蒼天紳士チャンピオン作品別感想

刃牙道
第54話 〜 第80話


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 各巻感想

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連載中分


刃牙道 7巻


第54話「瞬き」  (2015年 17号)


爪とか歯の混じった砂を浴びせかけまくる烈海王。
大したダメージにもならないかと思ったが、眼球に刺さるのはキツイな。見てる方がキツイ。
そりゃ渋川先生も瞬きくらいせんかいと言いますわ。黒目に当たったらどうするんだ。

とはいえ直撃しても弱みを見せない武蔵。
反射的に目を閉じるとかそういう人間的な感覚を克服している様子。恐ろしい。
そして烈海王の攻撃が飛び道具続きであることを指摘。
うむ、迂闊に近づけずにいることを看過されている感じですなぁ。

砂ではどうにもならぬと思ったか、上着そのものを投げつける烈海王。
なんとも策がないとその上着を切り捨てる武蔵。が――

投げつけた上着の死角から襲い掛かってくる九節鞭。これは実に中国的だなァ〜〜〜ッッ
さすがに攻撃した直後では避けることもできず、額を直撃される武蔵。おぉ。

手裏剣のように一撃必殺の威力こそなかったものの、ついに直撃を許した武蔵。
策がないなどと侮った結果でありましょうか。油断しましたなぁ。

しかし九節鞭も回転力が無いと必殺の威力はない。
この一撃で仕留めきれなかったのがどうでるか。
ここからは武蔵も油断なく来るでしょうしね。
中国的な武器が後どれほど残っているか・・・気になるところです。
さすがに上着捨てたし青竜刀をしまう所はないよな。



第55話「三寸」  (2015年 18号)


烈海王の中国的な武器の直撃を受けてノックダウンする武蔵。
額から出血・・・しかし、すぐに立ち上がる。
追撃を仕掛けられなかったのは惜しい所か。

物凄い勢いで九節鞭を回す烈海王。
あまりに速すぎて何を回しているのか観客には見えない。
そんな九節鞭の一撃を、刹那の見切りで三寸だけ退いて躱してみせる武蔵
ううむ、やはりこの見切りの凄さが宮本武蔵でありますなぁ・・・!!

速いッ。速いのは――先端のみ!!!
操作する腕の軌道き自体は――いたってなだらかなり!

鞭の先端は目で追えない。それは郭海皇も保証する。
ならばそれを操る腕の方に注目すればいつ攻撃が来るかも予測できるという寸法ですな。
しかしそれでも武器の間合いとか目測で良く計れるものであるよ。

さて、剣を地面に突き刺して両手を開ける武蔵。
その揉み手には何か意味があるのだろうか。もみ・・・もみ・・・

揉み手の効果によるものなのかどうなのか。
鞭の危険域を見切り、腕で絡めてから先端を掴み取る武蔵。
回転が足りてない状態からの一撃ならば恐れることもないということか。

掴んだ後は一気に引き寄せ、烈海王の手から九節鞭を奪い取る。
武蔵が手にする九節鞭。これはどういったことになるのか。
そしていよいよ武器が尽きたのか拳法の構えを取りだす烈海王。
そろそろ接近戦が始まりそうな感じでありますが、さてさてどうなりますか。
剣を手放している今がチャンスな気もするが、それだと意味ないとか思っちゃいそうで難しい所ですな。



第56話「玩具」  (2015年 19号)


九節鞭を奪い取った武蔵。手でプラプラさせて感触を確かめる。

振れる・・・振れることは振れる・・・が。
重量さがな・・・今一つ・・・生命を断つにしてはな・・・

携帯に適した分、殺傷能力に欠ける九節鞭。
武蔵に直撃させながらも仕留めきれなかった原因でありますな。
それを補うには回転力などで威力を上げるしかないのだが・・・奇襲でもしないとそもそも当たらなかったしなぁ。

鋼の強度などを観察する武蔵。
その最中、烈海王は構えたまま踏み込めずにいる。

鞭に気を取られていたつかの間――何故仕掛けないッッ
幾度でも・・・ッッ。幾度だって機会はあったハズッ!!

自分を叱咤して仕掛ける烈海王。
しかし仕掛けながらその叱咤が虚偽であると認める烈海王。激しいな。

ほんの一瞬だって隙など無い!欠片ほども!

対峙しているだけで削れていっている烈海王。
なまじ相手の実力が見えるだけの力があるのが不幸な様子でありますな。

烈海王。これはな・・・こう振る。

そう述べて構えを取る武蔵。両手に鞭・・・鎖による二天一流か!!
一気に興奮する観客たち。しかし一振りで九節鞭を破壊したのを見て、戦慄が走る。
確かに鋼が悪いとは言っていたが、振るだけで破壊してしまうとは・・・人間じゃねェよもう・・・ッッ。

否・・・武器じゃない

武蔵に言わせればこれは玩具に過ぎないとのこと。
人の命を断つにはそれなりの代物でないといけないわけですか。厳しいですなぁ。

中国武器術は通用しなかった。となればもう素手で挑むしかない。
果たして素手でどこまでやれるのか烈海王。意地を見せて欲しい所である。



第57話「敗れたり」  (2015年 20号)


一振りも持たずに切れて落ちる九節鞭。
この結果を目の当たりにして荒ぶるのはその九節鞭を慣れ親しんでよく知る郭海皇。

若き頃より振り回し継続けた鉄の鞭。
皮膚が裂け、出血を見ても止めることはない。
消毒の塩をすり込み、振り続ける・・・
なかなかふさがらぬ傷口に苦慮したものだ。
しかし鞭本体が引きちぎれる。そんな不安など――あるハズがない!!!

怪力をもって鳴らした若き日の郭海皇。
その身にしてもこのような現象は考慮の外であるらしい。そりゃそうだ。

武器を破壊した武蔵。刀を納めると、烈海王へと放り投げる。
同じようなことができるか試してみろというのだろうか。
といいながら近付いて殴りかかって来る辺り、ただの言論攻撃だったわけか。

武蔵の突きを納刀したままの刀で防ぎ、反撃する烈海王。
刀による攻撃というよりは杖術のような闘い方ですな。心得たものだ。
連撃を浴びせ、止めに左の上段回し蹴り。入った!!

ようやくまともに決まった攻撃に観客たちも沸き返る。やったぜ。しかしぶった斬れェェッ!!はどうなんだ。興奮しすぎだ。

なるほど伝説と違わぬ卑劣ぶり。
しかしわたしは拳法家。素手のまま近付くことは許さんッッ!!

自分だけ武器を持っての闘いなど望む所ではない。
せっかくこのような舞台まで用意したというのに、そのような決着ではいけませんわなぁ。

さて、再び剣を手にして立ち上がる武蔵。
打倒されたとはいえまだまだ元気であるし、その弁舌は衰えていない。
打倒したその刹那こそ唯一の烈海王の勝機であったと語り出す。

二度目はない・・・!!!烈海王敗れたりッッ!!

出た!名台詞!!
このとっても有名なセリフを実際に耳にして・・・観客大ウケ。
さすがの武蔵もこの反応は予想外であったらしく驚いている。
そりゃあ、戦術として真面目に喋っていたらいきなり笑われるんだもの。戸惑いますわなぁ。
そう考えると失礼なことこの上ない。人が真面目に喋ってるのに笑っちゃ失礼でしょ!!
噴き出さないようこらえている烈海王はやはり紳士である。

そんな空気が気に入らなかったのか、剣を放りだして素手のまま近付く武蔵。
早く烈海王に攻撃してもらってこの空気を変えたいってことだろうか。
望んだのとは違う、素手と素手の闘いに持ち込まれた烈海王。どうでるのか。注目です。



第58話「拳法家」  (2015年 21+22号)


先程殴り倒されたばかりというのに素手で近付く武蔵。
早く殴りかかってもらって会場大爆笑の空気をどうにかして欲しいのでありましょうな。
さて、その代償はどれほどのものとなるか。

武蔵さん。拳法家に素手で近付いてはならぬッッ
その言葉の意味するところ、実感ってもらえたハズ・・・ッッ。

弁髪での目潰しという器用な真似を行う烈海王。
砂つぶては瞬きせずに受けきったが、これはちゃんと効いたらしい。人間的な反射にほっとしますな。

至近距離からアゴを跳ね上げる蹴り。
これに脳を揺らされ膝を付く武蔵。いや・・・膝をついたのは烈海王の足を取るためであったか!!

義足を掴み、片手で持ち上げる武蔵。
100キロを超える烈海王を軽々と持ち上げる。予想外の顎への蹴りをもらった直後によくやる・・・

こんな握力があるのかー!!?

驚愕の烈海王。
正直、握力だけでどうこうできるものではないと思うがどうなんだろうか。腕にかかる負担も半端ないですよ。

器用と称された烈海王。片足を掴まれた状態で反撃に出る。
しかしこの体勢。掴んだ片足を操作すれば全体の動作を制御することが出来る。
うーむ、まさに翻弄されておりますな、拳雄。

掴んだ後、武蔵が繰り出すのは例の大上段の構え。
烈海王の体を大きく振りかぶり――手に遊びをつくり――裂帛の気合と共に振り下ろす!!

竹も九節鞭も破壊する武蔵の振り。
それらは武器ではないとのことであったが、烈海王の体は全身武器と言えなくもない。
それゆえか、振っている途中で壊れることはなかったが・・・そのまま地面に叩きつけられるのは厳しい。

空中で体勢を立て直し、構えを取る烈海王。しかしその目に光は灯っていない。
立ちはだかり構える列の姿に満場の者全ての胸に去来した思い。

烈海王敗れたり!!!

口にすることで笑われた言葉を、実感として観客たちに味あわせてしまう武蔵。恐ろしい男である。
しかし果たして烈海王はここで終わりなのだろうか?
せっかく鍛えた消力も披露していないというのに、ここで終わってしまうのか!?
終わってしまうことも普通にありえるのが怖い所ですなぁ。郭海皇は何をしに来たのか・・・!!

今終えるのであれば、凄惨な場面を見ずに済むという考えもなくはない。
それと同時に、武蔵に武器を使わせることそのものがまず難しいという結論が生まれてしまう。
となれば最後は武器を使ってKOされた独歩の株が多少上がったり・・・しないか。最初素手で倒されてるしなぁ。



第59話「気絶」  (2015年 23号)


意識のないままに構えをとる烈海王。
身に沁みついた武術の精神によるものか。
しかし近付いてくる武蔵に反応できていない。万事休す・・・

と思いきや、意識のないままに拳をゆっくりと繰り出す烈海王。
うーむ、この人はどこまでも武人でありますなぁ。こんな状態でも戦うことを肉体は諦めていない。

その烈海王の腕を取り、合気のような技で背中から投げ落とす武蔵。
そしてその衝撃で気を取り戻す烈海王。
叩いて失神したのならもう一度叩いて覚ませばいいじゃないという理論ですな。
乱暴ではあるが、実際に目覚めたのだから仕方がない。

ともかく気を取り直して打ちこみに入る烈海王。
しかし武蔵、その両拳の初動を抑えて止めてしまう
見切りを行う動体視力、そして拳を制し得る握力。この2つを兼ね備えた武蔵らしい防ぎ方でありますな。

拳にしても蹴りにしても攻撃の途中で抑えられたのでは威力が出ない。
そうして動きを制し、更には投げを放つ武蔵。
うーむ、打撃だけではなく柔も心得たものである・・・ヤバイ相手だ。改めてそう思えます。

投げられた時の衝撃で左肘がイカれる烈海王
それだけでもかなり不利なのに、青龍刀を手にする武蔵
刃物は刃物でも日本刀は投げ捨て、中国の武器である青龍刀を手にするとは・・・
相手に配慮したことなのか、逆に挑発してのことなのか。
相変わらず本気で振れる武器は少ないみたいですけどね。

素手でも圧倒していたのに、相手の意志に応じてか武器を手にする武蔵。
それに対し烈海王が取るのは・・・刃牙の構え!!
左肘がイカれたことで構えを変えたということだろうか?
確かに刃牙は烈海王から技をパクったりしているが、逆も有り得るということなのだろうか?

闘志はいまだ萎えてはいないものの、どんどん不利な状況となる烈海王。
しかし青龍刀であれば、郭海皇と行った消力の特訓が活かせるかもしれない。
そう考えればこの勝負、ここからが本番と言えなくはないが・・・どうか!?



第60話「青龍刀」  (2015年 24号)


左肘がイカれた烈海王が繰り出すのは範馬刃牙のファイティングポーズ。
そう、いわゆるチャンピオンの構えだッッ!!

爪先に重心を置き・・・足は前後の自然体・・・身体は必然半身・・・相手から見る面積は狭まる。
前の肩は顎をカバー。相手にとっての障害物になる。
利き手も顎の横――発射に備え握りは緩く・・・前手は攻防兼備。型じは状況に応じる。
つまり・・・・・・これだ。
いつからだろう・・・編み出したというより、気付いたら身に付いていた構え・・・

色々と理にかなった刃牙の構え。
烈海王は付け焼刃をする人ではないとのことであるが、この構えを取るのは必然だったというのだろうか。
ともかく、烈海王自身はこれがいいと考えている様子。

いい・・・ッッ。動ける・・・動けるぞ!!!
"斬る"決意た武蔵を眼前にして尚!!!"動ける"予感が揺らがない!!!

友の構えを借りることによって勇気を得たという感じでしょうか。
構えの利便性以上に精神的な支えが必要だった。
そう考えればこの構えを取るのは必然だったと言えるかもしれませんな。

さあ、武蔵が真っ二つに切り裂かんと刀を振り下ろしてくるぞ。
これをどう捌くのか烈海王。
と思いきや・・・まともに喰らった!!
正中線。顔面の真ん中にめり込む青龍刀。
しかし独歩の時と同じように、当てるだけで引き斬らない武蔵。おかげでえらい光景になってしまっています。

きさま・・・何故引かんッッッッ!!何故引き斬らん!!!
この烈をッッ!侮辱する気かああああッッ!!!

吠え猛る烈海王。この矜持は武士道に通じるものがあるのだろうか。武蔵も武士だと認めてくれる。
それを受けて本当に刀を引く武蔵であるが・・・

嗚呼・・・刃牙さん。ありがとう・・・

刀を引く武蔵。その動きに合わせるように回転する烈海王。
これはついに特訓した消力を見せる時が来たということだろうか!!
動き的には少年編の刃牙が身につけた回転カウンターのような感じにも見える。

実際、烈海王は消力でかわすことを狙ってたんでしょうが、半端に刀を止められたのでああなっちゃったのかもしれませんな。
人がせっかく格好良く特訓の成果を見せようとしてるのに何してくれるんじゃコラ!!烈海王もそりゃ吠え猛るわ。
この予想が当たるのかどうか・・・注目ですな。



第61話「擬態」  (2015年 25号)


烈海王を斬るために剣を引く武蔵。
しかしその動きに合わせて回転する烈海王。
消力による回避・・・そして、その回転を利用して踵を武蔵の顔面に食らわせる!!

この威力に武蔵も派手にダウン。
一気に沸く観客。克巳も思わずガッツポーズである。
昔、花山薫に自身がくらった胴回し回転蹴りに似た感じであるが、そこは思い出したりしないんですかな。

スゴいな・・・羽根が蹴った

さすがの本部もこれは想定外だった様子。素直に驚きを見せている。
とはいえ烈海王も事前にこの攻防一体の技を思い付いていたわけではない様子。郭海皇だって驚いてるぐらいですしね。

刃牙さん・・・あなたの五体に刻まれ編み出されたあの構えが・・・
羽根に――重量感と刃という――矛盾を添えてくれた

刃牙の構えを取ることで、その技も模倣することが出来たということだろうか。
消力による回転のタイミングなどは自身が身につけたものだろうが、そこからは刃牙の構えから感じ取ったと。
うーむ、やはり天才は違うということですかねぇ。

ともかく強力な一撃が決まった。顔面を血に染める武蔵。効きまくってるッッ。
その武蔵を見下ろす烈海王。止めを刺すのか・・・

刺します・・・!!刺すまでもなかろう止め。敢えて刺します!!!
それが――貴殿の武士道にも叶うはず。

跳躍し、武蔵に止めを刺そうとする烈海王。
しかし本部が直前でようやく気付いた通り・・・武蔵の瀕死な様子は擬態。死んだふりでありました。
それにも気付かず、うかつに跳躍してみせた烈海王。
隙だらけの空中を武蔵に捕らえられる。
たすきを素早く紐解き、烈海王の首を絞め・・・そして全身を縛り上げる。

武芸百般。縛法だ

まさかの体勢に瞬時に縛り上げられてしまう烈海王。こ、梱包されておるぞー!!
よもやあの烈海王が戦っている最中にこのような目に遭わされようとは、何ともはや。まったくもって油断大敵でありますなぁ。

審判もいる状態ならば武蔵の擬態が裏目に出て勝負ありとなっていたかもしれない。
それがなかったとしても、武蔵の汚さは既に知っているハズですし、疑ってかかるべきでしたな烈海王よ。
それこそ寂海王のように声高々に勝利宣言をするべきでしたな。
そうなれば武蔵も慌てて起き上るより他なかったでしょうに・・・過去の闘いから学びきれていなかったのが敗因か。

それにしても実際に一度死んで危機を回避した郭海皇が何を擬態に驚くというのか。
実際に死ななくてもフリで良かったのか!とか今更ながらに思っているのだろうか。謎であります。



第62話「ザンッ」  (2015年 26号)


だまし討ちを行う武蔵の卑怯さに憤る観客。
一瞬であの烈海王を縛り上げる凄さに興奮する観客。後者は興奮しすぎだな。スゴすぎる〜〜〜ッッ!!

武蔵に言わせれば取るにも足らないふん縛って動けなくしちまう技術。
しかし行動不能の相手に用いるならともかく、戦闘中の相手をこれというのは・・・スゴすぎる〜〜〜ッッ。
本部以蔵も武術の「武」次元が違いすぎると今さらな発言をしてしまいますよ。

だまし討ちについては何一つ落ち度はないと光成。
別に決着の合図があったわけではないですし、それは当然でしょうな。
それにしても倒されるでもなく斬られるでもなく、こんな形で行動不能になるとは・・・
郭海皇も語る通り、"武"に生きる者ならば決してあってはならない結末である。

醜態も醜態・・・敗北以下の敗北じゃ・・・ッッ

その郭海皇の言葉が聞こえているのかどうか。
いずれにしても自身が一番醜態であることは理解していましょう。
だからこそ、もう叩ッ斬って欲しい。そう叫ぶ烈海王であるが・・・

思い上がるな烈海王。もはや貴様には斬られる自由すらない

はっきりと告げられる武蔵の言葉に乙女の如く静かに涙する烈海王。
これまたこういう泣き方が似合う人だから困りますなぁ。

打ちつ・・・打たれつ・・・躱され蹴られ。騙し――縛り上げたよしみ・・・
斬って進ぜよう

烈海王の言葉は制しつつもその願いは叶えようという武蔵。
その日本刀の切れ味は、先ほどまで振るっていた青龍刀を容易く斬りおとすほどのものである。
さて、その本物の切れ味で一気に振り下ろした刃は烈海王を切り裂くのでありましょうか?
パッと見では切れてないようだが、遅れて裂けたりするのだろうか?
ともあれ久しぶりに髪のほどけた烈海王の姿が見られそうでありますな。



刃牙道 8巻


第63話「死闘」  (2015年 27号)


縛り上げた烈海王を後ろからザンッ!!
しかし斬ったのはたすきと髪を結ぶ紐のみ。
どういうつもりでそのようなことをしたのかと言うと、次の言葉で分かる。

烈・・・刀剣の一太刀に・・・回転って見せい!!!

包丁代わりの青龍刀ではなく、日本刀での斬撃で同じことができるか試してみたい。それが武蔵の想いである様子。
ある意味、これこそ当初から想定していた状況でありますわな。
ここに至るまでに妙に遠回りしてしまった感じがしますが・・・とにかくここだ!!

こここそが・・・ッッ。消力本番!!!

日本刀による武蔵渾身の一撃を見事に回転で避け、そのまま蹴りへと繋げる烈海王。
しかしその攻防一体であるはずの技を、返す刀で斬って捨てる武蔵。
義足が軽い音を立てて切断された!!

迅速くて見えないほどの斬撃。神業と言っても過言ではない技であります。
回っている最中に斬り捨てられたのでは消力も役には立ちませんわなぁ・・・消力破れたりッッ

郭海皇も認める事実。
いやそれは、二回目の斬撃のことだけではなかった様子。
一回目の斬撃も・・・その威力を逃しきれずに頭頂部から縦に、顔面から血飛沫を上げる烈海王。おぉう。
しかしどうやら致命傷ではなく、浅手で済んだ様子。
いやまあ、浅手と言っても唐竹割じゃなかったというだけで、決して浅くはないように見えるんですがね。

今一度、一太刀を

殺されることはなかった。ならば消力は成功だと考える烈海王。
そして更にもう一度と挑む。義足を失い、片足の状態でも未だ萎えないその闘志。
立派ではあるが・・・愚かしくもある。
次の一太刀で勝負は決まるのだろうか。斬られて平気な義足はもう無いのだが、今度はどこを斬られてしまうのだろうか。
せめて命だけは助かっていただきたいものであります。



第64話「掴んでいる」  (2015年 28号)


手は地ベタ。上体は撓ませ・・・足は準備える・・・
姿に・・・"狙い"がそのまま現れている。
次の動作が表面に晒され――意図が隠されていない。
もはや"構え"ではない

正面から突っ込む。それ以外には考えられない構え。確かに武としての構えとはいえないかもしれない。
考えてみるとピクルのタックルする時の構えに似てなくもない。
あそこまでの超人的な突撃をするには、片脚の今の状態では無理でしょうが・・・
それでも覚悟を決めて突っ込む烈海王。

残念だが烈海王・・・刺し違えてやることは出来ぬ。

突っ込む烈海王に対し、容赦なく迎撃を行う武蔵。
神速の抜刀から振り上げ、そして刀の振りおろし。
生身の烈海王にこの刃を止める術は・・・拳で止めたァァッッ!?

鍛え上げた拳の硬さ、密度は正に鉄拳ということでありましょうか。
手首近くまで斬られてはいるが、ともかくそれ以上は武蔵の斬撃であっても斬りこめずにいる。
これはさすがの武蔵も凄いとか怖いとか好ましいとか偉いとか考えてしまう。武蔵らしい想いがよぎってるなぁ、オイ。

拳ごときを・・・ッッ。これほどの高みにッッ!!

武蔵も観客もこれには驚き。烈海王にもようやくの笑みが見える。

掴んだぞ、むさァし!!!

吠える烈海王。しかしそこで打つ手がなくなってしまうほどヤワな男ではないのがこの武蔵。
すかさず柔を用いて剣を持ったまま烈海王の体勢を崩し、宙を舞わせる。
その勢いで止めたはずの剣が自由となってしまう。うーむ、この対応の速さよ。

その通りだ烈海王!!君達は掴んでいる!!!
剣なきこの時代――拳こそが剣!!!
あっぱれ也。烈海王ッッッ。

お褒めの言葉は頂きました。
しかしその間。宙に舞った烈海王に叩き込まれたのは横薙ぎの斬撃。
空中で再度回ることなど出来ようはずもなく。ましてや空を舞う羽根を両断する武蔵の剣を躱せるはずもなく・・・
胴を裂かれた烈海王。これは・・・これは・・・ッッ!?

普通に考えて致命傷でありますが、そこは中国四千年。
首の骨を外して緊急回避するぐらいでありますし、臓物を逃して致命傷を避けるぐらいのことはやってのけるのではありますまいか。
何にしても勝負は決着でありましょう。意地は見せたのだが・・・ううむ。
次に戦う人のハードルが物凄く上がった感じでありますなぁ。



第65話「次に・・・」  (2015年 29号)


胴を斬られた烈海王。その脳裏に写るのは過去の自分の言動。走馬灯というやつだろうか。

知りたいのです。果たして、斬られたらそこで終わるのでしょうか

普通に考えて、斬られたら死ぬ。
もちろん浅手ならそんなことはなかろうが、この場合は致命傷を受けた場合の話でありましょう。
烈海王としても斬られればいずれ死に至る。そこに疑いはない。

しかしこの――薄っぺらな鉄の板一枚が――実際に身体へ喰い込んだとします。
たかがそれしきで一切の反撃も出来ぬほど損傷を、痛手をこうむるものでしょうか。
剣。槍。古来より拳法界にはびこる刃物への盲目的な恐怖心。わたしは嫌います。
首をハネられぬ限りは――反撃――逆転は十分に可能ッ
否!必ず反撃してみせます。

昔の蛮勇に満ちた烈海王らしいセリフでありますなぁ。恐れ知らずというか何というか。
とはいえ実際、拳を斬られながら刃物を止めているわけですしねぇ。
腕ぐらいなら斬られても即座に反撃するかもしれない。
だが、今回のダメージは・・・

こ・・・こういうことか・・・これが"斬る"ということ。"斬られる"ということか!!!

ついに立っていることもできず、顔面から倒れ込む烈海王。
そして今の状態に至る"肝"はあそこだったと反省。
ううむ、確かに柔を使われて身体をハネ上げられたからといって掴んだ刃の握りが緩んだのは痛手でしたなぁ。
それさえなければ落下時に斬られるようなこともなかったでしょうに。

一応空中でも消力を使おうとしていたらしい烈海王。
しかし胴体に予感したラインをなぞるようにして斬られてしまう。
これは・・・腹ではなく、背中側から斬られている・・・!!

切り裂かれる臓腑・・・切り離される背骨・・・どれもハッキリと感じた・・・
嗚呼・・・反撃どころではない・・・
立ち上がることすら・・・遥かに遠い・・・
大きな収穫だ・・・次に活かせる・・・・・・・・・・・・・・・・・・

傷口を押さえる力もなくなり、モツをまろびかせる烈海王。何だか久しぶりにモツを見ましたな。
いやまあ、臓腑はかなりヤバイが、それ以上にヤバイのはやはり背骨でありましょう。
ここが断たれてしまうとあっては・・・さすがにセメダインでペタンというわけにはいかない。
それでも次に活かせると述べる烈海王の精神性はいかにも烈海王らしいという他にない。

衝撃の武器解禁戦はついに決着。
平和裏に終わる可能性もあったのだが・・・この結果は・・・
まあ、まだ完全に死亡したという話は出ていないですし、治癒が間に合う可能性はなくもないのでしょうが・・・
ううむ。どうなることやら。



第66話「間違っていた」  (2015年 30号)


想定はしていたものの、訪れた凄惨な結果に声も出ない観客たち。
"生命のやり取り"の現場に居ながら無関係を確保していられる自分達を恥じる
ふむ、意外なほどに地下闘技場の観客たちは常識を弁えている人が多い様子。

勝者とは・・・讃えられ、熱狂され、人々が押し寄せ離れようともしないもの。
なのにどうだ・・・
迷いなし。躊躇いなし。そして支持はなし・・・それでも尚、天下無双也。宮本武蔵

人を斬っても入場前と様子が変わることも無し。
さすがに戦乱の世を生き、武の研鑽を積んできた男は違うということか・・・

さて。烈海王の体は控室で仰向けに横たえられている。
それを見下ろす男たち。皆一様に沈痛な面持ちであります。それはそうでしょう。
しかし何だかバランス的に違和感が・・・と思ったらそうか、脚を晒しているからか!!
ボクシングの時もいつものズボンで通していた烈海王が脚を晒すこととなるとは・・・

それはさておき、光成から皆への問い。儂は間違っていたのか、と。
ふむ。それに関しては本部は言ってやってもいいんじゃなかろうか。止めるべきと言ったでしょう、と。
まあ自分自身も止められなかったのだからここで発言しても顰蹙買うことになりかねないかもしれませんが。
顰蹙に関しては今さらという気もしないでもないですが。

ともかく、光成の質問には郭海皇が答える。馬鹿な、と。

仮に「貴方は間違っていた」と私が言ったなら、烈はハネ起きて私に噛み付くでしょう

そう述べる郭海皇。本当に起き上ってくれるのであれば、むしろ間違っていたと言って欲しいところでありますわなぁ・・・
取り返しのつかない状態に涙する光成。
いつものことながらとんでもないことを仕掛ける割に後で狼狽えだす御仁である。

さて、多少落ち着きを取り戻した光成。武蔵に尋ねる。烈海王はどうだったかと。

「関ヶ原」なみ・・・――と言ったところかの。

またこれは難しいたとえ話を持ってきましたな!!
人物ではなく戦場にたとえてしまうとは。
しかし天下分け目の決戦とも呼ばれる関ヶ原。それ並と言われるのなら、もちろん悪い意味ではありますまい。
戦っている間の武蔵の心中はどのようなものだったのか。気になるところです。



第67話「関ヶ原」  (2015年 31号)


烈海王は関ヶ原なみ
その言葉の意味を示すために関ヶ原の回想に入る宮本武蔵。
その当時はまだ無名であり、素人同然の餓鬼。
であるにも関わらず、囲まれた状態で複数人を相手に暴れ回っている。
体格は良かったのだろうが、17歳の小僧っ子が1人で良くやるものである・・・
まあ、戦場では勢いに乗った者勝ちという感じはありますか。

それでもやはりここは戦場。
矢の雨が降れば新手がやってくることもある。少しも休まる時は無い。

上下――前後――左右――
一瞬たりとて油断は許されぬ。
太刀。槍。弓矢。薙刀。果ては鉄砲に至るまで。何が、誰が飛びだすやらまるで分からん
当時の俺にとって関ヶ原とはそういう場所だった。

確かに何が飛びだすか分からないという意味では烈海王への印象は正しいですわな。
なかなか近寄らなかった武蔵であるが、何が来るか分からないという警戒心を抱いていたのかもしれない。
余裕そうに、実際余裕を持って対処しているから余裕ぶっているように見えたが・・・実はしっかり警戒してたってことですかね。

惚れてしまった

いきなりの告白を行う武蔵。特に最後の拳で刃を受けるという行為について熱く語る。

拳に喰い込む刃を握る。手元に伝わりくる尋常ならざる握り力・・・
その鍛錬に惚れ、その発想の飛躍に惚れ、その豪胆さに惚れ、同時に畏怖れた

素直に感じた事実を述べる武蔵。
ふむ、これは戦った烈海王も報われるというものでありますか・・・

さて、ここで重ねて武蔵に質問する光成。
あの天才剣士、佐々木某と比較したらどうであるか

烈対剣豪武蔵の好敵手。この比較はどうでありましょうか?
みんな大好き強さ比べ。考え込む武蔵はどのような答えを出してくれるのか。興味深いですな。



第68話「佐々木某」  (2015年 32号)


天才剣士佐々木小次郎と烈海王。果たしてどっちが強いのか
訪ねた時は何気なくだったのかもしれないが、悩んでいる武蔵を見て熱を帯びてくる光成。

うう・・・ッッなんと・・・ッッ。なんという光栄だッッ!!
比較べとるんじゃ!!!かの天才美剣士佐々木小次郎と・・・ッッ我らが拳雄烈海王を!!!
剣豪対拳豪。回答えはどっちじゃ!!?

物凄く気分の盛り上がっている光成であったが、武蔵からの回答は予想外のもの。
何を考えているのかと思ったら佐々木某では誰だか分からなかったのか!!
忘れてたっぽいと指摘され、ちゃんと思い出したではないかと慌てる武蔵は妙な可愛げがある。まだボケてないぞという主張か?

物語などでは武蔵の宿命の好敵手とされている佐々木小次郎。
しかし年齢差が40近くあったりと色々と怪しい点は多い。
武蔵としては20代の頃に相対した相手であるし、その後も色々やり合ったのだとしたら印象が薄くなっても仕方がないか。
だが、最大の強敵だったのではないかという問いに対し、普通だったという表現は・・・やはり寂しい。
特に弱いというわけではないが、かと言って特別に印象に残るほどの強さではないとのこと。うーむ。そっかー。

しかし例の○○敗れたり!!は烈海王戦時に使っているし、この言葉が伝わっていることに驚いていたりする。
その部分は覚えているのに佐々木小次郎のことはなかなか思い出せなかったとは何ともはや。
いや、実は小次郎との決闘以外でもよく使う口撃のひとつだったのかもしれませんが。

佐々木小次郎の件は残念であるが、烈海王の評価は普通などというものではない。
それはそうだ。合戦に喩えるほどの戦力が普通なわけがない。

そもそもおぬしの紹介した3名。奴らは皆普通ではない。かの戦国の世にあってもそこそこ名を成したであろう。

普通ではないという評価は嬉しいが、戦国の世ではそれでもそこそこであるらしい。
まあ武芸家が名を成すのは大名に取り入ったりとかしないとだし、難しい話ではありますよね。独歩ならその辺りもこなせるか?
いや、大統領を攫ったり無茶しまくる刃牙も可能性はありそうだし、ボクシング編を見ると烈海王にも可能性はあるか。
それはそうと人斬りサブちゃん・・・まあ、彼は刀持ってくるのが仕事だったわけですし・・・

それにしても武蔵の戦闘意欲は旺盛ですなぁ。毎日でも構わんッッと来たか。
さすがに烈海王クラスを何人も揃えるのは難しいのですが・・・

そんな中、一度敗れたにもかかわらず再戦の機を待つ男がいた。刃牙だ。
刃牙が訪れるのは本部流柔術の道場。ほう、ようやく本部流を学ぶ気になったと?

本部「駄目だ
刃牙「え!!?ダメなの!?」

入門を断る理由はないとしながら駄目と述べる本部。意地がワルいぜ。
というか、銃で脅してでも止めるべきだったと、烈海王を守護れなかったことを悔やんでいる本部ですが・・・銃で止まる相手かな?
郭海皇の横やりがなければひょっとしたら止めることも出来たのかもしれませんが・・・
しかしここで悔やむくらいなら闘技場に乱入するぐらいのことをして欲しかった。
そんなだから、俺が武蔵の魔手から君らを守護ると宣言しても怒られるようなことになってしまう。

上から発言に怒る刃牙。学びに来た者の態度とは思えないが、今までが今までであるだけに仕方のないことか。
武蔵に勝てるだけの実力が本部にはあるのか。試される流れとなりそうですな。



第69話「300点」  (2015年 33号)


本部の守護る発言に憤る刃牙。
自分より遥かに弱いおっさんにそのように言われては黙っていられないってところか。

本部以蔵だからじゃない。誰であれ許さねェよ。俺を守護ることは許さねェ

この辺りは少年王者の意地でありましょうか。それ自体は悪くない。
しかし今回の相手は宮本武蔵。武術史上最強の剣豪である。
我らが誇る拳雄烈海王を一刀両断せしめ、刃牙自身も何度も打ち倒されたりしている。
そのような相手に自分で自分の身を守るなどと言い切れるものかどうか・・・

それはそうとここで本部の口から烈海王の死が宣告される。何ッッ!?
明言されないうちはどうか分からないと思っていたが、ついにされてしまいましたか・・・
死亡確認された後、運び出された先で復活してたとかいう話があっても不思議じゃないので何とも言えませんが。
ともあれその事実は悲しむべきことであります。

とはいえそれとは別に武術家としては武蔵という到達点の目撃は喜んでしまうべきことでもあったりする。
危うい存在。皆をこの男の凶手から守護らなければならない。
そう考えつつもやはり武を極めた者との立ち合いは心を湧き立たせるものである様子。仕方がないねぇ武術家ってやつは。

ただ・・・残念なことだが、まだ我々は全力の宮本武蔵を見てはいない

烈海王に圧勝してなお全力ではない武蔵。
確かに現代の闘争術を知るためにあえて戦いを長引かせていた感はありましたな。
それは長引かせるだけの余裕があったということであり、不覚を取ることはないとの確信があったということでもある。ううむ。

だからこそだ・・・わたしには君らを守護る義務がある

相変わらずの本部の自信。今の私なら烈海王にだって勝てるという感じだろうか。
それを示すためにはやはり力を見せるのが一番である。
範馬刃牙の徒手の力を100点中の100・・・いや120点とするなら本部以蔵の徒手は高く見積もっても80点以下。ところがだ・・・

剣。槍。杖。鎌。縄。忍に至るまで・・・全て合わせりゃ300点は下らねェ

徒手での戦いでは不覚を取っていた本部。しかしそれで実力の全てを計れるわけではない。
収めた武は徒手以外にも幅広く、それらを総合した力こそが自身の武であるというわけか。

それを示すかの如く、突然の煙幕による奇襲。後ろを取っての短刀での一撃。
なるほど。これは完全に勝負ありの形でありますな。おやおや刃牙さん。また不覚ですか。おやおや。

これも忍の技術か。相手の不意をついての戦いを見せる本部以蔵。
武蔵はその手の戦いも得意そうだし、その点で渡り合えるかどうかは大きな要素ですわな。
逆に刃牙は不意打ちとかそういうのに妙に弱い。不覚を取ることしきりに思える。こりゃ守護られてしまいますわなぁ。

ともあれ力を見せることに成功した本部以蔵。となれば次に武蔵に挑む権利を得たということに・・・なるのかどうか。
格好いいところを見せてくれそうだが、その直前でやらかしそうな気もする。
安心しきれない本部の実力に今後も注目が集まりそうだ!!



第70話「武芸百般」  (2015年 34号)


怒って仕掛ける刃牙。しかしその刹那に本部の懐から取り出され、叩きつけられるのは煙幕玉。
刃牙が訪れると知った時からこうなることを予測して自作の煙幕玉を用意したのだそうな。
ふむ。この準備の良さこそが兵法でありますわな。戦略と言ってもいい。

"計算違い"ではなかった

確かに素手同士の戦いでは敗れていたでしょう。そこで奇策で勝ちを拾ったわけだ。
言葉ではなく結果で示された。刃牙としても反論は出来ず悔しがる他ない。ハッハッハ。

これが兵法。これも闘争。そしてこれが宮本武蔵の流儀でもある

話術にせよ何にせよ、あらゆるものを用いて戦っている武蔵。
本部の言うように、これに対抗できないようでは武蔵本人に敵うはずもないですわな。

一気に凹んだ様子の刃牙。
確かに本部の攻撃に殺気があれば刃牙の反応も違っていたかもしれない。
そのように言われても冴えない顔の刃牙。謙虚になる時は一気になるから扱いに困りますなぁ。

気に病むな。君ら現代格闘士はこういうことに慣れてない。屈辱的かも知らんがこれは事実だ。
この流儀に精通するのは俺だけなのだ。
範馬刃牙でもない範馬勇次郎でもない渋川剛気でもない。この本部以蔵ただ一人なのだ
この闘争いは俺の責任なのだよ。

勇次郎ですら守護る対象である。そう言い切る本部。
うむ、今の本部ならば勇次郎本人の前でも言い切りそうな気がする。その後どうなるかは分かりませんが。
しかし刃牙はさておき戦場を経験している勇次郎や武器を使った野試合も経験してそうな渋川先生も精通してないと?
勇次郎などは銃弾を避けるために潜んだり皮を被って変装したりと色々していたようですが・・・

疑問に思う部分は大きいが、そんなことをしている間に当の宮本武蔵が逮捕されてしまいました。アレ?
徳川邸に訪れた内海警視総監によると殺人容疑の逮捕状が出たらしい。
ハハァ。先の烈海王との戦いを見ていた観客が通報したわけでありますか。
うーむ、こういうのって口外しない制約とかないのだろうか?
地下闘技場に集まる客はVIPとかそういうのではなく単なる格闘技好きの連中なんだろうけど・・・それはしていいことなのか?
やる前から分かってた部分もあるだろうに公開殺人ですとか言われましてもね。

演武じゃ。刀剣を使用った模範演武。そのミスが生んだ結果に過ぎない。

逮捕しに来た警察に対しそのように述べる光成。
まあ斬られた当人も望んだ対決でありますしなぁ。ここで逮捕という話にされても困りますわ。
勿論双方が納得していたからって現代の法律では裁かれることにはなるんだろうけど・・・まあ、困りますわな。物語的に。

とはいえ武蔵当人はこれも勉強と乗り気な様子。
簡単にかけられた手錠を破壊し、堂々と出頭する。うーむ。さすが。

本部が挑む前に何やら騒動を起こしそうな武蔵。さてさて何をやらかしますやら。



第71話「喝あつッッ」  (2015年 35号)


1921年「大本事件」勃発。
時の京都府警、教祖出口王仁三郎の逮捕にあたり問題となったのは出口の側近であった一人の「武道家」の存在だった。
「合気道」開祖、植芝盛平その人である。

当時、警視庁は植芝の指導を受けており、その神懸りな実力を身体で知っている。
何人いても勝てない。人間と思って相手してはいけない。
そのように評せられる植芝の捕獲方法は"異様"とも言える「奇策」であった。

まず消防車で植芝を取り囲む。一斉に放水。
投網を被せる・・・長ァ〜い棒を用意しておく。一斉に叩く!逮捕・・・と。

ふむ。とにかく触れずに済ませようと苦心した作戦の様子ですな。
投網を被せたりするところは地下闘技場での勇次郎を抑えた作戦に似ているように思える。
作者はこの逸話を30年程昔、植芝盛平の直弟子にあたる塩田剛三氏から幾度か聞かされているらしいし、参考にしましたのかな?
いやそれにしても、塩田氏の姿は達人・渋川剛気にソックリで・・・ってそりゃモデルだしな!!

ともあれこの作戦は植芝が身を隠したため未遂に終わったという。
それでも完成された武道家は国家権力をしてここまで畏怖れさせるのだといういい逸話でございます。

というわけで、宮本武蔵という畏怖させるに十分な相手を取り押さえるには機動隊の動員もやむを得ずといった感じでありましょうか。
いやまあ、昔の勇次郎のことを考えると機動隊が100人いてもどうにもならないと分かりそうなものですが。
内海さんも形式的に集めただけで抑えてられるとは思ってなかったって感じですかね?
可哀想だから威圧しないであげてください。

逮捕したわけであるが、どうやら武蔵に罪を問うつもりはないらしい内海さん。
目的は取引。どうやらその武を見たいとの要望であるらしい。ほほう、それはまた向こう見ずな・・・

相手は全日本剣道選手権保持者、三輪猛丈七段。
38歳の若さということを考えるとかなりの腕前であるらしいが・・・いくら何でも相手が悪すぎる!!
どのように考えても消化試合にしかならなさそうなこの戦い。どういう見せ場があるのだろうか。
いや、事前に武蔵を車で連れ回して弱らせておけば可能性はあったりするのか・・・?それで勝っていいものかはさておき。
まあ、これも兵法と言えなくはないし、車に乗った武蔵がうかつだったと言えなくはないか。
あれだけ暴れておいて妙に可愛いところは失わないからこの武蔵はズルい!!



刃牙道 9巻


第72話「剣道」  (2015年 36+37号)


全日本剣道選手権4年連続制覇の三輪さん。階級は巡査部長。
出頭してくる武蔵を待つ姿は何だか嬉しそうである。

現代に蘇った宮本武蔵。
改めて見ても荒唐無稽な話であるが、接触した職員によればあれは「ホンモノ」だと皆言うそうな。
警察官は普通以上に体術を修めており、その身体が実感してしまうのだという。あれは宮本武蔵に間違いない、と。ほほう。

読者としては今更武蔵が本物かどうかの話を再燃されてもという想いはある。
なので今回の主眼について話を持って行って頂きたい。主眼となるのは「剣道」について。
「剣道」とはただの模擬の「斬り合い」なのか・・・あるいは「剣術」の進化形なのか
実績を積み重ねてきた三輪さんは自信を持って後者であると答える。
それを証明するのに宮本武蔵という相手はこの上ないってことでありましょうか。無謀な。

とはいえ武蔵当人を前にするとさすがに闘気の凄さに当てられる三輪さん。
これは剣道どうこうというより生き方の問題な気はしますな。地下闘技場の格闘家でも怯むのだから無理はない。

ともかく武蔵も竹刀を手にして立ち合いの構え。
警視総監としても竹刀による真剣勝負は是非見たかったとのこと。安全でよろしいですなぁ。
いかな武蔵といえども竹刀で斬り殺すようなことはできまい。たぶん。できてもこの相手にはやらないでしょうけど。

剣道家は確かに手にしたのだッッ!武器の軽量化がもたらした――速度化の飛躍!!!
剣道家は剣豪を超越る!!!

大きな野心。それをあっさりと打ち砕いてしまう武蔵。
その振り下ろしの前には受けなど有効なはずもなく・・・なんでそんな直接的な受け方しようとしたし!!
せめて斜めに受け流すとかでもすればまだマシだったでしょうに、真っ直ぐ受け止めようとするとは・・・
竹刀がこんな勢いで迫ってくるなんてということなんでしょうが、その辺りの読みがやっぱり浅かったですわなぁ。

竹刀によるスピードの向上は確かに武器であるが、そもそも気圧されて近付くまで何も出来ないのでは何ともなりませんわな。
こればかりは実戦を積まないとという感じなのでしょうが、そうした場合どこまで剣道家でいられるものか・・・
剣道家が剣豪を超越る道は遠そうであります。



第73話「実力」  (2015年 38号)


「剣道」における中間距離での攻防。
その速度は見る者の動体視力を遥かに凌駕する。

軽量化を果たした竹刀。大きく振りかぶることなく打ちあうその速度は確かにかなりのものでありましょう。
三輪七段もその速度に自信を置いている。
一振り2キロもの鉄の塊を振り回す"鈍重"な世界ではない。

ここは・・・コンマ100分の1秒を競う世界。可能な限りの"軽量化"を果たした超高速!!!
"竹刀"という真剣による「真剣勝負」なのだ

伝説の剣豪も竹刀に関しては素人。
その放つオーラも使いこなせぬ武器を手にしたので自然に萎む。
などと油断したのが命取り。てくてくと無造作に近寄る武蔵にあっさりと間合いに入ることを許し・・・一撃。

前回のオチが詳しく語られた感じの今回でありました。ふむ。
しかし前回は武蔵に威圧されて動けなかったと思われた三輪七段でしたが、どうも逆な様子ですな。
その威圧感が消えたことによる油断をつかれた感じでありましょうか。
武蔵のことですし、己の発する威圧感のコントロールもお手の物でありましょう。
そういった行動で相手の機先を制し、勝ちやすき状況を作った・・・これぞ兵法と言うことか。

これはそもそも勝負だったのかと戸惑う見物者たち。
これが見たかったと言ってたらあっさりと終わってしまったわけですし、そりゃ戸惑いも隠せないか。

社会勉強に出た武蔵としては多少がっかりな結果。
と思いきや、ここで真打登場・・・!!渋川先生がやってきた!!!

オリバの時も警察内で登場だった渋川先生。
その時は見事な技で押さえてみせたものでしたが、宮本武蔵相手では果たしてどうだろうか。
少なくとも武蔵からの評価はかなり高い。

久々に――良い姿を見た

真っ直ぐ伸びたその背中。武を体現した姿と言うことでしょうか。
嬉しそうな笑顔を見せる武蔵でありますが・・・さてさて、この出会いは新たな戦いの始まりとなるのか?楽しみです。



第74話「友人」  (2015年 39号)


ほう・・・久々に見るな・・・真中に一本――しっかり通っとる・・・!

渋川先生の立ち姿に感心する武蔵。
ううむ、さすがは渋川先生。近代武道の最高峰と呼ばれるだけのことはある。

さて、武蔵を紹介された渋川先生。何だかトボけた感じ。
知らない人だけど知ってる知ってるみたいな物の言い方である。
それゆえか、宮本武蔵の解説を行う内海さん。ご苦労なことであります。

不世出の闘志として歴史にその名を刻む宮本武蔵。
現在を生きる達人中の達人。現役バリバリ渋川剛気。
いったいどちらが強いのか。これはそりゃあ・・・気になるところでしょうよ。
しかしこういうのが気になっちゃう人だと、やはり地下闘技場の存在は否定できないでしょうなぁ。見たいんだもの強さ比べ。

煽ってみせる内海さん。しかしそれを笑っていなす渋川先生。
宮本武蔵の名はわたしら武に生きる者とっては神の領域。どころか神そのものであるとのこと。

どっちが強ぇえ?とんでもない・・・こうしてお会いできるだけで・・・光栄の至り・・・
どうか、握手をしてもらえませんか

合気の達人が握手。それはすなわち・・・!!

武蔵「妖か。離そうとしても手が離れん」
渋川「もう手の内ってこった。神たま

手を握った相手の動きを制し、倒れ込ませる。これぞ合気!!
受けた者としてみればまさに妖の技としか思えないでしょうなぁ。
しかし武蔵ならその理屈も戦っているうちに見破れたりするのだろうか・・・
まあ、戦ってる最中に身につけたという意味ならジャックが既にやっているわけですが。

ともあれ、やっぱり渋川先生。分かっててトボけていた様子。
それはつまり最初から攻撃する意志があったということ。
果たして武蔵は渋川先生の攻撃の意志が読めなかったのか?鷹揚な人なので、分かってて握手に応じた可能性は高いかなぁ。
ともあれ渋川先生は述べる。勝負とワカっちゃいるが割り切れないと。

烈海王は友人なんだ

友人と書いてダチと読む。
っていつの間にこの2人ダチに・・・!?
タイマン張ったのならダチになったのも分かるが、この2人は戦ったことないはずですよね?
ダチの息子のダチだからダチみたいなもんだとかそんな話でありましょうか。
見えないところで交流を深めてた可能性もあるのでそこは何とも言えませんがね。



第75話「アイキ」  (2015年 40号)


剣豪・武蔵VS達人・渋川、開戦!?

合気で押し潰し、床に倒したところで拳を顔面に叩き込む。
後頭部は床に叩きつけられ、素人ならばそのまま起き上がれなくなってもおかしくない一撃である。
しかしさすがに宮本武蔵。気絶することもなく即座に起き上る。さすがに鼻血ぐらいは出たみたいですがね。

友の――烈海王の仇討ちと述べはしたが、こんなのは烈海王本人だって望んではないと述べる渋川先生。

俺が個人的な感情でやったことだ。宮本武蔵が気に喰わねえと勝手にやった仇討ち。
早ええハナシが"憂さ晴らし"だ

正直な気持ちを述べる渋川先生。まあ復讐とはそういうものかもしれませんな。
仕掛けられた武蔵としては・・・実のところその辺りは別にどうでもいい様子。
それよりも合気という技術に興味津々。まるで妖術のようであるとのこと。

掴んだ手が放せない。互いに対等に握り合ってるのに一方的に操られた。
あまつさえ握った手を媒介に重量さを被せてきた。まるで巨岩を預けるように。
俺の知らぬ技術だ

戦国時代に合気は存在しない。武蔵が知らなくても無理はない。
しかし戦国時代にも刀槍などの武器を失った際の組み討ち、素手のまま武器を制する技術――「捕り手」は存在した。
廃刀令によって刀剣と切り離されたことにより、素手の組み討ち技術は柔術という形で発展していくこととなる。

安政六年。一人の天才が出現れる。武田惣角だ。

身長150センチそこそこという小さい体でありながら、いやだからこそ画期的ともいえる「技法」を編み出した惣角。
敵意に満ちた相手の攻撃を振れた刹那無力化せしめる秘儀、合気を生み出したのであった。

柔術の誕生の辺りから話し出したので武蔵に話が長いと言われる渋川先生。
うむ、言いたいことは分からないでもないですが、ここは我慢してあげてください。

ともかく本当に言いたいのはこれ。
時を経て惣角をも凌ぐトンデモな大天才が一人現れたということ。

俺、渋川剛気だ

笑顔での名乗り。となればこれはもう開戦の合図と見てもよいでしょう。
自信満々に述べて来たのであれば、武蔵も遠慮なく迎え撃てるというもの。

そんな両者が互いに見たイメージはお花畑
いやまあ、渋川先生の方はそう述べているだけで実際は草木の一本も生えそうにない光景だったわけですが。
今朝からこんな光景を見ていたにも関わらずやってきてしまう渋川先生。武術家ってのは因果なもんですなぁ。
しかしこの歳で今朝から花畑が見えていましたとか言われてもそれはそれで不安になるし、これでいいのかもしれない。



第76話「合気」  (2015年 41号)


曰く、"近代武道の最高峰"。曰く、"武の体現"
達人というだけでもかなりの尊称でありましょうが、これだけの肩書が並べられるのが渋川剛気の凄さ。
その男の凄さはどうなのか。あの郭海皇も最高の護身術の体現者であると認めざるを得ないほどである!!

まあ、直接渋川先生を指している言っているわけではありませんけどね。
汗一つかかず鮮やかな体術でやっつける。そんな段階は途中も途中。護身の完成とは程遠い。

"護身体"の完成を見ると、技術が使用えん。使用おうにも「危うき」に近づけん
立ちはだかるは紅蓮の炎か。猛る激流か。剣の山か。
行く手を阻み、近づくことすら出来ぬのじゃ。

危険予知。これぞまさに護身の完成形。普通の身であればこれほど有難いことはありますまい。
しかし技術が使えないというのは困ったことである。
その技術を使うために磨いたのに、完成したら使えなくなる。本末転倒もいいところだ。
だからこそわざとチンピラに絡まれて危うい所に突っ込んだりする渋川先生。厄介な性分ですなぁ。

しかしさりげなく烈海王の死亡に触れる郭海皇。
愛弟子の死を悼んでいるのが見て取れる。うーむ、惜しい人物でありました・・・本当に・・・本当に死んだの?

その疑いはどうにも消えないが、今はさておきましょう。
それよりも渋川先生。本日もやっぱり道を遮る危険が見えたらしい。

"ヤバい日"はいつもそう。「行くな!」と報せてくれる。
問題なのは、そう・・・俺らがね・・・その「ヤバい」をね・・・そこそこ好きってのがね・・・

勇次郎並の危険の大きさを知りながら足を運んだ渋川先生。
拳まで叩き込んでおいて戦いが開始ってないとは言えますまいよ。
そんな渋川先生にイメージの刃で切り捨てる武蔵も武蔵でありますがね。イメージだからって斬りたい放題だ!!

不意打ち奇襲はお手のもの。稀代の反則魔。
チャンバラ時代劇の向こうから宮本武蔵がやって来たンだなァ・・・

渋川先生でもそういった戦いの経験は多くはありますまい。
その武蔵と向かい合い・・・余りの危険度に慄く渋川先生。やぁ〜見えすぎるのも困ったもんですなぁ。
実にジャック・ハンマーとの戦い以来のお母ちゃん頼りであります。

嗚呼・・・やっぱり持ってやがる・・・大小しっかり・・・
そりゃそうだ・・・オサムライだもの・・・

始まった戦い。そしていきなりの急接近。武蔵近い!!
今のところかなり押されている様子の渋川先生でありますが、ここからどうでるのか。
柔の妙技を見せてくれるのかどうなのか。期待したいところであります。



第77話「さすがだぜ」  (2015年 42号)


開始される武蔵VS渋川。
まずは渋川先生が間合いを詰めるために一歩を踏み出す。
が、その一歩が地に付くよりも早く、後から動き出したはずの武蔵が渋川先生のすぐそばに詰め寄る。
ううむ、後から動いたのに早い。これが後の先という奴か。

しかも近付いただけではなく、その一動作で袈裟斬りまで行っていた様子。
一刀の元に立ち切られる渋川先生。うッ。

や・・・やられたァー!!!ぐうわァァァア〜〜〜ッッ!!

大袈裟に驚き、倒れ伏す渋川先生。これには武蔵もビックリ。
武蔵の刀が見えていないまわりの連中はもっとビックリするしかない。
なんというリアクション芸人っぷりか・・・!!

何にしてもさすがの武蔵。さすがもさすが。
あの渋川先生に踏み込む気配すらも見せず、触れる間もなく切り捨てる。
うむ、さすがの合気も触れることさえできないのではどうにもなりませんわなぁ。
これは完敗を認めるしかない。
といいつつ握手に持ち込む、触れる状態に持ち込む渋川先生は確かな強かさ。
が、握手した状態でも、触れた状態でもいくらでも切り刻めると示して見せる武蔵。さすがだぜ。

剣豪ってなこうでなくっちゃ

この状態で初めて渋川先生も完全に敗北を認めたって感じでありましょうか。
あっさりとした決着だが、烈海王のように無茶して死なれても困りますしねぇ。
ここまでで済ますのもまた護身か。

それはそうと、いきなりの場面転換。
勇次郎のもとを訪れるのは・・・本部!!
いやそれよりも、勇次郎が本部の所を訪ねようとしていたとは一体!?
どうやら武蔵のことで話をしたかったみたいですが・・・

奴の事はおめぇがイチバン理解ってる。勇次郎もそのように認める本部以蔵。
うーむ、勇次郎すら守護ってみせるというのは大見得と言うわけではなかったということか!?
まあさすがに大が付かないだけで見得だとは思いますが。
しかしようやく勇次郎も現代に蘇った宮本武蔵の存在を知った様子。
さて、本部は武蔵から勇次郎を守護れるのか?そもそもこの場を無事に帰れるのか?注目です。



第78話「助言」  (2015年 43号)


ハーディ・ドス・ノール・・・コニャックだ。飲りねぇ・・・

いい所に住んでいるだけに酒もいいものを飲んでいる勇次郎。
しかし本部にコニャックとはまた似合わぬものを・・・!!

上質なコニャックだが、安物のキャンディーがよく合うとのこと。
勇次郎だって飴玉を口にすることはあるんですな。飴ちゃん食べる?

何やら妙にご機嫌な勇次郎。どうやら本物の"宮本武蔵"という絶対ブランドに浮かれているらしい。
勇次郎の強さへの憧れはかなりのものですからなぁ。
恐竜に憧れて何度も博物館を訪れちゃうような人ですし。
でもそんな勇次郎に対し本部。悪いことは言わんから止めておけと言いだす。

なんで?

びっくりして顔を9コマ並べてしまう勇次郎。なんだこの演出。
その後のなんで?の表現も凄い。なんで、じゃないよ。ビックリしすぎだろう。
そんな勇次郎に更にビックリさせられるような一言が投げられる。

アンタの手に負える相手じゃない

うむ、ここまで言われた1ページ丸々使って分裂するしかありますまい。
漫画でこそできる手法というかなんというか・・・もう、ね。反則だろうと!!
顔芸というべきか演出というべきか。凄いわ本当に・・・

ともあれ本部の言葉に怒りを露わにする勇次郎。
そんな勇次郎に臆することなく本部。あのセリフを勇次郎本人に言ってのける。

範馬勇次郎。安心していいんだ。君らの身は俺が守護る

しっかりと述べたこのセリフに勇次郎、まさに怒髪天。
殺してやるー!!!と泣きながら叫ぶ勇次郎。な・・・何故泣く!!!
これが鬼の目にも涙という奴だろうか。なんか言葉の意味が違うんじゃないか?

迫る勇次郎。が、ここで前にも見たことのある、ちゅどッ
煙玉で姿をくらます本部でありました。まさか息子のみならず親父にまで決めるとは・・・!!

それでも刃牙の時のように背後から迫れなかったのは勇次郎の怖さ故でありましょうか。
刃物突き付けても負けを認める相手じゃないでしょうしねぇ。
というか勇次郎はアライJrの時に続いてホテルで相手を取り逃す流れでありますか。
どうにも油断が過ぎるというか・・・警戒してなかったんでしょうなぁ。相手が本部だし。

勇次郎相手に存在感を示して見せた本部。これは本物の強さと思っていいのだろうか・・・!?
そのまま有言実行として武蔵に挑みに行けば格好いいが、さてさてどうなりますか。



第79話「責務」  (2015年 44号)


殺してやるーと襲いかかろうとしたら煙幕たかれて逃げられました。
あ・・・とか言っちゃってるし、不覚以外の何者でもない!!
そんな飾らない勇次郎がなんか良い。

そして勇次郎のモノローグ。
どうやら本部の言葉に本気で混乱していたらしい。

守護られたことがなかった・・・出産れてから今日この瞬間まで、一瞬たりとも他人に"守護らせた"ことがなかった。
出産でさえも自ら命ずることで成し遂げた。授乳さえも母に命じて成し遂げた。
"守護られる"という――圧倒的な不慣れ。"守護られ"への免疫がない
怒狂っていた・・・

ははぁ、命じてやらせることは問題ないんですな。
自発的に守護るという行動に不慣れであったと。確かにそれは経験なかろう。
それにしても勇次郎と同じホテルに泊まっていると不意の揺れが発生して怖いですなぁ。

逃亡に成功した本部以蔵だが、実はまだすぐ側にいた。
どうにか視界外まで逃げることが出来ていただけだった様子。
勇次郎が直ぐに諦めず、カンで追いかけてこられてたら絶体絶命でしたな。

とはいえあの怒髪天を衝くオーガに意志を貫いたことは大きい。

範馬勇次郎を守護る。
範馬刃牙――渋川先生――ジャック――愚地克巳――
現代を生きる闘志達には決して見えぬもの。本部以蔵だから見えるもの。
古流武術に生きてきた。見えてる者が前に立つ。あまりにも当然な責務だ

既に守護れなかった愚地独歩や烈海王は除外してるって感じですかな。
でも知らないうちに渋川先生も既に倒されていたりするわけでして・・・守護れてないじゃん!!

そして更に、本部が感慨にふけっている間に武蔵のもとを訪れようとする範馬勇次郎。
責務であることは分かったから、早く武蔵に挑まないとピエロで終わってしまうぞ本部以蔵!!
でも勇次郎と武蔵の対戦中に割り込んでくるのもいかがなものかですし・・・さてどうなることか。



第80話「強敵」  (2015年 45号)


久しぶりに登場するのは徳川邸親衛隊長、加納秀明
蜂を捕らえる動きは見事だが、機器察知能力は蜂より劣っていた様子。
いや、わざわざその危機に向かっていく蜂の方がどうかしてるか。昆虫に勇気はない!

それはそうと勇次郎が初めて口を利いてくれたと内心衝撃を受けている加納。
うむ、やはり勇次郎も丸くなったものでありますあぁ。
今なら加納もサインをせがむことができるのではないかね?

というのはさておき、ついに対峙する武蔵と勇次郎。
この勇次郎の威容を前にしても平然としていられる武蔵の豪胆さ!
いや、平然ってことはないか。結構嬉しそうにしてますものね。

共に酒を酌み交わす2人。
武蔵が勇次郎に見るのは財宝。大判小判がざっくざくである。
天まで届くというほどだから、一体どれほどの価値があることなのか。なんとなんと。
現実の摩天楼に見慣れた現代人でもこの光景を目にしたら驚かざるを得まい。

さて、勇次郎相手であっても危険な相手というより価値ある相手という見方をする武蔵。
一方の勇次郎は武蔵に何を見るか・・・

宮本武蔵の実物を眼の前にして、他の何が見えるという

例える必要もない存在ということでしょうか。
勇次郎であれば他に例えられる存在があるなら、それに挑めばいいだけってことになりますからねぇ。
さすがに天にも届く財宝を積み上げるのは勇次郎でも困難とは思うけど・・・まあ、それはそれ。

対面する『最強』と『最強』。
このまま戦いは始まるのか、ただの顔合わせで終わるのか。注目ですな。



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