蒼天紳士チャンピオン作品別感想

ハリガネサービス
第51話 〜 68話


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 各巻感想

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連載中分

ハリガネサービス 7巻


第51話・continue?  (2015年 28号)


俺達はどこか弛緩んでいた。
下平のサーブは捕られない。圧倒的な制度。無慈悲なまでの変化。
アイツがサーブを打つ時はいつだって大量得点の始まりだった。これまでは

まさか最初のサーブを捕られてしまうとは。これは驚き。
大船先輩に至ってはどっちを向いていたのか、体を反転させて驚いている。
これだけ、下平くんのサーブが捕られるはずがないという信頼感があったんですなぁ・・・

金田ですら片腕で上げるのが精一杯だった無回転サーブの変化をしっかり止めてしまう。
うーむ、やはりナックルサーブの使い手に無回転で挑むのはよくなかったってことですかねぇ。

実際このカモメ。ナックルボールを拾うことに関しては譲れないものがある様子。
それは2年前のこと。竜泉学園には沖縄からやってきた期待の新入生選手がいた。野球の。
なんでも高校1年生でありながらナックルボールを投げるらしい。
その変化は並の高校生に打てるものではない。が、並のキャッチャーに捕れるものでもないという。アイヤー。

その瀬良のナックルボールを捕れるのは子供の頃から受けてきた自分だけと語るのが、渚島鴎
ふうむ、ナックルボールは一芸特化な感じでありますが、完全に捕ってくれる捕手がいるのならば、それでも通用するものか。
子供の頃からずっと受け続けているうちになんとなくボールから伝わる空気感で変化に身体を合わせられるようになったとのこと。
ふーむ、その感覚はボールが変わっても受け継がれるものなんですなぁ。

近いうち瀬良はこのチームのエースになる。そん時ゃ俺も正捕手になっている。

そのように考えていたカモメであるが、デッドボールを受けて壊れてしまう瀬良の肘。
選手としての価値を失い、沖縄に返ることになってしまったという。おやおや・・・
対のバッテリーとしての活躍を期待されたカモメとしては、相方がいなくなっては活躍の機会もない。
その後は草むしりと球拾いが主な役割になったという。

あの日、雨竜先生に会うまでは。
なあ瀬良よぅ。元気にしているか?
結局俺も野球はやめてしまったけど、お前のおかげで身についた無回転を後ろに逸らさない技術は今も役に立っているさぁ!

無回転サーブを打つ相手なんてそうそういないとは思うけど・・・ある意味見せ場があって幸運といえる感じでしたな。
何にしても下平くんのサーブを初球で止めたのは大きい。
竜泉の選手たちは自覚してないだろうけど、これは凄く大きなことである。
雨竜監督はその大きさに気付いているのかどうなのか・・・?

野球選手であるカモメの過去に続き、次々に明かされる竜泉の選手の過去。
セッターがクラシックバレエであるならば、太めのウイングスパイカーはバドミントンの選手。
ステップとスマッシュが1つのアクションに結合しているため、バレーのスパイクにも応用が効くという話か。なるほどなぁ。

下平くんが止められたことの衝撃は大きい。けれど皆そのことで責めることはしない。
それは優しさでありますが、その優しさに下平くん自身が打ちのめされている感じがなんとも辛い。
うーむ、確かに間白が思うように、ある程度以上の相手には下平くんのサーブは通用しないのではなかろうか?
今回はたまたま無回転特化の相手だったからでありますが、この先全て止められる相手がいないとは限らないわけですし・・・
盲信は危険ですなぁ。

そんなことを考える間白であったが、またそれとは違う考えを持つ男もいる。金田だ。
交代する下平くんに向けて、そのまますごすご引き下がるのカ?と挑発。
そのようなことを言われたら・・・下平くんだって黙ってはいない。悔しい気持ちを露わにしてくれる。
もう一度チャンスが欲しい。次は絶対打ち勝ってみせると言ってのける。

ならベンチで待ってロ。もう一回お前にまわしてやル

笑みを見せる金田。いやー・・・いいですなぁ。これは。
責めない優しさも必要ですが、時にはこういう態度を取ることも大事って話でありますな。
相手を発奮させ、そして頼もしさを見せる金田の話術。惚れさせにかかってるのかと思えるほどである。
金田ならば実際にやってのけてくれそうでありますが・・・ここからに期待でありますな。



第52話・魔法使いの弟子  (2015年 29号)


もう一度お前に回してやルと声をかける金田。
その言葉を信じ、今は一度下がる下平くん。山縣先生の前に跪いて言葉を待つ。何故跪く?
絵柄的にヤバイ感じがしないでもないですが、健全な高校スポーツ漫画です。

何も言わずに隣に座らせる山縣先生。座ってからも何も言わない山縣先生。この沈黙は怖い。

さて、ゲームの方は点差が縮まらない状況。
竜泉のサーブの時は点が取れるのだが、逆に豊瀬がサーブを打つ時は点を取られてしまっている。
バレーのDFはバレーの基礎力がいるものだし、経験の浅い連中には止められないって話だ。
しかし攻撃の手段は豊富な竜泉。先制してリードさえしていればそのまま押しきれそうな勢いがある。

ジュテアントルラッセ。セッターがスパイクを打つこと自体は珍しくないが、その打ち方が特殊すぎる。
空中で足を大きく開いて回転するクラシックバレエのジャンプの技術であるとのこと。
派手ではあるが、それ以上のものはなさそうだが・・・ネット越しにいきなりそんなことされたら驚くわなぁ。
しかし山縣先生、バレエにも造詣があるのですか・・・?
バレーのヒントのために色々研究してたってことですかねぇ。
それはそうと、ここで驚きの発言が山縣先生の口から飛びだす。

竜泉の雨竜監督は、俺が初めて指導者として全国大会の切符を掴んだ時の教え子だ

えぇっ!?教え・・・子?え?そんなに年齢の開きあるんですか?え?
いやでも、山縣先生が早い段階で指導者になっていれば。いやでもしかし・・・
同年代かと思っていたら思いもよらぬ発言が飛びだして来ましたよ。ホント。ビックリだ。

あの頃から俺は他のスポーツからバレーに取り入れられるものはないかと目を向け始めた。
今の竜泉の他のスポーツ経験者を集めるチーム作りは俺の指導から着想を得て発展させたものだろう。

それを徹底してやってきたのが雨竜監督というわけですか。
選手時代はとにかく相手を騙して翻弄するのに長けていたらしい。そんな感じでしょうな。
その攻撃理念によって作り上げられたのが今の竜泉。
思いもよらない方法で攻撃をしかけ混乱させることで本来の実力を出せない状況を作ってしまうわけだ。

豊瀬の方は逆に下平くんを投入することで竜泉を混乱させ、その状況を薄めていた。
しかしその状況にも慣れてきた竜泉。豊瀬の方も早くこの混乱を鎮めないといけないのだが・・・

そういった雰囲気を感じているのかどうなのか、金田。
相手のサーブを何と尻で返す!!これでちゃんとセッターに上げられるってんだからどういうことなのか。
尾てい骨の辺りだし、反発力は確かにありそうだが。
いや確かに昔、体のどこでも上げることが出来るとは紹介されてたが・・・いやはや。

思いもよらぬ挑発的なレシーブに相手よりも味方である大船先輩が真っ先に激昂。
怒りのスパイクは豪快にアウトになるのでありました。その怒りで点を取っておいてくださいよー。
ともかく大船先輩に掴みかかられた金田はこう述べる。

足で上げるとエラくて、尻で上げるとダメなのカ?
アイツラのやってることはこーいうことだロ?おケツでバレーやってるようなもんダ。滑稽だナ!
そんなおケツバレーにまごまごしてるお前らも実に滑稽。
このやり方が気に入らないなら、フツーのバレーってやつで連中をブッとばせばいいだロ

味方が混乱させられる状況にあっても常にマイペースでいられるのは金田の強さである。
やり口はさておき、その精神性は頼りになります。
竜泉の方からすれば焦りによる仲間割れに見えるのかもしれないが・・・ここからの豊瀬の立て直しに期待したいですな。

それはそうと、冒頭で下平くんが山縣先生の前に跪いていたわけですが・・・
最後のページではカモメが雨竜監督の前に跪いたりしている。この対比は一体・・・!!
いや、これが山縣先生の教え子であるということの何よりの証拠なのではなかろうか!そんな証拠は嫌だなぁ。
ともあれ雨竜監督の述べる絶対に勝つ方法。気になるところです。



第53話・必勝おじさん  (2015年 30号)


春休みを目前に控えた竜泉学園には奇妙な噂が流れていたさぁ。
その名も必勝おじさん。部活で居残ってる生徒の前にフラリと怪しい男が現れてその生徒の得意な種目で勝負をふっかけてくる。
だけど絶対に勝つことが出来ないわけ。俺は単なる噂だろーと気にもとめていなかったさぁ。だけど・・・

居残り練習をしていたカモメの前に現れるのはグラサンの怪しいおじさん。
もう日も落ちてきているのにそれで前が見えるのだろうか。

それはさておき、いきなり野球部のカモメに4球勝負を仕掛ける必勝おじさんこと雨竜監督。
条件は3球投げるうち1球でも打てたらカモメの勝ち。打てなかったら雨竜監督の勝ちというシンプルなもの。
容易い挑発に乗って勝負を受けちゃう辺り、カモメも若いねぇ。若い若い。

というわけで勝負開始。
シロートと事前に宣言した通り、雨竜監督の球は荒れ球。
にしては当てるつもりのようなボールが2球続くのは怖い。あきさみょおー!!
その恐怖によってか3球目のシュートを空振りするカモメ。
シュートが投げられるかどうかを最後まで伏せていた作戦勝ちでもありますな。しかし肝はそこではない。

1打席じゃなく3球で打たないとお前の負けなんだぞ?なら俺ストライク投げなくても勝ちじゃん

うむ、シンプルなルールだからこそそういう話になりますわな。
カモメはインチキというが、ルールとしては全くもって言った通りであるし、これに引っかかってるようではいけませんわなぁ。
こういうバカ正直だからこそ部内の競争にも勝てないというわけか・・・世の中は厳しい。

そうやって打ちのめしておいてから雨竜監督は述べる。勝ちたいか?絶対に勝つ方法を知りたいか?と。
それさえ知ってればもう部活で控えに甘んじることはなく、卒業して社会に出たって勝ち続けられるとのこと。ほほう・・・
そのように言われてしまっては飛びつかざるを得ないカモメ。そしてその日はそこで別れ、新学期・・・

バレー部のコーチを勤めていただきます、雨竜南先生です。

そのように紹介される必勝おじさん。いやあ、普通に生徒たちにうさんくさがられておりますなぁ。ハッハッハ。
しかしそれでいて、バレー部を優勝させるために来たと言ってしまう堂々っぷりはやはり凄い。そして怪しい。

雨竜監督が赴任したその日に呼び出されるカモメ。そこには同じように必勝おじさんにやられた生徒達の姿があった。
隣にいるのはサッカー部の小林開司。こちらはPK勝負でやられたわけでありますか。
ん?ということは雨竜監督、クラシックバレエの勝負もしたってことなのか?え?

その場面が描かれても絵面的にどうかと思うので話を先に進めてくれる雨竜監督。有難い。
雨竜監督が述べるどんな勝負にも勝つ方法。それを教えるには今日から2か月間、部活後にバレーボールをすることと条件をつける。

頭で理屈をわかったところで体感を伴わない知識は活用できない。
バレーを通して俺の勝利の論理を実体験として君達に刻み込んでやる。
そして2か月後・・・総仕上げとしてこの学校のバレー部と試合をして勝利する

そいつはまた大きな目標を掲げて来ましたな。
バレー部は今年から強豪中学の出身を集めているらしく、簡単な相手ではない。
それに対して運動部出身とはいえバレー素人が2か月でどうにかできるものかどうか・・・
しかし雨竜監督曰く、アイツらはダメとのこと。今のままじゃ逆立ちしたって日本一にはなれないと。

本当に自信がある奴らは駿天堂や桐城にいくよ。
ウチにいるのはトップレベルには挑戦しないでそこそこのレベルのチームでコンスタントに出場したい連中だ。
アイツらを勝てる集団に生まれ変わらせるには強いショックが必要だ。

ふむ。そのためのショックがこの素人集団というわけですか。理屈は分からなくもない。
そしてこの素人集団が絶対に勝てる理由が明日入学してくるとのこと。
ほほう、やはり要は朧でありますか。唯一のバレー経験者でありながら雨竜監督に見出されている朧。
さてさてその力の秘密が明かされることとなるのか・・・楽しみですな。



第54話・リベリオン  (2015年 31号)


雨竜監督の勧めに従い、部活後の居残りはせずに体育館へ向かうカモメ。
朧も加えて7人でのバレー練習が始まることとなります。
しかしバレーの練習のはずなのにバレーボールを使わない練習がたくさんあったりするらしい。
ふーむ、それに加えて個々人で別々の練習プログラムか・・・色々と考えられてますなぁ。

鬼ごっこに卓球、ママさんバレーとの試合など練習内容は様々。
毎日何をやるのか楽しみになってきたというカモメ。いい傾向ですな。
しかしそういった練習であっと言う間に過ぎ去る2か月。果たして成果はどのようなものであるか。

IH前の大事な練習試合。その練習試合の相手が各部活の補欠の寄せ集め。
この出来事に反発を示す正規のバレー部員。おやおや、早速網にかかってる感じですなぁ。
そんなだからこんな賭けを持ちかけられることとなる。

お前らがこの試合で負けたらIH予選にはコイツらバレー同好会が出場する。そして俺が監督としてこのチームの指揮を執る

指導者として招かれたはずなのに正規の監督は別に居るらしい。
うーむ、それは雨竜監督のやりたい育て方は出来そうにありませんわなぁ。
このバレー同好会の設立はチーム強化のためもあるが、自身が監督に収まるにも必要な手段であったわけか。

さて、試合前の硬くなっている生徒たちに、雨竜監督。絶対勝てる方法について教えてくれます。んなもんあるわけねーだろ、と。

勝負に100%勝てるわけねーじゃん。
それはつまり、絶対に勝てない相手もまたいないということだ。

どんなに小さい確率でも勝ち目はある。
その小さい確率を戦略、戦術、アイディアで上乗せしていけば勝つ確率を100%近くにまで近づけることは可能とのこと。ほほう。

そもそもなんで俺がお前達に声をかけたと思う?
お前達が各自の部活で一番遅くまで残って練習してたからだよ!
お前達がこの学校で一番己の価値を高めることに貪欲だった。バレー部よりもな。
学生スポーツで決定的な差になるのはモチベーションだ。
俺がどんな優れた指導をしたところで自分達で上手くなろうとしないやつには効果ない。勝てるぜお前ら。

なるほど。確かにモチベーションの確保は大事でありますわな。
プロなんかだと当然モチベーションの高い人が集まるから有るのが基本になるでしょうが、学生の場合はその意識の有り無しは大きい。
そしてこの言葉は自分達の各部活での頑張りを認められたということでもある。
努力した結果誘われた。そのように思えるのは嬉しい事であります。うーん、こりゃ乗せられても仕方あるまい!!

というわけで試合開始。
カモメの拳で打つ乱回転スパイクはやはり雨竜監督の入れ知恵によるものでしたか。
確かに受けるのには慣れてなさそうですね。それでもちゃんとコート内に飛ばせるだけでもカモメにはセンスがある。

というわけで翻弄されているうちに敗れるバレー部。同好会の勝利だ!っしゃあああ!!!
喜んでいる場面、というかそれ以外の場面にも朧の姿がないのだが、無しで勝利したのだろか。したんだろうなぁ。

さて、勝負が終わった直後に先の約束は嘘だったなどと述べる雨竜監督。
まあもちろん本心で言っているわけではありますまい。
ここでやりたいのはカモメたちに選択を迫ること。
各部に戻ってレギュラー取りを目指すのか、それともここに残って日本一になりたいか。

俺は・・・もう2度と負けたくねえ!!

そういった想いから、雨竜監督に従っていれば負けないはずという想いからか、全員バレー部に残る意思を示した様子。
苦い敗北の経験をしてきた者たちだけに勝利への渇望は誰よりも大きいというわけですか。なるほどねぇ。
しかしそういった勝利への渇望も、2週に渡る回想の力も、全て無効にしてしまいかねないのが最後の金田の1コマ。
あれだけ気持ちを込めて打ったはずなのに・・・止められてしまう未来しか見えない!!

それにしても回想の中では朧の存在はほとんど触れられてませんでしたなぁ。
必ず勝てる理由として挙げられた存在であるはずなのに、これはどういうことなのか・・・気になります。



第55話・ブレイク  (2015年 32号)


2週もの回想を経て、巻頭カラーで決めるぜ勝利のスパイク!!

だが、止める!!

まったくもっての、だがである。見開きカラー金田にこのアオリ。いやはや、圧巻ですなぁ。
実際、カモメの乱回転スパイクも長い腕で逆の回転を与えることで相殺してしまったわけですし、うーむ。凄い。

さて、ここで豊瀬の反撃。金田が上げてくれたわけだし、ここはしっかり決めたい。松方はどこに上げるか。
ここでも浮かぶのは金田の言葉。フツーのバレーでブッとばす。とするなら・・・

アイツらが奇策奇襲を弄するなら、こっちは思いっきりシンプルにいこう

滞空時間の長いレフトオープン。
トスする方も打つ方も楽な連携。しかしその分ブロックに付かれやすい上げ方である。
事実、スパイクに跳んだ大船先輩の前にはブロックが3枚。だが・・・

ムカつくぜ。ナメたプレーする1年も、他のスポーツからもってきたドッキリ技がいつまでも通用すると思ってやがるコイツらも。
なによりもそんなもんに振り回された俺自身がいっちばんムカつく!!!

相手のブロックの上を越えて行く大船先輩のスパイク。
その威力は竜泉のリベロのレシーブを正面から吹き飛ばす程であったという。だ、大丈夫やがやー!?
手で打ったはずなのにサッカーのシュート並に重かったという大船先輩のスパイク。
凄いけれども、その後のネット越しの恫喝の表情がまた凄い。ガラ悪いわぁ。ハッハッハ。バレーでもイエローカード出るんだな。

気合入りまくりの大船先輩のサーブ。
ジャンプサーブでギッタギタにしてやるぜと意気込み十分。殺気まで込めていきそうな雰囲気。
なのだが、ここで交代。おぉ・・・よもやこのタイミングで五十嵐先輩投入とは!!

五十嵐「大船!!はやく代われい!!」
大船「ハイ!!

めっさ嬉しそうな笑顔で返事する大船先輩。
さっきまでの凶悪な顔つきはどこへやらといった可愛さである。この人の先輩スキーぶりは本当凄いなぁ。

ともあれようやくやってきた五十嵐先輩、高校最後の大会での出場。
気合を入れて放つジャンプサーブは・・・見事なサービスエース!!うおっしゃああああ!!
我がこと以上に喜んでいるのは大船先輩。この人の先輩スキーぶりは本当に・・・

いやそれにしても五十嵐先輩のサーブは凄い。威力もあるのに正確にコースをついたりもしている。
下平くんのサーブを拾ったカモメであるが、直線の強い球はさすがに拾えない様子である。ハッハッハ。

桐城戦から今日まで五十嵐先輩は山縣先生の指示でずっとネットから離れてボールを打ってきていた。
それもトスは自分で上げるという縛り付きで。
それはネットから離れてのスパイクを身につけるだけではなく、ジャンプサーブを安定させるという意味もあったようだ。
うーん、なるほど。まさに五十嵐先輩の武器を強化する練習方法だったわけですな。さすが山縣先生・・・素晴らしい。

ジャンプサーブだけではなくバックアタックも決めてみせる五十嵐先輩。カッコイイ!!
いや、五十嵐先輩は爽やかで頼りになって実に格好いいですなぁ。おかげで見事に逆転でありますよ。
しかしこれだけ強烈なバックアタックが打てるとなると、野々原さんの立ち位置も危うくなってくるのではなかろうか。
今ひとつ影が薄いというか、活躍が目立っていない野々原さん・・・今後に期待したい!!



第56話・灯  (2015年 33号)


五十嵐先輩の投入で試合の流れは一気に豊瀬に。
やはりバレーに関しては素人の集団。正攻法で来られると厳しいようですな。奇襲奇策にはまっすぐな強い力。やはりこれですよ。
しかし五十嵐先輩には可愛い顔見せてた大船先輩。また煽りモード顔になってらっしゃる。切り替えの早いお人だ。
そしてタイムアウトの時にはご覧の笑顔ですし・・・さすがという他ないなぁ。

さておき、豊瀬のマッチポイント。
あと1点でこのセットが取れるというところで松方から円陣を組みませんかとの提案。
松方は次の1点がこのセットで一番大事だと考えている様子。
ふむ。次の1点を取られると朧がコートに戻ってきてしまうという危惧もありますし、大事なところですわな。
松方は対策が無いわけではないと言っているが、シャットアウトはできるにこしたことはない。

だからこそ今ここで確実に仕留めるのが一番簡単な勝ち方だと思います

その為の方策で出てきたのが円陣ってのも面白いですな。やはりチーム競技。こういう結びつきが大事ということですか。
マネージャーである百合草さんも入れての円陣はとてもいい感じ。
いい感じではあるのだが、2階で応援してて混ざれないケイちゃんが少し可哀想でありますなぁ。

さて、試合再開。
竜泉としても大事なこのプレー。全員でレシーブする体勢に入っている。
その気合に対し、真っ向から叩きつける五十嵐先輩のジャンプサーブ。それを一丸で受ける竜泉の選手たち。

不格好でもいい!!この1点さえもぎ取れば朧がなんとかしてくれる!!!

やはり竜泉の選手にとって朧はそれだけの信頼がある男の様子。
雨竜監督が勝利の鍵として紹介した男でありますし、それはそうでしょうな。

その雨竜監督。タイムアウトでカモメに忠告。君ではどーやってもあのリベロには勝てない、と。

勝てない相手とは戦わなきゃいーんだよ

それが必勝おじさんからの忠告。
1局面での勝利が難しいのなら全体面での勝利を狙えばいいって話ですな。
わざわざ難しいやり方をするよりも勝ちやすきを勝つ。それが必勝に繋がるという話でございますな。

というわけで、カモメが狙うのは乱回転のグーパンスパイクではなく、ブロックアウトを狙う優しいチョキスパイク。
グーチョキパーと見事な使い分けでありますな。ハッハッハ。
その奇策がしっかりはまり、一番警戒していたはずの松方がブロックアウトを取られるという皮肉な結果になってしまいました。

うーむ。この1点はでかい。お互い一丸になって向かったはずであったが、執念は竜泉の方が上であったか。
その結果現れるのが朧。雨竜監督は述べる。この勝負、最後まで希望を捨てなかった我々の勝利だ、と。
そこまで言わしめる朧の実力。ついにベールを脱ぎそうな感じでありますな・・・!!



第57話・影  (2015年 34号)


あと1点取ればこのセットは豊瀬が制する。
というところで現れるのは竜泉の最終兵器、朧。雰囲気あるなぁ。
ともあれそれでもあと1点という事実に変わりはない。慌てる必要はないという野々原さんの言葉はもっともである。

というわけで落ち着いて決めようとする豊瀬。
松方としては毎回フェイントを含めて攻撃に貢献してくれている久場先輩に最後の1点を決めて欲しいと考えている。
ブロックは1枚だし、これはオイシーとこもらえるか・・・なんて甘い話はないですよね。
後から跳んできた朧のブロックに阻まれてしまうのでありました。あらら。

ならばと次に送るのは間白。
遠くに鋭いトス。得意の高速コンビネーションでありますな。しかし・・・

どんなに速い人間でも影を振り切ることはできないように、朧からは逃れられないよ

間白のアタックも久場先輩と同様に後から跳んだ朧に塞がれてしまう。
うーむ、前の試合ではスパイクの部分での活躍が目立っていたが、さすがにミドルブロッカー。ブロックも厄介って話か。

たまらずタイムアウトを取る豊瀬。
止められた2人によればどちらも一枚目のブロックを避けたところで捕まっているとのこと。
なるほど。一枚目のブロックでコースを限定して時間差で入る2枚目のブロックにかけるシステムであるわけか。
普通はブロックってのはタイミングを合わせて跳ぶものなのだが・・・異質にも程がありますなぁ。
見てから跳ぶ。普通は間に合わなさそうなものであるが、それで間に合ってしまうものなのか・・・

ともかくこのシステムを破る策。朧をかわすのが難しいなら最初から朧に向かって行けばいいとのこと。
しかしこの考えが来るのは既に読まれていたらしく、今度は朧の両サイドを時間差ブロックで塞いでくる。
朧に向かってくることさえ読めていれば左右どちらも塞げば朧以外の者でも可能というやり方か。ううむ。

見る見る間に差が詰められて言ってしまう豊瀬。
ここでこちらも怪物が動く。

いるだけで拾えねーならボクに場所を明け渡せ。ボクがブロックフォローに入る

頼もしい金田のお言葉。
確かにブロックで決められるのならばそれを上げてしまえば攻撃は継続できることとなる。
しかし防御はそれで良くても攻撃が決まらなければどうにもならないのではなかろうか・・・
どうせなら一枚目のブロックにぶつけてブロックアウトを狙う形にした方が確実性は高いのではなかろうか。
この先その戦法を続けるのは厳しいかもしれないが、このセットだけを取るなら有効のように思えますが・・・さてさてどうだろう。



第58話・カネダ対オボロ  (2015年 35号)


センターカラーで怪物激突!!
まるでウロボロスであるかのように輪となる2人の姿。これは良い。
というか題字のせいもありまるで怪獣映画のように思える。二大怪獣決戦だ!!

一気に追いつかれそうになっている豊瀬。
ならばと自分がブロックフォローに入ると宣言する金田。
拾い続けることができればいつかは攻め切れるって話ですな。
ブロックされる前提かよと憤る間白だが、今の状況ではそう言われても仕方があるまい。

竜泉の時間差ブロックに苦しめられる豊瀬。
しかし本来時間差ブロックは成立するような代物ではない。
先の朧狙いでのスパイクでの時間差ブロックが成立したのはトスが読まれていたからであり、流れから付かれることはそうそうない。
逆に言うと心理的な読みなどではなく、流れを追って毎回跳べてしまう朧がおかしいということになる。

トスの出がかりを見ただけで放物線をイメージできるのか・・・ケタ外れの物理演算能力だ

これが朧の能力の正体というわけですか。
身体能力はそれほど高くはないが、決して不意を突かれることの無い演算能力。
うーむ、真っ当にやっては攻略は難しいか・・・?いや、むしろ力尽くなら敗れなくもないか・・・?

考えた結果、繰り出すのは奇策。
相手のサーブを金田がレシーブし・・・上がった球を野々原さんが直接バックアタック!!
レシーブ・トス。スパイクの3ステップのところをトスを省いて決めにかかるって話でありますか。ほほう。
勿論狙うは朧をセンターに入れてのスパイク。これならば横の2人はブロックが間に合わない。
が・・・センターの朧だけでブロックを決めてしまったりするという。あらら。
うーむ、演算能力が高ければコースを読んで手を伸ばすことも容易いってことでしょうか。

ともあれ、ブロックされたのなら金田の出番。即座にネット際に付く金田。
しかし朧のブロックしたボールは高く放物線を描いて上がり・・・コートの隅へと落下する。すとん。
うーむ、さすがにこれは金田も取れませんわなぁ。

今の朧のプレーを見て恐ろしい予想に囚われる松方。
もしそんなことが可能だったら、このスポーツは成立しなくなる!

そのように危惧する松方。今度は五十嵐先輩がバックアタックを行うが・・・結果は先程とほぼ同じ。
左右の違いがあるくらいで、朧のブロックしたボールは綺麗にコートの隅へと落ちる。
やはりこれは・・・ブロックを狙ったところに落とすことが出来るということなのか・・・!?
相手のスパイクまで演算で軌道をイメージできると。だ、だからといって片手で弾いて狙ったところに落とせるものなのか・・・!?

・・・こんなこと、できるようになりたくなかった

いったい何を言いだすのだろうかこの男は。
凄い能力ではあるが望んで身につけたわけではないらしい。それは一体・・・?

いや、何にしてもこれはまずい。逆転されてしまいましたぞ。
怪物対決と冒頭では煽っていたのに全く届かない金田の姿にも悲哀を感じる。ううむ。

朧をセンターに入れてのスパイクでも見事にブロックされてしまう。
となればもうブロックを突き破るぐらいのパワーで挑むしかないのではなかろうか。
大船先輩が全力で、左右ではなく朧の顔面狙って打ちこめば何とかなったりはしないだろうか。
うむ、そうだな。大船先輩ならやれるさ。やれる殺れる!!



第59話・誓い  (2015年 36+37号)


朧の小学生時代の思い出。
まだ今のように表情に暗い影を落としてはいなかった頃の朧。
しかしそうなる土壌はすでに出来上がっていた。うーむ、酒乱の母親でありますか・・・
酔うと手当たり次第に物を投げつけてくるとのことですが、普段からずっと酔ってたりしそうだなぁ。

投げてくるのは当たっても差しさわりのないものもあれば、壊れたら後で困るもの。そして傷つくかもしれないものもあった。
そういった物から身を守るためにも力が必要だったという朧。

母さんの目線、腕の振り、初速、角度から軌道を物理演算(イメージ)する

正式な数値での演算というよりはやはりイメージに近いものであるみたいですね。
必要は発明の母というか、芸は身を助くというか。
幼いころから必要に迫られていた朧。そういった能力が身に付くようになったのも自明の理というものでありましょうか。

僕が母さんが投げるものを完全に受け止められるようになったころ。
母さんは僕への興味を完全に失っていた

凄いことが出来るようになっていた朧。そんな息子の成長に反比例するように興味を失う母親。ううむ・・・
どうにも上手く行かないものは上手く行かないものである。切ない。

――7年後。身に迫る危機がなくなっても物理演算は習性になってしまっていた。
こんなことくらいにしか使えないけど

これが朧の力の秘密でありましたか。
なるほど。これは確かにこんなこと出来るようになりたくはなかったというのも頷ける。
この力を手に入れるためには虐待が必要だったわけで・・・それと引き換えに得た力と考えると否定的になるのも無理はないかなぁ。

ともあれその朧の異能に苦しめられる豊瀬。
竜泉が逆転に成功してセットポイント。あと1点取られたら1セット目を落とすこととなる。

タイムアウトを取るがいい対策が浮かばない豊瀬。
いつもなら作戦を考える松方も朧の脅威の前には困り果てている様子。おやおや。
山縣先生は何も言ってくれないわけですが・・・まあ、山縣先生だって万能じゃないですしねぇ。対策が浮かばないのも仕方ない。
とはいえ正直に俺にもどうしたらいいのか分からんとか言われても生徒が不安になるでしょうし・・・指導者は難しい。

それにしても金田がブロックフォローに入るのなら後ろに1人残す形にしてもいいのではなかろうか?
届かなければどうにもならないが、届きさえすればいいわけですし。

追いつめられている金田。久しぶりにこんな表情を見ましたな。
そこで行うのは奇策。サーブのレシーブで直接相手コートの隅を狙う。
が、それは拾われる・・・いや、狙いはその先にある。

朧君にブロックじゃなくスパイクを打たせて拾うつもりなんだ!!

なるほど。先に飛ばせてしまえばブロックに付く前に反撃で仕留められるという考えでしょうか。
しかし先の亜細亜第一戦の勝利の鍵は朧のスパイク。
そのブロックを抜けるスパイクの正体は・・・腕を真横に伸ばしてのインパクト!!
普通、ブロックは相手の選手の前に跳ぶものであり、こんな打ち方されてはそりゃあ抜けてしまいますわなぁ。
さらにその抜け方はえぐい角度でコートの隅へと向かっていき・・・すとんと落ちる。
うーむ、いくら金田が天才的なプレイヤーであっても届かないことにはどうにもならないか・・・

二転三転した第1セットであったが、さすがに雨竜監督が勝利の鍵と呼ぶ朧。その活躍により竜泉が1セット目をもぎとった。
ううむ、大見得切って勝負に挑んだ金田にしてみればこれは悔しいなんてもんじゃありませんわな。震えている・・・
これまで幾度も励まされ助けられてきた金田のそんな姿を見た下平くんは倒れた金田を引き起こし・・・

悔しい思いさせてゴメン。自分では大して役にたってないクセにもう一度出番が欲しいなんてズルかったね・・・
今度こそ僕も力になるから。一緒に朧君に勝とう!!!

励まされるだけではなく励ます側にも回る。
下平くんは合宿前の一言でもチームのやる気を向上させたり、自覚は薄いかもしれないけどムードメーカーの素質はあるんですな。
得意のサーブで空気を作るだけではなく、こういった言葉で奮起を促す。うむ・・・実に主人公らしくていいですなぁ!!

一人で勝てる相手でないのならばチームで勝つ。
バレーがチームスポーツである以上、その考えは正しいでしょう。
まだ1セット目を取られただけで勝負はついてはいない。まだまだここからだ!!



ハリガネサービス 8巻


第60話・先輩  (2015年 38号)


二転三転した1セット目であったが、獲得したのは竜泉。
気を取り直してコートチェンジして臨む2セット目。どうにか流れを掴みたいところであります。

まずは反省会。
大事な場面でトスを回してもらったのに決めきれなくて面目ないと頭を下げる五十嵐先輩。
相変わらずこの人は責任感があるというか、チームのために割り切れる強さのようなものを持ってらっしゃいますなぁ。
それとはまた違い、全く気にしない野々原さんの態度も次に向かうには大事な資質。キャプテンらしい。
してやられた1セット目であるが、2セット続けて取り返せばいいと述べる。

アイツがどんなにスゲーヤツでも、皆で力を合わせりゃ俺達の方が強いだろ。なんとかなるって!

あっけらかんと述べる野々原さん。その自信は一体どこから出てくるのか!!
驚く高代先輩たち。そんな中、そうですよねって感じの笑顔を浮かべている大船先輩はやはり先輩スキーすぎる。

というわけで、山縣先生から次のセットのスターティングオーダーが配られる。
今回は最初から下平くん投入。しかしそれよりも驚きなのが・・・松方を外し、家守先輩がスタメンに!!んん!?
本人も驚きのこの起用。下平くんの初スタメンを持って行ってしまう衝撃。さすが家守先輩。空気を変えられる人だ。

リベロは変わらずの金田。その金田に声を掛けるのは猫田先輩。
どうやら1セット目の最後に一発で返したサーブレシーブについて一言ある様子。

朧のブロックが拾えそうにないからスパイク打たせて拾うのに狙いを切り替えたか?ふざけんな!
セッターもスパイカーもなあ、リベロがボールをつないでくれると信じて待ってんだよ。
あの瞬間お前はチーム全員を裏切ったんだ

はっきりとそう述べる猫田先輩。てめえなんかな弱っちいんだよ!!とも。

どんなにレシーブが上手かろうが、絶対に一人じゃコート全域は守れねえんだ!!
だけどそこで終わりじゃねえ!届かないボールにはな、仲間に指示出して動かして拾ってもらえばいいんだよ!!
もっと周りを信用しろ!!もっと頼れ!!
2セット目もおなじこと繰り返すなら、先生に直訴してお前を引き摺り下ろしてやるからな!!

なるほど。これは確かに金田の弱点と言える部分でありますな。
なまじ自身のレシーブに自信があるために自分で拾おうとしてしまう。周りに頼るという発想がない。
信頼関係を築くのが下手というのもありますし、猫田先輩とはその部分での差があるわけですな。
今回の朧のブロックにしても、1人は後ろに下げておけばふわりとしたコート奥へのボールは拾ってもらえたかもしれない。
そういう発想は金田にはなかったんでしょうなぁ。

間白は猫田先輩をいい人だと述べる。
本当は自分がスタートから出たくて仕方がないだろうに、後輩へちゃんとしたアドバイスを述べてくれている。

金田ってああだからよ。気味悪がられたり才能に嫉妬されたりとか多くて、
なかなかああやって真正面から怒ってくれる人いないんだよ

貴重な相手でありますよね。金田も少し押されてたみたいですし。
この言葉が響いて成長してくれると良いのですが・・・さてはて。

さて、始まる2セット目。うーむ、やはり朧の威圧感は凄い。大丈夫なのか家守先輩!?
心配になる松方であるが山縣先生は述べる。もう少し先輩達の力を信用しろ、と。

アイツらは必ず立て直す。俺はそう信じている。
お前はここで考えろ。考え続けろ。お前なら朧を封じる答えをみつけられるはずだ。

コートにいるよりも傍から見ていた方が解決策を見いだせる可能性はある。岡目八目というやつですな。
それによって導き出したのかどうかは分からないが、開幕いきなりツーアタックを決める家守先輩。ひょう!!!
右利きのセッターがツーアタックを打つには身体を回転させなきゃ打てないが、左利きならばトスの体勢のまま打つことができる。
コレならトスかスパイクかギリギリまで分からない。朧も見てからでは間に合わないというわけですな。

早速得点を決めて走り回る家守先輩。ドドドドド。こういうムード作りは任せてってな感じだ。

正直僕じゃ朧を攻略する作戦は思いつけそうもない。
だけど松方ちゃんならきっと答えを見つけられる。それまでの時間は僕が稼ぐからね!!

実に頼もしい家守先輩。出番こそ限られているが、だからこそ出た時には輝いてくれる。格好いいですわぁ。

猫田先輩に家守先輩と、まさしくチーム総出で挑む感じとなった竜泉戦。
下平くんの温存とか言っていられる相手ではありませんものねぇ。
頼もしい先輩の活躍から始まった2セット目。豊瀬は優位な状況を作れるのか。注目です。



第61話・エース  (2015年 39号)


2セット目、家守先輩の見事な先制攻撃。
これには山縣先生もハイタッチに応じる構え。ビビらずやってしまいましょう!!あざっす!!

この勢いに乗りたい豊瀬。
が、先のセットで朧にしてやられたのが効いている。
朧を警戒したブロックを行えば、他の面々がフリーになってしまう。
うーむ、厄介な存在でありますなぁ。

さて、竜泉のサーブ。今度は豊瀬側の攻撃となるわけですが、家守先輩はトスを合わせることができるのか?
最近レギュラーチームはずっと松方がトス上げしてたといいますしなぁ。

僕には松方ちゃんみたいにドンピシャでトスを合わせる技術はない。
下平ちゃんへの移動攻撃トスも間白へのバッククイックも自信ない。だけど――

他の2人はちゃんだけど間白は呼び捨てでありますか。ふむ。いや、それはさておき、だ。
家守先輩のトスはまっすぐ前。大船先輩に合わせたネットに近いボール。
これに合わせて跳ぶ大船先輩の脳裏に浮かぶのは先の1セット終了時の五十嵐先輩の謝罪。

本当は五十嵐先輩が一番悔しいんだ。
コートに立つ人間はコートに立てない人間の想いまで背負って戦わなくちゃならねえ。
もう2度と、同じ過ちは繰り返させねえ!!
エースは、オレだ!!!

物凄い勢いの大船先輩のスパイク。ブロックの上からブチ抜き、コートに当たって大きくボールが跳ね上がる。
朧の計算であってもこの速度には間に合わないってことでしょうか?
いや、今回はボールがネット際だったので被せるために他の面々と合わせて跳んでた感じでしたかね。
何にしても朧のブロックをブチ抜いて決めたのは大きい。これぞエースの貫録・・・!!

ただただ高く、ただただ強くなるためにトレーニングを続けた大船先輩
五十嵐先輩が個別に道を模索している間も、それこそが自分の道と鍛え続けた結果でございますな。

さて、今回の大船先輩の活躍のサポートは2点。
まずは家守先輩。ネット際の一見打ちにくそうなポイント。あれが大船先輩の一番好きなポイントであると山縣先生。
つき合いの長さもありましょうが、家守先輩はチームメイトの好きなトスをよく知っている
その辺りは人の好さが出ているってことなんでしょうなぁ。

もう1点は2階。ケイちゃんの横に並んだ人物。
スパイクの直前に決めろと叫び、今まだナイスキー!と称賛を送ってくれる富永先輩!!

自分のせいで出場の機会を逸した先輩がわざわざ足を運び応援してくれている。
これには大船先輩も何とも言えない表情で、ただただ頭を下げるしかない。
うーむ、富永先輩。いい人でありますなぁ・・・ケイちゃんも寂しさから解放されそうで良かった良かった。

さて、大船先輩のスパイクにビビる竜泉。
朧のブロックが通用しないのであれば、止められる者はいないでしょうな。ハッハッハ。
そしてこの流れに乗ってやってきました下平くんのサーブ順。
しかしここで下平くんから驚きの発言。

あの・・・皆。ひとつ先に謝っておきたいことがあるんだけど・・・
次のサーブ、失敗するかもしれない

弱気に思える発言だが、これは逆に言うと失敗する可能性のあるサーブを打つと言っているように聞こえる。
まだ底は見せてないと思ったが・・・一体どのような隠し玉があるというのか。
下平くんのサーブ劇場。始まりそうな予感がします。



第62話・何度でも  (2015年 40号)


1度目のサーブは拾われてしまった下平くん。ようやくリベンジの時間がやってまいりました。
しかし、次のサーブを失敗するかもしれませんと言いだす下平くん。それは一体どういうことなのか。

さっきと同じような無回転サーブじゃ、あの1番にまた拾われてしまう。
チームの力になりたいんです・・・もうコートの外でチームが負けるのを見てることしかできないのは嫌だ!!
ミスになるかもしれないですけど、ギリギリを狙うサーブで勝負させてもらえませんか!?

ふむ。つまり今までのは絶対ミスらない範囲でのサーブであったと。ええ・・・?
ネットインはまだ分からないでもないが、いや普通は分かることではないが。
しかし桐城戦の最初の時のような無回転で変化付けてコート隅に落とすのも絶対ミスらない範囲だったというのか・・・恐ろしい。

そんな恐ろしいことをさらりと述べる下平くんであったが、今の発言にはお怒りの大船先輩。
今まで手ェ抜いてサーブ打ってやがったのか、と。

攻めにいったんならリスクを背負うのは当たり前だろうがッ!!!

安全に安全に行ってそれで得点できないのでは悔いが残るに決まっている。
安全も大事だが、時にはリスクを覚悟してでも攻めなければいけない時はある。
攻め気の強い大船先輩らしい言葉でありますなぁ。でもサーブ3本に1本ミスするのはさすがにどうかと思うぞ大船先輩。

ともあれ、仲間の許可と激励を貰った下平くん。これはつまらないサーブを打つわけにはいきませんなぁ。
てなわけでサーブの構えに入るわけですが・・・随分下がったなぁ。
コートエンドから8メートルは後ろに下がっている。サーブゾーンギリギリの位置だ。

サーブは遠くから打てば打つほどより直線的な、威力の高いものが打てる。
しかしその分サーブを打ったあとはコートに戻るのに時間がかかるため、残りの5人でその隙間を埋めるようにしないといけない。
まあ、サーブで得点してしまえばその部分の心配はいらなくなるですけどね。

これまでサーブを打つ時は絶対ミスできないと思っていた。
僕が役に立てるのはサーブくらいだから。ミスした瞬間、僕の存在価値は無くなると思っていた。
だけど、そうじゃないのかもしれない。
失敗しても皆が助けてくれるなら、次のチャンスに挑戦することもできる。
皆はミスになってもいいから攻めろって言ってくれた。
ならこのサーブにかけるのは、僕の想いだけの重さじゃない。チーム全員の勝利への意思だ。
挑もう。失敗を恐れずに。何度折れても曲がっても決して途切れることのない、ハリガネの意思で!

イメージするのはやはりハリガネ。ハリガネの意思とはまた面白いことを言う。
怪我や敗北など様々なことで泣きながらもチームの力になるために技を磨いてきた下平くんらしい考えであります。

さあ、遠く離れたところから強打する下平くん。
弾道は低い。が、狙うのはネットインではなく無回転サーブ。
グラリと軌道を変化し、左に流れる・・・が、このぐらいの変化ならナックルボールに慣れたカモメがついてくる。
そう、このぐらいの変化ならば・・・

追いついた筈なのに急にボールが落下し、カモノの手前のコートに突き刺さる。
まるでフォークボールのような落差。直線的に速い弾道だったために空気抵抗も大きく、変化も大きかったわけですか。
しかし変化が大きいということは下平くんでもコントロールは難しいということになる。
それがリスクを背負った攻めのサーブの意味でありますな。

ようやくリスクを冒しての勝負に皆を巻き込むことを自分に許せたのか・・・
下平は今本当の意味で仲間になったんだ

そのように述べる松方。コート内で喜びを分かち合えなくて残念そうであります。
そんな中、真っ先に抱き付きに行ったりする家守先輩はさすがのさすが。
一人下平くんに背中を向けながらも近くまで来ているのは大船先輩。
なんだかんだ言ってもこの人の言葉でリスクを背負う覚悟が出来たわけで・・・いい先輩ですなぁ。

チーム一丸となっての反撃。これは下平くんの覚悟も大きい。
ここからの攻勢がどのようなものとなるのか・・・実に楽しみです。



第63話・モンスター  (2015年 41号)


凄い落差のサーブを決めてみせた下平くん。もちろんその1発で終わったりはしない。
再び壁際まで下がっての超ロングサーブ!!!
無回転サーブならお手の物のはずのカモメも落差のあるフォークを捕ってきたわけじゃないし、警戒するより他にない。

が、今回は落ちるのが早くネットにかかってのネットイン。
ううむ、さすがの下平くんもこの速度の無回転サーブを完全に操ることはできないみたいですなぁ。
それであるからこそ、失敗するかもしれないと言っていたわけで・・・
攻め気が上手い具合にいい方向に転んだ結果と言えましょうか。最後は気合だよ!!

しかしさすがにこれだけ凄いサーブを打つのにはかなりの集中力を要する様子。汗が凄い。
さすがにここから第2ゲームを制するだけ稼ぐのは難しかったりするのかな・・・?

というわけで3球目は超ロングサーブではなく普通の距離でのサーブ。
構えは対角を狙っている感じだが、そうではない。
この距離ならば落ちる角度も計算できるということか、対角ではなくアタックラインの内側へと落ちていく。
うーむ、この落差。しかも横の隅はギリギリという危うさ。これは捕れなくても仕方ないと思えてしまいますわ・・・

そしてそして。4球目は再度の超ロングサーブ!!
待ってましたとばかりに沸く観客。うーむ、すっかり観客も下平くんのサーブの虜でありますな。
受けている敵としてはたまったものではないでしょうが、見ている方は本当に盛り上がる。

とはいえこの距離はさすがに下平くんでも不安を覚える。
バレーを始めた頃の、サーブがネットまで届かなかったころを思い出させる。
あの頃は側に扇がおり、バレーを教えてくれていた。
手首を固定して重心を前足に移動しつつボールに体重を乗せる。その教えは今も身に染みている様子。
ハリガネのように固定した手首から放たれるサーブは直線的な軌道で飛んでいき・・・ネットに弾かれ、相手のコートに!!

本来ならば落下点はコートのはるか後方。打った瞬間に結果が計算できる朧にはそう見えた。
が、その計算は途中にネットがあることを計算していない。
ふうむ、やはり途中で軌道が変わることについては計算できないって感じですか・・・そりゃそうですわな。

何にしても無回転ではなく直線のネットインなら超ロングでも狙ってできる下平くん。
うーむ、これは化け物めと言われますわ。震えつつも嬉しそうに述べる松方がいい感じ。

そしてこの下平くんの怒涛のサーブの前に慌ててタイムアウトを取る雨竜監督。
さすがの雨竜監督も、豊瀬にこのような化け物がいることは想定外だったんでしょうな。
さてさて、この短いタイムアウトの時間で有効な策を考えることができるのか・・・見物でありますな。



第64話・放銃  (2015年 42号)


観客も驚愕する下平くんのサーブに雨竜監督もたまらずタイムアウト。
コイツ普通にモンスターしてる!!というアオリがたまらない。

さて、タイムアウトを取ったはいいが、君らじゃ取れなくて当たり前と言いだす雨竜監督。
しかしそれは良い調子でノリノリで打たれたら、の話。
あれ程のサーブが連続で打てるくらい下平くんは今高いレベルの中にいる。
ならばその高い集中力を切ってしまえばもう一度その集中に入るのは難しいはず。
そう考えて間をあけるためにタイムアウトを取ったと言う雨竜監督。うーむ、強かですなぁ。これは生徒たちも感心しますわ。

ついでに反則にならない程度に相手の集中を乱す方法を教えられる竜泉の生徒達。
ぴょんぴょん跳びはねてうるさくするって話ですか。
拾うためのステップを踏んでるだけですといえば確かに反則にはならないか・・・色んなテクニックもあるもんだ。

とはいえサーブをする時の下平くんの集中はそのぐらいでは乱れない。
むしろ観客の注目が集まってきたことの方が驚きだった様子。その動揺も今の表情を見る限りはなさそうですけどね。

これまでは失敗を恐れて危険のある勝負を避けてきたから、いつも最後には負けてきた。結局役立たずな自分が嫌いだった。
でも今は皆が、危険を承知で100%以上の力で勝負することを許してくれる。
だからここまでの4連続得点は皆がとらせてくれたものだ。
その恩にむくいたい。もっと皆の役に立ちたい!!!

いい意識の下平くん。
しかし勝負に出たのが今回ばかりは裏目に出た様子。
思った以上に激しい変化をしたボールはラインをギリギリのところで割ってしまう。
・・・と思いきや、審判の判定はイン。おやおや?
これは納得が行かない。竜泉の面々が抗議するのも分かる話・・・

HOLY SHIT!!!Dumb!!!

生徒が抗議に詰めかける前に暴れ出したのは雨竜監督。
椅子を蹴り飛ばし、派手なアピール。故にイエローカードが出され、豊瀬に1点が追加される。
ふむ、無作法な行為に対する警告で点が入ったりするんですなぁ。
イエローカードってことはもう1度やると退場になったりするんでしょうか?
ああ、やっぱり退場になることはあるんですな。選手がそうなるのを防ぐために先んじて暴れてみせたということか・・・!!

成立の仕方が仕方だっただけに人数ギリギリな竜泉。ここがこのチームの弱点でありますな。
しかし選手が抜けても厳しいが、精神的支柱でもある監督が退場になったら脆く崩れそうな危険性もありますな。
同じ手は使えないけど、どうするのか雨竜監督。

さっきのサーブは確実にアウトだった。にもかかわらずあの線審にはインに見えた・・・
いや、インに見せたんだ。あの11番の絶対にサーブを決めるというオーラが

目の前に落ちたというのに、線審はその雰囲気に呑まれたということですか。何ともはや。
怪物ってのは判定まで狂わせるものなのかと恐ろしくなりますなぁ。さすがの雨竜監督も緊張の面持ち。
とはいえ判定に救われた下平くんのドキドキさ加減も今回は相当なものだった様子。
さすがの下平くんもこの速さでは変化が制御できないみたいですなぁ・・・まるで博打だ。

こんな博打に本当に皆を巻き込んでいいのかな・・・?
わからない・・・けどこの1本はネットインで確実に落とす!!

ネットインが確実と述べる辺り十分に化け物と言うしかない下平くん。
しかし来ると分かっているネットインならむしろ止めるのは簡単だったりする。
打った直後に軌道が読める朧にしてみれば、狙いはすぐ読めるわけで・・・むむむ。

リスクをチームに負わせることを怖がってしまった下平くん。
うーん。気持ちは分からなくはないけど、一度預けたものを引っ込めるのはよくありませんなぁ。
攻めの姿勢を崩すのはやはり良くない。この反省は次に活かしてほしいところです。



第65話・三者面談  (2015年 43号)


安全に走り、ネットインサーブを行う下平くん。
安全策とは言っても普通は狙ってネットインが来るなんて思わない。
何度も続けば狙って出来るんだと思うかもしれないが、今はまだそこまでではありますまい。
反則級の物理演算力を持つ朧でさえなければ・・・

地面と平行に飛ぶ、放っておけばコート奥に外れるサーブ。
だけど前の時はネットに当たってエネルギーが殺されて入った。
もしまたネットに当たったら。今度は・・・

冷静に、ネットに当たったのを見てボールを上げる朧。
ネットインサーブは見切られると前衛に簡単に拾われてしまうのが難点ですなぁ。

さて、竜泉の反撃。スパイクを打つのはもちろん朧。
しかし高さならばさっきの攻防で大船先輩の方が上と分かっている。
ならば大船先輩が正面のブロックを担当すれば上を抜かれることはない。スパイクコースは限定される!

そのような読みで挑んだのだが・・・あっさりとその上を抜いていく朧。
トスの初速と軌道から物理演算を行い、ボールを捉えられない視界の外から打ちこんだとのこと。
なるほど。本来なら顔より前の位置まで落ちてきてから打つところを、より上の打点でで打つことで高さを補うって話ですか。

朧のスパイクには形がない。どんなに手を伸ばそうがすり抜けちまうんだ

まさしく朧という名前の通りということですか。
技は一通りではなく、相手のブロックに合わせて変幻自在。
うーむ、これは対処に困りますなぁ。
相手の虚をつくバレーの雨竜監督としては凄く好みなスタイルに思えますな。

半年前、竜泉強化の核になる選手を洗って中学の試合映像を見ていた雨竜監督。
朧に目を付け、早速勧誘へと向かう。
自宅を訪れ、母親に話をしてみるが・・・どうにも芳しくない様子。
高校にも行かせずさっさと働かせようとしているようですが。ふーむ。

スポーツ特待生として入学することで入学金及び授業料は免除となるとのこと。それは凄く有難い話ですなぁ。
そんないい話なのにろくに聞かずに飛びだしていく母親。
息子に興味を示さなくなったとは聞いてたが、なんともはや・・・
これは世間一般的に考えてもクソ親と言われても文句が言えない存在。
であるにも関わらず、母を悪く言われて怒る朧。うーむ、親子の情といいますか・・・この辺りは複雑ですなぁ。

そんな朧に向けて述べる雨竜監督。
中学のバレーでは見つからなかったという朧だが、一体何を探していたのか。楽しめる何かを求めていたのか。
学校ではそれを見つけられず、ならばもう就職してしまおうということなのかもしれないが・・・世の中は甘くない。
中卒ではやれる仕事も限られるし、その後の貧乏暮しは目に見えている。

あの母親の思う壺だ
母親に就職しろって言われたんだろ。このまま社会に出ても仕事がないことくらい理解してるさ。
底辺にいる人間はな、同じ底辺の人間が這い上がるのが我慢ならねーのさ

うーむ・・・分かるような話ですが・・・
自分を底辺から引き上げてくれるかもしれない存在に対してもそんな扱いとは・・・
興味を失ったのは息子に価値を見出さなくなったからなのか。何ともはやな話である。

というわけで、これからの人生を自分で幸せにするために、うまく生きる方法を教わるために雨竜監督の誘いに乗る朧。
ギブ・アンド・テイクか。それで本当に幸せになれるのなら安い話でありますが・・・さてさてどうなることか。

朧の過去の話や将来の話は気にかかる。
が、とりあえず今は試合中。相手校のことを気にしている場合ではない。
7連続得点が途切れた豊瀬。サーブだけで勝てるほど甘くはないが、それでも途切れさせたことを謝る下平くん。
安全策で守りに入ってしまったことの後悔があるみたいですねぇ。
次前衛に上がったら全部攻めるとのことですが、はてさてどうなりますか。期待したいところです。



第66話・2  (2015年 44号)


下平くんのサーブは途切れ、そこからは一進一退の展開。
そして今度は前衛として戻ってくる下平くん。前衛では何を見せてくれるんだ!?と期待の観客。
うん、その、何というか。期待させてすまない!!

別に下平くんが入ったせいというわけではないが、差を縮められる豊瀬。
うーむ、そろそろ家守先輩では厳しくなってきたか。
大船先輩との連携は慣れているでしょうが、間白を活かすトスを出すにはまだまだな感じ。ううむ。

豊瀬は前衛の身長が一番低く、得点が難しいローテーションのタイミング。竜泉としては追いつき、追い越すチャンスでありますな。
ただでさえ厄介な朧のブロックもありますし、どうにかここから抜け出さないといけないのだが・・・

自分では朧には勝てないと考える家守先輩。
それでも皆の力を引き出せるトスを出せばいい、皆で勝てばいいと考える。
考える、が・・・うーむ。想いはしっかりしてても技術が追いついてくれないかぁ・・・寂しい話であるなぁ。

とはいえ家守先輩が頑張ってくれたからこそ、ずっと見ていた松方の腹も決まった様子。
攻略が通用するかは分からない。だが、何をするかは決めましたとのこと。
恐れずに進むのも大事なことですな。先輩の頑張りを見た以上、弱気ではいられますまい。

というわけで1年生4人で攻撃の算段。
まずは松方。間白に対しネット際のトスを上げる。
今までなら朧に塞がれてしまうわけだが、ネット際のトスならば物理演算をしている時間はない。
なので朧としても被せるような普通のブロックしかできなくなるわけだ。なるほど。

と言っても被せられたのでは結局決まらない。
なので、紅白戦で家守先輩が見せたリバウンド狙いのスパイクを行う間白。
こういう小技も出来る男ですからなぁ。これもしっかりとした家守先輩リスペクトか!?

わざと相手のブロックに当ててリバウンドを狙うこの戦法。
求められるのはリバウンド――落ちた球を拾う速度。
なので、チョップのような軌道で拾い、松方へとボールを送る金田。相変わらず奇妙な打ち方を・・・!!

高速で帰ってきたボールを、これまた速い軌道で後ろへとトスする松方。そこに走り込むのは下平くん・・・!!
得意の移動攻撃・・・いや、これは囮だ!!

家守先輩が教えてくれた。小細工を弄さなくても豊瀬のアタッカーの力をちゃんと引き出せば朧とも勝負できる。
家守先輩が大船先輩の高さを信じたように、俺は間白のスピードを信じる!!

移動攻撃を行った下平くんを更に追い越しての移動攻撃を行う間白。
このスピードには朧もついていけない。
うむ、いかに計算に優れていようとも追いつけないのでは意味がないという話ですな!!
持ち味を活かして闘う。これが松方の決めたことでありますか。ダブルワンレッグ。なかなかに派手な決め方だ。

・・・後輩達を見てみろ。皆お前のマネをしている。お前は立派な先輩だ

リードを守り切れず下がることとなった家守先輩。
その不甲斐なさを悔やんでいたようであるが、家守先輩が頑張ってきたことは無駄ではない。
普段は寡黙な山縣先生だが、決める時はちゃんと言葉にしてくれる。有難いですねぇ。
しかし金田もマネするんだ。いい笑顔しやがってまあ・・・可愛いことよ。



第67話・声  (2015年 45号)


どうにか朧のブロックを躱して得点に成功した豊瀬。
しかし朧の怖さはブロックだけではない。攻守ともに厄介なのだから困ったものである。

高さに勝る大船先輩を加えての3枚ブロック。
しかしそれも落ちながら打つというタイミングのずらしかたで避けてみせる朧。
こうも変幻自在では対抗手段も取りづらいなぁ。
松方には考えがあるみたいですが、何でありましょうか。

ともあれ竜泉のサーブ。受けて今度は豊瀬の攻撃。
今回は大船先輩が前に出ているので朧の上からスパイクを決めることが出来る。
が、その大船先輩に向けたシフトを取る竜泉。
高さは凄いけどコートの後ろに正確に打ち込める技術はないんだろうと読まれている様子。
パワーばかり鍛えてテクニックが追いついてないってことですかね。今後の課題になるかもですな。

身体のどこに当たってもいいからボールを上げようとする小林くん。
その意気は良いが、顔面にもらったらKOされてしまっていたかもしれませんぞ。
メンバーの少ない竜泉としてはそういう手段で来られるのが一番厳しいかもしれませんな。
さすがに主人公チームが相手のメンバー欠員を狙う戦法に出るのはどうかと思いますが。

さて、朧対策のためにこちらもシフトを取る豊瀬。
朧のスパイクのブロックを行うのは正面の選手1人。残りの5人はレシーブに回る
どうせブロックできないのであればレシーブに回った方がいいという判断でしょうか。
そしてリベロである金田が皆にレシーブ位置の指示を出すとのこと。
朧が狙ってきそうな所に一番近い奴に指示を出せとのことだが・・・果たして上手く行くかどうか。

これまでボクは自分の身体と直感だけを信じてきタ。
そんな人間が指示を出して、皆従うカ?

自分の性格が人から見て異様だということは金田自身も理解している。
これまではそれでも問題ないと思っていたのだろうけど、リベロとしてそれではいけないと先のセットで痛感させられた。
とはいえこれまでやってこなかったことがすぐに出来るのかどうか・・・悩ましい。
が、そんな悩む背中に飛ぶ声は・・・!!

つっこめ金田!!

猫田先輩の声に動かされ、突っ込んでボールを拾う金田。
これが指示を出すリベロの力か!!
身を以てその力を感じた金田。ほほう・・・リベロの先輩後輩間の感じも随分と良くなってきたものですなぁ・・・!!

猫田先輩の活躍も見れたし、本当にチーム一丸となっているこの試合。
そして迎えるは再びの下平くんのサーブ。
上手くハマればそのままこのセットを奪取できる可能性もありますが・・・さてさてどうなりますか!!



第68話・異端者たち  (2015年 46号)


時には異質な者が世界を変えることもある
そのように語るのは異質寄りである雨竜監督。
異質な監督が異質な方法で異質な選手を中心に作り上げたのが今の竜泉でありますしねぇ。普通を語っても仕方があるまい。
しかし同じく世界を変えるだけの異質な選手は相手側にもいたりするわけで・・・

朧はオンリーワンの才能だ。
朧を中心に革新的なバレーを展開して日本一になる算段はある。しかしアレは・・・

さすがの雨竜監督もすぐに打開策を見つけることができないのが下平くんのサーブ。
今回は安易なネットインはやらないでしょうし、どうなることか。

もう逃げないよ。攻め続けなきゃ朧君には勝てないみたいだから。
このボールがどう変化するのか、僕にもわからない。
全身全霊100%の無回転!!!

遠距離から全力で放つ無回転サーブ。それは今まで見たなかで一番美しい無回転。
速くまっすぐに、1mmも回転することなく空気を掻き分け突き進んでいく。

もしかしたらそれは、美しすぎた

完全なまでの無回転。それがもたらすのは変化せずにまっすぐ飛ぶサーブ。
何と言うことだ。完璧を作り上げたら結果がこれとは!!
うーむ。やったことのないことはやっぱり博打にしかならないってことですかねぇ。
せっかくのサーブのチャンスでこれは厳しい。
逆に竜泉側にしてみれば下平くんのサーブを1本で切る千載一遇の好機!!!

もちろん確実に決めるために朧にスパイクを任せる。
バレエ選手の技も見せつつの一人時間差で相手のブロックをかわしてのスパイク。
正面を抜かれ、誰もいないところに落ちる・・・はずが、そこに飛びこんできたのは下平くん!!
指先だけのレシーブで高く上げてみせる。おぉ・・・こんなところでも上げられるもんなんですなぁ。

下平くんが拾ったボールをきっちりと決める豊瀬。これは大きい。
この大きすぎるプレーに抗議を行う朧。さっきのは落ちていたのではないか、と。
ふうむ。一度下された判定が抗議で覆ることがあるのかどうか。
前の下平くんのサーブが外れた時も覆りそうな雰囲気はありませんでしたしねぇ。
そして雨竜監督は別の面でもムダだと述べる。異端者が急に声をあげたって誰も聞く耳もっちゃくれねーぜ、と。

『コート上の詐欺師』敵も見た方も全て騙し抜くのが当時の俺のやり方で、そんな俺の言葉はもはや仲間すら信用しなくなっていた。
いや、一人だけ。何度騙されても信じてくれた人もいたっけ

異端者としての自身の過去を振り返る雨竜監督。
そしてその異端者である自分を庇ってくれた山縣先生に倣うかの如く・・・意義を唱える!!

バレーの教育方針は大きく違う両者ですが、やはり教え子。その魂は受け継がれていたということでしょうか。
しかし一度イエローカードをもらっている雨竜監督。ここでの抗議がどういう結果を招くこととなるか・・・怖い所ですな。




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