蒼天紳士チャンピオン作品別感想

バチバチBURST
第54話 〜 第81話


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 各巻感想

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 バチバチ
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バチバチBURST 7巻


第55話/笑うな・・・  (2013年 30号)


燃えよ土俵、焦がせよ鯉
炎を背負い、炎に炙られる鯉の浴衣を着た鯉太郎のセンターカラー。
って鯉が炙られているだと!?
恋焦がれるという表現はあるが、鯉が焦げるのはいかがなものだろうか。

それはさておき、本編。

卑劣な仕込みを行った大鵠の張り手などには屈せず、己の相撲道を貫く鯉太郎。
そのブチカマシにブタフグの上体が揺れる。
が、すぐに反撃を行ってくるブタフグ。ぶぁはははは!!
どうやら決して屈することはないと不敵な笑みを浮かべたのが気に障った様子。

笑うな・・・笑うな・・・わ、ら、う、な、あ、あ!!

狂ったように張り手を繰り返すブタフグ。
そこに傷ついた左手で張り手を刺し返す鯉太郎。
その一撃は腕だけで張るブタフグとは違い、しっかりと踏み込んだ重さが込められている。
それ故か、ブタフグは幻覚を見る
目の前にいる男が鯉太郎ではなく――阿形さんに見えている!!

びぃやああぁあ・・・・・・え!?

ビビッて怯むブタフグ。
うーむ。思った以上にトラウマになっているんですなぁ。
まあ、本当に殺されるかと思ったわけですし、刻まれるのも仕方がないか。

怯えて顔を覆うブタフグ。
その隙に前ミツを取る鯉太郎。おがめ!!

一気に押して押しだそうとする鯉太郎。
だが、さすがにブタフグの足腰は大したものである。力を込めれば押しは止まってしまう。
この足腰の強さこそがブタフグが十両まで上がる要因となった部分である。

っ・・・うぅ・・違う・・・まぎらわしい・・・まぎらわしい・・・
ナメや・・・がって・・・どいつも・・・こいつも・・・
俺を・・・誰だと思ってんだぁあぁ!!

阿形さん、吽形さん、鯉太郎。そして王虎と色んな人に見下されていると感じるブタフグ。
王虎はさておき、他の面々は強いこと自体は認めていると思うんですけどね。
それ以上に醜悪であると思っているだけで。その点は自身も認めるところでしょうに。

自慢の足腰で突進を止め、逆に押し切ってやろうと考えるブタフグ。しかしビタリと動かない。

ん・・・?ん〜〜〜〜〜?
動かねえ・・・だと?こんなソップが・・・
まさか・・・冗談じゃねぇ・・・俺はこの"寄り"を武器に十両まで上がった男だぞ・・・!!

体格差を活かし、得意の寄りを決めようとするが、根が張ったかのように動かない鯉太郎。
これには観客も驚いている。よい流れですな。

何なんだこのガキ・・・鉄板仕込んだ張りも効かねぇ・・・この俺の寄りもダメ・・・
鮫島ならどうにかなると思ってたのに・・・

どうやら本当に鉄板を仕込んでいたらしい。もしかしてプラスチック板の可能性もあるかと思ったのだが!!ないか。

フン・・・稽古不足なんだよ。キタネー体しやがって。
誰の弟弟子を相手にしてると思ってんだ・・・アホが。

仁王さんの言う通りでありますな。
阿形さんと闘った頃のしっかりした体のブタフグならば話は違ったかもしれない。
実際阿形さんも危ないところまで寄られてましたものねぇ。

その仁王さん自慢の弟弟子である鯉太郎。
寄りを決めようとして決めれず息を荒げるブタフグの身体を持ち上げ、浮かす!!
これは・・・確かに力も凄いが、力だけによるものではない!!

力の一番伝わるポイントをおさえれば、アイツの足腰なら上がる。
この吊りはアイツのセンスと地道な稽古の賜物だ

そう語る空流親方。
何にせよ吊り上げてしまえば寄ることなんてできようはずもない。
ブタフグは完全に死に体となっている。相撲的に考えれば。

キイイエェエェ!!

奇声と共に放つエルボーが鯉太郎に突き刺さる。は、ハッキリ分かるように打ち込みやがった・・・!!
だが、それでも揺らがない鯉太郎。

で?

睨みつけつつ、そう一言で切り捨てる鯉太郎。
ハハハ。こいつはブタフグに新たなトラウマが重なる運びとなりそうでありますなぁ。
まあ、足が浮いた状態の肘じゃあまり力も入らないだろうし、こんなもんですよね。
肘に刃を仕込んでおくぐらいのことはしておくべきでしたな!!

すっかり精神的な格差を見せつけられてしまった様子のブタフグ。
しかし鮫島ならどうにかなると思ったのに・・・は情けないセリフでありますなぁ。
余程仁王さんが恐ろしいと見える。だから直接はいけずにその弟弟子を狙おうとしたわけか・・・醜悪だなぁ。

しかし稽古不足の身体でも幕下でここまでほぼ全勝という強さを誇るブタフグ。
伊達に一度は十両に上がったわけではないということでありましょう。
というか、もしかしたら十両に居続けることも可能だったのではないだろうか?
だけど、上にいると仁王さんとまた戦う可能性があるので怖くてあがれずにいるとか・・・
このトラウマっぷりを見るとそんなことも有り得るのではと思えて困る。

さて、鉄板が仕込まれていることはハッキリしたわけだが、この先ブタフグはどうなるのか。
まだ鯉太郎は幕下のままだろうし、下手したら次場所でまた戦うことになるかもしれない。
それを恐れて廃業なんてこともあるか・・・?どうだろうか?
そのまま番付を落としていき、大吉ならどうにかなると思った・・・とか言い出す流れは勘弁していただきたい。
それで大吉が一蹴するならそれはそれで面白いかもしれませんがね!!



第56話/失礼だろーが  (2013年 31号)


肘を落とそうがまるで怯まない鯉太郎に真っ青になるブタフグ。
しかし当人はさておき、見ているマコ姉にとっては焦る試合内容ではある。
アレって反則でしょ!?と椿に問うが、実は肘の使用は禁じ手には入ってないらしい。

でも、力士なら恥ずかしくて普通は出来ない

その普通は出来ないことをやってのけるのがブタフグである。
いや、単に発狂してるからなだけか。
これまでは目を突くにしても隠してやっていたが、これはもうなりふり構ってませんものねぇ。

ちなみに相撲規則における反則は以下の通り。
・握り拳で殴ること。
・頭髪を故意につかむこと。
・目、または水月(みぞおち)などの急所をつくこと。
・両耳を同時に両手ではること。
・前立褌をつかんだり、また、横から指を入れて引くこと。
・喉をつかむこと。
・胸や腹を蹴ること。
・一指、または二指を折り返すこと。

これらの禁じ手を使うと反則負けになるらしい。
む、ブタフグみぞおちに一発入れてませんでしたか?まあ、故意かわからない部分は流されるんでしょう。たぶん。
しかし確かに肘が駄目とは書いてないんですな。蒼希狼は怒られていたが、あれは力士らしくないということからか。

観客もひくぐらいに肘を浴びせまくるブタフグ。
これには鯉太郎に罵声を浴びせていた連中も黙るしかありますまい。
行司が黙っているのはどうかとも思うが・・・まあ、禁じ手ではありませんしね。

壊す壊す壊す壊す壊す壊す。
テメー壊して仁王のバカに見せつけてやるんだ・・・

そういった目的で暴れているとハッキリ口にするブタフグ。
おかげで鯉太郎もムカツキ、力いっぱいまわしを取った手を引く。引きつけだ!!
勢いが良すぎてブタフグの背中がメキッと言ってますよ。

こんなモンかよ・・・ふざけんなよ・・・
あの阿吽と張り合った男だろーが・・・
テメーは強くなきゃいけねーんだ・・・
じゃねーと・・・テメーに壊され廃業していった吽形さんに・・・失礼だろーが

吽形さんを尊敬している弟弟子としてはそういう想いがありますわな。
卑怯な手を使われたとはいえ、見るところもないどうしようもない奴に壊されたとは思いたくない。
少なくとも強さは本物であった。そう信じたい。
その想いから失礼だろーがという言葉に繋がるのでしょうが・・・
残念ながら既に仁王さんに壊されてしまってましたからなぁ。全盛期とは程遠いということか。

鯉太郎の凄味を見て涙を流すブタフグ。

同じ・・・コイツらも阿吽らと同じ・・・・・・

鮫島ならどうにかなると思ったら、しっかりと阿吽の魂を受け継いでいたという。
その辺りの思い違いがブタフグの最大の誤算でしたな。

勝負を決めるために下手投げの構えに移行する鯉太郎。
その流れるような動きに吽形さんを見るブタフグ。
恐怖の叫びをあげ・・・まわしを掴んだ鯉太郎の左手の人差し指と中指をボキッと折り返す。おいっ!!

テメーは終わってんだろ吽形!!しつけーんだ!消えろよぉお!!

自分が廃業に追い込み消した人間。
それがずっと脳に残っておりこうして現れる。自業自得というより他ありませんな。
しかしこれはまさに禁じ手の項目に入る行為だと思うのだが・・・行司からは見えなかったんですかね?

泣き叫びながら覆いかぶさってくるブタフグ。
このまま押し潰そうというつもりか。
だが、ここで思い起こされるのは吽形さんの言葉。投げは力じゃない。タイミングという言葉。

終わってたのは・・・テメーだよ

右手でブタフグの左脇を押し、横に流す鯉太郎。
その身体が元に戻ろうと逆に力を込めた瞬間、鯉太郎は下半身を強烈に捻る。
そうして、相手の戻る力を利用しつつ、相手の右脇に差し込んだ左腕で投げを放つ鯉太郎。
見事な呼び戻しが決まり・・・ブタフグは土俵に叩き付けられる!!

じゃあな・・・クソヤロー・・・

おっと、この言葉は・・・
吽形さんが見事な投げを決めた時もこの言葉が出ていた。クソヤローはさておき。
今回はマゲを掴まれることもないし、完全勝利といっていいでしょう。
その言葉で締めくくれたのはなんだか感慨深いものがありますなぁ。

しかし、治療中の指がさらに大変なことになってしまいましたな。
添えていた指まで折られてしまうとは。中指は下手投げにも使うし、結構面倒な話である。
まあ、だからこそ指を使わない仏壇返しを身につけるのがいいという流れなんでしょうけどね。
今回は見事に決まった仏壇返し。とはいえ覆いかぶさってくる相手以外に使えるかはまだ未知数。
これから磨きをかけていくこととなりそうですな。

さて、次回からはついに白水さんと王虎の戦いとなりそうである。
どのような戦いになるのか・・・期待が高まりますなぁ!!



第57話/わかったか・・・  (2013年 32号)


ブタフグを見事に投げ飛ばした鯉太郎。
控室では力士たちがあの巨漢がブッ飛んだぞとざわついている。
何だ今のは!?と疑問の声が上がる中、田上さんの解説が冴えわたる。

明らかに一度投げる方向とは逆に相手の体を引き付けてから投げていた・・・
多分・・・アレは呼び戻し・・・通称"仏壇返し"・・・

幻の大技と言われる仏壇返し。それを決めてみせた鯉太郎に驚きの声があがる。
天雷もかなり驚きの表情を見せております。
そういえば天雷、腕にサポーターをしているが休場するほどの怪我ではなかったようですな。安心しました。
しかし田上さんの解説力も大したものであるなぁ。

見事な勝利を収めて力士たちも驚愕させた鯉太郎。
にもかかわらず、相変わらず罵声が飛んでくる。
空気読めよとか言ってるけど、キタネーまねしてる相手に勝ってそう言われるのはさすがになぁ。

悔しくて悲しいマコ姉。
しかし、そこで罵声とは全く違う声が聞こえてくる。拍手と声援。
ふむ。今回のブタフグがキタネーまね全開だったおかげで鯉太郎の評価も見直されつつあるようですな。
マスコミが騒ぎ立てた内容ではなく、取組の内容で判断するのであれば鯉太郎を攻めることなどできない。
王虎との戦いも正面からバチバチにいっていたと見ている者はわかっている。む、いい空気だ。

何かよ・・・俺・・・鮫島は強くあって欲しーんだよな・・・

ほう。何でしょうかねその意見は。
ヒールレスラーみたいな役割を鯉太郎に期待していると?
まあ、鯉太郎はあの悪タレ火竜の息子だし、そういう位置を期待する人は当然おりますわな。
今は悪タレならぬ悪ガキって感じでありますが。それはそれで微笑ましい。

というわけで、今回の取組で評価が二分した感じ。
認めないぞという奴もいれば、応援してやるよという人もいる。
調子に乗るなという奴もいれば、よかったぞクソガキと述べる人もいる。
そして焼き鳥おごってくれという人だっている。またお前か!!

一生懸命やってきた鯉太郎に向けられる評価の声。これはずっと見てきた人たちには嬉しくてたまらない光景である。
マコ姉も涙を浮かべております。そりゃあ泣くさ。嬉しいさ。

なかなかいい雰囲気になってきましたねぇ。
観客の誰かも言っている通り、クソガキという表現が凄く似合う鯉太郎。
愛想はよくないが、一生懸命なんだというのは伝わって来るし、相撲を楽しみたい人にはいい男である。
なんだかんだでまだ若い。本当にガキと呼ばれて仕方ない年齢なんだし、観客さんも広い心で見てほしいものでありますな。
また何かあったら手の平返すんじゃないかと思えるのが怖い。

花道を通り帰ってくる鯉太郎。
その日本の指は逆に曲がり、つけ根が腫れ上がってきている。
急いで医務室に行くぞという親方だが、このまま白水さんの取組を見るという鯉太郎。
ふむ。せめて大吉の持ってきた氷で冷やしておくべきでしょうな。ってまたバリバリくんかよ!!
後で全部食べますと言っているが、解けたら食べれないっしょ。飲むのか!?凍らせ直すのはちょっと難しい。

ここでブタフグがバンテージに何か仕込んでいたことを明かす鯉太郎。
しかしそれは糾弾する為ではない。そんなことはどうってことないと言うためである。

俺は毎日アレの千倍スゲー張り喰らってるからな

笑顔でそんなことを述べる鯉太郎。まったく、可愛い弟弟子だなぁ、ホント。
こりゃあ白水さんの気合も満点になろうというものである。

ほんじゃあの天才君にしっかり教えてくっか・・・俺が誰の兄弟子かってよ

いい雰囲気の空流サイド。
一方、敗れたブタフグは一人で歩くこともできないほどに消耗している。
吽形さんのときとは違い、演技ではない。本物の消耗だ。
精神的なストレスで白髪が一気に増え、体は冷え切り、顔面はいろいろな液体まみれとなっている。

その横を通り過ぎる王虎。
ブタフグのバンテージの仕込みを見て、そこまでして勝てねーのかと冷笑。

勝つ・・・?違う・・・俺は・・・そんな小さなモンのタメに土俵に上がったんじゃ・・・
俺・・・俺は・・・俺の目的はただ・・・仁王のバカに復讐を・・・・・・

ブツブツと呟くブタフグ。その前髪を掴み、顔をあげさせる王虎。

何土俵穢してんだテメー・・・・・・
小さなモノだと?テメーはもう二度と土俵を踏むな。
もしまた上がったら・・・俺がテメーを殺してやる。わかったか・・・ヨゴレが・・・

王虎ならば本当にやってきそうな気がする。
まあ、肉体的に殺さなくてもこの脅しだけで完全にブタフグの精神は殺されてしまったみたいですけどね。
ついに下からも体液を流しだすブタフグ。やれやれ自業自得な部分も強いが哀れな話である。

審判部の親方にも呼び出しを受けているブタフグ。
肘の件もあるが、さすがに仕込みのこともバレていそうですな。
王虎に言われるまでもなく土俵を追われる流れか。十文字親方の責任の所在についても気になる所である。

さて、いよいよ始まる白水さんと王虎の大一番。
空流のNo.2である白水さんがどのような戦いを、意地を見せてくれるのか。注目であります。

しかし今回の王虎はなかなか面白い。
土俵を汚すなとか言っているが、それはキタネー手を使うとかそういうことじゃないんでしょうな。
仕込みをしている部分に関してはどうでもよさげだったが、勝ちを小さなモノと言った瞬間にブチギレている。
本人が石川に語っていた通り、勝ち負けは何よりも重いものと捕えているんでしょうなぁ。
その割にブタフグを勝ち星調整要員としようとしていたみたいだが・・・まあ、それはそれだ。

いや考えてみれば他にも王虎には余罪がある。
前相撲では片手で相撲をとって敗北という有様。まあ、あれで考え直したとみることはできるかな。
しかし最近も常松相手に舐めた取組をしたりしている。勝ったからいいようなものの・・・
いやあれは常松と同じことをして教育したということなのかもしれない。
お前のやったことはこういうことなんだぞと危ない橋を渡りながら教えてくれたと・・・厳しいか。

視点を変えてみると、文字通りの意味で土俵を穢したことを怒っているのかもしれない。
お前の体液まみれの土俵にこれから上がるオレの身になれやコラと怒っている可能性。
清めの塩も幕下では撒けないだろうしなぁ。怒るのも仕方ないって話ですぜ!!



第58話/ゴ・リ・ラ!  (2013年 33号)


浮世絵風に白水、見参
いやあいいですなコレ。髪型のこともあり非常によく似合っている。
外人さんとか喜びそうでありますな。

さて、いよいよ始まる王虎VS白水。
全勝同士の直接対決ということで盛り上がっております。

鮫島、天雷を破り目下26連勝爆進中の天才・王虎
対するはここまでひっそりとまさかの無敗。空流部屋の白水!!

ふむ。なんだか酷い扱いでありますな。この注目されずにひっそり全勝という流れは序二段の時と一緒だ。
ん?そうなると白水さん優勝してしまう可能性があるということか・・・!?

ともかく白水さんの勇姿を見守る空流部屋の面々。
鯉太郎は本当にバリバリくんで顔冷やしてるんだな。仕方ないとはいえ。
そして常松は何が空流No.2だ。相手になるかよと否定的な様子。
さてはて常松のこの言葉はむしろフラグとなりそうでありますが?

遠くでひっそりと見守るのは虎城親方。
何だか遠い目をしていらっしゃるがどうしたのだろうか?
そろそろ王虎の張りつめた強さに限界が来ていると感じているのだろうか?うむむ?

静かに殺気を纏う王虎。ブタフグのせいもあり荒ぶっている様子ですな。
それに比べて白水さんは落ち着いた様子。
他の力士は呑まれているみたいなことを言っているがそれは違う。落ち着いてる白水さんは調子がいい時だ!!
その証明に、先に土俵に上がった白水さんの迫力に観客も息を飲んでいる。ズン!!

フン・・・バカが・・・

続けて土俵に上がる王虎。
しかし190cmはある王虎が小さく見えるのが今の白水さんである。
こうして見比べるとやはり白水さんはデカイなぁ。

フッフッフッ・・・驚くコトに白水さんはまだまだ身長が伸びてるのよ

何!?未だ成長を続けているだと!?
なるほど。登場時は身長も体格も全然に見えたのにいつの間にか大きくなっていたのは成長したからなのか!!
コミカルな演出だけで小さくなっていたわけではないんですな。

見た目からくるデカさだけじゃねーさ・・・
自信だよ。自信ってモンは自分を一回りも二回りも大きく見せちまう
負けたら全てを失うぐらいの取組に勝ってアイツはソレを手に入れたんだ・・・
鯉太郎とのあの取組以上に怖い取組はそうは無ーよな白水・・・

なるほど。登場時の負けが込んでいた白水さんはそれだけ小さく見えていたと。
今は自信がついたのでデカく見えていると。納得の解説であります。

さてその自信のついた白水さん。王虎を冷静に分析。
押しも出来るが注意すべきは四つ相撲。鯉太郎も常松もブン投げた左右の小手投げを警戒。
組まれないよう何発も丁寧に突いて突いて突きまくり、自分の距離で勝負するつもりの様子。

フン・・・下が下なら上も上だな・・・どうやら空流ってのはバカの集団らしい・・・
お前らごときが俺をどーにか出来るかよ・・・

何故か穏やかな笑顔でそう述べる王虎。
しかしかなりカチンときたらしく、言い返す白水さん。

・・・オウ・・・今の言葉終わってから吐いてみな・・・
空流・・・ナメンなよハゲ

おっと。ハゲにハゲと言われた!!
これには穏やかな顔をしていた王虎も一発でピキッと来ています。
虎城親方を見ている限りはハゲる心配はないと思うが・・・眉毛は真ん中がハゲてるけど・・・
むしろそれが気に障ったのか?誰の眉毛がハゲだコラァッ!!となっちゃったとか。遺伝だししょうがないですよね。

顔じゃねぇんだよお前じゃ・・・

その言葉を合図に両者手をついて取組の開始。
立ち上がりからぶつかりに行こうとする王虎。
それに対し白水さん。丁寧な突き・・・いや、大きく振りかぶっている!!

チマチマいくのはヤメだ

見開きでページを跨ぐほどの勢いの張り手が繰り出される。
その迫力の一撃が王虎の胸に突き刺さる。これは・・・!!

いきなり開幕で放たれたゴリラ張り手。果たして王虎相手にどこまで通じるのであろうか。
序二段の頃より更に大きくなっての一撃である。さすがの王虎も全くダメージ無しというわけにはいくまい。
しかしこの一撃で倒せるとは思えない。ここからが勝負でしょうな。
ゴリラ張り手以外に何か武器があるといいのだが・・・



第59話/コイツも・・・  (2013年 34号)


立ち上がりに突き刺さるゴリラ張り手。
この一撃は王虎の頭部を揺らし・・・グラつかせることに成功する。
おぉ。火花が散ったかのような映像も出ているし、これは相当効いているぞ!!

もういっちょー!!

続いての左のゴリラ張り手。
叩き込まれる直前で気を取り直した王虎ははたいて流そうとする。
が、最初の一撃で足にきているらしく、流しきれない。肩に強力な一撃をもらってしまう。

空流親方「止まるな!!突き押せ白水!!」
虎城親方「まずい・・・まずいぞー・・・何だあの突っ張りは・・・

なんと、あの虎城親方が大焦りするほどの威力を持っていたゴリラ張り手。
さしもの王虎の表情も真剣なものへと変わる。
いや、表情が変わったのはその威力を目の当たりにしたからだけではない。
そう、白水さんも天雷や鯉太郎と同じ存在であると認識したからだ。

そうか・・・コイツも・・・この俺を前に勝ちを疑わないバカの一人か・・・

その顔ぶれの中に常松が入っていないのはどういうことなのだろうか。
まあ、鯉太郎たちとは違い王虎も本気ではやってませんでしたからねぇ。
最終的に投げられた時も諦めの表情が常松だけは見て取れましたし、そういう評価になるのも仕方がないか。

ともかく、白水さんを叩き潰すべき相手と認めた王虎。
崩れかけた足に力を込め、白水さんのゴリラ張り手をかいくぐって懐に入ろうとする。
だが・・・踏み込みが浅い!!
避けたとしても白水さんの懐の深さは並ではない。もっと深く踏み込まないとマワシに手が届かないのだ。

逆に至近距離まで近づいてしまったことで、躱しづらい横薙ぎのゴリラ張り手が飛んでくる。
強烈な一撃。虎城親方もそれはもらうなー!!と必死に叫ぶ。
が、避けるどころか素早く左肩でのカチ上げで白水さんを吹き飛ばす王虎。
マワシに手が届かなかったことで普通なら動きが止まる所である。
しかし王虎の緊急回避能力はズバ抜けている。窮地にも冷静に対応してしまえるのが王虎。厄介な男でありますなぁ。

カチ上げでアゴが跳ね上がり、逆に足にきてしまう白水さん。
そのグラついた顔面に王虎の頭からのブチカマシが突き刺さる。メキッ。
うーむ。こんな激しいぶつけ方ができるのは本当、相撲ぐらいのものでありますよなぁ。
さらに怯んだところに張り手の連打を浴びせる王虎。押し相撲でも白水さんに対抗できているだと!?

ムカツクが・・・アイツは違うんだ・・・

一度の敗戦ですっかり王虎への対抗心が折られている様子の常松。
そんなんだから王虎の中にも残らないわけである。
とはいえ王虎が別格に強いのは間違いない。四つ相撲だけではなく押しもヤバイ。

だが・・・俺の突き押しが効かねぇって訳じゃねぇ・・・ここは相撃ち覚悟で・・・

動こうとしたところで王虎の笑みが見える。これは、何かを狙っている・・・?
しかしそれに気付きながらもかまわずに打ち込む白水さん。
結果、その伸ばした右腕は王虎の脇に絡み取られることとなった。これは・・・左の小手投げの構えだ!!

狙い澄ましての小手投げの形。白水さん大ピンチ。
果たして小手投げを仕掛けられたとして、攻略する方法はあるのだろうか?
天雷のように力尽くで脱出するか。鯉太郎のように相手の内に開くスキをつくか。
ここは白水さんらしい脱出方法を見せてほしいですね。
ゴリラ張り手の撃ちすぎで肘の関節は着脱自在になっており、小手投げは絶対に効かないようになっているとか。怖ェ!!

まあ、白水さんの腕は長いので小手投げが決めにくいという話はあるかもしれない。
肘の辺りを押さえようとするとどうしても体が相手と離れてしまいますしね。
そこを利用してうまくアレしたりコレすれば大勝利なんてことになるのではないかと。
いやしかし、この戦いは本当にバチバチしててよい戦いでありますな。



第60話/踏み込み  (2013年 35号)


白水さんの渾身のゴリラ張り手を捕える王虎。
狙い澄ました左の小手投げが入る。まさしく必勝パターンだ。しかし――

ふんっ!がっ!!!

長い足を踏み出し、一歩で間を詰める白水さん
回り込んで前に出てしまえば関節は極まらないし、投げられることもないわけだ。
そして投げようとしていた王虎の体勢は崩れている。
直近の、逃げづらい体勢の王虎に迫る白水さんのゴリラ張り手。
その迫力に王虎の心臓が激しい鼓動を打つ。冷や汗が顔から吹き出す。

しかし寸でのところでこの張り手を掠めるだけで済ます王虎。
まともに当たっていたらどうなっていたかわからない描写ですな。ドキドキする。
嬉しそうな鯉太郎に椿。驚愕する常松。なかなか周りの反応も面白い。

ちょっ・・・ちょっと待て・・・・・・
冷汗・・・?この俺がか・・・?
こんな幕下で・・・こんなザコ相手にこの俺が・・・!?

自身の反応に憤激する王虎。どこまでもプライドの高い男である。
未だ脇に抱えたままである白水さんの右腕を再度締め付け、小手投げの体勢に入る。
が、これもまた白水さんの踏み込みで無効となる。足が長いって素敵なことですね。
だが踏み込まれたのならばさらにもう一度投げるまでと腕を振るう王虎。
腕をミキミキ言わせながら、再度踏み込みを行う白水さん。

なんだか土俵上でぐるぐる回っているかのような光景となってそうですね。
本人たちは必死なんでしょうが、観客から見ると割と面白い光景になっているかもしれない。

王虎のらしくもない強引な相撲に青ざめる常松。
これは白水さんの張りのヤバさを実感し、小手を振り続けなければいけないという本能のなせる技と考える鯉太郎。
怒りに我を忘れているわけではないってことですな。
危機から逃れるための正確な判断と逆に冷静に行っていると見て取ることもできる。これが王虎の厄介さだ。しかし――

ダメだ王虎・・・そいつは空流の力士だ。足腰の鍛錬はしっかり積んどる。たとえスタミナが尽きても腰は浮かん。

そのように評する虎城親方。
おぉ・・・虎城親方が空流の力士を評価するとは!!
まあ、他人が言ったら激怒するかもしれないが、その元横綱としての相撲眼は否が応でも正確な批評をしてしまうのでしょうな。

だが、王虎もただ強引な投げを行っているわけではない。
くり返し小手を打つことで、白水さんの懐に入って投げれる位置を探っていたのだ。
その成果はすぐに出て、あるポイントに入ったところで白水さんの腰が浮きかける。

見つけた・・・

なんとも恐ろしい王虎の執念。この小手投げは簡単には攻略させてもらえそうにありませんな。

ポイントを決めた小手投げが今度こそ入る。
と思いきや、それでも腰を浮かすことなく、踏み込みを決める白水さん。んなっしゃ!!

白水「踏み込みが・・・あめーよ」
王虎「お前がな・・・」

どうやら回り込みが浅かったらしい。
投げの勢いは踏み込みで殺せたものの、腕がまだ極まったままとなっている。
王虎が体を落とすことで、体重が白水さんの腕にかかる。メキメキと音を立てる白水さんの関節。

まぁ・・・あの小手投げを堪えただけでも誉めるべきか・・・勝負ありだ

虎城親方から勝負ありの宣告が出ました。
王虎も容赦なく関節を極めて白水さんを沈めようとしている。
下手に堪えていたら本当にボッキリ行ってしまいそうであるが・・・白水さんの目は死んでいない!!

戦いは佳境。果たしてここから白水さんの逆転劇はあるのだろうか。
腕を犠牲にしての勝利という可能性もあるが、そうだとしてもあまり酷い怪我にはなって欲しくないですなぁ・・・
どのような対処を見せてくれるのかは楽しみです。

しかし常松はすっかり驚き役が板についた感じがありますな。
男芸者らしい立ち回りになってしまっているがそれでいいのか!?
まあ、親方にも兄弟子の取組をしっかり見ておけと言われてますしねぇ。ちゃんと言われた通りにしていると言えなくはないか。
常松も早いうちに空流の力士になれるといいですなぁ。



第61話/一撃  (2013年 36+37号)


王虎必殺の小手投げを耐え続けた白水さん。
しかしついに逃れられない体勢に捕えられてしまう。
この体勢。足を踏み出そうと浮かせばそのまま潰される。技術で逃れることは出来ない。
仁王さんや天雷の力があれば強引な脱出もなくはなかろうが・・・

空流親方「・・・もう・・・ここまでだ白水・・・」
虎城親方「くっ・・・さっさと投げられるか潰されるかせんか!これ以上を王虎に・・・

親方双方ともに勝負ありと認めてしまう体勢。
いや虎城親方はさらに別の心配をしているようですな。
このまま白水さんが負けを認めずに堪え続けた場合、また王虎が相手を破壊してしまう。
ブタフグが指摘しているように精神の削れている王虎にそういう負担をかけさせるのはと危惧している様子だ。

おい・・・勝負はついてるだろ。折れるぞ・・・何で・・・何で沈まねーんだ。

常松もさすがに驚き見入るしかない。
投げられる瞬間にチクショーと泣き言を言ってしまった自分と比較すると何とも言えない気分になるんでしょうな。

屈することのない白水さんの笑み。
それを見て血走った眼で吠える王虎。
一気に体重をかけて・・・白水さんの腕を折る

ボキ!と響く音。有り得ない方に曲がる腕。これはさすがに緊張が走る瞬間である。
観客や椿、鯉太郎たちが声にならない悲鳴を上げる中、王虎は憔悴した感じで破壊した腕を解放する。
そう。それこそが白水さんの得ようとした逆転の好機である。

折られなければ離されることはない。
逆に言えば腕を折られてしまえば解放されることも有り得る。
それに賭けた白水さん。王虎の体を突き飛ばし、素早く正面に回る。
そして残った左腕でゴリラ張り手を放つ!!

寝てろ・・・死にぞこないが・・・

予想外の事態に放心したはずの王虎。それなのにゴリラ張り手を交わしてカウンターで張り手を見舞ってくる。
うーむ、この王虎の危機回避能力はどこまでも厄介でありますなぁ。

相手の肉体と才能がこちらを上回っているのならば、残るは気合や気迫で勝つしかない。
腕を折られ鼻血を吹き出し、激痛と呼吸困難で顔を真っ赤にさせる白水さん。
それでも闘志は漲り、王虎を睨みつける。

なっ・・・何だってんだ・・・

気圧されつつある王虎。必死にブチカマシをかけて吹き飛ばそうとする。
しかし白水さんは倒れない。一撃・・・一撃を喰らわすまでは・・・

あ・・・あぁ・・・

完全に気圧された様子の王虎
こうなってしまっては持ち前の危機回避能力があっても体は動かない。
既に意識が飛んでいそうな目つきの白水さんが繰り出すゴリラ張り手をもろに顔面に受ける。
その威力はやはり凄まじく、一撃で意識の飛んだ感じの王虎。その身体を土俵に向けて崩れさせる。
しかし白水さんもまた飛びかかるようにして放った体制のまま土俵へ向けて倒れ込もうとしている。
これは果たしてどういう結果となるのか・・・

うーむ、もしかしたらとは思ったが本当に折らせて逆転の機会を得ようとするとは・・・
根性は確かに凄まじいが、今後のことが不安になる取組である。
ヤマに行っての長期休暇となるのか。さすがにここでまた無理して廃業なんて結果は見たくないところですし・・・
この場所の取組はまだ最終日が残っている。
全勝を懸けて折れた腕で戦う白水さんの姿を見ることとなるのだろうか?いや、まだこの戦いを制したかどうかは分からないか。

白水さんが勝った場合、次の取組をどうするかという問題が出てくる。
名も無き力士なら残った左腕だけで何とかなるかもしれないが天雷とかと当たったりしたら素直に休んでおいた方がいいと思われる。
また王虎が勝った場合、この白水さんの戦いでどのような想いを抱くことになるかが気になりますな。
いや、負けた場合はさらに気になることになるか。
精神が削れているところに破壊の感触。さらに気圧されての失神と言う経験。
勝つにしろ負けるにしろ色々と思う所が出来てしまいそうだが・・・はてさて。

白水さんが勝って休養という流れが一番いいのかもしれませんな。
怪我の具合にもよるが成長した白水さんなら休みで落ちた番付も完全に復帰すれば戻すことも出来るでしょう。
そしてその間に王虎が番付上げていれば復讐戦を挑まれることもなくある意味安全となる。
いやまた王虎が引きこもってしまって白水さんと同じ番付の落とし方をしたとしたら・・・
うーむ。どうなるか読めないところでありますな。



第62話/打て!  (2013年 38号)


意地と執念で一撃を喰らわせることに成功した白水さん。
しかしその体は前のめりに倒れ込もうとしている。
だが一撃を受けた王虎もまた意識を飛ばし、横から倒れ込もうとしている。この勝負の行方は・・・

どっちだ・・・

固唾を飲んで勝負の行方を見守る鯉太郎たち。
そんな中、王虎は迫り来る土俵を見つめながらあの時のことを思い起こしていた。

また・・・また俺は・・・落ちる・・・のか・・・
あの時・・・落とされた・・・奈落・・・

前相撲で鯉太郎に敗れた王虎はまさしく奈落に落とされたかのような感覚を味わっていた様子。
負けたら全て終わりという偏った意識はどうやら子供の頃からすり込まされてきたものであるらしい。
原因は無敵の大横綱と言われた虎城――父親の家での姿。

怖いんだ〜〜俺は・・・横綱だぞ。負けたら積み上げたモノをすべて失う・・・
負けたら・・・俺の価値が消えるんだ・・・

妻の膝に縋り付き泣き言を述べる虎城。
王虎は幼少の頃からこういう姿と泣き言を聞いて育ってきたわけなんですな。
だからこそ負けたらそこで終わりという歪な考えが身に付くようになってしまったわけなのか・・・

王虎の母は理解がある人らしく、しっかりと恐怖に震える虎城を癒してくれている。
そして幼い王虎――剣市に向かい、あの人は孤独であり、それは本当に強い人しか立ち向かえないモノなのよと諭す
まあこれは分からないでもない話ですな。
簡単に負けることが許されない横綱。その重圧を受けながら闘い続け、結果を出してきた大横綱・虎城。
弱さを抱えながらそれを飲み込み戦う姿には感銘を覚えなくもない。しかし・・・

偽物が・・・

幼い剣市くんにはそういう裏で弱さを見せる父の姿に苛立ちを覚えてしまった様子。
強い男はいついかなるときも強くなければいけないという考えなんでしょうか。
自らを本物と称する王虎としては譲れない線なんでしょうな。だから弱味を見せれる仲間や友達もいない。まさに孤独な状態であると。
ん、よく考えたら田上さんに泣いてるところ見られちゃってるな。これはどういうことか?田上さんは特別なのか・・・?

田上さんとの関係はさておき、白水さんの一撃を受けても持ちこたえる王虎。
フラフラになりながらもしっかりと崩れそうになった体を踏み込んだ足で支えている。
だが、王虎がしぶといのなら白水さんもまたしぶとい。
倒れ込みそうだった白水さんが残った左手で王虎のまわしを掴む。

終われ・・・ねーな・・・まだ。俺の・・・背中・・・見てる弟弟子が・・・いるからよ〜〜〜・・・
カッコ・・・つけねーとよー・・・

兄弟子としての矜持。その意地が白水さんを奮い立たせる。
あと一撃。あと一撃だけ動く力を得ようともがく。
相対する王虎は完全に意識が飛んでいるのか棒立ち状態。動きさえすれば一撃は当たる状態だ!!
これに気付いた弟弟子たちは叫ぶ。うっ・・・打て・・・

鯉太郎・常松「打て・・・打てー!!

思わず白水さんへ声援を送ってしまう常松。ついに白水さんは常松の心までも動かしたか・・・!!
その声に兄弟子として応えないといけない。必死で動こうとする白水さん。だが――

チラチラ・・・うるせーな・・・

そう呟いた王虎。チラチラと目に映る白水さんのマゲを掴み、その顔面を土俵に叩き付ける
これは・・・先に土俵についたのは白水さんだが・・・マゲを掴むのは・・・反則・・・

軍配は反則を受けた白水さんの方へと向けられる。
そして反則を行った王虎は静まり返った会場を見回し、最後に天井を仰ぐ。
一体これはどういう心境でいるのだろうか。自ら奈落に飛び込むような反則負けを喫してしまったわけだが・・・

思わぬ結果を見せることとなったこの対決。
白水さんが勝つにしても、まさかこのような決着となるとはねぇ・・・
王虎は立ち直ることができるのだろうか?また引きこもることとなってしまうのか?それとも・・・

父の姿を情けないと思いつつ、その負けたら終わりという言葉は引きずっている様子の王虎。
親が子供に与える影響はやはり大きいってことなんですかねぇ。
虎城親方も息子の育て方を間違ったことについては自覚していそうな様子。
今から教育をやり直すことは可能なのだろうか。少しは余裕を持つことも教えてあげて欲しいところであるが。

それにしても常松はいいデレ方をしましたね。
兄弟子の戦いをしっかり見ておけよという空流親方の言葉も実ったわけだ。
しかし白水さんは腕を折られてしまったわけだが、次の取組どうするのでしょうねぇ。
それ以上に次の場所をどうするのか気になりますな。昇進の可能性もあるわけだし、一体どうするのか・・・
ここからの展開がまた気になる状態であります。



第63話/折れちゃいねぇ!  (2013年 39号)


マゲを掴むという反則をやらかしてしまった王虎。
虚ろな視線を行司の方へと向けて・・・驚愕に目を見開く。

おい・・・何してる・・・軍配・・・そっちじゃねーだろ・・・おいっ!!

焦って立ち上がろうとするが力が入らず、尻もちをつく。
どうやら自分がマゲを掴んだことも認識していないみたいですな。
相手が倒れたということだけは何とか認識できていたといったところか。
その勝負にかける執念は凄まじいものがあるが・・・やらかしちゃいましたなぁ。

さすがの王虎もいつもの外面の良さを保っている余裕はない。
焦りまくった様子に静まり返る観客。これはよい薬でありますなぁ。

白水さんの勝利が確定し、やった・・・やった・・・とへたり込む常松。おやおや。
そして土俵上の白水さんへ向けて大声で呼びかけつつ、ガッツポーズを決める鯉太郎。
それはいいが左手の指が骨折して突きだしているので全体で見ると妙な構えにも見える。天上天下?
いや、それはどうでもいい。白水さんも倒れながら折れていない左腕を突き上げる。この姿に感銘を受けるとしましょう。

何て人だ・・・勝っちまったよあの王虎に・・・に・・・仁王さんはこの結果を分かっていたんですか・・・?

すっかり心酔したかのうようなセリフを口にする常松。
その常松が振り返ると弟弟子に釣られてガッツポーズしている仁王さんの姿があった。あらあら微笑ましい。
常松のデレも含めて空流の心の纏まりの良さが見えた場面でありますなぁ。嬉しいことだ。

一方敗れた王虎。虎城親方は目を閉じ、沈痛な面持ち。
精神が削れていたこともあり、この敗北は仕方のないものと受け止めているのだろうか。
ようやく止めてくれる者が現れたかという想いもあるのかもしれない。複雑そうだなぁ。

そんな虎城親方に話しかける日刊トップの山崎記者。
勝負も実力も王虎が明らかに勝っていた。しかし白水さんの腕一本犠牲にした気迫と覚悟に呑まれてしまった。
王様の素質は認めるがまだまだ経験の浅い17、8のガキだと語り出す。

危ういですな。息子さんは・・・

さすがにこの記者は見る目がありますな。しかしそれ以上に容姿が危なくて困りますわ。

さて、勝利した白水さんを出迎える空流の面々。
急いで折れた腕を観察する空流親方。見立てによると折れたのは前腕の尺骨、橈骨
ふむ、肘がいったのかと思いきやそちらには影響はなかったみたいですな。靭帯にも損傷はない様子。
これなら力士生命が潰えることは無い。そのはずである。

空流親方の上着で腕を吊るようにし、そこにアイスを入れて冷やす。ってもう溶けてないかこのアイス。
というのはさておき、スイマセン。折れちゃいましたと親方に謝罪する白水さん。だがそこで鯉太郎はこう述べる。

・・・折れちゃ・・・いねぇ。折れなかったから勝てた!
やっぱスゲーよ白水さんは・・・王虎に勝ったのはスゲー嬉しい・・・だけど・・・けど・・・スゲー悔しい・・・

兄弟子の強さ、折れない心の凄さを喜ぶ鯉太郎。
それと同時にその強さに軽く嫉妬を覚えてしまったりもしている。宿敵の踏破も先にされてしまいましたしねぇ。
でもそういうことを素直に口にできる間柄と言うのはいいものですな。本当の兄弟のようで微笑ましい。白水さんもいい笑顔になってる。

おう!悔しがれ悔しがれ!これで俺は単独で全勝だ〜優勝はもらったぜ。

調子づいてそんなことを口走る白水さん。
しかしさすがにここは空流親方の制止が入る。その腕で相撲が取れるか!!

お前は今場所でマゲを落とす覚悟があるとでも言うのか?吽形の時とは違うだろ・・・
踏み止まれ・・・掴むべきものはもっと先にある・・・

親方の説得に素直に従う白水さん。
吽形さんの無念。そして残された者の想いというものは白水さん自身が一番よく分かっている。
ここで無理して鯉太郎たちにその想いを重ねて味あわせるわけにはいきませんわな。
実際折れる覚悟を決めた時は今場所を捨てる覚悟もしてはいたらしい。さすがにそれがいいですわな。

でも優勝は諦めませんよ。
鯉太郎が空流に優勝を持ってきますから。必ず

おぉっと。そういう風に繋げてきますか!!さすが尊敬できる兄弟子は発奮も上手い。カッコイイですなぁ。
言われて顔を引き締める鯉太郎。さてさて白水さんの言葉を受け止めて実行できるか・・・注目ですな。

敗れた王虎は荒れ狂った形相を隠せずにいる。
こちらもどうなってしまうのかねぇ。また引きこもってしまうのか?それとも・・・
怒りが継続しているとなると、次の取組で当たる力士は大変なことになりそうで怖いですなぁ。
虎城親方もそろそろフォローに入らないと、さすがに精神が削れ過ぎることになっちゃいますよ。

治療を終えた白水さんのもとへやって来る仁王さん。
その姿を見てアイツチョ〜コエ〜よ。腕チョ〜いて〜よ〜と泣きつく白水さん。
ふむ、鯉太郎の前では頼れる兄弟子でいるが、逆に仁王さんの前では甘えてみせたりするわけか。
この辺のメリハリがついているところが白水さんの魅力でありますよね。よいキャラしてますわ。

こうして十一日目の空流三連戦は終わった・・・
白水が王虎を下す波乱があったものの、全勝の白水はケガのため休場し・・・
ここから幕下は一敗を守るものが12人という大混戦へと突入するのである

なんとまあ・・・12人も一敗の力士がいるのか!!
最終日でこの一敗の力士がそれぞれ当たったとしても優勝決定戦に6人は残る計算となる。
鯉太郎、王虎、天雷、石川。田上さんも一敗を守っていたりするのだろうか?
この面々での優勝決定戦はなかなか面白そうでありますなぁ。
もしあった場合、注目したいのは石川と王虎であろうか。
敗北後の考え方が全く違う両者。今の王虎に石川の考え方をぶつけるとどうなるか。面白いことになりそうです。
そしてもしかするともしかして、12人の中にさらりと蒼希狼が入っている可能性も捨てきれない・・・!!
蒼希狼が出てくればさらに組み合わせの楽しさも増しますし、ここは出てきてほしいところ。
まあ、そうでなくてもこの戦いは注目でありますがね!!



バチバチBURST 8巻


第64話/もう一度・・・  (2013年 40号)


唯一本場所で幕下全勝の位置にいた白水さんが休場。
優勝争いは一敗を保っている12人で行われることとなる。多いなぁ。
まあ次の取組で6人にまで減るわけですが、それでもやはり多いなぁ。

さて、虎城部屋。
猛虎さんが田上さんと一緒に部屋に戻ってくると、稽古場は悲鳴に包まれていた。
立ち上がるだけの体力もなく、もう勘弁してくださいと泣き出す力士に蹴りを叩き込む王虎。
うーむ。敗れてどうなるかと思ったらこうなっちゃいましたかぁ。
引きこもることはなかったものの、悔しさを抑えきれずガムシャラに稽古を行っている様子ですな。
しかし一人で稽古するならともかくそれに付き合わされる連中はたまったものではありませんわ。

やっと帰ったか・・・

どうやら猛虎さんを待つ間ずっと暴れていた様子の王虎。
そんな王虎に憤りを見せる猛虎さん。確かにね。明日取組の力士もいるのにこんなことさせられちゃあヤバイ。

今日落とした星のはらいせか?だったら許さんぞ。

そう詰め寄る猛虎さんに対し、ナメるなよ俺を・・・と返す王虎。

削ぎ落してるんだよ。俺の中の甘さを・・・ゆるさを・・・
身に染みたよ。あのハゲのおかげで・・・さっさと壊しとけば問題なく終わっていた・・・
俺に足りないのは・・・頑とした非情さだ

確かに折る寸前に躊躇っていたし、追った後も油断しておりましたな。
しかし本当にそこを鍛えるのが正しい方向でありますのか・・・猛虎さんも反論する。

違うな。それが証拠に追い詰められたお前は無意識とはいえマゲに手が伸びた・・・
お前に足りないのは力士としての根本の強さだ

まあ、非情さのない人間が無意識に反則をするってことはありませんわな。
本当に鍛えるべきは根本の強さ。力士としての儀礼と誇り、そして精神の強さでありましょうな。
白水さんに学ぶとしたらまさしくその精神の強さであったのでしょうが・・・うーむ。

さて、空流部屋。
白水さんは入院。さっそく明日手術を行うらしい。
幸い綺麗に折られていたらしく、コレなら治りも早いと医者も言っている。とりあえずは一安心ですな。
骨折した個所はより強固になって再生するという話もありますし、完全に治して復帰して欲しいところです。
そんな白水さんは病室で月を眺めながら一言。

あー・・・これで優勝してたらカッチョよかったよな〜
まぁ・・・俺らしいっちゃ俺らしいか・・・

確かに白水さんらしい気はする。カッコイイんだが華々しいわけではない。でもやっぱりカッコイイ。
記録としてはただの1つの場所での1勝に過ぎないかもしれないが、見た人々――特に弟弟子たちの記憶には刻まれましたよ。

鯉太郎も指がイカれているが、これぐらいならばまだ相撲は取れる。
こんなことで泣き言を言っていては白水さんに合わせる顔がないと鯉太郎。

応えねーと男じゃねーよ。白水さんの気持ちに・・・
今場所・・・アイツともう一度・・・王虎と戦えるチャンスを・・・俺は逃さない

確かに王虎も鯉太郎も現在一敗の状態。この場所で戦う可能性は残っている。さてはてどうなりますか・・・
決意を口にした鯉太郎はさらに椿に向けてこう述べる。

鯉太郎「椿・・・お前の気持ちにも俺は応えるよ。しっかり見てろ・・・俺を!
椿「は・・・はい・・・

真っ赤になり、いつにないほどにしおらしい返事をする椿。あらやだ可愛い。
しかしこれはまた何というか、本当に突然な発言でありますなぁ。
あまりに突然すぎて空流親方ショックで倒れちゃったじゃないですか。ハハハ。
マコ姉も驚きはあるが何となく嬉しそうな表情である。ふむ、姉らしく祝福する構えでありますのかね?
だが鯉太郎は本当にそういう意味で口にしているのだろうか?
椿を初め、他の人たちは皆そういう意味の発言と受け取ったようであるが・・・単に相撲への覚悟を述べただけの可能性もあるしなぁ。
白水さんの気持ちに〜と言った後だけに、単に繋げたようにも見える。うーむ、判断は先に送るか。

もう一度・・・もう一度必ず・・・お前の前に立つ・・・
もう一度土俵で、俺は俺を証明する

空を仰ぎ決意する鯉太郎。いい感じですな。
一方その王虎はというと・・・座り込み、吐きそうな様子を見せていた。
いや、そこからフラフラになりながらも立ち上がり出している。
そして完全に立ち上がり、見下ろすのは――息を乱し、膝をついてしまっている猛虎さんの姿。何ィ!?

力士としての根本の強さを叩き込んでくれるのかと思ったら負けている!?
い、いや。疲労の様子からすると王虎の方が追い込まれているように見える。
一番取っての結果ではなく、何回も戦っての状態なのかもしれない。
それなら事前に王虎は暴れてて疲労していたんじゃないかって?う、うむ・・・

だが猛虎さんは幕内である。場所中は毎日のように取組があるし、当然明日も予定がある。潰れる訳にはいかない。
そういった事情も鑑みると単純に王虎が猛虎さんを上回ったとは言い切れないのではありますいまいか。
まあ、何にせよ王虎がどう捕えるかどうかですな。これで気が晴れたのならそれはそれでいいことですし。
単に猛虎さんが弱っていただけというのが後日明らかになるかもしれませんけどね。
タニマチに呼ばれて食事会に行き酒が入っていたとか。カツ丼食わされ過ぎて胃がもたれていたとか。

ともかく十三日目、十四日目と取組を消化。
五勝一敗の力士十二名がぶつかり、星の潰し合いを行って六名に絞られる。

そして運命の千秋楽。六勝一敗の相星6名による壮絶な優勝決定戦が取りおこなわれるのである

六名の力士。鯉太郎、石川、天雷、王虎。この4人は確定。
残る2人は最後に出てきた無名のキャラたちであろうか。額にコブを作っている人は目立った造形だ。
この6人による優勝決定戦。果たしてどのようなものとなるか。
優勝を決めるにはまず本割で6人が戦い、3人に絞る。そしてその3人で巴戦を行い、最初に2勝した者が優勝となるそうな。
まずはその3人に残るのが誰かでありますな。やはり鯉太郎と王虎なのか。石川はどうなるのか。
初戦の鯉太郎の相手も気になりますな。天雷とぶつかってしまうのかどうか。うーむ、楽しみだ。



第65話/なぜ・・・  (2013年 41号)


王虎の敗北。それも反則負けという自爆はマスコミに大きく取り上げられる。
観客が声を失っていたように、さすがにこの負け方は印象が悪すぎる。普通に負けた方が良かったぐらいだ。
白水さんは空流ということで世間の印象はよくない。
が、鯉太郎とは違い個人で何かしたわけでもないので特別非難されることはない。
逆に骨折しながらも立ち向かう姿に称賛の声が上がっているという話もあるそうな。ほほう。

今回の件で壊し屋王虎の異名も隠せなくなってきた様子。
せいろうさんを初めとしてヤマに行かせた人間は結構な数いるはずですからねぇ。
さてさて危うい立場に追い込まれた息子に対し、父親の虎城親方はどう動くのか・・・

王虎は今回の件についてまだコメントを出していない。
おかげで連日のように虎城部屋の前に詰めかけるマスコミ。
おやおや少し前の空流部屋のような様子でありますね。マスコミの手の平返しはやはり怖い。

一般の虎城部屋の力士はマスコミの追及以上に、このことで王虎が荒れることを危惧している。そりゃそうだ。
スカそうかなとか言っているのもいるが、既に何人かは逃げ出しているんでしょうなぁ・・・うーむ。
田上さんもかなり心配そうな様子ですわ。

その王虎は一心不乱に稽古に打ちこんでいる。そうしていないと敗北したという事実に押しつぶされるのだろうか。
ストイックな感じには見えるが、今まで散々マスコミを使い倒してきただけに今更そのような態度を通そうとしてもなぁ・・・
虎城親方も難しい顔で考える。

このままでは世間のお前への評価が裏返るぞ・・・お前は歴史に名を残す力士になるんだろう・・・
今はまだ盤石な足場は出来ておらん・・・お前が作ってきた土俵は若く脆い・・・
勝ちだけにこだわるのは時期尚早・・・気付いてくれ。剣市・・・

どうやら直接それを語ることはせず、気づいてくれと願うだけに留める様子。
うーむ。親子の確執は思ったよりも大きいみたいですねぇ。
まあ今の王虎に直接言っても効果が薄いのは間違いないでしょうが・・・自分で気付くのも難しいんじゃないかね?

さて、場面は鯉太郎たちの方へと移る。
鯉太郎と大吉は揃って洗濯のためにコインランドリーへ。
コインランドリーでまわしは洗ってはいけないらしい。まあ長いですしね。だ、ダメなのか・・・?

それにしても鯉太郎が囚人リクのダブルドラゴンクロスTシャツ、大吉がパンダのこの愛愛Tシャツを着ている姿は・・・よいな。
似合うというのもあるがこういうチャンピオン間の自然なコラボみたいなものは好ましく思える。

大事な優勝決定戦を前に控えても常と変わらぬ様子でいる鯉太郎。
その鯉太郎をすごいと評し、無理矢理入門させられて相撲取ってる僕なんかとは違うと語る。

鯉太郎さんは何で相撲取ってるんですか?デブじゃないのに・・・

大吉のその問いに答える鯉太郎。
ガキの頃に刷り込まれた、いや・・・叩き込まれたんだ、と。
お前は横綱になるんだって、大関だったクソオヤジに・・・と語る。

なーんだ・・・それじゃ僕と一緒じゃないですか・・・

な、何だこの大ゴマは・・・え?どういう感じの演出!?
確かに大吉の言う通り無理矢理親父に押し付けられたかのように聞こえる発言だったが・・・
しかしさすがに大吉と同じ扱いは・・・どうなんだ?鯉太郎呆然としてるぞ。

なっ・・・何言ってんだよ・・・・・・

思わず目を逸らす鯉太郎。ふむ、微妙に痛い所を突かれた感じになってますな。
そんな鯉太郎の前に現れるのは石川。
優勝決定戦を前にしてどうしても鯉太郎に言っておきたいことがあるらしい。

いよいよ明日だな・・・王虎。天雷。そしてあと2人もそーとーなモンだろう・・・何よりテメーがいるのが最高だ。
リベンジだ。テメーブッ倒して、俺が優勝かっさらう!!

さすがは石川。堂々とした対決宣言である。
まあこの男が言うことは大体予想できますけどね。鯉太郎もその宣言を真っ向から受け止める。

鯉太郎「譲るかよ」
石川「上等」

腕を組み、額つき合わせて睨み合う2人。うーむ、不良っぽい。
しかしその直後同時に笑い合う。本当、この2人は気が合っているんですなぁ。親友と呼ぶに相応しいわ。
そんな元不良たちの心理がよくわからず戸惑う大吉。
しかしあの名言を思い出すことで納得する。そうか・・・アレだ・・・タイマン張ったらダチ!

実際のところ、タイマン張る前からそれなりに仲良くなってた感じはありますけどね。
いや鯉太郎は土俵で戦ってから歩み寄った感じだったか。
うーむ、やはりチャンピオン的にも名言だ。タイマン張ったらダチじゃあああ!!

本当に・・・俺はこの世界に入ってよかったぜ。じゃなかったら俺はきっと小さな世界のお山の大将でイキがって終わってた・・・
それがどーだ・・・この世界は化物みてーな奴がゴロゴロいやがる・・・最高に面白ーよ相撲は・・・
オメーもそう思うだろ?

同意を求める石川。
これまでの鯉太郎ならば簡単に答えたかもしれないが、今は大吉に相撲を始めたきっかけについて揺さぶられた直後である。
正直よく分からないと返答することになってしまう。

ガキの頃・・・唯一オヤジに教えてもらった生き方が・・・相撲取りの生き様だったから・・・
相撲を面白ーと思ったことは・・・俺には・・・・・・
でも・・・だからこそ・・・土俵じゃ負けらんねー。
それ以外で、俺は生き方を知らねーから。誰が相手でも全力でブッ飛ばす。

笑顔でそう述べる鯉太郎。よい感じじゃないですかね。
始めたきっかけがどうであれ、生き様を示す場所と言えるほどに打ちこめるのは幸せなことだと思いますよ。
そこで大成できるだけの素質を秘めているならなおさらにですな。

明日はバチバチでいこう

タイトルコール入りました。
こりゃあこの場所の優勝決定戦は思ったよりも大きな話になりそうですな・・・
場合によってはBURST終了して再び時間経過。幕内編の始まりという可能性があるかもしれない。むむむ。
ともかく、どのような熱い戦いが繰り広げられることとなるか。注目でありますな。



第66話/幕下優勝決定戦  (2013年 42号)


千秋楽、幕内土俵入り前。幕下以下の優勝決定戦はこの時間に行われる。
客の入りも凄く満員御礼。熱気もこれまでとは段違いである。空気に呑まれる力士もいるのではないだろうか。

大丈夫・・・鯉太郎はこの雰囲気の中で一度、序二段の優勝決定戦をやってますから・・・

その通りだけどあの時は白水さんとの戦いということで周りの雰囲気なんて気にしてる余裕が無かった時ですからねぇ。
とはいえ鯉太郎は前相撲の時から凄い観衆の罵倒に晒されたりしているわけだし、今更どうにかなったりはしないわな。

では鯉太郎以外の他の面々はどうであろうか。
優勝決定戦に名を連ねた力士の一人、宮ノ浦部屋の闘海丸つよしは落ち着いた感じ。
隣で仲の良さそうなメガネが慌ててくれるので逆に落ち着けているのかもしれませんな。
そんな闘海丸たちは名の売れた連中に対して敵愾心を露わにする。

闘海丸「見てろ・・・王虎だろーが、鮫島だろーが、天雷だろーが、正面からブッ潰してやる!」
メガネ「みんなイケメンだもんね〜闘海丸君モテないからな〜嫉妬もするよね〜・・・」

プププと笑うメガネを追いかけ回す闘海丸。なんか微笑ましい奴らでありますな。
しかし鯉太郎もちゃんとイケメン枠として認識されているんですなぁ。

天雷は腕の様子を確認している。どうやら痛み止めを打たねばならないほどらしい。
一瞬で終わらせれる相手ならともかく、強者揃いの優勝決定戦では厳しそうですなぁ。

負けはしないさ。とくに一度辛酸を嘗めさせられた相手には・・・

さすがに意識の高い天雷。さてさてどうなりますか・・・

黙々と控室の柱にブチカマシをかましているのは鏡川部屋の岩の藤要
頭のコブが示す通り正面からのブチカマシが得意な力士の様子。フフ〜〜ン・・・

同じく柱を叩いてウォーミングアップを行うのは石川。
怪我もないし、とにかく万全の状態で全力を出すだけという構えですな。

そして鯉太郎。
控室にはおらず、廊下に座り込んで集中している。
常松の声を受けて立ち上がるが、その気迫に思わず気圧される常松。
うーむ、しっかり敬語になっているし弟弟子っぽくなってるなぁ常松。
何か声をかけようとするのだがかけられず俯いてしまう。そんな常松に声をかける鯉太郎。

おう・・・しっかり見とけ

この場所は兄弟子の姿をしっかり見ておけと空流親方も言っていた。
自身が兄弟子の背中を見て育ったこともあり、鯉太郎もまた弟弟子に自分の姿を刻み付けようとしているのだろうか。
もちろんそれは常松だけではなく大吉にも当てはまる。
大分まともになりつつある大吉だが、ここからさらに精進するようになってもらいたいものである。

さて、幕下優勝決定戦がいよいよ開始されます。
どの力士も雰囲気に呑まれることはなく堂々とした様子。
最後に少し遅れて現れたのは王虎。主役らしく遅れて登場って話ですかな?
まあ実際観客のボルテージは王虎の登場でさらに上がっている。
とはいえ先日の取組のおかげで非難する声もやはりでてきている。仕方のないことですな。
そういう目で見ようと思えば王虎は隙だらけですからな。入場の時点で既に目付きがヤバイ!!

観戦している虎城親方の所に集まってくる空流親方と新寺親方。
この3人の解説も含めた感想は中々楽しみでありますな。

幕下以下での優勝決定戦では同点者が6名いる場合、番付も本割での対戦も考慮せず、
まずはクジ引きで東西に振り分け3組の対戦を決める。
いわばまずはトーナメントのような形になり、勝者3名を決める。
そして勝ち残った3名はさらにクジ引きで対戦順を決め、先に2勝した者が優勝となる。
これまで2日に1度で行われてきた取組を、ここでは少なくとも3番連続で行わなければならない・・・過酷なルールなのである。

そんな過酷なルールのもと、最初に決まった組み合わせは以下の通り。
鮫島 × 岩の藤
天雷 × 闘海丸
石川 × 王虎

むむむ、この組み合わせは・・・!!
割と勝敗が見えている組み合わせじゃなかろうか。
いやでも、天雷の怪我の具合によっては闘海丸にもチャンスが、つよしにもチャンスが・・・!!
まあ怪我が悪化するとしたら初戦以降の気がするしなぁ。さすがにムリか。

それよりも気になるのは石川と王虎である。
教習所での因縁や、鯉太郎に敗れた食いカス呼ばわりされた因縁がある石川。
敗れても腐らずに前向きな姿勢で強くなってきた石川。その精神は王虎にどのような影響を与えるのか。
ひょっとしたら大物食いを果たす可能性もなくはない。かもしれない。
ただ前回死亡フラグかと思えるような雰囲気を作り上げてしまったのも事実である。
壊されることのないようにしてほしいものであるが・・・とにかくも注目の取組でありますな。



第67話/OK!  (2013年 43号)


満員御礼、大入りの会場。
視線は土俵上へと向けられている。そこで取組を行うのは今場所の幕下優勝を狙う6名。
くじ引きの妙ではあるが、王虎と因縁のある3名は向かい側に座っている。これは安心。

鯉太郎と天雷はやはり王虎が気になる様子。しかし真っ先に王虎と当たるのは石川。
王虎のは俺の獲物だし、そしてテメーらも俺の獲物だと吠える。

石川「テメーら2人には星塗られてっからよ。王虎の次は2人まとめてブッ倒して俺が優勝だ。いきなりコケんなよ
鯉太郎「お前もな」

そのように声を掛け合い、まずは鯉太郎が出陣。相手はデコの膨らんだ岩の藤。

フッフッフ・・・光栄だね。いきなり話題の男が相手とは・・・
鮫島鮫太郎・・・まったく恐ろしい名だ・・・

微妙に間違えてやがる!!まあ、鮒太郎よりはよほどいいとは思うが。
そういえば天雷はちゃんと鯉太郎と石川の名前を覚えたのだろうか。気になる。

どう見てもブチカマシ型の力士である。しかし鯉太郎にしてみれば相手がどんな型であろうが関係は無い。
挑むのは真っ向勝負!!その空気は岩の藤も感じている。

でもそこは、俺の土俵だよ

何だかカッコよさげなことを言っておりますな。ヒュー。
ここで宮野浦部屋の親方、暁秀則さんの回想が入ります。

先代が急逝して運よく・・・いや運悪く俺が部屋を継ぐことになったはいいが・・・十両止まりの俺に威厳などなかった・・・
1人・・・また1人辞めていき、初めから無かった自信も・・・完全に喪失していた。

弟子の力士たちにも軽んじられている暁親方。
一度は十両まで行ったんだからそれなりの力は持っているはずなんですけどねぇ。
まあ、威厳が身に付くにはまだ若いということか。だからといってこの軽んじられ方は有り得るのかどうか。
ともかく、そんな暁親方に教えを乞うのは今年で入門4年目の岩の藤。
線の細さからか間の抜けた所があるからか、まったく相手にされていなかった序の口時代の岩の藤である。
4年でまだ序の口なのか・・・しかしここから華を咲かせようというその心意気はよし。

親方様!私に勝ち方を伝授してはいただけませんか・・・?

親方に様をつければお館様。いや親方様。なかなかない呼び方ですな。まあそれはともかく――

暁親方「ハー・・・そうだな・・・武器を身に付けんと・・・その体を活かしたブチカマシなんてどうだ・・・?」
岩の藤「ヒュー。OK!

どうせ俺を相手にする奴なんてこんなハァちゃんだけだよと岩の藤に当たり散らす暁親方。
確かにこの頃の岩の藤は線が細い。とてもブチカマシが通用するような体格とは思えない。
しかしそんな皮肉に対して了承の言葉を返す岩の藤。何でタメ口なんだよ。指をさすな!!

それから2年が経った場所のこと。
暁親方に話しかけてくるのは空流親方。いい感じのが育って気じゃないかと言い出す。
それはあの線の細かった岩の藤のこと。いつの間にかデコを膨らませ、ブチカマシを立派な武器としている。OK!!

俺は気にも留めていなかった・・・だがオマエはあれから毎日・・・休むことなく馬鹿正直に・・・
後が無いオマエは必死に手繰っていたんだろう・・・勝利へのクモの糸を。
それがダメな指導者の心無い皮肉だったとしても・・・

柱が凹み、血が染みこむほどにブチカマシを続けた跡がある。それを見て涙する暁親方。よい話だ・・・
遅ればせながらその頑張りに気付いた暁親方は稽古中の岩の藤に頭を下げながらこう告げる。

暁親方「必ずお前を・・・俺が一流にする」
岩の藤「ヒュー。OK!」

2年の歳月が経ち、立派な体になっても性格は変わらないみたいですね。イカしたヤツだ。
飄々とした感じの性格。しかしそれでも2年前は内心焦りはあったということなのだろうか・・・

とにもかくにも見事に生まれ変わった岩の藤。
入門して8年。親方様の下4年。やっと自分に見合ったこの大舞台に辿り着きましたぞと述懐する。
うーむ、基本的にこの人は大物なんですな。これだけの年月が経ちながらも自分が大物だと信じて疑わない本当の大物だ。

暁親方「いけ!!岩の藤!!お前の相撲の重さを見せてやれ!!」
岩の藤「OK!!

仕切りを開始する岩の藤。その圧力はこれまでの強敵に比肩するものだと感じる鯉太郎。
いざ始まるブチカマシ勝負。さてさてこの戦いはどうなりますか・・・!!

いやあ驚きました。モブとして消化されるのではないかと思った岩の藤にこのような良エピソードがついてくるとは!!
スポットの当たらない力士にだってそれぞれの人生がある。それを思わせてくれる回でありました。
暁親方のためにも、岩の藤自身のためにも頑張ってほしい。
そのように思いはするが・・・さすがに鯉太郎が相手だとなぁ。勝つのは難しいか。
ブチカマシだけなら上回るかもしれないが、その後どうなるかでありますな。

しかし線の細かった岩の藤が年月をかけたとはいえ立派になったものである。
これはひょっとして宮野浦部屋の力士が辞めていったことで食事量が増えて太れるようになったとかそういう話・・・?
どんなもんなんでしょうかね。その辺は。



第68話/ドリル〜  (2013年 44号)


幕下優勝決定戦。まず口火を切るのは真っ直ぐ突っ込む男2人。
ハッキヨイ!!の合図と共に、お互い速く、低く体を前へと突きだしていく。いざ、愚直対決!!

さすがにブチカマシは俺の土俵だよと言い切る岩の藤。
鯉太郎よりも早く足を踏み出し、鯉太郎よりも低い体勢で突っ込んでくる。
その結果、鯉太郎は顔面で岩の藤の突出したデコでの一撃をまともに受けることとなってしまった。
あれだけ完璧に入れば飛ぶ!と暁親方。しかしさすがに鯉太郎はタフである。この一撃だけでは倒れない。
ならば、もももう一撃入れろろう〜〜と叫ぶ暁親方。

OK!!

焦りまくりの親方とは違い、落ち着いた雰囲気の岩の藤。ベテランっぽい貫録すら感じられる。
体勢を立て直し、突っ込もうとした鯉太郎の目の前で半身を捻って背を見せてくる
一瞬驚いた鯉太郎だが、石川の激も受けて再度ブチカマシを決めるために突っ込もうとする。
が・・・この至近距離まで迫ったところから繰り出されるのが岩の藤必殺のブチカマシ!!

よしっ!!

ガッツポーズを決める暁親方。
その目の前で、体を捻っていた岩の藤が足を踏み込み、そこを軸に身体を回転させる。
斜め下からせり上がる体。ポーズだけみるならば、大振りのアッパーカットを放とうとしているかのようだ。
だがもちろん狙いは拳の一撃ではない。アッパーのような体勢で頭から突っ込む岩の藤。
真っ直ぐ突っ込んできた鯉太郎の顔面に、斜め下から迎撃するような形で綺麗に入った!!

ドリルー!!

何を目を輝かせているのだ大吉。石川や常松ですら怯む岩の藤の一撃なのにこの反応とは・・・大吉もある意味大物。
それにしても鯉太郎が当たり負けるたびに虎城親方が嬉しそうにしているのがまた何とも。
王虎の闘いとは違って心配事はないから、安心して鯉太郎の負けを願うことができている様子である。

暁親方「アイツはあの距離でも全身のひねりから強烈な一発が放てるんだ」
新寺親方「あれだけ派手にひねってもブレない軸・・・かなりの稽古をつんどるぞ、あのデコスケ」

思った以上に手強い岩の藤。
ドリルのような一撃を受けグラついた鯉太郎にとどめの一撃を加えようとする。
その一撃は確かに入った。が、直前で腰を落とし、体勢を整えていた鯉太郎を仕留めるにはいたらない。
そしてハズをとって相手の上半身を浮かせようとする鯉太郎。ここで基本が出てくるか!!
いや、岩の藤も上手い。ハズを取られた瞬間に自ら後ろに下がり、もう一発ブチカマシが打てる有利な距離を確保する。

暁親方「大丈夫。いけ!岩の藤!!もうひと押しだ!」
岩の藤「OK!!

確かにブチカマシが出来る距離は岩の藤の距離である。
が、本来鯉太郎が得意な距離でもある。
ずっと岩の藤にやられっ放しであったが、ここで鯉太郎の反撃のブチカマシが決まることとなるのか。はてさて。

うーむ、思った以上に強い岩の藤。
前回の話が出るまではここまでスポットライトを浴びるキャラになるとは思いもしませんでした。
親方との絡みもよく、思わず応援したくなるキャラではありますが・・・さすがに主人公に勝つのはどうであろうか。

しかし今日だけで3戦はしないといけないのにいきなり削られる鯉太郎。危険だなぁ。
まあ確かにタフな男であるし、次の取組まではある程度回復しているとは思うけども・・・
まだ血を噴出していないだけマシと考えるべきですかねぇ。



第69話/放て!  (2013年 45号)


これぞぶつかり合い!!
お互いに得意技はブチカマシ。土俵上でガンガンぶつかり合う2人の力士の戦いはさらに白熱する。

さすがにここまで残ってるだけある・・・一発の重さがハンパじゃねぇ・・・
通用するか・・・?岩の藤に・・・俺のブチカマシが・・・
いや・・・通用する!もうあの頃の体じゃねぇ・・・何のために必死に体を作ってきたと思ってんだ。
真っ向勝負・・・俺がその土俵で引いたら終わりだ

確かに鯉太郎の体はブチカマシが通じなくなった序二段の頃と比べると格段に逞しくなっている。
自身の成長を信じ、正面から突っ込む鯉太郎。
しかし当たりの上手さという部分では岩の藤に軍配が上がる様子。
愚直に突っ込む鯉太郎とは違い、捻るように横合いから叩き込むことができるのは大きい。

コイツ・・・強ぇ・・・

そう考えながらも笑みを浮かべる鯉太郎であった。ならばと岩の藤も同じように笑う。ハハハハハ。OK!!
再び至近距離から行われるドリル頭突き。その一撃で鯉太郎の体が下がる。

そうだ!お前がブチカマシで負けるハズがねぇ!!
お前が費やしてきた時間は・・・努力は・・・軽くはない!!お前は報われていい人間だ!!

暁親方の激励はやはり痺れますなぁ。
確かに岩の藤がかけてきたこの8年という年月は重い。
それだけの年月を経て、ブチカマシを自らの土俵と称するに足るだけのものに磨き上げたのだ。

空流部屋の後援会の方々は意地を張らずにマワシを取れと叫ぶ。
まあ確かにマワシを取れさえすれば鯉太郎が圧倒的に有利になるんじゃないかと思われる。
だがマコ姉はこう述べる。

大丈夫・・・あれなら、負けない

そう。マコ姉もまた知っている。鯉太郎も岩の藤に負けないぐらいの年数を費やしブチカマシを鍛え上げてきたことを。
その年月の重みがあるからこそ、岩の藤のブチカマシを何度も喰らって耐えることができているのでしょう。
しかし岩の藤のブチカマシはなかなか怖い。
ただでさえ硬い頭部を用いた頭突きは他の格闘技では反則として設定されていることが多い。
それを様々な角度からぶち当てて来る。これは怖い。天雷ですら脅威に感じている様子。

一見滅茶苦茶に見えてしっかり重さは乗っている・・・特筆すべきはそれを可能にする筋肉の柔らかさか・・・

物凄い音を立てて頭突き合いを行う両者。これは観客たちもヒートアップしますわな。
しかし頭突き合いとはいえ、多く食らっているのは間違いなく鯉太郎の方である。
その証拠に、鯉太郎の足は下がり、俵にかかろうとしている。だが、その目はまだ死んではいない。

いけ・・・鯉太郎。負けはせんよ。今のお前のブチカマシは・・・

空流親方の言葉通り、鯉太郎は渾身のブチカマシを決めるために力を込める。

集中しろ。もっと重さを乗せろ。バネを使え。
溜めろ・・・溜めろ・・・重く・・・
溜めろ。重く。速く――放て!

力を溜めて溜めて解き放つブチカマシ。その低く速い当たりはついに岩の藤を上回る速度でぶち当たる。
だが、そこで終わりではない。さらにここから・・・ねじ込め!!

相手の頭突きがドリルであるならば、こちらはネジのように細い回転力を得ている感じでありましょうか。
旧来の一気に突っ込むブチカマシではなく、突っ込んだ後に更に踏み込み、捻りを加えて吹き飛ばす。
これが進化した鯉太郎のブチカマシということでありましょうか。
あの岩の藤をも吹っ飛ばすブチカマシ。であればこれから先も通じることは間違いない。

投げを使うようになった時、ブチカマシを捨てる訳じゃないと親方には言われていた。
長い年月を重ねて染みついたブチカマシ。それがようやく花開いた感じでありますなぁ。
同じように年月をかけて開花しようとしている岩の藤を相手にして進化を遂げたというのはある意味必然であるということか。

岩の藤も惜しいキャラではありますが、この戦いはここで決着となりそうでありますな。
まあ彼ならば今後も諦めることなく戦い抜き、再び晴れの舞台に上がることでありましょう。そう期待します。



第70話/衝突!  (2013年 46号)


この大舞台で進化したブチカマシを見せる鯉太郎。
その一撃をまともに受けた岩の藤は勢いに押され、上体が後ろへと逸れる。
しかし、これで倒れるほど甘い男ではない。脚を踏ん張り、耐えてみせる。ヒュー!!OK!!

カマーン!!

いつもの言葉からさらに来いやぁと言う感じの叫びも加わりました。来いというより来なさいって感じですかね。
まあ、いずれにせよこの爽やかな誘いに満面の笑みを見せる鯉太郎
なかなか珍しいですな。土俵上でこんな爽やかな笑みを見せる鯉太郎ってのも。不敵な笑みならこれまでもありましたが。

いよいよ勝負も佳境。
進化した鯉太郎のブチカマシか。岩の藤の練り上げたブチカマシか。
再び正面切って激突する両者。
仕掛ける時こそ笑顔でありながら、最終的に真剣な表情となっている岩の藤がいいですなぁ。

激突!!今回それを制したのは鯉太郎!!岩の藤の状態が仰け反る。
この結果に見守る面々はそれぞれ異なった表情を見せている。
椿や石川は純粋な応援を。天雷は手ごわい相手を見るような目付き。
仁王さんは笑みを浮かべ、虎城親方は面白くなさそうな表情。素直ですなぁ虎城親方。
そして、暁親方の叫び。この叫びを聞き、岩の藤の脳裏に去来するのはこれまでの部屋での出来事。

おう・・・お前は稽古のジャマになるから、さっさと上がってチャンコでも作っとけ・・・

先代の親方にすげなく扱われる岩の藤。
体を泥だらけにし、人一倍頑張ってはいる様子なのだが、認めてはもらえなかったのですね。
やはりこんな調子だから満足には食えず、体の成長も遅れてしまったのかもしれない。
言われたときの岩の藤の表情がまた何とも言えません。暁親方が述べた通り、必死だったというのが感じられる・・・
そしてその暁親方。先代とは違い、俺が必ずお前を一流にして見せるといってくれた親方様である。

いいぞ岩の藤!!よくやった!!
大丈夫!!勝てる!自分を信じる!優勝するのはお前だ・・・!!

一生懸命声をかけてくれる暁親方。なんとも健気なお人である。
これは確かに岩の藤ならずとも奮起せねばという気持ちになる。OK!!!

土俵際まで吹き飛ばされたが、根性でこらえようとする岩の藤。
しかし、その上体が持ち上がった状態となった岩の藤に、鯉太郎の追撃が突き刺さる。
これはさすがに堪えることができない。土俵の外まで吹き飛んでいくこととなりました。勝負あり!!

派手に敗れた岩の藤。無念の表情。しかしそれと同時に爽やかな気持ちもあるのか、いつものように口を開く。

岩の藤「ヒュー」
鯉太郎「OK!

な、何!?鯉太郎がそれを言うのか!!
いやあ、これは驚きました。しかもこの爽やかな笑み。やっぱり珍しい。
土俵外の鯉太郎は、特に兄弟子に囲まれたときは可愛い表情を見せることも多かった。
しかし土俵上でこれだけ爽やかな笑顔を見せて勝利するようなことがあるとは・・・思いもよりませんでした。
全ては岩の藤が爽やかにバチバチとぶつかってくれる相手であったからでありましょう。いいキャラでありました。
この表情の変化はマコ姉にも衝撃で持って迎えられる。
優勝決勝戦前に鯉太郎が語ったこと。相撲を楽しいと思ったことはないというあの言葉。
マコ姉も鯉太郎はそういう感じでいることは知っていたのでしょうが、今回の笑顔はそれとは違う。実に楽しそうな笑みである。
何だかいい変化をしたみたいですなぁ、鯉太郎。

精神的な変化だけでなく、新寺親方はこのように評する。
あのデコッパチとの一戦をブチカマシで制したことはデカイ。
ブチカマシで勝負できるっていう自信と確信が付いちまったんだ、と。

うーむ、確かにその通り。一時は体が出来上がっていなかったため、頼ることの出来なくなっていたブチカマシ。
それが今、稽古や食事、睡眠といった体作りの結果、再び頼れる武器となってきた。これは大きい!!
なるほどねぇ。鯉太郎の笑みはそういう自信を取り戻せたからって部分もあるわけか。

さて、勝利した鯉太郎にライバルたちが不敵な視線を投げかける。
王虎の表情が見えないのが不気味であるが・・・取組中も勝負を見てない感じでしたしなぁ・・・
それはともかく、敗れた岩の藤にも声はかかる。もちろん暁親方だ。よくやった・・・うん。よくやった!
この言葉に岩の藤もまたよい笑顔を浮かべる。うーむ、いいなぁここの師弟はさぁ。実にいい。

ナイスファイト!!また土俵で会おう!!鮫島鮫太郎!!

呼び名の間違いは最後まで直ることはなかったが、まあいいや。いい勝負でありました。
さあ、次は実力者である天雷の登場。
相手の闘海丸はどのようなキャラであるのか。岩の藤がいいキャラであっただけに闘海丸にも期待がかかる。
こちらも良キャラ同士の熱い一番でありますように!!



第71話/夢  (2013年 47号)


鯉太郎の勝利を目にし、自らも続かんと闘志を漲らせる天雷。
まさに勝ち上がらなければならない理由には十二分過ぎるといったところか。

王虎を倒して優勝できるのはやはりこの男であろうと注目度の高い天雷。
ケガの具合が心配なところでありますが、はてさて・・・

対するは闘海丸。その体つきはまさしく力士らしい。
親方たちもなかなかやりそうだと判断してくれています。
が、取組前から汗をかいていたことから分かるように、どうやら緊張する体質のキャラである様子。
土俵に上がろうとしたところで足を滑らせ、顔面から落下。へぶっ。そしてそのまま回想に移行する。

これで何度目だ・・・またなのか・・・?また俺は同じことを繰り返すのか・・・?

高校生の頃の闘海丸。本名は国丸つよし
その頃から太っちょな感じであったが、髪型はかなり不良っぽい感じでありました。
しかしどうやら親分肌であるらしく、頼られると断れない性分だったそうな。
そのおかげで気が付けば自身の周りにはいつも野郎で溢れかえっていたという。

そんなつよし君にお願いをしに現れたのは、メガネの細川将太。このメガネ君同級生だったのか。
どうやら相撲の団体戦に参加するためにメンバーとなって欲しいと頼んでいる様子。

大丈夫だよつよし君なら!顔も怖いし・・・デブだし・・・何よりデブじゃないか!!

デブを連呼されても。
まあ、それよりも気になるのは細川君の夢。彼はプロになることが夢であるそうな。
スカウトが来るこのチャンスを逃したくない。なんとか団体戦で目立ちたいと考えている様子。
その話を聞き、真剣な表情で受けとめるつよし君。

細川「・・・あれ?笑わないの・・・?これ言うと皆笑うのに・・・」
つよし「コレと言って夢中になれるモンがない俺がお前を笑えるかよ

ほほう。これはいいセリフですなぁ。国丸つよし、なかなかの好漢である。
だが、その日は先約で頼まれていることがある様子。残念ながらと断ろうとする――が。

えー!?つよし君、相撲の大会出るの!?絶対に応援行くから!私お相撲大好きなんだ!

まさかの女の子登場に驚愕するつよし君。
生まれてこの方野郎に声を掛けられても、女子に声を掛けられるコトなんてなかった。
しかもしれが密かに想いを寄せていた女子だなんて・・・はりきって参加するしかないではないか!!
そりゃあ恋のハートがバーストするってもんですよ。どす恋。
・・・って、まさかこんな所でタイトルのバーストが飛び出すとは。よもやのバチバチBURSTの主題を飾る男となるのか、つよし君!!
まあ、実際のところこの女の子は細川君の仕込みであったわけでありますが。悪い顔してるなメガネ!!

というわけで高等学校相撲静岡大会。
5名の団体戦。細川君曰く、僕とつよし君で必ず2勝は取るから、他の3人のうち誰でもいいからあと1勝を頼むとのこと。
その言葉が示す通り、小兵のメガネでありながら、器用に足を掛けるなどで勝ち星をあげる細川君。

へぇ・・・やるじゃねーか・・・本当に本気で相撲やってたんだな・・・

伊達にプロを目指しているわけじゃないってことですな。
太るのも才能であるから線が細いのは仕方がない。それ以外の所で努力をしてきていたわけだ。
そして太る才能のあるつよし君の出番。
実際に相撲を取ってみると、思ったよりも激しい。さすがに戸惑うつよし君。
そりゃあ、いきなりデカイのが頭から突っ込んでくるんだもんなぁ。驚きますわい。
でも、初めての土俵で見事なうっちゃりを決めたりするつよし君。これはなかなか凄いですなぁ。
その様子を楽しそうに見ている男が1人います。

ほう・・・あの学校2人も面白いガキがいるじゃねーか・・・1人は技巧派のメガネ・・・しかし残念なのは線の細さか・・・
そして今のモロコシ頭・・・あの右の腕力は実に魅力的だ。アリャ天性のモンだな

グハハハと笑いながら評するのはヤクザ。ではなく、鏡川部屋の親方、鏡川一平さんでございます。
なるほど、これが細川君の言っていたプロのスカウトというヤツでございますか。
いや、声を掛けられても別の所にスカウトされるんじゃないかと思えてしまいそうなんですが、この姿・・・

ともかく、無事に決勝まで進めるつよし君たち。
こうなればこのまま優勝したい所。見事に2勝を収め、残すはつよし君の取組のみ。
任せておけと土俵に上がろうとしたところ、周りから黄色い声援が飛んでくる。
その声に振り向くと・・・気になっていた女子が本当に見に来てくれていた!!
汗をかきまくり、緊張しまくるつよし君。純情ですねぇ。というか応援してるときのこの女子は普通に可愛い感じでございますな。

腹の底から力が漲る。やってやる・・・やってやる!!
見ててくれエンジェル!漢・国丸つよしここに・・・炸裂!!!

腹の底に漲った力が見事に炸裂しました。ただし後ろへと。
立ち合い時にそんなに踏ん張るのだもの。屁が漏れたとしても仕方がないですよね・・・ああ、仕方がない・・・GOOD LUCK!!

こうして俺は"決勝"で散った・・・
これが肝心なトコでの緊張からくる勝負弱さの始まりだった・・・

なるほど。この大事故がトラウマになったわけでありますな。こりゃヘコむ。
いいところを見せるどころか、やらかしてしまった上に惨敗。そりゃあ起き上がれないくらいにヘコみますわい。
気を付けの姿勢のままうつぶせになっているつよし君の姿が何ともコミカルだ。
そんなつよし君に、もう忘れようよと語る細川君。だが、つよし君がヘコんでいる理由はそれだけではなかった。

それもある・・・いや・・・九割五分それだが・・・それに加えて俺がヘコんでるのは・・・
お前の夢を潰しちまったってコトだ。スマンかった。

割合はさておき、そういうことを気に掛けることが出来る。国丸つよしはやはり好漢でございます。
だが勘違いしておりますな。目立つことが肝要であり、優勝できるかどうかが重要だったわけではない。
事実、2人の姿はしっかりとプロの目に留まっている。

土俵には夢がある!!名声・金・女・・・ほしくば俺のもとに来い!!

そう、倒れているつよし君に声を掛けて去っていくヤクザ・・・もとい、鏡川親方。
いや、これ本当に最初の土俵のくだりがなければ組への勧誘にしか聞こえませんですよ!!
細川君はさすがにスカウトであると気付いたのかもしれませんが。

ねぇ・・・つよし君・・・このまま相撲続けないか・・・?君・・・才能あるよ。

この勧めにより、つよし君も相撲を始め、2人揃って入門。
闘海丸として、幕下優勝決定戦という大舞台に立つこととなったわけでありますな。
ふーむ。なかなか面白いエピソードでありました。
好漢の天雷に対するは同じく好漢の闘海丸という流れなわけですな。そして共に怪力でもあると。
もちろん緊張するかどうかや顔の差などは大きくあったりしますが・・・まあ、それはそれ。
似たようなタイプの2人の戦い。熱いブツカリ合いに期待したい所であります。

しかしメガネの細川君は今どのぐらいの番付なんですかねぇ。
もし三段目であったとしたならば面白いかもしれない。
三段目は細川、渡部、川さんという技巧派揃いの場所となっていたことになりますからなぁ。
うーむ、それはそれでどんな取り組みが出来上がっていたのか、見てみたいものである。



第72話/君は僕とは・・・  (2013年 48号)


念願叶い、プロの力士のスカウトを受けた細川君。
しかし線の細さは変わらず、稽古でもキツイ目に合っている様子。
兄弟子に踏まれ、向いてないから早くやめちまえよと言われてしまう。
そんな光景に腹を立てるのが友人であるつよし君。

やめろ。そりゃただの弱い者イジメだろ

シゴキとは違うただのイジメ。それを看過できるつよし君ではない。兄弟子だろうと殴って止める。
しかし庇ったはずの細川君にホウキで殴られてしまったりする。へぶっ。

バカにすんなー!!弱い者イジメって何だー!!

細川君は細川君で誇り高いというか何というか。意地というものがあるんでしょうな。
しかしその意地だけでやっていけるほどこの世界は甘くない。
マゲが結えるほどになっても序の口より上に行けずにいる細川君。ヘコんでますなぁ。
一方のつよし君は順調に番付が上がっている様子。うーむ、顔はさておき本当に相撲の素質はあったんですなぁ。顔はさておき。

お前には感謝してるよ・・・相撲に誘ってくれて。
この間よ、買い出しに行った時、女に話し掛けられたんだ。
マゲを結ってからというものどこへ行っても色んな人から声を掛けられてよ・・・「がんばれよ!」って。
それが嬉しくってよー・・・だからもっと強くなろうって思えてよー・・・
俺はずっと夢中になれるモンがなかったから・・・
今でさえこんなに昔と世界が違って見えるんだ。大銀杏結ってもっと上に行けたらもっと世界が変わると思うんだ。
だからなろうぜ・・・2人で関取に

なんとも爽やかな元気づけである。さすがにつよし君は好漢でありますなぁ。
しかし背景の「任侠道」の文字と刀の大小が気になって仕方がない。
これはあれだ。浪花節って奴だ。そういう演出の品だと考えよう。うん。

細川「まあ・・・ようはつよし君は金星を首投げしたいんでしょ」
つよし「なっ・・・何言ってんだ・・・まぁ・・・それもあるけどよ・・・」

つよし君は顔はさておきいい男ですからね。関取になって安定した収入さえあれば夢ではありますまい。
しかしオバサンに話し掛けられても女に話し掛けられたんだとカウントするつよし君。金星の基準は結構低いのかもしれない。

それはさておき、つよし君は順当に番付を昇り、ついに十両が見える所まで来ていた。
四股名も闘海丸となっておりますし、いざ大一番。
しかしそこで蘇るのはあの苦い記憶。大事な場面でやらかしてしまった記憶。

重要な一番で必ず起きるフラッシュバック・・・この悪夢のおかげで俺は何度も十両の壁に跳ね返された

ただでさえ厚い十両の壁。
辿り着くところまでは順調だったがそこで思わぬ障害、自身の心と向きあわねばならなくなった様子。
親方からもその弱点について説教されます。

オウッ。闘海丸・・・テメーには圧倒的に足りねーんだよ・・・貪り欲しがる自分に実直な深い欲が!

欲望。勝利への執念が足りない。
欲が薄いのは人としては美徳かもしれない。しかし戦う者としては致命的といえる。
特に力士ってのは他者を倒して上がっていこうという世界ですからねぇ。
自身への欲が薄いというのは結構厳しい話である。
その弱点に気付かされた闘海丸。負けが込み、ズルズルと三段目まで落ちていくこととなる・・・
腑抜けた稽古をしているのはよくないが、その姿で刀を取り出すのは勘弁してくださいよ鏡川親方!!

悩む闘海丸。となれば、もちろん相談に乗るのは細川君である。
闘海丸は語る。俺には十両になれる素質がないと分かってしまったと。

あそこは何か重てーモノ背負って・・・本気で関取を渇望した人間が行ける場所だって・・・
昔から俺は誰かのタメなら何なく出来るコトも自分のタメってなると必ず上手くいかねぇ・・・
ここが潮時なのかもしれねーな・・・

好漢であるが故に自分の為ではなく人の為でないと頑張りきれない。寂しい話である。
ここまでやってこれた一番の要因も周りの人ががんばれと声援を送ってくれた、喜ばせてあげたいという想いがあるからでしょうしねぇ。
しかし、そんな弱気を見せる闘海丸に喝を入れる細川君。鉄アレイ投げるのはヤバイがまあそれはさておこう。

だから僕をバカにすんなって!!なら関取になろうなんて言うんじゃねーよ!
僕はあの言葉を信じて毎日ボロボロになって必死に喰らい付いて・・・
君が関取になるまでは頑張ろうって思ってやって来たんじゃないか・・・!
本当は分かってたんだ。この世界に入ってすぐに・・・
僕にプロで通用する才能はないって。好きだけじゃどうしようもないコトがあるって。
辞めようと思ってたんだ・・・でも踏ん切りがつかなくって・・・
でも君が・・・友達の君が関取になれたら諦めもつくって・・・
悔しいけど・・・君は僕とは違うんだよ。君は関取になって輝ける人なんだ
それに自分のタメだけじゃないだろ。君に期待してる人は沢山いるじゃないか。
君がそんなコト言うなよ。それじゃ僕があまりにもバカみたいじゃないか。

涙ながらにそう語る細川君。いいこと言うなぁ。
自身の頑張りが細川君に大きな影響を与えている。それに他にも期待してくれている人は大勢いる。
ならば頑張らないといけないのではないか。そう闘海丸は考えてくれることでありましょう。

頼むよ・・・僕の次の野望のタメにも・・・

野望?どうやら細川君、何かロクでもないコトを考えている様子。
まあ昔から策士というか工作が好きな子でしたからねぇ。先のことぐらいは色々考えているに決まっているか。
だけどその辺りは特に追求しない闘海丸。代わりにこう述べる。

分かった・・・約束だ。必ず上へ行ってやるよ!

細川君の激励により気合を入れ直すことができた闘海丸。
三段目から幕下に復帰し、そして来場所には十両が見えるトコまで来ることができた。
そして十両になるとしたら、目の前の男・・・天雷以上の存在がゴロゴロしている場所で戦うこととなる。ならば・・・

ここで優勝できなきゃ話になんねーよなー!!

細川君がやるのと同じように自分の胸を叩き気合を入れる闘海丸。咆哮がプレッシャーとなり天雷へと届く。
なかなかのものだが、やはり圧力という面では天雷の方が大きい様子。
仕切り時の迫力をビリビリ感じる闘海丸。だがこれはむしろトラウマがどうこうとか言ってられる相手じゃないとも考えることができる。

上等だ!!

緊張で固まることはなく、真正面からぶつかる覚悟を決めた様子の闘海丸。
さあ、次回からは本格的なぶつかり合いが期待できそうでありますな!!

好勝負を期待したい所なのだが、天雷は時間はかけられないので速攻で決めたいと考えている。
王虎にやられた腕のことを考えると長時間の取組は厳しいということか・・・
しかしその意識で戦えるほど闘海丸は甘い相手ではないのではなかろうか。
その焦りが思わぬ結果を生み出すことになる。可能性がないとは言い切れませんなぁ。うーむ、楽しみな取組である。



バチバチBURST 9巻


第73話/パワー  (2013年 49号)


弟子の大一番を見守る鏡川親方。
いつものようなチンピラっぽいヤクザファッションではなく、もっと偉いヤクザのようなファッションで登場だ!!

越えてみせんかい・・・その壁を・・・

期待しているみたいですねぇ。この親方も見た目はさておき一角の人物ではありそうだ。

さて、正面から激突する両者。
さすがに総合的なパワーでは天雷の方が上だろうか。こんな当たり経験ねーぞと闘海丸の顔が歪む。
とはいえ、それで押し切られるほど脆くはない。
足に、腰に、全身に力を込めて天雷の押しを止める。なんのっ!!

どーだー!!闘海丸君はイケメンには恐るべき勝率を誇るんだ!!ブサイクパワー!!
そしてここから必勝パターン。左下手取っての・・・右上手ー!!

まさかのイケメンキラー闘海丸。
いや、相撲界にイケメンがどれだけいるのよって話ではあるのだが。
天雷や王虎、鯉太郎はイケメン認定されているようだが、どこまでイケメン枠になるのだろうか。気になるところだ。

それはさておき、闘海丸の必勝パターン。
右上手を取るために右腕を伸ばす闘海丸。しかしそうはさせじと天雷の左腕が防御する。
物凄い力で闘海丸の右手首を掴み、押さえつける。

何つーパワーだ。だが・・・力勝負なら・・・望むところだ!

天性のものと言われた右の腕力。今こそそれを振り絞ろうとしている闘海丸。
よりにもよってケガした左腕でその力を押さえつけなければいけない天雷。ヤバイ状況であります。
さすがの天雷も冷や汗を流す。が、今日の天雷には負けられない理由があった。

2人分のチケットと交通費送ったから。見に来てほしいんだ。俺が優勝するトコを・・・

来場所は十両が見える所までやってきた天雷。
幕下の壁を破る。その記念すべき場所を優勝で飾りたい。その姿を両親に見せたい。そのように考える天雷。
スカした天雷兄のこともあり、角界へと入ることを非難していた天雷の父。
その時は勘当みたいなことを言ってた気がしますが、ちゃんと天雷のこと気にしてたみたいですね。
親子の情は簡単には断ち難いってところでしょうか。いい話だ。

見方によってはむしろ敗北フラグになるんじゃないかと思える両親の登場
しかしそれを力に変えて吠える天雷。
右手で闘海丸のまわしをとり、肩で担ぐようにしてその体を持ち上げる。
一周りは大きいであろう闘海丸の身体を持ち上げる天雷の怪力はやはり凄まじいというしかありませんな。
かろうじて左足は地面についているという状況だが、ここから巻き返すことはできるのだろうか・・・

さぁ見せてみろ。値踏みの時間だ。
野郎は窮地でどう転がるかで真価が問われる
殻から出れず踏み殺されるか・・・羽化して見える景色を変えるのか・・・飛んでみせろ。

鏡川親方の期待に答えるかのように暴れてみせる闘海丸。
相手をスゲェーなと認めつつ、それでも闘志はいささかも衰えていない。むしろ沸き立っているようである。
モテない男の強烈な右手のパワーを発揮し、天雷の左肩を突いて窮地を脱する。

こんな奴が幕下に・・・まだいたのか・・・!?

闘海丸と同じく、強敵を前にして笑みを浮かべる天雷。
取組前の時点ではケガを気にして一気に決めようなどという考えがあった。
しかし今はそんな考えはありますまい。幕下でやり残した強敵との一戦を楽しみ、やりきるべきと考えていそうである。

うーむ、やっぱり好漢同士の対決は爽やかでよろしいですなぁ。
怪力同士の対決ということもあり、二転三転した戦いに期待ができます。
これで天雷のケガさえなければ言うことはなかったのですが・・・惜しい話だ。

次回は巻頭カラー大増28P。一気に決着までいきそうな様子ですな。楽しみです!!



第74話/届け・・・  (2013年 50号)


お互いを強者と認め合い、正面からぶつかる2人。
しかし闘海丸が得意とする右に対し天雷は負傷した左で戦わなければならない。かなり不利な状況である。
天雷もこの右はヤバイと感じているので必死に押さえようとしているのだが・・・このままでは押し切られそうである。

残り二番・・・1人は鮫島。もう1人は山本か・・・王虎。ここでムダに力をロスは出来ない

未だに天雷の中では石川は山本で固定されているのか。
まあ一度覚えてしまったら簡単には書き換わらないってことなんですかねぇ。
自分は村神から天雷に変わったってことで覚え直させたくせに。

それに・・・父親の前で失態は見せられない

負けられない想いは強い天雷。
しかし力をロスさせることなく勝ちたいというのは少し欲ばりな気がしますな。そんな簡単な相手ではない。
闘海丸にも負けられない理由がある。ここで勝てなければこの先も上ではやっていけないのかもしれないのだから。

引くなよ闘海丸・・・お前の右はどんな状況でも活路を開ける最大の武器だ。そこで勝てなけりゃ勝機はねぇ。

鏡川親方の考えの通り、右の上手を強引に差し込もうとする闘海丸。
しかしここで天雷が技を見せる。まわしをとろうと差し込んだ腕に自身の左腕をねじ込み、脇を抑える。
こうしてしまえば天雷の肩が邪魔となり右手はまわしまで届かない構えになるわけだ。

よし。入った。引き付けろ・・・ここが決め所だ。

一度闘海丸のまわしを引き、上体を立たせてから一気に押す天雷。
多少左腕が窮屈な格好ではあるが、強引に土俵外まで押しだそうとする。
闘海丸は必死に右腕を天雷の左腕に絡め、足を踏ん張って耐えようとするが・・・止まらない。さすがに総合的な力は天雷が上か。

なら・・・2本で・・・どぉぉだぁあ!!

右の腕力に左も加え、天雷の左腕を引き絞る闘海丸。
闘海丸としては必死に戦っているだけで弱点を攻めているという意識はないんでしょうな。
自身の得意武器である右腕を活かすために戦っていたら相手の左腕を攻めることになってしまっているだけと思われる。
まあ、天雷側の人間からするとケガさえなければという想いが生まれちゃうのは仕方ないことでありますがね・・・

負傷した腕を掴まれ苦痛に表情を歪める天雷。
その姿を見ていた天雷の父は昔を――自分が息子へ投げかけた言葉の数々を思い出す。

兄の裕也を見習えと言われ続けてきた幼き日の天雷こと村神凛太郎。
父親だけでなく他人からも兄と比較されて生きて来た。
そしてその比較の対象であった兄が部屋をスカしたという事実・・・
だというのに弟の凛太郎は兄を追って相撲部屋に入ると言い出す。まあ親としては複雑な気分になるのは仕方がないですわな。
しかし今、勘当同然に放り出したことについて後悔の色を見せる父。

体裁ばかり気にして・・・俺にお前を応援する資格などない・・・
スマなかった。強くなったな凛太郎

静かに首を垂れる天雷父。その態度はよいが、今はしっかり最後まで取組を見てあげてくださいな。
実際、今の天雷は闘海丸の強さを改めて認識してしまっているところですからねぇ。

強い・・・この男は強い!!
ここで力はロス出来ない・・・?次の相手・・・?何様だ俺は
ここで全部を出さないと・・・終わる。
兄貴・・・たとえここで腕がイカれても、先のコトは勝ってから考えればいい。

そう決心した天雷。しかし既に左手の感覚は失われている。痛みが限界を超えたのか・・・!?
愕然とした表情を見せてしまう。が、そこに遠くからかかる声。村神運輸という文字を背負った男からかかる声が響く。

オラ凛太郎!!お前はスゲー奴なんだ!!そんなモンがお前の本気じゃねーだろ!!

やはり来てくれていましたか天雷の兄――村神裕也。
この歓声の中では入り口近くからかけた声は届かない。普通はそう考える。
が、天雷の耳には兄の声がしっかり届いたかのようである。
息を吹き返し、傷ついた左腕で闘海丸のまわしを掴み・・・一気に押し込む!!

まわしのいいところを取って押しにも勢いが出る。
一気に土俵際まで押し込む天雷。闘海丸の足が徳俵にかかった。
上体が後ろへと折れる闘海丸。覆いかぶさるようにして倒れ込む天雷。
が――ここで飛び出したのが相撲の逆転技の代名詞・・・うっちゃり

窮地にあっても諦めず、最大の武器である右の腕力で天雷を持ち上げた闘海丸。
そのまま土俵下に叩き付けているわけだが・・・これはどう見ても闘海丸の勝ちか・・・!?

投げた時に左足が出ている感じはないし、それ以外に闘海丸の部位が先につく感じはしない。
もしかすると体の向こうでよく見えない左手が先に土俵をこすったとかならあるかもしれないが・・・
しかし最後のページをじっくり見ていると自然に岩の藤に目が行ってしまっていかんですな。

まだ素人の時、初めての土俵での決まり手もうっちゃりだった闘海丸。
その腕力を活かし、投げ飛ばすことに昔から長けていたということなんでしょうか。
いやそれ以上にこのブリッジが綺麗でなぁ・・・見とれるような投げの見開きである。

もしやとは思ったが本当に天雷の負けということになりそうな雰囲気。
両親や兄が出てきたのは敗北フラグであったということか・・・
まあ、父は改心したようですし、村神家としてはまだ救いがある形にはなってるのかもしれませんな。
ここで優勝できなかったからってさすがに手の平返したりはしないでしょうし。さすがに。



第75話/凶  (2013年 51号)


土俵際。繰り出されるのは豪快なうっちゃり。
共に土俵下まで落ちる2人であったが、最終的に軍配は闘海丸に上がる。やはりそうなりますかー。

最初は呆然とその結果を見届け、やがて実感を感じ、ガッツポーズを決める闘海丸。
長らく大一番で勝てない自分に対しての忸怩たる思いがありましたでしょうしねぇ。
殻を破った男の叫びは大きい。

が、敗れた天雷を前にしてはしゃぎ過ぎたと反省したりする闘海丸。いかつい顔して気配りの出来る奴だ。好感が持てるなぁ。
しかし天雷もまた好漢。敗れた直後に相手を強いなと讃える。
その左腕は限界を超えて酷使したためかダランとぶら下がっている。
勝負中は夢中で気付かなかった闘海丸であるが、ここでようやく天雷が左腕を痛めていたことに気付いた様子。

闘海丸「・・・オウ。次はお互い万全の状態で勝負だ
天雷「いや・・・今でも万全だったよ

顔では大きな差があるかもしれないが、好漢という意味では相撲と同様いい勝負をしそうな2人。
勝負がついたあとも爽やかな別れの言葉を交わしている。うーむ、いいですねぇ。
その立派な姿を讃える天雷の両親。
父は何だかヘコみっ放しで、俺の子とは思えないよとか言っている。殊勝なことですな。
こうなってくると逃げ出しておいて連絡も寄越さなかった天雷兄こと村神裕也がのこのこと両親の前に姿を現すのはどうかと・・・
思わないでもないがまあ、見せてしまったものはしょうがないですな。
父も丸くなったことですし、頑張って家族の仲を取り戻してください。
それにしても弟が敗れた瞬間も笑顔だった天雷兄の心境はどういうものだったのだろうか・・・よくわかりませぬ。

一方勝利した闘海丸陣営。こちらは当然笑顔の暁親方。
そして感涙している細川君。やっぱるスゴイや闘海丸君は。

あぁ・・・僕には見えるよ。君の背中にどこまでも高く飛べる輝く翼が・・・
うはははは飛んでけー!!ブサイクジャンボエンジェル!!

何とも酷い想像である。まあ・・・仲がよろしいなってことですわな!!うん。

さて、敗れた天雷。鯉太郎と石川にお前等とやる前にヘマしちまったと謝罪。
それに対し、どうせ全員ブッ倒すつもりだったし、お前が負けたならアイツを倒すまでだと返す鯉太郎。
石川も同様の答えを返す。うむ、実に爽やかでよい雰囲気ですねぇ。

天雷「勝てよ。山本」
石川「誰が山本だ!!テメーは静かに指くわえて見てろ!」

ついに注釈で山本=石川という説明が入るようになってしまった!!
しかしこの天雷の頑なさは一体何なのか。一体どうすれば本名を覚えさせることができるのか。
もう四股名を山本にするとかしたらいいんじゃないかなぁ・・・妥協しすぎか!?

心配すんな・・・負けてやる気はさらさらねーよ。

何はともあれ気合満点で土俵に上がる石川。
本割では鯉太郎に一敗したものの今場所は体がよく動きかなり好調であるらしい。
新寺親方も最後はかっさらう気マンマンだぜと述べておりますし、期待が持てますな。相手がこの男でさえなければ・・・

誰が相手だと思っとる・・・止められるものなら止めてほしいわ・・・

そのような気持ちを吐露してしまう虎城親方。
もう父としても親方としても止めることができずにいる様子の怪物が土俵に上がろうとしている。
いよいよかと歓声をあげる観客が・・・真っ黒な狂気をはらんだ王虎の姿を見て一斉に静まり返る。
うーむ、白水さんに敗れた王虎。どうなっているかと思ったら一層危うい感じになってますなぁ・・・厄すぎる。

観客も親方衆も、関取ですら驚く王虎の狂気。
しかしそんな静まり返ったところに鳴り響くのは石川の柏手。
キレイに鳴り響き、凍りつきそうだった雰囲気を溶かしてくれる。

よう

まるでビビった様子の無い石川。おぉ・・・これは・・・?期待していいのか・・・!?

ついに始まる王虎VS石川。
これまでの爽やかな空気が一変してヤバイ空気となった幕下優勝決定戦。果たしてどうなるのか・・・
王虎の迫力に呑まれていた常松とは違い、石川に怯んだ様子は微塵も感じられない。
しかし果たして石川の相撲は王虎に通じるのだろうか・・・
序二段の時は本番ではなかったとはいえあっさりとやられている。幕下のこの取組ではどうなるか。
うーむ、酷いことになりそうでもあるし、よもやの勝利も掴みそうであるし・・・予想がつかない。とりあえず頑張れ石川!!



第76話/殺伐  (2013年 52号)


王虎VS石川、まったなし!!

土俵上でようやく相対する2人。まずは石川が口火を切る。
オモシレーフリだったなと言って語るのは、今場所で石川が鯉太郎に敗れた時の話。
王虎は石川に対しこう述べていた。負けたら何も残らないのが土俵だ。だから負けたお前はただの喰いカスだ、と。

喰いカスが喰いカスを喰ってやるよ。クソマズそーだけどな

まさしく煽られても仕方がない状況。なので王虎は冷静にその言葉を・・・受け流す。ちゃんと聞いてる?

許せるか・・・?許せるかこの現状を・・・
これも星を落とした醜態の結果・・・分かっている・・・俺が一番腹立たしいのは・・・己だ・・・・・・

石川の煽りが耳に入っているのかいないのか。
いずれにせよ今の王虎にしてみればこうやって星を落としての優勝決定戦にもつれこんでいる現状そのものが腹立たしい様子。
前のように引きこもらないだけマシにはなったが、その凶気をあてられる方としてはたまったものじゃありませんな。
だから戦いを観戦している田上さんも祈る。

石川・・・頼む・・・無事で土俵から降りてきてくれ

縁起でもない。でもたぶん読者も似たようなことを考えてるんじゃないかと思えるから困る。

王虎の放つ凶気はさすがに異様である。観客もざわめいている。
並の奴なら縮こまってしまうようなブッ壊れた殺気。しかし新寺親方は笑顔で相対する弟子の姿を見守っている。

アイツも壊れてるからな・・・恐怖心ってのが

王虎に対抗し、異様な形相と気を放つ石川。
野生の世界では恐怖心がないのは危ない気もするが、まあ縮こまるよりはましでありますな。
新寺親方の話によると稽古で関取の顔を思いっきり張ったりしているらしい。
そりゃまた・・・その後でボコられると分かっていながらそれができる勇気は確かに壊れていると言われても仕方がないものであるか。

新寺部屋には現役の大関もいますし、王虎の威圧感を受けても揺らがずにいられるのは分かる話である。
だが虎城親方も述べる。恐怖心がない。それがどれほど危ういことか分からんのか、と。
うーむ、さすがに恐怖を抱えながらそれを押し殺して勝ち続けた大横綱である。言葉の重みが違うなぁ。

さて、いよいよ始まる対決。
両者に敗北した常松もこの一戦を見守っている。
白水さんに敗れた今の王虎にもう死角はない。が、あの張りが入れ場たとえ王虎でも無事ではすまないだろうと考える常松。
うーむ、正直常松の分析はあてになるのかどうか分かりませんのでなぁ・・・まあ、無情の一撃の評価が高いのは分かりました。
しかし今回の石川、教習所での借りがあることもあり、無情の一撃は打たない様子。

激情の一撃だ

たぶん名前が変わっただけですな。いやまあいいんですが。
ともかく、立ち合い。
行司の声とともに繰り出される石川の渾身の張り。
王虎のアゴ目がけて放たれた一撃であったが・・・それよりも早く突き刺さるのが王虎のカチ上げ!!
息が思わず吐きだされ、後退する石川。最初の一撃を当てるのに失敗したわけだが、一体どうなるのか・・・!?

王虎は常松とは違い左肩からぶつかっていっている。
さすがに常松のように右から来るのに右肩からぶつかろうとして左の顔面をさらすようなマネはしなかったかー。
その辺りの状況判断を瞬時に行えるのが王虎の強みである。
さて、ここから石川はどう反撃にでるのだろうか。
まさかそのまま吹き飛んで終了ってことはないと思うが・・・ないと思うが・・・とにかく、頑張っていただきたい。



第77話/絶望的に  (2014年 1号)


立ち合いから石川を圧倒する王虎。
あの石川の踏み込みの上を行くのか!と常松も驚いております。
自分が立ち合いでやられただけにショックも大きそうですな。

話にならんわと一蹴する虎城親方に対しまだまだと笑顔で述べる新寺親方。
その通り、カチ上げを喰らっても即座に左手の張りで反撃しようとする石川。
だが、その左腕ははたかれ、そして王虎は右腕で伸びたその腕を抱え込もうとする。早速くるか・・・小手投げ!!

決まりか・・・空流親方もそう思う一連の流れ。
だが、新寺親方の表情は変わらず笑みのままである。ふむ、随分と石川を信頼しているようですな。
まあ、とりあえずこの窮地は確かに切り抜けられたみたいですが。
腕を完全に抱えられる前に張りの軌道を胸に逸らせて距離を取ることに成功したのだ。

アイツも負けとりませんよ。動物的勘のよさなら・・・

そういうところで勝負するわけですか。
確かに王虎の一番怖いところはその勝負勘であるし、そこで負けてないのは重要かもしれない。
王虎の危機回避能力を上回る嗅覚を備えているのであればあるいは・・・

ともかく、ようやく石川の張りが王虎に決まる。
そこからの連打。この回転の速さが石川の売りのひとつである。ここに無情の一撃を加えるラッシュで鯉太郎を苦しめた。
だが――王虎にはラッシュを継続させることもできない。
打たれている最中に反撃の張り。その一撃を顔面に受けて仰け反る石川。一発でこれかよ・・・

しかし王虎にしてみれば張りは白水さんを思い出す技である。
イラつかせることには成功したみたいですね。それが幸か不幸かはさておき・・・

強烈な右の張りが石川の左腕を襲う。
揺らぐ上体。さらにそこに飛んでくる王虎の左のカチ上げ。うーむ、ボコボコですなぁ。

絶望的に・・・強い・・・

石川の形に持っていけるかと思いきや、とてもそんな状況にはならない。
周りから見ても絶望的に思える差があるように思われる。
だがそれでも石川は引くつもりはない。己で選んだ押し道だ。貫き通して見せるってことでしょうか。

そのトンパチさが勢いを生むのか、王虎の張りを受けても怯まず、反撃の一撃を喰らわす石川。
王虎の一撃を受けても怯まないようになったのはいいが、ここから先までいけるのかどうか・・・
うーむ、思ったよりも厳しい状況となりましたが、ここから根性を見せる展開があるのでしょうか?
せめて無情の一撃をまともに当てる場面が見たい所でありますが・・・
それであまり効いてませんよって感じになられてもアレだしなぁ。うーむ。



第78話/俺の土俵で・・・  (2014年 2+3号)


ようやく石川の反撃の張り手が王虎に決まる。
モロに側頭部に決まった石川の右張り手。だが・・・まるで効いた様子がない!!

――そこに絶望アリ

そんなアオリを決められてしまう程に2人の間には差があるように見受けられる。
平然とした様子の王虎に比べ、石川はすでに血と汗に塗れまくっておりますからねぇ。

止まるな、石川!!!

だからといってそこで諦めては勝機も何もない。鯉太郎が激を飛ばす。
王虎の反撃を受けて仰け反る石川。だが・・・そこで大きく笑い出す!!

圧倒的に不利な状態となりながら何故か楽しそうに笑い出す石川。
その様子を同部屋の幕内力士である飛天勇さんが見ている。
そう、あの笑顔が出てきてからが本番・・・石川のしつこさが発揮される時である。
関取相手だろうが稽古で本気の張りを見せるトンパチ野郎、石川。
その恐れ知らずの根性は相手が強ければ強いほど燃え上がりを見せるようだ。

やっぱコイツクソムカツク。クソムカツクほど強ぇ・・・
ダメだ・・・沸騰する・・・これだから相撲はオモシレー

絶望的と観客から見ても思えるほどの差。
それを味わいながら、むしろ面白いと語る石川。チャレンジャーですなぁ。
そのひたむきさが前に出る力となるのか、両者足を止めての打ち合い・・・制しつつあるのは石川!!

スゲェ・・・

確かにスゴイ。徐々にではあるがあの王虎を正面から押し返しつつある。
この負けん気の凄さ、例え1度負けても諦めずに喰らい付く強さはバチバチの登場人物の中でも上位と言えるでしょう。
そりゃあ鯉太郎も微妙に可愛い顔で評価してしまうというものである。

その精神の強さに当てられるのは王虎。
敗北を背負いきれない王虎と、敗北を背負い、それを糧にして前に進む石川。
そういった2人の対決と考えると、勝負が長引いて精神的な勝負となった時、石川にも勝つ目が出てくるのではないだろうか。
実際王虎はイラついている。力の差を見せつけたはずなのに折れる様子もない石川に対して。

何故笑う・・・何故笑う・・・俺の土俵で・・・笑うな

怒りの形相で強烈な突きを放とうとする王虎。
一気に仕留めてしまおうという気迫が籠っている。
その突きに対し石川・・・体ごと後ろにひく。逃げた・・・!?いや・・・違う!

かませ石川!!!

飛天勇さんの声に応えるように、一度後ろに下がった石川は足を強く土俵にかませ、踏ん張る。
そして足腰の力を腕に伝え・・・体重を乗せたカウンターの張りを王虎に叩き込む!!

体重、速度、いずれも申し分のないまさに激情の一撃。
王虎も強烈な一撃を見舞おうとしていただけにカウンターの威力は計り知れないこととなっている。
さすがの王虎もこの一撃は余裕で受けとめるってわけにはいきますまい。
さてさて、意地の反撃はささったわけだが、ここからどうなるか・・・

王虎のしぶとさは白水さんとの戦いでも十分発揮されている。
フラフラになり、意識が飛びながらも結局倒れ込むことはなかった。
石川のこの一撃でどこまで追い込めているのか、その後さらなる追い込みをかけることができるのか。注目です。



第79話/足りないのは・・・  (2014年 4+5号)


無情の果ての、激情の一撃が刺さる
体重と速度、さらに相手の攻撃力も加算したカウンターの一撃。
さすがの王虎もこれを受けて平然と言うわけにはいかず体をグラつかせる。

石川の我慢がようやく実を結んだと言った感じでしょうか。
この結果に青ざめる虎城親方。笑顔の新寺親方。田上さんも青ざめているわ。
観客や天雷が驚くのはわかるが常松は驚きすぎ。他の誰よりも驚いているんじゃないか?
そして逆に落ち着いた様子の闘海丸。王虎を特別視せず、皆を強敵と認識していたってことでしょうか。やりおる。

いけっ!!石川!!

鯉太郎の声援を受けて前に出る石川。
雄叫びを上げ、全身の筋肉を軋ませ、心臓を激しく鳴らし、全身に血を行きわたらせる。
呼吸を止めて一心不乱に突きまくる石川。
得意の乱打。だが今の石川の突きは全てが一撃で終わるほどの重さが込められている。
グラついた状態の王虎がこれを受け続ければあるいは・・・!!

王虎が天才と言うことを否定もせんが・・・しかし石川もまた才能の塊・・・

そう、何だかんだで石川の才能も凄いものがある。
幼少の頃から相撲に関わってきていた王虎。鯉太郎にしても父の影響もあり相撲の稽古はしてきていた。
石川はそれらの土壌が無く、始めて1年そこそこで今幕下の優勝争いを行う位置にいる。これは才能の塊と言われても違いはあるまい。

この石川の奮闘が観客の共感を呼んだのか、徐々に石川への声援が増えていく。
休むことなく強力な突き押しを行う石川。
しかし無呼吸の連打はそうそう長く続くものでは無い。
心臓が激しく脈打ち、パンクして破裂しそうな感覚に襲われる。

上等!!!

それでも構うものかと更に力を込めて突きを放つ石川。
ついに王虎の表情にも余裕がなくなってきましたよ!

な・・・何だコレは・・・

グラつく王虎。間違いなく効いている。ならば――

逃すな・・・ラスト。渾身の・・・一撃を・・・打ち込め!!!

渾身の一撃。であったが、無情にも放たれるのは王虎のカウンターの突き。
これが当たっていればという一撃であったのだが・・・逆にカウンターで返されてしまうとはなぁ・・・まさに無情。

ウザってー。

相変わらずの凶相でそう言い捨てる王虎。
だが石川はまだ立っている。
虎城親方が王虎相手によくやったと褒めようとしているのにまだ負けを認めることなく立っている。
何とも凄まじい意地であるが・・・これは危険な感じだ。

何なんだ・・・コイツも・・・

満身創痍になりながらも勝負を諦めない。
石川のその姿に、腕を折って勝負が決まったと思い油断した先の取組が思い出される王虎。
さっさと壊しとけば問題なく終わっていた。自身に足りないのは頑とした非情さだと信じている。
そんな王虎は容赦なく、石川の右腕を抱え込む。完全に腕を壊す気か!!

メキメキと関節が極まっている音が響く。
白水さんの時とは違い、躊躇うこともなく折るであろうと推測される。ヤバイ!!
が・・・既に意識の切れていた石川。抵抗することなく土俵へと倒れ伏す。
うーむ、危うい。倒れずに抵抗していたなら折られていたところでしたよ・・・

意地を見せたものの勝利はつかめなかった石川。残念である。
とりあえず破壊されることはなかったわけですし、次の取組に期待したい所でありますな。
さて、勝った王虎の方はやはりまだまだ精神面が不安。
観客の人気も大分陰りが見えてきそうな気がしますがどうなりますか・・・

次回からは勝ち残った三人の巴戦。さて、最初にどの2人が闘うこととなるのか。
闘海丸の存在が色々と分からなくさせておりますなぁ。優勝することも有り得ると思うがどうなるか・・・注目ですな。



第80話/オウ!!  (2014年 6号)


倒れなければ、抵抗していたならば折られていた。
意識が切れて倒れたことが石川を救った。
この場での勝負は落としたものの、壊されずに済んでよかったと言うべきだろうか。
虎城親方の安堵の表情と新寺親方の険しい表情が色々と物語ってますなぁ。

さて、この王虎の行動はさすがに観客にも奇異なものに映る。
白水さんの時も腕を折っているが、今回はその時とは形が違う。
押せば倒れただろう相手の腕をわざわざ立って関節を極めたのだ。故意に折ろうとしたと察せられて当然である。

テメー!また相手壊す気か!!

その罵倒を皮切りにして次々と観客席から王虎に向けて罵倒が飛ぶ。
言ってることとやってることが違う。ようやくそのことに観客たちも気付き始めた様子。
まあ実際に何人も壊してきているわけですからねぇ・・・
正直気付くのが遅すぎると言わざるを得ない。俺は騙されねーぞと叫んでる観客は絶対今まで騙されていましたね。間違いなく。
観客の反応に青ざめる虎城親方。そこに空流親方が畳みかける。

いくら王虎に天賦の才があろーが・・・中身はまだまだ幼い。
取組中のあの顔は・・・焦燥以外の何ものでもない
まるで横綱かのような絶対者を演じるための剥き出しの威圧は・・・見てる者にとって決して気持ちのいいものじゃない。
一度異物と感じたら・・・人間そう簡単には飲み込めない。
己の描いた絵を取り繕おうと必死にあがいても・・・結果そこにできあがるのは・・・アンタもよく知っている・・・孤独だ

これまで裏表の顔を使い分けて世間にはいい顔ばかり見せてきていた王虎。
その本性がバレたことで大きく非難されることとなりました。
言っていることとやっていることが違うってのは反感が大きくなる要素ですよね。
鯉太郎の様に最初からヒール認定されているならともかく、ベビーフェイス――ヒールを倒す善玉側がやらかしちゃうとどうしてもねぇ。
とはいえ王虎の形相がヤバイのは随分前からだしそこで気付く人は気付いていそうなものでありますが。

逆に王虎に正面から挑み、健闘した石川は観客に称えられている。
王虎が叩かれるのであれば、それに対抗しようとした石川が持ち上げられるのは自然な流れ。
とはいえ石川にしてみればそんなことよりもこの一番に敗れたことの方が骨身に染みているみたいですけどね。クソッタレ・・・

一から鍛え直しだと述べる飛天勇関。新寺親方は現状の力で王虎に勝てると踏んだ俺の目測の甘さが敗因と考える。

すまなかったな・・・だがここからだぞ石川・・・

悔しい敗北ではあるが、壊されることはなかった。
メンタルの強い石川ならばこの敗戦をバネにしてさらなる成長を遂げてくれるのではないかと思われる。
何だかんだで相撲を初めてまだ間もないわけですからねぇ。もっともっと強くなって欲しいところであります。

満身創痍と言った感じの石川。土俵を下りたところで鯉太郎に声をかける。

石川「ワリーな鮫島・・・お前をここでブッ倒すって約束・・・守れなかったわ」
鯉太郎「ブッ飛ばされるだろ?」
石川「うるせー・・・」

弱った感じの石川であっても鯉太郎の態度は普段と変わらない。
石川もそれが嬉しいのか笑みを浮かべている。
あのクソヤローも天雷破ったあのブーちゃんも強ーぞと述べるが鯉太郎は力強くこう返す。

心配すんな。俺が一番強ー!!

なんとも心強い言葉でありますな。これは石川も大笑するしかない。ブハハハハ!!

石川「オウ・・・」
鯉太郎「オウ!!

石川の差し出した拳と打ち合わせる鯉太郎。
うーむ、この2人は本当に爽やかと言うか、いい関係を築いておりますなぁ。本当、石川は壊されずに済んでよかったよ。

さて、こうして6名による幕下優勝決定戦は鮫島・闘海丸・王虎の3名に絞られた。
ここからさらにクジを引き、最初に取り組む2人を決める。そして先に2連勝した者が優勝となる。
そしてそのクジで決まった初戦――

闘海丸つよし VS 鮫島鯉太郎!!

石川と誓った以上、ここは負けられない鯉太郎。
果たして闘海丸を破り、王虎をも倒して幕下優勝を飾ることができるのか!?
ふーむ、ここで王虎の番が回ってきていたら・・・ダメージも抜けてないだろうし、精神的にもガタが来てるし面白かったんだがなぁ。
とはいえ現状でもまだ闘海丸が優勝する可能性はないわけでもない。
この巴戦・・・どのような決着を見せるのか。実に楽しみであります。

しかし王虎は石川が敗れた直後に笑顔で鯉太郎とやり取りをしているのを見て何を思ったんでしょうな。
少し前ならば食いカス共が何かやってやがるぐらいにしか思わなかったのでしょうが・・・
自身が敗れた時にそんな精神的余裕は欠片もなかった。そのことに思い至ることはあるのだろうか。
やはり王虎には友人が必要でありますわな。虎城親方には弱音を吐ける奥さんがいたのが救いだったようですし。
田上さんの活躍に期待が寄せられます。



第81話/突き抜ける!  (2014年 7号)


幕下優勝を決める決定戦も三強が出揃い、巴戦に移行。
その初戦を飾るのは鯉太郎と闘海丸。
2人はそれぞれにその前の戦いで敗れた天雷と岩の藤からアドバイスをもらう。

ヤツの右はやっかいだぞ・・・右の腕力だけなら俺よりも上だ。捕まるなよ。
勝て鮫島・・・勝て!

イケメンなアドバイスをくれる天雷。あの怪力の天雷がそこまでいうのだし、やはり闘海丸の右は脅威である。
そしてその闘海丸に送る岩の藤のアドバイス。

ヘイ!FAT GUY!彼の当たりは突き抜ける弾丸。OK?

・・・・・・?
OKじゃなさそうでありますな。ブチカマシがヤバいのは見ていれば分かるだろうが、何とも抽象的かつ凄い表現である。
というか相撲取りが相撲取り相手にFAT GUYという呼び方をするのはどうなのだろうか。確かに体格差あるけどもさ。

アドバイスを受けて土俵上で戦い方を考える両者。
力があるのは分かっているので四つ相撲は避けて押しで勝負したい鯉太郎。
逆に闘海丸は相手のスピードを制し、ブチカマシの威力を出させない距離で戦いたい。
右を取って勝負。重さには分があるし、コイツの当たりは怖くないとなどと思っているようだが・・・

闘海丸「真っ向から来いや!!
鯉太郎「最高の一発をブチかます!!

鯉太郎のブチカマシを侮ってしまった感じはありましたが、この姿勢は好ましい。
さすがに天雷に並ぶ好漢である闘海丸。鯉太郎との戦いも爽やかなこととなりそうですな。イイヨイイヨ。
しかしその爽やかさが気に入らないのか暗い目つきの王虎。1コマだけなのに凄い落差を生んでくれてますわ。

さあて、観客や関係者の声援を受けていざ勝負。
闘海丸の部屋の鏡川親方は勝負の前にこう語る。悪いな火竜・・・テメーのガキを俺の弟子の踏み台にさせてもらうぜ、と。
ふむ、現役時代は交流があった感じですな。どっちも悪タレっぽいし不思議ではないか。
火竜は隠れファンが多かったという話もありますしねぇ。

まずは先に右でカチ上げ。ブッ飛ばす!初っ端だけでいい。重要なのは立ち合いスピードで勝つこと・・・

そのように考える闘海丸。鯉太郎に立ち合いのスピードで勝つことができるのだろうか。
その懸念はあったが、見事に鯉太郎のスピードを上回る闘海丸。
上回り過ぎてカチ上げ空振っちゃいましたよ。スカッ。

アホかー!!

細川君の盛大なツッコミ。そして闘海丸の腹に鯉太郎のブチカマシ炸裂。
厚い脂肪と筋肉によって衝撃を吸収するのだが、それさえ突き破り内臓へとダメージを与えてくる鯉太郎のブチカマシ。
これぞ岩の藤が言っていた突き抜ける弾丸の意味である。実感してようやく言葉の意味がわかったって感じですな。ぶはっ!!

ここに来て鯉太郎のブチカマシは更なる進化を遂げた様子。
岩の藤とのブチカマシ合戦を見事に糧としているようですな。
こうなればこのままブチカマシを続けて押し出すことができるのではないか。
そう考え、追撃のブチカマシを・・・かけようとしたところで闘海丸の右の張り手が炸裂する。
直撃する横からの張り手。その威力によりその場で一回転する鯉太郎。何ィ!?

右上手・・・もらったー!!

脅威のパワーで足止めされた鯉太郎に迫る闘海丸の右腕。
このまま上手を取られたならば圧倒的不利な形となるがどうなりますか・・・

しかし闘海丸のパワーは本当に恐るべきである。あの仁王さんですら驚きを見せているのだから相当なものだ。
下手したら首がヤバいことになるんじゃないかと思えるほどの一撃。大相撲・・・やはり恐ろしい競技ですわ。



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