蒼天紳士チャンピオン作品別感想

ケルベロス
六十一刻 〜 最終刻


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 第一刻 〜 第三十刻 (2010 6〜36+37号)   第三十一刻 〜 六十刻 (2010 38号〜2011 17号)

 第六十一刻 〜 最終刻 (2011 18号〜2011 47号)



第六十一刻 歩む、モノ  (2011年 18号)


第3世代狗骸、黒鱗の墓守、真堂陵太郎がやってくる。
陵太郎の陵は、陵墓の陵だ。墓守らしい名前ですな。

真堂は、現在常世の最重要危険対象に指定されている外道の墓守である。
仇喰のようなまがいものの狗骸ではなく、正真正銘の墓守。
学校に墓所を持っている景とはまた何か違いそうですけどね。

さらに景と違う点は、奴には何の交渉も通じない。
正義も倫理も道徳も何ひとつとって、我々と通じることのない手のつけられない化物だ。

紳士みたいな顔して、奴の目に映っているものすべて――エサか否か、排除すべきか否かそれだけだ。

紳士みたいな顔して実は酷いってことか。チャンピオン紳士の亜種ッスね!
我々も紳士みたいな顔して酷い感想述べたりしますからね!方向性がかなり違うけど。

ともかく、そんな外道紳士が道を行く。
常世の第四錠前隊は、なんとかしてその歩みを止めようとする。無謀な。
隊員たちの仇をとるために戦う、東方常世第四錠前隊隊長、木重邦長。
しかし、その力は全く通じませんでした。無惨。
そもそも、真堂は相手が常世だと認識すらしていなかったらしい。
つまり相手が誰とかどうでもよかったのか。邪魔だからどかしただけと言いたいわけですな。こりゃ酷い。
真堂の手により、第四錠前隊は壊滅しました。

常世は50年に渡り真堂を追い続けている
人を殺し、人を潰し、世を嘲う、魂を喰らい歩く化物。
それが真堂陵太郎である。

ちょっと重要な話がでてますな。50年以上活動しているというのかい?
墓守の力で若さを保っているのだろうか。肉体が再生するように老化もしなくなっている?
ということは、だ。景君はずっと可愛いままということになるのだろうか!?こりゃ重要な話やで!
墓所さえ失わなければ、長生きできそうなんですね。

さて、その最高にヤバイ男が向ってきている。
第一錠前隊の隊長親子が単独で救援に向っています。部下はウザイから置いてきた。いや、危ないから置いてきた。
隊長のコジマ(父)は冷静。戦う気は毛頭無く、生きている奴を逃がしに行こうとしている。
が、間に合いませんでしたな。
第四だけでなく、第二錠前隊も、隊長の坂さんを含めて壊滅してしまっています。
しかし、見事に男連中ばかりやられてますな。
第一の娘っこや、第三のお嬢さんっぽい隊長は犠牲になっていません。
ヒドイ目にはあうけど、なんだかんだで生き残るのがフクイ先生の世界の女性である。過去の話とかは例外だが。
やっぱりフクイ先生は女性に優しい人なんや!知ってた!

常世は、真堂を。黒鱗を倒す術を求めている。戦える術を探している。
霊術、呪具、人工狗骸、戦闘員、呪術師、特異能力者。
そして、本物の墓守、十三塚景。

冬子先生を救ってもらった恩はあるし、因縁の相手でもある。景としては戦わない話はないですな。

そんな真堂がついに、景たちの前に現れる。
真堂は気安く景に声をかける。しっかりと、景のことを認識しているようだ。
そして、その狗骸、黒鱗も雪房に声をかけてくる。
雪房と黒鱗の関係も気になりますなぁ。黒鱗は第3世代とか言われてますが、雪房はどうなのか。
いろいろと設定が明らかになりそうでワクワクします。
ところで、黒鱗は目尻が妙にフサフサしている。ひょっとして雌犬とかだったり?
生前は雪房と雄雌の関係だったりするとか!?それなら、世々さんが楽しいことになりそうだからアリだな!



第六十二刻 魔犬、邂逅  (2011年 19号)


父の仇が目の前にいる。この事実に、さすがに景も冷静ではいられません。
雄叫びと共に真堂に飛び掛っていく。
しかし、黒鱗の形状が変形し、その拳はふさがれる。

変身していない景君の攻撃なんて痛くもないし、通してあげればいいじゃない。
と思わなくも無いけど、手の形状を見ると一応変形してますのね。

10年ほど前、真堂は景の父親を殺した。そのことを、すまないと思っているという真堂。

何も殺すことは無かったんだ。
殺した所で、何の意味もなかったんだから

これはヒドイ。何の意味も無く父親は殺されたと言いますか。
そんな理由で謝られたってねぇ・・・なんともはやなド畜生である。

景が墓守になっていたことに驚いたという真堂。
しかし、黒鱗はいう。予感くらいはしていたのだろう?彼女の子供なのだから、と。
因縁は運命を・・・定めを生む。

これはどういうことでしょうな。景の母親が何か特別な存在だというのでしょうか?

ともかく、現在ピンチな状態であることに変わりなし。あ、黒鱗さんカッコイイっすね。

常世としては、墓守の景を対真堂の切り札として仕込むつもりだった。
しかし、その前に潰されようとしている。こいつはヤバイ。どう対応するか考える里見。
だが、考える前に飛び掛る人物がいた。斬子さんでございます。

コイツは斬っていいんだよなァ、先輩!

話についていけたかは怪しいが、とにかく斬ってよさそうな人物なので飛び掛ったようだ。斬子さんらしいや!
まあ、斬子さんの持つ挽金は、おそらく対墓守用。狗骸対策につくられた呪具でしょうしね。
そりゃ我慢が効かなくなるのもしょうがない。
しかし、代償は伴う。
真堂が手を払うと共に、黒鱗の形状が刃物となり、切り裂く。
比嘉隊長がかばってくれたおかげで、胴体切断とまではいかなかったが、右足を斬り落とされる斬子さん

足を斬られながらも、吠える斬子さん。
だが、その状態では勝ち目があるはずもない。押しとどめようとする比嘉隊長。

まあ、救護班長が側におりますし、大抵の傷ならどうにかなるんじゃないでしょうか。
ならなければ、片足も武器に変えるしかないですな。大砲仕込んだ義足にするとかどうでしょう。

真堂は言う。今日は常世に用はないと。
どうせ、潰そうと思えばいつでも潰せるんだし、と。
50年間いろいろ頑張ってきたけど、常世は敵とも認識されていなかったようだ。ううむ。

さて、真堂が墓所を展開する。中にいるのは景と真堂。雪房と黒鱗のみである。
景が動けない状態なので、雪房が頑張って抗おうとする。
そういえば、黒鱗は同属喰いとか呼ばれてましたね。こりゃ、雪房も危ないということでしょうか。
接近してくる真堂を迎え撃つ雪房。しかし、その攻撃は黒鱗に阻まれる。

人間に戦う力を与える道具として造られた第2世代狗骸の貴様が・・・
人間に戦う力を与える武器として造られた第3世代の俺にかなうわけないだろう。

その言葉と共に、雪房が宿ったガクランがビリビリに切り裂かれてしまう。
雪房自身は無事のようであるが、墓守である景から離れてしまい、大ピンチ。
そこに真堂の手が伸びる。

さあ、景君教えてくれ。
永遠不変の力・・・久遠の力を得るカギとなる・・・
君の母親の魂は――どこだ?

母親の魂?永遠不変の力?
いきなりの展開にとまどう景。そして読者。
やはり景の母親は特別な存在だったらしい。だから、真堂が10年前襲ってきたと。ふうむ。
風雲急を告げる展開であるが、どうなるんだろうか。助けが来てくれるのを期待していいのか。
魂のことなんて知りませんといえば離してくれたりしないだろうか?甘い考えかな?
景はそれで見逃してもらえても、今度は雪房が危なそうである。同属喰いというフレーズは怖い。



第六十三刻 その、目に  (2011年 20号)


単行本6巻が大好評発売中!
今回は常世の5人が表紙です。たまにこういう表紙になるのもいいものだ。
おまけ漫画も充実してます。神崎家は楽しそうだな。祈ちゃんが大盛りご飯食べてるのも見逃せない。
そして、舞美ちゃんと高橋さん。いい関係になってますな。
でも、Love舞美BANKはさすがにどうだろう。なんですか、結婚資金なんですか?

本編。
雪房は切り裂かれ、景は無防備な状態で真堂の前に立たされている。
あの日の記憶はおぼろげに思い出したばかりの景。
母親がどうなったかまでは思い出せていない。なので、思い出させようとする真堂。

というわけで、今回は回想でございます。景の父が殺されたあの日の出来事の。
10年くらい前。
今とは違う家。縁側のある古い家に住んでいた。そこに訪れる真堂陵太郎。
異様な雰囲気の来客を見て、景を下がらせようとする父。
しかし、真堂はそんな父の頭を掴み、挑発してくる。

真堂が墓守になってから半世紀。
墓に死者が居なくては、墓守は続けられない。だから、維持する為に黒い魂を集めている。
墓所を維持し続けている限り、若い姿のまま活動できるのが墓守。
しかし、さすがの真堂も、何年も黒い魂を集めて回るのはうんざりしてきているようだ。

真堂は父に問う。どこまで知っているのかと。
雛羽様・・・狗の姫はどこまで君に教えているのか、と。

それに対し、父。あんまり子供の前でお父さんに恥をかかせるなよと返す。あら、カッコイイ。
真堂のことを常世の一員かと考える父。やはり狗骸と常世は険悪な関係なんですな。
景の母親は狗の姫と呼ばれている。
父は、家内をその名前で呼ぶ奴は、敵ということだけは知っているようだ。

吹き飛ばされる父。勝手に家にあがりこもうとする真堂。
大事な絵本を踏まれて、極まった景が泣きながら真堂に向かう。これは危険が危ない!
なので、2階から母親が降ってきました。日本刀持って。
刀を真堂の肩口に突き刺す母。いやぁ、母は強しってやつですね!

対面する真堂と景の母。
雛羽、景の母は狗骸を造る一族の里『狗神の里』の姫であるとのこと。
代々その魂には、久遠の力の源となるものが受け継がれているらしい。

狗神と来ましたか。こりゃ大きな話になってきましたな。
久遠の力なんてものはないよ。眉ツバ眉ツバと返す母。しかし、真堂も簡単にはいそうですかとは言ってくれない。

訓練された常世の人間が大人数でも敵わない真堂である。
景の両親は立ち向かうが、対抗できるはずもない。
真堂は、狗神の一族の呪われし真なる黒き魂を墓所へ納めてこそ久遠が訪れると考えている。
雛羽さんがどんな人物であろうと、代々受け継がれた魂は黒いものであるから、陸劫が通じるということかね。

呪われた魂だろうと、何であろうとあなたには渡せない。
私の魂は景を守るために・・・

いつでも見守っているから、大丈夫。
そう言い残し、真堂の陸劫に焼かれる母。
まあ、こんなところを見せられては、記憶も封印したくなるってものですやね。
父だけではなく、母もまた真堂に害されていた。その事実を知った景はどうするのか。

それにしても結局、母の魂は逃してしまったという真堂。
母の魂であるし、景君が知っているんじゃないかと考えるのはムリのない流れか。
しかし、村抉さんのころの回想の回を読み返してみると、真堂はここで七辻を使っているんですよね。
父の死の場面も出てくるでしょうし、もう一波乱ありそうな気がする。
とはいえ、どちらにしろ悲劇な記憶にしかならないのは確定しているわけで。辛いわぁ。



第六十四刻 父と、母と  (2011年 21号)


真堂の陸劫が母、雛羽に放たれる。
墓所の中心で雛羽の体が炎に包まれた。
そして、飛び出してきたものは・・・なんだこりゃ!

狗の姫、雛羽の魂と同化しているというよくわからないもの。
頭が切り落とされた、棘だらけの軟体生物といった形状のもの。
それが、最初の狗骸『惧逆』の魂である

惧逆本体は死んだが、その魂は狗骸の一族を崇っている。
代々、その血筋の姫の魂に寄生して何百年と呪い続けているという。

狗骸の一族が造った最強最古、すべての狗骸の雛形が惧逆なのである
これを墓所。黒鱗の腹に収めることで、真堂は途絶えることなき、久遠の力を手に入れることができる。

なるほどねぇ。
こりゃ久遠の力とやらもハッタリじゃなくなってきましたな。
何百年も呪い続けてきた黒い魂。その力を得れば、ずっと黒い力で満たされていることになるわけか。
でも、雛羽さんの魂も一緒に持っていかなくてもいいじゃありませんか。
なんとか切り離して勝手に持ってってくださいよ。同化してるから無理か。

陸劫により、雛羽と惧逆の魂を墓送りにしようとする真堂。
しかし、その陸劫が消し飛ばされる。
魂は肉体から抜け切ったのだが、その魂が陸劫を跳ね除けたのだった。
そして魂は弾けて飛び去る。
飛び去ってしまう前に、雛羽の魂は夫の、息子のもとを訪れる。
別れの言葉を述べて飛び去っていく雛羽の魂。むう。

黒鱗さんの言葉によると、惧逆の魂に意志はないらしい。恨みと呪いだけの存在か。
なので、今の現象は、里の連中が行った細工ではないかと推測する。
まあ、この力を奪われたりしたら危険なことになるのは目に見えてますしね。

惧逆の魂はどこに行ってしまったのかわからない。また長い時間をかけて探さないといけない。
この事態に腹を立てる真堂。墓石に八つ当たりだ!その墓石触れるんだ。

そんな真堂は置いておいて、雛羽の亡骸にすがりつく父、十三塚純。
思い出すのは、学生のころ。里を出て生きる雛羽と話をしている。

あんたが怖がっている『いつか来るかもしれない敵』ってのも、俺がやっつけてやる

景のじいちゃんの話によると、父は昔は頼りなさげだったという。
それが、母とであったことにより、強くなったと。
狙われている雛羽を守る為に強くなった純。しかし、守れなかった。無念でありますな。

無念の涙を流す純さんに、真堂の魔の手が伸びる。
これが、景が思い出した父の死の光景でありますな。
しかし・・・本当に意味なく殺していやがったんですな。回想前に、殺す必要はなかったと言った通りだった。
まさか、腹いせに殺しただけだとか、それはないだろう。オイ。

しかも、君たちが気に入らないという言葉が気になりますね。
景がその時に生かされているのは、何か理由があってのことかもしれない。
惧逆の魂は母の雛羽と共にある。だからこそ、景を生かそうと考えたのかもしれない。
ううむ。そんな景が墓守になるとはなんとも奇縁ですなぁ。

両親喪失の真相を知った景。どうなってしまうのか・・・
救援の見込みも薄いし、先が見えない状態ですなぁ。それでも何とかしてくれると信じてますけどね!



第六十五刻 俺が、必ず  (2011年 22+23号)


回想は終了。景は父と母の死の事実を知ったのであった。
その光景は雪房にも見えていた。
奴らの目的は、久遠の力を与えるもの・・・景の母の魂と共にあるモノ、最初の狗骸、惧逆!

雪房は景に逃げるように声をかける。本人はほとんど動けない。
黒鱗により存在可能のギリギリまで刻まれているのだ。

事実を知った景。やはり怒っている。激怒している。
惧逆。久遠の力・・・

人から、親ァ奪った理由がそんなことか!?

言葉と共に真堂の顔面に拳を叩きつける景。
とはいえ、墓守の形態になっていない景では力が足りない。元気のよさは評価されているけど。
真堂からしてみると、威力はともかく、こういった態度は気に入らないようだ。
父親と同じ、立ち向かう目。それが気に入らないといった感じである。

君にはまだ死なれては困る。あの日、君を生かしておいた意味がなくなるからな・・・

やはり、真堂が景を生かしておいたのは、景が雛羽さんの血を継いでいるから。
狗神の里の血が流れているためらしい。
成長すれば、おのずとその血が同胞と引かれ、雛羽さんの魂を探す手がかりになる。真堂はそう考えたのであった。

今回、真堂が来た理由はひとつ。景に伝えることがあったためである。伝えることとは――

もう少し生きろ、私の為に、な

わざわざ常世の人たちを蹴散らしてやってきたのに、それを言うためだけだったというのか?
なんだか意趣返し的な行為に聞こえますな。
殺せず、生かしておくしかない相手なので嫌がらせしに来たと言っているように聞こえる。
だから、景は反発する。

俺の命は、父さんと母さんにもらったんだ。
俺が1分1秒でも生きてたら2人のためだ。テメェのためだなんて絶対思わせてやるもんか!

その言葉に笑みを見せる真堂。そして、見せる。景を動かすためのエサ。
景の母、雛羽の肉体だ!
あの日。魂は逃げたが、肉体はここに閉じ込められていた。
ずっと、黒鱗の墓所で眠り続けていたのであった。死してなお、朽ちることなく。

この扱いにキレる景。殴りかかるが、普通の人間の状態で勝てるわけはありません。
真堂に殺さない程度になぶられる景。
しかし、待て景。
これは逆にチャンスじゃあるまいか?死体は朽ちずにここにある。
魂はどこかに行ったけど、消えずにいる可能性が高い。
つまり、雛羽さんが生き返る可能性はあるってことじゃあるまいか!?
しかも若い状態のまま蘇るわけですよ。これは嬉しい誤算じゃあるまいか。真堂もたまにはいいことするな!

それは先の話として。
真堂は言う。景に、雛羽さんの魂を探すように。

君が雛羽様の魂を見つけたら、また会いに来るよ。
必死に探せ、これが欲しければ。

この挑発に激怒する景。

絶対に俺が母さんを取り戻す!父さんの無念も晴らす!ぶちのめしてやる!
その時、俺がお前をぶちのめす!

――その時が来たら、私もようやく君を殺せる

そう言い残し、踵を返す真堂。ようやく去っていくか。
背中を向けたので、黒鱗さんの顔がこっちを向いています。黒鱗さんは、雪房に言い残す。
今回は見逃すが、次はもう一太刀多く刻んで、完全に殺してやろう、と。

景にとっても、雪房にとっても、倒さねばならない共通の相手でございますな。
1人と1匹の苦悩はここから始まる・・・ということだが、とりあえずは体を癒して欲しいところですな。
次回からは、雛羽さんの魂を探すのと強くなるための話になるのでしょう。
最後の崩のことは、まあ、とりあえず放置で。

まずは雪房をどう修復するのかということでしょうな。もしや、狗神の里とやらに行くのか?
そうなると、常世につくと約束してしまったのが面倒な話になる。
常世に協力すると言ったな。あれは嘘だ。
と言える景なら問題はないが、そういうわけにはいくまいし、難しい。
まあ、常世も標的は真堂なんですし、ある程度の協力は見込めそうですけど。はてさてどうなるか。

しかし、真堂の小物化も激しいな。どちらかというと黒鱗さんの方が大物っぽい。
惧逆についても、黒鱗さんがそそのかして手に入れさせている感じがありますし・・・
ひょっとして、最終的には黒鱗さんが真堂を逆に乗っ取るという流れでありますかな?ありえそうだ。



第六十六刻 糾う、同胞  (2011年 24号)


鴉崩や真堂との戦いは終わり、疲れ果てた景。その景が目覚めたのは見知らぬ屋敷。
景の体は手当てされているが、雪房の姿はない。だから傷の治りも遅そうだ。
雪房と冬子先生を心配する景。そこに望月さんが現れる。待ってた!

あの日の戦いから3日が立っていたという。
それまでこの屋敷に逗留していたのか?叔母さんたちが心配しそうだなぁ。

真堂のこと、父と母のことを思い出して、いてもたってもいられなくなる景。
でも今は安静にしていなければなりません。落ち着いてください。ゴリリ・・・なんだこの音!
気づいたら、布団の上で望月さんに組み伏せられる景の姿があった。文章にするとなんだかひわい!

景が寝ていたのは、東方常世の本陣営。長老屋敷である。
隣の部屋には長老と里見の姿があった。
里見が言うには、3日前から景は常世の一員になったのだから、長老は仕えるべき相手なのだということ。
そういうのって面倒くさいッスね。斬子さんくらい自由にさせてくれたらいいのに。
まあ、長老はなんだか優しげな感じの人ですけど。
前に出てきたときも、ガタイは凄くいいのに丁寧な物腰の人だったからなぁ。
景の頭を撫で、もう少し休むように諭す。
その気遣いが本当のものかはわからないが、少なくとも景の毒気は抜かれている。うむむ。

長老「ケロ子・・・景の世話役を頼むぞ」

ケロ・・・子?斬子さんもそんな呼び方してたけど、なんで長老まで!
実は長老発の呼び名だったりするのだろうか。斬子さんもこれなら覚えられるってわけだ。
それはともかく、常世について簡単な説明をしてくれるケロ子こと望月さん。
常世は大きく東西南北4つの方向に分かれている。
常世で一番えらい人は、その4つの常世をまとめている・・・中央常世の大長老。とのこと。
ふむ。東西南北中央常世スーパー長老ってところでしょうか。強そうだな。

景は今日から、東方常世、第五条前隊の一員という扱いになる。
要するに、副隊長である望月さんの部下という位置づけになるわけだ。ほうほう。
てなことを説明していると、奥から冬子先生がやってきました。
相変わらず泣き虫な先生である。可愛いな。
冬子先生は景より先に治療を受けていたし、その時から命は繋いでましたからねぇ。今の景よりよほど元気だ。

そして、冬子先生に声をかける人物がいた。
園城先生。救護班長殿だーッ!ついに名前が判明しましたね園城さん。
それにしても凄い格好である。なんというか、かんというか、あざとい・・・!ヘッヘ。
あまりに似合いすぎて逆にあざとく感じるけど、でも可愛いからいいやと思えてしまうから困ってしまう!
しかし、園城さんは小さいな。景よりずっと小さいとは。でも威厳はあるという。イイネ!

園城さんは、礼を言う景をお人好しだと考える。
まあ、常世からしてみれば、状況を利用して墓守をまんまと取り込んだってわけですからねぇ。
今はとにかく冬子先生が助かったということで喜んでいるけど、今後どうなるか。

それを表すかのように、長老の言葉。

捉えた獣の手綱・・・決してゆるめるでないぞ。
程良く躾け・・・程良く馴らせ

ふむ。先ほどの優しさもその辺りを考えたアメということなのでしょうか?
そういえば、この長老。墓守は獣であると望月さんに教えていた人じゃなかったっけ。
墓守に対する危機意識が強いのかもしれませんな。
でも、神楽辻のおばちゃんのことはちーちゃんと呼んでいる長老。なんなんだアンタは!

ちーちゃんこと神埼千歳。世々さんの母であります。
長老とも親しい?間柄のようですが、学生時代の戦友とかそんな関係なんですかねぇ。
この長老は悪い人なのかどうか読めない。底が見え始めた里見とはえらい違いだぜ!

さて、景の方。
友恵さんたちが無事と聞いて本当に嬉しそうな表情を見せる。
友恵さんや家族に、墓守や両親のことを話さなければならない。そのために帰る。
帰宅の許しは出ていますので、いつでも帰ることはできます。
望月さんは言う。景が力が出せるのは、日常があるからだと。
日常を守るために力を発揮するのが景でありますからね。

というわけで、望月さんが制服を着て現れました。日常だからです。
それは、景の学校に通うという宣言なのでしょうか・・・ふむ、楽しみが増えてよいことだ!
でも、制服姿はあんまり似合っていないような気がしないでもなかったり複雑。

景にとっての日常。ということであれば、必要なものがある。
園城さんがカバンを開ける。そこにあるのは、学生服。雪房だ!
バラバラになったのを糸でつぎあわせたのだろうか?
継ぎ目のところが丁度目にかかっていて、かっこいい雪房になっている。ツワモノっぽい!

何はともあれ、雪房も復活。
日常を守り、真堂たちへ借りを返すことを誓うのでありました。

いい雰囲気の流れですが、常世の一員になってしまった景。
それを良く思わないものたちがいる。狗神の里の人間だ!
雛羽姫という、里でも特別な人間の息子。それが墓守となり、常世に与する。
狗神の里の人たちにとっては許しがたいことなんでしょうな。
というわけで、墓守と思しき集団が現れました。今後は墓守との戦いもありえるわけですか。厄介ですな。
崩が1体残っているけど、そっちは割とどうでもよくなってきましたな。
墓守と常世で争っている巻き添えで8体目もやられちゃいそう!



第六十七刻 犬と、子供  (2011年 25号)


単行本7巻は6月8日発売。これはまた見事なおっぱいな表紙である

常世の長老屋敷を出て、家路につく景と雪房。
冬子先生は、2人きりにさせてあげたいということで、一緒には帰りませんでした。
冬子先生にもたれかかる園城先生はなんでしょう。甘えているのかなんなのか。

負けて帰るたそがれ時。
3、4時間くらいかかるけど、のんびり帰ろうとする2人。
その途中、雪房は景に謝罪する。
黒鱗が街に来ていたことを雪房は気づいていた。
しかし、関わらせたくなかった雪房はそのことを景に告げずにいた。
教えておけば、もしもの時の襲来に備えられたかもしれないと気に病む雪房。
といっても、あのタイミングで来られちゃ備えるも何もないと思いますよ。連戦でしたからなぁ。

この謝罪を受けて、景。俺がびびることでもちゃんと教えろよと言う。
しかし、その言葉に目をそらす雪房。景君怒った!

黙ってんじゃねえ!平面くそバカ犬!

雪房は立体になることも多いので気にしてなかったけど、確かに普段は平面なんですよね。
平面犬の雪房は根性がありそうだ。根性根性ド根性。どちらかというと景の方が根性担当な気もする。

学生服ごと雪房を叩きつける景。さらに追撃で拳を叩き込む。効いてるのか?
さらに追撃を行う景。頭を冷やせという雪房。しかし、景は止まりません。腰抜けと侮辱する景。
誇り高い雪房は侮辱は看過できない。やーい、負け犬負け犬!
平面犬から立体犬になった雪房が向かってきた。喧嘩の始まりだ!ヒャッハー!

お互いボロボロになって道路に横たわる。景が善戦しているだと・・・?
どうにか落ち着いた様子なので、あらためて黒鱗のことを伝えなかったことを詫びる雪房。
黒鱗は危険である。だから関わらせたくはなかった。戦えば負けるから。
雪房にとっては敵であったが、その時は景にとっても敵になるとは限らなかった。だから黙っていた。

そういうことをちゃんと言えってんだ・・・
お前の敵を、何で俺に教えてくれねえんだ。バカ野郎。

景が怒っていたのは、まさしくその点であった。

これからずっとどんな敵にも、俺とお前で立ち向かうんだ。
俺の敵にもお前の敵にもな。

ああ・・・そうだな。
私たちは2つでひとつ・・・だものな

喧嘩して絆を深める。おぉ・・・まるで少年漫画のような展開じゃありませんか!
いろいろ歪なように見えて、王道を走るのがケルベロスでありますからなぁ。よい話だ。

真堂たちは強い。今すぐ戦っても絶対勝てないと景は分かっている。
だから、もっともっと強くならないといけない。
冷静ではいられず、内心では煮えたぎっているけど、玉砕したりはしない。とにかく勝たねばならぬのだから。
そんな景を心配して忠告する雪房。

強さへの渇望で身をこがすでないぞ・・・
何だ雪房。かっこつけて。

かっこつけてるんじゃないわ!
といいますが、確かにセリフだけ読むとかっこつけてるように聞こえなくも無い。なんという中二。

さて、時間をかけて帰って来ました十三塚家。
無断外泊をしたということで、早速叔母さんの拳骨。さらにビビビビンタを3日分+1。
1日分多かったので頬ずりしてくれますが、メガネが痛いのでやはり攻撃になってますですよ!
しかし、清さんはまた凄いTシャツ着てるな。I Love OI. I Love 甥ですか。まあ大胆な。
どう考えても売ってるとは思えないし、自作したんでしょうな。

叔母さんは無断外泊と言っていたが、じいちゃんは連絡を受けていたらしい。
連絡してきたのは『長老』のオッサンだ

なんと、じいちゃんは東方常世の長老を知っていた!
これはどういうことか。昔からの知り合いなのか?
考えてみると息子の嫁は狗神の里の姫である。ある程度の関係はあってもおかしくはない。
しかし、なんとなくもう少し深い知り合いな気もするんですよね。
昔一緒に戦った仲であるとか。そういえばじいちゃんも長老も2人とも体格がいい。
若い頃は2人でプロレス部に所属していたもんだとか言い出してもまるで違和感がない。
どうせなら千歳さんも所属してたということで、過去回想でプロレス編に突入とか!脱線しすぎだな。



第六十八刻 家族、思い  (2011年 26号)


お前のことは『常世』から聞いている。
じいちゃんの言葉に驚愕する景。何でじいちゃんが常世を知っているんだよ!?

この家で常世のことを知っているのはじいちゃんのみ。ばあちゃんや清叔母さんは知らないという。
ここでじいちゃんの若い頃の姿が明らかになる

ナニコレ、長老かっけぇ!
じいちゃんもなんだか荒れくれものって感じですね。後ろにいるのは千歳さんでしょうか?
他にも常世側っぽい隻眼の女性とか気になる姿がある。
そして、じいちゃんの側にある看板は・・・神楽辻愚連隊?
神崎のおばちゃんがやっている神楽辻古書店と同じ名前か。いろいろと設定がありそうですね。

この町に住んでるとな、運の悪い奴は連中と関わっちまうんんだよ。そういう町なんだ。

崩や悪霊などが出ると、常世が介入しているみたいですしね。
町の封鎖とかいろいろ手を回しているみたいですし、霊関係に携わると関わることは多そうだ。

真堂と黒鱗。景の父である純と母である雛羽を殺した男たち。
じいちゃんはそのことも長老から聞いて知っていた。知っていて景には教えずにいた。

真実を伝えないことが景の心を守ることになると思っていた。
俺にはそんなことぐらいしかできないから・・・
2人は、事故で亡くなったと嘘でごまかした。いつか本当のことを知ったときに傷つくのはわかっていたのに・・・

じいちゃんは孫に土下座をし、詫びる。この謝罪は重い。
身内の、特に年配の人が頭を下げるなんてよっぽどのことである。
実際、景は心を守る為に記憶を閉ざしてしまっていた。
ならば、無理にその記憶を呼び覚ます必要はない。そう考えても不思議は無い。
でも、そのことをずっと心苦しく思ってきたんでしょうなぁ。じいちゃんの気持ちも分かるぜ。

景は語る。最近、いろんな人にあったと。

妹を守る為にひとりで戦うって決めたやつ。
兄ちゃんを守る為に怖い力を受け入れた女の子。

みんなを守りたいって思いを・・・人に残して託すことをし続ける人たち。

勝てるはずない相手に立ち向かう奴。
間違いに気付いて立ち向かった人たち。

それに、自分を守ろうとしてくれた父と母のことを思い出した。

みんな、誰かのためにがんばってたんだ。必死だったんだ

いろんな人に出会い、景も成長している。じいちゃんがどんな思いだったのかわかるようになってるのでしょう。
だから、頭を上げて欲しいという。
実際、景も友恵さんに嘘をつき続けてましたからねぇ。そりゃ気持ちもわかるさ。

その友恵さんには明日、墓守のことも含めて全部話すらしい。
難しいことだが、頑張れと言ってくれるじいちゃん。そして雪房にも孫のことを頼むぜと言う。
ああ、やはりじいちゃん雪房のことも知っていたんだ。
にょきっと出てきた雪房がなんだか可愛い。

さて、じいちゃんと話を終えた景。その直後に叔母さんに捕まっていた。
相変わらずナイトキャップ姿の清さんは可愛いなぁ。

ばあちゃんと叔母さんは、あの日、立ち去る真堂とすれ違っている。
真堂の存在を隠そうとする常世の手で、2人の死は事故として処理された。
ばあちゃんは景のために、そのことを受け入れた。
しかし、清さんはそれには納得しきれず、真相に近づくための方法を探した。
なるほど。新聞記者をやっているのにはそういう理由があったのですな。

じいちゃんは、この件はさておき、清さんに期待しているらしい。
いつかあいつは何かすげえスクープをモノにするんじゃねえかってよ・・・

あらあら、親バカでございますね。いいじいちゃんだな。
ちなみに、若い頃の清さんは子供ギライだったらしい。
それがどうして景を溺愛するようになったのか。

何かよくわからん

わからないのかよ!
まあ、おかしな理由とかではなく、純粋に甥のためを思っているということなのでしょう。
景の笑顔を見て、本当によかったと言う清叔母さんの表情は優しい。

翌朝。
景の上にのしかかってイタズラする叔母さん。
うむ・・・これも純粋に甥を思っての行動なのでしょう!たぶん。

いい感じの十三塚家。景は学校に行く。そこで全てを説明することになる。
のだが、その前に異変が発生しそうな気配。
空から見下ろしているのは、謎の男性。1ページ以上使っての登場は迫力。
神崎のおばちゃんも怖がる電柱より高いところから見おろしているぞ!

その正体は・・・8体目の崩だ!
なんと、しばらく放置されるのかと思ったらもう出てきた。
しかも、他の崩たちの復讐を胸に秘めているという。仇討ちだと!?
うむむ・・・これまでの崩とは大きく毛色が違いますね。しかもその姿は人間ベースだ。
これは人間の体を素材にしているからなのか、それとも?
崩にはあんまり期待していなかったんだけど、こいつはひょっとすると大物かもしれない。
でも、赤目嵐は別に景が倒したわけじゃありません。人違いだ!ヨソを当たってくれ!



第六十九刻 目と、目で  (2011年 27号)


カラスの集団に襲われた東要高校。今は平静を取り戻しております。
そして景君が可愛い顔して登校してきました。

父さんと母さんがくれた日常。じいちゃんたちが守ってくれてた日常。大切にしなきゃ・・・

まさしくそれこそが大事な話でありますな。
日常にあり、日常を守る為に強くなると。
数日休みを取ってからの登校。友人も暖かく出迎えてくれます。
カラスに追いかけられて、冬子先生と一緒に階段から転げ落ちて休んだことになっているようだ。

ここで、教室にカラスを入れたワカメさんがなんか述べだす。
俺たちは教室でカラスの大群と戦ったんだぜ。

お前は何もしてなかっただろ。イラッ。イラッ。イラッ。
なんだか知らないけど、段々クラスメイト達が特徴的になっていっているなぁ。

で、本当に戦うきっかけを作った功労者である舞美ちゃん。
あれからずいぶんとクラスの子と仲良くなっている感じが見て取れますな。
ちなみに読んでいる本は、犬と友達になる方法。吠えない犬に吠えられる子ですものね。ハハハ。

景と雪房に声をかける代わりに、2人分にピースを送る舞美ちゃん。見事なダブルピースっすね。蟹じゃないよ。

金屋ちゃん登場。相変わらず星が舞っているな。
そして帆奈ちゃんに続いて友恵さんが登場であります。
よくみたら、このコマの帆奈ちゃんが白目むいてて怖いんですけど!

登校したら説明することになっていた。友恵さんはなんだか怖がっている様子。でかい体を扉の向こうに隠している。
そんな友恵さんの手を引いて走る景。
みんなが見ている前で、女の子の手を引いて走り去る男の子。

お・・おお・・・ッ!うお〜〜ッ!青春だーッ!

落ち着いてください。

景は友恵さんの手を引いて旧校舎にやってきます。全てはここから始まったのだ。
封印した記憶を返そうとする。確かにそのほうが説明するより早いか。
雪房が顔を出し、吠える。舞美ちゃんに、雪房は吠えないといったけど、場合によっては吠えるよ!

記憶の壁は崩され、封印されていた記憶が呼び起こされる。
崩を解放してしまったことを思い出し泣き出しそうになる友恵さん。
その肩を掴み、元気付ける景。男前やのう。

あの時は、何ていってやっていいかわからなくて、ただ困ってごまかして背を向けていた。

今は・・・今ならちゃんとお前の顔を見て言える。
言いたかったこと自身もって言える。
大丈夫だ!!

景も強くなったもんですなぁ。
でも、それは景がまだ戦うということでありますし。そんなのは耐えられないという友恵さん。
それに対し、景は言う。たまには俺がお前にお返ししなきゃと。
何のことかと問う友恵さんに、思い出すのは子供の頃のこと。

牛乳グビグビ飲んでいる友恵ちゃんの絵がでてきました
むう・・・お腹がぽっこりしている。なんだか・・・いいな!

まあ、小さい友恵ちゃんのことはともかく。
逃した崩はあと一体。それをやっつければ終わるさ。と言う景。
友恵さんが逃がしてしまった部分についてはそうだけど、それだけでは景の戦いは終わらないのよね。
その辺りの説明まではさすがにしないか。

まあ、その前に怒られちゃいましたしね。
必要な手段だったのに吠えちゃだめだと怒られる雪房が可哀想。キャッ。

さて、その話題の8体目の崩さんが始動しております。
この崩は一体何の動物がベースなんですかねぇ?



第七十刻 弔う、一人  (2011年 28号)


景VS仰岐さんの戦いの前のお話。
カラスのダンナと8番目の崩である鋒吹丸がお話しております。
万治郎鼠、百代狸はすでに墓送り。赤目嵐は仇喰に消されました。
山王、仰岐はカラスのダンナの提案を取り入れ、墓守を狙うようになりました。
話の通じない村抉はさておき、鋒吹丸はどうでるのか。
崩である鋒吹丸は応えず、その前方にいた人間が回答する。

僕たちは君のコマじゃない。利用われる気はないよ。

ただ、その『墓守』が君たちを狩り尽くしたなら・・・
僕と鋒吹丸に害を為すなら、僕と鋒吹丸が墓守を殺してあげるよ

なんと、この人間は崩ではなかったらしい。
てっきり冬子先生の時のように人間の体を乗っ取ったのかと思ってましたが、これは意外。
そして、鋒吹丸こそが8体の崩の中で最強であることが判明しました。
まあ、ラストなんですから、そうでないと困る。

さて、時間は現在に戻ります。
冬子先生も元気に登校してきました。1−Bで笑顔を振りまいております。
おかげでクラスメイトが戸惑っている!

先生ってあんなにほがらかだったっけ?

いつも怒っている感じでしたからねぇ。
確かに、昔の冬子先生は怒っているか泣いているイメージしかない。
ともかく、謎の豹変にざわつくクラスメイト。

あれは本物の先生よね?

友恵さん、そのセリフは微妙に失礼な気がするんですが、どうなんでしょう。
おかげで先生がキレてしまいましたよ。
やったー!いつもの先生だー!

所変わって。3−Aでは転校生が来ています。
おぉ、望月副隊長が学校に来ている!
まあ、制服も用意していたわけですし、こうなるのは自然な流れですわね。
さらにフルネームも公開。望月詠理でございます。
望月さんの可愛さに、クラスの男子も思わず頬を赤らめる。
おやおや、これで景のクラスにはまた彩が・・・あれ!?十三塚殿はどこ!?

昼休み。屋上で食事。
叔母さんが作ってくれた弁当は特製。運動会のときのようにデカイぜ。愛情溢れすぎてるな。

友恵さん、金屋ちゃん、帆奈ちゃんの3人も仲良くお食事。
帆奈ちゃんにからかわれる友恵さん。そりゃそうなりますよねぇ。青春だなぁ。
一方、食事前に墓参りに行く金屋ちゃん。
お墓は、タヌキさんとネコさんのお墓。関わった崩の墓を作ってあげるとは・・・よい子ですなぁ。

お墓にお供え物をする金屋ちゃん。その後ろを通りかかったのは・・・鋒吹丸と一緒にいた人間!?
金屋ちゃんの優しさを見たその男。名前を聞く。

・・・知らない人には教えません

あら、金屋ちゃん。結構しっかりしてるのね。えらいねぇ。
普段からそういう風に応えるよう躾けられているのかもしれない。帆奈ちゃん辺りに。

さて、屋上。景たちが食事をしている。そこに望月さん登場。
登場シーンだからって、わざわざ高いところに登る必要はないんですよ。
比嘉隊長もそうだったが、常世の連中は高いところに登りたがるのか?

なぜか3年生にされてしまいましたと泣きつく望月さん。
まあ、望月さんって実は18歳ですからねぇ。そりゃ3年生になっても不思議はないですよ。
その辺りの調整が全くされていないとは思ってなかったんでしょうけど。

通常、常世の人間は単独では行動しない。常に誰かと組んでいる。
何かあって、片方が行動不能になった時、本部への報告は残ったほうがするためである。
つまり、常世において、望月さんと景はペアになるはずだったのだが・・・調整不足ですな!え〜〜ん。
この不備が大事になるかどうか。

それはさておき、職員室。こちらでは冬子先生と園城先生の交流。
なんでこの2人はこんなに仲良くなっているのでしょう。
園城先生が冬子先生を気に入っているように見えるが、その意図は一体!?
無線機を渡したりしてるけど、実は園城先生と冬子先生が隠れペアってことですかね?

そして、カメラはタヌキ&ネコの墓前。
そこには、小さなクツが片方だけ残されていた・・・

ってなんだこりゃ!金屋ちゃんはどうなったんだ!?
割と紳士的に見えた、あの男がまさかの拉致っすか?穏やかじゃないな。
しかし、金屋ちゃん的には久しぶりにヒロインらしい展開である。
このところ影が薄くなってきており、さらに別の小柄ヒロインまで学校に来ちゃって、いろいろ危ない。
今こそ友恵さんに続く初期ヒロインの存在感を示すときでありますよ!



第七十一刻 悪意、辿り  (2011年 29号)


帰りの遅い金屋ちゃんを案じてやってきた友恵さんと帆奈ちゃん。
その前にあるのは、小さなクツでありました。事件じゃー!

それはそれとして、屋上。
かえるの絵の入った水筒を置いて、望月さんがお弁当を食べている。
望月さんの突然の登場に驚いている暇もなく、異変を感じる景。
景もいろいろ鋭くなっているなぁ。景の感知力が鋭くなったせいで、金屋ちゃんの出番が減っている面はなくもない。
違和感を感じて焦りだしたところに友恵さん登場。金屋ちゃんの身に何かあったと言う。
匂いの違和感の正体は、金屋ちゃんの匂いが消えていることだった。
そんなに濃い匂いなんですかね、金屋ちゃん。いえ、変な意味じゃないですよ。きっと能力的な濃さのコトでしょうし。

とりあえず、友恵さんたちには冬子先生に知らせてもらうことにする。
それがいいですな。冬子先生はある程度関係者になった人ですし、動いてもらえそうだ。
その流れで常世に連絡もつけれそうですな。

探しに走る景。その横に並ぶ望月さん。
景に親しい人の顔は資料で全て覚えているという。さすが僕らの副隊長。いい記憶力だ。斬子さんとは違う。
望月さんは景に、常世の通信機を渡す。これで連絡を取り合おうということだ。
そして、手分けして探すことになる。
2人1組で動くのが基本とか言ってたのに、いきなり単独行動しちゃった!だめだよ副隊長。

人気のない森の中まで移動して、常世に連絡を取る望月さん。
周りに人がいる状態では話せないというのもわかるが、これもうかつですな。
こりゃ、無事に帰れたら、比嘉隊長に怒ってもらわないといけませんな。

そんな望月さんが、いきなり酷い目に合います。だから言わないこっちゃない!

地面から何本も四角い棒のようなものが突き出してきた。
その棒のようなものが、望月さんの体を貫いた。
でも、よく見ると明確に貫いているのは、左肩の部分だけっぽいんですよね。
あとは掠めて服を切り裂いているだけのように見える。背中の辺りがよくわからないけど。
つまり、服を切り裂くのが主目的だったのだよ!
現に、きっちりととどめも刺さずに去っていく崩たち。
これなら、たぶん死んでいないはず。いや、いきなり死んでもらっては困る。お気に入りのキャラなんだから。

望月さんが酷い目にあっているころ、景はやみくもに走り回っていた。
その景の前に、血の塊が湧いて出た。
そして走る血だまり。その量で、地面に跡を残して走ったら、つくころにはなくなってないか?
まあ、無事ついたみたいだからよしとしましょう。

誘われて倉庫の中に入る。そこにいたのは――
よくわからないものの中に捉えられた金屋ちゃんの姿が!
ゴポ・・・という音からして、血の塊の中に入っているのだろうか?
思いっきり血だと中が見えるはずはないので、薄めてあるんでしょうけど。

8体目の崩、鋒吹丸はまだ体を得ていないのか?と思ったが、もしや血で体を作ったのか?
そうなると、前までの姿にも説明がつきますな。あれは崩の体ではなく、血で作った体だったのか。
でも、相変わらず人間の方は正体不明ですなぁ。せめ名前でも出てこないと呼びづらいですよ。



第七十二刻 赤き、契り  (2011年 30号)


液体に浸けられている金屋ちゃん。呼吸はできているのだろうか?
普通に考えたら数分ともたないのだが、何か不思議な力が働いているに違いない。

激情に駆られて走る景。変身もしないでいたら、迎撃されました。
棒状のようなものを打ち込まれ、体を貫かれる。

墓守、十三塚景――勝負だ。

言うと同時に、男はマントを取った。
その下は・・・なんだ、この服。妙に胸元が開いているな。
よく見たらチャイナ服なのか?横のスリットが縛られているが。特殊な趣味っすね。

挑まれたけど、金屋ちゃんが心配な景は横をすり抜けて救出に向かおうとする。
しかし、再び迎撃される。今度は階段から血が勢いよく噴出してきた。ホラーだわ。

ここで、ようやく男が自己紹介。名前は九力享司
景が狗骸と共に歩むように、崩と共に歩む者
そう言いながら、崩、鋒吹丸を呼び出す享司。
雪房も、崩が獲物であるはずの人間に呼ばれ従うなどありえないと驚いている。

ところで、鋒吹丸は何の崩なんでしょう。ブルルいってるし、馬なんですかね?
たてがみのような感じのものもありますしね。

崩が現れたということで、ようやく景も戦闘モード。
こいつさえ倒せば、少なくとも友恵さんが背負っている分だけは終わる。
俺たちも行くぜ!

といいつつ、放って置いて金屋ちゃんを助けに行く景。学習能力がないな。
敵に背を向けて走る景。まあ、後ろには雪房の顔がありますしね。
その雪房が警告。撃たれるぞ!
鋒吹丸の体に砲塔のようなものが現れ、棒状の血液がいくつも撃ち放たれる。
まともに喰らう景。雪房が見えていても、これでは意味が無いな。

享司は言う。景がそうやって大切な者を助けたいと思うことを理解できると。

だから・・・君も理解しなくてはならない。僕が君を殺す理由を・・・

鋒吹丸は僕を愛してくれた。だから――僕は鋒吹丸と共に墓守を殺す。崩の敵を殺す。

その言葉と共に、掌から自分の血を崩に飲ませる享司。
鋒吹丸の体は、享司の血液で作られているのだ。

僕と鋒吹丸は同じ血でつながって、同じ血で生きている。僕だけがヒトで唯ひとり崩の理解者だ

なるほど。これは今までにない相手ですなぁ。
しかし、唯ひとりの理解者、か。それで金屋ちゃんを襲ったのですかね?
他にも理解してそうなヒトが現れるのがガマンならなかったとか?今のところ理由は不明。

雪房も、金屋ちゃんがさらわれた理由について考える。
盾にするでも人質にするでもない。勝手におとりになっちゃってるけどね。

他に、何かに結和を利用する気ではないのか・・・!?

他の利用方法とはいったい何だろうか。
同じ理解者である金屋ちゃんを溶かして一部にしようとか、そんなひどい話ではあるまいな。
まあ、この作者ならば服が溶けて、少し皮膚に傷がつくぐらいで止めてくれるでしょうけど。
その姿が楽しみでないとは言えないなぁ!



第七十三刻 暗き、一念  (2011年 31号)


いつもと違う5時間目。
チャイムが鳴っても冬子先生の姿が見えません。いつもなら時間厳守なのに。
景の姿もなく、友恵さんたち3人組の姿も無い。
これは・・・みんなで楽しいことをしているに違いない!!
という発想になる人はさすがにいないか。この間異変が起きたばかりですしねぇ。
舞美ちゃんも胸騒ぎがしているようです。

さて、景の方。
出血の見た目以上に景の血が減っている。長引けば出血死の恐れがあるそうな。
8体目の崩、鋒吹丸との戦いが本格的に始まる。

塞の戸より放たれし8体の邪悪なる化物と死闘を重ねて今・・・
8崩墓送り編、最終戦突入!

何かいきなり、副題がつきましたよ!?
8崩墓送り編。そうか、この崩との戦いも、このあとに続く壮絶な戦いの序章に過ぎないのか。
次は8乙女騒乱編とかいって景君の争奪戦になるとかそういうこともありえるわけだな!

未来のことはともかく、話を戻そう。
享司が崩を纏う。墓守のように。つまり、変身だ。
足には蹄ができ、背中には鋒吹丸を背負う。そして、胸元はさらに大きく開かれた!
胸元どころかお腹のほうまで開かれてますな。なんですか、そんなに主張したいんですか?

享司は崩がどういうものか理解している。
確かにこの前も亡霊を喰わせたりしていましたな。
生きた人間を喰わせるのとではかなり違うが・・・どうなんでしょうね。
まあ、亡霊喰いなら仇喰もやってましたし。

享司が言うには、金屋ちゃんは鋒吹丸のために必要な存在らしい。それは一体?

攻撃をことごとく交わす景。突き出した手から打ち出される単純な飛び道具。落ち着けば避けるのは難しくない。
が、壁に打ち込んだ棒が変形し、景の体を拘束する。
打ち込んだものは享司と鋒吹丸の一部である。だから、撃ち放たれた後も意思通りに動くそうな。

拘束されて、あやういところだったが、陸劫発動で回避する。
崩の一部であるなら、陸劫が有効なわけだ。
ここで、更に判明したことがある。
相手の攻撃を受けると、同時に血を持っていかれている
出血が少ないのに血が減っているのはそのせいだった。
そして、吸われた血は・・・享司の元へ戻り、力となる。
うーん、なんとも効率のいい話ですなぁ。戦って、相手を傷つければそれだけ力が増すわけか。

僕らは負けない。僕と鋒吹丸は一騎当千。負けやしない!

確かに強い。墓守と正面からまともに渡り合える崩はそういないでしょうな。
まあ、鋒吹丸が今、無事でいる理由のひとつに、景が陸劫を躊躇っているというのもあります。
人間に当ててしまった場合、コイツの魂が『黒き魂』なら、崩もろとも墓送りになる。
金屋ちゃんを攫った相手とはいえ、墓送りにするのは躊躇いがあるようだ。
しかし、享司は言う。陸劫を僕に使ってかまわないと。

それも含めて僕らは負けないと言ってるんだ。

む、どういうことだ?

僕と鋒吹丸に陸劫は通用しない
準備はととのった・・・!!

金屋ちゃんの役目とは、陸劫対策!?
どういうことでしょう。金屋ちゃんの清らかな血を取り込むことで陸劫を無効化できる?
表面をコーティングすれば、ひょっとしたら無効化できるかも。
でも、それなら血を抜くだけですみますしなぁ。
清らかな魂も欲しいとかそういう話でしょうか。
なんにしても、陸劫が通じないとなると、このうえなくヤバイ。
他に必殺技とかありませんしねぇ。変身ヒーローの必殺技が敗れるのは敗北フラグだ。
急いで新しい必殺技を身につけるのだ、景!



第七十四刻 白き、加護  (2011年 32号)


享司が陸劫封じを宣告した直後、金屋ちゃんを取り込んでいた血液が変化する。
色が変わり、なんだかゴボゴボしています。よくわからんが異変だ!

しびれを切らした景は飛ばす陸劫を放つ。
確かにこれならば、金屋ちゃんを取り囲んでいる鋒吹丸の体を吹き飛ばせる。
そして、陸劫が金屋ちゃんを傷つけることは無い。いい作戦だ。もっと早くやっていれば!

享司もそれはわかっている。陸劫が焼き葬り、墓送りにするのは黒き魂を持つ者のみ。
だからこそ、享司は金屋ちゃんを選んだのである。

僕たちが吸っているのは血だけじゃない・・・
その者の魂の力も吸っている・・・

やはりそういうことなのか。その言葉と共に、金屋ちゃんが解放される。
それを見て飛び出す景。後ろを見せても何もしてこない享司。
とりあえず、金屋ちゃんの命に別状はないらしい。その点はよかった。
しかし、金屋ちゃんを包んでいた崩の一部。それを鋒吹丸が喰らおうとしていた。

享司から分離して食べにいく鋒吹丸。
これは絶好のチャンス。思いっきりパワーを込めた陸劫をお見舞いしてやる。
が、陸劫が効いていない!おしかった。
割りと余裕を見せていた享司ですけど、鋒吹丸が食べる前に陸劫当てられたら終わりでしたよね?

ともかく、鋒吹丸は金屋ちゃんの魂の力――『純白の魂』を手に入れました。
陸劫を封じられた墓守に打つ手はあるのか?
これまで陸劫が崩に対して絶対的な力を持つものだから、それ以外の戦う手段があるのかわからない。
どうすればよいのでしょう?
焼くことができなくても、陸劫を変化して切り裂いたりはできるんですよね。
いや、血液の体じゃバラバラにしても無駄であるか。むむむ。

厄介な相手であるが、この後はやはり金屋ちゃんがキーになりそうな気がする。
金屋ちゃんの純白の魂に、鋒吹丸が染められてしまうとか
攻撃とかそんなヒドイことできませんよとか言い出す崩。
同じく血を共有している享司も染まってしまうとか。
これは凄い。金屋ちゃんの魂の力を伝播すれば、世界平和に繋がるぜ!
そこまで行くかはわからないけど、純白の魂を取り込んだ影響は出ると思われます。たぶん。



第七十五刻 墓守、危機  (2011年 33号)


陸劫が通じない。最大のピンチに陥った景。
雪房も、これは致命的だと言う。
墓守が崩に勝てる唯ひとつの武器が『陸劫』だ
陸劫で墓送りにする以外、崩を仕留める術はない。

陸劫は圧倒的に崩に効果を表す。だからこそ、陸劫頼りの戦いになってしまう。
その陸劫が通じなくなった今・・・墓守の勝機は無い!?
バラバラに切り裂いて、中から打ち込んでもダメなんでしょうな。魂の力そのものを取り込んでいるわけだし。

というわけで、この場は逃げる!
金屋ちゃんも守らないといけませんし、この場を離れるのが先決だ。

しかし、跳ぼうとした景が空中で弾き飛ばされる。
見えない壁・・・結界だ。それもこの結界形式は常世のものである。

享司によると、この結界は望月さんの術らしい。
あのとき森で襲ったときに『力』を吸収していたのか。
なるほど・・・趣味で襲ったというだけではなかったんだな!

陸劫を飛ばしてみるが、鋒吹丸の飛び道具にかき消される。
飛び道具にも通じないとなると、防御もままならなくなります。厄介なシロモノだ。
詰み。万事休すだという雪房。
景は諦めないが・・・実際、勝てる気がしない状況だ。

鋒吹丸と話す享司。
そうだね、僕が君の主だったね。君は僕の馬だし、僕は君の主。
今までずっと・・・ずっと・・・何百年――

何百年?鋒吹丸とは解放されてから出会ったわけではないのか?
鋒吹丸は2ヶ月前に解放されるまではずっと封印されていた。
どういうことだろう。享司も普通の人間ではないということなのか・・・?

送るだけ送って・・・弔わぬ者め。知れ――

確かに墓守は送るだけ送っておいて、弔うどころか、力を頂戴している。
墓所さえ守ればいいのであって、弔うとかそういうのが仕事ではなかったりする。
送られたほうはいい迷惑でしょうな。それはわからないでもない。

鋒吹丸が打ち出した塊が、景の額に突き刺さる。
これは、鋒吹丸の記憶のかたまり。打ち込まれても死ぬわけじゃない。ただ見てもらうだけ。
君が何を葬ろうとしていたのか――
知れ。殺すのは、その後だ。

その目で、その心で知ってくれ。

数百年前。享司らしき青年が鋒吹丸に乗り、駆けていた。

鋒吹丸の過去。崩になる前――そして、いかにして崩になったか

前後の足を切り取られ、横たわる鋒吹丸。今の姿はここから来ているのか。
そして、享司らしき人物も側に横たわっている。これは一体何事か・・・
アオリもなんだか危険な臭いを漂わせている。人間の性、悪なり!
性といっても、性癖のこととかじゃないと思う。たぶん。

なんだか悲惨な過去が展開されそうな流れですなぁ。イヤヤワァ。
鋒吹丸には崩になる理由があるのかもしれない。
でも、崩には仰岐さんや村抉みたいなのがいましたからねぇ。
ああいうのと先に会った景としては、崩は許されざるものという認識しかなくてもしょうがない。
だからこそ、知ってもらおうとしているのかもしれませんな。
でも、知らせたら殺すとか言ってるんだよね。
殺さなくてもいいじゃない。別に害を成さない崩なら、無理に墓送りにすることもないでしょうし。
悪霊を食べるぐらいなら、仇喰さんもやってたし。
全てを知った景と和解する展開を期待しましょう。
まあ、その場合また常世と揉めることになりそうですけどね。



第七十六刻 愛し、日々  (2011年 34号)


鋒吹丸の記憶の塊を打ち込まれた景。墓守の変身が解け、横たわっています。可愛い顔で。
金屋ちゃんと併せて2人で可愛い顔してますな。それどころじゃないけど。

墓守が知っている崩というのは、崩という存在自体のもの。
それはただ、『墓守』が『崩』を墓送りにするための理屈でしかない。

戦いで知るべきは理屈じゃない。相手そのものを知るべきだ。
知ってこそ・・・本当の敵が見え、真に憎むべきものが見える

戦うべき相手は誰か。憎むべきは誰か。
鋒吹丸の記憶を見た景が、それを知ることになるというのだろうか。

それはそれは――昔の話。
むかしむかし、昔の話――

動物時代の鋒吹丸に乗り、四角い金棒を携えた若い足軽。
これぞ、当時の享司と思われる人物、角槍の桐乃介でございます。

誰もが怯む戦場でも一番槍を果たす桐乃介。見事な働きであります。
それゆえ、村でも自慢の若者とされているようだ。
まあ、桐乃介自身は至って謙虚。鋒吹丸のおかげで恐れずに戦えるんだと村人に説明している。
桐乃介と鋒吹丸は家族のように仲がよい。これが後の悲劇に繋がるのか・・・

鋒吹丸の体を磨く桐乃介。傍らには子供達がいる。
自分達も戦に出たいなという子供達。子供は無邪気ですなぁ。
戦なんて行かないですむなら行かないほうがいい。
戦場は華々しいところではない。
矢で頭を射抜かれることも、刀で胴を切られハラワタをぶちまけることもある。
戦になったら、そこら中にそうやって死んだ者たちが転がっている。
歳も身分も関係なく・・・殺しあってそうなる。
好きでそんなところに行きたいとは思わないほうがいい。

実際に戦場を経験している桐乃介の言葉は重いなぁ。
でもまあ、あれだ。
そんな言葉より、お腹を撫でられて赤くなっている、おカヨが気になってしょうがないのですが!
この感想が出るのは自然ですよね?しょうがないよね?

それはさておき。
馬小屋で鋒吹丸と共に眠る桐乃介。本当に家族のようである。
が、その馬小屋を外から眺めている下衆な男の姿があった・・・
鋒吹丸に恋慕する怪しき影。
こりゃいかにも悪いことしますよーって面の連中ですな。凄惨なことになりそうで厄いわぁ。



第七十七刻 瞬く、魔道  (2011年 35号)


桐乃介と鋒吹丸が一緒に寝ているところに乱入してくる怪しき男。
正体は、騎馬組頭の芝間久道
なんだ、そんな大した身分の人じゃないんですな。

正体に気付き、襟元を正す桐乃介。なんだか、そういうシーンに見えなくはない。どういうシーンかは言わない。
そんな桐乃介に、金の入った袋を投げつける芝間。

それであの馬を買ってやる。ありがたく思えよ。

何を言い出すのか、このオッサンは。まあ、言うと思ってたけど。
口輪をはめて連れ出される鋒吹丸。
もちろん、売るつもりなんて欠片もない桐乃介。芝間にすがりつくが、弾き飛ばされる。
家族として育った鋒吹丸の代わりなんていない。
このことはお殿様は承知しているのかと問う桐乃介。
この質問に汗を流す芝間。知らないのだな。

俺と鋒吹丸はお殿様に雇われていた。俺が足軽をやめても良いか相談したい!

桐乃介の申し出は、文字通り一蹴される。
まあ、そんな申し出をしたら、芝間の立場の方が危うくなりますものねぇ。
角槍の桐乃介といえば、戦功目覚しく、殿様の覚えもめでたいといいますし。
芝間に痛めつけられる桐乃介。それを心配し、駆け寄る鋒吹丸。

桐乃介は、芝間に説く。
鋒吹丸は特別な馬ではない。ただ、自分と2人きりの家族。
互いに守りたい、死なせたくないと思っているからこそ生き延びられるのです。
必要なのは人と馬の信頼関係です
馬を大切に思わなければ、例え鋒吹丸で戦に出ても、今までの馬と同じでしょう。

桐乃介の至極もっともな言葉に、凄い形相になる芝間。
どうやらバカにされたものだと思って激昂しているようだ。
下手に桐乃介が手柄を立てているものだから、見下されていると勝手に勘違いしちゃったのね。面倒くさい人だ。

無礼者め!

面倒くさいだけならよかったのだが、この時代は色々と厄介である。
農民である桐乃介。いつ斬られてもおかしくない身分である。
芝間の刀で腹を斬られる桐乃介。作者によってはこの時点でモツがはみ出ている。

桐乃介を斬り倒したのち、鋒吹丸に乗ろうとする芝間。もちろん嫌がる鋒吹丸。
そうこうしていると、起き上がった桐乃介が、芝間に取りすがる。

鋒吹丸は俺でないとダメなのです。他の者を乗せやしない・・・
鋒吹丸、大丈夫だよ。俺が守るから・・・誰にも、渡さない・・・
死ぬのも生きるのも一緒。ずっと俺とお前・・・
鋒吹丸・・・明日もまた大手柄だ・・・

死相を浮かべながらも笑顔を見せる桐乃介。
しかし、芝間の刃は容赦なく、その体を斬りつけるのであった。
大好きな主の死に、慟哭する鋒吹丸。こりゃ絶対に芝間を乗せる事はありませんわな。
そして、惨劇につながるわけか。なんともはや。

それにしても、農民とはいえ、殿様の覚えがめでたい桐乃介を簡単に害してよいものか。
後で殿様に知られたら、芝間の立場はかなり危うくなるのではないだろうか。
まあ、知られなければよかろうなのだろうけどね。
鋒吹丸が崩になったあと、どのような報復にでるか・・・芝間だけには留まらないのかねぇ。



第七十八刻 幾年、巡り  (2011年 36+37号)


主の桐乃介を斬り殺され、猛り狂う鋒吹丸。
口輪を千切り、主の敵である芝間を蹴り倒す。
桐乃介の傷口を舐めるが、塞がる様子もない。
仕方なく、桐乃介を連れて村まで行き、泣き声を上げて助けを呼ぶ。
しかし、村人も出てはいけない。侍には逆らえない。逆らえば、その災禍は自分たち、村全体にも及ぶ。

そうこうしていると、死んでいなかった芝間が村にやってくる。
鋒吹丸の足を斬りおとす芝間。
目を潰されたことで怒り狂っているようだ。鋒吹丸の足全てを斬りおとしてしまう。

殿様が桐乃介と鋒吹丸に目をかけていたのは事実。その申し開きはどうするのだろうか。
事実を隠すことで対処しようとする芝間。
桐乃介が鋒吹丸を殺し、姿をくらましたことにする
そのためには、桐乃介の顔を潰し、どこかへ捨てなくてはならないという。そこまでするか。
死体を遺せば村人に手厚く葬られる。そうはさせない。
無様に、無様に、誰に弔われることもなく朽ちさせてやるという。ううむ、そこまでするとは。

どうか怨まないでくれと念仏をあげる村人。
桐乃介は連れ去られ、足を斬りおとされた鋒吹丸だけが、道に横たわっている。
子供たちはなんとか、助けようとするが、大人は侍の報復を恐れて止めている。
そうこうしているうちに、おカヨが見たものは・・・
足を失っても、主を求めて這いずり回る鋒吹丸の姿
血の涙を流し、道を血に染めて這う馬の姿があった。

鋒吹丸は、生まれたときから桐乃介と一緒にあった。
雪のような白い体で生まれた。風のように早く走れたらという願いを込めてつけられた。だから、ふぶき丸

その雪のような体が腐れようとも、鋒吹丸は動き続けていた。
化物として、何十年と消えた主を探しているのだ。
一方、主を殺した芝間はまだ生きていた。鋒吹丸を殺して、憂いを絶とうとする。
が、返り討ちにあって殺される芝間。まあ、自業自得でございますな。

村人は、弔いもしなかったことに涙する。
だが、もはや鋒吹丸は手遅れである。
桐乃介がいない今、もはや止めることはできない。
鋒吹丸は、桐乃介への想いと人への怨みで生き続ける。
永く生きた獣は霊力を持ち『柱』になると言われている。
しかし、怨みを持った鋒吹丸は柱になることはなく・・・『柱崩れ』となる。

『崩』となった後も、桐乃介を探して彷徨う鋒吹丸。
常世に捉えられ、墓に入れられたあとも、桐乃介のことを想う。
そして、扉が開き、現世に飛び出した鋒吹丸は・・・亡き主に似た男と出会う。

ああ・・・ここにいたのか――きりのすけ・・・

永い時を経ての再会に涙を流す鋒吹丸。なんだか、この鋒吹丸が妙に可愛い。

ふうむ、桐乃介がずっと生きているのかと思ったら、そういうわけではないようですな。
鋒吹丸には、記憶を打ち込む力がある。
九力享司がその記憶を見て、主の――桐乃介の役を買って出たということであれば辻褄が合う。
墓に送って弔おうとしない墓守に対する怒りもわからなくはないですな。

この記憶を見て、景はどう動くのか。同情の余地はハンパなくある。
仰岐さんや村抉のように野放しにしていてはいけないって相手ではないしなぁ。
人間を襲わないのであれば、放置してても問題ない気がする。
鋒吹丸も、桐乃介似の主の側にいられればそれで満足でしょうしのう。ここは休戦といくまいか。
圧倒的に不利な状況で休戦を申し出ても、受け入れられにくいのが弱みですな。



第七十九刻 約束、胸に  (2011年 38号)


鋒吹丸と桐乃介の惨たらしい過去を目の当たりにした景。
回想から戻ってまいりました。さすがに動揺は激しいようだ。

あんな目にあったのか・・・あんな想いを抱えて崩になったのか・・・
あんなふうに幸せな普通の過去があったのか・・・

人それぞれに理由はあるってことですかねぇ。
墓守となった景だって戦わなければならない。みんなを守りたい。

でも・・・お前とは戦えねえよ、鋒吹丸!

景の叫び。やはり戦えませんかね。まあ、今はまともに戦って勝てる状態じゃないですけど。
九力享司と桐乃介は何の関係もない、赤の他人である。
だからといって、桐乃介の振りをして従わせているだけというわけではない。
わざわざ、鋒吹丸の過去を見せて、過去を知らせたのにも意味はある。
ということだけど、どれほどの意味があったのかはわかりませんな。

確かに景の戦意は鈍っている。
それでも、さっきまででも十分優位な状況でしたし、同情させるだけならば大きな意味はない。
それ以上の何かを考えているのかどうなのか。

鋒吹丸の想いは見た。
しかし、崩である。崩である以上、人を喰らい、破壊衝動を本能に持つようになっている。
そのままのさばらせては、危険なことになる。
そして、そうなったとしたら、友恵との約束はどうなるのか!

解き放ってしまった8体の崩。それらをやっつければ終わる。
そう約束した。もう少しで終わるんだと。
約束した

景が再び変身する。陸劫は通じないが、力で攻撃を止めることはできる。

お前に大切な理由があるみたいに、俺にも理由がある。
絶対譲れない理由が――ある!

譲れないのはお互い様である。
何より、享司は金屋ちゃんを攫い、酷い目に合わせている。状況はわからないが、望月さんも酷い目に合わせている。
そのままのさばらせていてはいけない。
このままでは、他の女の子がひどいめにあう。えろいのはいいけど、ひどいのはダメだ!

戦うしかない。金屋ちゃんも享司や鋒吹丸については何か知っている雰囲気。
だけど、負けられないのでございます。
可哀想な目にあって、その想いを受け取ったからって・・・
何の関係もねぇ奴を傷つける権利はない。それだけはきっと確かだ。

そのことだけで俺はお前をぶん殴る。九力!

陸劫が通じないならば、ぶん殴るまでだと突っ込む景。
それに対し、鋒吹丸に血を与えて迎え撃つ享司。
しかし、その享司の顔色が悪くなっている。これは・・・血が足りないのか?

享司の攻撃は血を使う。
でも、前の動きを見る限り、放出した血はまた自分のところに戻ってきていた。
それなのに顔色が悪くなると言うのは何故だろう?
金屋ちゃんの力を取り入れたので、燃費が悪くなっているのでしょうか?
ともかく、景にしてみればチャンス。長期戦に持ち込めば勝機は十分。
あとは、どういう方向に決着を見るか、ですね。
このまま墓送りはできない。そもそも、できても可哀想だし・・・どうなりますのやら。



第八十刻 強者、弱者  (2011年 39号)


鋒吹丸に突進する景。陸劫は通じないのだから、肉体能力でどうにかするしかない。
が、近寄ればそれだけ攻撃も激しくなるものである。
ついに、鋒吹丸の角槍に貫かれる景。両手両足を縫い付けられた格好になる。
雪房もなんだか白目になっているのだが、気絶してるのか?

無理矢理、貫いた角槍から腕を引き抜く景。
返しがついていないからって、その抜き方は激しく痛い。骨がガリガリいっている。痛い痛い。
雪房が起きていたら抜いてもらえますのにね。まあ、右腕のを抜いているうちに雪房も起きたみたい。
残りのは抜いてもらったのでしょう。

どうにか立ち上がるが、さすがに体力的に限界が来ている。倒れこむ景。
それを見て、享司と景の前に割り込む金屋ちゃん。
景君にこれ以上酷いことをしないでと言う。
享司はそれを聞き、どこか呆然とした様子。
なんだかんだで、享司も人を傷つけるのに慣れていないのかね?景が角槍を引き抜くときも微妙な表情をしてたし。
あ、でも望月さんのときは平然としてたな。
やはり金屋ちゃんに怒られたのがショックだったのか?そんな!?
はたまた、作者の心情を表してるのかも知れない。景君をこれ以上いじめれないだなんて、そんな!?

酷いのは墓守だと享司は言う。
崩を・・・可哀想な魂をただ炎で焼き苦しめ、墓所へ閉じ込める墓守の方だと。

崩にだって過去があるんだ、生き物だったんだ。暴れる理由だってあるはずなんだ!
君がしているのは墓送りとは言えない。
葬送ではない・・・ただの『狩り』だ

それも絶対的な武器を持った者の一方的な狩りである。
確かに陸劫のもたらす効果は、崩には絶対だ。

思い出せ、今まで1度だって崩を哀れんだか?
思い出せ、1体だって君の炎を畏れぬ崩がいたか?
皆逃げ出さずにはいられぬほどに、本当は君を畏れていたんだ。

畏れていたのはその通りでしょうけど、ほとんどの相手が向こうから襲ってきましたからなぁ。

君は、一方的な狩りに高揚していなかったな?
どんな顔で崩を焼き払った?
優越感で醜くゆがんじゃいなかったか?

想像で語られても困りますな。
正直いつもギリギリな戦いをしているせいで、そんな余裕はございませんでしたよ!
なので、金屋ちゃんが反論してくれます。そんな余裕はなかったよ!いや、そうじゃない。

景君は、そんなんじゃありません。
景君は、そんなかっこ悪くありません。

そんなんじゃありませんのだと来ました。
さすがに金屋ちゃんの言葉では簡単に否定できない。
ちゃんと墓に送った崩を悼んだ子でありますからなぁ。
でも、仕方ない。もう仕方ない。金屋ちゃんを悲しませることになっても、やらなければならない。

血を操作して、金屋ちゃんの動きを封じる享司。
槍にするだけでなく、こういったこともできるのが便利ですな。

最後だ、殺せ鋒吹丸――

この命令を下す前の享司の表情はなんでしょうかね。
人を殺すことに対するためらいか、それとも、鋒吹丸に殺させることに対するためらいか・・・?

享司の命をうけて、攻撃をしようとする鋒吹丸。そこに金屋ちゃんの叫びが届く。

鋒吹丸。だめ!

遠い過去の話。桐乃介も言っていた。
鋒吹丸は優しいから、人を噛んだり蹴ったりしやしないよと。

桐乃介の言葉を思い出した鋒吹丸。その最終攻撃の結末はいかに?
というか、実際のところ、角槍に貫かれたところで、墓守は死なないんじゃないですかね?
頭を貫かれたらどうかはわからないけど。
少なくとも、体を貫かれたぐらいでは死なないのは、ニセ金屋ちゃんのころから分かっている。

享司は、景が崩のことを知ろうともしないと言う。
しかし、享司のほうも景のことを知ろうとしていないという話ですな。
これまでの崩がいかにも下衆なのが多かったせいで、景の方にそういう認識が刷り込まれても仕方ないですし。
やはりお互いを知るということは大事なことでありますな。
うまくすれば、仲間のフラグが立ちそうな展開だ。



第八十一刻 ただ、愛を  (2011年 40号)


狗骸である雪房からしてみれば、崩に同情の余地などない
無限に血肉を求め、暴力と破壊に快楽を見る。それが崩なのだから――
たとえこちらが心を遣り、言葉をかけたとしてもそれが何になろうか。

それが――何になろうか――

バカげているという雪房の考えとは違い、鋒吹丸の最終攻撃は目標である景を外す。
鋒吹丸の腕が砲塔の形ではなくなり、大人しくなったように見える。
金屋ちゃんの影響によるものか、享司のいうことを聞かなかった鋒吹丸。
それを見て、倒れる享司。と同時に、金屋ちゃんたちを縛っていた血の杭が溶けていく。
どうやら血を使い切ったらしい。使ったのに回収していなかったのか?死ぬぞ。

気絶した享司。心配そうに鳴く鋒吹丸。
享司は夢を見ていた。子供のころの夢だ。

物心がつくころには、もうそういうモノが見えていた。
自分以外のほとんどの人にはそれが見えないのだと気付いたのはしばらく後のことだった。
それがいると言っても周囲の人にはそれが見えない。
小さい頃はみんなあまり気にしていなかったが・・・次第に気味悪がれ、孤立していく。

両親もそんな享司のことを気味悪がっている様子。
母親からは私の理解できない世界の人間であると陰口を叩かれる。心が見えない
父親は、何が見えても人には喋らないように、普通にしていろと言う。
ある意味父親の言うことは正しい。見えないものはしょうがないし、折り合いをつけるしかないわな。
でも、この両親の会話は幼い子供にはよろしくないわな。

幼い享司の笑顔が厄い
両親の言葉により、孤立したのは自分が悪かったからではないと知る。
ただ、この世界に僕の居場所はない。それだけだと悟ってしまった。
だからこそか、大きくなっても学校では浮いた存在となり、イジメられていたようだ。
髪型はともかく、見た目は結構イケてるのだけどなぁ。
モテるかどうかは性格によるところが大きいってことですわね。
崩が頻繁に実体化する世界だったら、享司も人気者になったかもしれないのになぁ。

思考がマイナス方向にいっている享司。
幽霊たちの方にいったとしても嫌われる。僕は僕だから嫌われるんだから・・・

嫌な夢を見た。目を覚ます享司。
その戦闘意欲はまだ失われてはいない。鋒吹丸に血を与え、攻撃をさせようとする。
が、さすがにわずかな時間の睡眠で血が戻ることはない。鋒吹丸も血を吸うのを躊躇っている。
自分の血では足りない。ではどうしようか。
他の人から分けてもらうしかない。というわけで、金屋ちゃんの首筋に噛み付こうとする享司
うーん、なんというか・・・犯罪的な光景っすね。血迷ったか享司。血が欲しいだけに。

金屋ちゃんに攻撃をしかけようとしたということで、景にぶっとばされる享司。
いい加減にしろ、このバカ野郎!
全くですな。愛でるにしても方法があるでしょうに。む、そういう話じゃない?

鋒吹丸のためなら何でもしてやるという享司。

鋒吹丸だけは僕を必要としてくれた・・・
たとえそれが、かつての主の代わりだったとしてもそれでいい・・・
誰かの代わりでも僕に・・・この世界で存在価値があるなら・・・

誰かの代わりにでも、愛してもらえるなら・・・

共に涙し、抱き合う享司と鋒吹丸。うーむ、切ない絵である。

求められて知った、生きている喜び。
しかし、その鋒吹丸は今享司の言うことを聞かない。もう僕を求めないのか・・・?
元々思考がマイナス方向に向かっていた享司である。一度疑問を抱くと面倒なことになりそうですな。
こういうところですれ違いをするのは悲劇にしかならないし、どうにかしていただきたい。
でもどうすればいいんでしょう?
グダグダ言われると面倒だから殴り倒して躾けるか?
いや、学校で暴力も奮われているしそれもどうか。ならば金屋ちゃんの優しさに期待するしかあるまい。
このシリーズはずっと金屋ちゃんヒロインだよ。やったね!
そういえば、望月さんはどうなったんだろう。



第八十二刻 守る、者達  (2011年 41号)


愛をくれた崩の離反。愛が崩れた苦悶の瞬間
なんともポエミーなアオリでございますな。

享司と鋒吹丸との間の絆にヒビが入っている。
鋒吹丸からは戦う意思が感じられない。そして、享司と共に生きる意思も感じられない。
自分を排斥するものを、墓守と戦わなくてもよいのか?
とうしてやめるんだ?どうして今やめるんだ・・・?

お前は『崩』だろ、墓守と戦えよ!
僕の血を使って・・・僕の命で戦えよ!!

僕はお前の主、桐乃介だ!言うことを聞けよ!!
そう叫ぶ享司。しかし、鋒吹丸は言う。ちがうと。

おまえは、きりのすけじゃない・・・

決定的な言葉ですな。涙にくれる享司。
鋒吹丸と出会い、ずっと一緒にいようと思った。鋒吹丸がいてくれればそれでいい。それでいい・・・

鋒吹丸・・・僕は・・・僕はもう死んでもいい!

自分の血を吸い尽くしてくれと言い出す享司。
もう、ひとりはいやだ。
鋒吹丸とは主従の関係じゃなくていい。他人でいい。

だからせめて・・・僕を喰ってくれ!連れていってくれ!!

享司の涙ながらの言葉。これを受けて、鋒吹丸も涙を浮かべた顔を寄せる。

・・・キョウジ、ありがとう
きりのすけにはあえなかったけど、キョウジにであえてよかった・・・
スキになってくれてうれしかったよ。なでてくれてうれしかったよ。
まもってくれてうれしかった・・・いっしょにいられてうれしかったよ。

だからもう――

鋒吹丸の体から、純白の魂の力が抜けていく。
金屋ちゃんから取り込んだ、陸劫を弾く魂の力を手放しているようだ。『墓送り』を受け入れるのか!?

鋒吹丸がそう決めたのであるならば、仕方がない。
鋒吹丸はもう、享司を苦しめたくない。
雪房もその想いには共感できる。その点に関しては、であるが。

陸劫の炎に包まれる鋒吹丸。
墓に送られる途中で、確かに見た。桐乃介の姿。これからはずっと一緒・・・

墓に刻まれる鋒吹丸の姿。これでよかったのかはわからない。
でも、鋒吹丸はこれで穏やかに眠れるのだとしたら、よかったのかもしれない。
墓守の墓で安らかに眠れるものかどうかはわかりませんけど。

落ち込む享司を慰める金屋ちゃん。
金屋ちゃんもまた、見えざるモノが見えることによって、特異なものとして排斥された経験がある。
変な子と言われたこともあるし、怖がられることもあった。
でも、優しい人がたくさんいた。友達が護ってくれたのだ。

僕には誰もいないという享司。でも生きていたから鋒吹丸に会えた。そして、私たちに出会えた
きっとわかりあえる。だから良かった・・・
腕を広げて迎え入れようとする金屋ちゃん。おぉ、なんという純粋さか。
あまりの純粋さに輝いているように見える。このオーラに当てられたらたまったもんじゃないですね。享司もタジタジ。

ちょうどそのタイミングで、金屋ちゃんの言う友達がやってくる。
友恵さんに帆奈ちゃんだ。ずっと探していたんですな。
女の子たちが喜び合っているところに、さらに来訪者。悲鳴をあげて現れたのは、冬子先生だ!

景君が血まみれ・・・!!

確かに悲鳴をあげるのには充分な理由でしたな。でも、園城先生がいうとおり、いつものことです。ヘッヘ。
なんだかんだで苦労したけど、いつもに比べればケガは浅い。冬子先生が心配するほどではないですわな。
ちなみに、ケロ子こと望月さんも無事。
見た目ほど大したことはなく、部下に収容されたらしい。
鋒吹丸戦には開始から立ち会っていたというのに、最後はこんな扱いでございますか。望月さん・・・さすが僕らの副隊長ね!

これにて、八崩墓送り編完結!!
少なくとも、友恵さんが開いたものに関しての重荷はなくなったわけで、よかったよかった。
しかし、景の戦いはまだまだこれからである。
狗神の里の連中も動き出しそうな様子ですしね。
常世の一員となって、どのようなことをしていかねばならないのか。それもこれからだ。

でも、来週は休載でございます。
充電して、新展開に望むわけですな。期待しております!



第八十三刻 疵と、傷痕  (2011年 43号)


旧校舎。ここの墓所から全ては始まった。8崩を墓送りにした今、新たな局面が展開される。
墓所に、長老と里見の2人がやってきた。何やら意味深なことを語りだす。

前長老時代に常世が封印せし東方各地の要たる大崩8体
一体は失ったが、ついに鎮めたか・・・

なんと、逃げ出した8体は大崩と呼ばれるほどの存在だったらしい。

万治郎鼠、百代狸、仰岐、村抉、名も無いカラスの旦那、そして鋒吹丸。
それぞれの封じられた墓が映る。これに消滅した赤目嵐を入れれば・・・あれ、7体しかいないよ!?
ナチュラルにハブられる山王さんハンパねぇ!

これだけの力を手に入れれば、常世は変わる。
一体この2人は何を企んでいるのでしょうね?
常世は各地にあり、その中心は中央常世である。その中央に反旗を翻そうとでもいうのだろうか?
これまでのようにギスギスした感じではなく、明るく楽しい常世に変わるのだ!とか?ありえるな。

さて、転校して早々に沈んだ望月さん。
園城先生の治療により、傷はすっかりよくなったようだ。髪飾りは新しくなってますけどね。カエルじゃない!?
景は望月さんのことを心配して見舞いに来てくれたらしい。
なんというか、いい関係を築いておりますな。
園城先生は、何か知っていそうなそぶり。この先の行動に何か関係しているのだろうか。
真堂を倒すのが最終目標で、そのための戦力としての墓守と思ったが、他に使うことも考えてそうだなぁ。

斬子さんの治療も済み、今日から面会が出来るようになった。
しかし、スタッフもうかつに近寄れないほど危ない状態らしい。ふむ、荒れてそうだな。
そんな斬子さんの下を訪れたのは比嘉隊長。
暗い病室の中を進むと、ベッドの上。布団をかぶって顔だけを出している斬子さんの姿があった。
床には食器ごと食事が散乱している。
ずっと食事を取らず、点滴も拒否しているらしい。
それは、毒が入っているかもしれないからという思い込みから来るものだった。

私・・・失敗・・・
失敗したから・・・もうきっとダメなんだ・・・
真堂に全然歯が立たなかった。全然ダメだった・・・
アイツを倒すために造られたのに――これじゃ意味ない――
『斬子』になった意味がない

斬子さんも最初からそうだったわけではなく、何か改造とか施されていたのでしょうかね?
頭が悪くなったのは後天的な要員だったのか!?そこは元からだったりして。

勝たなきゃいけない相手に勝てなかった。メガネや墓守の前でヘマしてしまった。
こんな自分に価値はない。常世に見捨てられると斬子さんは言う。

・・・ゴメン先輩。こんなダメな後輩で・・・ゴメンなさい・・・

これだけ素直に喋れるのも比嘉隊長だからこそなんでしょうな。いい関係を築いていたようだ。
その比嘉隊長が、掛け布団に手をかける。そして、一気に剥ぎ取った。
布団の下から現れたのは、斬りおとされたはずの足を繋げた跡。
これを見る限り、跡こそ残ったものの、動かすことはできるようになっていそうだ。さすが園城先生。
しかし、なんとも・・・エロ可愛いコマっすね。表情も可愛いことになっているし、体つきはエロい。うむ。よし!

・・・やり直せる奴は何度でもやり直せる。
やり直しのきく運のいい奴は・・・いくらでもやり直すべきだ・・・

言葉と共に、比嘉隊長はマスクをずらす。いつも隠していた口元が明らかになる。
口からノドにかけてが焼けたかのように傷跡が残っている。
そして、左腕もまた斬りおとされたのか、接合した跡がある。その先の部分もボロボロだ。
これが隠していた部位の状態ですか。うーむ。やっぱり比嘉隊長はよいなぁ。
目が白いのも、見えなくなっているのでしょうか?
そんな比嘉隊長は語る。

人間は何度もやり直すべきだと俺は思う
万能でなく弱いから。少しずつしか成長できないから。
1度きり・・・だからな。

立派な先輩である。そんな先輩に迷惑な私でゴメンと謝る斬子さん。
その頭を優しく撫でる比嘉隊長。

気に・・・するな。
まだまだ・・・ダメな後輩のため・・・に、先輩がいる・・・
お前には・・・俺が・・・いるんだ

うむ、やはり比嘉隊長は格好よかった!私の目に狂いはなかった!やっぱり僕らの隊長ね!

後日。ひとりで街の外れまで行こうとする比嘉隊長。
その前に、元気な姿を見せる斬子さん。ほほ、よいなよいな。
いろいろと面倒な斬子さん。だからこそ、比嘉隊長がコンビとして宛がわれているのでしょうな。
まあ、斬子さんにとってはそれは幸せなことだったということですな。
比嘉隊長としては、もう少しおしとやかにして欲しいところではあるんでしょうけど――

これ以上おしとやかにしたら、斬子じゃないよ。

そうであるか。ならば仕方ないですね。

新展開に移るかと思ったら、まだ後日談をしていた!ってな感じの回でした。
まあ、最初の方で長老たちが何か企んでいましたからね、そこがポイントでしょう。
いまひとつ長老は分からないんですよね。神楽辻のおばちゃんとの関係を見ているとそこまで悪くなさげだし。
それでいて、所々で悪そうな様子も見せるし・・・何を企んでいるのか読めない。
本当に明るく楽しい常世を作るのを目標にしているのかもしれない。
掲げる言葉は、エンジョイ&エキサイティング!
あれ、この標語は駄目な気がする。厄いことになる気がする。でもケルベロスらしい気もする。アリだな!



第八十四刻 兄は、悩む  (2011年 44号)


街中に佇む1人の少女と公衆電話の男。このコンビは前にも見たぞ。
細身の男、リックは仕事をもらえたらしい。
仕事に臨もうとする2人。その仕事とは一体なんであろうか。
あと、歯の抜けた少女はブスりゃにぁいもん。

東要市からおよそ800km離れた地方都市。
その路地裏に、男と少女が逃げ込んでいた。
ふらつく男の腰にしがみつくウサミミフードの少女
追っ手は全部やっつけたが、新手がきっと来る。でんしゃを使って早く街から離れましょうと提案する。
それを受けて男――仇喰は言った。

電車。便利で速いが・・・そんな金はない

ドン!
久しぶりの登場なのに何を宣言しているんですか、仇喰の兄さん。
というか、なんで幼女連れているんですか?どこで引っ掛けたんですか?
妹を置いて身が軽くなったもんだから、趣味に走ったのですか?祈ちゃんに言いつけるぜ。

ともかく、仇喰の言葉に衝撃を受けるウサミミ少女。
お・・・お金ならの、なけなしの・・・あたいの・・・拾い集めた小銭が。

なんだか泣ける話だ。
まあ、さすがに電車賃がないというのは冗談です。
電車はおそらく常世の手が回っている。電話回線もまずいから他の手を使って連絡を取るしかない。

親分の冗談は・・・いまいち本気かどうか判別できないの

少女の言うとおりですな。仇喰さんは貧乏そうな印象が普通にあるから困る。

それはさておき、急がなくてはいけない。東要市へ、十三塚景のもとへ。
そこに自分も行っていいのかと尋ねる少女。それに対し仇喰。

他に行き場がないなら・・・俺と来い

この言葉に頬を染めるウサミミ少女。なんですかね、これは・・・なんだ!
しかしこの少女も下唇がぷっくりしているのか、紅を差しているのか。
幼い姿なのに色気があるというのかなんなのか・・・なんだ!

うっかりすると2人の世界をつくりそうな雰囲気はあるが、そういう場合ではない。
追っ手が目の前に来ていた。これは・・・リックと歯抜けの少女だ!
どうやら常世の追っ手として仇喰を仕留めるのがリックの依頼された仕事らしい。

バカな奴だぜテメェはよ・・・
まさか・・・『中央常世』に辿り着いちまうたぁな。

中央常世。各地区に分かれた常世の本営。
そこに辿り着くことで追われるとは・・・なにかよからぬことを企んでそうですな。

そしてキリシマ機関を知ったお前は、もう泳がせてるわけにはいかねぇんだとよ。

キリシマ機関。前に園城先生が口にした名前ですな。
あの時の口ぶりからすると、決して東方常世と懇意というわけではなさそうだったが・・・ふむ。

常世には、まつろわぬ能力者を処刑する者たちがいる。この男、リックもそうだ。

岸和田陸央――だが、そう呼ぶな。リックだ!
処刑人、ギロチンリック!俺のことはそう呼びな!

肩に下げたバッグから凶器を取り出し振るうリック。
仇喰の失った左手の側から迫るギロチンの刃。
しかし、これは典如が受け止めた。ガラ空きというか、そっちの方が硬かったですわな。
ちなみにウサミミ少女は典如を兄貴と呼ぶ
あの典如が兄貴扱いですか。親分呼びといい、どこの筋の方たちですか?仇喰組?

さて、久しぶりの仕事だ。テメェのクビは幾らになるかな。

厚手の刃物に、クビが入りそうな大きさでくびれができている。これがギロチンリックの異名であるギロか。
リックは賞金稼ぎのようなポジションみたいですな。
しかし、これは斬子さんが持っているのと同じような呪具か?今後も呪具使いは出てきそうだな。幼女連れて

人目があってもおかまいなしに襲ってくるリック。
動揺を誘うためか、景が常世に入ったことをそれとなく伝える。
しかし、仇喰さんは落ち着いたものである。常世のことだ。お膳立てでもしたんだろうと見切っている。

なら尚更急がなければな。
十三塚にキリシマ機関のことを伝えねば・・・常世の真意を!

仇喰の父は常世の研究員だった。
そして、今はキリシマ機関の機関長である霧島守。霧島望はもはや奴を父とは思わないと宣言する。
まあ、自分と妹を酷い目に合わせた男ですしね。そう言うのも当然だな。

ここで、ついに歯抜けの少女――こうでが動く。『処刑場』を広げろ!
こうでがいつも持っているケースを開く。
なんだか怖い表情になった。と思ったら、2組の男と幼女がいる空間が別のものに置き換わっていた。
なるほど、バトルフィールドってやつですな。結界の応用みたいなものか。
これは仇喰には好都合。目立ちたくはなかったが、これなら全力を出せる。
かつては街中で墓守を襲うなんて目立ちまくっていた男の発言とは思えませんけどね!

戦闘態勢を取る仇喰。典如に声をかけるそして、ウサミミ少女にも声をかける。

赤目嵐
ハイの!!

ザワ・・・え?
今なんと申した?赤目嵐?聞いた名前だなぁ・・・崩じゃないかッ!?
まさか、仇喰が滅したはずの崩がここに来て登場だと?それも幼女の姿になって!?
この衝撃はさすがに計り知れない。
しかし、なるほど。どこで幼女を射止めたのかと思ったらそういう繋がりがあったのか。ちょっと納得。
でも、喰われたはずの赤目嵐が何故今存在するのか。
そして、何故仇喰組の一員になっているのか?崩のころからメスだったのか?色々疑問があるぜ!
というか、赤目嵐はウサギの崩なのかな。なるほど、だから赤目か。ずっと秘密にされてきたかいがあったぜ!

赤目嵐について思うことは大量にあるが、とりあえず話を進めよう。

『骸装』

仇喰が宣言する。骸装とは、キリシマ機関の最大機密。
『崩』を使役する禁忌の技術である
それを知っているリックもただものではないな。キリシマ機関とは深いつながりがありそうだ。

その宣言と共に、赤目嵐を身に纏う仇喰。変身だ!
幼女を纏って変身するヒーローか・・・これは流行るな!流行れ!

変身した仇喰とギロチンリックの戦いが始まる。
そして、戦う前に赤目嵐、アカメに言うことがある仇喰。なんですか?戦闘前にいう大事な話ですか?

あのな・・・妹と会ったら友達になってやってくれ・・・

このタイミングで言うことなのか!?
そこはほら、もう少し甘い言葉をささやいてみるとかさ。そしてリア充爆発しろとか言われるところでしょ!?
でもこのずれかたが仇喰さんなんだよなぁ。赤目嵐も、親分はちょっとずれてると思ってらっしゃる。

いやぁ・・・新章に入ってからフクイ先生飛ばしてますなぁ!
まさかの赤目嵐が幼女となっての復活
これは中央常世、キリシマ機関に近づいたことで起きた現象なんですかね。
すると、ひょっとしたら、キリシマ機関は崩を幼女化させる研究を進めているのかもしれない・・・!!
これが仇喰が伝えようとしている常世の真意だというのか・・・!?なんて恐ろしい!
下手すると、山王さんや鋒吹丸たちも幼女にされてしまうというのだろうか!なんて恐ろしい。是非やれ。

こうなると、東方常世の動きが気になりますね。
微妙にキリシマ機関とは対立してそうな気配がなくもないですし。
方針が合わないのかもしれない。中央が幼女派なのに対し、東方はボイン系がいいとか
赤目嵐は幼女化されたが、残り7体はボインボインにしてみせるぜ!とか。東方常世の長老ならそう考えるはず。きっと。

まあ、色々と楽しみになってきましたぜ・・・!
骸装についても考える部分がありますな。冬子先生は既に骸装みたいなことしてますし。
ああいった変身をするキャラが増えてきそうですな。楽しみだ!



第八十五刻 1年、B組  (2011年 45号)


景と雪房が八崩最後の鋒吹丸を墓送りにしてから、1か月半
何!?いきなり1か月半も経過したのか?
何故?と思ったら、ああ水着回でありましたか。そりゃあしょうがない。ええ、しょうがない。

東要高校は3日間の臨海学校へ来ておりました。
夏だ!海だ!臨海学校だ!
遠泳の項目とかあるみたいだが、今日は海に慣れるために遊ぶ日らしい。楽しそうだな。

水着に着替えて浜にやってくる景。わー
何がわー、だ。こっちがわぁー!だ。この景君の可愛さは久々に胴体中央に被弾を受けたような衝撃。
狗骸は離れてはいけないという掟に従い、雪房の入った学ランを持ち歩く景。
当の雪房は車酔いでグルグルしているみたいですけどね。ハハハ。

海を眺める細身の竹場厚史くんと太目の加藤信光くん。

竹場「海ってどうしてこうテンションがあがるんだろうな」
加藤「うむ・・・それは大きいからに違いない

そんな気合を入れて答えることなのか!?でも説得力ある!不思議!
地球の7割がこれだからなぁ。シャレにならんぜ。
ほら、海に手をつっこんでごらん。
感じる・・・地球の裏側までつながっていることを感じる!何者なんだお前は!我こそは地球の代弁――
バカやってないで並べっつってんの!!

相変わらずこの2人は楽しそうだなぁ。
そして、その2人にツッコミを入れる委員長こと朝川勇花さんはご苦労様です。

そして、浜にやってきたのは友恵さん、金屋ちゃん、帆奈ちゃんの仲良し3人組。
さらに、3人組からは外れてしまったが、よく一緒にいる鈴木久美子ちゃん。目立った出番ないよね、この子。よく見るのに。
友恵さんの何して遊ぼうかという問いに、犬かきしようと答える金屋ちゃん。
それは遊びなのか!?まあ、楽しければなんでもいいか。

そんな友恵さんたちを見て興奮する景の友人、長橋学くん。
この子はなんとも正直だなぁ。とってもフリーダム!もうひとりの景の友人、麓建くんも静かに褒める。
今日も長橋くんは友恵さん絡みで景をからかうのであった。
やはりまだ景は素直になれていないようですな。まあ、未だに苗字で呼び合っている状態でしょうし。
なので、海ゴリラ呼ばわりして殴られ浜に沈みかかる景。凄い衝撃だ!!

ここで委員長が異変に気付く。担任の冬子先生がいないのだ。どうしたのだろう?
もうひとつ気付いたことがある。眼鏡を外した深月帆奈ちゃんは可愛すぎて誰だかわからなくなっている、と!
スタイルもよいし、ここに来て一気にクラス内の評価があがりそうだぁ!!
というか、友恵さんの腰の辺りとかなんだかヤバクないっすか。
肉がついているように見えるというかなんというか・・・見ろ!すごいぞ。そりゃ長橋くんも叫ぶ。

ともかく、冬子先生だ。バスの中でも静かにしていたし、具合が悪いのかもしれない。
というわけで、誰か様子を見に行く必要があるのではないかという話になる。
誰が行くか、かというと。ここはやはり景の出番でしょう。

十三塚君は冬子先生担当でしょ?

そんな担当ができていたとは!クラスでは一人一人が係を持つことが多いが、そうか、景は冬子先生係か。
その担当は冬子先生が独断で決めてそうだ。景が休みの間に決めたに違いない!
そんな担当ないよという景の抗議は却下する。

冬子先生担当という言葉を持ち出した前髪パッツンの少女は河藤心ちゃん。コッコちゃんである。
その後ろに取りすがっているのは嶺畑芽生ちゃん。普段は眼鏡の女の子でコッコちゃんの幼なじみだ。

さて、その話題の冬子先生はやはり部屋にいた。部屋の姿見を前に固まっていた。
園城先生に相談したけど、本当に・・・これで良かったのかしら。
これはどう考えても、やっぱり・・・

ハシャギ過ぎなのでは・・・!?

ドーンと水着姿を披露しながら苦悩する枳殻冬子26歳。
冬子先生も、その、なんというか、横腹の辺りとか、その・・・柔らかそうですよね!ハハハ。

園城先生に相談したときのことを思い出す冬子先生。
今度景君と海へ行くんです。一緒に水着を選んでくれませんか?
間違ってはいないが、学校行事で行くのですよ。プライベートじゃないのよ!
ナチュラルにこの発言は凄い。ハシャギ過ぎですな。

さすがにこんなハシャイだ格好でみんなの前には出て行けないという冬子先生。いいじゃないっすか。別に。
ともかく、脱いでジャージで行こうというところで景が登場。スラッ。
脱ごうという瞬間だったから、冬子先生は恥ずかしいけど、景はとくに恥ずかしくはなさげ。ちょっと早かったな!

様子を見に来た景は、みんなが心配していると告げ、雪房と共に去っていこうとする。
それを見て冬子先生。雪房を預かっておこうかと提案する。

景君・・・ホラ・・・

両手を広げて受け取ろうとする。ように見せて、水着姿を見せる冬子先生。なかなかのテクニックだ。
そしてちょっと見詰め合っちゃったりしたり、顔に両手を添えちゃったりしたり。
って、これ景が離れないと危ないことになってたんじゃないんですか・・・冬子先生。ハシャギ過ぎデス。

雪房は冬子先生に言う。
景の戦いはまだ終わったわけではない。むしろ今からが本当の戦いだと。
だからこそ、冬子先生はそれを気遣い、今だけは墓守のことを忘れるようにしてくれたのだろうと。

なんて言ってみたけど、冬子先生は単に景に水着を見せれたので満足していたのでありましたとさ。
あれ?これ違うな
ひとりでシリアスしていた雪房がバカみたいじゃないっすか。いっそバカになろうぜ。今回はそういう回だ!

再び浜。
ホリポンこと堀瀬希織ちゃんが男子に勝負しないかと持ちかけていた。
対戦相手に指名されたのは、怖い顔&体格のいい池内章次郎くん。
戦いが始まると聞いて寄って来るクラスメイト。戸山正幸くんがしきってくれます。

ホリポン「寝そべってハタ取るやつやろう」
戸山「ビーチフラッグのことか?」
ホリポン「それって競争してハタ取る?」
戸山「取るよ」
ホリポン「じゃあそれやろう。順番にやっつけちゃうぞ!」

なんだ、このやりとり。なんか和むわぁ。
男子全員をライバルと思っているホリポン。自信家なのでハンデもいらないと言ってのける。
さて、ハタの位置を決めて勝負開始。浜に寝そべるホリポン。その体を砂が焼く。ジュウ。

熱ッ!ギブ!!

・・・
これで勝ったと思うなよ!!

それ言っちゃダメだ、ホリポン。敗者しか言わないやつだよホリポン。可愛いなおい、ホリポン。

委員長に砂を払ってもらうホリポン。
その横で座っているのは姐さんこと秋野実梨さん。きっぷはいいが体の弱い女子だ。
そんな秋野さんが出歩けるように気遣ってくれる、仲のよい女子が2人。
諒子ちゃんにお任せっと持ち運べる小さいパラソルを借りてきた湯屋諒子ちゃん。
冷たいおしぼりをもらってきた古谷奏ちゃん。仰岐さんに酷い目に合わされたので、変な生き物はノーサンキューです。

それぞれ楽しくやっておりますなぁ。いいクラスだ。
さて、冬子先生のところから戻ってきた景。
その前に現れたのは島田舞美ちゃん。
一緒に遊んでいるのは鈴木さんと、猪江皆緒さんと百合林千絵さんの3人。
猪江さんと百合林さんについては、ここでは語られていないので・・・単行本9巻のおまけをチェックだ!

友達がたくさんできた舞美ちゃん。その楽しそうな様子に景も笑顔になる。
その様子を目撃する。友恵さんたち。むむ、これは。
というか、舞美ちゃんがお腹をさすっているのは何のアピールなんでしょうかね?
うがった見方をすれば、何かの隠喩に見えなくもない。友恵さんがそう受け取ったらえらいこっちゃで!!

いつものあわわといった感じではなく、なんだかしっとりとした感じで不安になる友恵さん。
これはさすがに金屋ちゃんも心配になる感じである。
景と友恵の恋の行方はどうなるのか!
割と心配はいらないと思いますけどね。友恵さんと結ばれるかハーレムになるかのどちらかと思いますし。
ハーレムってのは、もちろん女子が景を取り囲めるという意味でのハーレムだ!

というわけで、1年B組のメンバーがほとんど駆り出される回でありました。
女子はおそらく全員でましたな。
男子はまだまだ紹介されていないキャラもいるが・・・まあ、いいか。
せっかくなので、名前が設定されているキャラは大体フルネームで表記しておきました。
あ、景を嫌ってる藤本大輔くんの表記がなかったな。まあ、ここで書いたからいいか。

で、今回の柱のアオリ。
墓守戦記も残すは2話!!

この表記を見たことで、各所が騒然となっておりますなぁ。勿論私も平静ではいられなかった。
ケルベロスはこの感想サイトを立ち上げたときに丁度始まった、思い入れのある作品ですからねぇ。
本当に終わってしまうのだろうか・・・あまりにも残念すぎる。
だが、待って欲しい。墓守戦記があと2話ということならば、他のキャラ主眼で進むということもあるんじゃないか?
前回仇喰さんが出てきたのがその伏線。
3週間後には骸装戦記アカメが始まるという流れだな!あれ、赤目嵐の方が主役だ、これじゃ!

改題の可能性はある。ケルベロスという題は検索するときに紛れ込みやすいという悩みは当初からあった。
この先の人気を伸ばすためには、検索しやすい名前に変える必要があると判断されたのかもしれない。
淡い期待かもしれないが、そういう期待は持っていたい。まだ見たいよ!



第八十六刻 景と、友恵  (2011年 46号)


臨海学校、初日の夜。
昼のことがあり眠れない友恵さん。舞美ちゃんをライバル視しているのか!?

眠れない夜を過ごす友恵さんと金屋ちゃん。帆奈ちゃんも大変だな。
そして、雪房は景の心のケアに努めようとする。
これから先、まだまだ大変なことがあるでしょうし、今のうちに楽しんでいて欲しいのでしょうな。

さて、日が開けて翌日。今日は遠泳の授業である。
その後は夜に肝試しがあるらしい。しかも、男女ペアでだ!ヒューッ!

男女ペアということで、女子の方に視線が向けられる。
初日の自由な水着とは違い、学校指定の水着の女子たちである
ほう・・これは・・・ほう。ほう。ほう。
腹の肉が締まって見える分、こっちのほうがいい気がするぜ!!
それにしても、この集合絵の鈴木久美子ちゃんは可愛いですなぁ。

さて、遠泳の授業はさらっと終了。長橋くんは早くも力尽きていた。長橋ー!!

で、夜。肝試しでございます。

不純だわ

いきなりなんですか、冬子先生。
確かにペアにする必要はどこにもない気はするが、いいじゃないですか毎年恒例なんですし。
そう言われても納得できない冬子先生。お遊びなら私も参加します!

景く・・・じゃなくて、ペア決めのクジを私にも引かせて!!

冬子先生・・・
なんというか、カラスの旦那に感情を引き起こされてから歯止めが利かなくなっているんじゃないかね?
このままだと本気で間違いを起こしてしまいそうな気配がある。誰か止めて!!

という騒ぎの中、景と友恵さんがペアになる。
おやおや、公認カップルがペアでございますか。
この組み合わせはしょうがない。舞美ちゃんも冬子先生も穏やかな顔で見守っている。
ふむ。友恵さんと組み合わせれば冬子先生も諦めがつくのか・・・いい解決方法だな!

せっかくベストな組み合わせになったのに、冷やかされて意地を張ってしまう景。
そういえば、まだお互いのことを苗字で呼び合っているんだよなぁ・・・照れ屋どもめ。

意地を張る景に、友恵さんも意地を張ってしまう。難しい年頃だ。
具合悪いからと旅館に戻ってしまう友恵さん。
その友恵さんを追う帆奈ちゃんと金屋ちゃん。

景には長橋くんが一言言ってくれます。そろそろ素直になった方がいいと。

毎日会えてるのって、その時は当たり前だけどさ、どんな理由で急に会えなくなるかわかんないぜ。

縁起でもないことを言う長橋くん。
だけど、戦いの場に身を投じている景としては、その言葉に思い至らないわけではない。

そして友恵さんの方。
意地を張る友恵さんに対し、むっとした様子の金屋ちゃん。

その景君とペアのくじ、私にちょーだい

小さな手を差し出す金屋ちゃん。そして言う。

ずるいよ。そうやって逃げるくせにペアの権利持ったままなんて。

まったくもってその通りでございますな。
その言葉を受けて、ペアのくじを渡してしまう友恵さん。
でも、それが正解というわけではないんじゃないですかね・・・?

私が友恵ちゃんだったら、こんなことしない・・・もっと素直にコレを大切にする。
私が友恵ちゃんだったら・・・素直になれない自分なんかとっくに捨ててる。
私が友恵ちゃんだったら、後悔しない選択をする。

・・・でもいいよ。もらってあげる。
いつまでも友恵ちゃんがそんななら。

本気で私が景君、取っちゃうから

こ・・・これは・・・ッッ!!
帆奈ちゃんが言っていた。悪いものでも憑いたのかと。
これはまさしく、百代狸が見せてくれた黒金屋ちゃんじゃありませんかァーッ!!
泡沫の夢として一瞬で消え去ったはずの黒金屋ちゃんを再び見れる日が来るとは・・・ありがたや。
なんだか知らないが、このページは無駄にテンションが上がる。何故でしょうね!

ともかく、その金屋ちゃんの行為に、私だって本当は・・・と叫ぶ友恵さん。

冗談だよ

笑顔になる金屋ちゃん。黒金屋ちゃんは終了したみたいです。
ペアのくじを返し、景の下に行くように促す金屋ちゃん。いい子だなぁ、ほんとに。
そして、そんな金屋ちゃんの気持ちをよくわかっているのが帆奈ちゃん。

素晴らしい冗談だッお嬢さん!ブラボー!!
めちゃくちゃ強めに抱いてやる!!来い!!

帆奈ちゃんに抱かれて泣きじゃくる金屋ちゃん。
うーーむ。ほんと、帆奈ちゃんは男前・・・いや、美しいお方である。
友恵さんはいい友達を持ったものである。

景の下に向かう友恵さん。
景もまた、友恵さんの下に向かおうとしていた。
途中でバッタリ出会った2人。
ここで意地を張ることなんてもうない。ペア・・・よろしくなと手を伸ばす景。

じゃ、行くぜ友恵。
うん・・・景。

一緒に――

久しぶりに名前で呼び合う2人。うむ、収まるところに収まった感じでありますなぁ。よかったよかった。

次号は最終話だ!
終わって欲しくない・・・終わって欲しくないがしょうがないのだろうか。
ジタバタはしておきます。ジタバタ。

ともかく、最終回予想でもしておきましょう。
真堂や常世、狗神の里はどうなるのだろうか。思いっきり放置という可能性はある。
ブラックに行くなら、真堂が急に襲い掛かってくるという手がある。
例えば、1年B組が旅館で宴会をしている最中に襲ってくる真堂。
君が遊んでいる間に、この旅館にいる人間以外の全人類殺しちゃったとか言い出す真堂。てな最終回とか。

それか、いきなり激闘を臭わす様なページが頭に掲載される。
何があったかは柱を5行消費して説明されるというあらすじぶっとびパターンとか。

俺たちの戦いはこれからだエンドが有力な手であるが、上の2つを越える例も見たいような見たくないような・・・
とにかく、最終話をジタバタしながら待つことにします。ジタバタ。



最終刻 雪房  (2011年 47号)


墓守戦記・ザ・ファイナル!

神楽辻古書店の横の石段を登ったところにある、狛守神社。
ここにいたのは、タバコを咥えた若い男。
これは、景のじいちゃんの若い頃の姿じゃないですか!

景のじいちゃん、十三塚憲三さんと話しているのは、軍服姿のドイツ人、ブッフホルツ
ブッフホルツはケルベロスという単語を口にする。ベロじゃないです。舌じゃねぇでよ。
ケルベロス。ギリシア神話に出てくる犬の化物の名前である。
そう解説しながら登場したのは、神崎千歳。神楽辻のおばちゃんの若い頃の姿である。
ほう、景のじいちゃんとは幼なじみだったのか!

ケルベロスとは、この世と地獄をへだてる門の番犬である。
ただ一頭で永遠に地獄を抜け出そうとする魂を、その牙で裂けと主の命じるまま居続ける番犬。

狗骸と似ていると思わないか?どっちも魂を見張る番犬さ

なるほどね。ここでタイトルの説明が入るとは、親切ですな。
そんなブッフホルツの言葉に、何でその犬はそんな所で番してなきゃならないんだと疑問を呈する憲三。

かわいそうじゃねえか・・・ずっと1匹で番なんてよ。主は何やってんだ?

はっはっは。この感想はなかなかでないな。可哀想と来たか。
いや、憲三さんは優しいですよ、本当。いいなぁ、じいちゃん。
若い頃のじいちゃんの、この3人の物語というのも見てみたかったなぁ。
長老も若い頃の姿とか出てたし、そっちの物語も面白そうだなぁ・・・

ともかく、ブッフホルツは言う。

何かケルベロスにも報われるような、うれしいことでもあればいいな・・・
何が喜ばしいことかはわからないが・・・
そうあれば、いいな・・・

昔の話は終わり、現代。
散歩中の犬とすれ違う景と雪房。
顔を出し、その犬を見守る雪房は何を思うのか。

私には、使命がある。
人と世に仇なす化物『崩』を――人と共に『墓送り』へとする使命。
人を崩と戦う存在――『墓守』と変え、共に戦う使命。

そのように作られた私は・・・そのために作られた道具である私は――
やはりそのように使命を全うするのだろう。

ならば、ならばいっそ――感情はいらなかった

雪房が狗骸になる前のことはあまり覚えていない。
ただの犬であったときの思い出は、ふと時折。わずかに思い出されてしまう。
そんなときは、確かに――あるはずなき胸をキュと締め付けて、切なくなる

狗骸って確かかなり酷い方法で生み出されていた気がするのだが・・・
恨みの篭るような状態で殺されて製造されるとかじゃなかったっけ?
そんな風に、道具として生まれ変わらせられたのに、使命を全うしようとする雪房には驚嘆せざるを得ない。

しかし、そんな雪房を見下すものもいる。
武器として生み出され、生み出したものたちに反抗する狗骸、黒鱗。
黒鱗は、雪房を過去に縛られるみじめな出来損ないと評する。

貴様ももはや化物なのだ。
感情をも化物にして楽しめば良いものを・・・
愚か者はやはり――愚かな夢を見るのだな。

黒鱗の言葉を聞き、雪房は思う。私の夢は愚かか?
ああ・・・愚かなのかもしれぬ。

私はまた、ただの犬に戻りたいだけなのだが
特別ではない、ただその辺を歩く犬になりたい。それだけなのだが――
ああ――やはり、愚かな夢だ。

石に貼り付けられ、ただ墓所を管理する存在となりながら、そんな夢を見る雪房。
目を開ければ、そこは暗い墓所の一室。
夢見たような、陽気な空の下で駆け回るような風景とは程遠い。

しかし。
私の愚かな夢は――景との出会いで消えうせたのだ――

呪われた存在であると自ら揶揄していたが、それでもただの犬のように接してくれる金屋ちゃんたち。
友恵さんや、事情を知ったらしき帆奈ちゃんも穏やかな顔で見守っている。
夢から覚めた雪房を纏い、景は歩き出す。そして、雪房は思う。

私を相棒と呼ぶ景といる今が――景との日々が――
試練に共に立ち向かい、共に戦い成長し――
ケンカし笑い合える今がただかけがえなく、うれしいのだから――

雪房は景に確認する。私を背負って歩くのはつらくないか、と。
景は応える。相棒と一緒に歩くのが、何でつらいんだよ、と。

まだまだ長い付き合いなんだから、よろしく頼むぜ雪房
うむ・・・よろしくな、景――

偶然の出会い。かけがえのない今。狗と少年の絆はこれからも・・・

というわけで、ケルベロス。終了であります。
ああ・・・いい最終回だった。
突然の終了に心泡立てたこともありましたが、なんともしんみりとした気分になってしまいました。
願わくば、景と雪房がこれからも健やかでありますように。

ケルベロスが始まった号からこのサイトを立ち上げた自分としては、一際感慨の深い作品です。
語りたいことは色々とありますが、この最終回を見てはそれも無粋というものかもしれませんな。

フクイ先生は修行を積んで戻ってくると宣言してくれている!チャンピオンラブとも!
ここはひとつ、新たな物語を座して待つに限るぜ!

フクイタクミ先生の次回作にもの凄く期待しています!!!


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