蒼天紳士チャンピオン作品別感想

範馬刃牙
第236話 〜 第257話


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範馬刃牙 29巻


第236話/煙払い  第237話/報告  (2011年 4+5号)


モンハンコラボと合わせての刃牙3倍祭りの開催である。
カラーページで千春と花山。刃牙と勇次郎。
それぞれ目指す相手があり、道を上っていこうとしていることの対比ですな。

でも、一話目は烈先生の話だったりするという!

ダウンを奪った烈先生。観客騒然。セコンドも驚いている。
アライ父は言う。ジョーがダウンから起き上がるとき、ボクシングはスポーツの範疇を超える。
競技とは呼べなくなる・・・・・・・・・
元々烈先生の戦い方はボクシングの範疇に収まっていたのかどうか。
まあ、2つの拳で戦うという部分は覆してないからいい、のか?

ともかく、ジョーが起き上がり戦闘再開。
前に使った目隠し戦法はジョーにも有効だった。烈先生のパンチがアゴに決まる。
さらに飛び技。相手よりも高く飛び、拳を雨あられと叩きつける。

そしてまたもや回想シーン。またもや新しい先生だ!
さすが、烈先生。名門の出というだけあり、先生も多いんですね。
というか、老人連中に凄腕が多い印象だ。中国拳法っぽいっちゃぽいな。
若くして天才拳士と言われる烈。しかし、先生の飛び技にただの一打も打ち込めずにいる。
頭上から襲いくるものは防御ぐことしかかなわぬ。
つまり、天内の戦法は正しかったということですね!
これは、ついに天内の復活があるかもよ。そういえば、元々アメリカにいたんじゃなかったっけか。

天内の話はともかく。
回転を加えた飛び技により、ジョーが再びダウンし、一話目終了である。
しかし、飛び技のパンチって威力あるのかな?大地の踏ん張りを利用しない手打ちになりそうな印象ですが。
ハッ!そういえば、飛び技を武器に全日本Jr代表にまでなった男がいたじゃないですか!
これもまた車田正美リスペクトというやつですかね!?

それにしても、ジョーがダウンすると競技とは呼べなくなるというのはどういうことだろうか?
確かに烈先生の動きはボクシングの範疇を超えだしたけど、そういうことじゃないよね。
もしや、仏の顔も三度までとかいうアレですか。三度目のダウンを迎えた後、ジョーは鬼に変わる!
同ラウンドで三回倒されたらゴングですね。ダメだ!

さて、2話目。
花山組本部。千春が刃牙との戦いを花山さんに報告していた。
やれる限り、出せる限りのものを出し尽くしたと語る千春。
どう負けたかと問う花山。

こうして突き出した2本指に、ぶつけてきたんです。眼玉を。

・・・
・・・
眼じゃねェんじゃねェか・・・?
いえ・・・眼です。

・・・

なんだこの間は!
でも、いいたいことは凄く分かる。このシュール差はなんか笑える!
そして花山さんは問う。千春、お前に同じことはできるか?

できません。
なんでだ?

なんでだはないでしょ!何かおかしいよこの2人の会話!
おかげで千春もおかしな表情になって、刃牙の行動を説明することになる。
超ォ〜〜〜すっごいスピードで、眼玉を超ォ〜〜〜ぶつけたとしたらですよ。
超いうな!
具体的に聞かれて、新幹線並のスピードじゃないかなと赤面しつつ言う千春。
先週までボロボロになりながら戦った男とは思えない顔芸っぷりだ。

一方、その新幹線ダッシュを行った刃牙は眼を冷やしていた。
鏡を見て、大事なさそうなことを確認し、一安心。
そして師匠に向かって最上の礼を見せる。ド・ゲ・ザ。
ひょっとしたら、これは土下座ではなく、攻撃の姿勢かもしれませんけどね。
ゴキ師匠を越えるために、最後の攻撃を仕掛ける刃牙!なんて展開が・・なくてもいいのでやらないでください。

さて、最後のページ。
栗谷川さんは言う。御老公の恢復を祈願するための極上のマッチメークをと。
ついに徳川のジッチャンが動き出した。一体何をするつもりなのか?
烈先生の戦いは続けたまま、そっちの展開を進めるつもりなのか?
親子対決は来年中に始まるのか?疑問は尽きない。



第238話/マッチメイカー  (2011年 6号)


今週は徳川さん&栗谷川さんの方のお話です。
御老公の病が尻尾を巻いて逃げ出すような極上のマッチメークを組んだという栗谷川さん。
大層な自信でございますな。
まあ、その第一陣が徳川さんのアイドル、愚地独歩であるならば自信も持てましょう。

というわけで、ここからは回想。
都心で起きた事件の防犯カメラが残した映像を元に、回想が始まる。
また独歩ちゃんは素人さんをいじめているのか?とか思ったがそうでもない様子。
考えてみれば牛刀で切りかかる素人さんはそういないか。

その男と武神はすれ違った。それだけで武神は異常を感じ取った。見事な戦いへの嗅覚である。
実際の嗅覚も凄い。脂と金属と新聞紙のインクの匂いとか普通には分からない。
そこまで感じ取れば、武装していることはあきらか。この男、どこかでやらかす!

その予感は当たっていた。よりによって子供相手に斬りつけようとする
これはとても許せるものではありませんやね。
誰でもよかったというならもっと強い相手を狙わんかい!

というわけで、強い相手に斬りかかる刃物男。その結果は――

甲状軟骨(のどぼとけ)切断
恥骨破砕
肋骨開放性骨折

開放性骨折というか、抜き取られてますやん。どこの郡将カイゼルかと
まあ、強い相手に向かうとこうなるというわけですね。酷い目にあう。
だからって反撃されにくい弱い相手に向かわれても困るので、おとなしく酷い目に会ってください!

空手には存在してはならない技術がある!
高校の空手道漫画では、決してやってはならない技ばかりですな。
というか、本当にえげつけない技である。地下闘技場ではあれでもキレイな戦いをしていたというのか!?

これには御老公も驚きの表情である。
抜き身の技を使うドッポが見たいとか言い出しかねない。
シコルスキー辺りがまた生贄になったりするんだろうか?
いや、さすがに極上のマッチメークなんだし、同じぐらい強い相手との戦いが読者としても見てみたい。
渋川さんとの達人対決は既にやったし、誰が出てきますのかなぁ。



第239話/好事魔多し  (2011年 7号)


凶漢を叩きのめした独歩ちゃんは、警視庁で事情聴取を受けていました。
ああ、やっぱりそうなりますよね。

独歩いわく、使用法に誤りはないが、できることなら封印しておきたい技術であったとのこと。
一部の例外的なケースを除き、存在してはならない技。
今回はそのケースに当たるので使用法に誤りはなし!

独歩が述べた例外的なケースとは

・不当な暴力による愛する者への、生命の危機
・圧倒的弱者への一方的な暴力的気危害
・戦争

今回は真ん中のケースが当たりますかね。
ドリアンが奥さんを襲った時なんかは、一番目に当たるんでしょうな。技を使う前に倒されたけど。
というところで、独歩ちゃんの話は一区切り!
っておい、マッチメークの相手はどうした!?酷い区切りである。

場面は烈先生に。
ジョー氏は2度のダウンを受け、残りエネルギーは風前の灯の状態。
しかし、ここからは殺し合いだとアライ父は言う。
烈先生の連打が当たるが、ジョーは反撃をしてくる。
反撃をもらって危機を感じた烈先生は宙に逃れる。
が、その空中で殴られる。これはカッコ悪い。

乱打戦に持ち込まれる。やはりヘビー級のパンチは重いのか、烈先生が押されだす。
ピンチなのはわかるけど、殺し合いと言われるほど凄惨な試合ではないなぁ・・
とか思っていたら、烈先生が不穏な握りをし始めましたよ!

ジョーがダウンをした場合、そこから先は試合とは呼べなくなる・・
つまり、倒れにくくなるので、相手が危ない攻撃をしだして凄惨なことになる(ジョーが)ってことかッ!!

イッツ・・・スモーキンジョー・・・
一本拳で顔を引き裂かれるジョーが見られるわけですね。
あれ、その技どっかのロシア人が使ってたような・・



第240話/一本拳  (2011年 8号)


烈先生がグラブの中で一本拳を作り出す。
半身に構えた烈先生はなかなかカッコイイっすな。

人中に一本拳を押し当て、振りぬく。
タフなジョーであっても、これにはたまらない。

人中とは顔面神経の分岐点。
痛急所、当込急所
仮死または殺傷に至る急所にて四肢を麻痺させ、行動を完全に停止させるという。

10カウントを取り、レフェリーが手を交差させ、試合終了。
あれ?3度目のダウンじゃなかったっけ・・?
長い勝負になってたから、今が何ラウンド目なのかもわからなくなってますよ。

ともかく、烈先生の勝利です。
アライ父はミステリアスと呟き、冷や汗を流す・・・この人の言葉は本当に参考にならんな!
コーチは大喜び。ホンモノのヘヴィ級に勝っちまった!と叫ぶ。
前に戦ったデカイのはニセモノだと暗に言っておるのですかね。失礼な。

祝福して去っていくスモーキンジョー。その背中を追う烈。
自分が使ったのは正式なボクシングの技じゃないと言いたかったのでしょうかね。
しかし、その足は止められる。
チャンプだ、王者だ、チャンピオンボルトッッ!
現役のヘヴィ級チャンピオンが烈先生を祝福に現れた。

といっても、のっけからミスターイエロー、ですしね。
逃がさないよ宣言を行って来るボルト。その膂力は烈先生も驚愕させる。
これは強そうだ、が、まだまだボクシング編は続くということなんですかねぇ。むう。

といいますか、烈先生にイエロー言われましてもピンと来ない。ガングロ海王ですし。

ボルトは強そうだ。さすが、チャンピオンなだけはある。さすがチャンピオンなだけはある。
大事なことだから2回いいました。チャンピオン最強!



第241話/最速と最強  (2011年 9号)


ボクシング界の頂点、チャンピオン現る!

2メートル5センチの長身。
名前は、ウィルバー・ボルト!
神話の住人と呼ばれる男である。

アライ父も神サマと呼ばれてましたしねぇ。今回は、現役の神話の住人ですよ。
まあ、この経歴ならば神クラスと呼ばれても仕方ないか。

20歳のころ、オリンピック短距離走に出場。
スターターが変形するほどのロケットスタートのまま、人類初の9秒前半でゴール

大会後、世界最速となったボルトがボクシングに転身。
一月に一度のペースで試合を行い、KOの山を積み重ねる

デビュー2年後にはタイトルマッチでベルトを奪取

そして、残る3本のベルトも1シーズンごとに彼の肩にかけられていった

最速にして最強。
それが、ウィルバー・ボルト!
神話の住人である!

やぁ・・・凄いっすね。
元ネタはやはり、ウサイン・ボルトでありましょうな。
本人は、将来サッカーへの転身を考えているという話があったが、まさかボクシングに行くとはね!

元のキャラより、身長や100mの記録等が少しずつ伸びていますな。
最速にして最強――スピードこそパワーってわけですね!ラディカルだなぁ。

最初の、スターターを壊して走る姿を見て、何かに似ていると思った。
そう、刃牙のゴキブリダッシュである。
あのダッシュも履いている靴を一度で破壊して放たれたものだった。
つまり、ボルトと刃牙には共通点がある!すわ、新たな範馬の種か!?ないな。

その、世界中に種をバラまいたと爆弾発言しながら、その芽が芽吹いている様子の見えない鬼父さん。
ストライダムと葉巻を楽しんでおります。
勇次郎曰く、親子対決は近いとのこと。いや、親子喧嘩ッスか。
親子喧嘩なんて、予感して行うものじゃないでしょ。また刃牙さんに生意気なこと言われるぞ。

ストライダム「刃牙は君に、食事を造作らせようとしているのだぞ!」
勇次郎「戦場生活は長ぇ・・・料理くらいは・・・」
ストライダム「作るのか!?

予想以上に勇次郎は飯炊きにノリノリであった。

強大にして傍若無人の塊のような勇次郎からそんなセリフを聞く。ストライダムの驚きは大きい。
でも、優しくなったとか丸くなったとかいうと、勇次郎は怒ります。
オレは丸くねぇ!尖ってるよ!雷だって真っ先に落ちるよ!トンガリすぎ!

まあ、本人は隠しているんでしょうけど、読者からしたら、勇次郎が親バカなのは知れ渡ってますしね。
血の濃い刃牙に対する構いっぷりは半端ではない。

息子の刃牙の方も何かの予感を感じていた。
再び親子がテーブルを囲む日は近い!?
今度は本当にマズイコーヒーを淹れて激怒させるんですかな?
どうせなら、一服盛っちゃえよ。一服が百服でも足りないような気はするけど。



第242話/逞しさ  (2011年 10号)


親子喧嘩が近いことを感じた刃牙は御老公の下に。
範馬勇次郎に立ち向かおうとする刃牙を頼もしいと徳川のみっちゃんは言う。

範馬勇次郎。ああいうのは逞しいとは言わない。
地震やカミナリ、台風を逞しいとは言わないのと同様である。

地震、雷、火事、親父ってことですかね。こりゃ見事な災厄だ。
でも、確かに勇次郎は災害レベルの暴力かもしれない。

徳川さんにとって、範馬の親子喧嘩は、この世の全てに勝る最大のイベント!
警察、機動隊、自衛隊。全てを動員させてでもとことんやらせる準備はあるとのこと。

この親子喧嘩、絶対に止めさせん!

みっちゃんのやる気が凄まじい。
というか、誰が止めれるというのだろうか。墓から母親でも連れてくるしかないぞ。

というか、栗谷川さんが言っていたマッチメークの話はどうなったのよ。
刃牙が親子喧嘩の話もってきたら、極上のマッチメークなんて霞んじゃうじゃないですか。
みっちゃん自身、範馬の親子喧嘩が最大のイベントと言っちゃってるし。
タイミングを失いましたね、クリさん。

で、その話題の勇次郎。と、マッチメークにあげられていた独歩。
2人は飲んでいた。独歩ちゃん、無事に釈放されたんですな。用法に誤りはございません。

飲みながら2人は語っていた。そう、勇次郎が恋をしているということについて!

だ・・・・・・誰に!?

いきなりの恋してます宣言に焦る独歩。これが美少女ならいろいろ勘ぐれるセリフだぜ。
勇次郎は、倅に、刃牙に恋しているという。
表現がアレなので、独歩ちゃんも驚きを隠せない。
まあ、いつものとおり、育って向かってきてくれたのが嬉しいという意味なんですけどね。

気づいたら・・・刃牙のことばかり考えている。
何をしていても、心の隅に刃牙がいる。

確かに、そいつは恋愛でございますな。

さらに、勇次郎はよく見る夢があると言う。
それは、自分が刃牙に手も足も出ないという夢・・・

なんだろう、これは。負けたがっているというのか?あのオーガが!?
そのぐらいの強さをもった息子に育って欲しいという願望だろうか。そういうことなんだろうな。
この親バカがッ!!
というか、勇次郎を見おろす刃牙さんの顔がなんかムカついてしょうがないです。



第243話/親子愛  (2011年 11号)


習志野駐屯地司令、第1空挺団長の下にヘリがやってくる。
そこから降りてきたのは、誰あろう。内閣総理大臣である!

内閣総理大臣 神埼尚人

うむ、作品内の短い時間のうちにしっかり代替わりしておる!

それはともかく、総理は言う。
私も知識不足でね、と。
うむ、よくわかっているじゃないか。

それはさておき。
総理から空挺団長の陸相に告げられる。
範馬親子の親子喧嘩が勃発したならば、一般市民周辺住民を避難して欲しいと。

さすがにそれは大げさじゃないかねぇ。
邪魔する相手がいれば、全てなぎ倒してしまうだろうけど、外部に影響はあるのかね?
刑務所でオリバと闘ったときは、壁をぶちやぶったり受刑者に迷惑かけてたけど。
下手に騒ぎを起こさず、静かに動向を見守る方がいいと思うのだけど。
触らぬ範馬になんとやらだ。

で、その災厄に触らないという護身を完成させたのが渋川先生。
その渋川先生が刃牙に言う。あの父上から離れなさいと。

勇次郎から離れる刃牙。ふむ、結構想像しにくい話ですなぁ。
親バカ勇次郎も離れたがろうとはしないだろうし。この親子なんだかんだで結びつきが強い。
息子の情事に乱入してくるぐらい結びつきが強い。迷惑な!

この一言でまた親子喧嘩が延期なんて話になったら大変でしょうな。
また新しい総理が陸相に依頼を出しに行かないといけないことになっちまうぜ!



範馬刃牙 30巻


第244話/来訪  (2011年 12号)


かつて、範馬勇次郎は腕に覚えのある者、全ての標的だった。
確かに最大トーナメントのころ辺りはそうでしたな。
本部さんですら狙っていたくらいである。

それがいつの日からか、誰も名乗りをあげなくなった。
本部さんですら、日本刀を折られたらすぐに戦意喪失してましたな。

勇次郎は強くなりすぎた。あれでは目標にすらなり得ない。目標が遠すぎます。
勇次郎から逃げるのはもはや恥ではない。
兵器から逃げるのは恥でないのと同様である。まあ、勇次郎は天災レベルだしなぁ。

お逃げなさいという渋川さんに刃牙はいう。
これは果し合いじゃない。決闘でも試合でも腕比べでもない。
まさしく親子喧嘩であると。

この世に存在する全ての息子は――父親と対立する権利を持つ。
そして、父親は――それを受ける義務がある。
それが父と子のあるべき姿。

ふむ、結構深い話かもしれませんな。
親子喧嘩のひとつもしないと、子供の教育にはよくないのかもしれない。
刃牙さん自身、すっかり性格が悪くなってしまいましたしね。少年時代の刃牙さんは礼儀をわきまえていたのに・・・
まあ、これでも10代の刃牙さん。まだ性格矯正のチャンスはあるよ!
勇次郎が矯正してどうにかなるのか?という疑問はどこまでもついてまわるが。

さて、パンチングマシーンを破壊して夜の街を去っていく刃牙。何をしてくれるのアンタ。
あの機械は誰が弁償したのだろうか。栗谷川さんが通りがからないなら、あの3人組が弁償したのか?
やはり性格矯正が必要ですよ。

そんなことは置いておき、翌朝。料理に勤しむ刃牙さん。
彼には予感があった。というより確信していた。

今宵、親父と水入らず!

なんか、この言葉、語呂がいいな。
刃牙に恋する勇次郎はもう直前まで迫っていた・・・しかし、水入らずなのは今宵である。
つまり朝に出会ってもすぐには喧嘩にならない可能性がある。
朝から一緒に過ごして夕方辺りから口論開始、夜に喧嘩を始めるとかいう流れだろうか?
勃発までそんなに時間がかかるのも大変だな。自衛隊の方々の住民避難も長引きそうで迷惑な話だ。
やるならばとっととやるんだ!



第245話/親子、接触す  (2011年 13号)


父親を迎えるために料理を用意する刃牙。
前回4つに引き裂かれたちゃぶ台はすでに修復済みだ。って新調しないのか。

献立は以下の通り。
・焼き魚にたっぷりの大根オロシ
・キュウリの浅漬け
・メカブ
・ゴハンとミソ汁
・ステーキ

肉、魚、野菜と取り揃えた見事なメニューである。
いや、真ん中にステーキを持ってくるのは、なかなかに異様な気がするが。
というか、このステーキはどう作ったんだ?普通の家のキッチンで出来るものなのか?
あと大根オロシが本当にたっぷりなのがよいな。前のキャベツの千切りもたっぷりだったが。

勇次郎の席にはワインが用意してあるのも細かい気遣い。
でも、戦うのに、相手に酒を飲ませるのか?
いやまあ、親子喧嘩なら親は酔っているぐらいが丁度いいのか。酔っ払う勇次郎の姿は思い浮かばないが。

さて。料理ができあがったところで、やってきました父、勇次郎。
ちゃんと靴を脱いであがってきました。そして勧めに従い席に着く。

刃牙は、もうこの現実。親父が家に来て食卓を囲んでくれるというこの現実だけで満足気である。
ちゃんとした親子関係というのに飢えていた部分があったのかもしれませんな・・・
幼少の刃牙さんは、母親との関係も難しかったですし。

この範馬親子の慎ましい食事。しかし、この接触は国の一大事。
空挺部隊は素早く動いた。一七時三○、マルユウとマルバが、マルバ宅にて接触!
前回の様子から、朝飯を頂いているのかと思ったら、夕食だったんですな。
これなら、すぐに今宵親父と水入らずが実現できそうだ。
というか、マルユウとかマルバって表現はどうなのよ。

それはそれとして、親子の食事風景。まずは食事前の挨拶。
いただきま――!

勇次郎が――会釈!!?
いただきますの――会釈ゥ!!??

そ・・・・・・そんな習慣があったのか・・・ッッ

刃牙の驚き方は、何かおかしい気もするけど、おかしくはない。
確かに勇次郎が会釈するなんて考えたこともなかった。
もっというなら、箸を使って食事をするという光景も考えたことがなかった。

俺は・・・この人のことを、ちゃんと知っているのか!!?

最近の勇次郎は恋をしてみたり、みっちゃんに健康診断受けてるのかと聞いてみたり奇行が多い。
それが奇行と言われてしまうというのもどうかと思うが、災害クラスの存在だししょうがない。
いきなり将来の話とかされたらどうしよう。

刃牙「えっ?」
勇次郎「いや、ちゃんと・・・学校に通ってるのかってな」

勇次郎が息子の将来を気にするなんて凄い奇行も起こり得るかもしれませんよ。
ここで刃牙さんが胸を張ってニート宣言をすれば、自然な流れで親子喧嘩に移行できます。やったね!
本当にその流れになったら、勇次郎を思いっきり応援するわ。



第246話/教育  (2011年 14号)


「いただきます」
その言葉から始まった親子の食事。今回はその食事の様子が克明に語られる。

勇次郎がキレイに骨を取り除いている!
いきなりの驚きコマである。

手に入れる――とは、奪うこと
それが範馬勇次郎ではなかったのか!?

一体誰に会釈したのか。思い悩む刃牙。
その刃牙に向かって、勇次郎は語りかける。

漫然と口に物を運ぶな。
何を前にし――何を食べているのかを意識しろ。
それが命、喰う者に課せられた責任――義務と知れ。

な・・・なんてマトモな事を・・・ッッ!
あの範馬勇次郎が反論の余地もないマトモな事を喋っている!
徳川のみっちゃんが聞いたら激昂しそうなセリフである。それもどうなんだ。

俺は一体、この人の何を知っているというのだろう。

ここにきて、刃牙さんは悩み始めてしまいました。
わからないなら、わかるしかない。親子らしく語りかける。
体にいいから、メカブを食べるようにしてるんだぜ。パックだから、色々入ってるんだろうけど。

防腐剤・・・着色料・・・保存料・・・
様々な化学物質、身体によかろうハズもない。
しかし、だからといって健康にいいものだけを採る。これも健全とは言い難い。
毒も喰らう、栄養も喰らう。
両方を共に美味いと感じ――血肉に変える度量こそが食には肝要だ。

な、なんというマトモな受け答えだ・・・
この回答をするときの勇次郎の落ち着いた表情はどうだ。
まるで、威厳のある父親のようではないか。
これには、刃牙さんも思わず泣きそうになってしまう。

親父が俺にまともな教育をしてくれているッッ!
ああ・・・何てステキな裏切りの数々・・・ッッ

美しく箸を持ち、見事な作法で食事を行う勇次郎。
勇次郎は、いいところの生まれのようですし、作法を身につける機会はあったと思われます。
赤ん坊の頃から蛮勇だった勇次郎が学んだかどうかは定かじゃないですが。
目にしているだけで、身につけてしまいそうなのが勇次郎だ。テーブルマナーとて例外ではない!

魚って、あんなふうに食べるものだったのか・・・

喰い散らかした刃牙と違い、勇次郎の皿はキレイなものである。
これには刃牙さんも思わず唸る。

初めて親父が――まっすぐに誇らしい。
だから・・・だからこそ、言ってみたい!

親父ィ・・・・・・今日は洗い物やってくんね?

あの勇次郎に洗い物をさせる。これは暴言である。が、今の勇次郎にはどうだろうか。
なんだか見事な手際で済ましてくれそうな気配がある。

だが、それより前に、問題は刃牙の食べ方である。
最後のページを見ると、刃牙の側は食べこぼしがちらほら見える。漫然と口に運んでいるからだ!
この状態で洗い物しろなどとよくいえたものだ!いかん、普通に説教が始まりそうだ。
喧嘩に持ち込むなら、そこで逆ギレしてみせるしかない。
というか、もう刃牙さん逆ギレの方向でしか喧嘩起こせないんじゃないッスかね。

あまりにも、本編の流れが、普通なのにツッコミどころが多すぎて・・・感想も書きようがない!
ただ、事態を並び立てるだけで――既にギャグが成立している!
これが新手の感想殺しというヤツか。恐るべし。



第247話/ジャンケン  (2011年 15号)


食事終了!
勇次郎の美しくスマートな食事。
に比べ、刃牙の方はご飯粒が残ったり、ちゃぶ台に汁をこぼしたりとよろしくない。

食べ終わったところで、再び勇次郎が会釈をする。ごちそうさまの会釈だ!

間違いない・・・・・・ッ
親父は食事で――”いただきます”と”ごちそうさま”をするッッ

このセリフだけ聞くと、何を普通なこと言っているんだこいつは。と思える。
けど、対象が範馬親子というだけでギャグになる。これが積み重ねてきた歴史の力か!

さて、食事は終了したので、食器の片づけをしなくてはなりません。
食器を洗い場まで持って行くのは刃牙がやりました。
ここで言うのだ・・・ッ
地上最強の生物――範馬勇次郎にではない、父――範馬勇次郎に――
・・・否
親父・・・そう、俺の親父に――気軽に声を・・・

もの凄い緊張しながら、父、勇次郎に声をかける刃牙。

洗い物やってくんね?
(言った〜〜〜〜〜〜〜!!!)

勇気を振り絞って言ったのに、親父は無言である。なんで無言!?
恐る恐る振り返る刃牙。その目が衝撃で見開かれる!
目の前には拳を握った勇次郎がいた!おしおき?パンチのおしおきッ!?

否。ジャンケンだ

勇次郎「ジャンケンで俺に勝ったならば、食器を洗おう」

・・・・・・ッ!
わ・・・わかりましたッッ
(敬語使ってんじゃねェッッ!)

勇次郎の突然の提案に内心焦りまくりの刃牙。
どーゆー意味なんだこれは〜〜〜!?
いや、見てのとおりですよ。公平に家事分担をジャンケンで決める親子の図じゃないですか。

食器洗いを賭けたジャンケン勝負。
勇次郎はチョキ、刃牙はグー。刃牙の勝利だ。勇次郎の食器洗いが見れる・・・?
と思いきや、勇次郎のチョキが刃牙のグーを挟み込む。そして、そのまま力を込める勇次郎。
おぉ、見よ!意石のようなグーが、見る見るうちに解け、紙のようなパーに変じたではないか!

ほら、な?
え〜〜〜〜〜〜ッッ!

覚えておけ。
この世には、石をも断ち切る鋏があるということをッッ!

なるほど。ジャンケンの概念そのものを破壊しかねない言葉だが、実証されたなら仕方ない。
ってそんなこと、ここでされて納得できるか!

「ほら」・・・「な?」じゃねェッつーのッ!

非常に味のある表情で食器洗いをする刃牙さんでありました。

うーん。困った。今回も事象を並べるだけで、ギャグが成立してしまっている!
最後の刃牙のセリフは事象に対するツッコミ。ツッコミを入れてオチを入れるとこまで作品内でやってしまう。
一体どこまで感想殺しを企むというのか!恐ろしい作品やで!

ところで、このチョキでグーを潰すネタは、過去、浦安鉄筋家族でも使われています。
使ったのが、刃牙モチーフのキャラだから、まさしく逆輸入でのネタということになる。
これが出来るなら、今後ストレッチで地面を割る勇次郎や、素手でギョーザを蒸す勇次郎が見れたりするのだろうか!?

しかし、親子喧嘩が始まりそうな気配がありませんな。
せっかく前回は親父がまっすぐ誇らしい!と言ってたのに、今回は屁理屈親父にやりこめられた形に。
まあ、そこでキレない刃牙が悪いですな。バカな屁理屈いわずに、ちゃんと洗い物しろよ!ぐらい言わないと。



第248話/機動隊曰く  (2011年 16号)


家族の団欒を楽しんでいる?ころ、表では機動隊隊員の監視が続いていた。
刃牙ハウスの様子を双眼鏡で見て、フツウだなぁと呟く警部。
何をもってそんなことを言ったのだろう?
刃牙ハウスはどう見てもフツウとは思えない外観である。
変化がないことを差して、フツウとは言わないでしょうし。まさか、中の様子が見えてるのか!?

緊張感を持って待機していたが、変化がないことで少し緩んでいる。
そこに、特大の変化が現れた。玄関にオーガ降臨。
玄関を開けた気配もないのに、いつのまにそこに!?
しかも、見ている間にフッと消える。
そして、気づいたら後ろにいた。何ィ!?

あ、ありのまま今起こったことを話すぜ・・・
双眼鏡で範馬勇次郎の姿を捉えたと思ったら、後ろに立っていた。
何を言っているのかわからねーと思うが、オレも何をされたのかわからなかった。

警部を含めた機動隊の心境はまさしくこんな感じだったでしょう。

せっかくの息子との団欒に水を差す機動隊に、警告をする勇次郎。
やんのか、てめェら
勇次郎にそんなこと言われたら、全力で否定するしかありますまい。
人間の限界を超えるぐらいにスピーディに横振りされる頭部。脳が激しくシェイクされてそうだ。
この必死の否定には流石の勇次郎も感じるところがあったか、普通に放してくれる。

その見事な首振りを行った、警部。名前は金光高。
彼は語る。自分もこんな職を選ぶぐらいだし、どこか強さへの憧れがあると。
つまり、勇次郎を見た感想は・・・

ぶっちゃけ、抱きついて、キスしたいぐらいでしたよ・・・

ってなもんである。
板垣先生は過去、ライオンを目の前にしたとき、食われる側の恍惚というものを語っていた。
それに近い感覚が警部にも溢れていたのでしょうかね。

で、勇次郎は帰ったらしい。え〜〜ッ!?
親子喧嘩は結局お預けっすか!?
今日のところはお預け。しかし、まだ明日がある。
なんと、刃牙は勇次郎から招待を受けていた!いったいどこに!?
それを聞いた刃牙さんの反応もおかしい。

刃牙「何着てきゃいいんだ・・・?

親父の招待を受けて、着て行く服がない。
まあ、どこに招待されたかが問題ですな。
勇次郎はなんといっても世界的な重要人物。実は凄いとこに招待されてしまう可能性もある。
実は、これを機に息子を社交界デビューさせようという親心かもしれない。
ならば、正装していくべきか?といっても、高校生だ。何を着ていけばいいんだ?ジャパニーズガクラン?
もう、こうなったら、アレしかない。トランクスとバンテージ姿で向かえ!
これがオレの正装だ!と言えばアメリカ大統領だって納得せざるを得ないさ!



第249話/最後の晩餐  (2011年 17号)


前回。父、勇次郎からお招きを頂いた刃牙さん。
その招待先は、高級ホテルでした。その前で立ち尽くす刃牙。おのぼりさん状態だ。
やはり服装を気にしている。なんせ普段着ですからね。
親父との食事で気取った服装もないだとうというチョイスかもしれんが、マズッたな。
これじゃオハナシにならんでしょ。なにもかもが・・・

気にしながらもホテルに入る。
ホテルのマネージャーに服装について聞いてみるが、個室を確保しているので問題ないですと言われる。
とりあえずは一安心ですな。

次はメニューの値段に驚かされる。
かなりの大金持ちの子息なのに、質素な生活をしてきた刃牙さんですからねぇ。
山盛りのキャベツとか頂いている人に高級料理は肌に合うのか。
下手したら、味がしないと醤油をかけだしたりしないだろうか。不安です。

マネージャーから父のことを聞く。
勇次郎は何でもよく召し上がる。家畜よりは鹿や野ガモ、猪などの野生の肉を好むらしい。
と話しているうちに親父登場。
正装している!ジャケットを羽織り、胸にはハンカチーフ。高級ホテルには相応しい格好だ。
って、それ以外は普段着じゃねぇかッ!!
でも、刃牙さんはジャケット姿の勇次郎に驚いている。
昔はスーツ着たこともあるんですよ。微妙なセンスでしたけど。

最愛の息子と伺っておりました――

ッッ!?
マネージャーの言葉であるが、そんなことを言いふらしているのか勇次郎。
親バカを隠すことができなくなったのだろうか。
でも、今はその最愛の倅に対して怒っているようです。

勇次郎「シティホテルで食事とくれば、和・洋・中を問わず、ジャケットの着用は必然ッッ」

その通りかもしれんが、ジャケットだけ着ればいいってもんでもないでしょう。

勇次郎「それを十八にもなろう大和男子が」

また古い言い回しが来た者である。親っぽい説教モードだ。
しかし、これには刃牙さんも反論。ちゃんと教えられたことなかったですし。

イヤミか貴様ッッ!

勇次郎の怒号でホテルが揺れる。迷惑な話だ。
しかし、刃牙も譲らない。もちろんイヤミだと返す。

正しい挨拶、正しい言葉遣い、正しい装い、正しい接し方、正しいマナー・・・
俺は一度だって教えられたことがない。

強くなれ、強くあれ
それが父、勇次郎が息子刃牙に発進し続けた、たった一つのメッセージである。
だから、強くなりました。その一点だけは教えどおりである。
なんなら、試してみるがいい!

ついに宣言した。
が、戦いは始まらない。勇次郎の説教は終わり、食事が始まろうとする。
これは、勇次郎も痛いところを突かれたってところですかね。確かにまともな教育をしていない。
強くなることだけを教えてたら、いつのまにか鼻持ちならない青年になってました。
これでも中学生くらいまでは、目上への礼儀をわきまえていたのに・・・

ともかく、高級ホテルでの食事でございます。
まずは軽い飲み物を注文。
刃牙さんは未成年なのでフレッシュオレンジジュース。
勇次郎は、ドライシェリー。代表的な食前酒を頼む。
これから戦うかもしれないのに飲むんですかね?勇次郎にとってはこの程度、影響はないのかもしれんけど。

飲ってみろ。

刃牙にも飲ませるのか!戦う気があるのか疑わしくなってきました。
勧めを受けて飲んでみる刃牙さん。
刃牙は酒とか飲んでる描写はあまりない。少年時代に花山さんと飲んでたくらいか。
それでも、旨いという。笑顔で。
そんな刃牙の笑顔に、勇次郎が軽く返事をって、何かいい雰囲気じゃございません?
この状況なのにアオリは派手だ。

こうして、俺達親子の宴は火蓋を切られた

この2人にかかれば、高級ホテルの食材を食い尽くすことも可能。
テーブルと椅子以外の足があるものはなんでももってきやがれってなもんだ!レッツパーリー。
そういう話じゃございませんな。ついに、その時が来ようとしている・・・

4号のちの、2011年4月28日

範馬勇次郎と範馬刃牙。ついにゴング!
2週連続巨弾60P、計120P掲載で最終決戦開戦!

ついに来てしまいました・・・散々やるよやるよと言っていた親子対決。それがついに・・・ッ!
タイトルが範馬刃牙になって、249話も経過してようやく!本当に長いな。

だけど、ここからどうやって戦いに持ち込むのだろうか。
120P使って、ようやく戦闘に入るところまでだったりして。十分ありえる。

しかし、刃牙にとっては不利な状況である。
ファイトスタイルであるトランクス姿ではないし、慣れない酒も含んでいる。
一方、勇次郎は普段の戦闘スタイルの上にジャケットという姿だ。いつでも戦える。
この時点で戦略的な敗北を喫しているといえましょう。困った。
やっぱりトランクスにバンテージ姿で来るべきだったんだよ。その上にジャケット羽織ればドレスコードもバッチリ。
対決は次回の食事に回して、次回はこの服装で来たらいいんじゃないでしょうか。
それなら、今回の不利な状況は回避して戦いに持ち込めます。
さらに、親父の言葉を守ったということで好感度も稼げます。

刃牙「親父、今回はちゃんとジャケット羽織ってきたぜ。素肌の上にな」
勇次郎「イヤミか貴様ッッ!」

ダメかッ!

さて、開戦は4号あとということで、次回からは最終決戦直前シリーズでございます
なんと、餓狼伝の第1話が掲載決定!
秋田書店からコミックスが再出版されるようになった関係でしょうか。
そういえば、餓狼伝の1話といえば、主人公によるビル揺らしの回じゃないですか。まさか、そのビルとは・・・?

ともかく、最終決戦を楽しみにしています!
でも、烈先生の話とかご老公とか話途中の人たちはどうするんだろう。
またザッピングしながら進むのだろうか。最終戦で数年使いそうだ。



第250話/史上最強の親子喧嘩  (2011年 22+23号)


史上最強の親子喧嘩、遂に開戦!
しかし、その前に食事だ。史上最強の親子喧嘩は静かに、厳かに行われるものなのだ。

外食なんて滅多にしないであろう刃牙さんにテーブルマナーは難しい。
魚の食べ方もよくわかってなかったみたいですしね。
並べられた食器は外側から使用する。ちゃんと説明してくれる親父に感謝だ!

まずは前菜。刃牙さんも思わず唸る旨さである。旨ァァ・・・ッッ!
まあ、刃牙さんは普段節食な気がしますからねぇ。なまじ自炊ができるから。
彼女の手料理や烈先生の手料理の時より反応が大きいのは確かである。

父親の姿を真似しながら食事を進める刃牙。いい時間ですな。
食事は滞りなく進む。デザートは断り、最後にエスプレッソを大きめのマグで頂く。
しかし、流石に勇次郎。本当に手馴れている。
息子として、父親がこういう場所で格好良く振舞ってくれるのって誇らしく思えるものですよね。
父親に倣い、自分もエスプレッソを飲む刃牙。

思えばあれが開始まりだった

どうしてこうまでも・・・と思えるほど苦いエスプレッソコーヒー
やはり親子喧嘩の発端はコーヒーか。息子に苦いコーヒーを飲ませるとは何事だ!
気分を損ねた刃牙さんは苦い質問を勇次郎にぶつける。

父親が母親を手に掛けた理由を知りたい。なんで、親父はお袋を殺したの?
これまで、直接聞くことのなかった質問である。確かに、今なぜその質問をするのか?
というか、意味のある質問なのか?もしや理由があるとでも?

小僧っ子の理解力では、踏み込んではならぬ領域がある
身の丈をわきまえろ。

理解力は問題じゃない。知ることは息子としての権利だ。

跳ね除けようとする父に強弁する息子。この口ぶりだと理由があったように聞こえるが・・・?
愛しすぎて殺したとかいう話だったりするんですかね?
勇次郎はね、嬉しくなるとつい殺っちゃうんだ。ひとりでに体が動いちゃうんだ。
そのぐらいの理由かと思っていたのだけどねぇ。

怒りのオーラを携えて勇次郎は立ちあがる。
そして、足を組んでふてぶてしい態度を取る刃牙さん。どうすれば教えてくれるのかなァ・・・

こうすりゃいいのかい。

サービスを担当した、当レストランのマネージャー、野中三夫は後述する。
一生忘れない、我が目を疑う恐るべき光景・・・
刃牙が勇次郎の胸倉をつかんでいる!
というか、この刃牙さんの表情がえらいむかつく!行為と共に顔で喧嘩売ってるぜ!

さらに、両手を使い立った状態で締め技を敢行する刃牙。
勇次郎の形相が恐ろしいものになる。そして、背後のガラスに亀裂が走る。
闘気が溢れてガラスが割れたか!?
そういう話ではない。地震だ!

立っていることもやっとな揺れ。しかし、この親子だけは揺れずに立っている。
まるで2人の足元だけが静止しているかのように・・・
勇次郎が技を用いて刃牙の締め技を解く。両足を強く踏みおろし、刃牙の体が高速で回転する!
気づいたら椅子に座らせられている刃牙。地震も止まっている。
さすがは勇次郎。地震を止めるのはお手のものってわけだ。

攻撃を仕掛けてきた刃牙に問いかける勇次郎。
それを受けて刃牙。せっかく椅子に座ったのでまたふてぶてしい態度をとりだす。
本当に刃牙さんは挑発がうまいよね。この顔見たら殴りたくなってもしょうがないよ!

息子の態度に父が怒る・・・ついに親子喧嘩が開始される!

刃・・・牙・・・
かしこまれいッッ!

ヂャキッ

かしこまったーッ!

飛び込んでくる勇次郎。吹き飛ばされる刃牙。
って何本当にかしこまっちゃってるの。馬鹿じゃないの!
勇次郎に吹き飛ばされた刃牙は、ガラスを突き破る。
なんとか窓枠に指だけでしがみつき転落はまぬがれる。人を落したことはあるが、落ちるのはゴメンだ!
ちなみに今の吹き飛ばしは、尻叩きををした結果らしい。

4年間待ち焦がれた父との決着。少年は葛藤っていた。
後退りたい。駆け出したい。逃げ出したい。
父の恫喝に・・・やってしまった不動の姿勢。
踏み込む父に、やってしまった緊急避難。そして・・・尻叩きか。

かしこまっただけでなく、ビビッて背を向けたというのかッ!帝王にあるまじき醜態である。そりゃ尻も叩かれる。

否応なく刻まれる実感・・・
モノが違う・・・!!!

いきなり格の差を知らされる刃牙さん。
さらにその手を勇次郎にとられる。これは・・・手打ちだ!

貴様は悪くない。悪くはないが・・・
父親の頸に手を掛ける、この・・・手が悪い。

手癖の悪い子供にするように、掌をを打とうとする。これはたまらないと慌てて手を引っ込める刃牙。
おかげで自分の手をぶつけてしまった勇次郎。ああ、見かける光景ですよね。
その時の音の衝撃でビルの中は大変なことになってますけど。

避けてるんじゃねぇ!といわんばかりの蹴りが刃牙に叩き込まれる。またも吹き飛ばされる刃牙。

少年は理解し始めていた・・・急所を狙わぬ父親・・・
闘いではない。これは”仕置き”なのだ・・・と。

親子喧嘩ではない。出来の悪い息子に対して、父親が行う躾!
勇次郎にしてみれば、親子の喧嘩ってのはこういうものだという認識なのかもしれない。
親が子供を殴るのは愛情を持った躾によるものでなくてはならないという意識だろうか?
まあ、いまさらそんなこと言われましても。という気はしないでもないですがね。

ともかく、躾であろうとなんであろうと2人の戦いは始まったのです。
一方的なので戦いとは呼べる状態じゃないですけど。
刃牙も、なんとか勇次郎を自分のフィールドに引きずり込まないといけない。いつまでも躾される側じゃいけない。
ここで、親父の非を鳴らしてみてはどうだろう。
人が多いとこに出た後、公共の場で暴れるなんて、非常識だぜ!とか言ってみるとか。
周りの客の扇動ができれば一気に自分の方に理があるかのような流れを持っていけるぜ!
まあ、そんなことしても勇次郎の一喝で終わりそうですけど。厄介な相手だ。

次号も一挙60P掲載で親子喧嘩が激化していきます。
どれだけ勇次郎を本気にさせることができるか、刃牙さんの挑発に期待ですな。



範馬刃牙 31巻


第251話/真・親子喧嘩  (2011年 24号)


親子喧嘩開戦第2回ッ!!幕開けた
昔のように、一般人に迷惑をかけない場所での開戦ではない。
親子喧嘩なのだから、場所を選ばずに始まることもあるさね。迷惑な親子だ。

しかし、勇次郎の威圧感はやはり圧倒的らしい。
さっきからビルで起きている異常は全てこの男が起こしたと一瞬で理解されている。
この男なら納得だ・・・・・・!
一時期は人ごみに紛れて花火鑑賞できてたぐらいだったというのにねぇ。カミナリ落ちた回参照。

吹き飛ばされた刃牙。起き上がって反撃をしようとするが、片手であしらわれる。
勇次郎は言う。出来の悪い倅に躾をほどこしている最中だと。
左手はハンドポケット。右手だけで刃牙の顔面を掴み歩く勇次郎。
刃牙の体をガラスに押し付けた。簡単にヒビが入るガラス。
その際。聖職者らしき老人は確かに見た。勇次郎の背中から後光が射しているのを!どういうことだ?錯覚!?

親と子。父と息子。繰り返される対立の構図・・・
越えんとする息子。越えさせてはならじと父親・・・
慶ばしきかな・・・
喜ばしきかな・・・
悦ばしきかな・・・
嬉しむべし!

刃牙の体がガラスを突き破った!というか、勇次郎がもろともに突き破った!
ということはつまり・・・落下だ!親子共に!

な・・・!なにすんのオオオオオオオオ

さすがの刃牙さんもこのシチュエーションでは普通の叫びしかできないか。

無理心中ゥ!!?
ない!それだけはないッッッ
この人は、自殺とは最も遠くにあるタイプ。

傍から見たら、確かに無理心中である。だが、そうではない。普通に着地を考えている勇次郎。
この高さから落ちて着地だと?わけもわからないまま、頭部をガードする刃牙。
勇次郎は手足を動かして落ちる位置をコントロール。狙うは・・・車の上!

総理の車が破壊された!突然の光景に、総理も機動隊員も言葉を失っております。無理も無い。

果たして、高層ビルからの目標物への着地は可能なのか?
陸上自衛隊第一空挺団空挺教育隊所属、曹長 加村秋男氏(53)(降下回数345回)は語る。

3000メートルの高さから正確な姿勢を取ったとしたら、60秒間で約1000メートルの移動が可能。
だとするなら、150メートル以上の高さならば、目標の一台への着地は、あるいは可能ではないかと。

さらには――
ビルからの落下事故の際、過去の数例のみ、車輌の上に落下したことで絶命を免れた実例がある。

なるほど・・・それも、高級車。クッションの精度はバツグンだ。
これなら、高所から落下したって無傷でいられるはずですわな・・・いやいや。
ピンピンしている勇次郎と違い、刃牙さんは気絶している様子。その刃牙を放り出す勇次郎。
そして、勇次郎がジャケットを脱いだ!
飯も食った。茶も飲んだ。ならば、あとは戦うしかあるまい。
勇次郎は倒れている刃牙に言う。この程度でくたばるタマかッッ!

ど・・・ッどの程度!!?

異常な親子の姿を前にして、機動隊員もツッコミをいれざるを得ない。
で、刃牙。動けないから起こしてよとか言い出す。何言ってんの?甘えるな!!
と思ったが、なんと舌打ちしながらも手を貸す勇次郎。アレアレ?
左手で、刃牙の左手を掴み引き起こす勇次郎。その手が握られる。
動けないと言っていたはずの刃牙。その足がしっかり大地を踏みしめ、空いた右手で掌打を勇次郎に叩き込む!

おぉ・・・まるで寂海王のようではないか!刃牙め。こんなところでも学んでいやがる!

決裂を意味する左手の握手。
とはいえ、父の好意を逆手に取った――あからさまな奇襲!
不正ゆえ・・・息子の胸に去来する。
悔恨?気後れ?負い目?達成感?

なんてこと考えているどころではなかった。
親子喧嘩が始まったあたりから、ずっと格の違いは感じていたが、さらに感じてしまう。
殴りつけて、思い浮かんだイメージは、巨大な岩。その上に厚さ1センチのゴムをかぶせたようなシロモノ。
そんな絶望的なイメージが大量に流れ込む。
そして、勇次郎は激怒であります。

こ・・・の・・・無礼者がッッ!

逆に平手打ちが刃牙に叩き込まれる。音を立てて吹き飛ばされる刃牙。
再びビルの中に放り込まれる。そして、バタンバタンと痙攣している・・・やばい症状だ!
一般人としては、こんなの見たら救急車を呼べと考えるのは至極普通。
機動隊員も勝負はついた、と介入してくる。身の程知らずな。
まあ、身の程に関しては、勇次郎の前に立った時点で気づけたようです。蜘蛛の子散らして逃げ出す機動隊員。
情けなくもあるが、護身が出来ているいえなくもない。
そして、あいかわらず顔面で扉をつきやぶる勇次郎
たぎっている時のこの男に、扉を開くという選択肢はない。ただ突き破るのみよ!
硬いガラスですから、強化アクリルの時の様な変顔を晒すことはなかったぜ。

小僧っ子の分際で、急所を外した平手打ち。
この勇次郎に手心をくわえたそのツケ・・・高くつく

勇次郎が刃牙の頬をつねくった。これは痛いぜ!
って、勇次郎が激怒した理由は手心を加えられたからなのか?
好意を踏みにじられることより、手加減されることの方がよほど無礼な行為に値するらしい。
騙すときも全力で向かわねばならないということですな。厄介なことだ。

ヒートアップする範馬家の躾。どこまで進むのか。
勇次郎が拳を握って打ち込むことがあるのだろうか。というか、鬼の背中が出ることすらなさそうな流れだ。
あまりに圧倒的な親子の力の差。そろそろ刃牙さんも覚醒するなりなんなりして差を縮めないといけないんじゃない?
オリバの時だって急に強くなったんだから、今回も急に強くなりましょうや!



第252話/仕置き  (2011年 25号)


”ピンチ力”という言葉がある。

どれだけ崖っぷちにいるかというのを表したものですね。極まればスーパーピンチだ!
ではなくて。”摘む力”を表現わす言葉である。

摘む・・・それは、指先で挟み、物を持つこと!
うむ、編集による秀逸なアオリだな。わかっておるわ!

摘む。それを鍛え上げることで、それに伴う力技が出現する。
王冠裂き、釘投げ、コイン曲げ、トランプちぎり。
そのレベルに達した場合、”抓る”の意味も違ってくる。

仕置きで勇次郎は刃牙の頬をつねくっている。ミリミリ。
これは痛いなんてもんじゃない。声にならない悲鳴をあげる刃牙。文章にも書きづらい。
花山さんがスペックをつねくったときは、肉ごとえぐり取っていました。
勇次郎も同じことできるだろうけど、親子喧嘩ではそこまでしない。
手加減なんかしやがってと説教した後は放り投げる。

この俺に対し、手加減する資格。貴様にあるのか・・・?
答えるおお!!

るぉぉぉっ
勇次郎に巻き舌が入った!ちょっと間違えたら、答えるんだお!とかになりそうな危険な表現だ!
勇次郎が萌えキャラになっちゃう!いや、それに関してはもう手遅れな部分があるか。

で、刃牙さんは答えます。

痛ぇだろバカッ!

うむ、端的な答えだ。まあ、最初にその感想が出るのは当たり前か。
それを聞いた勇次郎は満足そう。長い夜になりそうだ・・・
刃牙は思う。

答える必要なんてない。これは・・・決闘じゃない。
俺達2人が向き合う以上、どこまで行っても・・・親子喧嘩!
だから、急所は狙わない・・・・・・!

靴を放り投げ、素足での蹴りを狙う。えげつない攻撃ではないから問題ない!
でも、親子喧嘩ってわりと急所も狙ったりしないかね?とくに金的。
目つきとかはNGだけど、特に子供は親の金的を狙ってきたりするものという認識があるのだが?

親子喧嘩とはダメージを狙わな・・・い・・・?

なるほど。その概念から言うと、ダメージが残りそうな金的はNGか。
この2人だと潰れるほどの攻撃になりそうだし。いや、範馬の睾丸は頑丈だから潰れないのか?
人のは潰すのに自分のは潰れないのが範馬の睾丸だ!理不尽な。

果敢に攻撃をしかける刃牙。しかし、どれも有効打になっていない。
逆に勇次郎のハンマーが頭部に振り下ろされる。
その一撃で意識が飛ぶ刃牙。圧倒的すぎるだろ・・・

急所を狙わないとは云え・・・
ダメージを狙わないとは云え・・・
相手は範馬勇次郎!

蹴りを受けて、思わず走馬灯が行き過ぎて赤ん坊まで行ってしまう刃牙。
普通にやっても勝ち目はないのに、急所は狙わない宣言までしてしまう。
まあ、実際急所狙ったら勝てるってわけでもないでしょうしねぇ。
こうなったら、徹底的におちょくって憤死させる方向で行ったらどうでしょうか。
親子喧嘩的な決着とはほど遠いけど、一応勝利にはなるよ!



第253話/超えられぬ父  (2011年 26号)


今回のタイトルは、超えられぬ父。アレ、もう諦めの境地っスか?早いよ。気持ちは分かるけど。

4年振り・・・およそ1500日振りに喰らう父のまともな打撃。
急所を外したものとは云え、刹那脳裏をよぎる己の無力感。
大きすぎる、父 勇次郎との差・・・

思わず無力な赤ん坊時代を思い起こす刃牙でありました。
しかし、まともな打撃を受けたのが4年振りって、そうだっけ?
これまでもよく吹き飛ばされたり、回転したりしてた気がしますけど。
あれは平手打ちとかだし、まともな打撃じゃなかったのかね?

吹き飛ばされてエスカレーターで運ばれる刃牙。それを追い、二足で2階にハネ上がる勇次郎。
普通の肉体しか持たない首相は恐ろしいものを見た気分になっているのでしょう。目が真っ白だ。

高層ビルからの落下に耐え得るタフネス。
男子一人を軽々と宙に舞わせる膂力。
国家の命を受けた機動隊も逃げ出す異圧力。
総理の眼からは、この親子はもう生物の域ではなかった

あれ、息子の方も同類に分類されてる!?
タフネスの部分ぐらいしか該当してないのに。
まあ、この親父と仲良く食事してましたと聞いただけで、もうぞっとする対象になっちゃうんでしょうね。

迷っている場合ではない!すぐにです!ただちにです!

というわけで、内閣総理大臣直轄の陸上自衛隊第一空挺団が出動しました。
って介入するつもりなんでしょうか?
手を出すなと前の首相の時から散々言われているのに。本当にこの政府は忠告を聞かない。被害が増すばかりよ。

さて、生贄が大量に差し出されそうな状況はまだ少し先の話。
親子喧嘩、というか父親による制裁はまだ続く。

かつては、女子供の技術と貶めたものだが・・・制裁時には都合がいい。

これは・・・アレが来るぞ!刃牙もそれに気づいたようで、身構える。

殺傷力は低く・・・苦痛は絶大。

勇次郎の全身から力が抜ける。だらりとした状態で放たれるのは、鞭打だ!
柳の鞭打を受けるときも、刃牙は痛いのは苦手だよと言っていた。
このセリフが本当のことかどうかはさておき、鞭打はともかく痛い技である。

どんなだ!!?
範馬勇次郎の鞭打・・・ッッ
どんなだ!!!

さすが、痛みに弱いとウソをついて鞭打たれた男である。楽しみにしていやがるッ!

ベチィィッ

背中に紅葉の跡がつきそうな勢いで放たれる鞭打。
痛みはただちには襲ってこない。悲鳴をあげるには間がある。

神が与えたもうた、確かな猶予。
数瞬・・・約束どおりに訪れる、予想を下回ることのない、本痛!

刃牙が受けた衝撃は、前例なきもの。
父への反撃に費やされるハズの数瞬の全てを、覚悟へ費やすしかなかった。
そして・・・猶予は使い果たされた。

い゙だあ〜〜〜〜〜

覚悟を持っていれば受けられると、あるプロレスラーは言っていた。
しかし、この痛みは覚悟していた予測を遥かに裏切るほどのものだった!

もはや闘うどころではなく・・・どころではなく・・・どころではなく・・・

刃牙が戦意喪失している!?
さすがに攻撃を受けるのが好きな刃牙でも限度はあるらしい。
このまま父の偉大さに屈服してしまうのだろうか。
鞭打中なのでユラユラしている勇次郎。なんだか奇妙な光景だ。

そういえば、勇次郎が見たという夢。刃牙が自分を見おろしているという夢。
あのときの刃牙もゆらゆらしていた。むかつく顔で。鞭打中だったのかもしれませんな。
その夢を見たから、仕返しに現実で鞭打を打っておこうと決めてたのかもしれない。なんて酷い。



第254話/窮鼠  (2011年 27号)


親子喧嘩の真っ最中。
背中に手形をつけられた刃牙は悶絶中であります。

鍛錬とは、苦痛の連続だ
単純なロードワーク一つを取っても、焦げ付くような心肺の苦痛。
一歩刻みで連続いてゆく、足首、膝の苦痛。

筋力トレーニングは更に理解りやすい。
正に筋肉の苦痛と正面から向き合う行為だ。

苦痛のその先――やがて意志とは無関係に肉体が果てる。

下半身への負荷は更に苛烈を極める。
筋肉が限度を迎える頃、着火する・・・
その苦痛は、”火炎”それ以外の表現が見つからない。

闘いになると事は単純だ。
対戦者の五体は、鈍器となり、刃となり、槍となり、ツルハシとなり――
苦痛を与える為、容赦なく襲いくる。

苦痛をくぐり抜けた18年・・・・・・
苦痛いことが日常・・・
苦痛いからこそ安心・・・
普通ではない、苦痛への免疫・・・

・・・があったハズ。

苦痛い!
痛い!激痛い!苦痛い!辛苦い!イタい!!

たっぷりと時間をかけて苦痛への紹介をし、免疫があるといったけれども、やはり痛い。
それにしても、刃牙さんはもう18歳になったんでしたっけ?地味に時間は経過しているのか。
そして、痛いからこそ安心とは・・・ははは、やはりそうなんだ。
普段からわざと攻撃を受けて喜んでるんじゃね?と言われてた刃牙さんである。これで証明されたな!

痛いのは苦手だよ(そう言えば痛めつけてくれるからな!)

ってことでしょうか。本当にこいつは真性だぜ!

で、そんな真性でも痛みで転がることはある。
さらに、勇次郎の追撃。腿に鞭打が叩き込まれる。息を吸い込んで覚悟を決めたがやはり予想を超える激痛が襲い来る。
思わず気を付けの姿勢で飛び上がる刃牙。ビーン。
痛みで飛び回り、ガラスをぶちやぶる刃牙。こっちの痛みで紛らわすしかないって状態か。

鍛え、練り上げたハズの肉体。
痛みへの耐性は完全に裏切られた。

まるで・・・鋼鉄の鞭!

防ぎきれるものではない。ならば・・・攻撃こそ最大の防御!
放つしかなかった。父からの手ほどき・・・女子供の護身術、鞭打!

刃牙の放った鞭打が勇次郎の背中にヒットした!こ、これはどうなる?
鞭打はピクルにも有効だった。あのタフネスがハッキリ嫌がる技でありました。
これは勇次郎にも通じるのかもしれない。でも、勇次郎が苦痛に転がる姿は・・・見てみたくもある。

しかし、女子供の護身術とはよくいったものだ。
鞭打合戦になると、ビンタを交互に打ち合うようなもんですからねぇ。親子対決のはずが、女の意地の張り合いになった!?
次回の見所は、鞭打を食らった勇次郎のリアクションですな。
お互い痛いじゃねーかとやり合うようになったら凄い泥試合になりそうだ。
逆に平気な顔されたらどうするか。次は頬に叩き込みましょう。
頬に手形をつけて平気な顔されたら、それはそれでギャグが成立するからな!



第255話/絶大なる激痛  (2011年 28号)


刃牙がようやく反撃開始!?

どんなに打ち固めても、如何に練り固めても――やっぱり痛い
皮膚をひっぱたかれる痛さは、鍛え上げた成人男子でも、運動経験のない女子でも同等。
それ故――古来より、拷問、責めの対象とされた。

皮膚の面積は成人でおよそ2平方メートルに及ぶ。
ミリ単位で表現される急所とは大違いだ。

そんな急所を狙うのが鞭打である。今、刃牙の鞭打が勇次郎に叩き込まれる。

痛がりやがれ!
激痛がりやがれ!
苦痛がりやがれ!
辛苦がりやがれ!

イタがりやがれ!

さんざんっぱら痛い目にあわされた刃牙。さすがに鬱憤がたまっているらしい。
鞭打を決めて笑みをもらす刃牙さん。
自分の痛みを忘れる為に相手に苦痛を与える。間違ってはいないんだろうけど、何か歪んでる!

あの苦痛は耐え難い。全てを忘れ去る、忘我の境・・・地・・・?

そんな刃牙さんの笑みが一瞬で消える。なんだ、何があった!?

ミキ・・・

勇次郎の顔面に血管がうかびまくりだ!怖いッ!

剥き身になったかのような――突如の父の豹変。
事態は――単純明確

右手を叩いた痛みが――左手を叩くことで軽減するように。
鞭打による痛みを分散・・・

目力をいっぱいに。歯をくいしばり、拳を全力で握り、同じ力で開き・・・
腕を全力で伸ばし、同じ力で縮め・・・
脚を全力で踏みしめ、全力で引き上げ・・・
腹を撓め・・・腰を反り・・・胸を絞り・・・背を閉じ・・・
更には各部位、捻りに戻しを拮抗させる。

そう、動かぬまま、五体全ての筋繊維を一気に駆動!
全身運動の苦痛により、皮膚の苦痛みを分散。

かろうじて無表情を保持した

E〜〜〜〜〜ッ!?

無表情と申したか。
確かに悶え苦しんだりはしていない。苦しそうな顔はしていない。
でも、無表情と言われると凄い疑問だ。表情は変わってないけど、我慢しているのが一目瞭然すぎる!

でも、当の刃牙さんのほうは、痛くないのか?とすっかり騙されています。駄目な子ね。
痛みを分散させるまで隙だらけになるのだから、組み合わせて使うようにすればいいのに。

というか、勇次郎の意地っ張り具合はさすがである。とにかく息子に弱い姿は見せたくないらしい。
これは昔からなんですよね。
地下で愚地独歩と戦ったときも、苦戦していたが、刃牙が現れた途端に鬼の背中を出して逆転した。
逆に刃牙も父の苦戦する姿は見たくないとか言い出すことあるし・・・なんだこの親子!

そんな仲良し親子の喧嘩はまだまだ続きます。
急所を狙ってこいという勇次郎。

親の仇のつもりでこいッッ

それを言うのか勇次郎!
刃牙さんも、実際カタキだし、と軽くツッコミを入れてしまう発言だ。

ここでようやく、刃牙がファイティングポーズをとった。
ここからが本番だ。長い前哨戦だったな。
早くしないと、有効打を一撃もいれることなく、介入が入って水入りの可能性がある。
果たして刃牙はこの親子喧嘩で有効な一撃を当てることができるのだろうか。
血の一滴ぐらいは流せるようになってほしいですな。



第256話/反撃の狼煙  (2011年 29号)


ようやく刃牙が戦闘体勢をとった!
開手から・・・拳へ・・・
親父の手はまだ開いたまま・・・

でも、今の勇次郎の構えって、割と本気のときの構えですよね。

刃牙は、自らの意志で構えたのではなく、”構え”に”追い込まれ”たのを気にしているらしい。
変なところに拘るから勝負が長引くのである。
勇次郎はようやく、向かってくるかと嬉しそう。

未熟者らしく、己の全存在を賭けてこい。

勇次郎の宣言を受けたところで、別人の声がかかる。
視線を下に向けると、そこにいたのは徳川のジッちゃんじゃないですか。
みっちゃんによると、周辺住民、ホテルの宿泊客、全て軍隊の手によって避難させているとのこと。
ついこないだまで死に掛けてたとは思えない、元気な爺さんだ。

さっきもコイツが、二人を止めようとしたと聞いて鞭打を見舞ってやったんぢゃ。

ただのビンタです。まあ、張り飛ばされてもしかたないですわな。
軍人さんが犠牲になっちゃう、と危惧したものですが、みっちゃんのおかげでその恐れは回避されました。
これで、周りを気にする必要はなく、存分にやれますね。

刃牙・・・オーガなんざ、建物ごと破壊してやれいッッッ!

相変わらず、みっちゃんは刃牙の方を応援しているらしい。幼少から知っている身贔屓か。

さて、ようやく肩の力が抜けたという刃牙。とりあえず殴りかかる。
が、凄い勢いで後方に吹き飛ばされる。
左ストレート。伸び切った、一本の棒と化したまさにその一瞬を合わされた!
それで弾き飛ばされたというわけですか。

バレてる・・・嘘がバレてる。

本気で行っていないというのに気付かれているということでしょうか。
勇次郎は言う。
貴様が手を抜き・・・その侮辱に対して、俺もまた手心を加える。次はない

最後通告が来ました。ようやくかよ。
刃牙もここにきて、ようやく緊張の面持ち。

底の底にある、本当の実力を見せないと・・・
目の前にいるのは、夥しい戦果に彩られた”強さ”の結晶!!!

一瞥で俺の技量など、隅の隅まで見渡せるハズだった・・・

見抜かれていながらも、闘う刃牙。それは自分の底力を信じているからなんですかね?
本当の実力はこんなもんじゃないよ。俺が本当の力を出せばイチコロっすよ、とか思ってるのかもしれない。
というか、親バカの勇次郎のほうが思っていそうだ。
おまえはやればできる子なんだから、ちゃんとやりなさいと言っている気がしてきた。

なぁバキィ・・・
もういい加減によぉ、父さんに実力見せてくれよォォッ


やろうぜホンキで・・・もう・・・

なんだ、コレ!?
いきなり態度と口調を豹変させる勇次郎。
なんて柔軟なキャラだろう。ただ硬いだけではない。いきなりこんなこともしだすから、オーガは侮れない。
本当に息子の成長が見たいだけだったんですね。この親バカが!

わかったよ父ちゃん・・・

地上最強の父の初めての懇願。これを受けて、ついに刃牙が本気を出す!?
妙な言葉遣いされたから、刃牙も妙な返しになってしまっている。普段呼ばない呼び方しちゃってさ。

それにしても、とろ・・・ととろけ出した刃牙。
オリバ戦で見せた融解現象が始まろうとしているのでしょうか。
ゴキ師匠直伝のダッシュとかが飛び出しそうな気配。ようやく、真面目に闘うシーンに移る・・・のかな。まだ分からないぜ!



第257話/溶解  (2011年 30号)


今回もセンターカラーだ。カラー多いですね。親子対決の間はずっとなのか!?

出来るかッッ!?この父からの親離れ!!!

いや、貴方がまずは子離れしなさいッ!!
てなツッコミを入れつつ、本編。

父が初めて見せた・・・おそらくは自身初の”お願いごと”

全力でこい!ホントの本気でこい!
逆立つ髪をしおらせて、見せた弱気の百面相
わからず屋の息子へ対し――愛してくれぬ恋人に不満をぶつけるかのように、気位をかなぐり捨てた。

強さにおいて、地上に並ぶ生物皆無!
それゆえ、手こずることにすら手こずる日常
戦闘中毒者・・・
格闘依存症・・・
男は孤高に退屈していた。

昔の勇次郎は、格闘家などを殴り倒して叩き伏せて、やっと熟睡できるとか言い出す人でしたからねぇ。
その時に比べると、今はずいぶん穏やかになっている気もする。
対戦相手がいなくて、中毒症状が薄れているのか?完治するいい機会じゃないっスかね。

まあ、勇次郎にこの依存症を治癒する気はない。
着手したのは、自身の”敵作り”
食通が、世の美味、珍味をむさぼり尽くしたあげく――ついには、自らが厨房に立つように。
素材は天下一品。
地上最強のDNAを最も高濃度で継承する我が子、刃牙。

勇次郎の刃牙に対する情熱のかけようは並々ならぬ。
血の薄いジャックは完全放置だったのにねぇ。あと、世界中にばら撒いた種とやらも。

その大切な素材を、我慢できずに”つまみ喰い”してしまった愚。
覆水盆に帰らず・・・円は閉じた。
ハズだった・・・!

我が子は再び立ちはだかる。
その変貌振りは目覚しく、年相応だった強張りも影を潜めている。

確かに、幼年編から比べるとえらい変わりようである。
昔は目上の人への礼儀もそれなりにわきまえていた子だったのに、なんでこうなってしまったのやら。
今回の変貌振り〜のところの刃牙さんがまたムカツク顔してるから、余計そう思える。

いつしか・・・見上げていた目標達から、見上げられるほどの存在となる。
海を越えて――
種を越えて――
時空すらも越えてなお、揺るぎなし。
そのレベル、もはや史上最高位!

かの剣豪、宮本武蔵のように脱力した姿勢を見せる刃牙。
その姿を見て嬉しそうに手招きする勇次郎。見透かしている。
ここに至るまでの歩み――成長――進化――あらゆる全てを見透かしたハズ。

ならば、出すしかあるまい。緩・・・

全身の力を緩める刃牙。顔も緩んでいる。ムカツク顔になった。
緩めて・・・緩めて・・・
筋肉を・・・関節の全てを・・・
内臓を・・・体内の水分に至るまで・・・

そうして初めて実現する。嘘みたいな速度。
あの生物(師匠)にだけ可能な、最高速度が初速!

イメージすれば、関節が無限に増えるのが刃牙世界である。水になるのも可能なわけだ。
下手したら初動と共に音の壁にぶつかったりして。
そして、体が弾けて、魔法が解ける刃牙とか。グロ!

それはともかく、刃牙の様子を見てたまらなくなっている勇次郎。抱きしめてやりたいとか言い出す。
息子が緩くなったら、親父の顔も緩みだした。なんだこの親子!

止めるな!

楽しくなっているのだから、勝手に止まるなと吠える勇次郎。まあ、身勝手!

緩めて・・・緩めて・・・
水よりも・・・大気よりも。
果てに訪れる・・・今!

ついに繰り出される刃牙の最速攻撃。これが通じるかどうかが親子対決の全てになりそうな雰囲気である。
摩擦熱で靴どころか服まで破れる刃牙。気付いたらいつものトランクス姿で戦闘態勢に入っていた・・・とかありえそう!
バンテージはみっちゃんが投げてくれればその場で巻けるので問題なし。
とにかく、まともに戦う気があるなら、刃牙は早く脱ぐべきです。上だけでも。



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