蒼天紳士チャンピオン作品別感想

雨天決行
第1話 〜 24話


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 各巻感想

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連載中分

雨天決行 1巻


第1話◎目覚ましの雨  (2013年 28号)


僕だけの天を求めて、運命の雨物語が始まる!!
重本ハジメ先生の妖怪バトルファンタジー。巻頭カラー巨弾62Pで堂々開幕。

主人公の天野甲人はいわゆる雨男という奴である。
中学最後の体育祭。しかしあいにくの雨で雨天中止となる。
クラスメイトの言によると甲人が現れた日の行事日はほとんど雨ばかりになるそうな。

クラスメイトの1人、田山は他の誰よりもブチギレて甲人に当たり散らしている。
テメーが来るまでは晴れだったんだぞ!!このナメクジ野郎が・・・と。

なんでも陸上部の最後の試合で結果を残せなかったのでスポーツ推薦がダメになりそうらしい。
ハァ。それで体育祭で頑張ったら推薦してもらえるんじゃないかと?
高校側の人が見に来ているわけでもないだろうし、そんなわけないじゃないよー。
これはまさしく八つ当たりでありますね。まあ、本人にしてみれば本当に最後の希望だったのだろうが。

そんなこと僕に言われてもと反論する甲人だが、田山は追及を辞めない。
甲人と小学校一緒の子から聞いた話によると昔から甲人がいると必ず雨が降ったそうな。

それにテメーが昔大雨ふらせて自分の親、事故死させたってこともなあ!!

ほう。それはなんとも辛い話であるな。
なので今は施設で暮らしているという甲人。
さすがに親の話まで持ち出してくる田山の追及に耐えられなくなり学校を飛び出す。
そしてそのままひかり園という児童養護施設にまで帰って来る甲人。
ここではハルさんというお姉さんと甲人よりずっと小さい少年少女が複数人暮らしている。

雨の中びしょ濡れになって帰る甲人。
しかし施設の中でもハルさんと言い合いになってしまい、飛び出すことになる。
ここでも僕はいらないみたいだから、と言い残し。

そうして行き場所を失った甲人は川の側で雨に打たれながら膝を抱えて座り込む。
そんな甲人に近づいてきたのは・・・犬。とその飼い主のお爺さん。
ズブ濡れでカゼひくぞと心配するお爺さんに、この雨は僕が降らせてるからと返す甲人。
いきなりそんなこと言われても何の冗談かと思っちゃいますよね。お爺さん爆笑。犬のペロも笑っておるわ。

しかしまあ、甲人がいうのも笑い飛ばせる内容ではない。
誕生日の旅行中大雨で土砂崩れが起きて両親は事故死。
それからは毎年誕生日には雨が降るようになったという。

それだけじゃない・・・ッ!僕が楽しみにしてる日も必ず雨が降って・・・
まわりのみんな・・・親せきのオジさんも気味悪がって・・・
だから・・・僕・・・何も楽しみにしないようにしたのに・・・
なのに・・・それなのに・・・そしたら今度は・・・みんなが楽しみにしてる日まで雨が降るようになって!!
呪われてるんだよ!誰からも必要とされないッ!僕なんて・・・いなくなった方がいいんだよ!!

悲しいことを叫ぶ子である。
だからか、昔語りを始めてしまうお爺さん。
橋の下のリヤカーを指さし、昔はあんなの引いて焼きイモ屋をやっていたんだそうな。

こんなワシの焼くイモが大好きって言ってくれる大事な人ができてなぁ。
そんだけでもありがたいのに・・・キセキだったのに・・・
ワシはうかれて甘えて調子んノッて、そんな大事なコト忘れてもうてな・・・

それで今は橋の下でその日暮らしを続けている状態ということでありますか。
まあ、もう働くのイヤだしと言っているぐらいだし、今の生活もそれほど捨てたものではないようですな。ふむ。

オマエさん・・・誰からも必要とされてないって・・・ホントにそうか?
ワシみたいに忘れてないか?大事な人・・・必要としてくれる人がおるのを・・・

そう問いかけられてハルさんのことを思い浮かべながらも目を逸らす甲人。
ならばとお爺さん、服を脱ぎだしてワシらにとっちゃこの時期の雨はシャワーみたいなもいんじゃと述べる。

ワシは信じちゃおらんがなぁ・・・もし・・・オマエさんが雨男でこの雨を降らしてるんなら・・・
少なくとも・・・今、ワシとペロにとっちゃオマエさんは必要じゃけどなぁ・・・

ふむ。必要だとハッキリ言ってくれる人がいるってのは非常に有難いことですよね。分かります。
甲人もその有難さが身に染みたのか、泣きつつ、ペロになめられて笑いつつと元気を取り戻した様子。
それが功を奏したのかどうなのか、雨は止み光が差してくる。ほうほう。

しかし肝心の体育祭は中止となっている。この学校では雨天延期というルールはないんですな。
なので田山の怒りは収まらない。タイミングの悪いことにお爺さんに励まされ笑顔の状態を見とがめられる。
おやおや、なんだかヤバイことになりそうな感じですな・・・

一方ハルさんは飛び出していった甲人を探して街を駆けまわっていた様子。
ようやく発見した甲人にまずはビンタ一発。
そして胸に抱え込むようにして抱き寄せる。心配してくれてたんですなぁ。
これもまた必要としてくれているということの証であり、甲人も謝るしかなくなる。赤くなりながら。

ほらな・・・ちゃあんとおるじゃないか・・・オマエさんを心配してくれる人が。しかも美人の・・・

いいことを言ってくれますなぁお爺さん。
甲人もすっかり気を許したようで、ハルさんに友達になったんだと紹介する。
若者に友達とか言われてしまうと何かテレますよね。ええ。

オジイさん・・・明日も来ていい?焼きイモやろうよ・・・

そう言って帰っていく甲人。焼きイモか・・・何年ぶりかのう・・・

なんだかいい感じに話は収まった様子。
が、そうして帰宅していく甲人を見つめる者の姿があった。
猫・・・いや、猫の目を通して見ている女子である
顕微鏡で猫の毛を見ることで行動を操ったり感覚を共有しているのか?
使い魔のような存在なのかどうなのか。しかし微妙にブサイクだなこの猫。ね、猫でいいだよね・・・?

覗いていた女子は携帯で校長とやらと連絡を取る。

やっぱり間違いないと思うよあの子で・・・そう!封印を解く「目覚ましの者」!!

目覚めし者じゃなく、目覚ましの者でありますか。
封印を解くのが主行動となりそうな呼ばれ方でありますな。

さて、その日の夜。
橋の下で暮らすお爺さん。今日はイイコトできたかなぁと写真に映る大事だった人に話しかける。
お爺さん、昔は店を持とうとしたりしてたんですな。まあ、色々あったんでしょうな・・・色々と。

と、いきなりペロが外に向かって吠えだす。
何事かと思って外を見てみると、何とリヤカー大炎上。
こりゃ一体!と思ったら犯人はすぐ側にいました。おまえか田山!!
八つ当たりで放火とか・・・色々とヤバすぎる精神状態になってるなコイツ。
しかも火は燃え広がり、お爺さんの家まで燃え出す。
お爺さんとペロは外に出ているが、大事な人が映る写真はもうあとこれ1枚しかない。
慌てて取りに戻ろうとするお爺さん。しかし火の周りは速く、燃えたまま崩壊してくる。
あわやというところでお爺さんを吹き飛ばし助けるペロ。しかしその身代わりに自身は燃えた家の下敷きに・・・

号泣しながらだれか水をと叫ぶお爺さん。
そのお爺さんに黒い水が頭から振りかけられる
かけたのは満面のスマイルのパーカー男。いや文字通り満面のスマイルなんだが・・・危ない感じにしか見えないぞコイツ。
見た目も危ないが、かけた水の効き目もまた危ない。
黒い水は負の感情の声をまき散らしながらお爺さんの身体を覆い尽くしていく。
全身を覆いつくされたお爺さん。次の瞬間には妖怪へと生まれ変わっておりました・・・

パーカー男はリヤカーにも黒い水をかける。
燃えながら動き出したリヤカー。妖怪と化したお爺さんはそれを引いて空を駆ける。

真っ黒だ!!黒く・・・燃やす!!ワシと同じくるしみをッ・・・黒コゲッ黒コゲにィッ!!

そう叫びながら真っ先にやってきたのは田山の家。
心の黒い子、身も心もまっ黒んなあれと部屋に向けて炎を吹き付ける。
おやおや自業自得であるとはいえ、こうもあっさりと死ぬことになるとはなぁ。
まあ、八つ当たりもいい加減にしておかないと身を滅ぼすということでありますわな。

だが妖怪と化したお爺さんはこれで元に戻るということはない。
パーカー男のささやきに従い思いつくもの全てを真っ黒にしてやろうと空を駆けだす。

そんな大変なことが起きている夜。甲人は夢を見ていた。
夢の中で1人立つ甲人。その背後から迫ってくるのは・・・額から1本の角を生やした馬。ユニコーン?

主ヨ・・・待ッテイタゾ・・・近ク・・・来タルベキ時・・・今・・・心ニ宿サレシ言葉・・・
ソノ言葉・・・忘レヌヨウ・・・

何だかよくわからない夢でありますな。
しかし夢とかそれよりも重要なことが甲人の身に発生していた。
お爺さんと焼きイモやろうと約束していた今日。
その楽しみにしていた今日なのに晴れている。初めてのことだ!!それが本当に嬉しいという甲人。

大丈夫だよ・・・そうだよ・・・僕を大丈夫にしてくれたんだ・・・
本当にとってもいい人なんだ・・・あのオジイさん

常識人のハルさんとしては浮浪者に懐くのは大丈夫なのかと思わないでもないが、こう笑顔で言われては返す言葉もない。
まずはとにかく元気になってくれてよかったというべきなのでしょうな。

しかしそのお爺さんは既に妖怪と化している。
そして思いつくもの、よぎるもの全てを燃やそうとしている。
それは怒りによって浮かんだものであってもそうでなくても関係ないという事。
好ましいと思って記憶していた甲人やハルさんの姿も燃やすものという認識となっているようで・・・

早速橋の下に向かう甲人だが、そこにあるのは焼けて崩壊した家があるだけ。
そして街を走る消防車と子供の施設が火事になったという話を聞きつけて慌てて帰ることになる。

園長と何人かの子供は無事に外に出ることが出来ている。
が、ハルさんと年少の子供2人がまだ中に取り残されているそうな。うわあ。
消防隊員はすでに来ているが、さすがに妖怪の火。まるで生きているように燃え広がり、消火活動は進まない。

消防車が何台来たってムダ。怨念の混ざったあの日は燃やしきるまで消えない・・・これは・・・アイツの仕業・・・

と物知り顔で述べる猫。
なんだこりゃと思ったら路地裏に甲人を引きずり込む手がある。
おっと、猫を操っていた例の女子でありますな。
彼女はあの火はもう天野くん、君にしか消せない。今スグ彼を起こすのよと告げて何かを握らせる。
右手に握らされたのは・・・角の生えた馬を象った彫刻のようなもの。
下の部分はドリルのように、ネジのように螺旋を描いて尖っている

その馬を手にしたとき、甲人は夢で見た馬のことを思い出す。
そしてイメージの中でその夢に出てきた馬の背に乗っている甲人。
馬は語る。時ハ来タ・・・今コソ唱エルノダ。言葉ヲ・・・と。
すでに知っている宿しているとされるその言葉。それは――

雨天決行・・・

その一言こそが封印を解くカギであったらしい。
馬は御意と一言応え、甲人を連れて空高く飛びあがる。
そして空にまるで水面があるかのように広がる波紋。
その波紋は雲となり・・・そして豪雨となって地上へと降りそそぐ!!

主ヨ!ヨクゾ・・・我ヲ目覚メサセテクレタ・・・
我ガ名ハ馬頭!!我コソハ「天のカギ」空ノ第七番傘ッ!!ソナタノ傘トナル者!!

傘!!ああ、なるほど。いわれてみれば馬の首の曲がり方が確かに傘の柄みたいになっている。
カラーで見た時は持つところ短すぎる気がしたが、なるほど。そういう持ち方を想定したつくりなのか。
それにしても雨を呼び寄せるとは結構な力でありますな。

遠キ時代・・・我ラ・・・番傘ヲ振ルイテ空ノ模様ヲ司リ人間ヲ導イタ者。
天照子ノ力ヲ受ケツグ者・・・

天照子。聞いたことのない単語ですな。天照大神と何か関係がある名なのだろうか。
何にしても猫を操る少女がいうにはこのカラカサの封印を解くのは戦える手立てを増やすことであるらしい。
誰と?というともちろんあの妖怪を生み出しているパーカー男と、だ。
しかし雨を降らせるぐらいでどうにかなるものだろうか?
お爺さんの炎は確かにこの雨で弱まっているようですが、雨だけで消せるものではないように思える。
なので馬頭はこう言う。

強ク心ニ念ジヨ・・・サスレバ・・・ソノ思念・・・雨ガ形ヲ成ソウ・・・

火を消し、ハルさんを救う。そう強く念じる甲人。
果たしてそれが成ったのか、水が渦を巻いて空から降りてくる
一点集中の水は施設の火を丸のみにして消し去り、さらにその先は手の形となってハルさんたちを外に運び出す!!
うーむ。この流れを見開きで見事に表現している・・・この見せ方の上手さはさすがと言わざるを得ない!!

水の勢いは凄いので火を消すぐらいの勢いだと中のハルさんたちを傷付けるかもしれない。
だが、願いはハルさんを救うことである。だから水も傷つけることなくハルさんたちを運び出したというわけだ。
そして文字通り対岸の火事のように呑気にスマホで撮影していた奴らは水没で壊れる羽目に会うと。ハハハ。

雨を操り水の柱とすることでハルさんたちの窮地を救うことは出来た。
一安心と思っている甲人だが、危機は自身の身へと迫っている。
火を消したことで妖怪と化したお爺さんがこちらを狙ってやってきたのである。
なるほど。これで冒頭のカラーページに移っての闘いとなるわけですな。

というわけで始まりました妖怪バトルファンタジー。
物語の展開のさせ方、見せ場の上手さはさすがといった感じでありますな。盛り上がりに期待が出来る!!
しかし甲人のメガネが色々と気になってしょうがない。フレームでかすぎっショ。
というか実はレンズ入ってないんじゃないだろうか?
水を溜めるとまるでレンズがあるように見えますとかそういう。
いや、夢から覚めた時に手でメガネを持つ所ではちゃんとレンズがあるかのように描写されてますけどね。

妖怪化したお爺さん。なんとも悲しい話である。
無事に元に戻って欲しい。妖怪化している間にやらかしてしまった原罪はあるがそこはまあ、意識を失ってるってことで・・・

しかしあの妖怪化のプロセスは前作の「鬼さんコチラ」を思い起こさせますな。
夜行も確かああいった負の感情の塊に包まれて変化したはずである。
となると世界が繋がっていて鬼が出てくる可能性もあるということか?天童さんのリベンジが来るのか!?

それにしても第七番傘が馬頭か。
すると牛頭の番傘とかもやはりいたりするんですかね?第二番傘辺りで。
十二支順で考えるなら確かに馬は7番目だしなぁ。他にも11本あったりするのかもね。
ともかく、どういった戦い方を見せてくれるのか、次回の戦闘に期待であります。



第2話◎記憶の雨  (2013年 29号)


迫る憎しみの業火。
いきなり襲われて空中戦を開始するハメとなった甲人。
その飛び回る姿は電車内の人に目撃されたりしている。うーむ、派手だねぇ。
相変わらず扉絵の見せ方が上手い作者だ。

片手で傘を掴んで飛行するというのはかなり腕や肩に負担がかかると思える。
垂直に飛ぶならともかく、横に向けて飛ぶのは長くは続かないでしょうな。
窓に突っ込み、つき破り、今度は窓の上を走ったりしている甲人。平衡感覚狂いそうだな。

逃げ回っては見たが、妖怪と化したお爺さんは逃がしてくれそうもない。
というわけで攻撃へと転じる馬頭。
推進力となっている柄から吹き出すその光を煌めかせ・・・すれ違いざまに妖怪を切り裂く!!
が、その一撃は面を割っただけに止まる。
しかもその結果、妖怪の正体がお爺さんであったことを甲人に気付かせてしまう。あらら。

とりあえず空中戦はこれにて終了。
妖怪の反撃をかわすさいに落下した甲人を傘のように光を広げて勢いを殺し、救う馬頭。さすが番傘ですな。

どうにか逃れた甲人だが、お爺さんが化物になっていたのはかなりショックな様子。
馬頭が言うにはお爺さんは怨念に囚われており、心は深き闇の中にいるようなものだという。
ふうむ、説得を聞くような状態ではないということか。やらねばこちらがやられると・・・

腹を括れと馬頭は言う。だがどうしても殺したくはない甲人。
組み付かれ危険な状態になっても説得を辞めようとしない。
ペロの名前を出してみると、どうやら反応があった様子。心は闇に囚われていても、届く言葉もあるんですな。
しかし、リヤカーの炎が強くなることでお爺さんの思考は塗り替えられていく。
思いつくもの、よぎるもの、その全てを真っ黒に燃やすのだ!!と。

な・・・なんで・・・何言ってんだよ・・・どうしちゃったんだよ・・・思い出してよォォッ!!

甲人の叫び。それに応じるように降り注ぐ雨。
その雨粒の一滴一滴が妖怪と化したお爺さんを砕いていく。
いや、その妖怪となった表面だけをはがしていっている!!
そしてはがしていくそのたびに広がるのは・・・お爺さんの思い出。

リヤカーを引き焼きイモを売っていた頃。大事な人に出会い、腕時計をプレゼントされたこと。
一緒に頑張り、ついには店を構えるようになったこと。
オーナーとなり、順調に店舗を拡大していったこと。この時地味に浮気とかしてそうな感じであるな。
しかし業績は悪化し、負債を抱えて路頭に迷う。大事な人とも死に別れることとなるお爺さん。
大事な写真を手にさまよう中、苦しそうにしている犬を発見。
病院に駆け込むが治療してもらうにはお金がない。
そのために大事な贈り物である腕時計を質に入れて犬を――ペロを救うお爺さん。

そうじゃ・・・あれからずっとペロと2人で、誰とも話さず・・・誰とも関わらんように2人だけで暮らしてきたんじゃ。
なぁ・・・これからもずっと一緒に・・・?ペロ?オイ・・・ペロ・・・

子供に懐かないはずのペロ。
それが珍しく子供に向かって駆け出していく。雨の中、一人で座り込んでいる少年のもとへと。

あぁ・・・あれは・・・久しぶりに人と話したなぁ・・・久しぶりにみんなで笑ったなぁ・・・久しぶりに楽しい時間だった・・・
それに・・・初めてだったなぁ・・・あんな・・・心地のいい雨は・・・

思い出が駆け巡っていく。
そして気づけば、全身を覆っていた妖怪の部分は全て剥ぎ取られ、元に戻ったお爺さんの姿がそこにあった
なんと・・・見事に元に戻して見せるとは!!よかったよかった。
しかし今の雨、馬頭は何も力を貸していないという。

主・・・自ラノ力デ雨ヲ呼ビ・・・アノ者ヲオオッテイタ怨念ヲ洗イ流シタトイウノカ・・・
先代ノ主・・・カツテノ天照子にはコノヨウナ能力ハ無カッタハズ・・・
コノ主ニシカ・・・降ラセラレヌ雨ガ・・・コノ主・・・ダカラコソ呼ビオコセル天ガ・・・

何やらあるみたいですね。楽しみな話です。
が、どうやらこの怨念の炎の話はまだ終わりではないらしい。
いち早く危機を察した馬頭が甲人を咥えて離れる。
その結果、取り残されたお爺さんは上から降ってきた燃えるリヤカーに潰される形となった。
そして、地上に降りたリヤカーから飛び出してくるのは人型の炎・・・

ア゙ビィ゙ィ゙!!

何?アビィ!?
いや、叫び声はともかくだ。どうやらリヤカーの方が本体であったらしい。
なるほどね。そういえばフード男は両方に黒い水をかけておりましたな。
お爺さんだけ元に戻しても仕方がなかったわけか。きっとこのリヤカーにも積もり積もった思い出が・・・!!
いやさすがに甲人もリヤカーには思い入れはないだろうし、先ほどのような雨は降らせられないか。
馬頭ももはや先程の雨でも届かないと言ってますし。

だが、それだとしてもやはりお爺さんを救いたいと叫ぶ甲人。
馬頭の柄を掴みジャマしようとする。
が、炎と化したお爺さんが向かってきた結果、馬頭の刃がお爺さんを貫くこととなってしまった。

やっぱり・・・ワシにはオマエさんが必要じゃったみたいじゃ・・・
焼きイモ・・・ゴメンなぁ・・・雨・・・ありがとう・・・

最後に顔だけ元に戻し、感謝の言葉を述べて黒い水へと変化していくお爺さん。
うーむ。結局こうなってしまいましたか・・・
なんとか闇に囚われていた心だけは救うことができたみたいですが・・・切ない話である。
甲人の力を持ってすれば、上手くすれば救えたかもしれないのに・・・後悔の残る話でありますなぁ。

しかし泣いている暇もなさそうである。
号泣している甲人の前に、例の可愛くない猫を抱えた女性がいる。
おや、前回馬頭を届けてきてくれた子の仲間のようですが・・・なんだかキツそうなお姉さんですなぁ。いい脚はしてるが

シャンとしてよ・・・ッ。
アンタはこれから私らと一緒んなって戦ってもらわなきゃなんないんだから・・・

最終目的は元凶でありそうなフードの男。
その男を倒すために妖怪と化した者たちと戦っていく展開となりそうでありますな。むう、なんという王道!!
他の連中がどのような力を持っているのか、早速気になる所であります。
第七番傘以外の番傘も出るのか?皆雨を降らすようなことができるのか?
それでも元に戻す力は甲人のオリジナルであるといいですな。そういう能力は貴重に思えますし。救えるなら救いたいものである。

廻り始める甲人の運命。この先の展開に注目であります。



第3話◎隠れ里学園  (2013年 30号)


私らと一緒に戦う。
甲人にそう告げる謎の女性。彼女は一体何を知るのか。

2人がいる路地裏に、馬頭を渡した両目泣き黒子の少女、千里ちゃんがやってくる。
敵がいるので警戒してはいるが、既にその黒い水に変化させられたお爺さんはいなくなっている。
退治されたと聞き、喜ぶ千里ちゃん。
しかし甲人としてみれば敵を倒したのではなく、お爺さんを救えなかったという想いの方が強い。

どうやらこの女子たちの間にも情報の行き来はされていないらしい。
本来は馬頭・・・「天のカギ」を甲人に渡す時に詳細な説明を行うはずだったという。
彼女たちが所属する学園。その校長が長年保存していた大事な天のカギ。それを渡すのは大事な役目であり・・・

って・・・なつくなー!!
ウチは・・・犬派なんだよ!

猫にじゃれられて暴れるお姉さん。プルンプルン。
さかってるからって人間の女性の足に擦り寄るとかとんでもない猫でありますな。

それはさておき、千里ちゃんは私たちと来てほしいと言い出す。
コートのお姉さんも、自分に何が起こったか知りたければ来るように促す。
天のカギこと馬頭は主である甲人の意志に従う様子。
そして甲人は意を決し、自分に何が起きたかを知るために誘いを受けることとなりました。よい決断ですね。
しかし懐にゴソゴソと潜り込む馬頭はなんだか可愛いと思えなくもない。

3人がいなくなった路地裏。
そこに降りたつのは黒い水を操るフードの男。
お爺さんがいなくなった後に残った水たまりに手を突っ込み・・・妖怪の面を取り出す。
このひょっとこみたいな面は使い回しが効くものだったのか!?
次は誰につけてあげようかとか言ってるし・・・厄介な話だなぁ。

タクシーに乗り、千里ちゃんたちのいう学園へと向かう甲人。
途中の街中では妖怪との空中戦の被害が漏れ聞こえてくる。

僕だ・・・僕が全部・・・やっぱり・・・現実に本当に起きたことなんだ・・・
これから・・・僕はいったい・・・ッ。

思い悩む甲人。
視線を下に向けると・・・車の中であぐらをかいた千里ちゃんのふとももが視界に飛び込んでくる。
慌てて目を逸らせば逆方向には足を組んだコートのお姉さんの足が視界に入るわけで・・・
悩んでいたはずなのに、別の悩みにすり替わってしまった様子の甲人。何かうらやましいことになってるぞ!!
そりゃ心拍数も急激に上がるというものである。って馬頭も余計なこと言わなくてもいいんだってばさ!!

そんなこんなで学園に到着。
高ノ洲小学校。ここが彼女たちの所属する学園?
もしやこう見えて小学生だったと!?そんなバカな。

中を見る限り普通の小学校である。ウサギ小屋とか図工室とかありますし。
階段を上り、上の階へと向かう3人。
いや、目的地は階段の踊り場にある大きな鏡であった。
気付けば千里ちゃんたちは鏡の中に入り込んでいる。
甲人がゆっくりと手を当てれば、まるで引き込まれるように鏡の中に入ることができたりする。ほほう。

そう・・・ここは鏡の世界・・・大魔境「雲外鏡」がかつて写していた記憶の景色。
ここへ入れるのは雲外鏡が同胞と認めた者のみ・・・

ほほう。有名な妖怪の名前が出てきましたね。
そしてその雲外鏡の説明を行っているのは学園長の紋波というお爺さん。
このお爺さん、やけに頭が大きいですね。まるでぬらりひょんのようだ・・・

紋波さんは馬頭に対し、カラカサ!よくぞ無事目覚めてくれたと声をかける。
カラカサってあのカラカサお化けのカラカサですかね?
確かにコートのお姉さんも前回カラカサとか言ってたが、あれはただの揶揄かと思っていたが・・・本当にそうだったのか。

天照子や天のカギ。その存在を忘れてしまった人間たちは天のカギをカラカサと呼び恐れた・・・
そして・・・雨を呼んだ天照子を妖怪「雨ふり小僧」と呼び、気味悪がった・・・

なるほど。カラカサとセットの妖怪であったと。
すると甲人は妖怪だったということなのだろうか?
その辺りの説明は本来千里ちゃんから受ける予定だったのだろうが、すっ飛ばして学園まで来ちゃいました。
紋波さんは既に説明を受けているという前提で正体を述べたりしてるんでしょうなぁ。うーむ。

君にはその「雨ふり小僧」の力の使い方をこの学園で訓練してほしい・・・
そして・・・共に戦ってほしいのじゃ・・・怪人・・・赤マントと。

ゲェー!!赤マント!!都市伝説じゃないですか!!
昔は赤マントだったけど、時代の波に適合して赤フードに変わったりしたんでしょうか?
いやーでもしかし、名前を聞くだけでヤバイと思える存在ってのも凄いなぁ。

赤マントは、ねたみ・・・恨み・・・嫉妬・・・怒り・・・人間の闇をかぎつけては・・・引きずりこみ・・・
黒い怨念のかたまり「黒骸」へと変えてしまう

この特徴を聞けば、お爺さんがあの姿に変質したのは赤マントの仕業ではないかと思い至ってしまう。
ふむ。これは明確に戦う理由というのが出来そうな流れでありますな。よいことだ。

そしてそんな話をしている所に新たな男女が登場。
この子たちが学園の仲間。鏡の中のクラスメートということなのだろうか。
となると全員何かの妖怪であるということなんですかね?
うーむ。どんな妖怪が登場するのか・・・楽しみになってきましたぞ。

妖怪バトルファンタジーというアオリでしたが、まさしくそういうストーリーが産まれそうな流れですな。
主人公がカラカサと雨ふり小僧というマイナーなんだかメジャーなんだか分からない所が面白い。
赤マントとの戦い・・・注目していきたいと思います。



第4話◎大切な人  (2013年 31号)


僕の世界が、変わっていく。
妖怪という存在を知り、また自身がその力を使う存在と知り、そして敵の存在を知る。
だが親しげに接しようとしてくる人たちもいる。

お兄ちゃんが新しいクラスメートなの?

そう言いながら足をひっかけないよう、裾をたくしあげながら歩く女の子、エミちゃん。
豊かな胸に目が行くが、そのたくしあげた後の足もなんだかヤバイ。
しかし本人はいたって無邪気。ふむ。目のやり場に困るとはまさにこのことか!!
って前回からそんな目にあってばかりですな甲人。

さらに甲人のニオイを興味深そうに嗅ぐ男、加統
雨降り小僧の匂いは雨の日のマーガリンみたいな甘い匂いらしい。わ、わかるようなわからんような。

いきなり迫られてタジタジとなる甲人。
ビックリしてるからやめなさいと千里ちゃんが怒ると涙目になるエミちゃん。
なのでコートのお姉さんがアメであやしてくれます。あら、お優しい。
というか、エミちゃん。体の割に子供すぎますでしょう。

エミちゃんに加統、両泣き黒子の千里ちゃん。
コートのお姉さんの名前はネネさん。そして人見知りな少年の名はエイジュと判明。
ふむ。この5名が隠れ里学園の生徒でありますか。
紋波さんは甲人に、君にも彼らと共に我が学園でその「雨降り小僧」の力の使い方を学んでほしいと告げる。

ふうむ、雲外鏡が選ぶのは同胞である妖怪のみ。
つまり今この場にいるのは全員妖怪であることになる。
妖怪なのだから年端のいかない子でも立派な体つきをしてておかしくはないということですな。納得。

学園が倒そうとしている敵、怪人「赤マント」。
存在理由も目的も全てナゾ。分かっているのは人間が心に抱える小さな闇をふくらませて怨念の化身「黒骸」に変えるということ。
そして「黒骸」にされた人間には誰の声も届かない。一心不乱・・・赤マントに吹き込まれた欲望のままに動くのだ。

ふむ。しかし甲人は声だけではなく雨を降らせることで一度は黒骸と化したお爺さんを救っている。
おそらくそんな事例は紋波さんも聞いたことがないのでしょうな。
その場面を目撃した人は当人たちいないし・・・このことがわかれば学園側としては僥倖なのでしょうにねぇ。
馬頭が見てるからそのうち話してくれるか。

今日甲人を襲った黒骸は甲人の知人である。
それを聞いた紋波さん。ならば尚のこと今はここにいた方がいいと主張する。

赤マントはきっと君の存在に気づいたはず。必ず君を狙ってくるじゃろう・・・
今、下手に君が動けば・・・君のまわりにいる人間、君にとって大切な人たちまでヤツは狙ってくるぞ・・・

大切な人。そう言われると今真っ先に浮かぶのはハルさんである。
そういえばハルさんは火事から救い出したあとどうなっているのだろうか。
千里ちゃんが調べてくれたところ、今は病院にいるらしい。
ふむ。火事のあとだから検査入院ってところですかな。見た目酷いケガとかはなさそうである。

ここで千里ちゃんの能力が判明。
例の顕微鏡で色んな生物の視野を借りることができるらしい。
そしてそれは「百目」の力を使っているとのこと。ほほう、百目と来ましたか。
戦闘力はなさそうだが、諜報要員としては結構なものがありそうですな。

千里ちゃんがハルさんを見ている。なので今は結界がはってある鏡の中にいなさいと勧める紋波さん。
しかし甲人、自分の目で確かめたいと鏡の外に出て行ってしまう。

急ぎ病院に駆けつけ、病室に向かうがハルさんの姿はない。
看護婦の言葉によると夜風に当たりたいから屋上に向かったそうな。
って、この看護婦の顔・・・赤マントやないかーい!!なんて格好してやがる。

まあ、ともかくハルさんと会うことはできた。元気そうな姿を見て安心する甲人。
気が抜けてへたり込む甲人。改めて今日1日色んなことがあり過ぎたと混乱する。まあそうなりますわなぁ。
しかしどうやら激動の今日はまだ終わっていない様子。

屋上でコォーンと音を立てて転がる球体。
その球体には3つの穴が開いており、黒い水が垂れている。
そして黒い水は身体を形作る。球体を頭にした不気味な怪人のようなもの。それが甲人たちを襲いだした!!
素早く馬頭が怪人の攻撃を防ぐ。どうやらこの怪人、昼間のお爺さんと同じ黒骸であるらしい。
となるとこれも人が変じた姿であるのだろうか?

反撃に転じようとする馬頭。しかしその前にハルさんを安全なところに送りたい甲人。
だが突然の怪人の登場に呆然となっている様子のハルさん。
いやこれは単にショックを受けているだけではなさそうに見える。
病室に赤マントがいたのも気になるし、もしかして・・・

不吉な予感を覚えるが、まずはこの襲われている状況をどうにかしないといけない。
怪人の刃が無数に増える。これは馬頭の広げる傘では防ぎきれない!!
というところで救援登場。
甲人とハルさんの襟首をつかみ、高く高く持ち上げて刃から逃れさせる。
それを遠くから腕だけ伸ばして行ってみせたのは・・・ネネさん!!手が・・・のびて・・・!?

フン。のびるに決まってんだろ。アタシは「ろくろ」なんだから

ほう。ろくろ!!
ろくろと言えばろくろ首。首が伸びる有名な妖怪であります。
そこで首をつけないでおけば首以外がのびるようになるというわけですな!!
いや、手首とか足首が伸びたのだという話かもしれませんが。

妖怪としての力を振るうネネさん。
次号は本格的な能力バトルになりそうで期待が高まります。

しかしネネさん。甲人には強く当たるのに、エミちゃんと接している時は柔らかい表情だったりする。
硬軟使い分けることができるというのだろうか。よいお姉さんキャラである。活躍に期待したいものだ!!



第5話◎ろくろ  (2013年 32号)


両腕を伸ばし、自らの力を「ろくろ」と明かすネネさん。
そしてさらに首を伸ばして相手の攻撃を回避しつつ頭突きをしてみせる。おぉ・・・まさにろくろ首!!

そして長く伸ばした腕をムチのように振るい、左右から滅多打ち。
相手がボロボロになって動けなくなったのを確認してトドメの一撃。
元の長さに戻した腕を使って前転。その途中に伸ばした長い足を遠心力付きで叩き込む!!
こいつぁ確かに強烈だ。化け物も粉みじんになるはずである。

伸びることよりもその能力を戦闘として完璧なまでに使いこなしているのが凄いと評する馬頭。
長い手足を振り回せば反動があるし、当たれば衝撃が自らにも及ぶ。
それなのにこれだけ暴れまわっても息ひとつ乱れていないネネさん。カッコイイですなぁ。

ともかく早いところここを離れて結界のある学園に戻るよう甲人を促すネネさん。
しかしどうやらこの場での戦いはまだ終わっていない様子。
ふり向けば、さっきの化け物の破片から同じ姿の化け物が発生してきている。増えただと・・・!?

どうやらこの化け物は黒骸ではなかった様子。
屋上に降臨してくる赤マントがそうではないと教えてくれる。ほ、本人が出張ってきた!?

彼らはボクが新しく造った泥人形さんたちですよ・・・
昔の妖怪に・・・「ドロタボウ」なんてのがいたそうですが・・・
この子たちの名前・・・「ドロタボウ」バージョン今世紀なんてどう思います?

ふむ。やはり敵側にも妖怪がいるんですね。
にしてもフワフワと浮かんだかと思えば色んなところに姿を現す赤マント。
何というか敵として非常にやり辛い相手である。
いや、外道であるのは間違いないか。
甲人がたった一時仲良く会話しただけのお爺さんが妖怪化させられて怒ったことを楽しそうに思ってるようだし。
さらにそれにつけこみ、ハルさんを妖怪化させようかと煽ったりしてくる。
しかしどんな人でも妖怪化できてしまうものなのかね?今の呆然としちゃってる状態ならいけそうであるか。

まあ、大人しく黒骸になるまで待っている必要もない。
足を伸ばし、蹴り潰そうとするネネさん。しかしそれはかわされる。
それを合図に複数に増えたドロタボウの一斉攻撃。
うーむ、さすがにこれだけの数で攻撃されるとネネさんも回避しきれないか。
胴体は伸ばせるわけではないし、そこを狙われると厳しいって話ですやね。

楽しそうに笑う赤マント。
それを見て怒り心頭な様子の甲人。馬頭の守りから出て、ドロタボウたちの攻撃に身を晒す。
馬頭はハルさんを守るのに精一杯である。甲人が危ない!!

と思いきや、突如降ってくる雨。
その雨の粒がドロタボウの刃を弾き落とす。
ほう・・・これはなんというか・・・凄くカッコイイ!!この演出はなかなかたまらないものがある。
赤マントも興味をひかれた様子。何々?その雨・・・

わからない。ただ・・・オマエはもう笑うなッ!!

怒りの甲人。いやあ、よい表情ですな。
闘うべき相手を目にし、男の顔になっているのがありありと分かる。
見事に闘うモチベーションを得た感じはありますが、さすがにこのまま赤マントをどうにかできるとは思えない。
意識せずに雨降り小僧としての力は使っているようだが、使いこなせるかどうか・・・
とりあえず頑張って撃退だけはしてもらいたい。
その後、強く狙われることとなるかもしれませんが・・・まあ、頑張りましょうや!!



第6話◎ゆうだち  (2013年 33号)


甲人の呼び寄せた雨がドロタボウの刃を弾き落とす。
これが雨ふり小僧とカラカサが揃った時の能力かと驚くネネさん。
しかしそうではない。この力は甲人単独によるものだったりする。
怒りで我を忘れている感じではあるが、なかなか凄い芸当ですよね。そりゃ赤マントも興味深くて笑いだすさ。

雨のバリアがどれだけの数を防げるのか実験実験と楽しそうに呟く赤マント。
数えきれないほど多数の刃が同時に甲人に襲い掛かる。
が、わざわざ実験に付き合う必要もない。
全部の攻撃がこちらに来たならば馬頭の力を使い、空中に逃れるのみである。そして反撃。

雨天決行ッ!!

降りそそぐ雨。そして水流を拳にかえてドロタボウたちを一撃で粉砕する。
うーむ。相変わらず凄い見ごたえのある構図ですなぁ。

だが、一撃でドロタボウを粉々にはできたが、それだと数が一層増えていくだけである。
赤マント自身は一撃を回避しているし、これでは倒すことができない。
そこで馬頭が述べる。心を落ち着かせ、今心宿されしその言葉を唱えよと。

技ヲ執リ行ウ!!

馬頭の言葉に従い、直立の姿勢で心に浮かんだその文言を唱え始める甲人。

鳴り止まぬは羽音・・・降り止まぬは鮮血・・・全てよ・・・地に還れ・・・勇太刀!!

刃のごとく降りそそぐ雨。
じゃない。雨のように刃が降りそそいできた!!
勇ましきその雨は凄い迫力でドロタボウを、赤マントを貫いていく。
ネネさんはハルさんを連れて回避。思いっきり味方も巻き込むのが怖い所ですな。
しかしその威力は強烈。貫くだけではなく、貫いた相手全てを大地に還す力があるという
なるほど。それでドロタボウや赤マントは溶けて水溜りになってしまったと。

ダガ・・・コノ技・・・我ノ力・・・ヲ・・・ホボ・・・
主ヨ・・・我ハ・・・少シ・・・眠ル・・・

さすがにこれだけの大技。馬頭の全力を振り絞らないといけないぐらいのものだったらしい。
しかしカラカサも眠りを必要とするんですね。食事もするのか?

ともかく脅威は去った。急ぎハルさんのもとへと駆けつける甲人。
しかしハルさんに触れるともろくもドロリと溶け落ちてしまう。これは・・・泥人形!?

そう。このハルさんは赤マントが作った泥人形である。
溶けたはずの赤マントは生きており、ハルさんを抱えて宙に浮いている。

僕が作った泥人形だよ・・・君が屋上で会った時からすでにね・・・
なのにそうとも気づかず一生懸命守ってたねえ・・・
なぁんで分からなかったんだろうね・・・本物と偽物の違いがさぁ・・・
きっとそんなに大切じゃあないからなんだよ・・・
そんなワケでコレ・・・僕もらってっちゃいまーす

勝手なことを述べてハルさんを連れ去る赤マント。
馬頭が眠りについている今、甲人に追う術はない。
甲人の叫ぶハルさんという声が夜空に響くのみとなりました・・・

うーむ。ハルさんの反応がやけに鈍いのが気になっていたが、最初から泥人形だったとはねぇ。
大技を放つもそれでも倒しきれない赤マント。さすがに強敵か。
しかし夕立が勇太刀になるとは。これからも雨関連の当て字技が色々と出てきそうで期待が持てますな。
小雨、霧雨、梅雨、春雨、秋雨、時雨。色々とありますな。む?ハルさんは春雨から来てるのか?ならばアキさんも出る可能性!?
あと刹那五月雨撃ちが出るんじゃないかと密かに期待しています。切なさ乱れ撃ち!!



雨天決行 2巻


第7話◎復活の村  (2013年 34号)


赤マントに連れ去られたハルさん。
追撃するにもさすがにどこに行ってしまったのかわからないのではどうしようもない。
というわけで、新展開となります。

日常に忍び寄る怪奇。
血だらけで死んでいた男性が奥さんの通報で警察が来る間にいなくなるという事件が発生。
担当の刑事によると類似の事件がこれで既に4件目だそうな。
大学生・・・OL・・・タクシー運転手。そして会社員。
今までと同じならばこの現場で出る指紋は前件の害者、タクシー運転手のものと予想されるとのこと。
ふむ、それはなんですか?殺された被害者が今度は逆に加害者となると?それはまた怪異でありますな。
確かに血のついた足跡を見ると殺された被害者が自分で歩いて出ていったようには見えますが・・・

主人の遺体が消え、取り乱す奥さん。
その奥さんに自作のハーブティーを渡す男――絹田
普通の刑事とは何か違う雰囲気を持つこの男。果たして敵か味方か。

街のニュースでは今話題の復活の村「桐沢村」について放送されている。
何でも過疎化の進んだ村に4年前IT企業のゼクス社が古民家を改築して村に支社を設立。
村にある余った農地を利用し、とれた農作物のネット販売をさきがけに村の特産物、天然水も販売。
去年本社を村に移したことにより村の人口も一気に増加。
今では病院、学校、ショッピングモールまで出来上がったという。自然に囲まれた森の都市・・・まさに現代の桃源郷!!
「ゼクス」代表取締役である楠さんはこう語る。

これは始まりに過ぎません・・・全国にある過疎化の村を・・・我々は復活させます!!

それが本当に出来るのなら凄いことである。
しかしそんなにうまい話が世の中にあるものだろうか・・・

怪しげな風貌の絹田さんの向かう先は夜の小学校。
もちろん普通の小学校ではない。雲外鏡を抜け、隠れ家に踏み入っている。
ふむ。この人も妖怪の能力を使う人でありましたか。
学生とはまた違う身なので先の紹介には入ってなかったということかな?

校長室で件の殺人事件について報告。
どうやら連鎖する殺人事件も妖怪の仕業であるらしい。

この能力・・・「火車」の仕業じゃ・・・死体が消えた先は・・・

ほほう。火車。葬式や墓場から死体を奪う妖怪でありますな。いかにも死体とか操りそうである。
ではその消えた死体はどこに向かっているのか。
それはもちろん、今回紹介された復活の村。
なんとまあ・・・復活の村と呼ばれる桐沢村は死者の集う村であったのか!!

口からハエを出して倒れるおばあちゃん。どうやら期限切れであるとのこと。
死体を操っている能力者はハエを用いている様子。
ふむ。このハエを体内に入れて操作できるようにしているのですかな。何にしても大した力である。

カラスの目を借りてこの様子を見ていた千里ちゃん。
村が怪しいことは既に突き止めているようだが肝心の火車の居場所がわからないようだ。

警察でも一連の事件は問題になっている。
死体が消えてその死体が次々と殺しをやっている。マスコミに知られたらオモシロがって書かれることは間違いない。
復活村は本当に死人が復活してできた村。これが世に知れたら能力者も人間社会で暮らしにくくなる。
というわけで事件解決の相談をしにやってきた様子の絹田さん。
千里ちゃんは余り歓迎していない様子でありますが・・・どういう人なのかねぇ。怪しい大人と言うのはわかるが。

早急に手を打たねば・・・オマエたちただちに村へ行ってくれるか・・・
火車が何を企んでおるかは分からぬが・・・もしかしたら裏でまた赤マントが手を引いておるやも知れぬ・・・

校長の話に真剣な表情で頷く千里ちゃんたち。
そこにネネさんを担いだ甲人がやってきた。
腹を刺され、大分衰弱している様子のネネさん。こりゃ危ない。
エミちゃんも突然のことに号泣している。
急いで水を用意しようとする千里ちゃんにただの水よりはと自分のハーブティーを差し出す絹田さん。

大丈夫・・・これには・・・気を落ち着かせる効能しか入れてませんから・・・

確かに冒頭の事件の奥さんはこのお茶で気を落ち着かせていた。
となると何か水を変質させるような力を持った人なのだろうか絹田さん。むむむ。

千里ちゃんはエミちゃんにお茶を渡し、いつものおまじないを言ってと迫る。
その言葉の通り、いたいのいたいのとんでけでーと口にするエミちゃん。
その効果が宿ったお茶をネネさんに飲ませると・・・本当に痛くなっている部分が飛んで行ってしまう。やあこりゃスゴい!!

彼女の能力は・・・「ザシキワラシ」癒しの能力・・・ある程度のキズなら治せるのさ

ほほう。ざしきわらしでありましたか。
立派な体をしているけど座敷童なだけに頭の方は子供と言うことなんですかね?
頭の方が成長しちゃうと座敷童の力が使えなくなるとかいう話がありそうで怖いですなぁ。

さて、無事にネネさんも回復したことですし、例の復活の村へと急ぐ千里ちゃんたち。
隠れ里のほぼフルメンバーで向かうことになる様子。
どうでもいいが何故エイジュくんはトランクの中なんだろうか。

甲人は未だに能力が不安定でカラカサの馬頭も眠ったままということでお留守番。
赤マントが関与しているならば必ずアイツの情報を拾ってくるからと言い置かれる。
そう言われてしまっては仕方ない。見送るしかない甲人。
しかしその甲人を連れて行こうとする絹田さん。

君の雨が見てみたくなってねぇ・・・

あ、怪しい。どこまでも怪しいスタイルの大人だ!!
果たしてどこまで信用していいものやら・・・
だが甲人としてはハルさんを救うために赤マントに関連しそうな事件には首を突っ込まざるを得ない。
さてはて絹田さんの能力はいかなるものであるか。
他の隠れ里の面々の能力も明らかになりそうですな。ネネさんは病み上がりなのにすぐに参加か。大変ですなぁ。
そして今はいない「あの人」という存在も気になる所。
新展開もなかなか楽しみな入り方となっていますな。注目だ!!



第8話◎手の目  (2013年 35号)


死者の村、桐沢村に朝がやってくる。
夜しか活動しないゾンビの群れというわけでもなく、日の出と共に鳴る警報に導かれ動き出す村人。

村人たちは並んで1つの倉庫へと向かう。
そして例の赤マントが使っていた黒い水が貯蓄されていると思しき水槽へとダイブする。ドボンドボン。
その後はシャワーで黒い水を洗い流し、それぞれの生活を行うべく村へと散っていく。
なるほどね。どうやら死体を動かし続けるにはこういったメンテナンスが欠かせないようだ。
ハエだけではなく、黒い水を全身に纏わせることで操る力を強化してるのだろうか。

おはよう・・・村のみなさん。
充電が終わった者から持ち場について・・・今日も一日私の村の住人としてプログラム通りに生きておくれ・・・

なかなか分かりやすいセリフである。
しかし充電を終えたばかりなのに倒れる村人もいる。
前回のお婆ちゃんのように耐久限界が来たのであろうか?
でも二十代なのにもうダメになるとはどういうことなのか。田舎の水は肌に合わなかったのか!?

他にも3人ほど動かなくなっている。
死者を動かせるから相当な勢いで人口が増えるかと思ったらそうでもないみたいですな。
とはいえ減ったらまた補充しようとか考えている様子の火車。放ってはおけない。
現に村にやってきたネネさんたちを補充要員として見ている。
TVの宣伝を見て村を訪れる人を増やして狩っていっているわけですな。恐ろしい。

行動はプログラムされているようだが会話などの臨機応変さは備わっていない様子。
話す時は火車がいちいち打ち込んで会話させているようだ。結構大変そうだなコレ。

自然をよそおって村に歓迎して一気に仕留めようと考える火車。
しかし好戦的なネネさんによって文字通りに一蹴される操られた村人。酷い。

まさか・・・コイツらが・・・学園の・・・!?
そうかよ・・・来たのかよ・・・違うやり方で歓迎しなきゃあなぁ!

村の入口で火車に存在がバレてしまった。まあ、すぐにバレるだろうし早いか遅いかの差でしかない。
居場所は分かっていないのだし片っ端からぶっちめてく方が早いというネネさんの言いぶんもわからないではない。
それはわからないではないが、何故いきなりこのタイミングで着替えだすのだネネさん?
さすがに車中では手足が長くて着替えれなかったということなのだろうか。
いや、着替えているというか、むしろ着ているだけ・・・?最初からコートの下に着れそうな上下なのに。
では今の格好になる前のコートの中はどうなっていたのか・・・
ま、まあそこは各人が考えるということで!!

ネネさんが吹き飛ばした村人が着替え中にカマを持って襲い掛かってくる。
が、その村人が空中で撃ち落とされる。額に穴が開き、まさしく撃たれたような状況となっている。

もー。ケンカ売っといて油断しちゃダメですよー。
ホント・・・僕が「手の目」でヨカッタですねー

ここで明かされる加統の能力。
手の目。これはまたマイナーな妖怪でありますな。
盲人ではあるが手の平に目がある妖怪。ほう。臭いをかぐのは実は目が見えていないからなのか?
でもネネさんの足をエエ足してると評価しているし・・・あれは手の目で見てたのか?

ともかく、指先から弾丸のようなものを発射するのが能力であるらしい。
今回使った弾丸は柿の種。こんなもので人間を貫くほどの威力が出せるとは・・・なかなか侮れない。

村人を1人撃退したが、火車を本気にさせてしまった様子。
撲滅コードを起動させ、村人全員で襲い掛かるよう仕向けてくる。
まあ、普通の村人が操られているだけならばそれほど怖くはないんでしょうけどね。
車を降りた千里ちゃんたち。ネネさんが村人を蹴散らす後をついていく。
本当、蜘蛛の子を散らすような暴れっぷりですね、ネネさん。

しかしさすがに数が多い。処理しきれなかった村人が包丁を持ってエミちゃんに迫る。
が、それを後ろに残っていた加統が撃ち貫いて仕留める。いい援護だ。
柿の種を喉に流し込み、ガチャッとリロード。狙いを定める加統。

死人はニオイが強レツだから狙いやすいですね・・・
まぁ・・・元は善良な一般人・・・少々・・・気が引けますが・・・恨むんなら・・・火車を!

そう告げて放つ柿の種の弾丸は放物線を描いて次々に村人の頭に突き刺さる。
うーむ、こりゃカッコイイ!!加統もキリッとした顔つきになるとやけにカッコよくなるじゃないですか。
しかし放物線を描くのは手の目の銃撃の特徴なのか、柿の種が曲がっているからなのか。
弾丸の元によって銃撃の質も変わると面白いですな。

ネネさんたちが暴れている頃、甲人は絹田さんの車で村に向かう。
しかし村まであと1kmというところで車を止める絹田さん。この先は僕には不向きなんでね、とのこと。
ここから君の雨を見させてもらうとのことだが・・・やっぱり怪しい雰囲気の人だなぁ。

・・・僕の雨・・・僕の力・・・
これが眠ったままの・・・今の状況で、この先・・・行って僕に何が・・・出来るのか?いったい・・・何が・・・
でも・・・それでもッ!今は・・・行くしかないんだ!!

眠ったままの馬頭を抱えて駆ける甲人。いい高まり具合でありますな。

今回、加統の能力が明らかになったため、後はエイジュと絹田さんのお披露目を待つのみとなった感じ。
しかし千里ちゃんが探索要員、エミちゃんは回復要因。ネネさんと加統は戦闘要員。
割と戦える人材が少ない気がしますねぇ。エイジュはなんとなく戦闘要員っぽくはないし。
絹田さんも態度からして戦える能力かどうかはわからない。死人には効かない系の能力なのかもしれないが。
この面々ならば戦闘能力のある甲人の加入は大きいでしょうな。
主人公に居場所がある状態というのはよいことである。
でも主人公だけに活躍されるのもあれなので、ネネさんたちには頑張ってもらいたいものである!!



第9話◎エイジュ起動  (2013年 36+37号)


ネネさんの蹴りで電線まで吹き飛ばされる死者。
斬新な導入なので何が起きたのか次のページを見るまで分かりませんでしたわ。

かたっぱしからブッチめてくと宣言したネネさんだがさすがにこの人数相手は想定外だった様子。
とにかく安全かつ見晴らしのいい場所を確保するために病院の屋上へ向かうこととなった。
病院か。確かに死人に医者はいらないが町には必要となるものですからねぇ。

病院内にも多数いる死人相手に暴れまくるネネさん。しかしこの婦長らしき人がやけに強そうな感じがして困る。

屋上までたどり着いて一息。つきたいところだったがまだまだ火車の攻勢は止まない。
どうやら動ける体であるならずっと操り続けられる様子。
冒頭で電線まで蹴り上げられた男も復活して来たりしている。頭打ち付けたように見えたのにタフだなおい。

ネネさんはエミちゃんたちを屋上に残して孤軍奮闘の体勢に移る。
屋上の入り口は1つしかないし階段を上らせなければ守れると思っていたようだ。
が、火車は死人で階段を作り直接屋上に死人たちを運び込ませて来る。なかなかに厄介な相手でありますなぁ。
こうなってくると戦闘要員の少なさが響いてくる。
エミちゃんを庇ったエイジュが袋叩き。これは死ぬ。よく見たら刃物持ってる奴もいるし。こりゃエミちゃんも泣き叫ぶますわ。

ダメェー!ヤメてー!エイシュが、エイジュがあ。エイジュが起きちゃうよォー!!

心配の内容は想像と全く違う方であった。
屋上で衝撃が発生し、死人が大量に吹き飛ばされ落下。病院自体も震えて窓ガラスが全て吹き飛んだりしている。何だー!?

一方の加統。死人は脳か心臓を壊せば動きを止めることを解明している。
しかしさすがにハエを使って操っているところまでは気づいていないようですな。
それにしても登場時と比べて随分とまあスタイリッシュなキャラになったものですな加統。

甲人と合流してネネさんたちのもとに向かう加統。
その目の前に吹き飛ばされてくる死人。そして吹き飛ぶ家。吹き飛ばしたのはその家ほどもあろうかという大きさの男――エイジュ!!
気弱そうな感じだったし特殊な能力はあれども戦闘向けではないかなと思ったらまさかまさかですな。
目覚めたエイジュは積極性も増しているようで出会った甲人に話しかける。

伝説の何とかかんとか言われてたけどな・・・本物の伝説ってのはなあ・・・
このダイダラボッチのエイジュ様のことだぁよ・・・今からとくとそのスゴ・・・

言っている間に刺されるエイジュ。しかしほとんど苦にも感じていない。
それどころか刺した相手を投げ飛ばし、病院のビルを半壊させるほどの破壊を生み出す。
うーむ、なかなかに見境のない暴れ方ですなぁ。だから普段は目覚めさせないようにしているわけか。
凄く強力だが諸刃の剣となり兼ねない存在のようですな。まあ、押されてた現状では確かに心強いですけども。

ダイダラボッチといえば国づくりの巨人。土を掘って山を作り、結果盆地や湖を生み出したという伝承がある。
うーむ、伝説という意味では確かに色々と伝説の妖怪ですわなぁ。

戦闘の出来るメンバーが集まり大暴れを繰り広げる。
パワーのエイジュに狙撃の加統。多数の相手を薙ぎ払うネネさんとなかなかに爽快な戦い方を繰り広げている。
うーむ、これぞ妖怪バトルファンタジーと言った感じでありますな。面白い。
さらに色々と出来そうな甲人の雨が加われば相当な戦力となりそうですが・・・
まあ、火車もこれで終わるとは思えないし、妙な反撃を仕掛けてくることでありましょう。楽しみだ。



第10話◎馬頭  (2013年 38号)


能力の判明した学園の仲間たち勢ぞろいのセンターカラー。
なかなかにカラフルで映える面々でありますな。

ろくろ、手の目、ダイダラボッチと三種三様な強さを見せている。
これはなかなかスキのない強さでありますなぁ。
単純な人海戦術でどうにかなる相手ではない。火車もそれは認めざるを得ない様子。
時間をかけて作り上げた死人の村の住人がほぼ全滅しちゃって悲しむ火車。何ともざまあありませんなって感じである。

いいだろう。ならば・・・この村ごと・・・オマエらの墓にしてくれる・・・

やはりまだ何か切り札を持っていた様子ですな。
何が来るかと思ったら・・・ドロタボウ!!
これは厄介な奴が出てきましたね。単純に破壊しようとしても数が増えるだけになる相手である。
しかしこれが出てきたと言うことは火車のバックには赤マントがいることが確定となった。
俄然やる気が出てきた様子の甲人。エイジュを制して自分がドロタボウを倒すと前に出る。
まあ、実際叩き潰すことはできないし、甲人の雨で流すしかないわけなんですけどね。

そうだ!倒して・・・イヤでも出てこさせてやるッ!!赤マント!!
雨天決行ッ!!

意志を持って宣言する甲人。
しかし今の馬頭は眠りについている。言葉をかけても目は覚まさない。おやおや。
その気になれば自身の力で雨を降らすこともできるのでしょうが、今はその状態にはなさそうだ。

ドロタボウの攻撃で窮地に陥る甲人。それを救う千里ちゃん。
雨が降らない、コレが起きてくれないと叫ぶ甲人に強い口調でこう述べる。

コレじゃない!!"コレ"じゃなくて"彼"よ!!
彼は生きてるの!物じゃないの!!
彼が起きないんじゃなくて・・・天野くん・・・アナタが起きていないのよ!!
目覚めるのよ!!天照子として・・・天を司る者として・・・
覚悟を持って彼を起こすの!心の底から!雨を呼ぶのよッ!!

熱く叫ぶ千里ちゃん。ふむ、さすがに最初に馬頭を甲人に渡しただけあり責任感がある様子ですな。
これはヒロインらしいと見るべきでありましょうか・・・!!

これまでは必要に駆られて雨を呼んできた甲人。
しかし今、心の底から雨を呼ぶことについて向き合わなければならない時が来ている。

心の底・・・
雨がキライだった・・・イヤだった・・・雨を呼ぶ自分も・・・いなくなればって思うくらい・・・
でも・・・雨を喜んでくれた人がいた・・・
今・・・必要としてくれる人たちがいる・・・
倒さなきゃいけない者。
絶対に救わなきゃいけない人・・・
それが僕にしかできないなら・・・僕の使命なら・・・今・・・心の底から・・・雨を望むッ!!

決意の定まった、キリッとした顔になる甲人。よいですねぇ。
能力的にカラッとした性格にはなりにくいかもしれないが、やるべき時にやれる男はやはりカッコイイ。

天照子・・・ッ。天野甲人の名のもとに・・・我が傘なる者・・・空ノ第七番傘に告ぐ・・・
目覚めよッ!!馬頭ッ!!

甲人の心の底からの声に導かれ目を覚ます馬頭。
どうやらこの目覚めは今までのものとは違う様子ですな。片言だった口調がハッキリしたものになっている
馬頭の力も主である天照子――甲人の目覚めがなければ半端なままだったということか。
今こそ学園の秘宝である第七番傘が長い眠りから覚めることとなった。

甲人「おはよう馬頭」
馬頭「主よ・・・今・・・我を名で・・・」
甲人「主は・・・いないよ・・・いるのは・・・甲人だ!」

かつての主である天照子はもういない。いるのは天野甲人という個人である。
その意を示しながらも天照子としての務めを果たそうとする甲人。いい感じに覚醒していますなぁ・・・
今度こそ心の底から願ったいい雨を降らせることができそうである。
ドロタボウはこれで倒せるだろうが、火車の切り札はそれで打ち止めになるのだろうか?
自身が姿を現す流れとなりそうであるがはてさて。絹田さんの動きも気になるところでありますなぁ。



第11話◎新たなる使者  (2013年 39号)


覚醒の雨が降り注ぐ。
確実に甲人と馬頭の関係は今までとは変わってきている。
ドロタボウを前にし、馬頭に謝る甲人。せっかく起きてもらったのにまた眠ることになるかもしれない・・・と。

主よ・・・いや・・・甲人・・・どこか少し変わったな・・・いや・・・我もか?
不思議だ。まるで改めて深き眠りより目覚めたようだ・・・

よい話である。やはりパートナーは互いに信頼関係がないといけませんやね。
絆が深まったことにより、馬頭の覚醒も進んだということでありましょうか。

我が再び眠りにつくかは甲人しだいだ。見定めるのだッ!!太刀ふるう相手を・・・技を執り行う!!

ドロタボウと対峙する甲人。
それを見たネネさん。空から降りそそぐ刃のことを思いだして慌てて皆を退避させようとする。
確かにあの雨は敵味方関係なく降りそそぐものでありますからなぁ。ここにいると危ない。と思いきや――

鳴り止まぬは刃音・・・降り止まぬは鮮血・・・見定める!太刀ふるう相手を!!
この刃に触れし・・・その全て・・・地に還れッ!!

ドロタボウの群れに踊り込み、その全ての頭部に刃を打ち込む甲人。
なるほど。敵味方関係なく降りそそぐ雨ではなく、見定めた敵のみを貫く刃としたのか。
これが覚醒した甲人と馬頭の力。見事に勇太刀を使いこなしている・・・!!

本来ならば倒せる者はいないドロタボウ。それが水溜りとされてしまった。焦る火車。
操っていた手駒のゾンビも底をついており、もう逃げるしかないという状態。
死体を操るのに使っていたハエを回収するために一斉に動かす。
しかしその行為が死体を操る手段と現在の居場所を示すこととなる。
空を飛べる甲人はハエを追い、1人で先行。ネネさんたちも後を追い、火車を追い詰めることとなった。

エンジュは親玉には興味はないらしく、しぶとく残っている病院でもブッ壊してやるかと息巻いている。暴れん坊だなぁ。
しかしそうして近づいた病院には驚きの光景が。
細い路地に横たわるのは死人の山。病院周りの敵はネネさんが担当していた。しかしこの死人のやられ方は何か違う。
よく見れば体の各所に貫かれたような跡がある。このやられ方は・・・ッ!!

一方の火車。ハエをトランクケースに入れて逃亡の体勢に移る。
しかしそれよりも早く飛来する甲人。待てぇッ!!
見つけた火車の姿はいかにも小物っぽい容姿の小男。これが・・・こんな。これが死人を!?

これが・・・だとぉ・・・っ。こんなのが火車なのかッてか?ええッ?
いいかぁ!!私はなぁ選ばれし者だぞォ!!王だ!!この力は王となる者の力なんだ!!

確か死人の国の王にはなれる力かもしれませんな。
下手に増やすようなことをせず大人しくしていればよかったものを・・・
いずれは街を、国をも手にしていたなどとバカな夢を見るから。
いや、バカな夢はまだ見ている様子。あの時のように今一度自分に力を授けて欲しいと赤マントに願う火車。
確かに赤マントは神出鬼没であるし、願えば現れる可能性はありますな。警戒する甲人。
だが――現れたのは巨大なネジ
2本のネジが火車の左手と右肩を貫き、その体を壁の向こうへと引きずり倒す。

何だ!?いったい何が・・・ッ。

慌てて後を追う甲人。
そこで見たのは火車を片手にぶら下げた眼帯の男の姿。こ・・・この姿は・・・・・・!!!

コイツはもらってくと述べる眼帯の男。
エンジュと加統は病院周りの死人のやられ方からあの男がやってきていたことを推測する。
そう、この眼帯の男こそ・・・"夜行"!!

うーむ。まさか前作の鬼さんコチラから継続して登場してくるとは・・・これは凄いサプライズでありました。
相変わらず重本先生はネジが好きだなぁと思ってたら、まさか夜行当人がお出ましとは。
しかしこの夜行はどういった存在なのだろうか。
前作主人公の金木が変じた姿なのか?それとも別の人間が夜行となったのか。
単にスターシステム的な存在で、姿と能力が一緒なだけという可能性も有り得る。

それはそれとしても夜行の目的が気になりますな。何故火車を回収しようとしているのか。
赤マントと協力体制にあるにしては乱暴な感じもするし、鬼を率いる第3勢力という見方がいいのだろうか?
うーむ。本当に楽しみな流れになってきましたなぁ。ワクワクが止まらないぜ!!



第12話◎夜行  (2013年 40号)


火車を連れて行こうとする謎の男、夜行。
この男は果たして敵なのだろうか?完全な味方ではないのは間違いないようですが。

立ち去ろうとする夜行。
足の裏からネジを長く長く伸ばし、大股で歩き去る。うーむ便利な。
ネジの着地点は大変なことになるけど、森の上を歩く分にはそこまで影響はないか。

凄い速さで遠ざかっていく夜行。
しかし甲人もそれを黙って見過ごすわけにはいかない。火車には赤マントのことを聞かなければいけないのだ。

馬頭の力で空を飛ぶ甲人。その甲人を迎撃しようとネジを伸ばす夜行。危ない危ない。
邪魔するなら殺すぞと威圧してくる夜行であるが、警告する前から普通に殺しかねない攻撃をしてきてましたな。
うーむ、これはさすがに甲人も相手が悪いのではなかろうか・・・

甲人に遅れて火車がいたビルの屋上に辿り着いたネネさんたち。
どうやら完全に出遅れてしまい、甲人たちを見失ってしまった様子。おやおや。
そこに追いついてくるエイジュと加統。夜行が来ていることをネネさんたちに報告する。さてさてこれはどうなりますか。

夜行と刃を交える甲人。
火車に赤マントのことを聞きださなきゃならない。そいつをこっちに渡してもらう!!と宣言する。
それを聞き、だったらなおさら渡せないと述べる夜行。ふーむ、やはりどういう立ち位置なのか読めませんなぁ。

夜行のネジは手足だけではなく体の至る所から凄い勢いで飛び出してくる。
油断していると一瞬で串刺しになる恐怖の一撃。
しかしその強力なネジを甲人の降らした雨が砕く。おぉ・・・この雨のガード、ここまでの破壊力があるのか!!
さすがにこれは驚きました。そしてこの演出がまたカッコよくてたまりませんなぁ。

・・・倒すッ。オマエも・・・火車も・・・倒して・・・赤マントをここへ引きずり出すッ!!

力強く宣言する甲人。
夜行も甲人の雨を見て悪そうな笑顔を浮かべている。本気になったか・・・!?
このまま熾烈なバトルが開始されるのか・・・というところで妨害の手、いや足が飛び込んでくる。

空を覆わんばかりに描かれる巨大な足。
これは空に浮かぶ甲人の前に顔が来るぐらいに巨大化したエイジュの足である
おぉ・・・ここまで巨大化できたのか・・・!!
まあ、ダイダラボッチといえば地面を掘って山を作ったりする妖怪ですしなぁ。これくらいは出来ても不思議ではないか。

エイジュの手に乗っている千里ちゃんが甲人を止めに入る。その理由は――

この人は・・・この人は・・・私たちの元クラスメートなの・・・!!

明かされた衝撃の事実。
そうか、村に向かう前に言っていた今はいないアノ人というのは夜行のことだったのか・・・
これならば確かに学園の面々が皆知っていても不思議はないですわな。
しかしそうなると何故夜行は学園を離れることとなったのだろうか?
学園と敵対する立場となったのか?それとも独自に赤マントを追う立ち位置となったのか?
うーむ、気になる存在でありますなぁ。
学園を離れて鬼たちを率いる独自勢力となったとかだと色々と面白そうですが・・・果たしてどうなりますか。楽しみです。



第13話◎変わるものと変わらないもの  (2013年 41号)


何と夜行は学園の元クラスメートであった。
ほほうそれは・・・何でまた袂を分かつようなことになったんですかね・・・?

甲人を止める千里ちゃん。
しかしエイジュに乗って一緒にやってきたネネさんは容赦なく夜行を蹴りつける。相変わらず激しい。
だが頭部にネネさんの蹴りをまともに受けたのに怯みもしない夜行。
オレがツノ出してたらその自慢の足に穴開いてたぞと脅す余裕すらある。

オマエ・・・学園でいったい何を学んでんだ?

挑発を受けて激昂するネネさん。そこに割り込む加統。さすがにこの男は冷静でありますな。
しかし体でネネさんの美脚を止めたついでに脚をプニプニするのは・・・やりおる。冷静なセクハラと評価しよう。
それにしてもエミちゃんは夜行のこと覚えてないのか・・・う、うーむ。

エイジュの肩で暴れている面々はさておき、夜行の力の紹介が千里ちゃんから行われる。
加統たちがあの様子だから甲人たちが話を進めなければいけないって話ですね。分かります。

彼は体を硬く出来る・・・体内の鉄分を操って・・・
そしてそれを体外に放出。具現化したのがあのネジのようなツノ。
彼は鬼!!鬼の長「夜行」の能力を持つ者・・・!!

やはり夜行が鬼の長であるという設定は変わっていないみたいですな。
しかし夜行は妖怪の名だと思うがそれを扱う本人の名前は出てこないのですかね?気になるなぁ。

あれから一年か・・・全く変わってねーな。ホントあきれるぜ・・・
変わったといえばオレの代打にあの無鉄砲なガキが入ったことくらいか?

夜行が学園を去ったのは一年前。
その時に何があったのかは分からない。だが千里ちゃんは願う。学園に戻ってきてほしいと。しかし――

キミちゃんは・・・見つかったのか?
赤マントにさらわれたオマエの大事な親友は・・・手がかりは・・・見つけられたのか?
エミの一族は?エイジュ!!ネネッ!加統!オマエらこの1年、何やってたんだ?
オレは一人で・・・コイツが、火車が赤マントとつながってるのをつきとめた。
オマエらは学園にいて・・・あのジジィ含めて6人もいて・・・それで・・・オレに先越されてんじゃねーか・・・
なぁ千里・・・そんなオマエらのとこに戻って・・・オレにとってのメリットはあんのか。
オレは一人でいく・・・一人で・・・赤マントを倒すッ!!
誰だろうと・・・何だろうと関係ない。オレが邪魔と見なす者・・・全て・・・消すだけだッ!!

ふむ。この夜行の発言はなかなか面白いですな。
千里ちゃんもまた大事な人を連れ去られている。赤マント・・・何か女の人ばかりさらってないか・・・?
エミちゃんの一族も赤マントに連れ去られているようだが、エミちゃんが今の状態なのと関係はあるのかねぇ。
そして夜行は仲間はおらず一人で動いているとのこと。
ふーむ、百鬼夜行の主なのに単独行動なのかぁ。それはそれで勿体ない気もしますなぁ。

学園の面々に背を向けて立ち去る夜行の背中に呼びかける千里ちゃん。

見つける!!探し出すから!!邪魔だって言われても私の能力で!!アナタの大切な人も必ず見つける!!
赤マントの居場所も絶対ッ見つけてみせるから!!

千里ちゃんの声にも振り返ることはなく去っていく夜行。
でもその真摯な想いは届いていると信じたいところでありますな。
しかし夜行もまた大切な人を赤マントにさらわらているのか・・・誰だろう。気になるなぁホント。

夜行にも戦う理由があることは理解した。
しかし自分だってハルさんを救うという理由がある。手がかりをこのまま失うわけにはいかない。
馬頭を握り、追いかけようとする甲人であったが、その動きを制する馬頭。

甲人の意をくみ黙っていたが・・・あのまま続けていればやられていたのはコチラやもしれぬ。
あの鬼の者かなりの強者・・・そう。ここにいる誰よりもな・・・
我は確信した・・・今の我と甲人だけではあの鬼の者にも・・・
そしてあの鬼の者でさえ届かぬ赤マントには到底及ばぬということを・・・

まあ確かに。あの鬼の長の夜行ですら届かないというのでは抗するのも難しいですわな。
しかしそれは甲人と馬頭だけの場合の話である。

番傘が我一基だけではなッ・・・

この発言!!他の番傘が登場するということで間違いないですよね!!
当初から第七番傘という言葉がありましたし、他にも番傘があるのではと予想はされていました。
七番目で馬頭。となるとやはり干支なのか?とも。
うーむ、気になりますなぁ。ここから色んな力を持った番傘が次々に出てくるのだろうか。
問題は番傘だけがいっぱい増えるのか、それぞれに使い手がいる形となるのか。
あまり人が増えすぎると収拾がつかない形にもなりそうだが・・・?敵として出てくる可能性もあるか。
なんにせよ新たな展開が楽しみで仕方がありません。



第14話◎もどる、もどらない  (2013年 42号)


学園の面々の活躍で桐沢村の死人たちは一掃された。
しかしTVで紹介されただけに、一度その村を訪れようと考える一般人はそれなりにいる。

モヤのかかった道を飛ばす1台の車。
その眼前に広がるのは土砂崩れで通行不能となった道。こりゃ危ない。
気付かずにそのまま進んでいたら死んでいたかもしれない状態だ。
運転手の男は、こんなのケーサツや消防がすぐに駆けつけるべきではないかと不満顔。だがそこに――

ケーサツです・・・

警部補の絹田鎌長さん登場。警部補だったんだ。
通行止めは設置してたがモヤで見えなかったのかい?と運転手に語る絹田さん。
さらに今朝方桐沢村で大雨が降り被害が凄くて村には入れないとも説明する。
なるほどねぇ。そういう方便で村を訪れる人を追い返しているわけですか。
これで10台目くらいということだが、実際は土砂崩れなんて起きていない。村に雨は確かに降りましたけどね。
道路にはお香のようなものが焚かれており、これで幻覚を見せられていた様子。

んー近頃の人間は・・・タヌキのタの字も忘れてるから化かすの楽だねぇ・・・
それか・・・我が金長家に代々伝わる・・・このハーブ配合のレシピがスゴすぎるのかな。

ほほう。絹田さんはタヌキでありましたか。ああ、だから絹田・・・考えてみれば単純な話だったか!!
しかし金長狸とは。阿波狸合戦などで有名な狸じゃないですか。何か色々と出来そうな人でありますなぁ。

絹田さんはそろそろ学園の皆が戻ってくる頃かなと推測している。
火車は連れ去られてしまったし、村に止まる必要は最早ない。帰るしかありますまい。
しかしエイジュは未だ大きいままで元に戻るつもりはない様子。ふーむ、夜行の言葉に影響されましたかね?
伝説たる者、自由に生きねばとのこと。このタイミングで言われましてもなぁ。

ネネさんはエイジュの頭にエミちゃんを乗せる。
そしてエイジュがねむれないからお歌をうたってほしいってさなどと言い出す。
ははぁ。そういえばエイジュが起きるときに叫んでいたのはエミちゃんでしたな。
寝かしつけるのもエミちゃんの役目であったということですか。
強制的に寝かしつけられている様子なのが微妙に哀れな気がしないでもない。これでは伝説にはなれませんわなぁ。
力は凄いがどうやら自己制御は出来ていない様子。エミちゃんなしでは戻ることも叶わないわけか。

・・・あいかわらずか。ムカつくけど夜行の言うとおりかもな・・・
もっと・・・ウチら強くなんなきゃな・・・

そのように誓うネネさん。
さて、車を走らせて帰る途中で絹田さんに報告を行う。
絹田さんは甲人に雨、見たよ。やっぱり君をつれてきてヨカッた。ありがとうと礼を述べる。うーむ、大人ですねぇ。
しかしあとはこちらにまかせてくださいと言っているが、村の後始末をどうつけるつもりなのだろうか?
一夜明けたら大量の死体が転がっているという状況になるのだが・・・
警部補レベルで何とかなるとも思えないが、お偉いさんに事情を知る人とかいるんですかねぇ。

帰りの車中は静まり返っている。まあ、エミちゃんは置いておいて静まり返っている。
そんな空気の中、思い切って千里ちゃんに声をかける甲人。
夜行が言っていた通り、千里ちゃんは赤マントに大切な人――親友を連れ去られている
だが悲劇はそれだけでは収まっていない。それよりももっと酷い事象が発生している様子。むむ?

街に戻って来たところで孤児院の園長先生を発見する甲人。
車をとめてもらって慌てて顔を見せに行く甲人。
確かにこの数日行方不明のような状態になってましたものねぇ。心配かけさせちゃいましたなぁ・・・

しかしまだ全ての心配を解消させられたわけではない。
辛い思いをしながらも園長にハルさんのことを告げようとする甲人。しかし――

ハルさんって・・・誰だ?

何だ!?ハルさんのことが忘れられている・・・!?
いや、忘れられたわけではない。同じく車から降りてきた千里ちゃんが説明をしてくれる。

赤マントに連れ去られた人間は・・・この世に存在してなかったことになるの・・・

なんとまあ。これが連れ去られるだけではすまないもっと酷い事象というヤツでありますか。
残された人が悲しむことはないと言えなくはないが・・・事情を知る人にとってはより悲しい気分にさせられてしまう。
その話を聞いた甲人は踵を返す。

ゴメン園長。僕、行かなきゃ。一人で帰るワケにはいかないんだ!!

今のままで戻れない。そう決意する甲人。
ハルさんを救うためにも強くならなければいけないという話でありますな。

さてさて、ここから甲人はどこへ向かうのだろうか。ひとまずは学園か?
馬頭が他の番傘の居場所について心当たりがあるのならばそこに向かうこととなるのだろうが。
一通りのキャラクター紹介を終えた感じの現在。ここからどのような展開を見せるのか。楽しみでありますなぁ。



第15話◎ヒトキワ荘  (2013年 43号)


今のままでは日常に帰ることは出来ない。
そう思った甲人は学園の皆と戦う道を決意し、園長に別れを告げる。

待ってて・・・ッ。必ずッハルさんと一緒に・・・僕・・・帰るから・・・!!

さて、晴れて学園の一員となった甲人。
ネネさんはイジワルを言っているが他の面々は温かく迎えてくれている。学園長も改めて歓迎してくれます。

詳しい報告は明日聞くので、今日は帰ってゆっくり休むこととなりました。
寝泊まりする場所は学校の結界の中ではない。
千里ちゃんに連れられて甲人がやってきたのはヒトキワ荘という名のボロ・・・いや、ズタボロいアパートだ。
見た目もあれだがヒトキワ荘・・・漫画家とかが一杯住んでいるんですかね?名前のせいで一際そう思える。

甲人が足を踏み入れようとしたところ、それを遮って入寮料を払えと言ってくる女性がいる。
なんでもいいけど言いにそうな言葉ですな入寮料。言ってみると意外とそうでもないけど。

例えば君のその髪の毛か〜もしくはだ液――できれば・・・舌の細胞がほしいなぁ〜

いきなりな迫り方をする女性。これは甲人も赤くならざるを得ない。
ので千里ちゃんの思い切ったツッコミ。踵はダメージでかいぞ!!というかスカートでその位置からは・・・
まあそれはさておき、この女性は寮母のヤサカさん。
どうやら入寮料として甲人の細胞を入手したがっていたらしい。ほう。

千里ちゃんが天パーじゃないのは地味に驚き。そして結構容赦なくボコッていてさらに驚き。ボコリン・・・

ともかく髪の毛を提供する甲人。
これによって健康状態などが分かるようになるとのこと。ほほう、管理人らしい技でございますな。

2階は女子の部屋で男子禁制となっている。自然と甲人の部屋も1階になるわけですな。
ここで甲人は千里ちゃんに質問。学校にある鏡の中に入った方が安全では?と尋ねる。

そこらへんは大丈夫!さっき見たアパートの外観覚えてる?
ツタの葉からまってたでしょ。あの葉一枚一枚に印が結ばれてて結界になってるの・・・
ヤサカに許可された者しか近よれないの・・・

ははぁ。このアパートはアパートで結界になっているんですな。
細胞を入手するのも入寮の手続きとして必須なわけだ。

食道ではみんな揃ってゴハン。なかなか楽しそうな光景ですなぁ。
そういった賑やかな食事がなんだかとっても久しぶりな気がする甲人。
実際はまだ数日しか経過していないんでしょうけどねぇ・・・この数日で大変な目に合ったものだ。
酷い目に合ったのもそうだけど、なんか甲人は出てくる女性に赤面させられてばかりだった印象がある。
みんな開放的というかなんというか・・・まともなファーストコンタクトを取る子が少なくて困る!!

アパートにはお風呂も設置されている。
ネネさん曰く風呂は女が先とのこと。それを肯定するのは加統。むしろ後の方がいいですねぇと言ってのける。

みなさんの残り湯を堪能できるんですから・・・

なんて堂々とした告白なんだ・・・加統・・・尊敬はしないが凄いとは思うぜ!!
戦闘ではカッコ良かったのに普段の言動と行動がこれだからなぁ。
部屋も汚い・・・というか何で家具が倒れたままになっているんだ?ネネさんが暴れたまま放置されてるのか?

エイジュのおこさないでください発言はどういうことなのだろうか。
やはりダイダラボッチの力を制御できていないことに対する恐れがあるということなのかどうなのか。

甲人の部屋は103号室。四畳半の狭い部屋だが、施設では1人部屋すらなかった。珍しい時間を過ごせそうでありますな。

今日から・・・ここでッ

思いを新たにしながらも腰を落ち着ける甲人。
馬頭はアパートのツタが結界の役目を果たしているのを確認し、甲人に番傘についての説明をしようとする。
が、さすがに疲れがたまっていたのか眠りについてしまう甲人。無理もないな。
結局この数日ほとんど寝ないで各地を転々として戦っていたわけですからねぇ。今はゆっくり休んでもらいましょう。

桐沢村を再生させたことで有名となったゼクス株式会社。
火車がいなくなり、操っていた死者もいなくなったことで消息不明となっている。
まあ、ニュースでいくらか流したらあとは自然に人々の記憶からも無くなっていくんでしょうな。

そんなニュースを流しているラーメン屋でイチャつくカップル。
別にイチャつくなとは言わないが、こんなところでやられてもなぁ。
ギョーザを台無しにされた帽子の男。水をぶっかけて挑発したあと、何か不思議な力を用いる。
カップルは突然お互いの顔面を殴り出す。店主がそれを止めようとしても突き飛ばし、殴り続ける。
闘争本能が刺激された。というわけではないですな。助けを求めながらも殴るのを止めないカップル。これは一体・・・?

死ぬまでイチャついてなバカップルが・・・
にしても・・・ホント火車はバカだな〜
その点僕はさぁ・・・ちがうからさぁ・・・出来が・・・まぁ・・・見ててよォ。赤マントくん・・・

帽子と一緒に何故か上着をはだけながらそんなことを述べだす男。
高い所から見下ろしたりしているし、火車とはある意味似たような性質の男なのではないだろうか・・・

この男も火車と同様、赤マントに妖怪としての力を授かったのであろうか。
となるとどんな妖怪なんだろうか?人心を惑わすのはありそうだが、相争わせるようなのは・・・むむむ。
何にしても新たな敵の出現は楽しみである。一体誰が狙われることになるのだろうか。
実はバカップルしか狙わない類のヤツだったりはしないだろうか。
傍から見ると仲良さげにも見える加統とネネさんが間違って狙われるとか!?あり得なくはないな。



雨天決行 3巻


第16話◎開眼  (2013年 44号)


激戦をくぐり抜け、ようやく眠りにつくことが出来た甲人。
夢に見るのは暖かい記憶。と思いきや一転して現実――大切な人を赤マントにさらわれたという現実が襲い掛かる。

うなされていた甲人を起こす馬頭。どうやらすっかり朝となっているみたいだ。
どうでもいいが千里ちゃんも学生服の上ぐらいは脱がしておいてくれてもいいのに。
寝苦しいことこの上ない。よく見たらきっちりカラーまでしてるし。こりゃあうなされても仕方がない。

それはさておき、夢でみた現象――ハルさんに例の黒い水による妖怪の面を被せられる現象を思い起こす甲人。
どうにかしないとと焦り、馬頭に昨日の馬頭以外の番傘について尋ねる。一体どこに居るの!?

我以外の番傘だが我の復活が何か影響をおよぼしてはいないかと思い・・・昨夜より呼びかけてはみたのだがな、反応がないのだ・・・

どうやら馬頭は他の番傘の居場所は知らない様子
むしろなぜ自分がこの地で眠っていたのかさえ分からないとのこと。
ふーむ、そんな状態でも呼びかけができるのならば・・・と思ったが反応がなくて困ったという流れか。

自分たちだけでは敵わない。
ならば他の番傘も見つけなければいけない。しかしどうやって探せばいいのか・・・
思い悩む甲人。しかし何かを探す、見つけるというならばうってつけの人物がいる。
自身を見つけ出した千里ちゃんの「百目」の能力ならば他の番傘の居場所を見つけることもできるかもしれない。
そう考えた甲人。居てもたっても居られず、千里ちゃんにお願いするために2階へと駆け上がる。
いや、まて甲人。二階は確か男子禁制の場所となっているはずであるのだが・・・

加統が止める間もなく上がっていく甲人。そこで目撃したのは、まっ裸のネネさん
なんというかこの人は・・・開放的というか油断しまくりというか。
そりゃあ甲人の心音も早くなるというものである。仕方がないですやね。ハハハ。

まあ、それはさておき。
どうやら千里ちゃんたちは他にも天のカギ・・・番傘があるというのは知らなかった様子。
それに馬頭はもともと学園に保存されていたものであるし、何故学園にあったかは校長に聞かないと分からないらしい。
ならば今すぐ学校に行けば・・・そのように考えるが、今は無理との返答。

ネネ「昼間は小学校なんだよ・・・ウチらが入れるのは夕方以降・・・
加統「僕らが通うのは夜間学校なんですよ・・・妖怪らしいっちゃらしいっしょ・・・」

まあ、確かに子供たちの前で鏡の中に入るわけにはいきませんしなぁ。
そういう設定ならば夜間に堂々と小学校に入って行っても問題視はされないというわけだ。なるほどなー。

馬頭の件については夕方まで待たないといけない。
しかし番傘探しについては千里さんが手伝うと力強く宣言してくれる。
夜行に「見つけてみせる」って言っちゃったからにはここで引くわけにもいかない。
どんなものも、この目で。百目の能力で見つけ出すと決心したのだ。

千里ちゃんのこの決意を聞き、微笑みを見せるネネさん。その後の口は悪いものの、なんだかよい関係でありますな。

さて、一室で正座をしてお互いに相対する甲人と千里ちゃん。
どうやら顕微鏡を用いたいつもの方法とは大きく違う手段を講じる様子。
これが本来は校長の許可なしでは使えない技でありますか。
その技を使う前にコンタクトを外す千里ちゃん。
どうやら千里ちゃんは目が良すぎるので度数の合わないレンズで視力をおさえていたらしい。ほほう。

これで・・・OK!私の視野はとどまんないから・・・
あと・・・人や動物・・・以外の生物は初めてだから。馬頭・・・よければ呼びかけをし続けてくれない?
んじゃ・・・始めるね・・・曼万里眼!!

なるほど。視野がとどまらないとはこういうことか。
狭い部屋の一室で向き合っているはずなのに、千里ちゃんの目はすぐ前の甲人や部屋を通り抜けて広く見渡すことができている。
様々なものをとにかく見、そして馬頭の呼びかけを伝える千里ちゃん。
そんな最中、目の端をよぎったのは傘の柄のようなもの。曲がりくねった柄であるが、それは確かに馬頭に似た番傘。
だが、目を向けた方とは逆の方から声がかかる。

なーんだ・・・探してたのは僕じゃないのか・・・

視界に紛れ込んできたのは赤マント。うーむ、こういう遠視をも察する力があるというのか・・・厄介な。
ビルの上で笑っていたと告げ、倒れる千里ちゃん。
どうやらこの曼万里眼はかなり体を酷使するようですね。大変だ。
しかし甲人は赤マントの居場所を聞き居てもたっても居られなくなった様子。
飛べない他の連中をアパートに置き去りにし、馬頭の力で千里ちゃんが目撃した方へと飛び去ってしまう。
うーむ、毎度毎度考えもナシに飛び出して行っちゃってますなぁ。直情直情。

我らだけでは赤マントには勝てないという馬頭。
それに対しやってみなきゃわかんないよと返す甲人。

そりゃ・・・たった2日前だけど・・・あの夜とはちがう。わけわかんないまま戦ってたあの夜とは・・・
今は・・・馬頭のことも信頼してる!そうだよッ。変わったんだ・・・やってみせるッ!!
赤マントに一太刀あびせてみせる!!そして・・・ハルさんを・・・ッ!!

気合いを入れる甲人。しかしその頭上から甲人の叫びに応える声がしてくる。
それと共に降ってくるのは、人。
悲鳴をあげて落下する男を慌てて追いかける甲人。危ない所を救い出す。
しかし空を飛んで救った甲人を化物呼ばわりする男。これは酷い。

助けてもらっといて化物だなんて・・・ヒドイよねぇ・・・人間ってのはさぁ・・・
だからさぁ・・・飛んでけよォ・・・

現れた赤マントがそう告げると、助けたはずの男が遠くへと吹き飛ばされていく。うーむ、哀れな。
このような非道を続ける赤マントを許しておくわけにはいかない!!
怒りを向ける甲人。しかし赤マントと思った姿がだんだんと普通の人間の顔へと変化していく。
こいつは・・・前回の最後に出ていたあの男か。

僕は・・・赤マントくんの友達でぇ・・・大親友。んでもって・・・君が絶対に勝てない相手さ・・・

なんだかやけに自信満々な男であるが、どのような力を持っているのだろうか。
人を操ったりするだけかと思えば、念動力のように吹っ飛ばすこともできる。
しかし共通点としてどちらも被害者の体は水に濡れていたことがあげられる。
となると、もしや別の番傘を有した番傘使いであるという可能性が考えられるのだが・・・どうなのだろうか。
何にしても厄介な相手と出会ってしまったものである。どうにかこの窮地をくぐり抜けたいものでありますな。



第17話◎赤マントの友達  (2013年 45号)


甲人の前に突如現れ、赤マントの友達と名乗るパーマ男。
それだけでも不穏なことこの上ないのに、さらに突然甲人に襲い掛かってくる。

だぁから君、キライなんだよな・・・

かなりの速さで迫ってくるパーマ男を迎撃しようとする甲人。
まあ、まだ明確に何か攻撃をしようという感じではなかったみたいであるが・・・
どうも向こうはかなり甲人のことを嫌っている様子。

ゴメンゴメン。チョット腹立ってさぁ・・・
だってさぁ。赤マントくん、君の話ばっかだもん。
だからぁ。どんな子なのか会いたくなったわけぇ・・・
よけいイラッとしたよ・・・超ヘボくってさあ・・・

登場時から感じてはいたが、何とも危ない気配を放っているパーマ男。さらに赤マントへの想いを綴り出す。

マジで何なの・・・何で・・・君みたいなのを赤マントくんは気に入ってんだろ・・・不思議でしかたないよぉ・・・
でも・・・その不思議な所が赤マントくんの魅力的な部分でもあるわけだけどォ・・・
ホント・・・憧れちゃうよねぇ

一人でウンウンと頷いているパーマ男でありました。
そうやっている間に一旦退こうと提案する馬頭。確かに今なら自分の世界に浸ってる間に逃げれそうな気がしないでもない。

先の交錯でパーマ男を手強いと見た馬頭。
しかし甲人はここで引くつもりはない様子。まあ、すぐに引くぐらいなら最初から飛び出したりはしませんわな。

決めたんだ・・・僕は逃げない。
一人では帰らない・・・戻らないって・・・だから・・・逃げない!!
せっかく追い詰めた火車もあの夜行って人につれてかれた・・・
アイツも火車と同じ赤マントの手下なら・・・僕は戦うよ!!相手がどんなに強くたって・・・僕に出せる力・・全部出して。
そして・・・今度こそ赤マントを呼び出させてやるんだ!!

吠える甲人。しかしパーマ男はその甲人に反論する。

だからあ・・・言ったろ!?僕は友達ッ。手下じゃない・・・!赤マントくんの親友なんだよ

親友ねぇ。でも話を聞いていると同列の存在という感じではなさそうである。
このパーマ男もまた火車と同じように赤マントに見いだされた者、選ばれた者であるらしい。
しかし火車とは違い、その力は自分の為ではなく赤マントが一番喜ぶと思われることに使うのだとか言いだす。

好きな時・・・好きなだけ、好きなように、能力つかって人間殺す・・・

結局自分の好きな様にすればいいってことか。
まあ確かに赤マントが望みそうなことであるが・・・それなら火車の行動も別に問題ないんじゃなかろうか。
ともかくそんな考えを聞かされて大人しくしている甲人ではない。
赤マントみたいなヤツのために動こうとしている。こんな男を放ってはおけない。

「赤マントみたいなヤツ」?ハァ?赤マントくんのこと悪く言わないでもらえるかなぁ・・・
でかさぁ・・・悪口言うクセに気に入られてるってなんかさぁ・・・なんか・・・なんかやっぱ・・・君ィ・・・ムカつくよォ・・・

赤マントへの想いが溢れまくっているパーマ男。こいつは厄い。
そりゃあ甲人もコイツ普通じゃない!と至極まっとうな意見を述べてしまうってものである。

とはいえ逃げる気も無い甲人。ならば全力で打ちかかるのみ。雨天決行!!

宣言と同時に振りだす雨。その雨で全身を濡らしながら笑い始めるパーマ男。
甲人はその笑っているパーマ男に切りかかるが、凄い速度で裏に回られ、迎撃されてしまう。
最初の交錯の時よりも格段に速度が増しているだと・・・!?

ならばこれならどうか。降りしきる雨に塗れているようでは、この技はかわすことはできない。
鳴り止まぬは刃音・・・降り止まぬは鮮血・・・全てよッ!地に還れぇ!!勇太刀!!

周りに味方もいないことだし、広範囲に刃の雨を降らせるタイプの勇太刀を放つ甲人。
しかし、空中で生成されたその刃が方向を変え・・・甲人自身の体を貫く!!
一方のパーマ男。自身の周りに出来上がった雨の刃を指先で破壊したりしている。これは・・・!!

最初に言ったろォ・・・君は僕にはかなわないって・・・
僕の能力は「赤舌」・・・水を操る能力なんだからぁ・・・

これはまたマイナーな妖怪が出てきましたな!!
しかしその能力は確かに強力。なるほどなぁ、甲人にとっては正に最悪の相性の敵である。
でも甲人の行動もいただけない。いきなり必殺技を放ったら破られるのなんてお約束でありましょうに!!
当たれば必殺の勇太刀も当たらなければどうということはないというのが分かる話である。
さすがに自分に刺さった場合は自分が水溜りになるってことはないみたいで安心しましたが。

前回からやけに舌を強調していた気がするし、何かそれ系なのかなと思ったら、なるほどなぁ。
バカップルに水をかけたり、前回の男を飛ばしたりしたのも全ては水そのものを操ってのことだったわけだ。
うーむ、これは甲人単独でどうにかなる相手なのだろうか・・・
かといって学園のメンツがやってきても助けられるかどうか際どい相手に思える。
しかし赤舌は本当に赤マントの親友なのか。間違いなく本人が一方的にそう思っているだけと思われる。
むしろ赤マントが赤舌の前で甲人の話ばかりしたのも彼を苛立たせるためと考えられるわけでして・・・
まあ、友人関係でも想いは一方通行になるってのはよくあることですよね。うん。



第18話◎赤舌  (2013年 46号)


必殺の勇太刀が自らの体に突き刺さる。大ピンチの甲人。
どうやら馬頭が瞬時に食い止めてくれたおかげで深手には至っていない様子。
なるほど。それで水溜りになることは防げたわけですか。
しかしだからといって窮地が脱せられたというわけでもない。まだまだ相手は――赤舌は健在なのだから。

水を操る能力を持つ赤舌。確かに甲人たちにとっては最悪の相手といえる。
むしろ赤舌の武器である水を豊富に与えてしまっているのが現状。これはヤバい。
だが甲人は自身の危機よりも、凄い力を持ちながら人を殺すために能力を振るう赤舌に憤りを感じている様子。
何で赤マントなんかの味方してんだよッ!!

だからぁ・・・赤マントくんの悪口言うなっつってんだろォ。
赤マントくんは僕の救世主なんだ・・・神だよ・・・神・・・僕を見つけてくれたんだ・・・

そういって過去のことを語り出す赤舌。
彼が能力に目覚めたのは2年前。中学3年の時であった。
ある日突然目覚めたという能力。ふむ、赤マントから授かったとかそういう話ではないんですな。
それはさておき、赤舌こと深水瀬至はこう述べる。自分は生まれた時からずっと水がこわかったんだ、と。

水恐怖症は深刻らしく、プールの授業も休んでいる深水。
それと同様に休んでいるのはクラスメートの須川さん。
性質の悪い男子に爆乳と煽られている女子である。ふむ・・・

それはさておき、からかわれる須川さんを守るために動く深水。
そんな深水が男子たちにプールへと引きずり込まれる。酷いことをする奴らだ。
しかし、その行為が大変な結果を招くことになるとは彼らも思いはしなかったでしょうな。
まさか深水が妖怪としての能力に目覚めるきっかけとなってしまうとはさ・・・

プールの水が渦を巻き、生徒たちを巻き上げている。こりゃあ凄い怪奇現象でありますな。
その中央にいて浮かんでいるのは深水。
この奇怪な場面を目の前で目撃した須川さんはすっかり怯えてしまっております。無理もないかなぁ。
とはいえ面と向かって化物呼ばわりされてしまっては深水も傷つく。なにがなんだか分かっていないわけですしね。
保健室前の廊下で感情を高ぶらせる2人。

僕は何もやってない!!

吠える深水。しかしその結果能力が暴走。蛇口から迸る水が警官や先生、さらには須川さんまでもを吹き飛ばす。
これは・・・どうなってしまったのか・・・
凄い勢いの水を顔面に受けた須川さん。壁に向かって倒れているのでその様子は伺いしれない。
ひょっとしたら生きてはいるのかもしれないが、壁に血が伝っているのが何とも厄い。

さらにそこに別の先生と母親が登場。
ただでさえ混乱している最中にこれはよろしくない。
母親からも見捨てられた感じとなってしまい、さらに暴走状態となってしまう。うーむ、切ない。

信じてくれる者は誰もいない。
まあ、実際に自身を取り巻く水は人を傷付けているわけですからねぇ。引きこもるしかないわけだ。

体育倉庫に引きこもる深水。その深水に出てくるよう説得を行う警察。
ここはそっとしておいてあげて欲しいところなのだが・・・さすがにこの被害状況では無理か。

孤立し、嘆き悲しむ深水。そこに現れたのが赤マントである。

大丈夫・・・大丈夫・・・君は一人じゃありません・・・僕がついてるんですから・・・

なるほど。不安な状況につけこまれてコロッと行っちゃったわけでありますな。
こりゃあ深水が赤マントを敬愛するようになるのも不思議ではない話といえる。
しかし赤マントは色々と活動しているというか神出鬼没というか・・・
この調子で仲間を増やしているのだとしたら結構な人数になりそうですなぁ。実に厄介な話でございます。



第19話◎人間卒業  (2013年 47号)


赤舌として目覚めた深水の前に現れる赤マント。
どこからどうみても怪しい人物に迎えに来られたと言われても戸惑うしかないですわな。
深水の周りを取り巻く水が槍のごとく鋭く赤マントの体を貫く。
しかし当然というか何というか、赤マントにはこの攻撃が通じた様子はない。
本人もこの水柱ききませんからとか言っちゃってます。うーむ、攻撃が効くことあるのかコイツ・・・

そう・・・だからこそ今、僕だけが君のそばにいてあげられるんです。
そしてもう一つ言わせてください。人間ご卒業。おめでとうございます
君は人間のカラをやぶり自ら備えていた能力・・・
かつて水の御子と呼ばれ人間にあがめ恐れられた「赤舌」として生まれ変わったのです

妖怪としての能力を扱う人々という設定なのかと思ったが、人間ではなくなったというのが実際のところなのか。
まあ、水や雨を操るくらいならともかく、首が伸びたり巨大化したりは人間卒業してると言われても仕方がないか。

人間じゃなくなったと宣言され思い悩む深水。
その深水に赤マントは囁く。人間以上の存在、生物へとなれたのです。むしろ大喜びするべきことなんですよ・・・と。

それとも・・・戻りたいのですか?
水ギライだった君をオモシロがって水に沈め遊んだ、あの人間たちと同じランクに・・・
勇気を出しかばおうとした君に・・・こないでよォッ!化物ッ!!と叫んだあの娘と同じ生物に・・・
最後に君に・・・母さんは何て言いましたっけ・・・
混乱し助けを求める息子の現状を直視できずに全否定しほっぽり出して逃げ出した・・・
君はここで一人泣いてましたね・・・涙の理由とはいつも後づけです。それがうれし涙か悲しい涙なのか・・・
さっき君がここで流していた涙・・・それは・・・くやし涙・・・
ちがいますか?誰もわかってくれない・・・助けてくれない・・・先生も。助けた娘も。母でさえも・・・

見ていたかのように、いや、実際見ていたであろうことを滔々と語る赤マント。
コイツは人の心を抉るのが上手いというか何というか・・・的確に事実を突いてきますねぇ。
深水の心情は確かに察して余りあるほどである。
だからこそ、そこに大きなつけいる隙ができてしまう。

くやしかったんでしょう・・・でももう大丈夫・・・そんな思いする必要もないんです。
人間のために感情を使うなんて・・・もったいない・・・涙を流すなんて無意味です・・・
そうです・・・いっそ・・・その涙、君の能力を使って武器としてぶつけてあげましょう・・・
君を泣かせた全人間たちに・・・

心が弱ったところに優しさを見せて付け込む。悪い奴であるが、された方はまさに救世主と思っちゃうんでしょうなぁ。
結果として、深水は赤マントの友達となり・・・人間「深水瀬至」から妖怪「赤舌」と完全に心まで入れ替えたこととなる。
そうか、ドロタボウは深水の水を操作する能力も付加しての作品だったのか。

赤マントは友達となった赤舌にこう語る。

そう・・・人が人のため花をつむように・・・
人が寝床のため、暖を取るため木を倒すように・・・
人が腹を満たすため・・・他の生を食すように・・・
何の気ナシに虫をふむように・・・私利私欲のため大気を、海を汚すように・・・
何も思わず気にもせず人間が自分たち以外の種に与えてきた、あたり前と決めた"死"。
今度はその当たり前の死を人間たちに与えてあげましょう・・・
なぜならそれこそ能力を持つ選ばれし者の特権ッ。自然の摂理なのですから・・・

ふーむ。まあ確かに人間よりずっと優れた能力を持つ存在がいたのならば、そういう考えをしても不思議ではないかもですな。
だからといって人間側が大人しく死を与えられなければいけない道理もないわけでありますが。
そういった倫理的な話はさておき、甲人は赤舌の話を聞いてひとつのことに思い当たる。

同じだ・・・同じだよ・・・僕も・・・ッ。
ずっと気味悪がられていた。雨を降らすからって・・・みんなからのけものにされて・・・

そのように語り出す甲人。確かにその通りですな。甲人にしてみればまさに同情を禁じ得ない相手である。
しかし赤舌としてはその同じという甲人の発言は許せないものであった様子。
甲人のように、同じ境遇にあったことについて想いを馳せたりはしない。想うのは赤マントとの関係のみ。

僕だけなんだ。僕だけじゃなきゃ・・・赤マントくんの特別は・・・
お気に入りは2つもいらない。君がいたらメチャクチャだ。そうだよ・・・だからやっぱり君は、いなくなるべきだよォ・・・

うーむ、病んでるヤンデル。
甲人の方は同情的なのに対し、赤舌側の方はむしろやる気をみなぎらせてしまっている。これは危ない。
まあ甲人が躊躇ってしまうのは分かる話ですわなぁ。その過去の話を聞いたらこのように考えてしまう。

どうしよう・・・あの人・・・一緒なんだよッ。僕と・・・
ただ僕にはハルさんがいて・・・学園の人たちが見つけてくれて・・・
でも・・・あの人にとってはそれが・・・赤マントだった・・・
そうだよ・・・それだけなんだ・・・あの人は・・・あの人は・・・僕なんだよ・・・

まさにこうなる可能性のあったもう1人の甲人って立場でございますな。
同情してしまうのも当然と言えます。
しかし、そうも言っていられないのが現状。今すぐにでも殺されてしまいそうな状況では同情している暇もない。
馬頭の動きも封じられ、いよいよとどめをさされそうになる甲人。
しかし、そこに現れたのは・・・夜行!!

うーむ、さすがに学園よりも情報通な夜行である。独自に赤マントの手の者である赤舌の動きを探り当てたのか!?
実際学園の面々でこの赤舌に勝てそうな人がいるかどうかは疑問であった。
夜行が来てくれたのは非常に有難いと言える。
さて、夜行がどれだけの力を秘めているのか。今こそそれを見せてくれるタイミングであると期待しております。頑張ってくだされ!!



第20話◎鬼と水使い  (2013年 48号)


甲人のピンチに駆けつけるのは夜行。
さすがに鋼鉄の体を持つ鬼だけあり水柱ぐらいでは貫けそうもないようですな。
しかし赤舌も水を操りながら動き回るため素早さはなかなかのものである。
夜行の攻撃をかわし距離を取ることに成功する。

あのビルに人間がつっこんだって言うからよ・・・どこのバカ妖怪の仕業か見に来てみりゃ・・・
また・・・ミョーな場所から血のニオイがするしよ・・・テメーの血だったのか雨ふらし・・・
ハッ。そのザマ・・・また弱ークセにかかってったみたいだな・・・

ふむ、どうやら確実な情報を得てこの場に来たわけではないみたいですな。
それでも事件へのアンテナの高さはなかなかのものである。

赤舌のことは何回か目撃していた様子の夜行。
であるならば何としても赤マントの情報を得るために確保したい所でございますな。
なんせ火車に関しては残念な結果となったみたいですし・・・

獲物を横取りし、意気揚々と引き揚げている夜行。
しかしどうやらあの小太りの火車は操られていただけの死体だった様子。
うーむ、あの焦りの姿が全て演技の操作であったとはなぁ。これは一本取られました。

そういった苛立ちもあり、今回の標的は逃したくなさそうな様子の夜行。
赤舌の方はというととにかく今すぐに甲人を殺したい様子。立ちふさがるなら容赦はしないって感じですな。

正直さぁ・・・赤マントくんの眼中にないヤツなんて・・・僕だって視界に入れたくないんだよねぇ

本当、コイツはどこまでも赤マントが行動基準なのでありますなぁ。
一途というか何というか。

ともかく始まる両者の戦い。
しかし水柱が効かなかった以上、赤舌が夜行に有効な一撃を与えられるとは思えない。
身体能力を活かして蹴りを入れてはみたものの、反対にネジ角のカウンターを受けて足に穴を開けられる。
ネネさんも下手すれば同じようなことになっていたんですなぁ。うーむ、やはり夜行の力は強い!!

ケタ違いの能力を見せて圧倒する夜行。カッコイイですなぁ。
馬頭は今のうちに退くべきであると甲人に進言する。
しかし甲人は赤舌の話を聞きどうやら思う所が出来てしまった様子。
そう、あれは道を違えた――出会うタイミングの狂った甲人の姿であるのかもしれないのだ。

このままあの人と戦っていいのか。悩む甲人。
そこで浮かぶのはあの最初に怪異と化し、甲人の雨によって浄化されたおじさん。
おじさんは甲人の雨を受け、笑顔でお礼を言っていた。そう、救いの雨をもたらすことができたのだった。

・・・そうだ・・・僕はバカだ。そもそも・・・何で・・・戦わなきゃいけないんだよ。
救うんだよ!僕らの雨で・・・今度こそッ救うんだッ!!

赤舌に自分を重ね、雨で救うと決意した甲人。
それ故に夜行の攻撃から赤舌を庇い、割り込むような行動を見せる。ふむ、やはりこうなりましたか。

救うといってもどのように救うのでしょうか。
夜行から赤舌の身を守ることはできるかもしれないが、それだけでは心を救ったことにはならない。
何かいい光景を見せることで赤マントの呪縛を打ち払う流れとなるのでしょうか?
しかしあの過去を見るとなかなか難しいような気がしますが・・・
とりあえず流れを見守ることとしましょうかね。



第21話◎僕がいる  (2013年 49号)


赤舌と自分を重ねた甲人は救うことを決断する。
自分だってこの人みたいになっていたかもしれない。ならばその心を救わなければいけない。そう考えたのだ。
まあ、そんな想いがすぐに言葉で通じるとは思えないですけどね・・・

救うだって・・・何言ってんだよ・・・僕はとっくに・・・救われてんだよォ!!

まあそう考えますわな。
実際あのどうにもならない場に現れてくれたのは赤マントであるわけですし。
その時の深水の心は人間を辞めるという方向で確かに救われたとも言える。

赤舌は甲人と夜行に攻撃し、夜行は赤舌に攻撃。その夜行の攻撃を甲人が防ぐ三つ巴。
赤舌の水流は夜行のネジに抗しえないが、甲人の雨は砕くことができるようだ。凄いな水滴。

君は・・・赤マントに間違った方につれてかれただけなんだよ・・・

説得を開始する甲人。しかしあの過去を見る限りそうそう言葉だけでは厳しいのではなかろうか。
実際、赤舌は赤マントくんこそが救世主なんだと語る。
赤舌にしてみれば赤マントこそ大切な人であるということですな。だが――

僕にだって・・・いたんだ・・・大切な人・・・こんな僕を大丈夫だって言ってくれる人・・・
でも・・・その人は・・・赤マントにさらわれた・・・
赤マントが救世主・・・?そんなの絶対にちがう!!アイツは世界をッ・・・みんなを・・・壊してるんだよ!!
僕は絶対赤マントを許さない!!

熱く語る甲人。しかしそれを聞いた赤舌の言葉は冷然としたもの。だって人間でしょ?の一言だ。

赤マントくんは言ってたんだぁ・・・僕ら能力ある者は下等な人間をどう扱ったってイイってね・・・だから文句は言えないんだよ。

まあこういう考えになってしまうと難しいですわなぁ。
人間を辞めたとハッキリ宣言してしまった赤舌である。通常の方法では説得は厳しい。
もし、深水が赤舌となったあの出来事に赤マントが絡んでいるというのなら話は別でしょうが・・・

むしろ赤マントに大切な人がさらわれたという言葉は夜行に届いているんじゃないかと思える。
少しは甲人が赤マントに拘る様子も理解してくれるんじゃないでしょうか。

とはいえ夜行としては赤舌への攻撃を躊躇う理由は無い。
殺しては話を聞けないが、話を聞き終わったら普通に殺しそうな気配がある。
赤舌の方も当然戦闘を止めるつもりはない。
甲人の水滴のように水柱の先を細くすれば鋼鉄のツノや体も砕けるのではないかと考えている様子だ。

夜行「だったらやってみろォ・・・!!」
赤舌「言われなくたってやってあげるよォ!!」

交錯しようとする2人。どうにか戦いを止め、赤舌を救いたい甲人。
その想いが己の身体をつき動かし、危険な攻撃の間に身を割り込ませる結果を導き出す。

体の両側を貫かれながら、甲人は虚ろな目を赤舌に向けて語り出す。

思い出してほしいんだ・・・いたはずだよ・・・赤マント以外に・・・大切な人が・・・
僕も・・・自分が怖くなって全部がイヤんなって誰もわかってくれないって。でも・・・
気付かせてくれた・・・それでも・・・そんな自分を・・・わかってくれる人が絶対どこかにいるってことを・・・

甲人は確かにそうだったかもしれない。
だが深水にはその時誰もいなかった。心配してくれる人もわかってくれる人もあの時は誰一人いなかったのだ。

いるよ・・・今なら僕がいるよ・・・わかるから・・・その気持ち・・・

確かに甲人ならば理解できる話でありましょうな。
その言葉は飾りではない。本心からによるものである。
それゆえ、赤舌も戸惑い逃げ出してしまう。
別に男に言い寄られて逃げたわけではない。それに関しては自身も赤マントに似たようなことしてるしね。

赤舌は逃げ、甲人は気絶する。
さて残された夜行はどのように動くのでしょうか。
そろそろ学園の仲間たちが来てくれそうな気はしますが・・・?

とりあえず甲人はしばらく休養を取るようにしてもらった方がよさそうですね。
傷はざしきわらしの力で治せるかもしれないが、無茶ばかりされても困るわけですし。
その間に千里ちゃんたちが動く流れとなる。かどうかはわかりません。どうなりますかねぇ。



第22話◎キョウちゃん  (2013年 50号)


ヒトキワ壮の寮母であるヤサカさんは住人の名前が書かれた植物の世話をしている。
どうやらこの植物の様子で離れていても健康管理ができる様子。
つまりダメージを受けた甲人の多肉植物が弱ったのならば甲人の身に何かがあったのかがすぐわかるわけだ。
いや、すぐ分かるというにはタイムラグがあるかな?
なんせ植物が弱り出したのは夜行が甲人をヒトキワ壮まで運んでからでありましたし。

何だかんだで面倒見のいい夜行。頼もしい人である。
そんな夜行に対し世話を焼くヤサカさん。
管理人として大人としてやんちゃな子供には言っておかないといけませんわな。

だったらそこのアメフラシにも口ウルサく言っといてやってくれよ・・・
弱ぇヤローには誰も救えねえってな・・・ッ
弱ぇクセに気持ちだけで出しゃばりやがって・・・まるで・・・
とにかくよ。このバカが死んじまわねえように・・・管理してやってくれよ・・・

何ともお優しいことでありますな。
今は学園を出た身ではるが、先輩として――家族のような存在として、見殺しにはできないってことなのかねぇ。
しかしまるで誰かを思い起こしているかのような発言であるが、誰のことを指しているのだろうか。
昔の自分なのか、さらわれた大切な人のことなのか。はたまた・・・

ともかく、そんなことを言い残して去ろうとする夜行。
ヤサカさんはアンタが帰ってくれば甲人が死ぬ確率も下がると説得する。筑前煮やホウレン草のバター煮もつけるよ!?

いつかの楽しみにとっとくわ・・・

さすがにここで、マジで!?帰る!!とか言い出したりはしませんでしたか。さすがに。
でも少し素直な感じの返答には好感が持てますな。この辺りは寮母さんの貫録か。

ところでヤサカさんは夜行のことをキョウちゃんと呼んでいる。
これはやはり本名のことなんですかね?夜行は妖怪名でしょうし・・・うーむ、何で千里ちゃんたちは妖怪名で呼んでいるのか。

重体の甲人は急いで中へと運ばれる。
エミちゃんが回復を行う最中、甲人は夜行が述べた言葉を朦朧とする意識の中で繰り返していた。
弱ぇヤローには誰も救えない。そう、救うためには強くならなければならないのだ。強く・・・強く・・・

強く・・・ありたいと申すか・・・主よ・・・

夢の中で呼びかける声。これはもしや、新たな番傘・・・?
ふむ、そういえば馬頭も夢の中で甲人に呼びかけをしておりましたな。
これからも番傘回収のヒントは甲人の夢にあるって流れとなりそうです。千里ちゃんがムリする必要は別になかった・・・!?

まあ、その結果赤舌と邂逅し、悩ませることに成功したみたいですけどね。
甲人に優しい言葉を囁かれた赤舌は思い悩んでいる。チョットうれしかったと・・・

ダメだ・・・ダメだ・・・何考えてんだよォ。でも・・・でも。いいや・・・ダメだよッ。

一人で呟きながら思い悩んでいたら赤マント登場。おやおや、恋愛漫画みたいな展開だな、オイ!!
人の心を操るのに長けてそうな赤マントならではの登場タイミングとも言えますがね。
実際、正直にうれしかったと述べた赤舌にこんなことを言い出す。

いいんです・・・そう思ったなら・・・そうで・・・
言ってるでしょう・・・自由に思い、自由に動けばいいんですよ。赤舌くんの思うがままに・・・
だから・・・天野くんと仲良くなりたいと思ったならそうすれば・・・

確かに自由にすればいいと言ってましたものねぇ。その通りだ。
でもそういいつつ、人間時の深水の名前で呼んだりする赤マントの交渉術は嫌らしいわぁ。
そんなことされたらムキになって甲人の存在を否定しようとするに決まってるじゃないですかー。

情緒不安定な様子を見せている赤舌。そんな赤舌を見ている謎の人影たち
なんだこいつら?この連中も赤マントの手下たちなのだろうか・・・?
シナリオがどうとか言っているが、何か企んでいるのでしょうか・・・?
ともかく面白い連中であることを期待したい。この先の赤マント組でのコントとかにも期待だ!!



第23話◎紋波家が受け継ぐもの  (2013年 51号)


おでん屋・・・それは大人の隠れた社交場
そんなよくわからないアオリで始まる今回。
そのおでん屋で邂逅するのは絹田さんと夜行の2人。おや、これは思わぬ組み合わせでありますな。
夜行はビールラッパ飲みで既に出来上がっている様子ですが、もう飲酒してもいい年齢なんですかね?

絹田さんは行きつけのおでん屋らしく、いつものと頼めばスペイン産のホットワインが差し出される。
常連でもなければまずでないようなメニューだな・・・おでんと合うのか、これ?

夜行の前には筑前煮が置かれている。
おやおや、ヤサカさんに言われたセリフが効いているみたいですね。おやおや。食べたくなっちゃったんですなぁ。

それはさておき、どうやら夜行への情報提供者は絹田さんであった様子。
なるほど。単独でありながら情報通と思ったら、こういうコネがあったのですな。

赤マントに繋がりそうな男――赤舌と遭遇できたのだが甲人のせいで取り逃がすこととなった夜行。
荒れてますなぁ。苛立ってますなぁ。
それでいて甲人のことを嫌うというわけでもない様子で、なかなか面白い状況となっている。
今後もなんだかんだといいながら助けに来てくれそうで頼もしいですな。

一般人では手に負えないような怪事件の情報が警察に所属していれば流れてくる。
そんな未解決事件の1つを夜行に伝える絹田さん。
さてさて、夜行はここから赤マントへとたどり着くことができるのか。それはまた別の話となりそうですな。

日が暮れて、夜。
学園へと移動する甲人たち。そこで紋波さんにお説教されます。
蔓万里眼は許可なく使ってはいけないと言われてましたものね。怒られるのは仕方がない。

そして甲人も当然怒られる。
もう学園の一員になったわけであるし、その軽はずみな行動によって学園そのものに危険が及ぶのかもしれないのだ。
そういう考えなしの行動によって大切な人がどんな目にあったか・・・考えねばいけないことでありますな。
その時に甲人を守るために動いてケガしたネネさんは強く非難する資格がありますわ。

とりあえず説教は終わり、話は番傘の件に移行する。
他の番傘を探したいのだが、どうやら紋波さん、他に番傘があるということすら知らなかった様子。
ふーむ。では何故この学園に馬頭が保管されていたのだろうか?
その疑問に対し、紋波さんは一族に伝わる言い伝えを読み聞かせてくれる。

悪、染めし偽り空、澄み渡る時、現れし天照子。カギふるいて天門ときはなち、降りそそがれし空の鼓動大地おおいて。
全ての「生」「心」に触れ、善へと召されるであろう

ふーむ。なんだかわからないけど、凄く大事そうな言い伝えでありますな。
悪を一掃する天照子の力に関する何かがこの言葉に込められているのだろうか?

そして他にもうひとつ。馬頭と同様に天のカギに関するものとして受け継がれてきたものがある。
それは巻物か何かの一部のように思えるもの。
だが、そこに書かれた文字らしきものは誰にも読めない。天照子である甲人にも馬頭にも読めない様子。
うーむ、せっかくの手がかりかと思ったのだが、行き詰まってしまいましたか。
と思いきや、甲人が触れることによって変化を見せる巻物。
文字のようなものが変化し、地図となる。これは・・・この印の場所に番傘が・・・!?

なかなか面白い仕組みの地図。だけどこれだけの情報で場所の特定ができるものなのだろうか?
まあ、全く手がかりなしに比べれば随分ましといえましょうが・・・
次回からはいよいよ番傘探しの物語になりそうですな。どんな番傘が出てくるか楽しみであります。



第24話◎強くなるってこと  (2013年 52号)


主が触れることによって地図へと変化する巻物。
どうやらこの地図こそ新たな番傘の位置を示すものであるらしい。だが、これは一体どこを示しているのか・・・

番傘マークの下には池か湖のようなものが書かれている
が、それ以外に目印になるのが山と川しかない。
他に何かあれば地図と照らし合わせてなんとかなるのだが、これではなぁ。
そもそもいつ記されたものか分からないし、地形が変わっている可能性もあったりする。
そもそも国内のものであるかも分からないし、ひょっとしたら番傘は馬頭のことで、ココを指し示しているのかもしれない。
そんなことを考えてしまうと結局手づまりな感じに思えてしましますなぁ。うーむ、沈む沈む。

気落ちする甲人に、遅かれ早かれ見つかりますよと声をかける加統。
だが甲人は言う。早く見つけて強くならなければ、と。
そんな甲人を体育館へと呼び出すネネさん。お、チョット面かせやって流れですね。怖い怖い。

馬頭とは別れさせ、一人でやってこさせたネネさん。
甲人にビニール傘を与え、手にしたところで襲い掛かる。
足を伸ばしての容赦のない一撃だ!!

天野・・・テメーおかしくねぇか?新しい筆なら字うまく書けんのか?新しいラケットなら試合に勝てんのか?
新しい番傘なら絶対強くなれるってのか?オマエが欲する強さってそんな簡単なもんのこと指してんのか?
強くなるってのはなぁ・・・昨日の自分を真っ向から全否定してでも勝負挑んで、自分自身に打ち勝ってくことなんだよォッ!!

吠えるネネさん。
その脳裏に浮かぶのは弟の姿。そして昔の自分の姿。
泣き虫ネネムシなどと呼ばれていた昔の姿であるが、それを真っ向から否定して今の自分になったということなのだろうか。
うーむ、これはネネさんの弟も赤マントにどうにかされた可能性がありますなぁ・・・

ともかく、ネネさんは甲人に呼びかける。立って番傘なしで私と戦ってみろよ!と。
その呼びかけに応え、立ち上がる甲人。
強くなるためには確かに甲人自身が強くならなければいけない。それは甲人にも理解できる話だ。
ネネさんはろくろの力で伸びる手足や頭で攻撃を仕掛けつつ甲人に話し掛ける。

教えといてやるよ・・・心の強さは能力の強さに比例する・・・それが能力のコントロールにつながるんだよ。
何度か雨を自分の力だけで降らせてたろうが!!それをやるんだよ!!出してみろよ!!

なるほど。それで馬頭を置いて甲人だけを呼んだわけですな。
でも屋内で雨を呼べるのだろうか?
今まで雨を降らせてきたのって全部屋外だった気がするのですが・・・

まあ、何にせよ今回は雨を呼ぶ前にネネさんに倒されることとなる甲人。
自分自身が強くならなければいけない。今日のところはその考えに至る所までいけたので十分って感じですかね。
倒れた甲人の面倒は現れた加統が見ることとなる。
とはいえ立ち去り際にちゃんとエミちゃんの氷水を残して行ってくれるあたりネネさんも優しいですねぇ。素直ではありませんが。

加統もまた、甲人のことを気にかけてくれている。
起きるまで様子を見、さらにはくだらない話で場を和ませようとしてくれる。
おかげでようやく甲人の顔にも笑顔が見られるようになりました。
うーむ、考えてみれば学園に来てからずっと難しい顔してたんですよね、甲人。それか女子に絡まれて照れてる顔かのどちらかだった。
それがどうにか笑顔を見せるようになってくれた。これは進歩といえるかもしれませんな。
これで多少はすぐに飛び出す癖も抑えられるようになるでしょう。気持ちの張り過ぎはよくない。力を抜くのも大切ってことだ。

まぁ、適度なテキトーですよ・・・

加統は力抜きすぎな気もするが、その脱力があるからこそ柔軟に動けるってものなのかもしれませんな。
激情型のネネさんと一緒に行動するのであればいい塩梅なのかもしれません。

エミちゃんの氷水は癒しの力がある様子。
だが甲人はその氷を見て別のことを思い出す。
そう、あの夢。甲人に呼び掛けてきた番傘、あの番傘は氷の上に立っていた。それが何かのヒントとなりそうである。
甲人の話を聞き、猛暑日でも凍ったままの池というものに心当たりがあると言い出す加統。
ほう、これは上手いこと番傘の場所への手がかりが見つかりそうな流れでありますな。

加統の過去や凍ったままの池。そして新たな番傘。
これらを繋ぐ糸は一本であるのかどうか。楽しみな展開となりそうです。



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