蒼天紳士チャンピオン作品別感想

弱虫ペダル
RIDE.270 〜 RIDE.295


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 各巻感想

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連載中分 SPARE BIKE

弱虫ペダル 32巻


RIDE.270 杉元兄弟の絆  (2013年 40号)


ワゴンの後方から迫ってくるのは杉元兄弟。
弟の定時に引かれるようにして坂を駆けあがってくる!!
この事態に騒然となるワゴン内の面々。ヒュウ!!

まさか兄弟で追いついてくるとは。オレも・・・想定外ですよ!!

え!?そういうキセキも起こり得るって前回行ってましたよね手嶋さん。
まさか杉元1人追いつくことも有り得ると想定していたんですか?その方が想定外だ!!

ともかく杉元兄弟が追いついた。COLNAGOをしならせて走る2人。
更にワゴンを抜いて先行する鏑木たちを追うために加速する。
しかし山頂まではのこり2km。山頂を過ぎたら下り基調となり、杉元の足では差がうめづらい。
この登りの区間でどれだけ鏑木たちに追いつけるかがカギとなる様子。

杉元兄弟のシンクロを見守る今泉君。
前に練習に来た時は2人揃ってまるでなってない力の抜けたシンクロであった。
それが今は2人とも踏めている。いい意味でのシンクロとなっている

練習したのか2人で。この時のために・・・いや!!
杉元の意志がそれを引っぱり上げた・・・!!この状況がそれを生んだのか!!

兄が成長したのであればそれとシンクロする弟も当然成長しますわな。
その基礎能力の上がった兄弟が揃えば強豪であるチームSSの2人に対抗することも不可能ではない。

ボクはなる。なるボクは。6人目になるんだ!!いけぇ!!いってくれ定時!!

兄の声に従い、さらなる加速を開始する定時。
ボクがきっとアブラギくんたちのところまで追いつかせるよとのこと。誰が油木やねん。
そんなツッコミをしながら杉元は心の中で感謝の言葉を述べる。

ありがとう定時。もしおまえがあの時追いついてくれなかったら、ボクはこのレースをあきらめていた。
ボクは心の中で切れた糸がまだ1本だけつながってる気がした。

希望をつないだ杉元は弟を頼る。
鏑木と段竹。あの2人に追いついてもう一度抜き返したい。それを果たすには定時の力が必要となる。

協力してくれるか定時!!6人目としてインターハイに行きたいんだ!!ボクはこのレースで優勝しなきゃならないんだ!!

叫ぶ兄に、弟もまた叫びで返す。おん!!

兄ちゃんのためならどんな山だって越えてみせるよ!!

なんとも可愛いことを言う奴である。
そんな定時が兄の前を走りながら思いの丈を口にする。

はじめてだ!!はじめてだね!兄ちゃんはいつもカッコよくて、強くて、何でも知ってて。
いつもボクを引っぱって、いろんなこと教えてくれた。そんな照兄ちゃんが、はじめてだよ。ボクにお願いごとするの!!
だからがんばるよ。ボクが必ず兄ちゃんを届けてみせるよ!!

うーむ、兄弟愛ですなぁ。
傍から見た杉元は口は回るがどうにも頼りないという印象。
しかし幼い頃から見てきた定時としてはまさに尊敬すべき兄であったということか。
まあ、今なら多少は定時の言っていることも分からなくはないですけどね。頑張ってたんでしょうな、幼少期の杉元は。
それを示すかのように昔の弟のことを想う杉元。

小さい頃、おまえは泣き虫だったな。
よくボクにまとわりついて「できない」「自信ない」が口グセだった。
大丈夫だ。もう大丈夫だよ定時。おまえは何だってできる。兄ちゃんが保証する!!

弟を認める兄。
しかし定時の頑張りも限界に近い。息が上がる。
ならばと逆に元気づける杉元。ついてこい。ガンバレ定時!!おまえは兄ちゃんと一緒にゴールするんだ
このようなことを言われたらまだまだ頑張るしかありませんわな。

今泉に励まされたのに、一度は止めてしまった足。けどそれを定時が救ってくれた。
定時のためにもできることならもう一度、最後につながった細い糸を。
なんとか、なんとかがんばってたぐりよせたい!!もう一度!!

その想いが通じたのかどうか。峰ヶ山山頂50m手前でついに鏑木たちをとらえる杉元兄弟。
いやあ、追いついた時の杉元兄弟と鏑木。皆いい表情しておりますわ。必死さが見て取れる。
想定外というか、想定以上の結果を見せられることとなった手嶋さんの一言。

ロードレースってホント、ファンタスティックですね!!

うむ。感動的でありますよね。まさしく。
だがしかし、ようやく互角のラインに並んだだけの状態。
山頂手前で4人が並び、あとは下り。下りきったらもうゴールという状況である。
さてさて、ここから誰が生き残ることとなるのか。
平坦の速度なら段竹が抜けていそうな気もするが。逆に杉元は危ない感じがする。果たしてどうなるか・・・

さすがにこのタイミングで隠れた第3の実力者グループがやってくるなんて展開はないでしょうな。
しかし4名揃っての同着ゴールという可能性は有り得る。
まあ、その場合は鏑木・段竹のワンツーは果たせていないからインハイメンバーの選出は後日ということになりますわな。



RIDE.271 4人のダウンヒル  (2013年 41号)


杉元兄弟のシンクロ走法により、ついに先頭のチームSSを捕えることに成功。
4人並んで後は下り。下りきったらもうゴールだ。

今年の1年生レースの勝者が決まる!!この4人のうちの1人だ!!

鏑木「ほるああああ!!」
段竹「ガルァア!!」
杉元「くぁああ!!」
定時「おぉお!!」

叫び方も人それぞれである。やっぱり鏑木の叫びはそれでいきますのね。ほるあああああ!!まあ、それはさておき――

たぐりよせた!!並んだ!!追いついた!!定時と皆のおかげで、やっと!!
あとはこいつを絶対に離さない!!

そう決意する杉元。しかしさすがに下りは上手い様子のチームSS。いきなりの加速を開始。引き離す。
今泉君によればこの先杉元は離されることになるとのこと。

でもたぶん、次のコーナーで追いつきます

離したはずなのに、気づけば必死な形相の杉元がすぐ後ろに喰らいついてきている。
うーむ、杉元もいい表情するようになりましたなぁ。応援したくなる。
この離しても離しても必死に喰らいついてくる兄弟の姿に恐怖する鏑木。なんだ・・・なんだこいつら!!

チームSSは混成チームだ。強いチームだ。だけど入れ替え戦のある限定15人の中。
社会人と走る中でおそらく彼らは経験したことないんじゃないですかね。
ああいう――気持ちを。仲間とつなげていく走りを。
現段階ではヤツらの方が実力が上です。でももし杉元に勝機があるとすれば、ヤツらのそれを理解できない心のゆらぎだ

今泉君の分析はなかなかに正確である。事実鏑木は戸惑いを見せている。

ヘボだろ!!こいつはヘボいはずだ。オレたちがワンツーの圧倒的な強さでフィニッシュするハズだ!!このレースは!!
なのに何で追いついてくるんだ。並んでんだ。
どいつも敵じゃなかった。うしろのデカいのもこいつも同じだ。
ただ1人必死に追いついてきて、ヘボい追い抜きを見せて、けどつかまえてぬき返し、オレ様がレースから降ろしてやったんだ。
なのになんで前走ってんだよ!!

ついに杉元が鏑木たちより前に出る!!
追いついて追い越した。ひょっとしたらこのままフィニッシュラインに辿り着く可能性もある!!
ワゴンの中で興奮して立ち上がる鳴子。天井に頭をぶつけている。
体のサイズが違うのに田所さんとやっていることが変わらないな。

今泉君の言う心のゆらぎを突かれた鏑木。
ならばとその鏑木を殴りつけて目を覚まさせる段竹。一差ァァ!!

ゆれるなァ!!レースに集中しろ!!単に目の前で追い抜かれただけだ!!
相手が誰かなんて関係ない。前を向け。理由は今考えても答えは出ない。勝つことだけ考えろ!!いける!!
安心しろ。お前は速いぜ!!
どれだけ練習してきた。何千回つらい瞬間を耐えぬいてきた。出るんだろ。インターハイ。おまえが。
だったらどうした。ホラ。もっとはしゃげよ。天才、鏑木!!

相棒の一喝に失いかけた冷静さを取り戻す鏑木。ギラァッ!!

オレが速いだって?天才だって?効いたぜ今の一発ゥ!!
知ってる!!ハハハ!!それはオレが一番よく知ってるよ段竹!!

ほるああっと叫び、再び前に出る鏑木と段竹。
それにしても鏑木は天才とまで呼ばれるほどの男であったのか。
いや確かにプライドの高さとメンタルの弱さは天才っぽい感じがする。
今までの走りやメンタル面を見ていると段竹の方が凄そうな気もするのだが・・・アガリ症でさえなければなぁ。
それに段竹自身は鏑木の走りに魅せられている様子である。

一差。オレは見たい。子供のようにはしゃぐおまえを。強い相手に一歩もひるまないその姿を。
この夏のインターハイで。だから一緒に走ってるんだ。

そう考えながら前に出る段竹。おまえのトップゴールをオレがキメてやるとのこと。
そうはさせじと最後のふんばりを見せる杉元兄弟。

ゴールスプリントは苦手だ。だけど、それは今克服する。言い訳なんか言ってらんないんだよ!!

下りもほぼ差がつかない状態で終了。
残るは200m。少し登った先にあるゴールラインを割るのは4人のうち誰か!?
この流れで全員同着ということはない、と思うけどどうであろうか。

今後のことを考えるならうっかり定時が勝つ。または鏑木、段竹のどちらかが取るがワンツーにはならない。
そういう状況となれば正式なインターハイメンバーは合宿で決めようとかいう流れになるんじゃないかと思われる。
杉元が決めてしまうという流れもありといえばありだけど・・・さてさてどうなりますか。



RIDE.272 決着  (2013年 42号)


1年生レースもついに決着の時。
最後のスプリントは"4人"で行われることとなる。
当初予想されたものよりはるかに熱い状態となり監督も満足そうである。
って相変わらずこの監督は時折しかでてこないなぁ。もっと指導してくださいよ。

残り200m。決死のラストスプリント開始!!
先頭は段竹。鏑木を従えてワンツーを狙うつもりの走りだ。
ここで出遅れるのは定時。登りでずっと兄を引いてきた疲れがさすがに出たか。

めいいっぱい引いて引いて引き倒した段竹の後ろから、鏑木特急発射や!!

さすがに長く走っているだけあってコンビネーションは完璧といえるチームSSの2人。
このままオレたちの独走だと述べる鏑木だが・・・それは早計というものである。
スプリントは苦手だといっていた杉元。
でもそんなものは克服するともいっていた杉元。その杉元が唇を噛みしめて激走している!!

・・・!!ふめ一差!!オレのことはいい。ふめェ!!

定時のアシストもなしに段竹を抜き去る杉元。
そのスプリントの持続時間は長い。ロングスプリント!!

おまえの得意はロングライド――杉元・・・おまえは最後のスプリントまでロングなのか!!

最高速度では及ばないかもしれない。しかし長い時間スプリントを続けることは出来る。
だからアシストがなくても一人で最後まで自分に出来る最高のスプリントが続けられるのだ!!

最後は力になることが出来なくてごめんと謝る定時。
しかし杉元は心の中で定時に礼を言う。さらに――

ありがとう定時。おまえが引いてくれなかったら峰ヶ山で追いつくことはできなかった。
ありがとう今泉。あの時おまえが背中押してくれなかったらボクはレースをあきらめていた。
ボクは何もしてない。まだ何もしてない。だから、この1着をとるよ、ボクは!!

ついに先頭を走る鏑木にまで並ぶ杉元。
のこり40m。いよいよこれで勝負に決着がつく・・・!!

"このレースの中でオレ様が一番速い"それを証明するのがこんなに大変なのか。
このトナリ走ってるこの人何者だ。早く落ちりゃいいのに何でついてきてんだ。
どこまで耐える気だ。あのラインまでか。

混乱してますな鏑木。やはりこういうレースで追い込まれたときのメンタル面はまだまだであるか。
もはやゴールラインは目前。あと少し・・・

杉元「くああ!1着をとれるなら全てを捨ててもいいいいい!!
鏑木「ダメだ。オレは小野田坂道を超える男なんだ!!
杉元「ボクはろく・・・6人目になるんだ!!」

足を震わせゴールにまでたどり着く杉元。最後はハンドル投げ!!これで最後の距離を詰める!!
が・・・ゴールラインを超えた時に天に向けて指を突き上げたのは鏑木。
勝利の咆哮。確かに後ろから見ても鏑木の方が速かったのは分かってしまう・・・無念。

ゴールしたところでついに力尽き、横転する杉元。
慌てて車から降りて駆けつける部員たち。杉元は息を荒くしながらやってきた部員たちにこんなことを言いだす。

か、感触あった・・・!最後ゴールする時、下向いててわからなかったけど。
ボク・・・1着・・・1着とりましたよね
ったァァ!これで出れる!出れるよインターハイ!やったァァ!やったよォォ!!

どうやら鏑木の雄叫びすら聞こえていなかったらしい杉元。
そこまで全身全霊を振り絞ったと言うことなのか・・・さすがにレギュラー陣も息を飲んでいる。
そのハシャグ杉元を抱き寄せ、がんばったなと声をかける今泉君。
うむ、今はそう言ってあげるしかないでしょうな。頑張ったよ杉元・・・本当に・・・!!

凄く無念の2位でありました。よもや杉元がここまで成長するだなんて誰が思ったのやら。
正直鏑木も段竹と組まずに1人で走っていたなら及ばなかったのではないだろうか?
コンビを組んでギリギリ勝利で誇られましてもな・・・いや、杉元も途中は弟とコンビ組んでいたけども。

結果としてワンツーはならなかった。
となれば手嶋さんとの例の約束は無効と考えてよいのではないだろうか。
今後2、3年と一緒に走り最終的なレギュラーメンバーを定める流れとなるのでしょうな。
その時こそ杉元には勝利してほしいものであるが・・・どうなることか。

どうでもいいが、鏑木と並んだ時の杉元。く、まぁあ!!とかそのタイミングで叫ばれても困る。何がクマーか!!
さすがに盛り上がる流れの問題があったのでそこではかかずに最後に感想持ってくるしかなかったよ!!クマァア!!



RIDE.273 最後の覚悟  (2013年 43号)


全力を振り絞り走り切った杉元。しかしあと一歩及ばず。
本人は手応えあったと感じ、勝利したものだと信じている。

やったよ今泉!ありがとう!ありがとう!!言葉にならないよ!

喜んでいる。喜んでいる。だからこそ他の面々はかける言葉もなく真剣な顔で見つめるしかないわけで・・・
まあ、祝福の声もかからないこの様子ではすぐに気づきますわなぁ。
振り向けば鏑木・段竹の喜んでいる姿。定時の流す悔し涙と色んな要素が語り掛けてくる。

そ・・・・・・か。ボクは・・・1着じゃ・・・・・・なかったんですね

歓喜の表情から一転、沈んだ様子を見せる杉元。
坂道たちはようやく口を開き、杉元と定時の走りは凄かったと讃える。メッチャエエ走りした!!
その言葉を受けて突然笑い出す杉元。ハハハハハ!!

いやー惜しかった!!2着でしたか。うんうん!!惜しかった惜しかった。実にね。
もうちょっと。あとちょっとだったんだね!いやーっ着順わからずにボクも思わず勘違いしてしまったよ。うん!!ハハハ。
ごめんね皆。期待させちゃったかな!!

勤めて明るく振る舞おうとする杉元。
しかし逆にそれがカラ元気だと分かってしまうのか、再び口を閉ざしてしまう坂道たち。うーむ。
いや、坂道はここで手嶋さんに提言をする。合宿までメンバーを決めるのをのばしてはどうでしょう、と。
確かに去年は金城さんも最終的な判断はそこまで伸ばしていたわけですしね。
坂道の言葉は妥当の様に思える。しかし立ち上がった杉元自身がその言葉を否定する。

小野田。ボクはこのレース、そんな覚悟では走ってないよ
手嶋さんはボクにチャンスをくれたんだ。この1年生レースに出るチャンスを。そしてボクは精一杯走った。
"1着をとれたなら――"それが条件だった。ラストチャンスだったんだ
だけどボクは。だけど結局――次はないんだよ・・・ボクはそこで何もできなかったんだから。

何やら悟ったような表情となっている杉元。
普段と違う言動をするのはよいが顔まで違って見えてしまっているのはいかがなものかと。
しかし思った以上に苛烈な覚悟で挑んでいたんですなぁ。
前回の1着をとれるなら全てを捨ててもいいという言葉も、満更勢いだけで言ったわけではないということか。
そんな杉元に声をかける今泉君。

杉元。おまえは毎日地道な努力をした。
このレース、まわりのほとんどはおまえに期待していなかった。だがそれをおまえが覆した。
最初の加速に唯一ついていったのはおまえだ。定時につれられて山を登りもう一度追いついたのもおまえだ。
下りも最後のゴールスプリントも、誰の力でも誰のおかげでもない。走ったのはおまえだ!!
誇れ。このレースで一番強い走りをしたんだ・・・!!

熱く語る今泉君。確かにそうですわな。途中定時の力を借りたとはいえ、一人で頑張った時間も長かった。
その頑張りによりあと一歩というところまで来たのだ。誇っても何も問題はない。

今泉君の言葉に礼を述べ、クールダウンと称して一人走り去る杉元。それを見送る一行。

杉元。オレはおまえの勝敗はどうでもいい。チームが強くなりさえすれば――そう思っていた。
けど。最後、ゴール前。おまえに勝てと願っていた

3年生が抜けてからどこか冷徹な感じにも見えた今泉君。
チームの勝利のためという気持ちが優先され、仲間や後輩への配慮が欠けていた感じはありました。
まあ、杉元にはアドバイスをしたりはしていましたが――
それでも思い入れが発生したのはこのレースが始まってからという感じでしたしね。今泉君のこの変化もよい感じに思えます。

一人走る杉元。
激闘を終えてどっと疲れたと感じている無理もない。

2着。だった。全部やった。やることは。全部やった

誰もいないところまで行き、号泣する杉元。
やれることは全てやった。それでも届かなかった。覚悟を決めていた男の涙だ。切ない。

さて、トップ争いは終わり、その他の後続も順にゴールを決めてくる。
最初に先行逃げ切りを図ろうとしていた沢田とゴリ蔵の2人はトップに20分遅れでゴール。遅い!!
22人中12位と13位という結果はとてもハイペースとはいえないな。
こりゃあルール破って先行してても大した結果にはならなかったんじゃなかろうか・・・

1位を獲得した鏑木。しかしワンツーを決めることはできなかったので約束はそのまま履行されることはない。

手嶋「1人でも走る意志はあるか」
鏑木「はい」

ふむ。2人1組と思われたチームSSであるが、段竹は鏑木を送り出したことでとりあえず満足な様子でありますな。
杉元もこの後のチャンスを伺うというつもりはないみたいだし、定時はまだ実力不足。
というわけで、総北のインターハイメンバー6名が決定いたしました
新・総北の6人。果たしてここからどのような練習を積み重ねることとなるのか。注目である。

ところで鏑木はオールラウンダーっぽい感じの走りをしているが、そうなるとスプリンターは青八木さんだけなのかね?
まあ直線の長い長いコースとかでもない限りスプリンターの数はそんなにいらないとは思うが・・・
ここは鳴子がスプリンターに返り咲くという方向性もありなんじゃなかろうか。
御堂筋君との約束?一回辞めて返り咲いたから問題ないって話でどうだ!!
言っていることは間違ってないし、ガッカリした御堂筋君のパワーダウンも見込めるかもしれないいい手であるぞ!!
まあどう考えても鳴子自身が納得しないでしょうけどね。



RIDE.274 新・総北6人  (2013年 44号)


先輩たちから代々受け継いでいる総北高校のインターハイジャージ。
1年生レースの優勝者である鏑木はそれを恭しく受け取る。
気持ちはわかるが直前に服で拭く行為はいかがなものかと見るたびに思う。

ジャージを手に入れた鏑木の興奮は翌日になっても続いている。やった!!ったァ!!ハハハ!!
昨日何度もカガミの前でジャージに袖を通してみたと宣言。さらにクラスメートにジャージを見せびらかす。
前年全国大会優勝チームのジャージだしなぁ。これはクラスメートも興味津々でありましょう。
学校案内のチラシにも載ってたというし、注目度は満点だ。

鏑木がハシャぐのも無理はない。それだけの死闘であったのだから。
といった感じで軽い回想に入ります。
最後のスプリント。ギリギリのところで勝利した鏑木。
勝利した直後は歓喜しかなかった様子であったが、終わった後に冷静に考えると凄くヤバかったことに気付く。

ヤバかった!強かった!あと5m先にラインがあったらオレは失速してた!
すげぇ。何なんだ。何だったんだ。あの先輩、払っても払ってもついてきた。マジリスペクトだ

レース中の舐めた態度から一転してリスペクトするまでになった鏑木。移り変わりの激しい男である。
その気持ちを伝えるために杉元のところにいき、頭を下げる。
そんな鏑木にいつもの調子――ではなく、静かに背中を叩いて想いを託す杉元。

今泉の背中はおまえが押してくれ

自分がなろうと思った6人目になる男。その男に想いを託す杉元の胸中はいかばかりか。
だが伝統のジャージに袖を通し、インハイを走る重みというのは鏑木にも伝わった様子だ。いくぜ!!オレ!!

さて、そんな歓喜の鏑木のもとを訪れる坂道。
さすがに坂道は有名人らしく、発見された野球部の連中に囲まれてしまっている。
どうやら鏑木に用事があったみたいだが言い出せずにいる坂道。相変わらずだなぁ。
上級生の教室なら緊張するのは分かるが下級生の教室でまで緊張していたらいかん。

先輩たちは難なくやってたな・・・
卒業前にそういうのもきいておけばよかったな・・・先輩って大変だな・・・

いや別に今いる先輩も難なくやってると思いますから聞けばいいんじゃないですかね?今泉君でもいいでしょうし。
とはいえ普通はあまり困る場面でもないだろうし、どうアドバイスすればいいのか難しい所だな。

さて、場面はガラッと変わり、静岡県は富士市の洋南大学
その大学構内で大きな声で独り言をいっている大学生がいる。まあせっかく来たのに休講ってのは大学ではよくある話ですわな。

叫んでいるのはやはり元箱根学園の荒北さん。
野生のカンのおかげで名門洋南大学の工学部にに入ることができたらしい。野生って凄いですね。

大学に進学した荒北さん。大学なだけに色んなサークルは存在する。
しかしそれでもついやっぱりこういう所に入ってしまうんだヨなと荒北さん。
ふむ、やはり大学でも選んだのは自転車競技部でありますか。そうでなくてはな。

そんでそこでまさか、おめーと同じチームメイトになるたァ。想像しなかったヨ。金城ォ

なんとまぁ。金城さんに荒北さん。この2人が大学で同じチームになるとは・・・!!
同学年だがそれほど絡みのなかった2人。でも金城さんは福富さんと似通った部分があるし、すぐに仲良くはなれそうですな。
メアドの交換もしてしまっているようですし。AKICHANは実家の犬の名前だということだがフルネームが気になる所だな。

それはさておき、福富さんと新開さんは揃って同じ大学、明早大へと進学したらしい。
次の学連のレースに出れるという荒北さんたち。その秋沢湖の周回ロードレースで2人と対戦する可能性が高い様子。
ほうほう。これは面白い。
かつての敵が同じチームとなり、かつての味方と闘う。面白いシチュエーションでございます。
後は田所さんの行方であるが、あの人は進学できているかなぁ・・・少し不安だ。

とにもかくにも既に洋南のジャージを手にしている2人。やるからには勝つ気でいる。気合十分だ。

荒北「超デコボココンビだけどな!!
金城「案外そうでもないサ!!

荒北さんに合わせてカタカナ喋りをする金城さん。なるほど案外息の合ったコンビになるかもしれないな!!

てな感じの荒北さんに心配されるのは坂道。はい、あれでも2年生。上級生になったのでございますよ。あの気弱な感じのままでね。
そんな噂をされている坂道は思わずくしゃみ。ぺっぷち。威厳のないくしゃみだ。ぷちっ。
というかせっかく荒北さんに噂されたのだから、そこはベプシっ!!といっておくべきだったしょうに。

それはさておき、練習時間。
坂道は結局鏑木に手嶋さんからの言付けを伝えることはできずにいた様子。
今日のレギュラーは特別練習――"個人練習"を行う。
鏑木は坂道と組んでレース形式の練習。スキがあったら抜いていいと手嶋さんには言われているようだ。
そのため気合が入っていて表情が硬い・・・というわけではない。
憧れの坂道と走っているはずなのに気難しい表情の鏑木。それは坂道が鏑木の教室にやってきたことに原因がある。

言われたんだ。クラスのヤツに。クソ!!小野田ってショボイなって!
頼りねェって!!ヒョロッとして弱々しいって!!
オレが目標だってさわいでるあれがウワサの小野田かってバカにされたんだよ!!
ちきしょォ!!もっと威厳ある先輩やってくれよ!こっちが恥ずかしいんだよ!!くそ!!

なるほど。これは鏑木の憤りもごもっともでございます。
なまじ実績のある男なだけに普段の姿とのギャップが大きく、そういう意見が出るのは時間の問題と言えたでしょう。
むしろよくこれまでの間にそういう話がでなかったものだと思うぐらいである。

そんな風に憤る鏑木は坂道を置いて加速し、先に裏門坂を登ってしまおうとする。
しかしその鏑木に難なく追いつき、ごめんと謝る坂道。笑顔で。
どうやら加速した直後からずっと張り付いていたらしく、叫んでいたことは最初から全て丸聞こえになっていたようす。ヤバ!

先輩ぽくないことを謝る坂道。
しかし鏑木にはそんな言葉よりも実際の実力を見せた方が効果がある様子。杉元に関してもそうでしたなぁ。

ヤバイ。今ので体中ふるえてる。こんな人が・・・インハイてのにはたくさんいるのか!!

正直、坂道はかなり特別だという気がしないでもない。
並ぶとしたら御堂筋君や山岳といった辺りでしょうが、さすがにたくさんいるとは言えませんなぁ。

鏑木に請われ、本気の走りを見せる坂道。
登りとは思えない速さで一瞬にして鏑木を抜き去ってしまう。

小野田坂道さん!!なんだこの人の走り出してからの全身から沸き立つプレッシャーは。
山でこんな速い人に初めて会った。見てるかクラスのヤツら。学校にいる時は小さな背中が、超でっかく見える。
勝てねぇ。勝てる気がしねェ。見るのと走るのとでは全然ちがう!!これがハイケイデンスクライム!!
すげぇ。やっぱりすげぇ小野田坂道!!

一度は沈みかけた尊敬の念が逆にさらに大きく膨らむ鏑木でありました。
評価が落ちるのが一瞬ならば、逆に落ちたところから評価をあげるのも一瞬である。
坂道ほど普段の姿と競技中の姿が変わる男も珍しいでしょうし、こういう評価になるのも当然といえましょうか。
それをよく知っている鳴子と手嶋さん。鏑木は今ごろ面喰っとりますかねとお話し中。
確かに坂道の走りを見ればたいていの人は面喰いますわな。笑って高速で駆け上がるですもの。こりゃあ怖い。

それはさておき、手嶋さんは次のインターハイの舞台について語りだす。

その坂は延々と続く日本一有名なつづら折り。
杉並木を登り、世界遺産の東照宮さえもしたがえ、その上を更に登る、日光いろは坂だ。
自転車乗りの間じゃスプリンター殺しの坂とも言われている。最大標高は1840m。昨年走った箱根の実に2倍だ!!

なるほど。こりゃ確かに荒北さんが疲れる坂だと言うはずである。
しかし箱根の登りゴールに続けてスプリンターにはキツイステージとなりますか・・・
鳴子はスプリンター止めて、ある意味正解だったのかもしれませんな。
今の総北はスプリンターが青八木さんしかいない状況であるが、これならばそれを解消する必要はなさそうに思える。
昨年優勝校に有利なステージというのはどうかと思わないでもないが、まあ開催場所は前から決まっていたんでしょうな。
他の学校の面々がどのような鍛え方をするのか、気になる所です。
さすがに広島のスプリンター3名体制は致命的だから今年はやらないと思うが・・・どうなりますことやら。
そういえば箱根学園は肝心のキャプテンがスプリンターなのか・・・どうなりますことやら・・・



RIDE.275 鏑木一差のデビュー戦!  (2013年 45号)


新・チーム総北誕生。
そしていきなりその6人の戦いは本番・・・IH予選という舞台で展開される!!
去年は1年生たちに予告もなく先輩たちだけで行ったIH予選。
今回はちゃんと部員全員に通知をしている様子。
居残り組は古賀先輩と大周回コース練習。
ふむ。古賀先輩。一度いなくなり、最近は背景のメガネとしてよく出ていたが、ようやくちゃんと名前も出てきたか・・・
アニメ化というタイミングもあるし、久しぶりに旧キャラもお目見えしようという話ですかね?監督とかさ。

それはさておき、IH予選。バスに乗って予選会場にやってきた総北高校。
朝のちょっと寒い空気。せわしなく準備してるレースの会場。
このスポーツセンター周回コースで行われる、千葉県代表を決めるインターハイ県予選。

こいつに勝って本戦へいく!!それがオレの、このチームで走る最初のレースだ!!

気合いの入っている鏑木。まあいよいよ本番ですしね。気合も入れねばならんというものでしょう。

さすがに前年覇者である総北は注目の的である。総北だ!!総北来たぞォォ!!

デカい!!今泉。赤い鳴子。キャプテン手嶋と青八木。そして昨年のトップリザルト小野田!!フルメンバーだ!!

二つ名とかそういうのがないせいか、なんとなく端的な紹介となっている気がする。デカイとか赤いとか。
まあ鳴子にとっては赤い言われるのは本望なんだろうけども。そういえば浪速のスピードマンなんてのもあったか。

周りの注目度は高く、雑誌記者からも写真撮影を頼まれる。
その6人の中に混ざる鏑木。キリッとした顔つきで、周りからは強そうだなと評されている。
しかし実際は凄く緊張して顔が強張っているだけだったりするという。
いつもならば相方の段竹が先に緊張しまくるおかげでそれを見て逆に安心できていた鏑木。
今日は一人・・・ヤバイ。お腹いたくなってきた。いてて・・・

緊張のあまり、走れないレベルでお腹がぐるるるいいだす鏑木。我慢して怖い顔になっとるで!!
まあまだレースまでは時間がある。今は出走リストにサインしてゼッケンをもらうために並んでいる段階だ。
しかしその待つだけというのがとにかく苦しい。後ろから見たら滑稽な動きをしているのが丸わかりだ!!

そしてレース会場は朝早くから人が詰めかけているのでトイレも長蛇の列が出来る。
急な腹痛があった場合、果たして間に合うのか。列の長さを見ただけで絶望的な気分となる鏑木でありました。
なんというか、レースと関係ない所で強敵に出くわしてしまいましたね。ハハハ。
まあ、腹痛は波がありますからね。どうにか堪えれば次の波までにサインをこなすことも可能ではある。長くは持たないだろうがな!!

一差大丈夫か・・・あいつ1人だと、すぐ緊張して腹にくるからな

さすがに相方の段竹はよく分かっている様子。
こうなってくるとむしろこれまでは鏑木のために緊張してあげてるんじゃないかとすら思えてくるほどだ。甲斐甲斐しい!!

まあとにかく。サインを済ませた後、トイレがあいてる時間帯となったのか、無事にピンチを切り抜けられた様子の鏑木。良かったね。
心配事は無くなったので固定ローラーでアップに専念します。
そんな姿を見ながら鏑木のことについて話し合う今泉君と鳴子。

鏑木・・・あいつだい分一緒に練習しとるけど、なんやなかなか馴じまんな。いつも1人で考えこんどる。

確かに少し距離感がある感じがしますな。
礼儀正しいのはいい事だけど、親しみやすさとはまた違った感じがあるのは確かである。
鳴子は馴れ馴れしすぎるぐらいであるが、その鳴子相手にも距離を置いている感じでは厳しいですわな。
チームの雰囲気も考えると多少はくだけた感じがあってもいいとは思うんですけどねぇ。
段竹やクラスの連中には普通の態度でいられるようだし、そういうことが出来ない性格ってわけでもありますまいに・・・
そこで今泉君はこんな見解を述べる。

今まで社会人チームの中にいて個人主義・・・
実力主義の世界にいてオレたち総北の"チームで闘う"っていうチーム勘がわからないんじゃないのか

言われてみればずっと大人たちと混じって走ってきたんですよねぇ。
そういう意味では序列意識というか、くだけた感じに接しにくい性格となってしまったのは仕方のないことなのかもしれない。
しかし段竹とはいい感じにコンビを組んでいるんだし、チームもその延長と考える訳にはいかないのかねぇ?
いや、段竹は基本鏑木を立てるような立ち位置でいた気がするし、それ以外のチームのあり方がわからないという可能性はあるか。

そんな鏑木に話しかける手嶋さん。
食うか?と携帯食料を渡そうとするが、自分で用意したものがありますから結構ですと断る。
準備が万全なのはいいことだけど、こういうのは受け渡しのやり取りによる交流がメインですからねぇ。
断ってしまうのが失礼という空気の読み方は難しいというところか。新開さんなんか頻繁にやってそうな交流方法だというのに。

それはさておき、手嶋さんは鏑木に問う。おまえは何のために走る?レースを、と。

ハハハ!!"何のために"ですか。決まってます!!決まってるじゃないですか。この答え以外に答えがあるんですか。
勝つためです!!長く苦しいレースを耐えぬけるのはこの目的があるからです。違いますか?

まあ、端的に言ってしまえば確かにその通りかもしれませんな。
勝つことによって得られるものは数多い。何かを満たすためにはまず勝たねばならない。全くその通りだ。
しかしレースという過程は耐えぬくもの。欲するのは結果のみというその姿勢はいかがなものであろうか。
その辺りを言葉で伝えるのは難しいと思ったのか、そのことについては言及しない手嶋さんでありました。

さて、アップをすませたらバスの中に集合。10分後にミーティングを行い、今日のレースのオーダーが出ることとなる。
しかしそのオーダーが出る前にひとつお願いがあると切り出す鏑木。

このレース、オレをエースとして走らせてもらえませんか

ほう・・・これはまた大きく出たものだ!!
緊張したり距離感を測り兼ねたりしてる鏑木だが、レースのことになると大きなことを言いだす。
まあ自分を追い込んで結果を出そうとしているということなのかもしれないが・・・
しかしサポートは無しで単独で逃げ切ってみせるというのはどういうことなのか。
それだと他の5人が走る意味があまりないような・・・他の5人とも勝負しようというのかね?

予選とはいえずいぶんと舐めた態度を取っている鏑木。
まあ、去年も田所さんたちはラスト1周まで競ってから大差をつけるという舐めたことやってたし、伝統といえば伝統であるか。
というか昨年の覇者である総北は決勝からの出場なんですな。さすがにシードもあるか。

総北!!あんまり調子にのるなよ。好きにはさせない。この柏東エース3年柳田が!!

おや、柳田さん去年の時点で3年生じゃなかったんだ。
去年はレース中に元気づけられるという屈辱を味わいましたしねぇ。そりゃあ燃えるというものである。
金城さんたち3年さえいなければ俺たちにもチャンスがあると思っていそうだが、はてさて。

レースは全6kmの特設コースを10周回で行われる。合計60kmか。
そのレースの初っ端、1周目から飛び出しをかける鏑木。ほぅるああ!!
サポートもいらないと言っているし、飛び出してそのまま最後まで突っ走る考えのようですな。

見てるか段竹!!とりあえず、1コ目の優勝。頂きだ――!?

気合は満点。しかし何が起こるかわからないのがレースというものである。
え。と驚きに目を瞠る鏑木。どうやら尖った石か何かを踏んでパンクしてしまったらしい。
ムリをすれば走れなくはないが、レーススタート直後にこれでは・・・
急いで修理すれば復帰できなくはないかもしれないが、優勝を狙うには致命的な遅れとなる。
この絶望的な状況。ひとりで優勝してみせると宣言した鏑木にしてみれば最悪な状況。はたして乗り越えることができるのか・・・
坂道ならばこれくらいのハンデIH本番でもひっくり返してみせたりしたものであるが・・・うーむ。

でも本当にここで逆転されたら今度こそ本当に柏東の柳田さんが潰れてしまいそうな気がして怖い。
柏東や幕張京葉はどうなってしまうのか!!注目である。



RIDE.276 トラブル!  (2013年 46号)


千葉県、房総半島。その中央部に位置する長柄町。
千葉スポーツ総合センター。この周りの道路を閉鎖してつくられた全長6kmの特設コース。
これを10周回することで決勝は行われる。
そしてこのレースに勝利したチームが今年の夏、千葉県代表としてインターハイ本戦へ出場することになる。

そんな重要なレースで1年の鏑木、自身をエースとして走らせてもらうよう手嶋さんにお願いする。
しかもサポートもなしで単独で勝ってみせるという。
その言葉を実現させるため、最初から快調に飛ばす鏑木。
この加速についてこれないレベルなら何も問題はないって感じでありますな。オレがこのレース、コントロールしてやる!!

そんな風に粋がってみたところで、まさかのトラブル。
パンクという想定外の事態に驚きを隠せない鏑木でありました。ハハハ。
ムリに走ろうとしてもパンクした状態では速度はでない。コーナーなんかでは倒れる可能性も高い。
降りてタイヤの様子を確かめるが、完全に空気圧ゼロの状態であります。
この空気圧ゼロの状態って切ないんですよね。何度もペコペコしてしまいますよ。

ともかく、これでは走れない。どうするか考える鏑木。

本部に押して戻るか。それで換えのホイールを――いや、もう2km近く走ってきてる。戻るには時間がかかりすぎる。どうする。
ホイールごと持ってきてくれるのを待つか・・・待つのか。集団はどんだけ先だ。

焦る鏑木。そこにレースの状況を確認するために走っている審判のスクーターが通りがかる。
なるほど、メカトラブルがあった場合はこうやって本部に通達。チームに連絡を入れてくれるわけか。
どうでもいいがリアタイヤがリタイヤに見えて驚いた。「パンクかね?」「そうです、リタイヤ!!」これは、えっ!?てなるな。

ともかく連絡は行ったみたいなので後は待つしかない。
2kmだが大回りしているから、グラウンドをつっきれば1kmくらいでつくはずである。
しかし女の足で何分かかるのか。どんだけロスするのか。まだレースは始まったばかりであるが・・・

急げ、急げ、急げ!!急げ!!

見えない相手に念じる鏑木。おかげで顔を伏せてしまい、前を見ることが出来ていなかった。
気付けば、目の前に総北のジャージが5枚並んでいる。えっ!?

これにはさすがに鏑木も驚きを隠せない。今泉君や鳴子に至ってはヘルメットも外しておくつろぎモードとなっている。
慌てて声をかける鏑木。慌てすぎて鳴子の名前が出てこなかったのだろうか。何で一人だけ途中で名前呼ぶの省略したのか!!
まあ、それはさておき――

何で止まって・・・レース中です!!何でいるんですか。何で足止めて・・・何やってんですか!!

何でが多いな。でも気持ちはわからなくもない。確かに何でやねん。

今泉「このレースはおまえがエースだ。オレたちはそのサポートのために走ってるからだ」
鳴子「エースやりますいうたん、おまえやろ」

確かに言ったけど、サポートも要りませんとも言ったはずなんだがなぁ。
そのためというわけではないが、先輩たちの行動が理解できない鏑木。

おかしいのかこの人たちは。レース中はパンクのヤツなんか見捨てていくのがセオリーだ・・・
何で待ってんだオレを・・・なんで笑ってんだ。大事な県予選だ!!
行ってください。いいから!!先に!!これは県予選ですよ。これに勝てなきゃインハイいけないんですよ!!
オレなんかどうでもいいでしょう!!

どうでもいいかって言われるとアレだが、確かに大事な本番のレースでこれはどうかと思われる。
ここで手嶋さんは言う。昨年の主将の金城さんは――このジャージは6枚揃って完成形だって言ってた、と。

枚数なんかどうでもいいですよ。勝たなきゃ意味が!!勝たなきゃ、言い訳も・・・笑うことも。何もできないんだ!!
急いで出てください!!前を追ってください!!これは周回レースです。
周回レースじゃ・・・遅れて先頭に追いつかれた選手は"周回遅れ"は――リタイアになってレースから降ろされるんです!!

ほう。それは非情な仕組みでありますな。完走も許されないのか。
しかしそれって特別に速い選手が1人いたらどうなっちゃうんだろうか。
例えば御堂筋君が紛れ込んでいて総北がいなかったとしたら、えらいことになるのではなかろうか。
ハッ。もしや昨年の田所さんたちが最終周まで本気を出さなかったのはそれが原因か!?
早い段階で本気を出すと全員リタイアさせてしまって、1年生たちが来るのが間に合わないからとかそういう!!

去年のことはさておき。いや、まださてはおいてないな。手嶋さんが去年のインターハイのことを話し出す。

小野田坂道は第2ステージで田所さんて先輩を待って足を止めた。
オレたちがケツを押してレースに戻そうとしてできなかったことを、小野田はやってくれた。
はるか彼方にいたチーム総北のジャージを、不調だった田所さんを引いて走った。6枚揃えた。
それに意味なんかない。そう言うヤツもいるだろう。
けど、その後の田所さんはチームを引き、皆が想いをあずけて、つなげて――
最後はそれをまかされた小野田がジャージをゴールに届けたんだ。
オレは6枚の力を、信じてる

まあ、確かに実際にやってのけたという実績はありますが・・・
こればかりは当人たちでないと理解しにくい話ではないかと思われます。
なんだったら5人で全力で走って集団を引き離してから待てば、先輩たちの周回遅れの危機もなくなり鏑木も安心。
その後一緒に走れば6枚が揃ったことにもなる・・・うん、なってはいないか。ないな。

ともあれ、そうこうしているうちに寒咲さんが到着。
急いで変えのホイールを装着する。こういう作業は複数人いると早くていいですな。
って、鏑木。急げとか言っている暇があるならパンクしたタイヤは前もって外しておきなさいよ。

ホンマ、何かちゅーとこのチーム。いつもギリギリですね

いやまったく。何というかトラブルメイカーが揃いすぎている。転倒に巻き込まれたり体調不良になったりさ!!
というか、何でマネージャーだからって寒咲さんが持ってきたんだろうか?
足の速い部員とかは来てないのか?そういえば居残りは古賀先輩と練習とか書いてたし、部員は来てないのか。

兎にも角にも、6枚揃ったジャージ。
危うい所で周回遅れは免れ、全力で走り出す。
しかしまだまだ射程内。のこり9周で周回遅れにしてリタイアさせてやると息巻く先頭集団たち。
いや、9周じゃなくてこの1周で周回遅れにしてやるとか考えないとムリっしょ。今全力出さなくてどうする!!
そんなツッコミもしてはみるが、どちらにしても本気の走りを行いそうな総北の面々に敵う気はしない。
追いつかれたら終わりというこの状況で、何だかやる気になっている様子でありますしねぇ。逆境に強い連中である。

トラブルによる危機は危機であるが、予選だしこのぐらいは丁度いいハンデなんじゃないかと思えてしまったりする。
舐めた態度と言えばその通りだが、実際そのぐらい力の差がある感じはしますしねぇ・・・うーむ。
これで更に誰か別の人のメカトラブルが発生したらどうしようか。
さすがにそれは見捨てるほかないと思うのだが・・・どうするのでしょうかね!?



RIDE.277 6枚の力  (2013年 47号)


レース序盤にほぼ1周差というハンデを背負うことになった総北。
背負うことになったというか、自ら背負う判断をしたというか。
ともかく、その失策を嘲るのは柏東の柳田。不可能!!この差をひっくり返すのは不可能!!

追いついて"周回遅れ"にしてリタイアに追い込んでやる!!目の前だ!!
金城たち3年のぬけた穴はやはりでかかったな!!手嶋!!
凡人、手嶋。思い知らせてやる!!今年はこの柏東が全国へいく!!

嬉しそうに吠える柳田。ハンデ背負った相手に勝って力を証明したことになるのだろうか?
いやまあ、向こうが勝手にやっただけで、合わせる義理はないに決まってますが。

何にしても手嶋さんはここから後ろの集団に追いつくつもりでいる。
そのためにまず――ボトルの1つを後ろへと放り投げる。えっ!?
当然まだ中身の入っているボトルである。それなりの重量はありましょう。
そのボトルをナイスキャッチする柳田。下手すれば気付かずに頭に直撃してたんじゃあるまいか。

悪いな柳田!しばらくあずかっといてもらえないか。手がすべっちまった。
取りに来るから。大事な記念ボトルなんだ。あとで・・・そうだな・・・9周目くらいに?
ああ、そうだ。中身は飲んでくれてかまわない。重たいだろうしな。ゆっくり、ティータイムを楽しんでくれ。

なるほどー。手がすべったのなら仕方がないですね。うん、仕方ない仕方ない。
そういえばこのティータイムうんぬんの挑発は合宿の時も行っておりましたな。
こういう精神的なゆさぶりをかけるのも上手い人だから困る。
久しぶりに性悪な感じの手嶋さんを見た鳴子。心での呼び名も手嶋さんからパーマ先輩へと変わる!!そういう変わり方!?

ともかく、青八木さんを先頭にして後ろの集団を引き離しにかかる総北。
まずは80%の力で、とのことなのでどうやらまだ全力ではない。しかし鏑木が驚くほどの加速力を見せる青八木さん。流石である。

鳴子「いやぁ―久々見ましたわ。悪手嶋さん
今泉「かつてはオレたちを苦しめ追い込んだ知略、戦略」

元々は足りない力を知略で埋めるってキャラでしたからねぇ。
さすがに主将になってからは身内に性悪な部分を見せるようなことはありませんでしたが、本番で敵なら容赦なしでありますわな。

集団はまとまっているから怖い。
けど、バラバラにしてしまえばそうでもない。
オレがハデに"追いつく宣言"をしたことで集団には2つの感情が生まれたはずだ。
まさか追っては来ないと思ったけど"ひょっとして"という恐怖と"ふざけたことを言いやがって"というもう1つ。
2つの感情は集団を2つに分ける!!集団は数が減れば速度は落ちる。せっかくオレたちをおとすチャンスを台無しにする!!

なるほど。確かに前回の最後、あのまま集団で迫られたらどうするのかなとは思わなくはなかった。
その集団をバラけさせるための挑発であったわけですな。
2つに分かれず、全員揃ってふざけんなと怒って走り出したら危なかったですな!!
まあ、もしそうなったとしても追いつかれるつもりはなかった様子。

オレたちは6人揃ってる!!
強い意志と力を持ち、なおかつ信じられる6人だ!!追いつくよ!!必ず!!

ふむ、やはりそこが総北の拘るポイントであるってことですな。
しかしそんな総北を意地でもリタイアさせてやろうと迫る柏東。
速度の出せる3人が凄い速さで後ろから迫ってくる。さらにその後方には幕張京葉が4人。
どの選手もレースとかの速度ではない。とにかく今ここで追い越すことだけを考えて踏んでいる様子である。正しい判断だな。
手嶋さんの策略により本気にさせてしまった奴らが出てきた。
ならばどうするか。ここはそう、青八木さんの本気を見せてもらう場面となる。100%の力を出してもらうのだ。そう、これが――

必殺――田所さん直伝――総北名物肉弾列車。改め。酸素音速肉弾丸青八木列車!!

息を、空気を、酸素を思いっきり吸い込む青八木さん。
その結果、肺はとんでもなく膨張し、胸が爆発的に膨らむ。た、確かにこれはインターハイで田所さんが見せた技!!
うーむ、田所さんがやったからなんとかギリギリアウトぐらいで済んだが、青八木さんまでやるとなるとこれは・・・
酸素音速の時の青八木さんの顔が妙に綺麗だから余計に膨張のおかしさが際立っている!!
と、ともかくそんな青八木さんの100%の加速は凄い速さであり、鏑木は再度驚かされることとなる。

速い!!何て速さだ!!ついていくだけでやっとだ。すげぇでかく見える青八木さん。ていうか、本当にでかい!!

この膨張は錯覚だよというフォローまでさせない鏑木のセリフ。やりおる。
なので鳴子がでかくなった理由について解説してくれます。

きたえ上げたんや。筋肉を、体幹を、そして肺を。
自転車競技の体幹筋肉はもともと自転車に跨ることによってふくらむ。ペダルを蹴るために膨張する。
あの人の体はそれがドエライ落差。ちょっと特殊や。その肉体をインターハイ用にたたき上げとるんや!!

ふむ。まあ青八木さんの肉体の膨らみ方が一般的ではないというのは分かりました。そりゃそうよ。
というか腕や脚など体幹筋肉とは違う所まで一緒に膨らんでいるように見えるが・・・まあいいか。

とにもかくにも、念願のインターハイに出場する青八木さんのモチベーションは高い。
その勢いを乗せてチームを引っ張り・・・結果、本当に9周目には先頭に追いつくこととなった総北。ハンパねぇな・・・!!
でもまあ、読者としてはもちろんやるとは思ってましたよ。これに関しては観客の言葉と一致する。やると思ってたぜー!!

すごい歓声だ。全員が総北の味方って空気だ。集団はすっかりそれに気圧されてる。
6人で遅れてギリギリのドラマティックな展開に客は酔いしれてる。手嶋さん!!あなたはひょっとしてここまで読んで――

いたのかどうかは定かではない。まあ、そうなったらぐらいには思っていたかもしれませんな。
ちなみに加速前に後ろに放り投げていたボトルはちゃんと返してもらった様子。
柏東の下川くん。ミーハーな感じの子であるなぁ。

さて、先頭に追いつき、残り1周。ここからは鏑木の仕事と言うことになる。
エースとしてゴールを取る。そう宣言したからには取ってもらわないといけないって話だ。
今泉君が前に出てゴールまで運ぶ様子。絶対にオレにふりおとされるな、死ぬ気でついてこいと述べる。

速い!!ムダがない!!なんてキレイな加速なんだ今泉さん

言われたばかりなのにさっそく振り落とされそうになる鏑木。
しかしその後ろを押して支える鳴子と坂道。エース背負たんやったら鼻血出す気で回さんかい!!

すげぇ!!鳴子さん。オレを押しながら何倍も加速する!!

坂道の凄い所は事前に知っていたが、他の先輩の凄い所もこのレースで叩き込まれることになった鏑木。
レース前はオレ1人で十分いけますとか言ってましたのにねぇ。すっかり驚き役になってしまって。
予選とはいえレース本番ではなく、もっと早い練習の段階で凄さに気付いておきましょうよ。

まあ、ともかく。先輩たちの後押しもあり、見事に鏑木はエースとしてゴールを決める。
といっても、他の連中もすぐ後ろまで来ていたりするんですけどね。
必死そうな鏑木とは違い、余裕の表情でゴールを決める面々。坂道はちゃんと上手くバンザイできるようになってますな。
それにしても、今泉君のポーズが何か奇妙である。一輪車にでも乗っているかのような構えだ。アピールアピール。

トップ・・・ゴール・・・した。パンクして・・・周回遅れになって・・・
オレ・・・本当に・・・トップ・・・ゴール。すげぇ・・・なんてチームだ・・・チーム総北!!

結局、ハンデをものともせずに6人揃って独占ゴールを決めた総北高校でありました。
うーむ、もはや他の千葉の高校とは格差がありすぎてワンチャンスもないんじゃないかと思えてしまいますなぁ。
来年は来年でまだ坂道たちも残っているわけですし・・・千葉の他の高校の方々は災難ですな、本当に!!



RIDE.278 譲らない男たち  (2013年 48号)


総北の大逆転に沸き返る観客。
鳴子は鏑木を前に送り出す。ロードレースで一番讃えられるのは一等最初にゴールしたヤツや!!と告げて。

観客の大声援をガッツポーズの体勢で全身に浴びる鏑木。嬉しそうですなぁ。
しかし観客のロードレースっておもしろいね!は宣伝というかなんというかな印象が。まあ、それはさておいて――

強くてなんていい先輩たちなんだ!!オレは最高のチームに入った!!

歓喜の鏑木。それを笑顔で後ろから見守る先輩たち。
皆がひとつにすごくまとまってるすごくいい感じがします。
が、もちろん不満が全くないなんてことはないわけでして。

鳴子「ホンマはワイが1位獲ったりたかったけどな!!ガッツリと!!あいつがイキってエースとか言い出さんなら・・・」
今泉「目の前のゴールを・・・くそ・・・どれ程ゴール前踏もうとする足を止めるのに必死だったか」

なんであんな1年ボーズのためにゴールをくれてやらなきゃならないと不平たらたらな2人。
相変わらず気が合っているというか何というか。その様子をオロオロしながら見ている坂道。うむ、いつものトリオだ。
まあ、実際疲労満点な感じの鏑木と違い他の5人は余裕がある感じでしたものねぇ。
傍から見ても譲ってあげたんだなというのがよく分かるゴールシーンでありました。
そしてイキってる鏑木のアダ名は今日からイキリとなりました。卒業までずっとそう呼ばれるんだろうなぁ・・・
こんな2人のやりとりはでかい声で行われているため――

全部・・・きこえてます・・・今泉さん・・・鳴子さん・・・
あれ?オレはひょっとしてあんまりいいチームに入ったんじゃなかったのか・・・

盛り上がった気持ちが一気に冷え込んでおりますな。ハハハ。
とはいえ2人の言うことは分かる。今年のチームの初となる公式戦レース。
その1位を新人に譲らなければならない。微妙な気持ちになってもそれは仕方がない。許容する手嶋さんがある意味凄い。
いや・・・この2人の場合は今回がどうこうという話ではないか。
とにかくどんなレースでも譲らないって気持ちで走っている。たとえチームメイトでも後輩でも1位を譲りたくない連中なのだ。

それでいいと思ってるぜオレは。仲悪くってさ。仲悪いってのは悪いことばっかじゃない
先輩や同じ年のヤツに"負けたくない"ってのは絆だ。
普段はいがみ合ってても苦しい局面――逃げられない状況になった時、一気に逆転する。
そいつの存在が力になる。強みに変わる。"ついてくるな"が"ついてこい"に変わる。
その結びつきがキセキを生む力になる――オレはそう信じてんだ

気が置けない仲というやつですかね。
一見いがみ合ってばかりには見えるが似たような考えを持っており、いざという時は協力し合うことができる。
確かに理想的な形であるかもしれませんなぁ。それが手嶋さんの考える今年の総北の形か・・・

そんな2人のペースへと巻き込まれていきそうになる鏑木ことイキリ君。
さきほどの発言はどうやら聞こえるように言っていたらしい。さすがである。
ついでにイキリじゃないスと反論する鏑木に追撃を行う。

貧脚のくせにギャーギャー言ってるヤツのどこがイキリじゃないんだ。
ピッタリじゃないか。いいアダ名だ。
ゴール前オレに千切られそうになってたヤツは誰だ。言いたいことはまずオレや鳴子についてこれるようになってから言え。

なかなかいい挑発でありますな。
鷹揚な感じの手嶋さんや優しさが全面に出てしまっている坂道とは違う厳しい発言。
先輩として1人はこういうことを言ってくれる人がいないといけませんよね。その点スカシ泉君なら適任というものである。

わっかりましたァァ!!ハイッッ!!
いいです。いいでしょう。メッチャ練習して練習して絶対追いぬいてみせます!!
今泉俊輔!!オレはアンタを絶対超える!!
鳴子章吉、あんたも超える!!

しっかりと挑発に乗ってくれた鏑木。分かりやすい子だ。
しかし強い相手なら誰にでもこの宣言をするつもりなのだろうか。インターハイに出たらまとめて宣言しないと追いつかないぞ。

優勝した鏑木には記者たちが駆け寄っている。
しかしどこの記者かしらないが、最初からこの展開予想通りだった?はねーだろ。パンクしてほぼ周回遅れが予想通りなら怖いわ。
まあ、それはさておき。記者はレース前の手嶋さんと同じ質問をする。キミは何のために走るの。レース?と。

ゴールした時、あたたかい先輩たちに支えてもらって、助けてもらって。
心の中でオレはレースを仲間のために走ってるんだと思いました。
けどそれは間違ってましたァァ!!勝つためです!!それだけです!!それしかないです!!

1周して同じ結論に行ってしまいました。ハハハ。
まあ、何にせよこのレースで距離は大分縮まったみたいでありますね。
どこか年上に壁のようなものを作っていた鏑木だったが、この人には負けたくないと思うようになってくれた様子。
その負けん気がいい方向に働くといいですなぁ。
次は自分を犠牲にしてでもチームのために働けるかどうかだが・・・まあ、パンクしたときのセリフを見る限りは大丈夫か。

さて、王者総北の走りは当然の如く他県のチームから注目を浴びている。
近県には留まらず、金沢や宇都宮、静岡。そして――京都。

偵察に来ていた様子の水田君が御堂筋君に報告を行っている。
どうでもいいが凄く抽象的で中身のない報告でありますな。
完ペキ・・・完ペキいう感じや!!ヤバイで・・・マジで。一分のスキもない完璧な仕上がりや。総北こら手強いで!!今年は。
こんな感じの報告じゃあ、御堂筋君もチームワークの部分を拾って会話するしかありますまい。

チーム・・・何?完璧?完璧なものほどもろい・・・よぉく熟した果実ほどすぐ落ちる!!

それだけ告げて電話を切る御堂筋君。
今年新しく京都伏見のキャプテンに就任した水田君ではあったが扱いは変わらずザクのままみたいですな。
というか、水田君がキャプテンなのか・・・形だけではあろうが・・・後輩の髪型を真似するキャプテンってのもいかがなものか。
まあ、見つけた総北の弱点とやらは少し気になりますけどね。

心配いらんププ。ザクゥ。今年は・・・ボクも増した・・・それに、キミィもおるからね。

と、御堂筋君は先程まで自身のマッサージを行っていた男に話しかける。
御堂筋君に負けず劣らずの細身であるその男はこう述べる。

御堂筋さん・・・先輩・・・今日の肉はいい仕上がりですよ。最高の筋肉です

にこっと笑顔でそんなことを述べる痩身の男――小鞠。もみっ。
マッサージが特別うまいらしく、先輩たちからはマッサージャーとして重宝されている。
まあ、そんな先輩たちも小鞠君に言わせれば最悪の筋肉であるらしいが。
ただのマッサージャーに御堂筋君がジャージを与える訳もないでしょうに、おめでたい人たちである。

さてさて、石垣さんが抜けて本当に御堂筋君のみのワンマンになるかと思われた京都伏見。
しかしここで新たな選手が参戦。御堂筋君の態度からすると相当に手強そうな人物であるようだが・・・?
とりあえずキャラクターとして充分インパクトはあったと思われる。
その筋肉を揉み解す技術はどのような走りを生み出すのか!!
ネタなら存分に生み出してくれそうな気はする。泉田くんとの絡みとか今から楽しみだ!!



弱虫ペダル 33巻


RIDE.279 電話  (2013年 49号)


インターハイ直前と言うことで自転車系雑誌の記者たちも慌ただしく取材に動き回っている。
直前号の特集といえばやはり昨年の王者となった総北か。
いや、サイクルタイムが注目しているのは神奈川――箱根学園である。

総北が強いってさわいでるのは残念だが所詮限られたごく一部だ。
次のIHで皆が見たがってるのは"王座復権"。最強と謳われた「王者」がいかにして王座を獲り返すか。その奪還劇だ!!

確かにその点は注目されていると思うが、総北が強いのを否定することにはならない気がする。
今年の箱根学園を見ての判断とのことだが、この記者は今年の総北も見ての判断なのだろうか?
いや、去年の総北――というか坂道が残っているという時点で総北は侮れる存在ではないはずなんだがなぁ。
それはさておき、予選を危なげなく突破した直後のインタビューで箱根学園はこんな言葉を残したらしい。
今年もうちは6人全員がエースです――と。

追われる側の王者という立場になった総北。
それはさておき、坂道は普段通りの様子。洗車をした後にフィギュアを乗せて満足そうな様子。
うーむ、まあともかく自分で洗車するのは感心な話ですな。トラブルも防げるし愛着も沸くしよいことだ。うん。

県予選が終わったから。どんどん進んでる。次はインターハイ・・・か。2回目の暑い夏が来る――

しかしその前に予定されているのが合宿である。
去年はトラブルがありながらも勢いで1000km突破した坂道。
今年は大丈夫かなぁとか言っているが、あのハンデ付き自転車じゃなければ余裕じゃないかな?
いや今年はもっと凄いハンデをつけて走るとかそういうことするのかもしれませんが。まあ、それはさておき――

でもその合宿で――ボクは真波くんに会ったんだ
最後のゴール・・・思い出すと今でもふるえて、あの時の感覚がよみがえってくるよ。
あの時ボクがあんなに走れたのはキミのおかげだと思う。今年の夏も走れるよね一緒に。真波くん。

感慨にふけりながら、冬に交換していた電話番号を確かめようと携帯を開く坂道。
するとその着信履歴に真波山岳の名前が。おや。
滅多にかかってこないのに感慨にふけった日に限ってかかってくるとは・・・繋がってますなぁ。色々と。

慌ててかけ直す坂道。大慌てでまくしたてるが残念ながらルス電。
いやそのおかげで落ち着いて話せてかえって良かったのかもしれない。
実際途中から山岳が電話をとって話を聞いていてくれましたからねぇ。

自転車に乗っていなくても羽根を生やせるようになったのか山岳!!と思ったら、看板のパーツだったというオチ。
と見せかけて本当に生やすこともできますとか言い出しかねないのが山岳の怖い所だ。

ともかく、久しぶりに山岳と話すことができて凄く嬉しそうな坂道。落ち着けと言っても無駄なくらいに嬉しそうである。
箱根学園は予選大会を危なげなく通過。2位と10分差をつけてのコースレコードを出したらしい。ほう。
それはさておき、山岳は坂道に伝える。今、秋葉原にいると。
どうやらインターハイのコースの下見に来たらしい。携帯の電池を忘れた葦木場のせいで寄り道をすることになったそうな。
携帯がないと何か困ることがあるのだろうかと思わなくはないが、ともかくこれは僥倖。
久しぶりに山岳に会えるかもしれないと急いで秋葉原へと自転車を飛ばす坂道でありました。しかしもう10分もそこにはいないという。

10分じゃ着かない。ここからだとロードでも1時間はかかる。わかってる。わかってるけど――

けれど、行かずにはいられないってことですかね。純情だなぁ。
しかしちゃんとジャージに着替えたりはしてるんですな。むしろ着替えとか準備の時間でタイムアップになりそうだ。

秋葉原の、車が通るであろう大きな通りまで走ってきた坂道。しかし既にそこに山岳の姿は無い。
しかし、そこで発見したのは自転車のボトル
箱根学園と書かれたそのボトルは間違いなく山岳が残したものでありましょう。
この広い秋葉原で小さなボトルを見つけ出す坂道。見つけ出すと信じている山岳。何だろうねこの2人の繋がりの強さはさ。

坂道くん。たぶんキミなら受け取ってくれてると思う。届けに来て。今度は笑顔で受け取るから

勝負に敗れて受け取ったボトルを捨てることとなった昨年。
その苦い思い出も東堂さんの説得を受けたこともあり、時間の経過と共に昇華できたようでありますな。
そして再びのボトル渡しと再戦の誓いでありますか。まあ、こういう繋がりもいいんじゃないでしょうか。
東堂さんがいうように毎日のように坂道に電話をかけるなんてのは山岳には無理な話でしょうし。
いや逆に坂道が東堂さん側に回ればいけるのか・・・?いやさすがに東堂さん並の頻度はいくら坂道でも。

それはさておき、下見に行く箱根学園の車に帯同しているのはサイクルタイムの記者たち。
どうやらこの6名が今年の箱根学園インターハイメンバーであるらしい。
泉田、黒田、葦木場、山岳の4名は既に判明しているが新たな顔ぶれが2名ほど。
いや、1人はお面被って寝ているので顔は分からないのだが・・・その状態で写真撮らせていいのか?

総北に勝てるかどうかという質問。王者ではなく挑戦者としての質問でありますな。
だが箱根学園は挑戦者としてではなく王者のような回答をする。勝てるかどうかではないね。彼らが――

そうだ!!あいつらがオレたちについてこれるかどうかだよ!!
一瞬・・・さ。ハコガクだぜ!?オレたちはハコガク!!一瞬でグッてひねってやるよ。オレが!!

吠えるのは銅橋という筋肉質の男。
インタビュー中も食いまくっているようだが、それは新開さん譲りの行為であるとかそういう話なのだろうか?なら仕方ないな。
ともかく、銅橋の発言を制して泉田君が締めくくる。

あえて言っておきましょう。昨年称号こそ奪われましたが誇りは失っていませんよ。
ボクらは強い・・・そして、ボクは強い!!

去年よりも首や肩の辺りが逞しくなった感じの泉田君。
キャプテンという重圧がいいトレーニングになって筋肉増量に繋がったのでしょうか。
福富さんのようなことを口にしているのは頼もしいと見るべきなのか危ういと見るべきなのか。
自分の言葉ではなく先輩の受け売りだけだと窮地に陥ったときどうなるか分かりませんからなぁ・・・
いや、でも泉田君らしい筋肉言葉で喋られてもそれはそれで記者が困ったかもしれないからこれでいいのか?

このメンバーで果たして去年を越える程の走りを見せることができるのか。
多少不安がなくもないが・・・期待することにしましょう。お面の彼に。



RIDE.280 1000km再び  (2013年 50号)


目指すはインターハイ連覇。そのための総北の最大の敵はやはり箱根学園でありましょう。
バスに揺られながら主将である手嶋さんは頭を悩ませる。

足りない・・・!!時間も実力も。オレたちには。
箱根学園は強い。葦木場、泉田、真波、黒田。その4人だけで闘っても全国獲れるレベルだ。
そこに2人のメンバーが加わる。箱根学園は6人全員がエース・・・!!
まして京伏や広島も雪辱を狙ってくるはずだ。それに対抗するためにはたったひとつ。強くなるしかない。

実にシンプルな答えでありますな。しかしちゃんと広島も強者の枠に入っているようで何よりでございます。

連覇を狙えと周りは簡単に言う。王者だとはやしたてる。
けど、簡単じゃない。昨年王座を手にしたからといって今年も楽に手に入る程ロードレースは甘くない。
つなげ、たくす。オレたちのやり方はたくす方もたくされる方もお互い負荷がかかる。6人全員1人1人に!!
強くなる・・・この合宿で!!

というわけで今年も合宿の時期がやってきました。
向かった先は毎年恒例の自転車専用サーキットCSP。
全長5km、高低差130m。2本のストレートと登りがある。道路の幅も広く、快適に走ることができる場所であります。
去年の1年生レギュラーたちはここをハンデバイクでひたすら走ったんですよねぇ・・・
そう、合宿のメニューはずばり1000km走破である。移動日の今日も含めて4日間で1000km走ることとなるのだ。

え・・・ちょ・・・2分走とか心拍トレーニングとか・・・メニューじゃないんですか!?
マジすか!?うわっ・・・1日250km!?ハァ!?ヤバ・・・!!

さすが鏑木。突然の1000km発言にいいリアクションを返してくれる。
この反応の激しさは初々しいというか、よい感じですね。やはりメンバーに1人はリアクション要員が必要だ。
冗談でしょ?とか言い出す鏑木に対し、今泉、鳴子の両者は笑顔でこう答える。

鳴子「途中意識とぶで。走りながら何周か憶えてへん周ある」
今泉「意識をトバしながら集中力を維持するという離れワザを体得できる

確かに離れワザでありますな。眠い時に自転車に乗ると意識が飛びながら走ることもある時はあるが、集中力の維持はさすがに厳しい。
まあ、それができるようになると言われても・・・凄いといえば凄いが、体得したいという気にはならないな。

鏑木以外の1年生たちもさすがに1000kmという言葉に怯んだ様子を見せている。
相変わらず1年生たちには現地まで秘密なんですな。
2、3年生でもついていけそうにないと判断した人は今年も合宿には参加していない様子。
杉元はどうなんだろうか・・・参加してるのかなぁ。集合時に鳴子の横にいるのが杉元っぽいが、どうなんだろうか。
ちなみに坂道は途中で乗り物酔いして下車している。今年もかよ。もしや二匹目のドジョウ(山岳)を狙っている!?

ライトをつけ、夜も走ることを推奨している。そこまでしないと1000km走破は難しいのだ。
こりゃあハイペースで走ってもムリなんじゃあと早くも怯んでいるゴリ蔵。どうでもいいがHIGH PACEジャージは地味にいいな。

同様に怯んでいる様子の鏑木に対し、心配するな一差。オレがついていると述べる段竹。心強いですねぇ、ホント。

各車体にはセンサーがつけられ、電光掲示板に順位が表示されるようになる。
そしてインハイのレギュラーは走破はもちろん4日後の最終順位においては必ず6位以内でゴールしろというお達し。
まあ、レギュラーですものね。そりゃあ必要なことですわ。
ん?となるとここで順位に変動があった場合、インハイレギュラーが入れ替わる可能性もあるのか・・・?

さて、通達事項は終わったのでいよいよ1000km走破合宿の開始である。
超ハードな内容に加え、鏑木は去年の坂道たちと同様にハンデを課されている。見込みがある選手には仕方のない枷ですな。

こりゃ一体何なんだよ!!あのパーマの中どうなってるんだ手嶋さん

どうなってるんでしょうね。気になりますね。
いやいや、それはさておき――鏑木に仕掛けるハンデは自転車に対してのものではない。

守れ。ルールだ。コース上で走行中、段竹に10m以内に近づくな!!
インハイに出れるのはおまえ1人だ。インターハイのコースに段竹はいない。
このメーターをつけて走れ2人とも。GPSが内蔵されていてセンサーを10mに設定されてる。お互い近づけば警告音がなる。

これはまたピンポイントに弱点をついてきましたねぇ。
いやまあ、弱い所を潰し、強化するのが合宿の目的でありましょうし、正しい判断と言えるか。
鏑木が段竹に精神的に頼りまくっているのは傍から見てても分かることでありますしね。

実際鏑木は練習でも段竹がいないことを痛感している様子。合宿の前日などは一緒に走れることを喜んでいた。

一緒にいてくれ。走ってくれ。段竹。
おまえがいないと腹いたくても頼るヤツがいない。
オレがオレ様でいられるのは、おまえがいるからだ

ふむ、何というか堂々とした傾倒宣言でございますな。コメントに困る。
その後の「マジメか」「マジメだ!!」というやりとりは段竹側にしてみれば照れ隠しなのかどうなのか。

オレたちは中学時代部活に入ってない。同学年で部活帰りにワイワイやったなんて経験もない。
オレの自転車で走った日々を知っているのは段竹、おまえだけだ。おまえだけだ段竹!!

畳みかけて来る鏑木。情熱的ですねぇ。
しかしそんな2人の仲は合宿初日で無残に引き裂かれることとなる。こりゃあショックデカイですな。
ペダルを踏む脚が重いと感じる鏑木。
メンタルが精神面がこれ程大きく影響するのが自転車ってヤツである。
やはり大舞台で勝利するには精神的にも強くないといけないって話ですわなぁ・・・

段竹・・・くそ・・・段竹!!
何やってんだ。初日からこんなペースで。どうしたんだオレ。
ムリだろ1000km・・・!!しかも6位以内なんて・・・!!ボクには

物凄く弱気になってしまっている鏑木。うーん、ダメな子ですな。
段竹が言うにはあいつは子供であり、自転車をのぞけば小6レベルであるとのこと。
ふむ、未だにカブトムシが大好きで女子が苦手だったりすると。それが小学生レベルの条件なのか!?
まあ何にせよメンタルが弱いというのは十分に分かりました。

鏑木はさておき、残りのインハイメンバーは順調に走っている。
手嶋さん曰く、もし6位以内に入れなかったらメンバーから外れてもらうとのこと。おう、やはりか。
だがその条件はもちろん自分たちも例外ではないと語る手嶋さん。
鏑木、段竹と同じものが手嶋さんと青八木さんのバイクにもついている。なるほど、確かに同じ条件ですな。
合宿で強くなるためにも1人で1000km走破は必須事項であるということですか。

青八木と手嶋の完璧なチームワーク走法"チーム2人"はこの合宿の間解散する。
強くなるのさ。ならなきゃならないんだ。知ってるだろ・・・オレたちは3年だ。だが、まだこの1000kmを走りきったことがない

1年目はまだ未熟であり、2年目は坂道たちと争って脚を痛めてリタイア。確かに走りきってませんな。
ふーむ、これはひょっとしたら手嶋さんの脱落もありうる流れだったりする・・・?いやまさか。

というか坂道はいつになったら合流するのでしょうか。
1日目は行方不明になったままで2日目から合流する流れだったりして。
でもそんなハンデを受けながらもしっかり6位以内に入る坂道とか。そんな姿がありありと浮かんでしまって困る。
そういえば2年生3人には今年はハンデないんですかな?せっかくだしもっと厳しいもの課してあげればよかったのに!!



RIDE.281 ひとりぼっちの鏑木  (2013年 51号)


4日で1000km。ムチャクチャだろこのチーム。毎年こんなことやってんのか。CPSまで借り切って。

鏑木心からのツッコミ。まあ、言われても仕方がありませんわな。
1日250kmを4日連続で走る。多少の増減は日ごとにあろうが、とにかく最終的には1000km走らねばならんのだ。
特にレギュラーの連中にリタイアは許されない。しかも6位以内に入らなければいけない。

こんな経験したことない道で6位以内で必ず。しかも段竹と協力することのできないしかけをつけられて。たった1人で

味わったことのないプレッシャーに呑まれ、脚が止まる鏑木。
1000kmという未踏破の領域は例えるならば先の見通しが聞かない砂漠。
その砂漠を1人で進むことを強いられた鏑木。動揺を露わにしております。助けに来てくれ段竹!!

これまでもレースの勝負所など未知の先行きを照らしてくれたのは段竹であった。
段竹がマネージメントし、引き、そして鏑木がゴールを狙う。これが2人の形であった様子。
自身がゴールを取る側でもないのに段竹にそれを不満と思う感じはない。むしろ鏑木を認めた発言をしている。

おまえはオレにないものを持ってるな。ゴール前の集中力。爆発的加速力。それに・・・

その先のかけられた言葉がなんだったか。思い出せずに苦しむ鏑木。
ほめてくれ指示してくれオレをアゲてくれと甘えん坊のように悶える。
そうして自分の世界に閉じこもっているうちに――気付けば周りに誰もいない。最後尾の状態となってしまっていた。ああ、いや――

最後尾じゃない。周回遅れだ鏑木ィ!!

ぼうっとしている間に1周5kmのサーキットコースを周ってきた様子の今泉君。
鏑木はこれが1000kmを走りきるペース!!これ以上遅れたらヤバイ!!と考える。
ふむ?その辺りはどうなんでしょうかね?
なんせ今泉、鳴子の両者である。1000km以上も走れるなら走ろうとか言いだしたりしないとも限らない。
実際、今年の2人は自主的に自転車に枷を仕掛けている。
年代モンの重たいホイールにタイヤもボッテボテの転がり悪い重タイヤ。分かりやすいハンデだ。
それはいいが、相変わらずそのことで張り合ったりする両者。自分の方がダサイという主張の仕方は正直どうよ。

ワイの方がダサイとか言っちゃってる人はさておき、今泉君は鏑木に声をかける。

どうした。オレたちを倒すんじゃなかったのか。抜け。
この合宿、仮に6位でゴールするようじゃおまえはインターハイでは役に立たない

まあバイク自体に仕掛けがしてあるわけでもないのに他の面々と劣るようではねぇ。
ってそういえば手嶋さんたちもそういう走りにくくするハンデはつけてないんだっけ?
坂道も自発的にそういうハンデを入れる発想をするかどうか・・・遅れているのが既にハンデか。

煽りを受けて奮起しようとする鏑木。しかしまるで先輩たちには追いつけない。
うーむ、メンタル面がやっぱりボロボロの様子ですなぁ。
ある意味弱虫ペダルという作品名を体現しちゃってるといえなくはないですが・・・困ったものだ。

同じく1周してきた段竹が後ろから迫る。もちろん接近することで警告音を発するセンサー。
その音が鳴り響く中、鏑木は叫ぶ。オレはこの1000kmを走る自信がない!!と。

道の両端に離れ、センサーの鳴らない状態にしてから足を止めて話を始める2人。
道が広いからできる状態ですな。いや、これができるなら道の両端を2人が並走すれば・・・その解決はなしか。
でもセンサーついてるの自転車なんだし、足止めて話をするなら近づけばいいのにね。

今までに感じたことのないプレッシャーに怖気づいている鏑木。もうバイクを降りるしかないとまで思っている様子。
そんな鏑木にとらわれすぎだ。はしゃげよと声をかける段竹。

オレはおまえに2つの光をみている。オレにはない2つだ。
ひとつはゴール前の集中力。爆発的加速力。
もうひとつは――誰にだって勝つって気持ちだ

聞いた当初は当たり前のことと思っていたのか、そこまで気には留めていなかった言葉。
それを改めて段竹から聞かされることとなる鏑木。
段竹は3人兄弟の長男で、下の2人がワガママなせいかつい肝心なところでゆずってしまうクセがあるとのこと。
それに比べ鏑木は4人兄弟の末っ子。自由気ままにちやほやされて育ってきたらしい。へぇ。

欲しいものを手に入れ獲得してきた。心の底から欲しいと望み、獲得の手段は選ばない

そう、選ばない。公衆の面前で親に取りすがることも、負けそうな将棋盤をひっくり返すことも。ジャンケンでさえ勝とうとする。
正直日常生活じゃ嫌がられるタイプであります。だがこのメンタルは――

競技の世界に入れば逆転をする。
ギリギリまで追い込まれる体力は底をつき体が悲鳴をあげるその中で、のこり1滴のメンタルが"勝ち"であろうとする。
それは才能なんだよ!!
人は元々もってる才能をそれとは気づかない。そいつにとっちゃあたり前のことだからな。
鳥が空をとべるのを人はうらやむが、鳥はそれを才能だとは思ってない。けど、すごいことだ。
気づけ。努力しろ。オレは協力できないがやれるだろ。天才鏑木。
勝ちたいと思うならチャンスはいくらだってある。この道はまだ900km以上余裕である。

ふーむ、ちょっとポエムが入った感じのなかなかよい説得ですな。
確かに競技者にとってのメンタルは日常のそれとはまた違いますわな。
甘えた子供のようではあるが、心の底から欲するという気持ちを持ち続けることができる。
確かにそれは才能といえるのかもしれない。段竹が鏑木に譲ってしまうのはそういうお互いの性格による部分が大きかったわけか。

なにはともあれ、段竹の言葉を聞いて復調した様子の鏑木。
どんなことをしても先にゴールをしてやると息巻いております。

すぐに回復する。それも才能なんだぜ?

いやまったくその通り。これもまた子供っぽいといえなくはないが、根はポジティブなんでしょうな。
それもまた競技者にとっては必要なことであると思えます。

さて、坂道はバスに酔って途中下車し、今年も後から来た寒咲さんの車に拾われている。2匹目のドジョウは外したかね?
いや、そんなことよりもその車の中には面白い人がおりました。
今年はおまえも走るのかと寒咲さんに言われるそのメガネの人の姿は――

はい。3年最後ですから

よもやの古賀先輩!?
杉元に体力自慢とか言われていたのに2年時の合宿はクリアできそうにないと辞退したあの古賀先輩じゃないですか!!
合宿後めっきり姿を見せなくなったと思ったらインターハイ後にちらほら姿を見せていたが、まさかまさか・・・

古賀先輩の参入はどういう意味があるのだろうか。
さすがにインターハイメンバーに今からなろうと考えているわけでもありますまい。
思い出に残すために合宿の課題をクリアしようという考えなのだろうか?
そうである場合、その行動は部員にどのような影響を及ぼすこととなるのか。
特に及ぼすものもありませんでしたってんじゃわざわざページを割かれる必要もないわけでして・・・うーん、どうなるのやら。

実は海外で修行しており、合宿後はまた海外に出る予定があるのでインターハイには参加できないとかだったらどうだろう。
修行の結果、レギュラー陣の誰よりも速くなっていたとかそういう話。
これならば古賀先輩が国内にいる短い時間のうちに鍛えてもらうという話の流れも可能となる!!どうか!?
いやまあ、たぶんないと思いますけどね。うん。



RIDE.282 もう1人の3年生  (2013年 52号)


IHを、敵をねじ伏せるためにひたすら踏む。
この1000km合宿でとにかく強くなろうとしている総北レギュラー陣。
チームワークも大事ですが、とにかく1人1人が強くなくてはいけないって話ですな。

さて、去年と同様に車酔いでバスから降りる坂道。
過剰に心配する1年生たちといつも通りだなと冷静な2、3年生の対比が凄い。
ともかく後からやってくる寒咲さんに拾われることとなった坂道。
その車中にいたのが古賀先輩。なるほど、古賀先輩も車酔いが酷いからバスは避けていたわけですな。
自身の弱点を理解し酔い止めも用意している古賀先輩。坂道も少しは学んでおくべきでしたな。

坂道が到着して合宿に参加するのは他の面々から5周ほど遅れた時点である。鏑木とは4周差かな。
同様に先頭とは5周差がついた状態で走り出す古賀先輩。
いつもメカばっかいじってるイメージと1年生たちに言われている様子である。確かにそんな感じでしたな。
だがその肩幅、何より削ぎ落としたかのような脚を見ればメカニックではない――走る人のものであることが窺い知れる。

じゃ、あのウワサ本当かな・・・走ってるの見たことないからオレ、単なるウワサだと思ってたけど。
あるらしいってあの先輩にももうひとつのアダ名が

もうひとつのアダ名?古賀先輩はアダ名が複数あるというのか!?
メカニックとしての異名と走者としての異名を持っているならそれはすごいことであると言わざるを得ない。

去年の古賀先輩は合宿についてこれないと判断し辞退していた。
それゆえこのCPSは2年ぶりとなるわけだが・・・纏う空気はまるで臆した感じもないですなぁ。

ちなみに坂道が一番最初に話し掛けた先輩がこの古賀先輩
1年生レースのローラー台の時のことですな。
うーむ、やはり常に笑顔でいるから話しかけやすいのだろうか。そういう雰囲気の先輩の存在は貴重ですなぁ。
坂道とはメガネ繋がりであり、同じような髪型でもある。そういった意味の親近感もあったのかもしれない。

それはさておき、坂道は質問する。1年生の時の合宿って何kmくらい走ったんですか。と。

・・・980kmだ

おや、思ったよりも走っていたんですな。
後20km走れば達成だというのにバイクを降りたのだろうか。
間に合わなかったという理由ならば翌年についてこれないと辞退する理由はない。
本人も左の鎖骨あたりをさすり、やっと完治したなどと言ってますし、合宿中にトラブルが発生して負傷したんでしょうか。

その話をもっと詳しく教えて欲しい。
が、タイミング悪く質問したおかげでメガネのくもり止めの方法を嬉しそうに語り出す坂道。そこじゃないだろ!!

古賀先輩はとにかく知識が豊富でなんていうのかな・・・オタク・・・自転車知識オタクなんです。あの人は!!

なるほど。話しかけやすいのはオタク繋がりという部分もあったからか!!
趣味の内容は違えど探究する姿勢は近しいものがありますからねぇ。
いやまあ、一緒にするなと言われる類のオタクも存在するから一概にはいえないのであるが・・・オタクの話は深い。

それはさておき、どうにも古賀先輩の参加が気になる今泉君。
少し先行していた手嶋さんに追いついて話を聞く。
古賀先輩が去年この合宿に来なかった理由は「ついてこれない」じゃないですよね、と。

ああ、違う。ちょいとばかしケガしててな

ふむ、やはり去年の合宿はケガで辞退したわけですな。
そこは予想通りであるが、手嶋さんはそこから続けて面白いことを言い出す。

古賀は2年前――この合宿980kmだったが特別措置で6人目に選ばれて、その年のインターハイに出た!!

何!?インターハイに!?
え?合宿でケガしたんじゃないんですか?
となるとケガしたわけでもないのに合宿は1000km走り切れなかったと!?
いや、合宿でケガして、悪化させないようにストップがかかったのかもしれませんな。
それならば特別措置でインターハイメンバーになったのも分からなくはない。
そしてケガが完治しないうちにインターハイで無茶な走りをしたから悪化して完治が数年先になった。これならツジツマは合う。

そんな話題の古賀先輩が広い肩幅をいからせて走る。
スゴイ風圧を発生させながら、坂道たちを追い抜く古賀先輩。うーむ、ごっついのお。
肩で風を切り裂きながら進む古賀先輩。3人を抜いたところでいきなり語り始める。

小野田は知らないだろうな。入学前のことだからな。オレには昔ひとつ異名があってね。
轟音の古賀。オレが相手を抜く時、肩が風を切って音を出すらしい。
150人・・・あるレースでオレが150人抜いた時についたアダ名だ

何!?150人!?
坂道が果たした100人抜きを越える人数だと!?
確かに凄い数字であるが・・・どうして150人抜かなければいけない状態になったんだ!?
坂道のように巻き込まれて落車したんだろうか。それともその日も乗り物酔い回避でスタートが遅れたとか?謎である。
ともかく古賀先輩は挑戦的な言葉をレギュラーたちに投げかける。

オレにとっては今年は最後のインターハイなんだ――それに出ようと思ってここへ来た。
この合宿ってのは完走しただけじゃあインハイには出れない・・・
前に出ろ。そう思ってるヤツはオレが力でねじふせて、そいつのジャージをオレが着る!!

戦闘意志を表明する古賀先輩。ここにきて厄介そうな人が現れたぞ!!
うーむ、途中で姿が見えなくなり、どこに行ったのかと話題になっていた古賀先輩。
それがまさかこのような設定を抱えていたとは・・・
こうなるとやはりインターハイメンバーの選出は合宿まで待つべきだったんじゃないかと思えてくる。
いやまあ、合宿までの間に人数を絞って密度の濃い練習がしたかったって考えは分かるんですけどね。
どちらにしろ入れ替えはあると手嶋さんも言っていることだし、この戦いがメンバー選出の本番になるのは間違いないか。
杉元の姿がないが、合宿には参加してないのだろうか?気になる所だ。



RIDE.283 轟音の古賀  (2014年 1号)


この合宿を完走しさえすればインターハイに出れると思った甘チャンは前に出ろ。オレと勝負だ。

インターハイメンバーに宣戦布告をする古賀さん。
前回と少し言い回しを変え、分かりやすい文章となっています。言い直してくれるとか優しい!!
しかし980km走ったというエピソードからか鳴子に980kmの人!!などと言われている。
せめて150人抜きの人!!と言ってやればいいのに、そっちじゃ微妙に不名誉じゃないかね。
それはさておき、古賀さんは続けてこんなことを言い出す。

そいつのジャージをオレが着る。
教えてやる。インターハイの重みを。力ずくで!!

ふむ、2年前にインターハイに出た人が言うと重みが違いますなぁ。
まあ、言われているうちの3分の2は去年実際にインターハイに出て重みを知りまくっているんですけどね!!
だけど、どうやら2年前は色んな事がありすぎたらしい。
合宿での条件を満たしていないのにインターハイに出た古賀さん。一体何故なのか。
手嶋さんが言うには、結果から言えば出ない方がよかったんだ、とのことであるが・・・

オレと青八木・・・いや金城さんたちにとっちゃ、あいつは小さな存在じゃあないんだ。
古賀はオレたちの学年じゃ最も有望視された選手だったんだ。ホープだったんだ

ふむ、前回聞いた実績からしても前々から凄かったのは伺えますものね。
しかしホープだからって条件を見たしていないのに出場するというのは・・・
実は2年前の合宿で1000km走りきれた人は6人未満だったので繰り上げ当選だったとか。そんなオチは嫌だなぁ。

突然の戦闘表明に驚きを見せている3人。
動けずにいる3人を見て、さらに畳みかけるように驚かせて見せる古賀さん。
ジャージの下に着ているもう1枚のジャージを見せつける。

古いジャージさ。もう二度と袖は通さないと思ったけどな。
こいつを着る程の覚悟でオレはここに来てるってことだ。
2年前広島大会を着て走った、総北高校インターハイメンバージャージだ!!

バサァッと前を開き、ジャージを誇示してみせる古賀さん。
自転車を走らせながら体を捻り、後ろに披露するという無茶な行為をやってのける辺りさすがである。
おかげで妙にセクシーな体勢となっております。これで段差に引っかかって倒れたらえらいこっちゃですね。

古賀さんのジャージはボロボロだった。
古いからっていうわけではありますまい。2年間の広島大会で何かがあったからなんでしょうな。
金城さんが福富さんに引きずり倒されただけでも大変な事態なのに、それ以外にも何かがあったというのか広島大会・・・

坂道は古賀さんにその時のことを尋ねようとする。が、古賀さんはここまで煽っておきながらこんなことを言い出す。

けど、実のところおまえたちは敵じゃない

ほう?その発言はどういう意味なのか?侮られているのか!?
そう思った鳴子、一気に喰らい付くように古賀さんに迫る。
そんな鳴子をすごいヤツだなと褒める古賀さん。努力家だし前向きだし友達思いで何より速いと。
だが、それだけ褒めておいていきなり加速を開始する。何!?褒めて油断させて引き離すつもりか!?

そういう意図だったのかどうかはさておき、古賀さんの加速に全力でついていく3人。
しかしその引きはもの凄い。坂道や鏑木だけではなく鳴子ですら焦るような加速である。

アホが。さっきからアホみたいな加速。どんだけ加速すんねん。どんだけ体力余っとんねんこのメガネ先輩。
はっ!!そういえばこの人、一度だけマジで走っとるの見たことある。杉元と個人練習で走った時金城さん言うてたわ。
この人、"体力バカ"やて!!

言ってましたねぇ。だからこそ印象が強かったキャラでもある古賀さん。
しかし他の面々と違い、まだ走り出したばかりなんだから体力があっても不思議じゃないのではないだろうか?
そういう総合的な体力だけではなく、加速を継続できる体力もズバ抜けているってことなんでしょうか。
脚質がロングライドなのかもしれない。それでいて瞬間な加速も鳴子並であるとか。え?それ相当凄そうなんだけど!?

"体力バカ"というアダ名は中学時代につけられたものであるという。
練習を休まず最後までやるという意味でつけられたものだ。
その愚直で一本的な感じ、いいアダ名じゃないかと褒める金城さん。その言葉を有難く思う古賀さん。

金城さんがほめてくれた最高のアダ名だ!!

登りになってもペースが落ちない古賀さん。
うーむ、ハイペースを長時間続けることができる。これが体力バカである古賀さんの持ち味でありますか。
前回、古賀さんにはもうひとつアダ名があったりするのか?なんて言ってみましたが、まさか本当にもうひとつあるとはなぁ・・・

さて、登りに入ったところで古賀さん。今度は坂道を褒めだす。
坂道はいいやつ。ニコニコしてるしがんばり屋との評価。
さっきのワゴンでも自転車メカ話を真剣に聞いてくれたし、うまが合うと思うとのこと。オタク仲間ってことですね。わかります。

それに、何より金城さんを優勝に導いてくれた。

古賀さんは随分と金城さんと親しいというか、尊敬していた感じだったんですねぇ。
金城さん、古賀さん、坂道。この3人を繋ぐのは・・・メガネか!?メガネ繋がりか!?
どこかそういう部分で親しみを感じている可能性はなくもないと思う。

古賀さんはさらに鏑木も褒める。1年ながらに向上心と技術は大したものだ、と。そしてこう告げる。

3人とも今の総北には必要なメンバーだと思ってる。
"敵じゃない"と言ったのはそういうことだ。オレがこの合宿で追い落とそうと考えているのは手嶋、おまえだ
勝負だ手嶋。代われ、オレが新しいキャプテンになる

ほう、なるほどねぇ。そう来ましたか!!
確かにメンバーになるのは重要だろうが、その後本番のインターハイで勝てないのでは仕方がない。
となると最も弱い選手と代わるべきと考えるのが確かに自然な流れであります。
手嶋さん本人も自分は弱いと言っておられますし、この対決は必然であったということか・・・
しかしメンバー交代したからってキャプテンも代わらないといけないもんですかね?
まあ、レギュラーじゃないのにキャプテンってのもアレですかね。

兎にも角にも古賀さんの参戦でレギュラーメンバーが分からないことになってきました。
ひょっとしたら手嶋さんが成長していて、古賀さんを抑えてレギュラーの座を守るのかもしれない。
いきなりのトラブルで鏑木が脱落するようなことがあるのかもしれない。
坂道が持ち前の謙虚さでメンバーの座を譲るかもしれない。いや、それはダメだろう。ないない。
ともかく、面白くなってきました。

しかしやはり杉元の出番はないんですかねぇ。
これだけ混戦になったのなら参加してもいいかもと思わなくはないのだが。
まあ、本人が1年生レースで納得した感じになっちゃってますしねぇ。
ケガしている間の古賀さんが一度だけ本気になった選手、それが杉元だ!!
こう表現すると一気に杉元の株が上がったかのように思える。
杉元の株を上げるためにも古賀さんにはもっと凄さを見せつけて欲しいところでありますな。



RIDE.284 手嶋の覚悟  (2014年 2+3号)


闘志むき出しの古賀さんが狙うのは手嶋さん。
同学年の良く知る相手であるだけに、色々とお互い思い入れは深そうである。
そんな2人の対決を黙って見過ごすことの出来ない坂道。
勝負ではなく何か他の方法はないんでしょうかと言い出す。
そうは言ってもスポーツのレギュラー争いで勝負以外の何で決めろというのか。

どっちの先輩にも負けて欲しくないという坂道の気持ちはわからないでもない。
しかし古賀さんはこう述べる。そもそもこのインターハイメンバーを決めるプランニングには破綻があるのだと。

手嶋は"1年生レースで残りの1枠を決める"と言った。
そのルールに従いオレを含めた上級生がインターハイに出ようと思えば、杉元のやったことは正しかった――
1年生レースに出るしかない!!

まあそうですな。本来2年生の杉元が1年生レースにガチで参加するなんて筋違いと言われても仕方がないところである。
古賀さんもケガが癒えていたら出ていた可能性はあったのだろうか?
いや、古賀さんは頭の回る手嶋さんの考えが読めていたらしい。
つまり1年生レースだけではなく、合宿でもメンバーの入れ替えは十分あり得ると予測していたのだ。
6位以内に入らなければメンバーから"外す"。確かにそう言っている。

オレが来るのがわかってたからだ。できてるんだろ・・・覚悟

確かにそう述べておりました。古賀さんが参加するのは事前に知ってたみたいですからねぇ。
そして、合宿でメンバーの入れ替えもあるように計画していたのには大きな理由がある様子。

今泉。鳴子。小野田。鏑木。悪いな・・・メンバー決めたって言ったの、あれウソなんだ。
オレだけ決まってないんだわ

自身を指し示し、そう述べる手嶋さん。
なるほど、1年生レースでメンバーを決めるにしてもキャプテンである自分がそれで脱落する理由は無い。
となれば、自分がインターハイメンバーの1人であると示す場がどうしても必要になる。
峰ヶ山レースやインターハイ予選で走りを見せたものの、それでもまだ足りていないと感じているみたいですな。
そう、この合宿で古賀さんという強者を迎えながら6位以内に入る。
それが合宿でのメンバー入れ替えもあり得ると設定した手嶋さんの考えであったわけだ。
確かに古賀さんを上回ることが出来るのであればレギュラーメンバーとして不足があるはずもないわけですからねぇ。ふーむ。

轟音を唸らせ手嶋さんに迫る古賀さん。
手嶋さんも負けじと並走する。いよいよ先輩方のレースが始まろうとしている・・・!!

昔の手嶋さんならば古賀さんの轟音を受けただけで倒れ千切られていた。
しかし今の成長した手嶋さんならば肩をぶつけても怯むことはない様子。おぉ。
逆に古賀さんがケガによる1年半のブランクで鈍っているのではないかと心配になるが・・・どうなのか?
完治はしたみたいだけど、練習は他の面々ほどできていなかったでしょうしなぁ・・・

だが、最後のインターハイに出るというその意気は他の誰にも負けてはいない。
手嶋さんに代わってチームを率いる。そう語る古賀さんにはチームプランが既にあったりする。それは"強さの総北"!!

平坦を青八木と鳴子に走らせ鏑木にアシスト。山を小野田にとらせてゴールはオレと今泉!!これで獲れる――連覇だ!!
大丈夫だ。他のメンバーともすぐ馴染む。よく知ってるからな。オレはずっと部室のスミでヤツらのことを見てきたから・・・

そう言われると何だか怖い気がしますな。メガネの裏で鋭い目を光らせてきただなんて・・・しかも部室のスミで・・・
それはそうと、そのチームプランは平凡というか、普通の考えじゃないですかね?
というか鳴子はスプリンターではなくオールラウンダーに脚質を変えているはずなのだが・・・もしや知らないのか!?
スミでずっと見てきていたけど気づきませんでしたとかそういうオチは勘弁ですよ!?

ともあれ、勝負は開始されている。
開始のタイミングがずれて5周差がついているけど、まあそれはそれとして今現在の力の差を知るために走る2人。
見送る鏑木たちによると、ぶっちゃけ古賀さんの方が速いんじゃないかとのこと。ふむ。

どちらになるにせよ見届けなくてはならない。そう考えて追いかける今泉君たち。
短い間であるが後ろについて走った鳴子は古賀さんの力を感じ取っているタダ者ではないと。
そして坂道もまた――胸のざわつきを感じている。手嶋さんの圧倒的な不利を感じているということか・・・

古賀さんが合流し、もうすぐ1周。スタートゴールラインにまで到達しようとしている。
とりあえず最初の勝負はそのラインをどちらが先に抜けるかとなりそうだ。

手は抜かない方がいい。はっきり言っておく。オレはおまえを1000km完走させる気はない。
もぎ取る!!追いこんで!!力ずくでおまえをリタイアさせるつもりだ!!

ハッキリとそう宣言する古賀さん。
手嶋さんはそれには答えず、走りで返そうとする。
ゴール前のスプリント。直前までは手嶋さんが少し前に出ていた。
が、最後の伸びで一気に追い抜く古賀さん。ギリギリでもなく、差が開いていることがはっきりと分かる。
うーむ、このゴール前の加速・・・確かに古賀さんはゴールを狙える選手であるようだ。今泉君も認めざるを得ない感じだ。

いやぁ〜こりゃあ・・・1000kmの・・・ゴールまで・・・ゆっくりお茶飲むヒマもなさそうだ。

得意のお茶飲みポーズで負けん気を見せる手嶋さん。
さすがにこの一勝負で折れる程ヤワではありませんわな。
ならば、"体力バカ"と言われたこのオレが喋れなくなるまで追い込んでやろうと宣言する古賀さん。
ふーむ、こりゃあ何とも厳しい展開になってきましたな・・・

メンバーの強化だけになるかと思いきや、手嶋さんの見せ場となりそうな合宿編。
これで勝利できれば確かにキャプテンの面目躍如といったところでありますが・・・はてさてどうなりますか。
正直、予選の様子を見る限りでは鏑木が現在は一番弱い感じがするのだが・・・本番までにまだ伸びると判断されているのかね?
というか次のインターハイは坂が凄く長い場所であると既に知れている。
となればクライマーとして頑張っている手嶋さんを落とすのは得策ではないような気がするのだが・・・
いやまあだからといって青八木さんを落とすのもなぁ。うーむ、悩ましい。



RIDE.285 手嶋VS古賀  (2014年 4+5号)


TVアニメ絶好調!
記念のペダル祭ということで袋とじ漫画が巻頭に掲載。
坂道と山岳の電話交換にまつわる知られざる物語。そう、そのやりとりにはあの人が関わっていたのだった。

坂道の携帯に入っているのは基本的に自転車関係の人々ばかりである。
まあ中学はオタク仲間もおらず、一人でいた様子なのは最初に語られていましたからねぇ。
なにはともあれ電話番号を交換できるだけ親しい人が複数いるのはよいことである。
しかし他校で入っているのは唯一山岳の番号のみであるという。ほう。

真波くんの番号は冬のあの日、あの人が教えてくれたんだ

その時のことを思い返す坂道。
神奈川県は小田原市、箱根ROADターンパイク有料道路入口。
雪の舞うこの時期に坂道と山岳を呼び出したのはあの人こと東堂尽八。
ジャージ姿の2人とは違ってずいぶんと温かそうな格好しておりますな。ワッハッハッハ。

止まっていると頭に雪が積もるほどの状況。何故か自転車に乗らされている2人。
すてきなパーティーをやると呼びだされたのに何でこんなことに・・・
いやまあ、自転車を忘れるなとか書いてあるんだからある程度想像はついていた気はしますけどね。
それはそれとして東堂さんは温かい格好しているが走る気はないのかね?

こんな寒い雪の中、オレが走るわけないだろう
冬は自転車シーズンオフだ。冬場は末端が冷えて痛くなる。

相変わらず自由というか何というか。きっぱりと物を言うお方である。
確かに自転車で冬走るのは厳しい。風は辛いし雪なんて凄い路面すべるし、かといって厚着してると段々暑くなってたまらなくなる。
そんな冬場であるにも関わらず2人に走れと言い出す東堂さん。2人が走らなければ意味がないのだよと述べだす。

オレはもう少しで卒業だ。その前に"KING OF MOUNTAIN"「山神」の称号を誰かにゆずらねばならんのだよ
と、なれば。どちらかだろう。おまえたちの!!

なるほど。確かに新開さんとは違い、東堂さんは誰かに一番の座を渡したりはしていませんでしたな。
田所さんも渡してはいなかったが、まあ・・・それはそれ。
「山神」という称号はまた別格のものがあるんでしょう。神なのにKINGとはこれいかに。

ともかくそのように煽られては走り出さないわけにもいかない。2人は嬉しそうに坂を駆け上がる。
ところどころ雪が積もってタイヤが滑り、視界も悪い最悪のコンディション。
であるにも関わらず凄く楽しそうな2人。うーむ、よい関係に戻っておりますな。良きかな良きかな。

だが結局勝負は保留。
途中から雪が積もっており、頂上まで行くことができずに戻ることになるのであった。おやおや。
やっぱり冬に路上でどうにかしようとするのが色々と間違いでありますよね。
考えてみると北の方の雪が降りやすいチームって微妙に不利ですよね。作中に北の連中がなかなか出ないわけだ。

ともかく、この勝負は夏のインターハイに持ち越しとなる。
そしてついでに東堂さんの勧めで電話番号を交換する2人
インターハイ当日遅刻しないようにかけてもらえとか言っているが、本当は毎日電話するようにしろと言いたいのでしょうな。
というか前にそんなこと言ってたし。

東堂さんのナイスアシスト。やはり頼りになる先輩クライマーは違うというお話でした。
夏のインターハイでは気持ちのいい勝負が出来ると良いですなぁ。

さて、本編。

やさしかった古賀先輩が。いつも励ましてくれる手嶋さんが。なんで闘ってるんだ・・・!!

唖然とした表情で2人の戦いを見送る坂道。
いやまあ競技ですし。レースですし。そりゃ争うことぐらいあるでしょう。
これが格闘技とかだったら血で血を洗う話になり、止めなければということにもなるかもしれないが・・・
まあ、自転車でも相手を壊そうと思えばできなくはないんでしょうけどね。去年手嶋さんは合宿の争いで負傷したわけだし。

"轟音"古賀。"凡人"手嶋
まず肩書に凄い差のある2人。内に秘めし闘志は互角かもしれないがこれはどうなりますことか・・・

この古賀さんとの短い戦いだけでも相当疲労している様子の手嶋さん。
息は乱れ汗は流れ足もビクンビクンと疲労を訴えている。

意気が上がってる、呼吸も乱れてる。じわじわ脚を削ってやる。削って削って、もうその口から言葉さえ出なくなった時――
その時がおまえのDNF(リタイア)の刻だ。総北のキャプテンがオレに代わる。

堂々たる古賀さんの宣言。後ろの坂道たち3人が全くのモブに思えてしまう程だ。というかこの今泉君はまた酷いな。

走り出しながら後輪をブラし、手嶋さんの前輪にぶつける古賀さん。
その勢いでコースアウトしそうになる手嶋さん。これはまた危険なことを・・・自転車は怖い競技ですなぁ。
まあ、この場は何とか無理矢理体勢を立て直すことに成功したみたいですが。

どうにかコースに戻り、さらに古賀さんと並ぶ手嶋さん。
減らず口はまだまだ健在の様子。めでたいんだったらおまえの大好きなピザをたのまなくちゃなとか言い出す。
しかしピザを頬張るポーズをしている最中にハンドルを当てられて危ういことになる手嶋さん。この体勢はそりゃ辛いわ。

ついてこい手嶋ァ!!

挑発する古賀さん。それにあえてのる手嶋さん。
だが、これまでも酷使している足がさらなる加速についていけず悲鳴をあげる。足をはたいて気合を入れる手嶋さんに対し古賀さん。

足がつりそうか!?不甲斐ない・・・それがおまえの「限界」だ。凡人としての!!
凡人に・・・才あふれる者たちを束ねることはできない

カラオケは上手いが走りに関しては凡人の域を出ていないと評される手嶋さん。
他の学校の連中に比べればそれでも抜けている感じではあるが、やはり才あるものはここぞという場の爆発力が違うのだろうか。
だが手嶋さんは古賀さんのその言葉にこう返す。

悪いな古賀。オレは凡人にしかできないことだってあるって信じてんだ

なかなかカッコイイ言葉である。
しかしそれを示すのは並大抵のことではない。何せ成功してしまえばもうそれは凡人ではないのではと思われるわけで・・・
どのように古賀さんを納得させるだけのものを見せてくれるのか。楽しみにしたい。

日が暮れ、夜になってもライトを点灯して走り続ける総北部員。
今泉君はここでようやく手嶋さんから聞いた古賀さんの話を坂道たちに話す。
1年生の時はホープであり、その代では群を抜いて速かったらしい。
だがケガをして長い間走れなくなった。それでも分に関わりたいということでメカニックに徹していたのだ。

ふーむ。どうやら鳴子たちには完全なメカニックとして認識されていた様子の古賀さん。
まあ昔のことを知らないのならそういう扱いになるのも仕方がないことであるか。メガネの向こうで何を思っていたのだろう・・・

去年のインターハイで姿を見ないと思ったら留守番をしていたらしい。
自分がいると去年――古賀さんが一年の頃のようなことが起きそうな気がするという。
金城さんが負傷することになったあのレースでありますか。やはり古賀さんも何かあったんですかねぇ?

色々な想いを抱えてレギュラーたちを見送った古賀さん。
なるほどね。坂道に対し、金城さん達を優勝させてくれたということで礼を述べていた気持ちもよくわかりますわ。
自分自身の力で優勝に貢献することはできなかった。いや、バイクは完璧に仕上げてくれたが、それでも足りてはいないでしょう。
その押さえ込んでいた想いを、傷の癒えた今解放しようとしている。並大抵の気持ちではありますまい。
そして手嶋さんはそんな古賀さんの気持ちを全部わかった上で今闘っているのだ。

そうだ。そして杉元も同じだ。
オレたちは散っていった者の、インターハイに出れなかった者の想いを載せて走らなきゃならない
この4日後。手嶋さんか古賀さんか。どちらかの想いを背負って。インターハイを走らなきゃならない。

託す者の想いと託された者の想い。
スポーツの世界には必ず勝者と敗者が存在し、敗者の様々な気持ちを背負う者が存在する。
その気持ちを背負うことで強さに変える。更に強くならねばと考えられるようになる。うむ、スポーツものらしくてよい展開だ!!
それにしても杉元はちゃんと合宿参加していたようで良かった良かった。
今年はレギュラーになれないにしても彼にはまだ来年がありますからねぇ。
ここで合宿をやり遂げた、またはやり遂げられなくても鍛えたという実績が次に繋がるはずですからして。

夜になっても走り続け、手嶋さんはついに1日のノルマである250kmを走りきる。
しかも古賀さんに少し差をつけられているだけでピッタリついて走り抜いたのだ。大したものである。

明日はこれ以上だ。

そう言って古賀さんも去っていく。差はあまりついていないがまだまだ余裕のある古賀さんと倒れて動けない手嶋さん。うーむ、厳しい。
というか倒れたまま眠りそうになっている手嶋さんがなんだか可哀想で可愛い。おーい。だれかー。キャプテンだぞー。

ここで合宿1日目のリザルトが発表。
今泉、鳴子は貫録の260km。ハンデつきバイクなのにノルマ以上の走りを見せている。
坂道は235km。スタートが遅れたけれどもその後は今泉君たちと一緒に走っていた様子。さすがだ。
鏑木230km。途中で今泉グループから脱落した様子。今泉君のふり返った顔がにくたらしいと唸る鏑木。いい先輩後輩関係ですなぁ。
段竹225km。レギュラーではないがさすがの走りである。例の装置は自転車降りてると鳴らない。当たり前だ。
杉元定時180km。おにぎり食べる余裕もなく寝入ってます。ゴガー。
杉元照文220km。目指すはチームを支える"7人目"。意識も新たにガンバレ杉元。

1年生は
沢田150km、ゴリ蔵130km。うーむ、いきなり距離に開きがでましたな。
平田、下山、赤井、盛溝、大柴、清水川、広床、合場、小見先、他4名。1日目にしてリタイア
これだけ名前が出てきたのに他の4名は名前なし。ここまで並べたのならあと4人ぐらい入れてもいいのに!!
無理をするからこういうことになると言いたいが・・・やっぱりクレイジーな内容ですよね4日で1000km。

さて、3年生。
手嶋250km、青八木255km、古賀225km。
青八木さんは単独でさすがのペース。今年は普通に完走できそうな気がしますな。
古賀さんの25kmはスタートが遅れたものなので明日以降で挽回は可能な様子。
本人も手嶋さんを追い落とした後いくらでも挽回できると考えている。

長かった・・・今年こそこの1000kmを走りきって、オレはインターハイで闘う

虚空に向けて指をさし宣言する古賀さん。
杉元のポーズは気にならなかったが古賀さんのこれはやけに気になるな。どこ向けてんの?
通りすがりの幽霊がいたりしたらビックリしているでしょうな。あ、ハイ。頑張ってくださいとか返答してそうだ。

部員の1日目の走りを参照している青八木さん。
手嶋さんは周を追うごとに周回ペースが落ちているとのこと。ふむ。大丈夫か・・・?
ん?でも古賀さんも同じペースで走ってましたよね?
むしろ古賀さんは手嶋さんを削るために抑えて走っていたということなのか?ああ、そりゃあ走った後も余裕ありますわな。

手嶋さんを心配する青八木さん。なんだか妙に美人な感じがする。
それはさておき、手嶋さんは古賀さんに敵わないと零しつつ、こう述べる。

だからさ・・・やろうと思うんだ。あと3日・・・
凡人にゃ凡人の凡人にしかできないことがあるんだ。それ、つらぬこうと思う

さてさて手嶋さんの言う凡人にしか出来ないこととは一体何なのか。
熱い意志を秘めているのは感じられますがそれだけでどうにかなるものかどうか・・・
というか手嶋さん、このままリアイアすることなく古賀さんと走っていたらどうなるんだろうか?
具体的に言うと順位が6位入賞になっちゃうんじゃなかろうか。
順位でレギュラーを決めるのであれば鏑木が現在一番危ういと思うのだが・・・そうなったらどうするんですかね?
謎な部分も含め、合宿の様子を見守っていきたいと思います。手嶋さんには頑張ってもらいたいなぁ。



RIDE.286 合宿2日目スタート!!  (2014年 6号)


合宿といえば泊まり込み。
となれば食事も共にするのが慣例。
というわけで、食堂ではスプリンターたちによる食べ比べ勝負が始まっていた。

田所さん直伝。酸素音速万回噛食物摂取!!

田所さんのように高く積み重ねたパンをもりもりガフガフと頂く青八木さん。酸素関係あるのか!?
あの量のパンと野菜とハムとチーズがみるみる減っていく。
しかも表情をいっさい変えずに完食してみせたりしている。こりゃ1年生たちも喝采だ!!

おいおい。そんなんでオドロイとってエエのか1年!!
見さらせ、こいつが食においても天才鳴子!!
この量!!この質!!最速派手スピードマン鳴子の早食い飯やァァ!!男は黙って白メシやろォォ!!

鳴子さんだァァ!!さっぱり黙ってないしちょいちょいミソ汁まで味わってる鳴子さんだァァ!!
朝はご飯の方がいいかなとは思うがミソ汁の白はなぁ・・・いやこれは個人の感想ですがね。エエ。

最後は礼儀正しくごちそうさまと一礼。
でもその後にヨーグルトで2回戦を開始しようとしている。なんですか、デザートは別腹だから礼も別ってことなのか?どうなん?

相変わらずスプリンターは目立つのが好きというか何というか。
変わり者でなければ勤まらない役割なのだろうか。
って鳴子はスプリンターじゃなくなったんだっけ。まあそれで性格まで変わっても困りますが。

ためしに青八木さんのように食べてみようとし、ざせつする坂道がなんだか可愛い。

2人を見てよく食べるねとコメントする古賀さん。
しかし古賀さんもなかなかの量を食べている。
パンにパスタ、温野菜に牛乳。カロリーの高いものをしっかり摂取している様子である。

古賀さん。かける気だ・・・!!勝負を!!手嶋さんとの!!

和やかな合宿の朝であるのだが、この2人の間にだけは何ともいえない緊張感が漂っている。
ちなみに古賀さんは朝食までに坂道と2人で合宿の遅れを取り戻すために走っていたらしい。
それにより、1日目でついていた手嶋さんの距離のアドバンテージは消えた様子。ほう、それはそれは・・・
どうでもいいが、古賀さんは坂道と走っているときはいい笑顔みせておりますな。やはり性格的にオタク気質同士であっているのか?

ともかく食事も済んだところで合宿2日目のスタートである。
何故かスターターを務める青八木さん。髪型のせいか眉毛のせいか目付きのせいかなんだか可愛くて困る。
しかしリタイアした1年生や監督がいるんだからスターターぐらい任せればいいのに。
何かレギュラーがやった方がいいというジンクスでもあるのだろうか。

1日目で大量にリタイアした1年生は補給の手伝いをする。
そしてもちろんそれだけではなく筋トレを行うこととなる。
合宿だものねぇ。残り3日間遊ばせているのでは勿体ないって話ですよ。ちゃんと筋肉つけて驚き役をこなしてもらいませんとな。

1年生たちのリアクション芸の発達も気になるが、それはさておくとしましょう。
ともかく2日目。手嶋さんと古賀さんの戦いは本格的なものとなると予想される。
初日の距離の差は早朝取り戻し、今2人は同一周回上にいる。そこでもしどちらかが引き離せばそれはそのまま2人の"差"になる。

手嶋さんにとっては不利・・・!一瞬たりとも気をぬけない状況だ。
オレたちにやったような距離のマージンを使った戦略は使えない。古賀さんがしかければ絶対に反応しなければならない。
ましてたのみの青八木さんは自ら封じたしかけでこの合宿中"チーム2人は解散"。いない!!1人で走らなきゃならない!!

実力差は大きい上に戦術を利かせての走りも封じられてきている。
その状態まで追い込んでおき、古賀さんは手嶋さんにこう迫る。

選べよ。どっちでもいい。3年間共に走ってきたよしみだ・・・
今日、限界まで追い込んでケガしてリタイアするか、このままねばって明日ボロボロでリタイアするか!!

勝負を仕掛け、加速を開始する古賀さん。そしてそれについて行く手嶋さん。

悪いな。オレは第三候補だわ!4日間走りきって、1000kmおまえより先にゴールする!!だ!!

決して諦めるようなことはしない。そう吠える手嶋さん。
しかし古賀さんはこう述べる。凡人にそれはできないと。
そして戦術には長けているかもしれないがおまえは器じゃないと評する。あきらめろ手嶋!!

ギリギリの紙一重。フェンスに肩が触れるその間際のコースを駆け抜ける古賀さん。
この紙一重を難なくやりきってしまうのが"天才"なのである。

おまえはオレにないものをたくさんもってる。走り方、抜き方、体力、勝ち方。
今これだって後ろからトレースしてるから走れてるけど、1人ならよけちまう。
よく"天才は命知らずだ""ネジが1本トンでる"なんていうけどそれはちがう。
彼らには見えてんだ。枯れ葉のコース脇、斜面のイン側ギリギリの。
一見危なく皆が選ばないけど、彼らにとっては「安全」な「最速」のコースが!!

確かにそういったことを難なくやってのけるのが天才と言えることなんでしょうな。
こういった感覚は確かに凡人には分からないものがある。努力で身に付くか分からない部類のものである。
が、ライン取りとか凄く苦手で滅茶苦茶なコース取りをしているのに速い奴もいたりする。
インターハイでコースアウトしたり手をぶつけたりしながら凄い速度を出して見せた坂道は天才という言葉でも生温いということか・・・

まあ、坂道のことはさておくとしましょう。
古賀さんの天才的な走りに対し、自分は平凡であると述懐する手嶋さん。
ただの1回だってレースで勝ったことはないし、驚くような走りもできない。

いつもこうして才能あるヤツをうらやましいなって見上げてる。
けど古賀。オレはオレでさ、オレからでしか見えねェ景色てのがあんだわ。間近で見ると勉強なるわ

笑顔でそのようなことを言い出す手嶋さん。
自身が凡人であることを認め、それでいて諦めるようなことはしない手嶋さん。
そう、凡人だから努力して積み上げなければならない。
勉強して、吸収して。一歩一歩確かめながら進まなければならない。

オレはこの合宿で、おまえが言った"器"ってのになんのに、強くなろうって思ってんだ

この合宿で古賀さんの走りを吸収して強くなろうとしている。
果たしてそのような走りができるものなのだろうか・・・見守りたい所であります。

ところで坂道の方であるが、どうやら今朝、古賀さんからインターハイに出た1年生の時の話を聞いたらしい。
73というゼッケンを与えられた古賀公貴さん。
一体そのインターハイで何があったのだろうか?
合宿で980kmまでしか走れなかった理由もよく分かりませんが、その辺りも合わせて語られるのでしょうか。
色々とその年の出来事は気になりますなぁ・・・楽しみなような怖いような。複雑な心持ちであります。



RIDE.287 1年ゼッケン73番 古賀  (2014年 7号)


2年前――インターハイ、広島大会。
2日目(第2ステージ)終了後の千葉県総北高校控えテント。
その中は重苦しい空気に支配されていた。
古賀さんは必死で転倒して破損した金城さんの自転車を直そうとしている。しかしそれを止める田所さんと巻島さん。

明日はムリショ
エースがたった1人で・・・メカニックを選手が兼任するような弱小チームが優勝なんか夢見ちまったのがそもそもの間違いショ。

強豪であるはずなのだが、選手の数という意味ではまさに弱小と言っていい総北。
全国優勝という実績でもなければ強い選手は集まってこないってことなんですかねぇ。
今の総北も質はさておき、人数だけは随分いるのだが、去年まではその人数もそこまで多くはなかったわけでして。

総北のエース。2年金城は激しい落車で、2日目でリタイアだ

その時の空気は今でもリアルに思い出せる。重くて張りつめてて、絶望の更に底にいるような。
逃げ出したいのに一歩も動けない――そんな空気だった。
オレたち総北はインターハイ2日目落車でエースを失い、どうしようもないまま3日目を明日に控えていた。

どうやら3年の先輩たちは金城さんの付き添いで病院に行っているらしい。なるほど。
金城さんは明日は走れない。エース不在の中どうするか。
古賀さんは自分がエースとして走ることを決心する。
金城さんには入学以来よく目をかけてもらい、世話になってきた。今こそその恩返しがしたい。そう考えている様子。
その決心を手嶋さんや青八木さんに打ち明ける。

明日のレース、オレはエースとして走ろうと思ってるんだ
1年のオレなら絶対にマークしないだろう?自由に動ける。
うまいことトップにもぐりこんで明日、最終日。ゴール前。オレ、最後のスプリントは自信があるから狙って。
うまくすりゃあ優勝!大逆転。ヒトケタゼッケンだ!!

都合のいい夢を見ておりますな。まあ、優勝を狙うのならばポジティブに考えるのもアリなのかもしれませんが・・・
だが、手嶋さんはそんな古賀さんを止める。やめとけ、公貴・・・と。

くやしい気持ちはわかる。オレに・・・合宿でも途中リタイアのオレに言われたくないだろうけど、おまえにはムリだ

1年であるし実力が不足している。そんな理由もあるのだろうが、まず第一の理由はケガをしているということ。
どうやら左ひざを痛めてしまっている様子。この脚でエースとして走るのはムリだ。

金城さんはミーティングでおまえに"無理はしなくていい。インターハイを走って体験してそれを来年につなげろ"って言ってた。
金城さんが言ってんのは今年の話じゃない。来年かその先の総北を――

未来を見据えて耐えろと言う手嶋さん。田所さん達も同じ考えでありましょう。
しかしそれでも今年の勝ちに拘る古賀さん。うーむ、金城さんはまだ来年もチャンスがあるのだし、そこまで拘らなくても・・・
あまり話には絡んでこないが、3年生の先輩方のためにも優勝したい・・・そんな気持ちはあるのかないのか。

何にしてもムリはよくない。才能があるのだからそれをここで費やしてしまっていいわけがない。
どうやら古賀さんの脚のケガは合宿で負ったものらしい。
1000kmという過酷な距離は脚を痛める者が出てもおかしくはない。
900kmの時点でもうやめておけと言われたが、そこから無理して80km追加し、さらに脚を痛める結果となったそうな。おやおや。

ケガが原因とはいえ、結局1000km走りきれてはいなかった古賀さん。
それなのにインターハイに出れるというのはどういうことなのだろうか。単にレギュラーが定員割れしてただけなのだろうか。うーむ。

ケガを心配する手嶋さん。古賀さんの才能が潰えてしまうのを見過ごすわけにはいかない。
そう思って止めるのだが、心配ないと述べる古賀さん。

オレのアダ名知ってるだろ。オレは鉄人・・・体力バカだ

何勝手に追加してるんですか。ケガしにくいのと体力が凄いのとではまた分類が違うと思うのだが・・・
何にしても止めて聞くような状態ではなさそうですな。
実際3日目になると1人で飛び出して前の先頭集団に追いつこうとする古賀さん。

オレはホープだ。金城さんに。金城さんに期待されてんだ!!金城さんの想いを!!オレが結果出さなきゃ――

脚の痛みを無視してアタックをしかける古賀さん。
しかしその無理がたたり、下りの急カーブで曲がり切れずにガケから転落。落車。
左肩を強打してリタイアすることとなりました・・・ああ、ずっと癒えなかったケガはこの時のものだったのですね。

何とも凄惨な広島大会。
それにしても古賀さんは焦り過ぎである。金城さんはじっくりやれって言っておりましたのに・・・
想いが強いのも考え物でありますなぁ。言葉を聞かずに無理をするのは逆にないがしろにしているようなものであるのだが・・・

それにしてもこの惨劇を引き起こした主因は福富さんのあの行為なんですよね。
勿論あの当時も酷いことをしたなと思ったし、当人も決して許されることじゃないと言っていた。
けれども、改めてこの空気を見せられると・・・福富さんのしたことの重さがとんでもないと感じさせられてしまう。
とりあえず謝罪は菓子折り1つでは足りないんじゃないかなと思う。

そんなインターハイでのトラブルによって2年間傷の治療に時間を費やすこととなった古賀さん。
3年になり、自身のラストチャンスにかける意気込みはわかる。
しかしそのために合宿で手嶋さんを追い落とそうとしているようだが、上手くいっていない様子。
2日目、勝負と定めた日の夜になっても手嶋さんを振り落すことはできずにいるのだ。

夜間はムリしてケガをしないように追い越し禁止の黄色いボードが出る。
これが出たならばどれだけ引き離されても周回差がつけられるようなことはない。勝負は明日以降に持ち越しとなるわけだ。
何をしても引きちぎれなかった。凡人のおまえが何故・・・と驚いている古賀さん。

すげぇ・・・だろ。よく耐えたろ。足スッカスカだよ。疲れたわ・・・
おめェもスカスカだろ公貴。なつかしいな公貴。この呼び方。まだ仲良かった頃の呼び名だよ
インターハイのあとオレは声をかけられなくて、そのままだった・・・
どんどんストイックに自分を責めるおまえを見てられなかった。かける言葉見つからなかった。
よかったよ。この合宿来てくれて。選手として戻ってきてくれて。本音で話せた

かつては下の名前で呼び合っていた2人。
インターハイでの言い争いから段々と不仲になっていってたんですなぁ。悲しいことである。
だが、この合宿でようやく本音で話すことができるようになったわけだ。これで分かり合うこと、認め合えることができれば――
いや、手嶋さんは古賀さんのことをこの上なく認めている。必要なのは手嶋さんが古賀さんに認められることである。

オレは努力が才能をこえる瞬間があるって信じてる。
試してみないか公貴。最後、あの追い禁ボードのあるゴールラインまで2人で勝負して

明日以降に勝負は持ち越すのかと思いきや、ここで最終勝負となりそうな雰囲気。
この1日を持たせただけでも大したものだし、古賀さんも驚きの表情となっているのに、さらに攻めてくるというのか!!
果たして手嶋さんは古賀さんを認めさせることが出来るのか・・・注目の勝負であります。

それにしても手嶋さんはよく下の名前で呼ばれておりますなぁ。
青八木さん古賀さん葦木場。色んな人から呼ばれている。人徳と言う奴なのだろうか。
しかし古賀さんとは下の名前で呼び合っていたのに何で青八木さんは下の名前で呼んであげないのだろうか。
まあ、一という名前は漫画的にフキダシにいれると読みづらい感じがするのでそういう都合なのかもしれませんが。
そういうことだと思うことにしましょう。



弱虫ペダル 34巻


RIDE.288 手嶋の挑戦  (2014年 8号)


手嶋VS古賀。いよいよクライマックスとなりそうです。
努力が才能を越える瞬間がきっとある。それを試してみないかと持ちかける手嶋さん。
追い禁ボードのあるゴールラインまで2人で勝負しようというのだ。

それはつまり――最後の勝負か!!

眼をギラつかせる古賀さん。それを受けて手嶋さんは笑みを浮かべ、そして真剣な表情となる。
口数が減り、全ての力をこの勝負に込めようとしているのが分かる。
戦いに向けて集中する2人。去来するのはまだ仲の良い1年同士でいられたときのことか――

古賀「この勝負で全てを決めるととっていいんだな純太ァ!!
手嶋「そう言ったんだよ公貴ァ!!

小細工なしのガチンコ勝負。いざ開幕。
2人がそうやって勝負を決めるために走り出している頃、青八木さんはゴールラインでじっと待っている。
きっとこの日の追い禁ボードが出る時間の周回に手嶋さん達が勝負をつけるために動くだろうと思って。

坂道、今泉、鳴子の3人も揃ってこの勝負の結果を見届けようとする。
まだ決まっていないインターハイジャージの残り1枚。それがここで決まるのだという。
ふーむ。まだ合宿2日目だというのにここで決めてしまうのか。
最後まで走りきった者のうちの上位6名ではいけないのだろうか。
まあ、インターハイメンバーを決めるだけでなく、この2人にとっては直接戦う意味ってのがあるんでしょうけども。

ひたすら古賀さんについていった手嶋さん・・・全ての動きに反応し、しつこいくらいに喰らいついていった。
不利に思われたこの周回コース。ギリギリのところでまだ五分!!
日没のこのイエローボードが出る最後の周回で全ての決着をつける。自らを追い込み、自らを試して結論を出すつもりですか手嶋さん!!

今泉君の話によると日没までずっと古賀さんに喰らいついていた手嶋さん。
インターバルとかどうしていたんだろうか?
同時に同じだけ休んだのか、まさか休憩なしにずっと走っていたのか・・・!?
だとした場合、休憩もなしで走り続けた2人より周回差をつけている青八木さんがまた凄いと言うことになっちゃいそうですな。

2人を待って待機している所を通り過ぎようとする鏑木。ハハッ。今の内に周回かせぐ!!
いやいや、君もインターハイメンバーなのだからこの勝負は見ておかないといけないでしょう。
というわけで、鏑木を止めようとする今泉君と鳴子。まてイキリ。止まれカブ。

止まりません!!ハハハ!!

しまった、この2人がそんなこと言っても素直に聞く関係ではなくなっていたんだった!!
しかし坂道が止めると素直に言うことを聞く鏑木。
うーむ、なんというかいい性格になったというか・・・大分メンバーに溶け込んだ感じになったんじゃないでしょうか。いいことだ。

鏑木も加えてインターハイメンバー全員で手嶋さんと古賀さんの勝負を見守ろうとする。
あのカーブを曲がって2人が現れた時、決まる。古賀さんか、手嶋さんか・・・!!
この勝負に一番心揺れているのは他ならぬ青八木さんでありましょう。
2人とは同期であり、そして手嶋さんとはチーム2人として何度も一緒に走ってきた間柄である。

手嶋さんが頭脳、青八木さんが脚として機能してきたチーム2人。
その結果、手嶋さんは裏方となり、青八木さんが表彰台に登ることはあっても自身が称えられる位置につくことはなかった。
それは役割分担のためというだけではなく、手嶋さん自身、自分がゴール前に弱いと言うことが分かっていたからである。

オレ、ゴール前で一度もせり勝ったことないんだ

いやな言葉を思い出す青八木さん。その一度も勝ったことのないゴール前が今回の最後の勝負を決める場面となるわけだ・・・
前日、合宿1日目を走り終えて入浴中の手嶋さんと青八木さん。また可愛い感じになってて困る青八木さん。
というのはさておき、手嶋さんはこう語る。

この合宿、古賀とオレの勝負。少なくとも明日か明後日になる。
去年と同じ、日没のラストラインの獲り合いになるだろう。
去年はギリギリのところで体が悲鳴をあげた・・・限界まで追いこんだけど届かなかった。今年も――たぶんそういう争いになる。
そこでオレはボロボロの体で、天才古賀に一度も勝ったことのないゴールスプリントを勝たなくちゃならない。
そうなったらさ青八木。青八木、おまえだけはオレを応援してくれるか?

あら、何だかいいセリフ。
手嶋さんもやはり青八木さんに対しては頼るというか、こういうことを言えたりするんですなぁ。

そんな手嶋さんは言葉通りボロボロの状態で最後の勝負に挑んでいる。
既に限界を超えており、脚が回っているのが不思議なくらいな状態。
追い抜く力どころかスプリントをするなんて不可能だと思える状態である。

でも、オレはあきらめないよ。公貴。
たった1回凡人が凡人の脚で天才だしぬくなんてキセキがさ、1回くらいあったっていいだろう!!

想いを込めて走る手嶋さん。
そのライトが見えてきたとき、青八木さんも想いを込めて手嶋さんの名前を叫ぶ。

あたり前だ。おまえ以外の誰を応援するっていうんだよ!!
純太!!

カーブの立ち上がり、最初に姿を見せたのは古賀さん。
しかし手嶋さんもすぐ後に現れる。喰らいついている。
いよいよラストライン。あとはラストスプリントを残すのみである。
果たしてどちらが勝つのか・・・この勝負が決まれば、負けた方は潔くメンバー入りを諦めることとなるのだろうか?
それはそれで非常に勿体ない気がするが・・・それも勝負の世界と言うことなんでしょうか。

キセキを見たいという気持ちはあるが、この作品では競った時は実力に勝るものが勝つことが多い気がする。
突風でコーンが飛んでくるとかそういうアクシデントでもないと手嶋さんが勝つのは難しそうな気がしますが・・・どうなるのか。
青八木さんの必死な応援が届いてほしいものであります。



RIDE.289 のこり400m!!  (2014年 9号)


入れ替え戦最後のスプリント開始!!
のこり400m。このホームストレートで勝負は決まる。
前に出たのは古賀さん。手嶋さんは後ろにつく。
後ろに回った分、風の抵抗は減るがそれでもやはり苦しそうに見える手嶋さん。どうなりますか。
皆が心配そうに見守る中、青八木さんはさらに心配そうな様子を見せている。

純太!!つらくないか。
暗いアスファルトの上でのスプリント。不安じゃないか。純太!!
純太。オレは――オレは不安だ。おまえのいないインターハイなんて!!

回想を交えながら、己の想いを語り出す青八木さん。
しかし昔の青八木さんと今の青八木さん、並ぶと変化がハッキリわかって凄いですなぁ。やはり眉毛の有無は大きいのか。

青八木さんの想いを受けながら走る手嶋さん。のこり300m。
限界はとうに超えている。そんな状態でのスプリント。
心臓はバクハツしそうだし、背筋も疲労で石のようになっている。
脚はさっきから3回攣って、ごまかしながら走っているという状態。

けど進め!!止まるな!!純太、おまえは!!今まで一度もやれなかったことをやるんだ。
やるんだ。行くんだよ。最高の舞台(インターハイ)へ!!

その情熱を持って、手嶋さんはのこり250mの時点で勝負を仕掛ける。古賀さんに・・・並んだ!!

古賀(まだそんな力が残っていたのか。ボロボロのおまえに!!純太!!)
手嶋(公貴ァ!!勝負だァァ!!)

並んだ状態のままのこりは200m。手嶋さんの全身全霊スプリント。
その結果・・・古賀さんよりも前に出ることに成功する!!うおおお!!
これには鏑木も大興奮。あんな強い手嶋さん見たの初めてですよ。いけますよ!!このまま!!とか言い出す。
如何にもフラグっぽいこのセリフ。すぐに今泉・鳴子の両人が回収してくれることとなります。

ヤバイ・・・古賀さん。スプリント体勢に入ってから一度もサドルからケツを上げてない・・・!!

のこり150m。その距離まで我慢していた古賀さん。
ようやくその距離になってから立ち上がり、ダンシングを開始する。古賀さんが立ったァァ!!本当のスプリント体勢に入る!!

よくがんばったな純太・・・!おまえなりに

迫る古賀さん。果たして手嶋さんは逃げ切ることができるのだろうか。
なんとなく古賀さんがまた負傷することになりそうな気がしてならないのが怖いところ。
立ち上がり、体重を腕に預けることになって肩の痛みがぶり返すとか・・・

どちらが勝つにせよ、総北としては勿体ないと思える2人であります。
特に手嶋さんが抜けた場合、青八木さんのモチベーションに凄く影響がありそうですし・・・
さてはてどうなりますのか。次号からの連続カラー攻勢に期待したい所であります。



RIDE.290 凡人と天才  (2014年 10号)


ゴールまで残りわずか。
前に出た手嶋さんを本当のスプリント体勢で追撃する古賀さん。
一踏みで一気につめる、古賀さんの轟音ダンシングだ!!

のこり100m。ゴールで待つ青八木さん達もハッキリと見える距離。このタイミングでギアを上げる古賀さん。

純太!!これがおまえが欲しがっていた結果だ!!敗北だ!!

一気に速度をあげてのスプリント。手嶋さんを軽々と抜いてしまう。速っええ!!
のこり60m。完全に前に出た古賀さん。手嶋さんは苦しそう。どうでもいいがこの辺りのセリフはいかにも解説っぽいな。

これはもはや勝負あったか・・・誰もがそのように思う状況である。

なんだよ。小野田、鳴子、今泉。黙って。声きこえねーぞ。まだゴールライン割ってねーぞ。
まぁ無理もねェか――今までだってそうだったしな。
オレは一度も期待されたことなかったから

中学時代に結果を残せていないし、実際新歓レースでもいい結果を出せていない手嶋さん。そりゃ期待はされないですわな。
下唇を噛んで悔しそうにしている姿が何とも切ない。
そんな中、唯一期待してくれたのが田所さん。やはりいい先輩だ。
しかしその期待に応えることができず、一緒にインターハイを走ることはできなかった。

けど、今ならわかる。
オレは古賀が同学年で期待されててそれをうらやんでばかりいた。
オレだって期待されればもっと頑張るのにって思ってた。でもそれは間違いだった。考えればあたり前のことだ。
そうさ、頑張らないと期待なんかされない!!もがけ!!純太!!もがけぇぇ!!

自他共に凡人であると認めながら、それでももがき続けてきた手嶋さん。
今この時、それまで以上にもがいて頑張ろうとしている。
諦めずにもがく。それによって期待したいという気持ちも沸いてくる。坂道たちにも声が戻っております。

こえる!!オレはおまえを!!公貴!!
"今までできなかったのにできるか"だって?できるさ。たった1人あそこに。オレを信じてくれるヤツがいるんだ!!

純太、勝て!!

前を通り過ぎる所で強い想いをぶつけてくれる青八木さん。その想いが力となる。

強くなる!!オレは強くなる!!オレは弱いから!!ゴールラインまでもがけ!!

もがきにもがき、ついにゴールラインの直前で古賀さんの横に並ぶ手嶋さん。
そしてその加速の状態のままラインを越え・・・勝負は決まる。
ほぼ同時のゴール。だが、機械は正常に着順を定めてくれている。
先に通過したのは・・・手嶋さん!!入れ替え戦の勝者は手嶋さん!!手嶋さんが勝ったァァ!!

よもやの勝利。そしてよもやの敗北。オレがスプリントで・・・と呆然の古賀さん。

のこり100mで追い抜き返した時、絶対にこいつはぬき返してこないと思った――

その油断は確かにあった。けれども、それが勝敗を分ける結果となったわけではない。
手嶋さんは限界を口にし、もしあと10cmゴールラインが向こうに会ったら脚は止まっていたという。
本当にそうだろうか?限界ならとっくに超えていたでしょうし、もしゴールがそれだけ先にあるならそこまでもがいていたのでは?
その証拠に、古賀さんの体にも限界は来ている。
左腕が震える。いや、それ以上に左の腿が痙攣している。体勢を保てず、よれる。
倒れそうになる古賀さんを体で支える手嶋さん。限界とか言っていた男に助けられるとは・・・こりゃ古賀さんも苦笑するしかない。

これほど削られていたとはな。体力バカち言われたこのオレが・・・ありがとう純太。
その目。もう自信に満ちあふれているじゃないか。
総北はたのんだぞ。勝ってこいよ。純太

笑みを浮かべ、手嶋さんに主将として総北を頼むと託す古賀さん。
ついに天才である古賀さんが凡人である手嶋さんを認めたわけでありますな・・・!!

才能も実績もないということで手嶋さんには引け目があったのかもしれない。
主将になってからはそういう面をなるべく出すことなく堂々とはしていましたが・・・峰ヶ山では多少出てたか。
しかし今、天才である古賀さんに勝利することができた。これは間違いなく大きな自信となることでありましょう。
自信がつけば更に速く、強くなれる可能性もある。手嶋さんの更なる成長に期待したい。

それにしても、これで古賀さんが脱落決定になるのは惜しい話である。
せっかく和解も出来たようですし、このまま3年生3人でインターハイに出るのもよさそうな気がするが・・・
そうなるとやはり6人から漏れるのは鏑木になるんですよね。
まあ、1年生だし、まだ来年以降があるし、飛び抜けて強いってわけでもないですしなぁ。
手嶋さんと青八木さんの仲を見せつけられ、やっぱり1人でレースに出るのは嫌だとか言い出したりしないだろうか。
そうなれば本人合意の上での入れ替えにはなるのだが・・・厳しいかその流れは。やはり。



RIDE.291 古賀のゴール  (2014年 11号)


今まで起こせなかった奇跡をついに起こして見せた手嶋さん。
そのゴール前のギリギリの勝利への執着はまるで1年生レースの時の小野田見てるみたいでしたよと今泉君は思う。
ふむ、それは最大級の賛辞と考えて良さそうですな。
実際手嶋さんの走りは凄く、その熱は見ているインハイメンバーたちにも伝播している。

強く手を握り過ぎて震えてしまっているという坂道。それに同意する今泉君。
鳴子も口ではしびれてないとはいうが、実際は震えている。
それにあのハートはもう凡人のモンやないでと太鼓判を押してくれる。
ちなみに鏑木のこれで手嶋さんは正式にキャプテンなんですよね?という言葉は無視される。何故無視するの!?
馴染んできたと思いつつ、地味に浮いてしまっている鏑木。まあこれは1年3人が仲が良すぎるのが悪いってことで。

手嶋さんの走りに痺れている一同。
いや、もはやそんな言葉では済まない人がいる。青八木さんだ。
居ても立っても居られず、手嶋さんの後を追って走り出す青八木さん。

純太・・・勝った・・・!!勝ったぞ純太。おまえは今まで勝てなかったゴールスプリントを!!オレは見たぞこの目で。
どんなに頑張ったんだ純太。どんなに辛かった純太。
オレの願いなんて応援の力なんて1%の力にもなってない。全部おまえの力だ。全部おまえが1人で頑張ったんだ。
おめでとう純太!!

涙をこぼし、満面の笑顔で手嶋さんを讃える青八木さん。麗しいですねぇ。
その青八木さんが見つけたのは、コースアウトして大の字に倒れている手嶋、古賀2人の姿。
派手に転倒したという感じではない。バイクは綺麗に横になっており、2人は空を仰いで大きく息をついでいる。精根尽き果てたか。

悪いな。ちょっと休憩中なんだと述べる手嶋さん。
だけど実のところ古賀さんを支えたタイミングで脚やら背中がつって倒れ込んだらしい。
まあそりゃあね。限界を超えての走行だったのだし、それぐらいはなりますわなぁ。
むしろ去年のように肉離れしなくて良かったと思う所である。

青八木さんが2人の間にどっかりと座り込む。
それを見て上半身を起こす2人。ようやくこの3人が再び笑顔で向き合えるようになったみたいですな・・・その点は良かった。
しかしここからの古賀さんの話でしんみりした感じとなる。

結局1回限りのインターハイになっちまったな。
もう3年でオレが出ることはない。1年の時のインターハイが最後だった・・・
よかったよ。全力でやっておいて・・・
ケガしてるのにとびだして・・・無茶をして・・・起こったことは不幸だったが後悔はしてない
チームがあんな状況で唯一狙えるのがオレで・・・今考えても自分ならとびだしてたと思う。出しつくしたレースだった。

静かにそう語る古賀さん。
手嶋さんはてっきり古賀さんはあの時のことをずっと後悔していると思っていた。
その辺りの思い違いもあり、どう声をかければいいのか分からなくなっていたわけでありますな。

わだかまりは解け、会話することで更に理解は深まった。
古賀さんは笑顔になって立ち上がり、悔しいがしょうがない。走るとするかと告げる。

ん?これは合宿だろ。オレにはこの3年間で達成しなきゃならないことが残ってるんだ。
知ってるだろ。オレは980kmの男。1000kn――走破だよ

確かに追い越し禁止と言うことで勝負はしたものの、今日の分のノルマはまだ走り終えていない感じである。
1000km走破を目指すのであれば、今日はまだ走らなければいけない。
だけどそれは勝負するための走りではない。あえて言うのであれば自分との勝負としての走りでありましょうか。
それでもそれは一人で行うことではなく、他のインターハイメンバー6人を含めてのこととなったわけであります。

追いついてきた坂道たちが口々に古賀さんを讃える。
敗れたとはいえ古賀さんの走りは凄かったし、昨年もインターハイに向けての整備など陰ながらサポートしてもらっていた。
その感謝を述べると古賀さん。今年はちゃんと行く。全力でサポートしてやるよと約束してくれます。しゃす!!

坂道から今泉、鳴子と1人1人に話し掛けていく古賀さん。
さすがに1年間ずっと見てきただけあり、色々と詳しい様子ですな。
鳴子に何かあるんじゃないかと話しかけたりしている。さてさて、何が飛び出しますのか・・・
さすがに本番で宣言通りに発火して燃え上がり、300℃突破するとかそういう話はないと思うが・・・いやでも・・・いや、ないな。

鏑木に対してもアドバイス。1人きりの1年というのは不安でありましょう。
だけど古賀さんもまた同じ状況で走ったわけだし、その言葉には信頼を置くことができる。
とにかく全力を尽くす。そこからしか次のステップは見えてこない。この言葉を受けて鏑木はどう成長するのか。楽しみです。

手嶋さんや青八木さんに今更かける言葉は無い。
お互いもう言葉にしなければいけないことは残っていないでしょうからねぇ。
というわけで、最後に古賀さんは全員にこのような言葉をかけてくれます。

ケガをしろ。そしたらいつでもオレが代わりにインハイ走ってやる!!

おっとっと。そのパターンは確かにあり得ますな。
一番の控えメンバー。そりゃ脱落者が出れば当然その穴を埋めるポジションになりますわな。
実際その流れになる可能性もあるかなとか思ったものですが・・・逆に古賀さんが口にしたことでない気がしてきちゃいました。

口ではそのようなことを言った古賀さん。
しかしその言葉を激励と受け取り、走り出した面々が見えなくなったところで本当のことを心に浮かべる。

ガンバレよ。ケガはするなよ。
大丈夫さ。いつでも見て、オレがアドバイスしてやるよ。オレはケガには詳しいんだ――

涙となって溢れだす3年分の想い――
目を覆い、そんな自虐的な言葉を述べる古賀さんの姿は本当に痛ましい。
あの転落がなければ、ケガが軽ければ、そもそも金城さんがリタイアさせられていなければ。
色々と思うことはあるけど、それらの過去はもう取り戻すことはできない。
だから古賀さんもその点について後悔はないと言うのでしょうな。
そして手嶋さんの成長を認めたのも本心でありましょう。でも悔しさがあるのもまた本心であり、涙するしかないと・・・

この流れだと古賀さんがメンバーになるということはなさそうですなぁ。ううむ。
まあまだ鏑木が1000km走破できずに終わるという可能性はあったりするわけですが・・・どうなりますか。



RIDE.292 ディープホイール  (2014年 12号)


サイクルスポーツパークの5kmサーッキトは4日間の間総北高校の貸切となっている。
そこに現れた2人組。貸切と知りながら現れたこの2人組は何者であるのか。
OBの誰かかと思ったが、遠くから来たと言っているからそうではない様子。
というか、微妙に関西っぽい訛りを見せているのだが、これはまさか・・・

合宿は3日目。まだ明日まで貸切の状態となっている。
1000km走破を成し、更に強くなるために走る総北メンバーたち。
今泉、鳴子の両名もかなり成長している様子。

コーナーでタイヤすれすれの位置で、フツーに会話してる!!ボクは息が上がってついていくのが精一杯だ・・・!!

驚く坂道。確かに両名の成長は凄いが、なんとなく別の所で驚いてしまう光景である。
会話の内容こそいつもの言い争いだが、やっていることは去年の手嶋さんと青八木さんみたいに見えてしまうわけで・・・
まあ、さすがにここでボトルの受け渡しとかはしませんけども。

練習中の走行にも関わらず、コーナーで前に出てくる鳴子。
今泉君だからこそ余裕を持って避けているように見えるが、割と危ない走りである。
しかしその走りによる危険むしろ望むところである様子の鳴子。

ワイは最速派手でいく。誰より"速くて派手な男"
スカシ、おまえはせいぜいのんびり来いや。ワイは"勝つ"!!絶対に!!そしてそのために"代価を支払う"!!
常にギリッギリのキワッキワや!!練習もレースも関係ない!!
悪いけどワイはそういう覚悟で走っとんねん。

ふむ、いつもの調子で軽い様にも思えましたが、さすがに鳴子も色々と抱えているようですな。
全ては冬、大阪に帰って御堂筋君にスプリント勝負で敗れたことが原因でありますか。
どうやらあれから一度も自慢のディープホイールをはいていないらしい。
スプリンター辞めると約束した以上、それははけませんわなぁ、確かに。

しかしどうやら御堂筋君と戦って負けたと言うことは秘密にしている様子の鳴子。まあ言わなくてもいいといえばいいけどね。
そしてスプリンターを辞めてオールラウンダーになるために脚質を変えようと走っている。
今泉君が前に言っていた通りの展開ではあるが、それに対して腹はたつが仕方がないと考える鳴子。

手段なんかどうでもエエねん。
強よなって、強よなって、インハイであいつに。アホー筋に「負けた」言わして。
ワイはもっ回スプリンターの称号取り戻すんや!!そのためなら登りの練習でも何でもやったるわ!!
それまでディープは捨てる!!それが代価や!!

やはり鳴子。スプリンターの夢は諦めていないようですな。
約束だから次のインハイはスプリンター枠では出ない。その代わり次のインハイで御堂筋君を負かせば返り咲くという考えの様子。
うーむ、せっかくオールラウンダーの脚質にしたのにまた来年は戻してしまうということなのだろうか?
せっかく登りもかなりの速さで駆け上がれるようになったというのに勿体ない。
まあ、問題は今年のインハイで御堂筋君に勝てるかどうかという部分ですけどね。

で、その話題の御堂筋君がCSPに登場
やっぱり冒頭の2人組は御堂筋君。それと小鞠でありましたか。
わざとらしく遠くから来たことをアピールし、ここ有名だからとヨイショしたりしている。
そしてせめてコースだけでも見せて欲しいという名目で立ち入る2人。おやおや。

他校の偵察とかあるから練習は見せないでくれって頼まれてたけど、まぁせっかく遠くから来たんだしいいだろ

いいわけないでしょオッチャン。
遠くから来てる時点で他校からの偵察に決まってますやん!!
こりゃ貸切料金値引きされてもおかしくない話である。というか4日間CPS貸切っていくらぐらいかかるんだろうか。

それはさておき、ついに合宿に姿を現す御堂筋君。おぉ、見下ろしてる見下ろしてる。
評価の内容もきっちりと見下し気味である。合宿いうよりも仲良しサイクリング会みたいなもんやとのこと。
まあ、ほとんどの人間がリタイアしているし、そういう風に見えても仕方がないかもしれませんな。
昨日までだったら真剣に削り合いしている2人の姿が見れたのでしょうけども。

手嶋さんや青八木さんはレベルが低いと述べるが、古賀さんに関してはまぁまぁかと述べる御堂筋君。
その眼はやはり確かなものかもしれないが、手嶋さんの凡人オーラに騙されていると見れなくはない。油断大敵ですぜ。

鳴子と今泉君に関しては流石にレベルが低いという評価にはなるまい。
が、今の成長した御堂筋君に言わせれば今泉君はまだトブことも知らんイモ虫泉くんやとのこと。
なるほど。御堂筋君は成長したというより成虫になったという言い方の方が適切でしたか。謹んで訂正いたします。

しかしインターハイではむしろ成長した今泉君に敗れたような感じだったのに、相変わらずの態度でありますな。
でも小鞠のエースですか?という問いに少し沈黙している辺り、王者総北のエースであることは否定できないのかもしれない。
まあ、そこで相手を認めるような発言をする御堂筋君じゃないし、この返しは仕方がないことなのかもしれませんな。

それはさておき、小鞠はこんなことを言い出す。遠くからじゃわからない。近づいて見てみたいと。

できれば直接、いい筋肉か・・・どうかを

相変わらず怪しげな手つきをしている小鞠。
その小鞠の前に姿を見せてしまうのが坂道。おやおや、出会ってしまいましたか・・・!!

果たして次回はどうなるのか。小鞠の申し出を受けて坂道は全身の筋肉を調べられてしまうことになるのだろうか!?
その場合どういう評価が出るのか楽しみだったりします。
御堂筋君による坂道の評価も気になる所だったりします。
さてさて、合宿に乱入してきた2人はどのような暴れ方を見せてくれるのか・・・
さすがにここで勝負を持ちかけてきたりはしないと思いますが。どうなることやら。



RIDE.293 指先  (2014年 13号)


坂道が危惧した通り、天気が悪くなり雨が降ってきました。
そんな中でも合宿は続く。去年も雨の中走っておりましたなぁ。
そしてそんな総北の様子を高みから見下ろす御堂筋君。
どうでもいいが口が開きっ放しで非常に怖いんですが。たまたま上を見上げた人が目撃したら見てはいけないものを見たと思いそう。
考えてみれば夏の合宿だし怪談はつきものなのかもしれませんな。

というのはさておき。
御堂筋君を置いて1人総北の選手に接触しようと動き出す小鞠。この男の場合接触とは文字通りの意味っぽいから困る。
実際坂道に出会ったときにこんなことを言い出している。

触れてみたくてさがしてるんですよ。おしえてもらえませんかいろいろ。エース今泉さんのことを

あら、そっちですか。
せっかく坂道を前にしているのだし、まずは坂道に接触する流れかと思ったのだが・・・芋づるでも狙っているのか!?
その辺りは気になるが、もっと気になるのはそれを聞かされた坂道の態度。
何か呆然とした様子を見せている。口を閉じなさい。

あーっ!コマリくん。あーうんコマリくんね!!
知ってるよ。突然だからびっくりして「誰」って言っちゃった。
いち・・・新入生の・・・えーとコモリ?くん?だよね!!覚えてるよちゃんと・・・はは。

なるほど。どうやら坂道は小鞠のことを総北の1年生だと勘違いしている様子。
まあ確かに新入部員多かったし顔を覚えきれていないのは仕方がない。
それでいていい先輩としての威厳を保とうとするものだからこういう勘違いが発生したりするわけだ。無理すんな。

鏑木も言っていたが、自転車に乗っていない坂道は威厳も何もない。
小鞠もプレッシャーは一切感じないと言っている。そりゃそうだ。
そんな坂道、ここは距離をちぢめておこうと小鞠に話し掛ける。みよ、これぞ巻島さん直伝、弾む「会話術!!」
シュミや空模様などの話題を振ってみる坂道。おいおい、巻島さん自身そういうのは苦手だって言ってたっショ!!
受け継いではいけない部分を受け継いでしまった様子ですな。困ったことだ。ちなみに小鞠の趣味は洗手。そ、そうか。

わざわざ話を弾ませようとする坂道だが、別にそんな必要は無い。小鞠の方から質問をしてきてくれる。
その内容は今泉君の強さについて。強いか弱いかと言われればそりゃ間違いなく強いと答える。だが――

御堂筋さんより強いですか?

ふむ。これは面白い質問でありますな。
インターハイ前までは圧倒的なほどに御堂筋君の方が上だったわけであるが、今はどうなのか・・・
何にせよ坂道としてみるとどちらが上かというのは難しい質問の様子。
2人ともボクから見たら同じくらいすごい人だし、2人ともいい人だし、とのこと。
御堂筋君がいい人・・・まあ坂道からするとそうなるのか。
考えてみると坂道のオタク趣味にある種の理解を示してくれる2人といえないことはないしなぁ。妙な共通点だ。

ボクは・・・これはボクの意見だけど。ボクはそんな2人に順番なんかつけなくていいと思う

坂道らしい穏やかな意見でありますな。
しかしロードレースは一度スタートすれば必ず順位による優劣がつくスポーツである。
坂道の発言は自転車競技そのものの否定になるのではないか。
そのように述べる小鞠に対し、坂道はこう答える。

うまくいえないけど、走ってみたら・・・わかると思うけど。それだけじゃないと思うよ

目に見える順位だけではない。そういうことが言いたいのかもしれないが、確かにうまく伝えるのは難しいですなぁ。

おかしな人だ。走ってみたら?走ったことないのはそっちじゃないですか。それだけですよレースは・・・
黄色いジャージ着てるから話しかけたのに・・・補欠なのか。
残念だ。メガネをかけてるからてっきり前年インターハイ優勝者小野田坂道だと思ったのに――

やはり坂道ではないかとは思ってたみたいですね。しかしプレッシャーが感じられないので確信できなかったと。ふむ。
そんな小鞠の前を足を滑らせて転倒しそうになる坂道。
小鞠は倒れてくる坂道を支えようとその体に触れる。もみっ。もみっ。そして驚愕。

なんだこの筋肉は。「最高」!!
思わず声が出そうになった。しなやかで指先につきささるような弾力。この人は間違いない。この人は前年度優勝者小野田坂道!!
もう・・・もう一度・・・もう一度触って確かめさせろ!!

驚愕に我を見失い、積極的に触れようと手を伸ばす小鞠。えっ。ひゃっ!!
これには坂道も驚きの声をあげる。そりゃそうだ。
うーむ、いかんですな小鞠。倒れたところを支えてのタッチならラッキーで済むが、能動的な接触はいかん。ハラスメントですよ!!
なので通りがかった古賀さんに怒られてしまいます。何をやってる!!

おまえ。部外者だな。

さすが部室の端で観察していた古賀さん。部員であるかどうかは一目で分かるらしい。
まあ小鞠にしてみても総北の1年と勘違いされること自体想定外だったと思いますけども。

・・・はい。おじゃましてます。京都伏見の1年生、岸神という者です。岸神小鞠です。単なるマッサージャーですよ・・・

ようやくフルネームが公開。小鞠って下の名前だったのか。
自己紹介する小鞠に対し古賀さんも自己紹介。用があるならオレに言えと述べる。
ふむ?代わりに貴方が触れさせてくれるんですか?とか言われたらどうするつもりなんでしょうね、古賀さん。
まあ小鞠としてもそこまでハッキリと言ったりはしない。すれ違いざまに古賀さんの肩をひと揉みするぐらいである。もみっ。

夏が楽しみですね古賀センパイ。あ、すいません。そのジャージじゃ出れないんですね。夏のレースに

煽ってくる小鞠。ほほう。
しかしどうやら古賀さんの筋肉はやはり良いものだったらしい。坂道に続いて声をあげそうになったそうな。
それはいいけど、御堂筋君に感想を聞かれて「ハァハァ」ものですよってお前・・・

登場したときから知ってはいたが、凄い変態性を見せている小鞠。
いい筋肉を見たら見境なく飛びついていきそうで怖い。泉田君と接触したらどういうことになるのか・・・!?意外と気が合う?

それはそうと、古賀さんはやはり頼りになる。
そして煽られてしまったわけであるが、これは何かの伏線になるのだろうか?
まだ古賀さんがインターハイに出られる可能性があると考えていいのだろうか?気になる所だ。



RIDE.294 1000km!  (2014年 14号)


4日間の合宿もついに、というかいきなり最終日。
そして、最初の1000km走破者が現れようとしている。
1位を争うのはやはりこの2人。今泉、鳴子の両名である。相変わらずどこまでも張り合う2人だ。
今年の合宿も同時に起きて同時に走って同時に切り上げていたんでしょうなぁ。

2人のゴールスプリントを部員全員が見守っている。
リタイアした1年や監督だけではなく、坂道や手嶋さんといった周回が残った面々も足を止めて結果を見守っている。
その目の前を先に通過したのは――赤いマメツブ鳴子章吉!!
さすがに元スプリンター。ゴール前ののびは驚異的なものがあります。
オールラウンダーに脚質を変えたとはいえ、その長所は健在のようですな。

すごい・・・進化してる・・・鳴子くん・・・前の時よりはるかに速いスピードで最後のびた・・・!!

なんだあれと鏑木が驚くほどののびに坂道も驚愕。
震えながらこんなことを考えてしまいます。

まだ全然ボクは鳴子くんにも今泉くんにも近付けてない・・・・・・!!ボクも・・・!!

影響を受けてやる気になる坂道。昨年度優勝者が何を言っているのか・・・!?
まあ実際この合宿では2人についていけていなかったようですが、本番でもそうなるって感じはしなくてなぁ。

坂道の無暗な謙遜はさておき、相変わらず仲良く意地の張り合いをしている今泉、鳴子の両名。
先に1000km到達した方が今日1日、2位のヤツに何でも命令ができるという賭けを直前にしていたらしい。
まあ、そんな約束したからって無理な命令はしないでしょうけどね。
そこまで無理でもない命令でもボトル投げつけるなど、しっかり反抗的だったりするわけですし。えい。

それはさておき、残りの面々は1000km目指して走り続けている。
古賀さんは走りながら坂道にテクニックを伝授している様子。これは助かりますな。
横風の時の風よけの方法とか非常に助かるテクニックだ。というか、こういう技術的な指導は普段やっていないのか・・・?

メガネ2人が揃って走り、前にいる鏑木に追い付こうとしている。
メガネ軍団に負けてたまるかと加速する鏑木。しかしどうやら苦戦している様子。自分がイメージしてる通りに体が動いてないようだ。

そりゃあそうだろうな。このCSPのコースは「登り」が急だからな。
本人は気づいてないがな。意識すりゃあもっと速くなる。あの踏み方、脚や背筋のつき方。
鏑木一差。あいつは紛れもなくスプリンターだ!!

なんとまあ、鏑木はスプリンター枠でありましたか!!
うーむ、今年のインターハイは坂が多いからスプリンター枠は少なめでいいと思ったのですが、これはこれは。
まあ平坦区間がないわけじゃないだろうし、スプリンターの存在も重要だとは思いますけどね。
しかしきたえれば3年の時の田所さんを越えるほどになるというのは本当だろうか。
いくらなんでもあれだけの体格になるには・・・もっと食いまくるか酸素吸いまくるかしないといけないのでは!?

それにしても、スプリンターに向いていることはカブくんに教えてあげないのだろうか?そう古賀さんに尋ねる坂道。カブくんて。

1000kmも走ってりゃあ自分で気づく――と思ったんだがな。どういうわけか気づかない。
あいつとんでもないバカか・・・天才のどっちかだ!!

まさに紙一重ってやつですな。
下手すると本番まで気づかない可能性高いですぞこれは。

さて、そんなこんなで合宿は夜まで続く。最終日ですからねぇ。日付が変わるまで皆頑張っております。
そんな中、ついに古賀さんが悲願を成し遂げる。

金城さん――だいぶ遅くなりましたけど。オレ――達成しましたよ。合宿1000km

実に長かった1000km。3年もかかっちまったと述べる。実に、実に長い1000kmでありましたなぁ・・・
時間はかかった。でもやりとげたことに変わりはない。
同じく3年かけて1000km走破を成し遂げた手嶋さんと青八木さんが温かく迎えてくれています。良かった良かった・・・

ここで最終的なリザルトを並べてみることにしましょう。
1位 鳴子章吉 12時09分達成
2位 今泉俊輔 12時09分達成
3位 青八木一 16時39分達成
4位 小野田坂道 18時55分達成
5位 鏑木一差 20時30分達成
6位 手嶋純太 20時34分達成
7位 古賀公貴 20時46分達成

2年杉元、1年段竹は45kmを残し955kmで時間切れリタイア。
同じく定時は180kmを残してリタイアとなりました。杉元は段竹と同じであるか。うーむ、まあでも3年目には完走できそうだな。

長く厳しい合宿でありましたが、どうにかインターハイメンバーは全員1000km走破することができてなによりです。
一番怪しく思えた鏑木もしっかり走破しているんですなぁ。ふうむ。
というか古賀さんは結局7位なのか・・・
いや、途中坂道にコーチングとかしてましたし、その分遅くなった可能性はありますわな。
むしろ古賀さんはレギュラー6人に遠慮してわざわざ7位になるように調整したんじゃあるまいか・・・?うーむ。

古賀さんがインターハイに出れないというのはやはり惜しい。
その気持ちは今でもありますが、とにかく合宿はここで終了であります。
恒例の合宿後の補習を挟みつつ、期待は真夏のインターハイ本番へと向かっていきます。

2度目のインターハイ。各々やる気は十分である。チーム6人だ!!
プレッシャーをはねのけ、一番高い所に再び立つ。その意識を持とうとしております。
そして鏑木はこのタイミングで自分はオールラウンダーじゃないのかと気づく。ここでかよ。まあ、それはさておき――
坂道は教室で手紙を書いている。遠くにいる巻島さんに宛ててのものである。

巻島さんのいないインターハイは正直不安で一杯です。
だけど、精一杯走って最高報告ができるようにがんばります。

その坂道の手紙はちゃんとロンドンにいる巻島さんのもとへと届いている。
しかし手紙とかそういうのは苦手な巻島さん。返事は滞っている様子です。おやおや。だが――

始まるな・・・インターハイ。応援のひとつもいかなきゃあ。クハ・・・!!どやされるショ

どうやらインターハイには巻島さんも観戦に来てくれそうな気配。これは楽しみですな。
他のOBの面々も駆けつけてくれそうだし、盛り上がることとなりそうです。
次回からはいよいよ2年目のIH編に突入。さて、どのような展開となりますか・・・!!

さて、今号は連載6周年記念として第4回キャラクター人気投票が開催されます!!
結果は本誌20号。連載300回で発表という運びになります。

今回はアニメ化も挟まったこともあり、誰が票を稼ぐのか読めなくなっております。
杉元も昔4票しか取れなかった時とは違い、大幅に票数を獲得する可能性がありますし。一体どうなるのか!?
それにしても古賀さんと黒田さんは今回人気投票初登場と書かれているのだが・・・
いやまあ、今のキャラ立てになってからは初登場みたいなものだし間違いではないのか。
兎にも角にも、結果が楽しみであります!!



RIDE.295 スタート!!!  (2014年 15号)


城下町栃木県宇都宮市
かつて江戸五街道の奥羽街道と日光街道は十七の宿場をへて、ここで奥羽と日光へと分かれていた。
現在は国際的観光地、日光東照宮。中禅寺湖。華厳の滝。有数の温泉地をかかえる日光国立公園。
500mをこえる日光火山群を北にひかえ、その玄関口としてにぎわっている。
今大会インターハイロードレース栃木県大会はここから3日間の真夏のレースをスタートさせる

はい、そういうわけで今回からインターハイ編に突入であります!!
合宿が終わってすぐといった感じでありますな。
少し間を開けてもよかったような気もするが、丁度アニメの弱虫ペダルの方もインターハイに入ったところである。
シンクロさせる意味ではこの展開もありなのかもしれませんなぁ。

朝なのにもう25℃をこえているという灼熱のレース、インターハイ。
今年も暑く熱い戦いが繰り広げられることとなりそうです。
もちろん熱くなるのは選手だけではない。それを支える者たちも熱くなっている。

いよいよだ。いよいよだよ!!ここからが本番だ皆!!

バスの中で1年たちに激を飛ばしているのは杉元。
出場メンバーにはなれなかったものの、サポートする7人目として働こうと張り切っている様子。
サポートなら去年も行っているし、まさしく経験者である杉元。これは確かに頼りになる存在である。兄ちゃんカッコイイ!!

去年は主に手嶋さんが頑張ってくれていましたが、今年は杉元が頑張ってサポートしてくれる様子。
古賀さんの活躍にも期待したいが、古賀さんはメカのメンテと解説役的なポジションになるかな?

努力家な杉元は結構1年生に慕われている様子。それは良かった。
総北のレギュラーは自分のことに一生懸命であまり後輩の面倒を見ていない感じがしてましたからねぇ。
杉元のような存在がいるのは部活として結構有難いのではなかろうか。実は先輩向けのキャラだったのか・・・!!

それはさておき、バスの中には何故か寒咲さんの友人である橘綾ちゃんの姿がある
それに気づいた時の坂道。橘さん、寒咲さんのお友達。というセリフが非常に説明的な感じで困る。

どうやらテニス部に所属していたようだがインハイ予選の3回戦で負けて夏休みやることがなくなったらしい。
ははぁ、それで自転車部の応援に駆け付けてくれたわけでありますか。それは嬉しいですな。
そういえば新歓レースで敗れてテニス部に出戻りしていった彼は今どうしているんだろうか・・・

坂道にがんばんなよと激励を送る綾ちゃん。おやおや、何だかいい感じじゃないですかね?
何はともあれサポートしてくれる女子が増えたのは嬉しいことであります。
まあレースが始まったらほとんど出番はなくなるのでしょうが・・・まあ、それはそれだ。

そういえば合宿に行くときは2年連続バス酔いでリタイアしていた坂道だが、インターハイの時は大丈夫なんですな。
まあ、酔わないように眠ってるし、起きてからは綾ちゃんの激励で固まってしまったから酔う暇もなかったようですが。
来年の合宿の時もバスに乗る直前にでも激励入れて固めてから乗せるといいんじゃないでしょうか。

それはさておき、ついにレース会場に到着。報道陣も詰めかけている。
が、その報道陣の目的は総北ではない。そのすぐ横に止まった大きなバスの高校が目的である。
そう、この高校こそ自転車の名門。学校法人私立――神奈川県箱根学園!!

出てきたぞ!!来たァ!!絶対王者箱根学園だ!!

盛り上がる観客。しかし王者じゃなくなっているのに絶対王者という呼び名を継続するのはいかがなものかと。
とはいえやはりその強さは注目の的である。
インターハイメンバーの5名は特に注目され、写真も撮られまくっており・・・5名?あと1人はどうした!?
いやまあ、去年も1人遅刻してバスに乗ってなかった奴はいましたけどね。さすがに今年は遅刻しなかったか山岳。
地元の箱根でのレースならまだしも、栃木まで自転車で来て消耗するわけにはいかないですしねぇ。

箱根学園のインターハイメンバー6名。さすがに去年ほどのインパクトはないが、どんなものだろうか。
前に出ていたお面の彼はまだお面の彼のままで名前も顔も出てこない。
他のメンバーのことを考えるとクライマーっぽいのだが・・・今年のキーマンになりそうな気がしますな。
大食らいの銅橋は箱根学園最速を受け継ぐ男と名乗っている。そのいつでも食事のスタイルは新開さん譲りということか!?
葦木場のボケと黒田さんのツッコミは健在。やはりツッコミがいのあるボケがいると調子がいいんですかねユキちゃん?
そして山岳はかなりの女性人気。東堂さんのファンが卒業したことでコンバートした可能性もありますかね。

箱根学園に群がる取材陣。移動すればそれを追いかけていく。
つまり総北に群がる取材陣はいないということになる。優先度は低いということか・・・
昨年優勝した高校だというのにこの扱いは如何なものなのか。
やはり自転車に乗る前の坂道にオーラがないのが原因なのか?それとも鳴子たちの私服のセンスの問題か!?
山岳以外の箱学メンバーはちゃんと取材を意識してジャージを着てバスから降りてきている。
この気遣いの差が報道陣に与える印象を左右するわけですな!!
一応鳴子は髪型セットしてきたらしいが、バスの中で寝てたら崩れてるんじゃなかろうか。まあ、それはさておいて――

実のところ、鳴子としてみてもこの評価は正当なものだと思っている様子。
ようするに1回優勝したぐらいではまぐれとしか思われていないってことだ。
二度勝たないと認めてなんかくれない!!
鳴子に言わせればまだ目立ち方が足りないということになるわけですな。
なるほど。今年も優勝できれば総北の強さは疑いようのないものになるわけだ。これは逆にやる気になりますな。

獲るぞ今年も頂点を!!

戦闘意欲を刺激された坂道たち。いい気迫であります。
しかしそういう気迫に慣れておらず、イキってしまう子はいつも通りお腹を下してトイレに並んでいる様子。
相変わらず鏑木はプレッシャーに弱い・・・試合前なんだし段竹が面倒見てあげてもよかったのでは?

ともあれ、ついに2年目のインターハイが始まろうとしています。
箱学の新顔である2人はどのようなキャラなのか?京伏は小鞠を加えてどのような走りを見せるのか?
そして広島はメガネスプリンターがキャプテンとなっているのか?色々と楽しみであります。



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