蒼天紳士チャンピオン作品別感想

囚人リク
第212房 〜 第220房


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連載中分

囚人リク 25巻


第212房 同志  (2015年 32号)


天野のおかげで地獄島の屋根をこじ開ける目星がついた田中一郎。さっそく皆に報告であります。

これで地獄島の位置を特定させるためのスケッチ作戦を実行できる

屋根をこじ開ける方法は前回も言っておりましたが、リクをダクトに上げる方法も考えている田中一郎。
まずはステップ1。田中一郎と天野で看守の数を半分にする
なるほど。火災を起こせば消火作業などで駆けつける看守が出てくると。
地獄島では囚人のみならず看守の命よりもトンネル掘削作業のノルマ達成が最優先されるという。
となれば避難よりも作業の続行を優先させなければならないため、火災の鎮圧と作業の監視の2つの任務を強いられることになると。

そのために一輪車のメンテナンス場の奥の倉庫に入る必要があったわけだが、天野の手柄でそこに入る目途はたった。
うむ、まさしくお手柄である。得意そうに話す天野もよいが、親友が活躍したと知って嬉しそうな顔を見せる松尾も良いなぁ。

さて、看守の目は確かに半分になるがトンネル作業をしている囚人の方はどうなるのか。
火災に気づいて暴動に発展でもすれば例の排気ダクトの酸欠システムが作動することになる。
なのでここでステップ2でありますな。

作業している者が火災に気づくよりも先に――ガス発生の噂を流し群集心理を利用する
火事による煙の匂いがまもなく不安をあおり・・・いやがおうにも噂を信じざるを得なくなる。
最初の一人が奥へ逃げ出せば・・・命の惜しい者はそれに続きトンネルの奥へと逃げ出すはずだ。
これで作業している者の注意と行動を同じ方向に操ることができる!

囚人も一斉に動くし、看守の目もそちらに釘付けになるわけでありますな。
その隙にリクをダクトに上げてしまおうという話でありますか。
しかしそのためには火災の鎮圧ではなくその場に残るだろうギロチン看守の注意を引かなければいけないわけだが・・・

まかせてくれ。死なねぇよ。ちゃんと策はある

そのように述べる周龍。
その策がどのようなものかは分からないが・・・任せるより他ありますまい。

メンテナンス場で発生した火災の煙はずり出しの縦穴を通り地上に充満する。そうすれば必ず屋根は開く。
ほどなくして煙が晴れたらリク・・・見える山をスケッチだ

なるほど。これが計画の流れでありますな。絵にしてみると非常に分かりやすい。
しかし飛び降りるギロチンの絵がなんだかコミカルな可愛さがあって困る。

それはそうと最終ステップ3。
スケッチを終えたリクはダクトから下水道を通って直接房に戻ることとなる
トンネルに戻ってきてもその頃には騒ぎは静まっているし、平常運転となった作業現場に人知れずまぎれ込むのは困難となる。
問題は還房時の点呼。房にはカギがかかっており、中から外には出られない。
この問題についてはこの房にいる7人以外の仲間――原田看守に頼ることとなる!

命の選別までのこり17日。動き出す地獄島位置特定作戦。
やはりこの右も左も分からない地獄島では原田看守の存在は非常に大きいですよねぇ。田中一郎も毎度感謝を述べるわけだ。
とはいえ原田看守にしても彼等はかけがえのない希望である。
廃人になりかけていた自分を奮い立たせ戦わせる気にさせてくれた者たち。そう、彼らにかける言葉といえば・・・

頼むぞ。同志

同じ志を持って脱獄に挑む者たち。
立場は違うが志は同じくしている。壁を隔てての短い時間の交流ではありますが・・・いい雰囲気だ。原田看守。いい笑顔だ。

さあ、準備は整った。いよいよ明日、地上スケッチ作戦の決行であります!!
極楽島の時もそうであるが、綿密に練った計画でもなかなか上手く行かないのが世の常。
今回は時間も準備も足りない中での決行。さて上手く行くかどうか・・・注目です。



第213房 無視  (2015年 33号)


命の選別まで残り16日の朝。いよいよ踏み出す地獄島脱獄への第1歩。スケッチ作戦の決行だ!!

まずはステップ1。田中一郎と天野の2人でメンテナンス場に火災を発生させ、看守を陽動する。
例の天野の活躍以来、メンテナンスを行っている看守とは顔見知りになっている2人。
今日も手伝いをすると申し出れば簡単に奥の倉庫に入ることができる。
ある意味つけこんだ形になっちゃってるので申し訳なく思わなくもないが・・・まあ、綺麗事言ってられる状況じゃないですしね。

倉庫に入り、タイヤを窯のように積み上げる田中一郎。
倉庫内には発電機があり、そこのエンジンからガソリンを頂戴し、タイヤの中に注いでいく。
そしてここで使われるのが原田看守からの差し入れの缶ヅメ。とティッシュ、電池、テープ、シャーペンの芯。
これらを組み合わせて出来上がるのが即席ランプと即席ライター。懐かしいな即席ライター。

これをタイヤのドームの中に入れておけば・・・ほどなくして・・・気発したガソリンが缶ヅメの火に引火する。
周辺にも燃え移るようにガソリンを仕込んでおけば・・・この部屋は瞬く間に火の海だ

さすがに即座に火を付けたら犯人としてつるし上げを食らうことは間違いないですからねぇ。
時限式にしておいてなるべく遠くへ離れておくって話ですな。それでも疑われるのは避けられなさそうですが・・・
ともかく後は無事に火がついてくれることを祈るだけであります。

というわけでステップ2。ここからは松尾の活躍に託される。火事を見たらデマを流して囚人の奥へと陽動するのだ。

デマを流すためにも火事がすぐに目撃できるずり出しの側に待機していないといけない。
列から離れたり入り直したりしているが、よく見とがめられないものでありますな。看守の目もそこまで厳しくはないのだろうか。

ともあれメンテナンス場に現れたのは看守の班長。どうやら奥の倉庫をチェックしに来た様子。
火事になる前にチェックされるのは危ないのだが・・・メンテナンス管理の看守は班長達を奥に通してしまう。
うーむ、天野たちが手伝ってくれたからって余裕そうな表情を見せおって・・・!!

ともあれ火は無事についておりました。
シャッターで遮られていて発見が遅れた感じでありますな。むしろいいタイミングで来てくれたぜ班長達!!
しかしシャッター開けた時のリアクションがいい感じだなぁ。やっぱり看守はリアクション芸もこなせないとね!!

火は無事付いていた。安堵の松尾。
予定通り看守は火災鎮圧に動き出している。となればステップ2の開始であります。
ガス発生のデマを流して囚人を陽動する・・・のだが・・・やっぱり囚人多いよね、コレ!!
噂が連鎖すれば大きくはなるのだが、一人でそれを大きくするのは困難である。
人数がいれば各所で噂話を流し、人から人へと伝播してってやり方も出来るのだが・・・これは難しそうだ。
だけどやらなければリクがダクトに入り込むことはできない。何とかするのだ松尾!!



第214房 煽動  (2015年 34号)


作戦のために囚人の煽動をしないといけない松尾。しかしその数の多さにたじろいでいる。
いざやってみようと思ったらその多さに驚く。よくある話でございますな。
しかしだからといって後には引けない。やるしかないのである。ガス漏れだ!みんなああ!!逃げろぉ!!

勇気を出して叫んでみたが、突然そんなこと言っても何かが起きるわけではない。
この極限の環境。幻覚が見えてそうな者もいるし、訳の分からないことを口にしているのは一人や二人ではない。
うーん。やっぱり一人で煽動を行うのはなかなか大変ですわのう。せめてもう一人いれば・・・

とも思ったが、こういう時に一番必要なのは説得力。
火災によって発生した異臭が囚人に異変を気付かせる。
更に看守がメンテナンス場の奥の倉庫で火災が発生したことを口にしたならば・・・ガスの信憑性は一気に増す!!
そして、どうすればいいのか迷いが出たところで・・・一気に行く道を煽動する!!奥へ逃げるしかねーんだよッッ!!

よっしゃあああ!やった!やったぞー!!

見事に勤めを果たした松尾。メンテナンス場近くにいた囚人が一斉に走り出す。
ここで出来た人の波。離れた囚人たちも巻き込んで巨大なものとなることでしょう。

さて、こうなると気になるのが酸素吸引装置。囚人の動きを止める為にも作動するのは当然でありましょう。
しかしこれは原田看守の機転により、主電源を入れずにおくことで回避。なるほどね。
5分もすれば動作するようですが、そのぐらい時間が稼げれば十分と言えましょうな。

囚人たちのこの動き。吸引装置もなければ止められはしますまい。
そんな激流のような囚人の動きに巻き込まれそうで危なかったのが例の笑い皺のじいちゃん
重要な作戦中だが、そういう人を見逃せない史郎さん。さすがでありますなぁ。
しかし再度の登場とは、このじいちゃんにはやはり何かあったりするのだろうか・・・?

ともあれいよいよこの作戦も佳境。
リクをダクトに上げるためにギロチン看守の目をくぎ付けにしなければいけない。
この辺りの看守のフォーメーションの司令塔の役割もしているギロチン看守。気持ちよさそうに指揮しおって。
通じてなくても構わずにやってそうな感じが怖い。

行くぞリク・・・必ず成功させてやる

己の贖罪の為にも決死の覚悟でギロチンの足止めに動き出す周龍。
決死とは言うが、絶対に死んでは行けないという覚悟も同時に背負わなければいけない。
ドラゴンクロスと共に覚悟を背負い・・・今周龍が男を見せる!!
うむ。何とか無事に済んでくれるといいですなぁ・・・



第215房 鞭打  (2015年 35号)


リクをダクトに上げるためにも、ギロチン・・・監視台から降りてもらうぞ!!

上着を脱ぎ、ギロチンと相対する周龍。
後ろで見守る史郎さんは不安な表情。周龍は死なないようにするとは言っていたが、そこはどうも信じられない様子。
いざとなれば割って入って止めるつもりでしょうかね。

そんな心配そうな史郎さんを他所に、立小便を始める周龍
なるほど。監視台から降ろさせるには挑発すればいいって考えなわけですな。
その誘いにしっかり乗ってギロチンアタックを仕掛けてくるギロチン。放尿中に降りてこられなくて良かったね。

高さを利用した最初の一撃。それさえ躱せば恐れることはない。
そのように考えたが執拗に襲ってくるギロチンの一撃。
顔から小便まみれの地面に落下することも厭わずに一撃を食らわそうとするのは恐ろしい執念であります。が・・・

奴隷にコケにされた気分はどうですか?鬼道院ちゃんになぐさめてもらえよ

仕留めきれず、更なる挑発を受けてしまい、ブチギレギロチン。
もはや周りの事など目に入らないとばかりに周龍に鞭を浴びせかけまくる。
どうやらこれが周龍の言っていた策らしい。最初の一撃を躱してあとは耐えるだけ・・・策と言えるようなものではないな!!
しかしそんな愚直な行動だからこそ・・・男の心は振るわされてしまう。辛いねぇ史郎さん。

さて、ギロチンがいなくなった監視台。
そこにはギロチンの犠牲になった人たちの遺体が敷き詰められていた。
うわぁ・・・これはいかん。いかんよギロちん。
目付きからしてイカれてる感じがあったが、どうやら本格的にイカれてた感じでありますな。

そんな哀れな犠牲者たちを踏むことなどできないとリク。
こんな時にその考えを出してしまうのはちょっとやばい。けどどんな時でもこういう態度を取れるのがリクであるとも言える。
ならばそのリクの考えは尊重しなければいけますまい。
レノマさんがリクを肩車し、それをまとめて史郎さんが持ち上げれば届くという寸法だ。豪快だなぁー。
って史郎さん、周龍を見てたんじゃなかったのか?

あいつのことは知らん。俺は、自分が男としてこうせなあかんと思うただけじゃ

周龍が無事でいられるかは分からない。
だが今は無謀な行いに出た周龍が生きているうちに作戦を進めなければいけないのである。
やらねばならない時に動く。男とはこうありたいものでありますなぁ。



第216房 感謝  (2015年 36+37号)


周龍が本当に死なずに済むのか。それは史郎さんにも分からない。
だが分からないままただ見ているよりは、自分に出来ることをした方がいいに決まっている。
まず今優先すべきことは作戦の成功。リクをダクトに上げることである。やるべきことをやらねば!!

希望を繋げ!筋肉の塔!

リクはさておき、レノマさんの巨体を肩車するのはさすがに史郎さんでもしんどそう。
とはいえそれでもしっかり抱え上げてみせる辺りがさすがの巨人。ヨイショアアアア!!
極楽島でずっと天突き体操をやってきた甲斐があったというものですな!!

2人の巨体が投げ上げる・・・が、それでもわずかに届かない。
それでいて3人の重みに耐えきれず崩壊する階段。だが、怯んでいる場合ではない。

かまへん!踏まんかい!!

史郎さんがその言葉を言い終わるや否や。顔面を踏みつけて土台にするレノマさん。
そう言うと思っていたという信頼がなせる技か。
はたまた普段から似たようなことをやってきた慣れということなのか。何にしてもいいコンビプレーでございます。
そのボスたちのコンビプレーにより、投げ上げられたリクはしっかりとダクトの上に。
うむ、どうにか難関をクリアできたようでありますな・・・!!

しかし完璧に作戦を成功させるにはリクの方だけでは済まない。
犠牲者を出したくないという田中一郎の言葉の通り、周龍には生きていてもらわないといけない。
なので再びのボスタッグによるコンビプレーでギロチンを撃破。
この威力で吹き飛ばせば、いくらギロチンが化物のような看守であってもひとたまりもありますまい。
って倒してしまって良かったのか・・・!?
それなら最初から倒す方向で策を練った方が良かったのではなかろうか。まあ、倒すより他なかったということなんでしょうけどね。

いずれにしてもすんでのところで救うことができた。
周龍に対しては色々と複雑な思いはありましょうが、その心意気は感じないでもない。
今度こそは折れることなく最後まで戦って頂きたいものでありますよ。本当に。



第217房 役目  (2015年 38号)


仲間達の活躍によりダクトへの潜入を果たすリク。
今度は自分がその仲間達の想いに答える番である。残してきた仲間のことは不安であるが・・・

大丈夫!きっとみんな大丈夫!きっと!!

強く自分に言い聞かせるリクでありました。仲間を信じるとはこういうことですな。

さて、地上に行って山の稜線をスケッチする道具を確認。
それらとはまた別に持って行こうとしてるのが紙飛行機
何でも地上に出たらとりあえず飛ばせと田中一郎に言われていたらしい。ほほう・・・?

紙飛行機は気になるが、とりあえずこの作戦はスケッチを上手く行えるかどうかである。
それを元に地獄島の場所を特定する。それが脱出への第一歩!!

必ず・・・鼻をあかしてやる!待ってろよ!鬼道院・・・
見ててよ。おじさん・・・踏まれても踏まれても、何度でも立ち上がってやる!!

先へと進むリク。
一方、騒ぎを起こし、無事にリクをダクトに送り込んだ仲間達は合流。
巨漢2人に両側から支えられた周龍。サイズが合わないので微妙に苦しそうな体勢である。
パッと見だとヤバそうに見えるが、一応死んでいない周龍。安心した様子を見せる天野と松尾が何だか可愛い。
そして生きて戻ってきた周龍を抱きしめる田中一郎の優しさよ。

さて、ここでリクに預けた紙飛行機についての説明がされる。
それを飛ばす理由は、今、この地下に打倒鬼道院の志を持つ自分たちの存在を伝えるためである。ほう・・・!?

志を伝える相手は顔も名も知らぬが、おそらく同志。
写真にはすべからく撮影者がいる。その人物に俺たちの存在を伝えるんだ

なるほど。ケシ畑の写真を撮った人物は地上にいるに違いない。
その人物はリクのおじさんと――外部の人間と連絡を取れる人物である。
それらを合わせて考えれば、確かに味方に出来たら頼もしいことこの上ないですなぁ。

紙飛行機には藤本吾郎氏のイニシャルと命日を記してある。
おじさんと連絡を取っていたのならばすぐにピンとくるに違いない。
上手く行けばスケッチ作戦で地獄島の場所を特定し、この地獄島から脱出した後の逃走に協力してもらえるかもしれない。

なるほどなるほどな田中一郎の説明。
しかし紙飛行機を飛ばして運よく拾ってくれるものだろうか?
確かに噴煙があがっていれば空を見上げるだろうし、打倒鬼道院の志を持つのならば敏感にはなっているはず。
だが、それでも上手くことが運ぶかどうか。それに上手く運んだのかどうかの結果もすぐには分からない。
やきもきすることとはなりそうですが・・・それでもやるべきことはやる。それが大事であります。
レノマさんも言っている。運任せ上等。今までもそうだったじゃねぇか、と。

リクは必ず道を照らしてくれる。信じようぜ

やはり希望はリクでありますな。
しかしそのリクの身に危険が迫る。
囚人鎮圧のために動き出す排気装置。ダクトにいるのならその影響をモロに受けることとなる。
あのプロペラに巻き込まれたならばひとたまりもない。
誰も見る者のないまま無残な死を遂げる・・・そんな結果はたまらない。どうにか回避しませんとなぁ。



第218房 吸引  (2015年 39号)


排気システム作動!!
その巨大なプロペラが巻き起こす旋風はリクを身体ごと浮き上がらせてしまうほどの吸引力を作りだしている。
距離があるならまだしも、直近のダクトの中では影響があって当然か。
というか、長靴が吸い込まれてくるほどだというのか・・・

しかも風力は時間と共に強さを増している。
この掴まるところも何もない場所では持ちこたえられない。
ならばと目を転じ、どうにかなりそうに思えたのは・・・はしご。
確かに掴まれそうなものであるが、そこに行くまでの距離は長い。

届け!!俺!!あのはしごまで!!間に合え!!

念じながら走った。その結果・・・間に合った!!
うーむ。本当に死ぬかと思った一時でありましたなぁ。
それでもちゃんとスケッチの道具を無くすこともなく耐え抜いたリク。立派だ。

さあ、これで遮るものはない。地上に出て外を確認・・・

なんも見えねぇ・・・屋根も開いたのに・・・こんなに晴れてるのに・・・
青空なんていつぶりだよ・・・眩しすぎて見えねぇよ

ちょっとドッキリさせるリク。
2週間ぶりの青空かあ・・・眩しく思えて当然ですわなぁ。

何にしても困難を経てやりとげたリクたち。視界は広がっている。山はハッキリと見える!!
後はスケッチをこなせばOKであるが・・・果たしてリクにまともなスケッチが出来るのか!?
さすがに何が何だか分かりませんでしたって話にはならないとは思いますが・・・さてさて?



第219房 素描  (2015年 40号)


仲間も本人も、大変な苦労の末に辿り着いた昼の地上。
喜びに浸りたいところであるが、まずはやるべきことをやらなければならない。
一筆一筆、祈りを捧げるように山の稜線をスケッチするリク。

我ながら完璧なスケッチだな

自画自賛が入りました。ほ、本当に大丈夫なのか?
あの長靴の出来を見るとさすがに不安になってしまう。
とはいえその時は歪んでいたのが自分でも分かるぐらいでしたし、自画自賛できるってことはちゃんとした物が描けたんでしょうな。

後は田中一郎が託した暗号文付きの紙飛行機を飛ばしておく。
同志に届く可能性はわずかであるが・・・さてさてどうなるか。

さあ、やるべきことはやった。後はダクトから直接房に戻るだけ。
なのだが・・・この青空と温かい陽の光はさすがに離れ難い。
温かい日差しが気持ちよく・・・つい眠ってしまうリク。無理もあるまい。

しかしその結果、点呼の時間になっても戻ってきていないリク。おやおや。
巨大プロペラに巻き込まれていたら2度と戻って来ることはなかったわけだが・・・そこは誰も知らないことか。

ともかくギリギリのところで戻ってきてくれたリク。
大きな2人が前に出てリクが出てくるところを見られないよう遮ったりと、本当にギリギリでしたなぁ。

何はともあれちゃんと戻ってきてくれて良かった良かった。
切り裂かれたシャツも予備があるのか着直してますな。

それはそうとスケッチの結果を報告。おおお〜〜〜〜っ!!
ああ、なるほど道具を使って描いたわけですか。
マス目の入ったプラ板で透かし、その位置に合わせてマス目を作った紙に描いていく。
なるほど。全体を見て描くのは難しかろうが、小さなマスならそれも出来る。後は1つ1つ埋めていけば良かったという話か。

不安だったリクのスケッチもちゃんと解決策を用意していた田中一郎。さすが!!
そしてこの結果により、次の作戦に進むことが出来るようになりました。スケッチ作戦は大成功だ!!

俺たちの明日は繋がったんだ

期限が限られ、猶予は少ない。それでもこの作戦成功の意味は大きい。
明日への希望は繋がった。後は脱出に向けてひた走るのみ・・・!!
この作戦成功の喜びを糧に進んでいきたいものでありますな。



第220房 告白  (2015年 41号)


スケッチ作戦に成功したリクたち。
周龍も重症こそ負ったものの生きて帰ってきた。しかし今にも死にそうな感じだったが大丈夫なのだろうか。

天野たちは腕にひっかき傷を作っている。
なるほど、トンネル作業中に山の稜線をいろんな奴に見せて知っているか尋ねないといけないわけか。
そのためにはこうして体に刻むでもしないといけないと・・・改めて過酷な環境ですなぁ。

しかし地獄島に収監されて初めての成果にはしゃぐ天野たち。傷の痛みなんてどうってことはない様子。
だが、周龍のことについては・・・やはりまだ微妙な感情を抱いているみたいですなぁ。簡単には許せない。

周龍が騙して脱獄を失敗させなければ今頃は潜伏先の台湾でのんびりした暮らしが出来ていた。
そのように語る天野であるが、果たしてそれはどうだろうか?
作戦が鬼道院に筒抜けだった以上、周龍の裏切りが無かった場合どうなっていたかはもう分からない。
それでも黙って裏切ったことによって地獄島に収監されたことは事実であり、許せない気持ちはぬぐえないでしょうなぁ。
今まで散々極楽島からの脱獄に苦労して来たというのに・・・椿に至っては命まで投げだしているというのに・・・
そうか。椿のことを思うと尚更簡単に許すわけにはいかないってことになりますか・・・

でも・・・もし俺が今、周龍だったら・・・それでもみんなに許してほしいって考えると思います
でもこいつは・・・ただの一度だって・・・ゴメンのひとことも言わず・・・
黙って1人出来ることを探して、やってのけ・・・生きてる・・・
俺にゃあそんなこと・・・できねえなって・・・今日思いました・・・
許せねぇ・・・許せねぇっすけど・・・今・・・
でもいつか、許したいと・・・それも今日・・・思いました

複雑な心境を田中一郎に明かす天野。自身に反映させて相手の心を知る。これが出来る天野はやはりいい奴である。間違いなく。
そしてそんな天野の言葉を受け、松尾も告白する。

俺は・・・嘘ついていました・・・
俺・・・俺も・・・母ちゃんを人質とったって言われたら・・・一瞬で騙されてたと思います。
そして俺も・・・もし自分が周龍だったら・・・たぶん・・・皆を騙してしまっていたと思います
腹ん中では・・・ずっと・・・そう思っていました。
皆には軽蔑されるのが怖くて・・・ハブられるのは嫌だから・・・ずっと・・・こんな気持ちを言えませんでした。
俺なら絶対仲間を裏切らねぇって・・・嘘ついていました・・・
悪いのは・・・周龍だけだって・・・自分の保身のために・・・無視してました・・・周龍を・・・無視・・・しました・・・

ゆっくりと思いを述べる松尾。これを言葉にするのにどれほどの勇気がいることか。
事実そうだったとしても、それを認めるのは度胸がいる。
だからレノマさんも、皆を騙してしまっていたと思うという松尾を酷い奴といいつつも・・・責めきれない。
松尾と周龍の2人だけが父親の顔を知っている。
だからその存在が人質に取られた時の気持ちがどれほどのものかレノマさんには想像がつかない。

わからねぇから・・・余計に苛立った・・・
夢ん中で俺は周龍を何度も殴り殺した

今度はレノマさんの告白。
リクが止めるから実際に殺すことはできない。でも苛立つは止まらない。だから夢の中で・・・
過激な発言ですが、そうでもしないと留めることが出来ないほどの怒りだったわけですな。
この発言を受け、俺も同じと述べるのは史郎さん。

そやからなんやろな・・・こいつが黙ってボコボコにムチ打ちされてる姿がな・・・めちゃめちゃ辛かった・・・
俺は・・・自分はこんなムゴいことを周龍にしたがっとったんかと・・・
そん時思たんや・・・もう・・・ええやないかと・・・

各人が曝け出す周龍に抱いていた気持ち。
どれも一様に許せないというものではあったが・・・許したいという気持ちに変わりつつあるものだった。
その告白を聞いて涙するのはリク。

明日を信じ・・・って、だれかを信じるって・・・こういうことだったの・・・
おじさん・・・俺・・・周龍を憎んじゃった・・・ごめんなさい・・・
でも・・・俺・・・今これ泣いてるのは「ごめんなさい」の気持ちだからじゃないんだ・・・
皆も同じ気持ちだったのが嬉しかったからなんだ・・・いいのかな・・・いいのかな・・・

それぞれの気持ちを聞き、自身と同じであったことを喜ぶリク。
田中一郎もまた同じく嬉しい気持ちを抱いている。
ふうむ、わだかまりはそうそう簡単には消えないだろうけど、それでもいつかは許せるかもしれない。
少なくとも全員無事で地獄島を出ることができたのなら。許さずにおく理由は少なくなるかもしれませんなぁ。

明日を信じるというおじさんの言葉を強く胸に刻むリク。
まだまだ過酷な日々は続きましょうが、決して諦めることの無い気持ちで突き進んで欲しいものであります。




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