蒼天紳士チャンピオン作品別感想

黒虎
第一幕 〜 第二十六幕


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 各巻感想

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連載中分

黒虎 1巻


第一幕「始まりのその日」  (2014年 29号)


新人まんが賞出身の鈴木快先生が堂々の連載デビュー!!
異種剣劇アクションの始まりであります。

黒縞剣術道場で剣の腕を磨いているのは道場の息子である黒縞虎鉄とその兄、黒縞虎春
そして2人の母であり、当主である黒縞虎珀
この黒縞家は"徳川十二支神将"のひとつであるという。ほう。

徳川家に仕えて数々の功績を上げた十二の家元――黒縞家はその"寅の門"を名乗る最強の剣術流派の一門
もちろん十二支というだけあり、最強を誇るのは黒縞家だけではない。
黒縞家と双璧を成す"辰の門"桜花天心流の白滝家!!
剛の剣を極めた――覇道流の猪頭家!!
"三獣忍"と呼ばれる――"申・酉・戌"の忍一族!!
月歌流体術の兎耳山家に・・・鳴神伝弓術の春馬家
かように十二支神将は家元ごとに特化した技能を持ち、その道の先駆者として在り続けているらしい。ほほう。

十二支は有名どころであるが、神将と言えば十二神将という言葉もありますな。
仏教における信仰の対象であり、薬師如来を守護するとされる十二体の武神の総称。
って調べてみると十二神将にはそれぞれ司る十二支があるのか!!へー。

ともかく、その最強の流派の一つに生まれ、後継者となるべく邁進している兄弟。
黒縞家に伝わる秘伝剣術を会得する時はそう遠くないハズと見こされています。
見た感じ随分と若そうなのに、鍛え上げているようですな。

防御がなっておらず、ボロッカスにされる虎鉄。
罰として稽古終了後すぐに愛碁山まで走らされる。これは大変だ。
けれども、すぐに後を追いかけて一緒に走ってくれる虎珀さん。なるほど、兄の言う通りこれはいい飴ですな。

母親と共に山を登り、高所から街並みを見下ろす虎鉄。
この美しい町こそお上が求めた泰平の姿だ!と虎珀さんは説明してくれる。

お上は圧倒的な"強さ"でこの泰平を築かれたのだ。代々黒島家もお上に仕える身として・・・常に強くならねばならん!!

そのように語る虎珀さん。だが、更に大事なこともあると教えてくれます。
それは真の強さとは剣の腕だけで決まるものではないということ。

強者とは弱き者を救い護るべき存在――鋼にも勝る"守護の心"こそ強者の力の証なのだ・・・
つまり!心の底より護りたいと思うものが出来た時・・・お前は間違いなく強くなれる!!!!
万民を護らんとするお上の心が・・・現代の泰平を築き上げたのだ!!

ふむ。これは大事な教えでありますな。
最強という名を背負うと驕りに繋がることはよくある話ですし、こういう心得は早い内に伝えておくべきでありましょう。
虎珀さんはいい教育をされているようですな。これならば黒縞家も安泰に思える。何事も起きさえしなければ・・・

突然、江戸の上空に現れるのは巨大な黒き塊
空を覆わんばかりに巨大なそれは、見ているだけで何か良くない物だと感じさせられる。

案の定、その塊の中にいる総督と呼ばれる存在は江戸の民を害する気でいる様子。
そのために降ろされたのは奇妙な武器を手にしたスーツの男。
それと、左腕に砲塔のようなものをつけた兵士たち。何か光弾のようなものを発射するこの砲塔。
うーむ、これを見るにつけ、技術レベルは相当高い連中が攻めてきた様子でありますな。

武器も持たない町人相手に近代兵器を振るって弱すぎるとのたまう兵士たち。
そのような輩に目にもの見せてやるのが武術家の役割でありましょう。
というわけで、徳川十二支神将黒縞家当主――黒縞虎珀見参。現れるとともに兵士どもを斬って捨てる。
その様子を見てか、周りの兵士が続々と群がってまいりました。ほう。
そうくるのであれば・・・時間をかける必要もない。一気に仕留めることといたしましょう。

"空牙疾風流"、"颯"

ぐぐぐぐぐっと刀を逆の肩で担ぐようにして構える虎珀さん。
そして一気に解放する。その瞬間に空いた左手で右手首を押し、速度を増そうとしているように見える。
ふむ、この辺りが奥義の肝となる部分でありましょうか。
ともかく、ただの一閃で兵士たちは吹き飛ばされていくのでありました。そしてすがさず師範代である大和さんが解説を行う。

"空牙疾風流"!!黒縞家に伝わる秘伝剣術だ!!
剣術にはしなやかさを生かした"柔の剣"と・・・力で押しきる"剛の剣"があるが――
空牙疾風流はその二つの特性を併せ持つとされている・・・
あの太刀筋の速さと鋭さ・・・そしてその特性から――"空の剣"と呼ばれる至高の剣術だ!!

ふむ。さすがに最強の一角だけあり、凄い技を持っているようでありますな。
しかしそれが今回の敵すべてに通じるかは分からない。
少なくとも今現れたスーツの男は秘伝剣術を見ても動揺した様子はなく、むしろ余裕の表情を見せている。むむ・・・

スーツの男曰く、さっき戦ったガキも黒縞家の剣士だったとのこと。そしてもう殺してしまったとのこと。
それは・・・虎鉄の兄である虎春がやられたということだろうか。
立ち位置的にはそうなりそうな気はしていたが、本当にやられてしまうとなるとやはり悲しい。

怒りの虎鉄。スーツの男の顔面に木刀での一撃を与える。
油断していたのかどうなのか、まともにこの一撃を受けるスーツの男。木刀じゃなければ死んでないかね、コレ。
まあ、死にはしないからこそ受けたのかもしれないが・・・それでキレられても困りますわな。

キレたスーツの男が放つ斬撃。というか解放する武器の力。
その威力は凄まじく、虎鉄だけではなく周りの黒縞道場の人間を建物ごと吹き飛ばしていく。
うーむ、剣で出せる威力ではありませんわなぁ。これは相手が悪い。

それでもどうにか虎鉄を救い出す虎珀さん。
そして生き延びていた大和さんに虎鉄を託そうとする。
この場に残り、足止めをするつもりでありましょうか・・・何とも悲壮な決意である。
勝てずとも、息子を護れればそれで十分だと述べる。母としての覚悟でありましょうが・・・何とか生きていて欲しいものです。

日ノ本に突如として現れたそれは――"黒船"と呼ばれ、語り継がれるようになる。
徳川幕府は――黒船一味が持つ圧倒的な力の前に崩壊した。
頭を失い泰平を失った日ノ本は――動乱の浮き世へと化していった。
そして・・・時代は流れ――物語は・・・始まりを告げる

と言う感じで始まりますのは黒虎。
黒船来襲によって崩壊した日ノ本。ここからの反抗の火ぶたをどのように切るのか。
とりあえずは作品としてはいい感じの出足となったように思えます。
ここから仲間を揃え、物語が盛り上がっていく感じになれば期待は持てそうですが、果たしてどうなりますか。
見守っていきたいところでありますな。



第二幕「黒縞虎鉄でございます」  (2014年 30号)


日ノ本に突如として現れ、その圧倒的な力で徳川幕府を崩壊させた"黒船"。
国の頭を失った日ノ本は泰平を失い、再び動乱弱肉強食の浮き世と化した・・・
そして現在――黒船襲来から七年の歳月が流れようとしていた。

あの忌まわしい出来事から七年。
生き延びた虎鉄は立派に大きくなった様子。
昼飯ドロボウのキツネを追いかけて坂道を転がり落ちたりしているが立派には育っている。うん。

その際に偶然に出会ったのが旅の行商人を名乗る忠吉さんとその孫の夢芽ちゃん。ほう。
この回限りのモブではない雰囲気を持っていますが・・・さてさて。

街道を通って町へとたどり着くが、やけに活気がない。
それもそのはず。黒船一味・・・"ハルシオン"の連中に占領されてしまっていたのだ。

"ハルシオン"。七年前に幕府を崩壊させた黒船の一味が自ら名乗った組織の名称。
今やその存在は江戸だけではなく日ノ本各地で確認されるようになっていた。

当然ながら組織名は持っているか。
ふうむ、しかしこのハルシオンは何が目的で日ノ本にやってきたのだろうか?
圧倒的な力を持ちながら七年も逗留しているとは。単に植民地支配が目的なのか・・・それとも?

大きな話はさておき、とりあえずこの町での話。
この一辺を仕切ってるのは"ゲル"という男で、水を生きものみたいに動かす妖術で人を殺すのだという。
ふうむ・・・既に剣術とか武術の域ではないのですな。
ここで物知りっぽい忠吉さんがその妖術のようなものの正体について語り出す。おそらくそれの正体は・・・"ノヴァ"と。
日ノ本の武器とは比べものにならない能力を持ち、ハルシオンが江戸襲撃の際に使用した兵器。
江戸中の人々を瞬く間に葬った"悪夢"。それがノヴァであると語る。
ふむ・・・その説明では正体に何も迫ってない気がするが・・・まあ、町人に語ることでもないか。

どうやら町人は命と引き換えに高い金を納めることを強要されている様子。やはり植民地支配ですかね。
生き殺しの目に会っている町人。それに対し虎鉄は自分が皆様を苦しめる黒船の悪人を討ってみせましょうと言い出す。
猛々しく武士らしくはあるが・・・残念ながらその言葉は町人には受け入れられませんでした。

下手にゲルの機嫌を損ねたらオレたちが殺されるんだぞ!?軽々しく"護る"とかほざくんじゃねェよ!!
なにが武士だエラソーに!!黒船の連中が来た時、侍がなにしてくれたよ!?余所者が勝手なマネすんじゃねェ!!

それを言われると返す言葉もないですな。
黒船への恐怖。武士に対する不信感はこの七年間で広まっていることでありましょう。
忠吉さんは七年前まで江戸に店を構えており、ハルシオンとノヴァの恐怖は身をもって体験している。

"黒船には決して勝てない"この国のほとんどの者がそう考えているハズですぢゃ・・・
まして実際にノヴァを目にした者ならば――なおさら・・・

そう語る忠吉さん。しかしハルシオンを――ノヴァを目の当たりにしながら今も吠えているのが虎鉄である。
この七年の歳月で、ノヴァに対抗するだけの力を身につけたということでしょうか。

さて、町の一角では納めるべき金を納められなかった町人がゲルに襲われている。
どのような理由があろうと関係ない。情状酌量の余地などないと言わんばかりのゲル。いかにも悪そうな奴だ!!
というかフルネームがゲル・ショゴスって。ゼリー状すぎる名前でしょ!!

名前のイメージ通り、水を操るゲル。
その場面に駆けつける虎鉄。であるが、助けに入るのを忠吉さんは引き留める。
確かに村人にしてみれば、助けたくはあるが助ければ自分たちに被害が及ぶ危険性がある。機嫌を損ねるわけにはいかない。

辛いやもしれませぬが分かってください虎鉄殿・・・
今、この場にいる者は誰一人として"正義"を求めていません・・・

正義か。難しい話でありますな。
確かにずっと関与するわけでもない余所者が出しゃばっていいかどうかは分からない。
だが・・・それでも・・・今ここで泣き叫ぶ少女の助けを求める声を無視するなど・・・出来ようはずもない!!

拙者は"武士"です・・・武士たる者、常に弱き者を護るためにあるもの――
救いを乞う者を見捨てる性根、持ち合わせてございません!!!!
拙者は己の"信念"を――貫かせていただきます!!!!

武士道精神とは少し違う気もするが、その考え方は悪くない。
少なくとも信念を貫く姿勢は武士道であると言えますな。ならば突き進むしかありますまいて。

さて、ゲルと相対することになったわけだが、さすがに悪人面しているだけありやることは定番である。
少女を人質にするハルシオンたち。定番ではあるが非常に有効な方法。これでは近寄ることは出来ない。
しかし・・・近寄れないのならば、近寄らずに攻撃を仕掛けるまでのこと!!
刀を逆手に構え、身を低くした状態。そこから刀を振りぬき、地面を切り裂きながら・・・斬撃を放つ!!

空牙疾風流!!!!"韋駄天"!!!!!

地面を這うように斬ることで抵抗を生じさせ、そこから解放される力で斬撃を飛ばしたという理屈でしょうか。
しっかり技を身に着けているようで何よりです。
そして、この"空の剣"を見て身震いするのは忠吉さん。どうやら黒縞家のことを知っている様子ですな。

ハルシオンとの開戦の狼煙となりそうなこの闘い。
虎鉄には派手に完勝してもらいたいところ。
それにしても忠吉さんと夢芽ちゃんは何者でありましょうか。
何となく徳川家に関わる人な感じはするんですけどね。忠吉って名前がいかにもそれっぽいし。
徳川家の人間を中心にして十二支神将が集って反攻作戦を行う。
これぞまさに王道な気がしますし、ありえそうな話ですわのう。



第三幕「”武器”と”武術”」  (2014年 31号)


間一髪のところで親子を救い出した虎鉄。
人質の憂いはなくなったし、後は怒りをぶつけるだけでありますな。

空の剣――"空牙疾風流"を扱う、徳川十二支神将の一つ、黒縞家の血を引く虎鉄。
その腕前が認められたのか、ノヴァを持つ男――ゲル・ショゴスが直接相手をしてくれるようになりました。
ラグナシアと呼ばれる水を自在に操るノヴァ。
その効果は通常の武器とは比べものにならない。
水流を吐き出すだけではなく、切られた水を空中で再生させ、自在に操ったりできる様子。ほほう。

水の勢いを切る虎鉄の剣技は凄いが、すぐに再生してしまうのでは意味がない。不利な相手である。
ゲルもそう思ったのか、自信満々に語る。

どんな"武術"を使おうと――優れた性能の"武器"の前では全て無力だ!!
だからこそノヴァを持ったオレたちハルシオンを相手に――この国はなす術もなく崩壊したのではないのか?
滅ぶべくして滅んだ――みすぼらしい国だ・・・!!

ふうむ。やけに調子に乗っている感じですが、優れた武器を操る人の腕前は大したことないってことですかね?
黒船的に考えれば、扱いの容易い拳銃を持った連中が現れたような者か。
普通に考えれば多少剣の腕が立つとしても、拳銃が相手ではやられてしまう。
が――多少の腕前でないのであればどうか。

腕前と、そして何より強い心を持っている虎鉄。
母親譲りのそれらがあれば・・・負けはしない。

空牙疾風流!!"風頼防"!!

刀を回転させることで水流の渦を散らしてしまう虎鉄。
確かにいくらでも再生できるのでしょうが、一度雲散霧消した状態からの再生は時間がかかる。
その隙に懐に入り込めば・・・武器に頼りきった男に身を守るすべなどあるはずもなし!!

・・・国の侮辱は・・・泰平を築いた先人たちへの侮辱でござる。
貴様に日ノ本の礎を貶される覚えは――ないッ!!!!
空牙疾風流!!!"春一番"!!!!

切り捨て通り抜け、刃を納めたところでようやく巻き起こる鮮血。なかなかに格好のいい技である。

こうして見事にノヴァを持つハルシオンの一人を討ち果たした虎鉄。
指揮官を失った兵たちは焦って逃亡。村には平和が訪れることになったのでありました。
ほほう。指揮官を討ったのなら新たな指揮官が派遣されて支配が続くとかそういう話になるかと思いましたが・・・
まあ、そういう暗い想像をするよりは、日ノ本の侍でも黒船の一味に対抗できるのだと明るい話題にした方が健康的かな。

村人から祝いの席を設けられた後、再び旅立つ虎鉄。
忠吉さんたちとはここでお別れの様子であります。ふむ。
だがしかし、忠吉さんが手にするのは虎鉄と同じ十二支神将、"子"の紋。
ほう、そちらでありましたか。そしてネズミか・・・一体どのような力を持っているのでしょうか。
やけに事情通なのは十二支神将としての力によるものなのかどうなのか。
何にせよ、再登場に期待したいところであります。



第四幕「その者、忍ばず」  (2014年 32号)


ハルシオンの一人を見事に討ち果たした虎鉄。
新たな旅路につく・・・と思いきや、いきなり遭難した様子。おやおや。
一人旅でありながら道に迷うとは困ったことだ。
と思いきや、しっかり例のキツネと一緒に旅をしている様子。ケンカして仲良くなったのか?
虎にキツネとか・・・そのうち威を借りられることになっても知りませんぜ。

地図の通りに歩いた筈だという虎鉄。実はそれは間違いではなかった。
その地図は出立前に忠吉さんからもらった地図だが、どうやらそれはニセモノの地図だったらしい。
ほう。わざと山道に迷うようにされていたわけでありますか。
とりあえず方向音痴とかそういうことではなさそうで安心しました。

忠吉さんは何か虎鉄に試練を課したい様子。
武士としての信念を体現しようとする虎鉄を大したものと評価しながら、それはあまりに愚直であるとも述べる。

強い信念は時に大きな弱みを生む――今のゆがんだ浮き世ならなおさらな・・・
だからこそ出会っておいて欲しいのぢゃ・・・虎鉄殿自身のために・・・な――

人生経験の長い老人なだけあって前途ある若者のことが気がかりなようですな。
その虎鉄が踏み込んだのはある者たちのナワバリ。
樹の上に立つこの集団は・・・やはりあれですかね。

侍に続き、忍者の登場
であるはずなのだが、虎鉄の前に現れたのは随分と騒がしい若者であった。忍べよ!!
まあ、忍者らしい忍者になろうとすると少年誌映えしないのは確かですけどねぇ。

さっそく虎鉄に襲い掛かる忍者。
閃光弾などを用い、軽い身のこなしで襲い来る様はさすがといえる。
まあ、どうやら性格面ははっきりとバカな感じでありますが・・・
忍ばないどころか無言で攻撃なんてマネはかっこ悪くてできないとのこと。忍べや!!

まあ、スタイル的に手に火炎を纏わせるような派手な戦闘方法を取る男ですしねぇ。
体術面以外の忍者らしさはあまり期待しない方がいいのかもしれない。
そんな彼であるが、立場としては虎鉄と同格。
そう、この男こそが・・・徳川十二支神将"戌の門"、天才忍者の犬守愛茜である!!

次に現れたのは戌でありましたか。
確かに忍びであるならば理想よりも現実を見据えた観点を持っていそうな気はする。
でもこの愛茜の姿を見ているとそれもどうなんだろうかと思わなくはないが・・・ちょっと不安だ!



第五幕「訪問、犬守家」  (2014年 33号)


徳川十二支神将の一人、全く忍んでいない忍者の犬守愛茜に出会った虎鉄。
向こうは侵入者退治とばかりに襲い掛かってくるが、虎鉄としては争う理由がない。
慌てて、自分も徳川十二支神将の家の者であると述べる。わたわた。

そのような問答をしているうちに忍達が到着。
虎鉄を縛り上げたことでこの場の争いは収まる形となりました。
それは良かったが、集団行動じゃ目立てないとか言い出す愛茜は本当、忍者らしくするつもりがなさそうな感じですなぁ。

先に名乗りを上げた効果もあり、この場で切り捨てられることは無く、里へと連れていかれる。
しかしすぐに歓迎というわけでもなく、牢へと入れられる虎鉄。
まあ証拠も何もなく、ただ名乗りを上げただけですものね。警戒するのは当然か。
愛茜はあんまり警戒していないようですが・・・
というか敵じゃないと分かるとやけに愛想よくなってるな。

虎鉄とは違い、愛茜はまだ犬守家の当主ではない。
なぜならばまだ当主である父親が生き残っているからだ。ほほう。
七年前の襲撃から耐え忍んできた忍の当主。見た目の派手さはさておき、忍んでおられますなぁ。

虎鉄が名乗りをあげると、すぐに牢から出して客として自分の部屋まで通すよう言い渡す当主。
一目で見抜いた・・・というわけではないな。何か虎鉄のことを既に知っているかのような口ぶりだ。ふむ。

何故かと思えば、やはり母である虎珀さんとは旧知の仲でありましたか。
同じ十二支神将同士、交流があってもおかしくないし、虎鉄のことは事前に聞いていたんでしょうな。

これならば無事に過ごすことができる・・・
かと思いきや、犬守家を襲う侵入者がいた。
猿のようにキャッキャと吠えるこの男は一体何者だろうか。

猿といえば十二支に数えられる動物である。
また十二支神将の申は忍者であるとされている。これはひょっとするとの可能性もあるか・・・?
穏やかに話だけして終わりってことにはならなさそうですなぁ。うむ。



第六幕「襲撃者」  (2014年 34号)


初めて出会う母以外の十二支神将当主。
しかしどうやらこちらが小さくて覚えていなかっただけで、向こうは一度会っているらしい。ほう。
そういった経緯もあって虎鉄の話をすぐに信じたわけですな。分かりやすい。

さて、村まで連れてこられた理由を話し、そして旅の目的を告げる虎鉄。
目的は黒船から日ノ本を護ること。不当な力によって苦しむ人々を救い出すこと。つまり――

"日ノ本に再び泰平を取り戻す"!!!それが拙者の夢でござる!!!

ふむ。青くはあるがよい夢だ。
しかし忠吉さんが危惧したのはその青さ。
それ故にここに送り込んだわけであるし・・・その夢に対してどのような苦言が呈されることとなるか。
構えて待とうかと思ったら、当主を差し置いて同意を示す愛茜。ああ、君はそう言い出すと思ったよ。

"天才忍者、日ノ本を救うべく戦う"!!カチかっけェじゃねェか!!

自分の存在を世間に知らしめるいい機会だと述べる愛茜。
本当、こいつは忍者らしくする気が欠片もないんだなぁ。そりゃ父親にも怒られる。

やっぱり愛茜の目立ちたがりな性格は対立の元となっているようですな。そりゃそうよ。
忍のくせに自己主張の激しい愛茜。これは当主になれるまで時間がかかりそうですなぁ。

それはさておき、異変を察知する当主殿。
廊下に出てみれば部下が倒れており・・・さらに襲撃者が音もなく現れる
ふむ、愛茜でも気付くことが出来なかったとは、かなりの相手のようですな。
さすがにこの場には現役の当主がいるわけだし、どうにかされるとは思えないが・・・

逃亡を図る仮面の襲撃者。それを追う愛茜。虎鉄はその愛茜を追う。
当主はその場に留まり、気を取り戻した部下の八幡から襲撃者の狙いを聞く。

あの仮面の男・・・犬守家の"禁術の書"を狙っています!!!

ふむ。何だか知らないが凄く危なそうな名前ですな。
奪われるとろくなことにならないのが伺える名前である。
これは奪われないように安否の確認をしないといけない。のだが・・・どうやらこれが罠だった様子。

なんで八幡が仮面の男になってんだよ・・・!!?

いつの間にか入れ替わっていた襲撃者。
どうやって気絶していた八幡を襲撃者に仕立てて走らせたのかは謎ですが・・・とにかくこれは危ない。
当主殿も欺くその技はかなり危険に思われるが・・・さて、本当に騙されているかどうかはまだ分かりませんかな?
カッコイイところを見せて欲しい所ですな当主殿。



第七幕「裏切りの獣」  (2014年 35号)


侵入者の変装に気付くことなく、禁術の書の確認を行う犬守家当主様。
おかげで隠し部屋を探す手間も省けてしまったというものである。おやおや。
変装に気付いているか気付いていないかわからなかったが、これは気付いてなさそうですなぁ。おやおや。

さて、回想で久しぶりに虎珀さん登場。お美しい
もっと虎鉄が小さい頃に会ってるのかと思ったが、そうでもないんですな。
というかこれは会っているというか、一方的に見かけているだけでありますな。そりゃ虎鉄も覚えがないわ。

昔から色々と規格外だったらしい虎珀さん。
こうやって強さを見せてくれると生存の可能性が高まってきてよいですなぁ。期待したい。

やはり愛茜は小さい頃から目立ちたがりのかっこつけ。忍のクセに自己主張が激しかったらしい。
まさにこれは忍者としては致命的であるが・・・本当にどう育て方を間違えたらこうなるのやら。

忍は・・・常に主のために――闇に生き闇に死ぬ運命にある。
犬守家が十二支神将だろうと――世の中が泰平だろうとそれだけは変えられん・・・
忍の世界で・・・せがれが生きるのは・・・あまりに難しい――

悩みどころでありますな当主殿。
虎珀さんはその"忍の世界"に負けぬよう、強く育つその時まで護ってやればいいと述べる。
さすがに人を護ることについては誰よりも思い入れがある様子で、そういうこともさらりと口にできるみたいですな。
しかしまさか幕府そのものが倒されるほどの災厄が訪れるとは想像もつかなかったでしょうが・・・

さて、禁術の書を手に入れて撤退しようとする侵入者。
けどさすがにタダで返すわけにはいかない。
引き返してきた愛茜と虎鉄が侵入者に襲い掛かるわけだが・・・どうやらやはりこの男・・・愛茜の顔見知り。ということは・・・

徳川十二支神将・・・"申の門"!!猿飛佐之助!!!!

やはり十二支神将!やはり申か!!
そこまでは想像できていたけど、よもや猿飛とは。というかほぼ猿飛佐助じゃないですか。
うーむ、これは名前だけで忍者としての格が高そうである。
しかしこの佐之助、自身の徳川十二支神将の肩書は古いものだと切って捨てる。
まあ確かに徳川家がなくなった今、その肩書は空疎なものであるかもしれませんがねぇ。

"主無くして忍は無い"・・・オレはな・・・新しい主を見つけたのさ。
徳川家より更に"力"のある主をな・・・!!
お前らも知ってるだろう・・・?あの日空からやってきた――巨大な"力"を・・・!!
オレはもう徳川十二支神将じゃない・・・!!黒船一味・・・ハルシオンだ!!!!

ふうむ、やはり十二支神将の中でもそういう存在は出てきてしまいましたか。
まあ、求心力であろう徳川家が倒れたのであってはこれも止む無しでありますか。
しかしなかなか手ごわい相手が向こうについてしまった感じであります。
その瞬間移動のような動きは忍術によるものなのか、ハルシオンの武器によるものなのか。さてさて・・・?

しかし申で猿飛か・・・これで残る三獣忍の酉が服部とかだったら犬守家の立場がないですな。



黒虎 2巻


第八幕「犬猿の仲」  (2014年 36+37号)


徳川十二支神将のひとつがハルシオンに加担している。
その事実に冷静でいられるはずもない虎鉄。
徳川十二支神将は泰平と弱き人々を護る正義の志ではないのですか!?と。

徳川幕府は正義であり、ハルシオンは悪。
そのように語る虎鉄であるが、佐之助はその言葉を一笑に伏す。キャキャキャキャキャ。
そして述べる。どーして"正義"の幕府は"悪"のハルシオンに負けちゃったのかな〜と。

誰かにとっての"薬"は・・・誰かにとっては"毒"になる・・・
"絶対に正しい"ことなんてこの世にゃねェんだよ・・・
てめェのモノサシで正義を語るな・・・!!!!

正義は必ず勝つ。
徳川十二支神将であることに誇りを持ち、その誇りを胸に今日まで鍛えぬいてきた虎鉄。
その理想が真っ向から否定された形となりました。おやおや。
まあ、正義という言葉は実に曖昧なものですしねぇ。
こういう相手と出会った時に言い返せないようでは・・・この先が思いやられるか。

話の途中で仕掛ける愛茜。
派手な攻撃を仕掛けるものの、どれも当たらない。
佐之助に言わせれば、愛茜の攻撃は見かけ倒しで実用性のないくだらねェ代物ばかりとのこと。やはりそうか・・・

犬守家と猿飛家は十二支神将の中でも一番行動を共にした間柄である。
犬猿の仲という言葉はあるが、昔はそれが当てはまらなかったわけですな。
今はその言葉通りの関係になってしまったようですが・・・

忍に・・・"意志"や"情"は必要ない
仲間だァ?笑わせるな・・・てめェらはもう――ただの邪魔者だ。

容赦なく愛茜の体を貫く佐之助の刃。
こういう非情さは確かに忍らしい感じでありますな。
どうしてここまで同じ忍者の十二支神将でありながら差がついたのか。
それは犬守家のこの7年間に原因の一端がある様子。

ハルシオンが幕府を崩壊させた後――犬守の連中はこの里に籠りきって――早々に戦うことを放棄したんだよ・・・
徳川家っつう"拠り所"を失ったせいで――犬守家は忍として生きる道を閉ざされたのさ。
だからしっぽ巻いて逃げ出したんだ・・・ハルシオン・・・いや・・・この浮き世そのものからな――
いくら"正義"を語ったところで――負け犬共の心は動かねェよ。

ふむ。これが忠吉さんが見せたかった現実でありましょうな。
佐之助の存在はイレギュラーで、本来はこの犬守家の選択を知って欲しかったのでしょう。
お上を失い、戦いから逃げた犬守家。
同じくお上を失い、ハルシオンについた猿飛家。
忍としては仕える主がいなければ脆いということでありましょうか。
うーむ、やっぱり徳川の血筋は重要な気がしますなぁ。
何にしても、徳川十二支神将誇りとはその程度のものなのか!?と打ちひしがれる虎鉄。しかし・・・

負け犬じゃねェ・・・
"生きる道を閉ざされた"?"しっぽ巻いて逃げ出した"?犬守家見下すのも大概にしろや・・・!!
犬守家が負け犬かどうかは・・・オレを見て言え!!
徳川十二支神将・・・"戌の門"!!犬守愛茜を!!!!

ボロボロになりながらも意を示す愛茜。
その言葉は確かに本物の意志を纏っている虎鉄にはそれが分かる。
だから折れかけていた心も持ち直し、佐之助と向かい合うことが出来る。
相手がハルシオンを名乗るのであれば・・・戦うのみだ!!
かなり手強そうな相手ですが、どうなりますか。"寅"と"申"の激突。始まります。



第九幕「裂けた古傷」  (2014年 38号)


ハルシオンに堕ちた同門との対決を決意する虎鉄。
この発言に対し、まずは煽りから入ってみる佐之助。
短いやり取りしかしていないが、虎鉄にとって十二支神将が特別な存在であったのはまる分かりでしょうからねぇ。

確かに――かつて同じ主に仕えていた十二支神将が戦うなど・・・万にひとつも考えていなかったでござるよ。
我々は皆その胸に正義と誇りを宿していると――信じて疑わなかったでござるからな・・・
だが!!貴殿は黒船に寝返っただけでなく・・・同志である愛茜殿を傷付けた!!
その愛茜殿には――確かに十二支神将の"誇り"がありました!!
貴殿が捨ててしまったモノを――愛茜殿は今なお持ち続けています・・・
拙者が貴殿と戦う理由も――覚悟も!!既に十分満たされているでござるよ!!!!

なるほど。惑いを見せた虎鉄にしてみれば愛茜の行動は救いであったわけか。
逃げた犬守家なれど、その後継ぎが忍らしからぬ破天荒な性格だった。
それがこの場面で思わぬ助けとなったわけですな。ふむむ。

というわけで、十二支神将同士の戦いが始まる。
さすがに疾風流と名乗るだけあり、虎鉄の斬撃は早い。
だが佐之助も流石に忍者。その斬撃にしっかり対応している。

なるほど・・・一丁前の動きはできるってか・・・
ケド・・・所詮こんなもんか――残念だがオレの相手じゃあ――ねェな。

言葉と共に瞬時に虎鉄の背後に回り込んでの一閃。
確実に仕留めたと思える一撃であるが・・・どうにか際どい所で致命傷を防ぐ虎鉄。危ない危ない。
うーむ、やはり佐之助のあの移動力は忍の体術というよりも瞬間移動と言えるものでありましたか。
そういった異能といえば心当たりはなくもない。そう、"ノヴァ"だ。

そうさ寅の字・・・オレはノヴァを使っている
もっともそれがどんな能力だとか――どんな形だとかは内証だが・・・ただひとつ言えることは――
どんな武術を遣おうとすぐれた性能の"兵器"の前では全て無力だってことさ

おっと、この言葉は。これはいけませんな。
母を最後に見た時の戦いを思い出すには十分である。
その辛い思い出が脳裏を駆け巡り激昂し・・・左目の古傷が派手に裂ける!!そして・・・キレた!!

ノヴァだと?ハルシオンについただけじゃ収まらず・・・んな下衆なもんにまで手ェ付けたのか・・・?
堕ちるトコまで堕ちやがって・・・このサルが・・・生殺しで済むと思うなよ・・・あ゙あ゙!!!?

これはこれはいいキレっぷりでありますな。
過去を思い出したことで言葉遣いも昔に戻ったかのようだ。いやさすがに昔はここまで乱暴ではなかったか。

しかし佐之助のノヴァ。力や形は秘密と言っているが、その妙な形の短刀がそうじゃないのかね?
そして力は瞬間移動ともうバレているのではなかろうか?
まあだからといってあえて明かす必要もないし、こう述べるのは正しいかもしれませんわな。さすがに忍である。



第十幕「ぶつかる怒り」  (2014年 39号)


過去の辛い記憶を思い出し、避けた古傷。
そしてこの数年で身に付けた丁寧な言葉遣いなどを捨て去り、本性と闘志をむき出しにする虎鉄。うおおおおおおッ!!!!

怒りによってかその動きは激しさを増している。
佐之助が瞬間移動をしてもそれに即座に反応し、攻撃を仕掛ける。
ふーむ。佐之助の瞬間移動はそれほど遠くへは跳べない感じなんですかね?
それでも視界から瞬時に消えたりすれば普通は対応できないものであるが・・・

だがおもむろに斬りかかってくる分――隙がデカいー!!!!

避けきるのは難しそうだが、ならばとばかりに反撃を行う佐之助。
しかし斬られながらも虎鉄の動きは止まらない。
捨て身に近い大振りの攻撃は確かに隙も大きいが、さすがに反撃をするにも踏み込みがたく、致命傷は負わされにくいわけか。

気が付いて起き上って来た愛茜であるが、どうやら戦える状態ではない。
なので虎鉄にも下がっていろと言われてしまう。呼び捨てで
ほほ・・・こういう感じもまた良いですわな。年の近い者同士だし、こういう姿は早い内に見せておくに限る。

さて、佐之助であるがこちらはさすがに忍らしく冷静。
本来の任務は"禁術の書"を無事に持ち帰ることであり、ここで戦っていても仕方がない。
なので戦闘は放り出して去っていこうとする。わけであるが・・・

空牙疾風流・・・韋駄天!!!!

どうやら気配を読むことで佐之助の居場所を把握していた様子。
疾風流なだけに風を読んだり気配を読むことに長けてたりするのだろうか。
いずれにせよ、この行動とゴミみたいな気配と挑発したおかげで・・・佐之助もやる気になった様子。
こちらはキレると逆にすっきりした顔になるようですな。にこ・・・

オレの忍の・・・何を知ってるんだ・・・お前は・・・?
家族も主も失った――気づけば忍者として生きてきたオレに――"自分の生き方"を決めることなんてできなかった。
誰でもよかったんだ・・・自分を・・・忍の生き方をさせてくれるやつなら・・・それをてめェらは・・・
うっぜェんだよ!!!!子供みてェに前しか見てねェ、テメェらの生き方がよ!!!!

ふむ。徳川十二支神将である前にまず忍としての生き方が佐之助にあったわけですな。
徳川家に生き残りが――仕えるべき主君が存在していたならばハルシオンに走ることもなかっただろうが・・・

激昂する佐之助であるが、虎鉄に言わせれば進む道を間違うくらいなら子供みたいでけっこうとのこと。

自分の道をくだらないモノなんかに託すな!!!!

虎鉄はどこまでも真っ直ぐですねぇ。
そしてその信念を貫くだけの強さも身に付けてきている。
怒りのままに仕掛けてきた佐之助の攻撃を受け止め・・・刀を逆手に持ち替える。
そしてその柄頭を・・・佐之助の鼻面に叩き込む!!

空牙疾風流・・・咆剣・山虎!!!!

山虎と書いてやまびこ。何とも痛そうな業である。
柄頭での一撃だし死にはしないだろうが・・・喰らいたくない業ですなぁ。

これがてめェの見下していた"誇り"だ!!!!

格好良く決めて見せた虎鉄。
ううむ、ここまでの強さを持っていたとは驚きですな。
さて、ここで佐之助を捕らえることになるのだろうか?
禁術の書は何とか回収したいところでありますが・・・ここからの展開に期待したいところです。



第十一幕「負け犬の決意」  (2014年 40号)


"寅"VS"申"決着!!
見事に激戦を制した虎鉄であったが、血を流しすぎたためか佐之助に続いて気を失ってしまう。
まあ愛茜は無事に起き上っていますし、ここは気絶しても問題はないでしょうな。
案の定、虎鉄は犬守家の屋敷に運ばれ、寝かされている。
とはいえダメージはかなり大きく、2日も眠り込んでいたそうな。ほほう。

さすがに2日もあれば襲われた八幡の方も回復している様子。
虎鉄の言葉遣いも元の落ち着いたものに戻りました。
そして佐之助は犬守家の屋敷にて牢に繋がれている。ふむ、やはり囚われておりますか。
しかしこうしてみるとかなりいい身体してますな佐之助。

犬守家の当主殿は佐之助から一太刀受けたものの命に別状はない様子。
そっかー。フリとかじゃなくて本当に不覚を取ってたんだー。当主殿・・・

虎鉄としては佐之助から色々と聞きたいことがある。
が、この2日間ずっとだんまりを決め込んでいる佐之助。もう殺される覚悟は決まっているということか。
何としても情報を聞き出したい虎鉄であるが、当主殿はその時間は残されていないと言う。

虎鉄君・・・オレたちは直にこの里から離れなければいけないんだ
佐之助が戻らないと分かれば・・・黒船側はすぐに新しい刺客を送り込んでくるハズだ。
佐之助への尋問に時間を使うわけにはいかないんだ。

ふむ。引きこもった次は逃亡でありますか。
禁術の書がある限りはどこに逃げても安心はしていられないと思うのですがねぇ。
虎鉄としても、誇りある徳川十二支神将の者が逃げ回るのは・・・という想いがありそうである。
しかし、当主殿は実感している。黒船との圧倒的な"力の差"を・・・!!

情けないことは百も承知だ――それでも・・・残された数少ない仲間と・・・息子の愛茜・・・オレはそいつらを護りたいんだ・・・

屈辱に耐え忍び、大切なものを護る為に動く。
ふむ、それもまた忍らしいあり方かもしれませんな。
まあとはいえ、佐之助の言う通り、満足に護りきれてはいないのが現状でありますがね・・・
非常に優しく、部下からも慕われている当主殿。
黒船が来ず、太平の世が続くのであれば理想的な当主であったのでしょうが・・・ううむ。

己の保身を図るのではなく、大切なものを護る為に耐え忍んできた。
それを知り、虎鉄はどうにか当主殿の考えも理解出来た様子。
見失いかけていた徳川十二支神将の誇りも危うい所で繋がった感じですな。良かった良かった。
でも、これだけは当主殿に言っておかなければならない。

犬守殿・・・母上は言っていました・・・鋼にも勝る"守護の心"こそ強者の力の証なのだと――
心の底より護りたいと思うものができた時・・・お前は間違いなく強くなれると――
愛茜殿や仲間を護らんとする心を持つあなたは――決して弱くなどないハズです。
己が徳川十二支神将であることを過小評価しないでください――
初めから勝利を約束された戦いなどありません――ですが・・・戦わなければ護れないものもあるんです!!!!
拙者に・・・黒船を倒す力を貸してください!!

そう。戦わねければ護れないものはある。
逃げて戦いを避けて、それでも護れないのであれば戦うしかない。
そのことは当主殿も今回の件で痛いほど分かっているはずである。
だから色よい返事をしてくれる。今のままでは黒船には手も足もでないが・・・いずれは!!
"足りない力"を補うための時間があれば、鍛錬して虎鉄の力となる。そのように言ってくれる。ほほう。

実際、力になると言っても犬守の里の忍では大した戦力にはならなさそうですものねぇ。当主殿がこの有り様では。
愛茜が短い時間で一気に成長してくれればよいのですが・・・さてさて。
まあ、それよりも話を聞いていた佐之助がキレそうになっているのが怖いところなんですけどね。
関節を外して脱出を図る流れとなるのか。そして逃れてどうするのか・・・気になるところです。



第十二幕「"見届けろ"」  (2014年 41号)


幼き頃の佐之助の記憶。
普通の子としてではなく、忍の子として育てられた記憶。
父からは忍としての心得を叩き込まれている。主のためだけに在るものだという教え。
そのためには"意志"や"情"は必要ない。

お前はもう・・・自分の生き方を決める必要なんてないんだ――

忍としての在り方を叩き込まれてきた佐之助。
しかし同じ忍であるはずの犬守家は自分が教えられえてきた価値観とは異なるモノを見せている。
それが許せず・・・暴れる。
到底外せるような拘束具でないと理解しながらも暴れざるを得ない。

なん・・・で・・・なんでだよ・・・!?
てめェらもオレと同じ・・・同類だろ!!?忍だろ!!!?
命令がなけりゃ動けねェ・・・拠り代がなけりゃ生きれねェ・・・それが忍じゃねェのかよ!?
なのに・・・なんで・・・なんでてめェらは・・・生き方を決められんだよ・・・
オレにはなにも・・・なにも決められねェのに・・・

忍として優秀過ぎた佐之助。
仕えるべき主が健在であればひたむきに頑張れたのでしょうが・・・
主を失った時の生き方を教えられてこなかったのが不幸の始まりだったのかもしれませんなぁ。

全ては"忍だから"という理由の上での行動であった。
となると、佐之助自身は黒船に味方することを心の底から良しとしていたわけではない可能性もあるわけか?
少なくともそう問われてすぐに否定はできないようですが・・・

そんな暴れている佐之助の拘束を斬って捨てる虎鉄。おや。

人のこと子供呼ばわりして――自分で自分のこと縛りつけて・・・佐之助・・・貴様・・・みじめだな・・・

煽ってみせる虎鉄。
確かに佐之助の生き方は個人の想いよりも忍としての在り方を第一としたある意味大人のような考え方である。
それが賢い生き方だと教わり、そう実践してきた。
それ以外の道は知らず、否定されたとしても他にどう生きれば良かったというのか・・・

そんなもの拙者の知ったことではない!!!!
他人に聞いたぐらいで簡単に見つかるものなら誰も苦労しない・・・あがいてもがいて自分で探せ!!
それさえも否定するならば――拙者の夢を貴様が見届けろ!!!!
"黒船を倒し日ノ本を救う"・・・それが拙者の確固たる信念だ!!!!
貴様の目の前で綺麗事を現実に変えてみせる!!!!

ほう。言うではありませんか。
自分で探せと突き放すだけではなく、自分の夢を見届けろと来ましたか。
道を見失っている相手に自らの歩む道を見せる。
それがいい風に影響すれば確かによさそうでありますが・・・
ふむ、少なくとも佐之助の少年心には触れたようですなぁ。幼い佐之助は何だか可愛くて困る。

というわけで、佐之助はその虎鉄の提案に乗る。

その"信念"とやらが――見届ける価値のねェもんだと分かった日にゃあ・・・
てめェの首はオレが獲る・・・!!!!覚えておけ!!

そう宣言する佐之助。ふむ、何だかツンデレキャラのフラグを立てている感じがしないでもないですが、それはそれで良い。
犬守家の当主殿も何やら微笑ましげに見守っておられますわ。

てなわけで、数日後。
犬守の里を出立した虎鉄が、犬守家の者たちと別れる日となりました。
愛茜はやはり当主殿と一緒に修行をする様子。まあ今のままでは戦力になり難いでしょうしね。
そして虎鉄と一緒に旅をすることになるのは佐之助

愛茜とはひとまず爽やかな別れを済ませることとなる。成長しての再登場に期待ですな。
いやそれにしても、まさか最初の仲間が佐之助になろうとは本当に予想外でしたなぁ・・・驚いた。
なんせ作者の鈴木先生自身、連載初期に考えていたストーリーとはまるで違うものになったと言うぐらいですからなぁ・・・!!
週刊連載は予定通りに行かないのが常とはいいますが、これはキャラが動き出したってことですかねぇ。いい傾向と思います。

さてさて、次なる十二支の登場は何となるか・・・楽しみですな。



第十三幕「"天廻十傑"」  (2014年 42号)


佐之助と旅をすることとなった虎鉄。
犬守の当主殿が言われたように、大変な旅となりそうですなぁ。
それはさておき、さりげなくキツネがついて来ておりますな。
戦になりそうな時は離れているとは賢い奴よ。

さて、佐之助の荷物を改める虎鉄。やはり気になるのはノヴァのことか。
黒船に対抗するには少しでもノヴァの情報は得たいところであるのだが・・・素直に教えてくれそうにない佐之助。
となれば・・・懐柔策あるのみ!!
まずはキノコで釣るが効果は無し。タケノコ派の可能性はあるが・・・そういう問題ではな気がする。
続いて川魚で誘いをかけるが・・・こっちはハッキリ嫌いと言われる。うげ。

虎鉄「なんでだァ!!?こんな美味しい食材ふたつとないだろォ!!?」
佐之助「なんで川魚だけその反応なんだよ!!?

いや全く。虎鉄は虎のくせに魚が好物でありましたか。
まあ、虎らしく生肉が好きですとか言われても困りますしね。
ちょうどキツネ肉が手に入りそうではあるが、さすがにそれはいかん。

で――懐柔は全くうまくいっていない感じだったが、しつこさに折れた様子の佐之助が教えてくれます。
ふむ。リュックのように背負っていたこの小さな入れ物に入っているこれが・・・これがノヴァなのか・・・!!
妙な形の小刀はフェイクだったわけですな。ふーむ。
まあ、瞬間移動という効果を表すにはこういう風に体に身に付けるタイプの方が向いているのは確かか。

お前・・・知りたがっていたな――どうやってあの瞬間移動をしていたか・・・
正直な話、なぜそんなことができるのか・・・オレにも原理はサッパリ分からん。
いや・・・そもそも原理や法則なんぞ無視なんだ。"不可能を可能に変える"・・・
それが総てのノヴァが持つ"根本的能力"なんだよ・・・

ふうむ、それはまさに魔法と呼ぶしかなさそうな代物ですな。
まあ、原理が分からなくても誰にでも使えるのであれば、やはり魔法というよりは兵器か。厄介な。

佐之助のノヴァは虎鉄にぶっとばされた時におしゃかになった様子。ふむ、確かにヒビが入ってますわな。
勿体ないが、まあとりあえず正体の一片が見られただけでも良しとしましょう。

さて、もうひとつ佐之助に聞きたいことがある虎鉄。ある意味こちらはもっと深刻な話。
それは何かというと・・・佐之助の他に黒船に寝返った十二支神将はいないのか?というもの。おぉ、それは気になりますわな。
しかしさすがに佐之助もその辺りのことは知らない様子。
元々敵だったわけだし、そこまで内部事情に詳しい立場にはなれませんわな。仕方がない。
だけど、黒船の"組織図"ぐらいは理解しているとのこと。ほう?

黒船にはいくつかの部隊があって――そいつを十人の"最上級幹部"が各々の隊を指揮している――
幹部たちの総称は・・・"天廻十傑"(アストロギア)
その天廻十傑を束ねるのが"総督"と呼ばれる男――黒船の親玉だ。

ふむ。黒船は総督をトップとした君主政体であるわけか。
佐之助は天廻十傑の一人であるプルートという男の傘下に入っていた。
そしてその傘下以外の兵とは顔を合わすことはなかったそうな。
なるほどね。それだと他の十二支神将が別の幹部の傘下に入ってる可能性は否定できないわけか。
ふうむ・・・なかなか面白い状況でありますな。さて、これを聞いた虎鉄は・・・

決めた!!強大な敵に立ち向かうには強い仲間が必要だ!!
徳川十二支神将"亥の門"・・・剛剣・猪頭家!!!!
黒縞家と縁のあるあのお方なら・・・!!!!きっと力になってくれるハズだ!!

順調に仲間を増やす方向に進んでいくようですな。良いことです。
やはり敵の勢力が強大ならば、こちらも纏まって戦わないとですよね。
さてさて、亥の門はどのようなキャラが出て来ることか。楽しみです。

一方、黒船の勢力の方も明らかになりつつある。
天廻十傑の一人、プルート。腰つきはさておき、何とも危険そうな感じの男である。
近い内にぶつかることになりそうな気はするが・・・さてさてどうなりますか。

それにしても、新星を意味するノヴァにアストロギアと来ましたか。
黒船側は天体関係のようですな。そして冥王星を意味するプルートと。ふむ。
まあ、現在は惑星から外されているそうですけどね、冥王星。まあそれはそれである。

というか、天廻十傑が惑星名だとすると、水金地火木土天海冥で9つしかないわけだが・・・さてはて?
ネメシスのような架空惑星が出る可能性も考えられますが・・・期待して待ちたいところです。



第十四幕「門前の再会」  (2014年 43号)


黒船と共に戦う仲間を求めて、猪頭家へと向かう虎鉄と佐之助。
同じ徳川十二支神将の中での剣技の使い手としてか、黒縞家と猪頭家は昔から繋がりがあった様子。
幼き頃の虎鉄が二十九回も負けていた猪頭家の子供。ほう、これが猪頭家の次世代でありますかな。

さて、やってきましたのは"甘瓜の里"。猪頭家のある街、その入り口であります。
その入り口は街の入り口というよりは要塞の門のような体を成している。
ふうむ、黒船来襲で拵えたものではなく、初代猪頭家の当主が建てたものなのか。
この堅牢な備えがあるならば、黒船が来てからの7年間も持ちこたえられてた可能性はありそうですな。

男手三〇人がかりでも持ち上げるのが困難な街の扉
街を覆う壁も高く、簡単には越えられそうにない。
ならばどうするか。ああ、やましいことがないのだから正面から声をかけて開けてもらえばいいだけか。ふむ。

十二支神将"寅の門"黒縞虎鉄。そう名乗りを上げる虎鉄。
それを聞き、高い扉の上から降ってきたのは・・・お嬢と呼ばれる女の子。
その高さから正確に虎鉄目がけて振っていき、その首を刈る!!な、なにをする!?
下手すればこれだけで死にかねない突撃。よくもまあ生きていたものである。さすがは十二支神将と言ったところか?

派手なくるくる巻きアホ毛が特徴的な女の子。
可愛いのだが、佐之助に言わせればしょんべん臭い女とのこと。おやおや。
相変わらず喧嘩を売るスタイルのようですなぁ佐之助。
そしてこの女の子のことを覚えてない様子の虎鉄は失礼な佐之助以上に怒られている。怒りのビンタだ!えーなんで!!!?

なんでじゃないわよ!?ちっちゃい頃さんざん一緒に稽古したってのに・・・忘れたの!?この――おたんちん!!

おたんちん。幼き頃によく聞かされた言葉。
それを聞きようやく思い当たる。目の前の相手は幼き頃よく一緒に稽古していたあの相手、祈殿であると・・・

そうよ!!あたしが祈!!徳川十二支神将"亥の門"・・・猪頭祈よ!!!!

ほほう。亥はまさかの女の子でありましたか。これは可愛い。
しかし虎鉄は小さい頃、祈殿のことを男の子だと思っていたらしい。おやおや。
でもまあ、小さい頃は格好とか考えないと区別つかないことありますからねぇ。髪も短いし仕方ないと言えば仕方ないか?
酷い誤解はあったが、まあ忘れられてたわけではなかったということで良かったじゃないですか。良かったことにしておくれまし。

というわけで、2人とも中に招かれることとなります。
佐之助は十二支神将であることどころか、名前すら名乗ってないのだがいいのか?
虎鉄のツレであることと、自分たちの守りに自信があるということなのでしょうが。

まあ、確かに腕は立ちそうな感じであります。
幼い頃でまだ未熟とはいえ、虎鉄相手に四十八戦全勝の戦績。ほほう。
実は女の子にしてやられていたとしって少年心が傷ついている虎鉄でありました。ハハハ。
とはいえ黒縞家も女傑だったわけだし、今更そこで落ち込むこともあるまい。

実際のところ、祈殿は凄い。
"剛の剣"を極めたと言われる猪頭家の者だけはある。
男たちが人数揃って巻き上げ機などを使って上げそうな重い扉。
その扉を一人で持ち上げ、楽々といった様子で支えてみせている。何という剛力・・・

幼なじみは怪力っ娘でありました。
それはそれとして、この体勢はワキが強調されていてよいですなとかなんとか。
強さ明るさ可愛さが登場時からアピールされている祈殿。うーむ、活躍が楽しみでありますよ・・・!!



第十五幕「似た者同士」  (2014年 44号)


徳川十二支神将の1人である虎鉄がやってきたことで早速噂が出回っている甘瓜の里。
なんせ黒縞家は猪頭家と同じ"江戸の三剣"のひとつですからねぇ。話題にもなりやすいか。
三剣の残りひとつは1話で触れられた黒縞家と双璧を成す辰の門かな?

里の者からすれば現猪頭家の当主より強い男はいるはずないとのこと。
その言葉が表す通り、でっかい男が現れました。
おぉ、この豪放磊落そうな人が猪頭家の当主、猪頭進兵衛殿でありますか。
いきなり名前が出てくるあたり犬守家の当主とは違うな!!
それはそうとそのくるくる巻きアホ毛は祈殿と同じ・・・遺伝だったのかコレ!!

色々と驚きの猪頭家。さすがに有力な所なのか家臣も多い。
前回も出ていた新参の鹿島周斗さんに古株の美蝶蘭さん。ふむ、猪鹿蝶と揃っているわけですな。ふむ。
それにしても凄い名前だな美蝶蘭。そりゃ美しくあろうとしてしまいますよね。仕方ないわよね。

それはさておき、早速虎鉄は進兵衛殿に訪れた理由を話す。
掲げるのは"打倒黒船"。
かつて白滝家、黒縞家と並び"江戸の三剣"の一角を担った進兵衛殿ならば力になってくれると信じてやってきたのである。
そしてどうやら・・・その判断は間違いではなかったようだ。虎鉄の言葉に嬉しそうにする進兵衛殿。ぶわっはっはっはっは。

何を隠そう儂もまた・・・黒船を倒すために生きてんのが!!
儂ァ今、街の連中と総出で――"黒船狩り"をしとるんが!!

ほう。黒船狩りと来ましたか。
どうやらこの甘瓜の里を拠点として度々誓うの村や町に出向き、そこを占領している黒船の連中をねじ伏せていたらしい。
そしてそこで虐げられていた民たちの面倒を見ていたのだそうな。ほほう。立派ですなぁ・・・
しかしそうか。プルートの配下が言っていたのはこの里のことでありましたか。ふむ・・・

七年前は不意を突かれたが・・・正面から力と力でぶつかれば黒船とも戦える!!!!
まだ終わっとらんことを黒船に教えてやるが!!!!

ここに立派に反旗を掲げ、戦っている者がいた。
これには鼻息荒く嬉しそうにする虎鉄。それでこそ誇り高き十二支神将のあるべき姿というもの!!
色々と現実に打たれた後なだけに、嬉しさもひとしおのようですな。

というわけで、祈殿の提案で稽古に付き合うこととなった虎鉄。
猪頭家率いる"覇道流"一派が黒船相手にも通用すること――あんたに見せてあげる、とのことです。それは楽しみですな。

佐之助を残し、稽古のために道場へ向かう祈殿。
そしてここで佐之助の性癖が明らかになる。ほう熟れてる方が・・・熟女が好みでありますか。ほほう・・・
どのぐらいの熟れ方がいいのか気になるところですな。いやそれはさておき・・・

寅の坊主のツレだって聞いたが・・・おめからは黒船の臭いがすんなァ・・・?

でかい体よりもでかそうな片刃の剣――撫斬包丁を突き付けてそう述べる進兵衛殿。分かるのか!?
それが分かるのも、デカイ武器を寸止めにする技量もかなりのものでありますなぁ。
しかし全く動じた様子を見せない佐之助も大したものである。
ふむ。一体何を進兵衛殿に吹き込もうというのだろうか・・・

さて、稽古組の方。
覇道流の組手は方に捕らわれない自由な様子。無手の者もいれば大槌を構えている者もいる。

"剛剣は剣にあらず"。覇道流の発祥は"戦場"だからね。
戦国時代、武士の鎧は斬撃には強いケド打撃にはもろかった。故に斬るよりも叩き割ることを良しとした。
剣に縛られず己が最も"力"を出せる武を目指す・・・形だけのこぎれいな剣術とは"実用性"が違うのよ!!

なるほどねぇ。泰平の世ではどうかと思うが、今の情勢には非常に適した流派ではなかろうか。
そのような強さが第一の流派で後継ぎたらんとする祈殿。
ああ、父君の猛臣殿は黒船襲来時に祈殿を庇って亡くなられていたのか・・・
ふむ。これは確かに祈殿の言う通り、虎鉄と似たような境遇ですなぁ。祖父が生きている違いはありますが。

あたしも悲しいよ・・・虎珀様は・・・あたしの憧れの人だったから・・・
同じ女性なのに強くて凛々しくて。稽古の時は厳しいのに普段は優しくて・・・いつも虎珀様が煌めいて見えたの。
虎珀様みたいに・・・強い女になりたいって思ったの!!

ふむ。いいことを言いますな祈殿。どちらも魅力的な女性でありますし、是非ともそのように育っていただきたいものです。

同じように親を亡くし、互いの親の死を悲しみ、打倒黒船という同じ目的を持つ虎鉄と祈殿。
うむ、これは心強い味方が加わった感じがありますな。ほほほ。
だがその黒船狩りという行動を無意味だと切り捨てる者がいた。佐之助だ。

あんたはまだ・・・黒船の深淵を知らないんだ

組織図だけではなく、何やら知っている様子の佐之助。
黒船の深淵とは一体何だろうか。それは黒船の目的に関することなのだろうか?
力に屈する生き方を選んでいた佐之助。その佐之助が見た力に関することだろうか・・・気になりますなぁ。
幹部であるプルートも近い内にやってきそうだし、風雲急を告げそうな感じです。



第十六幕「黒船の深淵」  (2014年 45号)


祈殿の腹筋が眩しいセンターカラー
そこらの男にゃ負けませんというだけあり、いい肉付きでございますな。

さて、進兵衛殿に黒船の深淵について語ろうとする佐之助。その前に自己紹介。

徳川十二支神将・・・"申の門"猿飛佐之助。
黒船の内情を知るために一時期奴らの仲間のふりをしていたことがありまして・・・
今はあの虎鉄君と共に打倒黒船の旅をしている身です。

しれっとそんなことを言いだす佐之助。この辺りの根性は流石でありますな。
忍びならば敵陣へ潜入することは日常茶飯事。
黒船の臭いはその時に付いたものかと進兵衛殿も納得する。
というわけで、改めて黒船の深淵について語る・・・ことになるかと思いきや、忍の情報などと笑い飛ばす進兵衛殿。あらら。
剛剣という豪快な剣技を持つだけに、忍とは相性が悪いのかねぇ。

同じ十二支神将の中でも上下関係を大分意識する感じの進兵衛殿。
古参の老兵なだけに若い忍の言うことなど聞けんってわけですかね?
でもただ頭が固いというだけなわけでもなさそうだ。
頑固でありつつ、老獪な感じも見せている進兵衛殿。佐之助の考えもお見通しだった様子。扱いやすくはなさそうだな・・・

てなわけで、黒船の深淵については語られずにこの場は収まる。勿体ない。

その夜。稽古を終えて食事をとる虎鉄たち。
虎鉄は祈殿と打ち合っていたのだがハデにやられた様子。これで四十九敗でありますか。おやおや。
まあ流石に稽古で空牙疾風流の技は使ったりしないだろうし、虎鉄の強さはもっと実戦向きな気はしますけどね。

祈殿が使っていたごっつい金棒は猪頭家の初代当主が使ってたという"獣鉄(シシガネ)"
所謂家宝という奴でございますな。犬守家にも禁術とかあるし、家に伝わる何かってのはありそうですな。
虎鉄は自分の黒縞家にはそれらしいものがあったかは知らないようだが・・・今後出てきたりするのかな?
一話以来出番のない大和さんが知ってたりしないだろうか。

それはそうと、その怪力を維持するためなのか大食いの祈殿。おひつが綺麗に空っぽだ!!
いやしかし、美味しそうに食べる姿は良いですな。可愛い。
そして改めて皆さんや祈殿と会えて良かったと言われて照れる祈殿が可愛い。可愛い

楽しそうにしている虎鉄たちとは違い、屋根の上で一人過ごす佐之助。
ふむ、これは確かに陰気な忍と言われても仕方がないですな。
愛茜ならばそのイメージを覆すことも出来ただろうが・・・覆されても困るか。

それはさておき、佐之助は語る。
部隊を壊滅され続けてるにもかかわらず、黒船側が一切報復に出ないことの不自然さに気付かないものかね、と。

ま・・・いいさ。せいぜい偽りの勝利の美酒に酔ってりゃいい・・・
黒船の深淵が見えた時――どんな酔いでも・・・あっという間に醒めるんだからな

佐之助が語る黒船の深淵とは一体どのようなものなのだろうか。気になるなぁ・・・
というところで、黒船側の話に移る。

よく集まってくれた・・・天廻十傑の同志よ・・・

総督と思しき男の前には十のモニターが設置されている。
ふむ、集まったとはいってもさすがに同じ場所に揃ったと言うわけではないのか。
日本各地に散らばってそうだし、会議のためにわざわざ揃うのも面倒でしょうからねぇ。

天廻十傑の話を聞くと色々と黒船の内情が見えてくる。
メルクリオさんはお喋りだから助かるわぁ。
会議の場に集まったのは6名のみ。
うちマルスはサボリ。プルートは地上へ降りるため欠席とのこと。
ふむ、そうなると後釜が決まってないのが2枠あるということですか。十傑といいつつ空席有りとはね。

気になるのは黒船たちがいう所の例の組織
そして最優先目的は裏切り者共への粛清という言葉。
日本にやって来た理由はどうもこの2つにありそうですな。実際日本の勢力は気にも留めてないようですし。

例の組織と裏切り者共は別々の存在なのだろうか?
となると日本の勢力も合わせて四つどもえの体を取りそうな雰囲気。大事になってきましたな。
そして裏切り者というのは空席となっている天廻十傑に関係することなのだろうか?
そのクラスの裏切り者が日本に潜伏しているのだとしたら・・・ふうむ、空想が広がりますな。

総督曰く、全ては"平和な時代(ハルシオン)"を築くために――とのこと。
組織名であるハルシオンはそこから来ていたわけですか。
侵略者のくせに随分な大義を掲げたものでありますなぁ。さてさてどのような理想があることか・・・

メルクリオは水星を意味し、マルスは火星を意味する。
そしてマルスとは7年前に虎鉄たちを襲ったあの眼帯の男。
ふーむ、予想通り幹部の一人でありましたか。ようやく名前が紹介されて良かった良かった。

黒船の内情や目的、更なる勢力の存在が示唆された今回。
プルートもいよいよ動き出すようだし、話が大きく動いた感じがしますな。
これからの展開が楽しみです。



黒虎 3巻


第十七幕「共闘戦線」  (2014年 46号)


虎鉄が食後のお茶を嗜んでいる頃、祈殿は新しく炊けたらしいご飯の入ったおひつをつついていた。どんだけやねん。

それはさておき、祈殿によると三日後にまた黒船狩りを行うとのこと。
南にある海沿いの街に黒船の部隊がいるので、今度はそこを解放するのだそうな。
ふむ、そのような話を聞いては虎鉄もじっとはしていられませんな。
是非お供させてくださいと申し出るのでありました。

進兵衛殿に同行を認められた虎鉄。
腕前もしっかりと認められているということでしょうか。嬉しいことですな。

さて、二年前に猪頭家の家来になった鹿島さんもこの黒船狩りについてきている。
ふむ、この人も黒船の連中から救われた人でありましたか。
ただの村人でしかなかった自分が"江戸の三剣"の内、ふたつの家元と一緒に戦えるなんてと高揚した様子。
うむうむ。これはカッコ悪い所は見せられませんなぁ。

というわけで、さっそく海沿いの街に到着。
ここを管理しているハルシオンの部隊長はモスマン。も・・・モスマン?
ショゴスとかモスマンとかモンスターっぽい名前が多いですね。

子供をいたぶり、誰が支配者か教えてやらないとなどと言い出すモスマン隊長。
これはまた分かりやすい小物っぷりですな。
見事に進兵衛殿に一撃でやられてしまっているし・・・ある意味感心する小物っぷりだ。
これだけデカイ奴らが隠れもせずに近付いてるのになぜ接敵するまで気付かないのか・・・油断しすぎだろ!!

祈殿も祖父に続いて暴れ出す。うーむ、やっぱりこうしてみると凄いローライズですなぁ。
そして鹿島さんたち猪頭家の家臣たちも突入。
雑魚しかいないのならばハルシオンといっても恐れる部分はありませんわな。
飛び出すタイミングを逃した虎鉄が固まっててもご愛嬌で済ませられる。ハハハ。

楽勝な様子の今回の黒船狩り。
と思いきや・・・やってきましたよ最悪な連中が。
佐之助が慌てて姿を隠すのはハルシオンにいた時の上司であるプルート。
そして、プルートと同じく天廻十傑の一人であるマルス。まさかこいつまで付いて来るとは・・・なんてこったい。

もちろん虎鉄がマルスの顔を忘れるはずもない。
一目見るなり、あの時の記憶がフラッシュバックし・・・叫びと共に切りかかることとなる!!

いきなりの仇の登場。虎鉄が激昂するのも止む無しだろうか。
7年前の時の様に不意打ちで一撃入れられれば今度は真剣だし仕留めることも出来るかもしれないが・・・まあ、さすがにそれは。

プルート1人なら何とかならなくもないかと思ったが、これはヤバイ。
進兵衛殿辺りは特に犠牲になってしまいそうな雰囲気があるわけですが・・・どうなるのか。注目です。



第十八幕「宿敵」  (2014年 47号)


肉親の仇を目の当たりにして飛びかかる虎鉄。
いきなり飛びかかるのは7年前と変わらないが・・・さすがに本身での一撃は受けてくれないか。
虎鉄の迫力が7年前とは段違いになったおかげで不意打ちにならなかった可能性もあるか?

憎悪を込めた一撃。それを片腕で受けるマルス。
地面が陥没してしまうほどの一撃であったのだが、涼しい顔をしている。
うーむ、こうしてみると虎鉄の力も大したものでありますなぁ。
伊達に祈殿と打ち合えはしないということか。

7年経って虎鉄の方は成長している。マルスが見覚えないというのも無理はない。
ただ、徳川と黒縞の名には何となく覚えがある様子。
虎珀さんとの戦いはどうなったのか分からないが、マルスの心に残るぐらいの戦いだったと期待はしたい。

覚えていないならば思い出させるまでと攻撃を仕掛けようとする虎鉄。
だが・・・握っていた刀が音を立てて砕け散る!!
何だろう?衝撃に耐え兼ねて折れるにしてもこれだけ粉々になったりするものだろうか?
マルスの持つ武器による効果だろうか?何にしても・・・これはマズイ。

お前が誰とか興味ねェヨ・・・だが・・・その生意気さが気に入らねェ・・・!!

そう言い捨て、虎鉄を斬り伏せるマルス。
うーむ、ヤバイ相手とは思ったが、ここまで差があるか・・・
一人で挑んでどうにかなる感じではありませんなぁ。

身体を切り裂かれ、仰向けに倒れる虎鉄。
その虎鉄を救うために駆けつける祈殿と進兵衛殿。
2人の攻撃を両腕を使って受けるマルスだが、その手には痺れがきている。うお・・・
むう、こうして比較してみるとやっぱり力は猪頭家の専売特許であるか。

マルスばかりが戦っている展開に面白くなさそうなのがプルート。
もともとプルートが遊びに来たのに、これでは遊ぶ暇もありませんわなぁ。
というかマルス、総督からプルートの付き添いの指示を受けていたのか?本当に?

ともあれ天廻十傑が二人もいるのはどう考えてもマズイ。佐之助も大焦りである。この状況・・・どうすりゃ・・・

いやいや・・・冷静になれ佐之助・・・!!
とっととここから逃げ出せば済む話じゃねーか・・・
寅の字のバカはあの様だし・・・天廻十傑を二人も相手にして生き残れるハズもねェだろう・・・

そう考えて立ち去ることにする佐之助。
自分で首を獲りたいという想いもなくはないが、それと引き換えに残るにはリスクが高すぎる。
忍らしい冷静な判断でありますなぁ。
しかし接近していた者の気配に気づかないとはらしくありませんでしたな。焦りすぎたか?

プルートの側近であるカロンに見つかる佐之助。上手く言い逃れができるかどうか・・・
ところでカロンといえば冥王星の第1衛星でありますな。
やはり惑星の側近は衛星ということか・・・木星とか土星は側近多そうだ。

それはさておき、プルートがいきなりノヴァを発動させている。
マルスばかりが目立って無視されたのが腹立たしかったようですな。
うーむ、まあ外見的に強そうな方に話しかけるのは常道ですし・・・仕方ないですよね?

いずれにせよ、発動されたプルートのノヴァ。
遊戯開始(GAME START)と言い出すわけであるが、果たしてどのような効果があるのか?
何となく特殊なルールを有した結界を展開している感じでありますが・・・さてはて。
天廻十傑の力・・・とくと見せていただきましょう。



第十九幕「"猪頭家"対"プルート"」  (2014年 48号)


発動するプルートのノヴァ。
マルスは危うくその範囲から逃れることに成功した様子。その武器、宙に浮くのか。
まあここはマルスが加わらずにプルートのみとの戦いになったことを喜ぶべきでしょうな。

これがボク様のノヴァ。"悪戯好きの玩具箱(グレムリンハウス)"!!!!

一定範囲を取り囲むように作られた結界のようなもの。
プルートに言わせればこれは遊び場とのことであるが、やはり特殊ルール系の空間を作った感じですかな?

では!今からキミたちには――ボク様と"鬼ごっこ"で遊んでもらいまーす!

そう宣言するプルート。
しかし祈殿にしてみればよく分からない遊びに付き合ってあげる義理などはない。
許せない黒船に加え、虎鉄がやられたばかりですものねぇ。いきなり獣鉄で殴りかかっても仕方のないことであるか。

まさしくの"轟打"がプルートの頭を直撃する。
が、何故か傷ひとつ付いていないプルート。さすがにこれで倒れるようなことはないか・・・
そしてルールを聞かないせっかちさんな祈殿におしおきと称して手のひらで触れるプルート。
すると・・・いきなり頭がズキリと痛み、吹き飛ぶこととなる祈殿。ほう、これは・・・?

こういう闘いの場合、やはりルール確認は重要である。
暴れん坊な感じなのに冷静に流れを見極めようと待機している進兵衛殿は流石に年の功というやつか?

だがその進兵衛殿を無視して後ろに控えていた鹿島さんたちを切り裂くプルート。
その動きは進兵衛殿をも驚かせるものがある様子。ほほう。

切り裂かれたはずの鹿島さんたちだが痛くもないし血も出ていない。
そんな鹿島さんたちが鬼であると告げるプルート。
ふーむ、ルールを説明する前に攻撃を仕掛けてくるのはどうなのかね?
フライングしてるって意味では祈殿と同じじゃないですか。ペナルティとかないのかい!?

それは置いておいて、プルートのノヴァの効果が判明しました。

ボク様が作り出したこの空間内では・・・体へのあらゆる攻撃ダメージが十秒後にまとめて現れるのサ!!
スゴくない!?やられた直後はなんともないのに――痛みと傷が十秒遅れてやってくるなんてさ!!
怖いでしょ?でも安心していいよ・・・体に溜まったダメージを取り除く方法がたったひとつ!!
それはね・・・十秒以内に自分以外の誰かに手で触れることで受けたダメージは触れられた人へ全て移るんだ
そう・・・これは痛みと傷の"鬼ごっこ(なすりつけ合い)"・・・
十秒間で最後まで鬼だった人が罰ゲームを受ける遊び・・・
なんて・・・なんて楽しい遊戯だと思わない?エヘヘヘヘァ♪

楽しそうに笑うプルート。うーむ、これはまたトンチキな効果ですなぁ。
しかしこれ、別段プルートが有利になる効果ってわけでもないんですなぁ。
ルールを知らないでいるとプルートが絶対的に有利になるが、明かしてしまえばそういうことにはならない。
つまり有利な効果を得なくてもこの人数相手でどうとでもなる自信があるということか・・・
身体能力だけでも凄そうですからなぁ。進兵衛殿も今まで相手してきた黒船の連中とはまるでモノが違うと感じている。

それにしても、そんな力が使えるとは信じられないと考える進兵衛殿。
実は今までノヴァを使う相手と闘ったことないんですかね?
天廻十傑はさておき、ショゴスのような部隊長クラスでも持っている奴は持ってる感じなんですが・・・
それだとすると佐之助ではないが、黒船のことを知らずに侮り過ぎと言えてしまいそうでアレですなぁ。

自分の一撃が跳ね返ってきてかなりのダメージを受けた祈殿。
それでもキッチリ立ち上がって来るところはさすがである。
しかし祈殿がこれだけダメージを受けるということは、移されなければちゃんと有効打になるってことで安心できますな。
ただ問題は移されることなく済ませられるかどうかでありますが・・・

腹を爪で貫かれた鹿島さん。
必死に十秒以内にプルートに触れようとするが・・・果たせず。
なるほどねぇ。死にたくないと必死に足掻く姿を見て楽しむための舞台というわけであるか・・・
思った以上に悪趣味な奴でありました。ううむ。

人数がいればルール的には有利な面もあるが、その人数も一気に減った今回。
まともに動けそうなのはもう進兵衛殿しかいない感じですがどうなりますか。
手のひらで触れるという限定的なルールでは圧倒的に不利な感じがしますが・・・ううむ。
先にダメージを与えて十秒間触れさせずに済ませればいいのでしょうが、それも出来るかどうか。
上手く両腕を封じるような形で締め付けにでも持って行けば確実に勝てるでしょうが・・・はてさてどうなりますか。



第二十幕「嘘と駆け引き」  (2014年 49号)


プルートにやられて倒れる鹿島さん。
危険な状態であるが、その傍でも危険な戦いが始まろうとしている。
一足先に逃げようとしたが間に合わなかった佐之助。
ふむ、西部劇っぽい格好してるだけに銃使いですかカロン。

佐之助を部下ではなくただの駒だと断じるカロン。
既に黒船から抜けたことを知られたら間違いなく処分されるでありましょうなぁ・・・

失望したぞ佐之助・・・文句ひとつ言わずに仕事を着実に行う・・・それがお前の取り得だったろうに・・
だからこそ取ってくるよう頼んだのだぞ?
お前がハルシオンの一員になるために献上した――片割れの"禁術の書"
そのもう片方の在処もお前は知っているという話だったからな。

ほう。禁術の書は2つで1つの代物だったわけですか。
さすがに禁術と呼ばれるだけあり、管理の仕方も徹底しているわけですな。
十二支神将の二家が守っていれば本来ならば盤石って感じだったのでしょうが・・・ううむ。

さて、そのもうひとつの"禁術の書"の在処を教えろと述べるカロン。
場所さえ分ければ自分たちで回収するだけという話ですな。
しかし犬守家は隠れ里の場所を移し始めているし、既に佐之助にも場所は分かっていないと思われる。
それを素直に伝えたら・・・処分されるでしょうなぁ。やっぱり。

というわけで、佐之助はこんなことを言いだす。
オレは既に頼まれた"禁術の書"を手にしているからです、と。

巻物を取り出し約束の期日内に戻れなかったことは土下座して謝罪する佐之助。どげっ。
そうしておいてから戻れなかったことには理由があると語り出す。
ふむ、成果を見せてから理由を述べる。良い交渉術でございますな。

実は・・・片割れの"禁術の書"を持っていたのは――猪頭という名の家元・・・
他でもない・・・今プルート様がお相手している連中なんです。
奴らは黒船狩りと称してこの近辺のハルシオンの部隊を潰し回っている・・・
中々の手練れの集団。書の入手は少々困難だと判断し――奴らの信用を得て仲間のふりをすることで書を入手致しまして・・・
黒船狩りの騒ぎに乗じて姿を消すという算段でした・・・

最もらしいことを言いだす佐之助。
確かに姿を消そうとしていたところだっただけに信憑性は無くもない。
しかし元々この国の人間である佐之助の言葉を簡単には信用しないカロン。
さてさて、佐之助の息をするように嘘をつくという危険な駆け引きはどう転ぶのか・・・

多少の嘘がきな臭いのならば、更に嘘を重ねて塗り固めてしまおうと言う佐之助。
将来はさておき、この場を切り抜けるだけなら有効かもしれませんな。
自分がいかに深くハルシオンに服従を誓った身であるかを語り出す。
今なおハルシオンに刃向かう愚か者共に、自分自身の手で制裁を加えてやりたかった、と。

佐之助の言葉を信頼した――ような様子を見せるカロン。
差し出された禁術の書――と称された巻物を受け取る。これは果たして本物なのか・・・?怪しいな。
そして佐之助がかつて語っていたように力に従うことが正しいことだと語り出す。

敵うハズのない相手に歯向かうなど弱肉強食の節理から最も離れた行為だからな。
だがいくらハルシオンのためとはいえ・・・無断で命令外の行為をとるのはいただけないな。
今現在のハルシオンの最優先目的はこんな小国の支配ではなく・・・
裏切り者共・・・"夜喰烏(ラプラスタ)"の粛清であることを忘れるな・・・!!

ここで名称が出てきました、裏切り者の組織ラプラスタ。
この組織の存在は今後の展開に重要そうでありますが・・・とりあえず名前だけ覚えておくとしましょう。

カロンに言わせればこんな国、その気になればものの数日で堕とせるとのこと。
それよりも優先するのは裏切り者共の粛清。
今プルートがやっているのは任務外のただのヒマつぶしなのだそうな。

勝負の駆引きを楽しむわけでもない。
子供が小さな虫の手足をもぎ取り・・・快感を得るのと同じ行為にすぎん。

ふうむ。戦いを楽しむ感じのキャラではなさそうだとは思っていたが・・・やっぱり性質が悪い。
そしてこのことが、佐之助のいう所の黒船の深淵とやらに繋がっていた様子。
寅の字も猪頭の連中も知らない黒船の深淵・・・

こいつらは日ノ本の人間を・・・"敵"とすら思っていない

確かに力の差は圧倒的であるが、そういう認識をされているのは辛いものがありますわなぁ。
油断と捉えることもできるが、それを示すには幹部を倒すぐらいの力を示さないといけない。
そういう意味ではここでプルートを倒すことができれば・・・という感じですがどうでしょうか・・・

怒りの進兵衛殿がついに動き出す。
パワーと突進力は猪の名を冠するだけに凄そうだが、さてさて捕らえきることが出来るかどうか。
何としても一矢報いて欲しい所であります。



第二十一幕「見えない痛み」  (2014年 50号)


七年前。黒船が襲来し、日ノ本を襲った時のこと。
猪頭家の当主である進兵衛はどうにか難を逃れることは出来た様子。
しかしその息子である猛臣は・・・そしてその死を目撃し、死体を抱えることになった祈殿は・・・

幼き子供の頃から怪力を発揮し、猛臣を抱え獣鉄を引きずる祈殿。
しかし涙も枯れるほどに泣きつくしたであろうその顔を見ていると・・・何ともやるせない。

黒船は絶対に許せない相手である。
七年前も。そして今も。自分に近しい者たちを傷つける連中・・・これは怒らないはずがない。
怒りの進兵衛殿がプルートに迫る。が・・・さすがに簡単には当たらないか。

進兵衛殿の力は相当なものであるが、それでも攻撃でプルートのノヴァを破壊するのは難しい様子。
上手くすればこの結界そのものを解除できるのではないかとも思ったが・・・厳しい感じですな。

さらには爪が伸びるようなカラクリも披露してみせる。
致命的な個所は避けているのかもしれないが、肩や腹を貫かれる進兵衛殿
十秒以内に誰かに触れなければこのダメージが実際のものとなる。
いや、誰かに触れなければといっても、味方にそれを移すようなことは出来ますまい。
例え祈殿自身がそれを望んだとしても、出来るはずがない。
ならば答えはひとつ・・・プルート目がけて突進するのみ!!

エヘ!?そんな鈍足でボク様に触れると・・・思ってんの?そんなの・・・バーカのすることだよ!?

近付く間にもプルートの爪が容赦なく身体を貫いて来る。
そして距離を詰める間にダメージが反映。体の各所が貫かれ、血が噴き出る。
・・・が、怯むこともなく、止まることもない進兵衛殿!!

"撫斬包丁・断頭"!!!!

てっきりダメージ反映されて倒れるものだと油断していた様子のプルート。
その痛みを意にも介さず攻撃してくるとは思ってなかったようで、この一撃をまともに受けてしまう。ほほ・・・!!
グレムリン・ハウスの中だからこそ無事であったが、どう考えても首が吹き飛ぶであろう一撃。まさに断頭。

痛みだァ?大事な家族を護れなかった痛みに比べりゃあ・・・こんな!!
こんな傷の痛みなんざ・・・いくらでも耐えたるが!!!!

そう吠え、倒れたプルートの左腕を手首から地面に固定する。
こうしてしまえばプルートが誰かに触れられることは無い。さすがの対処法であります。しかし・・・

だからさァ・・・そーゆーのはいらないの・・・!!

述べると共に、手首を返して地面に触れるプルート。
すると地面に大きな亀裂が走り出す。これは・・・?

確かに誰かに触れれば・・・ダメージを相手に移せるケド――ボク様だけは例外なんだ・・・
たとえ人でなくてもなにかに触れさえすれば――ダメージは触れた物に全て移せるんだよ・・・!!

おやおや、ここで明かされる特別ルール。
うーむ、こういう場で説明されてないルールがあるのはなぁ・・・

なに?なんなのその顔?条件が違うとか・・・ズルだって言いたいの?
だからさァ・・・そーゆーのはいいんだって・・・
キミたちはボク様の遊び相手なの!!おもちゃなの!!
どこのバーカがおもちゃと命がけの勝負すんのサ!?なんでボク様がおもちゃからやられなきゃならないわけ!?
ここはボク様が作った――ボク様のための遊び場!!
キミ達はボク様を楽しませるためだけに・・・いればいいッ!!!!

何ともなことを堂々と述べるプルート。
ううむ、マルスにケンカ売った時はバトルも楽しむタイプなのかとも思ったが・・・全然そんなことはなかったですな。
日ノ本の人間を敵と見なしていない黒船の連中であるが、プルートは敵どころか人間とも見なしていない感じがある。
何というか・・・絶対に負けられない相手でありますな。
その想いは祈殿も同様でありましょう。

あたしたちは・・・おもちゃなんかじゃない・・・!!
体中に赤い血の流れる・・・命を持った人間なのよ・・・!!
人の生き死にを弄ぶやつに――これ以上好きにはさせない!!あたしがみんなを・・・護る!!

誓いの言葉を口にする祈殿。
うむ、いよいよプルート戦も佳境に入ってきた感じでありますな。
プルートの能力は厄介であるが、その精神性の底を見せた今が付け入るチャンスと思えなくはない。
勝つとすれば、プルートがなにかに触れられないようにすることでありますが・・・
空中に打ち上げてそのままリフティングに持ち込むとか?
祈殿の怪力ならばそれも可能とは思うが・・・はてさてどうなりますか。



第二十二幕「背負ったもの」  (2014年 51号)


屋根より高く出来上がるプルートの結界、グレムリン・ハウス。
遠くからでもその様子はハッキリと見て取ることが出来る。知っている人が見れば一目瞭然でありましょう。
というわけで、何かの組織の連中らしき者たちが姿を現した。
このタイミングで現れるとなると、例のハルシオンが追っている裏切り者達だろうか。気になるところです。

とはいえ、まずはこちらの窮地をどうにかしないといけない。
プルートの猛攻に防戦一方の祈殿。
どうにか致命傷は避けているものの、細かな傷が十秒後に一斉に開き、痛みがやってくるのが厄介な様子。
ともすれば痛みで膝を付きそうになる・・・が、倒れてなんかいられない!!

これくらいで引き下がっちゃ・・・!!情けないったらありゃしない!!!!
そんなの・・・ごめんよ!!

意地でプルートに一撃食らわせる祈殿。しかしどんなに強力な攻撃でもダメージにならなければ意味は無い。
何にでも触れさえすればそこにダメージを逃すことができるグレムリン・ハウス。やはり厄介極まるノヴァだ。

プルートにしてみれば余裕の戦い。
だが祈殿の態度が気に入らないということでイラついている様子。我儘な奴だ。
望まぬ相手を勝手におもちゃにしようとしているのだから反抗されても仕方があるまいに。
いや、そもそもおもちゃ扱いされること自体が気に入らない。
黒船に父親を殺された祈殿は語る。父親の復讐などという陳腐な感情ではなく、もっと根本的なことを知ったと。

あたし・・・その時初めて人が死ぬ瞬間を見たの・・・
なにもできないままお父さんを目の前で亡くす・・・なんてさ・・・
十一歳の女の子がそうそうしていい経験じゃないって話よ・・・
あたしは"命"を知ってる!!だから!!人のことをおもちゃ扱いするような・・・そんな奴に!!
これ以上大切な人を奪われたくないだけ!!

人の命の大切さを知る。大事なことです。
しかしそもそもプルートのような奴はこちらを人として認識していない。
信じられないことではありますが、そういう奴もいるんですな・・・絶対に負けたくない相手である。

それにしても7年前に十一歳だったという祈殿。ふむ、現在十八歳でありますか。ふむ。

というのはさておき、イラついたプルートはさっさと終わらせようとする。
最高速度で爪を伸ばし、祈殿を串刺しにしようとする。
が・・・その必殺の刺突が見切られた!!
寸でのところで躱し・・・脇で挟み込む祈殿!!
この動体視力にはさすがのプルートも驚愕しております。いい反応だ。だが驚くのはこれから。
挟み込んで固定した爪を掴み・・・プルートを空中高く放り上げる祈殿。

空中なら攻撃を喰らっても・・・周りに触れられるモノがないでしょ!?

やはり空中か!!
ルールを把握したのならば、次はその隙間を縫うことがこの手の戦いの攻略法である。
弱点があるのにルールを全て話してしまったプルートの慢心ですな。これを突かない手はない!!

放り上げられたプルート。その体に空中で強烈な一撃を叩き込み祈殿。
とはいえ、さすがに落下までには十秒もかからない。着地さえ間に合えばすぐに地面に手をついてダメージを消すことができる。
が、それは祈殿も・・・進兵衛殿も理解している!!

可愛い孫が体張ってんが・・・!!そんなん見せられたら――じいちゃんも張りきっちまうが!!

地面に撫斬包丁を突き立て、力を込める進兵衛殿。
なんだろう?打ち上げ直すのかと思ったがそうではない感じ。地面を掘り起こして勢いで吹き飛ばすのか?
などと思っていたら、発想のスケールが違った。
高度が足りなくて時間が間に合わないのであれば・・・大地を切り裂いて落下までの時間を稼げばいい!!

進兵衛殿の一撃で割れる地面。そんなッ!?いやこれはプルートならずともそう言いたくなる。
何にしてもこれで時間を稼ぐことはできた。
そして空中から落下しながら更なる追撃を行う祈殿!!
この2連発のダメージが一気に来るのであれば、さすがのプルートも立ちあがることはできますまい。おそらく、ですが。

想定外の剛力。猪頭家の意地を見たといった感じですなぁ。
決め手は祈殿の脇での挟み込み。ふうむ、やはり祈殿の決め手は脇であったか・・・ワキ腋。

十二支神将の一門の総力で幹部の一人を撃破できた。これは今後の戦いに明るい要素が見受けられる。
とはいえ、これが知られれば他の幹部も油断はしてこないでしょうし・・・本当に危険なのはこれからですな。
とりあえず、直近の危険はマルスか。
今回メインのプルートがやられたからってことでお付きの自分は撤退。という判断をしてくれればいいのですが・・・さてはて。



第二十三幕「夜喰烏」  (2014年 52号)


猪頭家の持ち味を最大限に発揮してプルート完全撃破!!
まだ起き上って来る可能性もあるかな?とも思ったが、グレムリン・ハウスが解除されたからにはそれもなさそうですな。

勝利の余韻に浸りたい。
そんな状況であったが、この場にやってきていたのはプルートだけではない。
いや、ここは健闘を称えて引いてはくれませんかねマルスさんや。
内心自分たちのスタイルを押し通して勝ったことには驚いているようですが・・・見逃してはくれないか。

所詮プルートも雑魚・・・高が知れるぜ?あんなのに手こずるようじゃな・・・

そう述べ、武器の先から爆撃を放つマルス。
名前が火星なだけに武器も火器、爆発系なのでありましょうか。
何にせよ頭部に爆撃を受け、自身が作った裂け目に落下する進兵衛殿。
頭が無くなったりしたわけではないようですが・・・生きているかどうか。分からない状態ですな。

グレムリン・ハウスの結界が解けてやってきていた猪頭家の家臣たち。
当主が目の前でやられて黙っていられるわけが無い。
敵討ちの為に挑みかかろうとするが・・・正直これは死にに行くようなものでありますな。
必死に止めようとする祈殿。
しかしここで家臣たちを救ったのは・・・倒れていたはずの虎鉄!!
おぉ。武器が折れてほぼ柄しかない状態なのに体ごと当たってマルスの攻撃を止めるとは・・・!!

プルート戦ではずっと倒れていて役には立てなかった虎鉄。ここで面目躍如といったところでしょうか。

とはいえ一度止めただけで何も変わらない。
いや、その一度で時間を稼ぐことができた。
マルスの後ろから近づき、その動きを止めさせるのは前回の冒頭に出てきていた男たち。
ある組織の者たちであったはずだが、ここでその素性が明らかになる。

"紅の怪盗"アスワン!!
いや・・・反乱分子"夜喰烏(ラプラスタ)・総長"と呼ぶべきか・・・?

やはり例の裏切り者と称されたラプラスタの面々でありましたか。
しかし総長自らが赴いて来るとは・・・こりゃマルスがとんでもない来客と口にするのも分かる話ですわ。

総長であるアスワンはマルスに直談判しに来たという。

今直ぐプルート連れてこの街から出ていきな!!
そうすりゃ・・・オレたちもなにもせず引いてやるろ・・・やるよ・・・!!

バッチリ要求を述べて決めるべき場面。なのに噛んでしまうアスワン。
妙なところで締まりきらない人のようですなぁ。言い直すのはさすがにダサイ!!

この場にやってきたラプラススタの面々はアスワンを含めて4名。
さすがにマルス1人では相手するには分が悪い様子。
というわけで、どうにかこの場は引いてくれる形となりました。
マルスの武器は飛ぶだけじゃなくて離れた物体を浮かせる力もあるのか。何だか色々兼ね備えてそうな武器ですなぁ。

プルートを連れて飛び去るマルス。
そういえばマルスの左足って義足っぽい感じになってますな?
7年前、江戸に降り立った時は普通の足だったようだが・・・やはりその時の戦いで失ったのだろうか?
その辺りの話も詳しく知りたいところですなぁ。気になる気になる。

さて、ラプラスタの面々の中に虎鉄のことを知る人物がいる。
場所こそ違えど似たような傷を顔に持つ人物。
うーむ、ここで虎鉄に対してまだまだだなとか述べる人物となると候補はかなり限られますよねぇ。
確かに7年前に死亡した姿を確認したわけではないが・・・こう来ましたか。楽しみなことです。



第二十四幕「噛む馬はしまいまで噛む」  (2015年 1号)


まだまだだな・・・虎鉄・・・
七年前からなにも変わっていない・・・だからお前は負けるんだ・・・!!

倒れた虎鉄を見下ろしながらそう述べる。
この人物はやはりあの男なのだろうか。その答えはここでは明かされない様子である。ふむ。

しかし自分たちが何者であるかはちゃんと教えてくれるアスワン。
黒船ことハルシオンを倒すために誕生した裏切り者たち
共闘できそうな存在ではありますが、どうやら向こうにそのつもりはないようだ。
プルートを倒したことである程度は認められるかと思ったが・・・手厳しい。

中途半端な力を持った奴ほど・・・早死にするんだ・・・戦場ではな・・・!!
ハルシオンはオレたちが片付ける・・・あんたらは・・・ただおとなしくしてりゃいいんだよ・・・!!

そう告げて去っていくアスワン。
確かにその通りでありますし、優しさから来ている部分もありそうだ。
だからといってこのまま黙って大人しくしていることなどできない。
自分たちの国を蹂躙され、大切な人達が今も苦しんでいるというのに黙っていることなど出来ようはずもない。
今は言い返すことの出来ない祈殿でありますが、悔しい思いは噛み締めている様子である。

アスワンからキッドと呼ばれた例の男。
この7年の内に中途半端ではない力を身につけたということでしょうか?
うーむ、成長するにもやはり環境は大事ってことですかねぇ。

さて、プルートがやられたことには当然気付いているカロン。
ラプラスタが現れたことは驚きであるが、逆にそれを好機と考えた様子である。
佐之助を連れてその足跡を追おうとするが、佐之助はプルートがやられた今、一度戻った方がいいと主張する。
どうにかしてこの場を切り抜けようと佐之助も必死ですなぁ。しかしカロンはこう述べる。

だから好機なのだ・・・
遊びで雑魚相手に返り討ちにあったとなれば・・・プルート様が天廻十傑から失脚する可能性があるだろう・・・?

野心を露わにして見せるカロン。
上官の失態。更にラプラスタの情報という手土産。
それらを得れば自分が天廻十傑の座につく可能性もあると考えているわけでありますな。それで好機ですか。

どこまでも野心的なカロン。どうやら地上に降りてきたのは独断によるものだったらしい。
本来はラプラスタの情報が得られるのではないかと期待してやってきていた様子。
まさかプルートがやられるとは思っていなかったでしょうが・・・この展開は渡りに船と言った所か。
そして佐之助に出会えたのも収穫であると述べる。

プルート様は気付いていないのだ・・・この"禁術の書"の有用性にな・・・!!

そのように述べるカロン。ふむ、興味本位ではなく、本当に禁術の書に興味を持っていたんですな。
しかしその禁術の書は全部で3つ。総て合わせて初めて全貌が明らかになる書物であり、1つでは意味がない。
プルートはそういったものを集めるのは嫌いなので禁術の書の収集はカロンに一任されていた様子。
ふーむ、その任命がカロンの野心に火をつけてしまったようですなぁ。
プルートではなく総督に直接渡して腕を認めてもらおうと考えるようになったと・・・ふうむ。

佐之助にノヴァを与えられた理由もこれで説明がつくわけですな。
プルート傘下の部隊を使わず、書を独占する。
そのために佐之助という存在に白羽の矢が立ったと。腕が立ち、書の在処を知る佐之助はうってつけの存在だったわけですな。

・・・カロン様・・・"噛む馬はしまいまで噛む"って知ってます・・・?
人を噛むクセのある馬ってのは・・・死ぬまで人を噛むってことなんですケド・・・
いやァホント・・・悪いクセってのは死ぬまで治らないもんですよねェ・・・

さらりとそんなことを口にしだす佐之助。
よく考えれば何を言わんとしているのかは分かるはずなのだが、手柄を焦っているカロンには分からない。
佐之助が自分に向かって攻撃を仕掛けてくるなど最早想像もしていなかった様子ですなぁ。

そんな油断したカロンの不意をつくことなど造作もない。
短刀で足を止めた後、一気に近付いて首を捻り、昏倒させる。
後は奪ったカロンのノヴァでとどめをさして終了。うーむ、実に忍者らしい手際でありますなぁ。

佐之助に言わせればプルートは戦闘だけに特化した低能ヤロー。
しかしその分、戦闘力には確かに目を見張るものがあった。なので大人しく命令に従っていたわけでありますな。
だがカロンは自身はそんなに怖くは無かったとのこと。プルートの後ろ盾があるから大人しく従っていただけってわけですな。ハハ。

まァなんつーか早い話・・・
人のことナメた途端に隙だらけになるそのクセ・・・直した方がいいんじゃないですか?

確かに最初こそ警戒していたものの、気を許した・・・というか、見くびってからは隙だらけな感じでしたな。
ずっと警戒を怠らず、最後に至るまで丁寧語を通した佐之助とは大違いである。
過ぎた野心は身を亡ぼすって話でありますなぁ。慎むべし慎むべし。

それにしても佐之助。禁術の書を回収していますが、結局2本目は本物だったんですかね?
普通に考えれば忍の里3つそれぞれに分割して置いていそうな気がするが・・・
何にしてもこの禁術の書が揃うのはまだ先のこととなりそうですな。

プルートやマルス、カロンといったハルシオンの脅威は去った。
そしてそのタイミングで現れるのは懐かしい顔ぶれ。おっとここで子の門の方々が合流でありますか。
そして吹き出しに隠れているがもう1人いる様子。これは新たな十二支神将の登場か・・・!?期待でありますな。



第二十五幕「モコモコ」  (2015年 2+3号)


プルートとの戦闘から数日が経過。
その戦闘で傷を負った家臣の一人は既に回復している様子。
元からの回復力もあるのだろうが、これは医者の技量のおかげ。
なんせ、徳川十二支神将の一人であるとのことだから、それは凄そうな話である。ほほう・・・

それはそれとして入浴タイムでございます。
新キャラの話を横に置いておいて、祈殿と夢芽ちゃんの入浴タイムでございます
ふむ、出会って数日でしょうに随分と仲良くなったみたいですなぁ。
もともと祈殿は物怖じしない性格だし、相手の性格が良ければ仲良くなるのは当然かな。

普通に女性が入浴中でも呼びに入ってこられる美蝶さん。びちょーん。
美しいものの絡みは推進したいという姿勢でしょうか。どうなんでしょうか。

それはさておき、プルートとの戦いで腹部をやられて重傷だった鹿島さんが意識を取り戻した様子。
生きてるのが不思議なくらいの重傷。
しかしその傷を外科手術で癒した人物がいる。
それが"医術"を極めた家元・・・徳川十二支神将"未"の門、角巻洋先生であります!!

やはりこの子だったか。やはり未だったか。
モコモコした頭してたしたぶんそうなんだろうなとは思ってましたが、医者とは思いませんでしたな。

確かに江戸時代だとまだ外科手術の手法は確立してませんわな。
蘭学によって伝えられている最中といったところでしょうか。
そういった技術を既にものにしている。"医術"を極めた家元と呼ばれる所以でありますな。

さて、鹿島さんが復帰して嬉しい祈殿。嬉しさのあまり抱き殺しそうになってしまうぐらいに嬉しい様子。ハッハッハ。
おかげで患者に乱暴するなと角巻くんに怒られてますわ。ハッハッハ。
未なだけに怒り方はめっ!ですか。ハッハッハ。

それはさておき、角巻くんは語る。祈殿の筋肉や肉体の構造は他の人と大きく違っているとのこと。
それによってその怪力を生みだせているのだそうな。
ふうむミオスタチン関連筋肉肥大みたいなものですかねぇ。
それだともっと見た目の筋肉も物凄いことになるが・・・気になりますなぁ。医者としては凄く気になるでしょうなぁ。

だから!!今度ねっとり調べさせてくださいね!!すっごい興味あるんで!!祈さんの身体に!!

興奮した様子の角巻くん。うん、言い回し的にはとても変態っぽいぞ。
まあ小さな男の子が述べていると考えればそれはそれで良い。と考える人もいるのではなかろーか。

なにはともあれ、虎鉄や進兵衛殿のケガも全て角巻くんが処置してしまったらしい。
ほほう。生き延びてくれたのですな進兵衛殿。それは良かった。
そして忠吉さんとは当然ながら旧知の仲。というか随分親しい仲であった様子。たっちゃんしんちゃんと来たか。

今一つ正体が知れないというか、どういう立ち位置の活躍を見込めるのかが分からない子の門の2人。
都合のいいタイミングで現れてくれたわけですが、独自の情報網でもあるのだろうか?
と思ったが、医者である角巻くんを連れてこられたのは偶然である様子。忠吉さんが出会ったのもつい最近のことなのだそうな。

洋は両親と共に・・・黒船に捕らわれていたんぢゃよ・・・!!
洋の話によると・・・"富士の秘薬"の量産を手伝わされた・・・だそうぢゃ。

角巻家の宝薬。なんだか知らないが凄そうな薬でありますな。
日ノ本の人間に興味ないみたいなことを言っている黒船だが、さすがに禁術とか宝薬クラスになると注目してくるか・・・現金な。

どうやって角巻くんは黒船から脱出できたのか。
両親と共にいないということは、両親はまだ捕らわれたまま開発させられているのだろうか。うーむ気になる。

さて、鹿島さんと進兵衛殿の無事は確認された。
となれば残るは虎鉄だが・・・こちらは肉体よりも心の方のダメージが大きい様子。
目はとっくに覚めているが、伏せったまま一言も口を開かずにいるのだそうな。

・・・七年間・・・ずっと奴を追っていた・・・
母上と兄上の無念を・・・この手で晴らしたかった・・・
それが出来なかったら――拙者は一体・・・なんのために剣を振るって――

無力感に苛まれ、枕を涙で濡らす虎鉄。おやおや。
まあ悔しいのは当然でしょうな。これまで培ってきたものが全く通じなかったわけですし。
しかしそこで折れてしまうのかどうかが大事である。
主人公らしい挫折からの復帰を期待したいところであります。



第二十六幕「上っ面の夢」  (2015年 4+5号)


親兄弟の仇を前に脆くも敗れ去った虎鉄。
体の傷は癒えても、心に負った傷は簡単には癒えない様子である。

七年間・・・拙者はなにも・・・変わっていない・・・変えられもしない・・・
見せつけられた・・・圧倒的な・・・力の差を――

弱気が極まり、口からも弱音が漏れる。
そんな虎鉄の枕元に現れるのは・・・佐之助!
もちろん慰めに来たとかそんな殊勝な話ではなく、文字通り足蹴にするためにやってきたのである。

ダッセェ〜〜〜〜あんだけタンカ切っといてこの様かよ・・・
寅の字・・・貴様・・・みじめだな・・・!!

見下し、煽る佐之助。と、そのタイミングで祈殿登場。佐之助を止めようとするが・・・止まる男ではない。

こちとら今から――このクズをぶっ殺すとこなんだからよォ・・・!!

ハッキリとそう述べる佐之助。
うむ、確かにそういう契約でありましたな。
虎鉄の"信念"が見届ける価値の無いものだと分かったら首をもらう。
確かにそう言って一緒に旅立ったわけでありました。間違いない。

黒船を倒す。その夢を掲げておきながら、敗れて弱音を吐いている。これは夢が打ち砕かれてしまったと判断しても間違いあるまい。
さらに佐之助は核心を抉ってくる。

そもそもお前さァ・・・内心じゃあ黒船や日ノ本のことなんて・・・どうでもいいって思ってんじゃねェの?
オレはお前の"キレた場面"を二回観ている・・・ひとつはオレと戦った時・・・元十二支神将ノヴァを使ってると知った瞬間。
もうひとつはあのマルスって奴を見た時・・・見たところ母親と兄貴の仇なんだろ?つまりさァ・・・
お前の"キレるつぼ"ってのは・・・十二支神将だった母親を侮辱されることなんだよ・・・!!
お前が熱く語ってた夢は・・・大義名分の面を被ったちんけなしっぺ返しだ。

これはまさしくな内容でありますな。
でもある意味健全であるかもしれない。
十代の若者が日ノ本の為にと大義名分を掲げて戦うよりも、親兄弟の仇の為に強くなったという方が分かりやすく思える。
その母から、十二支神将の心構えとして人々を護るという教訓を受け継いできた虎鉄。
しかしやはり、完全にその教えが根ざしていたというわけではなかったみたいですなぁ・・・青い青い。

いや〜!!マジ頭下がるわ!!
"黒船を倒し日ノ本を救う"・・・だったっけ?ご立派な夢じゃねェか!!猪頭の皆さんの慈善活動なんて比にならねェ――
大した"正義の味方"だよ・・・!!とてもマネできねェや!!キャッキャ!!

核心を抉り、妖怪のような笑みを見せる佐之助。
自身も気付いていなかったのか、目を逸らしていたのか・・・内心をズバリ指摘された虎鉄は・・・笑うしかない。

ケッサクだな・・・誇りも・・・正義も・・・拙者にはなにもない。
負けだよ佐之助・・・好きにしろ・・・

自分には信念を貫く資格はない。そう祈殿に語り出す虎鉄。
己のワガママを綺麗事で隠してきた。埋まらない実力差を感じてそれが剥がれたことを知った。
それでも一度かけた命。最期ぐらい男の約束を果たさせてほしい。
そう述べ、その命を佐之助に差し出そうとするわけでありますが・・・

こんの・・・おたんちーん!!!!!

祈殿の怒りの鉄拳、虎鉄に炸裂する。
殴り殺されると思うほどの威力。実際、そのまま殴りつづけられていたら死んでいたかもしれない。
しかし、激情のままに殴りつけたのは一撃のみ。それ以上は・・・涙で拳を握る力も入らない様子。

男ってほんとバカ!!!!すぐ命かけて!!一回や二回やられたぐらいで弱音吐いて・・・!!
生かされたんでしょ!?虎珀様が・・・あんたに生きて欲しいってー!!
救われた命を・・・そんなくっだらない約束で無下にするつもり!!?

涙を零しながら、虎鉄に言葉を浴びせかける祈殿。
兎に角言いたいのは、死んで欲しくないということ。生きていて欲しいということ。
小さい頃に肉親の死に触れた少女としては、これ以上親しい人の死は見たくないものでしょうな。いやそれは誰だってそうか。

何はともあれ、祈殿の言葉でようやく復帰できた様子の虎鉄。
今までの信念が綺麗事で塗り固められていたものであるならば、捨ててしまおう。
それに伴い、契約も無かったこととして捨ててしまえばいい。
そのぐらいに割り切らなければ新しい道を進むことなど出来はしないと思うが・・・さてさて、虎鉄は何を述べるのか。

佐之助と祈殿の叱咤により復帰した虎鉄。主人公には挫折がつきものですが、いい感じに立ち直れそうで何よりです。
本当の主人公となれるかはここからの活躍次第でありますが・・・どうなりますか。
期待して見守りたいところでありますな。



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