蒼天紳士チャンピオン作品別感想

バーサスアース
第25話 〜 第51話


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 各巻感想

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連載中分


バーサスアース 4巻


第25話「凱歌の背中」  (2013年 8号)


剥き出しの髄幹に叩き込まれる集中砲火。
外甲にさえ守られていなければ、自衛隊の装備でも十分通用するのである。
深柱塔解だ。人間様なめんじゃねえって話ですわな。

崩壊しながら倒れていく深柱。
マントル熱戦を放とうとしていた目玉も縮み、顔のような部分に収納されていく。
なんだったんだろうなぁ、この顔は・・・

あの化物を本当に倒せたのかと感慨深げな佐藤3佐。隊員たちの犠牲は無駄にならなかったぞ――
しかし、いつまでも感激してはいられなかった。
塔解が始まったのを見て、すかさず地災研の処理チームが動き出す。
どうやらヒミコさん、深柱塔解現象や砂状化についての詳細は自衛隊に伝えていなかったらしい。
まあ、戦いをする上で教えておかないといけないという部分ではないですが・・・

可能な限りのデータと残留物は、わたしたちが頂くわ

それが狙いなんでしょうなぁ。
掃除機のような吸引銃(バキュームガン)を用いて砂状化した深柱の体を吸い込んでいく。
この先も深柱と戦うためには材料の調達はかかせないですからねぇ。0.1gでも吸い込んでおきたい。
それはわかるが、自衛隊にデータを回すつもりはなさそうなヒミコさん。ふむ。
知識がないので手作業で回収しようとするが、悪戦苦闘している自衛隊。むう、ここからスタートするしかないか。

自衛隊に地災研の装備を回していけばハルトたちが闘わなくても済むのではないか。
扱いの訓練は玲央さんたちの方が先んじているから一概には言えないけど、攻撃手は多い方がいい。
そのように考えなくもなかったが、ヒミコさんはそういう考えはもってない様子。ふうむ・・・

強敵の深柱は倒れた。だが、最後に見たあの髄幹の顔。話しかけてきたあの顔のせいで激しく動揺しているハルト。
どうやらあの声はハルトにしか聞こえていなかったらしい。深柱同士はテレパシーのようなもので交信ができるのか?

オレは・・・ちがう・・・柱なんかじゃない・・・人間だ・・・ただの人間・・・

動揺ゆえか、能力を制御できなくなっているハルト。侵食が始まっている。
かなりの隊員に能力の発動を見られているし、ここで暴走状態を見られでもしたら、ハルトが危険な存在だと認識されてしまう!!
危惧する玲央さん。自衛隊としてはそのように考えるのは無理もないところでしょうわな。
暴走しかけているハルトの右腕には深柱の外甲が浮かび上がっている。見ろよあの手、まるで溶岩噴出体みたいな色だ。

そんな言葉に激昂しかけるハルト。
そのハルトの腕にさらりとワクチンを投与するヒミコさん。上着の上から打ち込みおった!!
緊急的な措置かもしれないが、ヒミコさんのノリがなぁ。
激昂しているハルトに油を注ぐようなものでありますわ。

オレは、あんたのオモチャじゃない!

人さらいのようなマネをして戦いの場に放り込み、軽い感じでごほうびとか言われると、そんな風に扱われている気になりますよね。
ワクチンを打たれたばかりなのに、右手を変色させてヒミコさんに襲い掛かろうとするハルト。
玲央さんが必死で止めようとするが、この勢いはそう簡単には止まりそうにはない――

うおおおおハルトおおおおおお!
ハルトおおおお!よく来てくれたあああああ!!

そんな危険で深刻な空気なんて微塵も気にしない叫びが場を圧倒する。
ドレッドこと兵真くん。負傷しているので自衛官に肩を貸してもらいながら登場。そしてハルトに感激のハグ

ハルト。やっぱお前はスゲェわ!!オレは今モーレツにお前を抱きしめたい!!
林、来い!左支えろ。ピラーブレイカーのスーパールーキーのお通りだー!!

わっはっはーと肩に担ぎあげる兵真くん。この天然っぷりは凄いなぁ。ハルトが怒っている暇すらない!
しかし、地災研の方はともかく、自衛隊の方には結構な被害が出ている。
勝利というには犠牲が多すぎた。大っぴらに喜んでいい空気ではありませんわな。
でもまあ、そのおかげでハルトの暴走も抑え込めたわけだし、ファインプレーであることには違いないですよ兵真くん。天然だけど。

田中2曹と森1曹は兵真くんにお礼を言う。君がいなかったら我々2人は死んでいた、と。
それに対し、礼を言うならこいつに言ってくれとハルトを前に出す。こいつが来てくれなきゃこの勝利はなかったんだ。

・・・そうか。ありがとう。勇気ある協力に感謝します

ビッと敬礼して礼を述べてくれる2人。うーん、いいものでありますねぇ。
ヒミコさんの軽い感じではない、気持ちの籠った謝辞。これにはハルトも思わず背筋が伸びる。

お前が来てから1人も死んでない。それまでばたばたやられてたのによ。胸張っていいと思うぜ。オレはよ。

本当、いいこと言ってくれますね兵真くんは。
おかげでようやく深柱を倒し、生き延びたという実感が出てきたハルト。
玲央さんとしては兵真くんにあまりハルトを持ち上げすぎないよう釘を刺しておきたい。
まあ、玲央さんはなるべくハルトを前線に出したくはなかったみたいですしね。まだ高校生なんだし。
それに力に溺れたり・・・勘違いした人間にはなってほしくない

わかってますよ。こんな光景見せられて調子に乗れるほどオレ・・・図太くないっスから

何。兵真くんは図太いというのか!?いや、体系的には非常に図太いとは思いますが。
光景も目に入らないぐらい感激していたからしょうがないじゃないですか!図太いのではない。天然だ!!
まあ、兵真くんのことはこの際どうでもいい。
それよりもハルトがそういった力に溺れるようなタイプじゃないことに安心する玲央さん。よかった。おまえがそういうコで。

では改めて礼を言う。ありがとうハルト

落ち着いた表情で礼を言う玲央さん。美人ですなぁ。
そのためというわけでもないが、呆けたような感じになるハルト。

あれ・・・なんだ・・・オレ・・・この人たちの役に立って、よかったと感じてる

もう何度も共に死線を潜り抜けた仲間ですものねぇ。
兵真くんと肩を組まれ、ピラーブレイカーの3人と一緒にいるハルト。何ともいえない感情が湧き上がっているようですな。

オレのことは"兄貴"でいいぜ

な、何を言い出すんだ兵真くん!!微妙に感激している最中に何を言い出すのかこの人は!!
兄貴分というには感激屋すぎる感じがあるのがアレでしてなぁ。手間のかかるお兄ちゃんという印象が拭えない。
物凄くいい人なのは間違いないんだが・・・その残念な感じがまた良し。

兵真くんのおかげでほんわかした感じになりましたが、ハードな話はまだ残っていた。
玲央さんの右手の内側に仕込まれている鋭い刃。「融合者殺し」
アメリカから届いたもうひとつの試作品。もしもに備えてヒミコさんが仕込んでいたという。

もしもハルトきゅんが完全に深柱を制御できなくなり我々に危害を加える可能性が高まったら、
彼に一番信頼されているあなたが処理するのよ。
それで脳幹と脊椎を傷付けることなく心臓を貫けば、脳が死に至る短い間、外甲片を原形のまま採取できるはず

玲央「本気であたしにそんなことできると思ってるの?」
ヒミコ「できるわ。あのコはもう深柱だもの。あなたの家族を殺した憎き柱の眷属よ」

うーむ、ヒミコさんは本当悪い感じだなぁ。
暴走を抑え込むための万が一の処置を考えるのは当然である。
そしてその場合に、最大限の収穫を得ようとするのもまあやむを得ない。
しかし、どこかそれを望んでいるんじゃないかと思える感じに見えるのが危うくてなぁ・・・
原形の外甲片さえ手に入ればもっと凄い研究ができるのに、とか考えていそう。
下手すると、先のハルトへの態度は暴走を煽り立てていたんじゃないかとすら思えて来る。

そんなヒミコさんですが、ひとつぐらいは良いことをしていたりする。

日本地質災害研究機構の者です!通してください!

そう叫びながら自転車をこいでやってきたのは・・・カナちゃんだ!!ヒロイン、遅ればせながら登場。
どうやらヒミコさんが検問に裏から手を回してやってこれるようにしておいてくれたらしい。
ふむ、粋な計らいでありますな。まあ、人さらいのようなマネまでしたのだし、このくらいのフォローはねぇ。
まあ、暴走に対する対抗手段のひとつとして呼び寄せておいたという話なのかもしれないが・・・

確かに暴走した主人公をヒロインが鎮めるというのは王道である。美しい話だ。
しかして今回暴走しかけた主人公を抱きしめて落ち着かせたのは兵真くんだったりする。う、美しい話・・・?
天然の破壊力は本当すさまじいなぁということでありますよ。

さて、何にしても凶悪な深柱は制すことができた。
しかし次に出て来る深柱はさらに凶悪な性能になっているんだろうなぁ・・・
人類側の飛躍的な強化が望まれるところであるが、どのような話となるのか。次の展開に期待だ!!



第26話「最小の最終決戦」  (2013年 9号)


自衛隊の一斉掃射を受けて塔解する深柱。
破片は飛び散り砂塵が舞う。そしてその中の重要な器官である目玉が空を仰いでいた。

そうか・・・私は敗れたのか・・・

目玉とそれに付随する器官のようなものが虫のような形で地面に落ちている。
靴より小さいぐらいの大きさ故か回収班にもその存在は気づかれていない。迂闊ですな。
回収班が塔解した深柱に群がり身体を集めているその姿に怒りを感じる深柱。

触るな!!穢らわしい!!
お前たちはいつもそうだ・・・どうして身に余る力を欲する。その先にあるのは破滅しかないというのに!!
また同じ過ちを繰り返そうというのか!?
永い時間を経てやっとここまで戻したのに・・・争って汚して踏みつぶして焼きつくす。
なんて愚かな人間。人間。人間〜〜〜。

小さな身体で大きな怒りを持つ深柱。
これは・・・割と重要な情報が出てきた気がしますな。
なんですか?今よりも昔に人類が存在し、一度地球は滅びかけたと?
そこから再び進化の歴史を辿って今に至るとかそういう話なのでしょうか?
ふむ。一度滅ぼしちゃった歴史があるのなら、深柱の人類への怒りはそこまで筋違いでは無いのかもしれないが・・・
もう少し警鐘に留めるとかそういう段階からにならないものかねえ。
まあ、一体一体襲ってくること自体が警鐘なのかもしれないが。

このまま朽ち果てるわけにはいかない!1人でも多くの人間を滅ぼさねば・・・

髄幹を破壊され瀕死の深柱。
なんとか力を振り絞り棘のような尻尾を作り出す。小型だが深柱の体で作られているだけに強靭である。
これで首を突き刺せば確かに殺すことも可能でありましょうさ。人体の弱点をちゃんと理解してますのな。
ちなみに人類がマントル熱線と呼んでいるものを深柱は御雷と呼んでいるらしい。今はそれを撃つ力は残ってない様子ですな。

残りの力を振り絞り、いざ攻撃開始!!
というタイミングで目の前に立ちふさがる影。これは・・・・・・猫!!ナー。

どきたまえ!!
私の邪魔をするな。人類抹殺は地球全体――ひいてはキミたちの利益にも・・・つなが――

言い終える間もなく、猫パンチを受けて吹き飛ぶ深柱さん。聞く耳もたずって感じですね。やめたまえ!!

攻撃するしか――だめだ――無益な殺傷はしたくない!!

そう考えながら御雷を放つ深柱。
まあ、力を失っている現状ならば目くらましぐらいにしかならない。生命に別状はないはずだ。
しかし御雷を撃ったことで残された力は本当にあとわずかとなる。身体を動かすこともできないほどとなった。
このままではもう1体の人間も殺せない。
そう考えていたとき目に映ったのは・・・玲央さん!!

あれは・・・私を傷つけた戦士・・・我々の『身体』を武器に転用する危険な存在・・・
奴を殺せば・・・人間側の戦力を大きく削ぐことができる。
やろう。残されたわずかな力。露出した首を狙うことはできる。

身体を動かすことはできないが、形態をわずかに変えることはできる。
弓のようなものを作り出し、外甲を纏った尻尾を矢として撃ちだそうとする深柱。
これが首に突き刺されば葬ることも可能となる!!が、やはりこの行為が果たされることはなかった。ガポ。

またキミか!?

目くらましを喰らわせていた猫が復活し、深柱に食らいついている。
うーむさすがは野良猫。こんな得体の知れないものまで遠慮なく食らってしまおうとは。
口の中に含まれ、後は噛みつぶされるのみの深柱。まさに脱出不能であります。

やはりあのとき仕留めるべきだったか。いや・・・キミもまた大地の一部。
不本意な末路ではあるが、人間に殺されるよりは・・・

あらぁ?いいもの持ってるじゃない〜〜

深柱の不本意はここからが本番であった。
突然現れたヒミコさん。食らおうとしていた猫を拾い上げ、無理矢理ビーカーに目玉を吐かせる。

無念!!!

よもやの捕獲!!やあ、悪そうな顔してるなヒミコさん。
思わぬ収穫を得たようだが、どのように活用するのであろうか。

今回は敵側の視点の話ということで色々と判明した回でありました。
やはり深柱は人類以外は極力殺したくないというスタンスなんですな。
そうでなければ大規模な天変地異でも起こせばいいだけですし。
しかし、色々と妄想ができそうな設定ではありますな。
実は深柱の正体は前の文明の生き残りが再生のために地球と融合した旧人類でした!とかそういう可能性もある。
そうなると深柱は人類と会話できるのだろうか?口がないから今は声は発せれないが・・・
意思疎通ができるとなると色々と捗りそうであるが・・・どうなりますのかね。

何にしても一番悪用・・・有効利用できそうな人の手に落ちた深柱。まさしく無念!!!
なんというか、汗かいて動き回る姿とか言い回しとか微妙に可愛くて困ったな。
これまでの深柱も内心こんな言い回しで考えながら戦っていたのだろうか・・・想像するとなんか面白いな。特にスルトさんとか。



第27話「地下13階の一番奥」  (2013年 10号)


ヘビ型深柱との戦いに勝利した地災研。
あれからどれだけ日数が経過したのかはわからないが、玲央さんにマッスルコートの最大稼働オーバーによる負担はあまりなさそう。
さすがに箸が持てなくなるほどの被害はなかったのか、それとも治したのか。

ともかく、玲央さんは再びマッスルコートを纏っている。
そしてスカルペルも準備している。完全な臨戦態勢であるが、何かあるのだろうか?
と思いきや、ヒミコさんが前回拾った深柱の一部に関係する話らしい。ふうむ、そりゃ確かに危険そうだわな。

玲央「あれ。あれれれぇ。林くん。あたしちょっと太ったかな。どう思う?」
林「知りませんよ!!」

真面目な話をしてたと思ったら、いきなり何を言い出すのだ玲央さん。
いや女性にとってはこれはこれで深刻な話なのかもしれませんが。
ガムばっか食ってるからカロリーオーバーしてるんですかね?それ以上に動き回ってそうな気がしますが。
と思いきや、どうやら林くんの見立てによると太ったというか一段と大きくなっているらしい。ほう、どの部分のことかな?
まあ考えてみれば玲央さん。マッスルコートのチャック途中まで上げてますよね。
その後上げ切ったところできついと言ってるんだから、そりゃどの部分がきつかったかは一目瞭然な話なわけで。
どうでもいいが、玲央さんはやっぱり林くんに甘い気がする。
なんとなく無防備な感じというか。林くんだって男の子なんですよ?大きければ大きいほど良いとか口走っちゃうぐらいの。

玲央さんの弟の話が出てきたとき、ハルトとそういう関係に。という予想はしてみた。
が、ひょっとすると林くんの方が弟の面影があるという話なのかもしれない。なればこの扱いにも納得がいくかもしれませんな。

それはさておき。地下の研究所にエレベーターで向かおうとしている最中に異変が発生。
一番下は地地下3階のはず。確かに表記はB3だ。しかし、止まらずにずっと下がり続けている。
どうなっているんだと思っているうちに、ようやく止まった。表示は地下13階。ずいぶん深い所まで下がったものだ。

エレベーターのドアが開いた先は広い空間。そして巨大なシャッター。
シャッターの脇を固める壁は厚さ30cmはあろうかという強固なもの。
さらにシャッターの上にはヤタノカガミが張り付けられている。おそらく下にスライドしてくる仕組みでありましょう。
しかも鏡面はシャッターの向こう側を向いている。
ということは、シャッターの向こうには何かがいる。ヤタノカガミで攻撃を防がねばならないくらいの何かが・・・

この先にあるものは日本政府はおろか、地質災害研究機構でも一部の人間しか知らないわ。
ようこそ、秘密の実験室へ

横から現れたのはヒミコさんと三輪先生。
ふうむ。地災研にもまだまだ謎が残されている様子ですな。この2人は雰囲気も怪しげだし、この位の秘密はあって然るべきか。

ヒミコさんは先の戦闘で砂状化しなかった深柱の一部を回収したことを話し出す。
それは生物の眼球と脳のような構造をしている
もしこれが脳・・・というか、有機的な記憶保存デバイスとしての機能を有していて、そこから情報が引き出せたら・・・
ヒミコさんはそのようなことを考えているらしい。まあ、当然の考えですわな。

と、そんな話をしている最中にシャッターの向こう側から恨みの籠ったような叫び声が響いてくる。
「ニンゲンン!!」そう聞こえる声が響いてきている。ギギギギギィッ。

繋いでみたの・・・似たような存在なら、似たような器官を移植できるんじゃないかって

似たような存在。深柱と似たような存在。そう、それは融合者。深柱の囚人(ミスターピラー)のことである。
でもそいつは確かアメリカでホルマリン漬けにされて保管されているのではなかったか?
と思いきや、こっちはまだミスターピラーとは呼べないとか言っている。む?似たような存在がいるという話か?
どうやら融合はしたが死なないが意識はない状態だったらしい。
その状態では外甲素材も殆ど採取できないし、扱いに困る存在だったとのこと。

そんな折に今回の髄幹の一部の採取。僥倖だと感じた。これしかないと思った。
どうせ素材が取れないなら別の方法で役に立ってもらおうと思ったの!そしたらどうなったと思う!?

すっごく嬉しそうに研究結果を語るヒミコさん。
まがりなりにも生きている人間を役立ってもらおうとか・・・まさしく人体実験でありますわな。
語ってるヒミコさんは興奮しすぎて天国イっちゃいそうになってるし、全くマッドサイエンティストって奴はよぉ。

お花畑が見えているヒミコさんに代わり、三輪先生がフォローを行う。
この実験のおかげで我々は大きく前進できるかもしれない。謎だらけだった"柱"の秘密に迫れるかもしれない、と。

まあ、確かに大きな話ですな。この先の人類の生存という課題と比べれば小さい犠牲と割り切られても仕方ないかもしれない。
だが、実際にその姿を見せられるとやはり話は違う。
それもこのミスターピラーは日本での融合者。つまり練馬か池袋の生き残りということになる。
そ、その話で出て来るキャラと言ったらもしや・・・はい。その通りの話でありました。

深柱の囚人(ミス・ピラー)
彼女の名前は槇原ユミ。練馬のファミレスで被害に逢ったハルトくんの同級生。

これはまた・・・なんというか・・・エグい。
いや、希望を持ったのですよ。もしかしたらユミちゃんが融合者として生きているんじゃないかと。
確かに生きてはいたんだけども、これは・・・

ユミちゃんは遺体の損傷が激しくて身体の一部しか残らなかったと遺族には報告されている。
なるほど。上半身は回収して下半身は遺族に渡していたという話か。
遺体がまるごと無くなっていたら、どこかに持っていかれたとバレちゃうかもしれませんですしね。
しかし、腹に穴が開いただけに見えたのだが何故体が泣き別れになっているのだ?
もしや下半身だけ遺族に渡すためにちぎったとかそういう話じゃあるまいな・・・さすがにその考え方は気分がよろしくない。

ちぎれた上半身から飛び出した脊髄と深柱の一部が繋がれている
なるほど。この影響でユミちゃんの肉体は喋れるようになっているのか。
思考は繋いだ深柱の方だが、発声器官は人間のユミちゃんのものを使っているので会話が可能と。ふむ。
しかし、この様子ではとても話を聞き出せるようには見えませんが?

記憶も人格も失ってしまったように見えるでしょう?だけどね・・・
「彼」の身体検査したとき・・・録った写真があったから見せてみたの・・・

彼とはもちろんハルトのこと。ハルトの写真を見て、落ち着いた表情を見せるユミちゃん。ほほう、これは・・・

何というか、これはまた陰惨な流れになってきましたな。
深柱の情報は欲しい。だが情報を得るとなると、ハルトとユミちゃんの対面は避けられない話となる。
ハルトはこの現状を受け入れることができるのだろうか?
融合することになったのは不幸な話だが、人体実験をしたというのは揺るぎない事実。
既にヒミコさんのやり口には反感を覚えていることだし、これを見せられたらどういう態度に出るかわかったものではない。
それを抑えるのが玲央さんの役目ということだろうか?うーむ、陰鬱。

抑える役目と言えば、今回玲央さんと林くんだけで兵真くんの姿はない。
ケガが治っていないというのもあるが、まあ兵真くんには秘密にしておこうという話になってるんでしょうな。
あの性格では隠し事も難しいし、自分たちのあり方に疑問を抱くことになり兼ねない。
兵真くんには能天気に騒ぐ癒し系のポジションでいてもらわないといけないという話ですよ。そういう方面の活躍を期待してる!!



第28話「鋼鉄の姫君」  (2013年 11号)


センターカラー!!
地質災害研究機構開発主任、萩原火魅子。目的ノタメナラ手段ヲ選バズ
そのような文言と共に大きく描かれるヒミコさん。うーむ、怖い怖い。

さて、衝撃的なミス・ピラーと化したユミちゃんの姿。
それを見た玲央さん。驚きのあまりか妙に変な顔になっている。まあ驚きが強かったのでしょう。それだけ。

ハルトの写真を見た時だけほんの少し人間の記憶が戻る。
しかしそれ以外の時は接続した深柱の人間への敵対意識が表に出て来るらしい。ふうむ。
でもそうなると、危険なんじゃないですかね?基地の深部に深柱がいるだなんて。

平気よ。
彼女と私たちを仕切る『窓』は深柱外甲による攻撃はもとより、練馬級のマントル熱線にも耐えうる強度がある。
加えて、もしも『窓』が破壊されてもそれ以上の強度をもつ『壁』が閉じる。
さらに天井にはヤタノカガミを備える念の入れよう。
彼女を支える『寝台』に装備された4本のツルギが深柱器官との接合部を、
最悪の場合は彼女の脊髄を切断することによりこれを沈黙させることができる。万全よ

『窓』とか『壁』とか『寝台』、ヒミコさんらしくない直接的なネーミングですね。
壁を天岩戸とか寝台を天鳥船(あめのとりふね)とか言い出したりはしないのだろうか。窓は思いつかんけど。

そういうことを言ってるんじゃなくて・・・

玲央さんからのツッコミ。あ、やっぱり?ネーミングとかどうでもいいですよね。ん、そういう話でもないのか?

『寝台』の拘束力を上げる。通常の人間ならば窒息している強度まで上げる。
するとユミちゃんの体を守るためか深柱外甲が生成され始める。悲鳴をあげるユミちゃん。
それを見て玲央さん、ヒミコさんの胸ぐらをつかんで止めさせようとする。

駄々をこねるな。子供じゃないんだ。柱の謎の深淵に触れるチャンスが来たのよ?何をしてでも情報を引き出さねばならない!

研究者らしいセリフでありますな。まあ、立場ある人間の言葉も含まれているのかもしれませんが。
しかし、目の前で知人の友人が苦しんでいる姿を見せられるのもなぁ。
だがヒミコさんはこう述べる。柱のまま放置していいの?と。

可能性は低いとしても・・・この研究を進めることは彼女を救うことにも繋がるかもしれない。
深柱器官を外したら植物状態に逆戻りよ。

まあ、その通りなんですな。
研究が進んでうまく深柱の力を扱えるようになるならば・・・失われた下半身を再生することもできるかもしれない。
そういった夢を持つことはできるが・・・悩ましい話だな。
ともかく今は成り行きを見守るしかない。そう判断したのかヒミコさんへの攻撃をやめる玲央さんでありました。

ハルトの写真を見せて話しかけるヒミコさん。
お話したら会わせてあげてもいいという言葉にユミちゃん、喰いついてきます。
ちなみにユミちゃん。事前にいろいろ試したが、両親の写真にも反応を示さなかったという。
練馬の柱が出突した直後、死亡直前のことしか覚えていない可能性があるとのこと。

西崎カナの鮮明な写真も用意できないか?

そのように林くんに尋ねる三輪先生。ああ、やはりカナちゃんの写真は試してないのね。
これでカナちゃんの写真に反応しないならば、ユミちゃんはハルトに特別な想いを抱いていたことが確定しそうであるが。
どうでもいいけど、三輪先生はやっぱり悪そうな顔してるなぁ。
女子高生の鮮明な写真をそんな顔で欲しがるとか・・・一体ナニに使うつもりなんですか!?

それはさておき。
ヒミコさんは練馬に出突した茶筒型深柱の画像をユミちゃんに見せる。
すると、途端に脳裏に蘇る自分の死亡時の出来事。
そしてその時見た目玉と同じものが自分の脊髄と繋がって目の前にあるという現実に目を向けさせる・・・
これは悲鳴をあげますわな・・・辛いわぁ。

何!?どんな気分なの。痛いの?苦しいの?頭の中に"別"の記憶は残ってない?

容赦なく質問を浴びせかけるヒミコさん。
確かにユミちゃんの頭の中には深柱の記憶らしきものがある。
人間が血と血の争いをし、地球を傷つけていった光景が記憶として現れる。

さすがにこういった記憶が前に出てくると強く暴れ出してしまう。
寝台の拘束ケーブルがいくつか切断され、非常に危険な状態だ。
三輪先生は念のためにツルギの一本を動かし、いつでも強制分離ができるような形に持っていこうとする。
だが、突然の停電。これによりツルギの動きも停止する。
万一に備えて独自の発電設備も持っている研究所で停電とは・・・?

疑問に思っている最中、突然窓の向こうに光が発生する。
あんなところに光源はないはずだが・・・そう思って目を凝らすと、光っていたのはユミちゃんであった。
その大きく開いた口の中にはヘビ型深柱の時と同じように目玉が現れている。
となれば、この状態で放たれるのは・・・マママママントルー!!

窓に叩き付けられるマントル熱線。
慌てて『壁』を閉じて対熱線防御を行おうとする三輪先生。
一方のヒミコさんは何だか大喜び。なるほど深柱が研究所の電力を吸い上げて力に変えているのですな。

すごい、すごい。いっぱい出てるぅ〜〜もっとよく見せて!!

嬉しそうというかなんというか、取り憑かれたかのような表情でそんなことを言い出すヒミコさん。
しかし、その顔面のすぐ横を細いマントル熱線が突き抜けていく。
どうやら一点に収束することで威力を上げてきたらしい。ほう、そんなことも出来たのか!!
ヤタノカガミで防いでいる最中にやられなくてよかったですな兵真くん。

窓を貫通した熱線を回転させて通り抜けられる穴を作る。
穴が出来たと同時に太く強力な熱線が飛んでくる。が、これはどうにかヤタノカガミで防ぐ玲央さん。
そうやって防いでいるうちに『壁』が閉まり、どうにか閉じ込めることに成功した。
と思いきや・・・どうやら『壁』が閉じる前に熱線の放射を止めて、いちはやくこちら側に飛び込んできていたらしいユミちゃん。
その外甲が三輪先生の肩を貫いている。痛そうだ。

玲央さんは万一のために用意していたスカルペルを抜刀し体勢を整える。
ユミちゃんはどこに行ったのかと思ったら・・・上にいた!!
どうやら腕を硬質化させて血管を使ってへばりついているらしい。
ハルトのように外甲の形態を自由に変えられるのはヘビ型深柱が形態を変化させたことからも明らかである。
その形態変化を使い、腕を伸ばして攻撃を仕掛けて来るユミちゃん。
狙われているのは玲央さん。だがその玲央さんは相手が相手なので倒すのに躊躇している様子。
そのため、向けられた攻撃を防ぐために林くんが前へと飛び出してくる。

視神経と連動・・・目標確認。自動補足。三輪先生への攻撃と同じ威力ならこれで・・・

そう呟きながら突き出した左手でユミちゃんの攻撃を止める。
ああ、やはり池袋でやられた左手は義手に代わっていたんですな・・・
せっかく義手にしたんだからとばかりに高性能な機能が詰め込まれていそうですな。

玲央さん!ためらう気持ちはわかります・・・こんなこと許されていいはずがない!!
だけど・・・ここで食い止めなければ悲劇が大きくなるだけだ!!
玲央さんができないなら僕がやります。接合部なら通常火器でも。

そう言って銃を取り出す林くん。戦闘訓練を受けていたというだけあり、銃の扱いも習っているんでしょうな。
しかし、行動に出るより早くユミちゃんが動く。
伸ばした腕を短くしながら飛びかかってくる。そして開いた左手で林くんを狙う。
林くんを救うために剣を振るう玲央さん。

玲央ちゃん、貴重なサンプルよ。正中線は傷つけないで無力化して!!ぶらっ下がってる目玉を切り離すの!!

ヒミコさんの言葉通り、攻撃を無力化するために右腕を落とし、そして脊髄と接続されている目玉を切り離す。
このまま人体実験に使われるのならば、いっそ・・・という思いは玲央さんにもあったのかもしれない。
しかし、それでも。確かにヒミコさんの言う通り、この研究が勝利に繋がる可能性は高いわけで・・・悩ましい。

恨んでくれてもいいわよ。でも、私は研究をやめない。
ひとでなしと言われても、それが勝利に繋がるのだから

ヒミコさんの言うことは分かる。とても。
しかし、倒れながらハルトの写真を見て力なくハルトくんと呟くユミちゃんを見るとどうにもなぁ・・・

ユミちゃんは再び植物状態に戻った様子。
研究所内の防衛施設が整うまでは再接続はされないでしょうな。
しかし、再接続されて研究が進むとなったとき何が起きるか・・・
今度はハルト自身が目撃させられる展開が来そうである。そうなったらハルトはどう動くのか・・・
玲央さんとは違いまだ本当に子供なので、子供のように駄々をこねるなという説得は通じませんぞ?
説得も玲央さんが行うとかいう話になりそうだなぁ。うーむ、キツイ展開だ。



第29話「ハルト」  (2013年 12号)


今は亡き友人と一緒に遊んだ公園で一人佇むハルト。
深柱と融合してしまい、ワクチンがないと生きられない体となっている。
その事実はやはり気落ちさせるには十分なもののようですな。うーむ。

どこにも吐き出せない気持ちをサッカーボールにぶつけるハルト。
壁に向けてシュートを放つ。なかなかいいシュートだ。
公園に現れた兵真くんが松葉杖拍手でそのように評してくれます。カチカチ。

どうやら公園で兵真くんと会う約束をしていた様子。
その理由は発作を抑えるための薬をもらうためである。
ほう、ワクチン以外にも抑制剤みたいなものが開発されているのか。
これならヒミコさんに脅されなくても自分のペースで飲めるからいいですよね。
ただ、薬はあくまでも緊急時の避難用である。

来週、ちゃんと注射打ちに来てね。だってよ。

ドレッドでツインテールを作ってヒミコさんの真似をする兵真くん。何やってんだか。
行為としては面白いが、ヒミコさんの顔も見たくないハルトとしては不快なことこの上無いですし。
元々ヒミコさんに会いたくない、顔も見たくないからこうして兵真くんに薬をもってきてもらったわけで。
うーむ、嫌われたものですねぇヒミコさんも。当然だけど。

困ったことがあればまたメールくれよと立ち去ろうとする兵真くん。
それに対し、とっくに困ってるよ・・・と零すハルト。
そんなハルトをそのままにして帰れる兵真くんではありませんでした。

パス。

振り返り、サッカーボールを松葉杖でパスッと叩きそのようなことを言い出す。
脚は先の戦闘でこんなだが、そのぶん身体がなまって仕方がない。相手をしてくれという理由づけだ。

(なんだよ・・・子供をあやしてるつもりかよ。バカにして!)

ハルトの苛立ちは消えない。その意識からか強めのパスが飛び出してくる。
だがこのパスを見事にトラップし、頭で返す兵真くん。ほう、上手いものだ。

ハルト「や・・・やってたの?サッカー」
兵真「中学の途中までな」
ハルト「ちゅ・・・中学出てたんだ
兵真「どういうイミだよ!

さすがにこれは酷い。兵真くんだって義務教育ぐらいは受けてるでしょうよ。成績の方は知らないけど。
それはさておき、パスをしながら会話を始める2人。ハルトは躊躇いながらも、質問を口にする。

ハルト「た・・・戦うの・・・怖くない?」
兵真「別に

実にあっさりとした答えが返ってきて困惑するハルト。
別にって、全然ってことはないだろ。あんな生死に関わる戦いをしておいて・・・
戸惑うハルトに兵真くん。怖いのか?と問う。

ハルト「・・・怖いよ。当たり前だろ。あんたらと違って弱いんだ」
兵真「いや、お前は弱くなんかない。地下鉄のときも新宿のときも、お前は勇敢だったじゃないか」

そのように述べてくれる兵真くん。しかしハルトは心苦しそうな表情を見せる。

違う。あれは、あれは・・・勇敢だとかじゃなくて・・・その・・・帳尻合わせなんだ。最低な行為の・・・
オ・・・オレ・・・あのファミレスの・・・とき・・・カナをおいて1人で逃げようと考えた・・・
実際立ち上がる直前だった・・・そしたら・・・カナが握ってた手を離して言ったんだ・・・
"私は走れない""ハルトだけでも逃げて"――って。
ひとりだけ助かろうと思ったオレに・・・逃げて・・・って。

融合する結果となった練馬での戦闘参加。
その勇気を持つことができたのもカナちゃんのこの言葉があったからこそである。
しかし考えただけで実行に移したわけでもないのにここまで思い悩むとは・・・
本当に逃げ出していたりしたら今頃罪悪感で押しつぶされていたかもしれませんな。

最低のこと・・・しようとしたから取り返さなきゃって。最低のままじゃ終われないと思って・・・
あんたらの勇敢な姿にも憧れた・・・正直。だけど・・・だめなんだ。
家に帰ってひとりになると怖くて・・・また柱が出たらどうしようって、そればっか考えて・・・

沈むハルト。確かに気持ちはわからないでもない。
無我夢中で闘える戦闘中より、色々と考えてしまう平時の方が怖くなってしまうってやつですよね。
ふうむ。そうなるとひとりでいると人肌恋しくなったりしてしまうでしょうなぁ。定期的に慰めてくれる人が必要そうだ。
カナちゃんは言うまでもなく慰めてくれるだろうけど、戦わなくていいと吹き込んでしまいそうで困る。

でも、お前にはすごい力があるじゃないか

慰めのつもりなのか、正直な意見を述べてしまう兵真くん。あ、地雷を踏んだ。

好きで・・・こんな、こんな身体に・・・好きでこんな身体になったわけじゃない!!

興奮するハルト。その結果か、深柱の外甲が表面に現れ出す。
うーむ、やはり衝動というか、怒りや攻撃的な気持ちになると深柱が反応しやすくなるのだろうか。
慌てて薬を飲むハルト。兵真くんはヒミコさんに連絡を取ろうとする。
だが、それもハルトに取っては嫌な行為だったりする。心配してのことだろうが、立て続けに地雷踏んでるな兵真くん。

あの女に・・・言うな!大丈夫だから。大丈夫だって言ってるだろ!!

腕で抑え込もうとするハルト。しかし、その左腕は既に外甲で覆われ鋭く尖っている。
そのため、振り払った腕は兵真くんの右腕を傷つけてしまう。
傷は浅い。そんなに大したものではない。だが、人間を傷つけた。柱の力を使って人間を傷つけた。その事実がハルトに重く圧し掛かる。

これじゃ深柱と変わらないじゃないか!

泣き出してしまうハルト。ヨロヨロとこの場から離れようとする。
が、そのハルトの足を掴み、押しとどめる兵真くん。
ケガなんかさせるつもりはなかったと狼狽えるハルトに、わかってるわかってると返す兵真くん。

ハルト「オレ・・・違う。化物なんかじゃ。深柱なんかじゃ」
兵真「わかってるって」

深柱がこんなぼろぼろ泣くかよ

融合の進んだハルトの腕を抱きながら、正面を見据えてそのように述べてくれる兵真くん。ほほう・・・

ハルト「オ・・・オレのこと、怖くない?」
兵真「ったりめーだ。おめーみたいな泣き虫ちっとも怖かねーよ」

兵真くんの言葉でどうにか落ち着きを取り戻すことができた様子のハルト。
表面に出ていた深柱も消えていく。ふうむ、薬の効果よりもやはり精神的な要素が暴走抑制には効果的な様子ですなぁ。
新宿のときと合わせて連続でハルトの暴走を止めた兵真くんの和みパワーは凄いですね。

ねぇ・・・オレ、やっぱ戦うべきなのかな。

ハルトのその問いに、兵真くんは肯定を返す。

ああ。その力を使って人を救うことこそが、お前が人間であることの最大の証明になるんじゃないのか?

ほう。これはいい言葉でありますな。
ハルトとしてみれば、自分が死ぬ恐れもあるだろうが、自分が人間でなくなり柱と同じになる恐怖はさらに大きいことでありましょう。
ならばそれを示す道を与えてあげるのが肝要。柱と戦い、人間を守ることこそが人間の証となる。理解しやすい話です。
身体は柱に侵されていても、心は人間のままであり続けたいと願う。む、ヒーローらしい話になってますな。
ハルト本人はヒーローという言葉には反抗したがるでしょうけど。

ハルト。さっき最低の行為を取り消したいからがんばったって言ったよな。
オレも・・・ある罪を清算するために戦い続けてる。
ハルト・・・オレは・・・オレは・・・玲央の父親を殺したんだ

おっと、ここで兵真くんから驚きの告白が飛び出しました。
まあ、兵真くんにも玲央さんのように深柱と戦う理由があるのだろうとは思っていました。
そうか、そこに玲央さんも絡んでいるんですな。それで玲央さんを護ろうと誓っていたという話でありますか・・・
仲間意識や単純な好意とかそういうのより、何か思いつめた感じがあると思ったら・・・なるほどねぇ。

しかし、父親を殺したとはどういうことだろうか。
ハルトがやろうとしたことと同様に見殺しにしたということでしょうか?これはあり得る話だ。
二度と見殺しにしたりはしないよう、守るための力を手に入れたと考えると辻褄も合う。
逆に能動的に、本当に殺したという可能性はあるだろうか?
実は玲央さんの父親が悪い人で虐待とかしてたとか。それでも玲央さんにはいい父親だったとか。
うーむ、さすがに深柱とは絡めてくるだろうし、それは難しいか?

何にしても、この話は結構楽しみだったりする。
この話を聞いたハルトは闘う意思を身に着けることができるようになるのだろうか?
そして兵真くんを兄貴と慕うことができるようになるのだろうか!?
前半はさておき、後半は流石に望み薄ですな。流石に。



第30話「泣いた融合者」  (2013年 13号)


オレは玲央の父親を殺した

衝撃的な言葉を口にする兵真くん。
ようやく彼らの戦う動機、モチベーションとなる事件が描かれる時が来ました。

8年前、オレたちは海外にいた。アメリカとカナダの国境近くの田舎町。小さなレストランの中・・・そこで、深柱に遭った。
練馬のときのようなパニック状態だった。一瞬で大勢の人間が死んだ。その中に玲央の母親と弟も・・・

確かに練馬のときの柱とよく似てますな。まっすぐ直立し、目が多い。
倒されるまでは同一の形態で出突する傾向にあるのでしょうか?
飲食店を狙ったりする性質も同様のようですな。美味しそうな匂いでもしたのか?

幼い玲央さんは父親と何とか脱出に成功した。
しかし店内にはまだ見知らぬ子供が倒れた状態で取り残されている。それを知り、玲央さんに外で待っていなさいと言い聞かせる玲央父。

玲央「だ・・・ダメ・・・」
父「必ず戻るから

そう言い残し、店内へと引き返す玲央父。燃え上がるレストラン。戻ってきた人影はひとつのみ。男の子のものだけだった。

玲央「パパ・・・は・・・?」
兵真「すまね・・・」

膝をつき、号泣する玲央さん。その時の鳴き声が今でも耳から離れないと兵真くんは言う。
ああやはりそういう過去でありましたか・・・自分を救うために玲央さんの父親は犠牲になったと・・・
しかしそういう時は自分が原因で死なせたと言うべきじゃないですかね。殺した、じゃまるで意味合いが違うというか何というか。

あいつは今でも泣き続けてる。心の中で泣き叫びながら柱にハンマーを叩きつけてるんだ。
だからオレは決めたんだよ。オレを助けて死んだ父親のかわりに・・・あいつが泣き止むその日まで守り続けてやるって

なるほどねぇ。それらの誓いがあったからこそヘビ型深柱戦での取り乱しがあったわけですな。
それはそうと、その時の深柱はその後どうなったのでしょうか?
標的がいなくなったから引っ込んだのだろうか?
ひょっとしたら玲央父が命がけで倒したのかもしれない。素手で。とかいう話だったら凄く気になるのだが・・・!?

兵真くんの話を聞いて、なんというか申し訳ない気持ちになるハルト。
そういった理由があるということも知らずに自分のことばかりで、怒鳴ったりなんかして・・・と。

なに深刻なツラしてんだよ!
今のはただお前にオレの戦う理由を話しておかなきゃと思っただけだからよ。
もう何度もいっしょに戦った仲だから・・・

よい話ですね。
でも、ツッコミでお腹を殴るのはやめましょう。ハルトは力を発揮してない時は貧弱なんですから。KO寸前だよバカ!!
というのはさておき、兵真くんは真面目な表情で語り出す。

・・・ハルト。次、ワクチンを打ちに来たとき火魅子はお前を深柱処理訓練に参加させる気だ。
そうなったらもう簡単には抜けられない。どうするか自分で決めるんだ

選択を迫る兵真くん。
実の所、選択できる道は限られていると思う。暴走を抑えるにはワクチンが必要だし、取り引きには応じるより他にない。
それでも玲央さんはなるべく戦わせたくないと考えていたりする。兵真くんもハルトの意志は尊重したいと思っているのだろう。
だから自分で考えて答えを出してもらう。意志を固めてもらうというのは重要な話である。
ちょっと早い進路相談となりそうですね。

兵真くんと別れたハルト。聞かされた話を思い返して重い気分となる。

あいつが泣き止むその日まで、か。
いつ泣き止むっていうんだよ。
深柱を全部やっつけたら・・・とか?何本あるかもわかんないのに?
やっぱ・・・あいつらはすごいよ・・・

確かにね。終わりのない戦いというものほど厳しいものはない。何か未来の展望があればよいのであるが。

東京からは順調に人が減って行っている。1話にいたホームレスたちも当然のようにいなくなっています。

そりゃそうだよな・・・オレだってワクチンのことがなきゃ戦うわけないんだし、東京にだっていたくない。
母さんは仕事やめて引っ越しなんてする人じゃないし・・・
カナと逃げるとか・・・オレが「来い」って言ったらたぶんあいつはいっしょに逃げてくれる。
逃げて・・・どうすんの?金は無いし、移動は・・・メシは・・・どこに泊まるの。泊まる・・・?あいつと・・・
最低だな・・・こんなときに・・・そんなこと考えて・・・

ふむ。これはあれですな。種の存続意識とかそういう奴だ。
危機的状況なのだしこういう時にそういうことを考えてしまうのは自然なことと言えましょう。気にするな!
といいたいが、多分若さゆえの妄想という可能性の方が高いと思う。大いに気にしろ若者!!
どうせなら盛大に妄想してその場面を絵にされてしまってもよいのだよ?読者的には推奨だ。

とはいえ今のハルトにはそんな妄想をする元気もない様子。
ワクチン・・・カナ・・・引っ越し・・・母さん・・・考えることが多くてまとまらない。
ああ・・・わかんねー・・・めんどくさい・・・もう・・・どうでもいい・・・どうでも・・・

どうでもいいとか言っちゃダメ!

おっと、再び登場しましたねブチ抜きカナちゃん。
どうでもいいと弱音を吐くたびにこの子が叱責してくれる。そしてハルトは思い直すことができるようになる。
ふむ、なんだ。しっかりとハルトの心の中ではヒロインしてるじゃないですかカナちゃん。

そうだ・・・オレ・・・生まれ変わるんだった・・・あの炎の中でカナに誓ったんだ・・・
"日本は終わる"とか思わない。"オレにしてはよくやった"もダメ。
どうせワクチン打たなきゃ柱と同化して死んじゃうんだ。だったらもう答えはひとつじゃないか。
憎き柱の力だけど、この力があれば母さんやカナのいるこの日本を守れる。あの3人を助けることができる

どう決断するかは自分で決めろと選択を迫られたハルト。
その言葉に従い、自らと向き合って悩み、辿り着いた答え。少年は決意を固めた様子。
これは本格的に柱と闘う流れになりそうでありますなぁ。
となると、次はあの3人と一緒になっての戦闘訓練でありましょうか。
ハルトを加えた状態でのコンビネーションはどのようなものとなるか。期待したいところであります。



第31話「明星」  (2013年 14号)


ヘビ型深柱が暴れまわった新宿。
災害から1週間以上経過した今でもその爪痕は残ったままとなっている。
被害に遭った建物の安全性チェックは終わり、住民のみ出入りは許可されるようになった。
しかし、新宿区や豊島区を中心に出突する危険性はまだあるとの政府の発表。
これによりマンションなどでは荷物を運び出し退去の作業に追われる人が続出している様子。ふうむ。

実際の所、深柱は人間の多い所に現れやすいという。
ならば一度出突し、人が減った場所こそ安全になるんじゃなかろうか・・・
まあ、皆がそういう認識でいると人が去らずに結局安全じゃなくなるから意味がないんだけどね。

今は出突警戒レベルが低いらしく、多少息がつける状態。
少なくとも兵真くんの足が治るまでは出てきてほしくないものですな。

さて、訓練をサボっている玲央さんのところに現れる兵真くんと林くん。
林くんは簡略型のマスコを着ている。スマホみたいな略し方で最初気付かなかったがマッスルコートの略か。マスコ。

軽式人工強化服(マッスルコート・ライト)。僕のような非力な人間にも使えるよう出力を落としたタイプです。
フィジカルブーストのような高度な機能は使えませんが、表面はこの前採取した深柱砂灰でコートしてあり守備力は上がってます。

アメリカ軍用機に例えるなら従来型はF-22ラプター。
ライトタイプはF-35ライトニングUに該当するとのこと。ふむ、よくわからん!!
まあ、簡単に言うと従来型がスマホでライトタイプはガラケーってとこですな。シンプルだが機能を満たしているということだ。

林くんは軍オタっぽい感じがありますな。まあ、らしいといえばらしい。
そして玲央さんは歴女と。どうせなら戦国武将で例えてみたりしてほしかったな。

それはさておき、林くんたちの後ろには布を被っている怪しげなものがある。
これが何かというと、萩原主任――ヒミコさん肝煎の新装備。見てください!!

玲央さん専用、白兵支援総合武装機構ASURAです!!

Assult(アサルト)
Suport(サポート)
Unit for(ユニットフォー)
Reo's(レオズ)
Armament(アーマメント)

なるほど、これでASURAでございますか。玲央さんはLeoではないのですな。
しかしアスラだとインド神話とかそっちの方面に行ってしまいそうだが・・・細かいことは気にしないでおくか。

ASURAは動くタイプの深柱にも対応した兵装システムの総称であるとのこと。
スカルペルをより扱いやすくした対甲裂砕太刀を両腕に1本ずつ装備。
統合システムをかねた背中のバックパックには大容量のバッテリーを内蔵し、マッスルコートの活動時間を大幅にアップ。
さらにその他にも凄い兵装が用意されているという。ほほう・・・
装着した時には凄いごっつい感じになりそうだが、なかなか楽しみですな。
両腕、両足、背中に装着する感じで防御的には肝心な正中線はがら空きな感じになりそうなのが気になる。
が、玲央さんの顔や胸が隠れるのがよいかと問われると困ってしまうので、ここは目をつむるとしましょう。

これがあれば・・・柱共をもっともっとブッ倒すことができる・・・

ちょっと危ない目つきになる玲央さんでありました。
まあ、過去が過去だけに仕方ないですよね。

ぼくらもハルトくんにばかり頼っていられませんからね。彼の協力が得られない場合のことも考えて強力な装備を・・・

そう言いかけた林くんを制する玲央さん。
ハルトは来ないものだと考えておいた方がいい、とのこと。
それはどちらかというと来てほしくないという意味合いが強いように聞こえますな。

状況的に考えるとワクチンが必要なハルトは協力せざるを得ない。
しかしそういう脅して協力させるやり方は玲央さんの好むところではない。それは兵真くんや林くんにしてもそうであろう。
だが、実際これまでハルトの協力がなければ勝てなかったというのも事実である。
だとしても子供を脅して戦場に出すのは気に入らない。そう主張する玲央さん。でも・・・

ハルトが自分の意志で戦うっていうのなら?
あいつが自ら戦場に立つことを選んだとしたら、お前はどうなんだ?

兵真くんのその言葉に、来るはずがないと答える玲央さん。
ヒミコさんのやり方には怯えを通り越して怒りを抱いているわけですからねぇ。とても自分の意志で来るとは・・・

そこまでいいかけたところで何者かの足音が響く。
入り口に目を向けると、そこにいたのは・・・軽式人工強化服に身を包んだハルトの姿がそこにあった。

なるほど、これはなかなかサマになっている。
ライトタイプが生み出されたのはハルトに合わせるためというのもあるんですな。
メインで戦うハルトが林くんのようにモコモコ姿になられて笑いを誘われても困りますしね!!
さすがに守備力があがっているだけあって、兵真くんの拳を受けてもKO寸前にはならない様子。これはいい。

ハルトはヒミコさんに脅されたわけではなく、自分の意志でここに来た。
しかし納得の行きかねる玲央さんは厳しい表情でわかっているのか?と問いかける。だが、厳しい表情はすぐに崩されることとなる。

ハルト「わかってる戦うってことだろ柱と。覚悟できてるよ。玲央姉!
玲央「は!?」

思わぬ呼び方をされて呆気にとられ赤くなる玲央さんでありました。ハハハ。
ちなみにこれは兵真くんの差し金。
何て呼べばいいのか尋ねられたので"玲央姉さん"でいいんじゃねって言った結果らしい。
ちなみに自分のことは"兵真兄さん"と呼ばせることにした様子。うむ、さすがに兄貴はなかったか。

いつまでも"巨乳ハンマー"じゃまずいだろ?

おっと、そう呼んでいたことがバレている!?
まあ、池袋のときは玲央さんに向かって思いっきりそう呼んでましたけどね。
あの時は子供の救出に集中してたので聞き逃していた様子の玲央さん。
まさかそのような呼ばれ方をされていようとは・・・!!こりゃ玲央さんも可愛い顔になってしまいますわ。

そしてにここでいきなり林くんのフルネームが判明。林進ノ助
ぼくのことも進ノ助兄さんと呼んでいいんですよとドキドキしながら述べるが、林さんで既に決まってしまっている様子。
この扱いに涙する林くん。泣くなよ。
まあ、林くんは真っ先にさん付で呼ばれてましたからねぇ。
他の2人は巨乳ハンマーにドレッドだったから変化する余地があったということだ。
いや、ワクチンの回の時に普通に玲央さんと呼んでいた気はするが・・・まあ、玲央姉の方が面白いし、よい!!

あたしの話、終わってない!!

おっと。グダグダな流れで誤魔化されはしませんでしたか。
再び厳しい顔つきになって玲央さんはハルトの説得にかかる。
力を貸してくれるのはありがたいけど、いつも助けてもらってばかりだけど、子供がそんなん着ちゃダメだ、と。
お前は後ろで見てるだけでいい。そうすりゃあたしが柱を倒してワクチンくらいもらってやると述べる。

だめだよ・・・オレには柱と戦える"力"がある。それなのに・・・女の人に守ってもらうなんて・・・ダメだよ。
この"力"は人間を守るために使いたいんだ・・・オレ・・・半分深柱みたいな身体になっちゃったけど、
そうすることが、人間でありつづけることの証明だと思うんだ

ふうむ・・・男の子らしくなりましたなぁ。いい成長だ。
このようなことを言われると玲央さんも認めざるを得ないんじゃないだろうか。
でも素直に迎え入れるのはまだ抵抗があるのか、勝手にしろ!ゼッタイ守ってなんかあげないんだから!と言い残し去っていく。
なんとも可愛らしい反応でありますなぁ。

ちなみに玲央さんの弟、ユウト君は玲央さんのことを玲央姉と呼んでいたらしい。
そして武道を学び、今度からぼくが玲央姉を守ってあげるとか口にしていたそうな。
ははぁ・・・こりゃ弟のことを思い起こしてしまいますわなぁ・・・辛くもあり切なくもある話だわい。

立ち去る玲央さんを追いかけようとしたハルト。
しかし急な動きをしたせいで筋力サポートが発動し、締め付けられて倒れる。
慣れれば問題ないのだろうが、素人が着てもかえって邪魔になるだけであるか。
まあ、その辺りはこの先の訓練で馴染んでいくしかありませんわな。と、いうわけで。

ようこそ地災研実動隊(ピラーブレイカー)へ。改めてよろしくな!

戦闘服を身に纏い、戦う意志を表明したハルト。
ようやく4人の実動部隊が出来上がったわけである。よかったよかった。
さて、次回から物語は新展開を迎えるというが、どのような展開になるのだろうか?
新たな深柱がいきなり・・・てなことはないと思う。おそらく。
まずはハルトが訓練に慣れて、兵真くんのケガが治ってからということになると思われる。深柱だって少しは気を利かせてくれるさ。
そうなると気になるのはユミちゃん。そしてあのヘルメットマン。
この辺りの話が焦点になりそうな気がする。それともまた別の話となるのか・・・注目ですな!!



第32話「導く左手」  (2013年 15号)


これまで深柱が出突した場所は完全に封鎖されている。
練馬のファミリーレストラン周辺、池袋駅周辺、新宿明治通りの3箇所である。
またその3箇所を含む一帯は溶岩噴出体の警戒区域として自主避難が推奨されている。
さらに警戒区域の周囲約3km圏内も溶岩噴出体の出現の可能性が捨てきれないとして注意を呼び掛けているとのこと。

警戒区域内部の公立小中学校はすべて休校。
注意喚起区域内でも保護者が連れ添い、集団で登校する姿がみられる。
ふーむ。教育ママはこんな時でも子供の勉強の遅れが気にかかるんですなぁ。
一応市民の不安を払拭する為に自衛隊のお兄さんたちが配置されている。お兄さんだなんて照れるな。
というのはさておき、逆にその自衛隊の存在が戦争のようで不安を煽っている部分もある様子。むう、難しい話ですな。

警戒区域から離れている都民も実家の方に避難するようになってきている。
まあ、地方に家がある人はいいが、そうでない人は不安を抱えつつもやっていくしかない。
ラーメン屋の店主も大変ですな。客が来ないのも大変だが、仕入れも今後難しくなりそうだ。

溶岩噴出体により列島はパニック状態。
まあ、まだ都内でしか出突してないから地方は他人事のような態度でいそうな気はしますけどね。
テレビでは元防衛大臣の久田信章氏が政府批判を行っている。
言いたいことは分からないでもないが、なんとなくこういう番組も都民の不安を煽っている感じがしてなりませんなぁ。

こんな巨大生物が東京に現れて人間を襲うなんて誰も思わない
それはそうだ。絵空事としてなら考えるだろうけど、実際に防衛策を考えたりとかましてや予算を落としたりなんて普通はしない。
だけど国民の生命を守るのが政府の役目であるのも間違いない。起きてしまったことに具体的な対策をとらないといけない。
なんとも大変な話でありますなぁ。

ちなみに新宿の玲央さんの戦いを撮影していた都民がおり、その動画が一部出回っているらしい。
巨大生物相手に剣で戦う巨乳の美女。うーむ、まるで映画っすね、こりゃ。
ハルトが中から出てくるところも映っているが、さすがに深柱の力を操っている所はないみたいですな。
それが映っているとさすがに危うい。削除が間に合わないこともあるだろうしなぁ。

そんな風に、都民が不安を感じ、東京脱出を考えているころ、都内をうろつきまわる怪しい集団の存在があった。

マントルーマントルー
おろかな人類たちよ。悔い改める時が来ました。大地はお怒りです。
自然を壊し動物を殺し、我々は罪を重ねてきました。深柱様は裁きの使徒。
自衛隊の皆さん。深柱様が降臨なされた聖地を武器をもってとりかこむなどしてはいけない。
深柱様の御雷は浄化の炎です。一度すべてを焼き払い、我らはその上で自然と共に暮らすのです。

ふむ・・・これは・・・宗教団体?
こういう混乱が発生すると必ずこの手のが出てきますわな。
しかし、こいつらは普通の宗教団体よりも物事に詳しそうな気がする。
それもそのはず、一行の中にはかのヘルメットマンの中身が見受けられたりするのだから・・・むむむ。
それはともかく、マントルーはねえだろ。もう少し気の利いた呼び声はなかったのか。

この集団は気になるが、中継はとりあえず総理の言葉を得るためにカメラを回す。
現在の日本国のトップは加賀総理大臣
加賀総理は会見やコメントを出すのを避けている様子。まあ、簡単には口には決められることではないのだろうが・・・
その態度にはマスコミもさすがに不安を抱く。23区内の人口流出も止まらないし、厳しい状態だ・・・

まあ、もちろん総理だってこのままやり過ごせる状況だとはとても思わない。限界は近いと考えている。
その現状を突破できそうな連絡が地災研からもたらされる。どうやら次の深柱の出突を感知したらしい。来たか!!

総理と直接電話で話すことができているヒミコさん。偉くなったものですな。
まあ、昔と違って今では誰も深柱の存在に異議を唱えることなんてないでしょうからねぇ。

溶岩噴出体生成探知システムは正確に作動中と報告するヒミコさん。
反応があった場所を作業車が巡回調査しているとのこと。
ふむ、これで生成前に探知ができれば住民の避難をスムーズに行えますな。
とはいえ、これまでのように曖昧な予測では厳しい。
しかしヒミコさん。今回は最新の探知操作を使っているので100%的中するとお墨付きを出してくれる。ほほう・・・?

深柱破壊の実行部隊である4名は作業車に乗り、探知を行いながら移動中。
兵真くんはもう足の方はよくなったんですかね?一人だけマッスルコートをちゃんと着ていないのが気になるが。

最新の探査装置を扱う林くん。
今までのは精度が低く、新宿のように空から出突されたらほぼ無反応だったという。
しかし今回のはもっと正確な出突場所が割り出せるし、時間の推測もできるという。ほほう。
それはひょっとすると出来上がっている途中を叩くことも場合によっては可能ってことなんでしょうか。それは面白そうだ。

もともと重力針というのは外甲片が髄幹に反応する性質を利用したものである。
その精度は外甲片の純度や大きさに比例するという。
つまりこの車中にある大きな入れ物には大きな深柱の外甲があるということですな。え、それってもしかして・・・

嬉しそうに中を見てみようとする兵真くん。
それを、おしゃべりソーセージうるさい!と制す玲央さん。凄いアダ名だな。おしゃべりソーセージ・・・
怒られてしょげる兵真くんが地味に可愛い。

言えるわけねーだろ。ハルトの同級生の左手が入ってるなんてよォ

やはりユミちゃんの体であったか。
いや、ひょっとしたらユミちゃん自身が入ってるのかと思ったから、左手だけで少し安心した。
でもあの切り落とされた左腕はくっついたりしないんですなぁ。
ただでさえ下半身が失われているのにさらに欠損するとは・・・何ともはや。
まあ、切り落とされた左手もピクピクと蠢いているし、くっつけたら元に戻るかもしれないが。

さて、重力針が反応を示す。シグナルオレンジ。地下10mで外甲を形成中。出突予測は2時間後・・・!!

林くんのその報告を受けて本部が動き出す。
日本政府に通達。プランC-1に従い周辺住民の退避及び区画封鎖を要請する。

ピラーブレイカーを投入!!配置につき次第、打撃包囲陣を以て殲滅する!!
はじめて人類が先攻する戦いだ!!心してかかれ!!

確かに今回の戦いは意義するところが大きい。
人類が初めて深柱に対して攻勢に回ることができそうな流れである。
これで一般市民にほとんど被害を出すことなく撃退に成功すればどうなるか。都民に対する安全アピールはかなりのものとなる。
政府としてみれば今回の戦いの成否はまさしく死活問題でありましょうな。
予報が万全で対策も万全ですよと国民に知らせれれば、今後は災害予報みたいなもので済むかもしれませんからなぁ。

そんな負けられない戦いの重圧を感じている様子のハルト。
どの戦いであっても負けられない、引くことができないってのは同じだが、正式加入の初戦でこれは・・・
まあ、戦いが始まれば我武者羅にやることになるとは思いますけどね。
今回の深柱がどのような形態で、どのような力を持っているのか。楽しみなところである。



第33話「瞬間迎撃命令」  (2013年 16号)


穏やかで平凡な日常。そんな日常が一瞬で崩れ去る。あの神出鬼没の「化物」のせいで・・・

隠居暮らしをしている様子の老人がテレビを見ていると、番組が突然臨時ニュースに切り替わる。
内容は政府より溶岩噴出体の出現予測が発表されたというもの
そんなもん予測できるんかい?聞いとらんぞと老人。
しかし、その予測出現地域が東京都板橋区帝政大付属小学校周辺――つまり自分の家の周辺と知り血相を変える。

急いで家にいた息子の嫁と一緒に逃げ出そうとする老人。
出現予測時間は19時と発表されているが、今は何時なんだろうか?
これから夕飯の準備をしようという段階だったようだし、数時間は避難する余裕がありそうだ。

深柱の撃退、住民の避難のために自衛隊の車両が道を行き来する。
頼もしくはあるが、その物々しさは威圧感を与えるものでもある。戦争を経験しているご老人には厳しいものがあるか。

ともかく、対象地域では周辺住民の避難が急ピッチで行われている。
この辺りの体制が整っている辺り、政府も仕事をしていないわけではなさそうですな。

板橋市上空には報道ヘリが飛んでいる。
さすがに深柱が出る小学校の直上には入らないよう規制されてはいるようだが・・・遠くからでも戦闘の様子を録られるのは困るな。
他の面々はいいけど、ハルトの力はあまり人目に晒したくない所である。

これから溶岩噴出体を破壊するための作戦行動が自衛隊と専門の対策機関と共同で行われるとのことです!

戦闘の様子を録られるのは困るが、成否を報道してもらえるのは大きい。
成功すれば都民の不安は大幅に払拭される。事前予知可能な災害みたいなものまで危険度は下がるわけですからね。
東京からの人口流出も収束に向かうはずだと期待する政府。

総理「作戦成功と同時に私が会見を行う。準備をしておけ」
秘書「ま・・・万が一失敗したらいかがなさいますか」
総理「そのときは官房長官にやらせろ!

ひでぇ。いやまあ、そうするしかないとは思いますけどね。
なんだかんだで国のトップがしっかりしていない所を見せてしまうと国民の不安は留まるところを知らなくなるわけですから。

すでに30の国で日本への渡航が制限・・・このままでは経済にも深刻な影響が出てくる。
日本国を沈没させるわけにはいかん!!頼むぞ地災研!!

総理の願いを背負うまでになりましたか。1話で兵真くんが言ってたように注目される存在になりましたなぁ。
まあ、注目しているのは総理だけではなく、国民全てでありましょうがね。期待されているぞ・・・!!

18:20――出突予測の40分前。
現地には佐藤三佐の率いる自衛隊部隊が展開している。お、今回も現場指揮官ですか三佐。大変ですな。
周辺区画の封鎖は思うように進んでいないがそちらは警察に任せるしかない。
万が一地災研が失敗した時は、彼等が深柱をなんとかするしかないのだから・・・

先週朝霞から転属してきたばかりの望月一尉。
これだけの戦力を有する我々より得体の知れない民間団体が期待されている現状を少し悔しく思っている様子。
だが、それは地災研の戦士たちのことを知らないからである。新宿防衛戦に参加した自衛官はそうは思わない。

彼らはプロだよ。そして誇り高い戦士だ。あのとき新宿にいた者ならばみんな知ってる。共に戦えるなら喜んで後塵を拝そう!!

そのように述べてくれる佐藤三佐でありました。うーむ、立派な人ですなぁ。

さて、深柱出突まであと40分。ここでようやく出来上がった作戦を説明する林くん。
どうやら重力大針は場所や時間だけでなく、出て来る柱の形態まで推測できる様子。
今回出て来るのは練馬級と同じもの。最初に出てきた茶筒型か・・・一番柱っぽい奴ですな。それを前提に作戦を考えた林くん。

みなさん、今回は5秒で深柱を塔解させてください

5秒・・・またそれはスピード勝負でありますな。
林くんは今回の作戦を自身が作ったシュミレーターで再現してくれる。
ほう、林くんは学生時代ゲーム会社を目指していたのか。らしい感じはするな。
ともかく、シュミレーション開始。ノートPCに映し出される兵真くんの姿。おぉ、リアルなCGですな。

まず出突。これは本当に一瞬のうちに出て来る。そしてすぐに目玉が現れる。
兵真くんはスカルペルでその目玉を切り裂く。これでマントル熱線は沈黙。
同時進行で玲央さんはマガタマで着甲。そして爆震。ツルギを圧入し、深柱を塔解させます。
なるほど。出現位置と時間が分かっていればこんな瞬殺コースもありえるわけか。
これまでのようにカガミで防ぐ必要もないし、安全に戦えそうな気もする。いけそうじゃん!

はい・・・ですが練馬級にはもうひとつの攻撃方法があります。

ああ、破片か。外甲を鋭利な刃物のように変形させて射出する攻撃ですな。
兵真くんはこれで気絶したし、ハルトは額を貫かれていた。喰らったら皆融合者になるわけでもないし、危険な攻撃である。
しかもこの攻撃は厄介なことに目玉から出る熱線と違って発射口がわかりにくく、防御が難しい。
大型の外甲片が放たれたときの威力をシュミレートしてみた林くん。

至近距離ならマントル熱線をも上回る殺傷力です!

外甲片に頭を吹き飛ばされるイメージのCGが映し出される。これがマン熱を上回る威力・・・ってこんなCGいらないっつーの!!
さすがに見ていた3人とも引いている。林くんはどういう思いでこのCGを作ったのか・・・ちょっと気になるな。
というか、このシュミレータを応用したゲーム欲しいな・・・リアルで。

ですが策はあります。それがさっき言った5秒!
我々の研究によると、練馬級の深柱が外甲を射出するまでに要する時間は最速で5秒!!

どうやらヒミコさん、新宿で手に入れた例の深柱髄幹の目玉をじっくり研究していた様子。
塔解後の砂灰からの外甲生成実験に成功しており、その際に生成に必要な時間を計測していたそうな。
1週間あまりの時間しかなかったが、その中で1時間に5回×24時間×7回。合計840回の実験を繰り返す。
その結果、一時たりとも外甲が5秒以内に生成されることはなかった。つまり・・・5秒の壁!!
この時間内であれば外甲片による攻撃はないということを意味する。
なるほどね、それを考慮しての5秒作戦というわけか。

そういえば兵真くんの足は完治しているのか、今回もしっかり作戦に参加する様子。
玲央さんが新宿で扱っていたスカルペルを用い、アタッカーとしての参加か・・・ちょっと不安かな!!
それはともかく、ハルトはどうするのかね?

ハルトくんは僕と共に後方で待機です
考えたくないことですが初期迎撃に失敗したら君に頼らざるを得ません。
その際、剣か盾かどちらを使うかは僕が判断します。

ふむ。さすがにこのスピード決戦でハルトに出来ることは少ないですわな。
コントロールが万全であれば、あらかじめ剣を生成しておいていきなり髄幹貫くのもありなんでしょうけども。
まあ、そもそも訓練自体ろくに出来ていない状態だし、今回は様子見しておきたいところですな。マスコにも慣れてないだろうし・・・

いよいよ深柱が出突する時間が迫ってきている。
東京の命運をかけた5秒間に挑むために万全の準備を行う実動部隊。
自衛官たちの注目を浴びる中、外へと姿を現す面々。そう彼らこそ――

日本地質災害研究機構、溶岩噴出体――深柱処理実動隊。大地の牙を倒す者(ピラーブレイカー)

ASURAを背負い、マガタマを担いだ玲央さんが先頭。
同じようにカガミを背負い、長大なスカルペルを手にして歩む兵真くん。
ライトなマッスルコートを着て特に武装のない残る2人は後ろで小さくなっています。これは仕方ないね!!
というか前の2人がガラ悪すぎる。で・・・出入りだ、出入りだ!!

この前と装備が変わっている・・・髪型も変えたのか・・・

さすがは佐藤三佐。いい着眼点である。
そういえばマガタマは新宿では使ってなかったな。それに前までの物から形状が変化してますな。進化しているということか。
そして一番の注目は髪をアップにした玲央さん。これはいい・・・まとめあげているシーンも非常に魅力的であった・・・
佐藤三佐が注目してしまうのも無理はありますまい。

ASURAの形状からして髪を垂らしたままだと腰の辺りで引っかかるから纏めているんでしょうな。
なびく髪はアクション映えするけど、今回は新武装のお披露目という意味合いもあるからなぁ。

玲央さんはその容姿や心意気から自衛官内にファンがいそうな雰囲気。三佐もそのクチかね?
そして兵真くんにだってファンはいる。新宿で助けられたメガネの森一曹や田中二曹といった面々はドレッド君に注目している。
さらにハルトの姿もちゃんと目に留めている。ふうむ、彼らの今後の活躍や生死も気にかかる所ですなぁ。

18:55。出突予測5分前。
人員の配置は済み、照明をつけて迎撃態勢は万全。
そんなタイミングで不法侵入者を発見。校舎の中で撮影をしようとしていたそうな。あらあら。

政府は情報公開すべきだ。我々は知る権利がある!!

個人で知りたい人が知るならともかく、情報をバラまく気まんまんの奴に簡単に渡せるはずもないでしょ。
本当に後ろめたいことがあって隠している場合もあるから場合にはよるが、今回はそういう話ではない。
大人しく警察に引き渡されてくださいなっと。

出突予測まであと1分。ここからは10秒ごとにカウントを行うこととなる。緊張の時間だ。
玲央さんはASURAのバッテリーとマガタマを接続し、電力供給を受ける。
ここで気付いたが、マガタマの名称が十三式装甲破壊槌に変わっている。
前は十一式だったのに・・・やはり進化しているのか!?
ついでに本誌だと一一という表現だったのに単行本だと十一に変わっていたというのにも今気付いた。おのれい。

残り30秒。未だに出て来る気配はないが大丈夫だろうか・・・
ハルトも失敗したら大切な玲央姉や兵真兄を失うことになるかもしれないと震えている。いつでも・・・助けられるようにしなきゃ・・・

カウントダウンは進み・・・ついに0となる!!
それと同時に深柱出突!!ほ・・・本当に出た!!

作戦開始!!

時間の予測は完璧に的中。位置も兵真くんの目の前というドンピシャだ。
さあ、今こそ日本の命運を賭けた運命の「5秒間の戦い」が開始されるぞ!!
これで目玉の出る方向が兵真くんの反対側で、斬りつけるのにもたついたりしたら嫌な話だな!!

時間を区切ることで緊張感を持たされている今回の作戦。
相手は割とやりやすい練馬級だが・・・本当に同じ性能しかないのだろうか・・・?
毎回やりすぎなぐらいに進化している深柱がいきなり基本に立ち返る。何か意味があるのかもしれないなぁ。
5秒で倒すのに成功したけど、続いて雨後のタケノコのごとくポンポン出突してくるとか。
おぉ、それなら長時間戦闘できるASURAを用意した意味が出て来るな!!当たって欲しくない予想ではあるけども!!



バーサスアース 5巻


第34話「超速ブレイカーズ」  (2013年 17号)


日本の命運を賭けた5秒間の戦いが始まる。いざ開戦!!

出突した深柱はすぐに目を開く。
なんだか微妙に色っぽい目つきな気がするのは気のせいだろうか。
まあ、そんな色っぽい目も容赦なく兵真くんに切りつけられてしまうわけですが。

出突からわずか0.5秒で目玉を切り裂かれる深柱。これでマントル熱線は沈黙する。
同時進行で反対側に玲央さんがマガタマを打ち込む。着甲。そして爆震。これで2秒経過。

マントル熱線は封じたが、柱の上部が枝分かれして手のような形を作り出す
生成には5秒かかると言っていたが、既存のものの形を変化させるならもっと早い時間でできるということだろうか。
形状変化で現れた手は片手で玲央さんを、もう片方の手で兵真くんを押しつぶそうと動き出す。

ならばその手が迫り来る前に倒してしまえばいい。
玲央さんは危機にも構わずにクサナギノツルギを差し込む。
そして残りの1.45秒を用いて全力でマガタマを振るう。打ち込んだツルギ目がけて・・・!!
その結果、作戦開始から4.97秒経過の時点で深柱の髄幹が破壊される。
残りわずか0.3秒・・・しかし見事に深柱を塔解させたピラーブレイカーズ。完全勝利だ!!

深柱撃破の報告はすぐに首相官邸へともたらされる。
祈るような、いや文字通り祈っていた加賀総理。この報告に安堵していることでしょうな。

完全勝利を収めたピラーブレイカーズは拳を突き合わせる。と思いきやハルトが混じってないな。
なのでお前も来いと参加を呼びかける兵真くん。
ハルトとしては何もしていないのが心苦しい様子らしいが・・・

林「今、飛び出して能力を使おうとしたでしょう。玲央さんがあぶなかったから」
兵真「ハルトは玲央姉さんが大好きだからな。カナちゃんに言いつけちゃうぜ」
玲央「喋るソーセージのことは無視していいがこういうのはやっとけ。仲間なんだからな

実際の所、玲央さんだけじゃなく兵真くんも危険じゃなかっただろうか?
まあ、打ち込みに行って逃げる暇のない玲央さんの方が遙かに危険だったのは間違いないだろうけど。

すげぇな・・・ホント・・・この人たちすげぇよ・・・
オレもいつかは、この人たちみたいになれるんだろうか

そんな気持ちを抱きながら拳を合わせるハルト。
いやあ、しかしハルトはホント細いな。林くんと比べても腕の太さが比べ物にならないくらい細いぞ。
少し不安になる細さなので多少の訓練はやはり必要だと思われます。

ピラーブレイカーズの活躍に興奮した様子の望月一尉。作戦前に悔しがっていた姿は微塵も見受けられない。
反対に佐藤三佐。これだけ完璧に決められるともう我々の出番はないかもしれんなと考える。
まあ、それはそれで良いことでありますけどね。
新宿で少なからぬ死者を出した苦い経験もありますし、出番が回ってこないならそれに越したことはないって話だ。
ただピラーブレイカーズはとにかく数が少ないんだよね。ハルトが加わっても4人しかいない実動部隊である。
深柱の出突頻度が稀なので何とか助かっている状況。
これが同時多発だったり、前の戦闘の傷が癒えていないうちに次々出てこられると・・・困りますわな。
そんな時のことも考えて、やはり自衛隊との関係は良好に保っておきたいものである。佐藤三佐の次の出番に期待だ!!

さて、今回初使用となった新しいマガタマである十三式。
十一式よりも軽いのに威力は変わらないという。なるほど、扱いやすい方に進化しているわけですな。
林くんによると、重い十一式でシュミレートした場合は5秒を切れなかったそうな。は!?
ちなみに軽い十三式でシュミレートした結果でも5秒ギリギリという試算だったらしい。ギリギリじゃん!!
まあでも、本番ではその試算を0.3秒も上回っているわけですからねぇ。
うん、林くんの言う通り玲央さんは本番に強いって話ですわな。

こ・・・この鬼畜メガネ・・・ある意味火魅子より厄介だわ。

ハハハ。やだなぁ玲央さん。信頼ですよ信頼。無茶しても応えてくれるだろうという信頼の証ですよ。無茶振りとも言うがね。

それはさておき、深柱処理成功の報を受けて総理が会見を行う。
今頃会見かよと言われる総理だが、重要な発表ができるタイミングを狙っていたのだから仕方がない。

板橋区を中心に発令されていた溶岩噴出体警戒警報は本日19時15分をもって解除されました。
これは我々日本政府がかねてより進めておりました『溶岩噴出体対策計画』により、その脅威を除去することに成功したことを意味します。
よりわかりやすく申し上げますと――
今後我々は出現する溶岩噴出体の位置と日時を具体的に発見でき、かつそれを短時間で除去できるということです。
これにより今後溶岩噴出体による被害は最小限に留められることを国民の皆様にお約束いたします!!

ふむ。国民の不安を解消するためにハッキリ言い切った感じでありますな。
そして別のニュースでは溶岩噴出体を除去した時のVTRが流れている。もちろん玲央さんが深柱を破壊した場面だ。

彼らは日本地質災害研究機構といって自衛隊と共に被害が拡大する前に出現予測地点にかけつけ、都内の安全の維持に務めます。

総理の演説と実際に除去してみせたシーンのVTRは効果抜群。
もう東京は安全なのかもしれないというムードが一瞬にして出来上がる。
なんだかんだでちゃんとした政府発表があると安心感が違いますよね。
しかし総理、日本政府がかねてより進めていたって部分は嘘ですよね。まあ、方便って奴だろうけども。

テレビに映った兵真くんと玲央さん。特にとどめを刺した玲央さんの雄姿は広く国民に知れ渡ることとなった。
その事実に赤面する玲央さん。むう・・・可愛い。
美女が巨大なハンマーで撃退したというファンタジックなVTRはどこまでの信憑性があるのだろうか。
まあ、ファンは確実に生まれそうなVTRだとは思いますけどね。フフフ。

ともかく、今回の勝利ではっきりしたことがある。出現位置が予測できるなら計算通りの完全勝利も不可能ではないということ。
つまり人間は柱から怯えて逃げ回るだけの存在ではないということだ!!

そのように熱弁する林くん。
しかし、どこかで静かに開く深柱の目。こ、この気になる描写はなんなんだ・・・?

5秒間の戦いには完全勝利を収めた。が、本当にこれで済んだのだろうか・・・
最後の描写が怪しいこともあり、非常に不安である。
総理の安全宣言はこのタイミングでやらないと人口の流出などの問題解決にならないから仕方ない。
とはいえ、次の深柱除去にいきなり失敗した場合、安全宣言は嘘だったということで不信感が倍増しで襲い掛かることになる。
今回の戦いも重要だったが、次の戦いも重要なものとなりそうである。
せめて地面から出て来るタイプなら出突を事前に検知することができていいのだが・・・また空からという流れは勘弁だぜ!!

そういえばハルトもちらりとテレビに出ていたらしいが、カナちゃんに追及されたりするのかな?
カナちゃんもそろそろハルトの戦いに理解を示す方向に行ってくれるといいのだが・・・はてさて。



第35話「魔童襲来」  (2013年 18号)


単行本3巻発売記念センターカラー。
それぞれの想いを胸に並び立つ新生ピラーブレイカーの面々の姿が勇ましい。

さて、板橋区の深柱との超速戦闘を見事に完全勝利で飾ったピラーブレイカーズ。
どうやらあの後いきなり後続が出て来るって話にはならなかった様子で一安心。
しかし前に深柱が出突した池袋駅にて異変が発生しようとしている。

深柱の出突現場にはいくつもの監視カメラが仕掛けられている。
一度出突した場所にもう一度現れるとは考えにくいが・・・
そう思っていたら、穴から出てきた何者かによってカメラの三脚が斬り倒されてしまう。
穴から出てきたのは・・・人間の左腕。その左手の中心には深柱の目玉が・・・こ、これは・・・?

ところ変わって新宿区。>B>日本地質災害研究機構東京新本部ビル(仮)。
ほほう。奥多摩に支部を構えていたというのに、新宿のビルを貸し切って本部にしていると?
さすがに国に認められた機関は違うということですな。金回りがかなりよくなっている感じがする。

地災研日本支部長代行・技術開発主任の肩書を持つヒミコさん。代行なんだ。
そのヒミコさんを中心に、地災研のメンバーが集まって会議を行っています。
顔ぶれはこんな感じ。
・地災研日本支部長代行・技術開発主任、萩原火魅子。 
・整備主任及び技術補佐、本田憲豪。
・医療主任及び開発補佐、三輪征史郎。
・深柱処理実動隊、寺鐘晴斗。
・深柱処理実動隊、藤堂兵真。
・深柱処理実動隊、鷹村玲央。
・戦術主任及び深柱処理実動隊、林進ノ助。

ようやく兵真くんと玲央さんのフルネームが出てきましたね。ようやく。
そしてハルトの名前が漢字で書かれていることに驚く。ちゃんと漢字表記あったんだ・・・!!

それはさておき、会議の議題はこれからの作戦立案について。
深柱の予測撃破には成功した。練馬型、池袋型なら同様の対処が可能。
問題は空からやってくる新宿型。あの方式だと対処するのが難しいと三輪さん。
そうかな?落下地点が分かっているならむしろ重力を利用して倒しやすいのではなかろうか。
なんなら落とし穴掘っておいて、嵌ったところにハルトが生成しておいたツルギなり槍なり投げつけてやれば済みそうな気がする。
まあ、上空のをどこまで検知できるかは未知数ですけどね。

それに深柱のタイプが出揃ったとは思えない。まだまだ未知のタイプが出てくる可能性はある。
なのでアメリカからの増援申請が提案される。が、ヒミコさんとしてはあまりあっちには頼りたくない様子。ふむ?
縄張り意識的なものがあったりするのですかね?気になる反応ではあるな。

公式の場ということか実動部隊の全員スーツや制服などで会議に参加している。本田さんは作業着であるが。
スーツということで髪型もOLっぽい感じに整えている玲央さん。これはこれでよいな。
というのはさておき、玲央さんはハルトの存在ありきで作戦を立案すべきではないと申し出る。相変わらず責任感が強いなぁ。
しかしそれに反論する戦術主任こと林くん。常に不測の事態が起きた時の備えは必要だし、ハルトの存在は重要である。
過ぎた勇気は蛮勇でしかないと言う話だ。まさしくね。

玲央「泣かすぞコラァ!この天パメガネ〜〜〜〜!
林「ひっ・・・ひい・・・玲央さん暴力反対〜!」
ヒミコ「はいはい終了〜〜!解散解散〜!」

真面目な雰囲気で呼称なんかも気を使っての会議だったのに、一瞬でハチャメチャになってしまいました。
これなら最初から普段の調子でしゃべっててもよかったんじゃなかろうか。
まあ、身内だけならいいけど今後部外者も交えての会議もあるだろうし練習は必要ってとこかな。
その時も構わずに玲央さんが暴れ出したらどうしましょうか。

会議は終了。ハルトは1時間後に外甲成形化訓練を行うために林くんと地下2階へ向かう。
ソーセージガイはバーサーカーを連れて9階へ装備の調整へ向かう。ヒミコさんまでソーセージ呼ばわりかい。

それはさておき、最上階の深柱探知センター。
ここの中央には大きな長方形の箱が部屋の中央に設えられている。やはりこの中にはユミちゃんが・・・?
ともかく、検知するための重力針が入っているのは間違いない様子。
ソバカスの技術員、一芽ちゃんは池袋で反応があったことをヒミコさんに報告する。
監視カメラは自衛隊が管理しているようだが、なんせ斬り倒されているからなぁ。直接確認しに行かないといけない。
その検知した池袋の反応はほんの一瞬のこととのこと。
ふむ、融合者を検知するのは能力を発動した時のみなのか。あの冒頭の左手が能力を使ったのも一瞬と考えると辻褄があうな。

ただの故障・・・偶然・・・では・・・?

という一芽ちゃんの意見に怖い顔で返すヒミコさん
ふうむ、こういう数値を無視した楽観論は技術者としては許されない意見でありましょうな。そりゃあ怒るさ。
おちゃらけたキャラではあるが、こういう所は真面目だったりするからなぁ、この人も。

そんな風に地災研の面々がバラバラにビル内で活動をしている頃、入り口に子供がやってくる。
半ズボンの子だしぼうやと呼ばれているし男の子かね?なんというかこの子もやたらと手足が細いな。

ビルの中に入ろうとしたのを止める警備員。
しかし裏拳で止めようとした警備員を殴り倒す少年。なっ!?
もう一人の警備員は組み付いて動きを止めようとするが止まらない。これは子供の力とは思えない・・・!!

入り口でそんな揉め事が起きているとは知らずに1階に降りて来る林くんとハルト。
地災研の新本部はセキュリティもしっかりしているのか、立ち入れるフロアは限られている。
防衛省の人間であろうと、簡単には奥に入れてはもらえないみたいであります。ふむむ。

ハルトはこれから外甲形成化訓練を行うとのこと。
深柱の力を使う以上"5秒の壁"は越えられない。しかしできるだけ早く形成できるに越したことはないし、安定できるようにはしたい。
そのための訓練であるのだが、どうも不安そうな様子のハルト。このままでは自分の出番はないのではないかと口にする。

正直、後方待機でホッとしてる・・・でも、せっかく決意したのに揺らいじゃうっていうか――
またビビってる自分に戻っちゃいそうで、いざ出番ってときにちゃんとやれるか自信ないんだ。

これまでは我武者羅にやって結果を出してきたハルトだが、それでもやはりいざやろうとした時には不安になる様子。
ふーむ。これはもう場数をこなしていくしか不安の解消法はない気はしますなぁ。
それでもどうにか元気づけようとする林くん。兵真くんのようにハルトの背中を叩いて気合を入れようとしてみる。
叩く前に少しテレが入っている所がまだまだですな。ハルトにも林さんはいつも通りでいいんじゃないかなと言われる始末。

ハルトくん・・・やっぱり僕のことは進ノ助兄さんとは呼んでくれないんですね・・・

こだわってるなぁ、林くん。まあ一人だけ家族の輪から外れている気分になっちゃいそうですしねぇ。
ともかく、いざ出番ってときにちゃんとやれるように訓練するんじゃないでしょうかと論理的に諭す林くん。
うむ、やはり林くんはそういう論理だった言葉を述べる方がらしくていいですな。適材適所って奴だ。

や・・・やった。ハルトくんにほめられた

うむ、内心とはいえそういう態度でいるからイマイチ兄さんとかそういう風に呼びづらいのではないのでしょうか。
身長的にも余り変わらないってところもあるのが大きいのかも。この2人で並んでるとあんまり歳の差を感じないからなぁ。

地下2階に向かうためにエレベーター待ちをする2人。
そこでにわかに入り口が騒がしくなる。警備員を引きずりながら子供が入ってきたのだ。

なるほど。大量にいる。寄生虫

おやおや、口の悪いお子様でありますね。これにはいら立った様子の警備員。力づくで追い出そうとする。が――

離せゴミ。

頭を押さえようとした腕が鋭利な刃物で斬られたかのように切断される。
続けて頭部が幾重にも輪切りにされて床へと落ちる。
いや頭部だけではない、全身がスライスされて床へとばら撒かれる。大の大人2人が一瞬にして殺られた・・・!!

なんだ・・・これ・・・あの子供がやったのか?
深柱の・・・力!?

少年の周りに薄い深柱の外甲のようなものが漂っている。これで切り裂いたということか?
なんだかエイのような形をしているなぁ。暫定的にエイ型深柱とでも呼ぼうか。

しかし、この少年は一体何者なのだろうか。やはり融合者なのか?
だが融合者にしてはハルトと違い生身の力も凄い描写があったりする。
となるともしや、深柱そのものが人間の姿に擬態しているという可能性が・・・?これが新たなタイプか・・・!?
殺傷能力は相変わらず凄まじい。せっかくの新本部ビルなのに、いきなり崩壊の危機が訪れた感じがありますよ。
玲央さんと兵真くんがやってくるまでにハルトがどこまで闘えるのか。注目である。

しかし、この少年は一瞬でこのエイ型深柱を形成したのであろうか?
そうなると5秒の壁とは一体、という話になる。何か瞬時に生み出すためのからくりがあるのかもしれない。
ハルトとしては新たな力に目覚めるためのヒントとなる戦いになるかもしれませんな。楽しみだ。



第36話「蹂躙のデスサイズ」  (2013年 19号)


突然機動隊が子供に輪切りにされる。これは悲鳴があがって当然の場面ですな。
吐き気をこらえるハルト。しかしさすがに戦術主任の林くんは冷静に観察を行っている様子。

なんだ・・・ずっと上を見ている・・・階上に何かあるというのか・・・!

思わずやたらと濃い顔になってしまう林くん
とにもかくにも非常ベルを鳴らして警戒態勢に移ってもらおうとする。
のだが、鳴らそうとした受付のお嬢さんの右腕が目の前に立ち尽くしていた防衛省の人間の頭ごと切り落とされる。
ぬう、可愛い娘だというのにこんな目にあうなんて・・・!!

少年の周りに浮かぶ3体のエイ型深柱。
遊泳し、自在に離れた場所の獲物にも凄い速さで襲い掛かる様子。これは怖い。
ガードマンが外へ逃げ出そうとしても無理のないことである。
だが外への道は降りてきたシャッターで閉ざされる。そして迫る魔童・・・

守護者が逃亡とは・・・責務を果たしたまえ。

そうはいうがね少年。彼らはさすがに不審人物ぐらいとしか戦うのは想定されていないと思うのですよ。
いくらなんでも深柱の力を使うような相手に責務を果たす役割にはないってもんだ。もう死んじゃったから言っても仕方ないが。

ちなみにシャッターを下ろしたのはヒミコさんの仕業である。
深柱探知に失敗したことを外部に知られるわけにはいかないので隔離しようとしたわけだ。
政治判断的には間違いではないが・・・酷い話だな。まあ、シャッター下りなければガードマンが逃げ切れたかは怪しいけども。

非常ベルは鳴らなかったが、少年が深柱の力を使ったことで侵入されたことはハッキリと察知できる。
丁度深柱探知センターにいたヒミコさんは素早い判断を降すことができたというわけですな。
玲央さんと兵真くんにも急ぎ連絡は行っているのですぐに装備を整えて1階に向かうこととなりそうだ。
そして少年の狙いは林くんの報告と合わせて大体予測できる。

重力大針か!?

まあ、そうでしょうね。なんせ重力大針には捕獲した深柱の中身が接続されている。
その絡みもあり狙いに、はたまた取り戻しに来たりするのは不思議なことでもない。

というわけで、どうにかこの入り口で食い止めたい少年の侵攻。
せっかく重力大針の存在によって人類側がアドバンテージを得られるようになったのに、あっさり失うわけにはいかないってものだ。
しかしハルトは目の前で人が切り裂かれたことでパニック状態。さすがにまだ慣れてはいないわな。
なので林くんが頑張るしかない。銃器を取り出す。

どこを狙えば・・・頭・・・心臓・・・体幹・・・

長く考えている間はない。少年がこちらを見た!!
すかさず叫びながら銃撃を浴びせる林くん。うわあああ!!
その銃弾は狙い過たず、少年の額、ノド、心臓を打ち貫く。す、すごい腕前だ!!
よく見ると機械化した左手で撃っているんですな林くん。
ユミちゃんの攻撃を防ぐ時も照準がどうたら言ってたし、何かしらのギミックで精度をあげているのかもしれない。
何にしても地味に頼りになる存在となってますな、林くん。これはハルトに兄さんと呼ばれる時もあるかも・・・!!

撃った!林さんが人を・・・融合者を殺した!

おっと。ハルトとしてみれば人を撃ったという衝撃の方が強かった様子。
まあ、融合者という意味では自身と似た存在なわけで、それを近しいと思える人が撃ったという事実は・・・
なかなかに考えてしまうものがありますわな。
だが今はそんな想いにふけっている場合ではない。林くんはハルトに急いで外甲を生成するよう述べる。

シャッターが閉まったということは上はこの状況に気付いてる。
遅くとも開発室から3分もあればあの2人が来ます。それまで僕らで持ちこたえなければ!!

林くんとしては、今の銃撃で倒せたとは微塵も考えていない様子。
その考えは正しい。通常弾頭では急所を狙ったとしても問題はないのか、妙な反動をつけて勢いよく立ち上がる少年。
半ズボンなので脚を強調したかったということなんですかね。わかります。

それはさておき、この少年が化物であることはハルトにもはっきり理解できた。
オレがやらないとという意識になり、外甲の生成に動き出す。それを目撃した少年は――

アゼル。そんなところにいたのか?
来たまえ。共に務めを果たそう。人類を滅すという務めを。

深柱にはそれぞれ名前が設定されているという話をどこかで聞いたことがあります。
アゼルというのが練馬で出突した深柱の名前なのか・・・!?
なんにしても同族のように話しかけられるのはハルトとしては不快でしかない。

オレは人間だ。人間だから、林さんを守りぬく!!

今までで一番に見える盾を作り出すハルト。やはりここぞというときには頼りになる男である。
これなら持ちこたえられる!!
そのように考える林くん。こ、これはフラグというやつでは・・・!?

哀れな。思考までも人間に取り込まれるとは・・・
返してもらうぞ。我が兄弟を

言葉と共に漂っていた3体のエイ型深柱が集い、一本の長大な槍と化す。
その槍の先端に生まれるのは熱球であろうか。マントル熱線を球状に固めたもの?
ともかくそれを撃ちだしてくる少年。その威力は凄まじく、生成したハルトの盾でも防ぎきれずに吹き飛ばされる。
下手に端をギザギザにしていたばかりに砕けた盾の破片が己に突き刺さることとなるハルト。これは痛い。
痛そうなのだが、この場面のハルトがやけに可愛い感じに描かれていて困る。

ハルトさえも一撃!!この魔童、手がつけられないという感じの今回。
うーむ、思った以上に厄介な敵でありますなぁ。
深柱ネームが飛び出したりと色々気になる情報が出てきたのにも注目である。兄弟と言っているのは同志的な意味なのだろうか?

そもそもこの少年は融合者なのだろうか?
急所を撃たれても死んでないし、言葉の内容からすると深柱自体のように思える。
人間に取り憑いて思考も何もかも奪った姿ということなのだろうか?気になる存在だなぁ。

どうでもいいが、ロビーでエイのようなものが漂う場面は真・女神転生3を思い出させられます。
これは将来ヒトデ型の深柱が出るという前触れなのでは・・・!?



第37話「破軍黒太子」  (2013年 20号)


監視カメラが破壊されたため、音声を頼りに様子を探る一芽ちゃん。
重力大針に反応があったことからハルトが能力を使ったことも分かる。
玲央さんと兵真くんはそれぞれ別ルートで1階に向けて急行中。間に合うかどうか・・・?

1階は少年の放った熱球によって惨憺たる有様となっている。
その少年、林くんに撃たれた額の傷がふさがっていっている
痛痒を感じないどころか、凄い速さで再生までするというのか?

少年はハルトの中にアゼルという深柱が存在することを確認する。
向かってくる少年。それを感じたハルトは林くんに逃げてと伝える。おっと、泣ける展開でありますな。
しかし、ここからハルトに加えられるのは予想外の責め苦であった・・・

あー(ギョロギョロ)。

ハルトの髪をひっつかみ立たせた少年。口を開くと、そこから出てきたのは舌。
いや、これは舌といっていいのか・・・表面に多数の目玉が浮かぶあがっている・・・うぉう!?
そして、その長く伸びた舌を無理やりハルトののど奥に突き込む少年。
何!?少年が無理矢理少年の口をこじ開けてのど奥にまで舌を突き入れているだと!?
いや、実の所のど奥どころか体内にまで少年の伸ばした舌は入り込んで行っている。
これは・・・体内を散策してアゼルとやらの存在を探り当てようとしているのか・・・!?
絵柄も凄いが、やられているハルトとしてみればなんともたまったものじゃない行為だ。

なにをしてる!?ハルトくんをどうする気だ。なんなんだこいつは!?

林くんの考えていることは至極もっとも。読者も多分同じ気持ちになったと思われる。少年誌でなにをしているんだ、こいつは!?

しかも少年の暴挙はそれだけにとどまらない。
無理矢理口から体内をかき回され、涎を零しながらぐったりすることとなったハルト。
その状態のままハルトのボディにパンチをくらわす少年。
内部だけではなく外部からも刺激を与えて反応をみようという考えなのか!?

あいつにとってハルトくんは容れ物でしかない・・・重要なのは中身・・・容れ物が壊れようが構わない!?

そういう考えなんでしょうね。
あと、ハルトの肉体を痛めつけることでアゼルを表に引き出せるんじゃないかとかも考えていたのかもしれない。
ただの容れ物だとしたなら割ってしまえばいいんだろうけど、取り込まれているのだとしたらそうもいかないでしょうからね。
しかし、この一連の行為でもアゼルとやらの反応はない。

アゼル・・・もう戻ってはこないのだな・・・

何か悟った様子の少年。おや、これはまずそうな展開・・・
と思いきや、ここで解放されたハルトの反撃。
好き放題された借りを返すべく、生成したツルギで少年の体を腰から両断。真っ二つにしてしまう。
なんというか、この斬られたときの少年の顔が妙に呆けた感じで可愛い。

オ・・・オレ・・・斬った・・・子供・・・
違う・・・あいつは人間じゃない・・・人を斬ったんじゃ・・・ない!

咄嗟の行動で攻撃には移れたが、やはりまだハルトとしてみれば人の形をしたものを斬るのには抵抗があった様子。
人間とは思えない行動をしてきているのだから割り切った方がいいと思うが・・・難しいものなんでしょうな。

しかし、ここで終わりということにはならない。
泣き別れた少年の体。しかし少年は何事もなく起き上がる。まず下半身を立てて、その上に千切れた上半身を乗せる。ドチャッ。
逆向きに乗っちゃいましたが、千切れた背骨を手でつなぎつつ回転。ゴリゴリと音を立てて正常な方向に向き直る。
そういえば冒頭でも再生能力の話をしてましたな。大まかに繋いでおけば後は勝手に治るということなのだろうか。

融合者なら基本は人間だ。だが頭と心臓を撃ちぬいても死ななかった。
人間の形をした深柱・・・でも、真っぷたつにしたんだぞ!?髄幹はどこにあるんだ!?

まさしくそれが問題ですね。
ヘビ型深柱は背骨があり、それが髄幹であった。
しかし少年はその背骨を切り裂かれても平気な顔をしている。これは一体・・・!?
ところで融合者は基本は人間というが、ユミちゃんもあの姿で生きていますよね?どこまでが活動の許容範囲内なのだろうか。

それも気になるが、今はこのヤバイ少年である。
アゼルはもう戻ってこないと諦めたのか、一気に葬り去るべく再び熱球を放ってくる。
ハルトはぐったりしており、盾を作って防御することはとてもできそうにない状況。
林くんとハルトに迫る圧倒的な死の熱量――

だめだ・・・だめだ・・・こんなの・・・戦うなんてレベルじゃない・・・・・・

絶望的な状態に追い込まれた林くんとハルト。
さすがにここで2人とも死ぬことはないと思うが・・・林くんは何だか危ない気がするなぁ。
兵真くんが危うい所で駆けつけるにしても、ハルトの最高の出来の盾を吹き飛ばした熱球である。カガミでどうにかなるものか・・・
林くんの片足が焼けるなりしてまた義肢が増えるなんて展開になるんじゃないかと期待、いや危惧するものである。

しかし少年の髄幹はどこにあるんでしょうかね。さすがに髄幹なんてないよと言われると対処に困る。
考えられるのは空を舞っているエイの方が本体という所だろうか。
集合して槍になった状態だとそちらにも目玉がある。可能性はありそうな話だ。

それにしても今回の話は色々とアレでしたね。少年が少年にアレしてアレだった。
単行本オマケで玲央さんが目撃して真っ赤になりそうな展開のアレである。
いや、さすがに今回のは見てないで助けろよって話であるが。でも思わぬ展開で動きが止まっちゃったとしてもそれは仕方ない。わかる。
ハルトもなんというか・・・色んな意味で大変な目にあってるな今回!!強く生きろ。
突き込まれはしたが、唇同士は触れなかったのが不幸中の幸いと言ったところだろうか。気休めにはなるね。



第38話「阿修羅開眼」  (2013年 21+22号)


どうにか復旧させた監視カメラで上階から戦いの様子を監視するヒミコさんたち。
融合者と思われた少年が背骨を断ち切られても行動しているのを見て驚愕を隠せない。

重力大針を使って敵をスキャン。深柱なら髄幹があるはずよ

ほほう、重力大針はそんなこともわかるのですか。
だが、その結果が出るにはまだ時間がかかりそうである。
そうこうしているうちにハルトと林くんがピンチになっているわけだが・・・
やはり、こういう時にやってきてくれるのが皆のアニキ、地災研の盾・藤堂兵真くん。
素早くカガミを構えるが、この攻撃はハルトの盾でも防げなかった代物である。どのぐらい防げるものか・・・

どんな強力な攻撃でもオレがいかなきゃ誰がお前を守るってんだよ!!

さすがですねぇ。この誰かを守ろうという意思の強さは誰にも負けないのが兵真くんの特徴である。
だが、一撃で盾は真っ二つに崩壊。吹き飛ばされて動けなくなる兵真くん。うーむ、さすがの威力である。
しかしそれでも見事に防ぎ、自身も死ぬことはなかった。それだけでも大したものだ。少年もちょっと驚いている。
だけど動けないのであればもう一度食らわすだけ。槍の先端に再び熱球を生み出す少年。ヤバイヤバイ。

ならばとやってくるのはもちろん玲央さん。
エレベーターのワイヤーを伝い下りて一気に一階に到着。そして扉を切り裂いて登場。派手ですな。

玲央ちゃん、分かってるわね!髄幹の位置が分からない以上、やることはひとつ!!全開でいきなさい!!

移動の間に通信である程度の状況は理解している様子の玲央さん。言われるまでもなく全力でいく様子。
そう、いまこそASURAの秘められた力の一端を垣間見せる時だ!!

阿修羅開眼(OPEN THE ASURA)!!

その叫びを音声入力コードとし、阿修羅の力が解禁される。
背中に背負った装置が音を立てて開き、伸び、腕を形作る。生み出されたのは4本の腕
玲央さん自身の2本の腕と合わせて合計6本。これが、これが阿修羅の名を冠する由縁か!?

自立型連々複式格闘支援兵装(トリプルアームズ)!!

そして玲央さんが持つ剣は対甲裂砕打剣(カムドノツルギ)!!
片手にそれぞれ剣を持ちて振るい、少年の腕を一刀のもとに斬り落とす!!

阿修羅の最大出力での駆動時間は180秒。
だが現有装備で切断可能な敵であるならば、この武装は効力をいかんなく発揮する。

私たちと同じサイズになったのは失敗だったわね。
かくしたって無駄よ。髄、幹。切り刻んじゃえばいいだけだもの

そのように述べるヒミコさん。
いや、述べるだけに飽き足らずマジックで一芽ちゃんの体に線をざざっと引いてみたりしている。
なるほど、このように切り刻んでみせるぜ!って話ですね。引かれた一芽ちゃんは涙目になってるが・・・可愛いからよし!!

6本の腕を操り斬って斬って斬りまくる玲央さん。
阿修羅は4本のうち二本は武器を持ち、残りの二本は素手となっている。
なるほど。素手の二本で防御を兼ねたり殴って体勢を崩させたりしているわけですね。これを自立で判断してくれるのが凄い。

髄幹に当たるまでとにかく斬りまくる玲央さん。
少年の頭部を横に2つにしたりと、とにかく全身を切り刻む。やったか!?
だが、塔解したという感じはない。これはもしや深柱ではなく融合者だったのでは?
そのように考えて内心動揺する玲央さん。しかしその心配はいらない様子。もっと別の心配をする必要があるという意味で――

重力大針のスキャンにより、少年の体には髄幹が存在することが判明した。間違いなく深柱である。だが・・・

特定に時間がかかるわけだわ・・・髄幹は球状。直径・・・わずか・・・き・・・9mm・・・

切り裂けば当たると思っていた。
だが、髄幹は点。線で斬りまくっても当たる可能性は・・・低い!!
しかし驚愕はそれだけには留まらない。

切り捨てて床にぶちまけた少年の肉片。それらそれぞれに目玉が浮き上がり蠢いている。
そして、分裂したはずの四肢や臓器といったものがふわりと浮きあがる。
臓器は形を変え、先を尖らせている。これは・・・外甲を纏い、変化させたということか!?いや、それよりも・・・

萩原主任!モニター!!髄幹の反応が増えてます!
いや・・・違う!切断した部位それぞれに髄幹が存在する!合計24個!!
敵は24体の深柱の集まり!!

よもやの複合体。
うーむ、毎回毎回深柱は急激に強くなってくるなぁと思っていたが・・・まさかこんなタイプがいきなりやってくるとは。
なんだか色々と気になりますね。
24体の深柱はそれぞれ意識があるのだろうかとか。意思疎通とかどうしてるんだろうか、とか。
アゼルを兄弟と呼んだ深柱は24個中の1つなのか、それとも実は全員兄弟なのか。
というか24個もあったらどれか1つぐらいは斬られていないだろうかとか。
実は36個あったけど12個ほど斬られて落ちてますとかそういうオチがあったりするのだろうか?24だと微妙に中途半端だしね!!
む、アニメの話数的に考えれば2クールでなかなかいい感じの数か。いや、今はどうでもいいなそれは。将来的には重要だが!!

厄介な存在である複合型深柱。
これを滅するにはどうすればいいのか?やはりこちらも熱線を放ったりするべきなのだろうか。
薄い外甲しかなさそうなこの連中であれば、熱線一発かませばまとめて消し去れそうであるが・・・
ハルトの更なる力の覚醒に期待したいところである。
なんだったら林くんの義手にはマントル熱線並の威力が出る爆薬が仕込まれていたとかいう展開でもいい。むしろそれがいい!!



第39話「上昇する災禍」  (2013年 23号)


敵は融合者ではなく少年の姿をした深柱そのもの。
さらには髄幹は1つではなく24個もあるという。
1つの髄幹は直径わずか9mm。この難敵を相手に玲央さんはどのように立ち回るのか・・・!!

展開したASURAで攻撃を防ぐ玲央さん。
少年はバラバラなままかと思いきや、合体と修復を行いながら攻撃を行っている。
なるほど、24体も中にいるならそれぞれ独立した行動だってできるというわけか。便利な話だ。

少年の武器の一撃でASURAの左上腕部が叩き折られる。
上腕部は武器持ってないと思ったらやはり防御用の腕だったんですね。
その腕を折られ隙が出来た玲央さんの左肩に少年の武器が突き刺さる。
動脈のヤバイ所を刺されたのか、大量出血で失神する玲央さん。
むう、これはヤバイ・・・!!倒れた姿がエロくてヤバイとかそういう話では・・・まあ、それもなくはないな。ヤバイ。

ともかく、少年の追撃は兵真くんのタックルで妨害。
さすがに相手が軽いだけによく吹き飛ぶな。

攻めの要である玲央さんとハルトが気絶している現状。これは今までにないほどの絶体絶命っぷりである。
何だかんだで今まではハルトが来てくれれば・・・という状況だったからなぁ。
バラバラにしたはずの体ももうほとんど繋ぎ終えている様子ですし、厄介なことこのうえない相手である。
となるとヒミコさんの判断は・・・

現有装備では撃退は不可能と判断!!新本部ビルを放棄します!!

やはり撤退でありますか。
青海からヘリを飛ばしている様子ですし、そこに重力大針を詰め込み屋上から空へと逃げる算段。
まずは重力大針のある部屋にいる研究チームが最優先で脱出。
各階のスタッフは7階に集めて待機。次以降のヘリで脱出という流れとなりそう。

重力大針ロック解除!!エレベーターへ移動!システムは起動したまま目標の監視は続けて!!

決定してからのヒミコさんの判断は早い。
が、重力大針が動いたことは少年もすぐに感知する。そして連れて行くつもりかと即座に察知される。

腕を天井に伸ばし、武器をドリルのように回転させて天井を破ろうとする少年
階段を使うとかそんな気は毛頭ないらしい。1階ずつ破りながら直線で上階に向かうつもりか・・・!!
その気になれば例の熱球で階上まで壊せそうなものなのにそれをしない。
つまり重力大針・・・仲間を無傷で回収したがっているという話でありますな。そこにつけいる隙はあるのかどうか・・・

青海から脱出用のヘリは向かっているがまだ到着はしていない。
重力大針の積み込みにも時間はかかるし、果たして10階まで上がってくるまでに脱出できるのだろうか・・・
不安そうな様子を見せる一芽ちゃん。そりゃそうなりますわな。
そんな中、動ける兵真くんは諦めずに足止めをしようとする。
天井に取り付いている少年に跳びあがっての斬撃を加える。が、届かない。さすがにマッスルコートでも跳躍力が足りないか。
というか、不意打ちするなら叫んで切りかかるんじゃないよ。まあ、24体もいるんじゃ不意打ちは無理か。

2階にあがった少年は続いて3階の天井に取り付く。
その時の少年がカメラに向けて見せた表情は・・・凶悪な笑顔
おぉう・・・これは・・・怖い、というか気持ち悪い。いかにも化物っぽい感じがしてたまらない。
そりゃあ一芽ちゃんも思わずへたり込んでしまうってものである。

三輪先生によると天井突破に要した時間は約40秒とのこと。ふむ、冷静によく数えてますな。
フロア滞在時間を考慮に入れても10分以内に10階まで到達するとの予測。
ちなみにヘリが到達するまでにはまだ15分ほどかかるとのこと。ま、間に合わない・・・!!

現状の絶望っぷりに慌てるスタッフたち。それを一喝するヒミコさん。うろたえるな!!

政府に協力を要請。自衛隊にビルを包囲してもらえ!!
向こうも深柱探知失敗を公表したくはない。事実を伝えて構わん!!
職員を9階に移動させろ!第2陣のヘリが来るまで屋上には上げるな!!
まずは重力大針及び諸君ら研究員が最優先だ!!

非常にハッキリした指示である。こういう判断ができるというのはなかなかに凄い。
職員に対しては冷酷なようにも聞こえるが、重力大針が最優先なのは間違いないことだしなぁ。
この場の研究員としては少しは安心できる指示でしょう。どうせ階下の職員には聞かれない内容でしょうし・・・!!

そしてヒミコさんは3分後に向かうので他の面々は先に屋上に向かえと指示を出す。
ふむ?一人残って何をするつもりなのでしょうか?何か考えがあるのか・・・?

一人残ったヒミコさんは兵真くんに撤退を告げる。
今重力大針とハルト君を失うわけにはいかない。そう前置きをし、ヒミコさんは言う。

あなたにはやってもらうことがあるわ。あなたにしかできないことよ

告げられる指示の内容。それがどういったものであったのか・・・
何か覚悟を決めたかのような表情で了解と返す兵真くん。
とりあえず気絶しているハルトと玲央さんを抱えてエレベーターに向かう様子。
ふむ、一応エレベーターで先に階上に上がることはできるわけか?そしてどうするのか・・・?

一人危険な場所に残り待ち受けるヒミコさん。
そして覚悟を決めた表情の兵真くん。
これは・・・何だかものすごい死亡フラグを立ててきている気がして怖いんだが・・・

兵真くんは初期から応援しているキャラなので死んで欲しくはない。
でも死ぬことでハルトに影響を与えるというポジションがあるとしたら、凄く可能性のある立ち位置なんだよなぁ・・・
ヒミコさんは他にいない非情な決断を即時に下せるキャラとして必要でしょうし・・・ぐむむ。
せめて戦闘不能になって今後はバックアップ要因になるぐらいにとどまってくれればよいのだが・・・
それか激しい攻撃でトレードマークのドレッドが失われてしまうとか。
アイツのソーセージは死んだ!!とか、そういう死に方なら・・・まあ、悲しいけどアリだな!!



第40話「生命の箱」  (2013年 24号)


地災研の最終防衛線、藤堂兵真!!堂々と単独でセンターカラーを飾る。
いやあ、いいキャラに成長したものですなぁ兵真くんも。
しかし最終防衛線というよりも真っ先に前に飛び出して真っ先に倒れているイメージが強いのはいかんともしがたいですな。

ともかく本編。

撤退を決断した地災研の研究メンバーは屋上でヘリを待つ。
どうにか少年が屋上まで来るよりも早く大型ヘリが到着した。
しかし大型とはいえ研究チームと重力大針を乗せたらいっぱいになってしまう。
まだ下には100人以上の職員がいる。彼らの脱出が間に合うとは思えない・・・!!

絶望的な状態は未だ続いている。
少年型の深柱は現在4階。あと5分もあれば屋上に到達することとなる。
それまでに積み込みを終えて飛び立たないといけないわけか。
兵真くんたちブレイカーズはエレベーターに乗り込んだ。2分後には屋上に到着する予定。
気絶した玲央さんとハルトを運ぶための人員を寄越してもらう手筈を整える。

さて、そのエレベーター内では兵真くんが玲央さんの治療を行っています。
マッスルコートの生命維持機能が壊された様子なので、直接の治療をしないといけないみたいだ。
なのでマッスルコートを脱がす兵真くん。ワンタッチで部分的に解除できるんじゃなかったっけ?
まあ、肩の部分だと接合部になるから上半身まとめて外した方がいいか。
しかし兵真くんが玲央さんの腕を持つと本当に細く見えるなぁ。

兵真くんが玲央さんの様子を見ている間、ハルトは林くんが。と思いきや頭を抱えている林くん。
どうやら今まで感じたことのないような絶望感に晒されてしまい、そこから抜け出せずにいる様子。

だめだ・・・あんな化物から逃げられるわけない・・・
ヘリで逃げたって撃ち落とされる・・・地下から逃げた方がまだマシだ・・・
そうだ・・・あいつの狙いが重力大針なら。同じ場所に向かってどうするんだ。
失策だ。萩原主任も冷静な判断ができてない・・・くそ・・・終わりだ・・・う・・・うう・・・う・・・

確かに重力大針とハルトのどちらも失うわけにはいかないのだが、それを一箇所に集めるのはリクスが大きい。
が、そうしなければ片方――重力大針は奪われることとなりそうですからねぇ。
なんだかんだでヒミコさんは冷静なはずですよ。たぶん。

しっかりしろ林進ノ助!!お前がブレイカー1なんだぞ!!
お前はいつでも冷静でいろ!どんなときでもだ!!

混乱中の林くんに激を飛ばす兵真くん。いいですねぇ、こういう光景。
確かに林くんにはいつでも冷静でいて欲しい。そういう安心感を与えていて欲しい存在である。

さて、予定よりも早くヘリが到着したおかげで重力大針の積み込みは順調。
あとはブレイカーズが乗ればいつでも飛び立てるという状況。
しかし、距離を詰めたおかげか、入れ物の電源をOFFにしたせいか、重力大針の具体的な位置を気取られる。
そのため、一気に6階と7階の天井を破って8階の対甲装備格納庫までやってくる少年
なるほど。今まで上の方にあるとはわかっていたが、どの階にあるかまではわかっていなかったと。
なので1階ずつ登り探知しながら進むようにしていたんですな。
しかしこれで探知をする必要はなくなった。これからは一気に屋上まで登ってくることになる・・・!!猶予はもはやない・・・!!

あと3枚・・・

なんとも追われる緊張感を味わわされる展開ですなぁ。
その強烈な衝撃故かブレイカーズの乗るエレベーターが停止している。いや、これは・・・

やはり敵の狙いが重力大針なら兵真くんは僕らを担いで地下経由で脱出するべきだった・・・
リスクの分散しないなんて萩原主任らしくない。それとも・・・僕らがエレベーターに乗らなきゃいけない理由でも・・・

少し冷静になった頭で状況を判断しようとする林くん。
しかし、考えるまでもなく、エレベーター内の兵真くんの行動で全てを悟ることができてしまう。
エレベーターは止まったのではなく、兵真くんが途中で止めたのだ。自分が降りるために。
その様子を見れば何を考えているかは一目瞭然。一人で少年のもとへ向かおうとしている・・・!!

兵真くん!いけません兵真くん!兵・・・!

手を伸ばして引き留めようとする林くんだったが、兵真くんに力づくで押し止められる。

玲央のこと頼んだぜ

そう言い残しエレベーターの扉を閉ざす兵真くん。ううむ・・・これは・・・!!
そしてここで前回伝えられたヒミコさんの命令の内容が明らかになる。
重力大針と共に屋上から脱出するが、このままでは間に合わない可能性が大きい。
誰かが8階あたりで敵を足止めする必要がある。

みんなの盾になってもらえないかしら。あなたの命を頂戴

人の命を守る盾となる。兵真くんは常にそうしてきていた。
玲央さんを守ることが誓いの第一であっただろうが、兵真くんはそれだけでは足りず、守れる命は守りたいと考える人である。
その男にみんなの盾になってもらえないかと言ったのなら・・・従うに決まってますわなぁ・・・

うまく8階で少年との邂逅を果たすことができた兵真くん。

やろうぜ

もはや身を守るカガミはなく、手にあるのは長大なスカルペルのみ。
それでも足止めをするためにその全身を相手の前に晒すのが兵真くんである。ううむ・・・

予想通り兵真くんが足止めを行う流れになりましたが、ここまで正面から行くこととなるとはなぁ。
どうせなら先回りして天井を破って現れた少年に攻撃をしかけるぐらいのアドバンテージは欲しかった。
いやまあ、正面から挑もうとする兵真くんの姿は格好いいが・・・格好よりもまずは生き残って欲しいわけでして。

まともに戦った場合、勝ち目があるはずはない。ASURA装備の玲央さんですらほとんど捌けなかったのだから。
勝ちの要素があるとするなら、この8階が対甲装備のあるフロアだという部分だろうか。
色々な試作型とかが置いてある可能性はある。
装備をとっかえひっかえしながら戦えば、多少は足止めできる可能性もあるかもしれない。
なんだったら別に足止めではなく倒してしまっても構わない。
人が振り回せるとは思えない鉄塊のような大剣を見つけてそれで叩き切ってしまうとかさ。
いや、切るだけでは倒せないのか。じゃあ丸太のようなものでまるごと叩き潰すとか!!
切っても当たらないのなら、全身を丸ごと叩き潰せばいい!!これで小さな髄幹も意味はなさないぜ!!うん、いけるなこの作戦!!
なので兵真くんは丸太などの打撃装備を探すのがいいと思われます。推奨。

まあ、一番の希望はやはりハルトなんですけどね。
兵真くんが出ていく直前で意識を取り戻していたのは希望と考えていいのか・・・いや、考えたい・・・
どうにか駆けつけるのに間に合って欲しい所でありますが・・・どうなることか。



第41話「永遠の盾」  (2013年 25号)


撤収するためのヘリは到着した。自衛隊の援軍もすぐにビルを包囲してくれる。
重力大針も積み込んだし、後はブレイカーズとヒミコさんを乗せればいつでも飛び立てる。
そんなタイミングで到着するエレベーター。
林くん、玲央さん、ハルトはいるが、当然の如く途中で降りた兵真くんの姿はそこにはない。

萩原主任・・・兵真くんが1人で・・・これは・・・あなたの指示なんですか・・・?
兵真くんを見殺しにするんですか!?こんな作戦僕は認めない!!

憤慨する林くん。その叫びは意識が朦朧としているハルトの耳にも響いている。
ううむ、このタイミングでまだ倒れているとなると兵真くんの危機には駆けつけれなさそうか・・・?

その兵真くんは一世一代の見せ場。
一人残り、これまででも最大の強敵に対し、やろうぜと強気な発言。

少年「やろうぜ・・・?私と・・・戦う・・・という意味か?」
兵真「遊んでやるって言ってんだよ。坊主

気を引くために挑発を行う兵真くん。
しかし少年は冷静である。先を急ぐために天井を破ろうとする。
が、その天井に取り付こうとした左腕がいきなり爆ぜる。兵真くんが手にしている銃の一撃によるものだ。

ガキが気を遣うなよ。武器庫(オモチャ箱)の中だぜ

この一撃で完全に気を引くことに成功した兵真くん。少なくとも邪魔は出来ると示せたわけですものね。
なので少年はまずは邪魔者を排除せんと襲い掛かってくる。目論見通りだ!!
しかし、さすがにASURA付きの玲央さんをも退けた魔童である。強い。
長大なスカルペルで受け切るのは難しい。すぐに攻撃を受け・・・左腕をねじ切られる。うぉ・・・
ねじ切った時の少年の顔が適当な感じで気になるが、今はそんなことを言っている場合じゃないですな。

兵真くんが1人で戦っている姿をモニターして涙を流す一芽ちゃん。そりゃそうでしょうな。衝撃的な姿ですわ。
そこに重体のブレイカーズを運んだ職員とヒミコさんが到着。
急いで積み込み、離陸するように促す。
自衛隊もヘリをまわしてくれているし、9階の職員も上にやって第2陣に乗せてもらうよう通達する。が――

そんなの間に合うわけないですよ!!自分たちだけ逃げるんですか!?下から化物が迫ってるのに・・・!!

待機命令を出していた9階の職員たちが危機を感じて屋上にやってきていた。
まあ、不安を感じた人の行動としては正しいでしょうな。厄介な話であるけど。

重力大針は首都防衛の切り札。深柱の出突を判断する探知機を失うのは人類にとっては大きな痛手となる。
それは確かに道理なのだが、その道理を説いたところで危機にパニックになっている人々を抑えることは出来ない。
正論であっても、いや正論であるからこそ冷静さを欠いた人間には通用しない。悲しいことである。
探知システムを置いて行けば何人か乗れるでしょうとか言い出す奴まで出る始末。
敵は探知システム狙ってるんだから、確かにそれはそれで安全かもしれませんが・・・本末転倒すぎるな。
というわけで、パニックを鎮めるためにヒミコさんが取った行動。それはモニターされている兵真くんの姿を見せること。

みんな・・・見なさい。我々の最終防衛線よ。
ブレイカー2が我々のため身体を張ってくれている!!
こと守りに関しては藤堂兵真の右に出る者はいないわ!必ず我々の撤退を成功に導いてくれます!!

一人、撤退を援護するために身を呈して戦う兵真くん。
その姿を見せられたら職員としても黙るしかないですわな。
さらにヒミコさんはこのヘリには乗らず、この人たちと同じヘリに乗ると告げる。

私が残らないとこの人たちは止まらないわ

うーむ、冷静な判断だ。なんだかんだで司令官としては頼りになる人なんですなぁ。
自分の身も含めて冷静で冷徹な判断を降すことができる。必要な資質でありますな。間違いなく周りには疎まれるでしょうが・・・

左腕をもぎ取られうずくまる兵真くん。
それを尻目にヘリを追おうとする少年。
だが、そこで目を逸らしたのが油断でしたな。兵真くんはまだ戦意を失っていない。残った右腕で少年に組み付く。

行かせねぇよ

必死な形相でそう述べる兵真くん。ヘリに乗っている仲間たちのことを思う。
林くんは――オレの親友・・・
ハルトは――オレの弟・・・
そして玲央さんは――オレの・・・・・・

生きろよ・・・

頭に思い浮かぶのは笑顔の玲央さん。その玲央さんを守り続けると誓った兵真くんとしてはまさしく願いが籠っているというところか。
そして、具体的な言葉が続かなかったのはそれだけ色んな想いを抱いていたということでしょうか。
仲間として、守るべき相手として、そして異性として。色んな想いがあったのでしょうな・・・

兵真くんは少年を抱えて、少年が空けた階下への穴へと飛び込もうとする。
しかし少年は身体を分離して逃れるようとする。が、それも計算済み。兵真くんが狙うのは・・・自爆!!
スイッチと共に閃光に包まれる兵真くんと少年。こ、これは・・・

藤堂兵真、盾としての最後。そのようなアオリで締められる今回。
ほ、本当に兵真くんは散ってしまったというのだろうか・・・?正直認めたくはない。
なのでここは全力で生きている展開を模索したいと思う。

気になるのは分離して逃げるのは計算済みと言っている場面。
ということは、深柱の髄幹など本体は少年ではなく腕の方に集中しているはずである。
であるならば、少年の体に近い兵真くんが自爆しても効果は薄い。
なので、爆発したのは武器庫の方の爆弾なのではあるまいかと考える。
そう考えれば分離が計算済み→離れた所に爆破で一気に殲滅→自身は階下へ爆風を逃れるという展開が想像できる。
まあ、上手く生き延びられるかは分の悪い賭けなので、祈りを捧げることにしたと。そう考えれば仲間への言葉も理解できる!!
うん。なかなかいい推測になりましたな。
兵真くんの腰に爆発物のようなものがあったり、最後に少年の背後から閃光が発しているように見えなければ・・・!!

いやいや。あれが爆弾だったとも閃光だったとも限らない!
武器庫の爆風を防ぐために消火剤か何かを巻いて生存確率を上げようという計算かもしれないですし!!
消火剤につけるにしては物騒なマークが入ってるが、そんなものには目を瞑る!!

まあ、そもそも8階の高さから落ちて無事でいるのかという話もありましてなぁ。うーむ、難しい。
やはりここは少年の中の深柱の気まぐれにすがるしかないか?
爆風から逃れようとした深柱がアレコレ抵抗したら結果的に兵真くんも助かったとか。
場合によっては深柱との融合を果たして生き延びるという展開でもよい。
どうせなら24個の髄幹全部取り入れるぐらいの融合を果たして欲しい。1個や2個ではない・・・全部だ!!
それだけやればハルトとの違いも強調できるし、個性を保つこともできようというものである。

というわけで、兵真くんは無事でいるのだと強く主張したい。
万分の一の奇跡に己の命を賭け不可能を可能にする男・・・!!それがブレイカー2藤堂兵真という男だ!!
てな展開が来てくれることに期待しています。本気で。



第42話「離脱」  (2013年 26号)


突然の階下の爆発に驚き戸惑う屋上の地災研の職員たち。
状況がわからないのだから混乱するのは仕方ない。
しかしその状況を示すPCのディスプレイには残酷な表示がされている。

B-2 H-TOUDOU LOST
ブレイカー2死亡・・・

マッスルコートに備えていると思われる生命反応が途絶え、ロストと示される。
爆発は想像以上に激しかったらしく、煙がもうもうと窓から吹き上がっている。
少年がやってこなくても炎に包まれてしまし、ヘリが来なければ脱出は困難となりそうな状況だ。

重力大針は最初のヘリに積んだので今は通常の重力針でスキャンを行っている。
それによれば・・・この爆発により、髄幹の反応はなくなっている!!
これは・・・ブレイカー2が・・・藤堂くんが敵を倒したということなのだろうか?
その職員の問いには何とも返さないヒミコさん。
まあ、通常の重力針の感度は重力大針に比べて1000分の1以下の精度しかない。正確な数値はわからないと言っていい。
爆発から5分経過してヘリの第2陣が到着しても少年がやってくる気配はないが・・・本当に倒しきれたかはわからない。

9階格納庫内は高性能爆薬の炎が他の火薬に引火して誘爆。ビルの外まで爆煙を放つ威力・・・
だが相手はこちらの想像のはるか上をいく化け物・・・
いかに強力な爆発であっても24個の髄幹すべてを焼き尽くせたとは思えない!
それでも・・・この撤退が終わるまでは!!

職員の撤退が終わる時までここに残る覚悟のヒミコさん。
その目に映るのは爆煙に紛れて飛んでくる人工筋肉の繊維。
爆破によって吹き飛び、散ったブレイカー2のマッスルコート
その欠片を手に取るヒミコさん。うーむ・・・これはなんとも・・・物悲しい。

技術班まで乗せたヘリが飛び立ったところで先行した最初のヘリに連絡を入れるヒミコさん。
伝えるのは悲報。それを受け取った三輪先生。兵真くんがどうなったのか尋ねる林くんに告げる。

林くん・・・落ち着いて聞きたまえ・・・ブレイカー2は、ロストだ。

兵真くんの様子は死を覚悟したものであったのは林くんにもわかる。
それでもあの頑丈な兵真くんがロスト・・・死ぬだなんてことは・・・信じたくない。
だから叫ぶ。もう一度生体反応をチェックしてくださいと。

藤堂兵真が死ぬわけないだろ!!ちゃんと調べろ!!調べろよおおっ!!

号泣する林くん。重体のハルトもその鳴き声を聞き、悲劇を悟ってしまい涙を流す。
そして同じく重体でこちらは意識も戻っていない玲央さん。それでもその状態で兵真くんの名を口にしている。
うーむ。やはり兵真くんの存在はブレイカーズの間ではとてつもなく大きいと言わざるを得なかったわけで・・・
いや、誰が欠けても悲嘆に暮れていたことは疑いようがないな。それだけ掛け替えのないチームであった。

ヘリの最終便が到着し、全員の乗り込みが完了する。ヒミコさんもその最終便に乗り込み撤退は完了となる。
結局少年は最後まで現れることはなかった。
まあ、重力大針は既に持ち去られているのだし、残りの人間を襲ってもあまり意味はないでしょうしな。

ビルを自衛隊が包囲しているが突入はしないようにと伝えるヒミコさん。
あれ程の力を持つ敵が爆弾で死ぬとは思えない。
今はとにかくビル周辺の封鎖だけに全力を注いでもらうこととする。

ようやく撤退が完了し、指示を終えたヒミコさん。
思うのはその撤退をサポートするための非情な指示を見事やり遂げた男について。
手に残るマッスルコートの一欠片を見つめ、思う。

藤堂兵真・・・地災研実動隊の防御の要・・・守護神を犠牲にしての無様な撤退作戦。
許して・・・なんて言えないわ・・・
でも・・・あなたの死・・・無駄にはしないと誓うわ!!

地災研の盾、藤堂兵真逝く。ありがとう。さようなら。
そのようなアオリで締めくくられているが・・・本当に・・・なのか?
うーむ、信じられないし信じたくはない。
登場時からずっと兵真くんを応援してきた身としてはどうしても信じたくはないと思えてしまう。林くんと同じ気持ちだ。
マッスルコートが吹き飛んだのだから反応がロストするのは当然と言えば当然。
しかしだからといって中身が吹き飛んだとは限らない。そのように希望だけは持ちたい。
場合によっては深柱に取り込まれて敵として再登場という形もあるかもしれないが・・・
それでも兵真くんならば、意志の力で最終的には戻って来てくれるのではないかと期待してみたり。

未来への希望というか願望はさておき、現実的にこれから地災研はどうするのか。
もともと少ない実動部隊の1人が失われた。補充という形になるのだろうか?
誰が来るにせよ色々と揉めそうな気がして何とも気が重いですなぁ。
実は兵真くんには同じ背格好で同じ顔で同じ声優の弟がいるとかそういう話があったりするのだろうか。
それならまだ馴染むのに時間はかからずに済むかもしれないが・・・さてはて。
なんだったら兵真くんは大家族で世界の各支部に1人は藤堂家の人間がいるとかそういう話でもいい。
いやさすがに兵真くんと同じ姿の人間が十数人揃う場面とかはちょっとどうかと思わないでもないが。



バーサスアース 6巻


第43話「二十四の銀眼王」  (2013年 27号)


東京都新宿区地災研新本部ビルは自衛隊によって敷地内及び半径500mは立ち入り禁止となっている。
そうした上でビル内部の遺体を搬送している自衛隊。
黒いシートに包まれて犠牲者が並べられていく様が痛ましい。

そんな中、1つの遺体を並べずに車両へと運ぼうとする2人の自衛隊員の姿があった。
見とがめる別の自衛隊員。だがそれが運の尽き。
運んでいた2人組の片方、大男に素手で胸を貫かれ絶命する自衛隊員。むう、結局犠牲者が出てしまっているか。
そして一つの黒い遺体袋を積み込み車両を発進させる2人組。
この流れはもちろん、この2人組が深柱側の連中であることを示している。となればこの遺体袋の中身は・・・

戦士と認めよう

中から遺体袋を開けて姿を現したのは襲撃してきた少年。やはり焼き尽くすことはできなかったか・・・
しかし兵真くんの行動は、その精神は深柱であっても認めざるを得ないものだったらしい。
光栄だとでも言っておけばいいのだろうか。
敵に評価されるのは嬉しくもあるが、しかしこの流れだとやはり生存の可能性は絶望的となったわけで・・・うーむ。

所変わってアメリカ合衆国。
空港にて賑やかな様子を見せている6人の男女の姿がある。
日本のヘナチョコブレイカーとは違う、正しい資質を持つアメリカ地災研本部所属の深柱処理実動隊。

スレイヤー6出撃

突然登場した本部の実動隊。
兵真くんが本当に散ったのであればアメリカ辺りから誰か来るのではとは思っていたが、まさか部隊まるごと来るとは!!
6人の内訳はおそらく男3名に女3名。
シェリカというラフな格好の巨乳。大口叩くあたりがいかにもなアメリカンキャラクター。
ケイラン。最近フラれたばかりという短髪黒髪のおそらく女性。男で彼氏募集という可能性もなくはない。
マーベル。チャラそうな感じの男性。
ライツ。なんというか特徴的に朴訥な顔をした体格のいい黒人男性。人は好さそうだ。
イヨ。ヒミコさんとのコネクションがあるという少女。そりゃヒミコにイヨでは繋がりもあるわな・・・!!
隊長。今の所唯一名前が不明。顔の傷やヒゲからして歴戦の勇士のような印象がある。

こんな6人組が並んだ姿は・・・なんだろう、微妙に強そうに見えない!!
い、いやいや。これでも全員が戦闘装束姿となれば多少は見栄えがよくなったりするのではないかと・・・
しかしこのタイミングで一気に6人登場はさすがにかませにしか見えないというかなんというか。
大きな口を叩いておいて最初は活躍したけど凹まされて段々と従順にってのはある意味パターンですからねぇ。
む、シェリカが上記のような状態になっていくとするとなんかエロイな。言葉の響き的に。従順とか。

とりあえずイヨちゃんがヒミコさんとどういう関係であるかが気になるところ。
ヒミコさんが実は40歳前後で娘でしたとかそういう話があったりしたら・・・それもまた面白い!!

さて、地災研新本部ビルの襲撃についてようやく報道がされるようになりました。
もちろん深柱の襲撃でダメージを負ったなど国民に知らせる訳にはいかないので偽の情報が流れている。
火災によって20名以上の死者が出たが溶岩噴出体とは無関係であるとのこと。
その説明はさすがに疑わしいと思われるのでは・・・?でも死者のことは報道しないわけにはいかんでしょうし、苦しいなぁ。

スマホでその災害情報を見ているカナちゃん。
久しぶりの登場でありますな。しかしさらっと顔を見せただけで出番は終了。
うーむ。彼女には傷心のハルトを慰める役目があるように思えるのだが・・・その場面はないのか!?

地下鉄副都心線。
東新宿―新宿3丁目線路内にて運転再開に向けた調査中の出来事。
地下鉄線路の壁から突きだしたのは・・・大きなドリル
調査員が近づいてみれば、そのドリルにある目玉がこちらを見つめて来る。深柱だー!!
しかし攻撃を仕掛けてくることもなく去っていく深柱。なんだったんだろうか・・・

なるほど・・・塔の兵士たちがこの地に集う様子が見てとれる。

高層ビルの上でスマホを操作し、おそらく深柱の探知結果が表示されている地図を見ている男たち。
長髪の男と鎧を纏った巨漢。こいつらは冒頭で少年の遺体袋を運んでいた奴らか・・・
人間どもの使っている道具がどうとか言っているし、こいつらも人間型の深柱なんでしょうな。

兄弟の身体の奪還には失敗したが、決行する・・・
アーカスビゼリア
二十四の銀眼王(エンプトノート)の名を以て、これよりこの地に滅火の巨塔を打ち立てる
人類よ。お前たちに残された刻はあと十月と十日。

そのように述べる少年こと銀眼王。
強すぎるし只者ではないと思ってはいたが、まさか王を名乗るほどのものであったとは・・・!!
しかし未だに二十四の髄幹を有したままなんですかね?失っても名前は変わらないということなのかもしれないが。
というか何故二十四なのだろうか。某小説と何か関係が!?いやチャンピオン的に言うなら某先生と関係がというべきか。

何にしても、最後のページにて衝撃的な宣言がなされることと成りました。

バーサスアース序章、完
これより本編、"滅火の巨塔"開幕!!

なんと、これまでの話は序章だったのか!!長い序章でしたなぁ。
しかし滅火の巨塔とはまた何ともなネーミングですな。銀眼王。まあ、銀眼王というネーミング自体が・・・
ヒミコさんとは良いネーミング合戦ができそうな相手である。
しかし巨塔ということは1話の時点で屹立していたあの巨大な柱が出てくるということなのだろうか?
小さな深柱。ビゼリアが言うところの塔の兵士が集まって巨塔となるという流れかな?
しかし何で十月と十日もかかるのだろうか。そんなにあったら子供も生まれますよ。
いやもちろんその赤ん坊が生まれる時間に合わせての期間なのだろうが・・・どういうことかねぇ。

まあ、ある意味丁度いい。
しばらくは兵真くんを失ったショックで動けなくなると思われるブレイカーズ。
ここで猶予をもらうことである程度は立ち直ることができるようになるのではないでしょうか。
ひょっとしたら本編は十か月後まで一気に時間が飛ぶのかもしれないですな。
その間にアメリカのスレイヤー6が来るのでしょうが、どのような出会いとなるか。ケンカになるとしか思えないな・・・

というか深柱処理本部の実動隊とはいえ、スレイヤー6に実績はあるのだろうか?
我々は本部で実戦を想定した訓練を長年積んできた猛者なのだ!実績はないけど資質はあります!!
てなことを言いだされたら笑うしかなくなるがはてさて。

何にせよ、ここからの本編の展開が楽しみであります。



第44話「滅火の千本柱」  (2013年 28号)


衝撃の第二部、本編堂々開幕!!

地災研東京新本部壊滅より30日が経過した。
今、東京豊島区池袋は大変なこととなっている。

池袋駅封鎖の任についていた今田一尉。
1か月前に死亡したまま遺体がずっと路上に放置されている。
もちろんわざと放置しているわけではない。回収して遺族のもとに帰したくてもそれが出来ない状況なのだ。

ここから先は柱の縄張りだ!!

細めの深柱が幾本も乱立している池袋。
その総数は実に1000本!!
東池袋を中心に半径1kmは人間が立ち入れない領域となった。

しかし1000本の柱が現れてから2週間ほど経過しているが何かをしてくるわけではない。
これ以上生えてくるわけではないし、領域内に踏み込まなければ危険はない様子。

領域外で待機を続けている自衛隊。指揮官は佐藤一佐。おや、三佐から特進したんですか!?
なんとなく上が死んだから繰り上がったとかそういう話じゃないかと思えてしまって怖い。

深柱に対抗すべく一〇式戦車が静岡より到着。
第一戦車大隊長石井二佐の指揮のもと攻撃を開始する。
深柱の大きさから推測される熱線の射程範囲は50m。その範囲外から砲弾を撃ち込む戦車。
着弾!!爆発!!やったか?
いや、爆煙で見えないタイミングでやったか?とかアナタ。絶対に倒せてないと思って口にしてるだろ。

そのフラグの通り、深柱は無傷である。どうやら砲弾は全て熱線で迎撃された模様。
一二〇mm滑降砲も熱線の前では形無しでありますなぁ。

このように排除できない柱たち。しかし地中に潜ったり移動する気配もなく、ただそこにいるだけ。
領域内に入らなければ攻撃してくる気配も見せない。一体何を考えているのだろうか?
まあ、1000本の柱が都内あちこちに乱立して暴れまくるよりは楽には見えますがね。今の所。

池袋のおそらくサンシャインビル。
その中に座し、スマホで柱たちの防衛体制を確認する銀眼王。

鉄壁だ。虫ケラ1匹御珠には近付けまい。

その声に答えるビゼリア。

すべての兵がこの地に集まり、御珠を作り上げました。
御珠・・・塔の兵士たちの身体を繋いでできる大量浄化装置
御珠生成のため機能の一部を差し出した兵たちは動くこともままならず、御雷の射程も減りました。
ですが瑣末なこと。滅火の塔の御雷の威力は塔の兵士の御雷の壱億倍!!
地球の力の吸い上げは順調です
貴公はただ御珠が滅火の塔を育まれるのを待たれるがよい。

銀眼王の足元に跪き、手を取って述べるビゼリア。
地球の力を吸い上げる・・・?何だか不穏な発言であるな。とても地球の側に立って戦う存在のセリフとは思えない。
何にしても、このサンシャインビル内を貫くようにして屹立しようとしている滅火の塔。
十月十日の後にはビルをつき破って滅火の巨塔が出突することとなるのでしょう。
それはいいが、いやよくはないが、この塔のバランスの悪そうなデザインはいかがなものか。重みで折れたりしそうだ。

巨塔より放たれし御雷が街を――人を焼きつくす。
その射程は人間のいうとことの半径500km
この国の主要都市殆どが滅びます。

そう述べるビゼリア。ふむ、確かに結構な威力でありますな。
まあ福岡とかはさすがに残りそうな感じであるが、日本壊滅といってもいいぐらいの打撃にはなるでしょうな。
それでも殲滅とまではいかないような・・・せめてこの倍の威力は欲しかったですな。

何にしてもその約束の時までは1000本の柱による鉄壁の守りによる籠城を決め込めばいい。
まさに勝利の約束された籠城。と述べてみたが、その言葉を否定する銀眼王。

勝利という概念は存在しない。
なぜならこれは戦では無く、断罪。ただ人類を断ずるのみ!!

毅然とした銀眼王の言葉に感銘を受けるビゼリア。
やはり地球の守護者はあなたをおいて他にない。とのこと。
ふーむ、地球の守護者ねぇ。やはりそれは地球そのものではないですよと宣言しているに等しいですわなぁ。
やはり深柱とは地球そのものではなく、地球を守るためというエゴを人間にぶつけようとする連中なのであろうか。

だが、全て柱たちの思惑通りになるわけでもない。
領域内に入り込んでくる存在はいる。着甲!爆震!!
柱の1本に打ち込まれた玲央さんのハンマー。そして出来上がった亀裂に打ち込まれるのは、ハルトの形成したツルギ!!

あの屈辱と悲嘆の撤退戦から1か月。
悲しみを振り払い、戦うハルトたちの姿がそこにあることが確認できる。うむ、それでこそである。
兵真くんの意志を継ぎ、立派な戦士となって頂きたい。もう犠牲者がこれ以上出ることのないよう・・・!!

という感じでいきなり大きな話となった本編。
まあ、全ての兵士を集めてようやく日本が半壊できるくらいなのかなとか思わないでもないが・・・
いや、銀眼王は日本攻撃の部隊長的な扱いなのかもしれない。ようするに日本攻撃の兵が全て集まってこれであると。
他の地域には他の地域担当の柱がいて世界中に滅火の巨塔を打ち立てている。なんて可能性もありうる。
なるほど。つまりアメリカのスレイヤー6は日本に来たけどすぐにアメリカにも柱が乱立したので帰ったわけですな。
これなら前回やって来たように見せたのに今姿を見せていない理由にもなる。納得だ!!何しに出てきたんだよ。

しかし1000本の柱を1本1本砕いて進むのは大変ですなぁ。
1日1本のペースでは間に合わないわけですし。
1本を砕こうとしている間に他の柱に攻撃されたりする可能性もあるだろうし、怖いところだ。
空爆とかして一気に破壊できないものか。目を上に向ければ爆撃も迎撃されるか。
ならば地中に潜って根の部分を叩き折るとかどうだ!?地面の部分がどうなってるのかいまいちわからないけど。

意志を示すことはできるかもしれないが、さすがにハルトたちだけで破壊して進むのは効率的ではない。
どうにか有効な手立てを見つけ出したい所でありますね。

しかし、滅火の巨塔での攻撃だと人類どころか他の動植物にも累が及びそうなのだが、それはいいのかね?
人間以外は殺したくないとか言っていたヘビ型深柱さんとかとは意見が食い違いそうだが・・・
柱も一枚岩ではないのかもしれないですな。人間を滅ぼすのを第一とするか、他の犠牲は少なくするべしと考えるか。
その対立の結果、ヘビ型深柱さんが味方につき、ユミちゃんが晴れて融合者として戦いの場に参戦する。
そんな流れがあると嬉しいですなぁ。期待である。

しかし、東京はこれヤバイですよね。ヤバイヤバイ。
せっかく総理が演説してもう安全ですと宣言したのにこの有様。また人がいなくなってしまう!!
今頃野党から突き上げ喰らって大変なことになっているのだろうなぁ。可哀想に。
いやまて、逆転の発想をしてみてはどうだろうか。
柱は領域内に入らなければ攻撃してこない。逆に言えば離れていれば安全という話である。
それはつまり、安全に柱見物が出来るということを意味する。要するに猛獣を見られる動物園のようなものだ!!
そう、日本政府は今こそ池袋を深柱園として一般開放するべきなのだよ!!
領域内には絶対に入らないでくださいとして柵でも立てておけばいい。珍しい物好きな観光客は必ず来るはず!!
懸念されていた外国人観光客の数の減少もむしろ好転するだろうし、起死回生の策だ!!
まあ、滅火の巨塔が出来上がったら大変なことになるんですけどね。それはまたその時の話さ!!

逞しい姿を見せて行って欲しいものであります。



第45話「焦熱の池袋環状包囲網」  (2013年 29号)


1000本の柱の群れを崩すべくふりかぶるハルト。
この一撃が人類反撃の狼煙となる!!
と思いきや、1本目の柱を駆除する前に強敵が立ちふさがることとなりました。
砕こうとした柱の目玉から鎧を纏った戦士アーカスが登場し、ハルトのツルギを払いのけてくる。
まさかそんな所から出てくるとはさすがに想定のしようもありませんわな。

アーカスの拳は玲央さんの振り下ろすハンマーまでも破壊するほどの破壊力を持っている。
うーむ。銀眼王ほどではないのだろうが、やはり厄介そうな相手ですねぇ。
というわけでイレギュラーが発生したので速やかに撤退を開始するブレイカーズ。
人間型がいること自体は想定していたようだが、まさか1本目で現れるとはねぇ。

置き土産にアーカスの左ひざにツルギを打ちこんでいく玲央さんでありました。さすがですね。

無事に離脱したハルトと玲央さん。
林くんは自衛隊の戦車の中で指示を出していた様子。
それはいいが、地味に髪型を変えてきてますね林くん。何らかの意思表示でありましょうか。

アーカスはハルトたちを追ってこない。
銀眼王曰く、領土の外では消耗するだけだから追う必要はないとのこと。
なるほど。戦士は柱から力を吸い上げて傷を癒すこともできるのか
玲央さんが打ち込んだツルギの傷も瞬時に癒えていく。
この柱の群れの中では戦士はほぼ無限の再生力を秘めていることになるわけであるな。厄介な・・・!!

銀眼王は人型のアーカスを戦士と呼んでいる。
そういえば乱立している柱は兵士と呼ばれていましたな。
それぞれ階級的なものがあるのでしょうか?
戦士アゼル。銀眼王はその名を心の中で呼んでいる。
ハルトと融合した柱の名であるが、銀眼王にとってアゼルはどういう存在だったんですかねぇ。気になる所だ。

さらに気になるのはヘルメット男。
あいつも柱から力を吸い上げておりましたなぁ。戦士とは融合者なのか、人型の柱なのか。
そういえば兵真くんも戦士と認めようとか銀眼王に言われてましたなぁ。
それは深読みすると何か起きそうな言葉に思えますが・・・はてさて。

撤退したブレイカーズ。本部は"孤高の進軍作戦"の失敗に肩を落としている。
本部と言ってもビルは破壊されたままなので車両の中が緊急の作戦本部となっている。
そこに佐藤一佐登場。作戦の詳細について問うてくる。

ヒミコさんが言うには重力大針によってビル内に膨大なエネルギーが存在することが確認されているとのこと。
その量は現時点で練馬型溶岩噴出体1万本分のエネルギー!!
しかも現在も大きくなり続けているとのこと。
ふむ。さすがに重力大針がある現状、危機に気付かないわけもないですか。

というわけで、千本の柱の中を切り進み、中で何が起きているか確認する必要があるわけです。
ただ、切り拓くと言っても闇雲に進むわけではない。進軍ルートは想定されている。
柱は等間隔で生えてはいない。高密集区域もあれば低密集区域もある。
もちろん高密集区域では1本の除去中に他の柱に狙われて危険なこととなる。
が、低密集区域ならば他の柱に邪魔されることなく破壊することが可能となる。

つまり少数で敵陣地に潜入し、防御の手薄な砲台を叩いて進む作戦である。
盾の耐久力には限界があるため柱を1体倒しては補給に戻ることとなる。となれば倒す柱は少ない方がいい。
衛星写真と重力大柱を使って敵の配置を分析し、密集度が低い区画を結んでできたルート。
そこを切り拓いていくのが"孤高の進軍作戦"であります。

地図を見ると、滅火の柱が立てられようとしているのはサンファインビルとなっている。
前回はサンシャイン60が存在しておりましたのに・・・似た名前の別のビルがあるということなのか!?

練馬型の柱であるならば、建物に隠れて視認されないようにすればいいのではないだろうか。
とも思ったが、取り残された池袋守備隊は建物内を経由して脱出しようとしたが建物ごと熱線にやられて全滅したそうな。
どうやら敵は視線だけでなく音か振動。あるいは外からの指令で攻撃していることも考えられるとのこと。
ふーむ。ビゼリアはそういう役目も請け負っているわけか。厄介な話だ。

なので危険な柱を除去しながらでないと進めない。それゆえの作戦だったのだが・・・失敗に終わった。
敵の中に自由に動き回り、柱除去を邪魔してくる存在がいるとなると難易度は極端に上がってしまう。
敵陣地に砲台だけだと思い進入したら、戦闘ヘリが待ち構えていたようなものである。

攻略不可能だ!!

佐藤一佐も現状を理解し、苦悩する。
煮詰まった様子の作戦本部。そこに助けとなりそうな人物が現れる。
でっかい体で日本刀を担いだ爺さん。
その力は大人の自衛官を片腕で吊り上げるほどであるという。この人は・・・スレイヤー6の隊長・・・!?

特命が出た。ゲトレー・バートレー以下5名。イケブクロ奪還の任に就く。

そう語るゲトレー少佐。
虎の子のスレイヤー6を投入してきたアメリカ本部の考えやいかに。
というのはさておき、ここでの戦力の強化は正直有難い。
とにかく今は手が足りていない状況でありますからなぁ。猫でも虎の子でも手を借りたいところである。
ヒミコさんはゲトレー少佐に策を問う。それにこう答える少佐。

ローマの軍人ジュリアス・シーザー。カエサルの言葉を使うなら――
分断して、征服せよ!!(Divide and conquer)

ふむ。戦士と柱を分断してしまえばいいという話でありますかな。
それを成すにはやはり人数が必要でありますね。
スレイヤー6だけでなく、ブレイカーズとの共同作戦という形になりそうですが、はてさてどのような結果になりますか。

とりあえずゲトレー少佐は登場時よりも何だかカッコヨクなっていて困る。
他の連中もそれぞれカッコヨク決めてきたらどうしましょうか!!
というか、日本に来てから1か月近く何をしていたのでしょうか。もしや・・・観光!?
そしてすっかり日本文化にかぶれた少佐は常に日本刀を持ち歩くようになったと・・・合う!ツジツマが!!



第46話「参戦! スレイヤー6」  (2013年 30号)


アメリカ地災研所属・ゲトレー少佐が語る作戦。
分断して征服。その言葉の意味するところは陽動作戦でありましょうか?

現在確認されている敵の遊撃体は1体。
しかし本当に1体しかいないかはわからない。それがわからない以上、陽動作戦は成立しない。
そう語るヒミコさんの意見を肯定し、作戦の全貌を語る少佐。

この作戦は実際に複数の部隊で攻撃し、相手の戦力を計ることを目的とする。
柱を倒すため必要な人数は攻撃・防御・支援の3人。9人いるから3部隊まで作れる
3つの部隊で別々のルートから進攻。動くタイプの敵が現れたら交戦。その隙に他の部隊は柱を叩く。
これが陽動作戦のイメージだが・・・あくまで敵の遊撃体が2体以下だった場合だ。
敵がこちらの部隊数と同じかそれ以上のときは・・・即撤退だ

なるほど。結構冷静な作戦でありますな。
イケイケな感じではなく、相手の戦力を計るのが目的でありますか。
進攻作戦中は衛星、望遠、重力大針すべてをフル稼働させて敵の動きを探ることとなる。

予測できるが見えざる危険は人の心を混乱させる

分かる話であります。
どうやらこの言葉もカエサルからの引用らしい。佐藤一佐がその言葉を引き継ぎ、作戦の意図を語る。

"他にも敵がいるかもしれない"では戦えない。
敵は1体なのか3体なのか。あるいは100体なのか。それを知って初めて対策が立てられる。
つまり陽動作戦に見せかけた威力偵察・・・

戦闘において、敵味方双方の戦力を正確に知るのは何よりも重要なことである。
情報戦を制するものが勝者となるのはいつの時代も変わらないということですな。

Yes Mr SATOH! 威力偵察というからにはこちらもそれなりの力で攻撃しなければ相手の本気は引き出せませんからな!!

やけに力強く佐藤一佐の言葉に同意するゲトレー少佐。
なんでしょうか。カエサルの言葉を知っているのが嬉しかったんでしょうか?
同好の士を見つけたと言わんばかりの勢いである。そりゃ佐藤一佐も照れるさ。
しかし、なんとなくこの一佐が褒められると嬉しいように思えるのだが、この気持ちは何だろうか・・・

ちなみに威力偵察とは実際に攻撃を加えてその反撃具合によって敵の戦力を計るやり方である。
いける場合にはそのまま作戦遂行してまうこともあるやり方でありますな。

実動部隊は9名。少佐も年ではあるが、人がいないのだから現場に立つしかない。
チーム分けはもうしてあるから見てくれという少佐。そこに映し出されたチーム分けの詳細とは・・・

作戦本部でそんな話し合いがされている頃、実動部隊のハルトたち。
途中撤退とはいえ、作戦に参加したので玲央さんはメディカルチェックを受けに行く。
順番待ちをしている間、林くんと話をするハルト。
その左腕にはツルギをパイルバンカーのように打ち込む装備があつらえてある。
そしてそのツルギの柄に刻まれているの「B-2 HYOUMA.T」の文字。
ふむ。玲央さんとハルトが1本ずつ形見として使うという流れでありますか。泣けるのう。

そんな空気の中、やってくるのはスレイヤー6の面々。
口さがないマーベルは日本の整備ベースに不満を口にしながらやってくる。
そんなマーベルに注意したりするケイランとライツ。苦労人そうな2人ですな。

林くんは彼等とは面識はないが、スレイヤー6の存在とその腕前の評判は知っている様子。

攻撃手(ストライカー)のマーベリック
攻撃/防御(バイプレイヤー)のケイラン
防盾手(シールドマン)のライツ

バ、バイですと・・・?いや、そういう意味じゃないんだろうけども。
でもバイプレイヤーでは脇役という意味になっちゃうし、それよりかは。いやいや・・・

それにしてもスカルペル−Uはやけに細身となっていますなぁ。
まるで日本刀のようである。これもやはり30日かけて日本を観光した成果ということなのか!?

それはさておき、整備ベースにやってきたマーベル。
消耗品の盾の予備として置かれていた旧型である十式のカガミを見かけて憤慨。

こんな旧型・・・うちのシールドマンを殺す気か?

まあ、確かに防御用の装備は万全でないと怖いですものね。憤るのは分からないでもない。
だからといって蹴り倒すこともありますまいて。
案の定、兵真くんの象徴である盾を足蹴にされて怒るハルト。盾を元の位置に戻せと主張する。
おやおや、男の子らしい顔つきになってますなぁ。そりゃケイランも頬を赤らめる。っておい。

オレに命令していいのは、うちの隊長だけだ。

そう言いながら盾を踏みつけるマーベル。
これにはハルトも我慢ならずに殴り掛かったりするが、さすがに今の状況でゴタゴタはよろしくない。慌てて止める林くん。
しかし止めながらもハルトの変化が嬉しい様子の林くんでありました。

そんな混乱の最中、ハルトに近寄ってきたのはスレイヤー6のシェリカ。
暴れるハルトを柔術で組み伏せてみせたりする。ほほう、そういう訓練も行ってますのか?
そして咥えていたアメをハルトに咥えさせる。なにその行動!?でもその後の言葉は怖い。

君の中の深柱が暴走したらシェリカが殺すから

ふむ。当然の如くスレイヤー6もハルトが融合者であることは知っているわけか。
それにしてもシェリカのこの表情。やはり深柱に怨恨があったりするんでしょうなぁ。
しかしいきなり暴れまくりのスレイヤー6。そうなるんじゃないかと思ってはいたが面倒な連中である。
そんな中、整備のひとたちに頭を下げているライツの姿が好印象。苦労してますなぁ、ホント。

と、そんなゴタゴタの中にメディカルチェックを終えた玲央さんがやってくる。
どうやら玲央さんの評価はスレイヤー6内でもかなり高いらしい。
日本のエースストライカー。蛇型一刀両断、5秒0距離撃破、ゲトレー少佐の一番弟子・・・
レオ・タカムラ。人呼んでライオン・ハート

実績も去ることながらゲトレー少佐の一番弟子という部分が評価されている様子ですな。
シェリカは5秒撃破なんて私だってできるんだからとか言ってるが、それはやったことはないってことですわな。
やはりスレイヤー6にはこれといった実績がないのではなかろうかと不安になりますなぁ。

しかし、ハルトが咥えさせられたアメを突き返すというのはどういう行動なのですかね玲央さん。
まあ、自分で咥えられたりしたらもっと困ったことにはなっただろうが・・・いや、それはちょっとアリだったな。

何にしても人間同士で揉めている場合ではない。本来戦うべき相手はあの柱たちであるのだから。
――てなことを言われてもすぐに共闘姿勢に移る気が起きない様子のシェリカとマーベル。面倒な2人だ。

ウチのシールドマンをお前らのブレイカー2みたいな目にあわせたくないしな

そう述べるマーベル。ふむ、兵真くんのことはちゃんと知っているみたいですな。
つまり知っていて盾を踏んで見せたと?それはさすがに・・・
なんだか確執が決定的なものになりつつあるんですが大丈夫ですかね?

そういった中、一人離れたところで隊長からの指示を見ているイヨ。
どうでもいいが、今回のイヨはやけに気の抜けたというか、簡略的な顔になっている。まるでカナちゃんのようだ。
いや別にカナちゃんが地味だとか、このまま忘れ去られる存在になりそうだなとかそういうことが言いたいのではなく・・・

さておき、イヨが見ている画面はチーム分けの詳細。それは思いがけぬ割り振りであった。

TEAM A. ハルト(攻撃手)/シェリカ(防盾手)/ゲトレー(司令官)
TEAM B. マーベル(攻撃手)/玲央(防盾手)/イヨ(司令官)
TEAM C. ケイラン(攻撃手)/ライツ(防盾手)/林(司令官)

おやおやこれは・・・見事に混成部隊でありますね。
しかも玲央さんとシェリカがシールドマンでありますか。
まあ、ブレイカーズは今シールドマン不在な状況だしそういう割り振りもあるのかもしれませんが・・・
それでもどちらもできそうなハルトをわざわざストライカーにするのはどういう意図であろうか。うーむ。
というか、Cチームの残り物感が凄いのだが・・・
まあ、マーベルもメンバーが玲央さんならばそこまで毛嫌いはしないと思いますがね。

とはいえこの割り振りではどちらのチームも納得するとは思えない。
しかし少佐は納得しなかったらさせろと一蹴。
それぞれの特性を考え、将来的にベストとなるであろう布陣を作ったとのこと。ほう。

賽は投げられたのだ

と、最後までカエサルの言葉を引用するゲトレー少佐。どんだけ好きなのよ。
まあ少佐の趣味はさておき、この布陣はなかなか面白い。
正直スレイヤー6だけの部隊を作ったら壊滅するんじゃないかと思ってましたしな。
それぞれのチームがどんな活躍を見せてくれるのか・・・なかなか楽しみな感じであります。
Aチームはハルトとシェリカのコンビを少佐がどのように導くのか。
Bチームは玲央さんが大人の態度で纏めそう。イヨのキャラがまだ何ともわからないところですな。
Cチームは・・・まあ、頑張って活躍しよう!!うん。
どのチームも注目です。

そういえばイヨの苗字はHであるが萩原なんだろうか。
ヒミコさんとはやはり血縁関係なのだろうか?
さすがに親子ということは・・・いやヒミコさんの若作りさからすればあるいは!?



第47話「突入! 混成小隊」  (2013年 31号)


賽は投げられた。
比較的柱の密度の薄い3地域からそれぞれ威力偵察を行おうとする地災研の一行。
しかしその組み合わせの結果なんとも微妙な空気が漂っている。
うーむ玲央さん、大人な態度でいてくれるかと思ったのだが・・・睨んでる睨んでる。

移動型の深柱、もしくは人間型が出てきたら交戦して足止め。それ以外の小隊が柱を塔解させる。
ただし敵の戦力がこちらの部隊数と同数。もしくはそれ以上の際は速やかに撤退する。
この作戦の本懐は威力偵察であり、各員の生還を最優先とさせるものであるとのこと。ふむ。

コマンダーの名前で組まれる3小隊。Iyo小隊、Hayashi小隊、Getoray小隊
こうしてみるとどこも3者3様な装備の揃え方でありますな。
アタッカーのケイランがハンマーを持つHayashi小隊。
コマンダーであるはずのゲトレーがハンマーで突っ込むGetoray小隊。
誰もハンマーを持っていなさそうなIyo小隊はどうするつもりなのだろうか?いや後のページでマーベルが持ってるか。

気にはなるが、まずはこの組み合わせについて噛みつくハルト。
組み合わせを決めた当人が目の前にいるのだし、噛みつくのは当然な流れですな。
なんで3部隊に分けるのか。それもよりによって玲央姉と林さんと別々なんて!!

憤るハルト。それを諌めるシェリカ。
ゲトレー少佐のカリスマによるものなのか、シェリカはこの組み合わせに大人しく従う構えらしい。ふむ。
暴れるハルトに声をかけることもなくじっと見据えるゲトレー。その心中に浮かぶのは最終的な勝利への希望。

千本の柱とその中央に集まりつつある膨大な力・・・今まで人類が遭遇したことのない脅威。
未知の脅威と戦うためには未知の力が必要だ。融合者の能力、見定めさせてもらうぞ

やはりそういう考えでハルトを自分の小隊に入れたわけですね。
さてはて、ゲトレー少佐はうまくハルトの未知の力を引き出すことができるのであろうか。

突入1分前。
全員無人走行車の上に立って突入。装甲車には旧式のカガミが貼り付けられている。
なるほど。突入直後のマントル熱線はこれで防ぎ、散開する流れなわけですな。
旧式のカガミも大事な役目があるじゃないですか。踏んづけた人は謝らないといけませんね。

突入30秒前。
林くんと玲央さんはハルトのことが気になる様子。
特に普段と違う盾役となった玲央さんは複雑な心境。

ハルト。せめてあんたを守る盾役なら納得いくものを・・・

うーむ。よろしくない状態ですなぁ。それでもASURAは背負っているし、いざとなれば攻撃もできるか。

ハルトも突入寸前ということで気持ちを落ち着ける。
柱の群れに飛び込むのであれば、優先するのは柱を倒すことである。そうだよね兵真兄!!

いよいよ突入開始。
熱線を受けると同時に散開し、柱に向けて突進するGetoray小隊。
深柱の目が向いたところでシールドマンであるシェリカの盾が展開される。
その盾は兵真くんが持っていた巨大なものではない。小さな盾が5つ並んだ変わった形状のもの。

α(シェダル)β(カフ)γ(ツィー)ε(セギン)δ(ルクバー)。
自律五連式防御盾機構(カシオペア・ディフェンサー)!!

5つの小さな盾がWの形をとり、バリアーのようなものを発する。
電磁波か何かを生じさせているのでしょうか?なかなかカッコイイ機構ですな。
これなら体の小さなシェリカでも十分に盾役ができるというわけか。

カシオペア・ディフェンサーの名の通り、その防御形態はカシオペア座のようである。
盾に刻まれているのもカシオペア座の恒星の名前でありますな。なかなかいいセンスだ。

ハルトが驚き戸惑っているうちに突っ込むゲトレー。
一瞬で柱の左側面に回り込み、マガタマを叩き込む。

見ていろ小僧!!STRIKE and BLAST!!

見事に外甲を破壊するゲトレー。今の所移動型が出てくる気配はない。
このままなら問題なくいけると判断し、他の小隊はどうなっているか本部のヒミコさんに問い合わせる少佐。
しかし、そんな余裕を見せている場合ではない。
ヒュウウウと奇妙な音が聞こえている。ヒミコさんが新たな反応と叫んでいる。
上を見ればそこにあるのは直方体の外甲。

空中生成型!?

そのまま落下してくる外甲。これは・・・ハルトたちはどうなったのか!?
というか空中生成型って新宿のヘビ型深柱と同じような存在ってことですよね?
人間型の戦士とは別にそんなのも控えていたのか・・・
そういうのを探るのが威力偵察の目的ではあるが、予想外の要素が強すぎるぜ!!

一方のIyo小隊は人間型深柱と邂逅
ある意味一番対応できそうな小隊なのはよかったですな。
ん?シールドマンであるはずの玲央さんがハンマーを持っているぞ?
防御しながらハンマーを打ち込むつもりだったのか!?そんな無茶な。

緊迫のGetoray小隊。緊張のIyo小隊。そしてHayashi小隊は・・・

H小隊。ぜ・・・ぜ・・・全員ロスト!!

まさかの全員ロスト。バカな!早すぎる!!
はたして活躍できるのであろうかとか思いはしたが、いくらなんでもこれは早すぎる!!
いやまて落ち着け。クールダウンクールダウン。
ロストしたと言われても死んだとは限らない。兵真くんの時も言った覚えはあるが、死んだとは限らない。
マッスルコートからの反応で見ているだけだし死んだとは限らない。
何か別の空間に放り込まれたり、通信が遮断された結果ロストという表示になったのかもしれない。そうであって欲しい。

なんというか、分断して征圧するはずが見事に各個撃破されている状態となっていますな。
これで本当にHayashi小隊がやられていたら少佐の立場がありませんやね。
ということも含めて林くんたちは生きていると予想する。期待する。願う。

まあ、謎の力を持った深柱に惑わされているかもしれないですしね。
淫靡な気分になって3人とも脱ぎだしているとか。そういう理由で生体反応が消えたとか。有り得る!!
それか深柱の謎パワーで1か月前にタイムスリップしているとか。
過去に戻った林くんは兵真くんを死なせないために戦い始めるとか。む、いいなコレ!!

とにもかくにも緊迫の突入作戦。どのような結果を見ることとなるのでしょうか・・・怖いわぁ。



第48話「ふたりの攻撃手」  (2013年 32号)


突如現れた空中生成型の深柱。
四角い壁のような姿でそのまま落下。別形態に変化するのかと思いきや、四角いまま落ちてきました。
G小隊の3人は無事に落下をやり過ごしている。
だが来た道を塞がれてしまい退くことができない状況。
ゲトレー少佐としては敵の攻撃パターンが分からないし複数出る可能性もあるので撤退したい。
ヒミコさんに連絡して別ルートで脱出できるデータを出してもらうよう要請する。

他の柱の熱線射程を通りながら脱出を図る3人。
ふーむ。壁型の深柱はこのまま何も動かずにいるのだろうか。それとも・・・?

G小隊は脱出のために移動開始。
ロストしたとされるH小隊は現地自衛隊からの動画データ待ち。
人型と接敵したI小隊に関しては、コマンダーのイヨちゃんにゲトレー少佐の指示を通達するヒミコさん。
『離脱のタイミングは各コマンダーに任せる。但しくれぐれも無理はするな』とのこと。

大きな声を出さないで。おばさ・・・コマンダー0。委細承知してますから。

さらりとヒミコさんをおばさん呼ばわりするイヨちゃん。
いやたぶん本当に血の繋がり的な意味でオバ、姪の関係なんでしょうけども。
自然とおばさん呼ばわりができるよいポジションですね。

それはさておき、人型の戦士アーカスと出会ったイヨちゃんの判断。それは即時退きゃ・・・
言っている間にASURAを起動させて突っかかる玲央さん。おいおい、行っちまったぞ。

アーカスの格闘性能は過去最大級と推測される。編成したばかりのこのチームで戦っても勝算は低いとのこと。
ふむ?アメリカの方では過去にも人型の深柱が出てきたことがあるってことなんですかね?
少なくとも格闘が出来るタイプの深柱が出たことはある様子。カンガルー型とかパンダ型深柱とか出たのだろうか。

玲央「推測じゃ意味ない。全力で攻撃しないと。それが威力偵察ってもんだ!!
イヨ「あ・・・ぁあ、あなたシールドマンでしょう!!

盾もハンマーも放り出してASURAを用いての攻撃を仕掛ける玲央さん。四剣抜刀!!!

あたしは攻撃手だ!!

ゲトレー少佐が決めたシールドマンという位置づけもやはり納得していない様子の玲央さん。
まあ、防御しながらじりじり近づくより一気に攻撃しながら対処する方がよさそうな相手ですからねぇ。
闘うと決めたからには一気にいく玲央さんの思い切りのよさは素晴らしい。
そして見事に専用装備を使いこなすその手腕。どうやらその姿にマーベルも触発された様子。
スカルペル-IIを居合のように腰だめに構え狙いを付出す。
こうなったらマーベルはもう止まらないとイヨちゃん。しぶしぶ各員の交戦を認めることとする。但し・・・

次の撤退命令は絶対です!約束しなさい!
約束を破ったら少佐にしかってもらいますからね!!

涙目で命令するイヨちゃんでありました。あらあらなんだか可愛らしいじゃないですか。
最初はもっとクールなレディなのかと思ったのだが・・・
いや、本人はそうあろうとしているのかもしれないが、相手が悪かったということなんですかね。
こんな厄介な2人を押し付けられてイヨちゃんも大変ですなぁ。少佐も成長を促そうとしているのかもしれないが人が悪い。
結局2人とも約束してくれてないし。

ともかく、今は目の前の敵との戦いに集中しているストライカー2名。
玲央さんはASURAを用い、カムドで4発、クサナギで3発は切りつけている。
全く効いてないってことはないはずだと考えるが・・・イヨちゃんの見立てでは推定ダメージ0とのこと。
鎧を着ていることもあり、装甲のタフさはかなりのものがありそうだ。銀眼王はバラバラにできたのになぁ・・・
まあ、土煙に紛れて柱でダメージ回復してたのかもしれないが。

その柱の目玉に腕を突っ込むアーカス。
目玉がゴボッと腕にくっついたまま外れる。なんだ!?マントル熱線か!?いや、格闘兵装だ!!

フレアーボール!!

南米の深柱処理で既に確認されている摂氏10000度の超高熱ハンマー
触れればまさしくタダでは済まない。アスファルトの道路が瞬時に蒸発するほどの火力である。
うーむこれは・・・シールドマンはやはりこの敵には意味がないんじゃないかと思えますなぁ。

大火力で暴れまくるアーカス。
マーベルは狙いをつけたまま微動だにせず、ここぞというタイミングを計っている。
玲央さんはどうにか回避を続け、危ないところを生きのびている様子。
そこに、狙いを済ましたマーベルの斬撃が飛んでくる!!
その居合の一撃は摂氏10000度のフレアーボールを真っ二つに切り裂くほどであるという。
触れれば溶け落ちそうな火力なのによくもまあ斬れたものだな!!大した腕前だ。

イヨちゃんが重力大針とリンクして髄幹をクイックサーチ。
体幹中央に反応はあるが詳細は不明とのこと。しかしそこまでわかれば十分である。狙うぜ!!

滅殺の十字分断(カルバリーストライク)!!

言葉通り、相手の体を十字に切り裂いてしまおうとするマーベル。果たしてこの一撃は通用するのか・・・!?
しかしこれもまたなかなかよいネーミングセンスでありますね。
アメリカ側にも派手な命名する感覚がちゃんとあるんじゃーないですか。
カルバリーといえばキリストが磔にされたゴルゴダの丘の英語名。それで十字でありますか。なるほどなー。

言うだけのことはあり、なかなかマーベルも強い感じがしますね。
ふむ。段々とスレイヤー6にも愛着が持てるようになってきた感じはある。
だからこそ何か悲劇が起きるんじゃないかという予感もするわけで・・・さてはて。
悲劇と言えばH小隊はどうなったのだろうか。自衛隊の動画データ待ちとのことであるが・・・
ロストと言われたのにヒミコさんはあまり焦った感じはないし、そこまで心配しなくてもいい?のならいいなぁ。



第49話「戦士の咆哮」  (2013年 33号)


オレは剣!剣はオレ。吼えろ!!

居合の構えで剣を抜き放つマーベル。
その横薙ぎの一刀がアーカスの胴を薙ごうとする。
しかしアーカス。上体を逸らし、その一撃をまともに受けずに流す。
それでも衝撃はかなり来ているらしく、顔が歪んでいる。

マーベルは腕に取り付けたブースターを噴射して無理矢理振り切った腕を返す。
横薙ぎに振るった剣の軌跡が消えないうちに繰り出される上段からの斬り降ろし。
出来上がるのは十字の軌跡。これぞ十字分断(カルバリーストライク)!!

斬撃の衝撃でアーカスの巨体が吹っ飛び、後ろの建物が倒壊する。凄まじい威力だ。
しかしその威力に耐えられなかったのか、相手が堅かったのか。マーベルのスカルペル-IIは音を立てて折れる。
さらにマーベルの右肩のマッスルコートが焼けて溶け落ちている。
上段の斬撃を行う際にアーカスのフレアーボールの反撃が横を通り抜けたためですな。
だが、そんな痛みや恐怖の色など微塵もみせず、イヨちゃんにダメージ計測を指示するマーベル。むう、なかなかに戦闘狂。

あの巨躯を。あたしとは一撃の重さが違いすぎる!!
自分の防御などまるで考えてない!こんなのただの・・・特攻じゃないか!!

強さは認めるが、そのファイトスタイルは納得がいかない様子の玲央さん。
構えが居合だったり特攻精神を持っていたりと、マーベルは昔の日本に造詣が深いのかもしれない。
そうなるとやはり日本に来てから1か月の間は少佐と共に観光していた可能性が・・・!!

まあ、マーベルの趣味はさておき。
手応えはあった。それ故に後ろを見せ、ダメージ計測を指示した。
のだが、平然と立ち上がるアーカス。髄幹にはダメージが行っていない様子。
しかし鎧の表面は砕け散り、深柱の外甲が出てきているのが確認される。まるで深柱外甲の筋肉・・・

ダメージ無しだと?オレの剣を。

気に入らないとばかりに睨みつけるマーベル。
それに対し笑みを返すアーカス。ほほう、これは・・・

とはいえマーベルの方は負傷しているし剣も折れている。この場はもう撤退するしかありますまい。
イヨちゃんの指示に従い、各自フィジカルブーストを行い撤退。
その撤退するI小隊の背にかかるのはアーカスの声。マアアアアベエエエル!!

うーむ。見事に因縁が生まれておりますなぁ。
戦士らしく戦うこと以外はしなさそうなアーカス。その本能が刺激され、好敵手と認められたということだろうか。

G小隊、I小隊共に離脱を開始。無事脱出できるかはまだ分からないが、とりあえずの危機は脱している。
となると残りはH小隊。
やたらと可愛い感じの一芽ちゃんが言う通り、3人のシグナルはロストしたままであり林くんとの通信も繋がらない。
自衛隊からの現地映像も変化がない。ので直接現場にいる佐藤一佐に状況説明をお願いする。

佐藤一佐が言うには3人が突入したと同時に光の壁が現れたという。
ビル2〜3個分くらいの大きさの光の壁。それに遮られて中の様子は全くわからないそうな。

救出するなら早いほうがいい。とにかく指示をくれ!我々では何もわからん!

正直ですな佐藤一佐。まあ今更誤魔化しても仕方がないですしね。
ヒミコさんも当初は自衛隊に情報はなるべく渡さないようにしていた感じでしたが、今は考えも多少変わってそうな気がする。
どちらにせよ今の現象は地災研の方にもよくわかっていない。
救出したいのはやまやまだが、今の状況では動けそうにはないですなぁ。

というところで光の壁の中の様子が描写されます。
取りあえずH小隊は3人とも健在。
どうやらこの壁が電波を妨害しているらしく信号がロストとなってしまっているらしい。中から外にかけても同様だ。
そして中はかなり暑いらしい。50℃って・・・物を考えられる温度なのか!?
ムレちゃうわとか言っている場合じゃない。というかライツさんは何でそんなに平気そうな顔なんだ。

ねぇ・・・ミスターハヤシ。これさぁ・・・ダッシュで走り抜けちゃいましょうよォ

熱さでまいっているのか、かなりアバウトな提案をするケイランさん。無謀な発言だ。
というか、これさぁ・・・の段階でページを跨ぐから何を言い出すのかと思っちゃいましたよ。
これさぁ・・・熱いから皆脱いじゃいましょうよとかそんなことを言いだすのかと。

それはさておき、林くんが手ごろな大きさの立ち入り禁止の看板を光の壁へと投げつける。
すると接触した看板が一瞬で溶け、蒸発してしまう。
うーむ。これは走り抜けるどころか接触しただけで蒸発しちゃいますな。
カガミの効果を最大にしたとしてもどれだけ持つ物か・・・
どうでもいいが驚いた時のケイランの顔がハルトのように見える。どちらもバイプレイヤーであるということか・・・

それはともかく。林くんはこの状況をどうにかする案を考える。
重力針でクイックサーチを行い深柱の反応を探る。
"柱"の仕業ならその柱の髄幹を倒せばどうにかなるのではないかという判断ですな。
その反応に導かれ上を見上げると、H小隊の頭上には謎の球体が浮かんでいる。
ふーむ。どうやらこの球体が光の壁を生み出している様子ですなぁ。

密閉空間に追い込まれているH小隊。この謎の球体は一体何なのか。
とりあえず林くんたちと球体の間に光の壁はない。攻撃は届きそうであるがはてさて。
いや、届きそうではあるがそもそも空中にいるのでは手が出せないか。
林くんは例の銃を背負ってきているようだが、これが勝利のカギとなるのか?
このH小隊の闘いもなかなかハードなものとなりそうですなぁ。



第50話「炎の檻」  (2013年 34号)


H小隊の半径20m程の空間は光の壁で密閉されてしまっている。
脱出経路は確認できず、外部の様子はまったくわからない。
現在の気温は60℃。尚も上昇中。
このペースで上昇していったらマッスルコートの生命維持機能を使っても15分後には体温が42℃を越えることになる。
現在の上昇ペースから考えて限界は15分後。それ以上のこの熱に晒され続けていた場合・・・

全身のタンパク質が凝固を始め死に至ります

何とも怖い話でありますね。そりゃケイランもそんな死に方やーよと叫びますわ。
とはいえ逆に考えると15分の猶予はある。落ち着いて脱出方法を考えましょうと林くん。この暑い中よく冷静でいられますな。

しかし状況はすぐに変化する。空に浮かんでいた球が落下してきたのだ。
慌てて球体へと向き直るH小隊。
球体の直径は約5m。表面温度は外気と同程度。髄幹の反応もある。やはり深柱のようだ。
となればこの球体を破壊できればここからの脱出も可能になるわけか・・・?

暑さによるイラつきをぶつける相手が降ってきたということもあり、勇んで攻撃を仕掛けるケイラン。
ハンマーを振るうが転がって避ける球体。そのままゴロゴロと遠ざかっていく。逃げた・・・!?

くそっ!!壁は熱いんだから行くんじゃないわよ!!

確かに追いたくはないでしょうな。
でも逆に考えると壁に球体を打ち込むチャンスなのではなかろうか。
砕くのではなくホームランを狙うのだ!!

ケイランの深追いを注意しつつ、林くんは考える。あいつは何をしに出てきたのか?と。
放っておいても自分たちは熱で追い詰められる。脱出の邪魔をするわけでもない。
これで本当に球体を破壊すれば脱出できるのだったらわざわざ壊されるために出てきたようなものである。
ゲームのギミックならそういうのもアリなんでしょうが、さすがにこの場面で敵が優しさを見せる必要はありませんわな。

逃げていく球体。その動きが止まる。
ぶるぶるした後、今度は急発進。凄い勢いで転がりながら向かってくる。
回避するケイラン。ライツさんはこの球体を正面から受け止めようとする。
巨大な盾を地面に置き、自身は斜めに腰だめとなってそれを支える。

超弩級複合式耐熱対甲防御盾(ギガントリーフ)!!

なんとも長い名前である。凄い防御の盾であるというのは確かに伝わりますけどね。
しかし超弩級の弩はイギリスの戦艦ドレッドノートのことを指すというのは有名な豆知識。
では今回の超弩級とは一体何を超えているというのだろうか。
おそらく超ドレッド級。ドレッドといえば兵真くん。
つまり超弩級の盾とは兵真くんをも上回るという意味で名づけられたと推測されるわけだ。
なかなか粋な名前を付けてくれるじゃありませんか・・・!!

それはさておき、超弩級の盾で球体を止めるライツさん。
そこに駆け寄るケイラン。今度は見事にハンマーを喰らわせることに成功。ストライクアンドブラスト!!

これが爆甲職人(シェルブレイクマスター)ケイラン様の実力よ!

誇るケイラン。そうか、ケイランはハンマーがメインウェポンなんですな。
着甲、爆震が専門とはまた変わり種な。
通常はケイランが外甲を破壊し、マーベルが貫くという戦法を取っているんでしょうな。

ケイランの一撃でひび割れる外甲。しかし何か様子がおかしい。
中から何かが漏れ出てくる。外甲がはじけ飛び・・・輝く何かが生まれる!!
これは・・・火球!?
まさに炎の球がH小隊の前に現れる。なんだこりゃ。

そうだ・・・僕らはこのままでも熱にやられて死ぬ。
その上で現れたこいつは・・・僕らをより確実に殺すための存在!!

なるほど。トラップであったわけですか。
こいつを倒せば脱出できると思わせ、より悪い方へと追い込むための罠。
希望があれば人間はそちらへと向かおうとする。
しかしその結果が悪いものであると知った時、失望感に襲われることとなる。
脱出の手段を考えさせないという目的も果たせるし、この敵はなんだか異様に頭がいい!!

やはり・・・脱出経路を探すのに集中するべきだった!
こうなってからでは、もう・・・

火球相手に攻撃を仕掛けてもいいものか。
壁程ではないがかなりの熱量を発している火球。
その火球が触れた金属製の手すりは熱を持ち、深柱砂灰でコーティングされたグローブをも焼き焦がす。
当然の如く火球の存在により気温の上昇も激しいものとなる。
マッスルコートの生命維持装置はどうにか持っているが今の状況だと限界は・・・3分後!!

バカな・・・一気に・・・10分以上縮まるなんて・・・

外周は光の壁。中央には熱球。灼熱の監獄の中・・・活動限界まで・・・あと3分!!

追い詰められたH小隊。果たして打つ手はあるのだろうか?
意地の悪い罠の空間。こういう時こそ頭脳担当である林くんの出番である。
見事な指揮でスレイヤー6の面々を唸らせてほしいところでありますが・・・はてさてどうなるか。

正直ここまでの情報だと詰んでいるようにしか見えない。
さすがに3分で地面を掘って脱出というわけにはいかないでしょうし・・・
やはりホームラン作戦しかないか?
盾で熱を遮りながら打ち込めば熱球が光の壁に接触して面白いことになるかもしれない。
さらに熱量が上昇する可能性もあるが・・・まあ、恐れているほど時間の余裕もありませんしね!!
H小隊の活躍と生き残りに期待したいところです。



第51話「陽炎」  (2013年 35号)


活動限界まで残り約3分。
死にものぐるいで突破口を見つけ出そうとするH小隊だが果たして上手く行くのか。

扉を破壊してビルの内部に進入するケイラン。
中に入って冷房でも作動させるつもりか!?
いやさすがに電気も遮断されてて届かないか。この熱ではまともに作動するかもわかりませんしね。
林くんのパソコンは本当、耐久性に優れておりますわ。

ビルの中もビルそのものを切り裂いて光の壁が存在している。
地面の所では止まっているようだがさすがに建物は切り裂いてくるかぁ。
ならばその地面の下、マンホールを使っての地下脱出はどうだろうか。
林くんたちは確認してみたが高温となっておりとてもじゃないが移動は不可能だったとのこと。あらら。

進退窮まった様子のH小隊。
あと2分で酸素も冷却機能も尽き、あの深柱に焼き殺されることになる
3人は忍者のように口と鼻を覆うマスクを装着している。これである程度の酸素を確保しているわけですな。

汗が・・・地面に落ちたと同時に蒸発していく・・・まだ汗が出るほうが驚きだ。

ビル内に入ったのだし、せめて飲み物でも確保してくればよかったですな。そんな時間は残されてないか。

生命維持装置を使っているのに熱痙攣で震えだすライツ。
これはもはや限界と言ってもいいでしょう。なので強硬案を提示するケイラン。
どうやら盾を2枚使ってあの光の壁を強行突破しようとのことらしい。

林「無茶です!死にに行くようなもの・・・」
ケイラン「黙ってても焼け死ぬだけでしょう!!

他に案がないのであればそれに賭けるしかない。
確かにもうゆっくりと最善の案が出るまで待てる状況ではなくなっている。
ケイランの顔は赤化、水泡などの深度IIの熱傷が見受けられる。それは林くんも同様である。

ケイランさんが正しい・・・このままでは助からない。
100%助からないよりは・・・たとえ確率が1%であっても助かる可能性のある行動を選択すべきだ
僕には状況を打破する具体的な策が何も無い・・・
ケランさん、ライツさん・・・頼りないコマンダーですいません・・・

ケイラン、ライツの両名が盾を構える。
ああ、ライツが持っていた小さい盾はケイラン用のものだったんですね。
バイプレイヤーであるケイランはどちらも扱えるのだから持っていた方がいいわけだ。

活動限界時間まで残り1分を切る。
一か八かの強行突破作戦。だが光の壁を目前にして怖気づいたかのように叫ぶ林くん。
まあ確かに壁の中がどうなっているかもわからないこの賭けは無謀に過ぎる。果たして1%の可能性もあるものか・・・

とはいえ本人もさっき考えていた通り他に打破する方法は思いついていない。
有無を言わせずライツが林くんを抱きかかえ、直進を開始する。

吸熱ジェル全散布!電磁防護幕出力全開!
オービタルシールド及びギカントリーフシールド拠点防衛形態!フォーメーションイージス!!

2つの盾を並べ、拠点防衛形態で突き進むH小隊。
光の壁は上空から降りそそぐ熱線で生まれている。
ここを突破するのはまるで滝壺を歩くがの如し。その圧力で足を踏み出すことも難しくなる。
結果・・・圧力に負けて弾き飛ばされ元の場所まで戻される3人。強行突破は失敗に終わったようだ。

蒸発しなかっただけマシとはいえ林くん以外の2人は既に意識がない。
林くんも義手となっている左腕がヤバイこととなっている。ワイヤーでちゃってるぞ!!

しかし吸熱ジェルを散布できるならばマンホール通っていたほうがよかったかもしれませんな。
どのぐらいの時間散布できるかにもよるが壁に突っ込むよりは可能性があったんじゃないかと思える。
問題はライツと盾が通り抜けれる大きさだったかどうか不明ってところでしょうが。

なんにしてももうそういった作戦を取るだけの体力も時間も残されていない。
酸素もほとんど燃えてなくなっており、気道も熱傷にかかっている。
倒れ伏した林くん。思うのは共に戦ってきた仲間たちのこと。

ハルトくん・・・僕はやっぱり"進ノ助兄さん"にはなれそうにないや。
玲央さん・・・
水。飲みたいなぁ・・・

相変わらず兄さんと呼ばれるようになることへのこだわりを見せる林くん。
そして玲央さんへの想いは色々とあって言葉にならない様子。ん?おや、誰か忘れてませんかね・・・?

しっかりしろ林進ノ助

もちろん忘れてなどいなかった。
むしろ向こうから呼びかけをしてきてくれる兵真くん。さすがは親友であります。
そう、このタイミングで浮かぶのは最後の別れの言葉として受け取ることとなった時のセリフ。

お前はいつでも冷静でいろ。いかなるときでも皆に指示を与え続けられる様に。
お前がブレイカー1なんだぞ。

残り30秒を切る土壇場で思い出させてもらった大切なこと。
友の言葉を受け立ち上がるブレイカー1、林進ノ助。

わかってるよ・・・ちょっと弱気になってただけさ。
いかなるときも冷静に・・・戦況を・・・
僕は・・・僕はブレイカー1だ!!

力なく伸びきった義手の左腕を掴む林くん。
さてさて絶体絶命の状況でありますが起死回生の策はあるのでしょうか?

さすがにこの状況が続いたままだとどうにもならないんじゃないかと思える。
が、3人が倒れ伏したことで深柱が油断するということはありえる。
熱とか放射しまくるのってエコじゃないわー地球に優しくないわーとか今更考える深柱。
人間も倒れたみたいだしもういいかなと熱の放射を停止。
そこを見逃さず林くんのワイヤーアームが髄幹をえぐり取って大勝利。このシナリオでどうか!!
コマンダーとしての勝利って感じじゃないのがアレですが、まあその部分は次の作戦でってことで!!

苦境を共にしたH小隊はなんだか仲良くなれそうな気もしますしね。
今後の3人の活躍に期待したいので無事に生き残って欲しいものである。



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