蒼天紳士チャンピオン作品別感想

刃牙道
第27話 〜 第53話


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 各巻感想

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連載中分


刃牙道 4巻


第27話「竹」  (2014年 39号)


早すぎた決着。
どうやらあの一撃で気絶したまま起き上れなかった様子の刃牙。
ズール戦のように無理矢理三本勝負に持ち込むことも出来なかったか。

寝かされた徳川邸の布団から跳ね起き、負けを実感する。
いやァ・・・強ええの強くねェの・・・って、ひええ〜〜〜〜・・・!

勝負になってねぇや・・・

まさに勝負になる前に終わってしまったという感じですな。早すぎる決着と煽られても仕方がない。
そして逆に遅まきながら、先程闘った相手に驚愕する刃牙。
そりゃあ歴史上の剣豪と立ち合ったなんて事実、振り返れば混乱するのも当り前でしょうな。

いやいやいやいやないでしょうッ――そんな!!!
宮本武蔵・・・!!?いないからッッそんなヒト!!!

現在にはをつけないと宮本武蔵の存在そのものを歴史から消してしまいかねないセリフだ。
あの時は勢いで宮本武蔵と言い当ててしまったわけだが、冷静になっちゃうとどうにも頭を捻ってしまうようですなぁ。
さすがの刃牙といえども常時戦いに酔っぱらっているような感覚ではいられないか。

・・・・・・会いたいッッ

よく分からなくなってしまったのならもう一度会うしかない。
というわけで、外に出てみると、そこにはまだ武蔵の姿があった。おや。
どうやらこれからトレーニングを行うらしい。
その傍には徳川家の庭から今朝切り出したばかりの孟宗竹が並べられている。

聞いたことがあるッ。武蔵は切りたての青竹をただの一振りでささらにする!
風圧と!握力で!
あの握力は節ごと握り潰せるというのか・・・!?

確かにその伝承は聞いたことがある。
しかしよもや2本同時に。しかも繰り返し次々に無造作に行えるとは・・・
これはもうさすがというしかない。刃牙が気絶するのも無理からぬことであったか。

青竹の硬さはほぼ人骨と同じ程度であるという。
それを握り潰せるというのだから並大抵のことではありますまい。
まあ握力といえばもっと凄い人が身近にいるので、その部分だけではそこまで驚かないでしょうけどね。
何にしてもこの凄いトレーニング風景を目にし、心ならずも口を開く刃牙。

ムサシさん

はて。ここから一体何を言い出そうというのだろうか。
うちの犬の名前もムサシっていうんだとか言い出したりしないだろうか。
心ならずも言っちゃったよ!みたいな感じで。
さすがにそれは宮本武蔵の方も反応に困りそうだが・・・さてはて!!



第28話「勝負観」  (2014年 40号)


次々と青竹を粉砕していく武蔵。むんッッ!!
その様子を見ていた刃牙が口を開く。それは何のための稽古ですか、と。

さて、考えたことがないな。稽古は稽古だ。兵法者にとっての嗜みか

ふむ、鍛えることは既に嗜みの一つと言っていいわけでありますか。
要約すれば、それは勝利に向けての稽古であるわけだ。無論それはそうでしょう。

だったら、俺と勝負した方が稽古になる

そのように告げる刃牙。なるほど、再戦の申し入れでありますな。しかし・・・

ぼん。お前は死んでいるではないか
一刻・・・おぬしは一刻ほども眠り続けた。その間幾度殺せた・・・?

確かにあれで既に勝負は決している。
生き死にの戦いを繰り広げてきた宮本武蔵と平和な時代の勝負に慣れた刃牙との勝負観の差。
そのように言われてしまったのではもう恥じ入るしかありませんわなぁ・・・むう。

とはいえ諦めきれない様子の刃牙。
武蔵が手にした竹を凄まじい蹴りで切断してみせる。
この蹴りは最初のよりも遥かに迅かったと武蔵も認める。認めたのだが・・・

迅い・・・・・・が、「武」ではない

刃牙の技は武ではない。これは一体どういうことだろうか。
武蔵が説こうとしているのはひょっとして武道。「道」のことでありましょうか?
これはつまり、ついに刃牙道が示す「道」について語られる時が来たということなのだろうか・・・

武蔵の示す「武」とは一体どのようなものか。気にはなるけど、どうやらここで語る流れではない様子。
いきなり光成に対し、見聞を広めるために出かけると言い出す武蔵。おや。
さすがにこの申し出は予想外だったのか、トラブル必死だと留めようとする光成。トラブルって通じてるのか?
何にしても外出は無理だと言われれば武蔵としても気分はよろしくないか。
蘇った直後の外の光景は驚くばかりであったが、落ち着いたら今度は興味が沸いてきたみたいですね。
それなりの歳でありましょうに、好奇心旺盛なことである。

そんな武蔵に対し、外出はムリだと口を挟むのは刃牙。

甘ェよアンタ。幾度だって殺せたのに――止めを怠った!!!

そう述べて攻撃を仕掛ける刃牙。
ふむ、この言葉は割と間違ってはいない。
幾度も殺せたという武蔵の言葉は正しい。が、結局死んでいないわけだからそれは空論に過ぎないとも言える。
生き死にの世界での話であるならば、実際に死んでなければ再戦はあってしかるべき。それもまた真実でありましょう。
まあ、この再戦で敗れたら本当に殺される可能性があるってことですがね・・・

現存する近代武術、格闘技、格闘スポーツ・・・その全てで最速の技術はジャブ!!!

俺のは閃光より迅いぜ!!!

何となく昔ボクシング部の先輩に刃牙自身が言われたような気がするジャブの説明。
今度は刃牙が使う側になったわけでありますがどうなるか。因果は自分に返ってくることとなるのか!?
まあ、閃光より迅いとなれば単純にジャブという名前で並べられはしないのでしょうが・・・
というか何というか。その宣言は既に破られるためのフラグにしか見えないんだけども!!
どんな破られ方をするのか楽しみです。

それはそうと、刃牙が久しぶりに挑戦者側の意識に立った感じがしてよいですな。
王者に君臨して退屈しているよりは強い奴に向かってギラギラしている方が主人公らしくてよっぽど良いですよ。うん。



第29話「ジャブ」  (2014年 41号)


先輩!!チーっす!!そろそろ見せます現代の意地ッッ!!

先輩という言葉に言わば過去の人という意味を持たせるとは・・・何ともはや。
というかそのチャラい言葉は一体何なんだ。誰のセリフなんだ。気になりすぎるカラー見開きだぜ!!

それはさておき本編。
閃光より速いジャブを放った刃牙。その脳裏に浮かぶのは・・・

飛燕の――
閃光の――
音速の――
どれも技の速度を修飾る言葉だ。

そう、幼い刃牙に述べるのは道着を纏った勇次郎。に・・・似合わねぇ・・・!!
というか勇次郎も真面目に技術を教えたりすることがあったんですね。
最初はコンクリートに思いっきり投げつけていただけだったのになぁ。

ともかく、勇次郎が言うにはこれらの凄い技のどれも備えている敵には当たらないとのこと。
「来る」とワカっていれば喰らわないシロモノである。なのに、ナゼそれが当たるのか。

工夫を凝らせたフェイントで気を逸らす。辛抱強く地味な攻撃で効果を待つ。
結果訪れる意識の混乱。その瞬間だ――飛燕が、稲妻が、音速が。
ここにきてやっとのことその効果を発揮する。
ところがだ、ここに例外が存在する
命中る。「来る」とワカっていても、身構えていても、準備えていても、必ず喰らう。
世界チャンピオンだろうが、その「技」を喰らうことを前提にリングに上がる。その「技」とは――

幼い刃牙はこの凄そうな技が何であろうかと期待する。
ギャラクティカファントムウルトラスーパー44マグナムアルティメット・・・
そんな凄そうな言葉がずらりと並んだ必殺技であろうかと夢想する。
ふむ、刃牙も幼い頃はこういう考えに浸ることがあったんですなぁ。
残念ながら技の名前が長すぎると言い終わるまで攻撃できないのでむしろ不利になると思われます。

しかし勇次郎が実際にこんなこと言い出したら本当にどうしようかって話ですわな。
もちろんそんなことはなく、勇次郎が述べるのはひとつの単語。そう、「ジャブ」だ。

幾つもの条件が満たされやっとのこと発動される他の技術と大きく異なり、無条件で堂々の正面突破だ。
速度のみが旨。その意味では骨っぽく、漢らしい技とも云える。
空手では「刻み突き」の名称で使用される。
繰り返せ!繰り返し刻み込め。ジャブこそが近代武術格闘技における最速の技術だ!!!

刃牙が言うならともかく、勇次郎も認める最速の技術。
それであるならばさすがに説得力は増そうというもの。
武蔵がまともにアゴにもらい、膝をつく羽目になるのも無理からんというもの。え、当たったのッッ!?

胴体を狙ってのジャブかと思いきや、思いっきりアゴを打ち抜き、脳を揺らす。
この現象はさすがの武蔵も未体験でありましょう。
気絶することこそなかったものの、膝をついたダウン状態。さらに景色も歪んだようになっていると思われる。

過去、10秒間。「幾度も」ってのはムリでも・・・3回ぐらいなら殺せてたぜ

見事なリベンジを果たした刃牙。
確かに武蔵の言葉を借りれば、今の動けない武蔵にトドメを刺すことは容易かったはずである。
ふうむ、これは思わぬ流れになりましたな。
武蔵は刃牙のことを認めているようだが、まだまだ少年だなという感覚でもあったと思われる。
それが一撃で膝をつかされるようになるこの事態。さてさてどのような反応を示すのか?
怒るのか、それとも現代の技術を認めて貪欲に取り込もうとし出すのか。さてはて。

それにしても光成はやっぱり刃牙を応援する立場なんですな。とことん入れ込んでるってことでしょうか。

さて、先が気になるところですが、ここで作者である板垣恵介先生にトラブル発生。
つまり作者負傷のため次号休載とのことだ!!急病とかではなく、負傷ッ!?一体何をやったというのだッッ!!
あとがきによると骨折して正拳が握れないらしい。それは大変だ。
漫画家が正拳握れなくて大変なのかと思わなくもないが、板垣先生ならば大変と思っても仕方があるまい。
というか、骨折したのに休むのは一週間分で大丈夫なのか?
やっぱり骨折した部分を無理矢理に酷使すれば逆に治るぜってことなのか?凄いね人体。
ま・・・まあ。無事の回復をお祈りしておきます。



第30話「二刀流」  (2014年 43号)


ものの10秒かそこらだけど、2度や3度ならアンタを殺せてたぜ。

見事なジャブで武蔵の脳を揺らし、ダウンを奪った刃牙。
言われた内容も言い返せたし、してやったりといった表情だ。
そして武蔵はこの刃牙の言葉を肯定する。確かに俺は殺されていた、と。

死んでいた。跳び込んでくる直前――顔面を気配が叩いた

ジャブを受けた時のことを語り出す武蔵。
ほう、来るのが分かっていたのですか。
確かに刃牙の攻撃の気配は強い。どこに向かって打つのかも正面から来るのなら分かるかもしれない。
それでも普通ならば避けられない。来ると分かっていても避けられないのがジャブなのである。しかし・・・

あれが防御げぬようでは、もはや兵法者ではない

ハッキリと言い捨てる武蔵。
近代兵器であるジャブがこの男に言わせればそのようなものであると言うのか・・・
ジャブに関してはともかく、知りたかったのはその効果だと述べる武蔵。

叩かれたのは、顔面の中心ではなく顎だ。
大地が傾いた。左から迫りくる大地を止めた。
体は死んでいた。

ジャブという打ち方の技術は知らなくても、パンチの一種であるし、動きを見ればある程度の想像はつく。
しかし、顎を打ち抜かれることで脳が揺れ、どのような効果を及ぼすのか。
こればかりは自身で体験してみなければ分からない。
興味はあったものの、これは思わぬ体験をしたといったところでしょうか。
実際、遊びであったが我を失い不覚をとったと述べる武蔵。

貴重な体験。そして恥をかかせてくれた刃牙に改めて名乗る宮本武蔵。
そしてその名乗りに対し、ようやく名を名乗る機会を得た範馬刃牙。

刃牙。お前を容赦さん!

ようやく、少年呼びから名前で呼ばれるようになった刃牙。
真剣勝負に一歩近づいたといったところでしょうか。
いや、それどころか・・・武蔵のこの両腕を広げた構えは・・・二刀流。二天一流の構えということかッッ!!
その姿に、思わず勇次郎の構えを連想する刃牙。
そうか、そういう共通点もありましたか。この構えがどれほど怖いのか窺い知れるというものですな。
怖気づいてしまっても仕方がない。だが――

平成に生きる俺に・・・戦国時代の頂点中の頂点がとっておきで向き合ってくれる・・・
嗚呼・・・なんという贅沢!!!
恐怖より好奇!続行しなけりゃ不謹慎てもんでしょ!!!

主人公らしい挑戦心を見せる刃牙。
それはいいが、防御できると宣言したジャブをわざわざ打ってみせるのはどうなのだろうか。
武蔵の言葉を信じていなかったのだろうか?不謹慎な。
案の定、顎を狙ったジャブは武蔵の右手で掴み止められる。
そして空いた左手に握った(ように思える)刀で刃牙の右肩を袈裟斬りに一閃・・・!!
本物の刀を握っていたならば確実に死亡しているであろう一撃であるが、果たしてどうなるのか。
イメージによる斬撃なのか、それとも実際にダメージが入る何かがあるのか。さてはて。

前回はまさかの命中、ダウンに驚かされました。
しかし、今回で一気にそれがひっくり返ってしまう。うーむ、予断を許さないなぁ。
攻撃の気配を読み、ジャブのような高速攻撃を防ぐ武蔵。
これは渋川先生が言う所の、殺気のある攻撃ならどれだけ速くても問題ないという話に繋がるのでしょうか。
となると、刃牙も独歩の菩薩の拳が扱えれば当てることが出来る可能性はありそうだ。
音速拳や紐切りを使って見せた刃牙なら出来そうな気もするが・・・どうでしょうかねぇ。



第31話「察知」  (2014年 44号)


近代格闘技最速の技術、ジャブ。
よく訓練されたそれは人類の反射神経を軽々と――凌駕する。

どんな強者であろうと受けることを覚悟しなければならない。勇次郎が言っていたのはこのことですな。
それはいいのだが、最初のコマでジャブ打ってる人、どっかで見たことあるなぁ〜〜〜。打つべし!打つべし!!

兵(もののふ)は気付いていた。
高速で拳が飛来するもっと以前――後脚が大地を蹴るもっと以前――
踏み込む「今」を決意したもっと以前――
兵は気付いていた。敵の脳が発する敵本人も気付かない・・・決断0.5秒前の信号に!!!

おっと、出ましたね0.5秒前。ユーザーイリュージョン。
1991年デンマークの作家トール・ノーレットランダーシュが唱えた「意識は0.5秒遅れてやってくる」という説。
人類は自己の行動を自己の意志によるものと信じて疑わないが、その実行動を決意する0.5秒前に脳が信号を発しているというのだ。

もし仮に――敵本人より事前く本人の意志を察知できたとしたら。
たとえその攻撃が閃光のスピードでも武術経験者なら何とかしちまうだろう

そのモノローグが示す通り、刃牙の閃光のジャブを受け止める武蔵。
もちろん武蔵はその0.5秒前という説は知らない。
が、直前に自身が話していた通り、刃牙の攻撃の意志をキャッチしている。
それを殺気と判断したわけでありますな。ううむ、殺気が薄くても攻撃の意志はでるだろうしやはり読まれないのは難しいか。

刃牙の拳を右手で捕らえた武蔵。
空いた左手で刀を握る・・・ような構えをして・・・刃牙の右肩から袈裟懸けに切り捨てる!!

まるで左の脇腹まで綺麗に切り抜けられたかのような感覚に囚われる刃牙。
しかしその苦しみに耐えて反撃の拳を振るう・・・のだが、これも受けられてしまう。
斬った後も油断せずに反撃に備えていた様子の武蔵。この辺りの心がけはさすがですな。

だが、刃牙の拳を足の裏で受け止め、屋根の上まで跳んでみせるというのはどういう試みなのか。
刃牙のことを忍者かと言っていたが、これでは自分が忍者じゃないですか!!

ハハ・・・見事だ少年。あの袈裟懸けから反撃するとは・・・期待以上だ。
・・・まだまだ遊べる

そう言い残し去っていく武蔵。残された刃牙は前のめりに倒れる。ああっ!!

うーむ、武蔵の刃牙に対する呼び方がまた少年に戻ってしまいましたな。
期待以上だとは言っているが、それでも少年扱いの域は出ていないと言うことか。無念。
それにしても刃牙のダメージは空想上のものなのか、確実に人体に影響が出ているものなのか。
刃牙のイメージ力なら勝手にダメージを受けてしまっていそうな気もするが・・・はてさて。

そして武蔵はまだまだ遊べると言っているが、外の世界で戦いを求めるつもりだろうか?
刃牙を子供扱いする武蔵が遊べる相手なんて数は限られていると思うのだが・・・どうするつもりだろうか?

次回は街に繰り出した武蔵の話のようだが、今回はさすがに変わりように翻弄されたりはしないでしょう。
ピクルと違って言葉も通じるしねぇ。ポン引きに引っかかっても自分の意志で了承しそうだ。いいのかそれは?
何はともあれ、光成は早く追わないとですな。何が起きるかわかりませんよっと。



第32話「動揺」  (2014年 45号)


な!!!何なのだこれは・・・!!?

再び都会に出た武蔵。
ビルの壁のモニターに映し出される映像に目は釘付けとなっている。
ふむ、さすがにTVが与えるショックは大きいか。予想もつかないことでしょうからなぁ。
過去から来た人にしてみればSF的なものの象徴と言える。
しかし頭に?いっぱい浮かべてる武蔵はなんだか可愛いな。

驚きの代物ではあるが、現代社会ではもはや当たり前の存在であり誰も関心を払わない。
その水準の高さにやはり驚きを隠せない武蔵でありました。
うーむ、せめて田舎で慣らしてからだったら良かったんですけどねぇ。
いきなり東京の街並みに繰り出したらいかんわな。現代人でも在住の人じゃなければ驚くことあるのに。

電車の速さも目の当たりにする。
こちらはまだどういう代物なのかは視覚的に分かるだけマシですかな。原理はさっぱりでしょうが。
とはいえその利便性の高さは一目で分かるものであり、これも水準の高さが伺える。

400年・・・400年・・・400年の差とはこれほどのものか!!!
比較にならぬ・・・こんなものが・・・人間の手でこんなものが創作れるものなのか!!?

巨大なビルを見上げて驚嘆の限りを尽くす武蔵。
一度目の探索でここには自分の居場所は無いと悟ったはずなんですがねぇ。
それなのに見聞を広めるために単身出て来ちゃう武蔵。年甲斐もなく好奇心旺盛なんですからぁ。

草履くらいは用意すべきだったか・・・

服装はさておき、さすがに裸足でうろつくのは普通ではないですわな。
しかしこの判断はどことなく人目を気にしてのものと思われる。

イカン・・・動揺している。戦闘とは無関係なことに動揺している。
見失うな。立ち合う相手は建造物ではない。相手は人間なのだ。
人間への勝ち方なら心得る。否――人間への勝ち方しか知らない!

さすがに心の落ち着かせ方も身についている武蔵。平静を取り戻す。
と、そんなタイミングで武蔵に話しかけてくる者たちがいる。警察の方々だ。
うーむ、やっぱり裸足はいけませんでしたな。不審に思われても仕方がないか。

質問すればするほど不審さが露わになる武蔵。そりゃそうだ。
しかし生年月日を西暦で答えているのは何故だろうか?
寒子さんに降霊された時にそこだけは学んでいたのだろうか?

裸足で歩く不審な男が自身を宮本武蔵だと語る。こりゃ放置はできない。
危ないハーブとかやってるんじゃないかとか思っても仕方がない。
職務でもあることだし、身を改めようとする警察官。
しかしその手を逃れ、当て身にて2人の警察官を倒してしまう武蔵。おやおや。

相手が使い手じゃないからか、剣は握らずに普通に叩いて倒した感じですな。
素人相手にもイメージの剣技が通じるのか知りたいところでしたが・・・ふうむ。

光成が懸念した通りにトラブル発生。そりゃ単身で出て行ったらそうなりますわな。
それこそ光成に紹介状というか身分証明書のようなものを用意してもらうべきでしたね。
というか見聞を広めるならまずは書物なり何なりでやってもらった方が良かったのでは・・・
刃牙と戦ったことでまだまだ遊べそうだと昂ってうっかり出かけちゃった感じですかね?
宮本武蔵・・・冷静に見えて割と迂闊な人なのかもしれない。



第33話「ツイてる」  (2014年 46号)


武蔵と対決し、再度敗れた刃牙。
どうやら無事に歩いて帰れるぐらいのダメージで済んだようですな。
とはいえ、その右肩から左脇に斜めに奔る衝撃。これは今でも生々しく残っている。

何度だって驚ける・・・ッ。誰が信じる!?
サムライと闘った。サムライどころか宮本武蔵と・・・ッッ

普通に考えて、そんなことを言われても信じられる人はおりますまい。
人斬りのサブちゃんのように微妙な顔になるしかないでしょうな。

光成はクローン人間についての説明を行ったようだが、無教養な刃牙には難しかった様子。
まあこればかりは教養があっても理解はできないと思いますよ?最後に使ったのは霊媒ですし。
武蔵を呼んだのは自分だと主張する光成。間違いではないが・・・やはり寒子さんの働きがデカイよなぁ。

理屈はともかく・・・ハッキリしてることがある。
宮本武蔵と立ち合った証拠は五体に刻まれている。
「最強」の概念はあの人から始まってる。
青竹が一振りでバラけてしまう、超絶の"握力"。
仕掛ける本人の意志に先んじて事前に読み取る"予知能力"

特に最後の部分が優れている様子の武蔵。
刃牙にして、10年以上もかけてようやく身に付いた能力。
それが武蔵に言わせれば――それがワカらぬようでは兵法者ではないと言えるほどの基本的なことらしい。

武器を常に身に帯びていた彼の時代・・・
「勝負」の重さは現代の比ではない。
敗北はそのまま「死」。下手すりゃ比喩じゃなく首が飛ぶ・・・
そりゃ予知能力の一つや二つ身に付こうってもの。
彼の時代、その程度の能力は身に付けて当然の「嗜み」だった

武蔵が実際に戦うまでは、洗練された現代武術に立ち向かえるのかと危惧したこともあります。
しかしなるほど。その時代はその時代のアドバンテージがあったわけですな。
文字通りの命の駆け引きを潜り抜けた猛者。強いのも当然であるか。

なんてムシの良い・・・その頂点が俺らの時代に降臨て来た・・・
ツイてる・・・滅茶苦茶ツイてる!!!
原始の太古からピクルという奇跡がやって来た。
そして今また戦国の世から「最強」が俺達の前へ。

ようやくピクルが引き合いに出されましたな。この存在は本気で奇跡と呼んでいいものですからねぇ・・・

理解ったよ・・・もう理解った・・・
時代が・・・法則が・・・神が・・・俺が・・・人類史最強を決定ようとしている!!!
もう直だ・・・もう誰もが気付き始める。現代に生きる宮本さんを知る。
ただでは済まないぞ!!!

勇次郎が、花山が、独歩が、烈が、渋川が、克巳が!!
現代に生きる猛者たちが人類史上最強を決めるために動き出すに違いない。
そう感じて嬉しそうにしている刃牙。これで退屈とはおさらばだって感じですな。
それはそうと、その面子の最奥で背を向けて存在するこの男・・・一体何者なのかッッ。
何となく柔術を扱ったり公園で日本刀振るったりしそうな気配のある人ですが・・・一体何者なのかッッ!!
いや、本部さんの活躍も楽しみにしてるんですよ。ほんと、ほんと。
実際のところ、人斬りサブちゃんとどっちが強いのだろうかとか、その辺りは気になってます。



第34話「型」  (2014年 47号)


「型」・・・日本武道ほど「型」を重視する格技は世界でも類を見ない
先人達は――各々が各々「型」に残し、後進へのメッセージとした。
剣術を剣術たらしめる。柔道を柔道たらしめる。空手を空手たらしめる。「型」・・・
あの人の五体に漲る武の精髄・・・武の結晶・・・
あの背中へ飛びつくために「型」を見直す。

光成邸からいつもの刃牙ハウスへ戻って来た刃牙。
その地下のトレーニング上にて一人座し、考える。
武蔵と再戦するために見直そうとする「型」それは何の「型」かといえば・・・

決定ってるさ。俺の「型」・・・範馬刃牙の範馬刃牙による範馬刃牙の為の「型」・・・
「型」とは・・・身体を動かす順序ではない。
「技」・・・「技」が要求する身体の動き。理想とする身体の動きを探る。
俺は動けているか・・・?俺の動きは・・・「理」に適っているのか・・・?
「技」の訴える要求に対応えられているのか・・・?

ともすれば演武などの「型」は実戦的ではないと侮られがちである。
が、そこに込められた動きの「理」はまさに先人たちの遺産。
それらを身に付ける事こそが、その武を身に付けるということに他ありますまい。
しかるに範馬刃牙の「型」というのはどういうものであるのか。
今まで培ってきた経験を元に出来上がっているものとは予想されますが・・・
「範馬」自体に理不尽な部分があるのが如何ともし難い。

二度・・・二度も敗かしてくれちゃってよォ・・・
今はムリだけどよォ・・・きっと・・・アンタの眼前で欠伸かましてやる!!!

デカイ理想を掲げる刃牙。
その心意気は良しと言いたいところだが、本当に成し遂げられたらむかつきそうな気もするな。

それにしても日に二度同じ相手に負けるというのも刃牙としては珍しいことですな。
勇次郎が知ったら説教に駆けつけそうな出来事であるが・・・はてさて。

さて、街に繰り出した宮本武蔵は思った通りに騒動を起こしている。
警官を叩きのめしたんじゃあそうなりますわな。
光成も武蔵を捜索するつもりがあるのなら早めに警察関係押さえておけばいいのに・・・
この騒動で何かが起きる可能性も考えてたりするのかな?どうなんだろう。



第35話「集結」  (2014年 48号)


宮本武蔵、現代にて大立ち回り!!
そのニュースはワイドショーにて映像付きで流れることとなる。
勿論本人という報道ではなく、宮本武蔵と名乗る男が、という報道の仕方ですけどね。

和服姿の男を中央に5人の屈強な警官が取り囲んでいる。
両手を広げた武蔵に、後ろに位置する警官が飛びかかる。
それを躱す武蔵。躱し際に腹を切り裂いたのかどうか、うずくまる警官。おやおや。
続いて2人目が背後から捕獲に成功。しかし急所を打たれた様子で悶絶。おやおや。
3人目は警棒を取り出して打ち込むが、簡単に取り上げられて殴打される。おやおや。
残る2名は一斉に襲い掛かるが、両手での手刀による迎撃で終了する。おやおやおやおや。

まるで時代劇の殺陣です。横たわる警官隊に反撃の気配はありません。何事もなかったかのようにその場を後にする男。

そのような報道がされている。ふうむ、どうやら前に武蔵が暴れていたのとは違う日の出来事のようですな。
毎日のように警官を倒してしまっているようだが、光成はどうしているのだろうか・・・
というか武蔵は毎日光成邸に戻っているのだろうか?野宿も苦にはしないでしょうが、さてはて。

それにしても警官たちのこの対応はどうなのだろうか。
取り囲むのは良かったが、わざわざ1人ずつ飛びかかって順に倒れているようではどうにもなぁ。
これでは正に時代劇の殺陣でしかない。囲んだのなら一斉に飛びかかって仕留めないと!!
まあ、文字通り仕留めるのならともかく、確保する場合だと一斉に飛びかかるのは難しいんでしょうけどね。

ともあれ、この一連の出来事はニュースとなった。それを見る者たちが現れることとなった。
ここ神心會舘本部では独歩と克巳が武蔵の存在を知った。
2人共に下した決断は本物
ふむ、この本物という言葉はどっちの意味だろうか?本物の武術家なのか、本物の武蔵なのか、あるいは両方か。
武術家という部分の本物に疑いはなかろうが、本物の武蔵と受け入れることが出来たのかどうか・・・どうなのだろうか。

少なくともジャック・ハンマーは本物の宮本武蔵とは受け入れていない様子。
しっかり名乗ってるのに何処ノ誰ダ!!?とか言っちゃってる。まあ普通はそうかもしれませんな。

渋川さんにしてみれば武蔵が本物であるかよりも前に大事なことがある。
あの動きを見せられては・・・積み重ねてきた自分の武の方が偽物と言われているようなものだと感じている。
確かに無駄なく制圧するあの武は見事としか言いようのないものでしたしねぇ・・・こりゃ燃えますわ。

そして、この男は考える。昨年からの稽古への衝動への回答は出た、と。

しかし――よもやあれ程とは・・・ッッ。
刃牙も・・・独歩も・・・渋川先輩も・・・否――勇次郎でさえも――俺が守護らねばならぬ

超実践柔術の達人、本部以蔵がこの戦いに名乗りを上げようとしてい・・・る!!?
いや、稽古の様子は何度も描かれていたし、名乗りを上げるのは自由だと思いますよ。
でもいや・・・最後のこの言葉は一体どういう意味なのか・・・

他の連中がぶちのめしてしまうと世間の声が煩いから自分が倒すことで守ろうとかいう意図だろうか?
立場のある独歩とかなら分からないでもないが、範馬の連中はそれを気にするとも思えないがなぁ。
そもそも世間的には本物の宮本武蔵とは認めたりはしないでしょうし。うーむ。
何はともあれ・・・本部の活躍に期待したい。本当に。



刃牙道 5巻


第36話「逢いてぇ」  (2014年 49号)


総髪に作務衣。さらには裸足。
報道された通りの姿でうろついている武蔵。
当初は草履ぐらい履いた方がとか思ってたようだがすっかり気にしなくなったようである。
多少のものなら踏んでも痛くはないだろうが、汚くなったりしないかが心配だぜ。

その武蔵を尾行するのは刑事課強行犯係の刑事たち。
とはいえ尾行されていることに気付かないはずもない武蔵。
振り返り対峙することとなったわけだが・・・どうなるのか。

と思いきや、一跳びで傍の塀を飛び越える武蔵。やっぱりお前さんこそ忍者じゃないかと思える身のこなしだ。
入っていったのは徳川邸
ほう・・・どうやらちゃんと毎日徳川邸に戻ってはいたようですなぁ。
だったら尚更汚くならないように草履を履くようにして頂きたいものであるが・・・

それはさておき、刑事から連絡を受けた巳代署長が徳川邸を訪れる。
さすがに不法侵入者を見過ごすわけにはいかない。
けれども徳川邸を訪れるにはそれなりの人物でなくてはいけない。面倒なことですな。
しかし光成自ら訪問者に応答を行うとは・・・結構人少ないのかここ?

警護は万全であるし、並の不法侵入者なら放っておいて問題ない。
最凶死刑囚辺りだと警護はまるで役に立ってないが、その場合は警察も役には立たないから同じといえば同じである。

何にしても光成。巳代署長に対し、警視総監に手を出さず様子を見ろと伝えるように述べる。
まあ武蔵も向こうから襲い掛かられなければ暴れることはないですしね。
放っておいて様子を見て貰うのが双方にとっていいってことでしょう。
いやというか、そういう話はむしろ能動的に警察に言っておくべきじゃないですかね光成さんよ・・・

それはさておき、実は来客中だった様子の光成。
迎えている相手は・・・愚地独歩
どうやらニュースで武蔵のことを知り、真っ直ぐにここにやって来た様子である。
国内外問わず強者の情報は全て光成のところに集まる。ならば情報を得るのはここが一番と考えて当然でありましょうな。

空手でもない柔でもない。現存するどの体術とも違う

そのように述べる独歩。では何者かと問われれば、本人の言ってる通り宮本武蔵であり、剣だよと答える。
ほほう・・・それは渦中の人物が宮本武蔵本人であると認めているわけですか?
前回の本物発言はどうやら認めたことを指していそうですな。
そして勿論腕前が本物ということも述べてくれる。
居合など、一般的な剣術と比べても2桁以上は上の水準だそうな。ほほう。

刃牙に正解をいい当てられた光成。
今度こそ驚かたいのかまずは否定から入っている。懲りないジッちゃんだ。

いいじゃねぇか。ホンモノでもニセモノでも。
技術がホンモノならそれでよし。他はよし

その人物が何者であろうとも関係ない。独歩らしい意見ですな。
肩書きや名声で喧嘩するってわけでもないし、戦士らしいシンプルな意見といえます。

武蔵に遭いたいと述べる独歩。
そのタイミングで帰って来た武蔵。いやァ〜〜腹減ったァ〜〜。
言葉だけ聞いてると何かダメなオッサンに聞こえなくもないな。まあ食客みたいなもんだしこういう態度で問題ない。のかな?

それはさておき、光成は問う。目の前のこの人を見て何を感じるか、と。

ふむ・・・この人なら飯の前でも構わんよ

笑顔を見せる武蔵。朝飯前って意味ではなく、食事を後回しにしてでも相手したい人物ってことでしょうか。
さてさて、独歩VS武蔵という大きなカードになりそうですがこれはどうなりますか。
古風な技を扱う独歩としては相性の悪そうな武蔵。
しかし独歩には例の攻撃の意志を消す菩薩の拳がある。
あれさえ決まれば武蔵も驚かせることが出来るでしょうが・・・はてさて。

それはそうと、前回面白いことを言ってくれた本部さんはどうしたんでしょうか。
刃牙も独歩も渋川先生も勇次郎も戦った後にノコノコ出てきてオチ担当になるとかそんな可能性もあったりするのだろうか。
いやいや、ここは独歩が戦う前に乱入するぐらいの活躍を見せてほしいところである。
まともに戦って活躍できるかどうかは・・・うん、まあ、その時の雰囲気で図るとしましょう。



第37話「空手」  (2014年 50号)


この人なら食事の前に立ち合っても構わない。
武蔵のその発言を、「朝飯前」と捉える光成。あー、そう捉えちゃったかー。
サラリと武神という単語まで出してはみたが・・・どこを見ている武蔵?

そのように言われた独歩であるが、むしろ有難いと感じている様子。
どんな形でもいいから、たった一度でいいから手合わせ願いたい。否――会うだけでも構わないと思っていた。
そんな恋焦がれた相手が、こうして目の前に現れてくれたばかりか、立ち合いのお膳立てまで整えてくださったと述べる。
なるほどね。挑発的な言動はむしろ理由となって有難いって話ですか。

ムシがよすぎて、なんだか現実感がない

そもそも宮本武蔵と立ち合うなんて話自体が荒唐無稽な話ですからねぇ。
それがトントン拍子に進むのであれば疑っても仕方がありますまい。

しかし、実際のところ言うほど簡単なことではなかったようだ。
どうやら武蔵、この部屋に入ってからここに座すまでに三度ほど独歩に仕掛けていたそうな。何と・・・
名前どころか挨拶すらしてない相手に、空想上とはいえ仕掛けていたという武蔵。怖い人だ。
だが、凄いのは独歩。その初動を三度とも抑えたそうな。ほほう・・・!!

やはり独歩は凄い。それが分かって嬉しそうな光成。良かったね。
でも立ち合いは食事の前で構わないと述べる武蔵。
朝飯前というのは変わらないのか、そもそも朝飯じゃないからその言葉通りじゃないよと言いたいのか・・・

とにかく立ち合えそうな場所に移動する両名。
使用人の稽古や舞踊に使用している道場へと案内される。暴れるには充分な場所ですな。

では早速開戦か。と思いきや、改めて愚地独歩の紹介をしたいと言い出す光成。
といいつつ、口での説明ではない。
独歩にアレをやらせて実力の程を見せようというのであった。
そのアレとは・・・試し割り!!

用意されたのはブロックにビール瓶、角材。
ブロックは当然の如く、粉々に砕かれる。
ビール瓶の首は容易く切断されて飛び・・・3本目に至っては裏拳で腹を削り取られる。
おや、これは登場時に克巳がやってみせた試し割りじゃないですか。さすがに出来ないはずがないか。
飛ばしたビール瓶は武蔵の手元に収まる。材質の程もよく分かるというものでしょう。
残る角材。加納が手にしているものを飛び蹴りで切断する!!うーむ、凄い。
綺麗な着地を見せ、何となく色気のある表情と構えを見せる独歩。

愚地独歩です・・・

何だかノリノリな独歩。決まったって感じの顔になっております。ハハハ。
しかし武蔵の反応は・・・

武と云うよりは舞。舞踊だな。しかし何故石や木を・・・?

当然と言えば当然の疑問を投げかける武蔵。
いやいや、せっかく決めてみせたのにそんな反応をされましてもなぁ・・・立つ瀬がないでしょう。そりゃ独歩もキレるさ。
とはいえこういう反応を読めなかった独歩や光成にも問題はなくもない。
試し割りに意味があるのかどうか。
この談義は既に勇次郎と劉海王の間で成されている。
現代社会、人体を傷つけることなく自分の技を示すにはこういう物体を用意するのがいいという話でありますわな。

舞踊と称した武蔵であるが、それもまた武の一つという風に考えることは出来ないだろうか。
演武や型といったもののある空手。その空手を否定されるような物言いに聞こえなくもない。ふむ、やはり独歩はキレる話か。
キレて何を言い出すのか・・・楽しみでありますな。



第38話「舞踏る」  (2014年 51号)


自身の武を踊りと評されてお怒りの愚地独歩。

上等だ・・・踊りか・・・踊りじゃねぇか・・・その身体で試してみるかい。あ・・・?

目前にまで迫っていく独歩。
2人の闘気がぶつかり混ざり合い、景色が歪む。
今回の歪みっぷりはかなり大きい!!巻き込まれた光成はどこの妖怪なのかという有り様だ。
まあそれはいい。ともかく、独歩の喧嘩が始まる。
笑顔を見せてから・・・よもやの頭突きから入る!!

武蔵の鼻面を狙っての頭突き。
しかしこれは制され、頭を抑えられる。ついでに撫でられる。なで・・・

赦されい愚地さん。少しからかってみた。
あんたがさきほど見せた徒手による据え物切り。あれが"武"であることは無論知っていた。
見えるんだな・・・一人で動いているのに――相手が見える
強敵とは言えぬまでも決して甘くはない相手。
重く・・・鋭利な当て身で5名を制した。お見事だった愚地どの。

ふむ。さすがにイメージの剣で闘う武蔵である。
石や木が相手でもイメージを生み出すのはお手の物ということか。
いやいや、独歩だって催眠術にかかってるときも強敵をイメージして戦ってたわけですからねぇ。
そんな両者だからこそ生みだせた試し割りでのイメージというわけですか。

武蔵に褒めてもらった独歩であるが、奇襲の頭突きを外された直後なだけにバツが悪い。

高くつくぜぇ。このハゲ頭を撫でた代償はよォ

あれだけ真正面から行っておいて奇襲も何もなかろうな感じですけどね。
頭から行ったのは意外かもしれないが、鼻に向けての殺気はバリバリ感じてたでしょうなぁ。

まあ、何にしてもようやく武蔵がその気になりました。
両手に刀を持っての本気の構え。早速か・・・!!

イメージの刀であるが、持っているのが見える独歩。
牽制に突き出した刀も見えるので間合いを詰められずにいる。
真剣との対戦経験はある独歩であるが、やはり素手で対抗するのは厳しそうですなぁ。

気合と共に、右手の刀を突きだしてくる武蔵。
それを払う独歩。だがその隙に・・・左手の刀が独歩の体を袈裟懸けに切り裂く!!

ははは・・・なぁ愚地さん。やはり舞踏っていたぞ。
斬るまでもない

イメージで斬っておきながら斬るまでもないと述べる武蔵。これは酷い。
確かに実際には顔面への直突きによるKOでありますが。これは酷い。

そうなるかもしれないとは思っていたが、完敗を喫する愚地独歩。ううむ・・・
相性のいい菩薩の拳を出せていればまだ話は違ったのかもしれないが・・・攻撃を凌ぐことが出来なかったか。
こうなることを危惧して、俺が護ってやらねばとか言ってたんですねあの人も・・・いや、全然護れてないけどさ!!

快進撃を続けそうな宮本武蔵。次は誰が挑戦してくるのだろうか。
アライJr.とは違い、ジャックと並べたら負ける感じがして負けたなんて流れにはこの武蔵はならないでしょうが・・・さてはて。



第39話「真剣」  (2014年 52号)


完敗を喫した独歩。
と思いきや・・・倒れていなかった!!何と!?
あの両腕を前に突き出しての倒れ方をしたならもう駄目かと思ってましたが・・・そうでない場合もあるのか!!

倒立からの後方一回転。そして天地上下の構え
うむ、独歩はまだまだヤル気じゃッッ!!
しかし相対する武蔵は不思議な表情。立ち上がれるから立ったというだけなのに、どこがおかしいンでぇ。

斬ったではないか。気付いた筈だが・・・?

そのように述べる武蔵。
確かに独歩は気付いている。右肩から斜め左下に一気。袈裟懸けに斬られていると。
こういう解説を入れてくれると見れない光成にも優しいですな。
しかし刃牙ならば悶絶していた感じの斬撃を受けても独歩には尾を引くダメージはないのですかな?
ふむ・・・まあ、斬る真似をしただけと言ってしまえばそれまで、か。

宮本さん。アンタの最大の失敗は、真剣を持ってここに立たなかったことだ

そのように述べる独歩。
真似は所詮真似であり、実際に斬られたわけではないという主張ですな。
道理といえば道理だけど、寸止めされた場合でも当てられてないから負けてないと主張しそうな感じに聞こえなくはないなぁ。
まあ、せっかくの機会だしもっとやりたいという想いはあるんでしょうな。

しかしそれによって武蔵は手にする。刀剣を。
痩せても枯れても徳川。刀剣の持ち合わせがないはずがない。

国宝「國虎」伝家の宝刀・・・お目にかけよう。

またえらいものを持ち出してきた光成。さすがの徳川といったところか。
これならば武蔵の振りにも耐えられるとのことであるが・・・国宝クラス簡単に壊されちゃたまりませんよ。

お待たせした愚地どの。

ついに武蔵が帯刀ッッ!!
これは恐ろしい。イメージの斬撃とはいえ、刃牙や独歩といった強豪を簡単に斬ってきた斬撃である。
これが本身に変わることでどうなるのか・・・
独歩はその恐ろしさを感じていながら進んでけしかけている。
後退のネジを外しているとはいえ、さすがにこれは危険すぎる・・・

シャレじゃすまんぞ独歩!!鬼に金棒どころか武蔵に刀!!それが一体どーゆ・・・

自分からいい刀を持たせておきながら今更焦る光成。
求められれば最上級の応え方をしてしまうが、直後に後悔する。色々と厄介なじっちゃんだ。
とはいえ光成が危惧することは独歩にしてみれば百も承知の事柄。今さら引くことは無い。

武器はこの人だけじゃない。空手は五体が武器
手刀・・・足刀、貫手に前蹴り・・・刀も槍もよりどりみどりだぜ。

再び天地上下の構えを取ってそう述べる独歩。
しかし武蔵はそんな独歩を、光成含めて笑い飛ばす。アンタらは実に滑稽だと。

神でもない者を"武神"と称し、本人もまたそれを受け入れる。
紙きれ一つ切れぬ生身に刀だの槍だのと!!!もはや舞踏りにも値せぬっっ。
空手とはさしずめ児戯!小童の遊びといったところか。なァ!

煽りまくる武蔵。
これに独歩。構えを解除して飛びかかってしまう。ちィ!!!
うーむ、武蔵の煽りが凄いのか、独歩の煽り耐性が足りないのか・・・この流れは危険だ。

刀が一本なので、実はさっきの二刀流状態より怖くないかもしれない武蔵。
だからこそ武蔵は煽りを入れて攻撃を仕向けさせたのかもしれない。
口とは裏腹に空手の危険性、構えの危険性を察し、構えを解かせて攻撃させるように仕向けた・・・そう考えられなくもない。
ビール瓶切ってるところを目の当たりにしておきながら紙きれ一つ切れぬはないでしょうしね。

宮本武蔵といえば後の先。
この武蔵も相手を口で煽り仕掛けさせ、機先を制するという戦法が得意なのではと思われる。
今後も武蔵の煽り芸に期待がかかりますな!!

しかし独歩のせいで今後の武蔵は常に帯刀モードから入るようになったらどうしよう。
イメージの刀ならばまだまだ再戦も可能であったろうに・・・なんてことをしてくれたんだ!!



第40話「ぶった斬り」  (2015年 1号)


高く高く跳躍しての蹴りを放とうとする独歩。
独歩の肉体でこれだけ跳躍できるというのは凄いことと思われる。
しかしその跳躍にも動じた様子のない武蔵。交錯するタイミングで抜刀!!
蹴りを見事に躱し・・・刃は独歩の顔面を捉える・・・!!

真っ向唐竹割。
左右が泣き別れになるような斬られ方。
と思いきや、どうやら斬らずに済ませたらしい武蔵。
なるほど。押し当ててそのまま真っ直ぐに落としただけでありますか。
勢いで跡がくっきり残っちゃってるけど確かに斬れてはいない。

刃は圧しただけでは、押しただけでは切れない。
当てて引くことで切れる。刃物とはそういうもの。皮膚とはそういうものである。
理屈は分からないでもないが、よくもまあ跳んできた相手を引き切らずに撃墜できるものだよと・・・

一応、独歩の蹴りも武蔵の頬を掠めており、出血させたりしている。
それを受けて武蔵。あなたの手足は立派に刃だと述べだす。この状態で認められてもな・・・

斃れ伏す敗者を足元にぬけぬけと放つ称賛。
褒め称えられながらも動かぬ現実。
ぶった斬られた・・・・・・!!!

肉体以上に精神が、面子がぶった斬られた様子の独歩。
肉体が斬られずに済んで良かった・・・とは言ってられない状態でありますな。こりゃ。

さすがにこの状態で強がりは言えない。実際に斬られてないとか言い出すわけにはいかんでしょうし。
ここまでの完全敗北を喫することとなろうとは・・・これはリベンジの機会も与えられないかもしれない。
年甲斐もなく熱くなってしまう独歩だと挑発の巧い武蔵の相手は厳しかったということだろうか?

やはり武蔵は口による挑発で相手の攻撃を誘い出している可能性がある。
となればその挑発が通じない相手が望ましい。ピクルがいつ挑戦してくるかですな。
それ以外に挑発合戦に有利そうな人と言えばあれだ、寂海王。
あの積極的な勧誘スタイルを組み合わせれば武蔵も挑発を挟む余地はないかもしれない!!
挑発は無効化できても普通に負けそうなのがアレですが。
セコンドに置くのが一番かもしれませんな。いやさすがに出番はないと思いますけどね。



第41話「帰国」  (2015年 2+3号)


完敗を喫した独歩。
放心状態でありましたが、さすがにずっと横たわったままってことはありませんでしたか。
起き上り、ようやくあの武蔵がクローンで現代に蘇ったのだと光成から説明される。
まあ詳しい説明をされてもその辺りのことは知識がないから分かりませんよね。それよりも・・・

五体に刻まれた記憶が――彼が宮本武蔵だったことを実感している

何よりも顔面の中央を走る跡が生々しくも物語っておりますわな。
文字通り面目丸潰れ。いや、丸裂かれとでも言うべきか。
これは光成も勝負の結果について話を聞きにくい感じですわなぁ。

喧嘩で負け試合で負け、そして武で負けた。清々しいまでに完敗ですわ。
日本刀という比類なき鋭利な刃。
一刀両断。唐竹割りにされるならまだしも、当てて圧してなのに斬らず。無傷で制するという気の遣いようだ。
こいつぁ敗北より遥かにタチが悪い。対戦者に気を遣われちまっちゃあ武人もしめぇだ。
斬られるより・・・・・・痛ぇ・・・

武を研鑽し、積み重ね、いつしか武神とまで呼ばれるようになった。
その男がこのような目に合う。その痛みはいかほどのものであろうか。
そりゃあもう、掛ける言葉も見つかりませんわな。痛々しい。

それでも独歩としては宮本武蔵と闘えたことには感謝している様子。
暗記するほどに読み返した「五輪の書」。その著者本人と闘えたわけですからなぁ。

ところがだ、その瞬間実感した。まるで理解出来ちゃいなかったという現実を。
この歳で云われたんだよ。まるでなっちゃいないと

あの独歩にして武としてはまだまだということなのだろうか・・・
ショックのあまり、暫く引きこもりてぇとか言い出す独歩。おやおや。
でもまあ、何だかんだでタフな独歩ですからねぇ。奥さんにこれ以上強くならないと言われても強くなったぐらいですし。
どうにか復帰して頂きたいものであります。

さて、ところ変わって成田空港。
ここでは来日したある男の記者会見が行われていた。
その男とは・・・誰あろう、烈海王!!ボクサーとして活躍していた烈海王が姿を現した!!
そしてその烈先生はこう語る。

足を使用わず、膝を使用わず、肘を使用わず、両の拳のみ。
ボルト氏の上半身のみ、正面のみの攻撃により――その戦闘を制した
わたしが勝利した。それ以上でもそれ以下でもない。

どうやら既にボルトとの戦いは終わり、チャンピオンベルトを手にしていたらしい。E〜〜ッ!!
試合自体はエキシビションであり、ベルトも非公認という話はある。
しかしそのようなことは別に興味は無い烈海王。そういった名誉や地位が欲しかったわけではないですからねぇ。
だからそこから生み出された事実のみを強烈に主張する。

本業である中国拳法。そのほんの一部を用いることによりボクシングルールで勝利した!!!

割と大人しくなっていた烈先生が久しぶりに咆えた!!いいですねぇ。
これを言いたいがためにボクシングを続けていたと言わんばかりだ。
しかしそのボクサー烈海王の活動はこれで終了となる。

一部ではない。全て。
拳。腿。貫き手。剣。槍。棍。手裏剣に至るまで。
その全てが使用える相手がこの日本に現れた

血管を浮かび上がらせそのように語る烈海王。
ボクサーとして高い名声を世界中に轟かせておきながらこの蛮勇っぷり。さすが!!

死刑囚相手に見せた武器術。普通の格闘家相手には使えなかったそれも、武器を持つ武人相手ならば使用できるわけですな。
素手で太刀打ちするには厳しい相手でありますが、武器術ならさてさてどうなるか・・・
楽しみな戦いではありますが、あっさりやられる可能性も否定できず怖い。

いやそれにしても、どうなるかと思った烈海王ボクシング編があっさり流されるとは・・・
でもまあ、抱えたままずっと放置されるよりはいい気もしますかな。
ここでまた交互に挟まるように展開されても困ったかもしれませんし。
兎にも角にも烈海王の活躍。期待したいところです。
と見せかけて別の対戦者が先に挑む可能性も忘れずには置きますけどね。ねぇ本部さんよォ!!



第42話「烈士」  (2015年 4+5号)


初っ端から烈海王の驚き顔で始まる今回。いやまさに「!」だよ。見てる方が「!」だよ。

烈海王が日本で情報を得られる知己がいる場所といえばやはり神心會。
ドリアンの時のことを考えればその情報収集力に疑いようはないでしょうしねぇ。

しかしそこで聞かされたのは愚地独歩がボロ負けしたという事実。
烈海王も認める実力者、武術家としても空手家としても最高峰にある男が・・・文句のつけようのない内容で敗れた。

静かに父の敗北を語る克巳。
烈海王にそれでいいのかと問われても落ち着いた態度に代わりはない。成長してますなぁ。
まあ今回の戦いは別に卑怯な真似とかされたわけではないし、文句のつけようはない。
挑発され過ぎて引きこもる結果になってしまったじゃねーかぐらいの文句はつけていいかもしれないが。

仮に俺があの・・・武蔵とやらと試合うとしても仇討ちじゃない。愚地克巳個人の試合だ

よい言葉を述べる克巳。これには烈海王も反論はできない。なので話を進める。

武器を使用うぞ

確かに相手は剣術の達人。素手でもかなりのものであるが、やはり戦うのであれば武器を持った武蔵でありましょう。
しかし克巳に言わせればそんなことは問題ではない。
そもそも空手も中国拳法も全方位に向けた総合武術であるとのことだ。

対武器、対多人数。どんな注文にも文句は言わねェ。素手の総合商社ッッ
それが俺等、拳法、空手の本懐ってもんじゃなかったっけ・・・?

そのように述べる克巳。空手としてはそうかもしれないが、中国拳法は武器術も多く含んでいるのだがその辺りはどうなのだろうか。
案の定、烈海王は克巳の発言に黙ってしまう。いや・・・誰も思いもよらないことを口にし出した。

ユーチューブで彼を見た
5名の警官に包囲まれたたった1名。次々と――事もなげに次々と。まるで勝負になっていない。
あれでは仮に――5名が20名でも結果は同じだったろう。

そのように語る烈海王。いや、内容はいい。それよりもユーチューブってアナタ・・・!!
あの烈海王の口からそのような単語が飛び出すことにまず驚かざるを得ない。
これが渡米した成果というものなのだろうか・・・?他にも何か動画見てたりするんですか?
逆に動画投稿とかしてたりするのか?打岩とか水上歩行とか投稿したら凄い再生数稼げそうですが。

まあそれはいい。いや衝撃が大きくてあまりよくはないが――さておこう。
ともかく烈海王は言葉を続ける。

我々の行う対武器術はあのような水準を想定していない
それがワカらぬ克巳さんであるハズもない。
克巳さん。武器を躊躇わぬことだ!あの武蔵にだけは躊躇わぬことだ!!

1つの動画だけで烈海王にそこまで言わしめる。武蔵の恐ろしさが知れようというものです。
しかしその武蔵は今ライターの便利さに喜んでいたりするという。なんとなんと。
いやまあ、確かに便利ですけどね。こういう分かりやすい代物から与えていくのはいいかもしれませんな。
ところで烈海王はちゃんとライター使えたりするのだろうか?
与えてみたらなんと便利な物かとか言い出しそうなイメージがあったりするから困る。いや今の烈海王なら使いこなせるか・・・?

ともあれ、独歩にやられた頬の傷を独自の薬で治そうとする武蔵。
馬油に藁の炭をこねたもの。どこにも傷を癒す要素はなさそうなのだが・・・まあ、経験上それで治るんでしょうなぁ。ううむ。

さて、そんな武蔵に光成。東京ドーム地下闘技場へと足を運ばせる。

時は3日後夜・・・対戦者はここに立つ――明の国代表ッ!烈海王ッッ!!

武蔵にも分かりやすく明の国という表現を使う光成。気遣いが伺える。
それはさておき、さらに続く言葉が大きい。

掟ッッ!!東京ドーム地下闘技場初!!!武器使用可!!!

完全ななんでもありの場と化した東京ドーム地下闘技場。
前にシコルスキーが運ばれて来た時も武器使用認めてた気がするが・・・まあいいや。
ともあれ、早速対戦前に武蔵の口撃が始まる。
この挑発に乗ってしまうのか烈海王。寂海王との戦いを見る限り挑発には乗ってしまいそうな性格であるが・・・
しかし口も達者な人なので舌戦で対抗できる可能性もなくはない。その舌戦は既に通過しているぐらいのことは言ってくれそうだ。



第43話「武器」  (2015年 6号)


地下闘技場にて向き合う宮本武蔵と烈海王。
そして烈海王が希望するのは完全なる決着!!

事前に煽り立てるのが武蔵のスタイルであるが、弁舌であるならばこの烈海王も負けていない。
武蔵よりも先んじて口を開いていく。
剣を手にしていなくても宮本武蔵が弱かろうハズもない。
そう前置きをしながらも、貴方は比類なき剣術家であるゆえ、拳法家であるわたしが素手の貴方に勝利しても無価値といい放つ。
ふーむ、この辺りはやはり土俵の違いがありますわなぁ。
逆に見れば、武蔵にしてみれば武器を持たずに拳法家を倒せてしまうのならその方が価値がある勝利となるわけですし。
そもそも共に素手であればこの武蔵に勝つことはできるのか・・・?

勝てるのかも知れない。或いは勝てないのかも知れない。
ただッ。"胆"はそこにはない
"宮本武蔵に勝利する"とは、剣を手にしたあなたを相手取ってこそッッ!!
他にあり得るハズもない。

きっぱりとそう言ってのける烈海王。
さすが、ボクサーを倒すためにボクシングルールの土俵に立った男は違う。
その烈海王の言葉が・・・武蔵の殺気を引き出す・・・!!
言葉ではなく、イメージの剣閃でもなく、闘気。殺気の類を発する武蔵に思わず手・・・いや、足が出る烈海王。はいいいいいッッ!!

義足の右足による蹴りは掴まれた。
だがそのままで飛び上がり、左足で蹴りを放つ烈海王。
武蔵は掴んだ義足に力を込め、烈海王を叩きつけようとするが・・・義足が折れたために果たせず。
結果、まともに烈の蹴りを浴びることとなってしまった。ほほう、これは見事に入りましたな。

長く武術を歩んできたが、あれほど悪魔的な闘気は稀も稀!仕掛けられたのは私だ。

いきなり蹴りかかったことに対し非難する光成に対し、こう答える烈海王。
とはいえ、義足が折れなければ今倒れているのは自分の方だったかもしれない。
そう考え、当日は折れぬ義足にしてくると述べ立ち去る。ふむ。

何と健気な。愛おしいぞ大陸の人

倒れた武蔵であるが、別にノックアウトされたわけではない。
とはいえこの場で本格的に闘うつもりはない様子。
三日後の試合・・・いい感じにお互いテンションを上げて臨めそうでありますなぁ。

さて、夜に徳川邸を訪れる者がまた一人現れた。誰かと思えば本部以蔵・・・本部以蔵じゃないか!!
大見え切っておいてなかなか姿を現さなかったこの男がようやくの登場でございます。
このまま武蔵が倒されるまで出番ないのかと思ってましたよ。本当に。

説明はけっこうです。彼がホンモノであることは映像からも明白。わたしにはそれで十分ですわ。

クローン武蔵のことを説明したがる光成に対しこう述べる本部。
偏って入るかもしれないが知識は凄い人であるだけにこれは光成残念な様子。説明したかったんでしょうになぁ。
刃牙にしろ独歩にしろ先に答えに辿り着いてしまうのだから苦労して蘇らせた光成としては面白みに欠ける部分がありそうである。
そういう意味では本部の正しいリアクションは派手に驚いてあげることだったのでしょうが・・・ままならぬものよのう。

それはそうと、本部は烈海王と宮本武蔵の戦いについて一言述べる。

悪い事は言わない。烈氏には機関銃の用意を!

武蔵の凄さを言い表すために述べたのであろうが、ここで機関銃でありますか。
うーむ、果たしてマシンガンが通用する相手ですかねぇ?
マシンガンとガンベルト装備した烈海王はやけに似合いそうな気はしないでもないですけども。まあそれはさておき。

自分が護らなければいけない発言の意図はどこにあったのか。
言っておきながら出遅れたことに対してどのような想いでいるのか。
烈海王の後は自分が仕掛ける気でいるのか。色々と気になる本部以蔵の動向。これからも注目していきたい!!



第44話「そういう人物」  (2015年 7号)


宮本武蔵への武器解禁。
武術、格技を見つめ続けた御老公。あなたの洞察力には敬意を抱きます。
しかし悲しいかな。実戦を経ぬ者の限界・・・このような暴挙をやらかしてしまう。
御老公。図らずもこのたびあなたは自分が素人であることを自ら曝け出してしまった。
宮本武蔵という怪物中の怪物。あなたはまるで理解できていない

いきなり言いにくいことをズケズケと言い出す本部。
まあ確かに光成の強さを見る目は怪しい部分がないわけではない。
しかし今回の武器解禁による完全な決着を望んだのは烈海王自身であるのだが、その点はどうなのだろうか。

お忘れですか御老公。今回の試合、烈氏を知る者なら誰もが納得の内容。
そもそも烈海王とはそういう人物でしょうが。
命を失おうが片足を失おうが、強者と認めたなら求め戦うのが「義」ッ
それが烈海王。皆が知ることじゃないですか。

危険の理解度が薄い光成と危険と知りながらも飛びこむ烈海王の差って感じでしょうか。
競技者とサポーターの違いかもしれませんな。
意識の高い競技者は危険だと分かっていてもやりたがる。
ならばそれを止めるのがサポーター側の役目。その辺りを本部は主張しているのかもしれない。
まあ、止めたとしたら地下闘技場じゃなく野試合でやると言い出しかねないしあまり意味は無いかなぁ。
ある意味観客を入れた方が安心なのかもしれない。

実物の宮本武蔵が現代に居て手合せができる。夢なら醒めないで欲しい。
そう語る本部に対し、おぬしもやりたいかと尋ねる光成。であるが・・・

わたしの場合は・・・・・・・・・闘争たいといよりは守護りたい――ですかな

この言葉は光成としても意外なものだったらしい。
どことなく面白くなさそうな様子だった光成も本部のこの発言には食い付く。誰を!?誰を護るの!!?

剣豪と謳われる宮本武蔵ですが、剣しか使えぬワケではない。あの時代のサムライ・・・そんな甘いタマじゃない。
剣ッ。槍ッ。弓ッ。棒ッ。薙刀ッ。縄ッ。馬ッ。手裏剣ッ。
武芸百般。やれぬ事などない。

誰を護るかという言葉に答える前にそのような前置きをする本部。
更に自分はそれ等の武技全てを修めます。それは範馬勇次郎にも出来ぬことなどと語り出す。
ううむ、これは本当にはァ・・・と言うしかないですわな。よりにもよって勇次郎まで引き合いに出すか!!

わたし以外におらんのですよ。仲間達を武蔵から守護れるのは!

誰かという特定の人物ではない。友と呼べる仲間達全てを守護する!それが本部以蔵の主張である様子。はァ・・・
最初にそれを言って挑んでくれたら良かったのだが、既に独歩が敗れた後で言われましてもなぁ。
命こそ助かってるとはいえ、心の方はぶった斬られているわけで・・・護れてないじゃん!!

まあとはいえ素手の勝負ならともかく、武器も使った戦闘なら自信があるという本部の根拠は分からないでもない。実績もある。
とはいえ引き合いに出した勇次郎には日本刀を素手で折られたりしてるし・・・締まらないなぁ。どうにも。

光成も困惑する本部トークはさておき、神心會本部。
武器解禁ということで木人相手に武器術のトレーニングを行う烈海王。
烈海王はまさに本部のいうところの武芸百般でありますが、本部はこの烈海王を上回れると言うのだろうか?

さらにそのトレーニングの場に現れるのは郭海皇!!
中国武術最高峰の技術を持つこの人が応援に駆け付けてくれた。これは心強い。
まあピクル戦の克巳の時も駆けつけてくれたが結果はって部分はあるが・・・それはさておこう。
烈海王がやたらといい顔して出迎えてくれたのだからそれでいいのだ。



刃牙道 6巻


第45話「武器」  (2015年 8号)


見たいのは――世界最強ではない。地上最強でもない。
見たいのは――この惑星史上最強の生物じゃ!!

前回本部に色々と言われたのにこの発言がカラー煽りとして載ってしまう光成。
まあ当初から人が犬や鶏のように戦うのを見るのが好きとか言っちゃってる人ですからねぇ。

さて、日本では相変わらず神心會を拠点としている様子の烈海王。
ここならば稽古の相手にも事欠かないでしょうしねぇ。
というわけで早速組手を行っている烈海王。
しかしこの動き、相手の攻撃を回転で受け流すこの動きは・・・!!

当てたッッ。当たったのに砕けねェッッ。
あんな・・・ゴっつい体格してるのに・・・まるで――羽毛・・・

それでいて攻撃はまさにゴっつい体格から繰り出される重さを持っている。
こりゃ戦った相手としては訳が分かりませんわな。

というわけで、郭海皇自らの手による消力講座が行われます。
中国拳法の中でも最大級の奥義と思われるのだが、そんな簡単に教えちゃっていいんですかね?
まあ教えたからっ簡単に実践できるものではないか。基本的に脱力しろという教え方しかしないだろうし。

骨を叩き上げ、肉を叩き上げ、皮膚を鍛え上げ、五体をぶ暑い壁と化すことが出来る。
なまなかな打撃などハジき返してしまう。そこまでなら諸君らも知ってる通りじゃ・・・
しかし、それは技術ではない。高級技と呼ばれるものとはあまりに別物。ならばどうなさる。
これになれば良い。羽毛・・・
五体に行き渡る無意識な力み。筋肉に。骨格に。腱に。肉体の奥深くに居座る強ばり・・・徹頭徹尾抜き去るんじゃ。
抜けるにつれ硬き肉の壁は氷嚢の融通性を帯び始め、半紙の頼り無さへと近付き、やがて羽毛へと・・・
羽毛まで到達ならもはやそこに壁は無い。風も、弾丸も、ミサイルも、意味なく通り過ぎるばかり。
完全なる消力・・・真なる羽毛化が成ったなら刃物さえ通じない

武蔵の剣技に対する勝機は消力にアリ!!
今回は喋りっ放しの郭海皇に話を持って行かれた感じでありますが、果たしてこの考えは正しいのだろうか?
武蔵ならば空を舞う羽毛も両断してしまうような気もするのだが・・・
何となく郭海皇も本当は斬れるんだけどわざと斬らずにおいただけじゃないかと思えてしまう。
ここで誤って斬っちゃったらコントの流れだったよ。危ない危ない。

しかし脱力と言えば宮本武蔵の構えは完全なる脱力の見本として刃牙本編でも扱われている。
脱力ならば向こうも知り尽くしていそうな感じであるが・・・さてさてどうなるのか。



第46話「飄」  (2015年 9号)


郭海皇の二刀流ッッ!!
武蔵のものだけではないと語りながら披露する演武は実にスポーティ。
飾り気なく、シンプルに一太刀に思いを込める日本の剣技を"静"の印象に例えるならば、中国剣技の印象はまさに"動"!
同じ剣技であっても全く別のものに思えるわけであります。
それだとつまり参考にはしにくいということではなかろうか・・・?

何にしても百歳を軽く超えているお人の動きとは思えない。
消力は歳を召しても使えそうな技術であるが、こういう体力の使いそうな動きもしっかりこなす辺り・・・さすがの海皇。
そんな海皇が更に講義を行ってくれます。

攻めは鋭利に受御は優美に
空手やってりゃ一度は聞いた言葉じゃろう。古くから伝わる中国武術の要諦じゃ。
蛇を仕留めようとする鶴。その闘法にヒントを得たとされるこの格言。
嘴の攻撃に手を焼く蛇が業を煮やして仕掛けるも、たおやかに羽ばたく鶴の舞いに全ては無効。
やがては仕留められて終った・・・
あれじゃダメ

語っておきながらその考えではダメと語る郭海皇。
それが通じるのは徒手対徒手であるとのこと。なるほどね。
優美な舞いであっても剣には仕留められてしまう。武器に対抗するには別の手段を講じなければならないわけだ。

"飄"となれ。とことんなびけ。羽毛になれ・・・ッッ。
ワシの剣になびき切ったのなら、武蔵とて斬れぬ

そのように語る郭海皇。
まあ、さすがに本番で武蔵の剣に消力を試すわけにはいかないですわな。
とはいえ練習で死にかねないこの行為。さすがの烈海王も緊張の面持ちですが・・・さてはて。

一方の武蔵、徳川邸の庭で稽古を行っている。
舞い落ちる木の葉を一刀両断・・・いや、縦、横と十字に切り裂いて見せる!!ううむ、これは・・・
羽毛ではなく硬さのある木の葉であるが、それでも圧倒的な速度がないとこうはいかない。
郭海皇はどこまで武蔵の技量を理解しているのか・・・疑問の残るところでありますなぁ。



第47話「羽毛」  (2015年 10号)


羽毛になれ・・・その意味することとは・・・ッッこれなのか!!?

克巳も見守る剣に対する消力の稽古。
緊張と集中で短い時間でありながら全身に汗をかいている烈海王。
その身体には浅いながらも切傷が残っている。

こんなんありかよ!!!

驚きを見せている克巳。
まあ、昔やったみたいにその全身の汗を道場中に吹き散らしたりしないだけマシと思ってください。
稽古の仕上げにそれやられたりしたら本当に言うしかなくなりますけどん。こんなんありかよ!!!

天才烈海王。ここにあり

そう述べ、胴を両断する勢いで切りつける郭海皇。
その刃に触れるや否や・・・回転で逃れる烈海王。バレリーナも顔負けのつま先を起点とした高速回転だ。
その結果・・・初めて全く切れること無く回避に成功する烈海王。ほほう。

一度目より・・・二度目。二度目より三度目。
天才烈海王。わずか四度目にて羽毛になりおった。お見事!

サングラスを外し、相変わらず怖い笑顔を見せる郭海皇。
怖いけれども、今回は素直に祝っているんでしょうな。きっと。

気で見極め、眼で見極め、太刀筋に逆らわず五体でなびく・・・羽毛になる。
足は風。手は風。五体これ全て旋風。このブ厚い身体でよくぞ。
消力。完成じゃ

あの郭海皇からお墨付きが出た。となれば誰にも文句はつけようがない。成ったのだ・・・!!
と思いきや、このタイミングではっきりと文句をつける人物が現れたりする。

その軽技で武蔵の刃と対峙する・・・中国4000年。片腹痛い

クスクス笑いながら現れる本部以蔵。
よもや中国武術そのものに喧嘩を売りに来るとは・・・!!
こうなってしまうと後には引けないが、どうするつもりなのだろうか?力で己の考えを示すことが・・・出来るのか?

一方、武蔵は訓練で空を舞う羽毛を斬っていた
うーむ、これを見てしまうと本部の発言も説得力が・・・
いや、本部に言われる前から武蔵なら斬れるんじゃないかとはさんざん言われてましたけどね。

となれば本部も説得するためにこの訓練の様子を隠し撮りして2人に見せたりすればよいのではないかと思われる。
ユーチューブに乗せたといえば烈海王も興味を示すに違いあるまい!!
いや実際、こうなると烈海王は本当にどうするのだろうか・・・無駄だったと知っても戦いを辞退するとは思えないし。うーむ。



第48話「超越えてゆきねぇな」  (2015年 11号)


冒頭は宮本武蔵による抜刀講座。
長い刃物を高速で抜くには手ではなく腰を使うとのこと。

腰を切る!腰で抜くッッ!一文字にッッ!!
――じゃなければ間に合わぬ・・・じゃなければ道はない

刃牙道らしい単語が出て来ましたね。道と書いてさきと読むか。
つまりタイトルもバキサキであった可能性があるわけですな!刃牙裂き・・・?まあ、それも良いか。

ともあれ武蔵のこの言葉、かつて龍書文が使ったハンドポケット居合と同じ理論でありますな。
まあ、居合と称されているのだから同じ理論になるのは当然か。
そう考えるとやはり龍書文は凄かったのだなと思わなくはない。再登場はあり得ますかなぁ。

それはさておき、神心會。
いきなり現れた本部以蔵。烈海王に対し、そんな曲芸まがいの軽業で本気で宮本武蔵の剣を封じられるつもりかと問いかける。
ふうむ、これはまた何とも挑発的な言動ですな。これには郭海皇も口を挟まざるを得ない。

日本の旧きスタイルを重んじる武の人よ
わたしが与えた「消力完成」のおスミ付き。異議を唱えるおつもりか・・・?ん・・・?

サングラスを外しても見せずにいた眼を見せてそう語る郭海皇。
笑顔で落ち着いた話し方であるが・・・確実に威圧しておられますな、これは。
まあ、自身の消力を軽業と揶揄され、武蔵には通じないと断言されたのではねぇ。仕方がない。
とはいえ本部も負けてはいない。戦国の武をワカっちゃいねェと返してくる。

対峙――即ちどちらかの死。
いかに低い水準の立ち合いでも、その厳しさだけは確かだった彼の時代。
勝ったり負けたりを繰り返せる近代格闘技とはまるで次元が違う。
多くが抜け落ちたまま伝わる現代武術。
未熟だろうが不十分だろうが・・・旧式でヤルしかねェんだよォ!!!

最期は怒声で締める。
この本部の話術には烈海王のおさげも跳ね上がる。よい迫力ですな。理解りましたと言うしかありますまい。

――で、このわたしにどうしろと・・・?

烈海王のその問いかけに対し、ただ一言。降りなと述べる本部以蔵。
素手同士での勝負でも怪しい。ましてや刀剣を帯びた宮本武蔵、機関銃を手にしたって勝ち目はないとのこと。ほう。
確かその機関銃の使用を勧めたのは他ならぬ貴方自身だったのではなかったっけか・・・?
勝ち目無いとわかっていながらあえて持たせようとしたのだろうか。何を考えての発言だったのだ!?

ともあれ本部の言葉に侮辱は許さんぞと憤る烈海王。
最近の烈海王は礼儀正しい感じだったが、久しぶりの顔が見えつつありますな。

烈つぁん。武蔵は切れるぜ。鉄も。羽毛もだ

鉄はさておき、羽毛が斬れるのは困った話である。消力を完成させても意味がないこととなってしまう。
それはさておき、烈つぁんって。何だか馴れ馴れしいわぁ。
そしてそんな馴れ馴れしい本部からついにこんな言葉まで飛びだした。

この本部を超越てゆきねェな

最大トーナメント1回戦敗退者の本部以蔵が放つこの言葉!!
鎬昂昇の今のわたしは烈海王にだって勝てる!!に近い響きを感じる。
いや、勝てるどころかこの言葉・・・むしろ自身を格上と称しているかのようである。こ、この自信は一体・・・!!!

徳川光成が見た闘技場に溢れる血の予感が最後に描かれるが、それよりも何よりも本部の発言の衝撃が大きすぎる。
ここまでに積み上げてきたキャライメージによってこそ生み出される強烈さでありますわなぁ。
一朝一夕ではこうはいかない。これが旧きスタイルを重んじる武の人ということか・・・ッッ!?
あっさり超越られてしまうことのないようお願いしたいものです。



第49話「水準」  (2015年 12号)


「越え行け」・・・その意味するところ、考えてみた。
あなたと立ち合った上、なおかつ倒してのけなければ先へは行かせぬと――
そのような意味にしか解釈できぬが、本部さん。わたしの勘違いであって欲しい

「超越え行け」と「越え行け」ではひょっとしたら意味合いが違うかもしれない。
いや、さすがにこの期に及んでそのような言い回しは行うまい。
実際に本部はこう述べる。勘違いじゃねェよ、と。無造作に間合いに踏み込んで。

踏み込むことで仕掛けた本部。それに対して拳を放つ烈海王。
しかしその左手での突きを躱し、頭と肩で抱え込む本部。固定した状態で肘関節を・・・打つ!!

打たれたのと同じ方向に跳躍してどうにか関節を破壊されることを逃れる烈海王。
消力の訓練が生きた感じでありますな。

相手は拳雄烈海王。手加減の余裕はないぜ。ブッた斬られるよりゃマシだろう。

ふむ、どうやら本部。本気で烈海王を力尽くで止めようとしているらしい。
これまでならば無謀・・・何言ってるんだこのオッサンはと思う所であるが・・・何だか今日の本部は一味も二味も違う。
実際、烈海王とやりあってみせる本部。
攻撃によるダメージこそ烈海王が与えているが、本部の関節技は気を抜けば一撃で大ダメージに繋がる。
その緊張感は烈海王も感じている様子。

強い・・・ッッ。烈さんの強さは当然として・・・本部以蔵とはこんな水準だったのか!!?

克巳も驚く本部の強さ。
ふむ、読者の驚きを代弁しているような感じでありますな。
まあ克巳は最大トーナメントの頃の本部しか知らなさそうですし、こういう感想になるのは間違いないか。
ひょっとしたら最大トーナメントの本部は百年に一度の絶不調の日だった・・・のかもしれない。

本来の強さを取り戻したのかどうなのか。
烈海王にプレッシャーを与える本部の強さは想定外のものがある。
とはいえ、烈海王を上回っているかどうかは分からない。本人も俺以上なのだろうなと述べている。しかし。

武蔵以上・・・じゃねぇ・・・

指を刀のように見立てる構えを見せる本部。
ふむ、得意とする武器術であるならばどうなるか。それも気になるところでありますな。
武蔵が見せたイメージによる斬術が本部にも使えるのであればどうなるか。

そのようなことを考えていたら、いきなり沈む本部。
盛り上がってきたところで水ならぬ拳を刺す郭海皇。さすがというか何というか・・・!!

酷い扱いを受ける本部であるが、郭海皇としても本部は只者ではないという認識の様子。
このままやっていたら烈海王であっても無傷では済まないとのことだ。確かに試合前日にやることではありませんな。

いつも通りのわたしはいっこうに構わん!も先んじて封じられる。
無傷で比武の場に立つのは当然の礼儀であるとのこと。ふむ・・・トンデモ老人な郭海皇だが、時にはまともなことも言うのね。

結局護ることはできなかった様子の本部。
強さは見せることができたのですが・・・惜しい。もっと早く動くべきでありましたな。
しかしこの正面から戦えば強そうだが奇襲に弱そうな感じは刃牙に近いものがあるように思える。
よもや本部が刃牙並の水準だったとは・・・!!
最大トーナメントの時も三本勝負主張していればあるいはだったのかもしれませんな!!

それはさておき、試合当日。
東京ドーム地下闘技場は異様なざわめきに満ちていた。
何やらいつもと違う光景になっているそうだが・・・何だろうか?
早くも血塗れになっているとかピクルが寝てるとか本部が砂に埋められているとかしてるのだろうか。どうなのだ!!?



第50話「解禁」  (2015年 13号)


「切り裂き魔」さしずめ現代ならこう呼ばれるだろう。
「切り烈魔」今宵はそう呼ばれてみるか・・・

対決を煽るカラーの文句。
今のところの武蔵は通り魔ではあっても切り裂き魔にはなってませんがね。
通り魔としても向かって来る相手ぐらいしか打ち倒してはないだろうし・・・平穏とはさすがに言い難いか。

金的・・・目付き・・・噛み付き・・・全て可!!!十分だろそれで・・・!?
なのにもっと・・・もっと先を見たいのか!!?

地下闘技場。その中央にあるのはいつもと違う光景。
盛られた砂の山に突き立つのは無数の武器
そして観客に突き立てられたのは・・・見たいのは「立ち合い」なのか「殺し合い」なのか。その選択である。
見たいのは、技術か・・・!!?殺戮か・・・!!?

大事な選択でありますな。
しかし単純な殺戮が見たいのであればもっと別の場所がありましょう。
本来は高度な技術のやりとりを見たい者たちの集まりのはずである。そう信じたい。

さて、静かに始まりの時を待つ烈海王。
スポーツマンではなく武術家である以上アップをしたりはしない。
そんな烈海王のもとを訪れるのは刃牙。これはこれは。
烈海王とはよく絡んでいたけど、郭海皇がいるところに現れるのは珍しいですな。
しかしせっかくの機会なのにこの両者の間での会話はない。残念。

サムライを相手取る以上、武器を認めてこそフェア。
その精神性がいかにも烈海王さんらしいと語る刃牙。全くもってその通り。

嫉妬るな・・・
侍なんだから刀剣使用ったらいいじゃん。その一言が俺には言えなかった。さすがです・・・

敗北を味わい、謙虚さを取り戻している感じの刃牙。良いことだ。
それにしても早めに武蔵に挑まないとどんどん挑戦者がハードルを上げていってしまいますなぁ・・・

剣を持たない宮本武蔵の実力。それもしっかり体験している烈海王。
剣を手にしていなくても五分と五分。或いは――わたしを上回るのかも・・・
そのような印象を抱きつつも、恐れること無く挑むのが烈海王。いやはやまったく。さすがというより他ない。
猛々しい蛮勇は影を潜めたが、こういう面はやはり変わりませんなぁ。

さて、一方の宮本武蔵。アップはしないがたすき掛けをして戦闘態勢完了。
殺し合いに行くにしては暗い感じはなく・・・むしろわくわくしているように見える。

未熟ゆえ。
明鏡止水とは程遠い・・・ッ。こみ上げる昂りを止められぬ。
斬り結ぶ歓喜に一転の曇りなし!!!

ううむ、やはり切り裂き魔と言われるだけの精神性を有しているわけでありますか。
とはいえ斬る喜びではなく、斬り結ぶ喜びと称している辺り、武人な感じはありますな。
さてさて、今宵の武蔵はどこまでやってくるのか。
独歩の時のような寸止めで済ませてくれるのかどうか。気になるところです。



第51話「いい風貌だぜ」  (2015年 14号)


地下闘技場の観客の前に姿を現す武蔵。
観客たちは宮本武蔵であると知ってはいるがクローンであることは知らないのだろうか?
光成にそう聞かされてもすぐに信じられる一般人はそうそういないと思いますけどね。

一目でワカらせやがった。本物だぜありゃッッ

一般人ではない渋川先生はさすがに理解した様子。
今回は見物だけのつもりなのか、護身発動せずに辿り着けたようですな。

さて、烈海王も登場。武器の山を挟んで対峙する2人。
ここで小坊主からルール説明だ。

本立ち合い、特別ルールにて行われるものとします。
ここにセットされた武器、全て使用が許されます。
また・・・双方が事前に用意した武器、これも同様です。
反則はただ一つ。火器の使用のみです

ふむ。武器有りとはいえさすがに火器はダメか。機関銃の使用は認められないわけですな。
ドイルのブレストファイヤーもダメか。義足にマシンガン仕込むのもNGと。いやさすがにやってないとは思うけどさ。

ともあれルールの説明は終了。いよいよ立ち合いの時である。
戦いを見に来たジャック・ハンマーも緊張の面持ち。
お前はそんなでかくて分かりやすい体してるくせにサングラスで正体ごまかせると思っているのか?

ジャックのことはさておき、烈海王はいい風貌をしている
覚悟を決めた男の顔といったところだろうか。
無事に帰ってきてほしい所でありますが、さてさてどうなるか・・・

これから殺し合いを観る。その意識をようやく感じ、静まり返る観客たち。
そんな静寂を破って動きだすのはやはり宮本武蔵。
こういう殺し合いの空気は慣れたものでありましょうしねぇ。
そして武蔵といえば口による先制攻撃である。先に動くのは必勝の構えといえましょう。
まずはどのように動く武蔵。どのように躱す烈海王。注目です。



第52話「手裏剣」  (2015年 15号)


ついに始まった武器解禁戦。
その開始にどうにか間に合った様子なのは愚地克巳に本部以蔵。お、復活したか。
気絶から醒めた本部に合わせてて克巳も遅くなった流れですかな。
武蔵は長引かせず最速最短で終わらせるつもりのようですし、遅れなくて良かったですね。

ゆっくり接近する武蔵。しかしその足が止まる。
烈海王が止め紐を引きちぎる勢いで胸元を開いたため・・・だけではなく、そこにある飛び道具の存在を認めたためだ。

試しに手裏剣の一本を抜き、投げつける烈海王。
胴体を狙ったその一投であるが、武蔵は軽く避けて流す。
軽くといっても残像が出るほどのスピード。観客の目には通り抜けたように見えるという。ほほう・・・
しかしそんな凄い回避も本部に言わせれば一投目ならやってやれぬことじゃないとのこと。ほほう・・・?

ならば一投ではなく連続で仕掛けたらどうなるか。
両の手で一本ずつ持ち、連続で投げつける。
が、それも避ける・・・どころか一本は空中でキャッチしてみせたりする。余裕ですなぁ。
であるならばもう様子見は必要ない。
急所を目がけて次々と次々と手裏剣を投げる烈海王。一発でも当たれば致命傷は避けられない。
だが全ての攻撃を躱し、受け止め・・・あまつさえ両断すらしてみせる・・・ううむ、さすがの武蔵でありますなぁ。

距離があるうちに飛び道具で仕掛けた烈海王の判断は正しい。
しかし様子見から入ったのはいただけない。見切りやすくしてしまったのではなかろうか。
というか全部投げきらずに残しておいた方が後々の選択肢が増えて良いのではなかろうか・・・
まあ、他にもいっぱい武器持ってそうだし、そこはいいのかな?

何はともあれ始まった武器対武器。
武蔵の余裕をどこまで崩すことができるか・・・注目です。



第53話「武器術」  (2015年 16号)


巻頭カラーで決闘罪に関する件が記載される少年誌。実に良い。
何にしてもこういった法律があるため、大っぴらに闘うこともできない。
なので闘いたいやつらはここに来る。地下闘技場にやってくる。

さて、その地下闘技場で、怖いもの見たさの観客たちも静まり返る戦いが繰り広げられている。
手裏剣。見た目は軽量ながら、その威力はフライパンを貫く。そんなシロモノを人体に投げ込む。全力で!幾本も!
しかしそんなシロモノを躱し、やり過ごし、素手で捕え、素手で掴む。あまつさえ――両断。

すさまじい技術を目の当たりにしているのだが熱狂できない観客。リアクションができない
一瞬後には惨劇があるのではという緊張感がそうさせないのであろうか。
剣豪の立ち合いは静の戦いであり、一瞬の緊張感――手に汗握るものとなるのが常であるが、これもそういうものというわけか。

ただ――納得ったことが一つだけある。
経緯もクソもなく突きつけられた事実。最も受け容れ難い事実。
この宮本武蔵は実物だ!!!

クローンとかそういった説明はもはや不要。
この実力を見れば疑いようがない。さすがの貫録よ・・・

さて、手裏剣を使い果たした烈海王。
しかし上着はただ武器をしまうためだけの存在ではない。
こいつの使い道はまだあるぜー!!
てなばかりに振り回される上着。闘牛のケープのようだとか言われているが、どちらかというとヌンチャクのような速さである。
そしてその鋭い上着によって砂の地面を叩けば・・・凄い勢いで砂が飛んでいく!!

男子の面体に砂を浴びせかける烈海王。やられた方はなかなか嫌な気分になりそうですな。
歯や爪が混じっているし、血や汗や小便も混じった砂である。こりゃ顔には受けたくない・・・!!

多少のダメージはあるかもしれないが、嫌がらせ的な意味が大きそうなこの攻撃。
次の一手への布石であるのかどうなのか。気になるところです。



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