蒼天紳士チャンピオン作品別感想
囚人リク
第104房 〜 第130房
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25巻
連載中分
囚人リク 13巻
第104房 決闘
(2013年 19号)
田中一郎の仲間入りという申し出を完全拒否するレノマさん。
リクとしてみれば是非田中一郎の力は借りたいところであった。
しかしレノマさんの大人が信じられないという気持ちもわかるし、何とも悩ましい話である。
悩ましすぎて筋トレの数える回数を間違えて飛ばしてしまう程である。
ボーっとしてんじゃねえ。「104」飛ばしたぞ。
確かに飛ばしてますな。これはいかん。
104話目の今回なのに104を飛ばされたのでは、この回の存在自体に関わる話でありますよ。
飛ばした飛ばしてないで言い争いを始める2人。何をしているんだか。
しかし田中一郎がやってきたことでその言い争いは終了。
実際飛ばしていたし、レノマさんの言い分が正しい。
けど田中一郎が飛ばしていたと指摘すると俺の勘違いだったで済ませようとしてしまうレノマさん。どれだけ大人嫌いなのよ。
田中一郎は提案を断られてから一晩考えた。1人で脱獄しようと。
しかしさすがの脱獄王でもこのムショはでかすぎる。やはり仲間が必要となるとの結論。
見取り図を有している2人との協力体制は是が非でも欲しいでありましょうなぁ。
どうでもいいが、脱獄を決意してから田中一郎の襟が立ちっぱなしである。
立ち上がったぞというのを地味にアピールしているのであろうか。分かる人にしか分からないので問題ないアピール方法だな!!
それはさておき、頑として手を組むつもりのないレノマさん。それに対し田中一郎は言う。
佐々木。俺とタイマン張れ。
お前もいっぱしのワル気取ってんだろ。負けたら何も言えねえよな。
ほう・・・これは話が早そうな方法を提案してきましたね。
言葉で分かり合えないなら拳を交えるしかない。タイマンはったらダチという解決法。実にチャンピオンらしい!!
だが、レノマさん。倍以上年上のおっさんをぶちのめす趣味はねえよとさらりとタイマンを断る。
ふーむ、田中一郎は39歳か・・・思ったより歳をとってましたな。
ふ・・・逃げんのか。たかが大人に裏切られたくらいのことを、いつまでも引きずるような女々しい奴にはお似合いだな。
田中一郎の挑発!!おっと、これにはさすがにレノマさんも・・・自嘲気味の笑み!?
痛い所を突かれたが、その意見は最もだなと感じたのだろうか。
幼少期のトラウマがここまで強いとは本人も思わなかったのかもしれませんなぁ・・・
やってやる。目障りなんだよテメェ。
タイマンの申し出を受けるレノマさん。ここに田中一郎VS佐々木麗乃真というビッグカードが実現したのであった。
もはやリクがいくらわめいてもこの2人を止めることはできませんわな。
心置きなく戦えるよう場所を移す。
看守に金を払う約束をして倉庫を借りるレノマさん。
その際、看守はせこく値段のつり上げを行っていたりしている。
普段ならともかく、大人不信が強まってきている今のレノマさんとしてはイラつく話でしょうな。
リクはこの期に及んでもなんとか2人を止めようとする。だが、田中一郎のこの言葉を聞くと怯まざるを得ない。
今度は俺が言わせてもらう。男には、やらなきゃならない時がある。
これはリクが田中一郎に手錠抜けを教えてもらった時に言ったセリフである。
その時と等しいぐらいの覚悟を持ってやってきたということだ・・・!!
だが、リクとしてはそれでも2人が傷つくのは見たくない。しかし、服の端を入り口の扉に挟まれ動けなくなってしまう。あらあら。
というわけで、これで邪魔する者はいなくなった。いよいよタイマンの開始である!!
先制して殴り掛かる田中一郎。しかしこの一撃は防がれる。
反撃のレノマさん。一発目の左はかわされたが、続いての二発目、右の拳が田中一郎のボディをえぐる。
物凄い音を立てた一撃を受けて横向きに倒れる田中一郎。一瞬で勝負がついた・・・!?
と思いきや、まだ戦闘の意欲は失っていない田中一郎。
倒れた状態でカニばさみをレノマさんにしかけ、グラウンドに引き込む。
見事なアキレス腱固め。これにはさすがのレノマさんも苦痛で歯を食いしばる。
タップしろ。今の俺は容赦なくへし折るぞ。
腕ならまだしも足をやられるとかなり厄介ですな。復帰にも時間がかかることとなりそうだし、脱獄に影響が出そうだ。
だがレノマさんは降参などしない。
無理矢理相手の体を自分の体ごと転がして吹き飛ばし、関節技からの脱出に成功する。
再び立ち技での勝負。
レノマさんが蹴りを放てば裏拳で決めかえす田中一郎。
一進一退の攻防。その中で田中一郎の放つスリーパーホールド。しかし、これは手を首の間に挟まれてしまい不発。
逆に投げ飛ばされ、馬乗りの体勢を取られることとなってしまう。
ケンカとなればやはりこの体勢は圧倒的に有利。
レノマさんの剛腕が唸りをあげて田中一郎の顔面に何度も突き刺さる。
最後に一撃を加える際、レノマさんはなんとなく寂しげな感じの表情となっているが、これは・・・?
殴り倒したレノマさんは立ち去ろうとする。
が、完全にKOさせられたと思えた田中一郎、根性で立ち上がる。
うーむ、リクの言葉を引用しただけあり、その根性も同様に凄いということか・・・
アオリでは39歳で老兵呼ばわりされている。
まあ、18歳に比べればそりゃ歳でありましょうが、まだ老兵と呼ばれるほどではないよなぁ・・・
それでも肉弾戦ではやはり若い方に分があるんじゃないかと思える。
鬼道院ぐらいの物凄い肉体の持ち主だとそれも怪しくはなるが。
その鬼道院と争っていた田中一郎を打ちのめすレノマさんはやはり凄い。
このタイマンの結果はどうなるのだろうか。
根性を見せる田中一郎にレノマさんはリクの姿を思い描き、ほだされたりするのだろうか?
田中一郎にも育ててくれたおじさんがいればそういう話も出来ようが、それは期待できそうにないですな。
年齢こそ大人だが、俺はいつだって少年の心を持ち続けている!と主張すれば和解の道はあるかも・・・?
いや、それよりはレノマさんのトラウマを払拭する流れの方がいい気がしますわな。今後の為にも。
第105房 不信
(2013年 20号)
田中一郎の参戦を賭けた死闘が激しさを増している。
柱にまで年甲斐もなくタイマンを仕掛けたなんて書かれてしまう田中一郎が少し可哀想。
その上レノマさんになんでタイマンを張ったのかと尋ねてこられる。
それで俺が認めるとでも思ったか?と。魂胆甘いんだよと言わんばかりの態度である。だが――
逆だ。このタイマンは俺がお前を認めるためだ。
お前が俺を信じていないように、俺もお前を信じていない。
お前がやろうとしていることは脱獄ではない。脱獄ごっこだ。おままごとよ。
田中一郎の言葉がぐさぐさと突き刺さり、満面に怒りが貯まっていくレノマさん。
しかし、その怒りも続いての田中一郎の演説で少し治められることとなる。
感情のままに!!心を制御できぬまま、成し遂げられるほど脱獄は甘いものではない。
脱獄とは、己が全身全霊を捧げ、果てなき根気を燃焼し続け、最新の勇気を奮い、そして運をも味方に抱く。
脱獄は、人間の尊厳を懸けた戦いだ。
さすがに脱獄王。語るねぇ。
それはいいが、そのポーズとキラキラした様子は一体何なんだ。
脱獄王ともなればこれぐらいの演出は出来て当然ということなのだろうか。そりゃレノマさんも毒気を抜かれるさ。
お前には見取り図と神木たちシャバの仲間がいる。俺には脱獄の技術がある。
だから俺たちは、組んだ方がいい。
ただ、不合理かつ極めて個人的な大人への歪んだ不信感を善しとし、成功を自ら遠ざけているお前は信用できない。
レノマさんの顔面を指さし、はっきりそう告げる田中一郎。
不合理かつ極めて個人的。まさにその通りでありましょうな。それはレノマさんも分かっていることである。
分かっていてそれでいてどうにもならないから荒れる。
言われたくないことをズバリ言われてしまったという状態でありましょうな。怒りのレノマさんが田中一郎に迫る。
これまで以上に苛烈な攻撃を仕掛けるレノマさんだが、田中一郎はそれに反撃をしてみせる。
佐々木ィィ!!その程度か!!ああ!?お前の大人への怒りってのはぁ!!全部出して見せてみろや!!
とことん挑発する田中一郎。
この男はレノマさんが溜めこんできた大人への怒りを全て受け止めようというのか・・・!?
現に田中一郎は殴られながらも相手のことを、レノマさんのことを考えている。
佐々木・・・佐々木よ・・・お前はあの街で、あの空の下で何を見・・・何を聴き・・・誰と出会い・・・何を感じてきた。
スラムで過ごした時期は変わらないぐらいの2人。
それでも幼い時期からずっとスラムにいたレノマさんと成人するまでは平和に暮らしていた田中一郎とはやはり違う。
少年という多感な時期をスラムや刑務所で過ごしてきたレノマさんの感情はどのようなものであるのか。推測するのも難しい。
だから言葉で説得は難しいと考えて、怒りを全てぶつけさせてやるという方向に出たのでありましょうか・・・
そんなもんか!まだまだだろうが!と挑発しながら戦いを続ける田中一郎。
だがさすがに限界が見えたらしく、フラフラになっている。
その胸元には他の古傷とは違う新しい傷が姿を見せている。む?これは何の傷だ・・・?
それは分からないが、とにかくこのタイマンはここで終わりの様子。さすがに根性を見せるのにも限界があったか。倒れる田中一郎。
田中「まだまだ・・・殴り足りねえんだろ・・・」
レノマ「全然足りねえよ」
そう述べるが倒れた相手に追撃するようなことはしない。
背中を向けて、入り口を叩き合図をする。表にいた看守に開けてもらおうという話ですな。
ってノックが聞こえるぐらいの所に看守いたのか?中では脱獄がどうとか喋りまくっていたのに・・・!?
まあ、そう簡単には音が漏れるところじゃないんでしょう。たぶん。
タイマンを張ったのだがレノマさんの闇が完全に晴れることはなかった様子。
うーん、やはり完全に叩きのめす方向でないといけないのかなぁ。
倒れた田中一郎は倒れたままの状態で駆け寄ってきたリクにこう述べる。
大変だな。おっさんが若者の仲間になるってのは。
しみじみとした話ですね。凄くよくわかりますけど。
数年下の人間を相手にするのも大変なのに半分以上下の人間と仲間になるってのは難しいなんてものではないわなぁ。
大人らしく落ち着いた態度を見せるとスカしてるとか言われるし、子供っぽく振る舞えば大人気ないとか言われるし。なんやねん!!
まあ、脱獄には根気も重要と自身も言っているし、今後も諦めずに行動を続けるんでしょうな。
脱獄王の参入はいつのことになるか・・・何か別の不確定要素が欲しい所でありますな。
第106房 弱肉
(2013年 21+22号)
レノマさんと田中一郎のタイマン勝負の翌日。
全力で勝負した田中一郎であったがレノマさんの心を動かすことは出来ていない様子。
リクとしてはなんとか2人は仲良くなって欲しいところであるが・・・
リク。俺らは誓い合った。お前は俺を信じた。俺もお前を信じた。脱獄には信用が絶対条件だ。
そのように言われてしまうとリクも強く出ることはできないですわな。
全く手のかかる相棒を持ったもんだって感じである。
あいつって、なんなんだろうな。
39歳の身でレノマさんのようなイカつい若者にケンカを売る田中一郎。
ふむ、確かになんなんだろうなと言われても仕方がないか。いきなりキラキラしだすしな!!
てなことを考えていたら、いきなり目の前にS棟のじいちゃんが登場。
なんなんだろうなとか言ってたら、この髪の毛はどうなっとるんじゃ?と触られた!!疑問を呈した結果がこれか!?
それはさておき、何で足を悪くしているじいちゃんがわざわざN棟に?
足を悪くしてるどころか記憶も悪くなってるみたいだしさ。年を取るってのは難儀なことですな。
どうやら田中一郎はタイマンの結果入院することとなったらしい。
大したケガが残っていないレノマさんに比べると結果は雲泥の差であるなぁ。
じいちゃんはレノマさんに武器を使ったのか?と問うが、もちろんこの戦いでは使用していない。
しかしじいちゃんは病棟に運び込まれる前に確かに見たという。胸に2つの新しい傷があるのを。
ああ、確かにありましたね。新しい傷。なるほど、その傷の話が語られる流れか。
じいちゃんは田中一郎の全身に刻まれた傷のことが気になり何度も尋ねたそうな。
どうでもいいがじいちゃん、田中一郎のことを先生って呼んでるんだな。何の先生?用心棒的なアレか?どーれとかいうヤツ。
というのはさておき、田中一郎が言うには情けない話なのであまり言いたくないものだったそうな。
この傷たちは実は戦闘中に受けたものではないのです。
最初の傷を指し、昔話を始める田中一郎。
革命家となって最初の激戦。警視総監鬼道院の率いる特機の食糧庫を襲った時のこと。
奇襲作戦は成功し、大量の食糧を分捕ることができた。
そしてその食料をスラムでも最貧地区のグランドスラムに届けたとき――
待て。本当にグランドスラムって言ったのか。
グランドスラム。それはレノマさんが育ったところである。
ふうむ、これは色々とスラム時代に影響を及ばされていた可能性がありますかな・・・?
革命党は特機にばれないように地下ルートを通じて食料を配給した。
当然の如く配給を受けた貧民地区の人たちは幸せそうな顔をしている。田中一郎も満足そうな顔だ。
その田中一郎に食事を分けてあげようとする子供が一人。
おじちゃん呼びされてしまうのはさておき、そういう気遣いができる子がいるというのは嬉しい話でありますな。
子供の名前は戸田竜也くん。あどけない笑顔の少年である。
その少年の笑顔にこれまで経験したことのない充足感に包まれる田中一郎。しかしそれは慢心であった・・・
後日、再びグランドスラムを訪れた時のこと。
そこにあるのは悲嘆にくれる人々の顔。
その中心にいるのは、ボロボロにされた少年――戸田竜也くんを抱いて泣きぬれる母親の姿。
どうやらよその地域からきた大人がこの子の食料を力ずくで奪った結果らしい。それは何ともはや・・・
スラムはしょせん弱肉強食。こんなことになるのなら配給なんていらなかった。
あんたは人は良さそうじゃが、よそ者だ。みんなに報復されんうちに去りなさい。
何とも切ない話である。
配給のような対処療法を行ったとしても狂った環境がある限り別の悲劇を呼び寄せてしまうこととなるのか・・・?
うーむ。だからといって田中一郎の行動が間違っていたとは思えないですがねぇ。
それはそれで立派な行為である。偽善的と言われるかもしれないが、それで救われた人も確かにいるでしょうしね。
しかしやはり根本を変えなければどうにもならない。その現実を突きつけられた革命家。
やはり革命というからにはもっと大きな部分を変えないといけないということか・・・
さて、ここから田中一郎の全身の傷の話になるわけですが、やはり自傷でしょうかね。
心に受けた傷を忘れないように自身の体に刻むようにしているとかそういう。
そうなると胸の新しい2つの傷は弟の奥さんと息子のためのものであると想像できますわな。
ふむ、歴戦の勇士である田中一郎。その体に敵から負わされた傷などひとつもないという話ですな!!
あ、一番目立つ顔の傷は鬼道院につけられたんだっけか・・・
ということは田中一郎は鬼道院の味方という衝撃の論理展開がなされることに・・・これだから大人は信用できねえんだ!!いやいや。
第107房 刻印
(2013年 23号)
単行本11巻発売記念巻頭カラー!!
11巻のリクは半裸で傷だらけでありました。
ならば見開きカラーで傷だらけの上半身を晒す田中一郎の姿が出てきても何も違和感はない。ないが・・・なんという肌色率・・・!!
というか、この切ない感じの表情がなんともいえませんわいな。何てノリノリな39歳だ。
それはさておき、本編。
弱肉強食のスラムの掟を知り茫然自失の革命家。
ただ純粋に飢えた人々を救いたかった。ただそれだけなのにこの結果は・・・辛い。
俺があの子を殺したっていうのか!!
ふらふらと街を彷徨い、教会にいきつく田中一郎。そして神に当たったりしてみる。お前は何をしている!!と。
まあ、そんな気分になってしまうのも仕方がありませんわな。
信仰が全く必要ないとは言わないが、自身の信じた道を失いかけている人間としてみれば当たりたくもなる。
だが八つ当たりしたところで解決するようなものではない。
田中一郎に出来たのはこの出来事を忘れないようにすることだけ。自分の腕を切りつけ、その痛みと共に刻み込むことだけであった。
気がつけば私は私の体を切っていました。消えてしまったひとつの命を忘れぬために。
革命戦ほど悲惨なものはありません。戦いは更なる困窮を生み、貧弱な武装のせいで仲間は死んでいく。
私にはただ救えなかった命を忘れない。それしかできないのです。
傷のひとつひとつを指して名前を挙げていく田中一郎。なんとも純粋な男であるなぁ。
闘いに身を投じていれば失われる命があるのは当然のことである。それらを忘れないように抱え込もうとするとは・・・
胸に新しくついた2つの傷はやはり弟の二郎の奥さんと息子さんのためのものである様子。
田中一郎のことを話すじいちゃんはその傷を見て何かあったのかと心配しているみたいですな。
極楽島に来てもなおあの人は闘っておるんじゃな。あの人は苦い過去から目を背けん。あの人は人の痛みを吸収しすぎてしまうんじゃ。
それはとてもつらいことじゃろうな。なかなかできることではない。わしはあの人が好きじゃあ。
空を仰ぎそう述べて去っていくじいちゃん。
レノマさんはその話を冷めた表情で聞いている。
いや・・・その両の拳は強く握られ、腕は何かを堪えるかのように伸びきっている。
顔こそはどうにか平静を保っているが・・・って感じですな。これはリクもすぐに気づく。
だがリクはあえてそのことには気づかぬフリをしてその場を立ち去る。
レノマは今いろんな話を聞いていっぺんに飲み込もうとしてるんだ。
俺なんかが出る幕じゃねぇ。がんばれレノマ。
うむ・・・よい関係でありますな。これが信頼しあえる仲ということか。
その夜。夜中でも眠れずに苦悩している様子のレノマさん。
思い返すの少年時代。殺しをしてグランドスラムを飛び出したレノマさん。
その後ダブルドラゴンクロスのボスとなったことで自身の貧困はある程度解消された。
しかしその場所を通ればやはり目につくグランドスラムの厳しい環境。
傷ついた子供が通りに倒れ、虫を喰らい、武器を手にしている。
あんな所に飯を差し入れてくれた大人がいたなんて・・・
そんな所だからよ。人の生き死になんて珍しくもねぇ。なのに・・・自分の失敗だと?その上それを忘れねえようにだと?
バカかよ。おっさん・・・テメェ・・・本・・・当に・・・バカかよ・・・そこまでして・・・
震えるレノマさんの背中を優しく月が照らしてくれている。
グランドスラムという場所の過酷さを誰よりも知っているレノマさんだからこそ田中一郎の行動も感じられるでしょうなぁ。重い。
翌日の昼。レノマさんは早速S棟に向かおうとしている。慌てて後を追うリク。
入院を終えたのか全身に手当の跡がある田中一郎のもとへとやってくる2人でありました。
ケンカはもうできねえぞと言う田中一郎にその傷のことをジジイから聞いたと述べるレノマさん。
ふむ、じいちゃんの名前は信造さんと言うのか。今後その名前で呼ばれる機会があるかどうかはわからないが・・・
ともかくレノマさんは田中一郎にこう告げる。
お前がやったことは間違いじゃない。
俺はグランドスラムで育った。死んだガキは確かに不幸だった。だが、お前のせいじゃない。
お前のせい・・・そんなはずがあってたまるか・・・
あの街のため、あの見放された街のために何かしてくれる大人がいた。その悲劇を忘れない大人がいた。俺はそれが嬉しい。
レノマさんも何だかんだで純粋なんですよね。
大人を嫌うのもその純粋さ故かもしれない。だから田中一郎の純粋な行為を容れることが出来ている。
常に見せかけや裏切りといったものを警戒しているだけに、逆にこういう打算じゃない行動には打たれやすい人なのかもしれないですな。
田中一郎が子供のような純粋さを持ち続けているという部分も大きいか。そういう大人・・・嫌いじゃないぜ!!キラキラできるし。
というのはさておき、レノマさんは田中一郎にこう告げる。
それでも俺はやっぱり大人が嫌いだ。
だが、お前はお前だ。組もう。
実にレノマさんらしい言葉である。
大人嫌いは簡単には治らないけど、個人としては認められる奴もいると思ってくれたわけですな。
よい話だ。リクも思わず涙が零れてくるってものである。おおおー。
かくして歴戦の脱獄王の参戦が決定したのでありました。
うーむ、紆余曲折を経た感じはありましたが、信頼を得るという意味では重要な話だったわけですわな。
脱獄という困難に挑むのに最も重要なのは信頼であるとレノマさんも言っている。
その信頼という絆を得た田中一郎。これはかなり期待が持てますな!!
さてさて、次回からは脱獄王が述べた本物の脱獄の話になりそうでありますが・・・どのような案が飛び出しますのか。
これまでの危うい感じから一気に安心ができそうな流れとはなりそうですが・・・
それでもこの極楽島特級刑務所の怖さはまだ明らかにされきっていない感じがありますからねぇ。
果たして無事に突破できるものか・・・見守っていきたいところです。
第108房 血盟
(2013年 24号)
頼もしき脱獄王、田中一郎の参戦。
というわけで、現状の脱獄の進み具合を報告するためにS棟の人気のない場所に集まる3人。
なるほど。お前たちの進み具合はよくわかった。
しかし、炊場とトンネル作戦の話は危なっかしくて聞いてられんぞ。
・・・だが、見取り図と非常階段はよくやった。雑さは否めんがな。
苦言を呈しながら、続いて褒めたりもする。これが大人のアメとムチなのか。さすが組織の長なだけある。
さりげなくレノマさんも下の名前で呼び捨ててみて、そう呼ぶのを認めさせたりするしなぁ。大したものだ・・・
そういえば結局レノマさんは手錠を外すことができるようになったのだろうか。
本人はとっくにできるようになってると言っているが・・・
まあ、努力家なのは間違いないし、必要なことだからやれるようになってそうな気はする。
が、同時に負けず嫌いなので出来てなくても出来てると言い出しそうな気はしないでもない。ど、どっちだ・・・?
それはさておき、この先の脱獄方法を1から検討しないといけない。
その為には田中一郎に見取り図を見てもらう必要がある。しかしさすがにS棟まで見取り図を持ち込むわけには行かない。
というわけで、例の写真撮影機能がある携帯電話を用いる。
これを使って見取り図をくまなく撮影するわけだ。うーむ、やはり便利だな携帯電話。充電パックもついてるのか。
その前によ、聞かせろよ。4度成功させてる脱獄のことをよ。
おっと、そっちの話になりましたか。まあ、確かに脱獄王の言う本物の脱獄というものには興味をそそられますわな。
田中一郎が初めて投獄されたのはスラム内の西骸町にある刑務所である。
ってスラムの中にも刑務所あるのか?スラムの住民は皆極楽島に送られるものかと思ったのだが。
書面上の俺の身元がスラムの外にあったからだ。たったそれだけのことなんだよ。しょせん腐った社会のシステムだ。
なるほどね。田中一郎が今まで極楽島に送られていなかったのはそういう理由でありましたか。
でもやはりスラムに刑務所がある理由はよくわからないな。外の住民がスラム内の刑務所に送られたりしてるのか?
収容人数が500名ほどの小さい刑務所とはいえなぁ・・・
まあ、そんなぐらいの規模のところだから、最初の脱獄は簡単に行えたらしい。
その刑務所の所長の息子が新卒配属されたのを機に脱獄を決意する田中一郎。
昼間の工場でケンカをし、独居屏禁をくらうや、スキを見て武器を作り出す。
畳のい草をこっそりむしり、そこに封筒作りで使うノリを何層も塗り重ね固めたものだ。
あとはその新人看守が巡回のタイミングで腹痛のフリをして房内に呼び込み即刻人質に取る。
相手は所長の息子だし、他の看守は強引な手段には及ばない。そのまま白昼堂々逃亡に成功したとのこと。うへー。シンプル。
2回目はヘリを用いて空からの脱出。
田中一郎も組織の長であるから外への連絡手段は持っている。
手配してヘリを寄越してもらうようにしたらしい。
突然舞い降りたヘリにパニック状態の刑務所。その騒動に紛れて看守から制服を奪う田中一郎。
射殺される危険もなくヘリに取り付き、離陸に成功する。
看守が気付いて大慌てした頃には時すでに遅し。あっという間に塀の外へ出ることに成功したという。うーむ、大胆な作戦ですな。
ただそれ以来他の刑務所でも空への警戒がキツくなって困ったがな。
そりゃあそうだ。例を示してしまったようなものですものなぁ。
極楽島に対空ミサイルが完備された原因でもあったりして。それを考えると二郎の死因にも繋がるのでアレですが。
3回目。今度はシャバの仲間が送り込んだ偽の移送命令書が肝となる。
事前に看守を買収し入手した法務省の規定通りの書面。疑われることもなく移送の手続きは行われる。
急な要請であるが、田中一郎は2度も脱獄した男だし、逆に特例としての移送措置と思われないこともない。
怪しいと見るか、警戒した結果の移送措置と見るか。この判断は刑務所側も難しいでしょうなぁ。
でも、移送中に襲われることぐらいは警戒すべきでしたな。落とし穴があるとは確かに想像しなかったけど。
ともかく、外の仲間の助けを受けて移送中に脱獄に成功したのでありました。
だが問題の4回目。その外の仲間も手が出せない所に収監される。
スラムの外の極寒の刑務所。さらにはムショ内で新たな仲間を作ることも不可能な独居房に入れられる田中一郎。
しかも前例があるためにどんな挑発にも看守は徹底して房内には入ってこないという。
リク「そんな所からどうやって・・・」
田中「リク。その考え方は違う。そんな所だからこそ俺は勝機を見出せたのだ」
看守が房に入ってこないということは、つまり脱獄の準備による房内の変化に気づかれにくいということだ。
少しずつ。少しずつ。例えば手錠の鍵を開けるための釘。巡回の合間を見て少しずつ引き抜くことができる。
脱出口となる窓の鉄格子も、みそ汁1日1回。そして胃液を1日20回鉄格子にたらし腐食させる。
揺らし軋ませ続けた。何日も何日も少しずつ。少しずつ。
釘にも手こずった。鍵とするには太すぎて細く削らねばならなかった。
壁や洗面台で音を出さずにこすり削るのは時間がかかり、とにかく根気のいる作業だった。
と同時に、布団の中綿をむしり・・・紡ぎ・・・脱出用のロープを編んだ。
さらに、体型をしぼりつつ体力をつけ、体中の関節の外し方を探り、訓練を繰り返した。
そうして月日は流れ1年3か月。ついに決行の日が訪れた。
腐食させた鉄格子は折れて外れている。後はこの隙間からはい出るだけとなった!!
うーむ。独居房に踏み込まれないからこその状況でありますな。
みそ汁で鉄格子を腐食させるというのは有名な話でありますが、胃液まで用いますか。まあ、少しでも早くはしたいですわな。
しかし、音を出さないようにする作業は本当に根気がいる。気が滅入りそうなのが簡単に想像できる。
よくもまあ、1年以上も続けたものであるよ・・・
そして、いよいよ脱獄を決行する日。その日は猛吹雪の夜だった。
外から漏れる看守の声。それは吹雪で除雪が追いつかず、積もった雪が壁を越えてしまうというものであった。
なるほど。これは有力な情報だ。それを聞きつけた田中一郎は用意していた釘で鍵を外し、脱獄を開始。
肩の関節を外して、壊した鉄格子の隙間をはい出る。腕とか擦り傷だらけになって凄く痛いことになりそうだな・・・
そして事前に作成したロープを伝って外に出る。壁の問題は雪のおかげでクリアできた。足跡も吹雪では残らない。なるほどなぁ。
しかし、この猛吹雪の中で上半身裸。下手すれば凍死していた状況。
まあ、これまでも外と寒さはそこまで大差ない房内にいたのだし、抵抗力はついていますかなぁ。
それだとしても死ぬ前に脱獄に成功できたのは運がよかったと言える。そう、脱獄には運も必要不可欠なのである。
あらゆるものを利用し感覚を研ぎ澄まし運を引き寄せる。それが脱獄だ。
単に運がいいだけではない。それを自らの力で引き寄せるのが重要なのだと田中一郎は語る。
なるほどなぁ。やはり根気こそが脱獄に一番必要な要因であるということか。
こうして4度の脱獄を果たし、脱獄王と呼ばれることとなった田中一郎。
しかしこの極楽島はその4度の脱獄が参考にならないほどの鉄壁っぷりを誇っている。
確かに人質作戦も空からの脱出も難しそうですわなぁ。移送の部分はある程度参考になりそうだが・・・?
ともかく、話を聞き終えたリク。あれをやろうとレノマさんに提案する。
あれというのは脱獄を行うと2人で誓った日の儀式。
腕に傷をつけ血をすする、血の盃を交わす行為。それを3人でやろうというのだ。
ひとつ言わせてくれ。タイマンの時、言い忘れていたことがある。
脱獄には希望がいる。大人はムダに賢くなり臆病になる。お前たち若者の勇気、それこそが俺の希望だ。
なあリク。レノマ。
よい言葉でありますね。レノマさんもリクと盃を交わした時は似たようなことを言ってましたな。
仲間がいることの有難さの最たるものかもしれませんね。仲間がいるからこそ諦めずにやり遂げることができる・・・!!
敵は極楽島。俺たちは今日からブラザーだ。
血の盃を交わした3人の兄弟がここに誕生した。
ここから心機一転、破獄へ向けての作戦が開始されることとなるようだが、はてさてどのような展開となるか。
まずはトンネル作戦で失敗した壁越えについてですな。
田中一郎は何かいい案を思いついてくれるのだろうか。
さすがにこの地で壁を越える積雪に期待はできないだろうが・・・
雪の代わりに何か別のものを敷き詰めたらどうだろうか。
看守を万単位でぶちのめせば壁を登る階段もできるのではなかろうか。まさに屍山血河だ!!
それだけ倒せるなら正面から突破しろよって話ですな。ハイ。
第109房 高揚
(2013年 25号)
脱獄王が本格参戦したことで脱獄計画も加速が期待される。
そのためにまずは見取り図を田中一郎に見せないといけない。
というわけで、携帯で一通り見取り図の撮影をするレノマさん。
くそ!一体何枚撮りゃあ終わるんだ!
まあ、そうなりますわな。この小さい携帯では全面移すのは無理でしょうし、見取り図1枚に対して複数枚撮らないと。
でも脱獄に必要なのは根気である。まずはこういうところから養っていきませんとね。
一応見取り図は全部取れたが、このちっこい画面では全体図が掴みにくい。果たして理解できるのだろうか?
リク「失礼なこと言うなよ。いくらなんでもおっちゃんまだ老眼じゃないよ」
レノマ「誰もそこまで言ってねえよ。単に画面が小さいっつってるだけだ」
おっとこれはかえってリクの方が失礼だったという話ですね。なので慌てて話題を変える。
やはり気になるのは先日の田中一郎の脱獄の話。
脱獄するのは改めて大変なことなんだと気付かされる。
レノマは・・・見えてる?この塀の外に立つ自分の姿をさ。
田中一郎が脱獄を行った時、一体何を思っていたのか。それに想いを馳せるリク。
しかしレノマさんはこう答える。なにも考えてねえだろ、と。
あいつぁおっさんだし学もある。けど、生き方にしろ脱獄への執念にせよ・・・あいつぁ、変わり者だ。
まあ、変わり者でなければ安寧な暮らしを捨てて自らを追い込み、革命家の道になんて進みませんわな。
並の考え方では脱獄には至らない。正気にて大業はならずってことでありますかね。
それでいて狂気だけでいいわけでもない。重要なのは信念と希望を持ち続けること。
田中一郎自身も仲間の存在は希望となってくれると言っている。そしてリクもこう述べる。
よかったね。おっちゃんと仲間になれて。行き詰まってた俺たちに希望を与えてくれた。
まったく、よいタイミングでしたよね。
トンネル作戦が失敗した時は2人ともかなり絶望的な様子になってましたし、希望の糸が繋がったのはやはり大きい。
さて、携帯はリク1人でS棟に渡しに行くこととなる。
レノマさんは何やら用事があるとのこと。
まあ、用があるといいながらその足で野球をしにいくわけなんですけどね。
でも久しぶりのボスの参戦に嬉しそうな様子を見せる天野達。
いや、むしろレノマさんが何かから解放されたような、ほっとしたような顔をしているのが嬉しい様子。ほほう。
レノマさんの打球は運動場を大きく飛び・・・史郎さんの顔面を直撃する。誰じゃボケぇ!!
史郎さんにかかれば野球のボールもピンポン球みたいな大きさに見える。まあ、当たった部分は凹んでるわけですがね。
解放感に満ち溢れているレノマさんは絶好の暴れ先が見つかったぜとばかりの笑顔。いい顔してんなー。
一方のS棟。リクが田中一郎に携帯を無事に渡し終えたところ。
さすがに極楽島はこれまでとは別格の重厚さである。計画を練るのに少し時間が必要となる。
果たしてどのような抜け道を見つけ出してくれるのか。楽しみでありますな。
田中一郎はリクの手をよく見る。
リクの手は13歳の少年のものとは思えないほどに荒れ果てている。
スラムと刑務所の苦難にもまれて、爪もこんなにささくれて、掌の皮も傷ついて・・・
殴ってやれ。痛みの染みこんだこの手で、鬼道院を必ず殴ってやれ。
そう、それこそが望み。本来、脱獄はその鬼道院をぶちのめすという目的の過程にすぎないのである。
しかし脱獄を誓った当時のリクとは違い、今のリクは現実が見え始めてきている。
田中一郎が仲間になって脱獄に現実味が増したこともあり、その先の鬼道院をブン殴るということが現実的に可能か考えてしまう。
まあ、普通に考えたら脱獄班が警視総監を殴るなんて無理がある話ですわなぁ。手の届かない相手ですよ。
だからひきずり降ろせばいい。俺の組織が鬼道院の暗部を暴き、失脚に追い込む。
一般人に堕ちた鬼道院なら手が届く。その時こそ渾身の一撃を見舞ってやれ。その小さな手で。
なるほどね。ある意味それは亡くなったおじさんの意志を継ぐことでもある。
鬼道院の悪事を告発しようとして殺されたおじさん。
その意志を継ぎ、鬼道院を一般人にまで堕としてからブン殴る。うむ、脱獄後の展望も見えてきたんじゃないかな。
本当、田中一郎は色んな希望を与えてくれますね。有難い。
リクが去った後のS棟。田中一郎は脱獄に向けての第1歩を切り出す。
それはN棟に移籍するための仕込み。
な、何!?N棟に移籍なんてできるのか!?
てっきり年齢でNとSに区別されていると思ったのだが・・・それとも特例か何かあったりするのか?
心は少年なのでN棟にいるのが妥当なはずだと主張するとか?うむ、この手ならレノマさんもずっとN棟に居られるな!!
というのはさておき、田中一郎が話しかけるのは柳原看守部長。なんか濃い顔した看守である。
どうやら柳原看守部長の娘さんが離婚することとなったらしい。
なので元弁護士である自分が養育費やその他法律上のトラブルがあればいつでも相談に乗ると言い出す。もちろんただで・・・
ふうむ。これは看守を丸め込む作業なのであろうか。
仕込みとは言っているが、ここからどうやって移籍の話に持っていくのか。興味は尽きませんな。
さて、N棟に戻ったリク。
田中一郎に希望を与えられてなんだかいてもたってもいられなくなった様子。思わず駆け出す。
が、その駆け出した先の運動場では一足先にレノマさんが暴れていた。
そう。レノマさんもはしゃぎたかったんですな・・・
楽しそうな顔して史郎さんと殴り合っておりますわ。
看守が複数人出てきても収まらないこの戦い。
毎度毎度のことなんだし、看守も終わり際まで静観してたらいいんじゃないですかね?谷村看守部長ならきっとそうする。
というか、勝手にリクにぶつかって気を付けろと殴りつけるくらいなら静観していてくれって話だ。
まあ、それら怒りの全ては鬼道院にぶつけるってことでありますわな。
頼れる大人に運命を預け、今はただ騒ぎたい2人。
脱獄のことで頭を悩ます負担が相当軽減されたわけだし、嬉しいでしょうな。
特にレノマさんは詳細な作戦などはほぼ自分一人で練らなければいけなかったわけで、負担は大きかったと思える。
解放感から暴れてしまってもやむを得ないと言ったところでありましょうさ。
これで天野達もボスが一緒に遊んでくれる時間が増えて嬉しいてな話になるのではないかと・・・!!
まあ、田中一郎の計画の進み方によりそうですけどね。
第110房 大空
(2013年 26号)
脱獄計画の仕込みのためにS棟の柳原看守部長に接近する田中一郎。
弁護士としての経歴を生かしてタダで法律相談をしようというのだ。
うーむ、看守部長であっても弁護士を雇うお金に困るぐらいなのだろうか。まあ、節約できるものならしたいとは思うか。
ともあれ、囚人がいきなりこんなことを言いだしたのなら裏があると疑ってかかるべきである。
柳原看守部長も何か企みがあるのだろう?と疑い満点。なので――
もちろんです。
あっさりと肯定する田中一郎。これには柳原看守部長も驚きの表情。
なるほどね。疑わしさを消すためにそれっぽい理由をまずはでっちあげる所から入るわけですか。
田中一郎は甘シャリを恵んでいただけないものかと言い出す。
酒もダメ煙草もダメ。飯は味付けが薄いものばかりの監獄ではお菓子などの甘いものは貴重ですわな。言い訳にはしやすい。
というわけで、うまく相談役という仕事にありついた田中一郎。
しばらくはちゃんと相談に乗って信頼を得るという下積みですかね。
ここからどうやってN棟に移籍させてもらうこととするのか。お手並み拝見ですな。
しかし弁護士ってのは普通に民法第何条がどういうものかとか暗記していたりするものなのか・・・!?
1か月後。
脱獄計画を立てようとする田中一郎だがさすがに頭を悩ませている。
トンネル、壁越え、炊場、ヘリ、移送、人質。
これまでの経験も踏まえて作戦を考えるがどれも難しい。
ヘリは既に撃墜されているし移送命令書の偽装も極楽島は法務省の管轄ではないためそもそも発令されない。
それにこの冷酷非情な極楽島に人質作戦が有効とも思えない。
ん?いやでもかなり立場のある人が人質だったらどうだろうか?所長とか。警視総監とか。
鬼道院を人質に取ることができれば脱獄もできるし恨みも晴らせる一石二鳥だ!!困難なことこの上なかろうが。
そんな夢みたいなことはさておき、何かもっと実現可能な方法があるはずだと考え込む田中一郎。見取り図をよく見て考える。
N棟の囚人の居住区は80階以上の高層階。窓からの逃走は不可能。となると自ずと選択肢は限られてくる。その答えはどこに・・・
そうか、これだ!!
きっとどこかに道はあるはず。答えはあるはず。
そう信じ続けた結果、何かを見出した様子の田中一郎。さすがでありますな。
一方のリクたちは田中一郎を信じて待ち続けているこの1か月。
任せると決めたからには余計な口を挟んでも仕方ないって話ですからね。遊んでいるより他にない。さすがにハシャイではいないが。
あのレノマさんも俺らの幼稚な知恵は足手まといにしかならねェと述べたりしている。
うむ。やはり頭脳労働はレノマさんの性に合わないか。
しかしここでようやく長かった待機の時間も終わりを告げようとしている。
フェンスの向こうで手招きしている田中一郎の姿を見つけて喜び立ち上がるリク。
それよりも早く歩き出しているレノマさん。どれだけ待ち望んでいたのかよくわかりますね。その後の言葉もこれですし。
見えたのかよ。俺たちの脱獄が。
何だかカッコイイセリフである。俺たちの脱獄!!
なんとなく田中一郎も好みそうな言い回しだ。しかしやはりそういうことを言わせるならこの男の方が上である。
ああ。見えたぞ。
いいか、俺たちの野望を叶えるその方法。俺たちは、鳥になる。
空を飛ぶ鳥を右手で指さし、そして左手は広げて指先が当たるように腹に添える。
言葉とポーズの合わせ技でキラキラしてみせる田中一郎さんじゅうきゅうさい。
なんでこの人はこうイチイチポーズを決めないと気が済まないのだろうか?
いや、これは田中一郎の人心掌握術の一つなのかもしれない。
理想はあれども革命組織の長なんて簡単にはなれない。きっと毎回キラキラして隊員を募ったのであろう。これがカリスマ・・・!!
見てみろ。この極楽島の威容を。とてつもなくデカい。
それゆえに他の刑務所にはない弱点が生じた。高さだ。
巨大建造物が誇る高さ。それこそが盲点なのだ。
そのように語る田中一郎。
なるほど、高所から角度をつけて飛べば少しの距離を飛ぶだけで塀の外に出ることができますな。
壁が高く困難ならばそれよりも高い建物を利用すればいいという発想か。
でもどうやって?さすがに80階の高さから幅跳びするわけにはいかんでしょう。羽根があるわけではいのだし。
いや、ないなら作ればいいのか。そう、田中一郎の作戦とはハンググライダーを作ることである。
見取り図を飽きるほど見ているうちに発見した。
地上85階、お前たちの324房の5階下。80階には備品倉庫がある。そこに夜間忍び込み・・・自由への翼を拵える。
そしてリク。その翼で飛ぶのはお前だ。お前はロープを背負い飛び立つ。
サーチライトの林の中をかいくぐり、塀の外で待つ神木たつと合流し、一直線にのびたロープを伝い俺たちも後を追う。
ロープが相当な重さになるからな。飛ぶのは体重が軽いお前じゃないとダメなんだ。
ほほう・・・なかなか面白い考えでありますな。確かに超えることは出来そうだ。
サーチライトの林をどうかいくぐるのかはわかりませんが。
しかし、それ以外にも問題だらけだと指摘するレノマさん。どこの絵空事だよと。
そもそもどうやって備品室に忍び込む。忍び込めたとして看守の巡回は?その時324房は1人欠けてんだぞ。他にも・・・
問題を指折り数えるレノマさん。しかしその指を抑え田中一郎は述べる。
すべて突破した。今から教えてやる。
脱獄王の笑み。さすがにレノマさんが考える作戦の穴ぐらいは田中一郎も考えつくって話でありますか。
備品室に忍び込んでグライダーを拵える。そもそもそれが出来る技術は3人にあるのだろうか?
誰がやるかという問題もあるが、おそらくはN棟に移った田中一郎がやるのではないかと思える。
次回はその辺りも含めての説明となるのだろうが・・・うーむ、楽しみなこととなってきましたな。脱獄の日が一気に近づいた!!
しかし外での仲間は神木さんたちに頼ることとなるんですな。
まあ既に島に入り込んでいるわけだし、革命党の連中を使うこともないか。
危惧しているのは革命党の中のスパイにより田中一郎の脱獄計画が漏れることであるが・・・
その辺りでまたドキドキさせられそうな気がしますな。
これまでは脱獄した田中一郎を再度捕まえることで点数稼ぎをしていた鬼道院。
しかし警視総監まで登りつめた以上もうそういう手段は必要としていないはず。
また極楽島特級刑務所から脱獄者が出るというのは面子に関わることである。許すはずもないと推測される。
人質とって脅したりもしてるし、田中一郎の脱獄は見過ごしはしないだろうが・・・関わって来るのかどうか。気になる所です。
第111房 作戦
(2013年 27号)
脱獄までの工程をすべて突破したと述べる田中一郎。さすがは脱獄王でありますな。頼もしい。だが――
最初に言っておく。この方法ではお前たちの房の仲間の協力が必要不可欠だ。
房の仲間にバレずに作業を進めることはできない。
おっとそう来ましたか。
ついに天野たちにも脱獄の意志を伝える段階に来たという事か。
だがリクは巻き込みたくはないと吠える。脱獄を話した時点で見て見ぬふりをしてもらっても連帯責任を負わせることになる。
だからあいつらは知っちゃいけないんだ!!とのことであるが、本当にそうだろうか?
正直脱獄に成功した後は自動的に同房の連中は連帯責任を負わせられることになると思う。
本当に脱獄計画を聞いていないにしてもそんなことは看守側には分からないし、疑わしきは罰せられる流れは濃厚。
であるならば、知っておいてもらって覚悟を決めてもらうのも悪くはないのではなかろうか。難しい話だが。
とりあえず脱獄計画の内容を全部聞いてからでも遅くはない。
巻き込むかどうか考えるのはそれからということになる。
というわけで流れを説明しだす田中一郎。
まずは備品室に入り込む方法。ここに毎夜通いハンググライダーを制作することとなる。
その潜入に必要なのは金切ノコギリ。工場などで用意することとする。
しかし木工場の工具は数を管理されている。持ち出すのは難しい。
そう反論すると、だったら作れとの回答。工場にあるいらない鋼をグラインダーで削ればそれでいいそうな。なるほどね。
で・・・完成したらケツの穴にでも隠して舎房に持ち帰れ。
ノコギリをそんなところに・・・!!
想像するとえらいことになりそうですな。いや、さすがにむきだしのまま入れたりはしないだろうが。
しかし工場の入退出時にはカンカン踊りで全身くまなく調べられるんじゃなかったっけ?
まあ、刑務所も毎日やってると流れ作業になるだろうしそこまで詳しくは調べられないか。
ノミを持ち出してるレノマさんの例もあるしなぁ。
そしてレノマさんたち324房から5階下の備品室に向かうルート。それは窓からとなる。
ほう。窓から。って324房は地上85階ですぞ。そこから外に出ろと言うのか?バカなことを!!
まさにそれが看守の感覚。そこに付け入るスキがある。
その「まさか」に付け込むことだけが、俺たちがこの巨大刑務所に対抗しうる術だ!
まあ確かに。巨大であるだけにひと一人が窓の外に張り付いていたとしても気付かれる可能性は少ないわけですからねぇ。
この高さで窓から外に出る訳がない。確かに盲点となる部分である。ふうむ・・・
まず鉄格子の窓から外に出るには鉄格子を5本ほど切断しないといけない。
関節を外さずに通るには少なくともそれくらいは切らないといけないわけですな。
そこから真下の備品室まで壁づたいに降りる。その際に使う命綱は服やシーツを繋ぐなど有り物でなんとかする。
そしてここからが過酷だ。備品室の窓にとりつき鉄格子の切断だ。
落下と発覚・・・その恐怖と闘いながらの作業は想像を絶するものとなるだろう。
だが・・・それを乗り越えれば・・・宝の山とのご対面だ。
なんともはや恐ろしい話である。高所恐怖症であろうがなかろうが関係ない原初の恐怖を抱く高さ。
そこでの作業とか・・・いやまあ、高層ビルの清掃員みたいな人もいるし、やろうと思えばできなくはないのか。
ここでレノマさんの質問。15分ごとの看守の巡回はどう躱すのか。
その答えは人形を作ること。房内に看守が入ってくるわけではない。傍目にちゃんと寝ているように見えれば問題はないわけだ。
ふむ。いくらなんでもじっと注視してるわけでもないだろうし、寝返りとか打たなくても問題はないわな。
備品室には巡回は来ないし朝まで作業に没頭できる。ふむ。
しかし備品室の備品の数は管理されているのではないか?使って減ったらバレることになるぞ?
大丈夫だ。工場で使用する備品や材料は凶器に利用できる物品が多く従って数の管理も厳しいが、
この上層階の備品室にあるものは主に日用品。管理はゆるい。無くなりかけたらそのつど発注をするだけらしい。
なるほどねぇ。看守との日常会話でこういった情報を引き出したらしいが、どうやって聞いたのだろうか・・・
まあともかく、これでハンググライダーの製作まではうまく行くと思われる。
作ったグライダーはどこに隠しておくんだ?という疑問はあるが・・・まあ、備品室には隠せるところはいっぱいあるか。
そして決行の時だが、当日は少しでも発覚を遅らせるためにボヤ騒ぎか停電を起こしパニック状況を創出する。
そのさなかハンググライダーは離陸する。黒く塗った機体はサーチライトを躱し・・・やがて闇夜にとけていく。
ふむ。しかしリクがぶっつけ本番で飛ぶことができるのかね?
いやまあ飛べるか飛べないかは気にしている場合ではないか。飛ばねばならないわけでありますし。
グライダーの操縦自体は簡単だしやる気があるなら俺が仕込むと田中一郎。
ここは島で海風があるしその上昇気流を捕まえれば兵の外へなどひとっ飛びだとのこと。
これが・・・ひとまずの俺たちの脱獄のグランドデザインだ。どうだ。
問いかける田中一郎にレノマさん。空を仰ぎ・・・いいんじゃねえかと返す。
ふむ、この場であげれそうな疑問は出尽くしたという感じですかね。
どうでもいいがこの返しをした時のレノマさんがやけにキレイな顔になっている。
なんというか輪郭がつるつるしているというか卵みたいというか、なんだかハッとさせられてしまう。不思議と。
大まかな流れは出来たが、決行の時までには色々とトラブルが発生すると思われる。それはそのつど解決していこうとのこと。
島から本土への逃走方法の案はまだ決まっていない。そちらもおいおい練っていくこととなるそうな。ふーむ。
まあ、ダブルドラゴンクロスの面々が島まで来てるぐらいだし、出入りするルートはありそうなものですけどね。
さて、計画は聞いた。上手く行きそうな話であることも分かった。
そうなるとリクが気にするのはやはり仲間を巻き込むことである。どうしても巻き込みたくはないという気持ちはわかるが・・・
リクの手を取り田中一郎は語る。
俺もギリギリなんだ。
探し・・・練り上げ・・・構築し・・・削り・・・削り・・・削りに削って・・・やっとこの作戦なんだ。
だが強要はしない。これはお前とレノマが324房を説き伏せる前提の作戦だ。誰かのチンコロ1発で瓦解する。
俺の話はここまでだ。あとはゆっくりレノマと話し合って決めろ。
そう言って去っていく田中一郎。ふむ、まずはリクを納得させられるかどうかという流れでありますな。
脱獄という行為を実現するには少なからず犠牲も必要になるとは思っていた。
しかし実際連帯責任を負わされた場合、どのぐらいの罪が降りかかることとなるのかはわからない。
ひょっとしたら刑期が数十年延びるようなことも・・・この極楽島特級刑務所ならあってもおかしくはない。
ならばいっそ全員一緒に脱獄するか?皆でブラザーになれば怖くはないって話だ!!
324房の奴らは皆いい奴だし密告の心配はない。となれば残っての処罰ではなく皆でという方向もありかもしれない。
しかし事前発覚した場合に芋ヅルになる可能性はありますけどね。
リクとレノマさんだから頑張って拷問にも耐えれたけど他の連中が耐えれるかはわからない。ノギとか。
そう考えると脱獄は考えているけど詳しいことは話さないでおくのが無難か・・・首謀者の名前出るだけでダメか。
でも324房の面々が仲間になると色々と心強そうな気はするんですよね。
小柄で技術のある菅くんなら窓から出ての鉄格子切断作業も向いてそうだし。
それぞれの活躍場面とか見てみたいという思いはあります。ノギとかの活躍する姿は想像し辛いがな!!
だからこそ見てみたいと思う部分はある。
第112房 険悪
(2013年 28号)
田中一郎の提案した脱獄案には324房の仲間の協力が不可欠。
しかし同房の皆を巻き込みたくないリク。
思わず走り出して目の前の壁に激突するぐらいに混乱しています。
迷惑かけたくないから・・・!!・・・なんて俺はまだまだ甘いのか。
あのおっちゃんでさえギリギリだって・・・脱獄は厳しいものなんだ。
生半可な気持ちじゃ・・・ダメなんだ!!心を鬼にして・・・みんなに・・・
果たしてそれができるリクでありますかね?
レノマさんも疑わしそうにしている。
というか、容易くそういう決断ができるようにはなって欲しくないと思っているように見えるレノマさん。
レノマさんにしてみればリクは精神的な希望であるしなぁ。簡単に仲間を危険に巻き込むような人間にはなって欲しくはなかろう。
というわけでもう少し考えさせてもらうということになりました。
さて、食事の時間。
皆で和気藹々と食事をしている中、思い悩むリク。
こんないい奴らを巻き込めるわけがない。
時間をかけてでもやっぱり何か別の作戦をと考える。しかし――
オイ。脱獄だ。
俺とリクはここから脱獄する。
思い悩むリクを尻目にいきなり宣言をしてしまうレノマさん。うわぁ。
さらにそれをリクが勝手に喋るなと怒ることで後押ししてしまう。うわぁ。
これでただの冗談だという話ではなくなってしまいました。一同の顔も一気に緊張したものとなる。
一刻も早くやる。決定事項だ。だから、腹を割って話したい。
俺たちの計画では、脱獄の出発点はこの房からだ。つまりお前らの協力なくして成立しない。
ただお前らも知っての通り、囚人の違反行為を知りつつ看守に報告しなかった場合、そいつにも連帯責任が科せられる。
そしてお前らは俺たちの脱獄の意志を知ってしまった。
仲間になるか、見て見ぬフリするか、チンコロするか。
ただし見て見ぬフリの場合、脱獄が成功した暁には報告義務を怠ったとして残されたお前らに罪が及ぶ。
だがお前たちの刑期は短い。無謀な脱獄につき合う義理はねぇ。かといってチンコロされても困る。
そこでだ。転房してくれ。
谷村を押さえ込めばなんとか取り計らってくれるだろう。房さえ移ればお前らに罪は及ばねぇ。
なるほど。そういう手がありましたか。
さすがに木工場単位で連帯責任ってことはなく、及ぶのは同房くらいであるわけですな。
ならば転房させれば巻き込まなくても済むようになると。ふむう。
しかし谷村看守部長を巻き込むにしても、リクとレノマさんのふたりっきりになんてなれるのだろうか?
他の面子と入れ替えという形にしかならないような気がするのだが・・・?
突然のレノマさんの話に沈黙する一同。そんな中、リクに向けてうそだろと話しかける天野。
しかしリクの答えは謝罪。ようするに肯定しているということである。
ふざけんなぁ!!
怒りをぶつける天野。当然その気持ちはレノマさんへも向けられる。
事前になんら相談もなくいきなりこんなデケェ話を口にし、あげく出て行けとか言い出されたのではなぁ。
ボスらしく先々の展望をあらかじめ考えておいてから口にするのは頼もしい。
が、一つ間違えばそれは相手の行動を勝手に決めてしまう自分勝手さにも見えてしまう。
レノマさんとしては罪が及ばないように考えた末の結果であるが、言われた方としてみれば微妙な気持ちになるのもやむなしか。
いつも、昼休み・・・2人っきりでその計画の話してたんすか。
場合によっちゃあ死ぬかもしれねえリスクを俺たちが背負う。そんな話を・・・勝手に・・・
なめんなよ。俺たちは・・・あんたのオモチャじゃねえんだよ。最低だよ。
唇を噛みしめて述べる天野。
うーむ、まさしくタイトル通りに険悪な雰囲気!!これはよろしくない!!
連帯責任制度は色々と面倒くさいことになっていけませんなぁ。
まあ監獄側としてはそれこそが狙いなんだから思惑通りといったところなんでしょうけどね。
どうやって天野たちを納得させるのか。そんな手段が果たしてあるのか?
冷静になればとにかく巻き込みたくなくて隠していたというのは分かってくれそうなものであるが・・・
何とも厳しいところですな。リクとレノマさんの人間力に期待するしかない。
囚人リク 14巻
第113房 分裂
(2013年 29号)
脱獄を打ち明けて険悪な空気となった324房。その翌朝。
起床の声を受けて目覚めるリク。そこにはレノマの姿しかなく・・・あいつらはさっき転房したとのこと。何!?
いや、もちろん夢なんですけどね。
実際は険悪で重い空気のままの324房。
眠ると色々と冷静になれる部分はあるが、さすがにスッキリとはいかないですわな。
というわけで、最初からみんなに相談してればよかったのかなと悩むリク。
結局黙って計画を進めていた時点でみんなにはひどいことしてたんだ・・・と。
しかしまあ、何十年もの刑期を持つ2人に比べれば他の面々の刑期は短い様子ですしね。
わざわざ相談して危ない橋を渡るために悩ませるのもどうかとは思う。
ふり返るな。俺たちはもう走り出したんだ。
さすがに真っ先に口火を切っただけに、レノマさんの腹は据わっているようですな。
一方打ち明け話をされた天野たち5人は悩みまくっている様子。
誰にも聞かれないように建物の間に集まり、暗い顔をしている。
しかしノギは気持ちが落ち着かなくなると身体をかきだす癖があるのかね。臭そうな感じだ。
重い空気。天野が口を開けば皆が一斉にそちらに注目するぐらいに重い。
そんな中、話を勧めるのは菅くん。
チンコロ・・・すんのか?俺たち囚人の義務だ。
俺は・・・しない・・・つもりだ。
ボスの脱獄する理由は知らんが、あの2人を貶める気にはならない。
でも・・・進んで協力する勇気もない。ましてや一緒に脱獄なんて・・・
その発言に同意する須藤くん。さすがに一緒に脱獄するのは・・・という意見。
そしてノギは俺もそう思うと言いながら、こう付け加える。
絶対、死ぬ可能性の方が高いもん。
な、なんということを口にするのか!!
ノギも何というか歯に衣着せないというか、思ってることが口に出ちゃう子というか。
でもそれは皆が思っていたことである。思っていても言っちゃいけない場面は多いが、今回はそうでもない。
腹を割って話をするにはノギの言う事も踏まえておかねばならないのだ。
しかしやっぱりノギは今の内にその口の軽さをどうにかした方がいいと思うの。
それはさておき、須藤くんが腹を割って正直な気持ちを吐き出す。
逆に僕・・・本当は一緒になって脱獄したい。
でもさ・・・できない・・・
ノギが言ってくれたけど、死のリスク・・・それを意に介さないほどの脱獄する理由も勇気もない。
うまく言えないけど僕は、生きたいっっ・・・ていうよりも死にたくないんだ。
まあ、いいんじゃないですかね。
須藤くんもまだ子供である。そんな子供のうちから生きるための理由なんて考える必要があるとも思えない。
ただ死にたくないと思う。それも生物としては当然の欲求でありましょう。眉をひそめて話すことでもない。
しかしそうなると須藤くんは・・・
僕は、転房する。
そう自分の意志を口にして去っていく須藤くん。
そしてそれに倣い、菅くんも自身がどうするかを口にする。同じく転房を選ぶ、と。
だが、その際に天野と松尾に一声かけていく。
2人は特にボスを慕っていたが、ボスはボスだぞ、と。
こうして菅くんも立ち去り、残るは3人。
残されたノギはこの期に及んでリクたちを説得してやめさせられないかなとか言い出す。
そりゃそうすれば今までと同じような生活はできるかもしれませんがね。
そうして他の面々が刑期を終えるまで待ってくれとか言うのだろうか。さすがにそれは・・・
ノギ。ボスの顔見ただろ。
そうですね。レノマさんが言いだしたことを曲げる筈もないですよね。つき合いが長くなくても分かる。
俺・・・どうせ足手まといになるしなぁと悩むノギ。しかしそれも言い訳にすぎない。
足手まといになるかどうかは2人が決めることである。今ノギが決めるのはどうしたいか、ということだ。
ノギ「転房?」
松尾「聞くな」
なかなかに判断を下すだけの覚悟がつかないノギ。しょうがない子でありますな。
結局決めきれずに走って行っちゃいますし・・・この先リクたちがいなくなってちゃんと出来るのか思いやられますわ。
しかし、ノギが脱獄の意志を示した場合、リクたちはどうするんでしょうね。
本人の言う通り足手まといであるのは間違いないでしょうし・・・
刑期も軽いんだしとリクが説得するしかないのかもしれませんな。
さて、残るは仲良しの2人組。天野と松尾。
天野は脱獄の話を聞かされキレた後、一晩眠れずにずっと考えていた。
勝手にいろいろと決められてムカついたけど、もし最初から誘われていたら、自分はどうしただろうか、と。
それ考えてたらよ・・・それ考えてたらよ・・・よけいにムカついちまって眠れなくなっちまった。
どんだけ・・・何回考えてもよ・・・俺・・・ブルっちまってた・・・
そうなるでしょうなぁ。
いきなり死ぬかもしれない計画の誘いを受けたりしたら誰だってビビルものである。
しかしそんな計画なのに転房を告げられたりしてキレたのは――
お前、本当は一緒に行きてえんじゃねえのか?
本気で誘ってくれなかったからさみしかったんじゃねえのか。
ふむ。面白い意見でありますな。
まあ、天野は特にレノマさんを慕っておりましたしなぁ。そういう気持ちも確かにあったのでしょう。
誰よりも慕っているからこそ、水臭いことを言われて怒った。
しかしその場で一緒に行くと簡単に言えるような内容ではない。だからキレることしか出来なかったと。
実際天野の刑期はあと4年半。
おそらく他の面々の刑期も同じかそれより短いくらいと思われる。
それだけ我慢すれば正門から堂々と出られるのに、死ぬかもしれない危険まで犯すことはできない。
でも・・・あの2人は・・・あの2人は・・・
思い描くのは巨大な刑務所に立ち向かうカッコイイ2人の姿。憧れる姿である。
でも・・・俺はやっぱり・・・あいつらみてえにかっこよくはなれねぇ・・・怖えもん・・・くそぉ・・・
震える天野。その背中を優しく叩く松尾。
まあ天野の考えはマトモだと思いますよ。
レノマさんだって最初は脱獄なんて考えることもできなかった極楽島特級刑務所でありますし。
脱獄しようとすれば死が待っている。ヘリの墜落も間近で見たばかりだし不安に感じて当然であります。
険悪な雰囲気になった324房であったが、それぞれが深く考えることは出来たようだ。
これはおそらく全員転房を希望することになる流れでしょうか。寂しいが仕方ないですね。
しかし問題は転房した後である。
転房はいいが、そうなると他の補充要因が来ることになるのではないだろうか?
いくらなんでもリクとレノマさん2人だけの房にしてくれと要求して受け入れられるかどうか。
いや、単身にするのはさすがに問題だが、2人なら要求の仕方次第でどうにかなるか?
よく一緒にいなくなる噂の2人組と認識されているだろうし、看守も気を効かせてくれるかもしれない。そんなバカな。
新しい囚人が来れば、今度はその囚人の協力が不可欠になりますからねぇ・・・
刑期の長そうな史郎さんや椿に来てもらえば一緒に脱獄の可能性はあるが・・・
史郎さんのために切る鉄格子の数を増やさないといけなくなりそうなのがアレですが。
というか、さすがに他の工場の頭を連れて来るのは難しいか。うーむ。
そういえば田中一郎は結局どうやってN棟に来るんでしょう?
場合によっては同じ324房に入る可能性もある?それなら何とか人数調整もできるか・・・少し足りないか?気になる所だ。
第114房 訣別
(2013年 30号)
突然の脱獄話に揺れる324房。
しかし、苦悩し話し合った結果、5人は答えを出した。
俺たち5人。転房させてもらいます。
やはり全員その決断となりましたか。仕方ありませんな。
別れは残念ではあるが、命の危険を冒してついてこいとはさすがに言えないですしねぇ。
だからレノマさんもこう告げる。
天野。菅。須藤。ノギ。松尾。
今までよくやってくれた。感謝してる。
そしてその言葉に合わせて、畳に手をつき、頭を下げてのリクの礼。
俺たちのわがままで困らせてしまって・・・許してくれ。
許すも許さないもないでしょうな。
もうそういったわだかまりは乗り越えた末での決断を出しているわけでありますし。
なのでリクを見る5人の表情も静かな様子である。ノギはやはり少し寂しさが出ちゃってるみたいですけどね。
それにしても、ちゃんと目論見通りに転房なんてできるのだろうか?
その疑問を口にするノギに対しレノマさん。総転房を利用すると述べる。
刑期の短いお前たちが知らんのも当然だ。5年に1度・・・不正物隠蔽防止のために房のメンバーが総入れ替えさせられる。
知っての通り、谷村と俺は互いに不正授受で共犯関係・・・
この房のこの畳の下にあるワイロ品がバレると奴も都合が悪い。
だから・・・この秘密を喋らない人選を俺に相談しにくるはずだ。5年前がそうだったように。
それでお前たち5人を他の房に出す。
まあ、総入れ替えの話があるなら出す分に関しては問題なさそうですな。
リクを残すのも秘密を喋らない人選をしたということにすればいいわけだ。
しかしそうなるとこの324房は2人だけの房ということになるのか・・・?
脱獄志願者を5名探し出す。そしてこの房に引き込む。
なるほど。最初から脱獄を志願しているのなら秘密を守らせる必要も、後で罰を受けることを恐れる必要もありませんわな。
この考えはなかった。レノマさんによれば、志願者に心当たりはあるらしい。ほう。
脱獄計画の内容に興味が生じたのか、方法を尋ねる松尾。
ハンググライダーを作成しての計画を話すリク。
そしてS棟にいる脱獄のスペシャリストと手を組んだことも話す。さすがにそれが誰かまでは明かさないようですがね。
まあ、他で4度も脱獄に成功している男だと言えば知ってる人は誰のことかすぐわかるでしょうが。
リクが脱獄する理由はおじさんの敵をとるためである。
それが入獄してすぐに誓ったこと。脱獄を決意した理由である。
必ず、敵の鬼道院をぶん殴る。そのために脱獄をするのだ。
レノマさんが脱獄する理由はそこまで明確ではない。出たいから出る。それが第一だ。
そのために命をかけるなんて・・・天野としてはふくれっ面になるのもやむを得ないところであるか。
訣別の話をしたことで、思い起こすのは出会いの日のこと。
リクがやってきたときは不安気で目も泳いでいるし、大したことのない奴に見えたものである。
それがまさかこんなごん太の骨のある奴だったとはなぁ。ラグビーの日までは思いもよらなかったでしょう。
ノギなんて舎弟にしようとしたりしてたぐらいですからねぇ。まあ、数分の間に恩人に変化したわけであるが。
でもやっぱさ。俺ぁ誕生日パーティーが1番面白かったな。
普段はボス・・・ぶっちゃけめっちゃ怖いっすけど。
やっぱ同じ房でよかった・・・って。あの日は特にそう感じました。
怖いけれども頼りになるボス。それがレノマさんである。
松尾の誕生日パーティーは皆楽しそうだったなぁ・・・確かに遠い昔のことのように思えてくるぜ。
本当に・・・あの日は楽しかった。
楽しい思い出を口にすれば、それが逆に終わりを告げる訣別の時の惜しさを感じてしまい、沈んだ表情となる一同。
俺・・・みんなには本当に感謝してる。
さびしさも何度も・・・何度も忘れることができた。
なのに・・・ごめんね。本当に今までありがとう。
リクの言葉にこちらこそだと返していく5人。そして天野は万感の思いを込めてこの言葉を口にする。
リク。ボス。どうか死なねえでください。
不吉な言葉であるが、それを覚悟しなければいけないのがこの刑務所からの脱獄である。
ここにいる面々はそれが十分に分かっている。
だからリクはこう述べる。先に待ってるよ、と。
いつかまたシャバで会おう。
輝く月の光がさす房の中でそう言葉を交わす7人。
無事にリクたちが脱獄できたとして、シャバで――スラムで会えるのは5年以上先のこととなるか・・・
まあ、鬼道院打倒により極楽島刑務所のシステムそのものが崩壊する可能性もありますがね。
何にしても、しばらくの間はこれでお別れということになりそうです。寂しいのう。
訣別を終えた翌日。
レノマさんはリクを連れて脱獄志願者の「心当たり」の1人を尋ねる。
向かった先は第16木工場。
そう、そこにいるのはこの男・・・椿陽平!!
すっかり狂気は抜け落ち、穏やかな、文学青年のような様相を見せている椿。
やあ、仲間になってくれないかなぁとは思っていたが・・・まさか本当にこういう展開になるとは!!
324房の面々との別れは寂しいが、かつての仇敵とのチーム結成はテンションが上がる話である。
椿はリクやレノマ双方に思い入れがあるでしょうし、いい相手でありますよね。
刑期が残り何年なのかは気になるが、ぶち込んだホクロの男がたっぷり食らわしてやるとか言ってたし長そうである。
スラムで妹が長生きできるとも限らないし、あと数十年刑務所にいるよりは脱獄してという判断もありといえばありですな。
しかし、他所のボスクラスの男を引き込めるのだろうか?
総転房といっても工場を跨ぐぐらいの改編がありうるのか?
まあ、椿はリクに敗れたことでボスの座から追い落とされている可能性はありますけどね。
あらからずっと1人でいる場面ばかりですし。
椿は確定として残り4人はどうするのだろうか。
田中一郎はN棟に来る工作をしているし、うまくすれば324房まで来れるかもしれない。これで残り3人。
同じく刑期の長い人といえば史郎さんだが・・・果たして脱獄に参加してくれるかどうか。ちょっと難しい。
高木さんも刑期は長そうだが、自分で罪を償うためとか言ってるし出る気はなさそうだ。
炊場のボスであるし、刑務所側も転房は認めないでしょうしねぇ。
そういう意味では森田はどうか。脱獄の意志は前にも示してたし、いけそうな気はする。怪我が治ってるかどうかが問題か。
考えてみれば残りの面々はダブルドラゴンクロスのメンバーで揃えてもいいのか。
それだけの人数が入っているのかどうかは不明ですが。
ともかく、脱獄チームの結成の話は非常に楽しみである。
誰が仲間となっていくのか!!多少のゴタゴタも起きそうだが、上手くやって欲しい。
第115房 美獣
(2013年 31号)
義の栗田陸。
武の佐々木麗乃真。
智の田中一郎。
脱獄三勇士、結集。
そのようなアオリと共に描かれるカラー見開き。かっこいい連中だ。
だがこの三人ではまだ足りない。何が足りない?そう、美しさがまだ足りないのだ!!
というわけで、レノマさんが目をつけたのはかつて死闘を繰り広げた美しき獣――椿陽平。
彼をメンバーに加えれば我々のグループはより輝きをますことになるであろう!!む、なんか趣旨が変わって来てるな。
それはともかく、脱獄の話をするために無人の倉庫へと移動する3人。
椿はレノマさんが脱獄をするという話をしても驚きの色を全く見せない。
こいつならそのくらいのことは言いだすだろうなと思っていたのであろうか。肝の据わったことだ。
そしてワケありで5人ほど仲間が欲しいというレノマさんに対して――
断る。
お前が時折持ってきてくれていた美雪からの手紙には感謝してる。
だが脱獄など無謀も甚だしい。
さすがに無謀であるという認識か。まあ極楽島の囚人なら誰でもそう思いますわな。
踵を返して去ろうとする椿。その椿の背中に声をかけるレノマさん。
妹と話したくねえか。
そう述べて小型の携帯電話と放り投げる。
どうやら既に外の美雪ちゃんと繋がっているらしい。
携帯から漏れる懐かしい声に目を見開き驚きつつ、携帯で話し始める椿。
なんとも純朴でいい表情してますな。やはり椿にとって妹は誰よりも大切な存在であると。
それにしても美雪ちゃんに携帯を渡したであろうダブルドラゴンクロスの連中の気の良さそうな顔つきがいいですなぁ。
しかし、美雪ちゃんの方はもう少し大きい携帯でもよかったんじゃないかと思わなくはない。同型機の専用通信だったりする?
久しぶりに兄の声を聞くことができ、嬉しさで泣き出してしまう美雪ちゃん。
これだけ大事に思い合っている兄と妹なのに離れ離れでいなくてはならないとは・・・
椿はレノマさんから美雪ちゃんの手紙をもらっていると言っている。
けど、普通の手紙であるならば極楽島にも届くんじゃなかったんでしたっけ?ノギも妹から貰ってたし。
単に椿兄妹がそれを知らなかったとか。知ってて教えなかったレノマさんとか考えると印象が変わっちゃいますな。
すごく見晴らしのいい所を発見したという美雪ちゃん。
お月様がすごく大きく見える。お兄ちゃんも同じ月を見てたらいいなーと語る。
椿も月ならば毎晩のように見ている。ひょっとしたら同じ時間に見ていたのかもしれませんな。
でもね・・・私・・・本当はね、お兄ちゃんと手をつないで、それで同じ月を見たかった。
お兄ちゃん・・・元気でいてね・・・
寂しい話である。
そしてその言葉を最後に携帯の電池が切れる。
ふーむ。色々と椿にしてみれば刺激を受ける結果となりそうな会話でしたなぁ。
ここでレノマさんの口から椿の刑期が発表されます。
スラムの外の人間を殺し、逃亡の罪も加わって28年の刑。
これは殺人犯としての逃亡とスラムの外への逃亡の2つの意味があるんですかね。
それにしたって、情状酌量の余地のあるあの犯行で28年は重い。スラム出身者への刑罰はやはり偏ってますなぁ。
刑務所に来てから5年が経過。それでもまだあと23年もある。
シャバに出るには脱獄しかないわけだ。しかしだからって妹さんを使って追い込むようなやり方は・・・
あいつがそんなヤワな男か。己の進退くらい己の信念で決める奴だ。
そして奴は必ず来る。
レノマさんも椿のことを信じている様子。まあそうでなければ脱獄チームに加えようとはしませんわな。
自信ありげなレノマさん。とはいえやはり心配な様子のリク。
翌日も第16木工場に顔を出し、椿と話す。
リクが脱獄を目指すのはおじさんの敵をとるためである。絶対に鬼道院を許すことはできない!
それを聞き、こんな最果ての監獄に来てまで目標があるっていいなと述べる椿。
俺には何もない。
自分のような垢のついた人間など誰も愛してはくれないし、愛される資格もない。
シャバに出ても家庭を持ったりとかそういう展望は全くないと語る椿。寂しいことを言う。
拗ねてるわけじゃねえが、俺は自分の幸せなんかに興味はない。
それよりも、あの隕石でこの世にたった1人になった肉親。妹の美雪の幸せだけが望みなんだ。
それだけ・・・なんだ。
本当、寂しい話である。まあそれでも、たった1人であっても気にかけれる人がいるってのはいいことだと思いますよ。
入浴中。背中に刻んだ妹の姿を感じる椿。
この辺りの椿はやけに美人な感じでございますな。
俺の・・・俺のこの手は人を殺したあの日から一生・・・
洗い流すことなどできない犯歴に染まり、最果ての獄に来た。
もう2度と美雪に会えないと自分に言いきかせてきた。
くる日もくる日も・・・下獄から5年もの月日を費やし、言いきかせてきた。
そしてやっと・・・やっと何もかも諦められるようになったんだ。
今すぐ美雪に会える可能性なんて全く無いものだと・・・それが・・・
思い起こされるのは去り際のレノマさんのセリフ。脱獄は万にひとつの勝算だというセリフ。
全く無いと思っていたのに、万にひとつでも可能性が・・・可能性があったなんて!!
美雪。俺は死んでもいい。今すぐもう1度お前を抱きしめられるなら。
なんという美しくも壮烈な決意であろうか。
こうして椿は脱獄の意志を固めたのでありました。
さあ、残るは4人。しかし残る4人もこの調子で集まるのかどうか・・・注目でありますな。
椿の下獄の経緯は本当に涙なしでは読めない流れでありました。
そんな椿がこれまた悲壮な決意で持って脱獄に挑もうとしている。
これはもう・・・応援してあげるしかないじゃないですか。ねえ。
逃亡後の生活とかは気になるが、今はそれよりも再会の喜びを得るために動いてほしいところであります。
第116房 漸進
(2013年 32号)
三勇士に椿が加わり、脱獄四勇士となりました。
自由への挑戦のためにどんどんと仲間を増やしていきませんとな!!
しかしリクとしてみれば妹さんという身内がいる椿に無茶な脱獄をさせるのは気がかりだったりする。
もし失敗したら死ぬかもしれない。それを考えると妹さんが悲しむことにならないか、と。
9年前。俺が消えてからあいつは何度悲しんだだろう。
俺が死に、悲しみが最後になるならいっそ清々しい。
果たしてそれで悲しみは最後となるのだろうか?
しかし椿自身も5年の歳月をかけて妹は死んだのだと言い聞かせ諦めることができていた。
いつか美雪ちゃんも慣れることになるのは間違いないでしょう。悲しい話ですけどね。
だが、そもそも悲しませないことを考えないといけない。
そのためには何としても脱獄を成功させ、皆で生きて出ていくのが大事なのである。
というわけで心強い味方が加入。
一方の田中一郎。仕込みとして接していた柳原看守部長との仲はいい感じになっている。
娘の離婚話の方もたらふく慰謝料をぶんどることができ、少しは溜飲が下がっているらしい。それは何より。
でだ・・・田中。お前、極楽島の弁護士になってみないか?
看守連中の中には法律トラブルを抱えている奴も多い。お前が相談に乗ってやれ。
ふむ。そして田中一郎を紹介することで紹介料を仲間から頂くわけですね。なかなか腹黒いな柳原看守部長。
多少の便宜は図ってやるとのことであるが、N棟への移籍話はここでは出せないでしょうな。そこまで出来るかは分からないし。
なので田中一郎は別のお願いをする。
服役生活が長いので法律知識がサビついている。最新判例を調べるためにインターネットの使用許可をお願いしたいとのこと。
説得力のある話だが、さすがに革命の闘志に外部との接続手段を取らせるわけにはいかない。渋られる。
が、結局折れて、5分間だけ柳原看守部長の監視つきでの許可がおりることとなった。
ネットなどレノマのケータイで充分だ。俺の狙いはそこじゃない。
ふむ。何を企んでいるのでしょうか。
ネットが目的でないとなるとそれを扱うパソコン自体が目的なのかな?
ショートさせて当日にボヤ騒ぎでも出して注意を逸らすとか?どうやるのかはわかりませんが。
脱獄の決行日はまだ少し先。
とりあえず12月の総転房を待つこととなる。今は何月なんだろうか?
まあ、椿は待つだけでよいが、レノマさんたちにはやることがある。
作戦の進行開始。まずは鉄格子を切断するための道具の作成だ!!
無事に道具の作成は完了。問題はこれをどうやって持ち帰るかである。
工場から房まではこういった不審なものを持ち出さないように検身場が用意されている。
カンカン踊りで隅々まで調べられることとなる。
のだが、下獄時とは違ってケツの穴まで調べられることはないらしい。まあ、時間かかりますしね。
しれっと自分じゃなくリクの穴に隠すことに決定しようとするレノマさん。酷い話だ!!
というか、素のままじゃなくてせめて何かに包んでからいれようぜ。危なすぎる。
公平を期すためにジャンケンで決める2人。
リクはグー。レノマさんはチョキ。だが俺のハサミは岩をも砕くぜとリクの拳を挟み込むレノマさん。
なるほど。これで無理矢理パーにしてしまえば負けはないという話ですね。どこの漫画読んで身につけた知識だ!!
レノマさん大ピンチ。
と思いきや、天野のリーゼントの中に隠すという手法で事なきを得る。え!?それで通るのか!?
まあ、今回のように細くて軽いものだからなんとかなったんでしょうが・・・通っちゃうのかよ!!
看守も流れ作業になっちゃってるんでしょうな。
長いことやっていると危機管理がおざなりになるのはよくあることさ。油断大敵。
最近まで知らなかったのですが、ここで工場用のツナギから部屋着のツナギに切り替わっているのですな。
単行本などで見る青いツナギは工場用。時折カラー絵で見るオレンジのツナギは部屋着用であるそうな。
なるほど。言われてみれば部屋でのツナギはトーンが薄い!!うーむ。今まで気づかなかったわい。
リクも自身の役目を果たすためにハンググライダーの本を私本として購入。
実技ができないのなら、知識だけでも頭に叩き込んでおかないといけませんわな。
今夜から本格的に動き始める脱獄作戦。鉄格子の切断も今日から始める。
といっても総転房の際の舎房チェックでバレないように裏側に切り込み入れる程度に留める様子。
まあ、道具の切れ味や切断にかかる時間なんかを計るには早い内からやっておくのがいいのかもしれませんな。
リクが小さな鏡で見張りをしつつ、レノマさんが鉄格子の切断作業を行う。
懐中電灯の灯りを見れば済みそうな気もするがそういうわけにはいきませんのかね。
何にしてもずっと見張りを続けるというのも辛いものがありますわな。
翌日の昼休み。今日も第27木工場の連中は野球に興じている。
って何だ菅くんのこのバッティングフォームは!!
腰を後ろに突きだすのは本物の野球選手でもありえるが、他の要素も組み合わせて色々と酷い。
背筋は伸ばし、バットをバント時のような持ち方をして先をグルグルと回す。そして顔は大マジメ!!
最後の要素のお蔭で完璧に面白い構えとなっておりますな。菅くんはメガネ芸といい、いいものを持っているから困る。
それにしても残る4人の脱獄仲間は誰になるのだろうか。
まさかノープランなのかよと疑うリク。
それに対しレノマさん。オメエもよく知ってるあいつだと顎で前を指し示す。
その行為につられて見ると、運動場では極楽島の巨人が吠えていた。
やはり5人目の標的は史郎さんでありましたか!!
刑期の長さ、信頼できるという点においては見事に条件をクリアしている人である。
これは史郎さんがどういう理由で3人を殺害し、刑務所に来ることになったのか語られる流れとなりそうですな。
しかし史郎さんは本当にでかい。グローブがつけれてねーじゃねーか。
こりゃ切断する鉄格子も余分な本数が必要となりそうですな。
下手したらロープの太さも考慮しないといけなくなるかもしれない。
もしかしたら田中一郎に決行の日までに痩せろとか言われるかもしれない。体が大きいと何かと大変だね!!
しかし史郎さんはある程度予想していたが、他の面子はどうなるのか。
今回松尾が妙に思いつめた表情をしていたのが気になる。
よもやの密告なんて話にはならないと、なって欲しくはないと思うが・・・
逆にやはり思い直して脱獄メンバーにという可能性はあるかもしれない。それなら天野もついてくるかもしれませんな。
第117房 寿司
(2013年 33号)
脱獄の同志として引き込むべく史郎さんを呼び出すレノマさん。
ケータイを手渡し見せた画像はスラムにある友寿司という店。
どうでもいいが、小さい携帯の画像を見ようとしているので史郎さんの顔が間延びしちゃってるぞ。
懐かしいか。あのババアの店だ。
ふむ。レノマさんも史郎さんの過去について色々と知っている様子でありますな。
店の写真を見せるだけ見せて立ち去るレノマさん。仕込みか何かのつもりなんでしょうか?
それはわからないが、何だか清々しい笑顔を見せている史郎さん。
思い出がいっぱい詰まっているのであろうなと伺える。
史郎さんは男気に溢れているし、刑務所に入れられるような人間とは思えない。
リクも疑問に思っている。わざわざ理由を尋ねるのはどうかと思ってこれまで聞かずにはいたが・・・
聞いてくれるのがお前ならありがたい。なんや無性に昔のこと話とうなってしもうた。
ズシィンと腰を落ち着けて昔のことを語り出す史郎さん。
孤児だった史郎さんはスラムを生き抜くため戦いの毎日を過ごしていたそうな。
9歳にしてギャングのボスだったという。そのメンバーの名前はTHE ELVIS'S CHILDREN。
エルビスこそ男の中の男や。
そう語るのは少年時代の史郎さん。しょ・・・少年時代・・・だよな?
9歳のはずなのだが、その身体のデカさは一体どうしたことなのか。
まあ、顔とか髪型は若気の至りっぽい感じにはなっているが。しかし9歳・・・まあ、それはさておきましょう。
そんなある日、No.2に裏切られた。サツに売られたんや。
チームも追われ、サツに追われる日々が始まった。
警察の追ってから逃げ回り、寿司屋の裏口へと逃げ込む史郎さん。
店の主人である友子さんという老婆に見つかる。が、どうやらこの友子さん、史郎さんのことを庇ってくれる様子。
しかしその恩を受けながらも感謝した様子を見せない史郎さん。うーむ、悪ガキだのう。
そんな史郎さんであるが、友子さんは帰る家もなさそうだし私の手伝いをしないかと誘う。
タダ飯と寝ぐらにつられ俺は手伝いを始めた。
その店はスラムの人間でも通えるように安い値段で寿司を出しとった。
まあ〜中身はうさん臭いもんばっかりやったな。穴子みたいなヘビとか、エビみたいなザリガニとか。
味が似ているかどうかはさておき、まあ食べれるならそれはそれで有難いということでございましょう。
メニューには大とろがあったりするが何で代用しているのだろうか。
手伝いを始めたという史郎さんだが真面目に働いている様子は見えない。
タダ飯食えるからやってるだけじゃと公言して憚らないし、やはりまだまだ悪ガキである。
そんな史郎さんに一生懸命働くこと、真面目に働くことの楽しさを伝えようとする友子さん。
包丁を差し出し、いつか魚をさばかせてあげるからこの包丁で練習しなさいと言う。
食材をあなたの大切なものと思って切ればきっと上達も早いわよ。
普通に働いてても包丁を握れるようになるには時間がかかりそうなのに・・・
なかなか良い扱いを受けておりますね史郎さん。
とはいえこの頃の史郎さんにはその有難さなんてわかってはおらず――
なれなれしく話しかけんなババア。余計なお世話じゃ。お袋にでもなったつもりか。
確かに友子さんの態度は息子に接する母親のような感じを受ける。だが――
母親になんてもう戻りたくないわよ。
ふむ・・・何か色々とありそうですな。
しかし友子さんが史郎さんにしてあげたのは匿ったり衣食住を提供したりするだけには留まっていなかった。
ある日店に乗り込んでくる借金取りたち。
この借金取りたちが言うには友子さんは史郎さんを守るために100万円借りているとのこと。
どうやら警察に払うためにそれだけの借金を背負ったらしい。何と・・・
これにはさすがに史郎さんも動揺の色を隠せない。
金にもならん。おまけに大飯食らい・・・そんな俺を・・・だからって母親のつもりでもない・・・
なのに・・・なんでや・・・なんでや・・・なんでそこまでしてくれるんやあ!!
確かに分かりませんな。
母親としての無償の愛というならまだ分からなくもないのだが・・・
一体どうしてこの体の大きな9歳児を守ろうとしているのか。
夜。エルビスのポスターを前にし、包丁を片手に立つ史郎さん。
教えてくれエルビス。なんなんやこの気持ちは。
俺みたいなクソ野郎になんで・・・わからへん・・・わからへん・・・わからへん!!
そう声に出しながら、自身のモミアゲを半分切りおとす史郎さん。
大切なものと思って切ればきっと上達も早いと友子さんは言っていた。
ならば大事なエルビスを示すモミアゲを切り落としましょう。己の気持ちを整理するために。
そうして翌朝。
染めていた髪を黒くした史郎さんは友子さんに告げる。
友子さん。俺も、仕入れに連れてってください。
人の一途な心に動かされて覚醒する史郎さん。
表情も険がとれて穏やかな感じとなっております。ほほう。
なるほどなぁ。史郎さんのあの髪型にはこういった謂れがあったんですな。
そしてその男気も身に付くだけの理由があったわけだ。
ここから板前修業を始める様子ですし、どんどんと男らしくなっていくんでしょうなぁ。
以前にも出前に出ていたらしい場面があったが、あの時には既に愛想のいい感じになっていた。
気持ちの整理をつけて、立派な男になっていくのでしょう・・・
しかしこの後3人殺害して懲役20年の刑を受けることとなる。
やはり相手は借金取りであろうか。それとも・・・?
友寿司を見て穏やかな顔をしているが、友子さんは今も無事に店を続けているということなのだろうか?
史郎さんの過去は興味深いが、ここからどうやって脱獄仲間に誘う流れとするのか・・・
とりあえず過去の話が一段落するのを待ってから考えるとしますか。
第118房 包丁
(2013年 34号)
江田史郎9歳の頃。
友子さんの一途な優しさに触れ改心。板前の修業を始めることとなりました。
声のでかさといい、結構似合ってますな板前。そしてやはり9歳とは思えないぜ!!
友子さんに心を動かされて改心した史郎さん。
少しでも恩返しできるよう夜のバイトとして工事現場で働いたりしている。
うむ、重機並のパワーを持つ史郎さんならばいい働き手になれそうですな。よいことですねぇ。
荒くれていた時からは想像もつかないほどにいい顔をするようになった史郎さん。
一生懸命やっているためか、包丁の扱いもかなりの速度で上昇している様子。
褒められて無邪気に喜ぶ様は年相応ということで可愛らしくもありますなぁ。
でも包丁持って浮かれるのはさすがに怖いですよ!!
友子さんはどうやら例の隕石で家族を失った様子。
本来店は夫の友三さんが経営していた。後を継ぎ、のれんを守ってきたわけですな。
夫の名前が刻まれた大事な包丁を抱く友子さん。なんとも微笑ましいですなぁ。
誰かに認めてもらえるって気持ちええもんや。
真面目に働くことで俺はそれを知った。友子さんが教えてくれた。でもな・・・
悲劇というものは突然訪れるものである。
史郎さんが出前に出ていたある日のこと。
借金取りがやってきていきなり元本の返却を迫り出した。
さらに利率も変更し、返せなければ金目のもの全部持っていくという。ムチャなこと言ってきますなぁ。
そこで金目のものとして目を付けられたのが形見の包丁。
それだけはと食い下がる友子さん。その勢いで顔を切った借金取りは怒りのままに・・・
悲劇が展開されている頃、史郎さんは戦っていた。
かつて自分が頭だったギャンググループ。
No.2に裏切られ、今では組織名も帰られてしまっている。蛇火留田。ジャカルタか・・・
かつての部下たちに哄笑される。とてつもない屈辱。
しかしそれを笑顔で受け流す史郎さん。並々ならぬ葛藤との戦いに勝利したのだ。
俺は変わったんや。もうかつての俺やない!!もう2度とあっち側には戻らへん!!
そう誓いながら帰宅。
しかしそこで見たのは包丁を突き立てられて横たわる友子さんの姿・・・
まだ息のある友子さん、帰ってきた史郎さんに包丁を見せる。
そこには友三さんの名前に並んで史郎さんの名前が刻んである。
大切な形見の包丁を史郎さんに渡そうとしているのか・・・!!
なんでや友子さん!!なんでこんなに優しくしてくれるんや!!
手を取る史郎さん。しかしその手からは温もりが失われていっている。
慌てて手をこすり、保とうとする史郎さん。子供らしい行動ではありますな。
なんでやねん!なんでやねん!!跡取りにしたかったからか!!なったるがな!!
息子の代わりか!!それでもええ!!なん・・・
叫ぶ史郎さん。それに対し、友子さんは静かにこう答える。
理由なんて・・・ないよ。ただ・・・愛しかったから・・・
ただ一言そう言い残し、その手からは力が失われる。
号泣する史郎さん。
その激しい怒りと哀しみは当然の如く借金取りの3人へと向けられる。
トランクに荷物を入れていたし、高飛びでもするつもりだったのだろうか。
結果――3人殺しの罪で投獄。20年の刑期を打たれることとなった史郎さん。
うーむ・・・予想はしていたけど、何とも切ない話である。
元をただすと、友子さんは自分を匿うために借金をし、それで殺されることとなったわけですからなぁ。
投獄されてからの史郎さんの感情はいかなるものであったのか・・・想像すると辛いものがある。
史郎さんの語る過去は以上である。
全てを聞かされたリク。そんな大切な話を聞かせてくれてありがとうなと礼を言う。
でもさ・・・なおさら余計にわかんなくなっちゃったよ。
やっぱなんかおかしいぜ・・・オメェみたいな奴がこんな所に来なきゃならなかったなんて・・・
情状酌量。スラムに住む者たちにそんなものは与えられない。
背景を知れば似たように事情を抱えながら投獄された者もいるのでしょうなぁ。
無実の罪で投獄されたリクとしても義憤に駆られてしまうのは無理からぬこと。
でも俺は幸せや。
あの街に生まれた俺に、無条件で愛してくれる人が1人いた・・・1人もいたんや。
俺はその思い出だけで一生を生きていける。
ありがとう。友子さん・・・
悲しみが漏れ出さないよう、大きな体を小さく折り畳み涙する史郎さん。
切ないですね。とにかく切ないです。
人を愛しく思うのに理由はいらない。好きになったりするのに理由がいらないのと同じことでありますかな。
打算のない優しさ。それに触れて史郎さんは変わることができた。
その思い出により、史郎さんは9年たった今でも立派な男として生きている。
刑務所を出ることがあればどうするのだろうか。やはり友子さんの守ろうとした友寿司ののれんを守るのか・・・
ということを考えると、共に脱獄するのかどうかはわからなくなってきましたな。
脱獄した人間が堂々と店を構えるわけにはいかないでしょうし・・・
レノマさんはどういう言葉で史郎さんを仲間に引き込むつもりなんでしょうか?
最終的にはスラム体制の打破という形になるとは思うが、まずは脱獄でしょうしねぇ。はてさてどうなりますか。
第119房 雑音
(2013年 35号)
レノマさんに友寿司の写真を見せられ、リクに過去の出来事を語った史郎さん。
そのおかげでしっかりと郷愁の念が宿ってしまった様子。
心ここにあらずな感じで刑務所の食事を使い、無意識に寿司を握ったりしている。デカイ手で器用なことを。
寝ようと思っても指は無意識のうちにその動作を繰り返している。
目を瞑れば友寿司の姿が映る。そして友子さんや常連の客たちの姿も映る。
思い出して笑みを浮かべ、目を開けばいつもの刑務所の天井。
その落差を感じたくないからこそ思い出はなるべく考えず、封じ込めておきたい。
けれども今の史郎さんは目を閉じればどうしても友寿司のことが浮かんでしまうわけで・・・
だからといって目を閉じないように押さえつけて過ごそうとするのはかなり大変なことではないかと。
翌日。寝不足そうな史郎さんを再び呼び出すレノマさん。
充分郷愁の念が深まっている史郎さんに決定的なセリフを投げつける。
史郎。一緒に脱獄するぞ。
メンバーは俺とリク。椿もいる。そして過去4度の脱獄を成功させたスペシャリストのオッサンもいる。
このメンバー。レノマさんの言葉が本気であることを示すのに十分と思える。
だからこそ史郎さんは危惧することを素直に口にする。撃たれるぞ、と。
その危険はレノマさんも承知の上だ。緊張した様子が見て取れる。だが――
満期まで俺はあと19年。お前もあと11年もある。
出る時は30手前のオッサンだ。それまで・・・シャバへの気持ちを押し殺せんのか。
俺はうんざりだ。
己の想いを告げ、そして男同士の話がしたいといい、空き倉庫へと連れ出すレノマさん。
史郎さんはリクに外で見張っててもらうよう頼み、雑音を黙らせてくるとレノマさんに続く。
はてさて、この男同士の会話はどのような形に発展するのか。
レノマさんが9年前にここにぶち込まれてから間もなく、周りの奴らが妙にざわつき出した。
ガキのくせにめちゃくちゃデケェ奴が来たと。それを聞いてすぐにピンときたレノマさん。
レノマ「ああ、あいつも来たのかってな」
史郎「なんやお前。シャバにおる時から俺のこと知っとったんか。初耳や」
どうやらシャバにいる間は交流がなかった2人。
レノマさんは友子さんが友寿司を営んでいたことを知っていた様子でしたが・・・?
その辺りの伝手で史郎さんのことも知ったのかもしれませんな。
それからもう9年間だ。9年だぞ俺たち。ムダにすごした。
2人は9年の間に何回も何回も戦ってきたんでしょうな。
意地の張り合いを続ける2人。微笑ましい関係といえなくはないかもしれない。
この関係が出来上がっただけでも全てムダとはいえないと思うが・・・
史郎さんもそうやって地道に月日を重ねて出所の日は来るものだと諭す。
一生出られないわけではない。我慢してたらいつかは出られるのだと。
俺もそうだった。ここで生きていくために、生きやすいように。ボスの座を狙い、奪い、守ることに執着した。
だがよ、そんなこっちゃねえだろ。生きるってのはよ。
史郎。本当にいつかでいいのか。今はいいってのかよ。史郎。
物わかりのいい奴の言うような言葉で諭していた史郎さん。しかしその表情は苦渋に彩られている。
レノマさんの言うことに同意したい気持ちは大きいんでしょうな。
しかし脱獄には危険が伴う。我慢を続ければいつかは出られる。
それを捨てて、今に生きるために行動を起こしたとしても、今どころか未来まで失うことになり兼ねない。
簡単には決められないわな。しゃあないやんけぇ!!
吼えてレノマさんに掴みかかる史郎さん。
その史郎さんの突進を押さえてレノマさんは言う。
史郎。テメェは・・・死んでんだよ。テメェはよ・・・もう死んでんだよ!!
煽りを入れるレノマさん。
それはおそらく自身がリクに出会い、脱獄を決意するまで死んだ気持ちでいたことの表れなんでしょうな。
似たような立場である悪友の史郎さん。だからこそ自分と同じような気分でいると考えることができる。
とはいえ言葉による主張で簡単にわかり合える2人ではない。
ならばやはり殴り合いをするしかありますまい。田中一郎がレノマさんとそうしたように。
リクはあんなに仲良しなのになんでなんだよと考えているが、意地っ張りな男達ってのはそういうもんである。
自身だってそういう覚えがないわけでもないでしょうしねぇ。
こうやって拳をぶつけあってわかり合う関係ってのもあるものだ。
しかし今を生きるのはよいのだが、脱獄してからのことはやはり気になるんですなぁ。
友寿司の今は気になるだろうけど、脱獄囚となってしまっては店の再建も出来そうにない。
現在の司法体勢を覆す戦いを終えたあとならばということになるが・・・果てしない道に思えるなぁ。
第120房 獄友
(2013年 36+37号)
古くからの獄友であるレノマさんと史郎さん。
幾度も拳を交えてきた2人であるが、今回の戦いは己の服役半生をかけての戦いである。意味はかなり大きい。
レノマ「脱獄に失敗したら死ぬだぁ?びびってんじゃねえぞオラアッ!!」
史郎「死に急ぐのがそんなにかっこええんか!なんぼのもんじゃいぃッ!!」
脱獄に付きまとうのは死という恐怖。
他の刑務所とは違い、この極楽島特級刑務所はスラムの犯罪者を捕まえる施設である。脱獄犯に容赦があるはずもない。
脱獄の助けに来た外部の人間を容赦なく撃ち落としたりしてますしねぇ。
だが長期の刑期がまだ残っている2人。大人しくしていれば青春の時間は完全に過ぎ去ってしまう。
それが我慢ならないレノマさん。
極楽島に飼いならされやがって・・・
きっと史郎さんにも自分と同じ想いでいて欲しかったのでありましょう。
このレノマさんのセリフには悔しさが感じ取れる。
もちろん史郎さんだって飼いならされるようなマネは出来るならばしたくない。
反論しながら殴りつけてはいるものの、その反論も弱弱しい。心が揺れているのがよくわかる。
いつしか言葉を交わすこともなく、ただただ正面から殴り合いを続ける2人。
お互いもはや立っているのがやっとという有様。それでも何とか殴ろうとしている。意地っ張りな奴らだ。
テメェ・・・昨日の夜・・・シャバのこと考えただろ・・・消灯のあと1人でよ・・・
目ェ閉じるたびにシャバの景色が広がったろ・・・寿司屋・・・ババァ・・・バカな常連・・・笑った顔が見えただろ・・・
オメェのこった・・・沸き上がるシャバっ気を押し殺そうと・・・そのブッとい指で瞼こじ開けたまま眠ろうとかしてたんじゃねえのか?
さすがによく理解しているレノマさん。
史郎さんの本音を聞くために前日に写真を見せ、わざわざ日を跨いで呼び出しを行ったわけなんですな。
俺かて・・・こんな所・・・出れるもんなら出たいわい・・・
友寿司・・・俺のかけがえのないあの店を・・・この手で再建したい・・・でもよ・・・でも・・・
希望はある。だが迷いも大きい。死の恐怖は簡単に覆せるようなものではない。
史郎さんは夢があるのだしその気持ちは特に強いでしょうな。
史郎。死ぬってなんだ?心臓が止まることか?そうじゃねえだろ・・・
何かに拘束されたまま生きるのが・・・お前がよく言う男の生き方か?
そんなのよ・・・死んだも同然だと・・・お前にも言ってほしいんだよ。
共に長い時間を過ごし、幾度も争った獄友。
だからこそ同じ気持ちを抱いてほしい。男の生き様を語る奴にはそうであって欲しいとレノマさんも思うのでしょう。
確かに脱獄を果たせず死ぬ可能性は高い。それは恐ろしい。
だが、既にレノマさんはこの脱獄に全てを懸けることに決めている。死ぬなら男らしく死ぬために。
史郎・・・お前はなんだ・・・なんなんだよ・・・
レノマさんのこの問いに、史郎さん。拳を強く握りしめて答える。俺は・・・
史郎「俺は、男や」
レノマ「じゃあよ・・・一緒に・・・ぶっ飛ぼうぜ・・・」
満足のいく答えが聞けて、安らかな顔をして倒れるレノマさん。
いや、その崩れる体を史郎さんが途中で支えている。いい光景ですな。
しかしあのレノマさんがケンカに敗れておきながらこんなに爽やかな表情でいるとはねぇ。
いや目的は果たせているのだしケンカには負けたが勝負には勝ったということになるのか。
実際のところ、体格的に考えると正面切っての殴り合いは史郎さんに分があると思われる。
普段のレノマさんは色々と絡め手を使いながら戦っているんでしょうな。
気絶したレノマさんを担いで倉庫から出てくる史郎さん。その表情は迷いをふっきった晴れ晴れとしたものである。
江田史郎。男の脱獄お見舞いしたる。
ついに史郎さんも参戦決定となりました。心強いことです。
脱獄というイベントにおいてはその体格は不利になることが多い。
が、史郎さんならば持ち前の根性と男気でどうにかしてくれるんじゃないかと期待している。期待したい!!
と盛り上がったところで次回は刑務所の娯楽イベントが開催される回らしい。
参戦しておきながらまたレノマさんと史郎さんの意地の張り合いが繰り広げられる流れとなるのか・・・!?
まあ、それはそれでしょうしな。ここらで息抜きのイベントも必要でしょう!楽しみだ。
と思わせておいて事件に繋がるイベントという可能性も否定できなかったりする。はてさてどうなるか。
第121房 慰問
(2013年 38号)
史郎さんとのタイマンから数日が経過。
正面から殴り合ったおかげでさすがに怪我が長引いている様子のレノマさん。
いやむしろ数日でほとんど傷が癒えていることの方が驚きと言える。これが若さか。
しかし食事時に痛むからとチョビ食いするレノマさん。
見られたくないから向こうむいてろとわざわざ言うのが可愛らしいですな。
さて、5人目の脱獄メンバーも決まり、残るはあと3人。
レノマさんにはあと1人心当たりがあるらしい。え?残りの2人は・・・?
勢いで言った。
なるほど。勢いで言っちゃったのなら仕方がないですな。よくあるよくある。
いやそれならもっと早くに打ち明けておいてくれても・・・そりゃリクにもくどくど言われてしまいますわ。
今晩も脱獄の下準備を進める2人。
しかし今日は2人以外にも起きている人物がいた。松尾だ。
布団の中で何度も母からの手紙を読み返している松尾。そこには悲しい報告が書かれていた。
先日、検診の結果が出ました。やはり胃ガンです。余命もあと半年だそうです。
あなたの帰りを待っているという約束を守れなくてごめんなさい。
ですがその代わりあなたが帰ってきた時に困らないように銀行にほんの少しだけど生活費を残しておきますね。
じゃあね。また手紙書きます。お友達とちゃんと仲良くね。お母さんより。
手紙が届いてから2週間。何度読み直しても母を救うことはできない。
自分のためにお金を残すと言ってくれている母だが、それよりも自分の薬代にしてくれよと願う松尾。切ない話である。
父の死亡の報告といい、松尾は家族の不幸が相次いでたまらないことになっているなぁ・・・
さて、本日は年に1回の慰問の日。
芸能人や民間ボランディアがやってきて歌や面白くない劇を披露してくれるのだそうな。面白くないんかい。
刑務作業も1日休みになるし、楽しみにしている囚人は多いようですな。
特に天野は朝からテンション満点。
それというのも今年は女性アイドルが慰問に訪れてくれることが決まっているかららしい。
去年はよー演歌の大御所だかなんだか知らねえオッサンだったんだ!!
だが今年は違う!アイドルだぞ!!女だぞ!!女が来るんだぞ!!
ナマで・・・ナマで揺れる乳を拝めるんだぞ。生きてて・・・よかった・・・
本当に宙に浮かびあがるぐらいに喜んでいる天野。バカだなー。
環境的に餓えるのは仕方がないかもしれないが・・・こりゃ周りもドン引きですわ。
というわけで登場したアイドル、串本アズコさん。なかなか可愛らしい。
登場した瞬間に目を血走らせる囚人。その勢いに圧されぬよう気色ばむ刑務官たち。
一触即発の異様な光景!!何やってるんだか。
でもアイドルのコンサートでのファンと警備員の関係はどこもこんなもんじゃないかなと思ったり思わなかったり。
一生懸命アイドルの姿を瞼に焼き付けようとする天野。いや他の囚人の多くもそうしている。チュ。
まあ、それが生きる活力になるというなら何も言いませんが・・・やっぱりバカだなー。
さて、アイドルの出番は終わり、面白くないと評判の劇。
まあこれだけ大きくなった連中が今更ウサギと亀を見せられてもねぇ。
というわけで劇そっちのけで雑談をしている天野たち。そのために気付かなかった。いつの間にか目の前にウサギがいることに。ドン!!
これにはさすがに刑務官たちも騒然。
ステージに上げたりしないよう警戒していたらまさかステージから降りてくる者がでてこようとは。
そのウサギが近づいたのは天野・・・ではなく、隣に座っていた松尾。
感極まった様子で震えているウサギ。そして刑務官の制止の声も聞かず、松尾の顔を抱き、声をかける。
元気でね。智広。
これは・・・やはりそうなのか・・・!!
聞き覚えのある声。その中の人物に思い当たり、思わず叫ぶ松尾。
もちろん中の人物とは松尾の母親である。
極楽島の慰問を行っているヒゲの劇団の団長に頭を下げて息子に一目会いたいと願った母。
このままではもう会うこともできない。せめて一目でもという強い気持ち。それが団長を動かしたわけか・・・
なんとも切ない親子の物語。これが今生の別れとなってしまうのだろうか。
この展開、やはり松尾が脱獄組に加わる流れでありましょうかね。
生きている母と会うために無理をする。動機としてはなかなか説得力のあるものと言える。
レノマさんに頼めば母を病院に入れることぐらいはしてくれそうでありますが・・・どうなんでしょうかね。
松尾が脱獄組に加わるとなると、天野も参加する可能性は高いと思える。
友のために男気を見せる流れとなるか。気になるところですな。
レノマさんとしてもあと2人のアテがないことだし、松尾たちの参入は歓迎してくれることでしょうさ。
しかし残りの1人は誰なんですかねぇ。レノマさんのアテとは一体。こちらも気になるところです。
囚人リク 15巻
第122房 馬鹿
(2013年 39号)
慰問の日の夜。松尾は昼に聞いた母の声を思い返している。
そして今夜も脱獄の準備に勤しんでいるリクとレノマさん。
その2人を見てまた複雑な想いに囚われる松尾。
俺にもこの2人みたいな勇気があれば・・・母ちゃんにあんな危ねえ橋を渡らせるようなことさせずに済んだかもしれないのに・・・
母ちゃん。顔が見たいよ。勇気・・・俺にも・・・勇気・・・
どうにか勇気を振り絞り、脱獄を果たすことを考える松尾。
しかしその想いに反し、見た夢は脱獄を果たせず撃ち殺される自身の姿。
この極楽島ではかなり可能性の高い夢であるだけに・・・恐怖は増すばかりですなぁ。
なんで・・・なんで俺はムショに来るようなことなんかしちまったんだ・・・
親父の死に目にも会えず・・・今度は母ちゃん・・・
確かに暴力を振るってしまった松尾には問題がある。
だが、それでもこれほどの目に合わねばならぬ罪であっただろうか・・・
大切な人の死に目に会うこともできない。これほど辛いことはないと痛感させられます。
気落ちしている松尾。その松尾に声をかけるのはやはり親友の天野。
昼休み、松尾を呼びだして話を聞くこととした。まあ、勘違いから入ってはいるが、話を聞いてくれるのはありがたいですな。
昨日のよ・・・ウサギ・・・
あれ、俺の母ちゃんだったんだわ。俺の名前をはっきり言ったんだ。元気でねってよ。
母ちゃんよぅ。ガンなんだわ。余命もあと半年しかねえんだと。
だからよ・・・だから・・・たぶん俺の顔を見るために、毎年来るあの劇団探してよ。見つけてよ。頭下げてよ。入団してよ。
目的バレたら酷い目にあうのを承知でよ。会いに来てくれたんだよ。臆病者のせがれは会いに来ねえから・・・
自身を臆病者と断ずる松尾。
しかし脱獄は死ぬ可能性の高い行為である。尻込みして当然だと天野は反論する。
松尾もそれはもちろん分かっている。考えただけで震えが止まらないぐらいに怖いのだ。
だが、それでも・・・それでも・・・
俺・・・母ちゃんの顔が見てぇ。
俺・・・も。脱獄・・・する。
今度ボスに言うつもりなんだと告白する松尾。この発言に天野まで震えだしてしまう。
脱獄はヤバイ・・・レノマさんから話を聞いた時も散々悩んだ2人である。それは重々承知している。
ついていきたい想いはあるが、勇気を出せず、またどうしてもという動機はなかった。
だが今の松尾にはどうしてもという動機がある。恐怖を超えるほどに抑えきれない想い。それが今の松尾には存在している。
すまん。
震えが止まらないまま天野にそう告げる松尾。
その震えは夜、静かな時間に布団にくるまっている間も止まらない。こういう時間は余計なこと考えちゃうんですよね・・・
臆病者ってお前。当たり前じゃねえか。極楽島を相手に脱獄すんだぞ。
マジか・・・マジでやんのかよ。ガタガタ震えたまま、どうすりゃそんな決心できるんだよ。
それほど・・・母ちゃんの顔見てえってことか。死ぬかもしれねえってのに・・・
んなことになっちまったらオメェ!!それこそ救いようのねえ親不孝者だぞ!!
まさしくその通りである。
もしも松尾が脱獄に失敗し死ぬようなことがあれば、母は途方もない悲しみに包まれて逝くこととなる。
親不孝にもほどがある行為であるが・・・であるならば、説得して止める方向に動くのだろうか・・・
翌日の昼休みに再度話し合う天野と松尾。
松尾を説得する流れとなるのかと思いきや――いきなりキレだす天野。ぅわっかんねえんだよっ!!
お前の事情も理解してやりてぇ!成功を祈るってかっこよく見送りてぇ!
でもよ。そんなことの前によ・・・なんで・・・なんで勝手に決めちまうんだよ。
なんでも相談して決めてきたじゃねえかよ。
なるほど。まずそこが気にかかってしまいましたか。
松尾としてみれば言ったら止められると考えたからといえる。もちろん止めるに決まっている。そりゃそうだ。
くそっ!テメェだけかっこいいことしようとしやがって!!
テメーみてえなビビリでマヌケなドジ野郎があの脱獄メンバーに入ってもよォ!1人浮くだけに決まってんだろ!!
オメェにゃあ相方が必要なんだよ!!
俺だってよ。こんなとこに1人で・・・俺ぁオメェと五分のダチでいてえんだよ。
俺も。脱獄する。
テメェのせいで・・・くそ・・・バカ野郎ぉ・・・
やはり松尾と共に脱獄する決意をしましたか天野。
松尾のために、というだけではない。己が松尾と五分でいたいという想いが強い。
それもまた恐怖を超える程に強い想いであるのでしょう。震えながらも決断し、述べる天野。泣ける奴らだ・・・
こうして脱獄メンバーに加わることとなりそうな2人。
リクたちの反応は微妙なものとなりそうだが、脱獄の動機が動機なだけに止めるのは難しいでしょうなぁ。
さて、そうなると残るメンバーの枠はあと1人。
レノマさんはあと1人は心当たりがあるというがそれは誰のことなのだろうか?
また、田中一郎もN棟に移るために色々と画策しているようだが、それはどうなっているのだろうか?
同じ房にいないと作戦決行時に齟齬が生じそうな気もするのだが・・・気になる所である。
第123房 結束
(2013年 40号)
慰問日の翌日。松尾は脱獄の決意を固め、天野もまた親友のためにその険しい道に乗る決意をした。
そしてその夜。324房は緊張に包まれている。
神妙な顔をした天野と松尾の2人がレノマさんやリクたちに決意を告げようとしているのだ。
看守の目を逃れ、重々しくその一言を発する。
やっぱり俺たちも脱獄したい。
天野のこの発言に一瞬呆気にとられ、そして驚くリク。
何か重大な話があるのかなとは思ったが、さすがに脱獄の話が来るとは思わなかったみたいですな。
こないだの慰問の時のウサギ・・・あれよ、俺の母ちゃんだったんだわ。耳元で声を聞いた。
ガンなんだ。母ちゃん、余命があと半年なんだ。
ノギが場の空気を和ませようとしたのかどうか、からかいまじりに口を挟もうとするが、これはさすがに重い。
そしてこの発言を聞けば松尾がどういう想いで脱獄を口にしたのかは自ずと分かるというものである。
天野もまた共に脱獄を決意した理由を語る。
俺ぁ・・・ほっとけなかったんだ。
こいつは・・・誰よりも・・・俺が1番よく知ってる。ビビリでバカでドジで・・・
なのに、危険を顧みず脱獄するって自分で決めちまいやがったんだ。
かといってこいつも。そして俺も。死ぬ覚悟なんてできてません。
でも・・・理屈抜きで俺ぁ・・・松尾と肩を並べていたいんだ。
神妙な顔で2人の言葉を受け止めるレノマさん。
自分の意見は口にせず、リクの方を伺う。それを受けたわけでもないが、リクはこう述べる。
違うよ。俺も死ぬ覚悟なんてできてねえよ。生き抜いてやるって覚悟したんだ。
死んでもいいなんて思わない。それが約束だ。
死ぬ覚悟ではなく生き抜く覚悟。それを説く13歳。これがリクという男なんですなぁ。
さすがにレノマさんがその存在を希望として見ているだけのことはある。満足そうな顔してるなぁレノマさん。
新たに脱獄の決意を固めた2人と既に脱獄するつもりでいる2人。
菅くんたち3名はさすがにここで追随するようなことはない。せめてエールをと拳を突きだすのが精いっぱいである。
まあ、これはこれで気持ちが伝わるものですし、いいものですわな。
324房の全員が一箇所に拳を突きだす・・・と思いきやレノマさんがまだだぞ?
って、何で集めた拳の上に叩き込んでくるんですかー!!衝撃で吹っ飛ぶ6人。ニヤリとほほ笑むレノマさん。
ならばこちらもと突き上げるようにレノマさんの拳に下から叩き付ける6人。ダッシャアア!!菅くんいいポーズしてるな。
エールを受け、脱獄メンバーの一員となった2人。その目から零れる涙にはどういった想いが籠っているのか・・・
その日から房の鉄格子に切り込みを入れる作業は4人での交代制となった。
房から体を出すのに必要な切断数は5本。作業に入る人数が増えたことでスピードも倍になり、予定より早く切ることができました。
ん?切ることができた・・・?何で完全に切っちゃったんだ?
確か転房の際に点検されることになるから切り込みを入れるだけに留めるんじゃなかったっけか・・・?
あれですか。やはり勢いで切っちゃったんですか?
レノマさんのことである勢いで面子に心当たりがあるとか言っちゃうぐらいだし、勢い余ってやっちゃうことも有り得るか・・・
ま、まあ色々な手で誤魔化してくれるはずですよ。さすがにね。木工ボンドぐらいなら手に入るだろうさ。
その件についてはさておき、せっかく切っちゃったのだからその先のところまで計画を進めたいと考えるレノマさん。
さっそく今夜下見してくる。
田中一郎への相談は無しで計画を進めようとするレノマさん。
まあ、いちいち報告をして許可を貰ってから行動というのもらしくはありませんしねぇ。
ボスの矜持ってのもあるだろうし、報告するなら成果が上がってからしたいと考えるのは当然か。
これが悪い方に転がらないといいのですが・・・
さて、夜。
今回はさすがに324房の面々全員で協力して作戦に当たる。
全員の服やシーツを繋ぎ合わせてロープを作る。ノギの臭いタオルも貴重な一品だ。臭いけど。
しかし備品室でロープを手に入れるまでは怖いですなぁ。一箇所でも結びが甘い箇所があったらアウトですぜ・・・
そういった恐怖と闘いながら鉄格子の隙間から身を躍らせるレノマさん。
一本の命綱のみを頼りに、海風に晒されながら身も凍るような高所に挑む。
しかしレノマさんに恐れの色は見えない。それよりも無事に備品室の窓までたどり着けたことによる喜びが大きい。
いける!!いけるぞ、この作戦はよォ!!
そんな風に喜んでいたレノマさんだったが誤算が1つだけあった。
丁度備品室の真上の房。そこの窓から下の様子を覗いている者がいる。
オイオイ。んーな所でなぁに楽しそうなことしてんだよォ。佐々木。
こ、この凶相は・・・スライスデビルこと沢田拓児!!
看守殺しの疑いで保護房に放り込まれていたが・・・いつの間にか出てきていたのか!!
うーむ、よりにもよって厄介な奴に見つかってしまったものですなぁ。
果たして沢田はどのような行動に出るのだろうか。
一度敗れたことから自らの手でレノマさんを葬りたいとは考えそうだし、看守に密告することはないと思うが・・・
しかし密告するぞと脅して何か仕掛けてくる可能性はありますわなぁ。むむむ・・・
さすがに看守殺しが明らかになったら沢田も死刑になっていたと思われる。
そうなっていないということはバレずに済んだということだろうか。それとも今も監視がついているのか?
監視がついているとなると狙われるレノマさんも看守に目撃されやすくなり、危うそうな気がする・・・うーむ、厄介。
なんとか早いうちに驚異の芽は摘み取っておきたいものでありますな。
第124房 発覚
(2013年 41号)
本格的に脱獄作戦を始動させるレノマさん。
しかし外での作業初日からその姿を補足されてしまう。おやおや。
看守に見つかるよりは遙かにマシだが、よりにもよってスライスデビルに見つかってしまうとは・・・
さすがに備品室に忍び込んでハンググライダーを作ることまでは想定できない沢田。
85階の高さから夜の隙をついて地上に降りる練習でもしているのかと考える。
まあ何にしても目的は脱獄であるとすぐに推測できますわな。
てか待てよ。房の外に出てるってことは鉄格子を切断してるってことじゃないか。脱獄の動かぬ物証だ!!
うひょおお・・・と興奮で声が漏れてしまう沢田。
巡回の看守にチンコロしたらレノマさんは1発で終わる。
もちろんリクたち同じ房の仲間も罪に問われることとなるだろう。危うい・・・!!
一生、独居で拘禁されてろ。
実に嬉しそうな沢田。
そうとは知らず、上々の成果を得たと確信しているレノマさん。
下はどうだったかという松尾の問いにきっとやれると返している。
俺たちは今、自由への扉に手をかけた。
そういうタイミングこそ一番危ないって話なんですかね。
そしてついに862房。沢田のいる房に巡回の看守がやってくる。
看守に話しかける沢田。笑みを浮かべてゆっくりと起き上がる。言うのか・・・?
早く雑居房に移してくれよ。こんだけずーっと取調べしてもさぁ。看守殺しの証拠なんてなーんにも出てこなかったんだしさぁ。
おや、沢田は保護房からは出てきたものの雑居房にまでは移っていなかったんですな。
沢田以外の他の面々に知られたらという不安はいらなかった様子。
そして沢田自身も看守に伝える気はないようだ。
佐々木よ。テメェには独居拘禁など生ぬるい。
俺が受けた傷。殺し屋の誇りを汚された恨みは、んなもんじゃ解消しねぇ。
テメェだけはこの手でキッチリ殺ってやる。脱獄への希望が最高潮に満ちたその時・・・
希望があるからこそ絶望は色濃いものとなる。
特にその希望に手が届いたと思ったその瞬間に殺されるようなこととなれば・・・
そりゃあさすがのレノマさんも沢田が妄想するような絶望顔になるんじゃないかと思える。
殺られているレノマさんもだが殺っている沢田も濃い顔してんなぁ。
苦痛と絶望に歪んだテメェの生首だけが俺を浄化する。
そう口にしながらキレイなブリッジを描くスライスデビル。
月に照らされる絵は色んなキャラが見せてきた構図であるが、こんな奇矯なポーズ取る奴は初めてだ!!
お月様も分け隔てなくが信条とはいえこんな場面を照らさねばならんとは大変ですなぁ。
さて、極楽島公認弁護士のような仕事をしている田中一郎。
工場での仕事の代わりにこちらの仕事に従事しているみたいですな。大変だ。
田中一郎のプランはハンググライダーで建物から出た後の行動についてにシフトしている。
確かにその後の行動も重要でありますな。
極楽島はその名が示す通り島――絶海の孤島である。ここから脱出しなければ脱獄に成功したとはいえない。
ハンググライダー作戦を成功させた後、一体どんな障害が俺たちに待ち受けているというのか。
どれほどの時間を稼げるかわからんが、そう間を空けずに脱獄は発覚する。
そして直ちに手錠に内蔵されたGPSの追跡が始まる。
だが手錠は決行日までに全員外せるようにし、雑居に残していく。
そうすれば俺たち3人の居場所は・・・いや、昼間レノマが言ってたな。俺たち8人の居所はもはや誰にもわからない。
田中一郎はN棟に移るようなことを言っていたし、324房に来るのかとも思ったが違うみたいですね。
やはり残り1人はレノマさんのいうアテのある人物の様子。一体誰なのか・・・
それはさておき、外に出た後の田中一郎のプランについて。
そうなると・・・ここは最果ての孤島。島ごと封鎖されれば手も足も出ない。
民間の航空機、船舶等の出入を拒絶するだろう。そして時間をかけて脱走犯を捜索。
ただし封鎖にも限界がある。約2万人の市民が日々消費する物資は莫大だ。
備蓄などあったとして3か月程度。その先は輸送を再開せざるをえない。その時まで俺たち脱走犯は潜伏し、時を待つしかない。
だが建物はしらみ潰しに捜索される。ならば地下だ!
問題は警察権の有無だがGPSに絶対の信用を置く極楽島だ。その用意はなかろう。
いや、脱獄絶無を謳うこの島だ。あらゆる可能性を否定してはならない。
その場合・・・エサの調理係の囚人を買収し、犬に罪はないがエサに細工をせねばならない。
今から神木たちに地下壕を掘らせれば充分に間に合う。何日・・何か月でも潜伏してやる!
その間に神木たちが輸送船作業員を買収し、そして・・・脱出の際には壕に用意しておいた服に着替えて地上に出る。
輸送船まで怪しまれることなく接近し、神木が用意したコンテナの荷物に紛れ込む!!
やっと・・・やっと光明が!!やっ・・・と・・・
空を見上げ、太陽の光を受けながら微笑む田中一郎。
しかし直後に浮かんだイメージは足を滑らせ底の見えない闇へと転落していこうとする己の姿。
なるほど。これが脱獄王の自制心というやつでありますか。
プランを完成させんがために都合よく考えてしまっていると自戒する田中一郎。確かに憶測の部分が多いですわな。
リクが言ってたな。トンネル作戦が失敗したのは鉄板が埋め込まれていたと。
この鉄の悪魔がそんな生易しい作戦で破れるはずがない。
敵を知り己を知れば百戦危うからず。
そう口にする田中一郎が欲するのは見取り図のような極楽島の基礎情報。
やはり避けられないな。全看守が共有するデータ。非常事態マニュアルを手に入れるしかない!!
キリリとしながらカメラ目線で締めてくれる田中一郎。さすがと言える。
それはさておき、なるほどね。これが田中一郎がインターネットの使用許可を求めた真の理由か。
外への接続ではなく刑務所内のデータを漁るのが目的であったわけだ。
これならば後で接続先を調べられても不審に思われる可能性は低くなる。時間とか詳しく調べられるとヤバイですが。
しかしマニュアルならPCローカルにうっかり持ってきてたりしないのだろうか。さすがにそれは厳禁となっているか?
ローカルにあるならば柳原看守部長の目をかいくぐって閲覧するだけであるが・・・
というか全看守が共有しているのなら山岡さんから聞けないものだろうか?
まあ一般人となった山岡さんを今からさらに巻き込むのもアレであるが・・・遠慮している場合でもないしなぁ。
とりあえず脱獄王の手腕を見守るとしましょう。見取り図の時ほどは危ない橋は渡らない・・・はず。
そういえばやたらと神木さんを頼りにしていますが自身の革命党を動かすつもりはないのだろうか。
神木さん経由で連絡は取れそうなものであるが・・・やはり弟と同じようにスパイの存在を懸念しているのだろうか。
実際スパイはいるわけだし、革命党に作戦概要を漏らしてしまうと終わってしまうわけだが・・・はてさてどうなりますか。
第125房 必携
(2013年 42号)
逃走作戦を練るのにどうしても必要となる非常事態マニュアル。
このときのためにパソコンを使用できる環境を整えておいたのだ。
さっそく柳原看守部長に今夜中に急いでまとめないといけない案件があると説明する田中一郎。
監視する柳原看守部長の他の仕事の兼ね合いからなのか、田中一郎が作業できるのは夜になってから。
おかげで最終バスの時間を気にしてチェックが甘そうな柳原看守部長。これも狙いの1つなのだろうか。
今回の田中一郎の狙いは非常事態マニュアルの在処。
窓に移ったPCの画面を見てどこにそれがあるのかを確認する。分かりやすい場所にあってよかったよかった。
さて、マニュアルの在処は判明した。次はそれをどうやって手元にコピーするかである。
PCから持ち出すことになるので保存するもの――USBメモリが必要となる。
ここは調達屋として有名なレノマさんに頼むべきところでありましょうな。
どうでもいいがUSBとしか言わないのはどうなのだろうか。コネクタ部分だけでメモリ機能がないケーブル持ってくるかもしれんぞ!
というか何に使うかぐらいは別に教えても良かったんじゃないですかね?
メンバーは集まっているのかという問いに、もうとっくに備品室の鉄格子の切断にとりかかってると返すレノマさん。
確かにとりかかってはいるけど残り1人のメンバーについてはどうなったんだ・・・?
説得で引き込んだ奴はチンコロする可能性があると述べる田中一郎。
それに対し、あいつらはそんな奴じゃねえよと返すレノマさん。いいですなぁ。信用しているんですなぁ。
拳を交えた仲だからこそ分かる絆のようなものを感じます。
レノマさんはここで田中一郎に相談をする。
どうやら外からの作業に想像以上に手間取っているらしい。
15分おきの巡回のたびに房に戻らなきゃいけないから、とのこと。
おや?それは人形をこしらえて寝ているように見せるという作戦じゃありませんでしたっけ?
そりゃあ田中一郎にも前に教えたろとか言われちゃいますよ。
ぐああああっ!!くそイラつく!!
冷静な大人のツッコミにイラつきながら雨の中作業を行うレノマさん。わざわざ悪天候の中でやらなくても・・・
おかげで日中も凄く機嫌が悪そうであります。イラついてるイラついてる。
そんな最中に、他の囚人を殴って看守に怒られたストレスを発散している奴を発見するレノマさん。
ならば俺もと殴っていた奴を殴りつけてしまうレノマさん。ボッッゴオン。
殴られていた坊主の囚人に恩を売る形となったレノマさん。もちろんこれはストレス解消だけで行ったわけではない。
ところでよ。お前のやってる図書係ってよ、蔵書管理はパソコンでしてるんだろ?
なるほどなぁ。外からの持ち込みは制限されて厳しくなっている。それなら中から仕入れればいいという発想になるわけか。
ストレス解消しながら目的も達成しようとするレノマさん。さすがに如才ない。
というわけでレノマさんからUSBメモリを受け取った田中一郎。いよいよマニュアル奪取作戦決行だ!!
まずは鉛筆をわざと落とす。足でコントロールしてなるべく遠くまで転がるようにする。
通常の工場の場合、試験中の受験性のように看守に願い出て拾ってもらわないといけない。
しかしここは工場じゃないから勝手に拾えと言われる田中一郎。それは困るな。
ここは監視の目を逸らすために柳原看守部長に拾ってもらわないといけない。
なので鉛筆って案外危険なんですよねと突然語り出す田中一郎。まあ尖っているし充分凶器にはなりえますわな。
この脅しに乗せられ自ら鉛筆を拾いに行く柳原看守部長。
その隙に素早くUSBメモリを刺し、非常事態マニュアルのコピーを行う。
USBはメモ用紙で隠しているが、コピー中の作業画面は前面に出たままとなっている。思ったより遅い!!
鉛筆を拾って振り向いた柳原看守部長。しかしその段階でまだコピーは40%という遅さ。思ったよりファイルが大きいのか?
仕方がないので時間稼ぎ作戦の開始!!
まず立ち上がり、柳原看守部長の前に立ってお礼。
甘シャリの便宜を図っていただいたりしたことについてちゃんとお礼をしたいと言い出す。なんだか爽やかだなこの田中一郎。
しかしそれだけでは大した時間は稼げていない。ので躓いたふりをして足を止めさせたりする。なんかコントっぽいぞ!!
そうした健気な努力によって稼いだ時間により――どうにか気付かれることなくコピーすることに成功した。フゥー・・・
映画とかでは定番のドキドキシーン。漫画でもなかなか緊張する流れでありました。
しかしロード画面を後ろに回せば見つからなかったのではなかろうか?
そう思わないでもないが、コピー完了時に最前面に出てくる可能性がありますからねぇ。やはり終わっていないといけないか。
さて、無事に入手した非常事態マニュアル。
例の携帯電話の充電機はUSBを接続するコネクターにもなっているらしい。
これならばじっくり読んで作戦を立てることができますな。良かった良かった。本当に高性能だなこの携帯。
非常事態マニュアルを確認する田中一郎。しかし読み進めるうちにその驚愕の内容に体が震えだす。うそ・・・だろ・・・
当刑務所より逃走者が発生した場合、炊場の一部受刑者以外自動遠隔装置によって囚人の手錠を施錠。房内監禁とする。
管区特級機動隊刑務官及び余剰人員を含む全ての職員は別項参照のいずれかの捜索隊に所属するものとし、
逃走者の捜索及び確保の専念を第一義にしなければならない。
ふむ、ここまでは大体想像できるところでありますな。問題はここからだ・・・
その際、一般市民の全てを逃走事件発覚後早急に島外へ強制退出させる。
第十四条(捜索方針)
第六条に掲げる事項により策定する計画に基づき手錠GPS機能の位置情報による捜索を基本方針とするが、
不測事態によりGPSが適切な機能を果たさない場合は刑務所以外のいかる例外地域を設けることなく――
全土を爆撃・焼却及び化学兵器による攻撃を実行し逃走犯の捕縛あるいは殺害に全力を傾注する。
まさかそこまでやるとは・・・!!
これは呆気にとられるしかない。これでは潜伏作戦など通用するはずもない・・・
さすがに大仰すぎるのではないかとも思うが、脱獄絶無を謳う極楽島としてはこのくらいはやらねばいけないんでしょうな。
今後の見せしめという意味もあるのかもしれない。でもかかる費用は莫大なものとなりそうだなぁ。
一応、逃亡が判明し、手錠のGPSが機能しない場合に爆撃を開始するという流れではあるんですな。
であれば、GPS手錠を房内に残さずに外に持ち出すようにすればいいのではなかろうか?
持ち出して誰かに持たせて移動させる。または動物に括りつけて適当な場所に移動させる。
そのような攪乱を行えば爆撃までの時間は稼げる。その間に逃亡するという流れに持ち込めれば・・・
問題はどうやってその短期間で島外に逃げるかだが――そこは田中一郎が考えてくれることだろう!!
結局肝心なところは脱獄王まかせとなった想像はさておき。
脱獄の準備を進める324房でも異変が発生。
相変わらずレノマさんは人形を用意しておらず、巡回のたびに戻っている様子。
しかし4分以内に戻ってきたり出来るものなのだろうか?凄い速さで引き上げられていそうだ。
まあそれはさておき、見張りをしていたリクが警告を発する。
おい・・・巡回だ。
予想外に早い巡回。果たして誤魔化すことはできるのだろうか・・・
順調に行くかと見せかけて畳みかけるようなトラブル。
脱獄ロードはやはり長く険しい道のりでありますなぁ。
第126房 宝箱
(2013年 43号)
通常よりも早い巡回時間。何日も作業をしていればこういうイレギュラーは当然発生する!!
レノマさんはまだ時間に余裕があると思っており戻っては来ない。どうするリク!!
むしろ最悪のタイミング――看守と鉢合わせになりそうなタイミングで帰還しようとするレノマさん。
その不吉が示すかのように命綱に切れ目が走る。ビ・・・。
不幸ってのはやはり立て続けに訪れるものなんですなぁ。田中一郎の非常事態マニュアルの件といい。
ついにやってくる看守。
とりあえず寝たふりだけはしないといけないので全員布団に潜り込む。
ひとりひとり、ちゃんと房内にいるかの確認を行う看守。レノマさんは・・・いた。ちゃんと布団から頭を見せている。
いや、本物のレノマさんは未だに外にいました。命綱も切れそうになったが素早くその上を掴むことで事なきを得たようだ。
実際目の前の部分が切れかかったからよかったものの、もっと上の方が切れそうになってたら絶体絶命でありましたなぁ。怖い怖い。
外のレノマさんも中のリクたちも寿命が縮まる思いを経験した。
リクの100年はともかく天野の300年ってどういうことだよ。お前らどんだけ長生きするつもりだよ。
それにしても、がんばってこしらえた甲斐がありました。
そう言って天野が触れているのはレノマさんの頭を模した人形である。
やはり田中一郎の言葉通りダミー人形を作成していたんですね。
看守はいちいち中に入ってくるわけではないし、布団から頭が見えていればそれで十分となる。
紙とのりで作ったハリボテでいい。なんせレノマさんは目立つ頭をしているこの髪型なら後ろ向きでも十分誤魔化せるってわけだ。
しかし一応前面の顔の部分も精巧に作ったりするあたり職人のこだわりが見えますな。
紙は本を千切って用意。のりは食事の米を使う。
麦が混じった飯なので水につけて比重の重い沈んだ米を取り出してのりとするとのこと。なるほどねぇ。
髪の毛についてはガリ――囚人の散髪時に散髪係にエサを与えて調達するとのこと。ふむ。
顔を描く顔料も菅くんがしこたま抱えているし、作成には問題なかったというわけですな。
だがこれは万が一の時のためのものである。見抜かれる可能性はいつだってあるわけだし危険はなるべく冒したくない。
なので15分おきに戻ることを基本としていたわけだが・・・
文句を言うリクに対しレノマさんはなんだかやたらと涼しげな顔をしてみせる。カッコイイけどどこ見てるんだ。
まあ、レノマさんはちゃんと15分で戻ろうとはしてたんですけどね。今回はたまたま巡回が早かっただけで。
だがリク。よく判断してくれたな。石けんを落としてくれなきゃ――でねえと看守とカチ合うところだった。
ああ、何か命綱に柄のようなものがあるなぁと思ったら穴を開けた石けんだったのか。
これを人形作戦実行の合図として用意していたらしい。
確かに気づかずに登ったら確認している看守とご対面なんて可能性もあるわけですしね。リクも素早くいい判断をしたもんだ。
頼もしい仲間たちを前にし、レノマさんは突然謝罪の言葉を述べだす。
かんべんしてくれよ。
ちょっとのつもりがよ、総転房まで房の鉄格子に切り込み入れる程度のつもりだったのによ、すっかり切っちまった。
だが安心していい。総転房の検査の時までには瞬間接着剤を手に入れる。それで仮止めすれば、まずバレない。
ああ、ようやく鉄格子を切っちゃったことに対してのフォローが入りましたか。
いきなり完全に切断しちゃってどうなることかと思ったが。安心した。
まあ意気揚々としているレノマさんが勢いでやっちゃうのは仕方のないことですよね。
須藤くんもそういっている。どうせ止めたってやっちゃうんでしょ、と。だってボスですものね。佐々木麗乃真ですもの。仕方ない。
そして数日後。ついに備品室に至る鉄格子の切除が完了する。
まさか祝いじゃあるまい。鉄格子を切り終えるまでのこの10日間で初めてじゃねえか、こんな風の無え日なんてよ。
イヤミか。極楽島よぉ。
そんな言葉を残しつつ、ついに備品室への侵入を果たすレノマさん。
違う・・・思っていたもんとは全然違う。想像以上の宝の山じゃねえか!!
このビニールシートは・・・翼に使える!
このパイプはフレームにはもってこいじゃねえか。
この板なんかよそのまま滑走路になるぜ!!
飛び去るリクとそれを見送る自分たち脱獄組の姿を思い描いて笑みを浮かべるレノマさん。
一仕事やり終えていい気分になっているみたいですな。
そういやここはいつもいる85階から5階下。
あんまり変わんねえもんだと思っていたが、こうして見るとやっぱり少し地面に近いんだな。
けど月にゃ近くなった気がするな・・・そりゃ気のせいか。
やり遂げた解放感に包まれ、清々しい顔で月を眺めるレノマさん。いい光景ですねぇ・・・
しかし当然のことながら備品室に入った際に命綱は外しているんですな。
長さを考えると外さないと中の散策はできませんものね。
外している間にダミー人形作戦を実施された場合どうなったのだろうか。落とした石けんが地上まで落下したりして。
いやまあ、後で登るために命綱は必要だし、備品室の適当な鉄格子か何かに結び付けてありますわな。きっと。
備品室は想像以上の品揃えであった。
そのことを田中一郎に報告しにいこうとしているリクたち。今回は天野と松尾も同行している。
そういえば2人は田中一郎に会うのは初めてなのか。脱獄王に会うということで緊張している様子ですな。
まあそんなに心配しなくても田中一郎は優しいおじさんですよ。レノマさんの方がよほど怖い。間違いなく。
でも今は非常事態マニュアルの件で荒んでいるかもしれない。凄い怖い顔してたらどうしよう。また天野の寿命が縮むな。
リクの言葉に安心した天野たち。
しかしN棟に向かう途中で立ちふさがる人影があった。
よおー。佐々木ー。久しぶりだな。
なんとまあ、このタイミングで現れるのかスライスデビル!!
一体何を企んでいるのだろうか・・・?
脱獄のことを知っているだけに色々と脅しをかけてきそうではあるが・・・
でも沢田はレノマさんが脱獄に成功しそうな瞬間を狙っているのではなかったっけか。
もしかして仲間に加わったふりをして脱獄の瞬間に殺そうと考えているとか?
元々は短期刑だったが看守殺しの疑いがかかっているので刑期は長くなる可能性はある。
そういったことを理由にすれば俺も加えてくれという言葉の信憑性は少しはあることになるが・・・はてさて。
もしも本当にそういう申し出が出た場合、どう動くか難しい所でありますな。
口封じをしてしまうのが一番簡単ではある。
せっかくだからどこかに埋めてしまうなりして所在を分からなくし、非常事態マニュアルがどこまで実行されるか見るのも手である。
まあ、さすがにそういった作戦はリクが止めるから実行はできないだろうが・・・うーむ、どうなりますかねぇ。
第127房 別離
(2013年 44号)
順調に進んでいるかのように見えた脱獄作戦。しかしその作業は厄介な男に目撃されていた。
このタイミングでレノマさんの前に現れた沢田。
レノマさんに対し、夜な夜な壁にへばりついていたことを知っていると告げる。そしてその理由は――
脱獄か。
これはまずい。チンコロされたら一巻の終わりだ!!
沢田の一言で衝撃走る。レノマさんは口封じに殴り掛かろうとするが、沢田は先んじて安心しろと語り出す。
だってよォ。俺たちは仲間なんだからよ。
俺も脱獄メンバーに加えろってんだよ。今日のところはとりあえず挨拶だけ。
また後日詳しく教えろ。じゃねえと・・・
おやおや、やはりその手で来ましたか。
まあ前にレノマさんを発見した時も脱獄に成功したと思ったタイミングを狙って襲うとか言ってましたものねぇ。
それを果たすのであれば一度仲間に加わる必要があるのは当然か。
断ることができず怒り満面のレノマさんでありました。うーむ。
田中一郎に会いに行くのは延期し、4人でどうするか相談。
リクとしてはあんな奴絶対に仲間にしたくないという想いは強い。そりゃあそうだ。
しかし残念ながらチンコロされたら一発で終了の状況である以上、どうにもならない。受け入れるしかないか・・・
沢田は考える。レノマさんを殺す最適なタイミングはいつであるかを。
刑務所内で殺るにはリスクが高い。看守にバレたら何十年も加刑をくらうことになる。
看守殺しの時は証拠隠滅できる条件が整っていたからやっただけである。
かといってシャバに出ちまってからは奴の取り巻きのガードが邪魔になる。
殺しはタイミング。壁の中でもない外でもない出るか出ないか一瞬のタイミング・・・
俺の逃げ道が整う時。佐々木が喜びの絶頂に達する時。復讐の時は!脱獄成功のその直前!ああ・・・楽しみ・・・
さて、結局天野達は田中一郎に会うことはなかった。
後日リクは1人で田中一郎の元に向かい、USBを返してもらうこととする。
もともと図書係から持ち出してもらったものだろうし、戻さないとマズイものでしょうからねぇ。
緊急事態マニュアルの件で頭を悩ませているはずの田中一郎。
それでもリクに対しては、心配するな。必ず突破してやると心強い返事をしてくれる。頼もしいことだ。
ついでに沢田の件について相談。
田中一郎としてもその判断はやむを得ない。今はそいつの希望を飲むのが得策だろうとの回答。
レノマにも俺がそう言っていたと早く戻って伝えてやれ。レノマとて不安な夜を過ごしたはずだ。
相変わらず優しいですなぁ、田中一郎は。
そしてもう一つレノマさんに伝えて欲しいことがあると述べる田中一郎。それは総転房のこと。な、なんだ・・・?
いよいよ総転房を来週に控えた極楽島特級刑務所。
レノマさんは今回も同房にしたい者を希望したいと谷村看守部長に告げる。
しかしさすがに口にしたメンバーはそうそうたる面子でありますからなぁ。谷村も渋る。
そりゃあ良からぬことを考えているのではないかと疑われても仕方がない。実際考えてますしなぁ。
奴らに我々のワイロ関係を知られました。野放しにしておくのは危険です。奴らも抱き込んで恩恵を分け与えるのが得策かと・・・
それにケンカをするのは敵対する工場だからです。同工場・同房なら身内ですから。
ふむ、なかなか面白い理由づけではありますな。
確かに問題起こす連中が身内になって問題を起こさなくなるならそれはそれでいいことなのかもしれない。
それに同工場になるのであれば次の運動会の優勝は確実なものとなるでしょうしな。谷村としても美味しいはずだ!!
そんな事前交渉を終え、ついにやってきた総転房の日の朝。
朝食の時間をしんみりした顔で迎える一同。
324房を去る3人は既に荷物を纏め終えている。
別れを惜しむノギはせめての記念にと324房の畳の一部をむしっている。ノギらしい行動ですな。
それを発見した菅くん。無言で引き千切り、三等分にする。そしてそれをノギ、須藤くん、自分の3人が受け取る形にする。
うーむ、職人らしく無言ながらもいい仕事をしますなぁ、この人は。
いただきます。
朝陽が後光のように差し込んでいる。
この7人全員が揃って最後に行う朝食。最後のいただきます。万感の念が籠っていそうでありますなぁ・・・
さて、リク達が工場に出役している間に看守たちによって荷物の入れ替え、房内点検、総転房が行われる。
これによって完全に3人はそれぞれ別の房へ移っていくこととなったわけだ。寂しい話です。
しかし・・・むしろ324房は賑やかなこととなりそうな予感がある。
椿。レノマ。松尾。江田。天野。
ゴッツイ奴らが揃って立つ見開きはなかなかに圧巻。この連中だけになると史郎さんですらデカすぎることはないってのが凄い。
揃いも揃ったな。けど・・・あと・・・このもう1人・・・
沢田ではなく・・・誰だよこいつ!
なぁ。この房、ちょっと酸素薄くねえか?
謎の7人目が登場。これが前にレノマさんが言っていた残り1人のアテというヤツなのか・・・!?
考えてみれば沢田はまだ雑居房には移れない状況かもしれませんしね。
であるならば、残る1人に新たなキャラが入るのも不思議はないのかもしれない。
そういえば田中一郎が総転房のことについて何か言ってましたなぁ。もしや田中一郎との連絡要員か?
何にしてもこの面子じゃあ酸素も薄くなろうってものである。部屋が一気に狭くなった感じがするぞ!!
沢田は同房ではない。となれば脱獄決行時に置いていくことも可能なのではなかろうか。
偽の計画を沢田だけに伝え、実行日も誤魔化しておけば可能性はある・・・かな?
そういえば田中一郎も同房にはいないんですな。まあ年齢が違うから当然と言えば当然なんだが。
しかし前にN棟に移る下準備がどうとか言ってたはずなんだが・・・
まさか新キャラの男となんらかの手段で入れ替わる流れなのか?むしろ田中一郎の変装!?いや、そんなまさか・・・まさか・・・
第128房 新生
(2013年 45号)
新生324房始動!!であるが、沢田はどこに行ったのだろうか。
その疑問は今回の冒頭で語られる。
数日前、田中一郎は総転房のことでレノマに伝えてほしいと切り出してきていた。
どうやらその内容は沢田に関してのことだったらしい。
その沢田という男、メンバーの集結する324房に入ることを拒んでくるはずだ。
強請ってくるでもなく、仲間に加えろと近づいてくるあたり衝動に任せるばかりのただのバカではなさそうだ。狡猾な男だ。
メンバーと同房でいては作戦が発覚した際、自分も加刑されるリスクがある。
恐らく沢田が望むのはメンバーとつかず離れずの関係を保ちながら、自らも脱獄をすること。
つまり、メンバーのうちの誰かを人質に、別の房に入れるように要求してくるはずだ。
その田中一郎の分析は的を射ている。
324房の隣、325房に沢田の姿はあった。そして一緒の房にいるのは・・・田中一郎!!
これでいい。あんたと同房なら絶対に仲間外れにはされねえからな。
うーむ、さすがに自分だけ置いて行かれるというケースは沢田も想定しておりましたか。
確かに田中一郎を置いていくという選択肢はないでしょうし、狡猾なことである。
まあ、決行日に田中一郎が沢田を抑えることができればその限りではないでしょうが・・・危険な話か、それも。
それはさておき、田中一郎はいつの間にN棟に移ってきたのだろうか。
総転房のタイミングで移ってきたのでしょうが、そのためにはやはり危ない橋も渡っていた様子。
まず柳原看守部長にもう弁護の仕事を辞めたいと伝える。
当然看守仲間に弁護の斡旋をしていた柳原看守部長は焦る。
日中は工場を抜け、夜も呼び出されているため、何かオイシイ思いをしているのではないか。
周りの囚人にそう思われ、ねたみが最近辛いと打ち明ける田中一郎。もちろん述べるのはそれだけにとどまらない。
噂は尾ヒレをつけて広まりますよ。それはあなたにとっても有意義な話ではないと思うのですが。
もはや、俺たちは一蓮托生の関係。でしょ。
お、脅しだ!!脅しが入ったぞ!!
この瞬間のためにこれまでへりくだった様子を見せ、信用を築き上げてきたのだ!!
実際弁護仲間への斡旋はかなり美味しい話である。田中一郎転房の話を聞いて色めき立つ看守も多いようだ。
なので弁護を続ける代わりに出されるお願いもある程度は許容しなくてはならなくなった柳原看守部長。あらあら。
そして今回田中一郎が出した願い出が――
私をN棟に移籍させてください。N棟に友人がいるんです。弁護の仕事は移籍しても続けられます。いかがでしょうか。
なるほどねぇ。見事な一手でありましたな。
これで遠く離れたS棟に一人だけいるという状況も解消されることとなったわけだ。よかったよかった。
若者の中におっさんが1人で過ごすようになるのは大変かもしれませんが・・・まあ、S棟にいる時も1人だったしそれはいいか。
田中一郎の方はそれでいいとして、気になるのは324房の残る1人。
レノマさんがアタリをつけてきたという人物であるが、一体何者なのだろうか。食事中にも寝てるし。
レノマさんは作戦のメンバーとしては何も問題ないと語る。
であるならばその信用に足る根拠を聞かせていただきたいものである。
という感じのリクの様子を受けて語り出すレノマさん。こいつの名は――唐周龍(タン シュウロン)。
それは9年前。レノマさんが下獄し、史郎さんが入ってくる少し前のこと。
レノマさんは毎日のように囚人たちとのケンカに明け暮れていた。
当然入ってすぐにボスの座が手に入るわけではありませんからなぁ。
群れの中で生き抜くために力を見せている最中だったということでしょうか。
そんな戦いに明け暮れる囚人の中でただ一人、喧騒とは無関係に自分の欲望に忠実な奴がいた。
外に出たいという想いによるものなのか、高い高いフェンスをよじ登る唐周龍。
昼の日中でそんな行為が見逃されるはずもなく、放水によって叩き落される。即射殺じゃないだけ優しいとみるべきですかね。
さらに見せしめの刑も椅子の上にバケツを持って立たされるというもの。
なんだかんだで小さな少年相手だと刑も緩やかになるってことなのでしょうか。リクは割と毎回酷い目に合ってる気がするけど。
レノマさんはケンカの罰で1週間の軽屏禁。
それが解ける一週間後。若い頃の谷村らしき看守に連れられて房を出るレノマさん。
うーむ、この谷村・・・本当に若い!!モミアゲは同じようにあるのに汚らしさが少ない!!
時の流れは谷村もさらに汚らしくしてしまうというのか・・・!!
まあ、谷村のことはどうでもいい。
レノマさんがふと外を見ると、運動場には雨の降りしきる中、立たされている唐周龍の姿があった。
また騒ぎを起こして立たされているのだろうか。そのように考えたレノマさんだが、どうやら違うらしい。
くり返し騒ぎを起こして立たされとるわけじゃない。
1週間前からそのまま立たされとるんだ。なんの役にも立たんムダな根性だけがある例外のクズだ。
ぶっ倒れりゃそこでカンベンしてやろうものを、食わず寝ずだぞ。あきれたクズだ。
ふーむ。そりゃあ気合が入ってますなぁ。レノマさんが目をつけるのも分かる気がする。
でも今は何だか気の抜けた奴になってしまっているみたいですが・・・これも9年の歳月の結果なのか?
夜。眠る前に天野と松尾に話しかける椿。
例の第27木工場と第16木工場の戦いでは2人をいたぶった経験のある男だ。
その男と同房になる。複雑な想いを抱えて当然の状況。
しかし天野はこう述べる。すんだ話よ。もう、俺たちは仲間だ、と。うーむ、カラッとしたいい発言だな。男らしい!!
仲直りの握手とかしているみたいですし、爽やかな奴らでありますなぁ。
さて、唐周龍はまともに寝間着に着替えられなかったりと相変わらずの緊張感のなさを見せている。
リクとしてはレノマさんから昔の話を聞いたとしても不安は隠せない様子。
だがここでさらに面白い話を聞かされる。
あいつにはシャバに待たせてる人間がいる。
俺がシャバに残してきたダブルドラゴンクロス。
それをはるかに凌ぐスラム最大のギャング、ドラゴンクロス。奴はその2代目だ。
なんとまあ・・・あのドラゴンクロスの2代目だと!?
というか、今でもドラゴンクロスは最大チームであり続けているんですな。
ダブルドラゴンクロスが台頭したことでどうなったのかと思ったが。
というかドラゴンクロスとダブルドラゴンクロス。スラムの人間としては紛らわしくならないのだろうか。
同チームというならともかく、普通に対立してるチームのようだしなぁ。
まあ、レノマさんが子供の頃に対抗してつけたチーム名だから仕方がないといえば仕方がないのですが。
ともかくこれは確かに最強のチームが出来上がったと言ってもいいかもしれない。
これならば脱獄した後も再逮捕という憂き目には合わずに済むかもしれませんな・・・
だがまず考えるべきは此処からの脱獄。
それが果たせなければ先のことを考えても仕方がない。
いよいよ新体制で動き出す脱獄ロード。果たして順調に推移するのだろうか・・・注目であります。
第129房 世界
(2013年 46号)
総転房が実施され、迎える初めての夜。
レノマさんから素性を聞かされたとはいえ、やはり唐周龍に不安の色を見せているリク。
まあ、頼りにはなるかもしれないが、考え方とか知れているわけではないですからなぁ。気持ちは分かる。
また、隣の房でもじっと隣の寝姿を監視している男の姿があった。
田中「もう夜が明けるぞ。そうやって24時間俺を見張ってるつもりか」
沢田「嫌か?」
田中「好きにしろ」
いや、普通どう考えても嫌だと思いますよ。田中一郎も気にせずそう言ってもよかったのではなかろうか。
それはさておき、沢田は尋ねて来る。脱獄のこと、特に刑務所に出てからの話について、だ。
さすがにハンググライダー作戦の部分については嘘は教えていない様子。
会話の端々や行動によってバレた時の沢田の行動が怖いし、まあ嘘は得策ではないですわな。
しかし刑務所から出た後の話を聞かれるのはよろしくない。なのでとりあえずこう答える。
完璧だ。プランは完璧だ。
この島に潜入している仲間に、俺たちが潜伏するための地下壕を掘らせた。
島内捜索のほとぼりが冷めたタイミングで一気に海外へ逃亡だ。
ふむ。潜伏して海外に、か。緊急マニュアルの内容を知らなければ田中一郎本人でも上手くいくのではと考える内容ですな。
沢田も一応納得したのか、今夜の監視は終了としてくれた様子。厄介な奴だ。
自ら人質として同じ房に入った田中一郎もさすがに手を焼いているみたいですなぁ。
機嫌を損ねないようにうまく立ち回っていかないといけない。だが・・・
きっちり脱獄直前で切り捨ててやる。せいぜい、いい夢見てるがいい。
その様に決意する田中一郎でありました。頼もしい。
しかしこの沢田の笑みはやはり怖い。どこまで田中一郎の嘘を見抜いているのか・・・判断がつかないなぁ。
どうでもいいが、房内で堂々と脱獄の話をするのもどうなんだろう。ちゃんと他の連中は眠っているのだろうか。怖い話だ。
さて、再び324房。史郎さん、布団に入りきらずに足が出てしまってるじゃないか。
いやまあ、それはさておき。
リクは隣で眠る唐周龍に声をかける。起きてんの?と。
その声に、周龍でいいよと答えながら目を開ける唐周龍。
こんな視線ピリピリしてる中で、眠れやしねえよ。
おや、どうやら2人だけではなく全員起きていたみたいですね。
やはり皆周龍の存在が気になっている様子。
体を起こし、完全に話をするための体勢となる。
どうでもいいが、昼間も視線を受けまくってたはずなのに寝まくってたじゃないですか、唐周龍。
まあ、それはさておき――
リクは語る。メンバーになるための絶対条件。それはシャバに出ても悪さはしないというものである。
やれんのか?
相変わらずこの辺りのリクの考えは揺るぎがない。
リクのことを知らない周龍としてみれば、ガキが何を言い出すのかと言ったところでありましょう。
なんせ自分はギャングである。それに対し、悪さをするなというのはなぁ。
レノマは誓ってくれた。もし自分が悪さをした時は殺してくれとまで言った。
確かにそのような誓いをしておりましたな。これは周龍も分が悪い。
ならばと他の連中も含めて問う。償いを終えていない囚人が脱獄してもいいのか?と。
法を犯すという"悪さ"には触れねえのか、と。
確かに脱獄という行為自体が世間から見れば悪に分類される行為といえる。
まあ、ケンカとかは大目に見られているみたいですし、悪さにも基準があるんじゃないかと。いやいや、さすがにランクが違うか。
というわけで、その法というものについて言及することとなるリク。
極楽島の法も、スラムの法も、人のことを・・・
持ってる金が多いとか少ないとか、えらいとかえらくないとかで区別して、
ゴミ溜めみてえも壁で囲って気分次第でムショ送り。俺はめちゃくちゃな法だと思う。
全部、鬼道院が作った法だ。そんなもんに従う義理はねぇ。
悪法もまた法なりという言葉はある。だが鬼道院の作り上げた歪んだ秩序に全ての人が付き合わなければならないのか。
少なくともそれに虐げられている人たちは納得がいくはずもない。このような考えにいきつくのも当然ではありましょう。
まあ、それをハッキリと口にできるのはやはり若さということか。おもろいやっちゃで。
周龍はそのような返答をするリクに問う。お前はここを出て何がしたいんだ、と。
鬼道院をぶん殴る。
非常にシンプルな答えである。
そしてリクは語り出す。この刑務所に来て、みんなに会って、いろんな話を聞いてずっと思っていたことを。
みんなに会えて本当によかった。でもさ・・・もしも・・・あの街に壁なんてなきゃ、みんなと出会うこともなかった。
それでも・・・それでもさぁ・・・俺ぁ・・・やっぱり・・・みんな、悲しまずに楽しく暮らしてほしかった。
13歳の少年が抱く望みは、みんなが平穏に楽しく暮らせる世界であったという。なんとも悲しい話だ。
そしてその世界のことを口にした時、リクはおじさんの言葉を思い出す。
そう、おじさんは言っていた。この街はもうすぐなくなるぞ。約束する!と。
おじさん・・・あの時すでに・・・おじさんはもう・・・なんかしようとしてくれていたんだ!!おじさん!!
優しさの象徴であり、おじさんを思い起こさせる存在であるお月様。
そのお月様におじさんの姿を見ながらリクは想いを口にする。
俺も・・・こんな世界ひっくり返して・・・終わらせたい・・・
今はまだ全然やり方はわかんないけど・・・鬼道院をひきずり降ろして・・・ぶん殴って・・・
おじさんの・・・意志を継ぐんだ・・・
壁をぶっこわして、新しい世界を作りたい。
それはまさに少年が見るような夢である。しかし、もしそうなってくれたらとスラムの多くの人が望む夢でもある。
天野のようにスラムの壁に悩まされた男にしてみれば、まさに理想の夢でありましょうなぁ。
そして、おじさんが夢見たまともな街を作って。まともな法ができた時。
この脱獄の罪はその法で裁いてもらう。
なるほどねぇ。筋の通った話である。世間的にどうかはともかく、男として筋の通った話である。
これにはレノマさんや椿、周龍までもが笑みを浮かべる。やはりたいした男だよ、リクは。史郎さんも感極まって叫んでしまうぐらいだ。
その話乗ったぁ!!
夜中に大声で叫ぶものだから巡回の看守が飛んできてしまっている。
ハハハ。寝言ですよ寝言。史郎さんなら普段からでかい寝言の1つや2つやらかしてるでしょう、きっと。
まあ、ともかく丁度いい感じに話は水入りとなった様子であります。
周龍の考え方はまだよく分からないが、リクの考えを否定する様子は見せていない。
最大規模のギャングの頭としてはスラムの状態の方が都合がいいことも多いのではないかと思われる。
しかし、今の様子を見るとそういう考え方はあまり見せていない感じであるが・・・その真意はいかようなものでありましょうか。
ともかく、この日の夜はリクにとって決意の夜となったようである。
おじさん・・・俺やるよ。あの街を変えてみせる!
リクが本当の意味でおじさんの意志を継ごうとしている。これは嬉しい話でございます。
鬼道院の悪事の証拠を突きとめ、危ない所にまで追い詰めていたおじさん。
田中一郎の革命党も、おじさんの存在については調査をしていた。
この辺りの話を擦り合わせれば、脱獄後の打倒鬼道院という展望も開けてくるのではないだろうか・・・期待したい!!
第130房 周龍
(2013年 47号)
脱獄後のことを語ったリク。
心が纏まったところで、いよいよ全員に脱獄計画の詳細を伝えていく。
まずは手錠抜け。GPS付きのこの手錠を外せるようにならないと話にならない。
関節を外すのにもコツはいるし、事前に特訓しておかないといけませんわな。
そんな話をしている7人。いや、6人。
324房全員揃っているのかと思いきや、周龍は1人運動場を走り回っている。
ふーむ、周龍は今まで独居暮らしだったのか。この9年間ずっと問題児だったわけなのか?
さすがにずっとかどうかは分からないが・・・独居入りさせられるだけの抵抗はしていたわけですな。ふむ。
史郎さんがいうように、ようわからんやっちゃである。
さて、夜になったことでいよいよ手錠抜けの特訓開始。
周龍は相変わらずの居眠り。視線浴びてるのにしっかり眠ってるじゃねえか。
レノマさんが苦戦した手錠抜けであるが、さすがに椿。すぐにコツをつかんで見事に成功してみせる。
静かにだが、外せたことの感慨を口にしている椿がいい感じですなぁ。おお・・・
地味に天野も外せているのだが、まあ天野たちは事前に聞いていて練習していたんでしょうな。
さて、問題のレノマさん。実はまだ出来るようになっていなかったのではないかと疑われていたレノマさん。
しかし見事に外して見せる。おぉ、出来るようになったと言ってたのは嘘じゃなかったんだ!!
だがどうやらかなり痛いらしく、あんまり何回もやりたくはないらしい。なるほどなー。
意地張ってこっそり痛がるあたりが流石というか何というか。可愛らしいことである。
どうでもいいが史郎さん、さすがに声がでかすぎじゃないっすかね。ヤバイ単語は出してないけども。
そんな風に皆で騒いでいる中、いつの間にか目を覚ましていた周龍。
いやまあ、あれだけ史郎さんがデカイ声で叫んでいたら目も覚ますか。
それはさておき、周龍は324房の面々の名前と刑期を次々に上げていく。
天野渉。建造物等損壊罪で懲役8年。現在3年目。
松尾智弘。傷害罪で7年。
椿陽平。殺人罪及び逃亡罪で25年。
江田史郎。殺人罪で20年。
佐々木麗乃真。殺人罪で28年。
栗田陸。殺人罪で30年。
どうやら運動時間の間走り回り、これらの情報を集めて回っていたらしい。
ほう、単に広い所に出たのが嬉しくて走り回っていたわけじゃないんですな。これは侮っていました。
しかしやはり後ろ4人の刑期は凄いですなぁ。
史郎さんもレノマさんも3人殺しなのに刑期に開きがあるのはギャングであるかどうかの差なんだろうか。
周龍曰く、脱獄というデカイ行為を共にするのだ。得体の知れない奴と組めるわけがない。
だからお前ら全員信用するに足る奴らかどうか調べさせてもらった。とのこと。ふーむ、値踏みってわけですな。
今から全員と殴り合って絆を深めるってわけにもいかないでしょうし、自分で調べて納得してくれるならそれでいいですわな。
そんな周龍であるが、調査した結果、リクのことが一番分からないと述べる。
お前殺人罪って、殺ったのは警官らしいじゃねえか。
やるじゃねえかお前!!そんなことやってのける奴にゃ見えねえのになぁ!!
そのような褒められ方をされましてもなぁ。
殺しを褒められるのは不本意だし、そもそもリクは殺しなどしてはいない。
その警官を殺したのは同じ警察だ。俺は誰も殺していないと説明する。
と、何故かいきなり雰囲気が険悪なものへと変化する周龍。む・・・これは・・・?
他の面々の罪と刑期は判明したが、周龍自身のことは判明していない。
なので椿が問う。何をしてここにきたんだ、と。
しかしそんな椿に挑発的な言動を行う周龍。調べ回ってる時に聞いたんだけどよ。あのさ――
めちゃくちゃチビな野郎とケンカして負けたらしいな。
そのせいで前にいた工場じゃボスとしての求心力をなくしたらしいな!てこたぁ転房できて丁度よかったな!
それからあとさ――お前、背中に妹の彫りもん入れてるらしいな。
娘とか恋人とかなら聞いたことあるけど珍しくね?見せてくれよ。なあ!なあ!!
非常にデリカシーにかける物言いの周龍。
椿自身はあまりその言葉に気にした様子はないのだが、さすがに史郎さんはキレる。
ええ加減にせえや!!と殴り掛かるが・・・それをギリギリの見切りで躱し、史郎さんの背後を取る。
ふーむ、見事に関節を極め、さらに首を掻っ切れるような体勢となっております。
史郎さんも本気ではなかったでしょうが、一瞬でこの体勢に入れる周龍。たしかにだてに2代目をやっているわけではないってことか。
一気に不穏な空気の流れる324房。
まあ、最終的にはレノマさんがまとめることとなったわけですが。
細けぇいきさつなんかに意味はねぇ。脱獄の意志があればそれでいい。
なんかあったら、その時は俺がぶっ殺す。
ふーむ。連れてきた責任という話でしょうか。
それはそれで大事かもしれないが、やっぱり雰囲気が悪くなるのは勘弁してもらいたいところですなぁ。
脱獄という大事を成すためにも心は繋いで起きたいところなのですが・・・
何かイベントでも起こさないといけないかって感じですな。
周龍の下獄の理由によってその内心は垣間見えることとなりそうな雰囲気。
警官殺しの話をしたときの様子を見ると、警察に対して遺恨がありそうな感じ。
とはいえスラム出身者なら松尾の例もあるし、警察に対しては微妙な感情を抱いているのは多いでしょうしなぁ。
リクが警察のトップである鬼道院をぶん殴るという目標を抱いているのは知っているが、それでもこの態度だし、むむむ・・・
さて、ともかく今夜からグライダー制作作業を開始する運びとなりました。
リクとレノマさんの2人で備品室に潜入。長時間の作業になるのでハリボテ作戦で看守の目をごまかす構えだ。
豚みたいになってるリクのハリボテ。確かにレノマさんの時はもっとかっこよかったなぁ。
それはさておき、備品室。まさに宝の山。
しかしその宝の山には罠も潜んでいた。
うっかり塗料の入った缶を蹴飛ばし、中身をこぼしてしまうリク。
それぐらいならばちゃんと拭いておけば済む話であったが・・・なんとドアの向こう側に流れて行ってしまっている。
まさかの窮地。宝の山には罠がつきものでって話であろうか?いや、単なる凡ミスでありますけどね。
しかしこれはどうするのか・・・備品室なら普通に扉の開閉はできそうだし、サッと開けて拭いて閉めれば問題ないか!?
だが看守の足音はすぐそこまで迫っている様子。開閉の瞬間を見られたらそれこそアウトだ。
看守が流れ出た塗料に気付くかどうかが問題であるが・・・果たしてどうなりますことか。
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