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聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話 外伝
第1話 〜 第27話


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連載中分

 聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話 バックナンバー

聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話 外伝 1巻


第1話 孤独  (2011年 25号)


手代木史織先生の、LOST CANVASが帰ってきた。
LC本編では語られなかった黄金聖闘士たちの活躍を描く外伝だ。
まずは、その第一弾。初陣を飾るは今回も魚座のアルバフィカ!

どこかの島。不細工な冥闘士が不細工なガキを追いかけていた。ホラーだな。
そこに現れたのは薔薇を咥えた美形。不細工に対するは美形。勝負とは常に顔で決まるのだよ。
というか、魚座のアルバフィカだから許されるスタイルですよね。
いきなり薔薇を咥えて登場とか、普通のキャラなら、どこのスカポンタンかと思われるところだ。

さて、美形のアルバフィカ。美形ゆえに美人さん扱いされております。
どこかのレイみたいですね。う、美しい・・・ハッ!

美人だからってお高く止まってんじゃぁねェー!

冥闘士のセリフに反応しないので、こんなこと言われてしまいました。
薔薇咥えてたら喋れないし、しょうがないじゃない。いや、さっき思いっきり喋ってたけど。
しかし、ちゃんと咥える薔薇の棘は落としてあるんですな。当たり前か。

襲い来る冥闘士。迎え撃つは、赤い薔薇。ロイヤルデモンローズ!
魔宮薔薇。この香気を吸えば、五感を失い死に至る、猛毒の薔薇である。

一撃で冥闘士を撃破。アルバフィカは襲われていた少年、ペフコを救うことに成功した。
襲われていたときは思わなかったけど、笑顔のシーンはイモっぽく描かれてるな。

聖闘士とは、地上の平和を守りアテナを守護する星の数だけいる!
その聖闘士の中でも黄道12星座を冠する選ばれた究極の12人。それが最強の黄金聖闘士!

星座の数だけにしておいてくれたまえ。星の数ほどいたら凄いことだよ!

で、ペフコにも可憐で別嬪な人と太鼓判を押されるアルバフィカ。あれあれ、ひょっとして照れてます?
後ろを向き去っていこうとするアルバフィカ。それを止めようと手を伸ばすペフコ。
アルバフィカの右腕は血が滲んでいた。手当てはしてあるようだし、今回で受けた傷じゃないな。
ともかく、伸ばしたペフコの手をマントで払う。

私に触るな・・・!

強い言葉を投げかけ、直後に後悔するアルバフィカ。寂しい話ですな。

・・・いや、きっとこれで良いのだ・・・

聖域に帰還するアルバフィカ。教皇の間に向かうために、まずは白羊宮を通る。
白羊宮ではシオンが聖衣の修理中。通り抜けようとしたアルバフィカを止めるシオン。
腕の傷が開いてるのに気づいたようだ。
腕を掴んで止めるシオン。その腕を振り払うアルバフィカ。やはり触って欲しくはないようだ。
しかし、何度いわれようとも、シオンはアルバフィカに触れるのをやめようとはしません。
こう書くといかがわしいように聞こえるけど、そういう話じゃないのよ?

私がお前の毒の血を恐れぬからだ。

毒の香気を受け続けたアルバフィカの血は、そのものが毒となっている。
だからこそ誰も寄せ付けず孤独でいるアルバフィカ。寂しい話でございますのう。

さて、教皇の間。教皇セージはアルバフィカの労をねぎらう。
そして、早速新しい任務を言い渡すのであった。任務とは薬師の島に向かうこと。
あらゆる怪我、難病を癒す薬師や技術が集まる島。
その中でもルコという男の育てた薬草は癒えぬ傷も病もないという。
その者、神の如く慈愛に満ちた男だそうな。
そんな男が住む島に凶星が一つ輝き始めた。冥王軍の兆しであるか?
これを撃退する為に動き出すアルバフィカ。頼りになる男よ。

教皇の命を受け、出立する前に自分の宮を進む。
そういえば、この薔薇園って、教皇の間に行くためには他の黄金聖闘士も通るんだよね。
というか、教皇に伝令を伝えるための兵士も通らないといけないんじゃないだろうか。
そう考えるとなんとも不便なところに設置されている罠だな。味方の被害の方が通算で多そうだ!

この毒薔薇の園には何もない。

誰もいない、鳥もいない。虫もいない、他の植物もない。
他の生物との共存を許さない、毒の香気だけがむせ返る場所。
私の中を流れる血と同じ・・・・・・だが!

私の唯一帰る場所!

その毒薔薇の園にあるのは、ルゴニスという魚座の聖闘士の墓。アルバフィカの師だった男の墓だ。
任務に出る前に、ルゴニスの墓に報告をする。

私は貴方から頂いた教えも技も孤独も、決して忘れはしません。
・・・それは、魚座の誇りでもあるのですから!

孤独を寂しく思いながらも、それを誇りとして進むアルバフィカ。ううむ、強いなぁ。

さて、薬師の島ですが、どんな傷でも癒すってのは本当なんですかね?毒の血も浄化できるというのかい?
でもそれしたら魚座の聖闘士ではいられなくなるし、できてもしないでしょうな。
それか孤独を癒す薬草があるとか?
これを吸えば気持ちよくなって孤独感ともオサラバさ!そんなステキな薬草を渡されるアルバフィカ。
だめだ、アルバフィカ!薬草は薬草でもヤクだよ!

ともかく、始まりましたLC黄金の外伝。楽しみにしていきたいと思います。



第2話 園の子 畑の子  (2011年 26号)


教皇の命を受けて、薬師の島へ向かうアルバフィカ。
港に案内人を遣わしたので、共に航路で向かうことになった。

光速移動ができる黄金聖闘士だが、場所がわからないのではしょうがないわけですな。
案内人の速度に合わせるしかないわけだ。無駄に地球を回ることになってしまう。

さて、案内人はやはりのペフコ。
相変わらず無邪気な様子である。これは教皇の粋な計らいってやつなのかどうなのか。
なんだかんだで優しいアルバフィカ。
触らせるわけにはいけないけど、名前も呼んであげるし、側に居ることも強く否定しない。

船旅。丁度ペフコも近くに来たことですし、疑問を問うことにした。
薬師の島は薬草の豊富な平和な島。
神のように人々を癒すルコという男もいる。
それなのに、ペフコは島を抜け聖域にやってきた。あの島で一体何が起きているのだろうか?

アルバフィカの疑問はわからないでもない。
でも、少年なら島の暮らしから飛び出したいと思ったりしても自然じゃないですかね?
まさか不細工な冥闘士に追われるなんて思わないでしょうし。

まあ、ペフコには島や島の人がおかしくなっていると思えてたらしいけど。
風や土の匂いが変わり、いつの間にか薬草が枯れて種類が少なくなっている。
かと思えば、見たことない花が群生し、夜になると冥闘士が島を歩く

って、最後の情報!思いっきり冥闘士に島を蹂躙されてますやん。凶事の原因まるわかりやん!

と思ったが、ペフコの言葉は島の人に信じられていないらしい。おかしな状態だ。
みんなが寝静まった夜、窓から外を見ていると、とても凄い冥闘士を見たんだ!僕は絶対に嘘なんか言ってない。
なんていう説明をしたかどうかはわかりませんが、とにかく信じてもらえないらしい。アニメの見すぎなんかじゃない!

島の人だけではなく、ルコ先生もなんか変とペフコは言う。

先生は、捨てられたオイラを育ててくれた人だから!

ペフコは薬草畑に捨てられ、泣いていたところをルコに拾われたらしい。
それを聞いたアルバフィカ。自分も捨て子であったことを思い起こす。

薬草畑に捨てられたペフコはまだましか。アルバフィカは毒薔薇の園に捨てられていた!
なんとムゴい。というか、よく生きてたなアルバフィカ。
実は捨てる前に毒に慣らされていたのでしょうか。
拾ったのが先代のルゴニスだし、新たな魚座として育てさせる為にわざと毒に抵抗のある赤ん坊を置いたのかもしれない。
でないと、捨てた親は十二宮を突破して、毒薔薇のところまで捨てに来た事になってしまう!どんなツワモノよ。
いや、もしかすると教皇の仕業かもしれない。隠し子とか。
ただ捨てるのも忍びないので黄金聖闘士にしようとしたとか。あらまぁ、セージ様ってばお盛んなんだから。いやいや。

そんな話をしていると、海に異変が起きる。
潮の流れが今までに見せたことの無い状態になっている。このままでは大岩に激突して沈没だ!
岩にぶつかってマズイなら、その岩を砕けばよい。
船の舳先に立つアルバフィカ。その手に握られているのは、黒い薔薇。

ピラニアンローズ!

放たれた黒薔薇により、大岩は一瞬で粉砕されたのであった。
沸き返る乗員たち。さすが黄金聖闘士だー!

岩を砕くぐらい、青銅聖闘士でも楽にできそうですけどね。聖衣を纏う前の星矢にもできてた。
ただ、あんな黒バラでやるなんて凄いと表現しているから、その部分を褒めているんでしょうね。
薔薇であれだけ出来るんだから、拳を使ったらもっと凄いんだろうなぁ!いやな期待をされている!?

それはともかく、島が見えてきました。アルバフィカもルコに会って見たいと考えている。
島は怪我人や病人が山道を埋め尽くすほどにいる。
ルコ先生の薬草を貰うためにやってきた人たちということか。
ルコ先生もこれだけの人が来るのでは、休む間もなくて大変そうですなぁ。

さて、そのルコ先生。その顔は・・・先代魚座、ルゴニス先生にそっくり・・・!?
これは一体?ルコとルゴニス。確かに名前が似てなくはないが。
死んだ振りして第2の人生を歩んでいたとかそういうことですか?いや、さすがに。

ところでアルバフィカさんはなんだか可愛くなっている気がするんですが、気のせいでしょうか。
本編で出たときより若く見えるのは、過去の話だからか。
そのせいもあってかなんだか可愛く見える。
手代木先生もアルバフィカの美形設定に気合を入れてるけど空回りしてるとか言ってらっしゃいますしねぇ。
美形を描くのもなんだかんだで大変そうだ。



第3話 癒しの人  (2011年 27号)


薬師の島のルコは先代魚座、ルゴニスにそっくりだった。
その事実にアルバフィカは可愛い顔になってしまう。なんか幼い感じだ!

ルコの薬を求めてきた患者が列をなしている。すぐに話ができるという状態ではない。
しかも、緊急患者がやってきた。疫病に侵された女性だ。これは酷い。
緊急患者なので、率先して処置がされます。
包帯まみれの女性に薬を処方するルコ。薬だけであの症状を処置しようというのだろうか。

処方した薬を女性に嗅がせる。
薬草の露の甘い香りが皮膚や鼻孔を通り体を満たし、体を蝕む病は全て消える・・・

本当に全て消えた!?
進行を止めるどころか、肌の爛れまで全て消えている!これは奇蹟というしかない。
やはりあの方の薬草は奇蹟。神の妙薬よ・・・
ルコ様、ルコ様、癒しの人よ!

昔から奇蹟を知らしめるのに一番わかりやすい方法は癒しの技でありますからなぁ。
奇蹟の技を見せられたならば、信仰してしまうのはしょうがないのかもしれません。
一歩引いたところから見ると、完全すぎてうさんくさく見えたりしますけどね。トリックだ!

ルコは言う。
私にとって貴方がたを癒すのは生きがいですと。
全ての人の心からも、体からも、病たる毒は消えればいい。
こうして人々が手を取り合えるように。

ふうむ、なんとも立派な発言であるが、果たして。
夜。そのルコと話す時間が設けられました。
今、この島には凶星が輝き、災厄を予兆している。
教皇はそう予言している。ペフコもルコ先生は変わったと言っていた。
しかし、今は立派な姿を見せているルコ。どうすればいいのかわからなくなっているアルバフィカでありました。

話題は魚座の忌まわしき血についてのことに。

私の薬草をもってすれば・・・その毒の血は癒せるのですよ
その孤独と共に

魚座の聖闘士はデモンローズの毒の香気に耐えるため、己の血を毒で染め上げる。
その血のため、魚座は人と交わらず孤独を強いられる。

その毒の血を癒すことができるという、ルコ。

私の薬草で貴方をその孤独から解放してさしあげましょう。

ちょっと待って欲しい。毒の抵抗力は変わらないままなんでしょうか。
癒えた癒えたと喜んで双魚宮に戻ったら、抵抗力なくなってて死にましたなんてオチはごめんだぜ!
まあ、アルバフィカは赤ん坊の頃から毒バラに耐性があったし、きっと大丈夫さ。

というか、薬草は鈴蘭ですか。鈴蘭ってそもそも毒あるよね?
毒を持って毒を制すということでしょうか。より強い毒を叩き込むことで、毒を裏返らせるんだ!
アルバフィカ復活!アルバフィカ復活!
裏返らせる手法なら、体は耐性がついているはずだから問題ないやね。



第4話 赤い絆  (2011年 28号)


忌まわしき毒の血から解放するというルコ。

この鈴蘭の白い園こそが、私の作り上げた奇蹟の源なのですから。

そう語るルコ先生の怪しさは半端ない。なんだかわからないけど、怪しい!
鈴蘭の園にいるだけで意識が呆となるアルバフィカ。

そう、貴方の扱う魔宮薔薇とはまるで逆です

まるで逆とはどういうことだろうか?
毒で苦しませるデモンローズと違い、快楽でも与えてくれるんでしょうか?せめて快楽の中で死ねと?有情っすね。

救いを跳ね除けるアルバフィカ。すでに道を決めた身である。今さら救いなど・・・!

「今さら?」いいえ、「今こそ」です。
白い絆を結び直すのは。

白い絆。この言葉に揺さぶられるアルバフィカ。昏倒してしまう。
意識を失ったアルバフィカが見るのは、過去の夢。

小さい頃のアルバフィカが登場しました。あら、可愛い。
ルゴニス先生と修行しているちっちゃいアルバフィカ。薔薇を投げて目標に当てる訓練だ。
やりました、先生。全ての的に当たっています。え?どう見ても、一番左の外れてなくない?
と思ったら、やっぱり外れていたようだ。
そのことを叱るルゴニス。
たった一輪、的から外れた。それは即ち「他人の死」を意味する。
驚異的な力を持っているだけに、使いこなさねば、関係ない人を殺してしまう。

それだけは絶対にあってはならん悲劇なのだから!

「悲劇」それはルゴニスが最も恐れること。
その悲劇を起こさないために、ルゴニスは真っ赤な園でただ独り行き続けてきたのだという。
それはどれだけの孤独だったのだろう。

修行を進めたある日、ルゴニス先生は魚座の黄金聖衣を纏って現れる。いつもと雰囲気が違う。
アルバフィカに、次の修行へ進む時が来たと伝える先生。
だが、その前に。アルバフィカにある決断を迫る。
この園を出て、人と触れ合える世界へ戻るか。
「赤い絆」を結び、魚座の聖闘士を目指すか。

赤い絆とは、血の儀式を意味する。

互いの指先に針の穴ほどの傷をつけ、血を一滴ずつ交換する
その儀式は数年に渡り、血が互いの体を循環するまで行う。
もし、これを受ける者が魚座の毒の血に耐えられなければ死に至る、恐ろしい秘術!

アルバフィカは生来、耐毒の体質を備えていたらしい。ははぁ、それで毒薔薇の園に捨てられてても平気だったと。
しかし、ルゴニス先生の血はかなりの猛毒。耐えられる保証はない。
よしんば、毒の血に耐えられたとしても、その後は同じように孤独な生涯が待っている。

毒の血が、体に、人生に流し込まれる。
選ぶのは、人の道か、毒の道か。

ルゴニス先生は、アルバフィカがそれを受けることはないと思っていた。
しかし、私はここに残るというアルバフィカ。
今去ったら私も・・・きっと先生もまた孤独になってしまうから・・・

喜んで結びましょう!魚座の「赤い絆」!

貴方と同じ存在になって共に生きる。この赤い園で・・・

うーん。薔薇だ薔薇だ。血を流す真っ赤な薔薇を背景に、お互いの血を交わらせる師弟。うーん、薔薇薔薇。
このときのアルバフィカさんは小さいながらもカッコイイ表情になってますなぁ。

だけどその決断が、先生を失うことになるなんて・・・

どういうことでしょうか?
実は耐毒どころか、アルバフィカの血はすでに猛毒で、ルゴニスの血より強かったとか。
毒の道にそまるも何もなかったってわけですね、それは悲劇。
それか、血液型が異なっていて拒絶反応起きちゃったとか。少しずつ慣らしていかないから!
そんな科学的な話にはならない気がするな。これだと悲劇通り越して喜劇ですわ。



第5話 血族  (2011年 29号)


幼い頃に、ルゴニス先生と行った儀式、互いの血を一滴ずつ交換し合う「赤い絆」
その儀式は数年かけて行われた。
初め、ルゴニス先生の血の毒はアルバフィカの毒を上回り、身を焼くほどの苦痛を与えた。
幾度も死線を彷徨い、その都度なんとか生き延び続けた。
だが、やがてその毒を馴染ませていったアルバフィカ。成長するものだな。凄いね人体。

私と先生はこの世界で最も近い
父と子以上に。

だけど、しばらくして私はそれが愚かしい考えであったと思い知らされたのであった。

儀式は未だ続いているが、ルゴニス先生がやつれてきている。
そしてついに倒れてしまうルゴニス。いまわの際に、起きたことを話す。
アルバフィカの毒はルゴニスのものを上回り、殺すほどになっていたのだ。

・・・これが魚座の宿命よ

この儀式は血の循環の過程でより強い毒性と耐毒の肉体を得たものが生き残り、戦いの道を往くのが掟。
どちらかがどちらかを殺してな!

ここで出てきたのは、お互いの尾を結びつけた双魚のイメージ。
なるほど、魚座のイメージをここでつなげてきたか!

先生の死に涙するアルバフィカ。
ルゴニスは語る。

16年前、この毒の園で死なずに泣いていたお前を、生来毒薔薇たちに愛されていたお前を・・・
神が独り生きる私に最後にお与えになった子だと思ったから。

魚座の孤独な宿命は辛いな。
師を孤独にさせまいと儀式を決断したアルバフィカ。しかし、それにより先生を死においやってしまった。
自らの血が先生を殺してしまった。その事実がずっと圧し掛かっておられるのでしょう。

うなされていたアルバフィカが覚醒する。
そこはルコの病室。黄金聖衣着たまま寝るのって痛そうだな。

病室に運んだというルコ。あの白い園ではアルバフィカの血は相殺され効かないという。
というか、血は流して無くても危険なのかね?既に息も毒になっているとかありそうだけど。
ルコが毒の血を癒せるというのは本当だ。
何故なら、それこそがルコが薬師になった理由。兄であるルゴニスを救うためであるのだから。

ルコの薬草の研究は、兄を魚座の毒の呪縛から救うためのものだった。
だからこそ、弟子であるアルバフィカだけでも救ってあげたい。そうルコは言う。
ふむう、筋は通っている・・・
でも、その晩にやってきたペフコはここに居ちゃだめだ、早くここから逃げてくだだいと言う。

一体ペフコは何を見たのだろうか?
悪い顔したルコでも見ちゃったのだろうか。言っていることはまともなのに、怪しい顔しすぎなのよね。



第6話 ペフコ  (2011年 30号)


薬師の島の凶星の者、ルコは先代の魚座ルゴニスの弟である。
教皇はそれを知りながら、アルバフィカを薬師の島へ送ったのであった。
これは先代魚座の意思でもあるのだ

あの日、ルゴニスは教皇に後継の者を決めたと報告に来た。
それはつまり、己の命を与える程の相手が現れたということ。
魚座の彼がそれを伝えに来るということは、彼の今生の別れを告げに来たも同然のことなのだ。

だからこそ、教皇セージは問う。ルゴニスの心に迷いがあることを。
その迷いを隠したまま去ることは許さない。
教皇の言葉に触れ、秘していたことを口にするルゴニス。話は薬師の島の弟のこと。

弟は、魚座の毒を消すべく、日夜薬草の研究に励んでいる。
しかし、ルゴニスは既に魚座の聖闘士として生涯を全うすることを決めている。
だが、アルバフィカはまた違う。
ルゴニスは、黄金聖闘士としては許されざることながら、お願いをする。
もし、アルバフィカが己の血に打ちひしがれ、その血を消す方法に辿り着いたとしたら・・・
その時再び選ばせてやって欲しいのです。
魚座の毒の道か、人の道か。あの薬師の島で・・・!

教皇がアルバフィカを薬師の島に送ったのは、その選択を自らさせるためであったか。
そのアルバフィカは夜中にルコの家を脱出。ペフコと共に駆けていた。
ペフコは泣いている。何があったのだ?

アルバフィカはここに来て、ルコの様子を見てきたが、まだ不信な点は見つけられていない。
それどころか、師の弟であり、兄を救おうとしていたなんて話まで聞けている。
疑う理由はないというアルバフィカ。本当にそうかな?顔とか怪しいじゃないですか。笑い方とか。
ペフコは、アルバフィカの言葉を否定する。

今の先生は誰も救ってなんかいないって・・・!!

誰も救っていない?どういうことか。
その時、白い園に現れたのは、昼間の――疫病だった女の人。
女の人だけではなく、どんどん人が集まってくる。全てルコの患者の人たちだ。

これがこの島で起こっていることだよ、アルバフィカ様。
オイラが聖域まで行った理由・・・
ルコ先生の白い園の鈴蘭。これで救われた人たちは・・・
皆、夜になるとここで、冥闘士に変わっていくんだ・・・!!

なんと!これが島に冥闘士が現れた理由だというのか。
自分を信じてやってきた患者を兵士に変えていく。なんとも外道なことであるな。
これが騒ぎにならないのは、ひょっとしたら島のみんなもう冥闘士に変わっているからなのかもしれない。
それは怖い話ですなぁ。聖域まで逃げてくるのもしょうがない。

てな話をしていたら、ルコに見つかってしまいました。
木を操作して攻撃してくるルコ。アルバフィカはマントにくるんでペフコを抱え込む。
マントを挟めば大丈夫ってことなんでしょうか。割と触れ合えるんじゃないっすかね、それなら。

ペフコの決別の宣言。お前なんかもうあの優しい先生じゃない!
それを聞いたルコは冥衣を纏う。天立星、ドリュアスのルコの登場だ!

やはり冥闘士だったルコ。まあ、冥闘士として目覚めてしまったら、こうなるしかないわのう。
兄が黄金聖闘士で弟が冥闘士か。複雑で因縁めいていますなぁ。
でも、ルコも精神を鍛えたら、冥闘士でありながら、ハーデスと戦うことだってできたかもしれないわけで。
どこかの双子座の兄もそうでしたし。あれは流石に例外すぎるか。
ともかく、ようやくバトルが始まりそうな流れですね。
正面から戦ったら負けそうにはないが、何か不利な状態にされているんでしょうな。どれだけ苦戦するかに注目だ。



第7話 ドリュアス  (2011年 31号)


ようやくルコが冥衣を纏いました。
その姿を見て、やっぱりあいつはもう先生じゃないんだというペフコ。

いいやペフコ。私はずっとお前の師のルコだよ

ルコは自らの意志で冥界に身を落としたと言う。
全ての人が怪我や病気から癒され、手を取り合える世を目指し心血を注いできた。
そして辿りついた。冥界の花に!

全ての人々が病も怪我もなく過ごすには・・・皆「冥界の住人」となるしかないのだ

そりゃあ、病や怪我からは救われるかもしれませんけど、それで兵士にされちゃうのはなぁ。
スケルトンになったあとも普通に暮らせるならまだ考えてもいいんですけど。
まあ、アルバフィカには到底受け入れることのできない考えですわな。
そんな傲慢は許すことができないというアルバフィカ。
それに対し、貴方に理解されようとは思わぬというルコ。魚座の血を持つ貴方にはね!

その血と共に消えよ!

ルコが冥界に身を投じることになった一番の理由が、この魚座の血でしょうしね。憎いでしょうな。
木の根を操り攻撃する。が、それはアルバフィカの黒薔薇に切り裂かれていた。
岩をも切り裂くピラニアンローズだ!

無数の黒薔薇を投げる。が、その黒薔薇の茎が伸び、アルバフィカに絡みつく。
これが木の精であるドリュアスの力。全ての木、草、花は眷属として思い通りにできるのだ。
これぞ、カース オブ リリー!

黄金聖衣の隙間を抜けて黒薔薇の茨がアルバフィカの体に食い込む。
動いて引きちぎろうとするが、其の場合、血が飛び散ることになる。
毒の血が側にいるペフコにまで降り注ぐことになる。
こんなときに血が邪魔をして誰も守れない、守りあえない。魚座の血は哀しいものである。

しかし、ここでペフコの行動。
ルコとアルバフィカの間に立ちふさがる。

アルバフィカ様、凄い怪我してる・・・放ってなんかおけません・・・!
それはルコ先生・・・あなたが僕に教え続けたことですから!!

一時は、もう優しい先生はいなくなってしまったと言っていたペフコ。
だが、やはり師への思いは断ち切り難いようだ。

先生は本当は優しい人だ!こんなこともうやめてください!

弟子の言葉に苦しそうな表情を浮かべるルコ。だが、それだけで考えを改めるようなことは今更出来ない。
ペフコもろともアルバフィカを仕留めようとする。
が、その攻撃はアルバフィカが受け、ペフコは事なきを得た。
そして今度はアルバフィカがペフコを守る番である。忌まわしいこの血でな!

魚座の毒の血を用いて人を救おうとするアルバフィカ。それは一体?
戦いもクライマックスが近そうですな。



第8話 赤い鈴蘭  (2011年 32号)


ようやくまともに対峙することができそうです。
背中に黒薔薇を何本も挿したまま、アルバフィカが吠える。
この回だけ見た人に、こういうデザインのキャラだと思われたりしないか心配です。ちゃうねん!

ペフコはなんだかんだで、まだルコのことを信じたがっている。
しかし、ルコの方は自らの大儀のためにペフコをも切り捨てようとしている。

弟子の思いを踏みにじってまで行う大儀など・・・私は認めない!

アルバフィカの怒り。しかし、ルコは涼しい顔で流す。
自らの黒薔薇を全身に受けたアルバフィカはまともに腕を上げることもできない状態だ。
さらに、この鈴蘭の白い園は魚座の毒の血を無効化する。
そんな状態でどうやって決着をつけるつもりなのか?

って、そういえば、白い園なら毒の血を無効化するんだっけ。
だったら最初にペフコを気遣って躊躇う必要はなかったというわけか・・・
まあ、アルバフィカがその辺りのことは忘れていたということで!

満身創痍のアルバフィカにルコの攻撃が加えられる。
肉体を叩きのめし、さらに言葉を浴びせる。

所詮、弟子など師の大儀を成す道具でしかない!
そうでなければ幼い子供に猛毒の血など入れんよ。そうするためにわざわざ拾って育てたんだろう。

貴方は師の都合で道具として利用されただけよ。その生涯ごとな!

絆などない。全ては、幼稚な弟子の夢物語よ!

ルコの口上と共に、木の根がアルバフィカの全身を覆い尽くす。
圧迫され、アルバフィカの血が霧となって噴出す。
すると、ルコの操っていた木々が枯れていくではないですか。まさか!?

振り向くルコ。その目に映ったのは、枯れた木に座るアルバフィカの姿。
全身から血の霧を噴出している。そして、赤く染まった鈴蘭の園
アルバフィカの毒の血は、冥界の花まで染め上げたのだ!
ペフコ、やけに近いところにいる気がするけど、大丈夫か?

魚座の血とはつくづく恐ろしいものである。
だが、ルゴニス先生から託された血だ。

ルコよ、人は道具としか思わぬ者のために命を賭けはせんよ。
・・・少なくとも、私はこの血の熱さに、先生の・・・私へ込められた願いを感じるのだから!

この血は私の誇りだ!

アルバフィカの宣言。そして、血の霧が針となって降り注ぐ。クリムゾンソーン!
全身に毒の血の針を受けて吹き飛ぶルコ。

弟子にとって、師とは追うべき親。
見果てぬ夢をともに追う親。ペフコが教えてくれた。

ううむ。やはりこの作品において、師弟の絆というのはかなり強いものがあるんですなぁ。
師弟対決もあったりはしましたが、その中でもお互いのことを思う描写がありました。
師の師といえば我が師も同然!なんてセリフもありますしね。
孫弟子にいたるまで、絆が継承され・・・いや、このセリフのことはあんまり考えないようにしましょう。

というわけで、戦いは終わりました。次回でアルバフィカ編は完了しそうですな。



第9話 人の絆  (2011年 33号)


クリムゾンソーンの一撃でルコを撃破したアルバフィカ。
しかし、ルコはまだ息がある。その身体を抱き上げ、楽な姿勢にするアルバフィカ。

やはり私にはお前がみすみす魔道に堕ちたとは思えんよ・・・

ルコが道を踏み外すには何か理由があったのではないか?問いただす。
私の理想は今も昔も、全ての人の病を癒すこと。
とりわけ、兄の体を冒す魚座の血の解毒は最たる目標だった。
・・・だからこそ、兄を救えなかったことは私の大いなる挫折となったのだ。

だが、私にはまだペフコがいた

目標を失った私を救ったのはペフコの無邪気さだったというルコ。
この子のためにも、もう一度この道を行こう!そう強く思った。
・・・だが。

ペフコは原因不明の高熱に冒された。
全ての薬草の技は役に立たず、何も出来ないまま幼いペフコは衰弱していった。
死。それはやがてペフコを取り囲み始めた。

この世にある薬には限界がある。そのせいで大切な者を2度も失う。もう沢山だ・・・!

死よ!この子だけは連れて行かないでくれ!
そのためならば私は何でもしよう・・・!魔道の行いでも何でもな・・・!

ルコの悲痛な叫びに応えたものがいる。
ペフコを死から救うための取引として、患者に冥界の花を使えと言ってくる。
可愛い弟子の命を救うついでに、患者を生ける屍にせよと言う。

これは断れないか。生ける屍とはいえ、確かに怪我も病気も無い体にはなる。いや、それはやはり違うか。
ともかく、大切な者を2度も失うことはしたくない。ルコにとっても苦渋の決断だったでしょう。
しかし、死か。これってやはりタナトスの仕業なんですかね?
あの二流神はいろいろと手を打ってそうだからなぁ。イヤらしい。

オイラのせいで先生が苦しい思いをしていた。事実を知り、涙を流すペフコ。
そのペフコをいたわるルコ。全て私が選んだことなのだ。この結末もな。
それに最後、お前は会わせてくれたじゃないか・・・死んだ兄の遺した彼に・・・

ルコの言葉と共に、鈴蘭の花が散り、園が消えていく。
冥闘士にされていた人々が元の姿に戻っていく。戻れるんだ。
ルコの体もまた、花びらとなり散っていこうとしている。

兄さんは己の全てを託す者に出会えて幸福だった。今ならわかる。

忘れるなペフコ。私はいつでもお前と共にいるよ・・・

どうやらルコが最後の力を振り絞り、人々を、島を元に戻してくれたようだ。
立派な最後でありましたなぁ。

翌朝。アルバフィカは聖域に帰ろうとする。名残惜しげなペフコ。
オイラは絶対、毒の血も直せる世界一の薬師になるんだと誓う。
だから、全部の戦いが終わったらまた会おうという。
そんなペフコの頭を撫で、アルバフィカは去っていく。この後は聖戦が待っていますからねぇ。この約束は・・・
でも、この場はお互いに笑顔で別れることができました。

薬師の島から凶星は消え去った。アルバフィカが帰還してきます。

ルゴニス先生は、魚座の道は人ならざる毒の道。そう思っていた。
だが、それは違う。体が毒に染まっても、歩んでいるのは人の道である。
触れられぬからお前たちは見えぬ絆をいつも守り続ける。
もう失わぬよう独りでも・・・密やかに・・・だが、確かに。

それが人の道でなくて何であろう

聖域に帰ったアルバフィカを迎えるシオン。
そんなシオンに微笑を返すアルバフィカ。いや、いいシーンでございますな。
しかし、アルバフィカも血まみれの顔を拭いたりすればよいのに。
下手に洗い流すと、その地がやばいことになったりするのか?

ともかく、魚座のアルバフィカ編は終了でございます!
次は、蠍座のカルディア編が始まる!
もう登場か!早い!
体質が体質なだけに、激しい戦いとかはできないかもしれないが、どう魅せてくれるのでしょうか。
次こそはの蠍座の戦果に期待しています。



聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話 外伝 2巻


第10話 さそりと少女  (2011年 34号)


まだ聖域にサーシャが連れてこられて間もない頃・・・
大体5年ぐらい前ですかね。サーシャは9〜10歳ぐらいでしょうか。

どうやら1人の男に連れられて、ギリシャから外に出てきているようだ。
連れ歩いているのは、蠍座の黄金聖闘士、カルディア
聖域で辛気臭い顔をしていたから連れ出してやったそうな。
一応、外に出たいというのはサーシャの側からの頼みではありますのね。

サーシャの手を引き酒場に入るカルディア。積極的ですやのう。
酒場の雑多な雰囲気はやはり子供には合わない。
席についたはいいが、どうにも雰囲気に気圧された感じになるサーシャでありました。
そこに威勢よく置かれる木のグラス。置いたのは体格のいい姉さん。
姉さんはカルディアに説教をかましてくれます。

あんまし妹さん困らせてんじゃねェよ。
この子が酒場嫌いになっちまったらどうしてくれんだよ。

傍から見ると兄妹のように見えるわけか。まあ、それ以外に見えると色々問題がありそうだが。
会話では主従にはとても思えないしなぁ。

そして、サーシャの前には軽食が置かれています。

妹さんには可愛いからおごってやるよ。この店じゃあ陰気な顔は厳禁なんだ。

女性は、ここの主人であるカルベラと名乗った。
困った奴にからまれたら呼んでくんなと言って去っていく。
なかなかきっぷのいい姉さんですなぁ。酒場を切り盛りする女主人だってんなら、そうじゃないといけないか。
カルベラのおかげで店に入ったときの緊張感がほぐれている。
良い人だねともらすサーシャ。

カルディア「俺にもおごればいい奴だった!」

そうですか。まあ、カルディアらしい物言いですわな。
さて、そうこうしていると、団体のお客様が登場。どうも妙な雰囲気を纏った客だ。

我らは獣闘士(ジャガー)!

ジャガーと来ましたか。新たな闘士系がやってきましたよ。聖闘士(セイント)や冥闘士(スペクター)と同じ流れか。
獣闘士と名乗った4人組。どうやらお目当てはカルベラさんらしい。
有無をいわさず、カルベラさんを脇に抱え連れ去ろうとする。
なんて強引なんでしょ。獣なだけに情熱的だな。そういう話じゃないか。

店のテーブルをなぎ倒し、出て行こうとする獣闘士。しかし、その前にカルディアが立ちふさがった。
そして打ち込まれる黄金の蠍の真紅の針。

スカレーットニードル!

久しぶりの決め技が出た!と思ったら微妙に技名噛んでる!?やっちまったなカルディア。
でも、まあ、言わなければこの場の人には分からない。
平気な顔で流すことにするカルディア。噛んだのがバレたら赤っ恥だぜ!

ともかく、スカーレットニードルを受けて、激痛に倒れ伏す獣闘士。
しばらくは悶絶していたが、獣のような牙を生やすと勢いよく逃げていく。
一撃で倒されるほどにはヤワな奴らじゃなかったようだ。
おかげでカルディアが面白そうにしている。俺様のハートを燃え上がらせてくれる相手になりうるのか!

というわけで、カルディア編が始まりました。
いきなりのサーシャを連れての登場には驚きましたね。
髪の短いサーシャはよいですな、まだアテナとしての落ち着きもないころでしょうし、可愛い反応が見れそうです。
今回のヒロインっぽいカルベラさんも魅力的な女性です。
問題があるとしたら、カルディアとカルベラで名前が半ばかぶっている点でしょうか!
文章で感想を書くほうとしては、この名前かぶりは結構厳しい!



第11話 小さな女神  (2011年 35号)


カルディアがサーシャを連れ去った。そのため聖域は騒然としていた。そりゃそうだ。
早速、教皇にそのことを注進するシジフォス。

カルディアはまだ、あの方がアテナ様とは知りません

ああ、なんだ知らなかったのかカルディア。
さすがに扱いがぞんざいすぎるなぁとは思っていたけど。
しかし、知らない少女に呼び捨てにされても平気そうなカルディアは意外と懐が広い・・・のか?

まだ幼いアテナに万が一のことがあっては取り返しがつかない。
全ては目付け役の私の不行届き故のことであるとシジフォス。

願わくば、このシジフォスに出動の許可を!

そんなにサーシャの側にいたいんですか。このお人は。
教皇セージは、最近サーシャが何か思いつめていたことを思い出す。
これは良い機会かもしれぬぞとシジフォスに言う。

カルディアならば、サーシャ様の御心の不安を取り除けるやもしれぬ
女神として生きることとなった、小さな少女の不安をな・・・

シジフォスには出来ないが、カルディアならば出来る!
まあ、確かにシジフォスがずっと側にいたのでは息が詰まりそうになるかもしれませぬわね。
外に連れ出して欲しくなったりするのもムリからぬこと!
セージも遠まわしに、後を追うのはやめておけと言っているように聞こえる。

さて、そのカルディア。店や壁をメチャクチャにされてご立腹。

そんなに格好つけてェんなら、もっとスマートに暴れやがれ、兄さん!

さすがにその怒り方は無茶ってもんでっしょ。
まあ、できなくはなかったでしょうけど。久しぶりの出番でハリキリすぎた結果がこれだよ。
技名噛んだだけでも恥ずかしいのに!

店が壊れたので今日は店じまいである。
カルベラの部屋に泊めてもらうことになったサーシャ。
もちろん、泊めてもらうのはサーシャのみである。カルディアは外に放置。
これは流石に文句も出る。ズルいぞサーシャ!
しかし、カルベラさんに、男だったら手前の宿くらい手前で探しなと一喝される。
こうまで言われたら、引き下がるしかありませんやねぇ。朝まで勝手にしていてやるよ!サーシャのバーカ!
子供のような罵倒をするカルディア。なんか微笑ましいな。
この先、アテナであると知ったらどうするのだろうか!まあ、どうもしないんでしょうな。
ただ、罵倒したことがシジフォスに知れたら大変そうだ。千年戦争始まっちゃうよ!

カルベラさんはサーシャが淋しそうな子だと言う。
子供ってのもあるが、店でも浮くくらい淋しそうだったサーシャ。
それが気になったから、カルベラは家に泊め、溜め込んでいるものを話すように促すのであった。

普通の女の子として育ったサーシャ。
しかし、ある日突然、そうじゃないって人がやってきた。
それからは、アテナとして大きな運命に立ち向かっていかなければならなくなった。
その未来がどうしようもなく怖い。そうサーシャは言う。
不安で逃げたくて、毎日昔の夢を見るサーシャ。

大好きな兄さん、大好きな孤児院の皆、大好きなあの男の子・・・

おや、ここでテンマのことを大好きというセリフが出てきましたね。
子供ゆえ、どれほどのものかはわからないけど、やはりそういう気持ちはあったんですなぁ。
テンマのほうは、まだそういうのがわかる感じじゃなかったんでしょうけど。男の子ですし。

涙を流し、ヒザを抱えるサーシャ。
そのサーシャの頭を撫でて慰めるカルベラさん。よい感じですね。明日は明日の風が吹く。
その風をどこまでも追っていきゃあ、未来はきっといいものだよ

子供心に不安になるのはしょうがないですわな。
今回の旅で、カルディアがその不安を取り除くような活躍をしてくれるとよいのですが。

そのカルディア。どうやら例の獣闘士が襲ってこないか偵察に行っていたようだ。
なんだかんだで頼りになりますな。
移動していた獣闘士を発見。姿が獣人間になっており、まさに獣闘士と呼ぶに相応しいようになっている。
迫力も頭数も段違いの相手である。

そっちがそうなら・・・蠍座の聖衣装着――ッ!

聖衣を纏い、一戦しただけで10体以上はいそうな獣闘士たちを吹き飛ばす。
なんだか凄い嬉しそうなコマであるな、コレ。

さて、雑魚を蹴散らしたところで、なにやら強そうなヤツが現れました。
選定すべき強者の心臓に出会えたとか言っている。

我々は選ばれた心臓を捜している。貴殿の心臓はいかほどか。

妖異なる殺気を放つ、獣闘士の親玉。どれほどの実力であるか。
それにしても心臓か。カルディアの心臓が燃え上がるようになる話になりますのかねぇ。
また、カルベラさんを攫おうとしたのは、この心臓の話に関わるものなのかどうか。
そして、シジフォスは我慢しきれずに介入してきちゃったりするのか!?
いろいろと楽しみです。



第12話 獣の神官  (2011年 36+37号)


獣闘士のボスが登場。太陽の神官ウェスダを名乗る。

新しい時代を創るため、太陽に心臓を捧ぐ者よ!

貴殿の心臓は太陽に捧げるに値するものか?そうウェスダは問いかける。
これに笑いで返すカルディア。

蠍の心臓は燃えるルビー!アンタレスさ
太陽なんざ野蛮に燃える星・・・品が違うぜ!

その太陽の光を浴びて力を宿した黄金聖衣を纏っているというのに・・・なんと不敬な!
ともかく、ウェスダはその燃えるルビーに親愛を示すと手を出してくる。
なんですか、それ。触りたいのか。聖衣の上からでも心臓の感触を確かめたいとかいうのかね、変態め!
そういうわけじゃなくて、握手を求めていたようだ。
面白そうだとガッチリ握手をするカルディア。
蠍VS豹!普通に考えると勝ち目はなさげだが、果たして。

黄金聖闘士の力にもビクともしないウェスダ。
この相手ならば、ついに燃やせるか、この心臓を!!

ワクワクしているカルディア。ウェスダもまた、炎のように高温を放つカルディアの心臓を褒める。
まさに真紅のアンタレス!
言葉と共に、カルディアの心臓が燃え上がる。

お前、俺の心臓・・・勝手に・・・手を出してんじゃねェエエ!

どういう理屈かはわからないが、ともかく意志に反して勝手に燃え上がるカルディアの心臓。
これぞまさに太陽への供物にふさわしいとご満悦なウェスダ。

祭祀日(シトラロヒスカ)まであと2日。印をつけさせてもらう!

ウェスダが宣言したと同時に、幼い少女が駆けてくる。サーシャだ。
カルディアの小宇宙が苦しそうに揺らめいていたので、やってきたらしい。
未だ自覚はないとはいえ、さすがアテナである。小宇宙を感じれるようになってきているのか。
そして、サーシャに連れられてカルベラさんも登場。

あんなに口がデカいくせにケンカが弱いなんてやめてくれよ!?

えらい言われようのカルディア。
まあ、活躍のシーンは見ず、目にしたのはやられているシーンだけでしたしね。こりゃカッコ悪いわぁ。

ウェスダ曰く、カルディアの体に黒曜石の牙をいれたとのこと。

それは我々、獣闘士の獲物となったと言う証”生贄印”(トラコトリ)
その牙はやがて右手血管から心臓に至り、彼の生命を奪うだろう!

三年殺しみたいな技ですな。こっちは2日しか余裕がないみたいですけど。
2日が過ぎれば、カルディアの心臓は太陽に捧げられ、この世は新しい時代へと創り変えられる。
その新しい時代とやらについて詳しく聞きたいもんですな。

冗談じゃないよと詰め寄るカルベラさんを抱き寄せるウェスダ。
大柄なはずのカルベラさんが小柄に見えるぐらいウェスダは大きい。

そのような哀しいことを言うなカルベラ・・・
一目見て分かった。お前は思い出さないかカルベラ・・・
かつて我々はこの世界に2人であったことを・・・

なんだ、何か関わりがあるのですかこの2人?
幼なじみとかそういうのではないか。前世に繋がりがあるとかそういう話ですか?

ともかく、いい雰囲気になりそうだったので、引き剥がすカルディア。
俺のこと忘れて女口説いてんじゃねェよ、おっさんよォ!

この2日のうちに獲物になってるのはそっちの方かもしれないがな!

さっきまで苦しんでいたくせに強がりを放つカルディア。
それを聞き流し、2日後改めて2人を迎えにくると言い残し去っていくウェスダ。
カルディアがまるで悲劇のヒロインのようである!悲劇ですわ、喜劇ですわ。
ウェスダも心臓か女か、欲しいものはどちらかに定めなさい。一挙に両取りとかそんないい話は転がってませんぜ!



第13話 皮剥ぎの男  (2011年 38号)


ついに捧げるべき心臓を見つけ出した神官ウェスダ。
祭祀日にあの心臓を太陽に捧げた時、現世界にはびこる人類は滅び、新しい世界が作られるという。
争いの神にして全能者、テスカポリトカによって!!

テ、テスカポリトカ。
心臓を捧げると言う話から、その辺りが来ると思っていましたが、やはりそうでしたか。

テスカトリポカ(Tezcatlipoca)は、アステカ神話の主要な神の1柱。
Tezcatlipocaは、ナワトル語でtezcatl(鏡)、poca(煙る)という言葉から成り、従ってその名は「煙を吐く鏡」を意味する。
鏡とは、メソアメリカ一帯で儀式に使用された黒曜石の鏡のことを示す。
通常テスカトリポカは、身体は黒く、顔に黒と黄色の縞模様を塗った姿として描かれ、
しばしば右足が黒耀石の鏡か蛇に置き換わった姿で表現される。

Wikiより抜粋。

アステカ神話でござるか。
となると、今カルディアたちがいるのはメキシコ辺りということになるのか?
ギリシアからずいぶん遠くに来たものだな・・・カルディアだけならともかく、サーシャがいるから結構な長旅であるぞ。
ところで、テスカポリトカなのか、テスカトリポカなのか。
言葉的にはテスカトリポカが正しそうだが・・・まあ、あまり気にしないでおこう!今回はテスカポリトカなのだ。

さて、神官ウェスダの目的は、そのテスカポリトカに心臓を捧げること。

そして、新たな時代・・・隣にいるのは、私の宿命の伴侶にして創世の女・・・カルベラ!お前だ!

嫁さんまでもう決めていたのか!気の早い男だ。
そんな空想をしているウェスダの前に、不気味な男が佇んでいる。
同士である獣闘士の皮を、剥ぎ取り、いくつも身に纏っている。
ジャガーに変身した状態の皮を剥ぎ取っているから暖かそうだ。でも、それでも寒いとこの男、皮剥ぎのナワルピリは言う。

顔に布のようなものを巻きつけた異様な風体のナワルピリ。それも寒いからかね?

死んで人は言葉を残し、死んで獣は皮を残すと申します・・・
だったら皮のない獣の私は・・・?私は何を残せばよろしいのでしょうーッ!

そんなことは知りませんがね。
あまり暴れられても困る。ということもあってか、このナワルピリをカルディアのもとに向かわせるように仕向けるウェスダ。
金色の皮を持つ蠍。心臓はテスカポリトカに捧げる。皮はお前にくれてやろう。
この言葉を聴き、あったかそうだと嬉しそうに駆け出すナワルピリ。嬉しいいいい・・・!!

2日後の祭祀日。燃える心臓と永遠の伴侶。貴殿らはすでに私のものよ!とか考えているウェスダ。
自信に満ちた妄想でありますな。我が世の春が来たーと言ったところでしょうか。絶好調だなウェスダ。

さて、カルディア。
カルベラの酒場まで戻ってきて一息ついている。
小さい丸テーブルに座るカルディアとカルベラ。その間に挟まり、樽に座るサーシャが可愛い。狭そうだ。
カルディアは黄金聖衣を着っぱなしである。
なんだか、凄いごっつく見えるな蠍座の黄金聖衣。形のところが突き出しているからか?

心臓が燃え上がっていたが大丈夫なのかと聞くカルベラ。
それに対し、いつものことだと答えるカルディア。

俺の心臓には禁忌の技がかけられてんだ!
もともと俺の心臓は病持ちなのさ。
その技は俺の心臓を生かし、小宇宙を燃やす程に力と熱を生み出すんだ。

制御できるようになったのは最近のことだとカルディアはいう。
それでよく黄金聖闘士になれましたな。制御できれば強いということなのでしょうか。
というか、今回の心臓が燃え上がったのはなんだったのだ?
興奮しすぎて小宇宙を制御しきれなかったのかどうなのか。

ともかく、そんな状態じゃ2日後どころか明日だって危ないんじゃないかとカルベラは心配する。
2日後、心臓に黒曜石の牙が刺さる。リミットは定められている。
しかし、それを笑い飛ばすカルディア。

笑わせるぜ!生命にゃ元々それぞれのリミットがあるんだよ
人間皆、同じように未来があるとは限らないのさ。
だから俺は現在、命を燃やすんだ。いつリミットが来ようが関係ないさ。

未来があるとは限らない。深刻な身体を持つカルディアならではの言葉ですな。
サーシャもこの言葉には何か感じるものがあったようだ。
これで、アテナになることへの責任について考えれるようになるとよいですな。

で、カルベラ。酒場の店主なんてやっている割に男っ気がないと思ったが・・・

カルディア「あのおっさんはない!やめとけ!」
カルベラ「あたしだってお断りだよ!

まあ、そうでしょうね。向こうは乗り気だけど心に差はあるみたいだ。
しかし、あのおっさん、ことウェスダとはまるで関係がない――というわけでもないらしい。
ウェスダの首にあった黒曜石の鏡。その奥には印があった。
カルベラの家は父親の代まで司祭をしており、その奉じる神と争っている神の右足は黒曜石の鏡となっていた。
カルベラの家が奉じていた神こそは、黒いジャガー、テスカポリトカと神話の時代から世界をかけて争った神。
羽の生えた白い蛇、ケツアルクアトル!

カルベラはケツアルクアトルの関係であったか。
対立するテスカトリポカの右足は黒曜石の鏡となっており、その鏡には印がついている。
しかしそうなると、ウェスダは対立先の神官を降して娶ろうというのか。なんというか・・・戦いって感じがするな。

そんな話をしていると、酒場の外で悲鳴があがる。
背中の皮を剥がれた男が駆け込んできた。これは酷い。
やってきたのは、予想通りナワルピリ。あったかそう・・・金色の皮・・・

頂戴・・・!
俺・・・ヨナルデパズトリのナワルピリ!

冥衣のような真っ黒な鎧を纏うナワルピリが襲来して次回に続く。
冥衣特有のキラキラがないから別種の衣であるかな。獣闘士専用の衣であるか。興味深い。

しかし、ヨナルデパズトリだと!?
生麦生米ヨナルデパズトーリ。

ヨナルデパズトーリ(Youaltepuztli)は、メキシコに伝承される伝説の神または悪魔。
邪神テスカトリポカの化身とも言われる冥界の悪魔。

Wikiより抜粋。

なるほど。こいつもテスカトリポカに関係するものだったのか。
しかし、悪魔くんのイメージしかないのが困る。知性派の妖怪っすよね。ナワルピリはまるで違うようだけど!

そういえば、ナワルピリはNahualpilli(高貴な魔術師)という意味らしい。
高貴・・・その皮剥ぎの姿、気高いね!ないな。

ついでにそういえば、冥王軍にはメフィストフェレスが出てきていた。
こうなれば、夢が結んだ12使徒が勢ぞろいする可能性があるんじゃないかね!?
鳥乙女=ハーピーとかも既にいますし!可能性はあるで!家獣とか幽子については・・・知らん!
あ、コウモリ猫はチェシャでいけますよね。ピッタリだ!



第14話 激痛と実感  (2011年 39号)


この世界では、皆が太陽は暖かいものだと言う。
だけど、俺だけいつも虚ろで寒さしか感じない

それは俺には皮がないから・・・俺が温まるには誰かの皮を奪わなきゃ・・・
綺麗に綺麗に・・・大事に剥げば長く凍えないんだ・・・
だから、あんたの黄金の皮は誰より大事に剥ぐよ。
ずっとずーっと俺を温めてくれるように・・・

カルディアに対し、そう語る皮剥ぎのナワルピリ。
身に纏う黒い鎧は、黒曜衣(ナワル)
そして、その黒曜衣の下の、ナワルピリの体には、今までに剥いた人たちの皮がぬいつけてある。
既に冷えているが、時々恨みを吐いておしゃべりをしてくれるという。

なにやら、書き文字でオオオオ叫んでいるのは、皮が吠えているというのですか。
これは気持ち悪い。サーシャも青い顔をしております。

ナワルピリにとっては、この皮は大事なお友達。紹介してあげよっか?とか言ってくる。

いいの?是非!

ノリよく受けるカルディア。ホラーの耐性高いなぁ。
じゃあ、あんたもこの中に仲間入りしなきゃと襲い掛かってくるナワルピリ。そういうことですか。
手にした2本の長い鎌らしきものを振り回すナワルピリ。
本人の言の通り、この武器で皮が綺麗に剥げるらしい。
その証拠に、カルディアがもっていたリンゴが薄皮をはぐようにきれいに剥けている!
皮だけじゃなく、身も薄くスライスされてますけどね。

鎌の攻撃は避けたカルディアだが、傷ついている。
どうやら、ナワルピリの纏った皮にも攻撃能力があるらしい。そりゃ面倒だな。
ナワルピリの猛攻を受けて、地面に伏すカルディア。その上に乗り、鎌を突きつけるナワルピリ。

これでお前の皮、俺のもの!
俺も温かい世界の仲間!やっと・・・やっと・・・
寒くならなくていいんだァアァア!!

嬉しそうに吠えるナワルピリ。それに対し、余裕の笑みを浮かべるカルディア。

そんなに温かくなりたいなら、俺が熱くしてやるよ!

至近距離から放たれる蠍の針。

スカーレットニードル!!

今度は噛まずに言えたぜ!
この蠍の針は、神経中枢を刺激して激痛を与える。
皮を剥かれるなんてもんじゃない痛みである。撃ち込まれたナワルピリは激痛が熱さとなって感じている。

たった2発で悶絶するナワルピリ。しかし、この技は15発撃ち込まれるまで痛みは続く。
さらに追撃で5発。これで残りは8発。
笑顔で追いつめるカルディア。サドっぽい行動なのだけど、あんまりサドっぽく感じないのは人徳?
でも、喰らっている方にとってはたまったもんじゃない。笑うしかないナワルピリ。あははははは!

追撃でどんどん撃ち込むカルディア。涙を流し悶えるナワルピリ。
これには、見ていたカルベラも眉をしかめる。

ハハハ!痛いか!?
お前に生皮剥かれた奴らもさぞ痛かったろうなァ!
さあ!一気に止めにイッてやるぜェ!

スカーレットニードルで、黒曜衣も半壊し、地に伏せるナワルピリ。
それに止めを刺そうとしたところで、割り込んできた小さい姿。サーシャである。
サーシャはもう充分だという。お優しいですな。

この人もう、充分貴方の手で痛めつけられている。
それに貴方はそれを楽しんでいる!これじゃあ、貴方もこの人と変わらないじゃない、カルディア!

確かにその通り。よくわかったじゃないかサーシャ。
カルディアはサーシャに語る。

こいつも俺も根っこで求めてるものは同じさ
だがこいつは奪うことでしかそれを感じれない!
いいや、感じてるかどうかも分からん虚ろな奴さ!

痛みというものを教えてあげたということでしょうかね。
虚ろな感情しか得ることができていなかったナワルピリに、痛みというもので何かを伝えようとした。
それを示すように、ナワルピリに言う。

お前が欲しかったものは手に入ったか?
自分が現在!生きてる実感をよ!?

虚ろだというのは、生きている実感が湧いていないため。カルディアはそういうのですな。
さすが、命にリミットがあるので現在を生き、命を燃やそうという人の言うことは違う。
常に楽しもうという姿勢であるのは、そういう所にも起因してますのかね。
ナワルピリも、もう寒くはないという。こんなに痛いのも、命を感じたのも初めてだと。そして。

死にたくないって思ったのもォ!

言葉と共に起き上がり、サーシャを小脇に抱えるナワルピリ。
まだ動けたのか!ならば追撃を、と動こうとしたカルディア。しかし、こんな時に心臓が疼く。
生贄印の牙が体の中で心臓に響く。カルディアの体が崩れ落ちる。

それを見て、サーシャを連れ去ってしまうナワルピリ。
まさか連れ去られてしまうとは・・・どうするカルディア。残りの日数も少ないのに、さらにピンチだぜ!
何がピンチかって、このことを聖域に帰ったときに詳細に報告されたら、お仕置きがやばい。
ギリシャからメキシコ辺りまでアテナを連れて行ったあげく、危険に身をさらしたわけだ。
こりゃシジフォスからの折檻は過酷なものになりそうやで!
まあ、サーシャが庇ってくれるでしょうけどね。



第15話 祭祀の日  (2011年 40号)


サーシャを攫ったナワルピリ。ウェスダのもとに帰還する。
ウェスダはなにやら背後に凄いエネルギーを背負っているように見える。輝いているぜ。
どうやら、カルディアの体内に埋め込んだ生贄印によって心臓のエネルギーが流れてきているらしい。
このエネルギーは最終的に、人類滅びの兵器、テスカトリポカの力として昇華するのだ!

ウェスダのさらに背後。そこには巨大な存在があった。
ジャガーの頭らしきものは見えるが、その体は巨大すぎてよくわからない。
生き物のような機械のような、悪意の固まりのようなもの。とにかく不吉な存在がそこにあった。

どうでもいいが、今回はちゃんとテスカトリポカになってますのね。ポリトカは誤植なのか?

で、人質として連れてこられたサーシャ。
まさかこの少女がアテナの化身であるなどとはわからない。
だが、ウェスダはサーシャを有効活用しようとする。カルディアを煽る道具にしようというわけだ。
カルディアの目の前でサーシャの生皮を剥ぐ。そして怒りを燃え上がらせようという話だ。

この言葉に、目を背けるナワルピリ。あれ?なんだか意外な反応ですな。
かばってくれた相手ではありますし、何か微妙に情が移ってきている?

ともかく、今宵は祭祀の日(シトラロヒスカ)である。全ては今日終わる。

ここでちょっとした回想。
サーシャがカルディアに聖域から連れ出してもらったときのこと。
草むらから飛び出して、カルディアのマントを掴むサーシャ。
口は悪いが、サーシャのホコリを払ってあげたりするカルディアはなんだかんだで優しい。
どこのものともしれない子供がやってきた。
結界が張ってある聖域に迷子ってこともないし、しかも教皇への報告は止めて欲しいときた。怪しい子供だ。

サーシャは言う。帰る場所はもうない。聖域でこれからずっと暮らすと。でも・・・
口ごもるサーシャを肩に担ぐカルディア。

つまりはどっか連れてけってことだろ!?
帰る場所もない、ここにもいたくない!
自分が何したいかくらい分かっとけ!!

さすがにカルディアである。おとなしいサーシャにはこれくらい荒っぽい相手の方がいいのかもしれない。
ヘタれた根性が吹き飛ぶくらい面白そうなところに連れて行ってやるというカルディア。
その結果がここですか。確かにヘタれてはいられない状況ですわな。

さて、心臓が燃え上がり気絶していたカルディアが目を覚ます。
看病していたはずのカルベラさんの姿はない。
書置きが残したあった。どうやら、サーシャたちのことについて話をつけてくるつもりらしい。
おやおや。全く。カルベラさんは行動派だねぇ。

慌てて飛び出すカルディア。まっすぐ森に入り、獣闘士たちがいる祭壇へと向かっていく。
その様子を見て取り、ほくそ笑むウェスダ。
祭祀の日に、全ての要素は揃おうとしている。ウェスダを初め獣闘士たちは大喜びだ。
ちなみにサーシャは鎖で縛られ、石の祭壇に寝かされています。なかなか危ない光景だな。邪教っぽい!
そしてウェスダの演説。

私たちは滅びの引き金を担う者。この日のために在り、この日を終えた後、我々の悲願は成る!
そのためには、私たちは結ばれねばならん

言葉と共に、祭壇に登ってきたのは・・・カルベラ?
儀式の衣装であるのか、仰々しい羽飾りのついた兜をつけている。
服装もまた、なんというのだろう。ビキニアーマーに透明な布をとりつけたような姿だ。
なんというか、艶かしい。ウェスダの趣味ですか。おっさんいい趣味してるな。
そして、結ばれるとはどういう意味の言葉だろう。
文字通りの意味なのか?おっさん、サーシャの前で何をしようというのだ!悪い趣味だ!

やばいものを見せられそうだからか、カルディアの名を叫ぶサーシャ。
その声に応えるように、やってきましたカルディア。

一撃でザコの獣闘士は吹き飛ぶ。
やはり相手になるのはウェスダくらいか。
世界を救う戦いに、今蠍座の黄金聖闘士が挑む!ってなもんですな。
ウェスダとの戦いも楽しみだけど、ナワルピリの行動もまた楽しみですな。
痛みを知ったナワルピリはもう寒くは感じていないのかもしれない。ならば皮を剥ぐこともないのか?
少なくともサーシャに手を出すことはないと信じたいところである。



第16話 もう寒くない  (2011年 42号)


絶対絶命?だからどうした!俺の燃える爪が、片をつける!
相変わらずカルディア編に入ってからアオリがノリノリだ。

さて、祭祀の最中に割り込んできたカルディア。
祭壇では、ウェスダのおっさんが女子供をはべらせていた
って、サーシャを寝かせていたのは、はべらせるためだったのか!?ヤバイ!!
ちなみに、カルベラさんには催眠をかけているとのこと。まあ、みるからに操られてそうでしたしね。

突然穏やかな顔で語りだすウェスダ。何だー!?
人類は滅び行く種であると語りだす。
カルディアもカルベラも、全てウェスダの意志とは別の働きでここに集った。
それがどういうことであるか。
それは世界が仕組んだ流れ。世界は一度破壊されたがっているのだ。加速する人と文明とともに。

いかにもな終末思想でありますな。

ヨーロッパの島国で起こった潮流は加速度的に増大し、やがて人の制御を離れる。
それは世界と人の破滅的な決裂を生むであろう。
そうならぬために、人は周期的な滅亡を与えられなければならない。
太陽が沈み、昇るようにな

言葉とともに、黒曜衣を纏うウェスダ。
ガタイがいいから鎧を着るとなかなか格好いい。頭の管のジャラジャラが描くの面倒くさそうだ!
この黒曜衣こそ、テスカトリポカの黒曜衣!
この遺跡の底のテスカトリポカと共鳴しているという。
なんと、神の名を冠したものだとは。そりゃいきなりランクが高くないっすか。

こうなればウェスダ様には神々ですら勝てない・・・

いや、さすがにそれは持ち上げすぎっしょ。
テスカトリポカがどれだけの力を持った神なのかはわからないけど。

自分自身が破壊神となったウェスダ。それに対し、どれほどのものか見てやるというカルディア。

スカーレットニードル!

ちゃんと言えたー!
けど、そのちゃんと言えたスカーレットニードルが通じない。吸収されていく。
燃える爪の攻撃を受けて、心地よいと感じるウェスダ。
生贄印の牙からも力が流れ込んでいるし、カルディアの力をどんどん取り込んでいくつもりか?

ウェスダが腕を振るうと、その腕に炎が纏わりつく。そのまま、カルディアを片腕で地面に叩きつける。

その命、燃やして捧げよ!

カルディアを危機に追い込み、心臓を燃やそうとするウェスダ。
それでも足りないようなら、その心臓が極限まで燃えるように演出してやろうというウェスダ。

その子を殺して生皮を剥げ!ナワルピリ!

ウェスダの言にビクリと反応するナワルピリ。
慌てて、辺りを見渡すが、あれ?サーシャの姿がない。

あ゙ーッ!女の子逃げちゃってるーッ!!

どうやらカルディアが、サーシャを縛っていた鎖を破壊していたようだ。
スタコラサッサと逃げ出すサーシャの後姿が凄い可愛い
そして、辺りを見回すナワルピリもなんだか可愛い。世界の破滅をかけた戦いなのに、ほんわかしたページだな。

気付いた後もサーシャを追おうとしないナワルピリ。
ウェスダにしかられても、無理ですという。

だって、オレ・・・私は、死にたくないって思ったのも、人にかばって貰ったのも初めてだったから・・・
嬉しくて・・・それに・・・あの子の肌、真っ白で柔らかくて・・・
きっと・・・あの子殺したら・・・
きっとまた寒くなっちゃう・・・

もう寒くないと言っていたナワルピリ。それは本当だったようだ。
カルディアによって痛みを知り、サーシャによって温かさを知った故だろうか。
だからこそ、その温かさを教えてくれたサーシャを殺すことができずにいるのでしょうな。

しかし、そんなことは知ったことじゃないウェスダ。
ナワルピリには頼まず、自分の手に炎を宿し、その塊をサーシャに向けて放つ。

が、その炎はサーシャに届かなかった。ナワルピリが身を呈してかばったのだ!
やっぱり痛いのはいやだというナワルピリ。

でも・・・あんたがオイラのために泣いてくれるのは・・・あったかいや・・・

崩れ落ちるナワルピリ。やってきた行為はあれだけど、可哀想なやつであった。
ちょっと間違えば、可愛そうなキャラとして活躍できたかもしれないのになぁ。

ナワルピリを殺したウェスダに言わせれば、ナワルピリは新世界にふさわしい者ではなかったとのこと。
仲間殺しておいてその言い草とはね。こりゃカルディアもマジ顔になるしかない。

滅びるのはお前一人だ!
この蠍の熱ブチ込まれてな!!!

心臓の熱はこの上なく高まっていることでしょう。
いよいよカルディア編のクライマックスは近そうだ。
ついにスカーレットニードル・アンタレスによる死者が出るのか!?こう御期待だ!



第17話 絶頂突破  (2011年 43号)


ナワルピリの死により、カルディアの心臓が熱く燃え盛る。
ウェスダにしてみれば、結果オーライといったところでしょうかね。
その余裕面が苛つく。

あの世で仲間に謝る言葉でも考えな!

力任せにウェスダの腕を振り払おうとするカルディア。しかし、動かない。
図体がでかいだけあって、パワーはウェスダの方がかなり上のようだ。

私は永遠にこの滅びを眺める。永遠に生きる

神の黒曜衣を纏うだけあって、寿命という概念はないというのだろうか。
カルディアを叩きつけて遺跡を割る。
地下に落ちる2人。そこにあったのはテスカトリポカの本体。
そして、その前にはカルディアから吸い取った熱の塊。カルベラもその塊の側にいた。

生贄印により、カルディアから吸い取った力はもう臨界点に達しつつある。
その滅びの力の一端を見せてくれるウェスダ。
カルディアの心臓から熱が奪われる。その熱が、テスカトリポカの前の熱の塊に吸い込まれる。
そして、一条の光線が撃ち出された。
光線は、密林を越え、町を越え、山に着弾。派手な音と光をあげて山が消滅した!!
山が消滅というか、これ山脈レベルで消えてないか?半端ねぇ。これがテスカトリポカの力か。

さすがのサーシャも泣き出してしまう。まだ力に目覚めていない少女ですしねぇ。しょうがない。

これだけの力を見せながら、これはまだ力のほんの一端だという
カルディアの心臓を捧げれば、テスカトリポカの力は頂点へ達する。

人類の滅亡、新たな太陽の昇る世界の幕開け。
その役目を見届けた時、私はこの星から解放される。遠き宇宙へとな!

なんだそのセリフ。実はウェスダは宇宙人だったとか言い出すのか?
言葉の真偽はともかく、ウェスダの右手がカルディアの心臓を掴む。
そして、カルベラに話しかける。我々は故郷へ還るのだ、と。
ふむ、やはり元は宇宙人らしい。妄想の可能性も捨てきれないけど。

言葉を投げかけられたカルベラは涙を流す。
それを見て怒るウェスダ。目からなにを流している?それを止めろ!!
涙も知らないのかおっさん。長く生きてそうなのにモノ知らなすぎるだろ。

ウェスダにしてみれば、妻であるカルベラも特に愛しているというわけではないらしい。
そう定められているから妻として娶るというらしい。そりゃまた身勝手な。

ただ滅びの仕組みに従う。私は数万年そう在り続けた

数万年!?そんなに生きていたというのか?
そんなに長く生きてて涙も知らないとかありえるのだろうか。
こりゃやはり妄想の可能性が出てきましたな。古代から生きているという妄想。古代妄想っすね。怖い怖い。

そんな妄想家には絶対に理解できない。
何故ナワルピリがサーシャをかばったかも、カルディアが今の絶体絶命な感じを凄く楽しいと感じていることも!

そんな奴に・・・!!
世界にも俺の心臓にも、触れる価値はないんだ・・・!

今までよりもさらに熱く心臓を燃え上がらせるカルディア。
正面から対峙し、放つはスカーレットニードルカタケオ
心臓を最大出力にして生まれる超高熱を放つ・・・自らの命と引き換える最大の技よ!

通常のスカーレットニードルは通用しなかったが、カタケオを受けて苦しむウェスダ。
太陽の神官であろうとも、この熱は耐え切れない。

その長くつまらない人生には派手な幕引きだろ?
これをあんたの絶頂にしてやるぜウェスダァー!!

既に14発のスカーレットニードルを打ち込んでいる。ならば、残るは最後の一撃。

スカーレットニードルカタケオアンタレス!!!

ついに決まったアンタレス。
打ち込んだ熱は容量を超え、ウェスダの体を内から焼き尽くす。
スカーレットニードルってこんな派手な技だったっけ!?まあ、カタケオならしょうがない。

・・・言ったろ。野蛮な太陽なんかにはアンタレスは御せやしないのさ。
俺もここが絶頂・・・

命と引き換えに放つというカタケオを打ち切ったカルディア。
駆けつけたサーシャの前で、その命の火が消えようとしていた。カルディア!!

まあ、外伝ですから死ぬことはないと思いますけどね。
ここでいきなり外伝はパラレルワールドなので死ぬこともありですとか言われても・・・アリだな!
心臓の熱が消えそうなら、後ろにある塊から熱を吸い出せばいいじゃない。
というわけで、奪われた力を逆に吸収して蘇る展開が来ると見ますね。

スカーレットニードルで撃破というシーンが見れただけでも、蠍座の外伝としては大成功ですな。
それが、世界を崩壊させる力を持つ神を相手に、ってんだから凄い。これで蠍座の地位も向上だ!
あとは、聖域に帰ってアテナを連れ出した罰を受けるだけだね。本当の絶頂はそこで迎えるのかもしれない。



第18話 女神誕生  (2011年 44号)


戦闘終了。ウェスダを倒し、カルディアもまた命を燃やし尽くした。
そこでようやくカルベラさんも目を覚ます。
カルディアにしがみついてサーシャが泣いている。そのサーシャを気にかけようとするが、突然火の手が上がる。

ウェスダ・・・まだ生きてやがったのか・・・!!

カタケオアンタレスを受けて燃え上がったのにまだ動けるとは、タフなおっさんだ。
とはいえ、もう長くは無い。そうなると、悪役のとるべき道は一つですな。

かくなる上はテスカトリポカよ・・・
世界の一角を・・・いや、この場にいる者だけでも滅し給え・・・!

せこいぞおっさん。世界の破滅を願うだけのハッタリもできんのか!
なんというか、最後まで微妙に残念な人だった気がする。強いことは強いのだが、なんだか残念な人だった。

ウェスダの残念さはともかく、その体が派手に燃え上がる。こいつはヤベェ。人生終わったか・・・!?
そうカルベラが思ったとき、光輝く錫杖が空から降ってきた。
その錫杖を構え、炎を振り払うサーシャ。おぉ・・・ついに女神が覚醒されたのか!

・・・私、もう未来が怖いなんて、絶対に言わないわ。
怖がって・・・止まってばかりいたら、守りたいものも守れないもの。
私は・・・私の持ってる力を怖がらない。
戦女神として現在を全力で進みます!全てカルディアが教えてくれました!

アテナの力により、テスカトリポカの肉体は吹き飛ばされる。おぉ、覚醒したばかりとは思えない力だ。

これで今度こそ脅威は去った。
しかし、カルディアは目を開けてはくれない。
血まみれの顔だが、そこには満面の笑みが浮かんでいる。凄い満足そうだなぁ。
勝手に燃え尽きちゃったカルディアの体にすがりつくサーシャ。

やだよ・・・一緒に聖域に帰ろうよ。
・・・私、頑張って良いアテナになるから・・・一緒にいて欲しいよ・・・カルディア・・・

戦いの女神アテナ。テスカトリポカを封じる程の力を持つのに、こんなに泣き虫な女の子だなんてね。
泣きじゃくるサーシャの頭を撫でるカルベラさん。
大丈夫だよサーシャ。言ったろ?明日は明日の風が吹くってね!

夜が空け、朝日を浴びたカルベラさんの姿が純白に輝く。
カルベラさんも思い出していた。カルベラさんの先祖はウェスダと共に遣わされた。
はるか宇宙の彼方から人類の発展を監視するために

何?本当にウェスダは宇宙人だったというのですか?誇大妄想でなく?そりゃまた、大層な話でございますな。

黒き獣が人類は道を誤った判断し、終末へと導いた後、
白き有翼の蛇は新たな世界の創造を見届けて、星の間へ飛び立つのだ。膨大な生命力を孕んで。

カルベラさんの体から白き蛇、ケツアルクアトルのオーラが立ちのぼる。
さあ、太陽に奪われた熱は太陽が戻さないと

カルベラさんがカルディアの左胸に口づける。すると、聖衣ごしに、心臓に埋め込まれていた牙が取り出される。
カルディアの熱を奪い続けていた生贄印の牙である。
この牙を取り出したからか、熱を取り戻したからか、カルディアが息を吹き返す。
なんだ?俺?まだ生きてるのかと不思議がるカルディア。そこに怒りをぶつけるサーシャ。

カルディアのバカ!!まだ死んじゃダメに決まってるじゃない!!

そして、大泣きしてすがりつく。おやおや。
いい風が吹いてきた。純白になっていたカルベラさんの髪ももとの黒に戻る。これで全て片付いたって感じだね。

数日後。
カルベラさんは日常に戻りました。経営していた酒場も今日から開店だ。
この店は絶対に閉めやしないさ。何回だって来たくなる店にしなくちゃ!
穏やかで楽しい日々に戻ったカルベラさん。
いつか、カルディアやサーシャがやってきてもいいように頑張っていくようです。

疲れちまったらまたおいで。あんたたちのために酒を作るよ

そして、聖域は教皇の間。
カルディアが聖域に戻った翌朝、現代のアテナの初お目見えが行われる。
ここでようやく、一部の黄金以外にアテナの存在が知らされるわけですな。

こんな朝っぱらから集合なんて勘弁してくれよと愚痴をこぼすカルディア。
それと連れ立って歩くのは水瓶座のデジェル

任務でもない外出で勝手に死に掛けて帰るお前に問題があるんだ

世界を救ったというのに手厳しいお言葉!
しかし、なんだか仲が良さそうな2人ですな。本編でも同行してたしなぁ。

教皇の間の前にはシジフォスが控えていた。
なんだ・・・このシジフォスの微妙な表情は!?

・・・まずは・・・ご苦労と言うべきなのだろうな。

もの凄く微妙な表情ながら、アテナ覚醒の功績があるカルディアを慰労するシジフォス。
とはいえ、その感情はいろいろ複雑でしょうな。
詳細にことの有様を知っていたら、激昂していたかもしれない。
サーシャに一緒に居て欲しいと言われたとか知ったりしたらね!おぉ怖い怖い。

さて、現代のアテナことサーシャのお目見えである。
サーシャは思う。あのとき、カルディアのマントを掴んだときのことを。

どうしてあの時私が貴方のマントをつかんだかわかる?
この厳格な聖域で独り途方にくれて逃げた私には、
たまたま見かけた貴方の向こう見ずで子供っぽいところが懐かしく見えたの。
あの時、貴方のマントをつかんでよかった

ふむ。サーシャはカルディアにテンマの姿を見ていたのですな。ほうほう。

そして、ついにアテナとして、カルディアの前に姿を現すサーシャ。
さすがに目を見開くカルディア。目も覚めたようですな。
共に聖戦を勝ち抜きましょうというサーシャに笑顔で答えるカルディア。

カルディア「聖戦か・・・最高の生き場所になりそうだぜ!」
サーシャ「はい。共に行きましょう」

とてもよい繋がりができたようですね。
これを知ってから本編を読むとまた感慨が深くなるな。
聖域が淋しくなったのを感じるサーシャの心情とかいろいろ考えてしまいますわなぁ。

ともあれ、これにて蠍座の外伝は終了でございます!
いやぁ、よかった。カルディアはいかにも少年漫画の主人公っぽくて、見てて安心しますな。
大活躍もしましたし、満足である。しかし、カルディア編はアオリも熱かったな。

男の背中が、少女に勇気をもたらす。
そう、俺たちは熱き絆で結ばれし仲間なんだ


うむ、このノリはいかにも少年漫画であった!よしやよしや。

さて、次号からは新章。水瓶座のデジェルが登場だ!
ここでお目見えになって、そのまま次回の主役か!どういった話になるか楽しみです。



聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話 外伝 3巻


第19話 氷の魔術師  (2011年 45号)


新章開幕!
18世紀のフランスにて物語は始まります。
フランスといえば、貴族による舞踏会!そんなイメージを忠実に再現してくれました。
ナレーションは、ヴィーヴルの紋章を頂く屋敷に勤めているメイド、フローライト

とある屋敷で開かれた舞踏会。
仮面舞踏会なので、メイドも仮面をしております。
仮面と言っても目を隠すだけのスタイルなので、正体を秘密にしているというよりはアクセントみたいなものですな。

あの頃の私はひたすら愚図でそそっかしくて怒られてばかりでした。

フローライトは駄目なメイドらしい。つまり駄メイドだね。ソー駄メイドだね。
今日もつくりかけの料理を運んだりして怒られるフローライト。でもめげません!
この日は屋敷の女主人、ガーネット様のお誕生会である。
見目麗しい貴族の方々が沢山集まる日なのです!

メイドのささやかな楽しみといったところですかね。
給仕としてでも、同じ空間にいるのが楽しいといったところでしょうか。
そして、そこに現れたのは・・・貴族の衣装を纏い、仮面をつけた貴公子。デジェルだ!!

氷原の貴公子、社交界に現る!

アオリも秀逸ですな。
そして、フローライトによる解説が入る。
姿が端麗なのは勿論、側を通られた瞬間、なにやらスゥーッと涼しげな空気が舞った。
まるで一足早く冬の使いがこの会場に紛れこんだかのようでした

うむ、まるで少女漫画のような解説だ。でも、実際凍気を纏っているのだから仕方ない。

デジェルが飲み物を手に向かったのは、遥か北、永久凍土の地ブルーグラード領主の娘、セラフィナ
氷のような綺麗な銀髪とアイスブルーの瞳を持つ美女である。

・・・なるほど、あの方の連れならばあの雰囲気も納得いく。
しかし、セラフィナ様意外とやりよるな

やりよるなとはなんだね、駄メイド。内心では割とひどいなこの子。いいキャラだ。

飲み物を乗せた盆を手に、余所見しながら歩いていたものだから人とぶつかるフローライト。
お客様である貴族に思いっきり酒を浴びせてしまう。やってしまいました・・・
しかも、浴びせたのは、国境いの侯爵家のバカ息子であるジェット。品のない男だそうだ。ボコボコな評価だな。

その品のない男に、腕を踏まれるフローライト。
床には割れたグラスの破片が散らばっているので、もちろん腕に突き刺さる。こりゃ痛い。

俺の服は気にするなぁ。それより早くこの琥珀の床でも綺麗にしてやりな・・・お前の赤い血(ワイン)でな!!

これはまた品のないやつでありますな。とても貴族のバカ息子っぽいけど。
今月に入って何人も殺しているというジェット。危ない奴だ。
そんなジェットを華麗に止めたのが、我らのデジェル。

カリツォー

出た出た、カリツォー。アニメでいうなら氷結リング。
バカ息子を取り囲むように氷の結晶が舞い踊る。
指先から氷の結晶を噴出し、動きを封じるその様はまさに、雪と氷の魔術師のようでありました。

叩き出して騒ぎになるようなことはせず、極めて静かに追い出してしまう。この辺りはさすがデジェルですな。
カルディアなら舞踏会の会場も巻き込んで大騒ぎにしていたに違いあるまい。

気絶したジェットはその場の誰かに任せて、フローライトの腕を気にするデジェル。男前だ。
ここでようやく、フローライトに名前を明かす。ギリシアより参ったデジェル。雪解けという意味の名である。

てっきりセラフィナ様の連れとしてブルーグラードから来たのかと思っていたフローライト。
しかし、デジェルはセラフィナ様の口利きでこの場に連れてきて頂いたのだと説明する。
目的は、この屋敷の主、ガーネット様の美しさを一目見ようと思って、とのこと。
その評判は近隣諸国に届いているという。ほう。このデジェルの言葉を聴いて、フローライトの内心。

あ゙ー・・・正直がっかりです
またこの手合いの男かと思いました。

やっぱり内心はひどいな、この駄メイド。
仕方ないので聞かれたとおりガーネットの説明をするフローライト。
その瞳も唇もまるで人を圧倒し惑わす宝石のよう。
この地はあの方の美しさでもって誰も手を出せず外敵の侵略すら防いできたという。

それはまた凄い話だな。逆に美しい女性がいれば攻められたりするものかと思うのだが。
そしてフローライトはタフだな。血塗れた指を立てて説明を始めている。デジェルもこれには冷や汗。

つまり!あの方はその身の持つ美で民も敵も統べ続けておられるのです!
そして、あの方の一番の魅力と言えばやはり・・・

その言葉と共に、音楽が流れ出す。
これぞまさにジャスト・タイミング!!
指を鳴らすフローライト。品がないな。

どうやら屋敷の主、ガーネットが現れるらしい。
フローライト曰く、あまり聞き惚れると引きずり込まれるらしい。

それは万人を異世界へ誘う強烈な魔性。耳にした者は全てあの方を愛してしまうのです。
ガーネット夫人の美声によって

その言葉の通り、会場に響き渡る歌声を聞いた貴族たちはみな涙を流し、その場に跪く。
デジェルにも軽く効果はあったらしく、足元をふらつかせる。
これは・・・どう考えても普通の歌ではありえない効果ですな。あるいは魔の技であるか・・・

この時私は思いもよらなかったのです。
まさかこれが血も凍るほどの惨劇の幕開けとなるなどと・・・

フローライトの締めのナレーションを聞くと、まるでここから連続殺人事件でも起きそうな気配がある。
名探偵デジェルがその謎を解き明かすって展開ですな!アリだな!いや、どうなんだろう。

カルディアのときの荒っぽい展開とはかなり違う耽美な展開。さすがにデジェルというべきか。
ナレーション役のフローライトもいい性格をしているし、楽しめそうでありますな。
しかし、ガーネットは評判の割りに・・・年のせいであるか?まあ、貴族的な美しさはあるのかもしれぬが。
実際、外敵を防いでいるというのも美貌というよりは、その歌声によるものでしょうしなぁ。
そういえば、フローライトはこの歌声を聴いても跪くことはないんですな。何故だ?
その辺りも含めてフローライトには何かがありそうだ。タフだし。

そういえば、ガーネットとフローライトはどっちも宝石の名前ですな。
その辺も考えればどれだけこのメイドが重要キャラかわかるというもの。
え?ジェットも宝石の名前だって?あ゙ー・・・うん、バカ息子も後で重要な役割があるんだよ、きっと。



第20話 石榴石の宝石箱  (2011年 46号)


どんな者であっても跪かせるガーネットの魔性の美声。
しかし、その美声に最後まで抵抗するデジェル。

なにかが起こる予感が致します

そう語る駄メイドことフローライト。
やはりこの子にも美声は通用していないようだが、何故だろう?
音楽を理解する雅な感性は持っていないから!とか言い出すのだろうか。

さて、ガーネット婦人に跪く時間はお仕舞い。普通の舞踏会に戻ります。
舞踏会らしく音楽に合わせてダンス。貴族らしい風景ですな。
ホストであるガーネットは多数の相手から声をかけられるが、それらを全て交わし、目的の相手に近づく。
もちろんその相手はデジェルである。踊りの相手を願い出るガーネット。
隣のセラフィナさんがやたらと心配そうな表情をしているのが気になりますな。

聖域。天蠍宮。
カルディアの心臓がまた熱く燃え上がっているらしい。
カタケオを使った後遺症が出ているのでしょうかね。
その看病に訪れているサーシャ。おやおや、仲がよろしいことですな。
やはりこちらにおられましたか、とセージ。どうやら足しげく通っているようだ。本当、仲良いな。

カルディアの心臓の発熱を止められるのは凍気を扱うデジェルのみである。
サーシャはセージにデジェルを見なかったと問う。
セージが言うには、聖域にとって重要な人物の探索にフランスに行っているとのこと。

重要な人物。その人物は1年前、ある女の統治する地へ行き消息を絶っていた。
が、つい先日。セージとデジェル宛に1通の手紙が届いた。
その手紙にはただ一言「助けてくれ」とあったという。

手紙を出した男の名前はクレスト
前々聖戦終結後よりずっと北の大地より聖域を見守り続けた男である

ぜ、前々聖戦!?
まさか聖戦を2度に渡って経験したというのですか!?
そうなると400年ぐらい生きていることになるが、何者なのだろうか。
まあ、童虎の師匠のように人間をやめてしまっているのもいるし、長生きしているのがいても不思議ではないのか。
コールドスリープを繰り返して長く活動しているのかもしれないですし。
吹雪の中、上半身裸でいるイメージ図からして只者ではない。もしくは正気ではない。

そんなクレストは、デジェルの師である

水瓶座には師弟関係とは切っても切れないものがあるのでしょうか。
上で出たようにコールドスリープしている時間が長くて、師匠といっても形だけだったりして。
なので、代行としてクレストの弟子のクリスタルセイントがデジェルに技を教えていたとかいう展開はどうでしょう。
クレストは直接の師ではないが、師の師ならば師も同然って展開ですよ!来るか!?

それにしても、デジェルが聖域を離れたことに対して不満そうにするサーシャは可愛いですな。
可愛いけど、どうなんだろうそれは。カルディア好きすぎるだろう。

さて、フランス。
ガーネットと踊るデジェル。それを見ているセラフィナさんの表情が冷たく見えるのはひょっとしたら気のせいじゃないかも。
直に会って思うが、この女は只者ではない。
やはり先生はここにいるのではないかと考えるデジェル。
そのデジェルに直接的な言葉で挑発してみせるガーネット。

やっとお会いできましたわ。黄金聖闘士。水瓶座のデジェル様

ここまでハッキリ言われてはとぼけようもない。
さらにガーネットは言う。貴方のことを毎日話してくださる方がいると。

そうクレストよ。そんなに彼に会いたいなら・・・
貴方も今宵、私の宝石箱に入れてさしあげましょう

スルっとスカートの裾をたくし上げるガーネット。
その陰には暗い空間が存在していそうに見える。なんだろう、四次元空間になっているのでしょうか?
というか、クレストはスカートの中に潜んでいたりするんでしょうか。
婦人のスカートに入って出れなくなり、弟子に助けてもらおうとする老人
クレストはどれだけ駄目な人なんだよ!!

挑発するガーネット。そこに鳴り響く銃声。
長銃を携え乱入してきたのは、フライユ夫人。
夫人の夫はガーネットに入れあげ、大量の宝石を贈っていたらしい。
最後には実らぬ恋と失った財産を儚んで首を吊ったそうな。なんとも哀れな。
ガーネット曰く、こっちは何も要求していない。全てあちらが勝手にしたこととのこと。哀れな。

フライユ夫人は残った財産を使って兵を募っていた。
多数の兵が銃を構えている。これならば、普通の女性ならばひとたまりもない!死んで頂戴!ガーネット!!

これはいかんと客の安全を確保しようと動くデジェル。
だが、それは飛び出してきた子供たちに静止させられる。
ガーネット曰く、彼らはこの館の精鋭とのこと。

裂いた肉の血を司る紅玉髄(コーネリアン)
幻影を与える玉髄(カルセドニー)
電気を操る電気石(トルマリン)
炎を拳に宿す火打石(フリント)
そして彼らを束ねるリーダー、乱反射を司る光の山(コー・イー・ヌール)

その実力はヴェルサイユの一軍にも匹敵するという、5人の宝石児たち!!

あっというまに、フライユ夫人と兵たちを制圧してしまう宝石児たち。
そして、ガーネットはデジェルに今夜は当家にお泊りいただくよう提案する。

楽しい誕生会に致しましょう。

美しい笑みの裏には殺気が見受けられる。果たしてデジェルはどう動くのか!

いきなりの子供たち登場。
この子供たちを容赦なく打ち倒す黄金聖闘士が見られるわけであるか。
いや、でもデジェルならスタイリッシュに倒してくれそうだし、そう問題のある図にはならないかな?
これがカルディアなら大問題だ。荒っぽい大人に突かれてのたうち回る子供たちという構図になる

それにしても、宝石の中でもずいぶん格差があるんじゃありませんかね?
リーダーのコ・イ・ヌールといえば、かつては世界最大のダイヤモンドと呼ばれたものである。
それに対し、フリント。火打石って宝石じゃないじゃないですかー!!
と思って調べてみると、ヨーロッパのフリントと日本でいう火打石は材質が違うらしい。
フリントの材質は玉髄や黒曜石、サヌカイトなどが用いられていたという。
へぇ。ちゃんと宝石のようなものなんですね。でも、やっぱり微妙。
炎を操るという辺りから、もうデジェルに真っ先にやられる姿が思い浮かんでしまう。

そしてそして、電気石ことトルマリン。
君は女の子なのかどうなのか!?すっごい気になる!!
見開きで見せた雌豹のポーズを見ると、女の子だと思いたいところであるが・・・どうなのだ?
まあ、LCの場合は本編でパンタソスという罠を張られた前例があるので、過剰な期待はできない。
過剰な期待をするなら、玉髄ことカルドセニーも女の子に見えなくもないですしね!
あと7週以内に去ってしまうには惜しい子達であるなぁ。



第21話 火打石  (2011年 47号)


館の主人であるガーネットに誘われ、デジェルは一晩泊る事になった。
セラフィナさんとはここでお別れである。
危険と分かっていながら、留めておくわけにはいかないですし、しょうがないですわな。
しかし、デジェル。
女性と連れ立って現れ、他の女性と会うために留まるとは。やりおるな。

セラフィナさんはクレスト先生とも面識があるのだろうか?
デジェル経由で知り合っているのかもしれませんな。
必ずクレスト先生を助け出すと誓うデジェル。
そのデジェルを見て軽く頬を染めるセラフィナさん。おやおや。いい感じですな。ここに弟いなくてよかった!

セラフィナさんは馬車にフライユ夫人を乗せていた。
金で雇った兵はどうなったか知らないが、夫人はちゃんと生かして帰されることになったんですね。
よかったけど、財産を含め全てを捨てて挑んだのに一蹴されたフライユ夫人はこの先どうなるのやら。
セラフィナさんがいいようにしてくれると考えましょう。

フライユ夫人が言うには、ガーネットに不幸にされたのは私だけではないとのこと。
皆あの美声に騙されているという。まあ、夫人のおっしゃることは正しいんでしょうな。

2人を見送るデジェル。これで敵地に一人となったわけだ。
舞踏会はまだ続いているようだが、そこに戻る必要はない。
動くのは、この明かりが全て消えてからということになる。
しかし、豪奢な舞踏会だ。まるで一時の夢のようであるなぁ。
その感想を抱いたからか、クレスト先生との会話を思い出すデジェル。

少年だったころのデジェル。クレストはそのころから老人だった。
2人が見ているのは何万年も溶けたことがないという永久氷壁
そこに無数の白鳥が飛来している
クレスト曰く、あの永久氷壁の中になにかが生まれつつあるとのこと。
ほほう。ここで白鳥座の聖衣についてのネタを絡めてくるとは。いいですなぁ。
クレストは言う。

何万年も溶けたことのない永久氷壁さえ、悠久の時の中では一時の夢のようなもの・・・
変化し、滅びゆく前に次へ繋ごうとなにかを残してゆくのは自然なことかもしれん。

この世にあるものは全て滅びの因子を含んでいる。
その短い期間で皆あくせく次へ繋ぐ。なんと脆く儚い者たちよな。
誰かが護り続けねばならん・・・
それがアテナの聖闘士なのだよ、デジェル。

ふむ。人よりもはるかに長く生きていると思われる人のいうことは含蓄がありますなぁ。
デジェルはクレストから多くのことを教わった。
戦闘だけではなく、多くの知識を。そして、人としての生き方を・・・

どうやらいい先生だったみたいですね。
この聖闘士の師匠の当たり外れの大きさは一体なんでしょうね?
いや、全体を見るとほとんどいい先生だったかな。デスクィーン島の人たちはさておけば。

儚い一時の夢か・・・

それは、あんたの命のことかい?水瓶座さん。

デジェルの呟きに応える者がいた。宝石児の一人、フリントだ。
どうでもいいが、なんだその姿勢。どう考えても辛い姿勢だろ、それ!
子供は変なところで見栄を張ろうとするから困る。

ノックもせずに入ってくるとは少々品がないと指摘するデジェル。さすがですな。
これでは主の品格も疑われる。そう挑発すると簡単に激昂するフリント。さすが火打石。打てば燃え上がるぜ。
炎の拳のフリントが襲い掛かる!
その両腕には手甲のような者がつけられている。
全身を覆うタイプではないが、これも冥衣の一種なのだろうか?

喰らえ!ストーンスパーク!!
ほら!ノック!!ノーック!!

そんな激しいノックがありますか。やはり品がないな。
炎を纏った拳だが、それは突如現れた氷が塞ぐ。

さて、子供の火遊びはここまでにしようか!

氷が砕けたとき、そこには水瓶座の黄金聖衣を纏ったデジェルの姿があった!
いちいちカッコいいですな、デジェルは。さすがにメイドに魔術師と称されるだけのことはある。
デジェルの凍気はフリントの両腕を凍らせる。
子供を痛めつけるのは気が進まないが、どうしても聞いておかないといけないことがあると言うデジェル。
その笑顔がなんとなく胡散臭い。本当に気が進まないのかね?
マナーを叩き込むとかいって躾けだしそうな雰囲気があるぜ。

デジェルの質問はクレストについて。この屋敷に囚われているはずだが、どこにいるのか。

知るかよ、そんなん!!ついでに一言言っとくぜ!
俺が子供の姿に見えるからって・・・なめんなよオオォォ!!

腕の氷を背後の壁に叩きつけ、壁ごと砕くフリント。
壁を砕いたのは勢いが余ったからではない。その壁の向こうにいた者を人質に取るためだ。

純真な子供がこんな手は使わなェよなァ?

フリントの腕の中にはフローライトの姿があった。何故ここに!?

えーっと・・・デ、デジェル様ストーキング?

なるほど。ストーキング中だったのなら仕方ないですね。納得だ。
と上手く誤魔化せそうだったが、フリントが言うには、前からよく屋敷を怪しげにかぎ回っていたらしい
ガーネットはもちろんそんなフローライトの動きに気付いていたが放置していたらしい。
ふうむ・・・何者なんでしょうな、この駄メイド。
どこぞの密偵?にしてはバレバレだし、ドジだし。何者なんだろうなぁ。

ともかく、人質にされるフローライト。
その目の前で、フリントの両拳が打ち鳴らされ、炎が吹き上がる。
二人一緒に焼け死にやがれェエ!!

これにはやむを得ないと判断するデジェル。

グランカリツオー!!

氷の輪がキツくフリントの体を締め上げる!
カリツオーとは小宇宙によって凍気を輪状に凝縮させ。相手の動きを封じる技。
グランカリツオーはさらに強大な・・・絶対零度に近い低温と極度の圧力を相手に与えるのだ!

炎をかき消し、かつフリントのみを抑え込む。
これだけ精密に技を操ることができるのもデジェルの特徴でしょうな。
しかし、何がやむを得ないんでしょうか?殺しきっちゃうわけでもないようだし。言ってみただけか?

動くと凍りついた体が砕け散ると忠告するデジェル。
しかし、フリントは何も語るまいと自ら砕け散り、そして石となった。
これは何だ?宝石児は人間ではなく、宝石から生み出された生物ということなのか?宝石モンスター?
デジェルは凝った趣向だなと御満悦だが、果たしてどうなるのやら。
子供が相手じゃないとわかったので全力で倒しにかかってきたりして。怖いわデジェル。

フローライトの謎もありますし、いろいろと気になるデジェル編ですねぇ。
それにしても、新技のグランカリツオー。凄い技だが、その名前はどうなんだろう。
グランといえば、フランス後で「大きい、偉大な」という意味がある。
舞台がフランスなだけに相応しいか。でも、カリツオーはロシア語で輪を意味する言葉である。
多言語ミックスとは感心しませんな。
これは、光の山辺りにツッコミを入れられるフラグと見た。

貴様は甚だしい勘違いをしている。「グラン」はフランス語で「カリツオー」はロシア語だ!!

言われたからって、だからどうしたと言える内容だが、格好良く言われると負けた気になる。
そんな感じの戦闘になりそうな気配がしてドキドキだぜ!!



第22話 消えた父と師  (2011年 48号)


炎の拳を持つフリントを撃破したデジェル。
どうやら面白くなってきたらしい。ならば、こちらはどのように出てみせようか・・・

知性派デジェルの頭脳が冴え渡る・・・

指をアゴに添えた状態でこのアオリが入るとは。本格的に推理漫画みたいですね!

とりあえずフローライトを安全なところにやろうと考えるデジェル。
だが、それを拒否するフローライト。ついて行かせてくださいと頼んでくる。
単なるストーカー根性でそう言っているわけではあるまい?
フリントが言っていた、以前から怪しい挙動をしていた理由について問うデジェル。

・・・この屋敷には、恐らく失踪した私の父がいます

屋敷の周りでは数年前から度々人がいなくなっているらしい。
それは決まって、ガーネットの歌が響くときに忽然といなくなる、と。
思いっきり怪しいじゃないですか。よく魔女狩りとかいう話になってないもんだ。

しかし、納得。父の手がかりを探すために屋敷に仕える事にしたわけか。
それなら探りまわる動きがバレバレなのも頷ける。本当に素人なんだな。

だからお願いですデジェル様!
足手まといにはなりません・・・!!私を連れて行ってください!!

ついさっき人質に取られてたのに、足手まといにはならないとはよく言う。
まあ、それだけ思いは強いと見ることはできますけどね。
でもひょっとしたら、強い可能性はあるフローライト。
フローライトといえば、蛍石。蛍石といえば、光ファイバーに欠かせないフッ素を大量に含んでいる
つまり、本気になれば光速で動き回れる可能性を秘めた名前なんだよ!
黄金聖闘士並の力ってことになるな。やりよるフローライト。
まあ、実際のところ、フッ素は屈折率の制御に使われるだけで、光速部分とは余り関係ないんだけど。

フローライトの頼みを聞いたデジェルは、肩に担ぎ上げる。
少女とはいえ、そこそこの年齢と体格のはずなのに、簡単に持ち上げてしまうのは、さすがに聖闘士。
君のようなものは放っておいても首を突っ込んでくるからな、とデジェル。
さすが知性派はよくわかっておられる。
ならば目の届くところに置くのが一番安全だと言う。
たぶん一番安全なのは、ここに拘束しておくことだと思います。
せっかくだから、フリージングコフィンを使っておいたらいいんじゃないでしょうか。安全だよ?

ともかく、フローライトを連れ歩くと決めたデジェル。案内を頼む。
さすがに探りまわっていたフローライトは怪しい場所にも心当たりがあるらしい。
それは、地下水路。まずはそこを調べることになった。

さて、屋敷の主ガーネットはどうしているか。
少年をはべらせて入浴していました

なんというか・・・いい趣味してますな。
LCは女性の入浴シーンが多い気がする。少なくともこれで3回目だ。
とはいえ、少女の入浴シーンは簡単には描けないんでしょうな。
だからといって、どこかの教皇の時のような男の入浴シーンを出されても困る。うん。

入浴した状態で、フリントがやられたと報告を受けるガーネット。可哀想にの一言で済まされます。可哀想に。
周りの宝石児たちも、フリントなど我らの中では一番の小物という扱い。
品がないうえに、一人だけ透明な石じゃないのだからしょうがない。まあ、そうだな。
実際、なんで火打石なんて選択したのやら。

さて、地下水路に向かったデジェルたち。
その眼前には巨大な扉。しかも厳重にカギがかけられており、怪しい雰囲気満点である。
まあ、南京錠なんて凍らせてしまえば簡単に砕けます。デジェルにはないも同然だ。

中は書斎?本が大量に並んでいる。
この蔵書の揃い方はどこかクレスト先生を思わせる、とデジェル。
さらに、老人らしきものの影がうっすらと見えた。
もしや、見つけたのか?こんなにあっさり。教皇とデジェルに宛てた「助けて」とはなんだったのだろうか・・・?

奥に入ってみると、そこには鉄格子の牢獄。
そして、そこに入っていたのは・・・フライユ夫人!?
なんでフライユ夫人が!?セラフィナさんと共にここを発ったはずなのに・・・ト、トリックだ!

疑問は多いが、ともかく助けようとするデジェル。
知性派と言われるけど、結局は直情的なのよね。だから、簡単に背後を取られる。

相変わらずよなデジェル。戦地においては常に冷静であれと、あれ程言ったものを。

このセリフ。やはりクレスト先生なのか?
嬉しそうに振り向いたデジェル。だが、その眼前にいたのは・・・コー・イー・ヌール!
デジェルの凍気を纏った一撃を、同じく凍気で防ぐコー・イー・ヌール。
この凍気、確かに覚えがある。まさか・・・!?

せっかく呼びつけてやったのに、進歩が見られんのは残念だ、デジェルよ。
・・・やはりアテナの聖闘士は無価値!この手で淘汰せねばならん!
ガーネット様へ絶対の忠誠を誓う、コー・イー・ヌールのクレストとしてな!!

なんと!?
囚われていると思ったクレスト先生が、宝石児の一人になっていたとは。
宝石児は宝石から作られた存在かと思っていたが、それだけではないのだろうか?謎である。
知識と力を吸い取られただけで、正体は宝石だった、という可能性もありますけどね。

そうなってくると、フローライトの父親も宝石児になっている可能性がある。
トルマリン辺りが凄く怪しい。微妙に雰囲気あるしな。
でも、父親がはべらされて、あーんとかしていると知ったら娘的にどうなんでしょうね?
その場面は見ていないから問題ないか。
そういえば、フローライトにはガーネットの歌が効いていない謎が残っていましたね。その辺りも気になるところですな。
うむ、やはりデジェル編は謎が多い。名探偵デジェルの知性に期待だ!



第23話 光の山の眺め  (2011年 49号)


老人のはずのクレスト先生が美少年に!?
今週も秀逸なアオリで始まるLC外伝。美がつくのがポイントですよね。
しかも、その姿は、短パンに腿まであるロングブーツという出で立ちだ
そりゃデジェルも動揺する。そのお姿は・・・と尋ねたくもなる。姿が若いからってそれはないっすよ!

唖然としているデジェルに乱反射の凍気を浴びせるクレスト先生。

ダイヤモンドダスト

光と結晶の乱反射。まさしくこれぞ、師クレストの技である。
聖衣もなしで強大な小宇宙を持っているという。やばい相手ですね。

コー・イー・ヌールの紹介時に、光の乱反射を操るという話がありました。
そこからクレスト先生と繋げて予想した人もいるらしい。やりよりますな。
ところで、クレスト先生は何座の聖闘士だったのだろう。
元水瓶座なのか、それとも全く違う星座なのか。明かされることはあるかな。

弟子を挑発するクレスト先生。いや、挑発と言っても格好で挑発しているわけではない。言葉でだ。
それを受けて、倒れながらもグランカリツォーを放つデジェル。
だが、それはあっさりと跳ね返されてしまいました。新たな技がもう敗れただと!?

クレスト先生曰く、攻撃に迷いが見えるとのこと。
身内相手では戦場でも力が入らないらしい。やはり甘いな。
デジェルは納得がいっていない。
クレストは誰よりも長く聖域に貢献した偉大な方である。
なのにどうして今、こうして聖域に敵対するのだろうか。何故!!

クレスト「デジェル・・・お前は今年で幾つになった?」
デジェル「じ・・・17です

私はすでに五百数十となる。とクレスト先生。
なんと。やはり前々聖戦の生き残りという表現は間違いじゃなかったんだ!長生き!!
しかし、それよりも、デジェルが17というのが驚きですな。
あれだけ見事に社交界での動きを見せたというのに・・・落ちつきがハンパない。
でもカルディアと同じくらいと言われると納得できなくもない。カルディアのおかげで。

最古の聖闘士であるクレスト先生は語る。
多くの聖戦を眺めてきた。ハーデス、ポセイドン、アレス・・・その他数多の邪悪な侵略者たちとの争い。
一つの戦いが終わり、その傷が癒える頃にはまた新たな侵略者が現れる。
まこと全ては一時の夢のくり返しよ。

ほう。ポセイドンやアレスとも度々戦っていたのですか?
他にもテスカトリポカのような相手とも戦ってきたんでしょうなぁ。

クレストはいつもそのことを憂いていた。
何故争いはなくならないのか。結局、常命の我々は神々に翻弄されるしかないのか。
懊悩の果て、一つの答えに辿り着いたクレスト。

真に平和に必要なのは、死なぬ人間でなければならぬのだとな!!

不死と来たか!
50年前、それを可能にする人間に出会った。それがガーネットである。
彼女は50年前から今と変わらぬ姿であったという。
そう、彼女は既に不変である術を身につけていたのだ。
戦い以外で民を統べる、その歌声と共に。

クレストはガーネットの誘いを受け、この地にやってきた。
古い肉体と共に、アテナと聖域への忠誠を捨てるために。

この地上は彼女の歌声によって変わる!!
人間の人間の手による永遠の平和がついに実現するのだ!!

なんとも胡散臭い話でございますな。
死ななくなると平和になるという論法がよくわからない。よってツッコミにくい。困った話だ。
というか、常命の身〜とか500年以上生きている人に言われましてもなぁ。
そして、どうやって古い肉体を捨てたのだ!?
捨てようと思えば、簡単に脱皮できたりするんですか?何者だアンタは!

というわけで、クレストの考えにさっぱり共感できないデジェル。
この考えに異を唱えるなら、アテナと共に死をもって証明してやろうという。
が、ここに乱入者が登場。
いつのまにかデジェルの側に座りこんでいる少年。カルセドニーだ。

普段は動きたがらないカルセドニーだが、今日はガーネット様の誕生日なので頑張ると言う。
マントを掴んでお相手してもよいか確認するカルセドニーはなんとも怪しげであるなぁ。

そして、乱入者はもう一人。電気石のトルマリンである。ここで来たか。
コー・イー・ヌールの出番はまだ先である、とガーネットは命令しているようだ。
まずはこの2人を打ち破らなければなわない。
しかし、デジェルは未だにクレスト先生が敵対したことが信じられない様子。甘い奴だ。
だから、クレスト先生は見せる。白銀の髪を。
間違いない。あれはセラフィナ様の髪!!

セラフィナさんはガーネットと共にいるらしい。
まあ、フライヤ夫人が捕まっているなら、セラフィナさんが捕まっている可能性も高いですわな。
それら含めて全て幻覚という可能性もあるけど。

去っていくクレスト。去り際に言葉を残す。

さあ、向かってくるが良いデジェル。
悠久の時を生きた私たちの元に。
一時の夢の答えを見せてくれ

ふむ?
何やら意味深なセリフでございますね。まあ、試しているのは間違いないでしょう。
本当に常命の者であるデジェルが、クレストやガーネットを打ち払う。
それでこそ、一時の夢にも意味があるという話なんでしょうか?

トルマリンも、デジェルには弟子として、聖闘士として進んでもらうと言っている。
これはクレストだけでなく、ガーネットも倒されることを望んでいたりする?
まあ、そうなるかどうかはわからない、ってとこなんでしょうな。
ガーネットの敵を全力で排除しようとするトルマリン。
その電撃を弾き飛ばすデジェル。どうやらやる気になったようだ。

・・・これが貴方の・・・クレスト先生の課題なら・・・
五百数十年の思考の果ての課題なら・・・解きがいもありましょう。
私はいつも通り、貴方の思考を追うだけです。

師の問いに答えるは弟子の勤め!!
知性派デジェルの師匠らしく知性的な問いかけでございますな。

ともかく、答えを出すのは辿り着いてからになる。まずは目の前の2人を倒すのが先決。
すまないが、早く片をつけさせてもらう。
この氷原のダイアモンドによってな!!

デジェルもダイヤモンドダストを使うのか!?
でも、ダイアモンドだしなぁ。違う技が飛び出す可能性がある!
ともかく、オーロラエクスキューションは最後にとっておくとして、それ以外の技で勝ち進む必要がある。
グランカリツォーは早速敗れたし、残りの技で勝ち進むのだ、デジェル。知性派の技選択を見せてくれ!



第24話 電気石と玉髄  (2011年 50号)


左手と右手、両方の手で別の方向に同時にダイヤモンドダストを放つデジェル。
器用な真似をしますな。さすが魔術師と呼ばれるだけのことはある。
必殺の一撃だったはずだが、目標の2人を捉える事はできなかった。姿が消える。

どうやら一度宝石の状態になって、姿をくらましていたらしい。そんなことできるのか。
姿を現したカルセドニーがデジェルの目を覆う。
あんまり戦うのは得意じゃないと言うカルセドニーだが、これができるなら暗殺もできるんじゃない?

どちらにしろ、ここからが幻覚を操るカルセドニーの本領発揮である。
目隠しをとったとき、そこには無数のトルマリンとカルセドニーの姿があった。
それはそれでいいのだが、何故この2人はことさらにくっついているのだろうか?いや、いいんですけどね。

幻覚なのはまるわかりだが、その実在感は相当なものらしい。
言ってしまえば実体のない本物です、とのこと。
そうなると、幻覚といようりは霊体でも噴出しているんだろうかと思えてきますな。
なんにしても、これで防御面は完全となった。
次は攻撃面。カルセドニーに攻撃力はないので、トルマリンが補う。

僕らが2人合わさればご機嫌に最強さ!

トルマリンが言うのもわかりますな。いいコンビネーションだ。
でもまるで2人揃って出ないと電撃が出せないような演出はなんなんでしょう。
やりたかっただけ?それなら仕方ないですな。

一時の夢ははかなく消えるもんさ!
ダスリングボルテージ!!

ものすごい威力の電撃が直撃し、黒コゲになるデジェル。おー。
前のめりに倒れたデジェル。喜ぶ2人。
死体だけでもガーネット様に誕生日プレゼントしようかと言い出すトルマリン。
この人綺麗だし、琥珀に入れて飾ってくれるといいよねとカルセドニー。
黒コゲにしちゃったら、元が美形でもダメっしょ。

そもそも戦いはまだ終わっていない。
通路の気温が凄い勢いで下り、凍り付いていく。通路中が完全に氷で覆われた!

氷の陣だ

通路は地下水路に通じている。
その水を利用して、通路を氷で覆ったらしい。
そして、その氷は乱反射し、人の視覚を惑わすダイヤモンドの内部のようになる。
つまり、さっき電撃で倒したのは、氷に映った虚像だったのだ!

ふむ。そうなると、やられたふりして叫び声あげて倒れて見せたってわけですか?
声まで虚像じゃできないでしょうしね。芸達者だな、デジェル。ぐああああー!!

まあ、そもそも当たったところで倒せはしないんですけどね。
デジェルを取り巻く超低温の中では、トルマリンの電撃は力を失っていくのだから。
化学的なお話ですな。氷を操るデジェル相手に電撃は相性が悪かった。

その辺りの詳しい講釈は省略し、拳でわからせるデジェル。
分からんのならば受けろ!この・・・先生譲りの光と氷の結晶の乱反射・・・!!

ダイヤモンドダスト・レイ!!

氷の陣を利用したダイヤモンドダストか!
光が激しく乱反射を繰り返す。通路全体を覆う攻撃のため、全ての幻覚をいっぺんに打ち消してしまう。
レイは、光線のレイなんでしょうな。
発展技というよりは、環境を利用した応用技といった感じだ。
これが、ダイヤモンドダスト・零!!だったら、グランカリツォー並に発展技かと思ったところだ。

ともかく、トリマリンとカルセドニーの2人も撃破。ともに宝石が砕け散りました。
このまま進ませて貰う!とデジェル。うむ、見事な勝利ですな。

一方、ガーネット。
その部屋のソファーにはセラフィナさんが寝かされていた。
どうやら、フライユ夫人と馬車に乗って離れようとしたが、宝石児に襲われ攫われたらしい。
ふむ。そうなるとあのフライユ夫人も本物だったのですな。酷い目に会いっ放しだな、夫人。

急いでフライユ夫人を探さないと、と立ち上がろうとするが、鎖で足を繋ぎとめられている。
前回はサーシャが鎖で腕を封じられてましたが、今回は足環でございますか
そうなると、次は・・・どうなるのかな〜っと。

現状を把握したセラフィナさん。次に、奥のベットに何者かの姿があることに気付く。

・・・美味しい。美味しいわ、コーネリアン。もっと頂戴・・・

ベッドの上に腰掛ていたのは、宝石児の1人、コーネリアン。そしてその主人のガーネット。
ズズ・・・とコーネリアンの口から生気を吸い取っているらしいガーネット。
コーネリアンは少年の姿だったはずなのに、老人のような、ミイラのような姿になってしまっている!!

酷い扱いだな、コーネリアン。
と思ったが、宝石の化身である宝石児はこのくらいなら直ぐに元に戻るらしい。
彼らの仕事は、人間の生気を抜いてガーネットに届けること
ガーネットが永遠の美貌を保たせていられる原因はこの行為だったのだ。

民の心を捕らえながらも、その土地を平和に治め続けなければいけない。
そのために、領民を攫い、犠牲としてきたというガーネット。
彼らを糧に私はこの美貌と美声をもって、永遠に民を魅了し、君臨するのです!!

特に貴女のような乙女は・・・その犠牲に最もふさわしいわ

助けてデジェル・・・

妖艶なる魔手・・・乙女の危機!
アオリも満点な危機的状況。果たしてデジェルは間に合うのか!
少しぐらいなら速度を緩めてもいいんじゃないかなーとか思わないでもないが、急げデジェル!
怪しいことをせずに、ただ生気を吸われるだけだと困りますしね。

しかし、ガーネットの不老の秘密はやはりこういった手法でしたか。
魔女らしい話ですな。永遠の美のために乙女の生血を啜るとか、その手の伝承はことかかない。
そうなると、クレスト先生は一体ガーネットの何を認めたのやら?
現状だと、どこにも人類の未来につながる部分がないように見えますが・・・はてさて。
まあ、助けてくれと手紙を寄越したぐらいだし、あの言葉が本気かはわかりませんけどねぇ。



第25話 石榴石の秘密  (2011年 51号)


デジェルが宝石児の相手をしているころ、フローライトは奮闘していた。ハクヒョーヒ!!
通路をまるごと凍らせたりしたら、そりゃ寒くもなるわな。

ガーネットの歌声を聞き、書きかけの小説を残して消えてしまった父。
その父を探すためにこの屋敷にやってきたフローライト。簡単に諦めたりはしない。
デジェルが帰ってくる前に何か漁ってみようと探り始める。
見よう見まねで壁をゴンゴン叩いて進むフローライト。音の違いとかわかるのかね?
まあ、それが功を奏し、隠し部屋のスイッチを押し当ててしまう。やるじゃん。

書庫に隠し扉。これは確実にイベントが発生しそうな流れですね。
禍々しい空気を感じながらも、隠し扉の奥に進むフローライト。
奥の明かりに向かって進む。そこには・・・人が宝石の中に封じられ、無数に乱立していた!
しかも、その人たちは干からびてミイラのようになっている。
宝石児たちはここから生気を吸い取ってガーネットに供給していたのだろうか。
まるで琥珀の中の虫のような状態だ。

悲鳴を押し殺しながら進むフローライト。
その途中で、見覚えのある服を見つけてしまう。これは、あの夜に父が着ていた服・・・まさか・・・

父はよく自分の書いた小説を読ませてくれていた。
あの夜も、続きは明日だと言っていた。

なんで!?・・・お父さん!!こんな続きいらないよ!!
あたしずっとこの屋敷で働いてたのに!お父さんずっと地下でこんなことになってたなんて・・・!

封じている琥珀を殴りつけるフローライト。
叩きすぎて血が滲んだその手を掴み、止めるのはデジェル。
やってきたときには既に手遅れだったという感じですねぇ。切ない。

フローライトの父が封じられた琥珀には、小説のページが数枚混ざっていた。
その小説を読むデジェル。

・・・面白そうだ。私も本はよく読むんだ。一度読んでみたいものだな・・・

父の小説はありふれた冒険譚だという。
でも、それに出てくる騎士様がずっと大好きだというフローライト。その騎士は少しデジェルに似ていると。
だけど、もう・・・

涙するフローライトを抱きしめるデジェル。

父の言葉や感動を君は覚えてるんだろう?
だったら君は自分でその物語の続きを紡げる筈だ。
父の考えていた話とは少し違うかもしれない。
だけど君がその感動を紡ぐ限り・・・父も物語も終わらない!
ヴィーヴルの魔女がどれほど永遠を謳おうとな!

ふむ。物語でありますか。父の感動を語り継ぐという行為。
それが、デジェルがクレスト先生へ出す答えにつながるかもしれませんな。

デジェルはクレスト先生の望む世界には全く同調できずにいる。

ガーネット1人の永遠のために多くの者が涙して犠牲になる。
そんな世界、私にはどうしても認められません。

そりゃそうですな。むしろ、クレスト先生がどうして認められるのかが不思議だ。

奥に進み、立派な扉を開く。そこには高らかに歌うガーネット。
そして、その前で鎧を纏い、臨戦態勢を整えているクレスト先生。

・・・って。
なんですか、クレスト先生!その格好!!
水瓶座の聖衣を黒くしたようなデザインはいい。それはいい。
だけど、なんで腰周りを外しているんですか!!そんなにフトモモ見せたいんですか?拘りか!!

さあ、答えは見つかったか?

やかましいわ。
その格好でシリアスに話しかけられてもどう反応したらいいかわからんわい。

貴方が間違っているということを

さすがデジェル。確実にクレストのファッションに異議を唱えてくれたぞ。
違うんだろうけど、そう思うようにしておきます。

クレスト先生のセンスについてはさておき。
ガーネット1人のために罪なき人々を犠牲にするなど、以前の貴方からは考えられないというデジェル。
それに対し、考えを改めただけだと答えるクレスト。

戦争となればこの何百倍もの命が散ろう。それを防げるとなれば安いものだ。
どの次代にも平和のための生贄は必要とされたではないか。
目にする墓の数は、どう考えても少ないほうが良いのだよ

それもまた一つの真実ではあるけどねぇ。
だからといって、何もしていない人が殺されるのはさすがになぁ。

問答の間もガーネットの歌声が響くので、頭を抑えるデジェル。
このままじゃまともに話もできない。その不快な歌を止めろ!と叫んでみたらどうでしょ?
この罵倒にはさすがのガーネットも鼻白まざるを得ないでしょう。
そうされる前に、先に動くクレスト先生。さすがに老獪。
合図と共に、カーテンの奥にあったセラフィナさんの姿が露になる。
驚くデジェル。その隙を逃すことなく、クレスト先生の必殺技が繰り出される。

ダイヤモンドダスト・レイ!!

部屋の中を凍らせることなく、レイを使えるのか!さすがである。
だが、その技はこちらも使える。それに原理がわかっていれば怖い技ではない。
同じように凍気を生み出し弾くデジェル。
そりゃ、光線ですもの。鏡を生み出せば簡単に弾けますわ。
だが、それとは別に、小宇宙も高まっているらしい。

私は今、かつてない程、冷静です。
貴方から授かった全てを鮮明に反芻する程に。
その技の理論も、貴方の言葉も、貴方が求める答えも!
全て拳に乗せてお返し致します!

オーロラエクスキューション!!

なんとここで飛び出した水瓶座の最大奥義!早くない?
早い段階で放ってしまうと破られることが往々にしてありえる。
破られた場合にデジェルに対抗する術はあるのだろうか?
まあ、もっと気合を入れたオーロラエクスキューションという〆になるかもしれないけど。

それか、今回の技は実はガーネットに向けられたものだったというオチもありえる。
まずは邪魔な歌声を止めてから、改めて師匠に向かう。戦術的に間違っていない。冷静な判断だ。
こういうところで、知性派というところを見せて欲しい。思い出したように。

そういえば、紅玉髄はどこ行っちゃったんだろうね
ガーネットに吸われたまま、まだ戻ってないのだろうか。
彼だけはサブタイトルになっていないという。実は一番不幸な子だったというオチか!



第26話 宝石箱深部  (2011年 52号)


突然のデジェルの悲鳴で開始されるホットスタート。うわあぁあーッ!!

バカな・・・オーロラエクスキューションがはじき返されるとは・・・

前回の感想で、出すのが早すぎる。これは破られると書いた。
だけど、まさか冒頭1ページ目で破られるとは思いませんでしたよ。うわあぁあーッ!!

オーロラエクスキューションを破ったのは、クレスト先生が展開した氷の盾。
フリージングシールド!!

盾という名前だが、まるで壁のように高く広く氷が展開されている。
このフリージングシールドこそ、デジェルにも授けられていない氷の闘技最大の奥義!
黄金聖闘士数人がかりでも砕けないらしい。それは強力な盾ですな。

さらに、フリージングシールドはただの盾ではなく、相手を凍りつかせようと迫ってくる。
その凍気は、黄道で太陽の光を浴び続け、決して凍ることのないはずの黄金聖衣まで凍りつかせる。

黄金聖衣を凍らせるには絶対零度が必要となる。フリージングシールドの真髄はその絶対零度にある。
絶対零度とは、全ての物質の原子の運動が停止する摂氏零下273.15度の温度を言う。
最強の黄金聖衣さえ凍結させる究極の冷気!
原作では絶対零度の数百倍の凍気という言葉が出たりするが、まあともかく究極の冷気なのだ!

己の未熟を抱えながら、逝くべし!デジェル!!

悲鳴をあげながら、全身を氷の壁の中に埋め込まれるデジェル。
どうやらこのフリージングシールドは変化してフリージングコフィンになるらしい。
盾から棺へと変化する技か。色々便利そうな技ですな。

この結果にクレスト先生は残念そう。
やはりお前も一時の夢の人。流れゆく大いなる時の中に飲み込まれるだけと語る。
それでも、この氷の棺の中にあれば、定命の身でも永遠を留めることができる。

・・・馬鹿者め。

完全に凍りついたデジェルに背を向けるクレスト。
その表情からして本当に残念そうですな。愛弟子ならば答えを出してくれるのではと期待したのでしょうが・・・

さて、フローライト。
囚われていたフライユ夫人に肩を貸して出口に向かっている。
その背中に冷気が吹き荒れる。
フリージングシールドの冷気はこんな遠くにまで影響を及ぼすというのだろうか。
その冷気を受けて不安に思いながらも、必ず全て解決して帰ってきますと言うフローライト。

お父さんの小説だって読んで貰うんだから・・・
そうですよね、デジェル様!!

再びカメラはデジェルの方に。凍りついたデジェルを見て歌を止めるガーネット。
その身に纏うは大きな翼のついた鎧。
これは、冥衣なのか?それとも全く違った分類のものなのか?わからない。
少なくとも、後ろに翼のついた蛇、ヴィーヴルが描かれているところからして、その関連なんでしょうな。

ガーネット「これで私たちは理想の国へ歩めるわ」
クレスト「ええ。永遠の平和へ!ガーネット様」

表情は硬いが、平和を願う気持ち自体に偽りはないクレスト。
だが、その表情が驚きに変わる。凍気が増している・・・!デジェルか!?
氷の棺の中で全ての動きを奪われ、すでに意識までも失ったはずのその身で凍気を放ち続けるとは・・・

気付けば、デジェルは氷の棺の形をも変えている。
あたかも身に纏った氷で相手を襲おうとするかのように。

・・・全ての原始が停止する絶対零度の棺の中で動くとは・・・
ついに凍技の真髄に達するかデジェル!

全てが停止する絶対零度だが、その絶対零度を操れるようになれば動けるようになるらしい。
原理とかいう問題ではないですな。実際動けているのだから納得するしかない。
光速に対して光速の動きを身につけたように、絶対零度を操ることで絶対零度を打ち破ろうとしているのだ!

・・・私は貴方の弟子です。それはどんなに貴方が変わっても変わらない!
貴方に与えられた試練ならば、全てくぐり抜けてみせましょう。クレスト先生!!

ですがやはり、犠牲者の上に成り立つ一人の不死者の治める世界という貴方の答えが正しいとは思えない。
私は今の一時を生きる者として・・・地下に眠る人々とフローライトの涙のために戦います。
・・・それが、聖闘士として貴方から教えられ続けたことですから。

氷の棺の中で再びオーロラエクスキューションの構えをとるデジェル。
そのデジェルにガーネットが声をかける。

よくぞおっしゃいましたデジェル様。
流石私の認めたクレストの弟子。ひたすら眩しいばかりですわ。
貴方のような方が時間に奪われるのは、いつも本当に惜しい

憂いを帯びたような表情をするガーネット。
しかしすぐに表情を改める。賽はすでに投げられている。後戻りすることはない。
だからこそ、クレスト先生は再びデジェルの前に立ちはだかる。
向き合う師弟。デジェルは語る。

一瞬、彼女から地母のような慈愛を感じました
貴方と同じ憂いも。だから貴方は彼女に仕えると決断したのですね。

なにやら納得している様子のデジェル。
ガーネットも悠久の時を生きる者として色々と思うところがあるのかもしれないなぁ。
まあ、これまでの描写が怪しすぎたので、いきなり慈愛を見せられても。戸惑うしかない。
なので、クレスト先生も言います。お前はどんなに冷静であれと言っても、結局どこまでも情に厚いと。

私も以前はそれだけで世界を変えられると、信じていたぞ。

ならばもう一度信じさせましょう!
この一時の命で!!

激突する2つの凍気。
師弟対決の結果は、そして完全決着の果てに待つものとは・・・!?
次回はデジェル編の最終回。になるはずだが・・・終わるのか?
かなり詰め込まれているせいもあり、あと1話で完結まで持っていけるのかわからない。
まあ、カルディアの時も濃い最終話でしたし、今回もまとめてくれるとは思いますけど。

ガーネットとの戦いはなさそうな雰囲気ですな。
クレストが敗れたことで共に散るという展開でしょうか?
それとも、もしかするとここでは撤退して他の黄金と戦うという流れもあるのかも?
もしそうであるならば。今度こそ紅玉髄に機会を・・・機会を!!



第27話 氷の棺  (2012年 1号)


センターカラー。
氷原で背中合わせに立つ師弟の姿はカッコイイ。
やはりカラーだと寒そうな感じが見て取れてよいですなぁ。

さて、再びオーロラエクスキューションを放ったデジェル。
クレストはその凍技に対し、光線技で対抗している。ぶつかり合う2つの技。
その凍気を通じてデジェルはクレスト先生の思いを感じていた。

これが先生の500年の夢の答え・・・!!
私にはまだ貴方の全てを理解することはできません。
ですが、その私だからこそ・・・放てる答えもありましょう

ぶつかった力が奔流となって渦巻く。
部屋全体が氷に覆われる中、立っているのはデジェル。勝負はついた。
クレスト先生は凍り付いているように見える。
だが、そのクレスト先生に覆いかぶさるようにしてガーネットがいた。
そして、その首飾りの宝石が中に浮かんでいる。
この宝石がオーロラエクスキューションを防いだというのだろうか?ガーネットは凍り付いていない。

だが、空中で砕け散る宝石。
そして、デジェルを称えるガーネット。お見事でございます。
ガーネットは言う。これは永遠に生きる者から貴方への問いかけであったと。

全ては私があの石を手にした時から始まりました。
200年前。私はこの地の名君と謳われる領主の妻でありました。
夫は人望も厚く、土地も豊かでそれは幸せでございました。

全てが終わったのは流行病で夫が死んでから。
隣国が攻め入り、民は暴徒化し、私もこの地を離れることとなったのです。
その失意の逃亡の先で私が出会ったのは・・・
宝石の精を操り、人の生気によって永遠に生きる魔力を秘めた・・・伝説のヴィーヴルの石榴石!!

この力ならば志半ばで死んだ夫の意志が継げる。
壊された平和をなんとしても今度こそ永遠に守り抜こうと誓いました。
その愚かな願いとそれからの長くつらい孤独な日々・・・
それを理解してくれたのは・・・この方ただお一人でした。

共に長く生きるものであるクレスト先生だからこそ理解できるものがあったのでしょうな。

クレスト先生はガーネットの理想に仕えるようになった。
しかし、その心根は変わらず聖闘士のままだった。
さすがに割り切れるものではなかったということですかね?
だからこそ、ガーネットは一つの提案をしてみた。

私たちの道が正しいかどうか、貴方の聖闘士の教えを継いだ弟子に答えて貰いましょう

なるほど。それであの助けてという手紙に繋がるわけですな。
ガーネットも承知の上でデジェルを呼び出すことにしたわけだ。

そして、貴方の答えは正しいわデジェル様。

ヴィーヴルの石榴石は魔力を秘めている。
ガーネットが魔力を扱えるのもその宝石を有しているからだったわけですな。
その宝石が砕け散った今、ガーネットの姿は・・・

有難うデジェル様。今宵は良い誕生会となりましたわ

急速に年老いていくガーネット。
しかし、その表情は穏やかであり、美しくも見える。
そして、完全に凍りついたと思われていたクレスト先生も口を開く。

私は彼女を連れて時間の波に帰る・・・
セラフィナは無事だ。連れて行け。2人の生きる時に戻りなさい。
有難うデジェル。すまなかったな・・・

ガーネット様・・・さあ、共に参りましょう。この氷の棺で・・・

ええ、クレスト。今度こそ本当の永遠です

永遠に生きる2人はこうして没したのでした。
理解しあえる者同士でいられるというのは、幸せなことかもしれませんな。
どちらも平和を夢見たものたちである。
だけど、大局的に物事を見すぎて、今を生きる命を数で計るようなことになっていた感じでした。
本人達もそれに気付いているからこそ、悩み、デジェルを呼んで問いかけをしたのでしょうな。
しかし、ガーネットもそれならそれで、もう少し憂いを見せていて欲しかった。
途中までの姿が怪しすぎたからなぁ。

さて、セラフィナさんを救い出したデジェル。
館の外に出たところで、フローライトが駆け寄ってくる。
勢い込んで抱きつくフローライト。だが、その姿がデジェルには見えていない。
どうやらクレスト先生の光線技で目がやられているようだ。
まあ、かすむぐらいなので完全に見えないわけではない。目が悪くなったという感じか。
戦闘時は小宇宙を高めることで視覚を補えているので気付かなかったらしい。
そういうこともできるのか。便利だな小宇宙。

その話を聞いたフローライト。ゴソゴソと何かを取り出す。これは、眼鏡?
フローライトの父の形見の眼鏡である

お邪魔じゃなければ持っていて欲しいんです。
あたしは大丈夫ってお父さんに言いたいし・・・デジェル様の中でこの時だけの一般人には絶対なりやくないですもん!

フローライトの言葉に頷き、大事にするというデジェル。
眼鏡の設定もここで回収するとは。さすがである。

父の死を乗り越え、前向きに生きようとするフローライト。父の小説の続きも書こうとしている。
銃持って暴れていたフライユ夫人とはえらい違いですな。

フライユ様なんて、私より年齢的に人生余裕ないんですから、もっと頑張ってください

無礼よ貴女!!

おぉ。登場時は心の中で思うだけだったが、ついに口にまで出すようになったか、この毒舌メイド
フライユ夫人とはなんだかんだで仲良くやっていきそうな雰囲気がある。
まあ、夫人は財産を失った身であるが・・・
今からでもガーネットの館に入って金目のものを漁ってはいかがだろうか。
夫の貢いだ宝石だけでも取り返すとか。どちらにせよ窃盗だけど。

やりとりをしている2人を見て、セラフィナさんはデジェルに言う。

私たちはクレスト様の言う一時の夢。その間にどれほどのことができるかしら。
愛する地に一体どれ程の平和を保たせられるのかしら。

・・・それはきっと、いかなる力を持つ人間でもたった一人では出来ないことなのでしょう。
だからこそ、時を超えるほどの多くの夢が集まる必要があるのです

それがデジェルの答え。一時の夢で終わらせてはいけない。
時を超えて、夢を集めていかなければいけない。そういうことなのでしょうな。

全てに決着をつけたデジェルは聖域へと帰る。
聖域十二宮、天蠍宮。
熱でぶっ倒れていたカルディナを冷ますデジェル。
どうやら、サーシャはデジェルが戻るまでずっと看病していたらしい。
カルディナにあんまりアテナサボるなよ!とか言われている。
ついでにほっぺをむにーとされている。なんということを!可愛いことになってるじゃないか!

というか、ベッドに乗せているように見えるが、体勢がよくわからない。
寝転んだ状態で、上体だけ起こしているようにも見える。
まさか、添い寝をしていたわけではあるまいな!?
熱い体を冷ますために。いや、それは何かおかしい。

デジェルはちゃんとフローライトからもらった眼鏡をかけている。度は合っているのかね?
ともかく、カルディアは復調したようだ。自分の宮に戻ろうとするデジェル。
去り際に、カルディアに問う。

愚問だとは思うが・・・一つ聞いていいか?
たとえばお前の心臓の病が治り、代わりに永遠に生きることができるとなったら・・・お前はどうする?

一時を全力で生きようとするカルディアに聞くのはよいことですな。
カルディアは、聞きたかった答えを返してくれる。

俺に取っちゃ命は長かろうが短かろうがどっちだっていいことさ。
だがリミットがなけりゃ熱くもなれない!そんなつまらん命はこっちからお断りだぜ!

その答えに微笑むデジェル。
お前位シンプルなのが丁度いい、カルディア。
だから私たちは聖域に集まっているのだものな

デジェルはセラフィナさんに言っていた。
大きな夢を叶えるのは一人ではできないと。
だからこそ、聖域にこうして集まっているという最後のセリフに繋がるのでしょうな。
ここには様々な思想を持ちながらも、アテナのために集った強者達がいる。得るものは大きいですわな。
師の夢を弟子が受け継いでいく。そうやって後世に残すものもあるのでしょう。

というわけで、水瓶座のデジェル編は終了。
次号からは蟹座のマニゴルドが登場する予定である!キタワァ。
熱い話を期待しております。



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