蒼天紳士チャンピオン作品別感想

ハンザスカイ
第61話 〜 第90話


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 第61話 〜 第90話 (2011年 19号〜2011年 50号)   第91話 〜 (2011年 51号〜)



第61話・幻影を切り裂いて  (2011年 19号)


幻連携は見抜けた番場さんだが、財前さんの変化は見抜けていないようだ。
糸口はわからんし、経緯もわからん。だが、やってのけた。

手だけを見ると手しか見えないけど、眼を見ると全体が見わたせる。
すると、余計なモノが気にならなくなり、本当に動かなきゃならない時に動ける――

やってみ?

子供のころの能登君の言葉を思い出す。そして、それを今実践している。
虚を振り払い、実を狙って切り伏せる。
中段突きがきまって、ポイントは五分の状態になりました。

数多くのフェイントも、ああもどっしりと構えられると意味がない。

カウンター。待ち拳。
文字通り、相手の攻撃を待って制する拳。
それが故に、戦局そのものを相手に任せるイメージが強い。しかし――
動いても無駄だと思わせる。動かずして相手の動きを封じられる

これが試合を完全に掌握するということか!
葉月さんには、財前さんの姿が、まるで居合いの構えで佇む武士のように見える。
間合いに入れば斬られる。そんなイメージだ。
この財前さん格好いいっすなぁ。

とはいえ、総合のポイントで負けている東嶺大市川。引き分けではいけない。攻めるしかない。
残り5秒で攻勢にでる。しかし、財前さんの目は全て見切っている。
攻撃を手で払い、そして――
反撃をしようとしたとき、財前さんの目には対戦相手とは別の姿が飛び込んできた。
先ほどまで脳裏に思い浮かべていた姿。逆転のきっかけを与えてくれた人物の姿。
高校生になった能登だ!

なんというタイミング。あまりにも出来すぎたタイミング故に、財前さんの動きが止まる。
そして、そこに攻撃が加えられ、逆転を許してしまう。うーむ。
これで勝負は大将戦に持ち越されてしまいました。

負けた財前さんも辛いだろうけど、この結果でいたたまれなくなるのは、結城君ですな。
最初で反則負けしたなければ、ここで勝負は決まってましたのに。
これで東嶺の大将が負けたら、自分のせいでーって感情がまた強くなりそうですな。
まあ、反省を促すという意味では、その方がよいか。

で、あらわれた能登のほうですが、所属しているのは要陵高校
全国で現れるのかと思ったら、そこに出てきましたか。昨年のベスト4の高校ですな。
これは、蓮城危ういか?決勝は当然、蓮城との戦いになるかと思っていたが、能登君の登場でわからなくなった。
チーム戦ではなく、個人戦用の相手としての登場かもしれないですしね。



第62話・地獄大将  (2011年 20号)


決勝進出をかけて、大将戦が始まります。
青柳さんはこのシチュエーションを楽しんでいる。
プレッシャーを楽しみに変えるタイプですな。実に大将向きだ。

しかし、今回は東嶺大市川のお話でございます。
正式な高校名は、東嶺大学付属市川高等学校。長いよ。

2年前。私立として校名をあげんと抜擢されたのが、日本一の実績を持つ国島太陽。
日本一に指導してもらえるなんてとドキドキする若者達。
しかし、そんな目の輝きも長くは続きませんでした。

やはり一流の人間の稽古は厳しい。
試合をするからには勝つ。日本一になった国島太陽もまたそうやって来たわけですわな。
蓮城や要陵に勝つためには生半可な鍛錬では追いつかない。
これまでとは比にならない猛稽古を課す必要があった。

地獄だ・・・

あまりの稽古の厳しさに音を上げる部員たち。
部員の一人、真鍋は他の人より体力が劣るのか、国島さんに怒鳴られっぱなしである。
今回もスタミナ切れを指摘される。そして、喝入れの頭突き。
しかし、この頭突きで額が割れ流血。道場に鮮血が吹き荒れる。
ただでさえ、地獄のような稽古を受けているときに血まで見せられる。若者の心が折れるのもムリはないか。
山のように積まれた退部届け。
辞めた生徒は他の部活に打ち込んでおります。
東嶺大市川の武道場は人の姿がなく、閑散とした状態になりました。まこと広くなりもうした・・・

誰もいない武道場を掃除しながら、考える国島太陽。
もしも、俺が「強い」とするならば、それは味わってきた猛稽古の結果に他ならない。
俺と同じ道を歩ませることが最善と思っていた。が・・・

何が足りない?何に欠けていた?
教えてくれ。先輩・・・

日本一にまで登りつめた人間と同じ稽古ができる人間は限られてますわな。
一流の選手が一流の指導者になれるとは限らないか
。 そういえば、国島さんの稽古って菅野先生が先輩として叩き込んでたものなんだよね。
稽古の激しさで前歯をへし折られたとか言うし。そりゃキツイわ。

ただ一人思い悩んでいるところに、武道場に人影が現れる。
先日流血したばかりの真鍋さんだ。
スタミナがないので、走っておくように言われていたので、走っていたらしい。
真鍋さんはとにかく体力が無い。なので、真っ先に辞めるんじゃないかと思われていたらしい。

額のことについて謝罪する国島さん。
それに対し、逆に嬉しいと返す真鍋さん。アイドルの握手なんか比じゃないや。
この言葉に国島さんは微妙な表情を見せる。何を言っているんだこいつは?って表情だ!

俺は辞めませんよ。
国島太陽が日本一の選手なら――俺ァ、国島太陽の日本一のファンなんです

真鍋さんの素直な言葉が国島さんの心をうつ。
苦行だけを課してきた自分を激しく後悔した。

強くしてやりたい。コイツの為に――!

ただ厳しいだけの稽古を課すのでは指導者とは言えないということですかね。
相手を強くしてやりたい。この気持ちが大事なのかもしれませんな。

翌年。一年生の部員が多く入ってきています。
今のレギュラーである、曽根、岡、葉月の3人の姿が見える。
噂に聞いた地獄の特訓。しかし、その中で頑張っているものの姿がいる。真鍋さんだ。
真鍋さんの姿を見て、憧れる当時の一年達。強くなったもんだねぇ。

ただ一人逃げ出さなかった。それゆえに、唯一の三年。
誰よりも地獄を踏んできた男。
地獄大将、真鍋さんの登場だ!

正直、ルックスだけ見ると余り強そうに見えない真鍋さん。
だからこそ、なんとなく魅力的に見えてしまうのもなくはないわけで。
完全に努力家の叩き上げってのもいいですなぁ。

それにしても、唯一の三年ということですが、青柳さんもそうなんですよね?
こちらは、なにやら問題行動を起こしての結果のようですが・・・そっちの話もでるかな?
楽しみな対決になりそうです。



第63話・難攻不落  (2011年 21号)


大将戦開始!
青柳さんは188cm、75kgらしい。さすがに大きいな。
対する真鍋さんは177cm、75kgである。
体重は同じだが、11cm差は大きい。どんな戦いになるか。

この大将戦はさすがに注目されている。
蓮城、要陵の大将もじっくり見る構えである。両者の目当てはやはり青柳さんか。
長い足による前蹴り。その足は自在に変化して蹴りを放ってくる。
強烈な上段蹴りを1発。当たりはしなかったものの、うかつに近づけないと直感できる技の冴えだ。

ここで蓮城の伊奈さんから解説。さすがライバル役ですね。
青柳さんと戦う大前提として、あのリーチ差を克服しないと同じ土俵には立てない。
ただ長いだけではなく、素早い蹴りが無数に飛び掛ってくる。
その制空圏に入り込むだけの勘と技術が要求されるのだ。

しかも、制空圏に入れないだけではない。その上で果敢に攻めかかってくるのである。
厄介な人ですな。突入する為に胆をくくる暇すら与えてくれないというのだから。

侵入する者を阻む無数の槍。
侵入できない者を無慈悲に撃つ長距離砲。
それが――巨塔(バベル)!

この圧倒的な攻撃の前に、真鍋さんはしのぐことしかできずにいる。
試合は1分30秒経過している状態だが、一度も青柳さんの制空圏に入れていない。

伊奈「試合を動かすのは、青柳の足だ!

試合の流れを制し、イケイケのムード。応援する御門のメンバーも勢いづいている。
が、突然の真鍋さんの一撃。
上段突きが青柳さんの顔面に決まり、ポイントが入る。

これには各チームの選手や観客も騒然。伊奈さんも思わず汗を流す。
特に伊奈さんは深刻だ。今言ったばかりのセリフが覆されたのだから。カッコ悪い!

なので、伊奈さんによる真鍋さんの動きの解説だ。便利な人だな。
フェイントとかそんなチャチなもんじゃねぇ。
ただ単純に――真っ直ぐに、青柳の制空圏に入って突きを極めたのだ!

青柳の蹴りより速く!

これが地獄を見てきた男の強さか!真鍋さんの格が一瞬にしてあがった回でしたな。
まあ、青柳さんが試合を制していた、といっても一度も蹴りは入ってなかったのよね。
攻め続けてたが、有効打が得られてない時点で不利な流れになるのは予想できました。

しかし、真鍋さんってあんまり他のチームに注目されてませんよね。
昨年はベスト8に入っているし、そのときも大将だったでしょうから、もっと注目されてもよさそうだが?
まあ、4強が〜なんて発言もあったし、ベスト8ぐらいでは注目されないのかも。
真鍋さんも昨年はまだ発展途上で、1年かけて相当成長したのかもしれませんしね。

さて、先行を許してしまった青柳さん。どのように巻き返すか。注目ですな。



第64話・真鍋の跖  (2011年 22+23号)


地獄大将、地獄突き!巨塔、青柳を貫く!
見事なアオリだけど、地獄突きじゃ別の技になっちゃうよ!ブッチャー?

前回の伊奈さんに続き、番場さんによる解説が行われる。
一ノ橋の工藤さんが使っていた無拍子。それともまた違う。
青柳さんより10cm近く低い真鍋さんは、技が届く距離に近づくための何らかの工程を経なければならない。
しかし――
速く、遠く、一挙動でリーチ差を埋められるなら、もともと工程など必要ない。

ようするに速いから凄いってことでいいんですかね?

まるで瞬間移動じゃないかと驚く御門、蓮城の1年達。
真鍋さんの中段蹴りが決まり、ポイント差が3点に広がった。
あまりの動きに疑問に思う半座。あんなことできるのか?

番場「普通は無理だ。真鍋の足を見てみろ」

その足の裏は凄くリアルに描写されていた。
何度も剥離と回復を繰り返してきた岩の様な足の裏。
それが物語る――異常な稽古量によって生み出された足腰!

鬼が与えた駿足だ!

地獄大将、真鍋さんの強さは丹念に積み上げてきた稽古によるもの。
なんだか主人公っぽい強さですなぁ。思わず感情移入してしまう強さだ。
ちなみにサブタイトルの跖は1文字であしのうらと読むそうな。

青柳さんはでかくて、長くて、速い。
しかし真鍋さんの気持ちは負けない。

真鍋「俺には先生がいる。先生の教えが――ある!

国島太陽の教えを背負い戦う真鍋さん。
それ自体は格好いいんだが・・・実際に背負っているイメージ図はどうなのか!
国島さんが凄いガラが悪く見える。やんのか、あ゙ーっ?って挑発してるように見える。おんぶおばけが。

ここで飛び出してきた、東嶺大市川の名物、重連携!よいしょー!
尋常ならざる足腰の強さから放たれる、速さと手数!これは、まずい!
が、青柳さん。冷静に相手の軸足を払う。
そして、バランスを崩したところに、上段蹴りが決まった!

思いっきり振りぬいているように見えるけど、ダメージにはなってないから反則じゃないのかな?
このあたりの寸止めのサジ加減がわからない。
しかし、よくみると、この蹴りって足の裏で蹴ってるんですな
通常の蹴りに比べれば威力も低くなるだろうし、振りぬいても問題はないってことか。
つくづく今回は足の裏に縁がある回だ。

一挙に同点に追いついた青柳さん。やる気も満点だ。

リーチ差が埋まるのは有利でもなんでもない。同じ土俵に立っただけだ。
つまり――本当の戦いはここから!

俺たちの戦いはこれからだ!
なんて終わり方ではありません。まだまだ続きますよ。
両雄相譲らずの激闘。しかし、この戦いは割と勝敗が見えないかもしれない。
この後は個人戦も控えているとなれば、御門のチームとしての負けというのはありえるのではないだろうか?
財前さんと能登さんの対戦はそこで行われるとか。
そんなことを考えてしまうほど地獄対象がいいキャラをしている。厄介な相手だぜ!
青柳さんも回想を入れるなどして反撃の機会を作ったほうがいいんじゃないかね?
と思ったけど、結城君や財前さんなど、回想を入れているほうが負けている気がする。番場さんのは妹の回想だし。むむむ。



第65話・壁の向こう側  (2011年 24号)


巨塔VS地獄大将。本当の戦いはここからだ!
難攻不落の足技 対 電光石火の足腰!どっちが強ぇ?

目が離せない戦い。まずは青柳さんの上段突きで1ポイントリード。
それでも真鍋さんは怯まない。国島さんの言葉を思い出している。
リーチのある奴との戦い方。相手を壁と思うな。同じ人間だ!
難攻不落の守りを破り、再び上段突きを決める真鍋さん。互角の攻防だ。

青柳さんは身体操作が上手い。国島太陽も認める実力である。
自分より体重の軽い相手をあしらう術にも長けているのだ。

相手の身体を崩し、有利な展開に持ち込み、再び上段突き。
見事に決まったのはいいけど、手技が2連発で、肝心の足技が決まっていない。なんだか不穏だ。

とはいえ、見ている国島さんも焦っている。
懐に入り込む方法と「足」は授けた。しかし、それと青柳さんに勝つ方法とは全く別である。
そこにさらにもうひとつなくては勝てない。巨塔は高いな。

その巨塔、青柳さん。彼にも戸惑っている部分はあった。
真鍋さんは開始とともに猛ダッシュで間合いを詰めてくる。何か狙っているのか?
そう考えているうちに、懐の奥に入られる。笑みを見せる真鍋さん。
そう、この場所に入ることが真鍋さんの目的だった!
拳や蹴りを密着した状態で振り回す。

狙いは「懐」じゃねぇ。その更に奥――0距離!!

見事なボディコントロールで、後ろ回し蹴りを青柳さんの頭部に決める。
ここに来ての3P。しかも足技で決めてくるとは!御門の面々も唖然。
そして、国島さんは驚いている。あの技はッ・・・!!

なんでしょうか。自分の昔の持ち技とかそういうのでしょうか?
国島太陽の一番のファンを自称する真鍋さんですし、扱えるのもありえる話ですやね。
しかし、青柳さんはやはり厳しい展開。そろそろ回想のひとつも挟まないと雰囲気からして勝てそうにないぞ!



第66話・真鍋 お前は  (2011年 25号)


国島監督の現役時代。選手権大会の決勝。
長いリーチを活かして攻めてくる選手に対してリードを許し、残り10秒。
その懐にもぐりこんで放ったのが、今真鍋さんが行った蹴りである!

この難しそうな蹴りを見た実力者達、ただ一言。
見事!

密着により相手の足の稼動を腿から妨げ、蹴りを封じる。
密着により相手の視界の外で動けるようになり、身長差があるほどそれらは発揮される。
となれば、後は小回りのきく背の低いほうの独壇場。

やはり長身の相手に対しては懐にもぐりこむのが定石でありますな。
これまでそれを許してこなかったのがバベルであったのでしょうが、その防御をくぐりぬけてくるから凄い。

そして、番場さんは言う。
あれは――国島太陽を日本一にした技だ!

さすがに番場さん。選手権大会とかもちゃんとチェックしてるんですな。
このセリフに驚く半座たち。しかし、国島監督もまた驚いていた。

教えちゃいない。いや――教えられない。

自分自身、あの時の攻撃は苦しめられて我武者羅に出したものだったのだ。
言ってみれば、偶然の産物。とても人に教えられる技ではない。
それなのに、真鍋さんは使って見せた。
さすが、日本一のファンを自称する男である。その動きはまさしく本人のようである。
それを見たとき、国島監督は思った。

馬鹿野郎!ファンなんて言うな!
お前は――俺だ!

これまでは背負うだけだった国島太陽の幻影。
しかし、それがまるで真鍋さん自身であるかのごとく被り、上段突きが青柳さんの顔面を捉える。

伊奈さんも、あの動きはまるで国島太陽そのものだと太鼓判を押す。
番場さんも、真鍋さんはもはや只の真鍋ではないという。いわば――日本一だ!

日本一の男が相手。青柳さんもそのことを悟ったらしい。
が、その闘志は萎えることは無い。逆に上段突きでポイントを取り戻す。

日本一ってことはだよ?
コイツ倒しゃ俺が日本一だよな?

強敵を相手にして、逆に闘志を燃え上がらせる青柳さん。うむう、格闘家だのう。
絵面は怖いが、とにかくやる気は伝わってきます。怖いけど。
残り20秒。2P差。一本取れば逆転。2Pでも同点で、ポイント差で御門の勝利。
果たして青柳さんの逆転はあるのか。なんとも決着が見えない対決だ。

どうでもいいが、今回のタイトル。
「真鍋 お前は」なんてつなげられたら、美しいとか言っちゃうじゃないですか。う、美しい・・・ハッ!
それか、真鍋、お前は俺の――でもいいですな。その後死んじゃうセリフですけど。



第67話・終止符  (2011年 26号)


コイツ倒しゃ、俺が日本一だよな?
日本一を相手に巨塔が燃える!バベル燃えたら崩壊しちゃうじゃない!ってのは置いておく。

残り15秒。おそらく最後の攻防である。
野田君が時計を見る。残りは10秒。もうあとは声を枯らして応援するしかない!
というわけで声をだす野田君。決してくしゃみで唾を飛ばしているわけではない。そう見えるけど!

あの人はいつもそうだ。
越えるべき「高み」を見つけると――それが高けりゃ高いほど、笑っちまう人なんだ・・・!

なんという戦闘民族であることか。ワクワクしてきたぞ。
必死な形相の真鍋さんに比べ、笑顔を浮かべる青柳さん。真摯だけど、不謹慎にも見える。

音もない、サイレントな状態での攻防。
共に決定打は決まらない。しのぎつつ、攻撃をしかける。
リードしている真鍋さんも守りきるよりは、ここで決めてしまいたい。間合いをつめて攻撃をしかける。
真鍋さんの上段蹴り。それを受けた青柳さんは、真鍋さんの体を崩して転倒させる。

転倒した状態で攻撃を当てれば一本。逆転だ!
追撃を放つ青柳さん。しかし、真鍋さんも横っ飛びでそれを交わす。

交わされた!
そんな表情の半座と野田君。残り3秒。

真鍋さんもここで距離を取るようなことはしない。最後まで前に出る!
が、それが災いとなった。
起き上がっての突進。これまでずっと酷使してきた足の裏に限界が来ていた。
鍛えられた足の裏の皮が破れ、血が噴出している。それゆえ、滑りバランスを崩した。

そこに叩き込まれる青柳さんの上段蹴り。

残り1秒で叩き込まれた蹴りは一本となり、逆転。そのまま試合終了となったのでありました。
おやおや、勝ってしまいましたよ青柳さん。ちょいと意外だ。

バランスを崩したとき、真鍋さんは悔しそうな顔をしていた。
もっと早く成長しきっていたならば、という思いがあるのかもしれない。
そして青柳さんも、真鍋さんがバランスを崩した後からは笑顔が消えている
相手をねじ伏せて得た勝利ではなく、ある意味ラッキーな勝利である。納得がいっていない部分があるのでしょう。
まあ、だからといって団体戦である。ここで勝利を逃すわけにはいかない。大将ですしね。
買った青柳さんの表情が浮かない感じなのはその辺りの煩悶があるゆえかもしれない。

まあ、何はともあれ御門は決勝進出であります。
結城君は先輩たちの試合を見てどう思ったのか。まあ、辞めるってことはないと思いますけどね。
そして、御門の対戦相手は蓮城と要陵のどちらになるのか。注目です。



第68話・負けたけど  (2011年 27号)


喰らえ!野良犬の雄叫び。ハンザスカイの7巻は6月8日発売だ。
ずっと半座オンリーだった表紙に野田君が現れます。
今週は1ページ目が野田君の一枚絵だったもんで、あれ?時間飛んだ?いきなり決勝?と混乱した!

大将対決は青柳さんの勝利。御門は決勝に進出でございます。
強くてもうやりたくないとは青柳さんの弁。こりゃまた青柳さんらしくないセリフですな。弱気だぞ。

敗れた真鍋さんは国島先生に謝罪しようとする。
が、下げようとした頭は止められる。

全力で立ち会ってくれた青柳に礼しただろ。もう頭を下げる相手はいねぇ筈だ。
下げんのは俺の方だ。いい戦いを見せてくれた。
ありがとう。

この師弟はいいですやねぇ。普通に主人公側していて困る。

さて、東嶺大市川戦も終了しました。チームで礼をしたあと、それぞれの選手が健闘を称える。
野田君は惜しかった。エンジンがかかるのがもう少し早ければ。
番場さんは足の具合はどうなんでしょう。岡君も気にしている。ううん、ケガなんてないよ、ホントだよ。
静かな感じの財前さんと葉月さん。試合中によそ見してしまったことは内緒だよ。

そして、半座と結城。
握手をする資格なんてない、と躊躇う結城君だが、その手を勢い良く握る半座。

また戦ろうぜ!次は――もちっとマシになってるからよ!

元不良のほうが爽やかな感じになってますな。結城君もこれでダークな面からオサラバできるとよいですのう。

敗れた東嶺の5人の背中を見て、国島先生は思う。

成果をくれてやると心に決めて、地獄を見せてきた。
あいつらも結果を信じてついてきたハズだ。
けど負けた・・・

すまないと謝罪する国島先生。しかし、振り返った5人の表情は未来を見据えていた。
この試合を糧にして、この先も強くなることを考えている。
結城君も一から鍛えなおそうとしている。辞めませんよ!

僕は負けたけど――おかげで目標ができたんです・・・!

「けど負けた」「負けたけど」
でっけぇ違いだ。ヘコんでるの俺だけじゃねーか。

生徒達に激を入れられた形の国島先生。己のやる気も奮い起こさせる為に頭突きだ!
いいコト言ったはずなのに気合の乗った頭突きをかまされる結城君。ハハハ。

こいつらが胸張ってんだ。俺が下見てどーすんだ!
教え子を、その未来を信じて――俺ァもっと鬼になる!

この上さらに鬼になると申されるか!
生徒を信じているからこそ鬼になる。千尋の谷に突き落とす気マンマンっすね。
それにしても、来年がある1、2年はいいけど、3年の真鍋さんの心境はどうなんでしょうね。
同じようにいい顔してたから心配はないか。個人戦もまだあるでしょうし。

試合は終わり、舞台裏でお互いのチームの先生達が会合。
ジャージの前を開ける菅野先生の姿に不思議なほど興奮した。何故?
男臭い空間からいきなりの展開だったからだろうか。ギャップ差ってやつですね。この緩急の差がポイントだ!

指導する側の教えや予想を越えてくれる生徒。教えがいがありますわな。

先生同士も握手を行う。
かつての先輩と後輩。後輩から見て、菅野先生も変わったように見えるらしい。

人間歳くうと変わるものですかな。あの頃の鬼のようなオーラが嘘のようだ。

ゴガス!
国島太陽お得意の頭突き。が、国島太陽に叩き込まれている!
ピッチピチの人妻の頭突きを受けて国島さんが悶絶しているぜ。

全然変わってねぇっ・・・!

そうか。国島さんの頭突きは菅野先輩譲りなんですな。
こうやって教えは受け継がれていくんだなー。真鍋さんもいつか頭突き使いになるのかしら。



第69話・ソレ以上のモノ  (2011年 28号)


決勝進出を決めた御門。ここでちょっと休憩だ。
御門ムスメ達が近くのコンビニでエナジーゼリーを買ってきてくれたぞ。
番場さんの妹もすっかりその一員なのか!?
買って来たという中に入りつつ、早速飲んでる穂波嬢。まあ、次の試合がある人だしいいんだけど。

番場さんもちゃんと受け取っている。
飲んでいる姿はないが、受け取ったということは決勝も出る可能性があるってことなのかねぇ?
決勝に向けて気合を入れている先輩達。半座は緊張の面持ち。
外に出て、体を動かさないと落ち着かなくなっている。

絶対に負けらんねぇな。

準決勝の結城君との戦いは、実際は負けていた。拾った勝利である。
その事実ゆえ、次は本当に負けるんじゃないかと緊張している。

気がついたら、俺みてーな初心者が、絶対に負けられないトコまで来ちまった。

緊張からくる震えが止まらない。拳を振るって振り払おうとする半座。その正拳が野田君にヒット。あ。
試合前に鼻血吹いちゃうとか、野田君も災難だな。
せっかくなので組手をする2人。
全勝の半座と全敗の野田。お互い抱えている悩みは違う。
次は負けるかもしれないという半座。次も負けるかもしれない野田。
そんなことで悩むなんて――

贅沢いってんじゃねぇ!!

野田君のチョップ炸裂。

じゃ何か!?負けても負けてもここにいる俺は・・・馬鹿か!?
俺だって怖ぇよ!
でも、ソレ以上のモノがあんだよ!

できすぎでも、反則でもいい。
試合終わったら「赤の勝ち!」って言われてえんだよ・・・!

野田君の叫びは悲痛ですな。次こそ、次こそは!
そんな野田君に励まされてしまう半座。

確かに俺ぁ贅沢者だ。強ぇ奴といっぱい戦える・・・!
ビビってるなんて勿体無ぇっ!

決意を新たにした1年コンビ。気合も十分でございます。頑張れ!

しかし、御門ムスメ達は少し出番があっただけで、ほとんどスポットライトが当たりませんな。
次は穂波嬢の決勝だと思ったけど、そこで何かあるのかどうか。とりあえず期待。



第70話・ゆるやかなる者  (2011年 29号)


もう一方の準決勝はもうすぐ始まります。
勝つのは蓮城か要陵か。

半座としては、蓮城に勝ってもらわないと困る。
このあいだの蓮城との練習試合で再戦を約束した相手がおりますしねぇ。
峰岸君との戦いが実現するかどうか。それは、次の準決勝にかかっている。

トイレで半座が出会ったのは、要陵の選手。
なかなかよい趣味のハンカチをお持ちですな、このイケメンさん。

さらに、峰岸も登場しました。強者の揃い踏みだ。
どうでもいいが、峰岸はトイレで何を充電してたんだ?ここはむしろ放出する場所でしょうに。

峰岸は半座に、大仕事を終わらせてから、すぐ行くという。
ライバルの半座よりも、今は目の前の倒すべき相手を見据えているようだ。

さて、外に出た半座。そこには、体を動かしているイケメンさんがいた。
とび蹴りで葉っぱの一枚を削るってどんだけだよってもんだ。
素晴らしい動きを見て、いてもたってもいられなくなった半座。
満面の笑顔で挑ませてもらいます。イケメンさんも笑顔で受けてくれます。あら、カッコイイわぁ。

挑みかかるが、あっさり空を見させられる半座。続いて、地面に伏せられる。
殴り倒されるのではなく、体を崩されている。
実力の差が凄いわかる構図ですなぁ。
やられた半座のほうは、何をされたのかもわからない状態だという。

まあ、この実力差はしょうがない。なんせ、このイケメンさんは前年の男子個人組手の覇者
そして、要陵学園の先鋒吹越竜之介さんであります。

なんと、吹越さん、先鋒だったのかよ!?
要陵は強い奴を先頭に押し立ててくるスタイルなのでしょうか。こりゃ厄介だ。
峰岸が言っていた大仕事というのも、相手が相手だから頷ける話ですな。

それにしても、吹越さん、名前が竜之介だと?
半座龍之介と吹越竜之介。こ、これは一体・・・?
なんとかドラゴンとかいう異名がついていそうですな。

ともかく、決勝に要陵学園があがってくる確率が跳ね上がった感じがしてきました。
半座も初の敗北がこの男ならば、しょうがないとなりそうですしね。
峰岸はどこまで喰らいつくことができるか、まずはそこに注目ですな。



第71話・再充電  (2011年 30号)


大物を喰らえ!それが挑戦者の心意気!
決勝で大物喰いを狙う峰岸。
それに先んじて、半座と手あわせてしているのを見ちゃっては黙ってはいられない。
こっちはもう臨戦態勢なんスよ。

そう宣言する峰岸に、相変わらず笑顔の吹越さん。
なら君も戦ろっか!

笑顔と共に構える吹越さん。その姿に思わず後ずさる峰岸。
まあ、ここで戦うなんてことはありません。
半座との組手はまあ、ウォームアップみたいなもんでしたからね。
万全の状態で、本番に臨むことにするため、ここでは戦わない。吹越さんはクールに立ち去る。

呆気にとられたのか、ハンカチを返すのを忘れていた半座。
この後、アニメ柄のハンカチを持ち歩いているのを目撃されて、オタク扱いされる半座の図が出来上がるわけですね。
元不良の現オタクか。ありじゃないかね!?

それはともかく、峰岸。
再びトイレに篭ります。大見得きっておいて、挑まれても動けなかった。カッコ悪い・・・
表面は大口たいてカッコつけて、中身はスッカスカ。
人には強く見られたいと思ってるクセに、俺が俺自身の強さを一番疑ってる・・・!
弱ぇ・・・そんな俺が、アレと戦るのか・・・

戦れんのか!?この土壇場チキンが!?

葛藤する峰岸。結構冷静に自己分析できてますのね。
今はまだ土壇場ではない。余裕があるうちに、勝ちのイメージをしておこうとする。
トイレで充電してたのは、勝ちのイメージのことだったのか。理解した。

しかし、脳裏に浮かぶのは敗北のイメージ。心で負けている!
今できたイメージの、自分の顔と相手の顔を入れ替える。
でもこのままじゃ変だから、顔以外もちゃんとイメージ・・・

こうなりました

採石場みたいなところで、悪の幹部のような吹越さんを蹴り倒すヒーロー峰岸の図!
光線銃を持った伊奈さんの笑顔とか、悪の幹部の仲間である能登さんの表情とか、もうツッコミどころたくさん!

とんでもないイメージができてしまった峰岸。光が見えた・・・気がする!
というわけで、元気に登場する峰岸。遅れて見参はヒーローの鉄則。
変身してきたから心配は無用と先輩方に語る峰岸。不安はぶっ飛んだみたいですな。
逆に伊奈さんの顔を見てイメージを思い出して噴出してしまわないかが心配だ!

よくよく考えたら絶好の舞台じゃねぇか。
コイツ倒してさ、なるぜ俺は俺がかっこいいと思う――俺に!

変身完了した峰岸が悪の王者、吹越に挑む!
でも土壇場チキンですからねぇ。ポイントリードされたらまたヘコミだしそう。
イメージをしっかり持つんだ!伊奈さんもサポートしてくれるよ!光線銃で。



第72話・対最強  (2011年 31号)


もうひとつの準決勝、先鋒戦。峰岸VS吹越!
火の玉小僧と王者の戦いが始まります。

峰岸勝朗 1年 168cm 62kg
吹越竜之介 3年 177cm 69kg

10cm近い身長差がありますな。まあ、峰岸にしてみればよくあることでしょうが。

この一戦。というか、吹越さんの試合を固唾を呑んで見守る御門メンバー。
御門だけでなく、破れた市ノ橋や東嶺の部員も見ている。
昨年、当時2年にしての個人戦覇者。
以来県内では未だ、無敗・・・!

どうやら想像以上に大物だったらしい。あんなハンカチ持ち歩いてるくせに。
注目されている吹越さんから注目を奪うために、攻撃をしかける峰岸。
軸足ごと移動する右の外回し蹴りだ!

と思わせて軌道が変化する。内回し蹴り。
さらに突きからのコンビネーション。これは速い!

しかし、追撃の蹴りは懐に入られ避けられる。
そして、足を払われて体を崩され、上段突き。1本である。

流麗だ・・・

番場さんも思わず冷や汗を流す。
まさに流れるような動きで相手の体を崩してきたぞ。

続けて、初め。
的を絞らず、上下に振るようにする峰岸。突きも交えて簡単には懐に入らせないようにするぜ。
右の蹴りからの、左の中段逆突き。
しかし、この逆突きが止められ、片ヒザの状態から転がされる。
そして、追撃の上段突きで1本と。

まさか、立っていない状態から転がされるとは思いませんでした。これは驚く。
いきなりの6P差。あと2P取られたら終わってしまいます。
「圧倒的」ってこういう時使うんだな。

続けて初め。
果敢に攻勢をかける峰岸。その足が払われようとしている・・・まずい!
が、それを飛んで交わし、後ろ回し蹴りを叩き込む峰岸。おや、カッコイイ。

いつまでも・・・目立ってんじゃねぇぞこの野郎!!

観客の注目を奪われっぱなしだった峰岸。ようやくの活躍であります。
ここから巻き返しがあるのかどうか。
なんせ吹越さんは今のところ、体を崩しての1本しか狙っていない状態。
果たして手を出させることができるか。まずはそこからだ!



第73話・主役  (2011年 32号)


一方的に押されていた峰岸。あと2P取られたら終了という土壇場でやり返す。
この反撃には観客も、蓮城の面々も沸き返る。やりますなぁ。盛り上げてくれるぜ。

続けて行くぞと峰岸。残像すら見えそうな足捌きで迫る。よいしょー!
しかし、あっさり捕まる。抱え込まれて、軸足を駆られそうになる、が、これを回って回避。
着地と同時に後ろ回し蹴り。さらに、上段突きを浴びせる。
最後の上段突きが見事に当たり、1P獲得。2P差に詰め寄った。

吹越が立て続けに4Pも取られてる・・・!

観客もさすがに騒然。峰岸ものってきている。
見とけ!主役の活躍はまだまだ続く。乞うご期待だぜ!

峰岸の蹴り。これを受け流す吹越さん。そして、峰岸の両肩を掴み・・・笑みを見せる

うおぉ怖ェッ!!

満面の笑みではあるのだが、なんという怖さか。狂喜が見える。
笑うという行為は本来攻撃的なものであり、獣が牙をむく行為が原点である
シグルイで使われていた言葉であるが、この吹越さんの笑いもそういう意味が篭っているのでしょうな。
見せられた峰岸も威嚇と認識してますし。

勢い込んで迫る峰岸。だが、その足元がいきなり消失した!
もちろんそれはイメージである。
実際の峰岸は、転がっている。足場が消えたかのように感じるほど、気付かぬうちに崩されたのだ!

何だ?今・・・何された俺?

全く何をされたのか分かっていない峰岸。その状態で突っ込むから同じことになる。
足元の地面が消失したような感覚を再び味わい、床に横たえさせられる。
そして、そこに追撃の一撃。
この一撃を放つとき、吹越さんは再び笑みを見せていました。

本気で――全力でキミ、僕の首を獲る気なんだね。
最ッ高!!

王者と呼ばれた吹越さんである。
それだけに、本気で向かってきてくれる相手に餓えていたのかもしれません。
峰岸がヤケでもなく、本気で倒しにかかってきているのがわかり楽しそうにしております。
しかし、怖いなぁ。今はまだ実力差があるから、あしらうような戦い方になっているけども。
もし、実力伯仲の相手が出たら、凄い容赦のない攻撃とかしてきそうな怖さがある。
まあ、空手道部の試合ではそこまで凄惨なことはできないでしょうけどね。
路上とかでも強そうだな・・・



第74話・英雄  (2011年 33号)


倒された状態からの攻撃で1本を取られる峰岸。これでポイントは5点差に広がりました。
ここでようやく、半座たちも、吹越さんが1本技だけ極めていることに気付いたようだ。

峰岸は戸惑っている。地面があるところに踏み込んでいるはずなのに、その地面が消える。
傍から見てもおかしいと思える状態だ。
人ってあんな風に簡単に転ばねーだろ!!

まるで自分からコケているかのようである。
そんな野田君の疑問に、その通りだと答える番場さん。
相手の安定したバランスを「崩す」のが大抵のやり方なら――あいつのはそうじゃねぇ。
そのバランスを着地する前に「消し」ちまうのさ
結果、自分からコケているように見える。

動いている相手の体を崩すことで、相手はうまく着地できず、倒れこんでしまうわけか。
そんなの相手の動きが何から何まで見えていないと無理な芸当である。
そんなのが出来るのかと戸惑う野田。
半座は、吹越さんがそれが出来る人間だということを、身をもって体験していた。

強靭さも、俊敏さも――あいつの前では虚しい自滅に終わる。
別名――虚竜・・・!

吹越さんの異名がキター!
なんとかドラゴンだろうなぁと思ったら漢字のみでした。
無理矢理英語にするなら、エンプティドラゴン?(虚しい竜)なんか締まらないな。

しかし、虚竜と巨塔ってなんかかぶってるッスよね。
片方の読み方はバベルだから問題ないんでしょうけど。
こういった異名って誰が考えているんだろうなぁ。記者か誰かか?

息を荒げる峰岸。ふと観客席を見ると、心配そうな表情の半座。
ライバルにこんな顔をさせてしまうのは辛いなぁ。

番場さんは分析する。峰岸も、もう攻めるたびの自滅感を感じている。迂闊には突っ込めないと。
しかし、峰岸は突っ込む。

止まらねぇ!居着かねぇ!躊躇わねぇ!敵がどんなに強くても!
それが俺の――「英雄」だ!

吹越の崩しに逆らわずに動くことで、無効化する。
そして蹴り!これが決まれば・・・しかし、その吹越の崩しはそれだけではない。
蹴り足を受けて、軸足を刈る。着地を消すだけではない、こういった崩し技も扱える。

峰岸くん。ありがとうね

倒れた峰岸に、一撃を加える吹越さん。例の笑顔で。
この一撃で、ポイント差は8になり、勝負あり。終わってみれば、王者が圧倒した試合でした。
峰岸も健闘はしたのだが・・・結局相手に手を出させることもなかったかぁ。
吹越さんの凄さは崩しの凄さ、のようだけど本当かな?
実は打撃も凄かったりするんじゃないかと疑っている。なんというか、底知れなさを感じます。
それにしても、最後のセリフ。ありがとうね、バイバイとか言われてトドメを刺されそうな怖さがある。

要陵が勝ち上がったら、虚竜対血龍の対決か・・・異名ならいい勝負だな。試合に勝てる気はしないけど。



第75話・ゴレンジョー  (2011年 34号)


いきなりのイメージ映像。ヒーローが悪の首領にボッコボコだ!
峰岸の脳内はいつもこんな変換を行っているのか?

いい試合だったが、フタを開けてみれば1分足らずで一本技4回。
吹越さんの恐ろしさをまざまざと見せ付けられた感じでした。

自陣に戻る吹越さん。なんだか虚脱した状態だ。

ああ・・・終わっちゃった
止まらず、居着かず、躊躇わず、全力で突っ込んでくる奴と、もっとやりたかったな・・・

本当に吹越さんは戦いを楽しむ人なんですなぁ。
王者の悲しみがここにある。本気で向かってくる相手が少ないというのも辛いものだ。
しかし、だったらなんでより少なくなりそうな先鋒にいるんでしょ?大将張ってればいいのに。
いや、逆に大将だと、それまでに勝負が決まってしまい、やる気が減ってる奴が多い可能性があるのか。難しいな。

さて、蓮城。
敗れたことを謝罪する峰岸。しかし、何言ってんのお前みたいな反応をされる。
自分で言い出した先鋒なのに負けてしまった。それを負い目に感じている峰岸。
蓮城は出鼻をくじかれて空気が悪くなる。
そう思ってたとしたら、峰岸は先輩方を舐めすぎだな。

蓮城の次鋒、佐藤さんはあっというまに勝負を決めて戻ってくる。
さらに中堅の坂田さんも相手を寄せ付けず、一方的に勝負を決める。

さすがは蓮城!一人一人が強い!
いわば全員がヒーロー。ゴレンジョーってわけだ!
峰岸のせいでサブタイトルでまでそっち系のチーム呼ばわりされる蓮城でありました。いいのかそれで!

小さな傷こそついたが、そんなことで蓮城の牙城は崩れはしない。
覚えとけ峰岸――蓮城のヒーローはお前だけじゃねぇ

どうやら、全員ヒーローということでよかったらしい。これがゴレンジョーか!
峰岸が倒れても、新たなヒーロー細野が現れる!
細野さんは峰岸のイメージでもヒーローポジションだったしなぁ。やはり素質があったのか?

次の細野さんが決めれば、蓮城は決勝に進出。決めてくるぜという細野さん。
しかし、相手はあの能登さんである。これは・・・相手が悪いか?

先鋒が敗れても雰囲気がいい蓮城。
逆に快勝したにも関わらず、どこかぎこちない要陵。
吹越さんはなんだか個人主義というか、全体の勝利にはあんまり頓着してなさそうな感じがありますねぇ。
能登さんもその辺り、何か言いたげな雰囲気である。
しかし、要陵の次鋒、中堅がそんなに強くないとした場合、気になるのは大将ですな。
要陵の大将、徳良。未だに姿を見せていないが、どのような人物なのだろうか。
もし要陵が決勝にあがるとしたら、伊奈さんを破るほどの使い手ということになるが・・・
ここからの2試合に注目ですな。

あ、要陵があがってきたら、次鋒の野田君に勝機が見えてきた気がする。というわけで頑張れ要陵!



第76話・特攻野郎  (2011年 35号)


決勝進出をかけて、蓮城の副将、細野さんが出陣。
ファイトしねぇ俺なんか俺じゃねぇ!

細野さんの闘志。というかデカイ声が会場を揺るがす。
観客席の半座たちや、能登さんにも衝撃波が飛んできています。キンキン。
さて、副将戦開始だ!

細野純哉 3年。179cm、76kg
能登良雅 2年。181cm、72kg

勢い込んで攻めようとする細野さん。しかし、そう簡単にはいかない。
能登さんの牽制によって、攻撃を妨げられる。
能登さんは、両手を前に出しブラブラさせる。前拳をセンサーのようにしているわけですな。
そして、そのセンサーがまた長い。これは攻めにくい。

なので、一度引く細野さん。能登さんも手を下げ、休める。
それと同時に突進して上段突きを見舞う細野さん。
これこそが細野さんの怖いところだ!
距離的にもタイミング的にも「まさか」ってところで突っ込んでくる。
フェイントも牽制もない、単発の攻撃なのに、これが決まる。
そのコツは、脚力と気迫。
思い切りの良さがバネを活かす。その爆発力は相手の戦略を凌駕する。

豪快単発。されど脅威。それが蓮城の副将――細野だ!

と説明を受けたところに反撃をもらう細野さん。あれっ?
あっさり同点にされる姿に驚く峰岸。ははは。まあ、技自体は単純ですからね。
突進してきたところに合わせれば簡単にポイント取れそうだ。だが――

それでもアイツは我を通す。

蓮城の真価は小手先にあらず。幾多の修羅場をくぐることで宿る――闘志だ

単純な攻撃ではあるが、その気迫によって無理を通そうというわけですな。
小手先の技より何より、闘志が大事と。常勝を旨とする高校とは思えないほどの精神論ですな。
まあ、それが最終的には一番大事なのかもしれませんが。

能登さんを倒し、追撃の一本を取る細野さん。
のしかかって笑顔で一撃叩き込む様はなんとも怖い。白眼むくなよ。

一気に3P差をつけた細野さんは峰岸に言います。
蓮城のヒーローはお前だけじゃないと。
さすが、ゴレンジョーの一人ですね。

試合再開。残り1分のところから時間は進み、残り20秒。
ここで、2人のポイントは5対5の同点になっている。あれ?
離された分だけ追い上げている能登さん。これは一体?

細野さんが強いのは間違いないのでしょうが、能登さんの実力が不明すぎて不気味である。
なんだかあっさり追いついた感じがありますしねぇ。
何か隠しているんじゃないかと疑いたくなる。
その実力は次回明かされるのか。明かされないと、本当に決勝まで取っておかれそうだな。



第77話・能登良雅  (2011年 36+37号)


吠え、猛り、攻め続けていた細野さんだが、いつのまにか同点にされていた。
相手の能登さんは、着実に1点ずつ、同じ技でポイントを稼いでいる
中段逆突き。
果敢に攻める細野さんの胴体に突き刺さる。ついに逆転だ!

ワンパターンであるが、やられている細野さんにはたまらない。
手足の長い奴に低く構えられると「高さ」が「深さ」に変わる
急激に的が狭くなって間合いも遠く感じることになる。
そして、リーチの長い中段逆突き。

大きく身を乗り出さないと届かないが、乗り出せば、中段を突かれる。
遠い!低い!
まるで、テーブルの向こうの端におかれたリンゴに手を伸ばすかのよう。
身を乗り出し、手を伸ばそうとすれば・・・胴体がガラ空きになってご覧の通りだ!
5回連続で同じ技が突き刺さる。

ポイントを突き放される細野さん。だが、能登さんも決して楽に戦っているわけではない。
ワンパターンではあるが、それはしょうがない。
半端な小細工は捩じ伏せられてしまう。

俺はただ、一番信用できる技にすがってるだけだぜ・・・

低くて長い。腰を落とした能登さんへの有効な攻撃が思い当たらない。
スピードが相当あれば、横に回ってみたりとかできるのかもしれないが・・・
どうする、どうする、どうする?君ならどうする?

どうするもこうするも、ねえっ!

残り5秒。突きに行くとみせてのフェイントで上段蹴り。
これが極まれば逆転である。

「将」ってのはなァ「前に出る」って意味だ。
副将の俺が前に出なくてどうする!!

細野さんの上段蹴り・・・よりも早く。能登さんの左の中段突きが極まる。
腰だめの状態から、本来の右ではなく、素早く左に突き手を切替えている。
空手道じゃなければカウンターで吹き飛んでいそうな体勢だな。

勝負は決まった。
能登さんはやはり強い。その強さは番場さんや青柳さんも認めるほどである。
要陵は吹越さんだけではない。勝ち抜き戦じゃないんだし、一人が強いだけではここまでこれませんわな。

財前さんにしてみれば、強いのは言うまでもない。
子供のころ、共に競い、そして追いつかんとしてきた人物である。
しかし、ある日。気付けば能登さんの名札が道場から消えている。
引っ越してしまったのだ。知らない間に。
幼き日に追いかけ続けた相手が、目の前にいる。
いてもたってもいられないのか、審判席のすぐ側まで見に来ていた財前さん。気持ちはわかるが、そこ入っていいのか?

この2人の因縁の対決も気になりますなぁ。
それにしても、少年時代の青柳さんっぽい子は、どうも別人のようですな。
名札もないし、青柳さんは能登さんのことを知らない雰囲気ですし。

次回はついに大将戦。伊奈さんの強さは既に周知されている。
では、要陵の大将、徳良とはどのような人物なのか。いまだ顔も見せていないが・・・気になるな。
これまでは先鋒、副将、大将の3人で勝って来た雰囲気がありますし、相当な実力者が来そうである。
と見せかけて、あっさり負ける要陵。因縁の対決は個人戦までお預けって話もありえる。どっちかな!



第78話・逆境の蓮城  (2011年 38号)


かつてのライバルを前にし、過去を振り返る財前さん。
突然引っ越してしまった能登さん。
教えてくれた少年に食い下がる財前少年。

いつ!?どこへ!?・・・なんで!?

たった3言なのに、口数多いなと思われる財前少年。どんだけ普段喋ってないんだ。
ともかく、事情はわからないが、いなくなってしまった能登さんであります。
ライバルが突然いなくなってしまったことにより、気が抜けてしまった財前少年。
いつしか、空手着はしまわれ、道場からも名札が消えた・・・

そして今。
かつてのライバルが目の前にいる。財前さんの心中はいかに。
それにしても、財前さん。一度空手をやめていたみたいだけど、いつ復帰したんでしょうかね?
その辺りを絡めて何かドラマがありそうですな。

さて、勝負は2対2です。
蓮城は今まで5タテで勝って来た。大将戦までもつれ込むのは珍しい。観客もどよめいている。
まさかあの細野を下す奴がいるとは、と観客。細野さんそんなに評価高かったんだ・・・!

だが、その観客からしてみても、最終的な勝者は蓮城と疑わない。
なんせ、蓮城の大将は、あの男だから!

戻ってきた細野さんに喝を入れられる伊奈さん。出番だぞ!

負けたら一生許さねーぞ!大将なら仕事してこい!死んでも勝ってこい!!

自分は負けたクセにいいたい放題の細野さん。すげえっす。
まるで、相手にプレッシャーをかけただけじゃないですかと心配する峰岸。
普通ならそうかもしれないけど、伊奈さんにプレッシャーねぇ。今さら?

さあ、要陵の大将、徳良さんのお目見えだ。
これは・・・でかい!

伊奈 光 3年。178cm、77kg
徳良 圭太 3年。190cm、95kg

ちなみに青柳さんは188cmの75kgでございます。
上背は青柳さんとそんなに変わらないが、体重に差があるな。全体的に体格が凄いことになっていそうだ。
そして、伊奈さんの名前は光でございますか。ほう。いい名前じゃねえですか。

さっそく、開始から殺人蜂の構えを取る伊奈さん。
相手がまだ突っ立ているうちに、一気に加速。捕らえきれない動きで翻弄する。

伊奈さんの耳には、いろんな声が届いていた。
観客の声、峰岸の心配する声、細野さんの苛烈な激励。その全ては耳に入っている。だが――

知らんっ!!

俺は勝つ。それだけだ!

これが常勝、蓮城の大将の覚悟である。何であろうが、どんな状況であろうが、とにかく勝つのだ!
さすがに伊奈さんはブレませんな。精神的な要素で負けることはありえますまい。
試合中に余所見をして逆転されてしまうようなことはないのですよ!誰かのこととは言いませんが!

さて。ついに姿を現した、要陵の大将、徳良さんですが、どうなんでしょうね。
色は黒く大柄である。今のところ一言も喋っていないので、キャラクターが掴めない。
このまま弱い大将でしたーでは盛り上がりにかけるが、果たして?
3年であるからには、前年の評判とかあるはずなんだけど、さっぱり聞かない。これはどういうことか?
真鍋さんみたいに急成長したのか、それとも他の高校から移ってきた男なのか?
後者だった場合は、伊奈さんが喰われる可能性はかなり上がりますが、どんなもんでしょう。
とにかく、キャラを把握したいので次回は喋っていただきたい。面白い感じでお願いします!



第79話・起爆  (2011年 39号)


常勝、蓮城。その大将である伊奈さんの心はひとつ。勝つ!それだけである。

俊敏に動いて動揺を誘う。たまらず相手は手を出す。それを正確に落とす。
これもまた待ち拳のひとつである。
青柳さんにして、正直思い出したくもないと思わせる技術である。さすが殺人蜂。

相手の徳良さんは大きい。
重圧はある。リーチ差による不利も自覚している。
だが――いや、むしろ――ソレが俺に火をつける!!

やはり伊奈さんは青柳さんを強烈に意識してますな。
公式戦ではなかったとはいえ、常勝の蓮城に土をつけた男。
練習試合の借りを返さねばならない。
青柳さんを連想させる、徳良さんの大きさはかえって伊奈さんには好材料である。

蹴りをかいくぐって交差し、離れ際に上段突きを刺す。
ホントによく飛び回る人である。これで威圧感もあるのだからほんと殺人蜂だ。

徳良さんの動きも悪くはないんだけど、相手が巧すぎる。
これは、もう決まったか。やっぱり勝つのは蓮城かな。観客はそう囁きだす。
そして、吹越さん。
徳良さんの視線を受け、肩をすくめ笑顔を返す
なんでしょう、この笑顔は。しょーがないよねって感じの笑顔でしょうか。
自分の対戦が終わった後は声援を上げる様子もない吹越さんである。団体戦の勝ち負けには興味ないのかな。

この吹越さんの対応を見て、徳良さんの表情が、雰囲気が変わる。
顔を強張らせ、必死になっているように見える。これにはさすがに伊奈さんも眉をしかめる。

右の外回し蹴り。
上段蹴りか。それとも中段に変化するか。もしくは、すりあげるように下段からくるか。青柳さんのうように・・・!
いずれにせよ、ムダだ。左側からくる蹴りは全て防ぐ。両手を使ってガードを固める伊奈さん。
しかし、徳良さんの足は妙な変化をした。
膝がコリッと音を立てて曲がる

飛んできた蹴りは、伊奈さんから見て右側。内から襲ってきた!
上段蹴りにより、ポイントは3対3のイーブン。
それにしても、なんだ今の蹴りは。青柳さんもなんじゃあと驚いている。
回し蹴りをしようとしたところで、膝から下を畳み、無理矢理軌道を変えたのか。
柔軟さがないとできない技ですな。あっても痛めそうだ。

相も変わらず必死な形相の徳良さん。

許せねぇ。許せねぇ。俺は――自分が情けねえっ!

徳良さんの怒りは自分に向いていた。
これは一体なんでしょうか。きっかけは吹越さんの態度によるものだが。
同じ3年の徳良さんと吹越さんである。何か色々とありそうな気がするな。
団体戦に興味を持とうとしない吹越さんの意識を変えるためにも、徳良さんは頑張っているとか?
次回ではその辺りのことをやってくれそうで期待ですな。



第80話・異常  (2011年 40号)


俺は自分が――情けねぇっ!

徳良さんの変則蹴りが再び伊奈さんを襲う。
しかし、今度は伊奈さんの方が早かった。蹴りが来るよりも先に突きを叩き込む。
あの変則蹴りは受けれないと瞬時に悟ったのだろうか。
普段は前に出て翻弄するはずの伊奈さんが退がって撃っている。

続けて開始。徳良さんの内回し蹴り。かと思いきや外から。さらに中段蹴りに以降。
大きな動きで翻弄する伊奈さんと違い、蹴り技だけで翻弄する徳良さん。
ハタから見ててもどうなってるのか読めないほどの蹴りである。

外回しと見せかけて内回し。その逆。そういったパターン自体は珍しいものではない。
ただこの2つの蹴りは軌道が正反対なので、体の向きを変えたりともたつく要素が多い。
ようするに、普通に使おうとしても見破られやすい。当たり前ですな。
しかし、徳良さんは、体の向きはそのままで膝の回転だけで左右回転している

異常だぜ、アイツの膝関節・・・

ここで徳良さんの回想。
といっても、昔の話ではない。今現在の要陵の状態についてだ。
能登さんたちに自由組手をお願いされる徳良さん。
これから柔軟するので、そこで退屈そうにしている人にやってもらったらどうだと言う徳良さん。
しかし、能登さんはどうにも難しいという様子。
その相手とは吹越さん。強すぎて練習相手にならないという

そういう話ですか。
一人黙々と体を動かす吹越さん。なんだか寂しげ。
要陵の雰囲気自体はよい。徳良さんを初め、楽しそうな環境にはなっている。
しかし、その中で吹越さんが浮いてしまっている。ただ強すぎるという理由で。
吹越さんが団体戦に興味が持てないというより、逆に孤立してしまっていたという話でしたか。ううむ。

さて、徳良さんのいう柔軟。
ロープなんて持ってどうするのかと思ったら、立ち状態から足を無理矢理釣り上げる柔軟だった。
見ているだけで辛そうな体勢。折れますよ?能登さんも心配そうだ。

・・・これで強くなれるんなら、足の一本や二本折れてもいいさ

――意味がわからねェ

徳良さんの異常な執念。心の中でとはいえ、さすがに能登さんも否定的だ。
もしかして、さっき吹越さんと比べられたことについて気にしているのだろうか?
そういう話ではない。むしろ、比べられるぐらいに、並べるようにならないといけない。

じゃないと――吹越が可哀想だ

それが徳良さんのモチベーションでありましたか。
思った以上にいい人で驚きました。
天才であるがゆえの孤独。そんな状態の吹越さんに強さで追いつき、並ぶ。
そうやって孤独から解放してあげたいという思いがヒシヒシと伝わってきます。良い話じゃ。
しかし、能登さんも意外と一般人的な反応をするのですな。
財前さんとの付き合いは良かったのに。まあ、それとこれとは内実が全然違いますけどね。
徳良さんの話を聞いた能登さんに心境の変化があるかどうか。

さて、試合は残り10秒。
徳良さんが1Pリードの状態。その状態で果敢に仕掛ける徳良さん。
蹴り足が伸びる前に密着する伊奈さん。これで蹴りは封じれる。突きを放てば同点にできる。
しかし、徳良さんの膝関節はやはり異常だ。
腿は横蹴りの姿勢を保ったまま、膝が90度横に回転する。
途中からのスイッチじゃなくても苦しい体勢の上段蹴りが伊奈さんに刺さる。
こんな凄まじい蹴りを見せておきながら、情けないと述懐する徳良さん。

何で俺はこんなに――弱ぇんだ!!

俺は弱いと言いながらやられたら伊奈さんも立つ瀬がありませんな。
まあ、実際のところ吹越さんが立っているところは遥かに遠いのでしょうな・・・どんだけやねん。

登場したときはどんなキャラかさっぱりな徳良さんでしたが、一気に応援したくなるキャラになったなぁ。
どこの高校も大将はいいキャラしている!
しかし、華麗な足技ってもっとこう余裕のありそうな、業師!って感じのキャラの持ち味と思っていたが・・・
こういうのもいいものだなぁ。でもやっぱり最後の蹴りの軌道とか異様過ぎる。

ともかく、これで王者・蓮城の敗退が決まってしまいました。
決勝戦も気になりますが、これからの蓮城についても気になりますね。
そういえば蓮城の監督の姿が見えないが、また遅刻しているのだろうかあのオッサン。



第81話・蓮城陥落  (2011年 41号)


徳良さんの蹴りの前に、伊奈さん敗北。
蓮城は敗退し、要陵の決勝進出が決まったのでした。

快勝に沸く要陵。ハイタッチで徳良さんを迎えてくれます。
能登さんを含めた3人。そして、吹越さん・・・おぉ、あの吹越さんが笑顔で祝福してくれている!
この大金星は――5人の力だ!これで要陵はひとつになった・・・!

夢でした
やっぱりかよ。
勝った徳良さんの祝福より、もう興味は次の相手に向かっている。

チームの勝利より・・・次の獲物、か・・・
だから孤独なんだよ、お前は・・・

吹越さんの孤独はそう簡単には治りそうにはありませんな。
仲間が関わらなくなったから孤独になったのか、この性格だから仲間が寄り付かないのか。
この辺りは卵が先かという話になりそうですなぁ。
徳良さんも、拳士らしく行動で見せてやると意気込むのはいいけど、会話しましょう
横に並ぶだけが孤独を解放させる手段ではありますまい。趣味を合わせてみるとか!
色々考えた結果、アニソンを歌いながら組手をするとかいいんじゃないかという結論になったら、それはそれでよい!

要陵の方は、置いておいて、蓮城。
敗れた伊奈さんが仲間の下に戻る。
当然ながら、要陵と違い、歓呼で出迎えるわけにはいかない。
むしろ、敗れたことが信じられないという面持ちの蓮城部員たち。

ここで伊奈さんはどう言えばいいのか。
敗北なんて慣れていないだろう伊奈さん。その脳裏には様々な言い訳が浮かぶ。実は――

先週の稽古でくじいた足が完治していなかった。
相手のデータが不足していた。
朝食がカツ丼だったおかげで胃がもたれた
前までの試合時間が短くてピークにもっていけなかった。
実は緊張して眠れてない。
予想外のリーチに手を焼いた。対応したつもりだったが――
青柳を意識しすぎた。

すまない、俺が弱かった

様々に浮かんだ言い訳を払い、出た言葉はそれだけだった。
その言葉に対し、細野さん。

しょうがねぇ。伊奈が勝てねぇんじゃ、しょうがねぇ・・・

なんとも格好いいですな、2人とも
。 思わず言い訳を考えてしまう伊奈さんは高校生らしい。でも、それを振り払うところが格好いい。
そして、そんな伊奈さんを責めることもせず、受け入れた細野さん。伊奈さんへの信頼が見て取れますな。
チーム戦では敗れたが、個人戦での頑張りに期待しています。

それにしても、カツ丼かぁ。勝負の朝はやっぱりカツだよね!縁起物だ!
でも、正直朝から油物はキツイっすよね。動きまくれば影響も当然でてくる。
他の言い訳はともかく、この言い訳ならアリかもしれない。
カツ丼なら、しょうがねぇ・・・
ほら、細野さんもそう言ってくれてるよ!いや、まあ。言わなくてよかった。うん。

さて、いよいよ決勝戦である。要陵VS御門。
御門の5人も、この準決勝を見て、戦意は満点。野田君が少し緊張しているのが見えるかな。
次の勝負は勝ち目があるぞ。頑張るのだ野田!

そして、番場さん。
並ぶ5人の列から1人抜け出す。
誰もいないところで、突きや蹴りを放つ。流れるようなコンビネーション!
だが、準決勝で痛めた足はやはり治っていない。当たり前ですけどね。
思わずうずくまる番場さん。あきらめきれないのはわかりますが・・・ううむ。
どうするんでしょうねぇ。
無理に出ようとしても菅野先生が認めてくれるとは思えませんし。
左足を使わずに戦います!とか。それはそれでどうなんだろう。
代理に妹が出ます!とか。番場なのには変わりないし、これならいけるか?顔だけ見てればバレないっしょ。いやいや。
じゃあ、いっそのこと菅野先生に代わってもらおう。やべ、確実に勝てる!当然駄目だ!

まあ、次はおそらく女子の個人戦の決勝だと思いますけどね。
決勝はまとめてやるという話があるらしいし、穂波嬢もアップしてましたからね。
というか、久しぶりの出番だな穂波嬢・・・女子の決勝は軽く流される気がしないでもないのが怖い。



第82話・最後  (2011年 42号)


やはり次は女子の決勝が先に行われるようです。
出陣を間近にして気合を入れる穂波嬢。男子に水を差さないように頑張らねば。
そうやって廊下を歩いていると、聞こえてくるのは何かが崩れる音。
番場さんが痛みでうずくまる音だった。

穂波「何やってるんだ!?そんな足で・・・」
番場「・・・こんな足だが、出るぞ俺は

しっかり動けることを証明すれば、先生を説得できるかもしれん。
諦めきれないのはわかりますが、それで説得できる相手ですかねぇ。
大人しくしてないと、額を割られて無理矢理休まされますよ?

実際、証明するどころか立つことも満足にできないでいる。穂波嬢も一生懸命止める。
番場さんは、お前なら分かってくれると思ったと言っている。そして、お前が俺ならどうする?とも。

今年に限って、見てるワケにはいかんハズだ。
死んでも戦うハズだ・・・!!

そこまで言う、今年に拘る理由とは――回想だッ!

青柳さん達が御門高校に入る前のお話。
青柳、番場、藤木の3人はどうやら同門だったらしい。
幼少の頃、穂波嬢と同じ大会に出ていたっぽい野田君は違うのかね?
3人が通っていたのは、如空館
御門には空手部があるので、あまり如空館には来られなくなる。進学したら基本バラバラ。
このセリフからして、3人は同じ中学で、中学時代には空手部はなかったってことですかね。

青柳さんが入る前の御門は弱かったらしい。ならば、こうしましょう。

「俺たち」でその高校、強くしましょうよ!

顔の険が少ない番場さんが青柳さんに声をかける。やあ、3年前の番場さんは若く見えるなぁ。
その時は正直、冗談混じりのセリフだった。しかし、あの日の事件。

へたり込む制服姿の穂波嬢
倒れている男たち。
拳を赤く染め、立ち尽くす青柳さん。

前にも1カット描かれていた光景でありますな。
この事件により空手部は一度廃部になったらしい。うーむ、正しきことに拳を振るうことも許されぬとは。
しかし、この事件は未だに謎が多いなぁ。
あの半端じゃなく強い穂波嬢が何故襲われたような格好になっているのか?
穂波嬢の不良嫌いはここから来ているのでしょうが・・・どうなんだろう。これがあったから飛躍的に強くなったのか?

逆にいうと、負けないようにはなったが、ぶっ倒すようにはなっちゃったんですよね。
始めのころに、半座を容赦なく打ちのめしていたが、あれも下手したら廃部の危機だったのか・・・?怖い怖い。
そういえば、番場さんも大勢の不良を殴り倒していたぞ!?
あ、あのときは一時的に空手部を辞めていたから問題ないのか。さすが番場さん!

ともかく、青柳さんは部を強くするどころか、なくしてしまったことに責任を感じている。
番場さんに、もっと強いところに行け。俺は1人でもここでやるからと伝える。
その言葉の通り、1人で部を存続させている青柳さん
団体戦には出れないけど、個人戦ならば出ることができるというわけか。
なるほど。御門の3年が青柳さん1人なのはそういうことだったんですかね。

謹慎が解けた後の初試合で優勝したという青柳さん。マジかよ、すげぇっ!!
あれ、優勝って。吹越さんとかはどうしたんだ?
何の大会かにもよるのだが、出ていなかったのでしょうか?
回想の絵を見る限り、蓮城や一ノ橋はいたし、伊奈さんたちとはやりあったのですかねぇ。

年は明け、桜が舞う頃、武道場にやってきた番場さんと穂波嬢。

あんな電話、来てくれって言ってるようなモンですよ。

いやまったくでありますな。
これで1人だった空手道部が3人に。さらに穂波嬢が大谷さんを連れてくる。
ああ、大谷さんは高校から空手を始めたのか。それでも1年で黒帯になっているのだし、対した物だ。
そして、穂波嬢と大谷さんの2人で財前さんを引っ張ってくる。
連れてきた理由は拳ダコがあったから。なるほど。納得の理由だ。

財前さんは高校に入るまでずっと空手を封印していたのでしょうか?
そんな感じはありますなぁ。そこからまた鍛えなおして、今の強さになっているのだとしたら、やはり対した物だ。

それにしても、大谷さんは大胆ですな。
異性の手を簡単に掴んだりしておりますよ。こりゃ色々勘違いしてもしょうがない。
もしや、2人がいい関係になった要因はここにあったとか?ふむ、ふむ。ちょっと拳ダコ作ってくる!ボスボス。
奥手そうな財前さんには、穂波嬢と気が会うぐらい積極的な大谷さんはいい相手かもしれませんな。

時間は飛び、男子3人で昨年のインターハイに臨んだときのこと。
蓮城と戦い、青柳さんが敗れたため、落とした。
まあ、3人でそこまで勝ちあがったこと事態が快挙と言えますわな。
元気のいい1年が入れば、5人揃っての団体戦に挑むことができる。

その期待を受けて、野田君が、半座たちが入ってきた。やっと5人揃ったのだ
青柳さんが1人で守ってきたこの部が、ようやくまともに他校と渡り合えるようになった。
しかし、気付けば今年が最後。青柳さんと一緒にやれるのは今年が最後なのだ!

そんな大一番に出れない無念が、女のお前にわかるのか!?

番場さんの叫びに、同じく叫びで応える穂波嬢。

わかるさ!痛いほど!
こっちはなぁ・・・見てることしかできないんだぞ!!
たかだが玉金の一つや二つないからって!!


まあ、確かに。
思いは同じだけど、一緒に肩を並べて戦うことは出来ない。盛りたてるしかない。
穂波嬢の気持ちはわからなくはない。でも、玉金とか言うでないよ。

というわけで、いきなりケンカを始める2人。
このポンコツが!ずべ。穂波嬢の蹴りが、怪我した足を襲う。な、何をするだぁー!
蹴り返すわけにもいかんので、掴みかかる番場さん。ぐぬー!

そんな2人の間を、長い足が割り込んだ。青柳さんだ。
どうやら2人の会話を聞いていたらしい。どこから聞いてたの?

俺ァ――次を最後にする気なんざ毛頭ねぇぜ
今は――足、治せ。

青柳さんと共に、並び立つ。財前さん、野田君、半座。
みな勝ち上がり、全国へとコマを進める気まんまんであります。
うむ、この意気であれば、きっと大丈夫でしょう!番場さんも折れる。

無念の離脱。ということだが、補充はどうなるのでしょうか。要陵の不戦勝?その辺も気になる。
しかし、青柳さん。いいこと言ったあとにポンコツ呼ばわりは酷いっすよ。グサッと来ましたよ!



第83話・一人だから  (2011年 43号)


リタイアした番場さんの分も頑張ろう。気合が改めて入る御門。
御門の過去を偶然聞いた半座。己の過去にも思いを馳せるようになる。
自分が来る前から結束があった御門。その頃の俺は――

血龍と呼ばれ、一人でケンカにあけくれていた。
徒党を組む相手に対し、たった1人で暴れまわる半座。

最初は理由はなかった。多勢をねじふせるのが痛快だっただけだ。
そしたらますます一人になった。段々と群れる奴らが憎たらしくなってきた。
気がつきゃ――そんな自分が誇らしかった。

何で半座はそんなに強かったのか。

一人だからだ

不良の山の上に座り、そう宣言する半座。一人の力ってのを見せておりますな。
しかし、今の半座はその頃のことを馬鹿らしく思っている。
人間一人にゃ限界があるんだ。っていうか、あった。
でも仲間がいて、今は少しずつ強くなれてる気がする。

そう、俺はもう一人じゃねぇ・・・!

仲間の大切さを知った半座龍之介
。その前に現れたのは、一人で体を動かす吹越竜之介。
要陵の試合は半座もみていた。
その試合の中で、吹越さんはいつも一人、離れた場所にいた。

あんた――いっつも一人なのな

なんて無遠慮な発言でございましょうか。同じような思いをしているのにそれはない。
だから、吹越さんもこう答えます。

そうだよ。一人の方が強くなれるからね

!?
最強の男の言葉は、かつて半座が放った言葉だった。
あのまま、一人で強くなった先にいるのがこの男だというのだろうか・・・?

しかし、吹越さん。望んで一人でいるかのようですな。
確かに、周りと趣味が合わないと一人になりがちなのはわからないでもないですな。
周りにチャンピオンを読んでくれない人ばかりだと、寂しいことになりますよね。気持ちはわかる。
でも、それを受け入れてしまっている状態はよろしくない。
徳良さんのように歩み寄ろうとしてくれる人もいるわけですしねぇ。

どうにか、このぼっちドラゴンに仲間の大切さを教えることはできないものか。
似たような過去を持つ半座にそれができるのか?
決勝の戦いが楽しみですな。



第84話・アイツの強さ  (2011年 44号)


女子個人組手の決勝戦がいよいよ始まります。
穂波嬢も気合十分な様子だ。相手の選手は・・・アラ可愛い。

決勝の相手は幕張学道の1年初見恋さん。
去年の千葉県中学生王者らしい。
準決勝では蓮城の3年青井を時間内に8P差で下しているという。番場さんも認める強さだ。

1年で王者と呼ばれる貫禄。自分と同い年でこれとは、とブルーになる野田君。
貫禄とか感じるより、他に感じるものがあるんじゃないかね?若者よ。堅物め。

さて、いよいよ決勝戦開始。
藤木 穂波 2年 155cm 47kg。
初見 恋 1年 153cm 45kg。

まずは初見さんが手を出してきます。
離れたところから小刻みなフェイント。そこから慣性を利用して一気に連携に繋げて来る。
警戒でそれでいて緩急に富んでいる。リズムに乗らせると厄介な相手だ。
と言っている間にリズムに乗り出す初見さん。穂波嬢は防戦一方だ。

強敵相手に苦戦している穂波嬢。しかし、半座は試合前の吹越さんの言葉の方が気になっていた。
俺は――仲間がいれば強くなれると思ってた
だけど、アイツの言ったことはその真逆だった。
そして吹越は言葉通り・・・強ぇ!
そうなのか?一人の方が・・・

思い悩む半座。しかし、それこそ一人で悩んでいても答えがでるものではございますまい。
今は穂波嬢の試合を見ることに集中したほうがいい。というか応援しましょう。

初見さんの足払いを右足に受けてバランスを崩す。
もらった!とばかりに突っ込んでくる初見さん。
そこに、穂波嬢の右上段蹴りが叩き込まれる!
崩れたバランスを左足のバネだけで戻した上に反撃までしてきただと!?凄い足腰だ。
さすがにこの行為には観客も驚く。〜〜〜〜!!

続けて始め。今度は逆に穂波嬢が初見さんの足を払い、上段突きを決める。これで4P差。

穂波嬢の戦いを見て、半座は思い出しつつあった。初めての出会いのことを。

だってアンタ弱いもん

ああ、そんなこと言われてましたな。

一人だった俺をこの世界に引き込んだのは、藤木だ――藤木の強さだった!!

初めて穂波嬢とであった時の蹴りを思い出した。
そして、引き倒され、突きを受けたことも。
現在の穂波嬢も、初見さんを引き倒し、追撃の突きを決めている。これでポイントは7P差に広がった。
それにしても・・・引き倒されて突かれてうずくまっている初見さんの可愛さはどうしたことか!
こういったキャラも描けるんですなぁ・・・1試合で消えるには惜しすぎるキャラじゃございませんかね?

ともかく、半座は吹っ切れつつある。
一人の方が強くなれる?藤木の強さはそうじゃねぇっ・・・!

自分が一番最初に強さを認めた人間。その強さは仲間といて培われたものなのだ!

ここにきて原点に帰ってきた感じはありますね。いい話だ。
もっと原点に返ると恋話にならないといけない気もするが、今は恋愛より空手愛の方が強いですからなぁ。堅物め。

しかし、やはり初見さんは可愛いですなぁ。しかし、凄い名前である。初見恋。一目ぼれっすか?
この名前は何かのフラグかもしれない。恋愛がらみのキャラになる可能性はある。あってもいいと思う。
でも、今の流れだと第一候補は穂波嬢ですよね。
その強さに惚れこんだ初見さんが来年は御門にやってくるとかいう展開。あるでコレ!
そして、もう2人ぐらい新入生が入れば女子団体戦も行えるんじゃないだろうか。
次の年の大会の目玉は決まりだな!いや、女子団体戦がそもそもあるのかどうかわからないけど。



第85話・満たされない思い  (2011年 45号)


よそ見しちまってた。俺の目の前には、惚れた強さがあるじゃねぇか
それは、吹越のとは違ェ。
仲間とともにある強さ・・・!!

と半座がモノローグを述べている間に決勝戦は終了しました。
藤木穂波、千葉県制覇!しゃあっ!!

前回は7Pのところで止まったし、ここから初見さんが抵抗するターンかと思いきや、まさかのストレート。
しかも試合後の様子を見ると、汗だくの初見さんと違い、汗一つかいていない穂波嬢。どんだけ強いのさ。

穂波嬢の手をとり、完敗ですと述べる初見さん。

まいったな。ここまで差があると、かえって清々しいや

爽やかですなぁ。初見さんの今後の活躍に期待したいですなぁ。
やはりここで終わらせるには惜しいキャラですなぁ。

さて、勝って帰ってきた穂波嬢。大谷さんをはじめみんなから祝福される。
強くなったな〜おねぇさん嬉しいぞっと泣いてみせる大谷さん。お姉さんぶってらぁ。
その祝福を軽めに受けて、トイレへと去る穂波嬢。おや。

様子のおかしい穂波嬢であるが、男子としては次の戦いが決戦である。まずは気合を入れないといけない。
青柳さんが、俺らも藤木に続くぜと声をかける。円陣だ!わぁ、団体競技っぽい!
穂波嬢の後姿を見送っていた半座は思う。

俺も――あんな風になれるよな。
仲間に力をもらって、俺も――戦う!!

俺らも藤木に続くぜー!!

言ったよ!それ!一人だけ自分の世界に入っているからそういうことになる。
仲間に力をもらってといいながら足並みが乱れている半座くんでありました。あかんやん!

一方の穂波嬢。勝ったはずなのにその表情は浮かない。
それは番場さんの口論のときにも見えた思いがあるからだろうか。
勢いをつけるぐらいのことは出来ても、自らの手で青柳さんのチームの勝ち星に貢献できない。
そういった思いがあるんでしょうな。満たされない思いが。

ここでようやく、抜けた番場さんの枠はどうするかの答えが発表。
1年のくんが代わりに出ることになるらしい。さっき円陣に参加しようとしてたのはそれゆえか。
決勝の大舞台でいきなり初出場とか、緊張感がハンパなさそうですな。
次こそ初勝利をと意気込む野田君もまた緊張感がハンパないようだ。頬がコケてるぞ。

緊張している2人をほぐそうと声をかける半座。
考えたって練習したことしか出来ねぇんだ。思い切って行きゃいいんだよ!

といいながら、足が震えている半座。ハハハ。
まあ、仕方がないですよね。なんせ半座が相手するのは千葉でも最強の男である。
勝てる目は本当に見えない相手だ。その相手に向かっていかないといけないわけですし、緊張もする。

トイレで緊張をほぐそうとする。足どころかノドもカラカラになっているようだ。
そういうときはイメージだ!勝つイメージを頭に描くんだ!
でも気をつけろ!下手すると峰岸の残留思念を受け取って、変身ヒーローのイメージが浮かんでしまうぞ!
自分の姿はともかく、光線銃持った青柳さんとかアダマンチウムの爪を持った番場さんとか出てきたらどうする!
アレ?わりといけるなその妄想。

まあ、ともかく。トイレで自分と向き合う半座。

そーだ。よく考えたら、考えなくても、俺は藤木じゃねぇ。決して強くはないんだ。
仲間の頼もしさは実感してる。戦う決意もできている。
でも、それと吹越に勝てるかどうかは、別問題だぁな

まさしくその通り。
意地と執念だけで勝てるほど世の中は甘くない。それがわかっているから、緊張もする。
何もできずに負けてしまうんではないか?
初めての練習試合。峰岸とやる前にもそんなことを考えていた半座。
我ながら進歩していないと呆れる。あん時は確か・・・

そう穂波嬢である。彼女が元気づけてくれた。
その穂波嬢が、力なく半座の肩に手をかけている。

私じゃ、無理なんだ・・・

弱気な表情の穂波嬢が言葉をつむぎ出す。

御門に――勝って欲しい。
青柳さんに・・・番場たちに喜んで欲しいんだ。頂点とって欲しいんだ。
でも私じゃ力になれない。番場の代わりに戦ってもやれない。
悔しい・・・

やはりそういう思いを抱いていたのですな。
御門に入ってきたのも、ひとりで部を続けていた青柳さんのためですもんねぇ。

だから・・・お前に託す!
私の分も頑張って欲しいんだ。
勝ってくれ。頼む・・・!

穂波嬢のこの言葉に、衝撃を受ける半座。

なんだコレ。
俺が・・・頼りにされた?頼りにしてた仲間に・・・
いや、そこじゃねぇ。

すきなひとにたよられた

雄叫びをあげる半座。うおあああああああ!!

まかせとけぃっ!

親指を立て、力強く宣言する半座。おぉ・・・これは!
今の半座はこれまでの半座ではない。
仲間の大切さを知り、その仲間に頼られる喜びを知った。
いや、それを飛び越えて、好きな人から頼られるという喜びを知ってしまった!
愛情パワーで敵を粉砕だ!ってなノリが発揮されるかもしれない。今の半座なら期待できる!

実際のとこ、吹越さんに勝てるわけないよなと思ってました。
どこまでいい勝負ができるかという話になるものかと。
でも、今は勝てるんじゃないかという気がしてきました。
どうせなら、勝って帰って、勝利のメイクラブだ!とまで言ってくれるとチャンピオン的勝ちフラグになる。
どうやって勝つかだって?クソ根性出して勝つんだよ!うむ、そのぐらいの勢いでいい気がするぜ!



第86話・男子団体組手決勝  (2011年 46号)


ついに男子団体の決勝戦が始まります。
緊張している野田と南の1年勢。
その2人とは違い、気合が溢れかえらんばかりの半座。

辛気臭ぇ顔してんじゃねーぞぉっ!?お前ら!

さっきまで足ガクガクだったはずなのに、トイレから戻ったら元気満点になっていた。
何があったのやらって感じですわな。まあ、気合が入っているのはいいことだ。
特に先鋒の半座が気合入っているのはよいことである。

半座に乗せられて、南も野田君も声が出るようになる。フハハ。
待ってやがれ要陵ー!
吠える3人。そして、試合に出れない2人の1年生と、マネージャーのもなかちゃん。
その後姿に、かつての自分たち3人を見る青柳さん。
頼もしい後輩が出来てよかったですなぁ。

さぁ、決勝戦だ!まずは正面に礼!そして、お互いに礼!
要陵の方に選手の入れ替えはないので、組み合わせは以下のようになる。

半座龍之介 対 吹越竜之介
野田ケン太  対 尾形礼
南昭則    対 弓削剛
財前隼人   対 能登良雅
青柳栄治   対 徳良圭太

3年は3人しかいないんですな。どこのチームも3年が少ない気がするが、そういうものなのかね。
ともかく、どの試合もいい勝負が期待できそうな組み合わせですな。
一番力の差がありそうなのが、主人公のいる先鋒戦ってのがまたアレですが。

観客席で見守る穂波嬢。
その視線を受けて、勝ってくれというお願いを思い出す半座。
そう、もともとは穂波嬢の目の前で強くなると誓ったのが、空手道に打ち込むようになった始まりなのだ。

見とけ。勝つぜ!!吹越に――!!

仲間の激励を背中にもらい、出撃する半座。
相手の吹越さん。
その背中に、激励の一発が徳良さんからお見舞いされる。
ぎこちないながらも、負けんなよと笑顔で送り出そうとする徳良さん。
しかし、それを受け流す吹越さん。

当然さ。勝たない僕に意味はないからね。
仲間も――応援も、別にいらない
相手が全力でぶつかってくるひととき――
君なら、僕の一番欲しいモノ、くれるよね。半座くん。

なんとも捻くれてしまっている吹越さんであります。
コミュニケーションを取るにしても遅すぎた感じがありますなぁ。
もっと早いうちに会話できていれば・・・いや、わからんけど。
ともかく、孤独な戦いを自ら望む吹越さん。それに対し、仲間の思いを背負って闘おうとする半座。
主人公のフラグ的には勝てそうであるが・・・どうなることか。
ともかく、ラブだ。愛の力で勝つのだ!半座ならできる!そして愛称も愛龍(ラブドラゴン)になるのだ!
なってどうするかという気もするが、とにかくそのぐらいの気合で向かって欲しい。



第87話・前へ  (2011年 47号)


IH予選決勝戦がついに始まります。
先鋒戦は勢いを掴むか、出端をくじかれるかの大切な戦い。
その組み合わせが、何の因果か――

最強 対 白帯

龍と竜が激突しようとしています。実力差は誰の目にも明白だが果たして!?

半座龍之介 1年 168cm 65kg
吹越竜之介 3年 177cm 69kg

吹越さんは特別大きいというわけではないが、半座とは10cm近い差がある。
まあ、巨漢ともやってきた半座だし、このくらいのリーチ差は問題ではないでしょう。

一人の方が強くなれる。吹越さんはそう主張した。
だが半座は違う。仲間がいるからココに立っている。

そんな俺の空手――見せてやるぜ!!

先手必勝とばかりに前に出ようとする半座。
だが、それに先んじて中段突きを決められる。まさに出端をくじかれたって感じだ。
先に動いたはずなのに先にやられていた・・・!?
これが後の先というやつなのか?後から動き先んじる。高度な技術だ。

そして、再び動こうとしたところに中段突きを決められる。
得意としていた技を立て続けに決められるとは。これはキツい。

吹越さんの強さといえば崩し技。
峰岸戦のときはすべて崩し技からの1本でポイントを稼いでいた
。 だが、基本技の完成度においても他の追随を許さないのが吹越さんである。これが最強か。
よほど意表を突かん限り隙はないだろうな、とは国島太陽の言葉。
日本一にここまで言わせるとは・・・本当にハンパないですな。

この試合。半座が目標を掲げるとしたら、手を出させることだと思ってました。
今回も全部崩し技で来るだろうから、手を出させたらまず峰岸よりは上になるかな、と。
そんな風に思ってたら、いきなりの突き技が飛び出してきました。こりゃキツい。

もはや試合じゃない、吹越さんの勝ち方を見るショーだ、と一ノ橋の郡司は言う。
会場全員思っている。半座は一歩も前に出られず終わる、と。

確かに観客はそうかもしれない。だが、そうじゃない連中もいる。
萎えることなく歓声を送り続ける御門の面々。財前さんだって顔を震わせているぜ!

その声援を受けた半座。結城戦で見せたサイドステップを織り交ぜ、かく乱する。
これにはさすがに手を出せない吹越さん。
観客の予想を裏切り、前に出る半座。背中押されてんだよ!!
だが、その攻撃は空を切る。

小細工かい。いいね!
どんどんやってくれよ!

吹越さんの崩し技が炸裂する。攻撃をしかけている最中に足を払われ、仰向きに倒されそうになる。
が、その途中。空中で身を捻り、四つんばいの姿勢ながら、ちゃんと足をつけて着地する半座。
そしてさらに!その反動を逆に利用して飛び掛る!!

やるっきゃねぇ!!

吼える拳が吹越さんの顔面を捉えた!やるねぇ!

早くも白帯が最強の吹越さんからポイントを奪いました。
だが、問題はこれからだ。
相手がやる気に満ちていればいるほど嬉しがるのが吹越さんである。
またあの厄い笑顔が飛び出すかもしれない。出るか、吹越スマイル

崩し技を無理矢理に無効化させるのはいい手段かもしれない。
虚竜の代名詞とも言える技術ですし、これを無効化できるなら結構なアドバンテージになる。
まあ、どこまでそれができるかはわかりませんけど。
完全に逃れれないような体制での崩しとかしてきそうですし。
どうやって勝つかわからない。こうなったら反則勝ちを狙うしかないか!?
上段突きを喰らったら派手に吹き飛び、面をわざと飛ばす。
あれは、結城戦で見せた反則勝ちの流れ!!とか解説が入ってポイント大差で半座勝利というシナリオ。どうだ!ないわな。



第88話・視線の先の白帯  (2011年 48号)


半座の上段突きが決まった!よっしゃ!
と思ったら、その足が吹越さんに払われている。
がくっと崩れ落ちる半座。

これは微妙だ。突きは確かに当たっている。
だが、バランスを崩され、残心が不十分とも取れる。
ポイントはただ当てれば取れるのではないというのが難しいところですな。
今回の突きがポイントとなるかどうかは審判次第だ。

それぞれの高校がアピールする。結果は有効。ポイントゲットだ!
微妙な判定ではあるが、仕掛けたときのインパクトがでかかったのが大きいようだ。
だが、その半座の予想外の突きにでも十分な反応を示す吹越さんはやはり凄い。
東嶺大市川のみなさんも、俺だったら完全に極められていたという状況である。

白帯なのに、最強の男に一撃入れるなんてと驚く郡司。
それに対し、一ノ橋の先鋒、木田さんはタダの白帯じゃないと反論する。でないと負けたオレ立場ないじゃん?
練習試合で蓮城の峰岸も倒している、そんな白帯である。
それが――半座龍之介・・・!!

この試合で、さらに半座の知名度はあがるか!?
と思いきや、つづいての開始でいきなり転ばせられ、1本を奪われる半座。
さらに始めたところで、またすぐに崩される。
今度は前から崩れ手をついたせいか、止めが入り危ないところを救われる。

虚竜の真価を発揮してきましたね。届いているハズなのに、何故か決まらない。
突きを放っている最中の相手の足を払い倒してしまうのが吹越さんの技である。
攻撃をしかけているはずなのに、足下が定まらなくなるのだから怖い。そりゃ倒れる。

ここで、日本一の男、国島太陽の解説。
吹越には恐らく――見えている

その言葉が示すとおり、吹越さんの見えているものが表示される。これは・・・!?
半座の体に年輪のような、等高線のようなものが現れている。

浮いた。下りた。溜めた。

それらの行動をするたびに、その等高線のようなものが動く。
まさか・・・重心が見えているというのか?
どこに今力が溜まっているのかが外から見ただけでわかる。これが吹越さんの強さの秘密!?
なるほど・・・確かに。これならいつ相手が動くのかすぐわかるわけだ。
ちょっとしたフェイントなんて無意味となる。
そして、重心が分かるなら、崩すのも簡単となるわけか・・・恐ろしい。

と思ったが、その後の等高線の動きを見ると、完全に重心って感じではないな。
まさしく力の流れを見ているのでしょうか?蹴りを放ったときは足の先に力が流れているように描写されている。
放つ前は、その蹴り足に力が流れていく様子が見て取れる。
おいおい、これだと攻撃をしかける前に何が来るかわかるってことじゃないですか。よりヤベエ!

それを証明するように、国島太陽。吹越さんの力とは。

相手の体内における力の流れが――視えているんだ

余りにも圧倒的な力を持つ吹越さん。
わかってはいたことだが・・・やばいなぁ。
左足で蹴りを放ったところを、軸足を払われ倒れる半座。
そこに、笑みを浮かべた吹越さんの拳が迫る!で、でたー吹越スマイルだーッ!!

ここで1本取られてもまだ8ポイント差にはならない。
だが、絶望的な状況にはなってしまう。本当に勝ち目が見えねえ・・・
絶望的な状況だからこそ、覚醒するには打って付けなんでしょうけど、そういうマンガじゃないだろうしなぁ。
突然巨凶の血に目覚めて暴れだすなんてことはない、はず。
でも突然愛の力に目覚めて暴れだすのはあるかもしれない。それはしょうがない!



第89話・陰陽  (2011年 49号)


倒れこんだ半座。だが、一撃が来る前に必死で逃げる。
その姿を見て微笑む吹越さん。

全然勝負を捨ててないんだ。っていうか、僕に勝とうとしてるね。
――うん。イイね!!

悦楽の表情を満面に浮かべる吹越さん。
なんと、吹越スマイルにさらに次の段階があったとはッ!!
そのうち三段笑いでどんどん厄くなる吹越さんとか見られたりするのかしら。ほんと、怖いよこの人!

その姿を見て、俺の時と同じだという峰岸。いえ、あなたの時よりやばいことになってます。
まあ、そっちの話ではなく、倒されていることについてである。
峰岸も感じていた。自分の動きが読まれていることを。何かを見られていることを。

一体アイツには何が見えてるってんだ・・・?

峰岸の疑問に答えるのは、日本一の国島太陽。

陰陽だ
日の当たる所、必ず陰ができるが如く、人間の動きはその中における一対の作用で成り立ってる。

伸と縮。強と弱。緩と急。呼と吸
峰岸も半座も、そんな体の中の陰と陽を見極められたのだ。

力を溜めて、筋肉が縮んだ体には、必ずそれが解放するべく伸びる瞬間がくる。
息を吐き力強く技を出している体の中には、必ず力が抜けて緩んでいる箇所がある。
そこをつき崩す。
それが吹越の流儀――いや、流派だな。

伝統派空手には四大流派と呼ばれるものがある。
開祖、宮城長順の剛柔流
開祖、摩文仁賢和の糸東流
開祖、船越義珍の松濤館
開祖、大塚博紀の和道流

吹越さんの流派はその和道流。
開祖の大塚博紀は、学んだ空手に元々修めていた柔術の要素を取り入れて作ったという。
それゆえに、往なす、捌く等の相手の力を利用する戦法が色濃い。

転位、転体、転技。
無駄に動くことなく相手を制す。吹越はそれを体現しているんだ。

柔術を取り入れているというのはよくわかりました。
でも、和道流で学んだからって、ここまで見えるようになるってわけでもありますまい。
最強の名を冠するのは、その戦法をいかんなく発揮できる実力があるからなんでしょうな。

そういえば、前に型の稽古をしたとき、松濤館の型を行っていましたね。
御門は松濤館の流れなんでしょうか?個人で違うのか、学校で違うのかよくわかりませんな。

再び転がされた半座。そこに迫る突き。
それを足で挟んで止める半座。いいのかコレ!?
見たことないと観客が言ってるし、反則かどうかも微妙な技だな。とりあえずOKらしい。

微妙に笑われだしている半座。
だが、突っ込むしかないのである。何度でも!
その度にスッ転ばされて、ゴキブリみてえにカサカサしのいで――
俺って――さぞ、ブザマに見えてることだろうな。

苦し紛れに抱きついたりもしている。ボロボロな状態だ。
だが、それでも。あの吹越さんを相手に1分以上凌いでいる。

吹越さんも、工夫をしだす。
崩しながら、突いて来た腕を固める。
これは逃げられない!この状態でも突いたら一歩になるのかな?というか、固めるのはありなのか?

それに対し半座。空いた腕を伸ばし、吹越さんに掴みかかる。
そして、投げ。これは・・・いいのか!?
さすがに反則を取られそうな行為である。必死なのは凄い伝わってきますけどね。

不様で結構
でも、オマエに勝つ!!

仁王立ちで見据える半座。その執念は凄まじい。
この勝利への貪欲さを前に、吹越さんの牙城が崩れることはあるのでしょうか?
気合で押されて、崩しのタイミングを見誤るなんてことはあるかもしれない。
というか、そのぐらいでないと勝ち目が見えない。
逆に、気合で押された吹越さんが、仲間の声援を受けて気を取り直すという展開も考えられる。
面白いところですね。

そういえば、半座が足を痛めたような描写があるが、どうなんだろう?
酷いようなら、また菅野先生が止めに入る可能性もある。
って菅野先生はどこに行ってしまったんだろうか?よくいなくなる先生だ。
常にベッタリ張り付いている国島先生を見習って欲しい。それもどうかと思うが。



第90話・2人だけの世界  (2011年 50号)


あの最強の吹越さんを半座が見下ろしている!!
先に立ったからそうなっているだけだけどね。

不様で結構。
それでも俺は、オマエに勝つ!!

口には出さず、目でそう語りかける。
それが伝わったのか、満面の笑みを浮かべて起き上がる吹越さん。
やあ、本当に獰猛な方ですね。あれは肉食獣が見せる笑みだ!

・・・ダメだ。嬉しくて・・・笑っちゃうよ

見下されて怒ったりするかなと思ったが、そういうこともない様子。むしろ喜んでいる。
ん?見下されて喜ぶ?いや、そういうことじゃないな。たぶん。
ともかく、今の状況を楽しんでいる吹越さん。

試合場の中に拳士2人。
何人たりとも立ち入れない、2人だけの世界!
こんなフツーのことが、僕にはたまらないんだ・・・

2人のために世界はあるの、って感じですか。浸ってますなぁ。

吹越さんがこんな風になってしまったのにも理由はある。
要陵高校。吹越さんもたまには組手をする。が、さすがに練習相手にもなっていない。

戦っているのは2人だったはずなのに、なんだか1人だ

戦い終わった後、取り残されたように感じている吹越さん。

「胸を借りたい」「試したい」「諦め半分」

遠いんだ・・・
間合いとかの話じゃない。もっと別の――
気がつけば遠いところに輪があって、そこに僕はいない・・・

なまじ徳良さんがいい人で、和気藹々とした環境ができてしまっているゆえか、吹越さんの孤独が際立つ。
徳良さんはそんな状況に気付き、どうにかコミニュケーションを図ろうとしているみたいだが・・・遅かったかね。
仲間と共にいるはずなのに、常に孤独を感じている吹越さん。

だけど!!
欠片の迷いもなく飛び込んでくれる、目の前のキミはなんて近いんだ!!

1人の方が強くなれると言っていた吹越さんだが、結構な淋しがり屋さんだったんですね。
本人も意図して1人でいたがっているわけじゃないでしょうしなぁ。強者の孤独か。切ないのう。

半座の続けての攻めが、吹越さんをかすめる。惜しい。
アイツをとらえかけたというのか?と驚く番場さん。
今更そこに驚かれても。とらえられないと思っていたのですか?勝ち目ないと思っていたんですな。

すっかり解説役が板についてきた国島太陽。
半座の違和感に気付く。疲労なのかなんなのか、動きがおかしいと。

確かに疲労はあるでしょうな。なんせ相手は最強の男である。しのぐので精一杯だ。
それでも、仲間達は声を張り上げて応援してくれる。まだいけると言ってくれる。

応えてぇ。けど、キマらねぇ・・・ちっくしょお。情けねぇぜ・・・

――って時に――

何ニヤついてんだ、てめぇっ!!!

半座の上段突きがまともに決まる。なんと、ここに来て1ポイント取り返した!
これには観客も騒然。吹越さんが見切り間違った?
いや、あの吹越が目測を誤るとは思えん、と国島先生。

やはり半座の方に何か変化が起きている。一体何が・・・

痛て――

違和感の正体。それは半座の左足に発生したトラブルであった。
小指の付け根辺りが晴れ上がってきている

ここで前回の話を見返してみると、途中で着地に失敗してぐきってなってるんですな。
その時は右足かと思ったが、よくみると左足の小指が逆に曲がっている。痛そう。

しかし、これが功を奏している様子。
力の流れを見てタイミングを計ることができる吹越さん。
だが、今の半座は無意識に痛みを庇おうとしておかしな動きになっている。
それは傍目には気付きにくい変化だが、そのわずかな変化が大違いとなっているんでしょうな。
精密な見切りを必要とする吹越さんの技だからこその弱点か。面白いな。

逆転の目は出てきました。痛みに耐えて最後まで戦えば、ポイントを重ねることもできるかもしれない。
だが、ケガがばれると菅野先生や番場さんに止められてしまう怖れはある。
痛みに耐え抜き、闘え半座!!


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