蒼天紳士チャンピオン作品別感想

ANGEL VOICE
第178話 〜 第204話


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 各巻感想

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連載中分

ANGEL VOICE 21巻


第178話 右サイド  (2011年 4+5号)


要注意人物の松田に突破され、いきなりの失点の危機である。
そこに飛び出す所沢。が、守りきれず得点を許してしまう。おしかったな。
所沢は相手チームにも凄いキーパーとして警戒されているらしい。

さて、市蘭の反撃。しかし、乾がうまく働かせてもらえない。
こんなに役に立たない乾――初めて見たぜ!
さすがそこらのストーカーよりしつこいと言われる石持である。しつこい。
たぶん好きになった相手の家に上がりこんでカレーをつくったり、恐怖新聞にスタンガン叩きつけたりしてるに違いない。

それはともかく、二宮さんがボールを受け取りチャンスを作る。
監督が言うには、この3ヶ月で最も成長したのが二宮さんである。
尾上の運用で自分のポジションが変わる。そんなのはプライドが許さない。
自分の右クロスも武器であるということを知らしめる。そのためにコソ練を詰んできた!
さすがは二宮さんである。かの名言を残したお人なだけはある。

「今日逃げたら明日はもっと大きな勇気が必要になるぞ」

んー名言だ。しかし二宮さんでは映えないので、他の人が喋るAAにされることが多いという。不遇!

ともかく、同点のチャンスである。が、ここで引いたということは得点できないのかなとも思ったり。
成田に対する信頼感がいまいち薄いままで困るぜ。



第179話 空中戦  (2011年 6号)


二宮さんの見事な右クロス。決めることができるか!?ダメでした。
見開きのページに埋もれるようにして長身の選手がヘッドでクリアしていた。

でかいくせに存在感がないという茂森君です。見開きに埋もれたのも、その存在感のなさゆえか!
この茂森君、ある欠点を克服すればユゥエルとも渡り合えるようになるという。
存在感のなさを消すのかね?むしろいきなり現れるDFの方が怖い気がするけどなぁ。

さて、ここからしばらく習志野が一方的に攻める時間が続く。
やはり10番の松田が厄介か。所沢がいい調子だからなんとか追加点はまぬがれているが・・・
こんなとき頼りになるのが守りの要、ワッキー。
なんとか流れを取り戻したいところである。



第180話 エース封じ!!  (2011年 7号)


熱闘センターカラーであります!
ここのところ掲載順位もあがってきており、ここでセンターカラーとは。勢いに乗ってるね!

1点先制されて、再び松田の突破。
ここは、ワッキーがうまく機転をきかし、味方のいるほうに追い込んでクリアに成功。
ワッキーは松田の凄さを感じ取っていた。

上背こそはないものの、ガッシリした体つきの松田。
表情が幼いだけに迫力はなかったが、おっさん顔になれば番場さん並に強そうである。

高校に入ってから2年かけ、押されても倒れても倒れることのないバランスを保つ筋肉を身につけた。
こういったストライカーこそ、今の日本サッカー界に欲しい人材なんでしょうなぁ。

実際、高校生にして今年の秋、U−20日本代表候補に、この松田は選出されるという
全国の中でも2人しかいない。そのうちの1人がこの松田直也であった!
うーむ、凄い。
この相手を押さえつつ、点を取り返していかなければならないとは。古豪、習志野実業恐るべし。



第181話 ゴールキーパー  (2011年 8号)


松田が2点目を決めたー!ホントすげえよあいつ!
フンだ!

フンだ!じゃないよ、成田。可愛いじゃねぇか。

松田対策をさらに進めるディフェンス陣。
外に外に追いやり、シュートは打たせてもいいが、角度を殺すようにする。
なるほど、いい作戦ですな。
成長したところが見える・・・こういう作戦を指揮するのが監督やコーチの役目じゃないのかね?
じっちゃんが前もって教えていてくれてたのかもしれんけど。

今回の所沢はかなりの活躍。観客も凄いキーパーであると認識しだした。
じっちゃんがいないと活躍できるんじゃないだろうか・・・そんなこと考えちゃダメだ!



第182話 能力  (2011年 9号)


所沢の怪腕が唸る!
弾丸ライナーで、ボールは二宮さんのもとに通る。

松田はその所沢の姿を見て、さらに貪欲に点が欲しいと望むようになった。
体格に恵まれた相手だからこそ、倒したいという気持ちがより強くなるのかもね。
コンプレックスを感じず、強さに置き換えている松田は本当に強敵である。

というか、松田。初登場時に比べて顔つきが鋭くなってきてるよね。

さて、二宮さんがボールを出す前に、成田はオフサイドポジションにでてしまう。
相変わらず、ぬけているなぁ。
でも、今回は功を奏した。成田より前に相手のDFがいたのだ。誰も気づかないうちに。

誰も気づかない能力って凄いと思ったけど、味方も気づかないのって邪魔くさいな!

二宮さんの最終パスは通らず。茂森君に阻まれる。しかし、コーナーキックである。
これはチャンス。名DFの石持でも、セットプレーは邪魔できない。

なんとなれば、そのままゴールに入れてしまってもいいわけでからね。
市蘭としては、このあたりで1点返して置かないと厳しい状況。
さて、どうなりますか。



第183話 弱点!?  (2011年 10号)


乾は成田の要求どおり、ファーにあげてくれたようだ。
成田もさすがに素早い。一気にいいポジションを取る。
相手は長身の茂森。しかし、相手は接触するようなプレーはしてこなかった。

結局、コーナーのチャンスはキーパーに阻まれてしまう。おしい。

そして、茂森君はなんと成田に自分の気の弱さをカミングアウトしてしまう
試合中に何をやっているんだ!?
この気の弱さこそが、克服しなければならない課題である。
これさえなければ、あのユゥエルとだって互角に渡り合える選手と期待されているのである。

どうやって克服したらいいのか監督は思案する。
が、考える前に、敵である成田がハッパをかけてくれました。
おかげで、頑張ろうという気になってくれました・・・何をやっているの、成田!
まあ、これはこれでスッキリしていい話ではあるんですけどね。

その後は、両チーム得点なく前半終了。
乾が機能していない今、やり方を変えていかないと得点は難しそうですねぇ。
後半はどのような展開になるか。



第184話 乾のプライド  (2011年 11号)


後半戦開始。校長の号令のもと、市蘭の応援をする生徒達。
いやぁ、この校長はやっぱりカワイイなぁ。

さて、黒木監督の作戦。当初は乾をボランチの位置に下げようとしていた。
しかし、百瀬がそれに反対する。乾のプライドに配慮している。
代案を出す百瀬。壁として使うことで、意識を散らせようという作戦だ。

なるほど。ボールをもらって前を向くことができないのが前半の乾だった。
壁としてパスを出すなら前を向く必要はない。
そして、その選択を持つことで、逆に前を向いて抜くという選択が生きるようになる。

後半、ついに乾が石持のディフェンスを破った。
そして、決定的なパスが成田に渡る・・・これは、どうなる?
その前に一対一を外しているから、ここは決めて欲しいところなんだが。
イマイチ信用がもてないのが成田の危うさである。特に決定的な場面で回をまたぐときはねぇ。



第185話 一気に!!  (2011年 12号)


乾からのパスに利き足の右で合わせる成田。
そのボールはキーパーの横を抜き、ゴールネットを揺らす!
おぉ、珍しく見事に決めおった!珍しい!珍しい!

ほとんど角度が無い縦パスをダイレクトで決めるなんて凄いと敵に褒められる成田。
なるほど。難しいときほど決めてくれるのが成田だからな。納得だ!
逆にいうと、簡単なときほど外しやすいともいえる。

残り30分以上で1点差。これはいけると動きもよくなる。
見ている市蘭の生徒も嬉しそうな様子だ。いいね。
しかし、勢いに乗ろうとしたせいか前がかりになりすぎている。
カウンターを受けて一気にピンチになる市蘭。
こういうときに働くのがストライカー。松田が一気に飛び出してくる。

この決定的なチャンスで思わず足を出し引っ掛けてしまう万代。これは・・・
PKならまだいいけど、本当にレッドカードで一発退場なんてなったらかなりマズイ。
10人でやってきた経験はあるとはいえ、習志野相手に10人はムリがある。
さてはて、どうなるか。



第186話 戦う相手  (2011年 13号)


ゴール前での反則。下手すれば一発退場である。
しかし、松田は倒れこまずに、持ちこたえる。
チャンスボールということで、笛は吹かれない。が、ボールには所沢が向かっている。

チャンスを相手のファウルで潰されてよしとする。
そんな消極的な考え方じゃ、たとえ相手が10人になっても、このキーパーから追加点は取れない!

松田の考え方は凄まじくアグレッシブですな。これが本物のストライカーか。
でも、実際は10人になったほうが厳しいと思う。
松田の執念が勝り、習志野に追加点が入る。

とはいえまだ残り時間は30分ほどある。まだまだ取り返せる時間帯。
が、様子がおかしい。点を取った直後にまた差を開けられた。流れ的には諦めてもおかしくない場面。
その空気が市蘭を襲っている。
このまま勝ち進んでも、船学や八津野とできるわけじゃないしなぁ。
そういっても、習志野だって十分な強豪なんだから、ちゃんとしなさい!

モチベーションがあがらないという脇坂。その脇坂に対して、百瀬。

黙れ

も、百瀬さん!
言った百瀬自身が一番驚く、百瀬らしくない一言。
それゆえ、他のメンバーは黙らざるを得ない。いやぁ、これはシビれるな。

望まない相手と必死に戦っている仲間がいるのに、
相手を選んでモチベーションがどうこう言うのは、やっぱりおかしい。

マイちゃんが必死に戦っている。
そのマイちゃんに関東大会出場が決まる、勝利の報告を持っていく。
これはこの上ないモチベーションである。
忘れているかもしれないけど、初めて来てくれた市蘭の学生達のことも考えてあげてね。

さて、モチベーションが凄まじくあがった成田。
乾には任せておけないと、自分でドリブル突破するぜと言い出す。
確かに技術は身についてきているが、中盤から一気に抜くにはムリがある。
できたらカッコイイけど、どうなるやら。



ANGEL VOICE 22巻


第187話 スピード  (2011年 14号)


中盤でもらった成田が単独でドリブル突破を図る。
使う技は、身につけたばかりの裏バキュ
裏にバキューンと通すから、裏バキュだ。センスが足りない。

スピードのある成田には、裏バキュことメイア・ルアはピッタリな技術。
これならば、2人くらいならまとめて抜くことができるという。

が、それをするにはスペースが必要。
ゴール前で、キーパーが飛び出してこれるぐらいの距離では実現は難しい。
今回の成田の挑戦は失敗。
しかし、成田の速さは習志野ディフェンス陣に刻み込まれることになった。
ただ速いってだけのことが、こんなに怖いとは。

さて、クリアされたボールは中盤。
カウンターをくらった時の反省をいかして、今回はガラ空きにはしていない。
早め早めのプレスで追い込んでいく。
この様子は観客にも伝わったようだ。市蘭イレブンのペースがあがっている。

それもそうでしょうな。
今日はみんなで病院に行く。病室で暗い顔はできない。
オレたちは勝つしかねえんだよ!

マイちゃんに勝利の報告をする。そのために必死になる市蘭。よい気迫でございます。

そして、ボールは市蘭に。
成田はフリー。だが、そこにディフェンスが詰め掛けようとしている。
先のドリブルで成田の速さを知ってしまったが故の動きですな。

しかし、2人が成田につくなら、フリーになる選手が現れる。
ボールは尾上に渡り、しかもゴールまでのコースは開いている。ならば、シュートだ!
尾上のミドルシュートは決まるか。最近は本当にどこで決まるかわからないから、楽しみだ!



第188話 ペース配分  (2011年 15号)


尾上のミドルシュート!
自分から言い出して、左サイドに入ったのは、この武器をいかすためである。
浮かせることなく、低く抑えた弾道は真っ直ぐゴールへ。
そして、ネットに突き刺さる。キーパーも動けない見事なシュートでした。
これには市蘭の学生も感嘆。素晴らしい。

習志野は軽く作戦会議。
残り25分ある。市蘭も今のペースで動くことはできないはず。
集中しなおして、試合を決める1点を取りに行こうというのが習志野の考え。
しかし、市蘭の動きが鈍ることはない。

オレたちは知っている。あと25分、全力で走ってもヘタレねえことを。
おめーがそういうふうに育てたんだろーが!

黒木は監督としてはあんまり優秀ではないが、コーチとしては凄い。
市蘭は一番走れるチームとして作り上げてきた。その成果が出ている。

延長にもつれ込む可能性を考えたらペースを落として体力温存を考えることもある。
が、そんな消極的な戦いで勝てる試合でもないですわな。

お前らぁ!一気に追いつき!一気に追い越せ!

うむ、これは気持ちが盛り上がる。マイちゃんのためにも、決して負けられない市蘭。
その状況で成田にボールが回る。DFとゴールまでの間が長い。
ここでこそ、裏バキュは生きる。見事に使って点を入れることができるか、成田!?
まだまだ波乱が起きそうで目が離せないな。



第189話 飢えた雑兵  (2011年 16号)


さて、チャンスを託された成田。決めることができるか!?
いけ成田――!
チームの期待を背負う。ストライカーらしい場面だ。

覚えたての裏バキュこと、メイア・ルアの2連発でDF陣を交わす。
ことここにきて、習志野メンバーも気づき始めた。相手をどこかで侮っていたことを。

前日、習志野の監督は言っていた。決して市蘭をナメてかかるなと。
監督は、八津野の島村監督から聞かされていたという。
船学以外で今年警戒が必要なチーム。それが市立蘭山高校であると!

勝つことに飽きた王者より、勝つことに飢えた雑兵の方が怖い場合もある

島村監督の言葉は重いですな。
八津野自体、雑兵ではないけど、王者に勝つことに飢えたチームでしたしな。

さて、成田はDFを交わしてキーパーと1対1に。
これを見て足を止めるものがでてくる習志野実業。
逆に、足を止めることなく、こぼれ玉があれば押し込むと全力で走る市蘭。
これが市蘭だ!

最後まで走るだけの体力と気力。これが市蘭の強さなんだなぁ。
相変わらず、後半戦でのこういう描写がうまいなぁ。サッカーの面白さというのが伝わってくる。

成田は見事にキーパーを交わして、ゴールを決める。おぉ・・・見事だ。
1対1が苦手で、それゆえに敗戦を味わったのが前の大会。
その苦い経験を胸に、練習を重ね、ようやくストライカーっぽくなりました。よい話だ。
市蘭のスタンドも人数は少ないながら、湧きかえっている。来てよかったね。

そして、市蘭の勢いは止まらない。あと1点!もう1点!一気に逆転を目指すぞ!



第190話 1点!!  (2011年 17号)


同点に追いつかれた習志野の学生達は悲鳴をあげている。
市蘭なんかに追いつかれてんじゃねぇ!観客もナメてますねぇ。
追いつかれただけですむと思うなよ。今から逆転してやらあ!

ここからはオレ達の時間帯だ!
市蘭の走りのペースに合わせていたら20分持たない。それは習志野メンバーにもわかっている。
しかし、ここは走らないといけない。
勝ち越し点を取る。1点でも取れば、あとは引いて守ればいい。それが習志野の作戦。

だが、10分経過しても決定的なチャンスは掴めない習志野。
そうこうしているうちに、体力の限界が来る。ほとんど棒立ちの状態になる習志野。
チャンスだ。一気に攻撃をしかけるぞ!
しかし――最初に疲労のピークを迎えたのは、百瀬だった

そうか・・・疲労骨折で2ヶ月のブランクがあるから、スタミナが回復しきってないんだ。
中盤の要である百瀬を欠いた状態。これは市蘭としても厳しい。
乾にボールを託す。ずっと張り付いていた石持も限界に近いが、執念で踏ん張る。

ここで、習志野は選手交代。フレッシュな2人をいれることで中盤の運動量を維持する。
選手層の厚さの差がでてますねぇ。
市蘭にも控えに1人いるけど、百瀬の代わりができるわけではないでしょうし。

残り時間は、ロスタイムを入れて3分。
1点取ったほうが勝つ!という状態。
この状態。立ち止まっている場合じゃないだろ!
今走らなくてどうするんだ!

百瀬の執念。意地によりパスカット。ボールを尾上に渡す。あとは頼んだぞ!

成田(コーイチさん、次はオレに出すって言ったじゃないですか)

そんなことを言っている場合か成田。百瀬に余裕はないんじゃ!

さて、この状況。シュートかパスか。かつての敗戦の時の状態とかぶる。
前は、成田にパスを出したが、1対1で外して負けた。
それ以来、尾上は成田にパスを出さなくなった。果たして、尾上はもう一度成田を信じられるのか。
コースさえ空いていれば、シュートの選択も悪くはないが、既に一度入れているだけに塞がれるでしょうし、難しいな。



第191話 選択  (2011年 18号)


逆転のチャンス!習志野の観客席は悲鳴をあげ、市蘭の観客席は吠える。
成田と尾上。2人はそれぞれ、オレが決めると考えている。
自分で打つか、パスを出すか、尾上はどうするのか。

この試合で、双方1点ずつ決めている。どちらの選択もありえます。
仲間たちの声も二分されている。
1対1の方が確率は高いからパスを出せという派。
成田はここ一番でドジる。自分で打てという派。

実際に美浜幕張戦でパスをもらったのに外したのが成田ですからね。そういわれるのはわかる。
せっかく譲ったのに、成田は外し、試合は負けた。
その試合以降、尾上は成田にパスを出さなくなった。
だから、ここは自分で打つ!

しかし、このシュートは大きく枠を外す。
ミドルシュートは距離がある分、最初で方向が外れると大外しになってしまう。
浮かせてしまった弾道はホームラン。シュートとは呼べないものになってしまいました。

この事態に成田は怒る。が、そこは二宮さんが止める。
美幕戦とは違い、まだ試合は続く。今はこらえてもらうしかありませんな。

1本目はあれだけ浮かせないように気をつけていたのに、この場面では浮かせてしまった。
土壇場の状況で尾上も舞い上がってしまったのでしょうかね。
そういう意味では、成田を責めてばかりはいられない状態になりました。
これはこれで、今後の2人とってはいいことかもしれません。

さて、試合は延長。5分の休憩のあと、15分ハーフで行われる。
もうお互い限界に見えるのに、さらに30分走らないといけない。厳しい話である。
市蘭はとくに、百瀬の疲労が激しい。
百瀬は精神的な支えであり、苦しいときほどいて欲しい存在。
それでも疲れは限界に来ている。代えるべきかと苦悩する監督。

ここで、脇坂さんが声をあげる。百瀬には最後まで走ってもらう、と。
百瀬はそれを受ける。もちろん、そのつもりだと。

よし!いける!

やっぱり百瀬は精神的な支柱なんですなぁ。
この言葉に勇気付けられ、勢いよく飛び出す市蘭イレブン。
体力勝負なら負けはないはず。チャンスを逃さず掴み取って欲しいものである。



第192話 市蘭猛攻  (2011年 19号)


延長前半。勢いづく市蘭観客。逆に諦観が漂う習志野観客。
ゴールさえされていないものの、延長はずっと市蘭のペースである。
習志野のメンバーはもうほとんど動けない状態になっている。

それでも、乾に張り付こうとする石持。なんという気力か。
しかし、気力だけで動いているものだから、自分の足がつっていることにも気づかない
乾が気にかけて、プレーを止めさせるほどである。
この石持。習志野では一番タフと言われる人物である。
その彼がここまで疲労する。乾にずっと張り付いていたせいもあるのでしょうな。

プレー再開から2分後、再び乾にボールが渡るが、これをクリアする石持。敵ながら見事。
オレには、渾身のプレーで応えることしかできんのだ。
いやいや、スポーツマンらしくていい言葉ですやね。
乾もそれには感謝している。
自分のプレーに満足しかけていたところで、強敵に出会えた。

あんたに会えてよかったよ

これが乾の素直な感情なのでしょうな。

前半はずっと市蘭のペースだが、なかなか点を入れることができない。そして試合は後半に。
ここで、市蘭の校長が生徒に向ってお願いをする。
この試合のことを、誰かに話してくださいと。

ウチの選手たち・・・すばらしいじゃないですか。
いや、うちの選手だけじゃない。習実の選手たちも、両方ともすばらしいじゃないですか。
今日の・・・この試合のことを、他の誰かに話してください

市蘭サッカー部が、学校で認めてもらうには、やはりやっていることを知ってもらうしかない。
この素晴らしい試合のことをたくさんの人に知ってもらいたい。
校長の言葉はいいなぁ。この校長は本当にいい人だ。

さて、乾がついに石持を抜くことに成功する。さあ、チャンスだ。今度こそ勝ち越しを決めてくれ!



第193話 全員攻撃  (2011年 20号)


ついに乾が石持を抜く。しかし、素早く2人のディフェンスが寄ってくる。
2人寄ってきたので空いた二宮さんにパスが回る。さぁ、チャンスだ。

成田は前のスペースに速くて低い球を要求する。
しかし、二宮さんにその球を入れる技術はまだない。
練習でスキルは大きくあがっているものの、まだ出来ないことは多いのである。

チャンスを逃した市蘭。ここで習実のカウンター!
ボールが松田に渡る。この男は危険だ!

習実のメンバーは考える。こういう状況のとき、いつもオレたちは松田一人に任せてきた。
なまじ松田が結果を出してしまっただけに、頼る気持ちが生まれていたのだろう。

でも、もし市蘭が同じ状況だったら違うんだろうな。
市蘭なら、全員でフォローに行く!

今回も松田対策に、外へ外へと追い出しにかかる市蘭ディフェンス陣。
なんとか、ここで決めると意気込む松田。角度のない状態でシュートを放つが、キーパー所沢に弾かれる。
決められず内心で謝る松田。しかし、その目に飛び込んできたのは――

オレたちも・・・市蘭のように!

ディフェンスも含めて、全員が松田のフォローに走る姿であった。
ルーズボールを習実が拾い、市蘭のピンチは継続。
この状況に、習実の監督も思わず立ちあがる。

今年のチームに自身があったが、船学や八津野と正面きってぶつかるには足りない。
何かもうひとつ、殻を突き破る必要があると感じていた。
今、習志野実業は、その殻を突き破った!

延長後半5分。習志野実業は全員サッカーで再びリードを奪うのであった。
うーむ。強大な敵が自分達をリスペクトしてくれる。
ありがたいことだが・・・この失点は痛い。
後半は始まったばかりとはいえ、残りの時間で取り戻すことができるかどうか。
怖い流れになってきました。



第194話 全員守備  (2011年 21号)


勝負を決める勝ち越し点を入れたのは習実。
習実の監督も、この1点は大きいと感じている。格段の価値がある。
全員で取った1点!この1点こそ――チームが成長した証!

残り10分。なんとか取り戻したい市蘭。
しかし、習実はベタ引き。勝ち越し点を決めた以上当然そうなる。全員で守備だ。
全員で取った1点を全員で守る!
習実イレブンの心がひとつにまとまっているのを感じる。むう、手強い。
接触プレーを怖がっていた茂森君も、そんなこと言っている場合じゃないと考えている。

相手の意識が強化されているなか、百瀬の体力が尽きようとしている。
それもあり、万代を攻撃位置につけてパワープレイに出る市蘭。
その万代さんの攻撃を体を張って止める茂森君。いい根性になっておる。

攻めきれないまま、残り3分。このままではラチがあかない。どうする?
ここで乾の作戦。百瀬と山守のポジションを入れ替える。これはどういう作戦であるか?
早速乾にボールが回る。乾は真ん中に突っ込んでいく。
このプレーがラストチャンスの布石となる

もうラストチャンスであるか。長い習実との試合も、そろそろ終わりが見えてきましたね。
場合によっては、引き分け。PK戦ということもあるのか。
この漫画の場合は普通に負けもありえるからなぁ・・・頑張ってモノにして欲しい。



第195話 最後の力  (2011年 22+23号)


延長後半、残り3分。1点リードをされている市蘭。
乾はボールを持って中央に。単独突破を図る。さすがにそれは無理である。
クリアされるが、ルーズボールは市蘭が拾う。
組み立てなおして再度攻撃をしかける。が、百瀬は動いていない。
百瀬は今、体力を蓄えているのだ。乾は言っていた。

あんたが最後の力を振り絞るのは、ここじゃねえし、今じゃねぇ。

本当に最後の力を出すときまで体力を残しておこうとしている。こういう我慢も、我慢のうちだ。

残り時間が1分を切り、ロスタイムも1分。残り2分しかない状態だ。
足を釣ったりとかいろいろあったのに、ロスタイム短いな。治療の間は時間止めてたのか?

市蘭はキーパーの所沢と、松田をマークする脇坂だけ残し、他は全員攻撃の構え。
乾は執拗に中央を狙うが、突破できない。
決定打まで持ち込めないまま、残り1分になる。ここが仕掛け時か。

乾の考えはこうだ。乾が中に突っ込むのを何度も繰り返せば、中の守りを意識せざるを得ない。
ボールを持っただけで、ディフェンスが中に集まったら、仕掛けるのはその時。
外に開く!
乾はボールを二宮さんに向かって蹴りだす。しかし、習実もその辺りはさすがに読んでいる。すかさずDFが詰める。
ボールを渡される二宮さんも戸惑っている。渡されてどうするというのか?
が、乾もただ追いつめられてパスしたわけでない。叫ぶ。
しかし、乾の叫びは二宮さんにはハッキリ聞こえていない。悩む二宮さん。

そんな二宮さんにかかるのは、全員の叫び。
スルー!!!

一番外にいる自分がスルーなんてしていいのか悩んだ二宮さんだが、これには従うしかない。
パスをスルーした二宮さんの、さらに外に走りこんでいる者がいた。
最後の力を振り絞って走る、百瀬だ!
DFは二宮さんにつられているので、その横を走りぬけることができる。チャンスだ!
おそらくこれが最後のチャンス。モノにできるか、市蘭!



ANGEL VOICE 23巻


第196話 押し込め!!  (2011年 24号)


百瀬の最後の力を振り絞った力走。右サイドを突破に成功した。
そのボールを受けるため、中央に走りこむ成田たち。

主審は時計を見ている。この1プレーが最後だ。途切れた時点で試合は終了する!
習実側もそれがわかっている。クリアは大きく。それで勝負は決まる。

百瀬のセンタリング。誰に合わせるか。それを判断する余裕はなかった。
とにかく、キーパーに抑えられない位置にあげるのに精一杯である。
ボールは万代の元に。
その万代の後ろについたのは、茂森。接触プレーも恐れている場合ではないと成長した茂森だ。ここにきて厄介な。

オレはコイツに競り勝てねえ!

万代さんもそれは悟っている。だから、成田に託す。
茂森君の身体に密着し、飛び上がりにくくする。

成田っ・・・お前なら、コイツの上まで届くよな

その信頼を受けて、成田のヘディング。茂森君より高いところで決まった!
しかし、さすがに完璧なヘッドはできていない。キーパーが弾く。だが、まだボールは生きている。
尾上が押し込む、がこれもDFに押し出される。
次々と押し込もうとする市蘭。入れられまいと外に出そうとする習実。
最後は乾のボレー!
2人のDFの間を抜く見事なシュートがゴールネットを揺らすのであった。

全員の力で掴み取った同点。この勢いは大きい。
というところで、延長の後半も終わったわけですが、どうなるのか。
トーナメントですし、引き分けということはないですわな。まだ決勝でもないし。
となると、PK戦か?勢いはついたものの、PK戦はどうなるか。
所沢の性能があがってきているし、キーパーの能力では市蘭が有利か。はてさて。



第197話 PK戦  (2011年 25号)


延長後半ロスタイム。一瞬の静寂の中、ボールはゴールに吸い込まれた。
この素晴らしい展開に涙する校長。
見に来ていたわずかな市蘭の生徒も思わず立ち上がり、サッカー部に声援を送る。
いやはや、いい光景ですな。途中であきらめていたらこの声援ももらえなかったところだ。

同点ゴールを決めた乾はみんなに押しつぶされる。ははは、苦しそうだ。
そして、試合終了のホイッスル。延長でも勝負はつきませんでした。ならば、PK戦でございます。
市蘭にとって、練習試合、公式戦を含めて始めての経験であります。
蹴る順番は練習のときに既に定めている。今回は変えることなくその順番で蹴ります。

1番目 乾清春
2番目 尾上輝久
3番目 二宮修二
4番目 成田信吾
5番目 百瀬宏一

シュート慣れした連中が集まっています。
精度に関しては安定感がある。その点について、4番目に不安はあるけどね!

市蘭はいつも所沢を相手にPKの練習をしている。
だが、それが逆にアダになる可能性がある。
中途半端なとこに蹴れば所沢に止められる。なのでコースを狙ってしまう傾向ができている
コースを狙えば狙うほど、外してしまう可能性は高くなる。
そういうマイナス面が、ここ一番で出てしまわないか、黒木監督はそれを心配していた。

さて、先攻後攻はジャンケンで決める。
百瀬はジャンケンに負けて市蘭は後攻でございます。暗い表情の百瀬。
それに対し、後攻と聞いて湧き上がる一堂。

やっぱ後攻が有利だよな!
野球だってホームのチームが後攻なんだよ!

いやいや。野球とは違うっショ。まあ、どっちが有利かはすぐにわかることになります。
習実の1番手は松田。やはり重要なキャラは1番手に出てくるか。
肩を組んで成功を祈る習実イレブン。やはり1本目は重要であるしな。

PK戦は先攻を取ったチームが圧倒的に有利と言われる
先に蹴るチームはポイントを先攻することによって、後に蹴るチームに大きなプレッシャーを与えることができるからである。
それは統計的にも実証されている。
過去4度のワールドカップで11度のPK戦が行われたが、その結果先攻をとったチームは10勝。
実に91パーセントの確率で先攻が勝利しているのである!

松田のシュートはギリギリのコースをついてきた。さすがの所沢も止められない。
このゴールにより、プレッシャーが市蘭にかかる。
”決めて当たり前のPK””決めなければいけないPK”に変わったのであった。

PKの重圧はかなりのものでしょうな。
エースと呼ばれる選手がまさかの失敗とかよく見る光景です。
その重圧を押しのけることができるか・・・なんだか読むほうも緊張するな。
所沢のセービングにも期待したいところですが、もつれそうな気配。
あと3話で200話ですし、勝つにせよ負けるにせよ、そのあたりで決着がつきそうですな。



第198話 止めてくれ  (2011年 26号)


PK戦。先攻の松田は見事にゴール右隅に決めてくる。厄介な人だ。
そして、市蘭。一番手は乾。習志野側もやっぱりあいつかよと言っている。
PK戦は、1人目と5人目が受けるプレッシャーが特に大きいと言われる
だからこそ、乾と百瀬という信頼できるメンバーが配置されているわけだ。

とはいえ、この状況。乾であっても相当なプレッシャーである。
しかし、さすが乾。PK戦のテクニックも心得ていた。
助走のスピードを落として蹴るタイミングを遅らせる。
それにより、キーパーの跳ぶ方向を見定めようとしたわけですな。
実際乾はフリーキック時も同じようなことをして直接決めることがある。お手の物ってわけだ。
落ち着いてキーパーと逆の方に決めた乾。これで同点。

習志野2人目。富樫典行。
今回も所沢は方向を読んでいたが、止めれない。ゴールを許す。

さて、市蘭の2人目は尾上。成田は不安に感じている。

あいつ・・・!こういう時に限ってドッカーンと外すんだよな

そんな風に思われているが、尾上は冷静。
GKは所沢じゃあない。コースは甘くても、強めに蹴れば止められることはない!
考えはあっている。でも強めに蹴るということで、浮かさないという部分が抜けていた。ドッカーン。
予想通りのオチをつけてしまいおった!

このポイントリードでいける!と確信する習実。
その気合に乗って3人目、内村純も決めてくる。指先に触れるとこまではいったんだけどなぁ。

市蘭の3人目は二宮。プレッシャーは相当でかい。自分が外したら、後はもう所沢頼りである。
絶対に決めないといけない。そのプレッシャーゆえか、コースを狙いすぎる二宮さん。やってしまいました。

3人目まで終わって3対1。これは圧倒的に不利すぎる状況だ。

習実の4人目はキツイ顔の紺野達也。
もうこうなったら所沢に頼むしかない。頼む・・・止めてくれ!
習実の4本目。所沢の跳ぶ方向はあっている。
これは止めることができるか・・・?

パッと見の角度では、枠から外れているように見える。
ここでギリギリのとこを所沢が止めた場合、逆に有利に働くかもしれない。
相手側が、ギリギリを狙わないと決めれないと思って、自爆してくれる可能性がでてくる。
この1本を止めれれば流れを引き寄せることもできるぞ!



第199話 歓喜の輪  (2011年 27号)


習実の4人目のPK。決められれば負け!
先週の段階では枠に入っているか?と思ったが、今回のアングルではしっかり入っていた。
そのボールを所沢が見事にセービング!
沸き返る市蘭。ようやく止めたぜ!

こっからが勝負だと盛り上がるが、1つ外すか入れられたら終わりという状況に変わりはない。
習実の方はそれがわかっているからまだ冷静。

でっ・・・これでどうなったんですか?

いや、考えればわかるだろう広能。
あのワッキーですらちゃんとわかっているぞ。成田はわかってなかったみたいだけど。

オ・・・オレが失敗したら、その瞬間負け決定!?

今頃気付いた成田。どちらにしろ、誰かが外したら負けに大きく近づくのに変わりはないわけで。
それでも、自分が最後というのは嫌なもんなんですよね。
流石の成田も緊張している。これまで味わったことのない感覚を受けている。

余りに緊張して歩き方がおかしくなっている。傍から見てもガチガチだ。
その緊張をほぐすために、ボールを渡す所沢。
ボールを蹴っているうちに、地に足がついている気がしてきた。
緊張もどうにかほぐれたし、蹴る方向も前もって決めた。右!

市蘭イレブンの期待を背負って成田が蹴る。その寸前、キーパーが右に動くのが見えた
これは!!

とっさの判断でコースを切替えるほどの技術は、まだなかった

気付けたのにねぇ。やはりPKは難しい。

走って、あれだけ走って、これで終わり。なんだか実感が湧かない感じになるのもPKの味であるか。

市立蘭山。関東大会千葉県予選準決勝敗退

負けてしまいました。そうなるんじゃないかという危惧はしていましたが、やはりかぁ。
船学も八津野も出ていない大会ですし、絶対に勝たなければいけないわけではない。
でも、この後みんなで病院に行くんですよね。負けの報告をしないといけないのか。うむむむ。

こんな状況で次回は200話記念のセンターカラーでございます。酷い!



第200話 報告  (2011年 28号)


連載200回記念。センターカラー!
PK戦まで粘ったが敗北した市蘭。これから病院に報告にいかねばならない。気が重いな。
その前に大事なことがあった。
応援してくれた人への挨拶だ!そう、それ大事。

君たち5人の応援が――頼もしかったんですよ。嬉しかったんですよ!!

並んで頭を下げる市蘭イレブン。そのメンバーに拍手を送る市蘭生徒達。いい光景だなぁ。
見に来た生徒達も、来てよかったと言ってくれています。

いずれ、いや必ず来ます。市蘭の全校生徒が一丸となって闘う日が。

校長たちの想いが実るのはいつの大会になるか、楽しみですな。

さて、病院。ケガした状態でもつっぱっている奴らがいます。迷惑な。
田原工業の北村正道。房吉学園の坂井秀二
手下をつれてにらみ合いをしている両者。そこに通りかかる市蘭メンバー。
前に敗れたときは荒れていたけど、その時とは違う。簡単にケンカはしませんよ。
不良の2人もそれをわかっているので絡んできたりはしません。よいことだ。

というわけで、お互いの口喧嘩再開。怪我してるから口喧嘩しかできないんだぜ。
房吉学園最後の日、それは――オレがこのギプスを外した日だ。

外したっ・・・?
地雷踏んじゃいましたね。尾上沸騰。さすが凶犬やで。

オレへの当てつけのつもりか!

誤解だテルちゃん。
殴ったりはしないけど、掴みかかられただけでビビリまくる北村君。駄目な子だ。
坂井君も尾上に挑む度胸はありません。怪我で医者に止められていると言い訳開始。はい、こっちも地雷踏んだ!
成田がやってきました。

オレが止められたことで、おめーになんか迷惑かけたか?
ふざけたことぬかしてるとマジで殺すぞコラァ!!

全くこいつらは。まあ、手を出していないから問題ないよ・・・ね?

それは置いておいて、マイちゃんのお見舞いです。
敗北の報告で気が重くなっていた市蘭メンツだが、マイちゃんは凄いと喜んでいます。
まあね、習実は、八津野とはずいぶん差があるとはいえ、千葉で3番目に強いといわれるチームである。
それと4対4のギリギリまで持ち込むなんて、ずいぶん強くなったものである。

言われてみれば、オレ達もなかなかのモンだよな。

いきなり、いい気になりだしたぞ!マイちゃんの癒しは凄いな。

PK外した人たちにも優しい言葉をかけてくれるマイちゃん。ホンマ天使やで。
失敗のことなんか気にしなくていい。貴重な経験ができたくらいに思っておけばいい。

おぉ・・・マイちゃんの優しさが、逆に辛い。

あの尾上ですら情けない表情になっております。マイちゃんは凄いなぁ。
その様子を見ていた北村君に坂井君。凄く驚いています。あの女、何者なんだよ!?

その2人は置いておいて。
2週間後。インターハイ予選が始まります。そうか、もうそんなすぐ先なんだ。
船学や八津野も出てくる大事な大会である。
その大会でこそ・・・市蘭メンバーのやる気が高まっていくのでした。

そんな市蘭とは別に、病室の様子を見ていた坂井君が一言。

あの女子の正体がわかったぞ

なんすか、なんすか。正体って。マイちゃんが何だと言うんですか?
普通にギャグ要員として出てきたと思ったら、この2人が思わぬ展開の元になるらしい
むむむ・・・なんなんだろう。ひどい流れに持っていったらゆるさんぜよ。
逆に、マイちゃんの状況を好転させる元になるかもしれないと密かな期待を抱いています。
どんな流れでそうなるかは、想像つかないけど。期待は持っていたいじゃないですか。



第201話 ゴッド・マザー  (2011年 29号)


関東大会で敗れた翌日。マイちゃんに慰められたこともあり、今日も元気に練習である。
そこに現れたのは、元・廃部推進派の間宮先生でございます。
サッカー部のOBだったということは既に伝わっているらしい。

ベスト4入り、おめでとう

間宮先生の用事はそれだった。
そういえば、準決勝で負けたんだから一応ベスト4になるのか。
とはいえ、市蘭イレブンからしてみれば、船学も八津野もでていない大会でベスト4になっても意味はない。
彼らからしてみれば、ベスト4は通過点に過ぎない感じでしょうしね。
しかし、間宮先生にしてみれば違う。

ベスト4はベスト4だ。

この意識の差があるのか、微妙にしらけた表情になる生徒達。ヒドイ。
ベスト4に入ることはサッカー部創立以来の悲願
数多くの先輩方がそれを目指し、かなえられないままここを巣立っていかれた。
間宮先生の言葉は熱を帯びる。が、聞かずに練習に戻る生徒達。ヒドイ。

まあ、廃部をしようとしていた張本人ですし、真面目に聞いてくれるはずもないと間宮先生。
それでも、感謝の言葉を届けようとする。

これは私の独り言だ。こんなに嬉しい独り言があるか?

これからは君たちが市蘭サッカー部の新しい伝統を作っていくのだ!
新しい目標を持ち、それを達成するであろう君たちに、大いに期待している!

最後にサッカー部OBを代表してひと言――ありがとう。

伝えることを伝え、去っていこうとする間宮先生。それを呼び止める脇坂さん。
振り返った間宮先生に、笑顔と共にガッツポーズを見せる。
続けて、他の選手もガッツポーズを見せてくれる。
震える間宮先生。よかったですねぇ・・・いや、良かった!

さて、マイちゃんの病室。そこには花がいっぱいあった。
なんでも知らない人がいっぱいお見舞いに来てくれるらしい。
成田たちがいる時にも、知らない人がやってきました。
今日来たのは、甲金二高でアタマを張っているという、藤木。

今日は、ゴッド・マザーにひと言ご挨拶をと思いまして。

なんだ、その呼び名は。
どうやら、マイちゃんは市蘭の頂点に立っていると思われているらしい。
この人の前では、成田や尾上もおとなしくなる。
まあ、その通りですけどね。間違ってはいないですけどね。

ことの発端は、前日病室を覗いていた2人、北村と坂井のせいである。
この2人が流した噂。マイちゃんがヒロナオさんが選んだ市蘭サッカー部の後継者という噂。
それに尾ひれがついて、大きくひろまったらしい。
どうも、マイちゃんがヒロナオさんを追い出したなんて話になっているらいい。そりゃまた。

ゴッド・マザー、マイちゃんは藤木君のようなハンパ者にもやさしい言葉をかけてくれる。本物だ!

その日以来、不良界で高畑麻衣詣が始まったという・・・大事になってきたなぁ。
病室にできた長蛇の列。そこに割り込もうというカゲ。
なんだ、横入りか?
って、ヒロナオさんだーッ!!

ヒロナオさんがマイちゃんの病室に、花を持ってやってきた!
これでまた誤解が助長されそうですね。ゴッド・マザーの名はどこまで高まるのか!
というか、高まって何か効果があるのでしょうか?
不良の力で名医を連れてきてくれたりするのでしょうか。期待はしづらいな。
ヒロナオさんなら、ひょっとしたら・・・という期待がないわけではない。
マイちゃんの状況が好転しそうな何かをお願いしたいところだ。



第202話 本当の症状  (2011年 30号)


久しぶりに登場のルカさんから情報がもたらされます。
マイちゃんの病室にヒロナオさんがやってきたことを。
見舞いに来たのであって、嫌がらせとかそういう話ではない。
百瀬が、噂とかそんなこと気にする人じゃないだろ、と思っているところがよいね。いい関係になっているようだ。
ひと言”ガンバレ”って――それだけ言いに来たらしい。

確かに新人大会のとき。荒れた市蘭をひとりで頑張って止めたマイちゃん。
ヒロナオさんが認めるのも当然といえば当然である。

そう、高畑はいつも頑張ってきた。それなのに・・・
いつになったら退院できるんだよ

検査入院も含めて3週間以上たつのに、一向に症状がよくならない。
さすがに、マイちゃんの病気が軽いものではないことは、皆気付き始めているようだ。一人を除いて。

成田は単純でいいなぁ。勝利の報告を持っていけば治るのならどれほどよいか。

さて、練習。IH予選までにミドルの精度をあげようと考える尾上。
踏み込みが手前過ぎて、浮かせてしまう。抑えようと思ってもなかなか難しい。
なんとか精度をあげようと思うが、予選までは残り10日しかない。間に合うのか?

悩む尾上にかかる声。乾である。
どうやってボールにコントロールをつけているか、アドバイスがあるようだ。

右足――蹴り足だけで抑え込もうとしたが、結果はさっきの通りだ。
オレはそんなめんどくせえことはしねえ。
踏み込みが浅かったら、オレは軸足のヒザを前に突き出す。
インパクトの瞬間、ヒザがボールの真横に来るように
そうすれば真横に踏み込んだのとほぼ同じ状態になるから、右足は普通に振りぬけばいい。

たった・・・
たったそれだけのことなのか!?

乾のアドバイスに衝撃を受ける尾上。
だが、たったそれだけのことに、尾上は苦しむ。
理論は簡単でも、実践するとなったら難しいんでしょうな。
でも、何かを掴んで練習するのはやはり違う。
何を練習すればいいのか分からない成田に比べればずいぶんとよいですわな。

さて、成田は広能、山守と一緒にマイちゃんのお見舞いに行く。
病室をノックするが、返事はない。
おや?と思っていると、部屋の向こうから泣いている声が聞こえてきた。

どうした?マイちゃん!

躊躇なく扉を開く成田。本当にデリカシーのカケラもない男やで。
その成田が、凍り付いている。
マイちゃんの髪の毛が抜けてきていた・・・
ついに、薬の副作用がでてきたのだ。

なんというか・・・かなりの不意打ちを喰らった気分です。
ゴッド・マザーな展開で少し希望を持たされて、いきなりコレか!
せっかく、マイちゃんが段々可愛くなってきているなぁとか思って楽しんでいたというのに。
本当に古谷野先生は容赦ない人やで!

さすがの成田も、ただ事じゃないのは感じてくれたと思う。
これから先どのような行動を取るか。それがどういう結果をもたらすか。
1話目の伏線があるだけに、完全にいい話にはならないでしょうけど、どうにか助かって欲しいなぁ。



第203話 闘え!!  (2011年 31号)


薬の副作用で髪が抜けるようになってしまったマイちゃん。
これは見せられるほうもキツイ。
成田が必死になって髪を触るのを止める。必死すぎて怖い顔になってるぜ。

さて、学校に集まる市蘭イレブン。マイちゃんの病気について問いただす気ですな。
やってきた黒木監督。
監督は母親から部員達に病状を話す許可をもらっていた。
母もまた、マイちゃんに全てを話す決意をしたようだ。

髪の毛が抜けるのは薬の副作用であり、病気が進行しているわけではない。
でも、視覚的に辛い現象ですからねぇ・・・
そして、部員達は、高畑麻衣が手術不能の脳腫瘍であること、治療は抗癌剤に頼るしかないことを知った。

さすがに衝撃が大きすぎたのか、声も無い生徒達。
マイちゃんが歌わなくなったのはいつからだったか。
新人戦の後、4か月くらい前の話である。
その頃から自覚症状があった。滑舌が悪くなってうまく歌えないから、歌わなくなったのだ。

気付いて・・・あげられなかった

百瀬さんの苦情の表情。
成田も何かを噛み締めるかのような表情。
みな一様に辛い顔をしている。
でも、一番辛いのはマイちゃんである。
歌・・・歌いたかったんだろうな・・・

広能のこの言葉に、脇坂さんが動揺する。
何を言った?何を言ったんだ・・・オレはぁ!!

マイちゃんが歌えなくなったときに、脇坂さんが言ったセリフ。
あれを思い出し、今激しく後悔している。ううむ、ワッキー・・・

この激しい後悔によってか、呆然とした状態から最も早く立ち直ったのは脇坂だった。

共に戦えと黒木監督は言う。では、どうするのか。
立ち直った脇坂さんのアイディアに期待したいところです。



第204話 できること  (2011年 32号)


マイちゃんの病状を知り動いた男がいる。関根のじいさんだ。
黒木監督から電話を受けた10分後には大学に辞職届を出したという
元から準備していたとはいえ、迅速だなぁ。
私物を抱えて大学を出る関根さん。PS3が3台にXboxが2台か・・・大学に何持ち込んでるんだアンタ。

孫娘が病に臥せっておってのぉ。ワシがそばにいてやらんと、治る病気も治らんのじゃ。

マイちゃんとはずいぶん仲良くなっていたが、孫娘と呼ぶまでになっていましたか。
関根さんを見送っているのは、おや、権藤さんじゃないですか。
元八津野高校のキャプテン。筑実大学に入ってたんですな。

さて、市蘭。
百瀬の提案により、お見舞いに行くのはしばらく控えることになった。
まあ、マイちゃんにも病気を受け入れるのに時間がかかるでしょうしねぇ。
未だにショックから立ち直れずにいる市蘭メンバー。
そこに、一足先に立ち直った脇坂さんがやってくる。練習すっぞ。

オレたちが高畑にしてやれるのは、勝ち続けることくらいだろーが。

まさしくその通りですなぁ。
勝つだけで脳腫瘍が治るなら、いくらでも勝ってやらぁと皮肉る二宮さん。
その二宮さんを抑えつけ、他に何が出来ると問いただすワッキー。

言ってくれ・・・!
他に・・・何ができる?

怒りながらも、脇坂さんも別の答えがあるなら教えて欲しいという気持ちなんでしょうな。
それしかできないとは言ったが、他にできることがあるなら全力でやりたい。そんな気持ちが見える。

百瀬は言う。練習を始めようと。

確かに、オレたちが高畑にしてやれるのは勝ち続けることくらいなのかもしれない。
マイちゃんは勝利の報告を一番喜ぶ。ならば、聞かせてあげたい。

オレたちの”勝ったぞ”という報告を聞いて、少し・・・
ほんの少しでも明るい気持ちになってもらえるなら、死に物ぐるいで頑張る価値は十分ある。

百瀬の言葉に突き動かされ、練習を開始する。
集中力はこの上なく高まっている。
二宮さんも、このあいだの習実戦ではできなかった、低くて速いクロスを見せる。
この人の習熟ペースも速いなぁ。

そして二日後、関根さんが合流しました。これで正式に市蘭メンバー入りですな。
アパートを借りて、千葉に引っ越してきたらしい。
船橋ららぽーとまで歩いて45分の掘り出し物の物件じゃ!遠いな。

マイの病院までは――歩いて5分なんじゃ

なるほど。それは掘り出し物でございますな。
マイちゃんのことになると穏やかな表情になるじいちゃんでございました。

そして、IH予選一次トーナメント前日。
明日のトーナメント開始に向けて一言。黒木監督はお前たちらしい闘いをしてくれと言う。
そのとき、関根さんは大学を出るときのことを思い出していた。
権藤さんに言ったのである。お前さんの母校――八津野を叩きのめすぞと。
見違えるほどに逞しくなった市蘭がついに八津野にリベンジを果たすことができるのか。
注目のIHが開始されようとしています。楽しみだ!



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