蒼天紳士チャンピオン作品別感想

範馬刃牙
第258話 〜 第283話


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範馬刃牙 32巻


第258話/時速270キロ  (2011年 31号)


ようやく刃牙が本気の技を見せてくれます。
脱力を超えた脱力・・・・・・
潜在意識下に残る筋繊維の強張りを溶かし・・・
もはや少年の意識には――筋繊維は繊維ですらなく液化へ・・・
さらにイメージは液化から気化へと。

超・・・脱・・・力・・・

筋繊維とかじゃなくて、骨も皮膚も何もかも溶けてるじゃないっすか!
それどころか、気化までしちゃった。
これじゃゴキ師匠とは別の体の構成になっちゃうんじゃないですか?いいのか?

まあ、理論よりも大事なのは実益である。現実に起こるなら、理論なんてどうでもいい。
起きたんだからしょうがないだろうという寸法だ。非科学的だわぁ。

ともかく、最高速を初速に実現しました。

いかがですか父上・・・あなたの息子があみ出した時速270キロ!!

蜚虫廉タックル・・・ッすッッ

こんな変換しにくい漢字を正式名称にされては困ります!
Unicode変換しないといけないので、2文字目は分解して記載だ!

それはともかく、超速度のタックルが勇次郎に命中しました。
吹き飛ばされそうになるが、踏ん張る勇次郎。

せっかくのタックルも止められてしまいました。
かつての郭海皇が見せた超脱力。消力からの一撃は避けた勇次郎でしたが、同じような理論の刃牙の技は受け止めた。
あれから勇次郎がさらに成長したゆえかもしれませんが、ともかく止められちゃいました。
なので、刃牙の追撃。
回し蹴りを決めて、さらに飛び蹴りを連発だ。
この蹴りによりトイレの個室の壁を次々にぶち破っていく。
しかし、勇次郎は不敵な笑みを浮かべるのだった・・・

ゴキブリタックルが通用しなかったから蹴ったらなんか凄い威力になったって感じですな。
でも全く効いてはいなさそうですし、どうしたものやら。
いや、逆に考えよう。勇次郎が嬉しそうにしている。
ということは、割とダメージがあるんじゃないだろうか?
手心を加えたら怒ると言ってますし、嬉しそうにしているのはそういうことなのかもしれない?



第259話/都市伝説  (2011年 32号)


前回とび蹴りで吹き飛ばした後、再びゴキブリタックルを敢行したらしい。
トイレを次々に粉砕していく。
しかし、仕掛けている刃牙は汗をかいているのに、勇次郎は余裕そうである。ううむ。

筋繊維を液体――さらには気体レベルにまで弛緩させ、しかる後に緊張へと転ずる。
そこに発揮される爆発力。期待を大きく上回る。
過去、多くの競技者、武術者がこの脱力という難行を試みるも、液体レベルにすらも到達できぬのが実状・・・

そりゃあね・・・現実に液体レベルまで崩れれる人なんておりますまいて。
ダラダラするだけならできるでしょうけど、そこから転じて緊張に行くのは難しい。

その技術・・・どこで覚えた。誰に習った・・・
刃牙よ・・・良き師を持った

ゴキ師匠が認められた!?
そのうち勇次郎が挨拶にいったりするんですかね。
うちの息子をよくぞ鍛えあげてくれたとか言って。
お礼代わりに暴力を振るうことがある勇次郎である。刃牙ハウスにゴキブリ駆除の嵐が吹き荒れるぜ!いいことだ。

”都市伝説”という言葉がある。

徳川埋蔵金、人類の月面”未到着”、つちのこ、心霊スポット、ネッシー・・・

ネットで、書物で、口コミで、玉石混交のウワサ話の中・・・
根強く語られる特殊な伝説があった。
それが、最強親子伝説

東京の地下には秘密の闘技場があり、最強を決める闘いが行われている。
ルールはシンプル。素手であることだけ。
金的、目つき、果ては噛み付きに至るまで全て解禁。
その苛烈な闘争の頂点に君臨するのは、なんとまさかの17歳の少年!しかも小柄の・・・

そんな最強少年をも畏怖れさせる男がいる。そう、父親である。
背中に鬼の入れ墨を背負った りするらしい・・・
大国ですらが顔色をうかがう らしい・・・
という父親である。

さすがに伝説。物凄く曖昧だ。
17歳の少年が王者というくだりとか、凄く嘘っぽい。
しかも、その父親が反則のような存在とか・・・眉唾にもほどがある都市伝説です。
でも、それが根強く語られる。火の無いところにウワサは立たないってことかぁ。

そして都市伝説はこう結ばれている。

近頃、この2人が険悪だ!

えっ?
ここに来て間違いが飛び出してきましたよ。
どちらかというと、昔の関係のほうが険悪だったと思われる。
今は、もう少し違う感情で戦っているでしょうからねぇ。
所詮都市伝説。正確な情報など望むべくもないか。
というか、この都市伝説の話は一体何の前フリなんでしょうかね?



第260話/壁の先  (2011年 33号)


困ったことに、雄はある日、勝手に目覚める

今回は、いきなり真理について語られるところから始まります。
物凄く身に覚えがあって困るぜ!

自分の身体を見て、けっこうイケるんじゃね!?と考える。
仮想の敵を空想し、叩き伏せる!おぉ・・・イケるッ!
イケるじゃん、俺!!!

そしてとうとう・・・出会う日がやってくる。
ホンモノの痛みと、現実の腕力と。
ある雄は街頭で。ある雄は道場で。ある雄はジムで。
己の持つ真の実力を思い知る・・・

まさに真理であるな。
だが、逆をいうならば、思い知らなければずっと勘違いできるということである。
私はこの先もずっと勘違いを続けるよ!

それはさておき。
ここに、一人の例外がいる。
この雄は最初から知っていた。
そう・・・己が最強であることを知っていた。
あたかも獅子が、誰に知らされるともなく捕食者を自覚するように、己の戦力を自覚した。

人類を倒し、異種を屠り、武器を制し、兵器を打ち破り、挙句・・・
権力を制圧し、武力をも怖気させ、権威に気を使わせる。
”腕っぷし”の持つ可能性を極限にまで体現した男。
この闇情報に、青少年達は飛びついた。

国家権力をも視野に捕らえた腕力
夢見る若者にとっては憧れるのも無理はない。若者のみならず、政界にも財界にもファンがいたりしますしなぁ。

そんな都市伝説として語られているオーガの姿を見ることができる。
そりゃ、人も集まるでしょう。

刃牙をふっとばし、壁に穴を開けた勇次郎。そこから外を見たとき・・・驚愕した!

なんの騒ぎだ!!?

オーガを一目見ようと集まった人々である。勇次郎を見て歓声を上げる人々。
マイッたなこりゃ
さすがの勇次郎も呟いてしまう。あれ、なんか弱気っすね。

範馬家の家訓には、観客はパフォーマンスで喜ばせなければならないというのがある。たぶん。
ジャックもヤシの実を噛み裂くパフォーマンスで沸かせたりしてましたしね。
しかし、今日の勇次郎は、親子水入らずで楽しむ気でいたので、観客のことは考えていなかった。
つまり、マイったなとは、パフォーマンスしなきゃと焦っている様子を指しているのだよッ!
次回では、範馬一流のパフォーマンスが見れるに違いありません。期待です。



第261話/大観衆  (2011年 34号)


勇次郎に吹き飛ばされ、ビルの外に投げ出される刃牙。
まあ、このくらいの高さなら受身を取ればなんということもない。
過去にも、ピクルを抱いて高いところから落ちてますしね。あれ、あの時は大ダメージだった気がする!

ハネ起きるや否や――少年の背を叩いた強大な衝撃!

大量の観客による視線と歓声が背中を叩いたのだ!
確かに、これは武器にもなりえるシロモノである。
しかし、観客からすると、いきなり頭抱えて怯んだように見えるわけで。何事かと思うな。

さすがに都市伝説の片割れ。オーガによらず、刃牙も人気者である。
そして姿を現した勇次郎にも大歓声が浴びせられる。
親子2人して呆然。・・・としか感想が出てきていない。
地下や中国では注目を浴びていた2人ですし、観客がいては戦えないってものではないでしょう。
でも、前フリなしで観客大勢はやはり厳しい。
まだ芸人モードにチェンジできていないようなものだ。え、もうカメラ回ってるの!?

さて、こんな状況になった原因。
それは、一本の報道番組から始まった。
緊急速報として、ホテルが機動隊と自衛隊の手により閉鎖されたというものだ。
その理由がなんと――たった2名の父と子により親子喧嘩という。

親子喧嘩で機動隊や自衛隊が動いてホテルを閉鎖?どんな状況よ?
現場の春日さんから中継が入ったようなので見てみる。
総理大臣専用車輌が、まるで怪獣にでも踏みつけられたようにへしゃげている。
なんでも、親子喧嘩でホテルの上から落ちてこうなったそうな。

え〜〜〜・・・
ちょっと・・・現場が混乱しているもようです

流しやがった!
事実を述べているというのに、サラっと流しやがった!春日さんも浮かばれない。

ホテルを閉鎖させ、車を破壊し、自衛隊をも出撃させる。
大変な親子がいたものです。

この報道により、気付いた。
都市伝説を知っている人ならば、すぐに思い当たる。
恋人と抱き合っている最中でも気付く。いや、そんな場合なのかお前!?

この親子知ってる!
ネットで、書籍で、口コミで。
どこかで聞いたあの噂、アレが開始まったのだ!

間に合う。間に合う。間に合う。今なら間に合う!

こうやって、大観衆が集まったのでした。
先に立ち直ったのは息子、刃牙の方。ま、しょうがねェッかァと冷静なお言葉。
うむ、まあ刃牙は子供のころから目立つところで戦ってましたからねぇ。
観客の声援を受けて芸人の血が滾りだしているのかもしれない。範馬の血は厄介だな!

しかし、首相は報道官制とか敷かなかったんですかね?
一般人を巻き込まないように遠ざけろと、オーガ自身にも言われてましたのに。
こりゃまたみっちゃんにキツイ鞭打をかましてもらうしかないっすね。

次回はお休み。その次の合併号で3倍祭りといういつもの流れだ!
さすがに3倍祭りの回なら、話も進むだろう。期待だ!



第262話/大炎上  (2011年 36+37号)


至福とは・・・それは築き、蓄え、準備した全ての使用!
ようやくまともに親子対決が始まろうとしている。

予想以上に凄い観衆。地下と違って段差もないから見難いでしょうな。
見せびらかすものでもないんだけどなァ、と溜息をつく刃牙。
一方、勇次郎はとても戸惑っていた。
緻密な頭脳を持つ勇次郎にして、あまりにも予想外の出来事だった。
人前で戦闘う経験・・・無論、初めてではない。
しかし・・・この空気・・・馴染まない・・・!!

地下の時は乱入者として、歓迎されざる者だった。
中国のときは、他国の挑戦者として、アウェーの状況だった。
今は違う。自分たちを見るためにやってきた観衆が、声援を送ってくるのだ。こりゃ馴染みにくい。
地下でずっと声援を受けてきた刃牙とは違いますわな。

パフォーマンスをする余裕もなく、普通に息子と向き合う勇次郎。
それだけでも観衆は沸く。チッ。張り合いのない観衆だぜ。
この空気に馴染めない勇次郎。今日は止めだと言う。こんなところで戦えるか!
しかし、刃牙はその提案を断る。

止めないよ。
言い方が違うぜ親父。
人前で不覚を取るのは恥ずかしい。ここはひとつ引いてはもらえないだろうか
・・・じゃね?

刃牙が挑発している!
言葉より、最後のじゃね?のときの目がすげぇムカツク!なんて挑発力だ!
勇次郎もさすがに血管浮かせまくりである。

血迷ったか、我が子よ・・・・・・

刃牙の挑発に思わず棒立ちの勇次郎。
そこに、刃牙の攻撃。右ストレートがアゴに入り、続いて左のロー、右のハイキックが叩き込まれる。
この3連撃、未熟な観衆の眼力には・・・未だダッシュの埃消え去らぬ、攻撃を終えたあたりからしか見えなかった。
破裂音と共に、刃牙が空中に現れて着地した。それぐらいしか見えていない。
これが世に言うところのヤムチャ視点というやつですかね。

どっちから仕掛ける?オーガだろ?いやバキだッッ!

凄い戦いになればなるほど、未熟な観客にはついていけない。なんという皮肉か。
こういうときには優秀な解説が必要になりますな。
オリバのときは、肉眼で追えなかった署長のために録画のスロー再生が用意されていた。
今回は生だからそういう用意もできない。今後、観衆が楽しめるバトルになるのか!?
分かりやすく、一度攻撃するたびにビルを破壊していってはどうでしょうか。解体だけでも楽しめるかもよ。



第263話/無礼  (2011年 36+37号)


さて、連続掲載の2話目。

人は強き者を称える。
ボクシングの世界チャンピオン、大相撲の横綱、五輪の金メダリスト・・・
ただ巨大きいというだけでさえ、人は歓喜ぶ。
そう――人は強大なものが大好きだ

しかし、そんな金メダリストや世界チャンピオンでさえ、武器には旗色が悪い。
本気で打ち込む日本刀に、真剣白刃取りは絶対に不可能だ!

絶対に不可能と来ましたか。まあ、そうなのかもしれませんが。
刀に限らず銃などもそうですな。
どれだけ強くなっても、素人が銃の引き金を引くだけで倒されることがある。
それはある種の虚しさを覚える事実である。

ましてや国家権力や、兵器の前には人間の腕力など・・・
ならば、一国より強い腕っぷしって一体どんなだ!!?

見られるものなら一目見てみたい!!!

現実を打破する幻想。それを見たいと考える人が多いのは分かる気がします。
しかし彼等は見られなかった。眼前に繰り広げられた3連撃の一切が目に止まらなかったのだ。

始まってる。
とうに開始まってるぜ。

目にすることができなかった観衆。だが、見えているものも、中にはいた。
眼帯をした筋肉質の男・・・愚地独歩だッ!独歩が解説するためにやってきてくれた!

独歩の言葉に、達人同士とはそういうもの。向き合ったときには始まっていると納得する観衆。なるほど〜〜
そういうことじゃないんですけど・・・まあ、いいやって感じの独歩。
解説しがいのない相手は辛いな。
達人か本部さんと並んで見るようにしないと寂しくなっちゃう。

前回は挑発されて血管をビキビキさせてた勇次郎だったが、攻撃されて落ち着いたらしい。それでいいのか?

闘争とは単独では中止できない
双方の合意のもと初めて成立するもの。
仕掛けられりゃ否も応もない。迎え撃つより他、手がない。

無抵抗でいれば、ただ蹂躙されるだけですわな。相手を引かせたければ、そういった合意を得る必要がある。
そのために武力が必要になることもあるさね。

勇次郎が口に指を入れる。その指には血がついていた。

他人の手により出血するのはいつ以来のことか

この間の郭海皇の時に出血してませんでしたっけ?まあ、それ以来ということか。
血を流す相手なら殺せるというセリフもあります。可能性は少し出てきた・・・か?

我が身に迫る危険。自力で解決せねばな。

勇次郎がやる気になってきた!観衆のことはもう気にしない方向でいくらしい。
やる気になって髪が逆立つ。ライオンじゃん。
このことだけでも観客にはどよめくに十分だったりする。まあ、普通はできないでしょうしね。

尊敬を込めて打ち込んだ、急所への確かな3発・・・
なのにどうだ?ビクともしない・・・
打ち込んだのか?打たせてもらったのか・・・!?
いずれにしろ・・・いくしかねェわな・・・

緩めて・・・溶けて・・・意識を・・・水・・・

どろりと顔を溶かす刃牙。これを実際に観衆が目にすることが出来たら悲鳴ものである。
全身を水にして流すイメージを生み出す刃牙。
そして、一気に固体化。地面を踏みしめダッシュ!
アスファルトの地面がその衝撃で砕ける。が、ほとんど進まずに勇次郎の腹に飛び込む結果になった。
ダッシュを開始する前に距離を詰められたのだ!
これも一般観客の目にはどう映ったのだろうか?
勇次郎が消えて、少し前に出て、刃牙が浮いて足元の地面が陥没したように見えるのか?やっぱりヤムチャ視点はきつい。

この俺を相手どり・・・同じ手を2度も・・・

”無礼者”確かそんな言葉を耳にした――気がする・・・

密接した状態から繰り出される、ノーインチ張り手
刃牙の顔面に叩き込まれる。これは勢い欲吹き飛びそうですね。
しかし、これ、普通に吹き飛ばしたのでは観衆の中に飛び込むことになってしまう。
観衆を巻き込み、水入りになってしまうのはよろしくない。
なので、ビルに向かって飛ばすことになるかと思われます。
左手で張ったのはそういうことですな。巻き込んでビル側に飛ばす伏線だ!
そして、基礎が破壊され、倒れてくるビル。巻き込まれる観衆の惨事!まあ、野次馬だしそういうこともあるよね。
という状況に最終的にはなりそうですなぁ。
見るのも命懸けになりそうな親子対決。盛り上がるのはこれからだ。盛り上がるよね?



第264話/激  (2011年 38号)


日本人でありながら、稀代の中国拳法家として名を馳せる達人、澤井健一氏がこんな言葉を残している。

”野球の投手が投げるような柔らかさと手の振りで相手の顔を正面から打ったなら大変な攻撃となる”
”目も鼻も一度に打たれて相手が見えなくなるほど涙が出るだろう”

佐藤嘉道著
「拳聖澤井健一先生」より。

達人の言葉はわかりやすい。
それを実証するかのように、範馬勇次郎の張り手が決まる。
スンゲェ音を立てて吹き飛ぶ刃牙。飛んだー!
観客席に突っ込む刃牙。おや、場外乱闘もありなんですかね?
迫ってくるオーガに、蜘蛛の子を散らすように逃げ出す観客。
自衛隊の方たちが頑張って観客の間合いを取っているけど、親子の方から近づいてこられてはたまらないな。

顔面を強打され、涙を流す刃牙。
しかし、その状態で跳ね起き、攻撃をしかける。
が、もう一発!
正面からビシァっと迎撃する。酷い。
音が派手なこともあり、観客アピールにはよい攻撃である。
さすがは範馬勇次郎。そのあたりのことも考えて、攻撃を選択しているわけか・・・
致命的に痛めつけず、それでいて派手な攻撃をしかける。勇次郎め、味な真似をしやがる。

息子をいためつける勇次郎。
それを見て、よかったなァおいと内心で声をかける独歩。

夢が叶っちまったんだ・・・
恋して・・・恋して・・・恋焦がれて・・・
育て・・・育み・・・そして・・・今日なんだなァ・・・

フフ・・・チョッピリ妬けるぜ・・・

圧倒的な実力を見せる範馬勇次郎。
観客もさすがに汗を流して見守るしかない。

打撃による生体反応か、己の無力への落胆か・・・
夥しい涙にまみれ・・・少年は静かに決意するしかなかった。
親子喧嘩どころではない。格闘わねば・・・

血管が浮き出るほどに拳を握り締める刃牙。
ようやくその気になった・・・?遅いよ!
いろいろと出遅れている感のある刃牙である。
しかし、格闘をするといっているが、ちょっと前に容赦のない3連激を急所に入れてたじゃないですか。
それらも通用しなかったのに、どう立ち向かうつもりであるのか。
ここらでトンデモ技でも飛び出さないと、なんともしようがない気がするが、果たして。
というか、いつまでその格好で闘うつもりなんでしょ?
上半身ぐらい脱いだらよいのに。服着たままずっと闘うなんて刃牙らしくないぜ!



第265話/戯れ合い  (2011年 39号)


強烈な顔面張り手を3連発で受けたが、なんとか立ち上がる刃牙。凄い鼻血だ。
だが、一気に噴出し、顔をこすればもう鼻血は止まっている。

止血・・・
滝のように流れ出る鼻血を少年は止めた。

リング上での出血の際、応急処置として使用される止血剤。
含まれる成分のアドレナリンが、血管を収縮させ止血効果を生むのである。

しかし、止血の最も効果的な決定打、それは闘志である。
強力な闘争心は脳へ働きかけアドレナリンの分泌を促す。
体内から働きかけるアドレナリンの止血効果は比類ない。
優秀なセコンドは意識的に選手を挑発し、闘志をアオり止血した実例がある。

って優秀なセコンドってアンタか!
確かにセコンドらしいセコンドではあるが・・・
独歩の親戚ではない。

止血を終えた刃牙。一足飛びに近寄り、いきなりの金的狙い!
が、これは止められる。
ならばと回転し、連打をあびせかける。が、それらは全て直立した状態のオーガに払いのけられる。
初心な観客からしてみると、速くて見えない。
手足が消えて、音だけしているようにしか感じれない。スロー再生がないと厳しいな。

よかったなァ・・・バキ。

独歩ちゃんは、今度は刃牙に心で語りかける。
親子どちらとも交流がありますからなぁ、心理的な解説役としては申し分ないか。

存分に遊んでもらえバキ・・・
こんなに遊んでくれる親父・・・他にゃいねェんだぞ!!!

まあ、そうかもしれませんけど・・・いや、そうかもしれないけど。
息子が遊びたがっているというより、父親が遊びたがっているような感じがなんとも。
でも、攻撃している刃牙が段々恍惚の表情になっていっている。キモッ!
無酸素運動を続けすぎてハイになっているのかもしれない。
このまま、攻撃を続けて幸せそうな様子で刃牙がぶっ倒れて親子喧嘩終了なんてことになったら・・・
なんか、それでもいい気がしてきた。



第266話/象形拳  (2011年 40号)


全身が見えないのに比べると、凄さがわかりやすい。
速過ぎて手足が見えなくなっているというこの状況。
人間って、こんな動きができるものなんだ・・・

いくら攻撃をしかけても勇次郎は直立して払い落すのみである。
なので、一旦距離を取る刃牙。観客も一息つけるぜ。ほォ〜・・・

充分な戦闘スペースを取る為に機動隊や自衛隊が観客を押しのける。
なかなかスムーズな連携だ。
装甲車の上という特等席を与えられた徳川のみっちゃんもご満悦。総理の神埼を褒めています。

さて、勇次郎。余裕な表情で受けていたが、その手足はビリビリと痺れがある。
まあ、それがどれほどの痛痒といえるのかって話ですけどね。

スポーツ格闘技であると揶揄する勇次郎。
もっと金的や目つきを狙ってこいというのでしょうか?
目つきなんてほとんど成功しないし、金的もなぁ。
範馬の血筋は、相手のタマは潰しても自分は潰れない家系だし。最悪だ。

距離をとった刃牙は何かに気付いたらしい。キョロキョロする。

そうか・・・来てるんだ・・・
だったら・・・見せなきゃな・・・

ゆっくりと両腕を動かし、手のひらを空に掲げる刃牙。
オラに元気を分けてくれと言っているようにも見える。

君なら大丈夫・・・君の・・・眼なら・・・
君の――視力なら見えるハズ!

優れた象形拳の使い手なら見せてくれる。
模倣た獣・・・その艶姿を見せてくれる。
観客達はまざまざと見ていた。
未だ見たこともない、Tレックスの最大の好敵手。その勇姿を・・・!!

さすがイメージした相手に物理的な攻撃力をもたせることができる男である。
対戦相手だけではなく、ウブな観客にまでトリケラトプスの勇姿を見せた
しかし、トリケラは有名だからまだいいな。
パキケファロサウルスとか出てきても、すぐ反応できるのは恐竜好きかチャンピオン紳士くらいだ。

この行動に、勇次郎も驚き。ひょっとこ顔になる勇次郎。そして一言。

この親孝行者めが

どうやら気に入ってもらえたらしい。それでいいのか?
この戦いの光景を、視力8.0以上の眼で見おろすものがいた。ピクルだ
古代の戦士も見送るこの対決。
話は進むのかと思いきや、象形拳のおかげでかえって後退した気がしてならない!
というか、ピクル戦のときも結局、象形拳は脅しにしか使ってなかったじゃないですか。

この戦いはどこまで発展するのか。ともかく、今年中に一応の決着がつくかどうかが焦点ですな。危ういと見るけど。



範馬刃牙 33巻


第267話/共同幻想  (2011年 41号)


今週のアオリ。
二人、初めての共同作業がここに・・・!?
なんだそのアオリ。その表現でいいのか!?

ともかく、刃牙のトリケラトプス拳が発動しました。

どうだい・・・親父・・・
範馬勇次郎なら会いたかったハズだ。
遠い遠いところから俺が連れてきた。
Tレックスの好敵手、トリケラトプスだ!・・・・・・の型?

自信満々に言いながら付け加えるのはいかがなもんでしょう。

刃牙のダイナミックな動きはパント・マイマー並らしい。そりゃ見事なピエロっすね。
その動きや眼光により、その場にいる者全てに共有させる。
この構えの持つ意志を。
この構えに備わる重量さを。
この構えが醸す殺意を。
余すところなく思い知らせた。

ましてや、範馬勇次郎。
神懸かり的洞察力を持つこの男の眼からすれば、今や――
少年の実体は希薄となり、虚像に込められた思いだけが実体化していた!

いやちょっと待って欲しい。
洞察力があるからより深く幻想にハマるとはどういうことでしょうか?
リアルを知るものの方が、夢想化よりよほど妄想にハマれるってことですか?なんか納得した。なるほど〜〜ッ!

少年期から折に触れ、思いを馳せた。
五体の意志に目覚めるにつれ、思いを馳せた。
正直、すっかり大人になってからも、思いを馳せた
五度や六度じゃない!
こいつら一体、どんだけ強いんだ!!?

さすが勇次郎と言わざるを得ない。子供のころの夢をいつまでも抱えていたとは!
そういえば、ストライダムにどっちが強いのかなと質問されたときも嬉しそうにしてたな。
しかし、異様なオーラを放つ男が、普通の恐竜展で少年のような目をされていても困りますな。

こい・・・大切にこい・・・
夢をそのままに、こい!!!

発動!
過去、遂に使用されなかった、トリケラトプス拳!!?

トリケラトプスのような重厚な突進が敢行された!
角と思しき腕を掴み、その突進を食い止める勇次郎。
図らずも、観客は恐竜VS地上最強の生物を観ているわけだ。楽しそうだな。

しかし、偶然幻想の角と実体の腕が同じ位置だったからよかった。
これでズレがあったら、掴んだはずの角がない!
ワンテンポ遅れて実体が当たりました。なんてことになったら、興ざめもいいところである。
勇次郎も激怒するだろう。夢をそのままにこいっつっただろ!知りませんがな。
親子パント・マイマーの戦いはまだまだ続くぜ!



第268話/真・象形拳  (2011年 42号)


ついに発動したトリケラトプス拳。
ゴキブリタックルとは違い、組みとめられた後も、地面を蹴って追い込むことができるんだぜ!
踏みしめたはずのアスファルトがバリバリと削れて行く。
2人の突進は、車を横転させたところで止まった。
おやおや、みっちゃんってば嬉しそうな顔だなぁ。こりゃ病気も治りそうだわ!

勇次郎と刃牙の体重差は100キロ以上。
その勇次郎を押し切り、あまつさえ車輌を横転させる。これが恐竜のパワー!

源治の膂力を堪能した

勇次郎も満足でございます。
ピクルも古代のライバルの力を見て嬉しそうでありますな。

そして、勇次郎は語りだす。

象形拳なるものの理想・・・或いは、目指すべき方向とでもいうべきか。
キサマに伝授えよう。

熊の戦闘形態を真似た熊掌拳。
虎の勢いをイメージした虎形拳。
螳螂の戦闘法を採り入れた螳螂拳。
そして、刃牙のオリジナル。恐竜拳・・・か。

え、刃牙だけ枠がでかくないっすか。トリケラトプスだけじゃなく、恐竜全部かよ!
まあ、ピクルには他の恐竜の真似も見せたりしてたし、問題ないのかもしれないけど。

様々型を工夫するも、言うなれば所詮は模倣ッッ!
仮に”ゴジラの型”を完成させ、火を吐いて闘おうが、模倣は模倣

まあ、確かにそうかもしれませんけど。
模倣でもそこまで出来たら素直に凄いと言わざるをえないと思う。
これは、次は怪獣拳でこいという誘いかもしれない。
勇次郎は子供のころから、怪獣映画を見て憧れていたのかもしれない。
ひょっとしたらすっかり大人になった今でも怪獣と闘うのに憧れているのかもしれない!ありえるから困る。

どうやら、勇次郎は見せてくれるらしい。
象形拳の理想形!

え・・・象形拳、て。型・・・?
モ・・・モノマネじゃん!

手を甲で打ち鳴らす勇次郎。
すると、そこに居る者全てが目にした。象形拳の完成形!

刃牙も想定外という模倣を超える真似とは一体なんなのか!?
全く予想がつかない。
刃牙が言っている、モノマネというのは何かのヒントなのだろうか?
最後のページでズンズン言っているけど、巨大な何かが生まれたというのだろうか?
ひょっとしたら巨大な勇次郎が誕生したのかもしれない。
自分が最強!さらに最強を出すなら、巨大な自分が最強の最強!こんな理論かもしれない。
しかし、モノマネという感じはしない。ではどうしよう?
あれだ。巨大ヒーローの真似!
怪獣を例に出したのはそういうことか。ウルトラマンの真似をする勇次郎。そして巨大化という流れだな!
次回は、巨大ヒーローになった勇次郎に対抗すべく、怪獣拳を披露する刃牙って展開ですね。
文字通りの怪獣大決戦だ!もう、好きにしてくれ!



第269話/溶け合い  (2011年 43号)


バキシリーズ、連載20周年でございます!
やぁ、そんなに続いていたのか。赤子が成年になる期間ですよ。さすがに凄い。
というわけで、バキシリーズのベストバウト人気投票だ!
さすがにたくさんありますなぁ。自分は独歩の戦いが好きかなぁ。天内戦や達人対決とか好きでした。
しかし、マホメド・アライJr.の5連敗がやはり貫禄。
ドイルも3、4連敗はしているが、さすがにアライJr.には勝てないな。どうしてここまで堕ちたのやら・・・

さて、本編。

象形拳。
それは、弱肉強食だけが旨である苛烈な自然界を幾千世代くぐりぬけた、彼等に備わる戦闘法を模したもの。
この世の法則に沿う、言うなればそれは、絶対強者の戦闘法だ。

そんな神の”お墨付き”を人間は学んだ。
絶対的回答。先人から受け継がれた英知を、父は揶揄する。モノマネと。
あまつさえ、ここに象形拳を完成させると。

手の甲を打ち合わせ、両手をゆっくり上にかかげる勇次郎。
なんだ、この構えは!?どういう構えだ!?

バ〜〜〜カ。
こんな動作、テキトーにキマってんじゃん

はァ〜!?

テキトーかよ。と思ったが、それ以上に刃牙のはァ〜の表情がたまらないことになっている。気が抜けすぎっショ。

腕を振り下ろし、全身に力を込める。
すると、服が弾け飛んだ!パシュッ。

そして光り輝くボデェ。うぉ、まぶしっ。というわけではない。
これは光ではなく、衝撃波だ。いや、普通の衝撃波でもない。衝撃波?だ。

この衝撃波?について、見物人の一人として体験したOL、水原理香(27)が後に語る。
近くのビルの4Fのオフィスで仕事仲間と見ていたらしい。

「お父さんの上着が破れたんです」

なんだ、その呑気なセリフは。その通りなんだけど、なんだか緊張感がない。
ともかく、勇次郎の上着が弾け飛ぶとほぼ同時に、窓が音を立てて震える。
そして、光が見えたのです。
いえ・・・それが実際の光だったのかどうかはワカりません。
なにか・・・あれは・・・
「衝撃そのものの・・・」「カタチ・・・」「衝撃の持つ・・・」「意志だったんじゃないかと・・・」

なんだかわからないけど、とにかく凄い衝撃が駆け巡ったらしい。
ほんと、勇次郎のパフォーマンス能力はすさまじいな。離れた観客も満足させる力がある!

そして、完成された象形拳の答え。
より”強き者”の戦闘法から学ぶ象形拳。
だから行き着く。範馬勇次郎の・・・・・・型!!

この答えが出るのはある程度想定内でした。
でも、勇次郎自身が範馬勇次郎の型!とか言い出してもなぁと思いましたが、こう来ましたか。
鬼の背中を出し、しかもそれを衝撃波として飛ばしてみせるとは思いもよりませんよ。

勇次郎に勇次郎拳を出されてしまった刃牙はどうやって勇次郎に立ち向かうのか!
こうなったら刃牙も勇次郎を出したらいいんじゃないでしょうか。
2部のラストではイメージで勇次郎を生み出していた。
なら、その幻影を叩きつければいい。
しかし、所詮は幻影。1体で勝てるとは思えない。なので、複数体出そう!
勇次郎拳を扱う勇次郎が複数の勇次郎と戦う!うむ、何を言っているのかわからねぇ!

それにしても、刃牙がまだ普段着の状態なのに勇次郎は早速鬼の背中発動ですか。
話の流れとはいえ、一足飛びに来ましたね。
逆にチャンスなのかもしれない。この状態の勇次郎と渡り合えるなら、まだチャンスは・・・渡り合えるのか?



第270話/巨凶出現  (2011年 44号)


勇次郎が勇次郎を模倣して放つ地上最強の象形拳!

振りかぶった親父が・・・虚空に向けて放つ直突き・・・
見えない圧が宙を飛び、俺を叩いた。

闘気でも飛ばしたかのように見える絵であるが、そういうわけではない。
刃牙はリアルな格闘漫画なので、そういう方面の技はでない!と一応言っておく。一応。

圧力が飛んできたと思ったのは刃牙と観客の気のせいらしい。
烈先生は肺を膨らまして空気圧の目潰しを行ったことがある。
勇次郎はそんな手順なしで目潰しできるわけか。まあ、それが目的じゃないだろうけど。

続いて、美しい弧を描く回し蹴り。
パンチのときと同様、見えない圧が周囲に放たれる。
天に向けて蹴りを放てば、圧力は天を駆け登る。
もはやそれは実体を伴い、ハッキリと視覚に捕らえられるようだった。

親父の言葉は嘘ではなかった。
範馬勇次郎自ら演じる「勇次郎拳」

力強く・・・自然で・・・美しかった・・・

本人が本人を真似る。これ以上自然な「象形拳」はまたとあるまい。

そりゃあそうだ。
そもそもそれを真似るとは言わない。まさに言葉のトリックに刃牙は嵌りつつあった。
迫力があるから説得力がある!この言葉を最大限に活用した勇次郎が凄いということだろうか。

見物人達は興奮していた。
大国さえも畏怖れると云われる個人の武力が、かくも美しいものだったとは・・・・・・

演武、というわけでもなく、一連の動作を見せるだけで観客を興奮させることができるのが勇次郎だ。
まさしく生粋のエンターテイナーと言えよう。これが範馬の血・・・!

勇次郎拳の型を見て、刃牙の感想。
親父は範馬勇次郎並みの硬い拳を持つ。
勇次郎並みの強靭い筋肉を持つ。勇次郎並みの俊敏さを持つ。
矢沢永吉が矢沢永吉を完璧に演じるように
範馬勇次郎演じる範馬勇次郎は完璧に決まってんじゃん。

例えに矢沢永吉を出されると説得力が増すのはなぜでしょう。
矢沢永吉が矢沢永吉を演じるという言葉自体に聞き覚えがあるからだろうか?

刃牙「――けど、親父・・・」
勇次郎「はい」

なんだ、はいって。息子に褒められて嬉しかったのか、いい親父みたいな相槌になってるぞ!
ともかく、刃牙は言う。いつだって「型」に問われること。それは見た目じゃない。

刃牙のこの言葉を受けてみっちゃんが震えだす。どうした?何か予感したのですか?
そろそろまともな戦いが始まる!ということでよいのでしょうか?どうなの?

え?見た目じゃない?じゃなんだろ??

とぼける勇次郎。息子のような顔芸である。本当、範馬の芸は多彩だな。
知らなければ教えないとと言う刃牙。そしてお互いが歩を進める。

そう・・・「型」の目的地は、いつだって実践性。
それを――お父さんに教えなきゃ・・・

勇次郎の体がガクリと崩れ落ちている!?
下半身は直立したまま、上半身がグラリと落ちる。
そして、刃牙の方は拳を握り、してやったという顔。
この構図は見た覚えがあるぞ・・・アメリカの刑務所で!
オリバ戦のトレースのような感じですかね。あのときは意識できない速度で放たれた攻撃だった。
勇次郎にもそれが通じるのだろうか?
でも、オリバだって倒れたけど別に効いているというわけではなかった。
勇次郎も、これで倒されることはまずあるまい。そもそも倒れるのかという疑問がある。

お父さんに教えなきゃ → 教えてくれてありがとう。
感謝の意を示す礼なのかもしれない。
範馬家はお礼をするにしても大げさにしなくてはいけないのだとかいう家訓があるのかもしれない。
ついでに回転して踵を落としてくるぐらいのことはしそうだ。



第271話/引き金  (2011年 45号)


あの勇次郎が沈む。正面から、虚ろな顔で、顔面から崩れ落ちようとしている!?

が、さすがに巨凶。
地面に叩きつけられる直前に足を踏み出して耐えた!
巨凶たるもの、地にヒザはつかない!ってわけですね。でも鼻はついていた。惜しい!

こいつァいつ以来のダウンだ・・・?

いつ以来なんですかねぇ。郭海皇には吹き飛ばされてたが、ダウンではなかったか。
そうなると本当にいつ以来になるかわからないな。

刃牙のあまりの攻撃の速さに、みっちゃんを含めて何があったのかわからない観客。
今父ちゃんのほう、躓いた?なんか、転びかけたよね?

これで決着がついた場合、観客には父ちゃんがいきなりズッコケて気絶したと見えるのだろうか。
そうなったら流石に落胆されるのは逃れられないと思う。
ウブな観客でも魅せるように戦うのは難しいな!

こんな時には優秀な解説者が必要だ。というわけで愚地独歩による解説が入る。脳内で。
いや、口に出して説明してあげてくださいよ!この人なんでも知っとるわぁ〜って言われてくださいよ!

間合いを詰める両雄。先に動いたのは、結果だけ見ると刃牙ということになる。だが、実体は違う。
”脳の起こり”武における仕掛けの初動。すなわち”起こり”
脳の命令があり動作が始まる――という常識は間違いだ。
脳は命令の0.5秒前に信号を発している

脳が信号を発して――肉体に命令を下すまで0.5秒。
その0.5秒間はなんと本人は無自覚!ボ〜〜。例外なく。ボ〜〜。
仕掛けられても反応できないのである。
”読み”とは極むるところ、”信号”(脳の起こり)の読み合い。
”脳の起こり”の読み合いにやがて到達する。

わずか18歳の若さで刃牙はその領域に居るのだ。

持っているのか!!その若さで!!

独歩もさすがに驚かざるを得ない。まあ、このくらいできないと地上最強には挑めないですしなぁ・・・

しかし、勇次郎もこの引き出しを持っていたことは予想外だったらしい。
我が子刃牙こそが最良の玩具だと認めていたが、それでも予想外だった。

オリバと戦ったときに詳細に内容は聞かなかったのですかね?
ビデオも残っていることだし、知ろうと思えば知れたでしょうにね。
親バカなのに肝心な情報が足りていないとは不思議だ。オリバが必死に隠蔽したのかもしれない。

古の剣豪レベルならば、当然持っていたとされる知覚。
トール・ノーレットランダーシュ。スカンジナビアを代表する化学評論家。
その著作「ユーザーイリュージョン――意識という幻想」で述べた言葉。
脳の命令0.5秒前の意識の引き金。

オリバが語った情報を勇次郎もまた語る。
オリバから本を借りたのだろうか。ちゃんと返した?喰って覚えたとかいいかねんからなぁ。

自分からダウンを奪った息子。
その行為に、父として賞賛を送らざるを得ない。
というわけで、撫でてやるからきなさいと言い出す勇次郎。え?
喧嘩している最中に撫でてあげるだと?なんなんだ、これは・・・!?

これって・・・ッッ
これっていったい何なんだ!!?

突然の賛辞に意識せず涙を流す刃牙。
何だこれは?嬉しすぎて泣いているのか?それとも何かあるのか?
思わず涙がこぼれてしまうような何かが発生したというのだろうか?

ともかく、ようやくダメージらしいものを与えることが出来た刃牙。
親子喧嘩の引き出しはまだまだあるらしいからなぁ。戦いは次のステージとかに移りそうな気配だぜ。



第272話/撫でる  (2011年 46号)


父からの突然の賛辞に戸惑う刃牙。そりゃそうだ。

きなさい。撫でてやる

聞き間違いではない。確かに勇次郎は刃牙を撫でてやると言っている!
観客もざわつく。戦い中に親子のコミニュケーションだと?

あの手のカタチが動かぬ証拠。撫でるしかないカタチ!!

お前は誉められて当然だ。
遠慮するな、こい。

畳み掛けてくる勇次郎。それに、ケンカだぜと返す刃牙。

だからなんだ!?息子の手柄を誉めぬ父親がどこにいる

正しいことを言っている。確かに正しい。
でも、勇次郎が正しいことを言っているということがそもそも正しくないから困る。
ここ最近の勇次郎は色々とおかしい。
こんな勇次郎は嫌だと昔言われたことをひとつひとつやっていこうとしているんじゃないかと思える。
そのうちゴミの分別とかもキッチリやりだしそうで怖い。
若いうちは避妊をしっかりしろとか言われそうで怖い。アンタに言われたくねぇ!

ともかく。父に誉められた刃牙は得体の知れない感覚に襲われていた。
少年の鎖骨中央から下、約15センチ。
その奥に突如現れた、痛みに似たもの。
”痛み”ながらも手放したくないもの。
手放し難き・・・・・・痛み

涙を流す刃牙。事情を知る独歩ちゃんは見るにたえないと目を伏せる。
同じく、少年時代から刃牙を知るみっちゃんもまた涙を流す。哀れじゃ・・・

父親から誉められるという当たり前。
抜け落ちたまま過ぎ去った18年だった・・・

子が父親に誉められた際の――
感激・・・成就・・・果報・・・
この子には一切が無さ過ぎた。あまりに不慣れ過ぎていた。

腹を決めてケンカをしている最中に誉められ、感激する。これはなんとも・・・不憫な話であるな。

あんなにも硬く握られていた父の拳が・・・
あんなにも柔らかく解かれ、自分に触れようとしている。
「もういいッッ」「どうでもいいッッ」「罠だっていいッッ、騙されてもいいッッ」
「あの掌に撫でてもらえるなら・・・・・・!!!」

心では強くそう思いながらも、体は横に飛び離れる。
やっぱりこんなのはだめだと言う刃牙。

これは・・・かけがえのない”時”だから
どっちが勝つかの喧嘩だからッッ
どっちが強いかの比べ合いだからッッ

よく言ったッッ!!

与えられなかったものを、生まれて18年経過した後に与えられようとしている。
でも、その誘惑を意志で撥ね退ける刃牙。なんだか主人公っぽくないっすか!!久しぶりに刃牙さんが主役っぽい。

そんな刃牙に勇次郎。いい機会だと言い出す。
強さの本質を実感させる、またとない機会だ。

言葉と共に、素早く刃牙の側に接近。脇に抱え込む。
まるで万力のように抱え込まれ、身動きできなくなる刃牙。

さて・・・”強さ”とは何か・・・?だが。
撫でることを希望む俺。撫でられることを拒否するオマエ・・・実にワカリやすい。
撫でてやる

どれだけ拒もうと、力づくでやりたいと思ったことを押し通す。
これが勇次郎の言う強さであるか。

餓狼伝で、松尾象山が強さとは何かという質問に対し、ワガママを貫く力だと答えたことがある。
それを通すための力はさまざまあるが、勇次郎もまた自らの腕力、暴力で押し通そうとする。

強さとは・・・希望みを実現させる力・・・
言わず語らず。少年は本質を心に刻んだ。

ゴシゴシと頭を撫でられる刃牙。
悔しさは大きいが嬉しさもありそうで複雑そうですなぁ。

勇次郎もかつて、自分にコーヒーを淹れさせたいなら力づくでやれと言っていた。
やはりこの父親に認めさせるには力づくしかないのか!?わかっていたことですけどね。



第273話/超えられまい  (2011年 47号)


父からの突然の賛辞に戸惑う刃牙。そりゃそうだ。

暴れる息子を無理矢理押さえつけて撫でる。
そりゃ独歩ちゃんにも、底の底からサディストと言われちゃいますわ。

逃れようと放った蹴りを自爆させられ鼻血を吹く刃牙。
その鼻血を拭き取り、舐める勇次郎。なんで舐めた!?な、なんで舐めた!?
この行動を観客は静かに見守る。
みっちゃんも声をあげず、神妙な顔で見守る。確かにツッコミ辛い光景だ。スルーしたいのもわかる。

勇次郎は静かに語り出す。

殺傷するも自由。愛でるも自由。
受け入れようが拒否しようが無関係。条件に左右されぬ力。
自らの意志を――希望む通りに実現させる力。
それが・・・”強さ”の最小単位!!!

「”耐える”こともまた――強さの一つ」
「”自己に克つ”力――これもまた強さ」
見失うな!!
それ等戯言、一切耳を貸す必要なし!!

それ等の解説は全て”意志”を通せぬ者達の”必要事項”。
言わばそれは、弱者の選択。

”強さ”それ自体は善でも悪でもない。
強き者は耐えぬッッ。
そもそも耐える必要がない。
”自己に克つ”その必要すらないッッ。

それ等”言い訳”は強さの純度を曇らせる、排除すべき不純物!!

本気の打撃を浴びせかけながら語り続ける勇次郎。
これらの攻撃を受けながらまだ意識がある刃牙は大したものである。
絶対に勝てる気はしないですけどね!!

刃牙は父の意志を痛みによるメッセージで受け取った。
教育として実感した

これが巨凶の教育方針であるか。
刃牙が語った最初の父の思い出が、確かコンクリートに叩きつけられたことでしたっけ?
痛みという強烈な感情にメッセージを込めることで教えを刻み込むわけか。
当たり前だけど、まともな家では絶対に出来ない教育だな!

勇次郎の強さ論は昔から変わることがないですな。
息子の情事に乱入した時も似たようなことを言っていた。強くなりたくば喰らえ。だったか。
あの時も、彼女といざ事に及ぼうという時に実の父親に乱入されるという痛みを刃牙は味わった。
ある意味一生モノのトラウマになりそうな事件でしたな。
実はあれも精神的な痛みによるメッセージで教育しようという考えだったのかもしれない。
さすが勇次郎。いろいろ考えているな!迷惑な人だ。



第274話/可愛がり  (2011年 48号)


雄大な自然の中、響き渡る笑い声。ホッホッホ。

無論・・・存知てますよ。わたしの子は、範馬勇次郎

勇次郎の母親が現れた!!
昔、勇次郎が誕生したときの話に少しだけ出てきていた母親ですな。
どうやら、母親を辞めて仏門に入っていたようだ。
どうして母親を辞めたのか?

そりゃあ、そうでしょう。大きいのだから、器が。わたしなんかより遥かに。

生まれた時には、母親に授乳を命令したという勇次郎。そりゃあ、母親も屈辱であるわな。
大変な人物に育つのは疑いようもなかったでしょう。
大変な人物て言葉は大層な人物であり、大いに変な人という意味であり、迷惑な人という意味である。
さすが勇次郎。全部満たしているぞ!

誰も勝てませんよ、あの子には。
人も動物も、歴史上の誰でも

ならばお釈迦様ならばどうか。仏門に生きる身に尋ねるにはイジワルな質問ですな。
闘わせるワケないでしょ、と答える母親。
それって案にお釈迦様でも危ないと思っていらっしゃるのでは?

しかし、このインタビューしている人物は何者なんでしょうね。
この比べたがる性格。もしやストライダムか!?
君とお釈迦様のどっちが強いかなぁ?とか次に勇次郎に会ったら言い出しそうだ。
そして刃牙が恐竜拳に続き神拳を身につけて挑むという流れになるわけだな!

それはともかく。
母親は語る。勇次郎に勝つとしたら絶対に不可欠なもの、それは血。範馬勇次郎の血
それもとびきり濃い〜いやつが必要である。

どう考えても勇次郎は突然変異体だと思いますが、血は関係あるんですかねぇ?
勇次郎の両親は普通の人っぽいんですけど。いや、父親が大変な人という可能性はあるか。
強さは普通くらいだけど、大いに変な人だったとか。大変な父親なので大変な子が生まれてもおかしくない!!

その濃い血を受け継いだ息子がいるのだが、ただいまダウン中。
横隔膜はせり上がり、呼吸は浅くなっている。

誉めたと思ったら、このザマ・・・

”オマエはだめなヤツ”親の口から出た、聞き捨てならないニュアンス。
それでもなお立てぬ、生身の現実。

刃牙はこの夜だけで父親に持ち上げられたり落とされたりと忙しいですなぁ。
しかし、やはり本気でかかってこられると力の差は圧倒的である。
あれ?本気じゃなくても圧倒的だった気はしないでもないか。まあいい。

突くか踏むかして終わらせようとする勇次郎。
だが、その瞬間。刃牙と勇次郎の髪が同時に逆立つ。この気配は!?

ハルル・・・

ピクルだぁ!!
どうやら我慢できずに降りてきてしまったらしい。
少し前に首相が何やら報告を受けていたが、ピクルが近づいていることを示していたのか?
ピクルと向き合う勇次郎。

貴様を・・・幾度も思った

その割に行方不明になってからは全然追う気もなかったですよね。
でも、闘える機会があるなら逃すつもりはないようだ。まさかの横入り!?
と思いきや、起き上がれないはずの男が跳ね起きていた。
刃牙の拳がピクルに叩き込まれている。
直接対決のときでも与えたことのなかったダメージをピクルに与える。一撃で歯が折れ飛んだ!?

フフ・・・この妬きモチ焼きが

ピクルの突然の横入りに、怒りを越えた感情で動き出す刃牙。
まさか、嫉妬が一番強い感情だったとでもいうのですか!?
そして、勇次郎はそれを分かっていて今のような言動を取ったというのでしょうか?
だとしたら、なんという魔性の父親。息子の感情を操っている!!倒錯してますなぁ。



範馬刃牙 34巻


第275話/邪魔立て  (2011年 49号)


バキシリーズ、ベストバウト発表!!

1位は範馬勇次郎VS郭海皇
この戦いは結構ワクワクしましたなぁ。
郭海皇は勇次郎と戦いつつ、格が落ちることのなかったキャラである。
決着まで含めて後日のネタに使える名勝負であった。

2位は花山薫VSスペック
最強死刑囚で、一番まともに戦った人といえるスペック。
同じくらいの強さでガチでやりあった戦いですからねぇ。楽しかったです。
最終的には花山のムチャクチャさが勝ったというのもよい。

以下10位まで。
3位 範馬刃牙VSピクル。
4位 範馬刃牙VS範馬勇次郎。
5位 愚地克巳VS花山薫。
6位 渋川剛気VS愚地独歩。
7位 範馬刃牙VSジャック・ハンマー。
8位 範馬刃牙VS花山薫。
9位 ピクルVS愚地克巳。
10位 範馬刃牙VSオリバ。

これが選ばれたのか!?というのがなくもないが、名勝負が多いというのが見て取れますな。
そういえば、この並び、左が勝者なんですよね。
ということは親子対決は・・・と思ったが、ピクルには負けてるじゃん刃牙。刃牙だけ例外だったらしい。

さて、本編。

闘争の芳香に引き寄せられ、ピクル参上!帰れ!
てな感じでいきなりブン殴られるピクル。

刃牙のパンチは直接対決した時とは比べられないほどの威力がある。
それだけ思いが強かったということか。なんと、ピクルの歯をへし折ったのだ!

これにはさすがに怒るピクル。
硬い表皮を裂いて肉を食うには牙が必要なのに!
だが、刃牙はもっと怒っていた。ワッ、コワッ!
すっこんでいろと言われてしまう。

「関係ないのだからすっこんでいろ」
好敵手から放たれたこの言葉。
遠い過去からやってきたピクルに、知る由もない。
ただし・・・理解ったこともある。

叱られた・・・・・・・・・

自然界の不文律。
割込みは御法度。絶対的な法則であった・・・

ケンカにルールはない。生死を賭けた戦いにルールなんてない。
とよく言われるが、そんな自然界にだってルールはあるんだ。割込みダメ、ゼッタイ。
まあ、どこまで守られているのかは知りませんが。

原始の鎧をも切り裂くピクルの牙。
破壊れるハズがなかった――絶対の信頼。それがブチ折られる。そのことにより――
ピクル・・・生誕1億4500万年。社会を学ぶ

うむ、やはり躾は必要だということですな。
ダメだということはちゃんと教え込まないといけない。これでピクルも立派な社会人だ?
そのうちふんどしも嫌がりだしたりするかもしれないし、躾は必要っすよね。

大人しく見物に回ったピクルは放っておき、親父と向き合う刃牙。
終わりかけた宴が再び始められる。

息子よ、親友が現れなきゃ終了っていたぞッッ!!

まさしくその通り。しかし刃牙はこういう展開が一度ではない。
ダウンしていたが、乱入が入って時間を稼いでくれたので復活できたという展開。
古くは鎬紅葉との戦いのとき、ダウンしたが、紅葉が乱入者と会話している間に起き上がり逆転。
そういえば、その時乱入したのが他ならぬ勇次郎じゃねぇか。

ともかく、勇次郎が刃牙に攻撃を仕掛けようとする。
この流れになれば、すぐに来ることはわかる。

そうくることは――知って・・・

わかっていたはずの刃牙ががくりと沈む。この崩れ方は!!

始めようか息子よ・・・近代初の引き金勝負ッッ!

そうくることは知っていた。

意識の引き金対決。
どちらが先にそれに気付き、0.5秒の隙をつくのかという対決!
始めの勝負は親父、範馬勇次郎が制した!
まあ、刃牙に出来たことだし、原理を理解している勇次郎に出来ないはずはないか。

ますます勝ち目が薄くなってきた刃牙。
驚くほどに勝ち目が見えない。
もう、死んだ振りしてピクルに任せたらいいんじゃないでしょうか。
ピクルとの戦いが終わったころに起き上がり、また勇次郎に挑むと。

戦っている最中の割込みは御法度だが、戦闘後の横取りは問題ないぜ!ってな理論だ。
まあ、ピクルが瞬殺される可能性があるってのが厄いところですけど。



第276話/上へ上へ  (2011年 50号)


踏み込んだ父に対し、事前に察知した息子は余裕をもって迎え撃ち――
その迎え撃ちを父は更なる事前に察知して迎え撃った。

Aが攻撃を決断する。
その決断の0.5秒前にBが知覚し、迎え撃つ。
その迎撃をAは直ちに感じ取り、Bの迎撃を迎撃。そのAの迎撃をさらにBは――

どこまでも続く迎撃の輪廻。全く持ってやれやれである。
今回の迎撃合戦に勝利したのは勇次郎。

倒れている刃牙に、とどめとばかりに踏みつけようとする。
が、それをかわす刃牙。追撃の蹴りもかわす。

正面からぶっ倒れていたくせに、もう元気そうな刃牙。
こいつらクラスになると、あのダウンの仕方でも決着にならないから困る。
普通なら、絶対起き上がれない倒れ方!とか言われるところなのに。

勇次郎が説明した迎撃合戦。刃牙はカンベンしてよと言い出す。
”よーいドン”で勝てるなら始めからそうしてる。

それができない以上――こうする他ない。

ハンドポケット!?
ほう。居合いか・・・

探すしかない。探るしかない。
弱者として生を受けた以上、誤魔化すしかない
それを――カンベンしてほしい。

ハンドポケットにより、意識の引き金を引くタイミングを誤魔化すということか?
まさか、ハンドポケットにそのような効果もあったとは。
龍書文はずいぶん先の領域に行っていたんですなぁ。
おしむらくは、攻撃が通じないオリバに当たってしまったということか。

そのハンドポケットによる、意識の引き金の奪い合いに付き合おうとか言い出す勇次郎。
え!?
こっちが誤魔化すといってるのに、父もやるのですか?
それはズルイ。かなわないから、ハンデをくれと言った様なものなのに、堂々とその領域に入ってきた。
ほんと、カンベンしてよ。

”決断発動”0.5秒前を掴みたい刃牙。
掴ませまいと俺。
父親として受けて立つ。

察知してみよ、全速力の抜拳

古の剣豪同士がそうしたようにッッ
かつてのガンマン同士そうしたようにッッ

”抜く”と決断する0.5秒前!!

俺がこのアホ勝負を終わらせるッッ

アホ勝負言われちゃいました。
まあ、確かに冒頭の説明のように、どこまでも続く探りあいは不毛なことになりかねない。
じっと睨みあったまま時間が過ぎるという流れになるわけですからねぇ。
静かな緊張感もいいものである。
が、エンターテイナーの勇次郎としては、派手な動きでないと満足できないらしい。カンベンしてよ。

気になるのは、勇次郎が言うところの、全速力の抜拳という言葉。
本気で拳を打ち込むつもりだろうか?
そう考えると、決着は実は近いのかもしれない。
年末も近づいてきたことだし、決着が見えるようになるか!?
年を越しても戦ってそうな気はしてますけどねッッ!!



第277話/抜拳  (2011年 51号)


今を意識する0.5前。
本人ですらが自覚できぬ、神なる領域。”それ”を掴む。

人間は例外なく発する0.5秒前の”お知らせ”。
ハンドポケットされた両掌は窺い続ける。間もなく訪れるハズの”今”を。

それはあたかも、抜刀の瞬間を待つ――鞘の中の”刃”に似ていた。

今にも訪れる”今”
今やその”今”は今の直後にまでッッ

何言ってるんだかサッパリわからねぇ!だが、凄い迫力だァッ!!

そんな緊張感を破ったのは、勇次郎。
あ・・・そうだ・・・

あらぬ方に目をやり、喋りだす勇次郎。どこ見てんの。

血の繋がった父と子が、胆の探り合い・・・どうも違う・・・
もういい。
決断の前の0.5秒など待たんでいい。

大きく左手を広げてそう宣言する勇次郎。もうこの探りあいに飽きたというのか!?

俺が教える。
”決断発動”0.5秒前などという、慌ただしいものではない。

5秒。

攻撃を繰り出す5秒前から、俺が自らカウントダウンしよう

何を言い出したんだこの人は?
指を折り曲げ、この掌が拳に形を変えたとき、放たれる。
確かにわかりやすい。けど、何を言い出すんだこの人?

引き金の探りあいのハズが、まったく別のゲームになっちまった!

独歩ちゃんもビックリする。そりゃ驚くわ。卓袱台返しも甚だしい。いきなりのルール変更!
そして、変えると宣言し、相手の返事も聞かない。
トーナメントをいきなり5対5マッチに変更するぐらいの暴挙だ!
そういえば、あの時も相手の了承なんてほとんど得ようとしてなかったな。決定だけつきつけてた感じだった。

カウントダウンが開始される。
見ているほうとしては、いつ攻撃が始まるかわかりやすいのでありがたい。
固唾を呑んで見守る一同。
そういえば、首相。顔がずいぶん変わっている気がするけど、気のせいかね?まるで別人!
途中で首相が誰かと話していたのは、首相交代を告げていたのかもしれない。
よもやの、観戦中に首相交代!?一大事なのにサラッと流されるのが厄い。

まあ、ともかく。カウントダウン終了。
放たれる予定の一撃に、刃牙はどう動くのか。
どうせならカウントダウンしている間に思いっきり距離をとったらいいのに。
そして、カウントダウン後に攻撃が来ていないのを指摘する。
おや、攻撃がこねぇな。試合放棄かい?やったぁぁぁ!勝ったぞぉぉぉ!!
勝利宣言。これが刃牙が勝つ唯一の方法な気がしてきた。



第278話/秘技・秘術  (2011年 52号)


突然のゲーム変更。
カウントダウン後に攻撃しますよと言い出す勇次郎。
5秒のカウントを終え、勇次郎が動き出そうとする、今!!

タイミングを見計らうまでもない。来るとわかっているなら、その今を捉える。刃牙が動き出す。

最速の”抜拳”零コンマより速く!
結果少年の選択んだ最速は、手をポケットから引っこ抜かず、
手拳の位置はそのままに、身を沈めることにより抜拳した。

それはあたかも、柄を床に接地したまま腰を切ることにより抜刀する、居合い抜きの理合に似ることとなる。

ハンドポケットでの抜拳を勇次郎は居合いと称した。
それはこの身体操作法が酷似していることによる。
最速を身につけた刃牙。
しかし、攻撃の前の”今”を捉えることはできなかった。

勇次郎の拳がゆ〜〜っくりと迫ってくる。ヤアアァァァァ。

〜〜〜〜〜〜〜〜!!?

激しい一撃が来る、と思わせてのフェイントか!?
顔だけ見るとふざけているようにも見えるが、これはちゃんとしたテクニックかもしれない。
カウンターを塞ぐために、わざと動作をゆっくりにしているのでしょう。
そして、そのゆっくり拳が刃牙の顔に触れる。
そこまで来れば、後は簡単。ノーインチパンチを叩き込むだけである。
勇次郎の呼気と共に、拳が加速し刃牙の視界がブレる。

これもまたカウンター封じのテクニックか。
ノーインチから繰り出される技ならば、行動の出所を迎え撃つ間もないということか?
ともかく、勇次郎の攻撃に体を浮かせる刃牙。だが――

息子。刃牙からの、今宵最大の贈り物

殴られ吹き飛んだかと思われたが、その足は自らの意志で浮かせたもの。
右足を上顎に見立て、勇次郎の首にかける。
そして、左足は下顎として、喰らいつくように膝を打ち付ける!!

噛み砕く虎の顎になぞらえた秘技。
その名も、虎王!!

打撃を決めた後は、腕を決め、地面に顔面を叩きつける複合技。
打撃、関節、投げを織り交ぜた古流武術の秘術だ!!

まさかここで虎王が出るとは!!
この流れは驚いた。ちょっとアツくなった。
あまりのことにピクルが姫川に見えてきたぜ。

刃牙は幼年時期にも虎王を使ったことがある。
だが、今回は丹波が見せた、拳を喰らったように見せてからのカウンター気味の虎王である。
ノーインチパンチならカウンターは無理と思わせて、殴られてからのカウンターとはなぁ。
そういう風に考えてみると、今回の戦いは高度なやりとりが行われていたと思えなくも無い。

しかし、この虎王はどのぐらいのダメージになったんでしょうか。
歯の1本でも折ってくれれば可能性は見えるのだが、難しいか。
少なくとも膝を入れた段階では歯は折れていない様子。
今宵最大の〜という文言も出ちゃったし、これ以上は望めないのだろうか。
これで決着がついた!と誰も思っていないのがミソですな。もちろん私も思っていません。



第279話/父の上  (2012年 2+3号)


虎王炸裂!!
強烈な反撃はまさに快挙!!
この逆転劇に観客も沸き返る。そして、ビルの一室でその様子を見て震える男が一人。

あんな古流の合戦の技術に不覚を取るなんて・・・
ヤキが回ったかオーガ・・・

オリバだ!
さすがに知らぬものはないアンチェイン。
親子対決が今日行われることを事前に知っており、ゆっくり観戦できるポジションを確保していたとは。
きっとホテルから落ちてくることも予想して場所を確保していたのでしょう。

体を小刻みに震わせ、腕の筋肉に血管を浮き上がらせながら呟くオリバ。
なんだかんだで範馬親子双方と関わりが深くなりましたなぁ、この人も。

・・・にしても、だ。バキめ。強すぎだぜ少年・・・

オリバも認めざるを得ない刃牙の強さ。
というか、一度正面から殴り倒されているのだから、認めないといけないに決まってますわな。
それでも勇次郎とここまでやるとは、と驚いているのでしょう。
さて、その刃牙。

膝の下にある太い・・・乳の頸部の確かな感触。
自由を奪った腕の・・・確かな感触。
親父は今――確かに俺の下にある!!

身の丈を越える達成感と、等身大の動揺・・・二つ我にあり!
気持ちはわかるようなわからんような。
なんだかんだで父親を尊敬しまくっている刃牙ですからねぇ。動揺もするか。

独歩ちゃんもオーガに油断しすぎだと毒突く。
刃牙はアンタの血を引く怪物なんだぜ。舐めすぎだっつーのッッ。

虎王を決めた体勢のまま、刃牙は勇次郎に語りかける。
この体勢からはいつものような舐めたセリフは言いにくい。
ハッ!?まさかそれがわかっているから起き上がらないのか!?
この状態で虚勢を張っても虚しいだけ。だからあえて起き上がらないことを選んだというのか・・・ッッ!

大観衆の中、父の上に乗り息子が叫ぶ。

フザケンナよ親父ィッッ!!
このまま終わる気じゃねェだろうなッッ!!
認めねェぞそんなこたァッッ逆転してみろッッ!!

それが範馬勇次郎ってもんだろがァッッ!!

吠える刃牙。息子の想いに感心する観客。
背景と言葉がわからないためか、状況が動かずアクビをするピクル。おい。
いや、実はアクビではなく、感動のあまり涙を流し大きく息を吸い込んでいるのかもしれない!?ないな。

それはさておき。
倒れたままの勇次郎の指が何かを形作る。
これはOKサイン!?逆転の願い受け取ったということか?
だが待って欲しい。このOKサインは逆から見える。OKの逆、つまりKOサインだ。
KO。ようするにこの戦いは決着がついたということなんだよッッ!!
という話だったら凄く驚く。ないとは思うけど。



第280話/虎王返し  (2012年 4+5号)


父の上に跨り、喜ぶ刃牙!
その通りだけど、そのアオリはどうなんだろうか。
それはさておき、やはり勇次郎の手の形はOKサインだったらしい。

サインを解き、ゆっくりと右手を持ち上げる。
左腕が極まった状態でここまで右腕が持ち上がるって凄いな。

完全に極まったこの体勢から、その右手で何が出きるというんだ!!?

混乱する刃牙。ここまで右手があがるなら、刃牙の髪でも掴んで引っ張ればいいんでない?
その回転に合わせて勇次郎も回れば起き上がれる。
なんて考え方は凡庸すぎたようだ。いや、それも普通はできないと思うけど。
今回の勇次郎の行動は・・・持ち上げた右手でアスファルトの地面をぶん殴る!!
もの凄い衝撃!そして地面に埋まる腕。粘土じゃないんだから・・・

殴った衝撃で持ち上がるのかと思ったら地面のほうが持ちませんでしたか。
とはいえ、勇次郎の真骨頂はここから。
埋まった腕をさらに振りぬく!
寝転んだ状態で、横転する力だけで、アスファルトを掘り抜いてしまったのだ!!
なので地下からパンチが出てくるという不思議な現象が発生した。そんなんありかァ〜〜ッッ!

さすがにここまで来ると人間じゃねェと観客も言わざるを得ない。ひゃいいい。
アスファルトの地面をぶち抜くという発想にオリバも驚いております。
どうでもいいけど、オリバさん。その帽子の被り方だと額が目立ちますよ。

オーガにとっちゃ地面やアスファルトの認識が違う・・・
ゼリーや寒天の上で闘ったなら――寝技は寝技にならねェ・・・

わかるようなわからないような例えが出ました。
まあ、勇次郎にしてみればアスファルトなどゼリーみたいなもんだということか。

圧倒的な強さを見せる勇次郎。結局のとこ虎王によるダメージもない様子。ぬう。
それでも刃牙はそんな父親に勝ちたいと思っている。
そう、ションベンちびったって勝ちたいんだ!
ってまた漏らしやがっただと!?というところで、続く!!



第281話/闘いの聖水  (2012年 4+5号)


刃牙が漏らしているころ、花山さんと千春は2人で酒を酌み交わしていた。
親子喧嘩が始まったことはニュースで知ることができる。
しかし、2人はそれを見に行こうとはしない。

見てぇのか・・・他人さまン家の親子喧嘩が。

花山さんのこの言葉に顔を歪ませる千春。み・・・見たいです!!
正直だな千春。おかげで花山さんも正直なところを吐露してしまう。俺も・・・と。

実際のとこ、息子の刃牙もこの喧嘩を見てもらいたがっている。
というか、父親がスゲェところを見て誇らしげにしていたりする。
俺が、範馬刃牙が、ションベンもらすほど強ええんだ。

十八にもなろう大和男子が人前で漏らす
普通に考えれば精神的なダメージは計り知れない。が、そんなことは気にも留めていないのが刃牙である。
まあ、既に地下で経験済みといえばそうなんだけどね。

観客はこの失禁を見て汚いという。そりゃそうだ。
地下の人たちは浴びせられても避けもせず戦いに魅入っていたが、まあ、アレだ。
やはり闘いには実況がいるんじゃないかという気がしてきた。
あの熱い実況があってこそ、失禁も気に止めれないぐらいの没入感が得られるのではないかと。

刃牙の様子を見てツバを吐き捨てる勇次郎。
虎王まではよかったが、今の体たらくは見るに耐えない。簡単に泣き、簡単に漏らす。
その言葉を受け刃牙。そうさと肯定する。
その通りだよ。泣くし、漏らすし、誤魔化すし、騙すんだ。

今更かよ・・・
手段を選ばず、勝ちを拾う!
泣こうが・・・漏らそうが・・・誤魔化そうが・・・騙そうが・・・

その心意気は良し。
でも、漏らすのと手段を選ばず勝つのとでは繋がりがあるようには思えない。
もしや飛沫を飛ばして目潰しにでもするつもりだろうか!?汚ねぇ。
跳び蹴りを使ったのもそういう効果を見越してのことかもしれない。
だが、最後に放った胴回し回転蹴りは、同じ胴回し回転蹴りでカウンターされてしまう。
おお。少年編の再現ですな。
だが、今の刃牙はそれを防ぐことができる。5年前より遥かに速くなっていたが、それも防げた。
しかし・・・ここで勇次郎の様子が変わる。
両手を広げ、ある種神懸りっていうのか・・・神々しい様子となっている。

独歩ちゃんに言わせると、自分も一人息子を持つ父親の身。すぐにピンときたとのこと。

嗚呼・・・成人式が開始まるんだ・・・と

ようやく、父離れ、子離れが行われるときが来たというのか!?
勇次郎もついに子離れの時期かぁ。寂しいものですな。ん?
しかし、成人式が始まると言われても何をするつもりなんでしょうかね?
一端の大人になるために、通過儀礼を行うということでしょうか。
各地の風習だと、大人になるためには色々な儀式を行ったりする。バンジーとか。
刃牙もそういった儀式をやらせられるんだろうか。割礼とか。ヒィ。



第282話/佳き夜  (2012年 6号)


突然の暗闇。差し込む光。
範馬勇次郎の誕生の瞬間である。
産婆に取り出すように命令する勇次郎。恐ろしい。
さすがに生まれた瞬間に地球上の生物の強さのランクが自動的に1つ下ったと言われるだけのことはある。
範馬勇次郎は生まれた時から範馬勇次郎だったのだ。

範馬勇次郎。腕力家
腕力家なんて言葉があるはずもない。
常軌を逸した豪腕振りに誰云うともなく呼ばれ始めた”造語”である。

その強さは地上最強の生物と称えられるほどである。
ライオンなど勝負にならない。北極熊やシベリア虎、アフリカ象よりも強い。大抵ヤラれている。

じゃあさ、じゃあさ、海のヤツは!!?

嬉しそうにハートマーク付きで質問する誰か。
なるほど、地上最強の生物ならば、海の生物には負けるかもしれないという予想か。
白鯨とかシャチとかジョーズとか。

それに答える謎の声。見たことはないが、まあ、たぶん。賭け率は偏るでしょうね。
ええ、もちろん範馬勇次郎の圧勝かと・・・このフレーズはちと不吉だな。
まあ、花山さんも水中で鮫に勝ったりしてるし、勇次郎が負けるとも思わないわな。

では、ウイルスやバクテリアは
? 一対一じゃねェ・・・との答え。
それは何?集団なら勇次郎も倒せるってことかい?
まあ、タイマン前提の話だということで納得はしておくか。一応。

そんな最強が優し気だ

刃牙曰く、風貌が優しいとのこと。
でも十分怖い気がするんですけど。

こッこんな貌もできるんだァ〜!!!

息子も見たことのない味な顔をする勇次郎。
でも言っていることは物騒である。刃牙もよく聞いていなさい。顔に注目してないで。

生半なことでは目覚めない刃牙の裡に眠る遺伝子を叩き起こす覚悟をしたとのこと。

かつて、中国四千年に徹底的に痛めつけられてようやく姿を見せた範馬の血。
刃牙が勇次郎に寵愛されているのはこの血が濃いためである。
薄いジャックの放置されまくりだしなぁ。
世界中にバラまいた勇次郎のタネとやらも血が濃いのはいないのかもしれない。
やはり刃牙は母親が良かったのだろうか。勇次郎曰く、探し求めた女らしいからなぁ。

さて、ついに勇次郎が見せる。
ゆっくりと腕を上げると、背中に浮かび上がるは鬼の顔。
これには観客も一斉に写真を取り始める。オォ〜・・・

息子、刃牙・・・退屈で埋めつくされた俺の生涯に・・・
初なるときめきを与えたるが、よもや我が子だけだったとは・・・

背中の鬼が哭く。あの一撃を放つ気か!?クレイジー。
必殺の一撃を放とうとしながら、相手に生きろという勇次郎。まさにクレイジー。

佳き夜をアリガトウ・・・・・・

父の全力の一撃。それを見て、脳裏に浮かぶは母の言葉。
「お父さんを喜ばせなさいッッ!!」

よりによってその言葉が浮かぶとは。
刃牙も喜ばせたいという心境に至ったということなんでしょうか。複雑な親子だ。
この一撃で決着がつくのか?
それともこの一撃を受けて、範馬の血が覚醒し、互角の戦いとなるのか?
それとも死んだフリでやりすごすのだろうか?武の勝利。そんな技までコピーするとはな・・・
新たな局面を迎えそうな気がしないでもないぜ。



第283話/血の覚醒  (2012年 7号)


お父さんを喜ばせなさい!
心に残る母の言葉。何故今それが思い出させられてしまうのか。
戸惑う間に、勇次郎の拳が迫る。

腕でどうにかブロックしようと試みる刃牙。
それには成功したが、それでも高く遠く吹き飛ばされてしまう。
吹き飛び、車に激突する刃牙。
その表情は虚ろであり、そのままダウンしてしまうんではないかという状態。
だが、そんな刃牙に追い討ちをかける勇次郎!
今度は腕でブロックなんてしていない。胴体を思いっきり捉えている!

沈黙する刃牙。
かつて愚地独歩はこの一撃により心臓を停止させた。
刃牙はどうなるのだろうか。とりあえず原形はとどめているようですけど。
勇次郎の望みどおり、血と共に覚醒するのだろうか?

ここで舞台がいきなりエジプトのカイロに飛ぶ。
「ギザのピラミッド」
クフ王などが眠る大ピラミッド。
そこを調査している学者さんたちがいた。
その学者の1人、クリス教授は中に入っているが予定を90分オーバーしても出てこないという。

前例をかんがみるに――このケースは2つに1つ。
遭難。もしくは新発見
クリス教授にとってここは我が家同然です

我が家で遭難したり新発見したりする奴がいるというのか!?
安心させるために発した言葉だろうけど、すごくツッコミたいセリフだ。

それはともかく、クリス教授は見つけていた。
抜け穴の先にある、帰るに帰れない大きな何かを。

長大な空間の先には壁画。
一見して不吉なもの。魔物を描いたものと思われる。
気になるのは・・・何故背中なのだろうね

古代のピラミッドに残る壁画に鬼の背中?
これが意味するものは一体・・・
範馬の血は古代から連綿と受け継がれてきたというのでしょうか!?

勇次郎の父親がどんな人物か描かれていないのでわからないが、範馬の血とは一体なんなのか。
特別変異種である勇次郎が基礎なのかと思ったが、そうでもないのか?
なんとも不思議な話である。
ストライダムが潜り込んでつい最近描いたんだ!なら話はわかる。ありえるな、ソレ。



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