蒼天紳士チャンピオン作品別感想

バチバチBURST
第27話 〜 第54話


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 各巻感想

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連載中分

 バチバチ
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バチバチBURST 4巻


第27話/やっと・・・  (2012年 52号)


大吉の前相撲2日目はさらりと流される。
逃げ出すことはなく、やる気も出てきてはいるみたいですが・・・どこに向かおうとしているのだ。
昨日親方から基礎の型を学んだので早速使おうとしている。って間違いすぎ!!
その方向に進みたいなら鯉太郎より川さんに学んだほうがいいと思いますよ。

初日は鯉太郎がついててくれたが、今日は川さんのみである。
さすがに鯉太郎も因縁の相手との戦いが目前なのだし、調整に余念がないって感じですな。

しかし、人差し指がこんなになっている状況で王虎戦とは。心配する白水さん。
この勝負だけならまだしも、負けたら廃業なんてしょーもねーモンに乗っちまってるしなぁ・・・

ケガしたんだし、その話は今場所ではなかったことにならないだろうか?
とも思ったのだが、それについては回想で説明される。
田上さんとの取組を終え、記者の前で王虎が謝罪をしてきた時の話だ。

そのケガでは今場所はもういいパフォーマンスは出来ないだろ。
残念だがあきらめよう・・・僕たちの勝負は来場所だってチャンスはある。
今度こそお互いに完璧な状態で勝負がしたいんだ。
そのケガなら休場しても、素人は誰も逃げたとは思わないよ・・・

その言い方だと、相撲関係者は逃げたと取るって言ってるように聞こえますな。あざとい。
記者としては、2人の対決は楽しみにしているのだし延期にはしたくない様子。
前に王虎が骨折したときも土俵に上がったんだしなぁとか言い出す。
あれはケガしたフリだったんですけどね。まあ、本当に骨折するハメになったわけであるが。
王虎としてもその話は微妙なので目つきが悪くなってきている。

鯉太郎「くどくどくどくど・・・相変わらず口で相撲取るのはうまいヤローだな」
王虎「廃業・・・いいのかい・・・?
鯉太郎「うるせーよ・・・
王虎「わかった・・・土俵で語ろう・・・」

てな感じで、ケガしてても負けたら廃業という流れに変わりはなさそうな感じになっていました。
うーむ。でも、このやりとりだと鯉太郎はどこも肯定の返事はしてないですよね?
曖昧なまま立ち去った王虎もツメが甘いな。
これなら廃業しない言い訳が立つぜ!鯉太郎自身納得しないだろうけども。
逆にそういうことが出来る性格なら、最初の王虎の申し出を受けてしまう可能性もある。
そうなったとしたら王虎。自分で言い出したことなのにブチギレしそう。
まあ、鯉太郎がそういうことを言わないと確信して話しかけて来てるんでしょうけどね。

ともかく、絶対に負けない気持ちで挑む鯉太郎。
そんな鯉太郎に、その指で得意の下手投げを不安なく打てるのか尋ねる白水さん。

打つよ・・・小指さえ掛かってれば、投げる自信はある!

なかなかの自信でありますな。磨き上げてきたという想いはあるわけだ。
まあ、王虎に穴はないし、やっぱり投げに賭けるしかないか・・・

バカタレ。穴はあるだろ。デケーのが1つ・・・

黙って聞いていた空流親方がここで動いた!
なんですか?王虎にそんなデカイ穴があるんですか?知ってるんなら早く教えてくれればいいのに。このエロオヤジ。

王虎は得意の小手投げにいこうと脇を抱えた時、一瞬ではあるが体が半身に開くのよ
そこを・・・寄って・・・押す!

なるほど。タイミングさえあえば見事に回避してのカウンターになるわけですな。これは面白い。

横綱じゃねーんだ・・・穴がねぇ奴なんていねーよ・・・
天才だ関取クラスだ言われとる王虎だろーがな・・・
投げなんてハデな技はいらねー。基本で勝てる。ピンチな時ほど頼りになるのは基本だぞ鯉太郎・・・

いい教えでありますな。
この教えを受けるためにケガをしたと考えれなくもない。なるほどなぁ。

夜の虎城部屋。
虎城親方は息子の王虎を探して歩いている。
王虎は誰もおらぬ灯りの消えた稽古場に一人で佇んでいました。

いよいよ明日、憎っくき火竜のガキと取組だが・・・どうだ体調は。
まぁ・・・お前のコトだ。ぬかりはないと思うが・・・
だが1つ心配なのが、投げにいくとき体がバァーっと開いちまうクセだ・・・だからそこを・・・

空流親方が見抜いた王虎のデカイ穴。
元横綱である虎城親方にそれが見抜けないハズはない。
なのでそれを伝えようとするのだが、相変わらず要領の得ない伝え方である。
そうか、前のバァーっと開いてるといってたのはこのことを指していたのか!!
適当に言ってたわけじゃなかったんですな。さすが!!
まあ、王虎に拒絶され、静かに去るしかないんですけどね。切ない。

愛する息子に拒絶され淋しそうな虎城親方。
ならば、自分が王虎についていましょうかと申し出る男がここに1人いた。田上さんである。

おお・・・そうか・・・キサマは王虎と同期だったな・・・しっかり付いてやれ・・・

おっと。田上さんが付くことをあっさり認めましたよ虎城親方。
いつもの様子ならば、てっきりお前ごときがと激しく拒絶するのかと思えましたが・・・
虎城親方も息子との交流が途絶えて久しくなって弱っているんですかねぇ。
ひょっとしたらこれ、虎城親方からの田上さんの評価が爆アゲになる可能性、ありますぜ。
あらあらウチの剣市ちゃんにお友達が出来るなんて。仲良くしてあげてね・・・
という感じの評価を頂ける可能性があるって話だ。チャンスだ田上さん!!

まあ、そういう打算的なことができる人でもないのが田上さんである。
だから純粋に、田上さんは王虎に謝る。
お前にあれだけ稽古をつけてもらったのに、情けない取組しちまって、と。
俺は・・・お前を裏切ったも同然だ・・・

チッ・・・気持ちワリー・・・オメーごときゴミに手負いにされるようじゃ所詮鮫島もただのカスだな。

相変わらず口汚く田上さんを罵る王虎。しかし虎城親方の時のように出て行けとは言わない。
それどころか、内心を吐露しだす。

笑えるよな・・・そんなカスに・・・俺が・・・ここまで・・・ククク・・・俺が・・・この俺がだ・・・
やっとだ・・・やっと・・・クク・・・やっとアイツを頭から消し去れる。
やっと・・・やっと・・・・・・

涙を流し、狂喜の笑みを浮かべている王虎。
うーむ、よもやここまで思いつめていたとはねぇ。
いや、体が痩せ細るほどに病んでいた時期があるのだし、思いつめていたのは間違いないか。
しかし、復帰した後でも未だにここまでの勢いで引きずっていたとは・・・

相撲で全勝するのは難しい。
だが、カスと侮り、踏み台にするはずの相手に前相撲で躓かされてしまった。
エリートのプライドを持つ王虎としては耐え難い屈辱だったのでしょうな。
それをようやく払拭できると涙する王虎。
なんだかようやく心の底が見えた感じがして少し安心した感じになれますな。
そして、そんな内心を聞かされた田上さんはどんな気持ちなのだろうか。
おそらく唯一王虎の弱い部分を垣間見た男でありましょうし、今後の2人の関係が気になるところである。
田上さんの引退話は完全に消え、むしろ王虎の友人ポジが手に入りそうな雰囲気。いい流れだ!!

そして・・・ついにまたここで・・・

廃業を賭けた一番がとりおこなわれようとしている。
因縁の勝負はどのような展開を見せるのか!?実に楽しみだ!!



第28話/うるせーよ・・・  (2012年 53号)


大相撲五月場所。五日目にして異例の集客。
それもこれも、前相撲以来となる因縁の対決が今日再び行われるためである。

相変わらず気合が入っているというか、凶悪な顔つきで現れる空流部屋の面々。
参上時は皆黒い浴衣なのかと思ったが、鯉太郎だけは白い浴衣を着ている。今日の主役だから?
この辺りは自由だったりするのかどうなのか。
大吉と川さんは先にやってきている様子ですな。大吉は前相撲があったみたいだし、そりゃそうか。

相変わらず鯉太郎は嫌われている様子。
いくつかやらかしていることは事実だが、それが針小棒大に報道され、すっかりヒール扱いである。
だからといって、鮫島ごとき俺でも勝てるぜ!はねーだろ。
大きなことを言い出す観客ってのはどこにでもいるものですな。

周りが敵視している様子を見て悔しそうなマコ姉。
この状況は、子供の頃から鯉太郎を見ているマコ姉には辛いものがありましょうな。

さて、脱臼した人差し指を中指と纏めてテーピングしてもらう鯉太郎。
それはいいのだが川さん。一体どこを見ているのだ・・・?
いや、川さんの目がそこについているものだと決め付けてしまうのがそもそも間違いなのかもしれない。いやいや。

ともかく、昨日よりは多少マシな状態になっている鯉太郎の左手。
腫れも多少は引き、中指と合わせていくらかは曲げることもできる様子。
とはいえ大変なハンデとなっていることには変わりない。
なのであるが、それをネタにしてネチネチと突っかかってくる常松の態度は本当よろしくない。

ガキの頃からそうやって生きて来てたんだよ、俺は・・・

嫌われ者扱いは慣れたものだという鯉太郎。
とはいえ、その頃は本当にお先真っ暗だった様子なのが見て取れまして・・・辛いわなぁ。
今は人前であるが、もう少し態度を改めさせるよう、常松にはくらわしてやってもいいんじゃないですかね?兄弟子として。
それはさておき。因縁の対決を控えた鯉太郎を激励にやってくる者たちがいた。
同期の石川と渡部である。勝てよ、ブッ飛ばしてこい!
そんな石川の激励に、その場にいた力士たちが口々に追随し出す。

「おう!そうだ!!俺たちも応援するぞ!!」
「王虎のヤローにはウチの部屋の奴も壊されてんだ!!」
俺なんか出稽古行って泣かされちゃったんだぞ!!
「あんなヤローにデケー顔させるな!」
「行ったれや!」「頑張れよ!」「男だったらここは負けれねーぞ!!」

回りは敵だらけ。味方はいない。そんな子供時代を送ってきた鯉太郎。帰る場所はなんとかあったが、生きる場所は敵だらけ。
そんな鯉太郎であったが、今、激励してくれる者たちがいる。これはなんというか・・・くすぐったいものがありますな。
鯉太郎としてもそんな感じなのか、軽い笑みを浮かべながらも顔を伏せる。

うるせーよ・・・

つい突っぱねてしまう鯉太郎でありました。ハハハ。
まあ、力士になってからも回りは敵だらけとしてやってきた鯉太郎ですしね。この態度はいつも通りだ。
ただ、ちょっとハニかんだ様子がいい感じに映ったりしますけども。

応援する力士としても、鯉太郎を応援するというよりは王虎を倒して欲しいという想いが強い様子。同期の2人はさておいて。
まあ、それも当然といえば当然なんですけどね。王虎は他の力士に嫌われまくってますからなぁ。
とはいえ、泣かされちゃったんだぞ!とか言われましてもなぁ。そりゃうるせーよと言われるわ。

ところで、この激励のシーンの左端の力士、なんだか見覚えのある顔をしている。
これはまさか、教習所で一緒だった寺井くんではないのだろうか・・・!?懐かしい顔を見た気分だ!!
寺井くん、今は番付どうなっているんだろうかねぇ。
もしや鯉太郎たちに発奮させられ幕下に上がっていたり・・・!?
そうなると三段目に留まっているドングリの立場がなくなるが、面白いのでそれはそれでありとして欲しいところだな!!

さて。一方の王虎。
激励を受けていた鯉太郎とは違い、こちらは完全に周りの力士から敵視されている。
マスコミや観客からは逆の評価を得ているものの、実体を知っている相手からはこんなもんですわな。
だが、そこは王虎。評判がいかに悪かろうと、黙らせてしまう力がある。オーラがある。
仕上がった腕の盛り上がりは、場を静かにさせるのに充分なものがあります。うーむ、怖い。
その場にいた天雷は陰口も叩かず、ビビることもなく静かな様子。これはさすがですな。
そして、立ち上がった王虎に兄弟子の猛虎さん。落ち着いてなと声をかける。

うるせーよ・・・

奇しくも鯉太郎と同じセリフを口にする王虎。
しかしそのシチュエーションも想いもまるで違ったものに見える。
主人公とライバル。なかなかにいい対比となっておりますなぁ。

鯉太郎は子供の頃、周りが敵だらけで真っ暗に見えていた。
王虎もまた暗闇の中にいるのかもしれない。
ただそれは、自身が鯉太郎に敗れたことで生み出した暗闇によるもののような気はしますが。
その暗闇を晴らすために、王虎は戦う。あの屈辱の記憶を消すために・・・!!
大歓声を受ける王虎だが、その声が響いているとは思えない。
今の王虎の心中にあるのは、まさしく鯉太郎へのリベンジのみでありましょうな。

王虎とは逆に罵声を浴びながら登場の鯉太郎。
マコ姉はそんな観客に負けまいと声を張り上げる。頑張れ!負けるなー!!

内と外で真逆の声を受ける両雄。
いよいよ土俵で再び相見えることとなりました。
今回の対決はどちらが勝つのか・・・正直予想しづらい。
実力ならばさすがに王虎の方が上でありましょうが・・・どれだけ小手投げの隙の穴がでかいか、ですな。
その隙もまた王虎の仕掛けたワナだったりすると、鯉太郎の勝ち目はほとんどなくなりそうであるが・・・
なんにしても楽しみな対決なのは間違いない。
バチバチに熱く弾けた戦いを見せて欲しいものでありますな!!



第29話/誰が・・・  (2013年 1号)


鯉太郎と王虎。因縁の対決は土俵の外まで熱くさせる。
しかし、観客の声援はやはり王虎一色。
これは前相撲の時と全く変わりがありませんな。

何があっても・・・結局は体一つ・・・土俵はどっちが強ーか、それだけだ・・・
全ては・・・力で・・・黙らせる・・・!!

凶悪な表情を見せる主人公。さすがである。
まあ、最近は大人しい表情が多かったですし、この一番ぐらいは全開でいってもよかろうですわな。

王虎が土俵に上がると物凄い歓声が湧き上がる。
まるで千秋楽の優勝決定戦並の歓声である。さすがの王虎人気ということか。
まあ、観客が入ったのは相手が鯉太郎だからってこともあるんですけどね。
なんだかんだでこの2人の対決は楽しみにしている人が多いってことなんでしょう。
でも、虎城親方に言わせれば火竜の息子なんぞとはスター性が違うわ!ということになるらしい。

空流親方と虎城親方。現役時代から因縁浅からぬ2人が肩を並べて観戦している。
これはなかなかに珍しい光景である。この一番はそれだけ特別なものであるということか。

空流親方は王虎の人気は役者なだけだろと言うが、一流にはそれも大事な素質だと返す虎城親方。物は言い様ですな。

フン・・・まあ俺にはこの大歓声も痛々しく感じるがな・・・
王虎が追い込もうとしとるのは・・・鯉太郎じゃなく実は己自身なんじゃねぇのか・・・?
これだけ客から期待されちまったら負けることなんて許されねぇ。
まだ幕下だぞ・・・横綱並に己を追い込むのは早過ぎじゃねぇのか・・・?

貴様ごときに言われなくともわかっとるわ!!
それもこれも全ては火竜の息子のせいだろうが・・・アレにさえ躓かなければ順風満帆に事が進んだんだ・・・

そうかもしれませんね。
全てはあの前相撲で鯉太郎に敗れたことから狂って行ったように思える。
それまでは王虎と虎城親方の関係は良好で、一緒に食事したりパパとか呼ばれたりしていた。
それが今ではジジイ呼ばわりで近づくだけで嫌がられる有様・・・虎城親方としては悔しいことこの上なかろう。
だから、今回で前相撲で負ったあの敗戦を払拭しないといけないと考えている様子。

まずは力士たる精神力の強さを身に付けることが先だろ・・・
止めるのは今じゃねぇのか?あれじゃいずれ己で己を潰しかねねぇぞ・・・

わかっとるわ・・・王虎が危ういってのは・・・だが・・・このクラスで誰が止められる・・・

虎城親方はさすがに王虎が危うい道を進んでいるのは理解している様子。
父として見ても親方からして見ても危うい道に見えるに決まってますわな。
だが、それでも王虎の強さを誰よりも信じている虎城親方。

王虎はこの俺の子だぞ・・・黙らせてしまうんだよ・・・たとえ"力士たる精神力の強さ"が欠けていようが・・・力でな・・・

その表現は気になりますな。
もしかして自身も現役時代はそうだったと言いたいのでしょうか?
歴史に名を刻んだ大横綱・虎城。
力士たる精神力の強さには欠けていたが、圧倒的な強さで君臨していたのかもしれない。
まあ、今の虎城親方を見れば、精神力の強さに欠けていたと言われても納得せざるを得ませんがね。

しかし、王虎の表情はヤバイ。石川の言う通り目がイッちまってる。こりゃ確かに観客も静まり返る。
凶悪な表情を見せる主人公に対し、イッちまってるライバル
うん、なんだかお似合いな対決のように思えてきました。
というか王虎、観客の前でこんな表情見せちゃって大丈夫なんですかね?もうそれどころじゃないのかもしれないが。

王虎の生まれ持った素質は空流親方も認めざるを得ないところである。

だが忘れちゃいねぇか・・・?鯉太郎はその大横綱が唯一恐れた男の・・・悪タレ火竜の息子だぞ

土俵の上で舞い散る火花。この火花がぶつかって業火となるのはもうすぐである。
鯉太郎と王虎。親の世代から因縁のある2人の本場所での初めての対決。
さすがに緊張感が高まってきました。どのような熱い戦いとなるのか・・・
勝負後のことはとりあえず置いておいて、今は熱い勝負を楽しみに見守るとしましょう。



第30話/咆哮  (2013年 2+3号)


鯉太郎と王虎。因縁の対決がついに本場所で行われることとなった。
行司の合図と共に勢いよく飛び出す2人。
鯉太郎がブチカマシを決めるのか。王虎が当たり勝つのか。

その時、王虎の頭には前相撲でのときのことが思い起こされた。
鯉太郎のブチカマシに合わせて右手で張りを入れたあの時。
偽装の右腕が本当に骨折することとなり、結果休場。この上なく苦い出来事となった思い出・・・
それを思い出してしまった王虎。今回の行動は・・・構わず右手での張り!!

傷ついたことを思い出して怯みことはない。
むしろ、その傷つけられたことを思い出して憤激に駆られたかのように見える。
うーむ。王虎は本当にこの一戦で鯉太郎との屈辱の敗戦を払拭するつもりのようですな。

ゔる゙あ゙あ゙あ゙ぁ

普通に変換できないような声で吠える王虎。その咆哮は会場を揺るがす。
聞いた力士たちは真っ青になる。田上さんも真っ青になる。虎城親方も真っ青だ。アンタもか!!

だからどーした・・・もう一発いけ鮫島!!

別の意味で顔を青くしている石川が激を入れる。
前相撲の時とは違い、完全に鯉太郎を応援する形であります。まあ、当然ですけどね。

怯むことなくもう一発ブチカマシを敢行する鯉太郎。
しかし、王虎。その鯉太郎に対し左手で横薙ぎに張ってくる。
これは・・・耳打ちだ!!
破壊力のある張りだったわけではないが、耳を打たれて平衡感覚を狂わされる鯉太郎。キーン。
体が揺らいだところに繰り出されるのは・・・右肩でのカチ上げ!!

王虎は常松の相撲を真似したと言っていた。
それは小手投げの話だけではなかったんですね。カチ上げも参考にしていたのか。

強烈なカウンター。今回の王虎は前相撲の時とは違い、油断も慢心も無い。
圧倒的な実力差でそのまま倒しきる凄みを見せている。
血を吹き出し、グラつく鯉太郎。悲鳴を上げるマコ姉。神妙な顔で目を閉じる虎城親方。む・・・?

トドメの一撃を加えようとした王虎。
しかし、その一撃を掻い潜り、懐に頭から飛び込む鯉太郎。
早くもボロボロであるが闘志は萎えていない。
しかし、圧倒的な差を見せ付けられているのが現状である。果たして隙はあるのか・・・?

小手投げで破壊するとかそんなことも頭には無さそうな王虎。機会があれば狙いそうですけど。
とにかく勝つことに精力しているように見えます。
このキレっ放しの顔を見ていると、組むように誘い込んだとは思えないのですよ・・・

隙があるとすれば、空流親方が示した小手投げ時の隙。そこを上手くつけるかどうか。
しかし、途中で見せた虎城親方の表情が気になる。
愛する息子が狂った勢いで憤激しているのが見るに耐えなかったのだろうか?それとも・・・?

思ったよりもスピーディーな流れを見せる取組。決着は早いのか、ここから波乱があるのか。どうなりますのやら。



第31話/力  (2013年 4+5号)


一進一退の攻防を繰り広げる両者。
王虎の張りをかいくぐり、鯉太郎は得意のブチカマシを叩き込む。
が、その一撃も王虎には効いていない。
食らわした場所が強靭な胸だったということもあるが、弾き飛ばされてしまう。

その怪物に死角なし。アオリが全くもって当てはまる感じでありますな。
鯉太郎のブチカマシを弾き飛ばす。これにはさすがに同期の面々も驚きを隠せない様子。
そして、弾いた後、すかさず腕を伸ばして組み付いてくる王虎。
左腕で鯉太郎の右腕を巻き付くように挟み込む。出た!左の小手投げの構えだ!!

王虎の得意技として周知されている左の小手投げ。観客もくるぞ・・・と固唾を飲んで見守っている。
だが、王虎の小手投げにはスキがある。
鯉太郎としてみればこの構えに持ち込まれたのは絶望というわけではない。
むしろ逆転を狙うことのできる勝負どころの形である。

小手投げにいこうと腕を抱えた時、一瞬ではあるが体が半身に開く。ようするにギュッとせずにバーッとなるのだ
その隙を逃さないようにしないといけない!!

終わってんだよ馬鹿が・・・

王虎の小手投げ始動。逃すな!と叫ぶ空流親方。それを聞いた虎城親方。やはり気付いておったか・・・!と焦りの表情。
鯉太郎は見事にその一瞬の隙をついてみせる。
教わった通りに、体を寄せて王虎のハズをとるために腕を伸ばす。ここ・・・だ!!
取った!後は押し切るだけ!!
と思いきや、同時に王虎の開いていた右腕が鯉太郎の左腕を押し、戻す。おっつけの形だ。

合ってただろ・・・タイミングは・・・無意識の隙・・・その明らかな弱点を動揺一つなく瞬時に対処しやがった・・・

やはり王虎の小手投げの隙はわざとというわけではなかったらしい。
だが、その隙を突かれたとしても、一瞬で対応できるように体が作られている。これが天才の動きということなのか・・・!!
しかし勝負のセンスということであれば鯉太郎も負けてはいない。
押しが潰されたのであれば、すぐに次の形に移行する。
王虎が右腕を挙げたので、まわしが開いている。左手でまわしを掴んだ。これは・・・下手投げの形だ!!
この判断の速さは虎城親方も驚くほどである。うむ、いい戦いだ。

渡部「いった!!下手投げ・・・」
田上「王虎!!

得意の投げの形に移行する鯉太郎。
ふむ。やはり田上さんは王虎を応援しているのですね。
鯉太郎とは仲のよい田上さんだが、ここ最近は王虎とも交流してましたしたものねぇ。なんだかんだで同じ部屋の力士ですし。

必殺の投げ。であるのだが、ここでも王虎の動きは常人を上回る。
投げに移行した鯉太郎の左腕を右腕で抱え込む。これは、右の小手投げの形か!!右でも打てるのか!?
打ち合いだ・・・!!どちらの投げが勝るのか、その勝負と相成った!!

ウザってーんだよ。
消えろ・・・消えろ・・・消えろ・・・消えろ・・・鮫島鯉太郎・・・!!!

声にならぬ雄たけびをあげる王虎。
それに対し鯉太郎は冷静。冷徹に集中しきった表情を見せる。
そして景色が回転する。会場が、観客が、王虎が。回っている。いや・・・回って見えている!!
そう。回ったのは鯉太郎
左腕をとられ、体がぐるりと半回転。そして土俵に叩き付けられる。

えっ・・・

呆然とした様子の鯉太郎。
仰向けとなっているため、投げ終えた王虎の表情が倒れた状態のまま見ることができる。
その王虎の表情は・・・満足したかのようにやたらと綺麗な表情であった。

よもやのスピード決着!!
だが、この短い取り組みでも迫力とお互いの見せ場があったいい取り組みであった。
しかし、鯉太郎と王虎の間には大きな開きがあると実感させられた一番でもある。
虎城親方のいう、この幕下で誰が止められるという発言も頷けますわな。

それにしても、勝利した王虎はどういう気分でいるのだろうか?
あれだけ憎んでいた相手を投げ飛ばしたのである。凄いスッキリしたのではなかろうか。
心を占めていた闇が、この一投げで綺麗に吹き飛んだ。残ったのは聖なる王虎でした・・・なんて展開があるかもしれない。
マスコミの前だけで見せていた綺麗な王虎に本当に変化し、鯉太郎の引退も取り消すように動いてくれるかもしれない。
それはそれで面白い展開だからありかもしれませんな。
まあ、それで常松とかに負けたらまた元のダーク王虎に戻ったりするのかもしれませんが・・・振り幅が大きいのも面白い!!
そんな感じでいいので、鯉太郎の引退話の件はさらりと流してほしいものですね。
元々鯉太郎は引退するとは一言も言っていないわけですし・・・どうなることやら。



第32話/お前は・・・  (2013年 6号)


完敗を喫した鯉太郎。その現実を前にどの力士も顔を青くしている。
同期の石川や渡部。あの天雷も。さらには同じ虎城部屋である田上さんも顔を青くする。
あ、猛虎さんと川さんは青くなってないな。さすがにこの2人は違う・・・同列に並べるのもどうなのだろうか。

この程度だよ・・・バカバカしい・・・

横たわる鯉太郎を見下し、そう言い捨てる王虎。
その後に、正気に返った観客の歓声。
望んでいた王虎の勝利、鯉太郎の敗北を目の当たりに出来て満足そうでありますなぁ。

聞こえるか・・・?ここが俺の住んでる場所だ・・・

誇らしげな表情をしている王虎。
本当に勝利した瞬間に、おかしくなるぐらいに拘っていた敗戦の記憶が払拭されたみたいですな。
でもそれで綺麗な王虎になったというわけでもない様子。さすがに人間はそこまでは変わらないか。
だが、精神的な面はさておき、王虎の相撲の強さは圧倒的である。それは鯉太郎も感じている。

全てを出したが全てが通用せず・・・
指・・・?否!
根本的な・・・圧倒的な・・・力の差。
問答無用で叩き潰された。脱力したその体から、強ぇ・・・と、ただ純粋にその言葉が漏れた・・・

呆然自失の体でいた鯉太郎を引き起こす王虎。
いい恰好をしようとしているのだろうか。いや、王虎は言いたいことがあるから助け起こしたのだ。

お前は・・・もう死んだ

親指で胸をこするような仕草をし、目を合わせようともせずにそう告げる王虎。うーむ、調子に乗っている!!
自身が一度負けたら死んだも同然と考える人間なだけに、相手にもそれを味あわせようというのだろうか。
正直、相撲に向いた考え方ではないですな。
天才の考え方を押し付けられても困る。が、強さに打ちのめされている最中の鯉太郎にはこの上無く効きそうな言葉でもある。
去っていく王虎の背中に思わず手を伸ばす鯉太郎。その表情はなんとも弱弱しい。

あ〜〜〜あ。折れちゃった・・・

笑うブタフグ。こいつは本当に相変わらずでありますねぇ。
しかし、鯉太郎のこの表情は確かにヤバい。熱血漢の主人公とは思えない表情だ。

これではっきりとわかっただろ・・・火竜の息子と王虎では素質・・・格も器も別物なんだ・・・
あれだけ客の期待を煽り、自分を崖の淵に追い込んでも、結果全ての人間が王虎に魅せられ・・・そして飲み込まれちまう・・・
この俺にすらアイツは測れん。並べんよ・・・王虎の隣には誰もな・・・

愛息子が勝ったというのに神妙な様子の虎城親方。
息子がどこまでも駆けて行ってしまうのが不安なのでしょうか。
強さでは並べなくても、田上さんならば頑張って側にいてくれたりするんじゃないかと思うのですがねぇ。
息子にとって貴重な友人?なのですし、虎城親方は田上さんに優しくしてあげてください。今後のためにも。

さて、放心状態の鯉太郎。土俵から下りることもできずに立ち尽くしている。
そこに浴びせかけられる観客からの罵声。本当、ここの観客はゲスですなぁ。
まあ、マスコミの報道を鵜呑みにした場合、鯉太郎は本当に問題起こしてばかりの人間には見えますからなぁ。
いや、問題を起こしているのは事実か。とはいえ相撲の場で廃業廃業と騒ぎ立てるのはなぁ。マナーがなっとらん。

とはいえ当の鯉太郎には観客の罵声など耳に入っていない。
かつて鯉太郎の親父、火竜は言っていた。土俵には俺の全てがあるんだ。俺が俺を証明できる唯一無二の場所であると。

俺もそうだよ。クソオヤジ・・・
なのにその土俵で一番負けたくない奴に、俺は何も証明できず何も残せず負けちまった。
もう、アイツの中に俺はいない・・・

生き様をバチバチにぶつけ合うのが力士である。それなのに、もはや相手の中に自分は生きていない。
死んで生きれるか・・・火竜のその言葉が鯉太郎に重く圧し掛かる。

くそああああ゙!!!

悔しさの籠った雄叫びをあげ、土俵を下りる鯉太郎。
果たして今後どうなってしまうのだろうか・・・?
次号は巻頭カラーで今後の展開が語られることとなる様子。
さすがに廃業はないだろうが、どのようにして立ち直るのだろうか?それとも直には立ち直らないのか・・・?

鯉太郎は一度も廃業するとは口にしていない。
潰し合いは承知の上だとは言ってますけどね。星の潰しあいという意味合いにとれるし、これで廃業には繋がらない。
が、そういう言い逃れを進んでする鯉太郎とは思えない。面倒な話だ。
常松が味方であるならば、その辺りのロジックを説明して回避に持って行ってくれたかもしれないが・・・
今の仲の悪い状態ではかえって鯉太郎を煽る結果にしかならないでしょうからなぁ。

マスコミの言うことなんて無視するのが一番であるが、鯉太郎はそれを良しとするかどうか。それが一番の難題ですな。
まあ、後援会の方々は辞めることなんて許すはずないですし、頑張って説得してもらいましょうか。
あの後援会会長ならば顔を真っ赤にして食い止めてくれるはず。なんだったらマスコミも老体で追い払ってくれるはず。期待だ!!



第33話/私は・・・  (2013年 7号)


王虎との宿命の対決に敗れた鯉太郎。果たしてどうなってしまうのか。
土俵に咲いた悪の華
こんなアオリで巻頭のカラーを独占する王虎。妙な色気を纏いおって。
おかげで悪の華恋の華に見えてしまいそうになったじゃないか!急展開!?

それはさておき。
敗れた鯉太郎が下がってくると、さっそくマスコミが心無い言葉を浴びせかけてくる。

「鮫島君!一言いいかな!」「廃業決定した今の気持ちは!?」
「結局君は口だけだった訳だよね!」「ケンカする相手が悪かったと思わない?」

王虎が負けた時には言わなさそうなセリフをぶつけて来る記者たち。嬉しそうな笑顔がムカつくぜ。
鯉太郎の両脇は石川と渡部が固め、マスコミをかきわけながら進む。

オラッ!どけよ!!こいつの気持ちも考えろよテメーら!!

石川は本当いいヤツである。
だがこの記者たちは気持ちを理解したうえで追い込みをかけているように見える。極悪だ。
そんな極悪な記者たちの中に、一風変わった人も存在する。
月刊「力士」の記者である畑文太さん。
時に横綱にすら技術論を説いてしまうベテラン記者。通称"教えのハブさん"
相変わらずな様子で鯉太郎に技術指導をする。この人の教え方も微妙に分かりにくいのよね。
だからというわけではないが、無言で横をすり抜ける鯉太郎。
そんな追い詰められた様子の鯉太郎にハブさんはこう告げる。

50点。少しづつよくはなっとる・・・くだらん選択をするんでないぞ・・・

完敗だったと言うが、それでもつけてもらった点数はこれまでの中では最高の点数である。
ハブさんとしても未来のある力士がこんなところで消えるのは本意ではないでしょうな。
一時期の話題性の為だけに騒いでいるような記者とは違うということだ。

さて、マスコミは鯉太郎だけではなく王虎にも群がっている。
因縁の鮫島をくだした感想を聞こうとしています。

虚像・・・自分の中で彼をあまりに大きく膨らませていたのかもしれませんね・・・

強さ的な部分ではそういう風には思っていなかっただろうけど、影響度という意味ではでかかったでしょうな。
自分を負かした存在が許せず、自分の中を大きく占めていたというのは偽らざる気持ちであろう。
では、その鯉太郎が廃業するかどうかについてはどう思うかね?

もう・・・彼のコトはどうでもいい・・・
今の僕のモチベーションは、どこまで連勝を伸ばせるかにシフトしましたから・・・

笑顔でそう言い捨てる王虎でありました。
本気でそう思っていそうだけど、辞めなかったらまた何か言いそうな気がして嫌ですな。
残留しても本当にどうでもいいと思い、再戦するまで気にかけないでいる態度になってもらえると有難い。

マスコミは当然のごとく空流部屋にも押し寄せて来ている。
いつものように部屋に籠り、無視を決め込む空流部屋。しかし、当の鯉太郎の姿がない。どこに行ったのだ?
仁王さんはほっとけと言うが、さすがにこの状態で放っておくのはマズイでしょう。
白水さんの言う通り、鯉太郎はクソ真面目な奴だから、下手したら本気で辞めてしまうかもしれないわけですし。

仁王「ケッ・・・こんなもんで辞めちまうんなら、さっさと消えろってんだ・・・」
白水「ふざけんなよコラ!!それでも部屋頭かよ!!」

阿吽の力を身に着け仁王となったはずなのですが、やはり吽形さん分が足りていませんね。
白水さんの時もそうだったが、こういう時に一番頼れる存在が吽形さんだったわけだが・・・
想いが錯綜する空流部屋。それは所属する力士だけの話ではない。

いいわよ・・・辞めたって・・・
だってそうでしょ・・・なんでいつも鯉太郎ばっかり・・・
必死に毎日食べて稽古してあんなに努力してるのに、なんで何も知らない人たちに罵倒されなくちゃいけないのよ・・・
なんでいつもこんな辛い目にあわなくちゃいけないの!?なんで!?
相撲なんて辞めたほうが、きっと鯉太郎は幸せになれるのよ・・・
私はもう、苦しむ鯉太郎を見たくない・・・

涙ながらにそう語るマコ姉。苦しんでいる姿を見たくないという気持ちはよくわかります。
だがそれは、相撲を取ってるから不幸だなんてのは違う。そう椿は反論する。

椿「鯉太郎は相撲があるから鯉太郎じゃないですか!!
真琴「何もなくても・・・鯉太郎は鯉太郎よ・・・

どちらの言うことも分かる。
相撲を通して出会い過ごしてきた椿。相撲を知る前から暮らしてきた真琴。どちらの言い分も間違いではない。
となれば、鯉太郎の想いを確認するしかありますまい。探してくると飛び出す椿。
仁王さんは大吉に連れてってやれと指示する。え?どこにいるかわかってるんですか?

テメーらも経験あるだろーが!!貧乏人のテメーらが行くトコなんざたかが知れてるわ!!

ああ、なるほど。例のスカした時用のベンチですな。
時期が良ければ、たたずむ力士が見れる名物ベンチと化しそうな場所である。あまり人が来なくていい場所なのかもね。

部屋に残り、涙ぐむマコ姉に話しかける床上手さん。
兄弟のように育ってずっとそばで鯉ちゃんを見てきた気持ちはわかる。
しかし、椿ちゃんも相撲部屋の娘に生まれて、土俵で生きた人間をずっと見てきたのよと告げる。
そこが茨だらけの厳しい道でも、進むべき道がある人間は幸福よ・・・

分かる話ではありますな。
進むべき道を失った人間がどうなるか。鯉太郎は良く知っている。自分の父親という形で。
自転車に椿を乗せて案内する大吉は、鯉太郎さんは僕とは違う、男の中の男ですから心配ないという。
だが椿の言う通り、だからこそ心配なのである。思いつめる真面目さが命取りになり兼ねないわけですからねぇ・・・

仁王さんの予想通り、例のベンチで佇んでいる鯉太郎。
王虎に告げられた、お前はもう死んだという言葉が頭に響く。負けたら廃業という言葉も。

わかってる。俺は土俵で何も残せず、何も刻めず、何も証明できず、叩き潰された。
だけど・・・だけど・・・

これまで過ごしてきた土俵でのことが思い起こされる。あの熱い戦いの日々が。
そして、それを失って酒に溺れることとなった父親の姿も思い起こされる。今なら気持ちがわかるのかもしれないな。皮肉なことに。
土俵がなくなって、俺は生きていけるのか・・・?

そんな呟きをもらす鯉太郎のもとに椿登場。アンタまさか本気で廃業なんて感がえてないでしょうねと怒鳴りつける。
鯉太郎としては、あそこまで完膚無きまでに叩き潰され、マスコミにも大々的に取り上げられた。
もうこれ以上、空流の看板にドロを塗るわけにはいかないと考えている。

何言ってんのよ!ふざけんな!!アンタから相撲とって、何が残るのよ!!
いいじゃない!文句言われたって恥かいたって笑われたって・・・ウチの看板にドロ塗ったって!!
アンタが土俵に立てなくなるよりマシよ!!
アンタ一人で土俵に立ってるんじゃないでしょ・・・わたしたちをガッカリさせるようなこと言わないでよ・・・

私は・・・私は・・・土俵のアンタをずっと見ていたいのよ・・・

涙を流し、そう語る椿。
その涙を背負った鯉太郎の眼差しは強さを取り戻している。おぉ、これは・・・

まるで告白のような言葉を見せてくれた椿。
いやあ、まさかここで前に出て来るとは!!なかなかいい感じでありました。
こんな言葉を投げかけられたのでは、鯉太郎もウジウジしているわけにはいきませんよね。
茨の道であるかもしれないが、それでも道を失うよりはマシである。
そう覚悟を決めたのであれば、鯉太郎ならば突き進むことができる。
また、空流部屋もそういったごんたくれを許容する部屋でもある。共に突き進んでくれるはずであるさ。
異分子になりそうな常松の存在が心配なところではあるが・・・

その常松は今回姿を現さなかったが、今後どのような立ち位置となるのだろうか。
あんまり鯉太郎に絡んだりはせずにおいてほしいところであるのですが・・・
王虎との対決自体は楽しみにしています。どのような取組となるか。

気を取り直した鯉太郎と共に、全体的に弾けて行ってほしい所でありますな!ここからバーストだ!!



第34話/心配すんな!  (2013年 8号)


告白まがいの、気持ちの籠った発言をした椿。
それに対し無言な鯉太郎。何とか言いなさいよと言われても仕方がない。
そして、そこで返ってきたのが「悪いな・・・」の一言だったりするわけで・・・
なんだその返事は?どういう意味の返事?心配かけて悪いってこと?気持ちには応えられないってこと?
相撲は続けるけど、そういうのはちょっと・・・ってこと?どういう意味なのだ!?

ともかく、部屋に帰ることとなった鯉太郎。
空流部屋の前では醜聞を待つ記者たちでごった返している。

どう?親子二代道半ばで挫折する気持ちは?

こんなことをいきなり尋ねて来る記者たち。ほんまゲスな連中である。
挑発させて口を開かせようという魂胆もあるんでしょうけどね。どちらにしろ気分のいいものではない。

そんな記者を無視して中に入る鯉太郎。無視さえしていれば中にまでは入れないですものね。
実際の所、今の鯉太郎は記者の声なんてほとんど耳には入っていないかもしれない。目指すは親方の所だ。
親方や仁王さん、マコ姉たちがいると部屋にやってきた鯉太郎。畳に手をつき、すみませんとまずは謝罪。
これを見て、バカなことを言い出すのではと心配する椿。

俺はいつまでたってもどーしよーもねーバカヤローです。腹も座ってねーのに廃業なんて話に乗っちまって・・・
土俵に上がりたくても上がれねー力士を・・・俺は見てきたのに・・・
俺の肩に乗ってるモノは・・・軽くねーのに・・・
クビになって当然のクソバカだってのはわかってます。
空流の看板にドロ塗っちまうってこともわかります。またみんなに迷惑をかけちまうってことも・・・
だけど俺は・・・まだ力士でいたいです。
お願いします。俺はまだ、土俵で生きていたいです

ハッキリとそう想いを述べる鯉太郎。嬉しそうな表情を見せる椿がいい感じでありますな。
もちろん空流親方は鯉太郎を辞めさせる気など毛頭ない。
お前が負けたのは俺の責任だ。このまま黙って終われるかい!と言い出す。

確かに王虎は想像以上だったよ・・・天に・・・時代に選ばれた力士なのかもしれねぇ・・・オモシレーじゃねーか・・・
俺だって横綱キラーと言われた男だ。相手が強ければ強いほど、相撲はオモシレー・・・
お前はまだまだ強くなる。俺が必ずしてみせる
誰にも何も言わせないくらいに・・・王虎よりも、そしてお前のオヤジよりもな。

そう述べる空流親方。
その言葉を受け、白水さんが鯉太郎の肩を抱く。
今更マスコミに叩かれてもどうってことはない。ヒール上等と述べだす白水さん。まあ、確かに今更ですわな。

それに親方・・・あなたの遺伝子を受け継いだ幕下力士はここにもいるでしょ・・・
俺が王虎に土を付ける・・・!!
弟弟子のケツは兄弟子の俺が拭いてやる。それで丸く収まる!

さすがに白水さんでありますね。いい兄貴分である。言ってほしいことを言ってくれた!!
できるかどうかは難しいだろうが、その意気で挑んでほしいところである。
そして仁王さんもここで鯉太郎に向けて激励の言葉をかけてくれます。

お前への風当たりはこれからますます強くなるだろーよ。黙らせてみろ。残りの取組でな・・・

いい感じの言葉ですな。既に幕内の仁王さんはすぐに仇を取るというわけにはいかないし、鯉太郎に向けてはこういうしかない。
そして、フォローは鯉太郎だけではない。マコ姉にも向かう。

おいマコト・・・テメーの弟は・・・俺の弟は、そんなに弱くねぇ
心配すんな・・・コイツはもう空流の力士だ。
俺らやお前がコイツをちゃんとわかってやればいいじゃねーか。

久しぶりに仁王さんがいいことを言っている。締める所はちゃんと締めてくれるのはありがたいなぁ。
その言葉を受けて、マコ姉。小さい頃の鯉太郎を、そして力士となるために今までの礼を述べた鯉太郎を思い出す。
そう、あの時から鯉太郎は姉のもとを離れて一人の男として、力士として生きていっているのである。
となれば、マコ姉もそれを尊重し見守っていなかいといけますまい。周りの声に潰されないように、精一杯・・・

鯉太郎の再出発に、マコ姉も含めて空流部屋の皆が一丸となっている
セリフこそなかったものの、大吉や川さんも鯉太郎の復帰を喜んでいることでありましょう。
だが、そんな中、一人不穏な動きをしている男がいる。常松だ。
空流お得意のだんまり作戦でマスコミを追い払えそうだったのに、率先して話しかける常松。

ありますよ。いいネタがね・・・

果たして常松のいういいネタとは何なのだろうか。
不穏分子のやることなだけに、ただで済むとは思えない。いい形で収まりそうだったのに、この男は・・・!!

まあ、白水さんが述べた決意を常松がリークしたという形になればそれはそれでありかもしれないな。
マスコミの手にかかると白水さんも負けたら合わせて廃業覚悟か!?みたいな書き方しそうで怖いけど。
なんにしても、鯉太郎の廃業はなくなった。
明日以降の取組がどうなるか気になるところである。
まあ、鯉太郎はもう簡単には負けないでしょうが、常松や白水さん。そして王虎の戦いが気になる。
王虎が次に闘うのは白水さんか、常松か、それとも天雷か?
いきなりブタフグと当たってブタフグが壊されたらどうしようか。いや、どうでもいいっちゃどうでもいいかそれは。うん。



第35話/約束  (2013年 9号)


空流が一丸となって鯉太郎の再起を盛り上げようとしている。
そんな中、無視を決め込んでいたマスコミの前に自ら進み出る常松。何を言い出すつもりなのか。

常松は記者たちに頭を下げ、あと少しだけウチの鮫島をそっとしておいてはもらえませんか?と頼み込む。
そのようなことを言われても、記者たちにしてみれば飯のタネである。簡単には引き下がれない。
そういった反応を見せる記者たちに常松はこう語る。

鮫島も王虎もまだ子供じゃないですか・・・今回だって売り言葉に買い言葉のガキのケンカに過ぎない・・・
今日発表された割で明後日八日目に自分と王虎の取組が組まれました。そこで王虎の連勝は終わりです

やはりそう来たか。自分を大きく目立たせる方策で来たわけですな。
でもガキのケンカというのは全くその通りなんですよね。
まだ20歳にもなっていない幕下のいざこざで引退騒ぎとかバカらしい話であるよ。実際。煽り立てるようなことでもない。

常松の宣言は場所前であれば一笑に付されて終わっていたかもしれない。
しかし、あの大盛海さんとの取組で存在感を出している常松。
さらに王虎のインタビューでその存在は示唆されていた。兄のように慕い、相撲を真似るほどに尊敬していた男が空流に入ったと。
その王虎に小手投げを教えた男、常松が兄弟子のためにかつて兄と慕った男と戦う。
ふーむ。その関係を取り上げればなんだか因縁めいていて記事にしやすそうですな。

王虎は自分が必ず止めますよ。
兄弟子・鮫島の廃業ってバカげた話を消すのは、弟弟子である自分の役目だと思ってますから・・・

常松のこの言葉で沸き返る記者たち。
どうにか記事のネタが手に入った。これで帰れるぞという喜ぶもあるのかもしれない。
何にしても、鮫島廃業撤回か?という記事が載ったのはよかった・・・のかどうなのか。
常松は関係なく土俵にあがろうとしていた鯉太郎だったのに、これでは本当に弟弟子に助けられて廃業を保留にしているように思われる。
もし常松が王虎に負けたら、マスコミはやっぱり鮫島廃業だー!とか騒ぎ出しそうな感じがするなぁ。むう。
どうでもいいが、また猪木が受け入れコメントを出していて笑った。どれだけ欲しがってるんだよ!

常松のコメントが載った記事は当然空流部屋の面々の目にも留まる。
大吉なんかは素直に鯉太郎を救おうとしている内容だと思って感激したいたりしている。単純ですのう。
椿に言わせれば、これでは王虎とやっていることは一緒だという。その通りですな。

常松としてみれば、自分は助け舟を出したのだから文句を言われる筋合いはないとのこと。
それに、たとえ自分が助けたとしても、自ら廃業するかもしれないと述べる常松。

終わってるんですよ。会場中敵だらけなんだ・・・そんな中でまともな取組なんて出来ないでしょ・・・
これじゃ廃業した方が楽だって思うんじゃないんですか・・・?

確かに観客はほとんど敵でありましょうな。
力士たちも非難こそはしないが、遠巻きにヒソヒソと話しながら見るような空気になっている。
だが、それも今更といえば今更なんですな。鯉太郎はもう前相撲の段階からこんな雰囲気の中で闘っていたわけですし。

あなたは何もわかっちゃいないわ・・・鯉太郎のコトも、力士ってのも

その鯉太郎を見てきた椿であるし、こういう風に言うのも当然でありましょうな。
それに空流はヒールなのだし、観客の声を気にしているようではやっていけないぞという意味も籠っているのかもしれない。

さて、その話題の鯉太郎の入場。予想通り物凄い罵声が浴びせられております。
辞めたんじゃねーのかよって?誰も辞めるなんて一言も言ってないのに何を言っているんでしょうかね。ハハハ。

まあ、罵声ぐらいは予想できたが、缶ビールぶつけて来るような奴がいるとはさすがに思いませんでした。
当たった音からしてあんまり中身は入ってなかったっぽいが、だからといって許される話ではないですな。
いくらなんでもこれはマナーが悪いってレベルの話ではないぞ・・・

しかし、これで揺らぐような鯉太郎でもない。
思い起こされるのは椿の言葉。文句言われたって恥かいたって笑われたって、アンタが土俵に立てなくなるよりマシよという言葉。
そして、自身もまた思う。土俵に立てなくなるぐらいならこのぐらい・・・

あぁ・・・どうってコトねーよ・・・

なんだか昔の凶悪な表情が戻ってきた感じのする表情を見せる鯉太郎。
まあ、これぐらいギラギラしてた方が鯉太郎っぽい気はしますね。

敵一色の会場にて、自分だけでもと声援を送るマコ姉。
しかし鯉太郎を応援しているのはマコ姉だけではない。
その周りを空流部屋後援会のハッピを着た面々が囲む。椿もちゃっかりハッピを着ております。いい顔してるな。

マコ姉の隣に座るのは相変わらずいかめしい顔つきの後援会長。
騒ぎばかり起こされて会長も色々と大変でありますな。
でもそんな問題のある子ほど可愛いと思えたりする気持ちもあったりする。
特に鯉太郎は素直な子でありますからなぁ。後援会の方々も何だかんだでまっすぐなガキだよなという印象を持っている様子。
今回の件も、後援者の家を一軒一軒頭を下げて回ったというらしい。ほう。

こういうエピソードはいいですな。兄弟子に教えられたことがちゃんと身になっているのを感じる。
自分一人で土俵に立っているわけではない。後援会の方々にも支えられているのを忘れてはいけない。
その教えをちゃんと覚えていて、義理を欠かさないようにしている。感心な話だ。そりゃ可愛いとも思えるさね。

そういった行為もあり、世間の評判が悪くとも空流を、鯉太郎を応援してくれる人は残り続けてくれる。
その心強い声援を受けて、鯉太郎は復帰する。
死んで生きれねーから土俵で生きる
下ろされるわけではなく、自分の意思で残れるのであれば残り続け土俵で生きる。それもまた覚悟の形である。

どうにか完全に復活した鯉太郎。大崩れするようなことはないみたいですな。
さて、そうなると他の取組の様子が気になってきますな。
王虎や常松はもちろん、天雷や白水さんの今後の取組はどのような結果となるのか。注目である。



バチバチBURST 5巻


第36話/意識・・・  (2013年 10号)


連日のようにマスコミを賑わす空流。
さすがに北ノ山理事長も放置はできず、空流親方に苦言を呈する。
弟子の手綱はちゃんと握ってもらわないと困りますわな、確かに。しっかりしとくれよ。

その手綱を握るために、弟子のことをよく知ろうと動いている空流親方。
常松の在籍していた大栄大学の相撲部を尋ねる。
そこの顧問である青山達夫さんに、常松の過去のことについて話していただくこととなりました。

・・・アイツは・・・相撲を恨んでいますから
常松のオヤジは松明って四股名の天城部屋の元相撲取りだったんです・・・

天城部屋。
あの大横綱・虎城と悪タレ大関・火竜を生んだ部屋である。ほほう。
ちなみに青山先生も天城部屋の元力士とのこと。松明は弟弟子にあたる。ははぁ、そりゃ色々詳しいわけですな。

松明は先にあげられた有名な2人とは違い、序二段と三段目を行ったり来たりしてるぐらいの成績。
いわゆるエレベーター力士という奴である。
どーしよーもない男で、火竜関からはいつもヤル気あんのかと喰らわされていたらしい。ふむ。

ただ調子のいいヤローで・・・横綱からは重宝がられてましたね。支援者との酒の席にはかかせない男芸者でした。
あれだけの大横綱です。そこからくる御零れの額もあの時代ですし半端じゃない。
簡単に大金が入りゃハングリーさも無くなり、強くなるはずもない。
横綱が引退してまもなく、松明もあっさり廃業ですよ。
ただ・・・素人になって家庭を持ってもその金銭感覚は狂ったままで・・・職も長続きせず遊びあるいてはあちこちで借金こさえて・・・
ついには女房と2人の子供残して飛びやがったんですよ

ふうむ。それはまた・・・聞けば聞くほどどーしよーもない男ですな。
強くないというだけなら才能の問題もあるし仕方がないかもしれない。
男芸者に身をやつすのも処世術とは言えなくもない。だけどそれで金遣いが荒くなって借金生活ではなぁ・・・

ただ・・・あのバカヤローを唯一褒めるとしたら、息子に相撲を教えたコトです。
本当に同じ血が流れてるとは思えませんでした。常松は中二にして中学生横綱にまで昇りつめたんですから。
もちろんプロも目を付けていましたよ・・・

田上さんの時と同様、優秀な成績を残した力士の青田買いをしている虎城親方。
中学生横綱ともなれば自分の部屋に誘わないはずもないですわな。
稽古に呼ばれた常松は虎城親方に尋ねる。松明という力士はご存じでしょうか、と。

おおっ!松明って・・・あのハイエナ芸者の松明か・・・!

思い出した思い出したと手を打つ虎城親方。ハイエナ芸者って、その通りだが酷い表現だな。その通りだが。
その話をしたところで松明の本名が常松であると思いだし、目の前の男がその松明の息子であると知る親方。

ダハハハハ。こりゃ傑作だ!あのダメ力士の息子かよ!!
これは是が非でも入門させようかと思ってたが、アレの息子じゃすでに先が見えたか・・・!

ほ、本人を目の前にして何を言い出すのだこの人は・・・!!
そりゃ対面していきなりこんなこと言ったら入門を断られても仕方ないわ。
というか、よくこんなことを言っておいて入門してくれると思えたもんだな・・・言った当人はもう忘れてそうだけど。

あのカスと・・・一緒にしないでくださいよ・・・

虎城部屋の力士の一人を小手投げで破壊してそう述べる常松。
その様子を幼い頃の王虎らしき少年が興味深そうに見ている。お、何だかいい感じですね。
このへぇ・・・は、あんな風に壊せるんだなぁとかそういう興味を抱いた意味でのへぇ・・・なのだろうか。恐ろしい。

虎城部屋の稽古に招かれはしたものの、すぐにプロになるつもりはない常松。
大栄大学附属高校に特待生として入学が決まっているとのこと。

父親がヘラヘラと過ごした序二段、三段目の土俵を死んでも踏みたくはないんです・・・

なるほどね。それで幕下付出デビューが望めるように学生相撲で成績を残すようにしていたのか。
宣言通りにやってみせる辺り、大した奴である。
だがそんな常松にも誤算はあった。学生横綱として鳴り物入りでデビューするはずが、この時代にはもっと話題性のある男たちがいた。
2人の怪物の息子・・・その存在の前には一介の学生横綱というだけでは話題になるはずもなかった。

ただ・・・奴はこのままでは終わらんはずですよ・・・
相撲で成功することが相撲に対する恨みを晴らすことになるんですから

なるほどねぇ。ふうむ、ようやく常松の過去が明らかになりましたなぁ。この男も色々と抱えているんですな・・・

相撲で大成するために話題性が欲しい。
そう考えた時、今回の王虎に勝てるかどうかは確実に試金石となる。勝てれば一気にその名は世間に知れ渡ることとなるが・・・

さすがに次の一番は大事ということか、稽古に熱が入る常松。
その常松に鯉太郎が近づき、胸を貸してやるよと申し出て来る。1人でやるより2人のほうが気合も入るだろって話だ。
兄弟子らしい申し出を行う鯉太郎。
なんせ相手はあの王虎ですしね。半端な気迫で弟弟子を臨ませるわけにはいかないって話だ。
生き様ってヤツを死ぬ気でぶつけねーと、何も証明出来ず喰い殺されるぞ。

ハー・・・もういい・・・何が気迫だ・・・何が生き様だよ。バカじゃねーの・・・演歌かよ・・・
そんなモン端っから微塵も持っちゃいねーよ・・・
俺は効率よく稼ぐ手段として相撲をやってるんだ・・・
言っただろ・・・お前らとは根本的に相撲に対する意識が違うって・・・角界に入ったのもいわばただの"就職"だよ。
学生横綱になったのも、最短の場所数で関取に上がれるからだ。
奴隷のように何年も人から使われるのは、死んでも嫌だったんでね。
虎城蹴って空流に来たのも、鮫島より王虎を倒した方がおいしーからだ

おっと、ここでついにあの「おいしー」発言の意図が明らかにされました。
なるほど。確かに話題性を得るという意味では王虎を破る方がいいに決まってますものね。

大横綱の息子を名を売る道具に使い、悪名高い大関の息子を平伏させ脇に従える・・・
お前らは俺が高給取りの有名力士になるための、ただの土台なんだよ。

そのようなことを述べる常松。これを聞かされた鯉太郎はただ一言。

頑張れよ

そう告げるのみであった。おやおやこれは・・・!!

相撲を憎み、大一番の土俵に上がる常松。
今回は一気に常松の過去や考えが明らかになった回でしたなぁ。
ふーむ。憎む気持ちというのはわからなくもないですなぁ。こりゃ。
そういえば鯉太郎も入門するまでは相撲を憎んでましたな。父親への反発が原因で。
その辺りを考えると、鯉太郎と常松の境遇は似たような感じなのかもしれない。

最後の鯉太郎の頑張れよはよかったですな。兄弟子としての貫録を感じさせられた。
慇懃無礼な態度でこられるより、本音を明らかにしてくる相手の方が冷静に対応できるってことなのかね?
これで鯉太郎が常松の過去を知ったら、かなり仲良くなれるんじゃないかと思える。
その場合、常松にも鯉太郎の過去を知っておいて欲しいところでありますな。
有名力士の息子とはいえ、辛い少年時代を送ってきたということを・・・

まあ、鯉太郎の場合、生活面はさておき力士の強さとしては尊敬できる父親だったからなぁ。
その辺りも尊敬できない父親の常松とは微妙な食い違いが生じる可能性もありますが・・・

そういえば、常松にはもう1人身内がいるんですな。2人の子供とか言われてたし。
これが姉だったら面白いですな。ますます鯉太郎との共通点ができるようになる。
常松が敗れたところで、心配になった美人の姉が部屋に様子を見に来る話とか・・・あり得るかもしれないな!!



第37話/忌々しい・・・  (2013年 11号)


鯉太郎を破った王虎の次の相手はかつて兄のように慕っていたという常松。
まあ、マスコミの前で述べた言葉だし、本当に慕っていたかは疑わしい所でありますが・・・

ともかく、鯉太郎の廃業の話が引き継がれていることもあり、この一戦はマスコミの注目度も高い。
ここで常松が負ければまた鯉太郎を廃業廃業といたぶれるわけですしね。ぬう。忌々しい・・・!!

戦いたくはないですよ。かつては兄のように慕ってたんですから・・・
ですが常松さんと戦うことは楽しみでもあるんです。今の自分がどれ程通用するか試してもみたい・・・
虎城に顔を出していた頃の彼は・・・本当に強い人でしたから・・・

なんだかすごく含みのある言葉だな。
それはもし常松が負けたとしたら、それは空流に入ったので弱くなったのですよと記者に言いたいのか?
笑顔で嫌味なことを言う奴だ。
ついでに鯉太郎に関する質問をスルーしている部分も見逃せない。
どうでもよくはなったが、あえて触れたくもないぐらいには意識しているのだろうか?

さて、余裕を見せている感じの王虎とは違い、常松は気合十分。
まさしくこの一番こそが自分の存在を示す大一番となるでしょうからなぁ。そりゃ気合も高まるさね。

ここで半年前の回想。
この頃は虎城部屋に出入りしていた常松。その力は虎城親方も認めるほどである。さすがに学生横綱ですな。

王虎に猛虎・・・そしてこの常松が入門すれば、今の空流の勢いなぞ簡単に止めてみせるわ・・・

ムフフフと笑みを浮かべる虎城親方。
ああ、ちゃんと猛虎さんのこと認めなおしてくれているんですな。
一度は終わった男と見放していたというのに・・・まあ、実力を示されたのだし、認めなおさざるは得ませんか。
しかし、やっぱり昔常松に言ったことはすっかり忘れているみたいですね。
本人にとってはそこまで悪気があったわけじゃないってことなんだろうが、言われた方としてはなぁ・・・

王虎は常松に一番どうですか?と声をかける。
それに対し、お前をヤマに行かせたらパパがうるせーだろと返す常松。

へー・・・血は争えないな・・・
ビクビクと虎城の顔色を伺って・・・あんたの親父と一緒だな・・・
いいんですかそれで・・・このまま虎城部屋に入門すればオヤジにいいように使われるだけだ・・・
わかってるでしょ?オヤジの俺に対する肩入れを・・・
俺がいるかぎりここで日の眼は見れませんよ・・・親子二代同じ末路じゃ笑えないでしょう・・・
あなたが伸し上がるのに丁度いい部屋は虎城部屋じゃない・・・
あるでしょう・・・ちょっとつつけばマスコミが群がるオイシー部屋が・・・

ふむ。ここでも「オイシー」発言が出てきましたか。
そういえば常松が王虎と邂逅した時も、お前の言う通りオイシーとか言ってましたな、そういえば。
するとやはり、今回冒頭の王虎のインタビュー。
あれは負かした後、空流に入ったせいで弱くなった。空流はダメだ!というための策だったということなのだろうか・・・
その為に常松を空流に入れたとすれば・・・なんとも嫌らしい話である。王虎らしいぜ。

フン・・・クソガキが・・・
端っから空流に入るつもりだったんだよ・・・お前ら親子に辛酸を嘗めさせるためにな

やはり親父を罵倒されたことはずっと屈辱として心に刻み込まれていたんですな。
息子がただ負けるだけでも虎城親方にとっては悔しかろうが、よりにもよってあの空流部屋の力士に負けたとあっては堪らないだろうて。
そういった屈辱の払拭が今こそ行える。こりゃあ気合が入らないはずもない。
そんな常松の前に現れる空流親方。
相手は王虎だ。土俵だけに集中していけよと言ってくれる。
だがこの言葉も有難迷惑といった感じで流す常松。

どいつも・・・こいつも・・・知ったような口利きやがって・・・忌々しい・・・

表情を歪める常松。
しかし、向こうの花道から王虎が現れたのを見て、歪めたに笑みを浮かべる。

本当においしく育ったよ。お前は・・・

観客とマスコミが注目の一戦と認識するこの取組。
兄弟子の鯉太郎と白水さん、それに虎城親方もこの取組を注視している。それら全ての見ている者たちへ心の中で吠える常松。

しっかり見てろ・・・誰が本物かを・・・
所詮お前の相撲は俺のコピー。どんなに上手く真似てもオリジナルは超えられない。
教えてやるよ・・・血統ってのは何の意味もない、ただの飾りだってことを・・・教えてやる・・・!!

遠くの鯉太郎がビリッと感じるほどの気迫を見せる常松。
しかしそれを間近で受けたはずの王虎は笑みを浮かべたままである。
いや、それどころかその姿は相対する常松にはあまりに巨大に見えて・・・

頑張れよ・・・常松〜〜・・・

奇しくも、前回鯉太郎が述べた言葉と同じことを口にする王虎。
しかしそこに込められた思いはまるで違う。こんなに嘲った感じの頑張れよなんてそうは聞けないぜ!!

少年漫画で血統を否定する常松。その考えは嫌いではない。
だが、この巨大な壁をどのように破ればよいのやら・・・
復讐劇の幕は上がらないまま終わってしまうのか?それとも意地を見せるのか!?
是非とも踏ん張って欲しい所ではあるんですがねぇ・・・腕の一本ぐらい奪うぐらいの勢いでいってほしい。
王虎なら腕を壊しても片腕で残りの取組を戦えなくもないでしょうしさ。大丈夫大丈夫。壊しちまおう!!
逆に壊されて休場し、死んでも踏みたくないと思った三段目の土俵に上がるという未来予想もできなくはないが・・・や、厄い。



第38話/なめんじゃねーぞ  (2013年 12号)


無敵の王虎に立ち向かう常松。
あまりにも巨大な壁に思える相手であるが、果たして対抗できるのであろうか・・・?
王虎を前にした常松。内心はかなり穏やかではない。

チッ。相変わらずムカツクツラだ・・・
ガキの頃からお前の人を見下した目は俺の腹をエグるんだよ・・・
何よりムカツクのは、今・・・この俺を前にして、鮫島相手に撒き散らしていた殺気が微塵もねえってコトだ・・・

確かに落ち着いた顔してますな。余裕ってことか?
いや、自身に敗北の屈辱を味あわせた鯉太郎が単に特別ってことだと思いますよ。
あの一件さえなければ、鯉太郎との時も余裕ぶった顔をしていたはず。
まあ、どちらにせよ余裕ぶった態度を取られるだろうからムカツクことには変わりないか。

ナメんじゃねーぞガキが・・・

憤る常松。だがその思考はあくまでも冷静。これまでのデータから立ち合いの行動を検討する。
王虎の立ち合いの選択肢は張り刺し、カチ上げ、胸を出しての受け。この3つである。どれが来るのか・・・

・・・右足をわずかに下げた・・・これは王虎の右のカチ上げへの癖・・・
フン・・・アホが・・・ならそこに俺もカチ上げを合わせるまで・・・
ガキの頃から知ってんだ・・・王虎の狙いは手に取るようにわかるんだよ・・・親父の前で何も出来ずに死ね・・・

立ち合いの攻め方は決まった。後はぶつかるのみ。
親方や兄弟子が見守る中、いよいよ常松と王虎がぶつかる時が来た。虎城親方も顔をひきつらせながら見ているぞ!!

ハッキヨイ!!!

行事の合図を受けて右のカチ上げを行う王虎。そしてそれに合わせる常松。
激突。当たり勝ったのは・・・常松!!
来るのがわかっていたとはいえ、あの王虎に当たり勝つとは・・・さすがに記者もざわめく。
そして隙が出来た王虎の顔面へ張りを叩き込む常松。
体が上がったのを見て、一気に突き押しに出る。

これほどまでか・・・常松洋一。王虎に引けをとらないどころか押してるじゃねーか・・・

記者だけではなく観客も常松の強さに驚いている様子。おぉ。
しかし常松の突き押しは王虎の反撃で止められる。突こうとした腕を抑え込まれ、進撃停止。
一瞬お見合い状態になる2人。観客はその息継ぎができる瞬間に湧き上がる。

そして王虎は反撃の突きを見舞ってくる。
が、常松はここで必殺の動きを見せる。
伸ばした王虎の右腕を抱えるようにして回り込み、肘関節を極めて前方へと王虎をねじり倒そうとする。
これは・・・とったりか!?

とったりとは相撲の決まり手のひとつ。
性質間接技の一種であり、極め方によっては小手投げにも劣らぬ危険な技となると言われているそうな。ほう。
さすがに常松。相手を破壊する技術は小手投げだけじゃなかったということか・・・!!

前回の様子からしてみると思ったよりずっと善戦している常松。
これで王虎が余裕を見せての演技だったとかじゃなければいいんですが・・・

王虎は汗もかいていないが、顔だけは凶悪な顔となっている。
これは本気を出していると判断していいのか・・・うーむ、なんとも判別し辛い。

まあ、王虎は余裕ぶっておいて負けるということを前相撲でやらかしたりしている。
今回もその時の二の轍を踏まないとは限らない。
油断しているなら一気に勝負を決めてしまいたいところであるが、はてさて。



第39話/同じには・・・  (2013年 13号)


血統が全てではないことを証明するために、常松は渾身の相撲を取る。

とったりで王虎の右腕を抑えながら前方へ捻り倒そうとする常松。
しかし、咄嗟の判断で体を横へと寄せる王虎。
体が寝きる前に動かせば抑えられていた関節も解放されるって話だ。
うーむ、鯉太郎のときもそうだったが、やはり王虎の危機に対する瞬時の判断力は天才的ですな

だが、常松もそこで終わるような男ではない。
ひとつの技が通じなかったからのならば続けて次の技に移行するまでである。
今度は王虎の右腕に対し、己の右手で手首を外側に、左手で二の腕辺りをはたいて内側へと押し込む。
引っ掛けという技ですな。これで前へと落とそうというのでしょう。

果たして、王虎の体が前方へと崩れる。だが、もちろん安々と倒れたりはしない。
足の指が土俵を噛む。
捕まれていた右腕を返し、反対に常松の右腕を掴んで一気に引く。
そうして降りてきた常松のアゴに・・・王虎の右のカチ上げが決まる!!

ゴン!!と派手な音が響く。
この一撃はさすがに効いたのか、空を仰ぎ動きが止まる常松。
それを見てすかさず王虎。逆に自分が引っ掛けを常松の右腕へと敢行する。
ただし左手は二の腕ではなく肘を狙う。その結果、常松の肘関節に衝撃が走る!!

よーし。いった!!

すっごく嬉しそうな顔を見せる虎城親方。
心配して青くなる鯉太郎と白水さんとは対照的である。まあ、敵だからしょうがないとはいえ・・・この顔は酷い。

やはり王虎は別格だ・・・

そのような感想が記者から漏れる。だが、戦いがこれで終わったわけではない!!

そがぁぁああ!!

踏みとどまった常松。気合のブチカマシが王虎の顔面に決まる。
おっと、王虎にとっては敗れた時の記憶が蘇りそうな一撃でありますな。これはいい。
さすがに怯んだ様子を見せたので、追撃の張り手を左手で叩き込む常松。そして己の過去を振り返る。

小さい頃の常松。まだ父が居た頃の記憶。昔はよかった。
序二段の太鼓持ちなのに横綱だってビビッちまうとかのたまう常松父の言葉は気にかかるが、子に見栄を張るのもまああることだ。
むしろ見栄を張ることもできなくなってからが危なかった。
最初は相撲取りの父を尊敬し、満面の笑顔を見せていた常松。お父さん!相撲取ろーよと快活な様子。
その表情がどんどんと曇っていく
自身は成長していくが逆に父親が腐って行っている。その様子がたった3コマで痛いようにわかる。
よれよれで汚れた着っ放しのシャツとかを見ると、まともな暮らしをさせてもらえないのが伺えてしまうなぁ・・・

チッ・・・うるせーガキだな・・・まとわりつくなうっとーしー・・・
どーせお前も何やったってたかが知れてるんだよ・・・いいか洋一・・・自分に期待なんかするんじゃねーぞ・・・
何せお前は・・・この俺のガキなんだからな・・・

なんというキツイ言葉であろうか。夢も希望も無い。
だが、逆に反骨心、克己心というものはかなり鍛えられた様子。
それが常松の強さの源泉となっているのかどうか。
少なくとも血筋が強さというのを否定する生き様を決定することにはなったのでしょうな。
そして、その血統をひけらかす虎城親子に対する対決姿勢にも。

回想から復帰。
再度のブチカマシを王虎の胴体に決める常松。これにはさすがの王虎の顔色も変わる。
それを見て記者だけでなく、他の力士たちも常松の強さはハンパねーぞという認識となった。

親父と同じにはならねーよ・・・俺があのカスと同じかどうか・・・テメーの息子で教えてやるよ・・・!!

息子が押されて心配そうな虎城親方。相変わらず感情豊かだなぁこの人は。
万一王虎が敗北したら、常松が予想した以上にショックを受けそうだ。

一気に押そうとする常松。しかし危機回避に優れた王虎は右のおっつけで常松の左腕を封じる。
右腕を負傷している今、左腕を封じてしまえばどうにもならなくなる。厄介な判断だ。
そういえば鯉太郎にも行ってましたなこのおっつけ。
だからこそか、その伸びた腕に対し常松の目が光り・・・左腕で抱える!!データ通りということか!?

ね・・・!?狙ってやがった!!

思わず吠える虎城親方。偶然この形になったわけではない。
押せばおっつけが来る。そこを抱える。それが常松の狙いだったのでしょう。
抱えたこの体勢から放たれるのは・・・もちろん小手投げ!!

敢行される必殺の小手投げ。王虎が一筋の冷や汗を流したりしているが・・・果たしてこれは決まるのだろうか!?

うーむ、思ったよりもずっとずっと白熱した展開となってきましたなぁ。
過去の回想もあり、常松を応援したい気持ちがグングンと高まってきて困る。
しかし、勝てるかどうかという話だとやはり難しいかなとも思えて・・・ううむ、どうなるのやら・・・
実は常松の小手投げもギュッとしておらず、一瞬バーッとなっており、そこをつかれて破られるとか。どうなんだろうなそれも。
少なくとも先の王虎と鯉太郎の取組を見ていれば自身にも当てはまらないか考えるだろうし、さすがにないかなぁ。

しかし、鯉太郎。結構相撲の決まり手を知ってるんですな。
自身はそういった技とか使えなさそうだけど、知識だけはある様子。
まあ、相手が仕掛けてくるかもしれないし、稽古で対処を学んだりとかはしているのだろう。
吽形さんがいない今は友好的な稽古ができてるかは分からないが・・・あ、川さんがいたな。結構な技使えそうだ。器用に。



第40話/こんなとこで・・・  (2013年 14号)


狙っていた常松の小手投げ。
しかし、投げに移った時点で要である肘のキマリが外れているのが見て取れる。
いや、王虎が咄嗟の判断で外したと見るべきであろうか。
その証拠に、すかさず極められた右腕で常松のまわしを取り、下手投げで切り返す。

肘のキマリが外れている今の状態では王虎の方が有利。
このまま差し合いをすれば確実に常松が投げられる。
なので足を踏み出し、こらえる常松。堪えた・・・が・・・!!

まわしにかけていた手を外し、常松の腕に肘を絡めてすくい投げに変化する王虎。うめぇ!!
こういう咄嗟の判断の速さがやはり王虎の強みですよね。技が豊富である。

合わねぇ・・・計算が合わねぇ・・・
ここまで。これほどまで。コイツはもう俺の知ってる剣市じゃ・・・

今この時になってようやく見積もりが甘かったことに気付く常松。
自分が虎城部屋で稽古していたころの王虎で判断していたんでしょうなぁ。
しかし、今の王虎はあの頃よりもはるかに成長している。
それはおそらく鯉太郎に負けたことが原因なんでしょうな。あの敗北を払しょくするために猛虎さんと猛稽古を続けたわけですから。
天才の王虎が死に物狂いの猛稽古をして成長する。そんな想像は常松もしてないだろうし、計算が狂うのも仕方がない。
本場所の様子を見て修正するにしても、鯉太郎との取組以外は余裕な態度過ぎて参考にならないでしょうしねぇ。

計算外の王虎の強さを実感する常松。このまま終わってしまうのか。
虎城親方が先が見えたと言った通りになってしまうのか・・・

冗談じゃねぇ・・・こんなトコで・・・止まれるか・・・これからも・・・今まで通り・・・
予定通り・・・思い描いた通り・・・未来を・・・自分の価値を・・・掴み取る・・・!!

強く願いながら、王虎のすくい投げを振りほどき、正面へと向き直る。
遅れて常松へと向き直る王虎。前ミツが空いている!!
ここを抑えて押し込めば・・・だが、先に王虎に極められた右腕が痛みを訴える。
王虎の左の前ミツを取るには右腕でなければならないのだが・・・いや、折れているわけではない。動かないわけではない

う・・・ご・・・けええええ!!

必死の形相で。勝利を掴むために痛む腕を動かそうとする常松。
だが・・・その左腕が王虎の右腕に抱え込まれている

土俵上で一瞬棒立ちになる2人。それは数秒にも満たないことなのかもしれない。
だが、腕を抱え込まれた常松は愕然とした表情を見せてしまう。この体勢が何を意味しているのか、よく知っているから・・・

逆にその体勢に持ち込んだ王虎は渾身のスマイル。出たよ王虎スマイル・・・!!憎たらしい笑みだ!!

そして放たれる、王虎の必殺の小手投げ。
常松が放った時とは違い、キッチリと肘が極まっている。メキメキと軋む音が聞こえる。
だが、それでも常松は足を踏み出し堪えようとする。その脳裏に浮かぶのは幼き頃に聞いた父親の声。

よくやった洋一!!アハハハ見ろ!血統が違うんだ!血統が!さすが俺の息子だ!!

幼い頃に父親と同じ相撲取りになるべく相撲を取り始めた常松。
常松の父は最初はそれを称えてくれていた。活躍を純粋に褒め上げ、さすが俺の息子だと言ってくれている。
ああ、その頃の記憶が強烈に残っているんですな。だからその後、金が尽きてダメになった父親を見てても憎み切れないと・・・
しかし、常松父も血統という言葉を使っていたのかよ。
なるほど、こりゃ常松も血統という言葉に拘るわけですわ。なんともはや・・・

父が本当は立派な力士だったわけではないと知った常松。
血統を自らの父親に否定された常松にしてみれば、血統を振りかざす虎城親子は許せない相手でありましょう。
だからこそ、なんとしても倒したい。血筋が全てではないと証明したい。そう思っていた――

チクショー・・・

悔しさに涙する常松。
足を踏み出しても勢いはとまることなく上体はまわり・・・土俵に叩き付けられる。

常松、力及ばず・・・!!
実に無念結果となりました。ううむ、悲しい。

勝負が決まった時、虎城親方はやけに神妙な顔をしている。あれ?喜ばないの?
意外と検討した相手に対して思う所があったりするのかもしれない。
普段の態度は小物もいいところだけど、相撲を見る目だけは確かな人ですからねぇ。

奮戦及ばず敗れた常松。今後はどうなってしまうのだろうか。
なんとか立ち直り、空流の一員として溶け込んでくれるのが望ましいのですが・・・どうなりますことか。
ケガの具合も気になるとこですな。すぐに治るぐらいの状態ならよいのだが。

王虎の残りの取組も気になる所。空流にはまだ白水さんがいるが、その戦いはどうなるのか。
正直白水さんが勝てるかどうかは怪しい。
しかし、勝負が決まった時の白水さんはビビッてもいないし、頼もしく見えなくもない。
ゴリラ張り手を超える武器が備わっていればあるいは・・・と期待していいものかどうか。ゴリラを超えたゴジラ張り手とかそういう。

鯉太郎の引退話についてはどうなるのだろうか。いや、鯉太郎はする気はないのは分かってるがマスコミの方ですね。
常松が敗れたことだし、またギャイギャイと騒ぎ出しそうな気がして困る。
まあ、今度こそ完全に無視してやり過ごすしかないでしょうなぁ。うーむ。
ここはあれだ。松明仮面とかいう謎の覆面男がマスコミを追い払ってくれるとかそういう展開があるんじゃなかろうか。
その姿を見て常松も何だか感じるものがあって立ち直るとかそういう。む、綺麗にまとまりそうな気もしてきたぞ!!



第41話/抗えない・・・  (2013年 15号)


奮戦むなしく敗れる常松。
観客はひやひやしながらも快勝した王虎の姿に沸き返っている。それを見て王虎のこの一言。

フン・・・何とか盛り上がったな・・・

それは・・・やはり本気でやっていなかったということなのか?
どうやらそういう話らしい。それは敗れた常松が一番よく分かっている。

キメようと思ってたなら・・・あの時終わっていた・・・

右腕を極められたあの時ですな。
確かに確実に関節が極まっていたし、そのまま前へと倒してしまえば終わっていたように思える。
盛り上げるためにわざわざ残らせたというわけか。

汗一つかかず手の平で・・・踊らされた・・・あの時の俺と同じコト・・・

大盛海さんに常松が行ったのとまさしく同じことでありますな。
因果が巡ってきたと言えなくはないが、何とも皮肉な話である。

打ちひしがれている常松の体を抱え起こし、さらに追い打ちをかける王虎。

抗えないな。血は・・・
力士としてはただのカスだが、男芸者としては一級品だよ・・・
これからも頼むぜ・・・親子二代、引き立て役としてな・・・

完全に叩きのめされた。そういった感じに魂の抜けた表情を見せる常松。なんともはや・・・
そういう評価を受けないために、払拭する為に生きてきたというのに。頑張ってきたというのに・・・
なんとも現実は非常なものであるな。
鯉太郎は真剣な顔で敗れた常松を見つめ、空流親方は無念な想いを感じてか目を閉じる。
そして白水さんはやけに青い顔をしており・・・あれ、前回とずいぶん違うな!?今になってそんな表情されても困るよ!!

観客は王虎を褒め上げる。虎城親方も誰も止められんよと呟くが、その表情は決して明るくない。
王虎が勝利したときも虎城親方は神妙な表情だったが、これは王虎が遊んだことに対して思う所があるのだろうか?
本来なら途中で決めれたのにわざわざ盛り上げようとしていた。
その態度に親ではなく元横綱として思う所があるとかそういう話なのかなぁ。
親としても増長していく息子に対して思う所があればいいのだが・・・それはもっと早い時点で矯正しておけよと言いたくなるな。

表面上は王虎といい取組をしたということで観客やは常松に暖かい声援を送る。
マスコミもさすがは学生横綱、王虎相手にあそこまで善戦した奴はいないよと褒めてくれる。
それが辛い・・・手を抜かれたことは誰よりも常松がわかっているのだから・・・
今の王虎に言うコトはある?と尋ねられた常松はこう答える。

まだまだ・・・たかが一敗・・・それだけですよ・・・たかが一敗・・・

そう答えながらも目に涙が浮かぶのは抑えられない様子。むう・・・
確かに長い相撲人生からすればたかが一敗。今後もリベンジする機会はあると考えられる。
しかし今までの準備や計算が全て狂わされた重い一敗ではある。
口にしている本人もたかがといえるようなものじゃないと分かっているんでしょうなぁ。泣ける。

そんな常松の肩を抱くのは兄弟子の白水さん。
同じく兄弟子の鯉太郎は常松に胸を張れと言う。気迫のこもったいい相撲だったぞ・・・とも。

・・・うるせーよ・・・

それだけ言い残し去っていく常松。ふうむ、これで常松は空流部屋でどのような立ち位置になるか・・・気になりますな。
それはさておき、ノコノコとマスコミの前に出てきてしまった鯉太郎。
マスコミも色めきだって囲め囲め!逃がすなよ!とやってくる。

「どうするの!?常松君も負けちゃったけど・・・」
「これは廃業するしかないんじゃない?」
「もう言い訳できないよね!!?」

本当に下衆な連中であるなぁ。もうその話は流れたものと考えていいでしょうに。
と思ったら、ここで前に出て来る空流親方。
鯉太郎と白水さんを支度部屋に入らせ、一人でマスコミの前に立つ。そして頭を下げてこう述べる。

もう・・・ここらへんでやめてはもらえませんか・・・
アイツらは・・・鯉太郎たちはまだまだこれからなんです・・・
それはアイツらの取組を見たあなたたちにもわかるはずだ・・・
王虎だけじゃない・・・鯉太郎もまたいずれ角界を背負って立つ人材・・・
批判は私が全て受けます・・・いや・・・責任は全て私にあります。
私のことなら何を書いてもらっても構いませんから・・・
軽い気持ちでアイツらから土俵を奪わないでください・・・お願いします・・・

親方のこの発言に色めき立つマスコミ。ここまできてそう簡単に引けるかよ!とのこと。
おや反論する部分はそこだけなんですな。鯉太郎が角界を背負って立つ人材の部分は否定できないものがあると思っているわけか?
そういう風に思っているなら、なおさら軽い気持ちで廃業とか言ってほしくないわなぁ。
そのように同じ記者でも思う人がいる。「月刊力士」記者の畑文太さんである。

なっさけないのー・・・本当に貴様らは何も感じんのか・・・?
鮫島の・・・空流の若い衆の相撲を見ても・・・?
確かに負けたら廃業などとバカげた話だ・・・だが半人前なりにそれほど真剣に土俵に上がっとるから吐いた言葉だろ・・・
今のガキにあれほどトンパチな奴がいるか?損得ばかり考えるつまらんガキばっかりじゃねーか・・・
ワシは楽しみで仕方ないがの・・・あの悪童のこれからが・・・

静かに語る老記者。いい人でありますなぁ。
安っぽいスクープではなく、相撲そのものを愛している人だというのがよく分かる。
しかし、結局書くかどうか決めるのはそれぞれの記者の自由である。
という「日刊トップ」の山崎光記者の言葉に勢いづく他の記者たち。

まぁ・・・こんなしょーもねーネタ、俺は恥ずかしくて書けねーけどな・・・
俺も鮫島を買ってるんだ。彼が潰れるようなことがあったら・・・俺も全力で空流親方を潰すよ・・・

ほほう。面白いことを言う人である。
山崎記者は最初出てきたときはもっとやらかしそうな感じに見えたが、むしろ行動はずっと空流部屋に好意的なんですよね。
人相は凶悪だが結構いい目を持ったいい人なのかもしれない・・・人相は凶悪だけども。

ええ・・・よろしく頼みます。

空流親方の笑顔。どうやら鯉太郎の廃業の話はこれで立ち消えになった感じですな。
王虎ももう拘る気はないだろうし、マスコミが静かになれば観客も大して関心は抱かないはず。
ようやく落ち着いた環境で相撲を取り続けることができそうですなぁ。

さて、勝者の王虎が支度部屋に戻ろうとしている途中、拍手で迎えるのはブタフグ。
どうやらこの後ブタフグの取組がある様子。そう、この日に組まれたのは因縁の組み合わせ。

天雷―大鵠

兄を壊し廃業に追い込んだ男と闘うこととなった天雷。おやおやこれは・・・!!
ここにきてこの取組が出て来るとはなぁ。さてはて、どういった展開になりますことか。
身体はやせ細ったとはいえ、精神は昔のクズさを取り戻しているブタフグである。何をしてくるかわからない。
平気で危険な取組やひょっとしたら凶器攻撃などもやってくるかもしれない。
立ち合いで毒霧とか、マワシに仕込んでいたセンヌキで天雷の額を割るとか。
まあ、それらを全て意に介さずに天雷がブタフグを一蹴するという可能性はありますがね。むしろそれを期待したい。
因縁の対決ではあるが、ここはスッキリとした決着にしてもらいたいものですな!!



第42話/醜悪  (2013年 16号)


醜悪。参上
うむ、やはりブタフグ大鵠といえば醜悪という言葉がしっくり来る。
今回のサブタイトルは無印バチバチの69話と同じ。その時もブタフグを示した言葉であるわけで。
というのを鑑みてもこの表紙は怖い。ホラー漫画かと思うぐらいである。
この化粧まわしで土俵に上がったら面白そうだな。

支度部屋では天雷が気合を入れた練習を行っている。
弟弟子4人を並べてのぶつかり稽古
2人や3人程度では抑えきれないということであろうか。どれだけのパワーやねん・・・!!
というか、先頭の力士の胸が変色してしまっているではないか。可哀想に。
まあ入れ込むのも仕方がありませんな。なんせ今回の天雷の相手は因縁のブタフグなのですから。

というわけで過去の回想。
それは天雷の兄がブタフグに壊されたときのこと。
若竹部屋からはすぐに実家に連絡が入る。
天雷の兄こと村神裕也さんも実家に電話。現在の天雷である弟の村神凛太郎と会話する。

土俵上でポッキリ折られた裕也さん。自分の弱さにガッカリだよ・・・とこぼしている。

村神弟「信じられないよ・・・兄貴より強い人間がいるなんて・・・何て・・・人なの・・・?」
村神兄「大鵠・・・

ふむ。この時から兄を壊した男の名前は知っていたんですね。
でもその大鵠という男がどれほど醜悪な奴であるかは知らない様子。
まあ、裕也さんがその辺りのことをグチグチ言うはずもないでしょうしねぇ。

若竹部屋にも十両はいる。大刀力一さん。
天雷の兄弟子である大刀力さんは弟弟子が難しい顔をして割を見ているのを見て声をかける。
間延びした話し方は気になるが良い人っぽいですな。

天雷は明日大鵠と組まれたことを話す。そして兄貴をヤマ行かせた奴ですけど知ってますかと尋ねる。大刀力さんの回答は――

ゲス野郎だよ・・・
勝ち星のタメにキタネー手を使う奴ってのはいる。が・・・アイツは違う・・・性根が腐ってるんだ・・・

いや全く。どうしても勝ち星が欲しくて汚いことに手を染めてしまうのはわからないでもない。
かつての田上さんのように渇望した結果ということであろうから。認められる話ではないけどね。
だが、ブタフグのはそういうのとも違う。勝ち星とは関係ない所で壊したり潰しにかかってきたりする。恐ろしい話だ。
む、考えてみれば王虎もそういう所あるな。まあ、アレも腐っていると言えば腐っているか・・・

あの時・・・天雷さんだって・・・お前の兄貴だってアイツとの一戦がなけりゃ・・・
最近じゃ空流の吽形ってのが辞めちまったのも・・・あのクソがヤマ行かせたからっていうじゃねーか・・・

これは初耳だったのか驚いた表情を見せる天雷。
自分を立ち直らせる言葉をかけてくれた一人である吽形さんの引退にも関わっているブタフグ。
ただ強いと言うだけならば因縁にはならない。が、相手はゲス野郎だ。
取組でわざと壊してくるような奴が相手とあれば気を抜けないし、逆に叩き潰したくもなろうというものである。

元十両って言っても実力だけならお前が上だろ・・・お前の力は俺が一番知ってるしな・・・
だが・・・気を付けろ・・・あのゲス野郎のことだ・・・お前の天雷って名だけで何してくるかわからねーぞ・・・

ですな。なまじ実力で上回っているだけに相手はなりふり構わずに何かしでかしてくる可能性が高い。
果たして何をしてくるのか・・・

その話題のブタフグ。何やらご機嫌なリズムを刻みながら土俵に向かい歩いている。
その前に通りすがったのは猛虎さんの名前が入った浴衣を着た田上さん。
おっと、これは何ともイヤな奴とあってしまいましたね田上さん。思わず目を逸らしてしまっても仕方がありますまい。
しかし逸らした目に映ったのはブタフグの左手。そこにはバンテージが厚く巻かれている

あ〜〜気付いた〜〜?マネしちゃった〜君の〜〜・・・まぁ・・・君みたいに半端はしてないけどね・・・

それは、まさか・・・本当に鉄板を仕込んでいるということなのか・・・?
それを今回の取組相手、田上さんの同期である天雷にぶちこもうというブタフグ。これには田上さんも青くなる。マジか・・・

イラついちゃうんだよね〜〜この天雷って名を聞いちゃうと〜〜・・・

色々とブタフグには思い出深い名前でありましょうな。
教習所時代では目の上のタンコブであった男。だからこそ土俵上で潰した男。
しかしその因縁を背負い、立て続けに自分を破ってくる阿吽。その時のストレスでやせ細って今ではこの姿。
元を正すと天雷を壊したところに端を発っしている。ブタフグはそう考えているのかもしれない。
実際の所は自身のクソさが問題なんでしょうがね。自覚はしてても反省はしないだろうな。

田上さんは青ざめながらその暴挙を押しとどめようとする。アイツに何の恨みがあるんだよ!!

腐ってるよ・・・アンタ・・・

その言葉を浴びせられたブタフグ。無言で田上さんの顔面に鉄板を仕込んだらしき左手を叩き付ける。
一発で鼻血を吹き出す田上さん。手打ちのこれでこの威力とは・・・本当に仕込んでいそうな感じですな・・・

心配しなくても今日はただの予行演習みたいなモンだし〜そんなに熱くならないでよ〜〜〜
本命は、ちゃ〜〜んと別にいるし〜

本命?天雷とは違う本当のターゲットが別にいると・・・?
それについては王虎ちゃんにでも聞けば?とブタフグ。ふむ・・・どういうことなのか?

土俵に向かう天雷。その前に立ち声をかけるのは鯉太郎。
兄弟子の因縁もあり、天雷に気をつけるように言うが、もちろん天雷は誰よりもそれを理解している。

というわけで、因縁の対決がいよいよ行われそうである。
土俵上での凶器攻撃と言う恥ずべき行いが果たされてしまうのだろうか・・・?
左手で打ちかかる前に吹っ飛ばされてブタフグ敗北、てな展開でもいいのよ?

それはさておき、ブタフグの言う本命とは誰なのだろうか。
候補としてはやはり鯉太郎。王虎に聞けと言うからにはその辺りがやはり有力かと思える。
ブタフグとして狙うのであれば、鯉太郎以外にも白水さんはターゲットとなりうるだろう。
また、王虎への反逆を狙うということも有り得る。何をしてもどうにもならなさそうな相手ではあるが。
それとも、実はまさかの石川狙いだとか・・・!?
王虎としては鯉太郎だけでなく、自分を侮辱した同期の連中を壊さないと気が済まないのかもしれない。
しかし全員自分と当たるとは限らない。なので取りこぼした相手を始末するのがブタフグの役目としたら・・・有り得る・・・か!?
まあ、それならそれでようやく石川にも勝利の見せ場がくるかもしれないから歓迎なのだが・・・勝てなかったらどうしよう!!

とりあえず、天雷にはスッキリ勝利していただきたいところですな。



第43話/こんなやつに  (2013年 17号)


まさかの2号続けてのブタフグ表紙。しかも今回はカラーででっかく描かれるというまさに誰が得をするのか状態。
アオリは土俵にブチ撒かれた、サイテー。うむ、まさしくその通りなアオリだな。

花道を歩いてやってくる天雷とブタフグ。
すぐに取組を開始するのではなく、前の人の取組を座って待つという段階だ。

コイツが・・・兄貴をヤマ行かせ廃業に追い込んだ元凶・・・大鵠・・・

でっかくアップで描かれるブタフグの顔。だから誰得なんだよと。
白水さんも相変わらずムカツク顔だぜと悪態をついている。そりゃあそうよ。
目を閉じて無視している仁王さんの態度が一番正解なのかもしれない。

土俵下で順番待ちをしている間もニタニタしているブタフグ。
これから取組だというのにこの緊張感のなさはなんだろうか。

何より何だあの体は・・・全くハリが無い・・・誰が見ても稽古不足は明白・・・
とても強者だとは思えない・・・兄貴は本当にコイツに負けたのか・・・?

まあ、全盛期のブタフグとは体つきがまるで違いますからねぇ。
昔はこれでも強かったのですよ。卑怯な手段を使わなくても結構強い。だけどわざわざ卑怯な手を使う。だからゲス野郎なわけだ。
そのゲス野郎が天雷を挑発する。
右手の肘をトントンと叩き、折れた風な演技をしてあざ笑う。

兄貴のコトか・・・

見事にこの挑発に乗せられる天雷。まあ、仕方ないかな。
天雷は意外と人がいいのか、こんなゲス野郎が力士として存在するとは想像できていなかったんでしょうな。
ともかく、土俵に上がる両者。いよいよ対峙である・

見れば見るほどお兄さんとそっくりだね〜〜ブフフフ・・・
イラつくな〜〜本当・・・

いやいや。イラつかされているのはこちらですので。
まったく、ムカつくやつは率先してそういうことを口にしだすから困る。
鼻に痛烈な一撃をもらった田上さんもそりゃ天雷を応援したくなっちゃというものである。

土俵上でよそ見をするブタフグ。何かに気付いたような表情。
をして見せるフリをして、いきなり開始前に張りを飛ばす。もちろん凶器を仕込んだ左手で!!
うーむ。田上さんを参考にしたとか言ってたからやるだろうとは思っていたが・・・
これには仁王さんは怒りの表情。って無視せずにしっかり見ちゃってるじゃないか。

躊躇ねーのかよ・・・

思わず呟く田上さん。散々実行するまでに躊躇いまくった田上さんらしいお言葉ですね。
本物のクズはやはり違うということですよ。正直見習いたくもないし見習ってはいけない。

泣かないでね〜〜君のお兄さんみたいに〜〜

さらに追い打ちをかけるブタフグ。これには天雷の怒りも頂点に達する。

やはり・・・そうか・・・
あの兄貴がこんな男より弱いはずが・・・ない!!

今の一撃で手に凶器を仕込んでいるのは喰らった天雷がよくわかっているはず。
だから、このような手を使う奴が相手ならば兄も真っ当な相撲でやられたわけではない!!と考えることができるわけだ。
となれば、やるのはまさに仇討ち。逆恨みでも何でもない、正当な仇討ちである。

ブタフグの奇襲で右目を腫れあがらせる天雷。その表情は怒りにそまっており、他の力士をどよめかせる。
同期の鯉太郎もマジか・・・あの天雷が・・・と驚きの様子。
まあ天雷は村神時代は無気力クラゲ。キラキラ天雷になってからは常に爽やかって感じであまり怒ってる姿は見せてませんでしたものね。
蒼希狼に髪を掴まれた時は怒ってたけど。

遊ぶ相手を間違えたんだよ。ゲス野郎が・・・
兄貴の仇だ・・・ブチのめせ天雷。

大刀力さんのその言葉を聞くまでもなく、今度こその仕切り直しに気合を入れる天雷。

コイツだけは・・・必ず俺が・・・必ず・・・必ず俺が・・・!!

ハッキヨイ!!の合図と共に怒りを力に変えて突進しようとする天雷。
しかし、その巨体がぶつかるよりも早くブタフグは動いていた。土俵に向かって。

ズルッ。ベダッ。あっ・・・

じっ自爆・・・!!
それもこれは狙っての自爆・・・わざと負けやがった・・・!!
いや、わざと負けるどころか、相手の怒りのぶつけ所まで無くしてきやがった!!!
こ・・・これはムカツク・・・サイテーだ本当に!!
奇襲で張り飛ばしておいて、勝手に自爆して終わりにする。ものすごくイラつく行動である。うぉぉ・・・ストレスが・・・!!

ブフフフフ。ブッ飛ばしたかった〜〜?ごめんね〜〜・・・
本命はお前じゃねーんだよ。バーカ・・・

力士にあるまじき行為。これが本物の外道ということか。
うーむ、らしいっちゃらしいが、見ている方としては凄くスッキリしなくて困る。
天雷も甘いことをせず、せっかくすぐ側に頭があるんだから踏みつければいいのに。
突進しようと思ったら相手が倒れ込んでいた。勢いが止まらず踏んでしまった。それで言い訳はできる。
勢い余って踏みすぎて中身が飛び出てもまあ事故で済むでしょう。
それが実現していれば、まさにアオリの通りの土俵にブチ撒けられたサイテーとなったのに・・・!!
汚れた土俵は後で清めの塩が撒かれるので問題ないさ!!

それにしてもブタフグの言う本命とは一体誰なのだろうか。
ここで負けたことで王虎という可能性はなくなった。
現在1敗でいるのは鯉太郎、常松、石川あたり。やはり鯉太郎が本命なのだろうか・・・?
白水さんが今後どこかで負けると考えている可能性もあるが・・・はてさて。
それとももしや、今の所出番がない蒼希狼が狙いか!?ブタフグの最後のバーカがヒントとかそういう!?

そういえば田上さんも今1敗なんですな。実は田上さん狙いというのもありうるのか・・・!?
本命は別にいるからといいつつ本命に鉄板を叩き込んだとしたらそれはそれで辻褄が合うと言えなくはないような。
その場合何故田上さんを狙うのかという話になる。
もしや王虎が田上さんを鍛えるためにブタフグをけしかけたという話か!?
田上さんに稽古をつけ、煽り立てて鍛えたという経緯もあるし、さらなる飛躍のために相手を用意したという可能性は・・・ある!!
実は王虎の不器用な友情の形だったとかそういう話だと面白いですな。どうでありましょうかね?この考えは。



第44話/よけいなこと・・・  (2013年 18号)


自ら土をつけて天雷の怒りの行き所を無くすブタフグ。うーむ、本当にムカつくやつである。
観客からしてみればスベってコケたようにしか見えないだろうし、報復もやりづらい。厄介な話だ。

仕掛けるだけ仕掛けといて・・・一番大切なのは勝負じゃねーのかよ・・・

田上さんも呆れ果てた様子ですな。
一番大切な勝利のために道を見失いかけた人からすれば、ブタフグのこういう行為は理解不能でありましょうな。

そのブタフグの左腕を抑える天雷。おや、凶器を仕込んだ左手を・・・?
これにはさすがにブタフグも焦った顔を見せておるぞ。
だが、そういう非道を告発したりはしない天雷。そういう方面でスッキリするのは違うと思ってしまうんでしょうな。好青年的に。
片手でブタフグの巨体を起こす天雷。痩せているとはいえ結構な重量あるでしょうに。さすがのパワーだ。
しかしそれ以上のことはできず、腐ってる・・・と言葉を残して立ち去る。むう、悔しそうだなぁ。

天雷も悔しいが、因縁のある空流部屋の面々も見ていて悔しい気持ちになっている。
そんな悔しそうな鯉太郎たちに仁王さん。あんな奴のこといつまでも気にかけてんじゃねーよとバッサリ。
まあ、もう眼中にないよこんな奴って態度をとってた方がブタフグとしても悔しいだろうし、正しい反応かもしれませんな。
それにしても仁王さん、モミアゲがなくなっているのだが・・・?剃ったのか!?
やはり評判が良くなかったのだろうか。単行本の表紙をモミアゲ姿で飾ったというのに・・・
まあ、次出てくるときにはまた生えそろっているかもしれませんが。

それはさておき、田上さん。
ブタフグの陰湿な態度を見て、王虎に問い質す気まんまんとなっています。
確かにブタフグの本命は誰なのか、それを尋ねずにはおれませんわなぁ。

王虎!!お前・・・何やってんだよ。
大鵠ってヤローと結託して・・・何やってんだって聞いてんだよ!!
兄弟弟子として言ってやるよ。あの大鵠ってのと関わるのはやめろよ・・・!
お前はそのままでも強ーじゃねーか・・・あんなイカレ野郎と手を組むことなんてねーじゃねーかよ!!

そのように叫ぶ田上さん。うーむ、なんだかんだで王虎と田上さんの結びつきみたいなものは確かにあるようですな。
共に猛虎さんのところで地獄のような猛稽古を積んだ絆という奴が出来上がっているのか・・・!?

熱く語る田上さんであったが、その後ろから忍び寄るブタフグ。
田上さんにまた殴られたいの?と脅しつつ王虎に話しかける。

ちょっと王虎ちゃ〜〜ん。見ててくれた〜?いい仕事したでしょ〜〜
幕下優勝は王虎か天雷かなんて言われてるんでしょ〜?だから片目潰しといたから〜
これで王虎ちゃんの優勝はバッチリキマリでしょ〜ブフッ・・・ブフフフ。

そういう意味もあっての不意打ちだったわけか。
まあ、やり逃げして相手をイラつかせたかったというのが本音な気がするが。
ともかく、これを聞いてますます憤る田上さん。王虎の胸ぐらを掴んで吠える。

何やってんだよ、お前!!
確かにお前は注目集めるタメには何だってするヤローだよ!!
だけど最終的にはたとえそれがやり過ぎでも純粋に力で捻じ伏せてきたんじゃねーか・・・
ガッカリさせんなよ・・・頼むよ・・・!!

熱く、熱く語る田上さん。しかし、王虎の反応は冷たい。
それを受けてしょげたように去っていく田上さん。うーむ、なんだか切ないですねぇ。

田上さんが去ったところで今度はブタフグが熱く語り出す。

僕も今日の一敗で予定通り次は鮫島だし〜
壊してやる・・・アイツの大切なモノは・・・みんな・・・こっ・・・こっ・・・壊してやる・・・

ふむ、やはり本命は鯉太郎だったみたいですね。
その理由は仁王さんへの復讐。本人に向かうのではなく、本人の大切なものを壊して復讐しようというものであった。
なるほど・・・納得した。共感とかは意地でもしたくねーが、狙いはわかった。

君と僕とは本当によく似てるよ・・・人間何より大事なモノは己のプライドだ・・・

確かに王虎も敗れたことによりプライドが崩壊し、やせ細った時期があった。
そういう面で考えると似ているといえないことはないだろうな。しかし――

笑わせるな。ブタが・・・

とりあえず笑ってみて、すぐに怒りの表情でブタフグの顔面を鷲掴みにする王虎。

誰が天雷ってのに手を出せと言った・・・あ?
俺が力で負けるとでも思ったのか・・・?ナメてんのか、俺を・・・
テメーは俺と鮫島が組まれるまでの・・・星勘定を合わせるタメだけの要因だろーが・・・
何が予定通りだ。見てなかったのか・・・?俺とアイツの取組を・・・
テメーも鮫島もどうでもいい・・・間が悪いんだよ。使えねーブタだ

言うだけ言って息を荒げるブタフグを残し去っていく王虎。おやおやこれは・・・
もしかしたらブタフグは王虎に反意を抱いてしまったかもしれませんね。むむむ。

ここで八日目の割が発表される。ここから幕下優勝争いが熾烈になっていく。そんな場面での注目の組み合わせは――

天雷―王虎

今場所の幕下優勝二大候補がここで激突。
これはファンとしてはかなり楽しみな戦いになりそうでありますな。
王虎の人気は高いだろうが、天雷もイケメンで強いので人気がありそうである。
マナーの悪い観客であっても、この対決は素直な気持ちで見てくれるのではなかろうか。

対決も楽しみであるが、王虎と田上さんの関係が今後どうなってしまうのか気になる所。
田上さんは王虎が指示して天雷を潰したと勘違いしている。
王虎はキャラ的に違うんだと言い訳することもできない。気持ちのすれ違う2人。奇妙な友情に亀裂が・・・!?
この2人は微妙に友人関係になりつつあると思っているので、今後が気になります。
王虎もなんだかんだで胸ぐら掴まれても田上さんが相手なら簡単には怒ったりしませんからなぁ。

というわけで、誤解を解くためにも王虎は天雷に互角の状態での勝負を挑もうとするのではなかろうか。
むしろ大きなハンデをつけてやるぜと両目を閉じて土俵に上がる王虎とか。そんな展開。
そこまでやっておいて、目が見えないので躓いて王虎敗北なんて展開になったらどうしよう。
2試合連続で相手が自爆し、力のぶつけ所を失う天雷とか凄くストレスがたまりそうな話だ!!まあ、さすがにないだろう。

しかし、ブタフグが何かしでかしてくる可能性はひょっとしたらあるかもしれない。
王虎にも恨みを抱いたブタフグ。天雷と一緒に葬ってやろうと会場の照明を落下させることを思いつく、とか。
それを阻止するために現れた右腕に手術の跡のあるトラック野郎の兄ちゃん!!会場の屋上で乱闘を開始する。とか。
まあそんな展開になったら面白いかなと思わないでもない。
とりあえず、今回ブタフグが軽くしめられたことで少し溜飲が下がったぜ!!よかったよかった。



第45話/今は・・・  (2013年 19号)


大相撲五月場所九日目。幕下頂上決戦が行われるこの日はさすがにその話で持ちきり。
特に力士たちの注目は高く、自分の取組がないのに見るためだけに国技館に来ている者も多い。
親方衆や関取も注目している。なんせこれからの角界を担うホープ2人の対戦ですからねぇ。それも無理はないことか。

天才、王虎
怪力、天雷

この2人の対決はさすがに注目度が違いますな。
マスコミが騒ぎ立てた鯉太郎、常松と王虎の戦いとは違う注目のされ方であり、純粋に相撲を楽しむという目で見られそうな対決である。
しかし天雷のキャッチフレーズが怪力なのはどうなんだろうか。
確かに力は凄いが今もそれだけの力士という扱いなのだろうか・・・?力士が怪力でも普通に聞こえちゃうしなぁ。力士なだけに。
どうせならもっとこう。怪物とか怪獣とか怪人とか怪盗とかそういった感じの方が。後になるほど別な何かになっていってるな。
そうだ、快男児とかどうだろうか。今の天雷らしい感じの言葉であるぞ。
天才VS快男児とか面白そうなキャッチフレーズである。どんなもんかね?

そんな注目される2人の対決だが、天雷は先日のブタフグとの戦で右目を負傷している。
このクラスじゃわずかな負傷も命取りだし、今回は王虎有利かなというのが周りの評価。
うーむ、王虎としては面白くない話でしょうな。
これでは実力で勝ってもケガがあったおかげでだと思われてしまうではないか。

国技館内はどこに行ってもこの2人の対決の話ばかり。
石川や常松はかなり複雑な気持ちでいる様子。さすがに王虎が別格なのは認めざるを得ないことでしょうしなぁ・・・
だが鯉太郎はとりあえずその話を気にするのは止めようと心に決めている様子。

今は人のことはどうでもいい・・・
俺は俺の相撲を一番一番大切に取るだけ・・・俺を土俵に上げてくれる人のために・・・
己を・・・肯定するために・・・

今回の鯉太郎の相手は先場所優勝争いに絡んだという力士、爛摩
青い目をしているように見えるが、西洋人力士でありましょうか。大きそうだな・・・
本場所は王虎と当たって1敗しているらしい。王虎が相手じゃしょうがないですわな。壊されなかっただけよかったと考えるべき。

取組開始。
鯉太郎のブチカマシで爛摩の表情が歪む。ふむ、幕下の強者にもまだまだ通用するか。
のど輪でのけぞらせた後、がら空きのまわしに手をかける鯉太郎。
だが、掛かりが浅かったせいで、上から叩き落とされる。
さらに上から圧し掛かられてしまう鯉太郎。これはヤバイ!!

倒れ込んでしまう前に足を引き横に流そうと体を捻る。
と、まるでその瞬間がスローモーションのように感じられる鯉太郎。
投げを意識したわけでもないのに、相手の体が回転している。
足が浮き、背中から土俵に向かって倒れ込もうとしている爛摩。ほう、これは・・・

何だ今の感覚・・・

勝利した鯉太郎であるが、今の意識もしていないのに投げることができた不思議な感覚が気になって仕方がない様子。
まわしをとらずに、脇の下にさしていた左腕を回しただけで投げていましたからねぇ。
これは決まり手で言うと掬い投げでしょうか?鯉太郎の新たな技となるのだろうか?
指をケガしている現在の鯉太郎としては身につけるといい武器になりそうな技である。

さて、鯉太郎の取組が終わったことでそろそろ天雷の出番となる。
控室を出たところで田上さんと出会う天雷。
田上さんは天雷の右目を気にして声をかけてきたようだが・・・

問題ないよ

この一言でもう何も言えなくなってしまう。まあ、事前にあれは王虎の陰謀だったんだー!!とか言ってもねぇ。
誤解なうえにそんな話で微妙な気分にされても困る。そんなことを言われなくても天雷のモチベーションは高いわけですし。

前から一度戦ってみたかった・・・いや・・・どうしても戦ってみたくなったのは・・・
鮫島を倒したあの取組を見てからか・・・
あの鮫島を圧倒した力は本物・・・
相撲で溜めたフラストレーションは、相撲で解消する・・・

笑顔を見せる天雷。さすがの人格者っぷりでありますな。やはり快男児である。
一方の天才、王虎。こちらは静かに気合の入った表情を見せている。
今のところ常松戦の時のようなニヤついた表情はないが・・・天雷を強敵と認識しているのだろうか・・・?

次回は巻頭カラーで両雄の激突が描かれる。
果たしてどのような戦いとなるのか・・・天雷が勝つ可能性はどれほどあるのだろうか?
竹虎さんのいう別格な2人の対決。できればそこまでの差がないという状態であると嬉しいのだが・・・
とりあえず、変な横やりが入ったりしないで純粋に戦いを楽しめるといいですな。期待したい。



バチバチBURST 6巻


第46話/激突!!  (2013年 20号)


大相撲五月場所九日目。
王虎と天雷。次代を担うと言われる男たちの激突。事実上の幕下優勝決定戦が始まろうとしている。
虎と雷の激突に土俵が揺れるぜ!!

この一番はさすがに親方衆の注目も高い。
十文字親方としては組ませなければ技で王虎。ガップリ組んだら力で天雷と見ているらしい。

虎城親方「あぁん?」
十文字親方「あっ・・・いや・・・天雷はないですな・・・」

相変わらずな様子ですなこの人たちは。
虎城親方としては天雷の評価ってどんなもんなんでしょうか?
直接の批評は聞いたことがないが、幕下で誰が止められる?みたいなことは言ってたしなぁ。
いや、単に天雷という存在を知らずにいただけかもしれないな。
息子と空流部屋以外の力士のことはほとんど気にしてなさそうだし。

力士たちにしてみれば関取衆も含めて注目の一番。
しかし観客としてみればまあ幕下の一勝負くらいの認識なのか、満場御礼となるほどの入りではない。
そして観客は王虎の応援の声が多い。逆に力士が応援するのは天雷。そのイケすかねぇ顔に一発かましたれ!!とのこと。

マスコミとしてみれば天雷が勝利するのもおいしいのではなかろうか。
ルックスよし、性格よし、怪力による迫力の相撲で派手さもある。
爽やかな男なので相手を下げるようなことも言わないし大相撲協会的にも安心。ファン受けしそうな男だ。
もっとマスコミはこの男を盛り立ててもいいのではなかろうか・・・!!まあ、この一番で勝利したら大持ち上げしそうだがね。

土俵上で対峙する2人の怪物。
王虎は常松戦の時のようなニヤついた表情はないし、鯉太郎戦の時のような殺気もない。真面目な表情だ。

イメージと違う・・・鮫島戦での殺気がない・・・
・・・面白くないな・・・それじゃ・・・

手をついて全身から闘志を噴出させる天雷。ピリピリとした気迫が王虎の頬を叩く。
それを受けて王虎。狂気の笑みを浮かべ、同様に闘志を噴出させる。ビリビリ。
2人の放つ異様な気迫に観客たちも黙り込む。いよいよぶつかる時が来たようですな・・・!!

固唾を飲んで見守る力士たちの中で、一人残念そうな思いを抱いているのは田上さん。
未だに王虎がブタフグを使って天雷の片目を潰したものだと誤解している様子。

そこまでして勝って・・・嬉しーのかよ王虎・・・

田上さんの感情はさておいて、いよいよ始まる大一番。
行事の声と共に飛び出す2人。ものすごい音を立てて巨体の怪物同士が正面からぶつかる!!
この最初の激突を制したのは天雷。さすがに怪力の異名をとるだけある。力ではやはり上か。
最初の激突で怯んだ王虎にさらにぶつかっていき、押し下げる天雷。このパワーには石川も思い出し焦りの表情。そして常松は――

・・・!!ウソだろ・・・あの王虎が幕下相手に・・・
これがプロの世界だっていうのか・・・?ふざけんなよ・・・

なんだか大焦りの常松。え?常松は天雷のことは研究していなかったんですか!?
大森海さんのことはあれだけ研究し対策をとっていたのに・・・
自分と当たる力士のことだけ直前に調べまくるのが常松スタイルだったということなのだろうか。
それか王虎を基準にしてプロの力士というのを見ていたのかもしれない。
自分と王虎はほぼ互角。王虎で楽勝な幕下なら自分も余裕だなとか思っていたのかもしれない。
そしてその王虎が苦戦する天雷の姿を見て慄いたと・・・辻褄は合うな。
王虎と常松が互角という認識自体がそもそも間違いだと思われるが。

序盤で王虎を圧倒する天雷。これには親方衆も驚きの色を見せる。
特に虎城親方はいつも通りの大焦り。毎回毎回表情を大きく歪ませて大変ですなぁ。

このまま天雷が力で押し出す。
かと思ったが、王虎はすかさず天雷の左手をおっつけで殺し勢いを止める。
そうしておいてから、強引におさえていた天雷の左腕に力を込める王虎。凄い馬力で天雷の状態が揺れる。
思いっきり横から投げ飛ばそうという判断であろうか?いや、これは崩しだけである。
本命は相手の動きを止めてからの・・・左の小手投げ!!

タイミング的にはバッチリ。虎城親方も入った!と確信する。
しかしここでどうにかしてみせるのが怪物である。
自身の右腕を絡めようとする王虎の左手首を左手で掴む天雷。そのまま強引に引き抜く!!
当然、テコの原理で投げる小手投げが行えるはずもない。
逆に捕まれた左腕がミシミシと音を立てるハメになった王虎。すかさず懐に入って難を逃れようとする。

まさかいきなり王虎必殺の小手投げが敗れるとは。これが技を圧倒するパワーというものだろうか。
王虎も全身から汗を吹き出し必死な形相となっている。常松戦の時のような余裕は見受けられない。

どうなってんだ・・・真っ向勝負じゃねーか王虎・・・

驚愕の田上さん。それに説明するかのようにブタフグが寄ってくる。

ふんっ。カッコつけっちゃって・・・わざわざ俺が片目潰してやったのに・・・ガッカリだよ彼には・・・
狙えばいいんだ・・・躊躇なく・・・所詮はそれをしないことが美徳とか思っちゃってるカスだったか・・・

おっと。いきなり自身の単独犯であったことをバラしてますねブタフグ。
これは田上さんとしては誤解が解けるいい流れである。嬉しいことだ。
だが、ブタフグの次のセリフでそういう考えを持つ余裕もなくなる。

負けるよ・・・王虎ちゃん
俺は土俵で天雷ちゃんと見合ってるんだよ〜〜わかるさ・・・間違いなく天雷ちゃんだよ。

ブタフグの言葉を受けてというわけではないが、天雷がその怪力をいかんなく発揮する。
ガップリ組んだ状態で王虎のまわしを取り、吊り上げる!!
このまま土俵外まで持っていく気であろうか?さすがにそうはさせじと王虎も動き出すだろうが・・・

一進一退の攻防が続く怪物対決。
天雷がきっちり王虎と互角であると分かるように描かれていて嬉しいですなぁ。
片目が潰れていなければ王虎も立ち合いで正面から向かうようなことはしなかったかもしれないが・・・
でも、そういう手段を選ばせるという時点で実力が伯仲しているのは分かるというものですわな。

小手投げは敗れたが、王虎は技が豊富である。
それに勝負が進んでもっと弱らせてからなら決まる可能性はあるわけですからねぇ。
まだまだどう転ぶか分からないこの一番。
ブタフグの言葉のせいで逆に王虎の方が有利になった気はしないでもないが・・・どうなるか?楽しみな戦いである。



第47話/ここは・・・  (2013年 21+22号)


組み合った状態でこそ天雷の怪力は本領を発揮する。
それを示さんばかりに強引に王虎を吊り上げようとする天雷。
しかしやはり強引すぎたか、腰を落として持ち上げられないよう堪えられてしまう。さすがにこの体勢では無理か。

だが、持ち上げるのが難しいなら押してしまえばいい。
腰を落とした王虎をそのまま押し出そうと強引に力で攻め込む天雷。何て馬力だ!!
これには田上さんも驚き、虎城親方も白目をむき、ブタフグは暗い笑みを浮かべる。なんだブタフグその反応。

押される王虎。しかしその状態で横に身体を動かし天雷が抑えていたまわしを切る。
だが天雷。その際に出来た王虎の脇の隙間を見逃さずに腕を通し、巻き替える。
上手から下手へのチェンジとなるが、押しの形としてはむしろそちらの方がいい。取れれば形は天雷・・・!!
なのだが、さすがに王虎はその辺りをよくわかっている。伸ばした天雷の左腕を右腕で絡めて押しとどめる。そしてしばらく膠着。

お互いまわしから片腕を離した状態となり、形に入れなくなった。
土俵の中央近くで荒い息を吐く2人。
これは休憩ではなく膠着状態である。つまりどちらであっても一瞬でも気を抜けば一気に持っていかれるということ・・・!!

削れる・・・隙を見せれば・・・喰い殺されるような緊張感・・・
だが・・・悪くない・・・体の全神経を集中したこの感覚は・・・そうは味わえない・・・最高だ・・・

思わず笑みを浮かべる天雷。うーむ、天雷はキラキラしてから本当に純粋に相撲を楽しむようになりましたなぁ。
白水さんに負けた時もそれが相撲の難しさであるとすぐに自分を納得させていたし。同期の中でも大人っぷりが半端ない。

一方の王虎は必死の形相。常松が思わず心配になってしまうほど必死な様子を見せている。
そんな王虎の耳に届くのは天雷を褒め称える声。土俵上にいる自分ではなく、その相手を讃える声。

・・・黙れ・・・黙れ・・・黙れ・・・!!

外部からの情報で激しい感情の揺らぎを見せる王虎。
天雷はその一瞬の感情の揺らぎを見逃さず、動き出す。
絡められた左腕を利用し、すくい投げを敢行する天雷。隙がつけたならこれで行けるか・・・!?
と思ったが、そこは王虎。緊急時の判断力が優れていることは何度も見せられている。今回もそれが発揮される形となった。

投げられそうになる瞬間、己の手を掴み合わせ、足の位置を入れ替えることで踏ん張る体制を瞬時に造り上げる。
投げの挙動に入っていた天雷だが、いきなり王虎の体が停止し、さらに身を起こしてきたことで逆に負担をかけられる形となる。
結果・・・天雷の左肩にガゴっと衝撃が走る!!

天雷の投げは入ってた・・・なのにあそこから腕をキメやがった・・・

これには鯉太郎を始め誰もが驚愕の色を見せる。
逆に虎城親方は目を閉じて神妙な表情。おっと虎城親方がこの表情を見せるということは、決着が近いのか・・・?

ここは・・俺の土俵だ・・・お前・・・邪魔だよ

肩の関節を痛めた天雷に対し右の小手投げを敢行する王虎。
このタイミング・・・一回目のような引き抜いている間はない。必殺の小手投げが決まってしまうのか!?

ううむ。互角の怪物対決であるが、やはり王虎の緊急対応能力の凄さが際立っている感じですなぁ。
果たして天雷はこのまま負けてしまうのか?負けてしまう場合、腕は無事で済むのかどうか・・・心配だ。
逆に肩を痛めたのが功を奏する可能性もある。
小手投げに出た勢いで痛めた肩が完全に外れる。その勢いで小手投げも決まらなくなる。
その隙をついて逆転を決める天雷とかそういう可能性は・・・あるかないか。
なんというか、王虎はいくら隙をついても瞬時に切り返してきそうでなぁ・・・本当に厄介な男であるよ。

相撲を純粋に楽しんでいる様子の天雷。
土俵を己の場所と言い張り譲らない王虎。
今の結果はそこの執念の差から出ているということだろうか?
天雷も一度ヤマに行ったら必死さが上乗せされることになる可能性はあるが・・・あんまり怪我はして欲しくないなぁ。

それにしてもやはり虎城親方の反応は毎度気になりますな。
王虎に負けてほしくないのはまず第一だろうが、勝ちそうになると神妙な顔になるのは何なんだろうか。
逆に止めてほしいという心もどこかに潜んでいるということなのだろうか。気になりますなぁ。



第48話/削る  (2013年 23号)


王虎の必勝パターンである小手投げが完全に入った!!

一度目の時のように力で堪えようとする天雷だが、負傷したせいで肩に力が入らない。
だが、だからといってむざむさやられるような男ではない。
兄の言葉を思い出す。自分を昔から期待してくれていた兄貴・・・その、お前は本気を出せばスゲー奴なんだぞという言葉を。

諦めることなく、空いた右腕で王虎の頭を押さえて押し下げる。
と同時に足を払い王虎の体を上げて叩き付けようとする天雷。叩きつけろ――クラゲ――!!
相変わらず今でも石川は天雷のことをクラゲ呼ばわりしているんですな。そりゃ本名で呼ばれずにいても仕方がない。

頭を抑え込まれた王虎。しかし極めた腕は決して外さない。
必死な形相で投げを継続する。その結果、2人の目の前に堅い土俵が迫ってきている。
投げの打ち合いで頭を同時に打ちそうになる・・・
これは前試合で王虎と鯉太郎が経験した場面を思い起こす。
あの時は咄嗟に手を出して頭から落ちるのを庇ってしまった王虎。
今の王虎からしてみれば考えられない行動でありましたな・・・

だが今回は同時に落下という形にはならなさそうである。
このままいけば力で勝る天雷が先に王虎を叩き付ける形となる。
ならば、こういう時に発揮されるのが王虎の緊急回避能力。
右腕一本の小手投げで投げきれないなら・・・両腕を使う!!
空いている左腕を自身の右腕にクラッチさせ、全身の力で投げを放つ王虎
この勢いにはさすがの天雷の力も堪え切れず、頭を押さえていた左腕も外れ・・・単独で土俵に叩き付けられる形となった。

無念なり天雷。追い詰めはしたが及ばなかったか・・・
いや、王虎が試合中に強くなったということであろうか?
両腕をクラッチさせての小手投げは今まで見られなかった技である。つまりは新技を身に付けたも同然。
新技を披露されたのでは敗れることがあっても仕方がありませんわなぁ・・・残念無念。
だが、王虎の勝利を喜んでいる人もいる。

負けるだと・・・?王虎が・・・?どうやって・・・誰がアイツを止められるってんだよ・・・

嬉しそうな田上さん。誤解も解けましたし、よかったよかった。
逆に悔しそうな顔をしているブタフグ。ざまぁありませんな。
しかし田上さん、虎城親方と似たようなことを言っていますね。さすがに近くにいるものはよく理解しているということか。

肩を痛めた天雷。見る限り肘の方は無事な感じですな。重い怪我になっていなければいいのだが・・・
しかし、その様子を見てあーあー壊れちまったかなで済まそうとする十文字親方はやはり色々と問題がある。
伊達にブタフグがいる部屋の親方ではないというわけですね。どういう教育をしているのか知れるというものだ。
いや、虎城親方の前だし、王虎がやらかしたことを軽くすませようと軽口を叩いているのかもしれませんな。しかし――

あぁ・・・このままでは壊れちまうよ・・・

愛する息子の勝利に渋い顔をしてみせる虎城親方。
やはり王虎の精神的な危うさを理解している様子ですな・・・まあ、甘やかし過ぎたツケな気もしますが。
虎城親方としては負けてほしくはないし、勝ちすぎて増長していずれ壊れるのも嫌だという状況か。厄介な話である。
まあ、幕内まで上がればさすがに王虎を止めるのもいるだろうし、そこで負けても壊れはしないと思うが・・・はてさて。

そういえば天雷を投げた時の王虎の形相が火竜に見えなくもなかった。
虎城親方が危惧しているのはそこだったりして。
愛する息子があの火竜に似てきつつある!困る!苛立って苛立って、このままでは壊れちまうよ・・・俺が。とかそういう。
うーむ、あるようなないような・・・ないな!!



第49話/まだわからない!  (2013年 24号)


苦戦はしたものの、天雷を下す王虎。
確かに強いのだが、早く横綱までいってくれとか言い出す観客はさすがに何を見ていたのかと言いたくもなる。
まあ、願望を述べているだけだというのは分かりますけどね。

他の力士たちもこれで幕下優勝は王虎で決まりだろうと噂している。
一方、自分の予想が覆されたブタフグはなんだか怒り満面。思わず壁をドンと殴ってしまうぐらいにイラついている。

フン・・カッコつけやがって・・・中身は削れてるくせに・・・
鮫島ともども、お前も潰してやるよ王虎ちゃ〜ん・・・

ブツブツ不吉なことを呟きながら去っていくブタフグ。
こいつは王虎の精神が削れていることに気付いているのか・・・?
虎城親方が危惧していることと同様のことに気付いているというのだろうか?
精神的な部分に関しての見る目は他者よりも優れているということであろうか。悪役らしい特技だ。

敗れた天雷。肩を抑えているが、負傷の程度はどのぐらいものであろうか。
天雷の所属する若竹部屋の若い者たちは王虎に対して憤っている。取組相手を壊すような相撲ばかり取りやがって・・・!!
しかし、負傷した天雷当人はわざとじゃないよと庇う。
まあ、確かにあれは堪えた結果そうなったという感じで、狙ってやった感じではありませんでしたわな。
狙わなくても壊すのが身に沁みついている結果だったりするかもしれないけど。

正々堂々・・・いい力勝負が出来たよ
王虎はこの目を一度も狙ってこなかっただろ。完敗だ。もっと稽古しないと。

うーむ、爽やか。
白水さんに引き落としを喰らった時もそうでしたが、天雷は実にストイックで爽やかな性格をしている。
マスコミの目がないところでもこういうことをキレイな顔で言えるのが天雷の凄いところである。王虎と常松にも見習わせたいものだ。

王虎がわざと壊したかどうかはさておき、天雷が敗れたのは確かである。
幕下優勝は絶対天雷さんだと思ってたのにと涙する若い衆。これで王虎の優勝は決定的と思っているのでしょうな。

いや・・・誰が優勝するかは・・・まだまだわからないさ・・・

天雷は通路で通り過ぎる男を見てそう述べる。
そう、まだ幕下の無敗力士にはこの男・・・白水さんがいる!!
トイレットペーパー挟んだまま歩いたりとしまらない人だが、まあとにかくまだ全勝でいるのだ!!
ていうか、長すぎだろこのペーパー。もう少し短くちぎって使おうぜ。

それはさておき、白水さんの5日目。ここで勝てば十両もぐっと近づく一戦。さすがに緊張した面持ちである。
何度も十両の壁にハジキ返されているというからなぁ。この場所でどうにかという想いは強いでしょう。
なので仁王さんにもそんなエロ本なんか読んでないで応援していただきたいところである。

そんな・・・だと?テメーは俺がただエロ本を読んでると思ってやがるのか・・・?

何?理由があったというのか?か、勝つために読んでいるだと・・・!?

いいか・・・?俺は巨乳が大好きだ。エロ本を読むコトによって俺の頭はパイオツカイデーで溢れかえる・・・
だがどうだ?土俵に上がれば同じ巨乳でも太った野郎のエセ巨乳!!
沸き上がるのよ殺意が・・・ブッ殺してやるってな・・・

は、はぁ・・・なるほど・・・
うむ、まあアレだ。そうモチベーションは大事って話ですよ。うん。くだらない方法であろうと何であろうとね。うん。
そういえばまたモミアゲが生えてきてますな仁王さん。そのモミアゲにも何か秘密があったり・・・いや、聞かなくてもいいか。

注目の王虎の取組が終わったためか十両戦が始まるまでは観客もだらけた様子になっている。
しょうがないことではあるが、もう少しちゃんと見てもよいのではないかね。

白水さんの今日の相手は元十両。さすがに強者の空気を纏っている感じ。
しかし、土俵で手をついた白水さんは深呼吸を行い、落ち着いた空気を纏う。
相手が殺気をビシビシと放っているのに対し静かな佇まい。
仁王さんが言うには人それぞれ力を発揮できるメンタル状態ってのがある。ああなった白水は厄介だぞ。とのこと。
なるほど。そういえば序二段優勝決定戦の時も立ち合い前の白水さんは落ち着いた様子でしたな。

揺るがねぇ・・・どんな相手を前にしても・・・
心が熱く・・・そして静かに燃えるのがわかる。俺の心は今まさに・・・

てなこと考えている間に始まる取組。
心を落ち着かせるのはいいが、手をついてる状態で目を閉じてしまってどうする!!
おかげで出遅れて押しまくられてしまう白水さん。何やってるんだか。

ドッ

・・・と思いきや、強烈な張り手の一発で相手を吹き飛ばしてしまう白水さん。
ま、幕下レベルで一撃だと・・・!?どんな威力だ!!
しかも必死な形相で放っているわけでもない。まだまだ余裕がありそうな表情での一撃だ。
まあ、相手の方が大したことない奴だと油断した部分も多少はあるんでしょうけどね。

まだ幕下だってのがおかしいんだよ。あの人は・・・

確かにこれだけの一撃を持っており、元十両を吹き飛ばす男が未だに十両のカベにハジキ返されているというのは不思議な話である。
メンタルを落ち着かせるのにまだ手こずっているのかもしれませんな。
心が落ち着いたときこそ今回のような強力な一撃がだせるが、落ち着きを欠くと途端に威力が落ちるとかそういう。

ともかく、これで5日目を終えて全勝の白水さん。
この十日目で幕下の全勝は王虎と白水さんの2人に絞られた。そして十一日目の割が発表される。

石川 × 常松
鮫島 × 大鵠
王虎 × 白水

空流幕下三名が繰り広げる注目の対決。ほう、これはなかなか楽しみな対決でありますな!!
鯉太郎とブタフグは前から言われていた通り。
さすがに鯉太郎の勝利は揺るがないと思うが、ブタフグがどんな手段を使ってくるかが気になる所ですな。
石川と常松の戦いは勝敗が読めない。一体どちらが勝つのか。
そろそろ石川の勝つ姿が見てみたいところでありますが・・・
常松はここで王虎以外にも土をつけることでプロの厳しさを認め、空流に溶け込むフラグになる。かもしれない。

そして王虎と白水さんの一番。これは一体どうなるか。
前回までは勝てる感じはしないなぁと思ったが、今回の描写を見ると意外と可能性もあるんじゃないかと思える。
王虎の中身が削れているという話もありますしね。万が一はあるんじゃなかろうか。
心を落ち着けた白水さんの渾身のゴリラが決まればひょっとしたら・・・!!

殺気を纏う動の王虎に対し、その殺気を受け流す静の白水さん。
同じ動の闘気を持つ天雷は敗れたが、静の闘気を纏う白水さんならばあるいは・・・!!
という展開になるかもしれないと思うと期待が持てますなぁ。少なくとも善戦はしてくれるはずである。期待したい!!



第50話/空流三連戦  (2013年 25号)


十一日に予定されている空流部屋の幕下力士三連戦。
その戦いに向けて取組のないこの十日目も必死に稽古を行っている鯉太郎と白水さん。
しかし鯉太郎は何か普段と違う様子。脇の下に手を入れた微妙に気のない投げを繰り返し、白水さんに転がされている。
これは、前の取組で行ったあの投げを再現しようとしているのか?

偶然だったけど確かに出来たんだ、前の取組で・・・重さどころか相手の存在まで消えたような不思議な感覚で・・・

消えた感覚。その単語に反応する空流親方。
そして必然的にそれが何だったのか見せてやろうか?と言い出す。
ほほう、久しぶりに親方自ら土俵に入っての技術指導が入りますか。

いいか・・・俺がお前のバランスを崩そうとするから、お前は崩されずに堪えてみろ

そう伝えて鯉太郎の左脇に右手を差し込み、バランスを崩す親方。
鯉太郎は右足を土俵につっぱりこらえる。
が、そこにさらに重心を移動させて体重を乗せることでより強くバランスを崩させようとする親方。
鯉太郎も倒されまいと必死に身体を戻そうとする。
そのタイミングを逃すことなく――空流親方の両足が鋭く捻られる。
と同時に押していた右手を離し、逆に左腕を相手の右脇に入れてフワ・・・と相手を浮かし、静かに倒す。

前の取組の鯉太郎は途中で我に返っていたため強い感じの落下になっていた。
キレイに決まると落ち方も優しくなるのであろうか。
というか、凄いなこれ。相手の力を完全に利用して投げている感じだ。
こんな見事な投げを見せる親方に驚きの表情の白水さん。そして解説を行う常松。

仏壇返し・・・師匠の得意技も知らないんですか?
小兵の春風が大横綱・虎城から金星を上げた時の決め技は全てこの技だった・・・
柔道じゃ隅落とし・・・空気投げとも言われてる高度な技ですよ。

ほほう。隅落としは聞いたことがありますな。
しかし毎回これを決めているとはどういうことなのだろうか。虎城親方は警戒していないのか、しててももらってしまうのか・・・?
ともかく、常松が言うにはこの技はおいそれと誰でも出来る技ではないとのこと。

必要なのはズバ抜けた相撲感・・・これは習って覚えられるモノじゃない

合気道に近い感じなんですかね。相手の力を感じられるセンスがないといけないとかいうことでしょうか。
だが、少なくとも鯉太郎は今の親方の例を見て感じ取れるものがあった様子。
再度白水さんと組み合い、できるかどうか試してみる。こっから・・・こう!

あっ・・・!?

見事に両足を捻り、白水さんの足を浮かすことに成功する鯉太郎。
が、完全に浮かして倒しきることはまだできていない。バランスの崩し方がまだまだって感じですかね?
だが、投げを仕掛ける時に必要なのは下半身の回転・・・捻りであると気付き事は出来た様子。
これは、磨けば下手投げに続く新たな決め技となるのか・・・!?

親方も場所で決めたという仏壇返しはただ指のケガがきっかけの偶然というわけではないと語る。

アイツは飛び抜けた握力をきっかけに愚直に下手投げを磨いてきたんだ。
その偶然の投げも言わばアイツの愚直がための必然だよ・・・
それにお前の言う相撲感に関しては・・・たまに寒気がするほどだ

嬉しそうにそう語る空流親方。今回の親方は久しぶりに昔のような笑顔が戻ってきておりますね。
BURST以降は仏頂面をしていることが多かったからなぁ。今ぐらいに笑顔でいてくれると有難い。
そして柔らかい表情のまま常松にお前ももう少し体を汚したらどうだと勧める。
ドロにまみれて稽古するからこそ場所で輝けるもんだぞ、と。
しかし、常松はまだ素直に空流部屋に溶け込む気にはなれない様子ですな。稽古中の時間なのに立ち去ろうとする。

明日のタメに休養するんですよ。乳酸が溜まってきてますんで・・・自己管理です

大学出身らしい論理的な説明ですな。
とはいえ体を汚すこともなく、汗もそれほどかいていない状態ではどのぐらい疲労しているかは外目にはわかりませんがね。

体力付けるには稽古しかねーぞ常松・・・地道にやらねーと先は開かねーぞ。

兄弟子としての鯉太郎の言葉。これを受けてついに常松の冷静さを保てなくなる。おやおや。

うるせーんだよ!!
人のコトより自分の心配したらどーだ・・・白水!アンタ明日は王虎だろ。ヤマ行かなきゃいいな〜〜・・・!
まさか・・・勝てるなんて思っちゃいねーよな。

なんだか必死な煽り方をする常松。
入門当時の余裕のある煽り方とはまるで違う。予定が狂い敗北したことで態度にも余裕が失われてしまいましたか。
なので白水さんも呼び捨てにされて煽られても特に怒ったりはしない。静かに見つめ返すだけだ。

お前もだよ鮫島!!仏壇返しなんて大技が本番で狙って決まると思ってんのか・・・
何が地道だ・・・効率悪く稽古したって意味がねーんだよ!!

え?空流親方の現役時代の対虎城戦は全部マグレ勝ちだと言いたいのか!?
少なくとも仏壇返しが決まったのは偶然の結果だと言っているように聞こえる。
まあ、確かに大技であるし、そうそう決まるものではない気がするなぁ。
動きの完成された大横綱・虎城だから決めることができたとかそういう話もありそう。
虎城キラーの異名を持ちながら小結止まりだったのは、虎城以外にはほとんど仏壇返しも決めれなかったとか。ありそうですな。

常松「明日俺が勝ってそれを証明してやるよ」
鯉太郎「常松・・・テメーの相手の石川ってのはそう簡単じゃねーぞ

効率の悪い根性を含めた稽古を否定する常松。
しかし相手は空流と、鯉太郎と同じように根性の稽古に明け暮れる男、石川大器である。
確かに勝てば証明できるかもしれないが、これは・・・
なんというか、凄い勢いで負けフラグを構築していっているようにしか見えない。恐ろしい。
同時に白水さんを煽り、それに対し平然とした様子を取らせることで大物感も演出させている。
これにより、白水さんの勝ちフラグが少し見えてきてような気がしないでもない。
常松め・・・なんというフラグ管理の上手い男か・・・!!鯉太郎の仏壇返し習得のフラグも忘れずに立てていますしな!!

というわけで、鯉太郎は必死に新技を身に付けるための稽古を続ける。
土俵の至る所に捻りを加えた足跡が残っている。
しかし何故わざわざ場所を移動して全部に跡を残そうとしているのだろうか?
残った跡を見て今回の捻りはいい感じだったとか考えたりしているのだろうか?

まあともかく、取組のない十日目は終わりを告げる。
そして翌日の十一日目。注目の空流三連戦が執り行われる日。
果たして土俵に空流ありとしめすことができるのだろうか?
最初の常松がいきなり転びそうな感じがしていますが、はてさて・・・
とりあえず王虎戦で痛めていたように見えた腕は本当に大したことなかったようですな。そこは安心した。
いざ取組というところでやっぱり怪我の影響が!という話になる可能性はなくもないけどね。



第51話/違うから・・・  (2013年 26号)


常松の過去の回想から入る今回。
常松には両親の他にもう1人家族がいるというのは知っていたが、でしたか。
しかも結構年の離れた子である。そしてその妹である由佳ちゃんにはいいお兄さんの顔を見せている常松。
離れ離れで暮らすこととなって涙する妹に、すぐに関取になってお金いっぱい稼ぐから、そしたら3人ででっかい家に住もうなと告げる。

常松の母は息子が相撲の道を選んだことに複雑な気持ちの様子。
まあそうでしょうね。相撲取りの父と結婚したとはいえ、今では辛いことを思い起こさせるだけでしょうし・・・
由佳ちゃんはこれだけ小さいとなると、父親がいなくなった時は相当小さかったんでしょうな。父親の記憶はなさそうだ。
不安そうにしてみせる母親に常松はいう。

・・・ムカつくだろ。このままじゃ・・・
心配しないで母さん・・・俺はアイツとは違うから

親父とは違う。家族のためにも負けられない。それが常松の原動力となっている。
予定外の敗北を喫し後のない常松としてはこの一番負けられない気持ちはかなり強そうだ。
しかしそれでもプライドに固執しているのか一人で体を温めている。
兄弟子の鯉太郎が胸を貸してやるというが、それも受ける気はないようだ。うーむ、強情な。
直前で不安になって張り切るぐらいなら前日も汗を流しておくべきでしたな。

石川大樹・・・型は突き押し。特にフック気味の張りは強烈・・・
立ち合いで勝負がキマることも珍しくはない・・・が、組まれるとモロさがある

さすがに分析は怠っていない様子の常松。ズバリその通りでありますな。

その分析されている石川は何だか知らないが絶好調の様子。
こちらも取組前に一人で柱を打って稽古しているが実に楽しそうで常松とはまるで違う。しかし――

俺の張り手が火を吹くぜ〜〜ドカーンと頭蓋骨粉砕骨折〜〜〜!!ダーハハハハハ!!

こんな風に歌いながらウォーミンングアップされても周りには迷惑でしかない。そりゃ兄弟子の飛天勇さんにも怒られるわ。

いや〜〜スミマセン!!あまりにも体が絶好調なもんで。
初めてっスよ!十日目終わってこんな体が動くの・・・いつもならボロボロっスからね!

どうやらいつにないほどに体の調子がいい様子の石川。
まあ、石川のスタイルは打ち合いでボロボロになりやすいですからねぇ。
初戦の鯉太郎との打ち合いのダメージを2戦目以降で癒していったということなのか!?
まあ、無情の一撃で立ち合い瞬殺を重ねていればボロボロにもなりようがないという話か。

今日の相手は空流。しかも学生横綱の肩書がついた常松である。油断してると喰われちまうぞと飛天勇さん。
しかし石川は楽勝っスよと返す。これは単に強気が前面に出ているだけの発言なのか・・・?
何回か空流には出稽古に行っているし、ハァちゃんな様子の常松を見てよくは思っていないのかもしれないな。

さて、いよいよ空流三連戦の口火となる常松の出番である。
王虎といい勝負をした――という風にされたことで注目を浴びている常松。なんとも屈辱的な話ですな。
まあでも結局まだその王虎の一敗しかしてないわけですしね。そうまだここから。たかが一敗・・・次だ・・・
そのように考える常松の脳裏に浮かぶのは親父の姿。

どうやら常松の親父は常時不機嫌というわけではない様子。上手く行ってる時は上機嫌で息子にも優しい。
仕事が決まったということでこれからはうめー物いっぱい喰っていいトコ住ませてやるからなとか言い出している。
でも3日も持たずに投げ出してしまったりしている。こ、このガッカリさはハンパじゃねぇ・・・
まあ、仕事が決まった時点でネクタイが歪んでたりするぐらいだしなぁ。

クソッ・・・次だッ・・・次こそ上手くいくはずだ・・・

男芸者として横綱の太鼓持ちをして稼いでいた時は一晩で結構な金が舞い込んできたと思われる。
その時の稼ぎ方が頭に残って離れないのかもしれませんな。もはや普通にサラリーを得る仕事には就けないのかもしれない。
まあ、それも言い訳と言えば言い訳ですけどね。妻子がいるんだし、そこは我慢してもらわないとさ。

ここでとある事実が判明。
前に常松が電話していた相手。約束は守ると告げた相手は実は妹であった
なるほど。家族に心配させないために定期的に電話をしていたんですな。こりゃ携帯を取り上げられるわけにはいかんわ!!
いや、鯉太郎もやってたし別に家族への電話連絡は固定電話で問題ないとは思いますけどね。
家族のことを秘密にしている常松としてはやはり携帯は手放せないか。

家族に俺が必ず楽させるからと告げた常松。しかし予定外の要素でつまずき、次こそと思ってしまう現在の自分にイラだちを覚える。

結局・・・俺のやってることは・・・親父と・・・・・・冗談じゃねぇ・・・

働きづめで苦労した様子の母親の手を思い返せば、苦労をかけることしかしてこなかった父親と同じになんてなれるはずがない。
意地でも親父とは同じになりたくない。親父と同じ相撲取りという道を選びながらそのように考える常松の内心はかなり複雑そうだ。

こい!ヒヨッコ・・・!!

対する石川は気負いも何もない。とにかく相撲取りらしく目の前の戦う相手を倒すのみと言う姿勢。
狙うは無情の一撃。ソッコーで片付ける。
右手をブルブルと回してそう考える石川。フェイントも何もないな。真っ直ぐな男よ。

見え見えだ。立ち合い早々張りの一撃がくる。先にカチ上げ、組んで一気に出てキメる

そのように考える常松。
そしてハッキヨイの合図と共に予定を実現するべく鍛え上げた右肩でのカチ上げを敢行しようとするが・・・

ガゴ

右のカチ上げが決まる前に石川の右の張りが綺麗にアゴに入ってしまう。
綺麗に入り過ぎて意識も綺麗に飛んだ様子。膝から崩れ落ち、土俵の上に座り込むような体制となった常松。
うーむ・・・負けるんじゃないかと思ってはいたが・・・本当に瞬殺とは・・・

親父・・・とは・・・

親父とは違う。親父のようにはならない。
そのように言い続けている常松であったが、この呪縛はなかなか解けそうになさそうですなぁ。

そもそも親父とは違うと言いたいのであればもっと謙虚になっていないといけないんですよね。
調子のいい時だけ傲慢で予定外のことが起きたら取り乱すってんじゃ、それこそ嫌っている父親の姿そのものじゃないですか。
まあ、常松も何だかんだで父親のことを嫌いきれていない部分があるのだとは思うが・・・
思ったとしても母親の苦労している姿を見ているのではそれを内心でも認めるわけにはいかないわけであり・・・複雑だ。

石川に瞬殺を喰らった常松だが、実際の所そこまで実力に差があるとは思わない。
いくら頑丈でも、綺麗に入ってしまえば脆いものってことですよね。鯉太郎はちゃんと立ち合いの無情の一撃はガードしてたし。
しかし立ち合いで勝負がキマることは珍しくないと分析しているのに立ち合いでぶつかろうとする常松の判断は疑問が残る。
そもそも右の張り手に右肩でカチ上げしようとしたらがら空きの左アゴにもらうに決まっているじゃないですか!!
事前に親父のことを考えてしまって冷静さがなくなってしまったのが敗因なんですかねぇ・・・
まあ、石川が十日目で絶好調なのに対し、常松は初のプロでの十日目で体が鈍って立ち合い出遅れたという部分もあるのかもしれない。
つまり乳酸が溜まっていたのが敗因といえるわけだ。取組前に暴れすぎるから・・・自己管理が足りなかったな!!

どうでもいいが、最後の親父とは・・・のセリフが最初見た時、妙に哲学的に思えた。
親父とは違うの親父とは・・・なんでしょうが、親父とは・・・一体何だ!?に繋がりそうな言葉に見えなくもない。
親父とは単に血の繋がりを示すだけなのかどうなのか。それ以外にも意味があるのではないか。
気絶しながらそのような哲学始める常松。
結果、空流親方が常松の母と再婚して名実ともに親父になるという展開が・・・あったら色々と面白そうだな!!

次回はいまだに虚勢を張り続ける常松に何かが起きるようだが、何が起きるのか。改心フラグが立つのか?
左のアゴを張られて虚勢を張る常松の右アゴを張り倒して気絶させる展開とかだったらどうしよう。
そうなったらもう常松は張られて気絶するというキャラ感が固定されることとなってしまう!!キャラが立ったよ!やったね!!



第52話/要するに・・・  (2013年 27号)


父親の悪夢から目覚めると、そこには惨敗という現実が待っていた
うーむ。まさに夢も希望もありゃしないって状態ですね。

さすがにキレイに顎に入って脳が揺らされたためか、気を取り戻してもまともに立つことができずにいる様子。

何だ・・・?何があった・・・?

一瞬の出来事過ぎて負けた実感も何もない常松。
なので何が起きたのか教えてくれる石川。

一撃だ。軽くねーだろ。俺の張り・・・相手が悪かったな。部屋でミッチリ鍛え直してこい

勝ち誇る石川。まあ、これだけの完敗を喫したのでは何を言われても仕方がないですよね。
ヨロヨロと足をふらつかせながら土俵を降りる常松。その心中は悔しさで一杯である。

一撃・・・だと・・・
くるのはわかってたんだ・・・実力なら俺が確実に上だったはずだ・・・
クソ・・・何でだ・・・何でこうも予定通りにいかない・・・
何が・・・何がどこで狂っちまったんだ・・・

勝負事が計算通りにうまく行くことなんて早々ないですわな。
初戦の大森海さんのところでうまく行き過ぎたのも今にしてみるとかえってよくなかったのかもしれない。
というか、常松は事前の下調べにより何が来るかは正確に分析しているが、対処の判断が色々と間違っている気がする。
シューティングでいうなら、この敵は追い詰めると極太レーザーが来ると事前に調べていたとする。
その場合、兆候が現れたら安全地帯に避難するのが正解なのだが、撃たれる前に倒せばいいと張り付いて撃ちまくるのが常松。
ゲームによってはやられる前にやるのが正しいのもあるが・・・常に強気な判断をするのが常松という男である。
おかげで痛い目に合う。ギャンブルには絶対に向かないタイプだな。
大敗して何がどこで狂っちまったんだ・・・とか言いそうである。あれ?今の言葉通りじゃねーか。

引き上げる常松を迎えるのは空流の兄弟子たち。
白水さんは何だか厳めしい顔をしている。そして鯉太郎は立ち合い前のように腰を落として集中している。
なんだ。ブチカマスのか!?傷心の常松にブチカマスのか!?
いや、そんなことしなくても常松はもうすっかり落ち込みムードである。
どうせ笑ってんだろとか被害妄想に浸ったりしている。しかしもちろんそんなことはない。

これから取組だぞ。集中の邪魔すんな。おまえに構ってる余裕はねーよ

前日にあれだけ挑発をしたが別に疎まれている様子もない。
精一杯暴れてみせたのにスルーされたような状態になってる常松の空回り感。それは自身が一番よく感じられている様子。

椿「あなたは何もわかっちゃいないわ・・・」
親方「今場所はしっかり兄弟子を見ておけよ。お前に何が足りないのか・・・プロとは何か・・・きっとわかるはずだ」

これではまさに言われた通りの状態である。
予定通りにはいかず、注目を浴びることも出来ず、自分のやり方が正しいと示すことも出来ていない。だから虚勢を張る。

こんな・・・こんなもんじゃ・・・こんなもんじゃねーんだよ俺は・・・!!
ふざけんなよ・・・俺がお前らから何を学ぶってんだ。
たまたまだ・・・そうさ・・・あんなもん・・・ラッキーパンチみてーなもんじゃねーか・・・
今回は運が無かっただけだ。普通なら負けるはずがねぇ。実力なら俺が上だ。学生横綱だぞ。

どんどんとダメな親父のような言い訳モードへと移行していく常松。いかん、そっちは進んだらいかん。
なので突然現れた空流親方がその言い訳をバッサリと切り捨てる。

そりゃ違うぜ。必死こいて努力ってのをしてねー奴に運なんてやってくるかよ。
運を持ってる奴ってのはそれ相応の実力も持ってるもんだ。
運なんてもんは力尽くで手に入れるもんだからな。土俵に棚牡丹はねぇ

ラッキーに思える戦いがあってもそれはその当人が力尽くで掴んだ運であるということか。
運も実力のうちとはそういう意味合いで使われる言葉なんでしょうな。

親方の言葉に顔を伏せる常松。だがそれでも、自身の虚勢は破られても、それでもまだ終わりにはできない。

まだ・・・こっからだ・・・まだ・・・まだ・・・まだ!
約束があるんだ!見せねぇといけねーんだ・・・

親父とは違う。母や妹を楽させてあげる。そう約束をした。
そして自分のガキなんだから何をやってもたかが知れているという親父の言葉が間違いだというのを見せないといけない。
それは自分は親父と違うという想いから来るものなのか、それとも逆に親父を肯定するために見せないといけないと考えているのか。
常松の約束や内心の複雑さは一言では言い表せない。
だが分かることが一つだけある。それを口にする空流親方。

要するによ・・・強くなりてーんだろ?

まさにその通り。強くなり、親父に見せつけて自分と親父を肯定したい。家族に楽をさせたい。

はい・・・・・・

涙を流し、素直に頷いて見せる常松。
おやおや、虚勢の仮面が外れて涙が・・・サビが流れているじゃあないですか。
鯉太郎が入門時に見せた涙と似たようなものでありますな。このサビが流れることで本物の地金が現れることとなる。
常松もようやく空流の一員としてスタートを切ることができそうでありますな・・・いい話だ!!
白水さんも鯉太郎もこのやりとりを笑顔で受けとめていますしね。よかったよかった。

さて、そうなると2人は自分の取組で兄弟子らしいところを見せないといけない。
まずは鯉太郎の出番である。相手は因縁のブタフグ。
ブタフグとしても天雷戦とは違いやる気満点。仁王さんへの見せしめのためにグチャグチャにしようと考えている。
はてさて、この勝負。さすがに鯉太郎の勝ちは動かないだろうが、どういう展開になるだろうか。
常松のようにブタフグが瞬殺されるならそれはそれでよい。スッキリしますしね。

逆に鯉太郎が滑って倒れたりしたらどうしようか。ブタフグとは違い本当に事故で転倒という流れ。
やられる側に回ってそれがどれだけ悔しいことであるか知るブタフグだったとかそういう展開。
うむ、凄くスッキリしない流れですな。これはよくないや!!
やはりここはド派手な吹っ飛ばし方をしておいて欲しいものである。



第53話/思念  (2013年 28号)


大相撲五月場所十一日目。
空流三連戦の初っ端は常松が石川に敗れる結果で終わった。
そのタイミングで不安そうな面持ちをしながら国技館に現れるのは椿。
鯉太郎の取組にはなんとか間に合ったという感じですかね。

その鯉太郎が入場。相変わらず酷いヤジが飛び交う国技館。
ちゃんと謝罪しろとかDQN野郎とか焼き鳥おごれとか。ん?何か色々おかしいぞ?
DQNだなんてリアルで言葉にする方がアレですよね。いやそっちは割とどうでもいい。
なんだ焼き鳥おごれ!って。おごったらいいのか!?よく分からないヤジだ。

まあ、鯉太郎の父親である火竜はヤジった相手に話聞いてやるから飲み屋に来い!おごってやるぜ!!ってな人間でしたからね。
息子の鯉太郎にもそういうパフォーマンスを期待しているのかもしれない。
幕下の段階でそんなことできるわけないですけども。
性格的にもそういうのはちょっと違う。そういうのは仁王さんの役割ですな。む、本当に仁王さんは言いそうで怖い。

さて、鯉太郎と同じように入場してくるブタフグ。その右手には包帯が巻かれている
これはやはり・・・仕込んであるってことなんですかねぇ・・・
田上さんもえらいヒントを与えてしまったものですなぁ。

大事な一戦という事もあり、今日も見に来ているマコ姉。
椿は先に来ていたマコ姉に声をかける。
ふむ、椿は授業を抜け出してやってきているのか。ん?そういえばマコ姉も大学生じゃなかったっけか?
まあ午後は授業を取らずにいるんでしょう。

マコ姉「これから鯉太郎の取組よ」
椿「常松君はどうなりました!?」
マコ姉「負けちゃったよ・・・石川君にビンタされて・・・

ビンタって表現もなんだか素人らしくてよいですな。
しかし椿、常松君って呼び方はどうなんだ?一応年上でありましょうに。
マコ姉の前出し呼び捨てはどうかと思ったのだろうが君付けも何か違和感が。
まあ、ともかく常松の敗北を聞いて椿は一言。

そっか・・・やっぱり・・・
これで彼も空流になれればいいけど・・・

やはり何となく年下に向けて言っているかのような言動に思える。
まあ、一応常松のことも気にかけているって感じが見て取れたのはよかったですな。

とはいえ、今日の懸念は鯉太郎である。
なんせ相手は兄弟子の吽形さんを引退においやる原因を作った男であるからして。
もちろん鯉太郎自身がケガしないかも気になるが冷静でいられるか気にしている様子の椿。
だがどうやらその心配はいらない様子。
ブタフグを見ることで逆に吽形さんのことを思い出すことが出来た。
その教えも再度頭に叩き込まれる。投げは力じゃない。そう、力んでいては相手を投げることも出来ない。だから笑う。

土俵を挟んで待機している2人。
笑みを見せられたブタフグは目に見えるほどに冷静さを失う。

いらつくーいらつくー。同じ目で・・・見るな・・・コケにしやがって・・・

上下左右に瞳を動かすブタフグ。
目に映っているのは現実の光景ではなく、阿吽にしてやられた記憶。
壊れるほどに刻み込まれた屈辱と恐怖の記憶。

キィイイイイイ!!
キィイイイイイ!!
イイイイイ!キイイイイイイイイイイ!!

おい、これはさすがにヤバイでしょう。何叫んでるのよ。
周りも静かにせんかとか言ってる場合じゃないよ。病院だよ!!
観客もドン引きですよ本当に。いや、テレビ放送される十両戦じゃなくてよかった・・・

というわけで、涎を垂らしてブチ壊れたままの表情で土俵にあがるブタフグ。
一目で何をやってくるかわからないという雰囲気を醸し出しているのが分かる。

まさかコイツと取る時が来るなんてな・・・

鯉太郎としては意外な思いでありますわな。
まあ、吽形さんの仇は既に阿形さんが取った形になっているし、そこまで思い入れがあるわけではなかったんでしょうな。

大鵠「コラ・・・ガキ・・・お前も兄弟子のようにしてあげるからね〜〜・・・」
鯉太郎「クセー口で喋るな
大鵠「だだだだだ誰にモノ言ってんの〜〜・・・ここここ木端がぁぁ」

吽形さんにも言われたセリフなだけに効果覿面な様子。
というか予想以上にブチキレられてしまってもこっちとしては引きますわぁ。

ブチカマシて一気にキメる。何をされようが俺は俺の相撲を取るだけだ・・・

落ちついてそう考える鯉太郎。
ハッキヨイの合図と共にブチカマシを決めようとする!!
が、ブタフグの両腕を突きだしてのカチアゲに止められる鯉太郎。
むう、壊れていてもさすがに元十両。体重の軽い鯉太郎のブチカマシではこうもなるか。

出足を止められた鯉太郎。その鯉太郎の右足を己の左足で踏みつけ動きを止めるブタフグ。
その状態で襲い来るのは包帯の巻かれた右手!!
卑劣な一撃が鯉太郎を襲おうとしている!!これは危険だ!!
腕で受けとめる流れになるのだろうが、鉄板が入っているのなら受けた腕もただではすまないかもしれない。
はてさてどういう流れとなるのだろうか。
さすがに右手で張られて気絶して終わりってことにはならないと思いますが。常松と同じになっちゃうし!!

今回の取組で仏壇返しが飛び出すかどうかですな。
直前で張った伏線はすぐに回収することが多いだけに、この取組で決まる可能性は高そうだが・・・?
でもブタフグには強烈な投げをお見舞いしてほしいなぁとも思う。
いや、何が起きたかも分からず負けるブタフグというのもありか。マゲを掴むヒマもないでしょうし、悔しがりそうだ。
でも負けて悔しがるとあなると、今回以上の狂乱を見せることになるかもしれないわけでして。
スタッフはすぐに退場させられるように控えておいたほうがよいですぞ!!



第54話/強いよ・・・  (2013年 29号)


立ち合いで当たり負けた鯉太郎。
足を踏まれて逃れられない状況にされ、卑劣な一撃を浴びるハメになる!!

が、さすがに鯉太郎。とっさに肩で受けることでダメージの軽減に成功する。
伊達に石川と張り合ったり、白水さんと毎日稽古しているわけではありませんな。
しかし、ブタフグの張りを受けた鯉太郎は違和感を感じる。

なっ・・・何だこの張り・・・!?
石川とも白水さんとも違う・・・もっと無機質な・・・
このヤロー・・・何か仕込んでやがる・・・

どうやら本当に鉄板を仕込んでいるらしいブタフグ。容赦のなさは本物ですなぁ。
しかし鯉太郎の気付き方もなかなか面白い。
普段は相手の張りからは熱のようなものを感じたりするのでしょうか。
そういうものを感じてしまう子だからついつい打ち合ってしまうのだろうか。気になるところだ。
まあ、それはさておき。ブタフグの仕込みに気付いた鯉太郎。であるが――

だからどうした・・・頭以外ならもらっても問題ねぇ・・・
頭をガードして低く沈んで。一気に懐に入・・・

その鯉太郎の考えを見透かしているとばかりに、ガードされていない胴体を狙うブタフグ。
本来みぞおちへの攻撃は反則なのだが躊躇なくそこを狙うブタフグ。さすがに鯉太郎も息が漏れる。
そしてガードが緩んだ顔面に、ブタフグの仕込み張り手がヒット。ド〜〜ン・・・
それはいいがどこ見てんだこのブタフグは。

頭以外はもらっても問題ないと言っておきながら早速顔面にもらってしまった鯉太郎。
いや、頭だと揺れるから厳しいが顔なら問題ないという事だろうか?
崩れそうになった身体を立て直す。
が、そこに追撃でもう一撃横薙ぎの一撃。どん。
さらには左の肘を顔面へと叩き込む。

イラつくんだよ・・・お前らの目は〜〜〜〜・・・

うーむ。かなり壊れておりますなぁブタフグ。
吽形さんのときはもう少し目立たないように反則をしていたはずなんだが・・・
逆に明確に肘を入れていっているのに行司や審判員は何も言わないのだろうか。
いや、さすがに動き出そうとしている人はいました。

止めるぞ・・・

そういって踏み出そうとしたのは空流親方。
親方はブタフグ戦で吽形さんが壊された時も十文字親方のところに怒鳴り込んでいましたからなぁ。
今回は壊される前にどうにかしたいと思ってもムリはない。というか、そうでないといけませんわな。

しかし、親方が動きだす前に反撃に入る鯉太郎。
その表情は昔のギラついていたころを思い起こさせるものとなっている。
なんというか、血を流しながら戦うのが似合う男であるなぁ。

反撃として次々と張り手をブタフグの顔面へと決めていく鯉太郎。入った!!
が、やはり体格と体重に差があるのかあまり効いた様子はない。
壊れた顔してるけどこれは土俵に上がる前からそうでしたからねぇ。効かね〜な〜〜・・・

知ってるよ

棒立ちとなっているブタフグの目の前で腰を落とす鯉太郎。
自分の張り手だけで倒せるような相手とは最初から思ってはいなかった様子。
まあ、吽形さんも言ってましたものね。一度は幕下上位の壁を越えて十両に上がった男であるのだから、強いのは間違いないと。
だから、勝つために自身の持つ技を全てぶつけようとする鯉太郎。
アタマからブチカマシを決める。
さすがにこれで吹き飛ぶ相手でもあるまいし、ここからマワシをとって投げの形となるか・・・

次回はセンターカラーで吼える鯉太郎。
下手投げで決まるのか。ここで早くも仏壇返しが見られることとなるのか。
それらを覆すような反則をブタフグが見せて来るのか。色々と気になる所であります。
何より気になるのはブタフグの仕込みですな。
鯉太郎が自分からバラしたりはしないだろうが・・・判明したらしたで色々と面倒くさいことになりそうですなぁ。
十文字部屋がどうなろうと知ったことでは無いが、また騒動の一端に空流部屋が絡んでいるってことになっちゃいますし。
なるべく穏便に潰れてほしいものである。む、潰れることは確定なのか!?まあいいか。別に。



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