蒼天紳士チャンピオン作品別感想

空が灰色だから
第1話 〜 第34話


空が灰色だから感想目次に戻る   作品別INDEXに戻る   週刊少年チャンピオン感想TOPに戻る

 各巻感想

1巻 2巻 3巻  4巻 5巻 短編集

空が灰色だから 1巻


第1話 「スーパー宇佐美物語伝説」  (2011年 38号)


「破壊症候群」、「ドラゴンスワロウ」の阿部共実先生が、3号連続で登場だ!

女の子のちょっと切ないオムニバス・コメディ。
毎度ヒロインが変わる話ってことですかね?

今回のヒロインは、極度の恥ずかしがり屋の宇佐美さん
人と話したり目が合ったりすると恥ずかしくてたまらなくなる。
分かる気はする話ですな。さすがに、ここまで極端ではないけど、気持ちはわかる。

子供に手を振られただけで、真っ赤になってしまう宇佐美さん19歳。さんじゅうきゅう歳ではない。
このままではいけないと地元を離れ、一人暮らしをしながら接客のバイトをする。

結婚して子供のいる家庭が夢と言う宇佐美さん。乙女っぽいっすねぇ。
でもこれでは恋人もできない。
さらに、同性でも恥ずかしがってしまうので友達もできずにいる。
そんな宇佐美さんでもモテたりはするのです。同姓に。

宇佐美さん彼氏いる?いないでしょ。

同僚の坂口さんに迫られた!なに、この状況ーっ!

突然こんな状況になったら、赤くなるのも仕方ない・・・のだろうか、どうなのだろうか。
でも、子供が欲しい宇佐美さん。同性じゃ子供はできないよ。
なのでバイトは辞めました。
そして次のバイト先の面接にもこぎつけた。しかし、このままでは何も変わらない。

恥ずかしがりを克服するっ!!

尋常じゃないほど恥ずかしい思いをすれば、恥ずかしい免疫が尋常じゃないほどついて、
人と喋ったくらいじゃ恥ずかしくならなくなるって寸法よー!

ある意味間違ってはないが・・・それで、バニーですか

恋人も友達もいない無職の女が通販で買ったバニコス着て奇声をあげながら深夜徘徊している。
合法でこれ以上恥ずかしいことなんてありますか!?はっはっはー。

奇声によっては、普通に通報されると思うのですがどうなのでしょうか。うひょひょひょひょ。
露出魔がうろつく場所でもあるようですし・・・危うい!

道半ばで我に返ってしまった宇佐美さん。これは恥ずかしい。
道の端でうずくまっているところに、親切なお兄さんが通りがかる。
かっこいいし優しい。こんな人と結婚できれば、せめてお知り合いになれれば。
そう思うが、もう2度と出会うこともないのだろう。

む、もう2度とあうことはない?
そうか!どんな痴態を見られても2度と会わなければ、私の生活に関わりがない。別に恥ずかしくないじゃん!

旅の恥は掻き捨てって奴ですかね。思い出すと恥ずかしくなるよ!

なぜバニーの格好なのかと当然の質問をされました。ので、返答。

私は月から来たうさぎちゃんの使者なのです

宇宙から見れば人の一生なんて一瞬。掻き捨てだから恥ずかしくないもん!
そんな短い一生で、私が恥ずかしがりやなんてきっと他人にとってはどうでもいいはず。
誰も気にしないから、私も気にしないんでいいんだ。
これで私は恥ずかしがりを克服できたはず。
もう誰にも私を止められない。宇佐美伝説の始まりだ!

なんて悟ってみたけれど、縁は異なもの味なもの。
どうせ合わないだろうしと思ってみたら、思いっきり再会することなんて普通ですよ普通!
ちょっとハメを外した結果がこれだよ!教訓を得るようなお話ですやね。そういうことなのか!?



第2話 「お前は私を大嫌いなお前が大嫌いな私が大嫌い」  (2011年 39号)


ココロが見えない。ココロを見せない。悲しいのはどっち?
女の子のちょっと切ないオムニバス・コメディの第2弾であります。

とある女子高の朝。男子もいるけど、柱では女子高といっているから女子高なんだ!
きっと男子の格好をしている女子がいる高校なんだよ。どんなんやねん。

ともかく、朝。
森永という名の女子に挨拶するがガン無視されてムカつく女の子3人。
ムカついたので悪口を言い合うことにしました。よくある話です。

3人の1人、明ちゃんはこの間まで森永さんと仲が良かった。
しかし、3年生になり、大学受験のために塾に通うようになったので、もう遊べないと言われたらしい。
友達より受験を選ぶなんて!と騒ぐ女子たち。
森永さんは、結構可愛いので男子達からも人気がある。
その辺りもムカつく要員であるか、悪口はいろいろと飛び火する。

地域限定品のポテトチップスを取り寄せて箸で食べていることについて。
手鏡を見ている時間について。体育の走り方など。
そんな話をしていたら、明ちゃんから妙な言葉が。

それにさ森永って実は不治の病を患ってるんだぜ。人に言いたくないからって私にまで隠しやがってよ。

それは・・・
さすがにトーンダウンする他の2人。

ここから明ちゃんの述懐に近い悪口。
入学してすぐ、クラスで友達がいなかったから声をかけてきた。
赤点で進級がやばいからって家に押しかけてきた。
夏休みには思い出ということでペアのペンダントを買わされたという。

ちなみに明ちゃんはそのペンダントを今も身につけているようです。
冒頭でも話があった、受験勉強でもう遊べないと言う話をされたとき、明ちゃんは泣いていた。

もう遊べないと言う森永さんだが、同じ塾で、成績学年1位の樋本さんとは仲良くやっているらしい。
塾帰りに森永さんの家で勉強会ということで2人一緒にいたりする。
それでいて、実際は音楽やネット動画見たりして遊んでいるだけだったり。意味ねーしバーカ!

なんで・・・そこまで知ってるの?

当然の疑問を口にする。が、明ちゃんには聞こえていない様子。
いろいろと喋っているうちに、もう制御が利かなくなっている感じですな。

ここから嫌いなことについて述べられますが、書き出すと書いてるこっちがヤバイので大幅に省略だ!
とにかく、私が大嫌いなお前の大嫌いと私には大嫌いをお前が大嫌いが私のお前が大嫌いの大嫌いが(略)

右半分で大嫌いとコマを埋め尽くすほどに呟く明ちゃん。
しかし、左半分では過去の、森永さんと楽しかったころのことを思い返している絵があって・・・こりゃ切ない。

限界に来たのかぶったおれる明ちゃん。吐くほどに思いつめているようだ。その首には例のペンダントが見える。
慌てて保健室に運ぶ、女子。
その途中に森永さんの姿があるが、明ちゃんに気付く様子もなく、樋本さんとお喋りしていたのでした。その笑顔がまた。

好きなのに大嫌い。灰色の私が大嫌い

というわけで、第2回でありました。うーむ、これが阿部共実先生でありますなぁ。
ネット上で公開されている作品では、結構鬱な内容のものが多いとは聞いていましたが、こういうことか。
これはなんというか、賛否が大きく分かれそうな内容ですな。
表紙の感じとサブタイトルからして、厄い話だというのは感じていましたが・・・そう来ましたか。

元々は明ちゃんもそこまで病んでいたわけでもないけど、エスカレートしてしまったのだろうか。
と思ったが、森永さんたちの行動を監視している感じからして、別れを告げられた時から病んでそうですな。
大好きだった友達に別れを告げられて壊れてしまったという感じでしょうか。
途中で不治の病の話がでたから、別れに意味があるのかと思ったが、その辺りのフォローは入っていない。
このおかげで色々想像できてしまうんですな。
明ちゃんのためを考えて別れたのか、それとも実は口実に使っただけだったのか、とか。
最後に森永さんの笑顔で締められているのが、また色々想像させられる

病んだ明ちゃんのページより、それからあとの2ページの方がいろいろと気になりますねぇ。
なんとも切ない話である。

個人的に鬱な話というのは好きではないのだが、なんだか読めてしまいました。
でも、3部作なんですよね、コレ。
考えてみると、1話目の宇佐美さんも、子供にまで赤くなる対人恐怖症だった。これはれっきとした病気である。
でも、コミカルな流れだったので、そんなに気にならなかった。
いや、でも同性に告白されるのは結構重いよな。漫画だとあんまり気にならないけど。

こうしてみると、ホップステップと展開が重くなっているのじゃあるまいか?
3話目がどんなことになるのか、今から怖いデス。
逆に、ホップステップの次はジャンプといかず、チャンピオンやで!ということで快活な流れになる可能性もある!
そういう流れとなることに期待しておきます。期待だけはしておきます。



第3話 「空が灰色だから手をつなごう」  (2011年 40号)


空灰の3話目。今回の主人公は娘と母
穂ちゃんとそのお母さんでございます。

どうも母子家庭らしい。父親がいない経緯はハッキリしないが、とりあえずそこは主眼ではない。
母親こと、黒川楓さん。彼女も父親がいない家庭だったらしい。

母子家庭はさすがに大変のようだ。仕事も忙しいでしょうしね。
パートのたまの日曜休日でも、近所の公園とかでしか遊んであげられない。
さすがに10歳の子供が花摘みでは楽しくはないか。子供の正直さが辛いぜ。

携帯ゲーム機があれば1人でも遊べるという穂ちゃん。うーむ、寂しい。
穂ちゃんのクラスメイト登場。こやつらはちゃんと最新のゲーム機をもっている様子。
なにやら、今の子供たちは、こういうものを持っていないとコミュニティから外されるという話があるそうで。怖いなぁ。
穂ちゃんもその例に漏れず、輪から外れてしまっているようだ。ううむ。

私は穂に、親としてちゃんと普通以上の幸せを与えられているんだろうか。

悩む楓さん。
そして、それを示すように、穂ちゃんの悩みを聞かされる。

なんでみんなが当たり前のようにもってるものを、私はひとつももってないの?

ううむ、これは辛い。
楓さんは誓っていた。たとえ貧しい生活を送ることをさせても、他の子と違う生活を送ることをさせても。
絶対に穂は幸せにすると

新作のゲーム機はさすがに高い。くっ、これだったらまだ型落ちの旧作でいいじゃないですか!
ソフトも出揃ってないですし、遊ぶなら旧型の方がよいよ!楓さんにはその辺りはわからないでしょうけど。

どちらにしろお金が全然足りない。
というわけで、半額で売られていたフォレストファミリーを購入。シルバニアなアレですかね。
これなら一人でも遊べますやね。

感じの悪い店員にナメられる。安くても包装ぐらいしてくださいよ。
売れ残りの商品買ってあげるんだから、そのぐらいのサービスはむしろしてくれていいんじゃないのかね!?

私は、子供の気持ちが何もわかってないのかな

悩みながらも、子供の前では明るく振舞う楓さん。プレゼントだこのやろう!
大慌てで開ける穂ちゃん。出てきたのはフォレストファミリー。
それを見て、穂ちゃんは母に一言。

ありがとう

おぉ・・・これは。
そりゃ泣けますわな。うん。よい話だ。

最後のページをめくる前のタメが凄い怖かったですなぁ。
コレジャナイとか言われる可能性は果てしなくあったわけで。
この笑顔が妥協の産物だとかそんなことは考えたくない。穂ちゃんは可愛い。
楓さんも、望めば再婚の相手とかいそうな感じなんですけどね。まあ色々あったのでしょう。

3回にわけて、それぞれの特色を出した空灰でした。
全体的に切ない感じでしたなぁ。1話目の宇佐美さんはコメディ色が強かったのでそうでもなかったけど。
でも、1話目にこなかったら、あの内容も深読みして切なくなってたかも!
個人的には、切ない話は切なくなるのであまり好きではない。切なくなっちゃうもの!
というわけで、1話目ぐらいの内容をベースに展開してくれると嬉しいなという感じです。
たまに、2、3話目のような展開が混じると味が一気に増しそうですけどね。

というわけで、阿部共実先生の次回作に期待しております!



第1話 「イチゴズ オブ デスティニー」  (2011年 47号)


阿部共実先生の、「空が灰色だから手をはなそう」が改題して連載開始だ!!
色々と話題に事欠かなかっただけに、かなりの短期間で連載まで来ましたね。
果たして、手をはなすことになるのかつなぐことになるのか・・・

まず1話目。いちご柄が好きな大村いちごさんの登場です。
大学デビュー戦未勝利、19歳、牡羊座のA型。
右利き、恋人いない歴年齢というモテない女子でございます。

そんな彼女も自分を変えるきっかけを求めていた。
全国からも人気の高いショップで数量限定ワンピースを手に入れれば男性にも女性にも注目の的。
モテモテに間違いない!こいつは絶対マストバイやで!

パッとしなかった10代とオサラバするためには変わらないといけない。
自分の運命は自分で変えるんだ

そう決心して買い物にでかけたのはいいが、サイフの中身がばりいかつい。
それでいてお金をおろすことがなかなかできないでいる。このままでは店が閉まっちゃうヨー。
ワンピが買えないのではモテないし、恋人も友達もできないではないか。

運命だ・・・
運命という名のあいつが、私を弄んでやがるんだ

あいつはゲスな奴だ。
乙女の困った顔を拝んでニヤリとほくそ笑むゲスな奴だ。

おい、運命よ。
こら、運命よ。
私がどうせワンピと共に学生生活の転機を諦めて、とぼとぼと帰ると思ってんだろ。

帰ってウェブやソーシャルネットワークやつぶやき投稿サービスで、
「タイトル:今日はついてない1日だったよ〜ふぇ〜ん>< コメント(0)」
とか書いてけつかるとか思ってんだろ。

それは昨日までの私。

今日の私をなめるなよおおおおお!

運命って奴は、自分の血と肉と骨で作られたこの手で、きり拓くものだ。
運命を斬り殺してやる!!

ものすごいテンションあがってますな、いちごさん。
若さに溢れているともいえる。でも、そのポジティブさはキライじゃないぞ!
しかし、コメント(0)の寂しさがとても際立っているな。共感できなくもないだけに辛いゾ!

あてもなく目的地のマダラに走り出すいちごさん。
私はお前に屈しない。刺し違えてでも運命の首は取ってやる!

急いで目的地に向かう途中で、大学でちょっと仲良くなりかけてる田岡さんと出会う。
談笑している暇はない。これは運命がよこしたピンチか?いや・・・待てよ。

お金を貸してください!

ゴッと音がなるほどの勢いで公衆の面前で土下座を敢行だ!!
まさか知人から金を無心しようとは運命も思い至らなかったはずである。ピンチをチャンスに変えたぜ、おらぁ!

さすがにこの状況はされている方も羞恥プレイ。素直にお金を出すしかない。
ありがとう田岡さん!やめて、名前呼ばないで!

お金は手に入った。後は目的地に向かうのみ!
そこで運命の刺客第2弾。
高校のクラスメイトで憧れだった後藤くんが食事に誘ってきた!結構です!
言ってやったぜ。今日の私は強いぜ。なめるなよ!その程度の色仕掛けは通用しない!

最後の一着を手に入れる。
タッチの差で他の人より先に手にすることに成功。
うむ、これは仕方ないのだ。数量限定ですし。譲ってくれた人には悪いが、これもまた運命に抗うためなのだ。

様々な困難を経て、ついに買った。なので、勝った。
運命に勝ったぞ!
運命を殺した!

ウッキウキのいちごさん。
帰り道で後藤くんに会ったので、食事に誘ってみる。行かねーよ。だよねー。
さらに田岡さんとも出会った。すぐお金返すからねー。他人のフリされてるぅー!
行きは込み合ってたATMも今ではガラガラだぁ。

でも平気平気。私の手中には勝利があるのだから。

笑顔で帰宅。
出かける前の父の用事は、お小遣いをくれるというものだった。今頃かーい。
そして母の用事は、東京のお姉ちゃんが洋服をプレゼントしてくれたというものだった。こりゃかわいい。
いいワンピですね。わーい、2着目だ。ラッキー。

運命に弄ばれちゃったよお!
汚されちまったよ、あたいの心!

いやぁ、やっぱり運命は強敵でしたね。これぞデスティニー。

若さゆえの暴走ということでしょうか。見事にハイテンションで突っ走ってくれましたね。
いちごさんは可愛いし、明るい子なのだが・・・さすがにコレでは友達も恋人もできにくいでしょうな!
少なくとも公衆の面前で土下座しだす子が現れたら他人のフリもしたくなる。田岡さんは間違ってない。

勿体無い話ではありますがね。可愛いのに。今日の私をなめるなよおおの辺りとか凄い可愛いのに。
きっと大学デビューとやらでやらかしてしまったのでしょう。なにしたんだ?

というわけで、連載開始の空灰。
今回は表面的には明るく、重くはない話でしたな。
まあ、実のところは、友達なしの子の暴走話という重さはあるのだが・・・それはそれ!
これぐらいの重さであれば深く考えなければ許容されるはずさ!
意外となんとかなるもんですしね!うん!

それにしても、いちごとか服の描き込みとかやっぱりすごいな。
この作者はこういう細かい仕事とか凄い好きそうな印象があります。

今回はハイテンションに送られたが、次回はどうなるか?
オムニバス形式なので毎回ヒロインは変わるが、話のノリも変わるのか?
読みきりの時のように2話目に爆弾を投げられる可能性があるので警戒が必要だ!
でも、2話目回避したからってその後に爆弾がないわけではないから注意が必要だ!
つまりずっと警戒する必要があるわけですね。弄ばれちまってる!?これも運命の仕業か。



第2話 「女の中の女の中の女」  (2011年 48号)


心がざわつくオムニバスショートの第2話でございます。

とある高校の下校時間。
手芸部の部員である加美馨さん17歳が、同じ手芸部の先輩である久我良くん18歳を呼び止める。
3年生が大学受験で部を辞めたので、残っているのは私たち2人しかいないとこと。
いやいや、久我くんも受験生ですから。

久我くんに言わせれば、手芸部は女が多かったから入っただけだとのこと。1年生は0なのか?
女ならえらいゲロマブがここに1人いるでしょ!とのたまう加美さん。だが、軽く流されている。

どうやら加美さんは部長になっているらしい。
活動実績がないと困る。手取り足取り指導してあげますから来なさい!そうしなさい!
なんて言ってますが、相当不器用だったりする加美さん。
針を自分に刺し間違えまくってて、あいつは真性マゾヒストじゃないかって噂が流れたそうな。
まあ、こんだけ腕に刺すのはわざととしか思えないわな。刺したら抜けよ!

渋る久我くんに、服とか作れるようになったらもてますよと言う加美さん。
それに対し、久我くんの男らしい回答。

オレは女に服を着せるより、服を剥きたい
女の裸が見たくて仕方ない側だ

なんとも正直な感想でございますな。男らしい。
最近は裸が見たすぎて、裸を見たいという欲望はどういうことだろうと考える久我くん。

なぜ裸をセクシーと感じるのか?
なぜ服はセクシーじゃないのか?
布1〜2枚あるかないかだけの差で、オレの劣情の波は満ち引きするんだろうか。

こんなことを堂々と語る久我くん。男らしい。いや、やっぱキモい。キモ男らしい
女性とそういう局面を迎えたことのない久我くんは想像で語るしかない。
まあ、ようするに彼女がいないということですね。嬉しそうな加美さん。
お前はいたことあるのかよと問われて、100万人はいますよ、100万股してますと言ってのける加美さん。
なんともスケールのでかいことである。ちょっとした政令指定都市なみの人数だ!

自分も恋人とか作ったことないんですけどーといい、反応を伺う加美さん。
だけど、これもスルーされます。残念。相手はニブいぞ!
流してさっきの話を続ける久我くん。
普段服が裸を隠しているからこそ、より裸が見たくなると思うとのこと。

やはり男たるもの、未知の向こう側にロマンを抱くものだからな

うむ、やはり久我くんはキモ男らしい発言をする子だなぁ。

その理屈で言うと、裸のさらに向こう側の内臓なんて、もっと興奮するんじゃないかと思うんだよ

いや・・・いやいやいや!さすがにその発想はおかしい!
服どころか皮も剥いちゃいました、みたいな。そんなお手軽なフレーズに納めるにはあまりにグロすぎる!
なるほど。サブタイトルの「女の中の女の中の女」はここにつながるわけか。
女も一皮剥いたらグロいことになるんだぜってわけですね。そりゃそうだ!

加美「先輩キモすぎ!ばりキモい。ばりくそキモい!」
久我「男ならたぶん誰でも通る道だと思うけどな

通らねーよ。

テレビで女の裸なんて普通見れないけど、
健康番組や医療番組なんかは若い女性の内臓の中までバンバン映して、
これに興奮していいのか悪いのかっていう罪悪感にまた興奮を覚えてしまったり。

覚えねーよ。

たとえば、清楚なお嬢様が見た目に反して、実はどす黒い真っ黒な不健康な肺をしていたら。
なんかものすごくそのギャップがやらしくないかー!?

ギャップはあるけど、その方向はちょっと。腹が黒いぐらいでお願いしたいです。
肺じゃただのニコ中じゃないですか!

久我センキモっ!キモキモキモっ!
がりキモい!がりがりキモい!

さすがにこんな倒錯した発言を堂々と述べるのはキモいと言われても仕方あるまい。キモっ!
そんな先輩相手でも、彼女になってくれるのは世界に1人くらいだろうなーとアピールしちゃう加美さん。
うむ、惚れた弱味ってやつですかね。簡単に冷めたりはしないか。

キモすぎて、私以外の女ならゲボ吐きすぎて死にます!私は全然大丈夫ですが!

まあ、こんな話、加美くらいにしかできないしな。
この話は、お前とだけの秘密だからな

おぉ・・・ちゃんと話す相手を選んでいたんですな、久我くん。やりおる。
この発言に、画面にも蝶なんだか、花なんだか、星なんだか、ヒトデなんだかが飛びまくる。

にたにたしながら、うぜえええええ。バーカと言いつつ走り出す加美さん。嬉しそうだなぁ。
そんな加美さんが路上に飛び出したところにトラックが。パパーン。ってちょっと!!?

凄いドキドキしながらページをめくる。
が、どうやら接触もすることなく無事だった。久我くんが手を引いたのが間に合ったらしい。

バカはお前だろ。
別にお前の内臓なんて見たくねえんだよ

ほほほ。久我くんってば男前だねぇ。これはキモくないよ。大丈夫!
なので、つい加美さんはこんなこと言っちゃいます。

先輩になら・・・私の内臓、見せてもいいですよ。

といいつつ、唇を突き出す加美さん。ちゅうーっ
でも、これも交わされてしまいます。ハハハ。本当に久我くんはニブちんじゃのう。
ちゅうーの構えも、苦痛に歪んだような妙な顔で一蹴されてしまいました。こりゃ暴れる。

見事に乙女心が玉砕した話でした。
いやぁーなんかいい話でしたね。
トラックが出てきたときは本気でどうしようかと思ったけど。いい話でよかった。
でも、今後は似た展開でバッドなルートもありえるんじゃないかと身構えてしまう。

今回はキモくもいい話だったが、次回こそは何か来るかもと覚悟はしておきます。
でも、できればこの路線が続くといいなぁー。



第3話 「今日も私はこうしていつもつまらなさそうな顔してる
あいつとつまらない話をして日を過ごしていくのだ」
 (2011年 49号)


わたしは景色
心がざわつくオムニバスショートの第3話でございます。

田舎町の朝、プラットホームで挨拶する男女。
色白そうな男の子、慶太。その子に話しかける鳴田あおいさん。
2人は小中高と一緒らしい。

鳴田さんいわく、くされ幼なじみという2人。
小学校の遠足で、判を押すように弁当をこぼす慶太。
それに対し、たまたま手作り弁当を1つ多く作ってきたと差し出す鳴田さん。
受験日前日、机に願書を忘れてきた慶太に慌てて持っていってあげる鳴田さん。

それらの思い出を話してみるが、そんなことあったっけ?てな反応。
それに対し、いい思い出も語ってあげる鳴田さん。
小学校の時、友達がいなくて1人で遊んでいた休み時間、慶太が声をかけてくれた。
それが出会いだったと鳴田さんは言います。
そのことについては覚えている様子の慶太。別に都合のいい所だけ覚えているわけじゃありませんじょ。

電車内。
疲れた様子の慶太。若いくせに電車降りてどこかに行きたいと言い出す。いや、若いからか?

2人でどこか行こうか。

慶太のこの言葉に真っ赤になり、慌てだす鳴田さん。
大声で背中を叩いてくる鳴田さんに対し、電車内なので静かにしてもらえますか?と諭す慶太。

というか、僕は、あなたには話しかけてません

は?
気付くと、慶太腕にすがりつくようにしている女の子がいた。
この女の子は慶太の幼なじみ。幼稚園から高校までずっと一緒だった仲である。
慶太は鳴田さんに言う。

あなたは僕の幼なじみと思ってません。ただ小中高と一緒だっただけです。
会話したこともほとんどないのに、急にそんな馴れ馴れしく話しかけられても困ります。

この言葉は鳴田さんには青天の霹靂。どうしてそんなことを言い出すのか。
あなた記憶を失ってるんじゃないの!?お願いだから思い出してよ、私とのことを!

涙を流す鳴田さんに対し、恐る恐る、慶太の幼なじみの女の子が口を開く。
彼女は鳴田さんのことを覚えていた。
さっき、電車に乗る前に言っていた慶太との思い出。それは間違っている。

遠足の思い出も、受験前の思い出も、私と慶太との思い出です。鳴田さんのものじゃない
ただ1つ本当なのは、慶太がひとりぼっちの鳴田さんに声をかけたことだけです。

記憶がおかしいのはあなたです。人の思い出を勝手に自分のものにしないでください

夢の時間は崩壊。愛しい人の名前を呼び続ける鳴田さんだが・・・これは。
幼なじみの女の子の名前もあおいと言うらしい。鳴田さんと同じ名前だ。
だからこそ、あおいちゃんの存在を消去し、すり替わるような記憶をでっちあげれたんでしょうかね・・・

あおいちゃんは、いつかこうなるんじゃないかと思っていたらしい。慶太を見る目が普通じゃなかったもん。
うむ、確かにこの黒目が凝縮した状態で見られるのは怖い。
しかし、自分の思い出を勝手に人の物にされるとは・・・凄い怖い話だな。

記憶や、相手の受け答えをいい風に捻じ曲げて捉えるというのはまあ、よくある話である。
それはそれで病んでいるけどね。
人の思い出とすり替わるというのもまた上記の話の一種なんですかねぇ。
慶太曰く、これまでほとんど話もしてないとのこと。
昔から病んではいたけど、記憶のすり替えが済んだのはここ最近のことなんでしょうかね。
普通にしていれば、友人や恋人も出来たでしょうになぁ・・・

それにしても、読み返してみるとちゃんとあおいちゃんの存在が描かれていますな。
コマで見切れて少し映っていたり、ふきだしで隠れたりしてるけど。

というわけで、ついにやらかしたかという3話目であります。
タイトルが長いからヤバそうな気はしていました。
わたしは景色という言葉も読み返すとヤバイ。
でもまあ、こういう話があるからこそ、2話のトラックのドキドキ感が高まるというのも事実。
どこかで一回は挟んでおかなければいけなかったのかもしれませんが、うむーう。

鬱な話に見せかけてイチャコラな展開になった2話。
そのまま鬱な展開で落ちてしまった3話。
次の展望としては、鬱な展開と見せかけてイチャコラする話が来ると期待したい。
そういう話を混ぜ込むことによって、毎回オチはどうなるのかとドキドキできそうな気がしますです。

しかし、今回の話は、同じ電車に乗っている人たちが凄い災難でしたな。
朝っぱらからなんてものを見せてくれるんだって感じだ。



第4話 「ひとりぐらし」  (2011年 50号)


18歳の男子が初めての1人暮らし。
駅から5分のマンション。大学も近くワンルームで20帖という広さ。
こんな条件なのに家賃が格安。なんと1万円!

まあ、安くなっているのには当然理由があります。ようするにいわくつきの部屋ってやつだ。
電話している間に、電気やTVのスイッチが勝手に消え、積んでいた本が勝手に崩れる。
これは見事なポルターガイストっすね。

今回の主人公は、木下実くん18歳。
霊体験なんて今までなかったし、こんな状況の今ですら特に興味はない。
被害といえば、急にテレビや照明やエアコンが消えたりするだけだからどうでもいい
部屋を散らかされることには殺意を催すが、もう死んでるのでどうしようもない。

なんとも豪気な子である。
テレビや照明はまだいいが、ゲームプレイ中にリセットされたら、どうでもいいでは済ませれないな。
感想書いてる最中にPCの電源を切られるのも凄いカンベンしていただきたい。ここには住めない!

女友達の英子ちゃんとお話中の木下くん。怪現象が起きてもおかまいなし。
この世への人間への驚かし方が古臭いと幽霊にダメ出しを始める。

ラップ音、ポルターガイストやスイッチ切るとか発想が単純すぎ。
お化かす者としてエンターテイメント性の向上心もない

なかなか厳しいっすね。いい性格だ。
なので、最新性のある怪現象を見せてみる幽霊。
おお、まるでTVが動画サイトのようだ!そういうことじゃねーよ!!顔文字やめろ!!

こんな怪現象が起きまくって、つっこみまで入れているのに女の子を部屋に誘おうとする木下くん。

初めてのお客さんは英子ちゃんがいいな!

ブツッ。
電話が切れた!?幽霊が切ったのか!?
いや、単にキモイから切られただけかもしれない。これは際どいところだな。どっちだろう。
リズミカルな足音を立てているし、幽霊の仕業なのかもしれない。足音?足はあるのか?どうなんだ?

英子ちゃんは、彼女ができたことないオレの唯一の女友達なんだぞ!

大きな声で何を言い出すのだこの男は。まあ、必死なのは伝わってきた。
でも、そんな相手をいわくつきの部屋に呼び出そうとするなよ。

怒鳴りつけると、どこからともなく泣き声が聞こえてくる。
あれーもしかして泣かしちゃった?オレ。

雑誌を破り始める幽霊に対し謝罪する木下くん。
でも、うそ泣きでした。ひっかかったな!

むかつくのでもう寝ることにする!その場で横になって不貞寝だ!
あらあら電気もエアコンもつけっぱなしで。しょうがない子だ。
なので幽霊が消してくれ、上布団もかけてくれます。お前はお母さんか!

どうでもいいっていうか、凄い仲良くやってるじゃないですか、木下くん。

そんなある日。
ガスコンロでヤカンに火をかけたまま外出する木下くん。
慌てて引止めに来る幽霊。ドタドタドタ。
しかし、気付かずに出かけてしまう木下くん。コンビニに行くだけだしすぐ帰ってくるつもり。
だけど、コンロの側に置いたティーパックの箱に火が燃え移り・・・

買い物をすました木下くんは帰宅。
部屋にいる幽霊が女だというのには気付いている様子。
だからってそういう感情はないから!
ただでさえ顔も何も知らないし、ていうか死んでるし、さすがにそこまで飢えてないわ。

てなこと考えてたら、ボヤ騒ぎが起こっていました。
あ、そういえば火つけっぱなしだった。
でも、幽霊が消しておいてくれるでしょう。たまには役に立つ。
って、思いっきり留守番させている相方みたいじゃないですか。

余裕を持って戻ってみたが、自分の部屋でボヤが起きている様子。こりゃビックリ!
幽霊は消してくれなかったのか?ただの悪霊だったのか?
いや、あいつがそんなわけない

ここで、いわくつきの部屋の幽霊についての情報が聞こえてきます。
その部屋では、6歳の女の子が餓死したらしい。
片親の母親がいつも男の家に入り浸りで、ずっとひとりぼっちで家で待ってて、そのまま――

その話を聞きながら、部屋に突入する。
そこには、小さな扇風機で火を消そうとしている幽霊の姿が、見えないけどあった。
扇風機じゃ火を煽るだけで消えません。小さな子供じゃわからないか。
なんとか布団をかけて鎮火に成功。よかった。
どうやら、危険なのはわかったけど、ガスコンロの消し方がわからなかったようだ。

すまなかったな、怖い思いさせて

謝る木下くんの顔に雑誌が叩きつけられる。うん、バカ!って言われてますな。
そして、重量を感じる木下くん。これは、抱き疲れている?取り憑かれた!?
さらに何やら口がしめる。ちゅっ。これは・・・

わああああああ、オレのファーストキスが!女児に!しかも幽霊に奪われたああああ!!

ハッハッハ。
災難ですな、木下くん。
そこに、最後のページの柱でのアオリ。

駅近、20K、家賃1万円、幽霊女児付き。あなただったらどうする?

ハッハッハ。
そんなところがあってもなぁ。参考までにどこで契約できるか教えてくれなさい。

最後まで姿を見せないのに、可愛い姿が想像できてしまうとは、凄い手法である。
姿を見せないからこそ、想像する部分が残されているわけですね。
事件自体は痛ましいことであるが、なんだかニヤニヤできる話の流れでよかったです。
女の子もこれで成仏できればそれに越したことはない。
成仏できないなら、ずっと木下くんと遊んでもらうということで問題ない。ハッピーエンドだ!
うむ、これはこの部屋に女の子は連れて来れないな。ハッハッハ。

でもまあ、6歳の女の子が何年前に亡くなったのかは知らないけど、そのうち精神的に成長するかもしれない。
そうすれば、大人しくなって色々と助けになってくれるかもしれない。木下くんの未来は明るいさ。
基本的にポジティブな子だし、なんとかしてくれると期待している。
また続きが読んでみたいなぁと思う回でした。いやあ、よいよい。



第5話 「星畑珠姫高校2年生17歳
華村奈々美高校2年生17歳
鬼ヶ原樹里子高校2年生16歳物語」
 (2011年 51号)


女子高生3人組の、なんのためにもならないくそったれトーク炸裂!
ということなので、サブタイトルもそのまま。

星畑珠姫高校2年生17歳
華村奈々美高校2年生17歳
鬼ヶ原樹里子高校2年生16歳物語

となっております。長いよ!

下校時間。人によっては男女でイチャコラしながら帰ったりする時間だ。
難しい顔をしているのは華村さん。
恋人もできずに早17年。これでいいのか高校生活とお悩み中。

私はモテたい!男と2ケツしたい!
こんな湿気たメンツと帰宅したくないんだ〜〜〜!!

歩きながら恥ずかしいことを叫ぶ華村さん。
それを聞いた星畑さん。自分には兄貴が3人いるけど、男なんて酷い。あんなもん粗大ごみだぞと言い捨てる。

華村「ならば私は粗大ゴミごとチャリで帰宅したい!
星畑「廃品回収でもしてんのかよ」

めげない華村さんである。どうしたらモテるのだろうかと思索する。
男なんて外見さえ良ければ寄ってくるんじゃねえの、と星畑さん。

華村「あれ?すでにクリア済み条件?」
星畑「お前内面もかわいくねえな!」

見事なツッコミだ。
そんな星畑さん。こうやって女同士で過ごす高校生活っつーのも乙なもんだろと言って見る。
干からびた考え方ですのうと茶化す華村さん。

星畑「じゃあ華村。かわいい考え方ってなんなんだよ!」
華村「本当に・・・かわいいってなんなんだろうな・・・

そんなに真剣に悩んでたのかよ。
わりかし、かわいいは千差万別な気がしますからなぁ。
男としても答えづらい内容である。その時々に感じ方が違うものですゆえ。

というわけで、かわいいの例を出そうとする鬼ヶ原さん。

鬼ヶ原「みてみて。運んでてかわいい、お菓子をアリさんが〜!!」

なんともトンチキな発言だ。日本語の構成力も高校生離れしている。

星畑「さっき発言を遮られたからか、ここぞとばかりにキャラを打ち出してきたな」

そういう話なのですか。
どこを見ているのかわからない表情はなんだか可愛いと思えなくはなかったり。

華村「でもこうやって生物が好きな女の子って男にモテるんじゃないの!?」
星畑「生物をさん付けで呼ぶ女をかわいいと思うのか?

疑問ですな。現実でやられてもキャラ付けとしか思えない。マジでやられても困るし。

私たち人間の落としたバイ菌だらけのゴミカスにまですがって必死に生きようとしている卑しいその精神や、
私がその気になれば1分もしないうちに全殺しできる脆弱な肉体。
どれをとっても余りにも惨めで哀れなアリさんの頑張る姿はもえもえー

星畑「お前本当にそれでモテると思ってるのか!」

華村さんはいろいろとずれておりますなぁ。
目付き通り、ネコっぽい性格をしているのかもしれない。
そんな華村さんに星畑さんは質問。
いわゆるひとつの好きな人とかいう気持ち悪い概念の対象物はいるのかよ?

華村「いるよ!同じクラスの三波くん」
星畑「はぁー!?三波とかないだろ!あんなのもやしだろ。もやしが制服着て着太りしてるだけだろ!」
華村「三波くんを悪く言うな!もやしはミネラルが豊富なんだぞ!
星畑「もやしのフォローかよ

なんだこの会話。安くていいですよね、もやし。
星畑さんは課外授業のバスで三波くんと隣の席だったことがある。
そのとき吐かれて1日世話するハメになり最悪だったという。
それに対し、華村さんが一家言。

そもそもゲボなんてものは、どんな美男美女も私も珠も、常に胃の中にしたためてるのが現実だ!
吐いた奴と吐いてない奴の違いなんて胃と緯度経度が数センチ違いだけしかないんだ!
差別はやめろ!人類みなゲボ兄弟だ!

その数センチの差が大違いなんじゃないですか。さすがになるほどーとは言ってあげられません。

星畑「その理屈でいうと、排泄物垂れ流しもアリになってくるぞ。いいのかよ」
華村「三波くんならオッケーだ!私が面倒をみてあげたい!」
星畑「三波は犬猫以下かよ」

さりげなく、特定個人ならオッケーだと言い出した。
ゲボ兄弟は問題ないけど、排泄物は個人を選ぶだと?差別するな!いや、していいんだけど。

そういえば、もやしくんは猫が好きらしい。お前がもやしっていうなよ。

猫の真似をしたら、三波くんをおびき寄せられるのではないかと華村さん。
なんだかんだで、華村さんが一番三波くんをバカにしている気がする!

猫の真似ということは、全裸で全身毛ボーボーで四足歩行で会話もままならない状態だ。
ってそんな擬態レベルにまでする必要はありませんにゃー。

鬼ヶ原「ガスバーナーで――
星畑「にゃーとか言うな気持ち悪い・・・」

発言が被ると言うのをやめてしまう鬼ヶ原さん。
でも、今回のはちょいと聞き逃せない。ガスバーナーで何をする気だ!?

鬼ヶ原「今日みんなすると思った、真似。だだから持ってきたネコミミセット」

相変わらず妙な喋りだ。というか、なんでそう思った。ていうか、ガスバーナーはなんだったんだ!?

それはさておき。往来でネコミミと尻尾を身につける華村さん。
これは恥ずかしい。けど、ノリノリな華村さん。にゃん。ニャーニャーニャーニャー。
華村さんのこの姿に表情を歪めて震えだす星畑さん。

星畑「ばかやろお、かわいすぎんだよ華村あああああ

激しくきゅんきゅんしている!!
そうか、そういうキャラでございましたか。
確かに読み返してみるとそんな雰囲気が溢れている!

というわけで、ヨダレを垂らしながら華村さんの姿をカメラにおさめる星畑さん。
悲惨すぎて逆に撮りたくなったらしい。素直じゃありませんな〜

鬼ヶ原「華村、似合ってないからやめたほうがいい。正視に耐え難い」

いきなりなんという暴言!
珠も悲惨すぎるって言ってたという鬼ヶ原さん。いやいや、それはそういう意味ではなくですね。

星畑「まっまあ、逆におもしろくてアリじゃん!」
鬼ヶ原「こんなことに逆なんてないんだよ、珠」
星畑「なんで急に毒舌キャラになったのこいつ!?」

アリさんがかわいいとか言ってた、あの日の鬼ヶ原はどこに言ってしまったのだろうか。
急な毒舌キャラへの変遷は色々と危険だ!
人気が上がる可能性は低いとデータは示している!体感データだけど。

なに これ

割と収集がつかなくなってきた。
ので、星畑さんがネコミミをつけたらいいんじゃないかという話になった。
何で!?といいつつ流されてつけてしまう星畑さん。にゃあって言え。にゃあって言え。

星畑「にゃ、にゃあー」

なにそのポーズ?
バックタブルバイセップス?
うわ、グロ、きも、無理、ファック、シネー。

やらせておいて酷いセリフだ!泣ける。

まあ、なんだかんだとくだらないことを言いながら過ごす日常ってのも悪くないものですよ。
なんだかんだでこの3人は仲良く過ごしていそうだ。モテないだろうけど。



第6話 「夏がはじまる」  (2011年 52号)


登校中に挨拶代わりに男子を蹴り倒す女子。何をするだぁー。
中3にして183cmという高身長の持ち主である右澤秋さん。さすがにこれはデカイ。女子でなくてもデカイ。
どうでもいいけど、蹴った後の右澤さんは何を踏んでるの?何を踏んでるの?

この右澤さんに対してくだらない噂がある。実は男だという噂だ
低迷気味だった学校の女バレも昔は全国上位常連で名を馳せていたという。
右澤さんは2年の時に転入してバレー部に所属。以来負けなしの古豪復活という状況。
それゆえ、どっかの男バレから引っ張って女装させてるという噂が出ているらしい。むちゃくちゃですな。

その男子たちの噂話に女子の霜神さんが乱入。
誰も右澤さんが女っていう証拠を見たことがないとか言い出す。なんと。
更衣室で見たときの体は引き締まっていたらしい。下着はつけている。
修学旅行にはこなかったので確かな証拠はないけど、それもまた怪しい。

それにあの顔、あの身体能力、少年のような声。
教室では男と喋ってることの方が多いしね。

他はどうかしらないけど、顔は別に女の子っぽいじゃないですか。髪型の問題な気がする。

霜神さんがグイグイ迫りながら噂話をしてくる。
そんなもんだから、女子とまともに喋れない肥田くんは大変。ルビーのように真っ赤になっちゃう。うー。
その肥田くんは今日日直である。それも噂の右澤さんとペアでの日直だ。
この学校は日によってペアが変わるのか?

日直が一緒ということで積極的に絡んでくる右澤さん。いきなり叩かれた!日誌で。
女子が苦手な肥田くんはやたらともじもじしている。しゃんとしろや!
叩かれて痛がっているものだから、心配した右澤さんに服をめくり上げられる肥田くん。
別にセクハラとかそういうんじゃないよ。心配しているだけですから。やられている方はドキドキしてますけど。

右澤さんは、少し汗のニオイがした

何を言っているのかね少年。
興奮しているのかと思ったがどうやらそうではない様子。まだ若いな少年。
霜神さんはすごくいい匂いしたのに、とか考えている。
だからといって、右澤さんが本当に男じゃないだろうかとか考えるのもどうなんだろう。おかしいよ少年。

暑い夏の放課後。セミの声がうるさく響く教室に右澤さんを呼び出す肥田くん
別に色っぽい話をするわけではない。
日直なので1学期の道徳の教科書を図書室に返しにいかないといけないので呼んだのだ。
40人分あるから1人では難しい。分けて運べばいいじゃないと思わなくはないけど。

重いものをいきなり持ち上げたのでバランスを崩す肥田くん。
思いっきり右澤さんの方に倒れこみます、わー!!
そして右澤さんに抱きつく肥田くん。ラッキースケベってやつでございますか。どこの漫画の主人公だよ!

硬かった・・・いや柔らかかったかも。いやいやっぱり硬かった!?
女の子の体触ったことないからわからない

若いな少年。女の子の体は柔らかいものさ!たぶん。言われてみれば、触ったこと無いからわからない!

制服が汚れてしまったじゃないかとスカートをバサバサさせる右澤さん。慌てる肥田くん。
まあ、大丈夫ですよ。下はちゃんとはいてますから。えっ?
はいてないと思ったか?って、え?右澤さん何を言い出すの!?
ああ、スパッツをはいているという意味か。
女子がはいてないと思ったか?とか主語を明確にせずに喋っちゃいけません!ハシタナイ。

たくしあげられたのでまじまじと股間を見る肥田くん。
やっぱり女の子じゃないか?いや、収納できるテクニックもあると聞くし

そんなテクニックは聞いたことがないが。本当に何を考えているのだろうこの少年は。
じっくり見られたので殴る右澤さん。この行動は正しいと思う。このやろう。

このやりとりを経て、突然笑い出す肥田くん。
道徳の教科書を運びながら自分のことについて語る。

僕、女の子と喋るの苦手なんだけど、右澤さんとなら気兼ねなく喋れそうな気がしてきた

ある意味女子と喋れないことにコンプレックスを持ってそうな肥田くん。
その肥田くんからすると、気兼ねなく喋れそうな右澤さんの存在は珍しいんでしょうな。
まあ、それってようするに女の子扱いしてないってことですけどね。女だぞ女女女。

いやいや、どう見ても男じゃない!
大きいし、気も強いし、言葉も汚いし、力も強いし、乱暴だし。
実は男なんじゃないの?女子バレーじゃ敵なしなんでしょ。
だってみんな言ってるよ、右澤さんは実は男だって。

男男と連発する肥田くん。それに対し、足を止めた右澤さんは涙目で。

わたしは、男じゃないよ

走り去る右澤さん。立ち尽くす肥田くん。
ある夏の放課後。蝉の音は止んだ。

うわぁ。
こういう展開はあるかと思っていたが・・・これをオチに持ってくるのか!!
セミの声が止み、描き込まれていた背景まで消える最終ページ。切なさ満点である。
久しぶりに心が灰色になった!

これがまた、ありえそうな話だから困る。
子供の頃、調子に乗ってふざけすぎて泣かしちゃう流れと似たようなケースですな。
一応自分にはそういう記憶はないけど・・・心当たる人はいそうな内容だ。
そして、それを謝れないまま学生時代を終えてしまい、後で思い出して暗くなると。うわぁぁ。

途中までの流れであれば、恋愛物のパターンでありましたのにねぇ。
冒頭で右澤さんに対比するように女の子している霜神さんが出てきているのが厄い。
肥田くんは霜神さんの方を意識しているような感じだし、右澤さんとフラグを立てる気もなさそうだったしなぁ。
なんだかいい話に転がる気がしない!ヤバイ!
ここはアレだ。誰かが涙目になった右澤さんを見かけて気にして口説くとかそういう。
肥田くんは頼りにならないので、誰かそういうカッコイイ系のキャラに右澤さんは口説かれたことにしよう。
そして、高校生になったらいきなり女の子らしくなってるとかそういう展開になっていると。
うむ、補完できた。よい話だ。実際はどうかはわからないけど、私の中では補完できた。よかった!



第7話 「奴を見てる私を奴が見てる」  (2012年 1号)


下校中の女子高生。
今回の主人公は、北高2年生、栗山幹さん。ストーカーに悩まされているとのこと。
駅の下校ラッシュの高校生にまじり、奴はいる。
毎日同じ電車に乗ってきて、同じ駅で降りてくる。
まあ、奴も同じ近隣の西高みたいだし、ここまでは普通かもしれないけど。
バスまで一緒って、ありえないでしょおおおおおお!

ありえないのかな?
帰る方向が同じなら、そういうこともありえるんじゃないかと思うが。
しかし、登校時かと思ったら下校時なんですな。
それが毎日同じというのは確かに怪しい気もする。

ストーカーは怖い。だけど、このまま弱気でいちゃダメだ!
私は行動する
奴がストーカーという確固たる証拠をつかんで、いばいたる!右ラリアートで

なんという前向きな行動力。この辺りのノリは1話のいちごちゃんを想起させられる。
想定ストーカー君の住んでいる所はわかっている。
バスから降りたあとすぐの団地に帰宅しているのを見ているのだ。なのでここで張ってみる幹さん。

出てきた出てきたこのストーカー野郎め。
休日におでかけとかストーカーらしい発想だな
今日も私をストーカーする気だったんだろうな。

さすがにそれはいいがかりっスよ幹さん。
さらに、新しい発見をする幹さん。あれは・・・恋人!?

はい証拠1ぃー!!女好き!!
女好きじゃないストーカーなんていないもん!

うむ。まあ、そうですね。その通りだけど。うーむ。まあ、可愛い顔してるからいいか。ぐっ。

でもあれはきっとストーカーって悟られないための偽装彼女ね。
女に対し奴は抵抗が多少あり、微妙な距離感がある。バレバレだっつーの。

詳しいですな。
さらに、移動にバスを使わないことも見切っている。
歩くのが好きという会話をこれまでに聞きつけていたからだ。お前のことくらい、すべてお見通しよ!

駅に到着し、電車に乗る。もちろん幹さんも乗り込んで見張る。
じーっと見ていたら、向こうもこっちを見て来た。ばれた!?
うわあ、めっちゃこっち見てる。怖っ。

なんでそんなに堂々とこっちを見てくるのよ。普通じゃないよ。
みすぎみすぎみすぎみすぎ。こわいこわいこわいこわい。

あっ、今度は目をそらした。やましい気持ちがあるからだ。もう完全にストーカー決定ね!

それに、私にしかわからない、そう思う確かな行動を奴はしてるのよ。
まずはそのルックス。
なんで私が単髪好きって知ってるの。なんでジャケット好きって知ってるの!?
なんで車道側歩いたり、さりげない優しさが好きなの知ってるの?
なんで私がイチャイチャしたいって知ってるの?
本当は嫌なクセにベタベタされても嫌な顔しないでいてくれるの?
なんで私が高身長が好きなの知ってるの?
なんで私が肌が白い人が好きなの知ってるの?
なんで低い声の人が好きなの知ってるの?
なんでキレ長の瞳が好きなの知ってるの?

私の好きなタイプを徹底的に調べ上げて、それを全て実践してる執着心。怖い・・・怖い怖い怖い怖い。

怖すぎたので、ついに行動に出る幹さん。
降りた直後に男の肩を掴み、言う。

これ以上ストーカー行為はやめてください!

と言ってみたが、男の彼女に反論される。

っていうか・・・ストーカーはあんたでしょ!

いや全く。今回の行動を見ているとそうとられてもしょうがない。
間違いなく追跡という名のストーキングしてましたしね。
ずっと後をつけてきてたのもバレていたらしい。まあ、素人の追跡なんてそんなもんか。
そして、この女の人は男の妹であると判明。実の妹とデートだと?怖い。

追っていた私を泳がせて逆にストーキングしてたっていうの!?こわい

なんでそうなるの!?

相手はストーカーだと思い込んでいる幹さんには話が通じない。
この人怖いよ、アレもんだよと慄く妹さん。ところが・・・

ストーカーみたいな真似してしまい、すみませんでした幹さん!!

下校時、幹さんを見かけて一目ボレしちゃって。
でも女の子と仲良くなるのヘタクソで、どうしていいかわからなくてオレ。
幹さんの好きなタイプ調べ上げてそういうカッコしたり、
牛乳飲みまくって背伸ばしたり、クリーム塗って絶対焼けないようにしたり、顔も整形しました
でもストーカーって思われたくないから、妹を彼女のように見立てたりして、
遠くから幹さんを見ることしかできなくてオレ。

幹さん!どうかオレとつきあってください!!好きです。めちゃくちゃ!

急転直下の告白劇。でもダメー。

誰がつきあうかあボゲエエエエ!!
ストーカーのコレもんがああ!2度と私の網膜に映るなよ!おおっ!?

崩れ落ちるストーカー君。妹にまで最低ーまじしんでーとか言われちゃう。哀れ!

そして幹さんは満面の笑顔。やったやったやったった。
右ラリアートでストーカーいばいったったー

なんという嬉しそうな笑顔であることか。可愛い。
だが、ひとつ言いたいことがある!
幹さんの技はラリアートじゃなく、アックスボンバーではありませんか?
腕を曲げたらラリアートじゃありませんですよ!
改めてちゃんとしたラリアートを決めに戻ったりして。なにそれ怖い。

いやぁ、今回は凄かった。
タイトルの怪しさもあり、また病的な主人公という展開か!?と思いきや。いや、病的ではあるとは思うが。
この展開は面白い。相手をストーカーと見立てたストーカーと思いきや、本当に相手はストーカー。
想像で語っていると思われたことが全て的中しているという内容。
そして、告白されたけど、初志貫徹していばいたる幹さん。
展開が1回転半捻りを加えられた感じがして楽しかった
この回により、オチが来るまでどういう展開になるのか読めない漫画になったといえる
ううむ、この作者の才能を侮っていたやもしれぬなぁ。

前の鳴田さんの鬱回のときに、捻りが欲しいところだという感想を書いた覚えがある。
今回は見事な捻りでしたな。こういう回があるとオチが読めなくなって大変よい。
逆に、このためにストレートに落とす鳴田さんの回があったとも思えてきた。
これからも楽しみだぜ!



第8話 「生きるということ」  (2012年 2+3号)


昼食時間に教室を抜け出す女の子、輪田さん。それを目で追う男、松井くん。
今回はこの2人のお話です。

体育倉庫に移動し、一人でお弁当を食べようとする輪田さん。
そこにやってきたのが松井くん。扉への手のかけ方がなんだかナンパっぽい
! 輪田さんとしては、一人でお弁当なんてみじな姿を見られたくないなと思っている様子。
その輪田さんに対し、手に持っているものを食べないの?と促す松井くん。
促されて、お弁当のミートボールを摘んだところで、松井くんの実況が始まった

生物の頂点である人間の輪田さんが数多の犠牲でできた食物をたった今食べ始めたー!!
まずはミートボールから攻めていったーっ!
眼球で対象物を照準し、肩と腕と手で箸を運び器用に捕らえて、口に運んだー!!

口に入れた!顎筋を使った!飲み込みやすいように歯ですり潰した!
その運動を舌で補助した!食物を摂取しやすいための生物の叡智だ!!

喉筋を巧みに使い蠕動運動。通すぜ食道!!食物をぶち込むぜ胃袋!!
そしてそれを胃腸が消化して活動エネルギーへと変換す!!
今日のエネルギーを使い、明日のエネルギーを得てるこの未来への1歩の瞬間!!
燃えるぜうおおおおお!!

まるでスポーツ実況のようによどみなく喋る松井くん。いきなりなんだー!?
ミートボール1個食べただけなのに、ギュウウウウンと音を立ててエネルギー変換される音が聞こえてくるようだ。
松井くん曰く。

輪田さんの食べてる姿は美しい

とのこと。それを聞いた輪田さんは冷静な様子。咀嚼してお茶を飲む。
なんかの罰ゲームでもやらされてるの、と懐疑的な様子。いきなり美しいとか言われても受け入れられないか。
だけど、その様子を見てヒートアップする松井くん。

ほらでた!喋る前には口の中のものをちゃんと飲み込んでから喋る!!
教室の女子なんて噛みながらふごふご口開けて喋ってるっていうのに!!

大体口って1つで役割任せられすぎなんだよ。食と発声と呼吸だぜ。エースで4番で主将かよ!!

言われてみればそうですな。呼吸は鼻でもできるけど。
それはともかく、松井くんが衝撃の告白をしてくれます。

実はオレ・・・女性の食事する姿が、セクシーすぎてたまらないんだ!!

食ってさ、食欲だよ。欲だよ欲。本来とってもプライベートなものであるべきなんだ
なのに学校が男女一緒に交わらせて昼食させるなんておかしいと思うんだ!!

ほう。言われてみればそんな気がする。
人間の三大欲求といえば、食欲、性欲、睡眠欲である。
たとえば睡眠欲。男女が一緒に睡眠などけしからんと言われるのが普通。学校でも奨励しない。
性欲なんてもっとストレートにいかん。いかんいかん。
なのに何故、食欲はオッケーなのか?確かにおかしい。
でもそれで禁止されても面倒くさいだけなのでおかしいままでよい。間違っているのも大事だ!
とはいえ、松井くんは疑問を呈する。

人前で食事するなんて下品すぎる行為!!もっと恥じらいを持つべきだ!!
輪田さんもそう思うから1人きりでこんな所に隠れて昼飯してたんだろ!!オレの同志なんだろ!!

いえ、そういう話ではないと思いますが。
寂しい一人飯という話かと思いきやとんだ展開だよ!
否定しようとする輪田さん。食べている最中だったので咀嚼物が丸見えだ。興奮する松井くん。ふん、ふん。

でも下品な輩の咀嚼物なんてただただ不快なもんさ。駅や電車でパンツ丸出しな学生と一緒。
でも恥じらいをちゃんと持ってる輪田さんの咀嚼物だからこそ情熱を感じるんだ

やっぱり恥じらいは重要ですよね。
なんだかんだで要所要所で納得できることを言うから困る。

そうこうしているうちに完食は目前である。たいらげるねぇ。強欲ぅー。

輪田「人が食べてるところ、あんまりしげしげ見ないでよ気持ち悪い」
松井「見るなと言われると見たくなるのが男の性(さが)さ

これもまた分かる話である。
恥ずかしがって背中を向ける輪田さん。だけど、その行為は余計に松井くんを興奮させる。

可憐で清楚な輪田さんが欲を満たしています!!
僕という男の前で欲を満たしています!!
欲望のままに!本能のままに!食べないと死ぬから!これが人間だから!
食は生きようとする生物の性だから!!

喉を通した。胃に入れた。この女消化する気だぞ。そして消化しきれなかったものは――

さすがにそれを言及されるのは止められました。
恥ずかしさにも限界というものがありますよね。
松井くんとしてもそこがポイントというわけではないので、止められても問題は無い。
しかし、背中を向けて恥ずかしそうにしている輪田さんはそそるものがある。食欲的な意味ではなく。

輪田さんのあまりにも甘美な食事姿に興奮しちゃった松井くん。
いつもここで1人で食べているという輪田さんに、よかったら今度2人で一緒に食べない?と持ちかける。
この申し出に、恥ずかしげに目をそらす輪田さん。うー
おやこれは。割と脈あり?一人飯を回避できるチャンスと捉えているのかもしれない。しかし。

わああああああああ。やっぱ今のなしいいい。
オレは高校生のクセに女の子と2人で食事とか何を言ってんだ!!
セクハラにも程があるぞ!!最低だオレ

ごめんね、さっきの忘れて。じゃっ。

手を上げて去っていく松井くん。
お腹いっぱいの不快を残して彼は去っていったのでありました
そりゃ輪田さんも真っ白になるしかないってもんですよ。
最後のセリフでちょっと気を惹かれちゃったもんだから余計にそうするしかない。困ったことだ。

食欲も欲であり、人前に簡単にさらすべきではない。その主張はよくわかりました。
では感想を人目に晒すという行為はどうなのだろうかと愚考する。
これも、自分の思ったことを見て欲しいという自己顕示欲がなせるワザではないだろうか。欲だよ欲。
本来は内に秘めてしかるべきな欲をネットで大々的に曝け出す!こう考えるとなんて恥ずかしいんだ!
でもそれが楽しいってことは、そういうアレなソレだったりするのだろうか?変態!?

まあ、それはそれとして。
一人で飯を食うのが寂しいのであれば、一人で感想を書くのも寂しいってもんじゃないだろうか?
もしいるならば、一緒に感想を書いてくれるチャンピオン淑女とかいないものだろうか。
ってうわああ!私は紳士のクセに淑女と2人で感想とか何を言ってんだ!!セクハラにも程があるぞ!!最低だ私。
というわけで、今の発言は忘れてください読者様。じゃっ。



第10話 「ガガスバンダス」  (2012年 6号)


感想が難しい話がやってまいりました。
さてさてどう書き進めるべきか。とりあえず始めてみましょう。
便宜上、今回はパートを区切りながらの感想になります。

Aパート
小学生5年生の3人組が下校中。
真ん中を歩くぷかぷか言わせている女の子は、5年3組の三本憐ちゃん。
入学時にお婆ちゃんに買ってもらったランドセルを大切に使っている。
いい子であるなぁ。そんな部分を友達にからかわれたりもする。からいいでゲスな〜〜

ここで黒いコマが挟まる。なんぞ?と思ったが、後で明らかになります。

Bパート
下校中の3人。憐ちゃん以外の子が口に出した単語はガガスバンダス。みんなもやってるでしょ?
そう言われるが、憐ちゃんはガガスバンダスが何かはわからない。

出た出た、憐の小学生だからまだ何も知りませんアピール!
ぶるねーカマトト

なに、カマトトぶるようなものなのか、ガガスバンダス。
11歳にもなって知っていないと恥ずかしいようなものなのか?ださいの?
ちょっと大人な話題なのかな、ガガスバンダス。
知らないって言って2人にバカにされるんも嫌なので、本当は知ってるよと見えを張る。てへ!

ガガスバンダスは炊きですべてが決まるという情報が飛び出す。炊くものなのか
何かを何かで炊くのがガガスバンダスらしい。
というわけで、2人でせーのとしながら炊くものを口にする。せーのっ。

「女のプライド」
「好きな人の笑顔」

なんだろうこれは。
具体的に言うと、「女プラ」を「アイツの雪かき機」で炊いてるからちょうどいいとのこと。
北海道産はホノモノだからリアル系ストレートなミックスでありになるらしい。
もう一人は「好き笑顔」を輸入物の「少女の残酷な裏切り」で炊いているらしい。

意味不明意味不明意味不明。憐ちゃん大混乱。
でもバカにされたくはないので、適当に答える憐ちゃん。

「おばあちゃん」を「ランドセル」で炊いてガガスバンダス。

えええええええええ「優しいおばあちゃん」を「思い出のランドセル」で炊くの〜!!?
それは攻めすぎぃ!ガガスバンダス廃人じゃん!
うわうわうわやばいやばいやばい、鳥肌立ってきたよ!
仮にその発想があっても実行できるのがクレイジーすぎる!

なに、そんな凄いことだったの!?というか、炊くってどういうことなの。実行するものなの?
とにかく、次元が違うぐらいにすごいことだったらしい。

ここでまたも黒コマが挟まる。

Cパート
下校中。クラスの半分以上はガガスバンダスに手を出しているとの情報が明らかになる。
ここで憐ちゃん、本当はガガスバンダスを知らないんだと告白。
だが、素直な言葉に素直な受け答えは返ってこない。

出た出た。「ガガスバンダスとは?」
ガガスバンダスはまずガガスバンダスとは何か哲学するところから始まるからねー。

学してるねー哲を

知らないわけないじゃんと言い募る友人たち。
でも、その雰囲気に流されることなく、本当に知らないんだと言ってみせる憐ちゃん。正直に。てへ。
しかし、どうにも話が通じない。
「ガガスバンダスを知らない」っていうのもガガスバンダスの一環の中のメタ的表現で言っているとか思われる。
ガガスバンダスしているのかしていないのか、ガガスバンダス抜きで答えてもらうことになる。
せーの、で発言。ガガスバンダス。

ここでガガスバンダスが出ないってことは本当にガガスバンダスしていないことになる!
これは危ない。ガガスバンダスのやりすぎでとんじゃったのかもしれない。
ガガスバンダスは体に害はないし健康にもいいけどやりすぎはやばいらしい。
大切なものでガガスバンダスするとガガスバンダスから戻れなくなる。

何がなんだかわからない。はめらているかのような心境になる憐ちゃん。

ガガスバンダスのしすぎでもうかなりまわっちゃってるのかもと友人。
まわりすぎてガガスバンダスを知る前の憐ちゃんに戻っている可能性があるらしい

もしかしてその大切なランドセルで大好きなおばあちゃんを炊いてガガスバンダスしちゃったんじゃあ!
えっ、セルフで!?それは絶対やばいよ!そんな大切なものでガガスバンダスなんかしないでしょ。自殺行為じゃん!

セルフでは炊けないものなのか?
というか、ガガスバンダスって本当になんなのよ。
この状態が深刻な状態のガガスバンダスと言われてもわからないよ!

黒コマ。

Dパート
直前のコマまでは激しく言い合っていたはずなのに、再び穏やかな状態になっている3人。
というか、憐ちゃんは何やらぷかぷかしている。ふー。

その様子に気付いた友人達。アレやってるの?と尋ねる。
アレというのは、やはりアレのことですかね。完全に炊いてるなとか言ってますし。
そして、今何週目?なんて発言も飛び出てくる。

なんのことだかはやっぱりわからない憐ちゃん。
でも子供だってバカにされるのは嫌なので、そうそうソレソレと見えを張る。てへ。

てな形で12ページ終わりました。
最初読んだときは、よくわからない話をするけど、女の子が可愛いぐらいにしか思っていませんでした。
しかし、読み返してみると色々と気付くことがありました。
まず、4ページずつの区切りで同じような絵が描かれていること。
コピーと見まがわんばかりだが、地味に変わっている。後ろの薬局の名前とか人物の特長とか。
というか、実は12ページの間に憐ちゃんの名前が2回ほど変わっている

Aパートは5年3組の三本憐ちゃん。ランドセルにそう書いてある。
黒いコマを挟んでBパートでは三元憐ちゃん。クラスも5年2組になっている。
そしてCパートでは三下憐ちゃん。クラスは5年4組だ。

そこに気付いてみると、色々見えてくる。
A〜Cパートで憐ちゃんの髪留めが変わっている。シャツの柄も違う。
友人達も、ギザ歯が八重歯になったり、尖ってる部分がなくなったりしている。リボンも変わってる。
もう一人の子も髪留めが消えていっている。

連続した同じ話に見せて、パラレルな話だったということなのでしょうか?
あの黒いコマがパラレル突入の入口!?
ちなみにDパートはAパートと同じ姿になっている。
最終ページから扉のセリフがないコマにつなげると、似た内容の4ページが3つという構成になる。

その辺りに気付いてみると、今度は最終ページの何週目?という言葉が気になってくる。
実はパラレルなだけではなく、タイムリープしている?
Bパートでガガスバンダスを知っていると見えを張ったらああなった。
Cパートで知らないんだと正直に言ったら、なんだか大変なことになった。
まわりすぎるとよくないとか言っているし、そういう可能性もあるのだろうか?

Dパートで憐ちゃんがぷかぷかしているのは、まわって楽しんだということなのでしょうか?
というか、これは楽しめるものなのか?
そもそもガガスバンダスでいうところの炊くというのはどういう行為なのか。
タイムリープだというのなら、炊くという行為がどう繋がるのか?

なんて感じで学を哲しちゃう回でした
実際のとこ、考察しても答えが出る気はしません。こんな感じかなーまではいくだろうけど。
特にガガスバンダスがなんなのかについては答えが出る気がしない。Bパートの受け答えは謎過ぎる。

でもこうやって、流し読みではわからず、深く読んで考察した感じになれるってのが重要なんじゃないでしょうか。
気になる作品を何度も読み込んでガガスバンダス。
不思議と語感がよいから困るぜガガスバンダス。ふー。



空が灰色だから 2巻


第11話 「僕の家の隣の家のお姉さんは」  (2012年 7号)


今週は、17歳高校2年生のお姉さんと、15歳中学3年生の男の子のお話です。
蒔田瑞穂さんと本村拓也くん。
2人は家が隣の幼なじみという関係。
拓也くんは瑞穂さんのことをみず姉と呼んでいるらしい。ほほう。

15歳の拓也くんは受験生。瑞穂さんがいる学校を受験しようとしている。
瑞穂さんは勉強ができ、高校でも学年10位という成績の持ち主。
なので拓也くんに勉強を教えているようだ。羨ましい話ですな。

勉強の途中で、瑞穂さん。見学がてらうちの文化祭にこいよとチケットを渡す。
どうやら瑞穂さんのクラスはコスプレ喫茶をやるそうな。ほう、コスプレとな。
瑞穂さん自身はコスプレはしない、裏方リーダーだと言う。それは残念。

拓也くんのお母さんは瑞穂さんをベタ褒め。
頭もよくしっかりしていて行儀も良いとのこと。
しかも胸がド派手である。そりゃあベタ褒めもされるさ!

さて、文化祭当日。
忙しく立ち回っている裏方リーダーの瑞穂さん。だが、メイド役の子が病欠してしまっている。そこで。

私がメイドに!?え!?私がメイドに!?

何故2回言った?
ともかく、代打ということで瑞穂さんがメイドをやることになった。
そのド派手な体であれば大丈夫ですよ。というか、メイドは派手じゃなくていい職業っショ。本来は。

なんじゃこりゃ!

とても不謹慎な格好のメイドが現れました。胸も目立つが下も目立つ。
というか、なんでこのメイド服は股の辺りが張り付いているのでしょうか。濡らしてるのか?
原理はわからんが、ともかく不謹慎でよろしい。

そんな格好で宣伝させられる瑞穂さん。格好悪いと本人は言うが、そういう話ではないと思う。
恥ずかしがりながら看板を持って宣伝して回る瑞穂さん。
そこに副委員長登場。こんな醜態、知人に見られたら私のイメージ像が崩れる!と逃亡する瑞穂さん。
そこに折りよく拓也くん登場。

拓也!よりによってここに来ての拓也!
拓也にだけはこんな格好悪い所見せられない。

ならば毅然としてたらよいんじゃないでしょうか。どえらい格好ではあるが、堂々としていればよいのさ。

コスプレ喫茶でメイドの店番は13時からであるという情報を副委員長から聞く。
つまり、拓也くんが客として来ると言うわけですね。ぬぬぬぬぬ。
この事実に裏声をあげて逃げ出す瑞穂さん。今日は逃げっぱなしだな。
でも、責任感だけはあるのでちゃんと店にやってくる。
拓也くんはさすがに幼なじみだけあってよくわかっておる。

コスプレ喫茶はメイドだけではない。
バニーにナース、女王様にアニメ、etcと揃っている。不謹慎な店だな!

そこに拓也くん登場。瑞穂さんの近所の中学の後輩だと自己紹介する。
というわけで、拓也くんの接客は瑞穂さんが担当することになりました。

よくぞここまで来たな拓也。褒めてやろう。
褒美として私直々にこの席に座ること許して給うわ。

メイドじゃなくて一国の魔王みたいになっている!
毅然としていたらいいじゃないとは言ったが、それは何か違う!

拓也くんの前では格好いいお姉さんでいなくてはいけないと思っている瑞穂さん。
メイドみたいな接客態度はできないと意地を張っている。

注文は「午後の黒い瞳」でいいか。要はブラックコーヒーのことだ。好きだろ。

どうして、こういった文化祭のメニューは独特の名前をつけるのだろうか。
商品の名前を尋ねられてのコミニュケーションとかが目的なのかしら。

おい拓也。できたからこれくらい自分で取りにこい!

もはや身も蓋もなくなっている瑞穂さん。
そんな状況で、椅子に足をひっかけ、淹れたコーヒーを他の客に浴びせてしまう。あ。
思わぬ事態に涙目の瑞穂さん。
それを尻目に素早くフォローに回る拓也くん。
上着を脱がせ、ハンカチを差出し、連絡先を教えてクリーニング代を請求してくださいと頭を下げる。
うーむ、なんという手際のよさ。これはすごい。
瑞穂さんはただ謝ることしかできずにいるのでした。

コーヒーがぬるくて惨事はまぬがれました。汚れただけで済みましたね。
お客さんもいい人だったので騒ぎにならずに済んだ模様。
クラスメイトは拓也くんの手際を褒める。それに対し拓也くん。

みず姉の幼なじみもう10年以上やってますから。こんなトラブルよく慣れています

あーなるほどー。委員長は頭だけはいいけどどっかズッポリ抜けてるもんねー
納得するクラスメイト。

みず姉の高校生活が心配なので、来年はがんばってここを受験するつもりです!

力強く宣言する拓也くん。やー、しっかり者の弟分がいてよかったね瑞穂さん。

拓也!私をそんな風に見ていたのかーっ!!

えっ、どんな風に思われてると思ってたの?

これはよい反面教師でございますね。
母親が、瑞穂さんのおかげで拓也くんがしっかりしてきたと言っていたのはこのことだったのか!
読み返してみると、冒頭から色々やらかしている瑞穂さん。
あれこれぶつけて倒すし忘れ物はするし。そりゃ拓也くんもフォロー上手になるってもんさ。

今回は素直に楽しい話で終わりました。
まあ、拓也くんのフォロー力があってのことでしょうけどね。
しかし、この作品は最後のオチが来るまでどういう展開になるかわからないから困る。
私はドジっ子じゃないよと泣いて走り去るオチだってありえた!
まあ、それまでもずっと走り回っていたのだしそのオチはなかったでしょうけど。

しかし、これまでの回の例があるので最後まで油断ならないというのは本当である。
これも魔術。単純な突き技も、これまでの変幻自在な手口によって妖しげに見えるって寸法だ。
だからこそ、一度見たあとは落ち着いてもう一度見直して楽しむことができる。
細かなギミックは毎回盛り込まれている漫画ですし、見直す楽しみってのがありますやねぇ。
ふーぷかぷか。今何週目?



第9話 「おはよう」  (2012年 4+5号)


23歳、大人の女が小学生の女の子に・・・!?
なんてアオリから始まる今回。
表紙のせいもあり、23歳の女性が小学生の格好をするのかと思ってしまった。いやぁ厄い厄い。

元気に登校する小学生軍団。
その集団とすれ違う女性。その女性に丁寧に挨拶する女の子。ほうほう。
割と目にする日常でありますな。
でも、今回の主人公である真角さんはいつも挨拶を返せないでいる。
なんせ口下手ですから。
可愛い女子児童にいきなり挨拶されては固まってしまうのは無理もない。その気持ちはわかる。
でもどうやらいつも返せずにいるらしい。何回もされているなら慣れましょうよ。

勤務先の小物売りっぽい所に到着。
挨拶をしてみるけど、声が小さくて聞こえてなかった様子。
接客業なんだから、もっと声を張り上げないといけないのだが・・・口下手には辛い。
口下手なので、5歳も年下の相手にも敬語を使ってしまう
これは私もやるけど、社会人だとあんまり年齢は気にしないからなぁ。すすすみませんだ。

小物を買いに来た女の子と親しく接することができる18歳の横丸さん。すごいなぁ。
去っていく女の子は笑顔である。よいね。きゅんきゅんするね、真角さんが。

私もあの子と挨拶を交わし、その先の笑顔を見てみたい

そんなことを考える真角さん。いえ別に不穏当な気持ちでの発言ってわけじゃないですよ。念のため。
口下手を治す為に大事なこと、それは気持ちと向上心
店長にそのようなことを言われたので、真角さんは頑張ることにした。
少しだけでも私は変わりたい。
気が明るい人や人生を強く生きている人や傍目の普通の人からすれば、こんなことバカらしいと思われるかもしれないけど。

あの子に挨拶を返したい

その思いゆえに、アパートで発声練習を繰り返す真角さん。おはようございます!にっ。
深夜0時を過ぎても行われるトレーニング。その内容はこうだ。

朝7時〜8時、昼11時〜13時(休日)、晩23時〜0時。
おはようございます1000回+笑顔。

発声練習。
うれしいたのしいだいすき、100回。

これらを毎日必ずやる!笑顔忘れず!発声はお腹から!

これだけのトレーニングを行ってまだ声が出せずにいるとは・・・どれだけ口下手だったというのか。
でも、その甲斐あってか、お隣さんにうるさいぞと怒られるぐらいになりました。やったね。

トレーニングの間は遠回りしてバイトに向かう。バイトなのか。
あの子に中途半端なおはようございますなんて言えない

過酷なトレーニングは確実に実りつつある。店での挨拶もハッキリしてきている。
でも年下相手でもタメ口とかは難しいのは変わらない。わかったぜす。

・・・そうだ、児童相手におはようございますはないな。ございましてちゃダメなんだ。
タメ語か・・・タメ語なんて家族か独り言くらいでしか使ったことない。

というわけで、おはようございますトレーニングをおはよう!トレーニングに改める真角さん。
なんともはや一生懸命でございますなぁ。
そんなこんなで一週間。完璧に仕上がっている。
苛め抜いて鍛え上げた表情筋と喉筋がどんなおはようを繰り出すか私にも想像がつかない。

トレーニングの成果を試すべく、今日は遠回りをしない。
小学生の集団、いつものあの子に向かい合おうとする真角さん。

それもすべてはあの子のため。
こんな私に毎日おはようと言ってくれた、あの子の挨拶の向こう側の笑顔を見たいがため。
この子に世の中の大人も、つまらない奴ばかりじゃないと知ってもらうため。

おはようございますっ!!

おっ、ござっ、おはよう

言った。言っちゃった。っていうか声全然出なかった――

あれだけのトレーニングをしてみたが、やはり本番は違うということか。
真っ赤になってしまう真角さん。

おねえちゃん、会うの久しぶりだね。

挨拶の後、さらに満面の笑みを見せて話しかけてきてくれた。おぉう。
まさかフリートークをぶちこんでくるとは〜!!
この想定外の事態に慌てまくる真角さん。へい、せうでげすね。ふがふが。歯抜けかわいっ。

思わぬ返しを受けて大いに動揺する真角さん。明日からはべしゃりを鍛えないとと思うのでした。

やあ、いいですね。通勤中の朝が楽しくなれそうなお話ですね。
自分も口下手なので気持ちはかなりわかります。
でもそんな自分でも強く生きてはいます。少女に声をかけられることはないけどな!
逆に考えると、弱弱しくしていればそういうチャンスもあるということなのだろうか。いや、なんか違うな・・・
む?声を出すことより、少女と知り合うほうに思考が寄って行っている!アカン!!



第12話 「ネガティブスリーパー」  (2012年 8号)


ブレイク寸前!大声援感謝のセンターカラー!
孤独の才能ついに開花!?とアオリが入っています。
期待されている感じが伝わってきますなぁ。
でも、このカラー。作者の名前が間違ってるじゃねぇか!!共美ではなく、共実だよ!!

まあ、そういった誤植はチャンピオンじゃまれによくあることですしなぁ。
というわけで、本編。受験を控えた中学3年生の女子3人のお話だ。

1学期の中間試験。
髪で目が隠れた少女、美緒ちゃんの国語の成績は72点。
これじゃ三高に行けないよ。睡眠時間削ってでも勉強しておくんだったとお嘆き。
その美緒ちゃんに対し、その程度の点数で不幸ぶってるんじゃねぇぞと語りかける少女。
困った感じの眉毛が特徴的な璃瑚奈ちゃん。彼女の点数は38点。これはあかんたれすぎるよ!

がおおおおおおお!!

点数を見せ合っているなか、突然教室で吠える少女が1人。
八重歯がキュートな翔ちゃん。なんだ、テストの点が悪かったのか?
いえ、ライオンのモノマネの練習でした。なにこいつ!

昼の掃除の時間。3人でお喋り。
璃瑚奈ちゃんは、勉強のしすぎで全然寝てないという。あの点数で!?

璃瑚奈「たったの9時間しか寝てないわー!!」

これは見事なつっこみ待ちの言葉ですね。よくやるよくやる。
むしろ寝すぎなぐらいだよ!勉強してない私でも7時間睡眠だよと美緒ちゃん。

翔「私は昨日3時間も寝てしまったー」
美緒「それは寝なさすぎだよ!みんな感覚ズレすぎだよ!」

勉強しすぎでも体壊しちゃうよと美緒ちゃん
。 だがあいにく、翔ちゃんは勉強していたわけではない。帰ってから朝までずっとテトリスしてたそうな。

翔「今だ!出すんだ!必殺ジャンプ中、弱パンチ!

テトリスしてたのに、何故格闘ゲームの動き?
翔ちゃんにとっては、ゲームは全てテトリスと表現されるのだろうか!?

それは置いておいて、殴られるままにしておいて、璃瑚奈ちゃんに語る美緒ちゃん。
睡眠時間減らしてでも勉強しないと三高に行けないよ。

璃瑚奈「寝むてーこと言ってんじゃねえよ。この場で寝てやろうか!

凄い脅し文句だ。どこかで使ってやろうか。
美緒ちゃんの言葉に反論する璃瑚奈ちゃん。
日本では未だに睡眠時間の長短が努力の秤にされているが、
欧米ではシエスタといっかいってむしろ昼寝休憩を設けて能率アップしているという結果もある。
って昨日ネットサーフィンしてたら見かけたらしい。

なるほど。確かに昼寝の時間とかあるといいよね。
食べた後は眠くなるものだし、そうやって能率をあげるのはよい話だ。太りそうだが。

璃瑚奈ちゃんはさらに言う。睡眠時間の長短も人それぞれ。個性なんだよ、と。

長時間睡眠の生活傾向の人間は創造性に長けていて天才が多い。とネットに書いてあった。
たとえばアインシュタインなんかがロングスリーパーでしたか。

翔ちゃんのように短時間睡眠の生活傾向の人間は活動的で、特に偉人が多いらしい
有名どころではナポレオンか。この人も3時間睡眠でしたな。
でも、馬での移動中とかいろんなところで寝てたという話もある。ネットで見た話だが。

そして、平均睡眠時間の輩はただのスリーパー。凡人である。そりゃ凡人が一番多いしね!

偉人タイプと評された翔ちゃんは相変わらず美緒ちゃんを殴り続けている。

翔「実戦のケンカでジャンプしたうえに弱パンチ!しゃがんだかと思えば中パンチ!奇抜すぎるファイトスタイル!わはは!」

誰もが疑問に思いながら、口には出さずにいることを言ってのける。
そういう意味では活動的であり、偉人タイプといえるのかもしれませんな。
まあ、単に傾向が多いってだけの話でしかないんでしょうけど。

美緒「偉人や天才と自分のわずかな共通点を照らし合わせて安心して怠けるのはよくないよ

これは耳に痛いお言葉
。 でも、睡眠時間に関しては傾向じゃなく体質なんだよ。いや、才能っていうべきかもしれない。

短時間派の人間の特徴として、活動時間が長いのはもちろん、活発的で社交的で好奇心旺盛な性格が多い
バイタリティの塊みたいなもんだ。

一方、長時間派の人間の特徴というと、活動時間が短いうえに内向的で非順応的で繊細な性格が多い

璃瑚奈「マイナス!マイナス!そしてまたマイナス!生まれながらにして借金生活!」

せめて私みたいなネガティバーが活動時間の多い短時間睡眠であるべきだろ。
ポジティバーは才能とか時間とか友達とか幸福感とか欲しいものを手に入れすぎだろ。

うむ・・・なんだか凄くよくわかる話だ!
かくいう私も長時間睡眠な傾向がある。まあ、基本は平均時間型だが。
でも、休みの日なんかは長時間寝てしまうことがある。おかげで感想がいつもギリギリだよ!
やりたいこと色々あるのにー活動時間がもっと欲しいよーネガネガ。

余談だが、内向的な人間はうつ伏せで寝ることが多いらしい
おかげさまでごらんの通りだよ。
胸の大きさも寝方によって変わると申すのか?
確かに翔ちゃんは大きいし、そういうこともありえるということなのか!?

私はうつ伏せでは寝れない方だから、内向的ではないらしい。やったぁ。
ま、所詮傾向にすぎないって結果がわかっただけですけどね。ネガネガ。
でも、前向きには生きているのです。そういう才能がなくはないのです。

ネガティバーな璃瑚奈ちゃんを頑張って説得する美緒ちゃん。
とはいえ、軽々しく睡眠時間を縮めろ縮めろと言っているけど・・・
それは黒人スプリンターが日本人スプリンターに、10秒台切れないなんて努力が足りないよ。怠けてるなヘイボーイ。
って言ってるようなもんんだ。睡眠時間こそ才能だけの世界だ

凄くわかる!
必要な睡眠時間は個人差があるのだから、縮めるのは大変なのだぞ!
これを縮めるのは日本人が陸上でメダルを取るに等しい偉業ってことだぞ!いや、さすがにそこまでは。

美緒「璃瑚奈ちゃんはネガティブっていうか、言い訳が達者なだけだよ」
璃瑚奈「言い訳の上手さもまた才能よ

それはそうかもしれませんね。

璃瑚奈「言い訳の才能があったおかげで、私は1度も大きな壁にも様々な試練にも当たらず回避してこれたんだ」

自分にも言い訳ができるわけですからねぇ。これは便利な才能とも言える。
その結果が38点。経験値取り逃しすぎの人生。だが、それでも気楽に生きれたらいいんじゃないかなーと。

翔「すごい!窓の汚れが人の顔に見えてきた!みんな笑顔でみんな仲良しだ!」

いかん、もっと気楽に生きていそうな人がいた。これがポジティバーってことか。
偉人天才が多いとはいうものの、そういう人は奇行が目立ったりもするという。
そんな感じの翔ちゃんなので、テストの結果は100点満点。天才じゃん。

これだけの成績を残しておきながら、問題を解いただけだよ?と言ってのける翔ちゃん。天才め。
この成績なら、名門の一高にだって入れる。
だけど、翔ちゃんは三高に行くという。みんなと一緒にいたいから

うーん。そんな可愛いことを言われたら頑張るしかないじゃないですか。
璃瑚奈ちゃんもメダリスト並の気合を入れるしかないと考える。よい話だ。
受験勉強を控えた学生たちには励みになるような、ならないような話ですやね。

翔「一高も三高も、所詮高校レベルの授業だからどっち行っても変わらないし

堂々と言ってのけおった!天才め。
短時間睡眠派になれば、このぐらいのことが言えるようになるのかな〜
でも、眠いのは眠いし、寝たいときは寝たいですし。
正直、個人的に欲求の中で一番堪えがたいのがこの睡眠欲ですし。

睡眠時間は体質から変えていくしかないってことなんですかねぇ。
ちくしょうめ。この場で寝てやろうか!スヤスヤ。



第13話 「金魚」  (2012年 9号)


今回の主人公は、中学1年生の川本蘭さん。
多感なお年頃ではありますが、この子も悩みを抱えているようであります。

クラスメイトの誘いをきっぱりと断る川本さん。
先ほどは笑顔で誘ってきたのに、断ると途端に表情を変え、罵倒するクラスメイト。
なんでみんなあんなにすぐに顔を変えることができるのだろう

電車の中でのこと。
見知らぬ男子生徒が友達と騒いでいる。が、友達が降りて1人なると静かになる。
急に静かにした今はどんな顔をしているのだろう。

子供にバルーンアートを施している顔を隠した大道芸人。
その着ぐるみの中ではどんな顔をしているのだろう。

こんな時間に公園のベンチで黙々とコンビニ弁当を食べているサラリーマン風情の中年。
家族の前ではどんな顔をしているのだろう。

インターネットのサービスのプロフィールのアイコンは、なんでみんな顔ばかりをトリミングするのだろう。

トレンディドラマの登場人物の心情を視聴者に伝えたい時、なんですぐカメラ一杯に顔に寄る演出をしたがるのだろう。

感情は顔に表れる。表情ってのはそういうものなんでしょうね。
だからこそ、色んな場面で使われるものである。
アイコンを顔にするのも、やはり、その顔であるってことを示したい現われじゃないかな、うん。
確かになんでと言われると困るんですけどね。

昨日、クラスで飼っていたウサギが死んだ。
みんなはどんな顔をしていたのだろうか。

泣くこともなく、普段どおりの表情でいたら、血も涙もない最低な人と罵られた。
私はあの時、どんな顔すれば嫌われずにすんだのだろう。
私はあの時、どんな顔をすればよかったのだろう

川本さんも色々と複雑な過去がありそうな気がする。
短い人生の間に、色々と劇的なことがあったようだが、その時にどんな顔をすればよかったのか、今でもわからずにいる。

犯行声明文を録音するために使うレコーダーに電池を入れた時、あの犯罪者はどんな顔をしていたのだろう。

有名人のスキャンダルの謝罪会見の会場をセットした人は、パイプイスを並べる時、どんな顔をしていたのだろう。

私の机の中に入っていたクシャクシャになった回し手紙のクズ紙の、
私の悪口を書いた一文で笑いの感情を文字で表現した時、書いた人はどんな顔をしていたのだろう。

インターネットのサイトで黙々とアップロードされている、
精神が擦り減ってしまったようなイラストを描いた紙をスキャニングするために、
機器のケーブルをつなぐ時、作者はどんな顔をしていたのだろう。

昨日泣いていたみんなが、泣いていない私を嫌悪した
今日笑ってるみんなが、笑っていない私を嫌悪した

死んだウサギのロビンは、私と遊んでいた時も顔なんて1つも変わらずにいた。

この社会、周りに合わせた表情を作るっていうのも大事なことだったりします。
分かりづらいことではあるけど、そうしないといけない場面というのは多いのです。
自分も、愛想笑いを覚えると、大抵の場面はやりすごせると気付いたのは思春期のころでした。
川本さんもそういったことに気付けるといいのだけど。難しい話だ。

家族そろって食事する晩ごはん。
私が退室した瞬間にリビングから声がなくなった。
今、2人きりのお父さんとお母さんはどんな顔をしているのだろう。

飼っている金魚は今日も無表情だ。
私が部屋に帰ってくると無表情で寄ってきてエサを催促する。

おいしい?ふふ、かわいい

金魚のを見て、かわいいと言った川本さん。
その表情はどういったものだったのだろうか。後ろを向いていてわからない。
そして、自分自身の顔も見えないので分からない。どんな表情をしていたのだろうか。わからない。

この金魚はらんちゅうという種類の金魚だろうか。
学校でも金魚の世話をしているようだし、川本さんは金魚好きなのですな。
そういった世話をしている場面の表情とかをクラスメイトは見かけたりしなかったのだろうか。
見かけた人がいるからこそ、告白されたりとかいったイベントも合ったのではないだろうか。
色々と考えさせられてしまいますなぁ。

ネットをやっていると、確かにこの書き込みをしている人はどんな表情をしているのだろうかと気になることはあります。
こんな変態的な感想をどんな顔して書いているのだろうか、とか。
ちなみに、自分が感想を書くときは真面目な表情で書いています。ええ、そりゃもう。キリッとしてますよ。
バカなことでも変態的なことでも真面目な顔で書き上げる!そういうもんですよ!エエ!
自分の表情は見えないけど、たぶんそうなってる、はず。
でも見返してみて、上手い事書けてるなと思ってにやつくこともあります。キモ。



第14話 「こわいものみたさ」  (2012年 10号)


今回登場するのは中学3年生の前園さんとその友達の冬花ちゃん。

下校中、中田という男子生徒からメールが届く。
内容はなんだかおどろおどろしい。ってこれチェーンメールじゃないですか。
確実に怖い画像が出るであろうアドレスまで添付してある。
こういうのは苦手という冬花ちゃん。その意見に前園さんも同調する。

こわいの嫌い、こわいの嫌い、こわいの嫌い。

といいつつアドレスをクリックしまくる前園さん。バチバチ。
やっぱり出てくる怖い画像。わあああああああ、こわいー、助けてー!
あんた自分でみたじゃん。そんな冬花ちゃんのツッコミに前園さんはこう答える。

私、極度のこわがりにして、極度のこわいもの見たがりなの

何ですかそりゃ。
その発言を受けたタイミングで、チェーンメールの送り相手である中田君と名も無き男子が登場。
中田君は、冬花ちゃん達に対し、中3歳後の夏だし肝試しに行かないかと提案する。
有名な廃墟を探索しないかとのこと。廃墟?

坂を下ったところに、もう誰も住んでいないような家がぽつぽつある。
その内の1軒にやばいのがあるそうな。入って10分もしない内にみんな逃げ出す。
噂じゃ、昔そこの一家が急に失踪したらしい。
なぜか中途半端に食事がそのまま放置されていたという。
これはなんとも怖い話である。この話を聞いた2人の反応。

冬花「えーこわーい。行かないよね前園」
前園「行くしかない!!」

意外にも凄くノリ気な前園さん?

だって、そこにこわいものがあるかもしれないことを知ってしまったんだよ。
私はそれの実態を知らないまま放っておくのは気が気じゃないよ

なるほど。これがこわいもの見たがりってことか。
そこに山があるなら登らざるを得ないみたいなもんですな。

というわけで、廃墟に行くことになりました。
しかし、男2女2のペアで廃墟とは・・・男子の目的は本当に肝試しなのだろうか!?
怪しまれてもしょうがないシチュエーションである。

ともかく、廃墟にやってきました。
不気味な雰囲気。肝試しにはよさそうなところだ。
では、誰が玄関開けるかジャンケンで決めようと言い出す中田君。
それを聞かずに、早速ガタガタと開けてしまう前園さん。積極的!

中はなんだか薄ら寒い。
人が突然いなくなった家らしく、小物やカレンダーなどがそのままになっている。
そんな廃墟の中を進む前園さん。先へ先へ。
居間らしきところには何もない。何もない何もない何もない。こわくないこわくないこわくない。
続いて2階を散策する前園さん。
一応肝試しなんだから、もうちょっとじっくり行こうぜと中田君。それに対し、前園さんは答える。

ごめんねみんな。でもこわいものがすごくこわいの私
気になって気になって気になって。仕方なくて仕方なくて仕方なくて。

私がここでそれを見なかったら、きっと一生見ることはないと思う。
そうするとずっと心にこわい物が残っちゃってどんどん不安になって膨れ上がって、
実生活がままならないくらい正体のわからないそれが私を支配してしまうからダメなの。

なんとも難儀な性格の前園さん。
人間が闇を怖がるのは、その闇に何が潜んでいるかわからないからと言われています。
つまり、想像力をかきたてられてしまうからなんですね。
枯れ尾花を幽霊と見間違えたり、とかく正体があやふやなものは恐怖となりえる。
だから、とりあえず確かめて安心するというのはわからなくもない。
とはいえ、普通はそういうことをうまく忘れるものなのですが・・・厄介ですね。

まあ、この家にはとくにこわいものはなかった様子。これでしこりなく安心して生活が送れるよと前園さん。
ところが、別の部屋で男子の悲鳴が響く。なんだよこれ!

どうしたのと悲鳴の方に向かう冬花ちゃん達。
その前にあるのは木の扉。そしてそこには無数の御札が貼り付けられていた。何これやばい。
扉の前に立っていると、急に周りの壁が軋み始める。なんなんだ?
しかも、何故か寒くなり、体が鉛のように重くなってくるという。やばいやばい。本物の怪奇現象だ。
早くこんなところ出てしまうぞと逃げ出す男子たち。
冬花ちゃんも前園さんい声をかけ逃げようとするが、とんでもないものを見てしまう。
そこには、勢い良く御札をはがしまくる前園さんの姿があった。何やってんの!?やめてよ!!

ごめんね、ごめんね冬花ちゃん。
私はこの扉の存在を知ってしまった以上、この先にある物がこわいかどうか確かめないといけないの。

既に強迫観念の域にまで達している前園さん。
さすがにこれは付き合ってはいられない。外に飛び出す冬花ちゃん。
飛び出したところで、御札をはがし終えたのか、2階から前園さんが声をかけてくる。みんなー、みんなー。

何もなかったよ何もなかったよ何もなかったよ。大丈夫大丈夫大丈夫。

あ。

とれちゃった

扉の方に向かい、窓で前園さんの姿が隠れたところでこの発言。
しかも、ロングの見開きでこのセリフのみ。なんだよこれなんだよこれ!どういうことだよ!?

何がとれちゃったんだろう?
気になりつつも男子と一緒に逃げ出す冬花ちゃん。

前園さんはあれから学校に来ていない。連絡もとれない。
何がとれちゃったんだろう。前園は何がとれちゃったんだろう。
気になって気になって気になって仕方ない仕方ない仕方ない。
前園は何がとれちゃったんだろう

気になって仕方がない・・・というお話でした。ああ、気になる気になる木になる木。
冬花ちゃんも気になって仕方がない様子。
なので、ひょっとしたらあの廃墟に足を運んでしまうのかもしれない。
そこで何を見るのか!?どんなことが起きてしまうのか!?
描かれることはないのでしょうな。気になる気になる気になる。

寒い時期の掲載というのに、やたらとホラータッチな雰囲気の回でした。
怖いもの見たさもほどほどにしないといけないってことですね。
怪しげなアドレスを踏むときは、特に警戒が必要ってことだ!
あと、怪しげな男子の誘いにもホイホイ乗らないのが大事ってことだ!
なにもない廃墟だったら、何してきたかわからないぞ。なんせ中学生男子だしな!怖い。

私もなんだかんだで怖がりだったりします。
肝試しとかそういう雰囲気は得意じゃない。霊感はさっぱりないけど。
でも想像力はたくましかったりするので、闇はやっぱり怖いですねこわいこわいこわい。
あと、まんじゅうと熱いお茶と読者様の感想がこわい。ああ、こわいこわいこわい。



第15話 「信じていた」  (2012年 11号)


高校2年男子の放課後。
野球部の練習を遠くから見つめているのは、柏木涼くん。
その涼くんに声をかけるのが、今回の主人公である若葉ちゃんであります。

涼くんは野球部のエースだったのに、もう1年も練習に参加していない。
またさぼっているのかという若葉ちゃんに、あんな環境の悪い所で練習しても意味ないと返す涼くん。

まだ去年の高1の夏を忘れられないのか・・・?

若葉ちゃんのこのセリフに、1年前のことなんて覚えてねーんだよ。練習よりオレは用事で忙しいんだよと去って行く。
その涼くんの背中に、どうせまた遊びとかだろ!と言い捨てる若葉ちゃん。
だけど、実際のところ涼くんのことが心配な様子。

若葉ちゃんは涼くんと中学から一緒だったらしい。
涼くんは190cm近くの長身で、野球名門高校から誘いもあったが、専用グラウンドもないような公立高校に一般入学。
去年1年にして即エースとなり、激戦区の夏予選、決勝までみんなを引っぱっていった。
天才ピッチャーとして地元で一躍有名人になったほどである。

ところがその決勝。3点リードの9回裏。
あと3アウトという場面で、今まで無安打に抑えていたのに急に崩れてまさかのサヨナラ負けを喫し甲子園を逃した。
全打点をあげたのも涼なのに、一部の人間からは戦犯扱いされ、その試合以降、涼が練習に出ることはなかった。

それはまた酷い話でありますな。
ほぼ、涼くん1人で甲子園目前まで連れて行ったというのに戦犯扱いとは。

それでも、あいつは地元で人気者となった

まあ、高身長でスポーツマンの有名人ですしね。女性ファンもつくことでしょう。

しかし野球をやめ1年も経てば、周りを囲う人間なんてほとんどいなくなった。人とは現金なものだ。

涼くん自身は女子と付き合うとかそういった気持ちはなさそうな雰囲気。
ストイックな野球少年って感じなんですかね。伊達に坊主にしてないな。
今でも言い寄ってくる女子、千絵ちゃんの誘いもすげなく断ってしまう。

千絵ちゃんの周りの女子は涼くんのことを悪く言う。アレ性格悪すぎ。野球やってない柏木なんてただのヘタレじゃん、と。
それでも1年ずっと付きまとい、涼が野球をやるって信じてるという千絵ちゃん。
それを見て、まだ味方になってくれる人っているんだなと思う若葉ちゃん。しかし。

バカね。アレの味方がいない今が攻めどころなのよ
あんなウドの大木のハゲでも球を投げればプロ間違いなしなのよ。野球させればいいだけよ。
とりあえず唾つけといて損はないわ。あははは。

これはまた。計算高いというかなんというか。ハハハ。女子って怖いっすね。
というわけで、涼は私がなんとかしなきゃと思う若葉ちゃんでありました。

相変わらず遠くから野球部の練習を見ている涼くん。
その背中から声をかける若葉ちゃん。もうすぐまた夏だぞ、涼。

あの試合はお前の乱調で負けたかもしれんが、お前がいたから野球部は決勝まで行けたのも間違いねえ。
もっと自分に自信持てよ!
野球から逃げてる涼なんて見てられねえんだよ。拗ねちまってだせえ男だ!
中学の時はそんなだせえ奴じゃなかったじゃねぇかよ!
打たれても打たれても決して気持ちだけは屈しない泥臭いかっこいい野郎だったじゃねえか!

私はそんな涼のことがすっ・・・!すっすっスカしてんじゃねーぞ!

興味ないフリして野球に未練タラタラなのバレバレなんだよ!
女々しく練習風景眺めてるクセに。
もうじゃあやめちまえ野球!!才能なかったんだよ。とっととあきらめて次行けよ!!

なんとか発奮させようと、すがりつき、激を飛ばす若葉ちゃん。
このセリフを受けて、反応する涼くん。

あきらめてねえよ。
勝手に才能ねえとかあきらめたことにしてんじゃねーよ!オレは野球しかねえんだよ。
女が横からピーチクパーチク言ってんじゃねえぞ。黙って夏待ってろボケ!

ふむ。なんだかやる気になっているように見える涼くん。
もう大丈夫・・・だよな
ガッツポーズを決めてみせる若葉ちゃん。可愛いっすね。

宣言どおり、夏に見事な復活を遂げてみせる涼くん。
予選の準決勝でなんとノーヒットノーランを達成する。これは完全復活とみてよいでしょう。
この活躍に、これまで離れていたファンたちも戻ってくる。きゃーきゃー。現金な話だ。

試合を終え、球場の外を歩いている涼くんの前に若葉ちゃんが現れる。

やったな涼。かっこよかったぞ。
私の愛の叱咤が効いたんだな!また野球やるって信じていたぞ。
ほら、カバン持ってやる。今日だけだぞ!ふふふ。

触んな

オレが好成績を出した瞬間信じていた、か・・・
おまえよくぬけぬけとそんな手の平返しできるな

去年あと1回ってとこで肩がイカれて使いものになんなくなってよ、この年で手術に懸けるしかなくてよ。
2度と野球ができるかどうかわかんねえ状態で1年も地獄のリハビリに耐えてよ。
オレには野球の才能がねえとか、あきらめてだせえとか、よく言ってくれたなおい。
こんだけ付き合い長くて言っていいことと悪いこともわかんねえのか。
何が愛の叱咤だ。何が信じていただ。なめてんのか。

・・・
そっか、そうだな。
私、本当に最低だな。すまんかったな。じゃあ、明日も試合がんばれよ。

その場は笑顔で謝り、去る若葉ちゃん。
しかし、柱の影に入ったところで耐えられなくなり、涙し、うずくまる。

一方、その横を通るのは千絵ちゃんらしき人影。
あ、いたいた涼ー!!
親しげに名前を呼び捨て、抱きつき、そして最後のコマでは・・・

泣き崩れる若葉ちゃんとは余りにも対照的な光景が繰り広げられている。
ううむ、なんだこの最後のページは・・・!心がえぐられてしょうがねぇ。ぐおおお。

なんというか、今回の話。
リアルでは凄くありそうなすれ違いの話に見えます。
漫画、特にスポーツ物なんかだと、若葉ちゃんの激はまさしく愛の叱咤になるはずなのだが・・・
もちろん、若葉ちゃんに悪意などあろうはずもない。
しかし、なんとも間が悪いというか、認識が足りてないというか。
ケガが治るかもわからず、不安な日々を送っているところに、才能ないとか言われちゃ傷つきますわなぁ。
実際、それまでの涼くんはそれなりに若葉ちゃんと相対していたように見える。
けど、才能ないとかあきらめてださいとか言った時の表情は、かなりの怒りに見える。読み返すとなおさら思える。
やはりあの瞬間がBADENDへの分岐点だったんじゃないですかなぁ。

涼くんは、ケガのことは誰にも知らせていなかったように思える。
若葉ちゃんはもちろん知らないし、まわりの女子もそんな風な話はしていない。
ケガが原因だとわかっていたら、戦犯扱いする人もいないでしょうしね。いや、いないこともないか。

野球部のエースなんてやっているだけに、涼くんはプライドが高そうな人間である。ストイックすぎるともいえるかな。
ケガしてますとか、リハビリしてますとかそういった弱味を見せたくなかったのでしょう。
そんな状態だから、一人で不安を抱え込むような状況になる。
そこにあきらめろて次行けなんて言われては、ねぇ。
逆に、1年の間付きまとっていた千絵ちゃん。
この子は、打算はあったが、とにかく私は信じているからと主張していた。
涼くん自身も不安になりそうな状況で、信じていると言ってくれている。これは支えになっちゃいそうだなぁ。
そう考えると、最終的に涼くんが千絵ちゃんを選んだとしても、自然な流れと言える気がしないでもない。

若葉ちゃんが最後に声をかけたタイミングも最悪でした。
野球部に顔を出したあたりで、信じていたとか言えればよかったんでしょうけど・・・
よりによって、ノーヒットノーランを達成し、周りが騒ぎ出してからのセリフでしたからねぇ。
そりゃ手の平返しと映ってもしょうがない気がする。
この時の涼くんの表情は本当に憎しみが見えて怖かった。うぐぐぐ。

若葉ちゃんも、叱咤に行くよりは、素直に好きな気持ちを伝えることができてたら・・・
展開としては、しょうがないねと思うが、やはり最後のページの流れが切なすぎる!切なさ乱れ斬りだよ!!
ツンデレも、デレを分かりやすく主張して見せないとリアルでは通じにくいってことなんですかねー。
デレの見えないツンデレなんてただの嫌な行為だといいますし。
というか、ツン部分も、照れているだけなんだなってのがわかるぐらいのツンが嬉しい。
うーむ、やはりリアルでのツンデレとは難しいものなのか。考えさせられる話でございますよ。

次回辺りは気楽な話が来て欲しいところですな。って来週は休載かよ!
微妙にもやもやした気持ちのまま再来週まで引きずるぜ!ぐああああ。



第16話 「黒」  (2012年 13号)


いきなり黒一色の表紙。これはなんだか危険な匂いがプンプンしやがるぜぇ!

ワイワイワイワイ。
人の声が賑やかに聞こえる闇の中で一人の少女の意識が覚醒する。
少女のいる空間はロッカーの中のように狭く、少し動けば頭を打ってしまうぐらいである。ガン。
闇に目が慣れてきた少女。
目の前には光がうっすらと差す扉のようなものがある。
しかし、自分がなぜこの中にいるのかは思い出せないでいる少女。昨日の晩ご飯も何も思い出せない。

思い出せ。思い出せ――思い出しついでに自己紹介開始だ。

まず私は沢村亘理17歳。水瓶座の末っ子。OK。
東中卒、第一高校の女子高生。制服を着てることからも確実と思われるOK。
ちなみに彼氏絶賛募集中。OK
この状況の今も色恋のことばかり考えてしまってるOK。

なんとも可愛い子ですな、沢村さん。これでも彼氏がいないというのだから、世の中はわからない。
彼氏という単語を出すとなんだか凄く胸が痛くて気持ちが沈むらしい。
周りはみんな恋人を作ってるのに、私は未だにやもめだからだろうか。きゅん。

自分のことは大体思い出せたので、状況を確認する。
携帯や財布はなくなっている
この場所は非常に狭い。少し漏れる光、外からは喧騒のような人の声がする。ワイワイ。
大方昼下がりの町の路地裏の倉庫かなんかの中にいるのだろう。
このタイミングで出て、人に見られるのは恥ずかしいものがある。

状況は一通り理解できたので、次は推理の番である。
私はなぜここに入ってるのだろうか。気がつくまでの意識が飛んでいる。
ひどい頭痛。町の倉庫の中にいる。彼氏募集中・・・わかったぞ!!

酒だ
私には好きな人がいたが、なかなか話もできずにいる。そして昨日失恋したと思われる。
嫌なことがあるとすぐ私はお父さんの酒をガメる。
傷心のあまり、昨日は高校生離れしたヤケ酒をしたと思われる。
普段1本しか飲まないから、すぐベロベロになってなんだか楽しくなってきたと思われる。
着替えもしないで外に飛び出し、片手にビールを持ちつつ、深夜の町をはしゃぎまわったものと思われる。
思考能力が著しく低下している私が本能的に寒さを凌ぐために、
たまたま路地裏にあったカギの開いてる倉庫かなんかに入ってしまったに違いないと思われる。

さすが私、頭いいー!!推理能力にたけてるうー!!

穴があるようで、ないような推理だが、一応的は射ているな。
これなら携帯や財布を持たずに寒いのに薄着で出歩いたのも分かる。頭痛も酒のせいだ。

さて、その推理が出きたところで、どのタイミングでここを出るか、に問題は移行する。
今は人に見られる可能性が極めて高いので恥ずかしい。
とはいえお小生、お小水をしたい具合でもあるのだが
声はまるで遠くから聞こえてくるラジオのようなので人からは遠く、もしかしたら見られない可能性が高いのではないだろうか。
ここを出てすぐにトイレにありつけるわけでもないしな。
膀胱8分目で出ておくのが吉ってもんだ。そーれプッシュプッシュ。ぐいぐい。

・・・ん?おっ・・・?こいつは・・・開かない。
そうかなるほど。私が気を失ってる間に、バイトが外からカギを閉めちゃったんだな。
もうちょっとこの謎の密室状態を楽しんでいたかったが仕方ない。アレをやるか。
いや、あるいはアレをやらないか、それともやはりアレをやるか。
アレをやって恥をかくか、失禁こいて恥かくか二者択一。

膀胱8分目といい、微妙に余裕があるような感じの沢村さん。
プッシュプッシュしている姿が可愛らしい。
でも、さすがに失禁こくのは勘弁なので、アレを開始する。

すみませーん。誰か助けてください!閉じ込められてるんです。
必殺、恥も外聞も捨て大声を出して救出要請!!

ガンガンと扉を叩いて要請するが・・・反応が全然ない。
意外と人気のある場所から離れているのかもしれない。
さらに大声を出して助けを求める沢村さん。お願い!気づいて!私はここにいる!!
しかし、相変わらず反応がない。
うう。トイレもう我慢できないし、頭がズキズキ痛いし本当に最悪・・・

頭を抱える沢村さん。ここで気づいたことがある。
耳を閉じてるのに、あのワイワイという喧騒がまだ聞こえる。

あっこれ、頭痛により起こってる錯聴だ

ただ繰り返し繰り返し音が聞こえるように錯覚してるだけの、私の錯聴・・・
本当は私1人きりってことじゃない。
じゃあ、ここはどこで、なんの中なのよ。

推理は破られ、少女は1人闇の中に。
背景は真っ黒に塗り潰され、孤独の少女は黒の中に小さく描かれるだけ・・・黒だよ真っ黒!!

果たして沢村さんはどうなってしまうのか!?
ここで終わってしまうと、なんとも絶望的な感じがしてならず、怖い。
ここはひとつ、いい方向に考えていくとしようではないか。誘拐とか怖い方向はなしにして。

実は沢村さんは、学校ではセカンと呼ばれる存在の戦士。
常在戦場を常とするゆえ、立ったままロッカーの中で寝ることにしていたのだ。
が、カギをかけられちゃって、セカンともあろうものが参ったねって状態。
漏らして恥をかいたところで救出されるという流れだ。恥ずかしいけど絶望じゃないよ!

または、この扉は実は14話の、あの廃墟のお札で封印された扉に繋がっている。
外から見ると木の扉だが、中は鉄で覆われている空間だったのだ。
前園さんは、お札を剥がして、見事に沢村さんを救出したのだよ!
そうすると、何がとれちゃったんだろうという話になってしまうんですけどね。
うむ、気になって気になって気になってしょうがない。



第18話 「星畑珠姫高校2年生17歳
華村奈々美高校2年生17歳
鬼ヶ原樹里子高校2年生16歳物語U」
 (2012年 14号)


一挙2話掲載の2話目。

第5話でクソったれトークをぶっ放したあの女子高生3人組が電撃再登場!!
やあ、ついに続き物ですよ続き物。
他にも続きが描かれる子が出てくるかもしれない可能性が出たわけで、楽しみなような不安なような。

3人組みはベンチで並んでお昼ご飯。仲がよろしいことで。
星畑さんはお弁当で、他の2人はパンでございます。

相変わらず猫口が可愛い華村さん。今日、クラスメイトの三波くんとしゃべっちゃったとご機嫌。ふんふん。
三波くんか。もやし呼ばわりされた男の子ですね。
星畑さんに言わせれば、華村さんは見る目がないとのこと。

星畑「オレからすれば、男なんてつまんねー輩ばっかだぞ

男嫌いなんでございますな。というか、それ以外の対象が好きだったりするからなんでしょうけどね。
なので、その対象にこんな質問されると果てしなく焦る。

華村「そういう珠は好きな人とかいないの?」
鬼ヶ原「昨日ついにあの」
星畑「はあ、いねねねねーよ!!」

咀嚼物を噴出し否定する星畑さん。わー焦ってるぅ。そりゃ焦りますわな。
そして、相変わらず話に入れない鬼ヶ原さん。これはタイミングが悪い。

星畑さんのお弁当は手作りらしい。ほうほう。そりゃ男子からのポイント高そうですね。
まあ、どうやら家計の節約のためらしいですけども。
星畑さんには3人の兄がいるとのこと。ふむ。そのせいで男嫌いになったんですかね?
3腐れ兄貴とか酷い呼び方してますし。何か色々ありそう。

そんなことは関係なく、星畑さんのお弁当がうまそう。ちょうだい!と口をあーんと開く華村さん。
その行動に星畑さんは顔をしかめる。

星畑(かわいすぎんだよ華村ばかやろおおおおおおお)

相変わらずきゅんきゅんしてますね。きゅんきゅんきゅんきゅん
硬派な星畑さんには食べさせてあげるなんてはしたないことはできません。

星畑(華村の小悪魔めが。なんなんだ、オレの胸をおかすこの苦しくも甘い気持ちは)

なんなんでございましょうかね。
一足先に食べ終えた華村さん。ボールで遊ぼうぜと言い出す。
それに対し、鬼ヶ原がまだ食べてるから待ってやれと言う星畑さん。お優しい。
もう少し早く食べろよと言われた鬼ヶ原さんは急いで食べだす。

鬼ヶ原「お腹もういらない。いっぱいだからお昼ごはん」

相変わらず独特の言語センスである。
それよりも、ケチャップが口周りにべっとりで凄いことになっている。食人鬼の如くだな!
しょうがないな、とハンカチを取り出し、鬼ヶ原さんの口を拭いてあげる星畑さん。
そうしていると、なんだか覚えがある感情が沸いてきたりしちゃいます。きゅんきゅん。

危うい感じになっている星畑さん。そこにバレーボールを持ってきた華村さん。
バレーしようぜといいながら、ボールを投げてくる。それはドッジでしょ。

星畑(なんて浅くてかわいらしいボケなんだ、華村ああああ)

この子はいつも内心できゅんきゅんしておりそうですなぁ。口に出さないのはたいしたものだ。
華村さんの投げたボールが鬼ヶ原さんの顔面を直撃する。ドーン。
全然痛くないといいつつ、無表情のまま涙を零す鬼ヶ原さん。痛いんなら声出して泣いていいんだぞ!!

星畑(はうっ!まただ。また胸を締めつける心地良い痛みが襲ってる)

星畑(華村のみならず、鬼ヶ原までかわいすぎんだよ、ばかやろおおおおおおお)

きゅんきゅんしっ放しでもう大変でございますね。楽しそうな高校生活だ!
ふと、眼下に気にしている男子の姿を発見する華村さん。
もやしで猫好きで珠にゲボ吐いた三波くんである。

華村「数メートル先でもクッキリかっこいい!」

確かに、見た目は悪くない男子でありますね。
それはともかく、華村さんの豊満な体に圧し掛かられた星畑さんが真っ赤になっておりますぞ。はしたない。
硬派な星畑さんは思わず突き飛ばす。
すると今度は鬼ヶ原さんが食後の軽いウォーキングを始める。
転びそうになったので、慌てて抱きとめる星畑さん。きゅんきゅんきゅんきゅん。
女子同士のラッキースケベとはこれはまた。

鬼ヶ原「ズレ

!?

鬼ヶ原「脳が発した電気信号と身体を動かす筋肉にズレが生じたのでこけた」
星畑「なんだよ!言いまわし不自然極まりないな!」

あまりにきゅんきゅんしすぎて危ない星畑さん。便所に行くと抜け出す。ふーやれやれ。
その途中で、猫を発見する星畑さん。
全裸で全身毛がボーボーの四足歩行で会話もままならないけだものである。

星畑(かわいいじゃねーか。ばかやろおおおおお)

これまたきゅんきゅんして頬ずりしちゃう星畑さん。妙にリアルな猫が迷惑そうな顔している!
このかわいい猫め、ねこじゃらしでじゃらしたおしてやると星畑さん。
だが、生えていたねこじゃらしを抜こうとしたところで、またあの感情に襲われる。

星畑(ねこじゃらしの野郎、かわいすぎてひっこ抜くなんてできねえじゃねえか、ばかやろおおおおお)

星畑(ダメだオレもう、目に映る生きとし生けるものすべてがいとおしいぞ、ばかやろおおおおおお)

苦悩する星畑さん。世の中ばら色というか、お花畑っすね。
そんな状態の星畑さんに話しかけてきたのは三波くん。どうやら野良猫を追ってきたようだ。
猫をかわいがっている星畑さんを見て、意外と女の子らしい部分もあるんだなと言う三波くん。
いやいや、男だって猫をかわいがったりするよ。星畑さんは硬派ですし。

星畑「はあ!?全然好きじゃねえよこれもんがあ」

言いながら全力で猫をなでなでする星畑さん。

三波「言動と行動がズレてるぞ」
星畑「ズレじゃない!

ええ、ズレじゃないれずよね。ええ。可愛いものが好きなだけですよ。それだけれず。
相変わらず言葉遣いが荒い星畑さん。
その星畑さんにアプローチをかける三波くん。おやおや、これは。
以前バス酔いして吐いた三波くんを手厚く介抱したのが効いているようだ。

三波「星畑って本当はすごくかわいいのに」

迫る三波くんに顔をしかめる星畑さん。

星畑「きもちわるいんだよ。いねよ、ばかやろおおおおお

いつも心の中で唱えていたばかやろおおおおがついに口をついてでた!
でも、きゅんきゅんした結果ではない。本当に気持ち悪がっている顔だ!
まあ、確かに迫った三波くんはなんだかムカついた感じがしないでもなかったからな。たらしっぽい。

星畑(男だけはどうあがいても全然いとおしくねえええ)

それは残念。まあ、全部にきゅんきゅんしてては身が持たないし、いいことかもね。
一方、見下されて平気で気持ち悪いとかスカタンとか言われた三波くん。その反応はというと・・・

三波「星畑珠姫良い!

そうですか。それはよろしゅうございました。なじられるのが好きなんですねこの変態が!!

また続きが出てきそうな感じの引きでございました。星畑さんに危機が迫る!?
それにしても、星畑さん。可愛いものが好きなだけだったんですね。
華村さんは特に可愛かったから真っ先にきゅんきゅんしちゃってただけと。なるほどなー。
男だけはムリという星畑さんだが、可愛い男の子はどうなんでしょう。
小さな男子児童にきゅんきゅんしてしまう星畑さんとかありえあそうだ。
やったね、星畑さん。異性だよ異性。でも年齢差によってはどちらにしろアウトっぽいけどな!
鬼ヶ原さんのような男の子を捜すしかないね!



第19話 「こんなにたくさんの話したいことがある」  (2012年 15号)


今回は中学2年の女子のお話。
人の話を聞くのが大好きな城田さん。いわゆる聞き上手ってやつですかね。
色んな人が城田さんに話を聞いてもらいたがっている。

頭がいい人優しい人器が大きい人小さい人勇気がある人怖がりな人。
いろんな人がいていろんな話をする。
それぞれがいろんな生活をして、いろんな価値観を持ってて、
なんだかその人が見てきたものを私も見れた気になって楽しくなる。

そんな城田さんが気になっているのは、まだクラスで1度も話を聞けていない不破さん。
彼女はいつも1人で濃い墨色の髪に黄色く映えるイヤホンで音楽を聴きながら読書をしていて人と話す様子もない。
城田さんも話しかけるのは得意じゃないが、最近は不破さんがどんな話や言葉や景色を持っているか気になっている。

ある日、思い切って帰りに不破さんに声をかけてみることにした城田さん。
一緒にお話しながら帰宅しない?と切り出すと、普通に受け入れてもらえた。
とはいえ、どうやって話を切り出したものか。まずは最近どんな音楽を聴いているのか尋ねる。

不破「ゴリゴリのヒップホップにはまってます
城田「なんかイメージと違う!」

大人しそうな感じだったがそういう趣味だったのか?
と思いきや、最近はそうだというだけで、言葉のわかる邦楽ならなんでも聴くらしい。
言葉や文の情報を頭に流し込むのが好きなんだそうな。
休日は流行歌をBGMに録画した漫才のDVDを流しながらラジオでプロ野球中継を聴いて、
独り言を垂れ流して思いついたことや気に入った言葉や文を紙に書き留めたりしているらしい。

すさまじい!聖徳太子の域に踏み込まんとしてる!

うむ。それら全てを把握しているのだとしたら凄いことだと思われる。かっこいい!

もう空が群青に染まってきましたね。
橙の夕焼けに夜のシロップを流したようにきれいに溶け合ってる夏はまだ向こうですね。

なにそれ!?

なんだか知らないが情緒に溢れた文章に聞こえる。
とりあえず、漫才のDVDの話から、お笑いとか好きなの?と尋ねることにする城田さん。
お笑いは血肉ですと返す不破さん。それはまた凄いですね。体はお笑いで出来ている。
意外にベタな話題で会話が弾みよかったと考える城田さん。なんだ、普通の子じゃない。
どういうネタが好きなのか尋ねてみることにする。

やっぱり言葉数の多い漫才を好みます。プロの話芸はすごいです。
そういえば以前、中田くんがお笑い芸人さんの1発ギャグをモノマネして周囲が爆笑で、
気をよくした彼がお笑い芸人を目指すとか息巻いていたのですが、
来週の課外授業では絵の具が必要で特に白はすぐなくなるから早めに文房具屋で購入しておきたいし、
既存のギャグでウケた笑いで自信を得るのは、
いささか継投のタイミングが悪いから監督のヤジもひどくなると思います。

確かに1発ギャグしか使えないのでは泡沫芸人にしかなれませんよね。
ん?ん?ん?
なんだか複数の話題がさらりと混じってきたような気がするのだが?
不破さん曰く、話したいことがありすぎてよくこのように話と話が混ざってしまうらしい

要点をまとめられず脱線ばかりで意味もオチもないようなことを、
黄緑色に鋭く刺すように光る電源ランプしか装置されてない機械のように終わりなく話をしてしまうんです。

すみません。初めて話すのに城田さんって柔らかいというか温かいというか安心してお話しやすくてつい饒舌になっちゃって。

こんなのだから1年生の時に気味悪がられて、誰もいぶし銀より生え抜きの若手の白色はすぐになくなるから、
身内とテレビのお客さんは音楽で飾りのない日常を描いた。
あっダメだ。ダメダメだ。

意味もオチもないというよりか、言葉を喋っているうちに別の文章が浮かんでそっちも口に出ている感じですかね。
それで話を続けれるというのはある意味凄いと思う。
話しながら別のことが頭に浮かぶのはあるけど、その場合話も途切れやすいものである。
しかし、凄いとは思うが、気味悪がられるのは最もな話である。
顔を覆い、ダメですよね、気持ち悪いですよねと自嘲する不破さん。

ダメすぎてなんだかもう来季もBクラスなんじゃないかって。あっまたやっちゃった。

落ち込む不破さんに、キリッとした表情をしてみせる城田さん。可愛い。

ダメじゃないし気持ち悪くないよ
やっぱり監督の采配は首を傾げたくなるし、白色ってすぐになくなるから多めに買っておきたいし、
男子の身内ウケって外から見るとしらけちゃうし、飾りのない日常こそがリアルだよね。

城田さんは胸を張って言う。私結構聞き上手なんだよ、と。

不破さんの言葉や文は個性的でパレットを開いたように色鮮やかですごく心高まるよ。
溜め込んでいる話を聞かせてよ
意味やオチなんていらない。もっと不破さんの話を聞きたい。

城田さんの言葉に、恥ずかしげに返事をしながら、不破さんが話し出す。怒涛のように。

白い絵の具が足りなくても海に沈む夜空にもたれてるひびわれた茶色のお月様を笑うように星めらは、
真っ赤な大量のプランクトンの死骸を飲み込んだ海に浮く洗面台の隅に咲いた黴キラーの
若き左腕の18番は生え抜き右腕のサイクルヤング村賞を片手に乗船し灰を熾して甲板に。

話が分裂するので、不破さんも分裂しちゃいました
いや、さすがにイメージ映像だとは思いますけどね!
2人になるところはともかく、4人になるときの絵が微妙にキツイ。
そして、このくだりの文章は本当に意味が不明になっている。とりとめないっすね。

秋刀魚は目黒に限ると大好きな秋に死ぬ蝉の羽根は?げ螺旋をなぞり地面に落ちて扇風機をしまう
美しい茄子紺色の茄子を嫁に差し上げましょうお母さん。
お母さんお母さん優しいお母さん。肩叩きの度に肌色の頭皮が増えた。早く大人になって親孝行がしたいな。

この段落あたりから、勢いが乗ってきたのか、不破さんも笑顔になりつつある。
話にも少し意味がある部分が出てきてなんだかしんみりしてきてしまってコンチクショウメ。

物心もついてない頃家族で出かけた遠い町。
太陽光を浴び黄金色に燃えていた麦畑に今度は私が連れて行くから、火が静まるまでお話しよう。
その後は一緒に流れ星を探そう。古旅館の頼りない窓を優しく開けてせーので見上げた夜空には、
星なんてひとつもなくて

いっきに話しきったのか、汗をかき、息を荒くしている不破さん。
どれだけの時間話していたのやら。日はとっぷり暮れて夜になり月が出ている。
しかし、言葉の通り星のひとつもない空となっている。オチがないようでオチているというわけだ。
最後の段落は語る不破さん満面の笑顔になっており、わかりやすい一文となっております。
調子が出てきていたってことなんでしょうね。調子こきすぎましたと思っちゃってるみたいだけど。
そんな不破さんに、城田さんはこう返す。

話に引きこまれちゃってもう真っ暗になってることに気づかなかったよ。
黒いね空。これなら白い絵の具は1つで充分かもね。

自分の話をちゃんと聞き、言葉も返してくれる相手。とても得がたい相手ですなぁ。
真っ赤になりつつ満面の笑顔を見せる不破さん。

なんだかすごく楽しいです!嬉しいの雫がポタポタと器から溢れ零れた水滴が満塁ホームランで打点王です!
お話っていいですね。1人で聞いたり喋ったりとは全然違う。
ああ、喉が痛くなってきて紺瑠璃の飴玉で渇きを癒したい所存です!

そりゃ、それだけ喋っていれば喉も痛くなりますやね。
不破さんの喜びように、そこまで言われると私もすごく嬉しいよと、照れながら応える城田さん。

じゃあ今度は城田さんの話が鼓膜と脳髄がバカになるまで聞きたいです。
私、人の話を聞くのも大好きなんです!

え?
私、話することに関しては青二才だから勘弁してよ、不破ちゃーん

思いっきり話をするのは楽しいねというお話でした。
自分も割と要点をまとめて話すのは苦手なほうでして、不破さんの気持ちはわからないでもない。
自分としては、意味やオチのない話はしたくない方なので、つい口が重くなってしまうのですよね。
話をするのなら、ちゃんとオチをつけたいと考えるタイプなのです。
だから、意味やオチなんていらないと言われると嬉しいのやら悲しいのやらと戸惑ってしまいそう。
城田さんのような聞き上手な相手がいてくれるといいですなぁ。

途中で城田さんがパレットを開いたように色鮮やかという表現を使っていました。
確かに不破さんの話は色を用いた表現が多いように思われます。
色を用いることで、文章にその色のイメージを持たせることが出来て、なんとなく彩が良さそうに思える。
それを真似て、感想の文字を色分けしようかと考えないでもなかったが、たぶんグシャグシャになると思われる。
イメージの色合いはともかく、実際に色をつけたら台無しになりそうな、そんな感じ。

最後に呼び名が不破ちゃんになっていたのは、親類の証なのかツッコミとしての言葉なのか。
どちらかはわからないけど、なんとなくこの2人、幸せな関係になれるんじゃないかと思えます。
さりげなく、城田さんも色を用いた表現が多いですしね。



第20話 「ニッポン嗚呼、人情カツアゲ傷害ウルトララプソディ」  (2012年 16号)


今回は表紙からして怖い!何事!?
歯が舞い飛び神経が二重螺旋を描いている。よく見ると芸術的かもしれない。いや怖い。
この絵で、さらに小学6年生のお話とか書かれているのがなお怖い。

その小学生の女の子が繁華街にお出かけしようという所から物語は始まる。
ニュースでは、XX区で少年少女ばかりを狙った障害恐喝事件が多発していると言っている。怖いねぇ。
かわいいバッグを抱えるようにして歩く女の子。
道中で学生服の不良とぶつかる。どん。いってー。すみません!

不良「これ肩折れちまったかも。古傷があー。いってえー」
女の子「え!?女子と接触で骨折って貧弱すぎません!?えっ!?」
不良「人の心配しろよ!

お互い最もな返しだというのはどういうことだろうか。
とにかく、話があるからお嬢ちゃんちょっとこっちについて来いと不良。

はい、ついていきます!!

なんで返事が気持ちいいんだよ。ハキハキとした子だ。
というわけで、路地裏に連れてこられる女の子。人は早々来ないだろう場所だ。
不良は慰謝料を請求する。典型的な恐喝っすね。
ついでに名前を尋ねる不良。女の子は名乗る。
脇野和気和気子です!小6です!と。本当かよ!すげえ親だな!
どこで切るのかなと一瞬思ったが、和気和気子ちゃんでいいらしい。長いのでここではワキ子ちゃんとする。

不良は、ワキ子ちゃんを脅し、示談にしたほうがいいとか言い出す。
ようするに金払えといいたいわけですね。えっ、これってカツアゲですか!?今気づいたのかよ!
逐一ツッコミを入れる不良。律儀なものである。
すぐに軌道修正を行うし、なかなか口が達者なのかもしれないなこの不良。

不良がワキ子ちゃんを狙った理由は、おめかししている女の子だったから。
なるほど。このロリコンめ。いや、そういう意味じゃない。
そういう子はおこづかいをたくさん持っているから、それを狙っての犯行ということらしい。
狙い通り持っているのか?と思ったら、バッグから出てきたのはたった100万。ひゃ、100万!?

不良「こっちが引くわ!ガキがなんでそんなに持ち歩いてるんだよ!」
ワキ子「何を急にそんな取り乱してるんですか」

クラスメイトの優子ちゃんのお父さんは今日びボーナスが現金受け渡しだそうで、
給料日を狙って遊びに行って給料袋をこっそりギって参りました。
何も知らない優子ちゃんが自慢げに今日は特上寿司なんだって言ってきて笑けてしまいました。あっはっはっは。

いや、笑い事じゃねえよ!それはダメだろ!
恐喝している最中なのにダメだししちゃう不良君。ものには限度ってものがあるとのこと。
まあ、さすがにその件は嘘です。

本当は私のお母さんが交通事故を起こしたらしく、さっき被害者の弁護士から示談で済ますから、
早急に指定の口座に振り込むよう電話がありまして・・・

まて!落ち着け!それ騙されてるぞ多分!

え?でも警察の方や、声が変わるくらい泣き喚いているお母さんも電話に出たから本当ですよ?

お手本のような劇団型詐欺じゃねーか!振り込むんじゃねえよ!

女子を恐喝するような奴なのに、詐欺被害を止めようとする不良。なんなんだアンタは。
親切というか、ノリがいいというか。
ともかく、ワキ子ちゃん。100万円を損せずに済みましたという。

不良「おうおう。謝礼に1割の1万円払え」
ワキ子「えっここに100万があるのにたった1分の1万円でいいんですか?なんでですか」
不良「さすがに100万は事すぎるだろ!」

なんだかんだで、子供を狙うような不良である。多額の金にはビビってしまうようだ。
結局どういう金なのかも不明ですしね。
それはそうと、100万の1割で1万はないだろ。さらりと訂正するワキ子ちゃん、お優しい。

あなたに過ぎるとか過ぎないとかの感覚あったんですか。節度があって素敵ですね。
あれ?あなた学生なのにタバコ吸うなんて不良なんですか?

タバコといえば、この前コンビニで未成年の不良が、
「タバコ売れオラァ」「ろっすぞ!」
って大人しそうな店員に威勢よくどなりちらしてたんですけど・・・
もともと未成年は違法だし、不良なんだから窃盗すればいいじゃないですか!
怒りながらもちゃんとお金は払う気があるってツンデレちゃんなんですか!?
未成年なのに健康を犠牲にしてタバコ税納めるなんて、もしかしていい人なんですか?21世紀の義賊!?

しらねーよ!
まあ、これも不良君の言うところの限度のお話なんでしょうかね。
それはそれとして、この大人しそうな店員。どこかで見たことがあるような。
そう、バニーガールの姿でもしていたことがあるような。相変わらずのようですね宇佐美さん。

それはさておき、ワキ子ちゃんの主張は続く。

この前、スーパーで不良にレジ待ちの割り込みされました。
やっぱりちゃんとお金は払う気があるんですね!
アウトローならレジ並ばずに出て行っても不自然じゃないのに!
一般人には強がれてもローには逆らう気ないんですか!ローの奴なんていばいちゃってくださいよ、ほんま。

い・・・言われてみればそうだ。
不良とはアウトロー。ローからアウトしているのだから、法に従ってはいけないはず。
でも実はソフトにはみ出すぐらいが不良という定義なのかもしれない。不良って難しいね。

どんどんと語りがノリノリになってきているワキ子ちゃんに苛立ちを見せる不良君。

お前さあ、さっきからオレのことなめてんのか。
あまりイラつかせるなよ。オレ、キレちまったら何するかわかんねーぞ、おい。

来た!不良の常套句来た!
キレたら何をするかわからない!?何それ怖い!

それは例えば全身タイツで落涙のていでアリスを熱唱しながら盗んだホッピングで
世界の中心エアーズロックで盲導犬募金のボランティアを始めだすくらいに何するかわからないんですか!?
何をするかわからなすぎる!こわい!ほんま!

目の前でこんなことされ出したらそりゃ怖いですよね。
酔っ払いが酷くなったようなものであるか。こわいで、ほんま。
もちろん不良君が言いたいのはそういうことじゃない。
キレたら暴力で手加減できねえくらいにお前をキズモンにしちまうってことだ。
少女をキズモノにするとか凄い発言ですね。やはりロリコンだった!やべぇで、ほんま。
でも、ワキ子ちゃんはほっとする。

なんだ、キレたらご自分が何をするか事細かにわかってるじゃないですか。
自我のコントロールがすごいですね、あなた。

バシ

おぉっと。コケにされまくったと感じたか、ついに不良君が少女に手を出したー!!
女子供だろうが容赦なく手を出すらしい。やはり不良はやばいっすねアウトローっすね。
とはいえ、目的は恐喝である。金を出させ、家族にはタレないよう脅す。
叩かれて痛さと怖さに震えるワキ子ちゃん。

痛い痛い痛い。こわいこわいこわい
殺される殺される殺される。いやだいやだいやだ。この感情は恐怖恐怖恐怖

ようやくいつもの展開に持ち込めたようで満足気な不良君。
オレはマジで殺せるからなと追撃で脅しをかける。

いやだ。殺されたくないよ〜

血走った目と笑顔でそう述べるワキ子ちゃん。え!?
そして静寂。

なにがあったのかはわからない。場面が展開した時、動いていたのはワキ子ちゃんだけだった。
不良君の懐からサイフを抜き出し、ワキ子ちゃんは言う。

恐怖のあまり正当防衛しちゃいました。これは慰謝料としていただいときます。
意外にあるじゃないですか。自分より確実に弱そうな小学生からこつこつ溜めてたんですね。

あなたみたいな人間がいるおかげで私の懐も潤います。ありがとうございます

指先を血に染め、飛び散った血が手全体に広がり、顔のあたりにまで点々とついている。
そんな状況で、お札を手に素敵な笑顔を浮かべるワキ子ちゃん。なにこれこわい。
手についた血の幾何学模様がさすがというかなんというか。凝っていますなぁ。

ワキ子ちゃんは最初から反撃を狙っていたんでしょうな。
ニュースで恐喝事件が起きているのを知り、すわ稼ぎのチャンスと町に繰り出したわけだ。
バッグをこれ見よがしに掲げ、狙われやすくし、誘いにホイホイ乗ったのもそのためか。
そして、正当防衛という言葉を出すために、先に殴らせる必要があったので挑発したと。
考えてみれば、タバコの話の辺りから露骨に挑発的になっておりますな。

不良君が存外ノリがいいというか、ワキ子ちゃんの話に逐一ツッコミを入れてくるような相手だった。
なかなか手を出してこないから、ワキ子ちゃんも内心焦って挑発をくり返していたのかもしれない。
・・・今、気づいたのだが。少女が挑発して男に手を出させようとするとか、危ない表現じゃね?
意図せずエロ漫画の解説みたいなことを書いてしまっていた!なにそれこわい。

それにしても不良君はどうなってしまったのか。さすがに死んではいないと思う。
でも歯とかヤバイことになってるんだろうなとは思う。表紙の絵からして。
最後まで読んだ後、表紙を見返すとアチャーって気になれますよね。
さらに読み返すと、ワキ子ちゃんの手が絆創膏だらけに気づいてアチャーとなる。常習犯だ!わかってたけど。

しかし、ワキ子ちゃんと不良君とでは体格差があるのに、一方的に倒せるものなのだろうか?
まあ、ワキ子ちゃんは手馴れてそうですからねぇ。
よく見ると拳が血に染まってるわけではないんですな。
指先が血に染まっており、歯が抜ける。どうやったのだろう?引っかくようにして前歯をこそぎ取ったのか?怖ェ!
ワキ子ちゃんは殴られたことにより、危機意識を高め、脳内物質を分泌させ力を増幅させていたのかもしれない。
なんだったら、第2の人格とやらにより体格もマシマシになって普通に倒したとかでもいい。
あの狂気の表情を見たら何をしてきてもおかしくないですから、怖いですよね。

なんにしても、万引きもカツアゲも暴力も絶対にダメという教訓的なお話でした。
悪いことすると少女が手を出せと挑発してくるぞ!あれ?この標語は何か逆効果っぽい!?



第22話 「わたしたち」  (2012年 18号)


中3男子3人組が下校中。その内の一人、若林哲人くんに一本のメールが届きます。
よもやの男子3人組!?と思ったがこの3人で話を展開したりはしない様子。
まあ、阿部先生としては女の子を描きたいでしょうし、男だけってのはないですわな!

哲人くんがよくメールしている相手は雨宮京さん。
中学3年になって以来ずっと病欠設定で登校拒否しているクラスメイトの雨宮さんである。
哲人くんは雨宮さんとどういう関係なのか?

カテゴライズするなら、いわゆるただの幼なじみ

ふむ。ただの幼なじみねぇ。
ちょっと用事を思い出したと2人と別れて去って行く哲人くん。用事って何かねえ。ニヤニヤ。

歩いている最中にも哲人くんの携帯にはメールが届く。
死で埋めつくされたメール。
さらになんでかな...と題名されたメール。

この世界は不条理なことなかり...
何故...苦しいんだろう...?何故悲しいんだろう...?
熱がさがらないよ私...死ぬ...のかな...?

これはまたネガティブ要素満載のメールでございますね。
登校拒否になるぐらいだし、色々と抱えてますのかねぇ、雨宮さん。

哲人!今日も来てくれたんだ!

アパートを訪れた哲人くんを元気一杯に出迎える雨宮さん。
あれ?色々と抱えていそうな要素が全く見えないですよ。アレアレー?
元気そうだなとツッコミを入れられるとわざとらしくめまいが、とか言って見せる雨宮さん。舌を出すな。

死をあれだけコピーペーストできるなら体力余ってるだろ。
三点リーダ使って文面に感情演出とは随分ご機嫌そうだな。

もうバレバレって感じですね。そりゃバレるだろう。雨宮さんも演じる気が薄そうだ。
どうでもいいが、文面見る限り三点リーダじゃないですよね。...は…と違っていちいち半角にするので打っててめんどいぜ。

哲人くんにしがみつき、部屋までおぶっていってと言い出す雨宮さん。
甘えまくりでございますな。おぶりはしないが、抱きつかれて引きずったまま部屋に到着する。
メールで呼ばれたということもあるが、溜まっていたプリントを渡す用事もあったらしい哲人くん。
それはさておき、何やら語りだす雨宮さん。

人間ってなんで生きてるんだろう。
つまらない社会、つまらない生活。私、生きてるのが嫌になってきやたよ。

そうなのか。じゃあ。

って、おーい!!

鬱な語りなどマジメに聞く気もないといった感じの哲人くん。正しいですな。
私がどうなってもいいのという雨宮さんに、別にどうにもならんだろお前と返す哲人くん。正しいですな。
しかし、雨宮さん。うつ過ぎて自傷行為をしてしまったという。
それはいけない。それは本当に引かれる行為だよ雨宮さん!

ほら!(くわっ)

お前それ蚊に刺された所を爪で十字切っただけじゃねえか。痒み対策かよ。

ずいぶん健康的な自傷もあったものですね。
これなら深爪とか掻き過ぎてミミズ腫れになった方がよっぽど傷ついてるよ!
というか、十字にしているところ多すぎ。どんだけ刺されてるんだ。

ならばと次の気をひく作戦に出る雨宮さん。
わざとらしくゴホゴホと咳き込んで見せてベッドに飛び込む。もうダメゴホゴホ。
ねーよっと!ねーよっと!ねーよっと!(チラッ。チラッ。チラッ)

こっち見んな。
雨宮さんのアピールは死ぬほどわかりやすくてたまりませんな。
でも、哲人くん。あっさりスルーして帰ろうとします。おやすみ。じゃあ。

哲人のマヌケ!そばにいろっつってんの!

業を煮やした雨宮さん。ハッキリ言ってくれました。ふむ。可愛いじゃないですか。
哲人くんも、ハッキリ言われたのならしょうがないかなとベッドに腰掛ける。

雨宮「ねえ。私たちってもうつきあってるのかな?」
哲人「?つきあってないだろ?」

ハッキリ言われたー!まあ、登校拒否しているようでは付き合いもできないってもんですわな。
なので哲人くんは言う。元気なんだから学校来いよと。今年受験生だぞ。
重要な問題があるわけじゃないのに登校拒否なんてするもんじゃない

正論ですな。哲人くんは正しい。

「登校拒否」じゃない!「不登校」ですー!!行くも行かないも私の意志なんですー!!

ぷんぷん。いや、知らねーよ。
自分の意志で変えれるなら来いと言っているわけなんですから。雨宮さんは正しくない。

2年まで普通に登校してた。話す相手がいないわけではない。
勉強ができないわけでもない。ただ簡単に逃げられることに味をしめてしまった。
このままだともっと辛いことがあった時に、逃げ癖がついていつまでも逃げるだけの人生になるかもしれないぞ

ふむ、哲人くんはいいこといいますなぁ。格好いい。
でも雨宮さん。この現世から逃げ出したいよとか、相変わらずのネガティブ。

あのなあ。そういう気の引き方もやめろ!傷つくのは自分自身だぞ。

全くですな。やりすぎると相手も離れていくでしょうし、うまいことはなさそうだ。
うつなことばっかり言ってると、本当に気分も落ち込むってものですしねぇ。
そこで雨宮さん。さっきから私のこと心配しているような口きいてさ、とか言い出す。
それに対し、哲人くん。そうじゃなかったら来ないだろ、とのこと。

雨宮「えっ。私たちつきあってるの!?」
哲人「つきあってはない」
雨宮「くそジャルァァァァァ!じゃあもう学校行かない!!」

本当、元気一杯ですなこの子は。
そもそもなんでつきあったら学校行くことになるんだよ。

そんなの、好きな人と一緒に長くいたいからに決まってるでしょ

ふむ。これはよいセリフだな。さすがに哲人くんも赤くなる。
どう考えても哲人くんには正攻法で攻めるのが効果的ですよね。遠まわしな気の引き方よりよほどよさそうだ。

つきあわないとやだやだー。
2人きりで会うためにこれからもバッチリズル休みするもんねー。

雨宮さんは本当にダメな子だなぁ。
学校に行きながら、帰りにこうやって2人きりになれば一緒にいられる時間がもっと増えるでしょうに。
哲人くんとしてもそういう関係を望んでいるのかもしれなくもないのかもしれない。

そこでメールが着信。冒頭で出てきた島本くんからのメールだ。

ボウリング明日になったから^^良かったら雨宮もつれてこいよ^^

ほほう。これはよいメール!
哲人くんは友人にも恵まれているようですな。人徳というものでしょうか。
メールの内容は見れていない雨宮さん。誰とメールしてるのよ。女!?とお冠。
なので哲人くんはあえてこう言う。

・・・実は最近クラスの子とメール交換をしている。

!!!!

と、いうわけで。
嫉妬に駆られて電撃登校を果たした雨宮さんでありました。
意志で不登校を跳ね除けたってわけですね。
やったね雨宮さん。放課後はボウリングだ!

最初のメールの段階ではうつな展開になりそうであったが、最後までノリのいい感じで終わりほっと一息。
実際に哲人くんに相手がいたりしたら、雨宮さんは本当に病んでしまったかもしれないですけどね。
お相手が哲人くんだったからこそ、うまく行った感じはあります。
しかし、哲人くんは言うことは正しいし、中学生とは思えないぐらい身が固い。
あれだけ胸のでかい女の子がベッドでチラチラと誘ってきて男子中学生が平静でいられるものなのか!?
まあ、幼なじみだったからというのがいい方向に働いたのかもしれませんな。

ところでこの雨宮さん。前にも別の話でモブとして出てきていないでしょうか?
具体的には「こんなにたくさんの話したいことがある」の回だ。
冒頭で城田さんと話している女子はどうみても雨宮さんである。というか名札にそう書いてある!!

宇佐美さんがコンビニバイトをしていたこともあるし、こういったクロスオーバーはこれからもありそうですな。
時系列は違うっぽいけど、同じ世界で生きているキャラたちと分かるとなんだか面白い。
気をつけてみていると、これからも関連性が出てきそうですな!
高校名とかも同じ名前が出ることありますし、要チェックやで!

ちなみに城田さんと話をしていたときは2年生。今回の話とは時間に開きがあるっぽい。
そういえば、雨宮さんの部屋には夜景の写生を行ったとおぼしき絵が飾られている。
賞を貰ったようにも見えるし、城田さんの言うとおり絵のセンスがいいんですな雨宮さん。
この絵に描かれている2人は一体誰なんだろうか・・・!もしや・・・!?
なんて考えることもできちゃうのがクロスオーバーのいいところですな。
これから気にかけれる要素が増えて楽しみが倍増って感じですよ!イイネ!



第23話 「世界の中心」  (2012年 19号)


ある女子高生の物語。
うん、それはいい。けど、なんだこの表紙・・・なんだこの・・・湧き上がる不安感・・・!直視できん!!

今回の主人公は犬神愛智さん、17歳。
オシャレでキュートで新学校に通いながら小説も執筆するスーパー女子高生ちゃんである。
書いているといっても、今はまだプロットの段階で実際に発表してたりするわけではないようだ。
それでも、高校生の間に文学賞に登校して受賞する予定と言い切る。自信家ですなぁ。

スナップ誌に載るぐらいのカリスマ女子高生
寄ってくる子も多いらしく、まだ見ぬ小説も犬神さんのなら絶対受賞するよと言っちゃったりする。ふふん。
そんな愛智さんは色々と調子ノリノリな時期という感じ。
近くの子達の髪型が自分とそっくりなのが気になっている。嫌だわ私の影響力ったら。

ちょっと雑誌に載ったからって私の髪型真似なんかしないでよ。私はまだただの女子高生なんだから。

調子ノリノリですね。いやいや、真似ではなくて単に今すごく流行ってるだけですから。
愛智さんに言わせれば、私のスナップ発でみんな真似して流行したんじゃないの!てなことになる。
私なんて先週美容室でおまかせでやってもらったんだから、とのこと。
いや、数か月前から流行ってるので、おまかせしたらそうなるという話ですがな。

ふーんだっ。素直じゃないわね。みんな私に憧れて真似してるの丸わかりなのに

なんという自信家っぷりであることか。
まあ、小説なんて書いて世に出そうとする人間は、ある程度そうじゃないといけないのかもしれないですけどね。

愛智さんにはお姉さんがいる。
さらにいとこの千佳ちゃんは週末に出産を控えているという。それはおめでたい。
なので出産祝いに行こうという姉に対し、小説のプロットがスランプでそれどころじゃないと返す愛智さん。
それを聞いた姉。参考になればと大ヒットと帯に書かれた小説を渡してみるが、酷評。

何よ!こんなのゴミじゃない!!ひどすぎ!!
だってこれ完全に盗作じゃない!

マジで!?

そりゃいけませんわな。というか、一瞬で盗作と見切ったというのでしょうか?
ついでに、姉に対し私の格好真似ばっかしないでよと言い出す愛智さん。これも盗作っすね。
いや、あんまり似ているようにも見えませんが・・・?

バス通学で、最近私が読書し始めるとみんなも読書するようになった。
それに他の時間にもバスあるのに同じ時刻とか、私に憧れすぎ。
雑誌で有名になりすぎちゃったかな。群を抜いて目立ってたし。困るなーカリスマなんてなりたくないのに

まあ、そういうシンクロニシティはありますよね。うん、あるある。
私がチャンピオン感想を始めたら、他の人も始めたりとかさ。あれ・・・ないぞ?カリスマが足りないのか!?

教室に沢山の恋愛小説を持ってくる愛智さん。
全部映画化やドラマ化している有名な名作である。
小説にはビッシリと赤チェックが入っている。ほう、熱心でありますな。

それ、全部私の小説の盗作なのよ

え!?ていうか、犬神さん。まだ作品発表してないじゃん。

友人のツッコミは至極もっともであります。
しかし、愛智さんは言う。私の書き溜めてるおもしろプロットにそっくりだと

主人公が学園一の美少女とか、主人公に惚れる男キャラも強豪バスケ部のエースとか学年一の秀才のメガネ男子とか、
普通ここまで設定って偶然で被るワケないでしょ!?
女主人公の恋物語っていう斬新な私のアイデアを私がデビューするより先に盗作するなんて卑怯にもほどがある!

大体文体からしてパクリ丸出しなのよ、外道めが!

いやいやいや。結構昔から似たような設定は多いですよ。むしろ王道。
文体とかは見てみないことにはなんともわからないけど。というか、プロットで文体はわからないっショ。

ふぁ〜〜〜!?
だって日本語で、しかも若者言葉を混ぜてるなんてそのまま私の専売特許じゃない!
そのうえ主人公が人間でしかも10代で恋愛物って、ここまでそっくりなのが偶然なワケないでしょうがぁ〜〜
あんたの目は節穴ぬわんですか〜〜〜!?

なんだかテンションが上がりまくりの愛智さん、落ち着けよ。
さすがに友人もただ事ならぬ様子に一歩引き気味。

・・・?
ていうかこの私のプロットもなんなのよ
黒髪で美人で学業優秀でモテモテの女子高生の人間って、まんま私のパクリじゃない!

いきなり自分の書いたものにまでツッコミを入れだしたぞ?
自己批判ができるとは凄いっすね。いや、どう見てもこれはそういうレベルの話じゃないな。

どうして誰も彼も私を憧れてやまずに真似ばかりを・・・

と呟いたところで、愛智さんの目には、とんでもない光景が映っていた。
友人たちの顔が全部自分の顔に見える・・・
それはいいが、いやよくないが、なんでデフォルメ形態の顔なんだよ。怖いよ!

何よアンタたち!格好を真似するだけじゃ飽きたらず、美人な私を真似て整形までするとか憧れすぎにもほどがあるでしょ!

い・・・色々とヤバイ。というか、もう手遅れ感がバリバリしている。

私の才能にみんなが憧れて真似をする。この現実はそろそろ受け入れなきゃいけないのかな・・・

そっちを受け入れようとするのですか!?
まあ、貴女がそれでいいというなら、まあ・・・
しかし、その結果がこれである。愛智さんが見える景色はどんどん自分の姿になっていく。
姉の顔も自分ソックリに見える。街行く人もみんな自分ソックリ。標識まで自分の顔が描かれている。
窓にも床にも顔が描かれている。それだけではない。至るところに目がある。
見てる見てる。こっち見てる。ありえない角度でこっちを見てる。あらゆるところからこっちを見てる。

それでこの見開きだよ!なんだよコレは!言葉で言い表せるわけねぇだろうがぁぁぁぁ!!

あえて言うなら、読者の精神にダイレクトヒットを試みている絵といいましょうか。
じっくり見ることができない。焼きつきおこしちゃったらどうしようってなもんだ。
たくさんの愛智さんの顔で埋めつくされた見開き。
しかし、よく見ると手前に一人だけ笑顔の愛智さんがいる。
他の顔はデフォルメの厄い系なのに、この一人だけは満面の笑顔である
これは愛智さん本人なのですかね。
みんなが憧れる現実を受け入れた結果、こんな風に見える世界を楽しめるようになったと・・・?

姉に連れられて、いとこの千佳ちゃんの出産祝いに訪れる愛智さん。
さっそく可愛い赤ちゃんを見せてくれる。
ちょっと愛智ちゃんに似てない?と千佳ちゃん。あはは、わかるわかる。ビバ5親等

あははははははははは。
目と鼻と口がついてる顔とそれに四肢とが胴につながり神経を通わせてる!
完全に私の盗作どうぅわわわわわわあ!
母体から生まれてくるという、胎児にして初球から私の真似するとかみんな憧れすぎい!
どんだけカリスマなの私!もう参っちゃう!

・・・・・・
どうしてこうなった?という回でありました。

飽 和 す る 自 意 識世 界 の 中 心 の 私

このアオリが全てってことなんですかねぇ。
過剰な自意識が行き過ぎるとこうなるという話でしょうか・・・いやぁ、怖い。
幸いなことに病院に来ているわけですし、ここはひとつそのまま入院させた方がいい気がする。厄介な。
でも、こういう人は本当にいないとも限らないんですよね。
こういった風に世界が見えているのかどうかは知らないけど、自意識過剰な人はいるらしい。
作中にもあった、自分のプロットのパクリだと主張する人は本当にいたりするらしいし・・・怖いねぇ。

それにしても、どうしてこんなデフォルメになった。
可愛い顔の子が乱舞している光景であれば・・・うーん、それはそれで厄いな。難しい話である。



空が灰色だから 3巻


第24話 「黴春」  (2012年 20号)


ある夏の日。公園にて叫び声が。ふられたああああああああ!!

オレの高2の夏は早くも幕を下ろしたと泣いている男子、寛太

えっ寛太告白したの!?誰に!?誰に!?誰に!?誰!?誰!?誰!?

その寛太の発言にむっちゃ食いつく女子、茶々さん。
食いつきすぎだと突っ込む男子、風馬
この男子2人と女子1人が今回の主人公となります。

小谷に告白したのか?と寛太に尋ねる風馬。
その質問に対し、告白つーかと回想に入る寛太。
夏休みに入る直前。なんの予定もなくて寂しいぜと小谷さん相手に軽口を叩く寛太。独り身だぜ独り身。
その話題に、私もー。1人ぼっちの夏休みだよ。嫌だなー。と返してくる小谷さん。

あーあ、夏休みまでに彼氏になってくれる人いないかな

ふむ。いきなりそういう話に展開したのなら、いうしかあるまい。

オレが彼氏じゃダメかな!?

流れにそったよい質問ですね。でも、結果はスルー!
曖昧な返答をしつつ目を反らした後、偶然現れた女子のもとに駆け寄って行く小谷さんでありましたとさ。

なるほど。このパターンは確実にふられたと考えていいでしょうな。
風馬も諦めた方が賢明かもなと言ってくれます。心中察するぞ。
その話を聞いて大笑いする茶々さん。わははははは。完全に眼中にないじゃん。諦めな諦めな!酷い。
傷ついた寛太。もうオレ夏休みはずっと家にひきこもる!と宣言。傷心っすね。
というわけで、茶々さんのフォロー?が入る。

私だって友達の寛太がコケにされて腹立ってるよ!
小谷さんってかわいくてモテるからってなんかぶりっこしてるくせえし!
どこがいいのあんな没個性のマドンナ型女なんて。

微妙なフォローでありますな。女子らしいといえば女子らしいような気もする言い方だが。
その意見に対し寛太。高校男子だぞ、理想に完璧を求める年頃だぞ!と返答。なんだか納得。

かわいくて、優しくて、明るくて、話してて楽しくて。
なんだかずっと一緒にいたいって感情が胸に激しく渦巻いて仕方ないんだ。この感情が恋ってやつなんだろ

力説する寛太。しかし、それって一言で言うと八方美人じゃない。誰にでもそうよと斬られる。

ええーやっぱりそうなのか!
それは萎えるなあ。あんな自然な態度勘違いするじゃん。ひどいな小谷さん!

熱く語ったはずなのにいきなり手の平返しちゃった寛太。これは微妙によろしくない。
というわけで、風馬からの説教。

惚れた女のこと悪く言ってんじゃねーよ、寛太。1回ふられただけで諦めるのか?お前ださすぎるぞ。

諦めろといったはずだけど、前言を翻す風馬。
でもまあ、この言葉自体は筋が通っていて男らしい。寛太も認めちゃう。
風馬なら小谷さんとお似合いかもなとまで考えてしまう。

寛太「茶々も風馬みたいな男がいいだろ?」
茶々「いやあ、別に

さらりと流された!OH!これには寛太も抗弁。

寛太「本当かよ!風馬はオレが誇る最高のツレだぜ。女ってわかんねえな」
風馬「・・・(汗)」
茶々「わかんないのは男でしょ!いつまでも未練持たずに諦めて次の恋行けよ!」

そうは言われましてもね。ふられてすぐに次の恋というのも節操のない話である。
少しぐらいは傷心するのも青春ってもんじゃないですかね。
淡く抱いていた小谷さんとの夏休みの計画が全部真っ白だと落ち込む寛太。

寛太「海行ったり、祭り行ったり、花火したり、そういう当たり前の青春をこの夏こそはと思ってたのに・・・」
茶々「じゃ、じゃあさ!私が代わりに海や祭りや花火付き添ってやるよ!仕方ないなー」
風馬「もちろんオレだって付き合うぜ。3人で思い出作ろうや

徐々に人間模様が見えてきた感じがありますな。
2人の申し出に、みんないい奴だなと感激する寛太。
実際気を遣わないでいい分、風馬と遊んでいる方が楽しいしな、と寛太。

茶々「!?あれ、私は!?」
寛太「だって一応女だし、気を遣わないってことはムリだし」
風馬「ばかやろう。なんて冷たいこと言うんだ!!茶々をその辺の女なんかと一緒にすんなよ、寛太!!

風馬の叫びに、茶々も乗りかかる。

寛太、今一度考えてみて!本当に大切な人を!
大切な物ほど実は気づかないくらいすぐ近くにあるものなんだよ!

わかりやすいアピールにでてみた茶々さん。これには風馬も頭を抱える。

大切な人・・・オレにとって大切な人・・・それは――風馬か!

その結論に至っちゃったかー。

優しくて、明るくて、話してて楽しくて、ずっと一緒にいたくて。
風馬が小谷さんに何1つ負ける要素ねえ。1番風馬と一緒にいたい。よってこれは恋という感情なのでは!

どうやら寛太。恋というものが実のところはよくわかっていない様子。
そういう風に分析したら、そりゃそういう結論になっちゃうかもしれないけどさ。

寛太「ほらそれに風馬って結構かわいいし」
茶々「でもベビーフェイスの男って、私ないわ

さりげなく茶々さんに否定されてしまった。なんだか悲しい風馬。
とりあえず。オレはその気はない。男だからなと寛太に断りを入れておく。

その1点!その1点だけが1点にしてもっとも風馬に対するオレの情熱に壁を設けて妨害しやがるんだ。
なんで人間は疑いもせず異性だけしか好きにならないんだ!
たまたま男だったり、たまたま女だっただけじゃねえか!
男とか女とかの区別は非文化的すぎるぜ!オレたちは人間だぜ。21世紀になっても性の前では動物でしかいられないのか!

そんな屁理屈で同性を好きになる方がおかしいっつーの!
しょせん私たち人間も恋の前では動物でしかないのよ。デオキシリボ核酸の記憶には抗えないのよ

寛太の言うことも一理なくもない。
好きになった子がたまたま男だっただけとか。たまたまロリだっただけとか、ある話ですしね。
しかしその辺りを文化的に解決しようとするのはややこしい。だからって核酸まで持ち出すことはないと思うが。

ちなみに茶々は好きな男はいないのか?と寛太。
このタイミングでそれを聞くか。寛太の鈍さも相当なものである。
茶々さん、照れながら、んなもんいるに決まってるじゃないと回答。

じゃあ例えばそいつが女だったら、お前の気持ちは疑いもなく間違いだったと認めるってことだな!

そういう話に持ってこられると茶々さんも困る。それでも好きかなとか言っちゃう。
惚れてから性別判明するとややこしいかもしれませんね。人間の愛なめんなよって話。なのか?

つーか。寛太のことが好きなのよ。気づけよあほが

意を決しての告白が来た!まあ、ハッキリ言わないと通じそうになかったですからねぇ。
とはいえ、突然の告白に対応しきれない寛太。気色悪い冗談言ってるぞ、笑ってやれよと風馬に振る。

オレは茶々のことが好きだ

おおっと。負けずとこっちも告白が来ましたよ!
この展開には寛太も茶々さんも唖然となる。はあああああああああ。
こっちから告白されたと思ったら、あっちからそっちに告白が。みんな今日おかしいんじゃないか?

ちなみにオレが好きなのは風馬らしい

寛太が1番おかしいだろ!

いや全く。おかげでキレイなトライアングルが出来上がってしまいました。
これが三角関係・・・!!なんか違う。むしろあれだね。三竦み

茶々「誰がナメクジで誰がカエルで誰がヘビよ。えらくじめった関係だな」
風馬「たしかナメクジは雌雄同体だったな・・・

まあ、とりあえずこれからも3人一緒ってことだな。

という寛太の締めでこの場は収まったのでした。え、それで収まるのか!?
まあ、三竦みの関係は壊さないのが一番でしょうからねぇ。このままで・・・いいのか?
そうなると問題は誰が雌雄同体のナメクジ役になるのかという部分になりますな。
風馬が収まるといい感じになりそうだが、それだと茶々さんがヘビになっちゃう。
当てはめてみようとするとなかなか難しいですな三竦み。

夏は恋の季節ということで、こんな悩みを抱えている少年少女が随所にいるのでしょうな。
いや、こんな三竦みになっている集団はそうそういないと思うけど。
というか、今回のサブタイトルの黴春とはどういう意味なんだろうか。
青春とは青黴のようなものというのだろうか。そんな普通な解釈しちゃってもいいものか。
実は赤黴かもしれませんしね。黒黴もあるか。
赤く燃え上がった恋心は青く消沈し黒く染まるって意味合いがあるのかもしれない。なんかダークだ!
まあ、とりあえずこの3人については温かく見守るとしましょう。うん。



第21話 「世界は悪に満ちている」  (2012年 17号)


こども以上おとな未満
今回もなんだか危なそうな表紙から始まります。開幕からドキドキするぜ。

とある団地。前もこんなとこに住んでる主人公いたな。
今回の主人公は杏奈さん。
小さい頃に同い年同じ名前の少女が戦うアニメを観て以来、私もこの世界の悪を倒すのが夢だったという。

愛の魔法戦士マジカルラブファイターアン!

これが杏奈さんが見ていたアニメでありますか。
その夢のためには普通の女の子の人生を犠牲にできる覚悟があったらしい。

私はマジカルラブファイター アンになったのだから!!

世界は悪に満ちている!
どうやら魔法戦士に変身した後の姿を普段からしているらしい。
そして、魔法戦士。というか魔法少女にはマスコットが憑き物。いや付き物。
マジカルラブファイターアンにはカル坊というマスコットがいた。
杏奈さんが持つのはクマの人形。目のボタンがとれかかってるのがなんだか痛々しい。
もっと痛々しいのは、カル坊の喋りを裏声で杏奈さんが演じている部分だ。こりゃ痛い。

悪の軍団ダークラボが世界征服を企んで人々を洗脳してるカル。

さすがマスコット。わかりやすい語尾である。

コラァ!杏奈。いい年してまたお人形さんごっこなんてして!

母親登場。お母さんはまともな人らしい。
杏奈さんは人形ごっこなんかではないと言い張る。
なんせカル坊の声や本当の姿は普通の人間には認識できないのだから!

聞こえてるし見えてるわよ!その気持ち悪い裏声の一人二役のことを言ってるのよ!

ズバズバ切り込んできますねお母様。それもそのはず。
杏奈さんは休みがちだった高校を退学し、5年も経っているという
そ、その間マジカルファイターとして過ごしてきたというのですか?
となると、どう見積もっても20歳越え・・・20歳越えの魔法少女とか許されるのだろうか!?
某19歳の魔法少女でも物議を醸し出したというのに!
いや、魔法戦士ならいいのか・・・うーん?でも、その格好はやっぱりなぁ・・・
それにしても、その後ろの髪の水玉模様はどうやって作っているんだ?

もう同級生は社会人だよ!働きなさいとお母さん。
杏奈さんは、やりたい仕事を今やってるし!と譲らない。
暇だからカレーでも買ってきてよというお母さんに対し、暇じゃないと返す杏奈さん。
ダークラボの魔の手が町に及んでないかパトロールする仕事があるのだ!

キュイイイイン

ステッキにまたがり、マスコットを引き連れて空を駆ける魔法戦士。というイメージ図。
実際はまたがってはいるけど、自分の足でとことこ歩いている。
マスコットのカル坊は首輪にヒモをつないでずるずる引きずられている状態だ。酷い!
またがった図を後ろから見ると滑稽さが半端ないな。ガニマタガニマタ。

パトロールに向かう杏奈さん。
とおりがかった先で、小学生がボールを使って遊んでいる。
剛くんを複数人が取り囲み、今にもボールをぶつけようとしている!
コラア!割って入る杏奈さん。

イジメでしょ!完全にイジメだわ。イジメなんて絶対許さないんだから!
アン!この子供たちの死んだ目は・・・ダークラボに洗脳されてるカル。

相変わらずの一人二役を演じる杏奈さん。
実のところ、ボールを使った増え鬼をしているだけでイジメでもなんでもない。
とはいえ、抗弁なんてアンは聞いちゃくれません。

なにい!許せない。必殺ぅ!きゅいいいイイン!
マジカルラブインパクツ!

ゴッ。
ステッキで殴りかかる杏奈さん。目にハートまで宿して殴りかかるとは・・・恐ろしい魔法戦士だ。

ギャア!大人にオモチャでどつかれた!
どこがマジカルだよ!フィジカルにもほどがあるだろ!

いいツッコミだ子供達。将来が楽しみだな。

剛「このーっ友達に手ぇ出すなおばはん!
杏奈「なにい剛!?あなたも洗脳されてるのね!」

ゴツン。ギャー。
全く持って話が通じない杏奈さん。こりゃやべぇ。
どうやら近所で有名な妖怪コスプレババアとして知れ渡っているらしい杏奈さん。こりゃやべぇ。
そんなことは気にせず、子供達からダークオーラが消えたと御満悦な杏奈さん。
世界は悪に満ちている。だから私が救わないといけないってわけですね。
しかし、引きずっているカル坊は目玉がとれちゃっている。きついな、この状態。

パトロールを継続する杏奈さん。
その目がとらえたのは、道にたむろする不良たち。
飲み食いして汚く道路を散らかしている。
しかし、見た目的になかなか危なそうな不良たちだ。怒るにはなかなか勇気がいりそう。
なんというすごいダークオーラ・・・

まあただのポイステに私が出る幕なんてないし。
マジカルラブファイターの管轄外だカル。

ダークオーラの強さに圧されてか、カル坊の裏声が普通になってしまっている杏奈さん。
ビビる杏奈さんを尻目に、不良達を叱るおじいちゃんが登場。

老人「コラアアくそジャりゃあああああ。道端にゴミ捨てるんじゃない!クソボーがオラア!」
不良「なんだこのジジイ、オレらに言ってんのか!」
老人「ジジイとはなんだおえええええええ」
不良「うるせー。今片付けようとしてたんだよ」
老人「わかりゃいいんだ」
不良「ちぇ」

なにこれ。
じいちゃんの啖呵というか、叫び方が危ないのもアレだけど、不良君が素直すぎる!
そして何だか和やかな終わり方をする。ちぇじゃねーよ。くそ!なんかいいな!

世界は悪に満ちている

スルーした上にあっさり解決してしまったが、とにかく悪に満ちているのだといい続ける杏奈さん。
世界は悪に満ちている。満ちている。満ちているんだ!

自分に言い聞かせるように叫ぶ杏奈さん。
その目の前に、嫌がる女性に、逃がさねえよと襲い掛かる男性の姿が飛び込んできた。

間違いなく悪だ!

マジカルラブファイア!

おぉ。飛び道具まで備えていたのかマジカルラブファイター!
まあ、ステッキを投げつけただけですけどね。
投げたステッキは見事に女性の後頭部にヒットしました。ゴッ。

男「何をするんだ!」
杏奈「嫌がる女性を無理やり連れ出そうなんてやめなさい!」
男「なんでその女性に器物をブチ込んでくれてんのか聞いてんだよ!

全くでございますな。
そもそも、この女性は別に被害にあっているというわけではない。
単に痴情のもつれ。しかも誤解による痴話喧嘩の最中だったらしい。
男――勝は、女性――瞳さんに、不安な思いをさせてしまい悪かったと謝罪する。

瞳、結婚しよう

まさかの目の前でのプロポーズ。見せ付けちゃってくれますね、お2人さん。
あまりの展開に杏奈さんの表情も激変。これはこれで可愛い。

世界は悪に満ちている。世界は悪に。

2人を置いてとぼとぼと去る杏奈さん。
ふと気づけば、首輪を残してカル坊の姿は消え去っていた・・・

夜。遅くなってから帰宅する杏奈さん。
お腹ペコペコになった母に代わりカレーを作るという。
できあがったカレーはパイン入り。凄い見た目だ。
でも意外においしいんだとテレビで言っていたという杏奈さん。

・・・なんだか世間ってのは意外と悪に満ちてないもんだね。仕事にならないよ。

ようやく世界は悪に満ちていることもないのかと認めた様子の杏奈さん。
世間という言葉に狭まっているのがなんとも現実的である。
母はそれを聞き、いいことじゃないと返す。その通りですな。
これを機にちゃんとした仕事を探しなさいとも言う。その通りですな。

私が今の社会に受け入れられるのかな、と不安そうな杏奈さん。それに対して母。

自意識過剰ね。あんたが思ってるほどあんたは社会にとってプラスでもマイナスでもなんでもないわよ
普通に受け入れてくれるわよ。

よい言葉ですねぇ。このお母さんは出来た人だ。
カレーのパインも意外にいけると認めてくれる
見た目はあれかもしれないけど、意外と溶け込めたりするといいたいわけですな!
いやでも、パインカレーって一応名前になるぐらいには存在するはずなんですよね。
見た目を整えてカレーという世間に入れば、違和感なく溶け込めるよってことなんでしょうか!

色々と痛々しい話の回でした。
けど、なんとなく救いが見えたような気がしないでもない終わり方がいい感じでした。
最後のコマの解き放たれたような表情の杏奈さんが気になりますねぇ。
今後どのように生きていくことになるのか・・・頑張っていただきたいものである。

途中で消失したカル坊の行方も気になりますね。
あれがまた他の夢見る女の子の手に渡ったらどういうことになるのやら・・・
杏奈さんが最後の魔法戦士とは思えない。いずれ第2、第3の魔法戦士、いや妖怪コスプレババアが・・・!!
勘弁してください。



第25話 「4年2組熱血きらら先生」  (2012年 21号)


今回の主人公は教師生活1年目の竹尾きらら先生23歳でございます。
新任教師ということで燃えております!ふんふん。

登校中。小学生たちに挨拶される、きらら先生。
きらら先生は生徒を名前で呼ぶらしい。気合入ってますね。
挨拶をしてきた誠也くん、剣くんには挨拶を返す。
そして、くん。
ちょっと大人しめな進くんは声を出すのが恥ずかしい様子。
挨拶されるけど、なかなか声に出して挨拶を返せない。
というわけで、きらら先生。挨拶の練習をしようと復唱させます。道の真ん中で。これは恥ずかしい。
まあ、小さな声でも許してくれましたのでよかったよかった。

きらら先生は4年2組の担任。ということは生徒たちは10歳でありますか。
このぐらいの子供はまだまだ積極的。
授業中に手を上げて回答する子も多数いる。
でも、この頃から引っ込み思案な子ももちろんいる。進くんはそんな子である。
4年2組は活発な子が多いが、進くんはその流れには乗っていない。
それが浮いて見えるのか、きらら先生は心配になっている御様子。1度ちゃんと個人面談してみようと考える。

下校時、進くんを探すきらら先生。
その目に飛び込んできたのは、多数のランドセルを抱えてクラスメイトと下校する進くんの姿。
懐かしいですね、カバン持ちゲーム
ジャンケンに負けたら人数分のランドセル持って一定の距離を歩くってやつ。
男子は大抵経験しているんじゃないでしょうか。今の子供はどうかしらないけど。
しかし、割って入ったきらら先生にはどうもイジメのように見えてしまった様子。

本当に!イジメじゃないの!?ちゃんとズルしないでじゃんけんした!?
進!本当に?いじわるされてないの!?

なんとも真剣ですねぇ、きらら先生。
遊びのつもりだったのに真面目に接せられると子供たちも黙って聞くしかない様子。
進にこのゲームをしたいかってちゃんと聞いたの?と問われるとそれは聞いてないと答えるしかない。

人はいろんな性格があって、気が弱くて嫌でも嫌って言えない子もいるの
剣も勇悟も誠也もいい子なんだから、もっと他の子の気持ちも考えてあげて。

いいことを言っている。確かにそういう子は存在する。
他の子の気持ちを考えてあげるのはとても大事なことだと思います。生徒も、わかったよ先生と返答する。

ごめんな進。2度とゲームに誘わないから

いや、それは何か違う。断りを入れましょうって話であって誘わないのはなんかアレじゃないっすか、ねぇ。

それはさておき、個人面談をしたいので進くんだけ残される。
ベンチに並んで座り個人面談開始。

進はもっとハキハキしてなきゃ。子供は元気なものだよ!
先生は教師やってて辛いこともあるけど、クラスのみんなが元気なところを見ると幸せになれるんだ!
だから進の元気なところも見たいな!

気が弱いのもダメだぞ!男の子なんだから!
そんなんだからさっきみたいにいじわるされるんだぞ。元気元気!

元気になるよう話しかけた後、自分の昔話を始めるきらら先生。

先生が小学生の時ね、男の子なんかよりやんちゃで元気がありあまっててね、
大人や友達からもっと女の子らしくしろーだなんてしょっちゅう言われてて傷つくことが多かったの。
でも、その時の恩師がね。
「女の子らしくなんてことはないんだよ。それは個性だから。
子供は自然体のままが1番。私はあなたの元気な姿が見られるのが嬉しいわ
って言ってくれて、私はすごく救われた。
その時に、私も子供の救いになる小学校の先生になろうと決めたんだ!

昔のことを思い出してつい涙が出てしまうきらら先生。あっ。

あはは、ごめんね!先生なのに。
とにかくもっと進は自然体でいていいと思うの。子供は元気が1番だからね

という言葉を受けた進くん。今は1週間ほどお休みしています。
この前まで元気そうだったのに何かあったのだろうか。クラスメイトも気にしている。

「オレがゲーム貸したからズル休みしてやってるのかも」
「それはないよ。進はそんな曲がったことしないじゃん」
登校拒否だったりして

あはははと笑い飛ばすクラスメイト。はっはっは。まっさかー・・・

笑うな!!

いきなりの先生の怒号にざわっとなる4年2組。
いや先生、何でバカにするのと言われても、別にバカにしているつもりはなくてですね・・・

そう思ってなくても本人がそう感じることもあるんだよ
進は気が弱い子なんだからみんなもっと優しくしてあげて。
男子も女子も進と遊んであげて。みんないい子だから。先生信じてるからね。

いいことを言ってはいる。言ってはいるんだが・・・なんというか、凄い温度差を感じる。
やはり熱血教師は相手していると疲れるものなのだろうか。

休んでいる進くん。カーテンを引いて暗い部屋で読書中。目が悪くなるぜよ。
そんな最中に、ドアをドンドンと叩く音。そして、進!と呼びかけるきらら先生の声。

いるんでしょ、聞こえてる!?
いつでも学校来てね進!先生がいるからね!
みんなも進といじわるしないで遊んでくれるって先生と約束したから大丈夫だよ!
もう何も怖くないからね進!みんな進を待ってるよ!

ドンドンと叩きながら叫び続けるきらら先生。これは怖い。
アパートだというのに、近所迷惑なこと甚だしいですな。

ようやく去ったかと耳を塞いでいた両手を離す進くん。
しかし、今度は窓の方から声がしてくる。表から叫んでいたのだ。

進!最後に1つだけ聞いて!
私は川野進を4−2のクラスの一員として必ず迎え入れるからね。
先生は恥をかいても命をかけても南小学校4−2みんな、最高の思い出になる学校生活にしてみせるから!
それには進の力が必要なの。先生待ってるからね!

きらら先生の言葉に、うすく開いていたカーテンは完全に閉ざされる。
そして、ヒザを抱えて暗い部屋にうずくまる進くんでありました・・・

そして僕は追い込まれる
見事な編集の最後のアオリであります。いやあ・・・追い込まれてますねぇ。
なんというか、凄く寂しいものがあるお話でありました。

きらら先生の言っていることは部分部分は間違ってはいないのだが・・・
相手によってそれが当てはまるかどうかを理解できていない節がありますな。
判断基準を自分の子供のころに定めてしまっているので、それと違う子が理解できていないというか。
基本的に悪い人ではない。だから厄介というお話ですな。
悪意のない善意ほどタチの悪いものはないというやつです。周りも否定がし辛い。
進くんを追い込んでいるのは先生の方だと誰かが言っても、聞いてくれるかはわからない。純粋な善意は怖い。

しかし、読み返してみると、言っている内容はかなり矛盾しているようにも見えますな。
恩師の言葉でもある、子供は自然体のままが1番という言葉。
この言葉をきらら先生は、子供は元気なのが自然体であると取り違えているように思える。
だから、大人しい子は自然じゃないと矯正しようとしてくるわけだ。
うーむ。体育会系の教師みたいな苦手さがあるな、コレ。学生時代が思い起こされる・・・!!

女の子らしくしろと言われて傷ついたと言っているのに、男の子らしさを押し付けてくるのも厳しい。
これは子供に限らずだけど、女らしくしろは反発されやすいが、男らしくしろは通り安いんですよね。
大人しい子には色々と大変である。
やっぱり、先生とはドライでいい関係なクラスが一番ですよ。熱血も度が過ぎると疲れるだけになる。
多感な小学生の時期にこういう目にあうと、将来本当に厳しいことになるが・・・進くんはどうなるんだろう。
ゲームを貸し借りしたり、クラスメイトとの仲は良好に見えただけに残念でならない。
今後も親と先生が揉めたりとか、落ち込む話になるかもしれないが、強く生きて欲しい!



第26話 「歩く道」  (2012年 22+23号)


高校2年男子の物語。
珍しく男子が主人公。本日の主人公は本田貴斗くん。

自室でメールのやりとりをしている貴斗くん。
今日も学校を休もうかなとか書いている。どうやら何日もズル休みしているらしい。
母親も、これじゃ高校卒業できないよと怒っております。

学校なんて意味がない。あんなところ通ったってオレにとっての答えなんてあるわけない。
同じレベルの知恵の奴らを囲って集団生活させて風紀だ規則だで個性を弾いて、
行儀のいい社会の歯車にしつけしてる犬の施設みてぇな場所だ。

懐疑的になってますな。
まあ、若いうちは反社会的思想に陥り安いものですよ。無闇に情熱がありますからね。

母親の説教がうるさいので、カバンも持たずにブラリと出歩く貴斗くん。
歩きながらも学校に対しての内心の否定は留まるところを知らない。

夢を持てだの現実を見ろだの、気分で好きなことを吐いて、
ガキになめられないように精一杯虚勢張ってる教師共の話を3年間聞いて何を得られるのか。
そんな輩の言葉を大切そうにメモとるようなマヌケ共の生徒ともつるむ気もまるで起きねえ。

小学生の頃はおもしろかったな
おもしろい仲間と自分たちの頭と自分たちの足で行動して、あの名もない小さい山を探検したな。

あてもなく歩いた先には立ちはだかるkじゃのように高い壁があって、それ以上進めなかった。
あの先には何があったのだろうか
きっと何かあるはずなんだ

高校生にして、早くも子供の頃の思い出に浸っている貴斗くん。早すぎます。
まだまだ今を楽しめるような年頃だというのにねぇ。

散歩している最中に、偶然知り合いである加藤さんと出会う。
この子は加藤幸枝さんかな?最初に学校休もうかなという貴斗くんのメールに返信をくれてた子だ。
どうやらメールを交わすぐらいには親しい関係であるらしい。

もう学校は始まっている時間のはずだが、寝坊しちゃって今から登校という加藤さん。
じゃあ、一緒に学校さぼらない?と提案する貴斗くん。
この提案に、じゃあ一緒にさぼると返事してくれる加藤さん。ほう。

加藤さん、オレのこと好きなのかな

早いな少年。思考がホップステップしてるぞ。
まあ、そういう風に考えてしまうのもまた楽しいものですし、それはそれでよしだ。

さぼってどうするの?という問いに貴斗くん。あの山登ろうかと言い出す。
これは思いがけない話ですね。加藤さんも楽しそうーと快諾してくれます。
とはいえ、山道は厳しい。
何か変わったものがあるというわけでもない小さな山ですし、ぶらりと足を運ぶには厳しい。
加藤さんを気遣い、ゆっくり歩くことにする貴斗くん。

でさー、当時のおもしろかったツレは早々に学校辞めてバンドしに東京行ったりでさー。
オレも学校辞めて東京行こっかなー。学校なんて行ってもその先になんの答えもないだろ

鬱屈としていた自分の思いをここぞとばかりに述べている貴斗くん。
そういう考え方もなくはないんでしょうけどね。それでやっていけるかはまた別の話として。

加藤「本田くんってさー、彼女いるの?
貴斗「え!いないよ」
加藤「どれくらいいないの?
貴斗「なんだよ急にー」
加藤「別にー」
貴斗「なんだよそれ」

ふむ、この会話は?何だか気のあるように見える会話であるが、果たして?
真偽はどうあれ、貴斗くんは加藤さんが気があると判断した様子。舞い上がってるなぁ。

箱の中でマヌケ共がなんの疑いもなく数式とか漢文とか脳みそにねじ込んでるこの時間に、
青い空の下で好きな女と2人きりの時間を過ごせてる。最高だな。

そう言われると惹かれるものがなくもない。
そんな毎日を送って過ごせたら楽しいでしょうね。
とはいえ、将来のことを考えると不安にもなる。加藤さんも無断欠席なんてして大丈夫かなと不安そう。

どうしたんだよ今更。大丈夫大丈夫!オレなんて10日連続無断欠席だぜ

だいたい学校なんて自分を持ってない抜け殻みたいな輩が答えを求めて通うところだ。
学校に通ったところでなんの答えもないのにな。

相も変わらず持論を唱える貴斗くん。
加藤さんはそんな貴斗くんに、本田くんはなんか夢があるの?と聞いてみる。

いや別にそれはないけど
自分の頭で考えて、自分の意志で歩いて、自分の目で探さないと答えなんて見つからねえんだ。

冒険者みたいなことを言う。この貴斗くんの意見に、加藤さんも反論してみる。

でもみんなは自分の意志で学校に行って進学や就職を考えてるよ。
みんなもう高2だから、将来を必死に悩んでるよ

卒業を控えた時期ですからねぇ。進学にしろ就職にしろ、将来を悩むことになる時期だ。
義務教育をやっていた中学生までとは違い、これからのことを自分で考えることになる。
加藤さんが言うとおり、みんな必死に悩んでいるのでしょう。

と、いう言葉を聞くこともなく、目的の壁を見つけて嬉しそうにしている貴斗くん。

あれだよ、オレたちに立ちはだかった憎き壁。うわあ気分が高揚してやがる。
思ったより高くないぞ。今なら越えられる。
オレはずっとこの先に何があるか気になってたんだ。
ほら!その先の答えを

壁を登った先にあったのは、整備されていない道。
草が生えまくり、先に進むこともままならない。何もない場所
加藤さんの、何もないね、という発言に、でもさ、何もないっていう答えを手に入れたと言ってみる貴斗くん。
うん、その返しはダメだろう。自分でもダメだと思ってそうな感じが見受けられる。
携帯を操作しだす加藤さん。カチカチ。

ねえ、もう帰らない?私やっぱり学校今から行くよ。着信量やばいし。

2人で来た同じ道をまた通って帰った。その間に会話はなかった。
ならばせめてと、別れ際にまたさぼろうぜと言ってみる。
加藤さんは返事はするものの、こっちを向くどころか携帯から目を離したりしない。ああ・・・これは・・・

その日以来、加藤さんから返信があることは2度となかった。
オレは学校を辞めた

辞めるんかーい!!
なんだか暗澹たる雰囲気の漂う回でありました。
自分で定めた壁。その先には何かあると信じていた。でも、実は何もなかった。
それを見たときに、自分の思い込みなんてそんなもんなんだと悟ることができていればよかったのかもしれないが・・・

明確な夢を持ち、それに邁進しているなら学校を否定するのも考えのひとつなんですけどねぇ。
否定しながら、特に何をするでもなく日々を送っているのはさすがにどうかと思われる。
加藤さんもそういった相手とは付き合えないってことなんでしょうな。

加藤さんの話といえば、彼女いるの?どれくらいいないの?という質問。
これは気があるというよりむしろ見下されているという意見がありました。
ふむ。確かに、いるの?だけならともかく、どれくらいいないの?という質問は厳しいものがある。
深読みすれば、こんなことしてる奴に彼女なんてできるわけないじゃーんと言ってるようにも聞こえる。
さすがにそれは邪推しすぎか?でも、彼女いない歴=年齢の子には厳しい質問になりますしね。

貴斗くんが普段学校をさぼって何をやっているのかは知らない。
けど、もし山登りでなく、加藤さんを楽しませるようなところに連れて行けたらどうなっていただろうか。
加藤さんが学校をさぼろうとしたのも、何か新しい刺激を欲してのことだったのでしょう。
そういった刺激を与えることが出来ていたら、加藤さんの将来もどうなっていたかわからない。

うーん。学校を辞める子ってのはこういう考え方をしているのかなぁと考えさせられる回でした。
熱血きらら先生だったらどう対応するのだろうか。高校生の受け持ちはしないと思うけど。
理屈ばかりが先行し屈折した若者に感情での押せ押せは通用し辛い。
母親の説得も感情的になるだろうし、学校を辞めた貴斗くんの将来はどうなってしまうのか。

心配にはなるが、キャラクター的に、んーまあどうでもいいかと思えてしまう子だから困る。



第27話 「少女の異常な普通」  (2012年 24号)


この柄が微妙なマスコットは一体なんだーという表紙から始まる今回。
高1女子3人のお話。とはいえ、いつもの3人組女子とは様子が違うようで。

登場人物はタレ目の田中さんにパイナップルのように頭頂部を縛った佐藤さん。
そして跳ねるようなツインテールが特徴的な小さな女の子、大垣内さんの3人であります。

田中さん曰く、私って変わってるからダメな男がいいんだよねーと言い出す。ダメ男ほど構いたくなっちゃう。
ダメ男好きってのはそれなりにいるみたいですね。母性本能をくすぐられるのだろうか。
色々苦労しそうな気がするんですけどね。

田中は変子だからねと言う佐藤さん。
その佐藤さんも暴力男も悪くないって言っているらしい。DV男ですか。それはよくわからん。
危険な男は好かれるのかもしれないが、暴力男が悪くないってのはよくわかりませんなぁ。

男のタイプについて話す2人。残る大垣内さんはどうなのだろうか?

大垣内「えへへ。私は恋人できたことないからわかんないなー」
田中「ええー恋人できたことないの!?もう高一だよ!あるでしょ普通!私なんか二股中だし」
大垣内「えっ。二股ってダメじゃない」
佐藤「二股なんて今時普通でしょ

いやいや。さすがに普通ってことはねーよ。普通にやってる人はいるかもしれないけど。
というか、倫理的に普通になって欲しくは無い。

続いて所有しているマスコットアイテムのお話。今回の話の表紙に並んでいたアレだ。

田中「ねえ見てこのストラップ。個性的でいいでしょ!
佐藤「私もそれのレアバージョンだよ。一般ウケしないデザインがクールだよね

確かに一般ウケしなさそうなデザインだ。一時期聞いたキモカワってやつなのか?
大垣内さんは知らなかったようで、変なのーそんなのあるんだーという反応。

田中「えっ、コレ女子でめちゃくちゃ流行ってるのに!知ってるでしょ普通」
佐藤「ねえ普通知ってるよ!個性的なキャラで流行してるのに

へー。そうなんだー。って・・・

うるせええええんだよ。この土腐糞共があああああ

お前らさっきから好きなタイミングで自分を特別にしたり普通にしたりしてんじゃねえよジャリがあ。

お前らのしょうもないアイデンティティ確保のために、なんで私が異常扱いされたり凡庸扱いされなきゃならんのだ。
お前らの価値観なんてなんの意味すら持てねえ薄っぺらい思考だって早く気づけやドアホウが。

突然真っ黒になり、歯をむき出しにして憤慨する大垣内さん。
特徴のツインテールも逆立ち、まるで角のようである。黒鬼と化したかのようだ。
しかし、この憤慨の内容は心の中で唱えるに留めている
黒鬼の表情も、2人には見せない。こちらを向いていない間にこっそりと行っているわけだ。

てなことをやっていたら遅れそうになる大垣内さん。2人が振り返る。
表情をぱっと元に戻し、考え事してたとごまかす。それに対し、天然だからな大垣内はと言い出す佐藤さん。

大垣内「よく言われるー。私ちょっと変わってるのかな?
田中「いや、変わってはないよ。普通のどこにでもいる天然でしょ」
佐藤「天然って言われてまんざらでもなさそうなのが普通って感じだよねー」

だからどっちなんだよ!意見に合わせて否定されるのは嫌な気分になるものですわね。これは黒鬼化してもしょうがない。
でも、天然って言われて喜ぶのは確かに普通な反応の気はしないでもない。
天然という言葉が褒め言葉というか、可愛い特徴のように使われているからだろうか。
天然ボケの略だろうから、あんまりいい感じはしないんですけどねぇ。

さて、場所を移してコンビニ。
まずは飲む物で2人との食い違いが発生。

大垣内「朝はコーヒーに決まりだね」
田中「えっ。朝は水でしょ普通。サラリーマンじゃないんだから」
佐藤「っていうか缶って。今飲み切る気?携帯性のあるボトルでしょ普通」

続いて購入時の袋の有無。袋はご入用でしょうか?

大垣内「はい」
田中&佐藤「えええ。袋なんていらないでしょ普通」

購入後の小銭の扱いについて。

田中&佐藤「えっ。お釣りの小銭は募金するでしょ普通」

お釣りが間違っていて多く返ってきたときの扱い。

大垣内「お釣り間違ってますよ。100円多いです」
田中&佐藤「ええええ。それはもらっとくでしょ普通!」

うっるせええええええええええええええ

飲み終わったら袋にくるんでカバンにしまうんだよ1ボケ。
募金は他人がとやかく言うことじゃねえだろ2ボケ。
人をケチ扱いしといて今度はいかれたお人よし扱いかよ。
本当お前ら3ボケの思考は4ボケ自由だな5ボケがよー。
678910ボケ百ボケ千ボケ万ボケ億ボケ兆ボケどもがああああ。

こう立て続けに行動を否定されるとたまらない。
黒鬼化し、食いしばった歯の間から泡が吹き出しそうなほど憤慨する大垣内さん。
でも相手の前ではその表情は見せません。
怒ってないよ。全然怒ってないよ。私怒らせたら大したもんですよ。怒ってないわけないけどな。

購入後のお話。よいしょっと飲み口をアルコールで消毒する大垣内さん。
さっきの店員さん、お金とか触ってる手で飲み口に触れてたし、他の誰が触ってるかわからないから、とのこと。
なるほどね。そういえば、さっきの店員さんどっかで見たことがある人ですね。
もしかして宇佐美さんの回での面接を行おうとしていた店の店長?似てはいる。

それはさておき、大垣内さんの行動は今回も否定される。
そんなことしなくても別に大丈夫でしょ!
缶コーヒー飲む前に拭くとかなんか恥ずかしいからやめてよ、と。

飲食だよ。バイ菌とか気にならない?普通

普通、という言葉を使って反論してみるものの、2人は目を見合わせるだけで、えーっといった表情。

大垣内って、ちょっと異常だよね

お昼ごはん前は必ず石鹸で何分も手洗いしてるし。
電話の連絡とか2度も3度も内容を復唱確認してくるし。

いやいやいや。その行動を例に出して異常と言われても困りますよ。
復唱確認している大垣内さんはやたらと可愛いですし。いや、そういう理由ではなく。

でもそれはやって損なことはないし、別にいいじゃない。

さすがにそんなことまでつつかれては表情を引きつらせるしかない大垣内さん。ヒク。
反論するが、やはり2人はえーっといった表情。なんだよその目は

2人みたいに体育や授業でいろんな物に触った手でそのまま食べ物を口に入れる方が変だと思うけどなー。
それに口頭は聞き間違えが多くなるし、1時とか7時とか間違えたら大変だから確認は大切だと思うけど。
2人ともよくそういうミスをするじゃない。
私のやってることの方が常識的で普通であるべきだと思うけどなー。

ヒクヒクと表情を引きつらせながら反論する大垣内さん。
大人しくしていたが、さすがに黙ってはいられなくなったようですな。ヒクヒクヒクヒクヒク。
正面向いて話しているのに段々と黒鬼化していっている。でも、これはちゃんと言っておかねば――

佐藤「いや、しないよね普通」
田中「うん。しない普通」

ダメだ。こいつら

自分だけの普通を公平性のない多数決を根拠に世間一般の普通に平気でしやがる。
こんなアホ共に、私の普通がおかされるなんて。
くそくそくそくそくそくそくそくそくそくそ

なんだか悔しくなって涙目になっちゃう大垣内さん。
黒鬼化したままの涙目。これはこれで可愛いけど切ない。角もしおれちゃってるよ。

そんなタイミングで同じ学校の生徒らしく女子4人が登場。
その4人に対し、ちょっと聞いてよとさっき起きた出来事を話し出す佐藤さん。ケラケラと。

大垣内ったら二股はダメ言ったりするんだよ。別に普通だよねー。
高一にもなって恋人の1人もいないから変なこと言い出すのよ。
缶コーヒーの飲み口を消毒したり、食事前に石鹸で丹念に手洗いしたり、そんなのしないでしょ普通。
他に、多くもらったお釣りを正直に店員に申告したりして。ネコババするでしょ普通。

大垣内って普通じゃないよねー

いやー。そのような内容を並べ立てられましてもー。

それって普通でしょ?

って返されるに決まってるじゃないですか。えっ。じゃないですよ。
「ていうか、田中さんたちが普通じゃないよ」「二股なんてしないだろ普通」
「不潔だな」「ごはん食べる時はみんな手を洗うよな普通」
「だよな、大垣内。普通」

うん、普通

汗だくだく、涙目の黒鬼化していた大垣内さんでしたが、思わぬ同調者の登場により救われた。
だよなと問われて、黒鬼状態で笑っているのが面白い。笑った黒鬼。
そして、最後はキレイな表情に戻っての笑顔。いい締めでありますな。

それにしても、最後のページを見たとき、愛智ちゃんがいる!?と思ったら別人でした。
よく見たらやってきた4人組はみんな特徴的な目をしていますな。+−▽□ですか。
なんでしょうなこれは。各種ドライバーに対応していますってことなんでしょうか。
六角レンチでもなんでもこいやーってことでしょうか。あ、六角形いないや。

普通ってなんだろうね、という今回のお話。本当に普通ってなんなんでしょう。
普通じゃない苗字の大垣内さんが普通な苗字の2人に普通を問い問われるというのも面白い。
大垣内さんは、公平性のない多数決を根拠にするなと主張している。
でも、世間一般の普通というのは、公共性があるかどうかはさておきやはり多数決じゃないかと思われるのですよね。

自分はこれがいい、と思っても多数派がそれは普通じゃないというと普通じゃなくなってしまう。
これはチャンピオン読者ならば普通に味わっていることではないでしょうか。
週刊少年誌ならやっぱりチャンピオンだよねーと主張しようものなら、一気に反論されること間違いない。
まあ、普通じゃないよなと自覚している人が多いと思うので主張はしないでしょうけど。
できれば思いっきり主張してみたいものだ。

逆に考えると、多数のチャンピオン好きで囲めばそれを普通にできるのではないだろうか。
4人くらいのチャンピオン好きのグループを集めて、そうじゃない1人に説いて回るとか。
やっぱり一週間の楽しみはチャンピオンだよねー普通。
木曜の朝は早起きしてチャンピオンを読むのが普通だよね。
そして日中はチャンピオントークを行うのが普通だよね。普通。
こんな発言を繰り返していけば、相手はそれが普通だと思ってくれるんではないだろうか!?
大垣内さんのように、うるせええええとか言われるだけになりそうな気がしないでもないけど。

それにしても、人の感情は面白い。
変わってるとか、ちょっと他人と違うよねって言われると自尊心をくすぐられる。
でも、異常だよねとか普通じゃないみたいなことを言われると抵抗をしめしたくなる。
大垣内さんにしても、天然はいいけど、異常はイヤだというところに現れていますな。

ところで、大垣内さんは何で合わない2人と行動を共にしているのだろうか。
高一だし、まだ気の合った仲間を見つけれずにいる状態ってところなんでしょうか?
これを機会に普通で居られるグループを見つけるのがいいと思います。
ああ、どこかにチャンピオン読むのが普通なグループはいないものか。
チャンピオンってのは購入して愛読して感想まで言い合うものでしょ、普通。普通普通。普通?



第28話 「選択する私と
選択しない私を選択する私と
選択する私と
選択しない私を選択しない私の選択」
 (2012年 25号)


高校3年生男女の物語。
それはいいけど、またこの手のタイトルであるか。
表紙と併せて、ヤバイ話じゃないだろうなと不安になってしょうがないです。はてさて。

今回の話は男女のカップル。男の子の名前は栄花くん。女の子は寺尾さんでございます。
本日は初のデート。遅れて来てごめんね、色々迷っちゃってと言いながら現れる寺尾さん。
服選びで迷っていたのでしょうか?いや、それだけではない。バスで行くか徒歩で行くかも迷っていた。それと――
今日デート行こうか行かないかですごく迷っちゃって

何ですかそれは!?デート開始直後になんてことを言い出すのだこの子は!!
とんでもない発言だ!と思ったが、なんだか嬉しそうな様子の寺尾さん。ふふっ。

今日初デートしちゃうともう2度と私たち初デートができないと思うとなんだか惜しくなっちゃってさ。
だから精一杯初デートかましてやろうね!

なるほどー。最初のセリフはどうかと思ったが、この説明で凄く納得してしまいました。
初めてというのは1回きりでありますからねぇ。この特別感は確かに大事にしたいものでありますわな。

栄花くんは、並んで歩く最中、寺尾さんに告白したことを思い出す。
まさかずっと好きだった寺尾と恋仲になれたなんてな、と感慨深そうだ。

栄花「寺尾!好きなんだ!オレとつきあってくれ!」
寺尾「どっちでもいいよー
栄花「どっちでも!

これはまた、なかなかない答えが笑顔で返って来ましたね。
能動的な問いかけをしているのだから、どっちでもいいと言われたら、付き合いお願いしますというしかないじゃないか。

恋人のいる私の人生もおもしろそうだけど、その機会を逃した私の人生も味がありそうだし。
どっちともそれが人生だからどっちでもいいよー

そういう話であるか。納得・・・してもいいのかな?
確かにどっちに転ぶかの分岐点であるが、そのどっちに転んでも問題はないというなら、どっちでもいいわけだ。
その判断を相手がしてくれるというなら、相手に任せるというのも一つの方法である。
そういう意味を込めてのどっちでもいいなのでしょうか。なんであれ言われたほうの驚きは半端じゃない。

とはいえ、結局寺尾さんは今自分の横に、自分のためにいる。これを喜ばない男子はおるまいて。
そして、そんな寺尾さんがじーっとこちらを見ている。なっ、なんだよ?

栄花くん、エリ立ててるぅーっ!

大きな声で指差ししながら言われた!これは恥ずかしい!!
だってメンズ誌を見たらそういう着こなしをしてたから・・・!キザすぎたか・・・!!

素敵ーっ!!

マジかよ。うおおおありがとうメンズ誌!
目の中に星を浮かべるほどに輝かせる寺尾さん。そんなに喜んでもらえるとはね。

エリを立たせない自由もあったのに、エリを立たせる自由を選択したのはまぎれもなく栄花くんの意志!
18年生きてきていろんな物を見て、いろんなことを聞いて、いろんな思考して、いろんな人に影響受けて。
その想像もできないほどの莫大な情報量の経験を積み重ねて弾き出した、
今出せる答えをこのデートで見られるなんて!素敵だよお!

なんだろう・・・そういう風に褒められると・・・なんだか恥ずかしい気分になってくる。
慌ててエリを下ろす栄花くん。

そしてエリを立たせない自由!これが今の栄花くんの吐き出した答えだ!これもまた素敵ー!!

思いっきり寺尾さんに言われたことによる結果な気がしますが。
でも、寺尾さんの言葉に影響を受けたにせよ、下ろす選択をしたのは栄花くんですからねぇ。
行動をしたということが素敵だと寺尾さんは言っているのでしょう。
つまりは全肯定してくれているということになる。そう考えるとラブいな。

さて、歩いている最中、猫が寝ているのを見つける寺尾さん。

あっ栄花くん見て。猫だよ。見なくてもいいけど猫だよ!

いや、そう言われれば見るさ。確かに猫だな。微妙に可愛くない猫だ。
寺尾は猫好きなのか?と尋ねる栄花くん。
その質問に対し、好きか嫌いかで選ぶなら好きになるかなと答える寺尾さん。

栄花「オレん家、猫飼ってるから今度来いよ」
寺尾「本当に!?ばりアガる!」

なんだかテンション高めなセリフを放つ寺尾さん。
栄花くんもナチュラルに家に誘えたと内心でテンションアップ。ありがとうニャー助♂10歳!

私は猫飼えないから嬉しいなという寺尾さん。ペット禁止とかそういう話ですかね?

だって生物を飼うという選択は、同時に生物との死の別れも選択することじゃない
私、そんなの悲しくて耐えられない!

いきなり重い話になった!!
ニャー助、長生きしてくれ・・・!!
思わず願う栄花くん。10歳だとそろそろ危うい頃だし、怖い話になりますな。
そして、寺尾さんの話は凄く共感できる話である。
自分もペットは似たような理由で飼えない。いつか死に別れることがわかっている相手ですしねぇ。
死んでしまったら、埋葬とかもしないといけないですし、これもまた悲しい。
死んだペットはペットじゃない。ペットの形をした肉だ、とかいってゴミ箱に捨てるわけにはいかないですし。
そういうことを考えちゃうとなかなかペットは飼えないですなー。

なんだか気まずい雰囲気になっちゃった2人。
話題を変えるためにカラオケにでもいかないかと勧める栄花くんでありました。
寺尾さんの返答は安定のどっちでもいいよ、であったが。

さすがに自信があると言ってのけた栄花くんである。なかなかノリノリに歌ってくれる。上手上手。素敵ー!!
逆に寺尾さんははっちゃけれていない。声ちっさ!

だってはっちゃけちゃったら、はっちゃけた自分とはっちゃけてない自分が生まれちゃうじゃない
コンビニ弁当を1人でモシャモシャ食べてる時にはっちゃけてた自分を思い出すとなんだかつらい気持ちになりそうで・・・

それは考えるのがよくないのだ!
などとは言わない。考えてつらい気持ちになるのではなく、楽しい気持ちになるのだ!
いい感じにはっちゃけれたなーと考えれるようになれば、はっちゃけるのも怖くはないよ。
やらかしちゃったなーという感じの場合はそんな風には考えれないだろうけど!!

ここまでのデートの状態を鑑みて、栄花くんにはある疑問が浮かんでいた。

なあ寺尾。オレといても楽しくないのか?
つきあうのもどっちでもよかったり、オレとじゃはっちゃけられなかったり、でも猫のことははっきり好きって言うし。
オレなんて寺尾からすれば本当にどっちでもいいんだな。

あ、栄花くん怒ってるの?怒ってない栄花くんも素敵だけど、怒ってる栄花くんも乙なもんだねえー!!

ふざけるなよ!オレは本気なんだぞ!

確かにこの返しは怒ってもしょうがないものである。
だからというわけでもないだろうが、本気で寺尾さんのことを思っているという栄花くんに、私だった本気だよと返す。

私は栄花くんと一緒になる道と、栄花くんとは一緒にならない道の眼前で今の選択をした。
それは18年生きてきて、いろんな物を見ていろんなことを聞いて、いろんな思考して、
いろんな人に影響受けて出した、今の私の答えだから。

私は今まで1人での選択をしてきた。栄花くんのいない道を長く歩いてきた。
これからも多くの選択をするんだろうけど、これからは栄花くんと2人で選択する
それは初めての経験で楽しみでならないよ。

なんだろう、それは・・・なんというか、その・・・まるでプロポーズのようではありませんか?
そんな風に言われちゃったら怒ることも忘れて赤くなるしかないじゃないですか。
そういえば、寺尾のこういう不思議な空気に惹かれて惚れたんだった、オレ。
栄花くんも初心を思い出してしまったようであります。

交際してる私たち2人がいるということは、いつか交際してない私たちが同時に存在するということだけど、
その日までがんばろうね!

なんだか酷いことをさらりと言われた気がする!
その日が生まれるとは限らないでしょ!がんばるからな!な!!

てなわけで、2人での選択をしていくことを選んだ寺尾さんでありました。
今、笑顔でその選択を口にできるというのは、その選択は間違いではなかったということなのでしょうか。
でも、選択しなかったらもっと面白いことが待っていたかもしれない。
そう考えると、今の選択が本当に最善だったのかと考えてしまわないでもない。
しかし、寺尾さんはそういった過去の選択を後悔するような発言はしていない。
基本的にポジティブな思考をしているのでしょうか。なかなか羨ましい話ではあります。素敵ー!!

なんというか、寺尾さんは落ち着いているというか、不思議な雰囲気の子である。
発言を追っていると、今までの子のようなテンションが散見されるのに、不思議と落ち着いて見える。
ばりアガる!とか口走るのに落ち着いた子に見えるとは一体どういうことであるのか!?
自分の考えをちゃんと持っているというのがわかるからなんでしょうか。不思議な話でありますなぁ。

人生は選択の連続である。さまざまな場面でさまざまな選択をして今がある。
地上最強の男を目指すのを諦めなかったら今どのような人間になっていただろうか、とか考えるわけだ。
果たしてチャンピオンを読まない選択をした自分はどうなっていただろうか。
きっとチャンピオンの感想を書くこともなく、ネットに自己の考えを大衆に晒すなんてこともなかったに違いない。
長い年月生きてきて、色んな漫画を読んで、色んな経験をして、チャンピオンを選んだ。
その選択に間違いはないと思っている。少なくとも今は。
チャンピオンの感想を書いているということは、いつか書いていない私も存在することになる。
それまでは頑張ろうと思います。がんばるから!な!!



第29話 「嘘つき」  (2012年 26号)


小4男子と中3女子の物語。
歳の開いた2人によるお話であります。
中学3年生の真子ちゃんが、従弟の響平くんの家に遊びに来ていた。
真子ちゃんはおばさんに挨拶した後、響平くんの部屋に入る。久しぶりー。
って今すげえ忙しいとか言ってたくせに、すっごい暇そう!!

真子が入ってくるまでそれはもう納期がアレで修羅場ってて忙しかったんだよ。

漫画家みたいな言い訳をしおって。相変わらず嘘ばっかりとか言われる響平くん。
生意気そうな見た目にたがわず、素直な子ではなさそうだ。

真子「響平、今日1泊よろしくね。お姉ちゃんと会えて嬉しいかい」
響平「ああ嬉しいぜ、真子」

あら、可愛いこと言ってくれるじゃない。
と思ったら、真子が泊りにくるとお袋が奮発してカラアゲしこたま作るから、だそうな。カラアゲ目当てかい!

突っ込む真子ちゃん。でも、カラアゲは見逃せない要因ですからなー。
ただ、描かれているのがあんまりカラアゲっぽくないのが気になる。
ピーマンの肉詰めとかそっち方面の食べ物に見える。それはそれで好物っすよ。

夏休みの宿題はもうすんだの!?という問いかけについて。
7月に終わらせたぜとか言い出すので、それも嘘でしょ、今年も手伝ってあげるから頑張りなさいと言う。

なんだよ、なんでもかんでもオレが嘘つくって決めるなよ。
4年生からはがんばろうって決めて、毎日必死に勉強したのに、
そんな風に言われると、もう何もかもやる気なくなっちまうだろう。

まあ、嘘なんだけどね

しんみりした様子で言ったあと、これですよ。もーっ!
どうにも振り回されてしまっている様子の真子ちゃんでありました。

その後は、1泊を満喫する2人。
縁側でスイカを食べて過ごしたり、一緒におフロに入ったり、大量のカラアゲを頂いたり、花火をしたり・・・
って、この年頃の従姉弟で一緒におフロに入ったりするものなのでしょうか?
まだセーフな気もするが、そろそろアウトな気もする、微妙な年齢だ!

まあ、そんな風に過ごした後、就寝の時間。
同じ布団にまくらを並べて眠る2人。ってこの年頃の従姉弟が一緒に寝たりなんてするものなのでしょうか?
まだセーフな気もするが、もう少ししたら完全にアウトになりそうな気がする。微妙な年齢だ!!

はあー。明日からまた塾だよー。嫌だなー。
この家にもっと泊まりたいよー。夏休み中はさぼっちゃおうかな

思わず愚痴ってしまう真子ちゃん。
そんな真子ちゃんに、いきなり質問を投げかける響平くん。

ところで真子は学校で男とかできたのか?んー?

なんとませた質問をする子であるか。そんなのいるわけないでしょ、と答える真子ちゃん。
それに対し響平くん。オレは好きな女がいるぜと言い出す。

年上だけどおっちゃこちょいで、世話焼きでこうるさくて、でもかわいげあってほっとけないっつーか。

響平「というのは嘘で、クラスのまぶい女のことなんだけど!本気にしてやがんの」
真子「わっわっわっわかってるつーの!」

思わず布団を跳ね上げ取り乱す真子ちゃんでありました。からかわれてるねぇ。
でも、とアドバイスを送る真子ちゃん。
嘘ついてばっかじゃダメだよ。女の子にも嫌われちゃうぞ。嘘つきを直さないとね、と。

なんで嘘ついちゃダメなんだ?
嘘ついちゃダメっていうのがもう1つの嘘というパラドックスを起こしてないか?

なんだか難しいことを言われた。
いやいや、簡単に嘘はついちゃダメですよ。これは嘘じゃないっすよ。
9割の真実に1割の嘘を混ぜる。これが騙しのテクニックだと聞きますし。
普段から嘘ばっかり言ってては、肝心なときに騙せなくなっちゃいますからねぇ。
って別に騙しのテクニックを教えているわけじゃなかった!!
狼少年になるからよくないという話ですわな。

真子はブス!真子は寸胴短足!真子はマヌケ!
嘘をつかないとこんなことばかり言うことになるのだが、いいのか?

そういう真実は言わなくていいのー

沈黙による嘘はある程度認められるものですからねぇ。言葉って難しい。人間関係って難しい。

でも、好きな子の前でもそんなイジワルしてたら嫌われちゃうよ。
女の子には素直な気持ちを伝えなきゃダメよ!

安心しろ。好きな女の前ではオレはいつだってジェントルメンでいられるからな

また意味不明な嘘をつくんだから、この子は。
なんですかジェントルメンって。紳士たちっていいたいのか?複数形?分裂しただと!?
好きな女の子を前にすると紳士って分裂しちゃうものなんだってことか。えーと、うん、分かります。え?

てなことを言っている間に眠ってしまった様子。
響平くんが起きたときにはもう翌日の夕方。寝すぎでありますな。
気づけば真子ちゃんは帰り支度をしております。1泊を終えて帰ることにするらしい。
明日塾があると行っていたが、夕方から帰って間に合うのだろうか?結構家は近いのか?

響平「?昨日、夏休み中はここに泊まるって言ってたじぇねえか」
真子「まあね。そうしたいけど、明日の朝から塾があるから

明日からといってたのに、実はもう1日後だったのか!!嘘つき!!
いや、その話をしたときにはもう日付を越えていたとするなら嘘ではないわけか。は・・・計ったな。

さぼっちまえよという響平くんに、今年受験なんだからそうはいかないわよと答える真子ちゃん。
おばさんに挨拶して帰ろうとしたところ、響平くんがすがり付いてくる。

嘘つき

帰るなよ!昨日もっと泊まりたいって言うから信じて楽しみにしてたのに。
それが嘘ってわかってたらこんな時間まで寝てなかったのに。

いやいや、嘘じゃないよ。本当にもっといたいよ。けど塾が――

それが嘘だろ!
じゃああと1日くらい塾なんか休めよ。嫌なんだろ!誰にも迷惑かからないだろ!

かんしゃくを起こす響平くん。
受験が終わったらまた来るから。私も早く響平と遊びたいよと慰める真子ちゃん。しかし――

もういい!おまえなんかもう一生来るな!この嘘つき!
好きな女には素直でいろって言ったのはお前じゃないか。
嘘つきはよくないって言ったのはおまえじゃないか。うわあああああ。

泣き出してしまった響平くん。
おばさんは、すぐケロっとするからといって送り出してくれたが・・・

私はバカをした。ちょっと大人びたと思って響平の気持ちを踏みにじってしまった。
もう来るなって言ったけど、こんなにも嘘であってほしいと思ったことなんてない。
来年も会ってくれるだろうか。

幼き嘘の破壊力。少年少女の苦い夏

そんなアオリがピッタリくるお話でした。うーん、ほろ苦いねぇ。
別れの直前までは甘々な展開だったのに、どうしてこうなったのやら。

切ない別れな上に、今後どうなるか予想がつきにくい別れ方になっている。
このまま気まずくなって疎遠になる可能性は十分あります。
が、逆に。本当にケロッとして来年は楽しく過ごせるという可能性もある。
もっと言うと、来年はもっと積極的に迫ってくるという可能性もある。あらあらうふふ。

そもそも真子ちゃんは希望を述べていただけで、嘘はついていないはずなんですけどなぁ。
泊まりたいなぁと言っただけで、泊まるとは言っていない。
でもこんな微妙な言葉のやりとりは子供には通じないか。厄介だのう。
傍から見ると、いきなり響平くんが都合のいい展開にならなかったので暴れたように見える。
泊まりたいと言ったのはもう夜中だし、その発言が出る前は、翌日帰ることはわかっていたはずである。
勝手に期待して勝手に裏切られたと思って勝手に暴れている感じがとてもする。
でも、それっていかにも子供らしい心理な気がします。
響平くんが大人になれば、そんな恥ずかしい暴れ方したなぁと笑い飛ばせるようになるかもしれませんね。
逆に、ちょっと大人びた真子ちゃんの方が大変かもしれない。
響平くんを傷つけてしまったという罪悪感に潰れないといいのだけど。受験の年に重荷を背負ってしまいましたなぁ。

なんとも切ないお話であります。
おばさんの目がなければ、抱きしめるなりキスのひとつもするなりで誤魔化せたかもしれないのに・・・
いや、これこそその場しのぎの嘘ではないだろうか?
いやでも、そういう嘘なら響平くんも歓迎するのではないだろうか?
歓迎したい嘘もあるってことなんだね、と響平くんは大人の世界の複雑さを学んだりするのだろうか?
そういう展開があってもよかったかもしれない。その場合、もやもやは今より増しそうな気がしますけどね!!



第30話 「衝動でございます」  (2012年 27号)


クリオネも飛び交う高2女子の物語。何故にクリオネ?

拝啓と唱えながら現れたのは、今回の主人公のさん。
委員長である円さんは提出物を集めて回っています。
クラスの稲葉さん、有田くんだけ未提出。なので、出してもらうようお願いする。
が、代わりに出しといてくれないとかいい出す2人。なぜ私がですか?
と思うけど、ついつい引き受けてしまう円さんでありました。

夏休みの計画表なんて代わりに出したりできるものだろうか。疑問ではあるが、どうにかしたようだ。
全員分の提出物を持って職員室に向かう円さん。
ついでに先生に教室までこれを持って行ってくれないかと頼まれる。

すまんな!マジメでいつも助かるわ、円。

マジメ。マジメマジメマジメマジメマジメマジメ。
別に私はそんなつもりなにのに、みんなそればっかりです。
要は私がサプライズ性の欠片もない、つまらない人畜無害な人間って思ってるんでしょうね。
1度は私が不良なことして、私に安心しきってるみんなの美しい笑顔を驚きで歪ませて差し上げたいです。

ぷんぷん、とご立腹であらせられる円さん。
ここはひとつ不良なことをしてやるぜと、ゴミ箱をポコッと蹴り倒す。

こんなものはこうです!先生のおばかさん!

ドキドキしながらの不良行為。こいつは悪いことしちゃいましたね。ムフーッ!!
自分が散らかしたものは自分でおかたづけです!
倒したゴミ箱を戻し、散らばったゴミの掃除を始める円さん。そこに通りかかるクラスメートの稲葉さん。

プリントありがとうね。こんな時間まで掃除なんて本当にマジメだね。

なんでですか!?私、今不良なことしたのにー!!

不良な部分を目撃されず、その後の善行だけ目撃されてちゃそりゃあねぇ。
それに、結局自分で元に戻すのでは、わざとじゃなく事故だったとしか思われない。
たとえガラスを叩き割ったとしても、その後、自分で新しいものをはめ直せば不良と思われることもない。わけないな。

こうなったら僭越ながら取り返しのつかない悪行をさせていただきますよ!

何やら決意した様子の円さん。
帰り道、コンビニの前で顔見知りの生徒たちと出あう。
ちょうどいい。目にものを見せてあげます。そう考えながら店内に入り、何か買ってくる。

買い食いです

おぉー買い食い。若い子が放課後に物買って食べたりするだなんて。こいつはワルだぜー。
どうですか!?私って大変不良でしょう!恐ろしいですか?驚愕しましたか?

するわけがありませんでした。一体、円さんの観念はいつの年代で止まっているのでしょうか。
いかがでしょうかと見せびらかしてみた結果、新発売のジュースは飲まれ、スパイスチキンも奪われる。

なっ、なんですかこの人たち。回し食い回し飲みという下品で愚劣な行為を平然と行っているじゃないですか。
わ、悪すぎます。

さすがにここまで来ると、育ちがよすぎるのかと思えてくる。貴重な箱入り娘というやつであろうか。
稀有な存在と言えますので、このまま育って欲しいものでありますが・・・
円さんとしては意識しているわけでもないのにマジメ人間とカテゴライズされてしまうのが不満なご様子。

やはり私は不良になれないのでしょうか。マジメという無難な人種に振り分けられてしまう定めなのでしょうか。

踏切にて。電車の通過待ちをしている人の群れの中にいる円さん。
その側に帽子が落ちてくる。どうやら子供が落としてしまったものらしい。お姉ちゃん取って!と泣きながら頼む子供。

なんで、私なんですか!?
こんなにたくさんの人がいるのになんで私を選んだんですか、このお子さんは!
私が無害そうな何ひとつできない温室育ちのお嬢さんとおなめになっているからでしょう!

てなことを考えながらも、しっかり帽子を拾って子供に渡してあげる円さんでありました。

一体どうすれば私はマジメじゃなくなれますか?
あれですか?
私だと、クーデターを起こすとか、熊さんを素手でお殺しするとかそれくらいしないとインパクトがない感じですか?

確かにそれはインパクトあるけど、あまりにぶっ飛びすぎでありますね。
そんなことより、拗ねた感じの円さんの表情がなんとも可愛い。インパクトあるぅ!!

僕さん楽しそうですね人生。子供ですもんね!何も怖いものなんてないんでしょう。
お母様の方も元気なお子さんがいて一点の曇りすらなく幸せそうな、美しく素晴らしい仲睦まじい家族です。

・・・例えばもし、今その幸福をひび割るような行為をすれば、
お子さんを傷つければ私は不良になれるんじゃないでしょうか

なんだか危ない思考にシフトしかかっている円さん。
それはいけない・・・踏み出しちゃいけない一歩だ。踏み切りの手前だけど、踏み出しちゃいけない。
うむ、シャレてるね。いや、そんなこと言っている場合じゃないんだ。

まさか私が傷害行為などという大罪を犯すなんてきっと誰も思ってないでしょう。
もしそれをすれば。
この親子は私に帽子を拾わせたことを後悔してくれるのでしょうか?
先生は私を信用しなくなってくれるのでしょうか?
クラスのみんなは私を不良と蔑んでくれるのでしょうか?

その小さな小さな背中を軽く軽く押すだけです。
それができれば。
私の世界は、変わるのでしょうか――

変わってしまう一歩を踏み出そうとする円さん。
と思いきや、いきなり見開きで倒れこむ円さん。な、なんだー!?ダイナミック土下座!?



円さん本人も何が起きたのか分かっていない様子。
鼻からは盛大に鼻血が噴出し、共にクリオネも舞い踊る。ヒラヒラ。

何してやがるんだこのヤロー!!竜二を突き飛ばそうとしていただろ!

どうやら、子供の兄の竜一くんが、弟が突き飛ばされると思って、先に突き飛ばしたらしい。
なるほど。罪悪感に駆られて一人でダイナミックな土下座でもしたのかと思った。違ってた。

竜一「お母さん、こいつ悪いやつだから突き飛ばしてやったよ!」
母「ばかちーん!
竜一「はんぎゃー」

母のビンタ炸裂。今時ばかちんはないでしょお母様。
というかビンタなのか?バキィとかいってるけど、実は裏拳だったり。バイオレンスだなお母様。

この人はいい人なのよ!悪いことなんてするわけないじゃない!
ああ出血・・・!!すぐに救急車を呼びます。本当にごめんなさい!

何故そこまでいい人だとわかるのだろう。
やはり円さんにはあふれ出すほどのいい人オーラが出ているのだろうか。
それがクリオネを形作っているのだろうか。謎である。
それはさておき、円さん。これは天罰であると考える。
こちらこそ大変申し訳ありませんでした。と言い、そそくさとその場を後にする。

私はなんて愚かだったのでしょう。これは天罰です
私が一瞬とはいえ邪な気持ちを持った天罰です。
神様が私の心を汚さないようにお叱りになってくださって天罰です。
ありがとうございます。私は過ちを犯さずにすみました。
また私のことをそのように見守っていただけているなんて幸せです。

やはり不良行為はいけませんね。このように自分の身を滅ぼします。
明日からまたマジメに生きさせていただきたいと存じます。
マジメに生きるのが私には一番楽です

かしこ

拝啓で始まったのだから、かしこで〆るのが正しい。うむ、さすが円さんはマジメですなぁ。
天罰覿面したおかげで、めまいでチカチカした世界になったという円さん。
本人に見えていたのかどうかわからないクリオネが、いまや無数に飛び交って見える。
これは元に戻るのであろうか・・・?とりあえず鼻血拭こうよ

クリオネといえば、流氷の天使の異名を取るほど可憐な姿を見せる存在。
しかし、その捕食シーンは衝撃ともっぱらの評判。
円さんもいつそのクリオネのような豹変を行うのか。ドキドキしていたが、そうはならなかったようで安心。
でも、竜一くんに突き飛ばされなかったらどうなっていたことやら。
場所が場所ですからね。突き飛ばされた竜二くんが踏み切りに挟まって、対抗列車がやってきて・・・
なんて想像ができなくもない。不良どころの話ではない。そんなことにならなくてよかった!!

マジメであろうがなんであろうが、自然体でいるのが一番であります。
無理して不良行為なんてする必要は無い。
世の中には、埋没したくないからという理由で悪いことをして目立とうとする子が見受けられる。
それで目立っても、疲れるだけであまり得はしないというのは往々にしてあること。
やっぱり人間自然体が一番ってことですよね。平和が一番。

それはそれとして、私事で恐縮でありますが、述べさせていただきたく存じます。
この私、歩いているとよく道を尋ねられることがあります。
それこそ、知らない土地に出向いたときですら聞かれることがあったりするのです。
この間など、イヤホンをして自転車に乗っている最中だと言うのに、信号待ちの間に訪ねられました。
なんでございましょう、これは。私はそんなに道を知ってそうに見えるのでしょうか?物知り博士っぽいのでしょうか?
むしろ方向音痴なことを自覚している私にそのような質問をするなど、笑止千万でございます。
いつもわからないので、答えることが出来ず、恐縮に思ったり思わなかったりしております。
もっと質問されがたい雰囲気を身にまとうべきなのでしょうか・・・
いや、私は今のままの自分でいたいと思うので自然体は崩さないようにしたいと思います。

うむ、丁寧な言葉遣いって、口にするのは難しいけど、文章で書くと意外と書きやすいですね。

ところで、今回の主人公である円さん。
前に別の話で出ているんじゃないかという指摘がありました。
なるほど。「黴春」回で、委員長が出てきておりますな
そのマジメな委員長、ちょっと転んだといい、鼻に絆創膏をしている。これは怪しい!!
噴出しに隠れて特徴的なアホ毛はみえないけど、本人と確定していいかもしれない。
うーむ、こうやって各話毎の世界が繋がっていくのですなぁ。



第31話 「あの子の脳は
あの子の眼球に僕が映った時に
あの子の視神経に視覚情報の僕を通わせて
ちゃんと視認しているのだろうか」
 (2012年 28号)


ある中3男子の物語。
放課後の校庭。わいわいとグループに分かれて楽しんでいる中学生たち。
そんな中、一人腕組みをして佇むのは今回の主人公、橋野くん。
橋野くんのクラスは体育祭の男女混合ダンスのための放課後練習をするために居残っている。
今は先生を待つ自由時間といったところらしい。

もう中学3年生だというのに自分はクラスになじめていない
こういう自由時間みたいなものが現実を思い知らされて1番つらい。
自分が好き好んで1人でいるという態度を虚勢することに務めるだけだ。早く先生来ないかな。

独りで仁王立ちしてたりしたのは虚勢でしたか。そいつはまた。
なんとなく気持ちがわかってしまうというのが嫌な話である。

橋野くんのクラスメイトの別府さんはかわいい女の子。
あの屈託のない透き通った瞳。あの目が僕と合った時が学校で数少ない至福の一瞬だ、とのこと。
なんだかかなり寂しい学園生活を送っておるんですなぁ。
いや、恋をしていると考えるならそれはそれで充実した学園生活。なの、か?

別府さんは何やら女子に聞いて回っているが、同意を得られていない。
そこに話しかけてくる、クラスの男子。
かわいいから別府さんは男子にもモテる。
僕なんか頭も悪くて運動神経も悪い。社交性もなくて性格も暗い。
だから別府さんはおろか、女の子とお話なんて1度もしたことない

男子にも何やら尋ねてみたようだが、同意を得られない別府さん。何を聞いているのだろうか。
ついには女子と関わりの少ない男子グループにまで聞きに行くが、やはり同意されない。
それはそうと、今目が合いました。ふふ、幸せだ。

そろそろどんな話をしているのか気になりだした橋野くん。

僕に聞きに来ないかな。僕なら別府さんの話をわかってあげられるかもしれないのに。
まあこんな僕に話しかけてくれるわけなんてないだろうな

最初から諦めムードな橋野くんでありました。こりゃ暗い。

やっぱり男子はダメだわ。他に聞こう。と別府さん。
あれ、橋野くんは男子に含まれていないのですか?こういう存在しないもの扱いされるのが1番つらい。

別府さんは躊躇いがちに、あんまり仲良くないグループの女子にまで聞きに行く。答えはやっぱり否定。
橋野くん、別府さんがどのグループと仲が良いかとかちゃんと把握しているんですな。
普段から観察しているってことなんでしょうか。そういうのは把握してるのが普通だったりするのか!?

それはともかく別府さんはどうしても誰かから賛同を得たいと思っているらしい。
同意を得るまでクラスの全員に聞いて回る気なのか・・・
ということは、もしかしたらさすがに僕にも聞きに来るんじゃあ!?

同意しよう!別府さん、絶対に同意するから!!
どんな珍妙な考えでもどんな反社会的内容だろうと、僕は世界でただ1人でも別府さんの理解者でいてあげたい!!

健気な話である。
しかし、そういう同意の仕方をされて嬉しいものなのであろうか?
心からの同意でないと、突っ込まれたときに危ういことになりはしないだろうか。危うい危うい。

目が合った。聞きに来る!?

なんだかしっとりとした感じの別府さんの表情。これはいいですね。ふふ。

誰も私の話に頷いてくれないよお。ふえふええ。

目が合ったのに、やっぱり橋野くんには聞きに来てくれない別府さん。なぜ・・・?
これはやはり僕なんか眼中にないってことなんだろうか。
あっ、今も目が合ったけど、石ころくらいにしか思ってないんだろうな。
あの子の脳はあの子の眼球に僕が映った時にあの子の視神経に視覚情報の僕を通わせてちゃんと視認しているのだろうか?
ああ、こうやってタイトルに繋がるんですな。

橋野くん以外のクラスメイトに聞いて回った感じの別府さん。
一周して最初に尋ねていた友達のところに戻ってくる。
その友達はニヤニヤしながら、まだ聞いてない人がいるじゃんと言い出す。それはもちろん橋野くんのことですよね。

えっ。あっ。いやー、それは・・・

なんだか目をそらしている別府さん。おや?
友達曰く、本人にも聞かないと、とのこと。本人にも・・・?

どうやら尋ねていたのは橋野くんのことだったらしい。
さすがに本人には聞けないことらしいが・・・?
じゃあ私が聞いてきてあげるよクククっと友達が歩み出す。ププププ。うわっ、来た。
来たのなら仕方がない。どんなことでも同意してみせる!

別府がさあ、あんたのことさあ――

「一匹狼みたいで結構かっこよくない?」だって。どう思う?

僕もその意見に同意だ!

ほう。同意でございましたか。
さすがロンリーウルフ。浸っていたんですね。俺って孤高って感じだったんですね。

あっ・・・へー橋野くんって自分でそう思ってたんだ。それってあんまり一匹狼ぽくないかも。なんかショックー・・・

別府さんは、橋野くんのことをちょっとよさげに思っていた。
しかし、クラスメイトはそんなんじゃないっしょと思っていたわけだ。
まさしくクラスメイトの意見が正しかったわけですな。

本当だねー。みんなの言うことが正しかったんだ!さめちゃった

呆然とする橋野くんに、別府さんの言葉が突き刺さるのでありました。南無。

まあ、ひょっとしたらそういう話なのでは?と思ったら、やっぱりそういう話でした。
でも、いきなり打ち砕かれるとは思いませんでした。
ラブコメにありそうな話でありながら、現実的な流れで収束してしまった感じ。
もし橋野くんが上手い返しをできたとしても、結局本質は一匹狼ではない。
後々バレて結局はってことになるのは目に見えている。最初から上手く行く2人ではなかったのだよ・・・南無。

しかし、別府さんの質問は本当に友達が言ったような内容なのだろうか?
正直疑問である。ひょっとしたら、友達が改変して伝えているのではないだろうか。そう思えてならない。
というのも、クラスメイトたちの答え。これが質問に対しておかしいことになっている気がするからである。

Q:「橋野くんって一匹狼みたいで結構かっこよくない?」

A1:「別府ーそれはないよ!ひでえー」
A2:「いや、考えたことない」
A3:「そこまで思ったことないわ。結構えぐいね、別府さんって」
A4:「いや・・・うーん。別府さんってそういう人なんだ・・・」
A5:「はあ?急に何言ってんの!?そんなんだからあなたとは合わないのよ」

A2やA5はまだしも、他の答えが妙におかしい。特にA3。えぐいってなんぞ。
しかもA3の答えをもらったときの別府さん。リアルな話だよ、とか言っている。どういうこと?

このことから、別府さんはもっと過激な質問をしたのではないかと推察される。
橋野くんって一匹狼みたいだよね。狼なだけに人を襲って生肉にかじりついたりするのかな。
のどに喰らいついたり、腹かっさばいて臓物を喰らったりしたりしてるんじゃないかな。
とかそういう聞き方をしていたのかもしれない。
これなら、えぐいとかそういう人なんだ・・・という反応を返されてもしかたないことになる。
そして意訳すれば、一匹狼みたいでかっこいいということに・・・なるようなならないような。

それか、友達がからかって全く違ったことを言ったとも考えられる。
実は別府さんはチャンピオン読者で、橋野くんもそうなんじゃないかと考えたとか。
そして、チャンピオンって最高だよね。モツとかやたらとまろびでたりするしね、とか聞いて回ったのかもしれない。
うむ、これならえぐいとか言われるのは当然である。リアルな話だよー。
いや、これだとオチの橋野くんとの会話につながらない気がするが・・・まあいいか。

ともかく、別府さんのように可愛い子がチャンピオン読者であったらいいなという願望ですよ。
そして、クラスの子に誰にもチャンピオン最高という意見を同意してもらえなかったとしたら・・・!!
これは相当なチャンスである。自分のところに聞いてきてくれれば完全に同意できる。勝利は確約されている。
そんな展開があったらいいのになーとか思ったりするのでありました。リアルな話で。



第32話 「スカートで隠した」  (2012年 29号)


今回のタイトルはまた扇情的でありますね。スカートで隠した、と来ましたか。
隠したものが尻尾であろうと、爆弾であろうと、大砲であろうと、見るまではドキドキする。そういうものだ。

さて、中3男女の物語。
食後の昼休み、人間ウオッチングをして過ごす男子2人。
人間ウオッチングとか言ってますが、どう見ても女子限定の観察ですよね。

健康的な肌色の足に汗ばんだ雫が夏の太陽を反射させて眩しいったりゃありゃしねえぜ

微妙にポエミィな文章であります。
が、その意見には同意しないことも無い。

低いところから女子の足などを観察していた男子2人。
そのうちの1人が今回の主人公の桑島くんであります。
そんな桑島くんの前に突如現れたのが、今回のもう1人の主人公、波岡さん。
前に立ち塞がり、スカートの中覗こうとしてただろ、と指摘する波岡さん。

桑島「スカートの中覗こうと、人の勝手だろ!」
波岡「勝手ではないだろ!」

そりゃ勝手ではないわな。今のうちだから許されるかもしれない行為だ。
いや、中学生でももう許されない気はするな。
だが、桑島くんはさらに許されるかどうかわからない行為を敢行する。スカートめくりだ!!

バーンと波岡さんのスカートをめくりあげる桑島くん。
中に穿いていたのはスパッツ。ふむ。しかし、なんだか妙に絶望的な表情をする波岡さん。おや?

・・・死ね!

目に涙を浮かべながらそう言い、立ち去る波岡さん。うーむ、これは妙にドキリとする。

桑島くんと一緒に行動していたメガネくんが、桑島くんの行動を嗜める。
今のは無神経だろ?波岡が泣いてる所、初めて見たぞ。

知らねーよ!
あいつそういや、やけに長くスカートはいてるからよ。
どんなもんかと気になっていたがスパッツだとよ。
なのにあんなに嫌がるか?普通何かあるぞ、あの中には。

いや、そりゃ波岡が、桑島のこと好きだからだろ

は?

まさか気づいてなかったのか?お前、波岡のこと好きなくせに

は?

メガネくん、中々にズバッと切り込んできますね。やり手だわぁ。
誤魔化して去ろうとする桑島くんに、波岡さんが南校舎の西口に入っていったと教えてあげたりする。
本当にやり手ですなこのメガネくん。

南校舎の階段で、人知れず泣いている波岡さん。桑島に見られたかな、と何か気にしている様子。
そこにやってくる桑島くん。さっきはすまんかった!と謝罪。
謝罪されて、それはそれで悪い気分ではないという感じの波岡さん。これはすぐに許してもらえそうですね。

改めて、もう1度スカートの中をじっくりと見させてくれる許可をくれ!!

お前、マジで死なしてやろうか

不意打ちのスカートめくりでは怒られたので、許可をもらってじっくり見せてもらうようにした桑島くん。
しかし、なんだか余計に怒られてしまっております。不思議だなぁ。いや、当たり前だ。

スパッツはいてんだからいいだろという桑島くん。
いやあ、それでもスカートまくりあげられるのは恥ずかしいでしょ。
人によってはそのスパッツ姿がいいとかいう人もいたりするわけですし。

オレはお前の隠したがるこのスカートの中の真実を知りたいんだ!
スパッツはいててなんでさらにこんな異様に長いスカートはいてるんだよ!

桑島だけには見せたくないからだよ。

頼む!オレは今世界で1番波岡のスカートの中を、波岡の隠してる真実を見たいんだ!もう引けねえ。
この目を見てくれ!この燃えるような想いを。中学生のオレには止められやしねえんだよ、くそおおおおおお!

隠されているからこそ逆に興奮するってやつなんですかね。
むしろ、発見する喜びみたいなものがあるのかもしれない。
桑島くんの探究心があふれ出して止まらない様子。スカートの中ということでなければいい話なんだがな。
熱く語っても、くたばれアホが。で済まされてしまうような内容である。普通ならば。

もういい。じゃあ勝手にめくれよ。桑島だけだからな。
桑島が思うようなものはこの中には入ってねえから。

惚れた弱味という奴なんですかね。
覚悟を決めたように後ろを向き、スカートをめくるに任せる波岡さん。なみおかあああああああああ!!

めくりあげたところにあったのは、荒れたヒザ裏の肌。
波岡さんは肌が弱いから、特に夏は汗でヒザ裏がすごく荒れるらしい。
なるほどねぇ。長いスカートで隠していたのはこれだったのか。
桑島が見たがったようなキレイな足や、かわいい下着なんてのは私にはないんだよ。
そう告げる波岡さん。しかし桑島くんの反応は・・・

ふんふんふんふんふんふんふんふん。

ボタボタと鼻血を零す桑島くん。どう見ても興奮してますねこれは。
女の生ヒザ裏をじっくり見たの初めてで、ちょっと刺激が・・・とのこと。
まあ、わからんなくはないですな。そこまで興奮するかはさておき、わからなくはない。
桑島だけには見られたくないと悩んでいた波岡さんですが、よかったじゃないですか、気にしない相手で。
気にしないどころか、むしろ興奮するような相手で。いや、それはよかったのか?
もう1回見せてくれ、波岡の真実を。とか言い出す相手であるが、やはりよかった・・・のか?

桑島「なんてもん隠してくれてたんだ波岡あー!!
波岡「わあああ!さわるなキモい桑島!」

まあ、好きな子相手ならすべてが好きになったりすることもあるかって話ですかね。
なんだか微笑ましい話になりましたな。
幻滅されたりするよりは、波岡さんにとってはいい結果になったんじゃないでしょうか。
好きになった相手が変態っぽいと知った気持ちはどんなものかという話もありますが。
まあ、「紳士は3日で飽きるが、変態は3日で慣れる」という言葉もある。嘘です。今作りました。
しかして、変態と紳士が混ぜ合わさったようなチャンピオン紳士ならばどうなるのか?
これは想像がつきませんね。いつまでたっても慣れないとか言われたら困ってしまいます。飽きもしないかもだが。



第33話 「別に大丈夫やけどな」  (2012年 30号)


中3女子の物語。
関西から関東に引っ越してきたという木崎藍夏ちゃん。15歳。
人見知りで、関西にいたころもあんまり友達は多くなかった。
関東にやってきて、ちゃんと友達を作ることが出来るのか不安で一杯の様子です。

人見知りやけど、仲良くしたってください。よろしくお願いします。
関西弁を出すことで沸くクラス。出た!大阪弁ですやん!
大阪人とは違うけど、まあうけたからよしとしましょう。
関西弁使ったらやっぱり大阪の人間だと思われてしまうのがテンプレートなんですかね。

テンプレートな話はさらに続く。
関西人と言えばみんなネタ帳を持っているものである。んなアホな。
1家に1台タコ焼き器がある。これは本当にあることが多いらしい。

関西弁を使うだけで、ほんま芸人さんみたいやー!!と沸くクラスメイト。
標準語に直そ思ってたけど、こんな簡単に笑いとれるんやったら関西弁のままでええかなーと考える藍夏ちゃん。
ふむ。掴みはオッケーというやつですかねぇ。
転校生として、インパクトを与えることができたといったところか。

中3という中途半端な時期の引越し。
藍夏ちゃんによく似た感じの母親も少し心配であった様子。
だけど、みんな関西人ってだけで私に興味を持ってくれたと嬉しそうな様子の藍夏ちゃん。
そらよかったとお母さん。安心した様子でありますな。

転校当日はいい感じでありました
。 しかし、段々と微妙な雰囲気を感じていく藍夏ちゃん。
やはり関西人といえばお笑いができるものだという思い込みがあるのか、そういう会話を求められる。
ボケたのだからつっこんでよ!とクラスメイトは言うのだが、これは正直ボケの内容がよろしくない。
「木崎さんてなんで転校してきたの?やっぱり先生との禁断の愛でっか!?」
「クラス中の男子と20股したんだよね」
いやいや。なんでそうなんねん。
正直、面白くないボケは流してボケ殺しを食らわすのが正しい姿勢といえなくもないのかもしれない。
特に今回のは、相手を揶揄するような内容のボケですからねぇ。あまり気分のいいものではない。
なんでもかんでもつっこんでもらえると思うなよ!

それはさておき。
集団でいるときにカラオケに誘われる。誘われたと思ったら誘われていなかった。あれ?
まあ、こっちに来てからまだ10日くらいしか立ってないしと考える藍夏ちゃん。
来週からは自分から話しかけようと決心します。健気ですな。

体育の授業。バレーの練習ということで適当に3人グループを作りなさいと先生は言う。
グループが作れず、1人取り残される藍夏ちゃん。あらら。
これはしょうがない。まだ友達もいないようだし、あぶれることもあるか・・・

あはははさすが師匠!笑いに体張ってますなあ!
木崎さんおいしいー!!

わざとかい。
いや、皆が狙ってやったわけでもないだろうが、狙ってたやつはいそうな流れである。
このシチュエーションは中々厳しい。というか、笑えない。

よく声をかけてくれている瀧本さんたち。今週もカラオケに行こうと話している。
私も一緒にカラオケ行きたいなと考える藍夏ちゃん。ドキドキしながらも思い切って声をかける。
私も行きたいなと言ってみるが、どうにも渋い反応。

ていうかさ、師匠って関西人のくせにノリ悪いし、面白くないじゃない
転校してきて未だに関西弁しか使わないし、こっちに馴染む気とか全然ないんでしょ?

なんですかい、それは。
関西人だから面白くないといけないとでも言うのでしょうか。
それでいて、面白くあるように、うけるように関西弁を使ってたら馴染む気がないんでしょとか言われるのかい?
まあ、確かにクラスには馴染めていなかったという話なのかもしれないが・・・

なんやろこれって。私、あかんのかなあ

壁に向かい、一人トスの練習をする藍夏ちゃん。いかん、これは泣ける。

こうなってくると、完全にクラスメイトと距離ができてしまっていることが浮き彫りとなる。
藍夏ちゃんは、昔を懐かしむように、関西での友人に電話している。よっちゃん元気?
また電話しよな。こっちひまやねんと藍夏ちゃん。
友達が出来ないとこの年代はひまになりそうでありますな。ううむ・・・

お母さんにお使いを頼まれる藍夏ちゃん。その際、クラスのみんなとは仲良くやっとるかと尋ねられる。

・・・大丈夫やで

短くそう答える藍夏ちゃん。
うーむ、どう見ても大丈夫ではなさそうな雰囲気ですなぁ。
友達が欲しいけど作れない状況は悪化している様子。
休み時間に話す相手もいないので寝た振りをして過ごす。ぐわわわ。
そんなある日、先生が職員室に呼んでるよと言われる藍夏ちゃん。どうやら早退することになったらしい。

家に帰ってみると、引越しのしている母親の姿があった。
お父さんところ結局いろいろあってな、もう時間ないねん、と母。な、なにがあったん・・・?

またあっちに戻るんやって。すぐに引越しやわ。こっちに何しにきたんやろなあ。

母親のその言葉を受け、つい泣き出してしまう藍夏ちゃん。
本来は面倒な引越しであるが、今の状況を避けることができるというのは、藍夏ちゃんにとっていいことと思われる。
受験生やのにいろいろ迷惑かけてもて、ほんまごめんなと母。

ううん。大丈夫やで!

涙を見せてしまったが、笑顔を見せる藍夏ちゃん。
母はそんな藍夏ちゃんの頭を撫でて言う。

ようがんばったな

藍夏ちゃんは母に抱きつき泣き出す。
ずっと我慢していたのがあふれ出しちゃった感じでありますなぁ・・・切ない。

というわけで、何とも切ないお話でありました。
最後の母のごめんな、という発言からして、母は娘が苦しんでいるのに気づいていたってことでしょうか。
まあ、電話の様子とか聴こえていたとしたら簡単に推察できるでしょうしねぇ。

関西人はノリがいいとか、お笑いができるというパブリックイメージみたいなものがある。
とはいえ、もちろん皆がそういうわけではない。
作り上げられたイメージと異なる行動を取られると、何故か拒絶しだす人というのは存在する。
今回は本当、悪い方にはまってしまったパターンということなんでしょうかねぇ・・・

ひとりぼっちになり、苦しんでいた藍夏ちゃん。
瀧本さんたちからしてみれば、からかっているつもりも、ましてやイジめているつもりもなかったかもしれない。
しかし、正直感じの悪い子らである。
他人をダシにして笑いを取るタイプといった風に見える。
笑いを取るのにだれかを卑下するような真似は慎んで欲しいものなんだがなぁ。よろしくない。
笑いを取るときは気分よく、不快にさせる人がなるべくでないように留意して欲しいものである。
むう。なんだか飲み会での会話を思い出す流れだな。最近はそういう笑いを取ろうとする子が多い気がする!

ところで、藍夏ちゃんらしき人物が他の回にも登場している。
あの子の脳は〜の橋野くんと別府さんの回であります。
この回の最初の方に、藍夏ちゃんらしき人物がいる。その横の子はよっちゃんと呼ばれている。ほう。
となると、藍夏ちゃんが関西にいたときの話なのだろうか、と思えるが、周りは誰も関西弁を使っていない。
不思議ではあるが、関西の中でも一部地域は標準弁のところがあったりするという。
藍夏ちゃんは関西弁の地域だけど、橋野くんや別府さん達は標準語に近い地域の子だったということなのかもしれない。
てなことを考えると、またいろいろと今回の話が深いことになりますなぁ。
前の学校では一人関西弁であってもはみでることはなかったのに・・・てな話になりかねん。

なんだか心がわさわさする話でありました。灰色ですのう。
初対面の相手にあんまり勝手なイメージを持ったりしない方がいいってことですよね。
感想サイトで普段ボケとか書いてるからって、リアルで喋りまくれる人間とは限らないってことですよ。うむ。切ない!



第34話 「ただ、ひとりでも仲間がほしい」  (2012年 31号)


高1女子の物語。

今回は1ページ目からテンション高い。
ページを開いた瞬間にビックリさせられる。
ガリガリと一心不乱にノートに絵を描いているのが今回の主人公、来生さん。
グロイ絵を描いてらっしゃるのだが、それよりもその鬼気迫る表情に驚いた。

いつも1人で絵を描いているらしい来生さん。
ニヤニヤしながら、からかってやろうと近づいたら凄い絵である。
これが世にいうところの伊達にして帰すって奴ですね。軽い気持ちで近づくと危ない。

個性的すぎる来生さんの絵にドン引きする女子。その絵、危ない人っぽいよとか言われる。

私はクラスから危ない人だと思われているらしい。
いじめられたりはしないが、だから友人もいない。会話もしない。ただ普通に絵を描いてるだけなのに。
私は子供の頃から大人たちにも気味悪がられていた。
私が好む絵や芸術や表現が普通の人にとっては不吉であり忌み嫌うものらしく、
残念ながら私は普通の高校生になれなかった。はみだしものなのだ。分かり合える人なんていない

そんな風に考えている来生さん。
確かにはみだすのには充分な趣味でありますわな。
それより、ずっと口が開きっぱなしな方が気になったりして。やけに怖いっす。

帰ろうとした来生さんを呼び止める声。同じクラスの佐野さんでございます。
佐野さんは言う。さっきチラッと見えた絵がすごく素敵だった、と。

この2人は別のクラスなんだけど、私たちそういうアーティスティックな創作が好きなの。今度一緒に遊ばない?

別にいいけど・・・

理解してくれる人がいた?
そんな感じに見えるが、本当に分かり合える相手だろうか。
ふん。と鼻で笑ってみたりする辺り、来生さんも懐疑的な感じのようである。

というわけで、休日。グロテスクな映画を4人で見に行く。
ポスターにグロテスクと書かれているだけあって、とんでもない内容なんでしょうな。一般人には厳しい。

サディスティックな表現は一級品。エログロこそ表現の真髄。表現の答えだよなと絶賛する別のクラスの2人。
そうか、グロなだけじゃなくエロも入っているのか。
なんとなく18歳未満禁止になりそうな気もするのだが、映画館に入って大丈夫なのかね?

来生さんに感想を求める佐野さん。
来生さんは、何これ?ギャグ映画なの?と笑ってしまうぐらいの反応。

人間はオモチャじゃないんだから、もっと死について真摯に扱うべきだわ。なんていうかこう、
人間のある種プラトニックな悪意や欲望を感じないっていうか、偽者ぽいっていうか、
普通の人が精一杯サイコぶって作ったって感じ。スカスカだわ。

あっ。ごめんなさい、つい興奮しちゃって。わかんないよね。

いやっ、わかるわかる!私もそう思った。つまんないよねコレ。

あっさりと言を翻す2人。弱いっすね。
でもまあ、来生さんの言うことは最もな気がする。
映像的な衝撃度より、そこに精神的な、プラトニックな部分が加味されることで恐怖は際立つといったものである。
しかし、語った後で、わかんないよね?と述べる辺り結構な意地悪さんですね、来生さん。

映画の後はファミレスに移動。客が多いところで個性的な会話を繰り広げる。
「ゴキブリとかヤスデとか飼育してみたいー意外にかわいいのよ」
「それだったらタランチュアがいいな。かっこいいだろ」

一般人が大勢いるところで何を話しているのやら。周りの人たちドン引き。
そして、自分たちのアーティスティックな絵を披露する。
死をポップに表現してみたり、死んだ恋人をいつまでも抱きしめてる男の哀愁の絵である。ふむ、アートっぽい。
しかし、佐野さんの絵も含めて、何それと来生さんに笑われる。

みんなきょう気が足りてないわ

そう言って自分の描いた絵を見せる。うーむ、きもっ。
でも、ちゃんと来生さんもスケッチブック持って来てくれているんですね。付き合いは悪くない子だ。

自分を解放しなきゃ
人間が封じ込めてる、深い深い内側の、善でも悪でもない心よ。
といっても誰しもがそれを持ってるわけじゃないわ。

社会にうまく馴染めないはみ出し者の人間だけが有する、孤高の心はひどく美しい。
人と違い理解されない、忌み嫌われ、疎外され、きょう気と呼ばれ封じ込まれていた純真な心の解放

はあはあと興奮して語る来生さん。純真な心とは狂気であるってことなんですかね。
人によっては侠気だったりするのかもしれませんが。
ともかく、そういったことを口走っちゃったおかげで、アーティスティックな方たちにもドン引きされてしまう。
そりゃまあね。なんか違うって感じになるよね。
まあ、読んでいる方としては、語る内容よりも語りだしたときの来生さん、おっぱいでけーなとか思ったりしたわけで。
そんなこと考えちゃったりするのも純真な心のせいなので勘弁してください。

別のクラスの2人は席を立ち、去って行く。
私らが好きなのはアートなんだよ。枠からはみ出したくてやってんじゃねえんだ、とのこと。

行こうぜ。こいついつか絶対犯罪おかすぞ

酷い捨てゼリフでありますな。そんなこと言われたら、さすがの来生さんも笑顔じゃなくなってしまう。

まただ。
またこうやって私は独りになるんだ
ああいう普通の人間が軽い気持ちでこっち側気分を味わってみたくて、勝手に来て勝手に引いて勝手に去っていく。
私にはこれしかない。勉強もろくにできないし社交性もないし友達もいない。
ただこの感覚だけが私を特別な者とし、この居場所のない世界で存在理由でもあるんだ
これしかない。だけどみんな本当の私を知ると引いていく。

淋しげな表情の来生さん。
まあ、今回の相手は最初から何か違っていた相手ですからねぇ。分かり合える相手ではなかった。
自分の感覚を特別なものと考える来生さんにしてみれば、譲歩はありえない。
なので、歩み寄ることなくぶつけた結果、それを理解してくれるような相手でないと分かり合える相手にはならないわけだ。
ハードル高いですなぁ。同じカテゴリの趣味の人間でもジャンルで好き嫌いはあるってのに。

来生さん。もしよかったら今から私の別荘に来ない?
来生さんの言葉に感動して、私も来生さんに自分を解放してみたくなっちゃった

そう述べるのは佐野さん。あの話を聞いて理解を示してくれたというのだろうか?
でも来生さんはやっぱり懐疑的。まだおままごとに付き合わされるのか、と思っちゃう。

そう思いながらも佐野さん曰く別荘についていく来生さん。
別荘というか、山奥のほったて小屋ですな。
山奥なので虫が多いという佐野さん。多いのは仕方ないけど、壁に張り付いてるのやけにでかくない!?
ちょっとこのデカさの虫が部屋の中にいるのは厳しいものがあるな。
それだけではなく、小さい羽虫がぶぶぶぶぶぶと音を立てている。不快な音ですね。
部屋には液体が入ったバケツと黒いゴミ袋が置かれ、そこに羽虫が群がっている
そしてどうやらくさいらしい。厳しい部屋ですなぁ。別荘という言葉のイメージとは懸け離れている!!

佐野さんは、丸く穴の開いた紙袋を渡し、これ被ってと言う。恥ずかしいから、と。
被っても結局見えるのだし、恥ずかしくなくなる理屈はよくわかりませんな。表情は見えなくなるか。

電気が悪影響を及ぼしたら軸が傾くから灯りは消すね?

なんだかよくわからないことを言い出した。
そこは恥ずかしいから灯り消すね、とかいう言い方にしてくれないと。
ムードというものがありますでしょうに。いや、そういう話じゃないんだ。

私うれしいんだぁ。やっと見つかったんだなって。
あの2人が違うのはわかってたけど、もしかしたらスパイかもしれないから、逆に泳がせていたのよ。
私が初めて自分を解放した姿を見せられる仲間とこの星で出会えたんだって

そういいながら、バケツに入っていた蛍光塗料らしきものを顔にベチョベチョと塗り始める佐野さん。
さらに、バサッバサッ、ファサッと衣擦れの音。続いてベチョベチョという音が響く。
これは全身に塗りたくっている音でありましょうか。

ずっと思ってた。こんな醜くてカッコ悪い姿が本当の私じゃないって。
これじゃあマゲラルタ洋館の改造使用人と変わらないもの。
みんな学校で小テストされて羽ちぎってるでしょ?
知ってるクセに知らないフリしてわざと顔を変えないでこの星を滅ぼそうとしている。
天使を見破れる1番簡単な方法が絵だった。
(ベリッ)うっ、いたた。痛覚は鉄の足枷ね。

私は私でいたいから本当の絵を描いた

段々と出来上がって行く佐野さんの姿に、来生さんの目は恐怖で緩む。
その出来上がった姿は・・・うわああぁぁーぁぁーーーぁ。
覚悟してページを開いたはずなのに、ズドンと抉られるような姿を見せつけられてしまいました。
全身に蛍光塗料で丸を描き、大きく目のような丸が描かれている。
さらに乱杭歯のような歯も描かれているという。アーティスティックというには狂気が過ぎる姿だ。
この姿になるには髪も邪魔なので、剃っているらしい。
右手に持つのはカツラ。どうやら普段はこれをつけている様子。ベリッと外したのはこれか。
手足は蛍光塗料に浸したのかべったりと色がついている。
それよりも厳しいのが、蛍光塗料には大量の羽虫が浮かんでいたらしく、その羽虫まで付いて来ている。うへ。

この光景に、ブルブルと足を奮わせる来生さん。
紙袋を放り出し、悲鳴を上げて別荘から脱出。山道を駆け下りる。

やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい

助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて
助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

お母さんお母さんお父さんお父さんお巡りさんお巡りさん

絶対普通じゃない絶対普通じゃない絶対普通じゃない絶対普通じゃない

涙に鼻水、よだれも撒き散らして逃げ出す来生さん。
途中腰が抜けて、へたり込んでしまう。その来生さんを追って外に出てくる佐野さん。

来生さーん、どこ?なんで逃げるの?

来生さんも結局自分の解放なんてできないただの普通の人間だったの?
・・・初めて仲間が見つかったと思ったのに、やっぱり本当の私を見て引いていくなんて。
私はただ1人でも仲間が欲しいだけなのに・・・

うっうっうと泣き出す佐野さん。
目のように描かれた塗料が流れて涙のように見えている。まあ、実際に泣いているのかもしれませんが。
こういう姿を見ると可哀想に思えてしまいますなぁ。
でも、夜道でいきなりこの姿に出くわしたなら悲鳴を上げて逃げるのは間違いないと思う。ハイ。

ただ、ひとりでも仲間が欲しい。そう思っていたのは佐野さんの方だったというお話。
途中までの流れだと、佐野さんが理解者になってくれるという展開もあるかと思ったのですが・・・
理解者にはなったが、前に行き過ぎて来生さんの方が付いてこれなかったという。

来生さんは自分のこの趣味は特別なものであり、普通とは違うという優越感を感じていたように思えます。
どうせ分かってくれる人なんていないのよ。天才ってのは孤高なのよって感じか。
淋しく思いながらも、これはこれで楽しみながら生きていけるタイプといえる。
それに反し佐野さん。
来生さんと違い、普段は普通に暮らしているように見せて、内面には簡単に明かせないものを持っている。
本当の自分を見てもらい、分かり合える人物を捜し求めているのが伺える。
拒否された場合の悲しさは佐野さんの方がかなり上でありましょうなぁ。

そういえば、来生さん。逃亡時に絶対普通じゃないとか言ってるんですよね。
結局のところ、来生さんの趣味も普通の延長にすぎないっていうことなんでしょうか。
他ならぬ自分で認めてしまったという感がありますやね。うーむ。

読み返してみると、佐野さんは普段から首から下は真っ黒な服を着ている。
なんだろうこれは。首や手の先に至るまで覆っているこの服。全身タイツか?
灯りを消した後、タイツを頭の上まで伸ばして蛍光塗料を塗ったのかもしれませんな。

なんとも切ないお話でありました。
初見はショックが強すぎて気づかうことはできなかったが、佐野さんの悲しみはわからないでもない。
同じような趣味の相手を見つけたと思ったのに、全然話が合わなかった悲しみってやつですよ。
滅多に会わないチャンピオン読者を見つけたけど、1、2作しか読んでないとか言われた時の悲しみですよ。
わたしはただ1人でもチャンピオンを語り合える友達が欲しいだけなのに・・・うっうっう。

それはそれとして、佐野さんの別荘の黒いゴミ袋の中身が気になります。
やけに虫がたかっていたけど、何が入っているのだろうか。
気になってしょうがない。気になって気になってしょうがない。
でもたぶん見てしまったら心の何かがとれてしまうんじゃないかと思えて見れない。見たくない。あわわわわ。



  空が灰色だから感想目次に戻る


  作品別INDEXに戻る


  週刊少年チャンピオン感想TOPに戻る



HPのTOPに戻る