蒼天紳士チャンピオン作品別感想

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第69話 〜 最新話


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 各巻感想

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第69話・雨  (2015年 47号)


きわどい判定に抗議する朧。
その声を塗りつぶす勢いで抗議を行うのは雨竜監督。異議有ああぁりっ!!

主審も副審も線審も、6人もガン首揃えてちゃんと見てなかったのか?

抗議と同時にそのようなことも述べる雨竜監督。これはよろしくない。
正直者の下平くんが指先に当たって上がったとハッキリ言っているのだし、それは間違いのないことでしょう。
なので結果は豊瀬の得点。そして雨竜監督は警告2枚目によりレッドカード。退場です

やはりそうなるんじゃないかとは思ったが、やってしまいましたな雨竜監督。
バレーでは審判の裁定に説明を求められるのは試合に出場しているキャプテンだけとのこと。ほう。
って朧はキャプテンだったのか!?そりゃ唯一の経験者ではありますが、何というか似合わないことを。

それはそうと、退場になった場合、そのセットの間ベンチ外のペナルティエリアにいなければならないとのこと。
その間はタイムアウトや交代などの全ての監督権限を失うのだそうな。
ふーむ、まあ交代はもともとする相手がいないから問題ないでしょうが・・・
それ以前にそのペナルティも拒否するものだから失格処分を受けてしまう雨竜監督。おやおや。

よもや要と思われた雨竜監督が去ってしまうとは。これはこれは。
観客も言っている通り、いい試合だったのに何だか微妙なことになってきました。
雨の降る中タクシーを呼び立ち去る雨竜監督。はてさてどこに行こうというのか・・・

何やら混迷の様子を見せて来た竜泉戦。どのような結果に行きつくのか。気になるところです。



第70話・先生  (2015年 48号)


雨竜監督が退場、失格処分となった後も試合は続く。
攻め続けることを決めた下平くんであったが、ついにアウトの判定が出てしまいました。
まあギリギリを攻めていればそういうこともありますよね。皆それは分かっている。
とはいえこの先のことを考えると今の威力でギリギリを狙えるようにもなりたいところですが・・・さてさて。

サービスエースの時間は終わり、通常のバレーに。
いや、朧の存在がある限りは通常のバレーとは違う感じになるか。
その朧のスパイクに対し、猫田先輩に言われた通りにまわりの選手に声を掛けて動かそうとする金田。
感覚頼みでいつしか成長を止めてしまっていた金田がようやく新しい段階に進もうとしている
こういう影響を与えることが出来たと言うだけでも立派な先輩でありますよ。本当に。

朧のスパイクは止められないが、逆に竜泉の方も大船先輩の高さや間白の速さを止められずにいる。
こうなればリードしている豊瀬の方が有利。竜泉はどこかで逆転しなければいけないのだが・・・そのきっかけが掴めない。

こんな時はいつも先生が策を授けてくれたんだのに

自分達のバレーの形が出来てきたと言ってもやはり促成栽培。
雨竜監督の力で集められ、育てられてきた選手でありますし、指示がないと打開策が思いつかなくても仕方がないのかもしれない。
一方の豊瀬の方は竜泉とは全く違った指導方針。

ウチの山縣先生はどうしたらいいかなんて教えちゃくれねーぜ。先生は問題を出すんだ
最初は意味がわからなくて。うまくできなくても時間がかかっても、先生は黙って俺達を見てる。
俺達がいつか必ず自分で答えを出すと、ずっと信じて待ってるんだ

先生は教え子たちの成長を信じている。教え子たちは先生の言葉には意味があると信じている。
この相互の信頼関係が確立しているからこその手法でありますな。
口下手で強面だけれどもここまで信頼される。山縣先生の人徳といったところでしょうか。
さすがに試合中とか緊急時には直接教えて欲しいと思う時もありますが。

先生の駒になってバレーさせられて面白いかよ。
どうやったら上手くなれるか考えて。試行錯誤して練習して。
それまでできなかったことができるようになる日がくる。
だからバレーは面白いんじゃねえか

そういう実感が感じられるのは大事ですよね。
まあ出来上がって日の浅い現在の竜泉チーム。そういう気持ちになれるのはこれから先のことかもしれません。

さて、ついにセットポイントを迎えた豊瀬。
ここで五十嵐先輩が登場。1セット目では自分が決めることができず逆転されてしまったと悔やんでいた。
その自分にまた戦う機会を与えてもらえる。嬉しいことでありますわな。
だから恐れずに、何度だって挑めばいい

ありがてえ・・・!!

五十嵐先輩の強烈なジャンプサーブ。
練習の成果で精度の上がったそれはライン際に見事に入る。
先の失敗を取り戻すことを考えるならば委縮しそうな場面ですが、それでも恐れずに向かうこの気持ち。
うむ、いいチームとなっておりますなぁ豊瀬。
それにしても五十嵐先輩が決めたことについて本人以上に嬉しそうにしてる大船先輩が相変わらず・・・ハッハッハ。

2セット目を取りイーブンに戻した豊瀬。いや、勢いは完全に上回っている。
頼りの雨竜監督がいない竜泉はどうするのか・・・
というかその雨竜監督はパチンコ屋に向かっているわけでありますが・・・!?

パチンコ屋と言えば思い起こされるのは朧母の存在。
何でしょうか、せめて朧家の問題だけは解決しようということでありましょうか。
それはそれで大事なことだとは思いますが・・・さてはて、試合の行方はどうなることか。



第71話・お母さん  (2015年 49号)


パチンコ屋に立ち寄る雨竜監督。目的はやはりこの人、朧母でありましたか。

すぐに来い!!!幽哉が瀕死の重傷だ!!

そう述べて無理やり朧母を連れだす雨竜監督。迫真の演技でありますね。
そうして雨の中走るタクシーの中で朧母は過去のことを思い返す・・・

朧母こと光子さん。昔は今より少し痩せた感じだけど丸っこい感じは変わらず。
だけど表情に険は無く、なんだか可愛らしい感じである。表情だけで随分と印象が変わるものですなぁ・・・

そんな光子さん、どうやら妊娠中に旦那はどこかに雲隠れした様子。あらあら。
しかしそれでも生まれたばかりの子供を慈しみ、育てようとしていたらしい。
それがなぜ今このようなことになっているのか。
自分を捨てた旦那に似てきていくのを感じられてしまったからだろうか・・・

ともかく騙されて試合場まで連れてこられてしまった光子さん。ハッハッハ。
しかし朧を含めた竜泉というチームが瀕死であることには間違いない。
9点差をつけられて最終第3セット終盤。あと5点奪われれば敗退である。こりゃ厳しい。

そしてしっかり光子さんの過去を調べていた雨竜監督。
どうやら光子さんも昔はバレーをやっていたらしい。
学生時代やっており、更にママさんバレーにも参加。
朧はそのことを覚えており、そのころはよく笑っていたとのこと。

あのあと色々あってもうずっと母さんの笑顔をみてないけど。
僕がバレーを続けていれば、いつか僕を見に来てまた笑ってくれるかもしれない

ふむ、これが朧がバレーを続けている理由でありますか。
中学時代は結局母親が見に来ることはなく、もうバレーはと諦めていた。
しかし雨竜監督の説得により継続。そして今、雨竜監督の演技により望みの状況にこぎつけることが出来たわけであるか・・・!!

光子さんの過去のことを知っている雨竜監督。当然これまで息子にどんな態度で接して来ていたかも知っている。
子供に物を投げつける最低の母親。これは言われても仕方のない行為である。
が、やはり光子さんにも荒むだけの理由というものはある。
子供に当たっていい理由にはならないけど・・・うーむ。しかしここで分かったことも1つある。

あの子がアタシの投げた物を受け止めるようになったとき、思ってしまった。
この子はアタシとは違う。これからもっとキレイで強くなっていくんだ。
そしてアタシの元から去っていく。あの人みたいに

朧は母が自分に興味を失ったと思っていた。しかし事実は違う。
むしろ息子が自分の元を去っていくのを怖がっていた様子。だからこそ底辺から抜け出せないように縛ってしまったわけか。むう。
そんな母の歪んだ想いに対し朧。僕は絶対に傷つくわけにはいかなかったと述べる。

僕が傷ついてしまえば、いつかそのことが母さんを苦しめる時が来るかもしれない

何とも優しい子であります。
それだけ虐げられたのなら早く離れたいと思っても問題はありますまいに。
そうなる前の母との思い出が美しかったからでしょうか。いや、それだけでもないか。これは朧自身の性格によるものでしょう。

あんなに賢くて心の優しい、いい子は世界中探したってどこにもいねえぞ!!!

雨竜監督の叫び。いや全くその通りでありますなぁ。
そのことは光子さんも分かっていないはずはない。幸せだった時もちゃんとあったのだ・・・

そうこうしているうちに試合は進みマッチポイント。あと1点で全ては終わる。
そうなる前にずっと待ち続けて来た息子に一声かけて上げて欲しい。その雨竜監督の言葉に光子さんは応える。

頑張れ・・・ユウヤ頑張れえ!!!

涙ながらの叫び。確かに朧の耳に届く!!
おぉ。ここに来て母と子の絆が結ばれることになるとは・・・!!
しかし試合はもう終わろうとしている。最後に親子の仲直りが果たせただけでも良かったと考えるべきでしょうか。
どのような決着のつきかたとなるのか。注目です。



第72話・GET BACK  (2015年 50号)


目覚めたお母さん叫ぶ!!
この叫びはしっかりと息子に届く。いやはやいい話だ。雨竜監督がいることも生徒達に伝わりましたぞ。

あと1点取られたら終わりの竜泉。
しかしまだ終われないと考える朧。もうすこし母さんにバレーを見せてあげたいと考える。

楽しかった頃のことを。笑顔を・・・母さんに思い出してもらわなくちゃ・・・!!

どこまでも健気な子でありますなぁ。
いまや少し前までの険しく顔を歪めていた朧母の姿は無く、なんとなく可愛い感じになっている光子さん。
うむう、やはり態度が変わるだけでも随分表情や印象が変わるものなんですなぁ。

TOを取る朧。髪を束ねさせて欲しいとの要望を述べる。
その言葉を受けて自分の髪を留めていたゴムを提供する百合草さん。
うむ、これぞ敵に塩を送るという故事ですな。
そしてそれが出来るのも味方を信頼しているから。アイツらは強いからな!と仲間を示す百合草さん。良いですねぇ。
しかしさて、それが仇とならなければ良いが・・・!!

髪を後ろにまとめて前髪をどかす朧。雨竜監督に言わせればリミッターを外したとのこと。

アレはアンタに散々ものを投げつけられたせいで、目の前で動くものを無意識に軌道計算しちまう。
だから前髪で視覚情報を遮断して負荷を軽減してきた
遮る前髪を無くしちまえば、視界に映る全ての移動物の物理演算が始まっちまう。問題はその過負荷に脳が何分耐えられるか。

何だか大変なことを言い出しましたぞ雨竜監督。でも確かにそうなるか。
ともあれ覚悟を決めて挑もうとする朧。やれることを全部やっておきたい。
そのためには仲間に頼ったりもする。ほほう・・・
初めて頼られて悪い気のしない竜泉の面々。うむ、ここにきて絆が深まっているようで良いですな。

さて、プレー開始。豊瀬としてはここで勝負を決めたい。
攻めるサーブで思いっきり崩しに行く松方。その狙い通り、レシーブは乱れてセッターには返らない、が・・・朧が拾いに行く!!
エースがトスを上げる。普通ならば意味の分からない行為。
だがその次に行われるのはもっと意味の分からない行為。速攻のタイミングで一斉に飛び上がる竜泉の面々!!

今日、きみたちと戦ってみてよくわかった。
僕ひとりでなんとかしようとしてみても、君達は力を合わせて僕を簡単に上回ってしまう。一人じゃ勝てない・・・

上回るのが簡単だったかはさておき、チームプレイの大切さを知った朧。
そこから導き出されるのは個人プレーではない力を合わせたチームプレー。
皆のジャンプの頂点を、腕の振りの通過点を全部イメージする。多重物理演算!!!

この演算能力があれば跳んだのを見てから速攻のパスを送ることも可能になるわけですか。
うーむ、よもや朧がトスに回るとは・・・どこまでも厄介な男でありますなぁ。
残り1点。ここまで追い詰められてはと思ったが、ここでの朧の能力解放はどうなることなのか。
勝負は最後の一瞬まで分からない。気を抜けないということがよく分かります。



第73話・猛追  (2015年 51号)


スパイカー全員のジャンプの軌道を物理演算してみせる朧。
うーむ、ここにきて恐ろしい真似をしてくれる。
そして雨竜監督曰く、この程度の点差は朧が真価を発揮すればひっくり返せるとのこと。何と・・・

俺が退場になった時点で竜泉の勝ちはほぼ消えた。
だから俺は大きな賭けに出た。キーパーソンの母親を連れてくることで朧を覚醒させる。
狙い通りだ!!全てをひっくり返せ!!!

ううむ、すぐに母親を連れてきたから失格処分はわざとだとは思いましたが・・・勝ちの算段までしていたとは。
負けるにしても朧家の解決だけでもとか思ってたのは甘かったみたいですな。どこまでも強かだよ必勝おじさん。

それでも後1点取れば豊瀬の勝ち。
竜泉が息を吹き返す前に仕留めることが出来れば・・・1セット目もそれで取りきれずに落とした気がするな。

ようやく名前が出てきた竜泉のモアイこと田代。バスケット出身でありますか。
同じ球技だし跳ぶことも多いし、バレーとの相性は悪くなさそうな競技ですな。
逆にその分特徴が薄くてプレーが今まで目立たなかったのかもしれないと思うと何ともはや。

ともかく得意のマンマークを活かして間白のスピードに食らいつく田代。
朧にカモメの2段時間差ブロックなどを駆使してどうにか反撃を防ぐ。
うーむ、ギリギリな感じであるが、防げなくはないと思われてしまうのはまずいですなぁ。
そのせいか、そこから竜泉の怒涛の追い上げが始まるわけで・・・10点差が6点差まで縮まってしまいましたぞ。

さっきまでエースだったのに今はセッターとしてチームを牽引している朧。
その才能は幼いころから折り紙付きだった様子。
昔は子供を褒められて誇らしい気持ちで胸がいっぱいになったという光子さん。
思い出話になっているのは悲しいが・・・それでも思いだせるのならまだやり直せる。きっとやり直せる。

朧家はいい感じになってますが、相手している豊瀬としてはそれは危ない話。
まあ、朧の物理演算解放モードは時間制限がありますし、そこまで耐えられればいいわけですが・・・際どいか?

攻撃の的が絞れない豊瀬。更に朧のツーアタックという選択肢もある。
更にはここに来てネットインスパイクのような技も見せたりする朧。
うーむ、物理演算が出来るならどこに当てれば入る落ち方をするかも分かるということか。

自らの力で点を取り、母親に笑顔を見せる朧。おぉ、何と綺麗な笑顔か・・・
それに対して涙を浮かべつつ笑顔で返す光子さんもまた綺麗な感じで・・・

流れと言うか母子のパワーの勢いが凄い。このまま一気に追いついてしまいそうな可能性を感じる。
しかしそれをされてしまうとたまらないのが主人公側である豊瀬なのだが・・・
この親子の絆に対抗できるだけの勢いを纏うことが出来るかどうか。注目です。




第74話 〜 第92話は後日更新予定



第93話・異変  (2016年 21号)


3連続得点に成功する豊瀬。うむ、流れが掴めそうな感じですな。
スパイクコースさえ読めてしまえば止められない球ではない。
松方の意地悪そうな顔がまたいい感じに雲類鷲君を煽っておりますわ。ハッハッハ。

続いての雲類鷲君のスパイクにブロックの後ろにレシーバー配置で応じる豊瀬。
その動きに気付き、雲類鷲君にレシーバーの位置を知らせる王葉の三船キャプテン。
ふむ、良い判断ですな。まあ松方も雲類鷲君の動きが読めていたわけではないし、ここは決められても仕方のないところか。
それよりも得点を決めた王葉の方であるが・・・

差し出がましい真似をするな
空中でレシーブ位置を確認するくらいできる。2度とこの手にはかからん。

確かにそれは可能でしょうし、かかることはないでしょう。
しかしこの態度はさすがに無い。何というかやたらと味方には横柄な態度を取り続けているのだが、どういうことなのだろうか?
松方が危惧していたような性格になっているのか、それともそういう風に王葉の監督に育てられていたりするのか・・・?
何にしてもそのような態度をチームメイトが面白がるはずはない。
キャプテンとしてはチームの勝利が第一ととにかく我慢しておられるようですが・・・うーむ。
人格者っぽいだけに余計虐げられる姿を見せられる周りはストレスが溜まりますわなぁ。

さて、今度は豊瀬の攻撃。
下平くんの存在も厄介と目されマークがつく。おぉ、成長したもんだなぁ。
間白との高速で行う2択をそれぞれマークをつけることで潰そうとの考えなわけか。
確かにこの2人だけならばそれも有効だったでしょうが・・・そんなわけはない。
下平くんが移動攻撃を行い空いた真ん中に・・・野々原さんが飛ぶ!!

久しぶりの野々原さんのスパイク。と思いきや軟打。
まあ、いい感じにフェイントになって決まりましたし良かったって感じでしょうか。
しかし今の一打で山縣先生は何かに気付いた様子。タイムアウトを取る。なんだぁ?

野々原。右手を出せ

開口一番、山縣先生の言葉。それに応じて出した野々原さんの右手は・・・めちゃくちゃ腫れていた。
どうやら中手骨が折れている様子。うわぁ、そんな手で良く今まで・・・
というか、右手が折れるってまさか・・・

まさか雲類鷲と握手したときに手ぇ壊されたのか!?

途中どころかまさか開始直前に壊されていたとは・・・よくもそれで1セット続けていたものである。
その事実を知り、今にも雲類鷲君に殴りかからんと歩き出す大船先輩。

あいつはやっちゃいけないことをやった。これは・・・絶対に許されねぇ・・・!!

3年にとっては最後の大会。その3年生を壊されたのだ。大船先輩の憤りは相当なものでしょう。
しかしまあ、確かに野々原さんの言う通り雲類鷲君もわざと壊そうと思って握ったわけではありますまい。
でもそれで壊れたとしてもその程度の相手だったかで済ませそうなのが雲類鷲君なわけで・・・うーむ。許されないな。やはり。

野々原さんの代わりに五十嵐先輩がオポジットに入る。
遠くからスパイクを打つ練習をしてきた五十嵐先輩ならオポジットもこなせそうですな。
そして野々原さんは早急に医務室に。やれると主張してもこれは譲れませんわな。
去年は怪我した大船先輩を勝利のために出し続けた山縣先生。
しかし今年は野々原先輩が抜けても勝てるだけのメンバーがまだいる。
それに野々原さんの怪我もひょっとしたらそこまで重くはないかもしれない。準決勝・・・決勝には間に合うかもしれない。
そういう期待をかけるのならば、ここで無理をさせるわけにはいきませんわなぁ。去る野々原さんの顔が何とも悲しいが。

さて、野々原さんが利き手を痛めたことに対して雲類鷲君から一言。

なーんだつまらん・・・ようやく面白くなってきたとこだったのに

その原因となった男が何を言うのか!
知らずとはいえ・・・いや、この男ならば知っても言いそうであるな。
そんな男を睨みつける松方や久場先輩、大船先輩。そして下平くんのこの表情・・・!!

ここまではエアコンに悩まされた下平くんであるが、ここはもうそんなことを言っている状態ではなさそうです。
怒りを新たな力にすることができるのか。どのような技が披露されるのか。
雲類鷲君が翻弄されるような流れとなるのか。楽しみであります。



第94話・Against  (2016年 22+23号)


6点のビハインドで大黒柱の野々原さんが負傷退場。
こうなると下平くんのサーブで決めていかないと厳しい。
そのように逆境をひっくり返すことを期待する松方であるが・・・

この1本は捨てよう。1セット目とは空調が逆の向かい風だ。どのくらい変化するのかわからない。確かめる!

前回の引きに比べてやけに冷静な下平くん。
しかし考えてみると前の試合では勝負に出る1本すら躊躇って味方に相談したりしてたんですよね。
その時のことを思うとやはり普通の精神状態ではないのか・・・?

ともあれ安全にということなのか、軟打。無回転の変化を確かめる。
逆風の効果もあり変化が更に大きくなった様子。ほほう、変化球と向かい風は相性がいいようですな。
というか下平くん、今の1回だけで変化の度合いを理解したというのか・・・!?

声を出したのなら責任もって取れと雲類鷲君。まあ、これについてはその通りと言えなくもない。
一応雲類鷲君も拾おうとしたけど変化で逆に行った感じでしたしね。
とはいえそんな謝らない態度に下平くんは・・・超ロングサーブの構えを取る。

あの程度の変化じゃヌルい。もっと、酷いことになれ!!

逆風に真正面から突っ込ませるサーブ。空気抵抗によりものすごいブレが発生する。
予測できない変化。ぐにゃぐにゃと曲がりながら雲類鷲君の前に行き、さらに手前でも変化する。うーむ、恐ろしい。
そして今の2回のサーブで王葉は早くも理解する。雲類鷲君の所が狙われている、と。
これだけの変化、普通ならコントロールが効かないと考えそうなものだが・・・
何となく狙いそうな雰囲気は向こうも感じたのだろうか。
雲類鷲君は性格的に狙われやすそうな気がしますものねぇ。

ともあれレシーブには参加せずネット際で待っていてくれと頼まれる雲類鷲君。
王様である雲類鷲君は配下の活躍をどっしりと待ち点を取るべしということでしょうか。
相変わらずこのキャプテンは徹底して自分を殺してチームに貢献しようとしておられますなぁ・・・
が、そんな行動も実るとは限らない。

逃がさないよ
大体逆風でどれくらい押し戻されるからはわかった。
あとはアレが再現できれば軌道をコントロールできる!

早くも空調の不利を克服してしまった様子の下平くん。本当、恐ろしい子ですわ。
しかし今回のサーブで現れるのは・・・ハリガネの壁!!
向かい風を強く突き破るためにはこの壁を突破するしかない様子。ならば躊躇うようなこともない。

邪魔するな。千切れろ、ハリガネ!!

折れず曲がらずのハリガネが下平くん自身によって千切られるとは!?
よもやよもやの演出でありますな。活殺自在とはこのことか!?
それはさておき、狙ったのは竜泉戦で出した完全無回転のボール。
これならば変化することなく狙ったところに真っ直ぐ飛ばすことが出来る。
変化させずに真っ直ぐ飛ばすとなれば・・・そう、狙いはネットイン!!
ネット際で待つ雲類鷲君を狙ってのネットインサーブである。うむ、執拗だ。
ここで、拾い切れずに悔しそうな様子の雲類鷲君を見下ろしながら下平くんから一言。

どんな気分ですか?
あんなにバレーを楽しんでた人を怪我させてバレーできなくさせて、自分だけ楽しい楽しいは通らないだろ。
さっきはあれだけ猫田先輩を集中狙いしたんだ。
今度はアナタが集中狙いされても文句ないですよね

ものすごく黒い下平くんが現れてしまいました。これは・・・怖ェ!!
いやはや、怒りの下平くんが活躍してくれることを期待してはいましたが・・・期待以上の感じでありましたな。
雲類鷲君への精神的なダメージもまだまだ積み重ねていくことでありましょう。
この勢いで第2セットを取ることが出来ればと思いますが・・・さてさてどうなるか。
王の座から雲類鷲君が陥落しそうな雰囲気になった時、王葉側の変化がどのようになるか。今から楽しみです。



第95話・フザけんな  (2016年 24号)


野々原さんが怪我の治療をしているころ、試合会場ではとんでもない事が起きている。
いやあ、やっぱり下平くんのサーブは沸きますなぁ。しかし今回はいつもとは雰囲気がまた違う・・・

いつの間にか使いこなしている完全無回転サーブ。
それにより空調の風の影響を最低限に抑えてネットインを行うことも可能となった。化物め。
その原理はさておき、下平くんの様子がおかしいのは味方も既に気付いている。
とはいえ、この下平劇場はまだまだ終わる様子は見えません・・・

ネットイン2連発の後はネットインに見せかけての低軌道から激しく落ちるサーブ。うーむ、これは対処に困る。
さすがに偶然かもしれないが、相手のバックが拾い損ねた球が雲類鷲君に向かって行ったりしてて・・・執拗であるな。
この下平くんのサーブには今まで余裕の態度を崩さずにいた王葉の監督も焦りの表情。

どうするTOをとるか!?しかしあやつらになんと声をかける!?あんなモノに対してどう対処しろと!?

長いバレー人生でもこのような存在は初めてだったでありましょうな。
この焦りっぷりは何となく溜飲が下がる想いである。良きかな良きかな!!

さて、ここで雲類鷲君。お前たちには頼らん。俺が取ると宣言。
どうせならネットに張り付いていた方が下平くんも選択肢が狭まったでしょうにねぇ。
まあ、もともと手応えのある相手を求めていた人であるし、こうなるのも仕方がないか。
だがそんな態度が下平くんとしては気に入らない様子。

何フツーにバレーを楽しもうとしてるんですか?野々原先輩を壊したくせに。
なんで野々原先輩がコートを去って、人を傷つけてそのことに気づいてもない人がコートに残るんだ。
フザけんな!!!

憤りを思いっきり乗せてのサーブ。描くは禍々しい軌道
いやあ、闇下平くんは本当怖いわ。普段大人しい人ほど怒らせちゃいけないって話ですわな。

雲類鷲君が拾い損ねたボールを見事にカバーしてみせる敷くん。
やはり厄介さという意味ではこの子が一番な感じでありますな。フォローはお手の物か。
しかしカバーを受けて無理に返そうとしてしまった雲類鷲君。なんと間白のブロックに阻まれる
高く跳ぶ間もなかったのだから28cm差の相手に止められるのもやむなしであろうが・・・屈辱でしょうな。ハハハ。

ついに同点。それは喜ばしいが、サービスエースが途切れたことについてちょっとホッとしている豊瀬の面々。
とはいえまだ下平くんのサーブは終わっていないわけでありまして。
雲類鷲君もまた、生まれて初めての屈辱を味わいながらも、それこそが、こんなギリギリの戦いこそ待っていたのだと笑みを見せる。
ああ・・・そんな笑みを見せてしまっては・・・

まだ笑えるんだ・・・もっと心を叩き折らないと

少年誌のスポーツもの主人公とは思えないことを考えだした下平くん。いかん、これ以上は作品的に深手になる!!
そういう判断をしたわけではないだろうが、タイムアウトをとる山縣先生。
闇堕ちしかけている下平くんを救う流れとなるのでしょうか?
野々原さんも治療から戻ってくるでしょうし、何か言葉をかけてあげて欲しい所ですな。
憎しみの心ではなく、正々堂々と雲類鷲君を叩き潰す。そういう流れに行って欲しいものです。



第96話・8  (2016年 25号)


闇へと堕ちていきそうな勢いの下平くん。
その下平くんを止めるためにタイムアウトを取る山縣先生。
タイムアウト中でも雲類鷲君の嫌がるプレーを考えている下平くんの様子を見ていると正解だったと思わざるを得ませんわな。
そんな下平くんに山縣先生から一言。

バレーボールを楽しんでいるか?

これはなかなか根本的な問いかけに来ましたね。
説教などではなく問いかけ。それにより呼び起こされるのは下平くん自身の自己への問いかけ。
竜泉戦の時は本当にバレーボールが楽しかったのに、今は何をやっているのか・・・

僕はサーブを使って雲類鷲君を否定しようとしてるのか?

タイムアウトが終わっても下平くんの自分への問いかけは続く。
どうしてこんなに雲類鷲君のことが許せないのか。人を傷つけてそのことに気づいてもいない相手だからだろうか。
そのことを考えるといきなりフラッシュバックするのは過去のこと。
これは・・・!?久しぶりに登場の扇くんのようですが、何かあったのでしょうか?下平くんの過去も謎が多いなぁ。

過去のことは興味深いけど、今はとにかく試合に集中。
しかしいつものようにハリガネがイメージできない
ははぁ、そういえばさっきハリガネを引きちぎってしまってましたね。え、それで駄目になるのか!?
一体下平くんのハリガネとは何なのか・・・
気にはなるけど、今は試合中。それどころではなく・・・時間切れで反則となってしまう。あらあら。

デュレイ・イン・サービス。審判が笛を吹いてから8秒以内にサーブを打たないといけないとのこと。
通常はそこまで時間をかけることはないのでしょうが・・・やってしまいましたなぁ。

何やってんだ僕は。最低だ

後悔する下平くん。うーむ、辛い状態ですな。
しかし松方の言う通り、このまま続けていたら試合には勝てても下平くんがどうなっていたかは分からない。
というか引きちぎったハリガネは闇堕ちした下平くんの場合どうなるのだろうか?闇に染まったハリガネになったりするのだろうか。

それはさておき、逆転の機会を逸した豊瀬。王葉の勢いを止められない。
このままでは三年生にとって最後の大会が終わってしまう・・・

そんな窮地に笑顔で現れるのは野々原さん。
戻って早々、監督に俺を試合に出してくださいと述べる。まだ左手が残ってます、と。

なんだか今ワクワクしてるんです。
だってこれまで右手でしかバレーしてこなかったから。左手でやるバレーってどんな感じか知らないんです。
体の向きが逆なら見える景色も変わる。右じゃ思いつかなかったようなプレーも発見できるかもしれない。
この左手の先には今まで知らなかったバレーの世界が広がってる
それが見てみたくてウズウズが抑えられそうにありません!

曇りの無い笑顔でそのようなことを言いだす野々原さん。
普通に考えたらそんなの無茶な話と思えるのだが・・・
ここでの野々原さんの投入。これは一体どのような展開が待っているのか。うーむ、気になるところでありますな・・・!!



第97話・最適化  (2016年 26号)


固定した右手が痛々しい。そんな状態でコートに戻る野々原さん。
去年の大船先輩と違い、情報はオープンではあるがチームに迷惑をかける結果になったりはしないのだろうか。いや、だとしても。

これは3年の先輩達の最後の大会だ。先輩達が納得するなら、俺は何も言わねぇ!!

去年の後悔があったこともあり、すっかりと先輩達の想いを第一に考えるようになった大船先輩。
2年生の今だからこそいいのかもしれないが、最上級生になったらこの考えはどうなるんだろうか。少し心配である。

さて、コートに戻って早速狙われる野々原さん。
容赦のないことであるが、当然のことともいえる。
弾道が高く、オーバーハンドでなければ取りづらいサーブ。しかしこれを・・・胸で上げる!!
おぉ。何となくやってくれるんじゃないかとは思ったけど、本当にやるとは・・・!!
どうせなら頭でとも思ったけど、さすがに頭だと上手く上がるか分からないですしね。胸の方が弾まないけど確実ではある。

そして松方にトスを上げさせて自分でスパイクを決めようとする野々原さん。もってこおおい!!!
まったく経験のないだろう左手のスパイクを試み・・・空振り。そりゃまあ、そーよ。いくらなんでもいきなりは無理だ。

けれども再度挑戦する野々原さん。
左利きである家守先輩のスパイクフォームを見て学んだりしている。
うーむ。試合中に、しかも負けている状態でこれができるとは・・・なんとも恐ろしい人である。
そしてさらに恐ろしいのが、その姿勢によるものなのか、吸収が早い。
これが野々原さんの特徴であり長所。即ち、バレーボールが楽しくてしかたないということか。

今までできなかったプレーを、練習してできるようになるのは楽しい。
お前もそうだったんだろう

野々原さんの姿にバレーボールを楽しむことの大切さを思い出させられる下平くん。
うむ、良いですな・・・暗黒面に堕ちそうだった下平くんの心が洗われるようである。

思わず応援したくなる野々原さんの姿勢。素晴らしい。
が、着実にゲームセットは近付いている。点差のことを考えると辛い状態でありますが・・・どうなるのか。注目です。



第98話・冒険者たち  (2016年 27号)


チームの願いを受けて見事に決めて見せる野々原さん。
この進化の速さは全くもって信じられない
バレー経験者でもある雪江ちゃんにしてみればなおさらでありましょうな。

野々原さんの成長に沸く豊瀬。
あと2点取られれば負けが決まるという崖っぷちの状況なのにそのような様子が見られない。
この底抜けのタフさが野々原さんの凄さでありましょうか。
窮地でこそ引っ張ってくれる。頼もしいキャプテンだ。

野々原さんの活躍にも笑顔を見せている金田。なんだかいい感じでありますな。
選手の間に入った難しい球も声に出して指示して取らせたりと成長の様子が見受けられる。よきかなよきかな。

影響は金田だけではなく、大船先輩もフェイントを入れるという珍しい行為に出たりする。
高さにまかせてバカバカ叩きつけるスパイクばかり打つのはなんかバカみたいとのこと。
その通りかもしれないけど、キャラ的にはバカな路線のほうが似合うような・・・いや似合うとかそういう問題ではないな。

皆これまでやってこなかったプレーを選んでいる。
負けが迫って縮こまりそうな場面でよくもまあやるものだ。

みんな野々原先輩になりたいんだ!!
そのように考える下平くん。確かに憧れはしますわなぁ。
この窮地に新しいことに挑戦し、そして見事にものにしてしまうのだからなぁ・・・
しかしこの相手のブロックを交わしてのスパイクは先の竜泉戦の朧のスパイクを思い起こさせる。
ああいうのもやってみたいと思っていたのかもしれませんなぁ・・・なんという挑戦意欲か。

あんな風に体ひとつで全身全霊バレーボールを楽しんでるのを見せつけられて憧れないわけない!!

野々原さんのおかげで流れを引き寄せることに成功した豊瀬。
暗雲は晴れていい雰囲気となっています。あとは一刻も早く追いついてしまいたいところでありますが・・・さてどうなるか。



第99話・帰還  (2016年 28号)


流れを生み出し、どんどんと注目を集めていく野々原さん。
最初の左手のサーブは危なかったのに次はサービスエースを決めてしまうという。何という学習能力の高さか・・・!!
そりゃあ松方も、とんでもない天才なんじゃって評価をしますわ。
謙虚に学び、受け入れる姿勢がこの感覚を生むのだろうか。ううむ、凄い・・・

点数を見ればもう少しで負けそうな試合。
なのに流れは完全に豊瀬のもの。今から試合を見に来ないかと誘うものまで現れるという。おぉ・・・

たまらず一度外したはずの王をコートに戻す王葉の大牟田監督。
雲類鷲君に集めるという王葉のバレーを否定している彼が入れば確かに流れは変わるかもしれませんな。
・・・という予感をすぐに実現させてしまう王。

ブロッカーの思考に雲類鷲以外の選択肢を植えつける。それこそが自分が外されるリクを負ってでも貫いた王の狙いだった

他の者に上げるどころか自らツーアタックを決める王。
いやあ、見事な反骨精神にございますなぁ。
とはいえこれでマッチポイントになったわけで、嫌な流れを断ち切れるかもしれないところにもっていくことができた。
うむう、これは大牟田監督も下げにくいですな。ハッハッハ。

王に言わせればこのチームの戦い方は弱い。
ちょっと力のある奴が現れたら王様扱いして盲従してしまう、なんとも痩せた考え方。
力のある奴もただの1つの駒にすぎない、強い駒も弱い駒も全部使いこなせてこそ真の強者だと王は述べる。
まあ、バレーというスポーツの常識で考えればそういう戦いが普通ですわな。

お前らだって本当はスパイク打ちたいんだろう?

チームメイトに問う王。
まあ、さすがに雲類鷲君を王様に据えるこの体制に完全服従してる人ばかりではありますまい。
それがチームの勝利につながるならと我慢してる人もいるでしょうが・・・さてさてこの一言でそれがどう揺らぐのか。

ともあれこの試合は土壇場。あと1点で豊瀬の敗北が決まる。
そんな状況で立ち上がる下平くん。
どうにかしたいという意識が極まっているようですな。
そんな下平くんに対し、ちゃんとお前まで回してやるからそこで待ってろと考える金田。相変わらずつながりの強いことで。
そしてちゃんと拾って繋いで見せたりするのがさすがというか何というか・・・

とはいえこのレシーブ。金田なら片腕でも狙ったところに上げられる。
はずなのに猫田先輩のように体を下に入れてしっかりと、しかも上げる相手である大船先輩の名を声にだしているという。
うーむ、猫田先輩の教えがきっちりと身に染みている様子で・・・素晴らしい。

そしてそれらの想いを受け、思いっきりスパイクを打つ大船先輩。
高さでは上回れないがパワーで相手のブロックを突き破る。よしよし。

見事に下平くんをコートに戻して見せた金田。さすが。
そして連載100回という記念すべきタイミングで白い下平くんが戻ってくる。
さてさて、バレーを好きという意識を取り戻しての復帰はどういう結果を伴ってくれるのか。楽しみでありますなぁ。うむ。



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