蒼天紳士チャンピオン作品別感想

さくらDISCORD
第1話 〜 第30話


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 第1話 〜 第30話 (2011 40号〜2012 19号)   第31話 〜 (2012 20号〜 )



第1話 さくら×さくら  (2011年 40号)


秋の新連載大攻勢、第2弾!
透明人間の作り方の増田英二先生が、満を持して登場だ!

主義主張は中々どうして一致しない。たった一人の人間とわかり合うことさえ困難だ。
例えば俺、作楽康介と、いけ好かない女、桜ノ宮さくら
「さくら」と「さくら」
同じ「さくら」なのに、こいつの言うことは何一つ理解できない。
・・・まあ、でも仕方ないと思う。
俺たちは、名前以外何もかも違うんだから。

作楽康介。高二の男子である。
彼は走っていた。転校初日にいきなり遅刻しそうだからである。

春は嫌いだ。
暖かな陽気が否応なしに「何かやらなきゃ」って気にさせるけど、その度に何も出来ない自分に気付くから。
高二の春、あと2回桜が咲いて卒業するころには――どうか笑っていますように。
この何一つ思い通りにならない、クソったれな世界で。

なかなかのポエムである。若いな。
全力で走り続けても間に合うかどうかわからない。
そんな状況で、昔のことを思い出してしまう康介。『あと一歩』だったんだ・・・
足を止める康介の横を抜こうとする少女の姿があった。

春は出会いの季節らしい。

少女は転校先の制服を着ている。つまりは、登校中の出会いというシチュエーション。
この時、彼女が放った言葉は。

何?もうバテちゃった?ダッサ

ダサ坊と申したか。
怒る康介。何故か、少女と学校まで競争することになった。

後になって思えばそれが――『さくら』たちとの出会いの始まりだった――

学校に到着。
俺はまだ本気出してないだけ・・・俺はまだ本気出してないだけ・・・
明日から本気出すとかいいそうな呟きだ。ようするに負けたのだね康介くん。ダッサ。
他の生徒はまだ登校しているところを見ると、ギリギリどころではなく間に合ったらしい。

疲れているところに、転校先のクラスの担任にである斉藤先生がやってきます。
若くてキレイな感じだが、どことなく怖そうな感じな先生だ。くすくす・・・

康介は4年前までこの街に住んでいたらしい。戻ってきたというわけか。
街を去ってからの4年間。それは康介にとっては辛い思い出。
どんなに頑張っても報われないことがあると知った4年間。
結果の伴わない努力なんて意味がない。だから俺はもう――

若いのだから物思いにふけるのは仕方ないが、先生の話は聞きましょう。怖いことになるよ!
そういえば、康介自身もつっこんでいるが、ずいぶんフレンドリーな先生である。
生徒をいきなり下の名前で呼ぶことはあまりない。若い先生だからあまり気にはならないけど。

実際、それには理由がある。クラスで自己紹介したとき、それは判明する。

作楽康介です。みんなヨロシ・・・

『さくらこうすけ』!?
嘘でしょ!?またかよ!?
『こうすけ』だ!今度は『こうすけ』が来やがった!!

なんだか凄い盛り上がりようである。来やがったって。来ちゃいかんのかい!
戸惑うクラスメイトの様子に、先生が説明してくれます。

このクラスには貴方を含めて『さくら』が6人いるの

なんと。
数ページ前のカットで『さくら』たちとの出会いがどうこう言われたときに想像はしたが、本当にそうだとは。
なんといいますか、サクラの多いクラスなんですね。生徒役が不足してるんすか?

混乱してしまっている康介のために、『さくら』たちの紹介が行われます。
まずは『島』桜島結太
元気そうな少年である。改めてよろしくなと宣言してくる。
続いて『丘』桜ヶ丘奏
メガネの男子である。わりかしマジメそう。メガネだし。
次は女子。『住吉』住吉さくら
金髪の女の子である。まあ、漫画で髪の色なんてそう気にしなくてもいいな。不良じゃないはず。
もう一人も女子。『芽吹』芽吹さくら
快活そうな女子ですな。
そして最後が・・・『ノ宮』桜ノ宮さくら!
登校時に出会った少女である!どうやらトイレ行ってたら遅れたらしい。なげーよ。

朝のバカ女と同じクラスとは最悪だ。
とか思っていたが、よく考えると聞き覚えのある通称である・・・思い出した。
昔、まだこの街に住んでいたころ。
わりと仲の良かった3人の『さくら』がいた。
その3人が、『ノ宮』と『島』と『丘』である。

3人の中で一番活発だったノ宮さん。
島くんをボウズにしたり、丘くんに勉強になるとエロ本を読ませたりしたらしい
なんの勉強ですか?というか、勉強させてどうするのですか?どうせ勉強するなら、いやそれ以上は言っちゃいけねぇ。

そして小学校を卒業して、この街を離れると俺が告げた時。
一番泣いたのもノ宮だった。

そんな相手を忘れておったのですかね。康介も薄情者であるな。

席はノ宮さんの後ろ。なので一日中絡まれて授業どころではない康介。しょうがないね。
これは斉藤先生の配慮によるもの。どうせどの席でも絡まれるなら近いほうがいい。
その方がクラス全体の被害は一番小さいわけですから。黒いな斉藤先生!
しかし、転校生なのにノ宮さんたちが絡んでくるばかりなので、他の生徒が絡んできませんな。

さて。HR。
2週間後の球技大会のチーム分けを行うらしい
。 この学校の球技大会は男女混合で行われる。クラス替えの後の親睦を深めるためという意味合いがあるそうな。
競技の内容は野球。野球か・・・人数いる競技だな。

斉藤先生曰く。さくらたち6人は1つのチームとして登録しておいたとのこと。
なんですかそれ!チーム分け強制とは!横暴だ!
どうせノ宮さんがこの6人で組むことにするって?ああ。ですよねー。

クラスは33人。9で割ると6人余るので、その6人の枠に組み込まれたらしい。控えとかなしか!
斉藤先生がいうには、私以外の先生が助っ人に入ってくれるから人数差は大丈夫とのこと。本当、いい性格の先生だ。

ちなみに、チーム分けが決まったときの6人の反応はそれぞれ。
住吉、康介:拒絶。
島、丘:わりと呆然。
芽吹:どーでもよさげ。
ノ宮:ヨッシャー!

というわけで、ヨッシャー状態のノ宮さん。他の面子に練習を呼びかける。
ヨッシーこと住吉さんはやる気がないので帰ります。
ブッキーこと芽吹さんは、チーム決まった時点でもう帰っています。
丘ぴょんこと丘くんは、新刊の発売日なので帰らなければいけません。帰れ!ひでぇ。
島公こと島くんは、部活なのでそっちを優先。しかし、凄い呼ばれ方だ。
こーちゃんこと康介も先に出て行ってしまった様子。

康介としては悩みがある。野球。4年間の記憶を思い起こされる競技である。
イライラしている康介。足は自然と、ノ宮さんたちと遊んでいた公園に向いていた。

3人と再会して心底思ったのは、変わってねぇなってこと。
だけど・・・俺は、変わりたかったんだ――

4年前。中学1年になったとき、康介は野球部に入った。
その学校の野球部は弱く、1勝が目標という慎ましい部であった。3年は不在
。 だったら俺が1勝をプレゼントします!なかなか言う康介。このころは希望に満ちていた。
先輩もなんだかいい人たちである。
弱いのでボロ負けする。悔しいので朝練しようという康介につきあってくれる先輩達。
少しは力がついてきたのか、1勝まであと1歩といえるようになってきた。でも勝てない。
どうやら、最後まで先輩達に1勝をプレゼントすることはできなかったようで――康介は部活をやめた。
そして、中三と高一の2年間は無為にすごしていたらしい。

そんな時、2度目の引越しが決まった。やり直せるかもって思った
。 でも4年ぶりに見たこの街は、俺の記憶そのままで、まだ野球が好きだった自分がいて。
それはまるで「やり直せるワケねぇだろ」って「忘れていいワケねぇだろ」って言ってるみたいで――

物思いにふける康介。その後ろからニヨッキリ現れるノ宮さん。
野球の練習のお誘いに来たというノ宮さんに対し、野球なんざ絶対やんねぇ。練習なんざ真っ平ごめんという康介。
そんな康介に、ノ宮パンチをお見舞いだ!へぶっ!?地味に痛い。
そして、勝負を持ちかけるノ宮さん。
勝負に勝てば、もう野球しようなんて二度と言わないとのこと
。 勝負の内容は水切り。それぞれ5投して、その中で一番回数の多いのを投げた人が勝ちである。

先行の康介。まず1投目は17回。なかなかの結果。
ノ宮さんの1投目。35回!倍の差がついてるじゃねーっすか!ちなみにギネスは51回とのこと。ヘェ。
なんという圧倒的な差であることか。康介も早々に投げ出してしまう。

また諦めるの?

帰ろうとする康介の背中に投げかけられるノ宮さんの言葉。思わず反応してしまう康介。

『あと一歩』で世界は変わるのに

そのセリフは・・・
あと一歩。あと一歩のところまで行けたんだ。だから、次は届くと信じて――

野球部での最後の試合。1点差。最後の1球に康介が届いていたら、ひょっとして。
先輩達は笑顔でいてくれた。お前のおかげで楽しかったと言ってくれた。しかし・・・
康介は変わりたかった。あんなに努力して頑張って、それでも届かないなら、初めから努力なんてしない自分になりたい。

けど本当は――『あと1歩』が届く自分になりたかったんスよ

桜ノ宮さくら。
昔からムカツクヤツだった。
もう諦めようとしている自分に、一番頭に来る言葉を選んで、何度でもムキにさせて何度でも立ち上がらせる。
認めたくないけど――

こいつがいれば俺は『あと1歩』が届く自分に――

汗だくになりながらも何投もし、ついにノ宮さんの回数を超える36回をマークした康介。
そして、球技大会。やるからには絶対勝つ。だから練習するぞと言ってくる康介。
はっはっは。いい感じですね、こーちゃん。
2投目のノ宮さんが42回をマークしたのはご愛嬌ってことで!

あと2回桜が咲いて卒業する頃には、俺たちは笑っているのだろうか。
『さくら』たちが奏でるメロディーはきっと聴くに耐えない不協和音。
不器用で滑稽な、ここから始まる6人の『さくら』の物語――

というわけで、始まりましたさくらDICORD。
ディスコードとは、不一致とか不協和音を意味する言葉。名前が同じでもみな違う人間ってことですね。
しかし、女子3人の名前は全員同じひらがなの「さくら」である。
さくらという名前は人気がありますから・・・意外とこの現象はリアルにもあるんじゃないだろうか?
でも、普通は学校側が配慮してクラス分ける気がするような――そうでもないと自分のことを思い返した。

康介、ノ宮さんの2人とりあえずズポットは当たっていますが、他の4人にもいろいろありそうですな。
じっくり読めそうで期待が膨らみます。
しかし、透明人間のころに比べると安定しているけど、やはりところどころで気になるコマがありますな。
最後のページのノ宮さんとか。頭大きい!まあ、全体的に頭大きいんですけど。
そんな点も魅力にできたらいいんじゃないかなとか思ったりします。

そういえば、康介は左耳にピアスしてますけど、これも桜の形なんですな。とことん拘りますなぁ。
球技大会には他のクラスのさくらも出たりするのでしょうか。
むしろ、他のクラスにはウメとかモモが固まっているとか!どんな学校だ。



第2話 仕方ない  (2011年 41号)


咲き誇れ、高二の青春!
新連載の第2話。センターカラーで登場だ。

舞台は兵庫県姫路市の南西、瀬尾見。ありそうだけど、架空の地名でございます。
というか、チャンピオンなのに千葉じゃないのは結構新鮮な感じ!

4年振りに帰ってきた街で、6人の『さくら』は出会った。

そして、その6人は球技大会のチームとなった。球技大会の競技は野球。
中学時代に嫌な思い出を残した野球。しかし、あと1歩で見ている世界は変わるはずなのである。

上等だ。

朝。グラブを手に気合を入れる康介。
それはいいけど、もうとっくに登校しないといけない時間でございます。
朝なのにカーテンも開けずにいるから遅刻することになる。母君もちゃんと送り出してあげてくだされ。

昨日に引き続き、またも遅刻濃厚な康介。
しかも、水切りのせいで全身を筋肉痛が襲う。投球は全身運動だし厳しいな。
走り出そうとした康介の後ろから現れるノ宮さん。
なんでこんな所にいるのか!?
そりゃあ、同じ市営住宅に住んでいるからに決まっています。幼なじみのご近所さんなのだ!

ノ宮さんのアオリをうけて、今日も走って登校することになった康介。本当、アオリに弱いやつだ。
全力で走る2人。その2人を待っていたのは、丘くん。
登校途中の桜ヶ丘種苗店。これが丘の家である。
どうやら、丘の発案で、3人一緒に登校しようという話になっていたらしい。
そのために22分も待っていた丘。暇潰しに本も読めるから問題はないのかもしれないが、気が長いな。

もちろん康介はそんな話は聞いていない。
でも、小学校のころはよく3人で登校していた。それを懐かしく思えるのだし、悪くはない。
しかし、ノ宮さん。
康介が寝坊したのであれば起こしに来てくれればよかったのではありませんか?
幼なじみの女子が寝坊した男の子を起こしに来る!定番過ぎるシチュエーションじゃないか!
まあ、そういう漫画じゃないし、ノ宮さんがそういうキャラじゃないのはわかってますけどね。

もっと早く起きりゃよかったという康介に、期待してないからと返すノ宮さん。
それはこっちのセリフだよ!起こしにきてハプニングとかイロイロあるだろと。ええ、期待してませんでしたよ!エエ!

ともかく。急いで登校でございます。走れば間に合う。丘くんも参加で競争することになった。
しかし、肉体系じゃない丘くんにそれは厳しい。
ダッシュ開始。しばらくしてダウンする丘。丘ぁ!!?

大・・・丈夫だ。お前たち、先行してくれ・・・なぁに、すぐ追いつくさ・・・

ダメだ丘!それは追いつけねぇヤツのセリフだ!

根性はあるけど、さすがにこれはどうしようもない。気合でどうにかなるもんじゃないですわな。
丘くんを置いていくわけにはいかない。しょうがない。ええ、しょうがない。
なので、2人で手を持って引きずっていくことになりました。しょうがない。しょうがなくはないな!
引きずられてコンクリートですりおろされる丘くん。丘ぁぁ!!

どうにか予鈴には間に合った様子。丘くんだったものを席に置くことにしました。丘ぁぁ!

運動はからっきしな丘くん。どうやら授業中も死んでいる様子。

先生「それは、丘なのか?」
島「・・・最後まで立派だったと聞いています」
先生「・・・そうか」

そうかじゃねぇっすよ。

さて、昼休み。島が昼飯を一緒にと誘ってくる。
ノ宮さんは丘くんを連れてきて、4人一緒の昼食でございます。懐かしいやねぇ。
ここで、康介のガクランについてツッコミ。確かに、ここの高校はブレザーだよな?
どうやら、見分けがついて便利だからずっと着てろと担任に言われたらしい。斉藤先生・・・

ノ宮さんの昼食はドーナツ。それだけで大丈夫か?
この子は他の人より活動的だから、もっとエネルギーが必要なんじゃないだろうか。妙な心配をしてしまう。
そういえば、朝走るときもドーナツ咥えてたな。前回も咥えていた。
ノ宮さんの主食はドーナツなのか!?
走りながら栄養を補給するノ宮さん。それだからこそ、限界を知らず動けるってわけか!すげぇ!ロードレーサーみたいだ!

それはさておき。
島は、康介がすっかり色気づいたと茶化す。
なんせピアスなんかしておりますからね。桜の形の。こんなのつけてちゃ色気づいたと言われても仕方ない。
どうやらこのピアスは人から貰ったものらしい。ほう。女か?
妙に動揺する康介。本当にそうなのかな?やるね、こーちゃん。
島はどうやら色恋沙汰が好物らしい。この手の人間は他人の色恋沙汰は好物だが、本人は奥手だったりするものだ。
でも、他人のは好物なのでつっこんでくる。やっぱり女から貰ったのか?

康介の過去の回想で女の影はない。後から出る可能性はあるけど。
むしろ、あの野球部の先輩からもらったという可能性がある。え、そ、そういう関係・・・!?
そういえば、片耳のピアスって何か意味があったような・・・(検索)
ふむ。男性の左耳のピアスは勇気と誇りの象徴らしい。へぇ。ちなみに右だけだとゲイになるそうな。へぇ。
先輩はそっちの意味で送ってくれたのかもしれ・・・それはさておき。

島に本題を切り出す康介。

一緒に球技大会の練習しねぇ?
昔みたいに・・・4人でさ

軽い感じで、それでも期待を込めて誘う康介。
しかし、島は部活があるから難しいと答えてしまう。
結構な衝撃を受けている康介。一も二もなく承諾してくれると期待してたんでしょうなぁ。
島は陸上部。しっかりした部活のようだし、それでは仕方ないともいえる。
ここで丘くんも復活。彼も今日は買いたい本があるとのこと。

仕方ないな。うん、仕方ない。
丘くんが大根になっておろされる夢を見てしまうのも仕方ない。ああ、仕方ない。丘ぁぁ!!

仕方がないので、今日はノ宮さんと2人で球技大会の練習をする。
子供のころ遊んだ三角公園では狭い。
なら、丘の家の前の広場がいいかなと提案する康介。それに淋しそうな表情で返すノ宮さん。
その広場は、今はもう――

4年も立てばいろいろと変わる。変わらない方がおかしい。
人も、場所も。
広場はコンビニが出来ていた。登校途中のようだし、そこにあれば確かに便利である。

思いつめだした康介は聞く。俺のいなかった4年間、どんなだった?

この質問にノ宮さん。だいたいは相変わらずと答える。
でも、島と丘の話をするなら、少しずつ一緒に遊ぶ時間は減っていったらしい
学校ではよろしくやっていたけど。

それもまた仕方がないのですかね。特に島なんかは交流関係多そうだしなぁ。

だからずっと一人で水切りの特訓をしていたというノ宮さん
なるほどな。だからこそ、前回のあの実力であったのか!納得だ!いや、淋しいぞ、ソレ。

変わりたくても変われないものがあるのと同じ。
変わりたくなくても変わっちゃうことは、きっとたくさん。
きっとこの先、本当にたくさんあるんだよ。

ノ宮さんの言葉は正しい。でも、イラついてしまう。
変わらない街にイライラしていたが、今度は変わってしまったことにイライラしている。
矛盾はしているが、その気持ちはなんだかわからないでもないなぁ。
そして、何より今イラつくのは・・・ノ宮さんが淋しそうにしていること。
そんな淋しい顔で4年間ずっといたというのだろうか・・・

そんな思いに駆られたところで、話しかけてくる人物がいた。
結局三角公園でキャッチボールをしていた2人。そこに丘がやってくる。
あれ、何か本を買いに行く用事があったのでは?
その通り。必要な本を買いにいっていたのだ。

これが無いと始められないだろぅ?

取り出しましたるは、ぼくらの野球入門
さすが丘くん。実は球技大会やる気まんまんだったんですな!嬉しいぞ。丘ぁぁ!

本を購入した後はすぐ合流するつもりだったが、場所がわからなくて遅くなったらしい。
連絡先の交換を先にしておくべきでしたね。
ん、そういえば、ノ宮さんに連絡を取ればよかったのでは?

私、ケータイ持ってないから

そうか。まあ、そういう子もいますよね。うん。
大きくなると行動範囲も大きくなる。
そうなると、どこで遊んでいるかの特定も難しくなる。
自然と一緒に遊ぶ回数も減っていくというものである。アレ?

思いっきりお前が原因じゃねぇか!!

酷いオチがあったものだ。

ノ宮「あーえーと、あ・・・そうそう。ドンマイ☆」
康介「お前が思ってるほど、その言葉万能じゃねぇからな!?」

康介のツッコミだが、そうでもないぞ。ドンマイは直訳するなら気にするなって意味だ。
つまり、気にしなければ問題ない!うむ、受け入れさえしてくれれば万能用語だ!ドンマイ!

なんて言い争いをしていたら、島登場。おお、島も合流か。
部活が早く終わったので急いでやってきたらしい
。 もちろん島も場所がわからず、探していたそうな。うむ、ノ宮さんが原因で間違いなくなったな!

ま、いろいろとトラブルはありましたが・・・4人揃った。

ノ宮・・・お前が望んだ、4人での練習だよ

確かに変わりたくなくても変わってしまうことはある。
だけど、この3人は変わってはいない。
丘ならもっと上の高校に入れたはず。それなのに同じ学校を選んでいる。
島だった、息を切らせて、汗を流して駆けつけてきた。

だから、変わっちゃいないんだよ

色々と要素が足りていないような康介の言葉だが、感じるものはある。ノ宮さんもそう思ったようだ。

実際のところ、変わってないかそうかなんざわからない。
4人、それぞれの4年間があるんだから。
けどそれでも、俺は思うんだ。

4人全員が望んだから、この光景があるんじゃねぇかって

そういうことなんでしょうね。
なんだかんだで、この4人の芯は変わっていない。そう思いたいものです。

それにしても、丘くんは見事なマニュアル人間でありますな。
ボールを捕るのに失敗した!くっ・・・やはり、入門書を読んでいないからか。いや、違うと思う。

さて、これであとは2人。2人集めれば6人のさくらが揃う。
球技大会まではあとたったの2週間。
技術面での上達なんかはほとんど期待できない。丘くんには悪いけど。
どうにか出来るものがあるとしたら、それはチームワーク!

確かにそのとおり。
でも、残りの2人は手強い。子供のころからの知り合いであるこの4人とは違う。
住吉さんは堅物だし、芽吹さんにいたっては何を考えているのかもわからない。

どうやらはっきりしてきたらしい。
球技大会のために出来ることはチームワークの構築。
そして、そのカギを握るのは、芽吹さくらと住吉さくら。

まずは2人のうちの1人、住吉さんの話になりそうな雰囲気。
4人の練習中に通りがかった住吉さん。どうやら弟の貴樹くんと連れ立っているようだ。
会話からして、ごはんとかは住吉さんが作っているらしい。ふむ。
そういえば、前回。住吉さんは弟一緒に病院らしきところに行っていた。
親は入院しているのだろうか。それで、弟の世話を住吉さんが見ていると。ありそうな話だ。

それだからだろうか。4人で青春している現場を見た住吉さんは表情を歪める。

・・・虫唾が走るわ

これはなんとも難しい相手だ。ただの堅物ではない。背景がいろいろありそうな相手だ。
どうやって、仲間としてわかりあっていくのか・・・
康介の手腕に期待したい。期待できるのか?いや、期待だけはしたい。しておきたい。



第3話 5番目の『さくら』  (2011年 42号)


球技大会に住吉さくらを誘ってみたい康介。
まずは事前情報として、幼なじみたちに住吉について尋ねる。
おやおや、転校3日目にしてもう狙い定めてるんですか。こーちゃんってば手が早い!

色恋沙汰についてはともかく、3人による住吉評。
ノ宮:照れ屋
丘:話せるヤツ
島:堅物

少しは一致しろよお前ら。

しょうがないので、出たとこ勝負で挑むことになりました。康介も大変だな。
でも、やるしかない。
もう決して諦めたりしないと、あの日、俺は誓ったんだから――

勇気を出して話しかける。今大丈夫か?

予習してるから後にして。見てわからない?
悪いのは目?耳?それとも頭かしら?

バッサリ斬られた!不用意に近づくからだ!
踵を返し、廊下に出る。そして柱に頭を打ち付けて感情を押さえ込もうとする康介。

島「よく耐えた!よく耐えたぞ!康介!!」
ノ宮「まったく・・・ヨッシーの照れ屋にも困ったもんだね」
丘「康介は何故柱に頭を打ちつけているんだ?

丘ァ!
というか、この3人は本当に一致しないな。不協和音にもほどがある
頑張って耐えた康介。あそこでキレてたら練習に誘うどころじゃなくなるのはわかっている。
こうなれば意地だ。意地でも住吉を練習に参加させてやるよ!
さすが諦めないと誓った男である。半ギレ気味に見えるが、男らしくもあるな。

というわけで、休み時間ごとに話しかけて罵倒される康介。

次の時間の予習よ。何?貴方学習能力まで乏しいの?
これ職員室まで持ってかなくちゃいけないの。貴方ヒマなの?だったら酸素吸って二酸化炭素出す遊びしてたら?

どんどん罵倒のセンスが磨かれていっている!?
この様子を後ろで見守る3人。笑顔のノ宮さんに、見てられないと顔を覆う島に、その島を不思議そうに見ている丘だ。丘ァァ!
島はなんだか普通な感じですなぁ。康介としては安心できる相手でしょう。
逆に康介がいない間は一番苦労してそうな気もする。常識人はいつも損をする!

次は体育。これはチャンスだ。予習もクソもないからな!
よし、話しかけるぜ。おい!住吉!

住吉「今からこの教室で女子が着替えるんだけど。目と耳と頭が悪くて学習能力が乏しくて、その上変態なの?救えないわね」
康介「ちょっと頭突きしてくる」

はい。ごゆっくり。
こいつは手強い相手でございますね。話しかけるスキすらありゃしない。
授業中も荒れる康介。イライラはスポーツで吹っ飛ばすぜ!

なんて荒れている康介を横に、住吉さんはクラスの女子ともぶつかっていた。
授業中に雑談していたということで、説教される。こりゃキツイ。
なんとか空気を和らげようと、今度の日曜一緒に遊びに行かないかと誘う女子。しかし――

・・・一緒にしないでくれる?
私は貴女たちとは違うの。一緒にしないで頂戴。
友達作りならもう済んだでしょう?さっさと退学して遊びに行けば?

こりゃキツイ。というか、かなり行き過ぎている感じがする。
でも、このキツさは最近のもののようだ。クラスの女子もあそこまでひどかったっけ?と疑問に思っている子がいる。
確かに、1話目の様子を見た限りだとそこまでのものではなかったはずだが・・・何かあったのかね?
康介たちが青春しているのを見て苛立っているのは知っているが、それ以外にもありそうだな。

昼休み。今日も4人で食事。今日もノ宮さんの昼食はドーナツ。
ここで康介、住吉さんを誘うのは無理なんじゃないかと言い出す。
罵られるのはかまわない。ムカツクけど。でも、住吉は俺らとは別の種類の人間じゃないかなと康介は言う。
どっちが悪いとかいう話ではなく、そういうタイプだと割り切るしかないのかもしれない。

え?それを何とかするのがこーちゃんでしょ?

何だか大きな期待を寄せられている!?
それをするのが一番難しい相手なのだが・・・
しかし、ノ宮さんは言う。

ヨッシーはね?
堅物だけど、案外話せるヤツで照れ屋さん。それが住吉さくらだよ

ふむ。3人の意見を総合するとそうなるのか。そういう面も見て取れなくはないけど・・・
まあ、ノ宮さんがそこまでいうなら、もう少し粘ってみるか。康介もやる気を取り戻したようだ。

そんな話をしているところに当人登場。
球技大会の練習ならお断りよ、とのこと。誘う前の第一声で断られた。
話しかけてきた理由は、島。課題の提出がまだだということ。
部活もあるし、球技大会の練習もあるからなぁ。それで課題をやる時間がなかったのだろうか。
気遣う康介だが、島としてみてはやはり「昔みたいに4人で」ってのが嬉しかった。

課題も何とかするし、練習のせいとかじゃねぇから!

島はよい子ですなぁ。まあ、練習とか関係なく普段から課題はやってないみたいですけどね!ハハハ。

楽しそうにしている4人。その中に爆弾が投げ込まれる。住吉さんがノ宮に声をかけた。

あんたなんで、こんな茶番に付き合ってられるの・・・?

おっと、これは。
言葉もヤバイが、表情もヤバイことになっている。軽い気持ちで煽ったわけじゃないのがわかる。
しかし、この暴言には流石に康介もマジになるしかない。住吉さんに合わせ、マジ顔で対抗だ!

住吉・・・俺はお前のことよく知らねぇ。そりゃそうだ。まともに話したこともねぇからな。
で、お前は、そんなに俺らのこと知ってるのか

「茶番」呼ばわりされたことを取り消せと言う康介。それを拒否する住吉さん。
異様な様子に、クラスもざわめいている。立ち上がったときに椅子も倒れたっぽいし、注目の的でしょうな。

住吉「何?「俺たちの友情は本物だ」とか、反吐が出るようなこと言わないでよ?
康介「俺たちの友情は本物だ。どうだ?反吐は出そうか?

おぉ、強いぞこーちゃん!
島は焦っているが、ここは退くべきところではない。
球技大会の話はあるが、今はそういう話じゃない。退いてはならないところなのだ。
マジ顔の2人。そして、なんだか淋しげな表情のノ宮さん。むむ、この表情は・・・?

というわけで、5人目の『さくら』との対立が始まってしまいました。
しかし、ノ宮さんの表情は気になるなぁ。言われてすぐに否定できない何かがあるとでも言うのだろうか。
なんだか、最終的にノ宮さんが一番重いものを抱えていそうな流れになりそうで怖いワァ。

ノ宮さんのことはさておき、住吉さんのことである。
どのように解決して仲間になってもらうのがよいのでしょうか。
こういう相手には一度派手にぶつかるのがよいと思う。そういう意味では、今の状況は好転する機会になりえる。
一歩も退かない今のこーちゃんならどんな罵倒も通じないでしょう。体育の時間の前でもこうなるはず!

住吉「今からこの教室で女子が着替えるんだけど。目と耳と頭が悪くて学習能力が乏しくて、その上変態なの?救えないわね」
康介「目と耳と頭が悪くて学習能力が乏しくて、その上変態だ。早く着替えろよ

一歩も退かないこーちゃんカッケェ!
いや、これやったらしばらくは学校にこれなくなりそうだけどな。

というか、マトモにぶつかりあってもどこまでの意味があるか。
うかつに勝っても泣かせてしまうだけになるかもしれない。泣ーかせた、泣ーかせたってなことになりかねない。
ここはあれだね、惚れさせる。これが一番の解決方法ではないでしょうか。
惚れた弱味なんて言葉もあることだし、そうさせるようにできれば一番である。
なので、ここはいっちょ告白してみたらどうでしょう
クラスの注目が集まっているところで大告白だ!これは住吉さんでもうろたえる。

というわけで、上記の解決策を一度にやってみたらどうなるかを想定してみた。
一歩も退くことなく相対し、ついに住吉さんを怯ませることに成功する康介。

康介「怯ませた!言い負かした!やったぞ!俺の勝ちだだだ大好きいいい!!

このくらいの勢いで行けば、相手が誰だろうと押し切ることができるよ!
まあ、言い方はともかく、惚れさせる手法は有効と思います。どうやるかはわからないけど。



第4話 ズブヌレ  (2011年 43号)


否定された『さくら』の絆。住吉と対峙する康介。一体どうなってしまうのか!?

睨みあう2人。なかなかいい緊張感である。
やはりこういう場は先に目をそらした方が負けというのが定番ですよね。
それを利用して唇を奪うという手もありますが、どうよ、こーちゃん。

しかし、そんな緊張の場面は乱入者によって遮られる。
窓から飛び込んできたのは・・・芽吹さくら!ブッキーだ!
なんで窓から入ってきた!?土足ですよね、完全に。
というか、ここ何階なんだろう。誰もその辺り突っ込んでいない以上、たぶん1階。
なんだけど、せっかくだから3階ぐらいに考えておくと楽しいかもしれない。

芽吹さんは、先生が住吉さんを呼んでいると伝えにきたと言う。それはホント?ウソ?

別に、アタシはどっちでもいいけど?

その返事はホントじゃないと言っているのと同じですな。なんとも喰えない人だ。
まさかここで6人目の『さくら』が乱入してくるとは思いませんでした。
順番に攻略していくと思っていたのだがなぁ。まさかの同時攻略か?やるね、こーちゃん。

住吉さんは職員室に向かうことになり、康介との対決は水入りで終了。ふむ。
芽吹さんも信用できないということで一緒に連れて行かれることになりました。土足で。

水を差された康介は頭を冷やしてくるといい教室を出て行く。
しかし、島は色々と気を回さないといけないポジションで大変だな。
そして、ノ宮さんのセリフ。

・・・きっと、あの中で、こーちゃんは一番冷静だったから

それはどういう意味だろう?少なくとも自分は冷静でいられなかったといいたいのだろうか?
沈んだ感じのノ宮さんはあまり見たくないけど、なんだか色々抱えてそうで厄いわぁ。

さて、頭を冷やしている康介。でも、やっぱりムカツク!
マジキレモードからコミカルキレモードの段階までは落としてきたようだ。
そんな所に通りがかる芽吹さん。職員室に行ったんじゃないのか?

せっかく会ったのだから、球技大会の練習に出ないか誘う。
別にいいよとのこと。マジか!?なら、放課後に・・・

ただし、住吉も参加するならね?

おっと、このタイミングでそんなことを言い出しますか。
芽吹・・・お前、悪趣味だな。
思わず飛び出たこの言葉に、笑顔を見せる芽吹さん。

『悪趣味』?へぇ・・・なーんだ。
あんたも結局、住吉を誘うのは無理だって思ってんじゃん
ホントはとっくに諦めてる。けど『自分はやるだけやった』そうやって納得したいだけでしょ?

これはいい挑発ですね。
でも、康介は挑発されると逆にやる気が沸くタイプなのですよ。あれ、マゾ・・・?いやいや。
ともかく、先輩やノ宮さんに言われたセリフが脳裏に蘇る。『あと一歩』なんだよ。

・・・悪ぃけど、『諦める』って言葉とは、最近縁を切ったとこなんだよ

顔を洗うぐらいでは冷えなかった頭だが、挑発されたことでスッキリしたようだ。
いい顔になっている。逆に芽吹さんの方から笑みが消えている。割と予想外な答えだったようですね。
ポジティブな思考になった康介。
住吉さんからは『拒絶』されたわけじゃない。たんに口が悪いだけなのだ!
いえ、ハッキリ拒絶はしてると思いますよ。それに合わせて口も悪いというだけで。
まあ、それでも諦めないというのが康介の選んだ道なのでしょう。茨の道だな。マゾには嬉しい道か!?

言い方はともかく、言ってることは正論なのが住吉さんである
まあ、反論しようがない正論をキツイ口調で言われると反発も難しくてムカツクよね。わかるわかる。
チャンピオンって売れてないよねとか言われると、ムカツクが反論はしようがないしな。わかるわかる。

しかし、正論を言っているうちはまだいい。頭にくんのは、どうしてあの時だけ・・・

そんなことを思いふけっていたら、いきなり芽吹さん大爆笑。
思わぬ反論がお気に召したようだ。何よりでございます。
改めて自己紹介を交わす。
うーむ、芽吹さん。第一印象ではもっと厄介そうな印象だったが、実は気配りできるタイプ?

自己紹介が済んだところに、住吉さん登場。どうやらやはり先生が呼んでいるうんぬんはウソだったようだ。
再び接触した住吉さんと康介。住吉さんは嫌味を言って去ろうとする。

大好きなんでしょ?『茶番ごっこ』

茶番ごっこってなんだか妙な言葉ですな。茶番は茶番でありましょうに。
しかし、再びその単語を聞いてしまった康介。冷えていた頭がまた沸きそうになる。
だから、もう一度冷ます。一度挑発を受けて冷めたことをヒントに取った行動、それは・・・水をかぶる!
なるほど。水入りにあい、さらに挑発されて傷つけられた。これで頭が冷めたのなら、自分で水をかぶれば両方を満たせる!
マゾな康介には持って来いな頭の冷やし方ですね。やるね、こーちゃん!

バケツで盛大に水をかぶる康介を見て焦る住吉さん。ビクッてしてますよ
これはいい反応ですね。やはりなんだかんだで押しには弱いと見た。いけるよ、こーちゃん。

住吉、よーく覚えとけ。
俺は絶対諦めねぇ!!
ぜってーお前を練習に参加させてやる!
その上で『茶番』っつたのも取り消させてやるよ!!

芽吹!!てめぇも腹くくって待っとけ。俺が・・・絶対に『さくら』6人集めてやる!!

まさかの同時攻略。康介の戦いはこれからが本番だ。
マゾなこーちゃんは、ノ宮さんと芽吹さんに繰り返し挑発されながら、住吉さんを落としにかかると
これはまたどういうギャルゲーでござるかね?青春だなぁ。

ところで、最終ページを見てもやはり芽吹さんはブーツなのだが。なんですか、土足OKな高校なんですか?
よく見ると住吉さんも上靴には見えないしなぁ。そういうものだと考えておきましょう。



第5話 夢は夢で  (2011年 44号)


今日も諦めずに住吉さんを勧誘する康介。
あの堅物の住吉が参加するわけないと言われている。
いや、まてよ?堅物なら行事の練習はちゃんとするのではないだろうか?
同じく参加してない芽吹さんが堅物といえるだろうか!?
まあ、堅物だからというよりも、住吉さんの性格では、ってとこでしょうな。

・・・そう。私は『堅物』の住吉さくら。
誰もがそう言って距離を置く。あんたもそうやって距離を置けばいい。なのに。
ノ宮。あんたはこの男に何をさせたいの?
あの時と同じことを繰り返したいの・・・!?

あの時と。気になる言葉が出てきましたな。
というわけで、今回は中学生時代のノ宮と住吉さんのお話です。
毎日のように住吉さんを遊びに誘うノ宮。
しかし、すげなく断られる。やはりこの頃からキツイんですな。ふむ。

住吉さんが小学生のころ、父と母が別れた。
住吉さんと弟の貴樹は母を選んだ。
泣き止まない貴樹が悲しかった。ごめんねを繰り返す母さんがもっと悲しかった。
だから、それ以上悲しくならないように私は誓った。
「大丈夫」にしてみせる
幼い貴樹も体の弱い母さんも私が守ってみせる。他のことを考えている余裕なんてない。だから。

あれは私には必要ないものなんだ――

友達と連れ立って歩く。その姿を遠目に見送る住吉さん。
それはテレビの向こう側と同じで、自分とは縁の無い世界の出来事。

そう思って生きていくことにした住吉さんにずっと付きまとうのがノ宮である。
中学にも『さくら』はいっぱいいるので区別をつけるために「ヨッシー」と呼ぶノ宮。
紛らわしいなら「住吉」でいいじゃないという住吉さん。それに対しノ宮。

だって友達でしょ?だったらあだ名くらいつけなきゃーって思って。

いきなりの友達宣言に驚愕する住吉さん。
いやいや、何言ってんの?貴女と友達になった覚えありませんよ。
その言葉にうんうんとうなずくノ宮。

友達ってそういうもんだよね

どういうもんですか?
今回のような顔見知りとかなら問題ないけど、初対面の相手にこれ言われたら怖いよね。とか思った。

友達。そんなものは私には必要ない。内心を押し殺し、住吉さんは言う。

私たちは友達なんかじゃない。

私には必要ない・・・テレビの向こう側と同じで、私には縁の無い世界なんだから――

なんとも寂しげなことでありますなぁ・・・
住吉さんはよく左腕を押さえるポーズを取る。
何かをこらえようとするとあのポーズになってしまうのでしょうか?何か意味があったりして。

視線を落とし去っていこうとする住吉さん。
その住吉さんを呼び止めるノ宮。ヨッシー!注目注目!!

振り返ると、バケツで頭から水をかぶってるノ宮の姿があった

なっ・・・何やってんのよっ!?あんた・・・

注目を浴びるためだけにそれをやったというノ宮。
やっと振り向いてくれたね
ううむ、まさかの現在の康介とのシンクロニシティとは。
住吉さんが驚いたのは、過去のノ宮を重ねた部分もあったわけか。ふうむ。
どうでもいいが、せめて荷物ぐらいは降ろしてからかぶりましょうや。

ヨッシー!私決めたから。
私たちがまだ友達じゃないっていうなら、絶対に私はヨッシーと友達になる
なれるまで絶対諦めないから!!

いい笑顔で宣言するノ宮。うーむ、これも今の康介とかぶりますなぁ。
なんだろう。ノ宮は今の康介に果たせなかった夢を見ているのだろうか?
確かにあの時のことを繰り返そうとしているかのようだ。

友達なんて必要ない。そう言いながらもゆらぎだしている住吉さん。
仕事で疲れているであろう母に代わり家事を進んで行う住吉さん。
そこに、外から大きな声がかけられる。さーくらちゃん。あーそぼっ!!

慌てて玄関に出ると、やはりそこにはノ宮の姿があった。
ヨッシーだと家族もヨッシーになっちゃうから名前で呼ぶしかなかったのだ。
いや、ツッコんでいるのはそこじゃない。
玄関で問答しようとしたところで、住吉母が現れる。

いってらっしゃい

母はその一言で送り出してくれた。
うむ、やはり気になっていたんですわね。娘が家族のことにかかりきりになっていることに。
友達を作らずにいることに。だからこそ、笑顔で送り出したと。
いい母親ですねぇ・・・しかし、娘以上にペッタンコですな。どこがとは言わないけど!

それは本当に夢のような光景だった。
自分でもバカだなって思うけどそれは魔法みたいで。テレビの向こうから飛び出してきたようで。
自然と笑えてきて、けど何故だか涙も出そうで。ああそっか。

これが・・・友達なんだ・・・!!

友達の大切さと楽しさを知った住吉さん。
しかし、その住吉さんが何故また元の堅物に戻ってしまったのか。

ノ宮は康介に謝る。ごめんね?こーちゃん。
確かに住吉さんは人と話すこと自体拒絶している感じがある。
その理由をおそらくノ宮は知っている。だから言う。

やっぱりヨッシーを誘うのは無理かもしんない

ノ宮からこういった言葉を聴くとは・・・
まあ、実際難しいと思われる。当の住吉さんも思っている。
夢は所詮夢でしかないと

ノ宮・・・あんたが何をしようとも、どれ程戻りたいと思っても、どれ程あの時を繰り返そうとしても。
私はもう・・・戻れないんだから――

その脳裏には、母がうずくまる映像。そして、弟と共に向かう病院。
ううむ、やはりこういう展開になってきましたか。辛い。
ノ宮がよく沈んだ表情になっているのも、一度諦めたからだったりするのかね。
親しく呼ぶことはあっても、友達のように親しくするとこまではいけないでいる。
自分は諦めながらも、こーちゃんならばひょっとしたらと思っているのかもしれない。
その期待をかけたはいいが、それによって住吉さんが苦しんでいるのもノ宮にはわかる。うーむ切ない。

こうなってくると、簡単には解決できそうにないがどうするのかねぇ。
勢いでどうにかなりましたってわけにはいかんでしょうし、何かきっかけが欲しいところである。
康介が住吉母と再婚するというのはどうだろうか
負担も減るし、家族の絆の中に入っていけるし、アリではないだろうか!
でもこーちゃん17歳なんだよね。おしい、1年足りない!いや、そういう問題じゃないのはわかってます。



第6話 もう一度  (2011年 45号)


やっぱりヨッシーを誘うのは無理かもしんない。
突然のノ宮の弱気発言。これを聞いた康介はどう反応するのか。

水切りすんぞ

これまたいきなりな提案だ。悩んでいる相手には水切りが一番ってことですかね。
ルールは1話の時と同じ。5投して一番回数が多いのを投げたヤツの勝ちだ。
まずは康介の番。1投目は26回。おおーこーちゃん、成長したねぇ。
続いてノ宮。14回止まり。おや。
2投目は康介17回。そしてノ宮は9回で止まってしまう。おやおや。

・・・悪ぃけどノ宮。今のお前に負ける気はしねぇよ。

水切りに限った話じゃないだろうけど、こういった勝負はメンタルが大きく影響するってことですかね。
康介もなかなかニクいことをする。

そして、康介は提案する。前の時のように賭けをしないかと。
ノ宮が勝ったら、康介は諦めず住吉さんを練習に誘い続けることにする。そして、康介が勝ったら――

住吉はお前が誘え

康介はずっと違和感を感じていた。
『堅物』では片付けられない住吉の言動。
住吉が練習に参加することは無いと確信した芽吹の笑み。
そして何より、あれだけ人を振り回してきたノ宮が、住吉の勧誘だけは俺を頼ってきたこと――

本当は住吉が他人を避けるんじゃなくて、お前が住吉を避けてるんじゃないのか?

康介の鋭い言葉に、天も驚いて雨が降り出したぁ!
そして、ノ宮は語りだす。昔の自分と住吉さんのことを。
住吉さんは中学の頃ずっと1人で過ごしていた。ずっと仏頂面で時々すごくさみしそうだった。
私はなんかそれがすっごく嫌だった。
だから笑わせてみたくて友達になりたくて、同じ高校に入って同じ時間を過ごして・・・
けど・・・ダメだった

住吉さんの家は父親がいない。体の弱い母と幼い弟にとって住吉さんは支えとなっていた。

それを私が奪っちゃったから。私がヨッシーを連れ出しちゃったから。ヨッシーのお母さんは体壊して。
それからヨッシーは昔みたいに一人で。
ずっと仏頂面で時々すごくさみしそうで。やっぱり私がそれがすっごく悲しくて。
それは全部私のせいで。私じゃどうにも出来なくて。
・・・ねぇ、こーちゃん。私・・・どうしたらいいのかな・・・?

住吉母が倒れたところにノ宮も出くわしていたのか。それはキツイな。
いつも笑顔だったノ宮が住吉さんのことになると弱気になっている。
しょうがないことではあるが、しかし、康介はそんなノ宮が気に入らない。だから言う。

『あと一歩で世界は変わる』

あれは、お前が自分に言い聞かせてた言葉じゃねぇのか?

今日の康介の指摘は鋭いですなぁ。
転校してきたころは、野球部でのことを引きずって不安定だったのに、今はやたらと鋭くない?
ひょっとしたらこれが本当の康介の姿なのかもしれない。頭冷やしたら分析力も増しましたとか。

「どうしたらいい?」んなもん俺が決めることじゃねぇし。
まずお前が「どうしたい」か決めろよ。

厳しい言葉を投げる康介。そして、吐露する。

・・・ざけんな。お前がそんな調子じゃ、あの言葉に救われた俺が馬鹿みたいじゃねぇか・・・
救われたんだよ。どうしていいかわからず腐ってた俺は、すっげぇ感謝してんだよ・・・!!
俺みたいにいつまでも情けない顔して立ち止まってんじゃねぇ・・・!!

さっさと『あと一歩』踏み出せよ、桜ノ宮さくら!!
お前が変な方向へ走りそうになったら止めてやる。お前が凹んでたらいくらでも話聞いてやるから!!

康介の言葉に。まさしく踏み出し、走り出すノ宮。
なんだか決心したかのような男前の表情になっている。ほほほ。

――ねぇ、こーちゃん。ヨッシーってね、笑うとすっごく可愛いんだよ。
だからね「どうしたい?」そんなの決まってるよ。
もう一度ヨッシーに笑って欲しい。だから私は――

走り出したノ宮を見送る康介。
そこに現れたのは芽吹さん。青春してるねぇとか言われちゃった。まあ、確かに青春ですな。
芽吹さんに言わせれば、何も解決していないとのこと。
まあ確かに。どんな言葉をつくしたとしても、今の住吉さんは動けない状態でしょうしねぇ。
心を閉ざしているというよりは、環境により閉ざさざるを得ない状態になっている。

でも、康介は言う。芽吹、約束通り練習に参加してもらうぞ、と。

康介は何か策を思いついたらしい。
ノ宮次第ではあるが・・・住吉も参加できる、『さくら』6人で練習する方法を

そ、それは一体なんであるか?本当にそんな方法があるのだろうか?
頭を冷やしたこーちゃんはファイティングコンピューター並の分析力を持っている。信用してもよいだろう。
まずはノ宮が住吉さんをどこまで揺さぶれるかが勝負というわけですな。
揺らがしておいて、住吉さんも参加できるような方法を提案すると。
こうやって、契約を確保するという康介の見事な営業手腕。いや、何か違う。でも似たようなもんだな。

次回はノ宮と住吉さんの会話からでしょうが、どうするのかね。
雨が降っているから既にズブヌレなので、中学の頃の手は使えないぞ!元々2回やっても効果薄いだろうけど。
ならばその逆か。ブルルっと震わせて一瞬で乾いてみるとか。大道芸だな、これじゃ。
とにもかくにも話を聞いてもらわねば始まらないが、どうするのだろうか。ノ宮の勢いに期待。
そして、島と丘はどこに行ってしまったんだろうか。そろそろ喋らないと今後の出番も危ないぞ!!



第7話 友達  (2011年 46号)


意を決して走り出したノ宮。
康介は丘と島に連絡を取っている。どうやら『さくら』6人で練習する方法を伝えているらしい。
芽吹さんは住吉さんが加入すれば、同時に参加する約束になっている。
あとはノ宮次第だ!

ちゃんと踏み出せよ。お前の『あと一歩』を――

住吉姉弟の前に現れたノ宮。
弟の貴樹君もノ宮のことは知っている。
この反応からして、ノ宮は貴樹君とも仲が良かったみたいですな。
むしろ、弟の方が激しく恨んでいたりしたらどうしようかと思ったが、そういうことはなかったようで安心。
貴樹君を家に入れて、一人で向かい合う住吉さん。

・・・ありえない。ノ宮が直接会いに来るなんて。だってノ宮は・・・

戸惑いながらも、住吉さんは拒絶のセリフを述べる。
あの日、母さんが倒れたあの日。お願いだからもう私に近づかないでって。

・・・あえて言ってあげるわ。迷惑なの
あんたたちのままごとに私を巻き込まないで。
心底虫唾が走るから。

厳しい言葉を投げかける住吉さん。それでも、絶対に言わない言葉があった。

「母さんが倒れたのはお前のせいだ」って。
どんなキツい言葉を選んでも、それだけは私に一度も言わなかった

・・・やっぱりヨッシーは優しいよ?
そんなヨッシーだから私は諦められないんだ。

「絶対に私はヨッシーと友達になる!」
「なれるまで絶対諦めないから!!」


それだけを言いに来たとノ宮はいう。そんなこと言う資格は私には無いのかもしれないけど、と。

ノ宮の言葉にぐらつく住吉さん。
いくらそんなこと言われても、無理なものは無理なのだと叫ぶ住吉さん。
球技大会の練習だって参加しないんじゃない。私は絶対に参加出来な――

出来る

住吉・・・お前が参加したいっつってくれるなら、俺が絶対に出来るようにしてみせる。
今、こうして。『さくら』6人集めたみたいにな。

確かに今、6人のさくらが一堂に会した。
康介が先に宣言したとおりの光景である。

放課後、家に帰って寝るまでの時間は母親の見舞い、弟の面倒に家事。
課題や予習復習は休み時間に終わらせるしかない。
・・・そりゃ練習なんざに参加してるヒマ無いだろうよ。

事情を知った康介には全てお見通しという感じですな。
しかし、予習復習は欠かさない辺りが住吉さんのマジメさというところか。
手を抜くところは抜いてしまってもいいのよ。

康介は言う。
野球の練習はボール投げてバット振るばかりではない。そりゃ技術は大事ですけどね。
中学の時の野球部はそういうのではなかった。だから弱小だったのかもしれないけど。

今になって思うと、一緒にボール追いかけて一緒にバカやって、
お互いのダッセェ所見せつけて、それを笑い飛ばして、くだらねぇことでケンカして、
そんな一緒に過ごす時間が一番大切だったんだ

・・・それでさ、俺はそういう時間を、この『さくら』6人で過ごしたいって思う
だってよ、立派な縁じゃねぇか。
同じ名前が・・・『さくら』が6人なんて。

ただの偶然にすぎないが、だからこそその偶然には何かの縁があるんじゃないかと思える。
康介がいいたいのはそういうことなんだろうな。
康介の言葉を引き継ぐように、島と丘が声をかける。

島「数学の課題でわかんねぇとこあってさ、復習のついでに教えてくんねぇ・・・?」
丘「住吉は料理が達者と聞いたのだが、良ければご教授願えないだろうか?」

なるほど。住吉さんはいつも通りのことをすればよい。他の人がそれに付き合うと。
丘ならば、学ぶついでに家事を一通りこなしてしまうぐらいのことはしてくれそうだ。
芽吹さんは言う。康介はこんなことを言っていたと。

『一緒に過ごすことが一番の練習』
本気でそんなこと言ってんだよそいつ。

野球の道具なんて無くても良かった。グラウンドに出る必要なんて無かったんだ。
だから、住吉はいつも通り過ごせばいい。
ただ・・・一緒にいさせてくれねぇか・・・?
俺たちを。・・・ノ宮を


立ち尽くす住吉さんに、ノ宮も声をかける。ヨッシーのことを知っていると言う。
ヨッシーが笑うとすっごく可愛い。すっごく優しいことも、すっごくさびしがりやなことも!

そう叫ぶノ宮に、私だって知っていると返す住吉さん。
あんたが・・・ノ宮が・・・
ホントはどれだけ不器用で、ホントはどれだけ臆病で、どれだけ今、勇気を振りしぼっているか・・・!!

やはり、ノ宮は臆病なんでしょうな。
快活で振り回すタイプのように見えて、意外と繊細なように見えるのがノ宮である。
だからこそ、今に至るまで住吉さんとはつかず離れずの間でいることしかできなかった。
今の位置からまた近づこうとしたら、全て壊れてしまうことを怖れていた。しかし。

・・・バカノ宮・・・なんで気付かないのよ・・・
あんたが自分で言ったんじゃない、桜ノ宮さくら。
「友達だったらあだ名くらいつけなきゃ」って
だから私は「ノ宮」「ノ宮」って・・・

何が「友達になるまで諦めない」よ。ふざけないでよ・・・
私があんたのこと友達だと思ってないわけないじゃない・・・バカノ宮・・・!!

ああ・・・なるほど。言われてみればその通りですな。
確かにずっとそう呼んでいた。そういうことだったんですな・・・
家庭の都合で遊ぶことはできずにいた。
それでも、ずっと友達でいる、いたいと思っていたわけだ。うむう。いい話だ。

泣きながら抱き合い、お互いに謝る少女たち。いい光景だ。

住吉さんは言う。臆病なノ宮をけしかけたのは貴方なんでしょ?作楽康介。と。

・・・言ったろ?
『俺は絶対に諦めねぇ』って。

諦めないことが結果を導いた!ノ宮と住吉さんの絆も取り戻せたようですし、万事解決!
なるほどなぁ。こういう解決がありましたか。
家庭の事情があるなら、それを尊重してお付き合いしましょうという話ですな。
いつか、母親が退院できて、ついでにタフになって帰ってきたら、心配も大分なくなりますでしょうしね。

これで『さくら』は6人揃いました。思ったよりもずっと早かったなぁ。中身濃いわぁ。
これで単行本約1巻分くらいでしょうか。濃いわぁ。
次回からは本格的に球技大会に向けての方針を練っていくことになるんでしょうか。
住吉さんはともかく、他の練習に参加できる連中には少しぐらい技術を身につけてもらわないとなぁ。
芽吹さんの身体能力の程も明かされるのだろうか。
ひょっとしたら、助走無しで建物の2階の窓から入ってこれるぐらいの身体能力かもしれない。改造人間並だ!

しかし、今週の最後のページとか見ると、やはり頭が大きいように思える。
丘は小顔に見えるが、ノ宮と住吉さんはなんとも大きい。
だからか、中学や小学生時代の方がバランスがよくて、いいように見える。
これは決して見ている人が小さい子の方が好きだから、とかいう話ではない。ないといったらない。おそらく。



第8話 結成  (2011年 47号)


球技大会を前に、6人のさくらが集結!騒がしい。
ノ宮は住吉さんと違ってゲームが強い。貴樹くんも満足である。
島に勉強を教える丘。結局丘が教えているのか。
酒を所望する芽吹さん。何を言い出すのだこの人は。

・・・最近じゃ、河原でバーベキューするのも有料だったりするらしいわね。

住吉家で遠慮なく楽しむ、さくら達。発案者の康介はノリ遅れたな。
それにしても、芽吹さん。裸足でブーツ履いているんですか?蒸れそう。

話の流れからして、あの雨の日の結成から翌日か数日経ってそうな感じですな。
その間にノ宮は住吉さんの母親の見舞いに行っていたらしい。
そこで住吉母はノ宮に「娘をよろしくね?」って言ったのさ。
そしたら、ノ宮。わんわん泣き出して「絶対に幸せにします!」と応えたそうな。

全く・・・軽く嫁入りを経験した気分だったわ

それはまた恥ずかしい体験ですな。
でもそれを語る住吉さんは笑顔で、ちっとも嫌がってるようには見えない・・・つまりそういうことでいいんだな!?
ともかく、もう住吉さんとノ宮は大丈夫なようですな。よかったよかった。

夕食の仕込を終えた住吉さんが言う。

さっさとグラウンド行きましょ

なんと!?住吉さん自ら、練習のお誘いですと!?
本来ならこの後、母親のお見舞いに行く予定のはずだが、今日は行けないと伝えてあるらしい。
貴樹くんも連れて練習をするらしい。そんなに弟と一緒にいたいんですか?

実は、球技大会の本番はもう明日に迫っていた。
勝とうと考えていた康介であったが、一緒にいることの方が大事だと考えるようになっていた。
でも、そりゃあ、ちゃんとグラウンドで野球の道具使って練習した方がいいに決まっている。
そう、康介の言うように「一緒に」。

・・・これくらいさせなさいよ。作楽康介。
・・・貴方には、本当に感謝してるんだから。

住吉さんが別方面でデレたッ!!
ノ宮に見せた満面デレとは違う、少し気恥ずかしげなデレ方だ!やったー!

だっ・・・だから、貴方に勝たせたいとか思っても、バチは当たんないでしょ!?

うむ、いいですな。こういうヨッシー。ありがとう。
当の康介はネコみたいに目を見開いている。驚きすぎだろう、作楽康介。
まあ、康介は前から過剰に驚く傾向があったからなぁ。実はそれほど驚いていないのかもしれない。
というか、住吉さんは今後、康介のことをフルネームで呼ぶのかね?
男同士なら名前で呼んでいいし、ノ宮は昔ながらのこーちゃん呼び。
では、住吉さんはどうするのか!康介、でも、こーちゃんでも何だか甘い感じがする。ニヤニヤ。
芽吹さんもどう呼ぶのか気になるところですな。アンタで通しそうな気がするけど。

グラウンドについたところで、ノ宮が口を開く。そろそろチーム名を決めようとのこと。
実は私、すっごいの考えてきたんだー!!

『THEさくら』

却下。

即座に一蹴されました。そりゃそうだ。ヒネリってもんが足りないっショ。ノ宮らしいな。
しかしここで、いいかもとか思う辺りが丘の丘たる所以だな。丘らしいな。

芽吹さんのチームずぶ濡れもなぁ。それだと芽吹さんも濡れないといけないっショ。
『THE☆さくら』それ口でどう言っている!?
全く持って決まりそうにない雰囲気。ここで丘が口を開く。

『さくらディスコード』

「DISCORD」「不協和音」だ
6人の主義主張が一致しなくてもいいじゃないか。
ぶつかり合って不協和音を奏でながらやっていこう。
いつか綺麗な和音を奏でるために・・・!!

・・・先日、康介が言っていた。互いに駄目な所を見せつけ、時に笑い、時に言い争う。
そういう時間こそ大切だという言葉を思い出して、『さくらディスコード』がいいんじゃないかと思い至った。

ここでタイトルコールが来るとは思いませんでした。
不協和音というタイトルで暗い展開を予感したものだが、それを覚悟し、やっていこうという言葉だったとは・・・
なんだか感無量な感じを受けたのだが、それを聞いた当事者たちは・・・

ノ宮「何かチーム名っぽくないから却下」
住吉「いや、まずチーム名なんて必要ないでしょ」
芽吹「・・・『チームガタガタ』」

この女性陣はどれも酷いな!せっかく丘が良いこと言ったんだから聞いてあげようよ!丘だよ!!
俺は好きだぜ丘、とフォローする島はマジでいい人。
っていうか、島と康介が常にフォローして回る役になりそうな気配がとてもする。
友情を確かめ合う島と丘。そんなのいいからさっさと練習を始めましょと言う住吉さん。キツい!

練習を始めようとするみんなの背中を見送り、康介は考える。
住吉には悪いけど、きっと明日は勝てない。
当然やるからには勝つつもりでやる。諦めるつもりはない。今出来ることは最大限尽くしたつもりだ。
けど、それでも届かないことがある。でも、なんだろう。

・・・ずっと、わからなかったことがある。

『あと一歩』『あと一歩』とみんなで懸命に手を伸ばして。
それでも『一勝』に届かなくて。
先輩の引退が決まってしまった中学の野球部最後の日。
どうして先輩は、あんなに穏やかに笑えたんだろうって――
けど今なら、少しわかる気がする。

昔の血気盛んだった康介には考えもつかなかったでしょうな。
『一緒に過ごすことが一番の練習』だなんて。
部活だったら、むしろ中学の康介の考えの方が正しい気もするが・・・まあ、楽しんだものが勝ちか。

それにしても、この練習風景はよいな。
やはり住吉さんはヘッポコな臭いがする。フライなんてどう捕るのよ!?

練習で騒いでいるところに、島が慌てた声をあげる。ヤベェって!

明日・・・大雨だって・・・
降水確率100%、春の嵐だって・・・
球技大会・・・中止決定・・・?

ははは、ここまで熱血して仲間集めたりして、結果は中止ですか。
なんだそりゃ、なんだそりゃ!
大爆笑のこーちゃん。ええ、そりゃ笑うしかないですわな。

別に笑うのはおかしいことじゃない。いや、おかしいから笑うんだけど。おかしくない。
なので、心配そうな目で見ないで下さい、住吉さん。
島、また壊れたとはどういう意味だ。
芽吹さん。元々あんなのじゃなかった?って・・・正解だ。
康介は感情の起伏が激しい方ですからねぇ。
それでいて、時にクールになったりもするから面白いヤツである。

おかしくなった、いやおかしくて笑っている康介に、ノ宮は真剣な表情で、いいの?と聞く。

・・・あぁ。新しい目標が出来たんだ。
だから、もう十分だよ。十分すぎるくらいだ・・・!!

俺はただ、みんなと過ごす時間がたまらなく好きだっただけで。
ホントに大切だったのは野球部とか勝敗とかじゃなくて。
だから・・・先輩たちと『あと一歩』『あと一歩』と懸命に手を伸ばした、あの日々は――
思っていた『一勝』とは違ってたかもしれないけど。
ちゃんと届いていたんだ――

ここまで付き合ってくれて、ありがとな・・・!!

笑顔で泣き出す康介に、笑顔を見せたり、神妙な顔を見せたりとさまざまなさくら達。
『あと一歩』を踏み出してなければ、ノ宮の心の傷も、それを癒せる住吉の優しさも気付かなかった。

きっと俺はまだ何もわかってないんだろう。
島のことも、丘のことも、芽吹のことも――
だから知りたい。心の中で静かに誓う新たな目標。
このバラバラな俺たちの物語が、今日始まったんだといつか思えるように。
この6人の『さくら』の、いや・・・『さくらDISCORD』か――

青春を共に歩く、さくらたちの不協和音の物語は今始まった!
みんなが笑い合って卒業できるようになるのでしょうか。
というわけで、次回からは新章突入である!

いやぁ、なんというか、凄い最終回みたいなノリでしたな。タイトルコールも出ましたし。
今回の話で単行本1巻に収まる分なんでしょうな。
1巻を読んだだけで話がスッキリ収まるってのはいいですな。美しい。

それにしても、球技大会。さらっと流すかなと思ったら、まさかの中止とは。
助っ人の先生とか期待してたのに!
いや、だが待って欲しい。雨天決行という可能性はないだろうか?
そうだ、雨天なら『チームずぶ濡れ』の本領発揮じゃないですか!やったね、こーちゃん!
雨に打たれる練習なら一緒にやってきたからな!あ、半分は濡れてないや。ダメじゃん!

ともかく、新章が楽しみです。



第9話 余計なこと  (2011年 48号)


新章開幕!
相変わらず住吉さんの家に入り浸っている様子の『さくら』たち。
7時くらいまではいるらしい。なるほど。朝帰りってわけですね。頻繁に夜を過ごすなんて・・・!!

それはともかく、島は部活で忙しくてなかなかこれないらしい。
ここ最近多くないか?と康介は言うが、部活は頻繁にあるもんでしょ。
ノ宮が言うには、島公は陸上部のエースらしい。それならなおさら部に顔出すことも多いわな。

・・・俺も、島に負けねぇように頑張んねぇとな!!

そう語る康介とノ宮を、神妙な顔で見守る丘と住吉さん。ん?

屋上。
芽吹が1人でいるところに現れる康介。何やってたんだろ、芽吹。
そして、芽吹は康介のことを名前で呼ぶようにしたらしい。康介クンと来たか。カタカナなのがなんとも。

住吉さんの家に現れなくなったという芽吹。
この人と住吉さんの関係もよくわかりませんなぁ。仲が良いのかそれほどもないのか。
康介は個人的な興味を持って芽吹に声をかけている。

俺は『さくら』の中で一番芽吹のことを知らねぇ。話す機会がねぇから作ろうと思っただけだ。

さすがに康介は苦労性でございますな。好んで苦労の道を歩んでいるように見える。
そんな物好きな康介に、アタシより先に話すべき相手がいると思うけどねぇと漏らす芽吹。ん?

お話をしようということで、口を開く芽吹。
住吉さんとは違い、饒舌なキャラである。だからこそ、色々と踏み込みにくい相手なので厄介だ。
康介とノ宮と島と丘は小学校が一緒の幼なじみ。
だけど、康介は離れている4年間全然連絡を取っていなかったらしい。
まあ、戻ってくるとは思ってなかったんでしょうな。

4年振りにあった間柄じゃ、もう他人のようになっているのではないか?
その問いに、正直時間の流れを感じることもあったと答える康介。

けどよ、それでも俺は昔と同じに、あいつらのことをダチだと思ってるし、
もし仮に別人になってても、別人同士でもう一度始めればいいと思ってるよ

ふむ。康介もこの数日で色々とあったせいか、すっかり大人びたことを言うようになったな。
そんな男が自分たちの関係を茶番なんて言われたら、そりゃ怒りますわな。

・・・ねぇ。どこかで聞いたことない?
「何度でもやり直せる」って
あんたはどう思う?一度終わってしまったものは、壊れてしまったものは、もう一度始められると思う?

住吉とノ宮はもう一度始められたみたいだけど、あんたはどうかなぁ?
アタシはそれが知りたい

なんだか凄く怪しげな雰囲気を纏いだす芽吹。厄い厄い。
この話の続きは、屋上の入口で盗み聞きしていた住吉さんを交えて話そうと言い出す芽吹。
よく気付いたな芽吹。やはりこの人はタダ者ではない。
そして、ビクッとした時の住吉さんはいつもより胸があるように見える。
やはり、いつもの左腕を押さえるポーズは胸を寄せて上げている構えだったのか!?

ともかく、住吉さんは芽吹を見張っていた。康介が話を聞きに行くらしいと知って。

だよね、だよね。アタシが余計なこと言わないかどうか・・・
言うに決まってるもんねぇ

ねぇねぇ、康介クン。教えてあげる。住吉が言ってた「茶番」の本当の意味を!

康介がゾッとするような笑みを浮かべて、嬉しそうに述べだす芽吹。怖い怖い。

その芽吹を止めようと走り出す住吉さん。
だが、その手が届くより速く、芽吹の左腕が住吉さんを抑え、フェンスに叩きつける。
そして、その勢いのまま、吠え出した康介に蹴りを叩き込む。
さすがに康介、咄嗟にガードはした。が、吹き飛ばされ、倒れこむ。
なんという迫力・・・ていうかなんで蹴った?
まあ、大人しく話を聞かせるためなんでしょうけど。やはり芽吹は強キャラだったか。

あの茶番って言葉はね、ノ宮を遠ざけるためだけの言葉じゃなかった。
桜島結太。彼ねぇ、何かと部活を理由にするけどねぇ。
彼は部活なんて行ってない。あんたとノ宮以外みんな知ってることだよ

嘘を重ねる島クン。
何も知らないあんたとノ宮。話を合わせる丘クン。黙ってる住吉・・・
この上なく「茶番」だったよ!!

これは・・・さすがに康介も驚愕を隠せない!いや、この男はいつも驚きっぱなしだけどさ。
ここはひとつ、そんなこと知ってたぜ!ぐらい康介には言ってほしいな。ハッタリで。
さすがにその反応は予想外だろうし、芽吹も驚かせれるかもしれない。後は知らん。

で、その島に丘が話しかけている。
なぜ住吉の家に来ないのか?ノ宮も住吉も待っている。当然康介もな。

丘・・・「なぜ」って、そんなわかりきったこと聞くなよ・・・
そんなの・・・康介がいるからに決まってるじゃねぇか・・・!!

これは・・・!?
嘘を重ねる理由も気になるが、康介がいるから来たくない?どういうことだろうか。
新章からいきなり闇たっぷりの展開に驚きつつもらしいなと思えてしまうから困る。
それでも、最後にはハッピーな展開になると期待してますがね!

で、今回色々気になったこと。
前の章のラスボスだった住吉さんが芽吹に一蹴された!あの住吉が一撃で!!
いや、それは別にいいんですけどね。
住吉さんはやはり康介をフルネームで呼ぶことにしたようだ。まあ、そうするしかないか。こーちゃんでいいのよ?

芽吹は何を企んでいるのでしょうね。何度でもやり直せる、の時は微妙に真面目な顔になっていた。
自分の悩みを解消させるために、それを為してくれる力があるかどうか康介を試しているのだろうか?
芽吹のフラグを立てるためには様々な困難をクリアせねばならないのだ!厄介な!

で、島たちについて。
ノ宮も島が部活をやっていないことを知らないってのが気になる点ですな。
島が頼み込んで、ノ宮に知らせないようにしている可能性が高いか。なんなんでしょうね?
それも踏まえて、島が康介を避ける理由を考えてみる。

1.ノ宮が好きだったが、フラれたことがある

その理由が、ノ宮が康介のことを忘れられないから、だったら恋愛モノっぽい流れですよね。

2.ノ宮に陸上部のエースになると約束してしまった

言い出した手前、なれてないとは言えなくなってしまった状況なのかもしれない。
康介にそのことを話すと、アイツは勢いでノ宮にバラしそうなので、言わずに避けているとか。
島公はエースなんだよね!そうなんだよね!とか言われてクリスマスに発奮する島とか見れそうだな。

3.ノ宮を賭けて康介と勝負して敗れた記憶がある

そして勝者の康介はそんなことを綺麗サッパリ忘れている、と。敗者の島には屈辱だろうな!避けたくもなる。

4.実は康介が好き

ノ宮にはなんとなく部活の件を伝えてないだけ。深い理由はない。
康介が側にいるだけで冷静でいられなくなってしまう・・・丘、お前もわかってるでしょ!と島は言いたいわけか。

とりあえず、こんな辺りの理由が思いついた。
4番辺りがオススメだけど、みんなはどうだろうか!

どうでもいいが、丘は真面目な顔するとカッコイイな。はっはっは。



第10話 嘘  (2011年 49号)


康介と住吉さんが、屋上で芽吹に叩きのめされた。
言葉と物理攻撃の両方で叩きのめされた!!

一方、その3人を除いたさくら達は一堂に会していた。
だが、部活があるからと抜け出す島。
悪いなと謝る島を笑顔で送り出すノ宮。

大会とか私よくわかんないけどさ、日程とかわかったら教えてよ!
私、絶対島公の応援行くからさ!!

ノ宮の言葉に凄く後ろめたそうな島でありました。
しかし、ノ宮。まるでお母さんのようですな。お母さんに嘘を付く息子の図か。
そう書くと心当たりがある人が増えそうな気がするな。

康介は放課後、陸上部に行って島のことを聞いていた。
桜島結太は幽霊部員。もう大会のメンバーにも登録されていないらしい

さらに、住吉さんが言うには、高校に入ってから明らかに部活を理由にノ宮の誘いを断る回数が増えていたらしい。
ふむ。住吉さんはその様子をじっと観察していたのですな。
私が友達でいられないのに、ノ宮の誘いを断るなんて!とか思ってたりしたのかしら。厄い厄い。

住吉さんはある日、目撃してしまった。
部活に行くとノ宮には言っていたのに、実は部活に行っていない島。
そう、島は嘘をついてノ宮と距離を置いていたのだ

そんな島が、康介が帰ってきた途端、何事もなかったかのようにノ宮と接している。
なるほど、それを見ては「何それ?」って思いますわな。
だからこそ、『茶番』なんて言葉が飛び出すわけですな。
でもそれをノ宮に言っても微妙に通じない気がするけど・・・
ま、まさかノ宮は既に島のことを気付いていると!?
気付いていて、笑顔で送り出しているというのか!?わかってるって、島公(笑)ってことなのか!?怖ェ!!

まあ、その説は脇に置いておいて。

島が嘘をつく理由に心当たりがないか尋ねる康介。
さすがに住吉さんもそこまではわからない。
なんて話をしていたら、突然目を見開く住吉さん。
その視線を追うと・・・島の姿があった。

わっ・・・忘れ物しちゃってさ!!
ほら、部活で使う道具。今から取りに帰るとこなんだ!!

ベタな言い訳をして逃げる島。
しかし、この数ページ。見方を変えると浮気の現場に遭遇した男女の光景にも見える
康介と住吉さんが2人でいるのを見てしまう島。
そんな関係だとは知らなかったと走り出す島を慌てて止める康介。
あれ?これだと、島と康介が旧カップルで、住吉さんが浮気相手になっちゃうんじゃないか?まあ、いいか。

ともかく、逃げる島を追おうとする康介。だが、それを止める住吉さん。
それは、ノ宮がやってきていたからだった。ノ宮の前で迂闊に島のことを問いただすわけにはいかない。
ノ宮は言う。島公が前に言っていたと。

『大会に向けて一人で秘密の特訓してる』
『だから陸上部で見かけなかったらそれだ』ってさ。

なるほど。ちゃんと島も言い訳を考えているんですな。
とはいえ、既に裏は取ってある。島は大会のメンバーには登録されていない。嘘なのだ。

・・・島公ってちょっと卑屈なとこあったでしょ?こーちゃん。
なんだろ・・・自分に期待してないっていうか・・・

だから私、すっごく嬉しくてさ
そんな島公が一生懸命になれるものが見つかって、ホント良かったなーって。

笑顔でそう述べるノ宮。うーむ、切ない。
こんな状態だから、ノ宮に住吉さんのことをからかわれても気付いていない康介。ふむ。うまい交わし方だな。
ノ宮としては、自分の恋愛ごとには興味ないのかしらね?

ともかく。康介は悲しんでいる。ノ宮は本気で喜んでいるというのに・・・なんでだよ、島。

お前なんで、あの顔に嘘なんかつけるんだよ・・・!!

4年振りにこの街に帰ってきて、あいつらに再会して、素直に変わってねぇなって思った。けど。
俺が思ってるよりずっと、4年間って長ぇのかな・・・

沈む康介に、住吉さんは協力を申し出る。

いえ、協力させて頂戴。島君のこと、貴方たちのこと

力強く宣言する住吉さん。
当初は、島の嘘を隠し通すことで仲良くできているならそれもいいかなって思っていた。
けどこのままでは、いつか必ずノ宮は島の嘘に気付いてしまう。
島の嘘に気付けば、ノ宮はきっと落ち込む。それはもう嫌だと住吉さんは語る。

ノ宮は、調子乗ってて頭にくるくらいが丁度いいでしょう?

・・・同感だ

島がどうして嘘をつくのか、それは気安く踏み込んでいいものなのか、俺にはわからない。
ただ一つ確かなことは――
俺も住吉も、ノ宮の落ち込んでる姿は、心底気にくわねぇってことだけだ。

それじゃあ、ひとつ・・・共同戦線といくか!!

ノ宮を傷つけたくない隊の結成の瞬間であった。
前章のラスボスである住吉さんを味方につけたこーちゃん。
このコンビにかかれば、島の10体や20体、ものの数ではないでしょう。

ノ宮を挟んでではあるが、康介と住吉さんがなんだかずっといい感じになっている。
この章が決着したら、康介と島もいい感じになるんでしょうか。いや、そういう話なのか?

それにしても、丘のポジションが気になるな。
住吉さんは島が部活に行っていないことに偶然気付いた。丘はいつ知ったのだろうか?
前に丘は住吉さんを話せる奴だと言っていた。実は住吉さんから相談されていたとか?
丘も色々と謎の多い奴であるなぁ・・・最近キリッとした顔が多いし。いつもの体力無しの丘に戻って欲しいな!



第11話 大嫌い  (2011年 50号)


康介と住吉さんの共同戦線!どんなコンビプレーが見れるのだろうか。

住吉さんはノ宮に夕食を出すことで家に縛り、康介が自由に動けるようにすることに成功した。

え、それだけっすか!?まあ、確かに重要だけど、地味な共同戦線だ。初めての2人の共同作業なのに!

晩御飯を食べて行けという住吉さんに、なら採点してあげるよ!と笑顔のノ宮。流石!
丘もちゃっかり御相伴にあずかっています。

その隙に康介は島の真意を確かめようとする。
家に直接向かい聞きだすつもりらしい。なかなか直接的な接触法ですな。
4年振りにやってきた桜島家。
出てきたのは島の母親。元気なお母さんである。
久しぶりに康介が姿を見せたことでテンションが上がっているようだ。

相変わらず背、ちっこいわねー!!牛乳飲んでる!?

やっぱり、こーちゃんは背小さいんだ!!
そうじゃないかと思っていたけど、ざっくり言われちゃいましたね。

そして、島の姉登場。ここも姉弟の家なのか。
島は母のドラ息子であり、姉、サチコの愚弟である。えらい扱いだ。
どうやらこの家は女が強い家らしい。
島はノ宮にも島公呼ばわりだし、もうそういう星の元に生まれたとしか思えないな。

島を探しに来たと伝える。が、いないようだ。
また走りに行っているんじゃないかという姉。ほう?

陸上部の幽霊部員が夜遅くまで走り込み・・・ほんっとワケわかんない。

だよねぇ。だったら陸上部戻れっての!!

家族にまでウソをついているのか?
と思ったが、さすがに家族は陸上部に顔を出さなくなっていることを知っているようだ。
うーむ、島が走り込みをしているのは謎ですなぁ。一体何故?
この話を聞いて、康介はいつもの驚き顔になってしまう。相変わらずすぐ驚く子だ。
決して、サチコさんに、でっかくなったけど小っさいな!と言われたからではない。ヒデェ!!

ともかく、島を探しに土手か公園の辺りを探しに行く康介。

一方、住吉さんの晩御飯を食べ終えたノ宮。満足満足。

全く・・・こんな美味しいご飯食べられないなんて。
こーちゃんも島公もブッキーも人生の半分は損してるね!!

ノ宮の世辞を聞き流し、早く評価をしなさいよと言う住吉さん。

評価?何言ってんの、ヨッシー。

ノ宮ぁ!!
あんたが食べてる間の私の緊張感は何だったのよ!?

緊張してたんだ。まるで恋人に料理の腕を披露する彼女のようですね!まあ、似たようなものか。
というか、評価ならしてますでしょ。美味しかった言ってますやん。
微妙に自信が持てなかったのだろうか。ヨッシー緊張しすぎ。

食事後は住吉さんとノ宮が並んで洗い物。
話題は他の『さくら』のこと。芽吹がどうしているかは誰にもわからない。
こーちゃんは用事だし、島公は部活。結局、球技大会の練習以来6人揃わないでいる。

もしかして、もう6人揃わないのかな?
こうしてちょっとずつバラバラになっていってさ。

淋しそうに語るノ宮。そんなノ宮の笑顔を守りたいのが住吉さんである。
だから、言う。大丈夫。大丈夫だから、と

なんとしても、友達の笑顔を守りたいという想いが見て取れますなぁ。
さて、丘はそろそろお暇するつもりらしい。なので、見送ってくるという住吉さん。
ノ宮は家に置き、丘と2人で話をする住吉さん。

一つだけ答えて。貴方はこのままでいいと思ってるの?

住吉さんのこの問いに、シリアスモードで答える丘。

・・・すまない。もう少し時間をくれないか?
当然このままでいいだなんて思ってはいない。そしてそれは、島だって同じだから

どういう意味でしょうか?
このままでいいとは思っていない。その部分はいい。
しかし、時間をくれないか?とはどういう意味であるか?
島が走り込みをしている理由に繋がっているのでしょうか?
野球とかなら、もう少しで魔球をあみ出せるんだ!とかいうシーンだが、陸上では必殺技もなかろうしなぁ。

公園らしきところで走りこんでいる島。
ダメだ・・・こんなんじゃ全然・・・

どうやら、思いつめている様子。まさか本当に陸上で必殺技をあみ出そうとしているのか?
汗を流しているところに、やってくる康介。
島は必死でウソを重ねようとする。が、そんな島のウソをバッサリ切り捨てる康介。

どうしてそんな嘘つくんだ?

相変わらずこーちゃんは単刀直入な切り口を得意としているなぁ。

初めは、単純に部活をサボっているのを隠すためかと思った。
けどそれは違う。島は本気で走り込んでいる。
陸上部に行って、話しを聞いてきたことを伝える康介。大会のためじゃないなら、なんで嘘までついてこんなこと。

尋ねる康介に、震えだす島。下調べされたのが気に入らない様子。

俺って信用ねぇんだな・・・!!
当然か。当然だよな。俺なんか信用出来るワケねぇもんな!!事実嘘ついてんだもんなぁっ!?

島が軽く逆ギレを始めた!?
ムカついてんだろ!?と聞く島。しかし、康介はどちらかというと悲しそうだ。
ノ宮は凄く喜んでいた。島が一生懸命になれるものを見つけたって。

あの顔に嘘ついてまで、お前がやろうとしてることって何だよ・・・?
くだらねぇことだったら、本気で許さねぇからな・・・!!

康介の言葉に、目を見開く島。
そう、康介はそういうヤツだ。理由も聞かず人を軽蔑したりしねぇ。
そういう筋の通った男で・・・だから。

・・・康介にはわからねぇよ・・・

俺はお前が大っ嫌いなんだよ!!
正論ばっかり言いやがって・・・お前みたいに立派なヤツに、俺のことがわかってたまるかよ!!

吠える島。
俺がどんな気持ちで嘘を重ねてるかなんて、わかるはずがない。
まあ、そのとおりでしょうな。実際、康介にはわからない。だから、ここは背を向けるしかない。
説教したり、殴りかかったりはしない。ただ、待つ。

・・・俺は島のことわかりてぇと思ってる
だからさ、待ってもいいか?
三角公園・・・昔よく一緒に遊んだろ?あそこで・・・島が自分のこと話してくれるのを。

ふうむ。立派なことですなぁ。
だからこそ、余計に島が自分を惨めに思ってしまうんじゃないかと心配してしまう。
ノ宮も言っていたが、微妙に島は自分に自信が持てないというか、卑屈なところがある。
やはり女が強い家庭に育ったのがいけなかったのだろうか?

それはさておき、島は思う。康介にはわかられちゃ困るんだよ、と。

何百回・・・何千回・・・何万回思っただろう
どうしてノ宮の隣にいるのが、俺じゃないんだろうって――

それできたかッッ!!
まさかの結論。康介への黒い感情は、ノ宮への秘めたる思いゆえだった!!

うーん、まさかの本命でございましたな。島の悩みじゃあ変化球は期待できなかったか。これだから島公は。

それにしても、そういう話になると色々気になりますね。
康介がいなくなった4年間の間に島はノ宮にアタックしなかったんでしょうか?
まあ、ノ宮がずっと康介のことを引きずっていたという可能性はありますな。
いなくなってもずっと康介のことを話すノ宮に傷心の島とか。そりゃ黒い感情も芽生える。

康介と一緒にいたくないという部分はわかりました。
まあ、島の言動を見ていると、康介のことを嫌いきれていないというのが見えてますしね。
立派なやつだと思わず認めてしまう。だから距離を取ろうとしてしまう。複雑なことだ。
というか、康介はそこまで立派ってわけでもないぞー。すぐ驚くし。
背だって小さいぞ!む、島も負けず劣らずか!アカン!

気持ちについてはわかりましたが、走り込みの謎は解けませんな。
もしやノ宮と昔約束したとか?私より早く走れたら付き合ってあげるとか。
もちろんそんな約束は忘れているノ宮って展開ですな。
そうなると、転校早々ノ宮と並んで走れた康介に改めて嫉妬する島という流れも見えてくるわけですよ。
自分は陸上部に入ってまで頑張っているのにノ宮に追いつけないのに!とか。
でも、それだと陸上部に顔を出さなくなる理由にはならないんだよね。うむー?

丘の行動も気になりますし、どういった展開になるか気になりますやねぇ。
島はもうこうなったら、康介と住吉さんを結びつけてオコボレいただく展開を画策したらいいんじゃね?
こーちゃんが、ノ宮も住吉さんも手に入れるというオチになりそうだけど。



第12話 初恋  (2011年 51号)


島を信じて三角公園で待ち続ける康介。
あれから数日経ったらしいが、島は現れない。
代わりに芽吹がきている。なんだかんだで動向を探ってるんだな、芽吹。

来ないと思うよ?島君。彼・・・色んなことから逃げてきた眼してるもの

さすが芽吹。なかなかに鋭い。
それでも、こーちゃんは反論する。人のダチを悪く言うなと。全くけなげだねぇ。

はっきり「嫌い」と言われて、それでも「友達」と?

言えるんでしょうな。まあ、島が心の底からそう思っているのかどうかわからないわけですし。
それを知りたいからこそ、康介はこうやって待っているんでしょうなぁ。

それにしても、今回の芽吹はおっぱいが縮んでいるように見える。どういうことだ!?

芽吹の胸は重要ごとだが、とりあえずさておく。
座り込み、この間の康介とのやりとりを回想する島。
殴られるよりずっと痛いと感じている。そうでしょうねぇ。

昔からそうだった。康介がいい奴であればあるほど、俺の中で黒い感情が拡がっていく

初恋だった

島も不器用なやつであるなぁ。
初恋は実らないものだと割り切ってしまえばよかったんだろうけど、そうもできなかったわけだ。
当たって砕け散ることもできず、想いを抱えてしまってたんでしょうな。

俺より康介が先に出会ったから?
俺より康介の家が近いから?
俺より康介がいい奴だから?

どれも要素としてはある。まあ、最後のが大きいでしょうな。
島も別に悪い奴ではないんでしょうけどね。康介の器がやたらとでかいだけで。
とはいえ、そんな康介も2年ほどウジウジしてたようだし、世の中はわからないやね。

何か1つでもいいから康介を上回るものがないか考える島。
というわけで、走りでの勝負を申し出る。
ここから土手沿いをずっと走って、先に渚公園に着いた方が勝ちというルールだ。

たった1つでよかった。俺は康介に勝ちたかった。
何か1つでいい。たった1つでいい。
あいつの。ノ宮の前で・・・

切羽詰った想いを抱えて走る島。結果は――

やるじゃん島公!!

どうやら島が勝利したらしい。笑顔を向けてくれるノ宮。ニカ。

全くそれに比べてこーちゃんは。
最後急に遅くなってたけど、また諦めちゃったんじゃないのー?

この時、本当は康介は体調が悪かったと知ったのは、もう康介が転校して、俺は中学の陸上部に入った後だった。

それは・・・いろいろと厄いですな。
たった1つ。康介を上回ることができた足の速さ。
と思いきや、それは相手が体調が悪かっただけでしたというオチ。
それに気付いたのは、もう陸上部に入った後だったと?なんともはや。

中学時代。
島が陸上部に入り、康介は向こうで野球部に入っている。そのことを島に話すノ宮。

・・・やめろよ。康介はもういねぇんだ。
なのにそんな楽しそうに「こーちゃん」「こーちゃん」って。
ノ宮・・・俺を見てくれよ。俺を。俺を――

・・・ノ宮、お・・・俺さ、陸上部の次期エース候補なんだ

思わず飛び出した島のこのセリフ。ノ宮は嬉しそうに微笑む。

そっか、島公頑張ってるんだね!!

・・・思えば、それが最初の嘘だった

思わずついてしまった嘘。そこから始まる負の連鎖。
この時の嘘を、中学陸上部の先輩に聞かれてしまっていた島。

へぇ。陸上部の次期エースねぇ。
練習すらついてこれねぇクセに・・・なぁ。
まぁまぁ、これからじっくり次期エース様の走り見せてもらおうぜ?

やな感じの先輩だーッ!!
まあ、大したことない後輩が大口叩いていたらムッとするのもわからないではないですがねぇ。
好きな子の前で見栄張っちゃう心境ぐらい察してあげてよ。中学生には難しいか。

そんなだったから。
中学も高校も、あっという間に陸上部には俺の居場所なんてなくなっていった。

高校の陸上部にも同じ中学の陸上部員はいたでしょうしなぁ。そりゃ居場所もなくなるか。
中学時代に見返してやれればよかったんだろうけど・・・難しいもんだな。

それでも康介に勝ちたい。その一心で一人走り続けてきたけど。
嘘を重ねて。嘘を重ねて。
・・・いつからだろうな・・・康介に勝つためじゃなくて・・・
ただ後ろめたさから逃げるために走るようになっちまったのは・・・!!

なるほどねぇ。これで陸上部に出ないけど走り続けている理由が判明した。
ずっと康介に勝ちたい。その思いだけで走っていたというわけか。
島の姉が、土手沿いから渚公園を走りこみしていると言っていたが、その理由も昔のことに繋がるわけか。
そして、今のままではまだ康介に勝てないよと走りながら悔しがっていたと。
なんというか・・・どこまでも卑屈な感じがしますなぁ。若い。

涙する島。
その背後に現れたのは丘。どうやら毎日島に会いに来ているらしい。
丘もこのままではいけないと思っているようだったし、動いているんですね。
そういえば、丘は島が最初に嘘をついたときも現場にいた。驚いた表情をしてましたな。
丘は誰よりも島のことを知っているのかもしれない。あの時点で次期エースなんて立場になかったことも知ってたようだ。
一歩後ろに控えるような立ち位置の丘だが、ここは動き出すのか?

・・・島。いつまでそうしている?
くどいようだが、お前はそんな弱い男ではない

丘は島は弱くないと言う。
だが、島自身が一番自分に自信が持てずにいる。

くだらねぇ嘘ついて、ノ宮騙して康介怒らせて。そういう最低な男だよ俺は・・・!!

そう言い捨てる島。だが、その島の意見を否定し、丘の意見を肯定するものがいた。

んー話は全く見えないけど。私も丘ぴょんと同じ意見かな。
島公、全然弱い人間じゃないって!!

・・・なーんか、久しぶりだね、島公!!

笑顔と共にノ宮が現れました。これは・・・!?
いきなりの展開に読者ビックリ。島もビックリ!
反応を見る限り、丘も驚いている感じがする。となると丘の仕込ではない?
ノ宮の側には住吉さんがいる。住吉さんが全て話したのか?どうなのか?

それとも、ノ宮は今現在何も知らずにいるのかもしれない。
ここから嘘について島自身の口で語ってもらうという展開かもしれない。
それか、逆にノ宮は全部知ってましたよって話かもしれない。それはそれでノ宮が怖い。

次号は単行本発売記念のカラーである。
ノ宮の笑顔をもらって島が走り出すとあるが、どこに向かうのだろうか。
三角公園に向かい、改めて康介と対決するのだろうか?
そして今度こそ勝利して、爽やかな島になるという展開だろうか。
しかし、康介は島と約束してからずっと公園で待っていたので体調を崩していた!とかいうオチ。
このオチだとまた島が病んでしまうな。アカン。

どうせなら、ノ宮に追われる島という展開はどうだろうか。
ノ宮と一緒に走る島はとんでもなく速い。陸上部の先輩がそれを見て、才能あるよと復帰を促してくるとか。
これからは大事な試合に出るときはずっとノ宮と一緒に出場するようになる島とか。いいのか、それは?

ともかく、なんとか元気な島になって欲しいところですなぁ。
恋愛関係に区切りをつけて、康介と仲良くなれる日が来るか!?
ああ、もうノ宮に盛大にフラれて他の相手を見出してくれる流れの方が早い気がする。斉藤先生とか。



第13話 勝つために  (2011年 52号)


単行本1巻は2012年の1月6日に発売だ!
記念のセンターカラー。気合入ってるな若者達。

ノ宮を想い、康介に嫉妬し、嘘にまみれた島の4年
こう書くと凄い暗い青春だなぁ。早く取り戻さないと手遅れになるぞ!もう遅いとかいっちゃアカン。

嘘を重ね自戒の涙を流す島。
そこにノ宮が登場する。島公は全然弱い人間じゃないって!!

この登場に驚いている丘。うつむいている住吉さん。
やはり住吉さんが呼んだのだろうか?丘の仕込ではなさそうだ。
島公は毎日毎日頑張っているとノ宮は言う。陸上部の大会のためってさ。

嘘・・・だよ・・・

ついに、島がつき続けていた嘘を自白するときが来たようだ。
言って何かが終わるなら、もう・・・それでもいいかって・・・

ノ宮・・・嘘なんだ・・・全部。全部・・・!!

陸上部なんか行ってないし、ましてや大会なんて登録すらされていない。
エースという話も全て嘘であると述べる島。
話を聞いてノ宮が笑ってくれた、それら全て嘘の内容だったんだ。

全て話、目を逸らす島。その島にノ宮は語る。

「全部」って言ったけど、島公が毎日走ってるのは嘘でも何でもないよね?

実はね私、島公が走ってるの時々見かけたことがあるんだ。
いっつも脇目を振らず必死でさ、普段絶対見せないような真剣な顔してた。
だからさ、こう言っちゃなんだけど、陸上部だからとか大会だからとか、そういうことじゃなくてさ。
私はただ島公が頑張ってるから、ただそれを応援してるだけだよ!!

島が嘘をついていたとしても、気にすることはないんだよとノ宮は言う。
きっと何か理由があるんでしょ?と。
その言葉に涙を流す島。自戒に苦しんだ涙とは違う、感動で自然に零れ落ちる涙だ。

俺はバカだ・・・ノ宮がこういうヤツだって知ってたのに。
こういうヤツだから、好きになったのに

涙する島に、ノ宮は手を振って去りながら言う。

さっさとこーちゃんと仲直りするんだよー?
やっぱりみんなといた方が楽しいからさ!!

いやぁ、ノ宮はいい子でありますなぁ。
住吉さんの時もそうだったが、やはりノ宮は物語のキーパーソンであるのか。

それにしても、やっぱりノ宮の主食はドーナツだったんですね。買い置きしてるのか!

住吉さんは語る。ノ宮はきっと気付いていたのだと。
島の嘘も、康介との軋轢のことも。
それでも嘆くでもなく、口出しするでもなく、ただ見守ってた。
もしかしたら・・・信じるってそういうことなのかもね。

信じる心は美しい。でも、それによって停滞することもあるのだから難しい。
やはり青春は当たって砕けてナンボですからね。停滞なんてしている場合ではない。
ようやくノ宮に真実を告げる事ができた島。その時間は動き出すのか?

住吉さんはノ宮と一緒にドーナツの買出しに行く。
残された丘は、もう一度島に言う。

いつまでそうしているんだ?
もう十分もがいたはずだ。もう十分苦しんだはずだ。
お前の4年間を康介に見せてやれ

それがきっと康介への嫉妬に対しても、ノ宮への想いに対しても答えになる。そうは思わないか?
俺は隣で見てきた。お前がずっと康介の背中を追い続けてきたのを。
康介が転校しても走り続け、嘘を重ねてまで追いつこうともがき続けたのを。
「後ろめたさから逃げるために走るようになった」?
そんなものは否定する。
誰よりもお前の4年間を知る俺が否定する

何故お前は4年もの間走り続けた?言ってみろ、桜島結太!!

シリアスモードで語りかける丘。
ずっと隣に居続けた男の言葉は重いな。
丘としても何とかしたいという想いはずっとあったが、どうにもなってなかったということでしょうかね。

はっぱをかけられた島は走り出す。自分の4年間を見せるために。
何故4年もの間走り続けたか。その理由は――

俺はっ・・・たった一度でいい。康介に勝ちたい!!

康介、俺と勝負してくれ!!
どうして嘘をついたのか、その答えを俺なりに伝えようと頑張るから!!

ノータイムでの土下座を敢行して頼み込む島。
いきなりの土下座!?そう土下座!誠意のベスト・オブ・ベスト!
走り出したら止まらない。何としてでも、自分の4年間を康介に見せ付けてやらないといけない。
それが康介にはわかる。芽吹にも言っておく。これが色んなことから逃げてきた眼に見えるか?

「ここから土手沿いをずっと走って、先に渚公園に着いたほうが勝ち」・・・か?
昔・・・一度そう言って勝負したよな。
あの時もやけに真剣だったけど、あの時と同じ顔してる。

康介もその時のことを覚えていた。その事実が島を熱くさせる。

今度こそ、絶対負けねぇからな!!

笑顔で宣戦布告!いやぁ、青春してるねぇ、若いねぇ、おふたりさん。
バトル漫画なら、このまま殴りあいでも初めてしまいそうな状態だ。

しかし、思った以上に爽やかな展開になってきましたね。
島編の最初のブラックな状況はなんだったのかと思うぐらいの展開だ。
それでいて、あまり違和感を感じないのは凄い。

そういえば、こーちゃんも1話からすると立派になったもんだなぁ。
あの時は色々抱えていて後ろ向きだったのに、いつのまにか嫉妬されるぐらいの立場になっちゃって・・・
いや、これは島が立派じゃなかったからか。

ともかく、勝負である。走りの勝負だ。この勝敗は一体どうなるのか?
島は4年間ずっと走り続けていた。道も覚えつくしていることでしょう。
体も温まっているし、服装も万全だ。
対して康介は、学生服のまま。ずっと公園で座っていたから体は冷えている。
しかも、野球部を止めてずっとスポーツはしていないはず。
状況は圧倒的に島有利である。でも島なので圧倒的に勝てるという光景が思い浮かばない。
なんだかんだで根性出せばノ宮と並ぶことができる康介である。身体能力は高いはず。

読めない勝敗。楽しみな一戦である。
そして、勝者はノ宮にどんな言葉を頂くのだろうか?楽しみである。



第14話 答え  (2012年 1号)


昔の対決を今再び。大きくなった康介と島により、勝負が再び行われる。
真剣勝負ということで、康介もちゃんと走りやすい格好に着替えている。ジャージですか。
ん?このジャージ見たことあるような気が。芽吹と同じジャージでは?
まさか借りたのですか!?芽吹の匂いがするぜとか言うのですか!?
まあ、学校指定のジャージなら同じになるに決まってるんですけどね。島のはよくわからん。

で、そんなやる気の康介にノ宮から丘経由で伝言。
島公に負けたら100回『ダッサ』

ゴールの渚公園で発声練習しながら待っているらしい。それはまた。本当にやりそうで怖い。
ともかく、これによりやる気は満点になる康介でありました。島も満足そう。

俺の、桜島結太の4年間は、本気の康介にぶつけなきゃ意味がない。
それが・・・それこそが。
康介への嫉妬に対しての。ノ宮への想いに対しての。走り続けた4年間に対しての。
きっと、答えになるから――

走り出した2人。それを見送りながらどちらが勝つか丘に尋ねる住吉さん。
だが、丘はどちらが勝つかは意味をなさないと答える。

島は康介に勝ちたいと言った。それはそれで事実なのだろう。
けれど本質は違う。島にとって康介は象徴なんだ。こうなりたかった自分の
だからきっと、島が本当に勝ちたいのは・・・

まあ、そういうことなんでしょうね。
4年間鬱屈とした状態で走り続けた島。その想念が解放されようとしている。
話をしながら、全力で走る2人。

康介「俺はっ、絶対に諦めねぇっ!!」
島「俺だってもう・・・絶対に負けねえ!!」

笑顔を見せながら、駆ける2人の若者。青春だぁね。

康介、俺さ・・・本当は、本当はちゃんとわかってるんだ。
お前に勝てたとしても、ノ宮は振り向いちゃくれないって

認めたくなかった。どうしても認められなくて、もがくように走り続けた。

わかってる。俺が何より認めたくなかったのは、自分自身なんだって

くだらねぇ嘘ついたことも。自己嫌悪でいっぱいなことも。どうしようもなくノ宮が好きなことも。
どうしようもなく康介に嫉妬していることも。
・・・そのクセ、お前がこの街に帰ってきた時、どうしようもなく嬉しかったことも

矛盾だらけの自分が誰より嫌いだった。大嫌いな自分を何より認めたくなかった
だから俺が。桜島結太が。たった一度でいいから勝ちたかったのは
他の誰でもない。桜島結太だったんだ――

どうしようもない想いに翻弄されて矛盾を抱えてしまう。
若いうちにはよくある心境と言えます。うむ、経験あるなぁ。
そんな自己嫌悪を抱えながら、もがき続けた島。
前に進もうとしてた点は確かに弱い男じゃないと言えるのかもしれない。丘の言うとおりだ。
でも、何かと後ろ向きに見えてしまうのが島の悪いところでもあるな。
自分に自信が持てなさ過ぎる。これが島の抱えていた一番の闇であったということか。

だが、今回はその自分に勝てた。少なくともそう思える。
ちゃんとゴールテープを用意していたノ宮。島は先にそのゴールテープを切ったのであった。
そして、ダサこーちゃん呼ばわりされる康介でありました。ハハハ。

まあ、最後まで本気で走っていたのはノ宮にもわかったので、余りダサイとは言わないでおいてくれます。
でも、言えと言われたら言います。ダッサ!
強がっても強がりきれない所がこーちゃんらしいっていうか・・・ダサイよね。
酷い言われようである。
さらに、走った後の差し入れとしてドーナツを差し出される。ドーナツかよ。これ以上水分を失えと?

しかし、レースが終わった時点では、ノ宮は康介としか話をしていない
勝者の島が放ったらかしになっているのはいかがなもんなんでしょうか。
島は島でその様子を見て微笑んでいる。色々と諦めがついているのかもしれませんなぁ。むう。

なので、素直に頭を下げる島。ごめんっ!!
大嫌いだとか言ってしまったけど、本当は親友だと思っている。
直角90度に曲げた見事な謝罪の構えである。
その島に対し、康介は語る。

一緒に走ってみてよくわかったよ。
嘘でも何でもなく4年間、本気で走り続けてきたんだって。
だからさ・・・島が伝えたかったこと・・・どれくらい受け取れたかはわかんねぇけど。
そんな島と親友であることを、俺は誇りに思うよ

さすがに康介である。器のでかい答えだ。島も思わず泣いちゃう。

ずっと、ずっと苦しかったんだ。この4年間。
ただの一度もぐっすりと眠れたことなんてなかった。
嫉妬や自己嫌悪や後ろめたさにおびえるように、丸くなって震えて。
けど・・・けど今日からは。
胸を張って眠れそうな気がするんだ

ノ宮に、やっぱり島公もやるもんだねと言われ、俺も中々やるもんだろ?と返す島。
お互いとびっきりの笑顔を見せている。
特に島。これまでの卑屈な感じではなく、本当に満面の笑みである。よいなぁ。

こうして島の闇は晴れたのでありましたって感じでしょうか。いやよかったよかった。

さて、住吉、島と来て次はどの『さくら』の問題が噴出するのか?
順当に行けば丘か芽吹が出てくるところだが、果たしてどちらであるか?
と思わせておいて、島のさらなる闇が見つかるという展開をあえて予想するぜ!
島の闇は去った。だがすぐに第2第3の闇が現れるに違いない。
負けるなこーちゃん。さくらの平穏のために闘い続けるのだ!!

とはいえ、島の闇ばかりじゃ盛り上がらないですからねぇ。
芽吹がどでかい悩みをぶつけてきてくれることを期待しましょう。



第15話 恋騒ぎ  (2012年 2+3号)


島の闇が晴れて、さてどうなるかの回。
いきなりの島登場。同じく悩みの晴れた住吉さんと教室で二人きりというシチュエーションになった。
島は住吉さんが苦手らしい。堅物だよとか言ってたしなぁ。
あの時の茶番発言は確かに島に向けられてのものでした。苦手になるだけの理由はありますわな。
でも、住吉さんも島のことを知った。
そう、ノ宮に嘘をついていた理由を、だ。

・・・悪かったわね。まさか貴方がノ宮のことを・・・

丘喋っちゃったーッ!!
うっかり口を滑らしてしまったようだけど、そうかー喋っちゃったかー。
冷や汗流しまくりの丘。だけど実は計算ずくで喋ってました、だったら面白いよね。

ノ宮の笑顔を守り隊の住吉さんとしては、この話はどう受け止めたものか。
まあ、悪気があってのことではないとわかっただけよかったということでしょうか。
ノ宮に島と付き合う気はなさそうだし問題ないかなとか思っているのかもしれないけど。

住吉さんは島に尋ねる。作楽康介と走って、何か変わった?と。

・・・相変わらずだよ。相変わらずノ宮のことが好きなままだし。
相変わらず・・・その・・・康介には嫉妬してるし
けどさ、今はすっきりしてるよ。
今はもうそんな・・・相変わらずな自分も嫌いじゃねぇなって

成長したもんだな島も。ちょいと自嘲気味なところはでてきちゃってるけど、後ろ向きではない。
どうせならもっと嫉妬深いキャラってのを表に出したらいいんじゃないでしょうか。ハンカチ噛んでみるとか。
中に篭らせるから問題なわけで、普段から外に出していればよいのだよ。

康介の話をする2人。
あんなバカ、ノ宮以外にいるとは思わなかったとは住吉さんのお言葉。
色んなことにいちいち本気で一喜一憂して、こうと決めたら突っ走ることしか出来ない頑固者。

ノ宮は康介のこと、昔からすぐ諦めがちって言うけどそれはまた違う。
きっと全てに対して本気なだけなんだよ、というのが島の言。
本気で落ち込んで、本気で悩んで、だから一度立ち上がったのなら、目標に向かって本気で突っ走る。
昔からそういう不器用なヤツだったよ。

逆に言うと、立ち直れないと本気でへこんだままでいるわけなんですね。
野球部で勝てなかったあとの2年間はそうして過ごしてきたわけか。面倒な子だ。
そういう意味では、康介にはノ宮がついていないといけないんじゃないかという気になってきた。
そんな康介の話をしている2人だが、おかしな話になってきた。

住吉「全く・・・島君同情するわ。あんなのがライバルだなんて」
島「え?いやいや。何を他人事みたいに言ってんだよ。住吉こそノ宮がライバルなんてよ」

ほう。島よ。その発言の意味するところは?

いやだって、ほら・・・住吉さ、康介のこと好きなんだろ?

さすが島。恋愛話が好きなのは素だったのですね。
まあ、球技大会でのことを見てたらそうなるだろうなとは推測できますしね。でも・・・

島君。何言ってるの?この芝生頭。
その頭はそんな低俗なことしか考えられないのかしら?
次そんなくだらないこと言ったら、その芝生刈り取ってあげるから

怖い住吉さんが帰ってきた!?
冷や汗をかきまくって固まる島。ハハハ、冗談ですよ冗談〜。
康介とのことでからかわれたのが面白くなかったのか、さらにやり返す住吉さん。
ノ宮とのことどうこうというなら、個人的には丘の方が怪しいとのこと。
ほう。丘がねぇ。
ノ宮の後ろで笑顔でメガネをクイクイしている丘は確かに怪しい。けど怪しさの質が違わない!?

住吉さんの言葉に動揺しまくる島。ちょろいわね。
どの辺が怪しい?と住吉さんの肩を掴んで迫る島。
まあ待て落ち着け。二人っきりの教室でそんな迫り方している所を見られたらどんな誤解をされるか・・・ガララララ。

康介登場。実にいいタイミングである。
無言で自分の机に行きノートを取り出す。
オレはこのノートを取りに来ただけだから、という感じのジェスチャーを行う。
釣られて無言で頷く島。そして無言で去る康介。なんだこの空間。

・・・あのー住吉さん?
めちゃくちゃ顔赤いんですけど?

ほう・・・ほう!いい顔してますな住吉さん。可愛いわぁ。
でも照れすぎると暴れてしまうのが住吉さん。島の急所に蹴りを入れたりしちゃう。
そして変なとこ蹴っちゃたとかどうしてくれんのとか最悪とか言い出してしまう。ハハハ。

島君!!今すぐその頭の雑草除去してあげるわ!!むしり取ってほしい!?それとも・・・

急所を蹴られたり刈り取られそうになったり、島も災難だな。
これで次回、島が坊主になってたら爆笑してしまうとこだが、果たして。

いやあそれにしても住吉さん、やはりそうだったんですね。自覚してたかどうかはわからないけど。
今回の軽蔑顔に、茶番発言時の迫力がなかったのは、本気で怒っていなかったからか。
あの時は本気で怒っていたからなぁ。今とは迫力が違った・・・
あの住吉さんが帰ってくることはあるのでしょうか?
1話ごとに、あの頃の表情と今の照れた顔を切替えてくれてもいいのじゃよ?

住吉さんは島がノ宮を好きなことをしったし、島は住吉さんが康介のことを、というのに気付いた。
だけど当の康介とノ宮は恋愛ごとは我関せずという姿勢
これがヒーローとヒロインの力ということか・・・関心が無くても相手のほうからよってきおるわ!
なので、島と住吉はそういう関係なのかと考えてしまう康介
丘と協力して何とか応援できないかとか考えてしまう。
そんなことしだしたら、住吉さんに新たな闇が生まれてしまう!?

考え事しながら歩いていた康介だが、その足が止まる。
どうやら、後ろをついてきている者がいることに気付いたらしい。

残念、もう気付かれちゃったか

語尾にハートマークをつけて芽吹の登場だ!!
ラブコメな雰囲気がたったの1ページでシリアスな雰囲気に切り替わったぞ!スゲェ。
こーちゃんもシリアスモードで相対する。

・・・芽吹、覚えてるか?以前屋上で言ってたことを。
『一度終わってしまったものは・・・壊れてしまったものは、もう一度始められると思う?』って・・・
『私はそれが知りたい』って。

お前の目にどう映ったかはわかんねぇけど、俺はもう一度島と始められたと思う。
・・・でもよ。
お前の望む答えは、そうやって高みで見物してわかるもんでもねぇだろ

康介の発言に、にぃと笑顔を返す芽吹。いや?よーくわかったよ?

アタシはあんたが好きってことが。だからアタシと付き合ってよ

キュッと康介を抱きしめる芽吹。
いきなりの愛の告白に叫ぶしかない康介。な、なんだぁーこの展開はぁーっ!!
しかも、アオリでは、次回で康介と芽吹がラブラブデートですってぇーっ!!?

シリアスモードから一転、これまでにないような絵柄での告白が飛び出して心底慄いた。
でも、さすがにこれはどうなんだろう。
これも何か康介を試すための一環なのだろうか。
と思わせて、本心を語っていたりする可能性も無きにしもあらずなのが芽吹なので測りかねる。
次回のデートの様子でその本気っぷりがわかるかもしれない。
というか、この2人のデートの様子が想像つかない。一体何をして過ごすんだ?
とりあえず、住吉さんが島を連れて後をつけているところは想像できた。
そして、さらにその2人の後ろを丘がつけているところまでは想像できた。『さくら』たちは仲がいいなぁ!

閑話的な話になるのか、芽吹の話になるのか。これはますます目が離せなくなってきたぜ。



第16話 真逆  (2012年 4+5号)


芽吹の突然の告白を受けて数日。康介はずっと悩んでいた。
思考がフリーズしてしまい、他のことに集中できずにいる様子。若いな。
そんな康介の前に姿を現す芽吹。
ノ宮、住吉、島の3人がいる場面でハッキリと言ってのける。

こないだの考えてくれた?
「貴方が好きです」「付き合ってください」って話

やたらと普通に可愛い笑顔を見せる芽吹。
おかげでノ宮たち3人は口半開きで固まるしかない

康介はそれについてお悩み中。
ならば明日は休みなのでデートしようと提案する芽吹。返事の参考になるでしょ、とのこと。
明日の2時、瀬尾見駅で待っている、とのこと。
言うことだけ言って去っていく芽吹。それを目で追うノ宮たち。何か言ってくださいよー。
俺は行かねえぞ!絶対行かないからな!とか言っちゃうこーちゃん。

来ちゃったよ、おい・・・

自分の行動が恥ずかしくて顔を覆ってしまう康介。やあ、若い。
時間通りに現れる芽吹。康介は待つ側か。らしい気はするな。

しかし、デートに誘われてやってくるとは、脈アリってことなんでしょうか?
その辺りは康介もまだ整理がついていない様子。
というわけで、芽吹に腕を引かれて歩き始める康介であります。
そして、そんな2人を陰から見つめる3人の姿が・・・
なんというか、横山光輝っぽい感じの陰絵ですね。ニヤ。

並んで歩く康介と芽吹。

・・・康介クン。アタシのブーツ貸そうか?

それは、何が言いたいんだ?チビ介クンだと!?はっきり言わなくてもいいじゃないか!
まだ伸びるよ!きっと伸びるよ!もう高2だけどさ!

適当に遊び歩く2人。
カラオケ、ボーリング、ゲームセンター。
どれも芽吹が高得点を出し、康介がしくじって凹む流れ。こーちゃーん!!
そんな2人を見守るアホ毛の存在が気になります。

さて、様子を伺う住吉さん。首尾はどう?
この言葉からして、遊んでいる間の看視はノ宮に任せていたようですな。
そのノ宮はサングラスでバッチリ変装?をしている。
その隣にはメガネにニットの帽子、マスクをした変態がいた。いや丘だコレ。
尾行するには怪しまれない服装をするのが重要である。
住吉さんは見た目目立つから尾行向きではない。
まあ、今目立っているのが誰かは言うまでもないことだが。
そう考えると島は尾行に向いていそうだな。人ごみに溶け込めるよ!

まあ、しっかり芽吹たちにもバレている4人の尾行。さくら達は仲がよいなぁ。
住吉さんもなんだかんだと理由をつけているが・・・気になるんですよね。わかります。

・・・しかし、けしからんね、こーちゃん。
ヨッシーというものがありながらブッキーとイチャイチャと・・・

ほう。そういう反応で来ましたかノ宮。
ノ宮が康介のことをどう思っているのかはいまひとつわからない。
住吉さんも康介も好きだろうから、2人がくっつくのはいいことだと思っていそうだけど。
その心の裏はどのようになっているのやら。
島は康介と芽吹は別にイチャついている様子でもないと見切っている。
さすがに長年片想いを経験しているだけあって、その辺りは敏感だ。
でも島のノ宮評も片想いゆえの偏りがありそうでアテにならない。ノ宮の内心はまだ窺い知れないなぁ。

さて、駅に向かおうと動き出す2人。
それを追うために動こうとする丘。だが、警官に動きを阻まれてしまう。丘ー!!
なんだかこういう役回りは久々な気がするな。それでこそみんなの丘だ!丘ー!!

丘ぴょんの犠牲は無駄にしない!鮮やかに見捨てたノ宮は康介たちを追う。
電車に乗り込み、身をかがめる。

ノ宮「島公!もっと身をかがめて!それじゃ命がいくつあっても足りないよ!」
島「俺らは一体何を尾行してる設定なんだよ!?」

なにって、お前。芽吹だぞ・・・あの芽吹だぞ・・・
本気で尾行されたくないと思う時だったら、島公はもう何回死んでいるかわかったもんじゃない。
まあ、今回は爽やかにハメられて送り出されるぐらいで済みます。あーっ!アホだ。

3人を見送ったあと、2人は気長に次の電車を待つ。
その間にお話。芽吹はかなり器用なようだ。ブッキーなのに不器用じゃないだなんて!
本人に言わせれば器用貧乏とのこと。それでカラオケで90点台は出せないヨ!
康介はどちらかというと不器用だが、基本的に何に対しても一生懸命である。
慣れないUFOキャッチャーも頑張って、ぬいぐるみを取ってくれた。1個だけだけど。

今日だってずっとアタシの告白の返事、真剣に考えてたんだろ?

告白の話を持ち出され、深刻な表情になる康介。果たしてどのような返事を出すのか。
その返事を聞く前に、芽吹が動く。

ドッキリ大成功!

やはりそう来ちゃうのか!!
これはこーちゃんも赤面するしかない。最悪だ!
でも、まあ、嘘でよかったんじゃない?と芽吹は言う。断るのも辛いもんなんでしょ?

やはり、さっきの康介は断ろうとしていたのかなぁ。
真剣に考えて答えようとするのはいいけど、それで後悔が少なくなるのはあんただけじゃない?と芽吹。
なかなか含蓄のあることを言いますね。
これには康介も反省。ううむ、男女のやりとりは難しいでござる。

今回の芽吹の告白はドッキリだった。だけど、芽吹が康介に興味あるというのは本当だ。

誰にでも本気になれる作楽康介
何一つ本気になれない芽吹さくら
面白いくらい真逆じゃない?

そうだ、康介クンならわかるかな?アタシにゃさっぱりわからないんだ。
何も無い人は・・・
夢も希望も失望も、愛情も友情も同情も、嫉妬も憎悪も罪悪感も、感謝も落胆も、
誇りも挫折も後悔も、憤怒も悲哀も歓喜も、何も感じない人は、どうやって退屈と戦えばいい?

ね?真逆でしょう?

これが芽吹さくらであるか。
掴み所がねぇヤツだとは思ってたけど・・・掴める所なんて、初めからなかったんだ

冒頭の笑顔とはまるで違った様子の笑顔を見せる芽吹。
ドッキリ用ではない、これが本来の芽吹の笑顔なのだろうなぁ。ぬう。

予想通り、厄介そうな芽吹である。果たして康介はこの相手をどのように攻略するのか。
しかし、こーちゃん。掴み所がないとはどういう感想だろうか?
住吉さんと違い、凹凸は十分以上にある体だと思うが・・・ええ、そういう話じゃないですよね。スミマセン。

康介に情報を与えたり、試練を課していたのは芽吹なりの好奇心ということなのでしょうなぁ。
そういう意味では、何かしてくれるのではないかと期待している感じはある。
しかし、何をすれば芽吹の心に届くのだろうか?
ちょっと考え付かないですねぇ。敗北を知れば色々と感情が出てくるかもしれないけど。
でも何で敗北させてあげればいいかもわからない。そもそも何であれば勝てるかもわからない。厄介すぎる相手だ。

しかし、前半のコメディ的な展開も面白かった。丘が久しぶりに丘らしかった。
その世界を一瞬で変えてしまう芽吹はやはり凄いとも思った。
全員の悩みが解決したあとでも、前半のような展開を進めてみて欲しいですなぁ。



第17話 空っぽ  (2012年 6号)


単行本1巻発売記念、センターカラーだ!
めでたいけれども、本編は重たい状況だぜ!

虚空を彷徨う、曖昧な生。私には何もない

なんとも怖いアオリだ。
何一つ本気になれないと言う芽吹。果たして康介は芽吹の問いに答えることができるのか?

「何か趣味を見つけるってのはどうだ?」
「友達と遊ぶってのは?例えば今日みたいに・・・」
「さくら6人で――」

次々と言葉は浮かんだが、そのどれもがどこか的外れに感じる。
答えることができない康介。まあ、そうでしょうね。
根本の感覚が違うのでは、なんともしようがない。
芽吹も、答えがでなかったことに対し、きっとその方がいいんだよと言い出す。どういう意味かな?

ここで、芽吹から提案。
今日一日付き合ってくれたお礼に、家に夕食に招待すると言い出す。

い・・・いや待て待て待て、絶対気まずいじゃねぇか!!
仮にもお前は年頃の娘さんだし、俺は男だし!!

さすがは康介。気遣いのできる男である。お父さん的視点をできる男だ。
でも、丘だって住吉さんの家にあがりこんで夕食をいただいたりしてたぞ?
ノ宮も一緒だったということを伏せるとなんだか怪しげ!

芽吹によると、ウチはそういうの全然気にしないから、とのこと。
そっちが気にしなくてもこっちが気にするよ。家に入るとこ見られて噂になったら恥ずかしいし・・・
いや、そこまでは言いませんけどね。
信用していいんだろうな?と問う康介に、これは本当だよと返す芽吹。

あんたがこれから行くのは裕福で立派な、娘思いの家族が住むただの一軒家さ

裕福なんだ。まあ、あんまり質素な感じは芽吹からは見えなかったしなぁ。
電車に乗り込む際に、康介は先ほどの質問について尋ねようとする。
だが、そのことについてはもう過ぎ去ったこととなのか、忘れちったよと返答する芽吹。
本当に忘れるはずもないだろうけど・・・なんだか切ないな。

芽吹の言う退屈。その感覚がわからない俺にはどうしていいかわからない。
けどさ芽吹、ああいうことを聞くってことはさ、お前自身きっとこのままでいいとは思っていないんだろ・・・?

芽吹の虚無を垣間見た康介。色々と思い悩むことになりそうだ。

さて、尾行を巻かれたノ宮たち。相変わらずのサングラス姿のノ宮。目立つな。
島は丘に連絡を取ろうとするが、携帯も繋がらない。
丘はまだ取り調べ中なのだろうか?それとも余罪が発見され、拘留されることになったとか!?
でも、そんな丘を全く心配していない女性陣。少しは丘の心配しろよ。

ノ宮「島公うるさい」
住吉「その頭の雑草使って光合成でもしてなさい

ヒドイ。ヨッシーはどんどん島に対する扱いを下げていっている気がする。
ノ宮は・・・うん、当初と変わりがないな。
発言する権利も奪われつつある島。このまま彼は背景の一部となってしまうのか!?
グラウンドに横たわって背景の一部になっていなさいとか住吉さんに言われちゃうのか!?
島がいなくなると、苦労を康介が一身に背負うことになりそうなので、頑張ってほしい。
さくらの苦労担当ポジションだと考えれば、立ち位置が見えてくるんじゃなかろうか。やったね島。

丘のことはともかく、芽吹の話題。住吉さんと芽吹はつるんでいたんじゃないのと島。
確かによく並んでいたわけだが、住吉さんにしても芽吹がどんなヤツかはよくわからない。

ただ同じ場所にいただけで、私たちはお互いに一人だった
言葉を交わしても後には何も残らない。本音がまるで見えないから。
・・・そうだ、そういえば。以前一度だけ芽吹の家族に会った時も・・・

住吉さんは芽吹の家族にあったことがあるらしい。
家に招かれたわけではないだろうけど、どこで出会ったんでしょうね?

さて、家に招かれた康介。その芽吹の家族と御対面。
笑顔を絶やさず、丁寧な様子の芽吹母
静かな様子の父と兄
芽吹の言った通り、娘が男を、とかそういった空気は本当に感じない。
なのにひどく居心地が悪い。他人の家だとか何かそれ以前の・・・

裕福な家であるゆえか、なんだかオシャレな感じの夕食である。
用意が整ったところで、芽吹母が康介に話しかけてくる。

昔からこの娘は何でも出来て、自慢の娘なんですよ。
テストもいつも100点で、かけっこもいつも一等賞で。
でも一番の自慢はピアノ
親バカですみませんね。けど一部では将来を期待されていて。
今は少しスランプで休養してますが・・・

語り続ける母。それに全く無関心な容姿の父、兄。
芽吹は面白いもの見せてあげると言い、水の入ったグラスをわざと床に落とす。
グラスは音を立てて砕ける。危ない。それを見て、芽吹母。

あらあら、さくらったら。コップ落としちゃったのね

大丈夫ですよ康介さん。私が片付けますから。
この娘ったら、何でも出来るのに変な所ドジで。そういう所も可愛いんですけどね。
大丈夫よ、さくら。貴女は私が守ってあげるから。
ピアノだってゆっくり休めばいいのよ。ママはちゃんとわかってるから

芽吹母の見せる異様な様子に固まる康介。そこに芽吹の追い討ち。

ね?いい家族でしょ康介クン。
ここまでアタシのためにって考えてくれてんだから。
アタシがピアノ弾いてたのなんて、小学生の頃の話なのにね

なんだ・・・?なんだよこれ・・・?
突然ホラーの空間に放り出されたかのような戸惑いを見せる康介。気持ちはすごくわかる。
母親がおかしいのは確実にわかるが、父と兄も全く反応を見せない。顔色一つ変えない。

初めはそれなりに悲しかった。心がズキズキと痛んだ。
けどそのうち、どうにもならないと知って、痛みにも鈍くなって。
後には見た目ばかり立派で空っぽな容れ物と退屈だけが残った

・・・どうすればいいと思う?ねぇ、康介クン。

述懐する芽吹。
それを聞いた康介には聞こえた気がする。
・・・助けて。と。

本当に皮肉な話だけど、初めて芽吹の言葉を聞いた気がした

青春群像劇が、片想いの話から告白の話になりデート回を経てホラーになった。
何を言っているのかわからねーと思うが、ここ3回ほどの展開である。急転直下!堕ちすぎだ。

芽吹がこうなってしまった原因は家庭にありましたか。
逆にとっかかりができたという見方もあるけど・・・これはなぁ。
芽吹母の時は小学生の頃で止まっているように見える。5年以上止まっているわけか。
この時を正しく認識させるようにするにはどうすればよいのだろうか。
父と兄が無反応なのは何故か?母の介護疲れであろうか?
2人は芽吹以上に諦めきっていて、虚無に陥っている可能性がありますな。

芽吹母の精神性は、幼子に対する保護欲が一番表に出ているように見える。
これが出ているのでは、芽吹が暴れたところで、私が守ってあげるという献身の精神に阻まれるだけでしょう。
となると、外部から芽吹を傷つけようとした場合どうなるのだろうか?
康介がこの場で芽吹に襲い掛かるとか!
まあ、やめといたほうが無難ですな。下手するとこーちゃんが包丁で刺されるはめになる

母がいないところでの父と兄の様子を知りたいところですな。
相談してみたら、何かヒントになるものが出てくるかもしれない。

それとは別に解決方法として、芽吹が家を出るという選択もあるのではないだろうか?
母親が荒れ狂いそうな気がするのが怖いが、ショック療法的なものはあるかもしれない。
そして家を出た芽吹の退屈を紛らわす方法を考える。
かの地上最強の生物は、強すぎて退屈だったので、息子を作り育て退屈を埋める存在にしようとしたという。
そう、芽吹もその例に倣えばいいんじゃないでしょうか!
家庭が原因で虚無に囚われたのなら、家庭を作ればいいんですよ。つまり子作りだ!!
てなことを思いついて実行に移そうとしたところで、こーちゃんが包丁で刺されると。
刺したのが誰かは色々と想像しちゃう展開だなぁ。って青春群像劇がメロドラマになっとる!アカン!

犯罪チックなことは丘に任せたほうがよさそうですな。康介はあくまで健全に。
そういえば丘はこの芽吹編のうちにシャバに帰ってこれるんでしょうか?
芽吹編が解決した頃、続いて刑務所に囚われた丘編に移るとスムーズかもしれない。
刑務所の中にはすっかり変わり果て、丘だったものが蠢いている。
貧弱だったボウヤのはずの丘が、ムキムキのボディを手にいれ、ボスとして君臨しているとか。
それはそれで面白そうだな。ホラーの次は刑務所闘争ものか!面白そうな流れだ!ないだろうけどね!



第18話 6人目の『さくら』  (2012年 7号)


芽吹の発した、助けてという言葉。
あれは康介が聞いたような気がしたというわけではなく、実際に発した言葉だったらしい。
家族の前で他人に助けを求める。芽吹の追いつめられようがわかりますなぁ。

というわけで、暗い部屋に芽吹が1人でいるところに、兄が登場。
他人に「助けて」だなんてどういうつもりだと問いただす。

他人にあんなこと言わなくても家族がいるだろ
お前のために全てを犠牲にする優しい母さん。
お前のためにあえて何も言わず温かく見守る父さん。俺だってそうだ。
みんなお前のために。最高の家族じゃないか。もう一度お前が笑えるように、さくらのためにって。

その家族の問題について「助けて」と言っているんですがねぇ。
やばいのは母親だけかとも思ったが、どうも父も兄もヤバそうな気配だ。
芽吹も、誰一人アタシの言葉に耳を貸さないクセにとか言ってますし。むう。

しかし、最後のセリフが気になりますね。もう一度お前が笑えるようにって部分。
過去に何かあったんでしょうな。
芽吹が笑えなくなるような事件があり、母がそれで崩壊した?なんとも重い話だ。

康介は芽吹の「助けて」に何も答えることができなかった
。 そのことに対して落ち込んでいる康介。まあ、すぐにどうにかできるもんじゃないですわな。
その康介に丘から電話が入る。
おや、丘。ちゃんと出所できたんだ。出番なくなるかと心配してたぞ!

康介・・・もしかして、芽吹の家に行ってきたんじゃないのか?

鋭い指摘を行う丘。何故それを?
それもそのはず。さくらの中で一番芽吹のことを知っているのは丘だったからだ。
芽吹は思う。
この家がどうにもならないことはアタシが一番よくわかってる。
・・・いや、もしかして。一番わかってるのはあんたかなぁ。ねぇ丘クン

丘は電話で康介を呼び出す。ずっと・・・ずっと話したかったことがあると言って。

呼び出された康介は、一枚の写真を見る。
そこには丘と芽吹が仲良く映っている姿があった。マジかよ・・・
このことは、ノ宮も島も住吉さんも知らない。

・・・別に男女の仲というわけではなかった。けれども確かに1年前、彼女の隣にいたのは俺だった。

わざわざ男女の仲というわけじゃないと補足する律儀な丘。
まあ、付き合っているとかそういう雰囲気ではなかったんでしょうな。
それでも、丘にとっては芽吹と一緒にいる時間はとても心地のいい時間だったらしい。

何てことはない。俺はただ嬉しかったんだ。
同じ本について語り合える相手なんて初めてだったから。

なによりその頃、俺たちはもうバラバラだったから、誰かが側にいてくれることが嬉しかった。

このバラバラになっていたというのも気になる話ですなぁ。
ノ宮と住吉さん。ノ宮と島の距離が開いたのはわかった。
それによって丘も集団の輪に入れなくなってしまったということだろうか。大変だったんだな・・・

そんな状態で、近づいてきたのが芽吹さくら。
さくら達とバラバラになってしまったところにやってきたのが「さくら」である。

不思議な縁だと思った。やがて芽吹と過ごす昼休みが大切な時間となって。
そうしていつか、俺は芽吹きに惹かれていったんだ
そのうち昼休み以外も時々、放課後本屋へ行ったり、そのついでに食事をしたり、多くの時間を重ねた。

ほう、デートらしきこともちゃんとやっていたんですな。
男女の仲ではなかったというのはその先のことを示していたというのでしょうか。丘ってば大人なんだから。

そんな時だった。芽吹の家に招待されたのは。
・・・滑稽な話だよ。芽吹のことを何も知らずに一人、俺は彼女との時間を楽しんでいたんだから。

どうやら、丘も康介と同じような家族紹介をされたらしい。
ここでも割れたコップを片付けている母親の姿がある。
それを見た丘。芽吹を助けたいと行動する。

お願いです!娘さんの話をちゃんと聞いてやってください!!
あいつは・・・芽吹はこんな家族関係望んじゃいない!!
それを「芽吹のため」「芽吹のため」とこれ以上追いつめるのは・・・

頭を下げ、必死で説得を試みる丘。だが、その言葉は届くことはない。

大丈夫。ちゃんと娘のことはわかってますから。だってほら、私たち家族ですもの

そう、母親は悪意なんてあるはずもない。
ただただ、娘のためを思って行動しているのだ。
それが娘の意志に反していることであると気付くことができずにいるだけなのだ・・・最悪だね。
芽吹母だけでなく、芽吹父も丘を拒絶する。

私たちはこういう家族なんだ。それを、他人の君にとやかく言われる覚えはない

他所様の家庭に踏み込むなという話ですか。
分かる話だけど、家族でどうにもならないから芽吹は助けを求めていたわけで。うぬぬ。

家族の説得はできないと認めてしまう丘。
それでもどうにかしたかった。せめて一時でもそのことを忘れられるようにしたかった。
芽吹に色んな本を薦める丘。だけど、芽吹は言う。温かな笑顔で。

・・・丘クン。もういい。もういいよ

今の芽吹の笑みとは違う、可愛らしい笑顔である。それがまた悲しい。

・・・俺には助けられなかった。助けられなかったんだ・・・

悔やむ丘。
そんな丘には一つ夢があった。約束と言ってもいい。
まだ芽吹と並んでいたときに行った約束。
『さくら』6人。全員揃ったら芽吹も加わらないかという提案
作楽康介、桜ノ宮さくら、桜島結太、住吉さくら。
そして、自分達、桜ヶ丘奏と芽吹さくら。このさくら6人だ。

昔の話なので、康介は転校してしまっており、6人揃うなんてことはありえない。
丘もそれはわかっているので、夢だと言っている。
でも、もしそんな日が来たならば、芽吹もそこにいて欲しいと丘は願う。
そうすれば、きっと芽吹の退屈も・・・と。

・・・わかった約束するよ。もしいつかそんな日が来たら、アタシもそこにいる。
アタシが6人目の『さくら』になる。期待しないで待ってるからさ。

そういうことだったのか。
球技大会のとき、芽吹に練習の参加を迫ったときの返事。
「住吉も参加するならアタシも参加する」
あれは、丘との約束を守るという意味もあったのか・・・

儚い夢だった。叶うはずのない夢だった
・・・それが、康介が帰ってきてくれたおかげで、俺の最後の希望になったんだ・・・!!

このバラバラになってしまった『さくら』たちの中で、そのことに一番苦しんでいたのは丘かもしれない。
そう思わせる話でした。そして、康介が帰ってきたことで希望となるというのがよい。
実際、康介はバラバラになっていたさくら達をひとつにまとめあげていっている。
その姿を見れば、まさしく希望と言っていいでしょう。
だからこそ、芽吹も散々試すようなことをしてきたんですなぁ。深いわぁ。

単行本の1巻も出たので、今回の話を踏まえて読み直すと色々と感慨深い。
芽吹の行動とかもよくわかる。丘も頑張ってさくらたちをまとめようとしている。
1巻には入ってないけど、丘の『さくらDISCORD』というネーミング
あれは前から6人集まったらこう呼ぼうと温めていた名前ではないだろうか。
そう考えると感慨深い。まあ、思いっきり否定されちゃいましたけどね!丘・・・

それにしても、芽吹の部屋は何もない。暗くしているし、本当に座り込んでいるだけなんでしょうな。
そして、見返してみると芽吹の手には何か握られている。
これはもしや丘が持っている写真と同じものなのだろうか?
そう考えると、今でも芽吹は丘のことを?と思えてしまう。ふむーう。
しかし、あの写真。最初見たときは合成かと思いました。
ちょうど机の部分が切れ込みに見えて。2つの別々の写真をくっつけた荒い合成かと。
芽吹の髪がはみ出しているので違うとは思いますけどね。
ひょっとしたら康介も同じ勘違いをしたかもしれない。マジかよ・・・(丘、何作ってんだよ!)とか。

それはともかく。
今回の情報を得て、康介はどのように芽吹を助けるのだろうか。
キーワードは、芽吹父の言った、他人の君にという言葉だろうか。
つまり、芽吹を家族にしてしまえばよいわけだ
丘のいうところの男女の仲になってしまえばいいわけだな。これで口出しできるようになる!
どうせなら婚姻届も出してしまいたいところだが、丘は17歳。残念、1歳足りない。

それか別の方法もある。家族といえばファミリー。
そう、『さくら組』という組織を結成し、構成員をファミリーと呼ぶのだ!杯を交わせ!
家族の契りを交わしたところで、堂々と芽吹家に赴き、宣言すればいいわけだ。
でも、こーちゃんは勢い余ってこんな発言をしてしまったりするのでしょう。

康介「芽吹は俺の家族だ!」(あ、なんか色々と抜けた)

芽吹母、父、兄「なにっ!?」
丘「なにっ!?」
住吉「なにっ!?」
ノ宮「けしからんね。こーちゃん」
島「そこに憧れ嫉妬するぅ!」

ともかく芽吹家の動揺を誘うことはできそうだ。後が大変だろうけど。

手法はともかく、なんとか気持ちのいい解決をやってみせて欲しいですなぁ。
増田先生ならきっと上手い事やってくれると信じております!



第19話 あと一歩  (2012年 8号)


芽吹との約束を康介に語る丘。
その背後の茂みには、ノ宮たち3人が盗み聞きしていた。おやおや。
どうやら丘に呼び出された康介を偶然見つけてきたらしい。
ノ宮は尾行用の変装を解いている。まあ、夜中だしサングラスじゃ何も見えないもんね。
だからこそ、バレずに2人の会話を聞くことができたのだ!やったね!

しかし、島によると、住吉さんはノリノリで来たとのこと
作楽康介を見つけたですって!ってな感じでホイホイ来ちゃったんでしょうか。どんな感じでノリノリだったのか気になる。

それはさておき、島は丘の話を聞いて思い悩んでいる。
最近ではなく、昔のこと。島は丘に言われたことがある。お前は強いと。

諦めず、諦められず、懸命に闘い続けている島は俺の目には眩しいほど強く映るよ

その発言をしたころからずっと丘は悩み続けていたのでしょうな。
諦めきれないでいる島と違い、丘は諦めてしまっていた。
康介が帰ってくるあの日まで、芽吹が6人目の『さくら』になる。それは叶わない夢だと。守れない約束だと・・・!!

本当に奇跡のような光景だった。
康介が転校してきたことも。ノ宮と住吉がもう一度笑い合えたことも・・・島が胸を張っていられることも・・・
そして、ほんの一時かもしれないが、叶ったんだ。6人の『さくら』が並び立つ。そんな夢が・・・

・・・今芽吹がいないのは、もしかしたら芽吹にとって退屈を満たせるものじゃなかったのかもしれない。
そもそもあの時、芽吹が来てくれたのはただの気紛れで、あの約束なんてもう忘れてしまっているかもしれない。

言うたびにネガティブな思想に囚われていく丘。

わかってる。芽吹の参加はただの俺個人の願いだとっ。
本来、俺一人で何とかすべきだって・・・でもっ・・・それでもっ・・・
それでももし、康介が俺と同じように芽吹を救いたいと思ってくれるなら!
『さくら』6人で笑い合える光景を望んでくれるのなら・・・!

叫ぶ丘。
だが、康介はその丘に対し謝る。
康介だって芽吹を助けたいとは思っている。
だけど、芽吹のために何が出来るのかわからない。そもそも出来ることがあるのかわからない。

考えてみれば無理もない話である。
今日一日で多くのことがありすぎた。
告白してきた芽吹とのデート。告白は嘘だったが、芽吹家に招かれ、とんでもないものを見せられる。
そして、今丘から衝撃的な事実を聞かされる。
こーちゃんならずとも混乱して仕方ない状況だ。もうデートの思い出とか残っていないんじゃなかろうか。

俺にはまだ・・・

弱音を吐く康介。すると、いきなりその康介に冷や水が浴びせられる。バケツで。
浴びせたのは・・・住吉さんだ!なに!?
突然現れた住吉さん。それに島。お前ら何やって・・・!?

盗み聞きしてました。なんて言ったりはしません。
それよりも、言いたいことがあるのはこっちの方だとばかりに口を開く住吉さん。

それはこちらのセリフよ、作楽康介・・・芽吹は・・・芽吹はね。
芽吹は本当はすぐにでも『さくら』の所へ、丘君の所へ駆けつけたかったんじゃないの!?
貴方言ったわよね!?絶対に『さくら』6人集めてやるって。絶対に諦めないって!
今一番言わなきゃいけないんじゃないの!?

住吉さんは叫ぶ。
自分自身がその言葉とその行動に救われたからか、そのセリフを取り下げないで欲しいと言っているかのようだ。
気持ちは凄くわかる話です。
でも、ちょっと弱音を吐いたからっていきなり冷や水浴びせなくっても・・・
まあ、確かに康介の場合は水を浴びせたほうが勢いがつきやすくなるのかもしれませんが。
というか、どのタイミングで水を用意したのだろうか?
たまたま雨水が溜まっているバケツでも足下にあったのだろうか。汚そう。
ちなみに、反吐をバケツいっぱいに溜めたんだよ、なんて下劣な感想は書いたりしませんよ。いくらなんでも。
紳士的な感想を目指しておりますからねぇ。む、書いてしまっている!?

それはさておき、島は丘に話しかける。
お前が俺を励まし続けてくれたのは、『さくら』6人集めるため・・・芽吹のためだったのか・・・?

島のこの問いに、この1年に関しては否定しないと答える丘。
島のためじゃなく、俺自身の願いのために。本当は励まされていたのは俺の方で。

力なく答える丘。それに対し、島。

だったら芽吹に感謝しなきゃな。つーわけで俺も・・・協力させてもらうぜ!!

笑顔でそう告げる島。おぉ・・・島公が成長している!?
直前で闇が晴れたばかりですからねぇ。
丘にどういった理由があろうと、励まし続けてくれたのはありがたいと思える部分があったのでしょうな。
今であるからこそ、素直に協力を申し出ることができる。
攻略の順序は正しかったということだ!芽吹を6人目の加入者に設定した丘のファインプレーだ!

各人が語りかけたあと、満を持してこの人、桜ノ宮さくらが登場する。

丘ぴょん。あと一歩だよ
私も丘ぴょんと・・・みんなと一緒かな。
『さくら』6人で笑い合えたら。そんな日が来たらどんなに素敵だろうって。

あと一歩だからさ。一緒に頑張ろう?

ノ宮の元気付けワードが飛び出した!
康介はこの言葉で俄然勢いを取り戻す。やっぱりこの言葉は威力があるなぁ。
腹を決めた康介。何が出来るのかはわからないが、こいつらと一緒ならもしかしたらと思えるようになった。

「あと一歩」で世界は変わる。変えられるのなら、俺は

ここで、康介はあのことを口にする。以前、丘が『さくら』6人につけたチーム名のこと。
実は結構気に入ってたらしい。そう、「さくらディスコード」という名前だ。

あの日みたいにもう一度集めようぜ。『さくら』6人を・・・
いや、俺たちが絶対『さくら』6人集めてやる。絶対に諦めねぇから!!

4人が拳を突き出し、丘に向けて力強く宣言する。
なんと良い光景であることか・・・不協和音ながらも、今は心がまとまりつつある。
この勢いを駆って迎えに行こう。
芽吹を。6人目の『さくら』を・・・!!

動き出すさくらディスコードの面々。
どうやら今夜のうちに決着をつけようとしている感じである。
まあ、これだけ気勢があがったのだし、一晩待ってなんて言ってられないですよね。

芽吹は丘と撮った写真を見ている。
やはり前回手にいしていたのはその写真だったんですな。うーむ、ラブい。

今が何時くらいかはわからないが、夜中に突入してどう話を進めるつもりなのだろうか。
家族は全員家にいるだろうから、話はしやすいかもしれない。
だが、どうやって芽吹を助けるのか。康介も何が出来るかわからないと言っている状況。
はっきりいって策などない!ってな状況だろうけど、どうするのか?
若さと勢いで押し切るしかないかなぁ。
5人で一斉に芽吹家全員に「あと一歩」を叫び続けてみるとか
あと一歩で世界は変わるんだよどうして諦めるんだよ諦めるなよあと一歩だってやれるよ世界は変わるんだよあと(略)
こんな感じで一晩中叫び続けたら、芽吹家の人間も折れるんじゃないだろうか。どうか!?



第20話 noise  (2012年 9号)


小さい頃の芽吹はそりゃあ可愛いものです。
今の厄い笑顔とは違い、素直な笑顔を見せてくれて、ピアノも上手で。
母さんが喜んでくれるのがただ嬉しかったとか思ってくれるんですのよ。

そんな感じで、幼少時の芽吹の回想でございます。いえ、母親視点でなく芽吹視点の回想ね。

芽吹の家にはまだローンが残っていた!!
裕福そうな家に見えたが、そういった庶民的な単語も出てくるんだ・・・意外!
ピアノが上手だった芽吹は母の勧めもあり、ピアノ教室に通うことになりました。

この耳に聴こえる全ての音が好きだった
朝の穏やかな食卓の音。昼の噂好きの女子の声も、バカ騒ぎする男子の声も。
夕方の家路を急ぐ車の音も、散歩を喜ぶ犬の声も。夜の虫たちが奏でる音も。

だからきっとアタシのピアノは鼻歌みたいなもの。
演奏なんて大層なものじゃなくて、大好きな世界を想って、気付けば奏でている鼻歌――

そうやって楽しく過ごしていた芽吹。
しかし、その才能をピアノ教室で認められてしまう。ただただ、大好きな世界を想っていただけだったのに。

段々と難しくなっていくピアノ。
このままじゃ、こんなんじゃお母さんは喜んでくれない
もっとたくさん、もっとたくさん練習しなきゃ。

「もっと」「もっと正確に」「もっともっと」「もっと」「ここはもっと力強く」「ここは逆にもっと繊細に」
もっともっと頑張らなきゃ。お母さんのためにも、お父さんのためにも。
先生のためにも。クラスのみんだって、コンクール楽しみにしてるって。
もっともっとみんなのために。みんなのために。
・・・あれ?

私は?

・・・どうしてだろ。
何も聴こえないよ・・・?

気付いてしまった芽吹。その身を横たえてしまう。
驚きうろたえる両親。その身体に異常はない。だから、母もびっくりしたと笑顔ですませている。
しかし、異常を来たし始めていたのは精神の方であった。

どうしてだろう。あんなに鮮やかに聞こえていた全ての音が、今はただ耳障りだ

倒れた後、病院に行ったのだろうか。
その帰りにさっそくピアノを前にする芽吹。母は今日は少し休みましょうと勧める。しかし――

・・・ねぇ、母さん・・・
アタシ今までどうやって弾いてた・・・?全然弾ける気がしないよ・・・?
ごめんね・・・?お母さん・・・

謝りつつも、その部分が疑問系になっているところがまた悲しい。
ピアノが弾けなくなり、なんで弾こうとしていたかも分からなくなっていそうな感じだ。
だからこそ、笑顔が強張っている。今の笑顔に近づいていっている。うう、厄い。

泣き崩れる母親。
それからの母はアタシが何をしても「さくらのため」と言って全て許すようになった。
まるで腫れ物に触るように
アタシはと言えば、あれから一度もピアノを弾けることもなく、相変わらず全ての音が耳障りだった。

あの時誰かの声が聞こえた気がした。
「こいつもう駄目だな」と。
それは紛れもなくアタシの声だった。

これが芽吹の過去。
可愛かった少女の姿はなく、素直な笑みを浮かべることのできない今の芽吹の姿がある。
ベランダに出て、丘と撮った写真を見つめる芽吹。
やはりこの写真は芽吹も持っていたんですね。広く何もない部屋でこの写真だけを手にしていた芽吹か・・・

・・・ねぇ丘クン。あんたがしてくれたこと、嬉しかった。
けど無理なんだ。他の誰でもない。アタシがアタシのこと見捨ててるから

そういうことなんでしょうね。
芽吹の両親が出てきたとき、両親をどうにかすればよいかと思った。
でもそれは間違いだったようだ。誰よりも、芽吹をどうにかしないといけない。
芽吹を元のような笑顔に戻してあげることこそが、最善の道に繋がっているわけであったか。

芽吹は丘のことを想う。

ちゃんと諦めてくれただろうか?ちゃんと伝わってくれただろうか?
アタシは他の男を平気で選ぶ。他の男に平気で頼る。そういう女だって。

アタシがいなくてもさ『さくら』5人なら揃ったろ?
あの5人ならきっと楽しくやれるさ。だからさ、もう。アタシとの約束なんて忘れてさ・・・
ちゃんと幸せになりなよ・・・?

自分のことを見捨てている。そういうことか。
康介に助けを求めて見せたのも、丘のためを想ってのフェイク。
自分は他の男に平気で頼って見せるような女だと思わせ、丘を遠ざけようとしたわけか。
なんというかまた、遠まわしな話ですな。
丘はあれで強情な感じだし、そうやって見せないと諦めてくれないと思ったのかもしれませんな。
しかし、そのための要因として用いられた康介はいい面の皮っすね。本人は気にしないだろうけど。

丘との写真を破り捨てる芽吹。悲しい話だ。
ここでも最後の幸せになりなよに?がついている。
丘の幸せを願うのが自分の幸せであるのかどうか、よくわからないということなのでしょうか?深い。

思い出の品を破り捨てたことで、丘との関係は終わる。
そう思ったのだろうが――あにはからんや。ベランダで振り向いた先、家の前には丘がいた。

芽吹!!今さら何をと思うかもしれないが、もう一度頼ってくれ!!甘えてくれ!!巻き込んでくれ!!
それが俺・・・桜ヶ丘奏の望みだ!!

4人の『さくら』を従え、叫ぶ丘。
これには、そのさくら達も私も俺もと追随する。

・・・芽吹。今度こそお前を救ってみせる・・・
俺は芽吹が好きだ!!だから今度こそ、今度こそ諦めない!!

丘が気持ちを曝け出したーッ!!
夜の住宅街に若者の告白が響く。いやぁ、青春っすねぇ。

康介にとって大変な1日になったなと思ったら、芽吹にとっても大変な1日になりました。
丘と離れるために偽のデートを画策し、写真まで破り裂いたというのに、いきなりのコレ。
さすがの芽吹も混乱するのは間違いあるまい。どんでん返しもいいとこですからねぇ。
考えてみると丘も大変な1日でしたな。
偽デートでいくらか動揺し、逮捕され、そして告白。ハードな1日というか、わけがわからないよ!

両親が出てきたときはどのように解決すればいいのかと悩んだものですが、こうなれば後は駆け抜けるのみ。
丘が全力で芽吹を幸せにすることができれば、元の笑顔を取り戻してくれるようになれば。
それに合わせて母も元のように自然な姿になれるのではないでしょうか、ってなもんだ。
そのポイントとしてはやはりピアノですかね。
芽吹がピアノを弾いてくれれば、最終的に解決しそうな気がします。
DISCORDは元々音楽用語だったことを考えると、今回のピアノの件は意味深ですね。
不協和音であるはずの『さくら』が集まることで、ピアノの音が再び蘇るとか。いい流れじゃないっすか。

芽吹がピアノを弾けなくなったのはイップスのようなものでしょうか。
精神的なものゆえに、治すのが難しいと言われるイップス。
これを克服したとあれば、その治療に間接的に関わった康介のカウンセリング力は凄いと言わざるを得ない。
なんとなく今回は巻き込まれただけであんまり役に立っていない気もするが・・・
まあ、康介が希望となったからこそ、丘が今まで諦めきれずにいれたわけで。
ともかく、あれだ。やっぱりこーちゃんは凄いってことですよ!うん、知らないけどきっとそう!



第21話 不恰好  (2012年 10号)


夜中の往来で芽吹に叫びかける『さくら』達。近所迷惑?そんなの考えてる場合じゃねぇ!
若さ溢れる彼らを止めることはできないのだ。あ、警察は勘弁な。昼に1度捕まってますし!

芽吹!私は選んだわよ!!私はこの連中といたい!あんたはどうなの!?

住吉さんの呼びかけ。いいですねぇ。
これを受けて、ノ宮。私らは大歓迎だよと呼びかける。
そして、そうだぜ芽吹と島が追随する。また追随か!島・・・

芽吹!!俺も一緒に悩ませてくれ!これが俺の・・・俺たちの答えだ!!

やるね、こーちゃん。追随しか出来ない島とは違いますな。そして丘が締める。

俺は芽吹が好きだ!だから今度こそ、今度こそ諦めない!!

なんとも気恥ずかしくなるようなセリフだが、若さ溢れる連中は恥ずかしげもなく叫ぶ。
声が聞こえる。
不器用で滑稽な程、むき出しの声が。

呼びかけながら、康介は気付いた。芽吹の側から紙片のようなものが飛び散っていることを。
あれはもしや丘と撮った写真では?
なんという察しのよさであるか。あてずっぽうかもしれないが、正解である。
風に乗って飛ばされた写真を回収しようと考える康介。
丘を残し、みんなで拾い集めようとする。

・・・丘にしか出来ないことあるだろ?だったらその丘を支えるのは、俺らにしか出来ないことじゃねぇかなって。
だから俺らは丘を。丘は芽吹を・・・!!

いいセリフなんだが、この康介はなんだか目がいやらしい気がして困る。
キレイな眼をしているのが逆にうさんくさく見えるってどういうこと!?

康介に続き、ノ宮が動き出す。住吉さんは島にテープを買って来いと命令する
えぇ!?いや別にいいけど・・・
うむ、さすが島。すっかり便利に扱われておるな。
でも重要な役目だよ島。写真を繋ぎとめるのはお前が買って来たテープだ!!

さて、写真を集めるのは康介たちに任せ、丘の説得が継続される。

芽吹!!お前の本音を聞かせてくれ!!
もうあの約束は終わってしまったものなのか!?もうとっくに忘れてしまったのか!?
お前の答えを聞くまで俺は決して諦めないぞ、芽吹!!
何度だって言ってやる。俺はっ、桜ヶ丘奏は、お前が、芽吹さくらが好きだっ!!

熱いねぇ。丘。全くお熱いよ。
その熱を冷ますかのように、やってくるのは芽吹母と兄。

表の『アレ』はなんだ?

アレとは酷い言い様ですね。アニキさま。

なんなんだあの連中は・・・まるでお前を囚われの姫みたく。
所詮、さくらとは1年そこら。あるいはもっと短い付き合いの他人だろう?

確かに、囚われの姫に呼びかける王子様のようなシチュエーションではありますな。
なかなかアニキはいいセンスをしている。

もっと家族を信じてはくれないか?
俺たち家族はお前と共に生きてきた。他人と違って、この先もずっとだ。

アニキのこの言葉に母親も追随する。私がさくらを守ってあげるから、と。
いつも通りの言葉。頼もしい言葉である。だけど、どうしてだろうね。

綺麗に奏でられたはずの旋律より、旋律とも言えないような、不恰好な叫びの方が響くのは

芽吹は母に礼を言う。
その間も、丘は叫び続けている。

出来るとか!出来ないとか!無理だとか!そんなことはもういい!!
言ってみろ!芽吹・・・お前の本音を!願いを!望みを!祈りを!夢を!!

・・・うるさいなぁ。
わかりきったこと聞くなバカ!!アタシだってあんたが好きだよ!!
何もかも投げ出して『さくら』の所、駆けつけたいに決まってんだろ!?
人が気ぃ遣って諦められるようにしてやってんのに、なんなんだあんたは!!

・・・だったら。だったら来い!俺はっ、俺たちはここにいる!!

うん。今行く。

そのセリフと共に、芽吹は舞い降りた。
2階から靴下を履いただけの足でジャンプ。下の道路に飛び降りる!さくらっ!?
そして何ごともなく着地。ダッシュで丘の下へと走り寄る。さ・・・さすが。

『さくら』6人?はは、何それ。そんなことありえるの?

作楽康介。桜ノ宮さくら。桜島結太。住吉さくら。
今はバラバラだが、もし全員揃ったなら、芽吹も加わらないか?

・・・わかった約束するよ。もしいつかそんな日が来たらアタシもそこにいる。
アタシが6人目の『さくら』になる。

涙を零しながら勢い良く駆けて来た芽吹。その勢いのまま丘に抱きつく。
ちょうど康介たちも写真を拾い集めて戻ってきたところだった。
ラブシーンに真っ赤になる住吉さんが可愛いっすな。

でも、丘の力では飛び込んでくる芽吹を支えきれず倒れてしまうのでした。ハハハ。

芽吹が破いた2人の映る写真はテープにより補修されている。
綺麗に破ったおかげで修復も楽だったようですな。
しかしよく写真の回収なんてできたものだ。康介なんて水路に飛び降りたりしている。
よくよく水をかぶるのが好きなんですな、こーちゃん。

ともあれ、これにてハッピーエンドか?
『さくら』は6人揃った。芽吹が立ち直ることができれば、母親もよくなるかもしれない。
よかったよかった。なーんて思ったりしたのは一瞬のことでした。

妹の様子を2階から見下ろす芽吹兄。

・・・さくら。
ふざけるなよさくら。この家をめちゃくちゃにしたお前が、一人幸せになっていいはずがないだろう・・・?

6人の『さくら』が集った。と思いきや、まだそれを許さないとする者がいた。
万事丸く収まったと思ったのに・・・
と言いたいところだが、この芽吹のアニッキーの言いたいこともわからないではない。
芽吹の回想では両親と自分は出てきたが、兄は出てこなかった。
兄は自分が関わっていないうちに、いきなり家庭をめちゃくちゃにされてしまったわけである。
そりゃあ、恨みたくもなるでしょうな。

今回の中盤で、兄が笑顔で家族を頼れと言ってたのが、今に思うと厄い。
妹の悩みを解決する気は全くなかったということなんでしょうな。
母の方は汗を流していたりするのに、兄の方は笑顔だったりするのがわかりやすい対比だ。

ここに来てアニッキーという強力な障壁が現れた。果たしてどのように対処するべきか?
両親をいち早く癒して説得してもらうのがいいだろうか。そのぐらいしか思いつかない。
しかし、このアニッキーは強そうである。
芽吹の身体能力も異様であるが、この兄もそれを上回りそうな気配だけはある!
芽吹が忍者の家系で、アニッキーはその頭領だ!とか言われても信じれてしまうから困る。
次回は抜け忍になろうとするブッキーとそれを許さんと迫るアニッキーの対決が描かれるわけですね。わかります。



第22話 家族  (2012年 11号)


芽吹、笑顔の家出!
ベランダから飛び出した勢いでそのまま逃げてきてしまったらしい。
さくら達6人、芽吹家から離れて一息ついている。
どのぐらい走ったのか知らないが、住吉さんは息があがっている。もちろん丘もあがっている。
他の4人は平気そうである。さすがだな。

このタイミングで康介は芽吹にテープで繋ぎ合わせた写真を渡す。落し物だ、と。
受け取る芽吹。その目には、ところどころ傷だらけになっているさくらたちの姿が映っている。
写真を拾い集めるために無茶をしてくれたんだなぁ・・・
って島はなんでケガしてるんだ?そんなにセロテープを買うのに困難があったのか!?

ありがとね

素直に礼を言う芽吹。だけど、康介は言う。俺らは何もしていないと。
だから、礼を言うとしたら・・・丘に、だろ?と。

謙遜ですなぁ。さすが康介。
芽吹はもちろん丘にも礼を言う。靴を貸してくれてありがとうと。そこ?
というか、丘は靴なしで走ってきたのか?それは疲れる。というか凄く痛そうだぞ?
まあ、途中から引きずられてきたのかもしれないけど。丘ーッ!

落ち着いたところで、改めて尋ねる住吉さん。芽吹は本当に丘のことを・・・?

ああ・・・そうだね。
アタシは丘クンが好き。だからここにいるんだよ

暗さのない笑顔でそう述べる芽吹。やぁ、美しいっすねぇ・・・
でも、街灯に照らされた芽吹の髪がなんだかヅラかぶってるように見えて、なんかアカン。
芽吹の頭に芝生が乗っているように見えてしまう。なんだか台無しだ!

なんにしても、やはりラブラブですなこの2人。
堂々とした告白に、聞いてるこっちが恥ずかしくなってくる。

島「康介。一発くらいなら、丘殴ってもいいかな?
康介「祝福してやれよ・・・島」

島のこういう正直なところ、嫌いじゃありません。
こういうときは、この幸せ者めといいながら割と本気で叩いてあげるべきしょうよ!エエ!

それはともかく。
芽吹は家出中なので誰かの家に泊めてくれないかと申し出る。
住吉さんの家は芽吹家に近いので、家族に見つかるかもしれないとのこと。これはまさか・・・!?

丘!!まさか「うちへ来い」なんて言わねぇよな!?

あ・・・あぁ。それだと不純異性交遊になるだろう?

それでこそ丘だ!!よく言った!!
不純異性交遊なんて単語を口にするなんて丘ぐらいしかいないっすよね。
さすが、男女の仲ではなかったとか口走る大人な丘さんである。
若い男女が一つ屋根の下に寝泊りするなどけしからんことだとか考えていそうである。お堅い。
そういえば、ノ宮と康介は今一つ屋根の下に暮らしているんじゃなかったっけ?ニタァ。
いや、まあ。同じ市営住宅にいるってだけのことなんだが。

というわけで、芽吹はノ宮の家に泊る事になりました。まあ、順当ですよね。
島の家に連れて行ったらどうなっていたか、とか興味もありましたけど。母や姉に茶化されそうだ。

さて、娘が家出した芽吹家。
兄は一通り周りを見て回ったが、この辺りにはいないみたいだと結論を述べる。
心配そうにする母に、兄は大丈夫だよと言って見せる。笑顔で。

さくらは一時の感情で周りが見えなくなってるだけさ。
すぐにわかってくれるよ。家族がどれ程大切か。

だいたい家を出て生活は成り立つのか?学校は?
金を稼ぐ手段もなく、他人の家の世話になり続けるのか?
ほら、冷静な判断とは思えないだろ?

さすがにこの兄は冷静でございますね。その通りである。
そして、相変わらずの暗い笑顔を浮かべている。

・・・俺に任せてよ。父さん母さん。
さくらは必ず俺が連れ戻すから。俺たち家族のもとに・・・!!

逃げられる訳ないだろう。さくら。
この家をめちゃくちゃにしたお前が、一人で幸せになっていいはずがないだろう?

芽吹編、最大の難敵であるアニッキーが動き出す・・・!

それはそれとして。
芽吹がノ宮の家にお泊りするシーン。
実のとこ、この2人は、ほぼ初めましてな間柄だったりする。
お互い相性で呼び合ったりしてるが、特に親しくしていたわけでもない。なんだか不思議な関係だ。
今日はありがとうねという芽吹。それに対してノ宮。

・・・こっちこそ頼ってくれてありがとね。
ヨッシーの時そうだったんだけどさ、何も出来ないって無力を嘆くのが一番辛かったから

ふむ。基本的にノ宮はいい子なんでしょうな。
ノ宮の家に到着。散らかっているとノ宮は言うが、そんな感じはしない。
というか・・・家族は?

いないよ?結構前からね

なんとまあ。ノ宮は家族なしで一人で暮らしていたというのか?結構前から。
他の連中はこのことを知らないという。
住吉さんは片親で苦労していたわけだが・・・こちらはまさかの一人暮らしだったとは。
住吉さんが知ったら泣き出してしまいそうだな。ううむ。

あんたも色々あんだねぇという芽吹に、そんなの誰だってそうだよと返すノ宮。
そりゃまあそうなんでしょうけど。そう軽く返せるノ宮はやはり凄いと思う。
そんなノ宮は芽吹に対し、言う。

きっとブッキーはさ、家族と仲直りした方がいいと思う。

家族がいないノ宮がいうと重いですなぁ。
今すぐってワケにはいかないかもだけど。ってそんなことブッキーだってわかってるよね。
そういったノ宮のセリフに、この一件が片付いたら、また遊びに来ていいかい?と尋ねる芽吹。
なんだか、今日一日でこの2人の距離もずいぶん近づいた感じがありますなぁ。
家族がいないノ宮に、家族関係が壊れてしまった芽吹か。
でも、やり直せる可能性があるだけ芽吹は幸せなんでしょうな。

さて、翌日。
相変わらずノ宮と康介、丘は一緒に登校をしているらしい。
余裕持って家を出れば走ることもないし、丘が摩り下ろされることもないわけだ。
芽吹の姿はない。今日はサボるらしい。制服もないし。
いつもジャージで来てるんだから、気にしなくてもいいのに。そういうわけにはいかないか。

てな話をしていると、横断歩道を渡って芽吹兄が登場。
むう、なんだこれは。ただ歩いているだけなのに凄い威圧感を感じるぞ!なんだ、プレッシャー!?

くくく・・・朝から元気だな、君たちは

そういう貴方は朝っぱらからこんなとこで何しているんですか?
アニッキーは大学生なんだろうか。そのぐらいの年には見えるが。
浪人生とかだったら色々悩みが深そうでちょっとやな感じっすね。

ともかく、芽吹兄は尋ねる。うちのさくらを知らないか?と。
その質問に沈黙で返す3人。

そうか。ならしょうがない。警察に行くとしよう
「大事な妹がさらわれて」「どこかに監禁されてる」って。

!?
あんた何言ってんだ!?

いやまったく。何を言い出すのだろう、この兄は。まさかの警察にチクるぞ宣言とは。

別に事実じゃなくてもいいんだよ。大事になれば。
警察には後で謝るさ。「妹が心配で」って。
その結果、さくらが帰ることになる場所は何処だと思う?

さくらは返してもらうぞ。他人ではない、俺たち家族のもとへ・・・!!

やはりこの兄、一筋縄ではいかない相手だったか!なかなか考えている。
といいたいところだが、この手法って何回も使えないですよね。
丘の家にいるなら色々問題だったかもしれないが、今芽吹がいるのはノ宮の家。
女友達の家に泊まっているぐらいだし、問題にはならない。
1度なら警察に謝るぐらいですむかもしれないが、2度、3度となれば警察も相手をしなくなる。
それまで耐えればアニッキーも打つ手がなくなるのではないだろうか?
まあ、芽吹家の名に傷がつきまくるのがアレですけど。
将来の義兄になるかもしれない人の経歴にドロを塗るのはあれですわな。
ん、考えてみれば、丘は既にこの若さで逮捕歴があるじゃないか?
将来の義弟になるかもしれない男が、既に前科持ちだと!?
こりゃ、丘の胸ぐら掴む手にも思わず力が入ってしまいそうな事実ですな。知られたら大変だ!

というか、胸ぐら掴んでいるこの光景はどうなんでしょうね。
現場を収めれば、逆に訴えることが出来る。
島辺りが、携帯でこのシーンを撮る。そして、逆に訴えてやるぜと脅す。やるじゃん島公!
そう思った次の瞬間、アニッキーに後ろに周りこまれ殴られ、携帯を奪われる島。だめじゃん島公!
ここまでは想像が出来た。あとはどういう展開になるか。具体的には、どう島が住吉さんに罵倒されるか、だな。

島はともかく、康介の活躍に期待したい。今度こそ康介の力を存分に発揮するときだ!



第23話 壁  (2012年 12号)


妹を奪還しようと動き出した芽吹兄。丘の胸ぐら掴んで脅しかけてきます。まあ、怖い。

・・・芽吹なら、そこのノ宮の家にいます

意外にもあっさり白状する丘。
ま、やましいところがあるわけではないですしね。自分の家に泊めてたらアウトだったよ!
芽吹兄も、こんなにあっさり差し出されるとは思わなかったと拍子抜け。
しかし、丘は言う。

芽吹と話してみてください。
その上で芽吹が自らの意志で帰るならば、俺は構わない。
けれどもし、あいつが無理矢理連れ戻されるようなことがあれば、
俺は何度でもあいつを迎えに行きます。何度でもさらいに行きます

最近の丘は本当に格好よくて、まいりますなぁ。
康介とノ宮も、丘の肩に手を置き、俺も私も同じと追随する。
この3人の意志を前に、アニッキー。ガキがっ・・・と吐き捨てるしかありませんでした。
そういう貴方はいくつなんでしょう?成人はしてそうだけど。

さて、学校の屋上で、芽吹を除くさくらが5人集まる。
丘は今朝の話を住吉さんと島にしているようだ。
それを聞いた住吉さん。私も同じ意見だと言う。

住吉「芽吹は家族のもとへ帰るべきだとは思う。けど、自分の意志で戻らないと意味がない」
島「・・・だな。俺も同じだ

おおっと、島さんまた追随っすか。
康介とノ宮も今回は追随だったが、島の追随はまた別の味わいがある。
特にコメントが考え付かなかったから合わせただけに見えてしまう!
これは島の持ち味といえなくもない。やったな島公!追随者という名の個性(オリジナル)!

長丁場になりそうね、という住吉さんに、服を貸して欲しいと言い出すノ宮。
ブッキー背ぇ高いから私のじゃ合わなくて。というのが理由。

いやいや、住吉のじゃ胸のサイズが

島・・・島ァ!!
ボソリとはいえ、思ったことを口に出来る島公さん。カッケー・・・!
その代償として殴られる島。そして放課後になってもずっと睨まれ謝らせられる島。
でも、そのおかげでノ宮からは最近仲いいね二人ともとか言われちゃう島。爆発しろ。

直後のシーンは放課後らしいのだが、芽吹がロングスカートをはいている。蹴りが使いにくそうな服装ですな。
しかし、これは誰が持ってきたのだろうか?ノ宮のにしては長すぎる気がするし。
ま、まさか丘の私物・・・?身長的に合う人物と言ったらこの中では一人。となると・・・合う!ツジツマが!!

そんなこんなで日は過ぎ去る。
意で絵でした状態ではやはり学校には来れない芽吹。制服もないし。
芽吹のいない学校を追え、男3人で帰っているところに現れる芽吹兄。
どうやら、何日もこうして丘に芽吹を返すように言い続けているようですな。

さすがに何日も休んでいると誤魔化すのも大変になりそうだ。
斉藤先生にさくら達が何か報告しているコマがある
何を説明しているのだろうか?あまり詳しい事情は話せないでしょうし、どうしているのかな?
まあ、斉藤先生は厄介ごとは避けたがりそうな雰囲気の人ですし、細かいことは突っ込まないかもしれない。

斉藤先生(地雷だな・・・こーゆー面倒くせぇのには関わらねー方がよさそうだ・・・)

とか考えていそうな気がする!
いや、ひょっとしたら親身に対応してくれる人なのかもしれませんけどね。
その辺りがどうなっているのか知りたいので、近いうちにスポットを当てて欲しいな!

さて。住吉さんが帰宅する途中、偶然に芽吹母と出会う。
お呼ばれして、共にお茶をする住吉さん。
芽吹母が気にしているのは、もちろん娘のさくらのこと。
住吉さんは言う。芽吹自身いつかこの家に帰ろうと思ってると思います、と。
その言葉に対し、芽吹母。

・・・私はね、正直このままでもいいんじゃないかって思ってるの。その方がさくらが笑えるなら・・・
恥ずかしい話だけど、私にはわからなかった。何が本当にさくらのためになるのか。どうすれば償いになるのか。
あの子が大好きだったピアノを奪ったのは、私だから。
私がこの子を守らなきゃ。何を犠牲にしてでも。ただそう誓ったの・・・

静かに語る芽吹母に、それ、少しわかる気がしますと答える住吉さん。

私の家・・・昔、父が家を出てから、幼い弟と体の弱い母が残されたんです。
だから、私が二人を守ろうって。友達なんていらない。全て二人のためにって。
でも、最近友達が出来て、ちょっとわがまま言うようになったんです。友達と遊びに行きたいって。
そしたら母さんは、なんかすごく喜んじゃって。弟なんて、交替で家事させろって言い出しちゃって。

・・・だから、おばさんも少しくらいならわがまま言っちゃっていいんだと思います
芽吹のためじゃなくて、おばさんがどうしたいかって

身の上を語る住吉さん。
さすがに経験者の語りは説得力がありますなぁ。
少し驚いた様子の芽吹母でしたが、その言葉を受けて微笑み、ありがとうと返す。
いやあ、いい話ですねぇ。
こうしてみると、母はあんまり壊れている感じは受けませんな。
ずっとどうしていいかわからずにいた。というのが実際の所なんでしょうね。
本当に娘のことを思っているんだなってのがわかって、なんだかいい気分っすよ。

さて、今日も男3人で下校する康介、丘、島。
行きは康介、ノ宮、丘なのに何故帰りは男3人になるのだろうか?
ノ宮はドーナツ屋にでも立ち寄っているのですかね?
それはともかく、丘が唐突に切り出す。明日から俺も学校を休もうと思う、と。
芽吹を連れ出しておいて、自分だけ普段どおりに学校に行っているのもどうかという判断からだ。
まあ、それは流石に気の回しすぎってもんですよね。
島の言うとおり、そんなことしても芽吹が気にするだけな気がする。
島もたまには追随だけじゃなくいいこと言うな。と思ったが丘は聞いていなかった。・・・丘!?
無視したわけではない。芽吹兄が現れたからだ。島の意見だから無視したわけではない。たぶん。

そろそろわかったろ?家出なんて誰も得しないって。

3人の前に立ちふさがる芽吹兄。
島にまたかよとか言われるぐらい頻繁に出没しているらしい。暇なんすかね?
滔々と、このままでは妹のためにはならないと説く兄。それに対し、丘は訪ねる。

・・・どうして芽吹本人に言わないんですか?
どうしてあなたは「芽吹は元気にしてるか」とか、一度も芽吹のことを俺たちにきかないんですか?

・・・君は他人だから、わからないかもしれないが・・・

どうして「家族」とか「他人」だとか、そんな言葉に頼らなきゃならないんですか?

・・・うるせぇよ。てめぇらは黙って、さくら差し出しゃいんだよ!!

アニッキーがいきなりブチギレたー!!
本当にいきなりキレたのでビックリであります。
まあ、それだけ丘の言葉が響いたってことなんでしょうけどね。
アニッキーに殴られ、尻餅をつく丘。その丘に芽吹兄は語る。

勝手にあのバカ幸せにされちゃ困るんだよ。あいつは両親に罪悪感でも感じてりゃいい。
さくらは部屋で一人うずくまってるのがお似合いだよ。
両親の的外れな「さくらのため」って言葉でも聞きながらよ

両親の言葉が的外れであることをちゃんと理解していた兄。
そういう感覚はマトモなんですな、このアニッキー。
ヤバイんだけど、微妙にマトモだったりするので扱いに困る。

・・・そうか・・・お前か・・・
芽吹と両親の間にある壁は、お前が作ったのか・・・!!

だったら何だ?

俺が壊す!!

最近の丘さんは本当に格好良すぎる。まいったね!

ついに問題の佳境というか、本丸に辿り着いた感じがありますが、どうなるのでしょう?
男3人でかかったとして、この芽吹兄に勝てるものなのかどうか。
というか、殴り倒して終わり!ってわけにはいかんでしょうしねぇ。
ナックルトーキングしたらダチじゃあ!ってわけにはいきますまい。

芽吹母の闇は住吉さんが浄化してくれた雰囲気。
ならば、兄の闇は誰がどのように払うのか。難問です。
それにしても、この兄。男ばかりに話しかけているのがなんだか気になります。
芽吹がノ宮の家にいると聞いても、ノ宮に返すように言ったりはしていないように見える。
そこから想像するに、アニッキーは女性が苦手なのではないだろうか?もちろん身内は除外して。
見た目はイケメン風なのに、服装がいつも同じだったりするあたり、女っ気はなさそうに見える。
ひょっとしたら、妹が先に相方を見つけてしまったのが悔しくて仕方ないのかもしれない。
そう考えると解決策が見えてくる。そう、兄を篭絡すればよいのだ。つまり色仕掛け。IROZIKAKEだ!!
というわけで、住吉さんがセクシーな服を着て迫ってみるとかしてみたらいいんじゃないでしょうか?
んーでも、住吉さんの胸では厳し・・・い、いや何でもないっす。何でも。

他にも、兄に彼女を紹介してあげるという手もある。
クラスメイトのキレイどころ紹介してあげようと言い出せば、アニッキーも本当!?ねえ本当に!?と喜ぶに違いない。
思った以上に器が小さいアニッキー相手だと、こんな想像もできちゃって困るぜ。
次回で芽吹兄の闇を払う展開となるか!?



第24話 意地  (2012年 13号)


芽吹と両親の間にある壁を作ったのは、目の前の男、芽吹兄だった!
なんだかすっかり歪みきっちゃった感じですね、アニッキー。

・・・母さんも父さんも限界は近い。もう少しで二人ともさくらに失望する
もう少し・・・もう少しで気付くんだ。さくらに期待すべきものなんて無いって。
本当に期待すべきは、この俺だってなぁ!!

言葉と共に丘を殴り倒すアニッキー。ノリノリっすね。
それにしてもなんだかこの兄、色々と勘違いしていそうじゃないですかね。
ピアノをやっていたころの芽吹はともかく、今の芽吹に何かを期待している様子は見えないのだが。
しかも母に至っては、失望するどころか、これでよかったのかもしれないと言っている現状。
住吉さんの助けもあり、家族はどんどんいい方に向かっていっている。
一人壁として悪い雰囲気を振りまいていた兄は本当に立場がないな。

さて、殴り飛ばされた丘に駆け寄る康介と島。
意地になんのもわかるけど、ここは俺たちに任せろと島。
だが、丘は意地を張る。ここで意地を張らずに、どこで張るんだ・・・?
そう言われちゃしょうがないですね。行ってこい!ぜってー勝てよ!
なんだか妙な表情で激励する康介と島。
やれやれ、見守ってやるか。でも、これ俺たちの出番なくなるよなって感じの表情なのだろうか?

・・・うぜぇ・・・

立ち上がる丘を再び殴り倒す兄。青春してるんじゃねぇってことでしょうかね。

さて、所変わって芽吹家。
お茶を御馳走になった住吉さんが帰ろうとしている。
さくらによろしくねと言う芽吹母。だけどそれは思い直す。

やっぱり、自分で伝えるわ

うむ。すっかりこの母も憑き物が落ちたような感じになってますな。
そして、その母の後ろから父もやってくる。
どうやら2人で娘を迎えに行こうと思うようになったようだ。穏やかな笑みを浮かべている2人。
兄がいないだけで、ここまで穏やかな表情になれるとは・・・!

・・・伝えたいことがあるの。さくらだけじゃない。真也にも・・・!!

アニッキーの名前が判明しました。芽吹真也さんです。わりかし普通っすね。
芽吹母は兄の苦しみも理解していそうな雰囲気。
なんだかんだで、空回っていたのは兄貴一人だったってことなのか?
誰も彼もがやばそうな芽吹家だったが、その実、兄意外はすぐにでもよくなれそうな状況だったと。
微妙に拍子抜けな気がしないでもないが、まあ、闇まみれの家庭よりはよほどいい。

芽吹兄こと真也は思う。どうしてこうなっちまった?と。
俺が、父の連れ子だからか?と。

どうやら真也は芽吹とは腹違いの兄妹らしい。
だから当時の真也は母に認めてほしくて、いい兄になりたくて。ただそれだけだったのに・・・

俺はお兄さんだから、俺に気にせずさくらの面倒を見てやってよ。

・・・ありがとね、真也。

真也の頭を撫でてあげる芽吹母。真也は知った。これが『母親』なのだと。
物心がついた頃にはもう父さんと二人だったという真也。母の温もりを知らずに育っていたのだな。

もっといいお兄さんになろう。俺はお兄さんなんだから。そうすればもっと――

自分で言い出したことではあるが、母の目が自分に注がれないことに不満を覚えだす真也。
テストで92点という好成績を得ても、妹のさくらが100点とっているならそちらを立てないといけない。
「さくら良くやったな!」「お前は自慢の妹だよ」
・・・俺はお兄さんなんだから。

それなら俺だって。母さん俺だって
そのセリフがいえないまま、悶々としながら妹を立てる日々を送ってきたという真也。
うーん。素直に言い出していれば、ちゃんと母も褒めてくれそうな感じですのにねぇ。

俺はお兄さんだから。
俺がお兄さんだから?
・・・俺が母さんの子じゃないから?
俺だけ他人だから?

さくらさえ・・・さくらさえいなければ・・・さくらさえ・・・!!

母を愛しすぎた息子の悲劇というものなのですかねぇ。
真也は思い違いをしている。昔、とあるチャンピオンの作品で、とあるイケメンは言った。
「ある日突然血のつながらない妹が出来たならッッ結婚するのが運命だろうが―――!!」と。
真也もイケメンの端くれであるのならば、この格言に習うべきだったのだよ!!
と書いて気付いたが、腹違いの兄妹だから父は同じなのか。
グ・・・グムー。そうなるとさすがにこの格言も通じないのか?
いかに実の姉弟でベロチューかました作者のマンガといえども、結婚まではさすがに厳しいか!?
でも、子供のころの芽吹の可愛さを見たら、そういう方向に走ってもおかしくはないんじゃないか?
と思ったが、どうやら真也はシスコンじゃなく、マザコン方向に走っていたらしい
ふむ、確かにこの母であるならば完全に血がつながってないわけだし、問題はなさそうだ。
「ある日突然血のつながらない母が出来たならッッ結婚するのが運命だろうが―――!!」といいたいわけだ。
これをそのまま言ってくれたら、新たなイケメンの格言になりそうっすね。

さて。
真也は汗だくになりながら丘を殴り倒す。
丘一人倒すだけなのに、そんなに殴らないといけなかったのか。割と非力ですな、この人も。
そんな真也に、島は語る。あんた気持ち、たぶんわかるよと。

「どうして俺じゃねぇんだ」「もっと俺を見てくれ」って。
でもさ、違うんだよな。そうじゃねぇんだよな。
仮にさ、相手がいなくなっても、自分が変わんなきゃ何も変わりゃしねぇって。
だからもがくっきゃねぇだろ
勝てなくても、情けなくても、無駄だとしても。それでも勝ちたいって
そんなこと、あんただってわかってんだろ?

自分の経験をもとに、年上の男に説教する島。
あれ・・・なんだか島が格好いいよ?不思議!

・・・くそったれ・・・よくわかったよ。次は、てめぇの番だってなぁ!!

言い負かされて島に殴りかかる真也。この子はどこまで堕ちていくのでしょうか。
丘を倒すのに全力を出さねばならないような男が、残り2人も倒せると思っているのだろうか?
勘違いするな真也よ!そいつは一番背が高いが一番非力な男なんだ。
残りの2人は小さいけど、戦闘力は丘より上なんだぜ!たぶん。

どちらにせよ、真也の相手をするのは島ではない。当然康介でもない。

・・・人よりも体力はねぇし、普段からズレたことばっかり言ってるけど、根性だけは誰にも負けねぇ。
それが桜ヶ丘奏。芽吹が惚れた男だ

ボロボロになりながらも、まさに根性で立ち上がる丘。
体力こそないが、精神力はバツグンってわけだ。
他人のクセにどうしてそこまで出来る!?と吠える真也。それに対し丘。

兄なら、家族なら、ちゃんと芽吹を守ってみせろ。家族なんだろ!?

ついに丘の攻撃が真也にヒットする!
育ちがよく、親にもぶたれたことがなさそうな真也である。丘の一撃でも倒れちゃいそうな雰囲気がある。
殴り合いはここで収束。家族がやってくる流れになりますかな?

真也が前々から、家族家族と言ってたのは、自分が母と血が繋がっていないことに関するわだかまりからだったのですな。
家族のことは他人には分からない、とか丘に言っている真也。
丘はそれを否定するように立ち上がり、家族なんだから守ってみせろよと言う。
なんとも皮肉な話でありますな。

しかし、真也。芽吹が期待されなくなったとして、今の自分が期待されるようになると思っているのでしょうか。
今の行動はさておき、ここ数日毎日のように丘の前に現れるってことは仕事もしてないんじゃない?
真也がそこそこの大きさのころに、芽吹は赤ん坊だった。
それなりに年は離れているようだし、大学生とは思えない。
それに、服装が子供の頃からずっと変わっていない。さすがにこの気にしなさは異様である。
パッと見イケメンなのに、着たきり雀の無職のマザコン。こりゃ彼女もいなさそうだわ!

なんだか、真也に同情しちゃいたくなってきました。
両親の説得を受け、闇を晴らし、真っ当になれるといいですね。



第25話 再生  (2012年 14号)


「家族なんだろ」

丘に言われたセリフ。それは常に自分が言い続けてきたセリフである。
家族なんだから、他人にはわからない家族なんだから、と。

・・・クソッたれ。んなこと他人のてめぇに言われなくてもわかってるよ。
なのに、なんでだ。嬉しいと感じてしまうのは

誰かに殴ってほしかったんですかね?隠れた嗜好に目覚めた!?いやいや。

・・・そうか。俺はただ、認めてほしくて駄々をこねていたのか。家族なんだと――

そういうことなんでしょうね。自分では家族だなんだと言いながら、ずっと不安に思っていた。
母と血がつながっていないことで家族になり得ないのではないかと不安だったんですね。
ふむ。誰かに認めてもらうというのは嬉しいものですからねぇ。
それが、殴ったほうが倒れるような貧弱な相手であっても。丘っ!?

てなことをやっているところに、芽吹家が勢ぞろい。ブッキーと両親が真也の前に現れる。
息子を迎えにこようと、両親は走ってきたらしい。息があがっている。
芽吹も一緒に走ってきたと思われるが、全く平常どおりである。さ、さすがというべきか?
そういえば、芽吹ブーツ履いてますな。両親が持ってきてくれたのか?
芽吹の異様な身体能力はブーツに秘密が?いや、二階から飛び降りたときは履いてなかったな。

芽吹のことはさておき。
ケンカの現場を目撃しちゃった芽吹母。真也にビンタをかまします。パアン。
わざわざ丘が殴ったところにかぶせてくるとは!こりゃ痛い。
桜ヶ丘君に謝りなさいという母に、今更母親面して!と返す真也。

母親面するわよっ。私は貴方の母親なんだから!

ふむ。なんだか聞きたかったセリフを言ってもらえた感じですね。
父は言う。良かったな、真也と。
え?親父様。全てわかっていたという風情ですが、本当は真也が家族仲が悪くなった原因と気づいていたのか?
わかっていたけど、どうにもならなかったので放置していた。とでもいうのでしょうか。
意外とこの芽吹父もダメな人なのでは・・・?
ともかく。母に家族と認められた真也は涙する。

・・・はは。くそったれ・・・ガキか俺は。

自覚してくれて何よりです。

さて丘。ケンカも終わったので、へたり込んでいる。メガネも回収したし、元の丘に戻れたようだ。
そこに芽吹が現れ、礼を言う。それだけで丘には伝わったようだ。

丘「・・・そうか、決めたんだな」
芽吹「・・・うん。アタシ帰るよ。両親に迎えに来られたときは驚いたけどさ」

さすがに思い合っている相手というべきか、これだけのやりとりでわかってしまうのか。
そして、芽吹は母に促す。アニキにあれ言わなくていいの?と。
母は言う。

・・・真也。今夜は家族みんなで鍋にしましょう?

温かな家族料理といえば鍋!定番だ
! しかし、この洋風料理が似合う部屋で鍋とはアンバランスでございますな。
父もそう口にする。おいおい父め、余計なつっこみを!ま、やりたいことをやるのが一番ですよね。

芽吹はアニキに問う。丘クンは強かったでしょ?と。
真也は答える。モヤシだよあんなもん、と。
その通りだけど、そのモヤシをしとめ切れなかった貴方はなんなんだ。ゴボウあたりか?

・・・まぁでも、さくら。お前の男を見る目だけは認めてやるよ

妹「あっはっはっはっはっ。何それ!?ツンデレ!?」
兄「あ゙ぁ゙!?認めてやってんだから素直に感謝しろよ!!」

ふむ。いい会話が出来ているじゃないですか。
家族の中で一番のわだかまりであった、兄妹が笑顔で会話している。父も嬉しそうに微笑むしかない。
いやぁ、芽吹父は本当おいしい立場っすね。
この人割と何もしないまま解決にありつけちゃってるよ。ごっつぁんです。

食事を開始しようというところで、母は気になったことを娘に尋ねる。
さくらは桜ヶ丘君とは付き合ってるのだろうか。
それにしては、先日別の男の子を連れてきてたじゃない・・・?と。

娘「あぁ康介クン。康介クンは遊びだよ
母「あそっ・・・!?」

ガタッ。
知らない間に、娘が男を遊びで惑わすような子になっていた!これはショックだ!!
でも、言われたこーちゃんはもっとショックに違いない!立場ないねぇ。
まあ、実際のところ今回ほとんど活躍してなかったからなぁ、こーちゃん。
次の闇の解決に向けて力を蓄えるべきだと早くから省エネモードに入っていたのかもしれない。

食事中に鳴り響く柱時計。
前はそれが陰気な雰囲気を強調したものだが、今はもうその鐘の音は聴こえない。

昔のようにもう一度この家に、色鮮やかなピアノの音が響くことはもう無いかもしれないけど。
まだ少しぎこちなくて、少し気恥ずかしくて、それはまだ不協和音かもしれないけれど。
確かに今聴こえるのが、家族の音なんだ――

芽吹は思わず涙し、言う。
・・・なんでもないよ。ただ・・・この鍋、おいしいなって・・・!!

芽吹もなんだかんだで壊れた家族が元に戻ったことが嬉しくてしょうがないらしい。
こうやってみんなで鍋を囲めるようになるなんて、といった心境なんでしょうな。
思ったことも言えちゃっています。テーブルでかすぎて鍋に届かない、とか。
一番身長ありそうな真也がプルプルしてるくらいだし、本当に遠いんだな。
まあ、一番真也から遠くなるように置かれているんでしょうけど。おそらく父からも遠い。
兄の意見に思わず追随する父。・・・だなぁ。
それを聞いて母。思い切って小さいテーブル買っちゃう?と提案。
この意見に父追随。だなぁ。こんな大きさ必要ないな、と。
うむ、芽吹父は島並の追随者だったことが見て取れますな。
こうやって頷いているだけで家族がいい感じにまとまったとするならば・・・なかなかの追随力といわざるをえない!
それはさておき、テーブルが小さくなるのはいいですね。家族の距離が縮まるとも言えるし。

さて、後日。
どうやら丘と芽吹がデートをするらしい。ほう。
というわけで、残りのさくら4人が物陰からストーキング。

・・・お前ら、あの時もこんなことしてたのか・・・?

あれ、康介気づいてなかったんですか?
いや、思いっきり置き去りにしてたし、気づいてないはずはない。改めて問い詰めているのでしょう。

住吉「そっそれはノ宮がっ!」
島「いやいや住吉。お前もノリノリだったじゃねぇか

さすが島。住吉さんに対するツッコミは冴え渡っている。
でも余計なことを言うとまた蹴られたりしかねないぞ。
まあ、今回はその心配はない。そんなやりとりよりも衝撃的な者が現れたからだ。

ブブブブッキーがおめかししているー!!?
髪をおろし、なんだかヒラヒラした感じの格好で現れる芽吹。でもブーツはそのまま。
母がデートならば、とはりきって用意してくれたらしい。嬉しそうですね、母。

はっはっは丘クン、笑ってやってよ。こんなのアタシにゃ似合わないっての。

?いや?よく似合ってるぞ芽吹。俺は可愛いと思う

ふむ・・・ふむ!
さすが丘さんである。こういうことがさらりと言える。こんな男になりてぇもんだ。
丘の言葉に真っ赤になり、照れながら歩き出す芽吹。
そんな姿を見たことねぇ!とばかりに硬直する4人のさくら。うひゃー。

住吉「・・・芽吹。作楽康介の時は本当に悪ふざけだったのね・・・」
島「うらやましくなんかねぇ・・・うらやましくなんかねぇ・・・
ノ宮「・・・こーちゃん・・・なんて言うか・・・ドンマイ!」
康介「マジトーンで慰めんな!!」

島は相変わらず読者の意見を代弁してくれるなぁ。
いやいや、羨ましくはないっすよ本当本当。丘さんが相手ならしょうがないっすから。

康介は、2人のことを見届けれたし帰ろうとする。
こーちゃんやっぱり、ブッキーの気合の入れ方の差が・・・
ノ宮の哀れみに、違ぇっつーの!と吠える康介。
一時期はハーレムを築くのではないかと期待された男がこの哀れまれっぷり。どうしてこうなった!?
まあそれはいい。康介は語る。

・・・ほら、なんつーかさ。お前らも二人のあの顔見られただけで、十分だろ?

うむ、幸せそうな顔してますよね。よかったよかった。
まあ、島辺りは羨ましさで悶えまくっているかもしれませんけどね!

こうして、芽吹家の闇は解決し、丘と芽吹のカップルに障害はなくなったのでした。
次回以降、隙あらばラブラブする二人が見れたりするのだろうか!!う、うらやましくなんかねぇ・・・ぞ?
それでいて、次回予告は『さくら』たちに新たな恋の予感!?とある。
ど、どういうことなのか?また新たなカップルが誕生する気配になるのか?
島はまた羨ましがるのか?こーちゃんはまた哀れまれてしまうのか?
って流れだと、ノ宮と住吉さんの恋が始まるという展開がちょうどよく思えちゃいますね。
この組み合わせなら、島は羨めるし、康介は哀れまれる!いや、どっちも哀れまれるなコレ。ともかく楽しみだ。



第26話 夏の桜  (2012年 15号)


夏休みに入る前に学生には試練が待ち受けている。そう、期末試験だ!
テストの最終日。これで期末試験も終わりだ!終わったー!!
終了時の反応は人それぞれである。

康介「終わったぁ!!」(諦観)
ノ宮「終わったー!!」(開放感)
島「・・・終わった・・・」(絶望感)
住吉「ふぅ、終わった」(脱力感)
丘「あぁ、終わったな」(平常心)
芽吹「ん?終わった」(達観?)

試験が終わったので、さっそく夏休みは6人で何しようかとはしゃぐノ宮。
その後ろで、康介と島。一緒に補習頑張ろうぜと慰めあっている。お前等・・・泣けるなぁ。
ノ宮は意外と勉強できるんですかね?少なくとも赤点にはなっていなさそう。
丘はさすがといった感じ。住吉さんはまあ、普通の反応ですかな。
芽吹はどうなんだろう?寝ていたっぽいけど、解いてから寝たのか、解かずに寝たのか。
頭もよさそうな感じはあるし、普通に解いて寝てたんだろうな、きっと。

さて、夏休みの話はまだ早いと斉藤先生が寄ってくる。
なんでも、今から春先に延期になってた球技大会のメンバーを決めるらしい
でも、あなたたち『さくら』は帰ってもいいと先生は言う。
はい、もちろん春先と同じくこの6人でチーム登録されております。やっぱりか!!

よもやの球技大会復活!思わず康介もつっこみを入れてしまう。
でも、春先のときとは違い、それを嫌がる人は誰もいないという状況。いいねぇ。
たった数ヶ月のうちに見違えるように人間関係がよくなっている。

というわけで、球技大会に向けての練習を行うさくら達。
その前に重要なことがある。そう、チーム名の決定だ。
第2回、チーム名会議〜!!パフパフ。ドンドン。
ノ宮が考えた『THE☆さくら』と丘が考えた『さくらディスコード』で決選投票を行うことになる。

住吉「そんなのどうでもいいって言ってるでしょ」
丘(えっ!?)

派手に反応する丘。よほどその名前にしたいんですな。何照れてんのさ。
投票は挙手によって行われる。まずはノ宮の案から。『THE☆さくら』がいい人!シーン。ほほう。
誰も挙手しない。と思いきや、島が手をあげている!?
前回は丘のチーム名に対し、俺は好きだぜ!と言ってのけた島が裏切った!目をそらしているのが男らしくないな。

ありがとう島公!だよね、だよね。さすが島公だよ!

感激して島の右手を両手でガシィッと掴むノ宮。
思わぬ結果に頬を緩める島。なんというか、島は本当に等身大なキャラというか・・・
そんな島を眺めて不憫そうにする住吉さん。げぇ!!住吉っ!その反応が一番凹むよ!?

結局のところ、住吉さんはどちらにも投票せず。
康介、丘、芽吹の3人は『さくらディスコード』を押す。
芽吹め、最初にその名前が出たときは乗り気でもなかったくせに!
丘の意見だからと乗るようになってしまったわけですな。まあ、当たり前か。

いい加減納得しろという康介の言葉をスルーするノ宮。チーム名はなかなか決定しないようだ。ハハハ。

練習を行い汗をかいたのか、水を浴びている康介。そこに芽吹が訪れる。

芽吹「・・・なんか康介クンいつもずぶ濡れだねぇ
康介「はぁ?んなことねぇ・・・あれ?え?」

さすがチームずぶ濡れとか言われる原因の一端を担った男である。
芽吹が知らないところでもずぶ濡れになっていたし、どれだけ濡れたがるんだよ、こーちゃんは!

芽吹は最近ノ宮の家に結構入り浸っているという。ほう。
また来てもいいかなというセリフを実践しているわけですな。
この2人が普段何を話して過ごしているのかはちょっと気になる。
というか、芽吹曰く、丘クン家も近いし、とのことだがどういうことかね?
丘の家で遅くまで遊び、寝泊りはノ宮の家でしているということでしょうか?どうなの?

それはさておき、あの後家族とうまくやっているのか心配する康介。
まあ、さすがに今でも気まずいという芽吹。そんな簡単に埋まる距離でもないだろうし。

でもさ、それでも。その距離を埋めるための一歩は踏み出せたんじゃないかな。

その芽吹のセリフに、そりゃ良かったと返す康介。
そんな康介に芽吹は改めてお礼を言う。ありがとね、康介クン。
俺は何も出来なかったじゃねぇか、と康介は言うが、それは違う。

アタシは見てきたよ。康介クンが変えたんだ
5人がアタシの家の前に来た時、なんかそう確信したんだ。
丘クンも、住吉も、島クンもね、康介クンがあんまり不器用にバカみたいに直進するから、
器用に生きるのがバカらしくなっちゃったんだよ。

まあ、そういうことなんでしょうね。島の生き方が器用だったかはわからないけども。
なんにしても、その言い方じゃ誉められてる気がしないと康介。

・・・ほめてるさ。
どんな優しさより正しさより、生き様のほうが人を変えることもあるって話だよ

明るい笑顔で述べる芽吹。そういうこともありますよね。
でも、面と向かってそう言われると恥ずかしいものがありますね。
目をそらし、そんな大層なもんじゃねぇよ、と言う康介。ふむ。
まあ、康介自身も2年間くすぶっていた時期がありましたからねぇ。

休憩が終わり、ノ宮たちと合流する康介。ノ宮を見ながら康介は思う。

俺を変えたのはこいつだ。生き様なんて大層なもんじゃねぇ。
俺はただ、ノ宮にダッセェって言われねェよう、精一杯維持を張ってきただけだ

なんだか、爽やかな笑顔でノ宮を見つめつつ、そんなことを考える康介。
じっと見つめられてノ宮もなんだか恥ずかしそう。もー何さ何さ。
しかして、康介は気づいてしまう。

・・・あれ?それってつまり、俺はこいつに、ノ宮に惚れてるってことか?

うっうぁぁあああああああああっ!?

突然の気づきに思わず大声を上げてしまうこーちゃん。康介がまた壊れたぞー。
どうでもいいけど、見開きのこーちゃんはやけに体格がいいっすね。鍛えてる?
焦りまくって水で頭を冷やしたくなっている康介。
さっきまで行ってたよね?そうか?そうだっけか!?

なんだか大焦りな康介。それを心配するノ宮。
そして、そんな2人を離れたところで見つめる島と住吉さん。うーん、複雑。

夏が始まる。『さくら』たちの夏が。
・・・夏の『桜』これまた馬鹿げた話だ。
それは咲く季節を間違えた『さくら』たちの恋物語

まさか、こーちゃんが先に気づく展開になるとは!!
これで恋模様は混乱しそうで、確定しそうな雰囲気になってきましたね。
問題はノ宮の心はどこに向いているのだろうか、というところであるが、どうなんでしょう?
このまま『さくら』は6人で行くのか?それとも、球技大会に向けて新たな『さくら』が現れるのか?
新しいさくらが来れば、島にもチャンスは来るかもしれなくもないかもしれない!
と思わせて球技大会、再びの中止。ノーチャンスですってオチかもしれない!
まあ、島のことは割とどうでもいい。
それより、次回はセンターカラーで夏休み編に突入である
夏といえば海!旅行!イベントが色々とありそうな時期である。
楽しいことになりそうだ!と思わせて、ノ宮の闇が突然溢れ出てきたらどうしよう!
どうなるのか、楽しみなような怖いようなで複雑ですぜ。



第27話 夏休み  (2012年 16号)


こーちゃん!起きてよ!起きてってば!!

涙目になりながらユサユサと康介の体を揺するノ宮。
いきなりなんだー?と思ったら、ラジオ体操に間に合わなくなるでしょ!?とのこと。
高校生にもなってラジオ体操とは。ノ宮らしいぜ全く。
というか、朝から大接近ですね。
起きたら眼前にノ宮がいる夏休みですか。あらあら、こーちゃん。大変ね。

うぉぁああっ!!ノ宮っ!!?

朝弱いんだよと宣言したはずなのに、見事な飛び起き&ダッシュを見せる康介。
部屋の角まで避難する。こーちゃん、朝弱いってウソでしょ。

ラジオ体操を誘いに行くと昨日約束していた。
だからといって部屋の中まで入ってくるとは誰も思うまいて。
子供のころからの知り合いとはいえ、年頃の娘さんを部屋に入れるとは。
康介の両親はどういう風に考えているのだろうか。ニヤニヤしてそうな気はしなくもない。

ところで、夏休みに突入したということは、球技大会はどうなったのだろうか。
その点については、残念なお知らせ。

康介「まさか野球じゃなくて・・・バレーだなんてな・・・
ノ宮「なんかもう・・・がっかりだよね・・・」

6人で出来るスポーツだし、さくら達には都合がよかったんじゃないかね?
事前にそうと分かっていればね!
野球やる気満点で用意してきた康介たちにしてみれば残念無念といったところか。
全身をキャッチャー装備に揃えた丘の姿が素晴らしい。移動中に着るなよ。

ってそんなこと言ってる場合じゃないよ!ラジオ体操間に合わなくなるって!

Tシャツとジャージで寝る派の康介なので、起きた姿のままラジオ体操に向かう。
到着した頃には既にラジオ体操は始まっていた。もう折り返しの第2まで来ている。
そして、そこには住吉さんと丘の姿がいた。
うむ、こいつはまたあられもない姿ですね。いい年してガニマタ姿を晒す住吉さん。ハハハ。

た・・・ただのラジオ体操第2よ!?私はただラジオ体操第2をっ!!

流れでやっていたら気にならないだろうけど、いきなりこのシーンだけ見られたら恥ずかしいわな。
携帯で撮って待ち受けにして恥ずかしがらせることもできそうな姿だ。

住吉「私はただノ宮に誘われて健康のために・・・!!」
丘「そうだぞ康介。これはいい運動になる。終わる頃には汗だくだ
康介「それは丘だけじゃねぇかな」

ラジオ体操で汗だくになる丘。普段どれだけ運動していないのやら。
騒がしい住吉さんに、黙々とラジオ体操を始めるノ宮。愉快な連中っすね。

途中参加ではあったが無事にハンコをもらえたノ宮。表情も明るいぜ。パァァアア。
体操が終わる頃、島も合流。夏休みの朝もランニングであるか。ご苦労様ですな。
結局島は陸上部はどうしたんだろうか?気にはなるけど、まあどうでもいいか。

さくらが5人集まった。しかし芽吹は朝が弱いらしくこの場にはいない。
朝が弱いらしいというのは丘情報。
らしいというのは聞いただけで、一緒に朝を迎えたことがあるワケじゃあない。ないよな!?ならいい!!
相変わらず島の焦りが凄いぜ。

それにしても、夏休みの初日からさくら達を集めてどういうつもりなのでしょうか?
何やらノ宮には考えがあるらしい。重大発表があるとのこと。

『THE☆さくら』で夏合宿をおこないます!!

合宿と来たか!既に芽吹には了解をもらっているとのこと。ナイス手際!
だが、残りの4人の反応は薄い。まず名前が・・・さくら・・・ディスコード・・・丘、ドンマイ!

そもそも部活でもないし、合宿はないでしょ。
ようするに、みんなで旅行に行こうって話ですよね。
夢のあるお話だけど、現実問題、お金はどうするのかと言い出す康介。
何泊かによるけど宿代結構するだろうし、場所次第じゃ移動費だけでそこそこ行く。
安い宿選んだら飯は無いだろうしその辺も・・・とくどくどと述べる康介。

こーちゃん君、君にはがっかりだよ!!

こーちゃん君ってなんだよ!?
まあ、夢を見るのは大事だけど、現実を見るのも大事って話ですわね。
行くにしても、宿が一番の問題である。キャンプという手もなくはないだろうけど。
芽吹はその辺り特に何も言っていなかったらしい。
まあ、芽吹だしなぁ。いざとなれば、サバイバルでもして食糧確保してくれるでしょう。芽吹だし。

・・・でも、芽吹ん家、別荘とか持ってそうじゃね?ヘヘ・・・

島、その最後の笑いが下世話すぎる。
確かにいい家に住んでいるし、いい食事をしていた。
でも、地味にローンが残っているような家ですよ。別荘なんてあるはずもないのであった。
わざわざ芽吹に電話して確認する丘。
朝が弱い芽吹は丘が相手でも言葉少なであったという。ううむ。

こうなるとまさしく手詰まり。はてさてどうするか。
考え込むノ宮。閃いた。そうだ、こーちゃん!
こーちゃんがこっち戻ってくる前に住んでたとこ!そっちで誰か泊めてくれそうな人いない!?

はぁ!?6人をか!?そんな無茶OKしそうな人なんざ・・・あ。

康介「・・・いっ、いないぞ」
住吉「いた!!絶対いたでしょ!?」
島「康介、今完全に思いついてただろ!?」
丘「そうか・・・いないか・・・」
ノ宮「こーちゃん!!それはダメだよ!?」

一斉にツッコミを入れる。と思いきや丘だけ足並みが揃わない。これがさくらディスコード・・・!?
というのはさておき。とりあえず心当たりに聞くだけ聞いてくれることとなりました。

知らねぇぞ?

何やら青い顔をしている康介。なんだ?
疑問には思うがともかく、電話をしてくれる康介。
かけた相手は、例の野球部の先輩。おぉ、ここで出番が回ってくるとは!

ずっと連絡取らなきゃって思ってた。だから・・・いい機会なのかもしれない。

康介が2年間無気力になってしまった原因。
あげたかった1勝を最後まであげれず、あと1歩で逃してしまったこと。
その点について改めて先輩に謝罪する康介。

・・・康介。あの時も言ったろ?
お前のおかげで野球部楽しかったって。いつ聞かれてもそれが俺の答えだ。
ったくおまえは相変わらずクソ真面目だなぁ。

この先輩は相変わらず優しいですねぇ。
燻っていた康介も、元のがむしゃらさを取り戻せたし、胸を張って会いに行けそうだ。
とりあえず、さくら6人の話をし、泊めてもらえるか聞いてみる。
むしろ大歓迎とのこと。それはよかった。
でも、康介は青い顔をしている。先輩がよくてもハルカさんがいるんスよね?
先輩がよくてもハルカさんがよくないんじゃないかなーって・・・
なにやら必死そうな康介。なんだ?と思ったら、そのハルカさんが電話にでる。

よー康介・・・いい度胸だねぇ。
今の今まで何の連絡も無しって。この桜ハルカ様に。
待ってるからね。他の『さくら』ともども!!

7人目のさくらが登場!?
しかも、その耳には康介と同じ桜のピアス!
こいつは夏休み初日から波乱を感じさせる展開が来たものですな!
やたらと獰猛そうな笑顔を見せるハルカさん。康介が青い顔するのも分かる気がする。
先輩の家に行ってどのように康介がいじられるのか。
それを見て他のさくら達はどう思うのか。色々ワクワクしてしまいますね!

それにしても、ハルカさんと先輩はどういう関係なんでしょうね。
家族なのか?それとももしや同棲しているとか!?
その場合、康介の反応からして高校生時代から同棲していることになってしまう。
不純異性交遊ってやつですね。丘が眉を顰めそうだ!
家族だった場合、先輩もさくらであり、さくらが8人という展開になる。これはこれで面白そうだ。
芽吹編のおかげですっかり影が薄くなった康介だが、一気に復権の兆しが見えてきたぞ!頑張れこーちゃん。



第28話 桜ハルカ  (2012年 17号)


夏休み。合宿に突入したさくら達。補習とかは大丈夫だったのかな?
ともかく、はしゃいだ様子で歩くさくら達。
夏の暑いさなか、飲み物なしでドーナツを口にするノ宮。スゲェな。
それはそうと、丘が暑さで干からびそうになっている。丘ーッ!相変わらず貧弱な。

丘がやばくなるぐらい歩いたところで坂の上に人影発見。あれはもしや・・・
2つあった人影。そのうちの1つが凄い勢いで走って近づいてくる。

康介!大っきくなったなー!!

といいながら、康介のワキに手をさしいれ持ち上げるハルカさん。
いくらこーちゃんが小さいとはいえ、それなりの体重はあるはずなのに、軽く持ち上げおった!
こりゃ怪力女と呼ばれても仕方がないですわな。

出迎えに来てくれたハルカさんたちについていき、家にやってきました。
そこで改めて自己紹介を行ってくれるハルカさんたち。

あたしは桜ハルカ
俺が桜修一。よろしくな。

やっぱり先輩も『さくら』だったんだー!
2人は二卵性の双子で、康介の中学時代の野球部のキャプテンとマネージャーだった。
まあ、ハルカさんは週一ぐらいの間隔ぐらいで顔を出すマネージャーだったみたいですけどね。

突然の『さくら』登場に驚くノ宮たち。
驚きのあまり、喉の辺りにドーナツが出現する。ってどういう状況だこれ?
驚きのあまり、口を開けたらドーナツがポロリしちゃったのだろうか。ポロリもあるよってか。

『さくら』が7人を通り越して8人・・・!!
こーちゃん・・・これはもうこの8人で何か魔王でも倒しに行った方がいいんじゃないかなっ・・・!?

オロオロしながら妙なことを口走るノ宮。
2パーティに分かれて行動か。どういう組み合わせになりますかね。どっちが馬車組だ?

そういえば、さっきから芽吹の姿がない。
どうやら朝が弱すぎて後から一人で来ることになっているらしい。
丘は芽吹を待たずにみんなと来るほうを選んだのか。
恋人関係になってもベタベタしすぎないのはいいことですな。

先輩の家には1週間ほどお泊りする予定
そういえば、住吉さん。弟は一緒じゃないのかね?
弟は弟でどこかに預けているのでしょうね。島の家か芽吹の家か。安心できるようなできないような。

いきなり泊めてもらうなんて大丈夫でしょうかと今更ながらに気にする住吉さん。
しかし、先輩。ウチは大抵のことなら大丈夫だと言う。
なるほど。破天荒なハルカさんがいるのが日常だし、大抵のことは問題ないわけか。
そのハルカさん、何故か康介に肉を食わせようとしている。肉食え肉。熱っ!!

康介!肉食わないと育たないぞ!お前はその程度の身長で満足か!?

確かに。こーちゃん、もっと食え。ちっこいままと言われ続けてよいのか?牛乳を飲め牛乳を。げげぼ。

無理矢理牛乳を流し込まれる康介。
それは放置するとして、島はハルカさんの耳についているピアスが気になっている様子。
その桜のデザインは康介のものと同じ。偶然ってことはないでしょう。

康介はあのピアスを毎日かかさず身につけてる。これはひょっとして・・・確かめてやる・・・!!

島は単刀直入に切り出す。
そのピアスは康介と同じものですよね、と。
ひょっとしてそれ・・・ハルカさんが康介にあげたものなんじゃないですか・・・?と。

その指摘に、驚いた様子を見せているのが住吉さんとノ宮。あらあら。
でも、言われた側の康介とハルカさんは、相変わらず騒がしい。色気のある流れにはならなかった。あれ?
康介は島に話す。このピアスをつけることになったいきさつについて。

俺はこの女にのせられて耳に穴開けてこのピアスを試しにってつけられたんだ。
そのあと、この女はこのピアスを接着剤で固定しやがったんだ!
どうだ島っ色気のかけらもありゃしねぇ!情けなくて話せなかっただけだ!

なるほど・・・
なんで寝ているときも外さずにいたのかなと思ったら、外せなかったというオチであったか。
早速ピアスのことについて切り出してきた島はえらいが、まさかこんな返しが待っていようとは・・・

康介「せめて笑ってやってくれ!!」
ハルカ「ギャッハッハッハッハッハッ!!」
康介「てめぇは笑うな!!」

全く楽しそうな人でありますな。
ともかく、荒れる康介を宥めようとする住吉さん。
仮にも私たちは泊めてもらう立場なんだから・・・と諭す。

そうだぞークマさんパンツの言う通りだ

って、何しているんですかハルカさん・・・!?
いえまあ、確かにこの年でこれは無いと思いますけど・・・!!

作楽康介・・・島君・・・その女の面したおっさんを捕まえなさい・・・

住吉さんが暗いオーラを放っている!石持って。
石はやべぇよ!取り上げるぞ島ー!へぶっ。島ぁぁぁ!!

クマさんパンツのヨッシーが暴れ島が倒される。
その様子を呑気に見守っていたノ宮であったが、そのノ宮にも累が及ぶ。
手にしていたはずのドーナツがハルカさんに食べられてしまっていた。ド・・・ドーナツが・・・?キシャーッ!!

ドーナツの仇ぃ!!

ハルカさんに挑みかかるノ宮。ハッハッハ。やるね!

そして、暴れる住吉さんに抱きついて止めようとする康介。
住吉さんってば真っ赤になって、もう正気だから、離してお願いとか言い出している。ほう・・・ほう!
なんだか、色々と惨事になっておりますなぁ。
一方、残った丘と修一先輩は呑気に座って話をしていた。似た者同士か!?

騒動に一段落が・・・つく前に芽吹がやってくる。
とりあえず何があったのか芽吹に話す島。バカ!そんなの芽吹に話したら・・・

しまったなぁ。もっと早く来れば良かったよ

黒い笑顔を見せる芽吹。しまった!芽吹はあちら側の人間だった!
こりゃ、今後はハルカさんと芽吹のダブル攻撃が行われる展開がまっていそうだ。色々ピンチ!

修一「いやー悪いねウチのハルカが」
住吉「傍観決め込んでたあんたも同罪よ!」

すっかり冷静さを失ってますねヨッシー。
まあ、遠慮する気持ちもなくなったということでよかったんじゃないでしょうか。
しかし、先輩と丘。すっかり打ち解けた様子ですね。普通に談笑しておる・・・!

ドーナツを奪われたノ宮は未だに傷心中。愛しのドーナツを奪われた衝撃は大きいようですな。
家の中をうろついていると、康介とハルカさんが話しているところにでくわす。

康介が向こうで楽しくやってるみたいで良かったよとハルカさん。
にぎやかな連中じゃんと言うが、ハルカさんが一番にぎやかですよね。ハハハ。
まあ、それはさておき。ずっと連絡しなかったことについて謝罪する康介。

俺が野球やめてくさってた時期、励ますでもなく、叱るでもなく。
ハルカさんが今日みたいに隣でバカやってくれて、俺は救われたんだと思います

ふむ。立ち直らせるほどには至らなかったものの、康介の救いにはなっていたのですな。
ハルカさんに感謝の言葉を述べる康介。
その様子を物陰から聞いていたノ宮の胸にはズキリとした痛みが。

・・・なんか不思議な感覚だった。
知ってるけど、知らないこーちゃんがいる。そんな当たり前のことがただすっごく不思議で

ノ宮の体を駆け巡る違和感。それはやはりアレでしょうな、アレ。
なんだか甘酸っぱい話になってきましたよ!
なんだか恋愛物のような流れになってきたけど、果たしてすんなりとそういう流れになるものだろうか?
桜家はそれなりに大きな家のようだけど、両親はいないのでしょうか?
その辺りも含めて、何か大きな展開がやってきそうな気がしないでもない。
でも、今回のようにてんやわんやの大騒ぎな話をもっと見たい気はしないでもない。
しばらくはこんな調子で進んでみて欲しいですな!



第29話 嫌  (2012年 18号)


桜家にお泊りの1日目。
夕食は豪勢に肉づくし。そしてハルカさんが康介を肉攻め!肉・・・攻め?なんだかわからないが、いやらしい響きだ。
さらに芽吹がハルカさんと結託して攻めて来る。ほう・・・ほう。ってなんで!?

いやぁ、その方が面白そうだから?

丘と仲良くなっても芽吹の黒さは変わりがなかったようで安心ですな。
ともかく、大きくなるように肉を大量に食わされる康介でありました。肉食え肉ー。

楽しそうにしているハルカさんと康介。いや、楽しんでいるのはハルカさんの方だけか?
ともかく、そんな様子を不機嫌そうに見守るノ宮。むっすー。おやおや。
ならばこちらもと康介の気をひこうとするノ宮。取り出したのは・・・ドーナツ!
あのノ宮が康介にドーナツを勧めている・・・!?
ドーナツは全て自分のものだと言って憚らない――と思われる――ノ宮が、あのノ宮がドーナツを提供しようというのか!?

特別だよ?何を隠そうこのドーナツは一部では有名な・・・

おぉ?確かにうまいなこれ。

もっしゃもっしゃとハルカさんに頂かれてしまいました。
通常ドーナツに続き、特別ドーナツまで食べられた!!この悲しみは果てしない!!ギャース!!
どうでもいいけど、ノ宮はどこにドーナツを隠しているんでしょうね。
逆さにして振ってみたらボロボロ出てくるかもしれない。

食事中に暴れだすノ宮を嗜める住吉さん。さすがー住吉さんは落ち着いてるなー。
そーだぞドーナツ。クマさんパンツの言う通りだ。

ノ宮・・・一緒にドーナツの仇とりましょう・・・

落ち着いた姿から一瞬にしてこれだよ!
というか、そのあだ名で固定するつもりでありますかハルカさん。
昼間に続き、今度は大皿でノックアウトさせられる島。島ぁぁぁ!!
こーちゃんはまた住吉さんに組み付いたりしたんですかねぇ。ハハハ。

そうこうしていうちに先輩が追加の肉を。芽吹が追加の肉を持ってくる。どんだけあんだよ!

しかし、先輩の発言によると、ちゃんと家にはおふくろさんがいる様子。
まるで出てくる気配はないけど、ちゃんと両親はいるようでなんだか安心しました。
これだけ肉を用意するということは、両親もハルカさんのことをよくわかっているということなのか?

ドーナツと島公の仇ぃーっ!!

ノ宮の絶叫が木霊する。いや、その芝生はハルカさんがやったわけではないですし。
あ、やっぱり島は芝生扱いなんだ。まあ、緑だしなぁ。しょうがない。

芽吹はハルカさんをアネゴと呼ぶ。
丘はなんだか先輩と気が合うのかツーショットが目立つ気がする。
8人に増えたさくら達であるが・・・実に賑やかなことになりましたなぁ。
しかし、見事にまとまりが無いようにもみえる。これがさくらディスコード・・・!

食事を終えて部屋に案内される。
ノ宮、住吉、芽吹の3人は女子部屋。1室で布団を3つ並べて眠ることになる。
ん?考えてみると丘。芽吹とは部屋こそ違うものの一つ屋根の下で寝ることになるのでは?
これはいけない不純だよ異性が交遊しちゃうよ。
いや、丘ならこんなこともあろうかとテントを用意して屋根の下を回避するぐらいはやってくれる・・・?

それはさておき。
部屋で休む女子3人。話題はハルカさんのこと。
住吉さんは初日から振り回されっぱなしでグッタリしている。
芽吹は面白い人じゃないのさとご機嫌。被害にあってない人は気楽でよいですな。
そしてのノ宮は毛嫌いしている感じ。これは珍しい。芽吹もそうつっこむ。ドーナツが原因ってワケでもないでしょ?

んー・・・それもあるけど

やっぱりあったのか。いやまあ、ドーナツはノ宮の血肉ですからねぇ。そりゃしょうがない。
でも、それ以外の理由だってもちろんありますのよ。

ハルカとこーちゃんが話してるの見てると、なんか・・・・・・ヤダ

ほう・・・それはそれは。
やはりノ宮の恋心はまだまだ幼いもののようですな。
高校生とは思えない純真な感じでありますがノ宮らしくてよろしい。ニヤニヤ。
しかし、そんな純真さを見せられると住吉さんも態度に困りますよねぇ。

・・・スミ。誓うよ。これに関しちゃアタシは絶対余計なことしないって。

ふむ。そうしてくれるとありがたいですな。
さすがに恋愛話はナイーブに過ぎますからね。
しかし、さすがに芽吹。住吉さんの気持ちもちゃんと気づいていたんですね。いや、気づかない奴もどうかと思うが。

ハルカさんが乱入してきたところでまくら投げに移行。住吉さんは退避するのであった。

外に出て1人になり、ようやく落ち着いた住吉さん。田舎だけあり外は凄い星が綺麗だ。

・・・何を動揺しているんだろう、私は・・・
あの二人の関係なんてわかりきったことなのに。たとえそれが、二人が自覚がないとしても――

綺麗な星のもと黄昏る住吉さん。そこに現れたのは・・・島!?なんで島がここに?

・・・ハルカさんが来たから避難してきた。

すごく納得した。
何故かまくらで狙い撃ちされる康介の図がとても・・・なんだろう。うらやましいという気がしないでもないぞッッ!?

ここで島。ちょっと気になったことを聞いてみる。
住吉さんは普通に合宿に参加してるけど家のことは大丈夫なんだろうか?
確かに。弟のこととかどうしているのだろうかと気にはなっていました。
読者が気になることを尋ねてくれる島は本当に気が利いている。
住吉さんには痛い目に合わされてばかりなのに、よく気のつく男やで。

・・・母さんが退院したのよ

ははぁ。そういうことでありましたか。
それならば貴樹くんを他所に預けたりとかしなくても問題ないですわな。良かった良かった。
良かったはずなのに、なんだか浮かない顔の住吉さん。
嬉しいことは嬉しい。だけど、母が退院したことで気づいてしまったという住吉さん。

「何をしてもいい」って言われて私は何も思いつかなかったの。
・・・将来、どんな自分になりたいのか。
今は貴方たちと一緒に過ごせて楽しい。こうして合宿も参加出来るようになって嬉しい。
けどきっとこういう時間もずっと続くワケじゃないから

高校生活はあと1年半。楽しい時なんてのはすぐに過ぎ去ってしまうものである。
それに、悩んでいることはそれだけではない。
作楽康介もノ宮も自分の気持ちに気付き始めてる。
二人が自分の気持ちを自覚した時、それでも私は二人の側にいわれるのだろうか

楽しそうにする二人の後姿を見て歩く住吉さん。
その姿を想像するだけでブルーになってしまう。うーん、想像に難くないだけに厳しいですねぇ。
というか、この構図、島とそっくりなんですけど。

・・・住吉はさ、康介に告白とかしねぇの?

思い悩む住吉さんにズバリ切り込んでくる島。ほほう。

・・・住吉の言う通りだよ。こうやって皆で過ごす時間はいつか終わる。たぶん、卒業なんかよりずっと早くさ。

やたらとイケメンな顔で述べる島。
どこか達観したかのような表情で述べられるから住吉さんも注目せざるを得ない。

・・・俺だって気付いてるよ。最近のノ宮と康介・・・前とはちょっと違うもんな。
・・・だから、いつか終わりを迎える前に。
結果なんかわかりきってても、可能性なんか全然なくっても。

俺はこの合宿中にノ宮に告白するよ。せめて、後悔だけはしないようにさ

・・・住吉。おまえはどうする?

ナンテコッタ・・・島がカッコイイ・・・
その島に煽られた住吉さんはどういった決断をするのか。
なんだか恋物語も急展開というか、風雲急を告げてきた感じがありますなぁ。

果たして思い悩む2人に逆転の目はあるのだろうか?
島は今回のようなカッコヨサをちゃんとノ宮の前でも行えるのだろうか?
合宿が終わるまでは日数もあるけど、早くも告白話になってしまうのか。気になります。



第30話 開戦!  (2012年 19号)


俺はこの合宿中にノ宮に告白するよ。住吉。お前はどうする?

島の決意が頭に響く。果たして住吉さんはどんな結論を出すのでしょうか。

翌日。いきなりのイベント開始。
第1回さくら対抗水合戦大会!!ドンドンパフパフ。

一体どこにあったのか、各々が水鉄砲を手にしている。
ごっついものを手にした丘のワクワク顔が可愛いっすね。
水合戦とは一体何か。それは雪合戦の水版である。水鉄砲とか水風船を用い、とにかく水で濡れたら負けというわけだ。

・・・深いな。雪合戦が冬に動いて体を温めるのに対し、水合戦は夏に水に濡れて体を冷やす・・・

なるほど。そういう話でありましたか。いや、濡れたら負けですけどね。
この水合戦。ただのレクリエーションというわけではない。
先輩曰く、目当ての女子に水をぶっかけろ。そうすりゃスケスケだ!とのこと。
なるほど・・・先輩。なんつーか・・・がっかりです。
だったら何でチーム分けとか言って黒と赤のTシャツ配るんだよ!スケスケなら白だろそこは!
てなことを島が口にしてくれました。本当島さんは読者の声を代弁してくれるお人やで!

・・・丘クン。アタシをずぶ濡れにしてもいいんだよ?

さりげなく何か言っている人がいるぞー!?不埒不埒。相手が鈍い丘だからいいようなものの。
というかブッキー下に黒いの着てますやん。あんまり嬉しくはならないな。

チーム分けは総勢8名なので4対4。
黒チーム:先輩、康介、ノ宮、ハルカさん
赤チーム:芽吹、丘、島、住吉さん

なんだろう。どうみても赤チームが圧倒的に不利に見えて仕方が無いのですが。
このチーム分けはどういう意図を持ってなされているのか。決めたのは誰なんだ!?
まあ、赤は芽吹がいるからどうにかならなくもないか。

さっそく味方同士で撃ち合いを始めるノ宮とハルカさん。しまったこっちのチームはこれがあった!
ハルカさんの相手をしててもキリねぇぞと止めに入る康介。
腕を取られて顔を赤くするノ宮が・・・なんでしょうね、この・・・なんだぁーっ!?カワイイ。

そんな2人の様子を見てなんだか諦観した感じの島。うーん、切ないっすね。

芽吹の提案により、この勝負に何か賭けることになりました。そういうの好きですね芽吹。
その方が盛り上がるということで喜んで採用する修一先輩。

だったら負けたチームは勝ったチームの言うことを何でも聞くってのは?

・・・へぇ・・・「何でも」ねぇ・・・

芽吹が黒くなった!これは・・・危険だ。危険が危ない。
始まってもいないのにすでに全員ずぶ濡れになっている黒チーム。果たしてこのチームで勝てるのか?
というか、黒が勝ったらハルカさんが。赤が勝ったら芽吹が「何でも」の権利を行使することになる。
これは・・・どんな結果になっても惨劇しか思い浮かばないぜ!

このタイミングで島が動き出す。ノ宮に近づき、言う。

もし俺らのチームが勝ったら、ちょっと時間作ってもらっていいかな?話したいことがあるんだ

まさか、もう告白を行うというのか?合宿はまだ始まったばかりだというのに。
罰ゲームとしてじゃなくても、話なら聞くよ?とノ宮。
いや、そういうことじゃないんだ。島としては勝つことが踏み出す一歩になるということなんだ。
不退転の意志を見せる島。前回からちょくちょくカッコイイところを見せだしてきており、なんだか困る。

・・・康介。絶対負けねぇからな!!

爽やかな勝負宣言ですね。
20話ほど前に思いっきりブラックな様相を呈していた人と同じだとは思えない!

それじゃあそろそろ・・・さくら対抗水合戦開始ーっ!!

まず地図を片手に作戦会議を行う赤チーム。
トイレ付近の手洗い場が赤チームの水の補給所。いわば弾薬庫だ。
康介たち黒チームは公園の反対側、水飲み場が拠点となる。
手洗い場と水飲み場は通路で隔てられており、それぞれの拠点とするにはいいぐらいの距離がある。
武器は水鉄砲と水風船。一回撃たれた人はアウト。全滅したほうが負けだ。

ワクワクしながら作戦会議を行う丘。芽吹も「何でも」権を行使するためには負けられない。
というわけで、なんだかノリノリに作戦会議をしている2人でありました。
ほっときゃ向こうのチーム自滅しそうだけどね。

そんな熱中している2人とは違い、別のことに気をとられている住吉さん。
島が早くも告白をしようとしているのに動揺している。どうなることやら。

てな話をしてたら・・・丘が水風船の一撃を食らって失格となっていた。は・・・早いよ!丘ァー!!

一番ワクワクしていた人が真っ先に脱落とは世知辛い。でも、そんなもんスよね。
今の一撃は水飲み場から修一先輩が水風船を遠投してきたもの。さすが野球部。いい肩してる。
当たればラッキー的な攻撃だったのだろうが、見事に命中したって感じですな。

康介も動き出す。うかうかしてるとすぐに終わってしまうかもしれないですからね。
あの2人。ノ宮とハルカさんがちゃんと協力している限りは早々負けはしないですよっと。

ハルカ「撃墜した数の多い方が勝ち。いいね!?ドーナツ」
ノ宮「絶対ハルカには負けないよっ!?」

いい感じに協力してるじゃないですか。こりゃ強そうだ。
ならばとこちらも迎撃にでようかという赤チーム。丘クンの仇も討たないとね。

そういった戦いの空気の中、住吉さんはやはり別のことに心囚われている。
島の決意が住吉さんには眩しく感じられているらしい。

・・・島君。私には出来ないわ。いつか必ず終わるとしても。その時どれ程後悔することになったとしても。
私にはわかるもの。その一歩がどれ程怖くて重くて震えるか
だから、だから私は――

住吉さんが想いに囚われている中、水合戦は続く。
島は康介とノ宮に追いつめられていた。ノ宮は二丁拳銃か・・・雰囲気だけでやってそうだが、ノ宮らしい。
並んで島を狙う2人。くそったれ・・・いちいち見せつけやがって・・・!!
いやまったく。島にはそのセリフを言う資格が十二分にある。
ならば、その島に加勢があってもよいのではないだろうか。

バシャァと凄い勢いで水が康介とノ宮の間にぶちまけられる。
島の後ろから現れたのは・・・バケツを手にした住吉さんだ!!

だから私は――私は、精一杯、島君に肩入れするわ。
さぁかかってきなさい、ノ宮!作楽康介!!この住吉さくらが相手よ!!

島の覚悟に共感したバケツ娘・住吉が恋愛最前線に介入!一体どうなってしまうのか?

住吉さんの行動は正しい。
島に肩入れして万が一、億が一、兆が一上手くいくことがあったなら、住吉さんの可能性も大きく跳ね上がる。
そういった打算は無いと思うけど、行動としては正しい。
だが、それによって誤解を招くこともありそうなのが危ないところだ。
前の教室の出来事もあり、康介は島と住吉さんの関係を誤解してたりしますからなぁ。
誤解から生まれる恋ってのもなきにしもあらずなので怖いところであります。

告白についてどうなるかはさておき。とりあえずこの水合戦を制することができるかですな。
バケツの扱いには長けている住吉さん。康介をずぶ濡れにすることなら任せろー。
きっと住吉さんの足元には多数の水入りバケツが用意されていることでしょう。
重弾幕を展開しそうな住吉さん。島がそのサポートを受けて活躍できればあるいは・・・!!
なんとなく、住吉さんのバケツ攻撃を島が食らって自滅という流れになりそうな気がしないでもないな。


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