蒼天紳士チャンピオン作品別感想

バチバチ
第87話 〜 第114話


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 バチバチBURST
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バチバチ 11巻


第87話/武器  (2011年 13号)


鯉太郎が合宿に合流して2日目。
相変わらず跳ね飛ばされる鯉太郎だが、その表情は生気に満ちている。
ブチカマシを受ける阿形さんの顔は面白さに満ちている。なんだその表情は!

さて、その鯉太郎に向けて親方の指導。押しは禁止!まわしを取って組めとの命令だ。
ブチカマシだけに頼るには体がおいついていない。
押し相撲だけでやっていくには限界ということであります。

今から四つ相撲にスタイルを変えてどうなるかはわからない。
とはいえ、今のような状態では来場所はボロボロになるのは目に見えている。
今のうちにやれることをやっておきませんとね。

何度も阿吽と組合い、転がされ、今日もドロだらけになる鯉太郎。
まあ、無闇やたらにと突っ込んでいただけの昨日と違い、今日は考えています。
四つ相撲を取っている奴には、それぞれ一番力の出る組み位置というのがあるらしい。
それを探しながら稽古に励む鯉太郎であります。

確かに、親方の言うとおり、過去の鯉太郎は、組み合ってもそれなりに戦っていました。
突進が通じない王虎や村神相手に、組み合ってからしぶとくこらえて戦ってましたわな。

それは何故か・・・

空流親方が言う。鯉太郎の長所。
ひとつは地道な努力で作り上げた強靭な足腰。
そして、食らいついたら離さない、人並みはずれた握力だ!

突進力に握力!これは破壊力を身につけるには凄い武器じゃないか!?
ってしまった。体重がない。花山薫の破壊力公式が使えない!

それはさておき、鯉太郎も相撲の幅を広げてきました。
やはり、決め技は父親譲りの下手投げでありますか。武器が増えるのはいいことであります。
この技術が実を結ぶのは先になるか、すぐになるか。はてさて。



第88話/金網  (2011年 14号)


4号連続激熱カラーの第一弾!
阿形さんと白水さんが元気である。このノリは・・・やはり、そういうことか。
合宿所の隣で、女子大テニス部の合宿が始まったのでハリきっていたらしい。

合宿所が金網で囲まれているのは、猛獣避けのための檻という意味合いがあったとか。
ハハハ。やだなぁ。猛獣だなんて。そこまで飢えていたりは・・・しそうだ!

そんな調子の阿形さん達を尻目に、真面目に稽古に打ち込む鯉太郎。
技の吽形と呼ばれる、吽形さんに投げについて教わっている。
強引に力で持っていくのではなく、相手の重心を崩して投げる。これが肝要。
阿形さんは強引に力で投げていることが多いですけど、まあアレは例外だ。

あと大事なのは指の使い方。相撲で使う指とは、小指、くすり指、中指の3本である
中でも重要なのは小指。この使い方がなってないと、掴んだまわしに力が伝わらない。
語る吽形さんの小指は凄い。
もう癖がついていて、真っ直ぐ伸びなくなっているという。これが力士の小指か・・・
下手な柔術家が掴んで指折りしようとしても折れないわけだ。

さて、体を動かす稽古の後は、食事というなの稽古だ。食って寝る。これが重要。

阿形「おう真琴!おかわりだ!

いきなり名前で呼んでいる!?仲が悪いと言われているが、凄く接近している感じがあるぞ。
椿ちゃんは椿ちゃんで、誰も食べてくれない料理を鯉太郎が食べてくれて嬉しそうである。
いい感じですねぇ。しかし、椿ちゃんの腕前はもう少しどうにかなるまいか。

食った後は寝る。これもまた稽古だ。

阿形「コラ!寝てんじゃねぇ、起きろ鯉」

ゲーッ!ちゃんと寝て体を造る大事さを学んだばかりの鯉太郎に何をしますだ、阿形さん。
ギラついた阿形さんと白水さんはテニス部の午後練が目当てらしい。
(通販の)魔法の香水で、女共を引き寄せてくれるわ!寄ってくるのはカラスぐらいだったぜ!
何をしておるのやら。

その阿形さんを放っておいて、金網にとりつく鯉太郎。半裸で
これは危ない。傍から見たら普通に変態的行為だ!鯉太郎は本当に周りが見えてないな!
指を鍛えるための金網登りはテニス部のいない時間帯のみ許されるようになりましたっと。

合宿はその後も続く。朝早くおき、ボロボロになるまで稽古。
そして、ガムシャラに食べて、太るために必死で寝る毎日。
そんな日々だが、鯉太郎の周りには暖かく見守る目があり、マコちゃんは知らない家族の姿があった。
自分だけの弟ではないということに、寂しさを感じているかのようなマコちゃんの表情ですな。
しかし、空流部屋に感謝するという鯉太郎の表情は澄み切っており、これを見てはなんともいえない。

さて、鯉太郎が指を鍛え上げるころには合宿も終了。
次回は、教習所編再開!新しく戦う手段を身につけた鯉太郎のリベンジはなるか!



第89話/まだまだ  (2011年 15号)


同期との意地の張り合い!相撲教習所編再開!
虫みたいと言われた、割れた腹を膨らませて鯉太郎が帰ってきた!
今度は合宿前みたいに不様は晒せないぜ。
・・・なんか、カラーの左隅にいる太った子が・・・このつぶらな瞳はもしや・・・?

とりあえず、合宿の回想。
マコ姉は受験勉強もあるので、一足先に帰還。
そのマコ姉に、次の場所は必ず優勝し、一番に電話して教えると約束する鯉太郎。
同じ序二段には白水さんがいる!のだが・・・まあ、そもそも戦うことになるか怪しい。
勝った者同士が戦う仕組みですしねぇ。白水さんはもう追い抜かれてしまうのか!?

さて、合宿で一回り大きくなった体を携えて教習所に帰還だ!

石川「いくらなんでも肉付き過ぎだろ・・・ドングリ」
渡部「いや〜〜休みの間、何もしないでチャンコばっか食べてて・・・」

やっぱりカラーページの太った子は渡部だった!って凄いプックリしている!鯉太郎の肉付与の比じゃねぇ!
軽く落ち込む鯉太郎。その鯉太郎を慰めるのは田上さん。よく短期間でそこまで体を作ったな・・・
って褒めてくれるのはいいけど、その頭が気になってしょうがねぇ!
髪が剛毛で直毛だからこうなるって、そういうものなのか・・・?ツイストパーマしたらマリモ頭になりそうだ。

で、その田上さんに話しかけてきたのは・・・キラキラした男。誰だお前はッ!?
天雷?村神だってのか?確かにスッキリした目をしてたけど、なんでキラキラしてるんだよ!
髪を上げたら光を反射するようになったとかそういう話ですか!?誰が山本だよ!ツッコミが追いつかねぇ!

髪を上げたら王虎さんと区別がつかなくなるのでは?なんて危惧されていた村神。
しかし、一気に区別がつくようになりましたね!これが新生村神こと天雷の姿や!

とまあ、それぞれ教習所がない間に変化をつけてきたみたいですが、変わらない男が一人。
・・・あ、石川も特に変わってない気がする!やばくね、石川。
ともかく、大きな変化は見えないのが蒼希狼。
しかし、その体には無数のキズがあり、かなりの稽古をしてきたのが伺える。

早速因縁の蒼希狼との戦いである。鯉太郎の復帰をかけた大事な一番。
立会いでぶちかまし・・・にはいかず、まわしを取りにかかる。
が、それは払われる。そこに、今度こそのぶちかまし。
合宿前とは当たりの威力が違うのが周りからでも分かる。
体重増加によるあたりの強化、さらにバラバラだった上半身と下半身が元に戻っているという。
これもまた空流の指導の賜物ですやね!
鯉太郎はアタマと体とココロがバラバラだったのが問題だったわけだ。さすがシャケさんですね。違う漫画だった!

さて、鯉太郎がまわしをとり、下手投げ。やっぱり下手投げを身につけようとしてるんですな。
これは通じず、逆に上手で投げられる。
今回はうまくいかなかったが、蒼希狼は相当なプレッシャーを感じている。
未完の大器の可能性がありそうですな。指3本でのキッチリとした投げが身につけば大きな武器になる。

教習所で四つ相撲を体に叩き込み、本番に向けて叩きつけることができれば、序の口優勝も夢ではない?

さて、今週は横綱、白鵬のインタビューがございました
横綱も、15歳の入門当時は175cm、68kgのもやしっ子だったらしい。
それが、今では192cm、153kgになっているという。
太るというのは大変だけど、ちゃんとやれば太れるものだってことっすね。鯉太郎もガンバレ!



第90話/時代  (2011年 16号)


鯉太郎の投げへの挑戦が続いております。
押し相撲は封印し、四つ相撲を鍛えることに専念する鯉太郎。
周りはそんな鯉太郎の様子をおかしく思っている。
が、指導員の偉い人は理解していた。未来を見据えた稽古をしていると。
また、その投げが恐ろしいものになると感じている者もいた。蒼希狼である。

蒼希狼は石川が認めるぐらいの根性の持ち主である。
それだけではなく、実力もある。モンゴル人特有の俊敏さとハートの強さ。
何より、絶妙なタイミングで飛んでくる、強烈な上手投げ。これが蒼希狼の武器だ。
他にも、キレイな天雷をキレさせるぐらいのうっとうしさとかあるが、まあ、これは良し悪しか。

投げに関しては、かなりの実力を持つのが蒼希狼。
だからこそ、鯉太郎の下手投げに将来の脅威を感じたのかもしれない。

投げは俺が上、お前が下と宣言してくる。
ええ、上手投げはお前の武器で、下手投げは俺の武器ってことだね!
なんてポジティブな話ではない。

ナゲ!ムリ!ムダ!バカ――!

脅威に感じたからって、投げを諦めさせようとする蒼希狼。ヘイヘイ、ビビッテんよ!

鯉太郎も簡単に投げを諦めたりはしない。誰に教わっていると思ってんだ。
尊敬する兄弟子から叩き込まれている投げである。絶対に身につけるという意思がここにある。
だからこそ、鯉太郎は宣言する。

必ず全員ブン投げる。オメーらだけには、死んでも負けねぇ

鯉太郎のこの一言が引鉄となり、A土俵の稽古はまさに大乱闘そのものになっていた・・・
って、本当に乱闘じゃないですか!6人全員取っ組み合いだ!
倒された相手同士がぶつかるという非常に危ない状態である。回りも慌てて止めに入る。

しかし、この状態を楽しげに見守っている人がいた。偉い指導員の人だ。
止める気は全く無いようです。監督する人間としてはどうかと思うが、彼なりの考えもある。

いつだって、こんな稽古場の雰囲気から、新たな時代を担う者が生まれていくんだ・・・
頼むぞ、ガキ共。時代をつくれ・・・黄金色の時代を!

さすがに、年季の入った指導員はいろんな時代を見てきたんでしょうな。
鯉太郎たちの世代に新たな時代の到来を感じているのであった。

しかーし!だが、もう一人・・・
その黄金時代に欠かせぬ虎が・・・あの凶気の虎がついに牙を・・・

というアオリを受けて、次回に続く。
ついに王虎さんが復活しようとしている。
眼はギラつき、頬は落ち窪んでいる。見事にダークな面に落ちている王虎さん。
いえ、まあ、前からダークな性格でしたから、そんなに変わりはないかもしれないんですけどね。

そういえば、王虎さんは猛虎さんの付け人になっていたはずである。
虎城親方のことですし、甘やかしているのかもしれないけど、その辺りどうなったんだろう?
猛虎さんの侠気により、ダークな王虎さんがさらなる変化を、ってな流れになるのだろうか。
詰め込みすぎて、二重人格になっちゃったりして。
普段は侠気あふれるライト王虎さん。土俵に上がれば、凶気に満ちたダーク王虎さん!
キャラとしては面白そうだが、やっぱり前とあんまり変わってない気がするな。どうなるんだろう。



第91話/履き違えるな・・・  (2011年 17号)


今回は、カメラが虎城部屋に向かっております。
闇に蠢く虎が一匹。かつて鯉太郎に土をつけられた、エリート力士、王虎剣市がついに動くのか!?

稽古場では、虎城親方の罵声が響いている。
しかし、これはただの八つ当たり。息子が引きこもっているのが心配のようだ。
心配なのはわかるけど、八つ当たりは勘弁してくださいよ。

その引きこもっている、王虎さん。下級力士なのに個人部屋をもらっている特別な存在だ。
まあ、王虎さんと好んで相部屋になりたがる人もいないと思いますけどね。
王虎さんの頭は、鯉太郎に負けたときの悔しさ一色である。
思い出すだけで、傷ついた右腕が痛む。あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!ゴンッ!
くそっ・・・また、壁殴っちまった・・・
てな感じの典型的な引きこもりマンになっている。不憫よのう。

そんな王虎の前に現れたのが、猛虎さん。
猛虎さんは、十両になる前に虎城親方と約束をしていた。
幕下優勝し、十両に上がったら、王虎を自分の付け人にして欲しいと。
見事にそれを果たしたのだし、その約束を果たして欲しいと願い出る。
今の王虎の状態ではムリだろ、常識的に考えて。という虎城親方。過保護ですねぇ。

大事に育てるコトと過保護に育てるコトは違う
親馬鹿も度が過ぎると子を殺しますよ・・・

虎城親方に正面きって親馬鹿を指摘できるのは猛虎さんぐらいでしょうな。凄い人だ。
そして言っていることも正しい。ここらで喝をいれないと、ずっと引きこもったままになっちゃうよ。
王虎はなんだかんだで才能がある。相撲界の宝となる資質がある。
これからの虎城部屋に欠かせない男である。
だからこそ、立ち直らせなければならない。猛虎さんは、自分に預けてくれれば必ず立ち直らせて見せるという。
それを信じたのかどうなのか、親方は付け人の許可をだしたようだ。さすがにこのままではいけないと思っていたか。

向き合う2匹の虎。
たかが一度の敗北でいつまで腐っているつもりだという猛虎さん。
それに対し、王虎。テメーと俺とじゃプライドの重さが違うんだよ。と答える。
プライドねぇ。

履き違えるな。お前のは、ただの虚栄心だ
だから簡単に折れる。
上っ面だけの奴が、芯の入った奴には勝てない。だから負けた・・・鮫島に。

猛虎さんの容赦ない言葉に、王虎さん早くもブチギレ。牙をむき出しにして襲い掛かってくる!
なんか、これ噛み付いてきそうな勢いなんですけど。これが虎の牙か!
しかし、引きこもって痩せ細った王虎の攻撃なんか猛虎さんに効くわけがないぜ!ドゴッ!
ページをめくったら、猛虎さんが吹き飛ばされてました。アレレレーッ!?

そういえば、猛虎さんも鯉太郎に負けてましたな。
その時も、今のように本番じゃなかったので油断していたときでした。
気の入りようで強さが格段に変わるのが猛虎さんってことなんですかねぇ。
猛虎さん自身、鯉太郎の負けは1場所引きずっていました。しかし、独力で立ち直りました。
だからこそ、王虎への叱咤をする資格がある。

痩せ細った体で自分を吹き飛ばす王虎を見て、猛虎さんは確信する。
コイツはやはり必要だ・・・俺が上に行くために・・・
猛虎さんの野心が見えました!
100%善意で馬鹿息子の更生をやっているわけじゃありません。もちろん別の思いがありました。
さて、この言葉はどういう意味が篭っているのか。
虎城親方の好感度UP♪なんてセコイ話じゃないはず。
同じ部屋に強力な力士。それも弟弟子がいるということで、自分にプレッシャーをかけるという作戦か?
ストイックな猛虎さんならそういう考えもありそうですね。そうであって欲しい。

さて、教育開始。
本気になった猛虎さんは強いぞ。王虎を庇う兄弟子を退け、再び王虎を挑発する。
挑みかかる王虎。しかし、今度はことごとく弾き返される。
所詮腐ったお前などこんなもんだ・・・
鮫島ならこうはならないだろ・・・
鮫島鯉太郎。この名前を聞くと、王虎さんの右手が疼く。
右手が疼いて、つい壁を殴ってしまうのってか。どこの邪気眼の持ち主だ。
とはいえ、トラウマになってしまっているものはしょうがない。思い出すだけで古傷はうずくんだ。
それを抑えるためにか、傷に噛み付く王虎さん。バ―――!
なんだ、バーって。混乱しすぎて言葉遣いが怪しくなっている。

ともかく、土俵外での教育はここまで。続きは土俵の上だ!
猛虎さんによるカワイガリが始まる。王虎は目覚めることができるのだろうか。
人間そんなに簡単に変わったりはしないでしょうけど、どうなんでしょうかね。
とりあえずは相撲が取れるようになるまでは立ち直りそうですけど。性格はどこまで直ることやら。
付き人にすることで、性格面の矯正も行っていくのかもしれませんな。
目上に対する正しい挨拶、正しい言葉使いなどを叩き込む。

猛虎「親方。礼儀を叩き込んで、見事な大和男子にしてみせましたよ」
虎城親方「イヤミか貴様ッッ!

父親の方の性格矯正も必要だな。



第92話/餌  (2011年 18号)


土俵に上がった虎二匹。しかし、王虎はまわしをつけようともしない。
その王虎に、お前は力士じゃないと言ってのける猛虎さん。

この挑発には王虎ブチギレ。拳を握り、殴りつけてくる!
鯉太郎や石川が決してやらなかった、拳による攻撃。これをためらいなくやってくる。
本当に王虎はヤバいな。そりゃ力士じゃない。腐った素人呼ばわりされてもしょうがない。
アレ、そういえば竹虎さんも鯉太郎に拳を振るってたような・・・
あれは、土俵外のことですから!ノーカン、ノーカン!

ここはお前のような奴が居ていい場所じゃない。さっさと部屋から消えろ。

猛虎さんの容赦ない言葉が王虎に叩きつけられる。
そこに虎城親方登場。面倒くさい人が来た!
過保護な親方は、出血している息子が心配。まあ、確かに相当な出血量だし、心配にはなる。救急車はいらんけど。

この過保護な親がうっとうしいと王虎は言う。ふむ、素直な気持ちですな。
でも、これは猛虎さんが許してくれません。身の程をわきまえろ。

自分の虎の字は、親方の虎の字です。自分はそこに誇りを持っています。
だから相手が誰だろうと、今の親方に対する愚弄を見逃すコトは出来ない・・・

大横綱虎城の息子はコイツだけじゃない!

この猛虎さんの言葉に唖然とした表情の虎城親方。
虎の一字をもらった弟子たちは息子も同然。そんな風に親方が考えれていたらなぁ。

しかし、猛虎さんの言葉を否定する王虎。

腹黒ーな・・・お前も・・・
今の虎城部屋は、上も下もしょーもねーカスしかいない。
だから、ろくな稽古が出来ない。だからといって、古株を動かす貫目もない。

猛虎さんとはいえ、さすがにまだ十両である。
古株と稽古をしたいと言ってもなかなか受けてはもらえますまい。
とはいえ、他の十両以下では満足な稽古ができない。
田上さんは精神的には期待できる。けど、まだ序二段ですからねぇ。実力的に厳しい。
阿吽が鯉太郎と稽古しても、って感じですわな。

だから、欲しいんだろ、俺の力が。己のタメによ。違うか?

そうだ。お前はただの餌だ
俺があの頃の虎城親方がいた、高みに昇るタメのな・・・

やはりそうだった。王虎が必要だといっていたのは、自分を鍛えるための踏み台にするため。
善意だけで王虎に説教をかましているわけではない。自分のためでもある。
そういったことを、悪びれることなく口に出来る猛虎さんは結構な大物だと思う。
上を目指す人間としての貫禄というものが見て取れますなぁ。
だからこそ、王虎も笑顔を見せる。狂気がこびりついた笑顔を。

こうして、歪で殺伐とした兄弟弟子の関係が虎城部屋に誕生したのでした。
やぁ、この2人が稽古場に来たら怖いだろうなぁ。そりゃ緩んでいた空気も張り詰める。

兄弟子の寝首を掻こうとする王虎。それを望むところだと受ける猛虎さん。
なんだかんだでうまく行きそうな雰囲気じゃございませんか。
この結成劇には、側で見ていた虎城親方も言葉がない。ていうか、本当にこの人はダメな親バカですな。
親バカが、広がって、弟子達を愛するようになっていってくれればなぁ・・・
連載終盤になるまではそういう展開は無理か。



第93話/番付  (2011年 19号)


磐石の如き胸板に 鋼鉄の腕 火花散る
攻めと守りの十五尺 鍛える我ら 鍛える我ら 相撲道

シメの相撲練成歌が歌われ――鯉太郎たちの相撲教習所二期目が幕を下ろした。

さて、空流部屋の合宿も終わり、阿形さん達が戻ってまいりました。
阿形さんの頭には森のダイヤモンド、オオクワガタ様が止まっている。
例の香水を体中に染み込ませたら、虫が集まってきてて、その中にいたのを捕まえたらしい。

売れば100万はするというオオクワガタのエリザベスだ!
※現在はそんな高額での取り引きはありません。

それは置いておいて、番付の発表。
名古屋場所では好成績を収めた空流の一同。それぞれ番付もあがっている。一人を除いて。

阿形:東幕下三枚目  吽形:東幕下四枚目
鯉太郎:東序二段七十五枚目  川口:東三段目十枚目
そして、白水:西序二段百十枚目

ついに、白水さんが鯉太郎に追い越されてしまいました。
いつかこうなるかもしれないとは思ったけど、思った以上に早かったなぁ。
鯉太郎にしてみれば、番付は抜いても、尊敬する兄弟子には変わりない。
とはいえ、そう言われても追い越されたほうとしてはなんともいえない気分はどうしようもない。
難しいところですな。

九月場所は空流にとって大事な場所になる。
なんせ、阿吽は2人とも幕下上位にいる。一度に2人、関取になる可能性が十分あるのだ
2人が十両になる。考えただけでシビれるという鯉太郎。いやぁ、すっかり兄弟子を尊敬してますな。

というわけで、特別に奮発して食材を買い込んだ椿。手ずから料理してくれます。えー。
できあがったのは・・・何だコレ?
カニ鍋らしい。確かにカニの足らしきものは見えるが、大丈夫なのか?

これのどこがカニ鍋だよ!見ろ!カニが好物の川ちゃんの悲しい顔を!
何言ってんのよ!うれしそーじゃない!
川ちゃんをナメんなバカヤロウ!

阿形さんは川さんの表情が読めるのだろうか。それとも適当を言っているのか・・・わからん!
ともかく、カニ鍋をいただく。中にいたのは・・・エリザベース!!
これはヒドイ。こんなオチかよエリザベス。
エリザベス入りのカニ鍋。カニが好物の川さんは何を思うのか。うむ、表情を見てもわからん!

食事の場に現れない白水さんを呼びに行く鯉太郎。
白水さんは、一人泣いていた。
やはり、弟弟子に追い越されるのは悔しくて情けなくてしょうがない気持ちになるようだ。
竹虎さんもそんなこと言ってましたなぁ。
それを聞いた鯉太郎もいたたまれない。勝負の世界は非情である。

それでも、それぞれは邁進しなければならない。上を目指して。
それぞれの磨かれた肉体が、それぞれのはち切れんばかりの思いが・・・
また本場所で壮絶にぶつかり合うのである。

エリザベスを含めたギャグ展開から、白水さんの涙という勝負の世界の過酷さを知らせる落差。
なかなかに見事な展開でしたなぁ。
まあ、鯉太郎自身も、スタイルを変えている最中ですし、九月場所は星がどうなるかわからない。
もしかしたら白水さんが再び上にいくこともあるかもしれないし、ないかもしれない。
とにかく、頑張ってほしいですな。



第94話/九月場所初日  (2011年 20号)


合宿や教習所を経て、ついに始まる九月場所の初日。
初日に取り組みがあるのは、阿吽と鯉太郎。白水さんと川さんは取り組みがないのでサポートに回る。
阿吽は6勝すれば十両昇進の可能性大らしい
幕下上位の1桁前半なのに、6勝しないといけないのか。
6勝どころか全勝してやるわと意気込み阿形さん。
しかし、阿形さんは相撲が荒く、取りこぼしがありそうで怖い。
吽形さんも結局ヒザの調子がどこまで回復してるかわからないですし。不安はあるなぁ。
まあ、実力では2人とも抜きん出てますからねぇ。頑張って欲しい。

元気よく向かう空流部屋の一同。ひとり、鯉太郎は不安そうな表情でありました。

同期のライバルたちも元気よく場所に現れる。
本場所に、投げの習得が間に合わなかった鯉太郎。さすがに不安は隠せないか。

で、初日の相手は・・・寺井!?寺井さんじゃないですか
教習所で鯉太郎に、先輩であることを鼻にかけて挑発したり、足引っ掛けたりした人じゃないですか。
そんでもって、鯉太郎の迫力に即座にビビッてた寺井さんじゃないですか!コンチャーッス。

そんな寺井さんですが、教習所での鯉太郎の様子を見ていたので調子付いている。

もう、あんなヤロー恐るるに足らねーぜ!
何か頼もしいな。教習所のスミで息殺してた奴とは思えねえよ!

ハハハ。言われちゃってるよ、寺井さん。ハハハ。

さて、本番前にも稽古はかかさない鯉太郎。投げの感覚を確かめようとしている。
その鯉太郎に、白水さんが問う。もしかして四つ相撲で行くつもりか?
ダメもとで、一度勝負してみようと思うと考えている鯉太郎。
その言葉に怒る白水さん。

ダメもとなんて言ってる奴が、必死でやってる奴に勝てんのか?
稽古場じゃねーんだ。本場所ナメんなよ

この意見には吽形さんも賛成する。
親方もブチカマシを捨てろとは言っていない。今はまだ押し相撲で行くべきである。
投げを鍛えたのは、ブチカマシを止められてしまったときを懸念してのこと。
それぞれ組み合わせて戦えるのがよいですわの。

もし、ブチカマシが止められてしまった場合、何も考えるなと吽形さんは言う。
投げの特訓が身になっているなら、体が勝手に反応するはずだ。
お前はそんなタイプだ。

確かに。鯉太郎は頭で考えるより、体で応えるタイプですわな。
そして本番に強いタイプでもある。研ぎ澄まされた場所でこそ磨かれる素材かもしれませんな。

白水さんに礼を述べ、スカッとブチかましてくると言いながら鯉太郎出陣。
礼を言われた白水さんは肩を震わせている。
イラついて当たっちまっただけで礼なんて言われる筋合いじゃねぇよと。

ダセェな・・・俺は・・・

震えながら呟く白水さん。

ダセェ奴が、番付抜かされた弟弟子に胸は貸さねーだろ・・・

まったくもって、阿形さんの言うとおりでございます。
追い越されたことは割り切れない。悔しい。それでも、弟弟子に胸を貸す白水さん。カッコイイよ。

さて、鯉太郎の初日が始まります。
寺井さんの型は四つ相撲。鯉太郎が組んでくるなら、得意のスタイルで戦えるぜとか思ってます。
けど、そうはうまく行きません。顔面にブチかましをうけて吹き飛ぶ寺井さん。
ん?ん?ん――?
何が起こったかも分からないうちに倒されてしまいました。ハハハ、寺井さん流石ッスね寺井さん。
でも、顔面にまともにくらったのに、割と平気そうなのは凄いな。次のやられ役も頼むよ寺井さん!

好スタートを切った鯉太郎。他の空流部屋の連中やライバル達の成績も気になるぜ!



第95話/恥辱  (2011年 21号)


九月場所三日目、朝の8時半。
番付外の者による前相撲がひっそりと執り行われていた。

そこで語っている力士が一人。
三段目上位まで登っていたのに、右腕ヤマ行って休場。
番付外まで落ちてしまったらしい。そこまで番付落ちることあるんですなぁ。
なので、他の新人さんとは違い、すでにマゲを結っている状態である。
ケガは治った。前相撲からとはいえ、もう一度相撲が取れると思うと胸が高鳴ってしょうがない。
君も同じだろ?

語っている相手は・・・王虎剣市!周回遅れの実力者である。
外面はよかった王虎。元三段目の人も、怪我で落ちてきた仲間という認識で話かけてたんでしょうな。

さて、前相撲開始。の前に記者に捕まる王虎。
暗黒面に浸かった王虎だが、マスコミの前では相変わらず笑顔である。よくやる。
内心では毒づきながら、優等生の回答をする王虎。
前は簡単に出来てたんでしょうけど、今の精神状態では優等生を演じ続けるのは難しい。
実際、鯉太郎の名前を出されただけで冷静になれず、インタビューを打ち切ってしまう。

王虎の2度目の前相撲の相手は、せいろう。先ほどの元三段目の人だ。
先輩として、土俵の厳しさを教えてやるとか思っていらっしゃいますが・・・相手が悪すぎる。
ブチカマシを決めて、前ミツをとる、せいろう。
しかし、全力で押しても王虎は動かない。元三段目なのに、こんなに力の差があるのか・・・

動き出す王虎。怪我した右腕を極める。ミキメキと音を立てる右腕。ちょっ・・・
この時の王虎さんの表情は本当に怖い。何考えてるのかわからない方の狂気が見える。
思わず、土俵でまいったと言ってしまうせいろうさん
相撲でギブアップってあるのかしら?
腕をとられている状態なので尻をつくこともできない。
そして、王虎の投げ。派手な音を立てて、せいろうさんの右腕が砕かれました。

ううむ、なんと可哀想なせいろうさん。王虎に話しかけたときからフラグは立ちまくりだったなぁ。
何が可哀想って、名前ぐらい漢字で出して欲しかった。ひらがな表記は締まらないよ、せいろうさん。

土俵に響き渡るせいろうさんの叫び。
これには、さすがに記者連中もビビッている模様。
でも、王虎のフォローをあっさり信じるあたり偏っているなぁ。

ここで、日刊トップの山崎登場。おや、ずいぶん久しぶりですな。
昔、思わせぶりなセリフを放って登場したのに、何もしていない山崎さんじゃないですか。
王虎に対して絡む山崎。お前の裏の顔を知っているとでもいいたいのでしょうかね?
正直、王虎さんは優等生を演じるには、気持ちが顔に出すぎるタイプですからねぇ。
すぐにボロが出てしまうと思うのだが・・・まあ、ダークヒーローでもやっていける強さはあるしな。

王虎は語る。早く同期に追いつく。退屈はさせません。
必死でね・・・!

必ず死なせると書いて必死か。本当にやばいな王虎さんは。
今は番付が開いているけど、鯉太郎と当たったときに何をしてくるのか、怖くてしょうがない。
というか、ひょっとすると、白水さんの方が先に王虎と当たったりして?
同じ空流部屋だからという理由で酷い目に合わされる白水さん。とかいう展開は勘弁してくだせぇ。



バチバチ 12巻


第96話/単純  (2011年 22+23号)


白水さんも頑張っているぜ!危なっかしいけど。
毎度のごとくピンチになる白水さん。けど、相手の自爆でどうにか勝利。
見た目はどうあれ、勝ちは勝ちなんじゃ、コノヤロー!
まあ、川さんは見た目も凄い勝ち方だったけどね!

阿吽も順調に勝利を収める。阿形さん、その投げ方危険じゃないかね。首折れそう。

4日目終了。全員が2番取組を終え、全勝である。椿もご機嫌だ。
鯉太郎は2戦どちらも押しだけで勝っている。が、次は同期が相手である。
同期はブチカマシを止めてくるから、ここからが勝負になりますな。
というわけで、投げの確認をしたいと吽形に頼む鯉太郎。それを受ける吽形さん。
むむ・・・吽形さんのヒザが一瞬クローズアップされたのが凄い気になる。
やはり万全というわけじゃないんでしょうな。ムリはしないでいただきたいものである。

鯉太郎の相手である同期とは、ドングリ渡部。鯉太郎としては公式で初黒星をもらった因縁の相手だ。
おっさん臭いシャツを着た田上さんに話しかけられる渡部。気合十分。自信もあるらしい。

鯉太郎VS渡部。
この他にも今日は目が離せない取組がある。
石川と天雷の一番だ。
落ち着いた様子の天雷とは逆に気合を入れて体を温める石川。これも楽しみな対決だ。

さて、まずは鯉太郎と渡部の対決。渡部君はまた太ったようだ。細い頃の面影は目にしかないぜ。
鯉太郎の脳裏には、ブチカマシをスカされたときの光景が蘇っている。
しかし、それでも突進するのが鯉太郎。まずはブチカマす。それが鯉太郎の相撲だ!
渡部も、鯉太郎がブチカマシにくるだろうと読んでいる。
しかし、教習所ではブチカマシを受け止めているし、今は体重がかなり増えている。
正面から受け止める。それが出来る状態にある!

渡部「正面から受け止めるぞ・・・鮫島君!
鯉太郎「・・・上等だよドングリ!」

なんて前フリをしておきながら、ブチカマシをスカす渡部。
巨体でありながら軽々と宙を舞う渡部。本当にこの男はクセモノである。
単純な鯉太郎には相性が悪すぎる。
しかし、まだ勝負がついたわけではない。本番に強い鯉太郎。粘り強さは一級品である。
ここで踏ん張れれば十分に勝ちの目はありますからね。頑張ってほしい。



第97話/デブなのに!!  (2011年 24号)


ドングリ飛んだー!石川もビックリだ。
しかし、流石に鯉太郎。本番には強い。簡単には沈まず、こらえる。
つづけて、二激目。これは当たる!
かと思いきや、これも交わされる。これには同期も驚く。

田上「鮫島のスピードについていけるのかよ!?」
石川「デブなのに!!

渡部はただのデブではない。身軽なデブだ!そんな特徴がつくとは思わなかった。
元々、鯉太郎の取組は研究している渡部。
攻めのパターンは頭に入っている。だから、ハリを受けても耐えることはできる。
正面からぶつかり、鯉太郎の体制が崩れる。
勢いさえ止めればこちらのものだと考える渡部。うむ、間違いではないな。
実際、今の体格差なら当たり負けすることはないわけだし。
土俵際に追いつめられる鯉太郎。しかし、鯉太郎は追いつめられてからが強い。
渡部の両手を掻い潜って、まわしを取る。
渡部は、その鯉太郎の両手を上から押さえ、さらに押し切ろうとする。
我慢の押し比べ状態。
息を止めて必死に押す渡部。顔が真っ赤だ。見ているほうも力が入る。でも、近くの人巻き込むのはどうなのよ、石川。

我慢比べは鯉太郎に軍配。
息継ぎをして力が抜ける渡部。その隙をついて、下手投げ!
しかし、これはやはり読まれている。

教習所であれだけ下手投げの練習見せられたら・・・
バカじゃなきゃ、まわしを取った時点で予想はできるよ!

まあ、そうでしょうね。
ん、でも石川は下手投げに来るのは予想外だったみたいな反応だな。まあ、バカじゃなきゃと注釈ついてますしね!

こらえる渡部。そこに叩き込まれる鯉太郎のハリ。
教習所の時とはやはり気合が違うな。何がなんでも決めてやるという気迫が見える。
しかし、強引に投げようとしても難しい。

田上(あれじゃ投げれん・・・崩しきれてない)

田上さんからのダメ出しが入りました。投げには一日の長がある田上さんですし、間違いはあるまい。
その下のコマの天雷の表情は逆を語ってそうですけどね。

強引にもっていけるほど、渡部は軽くない。
そう思っていた渡部の体が崩れる。
しかし、崩れながらも、鯉太郎の頭を掴んで潰そうとする。そおいっ!
が、ここで鯉太郎の握力が炸裂。
強引に投げきり、渡部撃破。まさしく辛勝でございました。
同期との対決は、毎回ギリギリな戦いになりますなぁ。

しかし、やはり鯉太郎は本番に強い。投げも完璧ではないが、粘り強さと合わせればしっかりと武器になる。
とはいえ、この投げが天雷に通じるかどうかは怪しいところである。
そういえば、この後はその天雷と石川であるな。
石川は鯉太郎に傾倒しすぎな感じがあるな。応援に力が入りすぎだろ。
逆に、鯉太郎はそこまで応援してくれなさそう。思いの比重が偏りすぎだよ!



第98話/勝つのは・・・  (2011年 25号)


力ずくで投げを決めた鯉太郎。それに驚く田上さん。
それ以上に、投げた鯉太郎自身が驚いていた。

同期たちの反応もそれぞれですなぁ。さすがに天雷さんは落ち着いている。大物や。
敗れた渡部君も反省中。
組むべきじゃなかった。一気に突き押すべきだったんだ。

この体になってから、全力で動けるのは30秒だってのに・・・!

身軽なデブだと思ったが、どうやら時間制限があったらしい。
相撲なら30秒もあれば勝負をつけるのに十分ですからねぇ。でも30秒は短いよな。

渡部が反省しているなか、鯉太郎も反省中。
これじゃ強引に行ってたまたまキマっただけだ。こんなの吽形さんに習ってる投げなんかじゃねーよ。

お互い反省している。勝利にも浮かれることも敗北に沈むことも無い。
その前に、次への反省を行う辺り、できておるのう。強くなれる素質がありますわな。

渡部君は鯉太郎の握力の凄さに気づいたらしい。さすがに分析が得意なだけありますな。
投げにこだわっていたのも今なら頷ける。
蒼希狼に続き、これからは渡部も鯉太郎の投げを警戒してくるようになるでしょう。
鯉太郎も今の投げじゃ、いずれ必ずボロが出ると考えている模様。早いうちのステップアップが必要ですな。

と、反省している最中に、土俵に上がっている蒼希狼。って何してるの、アンタ!
呼び出されてもいなにのに上がり四股を踏み出す蒼希狼。当然怒られています。若いな。
蒼希狼は相当鯉太郎の投げを意識しているようですな。
自分の投げの方が上だということを認識させたいらしい。というわけで、自分の投げを見てろという。

ヨ・ク・ミ・テ・テ 
ヨ・ク・ミ・テ・テ バカ〜〜

なんか可愛い感じになったぞ!?
カタコトだからこういうこともあるんですなぁ。
蒼希狼のとこの部屋の指導員か先輩が使った言葉をそのまま流用しているのかもしれない。
そう考えると、その部屋はずいぶん丁寧な人が多いのかもしれませんな。バカ〜は部屋の外で覚えたってことで。

さて、蒼希狼の一番。相手はロシア人っぽい露岩山
顔も体もでかく、パワーがありそうな露岩山。蒼希狼はどのように戦うのか。
注目の一戦。かと思いきや、思いっきり目を離している鯉太郎。ヨクミテテって言ってるでしょ!

左の上手投げを決める蒼希狼。これはよく見てた鯉太郎。
さすがに投げは蒼希狼に一日の長がある。悔しそうにする鯉太郎。

でも最後に勝つのは俺だ!

鯉太郎の力強い宣言。それを聞いて嬉しそうにする石川。
というわけで、次はその石川とキラキラ電気クラゲ、天雷さんとの一番である!
なんだかんだで楽しみな戦いだが、どうなるか。

控え室では敗れた渡部と田上さんが会話している。
泣きながら敬礼?するドングリは妙に可愛いな。せっかく太ったのにまた少し落とすのかね。
まあ、30秒はさすがに短すぎるか。さらに動けるデブを目指すんですな。

さて、渡部による取組予想。石川は鯉太郎と同じく本番に強いタイプ。
ならば、番狂わせもないとはいえないんじゃないかとのこと。
先場所のやる気がなかった村神ならともかく、キラキラモード入った天雷はやる気も十分。
果たして石川に勝ち目はあるのか?
開幕、石川のモロ手突きが天雷の顔面を捉える。
天雷の出足を止め、表情を歪ませることはできたが、その先まではいけていない。
奇襲は入ったものの、ここからどうなることやら。



第99話/重く!  (2011年 26号)


立ち上がりは石川の先手。出足は止められたが、再び前に出ようとする天雷。
もちろん、前には出させないようにする石川。連続で張り手が飛ぶ。

組んでしまえば天雷のほうが圧倒的に有利。
石川が勝つには速攻で押し出すしかない。
回転数を上げて一気に勝負を決めにかかる石川。

テメーごときの圧力なんざ・・・うちの大関に比べりゃハナクソみてーなもんだぜ!

そういえば、石川のいる新寺部屋には大関がいるんでしたっけ。
その大関と稽古しているんだし、圧力に押されたりはしなさそうですなぁ。

石川の張り手は、無茶苦茶についているわけではない。
状態を起こすために、キッチリ下から押し上げているのである。
腰が下ろされたままでは押し出せない。だから、押し上げて浮かし、一気に押し込む。そういう相撲なわけだ。

しかし、さすがに田上さんと渡部である。
他の力士とは見えているものが違う。眼のよい渡部実況と、田上解説。このコンビは最強じゃないか?ある意味で。

重く、殺すつもりで放たれる連打。
ついに、天雷が下がった!

バっバっバっがあっ!

下がった天雷に追撃の一撃。
そこに現れたのは・・・げぇ、クラゲ!
髪も降り、昔の村神フェイスに戻る天雷。キラキラしているのもいいけど、こっちはこっちで迫力がある。

村神フェイスに驚き、一瞬動きが止まる石川。
それを見逃さず、天雷の反撃!
だが、カウンターで石川の一撃が天雷に叩き込まれた!これは・・・!?

必死な形相の天雷。攻撃を受けるのは覚悟の上という表情だ。
つまり、大振りは誘いで、石川の一撃を受け止めるのが狙いだったわけだ。
捕まえてしまえば、やはり天雷。
腕をひねられ、石川の体が回転する。背中からうちつけられ、勝負あり。

ううむ、やはり天雷は強かった。でも、石川も頑張りましたなぁ。
組んだときの天雷の強さは圧倒的。とはいえ、組む前に勝負をつけるのも難しい。
石川もそろそろ新しい武器を身につけないといけないんじゃないかという気がしてきます。

そういえば、今回の鯉太郎はちゃんと石川の応援をしていましたな
空流部屋以外の力士を応援する鯉太郎は珍しい。
今までは石川が一方的に応援している感じでしたしね・・・よかったじゃないですか、石川。

さて、次号はついに100回!
というか、まだ100回行ってなかったんですよね。もうすっかり看板漫画の貫禄があったのに。
100回記念でキャラ人気投票が開催されるという。これは楽しみですな。
田上さんや竹虎さんがどこまで伸びるか期待だ!



第100話/打ってみろ!!  (2011年 27号)


祝!連載100回目。センターカラーでございます!
目出度いけど、このカラーの鯉太郎怖いよ。くいしばりすぎ。

そして、人気投票も開催されます。好きなキャラクターを3名か・・・
田上さん、竹虎さん、猛虎さんあたりですかねぇ。気付いたら虎城部屋ばかりになっていた!

さて、本編。
勝った天雷もかなり消耗している。石川も惜しいところだったようですな。
田上さんも、石川の張りは同期でも一番だと太鼓判を押してくれる。
しかし、やはり天雷に名前を覚えてはもらえないようだ。ちゃんと勝たないとだめかもですよ、山本。

同期の熱のこもった取組を見た鯉太郎。
オメーらだけには、死んでも負けねぇ。その思いを新たにするのでありました。

本日は取組はない田上さん。わざわざ来ているのは国技館マニアだからではない。
王虎の子守ということで来ていたらしい。まあ、先にとっとと帰っちゃったみたいですけど。
相変わらず虎城親方は過保護な感じですねぇ。
同期の熱の入った取組を見て、気合が入る田上さん。その相手は空流。鯉太郎の兄弟子である。それは、つまり。

はい、白水さんでございます。
空流の稽古風景。軽い張りを連発する白水さんを叩き伏せる阿形さん。
厳しい言葉をかける阿形さんに、反発する白水さん。

鯉太郎に番付抜かれて情けねー思いして、何だか俺だけみんなから取り残されてる気がして。
最近じゃそれ考えるとまったく寝れねーんだ。だからたぶん頭の毛も生えてこねーんだ・・・!

いつまでもその髪型でいるのにはちゃんと理由があったのか。
てっきりもう、その髪型が気に入ってしまったものかと。

だったら辞めちまえバカヤロウ。

阿形さんバッサリ。白水さんガックリ。
消沈したところに吽形さんの出番である。理論を説き始める。
親方もちゃんと白水さんに指導をしていたようだ。
ケツの穴に力を入れて腰を落とし、土俵を足の指でしっかり掴む。
ツッパリは腕だけで打つんじゃない。大事なのは下半身だ。
下から上へ、重さを乗っけてハジキ飛ばすイメージで突き上げる。それが大事である。
教えられたことがちゃんとできていない。白水さんもそれに気付いたようだ。

しっかりしねーか!テメーも空流だろ!

阿形さんの激に涙を流す白水さん。
ふむ、激しい阿形さんの指導に、落ち着いた吽形さんの指導。
静と動が合わさった見事なもんじゃございませんかね。
さらに、吽形さんからアメが送られます。

その体は天性の才能だ。ちゃんと使えてりゃそうは負けなねぇんだ・・・自信もってけ白水。

阿形さんのムチに吽形さんのアメか。これは強烈っすね!
しかし、白水さんは190cmも身長あるんですな。
食う量も増やしていってるみたいですし、一気に太れれば大きく躍進もありえる・・・か?

さて、説教も終わったことですし、殺気を込めて一発打ってみろと言う阿形さん。

俺をブッ飛ばしたい奴だと思って全力でな

そういわれたらしょうがない。まずはブッ飛ばした奴の顔を思い出すことにする。
あれ、何故だろう。阿形さんの顔に、ブッ飛ばしたい奴の顔をかぶせるはずが、すぐに阿形さんの顔に戻っちゃう。

早くしろや!ウンコチンチン!ウンコチンチン!

小学生かよ!
ゴリラ目掛けて、腰を落とし、足の指で土俵を噛んだ見事なツッパリが放たれる。
当たりはしなかったものの、その激しさは放った白水さんが驚くほどである。
このゴリラ張り手があればいける・・・負ける気がしねえ!
ついに白水さんが自信を持てる技を手に入れました。それはそれでよいことですなぁ。

さて、取組本番。自信をつけてゴルゴ顔になる白水さん。気合入ってるな!
燃やせ!俺の空流魂!

相手は田上さん。デカイ頭の田上さん。
お互いの頭を見て思わず笑ってしまう白水、田上。
ふざけてんな〜〜〜コイツ。プッ。

阿形「色物対決だな!
鯉太郎「いや、田上は強いっスよ」

田上さんの強さは鯉太郎も認めている。けど、色物なのは否定しない鯉太郎。え、それって酷くない?

白水(土俵に笑いを持ち込むとは許せん奴だ・・・)

白水さんが言うなよといいたくもあるが、まあ、本人は狙ってるわけじゃないですしねぇ。
なんだかんだで、お互いを色物と思いながらも気合を入れる双方。
取組開始!技を身につけた白水さんが決めることができるか。田上さんが一気に押し込んでしまうのか?
この一番はかなり注目ですなぁ。人気投票の開催日にこの2人の取組が始まるとは・・・高順位が狙えそうだよね!



第101話/俺だって・・・  (2011年 28号)


取組への意識が変わった白水さんの初土俵。
自信を持って放つゴリラ張り手。準備の段階で田上さんが脅威に感じるほどのシロモノだ。
下から上に突き上げるようにして放たれたゴリラ張り手。
しかし、それは田上さんの髪を掠めたのみだった。髪がくにょんってなってる!

何だ今のは・・・こんなもん一発でももらったら、致命的だぞ!

鯉太郎のブチかましを受け止めることができる田上さんが言うのだから、相当な威力なんでしょうな。
ともかく、白水さんの張り手が有効な位置はヤバイ。
距離をつめて体に密着し、接近戦に持ち込む!

田上さんは強引に当たり、懐に入り込もうとするが、腰をおろして阻む白水さん。
その長身ゆえ、懐が深い。簡単にはまわしが取れない。
ならば、と腕を絞り上げる田上さん。
この切替えの速さは見事。技の吽形さんもうまいと褒めてくれています。

何だよ・・・強ーぞコイツ。ただの色物じゃなかったのかよ

鯉太郎の同期だというのに、ただの色物なわけないじゃないっすか。

腕をミシミシと絞り込まれる白水さん。でも、腰はあがっていない。田上さんも焦る。
俺だけここで立ち止まってはいられない。男、白水前に出る!
が、そこで引き落としてくる田上さん。本当にうまいな。
しかし、白水さんは根性でくらいつく。左腕を田上さんの肩にかけ、倒れるのを防ぐ。
そして、空いた右手でゴリラ張り手だ!

俺だって・・・俺も・・・空流だ!!

見事に決まった張り手。しかし、拳を握り持ちこたえる田上さん。
さすが、初回で鯉太郎のブチカマシを2度耐えた人である。
でも、ゴリラ張り手2連発には耐えられませんでした。

ううむ、こうしてみると本当に凄い威力なんだな、ゴリラ張り手。凄い武器を手にしたじゃないですか白水さん。
あの田上をねじ伏せた、と鯉太郎も驚いている。

クソ・・・やっぱ強ーな、空流は・・・

こんな強ー男が、俺のコトを・・・

お互いが強さを認め合った。いい展開だ。立会い前はお互いを色物と認識して笑ってのになぁ。

これが、空流。鯉太郎の兄弟子。一番身近な好敵手
鯉太郎の同期らが牽引する実力伯仲の序二段に、白水さんが新たに顔を出してきました。いやぁ。盛り上がるね。
そして、白星を重ねた男たちの、壮絶な星の潰しあいが始まります。
次の鯉太郎の相手は、蒼希狼!ついに本場所で闘うことになったか。楽しみな一番だ!

そして、今回のオチ。
川さん何してるんですかーッ!!
白水さんの頭頂部が変わらない原因が明らかになりました。なるほどなーって酷いよ川さん!

白水さんも田上さんもかっこよかったのに、オチで川さんに持っていかれた回でありました。酷いよ!



第102話/バーキ  (2011年 29号)


突然の回想。球場らしきところで、叫ぶ蒼希狼。
涙を流し、叫ぶ。これは一体何事か。それは、後で語られます。

回想から現在に戻る。蒼希狼は山ノ上部屋で稽古中。
ぶつかり稽古なのに投げに行こうとして怒られる。こいつはこいつで拘り派なんだな。
何かにつけて反抗的な蒼希狼。まあ、確かに可愛くないですわな。
でも、親方には従順だったりします。バカ〜〜〜
そうか、バカ〜は親方の真似だったんですね。

山ノ上部屋の親方は、元・関脇、大山狼山ノ上大五郎
なんという卵形の顔であることか。

そして、山ノ上部屋の十両、大山道 豊
この部屋にも関取がおられるらしい。関取が相手してくれると聞いて嬉しそうにする蒼希狼。
あら、なんだか素直で可愛いじゃないですか。
大山道さんはなんだかいい人っぽいですな。福々しい感じがします。

稽古でクタクタになった蒼希狼。思い出すのは、故郷モンゴルでのこと。
というわけで、再び回想シーン。
モンゴルはウランバートル。腹を空かしている蒼希狼こと、バーキ
自分のとこのグループの仲間がやられたと聞いて、やり返しに行く。

一方、モンゴルを訪れた山ノ上親方。
親方を案内しているのは、元・山ノ上部屋前頭十枚目、現モンゴル国会議員の大地狼である。
大山狼、大地狼、蒼希狼か。狼がつくのがこの部屋の特徴ですかね。
虎城部屋のような特徴ですな。でも、十両の大山道さんは狼ついてませんのね。

現在、外国人力士は一部屋一人というルールができている。
なので、みんなチャンスを掴もうと気合が入っているようだ。

車から外に視線をやると、マンホールチルドレンと呼ばれる少年たちの争いが目に入った。
民主化による経済混乱から生まれた浮浪児の集団だという。
親の暴力から逃げ出した者・・・貧困層からもあぶれた力のない子供たちが身を寄せ合いグループを作る。
凍え死なないようにマンホールで暖をとり、ゴミを漁り飢えをしのぐ。
生きるタメに、ゴミ捨て場やマンホールを奪い合う。
彼らにとったら生きるか死ぬかの命懸けの戦争である。

このとき争っていたのがバーキ。相手グループを見事に投げ飛ばす。
素人だったころから、目を見張るような投げを持っていたようだ。

負けたチョノたちのグループ。このまま、食料やマンホールを奪われると、死んでしまう。
助けてくれと縋るチョノ。それを見て、拳を握り締めるバーキ。

勝っても・・・負けても・・・変わらねー・・・

チョノたちから奪うことはせず去ろうとするバーキ。その目に映ったのは、親方たちの乗る車。
話題はその車に乗っている人について。
親方達は明日のナーダムを見に来たらしい。「民族の祭典」ナーダムでは、相撲、競馬、弓射を競い合う。
相撲で優勝したら、日本に連れて行って金をくれると噂されている。
それを聞いたバーキ。決心をしたらしい。

強けりゃいいんだろ・・・殴られよーが、変わらねーよりマシだ。

オメーら・・・全員まとめて・・・腹いっぱい喰わしてやるよ!

こうして、ナーダムに乗り込むを決めたバーキであった。
それで、冒頭の回想につながるんですな。やっぱり殴られているバーキ。
この後、どうやってナーダムに出ることができたのか。親方の取り成しがあったんでしょうかね。
そりゃ、親方に従順にもなろうというものですやね。

しかし、なんだか蒼希狼のことが好きになってきてしまってなぁ。いや、まいったまいった。
回想のバーキはなんだか体格も立派でカッコイイ気がしますしね。
まさか、自分の回想だから美化しているのかッ!?



第103話/腹一杯  (2011年 30号)


ナーダム。相撲、競馬、弓射を競い合う、モンゴル国の”民族の祭典”。
毎年7月11日の革命記念日には国家主催でモンゴル最大の国家ナーダムが開かれる。

中でもモンゴル相撲の戦士は”強さ”の象徴であり、国家ナーダムでの勝者は国民的英雄とされるのである。

そんなナーダムに出ようとするバーキことバットバートル・ムンフバイヤル。
本来なら、事前に行われている予選を勝ち抜いていないと出ることができない。
そこに乗り込んで、出してくれと言っても出してもらえるわけもなく。
警備の人に止められ、押さえつけられ、蹴られるバーキ。クソああぁぁ!

しかし、流石に戦士が集う場所である。
モンゴル相撲選手の一人、ダワージャブさんが相手をしてくれるらしい。
勝てば代わりにでれるかもしれないぜ、とのこと。なんか、見下されてるな。
見返してやれバーキ!

ゴッ

見事なハイキックが決まり、ダワージャブさん撃沈。勝ったどー!
勝ち名乗りをあげるが、怒られ、再び押さえつけられるバーキ。
確かに相撲で蹴りを使うバーキもどうかと思うが、いきなり警備に頼る選手達も情けないな。

ここで、昨年のチャンピオン、バットスフ・エレデヌバヤルのお言葉。

ここは戦士が誇りを賭けて戦う戦場だ。お前のような金しか頭にない卑しい者がいていい場所じゃない。

この言葉に観客も同意を示す。さすがは獅子(アルスラン)だ!
アルスランは、モンゴル相撲の優勝者に与えられる称号らしい。へぇ。

チャンピオンの言葉だが、納得するはずも無いバーキ。

毎日腹一杯喰って、あったけーもん着てフカフカのベッドで寝てるヤローが何言ってやがる!
誇りなんてもんは金のある奴だけが持ってる余裕だ!

武士は食わねど高楊枝、なんて言葉もありますが、基本的に誇りなんて衣食住足りてから考えるものでしょうからねぇ。
同じモンゴル内でもハングリー精神の差はあるということか。
バーキたちに比べれば相当恵まれているナーダムの出場者も、日本行きは念願らしい。
まあ、うまくすれば国家の英雄的扱いを受けるわけですし、そりゃ憧れますわな。

とはいえ、バーキたちにすれば、英雄扱いどうのの前に、まずは生きるための金がないといけない。
バーキの仲間たちが乱入して暴れるが、警備の方が数は多い。倒されてしまう仲間たち。
孤軍奮闘するバーキだが、やがて疲れ果てる。

結局・・・何も変わらねーのか・・・

悔しさをにじませて、バーキが投げる。昨年のチャンピオンを投げ捨てた!
もちろん、棒立ちの状態でしたし、油断もしていた。
それでも、アルスランが素人に投げ捨てられる姿は衝撃的でございますな。

ふざけんな・・・クソッタレ・・・見てろ・・・変えてやる・・・
俺が変えてやる・・・

バーキの手が、執念が山ノ上親方のところまで届く。
見開きいっぱいを使ってのバーキの姿。親方もこれを見て、勧誘することにしたのでしょうなぁ。

というわけで、回想終了。
泣きながらチャンコを喰う蒼希狼。見ているほうは食欲なくなるので勘弁して欲しい。
まあ、残してきた仲間たちのことを思うと泣かずにはいられないのでしょうな。
必ずお前らにも腹一杯食わせてやるからなと誓う蒼希狼。
その中にはちゃんとチョノも含まれていた。いい話ですな。

俺は負けられねぇ・・・
誰が相手でも・・・どんなことしてでも・・・

過去の話が出て気合十分の蒼希狼。これは手強そうな相手である。
しかし、どんなことしてでも勝つとはなかなか厄い。
勝ちに拘って、気付いたら体に身についたハイキックが飛び出してしまうかもしれない。
勝負には勝てたけど、星は落としたよ!じゃダメですわな。

てなわけで、八日目は鯉太郎と蒼希狼の対決だ。これはどっちが勝つかわからないぜ!



第104話/敵だ!!  (2011年 31号)


さて、注目の1戦であります。
同期のライバルたちは、鮫島を倒すのはオレだということで鯉太郎の応援に回る。
石川は普段からずっと鯉太郎の応援している気がしますけどね。

今回は押しで行くと言う鯉太郎。
実際の所、蒼希狼の投げは天雷ですら厄介というシロモノですからねぇ。
でも、もし組まれたとしても、絶対に投げ勝つという鯉太郎。
なんせ最高の男の技を何度も目の前で見てきているのである。汚すわけにはいかない。

その最高の男である吽形さんとの練習風景。
鯉太郎も大分投げが身についてきたようである。が、まだまだ。
確かに鯉太郎は、頭に血が昇ると強引に力で持っていこうとしてしまう。
強力な握力は武器だが、頼りすぎるといずれ体が悲鳴をあげることになる。そう、故障だ。
鯉太郎との練習を終えて息をつく吽形さん。
なんでしょうな、これは。やはりヒザの故障は完全には治らないんでしょうか・・・?
それか、別の部分に負荷がかかっているのかもしれない。
なんにしても吽形さんにまたトラブルが襲ってきそうな前振りである。イヤやわぁ。

さて、鯉太郎の投げ勝つ宣言に反発する石川。

石川「テメーの投げなんてドングリ程度にしか通じねーんだよ!

なんだとコラ?って感じの渡部君でありました。
まあ、蒼希狼や天雷に通じるようになって、初めて完全なものと言えるでしょうしねぇ。
そこまでの投げを、この1戦で見せることができるか?

一方、蒼希狼のほう。
こちらには田上さんがやってきています。
一人でアップをしている蒼希狼に胸を貸すという田上さん。さすがだね。
それを跳ね除ける蒼希狼。まあ、これは仕方ない。田上さんも苦笑するだけにとどめる。

蒼希狼が山ノ上部屋に来たときの回想。
一緒にやってきた大地狼のお言葉。
強くなれなきゃまたもとの穴に逆戻り。日本に居場所が欲しかったら、お前は勝つしかねぇんだ。
負けたら終わりだと思って・・・毎日必死で生きろよ

せっかくのお言葉ですが、バーキにしてみれば、今までの毎日はまさしく生きるための戦いの日々でした。
土俵に上がり、宣言するバーキ。

勝ってここ守りゃいいんだろ!全員敵だ!
オメーらも黙って見てろ!偉そーに何か言ってきやがったらまとめてやっちまうぞ!

その宣言が理解できたわけではないだろうが、山ノ上親方が土俵にあがる。そして倒す。
クツを脱げ。バカ〜〜〜

ここで大地狼からまた忠告。
強くなりたきゃ山ノ上親方だけは信頼しろ。
なるほど、親方に従順な理由には、強さを見せられたからってのもあるんですな。

鮫島対蒼希狼の一戦が近づくと、控えの力士たちも騒然となる。
今、教習所内で注目の2人だからなぁ。同期以外にも見に来る人は多いようだ。

さて、土俵にあがった2人。お互い凄い気合の入ったガンつけをしております。
バチバチじゃねーかよ!
はい、バチバチでございます。
お互い負けられないものを背負って土俵に立っている。
そして、こいつには譲れないという意志も見て取れます。そりゃ視線でもバチバチ言わせるわいな。

鯉太郎はまず投げは頭から消し、ブチカマシで一気に片をつけようと考える。
蒼希狼は死んでも負けられないと考える。
狙いはブチカマシを止めて、組んでからの投げでしょうな。
さて、どのような結果になるか。
どちらも意地っ張りだから、結構長い勝負になる予感がありますな。



バチバチ 13巻


第105話/炸裂!  (2011年 32号)


鯉太郎対蒼希狼。ついに本番の土俵での対決です。
ブチカマシ一撃を全力で決めて終わらせるつもりの鯉太郎。
対して、蒼希狼は組んで投げてくるものと思い込んでいる。

同期たちの予想。
投げでは勝ち目はないが、ブチカマシ一発で終わるとは石川の予想。
天雷もまた、鯉太郎の勝ちを予想する。

鮫島の本場所でのブチカマシは稽古場とは別ものだ

まさしくそれですな。しかも、今は先場所より体重も増している。
蒼希狼とも戦っている渡部は、鯉太郎の勝ちは断言できずにいる。
意見が分かれそうなときはやはりこの人、田上さん。

そうか!勝敗のキーは、鮫島のブチカマシをまったく恐れていないコトかもしれん。

田上さんは言う。蒼希狼は教習中に一度ブチカマシを受けきっている。
だから、それでやられるという考えがない。
しかし、アレは手をついていない、比較的衝撃の軽い、立った状態からのブチカマシだった。
アレを鮫島の本場所のブチカマシだと思ったら、一瞬で終わるぞ、と。

さすが田上さん。一番最初にブチカマシを受けた人である。見事な分析だ。

さて、同期の予想では鯉太郎が優勢だが、どうなるか。
手をつく。それと同時に鯉太郎が突撃してくる。なんという迫力か。
まともにブチカマシを受け、吹き飛び、転がる蒼希狼
。 観客も、他の力士たちも唖然としている。さすがだな。決めたあとの鯉太郎の構えがカッコイイ。

どちらが勝つか分からない!と思わせて一撃での決着。こういうこともあるのか!
と思いきや、手つき不十分で取り直しでございました。あらら。
どうやら、蒼希狼が寸前で手を止めていたらしい。
呼吸は合っていた。蒼希狼が手をつけようというのを、鯉太郎は見計らって合わせていた。
しかし、瞬間的に鯉太郎の圧力にヤバさを感じて手を止めた蒼希狼。それで救われた。

これでこの勝負わからなくなったね。

渡部の言うとおり、これで蒼希狼はブチカマシに警戒をするようになった。
ドングリ予想では、もう正面からは受けないだろうというもの。
しかし、蒼希狼はブチカマシの恐怖より、屈辱のほうを感じているらしい。

教習所じゃ隠してやがったんだこのブチカマシを!ヘタクソな投げは俺を油断させるタメだったんだ。

いえいえ。鯉太郎にそんな腹芸ができるわけないじゃないですか。
それができるならどれだけ楽なことか。

蒼希狼は、同期の中では一番鯉太郎の投げを警戒している。組み合ったときに本能的に感じるものがあったのでしょう。
そして、今回のブチカマシも受ける前に本能で退いている。
こういうところが蒼希狼の怖さなんでしょうな。考えずに感覚で最善手を導くタイプ。
吽形さんも言ってたが、鯉太郎もそれに近いタイプだ。

さて、取り直し。今度はタイミングが合っている。
鯉太郎の全力のブチカマシを正面から受け止める蒼希狼。覚悟を決めていれば、止めれなくは無い!バカ〜〜!
だが、直後に追撃!この追撃があるから鯉太郎のブチカマシは怖い。
2発目で大きく体を崩している。もたつくとさらにもう一撃とやってきます。
さて、蒼希狼はここから残すことができるか?
ここで続いたとなると、残してきそうな気がしますなぁ。

さて。
第1回バチバチキャラ人気投票結果発表!
気になる上位陣は以下の通り。

1位:鮫島鯉太郎
2位:吽形亘孝
3位:阿形剛平

貫禄の主人公。さらに兄弟子の2人。見事に空流部屋がトップ3を独占しました。
3人とも単行本の表紙になってますしなぁ。阿吽主役のようなストーリーもありましたし、納得である。
さて、そこから下。トップ10はこうだ。

4位:天雷 5位:川口義則 6位:石川大器 
7位:猛虎哮 8位:王虎剣市 9位:田上大 10位:渡部仁

田上さんは9位かぁ。大体予想通りの位置ですかなぁ。
あとは、こんな感じ。

11位:斉藤真琴 12位:白水英樹 13位:蒼希狼 14位:奥村椿 15位:空流親方
16位:火竜太郎 17位:竹虎昌雄 18位:大鵠 19位:床上手 20位:石川の恩師

白水さんがトップ10から漏れていたー!
人気投票の開催時期がもう少しずれていたら、トップ10入りもあったかもしれないのになぁ。
そういう意味では、15位の蒼希狼も、最近の回想で人気があがってたかもしれない。次回はどうなるか。
竹虎さんは17位。最後の取組はグッと来ましたが、このあたりですかねぇ。

そして、バチバチ名シーンBEST3の発表!

1位:吽形VS大鵠 2位:鯉太郎VS王虎 3位:阿形VS大鵠

人気TOP3の取組がやはりこのあたりですか。
人気は低いのに、BEST3には2つも名前が出ている大鵠。
このブタフグ、最悪ではあったが、強いし悪役としては見事なものでしたからなぁ。

次回の人気投票はどのような結果になるか。猛虎さんの出番が増えて、順位上がってるといいなぁ。



第106話/勝負勘  (2011年 33号)


何度だってブチかます!
仕切りなおしの立会いで、鯉太郎の連続ブチカマシが炸裂。
嬉しそうな石川。迷惑な観客だな。

続いて三撃目。吹き飛ばされ、土俵際まで詰められる蒼希狼。
さらに追撃をかけようという鯉太郎。低い姿勢でプレッシャーをかけている。
キマる・・・!
同期たちは鯉太郎の勝ちを予感した。
しかし、蒼希狼はその鯉太郎のブチカマシの恐怖をねじ伏せた。
自ら上体を突き出し、顔面でブチカマシを受け止める!

盛大に鼻血を噴出す蒼希狼。
しかし、田上さんに言わせればこれが最善の手であったらしい。
あの距離で咄嗟に動かせるのは頭しかない。ブチカマシの威力を殺すにはあれしかなかったのだ。

だが、ココを凌いでも次の一撃には耐えられない!

鯉太郎の追撃・・・と思いきや、鯉太郎の頭部から激しい出血が!
チャンスだが、体が動かなくなる鯉太郎。
蒼希狼もまた、顔面で受けた衝撃で体が麻痺している。
ここで渡部の解説。

そうか、鮫島君のブチカマシの威力は確かに上がっている。
けど、その衝撃が倍になって返ってくるカウンターに耐えられる体はまだ出来ていない

さすが渡部の分析である。鋭いところを突いてきた。
田上さんと渡部がいると解説には困らないな。

お互いチャンスなのに体が言うことを聞かない。動けバカ〜〜ぽぁあああ!
先に動いたのは鯉太郎。
必殺の武器のひとつである、掌底のようなハリを見舞う。
が、出血で片目がふさがれていたため、距離感がつかめず外してしまう。
ヒヤッとした蒼希狼。一気に距離をつめて、まわしをとった。四つ相撲の始まりだ。

投げの大得意な蒼希狼に組んで勝てるのか?
今の鯉太郎は、頑張って吽形さんの教えを守ろうと考えている。重要なのは崩しとタイミングだ。
右腕でおっつけて、バランスを崩す!
危険なものを感じた蒼希狼。慌てて、強引な投げを放つ。
これは強引過ぎるので投げれず残される。だが、体が入れ替わり、上手いポジションを得ることができた。

この一連の動作をうまいと褒める渡部。たまたまだろと言う石川。
そう、たまたまである。狙ってやったというわけではない。
この一時に限らず、仕切りで手を止めたのも、ブチカマシを顔面で受けたのも、たまたまである。
しかし、その結果、四つ相撲に持ち込み、さらに鯉太郎が左に回りこめない状況にまで追い込んだ。
これでは、鯉太郎の唯一の組み技、左下手投げは打てない!

これが蒼希狼の一番やっかいな能力。
生き残るためのベストな判断を瞬時にチョイスできる、野生的ともいえる勝負勘だ!

蒼希狼の上手投げは左でも右でも扱える。
鯉太郎にとっては絶体絶命の上体である。
そうか、鯉太郎は左下手しか練習していなかったのか。まあ、他のを身につけている時間はなかっただろうしね。
王虎を投げようとしたときは右下手だった気もするが、あれは本当に咄嗟のことでしたしね。

本番に強いもの同士の戦い。決着は次で着くのか?
着くにしてももう一波乱はありそうな雰囲気ですな。



第107話/打ち合い  (2011年 34号)


土俵際。蒼希狼の上手投げが炸裂する!
しかし、さすがに本番の鯉太郎はしぶとい。腰を落としてこらえる。
田上さんも正しいと褒めてくれる。それなら安心ですね。

ならばと蒼希狼の蹴手繰り。まるでローキックのような蹴手繰りである。
まあ、ブタフグも凄いのを出してたしねぇ。本当、相撲って怖い競技ッスね。

何が何でも鯉太郎に左下手投げを出すためのスペースは与えない蒼希狼。
一見無茶苦茶な攻めに見えるが、本能で正しい選択をしている。

が、ここで鯉太郎。右手を腋に差込、上手に取られていたまわしを切る。
そして、空いたスペースに入り込み、下手投げを放つ。
それに対抗する様に右上手投げを放つ蒼希狼。
教習所ではこの形で蒼希狼が投げ勝っている。
しかし、鯉太郎もあの時のままではない。まわしの掴みはよくなっている。
親指と人差し指は使わず、残り3本の指を締める。
上手投げを堪えるために、左足を前に突き出し、さらに投げる。

田上「いくら何でも強引だろ!?」
渡部「それでももっていってしまうんだ・・・鮫島君の握力は」

解説要員2人の意見が分かれた!
でも、ここは身をもって経験している渡部の意見が優勢であるか。

足を突き出し、下手投げをこらえる蒼希狼。さらに右上手!
同じく足を突き出しこらえる鯉太郎。そして、左下手!以下繰り返し。

まわりから見たらダンスを踊っているかのような光景だ?何をいうがか。相撲は踊りじゃないッス。
2人の流血は激しい。あれはワザと切っている?何をいうがか。相撲はプロレスじゃないッス!

ここで渡部の解説が入る。この解説を観客全員に聞かせてあげたい!

これは鮫島君の力と、蒼希狼のタイミングとの勝負

鯉太郎も、蒼希狼も、お互いの握力や勘のよさを感じている。
血を噴出しながら一歩も譲らない両者。この状況で有利なのは・・・蒼希狼。

力とタイミングの投げ勝負なら、長引けばいずれキメるのは・・・タイミングの方だよ。

力は疲弊すると落ちますしねぇ。
吽形さんも、投げはタイミングと崩しだとおっしゃっておられます。
その教えを思い出した鯉太郎。強引な投げは止める。
横について、投げの打ち合いは一旦中止でございます。

今度は動かなくなる2人。ダンスで疲れたか?まあ、それもあるだろうね。
血を流しすぎた?もちろんそれもあるでしょう。
でも、今の2人はただ疲れて休んでいるわけではない。
お互い、タイミングを狙っている。投げを決めるそのタイミングを。
野次っていた外野もこの異様な雰囲気に気圧されいていく。
しかし、この流血。次に土俵あがる人は凄くやりにくくなりそうだな。

しばらく動きを止めていた2人だが、ついに動き出す。
次週で決着がつきそうな流れですな。渾身の投げで勝つのはどちらか?
未だに勝敗は読めませんな。



第108話/迫  (2011年 35号)


お互い血まみれの膠着状態。先に動いたのは鯉太郎。
既に鯉太郎の下手投げのタイミングは蒼希狼に見切られている。終わりだと勝利を確信する蒼希狼。
しかし、鯉太郎の狙いは投げではなかった。
体を正面に回し、右手を脇に差し込む。

るおあああああ

凄い勢いで押す鯉太郎。基本に戻り、投げに固執はしない。今できることを、全て出す!
これまで鍛え上げてきた、押しである。
握力が凄いことはこれまでも語られてきたことであるゆえ、まわしの手は簡単に切れない。
鯉太郎の背中を叩き、振りほどこうとするが、簡単にはいかない。

これはキマる。

天雷も確信した。
鯉太郎の押しの勢いは留まることなく、土俵際に追いつめられる蒼希狼。
涙を流し、迫る敗北を跳ね除けようとする。
両手で鯉太郎の頭を弾くが、それでも止まらない。
蒼希狼の脳裏に浮かぶのは、残してきた仲間達。腹を空かして待っている仲間達。
負けられない思いが強すぎるゆえか・・・危険な行為に踏み出す蒼希狼。
右手で鯉太郎の顔面を掴む!
このときの右親指が傷口、または目に突き入れられているように見える。ヤバイ。
そうやって頭を離し、空間を空けたところで、鯉太郎の頭に左肘を叩き込む!

ヒジ!?故意か!?

行司たちもこの光景を目の当たりにして表情を険しくさせる。
でも、相撲のルールでは肘は明確には反則じゃないんですね。
拳を使ったり、胴やそれより上を蹴るのは反則だけど、肘については明記されていないらしい。
かち上げとかには肘を使いますしねぇ。本当に相撲は怖い競技やで。踊りじゃあない。
でもさすがに目潰しは禁止です
まあ、爪は見えたし、目に突き入れたのじゃなく、傷口をこすったぐらいに考えておきたい。

ともかく、肘打ちをくらい、崩れる鯉太郎。
そのまわしを取り、上手投げを決めようとする蒼希狼。
しかし、肘打ちによって意識の飛んだ鯉太郎は、自然な流れで下手投げの動作を行う。
崩しとタイミングがバッチリ決まった下手投げ。
投げの体勢に入ったときには、既に蒼希狼が前のめりになっている。
そして、回転。
背中から叩きつけるようにして、鯉太郎の下手投げが決まったのでありました。
きれいに決まるとこんなに回るものなんだなぁ。

まさしく死闘といっていい戦いでありました。
勝負の前の、どんなことをしてでも負けられないという蒼希狼の言葉は、まさにその通りでしたなぁ。
必死さゆえに、身についたケンカファイトが出てしまったという感じでしょうか。
無意識に相撲の投げが出るようになった鯉太郎とは大きな違いですな。
これから蒼希狼が立派な相撲取りになるには、そういったあたりを改善していかないといけないでしょうなぁ。
負けそうになるたびに泣いていたのでは、さすがに強くなれるか怪しい。



第109話/空  (2011年 36+37号)


国の仲間たちの希望を背負い、日本にやってきた蒼希狼。
しかし、この勝負は鯉太郎に軍配があがったのでした。
俺は負けていないというが、それで覆るものではない。

同期の連中も、最後の鯉太郎の投げを見て驚いている。
てっきり力で捩じ伏せる投げに拘っているものと思っていた。だが、それは違う。
あの力の抜けた投げを見てわかった。
あんなキレイな投げを喰らったら、さすがの蒼希狼も負けを認めざるを得ない。
田上、渡部の解説2人が認める投げである。相当なものでございましょうな。

これで、鯉太郎の武器に下手投げが加わった
全員ブン投げると言われたからには、他の連中もいずれ投げられるようになるかもしれない。
実際に投げられた渡部は唇を噛んで悔しそうにしている。
そして、他の連中は、そうはさせんと息巻いている。
一番ぶつかる可能性が高い天雷が大ゴマを取っているのは当たり前ですかね。

こりゃいよいよ今場所は鮫島か天雷だと噂される。
四つ相撲もできるようになった鯉太郎はさすがに注目されますわな。
一方、ヒジまで使って負けた蒼希狼には冷たい。当たり前ですな。

うなだれて戻る途中で、山ノ上親方が現れる。
強くなれなければ、またもとのマンホールに逆戻り。大地狼の言葉が蘇る。
涙を流し、戻されたくないと懇願する。仲間のためにも、今戻されるわけにはいかない・・・
その蒼希狼にゲンコツを食らわす親方。

あのヒジダメ!バカ〜〜
でも、負けないハートOK!

山ノ上親方がモンゴル語を喋っている!?
相撲で一回も負けないなんてムリムリ。もっと稽古しないと力士としてはまだまだ。

土俵広い。お前の国、空みたい。
教えることまだまだ、まだまだ!部屋で稽古稽古稽古稽古!

俺はもうクビなんじゃ?と問う蒼希狼。

もうアナタ、ワタシの弟子(むすこ)。バカ〜〜〜

一度負けただけで、もうクビにされると考えていたのか蒼希狼。
相撲で一回も負けないなんて、そりゃ無理があります。
その勘違いも解消されたことだし、これからはもう少し余裕を持って取り組めるようになりますかね。
そして、山ノ上親方。いい人だ・・・!
カタコトではあるが、頑張ってモンゴル語を覚えたのでしょうな。
考えてみると、蒼希狼も、言葉が通じない国で一人やっていくっていうのは辛いものがありますよね。
その環境で、祖国の仲間を思ってずっと張り詰めてやってきたんだもんなぁ。
最後に流した蒼希狼の涙は、いつもの悔し涙とは違うものだったのは間違いありますまい。

悪ぃな皆・・・土俵には俺より強い奴がいたわ・・・
もう少し待ってくれ・・・俺は絶対強くなるから・・・

ついに蒼希狼も、自分より強い奴がいるというのを認めた。
ここからの成長に期待したいところでありますな!

さて、鯉太郎。川さんに背負われて医務室に向かう。
川さんは世話焼きでございますなぁ。
大したコトはないと言うが、さすがに力を使い果たしていた鯉太郎。
おぶさることもできなくなったので、引きずられていきます。えっ?

ともかく。この取組を見て、序二段優勝は鮫島と天雷の2人に絞られたと予想されるようになった。
誰しもが納得するその予想。
しかし、たった一人!ここにそんな納得なぞ微塵もしていない不屈の男がいた!

10日目。ついに白水さんがあの怪物、天雷とぶつかる
ゴリラ張り手を身につけて、調子付いている白水さん。何気に今場所無敗の状態である。
果たして天雷とやりあって勝てるのか・・・!?
もし、奇跡的に勝ちを収めたとしたら、優勝決定戦で鯉太郎との同部屋対決があるかもしれない。
阿吽もおそらくここまでは無敗でしょうし、下手したら幕下と序二段で空流同士の優勝決定戦があるのか・・・凄いな。

天雷も、鯉太郎の下手投げは警戒しているが、白水さんは全くのノーマークである。
ひょっとしたら、立会いの張り手がまともに入るかもしれない。
そこで大きく弱らせることができれば勝ち目はあるが・・・どうなるか。楽しみです。



第110話/なら  (2011年 38号)


8日目が終わった空流部屋。なんと、5人中4人が勝ち越しを決めている。
その4人は全勝なわけですから、こりゃ凄い。ステロイドなんて打ってないですよ。

今までにない、初日からの連勝を飾っている白水さん。
阿形さんの煽りもキリッとした表情で受け流す。誰だお前は!

気合の入っている白水さん。テッポウの音も今までと違って感じる。
今までは、てい!てい!(ペシペシ)だったのが、デイ!デイ!(ズドンズドン)となっている。大違いだ!?

羽化したのだよ鯉太郎君・・・蛹から蝶へとね。
見えないのかい?この綺麗な羽根が・・・

調子のってやがるーッ!
まあ、割と思い悩むタイプの白水さんにとっては、調子にのっているぐらいがいいのかもしれない。
次に当たる天雷は鯉太郎も認めざるを得ない凄い奴ですし。

そいつは強いのかと問う白水さん。それに対し、同期で一番力があると答える鯉太郎。ほう・・・
でも、その天雷に、鯉太郎は先場所勝っている。ほう!
いちいち白水さんの反応が楽しいな、おい。

先場所勝ったのは、天雷の油断によるもの。あのときの村神は気が抜けてましたからなぁ。
実際、鯉太郎も教習所では一度も勝てていない。

白水さんなら何か策を立てていなねーと・・・正直、真っ正面からいっても勝てる相手じゃねーと思う・・・

この言葉に、白水さん激昂。
ならってどーゆー意味だそりゃ。俺の相撲じゃ勝てねーって言ってんのか?

怒りの白水さん。鯉太郎を土俵に上げる。テメーごとき叩き潰してやると言ってのける。
いい迫力ですな白水さん。親方も楽しそうに見守っている。
纏う空気がこれまでとは全く違っている。ついに殻を破ったのかとは吽形さんの言葉。本当に蝶になっていたのか!
阿形さんも、なんだかんだで嬉しそうにしている。いい兄弟子ですわな、ほんと。

多分、白水さんは空流親方の弟子の中でも覚えの悪さはナンバー1である。
だが、教えられた押し相撲を疑わず、やめなかった。
負けても笑われても、逃げず引かず諦めず・・・前に出続け愚直で直向きな相撲を取り続けた。
結果、その貫き通した押し相撲が、白水さんの高い潜在能力にやっと重なり始めたのだ!

身長のある白水さんは潜在能力は高そうでしたからねぇ。
覚えは悪かったが、親方の言葉を信じ、頑張り続けた結果がついに現れ始めたということでしょうか。

阿形さん直伝の張り手が、立会いで鯉太郎に叩き込まれる。
胸を突かれ、一回転して吹き飛ぶ鯉太郎。こりゃ凄い。
その鯉太郎を素の表情で心配する白水さん。あらら、いい人じゃねーですか、おい。

俺は誰が相手でも策なんて立てねーよ。小細工して勝つよりも、己の相撲貫いて勝ちてーからな。
誰が相手でも真っ向勝負・・・それが俺の相撲だぜ!

凄くいい面して述べる白水さん。これには鯉太郎も笑顔で返すしかないっスね。

白水さんだって空流で稽古してきてんだ。あの天雷とだっていけるかもしれねえ!
確かに、石川との戦いのときも張り手の連打で下がっていた天雷である。
あの強烈なゴリラ張り手が決まれば、もしかしたらはありえる。
田上さんのときも、連続でゴリラ張り手を決めていたし、一撃ではなく追撃をかませば勝ち目はありえるで!

そういえば、鯉太郎。白水さんの強烈な張り手は田上さんの取組で見ていたんじゃないのかね?
あの田上を倒すとは・・・みたいなこと言ってた気がするのだが。
普段の白水さんの様子を見ていると、強くなったとはにわかに信じにくかったのだろうか。
あれ、それってやっぱりナメてたってことじゃないですかね?まあ、今回で見方も大きく変わったことでしょう。

鯉太郎も白水さんに負けてはいられない。吽形さんに投げの稽古をつけてもらおうとする。
しかし、吽形さんはこれからヒザの診察があるらしい。あら。
吽形さんのヒザはまだまだ引きずりそうですなぁ・・・怖い怖い。

てなこと言ってたら、最後のページでこのアオリですよ。

10日目。白水―天雷を皮切りに、ここから空流部屋の忘れられぬ九月場所が、
華々しくも残酷に動き始めるのである

華々しいのはよい。でも残酷ってなんだ、どういう意味でいっているんだ!
ヤバイヤバイ。凄く怖すぎる。
一番可能性があるのが吽形さんのヒザであるが・・・本当、勘弁して欲しいっすよ。
竹虎さんが先に引退することで、吽形さんのフラグを消してくれたかと思ったのに。
同部屋対決の、幕下優勝争いで、吽形さんを破った阿形さんが、思いを背負って頑張る・・・なんて展開がありそうで怖い。
それとも、天雷との取組で白水さんが故障しちゃったりとかそんな話になるとか・・・?
場合によっては、その両方が来るとかがありえそうで、凄い怖い。怖い怖い。

ここは、ひとつ川口さんの出番に期待したい。
実は、母星がピンチになったので帰らなければいけなくなったとか
華々しくも哀しい、川さんとの別れとか。でも、翌週何事もなく帰ってくるとか。川さんが一晩で解決してくれましたとか。
そんなぐらいのオチを期待したいところだ!



第111話/掴みとれ!  (2011年 39号)


「テイ」から「デイ」へ覚醒した白水さん。
その押し相撲の力は本物である。練習も気合が入り、注目を浴びている。
でも、今までの戦果があれだったので、名前は売れていない様子。

おいおい知らねーのか!?アイツは空流部屋の白水さんだぜ!

誰も名前を言ってくれないので、姿を一度隠して、自分で言う白水さん。
せめて時間を置いてから現れようぜ!まあ、それでもバレるだろうけど。

空流部屋はここ最近有名である。
先場所幕下で優勝した吽形さん。阿形さんも派手な相撲を取るせいか、デタラメに強いと評判。
そして、ちょっと浮くことができるという噂がある川口さん
って川さん、相撲となんにも関係ないじゃないですかー!本当、さすがだよ川さん。

何よりやっぱ序二段の鮫島だよなー

確かに鯉太郎が入ってから一気に空流部屋の名前が響くようになっていった。
同じ序二段の力士にとっては、一番注目する名前でしょうな。
大関の息子。あの火竜の息子ということもああるのかね。

兄弟子であるが、番付追いつかれている白水さん。それは必死になるよなとか言われている。
まあ、実際そうですからねぇ。
俺は俺の相撲を取るだけだと言ってはみるが、やはり意識はせざるを得ない。ううむ。

序二段の力士としても、優勝争いは鮫島と天雷の2人に絞られているという感じ。
同じく全勝中の白水さんは眼中にない。うーむ。なので白水さん吠える。

俺はアイツより強ーんだ!優勝すんのは俺だ!

鯉太郎よりも強いと言い切ってみせる白水さん。
別に鯉太郎が弟弟子だからって肩身が狭くなるなんてことはないですけどね。可愛い弟弟子っすよ。

さて、天雷がいる支度部屋。
天雷の貫禄は既に関取クラスである。オッカネー。
そして、ここには天雷と並ぶ優勝候補の鯉太郎の姿があった。
鯉太郎はピリピリした雰囲気だが、笑顔で声をかける天雷。村神時代から大きく変わったものであるなぁ。

俺はただ、万全のお前を倒したいだけだという天雷。
しかし、それは今日の相手に勝ってから言って欲しい。
今日の相手の白水ってのは空流である。

俺の兄弟子は、恐ろしく強ーぞ!

身をもって体験したから、自身を持ってそういえる。白水さんは強い!
やはり鯉太郎は可愛い弟弟子っすね。空流部屋はいい部屋だ。
しかし、この鯉太郎の人相の悪さは凄い。

で、その評価された白水さんだが・・・緊張のあまりトイレで吐いていた。白水さん・・・
優勝を宣言して見せたが、一笑に付されてしまう。まあ、実績がないですしねぇ。

この世界に入って痛烈に思い知ったコトがある・・・結果がすべて!

「努力してます」
「一生懸命やってます」
「僕は必死に頑張っているんです」
そんなコトは、クソしてケツ拭くくらい当たり前のコトだ。
そんなモンひけらかしたトコで・・・返ってくるのは薄っぺらい同情と慰めぐらいである。

そこには歓喜も称讃もねえ!!

結果が欲しい白水さん。凄い入れ込んでいる。
阿吽の激励を受けるが、思いっきり噛んでしまうぐらい気負っている。ぶっとびゃす!
ぶっとびやす?どこにぶっ飛ぶつもりだ。

報われたければ結果を出すしかない。
評価されたければ勝つしかない。

鯉太郎に出来て・・・俺にできねぇはずはねぇ!
俺は・・・変わる!

気合を入れる白水さん。しかし、相手は天雷。
1ページ半以上を使って描かれる天雷の迫力はもの凄い。というか、天雷イケメンすぎる。やべぇ。

大丈夫だ・・・自分の相撲を取れば・・・勝てる。
勝て・・・る・・・よな・・・

気迫に呑まれて不安になる白水さん。
気負いすぎではなくなったが、呑まれちゃ余計に悪い。
今後のためにも、ここは踏ん張って欲しいところであるのだが・・・
故障したりすることなく、いい勝負をして欲しい。できれば勝ちたいところであるが、どうなるか。



第112話/前へ!  (2011年 40号)


傍らに弟弟子、眼前には強敵。今こそ白水さんが生まれ変わる時。行け、白水さん!
意地見せたれや!

でっかくアオリを入れられてはいるが、その表情は思いっきり呑まれたもののそれである。
まあ、天雷はなぁ。序二段とは思えない雰囲気を既に醸し出してますし。

逆に、天雷の方は白水さんを見て少し拍子抜け。
阿吽のことは前に見てますし、鮫島の兄弟子ならそのイメージがあったんでしょうけどね。

なんとか落ち着こうとする白水さん。阿形さんに比べればカワイイものだと思うようにする。

無理だ比べらんねぇ。だってコイツ賢そうだもん

なら吽形さんと比べよう。賢そうってんなら、あの人は誰にも負けねぇ・・・

無理だ比べらんねぇ。だってコイツハンサムだもん

なんだか失礼なことを言われた気がする。吽形さんだって顔は整ってますがな!
まあ、整ってはいるが、天雷に比べるとさすがに・・・な。

なんとか落ち着こうとするが、考えすぎてしまう白水さん。
ココを落とすわけにはいかない。やっとチャンスが掴めそうなのだから、ここは落とせない。
すぐ横には弟弟子の鯉太郎が見ている。
兄弟子の自分が目の前で負けるわけにはいかない。

自分の相撲を取れば負けはない。信じろ・・・勝てる・・・信じろ・・・信じろ・・・

迷いが捨てきれない白水さんに、阿形さんの激が飛ぶ。
どーせテメーは張って張って張りまくるしかできねーだろーが!
無ぇ頭で余計なコト考えてんじゃねぇハゲ!

無い頭って、そっちの話ですか?ちゃうねん。生えてこないんじゃなくて、剃られてるだけやねん。
という話はともかく。どうにか腹が据わった白水さん。

己の相撲を信じるだけだ!

こいコノヤロー・・・俺のゴリラ張り手は必殺だ!

信念の篭った眼差しを見せる白水さん。
その姿は迫力となり、天雷をも奮わせる。

なるほど・・・やはり、鮫島の兄弟子だな・・・

天雷ほどの男にも認められようとしている。ここでバシッと決めてやれ白水さん!
ハッキヨイの声とともに、取組開始!
必殺のゴリラ張り手を放とうとする白水さん。
しかし天雷の圧力は圧倒的。まさに圧倒的である。
腹は据えたはずなのに、体が固まる白水さん。まえ・・・前へ・・・

うわあああああ!

天雷のブチカマシを避けた白水さん。
張りをするはずだったはずの手は、天雷の後頭部を抑え、引き落としのような形となった。
天雷は手をつき、勝負は白水さんが制した・・・が、これは・・・

誰が相手でも真っ向勝負する!それが俺の相撲だぜ!

取組の前にそう、いい表情で言ってしまっただけにこれは・・・
期待し、天雷にも俺の兄弟子は強いと言ってしまった鯉太郎はさすがに納得がいかない。何だよそれー!
そして誰よりも白水さんが一番呆然としている。これは辛い・・・これが残酷な九月場所か!?

阿吽はこの様子にしかめっつら。
まあ、しょうがないかと思いつつも、やってしまったなという思いがありそうな感じだ。
一番辛いのは白水さんなんだろうけど、どうするのかねぇ。
取り組み前に思ったこと。この世界では勝つことが全てという考え。
その考えは間違いではない。でも、信じた自分を裏切るような勝ち方に納得ができるのだろうか。

それはそれとして、引き落としの仕方に関してはなかなか凄かった。
交わしただけではなく、天雷の頭を抑え、見事に倒している。
これはアレだ。無意識のうちに川さんの技を身につけていたのだよ!俺の兄弟子は阿吽だけではない!
てなことを自信満々で語ってくれる白水さんだったらなぁ。
堂々と語れば鯉太郎も納得。やっぱりうちの兄弟子はハンパねぇ!で終わったかもしれないのに。
なまじ勝ってしまっただけに色々と面倒ですやねぇ。一体どうなるのやら。



第113話/じゃねーのか・・・  (2011年 41号)


やってしまった白水さん。アオリも無情である。
白水さんにはガッカリだ・・・
言葉もアレだが、見切れているのがなんだかとてもガッカリ感がでている。秀逸なアオリだな!

小細工して勝つより、己の相撲貫いて勝ちてーからなー

この言葉が今は虚しく響く。しかし、なんという表情で語っているんだ白水さん。まったく、何だよそれ!
他の力士は、狙ってやったんだと噂している。それならそれでなかなかの技術ですけどね。実際は違う。

観客は不満気な様子。迫力ある取組を期待してたのになぁ。序二段からつまんねー取組しやがってとか散々な評価だ。
引くのも技術の内でしょうけど、見ている側としては一瞬で勝負が決まってしまいますし、こういう評価もでるか。
序の口の渡部と鯉太郎のときのように、派手に飛ばすならともかく。

敗れた天雷は悔しそう。直前で鯉太郎に恐ろしく強いぞとか言われてたのに、この結末か。
難しいな、相撲は
いろいろと思うところはあるだろうが、負けは負けである。落ちた俺が悪い。それだけだ。
天雷はそれだけ言い残し去っていく。うーむ、カッコイイっすねぇ。

観客は相変わらず白水さんをくさしている。
あのガタイで引くんだもんなぁ。あんなモン絶対上には上がれんよ。

渡部「なにっ」

まあ、渡部のことはともかく。
今回は取組前に阿形さんが張っていけみたいな声をかけていたのが大きかったりする。まさかあれで引くとは観客も思わない。
このおかげで、空流部屋ぐるみで天雷を引っ掛けたみたいな評価をされている。むうー
そんな評価を真後ろでされるもんだから、ただでさえ何だよそれと苛立っている鯉太郎がさらにイライラ。
それをブチかましに乗せられるのだから、今日の取組相手はたまったもんじゃないな。

憔悴した様子で引き上げる白水さん。その前に現れたのは空流親方。
親方はもちろん経験豊富ですからね。そういうこともあるという感じの対応。
勝って悔しいことは悪いコトじゃない。己の型ができてきてるってコトだし。

力士って奴は、己の相撲を取れなかった時に、たとえ勝ってもスッキリしねーし悔しいもんよ

これを教訓に次を頑張れという親方。
でも次じゃないんです。ココだったんです。
今日が勝負どこだった。天雷という実力者を倒して変わるはずだった・・・
あんな相撲じゃ勝ったとはいえ、誰も強いとは認めない・・・
他の部屋の奴にも空流の皆にも見せつけなきゃいけなかったのに。俺だって空流だってトコを・・・

悔やみ続ける白水さん。
そこに、取組を終えた鯉太郎がやってくる。
なにも言わずに白水さんの横を通り抜けようとする鯉太郎。
その鯉太郎を引き止める白水さん。言いたいことがあるならハッキリ言えよ!

何故泥沼に足を踏み入れようとするのか・・・
そう言われたなら鯉太郎も言わざるを得ない。

真っ向勝負が白水さんの相撲じゃねーのかよ。ガッカリさせんなよ・・・
白水さんなら正面から力で天雷を捻じ伏せられると思ってたのに・・・
できもしねーコト、カッコつけて言うんじゃねーよ!!

鯉太郎のまっすぐな批判に思わず手が出る白水さん。そいつはいけねぇ!
反論するにしても、兄弟子だぞとしか言えずにいるのがなんとも物悲しい。
言われたとおりだと認識してはいるが・・・てなとこか。厳しいな。
鯉太郎は鯉太郎で、白水さんを尊敬し始めていたところだっただけになぁ・・・

アンタは空流じゃねーのかよ・・・

オレだって空流だというのを見せ付けたかった。
そう思っていたのにあの取組。そして、この言葉・・・白水さんが愕然とするのも無理はない。

じゃ・・・ねーのかもな・・・

鯉太郎と白水さんの間に亀裂が入ってしまった。
この溝が埋まることはあるのだろうか・・・うーむ。
それこそ、序二段の優勝決定戦でお互いがぶつかるしかないのかもしれませんな。
本気の、全力の取組を見せることで、周りの見る目も変えることができるかもしれない。
それまでの数日間は悪評が耐えなさそうですけどね。ううむ、辛い。

ところで、今回のサブタイトル。じゃねーのか・・・だが、これを少し変えるとほのぼのできるかもしれない。
語尾を伸ばしてみましょう。じゃねーのかー。なんだか暢気な感じになりましたね。

アンタはくーりゅーじゃねーのかー
じゃねーのかもなー
そーなのかー

うむ、間延びはしたがやはり内容は重かった。クソッ!



第114話/勝負・・・  (2011年 42号)


いきなりの爆音が響く支度部屋。
ブオーンオンオン!ブオーンオンオンオン!
ブオーンオン!ブオーン!ブオオーン!ブワオン!

誰だ、支度部屋にダンプを走らせているやつは!?
いえ、床上手さんの鳴き声であります。ブワァオ!
念願だった大銀杏を結うことが出来て、感涙に咽んでいたらしい。気持ちはわかるが怖いよ。

阿形さんが大銀杏を結っている。
これは、今日の取組の相手が十両だからである
本来ならば、大銀杏は十両以上の約70名の関取にのみ許される、力士たちの目標であり憧れである。
場所も中日を越えると、勝ち星が先行している幕下上位と、負けが込んでいる十両下位の取組が組まれる。
そして、この一番では幕下力士も十両に合わせ、憧れの大銀杏を結って土俵に上がれるのである。

なるほどね。先取りみたいなものですか。
確実に上がれるわけではないが、幕下上位である限り、その可能性は濃厚。
実質、この取組は十両と幕下の入れ替え戦といえる、下克上の一番である。

意外と似合っているじゃないかと声をかけてきたのは吽形さん。
初見では微妙に見えたが、慣れると似合って見えそうですな。

阿形さんの大銀杏を、正直羨ましいという吽形さん。
こんな仮免みたいな大銀杏を羨ましがってどうするんだという阿形さん。
あと二番。2人の番付からいって、あと二番勝てば十両である。
そうすれば、胸張って本物の大銀杏を結える。

そしたら、2人で大見得切って歩こうぜ、吽形・・・

・・・・・・そうだな

嫌な間だ。
一度は過ぎ去ったはずの不安がまた増大していきます。
それを示すかのように、吽形さんの回想。
どうやら、今場所は毎日のように膝の血と水を抜き、痛み止めを打って土俵に上がっていたらしい。
そのヒザは痛々しくドス黒く変色してしまっている。うわわ。

変色したヒザをサポーターで隠す。
今までどおり、親方や部屋の皆には黙っていて欲しいという吽形さん。
しかし、今のままではもう相撲どころか日常生活だって危ういという。
それでも休場は出来ない。今場所だけは、何としても土俵に上がらないといけないという吽形さん。

たとえヒザが砕けようと、後遺症が残ろうと・・・

そこまで今場所に拘るとは。
まさか、引退する気なのか?
主治医のその問いを否定する吽形さん。
最後を決めるのは自分ではない。

吽形さんの思いはたったひとつ。それを果たすチャンスがあるのは今場所のみ。
多分、最初で最後。全勝同士ならば・・・同部屋対決!
決して組まれることのない同部屋同士の取組だが、本場所で唯一勝負ができる全勝同士の優勝決定戦!
それが意地でも今場所の土俵に上がる理由!

二人が土俵で会うために闘い続ける。
うーむ・・・吽形さんは本当にストイックすぎる。
前の場所でその辺りを反省したはずだったのだが、土俵で阿形さんと戦えるという思いが強すぎたのでしょうか。
引退はして欲しくない!けど、あのヒザを見せられると休んで欲しいと思えてならない。
ここで阿形さんが負けたらどうなるんだろうか?
もちろん、全勝同士の対決はなくなるわけで、吽形さんが今場所に拘ることはなくなる。
雰囲気は悪くなるかもしれないけど、湿っぽいことになるよりはいい気がするなぁ。
まだ若いのですし、完全に治して再び挑戦して欲しいなぁ。
まあ、相撲は過酷だからねぇ。ケガを治療している間に番付もどんどん落ちるし・・・気がせくことこの上ない。
一度その状態から這い上がり、また這い上がれというのは酷。とわかっていても、願わずにいられませんわな。
引退を決めるのは阿形さんであるが、どのような展開になるのか。怖くてしょうがないなぁ。



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