵察と言うよりも、もっと直接的にその強さ――否、美しさを肌で感じたいらしい。きめー。

普通相手したくない感じの男であるが、挑発されるとやる気になってしまうヒューマ。
確かにうざい奴に絡まれる才能があるのかもしれませんな。イケメンは大変だ。

というわけで、クソナルシストこと成美とヒューマの取組開始。
踊るように畳の上を跳ね回る成美。動きは何だか美しく思えなくもない。畳の上でやることではないが。

そんな相手に対し、一気に仕留めようと最初からトップギアで仕掛けるヒューマ。
高速の大内刈りが決まる。
相手の左足を刈り、胴体が後ろへと倒れる。普通なら決まり・・・なのだが・・・
残った右足だけで逸らした上体と圧し掛かるヒューマを支える成美。
この柔軟さは・・・バレエか!?

残念です。美しさの最低条件は強いこと♪
即ち・・・弱い者は醜い。おえ。

ヒューマの大内刈りをこらえ、逆に肩車で後ろに投げ捨てる成美。
うーむ、うざったいし変質者であるのだが・・・強い!!
むしろ紅林とかのことを考えると変態の方が強くなれる可能性を秘めていたりするのか・・・?
日下部にはそういう方面で伸びて行って欲しいものである。変態の最低条件は強いことだ!!おえ。



第38話◎美しき者たち  (2014年 27号)


美しく散るのはてめえだクソナルシスト!!

トップスピードで襲い掛かるヒューマ。
しかし見事に成美に一本で返されてしまう。こうしてみると反り投げっぽい感じかな?
まあ、投げ以上にその体の柔らかさとバランス感覚がとにかく凄い。
あの八乙女先生も綺麗な技と褒めてくれるぐらいであります。おっと・・・八乙女先生、髪切ったんですか!?

柔道やるのに邪魔だからばっさりね〜似合う?

さすがやると決めたらトコトンな八乙女先生である。
いやしかし、随分と可愛くなった感じがして・・・これはよい。
可愛く感じるのは髪型だけではなく、化粧っ気も薄くしたり動きやすい恰好になったりしてる部分も大きそうだ。
どちらも柔道をするには不要なものですしね。ふむ、こういう方面で合コン行くのもありなんじゃない?

ともかく、イメージが大きく変わった八乙女先生。
その魅力に成美もビビっと美美美っときた様子。そうか。

大和東工業の変態ナルシストスパイと紹介される成美。
似たような変態はこちらにもいるし、あまり変態を強調するのはどうでしょうかね。
まあ、八乙女先生はおおらかというか、そういう相手でも忌避したりはしない。
変態であろうがスパイであろうが、せっかくきたんだからもっと練習してけば?と勧める。
この提案に乗り気な様子なのはレン。どうやらもっと成美の技を見たいらしい。胸を美クンと高鳴らせている。おい、染まってるぞ。

だが、ヒューマはその提案には反対。
さっさと消えろクソ変質者野郎と更に厳しい罵声を浴びせかける。
ふむ。こういう醜い罵声を浴びせていれば美しいもの好きの成美はたまらず退散するって話ですな。
来た時よりも!!美しく♪
それをモットーに、道場の雑巾がけをして帰る成美。変な奴だがポリシーは一貫しているのが凄い。

八乙女先生としてはせっかく他校の子と練習するチャンスだったのにと勿体なく思っている様子。
だけどヒューマもただ投げられていらついたから帰らせたわけではない。

・・・勿体ないっしょ。こっちの手の内全部見せんのも
ざま見ろ変態ナルシストめ。偵察不足だぜ。

確かにこの状態ではほとんど偵察はできていない成美。
春樹たちのことも知らず、レンに至っては本当に素人の白帯ぐらいにしか認識しておりますまい。
この怪力を見れば一定の評価を下したに違いないでしょうが・・・やはりレンの存在はなるべく秘密にしておきたいとこですよね。
しかしヒューマもレンのことを大分認めている感じがして・・・いい場面ですな。

続々と集まってくる部員たち。ああ、今日は休日だったんですね。
それにも関わらず顔を出す希ちゃんに純ちゃん。すっかりと馴染んだ感じですなぁ。

さて、成美の所属する東京都立大和東工業高校。
武蔵原に行った後は自分の学校に向かい、練習を行っている成美。ここではナルと呼ばれてるのか・・・

成美は小田桐のツイッターの内容を鵜呑みにし、ヒューマが一番強いと認識している様子。
調子落としていたとはいえ、自分のところの先輩に勝った選手がいるっていうのに・・・
まあ、何にしても侮ってくれているならそれに越したことはないですわな。
どうやら結構な実力を持ってそうでありますし、その油断を突く形にさせてもらいたい。

と思いきや、成美が八乙女先生の名前を出してしまいました。
大和東の先生はさすがに年代的に八乙女真千華の名前を知っていた様子。
今の姿は知らず、東体大の蝶の様に舞い、蜂の様に刺す豚のことしか知らないが、まあそっちを知っていれば十分か。
現在の姿を見て盛大に驚いておいてください。

現役時代、重量級でオリンピックも期待されてた名選手だという八乙女先生。
さらに、東体大の女子部が初めて全国制覇をした時に随分と話題になったことがあるらしい。

そのチームのメンバーが・・・中高時代に実績のない・・・大学で急成長した選手ばかりだったから
ただ一人・・・チームを率いた主将の八乙女を除いて。

ふうむ。昔からの実績の持ち主でありましたか。
確かに見ているだけで指導力を感じますからねぇ。
この八乙女先生にじっくり指導されるのであれば・・・武蔵原にも可能性はあるか!?

次号からは地区予選へ向けての練習となるのか、すぐに地区予選になるのか?
ケガをした部員とかもいたはずだが、どうなっているのだろうか。気になるところです。



第39話◎すくすく  (2014年 28号)


八乙女先生という強力な指導者を迎えて練習に打ち込む武蔵原柔道部。
ゴールデンウィークは絶好の練習期間。
密度の濃い練習を行い、あっという間に過ぎ去った様子。
希ちゃんや純ちゃんもその間入り浸っていたようですっかり柔道部の子ですなぁ。ロープ登りやってるし。
純ちゃんは正式に柔道部のマネージャーとなる様子。選手じゃないんですな。

さて、インターハイ予選の今後のスケジュールが明らかになる。
まずは再来週の東京都中部地区予選。
そこでベスト4に残れたら来月の東京都大会。立学にリベンジできるとしたらこの機会となる。
ちなみに個人戦もあるのだが、みんなで勝利することをモットーにしている武蔵原としては重要度はあまり高くないみたいだ。

このように充実している柔道部。
その様子を離れた所から見ているのは・・・いじめっ子の真壁たち。ふむ、未だにこの距離感でありますか。

あの日の夜。レンを呼び出し、ランニング中の紅林に持ち上げられてたあの日の夜。
レンは去り際に真壁にこう告げる。もう用もないのに呼び出したりしないで欲しい、と。

ぶ・・・部活で・・・柔道で忙しいんだ・・・

ハッキリと、意志を込めた顔でそう述べるレン。真壁も強く出ることはできない様子。後ろを向いてしまう。
そんな真壁に対し、レンは言葉を重ねる。

真壁君も・・・良かったら・・・真壁君も・・・今より・・・きっと楽し・・・

勧誘を行うレン。
真壁もここ最近、柔道をしている連中に色々と関わってるし、思うところはあるんじゃなかろうか。
しかしこれまでいじめっ子をやってきた立場という物もある。そう簡単に割り切れはしないでしょうなぁ。
いじめられていた方のレンが先に割り切って誘っているって話もありますが、だからこそ逆に難しいか。

ゴールデンウィークも開けて、インターハイ地区予選まで間は無い。
5/22開催だから、あと数週間もすれば本番ってことでありますな。
ケガをしている子は間に合わなさそうだが、残る部員で何とかするしかありますまい。

八乙女先生の指導は乱取り中にも激しく行われる。
人数が少ないだけに一人一人に的確な指導が行われており、雪村さんも何だかたくましくなったように見えますなぁ。

器用でオールラウンダーの春樹には絶対的に自信のある決め技がない。
紅林には内股がありますし、やはりそういう決め技みたいなものは持っていた方がいいんですな。
それによってほかの技を使った時の効果も増すと。なるほどねぇ。

アゲアゲメソッドのイメージによる特訓効果アゲだけではなく、技術理論もしっかりしている八乙女先生。頼もしい。
そして純ちゃんはそれらの評価を聞きながら、何かステータス表のようなものを作製している。
パワー、スピード、スタミナ、テクニック、ハート、そして個別の何かの6分類。
例えば春樹は5分類は高め、特にテクニックはかなりの評価。だけど決め技がないので6番目のそこを課題として低くする。
雪村さんの6分類目はいい人そう。ヒューマは猫好きという分析だ。それ柔道関係ない。
役に立ちそうで立たなさそうなステータス表ですな。

レンのステータス表も作成する純ちゃん。
白帯であるし、スピードやテクニックなどはさすがにまだまだである。
しかしどこを掴んでも離さないパワーは他の誰をも上回る個性であるのは間違いない。
そしてレンの6分類目。その人の個性となるこの部分は・・・

倒したい相手を・・・実戦をイメージするんだ。

八乙女先生と乱取り中。教えられたとおりにイメージを行うレン。その被さり方は正直どうかと思うが、まあいい。
そして、八乙女先生の指導が入るよりも早く、やるべきことを導き出すレン。
まあ、これは紅林の言葉が事前にあったからこそなんですけどね。
でも過去に教わったことをしっかり記憶し、実行しようとするのは素晴らしい才能だと思われる。

体が答えに辿り着いて・・・ソッコー実践してる・・・

なかなかのものでありますな。さすがの八乙女先生もレンの素質は計り知れないようだ。
そう、レンの個性。武器は成長率
白帯でありながらもその成長率の高さを考えれば・・・本戦で台風の目となる可能性は高い。
すくすく成長した成果を見せていただきたいものであります!!



第40話◎滾る  (2014年 29号)


東京都西部地区予選。その決勝戦の会場に足を運ぶ希ちゃんと純ちゃん。
どうやら立学の試合を見に来た様子。
さすがに立学は強く、1位で都大会進出を決めている。
それも3年のレギュラーを温存しての勝利である。名門は違うと言うことですな。

春はイマイチだったという富士森もこの大会では活躍している。
ふうむ、あの練習試合以降心境の変化でもあったんですかね。気になるところだ。

1回戦から全部圧勝で決めてしまう立学。
さすがに全国制覇を目指す学校は違う。
しかしその立学を倒そうとしている武蔵原も、結果的には全国制覇を目指すのと同義と言えます。
長い道のりではあるが一つ一つ勝ち上がっていくしかないでしょう。

まずは東京を4つに分けた地区予選
そこでベスト4に残れたら、各地区代表がインターハイ出場を賭けて戦う都大会。東京代表になれるのはそこから2校のみ。
そしてインターハイで全国の変態達・・・いや、猛者達と日本一を競うことになるのである。

ちなみに立学は西部地区予選10年連続優勝。都大会も10年で7度優勝。インターハイも3度優勝している変態オブ変態
希ちゃんはもう柔道が強いイコール変態と認識してしまっているのか!?

それはさておき、女子ーズに話しかけてくるのは疾風の神くん。くんは付けちゃいかんのか。
というのは置いといて。どうやら小田桐はヒューマとのリベンジを果たしたい様子。
武蔵原の中部地区予選は明日。何としてでも這い上がってもらい、直接天誅を下してやるぜってことらしい。執着してるねぇ。

そんな風に会話している小田桐の注意という名目で現れるのはキャプテンの新堂さん。
純ちゃんに名前を憶えていてもらえて内心感激している様子。いじらしい。
そして勇気を出して純ちゃんを誘おうとしている。
その様子を皆で見守る立学部員たち。って部員だけじゃなく先生まで見守ってるじゃないですかー!!いい部だなオイ。

結局誘う事は出来なかった新堂さん。部員一同ガッカリですよ!!
まあ、長いこと女子に接することのなかったリア柔ですしねぇ。仕方のないことかもしれない。

さて、明日は武蔵原の地区予選。初戦の相手は鷹崎高校と決まった。
その高校は去年都大会を賭けた試合で敗れた相手であるらしい。
ふむ。希ちゃんの言う通り、自分たちが強くなっているか確かめるにはいい相手かもしれませんな。

じゃあ初戦のオーダーだけ言っとくね。
先鋒は・・・レンくん
次鋒ヒューマくん。中堅祭田くん。副将日下部くん。大将ユッキーくん

ほう。これはどういった意図でのオーダーだろうか。
今回も最初の3人で決めたいという感じは伺えますが・・・
意外性のレンを最初に持ってきたのは面白い感じがしますな。火付け役にもなってくれそうです。
雪村さんの大将は少し不安がないでもないが、その責任感の強さに期待したいところです。

さて、今回もオーダーは先生の一存で決まったわけですが、前と違って怒ったりはしない。
無言で取り囲んだりはしてるが別に怒っているわけではない。
恒例の胴上げの体勢への移行であるが、無言でやられると何とも怖いものがありますな。というか日下部よ・・・

なにはともあれ、この日までにやれることはやった。
後は今のイメージ。地区予選でも都大会でもインターハイでもこの胴上げを実現させてやるというイメージを持つことが大事である。

さあ、次回からいよいよ予選開幕!!
初戦の相手に完勝できるぐらいの強さを身に着けていれば今後にも期待できますが、さてはて。



第41話◎出陣  (2014年 30号)


高校総体柔道競技東京都中部地区予選開始。
一か月という短い期間ではあるが、八乙女先生と言うスペシャルなコーチの指導を受けた武蔵原柔道部。
都大会で立学と再戦するためにも今日の中部地区予選は何としてもベスト4・・・いや、優勝を目指さねばいけない!!
まあ、立学に挑もうって連中がベスト4とかケチなこと言ってられませんわな。目標は大きく持たないと。

会場内は既に選手と応援の人たちでごった返している。
純ちゃんのリサーチによるとこの中部地区の強豪は以下の4校。
・東体大調布
・海稜高校
・青大杉並
・大和東工業
特に最後の大和東工業は去年からレギュラーの3年生が4人残っているという優勝候補。
残るの1枠にも成美が入るわけですし、確かに盤石の構えと言えるかもしれませんな。
変態性は高いが、その実力は周りから噂されるほどのものであるらしい。

さて、初の公式戦となるレン。
しかし立学との練習試合に比べれば、紅林と立ち合った経験に比べれば何ほどのこともあるまい。
だが、そんなレンに話しかけてくるのは初戦の相手。鷹崎高校の郷原
どうやら中学時代、真壁と一緒にレンを苛めていた男らしい。
その性格は高校に入ってからも変わってないようで、イヤミったらしい口を叩いてくる。な・・・何というカマセ臭。

去年も余裕で勝ってるしということで武蔵原は眼中にない様子の鷹崎。
というか高校名すら碌に覚えられてないのかよ。武蔵野じゃねーよ。

ぶっつぶしてやる・・・

いい感じに闘志が高まっている部員たち。まあグラサンの部分に関しては言われても仕方がない気はしますがね。
八乙女先生は燃えるのはいいけど余計なことで力まない!と忠告する。
まあ空回りしちゃうのは怖いですし、落ち着くのも大事でありますか。
その八乙女先生が挑発されると熱くなるタイプだったりするのがアレですが・・・
止める側に回ることで部員たちは冷静になれるっと話しですやね。というか日下部はそろそろ自重しなさい。

ともかく、眼中にないのなら体中に刻み込んでやると意気込み一同。
「武蔵原」の柔道を二度と忘れられないぐらいに刻み込んでやるのだ!!

というわけで、次回から東京都中部地区予選の開始。
まずは先鋒のレン。相手はいじめっ子の郷原。
どれだけ成長したか見せるには格好の相手でありますな。派手に投げてやれ!!



第42話◎理由  (2014年 31号)


いよいよ始まる地区予選。
監督である八乙女先生は選手たちと同じところにいるが、マネージャーの純ちゃんたちは上の観客席から見ている。
入場制限があるのか、こちらからの方が見渡しがいいのか。
何にせよ上にいることで、同じく観客席で試合を見物している武蔵原の生徒を発見する。
おや、真壁じゃないですか。やっぱりレンの様子が気になってるみたいですなぁ。

そのレンは先鋒で登場。相手が元いじめっ子だろうが気後れしていない。さあ来い!!

本来ならばもっと緊張するべき因縁の相手なのだろうが、順序が悪かったですな。
先に立学と――紅林との対戦経験があるレンにしてみれば、そこまで気負う理由がなかったりするという。おやおや。
絶対的に優位にあると煽ってる郷原が早くも可哀想に見えてきたぞ。ぶははは。

白帯であり、体も小さなレン。
一見しただけならばどう考えても不利は否めない。
が・・・成美はレンのその淀みのない目に美々っと来た様子。その辺りはさすがか。

成美の見抜いた通り、レンの柔道に迷いや淀みはない。
試合前にも、今この場でも煽られたのに、それで集中を欠くことはない。
冷静に袖を取り・・・相手の足を崩し・・・
襟を取る・・・のが難しいと思ったところで瞬時に、相手の左腕を抱え込み・・・背負う!!

綺麗に決まった一本背負い!!
今大会一本一号はまさかの白帯。体の小さな白帯でありました!!本当に派手に決めてくれたぜ!!
いつの間にか一本背負いも身につけたたんですなぁ。

紅林や小田桐、真壁や成美といった面々が見つめる中で成長を見せたレン。
成美もこの一本背負いは美しいと認めざるを得ない様子ですな。ほほ。
しかしせっかくの瞬間を見逃しちゃってる希ちゃんは・・・まあ、そういうこともありますよね!

決着がついたところで、ようやくレンは郷原に対して口を開く。
郷原はレンが復讐のために柔道を始めたと勘違いしていた。
そんな邪な理由では強くなれない。その郷原の言葉を肯定するレン。

郷原くんの言うとおり・・・そんな理由じゃきっと強くなれなかった。
僕が柔道をしてるのは・・・復讐するためなんかじゃない。
ただ・・・今までのどんな瞬間より、畳にいることにわくわくするから

見事な成長を遂げたレン。
技術的な成長はもとより、心も大きくなったみたいですな。
体こそ大きくはなってないが、心が大きくなった。これが当初から言われていた大事なことであります。
その成長した様子を目の当たりにし、真壁の目にも涙が浮かんでいる。おやおや・・・!!

当初から真壁の立ち位置は気になってましたが、いい感じになってきましたね。
今後柔道部に入るかどうかはわからないが、いいキャラになって欲しいと思います。



第43話◎上出来  (2014年 32号)


幸先よく先鋒戦を秒殺一本勝ちで飾ったレン。
火付け役となる先鋒としては最高の仕事をしたと言えましょう。
そしてレンが勝てば次鋒のヒューマは何が何でも勝とうとする。なるほど、そういうことを考えたオーダーでありますか。
練習に参加するようになって性格も配慮したオーダーになったわけですね。
相手は白帯の先鋒だからと油断してかかってくることもあるだろうし・・・なかなか考えてますなぁ。

とはいえ残り時間僅かなところまで粘られたヒューマ。
しかも巴投げとは渋い決め方をする。綺麗な一本にはなってますけどね。
一敗して相手は油断してなかったということもあるだろうが、思ったより時間かかったなぁ。

さて、中堅は春樹。
1年生コンビが活躍すれば、二人を勧誘した春樹のプライドもうずくという考え。
勝利が続けばチームの勝利を決定できるポジションでありますし、なかなか良いですね。

というわけで、体落とし2連続で技有り2回。合わせて一本を取る春樹。
見事に3連続一本勝利を決めての1回戦突破となりました。わーっしょい!わーっしょい!

去年の雪辱を晴らし、都大会進出高校に快勝を果たした。
これは武蔵原という存在が強烈にアピールされる結果となりそうですね。
このまま一気に全勝と行きたいところ・・・!!
と見せてしっかり負けるのが日下部らしいところ。空気読めや!!
日下部は柔道の方でも何か決め手が欲しいところですなぁ・・・本気で寝技鍛えるか?

ラストは大将。武蔵原の王子様こと雪村さん。
受け身な性格であったが、八乙女先生に言われて随分積極的な男になったらしい。ほう。
純ちゃんが言うには男子はそうでなきゃねとのこと。ほう。
聞いてますか新堂さん?いや、柔道の積極性と色恋の積極性はまた違うか。

ともかく、自分から積極的に仕掛ける雪村さん。
組際にいきなり大外刈りに飛び込む・・・が、耐えられる。逆に浮かされそうになる。
けれども、ここで持ち前の粘り強さを発揮し・・・・・・いいぃよォいしょおお!!
見事に倒すことが出来たのでありました。この強引さも身に付けた武器でありますかな。男子はそうでなきゃね!

八乙女先生のオーダーは選手の性格も含めた見事なものであります。
先頭の3人が勝てれば危なげない。まあ、一人負けると一気に不安になるという話ではありますが・・・
副将・大将の更なる強化に期待したいところです。

さて、大和東もこの試合を見て俄然武蔵原に注目するようになっている。
昔の八乙女先生を知る大和東の先生はちゃんと警戒している様子ですな。

八乙女先生の鬼のような強さを体感してきたせいか、相手から大した圧力を感じなかったというヒューマたち。
超一流と練習すれば伸びるってのはそういう部分も含まれているわけですな。
強い相手と練習すれば、例えそこで勝てなくても本番では楽に対応できる。
ゲームの難易度高めで練習してからノーマル難易度に挑むような感じでありますな。そりゃ楽に感じますわ。

勝利した武蔵原の面々に声をかける八乙女先生。
さすがに超一流。個々人に的確なアドバイスを送っている。
日下部には成果が出る楽しみが伸びたと思えばわくわくすんじゃんとのこと。なるほどなー。

この人を信じて・・・間違いじゃなかった・・・

改めてそう思う。いい感じに信頼関係が深まっておりますなぁ。ほほほ。
この勢いで快進撃を続けたいところであります。
が、準々決勝には優勝候補と目されるあの高校、大和東が立ち塞がることとなる。
レンの背負いに魅了された成美。これは見くびってくる様子はなさそうである。

お返しに今度は僕が・・・彼らの心を直に奪って差し上げましょう。
この成美悟の・・・美しき柔道でね。

本気モードに入った様子の成美。
さて、受けの強さはその柔軟性で分かっていることであるが、それ以上の武器を持っているのかどうか。
直接ぶつかるまでに色々と知っておきたいところでありますね。



第44話◎勝者と敗者  (2014年 33号)


1回戦を快勝で終えた武蔵原。
2回戦もこの勢いで行きたい。が、先の試合は注目されていたのか、さすがに相手も油断していない。
技有りと有効を取られ、残り時間も少なくなっています。

その状態を打破すべく、得意の背負い投げ。
と見せかけて、その逆。絶妙な小内刈りを決めるレン。ほほう。
いつの間にやら背負いだけではなくそういった技術も身に付けておりましたか。
1回戦でも足技で崩してからの一本背負いでしたし、実は足さばきが長所だったりするのかな?

今回は希ちゃんも注視しており、しっかり写真に収める。カメラマン役みたいになっておりますな。
そのファインダー越しに、次鋒のヒューマ、中堅の春樹の勝利も納められる。これで2回戦も圧勝だ。
日下部は今回も敗退したようだが、雪村さんは優勢の逃げ切り勝ち。いい調子ですな。

次はいよいいよ都大会進出を賭けた準々決勝。
立学との再戦のためにも絶対勝ちたいところである。

勝利に浮かれる武蔵原。しかし勝者がいるのならば必然的に敗者もまた存在する。
初戦で敗れた鷹崎高校の3年生は着替えも出来ず、控室でただ肩を震わせている。
3年生にとってはこれが最後の大会となる
それなのに舐めてかかっての敗戦では悔しいでしょうな。
今でこそ相手が強かった、自分たちの実力が足りなかったと認めているようですが。

まだ・・・終わってたまるか・・・

雪村さんとしても最後の団体戦。次の試合で勝てなければそれで終わりとなってしまう。
そうさせないためにも、何としても勝たないといけない。同情しているわけにはいきませんわな。

さて、その準々決勝の相手となるであろう大和東の戦いを見学することとなりました。
先鋒。レンの相手となるのは成美。おっと、やっぱりこの男が相手か。
ヒューマはうざい奴に絡まれる才能があると言っていたが、レンは紅林といい、変態と当たる才能があるのかな。

おかしな色物発言に対し、そんなに色っぽいですか?と返す成美。そうじゃねーよ。
八乙女先生を狙う変態軟体ナルシストスパイとの評価を受ける成美。
全く持って間違ってはいないが、実力もきちんと備わっているので色々と厄介である。

相手の泉大野の先鋒、服部は去年都大会の個人戦で上位に入った実力者である。
デカいし早い。さくっと勝って勢いづけるぜといきなりの大外刈りを狙ってくる。
その狙い通り、成美の体は後方へと倒れる。
が、かけたはずの足はすかされ、服部の体が前へと倒れ込む形となった。
そのまま体を逸らせば、畳に叩きつけられるのは服部の方。何とか身を逸らしたものの、有効を取られる形となった。

内股すかしならぬ大外すかし。聞いたこともない技を見せる成美。
この軟体っぷりは柔道の常識を覆しかねない感じですなぁ。

さらに今度は異様な速度も見せる。
相手の周りをぐるりと回転。組み付こうと腕を伸ばした相手の袖を取り、逆の手で帯を掴み、腰で相手の体を浮かせる。
そしてそのままぐるりと回転。相手の背中を畳に叩きつけるのでありました。
ほう、これは大腰か。そんな技があるとは初耳ですが、なかなか使われない技なんでしょうな。
決まった感じは随分と綺麗だったが、これは成美の技術によるものか。
技は綺麗なのだが、決めた後の成美のポーズがうざくてきもくて困る。
うーむ、柔道自体は相手の勢いを自分の動きに吸収して投げる綺麗なものでありますのにねぇ・・・

先鋒の成美が一本を決めれば、残る4人もオール一本勝ちを決める。
さすがに打倒立学を掲げるだけあり、これまでの相手とは格が違う感じですね。
しかし雪村さんの引退試合にするにはまだまだ早い。相手が誰であろうと負けるわけにはいかない。

準々決勝も・・・僕が先鋒で勢い付けます!!

成美に挑発され、美クンとなりながらそう宣言するレン。
変態に好かれるのは変態に染まりやすい性格をしているせいもあるのだろうか。
いやまあ、成長性や実力といった部分も見込まれてはいるんでしょうけどね!!
しかしこの美クンを見ていると素質があるんじゃないかと思えて困ります。



第45話◎正念場  (2014年 34号)


勝てばベスト4。都大会進出が決まる準々決勝。
まさに正念場といえる一戦が始まろうとしている。
打倒立学を掲げる大和東。かなりの強敵でありますが、アゲていくしかありますまいて。

で、試合前に八乙女先生からこんな話を聞かされる。
僕たち大和東が武蔵原に勝った暁にはマチカさんを正式にデートに誘いますよ!!と。へー。
日下部はさておき、そのようなことを聞かされても反応に困る部員たち。
せいぜい教師と高校生なんだから一線は越えちゃ駄目ですよって忠告するぐらいだ。
せっかく八乙女先生も盛り上げるためにOKしたというのにねぇ・・・結構嬉しそうにOKしたんだったり?

燃えてます

盛り上がらずに残念がる八乙女先生であるが、それとは関係なしに燃えているレン。

ここで終わるわけにはいきません。全員で立学にリベンジするまで。
そのためにも・・・この試合を・・・雪村さんの最後の団体戦にはしません

うむ、いいことを言うなぁレン。これはアガる。
雪村王子の運命をかけて頑張らなければいけない。まずは自分が勝利して弾みをつけないといけない。
頼むぜレン!!と仲間の声援を背に出陣するレンでありました。
練習試合の時とは違い、ちゃんと戦力として大きく期待されているようですなぁ。よい感じだ。

しかし大和東の先鋒は変態ナルシストである成美悟。さてさてどうなりますか。

レンの迷いのない目を美しいと評価する成美。
その柔道も美しいものであるかどうか確かめようと、ダンスのような大きな動きでレンの周りをまわりだす。
これは確かに捕らえにくいというか、惑わされる動きでありますな。
焦って捕まえに行こうとすると逆に袖を取られ、力を流される結果になる。
けれども、レンはこの動きを2回戦で既に見ている。事前に知っているのであれば・・・対処のしようもある!!

勢いをいかされて懐に入られることのないよう、成美が取った引き手の方に急旋回するレン。
そして逆に懐に入り、左の一本背負い。担いだ!!

右ほどの威力はないかもしれないが、それでも練習を重ねてきた背負いである。
成美も堪えることは出来ず、担がれる。が、その柔軟性をいかして脚を振り下ろし、レンの前へとまたいで耐えようとする。
しかし強引に回して成美から技有りを奪うレン。ほう、いきなりの高ポイントだ。
これにはさすがに成美もビックリ。だが、まだ驚くのは早い。
逃れようとした成美に飛びついて倒し、有効も奪う。審判の「一本」を聞くまで試合は止まらない。その教えに忠実に動いている!!

押せ押せな感じのレン。
であるが、その勢いを利用するのもまた柔道の技である。
飛びついたレンの勢いを利用し、逆に投げ返す成美。
すんでのところで身を捻り、有効で留めるレン。危ない危ない。

一連の攻防で双方合わせて3つものポイントが入る。稀にみる面白い試合だ。
しかしまさかいきなり技有りを取ることが出来るとは。さすがの自信過剰ナルシストも少しはビビったんじゃないかとヒューマ。

ビビっときますね〜。強さという名の美しさ

強さを美しさと捉える成美としてはむしろ歓迎している様子。
うーむ、やっぱり変態は厄介ですなぁ。
しかしその評価がいきなり一転する。迷いのない目をしていたレンの表情から少し迷いの色が出てきているのが感じられる。

迷いのない目・・・美しいゆえに・・・濁りが目立つ・・・おえ。

ふむ。これまでレンは一本で決めるか、ポイント差で逃げられるのを追う流れとなっていましたわな。
それがこの序盤で大きなリードを得てしまった。
残りの時間を巧く逃げ切る。そんな迷いが生じてしまったのではなかろうか。
慣れないことはしない方がいいと思うのだが・・・さてさてどうなりますか。



第46話◎使命感  (2014年 35号)


試合序盤で技有りを決めたことで大幅なポイントリードとなったレン。
負けるわけにはいかないこの戦い。このリードは安心を生むこととなる、か?

しかしその安心は時に保身を生む結果ともなる。
成美の足を崩し、背負える流れに持って行ったが、攻めきれないレン。
どうやら成美に投げられたことで警戒心が生まれてしまったようですな。
確かに一気呵成に行こうとするとその勢いを利用されてしまう。
成美の柔道は相手の力を巧く利用する柔道であるし、不用意に飛び込むのは危ないのは確かである。

この試合でチームが負けたら・・・ユッキーさんの最後の団体戦になってしまう・・・
相手は優勝候補の大和東・・・1、2回戦と違って一筋縄ではいかないはず・・・
僕が先鋒戦を取れれば・・・チームにとって大きな一勝になる・・・何としても期待に応えるんだ・・・
序盤にリードできたのにリスクは犯せない。あと2分守りきれば勝てる・・・!!

うーむ。やはり逃げ切りを考えてしまいましたか。
慎重に行くのは大事だが、消極的になるのはまた違うんですよね。
特にレンはそういう闘いの経験は少ない。逃げ切りとかは考えない方がいいのだが・・・うむむ。

成美としてもその考え方は美しくない。粉砕して綺麗にしてあげましょうと攻撃をしかけてくる。
これだけ腰を引いて攻めづらくしているのに、思いもよらない角度に入り込み、ブリッジ気味に投げてくる。
今回は有効を取られるだけで済んだが・・・やはり守りきれる相手じゃないですなぁ。

距離が取れないならばとしっかり組んで振り回すレン。
パワーは確かにありますし、相手の動きを封じる意味では面白い。
が、その勢いをも利用して技を仕掛けてくるのが成美である。
振り回される勢いに逆らわずに乗って足を払い、更に有効を奪う。うーむ、危うい・・・

攻撃が中途半端なせいで防戦一方になっているレン。
消極的な姿勢は誰の目にも明らかなので指導も入ってしまう。よろしくないですなぁ。

「指導」は4つもらうと反則負けになるが、今年の公式戦から3つまでなら技によるポイントリードにはかなわないとのこと。
ふうむ、知らないうちにその辺りのルールは変わってきているんですなぁ。
しかしそれはギリギリまで消極的な行動を続ける結果になってしまわないだろうか?
レンとしてもあと少しの時間を指導もらいながら耐えようとか思ってしまっているようですし。

これ以上キミの動きが醜くなるのは見たくない・・・そろそろ終わりにしましょうか・・・

そう述べながら、組んだ状態で大きくステップを踏んで回り出す成美。
その遠心力を活かして一気に引き寄せての投げ。これぞ回転払い腰!!
この投げの勢いは堪え切れず・・・ついに技有りを取られてしまうレン。
うーむ、有効を重ねられたこともあり、これで大幅にポイントリードされることとなってしまいましたな。

残り時間が少なくなった段階で逆転された。これは心理的にもダメージが大きい。
こうなれば取り返すしかない・・・のだが、ここで先鋒を任された重圧を感じるレン。
同じ負けるにしても一本負けでは内容差でチームとして不利になるかもしれない・・・と。
ふうむ。消極的にいって負ける方が勢いを削ぐ結果になると思うのですが・・・難しい所か。
いずれにせよ悩むレン。仲間たちの声もむなしく通り過ぎている。
が・・・雪村さんの今までにないほどの厳しい口調にはさすがに意識を向けざるを得ない様子。バカ野郎!!

一か月前とは違うぞ。信じるんだ。今の俺たちを。後ろには俺たちがいるんだぞ!

ほほう。これは良い声かけでありますな。
レンが何を焦っているのかを正確に読み取り、きっちりと元気づけている。
本人も認めるぐらいに頼りない感じだった雪村さん。いつの間にか立派になって・・・!!

雪村さんの言葉によりその目に淀みがなくなったレン。ほほう。

何を勘違いしていたんだ僕は・・・信頼してくれる仲間を・・・僕が信頼しなくてどうする。
たとえ僕が負けたって・・・きっと取り返してくれる・・・
信じるんだ・・・武蔵原というチームを。
一番弱い僕を先鋒で送り出してくれた・・・団体戦だからこそ・・・負けを恐れる必要はない!!

団体戦だからこその戦い方ってのはありますよね。
先鋒が勝って弾みをつけるのは大事だが、敗れても尚その意気を後ろに繋げるのもまた大事。
消極的な姿勢で結局負けるのは一番よろしくないことでありますわな。

さあ、得意の不利な状況からの立ち直りである。
残された時間は短いがそれもいつものこと。頑張って取り返そう!!



第47話◎躍動  (2014年 36+37号)


後ろには俺たちがいるんだぞ!!

雪村さんのその言葉に団体戦の大切な部分を思い出すレン。
仲間のためにという気持ちも大事だが、仲間が控えていてくれると考える気持ちも大事である。
その仲間たちがいるからこそ・・・最後の1秒まで攻めの柔道をするのだ!!

負けを恐れる必要は無い!!

目覚めたレン。一気に成美の懐に入り込んで右の一本背負い。
成美は今回も跨ぎこして堪えようとするが、最初の時と同様、無理やり回すレン。
技有りは奪えなかったものの、有効にはなった。
いや、ここはポイントが重要なのではない。消極性が消えたのが大事なのだ!!いつものがむしゃらさが戻って来た!!

ユッキーくんの一言で・・・レンくんは本来の持ち味を取り戻した。
いや・・・きっとその先にたどり着いた。
団体戦の真髄は・・・信技体

個人戦ならば己の心ひとつの所が、団体戦ならばチームとの信頼関係が大きなものとなるってことですかね。
先鋒を任せられたことでレンはまた一回り大きく成長したようだ。
これには成美も素晴らしいと感嘆。

これです!!僕が!!求めているのは!!

足払いを受けて成美の体が回転する。いや、崩れてからは自分の意志で回転している様子。
その結果、空中で横向きに一回転して足から着地する成美。捻りまで加えてやがる。
これには敵味方問わずに喝采が飛ぶ。やつ自身はきめえがダンス仕込みのやつの柔道は確かに美しいぜ!!

もっと速く、強く、華麗に。もっと美しく。
そのように考える成美が柔道を始めるに至った理由が明かされる。

ダンスに伸び悩んだ。もっと美しく。強く速くカッコ良く躍動したい。
そんな時出会った、この芸術。
僕一人では成しえない。互いの力と技の衝突と流れが躍動を高め合ってこそ描かれる・・・
自他共栄の美。それが柔道

なかなか面白い考えを持っている成美。分からなくはない。
それはそうと・・・成美の両親。父母揃ってその髪型は・・・!!
こういう細かい所で笑わせに来てくれるから困る。大好きだ。
そして成美が最初に美しさを見たのは紅林の内股であったという。
ふーむ、やはり変態は根っこのところで繋がっているということでしょうか。因果なものよ。

残り10秒。互いにこの10秒で決着をつけようと激しく争い合う。
ラスト5秒。レンの足が成美を捕らえ、後ろに体を傾けさせる。
が、成美はここで体を反って押しに来たレンを後ろへ投げようとする。
これは止まらない。止まれない。それなら・・・

成美の動きに合わせて・・・自分から回転して飛んだ!!

そうすることで背中からではなく、前を向いた状態で成美の後ろへと組みながら着地できる。
そして、レンの技のエネルギーを吸収した成美のエネルギーに、さらに自身の背負いのエネルギーを加える!!
この凄まじい回転の前に、さすがの成美も跨ぐような余裕はなく、背中を叩きつけられる。
回転力が凄すぎて、投げた方も投げられた方も技の後で回転している。
凄まじい攻防でありましたが・・・制したのはレン!!
うーむ。見事な一本でありました!!美しい!!
やはりこの終盤の息継ぎする間もない攻防が見応えありますなぁ。面白い!!

さて、しっかりと先鋒戦を制した武蔵原。
この勢いで次鋒、中堅と取ってしまいたいところですがどうなるか。注目です。



第48話◎自信  (2014年 38号)


見事な逆転一本勝ちを決めたレン。先鋒として最高の働きをしてくれましたな。
敗れた成美も美しすぎる一本をもらい、悔いはないといった様子。柔道をやっていて良かったとまで言ってくれる。

潔く負けを認めるのも美しさ・・・

個人であるならば成美の態度も良かろう。
しかしこれは団体戦。まだまだチームの戦いは続くのである。
負けから入ったものの、大和東はまだまだ負ける気はない。
先鋒が敗れたことでかえって負けられないという気持ちを高めてしまったようでありますな。

一方の武蔵原。レンが作った勝利の勢いに乗りたいところ。
ヒューマと春樹が連勝して一気に勝利を決めたいものでありますが・・・そうは簡単にはいかない。
さすがに優勝候補の呼び名が高いだけあり、あのヒューマが速さに圧倒されての一本負けとは。
どちらも小さくてのスピード型か・・・上位互換が相手では厳しかったですわな。

この大和東の次鋒である3年の白木は軽量級のインターハイ候補らしい。
うーむ、さすがにまだ1年生のヒューマが簡単にどうこうできる相手ではなかったってことか。仕方がないね。

さて、あっという間に追いつかれたところで中堅戦。
変態エロメガネだけどメガネを外せば凄くしっかりしてると評判の春樹。
であったのだが・・・何とまさかの敗北。
まさか勝てそうに思えたこの2人が連続での敗北とは・・・厳しいなぁ。

追い詰められた武蔵原。これまでの勢いがウソのようである。
次の副将戦で負ければ敗退。都大会出場も立学との再戦も消えることとなる。ううむ・・・
そしてしかも、ここで迎える副将はここまで勝ちがない日下部。これは・・・

信じるんだ。俺だって・・・一か月前とは違う

おぉっと?何だかカッコイイことを言ってくれましたよ日下部。
これは部員一同思わず美クンとしちゃうってものですよ。って感染してる感染してる。
まあそれはさておき、日下部。こういうカッコイイことを言うとなるとその次は大抵・・・やっぱりダメな流れかー!!

大量にポイントリードされる日下部。
相手はこの日下部が一番強そうに見えたのだという。眉毛がないのが効いてたか!?
だが実際はこの有り様。大したことは無い。そのように試合中に思ってしまったのが命取り。

審判の「一本」を聞くまでは・・・試合は止まらない。

八乙女先生の教えの通り、技有りを取られた直後だというのに、攻めに転じる日下部。
相手を転がし上に乗り、抑え込みに入る!!おぉ。

みんなより実力的に劣っている自覚があるからこそ・・・
特に私との練習や寝技の技術やコツの吸収には誰よりも貪欲だった・・・
朝も休み時間も私を呼び出して二人きりで組んずほぐれつ・・・チームの力になるために人一倍必死だった

と八乙女先生は仰るわけですが・・・どうにも欲望が空けて見えてしまっていかんなぁ!!
いやまあ、ね。チームの力になろうとしてたのは事実だと思いますよ。
でもそれと同時に欲望に忠実すぎるようにしか思えないのが何というか・・・むーう。
というか八乙女先生はそういった欲望については本気で気付いてなかったりするのだろうか?
そういった男女の機微には疎そうな気がするしなぁ・・・やれやれだ。

てなわけで、味方の声援を受けて必死に抑え込む日下部。イメージするのってやっぱり大事ね。絶対放さない!!
その意識もあって、感動の初勝利。ここぞという大事なところで立派に取ってくれた。よっしゃよっしゃ。

さあ、2対2となり迎えるのは大将戦。ユッキーさんの出番である。

みんなを信頼してここまで来れた・・・
あとは信じるんだ・・・これまでやってきた俺の全てを。
このまま終わってたまるか!!

チームの想いを背に、雪村キャプテン出陣!!
うーむ。盛り上がってきました。
正直雪村さんには荷が重い相手な気はしますが・・・どうなるか。
少なくとも悔いの残ることのない戦いをしていただきたいものであります。



第49話◎キャプテン  (2014年 39号)


勝った方が都大会進出・・・負けたら終わる・・・全てが!!!
死んでも負けられない大将決戦!!奪る!!!

仲間の声援に後押しされて雪村さん出陣。頼むぜユッキーさん!!
ユッキーさんは一本勝ちも少ないが負けも少ない、状況に応じて試合を組み立てられる試合巧者。
この大事な場面だからこそ何とかしてくれるはずである。

そういった想いを受けて挑む雪村さん。
しかし相手の神崎は優勝候補校のポイントゲッター。実力は折り紙付きである。
後手後手にまわらず積極的に技を仕掛けようとするのだが、仕掛けた技が手応えなく吹き飛ばされる!!
これは距離を保って勝負しないとあっという間に持って行かれてしまう。
そう思っていたのだが・・・空いた距離を遠心力に活かしての回転払い腰!!
これを決められ、早速技有りを取られてしまう雪村さん。これは痛い・・・!!

大和東工業の神崎龍はあの立学の主将である新堂さんのライバルと目されている男である。
さすがにまともにかかってどうにかなる相手ではなさそうですなぁ・・・
パワーもスピードもセンスも何もかもが違う・・・

望むところだ!たとえ・・・たとえそうだったとしても・・・諦めない!!
勝つんだ・・・何としても・・・何とかして・・・

攻略を考える雪村さん。
上背のある雪村さんはこれまで担ぎ技はあまりやってこなかったのだが、相手の神崎はさらにデカイ。
ならば1、2回戦で見せてこなかったこの背負いは意表を突く形になりそうである。
が、投げきることのできない雪村さん。
いや、これは投げきれないと分かって仕掛けている感じか?
大和東の方からも投げる気のないかけ逃げだとの声が入る。
ふむ、それを続ければ指導が飛ぶことになるはずであるが・・・ここで指導が飛んだのは神崎の方!!
なるほど。技を出していない時間が続いたことで神崎の方が消極的と見られたのか。
それもこれも全ては技をかけさせる間もないほど雪村さんが攻め立てたおかげである。

「かけ逃げ」ほど浅い入り方でもあからさまな逃げでもない・・・
「投げる意志」は感じさせつつ返されにくい程度の絶妙なさじ加減・・・
あの大将・・・なかなか巧いな

大和東の先生も褒める雪村さんの試合巧者っぷり。
そのおかげで神崎に2つ目の指導がつく。
今のルールならば指導が4つつけばそこで負けとなる
もしや雪村さんはそれを狙っているということなのか・・・!?また何とも辛い道でありますなぁ。

観客としては一本勝ちが続いたのに守りに入ったずるい戦法に見える様子。
しかし強敵相手にこれを続けるのがどれほど精神をすり減らすことであるか。
技のかけ方を誤れば、即座に持って行かれる。
逆に甘すぎれば自身に指導が返って来る。
そのギリギリを極限の集中力で続けている。何としても勝ちをもぎ取ろうとする執念が伺える!!

実力がないなら素直に散るのが男のプライドなどという奴もいる。
個人でやるのならばそれもまた考え方のひとつでありましょう。
しかしどうあってもチームのために勝ちたい。土下座までしてチームを背負ってきたキャプテンの意地。
そういうものを鑑みれば蔑むようなことはできない・・・!!
泥臭くとも何でもとにかく勝つ!!
その勝利への執念もまた美しく思えるものであります。
さてさて、雪村さんのこの作戦は実を結ぶのか・・・注目です。



第50話◎結実  (2014年 40号)


相手が技を出す間がないほど攻め続け、「指導」を積み重ねることで相手の反則負けを狙う雪村さん。

チームのために・・・何としても勝利をもぎ取る!!

その雪村さんの執念が実ってか、ついに3つめの指導が神崎に飛ぶ。
これであと1つ指導が入れば神崎の負け。雪村さんの勝利となる!!
時間は残り30秒。可能性は十分ある時間だが・・・どうなるか。

観客からはさすがにせこいとい声も飛ぶが、神崎の圧力を凌いで作戦をこなしているのは大したものである。
ハッキリとは言ってないが、その部分の評価はありそうですな。

神崎としては指導を取られないように急いで技をかけたい。
が、神崎が技を出す一瞬前に技をかける雪村さん。
投げきることこそ出来ないが、これを成し遂げる集中力は凄まじいものがありますなぁ。

残り18秒。変わらず技を仕掛けることができずにいる神崎。
このままでは「待て」がかかり、「指導」が来る可能性がある。焦る。

完全に組む前に飛び込んででも仕掛けるしかない

意を決し、離れた距離から一気に飛び込み、大外刈りを決めようと考える神崎。
だがその仕掛けを焦るあまりか、重心が高くなっている!!
まあ、飛び込んで技をかけようとすれば自然とそうなりますわな。
そして、これこそが雪村さんの待ち構えていた状況でありました・・・!!

ユッキーくん受けが強いんだし・・・相手が焦って不安定な技かけてきたらお得意の返し技のチャンスよ。

その八乙女先生の教えをしっかり覚えていた雪村さん。
狙っていたのは指導4つじゃない!
追い込まれた焦りでかけてくる・・・相手の不安定な技を・・・自分の武器で粉砕する!!一本を奪る!!!

勝つんだ!!
勝つんだ!!

相手の大外刈りを、自身の大外刈りで返そうとする雪村さん。
神崎の体は腰が浮いており、実力に劣る雪村さんでもこの大外返しは決めることができるはず・・・!!
勝つために吠える雪村さん。
同じく勝つために必死に堪えて吠える神崎。両チーム、仲間の声援を受けて最後の押し合いを開始する!!

精一杯押すために伸ばした雪村さんの軸足がグキッと折れる。
これは痛い・・・が、その痛みを無理矢理ねじ伏せ、伸ばす!!
そしてついに・・・神崎の体を後ろへと崩し・・・背中から叩きつける!!

まさかの雪村さんの大勝利・・・おぉ・・・カッコイイ・・・!!
よもや立学の主将、新堂さんのライバルと目される人物に勝利しようとは・・・作戦勝ちの部分もあるが快挙といっていいですよ!!

優勝候補である大和東が地区予選で消えた。
そして都大会には武蔵原が行くことに決定した。ざわめく観客。
敗れた神崎は涙し、その様子を見た成美は何やら心を震わせている。
色んな所に美を感じることが出来るようですな。その気持ちを忘れずに来年頑張ってもらいましょう。

雪村さんの見事な勝利でインターハイ地区予選突破
まだまだ終わらない。これから本戦に向けてまだまだ強くなれるわけですし、終わりたくはありませんわな!!

しかし足を痛めた様子の雪村さん。本戦には間に合うのだろうか?
武蔵原には入院しているという部員がまだ1人いるらしいが・・・出番があるかな?



第51話◎エール  (2014年 41号)


優勝候補である大和東を破り、都大会出場を決めた武蔵原。
雪村さんがケガしたこともあり、以後の地区予選の内容は描かれず、ダイジェストを回想で語る流れに。仕方ないですな。

準決勝は青大杉並相手に2−2の内容差で惜しくも敗退。
うーむ、レンはここでも一本勝ちしているのか。凄い戦績だなぁ。
というか柔道の勝敗マークは読み方が良く分からないな。
ふむ。○が一本で、○に一本棒が技有り、○に二本棒が有効か。
なるほどそれを踏まえると武蔵原は一本ひとつに有効ひとつ、青大杉並は一本ひとつに技有りひとつになるわけか。なるほどねぇ。
雪村さんが戦えていれば分からなかったわけですな。惜しかった。

何はともあれ地区予選3位。優勝候補を破っての成績ですし、上出来と言っていいでしょう。
見に来ていた立学の面々も一安心といったところか。
写真撮影してくれた小田桐にしてみれば、ヒューマの戦績が芳しくないのはアレかもしれませんがね。

それにしても春樹と希ちゃんの写真はいいですな。青春ですな。ちゃんと残しておきましょう。こっそりと。

団体戦の翌日、個人戦が行われた様子。
レンはここで大和東の白木相手に敗退。まあこれはさすがに相手が悪かったですわな。

同じくヒューマと春樹も大和東に止められる。
判定の結果とはいえ、変態退治が出来なかったヒューマ。これは悔しかろう。

雪村さんはもちろんケガで個人戦は辞退。
そして残る日下部は・・・66キロ級にエントリーしながら体重2キロオーバーで失格。何しとんねん。
まあ、体重増やして総合的に強くなろうという考えは間違ってないかもしれないが・・・何しとんねん。

部活で立派な成績を残して良かった良かった。
と言いたいところであるが、顧問の八乙女先生は浮かない顔だったりする。
ははぁ、1年3人の中間テストが散々だったわけですか。
高校辺りからは勉強せずに点を取るのは難しくなってきますし、酷い時は酷い点になりますわなぁ。
とはいえ、さすがに赤点が多いと学校側も対処しないといけないだろうし、これはマズイ。というわけで――

これからは休み時間に成績学年トップのノゾミちゃんが彼らに勉強教えます

なるほど。これはこれで大事なことでありますな。
文武両道とまでは行かなくても、最低限点が取れるようにはしておきたいものです。
前の学校で生徒が付いてこられず、保護者からクレームが来たという八乙女先生の為にも・・・そっちの方も頑張らないとね。

さて、レンと希ちゃんの共通点といえば牛乳。
そのパックの牛乳が珍しく売り切れている。
何ごとかと思いきや、真壁が買い占めており、それをレンに提供してくれた様子。ほほう・・・
これまでのことに対しての謝罪と応援の意味を込めての行為でしょうか?不器用だけど気持ちは伝わりますな。
そしてそんな真壁を改めて誘うレン。であるが・・・

俺はしんどいの嫌いなんだよ。
だから見てるだけでいい。次もぶん投げるとこ見せろよ

そう言って立ち去る真壁でありました。
なるほど。そういう立ち位置となりましたか。これもまた一つの道ですわな。
関係が良くなっただけでも嬉しいことですよ。うむうむ。

それにしても牛乳を一気に買い占められても困りますよね。実のところ。
冷蔵庫があるわけでもないし、すぐにぬるくなってしまう。
というか一気に飲まないと痛んでしまう・・・
というわけで、部活に持ち込んで皆で飲んでおります。なるほど、それでいいわけか。
豊胸のために牛乳飲んでる希ちゃんも嬉しい。思わず二本同時飲みとかしちゃう!!無駄に。

さて、雪村さんのケガだが、どうやらそれほど重くはなかった様子。
1か月後の都大会団体戦はベストコンディションで臨めるとのこと。
それは喜ばしいが、それまでは激しい練習が出来ないのは厳しいですな。まだまだ伸びたいところでしょうに。

都大会は団体の2週間前に個人戦があるとのこと。
武蔵原は誰も個人戦で勝ち残っていないから団体戦に集中できる。ふむ。
ちなみに立学レギュラーと小田桐は全員地区予選突破。さすがである。
しかし英語の点数はヒューマより悪い8点。まあ、ここは赤点で出場禁止ってことはなかろうが・・・小田桐・・・

さておき、都大会の団体戦で立学へのリベンジを果たすべく張り切る武蔵原の面々。
特に春樹の紅林に対する想いはやはり強い様子。
この間の練習試合の前とは違い、強くなった手応えはある。
今度こそ必ず・・・その想いを抱いて挑むことが出来るのは大きい。だが、しかし・・・

紅林君・・・キミはまだ2年生だろ?もう1年・・・来年がある。
今度の試合・・・やめておいた方がいい

整形外科でそのようなことを告げられている紅林。
おやおや、雪村さんではなくこっちにドクターストップとは・・・!!
ふーむ、これはひょっとするとヒューマが知っている紅林の秘密に関わることかもしれませんな。
中学の頃から抱えていたケガだとすると相当深刻な気がしますが・・・どうなのだろうか。気になります。



第52話◎友と共に  (2014年 42号)


個人戦出場辞退を打診された紅林。
大変な状況・・・なのだが、この紅林家の面々の顔ぶれは・・・何だ!?凄い絵面だ。
女の子2人がはっきり紅林の妹であると分かる顔立ちなのがまた何というか・・・ハッハッハ。

さて、その紅林と友達だった春樹。
今でも紅林の中学時代の裏切りが許せずにいる様子。
しかしそれはそれだけ柔道部での思い出が強いということであり・・・
一緒にやってきた紅林との友情が深かった故のものであると思わされる。

というわけで、春樹の過去回想。
小学校の頃はスカートめくりに精を出している春樹。
三つ子の魂百までというが、昔から変わっておらんなぁ。
そして昔から目立つタイプであったんですな。
小学生としてはこういう行動力のあるタイプはモテる。間違いない。

しかしやっかみを受けやすいのもまた間違いない。
自業自得の部分もあるが、6年生に絡まれる当時5年生の春樹。
その最中、巻き込まれるように加勢することとなったのが紅林。
どうやら別の小学校なのに通りがかったというだけで喧嘩に巻き込まれたようだ。おやおや。

普通ならもう関わりたくもないと思うところだが、2人で強くなってリベンジしようという春樹の言葉に賛同する紅林。
なるほど。そこで選んだのが柔道でありますか。
その時に目に入るのは例の言葉「自他共栄」。友と共に強くなる。今の2人は心に響く言葉でありますなぁ。

というわけで柔道を始めた2人。
紅林は早くも素質を開花させている。
その様子を嬉しく思う春樹。中学に入ったら柔道部に入って一緒に日本一目指そうぜと誘う。
その言葉を受けて、珍しく笑顔を見せる紅林。
うーむ、やっぱり小さい頃から不器用だったんですなぁ。だからこそ時折見せる笑顔がまぶしく思えるぜ。

中学に入っても不器用な感じの性格は相変わらず。
とはいえ春樹に対しては大分フランクな感じになってますな。
昇段審査に落ちた春樹の弱点を克服し、次の審査では合格できるようにする。
その結果、見事に得る黒帯。ほほう・・・いいですなぁ。いい関係だ。

楽しかった。お前との柔道が。楽しかったんだ

思い返せば思い返すほどその想いは強かったと感じられる。
だからこそ、中学最後の試合で団体戦を拒否した紅林が許せない。
共に日本一を目指そうと誘った春樹の申し出を拒否したのが許せないわけだ。ううむ・・・

てな事情をヒューマから聞く部員一同。
この話を聞くと、やはり紅林の判断は冷徹であるように聞こえる。
が、どうやらここにはヒューマしか知らない事実が隠されていた様子であります。
例のセクハラの件を脅しに使われ、渋々と口を開くヒューマ。

紅林さんも・・・辛かったはずだ。
あの時団体戦に出てたら・・・ハルさんをもっと苦しめることになるかもしれなかったから

ふむ。やはり足のケガが原因のようですな。
団体戦に出て無理をして足を壊し、個人戦に出られないとしたらそれは確かに厳しい。
しかしそれならば事情を説明したら良かったのではなかろうか。
不器用な男の不器用さはやはり直し難いものなのだろうか。気になるところです。



第53話◎誰がために  (2014年 43号)


ヒューマが語る過去の出来事。
中学時代、春樹と紅林の2人は汗を流し切磋琢磨していた。
その練習中・・・春樹のかけた技で右足を痛めた様子の紅林
ああ・・・そういうことか。痛めた原因がよりにもよって・・・

仲間に怪我のことは隠す紅林。
ヒューマにだけは痛めた瞬間を目撃されていたというわけですな。

確かに大怪我ではなかったけど・・・無理して団体戦に出れば悪化するリスクもある。
そうなると立学へのスカウトがかかった個人戦に出られなくなるかもしれない。
紅林さんは仲間より自分自身の道を選んだ。冷てえのかもしんねえけど・・・

確かに結果を見れば、紅林は仲間と共に進む道を捨て、一人で行く道を選んだ。
しかしこれが原因となると思うところは変わって来る。
ヒューマも言う通り、もし春樹が紅林のケガを知っていたら「団体戦には出るな」と言っていただろう。

紅林さんの才能を一番知ってる親友だからこそ、その未来を奪うリスクを負わせないためにな。
みんなを全国出場に向けて引っ張ってたハルさんにとってそれは辛い決断だろうし、
ましてや怪我の原因が自分と知れば苦しむのは目に見えてる。

だからこそ、自分が恨まれるのを覚悟であのような物言いをしたわけでありますか。
うーむ、やはり不器用ですなぁ紅林。
小学校の頃に比べれば喋れるようにはなっているが・・・不器用だ。

これがヒューマの抱えていた秘密でありますか。
ハルさんには内緒だぜと言って話を締めくくるわけでありますが・・・

ってことらしいよ

秘密と言われたのに、胸を張って何が起きたのか春樹に話す希ちゃん。何だか男らしい。
でもこれはいい仕事でありますな。年月が経ったこともあるし、秘密にしていない方がいい。
当時の春樹は事実を知れば苦しんだかもしれない。
しかし今の春樹もまた親友の裏切りに苦しんでいる状態である。
チームの大一番の前にスッキリさせてあげるのが良いでしょうな。
自分が原因であったとはいえ、相手にも理由はあった。それが分かれば考え方を変えることもできるはずである。

というわけで、紅林と連絡を取ろうとする春樹。
携帯の番号は消してしまったという春樹。悲しい話である。
なので純ちゃんが小田桐経由で連絡をつけてくれることとなりました。
ああ、さすがに紅林本人の連絡先は手に入れてなかったか!!

さて、場面は変わって立学。
個人戦の地区予選で圧勝しながら古傷を再発させた紅林。
足が使えないならとロープを使った上半身のトレーニングを行う。
ふうむ、武蔵原にもあったけど、柔道選手としては平均的なトレーニングなんですかね?効果は大きそうだ。

鬼尾先生は無理せずにあと2週間は休めと告げる。
それはつまり個人戦を辞退しろということですな。
しかし団体戦は個人戦のさらに2週間後。紅林ならばそれまでにしっかり治せると見込んでいる様子。ほほう。

3年生の汗と血が染み込んだ畳をかぎ、きつい匂いだと語る鬼尾先生。それはそうでしょうな。
しかしそれはそれだけの時間をここで過ごしてきたことを意味する。
共に地獄を潜り抜けてきた仲間の時間。その3年生たちの最後の団体戦。

味わえよ。栄光も最後まで共に

自他共栄。ここにもその文字は飾られている。
団体戦もあるとはいえ、柔道は基本的に1対1の戦い。
ともすれば個人主義になりかねない。だからこそこういう教えを常に説いておく必要があるんでしょうな。

とはいえ紅林も理由があったとはいえ、他者との共栄は捨てた身である。
簡単に鬼尾先生の言葉は受け入れられない様子。むむむ・・・

そんな紅林に春樹からの呼び出し。純ちゃんアイコン自分の写真ですか。
いやそれは別にいい。それよりもかつての親友の邂逅である。
道を違えたがその理由を知ることとはなった。
さてさて、春樹はどのような言葉を紅林にかけるのか・・・注目です。



第54話◎決意  (2014年 44号)


夜の公園に紅林を呼び出す春樹。
誰も付いて来るなと言い置いたのだが、素直に聞く連中ではない。少なくとも希ちゃんはそういう子じゃありませんわな。
連絡を繋いでくれた小田桐も同じ物陰で待機。
そしていよいよかつての親友同士の会話が始まる。

ヒューマから聞いたぜ。

実際は希ちゃんから聞いたのだが、こういう言い方をした方が相手には伝わりやすいでしょうな。いい配慮だ。
さてさて、それを聞いても大きな反応を示さない紅林でありますが・・・?

いつもそうだ・・・何考えてるかわかんねえ・・・
クソむっつり変態老け顔柔道バカ野郎が・・・そんなだから誤解される
あの時も・・・ホントの事情を全部・・・俺やみんなに話してくれてれば・・・
あの頃のバカな俺でも、お前の信念を素直に応援してやれたかもしんねえのに・・・

確かに春樹ならばそうしていたでしょうな。
仲間の為に団体で。その想いは確かにあるが、親友である紅林に頑張って欲しい思いも同じようにあったわけですし。
紅林の気を遣わせないようにしたいという考えも分からなくはないが・・・その結果、随分と苦しめてしまったようですしなぁ。
その点については紅林も思うところはあるのだろうが、終わったことといわれれば、まあ正にその通りであるわけで・・・

無価値だ。今さらうじうじネチネチ言ってもしょうがねえ。

そう述べて、これだけは言わせろと紅林の胸ぐらを掴む春樹。
おっとこれは何だか危ない体勢だ。慌てて止めに入ろうとするヒューマと小田桐。しかしそれを止めるレン。
ふむ、確かにまだ慌てて飛び出すタイミングではありませんわな。落ち着きましょう。ね、希ちゃん。
日下部はまた微妙なところを押さえておるな・・・

サンキュー紅林

胸ぐら掴んだまま、春樹が口にしたのはその一言。
お前と違って俺は素直な本音を伝えたぜとのこと。ほほ・・・それはそれは。
言葉は素直な本音だけど、胸ぐら掴まなければいけなかったのが複雑さを表しててよいですな。

あの時・・・お前との練習で負った怪我は深刻なものじゃなかった。
団体戦に出ようと思えば出られた。だが俺は仲間より自分を選んだ。

俺は俺自身のために戦う。あの言葉に嘘はないと述べる紅林。
さすがに自他共に厳しい男である。春樹が歩み寄る態度を見せたとしても、簡単には打ち解けることはないか。
だが事実を知った春樹は今度こそ素直な気持ちを口にする。それがお前の選んだ道、お前の柔道なら苦しそうな顔をするなと。

そんなお前倒してもつまんねえだろ。
自分自身のために名門立学を選んだことに何の迷いもない・・・さらに強くなった最強のお前を・・・
あいつらと一緒に倒す。それが俺の柔道だ

そう言って、レンたちが隠れている茂みを指す春樹。ああ、やっぱりバレバレでしたか。
ふむ、こう言われてしまっては仕方がありませんな。大人しく出て行って皆で向き合うしかない。
というわけで、全員揃ったところで春樹からもう一言。

どっちが正しいかじゃねえ。どっちが強ぇか、都大会で改めて勝負だ

ずっと心残りだった紅林との関係。
思わぬ形で決着がつく形となりましたね。
しかしそれだからこそ、新たな心持ちで勝負することが出来る。
暗い心を抱えての勝負ではなく、純粋にどちらが強いかの勝負が出来るようになる。
ううむ、やっぱり話して良かった。大会前に話すことが出来て良かった。本当にそう思えます。

そのような宣言を受けた紅林。
個人戦に武蔵原の選手は出ない。戦うとなれば団体戦しかない。
今のケガの状態だと鬼尾先生の言う通り、無理すれば悪化するリスクが高い。個人戦はどうするべきか・・・

そのようなことを考えていた紅林。道場を訪れると・・・新堂さんを始めとする部員たちがロープトレーニングをしていた。
ははぁ。この間は昼休みの時間を利用しての一人練習だったわけですな。
そういう一人でやっている協調性のない紅林に俺たちも誘えよと述べる部員たち。ほほう。

皆、我が強い。お前に負けまいと必死だ

さすがに名門の立学。そのレギュラーたち。
紅林がどれ程の強さを身に付けようとそれに負けないようにしている。いや、それだけではない。

お前が強くなるほど・・・俺が強くなれるだろ

それこそが皆が思っていることである。
そう、これが自他共栄。仲間が強くなれば一緒に練習する自分も強くなれる。
共に切磋琢磨し強くなる。頼れる仲間がいるというのは本当に有難いことであります。

この仲間たちと共に目指す栄光は決して無価値と断ずることはできない。
それを判断するためにも決断する紅林。個人戦を捨てて団体戦に挑むこととなりました。ほほう・・・!!

いやあ、何というか武蔵原の連中もだけど、立学の爽やかさが凄いですなぁ。
名門でレギュラー争いも厳しそうな学校なのに、どうしてこうも仲間思いな感じの奴らが集まるのか・・・!!
鬼尾先生の教育の賜物であるかもしれませんな。やはりいい教育者は必要ですよ。うん。
というかホワイトボードに描かれた鬼尾先生の絵が妙に可愛い。誰が描いたんだ!?本人だったらたまりませんな。



第55話◎炎上  (2014年 45号)


激戦必至の都大会団体戦。
武蔵原の初戦の相手は・・・いきなりの立川学園!!
万全のコンディションで挑めるのは嬉しいが、いきなり終わってしまう可能性もある激突。
だがまあ、全力でぶつかるより他ありますまい。望むところだ!!

スッキリアゲアゲのベストコンディションでのリベンジ。雪村さんもそう語る。
ふむ、雪村さんの方のケガもすっかり良くなったようですな。
というわけで、ユッキーさん復帰を記念して八乙女先生からプレゼントが用意されています。

ちわっす!!!お願いしやす!!!

そう言って入ってきたのは大和東の面々。
成美のようにアポなしで単独というわけではなく、今回はしっかり合同練習の形でやってきたみたいである。
ふうむ・・・これは有難い!!
打倒立学を掲げた強豪との合同練習。得られるものは間違いなく大きい。

大和東の杉村先生が言うには、これは生徒たちが言い出したことだとのこと。
地区予選で武蔵原に負けて団体戦のインハイ出場はならなかった。
しかし都大会個人戦では神崎、白木の2名が見事制したそうな。ほほう。
それでインハイ本番前に負けた相手である武蔵原と練習することでメンタル的に一皮剥けておきたいと思ったと。なるほどね。
大型選手がいない武蔵原にしてみればこれは本当に有難い話である。

とはいえ、大和東の面々の最大目的はやっぱり八乙女先生でありましょうな。
美しさに惹かれてということもあるだろうが、その強さは折り紙付きの八乙女先生。群がるのも仕方がない。
逆に武蔵原の連中は杉村先生との乱取りを希望したりしている。お願いしゃす!!

そんな中、レンは神崎との乱取りを希望する。
紅林と同じ左組みで体も大きく顔も怖い。対紅林をイメージするなら最適の相手といえるわけですな。

少しでも掴むんだ!!立学を倒すための僕の柔道を!!

相変わらずひたむきな眼差しのレン。これは神崎も熱くなろうというもの。
気合を入れて向かってきてくれます。おおお!!

パワーと圧力だけなら紅林以上かもしれない神崎。
体格の差もあり、なかなか襟を掴ませてもらえない。
ならば片襟を両手で掴んで強引に背負いにいきたい・・・が、回り込まれて潰されそうになるレン。

レンくん!!!自分の武器で負けるな!!!

苦しいレンであるが、八乙女先生のその言葉で闘志を漲らせる。
腰を落として潰そうとしていた神崎の体を・・・背負いの構えで持ち上げる!!

勝つんだ・・・立学に・・・紅林さんに・・・勝つんだ!!!

その意気が、闘志が、格上の相手から見事な一本を奪って見せる。
うーむ、これは燃える場面でありますなぁ。
こんなのを見せられたら他の連中も燃えざるを得ない!!

闘志は、熱は伝わり燃え拡がる
武蔵原はレンが起爆剤となり、そして立学では紅林の存在が起爆剤となっている様子。
共に燃え、爆発している両陣営。激突の時は近い。一体どうなるのか・・・楽しみです。



第56話◎もっと上  (2014年 46号)


鬼尾先生の勧めの通り、しっかり休んで怪我を回復させた紅林。
団体戦に向けて気合十分の様子。恐ろしいですなぁ。

とはいえ気合ならば武蔵原も負けてはいない。
大和東との合同練習は3日間にも渡ったらしく、大型選手対策もバッチリであるようだ。
さあ、決戦はいよいよ明日。アゲアゲで向かうとしましょう!!わーっしょい!!わーっしょい!!

決戦を翌日に控え、敵味方それぞれの時間を過ごす。
ああ、そういえば神崎が全国に出るってことは新堂さんは個人戦で負けちゃったのか。
その新堂さんを団体で全国に連れて行くためにも頑張りましょうと皆に通知する小田桐。いい奴だ。
それはいいが、風呂でスマホ確認している紅林の姿が何だか面白い。地味にちゃんと現代っ子だ!!

武蔵原の面々もそれぞれの方法で気合をアゲている。
希ちゃんはまだ自分はマネージャーではないと言い張ってるんですな。まあいいですけども。

誤解が解け、すっかり仲直りできた様子の春樹と紅林。
やはり良くない感情を秘めたまま戦ってもスッキリはしませんわな。
元友達が友達に戻り、全力でぶつかり合う。
そうであってこそ、気持ちいい決着を迎えられるってものですわ。

八乙女先生もエース紅林には手の内をよく知っている春樹をぶつけるつもりの様子。
ふうむ、となると練習試合の時とは対戦相手が大きく変わりそうですな。
小田桐も今回は出ないだろうし・・・3勝して勝ち越すのは大変だ。

春樹はヒューマやレンの成長を頼もしく思っている。
特にレンは柔道初めて3か月足らずだというのに、すっかり打倒立学に必要な戦力となっている。
とんとん拍子で結果を出す姿にヒューマなどは面白くない想いもあるみたいですけどね。

・・・持って生まれた才能もあるんだろうが・・・あいつなりに積み重ねてきたもんがあったんじゃねえかな。
がむしゃらに無我夢中で柔道に打ち込むあいつを見てると思い出すぜ。
畳の上に上がれば・・・キャリアも実績も無名も名門も関係ねえ・・・
投げれば気持ちいいし、勝てば嬉しい。負ければ悔しいけど一層燃える。
柔道始めた頃のそういう単純な気持ちをな

初心者だからこそ教えてくれるものがある。
うむ、初心忘るべからずとはまさにこのことでありますな。

レンは確かに成長した。柔道を始める前は歪な想いを抱き、ただ肉体的に大きくあろうとしていた。
それが春樹と出会い柔道を始めてからはどんどんと変わっていった。

成長してる自分や引っ張ってくれるみんな・・・さらに強い人達と戦うことに・・・自分の心が燃え滾るのを感じる。
もっと上へ・・・もっと強く・・・もっと大きくなりたい!!

精神的に幾回りも成長したレン。格好良くなったものだ。
雪村さんも述べているもっと上・・・インターハイ、日本一を目指すのにも躊躇いはありますまい。

というわけで、ついに当日。インターハイ柔道競技東京予選大会団体戦が開始されることとなりました。
初戦の相手はいきなりの立学。最初から全開フルスロットルで激突だ!!



第57話◎信撃  (2014年 47号)


勝つんだ!!!やってきたことを信じてすべてをぶつける!!
どっちが強ぇか、改めて勝負だ

いよいよIH予選都大会という本番でぶつかる武蔵原と立学。
練習試合の時とは違い、立学も全力で迎え撃ってくる。そこに油断の色は無い。
まさに全力と全力のぶつかり合い。これは一体どうなることか・・・
対戦カードは以下の通りだ。

光石 ― 富士森
結城 ― 榎
日下部 ― 大畑
雪村 ― 新堂
祭田 ― 紅林

大将戦は予定通りの親友対決。
レンも対紅林を想定しての戦いであるが、いずれにしても重量級の厳しい相手である。

というわけで、先鋒戦。レン対富士森。
相手が白帯であっても油断できないのはこれまでの戦いを見てよく分かっている。
あの紅林も声に出して富士森にアドバイスを送っている程であります。
練習試合の頃は怠惰だった富士森も、今はやる気を出して上がり調子の様子。さてさてどうなりますかな・・・

小田桐「目下絶好調の富士森さんが負けるわけねえ!!そんな白帯ぶっつぶせ〜!!」
純「レン君だって絶好調だぞ〜!!この人の時みたいにぶっつぶせ〜!!

そう言って純ちゃんが指すのは練習中に投げられた大和東の神崎さん。何だか酷い扱いされてますな!!
まあ勢いというか何というか。勘弁してください。

巨体を活かして開幕から奥襟を取りに行く富士森。さああ!!
レンも襟は取ったのだが、逆の袖は遠くて届かない。富士森も引き手の袖を取られることはかなり警戒している様子。
このまま釣手で圧殺してじっくりスタミナを奪ってから技をかける心づもりか。

だはそれは光石も予想してるはず。ソッコー来る!!

富士森の予想通り、レンは引き手を取ることに拘らず、富士森の襟だけを使って投げようとする。片襟背負いだ。
しかしそれは警戒していた富士森。足を素早く前に出し、体をレンの前へと送る。そして逆に内股で投げる!!

いきなり一本かと思われる投げ。しかしこれは技有り。際どい所でありました。
その声を聴いた直後、すぐに仕掛けるレン。富士森が判定に気を取られた瞬間を逃さず、懐深くに入る!!

間髪入れずに左の背負い。しかしレンの力でもこの富士森の巨体を回すのは簡単ではない・・・

「技有り」を取られた・・・この低さでハンパに転がしても多分「有効」止まり・・・
富士森さん相手にこんなチャンスはもう来ないかもしれない。
ここだ・・・ここで決めるんだ!!!

雄叫びを上げ・・・富士森を抱えたまま立ち上がるレン。
腕力があるのは元からであったが、いつの間にそこまでの足腰を身に付けていたのか・・・!!
低い状態では回しきれないが、立ち上がってからの背負いならば決めることも可能となる。
が、富士森もそれだけはさせないと逆方向に覆いかぶさって回避しようとする。
だが・・・この体勢は・・・神崎さんを投げた時と酷似している。
相手が方向をずらしてきたとしても・・・それに従うこと無く、前へと回して落とす!!

見事に体は回転し、横向きに富士森の巨体が背中から畳へと叩きつけられる。
これは見事な背負い投げ一本でありますな・・・練習の成果が完璧に生きたぜ!!

まさかの開始15秒での逆転一本
あの武蔵原が・・・しかも白帯が立学から先制を取ったと会場も騒然となっております。オオオ。

このいきなりの敗北に慌てる小田桐。
しかし鬼尾先生や出場しているレギュラーに焦りはない。むしろ相手の強さを認めて燃え滾っている。
ふうむ、レンの活躍は味方を燃やすが、敵にも火をつけることになってしまったみたいですな。
それでこそ立学。やはり最後まで全力でぶつからなければならない相手か・・・!!

八乙女先生としてもレンがここまでやれるとは思ってなかった様子。
実力差から考えれば勝つ可能性は決して高くなかった。
しかしやってきたことすべてを微塵の迷いもなく信じ切る。
その一撃を数少ないチャンスに全身全霊で撃ち込んで瞬間的に実力差を吹っ飛ばした。

そんなレン君の柔道は・・・勝っても負けてもみんなに燃え拡がる

その部分はまさに八乙女先生の計算通りであった様子。
さあ、次鋒戦。これまたかなり格上の相手であるがヒューマはどこまで喰らい付けるのか?
意地を見せてほしい所であります。



第58話◎念い  (2014年 48号)


レンが快勝で決めた先鋒戦。
次鋒として登場したヒューマも熱戦を繰り広げている。
相手は81キロ級の東京王者である榎。
格差は圧倒的なのだが残り30秒になってもノーポイントで凌いでいるという。ほほう。

大和東戦でのユッキーさん並の猛攻で相手に攻めさせないヒューマ。
さすがに攻め切ることは出来ないみたいでポイントは取れないが、ここまで互角に行けてるというだけでも凄い。

とはいえ榎もこのまま終わらせる気は無い。
投げを仕掛けられないのならばと寝技・・・締めに入って来る。
ラスト10秒。締めは完全に入ってないし頑張って耐えようとするヒューマ。
その目はしっかりと生きており・・・見事に時間切れまで耐えきって引き分けに持ち込むことに成功した!!

時間切れを聞いた直後に気を失った様子のヒューマ。
際どい所でありましたなぁ・・・判定が偏る場所では負けにされる可能性もありそうでしたわ。
そんな中、しっかりと目が生きてたと主張する小田桐。潔い。
自身がヒューマに落とされた経験があるのにこの主張がしっかり出来るのは良いですな。

さて、中堅戦。
武蔵原としては一番不安のある日下部が登場。
しかしまさかの引き分け。ヒューマに続いてノーポイントのタイムアップに持ち込むことに成功した様子。おぉ・・・!!
かなりボロボロで辛そうな様子ですが・・・この成果は大きい。誇っていいぞ日下部!!

ヒューマもレンのように勝ちたかった、チームの役に立ちたかったという想いはあった。
勝てなかったことを悔やんでいるようだが、正直引き分けでも凄い貢献でありますよ?
その闘志は日下部にも確実に引き継がれたでしょうしね。
そして日下部を通じ、その後の雪村さんや春樹にも伝わっていくこととなりましょう。よい展開だ・・・!!

日下部の頑張りの陰には相手大畑を分析していた純ちゃんや希ちゃんの活躍もあったりする。
序盤から寝技が多い試合はペースが創れないまま終わってる試合が多い。
寝技が得意になった日下部にしてみれば戦いやすい相手だったわけですな。なるほどー。

1勝2引き分け。武蔵原リードの状態で迎える副将戦。
観客の大半は立学圧勝と思っていただけにこの展開は驚きでしょうな。ザワついてるザワついてる。

そんな状況で登場するのは雪村さん。今日も俺が持ってくぞと頼りになるお言葉。
しかし相手である新堂さんも燃えている。仲間が自分を全国に連れて行こうと頑張っている。それを感じている。

サンキュー。主将にいい場面を用意してくれて

いい表情の新堂さん。
うーむ、この対決は・・・どちらも応援したくなって困りますな。

3年にとっては最後の戦い。両者とも絶対勝つという気迫に満ちている。
そんな中、先に仕掛けたのは新堂さん。凄い圧力での大外刈り。
しかし受けの強い雪村さん。大外刈りの打ち合いなら負けない。もう対抗戦の時の頃の雪村さんではないのだ!!

俺の柔道も変わったんだ!!

そう叫び、逆に大外刈りを仕掛ける雪村さん。
しかし体を入れ替え、後ろへと回る新堂さん。抱え上げての裏投げ狙いだ!!

抱えきるか、刈り切ってしまうか。持ち上げるか、倒すか。見ている方も力の入る展開。
そんな中、鬼尾先生を中心に力んだ叫び声を上げる立学。
いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃよおおおおいしょおお!!!

その気迫によってか、見事に裏投げを決めてみせる新堂さんでありました。
ううむ、無念の雪村さん。しかしチームの戦いはまだ終わっていない。
1勝1敗2引き分けという状態で迎える大将戦。
後は春樹の活躍次第という所まで持ち込むことができたわけであります。
両者熱く燃え滾っているわけですが・・・はてさてどのような結果となりますか・・・
悔いなく燃焼して欲しいものであります。



第59話◎心友  (2014年 49号)


優勝候補の一角である立川学園相手に1対1の接戦。
にわかに注目を浴びる武蔵原。頑張って来た甲斐があるというものです。
しかしそれで満足して終わってはいけない。いよいよ運命の大将戦が始まるわけですからね!!

ついに春樹念願の対決。
インターハイの大舞台で親友との対決であります。
もうかつてのを付ける必要のない親友との対決。春樹もらしい顔をしている。
前のような憎しみと焦りで濁った顔ではなく、すっきりアゲアゲの表情。いいですねぇ。

一方の紅林。怪我も回復し、フィジカルもメンタルもベストの状態。
秘密を明かされたことで後ろ暗い部分も無くなった。
そういう意味ではこちらもすっきりアゲアゲな感じでありましょうか。いいですねぇ。

この2人の対決を分析する大和東の要。
実力的には紅林が圧倒的優勢であるが、春樹のテクや対応力も凄いとのこと。
一度対戦した相手に対応する力か・・・それは大きそうな要素ですな。
誰よりも紅林の力を知っている春樹。勝機があるとすればそこか。

大和東も番狂わせが起きるのではないかと期待している。
さてさて、お互いが自身のすべてをぶつけると誓って挑む親友対決。どうなりますか・・・

気迫と気迫のぶつかり合い。
両者一歩も譲らずの戦いが続く。おおおお!!
待てがかかる隙もないほどに一進一退
停滞することは無く、共に技を仕掛けていくが、共にそれを凌いでいる。
うーむ、これは見ている方も力が入りますわ。試合を終えた両校メンバーも必死に声を出している。アゲてアゲてええ!!

両者の戦いは成美としても美しいと評されるものである。
個人の技術の美よりも相手と合わせての美を追求した成美。
この2人の一進一退の攻防はまさに完成品と思えてならないでしょうなぁ。

今の春樹の集中力はかつてないほどマックスとなっている。
にもかかわらず笑みを浮かべる春樹。
これはまさに思わず込み上げてしまう笑みという奴でしょうか。

紅林・・・あの頃よりさらに・・・大きく真っ直ぐに、ひたすらに強くなってやがる。
でも変わらねえ。同じだ。お前と畳にいるとあっという間に時間が過ぎる。懐かしいこの感覚。
癖や動作なんかじゃない。呼吸。リズム。滾り。感じる。

これが親友・・・いやさ、心友の戦いでありますか。熱いなぁ・・・
熱く素晴らしい戦いであります。
が、両者決めてのないまま時間は残り30秒を切ろうとしている。
どちらかがポイントを取ればそのまま試合は決まりそうな感じであるが・・・どうなるのか。

春樹が狙うとすれば、紅林得意の内股をすかすこと。
しかし紅林の内股の切れ味は尋常ではない。
すかすのではなく・・・「かわす」
どんな強豪や化け物にも察知できない紅林の心の微動を感じ取り、動き出しと同時にかわす。
これは友である春樹にしか感じ取ることのできないものである。

その想いは実り・・・見事に紅林の内股を感じ取ってみせる春樹。
かわして、逆に足を紅林の前に出しての体落とし!!
これが決まれば確実にポイントを取ることができるだろうが・・・果たしてどうなるのか!?
うーむ、とことん熱い展開が続きますなぁ。本当、目が離せませんわ。



第60話◎新友  (2014年 50号)


紅林が内股に来る・・・その一瞬先に動く。

親友だからこそ分かるそのタイミング。
この一瞬に懸ける春樹。しかし友の動きが読めるのは何も春樹の方だけではない・・・!!

止まれない。だが読み取った。俺にしか感じ取れん・・・友の心の微動を

内股をかわしての春樹の体落とし。
決まったかのように見えたが・・・払うはずの紅林の右足が跳躍して逃れる!!
内股すかしを感じ取り、すぐに動いた結果ということか・・・!!

しかしその右足は負傷していた箇所である。この跳躍でのダメージはどうなるのか。
痛みが再発して崩れればそのまま倒れ、僅かなりともポイントとなるかもしれない。
例え僅かでもポイントが入ればそれは勝負を決めるポイントとなるのだが・・・堪え切れるか!?

お前と戦うために団体戦に来た・・・ベストな・・・最強の俺で!!

想いを滾らせ、堪え切ってみせる紅林。
逆に技を返し、春樹を後ろへと倒そうとする。
この浴びせ倒しは・・・堪え切れないか・・・!?

ここまでか・・・いや・・まだだ・・・
ユッキーさんが・・・みんなが乗り越えて来た・・・まだ終わりじゃない!!終わってたまるか!!!

必死の想いで体を逸らし、一本を逃れる春樹。しかし技有りを取られてしまった。
残り10秒という所でこのポイントは痛い。が・・・ここで春樹の抑え込み!!
何と、投げられた側である春樹の方が、下になっていたはずの春樹の方が抑え込みに入るとは!!
これは投げられている最中に投げられた後をイメージして抑え込みに入りやすい形と勢いを確保した春樹のファインプレーである。

勝利への執念が・・・自分の武器をギリギリで引き出した

試合時間は残り少ない。
しかし抑え込みのカウントは試合時間が無くなっても継続される。
外した瞬間に負けは決まるが、決めてしまえば勝ち。正に勝敗を決める抑え込みだ。

抑え込みは抑え込んだ時間でポイントが入る。
10秒は有効。しかし今は関係ない。関係するのは15秒での技有りと20秒での一本。
最低でも15秒以上は抑えないといけないわけだが・・・どうなるか。
いや、どうやら春樹の圧力は紅林が怯むほどの重さを持っている様子。

勝つんだ。友と共に。友を超える

これが春樹の選んだ柔道。その圧力を跳ね返せずにいる紅林。
共に背を向け、立学を選んだ紅林。その決断は、進んだ道は間違っていたのか・・・
そのように考える紅林。であったが・・・

違う!!!そうじゃない!!!
左手を顎から外して相手の下に潜らせろ!!そして自分の足を掴め!!
足の力も使って相手の右手のロックを外せ!!隙間を作って抜け出せ!!
地獄をくぐり抜けた立学魂!!
見せろや紅林さあああん!!!

窮地に響くのは今の仲間たち。立学の仲間たちの声。
友から背を向けた紅林であったが、その先にあったのは決して孤独ではない。
新たに得た友・・・仲間たちの存在が圧力から脱するための力を与えてくれる!!

アドバイスに従い、強引に抑え込みから逃れる紅林。
カウントは20秒を示しているが・・・どっちだ?抑え切ったのか、先に解けたのか?
判定は・・・解けていた!!先に解けていた!!
ということは技有りまでが加算され・・・結果は両者技有り1つずつの引き分け!!大将戦は引き分けに終わったわけだ!!

最期の瞬間まで気の抜けない大将戦でありました。
しかし結果は引き分け。これで団体戦としても引き分けだが・・・どうなるのか。
トーナメントだし、引き分けで終了なんてことはありますまい。
となると代表を出しての延長戦でしょうが・・・さて誰が出るのか。
やはりここはレンと紅林の再戦ですかねぇ。あの練習試合からどれだけ差が縮まったのか。楽しみにしたいところです。



第61話◎背負う  (2014年 51号)


親友対決は引き分けで終わった。
そしてチームの勝敗も引き分け・・・では終わらない。
決着をつけるため、代表決戦が行われる運びとなります。
誰が出るのも自由。泣いても笑ってもこれが勝敗を決める戦いだ。

代表戦は大抵ポイントゲッターかスタミナ充分の選手が出てくる。
となると立学はスタミナ充分で実力も充分な新堂さんかな。主将らしい見せ場だ。
そのように思ったわけですが・・・

俺に・・・俺にやらせてもらえませんか。お願いします。

そう申し出る紅林。
確かに紅林はエースだし何度も代表戦をこなした経験がある。
だが、今全力で試合したばかりであるし、すぐに代表戦を行うのは・・・
唯一勝ち星をあげている新堂さんに任せた方がいいのではという声もある。
しかしそれらの声を受けても、絶対に勝ちますと述べる紅林。

俺の柔道・・・いや・・・俺たちの柔道で、俺が立学を次に繋げます

ふむ。よい意識ですな。友と歩む道を捨てたはずの紅林であったが・・・その考えは改めたか。
まあ、あの声援を受けたのではそれも仕方のないことですよね。

立学で鍛えた。武蔵原とは違う。

消耗したはずの紅林であるが、息吹によって呼吸を整えてしまう。
うーむ、こういう連戦も立学にしてみれば日常茶飯事といえなくはないわけか。
いやさすがにこれは紅林がバケモンであることの証か。

紅林のわがままともいえる申し出であるが、これを受ける新堂さん。

俺の力が必要な真の正念場はまだ先かもな
通過点は将来の立学を引っ張る後輩に任せてやるか。

個人戦で敗れ、団体戦を落としたら高校最後の全国に行く機会を失う新堂さん。
であるにも関わらずこのようなことをさらりと述べてみせたりする。器の大きさが見て取れますなぁ。
鬼尾先生もさすがここ10年で一番練習したチームを率いた男だと称賛する。

受け継げ。紅林!!

試合前に翌年の引き継ぎの儀式まで済んでしまった感じですな。
何はともあれ、立学の代表は紅林と決まった。予想通りであるが・・・やはり盛り上がるな。
そして、武蔵原の方の代表は・・・やはりこの男。クソ素人のレン!!

春樹や日下部は消耗著しい。ヒューマも気絶したばかりだし、検査もしないままの試合は危ない。
雪村さんは唯一負けてしまったこともあり、出すことで相手のメンタルが優位に立ってしまう恐れがある。
そういった消去法的な理由からの抜擢。
という見方もできなくはないが、別の見方をすれば地区予選から団体で唯一オール一本勝ちという成績を残した男でもある。
この成績はド変態と言われても仕方がない。白帯でありながらこれはねぇ。うむ。日下部に言われるのはアレだけど。

というわけで、チームの想いを背負って挑むレン。
個人で紅林を超えることはできなかった春樹。しかしチームでならば超えられると信じている。
そういった想いを受け取っての闘い。果たしてどのようなものとなりますか・・・!!
双方、仲間の為にもという想いは強い。譲れるものではない。
となれば純粋に実力勝負。キャリアの分もあり紅林有利ではあるが・・・さてさて。楽しみな一戦です。



第62話◎全開  (2014年 52号)


名門立学と無名の武蔵原が接戦。
全国2位の紅林と白帯の光石が代表戦。
予想も出来ない展開に驚きに満ちている会場。一体どうなってしまうのか・・・

どうもこうもねえ・・・
とにかく・・・絶対勝つ!!!

両チーム共その想いは同じである。
代表は全力で戦い、チームメイトは全力で応援する。とにかくそれが大事である。

対抗戦や地区予選の時よりも更に成長しているレン。
対抗戦の時はまだ余裕を見せていた紅林であったが今は全力。
その全力の紅林と正面からぶつかりあっている。
ギリギリの綱渡りみたいな戦いではありますが。凄い集中力だ・・・

不思議だ。あの僕が柔道と、みんなに出会って。
こんな大舞台で、こんな強い人に挑んで。こんな気持ちになるなんて

勝ちたい。とにかくそう願うレン。
ううむ、確かに柔道を始める前のレンは希ちゃんに小さい男と呼ばれてましたからねぇ。
どちらかというと卑屈で歪んだ力への願望が昔のレンにはあった。
しかし今のひたむきな真っ直ぐさからはその昔の面影は伺うことも出来ない。
柔道というベストな出会いがあったことで正道を歩めるようになったということでしょうか。良かった良かった。

その柔道に引き合わせてくれた春樹の為にも。
成長を促してくれた仲間の為にも勝ちたい。

対抗戦の時と同じ左に組み替えての背負い・・・と見せかけての右の一本背負い。
仕掛けるレンであったが、これは紅林に読まれていた様子。
侮れない相手だからこそ、対抗戦の時のままではない。著しい成長が警戒を生んでしまったようですな。

右の一本背負いを抜けた紅林。体勢を崩しながらも得意の内股。
これが決まり・・・一本!!
という主審の言葉がありましたが、副審の二人は「技有り」を示している。
危うい所でありましたが首の皮一枚繋がった・・・
そして、今度は逆に紅林を背負って投げようとするレン!!

見事な背負いで紅林を背中から叩きつけるが既に主審は「待て」を宣言している。
集中しすぎて「一本」も「待て」も聞こえてないようですなぁ。
審判の「一本」を聞くまで試合は止まらない。その教えを飛び越えた状態となってますわ。

あのバカ・・・俺とやった時から全然変わってねえ・・・
もっかいぶん投げろクソ素人が!!!

最初の取組のことを思い出すヒューマ。確かにあの頃からガムシャラでしたわなぁ。
そのガムシャラがこの土壇場でも出来る。期待せざるを得ない。

不思議だ。
これまで戦ったどんな大舞台や強者達よりも今、この小さな舞台のこんな小さな男に、勝ちたい。

自身の欲求を不思議に思う紅林。
しかし会場の声援が。敵味方問わずに熱く投げられる声援が気付かせてくれる。

そうか。こんな小さな男の勝利への大きな大きな挑戦だからこそ。
俺だけではない・・・皆に燃え拡がる
柔道の強さと楽しさにこそ俺は。僕は。滾るんだ!!!

共に闘志を滾らせる。ううむ、どこまでも熱い!!
その熱さを抱えたまま・・・次号、全力全開の最終回!!
ううむ、ついに来てしまったという感じでありますが・・・
最後の戦い。そしてその後の展開を見届けるしかありますまい。



最終話◎再起  (2015年 1号)


ラスト10秒。ガッチリ組み合った2人。
現在リードしているのは紅林。守りきるという選択も当然ある。だが。

立学は守らん・・・攻め続ける!!

やはり立学。その意識の強さはさすがと言えましょう。
さあ、泣いても笑ってもこのやり取りで勝負は決まる。
レンの背負いか。紅林の内股か。先に技が入るのは・・・紅林!!

かわす!?またぐ!?
いや・・・僕には祭田さんのような技術はない。
組んだ時点で、組まれた時点で、やることは・・・できることは・・・たった一つ!!

内股で足を刈り上げる紅林。
しかし上体の引手を制しているのはレンの方。
このまま引き切れば紅林の方が背中を叩きつけられることとなる。

どうにか堪える両者。しかしこのお互い前のめりになった状態で有利なのは背負いの方。
小さいレンは紅林の懐に入り、背負いを仕掛ける。
かわされても繰り返し、繰り返し。学んだ反復の精神で何度も投げを続ける。

心に刻み込んで勝つんだ!!!

意地の背負いにより、ついに紅林の足が浮く!!
それと共に残り時間は0を示し――

ページをめくれば、レンが投げを決めている場面となる。
しかしその相手は紅林ではなく日下部。太った日下部となっている。
レンが黒帯になったことからも分かる通り、一気に時間が経過した様子ですな。面白い演出だ。

結局勝負は紅林が制し、立学の勝利で終わったらしい。
そして見事に日本一になってみせた立学。立派でありますなぁ。
立学もいいチームでしたし、その健闘は十分に称えたいものであります。

どうやら大会から1年近くが経過しており、そろそろ立学との対抗戦の時期であるらしい。
希ちゃんや純ちゃんはマネージャーではなく部員となった様子。ほほう。
早速黒帯を取得している辺り、さすがの運動神経ですな希ちゃん。
そして不在となったマネージャーの枠には思わぬ男が入ることとなりました。ま、真壁!!真壁じゃないか!!
いやぁ、まさかこういうポジションに落ち着くとは・・・
レンの活躍を見ていたいと言っていたわけですし、ある意味適任かもしれませんなぁ。うむうむ。

新入生も入りそうですし、今年もやっていけそうな武蔵原柔道部。
今度こそ立学へのリベンジを果たして欲しいものであります。

というわけで・・・ウチコミ。完結であります。お疲れ様でした!!
立学との練習試合以降、ずっと熱い展開が続いておりました。
物語的にも絵的にも熱く盛り上がり、楽しませていただきました。ここで終わるのが残念でなりません。
次もまた熱い作品を読ませていただきたく思います。
村岡ユウ先生の次回作に期待しています!!



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