蒼天紳士チャンピオン作品別感想
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RIDE.296 〜 RIDE.320
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弱虫ペダル 35巻
RIDE.296 シングルゼッケン
(2014年 16号)
獲るぞ今年も。頂点を!!
いよいよ始まるインターハイ。レース前から気合を入れまくっている総北レギュラーたち。
見開きで右から青八木、手嶋、古賀、坂道、今泉、鳴子と気合の入ったレギュラーの顔が・・・ん?アレ?
こういう決め画面でトイレに駆けこんでたりするから鏑木はまだ馴染みきれていないと言われるんだよ。
どうでもいいが、今泉鳴子のUSAGI、TORAシャツはお馴染みだが手嶋青八木はSTAR、MOONなんですな。何か法則性が?
それはさておき、今年もこのインターハイのために全国から猛者が集っている。
この日のために。たったこの3日間のために命懸けで練習してきた1年間。それらの想いを全てぶつけようとしている。
受付でゼッケンをもらった後は各校ウォーミングアップなどを行う。
ここで常勝王者である箱学がフタケタゼッケンを衆目に晒すこととなる。
これを見れば王者から陥落したというのがひしひしと伝わってくるのではないだろうか。
逆に総北が得ているのは夢のヒトケタゼッケン。テンションの上がる鳴子。ほう、鳴子は3番か。
どうやら1年生3人の方が手嶋さんたちより前の番号を得ている様子。まあ妥当な判断ではありますかな。
しかし坂道は手にした番号を手にして戸惑っている。これは今泉くんのじゃ・・・と。
どのレースでも同じだ。前回大会優勝者が大会に出る場合――このインターハイでも同じさ。あたえられる!!
前年優勝者がゼッケン1だ!!
3年生で卒業してしまう場合はもちろんそうはならないが、連続で出場する場合は優勝者がそのゼッケンを背負うことになるらしい。
下手すると坂道は今後2年間そのゼッケン1を背負う可能性があるわけか。ふむ・・・!!
去年、金城さんや田所さん巻島さんオレや鳴子がつないであずけて、それをおまえがゴールまで届けて手にした数字だ。
小野田。おまえが――背負って走るんだよ。皆の想いを。誇りながらな。
今泉君の言葉を聞いて納得し、頑張ることを誓う坂道。
相変わらず今泉君は坂道には親切というか何というか。鳴子と争うようになってからは坂道と競うこともなくなってきてる気がする。
さて、ゼッケンを受け取った鳴子は用事があるといって席を外す。
何をしにどこに向かうかといえば、もちろん雪辱を誓った相手に挨拶を果たすため京都伏見のテントに。
ごぶさたしとったな。去年の冬・・・ぶりか。御堂筋。
テントの中で1人ペダルを回しているのは御堂筋君。髪が伸びておかっぱ気味になっている御堂筋君だ!!
水田君、せっかく前の御堂筋君の髪型真似てたのに当の御堂筋君の方が変えてしまうとは。
ちなみに御堂筋君のゼッケンは111番。ふむ、去年は結局11位。総合でみると順位落としているんですなぁ。
スプリンターを辞めたはずなのになぜ自転車に乗っているのか。その御堂筋君の問いに鳴子はこう答える。
自転車と友達をこよなく愛する。それが鳴子章吉やからや。
なかなか良い答えである。というか、鳴子に迫っている御堂筋君・・・でかくね?遠近感が狂うぐらいにデカイ。
というのもどうやらプレッシャーが凄く増したために大きく見えるらしい。ほ、ほう。
とりあえず勝負の約束を取り付ける鳴子。御堂筋君は1回だけそれを受けてくれる様子。ふむ、どのタイミングで行われますか。
何にせよ今年の鳴子はオールラウンダーに転向している。
平坦での勝負ではなく、最終的なゴールを狙う場面での勝負となるかもしれないが・・・はてさてどうなりますか。
そして鳴子がオールラウンダー転向したと聞いておもろいことを思いついたという御堂筋君。はたして何を思いついたのか・・・
まあ、何でもいいから御堂筋君には顔が崩れやすくなっているのをどうにかしていただきたい。不安な気持ちにさせられるわ!!
さて、間もなく開会式。
にも拘わらずお腹をくだしてトイレ待ちをしている鏑木。まだ空かないのかよ。
何でインターハイに来てまで弱るオレの腹と唸る鏑木。まあこればっかりは仕方がないよね。
どうにかもる前にトイレの扉が開く。
しかしノックを何度もしていたその扉から出てきたのは・・・箱根学園のジャージであった。
オレを箱根学園の最速を受け継ぐ男、銅橋様だってわかってたたいてんだろうな!!
おっとここで鏑木にも箱学との因縁イベントが発生しましたか。
お互いスプリンターでありますし、ここでの激突はいい感じですな。
どうでもいいが銅橋、鏑木より早くトイレに来てるってことはバスから降りて直行したのか・・・?
スプリンターだけではなく腹を壊す仲間としても共感が持てる相手なのかもしれない。ダメな点で競ってどうする!!
RIDE.297 つかみ合い
(2014年 17号)
鏑木と銅橋、初接触にして一触即発の雰囲気。トイレの前で。
我慢している状態で一触即発って単語は色々と危険ですな。触るなよ。今の鏑木に触るなよ!!
とりあえず話を聞く前にトイレに駆け込んで用を済ませる鏑木。
ちゃんと待っててくれる銅橋は地味にいいヤツなのかもしれない。
怒りのテンション維持できるのかと思ったが、出てきた鏑木が無駄にキラキラしてるので問題なかったようだ。
とりあえずノックしながら罵倒したことに関しては謝罪する鏑木。
緊急事態なのは分かるけど末代まで恨むとか恨みころすとかブタヤロウとかはいけませんな。だが――
オレはレース前、誰も来ない場所で集中力高めんのが儀式なんだよ。
用を足していたのではなく集中してただけだったのか!!
それならもっと別の場所で・・・というか確実に人が詰めかける場所だろここ!!占拠しないでください。
それはさておき、ここでようやく鏑木が千葉の総北の選手であると気付く銅橋。
千葉の田舎モンだなとか言っているけど箱根はそこまで都会でしたかね・・・?
いや、そこで言い合いをするのはどんどん話がズレる元になる。県代表っぽい感じはでるけど、それはさておこう。それより――
マグレで優勝して調子のんなつってんだよ。
銅橋のこの言葉にカッとなる鏑木。胸ぐらを掴みにかかる。
が、銅橋はその動きに反応して即座に胸を掴み返す。でかいくせにいい反応だ。
このオレンジ見たことねェ総北だ。1年か。いい度胸だ。オレににらまれてオレに胸つかまれて1歩もひるんでねェ!!
かなり荒っぽい方法ではあるが、双方共にこのつかみ合いで実力を探っている様子。なかなかやりますな。
だけどここから始まるのは本気の言い合いであります。
まずは鏑木。総北が勝ったのはマグレじゃない。取り消せブタと挑発。
それを受けて銅橋。小野田ってヒョロッとしたのが最後のゴールを取るなんてマグレ以外の何物でもないと述べる。
鏑木「小野田さんは強い!!」
銅橋「強く見えてるだけだ!!」
坂道は強いのではなく強く見えているだけ。え!?その説は初めて聞きますな。強そうに見えないはよく言われてましたが。
銅橋に言わせると物事には真実と真実だと思い込んでいるだけのハリボテの2つがあり、坂道は後者であるとのこと。
マグレでとった王冠つけてまわりがそれにビビッて手を出さないだけだというのだ。ほう。
おまえはたとえ死にかけだとしてもトラにおそいかかったりはしねェ!!
そりゃあそうだ。トラは人を食うかもしれないって恐怖心があるからだ。
確かめたことあるか。本気で勝負したか?
"インハイ優勝"の着ぐるみつけてまわりがチヤホヤしてすごいって思い込んでる・・・!!
本当に強いか!?今まで会ったどんなヤツより強いか!?
ごつい見かけの割にやたらと口が回る銅橋。若干ポエムが入ってる気がしないでもない。
そしてその銅橋の口にまんまと乗せられる鏑木。まあ確かに普段の坂道は凄い先輩とは思えないですしなぁ。
しかし反論が去年のインハイで見た。だから本物だはないだろう。
実際に練習で一緒に走って凄さを実感したのはどこに消えたんだよ。それだから銅橋に追い込みをかけられる。
そうやってフィルターかけてんじゃねェのか自分で。
総北は強い・・・総北は強いはず・・・強くなくちゃ困る・・・
でないと自分が進んできた道が、やってきた努力が意味のないもんになっちまう、てな。
心の隙にグイグイ突っ込んでくる銅橋。これには鏑木も圧せられ、胸を掴んでいた手が放れる。
おやおや、この精神戦は完全に銅橋が制してしまったようですな。
見極めろ!真実を。オレンジ。
箱根学園は全国一の部員数だ。練習量だって他と比較になんねェ!!ハコガクにマグレはねェ!!
どっちが強ぇぇ?真実は1つだ。最強のチームはオレたち箱根学園だ!!
指さしポーズを最後に決めて去っていく銅橋。
うーむ、実にこの指さしポーズといい、オレたちは強い理論といい、箱学って感じですなぁ。
インターハイは最強を決めるレースだ。計りとふるいにかけられる。
この暑くて長い過酷なレース。全てを支えるのは練習量!!肉体と精神。それの圧倒的な強さだ!!
ふるいにかけて落とす。
これは今年の箱学が王者復権に向けて考えている作戦でもある。
本番で敵となりそうなチームを泳がせることなく、徹底的にマークして追い落とす。全力で!!
この泉田君の言葉を受けて銅橋は述べる。箱根学園のカンバンを背負ってこのオレがやってやるよと。
ふーむ。鏑木に仕掛けた精神戦はこのふるい落としの一環なのかもしれませんなぁ。
実際に鏑木はかなり銅橋の言葉に影響されてしまっている。
――小野田さん。この人が、この人が本当に強いのか・・・!!
すっかり疑いを持つようになってしまいました。この本番というタイミングで。おやおや。
そんな疑いを持ったまま昨年王者のレギュラーメンバーとして開会式の壇上に上がる鏑木。ふむ・・・
壇上で紹介される手嶋さんと青八木さんは初のインターハイ出場で壇上にいるというのに落ち着いた様子である。
うーむ、坂道にもこの2人ぐらいの落ち着きがあれば疑われることなく尊敬される先輩になっていたでしょうに・・・
今泉君は女性ファンが多く、鳴子は男性ファンが多い様子。漫画の人気投票でもそうなのか。どうなのか。
坂道は普通にしていればまさに肩書もあり、強そうに見えなくはないのだが・・・自転車以外のことさせちゃいけませんわな。
インタビューはいつまでたっても慣れそうにない坂道でありました。
そんな坂道の情けない姿を見て不安を募らせる鏑木。
オレは確かに昨年のレースの中を見たわけじゃない。
実際はこの人がどんな走りをするのか見たことない・・・
「本当に強いのか」あのブタが言ってた・・・
このチームは本当に強いのか・・・!?
坂道個人どころかチームの強さまで疑いだしてしまう鏑木。今までの積み重ねは一体何だったのか・・・!!
逆に鏑木を弱らせた銅橋の方は自信に満ちている。オレは誰よりも練習してきた!!と。
ウォーミングアップも気合が入っている。力を入れすぎてハンドルが曲がりそうになっている。
メカニックの志見さんも嘆くスプリント力。うーむ、純粋なパワー型っぽいですなぁ。
ちなみに銅橋は今シーズン出走した全てのスプリントレースで全戦全勝。史上初の成績を残しているらしい。
そしてついたあだ名が"道の怪物"・・・怪道銅橋!!
街道の怪童で怪道でありますか。しゃれてますな。変換が面倒くさいけども。
しかしこれほど凄い選手が何故昨年のレギュラーメンバーとして参加していなかったのだろうか。
少なくとも泉田君よりは劣るということなのだろうか?オレに敵はねェ!!とか豪語してるのに。味方だからノーカンってことか!?
それとも実は1年生だったりするのかね銅橋。言葉遣いがアレだが、そういう性格ということであれば問題ない。
はたまた3年という長いスパンで太った体を筋肉の塊に変えていったのかもしれない。それなら仕方がない。
というか、銅橋は本当に坂道がマグレで優勝したと思っているんだろうか?
闘った当人の山岳のみならず、去年のメンバーなら誰もが否定しそうな考えであるのだが・・・
これは単に鏑木に揺さぶりをかけるための言葉だったのかもしれませんな。
豪快な見た目に騙されそうだが、真の姿は言葉による精神の揺さぶりを得意とするとかそういう方面のキャラ。面白そうだ!!
実は鏑木に言っていたフィルターかけて強いと思い込むというのを自身に実践しているのかもしれない。
オレは、オレたちは強いと言い続ければ本当に強いと思い込めるみたいな。強い思い込みは力となる!!みたいな。
本当にそんなキャラであるかどうかは定かではない。
RIDE.298 触れる
(2014年 18号)
レース開始前の調整に余念のない各高校。
精神集中したりウォーミングアップしたりと様々であるが、ここに執拗なまでの洗手を行う男がいた。
洗うんだボクは。必ず手を。キミに乗る前は。
軽快なステップというかスキップをしながら自転車の前まで進んでいく小鞠。
器具がついているクツで器用なことをするもんだ。コッツコッツ。
ともあれ、京都伏見のジャージを着た小鞠は自信の自転車に話しかける。
そうやって手の皮膚の神経を研ぎ澄ませておいてキミに触ると浸透する。より深く理解できる・・・
今日はたくさん乗れるねキミに。インターハイだから。
肉を揉むのが好きなだけかと思ったら自転車を理解するのも好きだったらしい小鞠。
まあそうでなければ本当にただのマッサージャーでしかないですわな。
いや、ただのマッサージャーは人の肉揉んで興奮したりはしないと思いますが・・・・・・しないですよね?
それはさておき、京都伏見のテント内では広西という選手が頭を抱えている。
いや、選手として登録される予定だったという方が正しいか。レース直前で補欠だった小鞠と入れ替えされたらしい。ほう。
116番のゼッケンをもらえると聞いていたはずなのにここに来ての除外通知。納得いかずに御堂筋君に食い下がるが――
キミィは友達が多かったな・・・だからや。
言いまわったんやろ「出る」って。「インターハイ走る」って友達に。
なるほど。大したことない選手をあえて入れておくことで他校を油断させるのが目的でありましたか。
最終的な順位はさておき、去年は御堂筋君のおかげで強敵であると認識されているであろう京都伏見。
そこに大したことない選手がレギュラーメンバーにいるのであれば、今年の京伏はレベルが低いと思わせることができるわけだ。
しかし敵を欺くにはまず味方からとはいえ、そのことを聞かされていなかった広西クンは災難である。
名誉な晴れの舞台インターハイ。親や友達にも知らせてわざわざ京都から応援に来てくれているというのにこの仕打ちは辛い。
まあそれを訴えたからってほだされてくれるような相手ではありませんがね。案の定これも作戦やよと切り捨てられる。
走れるのは6人――補欠の入れ替えは会場の受付でギリギリでもできる。
本当は病欠や直前のケガで走れんメンバーが出るのを防ぐ仕組みやけど。
まさにルールを利用した作戦ってことですね。
広西クンはもちろんケガなどしておらず万全の状態。けれども実力は御堂筋君曰くザク以下とのこと。
いつも練習で千切れて必死でついてこれないレベルだというし、それは言われても仕方がないのかもしれませんねぇ。
むしろその状態でレギュラーになれると思ったのが不思議なくらいである。
・・・オレには秘めた・・・何か才能があるのかと・・・
このポジティブシンキングはちょっと面白い。
鏑木なんかはそのポテンシャルに期待されているようだが、さすがにこの子は違いますでしょうよ。
御堂筋君に完璧に否定されて唇をブルブル震わせている姿はさすがに可哀想に思えてきますが・・・
いつも言うてるやろ。とっておきは最後に出すんやよ!?
小鞠はやはりとっておきの存在らしい。水田君たち正式なメンバーもその実力は知らない。果たしてその実力は・・・
とりあえず広西クンは頭を抱えて観念した様子。可哀想に。
でもあんまり抵抗すると、それなら本当にケガすればええわけやねとか言われて酷い目にあいそうなので肉体だけは無事で良かった。
噂の小鞠はウォーミングアップとして外で走っている。
そのフォームはリズミカルでキレイなフォームと他校選手からも評価が高い。
軍隊のような京伏からは解き放たれているように見えるという。
ふむ、言われてみれば小鞠は普通に御堂筋君のことをさん付けで呼んでましたな。規律とは外れた場所にいるのか。
スタート前で閉鎖されてる周回1.5kmの会場周りの道路。
アップ代わりに選手走ってる。いると思うんだよな――この中に。
どうやら自身の体を温めるのが目的ではなく、アップに繰り出そうとしてきた選手に触れるのが目的だった様子。
この男にとっての接触は文字通りの意味での接触だから困る。さて、その標的とされた存在は――今泉君だ!!
アップで杉元と一緒に並んで走っている今泉君。
こんなこともあるかと総北ジャージを持ってきていた杉元。本番ではないとはいえこの会場で走れると嬉しそう。
今泉君は別に誰とでもよかった。単独だとトラブルがあった時に困るからと手嶋さんに言われて杉元を誘ったのだという。
まあそういう理由は一番なのかもしれないが、何だかんだでこの2人は仲が良くなってると思いますよ。去年より格段に。
それはやはり杉元が成長したからってのが大きいんでしょうな。今泉君にすげない態度を取られてもめげたりしない。
けど誉れだ!!杉元照文生涯の誉れだよ!!今泉!!スタート前の大事な時間にボクを選んでくれた。
ふむ、いいこと言いますな。照れもせずにこれを言える杉元の精神性はさすがに今泉君も驚いている様子。
強いよ今泉。おまえは。ボクに言われるまでもないけどね。
1年生にして去年のインターハイで堂々エースを引き、最終ステージではあの箱根学園の福富さんと互角に戦って、
そして今も努力をつづけてる。全国一の強さだ。全国一のね!
時々ボクは思うんだ・・・鳴子や小野田もそうだけど・・・すごいヤツらと同じチームにいてしかも同じ学年で走ってるなぁって。
これってキセキなんじゃないかって。
ボクはあの日鏑木くんに負けて、このインターハイ出れなかったけど。あの1年生レースでおまえはボクに誇れって言ってくれた。
何もできなかったボクにしかるどころかそう言ってくれた。その日から考えてたんだ。
ボクは・・・おまえや小野田も影響されてがんばった。
ひょっとしてひょっとしてだけど、ボクもボクの走りも。図々しいかもしれないけど。
少しだけ・・・おまえや小野田に影響を与えてるんじゃないかって。
そういうのが積み重なって・・・このウォーミングアップの時間もそうで。もしインターハイにつながってるんだったら。
ボクは後悔はない。今の自分を誇れるって。
それだけ述べて、今泉君に思いっきり走ってきてくれと告げる杉元。
うーむ、やっぱりこの子も成長しておりますなぁ。こういう言葉は確かに心を動かしてくれる。
確かに今泉君の力の一部となっているのは間違いない。やっぱりいい関係になってますなこの2人。
そんないい感じになっているところに文字通り魔の手が迫る。
横合いからグアッと伸びてきた手がもみィッと今泉君の太ももを掴み、揉みしだく。ザワッ。
その肉の感触にぞくぞくしながら笑みを見せる小鞠。あかん笑顔や。
というか、触れた時はジャージの上からだったのに、次の瞬間には手をジャージの下に差し込んでいる小鞠。
いやいやいや。その手はさすがにNGでしょ!!
やっぱり直に触りたいという欲望があったのかもしれませんが。いや仕方ないという話にはならんわコレはさすがに。
すいませんうれしさのあまりよろけてしまいました・・・
嬉しくて声が出てしまったのはその通りだろうが、ここでいう小鞠の言葉は出会えて嬉しくてよろけて接触したということかな。
あくまでも偶然触ったのであって故意ではないと主張しているわけである。
一度触れなおしてジャージの下に差し込んだりしてるけど偶然である。怖いね偶然!!お前が怖いわ。
まあそんな言い訳が通じるかは分からないが、ともかく小鞠は気になったことをそのまま今泉君に告げる。
触れた筋肉はまさに最高筋肉だった。だけど・・・
どこか調子が悪いですか?
筋肉そのものは最高だったがどこかざらついていると小鞠は述べる。
調子について言われた時、確かに今泉君は動揺した表情を浮かべておりますし、これはもしかするともしかするのだろうか?
さすがに直前になってケガが発覚。古賀さんや杉元と交代って流れはないと思うが・・・はてさて。
去年も田所さんが不調になったり金城さんがケガしたりとトラブルまみれだった総北。
今年も早速不安要素が顔を出したようですが、果たしてどうなるのか。
また成長して細胞を入れ替えれば治ったりしないものだろうか。人体の凄さを見せてほしいものであります。
RIDE.299 対峙
(2014年 19号)
インターハイスタートまであと30分。
各選手が準備を行う中、手嶋さんの応援に駆け付けたのは中学時代同じ自転車部だった東戸さん。
千葉から電車で2時間かけて宇都宮まで来てくれたらしい。有難いことですな。
まあそれでも千葉は近い方であるから良かった。一昨年みたいに広島までとなるとさらに大変だったでしょう。
四国や九州といった遠くから応援に来る人たちは本当にご苦労様であります。京都からも来てくれた人がいたのだが・・・ウゥ。
東戸さんのバレー部は全国に出ることもなく既に敗退。高校最後の大会は終わったわけでありますか。
うらやましいよ。全国で闘えんの。しかも3年最後で。オレはもう部活終わった。
がんばれよ手嶋。お前は星だ。
南中で一緒にやってた自転車部。オレはやめてバレー部に入った。おまえは続けた。
つらいこともあったと思う。全国とったトップチームでレギュラーやるのだけだって大変だったと思う。
けどそれをはねかえした・・・すごいよ。
気を悪くしないでくれ・おまえが輝かしい戦績をもってないのもオレは知ってるから。心から思うよ。南中の星だよ。
伊達にSTARシャツを着てるわけじゃないってことですね手嶋さん。
まあ実際中学で成績を残せず、総北に入った当初も力が足りていなかった。
そこからチーム2人を作り努力し、今では立派にチームメイトからもその実力を認められるようになっている。
この努力して成長する姿はまさに星と言っていいのかもしれない。
しかしその手嶋さんの前に現れるのはもう1人の南中出身の成長株――葦木場である。
「手嶋・・・くん」スタート前に一応あいさつしとこうと思って、来た。
前は純ちゃん純ちゃんと連呼していたはずの葦木場。それが神妙な顔で名前の呼び方も変えてきている。ふむ、これは・・
その態度からか、一瞬目の前の人物が葦木場であると気付かなかった東戸さん。
でも葦木場の方は一瞬どころではなく自己紹介されても東戸さんのことが思い出せない様子。酷いじゃないか、おい!
まあ東戸でアダ名が"ヒガシマル"じゃあなぁ。もう少し捻ろうぜ。
さすがに印象深いエピソードを語れば思い出してくれるようだが、この天然はその程度ではどうにもならない。町田くんじゃねーよ。
思い出したんならいいかと東戸さんは言っているが、たぶんレースが始まる頃にはもう忘れてると思うぞ。
なつかしいから3人で写真を撮ろうと東戸さんは言う。しかし葦木場はそのために来たわけではない。
少し前までならいざ知らず、今は敵だから。これ以上は近づけない。
打倒総北なんだ。まずはそれがオレらの命題。倒す。それを言いに来た。
純ちゃんは「一緒に天下とろう」って言った。
よく覚えてる。オレ、純ちゃんに自転車習ったから。けど、ごめん。
このインターハイじゃ「天下」「どちらか」しか獲れない。「一緒」にはとれない。
立派な宣戦布告でありますな。インターハイに向けて精神的に吹っ切れるよう頑張ってきたようだ。
まあ、結局呼び方が途中から純ちゃんに戻ってしまっているわけですが。
手嶋さんの放った飲み物――Red Blueを受け取らない葦木場。レッドブルー・・・
葦木場としては手嶋さんは自転車を教えてもらい、仲良くしてもらった相手である。
だが同様に箱根学園の先輩たちからは強くなる方法と居場所を教えてもらった恩義がある。
だから、オレがこのチームを優勝させる。
その意気やよし。
しかし何となくこの思いつめ方は敗北直後の山岳に近いようにも思える。
東堂さんが見ていたら好ましくは思わなかったでしょうなぁ。
まあ、東堂さんと巻島さんの関係とはまた違うか。この2人はライバルとして他校にいながら仲良くできる存在。
葦木場は手嶋さんをライバルと言うよりは敬愛――尊敬する相手として見てた感じがありますからねぇ。
敬意を払うならともかく、それが行き過ぎているようではさすがに邪魔になる。
意識的にこういう態度になるのは無理のないことなのかもしれない。
まあ、レース中にどう変遷していくかは気になるところでありますがね。
宣戦布告をして立ち去る葦木場。
その去り際にうちの6人目はすごいよと述べる。
残念ながら総北の快進撃は続かない。去年の真波に続いて箱根学園史上2人目の1年生メンバーが入ってる。ゼッケンは6番だ。
ようやく明かされる箱学の6人目。
お面を外し、ローラーを回している。アップが遅かったせいかスタート直前までかかっており、先輩の高田城さんに怒られる。
この高田城さん、箱学の追い出し走行会で出た人か。来年はインターハイでれるといいですね。
高田城さん曰く、取材の時に寝ていたのが後で問題になっていたとのことだが、お面してた方が問題なのでは・・・?
病欠ということで誤魔化したらしいが、じゃああの時いたお面の彼は誰だってことになるんだ!?
こりゃ確かに問題になるな!!別の意味で。
ちなみにこのお面は3枚あるらしい。そうか。
そしてお面をつけているのは少女願望があるかららしい。そ、そうか。夢見る乙女か。
登場時からずっと変な感じの6人目。しかし箱根学園のメンバー選抜F組をブッチギリで優勝した男でもある。
飄々としてそれでいて自信たっぷり。そういう所は似ているかもしれないと思う泉田君。
いくぞ悠人。おまえが何度も行きたいと語った。ここがインターハイの舞台だ。新開悠人。
し・・・新開!?あの新開さんの弟だというのか!?
いや、名前が出てなくても分かる。この顔はどう見ても新開さんの血筋だ。間違いない。早速食べ始めてるし。
去年の兄貴の走りはどうだったか泉田君に聞く悠人。
それに対し、速かった。そして美しかったと返す泉田君。本当に相変わらずでありますなぁ。
これには悠人もへーと言うしかない。へー。
わかんないすねそういうの。身近すぎるからなんすかね。あんまり実は一緒に走ったことないんですよね。
オレ、クライマーだから。
確かに新開さんと比べると細い感じのある悠人。
しかし、ここで新たな強豪クライマーが出てくるとは・・・こりゃ今年の箱学も手ごわそうだ。
坂の多い日光でこの隠し玉は大きいですなぁ。紹介が最後に回ってくるのも新開さんの血筋か・・・
さて、スタート10秒前。いよいよインターハイが始まる。
次回は連載300回。キリのいいところでインターハイスタートを迎えることになります。
そして第4回の人気投票結果が発表される。
果たしてどのような結果となったのか・・・楽しみであります。
RIDE.300 二度目のスタート
(2014年 20号)
祝☆連載300回!!
そしていよいよ始まる二度目のインターハイ。
暑い日差しを受けて全国から集まった猛者たちが鎬を削る灼熱のレース、インターハイ。
坂道もカラーでキリッとした表情を見せる。
が、少し時間を遡り20分ほど前の姿を見てみると大慌ての坂道の姿が見て取れる。はじっ、はじまっちゃいますよ〜〜〜!!
なんだか番組の宣伝でもしているかのようだな。灼熱のレース、インターハイ。はじまっちゃいますよ!!てな感じ。
この大慌てっぷりには定時や段竹も驚きの表情。
さすがに数か月見てきたし、坂道が自転車乗ってない時はこういう性格だとは分かっているだろうが・・・
ここまで取り乱す姿を見るのは初めてなのかもしれませんな。同じく初めて見るアヤちゃんも驚きの表情だ。
靴下の左右が違ったりしてるが直前で履いているのだろうか。いくつも用意しているのだろうか。気になる。
二度目。二度目のインターハイ。ちゃんと走れるかな。一番すごいゼッケンを背負って。
ボクは、去年みたいにちゃんと走れるだろうか。
ちゃんと走るって、どうやるんだっけ。
何だか考え過ぎてわけが分からなくなってるようですな。
体に染みついた感覚を頭で分析しようとしても仕方がないでしょうに。
まあ、坂道が去年以上に取り乱しているのも分からないではない。
古賀さんが青八木さんに語っている通り、"二度目"のプレッシャーを感じているのだ。
あいつはまじめだ。前回のインターハイでの活躍があいつにあたえるプレッシャーは計り知れん。
前回活躍していればいる程、プレッシャーは大きくなる。ましてや優勝だ。頂点をとった。
同じ走りをしろ。前回を上回ってみせろと周囲の期待ははね上がる。それをあいつは感じ取ってるだろう。
確かに前回活躍して注目を浴びるようになったのは去年と違う点である。
一度目は自由に走れる。落車してもそれ程注目されることもなかった。
しかし今年は最初から最後まで注目を浴び、マークされるような立場となってしまった。
追われるより追う方が得意な坂道。結構不利な状況かもしれません。
もしこのまま小野田のメンタルが回復しないままスタートを切ることになったら総北は――
心配する古賀さん。
しかしそれを聞いた青八木さんは拍子抜けしたように、何だそんなことか公貴と返す。
カンタンだ。オレは知ってる。
知らなかったのか公貴。あいつは――
部室の隅っこで見ていた古賀さんにも知らないことはある!!
まあ、古賀さんは願掛けで去年のインターハイに来てないですからねぇ。その時の坂道のことは知らなくても仕方がないか。
青八木さんの語りの前に入場する坂道の場面。
今泉君と鳴子に守られながらの入場。しかしその状況でも緊張による震えが止まらない様子。注目されてるからなぁ。
ちなみに女の子のファンもついた様子。まあカワイイ系の評価ですよね。癒し系かどうかは分かりませんが。
山岳とはファン層が被ることになるか・・・いや、そんな東堂さんみたいな心配しても仕方がないな。
緊張してるなら去年の様にコケておいたらどうだろうか。
と思ったらカーブで曲がれずにカベに激突する坂道。速度出てないからいいけど何やってるんだか。
これは鳴子もビックリするぐらいのハデなパフォーマンスである。本人の意思とは裏腹に目立つ奴だ。
さて、去年の優勝チームである総北は集団の先頭へと移動する。去年の箱根学園の位置だ。
列の中に入れて一息つけると思いきや、注目を浴びる先頭に来てしまった坂道。はわー。
カメラや取材陣もたっぷり来ている。注目度満点です。はわー。「ハワー」ってどんな意味ですか!?いや聞くなや取材陣。
注目され過ぎてかなりヤバイ精神状態の坂道。カクカクしてる。
こうなりゃ中入ってボトル渡すフリして一発くらわすしかないのではなかろうか。痛みで緊張ふきとばす系な。
うむ、魅力的な提案だけどさすがにそれはテントの中とかでやっておかないといけませんなアヤちゃん。
おちつけ。おちつけ。おちつけ。おちつけ・・・
ダメだ・・・ふるえが止まらない。手の感覚がない。
どうしよう。自転車って・・・どうやって乗るんだっけ。
なんとかしなきゃ。ゼッケン1だ。ボクがゼッケン1なんだ。自分の力で。
背負ったゼッケン1という最強の番号に押しつぶされそうになっている坂道。
先輩として振る舞うのはさておき、今ならば自分の力だけではなく仲間に頼ってもいいでしょうにね。そこまで考えが回らないのか。
なので、青八木さんが話しかけてくれる。緊張を止めたいか?と。その言葉にはいと返す坂道。
だったらおまえに言っておく。ひとつ。
オレは田所さんに色々なことを教わった。
走り方、レースのやり方、がまんのし方。礼儀やあいさつ食事のとり方。勝つ意志やゴールを狙う大切さ。
習ったことばかりじゃない。背中を見て学んだこともたくさんある。
おまえは巻島さんに何を習った。
ここで出てくるのは偉大な先輩方の名前。
確かに青八木さんは田所さんの走りだけではなく食事のとり方まで真似しておりましたな。
それで性格まで似るってことはなかったようですが。無口までは変わらなかったよ。
――というのはさておき、問われた坂道。必死に言葉で返そうとするがうまく出てこない様子。ショ。ショッ・・・
言葉にできないだけで、染みついてる多くのことを教わってるはずだ。
血肉になってるはずだ。その体の中に。
ドスッと坂道の脇腹をついてそう述べる青八木さん。
その言葉と行為が、自身を駆け巡る血を意識させる。ツボを押して血行が速くなったとかそういうことではない。
去年と同じことができないと思うか?できるわけがない。
もっと強くなっているのだから!!先輩たちの魂を受け継いで!!
青八木さんの言葉に鼓動が高鳴る。血が全身に行き渡るのを感じる坂道。
総北は支えつなげていくチームだ。レースもそうだがそれだけじゃない。
おまえは2年になった。それは去年と最も違うところだ。
今年1年が一人走る。引き継げ。教えろ。走りで語れ。持てる全てを!!
そうすれば鏑木は必ず次の世代へも引き継ぐ!!もっと強い総北になる!!
先輩から受け継いだもの。それを後輩へと引き継がせる。走りで語る。非常に大事なことだ。坂道自身が受け継いだことだ。
今の坂道の手の中にあるのは踏み出す勇気、支え合う仲間。
それをようやく思い出すことが出来た坂道。巻島さんにオレたちの総北を頼むと言われたことも思い出す。
だから――ボクが総北を強くします!!
どうやらようやく緊張が吹き飛び、表情に覇気が宿った様子の坂道。
これが青八木さんが古賀さんに語ったこと。
オレは去年のインハイで目の当たりにしたから知ってる。あいつには役割をあたえる。
自分でやらなきゃならなことがわかってるのにたくさんあってゴチャゴチャになる。混乱する。
だから整理してやる。ひとつだけにしぼってやる。そしたら発揮する。力を。
もともと持っているからな、あいつは。まっすぐに進むメンタルを。
まさに坂道に大事なことはそれですな。
頭で考えて走るタイプではない。頭で考えたら無理と思えるようなことをやってのけてしまうタイプである。
去年と同じように役割を与え、それに邁進してもらう。道筋さえ示されれば後は考えることなくそこに向かうだけである。全力で。
いや、青八木さんもさすがに無口なだけあってちゃんと見てるようですなぁ。青八木一!!おまえという男は!!
みなさん!!いきますよ!!
拳を真っ直ぐに突き出して叫ぶ坂道。お、これも去年に続いての儀式でありますな。待ってたぜこいつを!!
キャプテンの手嶋さんとしては見せ場を取られた感じだが、坂道ならまあいいかって感じでありますね。しかし今泉君嬉しそうだ。
ボクたちはひとつです!!
6人で拳を合わせる。実によい場面。
インタビュー時は不信を抱いていそうだった鏑木も笑顔で応じている。こういう熱い姿を坂道に期待してるんでしょうなぁ。
去年とは違い先頭の目立つところでこれをやると会場は凄く盛り上がっていいですよね。
途中経過をすっ飛ばすと、ゼッケン1の坂道が会場を熱く盛り上げたようにも見える。さすがゼッケン1は違うぜー。
そんな風に温まってきた中、ついにスタートまであと1分。
ヘルメットを被り、各校走り出す体勢になる。まあ最初はパレードランであるからそこまで力まなくてもいいんですけどね。
しかし御堂筋君は今回も音楽を聞いてるようだが、そのプレーヤーはレース始まったらどうするんだろうか。道に捨てるのか!?
兎にも角にもインターハイ開幕。
山岳としては再度の約束となったこのレース。意気込みは去年の比ではなさそうだ。
坂道と山岳。今年もこの2人の争いが最終的な見せ場となりそうですが・・・はてさてどうなりますかな。
さて、予告されておりましたように、今回は第4回キャラクター人気投票の結果発表があります!!
大波乱のレースリザルト発表だ!!名前の後ろのカッコは投票数となります。
第4回の結果(294話で募集、300話で発表)
1位:巻島祐介(3576) 2位:小野田坂道(2418) 3位:手嶋純太(1911)
4位:鳴子章吉(1897) 5位:東堂尽八(1845) 6位:荒北靖友(1762)
7位:今泉俊輔(1207) 8位:青八木一(1135) 9位:真波山岳(1115)
10位:渡辺航先生(1053) 11位:御堂筋翔(991) 12位:新開隼人(836)
13位:古賀公貴(725) 14位:杉元照文(603) 15位:黒田雪成(506)
16位:金城真護(351) 17位:田所迅(346) 18位:石垣光太郎(324)
19位:葦木場拓斗(322) 20位:鏑木一差(316) 21位:福富寿一(254)
22位:泉田塔一郎(230) 23位:岸神小鞠(196) 24位:待宮栄吉(110) 25位:寒咲通司(108)
26位:委員長 宮原 27位:井原友也 28位:寒咲幹 29位:段竹竜包
30位:銅橋(箱根学園) 31位:井尾谷(広島呉南工業高校) 32位:箱根学園のお面の人
第1〜3回の結果はRIDE.200感想の下の方に記載してあります。人気投票も100話ぶりなんですなぁ。
しかし前回と比べると投票数が凄い増えてますなぁ。これもやはりアニメ化の効果によるものか。
出番が減っている巻島さんの1位は固定ファンの強さって気はしますけど。
注目の杉元は14位。頑張った!同じく目立っていた古賀さんの13位と並んでのこの位置は立派だ。立派な成長だ。
前回もあった4位を当てろ企画。今回も該当したのは鳴子。なんだか知らないが安定したポジションだ。
手嶋さんの3位躍進は素晴らしいが、鏑木はギリギリで20位といったところ。インターハイで復権できるか!?
総北は今年の出場者も人気選手が多いが、箱学の方は苦しい様子。
まあ、お面をした状態でも32位に入ってる男がいますしねぇ。彼の活躍次第か。
送った人もさすがに正体を予想していたわけではなくネタのつもりだったのでしょうが・・・いやはや。
兄より下なのはともかく、井原より後ろについた寒咲さん。
銅橋や井尾谷よりよほど高校名の補足が必要だったよ京都伏見の井原友也!!
次回の人気投票があるとしたら50話か100話後くらいでしょうか。
それまでに各キャラの見せ場があれば順位は大きく変動しそうですが・・・黒田さんの活躍に個人的に期待したいところです。
RIDE.301 ゴールにつながる道
(2014年 21+22号)
連覇への決意を胸に。今、インターハイ開幕!!
たくさんの人の息づかい。
まだ踏みだしたばかりのこの道はつながってる。はるか先のゴールゲートまで。
ここにいる全員がそこを目指して走る。
始まったんだ。二度目のインターハイロードレースが!!もう引き返すことは出来ない!!
ついに始まるインターハイ。集団の中には奈良山理学園や広島呉南工業といった名前もある。今年もちゃんと出てきたか。
しかし坂道、引き返そうと思えばたぶん引き返せはしますよ。逆走的な意味で。
本当にやらかしたら退場になるしレースを再度始められるわけではないけど。無駄に葦木場のトラウマ刺激するだけか!!
ともかくスタートはしたわけですが、開始2kmはパレード区間であり、競争することはない。
この区間はお客さんの声援に応える区間である。となればそれを果たすのも去年の優勝校の務め。
見ろあいつを。全力で応え・・・
今泉君が指し示す通り、鳴子は全力でお客さんの声援に応えている。全力過ぎだ!!
壁際まで寄ってハイタッチも辞さない。実際パレード区間以外でもやらかした経験がある男だしなぁ。
さすがにこういう目立つのが大事な場面ではイキイキとしておりますわ鳴子。
去年の箱根学園も同じくらい声援に応えたりしたんですかなぁ。福富さんや荒北さんが。まっさかぁ。
はっ。あの人ならやったかも!!
歴代「3番」ってそういう数字なのか!?
今泉君が考える通り、確かに東堂さんなら同じようなアピールをした可能性がある。
そうかー。去年山岳は下がって坂道に話しかけに来たけど、東堂が来なかったのはお客さんに応える役目があったからなのか!!
そんな独壇場の場面を見逃すはずもないし、過剰なアピールをしていたことは疑いありませんな。
さて、今年のインターハイの舞台は宇都宮。街のド真ん中からスタートするだけあり観客が多い。
手嶋さんも観客の多さに今までのレースとは違う圧力を感じている。やっぱりインターハイは格が違う。
スタートフラッグがふられればパレードは終わり、本格的なレースとなる。
そのリラックスして走れる最後の時間ということで、手嶋さんは青八木さんに話しかける。
今の内・・・言わせてくれ・・・一。
ようやくここまで来たな。あの柵の内側に――
3年かかっちまった。あの日から。結局田所さんはつれていけなかったな・・・
最初で最後だよ「インターハイ」。よろしくたのむぜ一。
ようやく手嶋さんが青八木さんのことを下の名前で呼ぶようになった!!
むう、インターハイのこの瞬間まで取っておいたということだろうか?にくい演出をする男である。
しかしやっぱり一という一文字だけの名前は文章に表わすと埋もれてしまっていかんですな。
さて、今年は先頭を譲ることになった箱根学園。
昨年2位だからって2番目にいるわけではなく、集団の中に紛れている。先頭以外は早いもの順なのだろうか?
そういえば山岳は今年ゼッケン13を着けている。箱学のクライマーなのだからまあそうなりますわな。
となると去年優勝した場合は山岳がパレードでお客さんに応える役割が与えられることに・・・いや、別に番号で決まるわけでは。
でもこの年の箱学は誰がアピールする人なのかはちょっと分からない。
まあやろうと思えば誰でも出来そうですけどね。筋肉アピールとか早食いアピールとか。
箱学と共に走っている各校の面々はその姿を見るだけで動揺している。呑まれるの早いな。
獲物は去年優勝を奪われることになった千葉の総北ではないかと考えられる。千葉か!!ヤベェ!!千葉ヤベェ!!何だこの叫び。
バカ・・・ハコガクの獲物は・・・よく考えろ。オレたち全員だ!!
当然ファーストリザルト、平坦最速の証グリーンゼッケンも、山にあるクライマー最高の栄誉レッドゼッケン。
そして優勝のイエローゼッケンまで全部狙ってくるんだよ!!それくらいのメンバーが揃ってる!!
まあ、箱学ですからねぇ。そりゃそのぐらいのメンバーは揃えているでしょう。
去年だって泉田君が負けなければ初日は3色揃えることが出来たわけですし。
そんな話をしている最中、その千葉総北の黄色いジャージが下がってくる。
千葉ヤベェ!!ぺこぺこしながらゼッケン1が下がってきたぞ!!
真波くん!!やっと会えた。
去年の山岳とは逆に今年は坂道が後ろまで下がってきたわけでありますな。
まあ本当はもっと早いタイミングで会いたかったようだが、記者の人とか開会式とか記者の人とか色々あったらしい。二度言ったぞ。
それはさておき、会ったらいいたいことが沢山あったのだがうまく言葉にできない坂道。
ならばと大事なことを訪ねてスムーズな会話を促してくれる山岳。いい奴だ。
今でも坂は好き?
やはり二人の最大の共通点はそこである。坂が、山が、登るのが好きな2人。
山岳の問いに対し肯定を返す坂道。じゃあ今年も勝負でありますな。
あの山で。カラカラの限界の。また最後の一滴まで絞りきるような勝負をしようよ。
敗れた悔しさ、期待に応えられなかった申し訳なさは山岳を蝕んでいたようであるが、今は完全に吹っ切れた様子ですな。
それらの苦い記憶さえなければ、あの時間は実に楽しいものであったと思い直せるようになる。
今年もまた2人であの時のような勝負をしようと述べる山岳。そうなるといいですねぇ。
去り際にあの日ボトル受け取ったよと述べる坂道。
割と大事なことだからちゃんと伝えることが出来てよかったですな。しかしよく渡せたよあれで。
微笑ましい2人の会話。
だけど実のところ箱学のオーダーとしては早めに坂道をオトそうと考えている様子。
山に入ったところで新たなクライマーである新開悠人にオトさせようとしているのだ。
はてさて、そんな簡単にオトせる相手ですかね?いや簡単に落ちてもそこから這い上がってくるのが坂道という男ですからねぇ。
むしろ落とさずに置いた方が手間がかからないのかもしれないとさえ思える。厄介な!!
さあ、いよいよスタートフラッグが振られます。
パレードランが終了し、本格的なレースが開始する。そして始まるのはファーストリザルトの奪取。
各校のスピードマン、スプリンターの見せ場であります。
端に寄れ雑魚。ファーストリザルトはこの福岡城西、大濠が頂くばい。
最後のコマの窮屈なところで名乗りを上げる福岡城西の大濠。
さあ。この大濠は一体どれだけの時間活躍が出来るのだろうか!?
スプリンターである以上、こいつも変な奴であるのは疑いようもない。アピールできるチャンスがあればいいですね。
RIDE.302 スタートフラッグ
(2014年 23号)
箱根学園のオーダーでは強敵は早めに仕留めることとなっている。
山に入ったら新開悠人がオトすことになっているのだ。まあ、そんな簡単な相手じゃないでしょうけども。
山岳もそのことは誰よりも分かっている。だから約束したことについても心配いらないと言ってしまう。
何だろう。理屈じゃないんだ。心配いらないよ。
どこでとかじゃない。いつだとかじゃない。
"一緒に走ろう"って約束をした――小さな約束だけど、彼は絶対に約束を守る男なんだ。
信頼されてますね坂道。まあそれだけの実績がありますからねぇ。
でももし、何らかのトラブルに見舞われて坂道が約束を果たせなかった場合、山岳はどのような反応を示すだろうか。
去年の東堂さんのように沈んだ気持ちになるのだろうか。はてさて。
さて、パレードランは終わりいよいよ本格的なレースが開始。
審判者のペースも上がり・・・スタートフラッグが振られる。
闘いが始まる!!
合図と共に各校一斉に飛び出す。
集団が変形し、レースの形となる。
速っえ!!速ええ!!脚太っ!!近っけ!!
相変わらず端的な感想を述べる観客たちである。まああっという間に目の前通り過ぎるのだしこのくらいしかいえないか。短っけ!
地元宇都宮は赤と白のジャージ。うん、宇都宮と言えば餃子ですよね。ぎょうざ。
ぎょうざはともかく、地元ということで今後の活躍があるといいですなぁ。描かれ方からして期待はしにくいが。
さて、前回ラストで大見得を切り、今回もまた周りを雑魚呼ばわりする福岡城西の大濠。
しかし今回の出番もこれだけでありました。一体何ページ活躍するかと思ったら活躍そのものがお預けとはな!!
次の回でもまた同じセリフ言ってたらどうしよう。
まあ、それはさておいて――
出ろ。銅橋。
主将である泉田君の指示を受け、飛び出すために力を溜めだす銅橋。
その体はとてつもなくでかく、手前にいる泉田君のジャージの上からでもわかる鍛え抜かれた筋肉さえもきゃしゃに見える。
相対的なものであろうが、本当に泉田君が小さく見えるぞ・・・!!
今期負けなしの"怪物"・・・"道の上の怪物"
箱根学園スプリンター怪道銅橋!!
感想の短い観客とは逆に非常に丁寧な解説をしてくれる他校の選手たち。やりおるわい。
それはさておき、泉田君は銅橋へのオーダーを出す。
まずは銅橋。他チームをけちらしファーストリザルトをとってこい。
そして、あの総北にだけは決して負けるな!!
やはり昨年の敗戦は苦い記憶として残っているようですな。
主将の身としては私情をはさむわけにはいかない。分かってはいるが思うところはあるようだ。
何にせよファーストリザルトを取るのであれば確実に総北にも勝つこととなるんですけどね。
たやすい!!カンタンなオーダーだ泉田さん!!
勢いよく答える銅橋。ドフォ。
どうでもいいが銅橋は泉田君のことをさん付けで呼ぶんですな。やはり3年生ではないのか?
荒っぽい男であるがそういう礼儀はちゃんとしてますのかね。
それはそれとして、オーダーを出している泉田君の方は・・・
右大胸筋のアンディも左大胸筋のフランクも昂っている!!喜んでいる!!
踊る!!胸が!!これだからインターハイはたまらないんだ!!
主将になってもやっぱり泉田君は泉田君ですアブな。
背筋のファビアンはどうしたのかと思ったが胸が躍ってると言いたかったのなら仕方がないですな。普通に言え。
ともかく、インターハイの道の上に荒ぶる怪物が放たれました。おるああああ!!
そして、昨年のファーストリザルト取得を果たした総北高校もまたスプリンターを送り出す。
今年も送り出すのは2人。青八木さんと鏑木の2人である。
先に出ていった銅橋を含む他校のスプリンターを追い落とすのが与えられた役割である。のだが――異論を挟む鏑木。
いやちょっとまってください手嶋さん。
オレ何で今出るんすか。ここは鳴子さんでしょ?
オレここはゴールまで温存のトコでしょ。だってオレオールラウンダーなんですから!!
オレがゴール狙わずして誰が狙うんすかっ。
今泉君が狙うんじゃないですかね?というかオレオレと主張の激しい奴だな。知ってたけど。
いやというか、手嶋さんも誰も鏑木の脚質のことを本人に伝えていないのか・・・!?
普通なら気付くはずだと放っておいたのかもしれないが・・・残念ながら鏑木は普通の子ではなかったのだ!!
いい意味でもわるい意味でも。
まあ、実戦の中で気付くこともあるでしょうさ。
特に鏑木はゴールを狙いたい性格だろうし、スプリンターに転向しろと言われても素直に聞くとは限らない。
だけどそこが一番自分の力を発揮できる場所だと自分で気付くことができるのなら話は違うかもしれない。
上手く乗せてあげれば結果を出すだけの力はあると思われる。面倒な話ですけどね。
鏑木本人じゃなく段竹にでも伝えておけばよかったんじゃなかろうか。まあそれは今言っても始まらないことか。
兎にも角にも始まるスプリンター対決。
一体誰が勝利するのか。大穴の大濠大勝利という可能性はあるのか。気になるところです。
RIDE.303 スプリンター!?
(2014年 24号)
最速最強の称号、スプリンター最高の栄誉ファーストリザルトライン――グリーンゼッケンを求めて!!
各チームの平坦屋が競い合う。これがインターハイレース開始直後の光景だ!!速っええ!!
スタートを無事に見届けたレギュラーメンバー以外は補給のために走り出す。
サポートするためには先回りしてポイントで準備しないといけないのだ。
自転車レースの裏方ってこんなバタバタなの!?と驚くアヤちゃん。
それに対し、とっても大変なのと嬉しそうな笑顔で応える寒咲さん。好きでやっている人には苦にもならないってことか。
今年も寒咲兄の運転する車で移動するサポートメンバーたち。
当然部員全員が乗れるわけではない。1年生たちは学連のバスであとから来てもらうこととなる。
古賀さんと杉元、寒咲さんにアヤちゃんといった面々が乗ることとなる。
給水所は女子の手が必要な細かい作業がたくさんあるとのこと。ふむ、今年はそういう助けが増えてて有難いですな。
荷物を積んで移動しようかというところで杉元に話しかけてくるのは段竹。
勿論その内容は鏑木一差についてのこと。
オレの代わりに、給水所でガンバレって声かけてやってください!!
あいつにとっての夢の舞台。後悔なく走って欲しいと願ってます。
オレと一差は中学時代ずっと2人でやってきたんで。
さすがに段竹。家ではお兄ちゃんなだけに面倒見のよいことである。鏑木は本当にいい友達を持った。
TAKEというTシャツは段竹とはいえどうかと思わないでもないが。いや総北らしくてむしろいいのか?
それはさておき、古賀さんは段竹にも車に乗るよう告げる。
おまえの純粋な願い。そういうのは直接伝えた方がいい。走ってるヤツの力になる。
そういうメンタル的なサポートも非常に重要でありますものね。
特に鏑木は繊細な感じだし、元気づけられる人は必要である。
さて、その鏑木と青八木さんがファーストリザルトを取るために飛び出している。
けれども、相変わらず自分はオールラウンダーであると主張する鏑木。
青八木さんにつべこべ言うなと言われているのにつべこべ言いまくる。つべこべつべこべ。
手嶋さん間違ったのかなー。ミーティングで何回もオレ、オールラウンダーって言ったのになーっ。
オールバインダーにきこえたのかなー。バインダーはとじるヤツだからな。
うるせえよ。
ていうか、ちゃんと事前にミーティングしてたんですな。
にも拘らずに自分の役割を全く理解していない鏑木。一体どういうミーティングだったのか凄く気になるぜ。
鏑木は相変わらず傍若無人というか何というか。
他校の先輩であろうが何だろうが言いたいことを言ってしまう子である。
オレは2年だぞ!!構わん!!いや、構えよ。
そして自身を総北のかくしエース、オールラウンダーの鏑木一差だと主張する。
うーむ、結局チームプレイが身についていないのではなかろうか!?ま、まあレース中に身に着けてくれれば・・・
鏑木に代わって3年の青八木さんがすまんと謝罪するのでこの場は収まる。さすが青八木さんは大人やで。
さて鏑木。この集団はまだ先頭集団ではない。
さっきの合図で出たスプリンターは43人。
ほう、数えていたんですか。冷静ですな青八木さん。狙うべき相手をちゃんと定めているようだ。
そしてここに至るまでに13人抜いてきた。つまり?
鏑木「残り20人!!」
青八木「30人だ」
く、鏑木め。細かいところでボケを挟んでくる。いやボケだよね?マジで言ってないよね?
この場にいる8人を除いて22人前にいると言われて、指折り数えているようだけど・・・ボケやねんな!?
鏑木の算数力はさておき、先頭集団には箱根学園が1人混ざっている。その言葉にはさすがに反応する鏑木。ほう!!
1日目このコースは国道119号を北上する。
街中の広い2車線を通り、ほぼ直進する。
途中から1車線になって高速の下をくぐり、杉並木が始まればその先にほどなくある三叉路。
そこがファーストリザルトライン。グリーンゼッケンのラインだ!!
今年は去年と違い海風はない。しかもラインの前は杉並木。風の影響はほとんどうけない。
先の22人を早めに抜いておかないともっていかれる。「一番」を。
他に説明する人がいないせいか、長々と喋る青八木さん。
見た目だけではなく喋る力もこの1年で鍛えられたのだろうか。
しかし今年は風の影響はないのか。コーンが飛んでくることはなさそうで安心ですな。
さて、青八木さんの説明で鏑木の目つきが変わる。一番を持って行かれるという言葉が効きましたかね。
素直に前に出て引けという言葉に従う。お、今年はちゃんと相互に引きながら進むんですね。
集団の8人は前に出させるかと塞ごうとしたが、それをかわして飛び出す鏑木。続く青八木さん。
わかっていたのにその加速に追いつけないスプリンター集団。おやおや。
いや、どうにか一人は飛び出してきた。高知土佐海高スプリンターの清水。
90度クランクに対して見事な飛び込みを見せる。さすがコーナーの魔術師と呼ばれた男だ!!
コーナーリングの切れ味じゃあ、誰にも負けんのじゃ!!
ふぉわー!!うそだろォオオ!!わひっ。
得意のコーナーでインも取ったのに追い越されて行ってしまう清水さん。自慢が一瞬で崩されちゃいましたなぁ・・・
今年も他校の人たちは一発芸人の集まりになりそうで悲しいわぁ。
何だ・・・あいつ。コーナーの切り返し、オレを見てからもう一段加速した。
立ち上がり、ツッコミの速度、反応の速さ、オールラウンダーって言ってたけど生粋のスプリンターじゃないか!!
その走りを見れば誰もがスプリンターに向いていると気づく。
けれども本人は気付かない。なんで皆オールラウンダーのオレについてこれないんだ?とか考えている。
このインターハイの猛者スプリンターよりも平坦で速く走っているのに気付かないとはなぁ・・・
こりゃ本物の天然だ。天然のボケだ。ツッコミは速いらしいが生粋のボケじゃ!!
鏑木の天然っぷりはさておき、次の集団に追いつく2人。
そこにいたのは北のスプリンター。新潟上越東の櫓丸。もみあげが目立つ男だ。ドン!!
去年は田所がいたが・・・今年の総北はやれやれ・・・小ぶりだな。
そんな風にフラグを立てて見せる櫓丸。
おやおや、そんなことを言いだすものだから青八木さんが酸素を肺に溜めだしてしまったじゃないですか。すう。すうう。もり。
田所さん直伝・・・酸素音速肉弾丸。
見事に小ぶりじゃなくなった青八木さん。
この変化に驚きを隠せない櫓丸。そりゃそうだ。一度見たはずの読者だって改めて驚く姿だもの!!
この最後の1ページを見ただけでも色々と異常なのが分かる。
何というか・・・うん。やっぱりスプリンターって皆どこかおかしい。
そういう意味では鏑木は実にスプリンター向けの性格をしていると言えるのではないだろうか。
銅橋がどれほどの変態さを見せてくれるのか。今から楽しみである!!
弱虫ペダル 36巻
RIDE.304 ふくらむ青八木
(2014年 25号)
TVアニメの2期も無事に決まりました。10月から放送となります。
1期がどこまで進むのか。気になるところですな。
さて、本編。
ファーストリザルトを争うスプリントバトルが始まっている。
新潟上越東の櫓丸も驚くのは青八木さんのその威容。ま、丸い!!
コレを・・・インターハイで出すのは初めてだったな。田所さん直伝、酸素音速肉弾丸!!
筋肉というのを使う時に膨張する"体幹"。青八木さんはその落差がちょっとばかり激しいらしい。ちょっと?
さすがにこの膨らみ方をちょっとで済ませられては困る。あとインターハイ出るの初めてなんだから見せるの初めてなのは当然だ。
ともかく、本気で踏むと宣言し、その通り加速を開始する青八木さん。
荒波の櫓丸とよばれた男の、日本海の強風できたえた足も見せ場はありませんでしたな。
相変わらずスプリンターは口数が多いと言うか何というか。
弾丸スプリントであっという間に櫓丸たち集団を引き離す。
その加速はすさまじく、連れている鏑木も一瞬ちぎれそうになる。が、きっちりとついてきた。
インターハイに出場するトップレベルのスプリンターである櫓丸はついてこれないのに、きっちりとついてきた鏑木。ふむ。
レース前。青八木さんは手嶋さんに一度試してみてくれと言われていることがある。
それは鏑木を引いて走る時に引きちぎるつもりで全開ダッシュをするというもの。
うしろは前走が風よけになってるとはいえ、加速が強い場合は本当の力がないと離されていく。
なるほど。ここで鏑木のスプリンターの資質を確かめようという話でありますな。
本番でやるなよとは思わないではないが、まあ言わないでおきましょう。
ついてきた。こいつ。
100で引いてフル加速したオレについてきたぞ純太。しかもおしゃべり付きだ。
つまり、こいつは先頭で戦えるってことだな!!
それで間違いはないのだが、相変わらず自分がスプリンター向きの脚質であることを認めない鏑木。
一体どこまでこのボケを貫くことができるのか。気になりますなぁ。
さて、スプリンター以外の後方集団。
先に飛び出したスプリンターたちであるが、ファーストリザルトにからめないと断念した選手は集団に戻ってくる。
そんなスプリンターたちから今年の先頭集団の様子が聞かされる。
ふむ、やはりトップはハコガク。銅橋であるか。
そして福岡の大濠も先頭集団で頑張っているらしい。おお、出番は先延ばしにされているがまだ頑張っているのか大濠!!
いや大濠のことは別にいい。気になるけど今はいい。
それよりも、このスプリンターの話題が広まるにつれてうずうずしている男が1人いる。
めっちゃとびだしたーい!!
やはり我慢できる鳴子ではありませんでしたか。いや、ここまで我慢しているだけ頑張っている方か。
いやというかここで飛び出して本当にファーストリザルト取っちゃったら御堂筋君との約束はどうなるというのか。
スプリンターじゃないけど取っちゃいましたとかいうつもりだろうか。
うん、まあ去年の御堂筋君も2日目でやってたわけだしその言い訳も通じなくはないか?
てなわけで飛び出しそうになる鳴子。
が、そういう気配を察して止めるのが得意なのが今泉君である。
背中を叩き、よく耐えてるなと褒めることで飛び出すのを抑える。さすがだ。
お前がどういう形であれオールラウンダーに転向してくれたことに感謝する。
おっと、これは珍しい。今泉君が鳴子に感謝を述べるとは。少しは大人になったってことなんですかね?
それはそうと、我慢した鳴子に近づいてくる者がいる。
誰かと言えばハコガクマツ毛くん。こと泉田塔一郎であります。ドン。
去年のインターハイでファーストリザルトを最後まで争った2人が並ぶ。なかなか壮観ですな。
周りは何でまだ集団にいるのかと騒いでいるが、総北はさておき箱学は去年もエーススプリンターは温存してましたからねぇ。
しかし冷静だった新開さんとは違い、泉田君にはやはり燻るものがある様子。
もちろん主将としての責任感があるから飛び出したりはしないのだが、彼とて出たいに決まっているはずである。
ほら、そう声をかけられてフランクが反応してるよ。ピクン。
フ・・・左大胸筋の動きでわかってしまったか。隠す意味もないねその通りだよ鳴子くん!!
いや、そんな場所の動きで分かるのは貴方ぐらいですよ。
さすがに他者にフランクと言っても伝わらないのか、筋肉部位で示してくれる泉田君。無駄にいい気遣いだ。
ボクのアブアブの雄叫びが聞けなくてさみしいかな?
また妙な言葉を繰り出して来ましたよこの男。何がアブアブの雄叫びか。
まあ鳴子の言う通り、景気付けにはもってこいの叫びではあると思うアブゥ。
泉田「ならばひと勝負するか鳴子くん!!」
鳴子「のぞむところや!!マツ毛くん!!」
話しているうちに気分が盛り上がってしまった様子の2人。
200mという短い距離だが、本気の勝負をしようとか言い出すアブ。
そんな風に今にも飛び出そうとした2人であるが、同時に止める声が2つある。今泉君と黒田さんの2人だ。
何というか、ご苦労様な2人ですな。抑え役は大変だ。
草ムラのバッタのように飛び出しそうになっていた泉田君。
しかしそれはインターハイに帰ってきたという想いを、筋肉がよろこんでいるということを表現したかったのだという。
黒田「変態か」
泉田「ほめ言葉か雪成」
え、なにそのやりとり。
ボクの筋肉は強くなっている。そしてしなやかになっている。去年よりもはるかに!!
そう述べてジャージの前を開ける泉田君。
なるほど。凄い筋肉だ。きゅんきゅん言っている。いや言わせんな。胸がきゅんきゅんなってるぞ!!ならすな!!
服の上からでも去年より磨かれとるのがわかる!!
わざわざ前を開けたのに、服の上からと言及する鳴子。
何ですか、泉田君の素肌を見たくないから目を逸らしているんですか!?
いやまあ、それは仕方がないことか。きゅんきゅんしてるの見せられても困りますし。
それはさておき、泉田君は語り出す。うちの銅橋――あれはボクをもしのぐ変態だと。
変態・・・!!
何故かそこをクローズアップするものだから鳴子もそのキーワードを拾わざるを得ない。
努力を怠らず、箱根学園ということに誇りを持ち、体格に恵まれてその闘争心は獣並みの怪物。
これだけ褒める部分があるというのに総合すると変態という言葉に落ち着くらしい。なんでやねん。
少しの努力や才能でもしも挑もうとしているのならば、彼には勝てない。
ヤツに闘いを挑み敗北していった者たちは皆こう言う。
"並んだ瞬間全身の毛が逆立ち足がすくんだ"――と。
彼はボクより変態だよ。
だから何故その言葉で締める。より上の変態がいるから自分は大丈夫とでも言いたいのか!?
しかし泉田君にとっては褒め言葉であるようだしなぁ。つまり・・・つまりどういうことだ!?
次号"変態"VS"肉弾丸"。アオリまで何だか変態な感じになっている!!
こりゃ確かに毛も逆立ちそうな感じでありますわ。違う意味で。
てなわけで、いよいよ銅橋の強さが明らかになりそうな展開。
一体どのような変態を見せてくれるのか楽しみであります。
御堂筋君のような脱皮を見せてくれるのだろうか?変態なだけに。
そしてふくらむ青八木さんと対比するようにしぼむ銅橋とかそういう流れになるのだろうか?
ロケットがブースターを切り離すように重い肉体を捨てて小さな体が中から飛び出してくるとか?期待は膨らむな!!
RIDE.305 怪道銅橋
(2014年 26号)
彼に闘いを挑み、敗北していった者たちは皆こういう。
並んだ瞬間全身の毛逆立ち、足がすくんだと。
その泉田君の言葉が示すように、銅橋が先頭集団に追いついただけで集団は恐慌をきたす。
真っ先に慌てだしたのは福岡城西の大濠。お、お前かーッ!?
何だ。足が鈍くなって・・・何だこの汗。これが・・・怪道・・・銅橋。
二回連続で雑魚はどけと宣言し、先頭集団にちゃんといた大濠。
だというのにようやく見せ場があったと思ったらこの扱いですよ。何回もお預けせずに、すぐこうしてあげれば良かったのに!!
大濠のことは残念であるが、まあいいや。
ともかくその先頭集団に後ろから追いついてくるのは黄色いジャージ、総北高校。
ファーストリザルト狙いの先頭はあのグループで決まりかと思われたがギリギリのところで追いついた様子。
この展開に、去年のレースを見ていた観客はこのように述べる。
総北はいつもギリギリなんだよ!!と。うーむ、見抜かれているなぁ。
とらえました先頭!!ハコガクのジャージもいます。そいつ入れて先頭は7人!!
いや、銅橋がでかくて分かりにくいのかもしれないが、残念ながら先頭は8人います。
青八木さんは目視で確認しなくてもとびだした数から抜いた数を引くことで残り何人か把握している。
その発言を聞き、すげーと驚愕する鏑木。おい。引き算だぞ、おい。
青八木一と鏑木一差。ともに一、マイナスとも読める名を背負っているのにこの差はなんだ。
いやまあ鏑木は引き算以外も苦手そう何でそこで比べても仕方がないのであるが。
ともかく、ファーストリザルトラインまでのこり4km。
取るのはこの先頭集団の10名に絞られた感じである。
あ・・・てめ・・・そのジャージ。そのゼッケン。ハコガクの・・・あん時の・・・!!
さすがにレース前に争ったばかりですし、よく覚えている様子の鏑木。
やはりこうやって事前に因縁を作っておくのは大事ですね。盛り上がりが違う。
評判は聞いていたものの、初見の青八木さんはその威容に驚きを隠せない様子。
こいつが銅橋・・・"道の怪物"。確かに今まで闘ったことのある選手とはまるで異質・・・!
大型の野生動物と遭遇した時のような威圧感!!「闘っても勝てない」と感じさせる圧迫感。
でかいだけじゃない。全身から湧き出るプレッシャー・・・自信がそれを生んでいる。
スタート時は単なる大柄な男だという印象だったが、自転車に乗ることでプレッシャーを何倍にも増している!!
磨き抜かれた脚は時に金属のような光沢を放つ・・・!!
確かこいつ2年!!落車のキズも無数・・・!!なぜ去年出てこなかった・・・!?
ほう。銅橋は2年でありましたか。それで泉田君にもちゃんとさん付けしてたわけですな。
しかし去年のインターハイレース中にも追い出しレース中にもこんな巨体は見かけなかった。
落車のキズがどうこうという話もあるし、去年はケガでもしていたのだろうか?
古賀さんのように1年間休まざるを得ないようなケガをしていたとか。可能性はありますな。
銅橋のプレッシャーに怯みながら、この勝負は一瞬の闘いになると考える青八木さん。
こいつの動きに瞬時に反応できなければこちらの負けであると。
そのプレッシャー、おまえも感じ取っているか鏑木――という風に意識を鏑木に向けようとするが・・・
てめぇはハコガクのブタじゃねーか!!何でてめぇがここにいるんだブタァ!!
何でも何も飛び出したスプリンターだからに決まっているじゃないですか。
青八木さんがせっかく闘牛のようなイメージを抱いていたというのに、ブタの一言で済ませる鏑木。酷い話だ。
プレッシャーも何も感じていない様子の鏑木。銅橋と舌戦を開始する。
銅橋としても道の上でここまで口論を行うような奴は初めてなのではなかろうか。侮れないオレンジだ。
しかし鏑木はやはりここまで来てもスプリンターではないと言い張るか。というか・・・
お前の方こそそのゼッケン。15番!!ハコガクの15番手ってコトだろ!!補欠のくせによくここにいるな!!
この子は堂々と何を言っているのだろうか。
他の3桁ゼッケンの選手とかはその順位の選手だとでも思っていたのだろうか。思っていそうだな。ク、これだから天然は・・・!!
ツッコめる人が他にいないので青八木さんがツッコまないといけないのだが、鏑木のボケが激しすぎて追いつかんなこれは。
ブハ!!てめェさてはとびきりのバカだろ!!
なるほど。鏑木は天然ではなくバカでありましたか。言われてみればそっちに近い気がする。
天然は天然と言われると否定する黒田さんもそんなことを言っていた。
鏑木もバカである故かその発言を否定する。そしてオレはどちらかといえば天才であると述べようとする。
うん。まあアレだね。何とかとは紙一重と言いますものね。普通にその紙一重からはみ出してる気はしますが。
いいぜブハ!!バカを黙らせんのは走んのが一番だ。そろそろのんびり走るのにも飽きてきたとこだ。
やはり銅橋は巨漢の割には頭が回りそうな感じである。
バカと口論しても頭が痛くなるだけだし、走りで示した方が分かりやすい。賢い選択であると言えよう。
ひょっとしたら手嶋さんたちが鏑木に脚質のことを教えないのも同じ理由なのかもしれない。
たぶん言っても通じない子だと思われているのでしょうな。私もそう思います。
銅橋のプレッシャーがはね上がる。加速するつもりだ。
それを感じ取った青八木さんや他の先頭集団の選手たちは慌ててついていこうとする。
が、足がすくんで動かない選手が続発し、結果・・・銅橋の単独の飛び出しを許すこととなる。
ブォオオオオ!!
えらい怪物っぽい雄叫びをあげて加速を開始する銅橋。
今までが遊びだったかのように地面を蹴って、風を切り裂いて進んでいく。
そのバイクを左右に振りながらの加速は圧倒的。完全に後続を引き離してしまう。
そしてその後続には青八木さんたち総北の姿もあった。
間に・・・合わなかった・・・!!
同じタイミングで出たのに・・・こっちのアタックが・・・
気づいたら5m先・・・こっちが体勢を整える前に10m先・・・わかってたのに反応できなかった・・・
・・・のこり3km・・・!!これまで、なのか・・・!!
早くも悔しそうにしている青八木さん。
それとはまったく対照的になんだかそわそわしているのは鏑木。
さーて。そろそろですかー。もういいんですかー。まだですか。
引きますよ?いいですか青八木さん。あれでしょ。ここから追い上げる作戦なんでしょ。
聞きましたよ。総北はいつもギリギリなんでしょ!?
何だか知らんが妙に可愛い顔してそんなことを述べる鏑木。
なるほど。銅橋はやはり正しい。こいつは・・・とびきりのバカだ!!
決まってもいない勝負を頭で考えるようなことはしない。
相手が誰であろうと恐れる気配のない鏑木。なるほど、これは不確定な頼もしい要素と言えなくはないですな。
あの程度のブタ加速。オールラウンダーのオレでも追いつけますよ!!
どこまでも自信家。銅橋のあの走りにも追いつけると述べる鏑木の走りはいかなるものか。
実のところ、青八木さんはタイミングを合わせての急な発進は苦手なんじゃないかと思われる。
酸素吸って体幹膨らませるのに時間かかりますからねぇ。
なので、ここは鏑木に引かせて追いついたところで膨らんで勝負をかけるようにしてもらいたい。
なんだか既に気弱になりかけてますが、まだまだ青八木さんも戦えるのだと信じてますからね!!
RIDE.306 自販機の神
(2014年 27号)
飛び出した銅橋を追って加速を開始する総北スプリンターの2人。
まあ1人は未だにスプリンターであることを認めていないようですが。
ともかくファーストリザルトラインまで残り2.5km。
のんびりと詰めて行っている暇はない。追いつくのであればすぐに追いつかなければいけない。
というわけで・・・下ハンを握って本格的な加速体勢に入る鏑木。
いきますよ。ふりおとされないでくださいよ。
気づいてました?オレ、今このレースで初めて下ハン握ったんですよ。
ずっとブラケット(上ハン)握ってたんですよ。
なんとなくそういう封じ手がある方がカッコイイんじゃないかな〜って思ったからですよ!!
ゴール前までとっておきたかったんですけどね!!
ふむ。なんとなくカッコイイとかバカっぽい理由であるが、やっていることはそんなに悪くない。
鳴子や田所さんもそういうことやりますしね。封じ手がありながらもここま戦えてたのは凄いことだと思う。
凄いことだと思っていたのだが・・・
「気づていました?」って鏑木おまえ・・・
ずっとうしろから見てたけど、今まで抜いてくる間おまえ、ちょいちょい下ハン握ってたぞ!?
どうやら自覚なく持ち替えていたらしい。
うん、まあ慣れた人にしてみればそういうのは自覚しなくてもできちゃうものですしなぁ。
封じ手と言っておきながらそこを意識してないのはどうなのよって話ではあるが。どきーん。
やるなら御堂筋君のように物理的に封じるぐらいしておかないといけませんわな。
とはいえ、青八木さんはそのことについては心の中でツッコむに留める。
それはそれでいい!!進め鏑木!!
今は鏑木のバカみたいに動じないメンタルが頼りである。
わざわざノッているのに指摘して崩してやる必要はないってことですな。
それにしても鏑木のこの動じなさは一体何なのだろうか?
レース前に銅橋に揺さぶられ、開会式ではチームの強さまで疑っていたというのに・・・
崩しやすいと思ったら少しすると崩されたことも忘れてしまう鏑木メンタル。く、バカには精神戦も通用しないのか!?
何はともあれ、下ハンを精神的にも開放した鏑木の加速は凄い。
うしろについてる青八木さんがひきちぎられそうな勢いである。
銅橋に近づく。そういう走りだ!!練習したのか。インターハイに向けて1人で!!
驚いてはいるが、実は青八木さんは鏑木が1人で練習していたことを知っている。
練習後、暗くなってから学校下、ため池ウラで短距離の練習を繰り返している。
1分20。その壁を超えるために苦心している鏑木。意外と単独でも目標設定して出来る子だったんですな。
しかしさすがに一人では問題点を洗い出すことができない。
なんせ自分の脚質にも気づいていない男である。改善点を見つけるには時間がかかる。
なので、青八木さんからアドバイス。
無口先輩の呼び名にふさわしく、自販機の前にジュースの差し入れと共にアドバイスを書いたメモを残しておく。
あと10%うしろ荷重。それで20は切れる。
果汁10%!?いや違う。飲み物はORANGE BEENAだけど違う。
ダンシングで体が起きすぎているので荷重を少しうしろにというアドバイスだ。
それに従い、数日ののちに1分20どころか1分18までタイムを縮めたという鏑木。ほほう。
10%・・・"そんな細かいことできるかよ"って思ったけど、やりゃあできるもんだな。
誰なんだこのメモを置いていったのは・・・神か。自転車の。
いや、オレンジビーナの神だ!!いつもオレ買ってるから!!
そう来ましたか。いつも買ってるならそういうこともまあ、ありえますよね。ねえよバカ。
この子は本当、いきなり信じられない発想をし出すから困る。
それにしてもオレンジビーナと来ましたか。元はオランジーナですな。べプシと同じで直接商品名は使えないか。
基本的に細かい数字とかは苦手な鏑木。
まあ引き算も怪しい子ですし、%による計算だなんて無理がありますよね。
長い距離を引くときも全力で走ってしまい、バテて鳴子に怒られる。そして今泉君にはあと20%力を下げていいぞと言われる。
ハァ!?20%!?イチか100かでしょ!?そんな細かいことできるわけないでしょ!!
実にハッキリとした子である。
新入生歓迎の1年生レースの時はもっと冷静な走りだったと思ったのだが・・・あれは段竹がいたからだったのか!?
分からないので今泉君にやってみてくださいよと吠える鏑木。
ならばと、これが80で、これが60だと示して見せる今泉君。やっぱりこういう細かいコントロールは得意そうですな。
鏑木とは走り方の方向性が違うので今泉君のアドバイスは通じにくそうである。
いや、というかそもそも人のアドバイス自体なかなか飲み込もうとしない感じでありますな。
そんな鏑木が何故か大人しくアドバイスを聞くのは例のメモのみ。
さすがに神様からのアドバイスは特別なものだと思えるのだろうか。神のアドバイスが聞ける自分は特別と思っているのだろうか。
全開ふみこみ2割減で1分20を切れというアドバイスではなく指令に対しても素直に従う鏑木。
なるほど・・・この手を使えばあの鏑木にもアドバイスが出来るわけでありますな!!
2割減ということは8割。8割ということは10つぶみかんの8つ分である。そういう認識ならできるのか?
まあ細かいこと考えるよりも体でなんとかしてしまう子なのでありましょう。
本人が考えても分からない問題点は神様のメモで何とかなりますし。
今までと違って素直に問題点を聞き入れて改善する鏑木。これは伸びしろがありますな。
きちんと問題点を指摘できる青八木さんも凄いといえる。さすが神様!!
ある日、自販機の傍に隠れていた青八木さんがついに鏑木に発見される。
おっと、ついにバレてしまったかな。そういった感じの笑みを見せる青八木さん。
しかしこれで気づくぐらいならもっと早く気づいているでしょうな。
結局アドバイスの出し主の件については全く気づくことなくインターハイを迎える鏑木でありましたとさ。おやおや。
鏑木「青八木さん!!神様の存在信じます!?」
青八木「・・・なんだ。やぶからぼうに」
確かに突然である。インターハイ中に何を言い出すんだって発言だ。
まだ事情を知っていそうな青八木さんだから驚きは少ないものの、メンバーがいきなり神様がどうとか言い出したら怖いよ。本当。
オレ段竹と2人で中学ん時、社会人のチームSSに入ったんす。強くなりたくて。
厳しくていつもピリピリしててルールもたくさんあって。でも強くなりたくて歯食いしばってがまんして走ってきたんす。
いつもくやしくて、勝った時以外笑うな言われて。
勝つために走るんだって思って。頑張ったけどあんまり結果は出なかった。
けど。不思議なんす。高校上がってこのチーム入ってからは――
今泉さんは理屈ばかりで口がわるいし、鳴子さんはべったりでうざったいし、あこがれのはずの小野田さんはすげー頼りないし。
なのにすげー楽しいんです。何すかねこの感じ。
今だって前のハコブタ追うのにすげーキツいのに、脚いっぱいなのにすげーウキウキしてんすよ。
オレこのチームに入ってからの方が強くなってる気がするんです。
なるほど。鏑木がチーム戦を理解できてなかったのはそういう環境にいたからなんですな。
皆で力を合わせ勝利する。その実感を得ることは今まで出来ていなかった。
それに強くなるために、厳しい環境でもあえて我慢してきたという。
それ自体は必要な部分もあるのだろうが・・・楽しさを損ねてしまっていては本当の強さには届かない気がしますわなぁ。
総北に入ったことでその大切な部分に気付けたのなら、それは良かったことだと思える。
古賀先輩や杉元さんや手嶋さんや皆の走りを見て、刺激うけて、なんか湧き上がってきてるんです。
背中押されてる気がするんです。
あ、でも青八木さんはあんまり・・・アレですね。押してないすね。
コラ。しっかり問題点を改善していってあげているというのに何だその言い様は!!知らないこととはいえさ。
まあいいさ。気分よく走れているというならそれは何よりである。その高揚した気分のまま追いついてもらいましょう。いけるか?
はい。何かね。それができる気がするんですよ。
今まで現実ばっかり見てきて、空見てなかった気がするんですよ。
できる気がしますよ。ぶっちゃけオレパワー充填してる感じですから。
それとオレには、今初めて明かしますけど神様ついてるんで!!オレンジビーナの神が!!
そ、そうか。まあ信仰は人それぞれでありますし・・・まあいいとしましょう。
青八木さんも鏑木のこの言葉に対し、「そうだな!!」と力強く頷いているし、いいんでしょう。たぶん。
何にせよ、青八木さんは鏑木と話すことで確信めいたものを抱く。
バカであること。負けん気が強いこと。かっこつけたがること。
スプリンターに必要なものばかりだ鏑木!!
ああ、やっぱりスプリンターにはそれが必要だったのか!!通りで全国のスプリンターはどいつもこいつも・・・
勿論田所さんもそれらを全て満たしている。青八木さんにしてみればそれは羨ましいことなのかもしれない。
負けん気の強さなら負けないかもしれないが、他の2つは少し劣る感じの青八木さん。
普通なら別に劣っていても問題ない要素だが・・・スプリンターとしてはそうも言ってられないらしい。大変だなぁ。
準備しておいてくださいと言われて突然膨らんだりする辺り、ビックリ人間という意味でなら合格なんですけども。
なにはともあれ、鏑木の頑張りで銅橋に追いつくことが出来ました。
その間に青八木さんも膨らんで準備完了してますし、カウンターで一気に仕掛けることができそうな感じ。しかし・・・
なぶれ銅橋。
後ろの集団にいながら、何故か先頭の様子を感じ取っているかのように喋り出す泉田君。
なんですか?左大胸筋のフランクが伝えてくれているんですか?本当にそう答えそうだから困る。
もうじきファーストリザルトラインに近付く頃。総北の2人もどうにか追いついてる・・・か?
だとしたら見せつけるといい。圧倒してみせるといい。おまえの本当の力を。
ボクが言わずともやるだろうアブ!!
この泉田塔一郎がよく知る箱根の怪物銅橋。おまえならね。
ヤツがジャージのジッパーを壊した時――それが、彼らがおののく瞬間だ。そうだろう銅橋!!
銅橋はジッパーを上げ下げするどころか壊してしまうんですか。
まあ、普通ならいきなり走ってた隣の選手がジッパー破壊し出したらおののく。普通はそうなる。
しかし相手は恐れを知らないバカである。果たして鏑木に通じるものであるかどうか・・・
短期的になら揺らぐかもしれないが、少し何かあればすぐに戻りそうなのが鏑木メンタルである。
それこそ総北の車が来て段竹が声でも掛けようものなら一瞬で元気になりそうである。
厄介な相手であるが、銅橋はどのような怪物ぶりを見せるのか。どのような変態っぷりを見せるのか。楽しみであります。
RIDE.307 オレは正しい
(2014年 28号)
先行する銅橋に追いついた総北スプリンターたち。
今回はその銅橋の回想から始まります。
箱根学園自転車競技部史上、最も多く部を辞めた男。
2年生にしてそのような肩書を持つ銅橋。
最初に部を辞めることになったのは1年生時のあるレースのことだった。
クリテリウムに箱根学園の選手として参加している銅橋。
インターハイメンバーは参加しておらず、実力はレース参加者で随一でありましょう。
しかし、ゴールは狙わせてもらえず、アシストに徹するよう指示される。
それは銅橋が1年であり、参加しているメンバーの中にこのレースが最後となる3年の浜内という先輩がいるからだ。
あいつよりオレが速い!速いのが勝つ。それがレースだろ!!
先輩に華を持たせる。
部活動としてみればよく分かる話でありますが・・・尊敬できる先輩でないと納得はしにくいですわな。
しかし銅橋は自分を抑え、言われた通りにアシストに徹する。
浜内を絶好の位置まで運び、ゴール前まで発射させようとしたのだが・・・
どうやら銅橋の引きが速すぎてついていくのが精一杯。そこからスプリントする力が残っていなかったらしい。おやおや。
結果21位!!だから何やってんだ、3年間何やってきたんだって鉄槌をくらわしたんだよ!!
どうやらレース後に浜内を殴った銅橋。
まあ言われた通りにしたというのにこの結果ではなぁ。憤るのも仕方ありますまい。
しかしさすがに暴力を振るうのはよくない。
部内の和を乱す行動をする銅橋に渡されるのは・・・退部届。明日までにこれに名前を書いてこいとのこと。
主将である福富さんはインターハイに備えてレースに専念しているため、部の管理は他の先輩が勤めている様子。ふむ。
皆おまえの実力には期待してたんだ。
1年にすごいヤツが入ってきたって。しかしおまえは感情のおさえがきかなすぎる。問題が多すぎる。
銅橋本人はこれでも十分おさえている様子。気に入らない先輩でもちゃんとさん付けしてますしねぇ。
しかし部という集団の中で活動するには足りないらしい。
そしてどうやらインターハイのための部内メンバー選抜の時も先輩を殴って出場できなかったらしい。
2年の高山と白川。だけどこいつらはわざと銅橋のタイヤの空気圧を下げたとかいうし、殴られても仕方がないのではなかろうか。
後悔はしてねぇ!!オレは正しい!!
吠える銅橋。確かに憤るのは正しい。当然のことである。だが・・・
部の組織の中で生きるには間違ってるってことなんだよ。銅橋。おまえは自転車を辞めろ。
厳しい言葉である。奔放な魂も組織という縛りにあっては駆け回ることはできないというのだろうか。
ある程度の規律は大事であるけど、それで才能を放出すると言うのはなぁ・・・と思いきや・・・
今日から自転車部でお世話になります。1年銅橋正清です。経験者です。途中入部ですがよろしくお願いします!!
退部した1週間後に入部届を提出して入り直す銅橋。なるほど、その手があったか!!
オレは自転車を辞めねェ!!!
力の籠った表情でそう語る銅橋。1年前は髪も短く、なんだか若々しく感じますなぁ。
やめねェよオレは。ふざけんな。てめェらのつまんねェ理由で、自転車だけは!!
なんとも熱い男である。既に譲れない物を胸に抱いているんですなぁ。
しかしそんな銅橋に科せられるのはストレスの嵐。
先輩からの評判が悪いためか、片付け当番を押し付けられたりしている。
何とも陰湿な話であるが・・・名門らしいといえばらしいのかなぁ。大きくなった分、こういう闇も抱えていそうな箱学である。
マジメに練習しないでほざくヤツは嫌いなんだよ・・・くそ!!
銅橋は態度はでかいし感情の抑えが効かない。
しかし自転車に打ち込む姿勢は真摯であり、言っていることは何も間違っていない。
だけど組織の中では間違ってないことでも通じないってことはあるわけで・・・難しい話ですなぁ。
インターハイ・・・メンバー選抜・・・「出れなかった」・・・
インターハイか・・・後悔してねェつったけど、やっぱ・・・出たかったぜ。インターハイ・・・
つーと・・・オレが出るってなると・・・泉田さんか新開さんのポジか・・・
ヤベェ・・・あの人たちの練習量と体力ハンパねェからな・・・ハードル高けぇな・・・もっと強くなんねーと・・・!!
ふむ。やはり銅橋もその2人のことは認めている様子でありますな。
まあ、1年時のインハイは出れないし、新開さんは卒業するのだからハードルのことはあまり考えなくてもいいんじゃないかね?
でもその2人に匹敵するぐらいに強くなってなくてはいけないわけですし、もっと強くならないとと考えるのは正しい。
やっぱオレもっと"おさえねェとダメ"なのか・・・
悩む銅橋。自分でも手を出しちゃいけないってのはわかっている。
けれど、自分は間違っていない。その考えがあるからどうしても手が出てしまう。
というわけで再びやらかしてしまう銅橋。
ラインをふさいでくる相手にどけと言ったら殴られたらしい。なので派手に殴り返す銅橋。おやおや。
喧嘩両成敗や、先に手を出した方が悪いなんてことにはならず、普段からの行いということで退部させられる銅橋。うーむ・・・
しかし再び入りなおす銅橋。まさに不屈!!
こうして3回もの入退部を行うこととなった銅橋。
箱根学園自転車競技部史上、最も多く部を辞めた男の名は伊達じゃないですな。辞めたというより辞めさせられたって感じですが。
しかし、とうとう"次殴ったら永久退部"というサインをかかされてしまったらしい。
うーむ。そうなるともう大人しくしているしかありませんなぁ・・・
そうやって抑え込まれてしまったおかげで成績の方まで大人しくなっている銅橋。おやおや・・・
箱根学園もトップクラスはさすがなのだが、そこから外れるとどうにも仕方のない連中が屯している様子。
期待の新人を押さえつけて、成績を落として喜んでいるようではなぁ・・・
名門ではあるのだが、大きすぎるが故に指導が行き届いていない部分が出るという事でしょうか。
そもそも先生とか監督の姿がほとんど見えないって話はありますけどね。いるはずなんだがなぁ。
それはさておき、銅橋は泉田君に呼び出される。
軽く走りながらの会話。泉田君は銅橋に対し、最近おとなしいなと話しかける。戦績も落ちてる、と。
それに対し、戦績だけじゃダメってさんざん言われて、オレなりに努力してと答える銅橋。苦労が伺える。
福富さんに言って、おまえの去就についてボクに一任してもらったよ。同じスプリンターとして。
去就の話を持ち出され、焦る銅橋。
もう退部させられたら入部はできない。まだ自転車は続けていたい。この箱根学園で――
だから銅橋は吠える。自分をもっとおさえると。それが求められているのだろうと。だが笑顔の泉田君の答えはそうではない。
泉田「何を言っているアブ。ボクはアブ!!」
銅橋「!?アブ!?」
突然わけのわからないことを言われて混乱する銅橋。いや、これは銅橋じゃなくても混乱する。
相変わらずのアブさんっぷりですな泉田君。
日常会話にもまぎれ込んでくる筋肉。鍛えすぎると脳まで筋肉になるという煽りはあるが・・・すでに言語野が危ういのではないか!?
まあ、それはさておき――
おまえは体格も瞬発力もめぐまれている。
なのにおさえるというのは持っている槍を磨かないのと同じだ。
真の槍を持つスプリンターは少ない。ならばむしろはみ出せ。むき出せ。あふれんばかりの感情を。
どこまでとどくか・・・見てみたいだろう?自分の槍が・・・理屈じゃない・・・言葉じゃない。内なる自分・・・!!
おさえられない感情!!それは"力"!!
それを使わないでどうする!!槍をサヤに納めてどうする!!
おさえる必要などない!!解放!!
感情は集中力でコントロールする。レースの時だけ集中させる。そうすれば気にならなくなるよ。まわりの"雑音"などね。
ハハァ。銅橋が人のいない所で集中するようになったのはこのせいでありますか。
まあ、泉田君の言う通り、くだらない奴らの言う事にいちいち腹を立てていても仕方がないですわな。
それによって抑圧されたのではせっかくの才能を無駄にしてしまう。
うむ。やはり箱根学園の上の方は人格者が揃っている感じですなぁ。言い方は色々とアレですけども。
さあアブ!!ついてこい!!思うまま踏むがいい!!
見せてみろ。おまえの中に眠るアブ。ヘンタイを!!
だから何故そこでヘンタイという単語が飛び出してくるのか。このヘンタイ!!
一度詳しくヘンタイという言葉をどう認識しているのか聞いてみたいものである。
そしてその説明中に何回アブが飛び出すか数えてみたいものである。
何にせよ、泉田君の言葉は押さえつけられていた銅橋にとっては救いとなりましょう。
おもしれェ・・・!!
やっていいんだな泉田さん。やってやるよ・・・
オレを。内側のオレをめいっぱいむき出してやる!!
銅橋「ふみつぶすぞォォるあ!!」
泉田「おおおアッブゥ!!」
こうして出来上がった新たな箱根学園スプリンターコンビ。うむ、この濃さは去年と遜色ない感じだ。
てなわけで回想から戻ってきた銅橋。ブハ!!
1年時にインハイに出れなかった理由も明らかになりましたし、キャラに深みが出た感じがしますなぁ。
この自転車に対する熱さを持つ銅橋が1年我慢して臨むインターハイ。手強いのは間違いない。
オレの前は誰もさえぎらせねェ!!オレが正しい!!オレが勝つ!オレが箱根学園!!
決まってんだ。最初から。疑う必要なんてねェ!!真実はひとつ。勝つことだけだ!!
探偵みたいなことを言いだす銅橋。前も言っていたけど、それがお前の決め台詞でいいのか!?
この決め台詞のおかげもあり、頭脳キャラの可能性も考えたが・・・どうもそうではなさそうですな。
ともかく、スプリント勝負はいよいよ大詰め。なので先頭を走る銅橋に泉田君から激が飛ぶ。
インターハイの大舞台・・・伝えてくれアンディ。フランク!!ボクのメッセージを!!
さあ!!吠えろ!!銅橋!!
ジャージのジッパーを上げて、両胸の大胸筋を震わせる泉田君。このヘンタイめ。
ううむ・・・今のところを見る限り、この泉田君を超えるヘンタイ性は難しいように思えるのだが・・・
おさえていたものを解放した銅橋は泉田君をも超えるというのだろうか。
僕よりもヘンタイだと言ってはいたが・・・果たして!?楽しみな流れとなってきました。
RIDE.308 銅橋、襲う
(2014年 29号)
車体を軋ませて走る銅橋。吠え猛る。
"おさえられない感情"それは力だ!!ブオオオオオオオオ!!オレが箱根学園だ!!
自らを王者・箱根学園だと称する銅橋。
その自負。控えることを知らない剥き出しの感情こそが力となっている様子。
銅橋の異様さは追いついてきた鏑木にも感じられる。
ここは何かしでかす前に追いつこうと考える。お、冷静ですな鏑木。
ハコガク、ブタ橋!!これが・・・おまえがバカにした"千葉総北"の力だ!!ほぅるああああああ!!
追走していた総北スプリンターの2人がついに銅橋に追いつき、並ぶ。
そしてカウンターアタックを仕掛けるために、前に飛び出す青八木さん。
なるほど。鏑木はここまで引き、後は青八木さんが飛び出して一気に差をつけるという作戦か。
ファーストリザルトラインまでのこり1km!!
さっきは準備できなかったが今回は鏑木のうしろでじっくり準備させてもらった!!負けない!!
オレが獲る!!
みごとな連携が決まり、独走態勢に入る青八木さん。
これには観客も沸き返る。あいつ速い、てか丸い!と。そこは気にしないでください。無理かもしれないけども。
どうだブタ!!これが"強い総北のギリギリパワー"だ!!
ちょっとその名称はそのまますぎやしませんかね。
というか、1kmも前ではまだギリギリとは言えない。
本当のギリギリの勝負になるのはおそらくこれからである。
少なくとも銅橋の顔は・・・敗北を認めたものではない。というか、危ない顔つきになってるぞ銅橋。ブハーッ。
なんだ。今一瞬アタマにイヤな言葉が浮かんだ。"泳がされた"。
バカではあるが決してカンが働かないわけでない鏑木。
恐れを知らない、というか鈍い鏑木が危険を感じるのが今の銅橋である。これは・・・まずいか青八木さん!?
しかし後方の様子は知らない青八木さん。独走態勢に入ったことで勝利を感じている。
田所さん――来ましたよ。インターハイの舞台まで。そしてグリーンゼッケンのラインまで。
田所さんの時は最終ラインまでもつれてましたね。
今日は独走してますよ。のこり1km。あとは自分を信じて全力で回します。
鏑木はよく働く男です。これが獲れたらめいっぱいほめてやりますよ。
このポジションがとれたのもあいつががんばってくれたおかげですからね。
嬉しそうな笑顔を見せる青八木さん。おやおやフラグ立てに余念がないというか何というか・・・
今度部室に遊びに来た時、紹介しますよ。
鏑木一差はまだ覚醒してないですけど、確実にこれからの総北を担う次世代のスプリンターですよ。
少しバカですけどね。田所さんなら「そこがいいんじゃねーか」って言いそうですね。
と!!その前にオレは確実にこのファーストリザルトを獲る!!それがオレの仕事!!
脚はもつ!!待っててくれ純太!!緑色のゼッケンはオレが持って帰――
いい気分に浸っていた青八木さんでありましたが、その言葉を最後まで考えることはできなかった。
気づけば銅橋がすぐ後ろにまで追いついてきている。
その巨体がさらに膨れ上がっているように見える。丸くなった青八木さんが小さく見えるほどの威容だ!丸くなったのに!!
走れ・・・よ・・・ブハッ。ホラ・・・もっと速く・・・
狭いんだよ・・・このジャージってヤツは・・・ジャマだ・・・!!
走れよホラ。オレがそれごとふみ潰してやるよ!!
ジャージのジッパーを破壊して叫ぶ銅橋。
うむ、これが泉田君が言っていた状態か。抑えきれない胸の内を解放するにはジッパーは邪魔だったってことですな。
のこり700。わざと青八木さんを先行させ、追いかけるのを楽しんでいる銅橋。
とはいえ追いかけるも何も既にタイヤが接触するほどに近付かれている。
これはいつ抜かれてもおかしくない。いや銅橋にしてみればいつでも抜けるって状態でありましょう。
このままではいけない。ラインを変えようものならそのまま追い越されてしまう。万事休すといっていい状態だ。く!!
仕方ない――これはライン前150mの最後のスプリントまでとっておきたかったが――
ふんはー!!青八木必殺純正。筋力弾丸バンビスタイル!!
ブア!?また変形しやがった!!
銅橋が驚く通り、まさにこれは変形と言うしかない。
丸くなった胴体がボンと音を立てて細くなり、代わりに太腿がボゴンと太くなる。
なるほど。太くなる部分を下半身へと変えたわけですな。
これなら空気抵抗も少なくなるし、太い足でより強くペダルを踏むことができるようになる。
いやまて。何をどうすればそんな変化が可能になるんだよ!!
泉田君も認める変態の銅橋。
しかし先に変体を決めて見せたのは青八木さんの方だったって流れですな。ハハハ、こりゃヘンタイだ。いや大変だ。
鏑木がいる間はツッコミ役に回っていた青八木さんであるが、やっぱりどちらかというとツッコまれる側の人ですよね。
この身体変化芸は存分に何でやねんと言われて然るべきであります。
ひょっとしたらまだ他にも色んなスタイルを持っているんじゃないかと思えて怖いですわぁ。
というか何でバンビ何だろうか。仔鹿はこんな足はしていないでしょう。ディズニーに思い入れでもあるのか!?
それか足の問題よりも目つきが変わっているのがポイントなのかもしれない。この顔がバンビスタイルだ!とか。顔の方かよ!!
肉食獣のような銅橋に襲われそうになっているのにわざわざ仔鹿となる青八木さん。
果たしてこの変形は吉と出るか凶と出るか・・・ううむ、もうトコトンまでやりきってくださいな!!
RIDE.309 最強の脚
(2014年 30号)
最前線を走る仲間たちを心配する坂道。
上手くいっていればそろそろファーストリザルトラインに到達しようかという頃ですし、気にはなりますわな。
もうすぐ・・・決まる・・・今大会の最速のスプリンターが!!
坂道が心配する中、青八木さんは必死の逃げ切り体勢へと移行する。
奥の手のバンビスタイルにより・・・さっきまで丸かったのに変化したァ!!それを言うなよ観客。言うなと言う方が無理だけどさ。
丸太のように太くなった足で加速し、はりついたハコガク銅橋を一気に引き離す。
コーナー立ち上がりで更に引き離す青八木さん。なるほど、これは間違いなく速い。観客も騒然となっている。
すげぇあの総北4番!3年・・・青八木一!?一のイチはイチバンの一か!!
まるで示し合わせたかのような褒め方をしてくれる観客。
さすがにこんなところにサクラを仕込むことはないと思うが・・・
それはさておいて、青八木一必殺純正、筋力弾丸バンビスタイルの説明が入ります。
今まで集中していた体幹の筋肉を解放。脚に集中。長時間は持たないが、瞬発のスプリント力は倍増する!!
なんと、筋肉をの盛り上がる個所を脚に移動させていたわけですか。
いや、それは分かってますねん。どういう理屈でそれをこなしているんだ!?
青八木さんの体幹筋肉はちょっと特殊と言われていたが、実は筋肉全身がちょっと特殊なのか!?ちょっとで済むか!!
それはさておき、どうやらこのスタイルが生み出された切欠は手嶋さんの一言にあったらしい。
チーム2人が"オニごっこ"で使っていた青八木さんの"逃げ"。
ここにまだのびしろがある、強化できるんじゃないかと手嶋さんは考えた。
肉弾丸はその体積の増加により後ろの人たちを引くのに向いている。だがこれは"引き"であって"逃げ"ではない。
"逃げ"にはもっと強力な加速が必要となる。だとしたら――
そうして生まれた脚!!それがこれ!!バンビスタイル!!
生き残ることが最強だとすれば地上最強の動物は逃げ続ける草食動物。誰にも捕まらない逃げる脚!!
後続に差をつけ、ラインまで逃げ切る。そうすれば誰にも負けない!!
うむ。発想は間違ってないと思います。
相手に追いつかせず逃げ切る。そのために脚を太く鍛え上げる。ここまでは分かる。
問題はどうしていきなり膨らむのかという部分なんだが・・・これはもう考えても仕方がなさそうですな。今更だ!!
もう一つ気になるのは何で草食動物の中でバンビを選んだのかってところであるが・・・これも考えても仕方ないのかなぁ。
何はともあれ、奥の手発動で銅橋を引き離しにかかる青八木さん。
勝つ!!オレが!!見ていろ純太!!
いつもオレはおまえがくれたアイデアに助けられてきた。
今度はオレが恩返しする番だ!!純太!!
相変わらずの溢れんばかりの想いを胸に秘めて加速する青八木さん。ふんはー!!
しかし、引き離せたはずの銅橋が・・・気付けばすぐ後ろにいる。
どのぐらいすぐ後ろかというと、こぼしたよだれが青八木さんのヘルメットにかかるぐらい後ろである。バカな!?
体の部分も自転車の後輪もあるのにどうやって頭上からよだれが!?
ベロリと舌なめずりする銅橋。その勢いでよだれが飛んだのだろうか。どうなのだろうか。
ハコガクが毎日どんぐらい練習してるか知ってるか・・・
メンバー選抜のトーナメントがどんだけ過酷か知ってるか。
さしずめ"逃げる脚"てとこか。悪りィ。"全力で逃げる獲物"・・・そういうの大好物なんだ!!
それはそうでしょう。わざわざ前を走らせて追いかけるのを楽しむぐらいだしねぇ。
大型動物のようだと比喩した相手に対し、草食動物での逃げを行うのはかなり危険に思える。
が、群れでの狩りではなく一対一であるならば草食動物の脚が有利かもしれないわけで・・・まだわからん・・・か?
相変わらず坂道は青八木さんのことを心配している。
しかし、送り出した手嶋さんはさすがの落ち着き。青八木さんのことを信頼している様子。
体が大きく強そうな銅橋が相手でもその信頼に陰りはない。
体の大きさで勝負がつくなら青八木の負けだろう。けどロードレースはそういう勝負じゃない。
意思。状況。チーム。戦略。積んできたもの――あらゆるものを駆使してチャンスを狙う闘いだ。
協力してかけ引きして。仲間を想って全力を出して。車輪をラインに放り込む。
青八木にオレはあずけた。信じてやろうぜ小野田。青八木と鏑木の力を。
あいつインハイ前に言ってたろ「2人じゃない」。"チーム6人"だ。
やはり手嶋さんの落ち着きは方は頼りになりますなぁ。いい主将である。
しかし、その青八木さんは今にも銅橋に捕捉――いや、捕食されそうになっている。
もっと逃げろよバンビちゃん!!
やっぱりバンビちゃん言われた!!
そんなスタイルを選択するんだから言われても仕方がないですわな。
今にも追い抜かれそうなのにラインまではまだ500mある。
その上、最後まで脚が持つかは分からない。速度もじりじり落ちてきているようですし、これが限界か。
さすがにここで更なる奥の手、二段階変形とかはやらかさないか・・・さすがに。
すぐだ・・・余裕だ。ごちそうさまだよ。バンビちゃん!!
泉田さん。確かに手こずる相手ではあったけど、大したことなかったよ!!
どけよ総北!!終わりだ!!
のこり400m。ついに勝負を決めにかかる銅橋。
青八木さんの横に出る。そうしてついに並ぶこととなった。3人が。
・・・!!3人!?
気づけば、気づけばいつの間にか鏑木の姿がそこにある。
いや確かに銅橋が並ぶために飛び出そうとしたときに影はありましたが・・・!!
青八木さん。なんかすげーヤバそうな空気だったんで、こいつの後ろ使ってついてきましたよ!!
なるほど。銅橋も目の前の獲物に集中しすぎて自分が風よけにされていることに気付かなかったみたいですな。
美味そうなバンビちゃんに釘付けになっていたら良い様に利用されちゃったってことですね。こりゃ銅橋も驚愕だ。
しかしついてこようと思ってついてこれる鏑木はやはり凄いと言わざるを得ない。
まあ、まだ段竹の応援というパワーアップイベントは残っているし、あそこで切り離されて終わることはないと思ってましたよ。
ここからは手嶋さんの言う通り、青八木&鏑木という2枚のカードをトコトン使い切る戦いとなりそうです。
息を吹き返したように見える青八木さん。ここから先の400mで見せ場があるのか。注目したいところです。
RIDE.310 総北の光
(2014年 31号)
こっちが用意したカードは2枚だハコガク!!
何だか知らないがやけに格好良くポーズを決める手嶋さん。
その効果があったのか、ファーストリザルトライン400m手前で銅橋と並ぶ総北の2人。
この展開――特に鏑木の登場に観客だけではなく、青八木さんや銅橋も驚きの表情。
まるで落下しているかのような視点で描かれるこの見開き絵はなかなか斬新ですな。
オレのうしろにはりついてやがったのか!!
いや、けどオレはふり向いて確認した。何度も。姿はなかった。確実に!!
は。こいつ、まさか――ハタめくオレのジャージの死角にかくれてついてきたのか!!
おや、ちゃんと後方確認してたんですね銅橋。肉食獣のようで視線が前に集中しきらない奴だ。
それにしてもジャージのジッパーを壊したことがアダになるとは・・・何が災いするか分かりませんな。
"万が一"だった――鏑木には"最後は全力でオレが走るから引け"としか言ってなかった。
鏑木は瞬間的に危機を察知して、おそらく反射的に銅橋を追った。
まさか追いついてくるとは――万が一にそういうことがあるかもと想像した程度だった・・・!!
こいつはバカだが、空気を読む男だ!!
空気を読む。これは結構大事な力であります。特に社会に出る時には重要な力だ。
さすがに大人と一緒に走っていた時期があるだけに、そういう力は備わっているということでしょうか。
抜いた人数とかろくに数えられなくても空気で、雰囲気で分かれば問題ないって話だ!!数値は曖昧でも先頭でゴールすれば同じ!!
そんな鏑木が青八木さんの前につく。
ここでもう一回引いて、ゴール前で青八木さんを発射させようという考えのようだ。
ふむ。先輩を立てる・・・というわけではなく、スプリンターの見せ場だから自分が行くのは違うとか思ってる感じですな。
銅橋に対しても、補欠のおまえなんかこのスプリンター青八木さんがひとひねりだと告げている。まだ補欠と勘違いするか!!
相変わらずの鏑木であるが、この解放状態の銅橋相手でも相変わらずでいられるのが凄い。
そんな様子を見てか、青八木さんは笑みを浮かべて喋り出す。
光が差した。総北にだ。
オレはこのバンビスタイルを出せば銅橋を引き離せると思った。そのまま何とかラインまでいけると思った。
だが、ヤツの力は想像をこえていた。"誰からも逃げる脚"さえ封じられ、並ばれた。勝てないかも――と思った。
何だかんだでバンビスタイルは未だに継続している青八木さん。
その効果により何故か変わっている目つきで鏑木に告げる。
このスプリントはおまえが獲れ、鏑木。いける。おまえなら。
光はおまえだ鏑木――!!
そう心の中で付け加える青八木さん。ふむ、やはりこういう展開となりましたか・・・
青八木さんも頑張ったのだが、ゴールを取るには足りなかったか・・・もっと変形さえ出来ていれば・・・!!
そういった惜しい想いはありますが、とにかく今はこのインターハイで勝つことが重要である。
そのために鏑木にファーストリザルトラインの獲得を頼んだわけであるが・・・
ムリっス!!オレ、オールラウンダーですから!!
あくまでその主張を曲げない様子の鏑木。
いや別にオールラウンダーが獲ったって問題ないでしょうに!!
脚質に気付かない上に変なこだわりまであったりするのが困った子である。
そうこうしている間に銅橋はスプリント体勢に入り、加速開始。
このままでは引き離されると青八木さんは最後の力を振り絞る。
鏑木の前に出て――自分が風よけとなる。
前を引きながら、オレが合図したら出ろという青八木さん。あくまでも自分はスプリンターじゃないからムリと主張する鏑木。
ラインまであと僅かなのにそんな言い合いをしてどうするのか。
いや――青八木さんは鏑木に言うことを聞かせる方法を知っていた。
人の言うことはなかなか聞かない鏑木であるが・・・メモなら。神様のメモなら素直に聞くのだ!!
ジャージのポケットから、いつもアドバイスを書くときに使っていたビンセンを取り出す青八木さん。
鏑木としてはこのビンセンは見間違いようがない様子。
こんなものをポケット入れて用意しておくなんて・・・
「万が一」――と言いながらオレは、どこかで信じていたのかもしれないな。こいつがここまでついてくることを。
手嶋さんのアドバイスに従い、鏑木の使い方について考えていた青八木さん。
最後に言うことを聞かせるにはこの手段が有効であるとレース前に既に悟っていたのですなぁ。
うけとれ。神様からの、おまえへの最後のメモだ!!
全力でスプリントを獲れ!!
メモに書かれた内容をそのまま口にする青八木さん。
その指示に素直に従い・・・スプリント体勢に入る鏑木。プレッシャーがはね上がる!!
初めて見る。こいつの純粋なスプリント!!
怪物が相手であるならば、こちらは未知数の男をぶつけるしかありますまい。
本人すら――というか、本人がいつまでたっても気づかない真の力。
ようやくその本来の――マッチしたスタイルでの走りが出来るようになる。
神様の指示も頂いたことだし、迷いはないはず。実力を見せてくれるはずであります!!
鏑木の活躍に期待したいところであるが、果たして鏑木はあのメモの主が青八木さんだと認識できたのだろうか?
単に青八木さんは神様のメモを運んだメッセンジャーだとしか思わなかったとか・・・あり得なくもなくて困るなぁ・・・
果たして青八木さんは鏑木の信仰を得ることが出来るのか。どうでもいいといえばどうでもいいが、注目だ!!
RIDE.311 鏑木、全開
(2014年 32号)
青八木さんが前に出て鏑木の風よけとなる。
総北は鏑木にファーストリザルトライン獲得を任せたのだ。
少しもめはしたが、どうにかやる気になった鏑木。プレッシャーがはね上がる。銅橋もそのプレッシャーを感じ取る。
今までオレは何度もスプリントを制してきた。強いと言われたスプリンターをねじふせてきた。
だから肌感でわかる。真のスプリンターがどいつで、どいつがゴール狙ってて、どいつがどれくらい速いスプリンターか。
なのにこのオレンジは、今までスプリンターだってことさえ気づかなかった!!
それはまあ、そうでしょう。何せ本人ですら気づいてないんだから。
鏑木がやる気になったのも神様の指示だからである。
これで結果を出したとしても、自分がスプリンター向けの脚質だとは気づかない可能性がある。困ったことに。
まあ、先のことはさておき、この場では走ろうとしている。獲ろうとしている。このスプリントを。
はね上がった。なんだこいつのプレッシャーは。
さっきまで3年青八木のアシストの顔だった。
豹変しやがった!!トップ狙うスプリンターの顔だ!!
メンタルが肉体に及ぼす影響は大きい。
特に鏑木のような単純っぽい性格の子では尚更である。
アシスト向けの走りから、ゴールを狙う走りに変わった。そりゃ表情も引き締まるってものである。
さあ・・・いよいよ最終スプリントのタイミングだ!!
まずは銅橋が加速を開始して前に出る。
そこですかさず青八木さんは鏑木を送り出す。
限界と述べていたバンビスタイルの走りをここまでもたせ、発射させる。
ほうるあああ!!
雄叫びをあげて加速し、先に加速した銅橋に追いつく。
ファーストリザルトラインまでのこり200mというところで並ぶ両者。ここからは一時も気が抜けない。
ふう。
ドスっとサドルに腰を落ち着ける鏑木。いきなり休んだァァッ!?余裕か!?
と思いきや、いきなり目をギラつかせて加速を行ったりする。
ああ、なるほど。一瞬腰を落として減速して銅橋の後ろについたんですな。
そして風の抵抗がなくなったところで立ち上がり、更なる加速――二段加速を行ったわけだ。
読めねェ!!こいつの動き!!天才か。ここからどう動く!?それとも単なるバカか。
どちらかというのであれば、後者であろうが、走りに関してだけは前者で考えてもいいかもしれない。
しかし銅橋の前に出ることで、今度は逆に銅橋の風よけとなってしまっているのが現状である。これは考えがあったのことか?
どう動く!?動かない!!考えなしか!?
――!!こいつは得体の知れないスプリンターだが、バカだ!!
見切った様子で叫ぶ銅橋。
正解だけど・・・バカは厄介だぞ!!
銅橋としては鏑木を風よけにしてのこり僅かのところで怪物スプリントを見せようとしている。
のこり100m。いよいよ銅橋が動こうというところで鏑木は何やら呟いている。入れ、入れ、と。
なんだ!?「入れ」!?ギアか!?トップギアに入らないのか!?メカトラか!!
ツイてなかったな。それでいまひとつの加速だったんだな。
オレンジ。メカトラのないおまえと勝負してみたかったぜ!!
ついに前に出るために動き出す銅橋。
しかし鏑木の呟きはメカトラによるものではない。
入れと呟いていたのはイメージ。ゴール前で走る時に思い描く、大きな歯車のイメージ。
そのイメージ上の歯車がうまくかみ合うと、すげーパワーが出るんですと鏑木は述べる。
入った。
のこり僅かと言うところで歯車がかみ合った。
メンタル的に最高のパワーが出せる条件が揃ったわけでありますな。
ようやくこのスプリント対決も決着の時が来そうでありますが、果たして勝つのはどちらか。
引きの展開を見れば鏑木が巻き返しそうな流れである。
銅橋はここから更に上回る何かを見せないといけないのだが、正直厳しい。
昨年の泉田君のように冷静に分析しすぎて驚き役のような状態になってしまっているのが厳しい。
なまじ頭が回る分、バカが相手だと驚きが先に立ってしまうのかもしれないのが悲しい所ですなぁ。
怪物らしく、もっと野生全開で走った方がよかったのかもしれない。
今回は風もないのでコーンが飛んでくるようなトラブルはない。
いや風以外のトラブルで飛んでくることはあるかもしれない。
寒咲兄の運転ミスでコーンを跳ね飛ばすようなトラブルがあるかもしれない!それは普通に走行妨害だな。
まあ、銅橋の体格を考えるとそういうトラブルがあった方が強そうでありますが・・・どうなるか。注目です。
弱虫ペダル 37巻
RIDE.312 2人のスプリンター
(2014年 33号)
リザルトラインまでのこり80m。いよいよ本当のラストスプリントだ。
鏑木はメンタル的にも加速の準備が整った様子。歯車が音を立てて回り出す。入ったァ!!
オレが獲る!!
最後に思うのはどちらも同じ。自分がこのリザルトを獲るのだという想いのみである。
鏑木「ブッタァ!!」
銅橋「オレンジィ!!」
自らがつけた仇名を叫び合う2人。
うむ、やはり事前に因縁を持っておくと盛り上がり方が違うようですな。
しかしブッタですか。ちょっと濁ってブッダになってたら凄い格上げ、持ち上げ方だと感心出来たんですがねぇ。
それはさておき、加速する2人。
50km/h以上出ているとのことだが、ロードバイクならそのくらいは普通に出せそうな気もしますが・・・
1巻時点の今泉君も52km/hは出してましたし。スプリンターでその速度は・・・
いやまあ、素人目には正確に何キロでてるかなんて分からないってことなんでしょうけどね。より速くても以上には変わりない!!
観客の声はさておき、両者は一歩も譲らない。
そんな最中、想いをぶつけだすのは銅橋。
狭めェ。狭めェんだ。世の中の基準は――!!そっちの方が!!
オレは昔から体がでかい。だからハミ出るんだよ。それのどこが悪い!!オレは正しい!!
体だけではなく、態度も大きい銅橋。
だけれども言っていることは正しいんですよね。
しかし正しければ誰からも受け入れられるわけではないのがこの世の中であり、難しいところである。
銅橋もその狭い世の中の基準に一時期はめ込まれそうになったこともあった。
そんな時、泉田さんは「ハミ出せ」って、出てこいって言ってくれた。思うまま走っていいと言ってくれたんだ!!
その人が「リザルト獲ってこい」つった・・・
そんなら全身全霊で獲んなきゃウソだろォ!!リザルトラインはオレの獲物だ!!
一見すると傍若無人に見える銅橋だが、その実は恩義に感じ入る男であった様子。
こういったところが逐一正しいんですよね。何だか応援したくなってしまって困る。
さて、一方の鏑木もゴールを前にして想いをぶつけだす。
マジか。何だこの湧き出るもの。速ええ!!超速ええ!!心臓痛ぇのに止められねぇ!!
全身の歯車が噛み合ってるイメージ。アタマの先からツマ先まで全部つながって進んでる。ひとつに!!
燃えてんのか、オレ。スプリントに。
「目の前のヤツ」を、体が「抜け」つってる。体中の血が沸く!!
意識してないどころか否定してたりするが、やはりこの男は天性のスプリンターであった様子。
自分の脚質に、性格にあったこの勝負、この場面。まさに肉体的にも精神的にも歯車が噛み合った感じである。
勝つ勝つ勝つ。オレが勝アアつ!!
後方の青八木さんの声援を受けながら懸命に走る鏑木。勝負はやはり終わってみるまで分からないようだ。
ゴール前の観客たちは銅橋の走りについて語る。
見た目はもっとラフプレイかと思ったが、すごく真摯な走りである、と。
実際銅橋の走りは真面目である。口や態度はデカイが勝ち方は常に力の真っ向勝負。
ラインをふさいだりという技巧は使わない。いつだってフェアプレイなのだという。だから――
ファンも多いのさ。
ゴール直前には銅橋を応援してくれる人達が詰めかけている。
先輩からはさておき、後輩には慕われているようで、一生懸命に応援されております。ふんでくださーい!!
しかし怪道銅橋の通り名はなく、直線怪物(ストレートモンスター)と書かれているのは何だろうか。
まああまり変わらないからいいかな。新開さんの直線鬼に被る部分があるのもまた良しだ。
わかってるよ。ブハ!!やっと出れたインハイなんだ。
ここで勝たなきゃ春先からの全勝が何だったんだってなっちまう。だろ!!
声援を受けて力を得る銅橋。これも人徳というやつでしょうか。
ラインはすぐそこ、見えている場面で少しであるが鏑木よりも前に出る。
鏑木にしてみればこれは厳しい。筋肉がくだけそうに感じているし、厳しい場面だと自覚する。
だけどわかってる。この試練、乗り越えろってコトでしょ。神様!!
練習で散々神様からメモで試練を課されてきた鏑木。
なればこそ、こういう逆境でも戦える。今まで乗り越えてきたのだからと折れることなく戦える。
そして神様という言葉と共に青八木さんの顔が思い浮かぶ。お?
何で今一瞬青八木さんがうかんだんだ!わっかんね。どうでもいい。最後の一踏み――
うむ、やっぱり神様が青八木さんだと気づいてなかったか!!そうだと思ったよこのバカ!!
どうでもよくはない。が、まあ確かにそれを気にかけている場面でないのは確かか。
そして、ようやく迎える決着。
最後の一踏みと共にハンドルを前へと投げる鏑木。
そういった技術は使わず、最後まで力一杯踏んで走り抜ける銅橋。
勝負が決まった時・・・勝者は腕を振り上げ、敗者は顔を伏せる。
どの戦いでもそうであったが今回は・・・両者が腕を振り上げていた・・・・・・ん?
観客もどっちが勝ったか分からない状況である。
先に勝ち誇ってみせたのは鏑木。ならば勝ったのは総北か!?
いやバカ、おめェじゃねェだろ!!
抗議する銅橋。まさか走っている当人同士で勝利を認識していない結果になろうとは・・・
杉元のように意識が飛んでいたわけでもないのにこれとは・・・何ともはや。
どうでもいいが言いあっている2人は言葉の内容を聞かずにそこだけ見てると随分と楽しそうに見える。
来年もこの2人は対決することになるのかと思うと楽しみでありますな。
ああ、いや今はこの場の結果である。非常に僅差であったが、センサーと写真判定の結果、勝者は――
箱根学園銅橋正清選手!!
ほんの僅かな差ではありましたが、決着はついていました。
箱根学園は見事に去年の雪辱を果たす形となりましたな。こう来ましたか・・・
鏑木も青八木さんが認める通りよく頑張ったが、一歩及ばなかった。
というか、勝利フラグかと思われた段竹は今到着したのか・・・
むしろ銅橋の方が声援を受けて活躍するという流れだったという。
先にたどり着き、同じタイミングで段竹が声援を送れていればまだ分からなかったかもしれないですなぁ。
しかし銅橋は随分といいキャラになったものである。
取材の場面での初登場時からは想像もつかない。
だけど泉田君が言うほどの変態には思えませんでしたな。何だろう、やっぱり何か別の意味でもあるのか!?
ここは泉田君に言っておくしかないでしょうな。やっぱり君の方が度を越した変態だよ!と。
褒め言葉として受け取られるだけで済みそうなので言ってもアレなんですけどね!!
RIDE.313 箱根学園、動く!
(2014年 34号)
写真判定をしてみれば勝敗は明らか。
先にラインを通過したのは箱根学園、銅橋正清である。
インターハイの最初のゼッケンは箱根学園が獲得。去年の雪辱を果たしたわけでありますな。
オレが箱根学園だ!!
堂々とそう述べる銅橋。
ふむ、去年のことを考えるとこの最初の争いはレース全体の勝敗を左右することになりそうで大きいですなぁ。
自分がここで勝利したことで、全体の勝利も箱根学園のものだと主張する意図もある。かもしれない。
敗れた鏑木はさすがに悔しそうである。
スプリンターじゃなかったからとかそういう言い訳も出てこない。
勝つと挑んで敗れた。負けた。胸にあふれるのはその悔しさのみである様子。ふむ・・・
"ファーストリザルト"総北――2位!!
その結果は後方の集団に掲示される。
それを見て先頭に上がる箱根学園。
ファーストリザルトを獲ったチームに道を譲るのは決まり事。
去年の総北はそれで先頭に出ることが出来たが、今回は箱根学園にやり返されることとなりましたな。
見事にリザルトを獲った銅橋を箱根学園の面々は称える。
泉田「よくやった銅橋!!」
黒田「計画通りだな塔一郎」
葦木場「銅橋(バッシー)!!」
山岳「平坦で2人相手に1人で勝つなんてすごいねー」
悠人「銅橋さんなら獲るだろうって隼人くんも言ってましたよ」
微妙に会話の呼吸が噛み合ってるのか良く分からない新生箱根学園。何がバッシーか。
それはさておき、箱根学園が先頭に立つことで何故か落ち着くとか言い出す他校の集団。
あの位置がしっくり来るとかオーラが違うとか。認めるのはいいが、持ち上げすぎではないかね?それに挑まねばいかんのに。
というか総北には――手嶋さんにはオーラがないと言いたいのか!?
そのことについてはさておき、先頭に出た箱根学園は加速を開始する。
このまま箱根学園について山のふもとまで行こうとしていた集団はビックリしている様子。
だけど、レースしている最中にうしろ距離あいてるぞーはないだろ。勝負はもう始まってるねんで!!
あいつらは速度上げて集団の人数を減らす気だ!!インターハイ1日目のこの序盤で!!
今年はなかなか早い仕掛けとなりましたな。
去年は3日目の集団に痛い目を見せられたので、今年は早い内に脚きりを出しておこうという考えでしょうか。
その考えを読んでいた手嶋さんは送れずについていく。この辺りの駆け引きはさすがですな。
来たね総北ァ!!ブゥ!!
変な切り方はさておき、総北が遅れずについてくるのは想定内だった様子の泉田君。
箱根学園がこんな序盤で人数減らし何て余裕ないじゃないかという手嶋さんの挑発も笑顔で受け止める。
本来シングルであるはずのボクらが二桁ゼッケンをつけている。その意味がわかるかな手嶋くん。
どんな手を使っても奪還しなければならないということだよ。王者の称号を!!
ボクが今年のこのファーストリザルト争いに出なかったのは、この状況を作り出すためだよアブ!!
銅橋がリザルトを獲り、集団の前にチームが出れるようにする。
そして脚を溜めていた泉田君がチームを引っ張って集団を引き離すと。スプリンターらしい組み立てですな。
しかし手嶋さんはその考えも読めていたのか、最上級の平坦屋を残している。
出ろ!!鳴子章吉!!
鳴子と泉田。リザルトは出た後であるが、去年と同じように1日目の平坦でこの両者が争うこととなりました。
少し前の時の様に今泉君や黒田さんが止めることは無い。全力での勝負となる。
早くも後方集団は引き離されそうな勢いですが・・・京都伏見以外は追いつけるのだろうか。
さて、敗れて消沈している鏑木。
青八木さんとしてはかける言葉が見つからない。
神様であっても慰めの言葉は思いつかないものなんですな。さすがにそのメモは用意してなかったか!されてても困るが。
それはさておき、消沈する鏑木に声をかけるのは段竹。
お、リザルト争いでは間に合わなかったけどここで声をかけてくれますか。
まあレースはまだまだ始まったばかりですしね。鏑木に落ち込んだままでいられても困る。
どうにか段竹の声援で、チームと合流するまでには回復しておいて欲しいものです。
RIDE.314 総北と箱根学園
(2014年 35号)
ファーストリザルトを獲ったのは銅橋。
まだ嬉しそうに両腕を上げて走っております。
というか今回の1コマ目の銅橋の後姿は何か可愛い。わーとか擬音をつけてあげたくなる。わー。
敗れて意気消沈する鏑木の前に現れたのは段竹。
鏑木をずっと支えてきた相棒の段竹であります。
しかしその段竹を目にして鏑木は思う。今、一番話したくないヤツだ、と。
自分が銅橋に負けたことを気にかけてのことなんでしょうが・・・その反応はちょっと予想外でしたな。
顔を歪める鏑木。その鏑木に対し、段竹はただ一言叫ぶ。
見てたぞー!!
それだけ言うと、黙って右手を差し出す段竹。
それにつられて、自身も右手を出してタッチを交わす鏑木でありました。
おやおや、何で自分がそれに応えてしまったのかも分からない様子ですな鏑木。
段・・・竹・・・オレは負けた。
全開で走って力勝負して敗北したんだ・・・なのに――
敗北による無力感に晒されている鏑木。
しかしその手に残るのは相棒の激励の気持ちが籠った手の感触。
そして、更に思い悩む鏑木の前に現れるのは・・・杉元!!
鏑木ィー!!見てたぞォォー!!
杉元もただそれだけを述べ、右手を差し出す。そのタッチを受ける鏑木。
そして更には古賀さんも、寒咲さんも、アヤちゃんも声をかけてくれる。1年生くんてアヤちゃん。
通り過ぎる自転車に対し、街道に立った状態では多くは語れない。
だから一言だけ、お前の戦いをしっかり見ていたぞと告げている。
ふむ。車が到着したのは決着後に見えたが・・・実はずっと並走してたんですかね?
いや、今年は道が広いわけじゃないしそれは無理か。ゴールの辺りだけ見てたということですかな?
何にせよ、その言葉を受ける鏑木は戸惑いを覚えている。
なんで・・・なんすか・・・青八木さん。
オレは・・・獲れなかったんですよ。
本当は"何やってんだ"って"あと一歩で負けんじゃねーよ"って。そんなの最低だってなじられたっていいはずなんだ。
なのに、"見てた"ってだけで何も言わず――手があったかいんだ!!
なんでなんだ。古賀さんも杉元さんも段竹も・・・!!
涙する鏑木。
ふむ。確かに鏑木には分からないかもしれませんな。
だから理解できる青八木さんが答えを教えてくれます。あいつらはチームメイトだからだと。そして――
皆、負けた痛みを知ってるからだ。
合宿の戦いで、1年生歓迎レースで。
敗れてインターハイに出ることはかなわず涙した男たち。
後一歩で届かなかった。その口惜しさを良く知っている男たちである。
言葉を交わさなくても鏑木の今の気持ちはよく理解できるということなのでしょうな・・・だが!
青八木さん!!誓います!!
次、オレもし、このインターハイであいつと闘うことになったら、絶対勝ちます!!
涙を振り払い、そう誓う鏑木。
そう。古賀さんたちとは違い、まだレースは・・・闘いは終わっていない。
リザルトこそ獲られたものの、このインターハイの3日間の中でその借りを返す機会はきっとある。
その闘いでは負けない。今度こそ負けない。その意識を持つことでようやく気を取り直した様子の鏑木。うむ・・・よし!!
オレは皆の分も背負って走ってんだ。なんでそんなこと気づかねーんだオレ今まで。バカだ!!
ようやく鏑木もそこに気付くことができましたか。
誰かが言っても身に付かない子であるが、自分で気付いた分には力にすることができる鏑木。
これからは敗れたチームメイトの気持ちも背負い、力に変えることができるでありましょう。
そうなれば鏑木はまだまだ伸びる。青八木さんもその鏑木の成長しようとしている姿を頼もしそうに見ている。
「成長しろ。この3日間でだ」そうアドバイスしたのは去年、金城さんが今泉にだったか。
おまえにもそっくりその言葉渡すよ――痛みを知り全力を出して、まっすぐにのびていけ鏑木!!
これまでも窮地に立たされたりしたことはあったが、レースでの敗北という状況は味わっていなかった鏑木。
それを経験し、立ち直ることができた。これは大きい。痛みを知るのは大事なことでありますものねぇ。
正直、この短い期間で立ち直って成長できるのは大したものだと思う。
去年の今泉君が心折れてレース中にリタイアしそうになり、しばらく引きずっていたことに比べればどれだけ早いことか!!
そういった去年の裏話が鏑木にもたらされることはあるのか?気になるところです。
さて、ファーストリザルトの結果を受けて後ろの集団から飛び出してきた総北と箱根学園。
キャプテンではあるがスプリンターでもある泉田君は先頭で快調に飛ばす。アブアブアブアブアブアブ!!
ジャージのジッパーもしっかり一番上まであげて更にペースアップだブアァアア!!
ノリノリの泉田君。しかしその泉田君にしっかりついていく鳴子もやはりさすがである。
他の面々も引き離されることなくちゃんとついてきている。
そのしつこさを称える泉田君。彼らはこれで去年ボクらからタイトルを奪った!!と。
いいチームだよ手嶋くん!!全力で倒すのに相応しい!!
"支えあう"ってヤツかい?去年、総北キャプテン金城さんが言ってた1人が倒れても他のメンバーが支えるっていう支えあうチーム!!
泉田君のその問いかけに対し、肯定を返す手嶋さん。
さらにそこに"信じる"ってソースをかけてオレ流にアレンジしてあるとのこと。ほう。
泉田「料理でも作る気かい?」
手嶋「地中海風だよ」
泉田「うまそうだ。喰ってやろう!」
手嶋「激辛だ。腹こわすぜ!!」
激辛なのかよ。信じるソースは思ったほど甘くないってことでありますか!!
というか、何のやり取りをしているんでしょうなこの2人。
相変わらず手嶋さんはウィットに富んだ言葉を返すが、それに負けることのない泉田君も何だかすごい。
去年の鉄面皮キャプテン対決とはまた違った舌戦。今後も楽しみであります。
泉田君は先のスプリンター勝負で2人出しながらも負けたことに対し、ムダ足だったねと述べる。
しかし手嶋さんはその言葉にも怯まない。敗北は勝利への1歩目だと返す。
うーむ、さすがに敗北の痛みとそこからの成長を知っている男はタフですなぁ。
負けたことにより次への意志と行動を生む。その意志をていねいに全員でつむいでいくんだよ、とのこと。なるほどね。
それがキミのチーム。今年のチーム総北・・・
よくわかったよ。せっかくだ。ボクの今年のチームを紹介しておこう。
ボクは今年箱根学園史上最も情熱的なチームを作ったよ!!
強く、冷静で、情熱的に勝ちを狙いにいく。最強のチームだ!!
そのように語り出す泉田君。
その言葉に、一瞬――立ちはだかる大きな壁の前にいる気がしたという坂道。
うーむ、実のところ曖昧で良く分からない情熱的なチームという言葉であるが・・・何だか迫力だけはある!!
泉田君が使う分には確かに力がありそうな情熱という言葉。
しかし不思議ちゃんや天然を抱えた今年の箱根学園でその言葉は相応しいものであるかどうか!?
いやまあ、その2人も本気になればかなり情熱的な走りをするんですけどね。確かに。
情熱。パッション。
果たして泉田君は具体的にどういうチームか解説してくれるのでありましょうか?
変態という言葉の意味もハッキリしていない気がするし、今回も煙に巻かれそうであるが・・・さてさて。
RIDE.315 落ちる坂道
(2014年 36+37号)
坂道が思わず頭に浮かんだのは立ち塞がる高い壁。
箱根学園は壁――高い高い壁である。
しかしそれを認識すると同時に、巻島さんの言葉も思い出す。
困難に出くわしたときどうするか。待つか逃げるか迂回するか落ち込むか。いや・・・
はい・・・!!突破するしかないショですね!!
この箱根学園という大きな壁を!!
気圧される流れかと思いきや、むしろ奮い立つ結果となりましたか。
しかし相変わらず巻島さんの言葉はショつきで思い起こされる様子っショ。
おかげで周りからも「ショ」だよ!!「ショ」や!!と妙な同意をされる。
うーむ、巻島さんがいるときは切り取られなかった語尾なのにここでクローズアップされるか!!
おまえ教室でも時々ショって言ってるぞ。
かなり無意識のうちに坂道の口から出るようになっていた「ショ」。
影響の大きさが伺えますなぁ。まあ服のセンスとか影響されるよりはましだったと思うべきっショ。
坂道のおかげでテンションが上がった様子の総北。プレッシャーも湧き上がっている様子。ゴッ。
そしてそれは坂道が原因であるとしっかり認識している様子の泉田君。
さすがに去年直接対戦した経験があるだけに、間違うことはなさそうですな。
逆に直接対戦していない黒田さんや銅橋は坂道の強さを疑っている様子。
ふーむ、まあこれは仕方ないかもしれませんなぁ。いざという時までは本当に頼りない様子ばかり見せてくれる男ですし。
逆にいざという時の見せ方が凄すぎて・・・アレを見てしまったらマグレなんて言えるはずもないですわな。
しかし銅橋がマグレ主張するのはどちらかというと泉田君たちが負けたのが信じられないからじゃなかろうか。
俺の尊敬する先輩方が――箱根学園が実力で負けるはずがない!!マグレに違いない!!
そんな想いで主張しているように感じられる。真実は常に1つとか言ってる割に感情的ですなぁ。まあそれもまた良し。
それはさておき、泉田君は坂道を警戒している。
ロードレースの「まさか」をよびおこす"意外性"の持ち主だと認識している様子。
総北のキーマン。やはり彼には早めにこのレースから消えてもらわなければいけないね・・・
そのようなことを口にしたところで先行していたスプリンターたちと両チームとも合流。
勝利した銅橋は口々に仲間から称えられる。嬉しそうですなぁバッシー。
一方、敗れた鏑木は鳴子と今泉君から拳骨をいただく。ゴン。ゴス。なんでなんすか!!
残念なことにお前がかわいくないから優しくしてあげないとのこと。
うむ、まあこの2人はこれでいいんじゃないですかね。
立ち直る前にくらわしているとアレだったかもしれないが、普段の調子に戻った今ならこの扱いもよかろうってなもんですよ。
さて、合流は果たしたもののあまりそれを喜んでいる暇はなさそうである。
手嶋さんは坂道に近付き、取り急ぎのオーダーを出す。
なるべくオレたちから離れるな。なるべく前に位置しろ。
ふむ?これはどういう指示だろうか。
山で動く・・・わけではない。山まではまだ距離がある。
箱根学園の面々が動き出すのかと思ったら・・・もう動いてる!と叫ぶ手嶋さん。ほう?
どうやら箱学の作戦が読めたのは手嶋さんだけらしい。坂道に限らず他の面々も驚いた様子。
箱学のペースは上がっておらず、動いた様子はない。
それもそのはず。動くのは動くでも逆の方に動いていたのだ。
総北は箱学のペースに合わせて走っていたから気づかなかったようだが・・・
じわじわ足を止めてわざとペースを落とし・・・集団を呼び寄せることが目的だったのだ!!
出し抜かれて置き去りにされ、いきりたって追いかけてきた集団。
今先頭の2チームに追いついたと殺気立っております。
集まった意志は時に狂気を生む。
この狂気の集団に飲み込まれたらどのようなことになるか・・・
昨年の3日目に集団に飲み込まれた経験のある坂道なら分かるのではなかろうか。
なるほど。手嶋さんの言っていたオレたちから離れるなというのはそういう意味でありましたか・・・
だが、どうやら遅かった様子。
気付けば集団は総北と箱学を飲み込む。このまま固まったままの状態で山まで向かうようでありますな。
仕掛け人である箱学の6人はきっちり揃って走っている。さすがだ。
一方、ハメられた総北は5人・・・まさしく目論み通り、坂道1人がはぐれることとなった様子。おやおや。
その坂道はというと、他校の集団の中で孤立。
いや・・・孤立ならまだよかった。実際は取り囲まれている状態であります。
前に行こうとするが完全に前後左右を固められて身動きができなくなっている。うーむ暑苦しい。
集団を抜けて坂道が上がってこられるかどうか・・・それは難しいかもしれない。そのように述べる手嶋さん。
もうすぐ山だから・・・そしてあいつはゼッケン1をつけているから。
前年度優勝――しかもクライマー。
山頂ゴールを獲ったゼッケン1は他のチームに警戒され、徹底的にマークされる!!
小野田は初めて体験するだろう・・・ゼッケン1の本当のプレッシャーを!!
去年までのフリーな状態で自由に走れていた状況とはまるで違う。
オーラがないと侮られることはあるものの、やはりゼッケン1の注目度合いは計り知れないものがある様子。
昨年も人の壁を越えて前へ出た坂道であるが、今回は前後左右警戒した状態で固められている。
さてさて、ここを突破できるものでありましょうか・・・
救いがあるとすればむしろこれから山に入るって部分でしょうかね。
平坦ならともかく、山で速度を揃えるのは難しいと思われる。
隙が出来れば坂道なら一気に加速して囲みを突破することも出来ると思われますが・・・さてはて。
やはり今年も総北はギリギリな感じとなりそうですなぁ。やれやれだ。
しかし泉田君。随分と頭を使った作戦でありますな。
もうすっかり脳みそまで筋肉で鍛えられてますアブゥな状態かと思っていたが・・・これは侮った!!
RIDE.316 ゼッケン1のプレッシャー
(2014年 38号)
国道119号線日光街道。道の脇に立つ電柱よりもはるかに高い杉の並木は国際的観光地でもある日光東照宮へと続く参道である。
400年以上の歴史を誇る国宝東照宮本殿に向かう119号線は神橋交差点で国道120号線へと名称を変える。
そして更に標高を上げ、海抜100m近くまで登ると現れる長いつづら折りが、
今回インターハイ1日目山のステージ勝負所、日光いろは坂である。
ここが噂に名高い日光いろは坂でありますか。いきなりの難所ですな。
その山へと向かって自転車の集団が入ってくる。
まだ登り始めの段階では集団が揃っており、カラフルで見栄えもよい状態。
しかし本格的な登りが始まると段々と集団はバラけていくこととなる。登りは力の差が出やすいのだ。さみしくなっちゃうね。
そういった風にチームでバラバラにならないよう、各チームはいろいろと作戦を立てて走る。
しかしその作戦が上手くいかなかった場合は孤立し、1人で走らなければいけなくなる。
今の坂道がそうである・・・いや、もっと悪い状況でありますかな。1人で自由に走れていれば問題はなかったのだが・・・
チームからはぐれ、後方で集団に囲まれている坂道。
山が始まる前に皆のところに戻ろうと回転数を上げる。
しかし周りをギッチリと囲まれており、速度を上げる前に止められてしまう様子。おやおや。
さすがにこの壁を破るだけのパワーや荒北さんのような際どいところを抜けていく走りは坂道には難しいか。
ボクはただ手嶋さ・・・チームのところに戻りたいだけなんです。
そのようなことを言いだす坂道。いやいや。それをさせないためにこうしてブロックしているんですよ。
チームのところに戻ればそのままオーダーを受けて山の頂上、山岳賞目指して走り出すこととなるでしょう。
他のチームとしてはそれは認められない。
山岳賞はインターハイの勲章である。赤いゼッケンは誇りであり、誰だって欲しい。どのチームも狙っている。
何の制約もなく力と力で闘える1日目は特に皆にリスペクトされるとのこと。
ふうむ、それならば前回王者を押さえてしまったのでは何の制約もってことにはならないんじゃなかろうか・・・?
まあ、チームプレイも力のうちってことですかね。
ボクは・・・ボクは、ただボクの役割を果たしたくて。
再び懇願する坂道であるが・・・
"ゼッケン1番総北小野田。おまえを止める"それがオレの役割だ。
オレもキッチリ役割を果たすつもりだ。チームのために!!
自分がチームの役割を果たそうとするのと同様に、他の選手だって己の役割を果たそうとしている。
さすがにこの坂道の発言は甘えているようにしか思えずいけませんわなぁ。
初心者の頃ならまだ大目に見れないことはないが、2年目でこの有り様ではやっぱりいかん。
必要なのは懇願することではなく、力を示して見せることである。まさに「走りで語れ」ってことですな。
そうだ。ボクは前に行かなくちゃならないんだ。前に!!
ボクはたのまれたから!!
巻島さんに総北をたのまれたことを思い出し、猛る坂道。
強引にブロックを破ってでも前に進もうとする。が――
――!!え!?ボクのペダルの金具がくるぶしに当たって――!!
これは痛い。想像できそうな痛みなだけになかなかキツイ。血が飛び散ってますわ。
しかしそのような状態になっても怯むことなく坂道をブロックしようとしている。見上げた男だ。
オレは山形最上2年稲代文也。最上の山のアシスト!!
行かせん!!おまえは命がけでおさえる!!そのためならこの足は惜しくない!!
前へ行くという意志を固めた坂道であったが、それを上回る覚悟に気圧された様子。
気付けば登りが始まり・・・山に入ろうとしている。
そこまでに前に出て追いつきたかったようだが・・・果たせませんでしたな。
さて、ここで各校のクライマーが次々と動き出す。
長野中央。アルプスの山守の名を継ぐ男、粟頭弓親!!去年山岳3位にだったあの館林さんの後輩であります。ほう。
静岡の富士川。富士山のクライマー、大観寺晴壱。富士山がホームなだけに登りは強そうだ。大粒さんかと思ったら違ったよ。
そして今大会の山の最右翼とウワサの山形最上の3年クライマー川原群平。
坂道をブロックしている山形最上のクライマーはそんなに評判の人でありましたか。
でも去年姿を見せていたわけでもないのに最右翼と称されるのは何故なんでしょうね。山岳より凄いというのか?
その山岳のいる箱学は動いていない。
まあここでは悠人を出すつもりのようですけどね。
しかし坂道が合流してこないと身動きがどうにも取れない総北。去年に続いてのピンチであります。
よし!!ほな!!ちょっくらワイとカブで今から小野田くん救出いってきますわ!!
そんなことを口走る鳴子。
それに対し、ギラッと目を輝かせる手嶋さん。何だ?やけに怖いぞ!?ダメなの!?
さすがの手嶋さんも判断に困るといったところでしょうか。
去年は坂道が下がって田所さんを引っ張ってきた実績がありますが・・・さてさて。
その坂道は結局最後尾に押し込まれている状態。
うーむ、去年に続いてまた最後尾を味わうことになるとはなぁ。
逆に言うと去年の実績があるため、最後尾になってもそんなに絶望感はなかったりする。
とはいえこの人の壁をどのようにして破ればいいのか・・・
後ろが空くようになったので、急ブレーキでもかけてみたらどうだろうか。
横のスペースもあることですし、ストップ&ゴーが出来ればいけそうな気はしないでもない。
それがダメならもう力技しかないですわな。待宮も見せた頭突きをかましてみせる!!それしかありますまい!!
かつての敵の技を自分のものにする。長期連載ではセオリーともいえる展開ですし、坂道がやっても不自然ではないはずだ!!
まあ本当にやってくれたら笑うしかないですけどね。ハッハッハっと。
RIDE.317 抜けない包囲網
(2014年 39号)
山が始まった。しかし肝心のエースクライマーである坂道は後方で集団に囲まれている。
どうにかしてチームのもとに戻りたい坂道であるが・・・どうするのか。
たぶんまだ状況はそんなに悪くないと考えているようですが、これはポジティブシンキングであろうか?
まあ、それはさておき――
前はふさがれてる。だったら――うしろだ!!
ブレーキを踏んで囲んでいた集団から逃れる坂道。
おぉ・・・前回そうしたらいいんじゃないかとは書いたが本当にやるとは思わなかった!これは坂道を侮ったか。
というか前回は後ろについてる選手いなかったのに今回はいたんですよね。それなのにフルブレーキとは・・・
下手すれば後ろの自転車が避けられずに衝突してたりしたんじゃなかろうか。地味に勇気のいる行動だ。
ともかく包囲網を抜け出した坂道。脇へとずれて一気に前に抜けようとする。
囲んでいた連中、まさか最後尾を利用するとはと驚いている。いやさすがにそれぐらいは予想しておこうぜと。
何とか追いついて再び囲もうとするわけでありますが・・・
気をつけろォ!もうじわじわ登りに入ってる!!
登りに入ってからのあいつは信じられんくらい速い!!
登りに入ったから速くなるというわけではなかろうが、相対的には凄く速く感じるでしょうな。
他の選手が登りで遅くなる中、凄い勢いで加速していくわけですからねぇ。
これはこのまま先頭に追い付く・・・かと思いきや、山形最上の稲代が追いついてきた!!
なめんなゼッケン1!!オレは川原さんの山のアシスト。アシストには・・・アシストの意地ってモンがアンだよ!!
全力でペダルを回し、坂道の前へと前輪をねじ込む稲代文也。
うーむ、全力で踏んだとはいえよく坂道に追いつけたものですなぁ。
なんてやつだ総北1番・・・これが前年度優勝者の脚!
想像以上の登坂力!!よく回す!!さっきの集団の中でのぎこちない走りがウソのようだ。
7人いた各チームの包囲網が今の数100mの登りで一気に3人に減った・・・!!
再び囲まれはしたものの、先程までの窮屈さはない。
とはいえさっきよりも警戒されていることは間違いない。同じ手は使えないでしょうな。
3人だと3方しか囲めないが、残りは道の端で塞ぐ形となっている。
さてさて、ここで坂道が前に出るとしたらどのような手段があるか・・・
去年の側道の溝走りは今年も使えるのかどうか。同じ手段を使うよりは新たな技が欲しい所であるが・・・やはり頭突きか!?
さて、飛び出した選手たちのうち、先頭を走るのは長野と富士川の2校。
前回高らかに自己紹介した割にデフォルメされてるな。
一方、その2人を追い越した山形最上3年の実力はクライマー、川原群平はしっかり描きこまれている。
観客も気にしているが、実力派の3年の割に去年は聞いたことのない名前である。これはどういうことだろうか。
古賀さんのようにケガをしていたのか、銅橋のように問題を起こしていたのか。さてさて・・・?
文也。頑張ってくれてるか。獲るよ。今年は。必ず。山岳ゼッケンをこのオレが!!
ここのクライマーペアは結びつきが強いようですな。
どうでもいいがこの川原さんの表情はやけに色気があるような気がしてならないが・・・何故だろうか。
それはさておき、総北。
前回鳴子たちは坂道を救いに行こうとしていた。しかしどうやら手嶋さんはそれを止めた様子。
勿論その判断に納得がいかず抗議する鳴子。
山だから自力で戻ってくるというのなら、戻ってこれてないでしょうと。
まあ、あのマークされている状態では簡単にはいかないでしょうなぁ。
夜の闇に暗いと嘆いても明るくはならない。夜明けを待つしかないのさ。
鳴子の抗議に対し、そう返す手嶋さん。うん。貴方は一体何を言っているのだ?
このタイミングでいきなりポエムを披露されても困ります。そういうのを受け止めれる子はいませんから!!
案の定理解できず、ナゾナゾすか!?と返す鳴子。ナゾナゾと聞いてときめく鏑木。オイ。
まあ、ナゾナゾはさておき・・・手嶋さんが言いたいのはヘタに動くなということである。
こっちが陣形をかえればヤツらの思うツボだ。
こっちなんか気にして走ってないように見えて全開で警戒してる!!
オレたちの人数が減れば一気にしかけてくる!!引き離される。
もし鳴子と鏑木が下がってこっちが3人になれば3対6だ。
手ぐすね引いて待ってるのさ。そんな状況を!!ヤツらは、ヤツらの目的はチームごとオレたちを追い落とすことだ!!
山は平坦程は引く人数に影響されないとはいえ、さすがに全く効果がないわけではない。
そういう意味では一時的に人数が駆けるのは手痛い。ただでさえ現在はクライマーが欠けているというのに・・・
ただでさえエースクライマーがいないのに疲れたスプリンターを2人抱えている。
そこで登らなければいけないのが地獄のいろは坂。嘆きたくもなる状況。そして――
今年の箱根学園には黒田、葦木場、真波、新開。クライマーが4人いる!!
ほう。それはまた何というか、この坂の多い今年に合わせたかのような絶好の布陣でありますな。
やはり泉田君は地味に頭も良かったりするのか・・・?
というか葦木場ってクライマーだったのか。確かに登れてはいたけど、登れるオールラウンダーなのかと思っていたら・・・
であるならば山岳賞自体あきらめたらいいんじゃないかと鏑木。
まあ坂道が戻ってきていないのならそれもアリかと思えるが・・・手嶋さんはこれもダメだと述べる。
そんなことをしたら、あいつらそのままゴールを獲る!!
ふむ。山の動きはそのあとのゴールにかかわってくる。余裕をもって山を獲らせるわけにはいかないということか。
なるほどねぇ。というか青八木さんが積極的に解説をしてくれるとは・・・相手が鏑木だからだろうか?
これまでならば今泉君か誰かが解説すべき場面であったのでしょうが、先のスプリントを経て意識が多少変わったようですな。
好ましい変化ではあると思うので、長くしゃべったからって驚くな!!
それはさておき、手嶋さんからオーダーが出る。
今泉君と鳴子でローテーションをしながらチームを引いてゴールに備えてもらう。
やはり最後にゴールを狙うのはこの2人。だけどチームを引けるのも今はこの2人しかいないということか。
その2人が疲れたスプリンター2人を山の上までつれていく。となると残る1人、手嶋さんは――
てなことを言っている間についに動き出す箱学。
そろそろだ。山を獲ってこい。出ろ、真波!!
やはり1日目はエースクライマーを出してきますか、箱学。
本来ならば山岳が山を狙い、悠人が坂道を塞ぐという作戦だったんでしょうかね。
敗れて調子を落としていた山岳であるが、どうやらすっかり調子を取り戻している様子。
坂、楽しんできますと言い残して登坂を開始。
いけ真波。前にいるクライマーを抜き、あわよくば1日目のゴールも獲ってこい!!
合流せず、そのままゴールを獲ってこいと述べる泉田君。
コースがどうなっているのかはわからないが、平坦なしで1日目のゴールを迎えるのなら、そうなりそうな気はしますな。
手嶋さんのいう通り、すんなり山を獲らせるのはそのまま1日目のゴールを譲ることになるわけか。
なので、総北も山岳を追ってクライマーを出す。
オーダーからすれば自由に動ける残った選手は1人しかいないわけだが・・・ほんますか!?
総北は――誰を出すブゥ!?
うそだろ!?キミが山を!?失礼だが才能もセンスもないようだが。
相変わらず言葉の途中にアブゥが混じる泉田君だブゥ。
それはさておき、泉田君が驚くのは出てきた総北のクライマーが・・・手嶋さんだったから!
才能もセンスもない。努力で登るしかない。この男が果たして山岳に立ち向かえるのだろうか・・・?
1日目から山岳と坂道の対決はないかと思ったが、まさかの対決となりそうな展開。
これならば他のクライマーたちにもチャンスはあるんじゃないかと思えます。
山形最上の川原さんはそれなりに活躍できそうな雰囲気。待宮ぐらいの見せ場は回想付きでありそうだ。
長野中央の粟頭弓親と藤川の大観寺晴壱はどうだろうか。今回で早速デフォルメされたぐらいだしなぁ・・・うーむ。
平坦の福岡城西大濠とどっちの扱いがマシとなるか。その点が見ものですな!!
RIDE.318 手嶋純太!
(2014年 40号)
1日目山岳勝負が始まった!!
とびだした先行した数名のクライマー。
それを追って箱根学園が選んだクライマーは、前年度インターハイ個人総合2位、2年。真波山岳!!
そして・・・対抗すべく総北が送り込んだクライマーは・・・3年ゼッケン5番。キャプテン手嶋純太だ!!
早くもハァハァ言いながら必死で山岳を追う手嶋さん。
坂道が出なかったことに観客たちはガッカリしている様子。
いやまあ、本来は出す予定だったんですけどねぇ。文句は箱根学園を初めとした他校にお願いします。
それはそうと、相変わらず手嶋さんの走りは平凡と酷評される。
それでも何だかんだで追いついたりしてるんだし、そこまで言われることはないと思うんですけどねぇ。
まあ東堂さんの走りも凡人には大したことないように思えたりしたらしいし・・・
とはいえ、やっぱり手嶋さんに登りのセンスがないのは間違いのないことではある。
その手嶋さんがこの1日目の山岳で単独勝負とは、いやはやこれは。これは。
アッブゥウウウ!!ブフゥ!!いや失礼だ。笑ってはいけないッ!!
むしろ泉田君が読者を笑わせに来ているのではないかと言いたい。ブフゥ。
何はともあれ、泉田君は手嶋さんの判断をミスだと考えている様子。
本来出すべき坂道が集団に呑まれ失って責任を感じたために失策することになったと。
今泉くん。キミが出る場面じゃなかったのか。
ここまでの走りを見てもわかる。彼は頭は回るが脚は平凡・・・"努力で登る"?
いやいやズバリ言おう。彼では到底プフッ。うちの真波には勝てない!!
失礼だと言いながら笑いが止められない様子の泉田君。
自信によるものなのかどうか、何だか感じが悪くなっておりますな。
去年は3年生たちがいたからあまり喋らずにいたのだろうけども・・・なかなかトラブルを起こしやすそうな子である。
まあ総北の方も口の廻る手嶋さんがキャプテンだから対比としてはいいのかもしれない。
しかし今はその言葉に受けて立つ手嶋さんが不在。なので今泉君が対応することとなる。
じゃあこっちもあえて言いますよ。オレはこの1年、あの人が努力を怠っているのを見たことないす。
確かに努力という面で見ればかなりのものでありましょう。
しかし他の人も努力を怠っているとは思えない中、それだけでどれだけ食い付けるものか・・・
無謀だって笑うか泉田。
ありえないって止めるか今泉。
勝ち目ないでしょっと叫ぶか鳴子。
ムリもねェ。オレは特別じゃない。ましてこのインターハイの舞台。しかも華の山岳ステージだ。
出番じゃないってのはわかってる。だけどオレは登れって言われた。
ごまかしのきかねェ一歩一歩を積み重ねろって言われた。
「特別な何か」もねェ。ジャンプアップもできねェ。
だったらこの一歩一歩。見せてやるよ地に足のついたオレの平凡な走りを!!
才能による掛け算が効かないのであれば、努力という足し算で積み上げていくしかない。
それらを積み重ね積み重ね、今ここにいる。
観客や山岳から名前も覚えられていない現状の手嶋さん。
だがここで不敵に宣言する。山岳に対し、せっかくだから山頂あたりまで一緒に行こうぜ、と。
せっかくですけど、ちょっとだけ急ぐんで。
一応オレ、この山獲ってこいって言われてるんで!!
飛び出す前は相変わらずの飄々とした様子だった山岳。
しかし去年の敗北と、その雪辱を願う気持ちは根強く心に宿っていると思われる。
まずは山を獲ってこいというこのオーダーを果たす。そういった想いがあるのではないでしょうか。
凄まじい加速で駆け登る山岳。
しかしここで引き離されたのではもう追いつけない。必死で回して追いつく手嶋さん。
古賀さんの時もそうだったけど、満身創痍になりながら必死に張り付く人ですなぁ。しかし・・・
こいつ・・・ウワサにきく羽根ってヤツ出してねぇ。
もう一段速くなるってコトかよ。くそ・・・
まだ"いろは坂"入ってねェぜ・・・"登り"・・・キツイすね巻島さん・・・!!
山岳が羽根を出すのはウワサ話になっているのか!?
まあインターハイで走りを見ていた観客にも羽根を見たという人がいるようだしなぁ・・・ウワサにもなるか!!
そろそろ山岳にも羽根絡みで異名とかついてもよさそうですね。
さて、ここでいきなりカメラは空港に。
ロンドン発成田行きの便は整備のために6時間遅れてようやく到着した様子。
クハ。さんざんだったショ。
そういいつつ空港に現れたこの人は・・・3YAGISという何とも言えないシャツを着たこの人は・・・!!
苦戦している総北の前に有難い人がやってきそうな気配。
成田から宇都宮までどれぐらいかかるのだろうか。
リアルタイムではなく少し前の話という可能性はありますが・・・さてはて。
今更アドバイスするようなことはないでしょうが、力になってあげて欲しい所であります。
RIDE.319 ショ!
(2014年 41号)
英国から日本へと舞い戻った巻島さん。
兄にはちゃんと書置きを残してきた様子。書置きかい。
話題の兄が顔の下半分だけ出てきたわけですが、このアゴの感じは巻島さんっぽいですなぁ。
そしてRENという名前なのは分かるのだが、どういう漢字でありましょうか。
それはさておき、もてなしの国JAPANに帰国。
さすがにそう名乗るだけあり、空港からして便利な品々がいっぱいである。
イギリス帰りの巻島さんとしては懐かしい気がするでしょうな。
そして、日本の夏の暑さも久しぶりに直撃することとなる。うむ、懐かしくてもやっぱり暑いのは厳しいか!!
ともあれ、飛行機が遅れたこともあり、直ぐに現場に向かいたい巻島さん。
これまでは自転車か学校のバス移動だったので電車はイマイチであるとのこと。
ふうむ。お金持ちな感じなのに、送迎してくれる人とかいないんですかね?
初期の今泉君には送り届けてくれる人がいたというのに。いやしかし今思えば誰だったんだアレは・・・
それはさておき、電車の乗り換えを書いたメモを落としたのに気付かない巻島さん。
ふむ。どうやら兄には彼女がいるようですな。
それはいいけど、何で彼女の電話番号を巻島さんが控えているのか。そして捨ててしまうのか。謎だ。
というのもさておき、落としたメモを拾ってくれる親切な人がいる。
坊主頭でメガネでTREKと書かれたシャツを着た見覚えのある男・・・き、金城さんだー!!
この突然の登場に嬉しそうに驚く巻島さん。だが――
――!!オチツケ祐介。
ここは空港だ!!こんなところに金城がいるわけないショ!!時差ボケでマボロシ見てる。
あぶないっショ。知らないボーズでメガネの男にハイタッチするとこだったショ。
あいつの顔は割とありがちな日本人の顔だからな。
何だか微妙に失礼なことを言われている気もするが、まあ確かにそうかもしれない。
それこそ御堂筋君とかであれば人違いもあり得ないのだろうけどねぇ。
でも思いっきりこっちの名前呼んでるんだから本人に決まってるっショ。
ここの寸劇こそ時差ボケによって生まれたものかもしれませんな。ハハハ。ホンモノだー!!
ようやく気づき、しっかりハイタッチを行う巻島さん。良かった良かった。
さて、何で金城さんがここにいるかというと、どうやら巻島さんを迎えに来た様子。
なるほど。巻島さんの実家に電話していつ帰って来るか知っていたわけでありましたか。
予定より6時間も過ぎたのに待ち続けるとはさすがの辛抱強さよ。
金城「行くんだろ。あいつらの応援に。インターハイ」
巻島「ショ!!」
それは返事なのだろうか。分からないが、顔を見ればまあ一目瞭然ですわな。
というわけで、急いで現場へと向かおうとする総北OBの2人。いや、もう一人。
おう!!いつまで待たせんだよ巻島!!
空港の外では田所パンと書かれた車に乗った田所さんが待っていました。
おぉ、久しぶりの登場になりますな田所さん!!卒業してからどうしていたんだろうか。
積もる話は車中でしてもらうとして、今は急いで宇都宮へと向かわないといけない。さてさてレースに間に合うのか?
誰に言ってる!!オレは"総北名物肉弾列車"の田所迅だぜ?
力強くそう述べる田所さん。頼もしい。
けど何といっても運転するのは車である。速度を出せばいいというものではない。
果たして速度を出しながら事故も起こさず無事にたどり着けるのか!?
スピード違反で捕まって1日目間に合いませんでしたなんてオチは勘弁願いたいところであります。
捕まりそうになったら荷台に積んでた自転車で金城さんと巻島さんだけ逃がすとかなら・・・まあ、アリかな!!
RIDE.320 手嶋のチャレンジ!!
(2014年 42号)
悠々と軽やかに山を登るのは、箱根学園の真波山岳。
その山岳を追い、辛そうに登るのは総北の手嶋純太。
実に対照的な2人の山の戦い。長い戦いとなりそうな予感がします。
去年で一気に知名度が上がった山岳。さすがインターハイ総合2位。
入場時に姿を見せていた女子たちのファンクラブもちゃんと追ってきている様子。
箱学は東堂、山岳、悠人と女子人気の高そうなクライマーを輩出しててやりますなぁ。
こいつが真波山岳。勾配をものともせず登っていく!!
昨年のインターハイのファイナリスト。先行した他のクライマーをもう5人も抜いてきた。
この速度――ついていくのがやっとだ。
たのむぞ真波山岳。まだ本気出すなよ。やっといろは坂の入口なんだ。
辛い登りはこれからが本番。
とはいえ、ここまで山岳に付いて行き、5人も抜いた手嶋さん。山岳が言うように凄いと言ってもいいのではなかろうか。
ここまでついて来ることが出来たためか、ようやく手嶋さんに話しかけてくれる山岳。
口の廻る手嶋さんとしては会話でどうにかペースを掴みたい。
のだが・・・残念ながら不思議チャンとは会話が噛み合いませんでした。
手嶋さんが喋っている最中に自分の言いたいことを語り出す山岳。うーむ、これは厳しい。噛み合わない!!
1年経っても相変わらずな様子の三角メガネの委員長。
今年も見には来るみたいですが・・・さてはて、どうなりますか。
それはさておき、山岳にだけはフシギですよねーとか言われたくないぜ。
坂は苦痛だと言い、心拍上げながら必死に山岳に喰らい付いている手嶋さん。
何でこんなことをしているのか・・・それを考えるといつも1コの答えに行き着くのだという。
ほほう?興味深い話・・・となるかと思いきや、ほとんど聞いていない山岳。
前方に人影を発見すると、抜くために加速を開始してしまう。
バカヤロウ。まだ話の途中だよ!!
得意の会話による揺さぶりが通用しない。
やはり策士に天然は相性が悪いということだろうか。
天然ということなら葦木場もそうだが、葦木場は手嶋さんに関心ありまくりだったからなぁ・・・
このタイプはやはり苦手とするところでありましょう。
ともかく、山岳の加速を必死に追いかける手嶋さん。
格差は感じているが、ここで出し惜しみすることなく喰らい付く!!
その結果、山岳と同じく富士川の大観寺を抜くことに成功しました。
うーむ、何とか出番はもらえたけどやっぱりこんな扱いですか大観寺。まあ仕方がないですよね。
というか、何故追い抜かれて置きながら手嶋さんのことを笑うのだろうか?
確かに山岳を追うなんて無謀だとは思わないでもないが・・・たった今抜かれておいて思うことでもありますまい。
選手にも観客にも無闇やたらに見くびられている手嶋さん。
なんだろう。いじめられっ子属性ならぬ、見くびられっ子属性でも有しているのだろうか?
こいつの走りを見たら見くびらざるを得ない!!抜かれたのにとりあえず見くびらずにはいられない!!
そんな特性を持っているのだとしたらそれはそれで逆に厄介ですな。凄い擬態能力だ!!
まあ、実際これだけ辛そうにしてたらそう思われても仕方ない部分はあるかなぁ。
でも古賀さんとの時もそうだったけど、最初から最後まで辛そうにしながら走りきる人ですからなぁ。
これも擬態能力の一種でありましょうか。侮ってはいかん。侮ってはいかん・・・!!
何はともあれ、加速した山岳に追いついた手嶋さん。それどころかその前へと出る。
オレは総北キャプテン3年、手嶋純太!!人はオレのことを平凡だってよく笑う!!
インハイのこの最初のステージでハコガクのエースクライマー真波、おまえと勝負して――
おまえの脚削って山獲んのがオレの役目だ!!
ほほう。これは見事な宣戦布告。
さすがにここまで言われては山岳も無視は出来ないか。興味を抱いた様子ですな。ニコッ。
頑張る手嶋さんでありますが、果たしてこのまま宣言通り勝負することになるのだろうか?
ここで山獲ってそのまま1日目ゴールとかしたら、今までの評価は全て覆りそうですが・・・いやいやさすがに。
最後尾の坂道は手嶋さんが出ていることを掲示で知った。
となれば、奮起して囲いを抜け出す流れとなりましょうか?
そしてそのまま勢いに乗って山を獲りに行く・・・有り得そうだけど、さてはてどうかな?
それであっさり獲られたら山岳の格が去年と比べてあまりに・・・ってことになりますしねぇ。
まあ手嶋さんが宣言通りに山岳の脚を削っておいてくれればその部分はどうにかなるのでしょうが。
巻島さんたちが応援に駆けつけるまでにどうなっているのか。気になるところです。
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