蒼天紳士チャンピオン作品別感想

名探偵マーニー
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 各巻感想

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連載中分


名探偵マーニー 1巻


file1「盗撮」  (2012年 38号)


木々津克久先生の待望の新連載スタート!!

人がいればそれだけトラブルの種は尽きない――
友人関係、恋愛関係、学校、会社、親子関係のトラブル。
あなたがそんなふうに困った時、ちょっとの金額でアナタを助けます。
日当五千円+経費。成功のあかつきにはその三倍を。
ロイド・インベスティゲーション。ロイド探偵事務所へご連絡ください――

その謎、事件、ぜんぶマーニーにおまかせを

というアオリで始まった名探偵マーニー。
マーニー自身は学生で年頃の女の子。探偵業は父親が営んでいるらしい。
依頼主が主婦さんという辺り、いかにも探偵って感じがしますね。

始まる前の予告で五千円というのを見たとき、学生だから安いのかなと思ったら日当五千円なんですな。
そして経費と成功報酬は別、と。これはちょっとの額で済むと言えるのかどうかは疑問ですな。

固い髪をセットしようと思いながらも果たせず、そのまま学校に通うマーニー。
そんなマーニーに3年の白鳥さんが相談したいことがあると呼び出しをかけてくる。
セレブグループからの呼び出しということで緊張したマーニーであるが、割と普通な感じの白鳥さんたちでした。

依頼内容は更衣室の盗撮について。
顔も名前も丸分かりな状態で盗撮映像が動画サイトにアップされてしまっているという。
ほう。これは一大事じゃないですか。
先生には相談できないし、自分たちでカメラを探したが見つからない。
捜索した後も新しいのがアップされているというし、もうどうしたらいいのかわからない状態だという。

・・・わかりました。現金さえもらえれば、マーニーにおまかせさ!!

ウィンクしながらマネーマークを形作るマーニー。
閉じた目の方に輪を持ってくるというスタイルは珍しい気がするな。

勢いで安請けあいをしたマーニー。
そして、マーニーの父もまた依頼を受けて帰ってきていた。
父が受けた依頼は犯罪がらみ。中央公園で幼児の誘拐が連続して起こっているという。
そいつはモロ犯罪でございますな。探偵どころか警察の出番である。
が、実は事件と呼べるところまでは発生していない。というのも、幼児は皆もう見つかっているのだ。

しばらくすると子供は皆、解放されるらしい。
大体、平均で30分から60分。子供がいないと気付いて警察に行こうかとするあたりで子供は帰ってくる。

ふうむ。なんとも奇妙な話ですな。
子供の証言によれば、確かに誰かに連れ去られており、勝手に遊びに行っていたというわけではない。
だが、その連れ去った人物の像はあいまいで、男とも女とも若いとも年寄りともつかないという。
にゃるほどねぇ。事件とまではいえないが、主婦さんが不安がるのは当然の話。
今までは大丈夫だったからといって、今後も大丈夫とは限らないわけですからねぇ。

父の依頼は父が公園に張り付いて対応する。
というわけで、マーニーは白鳥さんからの依頼に対応することとします。
動画サイトを確認してみると、確かにネットに上がっている。削除依頼は出てないのか?
その更衣室はマーニーも使用したことがある場所らしい。こりゃ怖い。

カメラの位置や動画ファイルの上げられた日を鑑み、推理を開始するマーニー。ガリガリ。
完全に思考世界に没頭してしまっているらしく、こうなると何言っても聞こえなくなる、と父親談。
その言葉通り、時間が立つのすら忘れて没頭しているマーニー。
気がつけば夕方から時は経ち、家の中が真っ暗になっている。オナカも空いている。どれだけ没頭してるのさ。

公園で張り込みをしている怪しい男に近づくマーニー。怪しいと男と思ったら父親だった。問題あるな。
ともかく、マーニーは誘拐防止のために監視カメラを持ってきていた。
それもボタン型の監視カメラである。小さいけど半径二百メートルなら映像を飛ばして送れるそうな。
これを狙われそうな子供につけておけば監視もしやすいって話ですね。

依頼人にその監視カメラについて話をしようとするが、その前に事件が発生。公園が騒がしくなる。
いつの間にか誘拐が発生したいたらしい。こりゃ探偵さんには手痛いミスですな!

いつも通りなら子供はしばらくすれば帰って来る。
その言葉通り子供は帰って来ました。そして、犯人のいる場所に目星をつけていたらしきマーニー。
公園がよく見えるマンションの非常階段のテラスにて犯人の確保に成功する。
犯人は近所に住む一人暮らしの女性。動機は・・・親子の再会が見たかった、というもの。

犯人である女性。2人の子供は独立して音信不通。夫とは五年前に離婚。
周りの住人と交流もせず引きこもり生活をしていたという。寂しそうな話ですな。
それがゆえか、ある日スーパーで迷子になった子供と母親が再会するのを見て涙が止まらないほど感動したらしい。
自分でもなぜかわからない程感動した。あれほど美しいものは見たことがない、と。

それからというもの、同じような光景を見るために親子連れのいる所を徘徊するようになる・・・
そしてとうとう自分の手で・・・
というのが真相だったらしい。なるほどね。それで連れ出して、しばらくして解放していたわけだ。
この話を受けて、父。被害届が出ているわけではないし、警察までは呼ばずにおこうと考える。
温厚な方ですねぇ。まあ、どうなるかは実際に被害に合われた人たち次第でありますな。

それにしてもマーニー。よく犯人をつきとめられましたね。何かヒントになるようなことでもあったのだろうか?
そんな父の問いに、友達に頼まれたことでちょっとねと返すマーニー。
先程出したボタン型の監視カメラ。あれが盗撮事件に使われたものだと説明する。
ハンガーの下20センチ。ちょうど胸の位置。服についていたことは間違いない。
であるならば、服を着た後に更衣室を捜索しても見つかるわけがないって話であります。

動機はまだ調べてないけど、多分、子供を心配した親の仕業。娘の行動がわかるようにって・・・

まあ、確かに服にカメラを仕込むなんて話しになると身内の仕業としか思えませんよね。
しかし身内がネットに動画を上げるとは思えない。
それについては、カメラが送信している映像を拾った第三者が上げたんだと思う、とのこと。なるほど。フクザツな話だな。

そう?簡単じゃない?
最初から、どちらの事件も親が子を想う「愛」しかなかった。それはやっぱりものすごく強力な「動機」なんだよ。

ふうむ。確かに強力な動機足りえるものでありますわな。
それがゆえに迷惑を被る子供がいるというのも皮肉な話である。
自分たちが監視したが故に盗撮の被写体としてネットに娘の姿がバラまかれる。
親が知ったらどんな反応を示すのやら。難しい話でありますな。
まあ、その辺りはその家庭のことの話でありますけども。親の心配もわかるけど、わかるけど、ねぇ。

親が子を想う愛か・・・そんなものカケラもない人が、身近に一人いたっけな・・・

なにやら呟いているマーニー。母親が不在っぽいのに関係しているんですかね?

てな感じで始まりました名探偵マーニー。
色々と不思議な感覚が漂う探偵者でありますな。
推理の内容を楽しむというよりは、動機を含めた人間関係を楽しむ内容に仕上がるのではないかと今のところ思えます。
推理が今後複雑になっていくのかどうか、次回以降のお楽しみってところですな。

しかし、マーニーは何人なんでしょうか。
学校の人たちは日本人の名前が多いし、住んでいるところも日本っぽい。
マーニーはただの愛称かとも思ったが、父親もマーニーと呼んでいるんですよね。
複雑そうな家庭事情もありそうだし、今後その辺りが明らかになっていくのかもしれません。楽しみですな。



file2「ダイイングメッセージ」  (2012年 39号)


謎解きの時以外はひたすら居眠りをしているマーニー。
頭を使うことが多いのだし、関係ないときでは寝ていたいですよね。
いや、単にゲームで遊んでたら眠くなってしまっただけのようだけども。
少し気合を入れたぐらいで眠気がとんだら世話はないって話ですよ!眠気は強敵だ!!

帰りに友達とどこかに寄っていこうかと話をしているマーニー。
そこに依頼人が登場。ちょっと相談したいことがあると言い出す。

オレの死んだ友人についてなんだが・・・

いきなり重いなオイ!
盗撮の次はいきなり死者の話でございますか。
というか、寝ぼけ眼の状態でいきなり重い話を持ち込まれても困る。マーニーも生返事しかできないわな。

まあ、ともかくお話を聞きましょう。
依頼人の那智さんには小学校からのダチで、中学まで一緒だった男子がいた。
その男子、西郷さんは体が弱く、別の高校に上がってからはあまり会わなくなっていた。
元気にやっているのかと思ったら実は入院していたらしく、気がついたらアッというまに死亡していたという。
そんな西郷さんが死ぬ寸前に自分の吐いた血で病院のカベにメッセージを残しているという。
ふむ、いわゆるダイイングメッセージという奴ですな。
それがこれ。52F344A1というものである。

オレは奴は殺されたんじゃないかと思うんだ。なんとか調べてくれないか!?

まあ・・・なんとか。マーニーにおまかせを。

やはりなんとなく勢いに押されているというか、乗り切れていない様子のマーニー。
探偵ではあるが、殺人事件にノリノリで挑む!って子でもない様子。探偵漫画としては珍しいタイプだな。

那智さんは2年生。それで先輩ってことは、マーニーは1年生。16歳と推測される。
というのはさておき。友達のゆりかちゃんから那智先輩の友人である西郷雄二さんの話が聞けました。
中学時代は那智先輩の陸上のライバルだったらしい。
が、親友の那智先輩は陸上の英雄となり、西郷さんは落ち度もないのに重度の難病となって倒れた。
ライバルと呼ばれた関係の2人であるが明暗は余りにもハッキリとしている。
倒れた西郷さんの心境はどのようなものだったろうか・・・

西郷さんの家の前でそのようなことを慮るマーニー。
センチメンタルな雰囲気になりそうであったが、バカ犬のセシルに襲われて吹き飛んでしまう。ヘコヘコ。
実害はなかったとのことであるが、気分的にはなんともいえないものがありますわな。これは。

犬の飼い主は西郷さんのお母さんの様子。
なので、洗濯してお返ししますという言葉に甘え、服が乾くまで家に上がらせてもらうこととなった。
ソロソロと家の中を移動し、故人となった西郷雄二さんの部屋に入ることに成功する。

まず、暗号といえばPC。
なにかファイルが隠してあるとすれば。またはパスワードか。
確かにあの数字と英語の羅列はパスワードっぽいものである。
そしてイマワノキワに気にするパスワードファイルといえばエロファイルと相場は決まっている。
うん。確かに気になるものではありますな。でも、わざわざそれを晒すマネはむしろしないっショ。
処分してくれとはいいたくなるが、この残し方だと俺のコレクションを見てくれ!となってしまう。
西郷さんがそういう性癖の人だったという可能性もなくはないが。なくはないが。
にしても、このエロファイルはまた汁気があってよいものでございますね。
いや、本当にこのファイルがPCに入っていたのかどうなのかは知りませんが・・・まあ、それはさておき。

何かを発見したらしきマーニー。
部屋を見渡し、思考世界へと入り込む。ガリガリ。
スニーキングミッション中に思考世界に入り込むのはどうかと思います。
短時間ならいいかもしれないが、長時間考え込んでて西郷さんの母親に見つかったらどうするのか。
まあ、夕方くらいには家に帰れているし、そんなに長くは考え込まなかった様子ですな。

家でパパに相談をするマーニー。
ミステリーでよくあるダイイングメッセージ。死に行く人は、最後に残すメッセージをどのような気分で残すものなのだろうか。
この問いに、それほど重要視することもないと思うけどね、との答えが返ってくる。え?

死ぬ瞬間が本人に完全にわかるわけじゃないからね。思った通りにならないのが普通なんだよ。
死の寸前犯人を思うか恋人を思うか家族を思うか。
恨んだりおどろいたり絶望したり納得したり。それは人それぞれだからね。
腹を刺された人が飼い猫の心配を残して亡くなってたこともある。

なるほどねぇ。そりゃ人それぞれでありますわな。
犯人のことよりも残す家族のことを思う人だってそりゃあいるさ。
そう考えると、最後に残した言葉が必ず犯人を示す手がかりになるとはいえないわけで。ふーむ。
探偵漫画なのに探偵ものの定番をいきなり崩してくるとは・・・さすがというべきかなんというべきか。

暗号を残すなんてのはさらに聞いたことないとのこと。
まあ、命の灯火が消えようというときに暗号まで考え付くかというと怪しいものですしね。
前から残そうと思ってずっと考えていたとかいうならともかく。

さて。答えが出たらしきマーニー。
翌日、那智先輩を連れて西郷さんのお宅にお邪魔する。
今回は許可を得て堂々と部屋の中に入ることができました。那智先輩はちゃんと西郷さんの親とも面識がありますのね。

部屋に入り、さっそくPCを立ち上げるマーニー。
PS2でしか遊んでいないマーニーとしては、PCでこんなにゲームが進化したのかと驚いている様子。
というのは、ネットゲーム
仮想空間で彼は生活していましたと説明を開始するマーニー。
そこにはネットでつながった他人もいればPCが作った人工知能もいる。リアルタイムで続く終わりのないゲーム。
そこで西郷さんが作った相棒がこれ。那智さんにそっくりのキャラクターである
西郷さんはこのキャラと様々な冒険を続けてきたのである。
旅のデータが残っている。
時には競い合い、時には助け合い、経験値を上げて強くなるに従い、彼の病状は進行し体は弱っていった。
この相棒のキャラのIDが52F344A1。

死の寸前に西郷さんが何を見たかはわからない。
だが、推測することはできる。彼は会えたのかもしれない。
リアルな世界で。ネットゲームの相棒が迎えにやってくる。
那智先輩そっくりの姿の相棒が冒険の旅に誘ってくれている。
いつものように。相棒のIDを打ち込み、共に冒険の旅に出ようとする西郷さん。
行こう。どこまでも・・・どこまでも一緒に

いつまでも続けたかった親友の旅。
死した西郷さんはあの世で楽しくやっているのだろうかと、考えるとセンチな気分になれそうですな。

色々と考えさせられる内容の回でありました。
ライバルと目された男との明暗はハッキリしたわけだが、それでも西郷さんは那智先輩を慕っていた!
と考えるといい話だなーとなるわけですが、微妙に一方通行だった感じがしないでもない。
もちろん那智先輩は西郷さんを気にかけていたようですが、高校が別になってからはあまり会っていないと述べている。
西郷さんは西郷さんで、本物の那智先輩より、那智先輩に似せたキャラとずっと一緒にいようとしている。
弱った姿では会いにくいという理由があったのかもしれないが、微妙に倒錯しているような気がしてきました。
おかしいな。最初に読んだときは地味に感動したはずなのに、感想を書き出したらおかしな関係に思えてきたぞ?

しかし、うかうかとダイイングメッセージを残すと死後にPCを漁られたりするわけなのか。
これは中々に怖い話でありますね。
PCの中身に関しては言及しない方針でと生前に身内に伝えておく必要があるかもしれませんなぁ。おぉ怖い怖い。



file3「ドッペルゲンガー」  (2012年 40号)


仲良く食事に出かける探偵親子。
そうか。ファミレスに行くだけでお金持ち扱いされるのか。そうか。
やはりマーニー、お金には苦労しているんですかねぇ。
探偵業なんてそんなに儲かるものとは思えないですし、消費には敏感になるってものかもしれない。

というわけで、なるべく安くて量の多いのを頼もうと考えるマーニー。
寝るのはもちろん、食べるのも大好きらしい。欲望に正直でよいことですな。
まあ、頼んだ特製大ボリュームジャンバラヤスペシャルは大ハズレだったみたいですけど。
それでも、もったいないから全部食べるというマーニー。健気じゃのう。

てな風に親子で食事を進めている最中、見知らぬ女性が登場。むむ?

どうやら以前依頼を受けたことのある相手だったらしい。名前は亜羽さん。あうさんっすか。
この亜羽さん、どうやらまた悩み事ができており、マーニーの父、ロイドさんに相談したいと思っていたらしい。
お子さんの前だと、と遠慮する亜羽さんでありましたが、ロイドさんは大丈夫ですよと保証する。

彼女は今、僕の手伝いをしています。有能なP.I.ですから。

P.I.とはプライヴェート インヴェスティゲーション。つまり私立探偵のことらしい。へぇ。
まあ実際優秀ではありますしね。安心して御相談ください。

で、依頼内容について。
亜羽さん曰く。最近私がもう一人いるらしいとのこと。え!?
それはいわゆるあれですか、ドッペルゲンガーというやつか?

ドッペルゲンガー。ドイツ語で「自分の幽霊」という意味がある。
日本にも昔からもう一人の自分を見るという話は残っていて、文豪の芥川龍之介も自殺する数日前に見たという。
世界中に似たような話はあるのだが、共通するのは不幸の前兆らしいということ。

てな解説が亜羽さん自身からされます。詳しいですね。お好きなんですか、そういう話?私は好きです。
それはさておき。
そのもう一人の自分は男性と一緒にいたという。
その男性に心当たりはなく、友達に聞いても印象がハッキリしない。交友関係にはない人物なのは間違いないようだが・・・

もう一人の亜羽さんは何度も目撃をされている。
服や髪型から亜羽さんに間違いないと友達は皆口を揃えているそうな。ふーむ。

不思議な話ですがわかりました。
日当五千円及び経費。成功のあかつきには別にボーナスを。
ロイド探偵。
マーニーにもおまかせを。

というわけで、不思議な依頼を受けることになりました。
早速そのもう1人の亜羽さんが目撃された地点を教えてもらう。
目撃した人の素性も言える範囲で教えてもらい、情報を整理する。
探偵らしく、細やかな情報収集を行っていますなぁ。
ロイドさんは以前の事件担当の刑事に明日会ってくるとのこと。なにかしら関係があるのかもしれないので。
ふむ。父の方は交友関係が深そうな感じ。年の功ってやつですかね。頼りになる人だ。
亜羽さんも、信用できるのはロイドさんだけですと言ってくれる。
娘の前でずいぶん親密なスキンシップをしてくれる人ですね。

というわけで、帰り道。
マーニーは父に、亜羽さんにアタックしてみれば?なんて言ってみちゃう。
けど、ロイドさんにはその気はない。というか、大人な意見が返ってくる。

彼女は愛想がいいのさ。その愛想を武器に相手に要求を通す術を心得てる。本質とは別だ
その武器が有効な時もあれば、逆に自分をキズつけることもある。

ふーむ。勘違いさせやすい性格ってことなんですかね?
愛想がいいのはいいことだが、それで狂わされる男性がいないとも限らないでしょうね。
探偵であるロイドさんは前の仕事で亜羽さんのそういうところを知ってしまったのかもしれない。深い話だ。

翌日。
ロイドさんは警察に出向き、毛利刑事と面会を行う。
この時のやりとりからして、ロイドさんはどうやら元刑事だったらしい。へぇ。
やはり探偵業を営む人ってのはそういう経験やノウハウがある人が多いんですかねぇ。

そして、マーニーは集めた情報を元に思考世界へと没入。
今日は家の中ですので長時間考え込んでも大丈夫。お腹は空くかもしれないけどね。
目撃された地点はほぼ全てデートスポット。見晴らしのいい場所。そして休日。
いつも車に乗っており、外を歩いているところを見た人はいないという。
二人は車から出られない・・・?歩けないんだとしたら・・・

ひとつの推論が組みあがったマーニー。
とある製品の製作会社へ取材に行く。
そこではある製品を作っているのだが、お金をかければ希望した顔のものも製作してくれるそうな。
その製作会社の人に亜羽さんの写真を見せる。どうやら心当たりがあったようだ。おぉ。

調査の結果を父に知らせようとするマーニー。
父は亜羽さんの会社で聞き込みを行っている。
以前、亜羽さんに迷惑をかけていた男がおり、その男が今回も係わっているのではと考えたようだ。

ロイドさんの予感は正解だった様子。
会社内にいたその迷惑をかけたという男に後ろから襲われるロイドさん。
それはいいが、いやよくはないが、パソコンでぶっ叩くとはどういう了見だこの男。
殴られたロイドさんの容態より、衝撃で中身が飛び出したPCの方が気になってしょうがないよ!!

電話越しに父の異変を知り、慌てて現場に向かおうとするマーニー。キイコキイコ。
途中でロイドさんの後輩の刑事さんと合流。車に乗せてもらうことになった。
ロイドさんは病院に搬送された。特に命に別状はない様子。それはよかった。
後輩の刑事。おそらく毛利刑事はロイドさんにマーニーの護衛を頼まれたという。

襲った犯人は徳吉すばる(31)。
以前、同じ会社の女性をつけ回し、ロイドさんが仲介して止めさせた。
奴はロイドさんを襲った後、一度自宅にもどり、自分の車で逃走した!とのこと。

なるほどねぇ。やっぱり亜羽さん、つきまとい。おそらくはストーカー被害にあっていたのか。
これも愛想が良かったことによる弊害なのだろうか。それはそれで嫌な話だ。

次は女性が、亜羽由紀絵が危ないと考える毛利刑事。
だが、マーニーは言う。パパを襲ったことは許せないけど、彼は犯罪を起こす気なんてなかった、と。

彼がやったことは・・・「恋人を造ったこと」自分の理想で、けっして自分を裏切らない最愛の存在を。

そう造ったのです。
彼が造ったのは・・・ラブドール!!
亜羽さんの写真を元に精巧なラブドールを製作会社に依頼製作してもらったそうな。
彼は現実の亜羽さんをあきらめ、理想の亜羽さんを造りだしたんです。

・・・なんとまあ。
確かに犯罪ではないけど・・・犯罪ではないけど。気持ち悪い話ですわなぁ。
それでこっそりと満足しておけばまだよかった。
けど、彼はそれを見せびらかしたかった。自分の恋人を。
だからわざわざ人目の多いデートスポットを車で回っていたわけだ。うへぇ。

ロイドさんを襲ったのは、また捕まるかもしれない。会社をクビになるかもしれないと思ったから。
そうなれば、最愛の彼女を奪われることになるかもしれない。それは彼にはとても耐えられないことだったのだろう。

なるほど。それでつい襲ってしまったというわけか。
そして、思いつめた男は・・・ラブドールと心中を図ろうとする。うーむ、極まってますなぁ。

ラブドールを抱え、身を投げようとする男。
しかし、そのラブドールに拒否されてしまうという悲劇。しゃ・・・しゃべった!?

アンタとなんか・・・死んでも・・・イヤ・・・

これはキツイ。
自分のいう事を聞く理想の最愛の彼女。
そう思って造り上げたはずなのに、こんな形で拒絶されるとは・・・死んでも死にきれないなぁ。
崖に向かって立っているラブドールの笑顔がなんとも怖い。

刑事さん・・・この人形笑っているように見えませんか?
ウワベのはがれた、自分の本性みたいに

ううむ・・・なんとも怖い話でありました。女性って怖いっすね。
毛利刑事も女子高生にいきなりそんな話を振られてリアクションに困ったでしょうな。女性って怖いっすね。

しかし、マーニーの推論というか、人の心を推察する能力はかなりのものである。
なかなかに正確に分析してきてくれるから困る。
自分も係わったら、理論的に性格分析されたりしちゃうのかしら・・・!!

どうでもいいが、女子高生がラブドールの製作会社に単身取材に赴くというのはどうなんだろうか
取材を受けたほうもどんな気分だったのか。色々と想像してしまうぜ!!女性って怖いっすね。



file4「結婚式か葬式か」  (2012年 41号)


相変わらず居眠り常習犯のマーニー。
罰として、背中に貼り紙をされた状態で掃除をしている
罰としては定番かもしれないが、不思議にエロく感じる。何故だ?

それはさておき。今回の依頼人は親友のゆりかちゃん。
どうやら好きな人が出来たらしい。それはメデタイ。

ゆりかちゃんは割とミーハーなところがあるらしい。
アイドルやバンドといった流行ってるものにすぐ飛びつくイメージ。
実際、この前も声優のコンサートに誘ってきたりしてたらしい。
グッズも山のように買っていたが、今は家の押入れに・・・く、なんだか悲しくなってきたぞ!

というわけで、ナチュラルに話題変更。
一月前のこと。イトコの結婚式にて気になる男の人と目が合った。
まるで時間が止まったように見つめあって・・・

・・・ていう。
え!?それで話は終わりなの!?
そこから何か発展するのかと思いきや、まだそんな段階ではなかったらしい。
まあ、人を好きになる時ってのはそんなもんなのかもしれませんな。
と思いきや、もう1つエピソードがあった。

その後、オバサンの葬式があって、参列するゆりかちゃん。
そこでまたその男の人と再会したとのこと。
ほほう。短い間の冠婚葬祭でバッタリとねぇ。それは確かに運命的なものを感じても仕方ないのかもしれない。
って、単に親戚の人だからって話じゃないのかね?
それなら両方に参加しててもおかしくはないわけですし。身内に聞けば誰かもわかりますわな。

やったんだよ・・・
ギリギリ撮れた画像で親戚中に聞きまくったんだけど、だれも知らない!ナゾの人物なんだ!

なにそれ怖い。
ナゾの人物なんだ!で済ませてしまっていいことなのか?
でもある意味、探偵に相談するにはピッタリな内容という気もする。

というわけで、恋に悩めるゆりかちゃんの依頼を受けてマーニーが動き出す。
ナゾの人物を探し、ゆりかちゃんに会わせるのだ。マーニーにおまかせを

親友が相手ですし、お金なんてもらえない。
というわけで、短期間でサクッとなんとかしたいと考えるマーニー。
早速結婚式があったパシフィックホテルに聞き込みに行こうとするが、毎日の催事の数が半端じゃない。
これは聞き込みにしても大変ですなぁ・・・

それとは別に気になることがある。
ゆりかちゃんと男の人が出合った結婚式場と、葬式の場所。
それぞれはそれほど離れていなかったりする。
他にも催事場はあるのに、近隣での2箇所で出会うとは・・・これは偶然か・・・?

なんとなくウロついていたら結婚式に紛れ込んでしまったマーニー。結構簡単に入れるんですね。
披露宴なんかと違って、教会で盛大に!なんて時だとあんまり客についてはうるさく言われないのかな。

もの凄い幸福オーラでむせ返りそうになっているマーニー。
しかし、そんな中。一人、娘を娶られて涙にくれる新婦の父がいた。
新婦の父はマーニーに絡み、愚痴を言ってくる。色々と大変ですね。
まあ、ウェディングドレスを着たがる男というのはなぁ・・・さすがにオカマ呼ばわりされても仕方ない。
何かあったら探偵事務所に相談したらいいと思いますよ。いい探偵社ありますしね!

新婦の父は、去り際に気になることを言ってくれます。
前にこの会場来た時に、マーニーと同じ制服を見たという。
それはマーニーの学校の誰かが結婚式場にいたということでしょうか?ふむ・・・?

結婚式場の次は葬儀場。
さすがに白い制服を着たマーニーではこの場には紛れ込めない。
というところで、気付く。
ゆりかちゃんが撮ってくれていた画像の男。
この男の服装、結婚式といえばそれっぽいが、喪服とも言える色だし、ネクタイを代えればどちらにも出れそうである。
ふーむ。冠婚葬祭どちらにも使えるというのは便利でありますな。一着あるとよいかもしれん。

というのはさておき。
葬儀場を見ていたら、目的の男が参加しているのを発見する。まさか・・・!!
慌てて走りよるマーニー。
男の人は、その剣幕に押されたのか逃亡を計る。マーニーは追うが、途中で撒かれてしまいました。

ここまでの情報を受けて、マーニーのシンキングタイム。
墓場の塀の上で思考世界に突入する。バランス悪そうですなぁ。

夜。ハンモックの上でグダーとなっているマーニー。
どうやら考察の結果を反芻しているらしい。

そうか・・・そうだよね・・・
先入観にとらわれちゃだめだ・・・事実を受け止め・・・すべての可能性を否定せず・・・

それからどのくらい経過したのか。
さすがに一朝一夕にはいかなかった様子。というのも、色々と裏づけが必要だったからだ。
連れてくるだけならそこまで難しくはなかったかもしれない。
だが、調べ上げた事実を解明するのに時間がかかったというのが今回の事件であった。

葬儀場に向かうマーニーとゆりかちゃん。
マーニーは前々回登場した那智さんと連絡を取っている。
どうやら那智さんが例の男の人を確保していてくれたらしい。
さすがは陸上部のエース。頼りになる人ですな。今後の肉体労働担当の活躍が期待される。

捕まえてるみたい、というか実際に男の人を捕まえた状態にしています。
この状況を見て戸惑うゆりかちゃん。
でも、大体の事情を察しているマーニーにしてみると、なんともなぁという反応。

・・・ゆりかちゃん。私に言うことがあるんじゃない?
人を探すのはいいけどさ。前提にウソがあるとコッチは振り回されて大変なんだよ
色々と調べることも必要になるし。

この人は片岡雪人。大学二年生。
地方から出てきていて近所に住んでいる。大学生活は順調だけど、あまりつき合いの深い友人は出来なかった。
そんな彼がコッソリやっていた趣味が、他人の葬式に出て一緒に悲しみを分かち合うことだったんだ

一方、ゆりかちゃんも人のこと言えない。
ゆりかちゃんの趣味は、他人の結婚式にこっそり参列して幸福な空気を浴びて、自分もその気になることだもんね。

なんともそれは・・・なんともな趣味だな、おい。
この二つのホールはどっちもセキュリティが甘く、入るのは簡単だったりする。
犯罪性がないかどうかについては確認済み。
香典や御祝儀といった、お金に絡む部分については特に手をつけられたりはしていなかった。
ようするに、純粋にこのニ人、冠婚葬祭が好きなのである

それまで二人の守備範囲はズレていた。
けれど、本当の冠婚葬祭の機会が訪れてしまった。
ゆりかちゃんは葬式。片岡さんは結婚式。二人の趣味とは逆の内容のものが。
なぜかそこで二人はお互いを意識してしまった。
同行の士ゆえか、それとも二人は以前にニアミスしていたのかも・・・
とにかく二人はそこで特別ななにかを感じてしまったらしい。

なるほどねぇ。
分かってしまえば単純な話。にはならねぇよ!
確かにこれは先入観を捨ててかからないと分からない話である。
普通、全く関係ない人が場に紛れ込んでいるだなんて思わないですもんねぇ。
結婚式ならまあ、お祭りですし、そういうこともあるかなぁと思う。
でも、所縁も何もない人が葬式に参加しているとは思わないじゃない?普通さ。

ゆりか「片岡さん・・・・・・」
片岡「ゆりかちゃん・・・・・・」

那智「おい、なんかアイツらわかりあってるぞ

常人には理解しがたいが、やはり似たもの同士には惹かれるものがあるということなのだろうか。
なんだか見つめあっている二人でありました。
まあ・・・その・・・いいんじゃないですかね?勝手にやってもらえれば。
理解できる趣味を持った二人が結ばれるってのは喜ばしいことだと思いますよ?
非常にはた迷惑な話になりそうな気はしますけども。
マーニーも妙な友達を持って大変ですなぁ。ほんと。



file5「なくしもの」  (2012年 42号)


マーニーの家は猫を飼っているらしい。名前はエリオット
放し飼いっぽいから半ノラなのかもしれませんけどね。

カンバンの電球が切れたのでガレージで電球を探すマーニー。
背後に人の気配がしたので振り向くが誰もいない。
ということを数回繰り返す。んん・・・?なんだ、これは・・・?

学校でゆりかちゃんに相談。
ゆりかちゃん曰く、幽霊じゃん。とのこと。
マーニーの家サビシイとこにあるし、出てもおかしくないんじゃないとの説である。動画録ろうぜ動画。

他人事だと思って気楽に言う子であるな。
まあ、実のところ動画に録ってたりするんですけどね。
監視カメラを仕掛け、ストリーミングで外から監視できるようにしているという。ハイテクですなぁ。
さらに低画質だが録画もしているという。探偵らしい話である。

早速再生してみるマーニー。映っているのは・・・子供?
深夜の一時くらいの時間に探偵社の前をうろつく子供か・・・事件の臭いがしますな。

幽霊の話をしていたら、黒髪の女子、前花さんが近づいてきた。
今回別に話に絡むわけではない前花さんだが・・・オカルトマニアの臭いがする!!
今後、そういう話でメイン回が回ってくる予感がするぜ!!

それはさておき。探偵社。
ロイドさんのネクタイが無くなっている。どうやら最近身の回りのものがよく無くなるらしい。
ははぁ、それはあれですね。妖精さんの仕業ですよ。イタズラな妖精さんの仕業。
決して無くし物をするのは年が原因とかそういう話ではない。妖精が悪いんや!!
というのはおいといて。
見つけたら置いといてくれないかとマーニーに依頼する父でありました。

さて、夜中のこと。
外で見張りをしていたマーニー。シャッターに取り付けた警報が作動したのを見て取り押さえに出てくる。
子供をふん縛るマーニー。御用だ!!
それはいいけど、これ何で縛ってるんだ?サスペンダーかとも思ったが微妙に違うか?
まあ、それより。イザという時の用意とやらが気になる。何を用意してたんだろうか。
たぶん非力と思われる女子学生ですし、身を守るための装備はあるんでしょうなぁ。何を持っているのか気になるぜ。

とりあえず、普通の子供だったみたいなので、解放し理由を聞くことになった。
どうやらこの少年、探偵社の近所に住んでいるらしい。
近所といっても森を下った先だそうな。こう見ると、本当にサビシイとこに立ってる事務所だな。

別にさ、金とかなにかが欲しいってわけじゃなかったんだ。
たださ、ウチはじいちゃんとばあちゃんが多くてさ・・・

少年にはじいちゃんばあちゃんオジサンオバサンで6人もの老人がいるらしい。
その老人たちにプレゼントをあげると、顔くしゃくしゃにして喜んでくれるそうな。
で、そろそろ敬老の日。
ちゃんと贈り物をしたいけど、金は無い。色々探っていたらこの家を見つけて・・・という話だったそうな。

身内へのプレゼントなんだし、花とか絵とか金のかからないものじゃだめなのかね?

ガキじゃあるまいし。そんな子供ダマシできるかよ

ため息ひとつついて述べる少年でありました。ガキの分際で生意気な。

というわけで、マーニー。ひとつアイディアを出してくれます。
この案に飛びつく少年。マーニー曰く、あまりいい手じゃないとのことであるが・・・?

ここでいきなり重大な事実が判明する。
マーニーの本来の名は真音(まりおん)。マーニーは愛称だったのだ!!
この字でまりおんとは読みづらいですねぇ。だから皆愛称で呼ぶということなのか?
父親も普通にマーニーと呼んでいたからそっちが本名と思い込んでいたが・・・愛称であったか!

それはさておき。
少年はマーニーのアイディアを聞き動き出す。
コソコソとタンスやらを漁っているようだが、何をしているんだ・・・?

一か月後。
少年――カナオの身内の老人たちは敬老の日のプレゼントを期待している様子。
老人たちは最近年のせいか身の回りのものが見当たらなくなって困っているそうな。
メガネのスペアはともかく、カツラって使うものなのか・・・?

老人たちとしても、過度な要求をすべきではないというのはわかっている。
私達は花一本でも喜ばにゃいかん。贅沢というものだ。
そんな風に考えている。いや、考えてない人もいるようですが。

そうこうしているうちにやってくるカナオ。
手にはそれぞれのプレゼントを入れた袋。
中身は・・・なんと、皆がそれぞれ欲しがっていたものでありました!
で、カツラは一体何に使うんだよ!?オシャレか。オシャレなのか?
まあ、喜んでくれたようだからいいか。

本当にありがとうカナオ。お前は我々の生きがいであり、ホコリだよ。
ああ・・・この幸せがいつまでも続くことを・・・

ハハハハハ。と笑顔が立ちのぼる。
さてさて、マーニーの出したアイディアとは何だったのか。種明かしの時間でございます。
実はカナオが使った手段は、過去にマーニーが父に対してとったのと同じ手法である。
マーニーは父のロイドさんの腕時計を隠し、誕生日にプレゼントしたという
な、なるほど・・・無くしたということは、代わりが欲しくなる。
ならばその代わりとなる物を渡せば嬉しいに決まっているわけか!!
代わりとなるも何も、無くしたもの自体だったりするし、隠さなければ無くなってないんですけどね!

確かにこれはマーニー自身が言う通り、あまりいい手とは思えない。
このプレゼントをもらったロイドさんはどう思ったのか?聞いてみる。

一番に思ったのはね、お前に気を遣わせて申し訳ないと思ったことだよ
プレゼントなんて10円でも100円でもいいのに、こんな手を使ってまで僕を喜ばせようとしたと思うとね。
どんなことをしても、キミだけは守ろうと思ったもんさ。

ほう。いい話でありますな。
大切なのはモノではなく、気持ち。喜ばせようとしてくれた気持ちが嬉しいというお話です。
でも、手段は多少ずれている気がしてならない。
まあ、子供のやることですからねぇ。今のマーニーは妙なことをしたなとちゃんと理解している。
逆にいうと、その辺りを理解しきれていないカナオは、まだまだ子供じゃのう。フフン。

エンディングとして、カナオの家を探すマーニーの姿が描かれている。
のだが・・・ここで妙な描写がされています。
カナオの所の老人たちが住んでいた家。それがボロボロの廃屋のように描かれている。
あれ?さっきプレゼントもらって笑っていたときの絵ではしっかりした家だったのに・・・
マーニーが探しているが、カナオの姿も見当たらない。
これは一体どういうことなのか。まさか、本当に幽霊だったとでもいうのだろうか・・・?
ここはひとつ、前花さんに相談してみるべき事象でしょうな!!

幽霊説。というのを念頭に置いてみると、色々と気になる。
マーニーからアイディアをもらった後のカナオ。林の中で何か漁っている描写がある。
あれはもしや、遺品が入っていたのではないだろうか・・・?
それに、老人たちの、最後のセリフ。この幸せがいつまでも〜も考えてみるとフラグっぽい。
カナオ自身はともかく、老人たちは幽霊になっていたという可能性はありそうだなぁ。

妙に考えさせられる終わり方でした。幽霊話だったのか違うのか、一体どっちなんだ前花さん!?



file6「侵入者」  (2012年 43号)


マーニーの視線の先には華やかな人だかり。
三年の望月さんと、その取り巻きのカーディガンズであります。

望月さんも含め、全員同じようなカーディガンを着ていることから、呼び名はカーディガンズ。
ラクロス部のチームスタイルだそうな。
イケメンである望月さん目当てで大量の取り巻きが存在しているそうだが・・・
そういうのも楽しかったりしますのかね?アイドルのファンクラブみたいなものか?

我々庶民には雲の上の存在ですよと考えるマーニー。
しかし、探偵業を営んでいるマーニーはやはり一般生徒とは違う。
取り巻きを引き連れたまま、マーニーに相談事があると言い出してくる望月さんでありました。
そのイケメンオーラにクラクラするマーニー。何っ!?
マーニーも何だかんだで年頃の女子高生ということなのか!?何だか地味にショックだ!

相談を受けるために取り巻きをまくマーニーと望月さん。
ついでにマーニーはスーパーのセールで猫缶を大量購入。まあ、それは余談。
なんとか2人きりになれたので、詳しい相談内容を拝聴する。

望月さん曰く、だれかわからない相手にイヤガラセを受けているそうな。
まあ目立つ人ですし、そういうやっかみなんかは受けそうですわな。
心当たりについて問うてみると、自分のフォロワー達の誰かだと言う。
姿を見せないとことかやり口から、犯人は女じゃないか、とのこと。ふーむ。

詳細な内容を確認。
イヤガラセと言ってもデマ、中傷とか物を壊したりとか攻撃的なものではない。
ストーカー的に私物が盗まれたりされている状態だ
そういうことなら、確かに犯人はカーディガンズの中に紛れ込んでいる可能性は高い。
カーディガンさえあれば取り巻きに紛れ込むことだって簡単でしょうしねぇ。

望月さんに仲間で写っている写真を何枚か送ってもらう。
そしてフォロワーの中でリーダー的な立場の人を教えてもらい、コンタクトを取る。
どうやらリーダー的な人にチェックをしてもらおうという考えのようだ。
かなり仲間について詳しいリーダー。
結構な人数の取り巻きなのにちゃんと把握してるんですなぁ。えらいえらい。
ツーショット禁止の掟なんてものまで作るだけのことはある。

さて、そうやってチェックを行った結果、怪しい顔が浮かび上がる。
一人だけだれも知らず、ウチの学校の生徒でもない。アナタは一体ダレだ?

謎の人物の行為はエスカレート。
ついには望月さんの部屋の中にまで侵入してきた様子。PCの電源くらいは落としておきましょうよ。

さすがに不法侵入までされたとあっては落ち着かない様子の望月さん。遅くにマーニーを呼び出す。
盗まれたものとかないので警察沙汰にまではしたくないらしい。まあ、面倒ですしね。
望月さん曰く、事はあまり荒立てたくない。本人と一対一で話し合いたい。とのこと。
というわけで、部屋の中に監視カメラを設置し、証拠を保存する流れとなりました。

マーニーが設置するとのことなので、部屋の整理を行う望月さん。おやおや、エロモノとかあるんですかね?
まあ、女子を部屋に招くのだから整理をしないとと考えるのは心理ですわな。
複数個所に監視カメラを設置する。
その途中、寝室にて妙なものを発見。本をどかしたところに、何かの跡のようなものが残っている。これは・・・

思考世界に突入したマーニー。どうやら事件の骨格が見えてきたようですな。

カメラを仕掛けてから一週間。
帰宅した望月さんはPCを立ち上げて保存された監視カメラの映像をチェックする。
すると、午後二時半ごろ。望月さんが学校に行っている間に部屋に侵入者の姿がある。
どうやってカギを開けたものか、堂々と侵入する謎の女性。
女性は部屋部屋を回り散策している。が、いきなり何かに気づいたような反応を見せる。
そしてクローゼットに入る女性。出てこないが、まさか今もそこに・・・!?

というサスペンスな展開ではない。
どうやらドアが開いた音を聞きつけて反射的に隠れた様子。
謎の女性に続いて入ってきたのは、マーニー!
どうやら侵入者が入り込むのを見張っていたようですな。現行犯で捕まえるつもりか。
クローゼットの中からカッターを片手に飛び出してくる女性。危ない!
が、その女性を見事な動作で投げ飛ばすマーニー
さすがは探偵!このぐらいの心得はあって然るべきって話ですね。噂に聞くバリツという奴か!?

取り押さえたマーニー。女性と何か話している。何を話しているのだろうか?
そういえば、望月さんはこの女性に見覚えがある様子。
焦って、音声を大きく望月さん。音声も拾えるんだ。

私は半年前に望月に暴行されたんです
望月は卑劣な男で、自分とつながりの薄い他校の生徒を狙っては自宅に誘い出して・・・
簡単についていった私もバカでしたが、同じ手で望月に弄ばれた女子は何十人も・・・
だれも信じてくれないし、望月の周りはカーディガンズがガードしていて近づけない。
だから同じカーディガンで中に入り込んでなんとか証拠を探し出そうと・・・
偶然合い鍵を手に入れたのでココに・・・
望月はベッドルームを撮影していたので、それを探して警察に行こうと・・・

ははぁ。マーニーが寝室で見つけたのはソレだったのですね。
暴行した上に、撮影しておき、脅しに使っていたわけか。そりゃあ卑劣だ。少年誌で何をやってくれるのか!

撮影を保存したDVDも既に発見している。
不法侵入の責任は取るので、これを持って警察に行くという女性。
マーニーも一緒に行くと言い出します。となれば望月さんは・・・

望月さん。警察です。お話をうかがいたいことが・・・
いることはわかっています。開けなさい望月!!

なるほど。不法侵入されても警察沙汰にはしたくないわけだ。むしろ自分が捕まるものね。
だからって、安く上がるかもとマーニーに調査を頼んだのが運の尽きでしたな。
というか、行い的にはいずれ他の手段で身を滅ぼしていたでしょうし、逮捕されただけマシかもしれない。
場合によっては刺されてもしょうがない話ですからなぁ。

相変わらずマーニーは公平で安心する。
依頼人であろうとイケメンであろうと、犯罪者は犯罪者として裁ける公平さがある。
一般の探偵としてはどうなのかと思わなくもないが、ほら、女子高生探偵ですし。ちょっと違うってことで。
依頼する方はその辺りも鑑みてどうぞって話ですね。
まあ、ロイドさんでも逮捕した可能性は高い気はしますけどもさ。



file7「笑い男」  (2012年 44号)


昼休みにワンセグでバラエティを見ながら笑っているマーニー。
こうしてみると普通の女子高生でございますなぁ。
その後ろから声をかけてきたのは1話に登場したセレブグループの1人、白鳥さん。
やっぱりマーニーはビックリすると直毛になるんですなぁ

さて、今回の白鳥さんの用件は何か。どうやら後輩が困っているので助けて欲しいというものらしい。
というわけで、今回の依頼人は二年の生徒会書記、香坂さんであります。
依頼を受ける前に昼食を共にするマーニー。
さすがに上流階級の食事。うまい・・・!!
地味な唐揚げに見えてシソの葉と明太子が挟んであってヘルシーな・・・
いきなり解説を始めちゃったマーニー。あかんでそれは。ジャンル違いや!!

それはさておき、仕事の話。
香坂さんの両親は離婚しており父親がいない。父親の記憶はぼんやりとしかないらしい。
ふーむ。なんだか重そうな話ですね?うまい食事しながら聞く話じゃないや。

僕の記憶にある父は寡黙な人だった。
家でもほとんどしゃべらず笑顔なんて見たことない。
夫婦ゲンカと言っても、いつも一方的に母にののしられていた。
ある日父は帰ってこなかった。それっきり・・・

ふむ。子供心には色々とショックな出来事でしょうなぁ。
そういえばマーニーのところも片親でしたっけ。ウチも似たり寄ったりと考えているようであるが、はてさて。

さて、ここからが肝心の話。
どうも香坂さん、最近父親の気配を感じるらしい
人の多い所、ノンビリしてる時なんかふと気づくと・・・どこかに居るんだ。それは確信がある。
でもいない。最近はもうそればかりが気になる。もうどうにかなりそうなんだ!!

ふーむ。妙な話ですなぁ。
精神的にまいっているのではないだろうか?とも思ったが、普段は問題ないらしい。
勉強もできるしスポーツもできる。生徒会でも問題ない。たまに思い出したみたいに近くに父がいると言い出すそうな。
なんとも奇妙な話ですね。生霊でもとり憑いているのかしら。
ともかく、この依頼を受けるマーニーでありました。マーニーにおまかせを。

それにしても、白鳥さんはいい人ですねぇ。後輩の面倒とか色々と見てくれそうな人である。
何故か妙に恐縮しているマーニーだが、セレブに引け目でもあるのか?

香坂さんの住民記録を調べるマーニー。
別れたのが5年前で、ダンナさんが養育費を払っている。月15万。そうなると死んではいないんですな。
養育費の相場から言って十五歳から十九歳でお父さんがサラリーマンだったら、年収一千万クラスか!
うーむ。それは凄いな。香坂さんもそれなりの家庭ってことなのだろうか。

それはさておき、何でそんなに身近に父を感じるようになっているのか。
息子を取り返そうと周囲に出没している?その可能性はありえる。
ならばその父親が出現するのはいつ、どこなのか。パターンがあるのか?屋外?屋内?

父親の気配を感じたところについて詳しく話を聞くマーニー。
場所、時間、周りにだれがいたか。何をしてる最中か。
書き出してもらったものを確認するが、なんとも曖昧。
夕方から夜が多く、朝も感じるときがある
場所にしても電車、喫茶店、街中。学校内や自宅でもすることがあるらしい。

ん・・・?これって・・・まさか。いや・・・

どうやら何かに気づいたらしいマーニー。なんだろうか。
とりあえずその気づいたことの確証を得るために白鳥さんに協力していただくことになりました。

ワンセグでバラエティを見させられる白鳥さん。ご苦労様です。
そのバラエティが流れている最中、香坂さんは確かに父親の気配を感じるのであった。

さて、確信を得たマーニー。調査を継続し、ついに居場所をつきとめる。
というわけで、香坂さんと白鳥さんを連れて会いにいくことになりました。
原因をつきとめるだけのはずなのに、再会のセッティングまでしてくれるとは。いいサービスですな。

お父さんはいつも笑いの中にいるんですよ

電車内で解説を始めるマーニー。笑いの中にいる?笑いものということか!!いや、違う違う。

お父さんの気配を感じる場所。必ず近くにTVがあったり街頭で宣伝などが多い場所。人の声を聞く機会が多い場所。
時間は夕方からゴールデンタイム。バラエティがよくやってる時間帯ですよ。

ふむ。そうなると香坂さんの父は芸人か何かだったと?

いや。「笑い屋」ですよ。
TVなどでよく聞こえる、ギャグやネタの合間に挟まる客の笑い声・・・
視聴者に笑い場所を教えるためにテロップといっしょに挟まれる人工的な笑い。
今はあらゆる番組に使われ、その笑い声を聞く機会も多い。
お父さんはあの人工的な笑いのプロフェッショナルです

なんとまあ。そう来たか!!
確かに。それならば時間がマチマチなのも頷ける。TVがついていれば色んな番組で聞けますものねぇ。

「笑い屋」というのも大変な職業らしい。
まずワザとらしくてはいけない。ここというタイミングをハズさずに突破口を作り客に笑いを伝染させる。
その笑いを冷まさないようリズムを作り場を操作する。
元々は寄席なんかで雇われていたり大御所が囲っていたり、歴史は古く側仕衆、太鼓持ちなんかの流れを組む。
今でもTVで笑う班として生放送から録画にまで立ち会い、お笑いライブイベントや明るい会合には引っ張ダコ。

香坂さんのお父さんもその中の一人。
老若男女の声と笑いを使いわける、笑い屋の中でも中堅に当たる実力派だそうで。

なるほど。そりゃあ年収もよさそうですなぁ。
しかし、香坂さんは父の笑い声なんか聞いたことはない。
それでも分かってしまうのは親子の絆ってやつなんですかねぇ。

肌寒い時期なので誰もいない海岸。
その浜辺で海を見ながら並んで立つ親子。なかなかよい光景だ。
その親子を離れた場所で見守るマーニーと白鳥さん。
マーニー曰く、笑い屋には職業病っていう俗説があるらしい。
上手な笑い屋になればなるほど、私生活でまったく笑えなくなるとのこと。仕事で細心の注意を払って笑っているから。
それなのにTVやラジオや楽しそうな所では自分の笑いが聞こえる。
街中で自分の笑い声が聞こえるのに、自分はまったくおかしくない。
なんだかノイローゼになりそうな状況ですなぁ。大変なお仕事だ。
離婚した理由もそれに関わっているんじゃないかと想像するマーニー。

なるほどね。ずっと笑わずにいたというのはそういう理由があったのか。
奥さんとしても、結婚した相手がどんどん感情を失っていくように見えたのが耐えられなかったのかも・・・

そんな父親との対面を果たした香坂さん。
仕事のことも聞きました。なので尋ねます。つらい?と。

いや・・・お前がいるからな

そう、笑顔で答える香坂さんのお父さんでありました。おぉ・・・

親子の絆により、笑えないはずの父に笑顔が戻った。いやぁいい話だ。
面白いと声を出して笑うのではなく、嬉しさと幸せを感じたときに浮かぶ笑顔。
さすがにそういった感情を失うようなことはなかったって話ですね。
いやあ、いい話でした。こんなにスッキリと終わった話は初めてかもしれない!!
もやっとした話も持ち味でしょうが、たまにはこういう終わり方もよいものだ。



file8「ペンフレンド」  (2012年 45号)


愛猫のエリオットにご飯をあげるマーニー。
しかしエリオット。いつの間にやら舌が肥えてしまったらしい。シーザーサラダ味しか食べなくなったようだ。
これはなかなかに面倒な状況ですな。お金がかかってしまう。
とはいえあげないと頭の上に乗っかってくるし、しょうがないですわな。

というわけで、パパの車でお出かけ。
パパは依頼人に会いに行くところだったので、帰りに買い物しようという話のようだ。

今回のパパが受けた仕事の依頼人は元政界の黒幕
現在は隠居して何の権力もないが、裏で色々やってた実力者だったそうな。

車を駐車場に止め、依頼人の村枝砂平さんと対面する。
マーニーは待機する予定だったが、怪しまれて怒られて結局一緒にくることになってしまった。
ちなみに頭の上のエリオットも一緒だったりするという。いつまで張り付いているんだ?

さっそく依頼を聞く。内容は村枝さんのペンフレンドを探すというもの。
なんでも四十年前から文通を続けていた相手らしい
最初は軽い気持ちで始めたもので、年に四・五回気が向いたら書く程度のものだそうな。
それがいつの間にか五年続き十年続き・・・気が付くと四十年。今では誰よりも長い付き合いになってしまった。
しかし最近相手からの返事がない。向こうもいい年齢だろうからもしかしたら・・・という話。
なるほどね。相手の様子が気になったから探して欲しいというわけか。
元政界の黒幕にしてはなんともほのぼのとしたお話ですな。

相手の住所を調べたら一発じゃないかとも思ったがそうは問屋がおろさない。
最新の住所は高級マンションになってしまっている。やはり一筋縄じゃ終わらないか。

とりあえず一度家に戻って、明日現地で調べようという話になりました。
ちなみに考え事してたおかげでエリオットのエサは忘れられている。ので頭の上で猛抗議。ガリガリ。
頭が傷だらけになっているマーニーでありました。可哀想に。

政界の黒幕。フィクサーと呼ばれる男、村枝砂平の四十年間の文通の内容。
実力者なだけに、大金を積んでも見たいと考える奴はいるでしょうな。
大金と聞いてクラクラするマーニー
だけどさすがにこれは危ない橋である。情報を漏らしたのを気付かれたらこちらが危ないですわな。
しかしそうか、やはりマーニー。お金にはそれなりに弱くはあるんですな。それなりに。

翌日。高級マンションの管理者に文通相手の亀井さんの行き先を尋ねるパパ。
既に引っ越したらしいので足取りを追うが、その先も引っ越した後であり、中々足取りを追えないでいる。
というわけで、マーニー。
捜査の役に立つと思うので手紙の中身を見せて欲しいと頼み込む。
プライベートなことは承知の上であるが、今のままではなんとも材料が足りない。
というわけで、村枝さんの監視の下でなら閲覧は許されることになりました。

再度訪れた村枝邸。今日はエリオットはお留守番でございます。がっかりしましたかね村枝さん?
それはさておき、手紙は大量に存在している。
どうやら村枝さんと文通相手の亀井さんとでは結構な年齢差があったらしい。
村枝さんが三十の時、亀井さんは十歳。実に20歳もの差があった。

資料として提示された手紙には村枝さんが出したものもある。
どうやら亀井さんは孤児らしく、フォローチャイルドネットという孤児支援団体が文通を仲介していたそうな。
なので、亀井さんが成人するまでの手紙は両者のものがそこに記録として残されている。
手元に村枝さんが出したはずの手紙があるのも、そこの記録を持ってきたからなんですね。ハハァ。

手紙の内容を見ると、どうも村枝さん。亀井さんにやたらと説教臭い文章を送っていた様子。
どちらかと言うと自分の自慢の方が大部分を占めているような内容・・・
と思いきや、どうもそれだけではない様子。
どうやら村枝さん。自身の境遇を偽っていたらしい。
人間不正をしてはならない、とか、家族はいいものだ、とか子供が産まれたとか手紙には記載されている。
しかし村枝さんはフィクサーであり、生涯独身。子供もいない。

ウソばっかりだ
手紙の中の村枝さんは結婚し子供も産まれ仕事も順調。人に好かれ協調を大事にし心の暖かい人に囲まれ自信満々で・・・
現実は、愛人はいっぱいいるけど結婚せず、友人と呼べる人もいない。廻りは敵だらけで・・・
黒い仕事をして人をダマしキズつけ、けっしてだれも信用することもなく・・・

なかなかに呆れた内容でありますなぁ。
しかし、マーニーもそれを指摘しちゃうほど世間知らずではありません。口ではスバラシイ内容ですと言っておく。

村枝さんによると亀井さんは色々とダメな奴であるとのこと。
学生の頃から勉強、スポーツもいまひとつ。ホレた女にも告白できず。
学歴も中くらい。やっと小さな会社に入ったくらいだそうな。
村枝さんの力で裏から助けてやろうかとも思ったが、自分の力で頑張りたいと断ったらしい。ふーむ、立派な人ですな。

ここまでの情報を統括するため、マーニーは思考世界に没入する。
人様の家で思考世界に入るのは色々と問題があるんじゃないでしょうか?イタズラされても知らんぞ!

まあ、その甲斐あってか答えは導き出されました。
亀井さんは大きい大学病院、ある程度設備も充実していて紹介がないと入れないような所にいるはず。
そのように考えたマーニー。パパに頼んで調べてもらいましたが、これが大当たり。
亀井支郎さんの入院している病院をつきとめたのでありました。が――
一足遅かった。
文通相手である亀井さんは既に亡くなっておられたようです。あらら。

マーニーによると、文通していた二人はどちらもウソつきであるとのこと。
村枝さんは自分を完璧な人間に見せようとウソをつき・・・
亀井さんは村枝さんを立てるために自分を低く見せる。
会ったこともない二人がお互いに気を遣い続けてたんだ

なるほどねぇ。
村枝さんも相手が子供だし、文通相手が悪い人だったなんて知られるわけにはいかなかったんでしょうな。
相手のことを思い、完璧な人間を演じてそうなってもらうように気を遣っていたと。
それゆえか勢い説教臭くなる文面。
亀井さんはそんな相手を立てるために自分を低く見せるような内容を書いて送っていた。
内容に悩み事が多かったりするのはそういうことだったからなんでしょうね。

最後のほうに書かれた手紙は村枝さんの健康を気遣う言葉ばかり。
それなのに心配させまいと自分のことについては一言も触れていない。
やさしい人程深刻な事態を隠そうとする
なので、体を壊して入院している可能性が高いんじゃないかとアタリをつけたってわけですね。

亡くなられた亀井さんの側には大勢の家族が看取っていた。
亀井さんの息子さんは、駆けつけた村枝さんに対し、これがアナタへの最後の手紙ですと手紙を差し出す。
どうやら亀井さん。最期まで村枝さんにお礼を言いたいと言っていたようだ。
さて、その最後の手紙の内容は・・・

村枝さん。
これが最後の手紙になります。
今まで四十年間、僕のような取りえのない男の相手をしていただいてありがとうございました。
僕がつらかった時、苦しかった時、いつもアタナの手紙のことを思い出し、
アナタに一歩でも近づこうとガンバリました。アナタを人生の目標としていたのかもしれません。
僕はお金は稼げませんでしたが、家族を作り全力で家族を守ってきたつもりです。
迷惑かもしれませんが、私はアナタのことを父親のように思っていたのかもしれません

亀井さんの最後の手紙を読み、涙を流す村枝さん。
いやあ・・・なんだかいい話でありましたなぁ。
ウソの内容ではあったが、亀井さんがそれを支えに頑張ってきたのは確かな話である。
世にある二種類のやさしさ。ウソをつくやさしさとウソを受け入れるやさしさ。
その二つが合わさった良いお話でありました・・・

ちなみにエリオットはウソを受け入れるやさしさを持っていないらしい。
マーニーも苦労しているんですし、少しは受け入れてくれてもいいでしょうになぁ!!

どうでもいいが、パパァと最後に小さいァをつけられるとババァと誤読してしまいそうになって困る。
パパァだよババァじゃないよ。BBAじゃないよ。本当だよ。



file9「モンスター」  (2012年 46号)


マーニーの学校の廊下を不気味な怪物が闊歩する。これは一体・・・?

図書室にてマーニーとお話しているのは、前花さん。
前に幽霊の話に食いついてきたあの黒髪メガネの少女である。
幽霊が見えるなどと口走ってたりすることもあるらしく、非常にオカルトマニアの臭いがしますね。

その前花さん。
昨日図書室で寝ちゃって、急いで教室に荷物を取りに行ったんだけど、その時。
教壇から頭だけ出してコッチをジッと見てるまっ赤な目が見えたそうな。ハハァ。それで怪物と?

前花さんはこの怪物の件については単に世間話の一環として話しているに過ぎない。
別に今の時点でマーニーに調査を依頼したいとかいう話ではないようだ。

どうやら前花さんはクラスでも微妙に浮いた感じの子らしい。
読んでる本を見たら殺人百科とかだし、怖い感じがするとゆりかちゃんにも言われている。
ふうむ。それは確かに少し怖いと思われても仕方がないかもしれませんなぁ・・・
まあ、マーニーは偏った目で人を見るのはよくないと考えているみたいですけどね。
そういう考えがあるからこそ、偏見にとらわれずに真実を見抜くことができるのですかねぇ。

下校時間。ゆりかちゃんは外から二階の調理実習室に怪しげなものがいたことを目撃する。
まっ赤な目がコッチを見ていたという。それは先ほどの前花さんの話に出た怪物の特徴・・・?

ゆりかちゃんはマーニーに調査を依頼しようとする。
が、別に困りごとでもない内容だし、ロハでやってあげる必要は感じない。ので日当5千円は普通に請求します。
そもそもゆりかちゃん、前のも払ってないですしね。

調査に関しての話は流れた。が、ゆりかちゃんは止まらない。口の軽い子である。
学校中はその怪物の噂で持ちきりだ。口頭だけではなく、今の時代はネットがある。
掲示板を利用してその噂は学校の中だけではおさまらず、マスコミの目にも留まることとなった。

というわけで、TV局が取材にやってきました。
ニュースキャスターの野宮真理さん。どうやら怪物の件をニュースで流すつもりらしい。
なんだか大事になってきましたねぇ。
てなわけで、目撃者の一人としてインタビューを受けるゆりかちゃん。
口の軽いゆりかちゃんが、この学校には有能な探偵がいるんですよとか言い出したからさあ大変。

ゆりか「マーニーって言ってえ。今、怪物のナゾを追っています!!」
マーニー「フザケンナテメー!!

おぉっと!マーニーが声を荒げて憤慨している!!これは珍しい!!面白い。
このコメントを頂いた野宮さん。
女子高生探偵登場!我々ニュース48はその挑戦を受けましょうと囃し立てる。

マーニーにおまかせって・・・言うかバカ!!
なに規定事項で進めてんだ!学校はなにしてる!!

何してるんでしょうね。周りは周りで盛り上がっちゃってるみたいですし、やるしかないんじゃないですかねぇ。
先生やクラスの子らも頑張れとか言っちゃってるし。お金は出るのコレ?
しかし、結構冷静な部分が見られるマーニーだったが、ちゃんと憤慨したりすることもあって安心しました。
なんだか新たな魅力を見つけた気分である。

TV局の面々は生徒の目撃情報を集めている。
それによれば怪物は犬くらいの大きさで目が赤くて人がいない場所に現れる。
さらに口を開ければ長い牙が見え、襲われるんじゃないかと怖かったそうな。

インタビューだけではなく、掲示板には次々と目撃証言があがってくる。
目撃証言だけではなく、妖怪や霊のたぐいじゃないか?なんて発言までとびかっている。
学校の前は実験用の施設だった。などと眉唾な話まで出てきているし、どこまで話は広がるのか・・・

ネットの中だけではなく、そこで出た情報をまとめあげニュースとしてTVで流れてしまう。
凶悪な怪物のイメージ図が放映され、外来種の変異。未知のウイルスを保持している可能性があるとか言われる。
そんな風に報道されたら、怖がって学校に行けなくなる子が出てきちゃうんじゃないだろうか?
実際、セレブの白鳥先輩も学校を休むことになってしまったみたいですし。
今更ながらに変にあおってパニックにならなきゃいいけどと心配しだす生徒たち。

もう遅い。これがパニックだよ

全くその通りですな。
無責任に噂が広がれば、こうなることは目に見えていたはずである。
学校の隠蔽体質が問われる昨今ですが、TVに介入させるとこういう被害も出てくるんですなぁ。

というわけで、パニックを沈めるためにマーニー調査開始。
目撃情報は多数あるが、眉唾なものがかなり多い。
なので、発端である前花さんやゆりかちゃんの情報を元に動くことにする。
この二人だけはなにかを見た。それは間違いないわけだから。

そして、見事に怪物を捕獲するマーニー。何!?正体を掴むどころか捕獲しただと!?
その正体を明かす前に、前花さんはこう証言する。怪物というのはウソなんです、と。
ウソ・・・?
しかし、目撃者はいる。全くのウソということではないのでは・・・?
と考えたところ、マーニーは言う。怪物ではないけど、ソレはいました。と。

介癬皮膚病のタヌキです

これタヌキだったのか!?
皮膚病ゆえか痩せ細ってしまい、タヌキとは見えない容貌になっているんですな。
目が赤いのもタヌキゆえということか。

前花さんは初めに見た時ある程度様態に気付いていた。
しかし、話をする時や掲示板に書き込む際に話を"盛った"のである。その話が"盛り上がる"ようにと・・・
ゆりかちゃんが見たのもコレ。調理実習室に巣を作っていたのだ。
ゆりかちゃんはネットで同体験者を見つけて自信を持っちゃったんだ。それ自体がウソだっていうのに。

皆が話を「盛り上げよう」「面白くしよう」「楽しくしよう」とした結果パニックまで起きたわけですが、
でも本当はなにもないんですよ。

面白おかしくしようとして話を盛る。
誰しもが多かれ少なかれ経験のある話ではないでしょうか。
それが今回はパニックにまで発展してしまったというわけですな。
発端は前花さんだったのかもしれないが、前花さんは前花さんで気を利かせた話題のつもりだったわけだ。
クラスで浮いた感じになっているし、話題の提供をしてみたかったのかもしれませんなぁ・・・

マーニーが真相を解明したことで学校のパニックはどうにか収まった様子。
しかし、TVは相変わらず怪物の件については盛り上げていこうという話になった様子。
真実を流すよりも、茶の間の目を引くのが重要って話ですな。この盛り上手が!!

盛りはほどほどに、というお話でした。
まあ、気持ちはわからなくはないんですけどね。
感想を書くときだって、そこまでは思ってなくても多少大袈裟に情緒溢れる感じに書くことはあります。
でもまあ、こっちは真実を伝えようとしてるとかそういうわけじゃないですからして・・・
多少の誇張表現は許してもらえるんじゃないかなとか思ったり。
そういう意味では感想の文章に関しては盛り上手というのは誉め言葉なのかもしれませんな。
文章量だけではなく、内容についても盛っていきたいものである。



名探偵マーニー 2巻


file10「宮島先生の恋」  (2012年 47号)


掃除用具を用いて廊下で野球
男子はよくやる行為だが、まさか女子で見ることができるとは!
なかなかにやんちゃな感じですね、マーニーにゆりかちゃん。
まあ、廊下遊びの現行犯ってことで生活指導の宮島先生に捕まったわけですが。

宮島先生に連れられて生徒指導室に連れて行かれる2人。
生徒指導室は宮島先生の好みに改造されている。
まあ、腹筋器具とかバーベルとかあったりするぐらいですけども。け・・・健康的な女性ですね、宮島先生。

というわけで、1時間ほどこってり絞られた2人。
宮島先生は部活でもやって発散しろと忠告してくれます。ダンベルグイグイしながら。
まあ、マーニーは探偵をやってるしそんな時間は取れないでしょうな。
てなことをうっかり先生の前で口走っちゃうゆりかちゃん。
ん?宮島先生は探偵やってることを知らないのか?
前回、思いっきりTVでマーニーが探偵やってるって流れていたというのに。
あんまりTVとかみない人なのかもしれませんな。

マーニーの探偵業を知った宮島先生はそのことに興味津々な様子。
ゆりかちゃんを帰して2人で話したいことがあるらしい。
どうでもいいが、ゆりかちゃんの苗字が若島津と判明。ほう。
その流れでマーニーの苗字も判明なるかと思ったが、そうはいかなかった。残念だ。

宮島先生から人を探して欲しいという依頼を受ける。
名前は舟木真治。現在28歳。先生と同い年とのこと。
顔写真の参考は卒業アルバム。
となると、もちろん宮島先生の若い頃の姿もアルバムには載っていたりします。
へぇ、下の名前は小百合って言うんですか。この頃は線の細い感じだったんですねぇ。

探偵業としては人探しというのはよくある依頼。
その中でも初恋の人を探して欲しいという依頼はよくあるらしい。へぇ。
これまでの依頼の傾向からして、同じクラスの人が対象になっていることが多い。
最終学年をともにすごした方が後々まで引きずることになるらしい。へぇ。

マーニーの言う通り、宮島先生と舟木さんは高校時代付き合っていた仲である。
お互いには夢があった。
宮島先生は教師となり、舟木さんは卒業後夢を叶えるために卒業後ウィーンへ渡ったらしい。
お互い夢が敵った時には結婚しようと約束して・・・

なんか・・・くやしいくらいすがすがしい青春ですねえ

全くでございますな。ん・・・マーニーもそういうのに多少の憧れはあったりするんですかね?
まあ、それはさておき。
あれから十年もたったが、彼は帰ってこない。
しかし、最近日本で彼を見かけたと友達が報告をしてきたそうな。

写メまで送ってくれたけど、間違いなく舟木君なんだ!!

ふーむ。それは気になりますよね。探偵に探して欲しいと依頼するのもわかる話である。
実家の方には舟木さんが戻ってきている様子はないと。ふむ。

わかりました。
宮島先生の婚約者を探しますので、日当五千円。経費は別で。マーニーにおまかせを。

こうして生活指導の宮島先生の依頼を受けることになったのでした。
お、これはうまくすれば大っぴらに探偵活動を行えるようになるチャンスなんじゃないですかね?
バイト禁止かどうかはわからないけど、さすがにお金を取って仕事をしているのはどうかと思えなくはなかったわけで。
これで先生公認という形を取ることが出来るように・・・
一部の先生は既に知ってた気がしますな。
まあ、失敗して禁止にされる可能性はあるので、どちらにしろ頑張らないとはいけない。

それにしても宮島先生は28歳か。
適齢期だし、やはり多少の焦りはあるんですかねぇ。
そんな時期に昔の約束の相手が見つかったとあっては穏やかではいられますまい。

さて、まずは舟木さんを目撃し、写メを送ってきた人物に話を聞く。
見かけた時はスーツだったが、あれは喪服だったのかもしれない。
なにか身内の不幸があって一時的にもどって来たんじゃないかなと推測している。
なるほどね。本来ならウィーンにいるはずだけど、たまたま戻ってきていたと。

宮島先生はキツイ感じではあるが、カラッとしているので嫌われてはいない。
見たまんまの性格。男っぽいというか男だしとか言われちゃうような人でございます。

見たまんまね・・・そうは見えるけど・・・
結婚の約束をして十年・・・なんの連絡もなく・・・
その不安を埋めるため、強く強く、体をきたえ、心をきたえ・・・でも、それもそろそろ限界で・・・

相変わらずマーニーは心理分析が得意ですなぁ。
待っているだけの身って色々辛いんでしょうな・・・

さて、舟木さんの実家を訪れるマーニー。
母親曰く、息子の真治はまだ留学から帰ってきていないとのこと。
しかし、家には妹さんがいました。
妹さんは宮島先生のことも知っているらしく、詳しい話をしてくれそうな雰囲気。

妹さんによると、実家の方でも探しているけど兄の手がかりはないらしい。
ん?それって行方不明ってことなのでは・・・?
現代のストラディバリになると大きいことを言っていたが、さすがに現実は甘くない。
思ったようにはいかなかったのかもね、と妹さん。ふーむ。

一定の情報が集まったのか、マーニーは宮島先生に大事な質問をする。
それは、舟木さんが見つかったらどうするか?というもの。

正直、昔とは先生、大分イメージが違いますし。嫌われたりするかもしれないじゃないですか。

私はね、マーニー。区切りをつけたいんだ。嫌われたってさ、今の自分にも誇りはある。
何事も決着をつけないと先には進めないんだよ。マーニー

なるほどね。いいことを言っている。さすがに先生ですな。
新しい恋を始めるにしても区切りは必要って話ですよね。やはり待っているだけの身は辛いか。

後日。
マーニーは妹さんと会うために呼び出しをかける。
同じくその場に宮島先生も呼び出す。そして紹介するマーニー。

こちら現在の舟木真治さん
舟木さん、こちらは宮島小百合さんです

何・・・何!?え、何!?え、そういう話!?
どうやらそういう話らしい。
舟木さんには確かに妹がいるのだが、本人は現在北海道にいる。既に確認済み。
そう、舟木さんは留学先で壁にぶつかり楽器職人の道を断念。
本人の希望で性転換をしている
留学中に自分は女性的であることを自然と確信したそうな。
以前に目撃されたのは、法事に出る上でどうしても頼まれて男装をしたという話らしい。

なかなかこれは・・・ショッキングな話でありますなぁ。
妹さんスマートでなかなか可愛らしいとか思ったらこれだよ!!やられたよ!!
読者に代わって宮島先生の鉄拳制裁。バンバン。
普通の女性ならポカポカするぐらいの殴り方なんだろうが、なんせ体格は宮島先生の方がいいので大変なことになってる。

ごめん小百合!でもオレはこういう人間なんだ!

共に泣き崩れる2人。うーん、なんと声をかけてあげればいいのか分かりませんな。
区切りをつけるためとはいえ、知ってビックリすぎる真実でございますよ。
そうか・・・それで舟木さんの母親はああいう態度を取っていたのですな。
息子が性転換したことなんて早々人に知られたくはないですものなぁ。

そんな感じで辛い再会となった2人。
なのだが、もう一度落ち着いて舟木さんと会いたいと宮島先生は言っている。
時が経ち、見た目は変われど想いの変わらない部分はあったってことなんですかね・・・

うーむ。最後の一コマのおかげでずいぶんといい話に収まったような印象になっている。凄い。
まあ、心の持ちよう、考えの持ちようって話なのかもしれませんな。
宮島先生も男らしくなっちゃったのだから、舟木さんが女になったのはむしろ好都合、とか。
男女入れ替えでカップリングとして上手くいく可能性もなくはないか・・・?
まあ、色恋沙汰は抜きにしても、わだかまりがなくなるのであればそれに越したことはない。
マーニーもこれで心置きなく探偵業で稼げるって話ですし、嬉しい話でございますな!!
だからといって授業中の睡眠が見逃されることはないと思うけど。



file11「ブリット」  (2012年 48号)


勢いに乗っている名探偵マーニー。センターカラーでお目見えです。

自宅にて昔のヒーロー物を見ているロイドさん。
その内容は昔も昔、三、四十年前の番組でございます。
さすがに現在に比べるとCGも何も使われておらず、しょぼく感じてしまうマーニー。まあ仕方ないでしょうな。

ロイドさんが見ているのは別に趣味からというわけではない。仕事の一環だ。
ヒーローの名はブリット
そのブリットがヒーロー映画に三十年ぶりに復活するらしい。ほう。
で、そのブリット役の光輪功士さんが現在行方不明中であるとのこと。
映画出演依頼のため、探して欲しいというのがロイドさんへの依頼内容でございます。

そいつはまたビッグな仕事でございますな。実入りもよさそう!
と思ったが、下受けの下受けということで、直接依頼を受けたわけではない。
なるほど。たまたまこの町に居るという情報があったのでお鉢が回ってきたわけか。
直接の依頼主の報酬からは中抜きされてしまったりするのかねぇ。
というマーニーらしいお金の心配はさておき。
ロイドさんとしてはこの依頼自体で困ったことが発生している。
実を言うと、この光輪さんはもう発見している。のだが、問題があって困っているとのこと。ほう?

どういうことかと訝しがるマーニーを連れて光輪さんに会いに行くロイドさん。
その眼前にいるのは痩せこけた老人。何やらブツブツ呟いている。

銀色の光線が束になって降りてきた場所がある。
その光線を浴びると脳に重大な影響を与える可能性がある。もう時間がない。止める方法も今では・・・

なんだか色々と危ない状況ですね。
アルミホイルで作られたような帽子と衝立は光線から身を守るためのものなんですかね?
こりゃあ確かに映画に出演できるような状態には見えない。
それなのに依頼人である会社側は連れて来いという。そりゃあロイドさんも困惑するわな。

結局、光輪さんはしばらく入院という形になりました。
病院に搬送される際、お隣さんから光輪さんの話が聞けます。
光輪さんが変なことを言い出したのは半年くらい前からだそうな。

アイツが言うには昔から宇宙人は周りに居たらしい。
もう長い間戦っていたのに、今負けそうになっているとか・・・
ずっと守っていたある星の姫が最近死んでしまったとか・・・

ふうむ。半年前ねぇ。なかなか詳しく覚えてますね、お隣さん。
気になる情報を耳にし、もう少し調べてみたいと言い出すマーニー。
そういうところは母さんに似たんだな、みたいなことをロイドさんに言われてしまっています。
うーん。母の存在も色々と気になりますな。
しかし、今回のマーニーはやたらと可愛い服を着てますなぁ。こういうのもアリだな。

早速調査を開始するマーニー。
ブリットを撮影した丸々撮影所で話を聞きます。
あの頃はこの撮影所も活気があり、いつもなにかの撮影に追われて夜も照明が消えることがなかったそうな。ハア〜。
光輪さんは当時期待の新人で、大作の主役もウワサされていた。
でも実際は当時ジャリ番組とバカにされてた子供用ヒーロー物。
本人も一時は大分落ち込んでいたらしい。
しかし、根がマジメだった光輪さん。途中から本気で役に入れ込んでいて、ヒーローになりきったいた。
ある程度好評だったようだが番組は終了。
その後、大した役も来なかったらしく、行方は知れなくなった。とのこと。

うーむ。なんだか悲しい話ですねぇ。
マニア的にはチヤホヤしたい役柄ではあるが、やはり役者的には微妙なところなのだろうか?
まあ、三十年まではそういうイメージが今よりも強かったのかもしれませんなぁ。

その後、光輪さんは転々と職業を変えて、住む場所も変えている。
建築現場や漁師、運転手・・・日本中をウロウロしている。
仕事を探して移動してるのか?でもそれなら都市に居たほうが探しやすい。
そうすると、何かから逃げていた・・・?借金とか・・・か?

集めた情報を分析し、思考世界に陥るマーニー。
一方、ロイドさんは依頼人である安崎さんと電話。入院したことを告げるが、それでも番組に出すと先方は言ってくる。
そんな状況じゃないですよ!?とロイドさんは抗弁するが、どうにも向こうの意思も固いようだ。ううむ。

半年前に何があったのか。
それまではそれなりにウマくやってきた。金もそれなりに稼いでて、一人で生活するには十分な。それが突然・・・
長い間戦っていたが、ずっと守っていた姫が最近死んでしまったとか・・・
お隣さんのこの発言で、マーニーはある可能性に思い至る。

一人じゃなかったのか・・・女・・・誰かがいたのか!?

ならばと新聞の死亡記録のデータベースを調査するマーニー。
ほほう。探偵らしいことをやってますな。こういう地道なデータ作成もちゃんとやっているんだぁ。
半年前のデータを引っ張り出し、光輪さんの住所と同じ場所で死亡した人を検索する。
そこで見つかったのは元女優の大空ひかりさん。本名は安崎みどりさん。
54歳で死亡。死因は肺血腫とのこと。ん・・・安崎?

調査の結果、マーニーはある事実に気付いた。
そのことを確かめるため、入院している光輪さんのもとを訪れるマーニー。

奥さんはご不幸でした・・・
アナタは三十年前、安崎みどりさんと駆け落ちしましたね
それを恨んだ父親が今もアナタを追っている。
丸々映画の重役、安崎良則・・・みどりさんの父親です。
彼から逃げるため転々と住処を変え、三十年も逃げきった。それも、もう・・・

ハハァ。なるほどね、それで転々としていたわけかぁ。
ここで光輪さんの回想。
1986年の冬のお話。
安崎みどりさんは父親から結婚の話を持ち出されている。
相手は広告代理店社長の御曹司。言うまでもなく明らかな政略結婚でございます。
2人が結ばれれば、映画会社の重役である安崎家への利益は計り知れないものとなるってわけだ。
父親に無理矢理結婚の話を進められてトボトボと肩を落とすみどりさん。
そんなみどりさんと親しげに話をしているのが、マイティ・ブリットの主演である光輪さんでございました。

なんで先方はみどりさんを気に入ったのか?
その理由を知ってしまうみどりさん。
どうやらみどりさん自身に興味があったのではなく、映画会社そのものに興味があったらしい。

オタクの女優さんたちに楽しませてもらいますよ
手とり足とり。この提携はそれが楽しみで楽しみで。

ゲ・・・ゲスだ!!ほんまもんのゲスや!!
みどりさんだけでも身に余るほどの美人だというのに、それに飽き足らずよくもそんなゲスな発言を!!
というわけで逃げ出したみどりさんは光輪さんのもとに。

お願い光輪さん!私を連れて逃げてください!!

なんともドラマティックな展開でございますねぇ。
ヒーローを演じていた光輪さんに、このような話が舞い込んでくるとは・・・
もちろん、みどりさんの父親はこの駆け落ちに激怒。
ワシの前に引きずって来いと追っ手を放つことになる。

それから逃亡につぐ逃亡・・・安崎はあらゆる手で追ってきたけど、僕たちは戦った。
今思い出すと、あの頃が一番充実していたのかもしれませんね・・・

・・・みどり。もう戦わなくていいのかい?
君を連れてだったら、僕は宇宙の果てだって怖くない。
だって僕は、宇宙の戦士マイティ・ブリットだからね

愛するものを最後まで守り通した男。それが宇宙の戦士マイティ・ブリットでございます。
うーむ、なんとも切ない話でございましたなぁ。
この語っている様子からして、光輪さんがおかしくなった様に見せてたのは演技だったのだろうか?
守るべき人を失って本当におかしくなった可能性も否定はできませんが。

駆け落ちの話を突然持ち込まれ、嘱望されていた将来を投げ打ち逃亡生活に身をやつす。
そんな生活を三十年以上強いられてきたのに妻を恨むこともない。
うーむ、まさしくヒーローだったといって過言ではないでしょうなぁ・・・

しかし、安崎は今でも光輪さんを恨んでいるのだろうか?恨んでいるんでしょうなぁ。
時間が経って恨みが解消されたのなら、病院に自ら足を運んでくるというのもあったかもしれない。
それなのに、わざわざ体調が悪いのを承知の上で引っ立ててこさせようというのは、やはり・・・
お子さんでも産まれていればまた態度が変わることもあったかもしれないのだが・・・
まあ、逃亡生活で子供を作るというのも大変な話であるか。それはしょうがないか。うーむ。

ドラマティックな話を現実にやるのは大変だなと思わせる話でした。
それをやってのけるのが真のヒーローってことなんでしょうなぁ。とても真似はできん。



file12「オジイチャン」  (2012年 49号)


帰宅したロイドさん。どうやら何者かに尾行された様子。
それは大変。と思ったら女子高生に尾行されたですって・・・?ウッソ〜〜〜。
受け答えするマーニーが全く信じてなさそうな表情をしていてよい感じである。
もう、パパァってば見え張りなんだから。

翌日。
学校にてマーニーに依頼をしに訪れる少女の姿があった。
カーディガンズの1人、一年A組の鈴村蝶子さんであります。
カーディガンズってまだグループ継続してるのか?
ともかく、鈴村さん。相談したいことがあるらしい。

鈴村さんには気になる人がいるらしい。
街で一回見てビビってきて、もうどうしたらいいかわからなくなったそうな。
夢中であとを追いかけたんだけど、途中で見失って・・・
もう一度会いたいんだけど、どうしたらいいのかわからない。てな話である。ほう・・・
なんとなく嫌な予感がしながらも相手の特徴を尋ねるマーニー。

ちょっとオジサンなんだけど、体型はガッチリ体型で髪は茶色。
その時はグレーのジャンパーを着てて、目は細くてやさしそうで・・・

ガリガリと頭をかくマーニー。
まあ、思考世界に入るまでもなく、鈴村さんの特徴はある人物を指しているとしか思えないわけですが。
というわけで、恐る恐る尋ねるマーニー。そのオジサンに会ってどうするの?と。重要ですよね。

それは・・・怖い人じゃなかったら・・・話してみたい。
あ・・・甘えさせてくれればって・・・
お願いマーニー、力を貸して!!

マ・・・マーニーにおまかせを〜っと・・・

プルプル震えながら答えるマーニー。
人探しなんて依頼はよくあることだけども、探す前から答えがわかっている依頼はなかなか珍しい。
というか、答えづらい依頼であるというのが珍しい。こりゃ震えるしかないわ。プルプル

ともかく裏を取るマーニー。
ロイドさんに電話して尾行してた女の子について尋ねる。
あまり見ないようにしていたというロイドさん。だけど詳しい情報が返って来ました。
髪は茶で肩まで軽くウェーブ。カーディガンでマーニーと同い年くらいであったとのこと。
うーむ。間違いなく鈴村さんのようですね。
この観察眼はさすがにロイドさんも探偵であるってことなんでしょうか。

パパと鈴村さんが・・・?ウッソオ。でも二人の言うことを合わせてみるとやっぱり・・・

なんだか赤くなっているマーニーでありました。可愛いことですな。
だが、全ての可能性を考慮するのがマーニーのスタイルである。
そういう色恋沙汰とは別口の依頼である可能性はないか。鈴村蝶子さんのプロフィールを脳内で再生する。
友人関係、家族関係。なにかヒントが・・・

と考えたとき、カーディガンズ内での会話を思い出す。
この記憶力は正直羨ましいですなぁ。思考世界ってこんな風になっているのか。
それはともかく、会話の内容について。
鈴村さんの親はまだ30代だという。どうやら鈴村家は代々早婚の家系らしい。お爺ちゃんにしてもまだ50代だそうな。
果たしてこの会話から何か判断できるのだろうか?
とにかく家族構成に手がかりがあるのではと考えたマーニーは調査を行う。
鈴村家は5人暮らし。両親と鈴村さん。妹とオバアサンの5人。オジイサンは三か月前に亡くなってる様子。ふうむ。

この段階で人探しの理由について見当がついた様子のマーニー。さすがである。
というわけで、鈴村さんに目的の人を発見したと報告する。
もちろんその人物はパパであるロイドさん。鈴村さんと引き合わせる。
マーニーとロイドさんは連れ立って鈴村さんの家に移動。そこでオバアチャンと出会う。

松次・・・まさか・・・いや本当に!!

ロイドさんを見て驚愕するオバアチャン。それを見てやっぱりとマーニー。

パパは鈴村さんのオジイサンにそっくりなんだよ

ハハァ。そういう話でありましたか。
色っぽい話ではなく、他人の空似だったというお話だったわけですね。
まず後姿がそっくりで、顔を確認した時は本当に生き返ったのかと思うぐらいだったという。ふむ。
で、そのオジイサンにそっくりなロイドさんに頼みたいことがあるという。これからが本題だ。

鈴村さんの妹である鈴村都ちゃん。
彼女はスゴイオジイチャンっ子であった。
それゆえ、今年の始めにオジイチャンが亡くなったのが凄くショックだった様子。
ずっとしゃべらなくなってしまったそうな。
鈴村さんたちも色々と試したのだが、もうどうすればいいのかわからないという状況だったらしい。
なるほどね。そこでオジイチャンそっくりのロイドさんを会わせれば、と考えたわけか。
その効果は覿面。嬉しそうにロイドさんに向かって話しだす都ちゃんでありました。

話だけではなく都ちゃんと遊んであげるロイドさん。いい人だ。
その様子を見て思わず涙汲んでしまうマーニーや鈴村さんたち。なんだか切ない話ですよね。

鈴村家の事情は分かりました。
そこで鈴村さんたちは、ロイドさんにたまに都の相手をしていただけないかと頼み込んでくる。
あの子も大きくなればわかると思います。
それまでの間オジイチャンとして振る舞ってもらえないか、との話。
ふーむ。難しい話ですねぇ。
相手するのは別に嫌ではない。が、それが都ちゃんにとっていいことなのかどうかは解らない。悩ましい。

昔を思い出したよ。マーニーがまだあれくらいだった頃・・・

悩んでいるロイドさん。しかし、そこで声をかけてきたのは他ならぬ都ちゃんでありました。

ありがとう・・・でも私大丈夫だから・・・
ホントはわかってるから。オジイチャンは死んだって。
ママもお姉ちゃんもすごく私を思って・・・でも・・・私も意地になっちゃって・・・

オジサンが来た時はビックリした。本当にオジイチャンが生き返ったかと。
でも・・・違う人
遊んでもらってわかった。
オジイチャンと仕草が違う。遊び方が違う。話し方が違う。私を撫でる時の触れ方が違う。違うところが悲しいの
だから・・・もう来ないで・・・

まさしく、それこそがロイドさんが危惧していたことなのでありましょうな。
大人の配慮でその違和感を誤魔化したままつき合わせてよいものかと。
オジイチャンとの記憶を上書きしていくことになりはしないかと。気にしてしまう。
だから、都ちゃんがそう言うならば、その方がいい。
ロイドさんは言う。僕も楽しかったよ、と。

昔は忙しくて娘とあまり遊んでやれなかった。その時のことを思い出した。
じゃあ都。元気でやれよ。オジイチャンがいなくなっても泣くんじゃない。

うん・・・サヨウナラ、オジイチャン

都ちゃんもようやくオジイチャンと告別することができたってわけなんですかねぇ。
なんとも悲しい話でありますなぁ。
でも大事に至らなくてよかったともいえる。
死別は悲しいことではあるが、祖父が先に逝くのは自然な話でもある。
しっかりと受け止めるのも生者の役目でありましょうな。都ちゃんの将来に幸多からんことを。

実際のところ、都ちゃんはかなり可愛いので今後も出番があると嬉しいかなと思わないでもない。
出番があると微妙に不幸なことになりそうな気がしないでもないのが怖いところだけどさ!



file13「双子」  (2012年 50号)


闇夜の街で女性の前に特殊部隊員現る!!な、何の漫画だこれは・・・?

いきなりぶっ飛んだ感じの冒頭ページ。
どうやら本物の特殊部隊員ではなく、変なカッコをしただけの変質者だそうな。へぇ。
それがどうも、マーニーの通う高校の生徒じゃないかという噂があり、生徒会長の白鳥さんにしては頭の痛い話。
警察も動き出しているし、このままにはしておけない。
というわけで、マーニーに調査をお願いしたいという話になりました。やっぱにゃあ。
面倒くさい依頼だけど、今月は支払いが多いしお金は必要だしなぁと考え込むマーニー。

白鳥「今回は通常料金の倍出してもいいかもって・・・」
マーニー「マーニーにおまかせを!!

まさに即答でありました。これは安請け合いと言っていいのだろうか?
それにしても白鳥さんは扱いやすいキャラですね。性格的にというか、漫画的に扱いやすい。
セレブである必要はあるのかなと思ったがセレブな生徒会長というのはいいポジションだ。
学校のために依頼を出すという名目があり、金払いがいい。
マーニーにとってはそれなりにありがたい相手なのではないだろうか。面倒な依頼が多いけども。

しかし今回の依頼。コスプレして徘徊ねぇ。その手のイベントにでも行けばいいのに。

軽犯罪メールサービスを調べるマーニー。
変質者としての情報で流れていないか確認しているわけですな。こういうのもあるのか。
調べてみると、ここニ、三か月で細かい軽犯罪が急に増えていることに気付く。
いたずら描きや動物に対する暴行、公共物破損に深夜の大声。なるほど、軽犯罪っぽいな。

犯罪発生の位置をマーク。
その何か所で特殊部隊風のコスプレをした男が目撃されている。ふうむ。
発生時間は学校が終わってから翌日の朝まで。
休日前に時間を絞り込み、出没する場所にアミを張ることにする。

というわけで、五日間張り込んだ結果不審者の映像を確保することに成功。
着替える場所を何か所か確保していると想定し、人気のない公衆トイレで発見。
着替えを行っている際の顔写真も含めて調べ上げ、自宅の特定まで行った。

結果を報告するマーニー。
白鳥さんは容疑者の顔に心当たりがある。2年C組の黒谷さんだそうな。
ふむ。まあ、何にしてもこれで事件は解決ですよね?後は説教なりなんなりしてもらうってことで。
と思いきや、まだ不十分とのこと。ん?

黒谷明彦黒谷雪彦。二人は双子なのよ。

一卵性双生児って奴でしょうか。そっくりな顔をした双子である。体格もそっくり。
髪の色が黒か茶色かで見分けるしかない。ちゃんと見分けやすいように色分けしててくれてありがたいわぁ。

黒谷明彦。二年。
バスケ部所属で成績は上の下。人当たりは少々傲慢。素行に問題なし。友人多数。

黒谷雪彦。二年。
囲碁部に所属。成績は下の上。グループ行動がうまくいかず孤立しがち。オタク気質

二人の仲はあまり良くなく、ケンカをしてるところをよく目撃されている。
この二人のどちらかがコスプレをして徘徊をしているとなると・・・

性格的にも雪彦で決まりでしょうね。彼の処分を会議にかけるわ。それでいいわね、マーニー。

いや、さすがにそれは乱暴ではないかと・・・
オタク気質と言われちゃ疑われても仕方がないと思いますが。

というわけで、ハッキリさせるために調査を続行するマーニー。
今日も特殊部隊の格好で出歩く黒谷さん。
マーニーが調べた結果、色々と出てきたイタズラや軽犯罪の数々は奴がやったことに間違いないとのこと。
落書きやエロ本のバラまき、ガラスを割ったり大便が落ちてたりといった内容の・・・
あの格好でどう大便を落としたのだろうか?いや、あらかじめという手もあるが。拘る話でもないか。

装備をとったところをおさえてどちらかを確かめようと考えるマーニー。
いざという時の護身具も持ってきたし、さて尾行しますか。

気をつけて尾行をしているが、特殊部隊員は何もしない。
悪さをするというよりは、むしろ何かを探しているかのような動きをしている。
そのことに疑いを持ったとき、マーニーの口が背後から男の手で塞がれた。
なんだ!?と思った直後、マーニーの背中にスタンガンが押し当てられる。あらら。
この際、マーニーのすぐ側に警棒らしきものが浮かんでいるのが見えるがこれが護身具だったのかな?
襲ってきた人を投げ飛ばしたこともあったし、結構肉体派ですねマーニー。

ともかく、不信な覆面男に捕まったマーニー。
人気のないところに運ばれ、上着のチャックを引き下ろされ・・・待てい!!

読者の叫びではなく、本当に作中で響き渡る待ていの声。
不審者はこの声の主に心当たりがある様子。オレのジャマするな。お前なんだろ!!と呼びかける。
そんな相手にキサマに名乗る名などない!言い出すのは特殊部隊風の男。高いところから登場。

オレは正義の特殊部隊J・O・Gの自宅警備員だ!!これより女子暴行犯を征圧する!!

じ・・・自宅警備員・・・?潔い宣言だなオイ。
というか、JOGって何の略なんだろうか?JGOなら自宅をガードする男で行けたのだがな!

というわけで、争いを開始する覆面男と特殊部隊風の自宅警備員。カオスな光景だ。
そんな中で目を覚ますマーニー。大丈夫だ。チャックをあけられているけど何もされてない・・・

なんだか微妙に興奮する言葉ですよね、これ。
無事でよかったという気持ちと何か別の気持ちがないまぜになりそうな不思議な感覚だ。

それはさておき。自宅警備員の拳が覆面男の顔面にヒット。ノックアウトに成功する。
覆面男の正体は黒谷明彦。となると、自宅警備員の正体は黒谷雪彦に間違いありますまい。

マーニーはこの自宅警備員が軽犯罪をしていたのではと考えていた。
が、実際はすべてが逆であった。
闇にかくれ色々な軽犯罪を犯していたのはお兄さんの方で・・・
それを武装して追跡し・・・アナタがそれを止めたり防いだりしていた・・・

アニキは上っ面を人と合わせるのが昔から上手かった。でも内面はそのストレスでヒドくてよ。
たまに爆発しては他人に迷惑をかけて、高校になってからそれがもっと酷くなっていて・・・
今まで本物の犯罪までは行わなかったが、それも時間の問題だったな。

確かにストレス発散っぽいイタズラが多かったですもんねぇ
。 でも今回のようにマーニーを襲ったりするのは立派な犯罪ですからね
。 確かに止めなければエスカレートする可能性は充分にあったと思える。
気絶はさせたけど、それ以上は何もしてない。上着が皺になるといけないから脱がせようとしただけだ!
なんて言い訳もできるかもしれないが、通じないでしょうな。
どうせなら待てと言われても待たずに脱がし続ける甲斐性があれば。おっと、こいつはいけない。本音が漏れそうに。

ともかく、兄を止めるために徘徊していたという雪彦さんの証言はわかった。
それはともかく、何でそんな格好で?

昔はよくアニキとヒーローゴッコしたけどよ、大体オレがゾンビとか妖怪、モンスターとかやらされてたもんだ・・・
今では、オレが本物のヒーローさ!

・・・・・・へぇ・・・

これにはさすがにマーニーも生返事。
これもまた一つの正義の形ってことなんでしょうなぁ。
まあ、今回みたいに渡り合うこともあるし、武装する必要はあるといえばあるんでしょうが。
偶然目撃した人からしてみれば怖いなんてもんじゃないですよ、ヒーロー。
まあ、民間人には中々理解してもらえないってのもヒーローの辛さですよね。
という風に酔っていそうな気がしないでもないのが厄介なお人である。

暴行未遂やら自宅警備員やら色々と驚かされた回でした。
事件の予想はしやすかったが、思わぬところから予想外の弾が飛んできた感じだったぞ!!



file14「虫のしらせ」  (2012年 51号)


電話でジーチャンが倒れたことを聞かされるゆりかちゃん。これは心配な話だ。
ゆりかちゃんの家族が病院に向かい、ゆちかりゃんは学校が終わってから連絡を入れることになる。
ゆりかちゃん曰く、昔からカゼもひかない元気なジーチャンだった。
が、先週同窓会に行ってからどうも様子がおかしいとのこと。ふうむ?

病院に運ばれ検査を受けたところ、大きな異常はなく健康だったらしい。
むしろ病院なんかに運ばれるなんてと看護師に当り散らしているとのこと。迷惑なジーチャンだな。

一応病院にお見舞いに行くゆりかちゃんでありました。いい子ですな。
しかし、ここ最近救急車がよく走っているのを見かけるとのことだが・・・何か危ない話でも転がっているのか・・・?

家に帰ってみるとロイドさんが悔しそうにしている。
何事かと思ったら家族調査の依頼をキャンセルをされたらしい。
ここ数日この手の依頼が増えていたのだが、立て続けにキャンセル。これでもう三件目とのこと。
そりゃあまた嫌になる話ですな。
最初から仕事がこないならともかく、急に立て続けに依頼をキャンセルされるとは。
変なウワサでも立って評判が落ちたりしたのでしょうか?
というわけで、マーニーが調査に乗り出すことになりました。

ネットで炎上とかだったらどうしようと心配しつつ調査するマーニー。
だがネットでは逆に良識のある探偵社だと評判であった。これは嬉しい。ウヘヘヘヘ
というわけで、ロイド・インベスティゲーションには問題なしと判断。
依頼者側の問題ではないかと考えることにした。
依頼人同士の関係や依頼内容、キャンセルに至る内容を調査するマーニー。
しかしその晩は結果が出ることはなく、翌日の学校は疲れて過ごすこととなった。グッタリ。

昨日オジイサンのもとへお見舞いに行ったゆりかちゃん。
ちゃんとおみまいと書かれたおみまいを持っていっている。分かりやすいなコレ。
ジーチャンは元気であったが、すぐにこなかったゆりかちゃんに怒っていた様子。
"どうしてすぐこなかった"とか"死んでたらどうすんだ"とか。

ジーチャンは62、3歳くらいの年齢とのこと。
そしてキャンセルしてきた依頼人たちの年齢は二人とも62。関係性は・・・

ここで思考世界に没入するマーニー。ああ、こりゃ残りの授業があってもどうにもなりませんな。

考えがまとまったのか、その推理の裏を取るために動くマーニー。
キャンセルした依頼人の家に行き、アンケートをお願いする。
理由としては不快な点があれば改善していこうと思いまして、というもの。
ちゃんとアンケートにお答え頂いた相手には粗品として洗剤と調査割引券をつけてくれるサービスつきである。良心的!

このアンケートで聞き出したことにより、推理に確信が持てた様子のマーニー。
ゆりかちゃんに言わせればスッキリした顔になっているとのこと。
ふーむ。傍から見ているとわからないが、付き合いの長いゆりかちゃんには分かるのかねぇ。

2人で出かけているときにゆりかちゃんの携帯に電話がかかってきた。
相手は例のジーチャンであります。
どうやら瀕死になっている様子。家には誰もおらず、ゆりかちゃんにしか連絡がとれなかったと・・・

急いで帰宅するゆりかちゃん。マーニーも同行している。
焦りながら家に入ろうとするゆりかちゃんを制し、裏に回るマーニー。
見ると、窓辺に元気そうな姿を見せるジーチャンがいた。
タバコを吸ってイライラした様子だが死にそうな風ではない。

その姿を確認してから表から改めて入る。
と、いきなりジーチャンが倒れて苦しそうに呻き出す。
いやいやジーチャン。ネタバレしてるから。さっきそこで友達と見てたから。

というわけで、ジーチャンの仮病だったことが判明した
どうしてこんなことをしたのか。試すようなマネをしたのか説明をしてもらいたいゆりかちゃん。

東河中学一斉同窓会・・・それが原因ですよね

先週行われた、50年振りに同学年を集めた同窓会。どうやらそこでの出来事が原因らしい。
主催した人が元歌手とか元政治家とかで、自宅を開放して大ホームパーティーを行ったそうな。
だが、そこで事件が起きた。
主催の河野幽斉氏が倒れたのだ。元々持病があったらしい。
その時、幽斉氏の奥さんはちょうどお風呂に入っていた。そこに夫が倒れた知らせが入った。
その奥様は・・・すっぱだかで夫の元に駆けつけたんだって。
廻りの目なんかまったく気にせずに、ただ全力で夫の元に

高慢で太ったイヤミな奥さんで、酔っては人にからんで評判も悪かった。
ダンナとも仲がいいとは思えなかったって。
それが・・・年老いた自分の体を晒しても、すべてをおいても夫の元に駆けつけた。
皆考えたみたい。自分にこんな人が居るだろうか。自分の死の瞬間、自分を抱きしめる手はあるのだろうかって。

なるほどねぇ。
60を越えて死を意識する年齢となった時にこの光景を見せられたのでは考えもするか。
ゆりかちゃんの所は違うが、独居老人なんかは淋しくて色々とやらかしたりするらしいしねぇ。
マーニーのところに来た空依頼も同じパーティーに出た人たちである。
衝動的に家族の調査を依頼したけど思いとどまったのである。ジーチャンとは違って。

・・・まるでブタのような女だった。身も心もみにくく下品な女に見えたんだ。
でも死の瞬間、あのみにくく涙でグチャグチャな顔で送られたら、生きた甲斐があった。そう思えるだろうよ。

強烈な絵柄ゆえ思わず引いてしまいそうだが、言いたいことはわかる。
死ぬときは1人と言われてはいるが、それでも看取ってくれる相手がいるかどうかと考えると・・・なかなかに深い。
自分が大切な人の死を聞いて急いで駆けつけることができるかどうか。
逆に自分にはそんな人がいるのかどうか。考えさせられる話でありますなぁ。
だからって試すようなマネをしちゃあいけませんけどね。ジーチャンには反省していただきたい。
こういう軽挙妄動する辺り、ゆりかちゃんはジーチャン似なのかもしれないな。
まあ、ゆりかちゃんは本当に心配してたみたいだし、安心してくださいよ。ね。



file15「NTR」  (2012年 52号)


いつものように学校では居眠りしているのか、目が半分閉じた状態のマーニー。
その状態のまま宮島先生のもとにプリントを届けに行く。
が、宮島先生は何やら携帯でお話中。しかも怒っている様子で、これは怖い。
息も荒げているし、下手に腕を振り回されたりしたら巻き込まれて大変なことになる!!フーフー。

というわけで、柱の影に退避するマーニー。可愛い。
しかし、その後の宮島先生のマーニーへの「おいで」という言葉だが、なんか・・・なんか、いいね!

それはさておき。
今の電話の内容について、マーニーに話を聞いてもらおうとする宮島先生。
なんかまたメンドクサイことになりそうだなと考えているマーニーでありました。まあ、そう言うない。

曲がったことが大嫌いという宮島先生が憤慨するお話とは一体なんなのか。
どうでもいいが、この「努力、友情、勇気」という校訓はどうなのだろうか。いや、本当にどうでもいいな。

宮島先生が大学の頃に所属していたテニスサークル。
この頃の宮島先生はまだ線が細かったはずなんですよね。確か。
そのテニスサークルに所属していた部員が今回の登場人物となります。
一人は甲本晴志郎。宮島先生と同い年でちょっとオタクっぽい奴。
一人は相葉功太。宮島先生の一つ下の後輩で、典型的な雰囲気イケメン。雰囲気イケメン?

甲本はパッとしないが誠実で皆から信頼があった。
相葉は何が気に入ったのか、先輩先輩ってつきまとうようになった。甲本はまんざらでもなかった様子。
ふーむ。それはまたそこはかとないBL臭が。
って、マーニーもそういうこと考えちゃうんですね。誰の影響だ!?

相葉は何かと計算高い奴だった。甲本にとりいったのも自分を誠実に見せるための演出だと思う。

宮島先生によると、相葉さんは相当女グセが悪いらしい。
イケメンで口が回って誠実そう。とくれば女も放っておかない。
なので片っぱしからいい女を喰いまくっていたという相葉さん。ふーむ。
宮島先生は一途な人でしたから回避できたってわけですな。その一途に思った相手はああなってましたが。

さて、その話に出てきた相葉さんだが、とんでもないことをしでかした様子。
宮島先生の携帯に飛び込んできた情報。
それは、相葉さんが女を殺そうとして線路に突き落としたというもの。現場で取り押さえられて、今警察にいるそうな。

うーむ。これはなんともオオゴトになってますな。
しかし、女グセの悪い相葉さんが狙われたのではなく、逆に相葉さんが女を殺そうとしたとは?
なんだか気になってしまっている宮島先生。
マーニーは警察のツテを使い、この事件の概要を知る。どうやら突き落とされた女性は助かったみたいだ。

気になってるんでしょ?先生。日当五千円、経費は別で。マーニーにおまかせを。

というわけで、調査を開始するマーニー。
先生から大学時代のコミュニティを教えてもらいました。
相葉さんに関する情報がガンガン書き込まれており、人間関係の整理にも役立つ。これはいい。
アイコン操作をしてみると、相葉さんと関係する女性は凄い量となっている。わーお。
ならばと少し情報の確認。ニセアカを使って相葉さんについて尋ねてみる。
最低な奴、5マタをしてたという話はある。が、さびしがり屋なだけという話もある。
意外と悪い評判ばかりというわけではないみたいですな。
男の人気はないようだが、まあ妬まれるのはしょうがないですよね。
しかし、とっかえひっかえしてても女性からの評判が悪くないと言うのもどういうことなのか。憎めないタイプなのか?

コミュニティには甲本さんの姿もある。
一番の情報源になりそうな人なので慎重に接触を図るマーニー。
うまいこと信頼を得つつ情報を・・・まるで美少女ゲームの攻略だね

というわけで、直接甲本さんと会って話す機会を得たマーニー。なかなかのやり手でございます。

相葉さんのことについて・・・ちょっと・・・

何!?マーニーが色目を使っている!?
いや、別に変わった様子があるわけではないのだが・・・何故か不思議とこのコマのマーニーが可愛く見える!何故!?
美少女ゲーム攻略の気分に浸りすぎて顔もいい感じに決まっちゃったってことなんだろうか?
そういう意味では色目を使っているという表現は間違いないのかもしれない。不潔!?

それさておき。甲本さんから相葉さんの情報を聞き出すマーニー。

僕と相葉はサークルの新歓コンパで知りあったんだけど、お互いまったく逆な人間だと思ったよ。
相葉は華やかでいつも周りに人がいて、ものおじしなくって誰とでも友達になる。僕とは正反対だ。
しかしなぜか気は合った。僕はオタクな方だったから、彼には新鮮だったのか・・・
ただ、虚栄心が強いっていうのか、自分が人より下だと思うのが耐えられない。
知り合いがいい女を連れているのはゆるせない。他人の女を奪うのが上手い「寝取り屋」だ
そういう僕も・・・恋人を寝とられた一人さ

いきなり少女に対してなんてことを語り出すのだ、この人は。
今回のタイトルがNTRだったので、え?そういう話?と思ったら本当にそういう話だったよ!!
まあ、このぐらいの年頃の女子高生ならこういう話にも興味があったりするのかもしれないが・・・
個人的には聞かされても困るよって類の話でございます。

とはいえ、情報は情報。
甲本さんが最後に付き合った女性について調べるマーニー。
その調査の結果を見て異変を感じる。

アイツは結婚も近いって言ってたのに・・・こんなことになるなんてな・・・

甲本さんのそのセリフ。合わせて情報を整理し、導き出された答えは・・・相葉さんが危険というものでした。

通りがかった宮島先生と合流し、導き出した推理を説明するマーニー。
駅のホームから突き落とされた女性は無事で一時入院をしていた。
異常も無く先日退院。その後、行方不明となっている。ほう。

甲本晴志郎は以前、恋人を寝取られました。
その後、甲本は会社を辞職し放浪に出ます。
心のダメージがひどかったのか、各地を転々と・・・一年後に復職。
そして八ヶ月前。彼はスポーツジムで知り合った女性と交際を始める。
彼女は美人でジムでも目を引く存在だったと・・・

問題はその後。
甲本は比較的いい会社に入社して能力も認められていき、順調な人生・・・
一方の相葉の方は、大学時代とはウラハラに就職につまずきその後浮かばれない日々・・・
彼は人生で取り残されたと感じる。

ところが、ある女性が現れる。
彼女は資産家の娘で、彼女は相葉にベタボレし、父に紹介する。
彼は人生を立て直す。仕事を始めマジメに働き、一人の女性を愛することを誓った。
そして彼女と結婚を決めた日、偶然。相葉と甲本は再会した。

そして4人で食事。
その時、功元の彼女と始めて会った。彼女はだれもがうらやむような美人で・・・
相葉は、そこでまた悪いクセが出た。
今までの恩も忘れ、甲本への友情も忘れ、美女とともに逃げた。彼女がどういう人間かも知らずに。

彼女は非常に独善的でエゴイスト
男性への依存度も高く、以前交際中の男性から別れを告げられ、逆に男を刃物で切りつけ警察に拘束された過去があります。
相葉は二度友人の彼女を奪い、その結果彼は・・・結婚も仕事も将来も失い、そして背負うものは・・・

鐘が鳴り響く教会。
祝福されるべきその場所に現れたのは、包帯だらけの新婦と、それにズルズルと引きずられる新郎。
新郎の相葉さんは口の端から血を流していたりする。一体どれだけの目に合わされた事か・・・
新婦が満面の笑顔ってのがまた怖い。怖い。
しかし、怖い話はこれで終わりではない。

宮島「甲本の策略なのか・・・
マーニー「・・・私もその可能性はあるんじゃないかと・・・」

彼がこれを狙っていたんだとしたら・・・
相葉が彼女を当たり前のように奪っていき、そして彼女から逃げ出せなくなる。
それまでの年月、このために彼女と付き合い・・・この機会を待っていたとしたら、あまりにも・・・
あまりにもその策略は恐ろしくて恨みが深く・・・悲しいものですよね。

人間の愛憎の深さは恐ろしいものがありますなぁ。
まあ、寝取りなんてのはねぇ。寝取られたほうの恨みつらみと悲しみは耐えがたいものであるのは間違いないわけでして。
そういうのが好きという倒錯した嗜好の人もいるようですが、さすがにそれは理解しがたい。
一見誠実そうなオタクでも、こういった悲しみによる策略を企むこともあるので注意が必要であります。
まあ、今回の件は相当特殊なケースだとは思いますけどね。

復讐として地雷の女性と付き合っていたわけだが、相葉さんが成長して寝取らなかったらどうしたのだろうか?
それはそれで、友人が成長したものと喜び、女性と付き合ったままでいたのかもしれない。
依存心が強いだけなら、別れ話を持ち出さなければ・・・
と思ったが、独善的でエゴイストとか言われてるな。これは付き合うのも面倒くさそうだ。
考えてみれば、自分が別れられるのはイヤなのに、簡単に寝取られたりする女性である。
別れられるのはイヤだけど、自分から別れるのは問題ないってことか。うーん、独善的。

二度も友人を裏切った相葉さんとしては当然の報いなのかもしれない。
が、最後のフラフラした様子を見ると多少の同情もしたくなってしまって、困ったものである。
む、この感情が相葉さんは憎めないタイプと分類される原因となっているのか!?なるほどなー。

ところで、この地雷の女性。
file3で登場した亜羽さんにやけに似ている気がするのだが・・・まさか同一人物・・・?
なるほど。ロイドさんが恋愛話を避けたのはそういう面のある人物だと理解していたからだったのか・・・!!
いやまあ、同一人物と限った話ではないですけどね。
あの後、人格を持ったラブドールが動き回っているだけかもしれないですし。いや、そっちの方が怖いか!!
さらに量産されていたりなんかしたら手のつけられないことになりそうね。怖い!!



file16「商売上手」  (2012年 53号)


単行本1巻発売記念、2号連続2本立て&センターカラーの第1弾でございます。
週刊連載の1話完結型漫画でこれは凄い。

今回の1ページ目はマーニーとゆりかちゃんの体操着姿
なんてことはない姿のはずなのに、背景の効果のためか扇情的に感じなくも無い。不思議!

ゆりかちゃんによるとマーニーはやはり運動神経もよいとのこと。
伊達に襲い掛かってきた犯人を投げ飛ばしたりしてないってことですね。
自転車に乗ってる姿も頻繁に見かけますし。キコキコ。

学校ではスポーツ大会が催されている。
学園物としては一大イベントなのだが、この作品においては事件の背景ぐらいの扱いである。
今回主眼となるのは、大会で写真を取り捲っているニュースサイトの面々。
THE HIGH SCHOOL NEWS SITE 略してT・H・N・S。
まるで高校全体のニュースサイトのような名前だが、学校ホームページ規模の活動である。
元々は弱小の新聞部だったがデジタル化に成功し、今じゃ学校内のちょっとした権力になりつつあるとのこと。
メディアは流通すると権力を持ちやすくていかんですなぁ。情報は武器となりうるから怖い。

ちなみにゆりかちゃんは前に入ろうと思ったことがあるが落とされたという。
まあ、ゆりかちゃん。情報の仕入れは早いけど、流出も早いからなぁ。機密保持とかの観念は薄そうな気がする。

ちなみにホームページにはちょっとした有名人のリンクがはってある。
それで学校側を牽制して報道の自由を守っているそうな。ふうむ、政治的ですなぁ。学生のうちから疲れることを。

さて、スポーツ大会はつつがなく終了。
後日、その大会の時の写真ができあがっている。が、これがオークションで売りに出されているというから大変だ。

しかも私よりマーニーの方が高くなってんだよ!?どういうこと!?

そこが論点なんですか、ゆりかちゃん?
でも、ゆりかちゃんは1850円でベット中。マーニーは2000円で落札だし、まだ値が上がる可能性はあるじゃないですか。
なんて言ってみたら自分で値上げを行いかねない気もするな。

要は生徒の写真がオークション形式で裏サイトで売買されているわけですね。
人気の順に値段が高くなっている。ランキングで順位付けもされている様子ですね。これは色々と係争の元になりそうだ。
那智先輩は結構な人気の様子。この作品では珍しくまともな方の人ですしねぇ。立花さんって誰だっけか。
女子の人気はなんだかエロっぽいポーズが多いとのこと。しょうがない話なのかね。
だが、その中に色々と問題のありそうな写真が映っていた。

このケツは白鳥さん。スゴイ高額になってるけど・・・

いくらぐらいになってるんでしょうか。というか、どういうハプニングでこうなったのだ?
というかマーニー。ケツ言うな。まさに半ケツ状態ではありますけどもさ。
そしてこのタイミングでかかってくる白鳥さんからマーニーへの電話。用件が読めるなあ。

もはや意味の付かない勢いで電話越しにまくし立てる白鳥さん。
まあ、意味がわからなくても用件は大体分かります。
というわけで、マーニーにおまかせを、マーニーにおまかせをと引き受けることとなったのでありました。やれやれ。

調査するのはいいが、基本的にノープランの状態。
だけどまあ、ニュースサイトが犯人でしょと決め付けて直接乗り込むことにするマーニー。大胆な話だ。

ニュースサイトの部長はメガネの男子生徒、名前を露島十五さんと言う。15歳じゃないよね、もう。
それはさておき、オークションで売っているんでしょ?と問いただすマーニー。
しかし、露島さん曰く。カメラも画像も学校側が管理し、そんな二次利用は認められていないとのこと。
確かに部で撮った写真にはロゴが打ち付けられており、オークションに流れている方にはついていない。
マーニーがPCを確認し、撮影したものの中に販売されたものがあるか確認してみるが見当たらない様子。ふうむ。

ここで他のニュースサイトの部員の氏名があきらかになる。部長以外に男子3名、女子2名。
真下正輝 ・宮台陸也 ・森総一郎
吉沢美恵 ・高橋由貴菜

部長の露島さんに後ろめたい部分はなさそうだし、犯人はこの5人のうちの誰かに絞られそうな感じです。

改めて裏サイトを確認するマーニー。すると新商品が提示されていた。
ほう、写真だけではなくコメント付きの壁紙が・・・

お前のことを考えるだけで体があるくなるんだ

汗をかいたので着替えようとしている那智さんでございましょうか。
なるほど。コメントを付けると色々と楽しい場面になりそうな気がしますね。っておい。
いいキャラしてるな、那智さん。

商品の二次利用がひどくなっていっている。けっこうヤバい状況だ。
写真を利用して大きく設けるとした場合、今の時期に盛り上がるのはソーシャル形のカードバトルが鉄板か。
というわけで、本当にカードゲームバトル化しているという。だれがプログラムしているんだ?
というか、生徒によってちゃんと能力が違っている辺りマメというかなんというか。
ちなみにマーニーの能力はこんな感じ。

常に寝てるかダラダラしてる。たまに動くが長続きしない
一般生徒より弱いが一部の上位キャラにはクリティカルなダメージを与えることができる

的を射てるんだかどうなんだか。探偵としての側面を理解してないとこんな風に映るのかもしれませんな。
確かに寝てたりダラダラしてたりするのに白鳥さんや宮島先生と懇意にしているようにも見えますものね。

依頼を受けたわけでもないのなら面白がって傍観しててもよかったのかもしれないが・・・
さすがにそろそろ解決しないといけない感じになってきましたね。白鳥さんもせっついてくるでしょうし。

さて、考えがまとまったのか解決に向けて動き出すマーニー。
まず露島さんにニュースサイトはお金に困っているかどうかを確認する。
仕事は増える一方で収入もないし大変とのこと。
というのも権威を得るために各方面に繋がりを作っているが、そこから援助があるわけでもないし部費が上がるわけでもない。
大体露島さんの自腹で持ってて、内情はカツカツとのこと。ふうむ。
そういう辺りは健全なんですなぁ。学生らしく大変結構な話である。

マーニーが言うには、犯人はその露島さんの苦労を見て助けたいと思ってる人物とのこと。
なので撮影の五人を呼び出してもらうこととする。
ついでに何やら取り出して露島さんにお願いしたいことがあると言い出すマーニー。その手にしているものはもしや・・・?

撮影班の五人がやってきました。マーニーは監視カメラ越しにその様子を確認。
捜査に協力的な姿勢の露島さん。五人に裏サイトを知っているかと尋ねる。
まあ、これでいきなりボロを出すほどうかつな犯人ではないでしょうな。
表情に動きが無いのを確認し、マーニーは用意していた作戦を開始する。

マーニーによれば、撮影班にはカメラを2台持っていた人がいるとのこと。
公式とプライベートを使い分けて、人の倍撮りまくったわけである。
だから公式の写真と販売用とで似たアングルになる。カモフラージュはしてたろうが、さすがに数があれば分かりますわな。
犯行の方法はこれで明らかになった。後はその人物の特定である。
動機も想像がつくので、あるデータを露島さん経由で見てもらえば特定できるはず。
というわけで、そのあるデータが露島さんの携帯に届く。なんだコレは・・・

お前の気持ちは痛いほどわかってるんだぜ。オレに隠れてコソコソなにやってる。キツイおしおきが必要なようだな!

新商品としてコメント付きで設定されている壁紙。
その写真はブーメランな水着を穿いた露島さんの扇情的な姿でありました。なんだこれ!オエエエエ。
これを見せられた部員の反応は様々。
噴出したり、呆れたり、爆笑したり、吐いたり。いやさすがに吐くのは反応しすぎだろう。オエエエエエエエ。
そんな反応の中、一人思ってもいなかった、そんなまさかという表情を見せる子がいた。
女子部員の吉沢美恵さんである。

学校の相当の人数が商売に利用されたが、一枚も上がらなかった人がいる。それが露島さんだ。
マーニーが言うには、吉沢さんは他人を食いものにするのになんの躊躇もなかった。
しかし、そんな彼女が商品化を進める上で露島さんだけは手が出せなかったという。
露島さんが商品として他人の手に渡るのが許せなかったわけなんですな・・・うーむ、複雑な乙女心ってヤツか?

さて、マーニーの指示に従い吉沢さん以外は部屋から出てもらうことになる。
そして吉沢さんの側に立つ露島さん。

吉沢・・・お前の気持ちはうれしいが、今やってることは良くないことだ。俺のためにもヤメるんだ。

そのように述べると、泣き出してしまう吉沢さん。焦る露島さん。ど、どうすればいいの?
なのでマーニー。そこでためらわず、やさしく抱き寄せてとアドバイス。
なんのかのと吉沢さんの恋の後押しをしてあげるのでありました。なにやってるんだろうか。

一応これで彼女も手を引いてくれるんだろうけど・・・
まったく・・・やってられないよな〜実際・・・

いやまったく。やってられませんわなぁ。
というか、露島さんの気持ち的にはどうなんですかね?気持ちはうれしいが、は本心なんでしょうけども・・・
まあ、その後のことは本人たちの意思でどうかよろしくってことになるんですかね?
困った露島さんが将来マーニーに相談に来るのかもしれないが、それはそれってことで。
にしても、マーニー。どんな気持ちで露島さんの写真を撮ってコメント付きの画像にしたのだろうか。
その時の表情とかも見てみたいと思えるな・・・
ついでに、ノリノリで写真撮られたくせに、なんだコレはととぼける露島さんもイカしている。面白いやっちゃ!!

それはそれとして、白鳥さんにはどう報告したんでしょうね、マーニー。

てな感じでカオスな一本目は終了。続いて二本目の話に移ります。



file17「天」  (2012年 53号)


マーニーの愛猫エリオット。
ゴハンの選り好みだけではなく、最近は猫砂にまでうるさくなった模様。
うーむ。猫の言いなりになってますなぁマーニー。結構尽くすタイプ?

猫砂を買い込み、荷台にくくりつけるマーニー。しかしここで悲劇が。
どうやら自転車のタイヤがパンクしている様子。一体何故!?
疑問に思ってもしているものはしょうがない。押して歩くこととなりました。ルールルルルル。

その途中、マーニーの横に並ぶのは、マーニーと同じ学校の制服を着た少女。
高そうなチャリに乗った表情の固い少女でございます。可愛いですけどね。

その少女が走り去ってからしばらくのこと。
マーニーの横に車が寄せられる。そして大変そうなので家まで送ろうと運転している老紳士は述べてくる。
さすがにそれはちょっとと答えるマーニー。
しかし、これを頼んだのは後ろの座席に座っていた先ほどの少女でありました。
ははぁ、老紳士はこの少女の大伯父なんですな。老紳士から見れば少女は大姪に当たるわけだ。

少女の名前は舞城天さん。マーニーと同じ学校の1年D組の生徒とのこと。
お礼にお茶でもと誘うが、なんとなく会話が続かない。無口な少女でございますな。
ただその無口さが動物に好かれるのか、エリオットは舞城さんに懐いている様子。
それを見てなんだかすごくイラっとするマーニーでありました。ハハハ。

さて。マーニーは舞城さんに本題を切り出す。
自分が探偵をやっていることは知ってるはずだし、何か相談したいことがあるんではないか?という流れだ。

確かに舞城さんには相談したいことがあった。それは大伯父のこと。
90過ぎになるが元気でお金持ち、世界中を旅しているお爺ちゃん。
最近はウチに滞在しているが家族は歓迎し皆喜んでいる。
そんな人気者のお爺ちゃんだが、たまにすごく辛そうな顔をすることがあるらしい。

大伯父はやさしくて、いつもニコニコしてる、私の大切な人。
それが昨日泣いてるのを見てしまった。
まだある。最近、私の家の近くで不審な人を見かける。私にはよくわからないけど、なにか胸騒ぎがする。
なんて言えばいいかわからない。他に相談できる人がいない。力を貸して欲しい。お願い・・・

真剣な様子の舞城さん。これは断りづらい。
が、内容はあまりにも曖昧なので安易に引き受けるのも怖い。悩ましいところだ。

情報を仕入れるために、ロイドさんに聞いてみると、どうやら話したことがあるらしい。
舞城さんのお爺ちゃんは元々ドイツの人だったらしいが、日本語もウマイ。
なるほど。世界中を旅しているだけのことはあるってわけですな。
スナックで知り合って気が合って、ドイツの歌なんかを聞かせてもらったそうな。
ほーう。そうかぁ。ロイドさんもそういう店に行ったりするんですなぁ。安いとかそういう問題ではなく!

その話を聞いた後、舞城さんの家を訪れるマーニー。
外から見ただけでもその大きさである程度わかる。お金持ちなんだにゃあ。と。マーニーのネコ言葉いいっすね。

例えば・・・舞城さんの家を監視するとしたら・・・私だったら・・・
電柱の変圧器にカメラを・・・

想定で調べてみたら、本当にカメラが存在しててギクっとなるマーニー。
ならば、次に監視対象の行動に対応できるよう、目立たない場所に拠点作りを・・・
と動いてみたら本当にそれらしき黒塗り窓の大型車を発見してやはりギクッなる。
うーむ。これは怖い
舞城さんのいう、不審な人というのは確実に存在する流れでございますな。
というか、それに気付いたマーニー。下手に察知されると危険なことになるのではなかろうか・・・さすがにヤバイ。

舞城さんの家から出てきたお爺さんと出会うマーニー。
話しながら歩き、舞城さんから相談を受けたことについても話す。
それを聞いたお爺さん。途中でバラを1本購入し、見晴らしのいい場所に移動する。

あせることはない。君はいずれ真実に辿りつく・・・
しかしそれは天にとって良いものではない。知る必要のないものだ。
約束してくれ。君が判断して、天のためにならないと思ったら、彼女には秘密に・・・

お爺さんのこの言葉を了承するマーニー。
それを聞き思い残すことはない。安心したよと言い出すお爺さん。
高台の上で吹いた風に、バラの花を乗せて解き放つ。なんとも意味深な行為ですな・・・

さて、その後の話。
舞城さんによると、お爺さんはいなくなったらしい。
書き置きがあって、また旅に出ることにしたそうな。
だが舞城さんはイヤな予感がするらしい。もう会えないんじゃないかという予感がするそうな。
その予感は正しい。カンのいい子である。
しかし、マーニーは簡単には真実を告げれそうにはない様子であります。

その日、ネットで小さな外国記事を見つけたマーニー。
内容は旧ナチスの青年将校がモサドによって確保されたというもの。
戦争犯罪人として70年逃げ続け、ついに公海上で本人と断定。本国に移送されたとのこと。
彼は過去血のユルゲと言われ、年の若さにもかかわらず恐れられていた。
彼に殺されたユダヤ人は数百、数千と言われ、未だに恨みは深く捜索が続いていたらしい。

逃亡先で被疑者を彼と決定づけたものは一本のバラ
彼は若くして亡くした妻を忘れず、その命日は必ず一本のバラを供えたという。

その命日がマーニーとお爺さんが約束したあの日だったとのことだが・・・なんともはや。
あの日の行動が特定される切欠となってしまったということなのか。
でも、お爺さんももう逃げ切れないという思いがあったのかもしれませんなぁ。
妙に切ない感じのするお話でありました。

ナチスやユダヤのことについて思うところは色々とあるが、ここでは割愛。
ってそこを割愛すると大きく語る部分がなくなってしまうことに気付いてなんともですにゃあ。
ともかく、フリーダムな一本目と比べ、しんみりとした読後感があった2本目でありました。
これが見事な2本立て構成って奴なんですかね。
次号の2本立て構成も楽しみである!!



file18「マジシャン」  (2013年 1号)


単行本発売記念2号連続2本立てセンターカラーの第2弾。

奇術師は謎を披露し、探偵は謎解きを披露する

このようにマジシャンと探偵という対比は色んな探偵モノで扱われていますね。
怪盗なんかも手品のような技を使う人が多いし、定番と言ってもいい相手である。
というわけで、今回はマジシャンの依頼人。
クラスメイトのマキちゃんが賭けに勝ったらタダで依頼受けてくれる?と申し出てくる。
その申し出に安請け合いをするマーニー。いいのか?

ここに三枚のカードがあります。
一枚は両面ハートのA。一枚は両面スペードのA。一枚はスペードとハートが片面ずつ。
その中から一枚を出す。置かれたのはハートのA。
さて、この置かれたカードの裏はハートかスペードか?どちらに賭ける?

ハートが出たということは両面スペードはない。残る確率は1/2。
そして、どちらに賭ける?と宣言した時、マキちゃんの手にあるカードは裏面がハートに見えた
となると消去法で場に置かれているのは裏面がスペードのカードということになる。

と推測してみたが、場に置かれたのは両面ハートのカード。アレ!?
てな感じでケムに巻かれたような表情をするマーニー。
結局タダで依頼の話を受けることになりました。
まあ、クラスメイト相手からは簡単にお金を受け取ったりはしないと思いますけどね。変な内容じゃなければ。

マキちゃんの依頼は人探し。
探して欲しい人物の名前はマックス鞠野
スタンドアップマジックの使い手として八十年代に活躍した人で、今生きていれば60代。
スタンドアップマジックとは基本、少人数の前で行うあまり大がかりではないけど高度な技術が必要なマジック。
バブルに乗ってマジックがショーアップされ、大掛かりで複雑になるなか、彼は変わらなかった。
目の前の人間に最大限のサービスを提供する。それが彼のマジシャンとしての哲学だったという。ふうむ。

依頼を受けたマーニー。刑事の毛利さんに車を出してもらう。
久しぶりですね毛利刑事。でも出番はこれで終わりです。残念でしたね。

MAGIC CAFEというカフェに常駐している様子のマックス鞠野さん。
店内で居眠りするような年かと思えば、開いた眼光はなかなかに鋭く油断はできないことが窺える。
鞠野さんに対し、会いたい人がいるのでご一緒してもらえないか窺うマーニー。
その質問には答えず、コインを指で弾いてテーブル上で回転させる鞠野さん。
さらにマーニーの帽子を取り、回転しているコインの上に被せる。

一つ賭けをしませんか。中のコインは表か裏か。当たったらお話を聞きましょう。

マジシャンってのは面倒くさい連中ですよね。話を聞くにしてもいちいち賭け事に持って行こうとしてくる。
マーニーとしてもいい加減カチーンと来ている様子。

どうせどっちでもないんだろ!こっちは似たような手でハメられたばっかなんだ!だからワザワザこんなとこまで来たんだぞ!

キレた様子のマーニーだが、なかなかいい答えを言っている。
この問題、普通に考えたら1/2。で、当たらなかったとしてもそれは何のマジックにもなっていない。
ならば、そのどちらでもないという答えが唯一の正解となるのは間違いない。
まさか帽子を取らなければコインがどっちかはわからないというシュレーディンガーの猫みたいな話じゃあるまいし。
てなこと考えてたら、本当に帽子の下から猫がコインくわえて出てきました。うわ!!?

まあ、どっちでもないというのは間違いないわけですし、賭けはマーニーの勝利である。
鞠野さんを連れてマーニーはマキちゃんの所へ向かうのでありました。
どうでもいいが、このカフェは名前のとおりマジシャンが集まるカフェなんだろうか?

さて、マキちゃんに呼ばれてやってきたのは病院。
マキちゃんこと真希田さんには姉がおり、どうやら入院している様子。
駆け出しのマジシャンだったお姉さんは体を悪くしてしまったそうな。ふうむ。

子供の頃は姉妹マジシャンでTVとかも出てたんだけど・・・

ニャアニャアいいながらマジシャンの格好をしている真希田姉妹。何これ可愛い。
姉が体調を崩さなければ、今でも活動していた可能性があるのか。惜しいな。

お姉さんは鞠野さんに、もしよろしければ何か見せてもらえないでしょうか?とお願いする。
が、鞠野さん。今はカンベンしてくださいと返答。
そのかわりまたお見舞いに来ます。それまで少しでも元気になってください、とのこと。

それから一ヶ月経過。
鞠野さんはたまに来てくれているが、姉の様子は悪くなっている。
どうやら腹膜のガンらしく、どんどん痩せていっているらしい。
医者が言うには生きる気力がないとのこと。むむむ。
姉妹マジシャンだったころの思い出とかヌイグルミとか家から色々持って来てはいるのだが・・・
姉の容態を語り、泣きそうになるマキちゃん。切ない。
マーニーは何とかしてお姉さんが元気になるよう力をつくすと約束するのでありました。

というわけで、マックス鞠野さんに協力をお願いするマーニー。
彼女を元気づけるためにマジックをしてあげられませんか、と。しかし鞠野さんは難しい表情。

話してわかったが彼女もプロのマジシャンだ。彼女のためにもハンパなものは見せられない。
せめてハービーが居てくれれば。しかし・・・

ハービー?何でございましょうか。少なくとも鳥人間ではなさそうだな。それはハーピーだし。
それはさておき、お姉さんの病室を訪れる鞠野さん。
お姉さんは鞠野さんに初めて観たマジックはすばらしかったと語る。
シンプルなものばかりなのに、なぜあんなに不思議に見えたのか・・・

マックスさんは覚えてないでしょうが、一度だけショーでお会いしたんですよ。
この人形はその時もらったんです。懐かしくって・・・

と人形を抱えて語る姉に対し、鞠野さん。アナタの病気が治るかどうか賭けをしましょうかと言い出す。おぉ!?

シャッフルしたカードのうちの1枚をお姉さんに引かせる鞠野さん。
引いたカードはハートのA。それがアナタの命ですのでサインしておいてくださいと告げる。
それを受け取った鞠野さん。その手からハートのAのカードが消え去ってしまう。大事なものなのに見失ってしまった・・・

しかしね。アナタはもう持っているんだ。それに気付いていない。
私なら気が付くほうに賭けますね。それでは。

それだけ告げて病室を後にする鞠野さんでありました。むむむ?
残されたお姉さんとマーニーは謎掛けのような言葉に頭を悩ませる。
そこにマキちゃんが登場。ハービー見せてたんだ。懐かしいよね。と口にする。
ほう、この人形が話題のハービーでありましたか。ん。ということは・・・?
もしやと思い至ったマーニー。ハービーの首をバリッともいで中身を調べる。だ、大胆だな・・・
しかしその大胆な行動が功を奏した。
確かに、中からはハートのAのカードが出てきました。もちろん真希田流というサイン付きで。
触ってもいなかった人形にどうやってカードを入れたのか?盛大に驚くお姉さん。
これについてはマーニーが推測をしてくれます。

仕込んでいたんだ!!二度と会うかわからない子供達に、それが使われるかどうかもわからないのに・・・
彼のマジックはそれがすべてなんだ。トリックの効果が最大限になるのをただひたすら待つ。
きっと私の帽子から猫を出した時もそうで・・・
そして十数年たった今、それが一つ完成した。彼の技術と色々な偶然と長い時間・・・
全てが合わさり、まるで本当の奇跡のように・・・!!

長い時間を経たこともあり、それは本当に奇跡のように思える。
お姉さんは鞠野さんが人形を渡したことなんて覚えてないでしょうね?と言っていた。
だが忘れているはずも無い。なんせ自分がいつか使うことになるかもしれないマジックのタネの1つなのだから。
こういったプロ根性が見事に発芽した。これも奇跡の一つと言えなくはないのかもしれませんな・・・

それはそうと、鞠野さんのカードの話は分かった。
が、猫の話もそうで・・・というのはどういう意味だろうか?
これは最大限になるまで待つというのとはまた違う気がするのだが・・・?
それと、冒頭のマキちゃんのカードについては特にネタ晴らしとかないんですな。
マーニーに見せたカードは手技で裏と思わせて表面を見せていたとかそういうことなのだろうか?
まあ、その辺りは推測に任せるということなんでしょう。たぶん。



名探偵マーニー 3巻


file19「プライド」  (2013年 1号)


慣れない高級店でぎこちなさそうにしているマーニー。
丸テーブルを挟んだ向かい側に座っているのは白鳥さんであります。
どうやら本日はお招きに預かりましてっていう感じでありますかな。

高そうな店ですねというマーニーにたいしたことはないと返す白鳥さん。
ケーキセット2ツを無造作に頼むが、ケーキセットはひとつ\3500となっており・・・こりゃマーニーならずとも吹くわ。

レベルの違いを感じるマーニー。でも味の違いはハッキリ言って全然わからない。
でもここは女のプライドとしてわかったフリをしなければとか考えてしまう。
うーむ。ムダに見栄っ張りだったりするところとか、可愛いですよマーニー。

ケーキセットを頂いている所に白鳥さんの知り合いと思しき男性が近づいてくる。
男性の名前は玄武紘希さん。白鳥さんのイトコらしいで鏡鳴大学の二年生。白鳥さんとは幼馴染みの関係らしい。へぇ。
そうなるとこの玄武さんも金持ちなんでございましょうな。間違いなく。

鏡鳴大学は完全全寮制の私立大学。レベルも高いが基本的に良家か高所得、コネクションなどが優先される大学である。
格差社会の象徴のような大学だが、セレブにはセレブの悩みもある。
誘拐や犯罪関係。キレイゴトじゃ済まないこともあるとのこと。ふうむ。

そうですね――わかりますわかります

本当に分かっているのかマーニー?まあ、そう答えるしかないとは思いますけどもさ。
それはさておき、なんでそんな説明をしてくれたのかといいますと、もちろん依頼の話に持ち込むためでございまして。

最近僕の彼女の様子が変でね〜〜・・・

ため息をついてそんなことを言い出す玄武さん。まあ、そんなところだろうと思いましたよ。
ようするに依頼したいことがあるということで白鳥さんに誘われたって話なんですね。
でも玄武さんと白鳥さんが付き合っているってわけではなさそうで不思議と安心した。不思議と。

セレブな人間の調査以来に対し、私は半分アマチュアのようなものですしと躊躇いを見せるマーニー。
他にも調査会社は色々ある。が、素性の知れない会社は逆に危険だと白鳥さん。
セレブたちの弱みを握って金にしようとしたりする可能性が考えられるからだ。

だからある会社なんかは信用できる人間を探偵に育てる。その方が簡単だし安上がりなのよ
セレブもそういう人間を一人二人持ってるものよ。

へぇ。なるほどねぇ。子飼いって奴でございますね。
あれ?そうなるとマーニーは白鳥さんの子飼いにされようとしているって話なんですか?
まあ、セレブの白鳥さんからしてみれば1日五千円の調査料なんて安いものでしょうしねぇ。
信用できる人と思ってもらえているということで喜ぶべきなのかどうなのか。複雑な所だ。
逆に考えれば将来は安定という気もしなくはないところだが・・・

鏡鳴大学にやってくるマーニー。
白鳥さんは顔バレしているのでキャンパス内をウロウロすることはできないので引き返す。
ここから先は玄武さんとマーニーの2人で移動することになりました。

彼女が僕の彼女、宝蔵院はるか

ほう。キレイな人ですな。というか、いかにも金持ちそうな苗字ですな。宝の蔵っすか。
そんなセレブな彼女のはるかさんだが、最近玄武さんに冷たくなったように感じられるらしい。
パーティーも来なくなったし、スマホ見てタメイキをついたりしている。
前はよく二人でパーティーに行った。
彼女はパーティーでは一際輝いて、皆の注目を浴びるパーティークイーンだったとのこと。
ふうむ。パーティークイーンという呼び名はいかがなものかと思うが、そこにツッコむのは野暮なんでしょうな。

今夜我がアルファクラブのパーティーがある。君も来てくれ。
もちろん彼女も誘う。半年ぶりの大きなパーティーだから彼女も断れないだろう。
そこで彼女の様子を監視してくれ。男がいないかとか。

ふむ。そういう話になりましたか。
セレブの集まる上流階級のパーティーに参加とか・・・息の詰まりそうな展開ですな。
でもドレスを着たマーニーが見れるとは思いませんでした。これは似合ってる。素晴らしい。

白鳥さんからレンタルしたドレスを着て玄武さんのイトコという扱いでパーティーに紛れ込むマーニー。
とりあえず壁の花にでもなって、調査相手であるはるかさんの様子を見ることにしましょう。
でも、初々しい様子を見せるマーニーを観て誘わない男性が皆無ってことはありません。
え?踊りながらディープな口付けを交わすようなところに赴けと?それはさすがにちょっと。本当は高校生ですし!
てな感じで嫌がっていると、間に割って入ってくれる女性がいました。
おやこれは、調査相手であるはるかさんじゃありませんか。これは好都合!!

ベランダに出て女子2人でお話をするマーニーとはるかさん。
玄武さんのイトコで社会見学で参加しているという設定を口にするマーニー。
はるかさんはそれを聞き、質の悪いのも居るから気をつけてねと忠告をしてくれる。

皆セレブぶっていても・・・中身まで高級な人間てわけじゃ・・・

なんだか深みのあるお言葉ですねぇ。
そんなはるかさんに飲み物を取ってきてあげるマーニー。
はるかさんはアルコールの無いものをお願いしています。ふむ。
飲み物を渡すと、その右腕にチカチカと光る腕輪が装着されていることに気付く。珍しいブレスレットですね。

ああこれ?バイタルブレスっていってね、健康管理具で血圧、血行を測って常時記録してるの。

へぇ。この小型なブレスレットでそんなことができるのか。便利なものっスね。
しかしはるかさん、体でも悪いのか?お酒も飲まず、こんなものを身につけているなんて・・・

・・・頭は悪いかもね。私も・・・、・・・も

何か気になる発言でありますね。右手の人差し指の指輪というのも何やら気になる要素だ。はてさて。

翌日。はるかさんの実家で調べたいことがあるというマーニー。玄武さんの車で案内されます。
はるかさんの実家ではお母さんが出迎えてくれます。
実家はさすがにセレブらしく広々としているが、中々に片付いていて品のいい様子。
にもかかわらず、お酒の匂いがただよったりしているアンバランスさが気になる。

母親は特に飲む方ではない。むしろはるかさんの方が底なしといえるぐらい飲めたそうな。ふむ?
逆に母親は健康志向なのか、家で育てたドクダミのハーブティーなどを勧めてくれる。

人間は質素な生活が一番なんですよ。自然の一部として人間が必要なものなんて・・・

そのように語る母親の腕にははるかさんと同じバイタルブレスが装着されている。むむむ?

会話の途中、口を押さえて離席する母親。
どうしたんだろう?と疑問に思う玄武さんに、吐きに行ったんでしょうねと答えるマーニー。え?

ひっきりなしに酒を飲んでるみたいです。体も大分キツイでしょう。
お母さんは飲み慣れない酒をこの数週間飲み続けてるみたいです。
はるかさんの人差し指にプロミスリングがありました。お母さん指にです。
一方お母さんは小指におそろいのプロミスリングが・・・
二人は約束したんだと思います。"お互いの生活を交換すること"を

なんと・・・!?なんでまたそんなことを・・・?

パーティークイーンなんて言われて浮かれてる娘と、ナチュラルを好みごく質素な生活を尊ぶ母親。
いずれ決定的にぶつかるのは解りきったことで・・・
そして二人はバイタルブレスを付け、お互いのスマホでお互いの体調と行動を監視する
はるかさんは酒とパーティーを断ち、味気ない自然食品だけを食べ、早寝早起き。若いはるかさんにはさぞ苦痛でしょう。
一方お母さんは酒びたりで、夜はバーを廻り美味しいものを食べ遊びまくり・・・健康志向の人には自殺行為のような生活。

二人とも自分の生活の方が正しいって疑いもしない。
相手がそれを認めるまでゆずれない。プライドの対決のようですよ?

そいつはまた・・・決着がつくまで長引きそうな戦いでございますねぇ。
順当に行けば母親が体を壊して決着ということになりそうだが・・・はるかさんが精神的にまいる可能性もあるか。
心配していた他の男との交友関係は発覚しなかったものの、非常に微妙な調査結果が出てきました。
この結果を突きつけられた玄武さんはどういう気持ちでいるのだろうか・・・
変な人が多いマーニー世界の住民は大変ですな、本当に!!



file20「ラクガキ」  (2013年 2+3号)


家の塀らしきところに大きくラクガキがされている。
少女と犬が連れ立っている絵・・・なに、ヘレンさん!?いや、ちょっと違うな。
どうやらこういったラクガキがいくつも各地でされているらしく、発見されただけでも十五件に上るそうな。

というわけで、町長さんに犯人探しを依頼されるロイドさん。
今町ではクリーン化作戦を実施しているところで、その時にこんな事をされちゃうとねぇって話だ。
犯人を探し出し、注意するのが今回のお仕事。
いつも通り日給一万と経費は別でということで受けようとするが・・・

ロイドさん。アナタずいぶん町会費を払ってませんよね。町会の持ち廻りにも参加しないし・・・
私どももアナタに協力して欲しいんですよ。より良い町づくりにね。ロイドさん。
アナタの得意な分野で・・・それが助け合いというものじゃないですか・・・

てな風に丸め込まれて強引にタダ働きにさせられてしまうのでありました。
本来なら町会費は任意ですし、町内の催し物に参加してるのでもないなら払う義務もない。
のだが、こういう言われ方をされてしまうとなかなか弱い。
どこの町も財政が厳しいのはわかりますしねぇ。セコイといえばセコイが仕方ない部分もある。

ともかく、依頼を受けて動き出すロイドさんとマーニー。
町を歩けば確かにラクガキが目撃されたりする。
壁に書かれたラクガキは人間と同じサイズ。目には留まり易くジャマに思えるのは仕方ない。
上手いというかグニャグニャというか、絵心があるのか微妙な感じのラクガキ。
とりあえず行動範囲の割り出しから犯人を導き出そうとします。
高校、大学、専門学校がある。怪しいとすればココかとロイドさん。
グラフティアートというラクガキをするアートというのもあるらしいですからねえ。怪しくはありますな。

マーニー「パパ、アートとかくわしいの?」
ロイド「昔、美大を受けようとしたことがあってな
マーニー「へえ〜いっが・・・い、じゃないよ」

なんだマーニーその反応。別に意外と言っても問題はないと思うのだが?
実はロイドさん物凄く美術センスに欠けた人だったとか?刺激しないように気をつけての反応なのかもしれない。

ここで別々に行動し調査に入る2人。
ラクガキはみんな別々のものでプリントや既製品ではないとのこと。
そして町長さんはなんだか怪しげなことを言い出す。
もしかしてこれは何かの暗号なんかじゃないかと思う、と。
暗号を持った者が仲間にターゲットを知らせるタメに・・・という妄想だ。ハァ。町長もなかなか好きですね、そういう話。

町長「くれぐれも頼むよ。この町の安全は君たちにかかっているんだ」
マーニー「(だったらちゃんとお金払ってよ)マーニーにおまかせを」

なんとも世知辛いやり取りである。言葉だけを見るならヒーローものっぽいが括弧内で台無しだ。

さて、ロイドさんはデザイン専門学校で聞き込み。
このラクガキはウチの学生じゃないんじゃないかなと講師の弁。
というのも、これだとただ描いただけで表現としてのアピール性がないからということ。
見た人間にインパクトを与えるのがストリートアートだとしたら、これはあまりに素朴すぎるという話だそうな。ふうむ。
しかし、ここで有力な情報が飛び出してくる。

あ、それ・・・「森の中のコーリ」のキャラじゃないですか。古いアニメですが・・・

ほう。アニメのキャラでございましたか。
他のラクガキも見てもらったが、全部同監督の作品キャラクターであることが判明する
ちなみにその監督は既に引退。プライバシー保護のため家はわからないとのことだ。

むかーし見たよねえ、この映画。
町が戦争に巻き込まれて、人喰い怪物のコーリが戦災にあった人にコッソリ食べ物をあげるようになる。
それが見つかってコーリは町の人間に追われるんだ。食べ物をよこせって・・・そして・・・

なんとも物悲しいというか、悲哀を感じそうなアニメですな。
子供の情操教育的にはよいものなのかもしれない。
見せておけばマーニーのような子に育つ可能性も多少はあるということか・・・!!

それはさておき。とにもかくにもラクガキをしている当人を探し出そうということになった。
こういうとき、頼りになる人物がマーニーの知り合いに存在する。
兄との戦いで犯罪者探しのカンが鋭い人物。
そう、特殊部隊JOGとして戦う男、黒谷雪彦さんだ!!ゲェ!?自宅警備員再び!!
相変わらずその目立つ格好で動き回ってるんですか雪彦さん。

雪彦さんが怪しい動きをする人物を発見する。さすが!!
そして尾行を開始する2人。雪彦さんは尾行は得意だというが、本当かね?
目撃されたら一目散に逃げ出されそうな格好をしておりますのに。
まあ、目撃されるようなヘマはしないってことなんでしょうな。たぶん。
というか、対象よりも他の人間に見つかったら通報される格好だよな。

それはさておき、追跡開始。
ある程度追ったところで尾行の対象が何やら争っている姿が見える。
おっと、ラクガキの現場のようですな。
どうやら尾行の対象はラクガキしているこの老人を止めようとしていた様子。それでキョロキョロしてたのね。
ラクガキ犯は老人だった。こんな夜中にラクガキとは。深夜徘徊老人ですかね。身内は大変ですな。

あれ・・・アニメ監督の阿刀孟ですよ

なんと。監督当人でございましたか!!すると、このコーリの監督だったりするのか・・・?
ラクガキの現場から引き離した男。この人は阿刀監督の長年のパートナーである瀬尾俊幸さんでございます。
製作、脚本、マネージメントを行っていた人物だそうな。
なるほど。これは身内といっても差し支えのない人物ではありますな。

というわけで、話を伺うために2人の前に出てくるマーニー。

あ、スイマセン。コチラの人は気にしないで。怪しい人間じゃありませんので

ギョッとした様子の瀬尾さんにフォローを行うマーニー。
どうやらしばらく一緒に行動したせいで感覚が麻痺していたようですな。
この姿の自宅警備員をいきなり人前に出したりしたらいかんですよ。そりゃあ。気にするなと言われても困る。
まあ、黒谷さんも阿刀孟の作品は子供の頃よく見たらしい。
日本アニメ界の至宝。生ける伝説と呼ばれた人であるとのこと。ほう、詳しいですな。

自宅警備員としては当然だ

ハァ。そうですか。まあ、さすがに監督の顔までは知らなかったみたいですけども。

監督がこうなってしまったのは五年前。長年の過酷な作業のツケで利き腕が自由に動かなくなってからとのこと。
休養をとってしばらく治療に専念するなど色々やったが、とうとうダメだった。

その頃から監督は一人で急に居なくなったり、もう終わった映画を製作中のように話したり、
メチャクチャナな絵を描いてきたり・・・自分でもなにか変だと気はついてるようだが・・・
夜中に自分のドキュメンタリーを見て泣いているのを見た時は、もうつらくてね・・・

それからしばらく落ちついていたが・・・最近隠れてなにかやってるようだったんだ。
最初は気づかなかったが・・・ラクガキのウワサを聞いて、まさかとは思ったが・・・
絵を見ておどろいたよ。一人でコツコツと左手で絵を描く訓練をしていたんだ。あのラクガキは紛れもない阿刀の絵だよ。
私は何度も止めたし止めようとも努力した。しかし今まであんなに構図やクオリティに目を光らせていた阿刀が・・・
初めてエンピツを持った子供みたいに楽しそうにラクガキをしているのを見たら、私もどうしたらいいのかわからなくて・・・

ふうむ。なんとも切ないお話でありますなぁ。
左手である程度描けるようになったのなら復帰もと思ったが、様子的には難しそうかぁ。

とりあえず、町長さんに犯人について報告をするロイドさん。
著名人が犯人だったということでなんだかメンドクサくなりそうな感じ。
あまり騒ぎ立てたくないし、消す費用はどこで持つかなどと紛糾しているそうな。ふーむ。
まあ、調査の仕事は終わったわけだし、後は町内会の人たちの仕事ですよね。
と思ったら、ここでもう一騒動が発生。
どうやらラクガキが阿刀孟直筆のものであるということがマスコミに知られたらしい。
五年前に表舞台から消え、世界中のファンから惜しまれていた監督。
それゆえ、その直筆のラクガキは世界中のファンからは買い取りたいという希望の声があがるほど価値のあるものとなった。
近々正式なオークションが開かれ、売りに出されることになるそうな。

ふざけるな!あの絵は町のものだろう!売らせるな!!公共施設にラクガキはないのか!
私は壁画の所有権を主張する!阿刀にもっとラクガキをさせろ!阿刀のラクガキは町の宝だ!!

ジャマで消そうとか言ってたのに、価値があるとわかったら今度は宝ときましたか。
ラクガキであることには違いないが、描く人によってここまで価値がでてくるものだったりするんですなぁ。
なんともハッキリした町長の手のひら返しには苦笑を禁じえない。

あれから阿刀監督はまったく描かなくなったらしい。おかげで絵の値段は高騰。町役場はテンテコマイとのこと。アララ。

事件はこれで終了。なのだが、すこし気になることはある。ラクガキされた家を調べたマーニー。
その結果によると、ラクガキされた家とか会社とか工場とかはみんな不幸や人死にがあってお金に困っていたそうな。
それらの家や会社にしてみれば、オークションで売りに出せればかなり助かることとなる。
もしや監督はそれを考えていた・・・?

まさか阿刀監督がコーリと同じことをしたとは思えないけど・・・
でも少しは見習ってみたくもなるよね・・・少しずつでも人が幸せになれるならさ

妙に色気のある表情でそんなことを述べるマーニーでありました。
阿刀監督もそれを意識していたわけではないだろうが、何かが乗り移って無意識に描く場所を選定していた可能性はあるか・・・
町役場との折衝とかは面倒くさそうですが、不幸があった人たちが多少でも幸福になれるとよいですわな。
しかし、最初のページ絵。
よく見ると壁だけじゃなくて電柱にも絵が入っているのだが・・・電柱ごと売るのか!?

ところでこの阿刀監督、モデルになっている人がいると思われるが・・・まあ、予想はつくが・・・言及はしないでおきましょう。



file21「ラッキーバード」  (2013年 4+5号)


白鳥さんと仕事の打ち合わせを行うマーニー。
順調に子飼いへの道を歩んでいるみたいですね。

しかし、外から聞こえてきた悲鳴によって打ち合わせは中断される。
何ごとかと窓から見てみると、慌てて逃げ出す女生徒の姿が見えた。
もしや変質者の仕業か?確認してみるマーニー。だが監視カメラには怪しい姿は映っていない。
掲示板をチェックしてみるが、怪しい書き込みもない。虫か何か出たんじゃないかということでこの場は収まりました。
どうでもいいが、マーニーはそんなに学校の各所に監視カメラを仕込んでいるのか?
白鳥さんの目の前だし、生徒会の許可を得ての行動だとは思うが・・・

その場は問題なしとしたものの、なんだか気になっている様子のマーニー。
家に帰ってから再度掲示板の書き込みを確認する。
まあ、何かあったとしても本人が掲示板を使ってなければなんともならないんですけどね。
だが、少し気になる書き込みは見つかった。白くてフワフワしたもの?なんだそりゃ?

疑問に思うマーニーはさておいて、こちらは日も落ちたころの職員室。
遅くまで作業をしていた様子の宮島先生。やっと終わったと伸びをしています。
そして以前に登場した舟木さんにメールを送る。そ、それはいいのだが、文面が・・・

やっと終わった〜小百合ちょーバテバテ(>_<)
でも舟木君に会えると思えばこんなこと。元気だゾb(^_^)

何だろうこれは・・・えーと。何?え、宮島先生のメールの文面?またまた御冗談を。
というか舟木さんってああなってしまった人なのであるのだが、こんな乙女なメールを投げてもよいものなのだろうか。
まあ、2人の間のことであるし、深入りはしない方が無難ですかね。誤送信したらえらいことになりそうだが。
というか、宮島先生。最後の顔文字はそれでいいのかね?中指立ててる!?

そんな乙女な宮島先生が夜の校舎を歩く。
すると廊下の柱の陰に何か白くてフワフワしたものが落ちているのを発見する。
ボールではないし、クッションかなにかだろうか。近づき持ち上げる宮島先生。
だが、いきなりその白いものが大きく広がり、バババと音を立てだす。こりゃ怖い。すわ宇宙人の仕業かと思える展開だ。
このショックで宮島先生は寝込んでしまいました。
うーむ、あのメンタルの強い宮島先生が体調を崩すとは・・・一体何を見たのだろうか。
気になったマーニーはメアドを交換していた舟木さんに確認を取る。

昨日の夜、学校でなにか見たらしくてショックで寝込んでるみたい。
よっぽど怖かったのか何を見たのか言わないの・・・これからお見舞いに行こうと思う。

ふうむ。やはり舟木さんのメールはしっかりと女言葉になっていますな
すると何か?乙女な宮島先生のメールに女言葉で返す舟木さんという光景が広がっていたりするのか?き、気になる・・・
いや、今気にすべきは宮島先生が見たものについてでしたな。

学校に何かいるのではないかと判断したマーニーは白鳥さんに相談する。
このあいだもタヌキで化物騒動になったことがありますし、また怪物騒ぎはごめんである。
まあ、前のは噂が尾びれをつけて広まった例ですからねぇ。本来はそんな騒ぎになるほどのものではなかった。
だが今回目撃したのは宮島先生である。あのボディビルダーが・・・タヌキの時も冷静だったしオカルトを怖がるとは思えない。
というわけで、真相究明のためにマーニーが本格的に動き出すのでありました。生徒会の白鳥さんの依頼という形で。

まずは掲示板にあった怪しい書き込みについて調べる。
白くてフワフワしたものとは何なのか。目撃者によれば大きさはバスケットボールくらい。次見た時には消えていたとのこと。ふむ。
後は悲鳴を上げた子に話を聞ければ・・・と思うのだがこれが見つからない。
逆に騒動のもととなったと思われる白くてフワフワしたものを発見するマーニー。
映像を白鳥さんに送り確認してもらう。白鳥さんは映像だけではなく、実際にそれを確認しに来る気マンマンのようだ。

ヨゴれててよくわからないが、どうも毛の固まりのようなものらしい。
よくわからないものが相手のためか少し及び腰のマーニー。探偵らしい行動ではありますな。
逆に白鳥さんはセレブなのに大胆。自ら正体不明なものにジリジリと近づいていく。
が、そんな白鳥さんの目の前でいきなり白くてフワフワしたものが羽ばたきを始めた!!

なんだあれ!?ニワトリ・・・でも首が!!

首のないニワトリ。これが白くてフワフワしたものの正体でありました。
なるほど、これは夜見たら怖いでしょうな。昼でもいきなり見たらギョッとするもの。
それはさておき、ニワトリに蹴られてうずくまる白鳥さんが可愛い。ドカドカ。

アメリカに実際に首のないニワトリが存在したという。
これは本当の話で、首なし鶏マイクで検索すると画像や動画が出てきたりします。
農場主がディナーとして料理しようと首を切ったら突然走って逃げだした。その後も死ぬ様子もなく生き続けたという。
首を切断した時、重要な器官を失わず体内で対応してしまったからだということだが・・・まさに奇跡的な話でありますな。

マーニーの仕事は騒動の原因を突き止める所までである。
なのでニワトリを発見した時点で仕事は終わりとなる。このニワトリの処置は白鳥さんにお任せすることとなった。
ただ、マイクは直接食道にスポイトで栄養を入れてもらっていたという話だけは伝えておく。

まあいいわ。持ち主もいるでしょうし。しばらくお預かりしましょう。まったく生徒会なんて損な役回りよ。
ほんとにミニクイ姿・・・ムシズが走るわ

そんなことを言っていた白鳥さん。だけど、意外に甲斐甲斐しく世話をしている。
手ずからエサをあげたりお風呂の世話をしたり散歩にも連れていく。うーむ、毎度のことながらセレブなのに自分でよく動く人だ。
いつしか情も移ったのか抱いてみたり一緒に寝てみたり笑顔でエサをあげたりするようになる白鳥さん。可愛いですなぁ。

もうすっかり飼う気になっている白鳥さん。ラッキーという名前までつけてしまっています。
幸運にも生き残ったのでラッキーなわけですな。単純だがペットの名前としては正しいかもしれない。

そんな乗り気な白鳥さんだったが、持ち主が判明したとマーニーに聞かされる。
ウェブ回覧板にケガしたニワトリの情報を載せたところ連絡が来たらしい。
白鳥さんにその後を一任したと思ったらマーニーもちゃんと動いていたんですな。
今回はそれが白鳥さんの望みとは違う方に動いたみたいですが・・・

元の持ち主はラッキーを丸焼きにするつもりだったらしい。ああ、それで首を落としたけど逃げられたと。
まさしくホラーじみた話でありますね。
娘の誕生日のパーティ用に仕留めるつもりだったらしく、これでパーティの続きができると言ってらっしゃいます。
ふうむ。そんなことを聞かされたら情の移った白鳥さんは黙っていられませんよ。

・・・ダメよ。
これは違うニワトリよ!!似てるだけ!アナタには渡せないわ!!絶対ダメ!!

元の持ち主さんは娘が産まれた時から育てていたと主張する。が、そうは言われてもダメなものはダメだ。離さない!!
ダダを捏ねる白鳥さん。こんな時こそお金の力で解決を図るべきだったんじゃないですかね?
普段から余りお金の力に頼っていないのでそういう発想にいきつかないのかもしれない。セレブなのに。

そんな白鳥さんの手から離れて飛び立つラッキー。
校外に出てしまう。慌てて追う白鳥さん。しかしラッキーはトラックの上に乗っかってしまった。
そのままラッキーを乗せて走り去るトラック。泣きながら追いかける白鳥さん。

ダメよ!行かないで!!止まって!!ラッキー・・・!!

泣き崩れる白鳥さんでありました。うーむ、悲しい。
まあ、マーニーの調査力をもってすればまた見つかりますよ。元気出してくださいな白鳥さん。

白鳥さんの可愛さがさらに際立った回となりました。
本当、セレブの生徒会長というポジションのキャラなのにそれを感じさせない魅力を持っていらっしゃいます。いい意味で。
そういえば宮島先生もやたらと乙女な面を見せてくれましたなぁ。
可愛いことは可愛いが、あれはなんとも反応に困る類の可愛さであった。
うっかりメールの文面を目撃しちゃったマーニーの反応が知りたいところだ!!



file22「ニセモノ」  (2013年 6号)


親子で借りるDVDを吟味する。そして親子で一緒に観る。どれだけ仲の良い親子なのか・・・!!
世のお父様方が羨みそうな関係でありますな。

ロイドさんが借りてきたのは古い日本映画。この監督のファンで、若い頃良く見たのだという。
なんだかしぶそうと観る前は微妙そうな様子だったマーニーであったが、見始めたらもう涙ダラダラ。

パパァ。ゴメンね。バカにして。私マジメに生きるから

そんなことを口にするマーニーでありました。
それはお勧めの映画を見る前にバカにしたりしてという意味の発言ですよね?パパをバカにしてたという意味じゃないよね?ね?

そんなことがあった次の日。その映画の監督である木ノ崎監督に関わる仕事がロイドインベスティゲーションに依頼される。
すごい偶然だなと驚くロイドさん。せっかくだしマーニーにもこの仕事についてメールを送ってみる。映画気に入ってたみたいだし。
そしたらすぐに返事が来ました。私も手伝うから学校が終わるまで先に行かないで、とのこと。
うーむ、マーニーってばよっぽどハマったのか、ノリノリの様子ですな。

木ノ崎監督が三十年ぶりに新作を撮る。
興味深い話ではあるが、その件についてゴタゴタが発生している様子。ふむ。
今回の依頼者は児童用化粧品で大当たりして急成長した化粧品会社の重役。
TVにもよく出るやり手の女社長を裏からサポートした本当の立役者、君津和臣さんでございます。なんだか紹介が細かいな。

君津さんの依頼内容は、監督の木ノ崎順也。彼が本物かどうか調べて欲しいというもの。
なんだかおかしな話ですな。本物かどうかも怪しい人に制作依頼をしようとしていたと?

長い間木ノ崎監督は行方不明だった。だが、最近になって居場所が判明した。
結婚式の撮影の仕事をしており、関係者がそれを見つけたらしく、社長の耳に入れたそうな。
社長は以前から木ノ崎監督の熱烈なファンで、監督に復帰してもらおうとバックアップを約束したんだそうな。
もちろん本物かどうか会社の方でもテストをした。が、その人物は当時のことを事細かく覚えているとのこと。
君津さんはかなり疑っているらしく、社の金で遊びほうけているその人物が本物かどうか怪しいものだと思っているそうな。ふむ。

木ノ崎監督は極度の秘密主義で写真やプロフィールを残していない。名鑑に乗ったりもしていないわけだ。
当時の関係者の言葉もあいまいだし、関係者自体バラバラで探すだけでも大変という状況。
それで、そういうことは詳しい人に頼もうということになり、木ノ崎監督のファンである探偵にお鉢が回ってきたという流れになる。
なるほどね。まあ、納得のいく調査依頼でありますな。

というわけで、調査を開始する2人。ロイドさんは直接本人に昔の話を振って確認しようと試みる。
マーニーは撮影所の通行許可証をもらったので関係者を探すこととする。

まずはマーニーの行動。
関係者を探そうと撮影所内をうろついていると、知り合いに声をかけられる。
おやこの人は1話に登場したセレブグループの1人である坂本累さん。
どうやらこの人、ここでモデルの仕事をしているらしい。ほう。
でも確か1話で着替え動画盗撮されてましたよね?
まあ、一応バレずには済んだみたいではありますが・・・有名になってから発掘される可能性はあるので危険だ。

ともかく、事件を解決してくれたマーニーには恩があるので協力してくれるとのお話。それはありがたい。
所属している自社の社長にお願いし、木ノ崎監督の新作にワキでもいいから出演できないかと頼む累さん。
もちろんマーニーの依頼を受けての行動でありましょうな。

アレはやめておきなさい。どうせ碌な映画にならん。
金の使い方を知らない成金がノスタルジーでバラまいた金で作られる映画だ。
木ノ崎も過去の人間だ。当時もあまりいいウワサは聞かなかったし・・・

ふうむ。まあ、言いたいことはわかりますな。というか、そのウワサについてもう少し詳しく聞きたいところなのだが。

一方のロイドさんは直接本人に確認を行う。
かなりマニアックな裏話まで聞いてみるが、よどみなく答えてくれる。
これはよほど事情に通じた偽物なのか、それとも本当に本人なのか・・・

そう言えばガラッと作風を変えた「もうしません」を撮った時は・・・

この作品の話を振ったとき、初めて相手の表情が変わる。
その作品の話はやめて欲しい。あまりいい思い出がなくてね・・・とのこと。ほう。

再びマーニーの調査。
古参のスタッフに話を聞いてみるが、当時のことを知っている人はいなかった。
しかし、警備員ともめているらしき映画マニアを発見したことで話は動き出す。

夜。豪遊した帰りの様子の木ノ崎監督を名乗る男。その左右を挟むようにロイドさんとマーニーが現れた。
ロイドさんは男を木ノ崎組のスタジオまでご足労いただき、告げる。アンタは木ノ崎監督じゃない。と。

木ノ崎監督はやっぱり亡くなっていたんですよ。本名、神谷申造。三年前にヒッソリと・・・
こちらは五十年前からこの撮影所に出入りして、小道具などももらっていたスジ金入りの映画マニアの方です。
木ノ崎監督とも何度も会っています。

スタッフなどの関係者よりもマニアの方が詳しいこともある。その見本のような話ですな。

アナタは当時木ノ崎監督の助監督をしていた日ノ出有吉です。
アナタは長年木ノ崎監督の下で働き、彼のことならなんでも知っている。
ただ唯一「もうしません」には参加していない。だからそのことには一切答えられないんです。
木ノ崎監督のプロフィールには残っていませんでしたが、助監督の日の出のプロフィールなら詳細に残っている。これを照合すれば・・・

ふむ。見事な推理ですな。ロイドさんが久々に活躍している!!
だが、この話にはもう少し突っ込んだ部分がある。マーニーが映画マニアから聞いた話をここで口にしながら割り込んできます。

たとえニセモノでもホンモノでもあるんですよね
映画マニアさんから聞いたんですけど、木ノ崎さんは色々問題ある人だったようで。
飲む打つ買う。女優には手を出す。スタッフは殴る。それどころか撮影所にさえほとんど来なかったとか・・・

な、なるほど。これが社長のいう良くないウワサって奴か。
そりゃ累さんの出演をやめておきなさいと言うわけだ。手を出されちゃたまりませんものね。

その穴を埋めていたのが日ノ出さん。木ノ崎さんのほとんどの映画のすべてを管理していた。
脚本を選び演出をし現場を仕切り撮影をした。すべてをやっていたんですよね。
木ノ崎さんの唯一の駄作と言われる「もうしません」を除いて・・・

なるほどねぇ。というか、「もうしません」は駄作だったのか。
それならばいい思い出もないだろうし、話したくないと成りすましてた日ノ出さんが言ってもそれほど不思議はないような。
そこにちゃんと不信を感じて調べ上げたロイドさんのお手柄ということなのかね。

日ノ出さんはずっと監督になりたくて頑張ってきたがダメだった。
実力はあるが、木ノ崎の名前がなければ1つのチャンスもなかったという。
もうあきらめたつもりだったのだが、ひょんなことで木ノ崎と勘違いされて声をかけられる事態が発生した。
軽い気持ちで成りすましてみたが、話を合わせるだけで皆ニセモノだと気付かない。それでズルズルとこんな状態に・・・

これからどうするつもりですか?と尋ねるマーニー。

昔から木ノ崎のように一度遊んでみたかったが・・・
でもそろそろマジメに撮ろうかと思って・・・さんざん裏切られてきましたが・・・映画だけは・・・

映画を撮りたいという思いは残っているんですよね。ふうむ。
正体は偽物であったが実力は本物である。これは難しい。どう報告したものか。

まあさ、情報の出す順番をちょっとイジるのはウソにはならないと思うんだよね
木ノ崎の正体を先にヒドイって印象つけてさ、そのあとに真の功労者として日ノ出さんを紹介すれば・・・
重役さんも似たような境遇だしわかってくれると思うんだよね。

ふむ。マーニーもずいぶんと世間慣れした発言をするようになりましたな。
ただ依頼を解決して後はお任せで済ませてしまうのも味気ないものですし、これぐらいはね。
しかしそうか、重役の君津さんの紹介がやけに細かいと思ったら、日ノ出さんと立場が似ているということを表していたのか。
女社長は本物と思っているようだし、重役さんが胸にしまっていてくれれば・・・
それで日ノ出さんがやる気になっていいものを撮ってくれれば、皆幸せになれる可能性はありますものね。
出演できなかった累さんは残念だったって話になるかもしれないが、まあそれはしょうがないってことで。
累さんの次の出番に期待するとしましょう。



file23「ゲーマー」  (2013年 7号)


暇つぶしのためかゲームを買おうとするマーニー。
求めるのは内容よりも価格優先。まあ、古いゲームなら価格が安くてもいいのはあったりしますからねぇ。
パッケージだけでそれを判断するのは難しいと思うけど。

マーニーが買い物をしているところに通りかかるゆりかちゃん。イェーイ。
何をしているのかと思ったらどうやらデート中らしい。
へぇ。まだ片岡さんと続いていたんですねゆりかちゃん。いやまあ、いいことではありますけどね。

マーニーが買ったゲームはレックスパニック。
片岡さんが子供の頃にやったことがあるというゲームだし、結構古いものでありますな。
マイナーだけど、面白いよと太鼓判を押してくれます。ほうほう。

片岡さんのイトコにはものすごいゲームマニアが存在する。
ゲーム機なら全部持っててどんなゲームもクリアし、あらゆるゲームに精通していたという。
そんなゲームマニアなイトコだが、頭も凄くいいらしく、国立トップの大学に進学したという。へぇぇ。スゲーな。

そんな話を聞いた夜、片岡さんおススメのレックスパニックを遊ぶマーニー。
なかなかムズイゲームだったようです。マニアってのはレベル高いもんだなぁ。やっぱり。

それはさておき、昨日会ったばかりの片岡さんからゆりかちゃん経由でマーニーに依頼が舞い込んでくる。
片岡さんは昨日話したイトコのことが懐かしくなり連絡を取ろうとしたが、まったくつながらなかったと語る。
メールもツイッターも反応がなく、ウチに電話してみたらオバサンが最近のことを話してくれた。

武藤遊助っていうんだけど、だんだんと連絡が途切れてきて今や不通状態。
大学にも出てないらしくて、昔からのめり込むとゲームも現実も区別が付かなくなってたし・・・
ゲームのやりすぎで大学を退学になったら笑えないからな・・・

ふうむ。行方不明状態でありますか。それは何とも心配な話でありますな。
それにしてもこの名前は・・・不思議と凄くゲームに強いように思える名前ですな。遊戯とかの王に君臨しそうな名前ですよね。うん。

それはさておき。イトコのことが心配になった片岡さんはマーニーに捜索を依頼したいらしい。
自分を探し当てた実力を買ってのことでありますな。ゆりかちゃんの勧めもありますし、しかもボランティアでタダというし!何!?

マーニー「お前はこの・・・いいかげん今までの分、払え!
ゆりか「いやぁ〜〜困ってる人見るとついね――」

すっかり踏み倒しの常習犯となっているゆりかちゃんでありました。
マーニーも当初はゆりかちゃんからお金なんて受け取れないと言っていたんですけどなぁ・・・
片岡さんにこれまでの分も立て替えてもらう手はあるかもしれないが、さすがにそれは不味いか。まだ。

依頼は引き受けますが日当五千円、経費は別で。マーニーにおまかせを。

きっちりとお金の話をして仕事を受けるマーニーでありました。
やっぱり親しい仲であってもお金の絡みはきちんとしてませんとなぁ。

さて、調査を開始するマーニー。まずは友人関係を当たることとする。
東都大ゲーム研究会。ゲームマニアの武藤さんのことを調べるには同門の士をあたるのが近道って話ですな。

さすがに国立大のゲーム研究会はレベルが高い。
ゲームの歴史からフォローしており、展示されているゲーム機は全て遊べるようになっているとのこと。ほほう・・・
プレミアがついているのか、今買おうとすれば1本で百万はするゲームなんかも置いてある。
まあ、中身はクソゲーらしいですけども。希少価値ってのは偉大だなぁ。

武藤さんは安く買って高く売る専門だったという。それっていわゆる転売屋・・・?
ゲームマニア的には嫌われそうな部類の人間じゃないですかね?

奴はそのノウハウから先物取引に手を出した。
最初はゲームを買う小遣い稼ぎだったが・・・一時期もうかってたみたいだけど、今はどうなってるやらなあ・・・

ふうむ。なんとも不安な話でありますなぁ。
最近はずっと見ないし書き込みもない。大学も休学・・・もしくは退学してしまったかもしれないとのこと。
とんでもない話であるが、知っている人からすればアイツらしいとか言われる武藤さん。うーむ。

最難関を通過して、最高学府に入学してエリートへの道もあるってのに人生のすべてをゲームにかけて・・・すべてを失って・・・

傍から見ると信じられないような生き方でありますなぁ。羨ましいといえなくもないが。

さて、武藤さんの足跡を追いかけるマーニー。
元の住居を引き払い引っ越したことを知る。引越し先は高級マンション。街を見下ろす物凄い高層マンションに引っ越したらしい。
すべてを失ったのかと思ったらマネーゲームに勝利していたのかよ。たいしたもんだな〜ウワオ

ゲーム研究会で記念にもらった会員証に写真を貼り付け、武藤さんの後輩を名乗ってマンションに入り込もうとするマーニー。
受付の人に在宅かどうか尋ねようと食い下がってみたりする。
が、そうするまでもなく武藤さん本人が入口までやってきてくれていました。
知らない女の子が来ているというのでわざわざ見に来てくれたらしい。裸足で。ペタペタ。

大学にもいかず音信不通になっていた武藤さん。ネットも今ではやっていないらしい。ん?先物取引は?
もう会社に資産運用をまかせてるから何もしていないらしい。ほう。

ここが僕の部屋だ・・・どうぞ。

エレベーターに乗って案内された部屋は広大な空間。本当にただ広いだけの部屋だった。
あるのはソファーとテーブル、そして寝袋だけという何もない部屋。な、なんで寝袋・・・

計算に計算を重ねた先物売りを当ててこの部屋に住んでいるとのことだが、なんという殺風景な・・・
いやまあ、外の眺めはいいところかもしれませんけどね。
そういえばゲームとかはどうしてるんですか?見えないところに置いてるんですか?これだけ広ければ体感ゲームとかも出来そうだ。

もう全部捨てたよ・・・あきた

あら、そうなんだ。まあでも、楽しいことなら色々とありますよね。彼女作ってオイシイもの食べて旅行して・・・

興味がわかないな・・・
僕はあらゆるゲームをやってきて・・・ゲームに勝つためあらゆる努力も勉強もした。勝負はそれに見合った努力をしたものが勝つんだ。
TVゲームも受験もマネーゲームも人生も。あらゆるゲームに僕は勝ってきた。
そして気づいたらゲームは終わっていたよ。全ステージクリアした僕は今ここにいる。ここがゴールなんだよ
僕は今勝利の余韻にひたっている。家族も友人も恋人も娯楽もゲームももういらない。それがすべてなんだ。

静かに、ただ静かにそう語る武藤さん。これは・・・この考えにはどうすれば至れるものか・・・

私は彼に寂しくないですか・・・と、聞こうとしてヤメた。彼はきっと寂しくもつまらなくもないだろう。
すべてのゲームに勝利した男は、この天国に近い部屋で右往左往する民衆を見下し、それを笑っている。
でもだれがそれを責められるだろう。それこそが勝者の権利なのかもしれないから。

人生を満足してゴールすることなんて、本当にあるのだろうか。
波乱万丈の人生を生き抜いた老人であっても、その気分に浸れた人間がどれほどいることか。
周りがどう思おうと自身がゴールにたどり着いたと認識し、その確信が揺らがない。ある意味悟りをひらいているということなのか・・・

正直、どんな気分でいるのか想像もつかない。
ゲームをクリアしたときの心地よい疲労感にずっと包まれているのだろうか?
そこから2週目とか強くてニューゲームとかそういう考えにはいかないのだろうか?
いや、彼のいうクリアとはそういうやり込みも全て終えた後の話なのかもしれない。む、それだと微妙な気分になる気がするな。
やはりなってみないとなんともわからないですなぁ。
いつか自分もここがゴールなんだと言えるようになってみたいものである。500年ぐらい何とか生きたら言えるかな。難しいか?

まあ、高級マンションに住むことは無理としても、部屋にマーニーを招き入れることさえできればゴール宣言はしてもいいですよね。
確かにそれが果たせればしばらくは勝利の余韻に浸ることはできるかもしれない・・・!!我ながら安いなぁ。



file24「彼と彼女の事情」  (2013年 8号)


放課後の買い物に勤しむ女子3人。
マーニーとゆりかちゃん。そして今回のお話の主役である波峰りあさんでございます。

波峰さんには幼馴染の彼氏がいるらしい。ほう。
ゆりかちゃんには片岡さんがいますし、マーニーはそういう男話は・・・どうなんでしょうかね。
遊園地のカップル割の日に彼も呼んで皆で会おうという話になる。
マーニーは毛利さんでも連れてってやろうかなとか考えているようだが、それはどうなんだろう。
いや、当人は意外とまんざらでもないかもしれないが・・・どうなのかね、毛利刑事。

というか、マーニーは恋人が欲しいとか思ったことあるのかな。
割とパパァと仲良くしていますし、恋人なんていらないよという考えがあったりするのかも・・・
毛利さんや那智さん、自宅警備員など仲のいい男性も何人かいるようですけどね。

それはさておき、波峰さんの彼氏について。
話題にはよく出るがマーニーもゆりかちゃんも姿を見たことはない。
画像としては見たことはあるが、動画では見たことないしもしかして偽造の彼氏なのではないか。怪しむゆりかちゃん。
というわけで、聞き込みをして波峰さんの彼氏が実在するか確認することとなった。
本当、ゆりかちゃんは好奇心が旺盛というかなんというか。

複数人から彼氏の姿を見たという話が聞ける。
カッコ良くて、ブランド物着てて、日焼けしてて、結構年上。一緒にドライブをしてたりしたそうな。ふむ。
幼馴染なのに結構年上なのか?結構というのがどれだけ上かにもよるけど。フケ顔かもしれなしい。でもカッコイイのか。ふむ。

遊園地の予約は済んでおり、後は行くだけ。
なのだが、波峰さんの彼氏は仕事で来られないそうな。そりゃ残念。
仕事と言うことは、やはり年上なんですな。幼馴染のお兄さんであるか。ふむ。

波峰さんの彼氏はこれなくなったが、せっかくとれた予約がもったいない。
というわけで、こんな案はどうだろうかと提案する波峰さん。楽しそうに合意するゆりかちゃん。渋そうな表情のマーニー。
うまくいったらマーニーの分奢っちゃうからという話に乗りマーニーも合意しましたが、一体どんな案なのか・・・

答えは男装
なるほどカップル割なのだから、マーニーが男装すればちょうど2組のカップルが出来上がっているように見えるわけだ。
髪型とかはいじりようがないので男物っぽいコート姿で登場のマーニー。ウワースゴイスゴイ男に見える!!そ、そうか?
まあ、確かに連載が始まるまでは男か女かわからない感じとは言われていましたが・・・
結局、見とがめられることもなく普通に男性として通されるマーニー。

なんだろう・・・なんか涙が・・・

泣けるね。やはり恋人を作ることも考えた方がよいのかもしれませんな。

遊園地にてゆりかちゃん。マーニーとふたりきりになったところで波峰さんの彼氏の話題。
片岡さんと話す時もなんだかぎこちないし、男と付き合った経験ないんじゃないかなとゆりかちゃん。
ふむ?しかし目撃証言はいくつかありますが?
マーニーも気にはなったのでその後少し調べてみたらしい。

彼氏だと思われる人物像に開きがありすぎる。ときにはギャル男っぽい人といたりして・・・
あからさまに援助交際っぽい相手まで・・・いや憶測で波峰ちゃんを悪く言いたくはないんだけど・・・
私達が知ってるのは彼氏一筋で、見た目と違って純情で・・・いったい・・・

赤くなった感じの波峰さんは確かに可愛いですしなぁ。純情でいて欲しい気持ちはわかります。
そんな話をしているところで、刑事さんから波峰さんの情報が入る。

何件も暴力事件を起こしていて、最近だと40代の会社員に全治一か月のケガを負わせている
彼女の服も乱れていて正当防衛と判断され、学校に連絡されていない。

ほう・・・それはまた・・・なんだか怖い絵であるなコレ。
刑事さんは波峰さんの彼氏である巻野大輝さんについても調べてくれていたらしい。
その報告を受けて思考世界に入り込むマーニー。ガリガリガリ。
相変わらず没頭すると簡単には戻ってこない様子ですなぁ。ゆりかちゃんに引きずられております。ズルズル。
波峰さんは片岡さんとは一緒におらず、ちょっと行ってくると言ったまま全然帰ってこないとのこと。むむ?

ここでマーニーによる波峰さんと彼氏の巻野さんについての調査結果が披露される。
三年前。
中学生だった波峰ちゃんはある男にビルに連れ込まれる。もちろんイヤらしい目的で。
波峰ちゃんのケータイのGPSから異常を感じてかけつけたのが、当時高校1年生だった波峰ちゃんの幼馴染で彼氏の巻野大輝さん。
連れ込んだ男と揉み合うが、建物は老朽化している。結果二人は勢い余って高所から落下し・・・

亡くなられたというわけですか。
やはり彼のメールや画像は波峰さんの偽造だったというわけですな。

波峰ちゃんは認めたくなかったんだろうね。自分を助けるため、幼い頃から好きだった彼、やっと結ばれた彼が・・・

ふうむ。切ない話ですな。
では色んな男と一緒にいたというのは?寂しかったからとか?いや、どうやらそういう話ではない。
波峰さんは去年暴力事件を起こしている。相手は彼女を襲おうとした男。その時彼女はこう言ったらしい。

オニイチャンです。巻野お兄ちゃんが私を助けに来てくれたんです

おそらく彼女は彼を演じたんだ。それはもっとも彼を実感できる瞬間。
あの事件、彼女を襲う男。ナイトのように現れ彼女を救う巻野さん。
彼女は彼の現れるのを助けるためワザと男を誘惑する。そして男がその気になって彼女に襲い掛かった時、彼は現れる
目の前の暴漢を倒すために・・・

なんだか酷いマッチポンプのように思えるのですが・・・ひとり美人局とでも言おうか。
大好きだった彼氏を身近に感じる方法だったのかもしれないが・・・
誘惑された男はたまったものじゃありませんね。まあ、簡単にその気になっちゃだめだよってことですな。

事実を知られた波峰さんは病院で療養中。大分よくなっては来ているらしい。

やっぱさ・・・認めなくちゃならないことってあるんだよ。どんなに逃げても。
巻野兄ちゃんが死んだことさ、認めたくなくて・・・逃げて逃げて・・・でも、現実から逃げられなくて・・・

わかるよ・・・どうしようもないよね。過去ってさ・・・
・・・だから今を必死にがんばるんだ。少しでも取り返して、未来を夢見れるようにさ。

過去は変えることができないが、未来なら変えられる。そうやって生きていくしかないのである。
しかし、この最後の言葉を述べるマーニーが微妙に暗い顔になっているのが気になりますね。
母親の件といい、マーニーの過去も色々とありそうな気がしますなぁ・・・

それにしてもマーニーの周りは妙な子が多いですなぁ。
ゆりかちゃんと付き合っている片岡さんも大変だ。いや、片岡さんも妙な人だから問題ないか。
いとこもあれだったしなぁ。そのぐらいアクの強いキャラでないとこの世界はやっていけないのかもしれない。世知辛い!!



file25「事故物件」  (2013年 9号)


今回の依頼者はマーニーの通う学校の生徒である浜沢志乃ちゃん。何故フルネーム呼びなのかねマーニー。

志乃ちゃんの家ではアパートの賃貸をやっているらしい。へぇ。珍しい。
人に部屋貸して働かずにお金がもらえるとか羨ましい。
と思いきや、それなりに大変な様子。苦情は多いし設備や税金やらいろいろと悩みの種はあるらしい。
ふーむ。なかなか楽な仕事ってのはないものですな。
店子が手のかからないいい人ばかりになるとも限らないし・・・やはり客商売は面倒ですわ。
空き部屋が一つできればそれだけで収入に直接響くわけですし。

で、今回の依頼はその空き部屋になりやすい事故物件の話。
事故物件とは人が自殺したり事故で死んだりした部屋である。やっぱり皆そういう部屋はイヤがるんですな。
ちゃんと掃除をしてても何かあるんじゃないかと怖がってしまう。
不動産屋の方は情報開示の義務があるから昔そういうことがあったのを秘密にしているわけにはいかないし、悩みどころだ。
志乃ちゃんの所にもそういう部屋がある。昔自殺があってから新しい入居者を入れてもすぐ出て行ってしまう部屋が。

そこでえ。マーニーに頼みたいことが・・・

そう言われて依頼の内容を確認するために志乃ちゃんのアパートを訪れるマーニー。
築二十年の古めのアパートなので資産価値はないが、四階建ての大きな建物である。スゲー。
セレブグループとかいたりするし、何気にマーニーの学校ってお金持ちが多いですよね。
ゆりかちゃんと気が合うのはやっぱり生活のレベルが近いからなのか。そういうことなのか。イッショニスンナヨナ。

というわけで、気になる依頼の内容。
それはマーニーがしばらくこの部屋で生活して原因を調査するというもの。
ふーむ。今回はなかなかに体を張ったものになりそうですなぁ。

パパには電話で経緯を説明。しばらくここで生活するという。
そんな大事な話なのに電話で説明とは。ロイドさんも気がかりでしょうに。
一応女性専用のマンションだからと説明はしているものの。
あ、でもこれで通るなら、将来彼氏の家にお泊りする時も似たような言い訳ができるようになるかも・・・

それはさておき。今回の事件について情報を整理するマーニー。
五年前に女子大生が自殺。原因は妻子ある男との不倫の果てとのこと。うーむ、ただれてるにゃあ。
バスルームで自ら首の動脈を切って一面血の海に・・・
当然、今は掃除が済んでいるので痕跡もないが、そういう話を聞かされるとやはり意識しちゃうよね。

その後、五年間で七人が入居しているが、最初の人が一年居てあとは一年持たずとなっている。ふーむ。
とりあえず一週間くらい様子を見て、その後は志乃ちゃんに任すこととするマーニー。

しかし・・・幽霊ねえ・・・
私は人間の悪意の方がよっぽど怖い・・・あの・・・暗闇の中の・・・

幼少期のマーニーが何か狭い所に押し込められているようなイメージが挟まれる。
これは本当に押し込まれているのか。それとも人の悪意に押しつぶされそうになっているという暗喩なのか。
何にしても、子供の頃に何かあったみたいですな。今はいない母親に関係することなのだろうか・・・?

家具を入れると退去時に面倒くさいこともあってか寝袋で寝泊まりするマーニー。
場所は全然違うが、武藤さんみたいな生活になってますね。そう考えると少しリッチな気分?

カメラを仕込み就寝中、悲鳴のような声が聞こえる。
監視カメラの確認をしているとき、窓の外には上から長い髪のようなものが垂れ下がっているのが見え・・・振り向くと消える。
ふむ。わかりやすく怪奇現象が発生しだしましたな。
さらに玄関のドアノブがガチャガチャと音を立てて動かされ、さらにドアをバンバンと叩かれる。
なんだなんだ。就寝時間に迷惑な。
のぞき穴から見てみるが、誰もいない。ドアを開けて外を見るがやはり誰もいない。
さっきまで音がしていたのに、逃げ出していった人の様子もないとは・・・これが幽霊の仕業・・・?

ゴースト騒動の疑いがある部屋に寝泊まりしていることをゆりかちゃんに話すマーニー。
遊びに来る?と尋ねてみるが、さすがにそんなところに行くのは好奇心の強いゆりかちゃんにとっても勘弁な話らしい。
そんなとこに行きたがる人なんていないって?そりゃそうですよね。
傍で聞いていた前花さんが凄く行きたそうにしているみたいですけど。まあ見なかったことにしましょう。

さて、二日目。
周りの住人の様子を調べるマーニー。
志乃ちゃんからもらったリストによれば、女子大生・OLが中心で平均5・6年在住。
幽霊騒動は知ってるけど霊を見たとか音を聞いたという人はいない。全員いい歳のわりに結婚とかはしてないそうな。
む、女子大生でいい歳とはどういうことだ?いやまあ、高齢になってから大学に行くこともあるでしょうけども。

実際にこの部屋の住人はどんな目にあったか。
窓の外に人影を見たり、カベやドアを叩く音を聞くが犯人はいない。
人の話し声が部屋の中から聞こえ、大勢が歩いているような音がし、バスルームに女の影が映る。
そういうものを見た後、大体の住人は気絶してしまうそうな。ふーむ。ん。自殺した女性は1人なのになぜ大勢の音が?

だれも居ない部屋の電気がついていたり、他人の髪の毛が落ちていたり・・・
これって・・・まてよ。えーと、七人の住人は若くて比較的カワイくて・・・彼氏がいたりして・・・つれ込んでたり・・・

思考世界に陥るマーニー。
そこからいつのまにか帰ってきていたのか、クローゼットの中で物音がしたのに気付き立ち上がる。
部屋の電気を全てつけてから中を確認。ガチャ。
すると、中から顔が隠れるぐらい長い髪の女が飛び出してきた!!
ヒ・・・と驚くマーニー。だが、同時に用意していたスタンガンを叩き付けたりもしている。驚いているのかなんなのか。
まあ、顔面に叩き付けたりしているあたり、ビックリして手加減ができなかったともいえるかな。痛そうだ。
しかもこれ、前に自分がくらった黒屋兄のスタンガンだというし。そりゃ喰らったら悶えるわ。

それはさておき、長い髪の女は1人だけではなかった。
まるでゾンビもののようにゾロゾロと現れてマーニーを取り囲む。おいおい、ホラーのジャンルが違うぜ。

追い詰められたマーニー。そこで行ったのは、エアコンの温度を最高にして動かすこと。90℃とか設定できるのかこのエアコン。
他の電気を全て動かしていたこともあってか、その行動でブレーカーが落ちる。
真っ暗な部屋で目標を見失い右往左往する女たち。
マーニーはというと、スターライトスコープを用意していたため暗闇でも大丈夫。
女たちの目が慣れる前に退散するのでありました。

というわけで、幽霊騒動の調査結果がでました。住人のイタズラでございます。
入居者のほとんどがかかわる大掛かりなものだったらしい。
まあ住人が口裏を合わせれば大概の怪奇現象は可能ですわな。どうやって部屋に入り込んだりしたのかは気になるが。

自殺自体は本当にあった。が、その部屋の次の住人がオカルト好きで色々と騒いだらしい。
それで他の住人はその騒いでた住人をからかって追い出そうとしたそうな。
それが元で入居者グループの結束ができて、イジメ心に火がついたらしい。
それにその後の入居者が若くてけっこう可愛かったのもイジメてやろうという動機につながったそうな。ハハァ。

連中は脅かし薬品などで気絶させ、住人にイタズラしてたらしいんですよ。女同士で・・・
住人も映像など撮られて文句も言えず幽霊のせいに・・・
まったく。やっぱり怖いのは人間の悪意ですってば・・・ねえ?

ふうむ。なんともはやなお話でありましたな。女性の嫉妬は怖いということで済ませていいものか・・・
しかし、一週間ほどの体験入居なのにすぐさま襲われるとは。
これはマーニーが相当カワイかったということなのか!?
まあ、久しぶりに入居者が現れたので我慢できなかったというだけかもしれませんけどね。

何にしても、防備が完全でなければ襲われていたことには違いないわけで、怖い怖い。
女性専用のアパートだから大丈夫だと言ってたのに全然大丈夫じゃなかったというお話でした。
うーむ、やはり我が家が一番ですね!その結論になってくれればパパも安心だ!



file26「枯野」  (2013年 10号)


今日も調査の聞き込みを行っているマーニー。商売繁盛で結構なことですな。
図書室から出てきた真面目そうなメガネの男子生徒に聞き込み。
内容は図書室に不審者が出入りし、本がなくなっている件について。ふむ、盗難事件でありますか。

メガネの男子生徒はブツブツと何か言っているようだが声が小さくて聞き取れない。
そして聞き取れないまま去って行ってしまった。あらら。

この男子生徒の名前は枯野さん。
どうやらゆりかちゃんと同じ小学校出身だったらしい。
その当時、天才少年としてもてはやされた有名人だったという枯野さん。
十カ国語話せるとか難しい数式を解けたりとかしたそうな。へぇ。

そんな頭いい人がなんでウチの高校なんかに、とマーニー。
なんですか?そんなにいい学校じゃないんですか、この学校。まあゆりかちゃんが入れるぐらいだし・・・
いやまあ、天才と持て囃される子が入るほどの進学校じゃないってことかな。

今回の依頼人は前花さん。どうやら図書委員の立場として依頼をしたみたいですな。
どうも前からちょくちょく抜かれていたらしい。ふむ。
今時中古の学校図書なんか金になるとも思えないが・・・

現在ない本のリストを調査してみるが、さすがにオークションのような足のつきそうな所には出展されていない。
クローズ売買されているみたいだが、そもそも価値があるかどうか分からないのは痛い。
根本的な知識が足りていないのでどこから調べればいいのかといった感じのようだ。
うーむ。推理力は高いマーニーだが、やはりとっかかりがないと厳しいですわな。さすがに。

まあ、それならば地味な調査を行うだけである。
盗んでいる犯人を見つけれればそれで片付く可能性もありますものね。

そんな風に学内を調査して回るマーニー。それに目をつける男子たちがいた。
マーニーを地味に可愛いと評価し、オレ達が協力したら喜ぶんじゃないかと考える。
ほう。探偵団結成という奴ですか?先に手を出すなよ、とか組む前から青春くさいことを言っている。
だがマーニーはこの提案を断る。ゴメンなさい。
初対面の相手にいきなりそんなこと言われても困りますわな。人が増えると色々と大変であるし。
お金とかじゃないよ、とは言ってるけどさすがに報酬を独り占めというのは後々問題になりそうだからなぁ。
そういえばマーニーは那智さんとかこれまでの協力者に報酬を出していたりするのだろうか?
彼らも何かの事件に巻き込まれた後ならもう少し好意的に接してもらえたのかもしれませんな。

申し出は断ったマーニーだが、わからないところは人に頼るというのもアリかなと考える。
というわけで、本とか詳しそうな枯野さんの知恵を拝借することとなりました。
屋上にて紛失本のリストを見てもらう。
と、思った以上の回答が返ってきました。リストのうちの三冊を示し、ブツブツと答えてくれる。

この三冊は稀覯本のマーケットで最近出品されていたハズ・・・
盗品も扱われるから名前も微妙に変えて検索にかからないようカモフラージュされて・・・

詳しいですな枯野さん。何にしてもこれは有力な情報だ。転売目的の窃盗である可能性は高まった。
そして犯人には本の値段を判断できる目が必要であることも。

図書館や学校図書、公共財産の中に、今では貴重なものが無造作にまぎれ込んでいることは多い。
それをサルベージして売ろうとする人間がいる。捕まった時も私的財産より罰則はゆるい。

ふーむ。なるほどねぇ。く、詳しいですね枯野さん・・・怪しいぐらいに。
まあ、何にしても助かった。そこまでとっかかりができれば後はマーニーにおまかせをって話です。
前花さんに監視カメラを置いてもらい、犯人を捕まえるために動き出すのでありました。

非常にいいアドバイスをしてくれた枯野さん。
しかし、先日の探偵団の結成を申し込んで断られた男子たちにマーニーとの会話シーンを見られていたのがまずかった。
自分たちの申し出は断ったのに、何であんな奴と・・・と面白くない気分になっています。
というわけで、悪評を流したり消しゴムをぶつけたりと微妙なイジメを始める3人組。みみっちいな!!
まあ、枯野さんも今の学校に通うようになった理由とかありそうだし、探られるとアレなのかもしれませんがね。

さて、図書室。
本棚の本の背表紙をスマホで撮影している男子生徒の姿がある。
その男子生徒の後ろから近付いてきたのは・・・生徒会書記の香坂さんだ!!

まったく笑えないな。ちょっとケータイのデータ見せてもらおうか。
生徒会執行部です。学校の本が売買されている件について聞かせてもらうぞ!

中古本などで行われる「背どり」
撮影した背表紙を写メで送り、価値がある本かどうかその場で鑑定する。
これによって素人も手を出すようになり、古書の売買が拡大した。それが公共の資産まで・・・
コミュニティを使って学生などをバイト感覚で引き込む。ほんと笑えないよ。これは犯罪だ。
くわしい話は職員室で聞こうか!

という感じで連行される男子生徒でありました。カッコイイな生徒会執行部!
というか、笑い屋の息子が笑えないよと言うのは・・・カッコイイ!!しゃれてますな。

マーニーの高校の図書館には結構いい本が眠っていたらしい。
最後に送った男子生徒の写真を見る限り二百万は堅い本たちがあったそうな。ほほう。
この映像を見て悔しがる犯行の元締めたち。額が分かっちゃうと、逃した葡萄はすっぱいでは済まされませんわな。
というわけで、復讐のために学校に猛犬を放つ犯行の元締めたち。な、何をするか!!

さすがに猛犬は危ない。宮島先生も焦って生徒たちを校舎に誘導する。
そんな中、猛犬の前で立ち尽くすのは例の探偵団結成希望の3人組。これは危険が危ない。
だがその危険な場面に歩み寄る人がいた。枯野さんである。
枯野さんはおちついて・・・おちついて・・・と声をかけながら静かに近づいていく。

マスティフは本来おとなしい犬だ。虐待されて・・・人間を恨んでいるんだろう。刺激しちゃだめだ。
君は美しい犬だ。こんなことで人をキズつけてはいけない。
一時の感情で動けば君は自分をキズつけることになる。だから怒りに身を任せてはいけない。
我々人間のように。理性こそか美なんだ

そのように静かに語る枯野さん。おおっとこれは・・・
3人組にはとても耳に痛い話でありますな。枯野さんは全く意識してないだろうけど、いい薬となったようだ。
これにより猛犬は大人しくなり、3人組も悔恨の涙を流すこととなったわけで・・・
いやあ、人格者ですなぁ枯野さん。凄い。
図書の転売も猛犬の対処もキッチリと解決してみせるとは・・・これが本物の天才の力か・・・

ちなみに転売の元締めは偶然犬を離していた場面が監視カメラに映っていたので近いうちに御用となるでしょう。
前花さん、監視カメラ前後逆に配置しちゃってたのか!!
ふうむ。すると香坂さんが転売の生徒を見つけたのは偶然見回りで発見したからだったからなのか?
そうなると確かにマーニーは今回それほどは働いてないかもしれませんな。
まあたまにはそういう回があってもいいでしょう。時には効率よく解決する事件があってもいいさね。
そして今後アドバイザーになってくれそうな知識人の知り合いが出来ました。
これはマーニーにとって何よりも有難いことなのかもしれませんな。やったね!!



file27「黒い自転車乗り」  (2013年 11号)


file.17で登場した舞城天さんが久しぶりに登場。
相変わらずの自転車少女っぷりが爽やかでよろしいですなぁ。これぞまさにクールビューティーか。

マーニーの家を訪れた天ちゃんからとある話を聞かされる。
最近この峠、マーニーの家のそばの峠には自転車乗りの間で話題になってるサイクリストがいるらしい。ホウ。

走っているチームに突然割り込み、挑発的な行為をする黒いサイクリスト
挑発に乗ったそれらのチームはバトルをしたが誰も追いつけないという。
それどころか途中で消えるようにいなくなってしまう。バトルでケガした人も多く、自転車乗りたちはバカにされている状態とのこと。

我々の間で奴はゴーストと呼ばれている・・・

ゴーストねぇ。そりゃあ速そうだな。
で、天ちゃんはこの話をマーニーにしてどうしたいのかな?
何か言いたいことを切り出せずにモジモジしているみたいですけど?可愛いな、オイ。

まあいいや。私も興味湧いたし、ちょこっと協力するよ。
ゴーストライダーを追えなんてロマンあってさ、そんな機会あんまないもんね。マーニーにおまかせを。

というわけで、黒いサイクリスト――ゴーストを捕まえるために情報収集を行うマーニー。
サイクラークラスター――自転車乗りが集まるコミュニティや地域情報を確認すると、色々な話が集まってきました。
公開されているウェブカメラもあるし、目撃情報なんかも仕入れることができるかな。

しかし、マーニーの家は結構な丘の上にあると思ったが、やはり厳しめの坂があったりするんですな。
裏の峠は登り甲斐があるのか走り目的のサイクリストが集う場所となっているらしい。ほう。
こりゃ子供の頃から坂を登っているマーニーはクライマーの素質があるとかそういう話になるかもしれませんな!!
裏側がキツイだけで表側は緩やかなのかもしれんけど。

調査を開始して時間が経過するが、どうにも芳しくない。
カメラのチェックはしているがそれらしいのも見かけない。たまにサイクリングしてる人がいるくらいだ。
その報告結果を聞いた天ちゃんはマーニーに誘いをかける。

今週末ヒマ?ちょっと付きあってほしい・・・

ふむ。デエトのお誘いという奴ですかね?まあ・・・アリなんじゃないかな。ウン。

それはともかく、週末。
天ちゃんと共に自転車に乗って家の裏の峠にやってくるマーニー。
そこには沢山の自転車乗り達が集まっており、ちょっとしたイベント会場のような賑わいを見せていた。
ふーむ。家のそばで知らないうちにこんな賑わいを見せる時があるなんてなぁ・・・
そういえば、私の実家の前の川が釣り場のスポットとして一時期流行ったことがありましてなぁ。
水をもらいに来る人と交流したりと賑やかだった覚えがありますわ。天ちゃんのような娘はいませんでしたが。

閑話休題。
今回のイベントは健全な走行会だが違法な賭けレースもよくやっていると天ちゃんは言う。
カメラは設えてあるが、自転車乗り達には全て場所は割れているし、そこだけ速度を落としてやり過ごしているとのこと。ははぁ。
ってやけに詳しいですね天ちゃん。もしかして貴女もそのレース出てるんですか?

天「・・・・・・」
マーニー「なぜ目をそらす・・・」

なかなかいい性格をしている娘でありますな。それもまたよし。
ちなみに天ちゃんを知る人によると、彼女は女子最速最少年チャンプ。賞金王らしい。へぇ〜。
どうでもいいが、最少年チャンプって妙な言い回しですな。最年少じゃないのか?
きっとこの発言をしたオジサンは少年チャンピオンの愛読者なのでしょう。つい口を出てしまったのだと考えれば何の問題ない。
つまり天ちゃんは少年チャンピオンの賞金王なんだよ!!す、末恐ろしい・・・!!
てなことはともかく、チャンピオンのプライドとしてゴーストが気になっている様子の天ちゃんでありました。

峠に人が集まっている頃、1人の自転車乗りに連絡が入る。どうやらゴーストが出てこっちに向かっているらしい。
その情報は瞬く間に会場中の自転車乗りたちに広まっていく。
全員示し合わせたかのように自転車に乗り、ゴーストを追う構えを見せる。
単独なら敵わないかもしれないが、集団の力を見せてやるってところですかね。
マーニーは絶対追いつかないだろうから、天ちゃんに簡易ヘッドセットを渡し、ノートPCでウェブカメラの確認を行う。

速い・・・しかしこのゴーストの自転車の形は・・・
ん?峠の入口に・・・ヤバイ!パトカーだ!!

自転車でも法定速度を超過すれば検挙されることは有り得るらしい。
一度捕まって余罪を現れたら賭けレースのことも明らかになるかもしれないし、これは天ちゃん大ピンチ。
しかし、そのことを知らない天ちゃんは必死にゴーストを追いかける。
あれだけの数はいたが、ゴーストについてこれてるのは天ちゃんを入れて八人。
しかし実業団組の人たちもいるし、これだけの人数がいれば相当な速度は出せる!!

と思いきや、道に飛び出してきた動物たちを轢きそうになり、慌てて回避する八人。
クラッシュは免れたものの、天ちゃん以外の面々は足が止まってしまった。
というわけで、一人で追いかけようとする天ちゃん。さすがにチャンピオンですな。凄い意志だ。

行くぞゴースト。この先カメラがあるゾーンだけど・・・知ったことか・・・いた!
もうちょっと・・・もうちょっと・・・!!
追いついたぞゴースト!顔を・・・顔を見せろ!!

あと少し。というところで簡易ヘッドセットからマーニーの制止の声が響く。ストーップ!天!!

天!正体がわかった。隣の町で自転車の違法改造をするチューンアップショップオーナー大神正次。
ゴーストの正体は改造電動アシスト車で、最高速は百キロを超える。普通のサイクリストじゃ絶対追いつけない。
それにこのことはもう警察にバレてるんだ。警察は峠の出口で待ち構えている。このまま奴を追えば皆捕まるぞ!!

マーニーの言葉と、ゴーストの顔を見たことで脚を緩める天ちゃん。
ゴーストの顔は髑髏をあしらった、まさに亡霊と呼べるようなマスクであった。
普通に考えたら追いつけないらしいけど、今回天ちゃんが追いつけたのはゴーストがわざわざ顔を見せようとしたからなのかな?
覆面してるなら見られても問題ないし、むしろ脅かすことができますものねぇ。
可愛い少女を驚かしたいという気持ちだけならまあ、分からないではないですし。

それはともかく。
ゴーストこと大神正次は峠の入り口で無事逮捕。
猛スピードでバリケードに突っ込んだがバイク並のプロテクターを着こんでて命に別状はなかったらしい。うーむ、迷惑な。
ってそういえば、天ちゃんは高スピード出すのにヘルメットも着用していないんですな。
さすがにそれは危険だとは思うのだがなぁ・・・倒れない自信がたっぷりあるのかもしれんが。

大神正次は昔競輪選手を目指していたが体を壊して挫折。それで自転車を改造する側になったのだが、それが高じて・・・
復讐だったのかもしれませんね。電動アシストを使ってでも、自転車乗り達をブチ抜いて・・・

あれはまるで・・・死人のようだった
スピードの先・・・速く速くその先にあるもの。そこにはポッカリと暗い穴があって・・・
そこには手招きする者がいた。ゴーストのマスクとそっくりの顔をして奴はそこで私達を待っている。
マーニーが止めてくれたから、私達は助かったんだ。

スピードに魅せられる人は多い。車であれバイクであれ自転車であれ。
しかしその速さの先にあるものは一体何なのであろうか。
過ぎた速度は人の力では制御できなくなる。やはりその先に待っているのは破滅なのではなかろうか。
そんなことを改めて考えさせられる話でありました。速きを求めれば、死は早く人を迎える。なかなかに深いアオリですなぁ。

しかし、天ちゃんの自転車はハンドルの形からしてクロスバイクだと思うのだが・・・よく速度が出てますな。
それも実業団に並ぶくらいの健脚。
伊達に少年チャンピオンで賞金王とっているわけではないということですね!!凄いぞチャンピオン!!
うむ。大っぴらにチャンピオンを褒め称えれるこの流れは最高ですな!!やったね!!



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