蒼天紳士チャンピオン作品別感想

錻力のアーチスト
Vol.79 〜 Vol.96


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 各巻感想

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11巻 

連載中分

錻力のアーチスト 10巻


Vol.79 ブタ野郎  (2015年 21+22号)


9回裏1アウト。ランナーは一・二塁。
一打出れば同点。一気にサヨナラもありえる場面。
逆にダブルプレーが出ればそこで試合終了となる場面。
迎えたのは安保先輩。これはどうなるのか・・・!!
どうでもいいが、前回から安保シニアと呼ぶようになってる清作。なんで部分的に柊の影響受けてるのさ。

麻生西の守備は完全に併殺狙いの構え。
ここで終わらせる気満々といった感じでありますな。
しかし併殺狙いということは内野ゴロを打たせるために低目に球を集めてくるはずである。
そこを狙って振れば・・・振ったが当たらない。ぬう、さすがに永源の球は鋭い。

あっさりとツーストライクと追い込まれる安保先輩。
併殺よりは三振の方がマシであるが・・・このまま1年にもナメられたままで終わってしまうのか安保先輩。

たかだか2か月前四番争いでやる気になったからって今更遅いと述懐する安保先輩。
1年前肘を痛めたのに腐ることなく練習を続けてレベルアップをしてきた永源とは対照的でありますな。
けど――

自分と似た立場にあった小来雄先輩の大学を尋ねる安保全廃。
小来雄先輩も四番を奪われた後は四番の座にこだわり続け、長打狙いの打撃をしていたという。
しかし大学に入った今はバントや右打ち。凡フライをあげないようなコンパクトな打撃をしている。ほほう。

大学の選手からカタギじゃないとか言われる安保先輩。太り過ぎて分からないとか言われちゃうし、本当にまあ。ブフゥ。
というのはさておき、小来雄先輩から話を聞ける。四番ではなく下位で打つ場合の打撃を練習している様子。
ふうむ、高校を卒業して四番へのこだわりはなくなったということだろうか。

打順が何番だろうと監督に使ってもらえるってことは自分に役割が与えられてるってことだろ。
今いる場所で自分にできる最善を尽くす。それだけだ

ごっつい顔していいこと言いますなぁ、小来雄先輩。
安保先輩もまた、自分と似た境遇の小来雄先輩の言葉から学ぶことがあったようである。

今の俺には永源からクリーンヒットを打つことはできねえ。
今の俺にできる最善は、アウト1つ増やしてでもランナーを進めることだ

まさかの送りバント。しかもスリーバントを敢行しようとする安保先輩。これには敵味方全員が驚き。
永源の勝負球は併殺狙いと思われるインコースへのシュート。
変化球はバントするにも難しい。見送ればボールになる可能性もあるが・・・いや!!

今まで散々都合の悪いことから目ェ背けてきやがって。もう十分だろ。
ここで決めるしかねえんだ。今は踏ん張れ。土俵際だ。目ェ背けるな。
根性見せろこのブタ野郎!!

難しい球に体ごとついていき、しっかりと送りバントを成功させる安保先輩。グッジョブ!!
ツーアウトになったものの、同点のランナーが三塁に進んだのは大きい。
例えば強烈なフォークを投げてキャッチャーが後ろに逸らした場合、追いつけたりするわけですからねぇ。この進塁は大きいぞ。

・・・やっぱりまだ終わらせるわけにはいかないよな。俺たち3年にとっての最後の夏を

ベンチでは安保先輩を見直した仲間達の声が聞こえる。
見直すにしても伊奈は正直すぎるぞ。天然がうつってる感じだからそろそろ黙ろう!

同点のランナーが三塁に出たこと。更に逆転のランナーが二塁にいる。
となれば一打で一気に逆転まで行く可能性がでてきました。桐湘の逆転の可能性にざわめく観客。
麻生西の野手たちも心配そうであるが・・・さすがにエースの矜持を持つ永源。折れない。
折れないのはいいのだが、その構えは一体何なのだろうか。

というわけで、続くは六番の頭木さん。頼みますよ頭木さん!!かしこまったぜはまだ言ってたのか!!

配球を読みながら思いっきり振ってくる宇城さんよりも慎重に球を見る頭木さんの方が追い込みやすいと判断する麻生西。
確かに目力が凄く、制球眼に優れてる感じですからねぇ。その考えも間違いではないか。

さて、頭木さんとしては春季大会と違い勝負を決める場所に立てたという想いがある。
清作もあの時は蛮堂の球が打てないのではと思ったのだが、今は違う。信頼して託している。
その信頼に見事応えることが出来るのだろうか!?

拝啓。永源晶殿――

何か詠み出した頭木さん。そして振ったバットは永源の初球を見事に捕らえている。
この打撃の行方はどうなるのか。逆転か。同点か。ゲームセットか。
どのような結果が待っているのか・・・注目であります。



Vol.80 拝啓  (2015年 23号)


拝啓、永源晶殿。
三振の山を築きあげる投球。それが貴殿の投手としての矜持。
9回裏二死走者二・三塁。この場においても打者を打ち取ることをお考えでしょう。
当方1人では貴殿の投球に敵いませぬが、されど。
ここまでの打者32人134球・・・変化球は数多くあれど投手の基本にして最大の武器はストレート
それに自信を持っているからこそ第一手に選んでいる・・・!!
二十六の死を無駄死ににはさせぬ。全てはこの一打のために。初球のストレートを狙い討つ!!

今までは慎重に球を見ていたから追い込みやすいと思われていた頭木さん。
しかしそれはこの最後の土壇場で打つ球を見極めるためのものであったようだ。
本人たちも気付いていない、初球ストレートでカウントを稼ぎに来る傾向。そこを狙ったのだ。

一・二塁間を襲う打球は・・・抜けて外野へ!!
その間に三塁ランナーの清作が還って同点。よし。
そして二塁ランナーの弐織もホームを狙うが・・・崑野からいい球がホームに返ってきた。

真正面から行けるか!?どうせコイツも俺のこと脳筋だと思ってやがんだろ。
回り込――・・・

直進ではなく回り込んでのスライディング。
捕手の反応は遅れたか?それでも際どい判定。結果は・・・

ホームイン!3対2!!逆転サヨナラだ!!

見事に、見事に最後を決めてくれた頭木さん。さすがであります!!
練習試合でも永源からまともにヒットを決めてくれたのはこの人でしたなぁ。
その辺りからもっと頭木さんを警戒するべきだったかもしれませんな、麻生西も。
それにしてもこの逆転はやはり安保先輩のバントのおかげという部分もある。
進塁していなければ清作が還れたかどうかも分からなかったわけですし、勝負を決めるバントだったと言えましょう。

桐湘の3年生たちの意地もあり、勝負は決まった。
最後の最後で打たれ逆転を許した永源。崩れ落ち・・・涙する
ううむ、去年は先輩の姿を見てああはならないようにと頑張ってきた人なのになぁ・・・
逆にそういうことになったら自分はああなってしまうだろうと感じていたのかもしれない。
だからこそそうならないために、そうならないためにストイックに磨き上げてきたと・・・辛い話ですな。勝負の世界は厳しい。

涙しながら永源を助け起こす仲間達。
惜しくも敗れたわけでありますが、麻生西。3年生の面々は皆熱くていいやつらでありました・・・

堪え切れず涙を流したが、礼を終えた頃には気を取戻し、後輩に後を託す。
そんな永源を呼び留める清作。
呼び留めておいて何て言えばいいのかわからない清作。聞くなよ!!
そんな清作に、逆に話しかけてくれる永源。

・・・4打数1安打。クリーンアップを任されているにしては物足りないな。
けどまだ終わりじゃないんだ。頑張れよ

永源から激励を。更に握手まで求められる清作。これは何だか嬉しい。
しかし利き手が合わないからって無理矢理合わせての握手はどうなんだろうか。天然め。
でも何となく左薙と似た行動に思えなくもない。やはり友達・・・清作は認めてはいないが友達・・・

ともかく、永源の姿を見て、その激励を受けて負けるわけにはいかないという想いを強くした清作。
敗れてもおかしくない激戦を制した桐湘はこの先どこまで駒を進めることが出来るのだろうか。
もちろん目標は決勝で港南を倒しての甲子園でありましょうが。さてさて果たせるかどうか。



Vol.81 3回戦  (2015年 24号)


激戦を制した桐湘。お疲れ様でした。
ネットや新聞の下馬評では麻生西が圧倒的に有利という予想。
シードである桐湘がナメられている・・・というよりも永源の注目の高さから来ている予想でありますわな。
実際、桐湘も弐織のホームラン以外は最終回必死で繋いでどうにか得点できたって感じでしたし。

麻生西に、永源に勝った。そして激励を頂いた清作。
味方ではなく敵であった相手に負けたら終わりなのだということを実感させられる。

勝ち続けたい。先輩達ともっと一緒に戦っていたい。
けど、それだけじゃなくて。対戦したい相手も、超えたい人もまだまだいるんだ
永源サンからヒットを打った時の感覚・・・あれを掴むためにも勝ち続けなきゃいけない!!

いい意識を持っているようですな。本当、清作は高校に入ってから素直に敵味方の凄い人を認めるいい子になったものですよ。
そんな所に好感を抱かれるのか、クラスメイト達も次の試合から応援しに来てくれそうな様子。夏休みですしね。
久しぶりに工ちゃんも来てくれそうで、嬉しい事であります。

蔡理が勝ち続けていることもあり、どんどん気温がアップしている夏。大変だ。
しかし港南も勝ち続けていることである程度の気温で押さえられている可能性はある。
実際、弐織義壱と対戦してる投手もこの暑さの中ならむしろ丁度いいくらいだと述べてますしねぇ。
まあ、委縮しなくなったからって打たれないわけではないんですが。

高校通算で80本以上のホームランを記録している弐織義壱。
途中からは敬遠されることも多かったでしょうし、全部勝負されてたら軽く100を超えてるんでしょうあなぁ。オノーレ。

弐織義壱としても永源との再戦は楽しみだったらしい。
蛮堂との戦いも楽しそうにしてましたし、凄い打者には対戦相手がいないという悩みもついてくるんですなぁ。
之路さんもどこまで楽しませることができるものでありますか。

桐湘が港南と当たるには決勝まで行かないといけない。
しかしその為には蔡理という強敵に今度こそ勝たなければいけない。
その蔡理の試合も本日行われています。夏の暑いさなか、露出の増えたチアリーダーに応援されながら蓬莱登場。

チアリーダーの・・・ワキ・・・ヘソ・・・ワキ・・・ヘソ・・・ワキ・・・ワキ・・・ヘソ・・・!

ワキだけじゃなくてヘソもポイントでありましたか。
注目しすぎて山脇がヘソワキになっちゃう蓬莱。相変わらず涼しい顔してこの男はよぉ。

蓬莱が相変わらずなら、もちろんこの男、蛮堂も相変わらず。
寒い時だろうが暑い時だろうが桃ちゃん一筋。暑苦しい風を送り届けております。ばっさばっさ。
帽子が吹き飛びそうな風を正面から受けてる桃ちゃんがまた可愛い。

いつものことながら大丈夫なのかと思わされる蔡理の四番とエース。
しかし試合となれば真面目・・・になんてなるはずはない。というか、普段から真面目でコレなのがコイツらですからなぁ。

夏に咲き誇る向日葵の花言葉は「私の目はあなただけを見つめる」!
まさに2人の夏を彩るために咲く花!そうだろう桃ちゃああん!!

ゴツイ身体して花言葉まで駆使して言葉を贈る蛮堂。
事前に発する言葉を考えていたとも思えないし、感覚でよくこんな言葉を繰り出せるものだと感心する。情熱だねぇ。
桃ちゃんも熱いさなかに真っ赤になって大変そうだ。

蓬莱もまた、チアリーダーに気を取られようが問題なくホームランを打つ。
リアルも脳内も色々と整合を取ってやってのけるということだろうか。この男は本当侮れない。色々な意味で。

強豪校が勝ち残る中、桐湘も3回戦を制する。
相手の舞総は初戦を8−1で勝っている。打撃の強そうなチーム。
それ故に之路さんが投げてたのだろうが、結果は6−2での快勝。なるべく之路さんの負担は減らしたいところですが、どうかな。

次の4回戦の相手は新設校の聖陽
全員1年生でありながら3回戦で藤倉を倒して勝ち上がってきている。
それだけだと実力の程は分かりにくいが、選手の中には港南の推薦を蹴った奴までいるとのこと。
ふーむ、中学で実績を残した連中が集められている感じか。不気味ですなぁ。

さて、その聖陽との試合当日。
今日も来てくれる工ちゃん。暑さにうだりながらお疲れ様です。
しかし途中でナンパな聖陽の選手に絡まれる。清作のことをガラ悪いとか言ってるけど、お前らの態度も大概だべ。

殴る真似をしてみせたり、永源をダシにしてからかってみせたりと何とも気分の悪い連中。
更には亜嵩と呼ばれるメイクの濃そうな男。工ちゃん目がけてボールを投げつけたりしてくる。おやおや。
もちろん清作が受けることは想定していたのだろうが、だからってそういうことするか・・・!?

不気味ではあるが、それ以上に何とも許せない感じの聖陽。
まあ逆に、工ちゃんのヒロイン力を上げるのに貢献してくれたと考えられないことはないわけでありますが・・・
パタパタと手を振って清作に助けを求める姿が実に可愛かった。

ともあれ波乱のありそうな4回戦。無事に済んで欲しいものであります。



Vol.82 圧殺  (2015年 25号)


新設校である聖陽に敗れた藤倉。
その藤倉の主力である卯馬上登場。しかしみんなしてスルー。これは酷い。左薙人気だなぁ。
清作はわざとじゃないんだろうけど、他の面々は確実にわざとっぽいな。
ちゃんと相手してあげる之路さんの優しさ。

聖陽には中学の時に有名だった選手が沢山集まっているらしい。
新設校でありながら有力な選手が集まる。ふむ、エムオーエヌイーワイ。MONEYの臭いがしますな・・・
どうでもいいが、綴りで言われるとどうにもMOで萌えかなと連想しちゃって後が続きにくくて困ったんだぜ。

特に四番でエースの亜嵩真人君。彼を見るためにプロのスカウトも来てるって話だよ。

奇抜な容姿と行動であるが、どうやら実力は本物であるらしい亜嵩。
さすがに女の子に向けて球投げるようなのはプロ側としても誘いにくいのではなかろうか。
というか聖陽。基本的にどいつも態度が悪いな。ダラダラしてんじゃねーぞ。

だからといってベンチにボールを投げ込むのもいかがなものか。
まあ当てないようにはしてるし、向こうがやったことに比べればマシか。もっとこっそりやれ。
というか亜嵩。それは何弁なんだ?喋りまで濃い奴だ。

とにもかくにもプレイボール。桐湘からの攻撃であります。
さてプロも注目する亜嵩の投球はいかがなものか。って150キロ以上出るだと・・・!?
さすがに港南の推薦を蹴ったと言われるだけのことはある。やべぇな。
というか何だこの球の圧力は迫力は・・・!!
どうでもいいが、さっきからこの感想、というかばかり使ってるな。

スピードに圧力。蛮堂を思わせるほどの球のキレである亜嵩。
しかし投球練習をしていないせいか制球は定まらない様子。
うーん、このノーコンは本当なのか遊んでいるだけなのか・・・まだ判断がつかないなぁ。
少なくとも清作の頭スレスレに投げたのはわざとだと思われますが。
キャッチャーからの球を清作のマネして避ける亜嵩がかなりイラつく。

そうやってムキにさせておいて、圧力のある球で決めてくる亜嵩。
見た目通りに重い球。清作のバッティングでもまともに飛ばすことが出来ない様子。むう・・・
ボール球だったので芯を食いにくかったのかもしれないが・・・やはり冷静さを欠いてはいけませんな。

清作に対し、挑発に乗せられず冷静になれと述べる之路さん。
その之路さんが先頭打者にいきなりの初球デッドボール。やってくれる!!
まあ、左薙の言う通り、狙って当てられるほど之路さんのコントロールは良くない。
しかしイラついて勢い余って当てちゃった可能性はなくもないですがね。

何だか不穏な空気の漂うこの試合。無事では済みそうもありませんなぁ。
怪我にだけは気を付けて欲しいものでありますが・・・さてはてどうなるか。



Vol.83 積み重ね  (2015年 26号)


1回の裏、聖陽の攻撃。
デッドボールでランナーが出たことだし、手堅く行くならばここは送りバントで得点圏に進めるのが得策。
であるのだが、そんな真正直な奴らの集まりではないのが聖陽である。
そもそも監督のサインすら見ようとしていないのだからなんともなりませんわなぁ。
スカウトで集められた面々だけあってか、それぞれプライドが高そうな感じである。

しかし二番打者の辺りはショートゴロ。絶好の併殺コースである。
柊から楠瀬さんに渡り、安保先輩への6-4-3の流れ。
見事に決まったのだが・・・やられましたな。スライディングで足を痛めつけられる楠瀬さん。これは痛い。
死球を受けたことの報復でありましょうが・・・うーむ、やってくれるなぁ。

色々な状況判断が必要となるセカンドというポジション。
楠瀬さんはこれまで全く描写はされていなかったが、守りとしては重要なポジションについていたのである。
それなのに、ようやく紹介されたのがケガで退場するタイミングとなろうとは・・・可哀想に。

監督として、ケガをした楠瀬さんに無理はさせられないと久澄監督。
この辺りのきっちりとした差配が出来る辺り、この監督は有能ですよねぇ。
高校生は特に無茶しちゃう選手が多いし、制御できる大人は必要ですよ。どんなスポーツにも関わらずさ。

というわけで楠瀬さんに変わって伊奈が投入
練習試合では確かにセカンドをやっていたが、本来のポジションというわけではない。大丈夫だろうか?
公式戦の4回戦、しかもこのムードの試合の中に初出場。これは緊張する。
そんな緊張を見越してか、声を掛けてくれる安保先輩。お優しい!!
まあ、とにかく硬くならずに全力でプレーすることでありますわな。

その意識が功を奏したのか、三番打者のセンター前に抜けそうな当たりを止めてアウトにしてしまう伊奈。
無念の退場となった楠瀬さんのためにも頑張らないとって話ですわな。うん。

さて、2回表の桐湘の攻撃は四番の弐織から。
弐識としては同じく2年生のレギュラーとして一緒にやってきた楠瀬さんへの想いは当然の如くある。

ただでさえ難しいポジションの上、守備範囲の狭い安保先輩と派手好きでプレーが雑な柊に挟まれてる。
一塁への送球カバーにいくことで運動量も内野じゃ1番必要だ。
その全てをこなすために、歯ァくいしばって練習してたのを見てる。
それをあんなムダに荒いプレーで台無しにしてくれやがって。
ただ仇とるくらいじゃ割に合わねえよな。ブチかましてブチ殺してやる

仲間をやられて気合の入る弐織。
それに対してあくまでも挑発的な態度を取る亜嵩。一体どこの方言を使ってるんだこいつは。
ともかく、速球をインハイの危険なところに投げ込んでくる。が――

ナメんなバカ野郎!!

その危険な球に手を出す弐織。
清作のようにボール球に手を出している感じであるが・・・清作とは違い、球の重さに負けないだけのパワーが弐識にはある。
そしてどんな重い球だろうが負けないという想いが今の弐識にはある。

たった1年の差かもしんねーけどな、それでもテメーらとは積み重ねてきたモンが違う!!

見事に打ち返してセカンドライナー。
重さに負けるどころか重みを倍増させたような打球がセカンドを襲う。こりゃ怖い。
見ようによってはセカンドへの報復と見えなくはないが、まあ狙ってやったわけじゃないでしょうな。
左薙の言うように、セカンド狙うくらいならホームラン打つでしょうさ。
さすがに直接殴りに行くような真似は弐織といえどもするまい。たぶん。

相変わらず雰囲気は荒んだ感じであるが、ともかく気合で押されたりはしていない桐湘。
これ以上ケガ人が出る前に試合の趨勢を決めたいところでありますなぁ。



Vol.84 凌辱  (2015年 27号)


セカンド強襲の内野安打を放つ弐織。
弐識としてはスタンドに叩き込みたかったところでしょうが、とにかくナイスバッティングだ。
それにしても味方であっても容赦ない亜嵩。
この聖陽というチーム。まとまりの無さはなかなか半端ではない。

実力は間違いなくあるのだが、どうにもその性格に問題が多い亜嵩。プロの目とかも気にならないのだろうか。
それでも桐湘の3年生3人を切って取る辺りはさすがと言わざるを得ない。

2回裏はその亜嵩からの打順。
エースの上に四番を務めるだけあり、なかなかのホームランバッターである様子。
とはいえ之路さんにしてみれば、この男にだけは打たれたくありますまい。
真っ向から勝負し、かつねじ伏せる。できればそうしたいものであります。

さて、ここで亜嵩の過去について回想。
どうやら亜嵩の父は全国各地に家族ごと転勤する立場にあったらしい。辛いですなぁ。
それによって少年野球も転々とすることになった亜嵩。
ああ、なんだか方言が入り混じっているのはそういう経歴があるからですか。

野球はチームスポーツ。他所者がスムーズに馴染むのは難しい。
亜嵩真人ほど飛び抜けた才能があれば、妬みを買うことも増える

突っかかって来る相手はどこにでもいるって話ですな。
しかしその突っかかってきた相手を威圧することに興奮を覚えるようになった亜嵩。
ただ勝つのではなく、相手の魂を押し潰すような感覚こそが勝利の味になったのだそうな。うーむ、歪んでる歪んでる。

積まれた金は問題じゃない。居場所なんかどこだっていい。チームメイトも要らない。もちろん先輩も。
相手をズタズタに凌辱して俺が勝つ。それだけが重要なんだ。
だから誰の力にも頼らない。勝利の味は俺だけのものだ

こういう考え方を持つ亜嵩にとっては聖陽という新設校、先輩のいない学校というのは理想的だったんでしょうな。
しかしその唇、本当に口紅塗ってましたのか。
興奮を覚えた時の気持ちを忘れないようにってことなんでしょうが・・・ううむ、キモイキモイ。

それにしても興奮して下半身をその状態にしたままバットを振るのってなかなか難儀な気がしますがなぁ。
そのせいか捕らえた打球も詰まらされてセンター前って感じになったのではなかろうか。
というかこの表現は何とも直接的で・・・一線を越えてきた感じがしますなぁ。そういうのもやってしまうか・・・!!

ともかく、亜嵩。一塁を蹴って二塁へ。
暴走気味ではあるが、一回は楠瀬さんが走塁によって削られている。
そのことを考えると交代で二塁に入った伊奈がビビッても仕方がない。
亜嵩としてはそうやってビビらせて魂を潰すのが楽しいということらしい。歪んでるわぁ。本当に。

しかしそんなラフプレーなど恐れもせずに好守を見せる伊奈。
今の伊奈としては削られることよりも無様なプレーでチームに迷惑をかける方が怖いってことでありましょうな。
ただ我武者羅に頑張る。いい方にそれが働いているようです。

さて、3回表はその伊奈からの打順。
亜嵩と因縁を持ってしまった伊奈であるが、この打席はどのような結果となるか・・・注目です。



Vol.85 先に  (2015年 28号)


前の回で因縁を作っての伊奈の打席。
高校生での公式戦初打席でありますが、相手は同じ1年。負けてはいられますまい。
まあ、亜嵩に言わせれば同じ1年でも才能が違うとのことでありますが。

確かに亜嵩の投げる球は速く、圧力もある。プロも注目するはずである。
が、そんな圧力に屈せずに積極的に振っていく伊奈。守備の時もそうだけど、精神面では決して負けておりませんな。

触れることはできるが、威力に押される伊奈。とはいえ決して負けてない。落ち着いてガンガンいけばいい。
次の打者である之路さんも、怪我でベンチに下がらざるを得なかった楠瀬さんも声をかけてくれる。いい雰囲気だ。
それにしても之路さんはすっかり後輩にもイジられるキャラになってしまいましたなぁ。
登場初期は恐れられるような存在であったというのに・・・

ディスられる之路さんはこの際置いておいて。
ビビらない伊奈にイラだちを募らせる亜嵩。
頭付近の危険球とか何度も続けたら退場になりそうなものですが、高校野球では明文化されてないのだろうか?
何にしても強い心で対しようとする伊奈の心構えは実に良い。同じ1年である清作への対抗心もまた良い。

才能じゃかなわないかもしれない。いやかなわねえ。だから尚更、気持ちで負けるわけにはいかねえんだ!!

ここに来ていいキャラ位置を掴んできた様子の伊奈。
しかしその強い気持ちをこそ捻じ伏せて屈服させたいと考えるのが亜嵩のような人間である。
圧殺するべく、特に重く投げられた四球目を伊奈は捕らえるが・・・

手がシビれてる。当たり所が悪かった。
打球、見失っちまった。どこでもいいから落ちてくれ!!

打ち上げたことだけは分かるのでこんな感想になっている伊奈。
しかし二塁に滑り込んだ後で分かる。高く上がったボールはフェンスを越え、ホームランになっていたことを・・・!!

まさかまさかのホームラン。
当たり所がいいのかとも思ったが、本人曰く悪かったとのこと。
それなのに清作や弐織が飛ばせなかった外野の更に頭を越えて行くとは・・・
気持ちが見事に乗った結果ってことですかねぇ。実は当たり所が良かったけど、それでも重さに押されて悪いと思っただけなのかも。

ホームベースを踏んでもまだ信じられない様子の伊奈。
しかし清作たちの悔しそうな顔を見るとようやく実感が沸いてくる。しゃあ!
うーむ、思った以上の活躍をしてくれましたなぁ。まさかまさかの伊奈活躍回でありました。

さて、伊奈に打たれた亜嵩。見下しまくっていただけにショックは大きい。
続く九番の之路さんを四球で歩かせる。いやあ、味方の之路さんへのディスりは徹底してますなぁ。ハッハッハ。何でだろう。

ともあれ、一番の児島センパイ、二番の柊を四球、死球と歩かせてついに満塁。
ノーアウトのまま三番清作からのクリーンアップに回ることとなってしまいました。おやおや。
こんな状況になっても亜嵩を励ます存在は聖陽にはいない。今までのツケと言えなくもないが・・・うーむ。

伊奈には負けていられない清作。場外まで飛ばしてやると宣言。
ふむ、ようやく伊奈も同学年のライバルのような立ち位置になれたんじゃないでしょうか。いい感じだ。
しかし伊奈としてはもう清作に才能で敵わないことは分かってしまっている。
そして才能で先んじられているのに、さらに試行錯誤しながらバットを振っているその様を見せられては・・・頑張らざるを得ない。
伊奈が亜嵩に気持ちで負けずにいられたのは、清作に負けたくないという気持ちがやはり強かったからでありましょうか。

テメーのおかげでホームラン打てたとは言わねえけどな。俺より先行ってもらわないと困るぜ・・・だからな――
カマせよクソ天然!打つしか能がねえんだからな!!

伊奈の気合を貰い、勝負の清作。
亜嵩としてもここはもう1点もやれない場面でありましょうが、さてどうなるか。
メンタル面では脆い部分のある亜嵩。この土壇場で踏ん張れるかどうか。見物でございますなぁ。



Vol.86 昔の俺  (2015年 29号)


ノーアウト満塁の絶好のチャンスで清作。
伊奈が先にホームランを打ったこともあり、やる気は十分なほど漲っている。

一方、乱れた亜嵩。初球はボール。
これは乱れたままなのか、ボール球に手を出させようという狙いだったのか。
いずれにしても落ち着いて見ている清作。集中できてますな。

やはり苛立ちが大きくなりすぎたのか、ストライクが入らない亜嵩。
キャッチャーとしては聖陽に珍しく声を掛けようかという想いもあったようですが・・・亜嵩はそれを拒否。
個人主義な連中が多い聖陽であるが、亜嵩はそれが極まった感じですなぁ。

そんな1人よがりな亜嵩を見て昔の自分の悪評を思い出す清作。
左薙も筋金入りのエゴイストだった頃の自分を思い出すからじゃないかなと分析。
ううむ、実際中学の頃の清作は駄目な感じの子だったからねぇ・・・
それが高校に入って凄い先輩、凄い敵に出会うことでこんなにも可愛くなるとは・・・・・・

亜嵩真人。テメーは負けたことがねえんだろ。俺はある。
春の大会で蔡理に負けた。練習試合で國尾サンや永源サンに打ち取られた。
くやしくてもどかしくて1人じゃどうにもできない時に、アドバイスくれる人がいて。刺激になるヤツもいて。何より桐湘の皆がいて。
その度に俺は前の俺のままじゃいられなくなる。カラをブチ破られるみたいに視界が広がる。
真新しい血が体中に流れるみたいにゾクゾクするんだ。
2回戦で1本だけだけど永源サンからはヒットが打てた。
蔡理には春の借りをまだ返せてない。
誰より、桐湘に入ってからずっと弐織先輩には負けっぱなしなんだ。
負けたから変われた。成長できてるんだとしたらきっとそのおかげだ

清作は才能のあるエリートで負けを知らなかった。だからこそ歪に育って行った感じはあります。
だけど根は素直な天然。早い段階で負けを知っていればもっと早くに変われたんでしょうなぁ。
しかし負けてから成長できるのもある意味才能がいると思われます。その素直さは大きな武器ですよ。
それにしても回想でも篠武は可愛い顔してるなぁ。

今までの負けを無駄にしない。だからコイツには、昔の俺には、負けるわけにはいかないんだ!!

未来へ進むために過去の自分を打ち砕く。
巨大な鉄の塊と化していた亜嵩の球を文字通り粉々に破壊し、ボールを飛ばす清作。
その打球は、物凄いライナーとなってバックスクリーンを直撃するのでありました。おぉ、派手だねぇ!!

見事な満塁ホームランを決めた清作。ブリリアント!!後ろ向きで走る柊も器用なことである。
悪態付きながらハイタッチする伊奈と清作。うーむ、いい感じになってますねぇ。清作だけの年とならない感じで未来に期待が持てる。

さて、完全に打ち砕かれた様子の亜嵩。
それでも容赦なく続く桐湘の打席。うむ、これは勝負あった感じでありますな。
いままで散々凌辱の限りを尽くしてきた亜嵩であったが・・・自分がされる側に回ると立ち直るすべが見つからないようですなぁ。
これもまた因果応報というものでありましょう。

伊奈と清作の成長により更に強さを増した桐湘。
いやまあ、楠瀬さんの守備も大事だとは思ってますよ?次の試合までに怪我が治っていることを願います。

それはさておき、次に当たる強豪と目されているのは蔡理。
桐湘が7回コールドで勝利したならば、こちらは5回コールドで勝負を決めている。さすがだ。
満塁ホームランを打った清作に対し、桃ちゃんの愛をこの身に受ける俺ならばホームランなど打たれぬわと蛮堂。さすがだ。

相手は違えども春の借りを返さねばならぬのはわれらとて同じこと。
桐湘がその邪魔をするのなら全身全霊をもって屠るのみ・・・!!

甲子園に行くためには港南の他にもこの蔡理を打ち破らなければならない。
果たして桐湘はリベンジを果たすことが出来るのだろうか?再戦・・・非常に楽しみです。



Vol.87 息抜き  (2015年 30号)


勢いに乗る桐湘は5回戦も7−3で制す。
ここで喜多さんの登板か。蔡理戦に向けて之路さんをなるべく休ませたいところですし、いい感じですな。

2年連続ベスト8を果たした桐湘。これはもう舐めて見られるような存在ではありますまい。
次の相手を破ればベスト4。蔡理とのリベンジ戦。嫌でも気持ちが高ぶるってものでありますな!!
できれば軽めの調整をして疲れを取って欲しい久済監督でありましたが、そりゃ無理ってものですよ。
桃ちゃんに会うために気合を入れる児島センパイと伊奈。うんまあ、そういうのもアリといえばアリですよ。うん。

ヤジは多いが、生徒達の注目を集めている野球部。期待されてるってことですな。
夏休みであるにも関わらず朝から見に来てくれて有難い限り。工ちゃんもグダグダしながらもちゃんと来てくれている。可愛い。

バッティンググローブがボロボロになっている清作。
あの短期間で素振り73万回なんてやってるんだから、そりゃあこうなっても仕方がないですわな。
こうなるともう新しいのを買わないといけないのだが・・・そういえば清作は金がないんだっけか。
てなわけでクラスメイトたちからカンパをしてもらう清作
うーん、この辺りは人徳というか何というか。可愛がられているみたいですなぁ清作。
礼は試合で打つことで返せばいいって話ですな。

けど清作。お前金の使い方わかるのか?レジ通さず店出たら捕まるからな。

さすがにクソ天然でもそこまでアホではありますまい。世間知らずのお嬢様じゃないんだから。
とはいえ何をやらかすか分からないのが清作である。
知り合いに会って、気付いたら買い物そっちのけで別の場所に行ってしまうことも十分あり得る。
なので1年の誰かがついていこうという話になるわけですが・・・マネージャーたちの策略により工ちゃんが指名されることとなる。
ふむ、マネージャーもクラスメイトも2人の関係推進派でありますか。いいですねぇ。

それはそうと、マネージャーたちからすると國尾さんは完全に之路さんの恋人になっているんですな。
まあその辺り完全に否定しない之路さんも之路さんでありますが。そう見られても仕方があるまい!!

てなわけで工ちゃんと一緒に買い物しようと街まで繰り出す清作。
その途中であったのは永源さんと・・・桃ちゃん!?
まさかまさかの組み合わせ。これは驚き。清作が戸惑うのも仕方がない。
まあ、桃ちゃんサンが蛮堂と付き合っているというのは正しくわけであるが・・・

桐湘の今の戦力を知るために永源さんに話を聞きに来たというのが実情。
であるのだが、桃ちゃんとしてはどうもそれだけではない様子で・・・ハッハッハ。
まあ桃ちゃんにも選ぶ権利はあるわけですしね。ややこしい話になりそうだけど仕方がないですよね。

そんな状態で蛮堂と遭遇。うん、ややこしいこと極まりないな!!
さすがの永源さんもこういう話には慣れておらず、蛮堂の剣幕にはたじろぐしかないようですな。ハッハッハ。
しかしお互い色恋に興味のなさそうな永源さんと工ちゃんで行動しちゃってるものだから、蛮堂の矛先は清作に。
桃ちゃんに興味の無い人間などこの世に存在しないと言い切る蛮堂はさすがというか何というか。
それに対し、俺が興味あるのは蛮堂サン、アンタなんだからなと返す清作はさすがというか何というか。そんなんだから疑われるんだ。

何やら妙な人間模様が展開される息抜きの日。息抜きになったのかなぁ。
清作と工ちゃんの関係は個人的に推奨したいところであるのだが・・・お互いそういうことに興味が薄そうなんですよねぇ。
初期に見られた清作の女性不信は見えなくなっているが、そもそも恋愛に疎そうなのが何ともなぁ・・・

ともかく、大会中は試合に集中。
翌々日の準々決勝では見事に勝利してみせる桐湘。
蔡理や港南も問題なく勝ち上がり、そして何と栄春も準決勝まで勝ち上がっているという!!
てなわけで、準決勝第1試合は港南学院対栄春となりました。うわー。
まあ、勝てるかどうかという話だと正直厳しいですが・・・一矢報いて欲しいところでありますな。



錻力のアーチスト 11巻


Vol.88 体力  (2015年 31号)


準決勝第1試合、港南対栄春。第2試合を控える桐湘と蔡理の選手が見守る中、今プレイボール。
港南はエースの穂村を温存し、何と八子ッチが先発で登場である。
今後出番が果たしてあるのだろうかと不安だったが、ここで出てくるか・・・!!

球場内は35度を超えているんじゃないかと思われる猛暑。
スタンドに蛮堂もいるし、暑さは耐えきれないほどでありますわなぁ・・・辛そうな左薙。
しかし先輩達のひたむきさに心動かされたりしている左薙。
野球に心から打ちこめずにいたはずなのに、この先輩達のおかげで色々と充実した時間を過ごせている様子。

甲子園の土を皆と一緒に噛みしめに行くのも楽しそうだな・・・

久しぶりの土喰い芸が発揮されましたね。
これでペースを掴んで欲しい所ですが、さてどうなるか。

まずは港南の攻撃。一番の上根さん登場。
走攻守そろった港南のリードオフマンであり、打たせると港南全体が調子づく恐れがある。
逆に上根さんに言わせれば、一番の仕事として栄春のキーマンである左薙は早めに叩いておきたいところ。
そういった思惑がぶつかっての初球は・・・いきなりのホームラン性の辺りのファール。危ない!
丁度落下点に卯馬上サンが居たっぽいが、まあ当たらなかったみたいなので良しとしましょう。

2球以降はクサイ所をついていく左薙。それに対しファールで粘る上根さん。球数稼がれるのは厳しいなぁ。
なので、とっておきの球を放ることにする左薙。アンダースローでありながら落ちる球
これは今までのデータには無く、さすがの上根さんも打ち取られるのでありました。おう。

見たことない球を当てる上根先輩。何て器用なんだろうと褒める二番の園部。この子、相変わらずの上根さんスキーですな。
イケメンなので女子の歓声が飛び、イラつく宮野。同じ二番打者なのにこの違いは何だ!いやまあ、顔かな。うん。

二番打者らしくバントの構えなどでイヤらしく体力を削ろうとする園部。イヤらしいメガネだ。
そんなだから根性悪い事してると味方からもヤジられることになる!
いや、穂村の場合は思いっきり私情混じりか。宮野と色々語り合えそうな感じだが、同じにするなとか言いそうな気もするな。

一、二番に粘られたけど、三番のホセマリアはあっさりと打ち取られてくれて非常に助かる。
いい打者なんだろうけど、どうにもオチ要員になっちゃってる感がありますなぁ。オノーレ。

戻ってきた左薙をベンチ総出で迎える栄春。相変わらず愛されてるなぁ。

栄春としては何とかして早目に点をとって援護をしたいところ。
少なくとも粘って体力を少しでも回復させてあげたいところでありますな。

さて、シニア以来初めてお目にかかることとなる八子ッチの投球。
というか。投げる前にその姿の変わりようが目につく。わぱ。胸板や二の腕はそれほどではないが、脚とか凄いムチムチになっている。

さては奴にも愛する者が

さらりとビルドアップ経験者の蛮堂が述べているが、その意見はとりあえず聞き流すとしましょう。
愛する者がいるからって皆補食を取るとは限らないんだよ!栄春のメンバーが左薙への愛で皆ムキムキになったりしたらどうする!

それはさておき、八子ッチ。清作が弐織に感じたのと同じように先輩との体力の差を思い知らされたらしい。
技術以前に細い体のままではこの人たちとは勝負にならない。とにかく体をつくらないと同じ土俵に立てない。
その想いから、とにかく食べて体を作ってきた八子ッチ。無理に食べて吐いてゲロッチと呼ばれながらも。
うーん、野球も体力勝負の面はありますからねぇ。食べるの大事大事よー。

進化した俺の力を見せてやる!!

体型の大きく変わった左薙の球はシニアの頃より更に速くなっていた。まあ、そうでなくては体を作って意味がありませんわな。
投げられている栄春にしてみればたまったものではありませんが・・・

この試合はゲロッチいや、八子ッチの見せ場となってしまうのか。
左薙がどうにか一矢報いる流れとなるのか。勝利はまず無理と思いますが・・・頑張ってもらいたいものです。



Vol.89 ハングリー  (2015年 32号)


進化を遂げた八子ッチの力投。
夏の大会初登板。それも準決勝の大舞台というのに堂々としたものである。
それだけの積み重ねをしてきたということか、生来のふてぶてしい態度によるものか。

夏の大会初登板でデータ無いというのは栄春には都合が悪い。
理詰めの人が多い分、予想外のことに対処するのは苦手だから・・・

栄春で初登板になったのもその辺りを鑑みてってところでしょうか。
決勝にエースの穂村を温存できるということもあるし、港南も考えてきてますなぁ。

そして港南にもやっとイケメンのピッチャーがと喜ぶ応援席の女子たち。良かった良かった。
いつも以上にディスられる流れとなっている穂村は・・・ドンマイ。巌先輩ドンマイ。

入部した当初は体力が無くて使いモノにならないと思われていた八子。
しかし吐きながらもトップチームの練習にくらいつき、夏の大会でメンバー入りを果たすこととなった。
その動力源はハングリー精神。

八子は自分の力で港南を甲子園に導けるとは思っていないし、その気もないだろう。
だが義壱や穂村がいる今年のチームでなら神奈川を確実に制し、甲子園で投げるチャンスが巡ってくる。
1年の夏から甲子園のマウンドに立ったとなれば全国から注目される存在になるだろう
義壱は勝利だけを求めている。周りの評価など気にしていない。
穂村はすでにスカウトの注目を集めている。
勝つこと以上に甲子園出場ということに1番こだわっているのは間違いなく八子だ。

将来を、未来を見据えている八子。
その未来を勝ち取るためにはチームメイトの故障も喜んで見せたりする。怖い男だ。
しかしこの夏こそがこれからの自分の野球人生を左右するとまで考えているとは・・・確かにハングリーさが、必死さが違うわなぁ。

清作・・・これがお前と俺の現在地の違いだ

甲子園に物凄く近いチーム。そして甲子園でもマウンドを任せられる可能性のある力を身につけている八子。
ふうむ。清作も同じように将来は野球でという想いはあるわけだが、ここまでしっかりした考えはないでしょうな。
果たして決勝で直接対決があったりするのか・・・楽しみです。

それはそうと穂村。わざとらしすぎる八子のお世辞にも嬉しそうにしちゃう辺り単純というか何というか。
ホセでも分かるお世辞に乗せられる辺り単純さでは図抜けていると言ってよさそうである。オノーレ。

さて、2回表。港南はここで弐織義壱の登場。
うだるような暑さの球場に一気に吹き荒れるブリザード。相変わらず凄まじき凍気よ・・・!
その凍気は暑さでやられかけていた左薙の汗をひかせるほどであるという。助かる!!

このままこの空気にのまれるのも悪くない。そのように考えそうになった左薙だが・・・その考えを振り払う!!

栄春は頭の良い人の集まり。他者より良い点数を取るために勉強して個人で戦い続けて来た人たちの集まりなんだ。
そんな皆が一丸になってただ1つの勝利を目指してる・・・その気持ちを蔑ろにするわけにはいかない
あなたが神奈川最強の打者であろうと――全力で勝負です!!

緊張感により凍てついていた左薙。しかし仲間のためにもという気持ちが熱を帯び、再び汗を流れさせる。
うむ、栄春。仲間は左薙のことを思い、左薙もまた仲間のことを思っている。いいチームではありませんか・・・
その思いを乗せて放つのは上根さんたちも打ち損じたパームボール。
いきなりの初球からのこの球だが弐織義壱、しっかりとバックスクリーン横の深い所に叩き込む!!うわぁ。

球の変化を最後まで見てからの鋭いスイング。
これだけ見定められたのでは変化球で引っかけて打ち取るというのは難しそうですなぁ。
さりとてストレートが苦手というわけでもないし、そのスイングスピードなら並のストレートは軽々と合わせられてしまうでしょうな。

初めて目撃する神奈川最強打者のスイングに震えがとまらない清作。
話には聞いていたが、実際に見るとその凄さがより分かったという話でしょうか。
ここからその弐織義壱を超えるぐらいの打撃を身につけることが果たして出来るのかどうか・・・
直接対決の日は近い。その間になんとかして成長していかなければいけませんなぁ。



Vol.90 らしくない  (2015年 33号)


弐織義壱に強烈なホームランを打たれた左薙。
しかしその後は崩れることなく港南打線を抑え込む。
フラフラなのによく頑張っております。愛おしいことだ。

弐織義壱・・・スイングも打球も今まで見たどんな奴より速かった。対戦してえ・・・!!

昂る清作。素直な気持ちでありましょうな。
清作のスイングスピードも相当上がっているはずだが、それよりも更に速いというのか。

さて、2回裏。栄春の攻撃は四番の左薙から。
観客からも下の名前で呼ばれる左薙の愛され方はさすがである。
そんな左薙と八子の1年生対決
同じ1年生ではあるが、港南のチーム内の競争を勝ち上がってきたタフな八子ッチとでは比べものにならないと穂村評。

才能にまかせて野球続けてる左薙と自分を変えてでもマウンドに上がってる八子ッチとじゃ覚悟が違いますよ・・・!

なんのかんの言いつつ八子ッチの努力を認めている様子の穂村。べ、別に前回おだてられたからってわけじゃないんだからね!?
認めつつも女子にキャーキャー言われるのは気に入らないと述べる穂村。正直な奴である。

ともあれ1年生対決。とはいえこの2人、シニアの時から何回か対戦している。
その時は五分、または左薙の方が打っている感じであった。
しかし今の肉体改造した八子の球はシニアの頃とは別物と考えた方がいいんでしょうな。
コントロールの好さは変わらず急速と重さがアップしている。とにかく厄介そうな感じだ。

ツーストライクまで球をじっくり見ている左薙。体力の無さも考え一振りで仕留めるつもりの様子。
後の打者が打てるとは限らないし、自分でホームランを打てないと厳しいわけですな。

弐織義壱のホームランは仕方がない。相手が悪かった。
他の者から見ればそう言うしかないし、しばらく前までの左薙ならば納得していたに違いない。
しかし今の左薙はそれを納得することをイヤがっている。今までにない熱さを胸に宿している様子。

あきらめるわけにはいかない――この一振りに懸ける!!

相変わらずの旋風を巻き起こし、背中を強打するほどの激しいスイング。
であるが・・・空振り。激しい思いも打ち砕く八子の球。いや激しい思いを抱えているのは八子も同じということか。ううむ。

倒れたまま起き上がれない左薙。熱中症だろうか。危険な感じだ。
急いで医務室に運ばれる左薙。そこに駆けつける清作。ほほう。ちゃんと左薙に世話になっているという意識があったんだ!!

見てろ。港南は俺達がブッ倒してやる

そのような言葉を述べる清作。わあ、何だか主人公らしい!!
シニアの頃から知ってはいるものの、清作がこのようなことを言うなんてらしくないと思う左薙。これも成長の証でありましょうか。
今の清作ならばちゃんと左薙のことも友達と認識してくれる。かもしれない。

左薙を欠いた栄春。港南に対しきれるはずもなく5回コールドで終了となりました。
うーむ、どうにか一矢報いて欲しかったのですが・・・厳しいかぁ。
伏に申し訳ないと肩を落とす栄春の先輩達。辛い。

とはいえ人の心配ばかりはしていられない桐湘。自分達の試合がすぐ後に迫っているわけですからねぇ。
蔡理を倒し、港南に挑む。今はそれに集中しなければいけませんわな。

さて、まずは主将同士でジャンケンをして先攻後攻を決める。
之路さんは何となくジャンケン弱そうな印象があるなぁ。理由は分からないけど弱そう。
というか山脇、お前さんが蔡理の主将だったのかッッ!?
驚いてはみたものの、他に誰が適任かというと難しい感じがしていかんですな。

待ちに待った蔡理とのリベンジ戦。
前の戦いでお互いの持ち味は出しつくした感じはありますがどうなるか。
てなことを考えていたらまさかの蔡理側の隠し玉。三番センター桃生・・・!?

よもやの桃ちゃん出場!!
ではなく、よもやの桃ちゃん弟登場!!!
まさかまさかの展開。桃ちゃんの弟ならば俺にとっても弟と述べる蛮堂はいつも通りで安心しますな!!

隠し玉も現れ、今回も楽しませてくれそうな蔡理戦。濃い面子とのぶつかり合い開始だ!!



Vol.91 マントル  (2015年 34号)


準決勝第2試合。蔡理と桐湘の戦いが始まろうとしている。
蛮堂の登場もあり、ここからさらに気温が上昇しそうな競技場。見ている方も大変ですなぁ。

さて、スタメン登場の桃ちゃん弟。ちっ平のちっは環境依存文字なので変換し辛いのが困り所。
桃ちゃんのユニフォーム姿を期待する児島センパイと伊奈。読者の気持ちの代弁者か!?

考えてみれば清作と同じく1年生にして三番。更にセンター。
シニアの頃から有名人だった清作とは違うが、この大一番で三番に抜擢されるぐらいだし、何かはあるんでしょうな。
伊奈のように先輩が怪我したから上がってきただけの可能性はありますが、それでも強力な蔡理打線で三番は凄いですしね。

桐湘にも・・・いるんだな

突然の蓬莱の発言。
相変わらずマジメな顔してチアガール鑑賞されましても・・・夏は惑わすものが多くて大変ですね。

ともあれ春の借りを返す時がやってきました。今度こそ負けられない桐湘。
一方蔡理の方とて負けられない。蛮堂にしてみれば桃ちゃんへのウエディングロードへと続いているのだから。そういう理由かーい。

兎にも角にも夏服の桃ちゃんを拝みながら試合開始。
スタンドには先に試合を終えて決勝で待つ港南の面々の姿がある。
今回は弐織義壱も観戦。弟の試合をどのような目で見るのか。楽しみですな。

さて、まずは桐湘の攻撃。
蛮堂からピーチ姫を救うべく打席に立つのは児島センパイ。誰が上手いことを言えと言った。
それはさておき、ランナーを背負えばペースが乱れる蛮堂。そのために一番打者で足のある児島センパイは是非出塁したい。が・・・

守るべき桃ちゃん。背負うべき弟。新たな絆を手にした俺を止められる者などいない。
喜びに打ち震える我が心臓はマントルと化してマグマの如き熱い血潮をこの体に漲らせんばかりだ!!

ああ、センターにちっぺー君がいるおかげでより燃え上がるって話でありますか。そういうことも考えての守備位置か・・・!!
その効果があってかどうなのか、蛮堂の球は春よりも速い。いや、それ以上に――

熱がハンパじゃねえ・・・!!

熱戦に焼かれたように思える児島センパイ。
さすがマントルから放たれたボールは凄まじい威力でありますことよ。エグッ。
そして桃ちゃんとちっぺー君、両者のナイスボールに熱く答える蛮堂。アツッ。
しかし兄と呼んでも構わんぞと言われて素直に呼ぶちっぺー君。いい子というか何というか。
心の中まですっかりお兄さん呼びになってるしなぁ。もう籠絡されていると見て良いか!?

蛮堂の球に手が出ず、一番の児島、二番の柊ともに三振。
ここで出てくるのが清作。春は一応打てた打席もあったが・・・この試合ではどうだろうか。
凄い成長をしている蛮堂であるが、成長という意味なら清作も負けてはいない。

暴走で負けたという悔しさもありますし、今回は絶対に負けられないという思いが強かろう清作。
さてさて、第一打席。どのような結果となりますか・・・!!



Vol.92 罪人  (2015年 35号)


メチャクチャに気合の入った蛮堂のストレート。
こちらも気合を入れて迎え撃たないと燃やし尽くされてしまいそうである。
ストレートならと振った清作であったが、あまりの速さに空振り。うーむ、恐るべしであるなぁ。

スイングスピードはかなりのものとなっている清作。
その清作でも振り遅れてしまう蛮堂の球。並の打者ではバクチで振るしかないのではなかろうか。
そうさせないためにはランナーを貯めてセットアップで投げさせるのがいいのでしょうが・・・そもそも出塁が難しい。

桃ちゃんに手を出そうとした罪人・清作雄・・・宣言通り――キサマはここで葬る!!

まだ勘違いしたままの蛮堂。
だから清作は蛮堂狙いであると本人も言ってたでしょ!!
まあ、蓬莱とかにも目を向けそうな気はするが、直接対決が出来る相手じゃないですしねぇ。

それはさておき、ツーストライクに追い込まれた清作。
しかしこの球威を見ても怯むことはない。負けて悔しい想いをしたわけですし、怯んでまた同じ想いなんかしたくないですわな。

この力の差がすなわち桃ちゃんへの愛の深さの差だと知れ!!
キサマなど足元にも及ばぬ!!

恋敵を前にしてより熱く滾っている蛮堂。勘違いも思い込みの激しい男にはプラスになるってことだ。
しかしその意識が単調さを生むのか、3球続けて同じコース。これならば・・・

スイング全体にとらわれるな。インパクトの瞬間に神経を集中させろ。
一振りの中のその一瞬に懸けろ!!

熱気に全身を焦がされながら、それでも見事にストレートを捕らえてみせる清作。これは蓬莱もビックリだ。
打球はセンターの深い所にまで飛んでいる・・・が、それを見事にキャッチするのはちっぺー君。
うーむ、上背はないのによく届いたものだ。センターを任されているだけにいい足をしているということか。

1回表の桐湘は3者凡退。
だが清作。アウトにはなったものの結果としては上出来。
今の蛮堂の球も打てないことはないと証明したわけですからなぁ。うーん。ウェルダンウェルダン。

顔が似てるからって桃ちゃんの頭をなでる蛮堂
わざとやれるほど器用な男ではあるまいし、普段の行いが良かったということなのかどうなのか。

さて、裏の蔡理の攻撃。マウンドに立つのは之路さん。
春は怪我をして途中で降板でしたが、今回はどうなりますか。
最速は目指せなくても最高のストレートを目指せばいい。宇城さんの言葉通りの最高のストレートで押し込みたいところであります。

コントロールに難のある之路さん。
相手からも変化球でストライクが取れる投手だったっけ?とか思われている。
まあ、それだけ練習を積み重ねてきたってことでありますわな。
この変化球があればストレートも生きる。力みも取れてコントロールも良くなるって話だ。

てなわけで一番、二番を連続三振。続くは三番のちっぺー君。
初スタメンなだけにデータも何もない相手。やりにくそうですなぁ。
しかも続くのは四番の蓬莱。何としても塁には出したくない。

速さに押されているちっぺー君だが、追い込まれてからはバットを極端に短く持って粘る。
この暑い時に粘られるのはたまりませんなぁ。結果フォアボールで歩くことに成功するちっぺー君。ッにゃあ!
どうでもいいが蛮堂、また桃ちゃんの後追い叫びをする存在になっているぞ。いつも通りといえばそうかもだけどさ。

ともあれランナーを出した状態で四番の蓬莱。更に五番の蛮堂と続く。
うーむ、蔡理のクリーンナップはなかなかエグイですなぁ・・・
初回からピンチの状態となった之路さん。何とか耐えきって欲しいものであります。



Vol.93 カゲ  (2015年 36+37号)


ちっぺー君を歩かせてしまった之路さん。
そして迎える打者は四番の蓬莱。うーむ、一回から大ピンチでありますなぁ。

春季大会では之路さんがケガで下がったため、対戦したのは1度のみ。
その時は初球のストレートをセンター深くまで運ばれている。
清作が下がっていたので二塁打で済んだが、そうでなければ三塁まで行かれてそうな当たりでした。
今回も同じ結果だった場合、早々に失点を許す可能性があり・・・ピンチですなぁ。

さて、出塁したちっぺー君。チョロチョロとよく動く
体は小さくパワーはなさそうだが、その分スピードには自信があるって感じだろうか。
リードを大きく取っているのは之路さんへの牽制か、それとも本当に二塁を狙うのか?
蓬莱の打席であることを考えると任せた方がいい様に思えるが・・・行った!!

見事な走りで二塁への盗塁を決めるちっぺー君。にゃあ!!
これには桃ちゃんも蛮堂も称賛の声。相変わらずの光景でありますな。
ともあれこれでワンヒットで1点を取れる状況となりました。

スコアリングポジションに進まれてしまったわけですが、ここは打者に集中したいところ。
いや、それを言われずとも之路さんの意識は蓬莱に向いている。
ちっぺー君の時とは違い、何としても打たせないという気迫に満ちている。
四番を打たせないことの重要さ。それも点が入りそうな場面で打たせないことの大事さは之路さんもよく分かっているということか。

変化球も交えて真っ向勝負を行う之路さん。
その様子を見て三塁を狙えるかと考えるちっぺー君。本当、チョロチョロと良く動く。
しかしそれが妙な結果を生むこととなった。

三球目の変化球と四球目の決め球であるストレート。
そのどちらの球にも、蓬莱の目からすると男のカゲがチラつくらしく・・・うん、何言ってるんだろうね、コイツは。相変わらず。

蓬莱にしては中途半端なスイングで三振。桐湘としては実に助かった打席でありました。
ふーむ。蓬莱にも意外な弱点がありましたか。男のカゲがチラつく女性は苦手、と。
その弱点聞かされても野球でどう有効活用すればいいのか普通は分かりませんけどね!!
単純に二塁にランナーがいたら気が散るのかといえばそんなことはありますまい。強打の蔡理、今までもそんなことはあったはず。
これはやはりちっぺー君が女顔なので意識に割り込んできちゃったとかそういうことでしょうか。
これが宮野だったら蓬莱も気にも止めなかったはず。宮野ではチラつく男の役は無理という判断も・・・なくはなさそうだ。

申し訳なさそうにするちっぺー君の頭を撫でて俺が悪いと述べる蓬莱。先輩らしいですねぇ。
その蓬莱に対し、人の弟に馴れ馴れしいぞと述べる蛮堂。うむ、お前がいうことか!!

ともあれ一回は両チームとも無得点。試合は二回に。
そして早速訪れるのは弐識対蛮堂。因縁の筋肉対決。
蛮堂としてみれば試合には勝ったものの弐織には打たれた印象が強い。
弐織にしてみれば蛮堂の球をスタンドまで運べなかった悔しさがまだ残っている。そうしていれば負けなかったはずなのに、と。
そういった因縁を含めて注目の対決。軍配はどちらに上がるか・・・!!

蛮堂「俺と桃ちゃんとちっ平の絆は誰にも負けん。弐織義壱を打ち取るまで燃え続けるのだ」
弐織「弐織義壱だマネージャーだ何だと気ぜわしい野郎だ。まとめて吹き飛ばしてやる」

しっかりちっぺー君も加えて燃え上がる蛮堂。
さてさて、この対決はどのような結果を迎えるのか。注目です。



Vol.94 最強  (2015年 38号)


白熱の筋肉対決。
まずは蛮堂が2球続けてのストレートで弐織を追い込む。
が、それでもバットを長く持ったままの弐織。振り遅れているはずなのに長打の意志は捨てていない。
とはいえ春季大会では追い込んでからの直球勝負でレフト深くまで飛ばされている蛮堂。ならば・・・

わかっているとも桃ちゃん・・・
決勝で待つ港南。弐織義壱は俺が討ち倒す。そのために今、弐織敏を打ち取るために最善の手を尽くす。
スプリットで仕留める

急速こそストレートには劣るものの、意識していなければ当てることは難しいスプリット。
振り遅れるほどのストレートの速さがあってこそ、そのスプリットも生きるというものである。
さあ、服も破り捨てて勝負の構えだ!あ、これはイメージです。

次で決める気だな蛮堂。
球に集中しろ。アレコレ考えてさっきの蓬莱みたいな中途半端なスイングはしねえ。
春に負けてからずっとコイツの球を打つことだけを考えてきたんだ。
テメーの球じゃねえと俺の飢えは満たされねえ。喰らいついて咬み砕いてやる・・・!!

弐織もまた服を破り捨てて臨戦態勢。はい、これもイメージです。
全裸の男2人の殴り合い。野球なのかどうなのか分からない対決となってきましたが、イメージであるならば仕方がない。
本来ならばマウンドからホームベースの間は18.44メートルも離れているが、イメージするのはもっと至近距離の殴り合い。

体の使い方、腕の振り。コイツの動きに集中しろ。
2ストライクあと一発くらったらKOされる。何がくる!?
ストレート、フック、アッパー何でも来やがれ。迎え撃ってやる

およそ野球とは思えない用語が飛びだしました。
でもまあ、女の子に見立てる蓬莱よりはよほどマシなのではないでしょうか。
そしてその見立てではスプリットは角度のある右の打ち下ろしとなるらしい。
ならばそれに合わせるのは・・・アッパー気味の下からの突き上げ!!

テメーの右腕・・・打ち砕く!!

イメージのみならず、現実でも見事にそのバットにボールを捕らえる弐織。
相変わらずの轟音。直近で聞かされる山脇くんは毎度たまりませんなぁ。
そしてその轟音の結果・・・打球はレフトスタンドに。弐織義壱のもとに。ほほう。

蛮堂の球を力尽くで、しかも狙ったかのように兄のもとへ送り届けるとは。
さすがにそこまで狙ったわけではなかったでしょうが、運命に導かれたって感じですかねぇ。
しかし弐織。これで永源サンと続いてエースからホームランを打っていることとなる。四番らしく成長してますなぁ。
さすがの穂村も厄介に思っているのではなかろうか。

いつまでも兄キとアンタに最強の四番争いさせてらんねーんだよ

蓬莱にそう述べる弐織。うむ、今の弐織ならばそれを言う資格は十分ありそうですな。

見事にホームランを決めた弐織。だが後の3人は連続三振でスリーアウトチェンジ。
うーむ、あれだけのホームランを打たれたのに崩れることなく仕留めるとは。タフですねぇ。
とはいえダメージゼロであるはずはない。桃ちゃんを見て癒される蛮堂。いや、お前の打順だから!さっさと打席に行け!!
いや、この男はこれでいいのか。その結果として愛の炎を再び纏っての出撃となったわけでありますから・・・!!

春の大会では終盤に見せた全身燃え上がりモードが早くも登場。
この状態の蛮堂は本当に怖い。そりゃ左薙も通報しようとする。
先制点を得て勢い付いた桐湘でありますが、さてさてこれはどうなるか・・・注目です。



Vol.95 宣戦布告  (2015年 39号)


四番の弐織のホームランで先制点を得た桐湘。
勢いを保つためにも裏の回は0で抑えたい。が、相手は燃え盛る蛮堂。
外野まで熱気がくるトゥーホットな状態であります。この真夏日に・・・最も相手したくない男ですなぁ。

春季大会では之路さんと蛮堂の戦いは一度だけ。その時も送りバントだったので真っ向勝負はこれが初となる。
蓬莱に比べると穴も多い蛮堂のバッティングだが、集中している今はその穴も塞がっている感じがする。要警戒だ。

しかしそれでも初球、インコースにストレートを要求する宇城さん。強気ですな。

心配するな。俺だって気持ちは同じだ!!

之路さんの気力を引き出すためか、あえて強気な要求をする宇城さん。
それに応えて気持ちを込めたいい球を投げる之路さん。いい感じですな。外れましたが。
2球連続のボール球。蛮堂はこれ見送っているが、見えているのかいないのか。
とりあえず3球目のストレートまでは振る気配を見せていない。

さて、ここで之路さん。決め球のストレートを活かすために変化球を投げる。
単純なストレートは蛮堂が神奈川ナンバーワンと認めたうえで、組み立てで最高のストレートを目指そうというのだ。
が、その後の決め球に心が行ってしまったのか、この一投には気迫が乗りきっていない。

小賢しいぞ之路拓人。この球にキサマの魂は込もっているのか・・・?
ストレートで仕留めることを見越しての布石など無意味。必殺の意気で投じてこそ真価が生まれるというもの。
魂を込めてこその真!命を懸けてこその愛!!生半可なものは焼け落ちるがいい!!

勝負に行く前の球。隙を見せた球を見事に捉えられた之路さん。
打球は炎を伴いレフトスタンド・・・表の回で弐織が飛ばしたのとほぼ同じ場所に飛んでいく。
そう、打球が収まったのは弐織義壱の手の中・・・これはまた、激しい宣戦布告が続きますねぇ。

弐織敏。キサマの兄、義壱を倒すのはこの俺だ。そのためにこの試合で果てるわけにはいかん

兄を倒すために弟にもそう述べる蛮堂。歩いて回るから一周するのに時間かかりそうですな。
それにしても弐織。蛮堂のことを意外に器用と述べているが、それは今更じゃないかな?
春季大会でも喜多さんの厳しい球をホームランしているわけですからねぇ。集中した蛮堂は本当に怖い・・・

さて、2人そろっての宣戦布告を受けた弐織義壱。何だか嬉しそう。

面白い・・・どっちが勝ち上がってこようと返り討ちにしてやる・・・!!

さすがの王者の貫禄を見せる弐織義壱。この男に挑むことができるのは果たしてどちらの高校か・・・
試合は振り出しに戻ったが、まだまだ序盤。
ここからどのような展開に持ち込めるか。清作や蓬莱の宣戦布告も重ねてあるかもしれませんし、期待ですな。



Vol.96 勝つのは  (2015年 40号)


蛮堂にホームランを打たれる之路さん。
傍目には失投には見えなかったが、意識が3球目に逸れてしまったのがいけませんでしたなぁ。
先制点を取ってもらった直後にこの結果。落ち込むのも仕方がない。
だからといって縮こまってないか触って確認するのはどうかと思いますよ宇城さん。
テレビで中継されているってぇのに。まぁ大胆。

このシーンがTVに流れたら色々と話題になるかもしれませんなぁ。
でも國尾さんのいる西東京じゃ似たようなシーンがよく流れているかもしれませんし。どうなのよそれも。

行動はさておき、元気づけようとする宇城さんの意志は感じられる。
そしてまだまだ桐湘の面々の気持ちは折れてはいないし、むしろ燃え滾っている様子。
まだ回は浅いのですし、落ち込む前に直ぐに立ち直っていかねばいけないところですわな。

お前は桐湘のエースであり主将だ。あと2勝・・・お前がこのチームを甲子園まで引っぱれ。リードは俺に任せろ

頼もしいことを言ってくれる宇城さん。さすがの女房役でありますな。
しかしそう考えるとリードは俺に任せろという言葉も意味深なものに思えて・・・

それはさておき。
ノーアウトと叫ぶ之路さんがとうとうポンコツ主将呼ばわりされるようになってしまいましたが、それはさておき。

ホームランを打たれた直後に即座に立ち直りを見せた蛮堂。
それを見習うように之路さんも続く六番の山脇くんに気合の入った投球を見せる。
蛮堂に打たれたばかりのスライダーを要求する宇城さんも、それに応えて決めてみせる之路さんも立派ですなぁ。

力むな。力を込めろ。固くなるな。張りつめろ。
研ぎ澄ませ。集中しろ。打者1人1人、1球1球に気合を込めて投げろ

もう気の抜けた球を投げて打たれるような真似はしないと改めて意識を切り替えた様子の之路さん。
その後はきっちりと抑え、2回を終了。良し良し。

蛮堂・・・お前にも蔡理にも負けない。勝つのは俺たち桐湘だ

きっちりと正面を見据えて宣言する之路さん。実に頼もしい。
受けて立つ蛮堂。いい感じなのだがこの両者、どうにも周りからツッコミを受ける体質らしい。
エースがにらみ合ってる場面なんだから少しは見守ってあげてもいいじゃないですか!!
暑いんだからさっさとしろという言い分は非常に分かりますけどね。

さて、3回表。桐湘の攻撃は八番の伊奈から。
聖陽の亜嵩からホームランを打っているのだし、今度もやってやると意識は高い。が・・・あまりの速さに反応できない。

勝利にかける思いの強さでは俺は誰にも負けん。
甲子園への道は――俺と桃ちゃんへの未来へとつながっているのだから!!

うーむ、やはり愛の力は偉大ということでありますか。
伊奈を始め、この回を3人共3者三振に仕留める蛮堂。なんと3回までで8奪三振という凄い記録。
神奈川県大会の1試合最多奪三振は20。このペースなら大きく塗り替えることもありえそうだが・・・ううむ!!

桃ちゃん・・・記録を更新した暁には、今日をキミと俺の奪三振記念日にしよう

うむ。やはり蛮堂も記録を意識していたようですな。
意識の仕方がこれってのが実に蛮堂らしくて良い。モチベーション高くて厄介だわぁ。

投手戦になりそうな様相を呈してきた蔡理戦。
さて、次の一発は誰が打つのか。先んじられた清作や蓬莱の活躍の機会はどうなるのか。注目であります。




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