蒼天紳士チャンピオン作品別感想

囚人リク
第158房 〜 第184房


囚人リク感想目次に戻る   作品別INDEXに戻る   週刊少年チャンピオン感想TOPに戻る

 各巻感想

1巻 2巻 3巻  4巻 5巻 6巻  7巻 8巻 9巻 10巻
11巻 12巻  13巻 14巻 15巻  16巻 17巻 18巻  19巻 20巻
21巻 22巻 23巻 24巻  25巻
連載中分

囚人リク 19巻


第158房 密入  (2014年 26号)


周龍の活躍により船の手配という難題は解決した。
房が違うので遅れて知らされることになった田中一郎であるが、嬉しそうな様子ですね。
それはレノマさんが根尾を殺さずにおいたことも原因の一つであるかもしれない。

成長したな

ふむ、さすがに脱獄組でも唯一の大人なだけあり、仲間の成長を嬉しく、そして微笑ましく思っているようですな。
それは次のヘリのロック解除作戦の話をしている時にも滲み出てきている。
まずは備品室に発火装置を木工場に持ち込む。そのための発火装置は既にできているかと問う田中一郎。

レノマ「んなもんとっくにできてる!」
田中「さすが!じゃあ木工場まで運べるか?」
レノマ「わけねえよ」
田中「さすが!やはり成長した男は違うな」

なんだか知らないがグイグイ来る田中一郎。そんなに褒めたかったんですか!?
リクに言わせると、それだけ船の問題を周龍がクリアしてくれたのが嬉しかったんだよとのこと。
ふーむ。常に頭を悩ませてきている田中一郎ですからねぇ。
自分が解決策を出すことなく、難題をクリアしてくれた。それは大変喜ばしいことでありましょう。
そりゃあ何だかほっこりするような笑顔も見せてしまうくらい喜ばしいことなんでありましょう。いい笑顔してるなオイ。

というわけで、ヘリのロック解除のために発火装置移動作戦開始となります。
極楽島No.1の調達屋であるレノマさん。
持ち込む方法は前にも言っていたように、本のをくりぬいて内部に仕込んで持ち込むというもの。
工場の生産性を上げるための資料本だと言えば、自分の出世に繋がることに貪欲な谷村看守部長は簡単に食いついてくる。
うーむ、相変わらず見透かされているというか、扱いやすい人ですな谷村看守部長殿。

しかし昔須藤くんが持ち込んだ時もそうだったが、持ち込んだ本は工場でチェックされることになる。
本を開かれたらこの仕掛けも一発で見破られるのではなかろうか。

その通りだ。そこがポイントだ。お前も覚えてるだろう。あの金属探知機を

ほう。そこで金属探知機が出てきましたか。
薄刃ナイフなどの危険物を持ち込ませないようにそういうチェックをしているのだそうな。
ふうむ。やすりは髪の中に仕込んで持ちだせたのにねぇ。人に探知機向けたりはそうそうしないということか。

それはさておき、発火装置も金属を使っている。
逆に言うならば、その探知機の目さえ潜り抜ければどうにかなるという話でもある。
信頼できるハイテクに頼り切っている。そこが盲点となっているとレノマさんは述べる。

その油断を突く。中身はパラ見しかしねえ油断をな。見てろ。必ず成功させてやる

というわけで、その持ち込み作戦当日。
用意した本は2冊。中をくり抜き、発火装置を仕込んだ1冊と特に仕掛けのない1冊だ。
まずは仕掛けの無い1冊を提出。こちらは当然金属探知機にも引っかからない。
そして推測通り谷村看守部長は中身をパラ見しかしない。何が書かれているかはほとんど把握しておるまい。

という状況でもう1冊の提出。
さすがのレノマさんも緊張しているのか汗が滲んでいる。
そしてケースを掴む形で仕掛けの無い本を受け取ったので、中身を落としてしまう。あ。
足元に落ちた本。それを振り向くときに蹴って遠くに飛ばしてしまう。おやおや。
まあ、あのレノマさんがここまでどんくさいことしたりはしませんけどね。当然この一連の流れはわざとであります。

本を拾い上げるためにしゃがみ込む。
自分の身体で遮蔽を作って目隠しにし・・・素早く2つの本のケースと中身を入れ替える!!
これはまた器用なことをするものである。イリュージョンでございますな。

確かにこれならばケースこそ違うが同じ本を確認させることができる。
いや・・・ケースのまま探知機で確認するのならそれでいいが、さすがに中身は取り出しているわけだしそれは無理があるのでは?
と思いきや、ケースから出てきたその本は、入れ替えたはずなのにケースと同じ表紙の本となっている。えええ〜〜!?

天野も思わず百面相となってしまう一連の流れ。
手品のタネを知らない観客としては当然の反応ですかな。
一方の、手品のタネを知らされているリクは緊張の面持ち。

レノマさんが仕掛けたトリック。
それは2冊の本を事前にバラバラにし・・・ケースを用いて1冊で別々の本に見せるというもの。
さすがに手品のような行動なだけあり、文章で表すのが非常に難しい。
正直絵で見てもよく分からない感じはなくもない。
2回目はパラ見しなかったのだろうか?中身が上下逆さになってて不審に思わなかったのだろうか。
そのために取り落としたフリして時間稼ぎして中身をチェックさせず、探知機だけにさせたということだろうか。ふむーう。

なんだか知んねえけど・・・すげぇ!!1冊に2冊の顔が!!同じ本をチェックさせた!!

うむ、なんだか知らないが凄い!!
この仕掛けにより、見事に持ち込み作戦を成功させるレノマさん。
最強の調達屋の名は伊達ではありませんなぁ。さすが!



第159房 溶解  (2014年 27号)


田中「ご苦労さん。よく発火装置を工場まで移動させたな。やはりさすが
レノマ「やめろ。次さすが言ったらぶっ殺す!

日が経過しても田中一郎の高揚感は収まっていない様子。
やめろと言われてもレノマさんが活躍するたびにいいそうな雰囲気であるぞ。

それはさておき、続いての作戦。
発火装置を農場に仕込む必要があるのだが、その際に障害となるのが仕切られたフェンス。
なのでそのフェンスの根元部分の1か所を溶かして強度を弱める必要がある。
作戦名は「支柱溶解作戦」。レノマさんは文句を言うが、分かりやすく言いやすく。いいネーミングだと思う。

発火装置を仕込むのは野球大会当日。
全囚人が屋外にいるこのタイミングを逃す手はない。
当日は暴動を発生させ、その混乱に乗じフェンスを押し倒す
その時、確実に支柱が折れるようにするための下準備だ。

ふむ。野球大会ではやはりそういうことを考えていたのですな。
野球なら夢中になるのも仕方ないし、熱が入ってフェンスを倒すぐらいはあり得ることですよね!?
やりすぎて懲罰食らって脱獄決行日に間に合わないなんてことがないといいですな。

先のことはさておき、溶解させるための方法を問う。
さすがにガスバーナーのようなものを持ち出して大がかりな作業はできない。
看守はフェンスの傍におり、怪しい行動をすればすぐに飛んでくるでしょう。
まあ、ここはさすがに田中一郎が方策を決めてあります。

刑務作業品。極楽島の人気商品。手作り石けんゴクローズ
これを生成するうえで必要不可欠な劇薬の苛性ソーダを使用する。

ほう。劇薬!!
この苛性ソーダに水を少しずつ加えて化学反応をさせればアルミ製の支柱を腐食させて溶かすことができるわけですな。
なるほどー化学反応を利用するとは、見事な知識である。
刑務所らしく味噌汁で腐らせるのは時間がかかりますものねぇ。

というわけで、苛性ソーダを手に入れるために調達屋であるレノマさんにまた動いてもらうこととなる。
この注文に対し、石けん工場には知り合いがいるのでわけねえよと答えるレノマさん。

さすが!!

ぶっ殺す言われたばかりなのに普通に言ってしまう田中一郎。この動じ無さはさすが!!
オッサンとしては若者心理に気付きにくいということなのだろうか。
諦めモードに入りつつあるレノマさん。表情に哀愁が漂っているぞ!!

それはさておき、仕事はきっちりとこなそうとするレノマさん。さすが。石けん工場の知り合いを尋ねる。
その知り合いの名前は中島。あのレノマさんが名前をさん付けで呼ぶ相手である。おぉ・・・そんな相手もいるんだ。

どうやら中島さんはかつて第27木工場でレノマさんと並ぶツートップと言われてたらしい
長身のレノマさんと変わらないぐらい大きいし、強さも互角ぐらいだったんでしょうか。
うーむ、この刑務所にはまだまだ猛者がいるみたいですなぁ。

そんな中島さんに苛性ソーダを分けて欲しいと頼むレノマさん。
扱いには注意が必要な劇薬。使いようによっては人体に多大な害を及ぼす。
けれども、ヤボなことは聞かずに頼みを聞いてくれる中島さん。ふむ、なかなかの人物のようでありますな。

ただし・・・決してちょろい調達じゃねえからよ。ひとつ交換条件がある

知った仲とはいえ、こういうことには報酬が必要ですわな。
さてさて、一体どのような申し出をされるのか・・・

翌日。きっちりと苛性ソーダを用意してきたレノマさん。お、交換条件はもう満たしたのですか。さすが!!
というわけで、それを持ってフェンスへと向かう田中一郎。
作戦には田中一郎だけではなく松尾と天野がついてきている。

苛性ソーダの化学反応が完了し、溶解終了するまでおよそ5分。
その間、看守に気付かれないようにしないといけないのだが・・・
見ている限り、このフェンスの前は看守の巡回ルートとなっているようだ。
5分の間に確実にフェンスの前を通過される。そうなれば発見されることはほぼ確実でありましょう。

そこでだ。渉、お前の出番だ
俺と智広が溶解工作をしている5分間。あそこの看守の気を引いて足止めさせたい。頼むぞ。

ついに天野にも役割が任される時が来ましたね。
確かに調子よく看守に話しかけて気を引くなんて芸当が出来る人は少ない。
まあ、レノマさんは前に山岡相手にやってた気もしますが・・・あまりレノマさんばかりに頼るのもね。
上手いことやっちゃって、また田中一郎にさすが攻めされることになるでしょうし。

看守がバイク好きなこともあり、調子よく声をかける天野。
その間に田中一郎と松尾が動き出す。
ホウキの柄の竹の節をくりぬいて詰め込んできた苛性ソーダを支柱の傍に落とす。
そしてさらに、支柱の上の部分に水を。松尾が口に含んでいた水を吹きかける。
ああ、何を頬を膨らませているのかと思ったら、そういうことか。

こうして少しずつ水が垂れていくことで、苛性ソーダの化学反応を最後まで進めることができるわけだ。
後は現場から少し離れて、無事に看守に見つかることなく溶解終了を見守るのみ・・・残るは天野の時間稼ぎ頼りだ!!

頑張って気を引こうとしている天野。
とはいえ5分はやはり長い。同じセリフを二度繰り返して時間を稼ぐぐらいに長い。
けど幸いこの看守、いい具合に天野との会話に乗ってきてくれている。このまま時間を稼げれば・・・

あ・・・ちょっと待て。巡回の時間だ。どけ

いかん。仕事はきっちりするタイプの人だった。
こういう手合いは厄介なんですよね。簡単なことでは仕事を中断することはありますまい。
止めるのであれば力尽くでやるしかないか・・・いやでもそれは・・・
てな風に思っていたら、天野が思わぬ力技を見せてくれる。

願います!!
か・・・替えのパンツを願います!!

ジョボァァアッと盛大に小便をツナギから吹き出させる天野。凄い勢いだ!!
この勢いにはさすがの看守の足も止まる。
ほう。替えのパンツとか看守の方で用意してくれるものなのですな・・・変なところで感心しちゃった。

何はともあれ、天野の身体を張った献身で支柱溶解作戦は無事成功する。
こういうことができるというのもある意味天野の強みでありますな。頼りになるぜ。

そっちは無事に済んだのであるが、前準備で苛性ソーダを手に入れたレノマさんは何だか浮かない様子。
その理由は、やはり中島さんとの交換条件の調達にあった。

昼休み。相変わらず奇怪なバットの構えをしている菅くんを呼び出すレノマさん。
そして何だか言いにくそうにモゴモゴと喋り出す。
昔刺青の資料だと調達した写真。それを何枚かゆずってくれと述べる。
勘違いすんなよ。頼まれてんだよと前置きをして。モゴモゴモゴモゴ。

菅「すみません。なんの写真でしたっけ・・・」
レノマ「なんで思い出せねえんだ!!女の裸の写真だ。2・3枚ゆずれ。お前も知ってるだろ。中島さんに頼まれた!!」

なるほど。交換条件として提示されたのは・・・エロい写真でありましたか。
それはまあ、大事じゃないですかね。こんな環境ですしさ。
言っていることはアレだけど、それで交換条件を済ませてくれる中島さんは何だか男前に思えて困るぜ。

ともかく、盛大に赤面するレノマさん。純情ですなぁ。
そんなレノマさんに、たっぷりと含みのある笑みを見せながら、いいですよと答える菅くん。

明日持ってきますよ。でもボス、俺にはウソつかなくていいです。たまにゃ息抜きも必要ですよ

事前の言い訳が裏目にでたのか、完全に疑われている!!
まあ、これはね。そりゃあ微笑ましいとか思われちゃっても仕方がないですわよ。
これは恥ずかしい。レノマさんが作戦成功後も浮かない顔になるはずである。ハハハ。

脱獄計画も最終段階。そんな緊張する場面でまさかこのような笑いがとれる流れになるとは・・・面白い!!
まあ、菅くんの言っているのとは意味が違いますが、息抜きは必要ですよね。
たまにはこういう上手くいって笑いも出る回があってくれると助かります。

さあ、最終難関突破に向けて着々と作戦は始動している。次はどのような作戦を行うのか。楽しみです。



第160房 捏造  (2014年 28号)


溶解作戦成功から数日後。
ついに貼り出されたのは全棟対抗野球大会のトーナメント表。
囚人たちの注目度は高く、レノマさんも史郎さんも例年ならば別の意味で待ちに待った日だったでありましょう。
しかし今年は意味合いが違う。この日は脱獄準備のために大きな行動を起こす日である。
そしてこの日は1月31日。それが意味するのは・・・

あと6日しかない。そしてその翌日はいよいよ脱獄決行だ

ついに決行日まで残り1週間
早くその日が来て欲しいと願いつつも、いざその日が近づくとなると・・・緊張しちゃいそうですなぁ・・・

ともかくその脱獄が行えるかどうかは前日の作戦成功にかかっている。
野球大会当日、農場に最も近い第7グラウンドで対戦するB棟とF棟に抗争を起こさせ暴動に発展させる

ふむ。BとF・・・あ、そういえばこの大会は工場別じゃなく棟別なのか。
ふーむ。やっぱり極楽島は棟自体がいっぱいあるところだったんですなぁ。
まあ、それはさておき。

B棟を仕切るのはスラムの烏屋町を牛耳るレッドクローズ
対するF棟を仕切るのは大山町を牛耳るグレートマウンテン
この2つはシャバでは同盟を組んでおり、極楽島でも仲良くやっている。抗争が起きるとは思えない間柄だ。

敵対関係にあるチーム間の対戦がねえのは当然だ。
看守もバカじゃねえからな。シャバ情報を調べて、面倒の起こらないように対戦カード組んでんだ。

なるほど。となると互いにケンカさせて暴動を起こすのは難しい。
であるならば、自分たちが乱入していったらどうかと提案する史郎さん。力仕事は任せろー。

ダメだ。俺たちの関与は一切関知されてはならない。懲罰でも受けたら決行日当日は独居房の中だ

ああ、やはりそこはちゃんと考えているんですね。安心しました。さすが!

というわけで、どうにか直接関与せずに暴動を起こさせなければならない。
周龍はここで、でっちあげを行えばいいと提案。シャバで抗争が勃発しボスが殺られた、と。
なるほど。そのでっちあげを信じさせることができれば確かに暴動も起きるでしょう。
しかしそれをどう信じさせるかが問題である。ウワサを流す程度では乗ってこない可能性が高い。

やっぱり・・・この線でいく他ねえな。
ちゃんと見せてやればいいんだよ。在りもしねぇ事実の証拠をな

さすがに頭の回るレノマさんである。悪知恵は特に凄い。
史郎さんは専門でもないのによく頑張って考えたものですよ。うん。慰めておこう。

3日後。
極楽島に新入りがやってくる。一度に大量に加えられる囚人たち。こりゃ極楽島の建物も増築だらけになりますわ。

その新入り見物を行っているレノマさんたち。
リクも同じようにこの場所を通ったわけであるが・・・もうずいぶん前のことみたいに思えている。
すっかりフェンスの内側の人間らしい覚悟が身に付いた様子ですなぁ。
でも人の好さは昔と変わらず。新入りを怖がらせたりするのはやめろよと周りに声をかける。
うむ、自分がびびらされたからといって次の相手にもそれをするのは良くない。負の連鎖は誰かが断ち切らないといけませんわな。
それにそういう根の暗いことをやっているから・・・列から離れた新入りにフェンス越しに叩きのめされることになる。

極楽島上等だぁ!!

沢田ほどではないが、こういう暴れる子はどこにでもいますよね。
調子に乗って脅かそうなんてするから酷い目にあうのだ。まあ、この暴れた子もただではすまないわけですが・・・
いや、別に目立とうと思って暴れたわけではない様子。
腹の中に隠していた小さな紙切れ。それをフェンスの向こうのレノマさんに渡すために、あえて騒ぎを覚悟で近づいたのだ!!

すまないな。太田

なるほど、ダブルドラゴンクロスのメンバーでしたか。
8か月のションベン刑とはいえ、わざわざ極楽島刑務所に入ってこさせないといけなかった。レノマさんの苦悩が伺える。

8か月後!!シャバで合えると信じています!!

それでもボスのためなら、ボスが脱獄を成功させるためならばと笑顔で立ち去る太田。
うーむ、やはり慕われておりますなぁ、レノマさん。

さて、B棟のレッドクローズは野球大会に向けてメンバーの選出に余念がない。
頭らしき堀田自らオーダーをしっかり考えている。楽しそうだな。
しかし、その堀田に凶報がもたらされる。
頭の上に落ちてきたのは、レノマさんがわざと落とした丸めた新聞の切れ端。
そこに書かれていたのは、レッドクローズのボスがグレートマウンテンの奴にやられたというもの。ほほう・・・

太田が持ってきたのは偽物の新聞記事。紙も本物と同じものを使うという拘りの一品である。
ふーむ。さすが神木さん。たった数日でよく仕上げたものである。
そしてこれは特機がスラムの住民を逮捕すれば即極楽島に収監というシステムを逆手に取った手法でもある。なるほどねぇ。

レノマさんはケータイがあるので即座に外と連絡が取れる。
が、さすがに他のギャングはそういう物は持っておらず、手紙も禁止されているらしい。
なのでギャングは新入りから情報を得るしかない。
ふむ・・・となると、B棟にせよF棟にせよ新入りからシャバの情報を得るのではなかろうか?ボス殺害などなかったという事実を。

ずいぶん前のことだから忘れたか?新入りは下獄から1週間は独居だ
他の囚人とは一切接触はできない。つまり、本当の情報は流れない。
あとは3日後。この火種が燃え盛るのを待つ。

なるほど。見事な作戦でありますな。これならば確実に暴動を起こすことが出来そうである。
いや、どうやらこれは暴動なんかでは、ケンカなんかでは済みそうになさそうだ。

グレートマウンテンとの同盟は決裂。全面戦争だ

極楽島にいるグレートマウンテンの中で1番の大物である時任を襲うという堀田。
手にするのは尖らせた杭のようなもの。これで心臓をひと突きにしてやるのだという。おやおやこれは・・・

確かに親分が殺されたとあればこういう報復の可能性もありえましたわな。
前にも風呂場で報復を行っているギャングがいましたし。
うーむ、こうなるとリクとしてはどう動くか分かりませんなぁ。
自分たちの脱獄の為に、でっちあげて死者が出る。それはさすがに認められないことでありましょうが・・・どうなるか。
何も知らないままことが進み、後悔する流れとなるのかどうか。うーむ気になる。



第161房 暴動  (2014年 29号)


1月31日。
脱獄決行の前日。まず気になるのは天気。
ヘリを飛ばすためには悪天候は避けたいところだが、幸い雨の心配は無さそうである。
そしてそれは今日の野球大会が無事行われることも意味する。

あとは脱獄直前最終関門。ヘリポート解錠作戦の決行あるのみ
おじさん!!いよいよだよ。

脱獄メンバー総動員で挑むことになるこの最終関門突破作戦。
とはいえレノマさんの役割は普段通りに装う事のみ。実際の作戦は他の面々に任せることとなる。
なんせN棟代表、選抜メンバーのキャプテンでありますからなぁ。さすがに独自行動は出来ないか。

明日から視察委員が来るからな。3日後の決勝戦で優勝していいとこ見せたいんだろ。

なるほど。相変わらずの谷村看守部長殿でありましたか。
レノマさん抜きという不安はないわけでもないが・・・ここは仲間を信じるしかありますまい。

まかせとけ

レノマさんと拳を合わせるリク。
その小さな拳は震えているが、それでも仲間の先頭に立って歩き出す。うーむ、立派なリーダーじゃないですか。
怖いし上手くいくか不安でしょうが・・・きっちり決めて欲しいものである。

さて、田中一郎とも合流して農場に近い第7グラウンドに移動するリクたち。
B棟対F棟の試合は第一試合であり、すぐに始まりそうである。
看守の人数と配置を確認している中、うへへと笑い出す天野。どうした?

くすぐってぇ。ポケットん中で動き回るんだよ。

そう述べる天野のポケットの中にいるのは・・・ヤモリ。カサカサ動いて天野の腿をくすぐっている様子。うへへ。
何でヤモリ何かを忍ばせているのか。それは須藤くんから遠隔発火装置の仕掛けを聞いたことに端を発する。

そうヤモリ。ヤモリを使うんだ。
装置の構造はシンプルな方がいいでしょ。遠隔操作型にするのは部品も多くなりかさばって何かと不便だ。
ゴイサギって知ってる?夜行性だからあまり見る機会もないだろうけど、極楽島の辺りにはよくいる鳥なんだ。
そのゴイサギがさ、夜になると農場に無死とかヤモリを食べにくるんだよ。

さすがに物知りな須藤くん。極楽島の生態系まで把握しているとは・・・
そしてここからがヤモリを用いた遠隔発火装置の説明の本番となる。

発火装置の発火部分は電球のフィラメントを利用する。
電気を通せば熱を持つからその周りにマッチ棒をくくりつけて・・・点火する。電源は単3電池。
コードと電池の間に絶縁体を挟んでいる間は通電しない。でも絶縁体を外せば通電して発火する仕組みさ。
その絶縁体にヤモリをくくりつける。それをゴイサギが食べると絶縁体が引っぱられ発火するというわけさ
ゴイサギは夜行性だから昼間は装置は作動しない。自然を利用した時限発火装置のできあがりさ

なるほどねぇ。遠隔と言うよりはまさに時限式の自動発火装置でありますか。
ヤモリが動いて絶縁体を引き抜いたりしないのかなという危惧はあるが、まあそこは上手く調節してるんでしょう。

点火するフィラメントとヤモリ以外は農場に埋めて野球大会当日の夜に発火。
発火部は燃え去り装置は土の中。まるで電子ロックから火が出たように装える

ふむ。電子ロックが発火したかのように見せるのが作戦の肝であるわけか。
これによりヘリポートの電子ロックにどう影響がでるのか・・・?推測できそうで出来ませんな。

看守は15人。1塁側3塁側にそれぞれ5人ずつ。
残りの看守はグラウンド唯一の出入口付近。設置班の史郎・智弘・渉の3人は出入口付近で待機。
B棟とF棟の抗争が勃発したらこの大観衆だ。暴動に発展する。その隙に農場になだれ込め。
乱闘開始から電子手錠のロック作動までおそらく30秒ほど。
そのわずかな時間で作戦を完遂させる。短期決戦!タイミングが命だ。決して出遅れてはならん。

田中一郎から作戦の最終指示が飛ぶ。
設置班の3人に多少の不安がなくもないが・・・まあ、やる時はやってくれる連中ですよ。うん。

B棟とF棟。当然ながら雰囲気がまるで違う。
普段通りのF棟に比べ、B棟はボスの敵討ちのために殺気立っている。傍目からでも分かる。

堀田の目的は報復。それを30秒で証拠も残さず行うには・・・時任1人の殺害が限界。
だが俺たちの脱獄に死者は作っちゃならない・・・
頼むぜ、椿。

おっと、やっぱりB棟の連中が報復に出るのは予測しておりましたか。
ギャングのことをよく知っているレノマさんたちなら当然分かっているはずですわな。
そしてその報復を止めることもちゃんと考えていた様子。
この場での殺害さえ止めれば、あとは極楽島に来る新入りからボス殺害は虚報であったと知らされるし、悲劇は防げるわけですな。

やることはやった。下ごしらえも・・・下準備も・・・下調べも・・・すべて・・・

後はこの最終関門突破作戦を成功させ、脱獄当日を迎えるだけである。
そのためには暴動が起きる必要があるのだが・・・なかなか起きない。
焦れるリクたち。もしかして今日行動を起こすつもりはないのではと不安になる。こういう不確定な部分が怖いですわなぁ。
だが、実行するのであれば今日のこの試合ほど適している場面は無い。
7回裏。ついにB棟の連中が動き出す。デッドボールを皮切りにして・・・乱闘の開始だ!!

乱闘が始まれば血の気の多い囚人たち。そこかしこで争いが起き、暴動へと発展する。
その隙を縫って脱獄メンバーたちは作戦決行のために動き出す!!
リクと椿は死者を出さないために堀田を止めようとしている様子。
堀田も群衆に押されてターゲットに届くまで時間がかかったようだが、執念で辿り着く。ボスの仇じゃああ!!

が、ここで割り込んできた椿に殴り倒されてしまう堀田。
踊らされたあげくにこの結果というのは少し可哀想であるが・・・
まあ、誤解の報復何ていう取り返しのつかない事態にはならずに済んだと考えるしかないですわな。

暴動がグラウンドの外へと流れ出す。
その流れに乗って農場へと駆けだす3人。後は彼らの活躍にかかっているが・・・どうなるのか!?

リク・レノマ・椿・天野・松尾・史郎の6人の役割は分かった。
残る田中一郎と周龍はこの作戦で何か役割を担っているのだろうか?
沢田には何かを任せている感じはしないけど・・・どうでしょうかね。
何にせよここは滞りなく遂行してほしいものであります。



第162房 剛力  (2014年 30号)


B棟とF棟の抗争勃発!!
この機に乗じて動き出す脱獄組。目指すは農場!!
フェンスにまで辿り着いた設置班の天野、松尾、史郎さんの3人。このまま目的地まで進撃だ!!

根元の溶かしてある支柱へと向かう天野。
ここならば大勢で圧力をかければフェンスを倒すことも可能となりましょう。そう思っていたのだが・・・

しゅ・・・修繕されてる!!

あんなに苦労したのに・・・小便を漏らすほどに苦労したのに・・・
まさかの補強済みとは・・・さすがに極楽島。目が行き届いていると褒めるべきでありましょうか。

時間がないというのにこの状況。思わず絶望的な雰囲気となるが・・・ここで頼れるのが史郎さんである。

やったる。ごちゃごちゃ言うてる暇あらへんど。パワーブラザーズにまかしとかんかい

今こそその力を見せる時が来た様子。久しぶりに凛々しい感じの史郎さんが見れました。おぉ。

天野達に設置を任せ、リクたちは何をしているのか。
答えは看守を抑えることだった様子。
暴動に紛れてさりげなく看守の動きを封じ、手錠のロックを少しでも遅らせようという考えの様子。なるほど、大事だ。
リクたちのこの動きで多少の時間は稼げている。
それを使って史郎さんと松尾は・・・支柱の土台を引き抜くために構え始める!!

史郎「レノマみてえな悪知恵もねぇ。椿みてえなスマートさもねぇ
松尾「周龍みてえなコネもねぇ。かといって天野みてえなバカでもねぇ

語り始める2人。確かにそれらの様子は2人にはないものだ。バカさという点ではまああれですが、お調子者さは足りないか。
そんな2人であるが、バカ力は備わっている。
今まで何も役には立たなかったが・・・今は違う。この2人がここに配されたこと。それによって役に立てることがある!!

やっとみんなの・・・力になれる・・・

やはり役に立てずにいたことに対して思うところがあったようですな。
でもこの重要な作戦でやってみせれば、この2人がいてよかったということになる。
そう、ここで見せねば男がすたるってものだ!!

これが男のぶっこ抜きじゃあ!!
天野ォ!いっけえぇ!!

見事に土台を地面から引っこ抜き、フェンスを傾けさせることに成功する2人。
そしてすかさずフェンスを駆け抜け、農場のロック装置へ走る天野。さあ、後は発火装置を埋めるだけだ!!
リクたちの足止めももう限界。今にも手錠がロックされてしまう。果たして間に合うのか・・・

まかせとけっつーの・・・

レノマさんも祈る中、見事に間に合わせて見せる天野。カッコイイ!!
そう、このまま終われば最高にカッコイイ場面でありました。なのだが・・・

うそ・・・うそだろ・・・
ス・・・スイッチ代わりのヤモリがいねえ!!
ヒモがゆるかったのか!?逃げやがった!!

これはいかん。ヤモリが逃げたのでは絶縁体を外してスイッチを入れることが出来ない。
手錠はロックされたが、何とか看守が来る前にヤモリを捕まえたい・・・
そう思って這いずりまわる天野であったが・・・時間切れ。看守に見つかり、ヤモリは隙間へと消えていく。ああ・・・

夕方。一様に肩を落としている脱獄組。
明日の晩が決行日だというのに、前日の重要な作戦をしくじってしまうとは・・・

ここまで来て・・・脱獄失敗かよ・・・

さすがにこの時間がない状態では慰めの言葉もでようがない。
このまま脱獄は失敗に終わってしまうのだろうか。
視察委員は3日間はいるらしいし、決行を1日延期してどうにか発火装置作動の策を練るとかするのだろうか。
ヒモは外に出ているのだし、沢田がワイヤー芸で何とか引き抜くとか・・・
夜に発火させられないのが難点ではあるが、そうなるともう方法が思いつかない。
ヤモリの帰巣本能に期待するしかない。いや別にそこが巣じゃないし偶然戻ることはさすがにないか。

まさかの最終作戦失敗。どうなるのだろうか・・・不安です。



第163房 懇願  (2014年 31号)


発火装置作戦、まさかの大失敗!!
落ち込みを隠せないままに日は落ちていく。準備が完了しないまま、脱獄決行の日が近づいていく。

ヤモリに逃げられてしまった以上、鳥がヤモリごと発火装置の絶縁体をひったくっていくことはなくなった。
もう発火装置は永遠に作動することなく埋まったままになる・・・
かといって、脱獄組の誰かが農場へ行って装置を作動させるのは不可能だ。
建物が同じヘリポートへの下見とはわけが違いますものねぇ。

こうなれば決行日を延期させるしかないか・・・
でも松尾の母のことを考えるとそれは難しい。
それに発火部を電子ロックに巻き付けたままの発火装置は農作業が再開すれば1発で見つかってしまう。
もうフェンスを乗り越える機会はないし、今夜何としても発火装置を作動させなければいけないのだが・・・一体どうするのか。

悩む一同。そこで真っ先に動き出したのは何とリク。
夕飯までにやらなければと何かを書き始める。

時間がない!!もうこれしかない!!

リクがこれしかないと述べる作戦。それは一体どのようなものであるか。
準備を終えた後、夜になるまで待つ。
看守の巡回が通り過ぎたタイミングで跳ね起きる324房の面々。
窓にはりつき、農場の――発火装置の埋まった辺りを観察する。
ここから何か仕掛ける・・・わけではないようですな。火がつくかどうかの確認をしたいだけの様子だ。
火が付くのを信じるしかないと言うが、どうして発火装置が作動することになるのか。
その答えはすぐに明らかになる。この男に頼んだ。託したのだ。
農場に出入りすることが出来、リクが信頼を置く人物・・・そう高木元文の登場だ!!ドン!!

炊場の生ゴミを農場のバイオ処理機に放り込む仕事があるらしい。
なるほど。当然看守はついてきているが、確かに農場に出入りできますな。それも夜中に。

看守は逃げられないように農場の入り口で待機。ちゃっちゃと済ませろと高木さんに告げる。

看守さん。お言葉ですが「ちゃっちゃと済ませろ」はいかがなものかと。
これはパッションフルーツさんの大切なごはんです

相変わらずの高木節。豚さんがありならばもちろんパッションフルーツさんもありだ!!
まあ、炊場でもお野菜さんとか言ってましたし、これは当然の呼び方でありましょうな。

めんどくせえ奴とは思われるが、いつものことなので流され、作業開始。
遠く離れたところで火がつくのを今か今かと待っているリクたちの視線を感じられるはずもなかろうが、高木さんは動き出した。
しかしさすがの高木さんでもこの行為はどうだろうか。手動であのヒモを引っ張るというのは・・・
考えるまでもなく、それは脱獄幇助に値する。
見つかればめちゃくちゃ加刑されて仮釈の希望もなくなるのだ。そのようなリスクを犯すことができるのかどうか。
チンコロすることは絶対にありえないが、そこまでの協力を望めるのかどうか・・・

どうやらリクが夕飯までに準備しないといけないと言っていたのは高木さんへの手紙だったようですな。
配膳に来た炊場の囚人に、高木さんに渡すようお願いしたというわけだ。
うーむ、ここもなかなか危ない橋を渡ってますな。高木さんに渡る前に内容を見られたら危ない所でした。
まあ高木さんも慕われている人ですし、その恐れは薄いかもしれませんがね。

さすがにスラム育ちで教育を受けていないリクは字を書くのが不得手のようですな。
辞書で調べながら一生懸命書いている。ところどころひらがなが逆になっているのは逆に器用に見えるなぁ。

手紙には脱獄の決行日や発火装置のことが書かれている。
密告されたら一発でアウトの内容であるが、これをあえて記すところに高木さんへの信頼が伺えますな。
そして、最後に大きくこう書かれて締めくくられている。

高木さん。おれにだつごくさせてください

どストレートに想いを伝えるリク。
時間がかかるなら、自分で書かなくても誰かに書いてもらえば・・・
そう思わなくはなかったが、この気持ちをストレートに伝える内容と文字はリクでなければ出来ないことでしょうな。
そして高木さんもリクだからこそ動かされる。
しくじれば仮釈は夢のまた夢。特別懲罰房に行き、重い罰を受けることとなる脱獄幇助。だがしかし・・・!!

無実の罪で収監され、小さい体に過酷な責めを受けることとなったリク。
正義を考えるのであれば・・・見捨てるわけにはいかない。いかないのだ・・・

すまない・・・

拳を強く握り、謝罪する高木さん。

パッションフルーツさん。お家を燃やしてしまって!!

どこまでも律儀な高木さんでありました。そういう謝罪かよ!!
バイオ処理機と発火装置は地味に離れているし、危ういかと思ったが暗闇に乗じてうまくやってくれたものでありますな。

こうして発火装置は作動し、ロック部分に火がつく。ポ・・・
その様子は324房にいる脱獄組にも分かる。これは・・・歓喜するしかないですわな。
いや、リクにしてみればそれと同じくらいに感謝の意識が強いか。高木さん・・・ありがとう!!

高木さんがいる時に火がついた。
疑わしいと言えば疑わしいが、まあ高木さんは囚人の中でも看守からの信頼は厚い方でしょうしねぇ。
上手くすれば疑われずに済むかもしれない。嘘は得意じゃないだろうから、疑われずに済んでほしいものであります。

はなむけだ。受け取れ栗田

義を見てせざるは勇無きなり。
きっちりと頼みを聞き遂げてくれた高木さんの頼もしさは、格好良さは比類なきものに思えます。

さて、これで発火装置作戦は上手くいきました。
あとはこれが屋上電子ロック解除作戦にどう繋がるのか・・・結末を待つばかりです。
そしてそれを受けて始まるのは脱獄の決行。
いよいよ・・・本当にいよいよというところに迫ってまいりました。期待して待つとしましょう。



第164房 審判  (2014年 32号)


2月1日。脱獄決行予定日
試練を重ね、ついにこの日がやって来た。
さすがに皆緊張しており、起床時間になる前から身を起こしている。
実際の決行は夜になるのだが、その前に確認しておかなければいけないことがあるのだ。

野球大会は続いており、レノマさんの活躍もあってN棟は勝ち上がっている。
暴動はさておき、順調に盛り上がっている見たいですな。
この盛り上がりの最中に脱獄を企てるとは思うまい・・・思わずにいてくれるといいなぁ。

いよいよ今夜だなと声をかける田中一郎。
無理難題だらけの脱獄計画だったがみんなよくついてきてくれた。
そう述べるが、脱獄したいという想いは皆に共通にあることですしね。今更礼を言われることでもない。
むしろその難題を解決するべく知恵を振り絞ってくれた脱獄王に感謝したいぐらいですわな。

やってきた・・・やってきたよな・・・この日のために

色々なことがありましたが、各人の活躍によりどうにか乗り越えていくことができた。
見開きでその活躍の様子が描かれているのだが・・・天野はやっぱりそれか!!

天野の活躍の内容はさておき、本日脱獄決行までにやっておかなければいけないのはロック解除作戦の結果を確かめること。
無理難題極まるこの作戦、最後は上手くいくかは運任せな部分がある。
田中一郎にしても一連の作戦が全て上手くいくかは五分と考えていた様子。

だが、みんなの不屈の努力がここまでの道を切り拓いた。やれることはやった!!あとは・・・

最後の確認。昨日の発火装置がちゃんと今日に繋がったのか・・・今夜決行できるのかを確かめないといけない。
それを成すために動き出したのはレノマさん。
この最後の発火装置作戦に直接関われなかったので、最後だけでも関わりたいってことでしょうか。
まあ、うかつな谷村看守部長なら話を聞き出しやすいって目論見もあるんでしょうけどね。
しかし相変わらずこういうイベントでは嬉しそうにしてますなぁ。
楽しそうにしている谷村看守部長に、緊張のふくれっ面で近づくレノマさん。何だこの顔芸対決は。

まあ、それはさておき、話を伺うとしましょう。もうジタバタしても仕方がないわけですし。

まずはおだてから入る。先程の試合で勝てたのは看守部長の声援のおかげである、と。レノマさんピッチャーだったのか。
そうやっていい気分にさせたところで話を切り出す。昨夜のボヤ騒ぎはなんだったんですか?と。
最初は囚人の貴様は知らんでいいと述べる谷村看守部長。
だが、がんばった褒美に教えてやろうと答えてくれる谷村看守部長。やっぱりチョロくて素敵な人だ。ハハハ。

発火装置によるロックへの出火。それは固定ロックそのものが出火したものと見られている。
その理由は同じ製品が巷でも同じような発火トラブルを発生させているためである。

当たり前だ。そのトラブルは全部シャバにいる神木たちに世に出回っている同じ製品が発火するように細工させ、さらには・・・
この製品が不良品だという情報を流しまくれと俺が仕向けたんだからな。
この壁を越えるために・・・最終作戦を成功させ、今日にたどり着くために・・・
すべて俺たちが仕組んだことなんだからな

なるほど。農場のロックの発火がどう繋がるのかと思ったら、そういうことか。
同じ型であっても一つ発火したぐらいで騒ぎは連載しないだろうと思ったが・・・
なるほどねぇ。事前に同型製品を不良品だと世間で騒がせておけば良かったわけか。ははぁー。

そしてレノマさんは確認する。
ヘリポートのヘリ固定用の電子ロックも同じものを使っているし、まずくないっすか?と。
ふむ。この問いかけは谷村看守部長も想定外だったらしく、上に連絡して確認する。
どうやら上の方は既にその問題を把握していたらしく、午前中に緊急会議が開かれたそうな。
ふうむ。やけに素早いと思ったら昼に視察委員が来るのでその前にどうにかしないとと考えたわけですな。
視察委員のヘリを固定するロックが不良品で発火しましたなんて知れたら面倒なことになる。そう考えるのは当然だ。
よって、農場とヘリポートで使用中の電子ロックは・・・

メーカーから交換品が届くまでの数日間は電子ロックの電源は切断の上、使用禁止。
代わりにコンクリートの重しで代用するそうだ。
つまり、俺たちはヘリのロックを攻略したわけだ

成功するかどうか分からない。危うい作戦。
しかしその結果は見事な成功。一時は失敗かと気落ちしたのに、見事に成功にまで持ち込んで見せた。
この喜びは相当なものでありましょうなぁ。見開きで皆驚いておりますわ。クールな椿も静かにガッツポーズだ。
先の見開きでは入っていなかった沢田もこの結果を聞いているし、見開きにも入っている。ほほ。

さあ、最後の関門も突破した。
これで今夜の脱獄決行に支障はなくなったわけだ。
ああ・・・いや。まだ問題となるだろう存在がいましたね。
誰あろう、それはスライスデビルこと沢田拓児。
この男はいつ動き出すのか。刑務所を出る前か、それとも出た後か・・・
脱獄したいという想いは同じだし、船に乗るまでは大人しくしている可能性はある。
が、逆に田中一郎たちは沢田を刑務所に置き去りにしたいと考えている。
沢田が動かないのならば、脱獄組が先に動くことになりそうであるが・・・さてどうなりますかな。注目であります。



第165房 飛来  (2014年 33号)


ついに訪れたこの日。
脱獄組一同は揃って空を見上げている。

準備は整った。あとは・・・あのヘリを奪って飛び立つだけだ

視察委員のヘリは予定通りにやってきた。
リクたちからは見えないが、確かに電子ロックは使用せず、テトラポットのようなコンクリートを重しとしている。
これならばどかすのにもそれほど手間はかからないですな。よしよし。

これでもう想定できる範囲の障害はなくなった。
それを確認した一同は夜になるまでそれぞれ自由な時間を過ごす様子。
まずは史郎さん。久しぶりに第26木工場の連中のところに顔を出す。
おっと、この小柄な子は・・・ようやく名前が設定されたか篠田!!

現れると同時にニーロクの面々に囲まれる史郎さん。アニキがいるやねん!!元気でしたかやねん!!
なんだそのやっつけにもほどがある関西弁は。

アニキがニーナナなんかに転房しちまうからっすよ。
いつでもでっかい声で聞いてきたアニキの声が急になくなっちまったんすよ。
でもアニキの口調を真似したら少しホッとできるんです。あっという間に流行っちゃって・・・

なるほどねぇ。うーむ、思った以上に慕われていたんですなぁ史郎さん。
これはむしろ、デカすぎて側にいる間は気付かなかったが、いなくなってその存在の大きさに気付いたとかいう流れだろうか。
この篠田にしても、側にいるときはウゼー言ってたこともありますしなぁ。
というかボスではなくアニキとして慕われている辺りが史郎さんらしくていいですな。
元々ギャングではないし、この呼び名の方が合ってるか。

たまにはニーロクに顔出してくださいよとお願いされる史郎さん。
前もって聞いていればそれも出来ただろうが・・・それはもう無理な話である。
今夜の脱獄。成功すれば当然刑務所で会うことは無い。
失敗して刑罰を喰らうだけならまだ可能性はあるが、ひょっとしたらその場で処断されることもあるわけで・・・

アホか・・・何を弱気になっとるんや俺は・・・
出るんや・・・俺は生きてここを出るんや

不安を押し殺すように、笑みを見せ、史郎さんは言う。
お前らシャバに出たら必ず南棘山町の友寿司に顔出せ。腹いっぱい食わしたるさかいな、と。

脱獄した後も果たして普通に営業できるのだろうか。
そういった疑問はあるが、それ以前に脱獄のことを知らないニーロクの面々からは自分たちの方が先に出所するんですよと思われる。

アニキ・・・相変わらず天然っすね。先に出所して店の前で待ってますよ

脱獄のことは知らないから少しすれ違いはあるが、想いは伝わっている。
必ず行きますからアニキも必ずお元気で。その言葉を背に受けて歩む史郎さん。
うーむ、これは無事に生きて脱獄成功するしかありませんわな・・・!!

史郎さんに続いては椿。
史郎さんと同じく別の工場のボスであったが、こちらはリクに敗れたことで信頼を失っている。
そのリクと闘った場所を訪れ、その時のことを思い返す椿。
KOされた苦い記憶・・・いや、今の椿にはそういった気持ちはなさそうである。
元部下たちにリクの強さを語る椿。あいつは本当に強かった。

知りたいか?俺たちみたいに何かのせいにしねぇ・・・リクはそういう男だ

うむ。まさにそれがリクの強さでありますな。
だからこそ屈強な男たちであろうとも惹かれてしまうのでありましょう。
妹が生きていることを知ったことはかなり大きいが、リクとの戦いもまた椿の荒れてた気持ちを静める役に立ってのは間違いない。

美雪・・・今・・・何してる?そっちはいい天気か?
そこから何が見えてる?どんな音を聞いてる?そこはどんな香りがしてる?
どれだけ背が伸びた?俺の顔を覚えてるか?元気か?
答えは返ってこないけど、何度心の中でお前に聞いただろう。
今たったひとつお前と繋がっているこの空を見ながら・・・お前を想うことを最後にしよう。
もうすぐ会えるから。兄ちゃん会いにいくからな

刑務所に残した想いはもうない。
向かうべきは外。妹の待っているあのスラムである。
そのためには当然生きて脱獄を成功させないといけないわけであるが・・・

うーむ、決行前にこれらの思い出を振り返るのは大事なんですが、大事なんですがやっぱり死亡フラグという言葉が思い浮かぶ。
死ぬわけにはいかない。そういう想いを背負っているからこそ悲劇性が増す。
そういったドラマ的なことを考えてしまうわけであるが・・・
でもやっぱり、望めるとするのならばハッピーエンドが見たいなと思うわけですよ。
全員が無事に生きて脱獄を成功させる。そして一同は満面の笑みを浮かべる。そういった未来に期待したいものであります。



第166房 感謝  (2014年 34号)


脱獄前に一人の時間を過ごす面々。
田中一郎は信造さんにお別れを告げることとなる。
この人にも計画で手伝ってもらったりしましたなぁ。
無茶したりしてたけど、今は元気そうで何よりです。これからもどうかお元気で・・・

今夜、決行します

静かにそう告げる田中一郎。静かにその言葉を受け取る信造さん。大人なやりとりだ。
そして、今まで本当にお世話になりましたと頭を下げようとする信造さんを制し、先に頭を下げる田中一郎でありました。

いろいろとありがとうございました。
全員の気持ちです。みんな・・・とても感謝しておりました。

信造さんが間に入って昔のことを伝えてくれたので、レノマさんは田中一郎と組むことが出来た。
そういったこともあり、やはり感謝はしてもしたりない相手でありましょう。
そうやって頭を下げる田中一郎に対し、信造さんは気遣いの言葉をかけてくれる。
年長者として大変じゃったことでしょう、と。

若者に混じって考え方の違いもあったでしょう。
たくさんの責任も背負い、愚痴を漏らす相手もいなかったでしょう。
本当に相当なご苦労があったことでしょう。
こんな別れの際になってやっと気づきました。わしゃ頼りない年長者じゃな。

そういって優しく田中一郎の頭を撫でてくれる信造さん。
なるほど。確かにこれまでの田中一郎は年長者として気を張っていた感じはありましたな。
信造さんとS棟で過ごしていた日々はそういう意味では安らげるものであったのかもしれない。いい場面だ。

先生・・・どうか・・・逝く順番は間違えんでくだされよ

そのように述べる信造さん。まさにそれが心配でありますよね・・・
前回から皆死亡フラグを立てるのに余念がないが、田中一郎のこれはまたどでかいフラグであるなぁ・・・

さて、続いては天野の番。
今夜でいよいよここのムショ暮らしともおさらば。
待ちかねた日であるが、いざ訪れてみるとなかなか実感が沸かない様子。
成功すれば明日にはもう壁の外。しかしもし失敗したとしたら・・・考えたくなくても考えてしまうようだ。
だからこそ、悔いを残すわけにはいかない。気になる人には言葉を残しておかないといけない。

愛ちゃん先生を呼び止める天野。
成功するにせよ失敗するにせよもう会えなくなる。
だから最後に言っておかなければおけない。別れの言葉を。別れの・・・言葉を。

いつも・・・何も考えねえでからかってたけど・・・他愛のねえ話したりしてたけどよ・・・
どんだけ・・・いつも・・・どんだけまぶしい時間だったんだよ

別れの言葉を告げるよりも、もう1回いつもみたいに普通に話したいと思ってしまう天野。
あるいは脱獄を思いとどまればそういう未来もあるのかもしれない。だが・・・

先生・・・びっくりしねえで聞いてほしい・・・ここから・・・俺・・・
極楽島から俺が出所したら・・・結婚してください

お・・・おぉっと!?
本人も思わぬ内容が口から飛び出して来ましたよ!!
生死の際の緊張感が本当の想いを漏らさせてしまいましたかな。おやおやおやおや。
しかもウソだよと区切りをつけた天野に対し、どことなく脈ありな様子の愛ちゃん先生。おやおや。おやおや。
いい感じになっておったんですがねぇ・・・まあ、この別れは仕方がないものでありますか。
将来、鬼道院の野望を打ち砕き、スラムが解放されて法整備が整った時に2人の仲はどうなるか。期待したいものであります。
そのためには生きて脱獄に成功しないといけませんわなぁ。

やっぱり先生は女神だよ!!顔見ただけで・・・俺!!すげえ生きたいって思えたんだよ!生きたいってさ!!
死んでたまるか!死んでなんか・・・

嘘でもいい。先の話が欲しかったんだ。
未来の約束をし、それを叶えるためにも生きなければいけない。
死亡フラグと見ることもできるが、その何としても生きたいという意志が生存に繋がることもありましょう。
未来のためにも全員生き残って欲しいものであります。是非に。是非に。



囚人リク 20巻


第167房 同房  (2014年 35号)


脱獄を数時間後に控え、思い思いの時間を過ごしている。
今回は周龍の番。とはいえこの極楽島に思い出があるわけではない様子。
大きな石におぶさるようにしている小さな石。それを見て父親に背負われていた頃のことを思い出している様子。

親父・・・でっけぇ背中だったな・・・
ここを出て・・・今度は・・・俺がしっかり背負ってやる。な・・・親父・・・

自身も大きくはなったが、やはり偉大な父。
その父を今度はしっかり背負っていくと決心する周龍。いい親子愛でございますなぁ。

やはり周龍は極楽島に関連することは少ないのでエピソードも短め。
けれども、その脱獄にかける想いは他の誰にも劣らないってのは伝わってきました。

さて、続いて登場するのはリク。
極楽島に入って期間は短いものの、色々な人と知り合った。その人たちに挨拶回りをしている様子。
まずは昨日、あわや脱獄失敗になるところを救ってくれた高木さんの所へ。
バレたら酷い罰を受けることになるのはわかっていた。それでも高木さんの男気に頼るしかなかったリクたち。
有難いけれども、申し訳ないという気持ちがあるようですね。しかし高木さんは述べる。よく俺を思い出したと。

覚えておけ。お前の痛みはもはや俺の痛みでもある。
俺の希望はお前の希望だ
だから、死ぬな。約束だ。

リクを抱きしめ、そう述べる高木さん。
愚直に真っ直ぐ。高木さんらしい想いの籠った言葉であります。
他の人にも言えることだが・・・やっぱり死ねませんわなぁ。これは。

高木さんと別れたリクは次の相手のところに向かって駆けている。
その途中で天野と松尾に合流。
何やら強がっている天野でありますが、愛ちゃんと逢ってたことは既にバレバレの様子。ハッハッハ。
照れるのは分からないでもないが、かっこよかったよ。ハハハ。

さて、3人が揃って会いに行ったのは他でもないかつての324房の仲間たち
ノギ、須藤くん、菅くん。3人の姿がそこにあった。
そうですわな・・・彼らに刑務所で会えるのもこれが最後でありましょうからなぁ・・・
いや、もし失敗したら2度と会えなくなるかもしれない。
そんなことを考えて不安になるノギ。
だからリクは述べる。必ずまた会える、と。先に出てるからさ、また遊ぼうぜ、と。

ノギにとってリクは極楽島での初めての友達だった。それはリクにしても同様である。

初めてここに来た時・・・すげぇ怖かったけど、ノギがいてくれてほんとによかった。
だからみんなとも友達になれた

他の誰よりも親しくなった相手・・・レノマさんにそう告げるリク。
うむやはりおられましたか。これでかつての324房の仲間は勢ぞろいした形になりましたね。
それにしてもリクの言う通り、リクが入房した時のレノマさんは嫌な人でしたわなぁ。
それが己を取戻し、頼れるボスになっていった。やあ、あの頃がウソのようですよ本当に。

最後のページで描かれるのはかつての324房の様子。
配置はリクが初めて入房した時の配置でありますね。
しかしあの頃の形相と今の穏やかな顔では配置が同じでも色々と違いがありすぎる!!
リクが加わっただけでこんなに穏やかな表情になることができるとは・・・
うーむ、改めてリクの存在、その及ぼす精神的な意味は大きかったと感じられますやねぇ。

ずっとこのままでいたいけど・・・でも・・・
シャバで会おう。今度はシャバでまた会おう

かつての同房の仲間たちとも別れを済ませる。きっとまた会えると信じて。
うーむ、これは何とも寂しい気分になりますなあ・・・
何にせよ、かつての仲間がまた全員顔を合わせるためにも、誰一人欠けることがあってはならない。
この脱獄・・・何としても全員生きて成功させていただきたいものであります。



第168房 満月  (2014年 36+37号)


後回しとなったが、どうやら松尾単独の振り返りもちゃんとある様子。
しかしやはり松尾としては刑務所での思い出よりもこれからのことが気にかかるようですな。
同房の皆との別れも済ませたし、親友は共に脱獄しようとしている。
となればもう思いを馳せるのは脱獄のことしかない。

あいつらが明日の朝、いつもと同じように点呼を受ける頃・・・俺はもうここにはいないのか・・・
なんか・・・信じらんねえな・・・あの324房も・・・もぬけの殻になってんのか・・・
今ぐらいの時間は・・・もう海の上・・・ってところなんだよな・・・
水平線に囲まれてキラキラの水面を・・・だといいな・・・
全然イメージがわかねぇ・・・

今夜決行だというのに震えが止まらない松尾。
失敗して銃殺されるイメージは浮かぶが、逆に成功した時のイメージが浮かばない様子。
ネガティブなことでありますが、まあこの巨大刑務所が相手では仕方がないか。

しかし、己の拳を見つめることで、脱獄成功後の夢を思い描くことは出来た。
そのでっかいゲンコツで母ちゃんの肩を叩いてあげる。
母が死ぬ前に精一杯の親孝行をする。その夢ならば・・・イメージすることが出来る!!

母ちゃん・・・もうすぐそっち行くからな。必ず!そっち行くからな!
もう少し・・・待っててくれよな。

母のことがあるからこそ脱獄を決意した松尾。今こそその決意を胸に、勇気を振り絞る時でありますな。

さて、一方のリクはレノマさんと共にいる。
そしてちょっと怖くなってきたと口にするリク。

ちゃんと向き合わなきゃ。
ここを出たら・・・ちゃんともう1度・・・行かなきゃな・・・
おじさんが待ってるのは、きっとあそこしかないから。鬼道院をぶん殴りに行く前に。

もはや脱獄に際しての恐れなどなく、その先を見据えているリク。
うーむ、さすがはリーダー。こういった精神性は本当に見習うところがある。
一時は絶望しかけたこともあったわけだが、立派になったものですなぁ。
そのように立派に成長できたのも、隣に立つレノマさんの存在が大きいと思われる。
そのレノマさんにリクは言う。今夜この壁を越えて、まだもう少し。東京に・・・着くまでは・・・

俺たちシャバに出てもダチだよな
俺は・・・鬼道院をぶん殴っておじさんの仇を討つ。
オメェは寿司食ってでけえ風呂に入って大きなバイクに乗るんだったよな。また会おうぜ

ふうむ。ダチであることはもう言わずもがなと思いましたが、鬼道院との戦いに関しては巻き込むつもりはなさそうであるか。
求めたならばレノマさんも最大限の協力を約束してくれるでしょうが・・・
まあ、脱獄前の今する話ではありませんわな。なのでレノマさんもただ一言こう返す。

死ぬんじゃねえぞ。バイクの後ろに乗っけてやる

やはりいい感じの2人。最後の決めゴマもこの2人は揃って描かれることとなります。
この脱獄はこの2人が揃った時に始まったわけですからねぇ。納得の決め方でありましょうか。

これで締めかと思いましたが、ここにもう1人。
脱獄を狙いつつ、もうひとつの思惑を果たそうとする人物がいた。沢田だ。

ついに来た!!この時が・・・あいつが意気揚々と希望に満ちたその時が!!
あいつがもっとも死にたくねえ瞬間が!!
見てろ。どこかで!!必ず仕留めてやる!!

腕の中に刃物を突き刺して隠し、その機会を虎視眈々と狙う沢田。やはり諦めてはいませんでしたか。
例えワイヤーが失われていようとも、その意志は揺るいでいない様子。
さてさて、上手くいくのかどうか。
田中一郎としてはむしろ沢田には脱獄すらさせないという想いでいるようですが・・・どうなりますか。

それぞれの想いと思惑がある中、日は暮れて月が姿を現す。
今宵は満月。明るさは脱獄に向いているとは言い辛いが、意気を高める意味では絶好と言える。

行くよおじさん。ついに脱獄開始だ

ついに始まる脱獄本番。
果たして全員が生きて脱獄できるのだろうか?
何のトラブルもなしでってわけにはいかないだろうが・・・注目であります。



第169房 飛翔  (2014年 38号)


満月よ、未来を照らせ。囚われし九人、自由への挑戦。
今宵、脱獄始動

一大決戦となるこの回はセンターカラー&大増ページで送られることとなります。
ついに決行の日の夜。看守が通り過ぎた所で一斉に起き上る。ババッ。
そしてまず手錠を外し、天野と周龍でひとつにまとめ上げる。
その間に素早くレノマさんたちは下へと降りる準備にかかるのだが・・・ここで早速問題発生。

あかん。まだ・・・手錠のやつが外れてくれよれへんねや・・・!!

やっぱり全てがすんなりとはいかないか。史郎さんは人一倍手がでかいだけにこういうこともあり得る話ですわな。
しかし、それでも事前に外すところまでは行ってたはずだし、外れないことはない。
なので松尾が後ろから史郎さんの腕を固定し、レノマさんが蹴り上げることで手錠を吹っ飛ばす。
こりゃ痛そうでありますが、文句を言っている場合じゃないので我慢してもらいましょう。

いくぞ!ついに!ついにこの時が来たんだ!!

時間が惜しいので、ロープを一気に滑り降りる一行。
うっかり手を緩めればその速度のまま真っ逆さまである。
思わず目を閉じてしまうリクであるが、ちゃんと史郎さんが中から引きずり込んでくれたので安心安心。いややっぱり怖そうだなぁ。

備品室まで移動したところで次はグライダーの準備。
しかしまだこの備品室には全員メンバーは集まっていない。
天野と椿の2人だけ324房に残り、何かを仕掛けようとしている。
次の巡回の看守がやってきたところで苦しそうな悲鳴を上げる天野。
手の甲を食い破って出血し、それを口の周りに塗り付けることで吐血したかのように見せかける。こりゃ怖い。

視察委員も来ていることだし、囚人とはいえ病人を蔑ろには出来ない。
そのため、うっかりカギを開けて中に入ってきてしまう看守。
その顎に向けて、物陰に隠れていた椿のストレートが襲い掛かる。うーむ、実に鮮やか。
そしてカギを奪った椿は隣の房へと急ぐ。
ああ、そういえば田中一郎と沢田は隣の房でしたな。備品室に行くには324房に行かねばならないし、こうせねばならないわけか。
しかし椿が廊下に出た姿はバッチリ監視カメラに映ってたりするんですよね。
行きは見逃していた看守であるが、帰りはどうか・・・
まあ無数の監視カメラだし見逃すこともあり得るでしょうが・・・割と賭けの部分が大きいですな、ココ。

325房の脱獄とは関係ない面々は縛って放置する。
ところで沢田、ここに残した俺の手下に殺されたくなければ騒ぐなよとか言ってるけど、手下なんていたのか?
まあ、ハッタリの可能性はありますけどね。この場は脅しておくのが正解でしょうさね。

てなわけで、脱獄ナインが備品室に勢ぞろい。そして――

リク。いよいよ鳥になる時だ!!

墨で浸したのか、真っ黒な服。顔にも黒いものを塗り付け、夜間迷彩の体を取る。
そして背中のグライダーも当然の様に真っ黒であります。
さあ、後は滑走路を掛けて飛び立つだけ!!
その板を継ぎ合わせた滑走路をリクと沢田を除く全員が必死に支える。

本も何回も読んだ。イメージトレーニングもした!みんなと練習も繰り返しやった!
できる・・・俺はできる・・・!!

しばし集中。そして振り返ったリクに迷いはない。
みんな、行ってくると一声だけかけ、翼を開き駆けだす。そして・・・夜空へと飛び立った!!

強風に煽られそうになるリク。
まずはこの第一段階を突破してもらわなければ、次に進むことが出来ない。
何としてもリクには成功してもらわなければいけないわけですが・・・果たしてどうなるか。
まあさすがに完全失敗ってことはないでしょうけども・・・ハラハラしそうですなぁ。



第170房 越境  (2014年 39号)


破獄開戦!!
この日のために作り上げたハンググライダーで夜の闇へと飛び立つリク。
しかし早速強風に煽られ体勢を崩している。
そして・・・斜めに急降下していくリク。凄い速さで地面へと向かっていく。

なんで!?なんで降下してんだ!!こんなに風もあるのに!!
まさか故障!?うそだろ!!

焦るリク。送り出した連中は心配しながらもただただ見守るしかない。

リクの状態は事前に危惧していたことのひとつである。
すなわち慣れない高所の景色に驚き、吸い込まれるような錯覚に陥ると上体が前のめりとなる。
すると機体の先端が下がり、翼は揚力を失って下降する。今のリクはまさにその状態となっているわけだ。

上げろ!もっと顔を上げろ!胸を張れ!腕を伸ばし空を見ろ!前を見ろ!!

事前の練習で学んだことを思い出せと念じる田中一郎。
その願いが通じたのか・・・見事に体勢を立て直したリク。
胸を張り、前を――遠くを見据えている!!おぉ・・・

あやうく刑務所から伸びるサーチライトに飛び込むところでありました。
いや、このサーチライトを避けるために動いたのが功を奏したのかもしれませんな。
真っ直ぐ落下するのを避けようと体を起こすことで自由の翼を手に入れたというわけだ。良かった良かった。

見えた・・・あれか・・・刑務所の再東端!1番外側の壁!!
あんなに高くそびえ立ってたやつが・・・あんなにも敵わないと思っていた壁が・・・
ざまーみやがれ!!

ついに刑務所の敷地を超えるリク。ある意味この瞬間だけでも刑務所からの脱獄はなったといえる。
まあ、この島から出るところまで行かなければ完全に成したとは言えないんですけどね。

というわけで、作戦通り神木さんの待つ地点へと飛んでいくリク。
少し危うい所はありましたが、見事にやってのけましたな。
そして色々と助けてくれていた神木さんと初顔合わせ。
共に語りたいことはあるでしょうが、今は時間が惜しい。動き出さなければいけない。

GPS付きの手錠はこれからダブルドラゴンクロスの面々により各地に散らばっていくこととなる。
そしてリクは本命の脱出経路を使うためにロープに吊るした滑車で再び刑務所に戻る。
さあ、ここは力自慢の男たちの見せ場だ。急いで急いでリクを引きもどせ!!

現在0時23分・・・324房に次の巡回が来るのが0時30分。
巡回に来た看守は324房に拘束された看守を発見。
脱獄発生を司令室に通報するとともに真っ先にとる行動は・・・窓から外を見るはず!その時もしも・・・
回収中のリクを発見されてしまえば「全員ロープをつたい外へ出た」というギミックは破綻し、GPSでの陽動も無意味となる。
だがあと7分もある!リクを回収し終えるには充分!!完璧だ!!

うむ。完璧・・・完璧か・・・
驚くほどに完璧なフラグを立てているようにしか思えないんですが・・・
そう、そのフラグ立ての効果は即座に発揮されることとなる。
リクを運んでいた滑車が壊れ、外れる。落下するリク。うああぁ!!
ロープで体を固定していたので落下自体は止まるが、もう滑車は使えない。
頑張って引き上げるしかないわけであるが、巡回が来るまでは後2分しかない!!

まずい!!このままでは間に合わん!!

完璧と言った直後にこのトラブル。
順風満帆に行くわけはないと思っていたが、本当に高速のフラグ回収でありましたなぁ。
しかしその田中一郎が今度は間に合わん!!と言ってくれたので逆に何とかなるのではなかろうか・・・!!
いやまあ、いい予感よりも悪い予感の方がずっと当たりやすいものですし、そう簡単には行かないでしょうけどね。
さてさて今回のトラブルはどのように回避することとなるか・・・注目であります。



第171房 覚醒  (2014年 40号)


早速のトラブル発生!!
滑車が壊れて備品室の窓から宙吊りになるリク。看守の巡回が来るまで時間がない。急いで回収しなければ!!急げ!!

必死に男たちが巻き上げ作業を行っている頃、324房に予定通りの時間で看守到着。
このもぬけの殻の惨状を見て、慌てて司令室に脱獄を告げることとなる!!
駄目元で布団を正して全員分の頭部オブジェクト設置するとかは駄目だったのかなぁ。まあ隣の房で確実に気付かれるか。

田中一郎の読み通り、切断された鉄格子に注目。
そのまま外の様子を観察する看守。
324房から下に向けてのロープ。そして備品室から伸びるロープを見て脱出経路を確信する。
ふーむ、この辺りはまさに田中一郎の想定通りでありますな。
で、リクはというと・・・どうやら危ない所で巻き上げが間に合った様子
ふー。トラブルこそ発生したものの、大事には至らなかったようですな。危ない危ない。

とはいえ息をついている暇はない。もはや脱獄は発覚している。動いて行かなければいけない。
次はダクトから更衣室だ!!

脱獄組が動き出す中、看守たちも慌ただしく動き出す。
司令室から脱獄発生の報が鳴り響き、極楽島特急刑務所が目覚めだす・・・!!

極楽島全所員に告ぐ!!脱獄発生!!脱獄発生!!
全所員緊急配備!!厳戒態勢レベル4!!

鳴り響くサイレン。いよいよ本格的な戦いが始まる感じでありますな。ドキドキするなぁ・・・

司令室では相変わらず看守たちが慌ただしく動き回っている。
と、そこにごっつい体つきの寺嶋副司令室長が登場。
この人、田中二郎が攻め込んできたときに迎撃してた人か。久しぶりの登場ですなぁ。

さて、厳戒態勢ということで、まずは全囚人の電子手錠がロックされる。
他の囚人は寝ているだけだからいいけど、炊場で働いている高木さんたちにしてみれば大変ですわな。
そして手錠のGPSを確認。外に出て動いている9つの反応を認識する。

馬鹿めが!この小さな島ではどれだけ猛スピードで逃げようともしょせん袋のネズミ!
せいぜい束の間のドライブを楽しむがいい!!
追えぇい!!ヘリもだ!!極楽島航空第3部隊全機出撃ぃぃ!!

ノリノリで指示を出す寺嶋副司令室長。嬉しそうだなぁ。
まあ残念ながら全て予想された通りの行動であるんですけどね・・・フフフ。

追いかける連中だけではなく、備品室で脱獄の痕跡を調査する班もやはり存在する。
のんびり備品室に留まっているわけにはいかず、急いでダクトに入り、更衣室へ行かなければいけない。
しかし、リクを回収した時の滑車とロープも隠しておかないと動きが発覚しかねない。
そのおかげでここでもギリギリの状態になってしまう脱獄組。
まあ気づかれなかったからセーフではありますが・・・分担忘れてるレノマさんも相当焦ってますな。

ハンググライダー関連の本を置いておくことで、手作りの機体で飛び立ち、繋いだロープで外に出たと思い込ませることに成功する。
よし、これで看守たちの目は外に向いた。
神木さんたちがGPS付きの手錠を巧く運んでくれれば相当時間を稼げる。
トラブルはあったが、どうにか上手くいきそうだ・・・なんて思ったりしたわけですが・・・・・・

こすれた跡・・・ロープの擦れかす・・・

内海というメガネの看守がわずかな痕跡に気付いてしまった。
むう。トラブルを無事に回避したと思ったら痕跡が残ることになってしまいましたか・・・
看守も数が多いせいか時折こういう勘の良いのが現れて困る。
さてさて、内海看守はどう動くのか。推測は出来なくはないだろうが・・・すぐに正解まで行き着くかどうか。怖いなぁ。



第172房 追尾  (2014年 41号)


備品室からダクトを這い、更衣室へと向かう脱獄ナイン。
さてさて、今のところ脱獄は順調に行っているといっていいんですかな?

さっきのヘリの音を聞いただろう。陽動作戦は成功してる。完璧だ
ただ、滑車が壊れたことはだけは想定外だったがな。

田中一郎の言葉はフラグになりそうなのでこの完璧発言は怖い!!
と思ったが、想定外の部分もありましたと認めてくれたのでひょっとしたらフラグも立ちきらなかった可能性があります。
現に、リクを引き上げる際にこすれた部分に注目している内海看守であったが、追求まではすぐに出来ずにいる。
内側まで引き込んでいるところまで見事に読んでいるが、確信を抱くには時間が足りなかったようですな。ふう。

外に逃げて行ったと思い込んでいる極楽島側は看守総動員で追跡体勢に入っている。
これだけ皆で移動しているとなると、別のところに行こうとしている脱獄ナインは怪しまれないだろうか・・・
そういった危惧はありますが、今言っても仕方がないですわな。
とにかく急いで着替えて目的地に向かわなければいけない。

ちなみに史郎さんの看守服は第26木工場の担当刑務官であった北島看守部長のもの
北島さんは極楽島の看守としては珍しくいい人でしたからなぁ・・・史郎さんとしても慕っていた部分がありそうだ。

ともあれ、全員着替え終了。
さすがにこの格好だと田中一郎の顔のキズは目立つなぁ。逆にレノマさんは髪や入墨が隠れて目立たなくなってる感じである。
それにしてもふくらみに余裕のある帽子で良かったですなぁ。リーゼント組にとっては。

さて、椿が先導して非常階段へと向かう脱獄ナイン。
途中追跡に向かう看守たちとすれ違うが、看守たちは外に出た脱獄者のことで頭がいっぱいの様子。ふむ。
これは上手くすればそのままいけるかもしれませんな。今のところは・・・

追跡班が極楽島を出たところで神木さんは手錠の一組をラジコンヘリに括り付けて飛ばす。
これで島の外にまで出て行き、極楽島側の空の目を引き付けようという算段である。
案の定、GPSで動きを監視していた寺嶋副司令室長は海岸を超える反応に驚きの表情。うーん、いい反応だ
もしや航空機を手に入れたのかと大慌てで全てのヘリを陽動とも知らずに向かわせてくれます。

ボス・・・作戦は成功しましたよ

感慨深げにつぶやく神木さん。
うむ、さすがにこの場面でトラブルは生じなかったようですな。良かった良かった。
だが、トラブルは連鎖しなくても、一つ生じていればそれで十分となることも有り得る。
追跡に向かった内海看守であったが、備品室でのことは頭から消えていなかったようだ。
更に航空機で逃げたGPSの反応が1つだけなのも気にかかっている。なぜ全員で逃げずに1人だけ・・・と。

不自然だ。俺たちは何かを見落としているんじゃ・・
あのロープを引き込んだ跡・・・引き込んだ・・・何を引き込んだというのだ!!
まさか・・・人を・・・!?

そこに思い至り、踵を返す内海看守。
うーむ、これは厄介なことになってきましたなぁ。
一度外に出ているし、ある程度の時間は稼げているが・・・どうなるか。
看守はエレベーターも使えるし、非常階段を登るのに時間をかけていると危ういかもしれない。
備品室に戻った内海看守がダクトが使われた形跡に気付いたりしたら・・・ううむ、どうなりますかなぁ・・・
とにもかくにも、急いでいただきたいものであります。



第173房 推測  (2014年 42号)


自身の直観、気付きに突き動かされ建物内に引き返す内海看守。
エレベーターに乗っている間にその想いは段々と確信へと変わりつつある様子。焦れる。
急いで備品室へと向かい、自分の仮説を証明する証拠を探す。

あるはずだ!!あるはずだ!!俺だったらどこに隠す・・・

切れ者同士、考え方は似通ってしまうのか。
普通に探していたらまず見つからない隠し場所を探り当てる内海看守。
いやあ、これはまた手間のかかりそうな隠し場所ですなぁ・・・田中一郎が出遅れるはずですわ。

リクを引き上げるために用いたロープが物証として発見されてしまう。
こすれた跡、車輪の壊れた滑車。輪の大きさ。
それら全てが人を引き上げたことを示している。推論は正しかったのだと確信できる!!

と、いうことは・・・

更なる証拠を集めるために、後輩に連絡を入れる内海看守。
後輩がいたのは脱獄のスタート地点である324房。
用があるのはその隣の325房の囚人たちである。
ああ、なるほど。残された囚人たちに手錠を外したりしてないか聞き出せと指示したわけか。
最初、その指示を聞いた後輩は怪訝な表情。あれは極楽島の難攻不落神話の根幹であると述べる。
が、実際に325房の囚人に尋ねてみた時の反応を見ると・・・まさかと思わせられる。

325房の囚人は、余計なことを喋ったら沢田の手下に殺されると怯えている。
が、実のところ沢田に手下などいない。もともと一匹狼の殺し屋であったのだから。
そう看守に暴露されてしまい・・・ついに手錠は事前に外せていたことが明るみに。
うーむ、もっと時間を稼ぎたかったのですがなぁ・・・やられてしまったか。
口止めしていたとはいえ、他の囚人たちの前で手錠外しなんてするべきではなかったかもしれませんな。
逆に言うとそのような迂闊なマネを田中一郎が何故したのかと深読みできなくはないですが・・・さてはて。

これで俺の仮説は確定だ。しかし・・・俺たち看守が慣れ切っているスキに・・・奴らなんと入念な準備を!!
ここは80階。屋上95階まで15階。奴らは何分前に備品室を出た!?今・・・奴らはどこに!?

着替えの時間はあったものの、調べている間に遠くに行っている。
そう期待したのですが・・・実はどうやら途中で足止めを食っている脱獄ナイン。
独居房の囚人が暴れ、それに対応している看守。
一本道なのでやり過ごそうと部屋に隠れたが、なかなか看守が離れないので困っている。
なるほど。追従暴動を起こさせないために各階に1〜2名の看守は必ず残るようにしているのか・・・
レノマさんの言うようにぶん殴って進んだらいいんじゃないかとも思うが、監視の目も厳しくなっているから無理か。うーむ。

そうこうしているうちに、内海看守は寺嶋副司令室長に連絡を取る。
むう、個人で追うのであればどうにかなるかとも思ったが、しっかり上に報告してきましたか。
脱獄犯9名は外ではなく中にいる
これを最初は戯言と切って捨てようとした寺嶋副司令室長。
しかし手錠を外しているとの情報を聞き耳を傾けだす。むむ、意外と冷静な・・・

内海看守は屋上の視察委員のヘリを奪って脱出するところまで見抜いている。
そのロジックをきっちりと寺嶋副司令室長に説明する。
結果・・・監視カメラを中へと切り替え、非常階段付近を注視するようになる。そして・・・

いたぞー!!

よもやの早さで見つかってしまった脱獄ナイン。
これは・・・これは・・・もうどうしようもないんじゃなかろうか・・・?
上手く突破して視察委員のヘリを奪ったとしても、そこから先がどうなるか。
手錠のGPSは囮であると判明してるし、飛ばしていたヘリは直ぐに戻って来るでしょうし・・・船まで逃げ切れる気はしないなぁ。
せめてもう少し気付かれるのが遅く、既にヘリまで辿り着いていたのならばまだ逃げ切れる目はあったのでしょうが・・・ううむ。

絶望的な状態。
これは一度失敗して捕まる流れでありましょうか?
射殺も考慮しているが、まずは生け捕りを考えているようですし、とりあえず死なずに済む可能性はある。
そして例のケシ畑栽培のZ棟に送られ、今度はそこからの脱獄を考える・・・とか。
まあ、時間が経過すれば鬼道院の作戦が発動して自動的に外に出られるのかもしれませんが・・・うーむ。

看守の数が多いと切れ者の1人や2人はいるものです。
原田看守の時のようなラッキーが起きればとも思ったが、寺嶋副司令室長が無能というわけでもなく・・・やられましたなぁ・・・

一体どうなってしまうのか・・・とても不安です。



第174房 逆転  (2014年 43号)


ようやく非常階段に辿り着いた脱獄ナイン。
後はこれで屋上まで登り、ヘリを奪うだけ。だったのだが・・・

全所員に告ぐー!!脱獄犯9名は現在刑務所の中ー!!
非常階段フロア81付近に潜伏中!!全所員は次の命令まで待機せよ!!

巨大刑務所内に響く寺嶋副司令室長の声。
もちろん脱獄ナインにもその声は聞こえており・・・激しく動揺させることとなる。なんでバレたんだ!?
どうすればいいんだと焦り出す松尾たち。
そんな時、真っ先に指示を出すのはレノマさん。
捜索に出た看守たちの大群が戻ってきたら一巻の終わりだ。駆け登れ!!敵は突破する!!と宣言する。
うーむ、さすがのリーダーシップ。頼れるボスですな。

一方、田中一郎の方は頭の廻る大人であるのだが、それ故に立ち止まってしまう。
どこでしくじったのか・・・思わずそれを考える田中一郎。
確かに顧みることは必要である。それが万が一の突破口になる可能性もあるのだから。
だけど、今は考えている場合ではない。動くべき時、走るべき時である。

急いで駆け上がる9人。現在は86階。屋上まではあと10階である。
結構な階数であるが、走れば外からの看守の大群よりは先に屋上につくか・・・?

さて、寺嶋副司令室長は非常階段付近の配備の様子を確認。
建物内には所員が各階2名ずつ。それ以外は敷地内、または外を捜査中とのこと。
そんな中、本来は外の捜索に回るはずだった内海看守が走り回っている。ダダダダダダ。
ふむ、副司令室長に褒められたのが嬉しいようですな。しかし――

高官の副司令室長が俺の名前を覚えてくれた!!俺が陽動を見抜いたからだ!!俺の手柄なんだ!!

昂る内海看守。こうなれば更なる手柄をと考える。
後輩を1人誘い、俺たちの手で脱獄犯を捕まえるなどと言い出す。ほう・・・!?
待機命令を破ってまでのその行為は果たしてどういう結果をもたらすのか・・・

脱獄ナインは89階にまで到着。
息をつく間も惜しいだろうし、このまま速度を緩めることなく屋上まで辿り着きたい。が――

非常階段に潜り込んだのが運の尽き。存分に怯えろ。
地上1階を除き屋上まで!!非常階段出入口を強制モードにて遠隔ローック!!

指示を受け、非常階段出入口の扉がロックされる。
丁寧に派手な音を立てて施錠される扉。走っていた9人もすぐにそれに気付く。
そう・・・この非常階段に閉じ込められたのだ・・・!!

強制モードでロックされた扉は、お前らも持つマスターキーにも反応しない。つまり・・・THE END
地上にいる所員は1階から非常階段を上り、下から追いつめろ!!
さらにエレベーター定員の30名は屋上に急行!!万が一に備えよ!!

万全の指示を出す寺嶋副司令室長。
裏をかかれ、怒り狂っているのかと思いきや、なんとも冷静な包囲網である。
このほっと一息ついた感じの表情・・・危なかったという自覚があった証拠ですな。
怒るよりもどうにか自分の役目を果たすことが出来そうだと安堵する。これはなかなかやる人ですなぁ・・・うぬぬ。

追いつめられた脱獄ナイン。
最後に頼るのは田中一郎の策。この男ならば何か思いついてくれるのではないか。藁にもすがる思いで尋ねる。のだが・・・

策は・・・尽きた・・・

絶望的な宣言に、絶望的な表情を見せるリク。
脱獄直前に見せていた凛々しい様子は欠片もありません。ううむ・・・辛いな。

万事休すと言っていいこの状態。どうにかなるのだろうか?
意外と沢田が冷静っぽく見えるのが気になるところだが、何かあるのだろうか?
実はワイヤーの他に体の中には爆発物が隠してあり、扉を吹き飛ばすことも1度なら可能とか。
そういえば、解錠はマスターキーでも無理と言っているが、ぶち破ることはできないのだろうか?
さすがに刑務所の扉が簡単に破れるほどやわではないと思うが・・・これだけのパワーファイターがいるならばあるいは・・・

あと気になるのは内海看守の動きですな。
今でも十分な手柄なのに、更なる手柄を焦って墓穴を掘る予感。
ただどう掘るのかは分からない。自分で捕まえるとなると、途中の扉を開けることとなるわけだが、出来るのか?
司令室側で操作しなければ個別の解錠も難しいでしょうし・・・ううむ?

どんどんと広がる絶望的状況。どうなるのか・・・注目です。



第175房 終幕  (2014年 44号)


出口は全て塞がれ、そのうえ下から武装した看守が大挙して追い詰めにかかってくる。
この絶体絶命の状況。脱獄王に挽回策は・・・無し

万策尽きた。脱獄王は言ったのだ。我々は"敗北"したのだと・・・
アオリまで絶望感を引き出してきております。やばいなぁ。

ただ、先回りするためのエレベーターが動いていないという良い情報もあったりはする。
諦めずに進み、どうにか扉さえ破れれば可能性はあったのかもしれないが・・・ううむ。
でもこのエレベーターが動かないことが何か事態を好転させる伏線であるかもしれませんな。そうであって欲しい。

追いつめられ、早くも涙目となっている天野。
ヨロヨロと手すりに寄りかかる。
その背中をいきなり蹴りつける周龍。な、何をするのか!?
よもや周龍がいきなり暴れ出すとは・・・と驚いてみたら、そうではなかった。
階下から銃で狙われていることに気付き、咄嗟に天野を蹴り飛ばして救った周龍。おぉ。
しかしその結果、自分が撃たれることとなってしまう。右肩をやられた・・・!!おぉ・・・

動くな!!動けば今度は腕のケガでは済まさんぞ。

撃ってきたのはやはりの内海看守。
どうやって入ったのかと思ったら、ロックがかかる前に非常階段に来ていたのか。なるほどなぁ。
そして先走ったことを寺嶋副司令室長に謝る内海看守。分かってて踏み込んだくせに。
しかしそのことを察していながら内海看守を咎めない副司令室長。なんだかカッコイイな。

内海、俺は今極楽島赴任史上最も感動している。
花を持たせてやる。ドラマチックに仕上げろ

ポーズを決めてそう語る寺嶋副司令室長。
それに応えるように、ヘルメットを外して雰囲気を作る内海看守。
ここぞとばかりに決めて来やがるなぁ・・・ここの看守はこんな奴らばかりか!!

絶望的な気分となっている脱獄組に対し、かなりいい気になっている内海看守。
得意気に何故気付くことができたかの解説を行う。
ふむ、これは田中一郎としては有難いことですな。何も分からないまま捕まるよりは反省が出来る。
いやまあここで捕まってしまうのではあまり意味のないことかもしれませんが・・・

悔しさで絶叫する田中一郎。
諦めの色を見せて佇む史郎さんやレノマさん。
そしてまらリクもここで終わってしまったのだと倒れ込む。

おじさん・・・ごめんなさい・・・

不屈の魂もついに潰えてしまったのか。
このまま内海看守に捕縛されて脱獄の夢は露と消えるのか。
ヘリの運転手である周龍が撃たれ、ますますこれは無理だという感じになっています。
希望があるとすれば、今回全く姿を見せていない沢田の存在でしょうな。
単身その身を晒す内海看守を上手く襲って人質にできればあるいは・・・?
一応後輩に銃で狙うよう言っている内海看守。しかし指示待ち人間っぽい後輩看守が上手く動けるかどうかは怪しい。
ふうむ・・・人質作戦。ひょっとしたらこの窮地を凌ぐ作戦になるかもですな。
まあ副司令室長はそうなったら内海看守を切り捨てる方で行くでしょうが・・・ううむ、やはり厳しそうだ。どうなってしまうのか。



囚人リク 21巻


第176房 慟哭  (2014年 45号)


祝福されたかのように脱獄の日は満月であった。
しかし今、その満月は暗雲に覆われている。リクたちの未来を示すかのように・・・

魂の抜け殻。無上の沈黙。降伏の時間は舞い降りた

絶望的な気分に浸るリクたち。
おじさんの敵討ちどころか、このままでは一生刑務所に閉じ込められることとなる。
そう考えるとどうにも涙が止まらない。まさしく絶望ですな・・・

座り込んだリクたちのところにゆっくり近づこうとしている内海看守。思ったよりも距離ありましたのね。
そのゆっくりとした歩みの内にもリクの悲しみは膨らむばかりである。
ううむ。思えば隕石が落ちてからは本当に辛く、悲しいことばかりでしたわなぁ。

さすがにリクの不屈の闘志も燃え尽きたかと思える。
そりゃあまだリクは年端もいかない子供ですものねぇ。
駄々をこねて暴れてもおかしくない年齢である。それなのに・・・

ふまれても、ふまれても、立ちあがる心

実に久しぶりに浮かんだこの言葉。
おじさんが最期に残したこの言葉を背負ったリク。
どれだけ悲しい目に辛い目にあっても捻くれたりしないリク。泣きながらおじさん大好きだよおぉ!と叫ぶ。

おじさんは最後まであきらめなかった・・・鉄砲向けられてんのに・・・あきらめなかった・・・
俺だって・・・俺・・・だって・・・俺だって・・・!

怯え、竦みそうになる足を無理矢理に動かすリク。
しかしそれはさすがに無謀。この状況だと子供であっても容赦なく撃ち殺される可能性が高い。
だから止めるレノマさん。ここでじっとしてろと述べる。
が、じっとしてるだけなんていやだ!!と吠えるリク。
ううむ、やはりこの男は折れませんなぁ・・・かんしゃくを起こしているととれなくもないが、それ以上の意志が見て取れる。
その不屈の意志はこの男――椿にも影響を及ぼす。俺だって・・・じっとしてるのは嫌だ

何が出来るわけでもないが、じっとはしておれず立ち上がる椿。
だが、それによって何かを思いついた様子。おぉ・・・?

美雪・・・兄ちゃんに少し力を分けてくれ

そう願い、手すりを飛び越える椿。な・・・何を!?

ここに来て椿が予想外の動きを見せだした。これは一体何を意味するのだろうか?
単なる身投げでないのは間違いないでしょうが・・・ううむ?

飛ぶ前に屋上の構造について話している椿。
何だろうか?ここから屋上まで上がれる秘策でも思いついたのだろうか?
止まったエレベーターの上に張り付くとか。非常階段からは離れた所にあるはずだし、それはないか?
分の悪い賭けっぽいが、上手くいけば起死回生となるのかもしれない。
椿の活躍に期待したいが・・・果たして無事で済むかどうかですなぁ・・・怖い。

それはそうと、今回も沢田の姿が見えませんな。
これがステルスデビルということか!?ワイヤー失ったから改名もやむなしですな。
椿の行動と沢田の不在はリンクするのか・・・気になるところであります。



第177房 挺身  (2014年 46号)


絶体絶命の状況の中、リクの闘志に感化された椿がネクタイ片手に飛ぶ!!
ああ、なるほど柱を滑り降りるためにネクタイを使おうとしたわけですか。

中央の柱を使って滑り降りるのは非常階段を視察した時に話に出たことがあります。
しかし下には無数の看守がひしめいているはず。一体どうしようというのか・・・

椿の狙いは狙撃のために狙いをつけていた遠山看守。
回転しながら高速で滑り降りてくる相手を狙い撃つの難しいでしょうな。
反応にも困っているうちに、頭を蹴り飛ばされる遠山看守。判断が遅いぜ!!

判断の早い内海看守は即座に椿に狙いをつける。
が、撃たれるよりも早く気絶した遠山看守の体を盾にする椿。そして叫ぶ。

リク!!お前がいなけりゃあきらめるところだった。
やっぱりお前はたいしたリーダーだよ。
受け取れー!!

叫びと共に放り投げるのは遠山看守が所持していた2つの手榴弾
それをレノマさんと田中一郎の両名がキャッチする。

田中さん!屋上は!唯一窓がある!!あそこなら・・・その手榴弾で爆破できる!!
早く屋上へ!!エレベーターの別働隊に先回りされたら終わりだぞ!!

なるほど。事前に語っていた屋上の話はこう繋がるわけか。なるほどなぁ。
エレベーターの看守たちももたついているようだし、ひょっとしたら間に合うかもしれませんな。
しかしリクたちが間に合っても椿は・・・
当然一人だけ置き去り何て認められないリク。椿を助けに行こうとする。
が、それを止めるレノマさん。

わかんねえのか。あいつの男をムダにするな
今、俺たちがするべきは屋上を突破し、ヘリを用意して・・・あいつが戻ってくるのを待つことだ。

レノマさんとしても苦渋の決断。
だけど仲間の行為をムダにするのは許されない。
ボスとして、男として。瞬時にハッキリした決断を下すことが出来る。やはりレノマさんは頼もしい。

さて、椿のおかげで復活しつつある脱獄組。いや、元を正せばリクのあきらめの悪さが着火点となっている。

実に余計なことを!!

唇を噛み締める内海看守。おぉ、悔しそう悔しそう。
追いつめたはずが囚人に武器を与える結果になったわけですものねぇ。ハハハ。

屋上へと駆け上がるリクたちを撃とうとする内海看守。
しかしそうはさせじと椿の射撃。うむ、これでリクたちの足を止める者はおりませんな。
出来れば不意を打った今の一射で内海看守を戦闘不能にしておきたかったものですが・・・椿・・・

美雪・・・こんな所で俺は死なない!必ず!!戻ってみせる!!

さすがにリクに感化されただけあり、椿も不屈の闘志を抱いている。
この闘志があれば内海看守を打ち破って追いつくこともひょっとしたら可能・・・か?
どうでもいいが内海看守。今時こやつとか言わないですよね。ハハハこやつめ。

希望の見えた脱獄組。
しかしエレベーターも動き出している。故障したわけじゃなかったか・・・
屋上まで辿り着くのは時間の問題であるが果たして間に合うのか。
本当に手榴弾で屋上への道は開かれるのか。ヘリは無事に手に入るのか?操縦は出来るのか?
何よりも椿はちゃんと合流できるのか?うーむ、気になることばかりですなぁ。怖いが楽しみだ。



第178房 跳躍  (2014年 47号)


椿を残し、屋上へと急ぐリクたち。
心残りではありますが、椿ならばきっと追いついて来る。そう信じて今は道を切り拓いておくしかありますまい。

さて、詰みの体勢に入ったはずなのに逃しそうになっている内海看守。焦りが見えます。

くそ・・・あと少し・・・あと少しだったのに・・・栄光まで・・・我が栄光まで・・・!!

まさに捕らぬ狸の皮算用。
事を成す前に欲を見せてしまうのはいけませんでしたな。
その栄光が手の届くところまで来ていただけに、悔やむ気持ちも大きそうだ。

冷静さを欠いている様子の内海看守であるが、さすがに正面から撃ちあうのは得策ではない。
椿も銃の心得があるわけじゃないですしねぇ。
いや、ひょっとすれば撃ち貫くのは不可能ではないかもしれない。
だがそれは内海看守の命を奪うことであり、それはリクの考えに反することでもある。

というわけで、奇策に出た椿。
階段の高低差による死角を利用する。なるほど、靴を脱いで留まっているように見せ、実は壁際を駆け走っていたわけか!!
まるで忍者のように駆け登り、さらには中央の柱を蹴っての三角跳び
予想もしないタイミングで予想もしない方向から迫る椿。こりゃスゲェ。
跳び蹴り一閃が決まり・・・内海看守は銃を撃つ間もなくダウンするのでありました。
うーむ、ボクサータイプのはずの椿だが、蹴りも見事なものですなぁ。

さっきまで・・・さっきまでうまくいってたのに・・・

鼻が折れたのか、盛大に血を流しながら呟く内海看守。哀れなものだ。
その内海看守を見下ろす椿。
しかし椿の目にはあざけりの色は無く・・・むしろ心配している感じである。
うーむ、リクに会う前の荒んだ椿からは考えられない態度ですなぁ。丸くなったものだ。

だがその態度が内海看守の癇に障った様子。
囚人に文字通り足蹴にされ、栄光の道は頓挫。さらに心配までされたとあってはねぇ・・・
いや、だからといって・・・刺すか・・・おい・・・

お前が悪いんだぞ・・・お前なんか・・・お前なんか死刑だ

右のわき腹を刺された椿。これは・・・・・・
このナイフは看守の支給品なんだろうか?何となく私物な気がしないでもない。ヤバイな内海看守。
その内海看守を追い詰めるかのように寺嶋副司令室長の詰問。
そりゃ止まっていた囚人たちが突然上に移動し始めていたら状況も気になりますよね。あ・・・あ・・・

申し訳ございません!!反撃に遭い手榴弾を奪われました!!
奴らはそれで95階の窓を爆破するつもりです!

動転しまくっているのか、目の動きがおかしい内海看守。
それでも誤魔化しきれないことは理解しているのか、報告だけは正確に行ってますな。
そのせいで役立たずのバカもんという言葉を頂くことになってしまいましたが・・・ハハ。

武装した看守を乗せたエレベーターはまだ58階。これならばリクたちの方が早そうである。
なので寺嶋副司令室長は決断する。非常階段を切り捨て、96階のヘリポートで待ち構える、と。
その話を聞いてにわかに緊張するエレベーター内の看守たち。
既に勝負は決したと思ったところで勝負となったわけですから・・・緩みが期待できるかもしれませんな。

屋上の方は希望が見えて来た。が・・・残った椿は・・・

これより・・・死刑を執行する

怒りをぶつけるかのようにナイフを構える内海看守。
没落しそうな気配はあったけど、まさかこんなことになるとはなぁ・・・
内海看守が落ちる分には何の問題もなかったが、椿・・・・・・!!
まだ死刑が完全に執行されたわけではないし、希望は持ちたいところでありますが・・・ううむ。
希望が見えそうなところでどんどん絶望的な展開を見せられる。
やっぱり脱獄は生半可ではありませんなぁ・・・怖い。



第179房 屋上  (2014年 48号)


ダブルドラゴンクロスのアジトにて夜を過ごしている美雪ちゃん。
傍のスタンドが勝手に落ちた時、胸騒ぎと共に口にするのは兄の名前。
ううむ、嫌な予感はここまで飛んできているようですな・・・

さて、リクたちは看守のエレベーターよりも早く屋上に到着。
早速椿が奪ってくれた手榴弾を使って窓を破壊する。
側に控えていた宿直らしい担当看守ももう1つの手榴弾で黙らせる。
直撃はさせず、ちゃんと衝撃で机などを当てて無力化させる辺りさすがですなレノマさん。

急いでヘリポートへと向かう脱獄組。
その中で看守の武器を手に入れたレノマさんは一人佇んでいる。何を考えているのか・・・?

着いたぞ。ヘリポートだぁぁ!!

本来ならばここは通過点に過ぎず、ここまで喜ぶほどの場所ではなかったはずである。
それが絶望の苦難を乗り越えての到着となるとは・・・感慨深い。
とはいえここに辿り着いてもゴールにはまだまだである。ここからが最終ステージだ。

ホッとしてるヒマはないぞ!!
数十秒後には看守を乗せたエレベーターが到着する!!
30人の完全武装の看守だ。ここになだれ込まれたら100%勝ち目はない。奴らの到着を阻止せねば俺たちは終わりだ!!
周龍!!ヘリへ走れ!!エンジン始動だ!!渉は周龍をサポートしろ!
史郎と智広はヘリ用の重しを取ってこい!!

指示を出して走り出す田中一郎。目指すはエレベーター。
史郎さんたちが重しを持ってくる頃には看守の乗せたエレベーターは85階まで来ている。
ふうむ、バリケードを築いている時間もなさそうですがどうするつもりなのだろうか・・・

田中一郎はエレベーターの扉を手動で開くための装置を作動させる。
まだエレベーターが到着してない扉が開く。当然箱は眼下に存在することとなる。
その下の箱を目がけて・・・重しを放り込む!!

派手な音を立てて箱の上に落ちる重し。
結構な衝撃ではあろうが、大人数が乗れるエレベーターである。このぐらいでは壊れない。
というか壊れて落下したら中に乗ってる看守は大惨事ですよリク。
そうではなく、田中一郎の目的はエレベーターに揺れを感知させること
そうすれば地震時の防衛装置が働き、最寄りの階に移動した後はエレベーターが停止することとなるわけだ。な、なるほどー。
相変わらず寺嶋副司令室長はいいリアクションしてくれますぜ。

94階で停止したエレベーター。看守たちはフロアを抜けて非常階段を昇るしかなくなった。
これで稼げた2、3分。ヘリの準備には充分でしょうし、後は椿を待つだけとなりました。おぉ・・・

内海看守の反撃さえなければ十分に待つことの出来たその2、3分。
しかし・・・どうなっているのだろうか椿は。

妹を待たせてんだろ・・・椿!!生きてろよ!!

やはりレノマさん。椿を救うために単身舞い戻って行った様子である。
レノマさんならば椿を救い、戻ってきてくれる可能性はあるのではなかろうか。
問題はそれまでに椿がどうなっているかですな・・・怖い話だ。

怖いと言えば沢田の存在も怖い。
また姿を見せなくなったわけでありますが、レノマさんが単独行動をしてるタイミングというのが危ない。
沢田がどのような行動をしているのか・・・気になりますな。ううむ。



第180房 夜空  (2014年 49号)


田中一郎の機知によりエレベーターの停止に成功。
中の看守たちは通路を走り抜け、非常階段まで行き、そこから96階を目指さなければならない。
見事に時間稼ぎには成功した。後は椿が合流するのを待つだけである。

リクは自ら椿を迎えに行こうとする。しかしそれを止める田中一郎。
ふむ、さすがに田中一郎は冷静に仲間の動きを見ていたようですな。
レノマさんが守衛室で銃を奪って助けに行っているのに気付いていたようだ。
作戦指揮をする人間としては各々の動きの把握は重要ですし、視野の広さはさすがの一言。
ならば沢田の動きとかもきっちり把握しているのではと思ったりするのですが・・・ど、どうなん?

それはさておき、椿のことはレノマさんに託す。
どうにか無事に連れ帰ってきて頂きたい・・・

警戒しながら階下へ向かうレノマさん。
その静けさから既に決着はついていると予想される。
そんな中、手すりを掴みながら上がって来る人物がいる。それは・・・椿・・・椿だ!!!

刺された傷口を抑えながら、どうにかリクたちの所へ向かおうとしていた椿。
レノマさんの姿を見て安心したのか、その手から力が抜ける。
階段へ向けて倒れそうになる椿の体を支えるレノマさんでありました。

椿によると殺されそうになったが、どうにか反撃。
ナイフを弾き飛ばし、持っていた催涙弾を浴びせかけて無力化に成功した様子。
ははぁ、あの催涙弾ずっと椿が持ってたんですな。
エレベーターにいる看守には有効かなとか思ったのだけれども。まあとにかく窮地を脱することが出来て良かった。

刺された傷の深さに驚きながらも椿を背負ってヘリポートへ向かうレノマさん。
椿も述懐しているが、この2人の関係も奇妙なものでありますなぁ。
目を奪われ、妹と離れ離れとなった遠因はレノマさんだと思い憎んでいた椿。
しかしそのレノマさんが妹を救い保護してくれていたと知った。おかげで変わることが出来た。
変わるきっかけはリクがくれたのは間違いないが、決定的だったのは美雪ちゃんが生きていたと知ったことでしょうな。

レノマさんは述べる。俺たちはずっと変わりたがってたんだ、と。
椿は述べる。その機会をリクがくれた、と。
2人共極楽島刑務所で荒んでいた心をリクによって変えてもらった。取り戻させてもらったと言ってもいい。

極楽島も・・・まんざらじゃなかったな・・・

2人はやがて夜空が・・・星々の輝く夜空が見えるところにまで辿り着く。
シャバに続く空。妹の、美雪ちゃんと繋がっている空。椿が繋げてくれた空である。
そこを飛んでいけば望んでいた自由が、会いたい人が待っている。
その空へと伸ばした椿の手が・・・力を失い・・・落ちる・・・

安らかな、非常に安らかな表情となっている椿。
アオリや予告に死を想起させる言葉がなければまだ死んだなどとは・・・思いたくはなかった・・・

ついに犠牲者が出てしまいました。
怖い怖いと述べてはいましたが、どこかで全員無事に助かるのではないかという思いもあったりはしました。
しかしその思いが打ち砕かれたとなると・・・今後の怖さはどうしても増して行ってしまいます。
レノマさんは無事に仲間のもとにたどり着けるのか。せめて椿の遺体だけでも運んであげたいところでありますが・・・
残る面々の無事を祈るより他にありません。



第181房 哀哭  (2014年 50号)


脱出の準備を整え、椿の到着を待つリクたち。
やがてその椿を背負ったレノマさんが戻って来るわけでありますが・・・
力を失った様子で負ぶさっている椿を見て言葉を失うリク。
そしてレノマさんから決定的な言葉を聞かされる。

椿は・・・死んだ。俺の背中で。

この言葉と、綺麗な椿の死に顔を見て・・・咆えるリク。
それはそうなるでしょうな。とても穏やかに受け止められるものではない。
だが、激昂の余りにここで敵討ちに走るような真似は見過ごせない。
そうしたい気持ちは分かる。レノマさんだってそれは同じでありましょう。
しかし今それをするのは椿の行動を無駄にするだけの愚かな行為でしかない。
自身も飛び出したいのを必死に堪えているであろうレノマさんの表情。辛いな・・・

椿・・・椿よぅ・・・
おどれ・・・おどれぁ!なんちゅうきれいな顔しとるんじゃ!!

脱獄を果たせず途中で逝くこととなったのに、本当にきれいな顔をしている椿。
屈せず動いた自身の行動に後悔はないということか・・・泣ける。
せめてこのきれいな顔のまま美雪ちゃんに会わせてあげたい。そう願う。

ヘリのエンジンがかかり、もういつでも飛び立つ準備は整った。
そして看守たちもすぐ側にまで迫ってきている。
悲しみは果てしないが、椿の死をムダにしないためにも脱獄は成功させなければいけない。

涙しながら走り出す一行。
そんな中、一人狂気の刃を手に笑みを浮かべる男がいた・・・沢田だ!!

ついにこのタイミングで動き出しますか。
一人でいた時の方が狙いやすかった気もするが・・・脱獄に成功するというギリギリのタイミングを待ったということか?
でもこのタイミング。ヘリに乗れずに叩き落されるのには絶好なタイミングな感じでありますのだが・・・

沢田は確実に置き去りにすると考えていた田中一郎。
警戒できているかは分からないが、何とか防いでくれそうな気はしますな。
ただ、その結果田中一郎も犠牲に・・・なんてことにならないかが気がかりです。怖い怖い。



第182房 復讐  (2014年 51号)


椿の死を悲しんでいるだけの時間もない。
今はとにかく脱獄を成功させなければならない。その椿の行動に報いるためにも・・・

椿・・・死の間際・・・星空に手を伸ばしたお前の想い。最愛の妹への想い・・・
必ず妹に伝えてやる。脱獄を成功させて!!

そのように想いを新たにするレノマさん。決意のほどが見て取れます。
しかしその脱獄にかける想いがかえって隙を生む結果になるというのも皮肉な話。
このタイミングを待っていた沢田にしてみれば嬉しい話でありましょうな・・・

この俺のプライドを侮辱した罪を・・・痛みを・・・屈辱を・・・待ってたぜ。この時を

後ろから忍び寄り・・・凶器を振るう沢田。
瞬時に危険を理解し、迎撃を行おうとしたレノマさんもさすがでありますが・・・
やはり椿の死に動揺したのか。隙だらけだったのは本当のようですな。
左腕の上腕動脈を切断されてしまう。凄い勢いで血が噴き出し・・・止まらない。

頸動脈を狙い損ねたわけじゃねぇ。
テメェには即死なんか生ぬるい。切えゆく命の中、俺の脱獄を目に焼き付けろ。

溜まった恨みは想像以上のものがあった様子。
レノマさん自身にじゃないけど、その後色々と痛い目に遭いましたしねぇ。いやかなり自業自得であったが。
それにしてもレノマさんも沢田の考えは読めずにいたわけか・・・ううむ。

血を一気に失い、立っていられなくなるレノマさん。
そのレノマさんを蹴りつけて転がし、沢田は立ち去る。

じゃあな。脱獄・・・脱落。いや、生からの脱落か

意気揚々と去っていく沢田。うーむ、この一枚絵は厄い。
まさかまさか。沢田が目論見を完遂させるだなんて・・・予想もしませんでしたよ。正直さ。
レノマさん、もしくは置き去りにすると息巻いていた田中一郎に妨害されるものだとばかり・・・

その田中一郎はさっさとヘリに乗り込んでいる。オイ。
凶行に及んだ沢田は更に天野を人質に取って安全の確保に努める。さすがというか何というか・・・
何にしても沢田に構うよりも、レノマさんが倒れて動けなくなっている方が大ごとである。

血が止まらねぇ・・・くそ・・・意識が・・・

もはや自力でヘリに辿り着くことは不可能な様子。何と・・・
ならば救いにいかねばと飛び出して行こうとするリク。
だが最悪のタイミングで看守たちがヘリポートに到着。容赦のない銃撃を浴びせてくる。
この銃弾の雨の中レノマさんを救い出しに外に出るのは・・・不可能。

まさに最終局面というところでまさかの惨劇。
レノマさんはこのまま終わってしまうのだろうか。それはあまりにも・・・あまりにも・・・

起き上がれないほどの重体。迫る看守の群れ。
どうにかする方法が果たしてあるのだろうか。

椿のこともあるし、ある程度の覚悟はして然るべきでしたが・・・ううむ・・・
いや、それでも。いや。まだその瞬間を目撃するまでは断じることは出来ない。
可能性があるかも分からないけど・・・願うことにいたします。



第183房 食指  (2014年 52号)


沢田の報復を受けて空へと飛び立つ直前で倒れ伏すレノマさん。
看守もヘリポートに到着し、銃撃を始めている。
この状態で助けに行くのはさすがに不可能か・・・

視察委員の来島。その移動を担当したのは極楽島を管轄する警視庁・・・ならば!!

ヘリに常備されている銃の存在に気づき、応戦する田中一郎。
これならば看守の方もずっと撃ち続けているってわけにはいきますまい。
とはいえ30人はいる看守相手に銃1丁では何ともならない。弾も限られてますしなぁ・・・

とはいえ!レノマを置き去りには・・・!!

天野を人質にして早くヘリを出せと急かす沢田。
しかしレノマさんを置き去りにして行くことはできない。悩む田中一郎。うむむ・・・
一方、倒れ伏したレノマさん。体が動かず、虚ろな表情となっている。

ここまで来て・・・こんな目の前まで来て。
俺は・・・そういう運命・・・だったと・・・いうのか・・・
安息に包まれると・・・絶望の淵に落とされ・・・
温もりを手にすると・・・引きはがされ・・・
希望を抱くと・・・このザマだ・・・
これが・・・俺がこの世に生まれたことへの罰だっていうのか・・・

何とも寂しいことを考えるレノマさん。
ずっと下がりっ放しというわけでもなく、安息や希望を得た時もあるが、それをすぐに失ってしまう。
それを繰り返してきた18年。疲れてしまうのも仕方がありますまい。
だからこそ、リクが下獄した時のレノマさんは荒れていたのでしょうなぁ。
そこからリクに会って希望を抱き、立派なボスへと戻っていっていた。
そのレノマさんが・・・決断できずに迷っている田中一郎たちに道を指し示す。
出血した左腕を抑えて血まみれとなった右手を上げ、空を指差す。

行け・・・

見えなかった月が今では見える。レノマさんの示す指のバックにかかる月は希望の象徴か。
いや、しかしそれはレノマさんを置き去りにして去ることであり、そこに希望を見出すのは難しい。
気高き意志の表れと受け取ることはできるがこの決断は・・・ううむ!!

示されてもやはり悩む田中一郎。
だが看守の攻撃は激しさを増し、決断をいつまでも先延ばしできる状態ではない。
そしてついにその決断を下す。周龍にヘリを出せとの指示を出す・・・

レノマさんを置いて離陸するヘリ。ここからの回収はさすがに不可能か・・・

しかしレノマさんの周りには銃弾除けになりそうな障害物もしっかりあるんですな。
それでも腕を上げるのは怖いが・・・
それはともかく、脱獄は絶望的になったものの、確保されて生き延びる可能性は出てきたと思える。
寺嶋副司令室長も生け捕りにしろと言ってましたしねぇ。
確保された後、処置をすれば命だけは助かるかもしれない・・・その後どうなるか、ですけどね。

鬼道院が極楽島の囚人を兵にしようとしていることを考えるとこの離別はフラグになるかもしれない。
脱獄したリクと薬などで兵士にされたレノマさんとの邂逅・・・有り得そうな話ですがさてはて。
兎にも角にも、まずは生き残って欲しい。そう願わざるを得ません。



第184房 我侭  (2015年 1号)


沢田の報復を受け倒れ伏したレノマさんを残しヘリは上昇を開始する。
それでも看守の銃撃は止まず、レノマさんの姿を見続ける事すらできない。ううむ。

リクとしては何としても救い出したいところではありましょうが・・・これは厳しいですわなぁ。
もはや声の届く距離ではない。なので目があったところで無言でリクに訴えかけるレノマさん。

振り向くなリク。ここはお前のいる所じゃねぇ。
お前がいるべきは塀の無ぇ自由なシャバだ
スラムの壁の無ぇ陽の当たる世界だ

かつて高木さんに、あいつだけは出してやりたいと語っていたレノマさん。
自分がこうなってしまった以上、リクだけはどうにか脱獄に成功してほしい。そう思っているのでしょう。
しかしリクにしてみれば自分だけが脱獄するなんてことは考えられない。
当初はどうであれ、脱獄を誓い合ったその時からずっと、一緒に自由を手に入れることを望んできたはずである。

目と目で会話しあう2人。
こんなの絶対にいやだと涙を浮かべるリクに対し、すまねぇと虚ろな表情で返すレノマさん。
もう表情を作るだけの力も残されてはいないのだろうか・・・

ろくでもねぇ18年だったな・・・
だが、最後にお前に出会えて・・・本当によかった・・・
死なねえように・・・死なねえように。死なねえようにだけ・・・生きてきた俺が・・・
生きてえと・・・生きてみてえと思えるようになった。
リクよ・・・テメェ・・・なんてことしてくれたんだ・・・

希望を与えられた。生に意味を与えられた。
それがレノマさんにとってどれほどの救いとなったことか。

ありがとよ・・・必ず・・・鬼道院をぶん殴ってきてくれ。あばよ・・・

それを最後の別れの言葉として口にするレノマさん。
最後に漏れる言葉が感謝の言葉であった。これもまた悲しい。
このまま終わってしまうのはあまりにも悲しい・・・いや、終わってしまうのならば・・・だ。

レノマ・・・また・・・わがままかよ・・・
テメェはよ・・・どこまでわがまま言やぁ気がすみんだよ。
勝手に刺されて!勝手に行けって!ふざけんな!!
バイクの後ろに乗せてくれるんじゃなかったのかよ!!すげえ楽しみにしてたんだぞ!!
他にもおにごっことか!!缶ケリとか!!おすすめのたい焼き食べたりとか!!
一緒にいっぱいしてえこと!!いろいろ考えてたんだぞ!!

そのように叫ぶと、ヘリに常備されているライフジャケットを掴み・・・壊れた窓から飛び降りるリク!!

勝手に終わらせてんじゃねえよ!!

まさかまさかのリクの行動。
いや、リクならば確かにこうするでありましょうな。
誰もが絶望し、座り込んでしまう状態でも抗おうとしたリク。
であればこの状態で諦めてしまうはずがない。分かっていたことでありました。

いやしかし、ここで飛び降りるとは。一体どうなってしまうのか。
さすがにリクが大立ち回りして看守をどうにかしてしまうとは思えない。
2人揃って捕まることとなるのか。それとも上手く揃って脱獄となるのか。
ううむ・・・まさに大波乱の展開になってきましたなぁ・・・しかし希望が見えてきたともいえる。期待したい!!



  囚人リク感想目次に戻る

  囚人リク連載中分に移動

  作品別INDEXに戻る

  週刊少年チャンピオン感想TOPに戻る



HPのTOPに戻る