蒼天紳士チャンピオン作品別感想

てんむす
第31話 〜 第60話


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第1話 〜 第30話 (2011 10号〜2011 41号)  第31話 〜 第60話 (2011 42号〜2012 21号)

第61話 〜 (2012 22+23号〜)



第31話・私・・・から  (2011年 42号)


いつも無表情で淡々と食べ続けるはずの荒川さんに異変が・・・
驚いている原田部長がなんだか可愛い。

荒川の表情が変わった!?

右半分は無表情だが、左半分が引きつっている。器用なことするな!

変わったのは表情だけではない。
相手のほうをちらちら見て、手も止まりがち。集中力も乱れている。
いったいどうしてしまったんでしょうかね?

この様子だとギャラリーには花畑が見えていないようだ。
やはり脳内物質の散乱は近距離の相手しか巻き込まないとかそういう話なんでしょうか。
1話目では店に入ってきた遊ちゃんに見えていたし、大食い中の選手しか見えないことはないはず。

どんどんと花を咲かせる天子ちゃん。
自分はケガをするまで練習しても咲かせたことのない花がなんで――
たかが大食い競技をしている相手に咲かすことができるのか。悔しくてたまらない。
顔半分だったひきつりが、顔全部になってきた。
うむ、さすがに半分は怖かったからな、今の方が可愛くてよい。

原田部長は言った。荒川さんはつまらない顔で食べている間は勝てると。
じゃあ、その表情が変わったらどうなってしまうんですかね〜?
星野の疑問は最もだ。しかし、マジメに見てろよ顧問。身体柔らかいなオイ。

荒川さんの表情がハッキリ曇りだす。お腹が重い。
1回戦では1800gは食べられたのに、今は735gでもう限界が見えてきている。
これは精神的なものによるのでしょう。
あの花を相手に見たことで、そのショックで食べられなくなっている。そう分析する。

開始30分。拮抗していたが、ついに天子ちゃんが半皿分リードする。ぷひっ。
普通に食べていただけなのにリードしている天子ちゃん
勝手にショックを受けて苦しんでいる荒川さんは立場がありませんやのう。

ダっちゃんと一緒に楽しくご飯を食べることが目標の天子ちゃん。
しかし、今荒川さんは辛そうな様子である。
こんなつらそうなダっちゃんは見ていられない。じゃあ、どうするか。そうだ、いいこと思いついた!

フッフッフ。
だ・・・ダっちゃん大したことないナァ。
わ・・・私はまだ実力の半分も出してないのにナァ
私の実力が見たくないのかナァ。

なんか小芝居を始めたぞ?へぇ〜い!

名づけてアコガレ大作戦!これならダっちゃんも楽しくなるはずだよ!

なるほど。凄い相手と一緒に食べて楽しい〜という寸法ですか。
自分を基準にしてモノを考えてはいけません!
天子ちゃんは天才型だからなぁ。結構人の気持ちとかがわからない子なのかもしれない。困ったことだ。

これは黙ってくださいと怒られてもしょうがない。

何をムキになっているのかと思う荒川さん。
元々大食い部には1年間在籍するだけ。ケガさえ治ればフィギュアに戻れる。
もう食べられないなら食べなければいいだけの話である。
どうせたかが大食い競技。どうなろうと興味はありません。

おやきを皿に置き、試合を捨てようとした荒川さん。しかし、そこに実況の声が響く。
荒川選手、このまま負けてしまうのかぁ!!!

勝とうが負けようが関係ない
そういい続けてきたはずの荒川さんが・・・ムキになって食べだした!?
冷静な表情のときより可愛い気がしますね。

ここで星野の言。
荒川くんは競技者失格2号と思いましたが、彼女はちゃんと競技者なんですねー

おや星野。荒川さんのことはずっと特別視していると思ったが、競技者失格とは思っていたんだ。

競技者は、つまるところ2つの理由どちらかのために頑張るものです。
一つ目は、”その競技が楽しいから”
このタイプはその競技において絶大な力を発揮する。天子ちゃんはまさしくこのタイプですな。
そしてもう一つ。”負けたくないから”
この気持ちは競技がなんであれ、口でなんと言おうと・・・冷めたフリをしようと抗えないものですよ〜

荒川さん復活。
これを受けて、アコガレ作戦がうまくいったのかと喜ぶ天子ちゃん。んなわきゃーない。

私・・・から。
私・・・負けませんから!

アコガレという感じでは全くありませんね。当たり前だけど。
闘志を露にして望む荒川さん。天子ちゃんはどう受け答えるのか・・・
まあ、少なくとも一緒に楽しくという考えは捨てたほうがいいかもしれません。余計に煽るだけですから。

それにしても、星野は何なんでしょうな。
大食い競技にはさっぱり興味はないけど、競技者には興味があるんでしょうか。
なんだかだんだんマトモなことを言い出してきて困る。
どれだけいいこと言い出しても、最初に勝って返ってきたミクさんをポンコツ呼ばわりしたことは許さないよ!
親しいと思っている間のジョークだった。軽い気持ちだったとかいうことなら、まあ・・・ありえるのか、それは?
ともかく、天子ちゃんと荒川さんの戦いもそろそろクライマックスっぽいですな。どうなるやら。



第32話・花の理由  (2011年 43号)


競技者特有の”負けたくない”という気持ち。
競技に対しがむしゃらに・・・一心不乱にとりくむ姿・・・
あれが競技者としての荒川さんの本当の姿である!
原田部長も可愛い顔になって満足そうに見守っております。

残り時間10分。荒川選手、怒涛の勢いで半皿リードに春風選手に追いすがる!

闘志を露に必死で食べる荒川さんは今までより可愛い。
天子ちゃんのアコガレ作戦は大失敗でしたが、ともかくまあ、元気にはなった。

これはこれでいいかね〜

天子ちゃんの笑顔と共に再び花が咲く。それによって荒川さんはまたムキになる。
悪循環といえば悪循環ですな。
しかし、二子ちゃんがおびえる勢いで食べ始めた荒川さんだがペースは上がっていない。
初めのころのムダのない食べ方は見る影もなくなっている。
哲っちゃんの顔アイコンを見ても、余裕がなくなっているのはあきらかだ!哲っちゃんは本当に器用なお方。

ヘラヘラして先を行く天子ちゃんに本気で腹を立てる荒川さん。
同じものを食べ続けるのがこんなに辛いとは思わなかった。
こんなことに必死になるなんて、大食い競技ってなんてバカらしいんでしょう。やっぱりフィギュアが一番最高です。

どうやら、楽しく食べるという目標は叶いそうもありませんな。

氷上のダリアと呼ばれるようになっても、自分の花は咲くことがなかった。
それなのに、その花をたかが大食い競技の場で、あんなヘラヘラと咲かす相手に・・・負けるなんて許せません!

その意気込みとは裏腹に、ペースはあがらない。
やはり怒りにまかせた衝動では戦いには勝てないのか。残り2分で差は1皿に広がってしまう。

お互い、皿を置いたところで、再び天子ちゃんが話しかける。
幸せだねぇ〜〜

この言葉で思い出すことがあった。
コーチは言っていた。氷上に花を咲かすには、氷華ちゃんの気持ちが一番大事であると。
演技や練習は選手の気持ちを伝えるための手段にすぎない。
花が見えたのは、先生の気持ちが伝わったから。フィギュアが大好きっていう先生の気持ち。
みんなにもこの気持ちを分けられたらって気持ち。
それさえあれば、たとえフィギュアじゃなくても花は咲くはず――

自分の幸せな気持ちを誰かに伝えられたら、そこに花は咲くのよ

なるほど。わかったようなわからにょうな。
ともかく、幸せを振りまくようにすればいいわけですな。
あたかも付き合い始めのカップルのように。頭がお花畑ですとなればいいわけだ。えー。
どうでもいいが、荒川さんのコーチはもう少し化粧を薄めにしていただきたい。

荒川さんは、自分が何故花を咲かせることができなかったかを悟ってしまった。

くやしい・・・な。

そのまま試合は終了。
荒川さんは15皿半。天子ちゃんは16皿半の1皿差であります。

勝ったのにとぼとぼと戻ってくる天子ちゃん。
勝ったのはうれしいけど、今日の目標である一緒に楽しくごはんを食べることは果たせなかった。

結局、ダっちゃんの笑顔を見れなくて。なんだかそれが寂しくて・・・悔しくてさ。

落ち込む天子ちゃん。
それに対し、立浪部長。相手の子も楽しんでいたと思うと言う。

だって天子ちゃんと食べてた相手の子、とってもいきいきとした顔してたもの〜

まあ、確かにいきいきとはしていましたが・・・そういうものなのですかね?
後輩を思いやった言葉だと思うことにしておきましょう。ええ。

さて、長野女子の方。
星野が荒川さんを出迎える。大食い競技での初めての敗北いかがでしたか?

腸が煮えくり返る思いです

うむ、競技者らしい言葉であるな。その心がけはよしや。
しかし、星野。勝ったミクさんですらポンコツ扱いしたのに、荒川さんにはそれだけですかね?
なんだかどんどん角が取れていっている気がする。
原田部長と話しているうちに毒が中和されたのか!?

その原田部長が荒川さんに近づく。
いろいろと説教をしてきた部長だが、敗北したからって叱るような真似はしない。
微妙に不満顔に見える2年生の2人は何でしょうね?
原田部長が自分たち以外に優しくしているのが面白くないのですかね。かね。

さて、現状分析。長野女子は1勝2敗で相手とは1皿と3/4皿差である。
この状況で勝つとなると、大将戦で相手に1と3/4皿差以上つけて勝たないといけない。
せめて1皿差。それならば希望もあったが・・・これは厳しい。

私がもっと食べられてたら・・・

それを悔いてももう遅いのである。しかし、原田部長は言う。

あんた等・・・任しときな

なんだか男前なんだかなんなんだかな表情で語る原田部長。
部長は可愛くなったり男前になったりいろいろ見せてくれますなぁ。
それにしても、星野がすっかり長野女子に溶け込んでいるように見えるカットはいかがしたことか。
そういえば、原田部長が闘っている間は誰が星野の相手をするのだろう。荒川さん?
荒川さんは原田部長ほど解説してくれそうな気はしないしなぁ。
せっかく中和した毒が、大将戦後にはまた復活しているかもしれない。ヤバイワァ。



第33話・よく走り、よく食べ  (2011年 44号)


2回戦も大将戦を残すのみとなりました。
両校の差は1と3/4皿である。たとえ負けても総量でこの分を上回らなければ結日高校の勝ちになる。

しかし、毎回両校が同じ内容を確認しているから、同じ話を2回行ってしまっているなぁ。
ともかく、部の全てを託されて両校部長が激突する。

原田部長は元陸上競技の長距離選手だったらしい。
ハーフマラソンの中学生記録を持つ程の選手だったが、足首を痛めてしまったらしい。
ほう。さすがに星野。怪我する前のデータはちゃんと持っているようですな。
しかし、話し相手はやはり荒川さんか。というか、話し相手がいないと寂しいのかアンタは。

陸上競技選手時代の原田部長のスタイルは”先行逃げ切り”
まず疾風怒濤のスタートで相手選手たちを引き離す。
相手もそれに負けじと食らいつくが、原田部長のハイペースは落ちない。
そのうちハイペースについていけなくなった相手が消えていく。
そんななか、原田部長は序盤の大差をそのままにゴールをおさめる。
それが陸上長距離選手原田みつの必勝パターンである。

大食い競技での原田部長も同じスタイルらしい。ほう。
果たして、この劣勢をどのように覆すのか。
原田部長の作戦。まずはこの劣勢、1と3/4皿差を埋めるために、追いつくというもの。
戦法は2人とも割り食い。
軽快なスタートダッシュを見せる原田部長。
おぉ、これは早い!ハムハムハムハム
早食いは厳禁だが、余裕を持ってやっているから問題ないってとこなんでしょうかね。
開始15秒で半分食べ、30秒で1皿完食。こりゃ早い。
しかし、後ろから追ってこられてあら〜って感じの立浪部長のイメージ図は可愛いな。

かなりのハイペース。差を埋めるためとはいえこんなペースでは最後まで持つわけがない
九士朗はそう分析する。
ミクさんも、いつもの先行逃げ切りスタイルだが、いつもより少しペースが早いと見ている。
だが、清水さんは大丈夫だと断言する。

清水さんが食い道部に入部したての頃。
30分でハンバーガーをいくつ食べれるかという大食い大会に原田部長と2人で出たことがあった。
負けるつもりはなかった。テニスで鍛えてい体力はもちろん、大食いにだって自信はあった。

けど、そんな自信は開始早々ふっとんだっス。

原田部長のハイペース食事はハンバーガーでも行われる。
他の出場者も負けじとそのハイペースに食らいついた。
けど原田部長のペースは変わることなく・・・そのうち力尽きた奴が1人また1人と手を止めていき・・・
試合終了まで食べ続けていたのは原田部長だけだった。
最終的に原田部長は15個。清水さんは9個食べたことになる。結構な差ですな。
そして、終わったときに原田部長は清水さんに笑顔を見せる。なかなかやるじゃないか、と。

負けて悔しいではなく、スゲェ・・・と思ったのは初めてだったっス。
肘のケガでテニスという道を諦めた私だったっスけど、この人となら新しい道を進めると思ったっス。
原田さんならこの不利な状況だってきっとなんとかしてくれるはずっス!

原田さんファイトっス!そんな細目女に負けんなっス!!

ヤジとは感心しませんな。まあ、野球なんかでは常套手段なのでスポーツマンシップ的には問題ないのか?
だが、立浪部長の気にしている部分には触れちゃったらしい。
目を見開く立浪部長。ギロッ!
睨まれても怖くは無いが、驚きはしますな。清水さんはすっかり怖がっておる。
しかし細目なこと気にしてたんだ。細めなのは気にしなくてもよいと思いますけどね。

差は1皿に広がった。しかし、立浪部長は自分のペースを保ち続ける。
陸上競技でも、大食い競技でも、大抵の選手は原田部長のペースに合わせようと自滅する。だけどこいつは違う。

私がどんなペースで食べようと決して自分のペースを崩そうとしない。
それが勝つための一番の手段だと分かってるからだ・・・

食べる速さにしても決して遅くはない。こいつは強敵だと認識を深める原田部長。
こりゃもっと飛ばさないと。と開始5分でさらに加速する原田部長。
このペースで最後までもつわけがない。九士朗はそう思った。
しかし、開始20分経過したところで、その差は4皿差に広がっていた
というか、20分の時点でもう15皿ですか!?早い。
前の3組は30分使って15皿前後だったというのに、もうそこまで辿り着いている。
しかし、ハイペースによる無理がたたったか、顔は紅潮し、汗が流れ、小刻みに震えている。

この試合は一気に時間が飛びましたね。
しかし、ここまでのリードがつくとは思いませんでした。
先行逃げ切りの相手に、後半の追い上げが得意そうな立浪部長が食らいつくという流れでしょうか。
丹田式呼吸法は既に1回戦でも使っているが、今回も出るのでしょうか?
どうせなら、3箇所あるという他の丹田も使いましょう。
上丹田は神を蔵し、中丹田は気を蔵し、下丹田は精を蔵すとある。
普段は中丹田を使っているようだが、今回は下丹田を使い、精力を増すのだ!増してどうするかは知らない。
そして、最終段階では眉間奥にあるといわれる上丹田を使う。これで神を降ろすって寸法だ。
神を降ろして大食いに勝てるかどうかは知らないが、神事的には盛り上がるよね!



第34話・立派な足はないけれど  (2011年 45号)


開始20分で一気に4皿差をつけた原田部長。
このハイペースではさすがに限界が見えたか?と思いきや、まだまだいくよ!と来た。

がぶがぶがぶっと平らげ、開始25分でリードは5皿近くに開く。
まだまだいける・・・

さすがに原田部長である。これには部員も沸き返る。荒川さんも声には出さないが目を見張っている。
星野も感心する。舞台が陸上競技から大食い競技に移っても、競技者原田みつは健在である。

しかし、その原田部長を心配するミクさん。さすがに少しオーバーペースであるからねぇ。
それにしても、星野とミクさんがなんだか仲良さそうに見えるんだが・・・?
勝ったのにポンコツよばわりしてくるような相手でもちゃんと話をするミクさんは本当にお優しい。

さて、開始30分経過。ここでリードは5皿となりました。
これで実質は3と1/4皿リードである。

これで少しは余裕ができたかね・・・

と一瞬の気の緩みが命取り。
満腹感というものは本当に一気に襲い掛かってくるものである。
ズンと音を立ててやってきた満腹感に原田部長の手が止まる。ガチガチガチ。

無知な星野のためにミクさんが満腹感の説明をしてくれます。あわわわでやんす
お腹いっぱいになる要因は、胃の大きさや体格などいろいろある。
しかし、それを決める一番の要因は――脳でやんす

脳の中には”満腹だ”って信号を出す満腹中枢がある。
今回のおやきは固く、噛む回数が多くなり、そのぶん満腹中枢を刺激する食物。
満腹感は一気に襲ってくるもの。しかもいつもより早いペースで食べており疲労している。
その状態で襲われては、スピードを維持するどころか、食べ続けることも困難になる。

残り時間は15分もある。ここで完全に止まっては追いつき追い越されるのは見えている。
この状況は、陸上で長距離をやってたときにもあった。
バテバテで立っているのもつらいのに、ゴールは遠い。そんなときはどうするか。

あの角までがんばろうって決めるんだ。その先のことは後で考えるってね

これはいかにも競技者らしい意見ですね。わかるわぁ。
それに倣い、おやきを少しずつ消費しようとする原田部長。

その先のことはそのとき考えよう

問題の先送りともいえなくはないが、完全に止まってしまうよりはましでありますわな。
しかし、著しくペースダウンしている。長野女子の面々も静かになってしまった。
というか、星野。なんだその顔は。あーあって顔を見せるな!

このペースダウンは結日高校にはチャンスである。
ここで一気にスパートをかけて追いつきましょう!と哲っちゃんが吠える。

はみゅん

いい音ですね。
ではなく、立浪部長はスパートをかけず、ペースを保つように努める。
これは勝負にいかないのではなく、いけないからである。
というのも、前の試合のスコアと見比べればわかるが、立浪部長もかなりのペースで食しているのだ。
30分経過で14皿食べている。他の選手が45分で15皿前後だったのを考えれば、そうとう早い。
その代償として体力も使っている。
今の状態の立浪部長にこれ以上のスピードを求めるのは酷な話である。

ならば、アレだ。一回戦でやった丹田式呼吸法
あれで体力を回復させればまた早く食べれるのではないか?

今回みたいな1分1秒を争う追いかける状況で”丹田式”で手を止めてる時間は命取りさ

な、なんだと・・・?
その止めた時間も挽回できるような技じゃなかったというのですか?
それだと使える場面が本当に限られちゃうのですが・・・時間制限のない量の勝負でないと使えないのか?
数少ない技が否定されるとは思いませんでした。こりゃ驚きだわい。

開始から35分。原田部長は20皿完食。立浪部長は16と半分である。
30分かけてつくったリードが5分で1皿と1/2縮められてしまった。追いつかれるときはあっという間だね〜

やっとなくなったと思ったら、また新しいものが来る。
私ゃなんでこんなことやってんだろうね
苦しさで疑問に感じてしまう原田部長。そういえば、走っているときも同じ事を考えてた。
好きで走ってたのにね。でも、そう思うときってあるんだよね。わかる気がする。
長い感想を書いていると、似たようなことを思うときあるよ。好きで書いているのにね。不思議。

原田部長の思考は陸上競技を辞めたときのことに向かう。
車に撥ねられ、左足をケガして走れなくなったから辞めざるをえなかったのだ。
走れなくなったのが、人生しんどいランキング一番だね〜と述懐する原田部長。その前に星野が現れる。

夢を見てないで現実を見てくださいよ

この言葉は・・・どういう意味で言っているのだろう?
星野の勧誘で食い道部を設立した、という感じではないなぁ。単に煽っているだけなのか?
もうちょっと表情とか見せてくれないとなんとも判断がつかない。
ともかく、走れなくなった原田部長はさすがに荒れた。トロフィーとか壊しちゃってますな。

そうだ・・・しんどかったけど、足がダメになっちゃ走れないもんね。
けど。
しんどいだけで私の口はまだ動くし、重たいだけで私の腕はまだ上がる。
なら前に進まないとね――

苦しみながらも前に進み続ける原田部長。
開始40分経過。残り5分。両者の差は、2と1/2である!
他の試合の結果でハンデがある原田部長からしてみれば、実質1皿も差がないことになる。
この状態では・・・下手すると、今の差すらひっくり返されるかもしれない。
星野もそれが見えているのか、難しい顔をしているなぁ。

なんというか、原田部長が魅力的なせいもあり、どうしてもそっちを応援してしまう自分がいる。
でも、基本的に相手側を主眼にして物語を進める手法ですし、こう感じるのは間違いではないのかもしれない。
原田部長が追いつかれないようにする方法は果たしてあるのか?
ここはもう、清水さんにまた煽ってもらうしかないのかもしれない
あの細目という罵倒のときだけは、立浪部長の手も止まっていた!
スポーツでベンチから野次を飛ばすなんて常套手段である。
ここはひとつみんなで野次を飛ばすのだ!ほーそーめ!ほーそーめ!やせてるって意味じゃないっスよ。
神聖な競技という感じじゃなくなるけど、どうなんだろうな。



第35話・ファイト  (2011年 46号)


一時期は5皿のリードをつけていたが、そのリードが後半の10分で一気に縮められる。
あら、あらあら〜と残り5分でその差は2と半皿差。
総量で1と3/4負けている長野女子。
5分間で3/4皿分追いつかれなければ、長野女子の勝利になる。

既に限界に達していそうな原田部長だが、気力を振り絞る。まず1/4、まず1/4・・・

一方の立浪部長。
こちらも結構なハイペースで来ている。その笑顔にも汗が浮かんでいる。
とはいえ、このまま負けちゃったら、部長として格好がつかないわよね〜と気合を入れ出す。
40分経過したところで、猛スパートを開始する立浪部長。

この部長はなんというか、上手い。
相手の心の折り方を心得ている気がする。天然かもしれんけど。
このタイミングでスパートされたら、リードを護りたいと思っている原田部長にはキツイ。

40分も通常より早く食べ、体力も使っている状態でこの加速。
九士朗も何故?と疑問に思うほどの荒業である。

これについては、遊ちゃんが解説してくれる。
立浪部長は通常よりも長時間の練習をしている
天食祭の制限時間は45分なのに、その倍の90分の食べ放題で練習する立浪部長。
おにぎり40個以上って何キロになるんだろう・・・

立浪部長は言う。前にTVでマラソンの選手が言っていたと。
10kmのレースに出る場合は20kmを。
40kmのレースに出る時は60kmを練習で走ると。

そういう練習をすれば、体力もつくし、ゴール間際でもトップギアで走れるんだそうな。
その理屈はわからなくもないが、ペース配分とか狂いそうだなぁ。

無茶な練習だという遊ちゃん。
それに対し、私は一応3年生で部長なのよね〜と返す立浪部長。

1番上の立場だから、みんなをえいやあって引っ張る、強く格好いい存在でいたいのよね〜

その意気や良し。
やはり立浪部長の意気込みもなかなかのものだったのですな。
というわけで、開始42分でついに1と3/4差になってしまいました。
総量ではこれで完全に追いつかれたことになる。
時間はまだ3分もあるのだが・・・もはや原田部長の手も止まりつつあった。限界か。

終わりましたね

ため息をつく星野。
相手のスパートに対して、原田くんは動くこともままならない。勝負はついたも同然です。
早々に諦めてしまう星野。確かに、原田部長の体力は尽きている。

夢をみないで現実をみてください
現実に奇蹟はないんですよ。

このセリフ。やはり、星野はそういうつもりで原田部長にも同じことを言ったのかね。
発奮を促すためというよりは、現実をつきつけて諦めさせようという言葉。
なんというか、競技者失格ですねと言われそうなセリフじゃないですか?
清水さんも、ここは言い返すチャンスですよ!!

好き勝手なこと言わないでください!

なんと・・・ここで反論したのは、荒川さん!?

確かにこの世にはムリなこともあります。
だけど、ムリだとこちらが勝手に決めてるだけのこともあります。
私がいくら憧れてもできなかったことを、すんなりとやりとげる奴だっているんです。

思い出すだけで不快極まりないですがね・・・

ハハハ。本当に荒川さんは表情豊かになりましたな。可愛いよダッちゃん。
そして、原田部長にも吠える荒川さん。

あなたも!
”任しときな”とか格好いいこと言っといて、なに手を止めてるんですか!?
もっと自分の言葉に責任をもってください!!

荒川さんのその言葉に頷くミクさん。
そう、まだ2回戦だ。ここで止まってなんていられないはずですよ。
そうっスよ。強くてスゲェのが、原田さんじゃないっスか・・・

原田さん!ファイトォ!!

星野を除く、長野女子の部員たちの声援。
それを受けて、止まっていた原田部長の手が動き出す。まさに執念ですな。
残り3分であるが、どうなるか?
立浪部長は1と3/4の差も覆すつもりでいる。
果たして原田部長はこの圧倒的に不利な状況を覆すことができるのか!?
次回で決着がつきそうですな。もはや応援するしかない。原田部長、ファイトォ!!



第36話・完全燃焼  (2011年 47号)


大将戦も残すはあと3分。
1と3/4皿差に追いつこうと迫る立浪部長。
限界を迎えながらもリードを護ろうとする原田部長。

集中しないと意識が飛びそうだという原田部長。
その目には、過去の自分が映っていた。それ意識飛んでるのとちゃいますのん!?

足にギプスを巻いているので高2の春の頃のようだ。
あの事故からまだ1か月しか経っていないころ。
原田部長は怪我してからもずっと陸上部に通い続けていた。
ケガした足で走れるはずはないのだが、未練は残り続けているのでしょうねぇ。
その原田部長の前に現れた星野。どうやらクラスの担任だったらしい。ほう。

先生の方にね、陸上部から苦情がきてるんですよ。
”ケガした部員が練習に参加しようとして困る”と。
”他の部員たちが気をつかって練習に集中できない”
”迷惑だ”って苦情がね。

ゲスな顔で言ってはいるが、確かにこれは誰かが言わねばならないことですな。
原田部長の足は、ギプスがとれても走れないようになっている。
それでも陸上部の選手をまだ夢見ているというなら、それは愚の骨頂である。

夢を見ないで、現実を見てくださいよ

この時のセリフでありましたか・・・
原田部長もこれを聞いてすぐに納得できるはずはない。

あんたに・・・ケガした競技者の・・・
突然ポンコツになっちまった奴のなにが分かるんだい。

ポンコツという自覚はあるんですね。
なら・・・ポンコツのあなたが頑張るほど、人に迷惑をかけるということも分かってください。

なんとも厳しい言葉である。でも、誰かが言わねばならないことだからなぁ。
陸上部の担当教員はどうしたと言いたくなる話ではある。

翌日。
星野に厳しい言葉をかけられ泣いていた原田部長が職員室にやってきていた。

星野さん。新しい部の顧問になっちゃくれないかい?

突然申し出る原田部長。
昨日の自分は女々しかったと謝罪する。男らしいっすなぁ。ん?

原田部長は色々考えた。これからどうするかについて。
マネージャーとして陸上部に関わることも考えたが、やはり自分は競技者として競技に全力をつくす自分でいたい。

不完全燃焼の、こんな気持ちのままじゃ前に進めないんだ

陸上ができなくなっても、他の競技で全力を尽くすようにしたいと考えている。
どの部の顧問もしていないのは星野ぐらいだったので、新しい部の顧問になって欲しいと頼んでいるようだ。
名前を貸すだけならということで引き受ける星野。
しかし、そこからが大変だった。

足がダメでもできる競技はなかなか見つからず、大食い競技を見つけるまでに1か月かかった。
文化系は小難しくてダメだという原田部長。というか、文化系の部はいいのか?体育大学。
まあ、漫研をつくって、漫画甲子園を目指すという手もあったか。
これも全国規模の大会だよ!
それにしても、ちゃんと探すのに付き合う星野は意外と面倒見いいな。

部は新設したが、ほとんどの生徒がスポーツ推薦で入学している。
なかなか部員が集まらない。
仕方がないので、同じようにポンコツとなった競技者をひっぱってきたりした。

そして去年、初めて天食祭の中部予選に出場。準々決勝という結果となった。
初めての大会でこの結果は凄いと誉める星野。
しかし、もっと勝てるはずと思っていた原田部長は泣きぬれている。ぐす、ぐすん。
私がもっと強ければ勝てた。後輩たちに会わす顔がないという原田部長。
その部長に、とある男の話をしだす星野。

大学を経て社会人になっても有望視され続けた陸上選手の男がいました。
しかし男は大きなケガをして、2度と走れない体になってしまいました。
それでも男は走れないという現実を受け入れきれず、全てを捨ててリハビリに励みましたが・・・
5年後、やっぱり男は走れませんでした。

その5年間を、男はずっと後悔しています。
”なんで叶わない夢を見てしまったんだろう”と

それから男は、大学でとった教職で教師をしているそうです。

ふむー、星野にもそんな過去がありましたか。競技者っぽいなとは思ってましたが。
自分がそういう経験を持っていたからこそ、夢を見ないで、現実を見てくださいという言葉に繋がるんでしょうなぁ。

男の最も愚かだったところは、治らない足という厳しい現実を見ず、都合のいい夢ばかり見続けたことです。
だけどあなたはちがう。
厳しい現実をしっかりと見て、それでも競技者として前に進むことをやめない
そんなあなたを、先生は誇らしく思いますよ
会わす顔がないなんて言わず、胸をはりなさい。

星野先生がいい顔になった!?
ゲスな発言をするときは黒くなるけど、いいこと言うときは白くなれるんですよっていうのかい!?
普段がマイナスな行動が多かったので、これはギャップ萌えが狙える技ですね。
原田部長も思わず赤くなってしまっています
その原田部長の頭を撫でてあげる星野先生とか、なんだこの図!

過去の回想は終わり、現実に引き戻される原田部長。
試合は終了しましたよと声をかける星野先生。

大将戦の結果は、22と1/4皿同士で引き分けです。
意識が飛びながらも原田部長は食べ続けていたんですなぁ。凄い根性だ。

大将戦は引き分けだが、全体の勝敗と総量ともに負けているので、長野女子は敗退となります。
悔しがる原田部長。私がもっと強かったら勝てたのに・・・

だが、その原田部長に、熱戦を演じた2人の部長に温かい拍手が届けられる。
立浪部長も、健闘を称え、握手してきてくれます。
なんだか、スポーツしたって感じがしてますね。

長野女子の部員たちのところに戻る原田部長。
今も会わす顔がないと思っていそうだけど、部員たちは温かい言葉をかけてくれる。
おつかれさまです

その声に応え、笑顔を見せてくれる原田部長。ありがとう

涙に暮れ、抱き合う長野女子の部員たち。
当初は部外者のつもりだった荒川さんも顔を紅潮させ見守っている。
星野先生は背中を向けているが、原田部長を悪く言うようなことはない。
馴れ合わず、厳しいことをいうポジションで居ようと考えているのですかねぇ。

そして、そんな長野女子たちを見て、神妙な表情で拍手している天子ちゃん。
なんでしょうね。基本的に勝敗に拘りのない天子ちゃんだが、思うところがあったのだろうか?
この試合を見て、一生懸命に戦う姿の美しさを感じ取ってくれたら幸いだが・・・はてさて。

現れた当初はどうかと思われた長野女子だが、魅力的になったものですなぁ。
原田部長や荒川さん、ミクさんなどこれからも見ていたい子たちでした。
次の3回戦の相手はどうなりますでしょうか。同じくらい魅力的な子達だとよいのですけどね。

さて、最後に。星野先生はいい人だったのか?という疑問。
いい人か悪い人かというと・・・どっちとも言えませんな。偽悪的な人だとは思うけど。
自分がそういう経験をしているからこそ、ポンコツには現実を見せないとと辛く当たっている。
というのは分かるけど、別の競技しているときまでポンコツ呼ばわりする理由はあまりないんだよね。
今でも、勝って帰ってきたミクさんをポンコツ呼ばわりしたのは謎すぎる。

正論を吐いて追いつめるのは、別にいい人ではない。
正論なだけに相手は反論もできないので、気持ちよく追い込めるわけですからねぇ。
私もよく使う手法なので分かります。正論をくどく言うのはいい人ではない!自己を振り返って診断するぜ!
まあ、悪い人というわけではないとも思いますけどね。
過去に原田部長を誉めてたときも、ミクさんたちには見られないようにしてましたし、照れ屋なのかもしれない
自分を悪く見せようとしているようにも見えますな。厄介な人である。



第37話・荒川とごはん  (2011年 48号)


勝負を決める大将戦で引き分けてしまったことに落ち込む立浪部長。
だけど、まあ、最終的にはチームは勝利したんだからいいじゃないですか。
部長失格とまで落ち込む必要はない。
でも、チームのリードのことを忘れていたのがむしろどうかと思う
そこは覚えてましょうよ!仲間の戦果だよ!
さすがに皆呆れ顔でございますな。

さて、勝負が終わればダチである。スポーツものの定番だ。
長野女子のみなさんが挨拶に現れたぞ。
勝者が敗者にかける言葉はないので、敗者から来るしかない。
負けた自分たちはもう会場に来ることはないという。
暗くなりそうな状況だが、あくまで笑顔で手を伸ばす原田部長。

がんばってな

立浪部長の手を取り、激励する。いやあ、いいですね。スポーツマンらしい。
清水さんも遊ちゃんをチビと言ったことを謝罪し、強さを認め握手する。うむ、よいな。
負けて悔しく悲しいはずなのに、ちゃんと笑って挨拶できる長野女子のみなさん。
涙はもう流しておきましたからね。勝者を送り出すには笑顔でないと。
しかし、チーム全体はともかく、個人では負けている二子さんは複雑そう。

秘密特訓までしたのに負けた私は・・・とても笑顔じゃ・・・

気持ちはわかるがねぇ。なので、遊ちゃんがフォローする。
二子さんが先鋒で割食いを見つけたからこそ、チームが勝利することができた、と。
あれは偶然だという二子さん。それに対し、立浪部長は言う。

その偶然を得たのも、試合中に冷静でいたから。
その冷静さはきっと、二子ちゃんの特訓の成果。
今回の試合で勝てたのは、二子ちゃんががんばったおかげよ〜

2人の言葉を受けたおかげか、二子さんもまた笑顔でミクさんと握手をするのであった。うむ、よいよい。

さて、天子ちゃん。
こちらは嬉しそうに荒川さんのところに突撃する。ブンブン。
ごはん楽しかったかい?
その天子ちゃんの質問には答えず、荒川さんから一言。

食事中・・・しかも試合中の相手に話しかけないほうがいいですよ。不愉快ですから

言われちゃいましたね。全く持ってその通りだから困る。
でも、話しかけたほうが漫画的には盛り上がりそうな気もするのが困ったところである。
まあ、天子ちゃんが話しかけたから盛り上がったか?と言われると、アレですけど。

挨拶も終わったので帰ることにする長野女子のみなさん。
その途中、星野先生は部の存続について原田部長と話をする。2回戦敗退じゃ存続は厳しいか。

ですが、仮に負けた相手が、天食祭本戦に出場するほどの有力校なら、話はかわってきますがね

おや、星野先生ってばお優しい。希望はありますよと言いたいのですか?
原田部長相手だと偽悪的になる必要はないせいか、所々優しくなりますな。
しかし、せっかくのお言葉だけど、それは難しいと考える原田部長。

確かに結日高校は強い。奴らの部長なんか特にだ・・・
けど、尾張大付属の赤西
本気を出した龍聖学院の三ヶ月の強さは、そのはるか上。

ここに来て、強敵校と強者の名前が出てきましたね。赤西さんは開会式で宣誓してましたけど。

負けた私にはもう、関係のない話かと落ち込み、悔し涙を流す原田部長。
後輩には見せられない涙ですかね。相変わらず先生にだけは見せるんですね。ふむ。ふむ。

さて、試合が終わったのなら、恒例の花ぽんタイムである。

その調子で勝ち上がってきなさい。
次こそ、天に咲く花こと私、トップ(予定)アイドル、天咲花が徹底的に叩きのめしてくれるわ!!

スポーツバッグを大量に抱えて汗だくの状態で述べる花ぽん。
そんな花ぽんに話しかけるのは・・・男性?男装の女性?
ともかく、花ぽんの先輩に当たる人らしい。蒼雲先輩か。ふむ。

龍聖学院の2回戦が始まります。
花ぽんさんは先鋒。早く荷物を運んで、早く準備をしてください。

花ぽんレギュラーなのか!?
しかも、原田部長が先に名前をあげた強豪、龍聖学院の部員だったとは。

龍聖学院は文武両道。”紳士淑女たれ”がモットーの誇りある学校らしい。
ふむ。それはまた。教材にチャンピオンが使われてたりするんですかね?そういう紳士淑女じゃない?

龍聖学院の食い道部は部員が20人以上いる。さすがに強豪。
そして全員クソカタイそうな。うーむ、真面目な淑女でございますなぁ。
その全員に45分の大食いの練習で一度も勝てたことがないという花ぽん。
なのに何故かレギュラーになっている。不思議。

やっぱり私に花があるからかしら。

そういう話じゃないと思います。たぶん。
ここで、原田部長の話に出てきた三ヶ月部長が一言。

しっかりしたほうが蒼う・・・に怒られないぞ。天あ・・・
まあ・・・どうでもいいけどさ

すっごいユルイ人だ!!
人の名前を呼ぶのも面倒がるほどのズボラな部長らしい。こりゃ蒼雲先輩も大変だ。
このズボラ部長にはいつも1皿差で負けているという花ぽん。
他の部員には大差で負けているとのことだが・・・
三ヶ月部長は、1皿差で勝つようにわざわざ調整しているというのでしょうか?
本気を出したら凄いと原田部長も言ってましたし、1皿差はわざとなんでしょうな。ふーむ。

さて、ついに花ぽんが公式大会のデビューを果たそうとしている。
勝ち負けを考えず、全力を出すことだけを考えてくださいという蒼雲先輩。
それに対し、勝ちますよと自信満々な花ぽん。

だって私は今日勝つために、2日間断食してきましたから

今なら2kgだって食べられる。
今日この試合から改めて、花ちゃんの食いドル伝説が始まるとノリノリの花ぽん。

なんていいつつ、6皿(420g)でダウンする花ぽん。あらあら。
2日間も断食すればいくらでも食べられる気はするが、実のところは使ってない胃が縮んで全然食べれなくなる。
花ぽんも実力はそれなりにあるんだろうけど、知識と経験が圧倒的に足りてないようですな。
というか、その辺は先輩方が事前に叩き込んであげてくださいよ。

花ぽんをレギュラーとして使ったのは三ヶ月部長の一存っぽい。
元気があっていいじゃない、とのこと。どっちでもいいけどさ、とのこと。いいのかよ。
まあ、ひとつぐらい穴があっても余裕で勝てるってことなんでしょうね。
1皿差で勝とうとしたり、三ヶ月部長はいろいろとギリギリが好きなのかもしれない。
座っているときの感じからして、スカートの丈もギリギリなのかもしれない。それはアリだな!

しかし、蒼雲先輩はなんで、花ぽんさんという呼び方してるんでしょう?
本人がそう呼んでくれと言ったのでしょうか?謎だ。
そして、龍聖学院は確か結日高校とは別のブロックだったはず。となると決勝まで当たらない。
上手くしたら、尾張大付属とも当たらないかもしれない。
強豪に当たらず、本戦のキップを手に入れる主人公の高校とか斬新!さすがにそれはないか。

それは置いておいて。再び長野女子。
帰り道にスイーツを頂くみなさん。大食いの後だけど、甘いものは別腹らしい。
名古屋名物クリームぜんざいを頂くみなさん。可愛いね。
とてもうまいので荒川さんにも勧める原田部長。
別に食べることは好きじゃないんですと断りを入れながら、口にする荒川さん。

おいしっ

ほう。いい笑顔じゃありませんか。
まるで荒川くんの後ろに”花”が見えたかのようでしたよ。と星野先生。
ふむ。ついに荒川さんも花を出す素質に開眼するようになったか。
この先も、フィギュアはしつつ、花を出す特訓のために大食いも続けるという流れになったりして。
やはり長野女子のみなさんは魅力的なキャラ揃いですなぁ・・・
星野先生もなんだかすっかり溶け込んでしまいおって。

次回は3回戦になるのか、それとも合間の回になるのか。
3回戦の相手は、長野女子並に魅力的な子が出てくるのか。期待です。
合間の回だったら、二子さんの新たな特訓という流れも期待できるかもしれませんな。
今度はどんな辱めを受けることになるのか!遊ちゃんの兄に期待です。



第38話・夏のかけら  (2011年 49号)


2回戦終了。時は夏真っ只中。期末試験も終わり、世間は夏休みに入ろうかという時期ですな。
試験後、何故か教室に残りお弁当を食べる天子ちゃんとその友人達。
5段重ねの弁当を食べながら、何故か元気のない天子ちゃん。
その様子を見て驚いている友人達。
弁当の量はもはや驚くことではない。天子ちゃんがご飯の時間なのに元気がないのが驚きなのだ!
出会って3か月だが、こんな光景は初めてだと言う。

何事かあったのかと尋ねる友人。
天子ちゃんは話す。昨日の食い道部の大会での出来事を。

試合中に相手に話しかけたら、嫌われちゃったんだよ

なめた真似したダンゴが悪い

友人の一人、イっちゃんこと井上入鹿さんによる正論。まごう事なき正論だ!
試合というのは、勝利という1つの椅子を奪い合う、弱肉強食の場であるのだから!

そんな場なのにダンゴは”ゴハン楽しい?”ってヘラヘラ話し掛けてそう。

友人のもう一人、さっちゃんこと斉藤幸さん。大正解だ!
2人は柔道部。同じ”部活をしてる身”から忠告する。

試合は相手を敵と思いなよ。でないと相手にも失礼だよ。

入鹿さんの正論。しかし、それは難しいと返す天子ちゃん。
食い道部は試合で、相手と一緒にごはんを食べるのだ。

一緒にごはんを食べたら、その人は友達だもん。友達を敵だなんて思えないよ!

タイマン張ったらダチじゃあってことでしょうか。
その考えはキライではない。
でも、それは闘った後の話でしょうに。
長野女子を見て、競技に対する姿勢を学んだかと思ったが、そういうわけでもない様子。
本当、争いごと、というか競いごとに向いていない性格なんですのう。

そんな話をしているところに先生登場。
どうやら期末試験が赤点だった3人は補習を受けるために残っていたようだ。

再テストも赤点なら、部活動禁止だからな!!

なにっ!
これは・・・もしや天子ちゃん離脱フラグだったりするのでしょうか。
まさかの主人公不在で進む試合展開。
その穴を埋めるべく、これまで闘ったやつらが助太刀しにきてくれるとか、熱い展開が待ってそうだ。
公式の試合で途中交代、それも他校の生徒と代われるとは思わないけど、それはそれだ。

さて、2年生の遊ちゃんと二子さん。
二子さんは今日も純喫茶アラーキーで特訓中。
人見知りとアガリ症克服は1日にしてならずであるな。
というわけで、恒例のごとく皆の前で大食いショータイムを演じることになった二子さん。
その二子さんを放置してロードワークに行く遊ちゃん。ハハハ。

しかし、顔見知りが多くなったでしょうから、効果は薄れてきているんじゃないですかね。
次はステップアップということで、路上での大食いショーに移るべきだな。

立浪部長は部室にやってくる。
そこでは男2人が待機していた。個人練習だから、部室に部員がこない可能性もあったんだっけ?
そうなると、暑い中男2人で待ちぼうけになっていたわけか。嫌な汗が出るな。

お茶当番ということで、ドリンクを作成する哲っちゃん。さすがだな。ぷひゃ。
これなら立派に九士朗の跡をつげると部長が誉めてくれます。
いつのまにやら部員の一人として認定されてしまっているようですな。
まあ、試合前のおむすびも一緒に食べた仲ですしねぇ。同じ釜の飯食った仲間ってやつだ。

とはいえ、さすがにまだ部に入ると決めたわけでもない哲っちゃんとしては戸惑いがある。
そこに、改めて頼むよと言い出す九士朗。

大会が終わったら、僕たち3年は引退だしさ

ふむ、それを持ち出されると厳しいな。
選手はともかく、マネージャーは完全に不在になってしまうわけですからねぇ。

ともかく、結論は先に延ばし、3回戦の相手について尋ねる。
相手は以勢日輪高校食い道部
天食祭本戦が開かれる以勢神宮、その地元の高校である。
それだけに部活の歴史は古く、今年で創設100年目らしい。100年!?

日本最古の部活かもしれないと言われている。ぶちあげてきましたなぁ。
祈祷としての天食祭は和銅5年(712年)からあったが、今の様な大会形式になったのはここ30年の話。
以勢日輪高校食い道部は日本で唯一、その30年の天食祭予選に連続で参加し続けている部である。
そして、天食祭本戦優勝5回の古豪である

それはまた凄い強敵っぽいですなぁ。
古豪ということだし、優勝したのは最初のころだけで今はそれほどではない可能性もあるけど。
でも、創設丁度100年目とあっては気合の入り方も違いそうだなぁ。強敵だ。

今回の大会では1回戦は圧勝。とはいえ、対戦相手は遊びで参加したと思われる部である。
2回戦にいたっては対戦校の欠場による不戦勝。
これだけ見ると、今年の日輪の力は不明瞭だが・・・気はぬけない相手であるのは間違いない。

と言ってはみたが、なんか怪しい日輪高校。
実は裏で手を回して強豪校は試合に参加できないように仕向けているヒールの可能性もあったり!?
となると、やはり天子ちゃんが赤点で試合参加不可になる可能性は出てきたな。
卑劣な策略で天子ちゃんの勉強を妨げて、赤点を取らせるつもりに違いない!しなくても取りそうだけど。

あと2回勝てば天食祭本戦出場。
日輪高校に勝ったら、尾張大付属と当たるんですかねぇ。
2年前。部長が1年生のときは、ちゃんとした選手が部員1人で、1回戦敗退。
2年のときは遊ちゃんと二子さんと3人で2回戦敗退。
そして、今年。初めて4人が揃って大会出場。3回戦に来ました。
4人なら天食祭本戦にいける
きっといけるという思いで闘う。当然ながら、引退がかかった2人は他の部員より気合の入り方が違う。
そんな状況を再確認した上での古豪との対決。
盛り上がりそうな気もするが、はてさて。

とにかく、日輪高校がどんなチームであるか、ですね。
タエちゃんや原田部長のようないいキャラクターが出てきますように。



第39話・創部100年以勢日輪  (2011年 50号)


巻頭カラーでいよいよ3回戦開始!
今回も試合前におむすびを食べております。
対戦相手は、創部100年目。天食祭本戦優勝5回の古豪、以勢日輪高校。
その話を聞いて盛大にビビる二子さん。
どうでもいいが、相手の情報ぐらい事前に聞いておきましょうよ。当日じゃなく。

天食祭が今の形になってから、まだ30年。
創部100年の歴史とはやはり凄い。しかも、本戦会場、以勢神宮のお膝元の高校である。
きっと選手の数も、その強さも桁違いなんでしょうなぁ〜

ビビりまくる二子さんであったが、部長の落ち着きを見て笑顔になる。
今日と来週の2回を勝てば天食祭の本戦出場が決まるわけですからね。集中だ。
しかし、九士朗と哲っちゃんは今回おむすび無しなのか?

会場準備中のためロビーで待機している結日高校。
そこに近づいてくる者達がいた。

私達は以勢日輪高校食い道部。
そして、私は栄えある92代目部長。

竹山田リンですの!!

古豪の部長が堂々と登場だ!おぉ!堂々としてるけど小っさい!ばん。
思わず並んでみる遊ちゃん。私のが背大きいわぁ!!しゃあー!!
行為が小っさいですよ遊ちゃん。そりゃ哲っちゃんもツッコむ。

しかし、リンちゃんはともかくとして、どうにも伝統校っぽくない面子である。
後ろの子はともかく、横に控えているのはヤンキーに外国人
グルグル眼鏡の外国人ってなかなか新鮮だな。

この4人以外の部員はどういうものか想像する二子さん。
創部100年の伝統校だけに、100人を越える部員たちがまだいるはず!
なるほど〜創部100年だけになぁ。まあ、深くコメントはしない。

リンちゃんがやってきた理由が明かされる。決して背比べをしに来たわけではない。

似たもの同士、”3回戦進出おめでとう”と伝えたかったんですの

リンちゃんは、去年の結日高校の試合を見ていたらしい。3人での大会での戦いを。
フルメンバーに足りない3人にも関わらず勇ましく戦った。3人で・・・
やたら3人を主張するリンちゃん。
これはやはりあれですかね。戦隊モノは3人組が一番だと主張する派ということですかね?ね?

私たちも同じ・・・リンちゃんはそう伝えようとする。
が、折り悪く天子ちゃん登場。愕然とするリンちゃん。ええ〜ですの!?

天子ちゃんに数合わせの人間ですのよね?と尋ねるリンちゃん。
だけど、残念ながらちゃんとした選手で部員でございます。
今年の結日高校は3人ではなく、4人。フルメンバーでございます。

裏切りものですの〜

泣き出してしまうリンちゃん。あらあら。さすがの天子ちゃんも戸惑うしかない様子。
ここで、リンちゃんの携帯が鳴る。携帯音もリンだ。リンリンリリンリンリンリリンリン。
相手は若づくりババァとのこと。表情が歪むリンちゃん。ふむ?

捨てゼリフを吐いて去っていくリンちゃん。
それはさておき、いよいよ3回戦の会場準備が整ったらしい。
3回戦からは少しルールが変わるそうな。ほう?

というわけで、3回戦のルール紹介だ!!

試合形式は、2対2、1対1、1対1の3試合
2戦目と3戦目は今までと同じ。1対1で45分間の勝負。
1戦目は、両校2名ずつ出場し、まず1名が30分間の大食い競技を行う。
そして10分後、もう1名が30分間の大食い競技を行う。
計60分、2名の食した総量で勝敗を決することになります。
そして、3回戦はチームの総量は関係なく、3戦中2勝したチームの勝利となる

そして、3回戦の料理は、3戦全て異なる中華料理!!

ほほ〜〜これはまた変えてきましたね。
2対2の形式があるという情報は事前にありましたが、料理が変わるというのはいいですね。
ずっと同じ食べ物ばかりでは予想のしがいがなかったですからのう。
しかし、2対2は1人の割り当てが30分と短めなんですな。
原田部長なら全速で駆け抜けきれる時間だ。早く食べれる人が有利っぽいですな。

さて、第1戦の料理が発表される。
本日の1品目は――チンジャオロース!!
チンジャオロースは1皿150gでございます。ふむふむ。計算しやすくていいね。
それにしても、何か違和感があるな、このチンジャオロース。
タレが絡んでないのか?なんとなくパサついてみえたのはそれか!?

チンジャオロースの大食い方法とかあるのでしょうか、九士朗?

ちょっとわからないなぁ

相変わらず九士朗の知識は頼りにならないな。
そんな時は二子さんの出番である。知性派の二子さんなら食べ方を見つけてくれるに違いない!
というわけで、二年の仲良しコンビが2対2に出ます。まあ、予想通り。

相手の以勢日輪高校側は、ヤンキーの小鹿さんと外国人のスミスさんの2人が出ます。
2人が出る前に、チンジャオロースの大食い方法を伝えるリンちゃん。
ほう。九士朗が知らなかった大食い方法を知っているのか、リンちゃん!九士朗が知らなかったのに!
ほんと、九士朗は試合になると役に立っていない気がしてならないぜ・・・

さて、いよいよ3回戦の第1試合が始まります。
死闘の幕開けだ!始めぇ!終了!!
ページめくったら試合が終わっていただと!?いや、そうなるんじゃないかとちょっと思ってたけど。

1皿と2皿で崩れ落ちている相手の方々。
食べ方を探るも何もありませんでしたな。
スミスさんはともかく、死のマスクを纏った小鹿さんならば、ひょっとして。とも思ったが無理だったか。

この敗北は以勢日輪としては予想通り。
試合前に言っていた、人数合わせの子たちでしょうからね。負けは織り込み済みだ。
しかし、このタイミングでOGの皆さんが現れるのはよろしくないな。見た目からして大敗だ。

栄光ある以勢日輪高校食い道部も、地におちたなー

と笑顔で言うOGの狐塚冬美さん(4?歳)
これが若づくりババァであるか!!ふむ。

1試合目は大敗であるが、他の2人の闘志は萎えていない。全て予想通りであるからして。
3回戦は3戦中2勝で勝ちである。要するに――

部員2名の私達はここからが本番です

以勢日輪高校食い道部。正部員現在2名。ですの。

創部100年の古豪も、今や部員2名で数あわせを呼ばねばならない状態とはなぁ。
OGとかが力を持ちすぎて、人が集まらないとかそういう話でしょうか?
1回戦、2回戦の勝ち方が怪しかったが、部員数の問題だったとはね。
そりゃ、1、2回戦の総量形式だと圧倒的に不利だもんなぁ。
長野女子と2回戦で当たってたら、確実に負けていたでしょう。

しかし、今回はテンポが速いですな。
長野女子のときはかなり冗長気味なところがありましたが、なかなかの速さだ。
しかし、勝つ勝負に限って早送りされる二子さん。なんともはや。

次は副将戦であるが、これは天子ちゃんが負けるフラグとなるのか?
天子ちゃんが勝ってしまえば、そこで勝負はついてしまう。
物語的には敗北フラグなんだが・・・天子ちゃんだしなぁ。
負けても意地を見せて泣きながら食べるリンちゃんという展開もなくはないでしょうけど。

知性派っぽいリンちゃんの食事法に期待しております。



第40話・めぎつね  (2011年 51号)


過去5度の優勝経験を持つ古豪、以勢日輪高校を相手に1戦目は圧勝。
まあ、数合わせの選手ですしね。
それを知らない二子さんは無駄に警戒をしております。気付こうぜ。

全盛期には部員100名を越えるときもあったのに、現在は部員2名
淋しいものですな。しかし、本当に100人越えてたことあるんだ。

嘆かわしいと語るOGの狐塚さん。
向き合っているところに、試合を終えた小鹿さんが戻ってくる。

人が部員でもねぇのに必死に食ってやったのに、何をワイワイ盛り上がってんですか!?コラ!!

それほど盛り上がっているわけではありませんですじょ。
小鹿さんは、試合前にリンちゃんにチンジャオロースの食べ方を聞いていた。
それなのに全然食べれなかったのはどういうことかと問いただす。

チンジャオロースの大食いは、まずお肉から
なぜならば野菜は塩分につける時間が長いほど、水分が抜けて縮み通常より食べる量が減るからである。

なるほど。そういう理屈ですか。お腹にはよくなさそうな食べ方ですな。
まあ、理屈が通っていようと、量を食べれるかどうかは個人差ですからなぁ。
そもそも2皿で腹一杯では、工夫して増えても1皿ぐらいでしょうしねぇ。
そんなんだから、狐塚さんにも弱い犬ほどよくほえると罵倒されてしまう。

横合いからケンカを売られた小鹿さん。誰だコラ?と問いただす。

私?せやなあ〜
元、王者や

は、チャンピオンさんでございましたか。
その単語を名乗られたら、小鹿さんもゾッとせざるを得ない。チャ、チャンピオンだー!!

司会者もここでその王者の姿に気付く。驚くべき方がおいでです!

天食祭が、天に豊作の礼を伝えるための祈祷としての場から、
現在の様な全国の女子高生が集まり、大食い競技を行う場になったのは30年前!!
その30年前・・・現行の形としての第1回天食祭優勝校が――以勢日輪高校食い道部

そして何を隠そう、そこにおられる彼女こそが、当時の以勢日輪高校の部員にして――
初代天娘!狐塚冬美、元選手であります!

なんと。初代天娘!
ただの若作りババアじゃなかったんだ!
この事実にはさすがに会場も騒然。でも三ヶ月部長は鼻ちょうちん。この人はまったく。

初代天娘として一言お願いしますとマイクを渡される狐塚さん。
しょうがないので、スピーチ。

天食祭予選・・・天食祭はお祭りです。
天の神さんに”今年も豊かな実りをありがとう”と感謝の気持ちを伝えるお祭りです。
勝敗がどうこうでなく、皆さんの笑顔や笑い声が天まで届くように、心ゆくまで祭りを楽しんでください。

花が咲きそうな笑顔で述べる狐塚さん。
天子ちゃんもカッコイイねと褒めております。
しかし、スピーチが終わり、部員たちを前にしたところで態度一変。

歯の浮く建前はこん位にしてや。
小娘どもぉ。天食祭は勝ってなんぼの勝負の場や
楽しむとか生ぬるいこと言っとったらどつき回すで

えらい顔になったー!!
本当、稲山先生は悪い顔を描く時の気合の入り方が違う。誰だアンタ!
この豹変振りに、おお、小鹿さんが生まれたての小鹿のように震えている!ひえ〜。

忙しい合間ぬって、やっと3回戦を観にきたOGに負け戦観さすわけないわなあ!?

脅しをかける狐塚さんに、大丈夫ですのよと言ってみせるリンちゃん。
確かに、あとの2戦を正部員が勝てば勝利となる。
だが、狐塚さんは知っている。ここ最近の以勢日輪の大会成績を。
去年まで4連続で予選1回戦負けである

この情報には小鹿さんもビックリ。弱すぎだろコラ。
小鹿さんは描かれるたびに段々可愛げがでてきている気がするぜ、コラ。

しかし、4年連続1回戦負けか・・・
九士朗はなんでそういう情報を拾ってこないかな?
古豪という情報より、直近の情報の方が重要だろうが、コラ。

今回、3回戦まで来れたのは運だけである。そんなので本戦に行けるのか?と狐村さん。
まあ、正直無理な気はするが、それでも大丈夫ですの!と声を張り上げるリンちゃん。

私達も100年の伝統を背負う以勢日輪高食い道部の一員ですの!
今日の勝利・・・そして、13年ぶりの天食祭本戦出場を・・・
92代目部長、竹山田リンがOGの皆様に約束しますの!!

よく言った!
そのセリフに対し、吐いたツバ飲みこまんといてや〜と返す狐塚さん。何者だよアンタ。

威勢よくタンカを切ったが、余計なことを言ってしまったんじゃないかと内心慌てるリンちゃん。
そのリンちゃんに、その意気ですと同調する烏井さん。ようやく名前判明か。

以勢日輪高の食い道部は2人しかいない。
それでも、天食祭本戦へ・・・以勢神宮へ行くために精一杯やってきたのである。
そう、3回戦に行くために精一杯努力したあの日々・・・

1回戦。強豪校と当たらないよう、お星様に祈ったら相手が弱くて助かった
2回戦。なんとかして勝てますよう神に祈ったら、相手が欠場で不戦勝

神頼みばっかじゃねぇかコラ!!

小鹿さん、ツッコミ大活躍だな。あれ、結構な逸材じゃね?
そんな小鹿さんやスミスさんに、数合わせとはいえ出てくれたことに感謝していると烏井さん。
素直に礼を言われて赤くなる小鹿さん。
ふむ、これは・・・翌年の加入フラグが立ったと見るべきなのか!?
なんだか、だんだん小鹿さんが可愛く見えてきて困る。スミスさんも喋ろうぜ。メガネとろうぜ。

さて、ようやく副将戦が始まりそうな気配。
戦うのは烏井さんと天子ちゃん。
烏井さんは理解している。相手も3回戦に出てくるほどの実力者。簡単には勝てないと。

ですが、私と部長には武器があるんです
創部100年、以勢日輪の意地、見せてやりましょう。

武器とは一体何か!?
歴史と知識を併せ持った古豪である。
人材が不足してはいたが、正部員であれば、その実力は折り紙つきやもしれぬ。
前回の段階では、まだ烏井さんのキャラも立っていなかったし、天子ちゃんが負けるのは考えにくかった。
しかし、今回で一気にキャラが立った烏井さん。
さて、この副将戦どういう結果になるか。



第41話・ダンゴ対以勢日輪  (2011年 52号)


1戦目の敗北は予定通り。2、3戦目に勝利すると考えている以勢日輪。
創部100年の意地をみせてやりましょうと気合を入れている。

一方の結日高校。まさかの以勢日輪の弱さに戸惑っていた。弱ッ!!

そういう作戦なのか?とか考える哲っちゃん。考えすぎ。
九士朗は以勢日輪の1回戦のデータを持っている。
それを見ると一目瞭然。最初の2人と最後の2人で食べた皿数に大きな差がついている。

九士朗はこの結果を見たとき、1回戦だし、最初の2人が圧勝している。
なので、後の2人は手を抜いたんだと考えていた。なるほど。
だけど、今日。1戦目に出た2人は明らかに素人である。そこで九士朗は思った。

以勢日輪高校食い道部は出場人数の4人に部員が足りていないんではないか――と。

そこに気付くとは・・・って調べれば簡単にわかることなのに。
まさか〜で済ませてしまう九士朗と立浪部長
実績と歴史を重ねた以勢日輪がそんな状況とは考えにくいとか言い出す。
この数年の実績を調べていないからそういうことになるんですよね。調査が足りん。

しかし、前からそうでしたが、両校で同じ内容の分析を行うものだから、既知の情報を聞かされることになる。
前回のあらすじをやられているような気分になりますなぁ。
同時に分析したり気付いたなりしてさらっと流してみて欲しいところである。

さて、2戦目の料理の発表である。
本日2品目の中華料理は――マーボー豆腐!!
1皿120gであります。豆腐は意外とボリュームありますでよ。
この麻婆豆腐は割とおいしそう。ご飯が欲しくなりますよね。
天子ちゃんも思わず大きく息をついてしまう。おいしそうですね〜〜。相変わらずだにゃー。

で、以勢日輪。狐塚さんが相変わらず顔芸を披露しています。
今回は怖いというよりフケ顔になっている。その顔は別の意味で見せちゃいかんだろ。若作りしてるんスから。

小鹿さんは昼メシおごり1か月という報酬で数合わせに参加しているらしい。
さすがに無償ではなかったか。なら放置されても文句は言えないんじゃないですかね、コラ。
どうでもいいんだけど、と思いつつ小鹿さんは考える。

なんでこいつら、こんなうぜぇOGに我慢して部員2人だけで大食い競技なんてやってんだろうな・・・コラ。

考える小鹿さん。シンキングターイム?WOW!WOWじゃないよ。コラ。

さて、ついに2戦目の始まりである。
天子ちゃんの相手は、以勢日輪高校2年の烏井美里さん。
ああ、やはり烏井さんは2年生なんですな。
そうなるとリンちゃんも2年生なんでしょうか?そうなると来年に希望が持てる。
小鹿さんが加入しそうな気配を漂わせておりますからねぇ。

それはそうと、春風天子の名前を聞いて冷や汗を流す狐塚さん。

春風の名字にダンゴ頭?あれ・・・なんか開けちゃダメな記憶の箱が開きそうな・・・

悪寒がしている狐塚さん。これは・・・?
もしや天子ちゃんの母、蒼子さんと何か関係があるのでしょうか?
それか、祖母と関係があるのかもしれない。祖母はよく食べたと蒼子さんも言っていた。
初代天娘なので、試合では敵なしだったが、外の勝負で痛い目を見たとかあったのかもしれない。

そういえば、天子ちゃんの家は春風神社という神社でしたね。
名字に反応しているということは、父親は婿養子だったのでしょうか?気になる。

巨凶たる春風の血脈(胃袋)がついに大会で猛威を振るおうとしている!怖い!!
まあ、天子ちゃんは相変わらず楽しく食べることが第一のようですけどね。
天子ちゃんの楽しく食べましょうね!に、そうだねと返す烏井さんはとてもよい人。
そう返しておけば余分に絡まれなくてすむのでナイスな判断です。

マーボー豆腐は熱さの対策が肝要。
リンちゃんはバッグから何か資料を取り出して烏井さんに伝えようとしていた。
ふむ、さすがに伝統のある高校。蓄えた知識はあなどれないか。
リンちゃん知性キャラかと思ったが、そうでもない感じなのね。ちょっと残念だ。

冷ましながらチビチビ食べるのが鉄則。天子ちゃんもさすがに大食い競技4回目となると理解している。
まあ、頭で理解しても本能に負ける子なんですけどね。ほふん。
ガッと食べて熱さに火を噴く天子ちゃん。何やってるのやら。
立浪部長曰く、1皿食べたら落ち着くとのこと。ほんとかねぇ。

ほふほふとガッツリ食べる天子ちゃん。
それに比べ、チビチビと冷ましながら食べる烏井さん。
食べ方に差があっても、モノともしないのが天子ちゃんであるが、この勝負果たして・・・?
九士朗が珍しくマジな顔をしているのが気になる。
リンちゃんも真剣な表情だが、まあ進退窮まっている状態だしこれは当然か。

いくら好き嫌いなしの飽き知らずで食べれる量がハンパない天子ちゃんでも熱さにはかなうまい。たぶん。
なので、熱いマーボー豆腐を頬張り過ぎて口の中をヤケドすることもありえる。はず。
そうなれば、当然食べる速度は鈍り、負けることもありえる。のではないかしら。

話の展開てきには負けるか引き分けになるんじゃないかと思うが、はてさて。
狐塚さんの回想がキモになりそうな気がする。
ここで春風の名による封じられた記憶が開いたら、その反応で決まりそうだ。
春風に負けたのならしょーないとか言い出すかもしれない。むう、天子ちゃんの勝ちフラグになっちゃうのか?



第42話・がぶがぶ天子  (2012年 1号)


相変わらず我慢の効かない天子ちゃん。熱いマーボー豆腐をガッと食べている。
熱いものは冷ましながらチマチマ食べるのが鉄版。
水の量も抑えられるし、それは間違いないのだが、天子ちゃんは言うことを聞いてくれない。
食べ物を前にすると周りの声も大食い競技中ってことも頭に入っていないらしい。駄目な子だ。

開始2分で1皿完食する天子ちゃん。
後ろの時計は1分1秒と示してるけど、2分なのか?切り上げすぎっしょ司会者。
小鹿さんはちゃんと1分で1皿食べるなんて凄いと驚いているってのにコラ。

この調子で大丈夫だろうかと心配する小鹿さん。心配されて嬉しそうなリンちゃん。微笑ましい。
まあ、小鹿さんの心配は最もである。天子ちゃんは強い。
実際リードは広がり、烏井さんが1皿食べる頃には天子ちゃんは3皿食べている。
でも、リンちゃんは烏井さんの食べ方でいいんですのとお墨付きを出す。

開始から8分30秒。天子ちゃんは相変わらず熱がりながらも思いっきり頬張っている。

ああ、知らない女の子と一緒に、こんなおいしいもの食べ放題なんて。
本当、大食い競技って楽しいったらないね〜〜

相変わらず幸せそうな子である。
9分経過でリードは4皿に広がりました。天子ちゃんは7皿目に突入。
ここで異変が発生。口の中にピリっとした痛みが走る
慌てて皿を置き、水を飲む天子ちゃん。
改めて、マーボー豆腐を口に含む。ピリピリ。ピリピリ。

どうしよう・・・食べると口の中がピリピリするよ。

一転して、チビチビと冷ましながら食べだす天子ちゃん。
その様子を見る烏井さん。どうやら、天子ちゃんの状態を見切っているようですな。

さて、このリードされている状態を見て、リンちゃんをぐりぐりしてくる狐塚さん
いやいや、確かに今は負けているけど、烏井さんの食べ方でいいんですのよ。
根拠はこれですの。

以勢日輪高食い道部創部から今に至る100年間の大食いに関する記録を、
私と烏井さんの2人でまとめた直会の手引きですの。

直会。お供えものを食す共飲共食儀礼。神事を構成する行司の1つである。
どうやらこのノートは以勢日輪伝統のものというわけではなかったようだ。
2人でまとめたのか。凄いな。伝統をちゃんと力にしているのは感心な話である。
100年の歴史は大学ノート30冊に及ぶ
この手引きを応用すれば、あらゆる料理の大食いの基本が分かるという。それによれば・・・

温かい豆腐料理の大食いで最も重要なことは、”熱”に気をつけることですの

湯豆腐や味噌汁の豆腐が予想外に熱かった経験は皆あると思われる。
豆腐は食材の中でも熱を内包しやすいものなのである。
仮にそれを熱いまま噛んでしまえば、口内をやけどし、大食い競技どころか普通に食べることも困難となる。
更に、マーボー豆腐のように辛みのある刺激物がやけどに触れようものなら・・・

涙目で息を吐く天子ちゃん。なるほど。このようになるわけですな。

なので、ゆっくりでもていねいに冷ましながら食べるのが、マーボー豆腐を大食いする時の基本ですの。

リンちゃんの説明は理に適っている。
なので、私もそんくらい知ってたわ!と言い張る狐塚さん。駄目な王者だ。
本当に、この狐塚さんは初代天娘なのだろうか?なんだか怪しく思えてきた。
まあ、団体戦ですしね。1人ボンクラでも他が強ければ勝てるわけで。
初代優勝チームの花ぽんポジションだったのかもしれない狐塚さん。化けの皮が剥がされる時が来るか!?

それはそれとして、試合は続く。
依然として天子ちゃんが4皿リードしている。だが、口のピリピリは激しさを増している。
水を大量に飲んでも、ピリピリが取れなくなってきている。
というか、飲む必要はないでしょうに。口にゆっくりと含みなさいな。
開始15分。まだまだ勝負はわからない状態。ここで弱気を見せる天子ちゃん。まだ15分しかたってない・・・

あと30分もこれを食べ続けないといけないのかい?
あれ・・・マーボー豆腐がおいしそうに見えないよ

天子ちゃんにまさかの異変。
やはり無敵の天子ちゃんも、やけどというトラブルには弱かったか。
この異変を見守る立浪部長の表情が怖い。なんだろう、この冷たい目は。
これまでは勝っていたから甘く見てたけど、負けて帰ってきたら仕置きしないといけないとか考えていそうだ。
まあ、ずっと人の話を聞かなかった結果なわけですしねぇ。
こうなる前に躾けたかったが、痛い目になかなか会わなかったからなぁ。
そういえば、立浪部長は最初、天子ちゃんに大食い競技の厳しさを味わってもらおうとか言っていたな。
天子ちゃんが素で強すぎて、なかなか厳しさを味わう機会がなかったが、ようやくチャンス到来っってわけだ。
どのように教育するのか。部長としての真価が問われますな。

というか、天子ちゃん。前にチゲ鍋の食べ放題に行ってなかったっけ?
あれも豆腐が入って熱い料理だと思うのだが、やけどしなかったのだろうか?
まあ、天子ちゃんもすぐにやけどするわけではない。
今回も6皿食べるまでは平気だったわけだし、その時はたまたま平気だったのだろう。たぶん。
その時もやけどして酷い目に会ってたのに、今回も同じ目に会ってたら目も当てられん。
ノド元過ぎれば熱さを忘れるってやつかもしれんけど。いやいや。覚えておかんと。

ともかく、ようやくの天子ちゃんのピンチである。泣き顔が妙に可愛いのが困ったものだ。
このまま天子ちゃんは負けるのか?
それとも意外な逆転劇を見せて、狐塚さんを慄かせるのか?
熱いのがダメなら、10皿くらい一度にもってきてもらって冷ましたらどうだろう!さすがにダメかね。



第43話・イタイよつらいよ  (2012年 2+3号)


私は昔、食いしん坊の自分が女の子らしくなくて苦手だった。
だからか、色んな女の子とごはんをいっぱい食べられて、それでいてみんなが喜んでくれる大食い競技は、
ただただ舞い上がるほど楽しいんだ。
幸せでうれしくて楽しい、楽しい大食い競技。
なのに――なんで今こんなに苦しいんだい!?

とっても辛そうに食べている天子ちゃん。
これだけ分かりやすいほどに顔を歪めているのに、水の飲み方が変だねとか言い出す九士朗。どこ見てんだ。

天子ちゃん・・・口内にやけどを負ってしまったかもしれないね

ようやくそこに辿り着いたか。
あの天子ちゃんがまさかという思いがあったのかもしれないが、もう少し早く気付いてもいいのでは?

九士朗曰く。天子ちゃんがいつものように熱々のマーボー豆腐を冷ましもせず、
一口で大量に食べた時、口の中をやけどしてしまったと思うんだ、とのこと。
それはなにかね、開始早々にやけどしたのに6皿目までは痛みがでなかったと?

飲んでる水の量と常に口に手を当てている天子ちゃんから察するに、口の中の皮が剥けるレベルのやけどだろうね

この絵は痛い。ずるん。ちょいとカンベンしていただきたい。うえ。
これほどのやけどなら、大食いどころかなにかが触れるだけでも激痛が走るはず。
それにマーボーは辛みと熱さをもつ刺激物で、豆腐は熱を内包する冷めづらい食材。
傷口に塩を塗りながら、それでも食べ続けないといけない今。
さすがに天子ちゃんといえどもいつものように楽しく――とはいかない。

ちびちび食べるようになった天子ちゃん。
これくらいなら食べてもピリピリしないよね。イタイィ!!
触れると痛いんだから量の問題じゃないでしょうに、全くこの子は。
傷口に触れさせないようにして食べるのだ!難しいだろうけど。

残りはまだ20分もある。天子ちゃんが残り時間を気にするのは始めてのことですなぁ。
遊ちゃんも振り返ってみる。考えてみれば初めてかもしれない・・・

食べるのが楽しいだけだった春風が、大食い競技の厳しさに直面したのは

これまでは有り余る才能で押し捲っていましたからねぇ。
食事量や飽きという面で厳しさにぶつかることはなかった。
なのでこういう絡め手で厳しさを味わうしかなかったわけであるが、難しい選手だね本当に。

相手の烏井さんはしっかり1口1口冷ましながら食べている。ミスは期待できない。
これはお手上げかと苦悩する九士朗。
3回戦は、天子ちゃんが負けても次の部長が勝てば結日高の勝利である。
なによりマネージャーとしては、負傷し勝ち目も消えた選手を戦わせたくはない。

部長、もし天子ちゃんの食べる手が止まるようなら、この試合止めさせてもらいますよ。

ギブアップありなんですかね?
まあ、食べているとどんどん悪化するでしょうし、勝ち目がないなら早目に止めるのも手ではある。

さて、残り20分と少しというところで5皿目完食の烏井さん。
天子ちゃんとの差は2皿半に縮まっている。
このペースで食べていれば残り5分の頃にはなんとか追いつけるかな、とのこと。
余裕が出てきたか、相手側の様子も伺えるようになってきている感じですな。
舌を出して、やけど痛そ〜と言っている烏井さんが可愛い。

烏井さんは思う。この相手は強い。怪物だと。
1年で練習も経験も足りていない。その上、楽しく食べて15分で7皿(840g)。
やけどしなけりゃ、20皿いっちゃたかもしれないわけで、そりゃ怪物だわ。
がおーと暴れてしまいますわな。ってなんだこのイメージ図。そりゃ怪物というより怪獣だよ!

相手がひよっているのでガツッと食ったらんかいと煽る狐塚さん。
それを無視して自分のペースを保つ烏井さん。しっかりしているなぁ。
ゆっくりでも丁寧に。私と部長の2人でまとめあげた”直会の手引き”に沿って食べすすめる。
焦る必要はない。1歩ずつ前に進めば勝機はみえるもの。

開始27分。両者の差は2皿に縮まる。
なんだかんだと痛みに苦しみながらも食べている天子ちゃん。
だが、食べれば食べるほど、イタくてイタくて、どうしたらいいかわからなくなっている。

あ・・・あの。
次のお皿ぁ・・・まって・・・もらえますか

顔を押さえ、弱気を口にする天子ちゃん。
ついに手が止まってしまったか。
しかし、待ってもらう必要があるのだろうか?置いておいてもらえばいいだけでは?
食料が前にあると痛くてもつい手がでちゃうということでしょうか?
じゃあ、温めなおしてきますねとか言われたら愕然とするよね。

天子ちゃんが苦しんでいる様子を見て嬉しそうな狐塚さん。この人はまったく。
しかし、相変わらずダンゴ頭の春風について思い出せていない様子。なんでしょうね、これは。
実は春の風が強い日にダンゴにあたった思い出があるとかそんな話だったりして。因縁でもなんでもねぇ!

顔を押さえうずくまる天子ちゃん。
九士朗としては宣言通り試合を止めようと考える。
この経験も次の試合に活きることになるわな、とは遊ちゃんの言。そうなるといいんだけどね。
しかし、部長は言う。

ダンゴちゃんはまだ、レンゲを手放してないわよ

ふむ、確かに。これはまだ戦意が失われていないということなのか?
こうしてみると天子ちゃんもなんだかんだで根性あるんですなぁ。
勝ち負けはさておき、出されたものはとにかく食べないといけないという意識があるのかもしれない。
だから、出すのを待ってもらったと考えることもできるか。

負けはすれども、その闘う姿勢は見事なものだ!という落としどころでしょうか。
まあ、このまま負けると恐怖心が植えつけられる恐れもありますしねぇ。
と思わせてこのままタイムアップ。レンゲもいつの間にか落ちてましたというオチもありえる。
シグルイでもそんな流れがあったなぁ。あの右手に刀を握っている限り負けてはおらん!→放しちゃいました。
こちらは一体どうなりますでしょうか。



第44話・はあはあ天子  (2012年 4+5号)


口内にひどいやけどを負い、食べる手を止めてしまった天子ちゃん。
だが、まだ戦う気力は残っている。んじゃあないかなと期待する部長たちでありました。

イタイいたい痛い、いたいイタイイタイ!!

痛さに歪む顔を両手で覆う天子ちゃんでありました。

食べることはとっても楽しいことのはずなのに・・・
なんで大食い競技がこんなにイタくて苦しいんだよ・・・訳が分からないよ。

食べることが苦しさに繋がるなんて想像もつかなかった天子ちゃん。
元々天子ちゃんは苦しさとかに耐えるのとは無縁な生活を送っていた。
中学1年生の時も、陸上競技カッコいい〜って入部したけど――
競技として走るつらさと自分の運動音痴さに絶望して、1日で退部したんだったよ。

入部理由が「カッコイイから」、で退部理由が「つらいから」
非常にわかりやすい子でありますなぁ。昔の話とはいえ主人公とは思えないぜ。

なんで競技とか部活ってのは、こんなツラくてしんどいんだよ。
私ゃ楽しくごはんを食べるのが好きなだけの・・・ただの食いしん坊なのに・・・
なんで、こんなことになっちゃったんだよ・・・

先輩の言うことを聞かずにいたからじゃないだろうか?と思わないでもないが、とりあえず置こう。

少し前のことを振り返る天子ちゃん。
最初は遊ちゃんに目をつけられ、誘われたこと。
部長に女の子らしくごはんをいっぱい食べる部と言われ入る気になったこと。

先輩たちの大食い競技をしてる姿は、つよくて、カッコよくて、スゴくて。
とても私は先輩たちみたいに食べられないよ・・・

これまで圧倒的な強さで戦ってきた天子ちゃん。
だけど、苦労して戦ったわけではなく、楽しんでいたら勝てていたという流れだった。
天才すぎるが故に、苦しんで勝つという気持ちを味わえずにいた天子ちゃん。
傍から見たら、十分スゴいとは映っているんですけどねぇ。カッコいいかは別として。

天子ちゃんが固まってから1分経過。
九士朗は、あと1分動かなければマネージャーとして絶対に試合を止めると宣言する。

そんな状況で天子ちゃん。リタイアしようと考える
もう1勝してるから、私が負けても次の部長さんが勝てば2勝で結日高の勝ちなんだし、と。

もう疲れたよ・・・2度と大食い競技なんてするもんかい
でもそうしたら、食い道部やめなきゃダメなのかな・・・
別にいいや。こんなイタくてつらい部、別にやめたって・・・

昔部活を辞めた時と同じように、苦しさから逃れようとする天子ちゃん。
だが・・・脳裏に蘇るのは、食い道部の仲間と一緒に食べた記憶
それが、天子ちゃんを動かす。次のお皿を求めようとする。
1分半の沈黙を破り、新たな皿を手に取ったぁ!!
係の人はずっとそこに立っていたんでしょうかね。

新たな皿を手にして、ちょびっとマーボー豆腐を掬い、口に運ぶ天子ちゃん。
それだけで口の中に痛みが走る。
痛みを覚えながら、脳裏には先輩たちと一緒に食べたことが思い浮かんでいる。
そして、初めての大食い競技で歓声をもらったときのことも。

食べ始めた天子ちゃんに、次々と声をかけだす仲間たち。

忍足先輩。遊先輩。二子先輩。哲っちゃん・・・。部長さん。

痛い・・・痛いけど
私は――食い道部をやめたくない!!

おぉ・・・天子ちゃんが心の中で吠えた!!
まるでスポーツもののような展開である。いい話だ!
今回は、独特な描写を行っていましたね。九士朗が声をかけるまで、回想以外では誰も目を見せようとしていない。
1ページ目の遊ちゃんへの妙なカメラアングルはそういうことだったんですな。
それが、一気に顔を出して盛り上げていく流れはなかなかよい感じを与えてくれました。

しかし、九士朗のアドバイス。豆腐をくだいて食べるというもの。
これを思いっきりスルーしているように見えるのが凄く気になります。
声は聞こえてるけど、朦朧として意味を解していないのか!?
キレイに見えるけど、実は砕いて破片になったものを食べているのだったりして。
というか、今は熱さよりも刺激物というのが辛いんだと思うので、熱さ対策は微妙ですな。
水は飲まずに口をゆすぐようにするんだというアドバイスの方が有効な気がする。

それにしても、天子ちゃんはメンタル的に弱いとは思っていたけど、ここまでとは。
これで部長がなかなか怒らなかった理由もわかりました。
叩くと凹んじゃう子だから、簡単には怒れなかったんですな
今ぐらいまで絆を深めたから、なんとか踏みとどまることができたけど、早い段階で躓いたら危なかった。
思い出がないうちに似たような状況になったら辞められてしまうところでした。
そういう意味では、強敵と当たる前という絶妙のタイミングで意識改革ができたといえますな。喜ばしい。

この勝負は落とすかもしれないけど、今後の天子ちゃんには期待・・・したいなぁ。



第45話・一歩ずつ  (2012年 6号)


痛いのや苦しいのは大嫌いな天子ちゃん。
それでも、今ここで食べるのを止めたら、私は食い道部にいちゃダメな気がする。

そんなの・・・イヤだっ!!

泣き顔ではあるが、久しぶりに顔を歪めていない天子ちゃんを見た気がする。
少しずつだが食べるのを再開する天子ちゃん。
前回、九士朗のアドバイスに従ってないんじゃないか?と書いた。豆腐砕けてないし。
今週も同じアドバイスをしている九士朗。どうやら聞こえていなかったようだ。
何か言っているのは耳に入ってたけど、意味までは聞き取れてなかったのね。

残りは約15分。差は2皿。
烏井さんのこれまでのペースを考えると、10分後、残り5分で追いつく計算となる。
きっちりとペース配分を考え、それを守る烏井さん。
狐塚さんはそんな様子が気に入らないのか早く食べろという。単に気が短いだけか。

何もしてこなかった奴がうっさいなぁ・・・

口には出さないけど、さすがに内心穏やかではない烏井さんでした。
このときの烏井さんの表情がなかなかよい。

ゆっくりでもていねいにコツコツと
それが、部長と自分がいつもやってきたことである。

というわけで回想シーンに入ります。
約7か月前。12月。以勢日輪高校。
校舎の横に建てられたあばら家のような家屋が、以勢日輪高校食い道部の部室である。
雪が降る中、烏井さんは部長のためにあんまんとココアを買ってくる。お疲れ様ですの。

7か月前なので、2人の学年は1つ下になる。
つまり、烏井さんは1年生、リンちゃんは2年生だ。
なに!?では今リンちゃんは3年生だというのか!?ここで負けたらもう卒業じゃないですか。
来年、小鹿さんと一緒に部活動ができないじゃないですか。やだー。
いや、実は留年して今も2年生という可能性はなくもないか。うん。

学校が新築、改築を重ねる中、築30年以上の部室は伝統保存の名目でおんぼろのまま。
マイナーな大食い競技に取り組む学生は殆どおらず、創部100年の伝統校もすっかり落ちぶれていた。

いかに伝統があろうと、やはりマイナーな競技は厳しいか。
以勢日輪に入った生徒だって、食い道部の存在を知らずに入った人が殆どな気がしますしね。
烏井さんが入部したのも、ごはんが好きだという理由なだけで伝統とかは関係ない。

おんぼろな部室には暖房もないのか、コートにマフラー、手袋といったスタイルの2人。
あったかいココアをすするリンちゃん。これはココアがでかいのか、リンちゃんが小さいのか。あちちですの
ココアをこぼしてあわあわするリンちゃん。それを微笑ましそうに見ている烏井さん。

こんな部長を1人できず今に至る・・・

ごはんが好きだというのが理由だったけど、今は別の理由もできたって感じですかね。
可愛い部長を見ながらごはんを食べるわけですか。そりゃ食も進むでしょうな!

競技の実力に関しては、2人とも決して秀でているわけではない。
部員も実力も足りない私たち。だけど、私たちには武器もある。
それが――以勢日輪高食い道部創部から100年間、各時代の部員たちが記してきた大食いの資料だ。
この乱雑な資料の山をまとめきれば、あらゆる食材の大食いの仕方が分かるという強力な武器になる。
だが、資料はまさに膨大。
リンちゃんが1年、烏井さんが8か月作業しても、ノート15冊分しかまとめきれていない。
単純に計算すると、作業終了は30年後位になるという。気の長い話だ。

創部から100年。資料こそ残しているものの、編纂は誰もやってこなかった。
それを今2人だけでやっている。
その過程で、様々な食材の大食いの方法だけでなく、昔の天食祭のレベルの低さも知った
初めての天食祭は、出場校が4校だけ。
出場選手のレベルも低く、おにぎり4つ(400g)で優勝できてしまっていたという。
なるほど。狐塚さんが全然ものを知らないのもそういう理由があったからなんですね。
って、初代天娘、全然たいしたことないってことじゃないですか!
そりゃ、何もしてこなかった奴よばわりされますわ。

終わりの見えない、気の遠くなる作業だった。
それでもコツコツと、ゆっくりでもていねいに。1歩ずつ、1歩ずつ・・・

編纂のコツが掴めて来たのか、ペースが上がっている。
7か月でノートは倍の30冊まで増えようとしていた。
それでも、まだまだ資料の1部である。全部まとめたら、ノート何百冊にもなるのだ。
けど、何もしなければノート1冊にもまとめきれなかった。

私と烏井さんの日々の積み重ねは無駄ではないんですのよ

笑顔で語るリンちゃんが眩しい。作業中はメガネかけているんですな。

1歩ずつでも歩みを止めなければ・・・前に進めるんだ!!

40分の時点で8皿完食。追いついた!
と思いきや、そこに一拍遅れて天子ちゃんが9皿目を置く。
10分で2皿追いつくはずが、1皿しか追いつけなかった。
試合の残り時間は5分。今のペースでは追いつけない。

天子ちゃんは新しい皿を受け取っている。まだ食べる意志は失せていない。
どうやらちゃんと九士朗の言葉に従って食べるようにしているらしい。
イタがってはいるが、表情はずいぶん普通になってきている。麻痺してきたか?

ともあれ、追いつめられた烏井さん。どうする?
ペースを上げるか?だが、やけどの恐れはある。ゆっくり、コツコツとが信条である、ここで崩せるか?
さすがに満腹感も来ているし無理はできない。
でも、ここで勝たないと以勢日輪の敗退が決まってしまう。どうする?

動きを止める烏井さんに、リンちゃんが静かに声をかける。
軽く唇を噛み締めたような感じのリンちゃん。一体どんな気持ちでいるのだろうか。
そして、そのリンちゃんを見た烏井さんは何を思うのか。

これはやはり、やけどもなんのそのと食べだす流れですかねぇ。
満腹感?部長を見てたらいつもお腹いっぱいでしたよ!みたいなノリで乗り切るとか。
勝つのが難しくても、引き分けには持ち込めるかもしれない。
そういえば、2回戦では皿の数だけではなく、1/2とかも計算されていたが、今回もそれはあるのかね?
皿に盛られた量だと計測が難しそうだけど。重さで測ればいいか。

3回戦は総量を計算せず、勝ち負けの数で総合的な勝敗が決まる。
もし、副将戦が引き分けで、大将戦でリンちゃんが勝利した場合、1勝1敗1引き分けになる。
この場合どうなるんだろう?代表者が出て延長戦でもするんだろうか?
誰が出ても満腹状態な気がするけど、試合になるのか?
いや、延長戦が冷たい食べ物なら、天子ちゃんが出ればいいだけか。
天子ちゃんは痛いから苦しんでいるだけで、腹の方は全然余裕っぽいもんなぁ。

次号は巻頭カラー。烏井さんの行動が楽しみである。



第46話・第2戦決着  (2012年 7号)


2回戦の麻婆豆腐対決も残り5分。
差はわずか1皿だが、今のペースでは追いつけない。
そんな窮地の烏井さんが見たのは、不安そうなリンちゃんの表情。

部長、私が負けるかもとか心配してるんですか?
私と部長の2人で作り上げた私たちだけの武器、直会の手引に沿った食べ方が通じなくて不安なんですか?

さすがに烏井さんである。表情だけでリンちゃんの心情を読み取っている
自分が負けたら以勢日輪の敗退は決まってしまう。
このままゆっくりコツコツ食べてたら、残り5分で1皿差は追いつけない。
でもがっついて食べたら、隣で盛大に泣き顔を見せてた天子ちゃんの二の舞である。

だが、残り5分だ。
1週間後の次の試合には万全で戦える・・・

リンちゃんを想い、意を決する烏井さん。
がばっと掬い、水で口を冷やしてから一気に頬張る。追いつく!

麻婆豆腐の暑さは口がとけると感じるほどのものらしい。
吹いて冷ましている時間も惜しいので、そのまま食いつきましたからねぇ。
この食べ方をあと5分続けないといけないのだ。厳しい。

5分だけ我慢しろ、私!!

うむ・・・よい根性だ!気迫でありますね。
熱さのおかげでむしろ満腹感がぶっとんでいるようにも見える。不幸中の幸いか。

一方の天子ちゃん。ちびちびではあるが、食べ進めている。
私は食い道部なんだ。先輩たちみたいには食べられなくても、食べ進めるんだ・・・

なかなかよい意識になっております。
意識改革した故か、あまり痛みを表情には出さなくなりましたね。涙目でこらえているぐらいか。
それはそれで残念な気がしないでもない。

開始43分、烏井さんは9皿目を完食。
天子ちゃんはちびちびと食べているのに半分食べていた。速いな!

がっついても3分で半皿しか追いつけない。そして残りはあと2分。
なら、もっとがっつけ!!

こちらも涙目になりながら、盛大にがっつく。
思わず見ている方も気合が入ってしまう。
リンちゃんが、小鹿さんが応援の声をあげる。ファイトですの!負けるなコラ!!
その応援に微笑を返す烏井さん。よいね、スポーツだね。

残り2分。お互い涙目になりながら食べ進める。
これまでにないほどに熱い描写だ。熱い食べ物を食べているだけにな!
それはともかく、残り1秒というタイミングで10皿目を積み上げる烏井さん。

天食祭中部予選3回戦第2戦、10皿対9と4/5皿で烏井さんの勝利となったのでした。
勝利し、呆けた感じで息をつく烏井さんの表情は美しい。ふう・・・

天子ちゃんにとっては初の大食い勝負での敗北である。
普通の大食いでの敗北というより、イレギュラーな要素での敗北であるが、負けは負け。
自分でも、敗北の理由をしっかりと噛み締めている天子ちゃん。おや、成長してますな。
虚脱した状態で、ふらりと自陣へと戻る。
涙目で反省する天子ちゃん。それを温かく迎える立浪部長。
まあ、ちゃんと反省できている相手を手ひどく叱る必要はないですわな。
変にキツく叱って凹まれてしまっても困りますし。

さて、こちらは勝って帰ってきた烏井さん。
リンちゃんは今更ながらに部長のように振舞おうとしている。今更!?
だけど、迎えてあげた手は震え、汗に濡れていた。その手を打ち合わせる烏井さん。

あとは頼みましたよっ。部長。

2戦目の勝者と敗者。それぞれの想いは両校の部長へと託された。
いよいよ3回戦もラストバトル。
3戦目のメニューは一体何が来るのか。
普通に戦った場合、リンちゃんが立浪部長に勝てるとは思えない。
だが、食事の仕方が難しい料理であるならば、リンちゃんにも勝ち目はでてくる。
何が出てくるのだろうか。楽しみである。

烏井さんを応援する小鹿さんの絵はよかったですなぁ。
逆にスミスさんは全く出てこなくなったけど、どこに行ってしまったんだろう。
烏井さんが戻ってきたとき、吹き出しに隠れているようにも見えるけど。
あと、勝って帰ってきたのに狐塚さんはコメントないのかい。なくてもいいけど。



第47話・戦いの前に  (2012年 8号)


初めての敗北を噛み締める天子ちゃん。
意外とそのことについて悲しみを感じたりしている様子。意外だ。

涙する天子ちゃんの前に進みでる哲っちゃん。
元気づけようと茶化してみる。なんでそっちに行くかな?
八尺はガキだてな〜
全くその通り。恋愛ごとに関しては全く子供っぽいのが哲っちゃんの困りどころ。
そんなんだから、フラグが立ちそうな場面でもへし折ったりしちゃうんだよ!

一方、九士朗はビニール手袋らしきものを身につける。
どうやら、やけどに効く軟膏を持ってきてくれたようだ。
ふむ、よい処置ですな。哲っちゃんもこれぐらいの気は利かせて欲しかった。
というか、九士朗も哲っちゃんに任せてあげるぐらいの気は利かせて欲しかった。
というか、九士朗が塗る必要あるのか?箇所はわかるのだし、自分で濡れるっショ。
口の中に指を入れるだなんて、微妙に淫猥。

さて、3回戦も第3戦に突入しようとしている。
ラストの3戦目はどんな中華料理が飛び出すのか。ざわつく会場。ざわ・・・ざわ・・・
そんな中、大笑いしている狐塚さん。
ダンゴ頭の春風が苦しい顔をしているのを見ると笑いが止まらないそうな。
一体、昔どんな目にあったんでしょうかねぇ。

烏井さんは氷を含んで口の中を冷やしている。
最後のスパートで口の中が火事だって状態だったようですからねぇ。
しかし、そのことよりも、次の試合のことを気にする烏井さん。
なんせ相手は立浪百合亜。
昨年の立浪部長の試合を見ていた烏井さんたち。その内容は衝撃的だった。強かった。

結日高校の選手はみな強かった。
ならば、それを束ねる立浪部長の実力は、私のはるか上と考えられますわね。

冷静に分析するリンちゃん。
まあ、単純に食べる量だけで言えば、天子ちゃんの方が上とは思いますけどね。
速さとか総合力で言えば、立浪部長の方が上になりそうか。

この分析に慄く小鹿さん。なんだか、この表情は妙に可愛い。
とはいえ、リンちゃんにだって勝ち目がないわけではない。勝利の鍵はこちらにある。
今は未完成なれど、あらゆる料理の大食いの方法がわかる、”直会の手引き”現30冊。
これさえあれば百人力ですの

自慢げなリンちゃんを中心に、和やかな雰囲気が作られる。やあ、いい空気ですな。

さて、ここでついに3戦目の料理が発表される。
グツグツと煮立った何かが、皿に向けてかけられる。

五目あんかけおこげ!!

皿にかけたときに、じゅうう!という音を立て、盛大な湯気が吹き上がる。超熱そうじゃねえかコラ・・・
ビビる小鹿さん。しかし、リンちゃんは動じず、じっと見つめている。
ふむ、やはり食べ方がわかっているとどっしり構えられるんだな。
と思ったが、必死に否定している烏井さん。

のってないよ。五目あんかけおこげの食べ方はまだのってないよ・・・

そう、直会の手引きはまだ5%も完成していない。
のっていない料理はたくさんあるのだ!こりゃ参ったね。
でも、ないならないで手立てはある。応用だ!

7巻のカツ丼の大食いの仕方を応用して――
あの熱さはマーボーを越える。熱いものの大食いなら、直会の手引き15巻シチューの章を・・・
おこげはお米・・・なら、20巻の25P牛丼の章を・・・
五目あんの野菜ならチンジャオロースの大食いも参考に・・・

考えるんですの・・・勝利への手立てを考えるんですの・・・

分析するリンちゃん。確かに応用が利きそうな話ですわな。

1戦目がチンジャオロース。2戦目は熱さと辛さをもつマーボー豆腐。
3戦目はマーボー豆腐をはるかにしのぐ熱さであろう五目あんかけおこげ。
大食いする料理の難易度は一戦毎に上がる一方だ。
いくら立浪部長であっても厳しい戦いになる。
とくに熱さに耐性があるわけではないことは、過去の話を見ても明らかですしね。

会場に響き渡るじゅうじゅうとした音。
この音を聞いて体を震わせる天子ちゃん。

熱い音イタイ、コワイ。熱いの・・・やだ

滅茶苦茶トラウマっておりますなぁ。
今回は立浪部長に慰めていただき、どうにかなりました。
しかし、次の対戦で熱い料理が出たときどうなるか・・・楽しみな話です。

さて、強敵に挑まねばならないリンちゃん。
料理は直会の手引きにも載っておらず、難易度が高いもの。はっきりいって不利な状況だ。
だが、リンちゃんは自信を持ってこう告げる。

第3戦の料理・・・五目あんかけおこげは、私にとって天の助けになりましてよ

物凄く自信ありげな様子だが・・・果たしてどうなるのか。
よい分析結果が出た感じではありますが、それがどこまで通用するのか?
よい食べ方だったら、立浪部長もマネするでしょうしねぇ。
マネされるまでの間にどれだけ差がつけれるかという勝負になりそうだ。



第48話・あんかけおこげのおかげ  (2012年 9号)


相手は格上。料理は大食い指南書”直会の手引き”にもまだのっていない、五目あんかけおこげ。
大食いの難易度も高いこの料理。ですが――この料理こそ私にとって天の助けとなりますの

笑顔を見せるリンちゃん。果たしてその自信の根拠は?

リンちゃんはやはり小さい。なんせ遊ちゃんより小さいぐらいである。
立浪部長と比べるとかなり小さいと言っていい。
体と食べる量は関係ないとはいえ、不安になる小ささだ。
リンちゃん自身が可愛らしいので、より食べれるのかという不安を覚えちゃうんでしょうな。

口をやけどした天子ちゃんも前に出て応援をしにくる。
哲っちゃんたちには休んでろとは言われるが、部長には応援して欲しいと言われた。

私も食い道部員だかりゃ

まあ、そういった意識が生まれたのはよいことですからね。無碍には扱えまい。

選手は席につきましたが、まだ料理の準備はできていない。
選手のすぐ後ろにコンロと鍋が用意されている。
あんかけおこげはその味だけでなく、おこげにあんのかかる音をも楽しむ料理。
選手たちには常にその音を楽しんでいただけるよう、すぐ側にコンロを配置したのである
わぁ、悪趣味でございますね!どう考えても楽しむ方向にはならんでしょうに。

常にコンロで熱々。この言葉にビビる小鹿さん。
でも、きっとマーボー豆腐も常に熱々にしてから持ってこられてましたですよ。
すぐ側で温めたりしてないだけで。

さて、いよいよ結日高校と以勢日輪高校の最終戦が開始されます。
おこげにあんがかかると、じゅうじゅうという音が会場に響き渡る。
実際のところ、揚げたてのおこげでないと音は続かないらしいけど・・・まあ、それはそれ。
この熱の大量に篭った料理をどのように食すのか。
リンちゃんの知略の見せ所ですの。

毎回違う料理の出る大食い競技において、その料理の大食いの仕方を知っているのは大きなアドバンテージ。
それだけに直会の手引きにのっていない、未知の料理というのは手強いですの。
ですが――料理発表のときに1回。そして今・・・2回観察してわかることもありますの。

あんかけおこげが大きな湯気を出すのは、あんをかけたときから。
おこげ自体は湯気を立てていなかった。
ということは、熱いのはあんであって、おこげではないと考えられますの

ならば直会の手引き10巻2章つけ面のくだりが活きますの。
つけ面はつけ汁が熱いのに対して、麺自体は冷めている。
ですからつけ汁に浸り麺が熱くなる前に、なるべく麺のみを食す。
あんかけおこげもきっと同じ。あんをなるべくさけて、おこげのみを食せば――

熱かったーッ!?
おこげを少しきりとって口に運んだだけで真っ赤になり涙目のリンちゃん。
素早く水を含む。そして震えながらもVサインをしてみせるリンちゃん。
健気だねぇ。でも、熱かったのはバレバレっす。それがより健気に見せる。

おこげが熱くなかったのはあんがかかる前までの話ですの。
あんのかかった瞬間から、おこげの中まであんが染み渡り、おこげ自体も熱々になってしまいますの。

これは様相以上に難儀しそうな食べ物である。
だからこそ――相手との差はひらきにくい

仮にこの料理が食べやすいものならば、私と立浪さんの実力差そのままに完敗してしまいますの。
しかし熱々のあんかけおこげは実力差に関係なく食すのに時間がかかり、両者の差はひろがらなくなっていく。

難易度の高い料理の時の試合の拮抗。そこにリンちゃんの勝機はある。
ミスなく一口ずつ丁寧に食べる。ゆっくりとコツコツと。烏井さんがやってきたのと同じことですな。

どっちの学校が勝つかの大一番なのに、随分と静かな試合だなコラ

開始から38秒。まだお互い冷ましつつ食べている段階。
会場に響くのはおこげの音と冷ますための息だけである。
ふむ。女子の息が吹きかかる音が常に聞こえている会場ってわけですね
そういうのが好きな人にはたまらんな。シーサーとか。

五目あんかけって、乗る具によって多少の差がでそうな気がするのだが、そこはいいんですかね?
まあ、出るといっても本当に多少でしょうけど。
しかし、前回のマーボー豆腐もだけど、段々量を競う勝負じゃなくなってきている感じがありますな。
難易度の高い料理を、いくら食せるか、という戦いになっている。
まあ、それだからこそ、単純に才能だけの勝負じゃなくなるってわけで、努力家の見せ場も出てくるわけで。
そういう意味では、最近の展開は正しいながれな気がしますですの。



第49話・じゅうじゅう  (2012年 10号)


1勝1敗で迎えた大将戦。お題は五目あんかけおこげ(1皿150g)である。
大一番ではあるが、難しい食材ゆえに、静かな戦いとなっている。

ふう・・・ふう・・・
ふう・・・ふう・・・

冷ます息のみが会場に響く。
とても静かな戦いだが、見ているほうは異様に力が入っている。プルプル。
熱さを経験したばかりの天子ちゃんや烏井さんはともかく、小鹿さんまで震えている。共感してるのね。
一方、スミスさんはいつもどおりでした。HAHAHA。

開始1分。両者1皿目同時完食。
静かでゆっくりな戦いになるようだが、1分で1皿は速いな。リンちゃんも結構食べれるじゃないですか。
でも、リンちゃんに言わせれば、立浪部長は書く上の実力者。
本来なら序盤から大差がついて当然な相手らしい。

ですが今回の料理は超あつあつの五目あんかけおこげ。
実力者の立浪さんといえど、通常より食べる速さが落ちますの。
そのスローな試合展開だからこそ、私も立浪さんについていける。
五目あんかけおこげは私にとって正に天の助けですの

1分に1皿でスローな試合展開とは。大食いの世界は凄いね。
ってよく見たら後ろの時計は5分になってるじゃねぇか
前のページでも3分経過しているようだし、どういうことだコラ。あやうく司会の言葉に騙されるとこだったぜコラ。

それはさておき。2皿目が準備されます。
選手の前に皿を起き、あんをかける。あっつあつの五目あんとおこげが奏でるハーモニー。じゅうじゅう。

聞いてるだけでよだれが出ます!そして香ばしい湯気の中から現れたのは、黄金色のあんをまとった五目あんかけおこげ!
その食感はカリカリのおこげにトロトロのあんがあわさり・・・絶品!
選手のお二方!見て聞いて味わって、心行くまでお楽しみを!!

普通に食べればおいしいのだろうけど、大食い勝負でそんな余裕はないでしょうな。
しっかり冷まして味わって食べたいところだけど、そうも言っていられない。
でもある程度は冷まさないと口をやけどしてしまう。
とにかく、吹いて冷まして熱い状態でも口に入れて食べ進める。
開始11分で2皿目を完食。今回も両者同時だ。

10分以上経過して同じペース。立浪部長にも少し焦りが見えてくる。
このまま試合が進むと何が起こるか分からない。熱さで息をつく姿はなかなかよいですな。

食べ終え、水を含み一息つこうというところで、新しい皿が用意される。じゅうう。

う〜〜ん。食欲がそそられるいい音!これを毎皿食べられる選手のお二方が羨ましい!!

司会の嬉しそうな様子とは裏腹に、この音をつらいと感じ出す部長。
なんだろうね、この空気の差は。もしやこの司会、わざと煽ってないか?
静かな試合展開だから、盛り上げようと多弁になっているのかもしれないが、それでも余りにうっとうしい。

開始17分。立浪部長が3皿めを完食。数秒遅れてリンちゃんも食べ終える。
格上相手なら、この遅れは御の字。だけど、狐塚さんは気に入らない様子。早よ食えや!!
もう、当初の観客向けアピールの顔を纏う努力すらする気がなくなっているようですな。

素人同然のOGがうっさいんですの!!

声には出さないが、大変な状態になっているリンちゃんも苛立たしげ。烏井さんも同じだったなぁ。
そんなストレスがたまる環境で、さらに追加の皿。なりひびく音、じゅうじゅう。

うるさい音ですのね・・・

笑顔もひきつるようになってきました。これはこれで可愛い。
ともかく、遅れを取り戻さないといけないリンちゃん。
冷ます回数を8回から6回に・・・いや・・・7回冷まして・・・少しでも多く、前に進む努力を。
熱いのを我慢しながら前に進もうとするリンちゃん。感動的ですなぁ。
心配そうに見守る烏井さんと天子ちゃんであります。

開始24分。立浪部長が4皿目完食。5秒遅れてリンちゃんも完食。
なかなかいい勝負になっておりますな。
だが、両者とも熱さが辛くなってきた頃合。水を飲んでも熱さが抜けなくなってきている。

その対決に花をそえるように、あんかけおこげの音が鳴り響く!!

立浪(耳障りな音・・・)
リン(じゅうじゅう、じゅうじゅう、うっさいんですの)

陽気な司会に比べて、両部長とも表情がひきつっている。
司会と選手でこんなに意識の差があるとは思わなかった!
って見てれば熱さで苦しんでいるのはわかるでしょうに。わかってて喜んでいるのかこの司会!?

ゆっくり冷ましながら食べたい。こんな熱いのはもうご勘弁願いたいですの。
けど――

立浪(部長としてこの手をぉ!!)
リン(休める訳にはいきませんのぉー!!)

あと20分。応援にも気合が入り、選手も気合が入る。これが部長としての意地だ!
開始30分。立浪部長が5皿目完食。
一方のリンちゃんは4皿と3/4を食したところ。ついにリードが出てきました。
とはいえ、まだまだ追いつけなくはない差である。

残り15分で1/4皿差。ここまできたら、食らい付くだけでなく立浪さんに勝ちたいんですの!!

やたらと挑戦的な笑みを浮かべるリンちゃん。可愛い!!
とにもかくにも、いい勝負にはなってきましたね。
リンちゃんの予想通り、熱さによるスローペースで試合は進んでいる。
30分経過して、約750gしか食べていないのだから、満腹感はそれほどではないはず。
このまま、熱さをどうにかするという方向で試合は進みそうですな。

しかし、リンちゃんの可愛さとは裏腹に司会がうざったい回でありましたな。
これはあれかな。司会交代フラグ
立浪部長を怒らせたので、ヒゲの司会は試合後に姿を消すとかそういう。
区別がつかないので他にも多数いるヒゲも消えるという。怖い!

まあ、正直このヒゲ司会は場にそぐわない気がしていました。
焼肉屋での大会ならともかく、神事である天食祭の司会としてはどうにも場違いに見える。
しかも、考えてみると、結日高校以外では試合を経ても登場するレギュラー位置の人物なんですよね。
それがこの造形ではちょっと・・・イヤじゃなーい?
というわけで、司会交代がありえるんじゃないかと予想する。
そんなに羨ましいというのなら、アツアツのまま食べさせてあげますとか言って流し込まれてダウンするヒゲ司会。
代わりとして、巫女さんのような司会が現れる流れになると私が喜ぶ。うむ、期待してますぜ!!



第50話・勝ってみせますの!  (2012年 11号)


冒頭からリンちゃんの回想。
地元以勢の以勢神宮で、小さい頃天食祭の本戦を観たという。
俗界と聖界を分ける宇治橋前の鳥居。
そこに建てられた壇上でごはんを食べてるお姉さんは、なんだかまぶしくて、とっても楽しそうで。
私もいつかあの壇上に立ちたいなと、あの日から私は夢見続けていますの

リンちゃんは小さい頃から小さいですなぁ。いや、可愛いですなぁ。
天食祭の本戦は一般客にも見られながら行われるんですな。祭りっぽい。

さて、その本戦に進むためにも負けられないリンちゃん。
中部予選の本戦出場枠は2校。
つまり、この3回戦を勝ち、4回戦も勝てば本戦出場の権利を得ることができる。

夢に見た天食祭本戦にでられますの!!
その運命をわけますのは・・・この五目あんかけおこげですのね。

じゅうじゅうと音を立てるあんかけおこげ。
んぅ〜〜!!なんとかぐわしい音!!
やかましいわ。

熱々の料理を食べる際のスローな試合展開のおかげで、格上の立浪部長相手でも食らいついていけているリンちゃん。
しかし逆に急いで食べることは難しく、一度ついた差を取り戻しづらい。
残り15分で1/4皿負けの状況から勝つにはですの・・・

がっついて食えや・・・ボケ。
負けとんだでなんか仕掛けろや。今時の若い者はやる気あるんか・・・

相変わらずうるさいOGだぜコラ。
小鹿さんも段々ガマンしきれなくなってきている。いいぞ、やれやれー。
烏井さんもムカついている。しかし、これでも我が部のOGなのである。
それに、一応わざわざ応援しに来てくれてるんだしと耐える烏井さん。

まー勝っても負けてもどちらでも構わんしな
負けた後輩をいびるのも乙やろな〜想像するだけで笑けてくるわ。

こいつ・・・なんてゲスな顔を見せるんだ・・・!
このOGは徹底的にゲスなキャラでいくつもりなのだろうか?
微妙に狙いが見えないので困る。最終的にダンゴの春風の因縁によりギャフンされるキャラなのか?
とりあえずその顔芸はやめていただきたい。

そんなOGは放っておいて、勝つための方法を模索するリンちゃん。
やはり烏井さんと同じ様に、終了間際にやけど覚悟で勝負に出るしかないと考える。
その場合、終了何分前から勝負に出るか、ということになる。
烏井さんのスパートは終了5分前。
しかしそれはマーボー豆腐の話。
五目あんかけおこげはマーボー豆腐をはるかにしのぐ熱さ。5分なんてお口がとても耐えられませんの。
1分。3分。いや・・・終了2分前。開始43分に勝負をしかけますの!!

それまではこのペースで食らいつこうと頑張るリンちゃん。
一口ずつ、一口ずつ。一口ずつ・・・

開始から42分30秒。リンちゃんは7皿目を完食。
立浪部長もすでに7皿は越えており、依然としてその差は1/4皿。
どうにか食らいついていくという課題はクリアできた。やるね、リンちゃん。

あとは残り2分で勝負に出て、この皿を食せば逆転勝利ですの・・・
そして来週の4回戦に勝てば、天食祭本戦出場。

気が早い話。というか、今の以勢日輪で4回戦が勝てるとは思えないが、まあそれはさておく。

長かったですの。
小さい頃、天食祭本戦でみた、お姉さんの高校に入学しましたら、大食い競技を行う食い道部は廃れていた・・・
部員は集まらず、OGはうざい・・・大会は2年連続1回戦負け
だけどついに現役最後の高3の今年、天食祭本戦出場に手が届くところまできましたの。

必死に部員集めをするリンちゃんがなんとも愛おしい。
この魅力にかかったのが烏井さんだけとは驚きだ。

今年こそ・・・天食祭本戦に出場してみせますの!!

時計が43分を示すと同時。
これまで十分冷ましていたあんかけおこげを、冷まさずに一気に食いつく!パク!ぼっ!!

!?
口の中に火がついたかのような錯覚を覚える。
慌てて水を飲むリンちゃん。その様子を静かに見つめる立浪部長。

熱!!この熱さでは2分も急いで食べられませんの!!
残り1分からのスパートなら・・・でも1分では立浪さんにおいつけない・・・
残り1分30秒・・・それは私のお口が耐えられない・・・1分20秒・・・
1分15秒!43分45秒からスパートをかけますの。

それまでは今まで通りに食べるというリンちゃん。
残りの30秒からカウントダウンを開始する。8秒、7秒・・・あと6秒で、私のしょうりぃ・・・

え・・・

スパートを目論んだリンちゃん。
しかし、立浪部長はその直前の1分20秒でスパートを開始した。
呆然とするリンちゃん。なんで貴方が先にスパートしますの?って感じの表情だ。
というか、相手がスパートをかけてくるという発想がなかったようにも見える。
まあ、勝つつもりでいるなら、ある程度は都合のいい想像をしないと心が折れますからねぇ。
無意識のうちに、自分だけがスパートをかけるものと思い込んでいたのでしょう。

どうでもいいが、ラストの前のページ。リンちゃんがこんな顔になっている。
J( ∵)L ・・・

そして、ラストページは呆然とするリンちゃんのアップ。
うーむ、なんともかんとも。どう言ってあげたらいいんでしょうねぇ、この子はホント。

でも、ひょっとしたら部長のスパートが30秒くらいで停止するかもしれない。
1分20秒は早すぎたんだ!みたいな。
動きが止まっている間に、コツコツと進み逆転するリンちゃんとかそういう展開が・・・あるか?
果たしてリンちゃんはこのまま負けてしまうのか?
そうなりそうな気がするけど、ひょっとしたらを期待して待つことにする!



第51話・部長!!  (2012年 12号)


残り2分のところでスパートをかけようとしたが、熱さで断念したリンちゃん。
ならば、残り1分15秒でスパートをかければ!
なんて思っていたら、先にスパートかけられちゃいました。そんなぁー。

リードしているこの状況でスパートをかけることに驚く結日陣営。
7皿(1050g)を食べるくらいは余裕の範疇。だけど、今回の料理は五目あんかけおこげ。

マーボー豆腐をこえる熱さの五目あんかけおこげを冷まさずがっつくなんて・・・
自殺行為だ・・・1分だってもたないよ

九士朗の分析でもかなり厳しい料理らしい。
しかし、そこをなんとか気合で食べ続ける立浪部長。
その姿に、天子ちゃんの応援も気合が入る。ファイト!

勢いが止まらない立浪部長に比べ、リンちゃんは箸が止まってしまっている。
相手がスパートをかけたのだから、追わないといけない。それはわかっている。
だけど、出端をくじかれてしまった以上、それで勝てるのかわからない。
動かないと・・・そう思うが、動けない。
烏井さんが声援を張り上げる。部長!部長ぉ!!

が、やはりダメ・・・!
走り去る立浪部長を立ちすくして見るしかないリンちゃんでありました。部長・・・

3回戦の結果は、8皿対7と1/4皿。結果的に最後のスパートで半皿分差が広がったことになります。
そして、2勝1敗で、総合的にも結日高校の勝利。準決勝進出が決まったのでした。

勝利して戻ってきた立浪部長のもとに部員がかけつける。
正面に寄って来る天子ちゃんたちとは違い、後ろから近づいてくる九士朗。
体を傾け、抱きしめるようにして口の中を調べる
なんですか、この光景は!?これが職権乱用ってやつっすね。
天子ちゃんの口に指を突っ込んだだけではなく、部長にも手を出すとは!?いや、こっちが本命か!?
ってまあ、そういうやましい心があるわけではないんでしょうね。たぶん。

口の中をやけどしていた立浪部長。
天子ちゃんと一緒に大会の救護室に連れて行くことになります。
おおげさですよとか言ってのける2人に怒りの表情を見せる九士朗。
うむ、マネージャーとしては非常に正しい態度ですな。
ん、そういえば九士朗はマネージャーなんだっけ?最近あんまり役に立ってないからただのパトロンかと思ったぜ!

救護室に向かう前に、何でスパートをかけたのか問う九士朗。
立浪部長は気付いていた。2分の時点でリンちゃんがスパートをかけようとしていたのを。
こちらが普通に食べて、向こうがスパートをかけてきたら負ける。
ならばこちらから勝負に出ようというのが立浪部長の判断だった。

残り1分45秒からのスパートは口が熱さに耐えられない。
残り1分30秒なら・・・1分25秒なら――
残り1分20秒なら耐えられるとふんでスパートしたのよ〜〜

5秒の差で先にスパートしたからこそ、勝つことができた。
立浪部長は言う。竹山田さん。強い相手だったわ、と。
ということはですよ、もしもリンちゃんが残り1分20秒でスパート開始。
立浪部長は残り1分15秒で開始する予定だったとしたら、どうなっただろうか?
リンちゃんのように、追いかけるのを諦めただろうか?そうはならない気がしてなりませんな。

さて、そのかけひきに敗れたリンちゃん。
戻ってきたところで早速、狐塚さんにいびられることになる。
のがわかっているので、間に入って励ます烏井さん。

部長!顔を上げてください!
部長も一生懸命戦ったじゃないですか。誰にもあやまる必要ないですよ

負けて帰ってきたリンちゃんをいびる気満々だったOGの前で言ってのける烏井さん。かっけー。
人の話を聞けと言い出す狐塚さんに言う。

うっさいな!部外者は黙っててよ!!

OGだろうが知ったことか。実際役に立ってくれたわけでもないですしねぇ。
それでも、初代天娘としてのネーミングバリューは高かったりする。めんどくさいことに。
開始時の挨拶のときと同様に、締めの一言をもらおうと司会が近づいてくる。
それに気付いているのかいないのか、第1回天食祭のレベルが低いことを口にしてしまう烏井さん。

あんたなんておにぎり4つで優勝したくせに。や〜〜い!!

烏井さんのセリフを、司会が反復する。おにぎり4つで天娘になったんですか・・・?と。
マイクつきで喋るものだから、会場中に事実が知れ渡ってしまう。
昔の大会とはいえなぁ。今ならザコじゃんとか言われちゃう狐塚さん。
いやいや。4つ食べれば勝てただけで、もっと食べれたかもしれないじゃないですか?
そんなことはなかったんだろうけど。

言い返すこともできず、逃亡する狐塚さん。逃げた!!
その様子を見て、笑顔を見せるリンちゃんと烏井さん。
これにはコラ子こと小鹿さんも頬を緩ませる。
が、次の瞬間には目の前の2人は泣き出してしまっていた。
手を握りながら泣き崩れる2人
以勢日輪高校食い道部、天食祭中部予選3回戦敗退。リンちゃんの最後の戦いが終わったのでした。

涙にくれるリンちゃんたちはひとまず置き、逃げ出した狐塚さん。
どうやら、彼女にとって天食祭は1年に1度の家事、育児のストレス発散の場所だったらしい。
なるほど。初代天娘としてちやほやされつつ、後輩をいびれる場所だったわけだ。
本当にダメな人っすね。子持ちだったのがむしろ意外だった。

逃亡先で、会場から出てきた天子ちゃんとぶつかる狐塚さん。
天子ちゃんを見て、さらに涙目になって逃げ出す。

春風のダンゴ頭の疫病神!!

なんだか酷い言いようですな。
一体過去に何があったんでしょうかね?
次回はその辺りが明らかになるそうだけど・・・やはり母との因縁があったりするのでしょうかねぇ。
気にならなくなくもないが、今はリンちゃんたちの去就が気になります。
ひとしきり泣いたあと、これからどうするか考えることになりそうですな。
リンちゃんがいなくなると、部員が烏井さん1人になってしまうが、どうするか?
まあ、この辺りは小鹿さんがどうにかしてくれると信じよう。
直会の手引きは今後も編纂を続けるのか?あんまり役に立ってなかった気もするが・・・まあ、それはそれ。
一部では、ですのノートだの、ですのートとか呼ばれる直会の手引き。
これを勝利した結日高校に渡すなんてイベントもあるかもしれないし、ないかもしれない。
長野女子も、試合後のエピソードが少しありましたし、今回もあってくれると期待したい。

それはさておき。司会について。
初代天娘がたいしたことないということを盛大にバラしてしまった司会。
これは責任問題じゃないですかね?更迭フラグが立ったと見るべきではないだろうか?
1週間後の大会では別の見た目の司会に入れ替わっているはず。ていうか、そういう展開を強く希望したい!

それにしても、あの司会はなんで初代天娘の強さも知らなかったのに、顔を知っていたのだろうか?
顔を見ただけで、ひょっとして・・・とか言っていたし。なんだ、もしや仕込みか?
事前にこのタイミングで来ますよとか打ち合わせしてたりしたんだろうか?
神事でバラエティのような仕込みを行う。これまた更迭フラグっすな。うむ、司会交代は確実とみたぜ!代わって!



第52話・天に願いを  (2012年 13号)


3回戦を終えた夜。家の仕事のお手伝いをしている天子ちゃん。
どうやら、やけどは大したことなかったらしい。
あれだけ痛い痛いと騒いでいたというのに!
まあ、口の中のやけどは治りやすいですからね。
でも、一応病院で診察を受けるように言われています。九士朗の病院か。

天子ちゃんは母に問う。天娘の狐塚さんって知ってる?と。
その言葉で母に緊張が走る!ざわ・・・

誰それ?

単に知らない名前が出たから緊張しただけだったらしい。そっかー。
天娘が今日の大会にきたんだよと報告する天子ちゃん。
なんで大食い大会に天娘の人が?と問う母の蒼子さん。って天食祭のことわかってないのかい?

お母さんが知ってる天食祭は大昔からある食育礼賛のだけど、今の天食祭はそんな風になっているのね。

遥か昔の天食祭は大会形式ではありませんでしたからねぇ。
大食い競技になったのはここ30年のことですし、知らなくても不思議はない。
来週、4回戦の当日は夏祭りらしい。ふむ。試合終了後に何かイベントが盛り込まれそうですね。

蒼子さんは狐塚さんのことを知らなかった。
せめて顔でもわかればね、という母に対し、息子の正数君。じいちゃんならその人の写真撮ってたりしない?と言う。
ありえる話ですな。噂をすれば影。勢いよくやってくるおじいちゃん。
相変わらずこのじいちゃんは天子ちゃんが大好きなんですなぁ。
怖い娘より可愛い孫が大事!ってなわけですね。
でも、そんな態度だと怖い娘に怒られちゃいますよ。おお、怖い怖い。

じいちゃんはバッチリ狐塚さんを写真に収めていた。
その顔を見てしばし考え込む蒼子さん。いい表情だ。そして思い出す。それは昔のこと・・・

蒼子さんが中学生のころ。そのころの蒼子さんは天子ちゃんそっくりの髪型だった
というか、これ顔も天子ちゃんになってるじゃないですか。
家族で以勢旅行に行った時、おじいちゃんとおばあちゃんはお参りに。自分はその間赤福をパクパク。
その時、店内では初代天娘となった狐塚さんが3皿完食していた。さっすがー。
でも、蒼子さんはもっと凄いペースで食べている。私より食べて!?私より目立つ!?
意地になって勝負を挑む狐塚さん。結果は惨敗。12皿対5皿。惨めよのう。
狐塚さんは蒼子さんに名前を尋ねる。春風――春風のダンゴ頭の疫病神ぃ!!

てなことがあったらしい。
うーむ・・・割とどうでもいい話でしたな!
狐塚さんも、屈辱だったのは分かるが、最後の捨てゼリフはおかしかろう。何故疫病神。
というか、昔からその顔だったんですね狐塚さん。ガラ悪いっすわ。
まあ、だからこそ蒼子さんが思い出せたんでしょうけど。
昔1度だけ会って罵倒されただけなのによく思い出せたものだ。
それもこれも、狐塚さんのガラが悪かったおかげってわけですね。

蒼子さんは天子ちゃんに聞く。”天娘のお願い事”の話は知ってるの?と。

天と人との橋渡しを担う、天食祭の巫女、天娘は神様に直接願をかけられるの

ほう。それはまた巫女っぽい話ですな。
じいちゃんが以勢の神主から聞いた話によると、逸話があるらしい。
昔の天食祭の話だが、戦地から父が無事帰還してほしいと願った天娘。
寝たきりの母とまた昔のように郷里を歩きたいと願った天娘。
どちらも、1年と待たず願いが叶ったそうな

ほほう。それはまた。神様も粋なことをなさる。
ま!ただの偶然じゃろがな。はっは!
笑い話にしてしまうじいちゃん。それでいいのか宮司!
というか、なんで悪そうな顔して話した?その顔はホラー話をするときの顔じゃないか。
実は、お願い事が叶う代わりに何か副作用があったりとかするのだろうか?
それと、狐塚さんは願い事とかしなかったのだろうか?
天娘としては質が悪かったから、疫病神しか願いを聞いてくれなかったとか?
ハッ!それで春風のダンゴの疫病神発言に繋がると・・・?いや、微妙に繋がらないな。

さて。天娘のお願い事とは別に、神頼みをしている人たちがいます。
神棚にお菓子を捧げお祈りするリンちゃんと烏井さん。SWEET。
リンちゃんは大会が終わり引退が決まったのだが、部室に来ている。
受験はあるが、勉強は勉強でしっかりやっている。それよりも――

私がいなくなったら部員は烏井さんお一人。せめて私の卒業まではご一緒させてほしいですの

ありがたいことを言ってくれますねぇリンちゃん。
この言葉を聞いた烏井さん。小さくガッツポーズしているように見えるのは気のせいだろうか。嬉しそうっすね。

来年からは烏井さん1人で直会の手引きを完成させていくことになる。
2人でも完成まで30年はかかりそうなのに、1人じゃ完成まで60年・・・
そうならないためにも、神様どうか来年こそは新入部員をですのー!!パン!パン!

困ったときの神頼み。実際それで大会の1、2回戦を切り抜けてきた実績がありますからねぇ。
そして、その願いは今回もまた通じそうになっている。
部室に向かって歩いてくる2人の女子。スミスさんに小鹿さん。
スミスさんはジャパニーズナデシコに感動し、ぜひスケダチしたいと考えている。
小鹿さんは、暇潰しに入部してやるだけだコラ、とのこと。
素直じゃないですね、小鹿さん。いい子だ。

ある程度予想は出来ていたけど、ちゃんと2人が入部するところまで描いていただけてよかった!
伝統が繋がった・・・と喜ぶところですかねぇ。
リンちゃんもしばらく残ってくれるようですし、烏井さんにとっては満足な状況でしょうな。
しかし、天娘のお願い事というのは、今後も生きてくる設定なんですかね?
その場合、前回大会の優勝者!先代天娘!とか出てきてお願い事パウアーで強力になっている、とかありそうだ。
まあ、ずいぶん先のことになるかもしれないですけどね。



第53話・病院に行こう  (2012年 14号)


3回戦突破の余韻に浸る結日高校食い道部。
今週の中部予選4回戦に勝てばいよいよ天食祭本戦のキップが手に入るのだ。
やる気もみなぎってきたので、今日も練習がんばるわよ〜!おお〜!!
と盛り上がったのだが、九士朗にダメ出しされる。おやおや。

立浪部長と天子ちゃんは口の中をやけどしたばかり。
前回も言われたとおり、傷が化膿したりしてないか病院で診察を受けることになる。
向かう先は忍足総合病院。OSHITARI HOSPITALである。
かなり大きな病院だ。外科・内科・小児科。色々取り揃えているらしい。へぇ。

忍足先輩、ただのダジャレ好きじゃなかったんだね

失礼な感想を述べる天子ちゃん。
でも、正直そんなにダジャレ好きって感じでもないですよね、九士朗。
柱の人物紹介でも書かれてはいるけど、あんまりダジャレを言っている印象はない。むう。

さすがにでかい病院である。門をくぐって内部に入るまででもそれなりに歩くようだ。
暑い中歩き、中に入るとさすがに涼しい。冷房がよく効いている。
口腔内科は8Fと受付に聞く。エレベーターに乗って向かおう。
病院に入り、エレベーターに乗って口腔内科に向かう。
これだけの距離なのに、何故かふらふらと違う方向に向かおうとする立浪部長。あら〜。
あの天子ちゃんが世話を焼いているだと・・・?

部長さん・・・試合の時はしっかり屋さんに見えるけど、普段はおっとり屋さんだったね。

試合の反動で、普段はぽやぽやしちゃってるんでしょうかね。
にしても、方向音痴とか言うレベルじゃない。目の前にあるでかい入口もわからないレベルだ。
ひょっとしたら、細目なんじゃなくて、本当に目を閉じているんじゃあるまいか?
普段から五感のひとつを封印することで、いざというときの力を蓄えているのだ!

口腔内科に到着。長椅子に座って順番待ちをする。
その間に、次の相手のデータを見ておこうとする立浪部長。
相手は去年の中部予選の優勝校
開会式で昇殿参拝してた、赤西陽菜さん率いる、尾張大付属高校食い道部である

あの格好いいお姉さんのいる高校!!

さすがに天子ちゃんも覚えていたようだ。
しかしまた、くせのあるキャラが出てきそうなシルエットですね。

去年の優勝校って強いんじゃ!?

今更なことに驚く天子ちゃん。どちらにせよ、準決勝の相手が弱いわけないっしょ。
病院では静かにと言われ、口にチャックをする天子ちゃん。キバみたいである。

天食祭の中部予選本戦出場枠は地区予選決勝進出校の2校のみ。
だけどその2つの出場枠の1つはこの10年間ずっと同じ高校なのだという。
その高校が――現部長、三ヶ月かずえさん率いる龍聖学院食い道部。花ぽんの高校だ。
中部地区は龍聖学院の一強体制。
だから出場校が2つといっても、実質1席は龍聖枠で、残りの1席をみんなで争っている状況なのだ。

へぇ。龍聖はそんなに強いところだったのか。
なんだか三ヶ月さんが凄そうに・・・見えませんでした!やっぱりだらしなかった!
でも、このだらしない感じがなんとも魅力的ですね。よいっすなぁ。
しかし、遊ちゃん。1開戦で花ぽんに絡んだとき、なんか言ってなかったか?
お前らんとこ、決勝までこれるんか?とかなんとか。
対戦表で高校名も確認してたし。実績を知らなかったんだろうけど、強豪に対し割と恥ずかしい発言だ!

龍聖学院以外どこが勝つかわからない。
そんな乱世の中部地区に去年現れたのが、尾張大付属高校食い道部。
優勝した尾張大付属は龍聖より強いのだろうか?
それについては、龍聖側は決勝出場選手が全員1年生という消化試合だったからわからないらしい。
部員はいっぱいいるみたいですからねぇ。強豪らしく、1年に将来の下積みをさせているのか。

でも去年の予選、準決勝の赤西さんの試合を観たのよ・・・
その実力もそうだけど、まるで彼女の食べてる姿は鬼のようだったわ〜・・・

立浪部長が観ててぞくっとするほど、鬼気迫る姿らしい。
まあ、かっこいい系のお姉さんですし、そういうスタイルになるだろうと思ってました。
これで赤西さんが天子ちゃん系の幸せ笑顔で食べる人だったら可愛いことになる。む、何の問題もないんじゃないか?

強敵のことを考えると、つい緊張してしまう2人。
何か楽しいことでもお話でもしましょうかと気持ちを切り替える。
天子ちゃんは立浪部長に尋ねる。天娘のお願い事を考えていますか、と。
しかし、部長は天娘になったら願いが叶うという話を知らなかった模様。
目を開いて驚いている。開眼。クワッ。有力な情報を得たって感じですね。

立浪部長が天食祭を目指す理由は、本戦で昔約束した友達と会うためでしたっけ。
その理由の場合、優勝して何か願いを叶えなければ、という物がないですわな。
結日高校だと、そんなに深刻な願い事を抱えている人はいなさそうな気がする。
あ、遊ちゃんの身長の件があったか。
天食祭を優勝した翌日、願いを叶えた遊ちゃんは身長2mのむくつけき大女に!おぉ。キャラが死ぬ!!

それはさておき。
診察を終えた天子ちゃん。どうやら異常はなかったらしい。
まあ、喉元過ぎればなんとやら。口の中の痛みってのは、そのときは響くけど後には残りにくいものですわな。

天子ちゃんが出てくると、部長の姿がない。もしかしてまた迷子に!?
それはないか。受付で待ってたら会えるよね〜と天子ちゃん。
フッ。立浪部長を甘く見てもらっては困る。この短い時間でも迷子になれるんだぜ!!
トイレを探して右往左往してたら戻れなくなったらしい。トイレにはつけたようでよかったですね。
1年のころ、部を創設した立浪部長。勧誘のビラに場所を書くのを忘れていたことがあった。
ひょっとしたら、あの頃から迷子になりやすい性質があったのかもしれない。地図とか見るのが苦手っぽそうだ。

さて、受付に戻るためにエレベーターや階段を探す立浪部長。
その前を横切るのは、先ほど話題にあがった赤西さん。花束を携えて登場である
病院に花束とくれば見舞い。その表情からして、相手の病状は深刻そうに思える。

一方の天子ちゃん。部長を待つついでに売店でアイスを買い食いしている。
やけどをアイスが癒してくれるってわけだ。
その天子ちゃんの後ろから近づいてくる少年の姿があった。胸の名札には赤西の文字
赤西さんの弟さんでありますか?
格好からして、この病院に入院している様子の赤西少年。赤西さんは弟の見舞いに来たというところか。

口腔内科の8Fで入院するほどの病状とはなんだろうか。
ちょっと姿を見せていた、口腔がんのパンフレットが怪しい。まさか、がんだというのか?
そうなると、赤西さんは天娘の願いを弟のために使いたいと考えるキャラになるかもしれない。
うーむ、結日高校とは違い、これまた深刻そうなキャラづけが来ましたね!
相手側の方の視点で展開されることが多いのがこの作品の特徴である。
尾張大付属のキャラづけもここから行われていきそうですな。



第54話・赤西さんと赤西くん  (2012年 15号)


天子ちゃんにのしかかり、アイスを欲しがる少年の図。なかなか可愛らしい。
でも、食べさせてあげようとすると、いい!!と断る。なんでしょう?天邪鬼?
というわけではなく、医者にアイスも食べちゃダメと止められているらしい。あらあら。

天子ちゃんが少年と戯れているころ、上の階の立浪部長。
赤西さんと出会いそうだったが、向こうはこっちを知っているはずもないし、スタスタと去って行く。
が、赤西さんの連れの女子が立浪部長に話しかけてきた。

私!尾張大付属高校食い道部3年、黄桜メイ子。おしゃべりなところが玉に瑕の18歳。よろしくで〜す☆

なんだか一人で賑やかな感じの黄桜さん。お祭りみたいな人と称される。
黄桜さんは赤西さんも紹介してくれる。ほう、ひなりんですか。ほう。
確かに人前で呼ばれるには恥ずかしい名前ですね、ひなりん。はっはっは。

赤西陽菜さん。鬼の如き食べっぷりで、新星・尾張大付属高食い道部を天食祭本戦出場に導いた。
去年の天食祭予選、中部ブロック優勝校の部長。

その赤西さんが何故病院に?と思う前に、こちらが質問されてしまいました。
お口が少しねと答えると、おこげがっついてたもんねと返される。

あんな熱そうなの1分ちょっともがっつきゃやけどするよね。でもああしなかったら負けてたかもか。

どうやらちゃんと3回戦の様子を観戦していたみたいですね。
そして、スパートをかける必要があったこともきちんと理解している。九士朗とはモノが違う!
ふむ、伊達にメガネはかけていないようですな黄桜さん。

てな話をしているのに、さっさと立ち去ってしまう赤西さん。
目当ての相手は病室にいなかった。おそらく受付の売店にいるはずだと足を向ける。
受付!ということは、ついていけば帰れる。
そう思った立浪部長。迷子であることを告げて2人についていくのでした。
わざわざ告げなくてもいいんじゃない?と思わないでもない。
が、またフラフラしだしても、迷子になる人間なら誘導してくれるかもしれないし、事前に言っておくのは正しいかもしれない。
でも、この情報を敵に与えたのは致命的かもしれないな。
次の試合では部長が会場に辿り着けずピンチになるという展開が来るかもよ。これは黄桜の罠だ!

さて、売店。天子ちゃんは赤西少年とお話中。
赤西くんは現在入院3か月目だという。小さいのに大変だねぇ。
しかも、3か月というのは今回の入院の話であり、前から何度も入退院をくり返しているらしい。むう。
天子ちゃんは大食いの大会で口の中をやけどしちゃって病院に来た。
それを告げると赤西くん。うちのお姉ちゃんもやってるやつだと言い出す。ふむ。どんなお姉ちゃんなんだい?
そう聞くと、優しくて料理上手という返事が返ってきた。そいつはステキっすね。理想っすね。
何やら想像して嬉しそうにする天子ちゃん。赤西くんも苦笑してるではないか。
そんな赤西くんが家庭のことについて話をしてくれる。

うちさ、僕が病気してるせいでお金がかかるから、お父さんもお母さんも夜遅くまで働いてるんだ
家には僕と姉ちゃん・・・2人ぼっちで寂しいけど、そういう時は姉ちゃんが料理をいっぱい作ってくれてさー
テーブルいっぱい――どれもみ〜〜んなおいしそうなんだ!!

そいつはまた出来た姉でございますね。

でもさ――僕、病気であんまりごはん食べられないから、いつも殆ど残しちゃうんだ。
せっかく姉ちゃんが作ってくれたのにさ・・・

寂しそうにする赤西くん。ふうむ。

だから結局作った料理殆ど姉ちゃんが食べるんだ

なんだいそりゃ!?いや、まあ、食べ物を粗末にするわけにはいかないし、行動は正しい。
でも、少ししか食べれないのわかっているのなら、大量につくらなくてもいいんじゃないか?
色んなものを食べさせてあげたいということなのかもしれないけど、はてさて。
というか、食費がかかりそうですな。両親が入院費のために夜遅くまで働いているというのにこれはちょっと。
天子ちゃんもその辺りに思い至ったのかどうか。
赤西くんも早く病気がよくなって、お姉ちゃんのごはんいっぱい食べられるといいねと言ってみる。

そうこうしているところに立浪部長がやってくる。
そして赤西さんたちもやってくる。ヒナ姉ちゃん!そういう呼び方できたか。
なにやら身を震わせているヒナ姉ちゃん。力を入れすぎて花束が曲がりそうだ。ゴゴゴ。

優二ぃ〜〜〜
病室にいないからお姉ちゃん心配で心配で。

ハートマークを乱れ飛ばして弟に抱きつくヒナ姉ちゃん。すりすり。
人目を憚らぬその態度。優二くんも少し迷惑そうな感じであります。
花束も放り出されているので黄桜さんが回収している。ご苦労様です。

立浪部長に紹介され、このヒナ姉ちゃんが赤西陽菜さんであると知る天子ちゃん。
この人が赤西くんのお姉ちゃん・・・?
かっこいい+鬼+やさしくて料理上手=弟にデレデレなヒナ姉ちゃん
一体計算式にどのような要素が混じったというのか!?

優二ぃ〜病室にもどるぞ〜

はあ・・・はあ・・・
弟を抱き、息を荒げ、よだれまで零して言うヒナ姉ちゃん。危ねぇ。
せめて人前では抑えててくださいよ、ひなりん。周りの人がうろんそうにみちゃいそうだ。
いや、この病院ではむしろ日常的な光景かもしれない。
3か月の間に何回も似たようなことがあったのでしょうな。
可愛い弟にデレる美人の姉が売店で無料で見れる病院。どういう病院だ!OSHITARI HOSPITAL恐るべし。

それはさておき。
黄桜さんは天子ちゃんのこともしっかり把握している。名前もバッチリだ。
やはり、なかなかに侮れない人ですね。

次の相手だし当然☆
私たちはさ――君たちに勝って天食祭本戦に出て、そこでも勝って日本一になって天娘になって、
神様にお願い事しないといけないからさ〜

天娘のお願い事!?
どうやら、リンちゃんたちの願掛けの話だけで終わりではなかったらしい天娘の願い事。
黄桜さんは言う。ひなりんの弟は病気であると。
一朝一夕で治らなくて、今は病気を抑えることしかできないらしい。
それも何回もの入退院と厳しい食事制限ありきの話。完治がいつかは神のみぞ知るって状態。

だからさ――ひなりんの弟の病気が早くよくなるように、神様に直接お願いするためにも、
天娘になるまで私達は負けられないのよね。

わかりやすい理由が来ましたね、これは。
尾張大付属高食い道部。強敵そうだ。

特にお願い事があるわけでもない結日高校の面々が、果たして必死の尾張大付属に勝てるのか!?
まあ、勝つだけ勝って、お願いは私たちが代わりにかなえる!とでも言っておけばよいんでしょうけど。

逆に非情に走るのであれば、優二くんの情報はこの上なく同様を誘うことができるネタである。
いくらでも脅しに使えそうだ。病院側の人間はこっちの関係者だと伝えるだけでも危ぶまれる効果が十分ある。
どうせなら、対戦時にこそっと言ってみるとか。キミの弟、容態が急変したらしいで、とか。
そして、動揺してガタガタになった赤西さんに大差で勝利してみせる立浪部長。
私は弟が死んだくらいで箸をゆるめたりはせんよ!?とか言い出す流れなわけだ。
そこまでやってくれたら、逆につきぬけた人気が出そうな気もする。いやいや、本当にやられたら困るけどさ!



第55話・想いを胸に  (2012年 16号)


病院で検査した結果、天子ちゃんと立浪部長のやけどは大したことがなかった。
翌日、部室で病院のことを笑顔で話す立浪部長。
本当大きくて迷子になるくらい、と。
それを聞いて大げさだにゃ〜と笑う遊ちゃん。方向音痴って知らないのか?

立浪部長に比べ、天子ちゃんはなんだか沈んだ様子。
哲っちゃんが気にして話しかける。試合後のときのようにからかったりはしないよう気をつけているようだ。
天子ちゃんの悩みは昨日会った尾張大付属高の赤西さんのこと。
病院で会ったと発言したら、立浪部長以外の全員が驚いている。
遊ちゃんと二子さんなんて鼻からジュース噴出してるぜ。ハハハ。
口からなんだろうけど、位置的に鼻からにも見える。

尾張大付属高校。去年の天食祭中部ブロックの王者。
遊ちゃんと二子さんも、去年の試合は会場で観ている。
赤西さんの鬼のような食べっぷりは今思い出しても震え上がるほどだったという。コワイコワイつよいコワイ。
二子さんはともかく、遊ちゃんが震えるほどとはどんなんやねんな。

直に会った天子ちゃんに赤西さんはどんな人だったか尋ねる遊ちゃん。

えっと、赤西さんは料理上手で、弟さんにラブラブな人でした

はい、正解。
全く持って威厳もへったくれもない姿をさらしてくれていましたね。ひなりん。
さらに、もう一人。尾張大付属高の生徒がいたが、この人はお祭りみたいな人だったと立浪部長は言う。
黄桜さんの名前はちゃんと覚えてくれているんでしょうかね?部長。
ともかく、なんだかイメージと違う尾張大付属。
まあ、試合に弟はこないだろうし、たぶん怖いままですよ。たぶん。

弟君はうちの病院に入院中ってことなんだねと九士朗。
その通り。まだ小さいのに入退院が多く、食事制限でアイスもろくに食べられない。
だから、赤西さんたちは弟の病気が早くよくなるように神様にお願いしたいと考えている。
天食祭本戦優勝――天娘になることによって。

天娘になると神様に直接願がかけられる。
この情報を遊ちゃんも二子さんも知らなかった。
まあ、部長が知らなかったのにこの2人が知っているはずないですわね。
知っていたら、知りながら部長に知らせなかったことになるし、それはそれでなんか大変。

天娘のお願い事。もし叶ったとしたら何を願うか。

遊ちゃん――ぐーんと高身長。
二子さん――堂々とした態度。
立浪部長――ぱっちりとした目。
哲っちゃん――立派な料理人。

って何さりげなく願い事考えているんだ哲っちゃん。天娘目指す気かよ!?
それと、部長がそこまで細目を気にしているとは知りませんでした。
この想像の絵より今の方が可愛いと思いますがのう。

それはさておき、天子ちゃんがぼうっとしていた理由。
天子ちゃんが大食い競技をしているのはごはんが好きだから。食べるのが楽しいからやっていた。
でも赤西さんは弟さんのため。弟さんの病気を治すっている願いを叶えるために大食い競技をやっている。

そんな人達に私は勝てるのかな・・・って。
そもそも戦う資格があるのかなーっ・・・て

ふむ。ちゃんとその辺りを悩むようになってくれたのですね。いいことだ。
ならばその次のステップに行きましょう。
九士朗は語る。結日高食い道部は2年前部長が1人で作った部なんだ、と。

高校入学したての部長が1人でちらしを作って部室を確保して、
大食い競技なんて誰も知らないからさ、大食いの実演をして部員集めをしたりしてね。
”見せもの”よばわりされたりして、部長も1人で大変だったと思うよ。

大変だったでしょうな。自分も大学時代だがサークルを立ち上げメンバーの募集をしたりしたものだ。
まあ、TRPGサークルだったので遊び仲間を見つけるだけの話だったのですけどね。
実演はさすがにしなかったが、ポスター描いたりとかしたよ!
それはさておき。九士朗の話の続き。

天食祭本戦出場を夢見て部長がたった1人で立ち上げた結日高食い道部。
そこにまず、部長が1年の時、僕がマネージャーとして入部。
2年の時、遊ちゃんと二子ちゃんが入部して、そして今年・・・天子ちゃんが入部して、
3年生でやっと天食祭本戦を目指せるメンバーがそろったんだ。
3年の僕たちにとっては次の試合が天食祭本戦に出場できるラストチャンス。
負けられないのは僕らも一緒なんだ

今までの対戦相手だってそうさ。
桜学院だって長女体大付属だって以勢日輪だって、みんな負けたくなかったはずなんだ。
だからさ、天子ちゃんが考えるのもわかるけど、まずは次の試合に全力を尽くそう。
結日高食い道部としてさ。

なかなかいいこといいますな、九士朗も。まるで先輩みたいだ!いや、実際にそうなんだけども。
特にこれまでの対戦相手に言及したのはポイントが高いですな。
と思ったが、桜学院については喰い道部だからってバカにしてたやないかーい!!
微妙に詰めが甘い。まあ、九士朗らしくてよいけど。

ともかく、そんな九士朗の言葉に、食い道部をやめたくないと思ったときのことを思い出す天子ちゃん。
口元を軽く歪めるのだが・・・どういう意図を込めての表情なのかいまいちわからない。
笑みなのか、痛みを思い出しての苦しみなのか、微妙な口の歪ませ方である。
それともやってやるぜ、という意味合いなのか?天子ちゃんらしくはなさそうだが。
でも、九士朗は事前の警告はオーバートレーニングはダメだよというもの。
大食い競技は長期的なトレーニングしか効果がない。
ふむ。そうすると、やはりやってやろうじゃん的な表情だったのかね?天子ちゃんがやる気になっておる。

やる気になってきたところで、部長が全員に声をかける。

今日もいつも通り過ごしましょうか

それがいいんでしょうね。大会中だし、このタイミングで焦ってトレーニングしてもあまり効果は無い。
ならばいつも通り過ごし、体調を管理するのがよいという話ですわな。
二子さんはアガリ症克服のためバイト。
遊ちゃんと天子ちゃんはランニングに行く。二子さん、遊ちゃん不在でもバイトできているんだ・・・!!

遊ちゃんと二子さんは廊下で語る。負けたくないのはみんな同じよね、と。
相手も弟が病気というのはかわいそうやけど、それはそれ。
絶対に部長と本戦に行く。そう誓って今までやってきたのである。負けられない気持ちは同じですわな。

選手達が負けられないと気合を入れている中、哲っちゃんもテーブル拭きに気合を入れている。
確かに部室だけど、普段はここ理科準備室ですぜ。
まあ、他の子が頑張ってるのでいてもたってもいられなくなっているんでしょうな。
九士朗は言う。今年3年の部長と僕はもうすぐいなくなってしまう。
だけど、結日高食い道部はこれからも続いていく。

来年からみんなを支えていくのは哲くんの仕事だよ

おっと、頼られてますな哲っちゃん。
まあ、実のところまだ入部してもいないんですけどね。ハハハ。
入部はしてないものの、すっかり関係者となっている哲っちゃん。
一応働いてもいるし、間違ってはいないか。
マネージャーだから大会にでるわけでもなく、いつ正式入部しても関係ないしね。

さて、結日高のモチベーションが高まったところで、次回は4回戦開幕。
どんな料理が出るのか。対決方法はどうなるのか。尾張大付属の残る2人はどんなキャラか。
司会はちゃんとマシな人に入れ替わっているのか。楽しみです。



第56話・天食祭本戦出場決定戦  (2012年 17号)


3週間の長きに渡る天食祭の中部予選もついに4回戦。
そして、本日まで勝ち残った4校の内、天食祭本戦に出場できるのは本日の勝利校2校のみ!
本戦出場をかけた4回戦が今、開幕する!

2試合しかないはずなのに、いつもよりも観客が多いように感じられる。
準決勝ともなると来年の天食祭のために観にきている人も多いとのこと。
つまり翌年に向けての視察ですね。結日も強豪としてカウントされるようになるのかな。

試合場は舞台のように一段高い位置に設置されている。
みんなに注目されると早くも緊張の二子さん。
まあ、本戦はもっと注目されるだろうし、今のうちに馴らしておかないとね。

さて、いよいよ姿を現す4回戦の相手。
去年の天食祭中部ブロック王者、尾張大付属高食い道部。
ひなりんと黄桜さんは既にお目見えしてるが、さらに他の選手達も姿を見せている。

ひっな様ー!
歩く姿もひな様格好いいわ〜
今年の本戦出場もひな様の学校に決まりね〜

ふむ。どうやらひなりんは女子に人気のようですね。
確かに格好いい系でありますからねぇ。普段の様子なら凛とした女性のように見える。
弟の前でなければね。ハハハ。この女子達にデレデレしてるひなりんを見せてあげたいぜ。

ひなりんをからかって遊んでいる黄桜さんことメイちゃんを注意するのは2年の青葉響香さん。
愛称はキョンキョンでございます。
頬にぐるぐるとナルトマークが浮かんでいるのだが・・・これはどういう現象だ?
天才一家の出であることでも示しているのでしょうか?

さらに尾張大付属のキャラが登場。1年の緑井亀子ちゃん。
先輩が十分に戦えるよう基地の設営を手早く整える。なかなかの手腕だね亀ちゃん。

キョンキョンはメイちゃんと親しげ。2年なのに3年のメイちゃんに拳骨をかませるぐらいに親しい。
というのも、子供の頃からの知り合いだったりするからである。
赤西さん、黄桜さん、青葉さんの3人はみんな同じ団地で、赤西さんの弟、優二君とも知り合い。
小学生の頃から4人でよくご飯を食べていたらしい

”神と人との橋渡しを担う天娘は神様に直接願をかけられる”

どうやら、この3人の願いは共通しているらしい。
”ひな先輩の弟くんの病気が治るように””またみんなでごはんが食べられるように”
それが願いなのである。

――そのために、ひなちゃんは尾張大付属高食い道部を創ったんだから・・・

赤西さんが尾張大付属の創設者でありましたのか。
1年のときから始めたにしても、2年にして予選優勝を果たすとは。
本戦では優勝できなかったとはいえ、たいしたものである。

ひな先輩方の心意気、あっぱれでありますと感心する亀ちゃん。
だが、その願いをくだらんと切って捨てる人もいた。
3年の紫乃ゆかりさん。なんだか一人だけ雰囲気が違う人である。剣客みたいな佇まいの人だ。

脆弱な者などどうでもよいではないか。勝負に必要なのは常に己の強さのみ
赤西といい、どいつもこいつも他人のためなどと甘いことばかり考えおってからに。

厳しい意見でありますね。
青葉さんは紫乃さんの意見に仕方ないかという表情。
対して、亀ちゃんはムスッとした感じ。意外と強情そうですな亀ちゃん。

さて。尾張大付属の選手の紹介も終わったところで、オーダー表の提出。
これにより、チームの戦う順番が決まる。
結日はマネージャーの九士朗が。尾張大付属は黄桜さんが提出する。
オーダーとか作戦は全部メイちゃんにお任せという尾張大付属
いつもチャラチャラしてるけど、そういうのは得意なんだそうな。

続いて4回戦のルール説明が行われる。
4回戦こと天食祭本戦出場決定戦のルールは、試合時間45分の4人制の1対1。
各4戦は45分の制限時間内により多く食した側の勝利となる。
そして勝利条件は2つ。
1つは”4戦中3勝”
もう1つは”2勝かつ4人の食した総量が相手を上回ること”
そして、全4戦のメニューは全て異なり、そのメニューは試合直前まで秘密となります

ふむ、つまりメニューが全て異なる以外は3回戦以前と一緒ってことですね。わかりました。

この勝負、勝利への鍵は――先鋒戦だね

両校とも最初が肝心だと考えている様子。
ならば、そう考える九士朗が組んだオーダーとは・・・

結日高食い道部――先鋒、立浪百合亜!!

部長が部長なのに大将じゃない。盛大に驚いてみせる天子ちゃんたち。
これはオーダーを一任された九士朗の策である。
本来なら第4戦――大将戦が部長で、相手の部長の赤西さんとの対決。
しかしいくら部長とはいえ、中部屈指の強さを誇る赤西さん相手では勝利は100%ではない。
だから結日高の1番の実力者である部長を先鋒に据えて、確実に1勝をとらせてもらう。
これが先鋒が大事だと考えた九士朗の作戦である。

相手の部長さんが先鋒とは――こりゃ全く・・・どこも考えることは同じだにぃ〜

そう、尾張大付属のオーダーも先鋒は部長の赤西陽菜選手!
第1戦は両校部長対決と相成りました!

まあ、九士朗の立てた策じゃあ裏目に出るに決まってますよね。わかってましたとも。
とはいえ、黄桜さんもさすがに相手がそう来ると思ってオーダーを組んだわけではないと思われる。
確実な1勝を得るために部長を先鋒に持ってくる。その考えがかち合った結果にすぎない。
ただ、かちあっても問題はないと考えたのが黄桜さんであり、考えなかったのが九士朗って感じはする。
知能対決ではやはり結日は分が悪いか!

とはいえ、これは割と楽しみな戦いでもある。
立浪部長は大将戦に据えられることが多いだけに、勝敗が読みやすい戦いが多かった。
先鋒戦に入ることで、緊張感を持った戦いが行われるのではないかと期待したい。

それにしても、尾張大付属の選手は皆色がついてますのね。
赤、黄、青、緑、紫か。紫が桃とかなら戦隊物になれましたのに。
最初は部長対決となったけど、後のオーダーはどうなるのだろうか?
やっぱり天子ちゃんが大将になったりしてるのだろうか?
その場合相手になるのは誰だ?やはり紫乃さん辺りか?
意表をついて亀ちゃんが相手になる可能性もなきにしもあらず。
実は紫乃さんは雰囲気要員で選手ではなかったんだよ!てな展開で。それはそれでアリだな。ネタ的に。



第57話・ココロメグル  (2012年 18号)


本戦出場をかけた中部予選第4回戦。その先鋒戦は部長対決!
九士朗としてはまさかの展開であったが、黄桜さんとしてはしてやったりの流れ。
というのも、今年の尾張大付属。中部予選1、2、3回戦の相手はみんな大将のひなりんに三下をあててきた。

"強い選手は対象のひなりん以外と戦って1勝を"作戦
ちっと厄介だったからさ、今回は手を打たせてもらったにぃ。

なるほど・・・奇策をうってみた。どうだ!という感じの九士朗でしたが、奇策でもなんでもないと。
それどころか、他のところと全く同じ考えでしかなかったわけだ。
そりゃどこも考えることは同じだと言われますわ。
って。オーダー任されたのなら、今大会の尾張大付属のことも調べておきなさいよ!
そうすれば、今までの尾張大付属の相手と同じようなことしたよなんて解説にはならなかったでしょうに・・・
九士朗は本当にこういう仕事が荒い。まあ、最初から知恵役としては期待してませんですけどね。

緒戦からひな様の出番だと嬉しがるファンの女子達。
試合前なのになんか凛として堂々って感じで表情1つ変えずクールなひな様。超かっこいい!!

きゃあきゃあと騒いでいる女子には悪いが、その実ひなりんの内心は揺れていた。

どうしよう・・・相手は部長・・・きっと強い。
この先鋒戦、落としたら流れはあちらだ。
私が負けたら尾張大付属高は負けるかもしれない。
負けたら天娘になれない。天娘の願い事ができない。弟の――優二の病気が治せない。
そう考えると私は・・・私は――

緊張でガチガチだ。うえ〜〜ん

とか言いながら固まっている赤西さんで遊ぶ黄桜さん。何をしてますの。
実は大事な試合の前になるといつも緊張でガチガチになるという赤西さん。
二子さんとは違い、キリッとしたまま固まっているので傍から見れば凄そうに見えるって寸法だ。
どうやら遊んでいる黄桜さんの声も聞こえていない様子。やれやれ。

くだらん!何が弟だ・・・そんな些事にとらわれおって・・・
だから貴様は甘いというのだ!赤西陽菜!!それでもこの紫乃ゆかりのライバルか!?

カッと挑発する紫乃さん。しかし、その声も聞こえていない様子でありました。トホホ。

ひなりんと紫乃っちの絡みは面白いにぃ〜と黄桜さん。楽しそうで何よりです。
とはいえ、このままでは本領を発揮できない可能性はある。
見た目はクール、中身は普通のひなりんのためにも、もう一手打たないとにぃと黄桜さん。どこかにメールを送る。

さて、一方の結日高校。してやられたと悔しがる九士朗。
思いつきの奇策なんて早々うまくはいかないって話ですわね。
部長なら赤西さんだって倒せるはず、と言いながらも鬼のような赤西さんを思い浮かべて震える二子さん。
あの遊ちゃんですら思い出して震えるぐらいだし、やはり凄い食べっぷりのようだ。

先鋒戦どころか、オーダー戦の時点で敗北を喫したような様子の結日高校。
天子ちゃんや哲っちゃんがどう声をかけたものかと焦っているじゃないですか。

そうこうしているうちに、先鋒戦のメニューが発表される。
皿には蓋がされている。蓋はコトコトと揺れ、中にはじゅうじゅうと音を立てた食べ物が用意されている。
その様子に3回戦のマーボー豆腐を思い出して青くなる天子ちゃん。

本日1発目のメニューは――広島風お好み焼!!

1皿1/4切れで150gでございます。
大漁のキャベツに、焼きそばらしき麺が見える。ソースの上にはネギが振りかけられている模様。おいしそう!
観客は沸き返るが、天子ちゃんはやはり青い顔。

熱いの・・・コワイ

じゅうじゅうと言う音が聞こえただけで真っ青になり震えだす天子ちゃん。
うーむ、やけど自体は大したことなかったが、思ったよりも精神的ダメージは大きかったようだ。
行くべきは口腔内科ではなく、精神科だったかもしれませんな。

2年の2人とは違った理由で震えだす天子ちゃん。皆が一様に不安そうにしている。
そこで立浪部長。自身も不安そうな様子ではあったが、なんとか笑顔を作り出してみせる。うふふ〜。

ダンゴちゃんはお好み焼食べなくていいのよ〜
それにお好み焼はあんかけおこげやマーボー豆腐ほど熱くないしね〜
今日はダンゴちゃん。なんでもガツっと食べないようにね〜

改めて注意される天子ちゃん。定期的に言っておかないと忘れちゃいそうですしね。
そして、天子ちゃんだけではなく、他の部員も元気付ける立浪部長。

私が赤西さんをしっかり倒しちゃうから応援よろしくね〜

この言葉に一斉に元気を取り戻す結日高部員。わいわい。部長ならきっと勝てるわよね。
なかなか信頼されているじゃないですか。
叱ることはできない部長だが、元気付ける点に関してはちゃんと部長らしい行動ができるようだ。

私がしっかりしないとね〜
今年が天食祭本戦出場のラストチャンス。
相手は去年の中部王者の部長さん。もし私が負けたら・・・

私が不安がっちゃダメ。しっかりしないと・・・
私は部長なんだからしっかりしないと。しっかりしないと・・・

口では倒しちゃうと言ったものの、やはり不安は大きいようだ。はてさて。

そして、いよいよ始まる先鋒戦。
出番というのに相変わらずガチガチしたままのひなりん。
そのひなりんに向けて黄桜さんは携帯の画面を目前につきつける。
映っていたのは弟の優二くん。
ヒナ姉ちゃんファイトとスケッチブックに描き、持った姿を映して送ってきてくれたようだ。
これはこれは・・・思わずひなりんの顔が緩んでしまってもしょうがないってもんですよね。

どうやら赤西さんの緊張は解けたようであります。
ガチガチだった状態から、黄桜さんに拳骨をかませるぐらいには回復した模様。

まったくメイは・・・余計なことして。

そう言って試合の場に向かう赤西さん。なんだかよい関係ですね。
黄桜さんができる小細工はここまで。
いつも通りのひなりんなら相手が誰でも食材がなんでも問題なしだにぃ〜とのこと。

さあ、両校の部長が舞台に上がった。
これより先鋒戦。45分制広島風お好み焼勝負・・・開幕いたします!!

部長という立場ゆえ、皆を元気付けねばならなかった立浪部長。
部長という立場であるが、仲間に元気付けられる赤西部長。
微妙に対照的な感じの出だしとなった2人。
みんなのためにも勝たないとという想いが立浪部長にはあるが、赤西さんも弟のために負けられない。
モチベーションは互角となると、実力差がある以上、立浪部長の勝ちは難しいところだが・・・?
試合展開によって状況を好転させることができるかどうかになりますな。どうなることやら。



第58話・あちら側  (2012年 19号)


本日最初の大食い料理は――
クレープ状にのばした生地に、けずり粉にたっぷりのキャベツにもやし!!
そこにいためた豚肉とそば!!さらに玉子でふたをして〜ひっくり返す!!
焼けたらソースとマヨネーズ。広島ねぎで彩り完成の――広島風お好み焼!!

こげたソースの香りだけでごはんが何杯も食べられそうだぁ〜〜!!

お好み焼きをおかずにご飯を食べる、か。よく聞く話ですね。煽りとして。
その点はさておき、目の前で調理過程が実況されるのはよいですな。食欲をそそられる。
遊ちゃんもヨダレを垂らして可愛いことになっている。
まあ、天子ちゃんは相変わらず耳を塞いで苦しんでますけどね。

1皿1/4枚(150g)で競われるこの試合。
公平さを保つため、両選手の食す皿は、各々個別のお好み焼よりお配りします!

そうしないと公平性を保てない意味もよくわからないが、まあいいですわ。
配られる具材の配分で差がでるかもって意味かもしれないが、それならあんかけおこげのあんでも差がつきますですの。

まあ、ともかく。
全4戦、天食祭本戦出場決定戦の先鋒戦!始め!!

いただきますの声と共に開始される両校の部長対決。
開始から結日側は立浪部長に勝ってくださいーと声援をあげる。
逆に尾張大付属は静かなものである。亀子ちゃんは応援したがっているが、他の3人は座って見守るのみ。

くだらん。誰が好き好んで赤西の応援などせねばならん。

とは紫乃さんのお言葉。
でも、赤西さんが負けそうになったら一番に声をかけちゃったりするんでしょ?わかってるねんで。

青葉「"自分の応援するより休んで〜"ってひなちゃんがさ――」
黄桜「戦ってるひなりんに応援は無駄だからにぃ〜」

付き合いの長い2人としては、これが普通といった感じのスタイル。
そんなこと言われましても。ならば自分だけでもと声援を送る亀子ちゃん。しかし、赤西さん無反応。
なるほど。戦っている間は集中しすぎていて周りの声なんて聞こえようもないって話か。
でも声援ってのは魂に響くもんなんだよ!たとえ耳に入らなくても心に届くかもしれないじゃないか!
少年漫画ならそういった展開がありそうなものなのですが残念ながら――ん?

今日のひなりんもいつも通りの集中モード。この試合も問題ナッシングだにぃ〜

何はともあれ、集中しているのはよいことだって感じですかね。

お好み焼の角をむにっと切り取り口に運ぶ。そばがばらけて食べづらそうだ。
そう考えると、皿に散らばった食材とかはどうなるんだろう?
残していたらさすがに完食したとは見なされませんよね。
となると、最後に散らばったものを処理しないといけないわけだが、ひとつひとつ摘むのは時間の無駄である。
てーことはあれだ。あれですよ。皿を舐めるようにして残ったものを処理するって動作があるんじゃないか?
皿を口に近づけて流し込むのでもいいけど、そっちよりはこの動作のほうが速い。
少女たちの皿舐め映像が延々と繰り広げられるという展開になるのでしょうか!!?

なりませんでした。アレー?
そういう行為は礼儀的にアウトとか言われちゃうんだろうか。切ない。

それはさておき。九士朗は緊張した面持ちでこの試合の行方を見守っている。
この先鋒戦・・・仮に部長が負けでもしたら、残りの3試合相手にそのままのまれる危険がある。
この試合の負けはそのまま、結日高食い道部の敗退につながるんです・・・
部長、この試合。どうか勝ってください。

そんな大事な試合に、なんで部長を先鋒に放り込んだし。
精神的な支柱でもあり、確実に1勝が欲しいなら次鋒にすべきでしたね。
それなら仮に先鋒が負けても、次の部長が動じず取り返してくれ、望みをつなぐこともできた。
九士朗の策は本当に裏目裏目でありましたな。勝てば結果オーライなんだろうけど。

開始35分経過。展開早いな。
両者、差はほぼなしで10皿を完食する。
どちらの表情にも満腹による限界は見受けられない。残り10分でどこまで食べ進められるか。

さすが部長だ!赤西さん相手に互角に渡りあってる

裏目マネージャーの九士朗が立浪部長を褒め上げる。不吉な!
その横の天子ちゃん。顔を紅潮させて試合に魅入っています。思わず息をするのも忘れていたって感じだ。

私・・・試合始まってからずっと、部長さんたちを観てたんですけど。
あの2人、35分ずっと自分のコップとお皿しか見てないんですよ

見てないというか、見えてないというか。
あの2人をじっと観てるとひきこまれて、観てるこっちまで力入ってしまって、それで・・・

言われてみるとたしかに。2人とも自分の皿だけを一心に見つめている。
相手もタイマーも見ずに45分間ずっと食べ続けようとしている。
1対1の勝負で相手の動向が気にならないわけないのに・・・
大食い競技中にタイマーや皿の枚数に視線を向けずにいられるのか!?

・・・2人とも、自分のベストを尽くすことだけに集中しきってる!?

2人をじっと観てるとひきこまれてしまうと天子ちゃんは言う。
どれどれ・・・
おぉ。確かに。観ていると、タイマーも司会も、机もイスも、背景まで消失する。
こ、これが2人の世界ってやつなのか・・・?
集中しすぎて2人が独特の世界を作り上げてしまっているようだ。これには九士朗も驚愕。

・・・まっさか中部予選で龍聖学院の三ヶ月っち以外にひなりん側の奴がいるとはにぃ

なんだそりゃ。
黄桜さんが怪しげなことを言い出したぞ。あちら側とは一体どういう意味なのだろうか。
九士朗はすぐには気づけず、天子ちゃんがすぐに気づけた辺りにヒントがありそうだ。
元々天子ちゃんは花の咲いた空間を生み出す能力の持ち主。
ならば、独自の空間を生み出す2人の姿を真っ先に見分けられても不思議ではない。
あちら側ってのはようするに、あっちの世界に行っちゃう人のことを指しているのだよ!!本当にそうだったらどうしよう。

それかアレですね。大食いの境地の更に奥。そこには3つの扉があったとかいう展開。
ここからてんむすも超スキル大食い漫画になるって布石だ。
・百錬自得の極み――現在の両部長の能力。集中することで爆発的な食事量を誇ることができる。
・才気煥発の極み――三ヶ月部長の能力。頭脳を活性化させることで、どのペースで食べれば相手を1皿だけ上まれるかがわかる。
・天衣無縫の極み――天子ちゃんの能力。難しいこと考えずに、んっまいよー言ってればいっぱい食べれて勝てる。

てな感じに分類とかされちゃったりするんじゃないかと思わないでもない。どうだろうか?どうなんでしょうね。



第59話・無心  (2012年 20号)


あの2人をじっと見てるとひきこまれるようで・・・

天子ちゃんの言葉に従いじっと見てみると、確かに。
彼女たちの食べている姿以外は何も見えなくなる。これは、天食祭の正しい見方なのかもしれない。
これならウザイ司会も視界に入らず、女の子だけが見れる
なるほどー。推奨すべき試合の見方って話ですやね。

ここでいきなり試合開始直前に時間は巻き戻る。
料理を目の前にし、いざ勝負という段階。その時点でも緊張が抜けていない立浪部長。
地に足が着いてる感じがしないとのこと。これまでにない重圧がかかっているようですな。
もし負けたら・・・その考えがどうしても負担となってしまっている。

ダメね〜余計なことばかり考えちゃうわ。集中!!

丹田に力を入れ、深呼吸。なんとか落ち着こうとする立浪部長。
余計なことは考えちゃダメ。今は赤西さんに勝つことだけ・・・いやそれも余計なこと。
今私が考えるのは――私のベストを尽くすことだけ!!

その結論に至った直後に試合が始まる。
とはいえ、すぐにそれが実行できているわけではなかった。
どんなペースで食べればよいか。赤西さんはどんな攻め方をするのか。そういったことが気になっている。
だけど、それらが気になるのは集中できていない証拠だと考える立浪部長。

この世界にあるのは私とコップと広島風お好み焼だけ。それ以外のものはないのよ〜
集中。集中。集中。集中。集ちゅ――

意識を集中させまくった結果、立浪部長は1人の世界を作り出すことに成功した。
まさしく、自分とコップと広島風お好み焼のみの世界である。

前回天子ちゃんは、試合開始からずっとこんな様子だと言っていた。
でも、最初の5分ぐらいの間は集中しきれていなかったんですな。
まあ、だからといって、天子ちゃんの話は嘘だったんだね!なんていうつもりはないですけど。

世界に没頭している立浪部長。時間も対戦相手も気にせず、ただ食べることに集中している。その結果――

おいしい・・・おいしい・・・幸せね〜

なるほど。余計なことを考えることもせず、幸せそうに食べ続けることができていますな。

あら〜何か大事なこと忘れてるような〜
そうだわ〜今大食い競技中だったわね〜
えっと・・・今わたし何皿食べたのかしら〜
あら〜・・・11皿!いつの間にかしらね〜
残り時間は・・・あと6分・・・なのにこんなに体が軽いなんてはじめてね〜
・・・じゃあ、相手の赤西さんは・・・どんな様子かしら〜

残り6分という状態で、己の世界から飛び出してしまう立浪部長。
赤西さんは己の世界に没頭したままであり、こちらのことは眼中にない。
その様子に気づき、慄く立浪部長。なんだか猫に睨まれたみたいな感じっすね。

ぷつん

急に体が重く感じられる立浪部長。忘れていた満腹感が襲ってきたのだ。
その立浪部長の様子を見て嬉しそうにしている黄桜さん。
あたふたと周囲を見回す素振りから、集中力が切れあっちからこっちに戻ってきたとわかる、とのこと。

それで今まで無自覚だった満腹感を認識してるのも顔に出ちゃってるにぃ〜

龍聖学院の三ヶ月っちやひなりんばりの集中力にはおみそれいった・・・
けどそれが途中で切れるようでは立浪さんもまだ雑念が多いにぃ。
ひなりんなら試合終了まで、槍が降ろうとも途中で集中力が切れるなんてありえない・・・
あっちにいく程集中したひなりんには雑念どころか・・・
天娘の願い事とか天食祭とか、病気の弟のことすら頭にないんだろうにぃ

そんなひなりんは相手からすればさぞや鬼のようにみえるだろうにぃ〜

ふむ。これが鬼食いの正体でありましたか!
一応、鬼気迫る様子という伏線は回収された・・・?
天子ちゃん視点というか、傍から見ている分には鬼どころかむしろ可愛い食べ姿に見えましたけどねぇ。
没頭しすぎていて逆に怖いという意味合いだったとは、いやはや。
立浪部長も今まで見たことがないような表情で怯えている。誰だアナタは!ってレベルだ。
どうでもいいが、この1ページ丸まる描かれたひなりん。足はどうなっているんでしょうか?
映っているのは左足なのだろうか。そう考えた場合、右足はフキダシに隠れていることになる。
だとすると、微妙に大股開いているような気がしないでもないが・・・
槍が降っても気づかないひなりんである。微妙な姿勢になってても気づいてないかもしれないな!

それはさておき。タイコの音が鳴り響いて試合終了。
結果は12と1/3皿(1850g)対13皿(1950g)。両校部長対決の先鋒戦勝者は――尾張大付属高食い道部、赤西選手!!

大黒柱の立浪部長敗れる!!
結日高校としては恐れていた事態となってしまいました。
しかも、敗れた姿が痛々しいという感じで、より敗北感を引き立たせる・・・
実際のところ皿差はそんなにない感じなんですけどね。
集中が切れた後もよく頑張っていた感じが見受けられます。さすがに立浪部長といったところか。
それでも敗北は敗北。今後の3人への影響は大きい。果たしてどうなるか。

己の世界に没頭する食べ方はどうやらかなり強力ということだが、果たしてそうなのだろうか。
一番有効な点は、満腹感すら忘れることができるという部分でしょうね。
立浪部長も言っていた通り、40分近く食べていたのに体が軽いという。
途中で集中が切れなければ、満腹を覚えることすらなく最後まで突っ走れたかもしれない。
逆に、現状の差とか気づけないのでスパートとかもかけようがない。
出足が少し遅れていたのに気づかず淡々と差がついたままペース維持して終わるってこともありえるわけだ。

そう考えると、ここでこそ3回戦のような熱々料理が生きてくるんじゃないでしょうか。
熱い料理であれば、食べる速度は集中していようがいまいが余り変わらない。満腹になることもない。
いくらなんでも、口がやけただれても集中してるので気になりませんって話ではあるまい。
集中したひなりんは淡々と食べ続けたので、リンちゃんのスパートに気づかず敗北・・・なんてあったかも知れない!!
リンちゃんだと、それよりも前の段階で鬼食いにビビって動き止ってたかもしれないですけどね。

そういえば、赤西さんはなんでタイコの音だけで戻ってこれたんでしょうね。
事前に帰ってくる合図を定めていたのでしょうか?
そう考えると催眠状態に近いものがあるのかもしれませんな。
全国辺りには、控えに催眠術師がいて全員あっちの世界に送ってくるという高校が現れるかも。卑怯な!



第60話・曇りのち・・・  (2012年 21号)


天食祭本戦の出場が懸かった大事な試合の先鋒戦。
いきなりの部長対決、その戦いに負けてしまった結日高校。これは最悪の立ち上がりだ!

ごめんね・・・みんな。

謝る部長。その姿には当然のごとく精彩がない。
迎える部員たちもなんだか絶望に彩られた表情をしている。
普段強気な感じの遊ちゃんが一番泣きそうな感じになっているのは・・・悪くない。

調子は万全。今までにないくらいに集中していた立浪部長。
しかし、ふと集中力が切れてしまった瞬間が命取りでございました。
皿差はそんなにないけど、敗れたという事実と敗れ方に問題がありましたな。
部長の私があとにつづくみんなのためにも負けるわけにはいかなかったのに・・・
そういった意識が強くなりすぎたのが敗因だったかもしれませんな。

まだ先鋒戦が終わったばかりで、残り3戦ある。
しかし、結日は既に敗戦ムードが漂っており、一様に暗い表情をしている。最悪だ。
九士朗の当初の予定では大将戦での部長対決を避け、確実な1勝と流れを得るはずだった先鋒戦。
それが、1勝を獲り逃し、得るはずだった流れも獲得できなかった。

精神的支柱の部長が負けたことでみんな呑まれてる・・・最悪だ
このままでは残り3戦全敗もあるえる・・・最悪だ
3年の僕と部長にとって今日の試合が天食祭本戦出場のラストチャンス。なのに・・・なのに・・・最悪だぁ!!

最高だにぃ

最悪を連呼する九士朗に対し、尾張大付属は最高の結果を得ている。
ムードを取り戻すために明るく振舞う九士朗。喜びを押さえて無表情に喜ぶ黄桜さん。なんだこの対比は。

黄桜さんの策は見事にハマッた形。
1、2、3回戦の相手は強い選手を、大将のひなりんを避けてきた。
なら今回はとひなりんを戦法に据えたら相手の部長を緒戦で下すことができた。
100点満点の先鋒戦・・・キスしたくなるくらいベストな活躍だにぃ、ひなりん。

そんなベストな活躍をした赤西さんだが、部員の前でいきなり謝罪を口にする。ん?

相手より、たった100gしか多く食べられなかった
全4戦2勝2敗の際は総量が勝敗をわける。万全を期すためにも、もう少し食べるべきだったのだが・・・

そういう謝罪でしたか。そんなことなら、く・だ・ら・ん!と切り捨てる紫乃さん。

周りが見えなくなる程集中した貴様に状況判断する頭などないであろう
できもしないことほざくな。ひっこんどれ。

全く持って正しい指摘でありますな。
ひなりんの集中モードは満腹感を消し大量に食べれるメリットはあるが、状況判断はさっぱりできなくなる。
ある意味先鋒に持ってくるのが正しい人なのかもしれない。
最後、追い込みが必要って状況でもスパートかけたりとかできないわけですからねぇ。

さらに、集中モードには副作用がある。
無敵ではあるが、集中が切れた後は倒れるほどの疲労がおそう。
人間、集中できる時間は限られているといいますからねぇ。深く集中するとその分疲労も激しいってもんだ。
倒れるほど疲れている赤西さんだが、こんなもの優二に比べたら大したことはないと言う。

優二ぃの病気を治してと、天娘になって願うためにも、まずは天食祭本戦出場・・・
次の次鋒戦に勝てば2勝で、本戦出場に王手をかける。

その次鋒戦。一体どのような組み合わせになるのだろうか。
結日の面々は次は誰が出るのか聞かされていない。オーダーは九士朗が組んでいるが、順番は明かしていない様子。
心の準備とかあるんだし、事前に明かしておきなさいよ。

気分をチェンジしてこーと叫ぶ九士朗。相変わらず必死だ。
でも全くついてきてくれる感じがないので、仕方なくマジメな顔になる。

次鋒は――二子ちゃん
二子ちゃんなだけに2番手の次鋒がいいってね。

そんな理由ですか。
いや、さすがの九士朗もそんな理由で決めたりはしない。
当初の予定では先鋒戦で部長が勝ったあとの次鋒戦。
緊張しいの二子ちゃんでも大丈夫。そう考えての順番だったわけだが・・・よりによってこの結果だ。

というわけで二子ちゃん!勝ってこの空気を変えてくれ!!

思いっきり沈みきったこの空気を変えるには勝利が一番である。
その勝利は二子さんに託された。さあ、その意気込みを聞かせてくれたまえ!

む・・・む、無理よ!!
こんな状況で食べられるわけないわよ!!

キレた・・・酷い逆ギレだ!!
体育会系の競技っぽい大食い大会で、試合前に無理と叫ぶのいかがなものだろうか。
長野女子だったら制裁されそうなセリフである。
しかし、アガリ症の二子さんですし、これは逆にうまいこといくかもしれませんなぁ。

勝敗を考えるのが怖くて仕方なく、とにかく食べることに集中する二子さん。
集中集中集中集ちゅ――
食べることに集中することで、二子さんも集中モードを会得するのであった。とかいう流れで。
周りの声とか勝敗が気になるなら食べることに集中すればいいじゃないって話だ!
まあ、逃避したら強くなるっていうのもどうかと思いますけど・・・瓢箪から駒ってやつですよ、うん。


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